JP5771310B1 - 電磁波遮蔽用樹脂組成物、及び、ケーブル - Google Patents
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Abstract
【課題】優れた電磁波遮蔽特性、耐屈曲性及び低温脆化特性を有する電磁波遮蔽用樹脂組成物、及び、これを用いたケーブルを提供すること。【解決手段】ポリ塩化ビニル樹脂及びエチレン−酢酸ビニル共重合体を含むベース樹脂と、磁性金属からなる磁性層で炭素繊維を被覆してなる磁性層被覆炭素繊維と、炭素粒子とを含む電磁波遮蔽用樹脂組成物であって、下記式(1):A=炭素粒子の吸油量[ml/100g]?ベース樹脂100質量部に対する炭素粒子の配合量/電磁波遮蔽用樹脂組成物を構成する各成分の合計配合量・・・(1)で算出されるAが5〜41[ml/100g]であり、下記式(2):B=ベース樹脂100質量部に対する磁性層被覆炭素繊維の配合量/A・・・(2)で算出されるBが1.5〜15[100g/ml]である電磁波遮蔽用樹脂組成物。【選択図】なし
Description
本発明は、電磁波遮蔽用樹脂組成物、及び、ケーブルに関する。
高圧ケーブルなどのケーブルでは、従来より、電磁波遮蔽特性が必要とされており、そのために、金属材料が電線を包囲するように設けられていた。このような金属材料は、金属箔の形態、プラスチックテープに貼り付けた形態、又は編組の形態で使用されてきた。
近年、化石燃料から電力へのエネルギー転換、及び、電気・電子機器(ロボットなど)の発達が急速に進行している。これに伴い、繰り返し屈曲が加えられるケーブルにおいても、電磁波遮蔽特性が必要とされるようになってきている。ここで、上述したような金属材料が電磁波遮蔽のために使用されると、繰り返し屈曲が行われることで金属材料に亀裂等が生じ、電磁波遮蔽特性が低下する。そのため、金属材料に樹脂を混合させた樹脂系遮蔽材料が電磁波遮蔽材料として使用されるようになっている。
このような樹脂系遮蔽材料としては、例えば下記特許文献1に記載の樹脂系遮蔽材料が知られている。下記特許文献1には、樹脂基材と、導電材料からなる第1微細物質と、磁性材料からなる第2微細物質とを含む樹脂系遮蔽材料が開示され、樹脂基材として、ポリ塩化ビニルやポリ酢酸ビニルが記載され、第1微細物質の導電材料として炭素繊維が記載され、第2微細物質の磁性材料としてニッケルなどが記載されている。
ところで、ケーブルは、寒冷地等の低温環境下で使用されることもある。このため、ケーブルの電磁波遮蔽材料には低温脆化特性も求められる。従って、電磁波遮蔽材料には、優れた電磁波遮蔽特性、耐屈曲性及び低温脆化特性を有することが望まれる。
しかしながら、上述した特許文献1記載の樹脂系遮蔽材料では、特に電磁波遮蔽特性の点で改善の余地があった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、優れた電磁波遮蔽特性、耐屈曲性及び低温脆化特性を有する電磁波遮蔽用樹脂組成物、及び、これを用いたケーブルを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため、ベース樹脂と炭素材料とを含む電磁波遮蔽用樹脂組成物について、ベース樹脂として、ポリ塩化ビニル樹脂(以下、「PVC」と呼ぶことがある)及びエチレンー酢酸ビニル共重合体(以下「EVA」と呼ぶことがある)を含むものを用い、炭素材料として、磁性金属からなる磁性層を被覆してなる磁性層被覆炭素繊維及び炭素粒子を併用するとともに、炭素粒子の含有割合と炭素粒子の吸油量との関係を表すパラメータ、及び、磁性層被覆炭素繊維と上記パラメータとの関係を表すパラメータをそれぞれ特定の範囲とすることで上記課題を解決し得ることを見出した。
すなわち、本発明は、PVC及びEVAを含むベース樹脂と、磁性金属からなる磁性層で炭素繊維を被覆してなる磁性層被覆炭素繊維と、炭素粒子とを含む電磁波遮蔽用樹脂組成物であって、前記PVCと前記EVAの合計100質量%中における前記PVCの含有率が5〜30質量%であり、前記EVA中の酢酸ビニル単位(以下「VA単位」と呼ぶ)の含有率が20質量%以上であり、下記式(1):
A=前記炭素粒子の吸油量[ml/100g]×前記ベース樹脂100質量部に対する前記炭素粒子の配合量/前記電磁波遮蔽用樹脂組成物を構成する各成分の合計配合量・・・(1)
で算出されるAが5〜41[ml/100g]であり、下記式(2):
B=前記ベース樹脂100質量部に対する前記磁性層被覆炭素繊維の配合量/A・・・(2)
で算出されるBが1.5〜15[100g/ml]である電磁波遮蔽用樹脂組成物である。
A=前記炭素粒子の吸油量[ml/100g]×前記ベース樹脂100質量部に対する前記炭素粒子の配合量/前記電磁波遮蔽用樹脂組成物を構成する各成分の合計配合量・・・(1)
で算出されるAが5〜41[ml/100g]であり、下記式(2):
B=前記ベース樹脂100質量部に対する前記磁性層被覆炭素繊維の配合量/A・・・(2)
で算出されるBが1.5〜15[100g/ml]である電磁波遮蔽用樹脂組成物である。
本発明の電磁波遮蔽用樹脂組成物は、優れた電磁波遮蔽特性、耐屈曲性及び低温脆化特性を有することが可能となる。
本発明の電磁波遮蔽用樹脂組成物が優れた電磁波遮蔽特性、耐屈曲性及び低温脆化特性を有する理由について、本発明者らは以下のように推察している。
すなわち、電磁波遮蔽用樹脂組成物では、ベース樹脂がPVCとEVAとを含む。ここで、PVCを「島」、ベース樹脂のうちPVCを除いた樹脂を「海」としたとき、「島」は硬い、「海」は軟らかいとも表現できる。この軟らかい「海」に磁性層被覆炭素繊維や炭素粒子が偏在しやすい。そして、「島」であるPVCは、電磁波遮蔽用樹脂組成物を一定方向に押し出すと、その方向に配向しやすく、それに伴って「海」に偏在した磁性層被覆炭素繊維がPVCと同じ方向に配向しやすくなる。この磁性層被覆炭素繊維の配向が、磁性層被覆炭素繊維同士の接近や接触を助長する。ここで、磁性層被覆炭素繊維は、炭素繊維単独よりも低い体積抵抗率を有する。また磁性層被覆炭素繊維は磁性層を含み、この磁性層は炭素繊維が一定方向に配向することに伴い同じ方向に配向し、電磁波遮蔽用樹脂組成物に対して高い透磁率を付与することが可能となる。このため、電磁波遮蔽用樹脂組成物の導電率が向上し、このことが電磁波遮蔽用樹脂組成物の電磁波遮蔽能を高くすることを可能にするものと考えられる。またこのとき、「海」に偏在する炭素粒子が微小な島として振る舞い、磁性層被覆炭素繊維の配向を助長すると考えられ、このことも、電磁波遮蔽用樹脂組成物の電磁波遮蔽特性を高くすることに寄与するものと考えられる。
さらに、本発明の電磁波遮蔽用樹脂組成物では、ベース樹脂が含まれるため、金属材料のみで構成される電磁波遮蔽材料に比べて、優れた耐屈曲性を有することも可能になっていると考えられる。また、炭素粒子が軟らかい「海」に偏在することによっても、優れた耐屈曲性が発現しやすくなると考えられる。
さらにまた、ベース樹脂がPVCのみで構成されると、電磁波遮蔽用樹脂組成物の低温脆化特性が低くなるところ、本発明の電磁波遮蔽用樹脂組成物では、ベース樹脂がPVCのほか優れた低温脆化特性を有するEVAをも含んでいる。このため、本発明の電磁波遮蔽用樹脂組成物は、優れた低温脆化特性を有するものと考えられる。
また、炭素粒子は、種類によって異なる吸油量を有し、吸油量が大きいほど少量配合で導電特性を示す傾向にある。従って、炭素粒子の導電特性は、炭素粒子の吸油量と炭素粒子の含有率とで決まるものと考えられる。そのため、炭素粒子の吸油量と炭素粒子の含有率との積に比例するAが特定の範囲にあると、低温脆化特性や耐屈曲性と導電特性とのバランスがとれることになる。ここで、導電特性は、電磁波遮蔽性能を反映するものである。このため、本発明の電磁波遮蔽用樹脂組成物は、優れた電磁波遮蔽特性、耐屈曲性及び低温脆化特性を有することが可能になるものと考えられる。
さらに、磁性層被覆炭素繊維と炭素粒子の導電特性を反映した含有率とをバランスさせること、すなわちBが特定の範囲内にあることも、本発明の電磁波遮蔽用樹脂組成物が優れた電磁波遮蔽特性、耐屈曲性及び低温脆化特性を有することに寄与するものと考えられる。
また、PVCとEVAの合計100質量%中におけるPVCの含有率が5質量%未満である場合に比べて、電磁波遮蔽用樹脂組成物を押出加工によって成形する際に、磁性層被覆炭素繊維がより容易に配向し、電磁波遮蔽特性がより向上する。また、PVCの含有率が40質量%を超える場合に比べて、EVAの含有率がより大きくなるので、電磁波遮蔽用樹脂組成物の低温脆化特性をより向上させることができる。
さらに、EVA中のVAの含有率が20質量%未満である場合に比べて、EVAとPVC等との相溶性がより高くなり、電磁波遮蔽用樹脂組成物が、より優れた低温脆化特性を有することが可能となる。
また、上記電磁波遮蔽用樹脂組成物においては、前記磁性層を構成する前記磁性金属がニッケルであることが好ましい。
また、本発明は、少なくとも1本の電線と、前記少なくとも1本の電線を包囲するように設けられる電磁波遮蔽層とを備え、前記電磁波遮蔽層が、上述した電磁波遮蔽用樹脂組成物からなるケーブルである。
本発明のケーブルは、電磁波遮蔽層が上記の電磁波遮蔽用樹脂組成物からなるため、優れた電磁波遮蔽特性、耐屈曲性及び低温脆化特性を有することが可能となる。
なお、本発明において、「炭素繊維」とは、電磁波遮蔽用樹脂組成物の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したときに、最小長さに対する最大長さの比の平均値(アスペクト比)が3以上である炭素材料を言い、「炭素粒子」とは、アスペクト比が3未満である炭素材料を言うものとする。
また本発明において、「炭素粒子の吸油量」とは、炭素粒子100g当たり吸収されるDBP(ジブチルフタレート)の体積(ml)であり、具体的には「JIS K6217−4 ゴム用カーボンブラック−基本特性−第4部:オイル吸着量の求め方(圧縮試料を含む)」に準拠して測定される値を言う。
本発明によれば、優れた電磁波遮蔽特性、耐屈曲性及び低温脆化特性を有する電磁波遮蔽用樹脂組成物、及び、これを用いたケーブルが提供される。
以下、本発明の実施形態について図1及び図2を用いて詳細に説明する。
[第1実施形態]
まず本発明のケーブルの第1実施形態について図1を用いて説明する。図1は本発明のケーブルの第1実施形態としての電力ケーブルの断面図である。
まず本発明のケーブルの第1実施形態について図1を用いて説明する。図1は本発明のケーブルの第1実施形態としての電力ケーブルの断面図である。
図1に示すように、ケーブル100は、1本の電線1と、電線1を包囲する外部半導電層(導電層)2と、外部半導電層2を包囲するシース3とを備えている。電線1は、導線4と、導線4を包囲する内部半導電層5と、内部半導電層5を包囲する絶縁層6とを有している。
ここで、外部半導電層2は、電磁波遮蔽用樹脂組成物からなり、この電磁波遮蔽用樹脂組成物は、PVC及びEVAを含むベース樹脂と、磁性金属からなる磁性層で炭素繊維を被覆してなる磁性層被覆炭素繊維と、炭素粒子とを含む。ここで、下記式(1):
A=炭素粒子の吸油量[ml/100g]×ベース樹脂100質量部に対する炭素粒子の配合量/電磁波遮蔽用樹脂組成物を構成する各成分の合計配合量・・・(1)
で算出されるAが5〜41[ml/100g]であり、下記式(2):
B=ベース樹脂100質量部に対する磁性層被覆炭素繊維の配合量/A・・・(2)
で算出されるBが1.5〜15[100g/ml]である。上記式(1)において、炭素粒子の配合量及び電磁波遮蔽用樹脂組成物を構成する各成分の合計配合量の単位は「質量部」である。また電磁波遮蔽用樹脂組成物を構成する各成分の合計配合量は、ベース樹脂を100質量部とし、その他の成分の配合量については、ベース樹脂100質量部を基準とした配合量とする。また上記式(2)において、ベース樹脂100質量部に対する磁性層被覆炭素繊維の配合量の単位は「質量部」である。上記電磁波遮蔽用樹脂組成物は、優れた電磁波遮蔽特性、耐屈曲性及び低温脆化特性を有することが可能である。
A=炭素粒子の吸油量[ml/100g]×ベース樹脂100質量部に対する炭素粒子の配合量/電磁波遮蔽用樹脂組成物を構成する各成分の合計配合量・・・(1)
で算出されるAが5〜41[ml/100g]であり、下記式(2):
B=ベース樹脂100質量部に対する磁性層被覆炭素繊維の配合量/A・・・(2)
で算出されるBが1.5〜15[100g/ml]である。上記式(1)において、炭素粒子の配合量及び電磁波遮蔽用樹脂組成物を構成する各成分の合計配合量の単位は「質量部」である。また電磁波遮蔽用樹脂組成物を構成する各成分の合計配合量は、ベース樹脂を100質量部とし、その他の成分の配合量については、ベース樹脂100質量部を基準とした配合量とする。また上記式(2)において、ベース樹脂100質量部に対する磁性層被覆炭素繊維の配合量の単位は「質量部」である。上記電磁波遮蔽用樹脂組成物は、優れた電磁波遮蔽特性、耐屈曲性及び低温脆化特性を有することが可能である。
このため、ケーブル100によれば、電線1から放出される電磁波を十分に遮蔽できる。また繰返し屈曲されても、外部半導電層2に亀裂等が生じることが十分に抑制されるので、優れた電磁波遮蔽特性を長期間にわたって保持できる。さらにケーブル100は寒冷地等の低温環境下でも問題なく使用することができる。
次に、上述したケーブル100の製造方法について説明する。
<導線>
まず導線4を準備する。導線4は、1本の素線のみで構成されてもよく、複数本の素線を束ねて構成されたものであってもよい。また、導線4は、導体径や導体の材質などについて特に限定されるものではなく、用途に応じて適宜定めることができる。
まず導線4を準備する。導線4は、1本の素線のみで構成されてもよく、複数本の素線を束ねて構成されたものであってもよい。また、導線4は、導体径や導体の材質などについて特に限定されるものではなく、用途に応じて適宜定めることができる。
<内部半導電層及び外部半導電層>
次に、内部半導電層5及び外部半導電層2を準備する。このとき、外部半導電層2を構成する材料としては、上述した電磁波遮蔽用樹脂組成物を準備する。この電磁波遮蔽用樹脂組成物は、上述したように、ベース樹脂と、磁性金属からなる磁性層で炭素繊維を被覆してなる磁性層被覆炭素繊維と、炭素粒子とを含む。
次に、内部半導電層5及び外部半導電層2を準備する。このとき、外部半導電層2を構成する材料としては、上述した電磁波遮蔽用樹脂組成物を準備する。この電磁波遮蔽用樹脂組成物は、上述したように、ベース樹脂と、磁性金属からなる磁性層で炭素繊維を被覆してなる磁性層被覆炭素繊維と、炭素粒子とを含む。
(ベース樹脂)
ベース樹脂はPVC及びEVAを含む。
ベース樹脂はPVC及びEVAを含む。
(PVC)
PVCの平均重合度は特に制限されるものではないが、900〜5000であることが好ましい。この場合、PVCの平均重合度が900未満である場合に比べて、低温脆化特性および耐屈曲性がより向上する。また、平均重合度が5000を超える場合に比べて、PVCの溶融粘度が低くなり、溶融混練が容易になる。したがってこの場合、電磁波遮蔽用樹脂組成物の製造が容易になる。
PVCの平均重合度は特に制限されるものではないが、900〜5000であることが好ましい。この場合、PVCの平均重合度が900未満である場合に比べて、低温脆化特性および耐屈曲性がより向上する。また、平均重合度が5000を超える場合に比べて、PVCの溶融粘度が低くなり、溶融混練が容易になる。したがってこの場合、電磁波遮蔽用樹脂組成物の製造が容易になる。
PVCの平均重合度は1000〜4000であることがより好ましく、1100〜3000であることが特に好ましい。
なお、「平均重合度」とは、JIS K6720−2に準拠して測定したPVCの比粘度をJIS K6720−1に準拠して推定換算した平均重合度を言う。
また、電磁波遮蔽用樹脂組成物に平均重合度の異なる2種以上のPVCが含まれる場合、PVCの平均重合度は、それぞれのPVCの平均重合度の加重平均により算出される。
(EVA)
EVA中のVAの含有率は20質量%以上である。この場合、EVA中のVAの含有率が20質量%未満である場合に比べて、EVAとPVC等との相溶性がより高くなり、電磁波遮蔽用樹脂組成物が、より優れた低温脆化特性を有することが可能となる。
EVA中のVAの含有率は20質量%以上である。この場合、EVA中のVAの含有率が20質量%未満である場合に比べて、EVAとPVC等との相溶性がより高くなり、電磁波遮蔽用樹脂組成物が、より優れた低温脆化特性を有することが可能となる。
EVA中のVAの含有率は好ましくは45質量%以下である。この場合、VAの含有率が45質量%より大きい場合に比べて、EVAの粘着性が低くなり、取り扱いが容易となる。さらにまた、EVA中のVAの含有率が45質量%以下である場合、VAの含有率が45質量%より大きい場合に比べて、EVAの価格が低くなるため、電磁波遮蔽用樹脂組成物の製造コストが低くなる。VAの含有率は24〜42質量%であることが好ましく、27〜39質量%であることがさらに好ましい。
上記電磁波遮蔽用樹脂組成物においては、PVCとEVAの合計100質量%中におけるPVCの含有率が5〜30質量%である。この場合、PVCとEVAの合計100質量%中におけるPVCの含有率が5質量%未満である場合に比べて、電磁波遮蔽用樹脂組成物を押出加工によって成形する際に、磁性層被覆炭素繊維が配向しやすくなり、電磁波遮蔽特性がより向上する。また、PVCの含有率が30質量%を超える場合に比べて、EVAの含有率がより大きくなるので、電磁波遮蔽用樹脂組成物の低温脆化特性をより向上させることができる。
PVCとEVAの合計100質量%中におけるPVCの含有率は好ましくは10〜30質量%であり、より好ましくは15〜30質量%である。
上記ベース樹脂は、PVC及びEVA以外の熱可塑性樹脂をさらに含んでいてもよい。PVC及びEVA以外の熱可塑性樹脂としては、例えばエチレン−アクリル酸エチル共重合体、塩素化ポリエチレン樹脂、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸ブチル共重合体、変性ポリオレフィン樹脂などが挙げられる。これらは1種類が単独で又は2種以上が組み合わせて含まれていてもよい。
(磁性層被覆炭素繊維)
磁性層被覆炭素繊維は、炭素繊維に、磁性金属からなる磁性層を被覆してなるものである。磁性金属は、磁性を有する金属であればいかなるものでもよい。このような磁性金属としては、例えばニッケル、鉄、コバルト、クロム、マンガンなどが挙げられる。これらは1種類単独で又は2種類以上の合金として使用することも可能である。中でも磁性金属はニッケルであることが好ましい。
炭素繊維に対する磁性層の質量比は、特に制限されないが、通常は0.1〜50である。質量比は0.1〜50であることが好ましい。この場合、質量比がこの範囲を外れる場合に比べてベース樹脂中で磁性層被覆炭素繊維がより配向しやすくなる。
磁性層被覆炭素繊維は、炭素繊維に、磁性金属からなる磁性層を被覆してなるものである。磁性金属は、磁性を有する金属であればいかなるものでもよい。このような磁性金属としては、例えばニッケル、鉄、コバルト、クロム、マンガンなどが挙げられる。これらは1種類単独で又は2種類以上の合金として使用することも可能である。中でも磁性金属はニッケルであることが好ましい。
炭素繊維に対する磁性層の質量比は、特に制限されないが、通常は0.1〜50である。質量比は0.1〜50であることが好ましい。この場合、質量比がこの範囲を外れる場合に比べてベース樹脂中で磁性層被覆炭素繊維がより配向しやすくなる。
炭素繊維は、3以上のアスペクト比を有するものであればよく、特に制限されるものではないが、10以上のアスペクト比を有するものが好ましい。
また炭素繊維の平均長さも特に制限されないが、好ましくは0.023〜10mmであり、より好ましくは0.03〜6mmである。ここで、平均長さとは、炭素繊維を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したときに、下記式:
炭素繊維の平均長さ= n本分の繊維長さの合計/n
で定義される炭素繊維の長さの平均値を言う。ここで、炭素繊維の長さは、電子顕微鏡の観察モニターに映った炭素繊維に対し、オペレーションソフトが備えるスケール機能を適用することで計測できる。ここで、炭素繊維の長さは、電子顕微鏡(SEM)で観察した際に、観察モニターに映った炭素繊維の長軸方向の最大値を言う。なお、炭素繊維の長さの測定は、電磁遮蔽波用樹脂組成物を溶剤で溶解し、濾過、乾燥させることで得られる炭素繊維に対して行うことができる。ここで、PVCを溶解する場合、溶媒としてはTHF(テトラヒドロフラン)が好適であり、EVAを溶解する場合、溶媒としてはトルエンが好適である。
炭素繊維の平均長さ= n本分の繊維長さの合計/n
で定義される炭素繊維の長さの平均値を言う。ここで、炭素繊維の長さは、電子顕微鏡の観察モニターに映った炭素繊維に対し、オペレーションソフトが備えるスケール機能を適用することで計測できる。ここで、炭素繊維の長さは、電子顕微鏡(SEM)で観察した際に、観察モニターに映った炭素繊維の長軸方向の最大値を言う。なお、炭素繊維の長さの測定は、電磁遮蔽波用樹脂組成物を溶剤で溶解し、濾過、乾燥させることで得られる炭素繊維に対して行うことができる。ここで、PVCを溶解する場合、溶媒としてはTHF(テトラヒドロフラン)が好適であり、EVAを溶解する場合、溶媒としてはトルエンが好適である。
炭素繊維を構成する炭素材料としては、例えばPAN(ポリアクリロニトリル)系炭素材料、ピッチ(石炭乾留副産物)系炭素材料、炭化水素ガス系炭素材料などが挙げられる。これらは1種類単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中ではPAN系炭素材料が特に好ましい。
ベース樹脂100質量部に対する磁性層被覆炭素繊維の配合量は、上記式(1)及び式(2)を満足する限り、特に制限されるものではないが、通常は1〜300質量部であり、好ましくは30〜200質量部である。
(炭素粒子)
上記電磁波遮蔽用樹脂組成物に含まれる炭素粒子としては、例えばカーボンブラック、木炭、活性炭、グラファイト、コークスなどが挙げられる。これらは1種類単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中ではカーボンブラックが特に好ましい。カーボンブラックとしては、例えばケッチェンブラック及びアセチレンブラックなどが挙げられる。
上記電磁波遮蔽用樹脂組成物に含まれる炭素粒子としては、例えばカーボンブラック、木炭、活性炭、グラファイト、コークスなどが挙げられる。これらは1種類単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中ではカーボンブラックが特に好ましい。カーボンブラックとしては、例えばケッチェンブラック及びアセチレンブラックなどが挙げられる。
炭素粒子は、いくつかの球状粒子が凝集し繋がって構成される。この球状粒子は、炭素粒子を構成する最小単位の粒子(一次粒子)であり、その平均粒径(平均一次粒子径)は、特に制限されるものではないが、耐屈曲性の向上という観点からは、好ましくは0.1〜200nmであり、より好ましくは1〜100nmである。ここで、平均一次粒子径は以下のように定義される。
炭素粒子の平均一次粒子径=n個分の一次粒子径の合計/n
混練前の炭素粒子を電子顕微鏡(SEM)で観察すれば、個々の一次粒子を視認することが可能である。また、一次粒子の径は、電子顕微鏡(SEM)のスケール機能を利用することで計測することができる。
炭素粒子の平均一次粒子径=n個分の一次粒子径の合計/n
混練前の炭素粒子を電子顕微鏡(SEM)で観察すれば、個々の一次粒子を視認することが可能である。また、一次粒子の径は、電子顕微鏡(SEM)のスケール機能を利用することで計測することができる。
ベース樹脂100質量部に対する炭素粒子の配合量は、上記式(1)及び式(2)を満足する限り、特に制限されるものではない。例えば炭素粒子がアセチレンブラックである場合には、ベース樹脂100質量部に対する炭素粒子の配合量は、通常は1〜200質量部であり、好ましくは3〜100質量部である。また例えば炭素粒子がケッチェンブラックである場合には、ベース樹脂100質量部に対する炭素粒子の配合量は、通常は1〜100質量部であり、好ましくは3〜50質量部である。
(A)
上記式(1)で算出されるAは5〜41[ml/100g]である。Aがこの範囲内にあると、5[ml/100g]未満である場合に比べて、耐屈曲性に優れるという利点が得られる。Aがこの範囲内にあると、41[ml/100g]を超える場合に比べて、電磁波遮蔽特性に優れるという利点が得られる。
上記式(1)で算出されるAは5〜41[ml/100g]である。Aがこの範囲内にあると、5[ml/100g]未満である場合に比べて、耐屈曲性に優れるという利点が得られる。Aがこの範囲内にあると、41[ml/100g]を超える場合に比べて、電磁波遮蔽特性に優れるという利点が得られる。
Aは好ましくは5.2〜40.3[ml/100g]であり、より好ましくは8〜35[ml/100g]である。
また上記式(2)で算出されるBは1.5〜15[100g/ml]である。Bがこの範囲内にあると、1.5[100g/ml]未満である場合に比べて、電磁波遮蔽特性に優れるという利点が得られる。Bがこの範囲内にあると、15[100g/ml]を超える場合に比べて、耐屈曲性に優れるという利点が得られる。
(B)
Bは好ましくは1.6〜14[100g/ml]であり、より好ましくは2〜12[100g/ml]である。
Bは好ましくは1.6〜14[100g/ml]であり、より好ましくは2〜12[100g/ml]である。
(可塑剤)
電磁波遮蔽用樹脂組成物は、ベース樹脂がPVCを含む場合には可塑剤を含むことが好ましい。この場合、電磁波遮蔽用樹脂組成物はより優れた低温脆化特性を確保することができる。可塑剤としては、例えばフタル酸ジイソノニル、フタル酸ジ(2−エチルヘキシル)などのフタル酸エステル、アジピン酸エステル、トリメリット酸エステル、低分子ポリエステル、リン酸エステル、クエン酸エステル、エポキシ系可塑剤、セバシン酸エステル、アゼライン酸エステル、マレイン酸エステル、安息香酸エステルなどが挙げられる。これらは1種類が単独で含まれていても又は2種以上が組み合わせて含まれていてもよい。
電磁波遮蔽用樹脂組成物は、ベース樹脂がPVCを含む場合には可塑剤を含むことが好ましい。この場合、電磁波遮蔽用樹脂組成物はより優れた低温脆化特性を確保することができる。可塑剤としては、例えばフタル酸ジイソノニル、フタル酸ジ(2−エチルヘキシル)などのフタル酸エステル、アジピン酸エステル、トリメリット酸エステル、低分子ポリエステル、リン酸エステル、クエン酸エステル、エポキシ系可塑剤、セバシン酸エステル、アゼライン酸エステル、マレイン酸エステル、安息香酸エステルなどが挙げられる。これらは1種類が単独で含まれていても又は2種以上が組み合わせて含まれていてもよい。
電磁波遮蔽用樹脂組成物中の可塑剤の含有率は0〜50質量%であることが好ましく、この範囲内で任意に選択可能である。つまり、上記電磁波遮蔽用樹脂組成物に接触する材料に合わせて可塑剤の含有率を決定してよい。たとえば上記電磁波遮蔽用樹脂組成物に接触するシース3や絶縁層6がPVC及び可塑剤を含み、そのシース3や絶縁層6中の可塑剤の含有率が30質量%である場合には、上記電磁波遮蔽用樹脂組成物においても可塑剤の含有率を30質量%にするとよい。この場合、可塑剤の移行による特性(低温脆化特性や耐屈曲性など)の低下を抑制できる。なお、可塑剤の含有率を0〜50質量%とするのは、可塑剤の含有率がこの範囲内にあると、可塑剤50質量%を超える場合に比べて、可塑剤のブリードをより十分に抑制できるためである。
外部半導電層2においては、下記式:
磁性層被覆炭素繊維の配向度=外部半導電層2の厚さ方向の体積抵抗率/外部半導電層2の長手方向の体積抵抗率
で定義される磁性層被覆炭素繊維の配向度は、特に制限されるものではないが、電磁波遮蔽特性をより向上させる観点からは、好ましくは5000以上であり、より好ましくは8000以上である。
磁性層被覆炭素繊維の配向度=外部半導電層2の厚さ方向の体積抵抗率/外部半導電層2の長手方向の体積抵抗率
で定義される磁性層被覆炭素繊維の配向度は、特に制限されるものではないが、電磁波遮蔽特性をより向上させる観点からは、好ましくは5000以上であり、より好ましくは8000以上である。
電磁波遮蔽用樹脂組成物は、安定剤、難燃剤、充填材、表面処理剤、ドリップ防止剤、加工助剤、活剤、老化防止剤、架橋剤、架橋助剤、スコーチ防止剤などを必要に応じてさらに含んでもよい。
電磁波遮蔽用樹脂組成物は、PVC、EVA、磁性層被覆炭素繊維、炭素粒子ならびに必要に応じて各種熱可塑性樹脂および各種添加剤を混練することにより得ることができる。混練は、例えばバンバリーミキサ、タンブラ、加圧ニーダ、混練押出機、二軸押出機、ミキシングロール等の混練機で行うことができる。
<絶縁層及びシース>
次に、絶縁層6及びシース3を形成するための絶縁材料を用意する。この絶縁材料は絶縁性を示すものであればよい。このような絶縁材料としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−ブタジエン−ジエンゴム(EPDM)、PVC、塩素化ポリエチレン樹脂(CPE)、EVA、エチレン−エチルアクリレート(EEA)、クロロプレンゴム(CR)、ポリエステル樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂(TPU)及び天然ゴム(NR)などを用いることができる。これらは1種類単独で又は2種以上を組み合せて用いることが可能である。なお、外部半導電層2が可塑剤を含む場合には、絶縁層6及びシース3を形成するための絶縁材料中にも可塑剤を配合し、外部半導電層2中の可塑剤の含有率と絶縁材料中の可塑剤の含有率との差を小さくすることが好ましい。この場合、可塑剤が外部半導電層2から絶縁層6やシース3中に移行して外部半導電層2の低温脆化特性及び耐屈曲性が低下することが十分に抑制される。ここで、外部半導電層2中の可塑剤の含有率と絶縁材料中の可塑剤の含有率との差は例えば0〜10質量%とすればよい。但し、EVA中のVA含有率が20〜45質量%である場合には、外部半導電層2中の可塑剤が絶縁層6やシース3に移行することが十分に抑制されるので、必ずしも絶縁層6やシース3中に可塑剤を配合する必要はない。
次に、絶縁層6及びシース3を形成するための絶縁材料を用意する。この絶縁材料は絶縁性を示すものであればよい。このような絶縁材料としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−ブタジエン−ジエンゴム(EPDM)、PVC、塩素化ポリエチレン樹脂(CPE)、EVA、エチレン−エチルアクリレート(EEA)、クロロプレンゴム(CR)、ポリエステル樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂(TPU)及び天然ゴム(NR)などを用いることができる。これらは1種類単独で又は2種以上を組み合せて用いることが可能である。なお、外部半導電層2が可塑剤を含む場合には、絶縁層6及びシース3を形成するための絶縁材料中にも可塑剤を配合し、外部半導電層2中の可塑剤の含有率と絶縁材料中の可塑剤の含有率との差を小さくすることが好ましい。この場合、可塑剤が外部半導電層2から絶縁層6やシース3中に移行して外部半導電層2の低温脆化特性及び耐屈曲性が低下することが十分に抑制される。ここで、外部半導電層2中の可塑剤の含有率と絶縁材料中の可塑剤の含有率との差は例えば0〜10質量%とすればよい。但し、EVA中のVA含有率が20〜45質量%である場合には、外部半導電層2中の可塑剤が絶縁層6やシース3に移行することが十分に抑制されるので、必ずしも絶縁層6やシース3中に可塑剤を配合する必要はない。
そして、例えば共押出成形法により、導線4が、内部半導電層5を形成するための樹脂組成物、絶縁層6を形成するための絶縁材料、外部半導電層2を形成するための電磁波遮蔽用樹脂組成物、及びシース3を形成するための絶縁材料で順次被覆された状態とする。
以上のようにしてケーブル100が得られる。
[第2実施形態]
次に、本発明のケーブルの第2実施形態について図2を用いて説明する。図2は本発明のケーブルの第2実施形態としての電気自動車の急速充電器に接続されるケーブルの断面図である。
次に、本発明のケーブルの第2実施形態について図2を用いて説明する。図2は本発明のケーブルの第2実施形態としての電気自動車の急速充電器に接続されるケーブルの断面図である。
図2に示すように、ケーブル200は、集合ケーブル210と、集合ケーブル210を包囲するように設けられる電磁遮蔽層としての導電層220と、導電層220を包囲するように設けられるシース230とを備えている。集合ケーブル210は、2本のパワー線240と、2組の信号線250、260とを備えている。本実施形態では、信号線250、260によって電線が構成されている。パワー線240は、導線4と導線4を包囲する絶縁層241とで構成され、信号線250は、導線4及び導線4を包囲する絶縁層251で構成される2本の絶縁電線252と、2本の絶縁電線252を包囲する介材253とを有している。信号線260は、7本の絶縁電線252と、7本の絶縁電線252を包囲する介材263とで構成されている。そして、2本のパワー線240及び2組の信号線250,260は撚り合わされてメッシュテープ(図示せず)などで巻かれている。ここで、絶縁層241及び絶縁層251の材料は、例えば上記絶縁層6と同じ材料で構成される。また介材253,263は例えばジュートなどからなる。
導電層220の材料は上記電磁波遮蔽用樹脂組成物からなる。またシース230の材料は例えば上記シース3と同じ材料で構成される。
上記ケーブル200においては、導電層220が上記電磁波遮蔽用樹脂組成物からなるため、上記導電層220は、優れた電磁波遮蔽特性、耐屈曲性及び低温脆化特性を有することが可能である。このため、ケーブル200によれば、2本のパワー線240、および信号線250、260から放出される電磁波を十分に遮蔽できる。また繰返し屈曲されても、導電層220に亀裂等が生じることが十分に抑制されるので、優れた電磁波遮蔽特性を長期間にわたって保持できる。さらにケーブル200は寒冷地等の低温環境下でも問題なく使用することができる。
本発明は、上述した第1及び第2実施形態に限定されるものではない。例えば上記第1及び第2実施形態では、本発明の電磁波遮蔽用樹脂組成物は、ケーブルの外部半導電層2や導電層220の電磁波遮蔽層にのみ使用されているが、ケーブル同士を接続する部材や、電気電子機器などの電磁波遮蔽層としても適用可能である。
以下、本発明の内容を、実施例を挙げてより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
<電磁波遮蔽用樹脂組成物の作製>
電磁波遮蔽用樹脂組成物の原料としては、以下のものを使用した。
(1)ベース樹脂
(1−1)PVC
PVC−1:平均重合度1100(大洋塩ビ社製、商品名「TH−1000」)
PVC−2:平均重合度1350(大洋塩ビ社製、商品名「TH−1400」)
PVC−3:平均重合度2000(大洋塩ビ社製、商品名「TH−2000」)
PVC−4:平均重合度2800(大洋塩ビ社製、商品名「TH−2800」)
(1−2)EVA
EVA−1:VA含有率46質量%(三井・デュポン ポリケミカル社製、商品名「エバフレックスEV45LX」)
EVA−2:VA含有率41質量%(三井・デュポン ポリケミカル社製、商品名「エバフレックスEV40LX」)
EVA−3:VA含有率33質量%(三井・デュポン ポリケミカル社製、商品名「エバフレックスEV180」)
EVA−4:VA含有率28質量%(三井・デュポン ポリケミカル社製、商品名「エバフレックスEV270」)
EVA−5:VA含有率25質量%(三井・デュポン ポリケミカル社製、商品名「エバフレックスEV360」)
EVA−6:VA含有率19質量%(三井・デュポン ポリケミカル社製、商品名「エバフレックスEV460R」)
電磁波遮蔽用樹脂組成物の原料としては、以下のものを使用した。
(1)ベース樹脂
(1−1)PVC
PVC−1:平均重合度1100(大洋塩ビ社製、商品名「TH−1000」)
PVC−2:平均重合度1350(大洋塩ビ社製、商品名「TH−1400」)
PVC−3:平均重合度2000(大洋塩ビ社製、商品名「TH−2000」)
PVC−4:平均重合度2800(大洋塩ビ社製、商品名「TH−2800」)
(1−2)EVA
EVA−1:VA含有率46質量%(三井・デュポン ポリケミカル社製、商品名「エバフレックスEV45LX」)
EVA−2:VA含有率41質量%(三井・デュポン ポリケミカル社製、商品名「エバフレックスEV40LX」)
EVA−3:VA含有率33質量%(三井・デュポン ポリケミカル社製、商品名「エバフレックスEV180」)
EVA−4:VA含有率28質量%(三井・デュポン ポリケミカル社製、商品名「エバフレックスEV270」)
EVA−5:VA含有率25質量%(三井・デュポン ポリケミカル社製、商品名「エバフレックスEV360」)
EVA−6:VA含有率19質量%(三井・デュポン ポリケミカル社製、商品名「エバフレックスEV460R」)
(2)可塑剤
可塑剤−1:フタル酸ジイソノニル(ジェイ・プラス社製、商品名「DINP」)
可塑剤−2:フタル酸ジ(2−エチルヘキシル)(ジェイ・プラス社製、商品名「DOP」)
可塑剤−1:フタル酸ジイソノニル(ジェイ・プラス社製、商品名「DINP」)
可塑剤−2:フタル酸ジ(2−エチルヘキシル)(ジェイ・プラス社製、商品名「DOP」)
(3)炭素繊維
炭素繊維−1:(東邦テナックス社製HT M100(ミルド)、平均長さ40μm、アスペクト比5.7)
炭素繊維−2:(東邦テナックス社製HT M100(ミルド)、平均長さ160μm、アスペクト比23)
炭素繊維−3:(東邦テナックス社製HT C503(チョップド)、平均長さ6000μm、アスペクト比857)
炭素繊維−4:(東邦テナックス社製HT C903(Niメッキチョップド)、平均長さ6000μm、アスペクト比800)
炭素繊維−1:(東邦テナックス社製HT M100(ミルド)、平均長さ40μm、アスペクト比5.7)
炭素繊維−2:(東邦テナックス社製HT M100(ミルド)、平均長さ160μm、アスペクト比23)
炭素繊維−3:(東邦テナックス社製HT C503(チョップド)、平均長さ6000μm、アスペクト比857)
炭素繊維−4:(東邦テナックス社製HT C903(Niメッキチョップド)、平均長さ6000μm、アスペクト比800)
(4)炭素粒子
炭素粒子−1:アセチレンブラック、吸油量(DBP吸油量)175mL/100g、アスペクト比3未満、平均一次粒径35nm(電気化学工業社製、商品名「デンカブラック(粒状)」)
炭素粒子−2:ケッチェンブラック、吸油量(DBP吸油量)495mL/100g、アスペクト比3未満、平均一次粒径34nm(ライオン社製、商品名「EC600JD」)
炭素粒子−3:ファーネスブラック、吸油量(DBP吸油量)50mL/100g、アスペクト比3未満、平均一次粒径78nm(旭カーボン株式会社製、商品名「旭♯35」)
炭素粒子−4:ファーネスブラック、吸油量(DBP吸油量)63mL/100g、アスペクト比3未満、平均一次粒径80nm(旭カーボン株式会社製、商品名「旭♯50」)
炭素粒子−5:ファーネスブラック、吸油量(DBP吸油量)101mL/100g、アスペクト比3未満、平均一次粒径28nm(旭カーボン株式会社製、商品名「旭♯70」)
炭素粒子−1:アセチレンブラック、吸油量(DBP吸油量)175mL/100g、アスペクト比3未満、平均一次粒径35nm(電気化学工業社製、商品名「デンカブラック(粒状)」)
炭素粒子−2:ケッチェンブラック、吸油量(DBP吸油量)495mL/100g、アスペクト比3未満、平均一次粒径34nm(ライオン社製、商品名「EC600JD」)
炭素粒子−3:ファーネスブラック、吸油量(DBP吸油量)50mL/100g、アスペクト比3未満、平均一次粒径78nm(旭カーボン株式会社製、商品名「旭♯35」)
炭素粒子−4:ファーネスブラック、吸油量(DBP吸油量)63mL/100g、アスペクト比3未満、平均一次粒径80nm(旭カーボン株式会社製、商品名「旭♯50」)
炭素粒子−5:ファーネスブラック、吸油量(DBP吸油量)101mL/100g、アスペクト比3未満、平均一次粒径28nm(旭カーボン株式会社製、商品名「旭♯70」)
(5)シリカ
シリカ−1:湿式シリカ(東新化成株式会社製、商品名「アエロジル200」)
シリカ−2:乾式シリカ(東新化成株式会社製、商品名「アエロジルR−974」)
シリカ−1:湿式シリカ(東新化成株式会社製、商品名「アエロジル200」)
シリカ−2:乾式シリカ(東新化成株式会社製、商品名「アエロジルR−974」)
(6)金属
Ni粉末:JFEミネラル社製、商品名「NST201」
Fe粉末:JFEスチール社製、商品名「JIP 270MS」
Cu繊維:虹技社製、商品名「C1100」
Ni粉末:JFEミネラル社製、商品名「NST201」
Fe粉末:JFEスチール社製、商品名「JIP 270MS」
Cu繊維:虹技社製、商品名「C1100」
(7)安定剤
Ca/Zn系安定剤(水澤化学工業社製、商品名「スタビネックスNL221−5」、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ハイドロタルサイトなど、多種を配合したもの)
Ca/Zn系安定剤(水澤化学工業社製、商品名「スタビネックスNL221−5」、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ハイドロタルサイトなど、多種を配合したもの)
(実施例1〜6、参考例1、実施例8〜35、参考例2、3及び比較例1〜20)
上記の電磁波遮蔽用樹脂組成物の原料のうち炭素繊維以外のベース樹脂、可塑剤、炭素粒子、シリカ、金属及び安定剤を表1〜6に示す割合で配合し、バンバリーミキサを用いて165℃で20分間混練した後、炭素繊維を入れ4分間混練することにより、実施例1〜6、参考例1、実施例8〜35、参考例2、3及び比較例1〜20の電磁波遮蔽用樹脂組成物を得た。なお、表1〜6において、ベース樹脂、可塑剤、炭素繊維、炭素粒子、シリカ、金属及び安定剤の配合量の単位は質量部である。
上記の電磁波遮蔽用樹脂組成物の原料のうち炭素繊維以外のベース樹脂、可塑剤、炭素粒子、シリカ、金属及び安定剤を表1〜6に示す割合で配合し、バンバリーミキサを用いて165℃で20分間混練した後、炭素繊維を入れ4分間混練することにより、実施例1〜6、参考例1、実施例8〜35、参考例2、3及び比較例1〜20の電磁波遮蔽用樹脂組成物を得た。なお、表1〜6において、ベース樹脂、可塑剤、炭素繊維、炭素粒子、シリカ、金属及び安定剤の配合量の単位は質量部である。
(比較例21〜29)
上記の電磁波遮蔽用樹脂組成物の原料のうち炭素繊維以外のベース樹脂、可塑剤、炭素粒子、シリカ、金属及び安定剤を表1〜6に示す割合で配合し、バンバリーミキサを用いて165℃で20分間混練することにより、比較例21〜29の電磁波遮蔽用樹脂組成物を得た。
上記の電磁波遮蔽用樹脂組成物の原料のうち炭素繊維以外のベース樹脂、可塑剤、炭素粒子、シリカ、金属及び安定剤を表1〜6に示す割合で配合し、バンバリーミキサを用いて165℃で20分間混練することにより、比較例21〜29の電磁波遮蔽用樹脂組成物を得た。
<特性評価>
(1)電磁波遮蔽特性
上記実施例1〜6、参考例1、実施例8〜35、参考例2、3及び比較例1〜29で得られた電磁波遮蔽用樹脂組成物を160℃のオープンロールでシート型に成形し、電熱プレス(160℃/10分間(5分予熱、5分150MPaで加圧))後、冷却プレス(10分間150MPa加圧)することで、20cm×20cm×1mm、20cm×20cm×2mmの電磁波遮蔽評価用試験シートを得た。
(1)電磁波遮蔽特性
上記実施例1〜6、参考例1、実施例8〜35、参考例2、3及び比較例1〜29で得られた電磁波遮蔽用樹脂組成物を160℃のオープンロールでシート型に成形し、電熱プレス(160℃/10分間(5分予熱、5分150MPaで加圧))後、冷却プレス(10分間150MPa加圧)することで、20cm×20cm×1mm、20cm×20cm×2mmの電磁波遮蔽評価用試験シートを得た。
そして、電磁波遮蔽評価用試験シートについて、いわゆるKEC法により、室温、30MHzの条件下にて電界遮蔽能及び磁界遮蔽能を測定した。結果を表1〜6に示す。なお、電磁波遮蔽特性の合格基準は下記の通りとした。
(合格基準)電界遮蔽能が60dB以上で且つ磁界遮蔽能が20dB以上
(合格基準)電界遮蔽能が60dB以上で且つ磁界遮蔽能が20dB以上
(2)炭素繊維の配向度
上記実施例1〜6、参考例1、実施例8〜35、参考例2、3及び比較例1〜29で得られた電磁波遮蔽用樹脂組成物を上記と同様にして押出加工し、100mm×20mm×1mmの試験シートを作製した。ここで、試験シートの長手方向と試験シートの押出方向とは一致している。そして、これらの試験シートについて、その長手方向及び厚さ方向の体積抵抗率ρ(Ω・cm)を、30℃の条件下にてJIS K6271に準拠して測定した。結果を表1〜6に示す。また表1〜6には、試験シートの長手方向の体積抵抗率に対する厚さ方向の体積抵抗率の比も併記した。この体積抵抗率の比は、炭素繊維の配向度を示すものである。具体的には炭素繊維が押出方向にどの程度配向しているかを示すものである。なお、表1−6において、体積抵抗率の数値における「E+A」及び「E−A」(Aは数値)はそれぞれ、「×10A」及び「×10−A」を意味する。
上記実施例1〜6、参考例1、実施例8〜35、参考例2、3及び比較例1〜29で得られた電磁波遮蔽用樹脂組成物を上記と同様にして押出加工し、100mm×20mm×1mmの試験シートを作製した。ここで、試験シートの長手方向と試験シートの押出方向とは一致している。そして、これらの試験シートについて、その長手方向及び厚さ方向の体積抵抗率ρ(Ω・cm)を、30℃の条件下にてJIS K6271に準拠して測定した。結果を表1〜6に示す。また表1〜6には、試験シートの長手方向の体積抵抗率に対する厚さ方向の体積抵抗率の比も併記した。この体積抵抗率の比は、炭素繊維の配向度を示すものである。具体的には炭素繊維が押出方向にどの程度配向しているかを示すものである。なお、表1−6において、体積抵抗率の数値における「E+A」及び「E−A」(Aは数値)はそれぞれ、「×10A」及び「×10−A」を意味する。
(3)低温脆化特性
上記実施例1〜6、参考例1、実施例8〜35、参考例2、3及び比較例1〜29で得られた電磁波遮蔽用樹脂組成物を、打抜き型で打抜いて38mm×6mm×2mmの試験片を作製し、JIS K 7216に準拠した脆化試験を行い、脆化温度(℃)を測定した。結果を表1〜6に示す。なお、表1〜6において、脆化温度が−60℃未満のものは、「−60↓」と記載した。また低温脆化特性の合格基準は下記の通りとした。
(合格基準)脆化温度が−50℃以下
上記実施例1〜6、参考例1、実施例8〜35、参考例2、3及び比較例1〜29で得られた電磁波遮蔽用樹脂組成物を、打抜き型で打抜いて38mm×6mm×2mmの試験片を作製し、JIS K 7216に準拠した脆化試験を行い、脆化温度(℃)を測定した。結果を表1〜6に示す。なお、表1〜6において、脆化温度が−60℃未満のものは、「−60↓」と記載した。また低温脆化特性の合格基準は下記の通りとした。
(合格基準)脆化温度が−50℃以下
(4)耐屈曲性
上記実施例1〜6、参考例1、実施例8〜35、参考例2、3及び比較例1〜29で得られた電磁波遮蔽用樹脂組成物についてJIS K 7216に準拠した引張試験を行い、初期引張伸び、引張伸び残率(熱老化)、引張伸び残率(耐油)を測定した。これらを耐屈曲性の指標とした。引張試験は、3号試験片を作製し、この試験片について引張速度200mm/minの条件下にて行った。結果を表1〜6に示す。なお、引張伸び残率(熱老化)は、ギアオーブン(大気中)で100℃、48時間放置した後の3号試験片の引張伸び残率であり、引張伸び残率(耐油)は、非極性油(IRM−2)中に70℃で4時間浸漬した後の3号試験片の引張伸び残率である。また表1〜6において、引張伸び残率(熱老化)及び引張伸び残率(耐油)を測定する際に3号試験片が溶解した場合には、「溶解」と表示した。耐屈曲性の合格基準は下記の通りとした。
(合格基準)以下の要件を全て満たすこと。
・初期引張伸びが200%以上
・引張伸び残率(熱老化)が80%以上
・引張伸び残率(耐油)が70%以上
上記実施例1〜6、参考例1、実施例8〜35、参考例2、3及び比較例1〜29で得られた電磁波遮蔽用樹脂組成物についてJIS K 7216に準拠した引張試験を行い、初期引張伸び、引張伸び残率(熱老化)、引張伸び残率(耐油)を測定した。これらを耐屈曲性の指標とした。引張試験は、3号試験片を作製し、この試験片について引張速度200mm/minの条件下にて行った。結果を表1〜6に示す。なお、引張伸び残率(熱老化)は、ギアオーブン(大気中)で100℃、48時間放置した後の3号試験片の引張伸び残率であり、引張伸び残率(耐油)は、非極性油(IRM−2)中に70℃で4時間浸漬した後の3号試験片の引張伸び残率である。また表1〜6において、引張伸び残率(熱老化)及び引張伸び残率(耐油)を測定する際に3号試験片が溶解した場合には、「溶解」と表示した。耐屈曲性の合格基準は下記の通りとした。
(合格基準)以下の要件を全て満たすこと。
・初期引張伸びが200%以上
・引張伸び残率(熱老化)が80%以上
・引張伸び残率(耐油)が70%以上
さらに、上記実施例1〜6、参考例1、実施例8〜35、参考例2、3及び比較例1〜29のうち実施例6、11、18,25、26、比較例9、10、17については、得られた電磁波遮蔽用樹脂組成物を用いて急速充電器用リードケーブルを作製し、この急速充電器用リードケーブルについても、電磁波遮蔽特性、低温脆化特性及び耐屈曲性の評価を行った。
急速充電器用リードケーブルは以下のようにして作製した。
まず上記のベース樹脂、可塑剤、炭素繊維、シリカ、金属及び安定剤を表1〜5に示す割合で配合し、バンバリーミキサを用いて165℃で25分間混練した後、炭素粒子を投入し、2分間追加混練することにより、実施例6、11、18,25、26及び比較例9、10、17の導電性熱可塑性樹脂組成物を得た。この導電性熱可塑性樹脂組成物をフィーダールーダー(製品名「FR150」、モリヤマ社製)にて空中ホットカット後、ただちに水冷してペレット状に加工することで導電性熱可塑性樹脂組成物ペレットを得た。
一方、パワー線2本(以下、各パワー線を「パワー線A」及び「パワー線B」と呼ぶ)及び通信線2組を撚り合わせてメッシュテープで巻いてなる集合ケーブルを用意した。ここで、2本のパワー線A,Bとしてはそれぞれ、外径8.89mm、絶縁厚が1.71mmのものを用い、2組の通信線としては、外径1.1mm、絶縁厚0.57mmの線を2本撚り合わせてジュートで包囲してなる通信線1組と、外径1.1mm、絶縁厚0.57mmの1〜7の線7本のうち1,6の線を撚り合わせてなる通信線1組とを用いた。
そして、上記のようにして得られた導電性熱可塑性樹脂組成物ペレットを単軸押出機(L/D=20、スクリュー形状:フルフライトスクリュー、マース精機社製)に投入し、その押出機からチューブ状の押出物を押し出し、上記集合ケーブル上に、厚さ2.00mmとなるように導電層を形成した。その後、上記単軸押出機を用いて、厚さ2.95mmとなるようにシースを被覆した。こうして遮蔽の急速充電器用リードケーブル(以下、「ケーブルA」と呼ぶ)を得た。
まず上記のベース樹脂、可塑剤、炭素繊維、シリカ、金属及び安定剤を表1〜5に示す割合で配合し、バンバリーミキサを用いて165℃で25分間混練した後、炭素粒子を投入し、2分間追加混練することにより、実施例6、11、18,25、26及び比較例9、10、17の導電性熱可塑性樹脂組成物を得た。この導電性熱可塑性樹脂組成物をフィーダールーダー(製品名「FR150」、モリヤマ社製)にて空中ホットカット後、ただちに水冷してペレット状に加工することで導電性熱可塑性樹脂組成物ペレットを得た。
一方、パワー線2本(以下、各パワー線を「パワー線A」及び「パワー線B」と呼ぶ)及び通信線2組を撚り合わせてメッシュテープで巻いてなる集合ケーブルを用意した。ここで、2本のパワー線A,Bとしてはそれぞれ、外径8.89mm、絶縁厚が1.71mmのものを用い、2組の通信線としては、外径1.1mm、絶縁厚0.57mmの線を2本撚り合わせてジュートで包囲してなる通信線1組と、外径1.1mm、絶縁厚0.57mmの1〜7の線7本のうち1,6の線を撚り合わせてなる通信線1組とを用いた。
そして、上記のようにして得られた導電性熱可塑性樹脂組成物ペレットを単軸押出機(L/D=20、スクリュー形状:フルフライトスクリュー、マース精機社製)に投入し、その押出機からチューブ状の押出物を押し出し、上記集合ケーブル上に、厚さ2.00mmとなるように導電層を形成した。その後、上記単軸押出機を用いて、厚さ2.95mmとなるようにシースを被覆した。こうして遮蔽の急速充電器用リードケーブル(以下、「ケーブルA」と呼ぶ)を得た。
一方、集合ケーブル上に導電層を形成しなかったこと以外は上記遮蔽ケーブルと同様の手順で無遮蔽の急速充電器用リードケーブル(以下、「ケーブルB」と呼ぶ)を準備した。
こうして得られたケーブルA,Bを用いて、以下のようにしてケーブルAの電磁波遮蔽特性、低温脆化特性及び耐屈曲性の評価を行った。
(5)電磁波遮蔽特性
電磁波遮蔽特性は以下のようにして測定した。
(測定準備)
まず以下のようにしてケーブルAの電磁波遮蔽特性を測定する準備を行った。
はじめに、ケーブルAの両端を口出しし、一端側の露出されたパワー線A及びパワー線Bを変換コネクタに接続し、変換コネクタは、パワーアンプを介してシグナルジェネレータに接続した。一方、口出しした他端側の露出されたパワー線A及びパワー線B同士を終端抵抗で接続した。こうしてパワー線A及びパワー線Bを信号が流れるようにした。一方、ケーブルAから1m離れた位置にハイブリッドアンテナを配置し、ハイブリッドアンテナにはスペクトラムアナライザを接続した。そして、ケーブルAの一端を、変換コネクタと共にアルミホイルで覆った。またケーブルAの他端を、終端抵抗と共にアルミホイルで覆った。
ここで、使用した機器に関する具体的な情報は下記の通りである。
・シグナルジェネレータ(SG):E8257D(Agilent Technologies社製)
・パワーアンプ:A00110−4040−R(R&K社製)
・変換コネクタ:KBL−602(協立電子工業社製)
・終端抵抗:50Ω(日本抵抗器製作所社製)
・ハイブリッドアンテナ:3143B(ETS-LINDGREN社製)
・スペクトラムアナライザ:N9020A(Agilent Technologies社製)
一方、ケーブルBについてもケーブルAと同様の測定準備を行った。
(測定)
上記のようにして測定の準備が完了した後、SGによってケーブルA,Bに30MHzの信号を流し、ケーブルA,Bからそれぞれ放射される電磁波をハイブリッドアンテナで受信し、スペクトラムアナライザで測定した。そして、ケーブルBからの放射電磁波と、ケーブルAからの放射電磁波との差に基づいて電磁波遮蔽能を求めた。結果を表7に示す。表7において、電磁波遮蔽特性の合格基準は下記の通りとした。
(合格基準)電磁波遮蔽能が20dB以上
ここで、「20dB以上」とは、ケーブルAから放射される電磁波の99%以上が遮蔽されることを意味する。
電磁波遮蔽特性は以下のようにして測定した。
(測定準備)
まず以下のようにしてケーブルAの電磁波遮蔽特性を測定する準備を行った。
はじめに、ケーブルAの両端を口出しし、一端側の露出されたパワー線A及びパワー線Bを変換コネクタに接続し、変換コネクタは、パワーアンプを介してシグナルジェネレータに接続した。一方、口出しした他端側の露出されたパワー線A及びパワー線B同士を終端抵抗で接続した。こうしてパワー線A及びパワー線Bを信号が流れるようにした。一方、ケーブルAから1m離れた位置にハイブリッドアンテナを配置し、ハイブリッドアンテナにはスペクトラムアナライザを接続した。そして、ケーブルAの一端を、変換コネクタと共にアルミホイルで覆った。またケーブルAの他端を、終端抵抗と共にアルミホイルで覆った。
ここで、使用した機器に関する具体的な情報は下記の通りである。
・シグナルジェネレータ(SG):E8257D(Agilent Technologies社製)
・パワーアンプ:A00110−4040−R(R&K社製)
・変換コネクタ:KBL−602(協立電子工業社製)
・終端抵抗:50Ω(日本抵抗器製作所社製)
・ハイブリッドアンテナ:3143B(ETS-LINDGREN社製)
・スペクトラムアナライザ:N9020A(Agilent Technologies社製)
一方、ケーブルBについてもケーブルAと同様の測定準備を行った。
(測定)
上記のようにして測定の準備が完了した後、SGによってケーブルA,Bに30MHzの信号を流し、ケーブルA,Bからそれぞれ放射される電磁波をハイブリッドアンテナで受信し、スペクトラムアナライザで測定した。そして、ケーブルBからの放射電磁波と、ケーブルAからの放射電磁波との差に基づいて電磁波遮蔽能を求めた。結果を表7に示す。表7において、電磁波遮蔽特性の合格基準は下記の通りとした。
(合格基準)電磁波遮蔽能が20dB以上
ここで、「20dB以上」とは、ケーブルAから放射される電磁波の99%以上が遮蔽されることを意味する。
(6)低温脆化特性
上記ケーブルAについて、JIS C 3005、4.20.1のA法に準拠した低温巻き付けを行い、ケーブルAの表面に破損又はひび割れが生じるかどうかを調べた。このとき、低温槽の温度は−30℃とし、巻き付けた円筒の直径は314mmとし、円筒への巻付けは0.5周とした。結果を表7に示す。表7に示すように、ケーブルAにおいて、破損又はひび割れが生じなければ「合格」と判断し、破損又はひび割れが生じていれば「不合格」と判断した。
上記ケーブルAについて、JIS C 3005、4.20.1のA法に準拠した低温巻き付けを行い、ケーブルAの表面に破損又はひび割れが生じるかどうかを調べた。このとき、低温槽の温度は−30℃とし、巻き付けた円筒の直径は314mmとし、円筒への巻付けは0.5周とした。結果を表7に示す。表7に示すように、ケーブルAにおいて、破損又はひび割れが生じなければ「合格」と判断し、破損又はひび割れが生じていれば「不合格」と判断した。
(7)耐屈曲性
上記ケーブルAについて、巻付加熱及び曲げを行って耐屈曲性を評価した。
巻付加熱は、JIS C 3005、4.19.1のA法に準拠して行い、ケーブルAの表面に破損又はひび割れが生じるかどうかを調べた。このとき、恒温槽の温度は120℃とし、巻き付けた円筒の直径は314mmとし、円筒への巻付けは0.5周とした。結果を表7に示す。表7に示すように、ケーブルAにおいて、破損又はひび割れが生じなければ「合格」と判断し、破損又はひび割れが生じていれば「不合格」と判断した。
曲げは、JIS C 3005、4.27.1 a)の丸形に準拠して行い、破損又はひび割れが生じるかどうかを調べた。このとき、連続回転数は10000回とした。結果を表7に示す。表7において、破損又はひび割れが生じなければ「合格」とし、破損又はひび割れが生じていれば「不合格」とした。
なお、耐屈曲性については、巻付加熱及び曲げの両方の結果が合格であれば「合格」と判断し、巻付加熱又は曲げの結果のいずれか一方でも不合格であれば「不合格」と判断した。
上記ケーブルAについて、巻付加熱及び曲げを行って耐屈曲性を評価した。
巻付加熱は、JIS C 3005、4.19.1のA法に準拠して行い、ケーブルAの表面に破損又はひび割れが生じるかどうかを調べた。このとき、恒温槽の温度は120℃とし、巻き付けた円筒の直径は314mmとし、円筒への巻付けは0.5周とした。結果を表7に示す。表7に示すように、ケーブルAにおいて、破損又はひび割れが生じなければ「合格」と判断し、破損又はひび割れが生じていれば「不合格」と判断した。
曲げは、JIS C 3005、4.27.1 a)の丸形に準拠して行い、破損又はひび割れが生じるかどうかを調べた。このとき、連続回転数は10000回とした。結果を表7に示す。表7において、破損又はひび割れが生じなければ「合格」とし、破損又はひび割れが生じていれば「不合格」とした。
なお、耐屈曲性については、巻付加熱及び曲げの両方の結果が合格であれば「合格」と判断し、巻付加熱又は曲げの結果のいずれか一方でも不合格であれば「不合格」と判断した。
表1〜6に示すように、実施例1〜6、参考例1、実施例8〜35、参考例2、3の電磁波遮蔽用樹脂組成物は、電磁波遮蔽特性、耐屈曲性及び低温脆化特性の点で合格基準に達していた。一方、比較例1〜29の電磁波遮蔽用樹脂組成物は電磁波遮蔽特性、耐屈曲性及び低温脆化特性のうちの少なくとも1つの点で合格基準に達していなかった。
また表7に示す結果より、実施例6、11、18,25、26の電磁波遮蔽用樹脂組成物を用いたケーブルは、電磁波遮蔽特性、耐屈曲性及び低温脆化特性の点で合格基準に達していた。一方、比較例9、10、17の電磁波遮蔽用樹脂組成物を用いたケーブルは、
電磁波遮蔽特性、耐屈曲性及び低温脆化特性の少なくとも1つの点で合格基準に達していなかった。
電磁波遮蔽特性、耐屈曲性及び低温脆化特性の少なくとも1つの点で合格基準に達していなかった。
以上より、本発明の電磁波遮蔽用樹脂組成物によれば、シートの形態だけでなくケーブルの形態でも、優れた電磁波遮蔽特性、耐屈曲性及び低温脆化特性を有することが確認された。
1…導線
4…外部半導電層(電磁遮蔽層)
100,200…ケーブル
220…導電層(電磁遮蔽層)
4…外部半導電層(電磁遮蔽層)
100,200…ケーブル
220…導電層(電磁遮蔽層)
Claims (3)
- ポリ塩化ビニル樹脂及びエチレン−酢酸ビニル共重合体を含むベース樹脂と、
磁性金属からなる磁性層で炭素繊維を被覆してなる磁性層被覆炭素繊維と、
炭素粒子とを含む電磁波遮蔽用樹脂組成物であって、
前記ポリ塩化ビニル樹脂と前記エチレン−酢酸ビニル共重合体の合計100質量%中における前記ポリ塩化ビニル樹脂の含有率が5〜30質量%であり、
前記エチレン−酢酸ビニル共重合体中の酢酸ビニル単位の含有率が20質量%以上であり、
下記式(1):
A=前記炭素粒子の吸油量[ml/100g]×前記ベース樹脂100質量部に対する前記炭素粒子の配合量/前記電磁波遮蔽用樹脂組成物を構成する各成分の合計配合量・・・(1)
で算出されるAが5〜41[ml/100g]であり、
下記式(2):
B=前記ベース樹脂100質量部に対する前記磁性層被覆炭素繊維の配合量/A・・・(2)
で算出されるBが1.5〜15[100g/ml]である電磁波遮蔽用樹脂組成物。 - 前記磁性層を構成する前記磁性金属がニッケルである、請求項1に記載の電磁波遮蔽用樹脂組成物。
- 少なくとも1本の電線と、
前記少なくとも1本の電線を包囲するように設けられる電磁波遮蔽層とを備え、
前記電磁波遮蔽層が、請求項1または2に記載の電磁波遮蔽用樹脂組成物からなるケーブル。
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