JP2015015139A - 防水コネクタ - Google Patents

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Yutaka Kobayashi
豊 小林
岡本 昌樹
Masaki Okamoto
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Abstract

【課題】シール部材が、面方向の力を受けてコネクタハウジングから外れることを防ぐことが可能な防水コネクタを提供する。
【解決手段】コネクタハウジング10と、このコネクタハウジング10に装着されるシール部材40とを備え、前記シール部材40は、環状をなす本体部41を有し、前記コネクタハウジング10と前記シール部材40とは、前記本体部41の軸方向に挿入することで係止し合う係止部60を有し、前記係止部60は、前記本体部41の内周側に位置して設けられる内側係止部61と、前記本体部41の外周側に位置して設けられる外側係止部62とを有し、前記内側係止部61と前記外側係止部62とは、前記本体部41を構成する辺のそれぞれに対応して、少なくとも一ずつ設けられている。
【選択図】図5

Description

本発明は、防水コネクタに関する。
従来、防水コネクタとして、コネクタハウジングと、このコネクタハウジングに装着されるシール部材とを備えたものが知られている。シール部材の本体部は環状をなし、コネクタハウジングとシール部材とには、本体部の軸方向に挿入することで係止し合う係止部が設けられている。
例えば下記特許文献1に記載された防水コネクタは、インバータ等の機器のケースにボルト締めにより固定されるものであり、シール部材は、ケースとコネクタハウジングとに押し付けられて密着(面接触)し、両者の間を液密状にシールする。このシール部材は、長方形状の本体部を有し、係止部は、本体部の長辺に対応して一対ずつと、短辺に対応して一ずつとが設けられている。本体部の長辺に対応して設けられた係止部は、本体部の内周側に位置し、短辺に対応して設けられた係止部は、本体部の外周側に位置して設けられている。
特開2004−327169号公報
ところで、上記のような防水コネクタをケースに固定する際、ケースのねじ孔に防水コネクタのボルト孔を整合させるべく、防水コネクタを、ケースの外側面に沿って滑らすように移動させることがある。すると、シール部材がケースの外面に接触して面方向の力を受け、本体部の上側の長辺が下向きの力によりめくれ、下側の長辺が上向きの力によりめくれる等し、ひいてはシール部材が、コネクタハウジングから外れてしまう虞がある。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、シール部材が、面方向の力を受けてコネクタハウジングから外れることを防ぐことが可能な防水コネクタを提供することを目的とする。
本発明の防水コネクタは、コネクタハウジングと、このコネクタハウジングに装着されるシール部材とを備え、前記シール部材は、環状をなす本体部を有し、前記コネクタハウジングと前記シール部材とは、前記本体部の軸方向に挿入することで係止し合う係止部を有し、前記係止部は、前記本体部の内周側に位置して設けられる内側係止部と、前記本体部の外周側に位置して設けられる外側係止部とを有し、前記内側係止部と前記外側係止部とは、前記本体部が円形状である場合には、前記本体部を周方向に4等分してなる弧のそれぞれに対応して、また前記本体部が多角形状である場合には、前記本体部を構成する辺のそれぞれに対応して、少なくとも一ずつ設けられているものである。
このような構成によれば、本体部を4等分してなる弧のそれぞれ、または本体部を構成する辺のそれぞれにおいて、内向きの力が作用したときには外側係止部の係止により、外向きの力が作用したときには内側係止部の係止により、そのめくれを防止することができるから、シール部材が、面方向の力を受けてコネクタハウジングから外れることを防ぐことができる。
また、前記係止部は、圧入することで係止し合う圧入係止部と、引っ掛けることで係止し合う引掛係止部とを有しているものとしてもよい。このような構成によれば、引掛係止部を係止する作業は、圧入係止部を係止する作業に比して容易であるから、すべての係止部を圧入係止部とする場合に比べて、コネクタハウジングにシール部材を装着する作業を容易に行うことができる。
また、一の前記内側係止部と一の前記外側係止部とが近傍に位置して一組ずつ設けられているものとしてもよい。
また、前記本体部は長方形状であり、その長辺には、前記一組の内側係止部および外側係止部が、少なくとも二組設けられているものとしてもよい。
本発明によれば、シール部材が、面方向の力を受けてコネクタハウジングから外れることを防ぐことが可能な防水コネクタを提供することができる。
本実施形態における防水コネクタの分解斜視図 防水コネクタの断面図 コネクタハウジングの正面図 コネクタハウジングの断面図であって、図3のA−A位置における断面に相当する断面図 シール部材の背面図 シール部材の平面図 シール部材の側面図 シール部材の断面図であって、図5のB−B位置における断面に相当する断面図 シールドハウジングの正面図 シールドハウジングの断面図であって、図9のC−C位置における断面に相当する断面図 防水コネクタの断面図であって、コネクタハウジング、シール部材およびシールドハウジングを組み付ける前の状態を表す断面図 防水コネクタの断面図であって、シール部材が装着されたコネクタハウジングにシールドハウジングを組み付ける前の状態を表す断面図 防水コネクタの断面図であって、コネクタハウジング、シール部材およびシールドハウジングを組み付けた後の状態を表す断面図 ハウジング側外係止部にシール側外係止部を挿入する様子を表す一部拡大断面図
<実施形態>
以下、本発明を具体化した一実施形態について、図1〜図14を参照しつつ詳細に説明する。
本実施形態における防水コネクタCは、モータやインバータ等の機器に接続されるコネクタであり、機器が収容されたシールド機能を有する図示しない金属製のケースに取り付けられ、機器側のコネクタに接続される。以下、各構成部材において、機器との接続側(図1の左下側)を前方、その反対側を後方、また図1の上側を上方、下側を下方、左上側を右方、右下側を左方として説明する。
防水コネクタCは、複数本(本実施形態では3本)の電線Wの端末に固着された端子金具30を保持するコネクタハウジング10と、コネクタハウジング10に装着されるシール部材40と、コネクタハウジング10にシール部材40を装着した後に組み付けられるシールドハウジング(アウタハウジング)50とを備えている。
コネクタハウジング10は合成樹脂製であって、端子金具30を収容可能な端子収容部11を備えている。端子収容部11には、端子金具30が個別に収容されるキャビティ12が、幅方向に一列に並んで設けられている。
端子金具30は、導電性の金属板を打ち抜いて曲げ加工等を施したものであり、その前端部には、平板状をなす端子接続部31が形成されている。端子接続部31には、機器側のコネクタにボルト締結される接続孔32が貫通形成されるとともに、その後方には、各キャビティ12に形成されたランス13が係止するランス係止孔33が貫通形成されている。端子収容部11に収容された端子金具30は、ランス係止孔33にランス13が係止することにより、キャビティ12からの抜け止めがなされる。
各キャビティ12の後端部には、ゴム栓34が収容されている。ゴム栓34は、各電線Wの外周面と各キャビティ12の内周面とに密着してこの間を液密状にシールし、キャビティ12への浸水を防ぐ。ゴム栓34は、端子収容部11の後端に取り付けられたホルダ35によって、キャビティ12からの抜け止めがなされる。なお、ホルダ35は、コネクタハウジング10に設けられたロック凹部14に、ホルダ35に設けられたロック凸部36が嵌合することで、コネクタハウジング10に固定される。
コネクタハウジング10は、ケースの外側面に沿って配されるフランジ部15を備えている。フランジ部15は、端子収容部11の前後方向略中間位置において、全周に亘って張り出す形態で設けられている。シール部材40は、フランジ部15に装着される。
コネクタハウジング10に装着されるシール部材40はゴム製であって、図5に示すような、リング状(環状)をなす本体部41を有している。本体部41は、横長の長方形状とされ、その長辺(以後、長辺部41Aと称する)は、短辺(以後、短辺部41Bと称する)の3倍程度の長さを有している。
本体部41は、全周にわたって略一定の厚さ寸法とされ、その前面と後面とはともに平端な面とされている。本体部41の前面および後面は、防水コネクタCがケースに取り付けられると、ケースおよびフランジ部15にそれぞれ押し付けられて密着(面接触)する。これにより、コネクタハウジング10とケースとの間を液密状にシールし、防水コネクタCと機器側コネクタとの接続部分への浸水を防ぐ。
コネクタハウジング10とシール部材40とには、図11〜図13に示すように、本体部41の軸方向に挿入することで係止し合う係止部60が設けられている。係止部60は、本体部41の内周側に位置して設けられる内側係止部61と、本体部41の外周側に位置して設けられる外側係止部62とを有している。
内側係止部61と外側係止部62とは、図3に示すように、本体部41を構成する四つの辺のそれぞれに対応して少なくとも一ずつ設けられ、各長辺部41Aには一対ずつ、各短辺部41Bには一ずつ設けられている。そして、一の内側係止部61と一の外側係止部62とは、一組となるように近傍に位置して配置されている。そして、長辺部41Aにおいては、この一組の内側係止部61および外側係止部62が、二組設けられている。
内側係止部61は、シール部材40側に設けられたシール側内係止部42と、コネクタハウジング10側に設けられたハウジング側内係止部16とを有し、シール側内係止部42にハウジング側内係止部16を圧入することで係止し合う圧入係止部とされている。また、外側係止部62は、シール部材40側に設けられたシール側外係止部43とコネクタハウジング10側に設けられたハウジング側外係止部17とを有し、シール側外係止部43をハウジング側外係止部17に引っ掛けることで係止し合う引掛係止部とされている。シール側内係止部42とシール側外係止部43とはいずれも、本体部41の直線部分(曲線状をなす角部を除く部分)に、本体部41と一体に形成されている。シール側内係止部42は本体部41よりも薄肉であり、シール側内係止部42と本体部41との境には段差が形成されている(図8参照)。
シール側内係止部42は、図5に示すように、本体部41の周方向に沿って横長形状とされた大型係止片42Aと、大型係止片42Aよりも幅寸法が小さく(半分程度)された小型係止片42Bとを有している。長辺部41Aには、大型係止片42Aと小型係止片42Bとが一対ずつ設けられている。上下の長辺部41Aにおいて大型係止片42Aと小型係止片42Bとは対角位置(本体部41の短辺方向に対向する位置)に配されている。短辺部41Bには小型係止片42Bが設けられている。
各シール側内係止部42には、ハウジング側内係止部16に係止する略円形の孔部44が1ずつ貫通形成されている。孔部44は、本体部41を周方向に略等分する位置(長辺部41Aにおいては長辺部41Aを略3等分する位置、短辺部41Bにおいては短辺部41Bの中心位置)にそれぞれ形成されている。
孔部44は、径寸法の大きい大径孔部44Aと、径寸法の小さい小径孔部44Bとを有している。そして、長辺部41Aに設けられた小型係止片42Bには小径孔部44Bが形成され、長辺部41Aに設けられた大型係止片42A、および短辺部41Bに設けられた小型係止片42Bには、大径孔部44Aが形成されている。なお、大型係止片42Aに形成された大径孔部44Aは、大型係止片42Aにおける長手方向の端部寄りに位置している。このように、孔部44の径寸法が異なっていること、およびその位置が偏っていることにより、シール部材40の表裏を誤ることなくコネクタハウジング10に組み付けることができる(表裏誤組防止)。
シール側外係止部43はそれぞれシール側内係止部42の近傍に一ずつ、言い換えると、一のシール側内係止部42と一のシール側外係止部43とが、本体部41を挟んで内外に一組ずつとなる位置に配されている。
長辺部41Aに設けられた一対のシール側外係止部43は、それぞれ近傍のシール側内係止部42とは本体部41の周方向に若干ずれて設けられ、シール側内係止部42よりも本体部41の長手方向の端部寄りに位置している。長辺部41Aに設けられた一組のシール側外係止部43とシール側内係止部42とは、孔部44を除く部分の一部が長辺部41Aに対して直角方向に連なっている。すなわち、シール側内係止部42とシール側外係止部43とが一部オーバーラップ(オフセット)している。これにより、例えばシール側内係止部とシール側外係止部とがオーバーラップしていない場合に比して、面方向の力に対しシール部材40を外れにくくすることができる。
短辺部41Bに設けられたシール側外係止部43は、短辺部41Bの延び方向の中心に位置し、短辺部41Bに設けられたシール側内係止部42と、短辺部41Bに対して直角方向に連なっている。短辺部41Bに設けられたシール側内係止部42も同様に短辺部41Bの延び方向の中心に位置し、かつ、シール側外係止部43の中心に位置している。
シール側外係止部43は、すべてが略同一形状とされ、本体部41の長辺方向の中心を軸に対称に形成されている。シール側外係止部43は、後述するハウジング側外係止部17に挿入されて係止するものであり、ハウジング側外係止部17への挿入方向に突出する軸部43Aと、軸部43Aから側方に突出する爪部43Bとを有している(図6および図7参照)。
軸部43Aは全体として、本体部41の周方向に長い壁状に形成され、本体部41から側方(外周側)に突出したのち略垂直をなして後方に屈曲した形状とされている。軸部43Aの壁厚寸法は、本体部41の厚さ寸法よりも若干小さくされている。また、軸部43Aのうち本体部41から側方に突出する部分は、その垂直方向に屈曲された部分よりも壁厚寸法が大きくされている。
爪部43Bは、軸部43Aの先端に設けられている。爪部43Bは、軸部43Aから側方(本体部41の外周側)に向けて略直角に突出している。爪部43Bの幅寸法(本体部41の周方向の寸法)は軸部43Aの幅寸法と同一とされている。
爪部43Bには、図12に示すように、ハウジング側外係止部17の周辺に対して後側から係止する係止面45が形成されている。係止面45は、軸部43Aの外面に対して略垂直をなしている。また、爪部43Bの後面には、図11に示すように、シール側外係止部43をハウジング側外係止部17に挿入する際に、シール側外係止部43の先端をハウジング側外係止部17に案内する案内面46が形成されている。なお、爪部43Bの外面のうち係止面45と案内面46との間の面は、ハウジング側外係止部17に対する挿入方向に略平行をなす面とされている。
そして、シール側外係止部43には、その背面側(爪部43Bの突出側とは反対側)の角部を削り取った形態で、逃がし傾斜面47が形成されている(図12〜図14参照)。これにより、シール側外係止部43とハウジング側外係止部17との間には、シール側外係止部43をハウジング側外係止部17に挿入する際に、軸部43Aが背面側(爪部43Bの突出側とは反対側)に弾性変形することを許容する逃がし部Sが形成されている。逃がし部Sは、ハウジング側外係止部17の内周面と、ハウジング側外係止部17に挿入されたシール側外係止部43との間に形成されるスペースである。逃がし部Sは、爪部43Bを押し潰すことなく、爪部43Bの全体がハウジング側外係止部17に入り込む大きさに設定されている。
フランジ部15には、シール部材40が装着される装着部18が設けられている。装着部18は、図3に示すように、フランジ部15の周縁部に形成された略環状をなし、その外周側と内周側とに壁が立ち上げられて凹んだ形態とされている。装着部18の凹み寸法は、シール部材40が装着されたときにシール部材40の前面がフランジ部15の前面よりも前方に突出する寸法とされている(図2参照)。
装着部18には、シール側内係止部42が嵌合する係止嵌合部19が設けられている。係止嵌合部19は、シール側内係止部42に対応する位置に設けられ、それぞれシール側内係止部42の外形形状に沿った形状とされている。係止嵌合部19は、シール側内係止部42のうち大型係止片42Aが嵌合する大型嵌合部19Aと、小型係止片42Bが嵌合する小型嵌合部19Bとを備えている。
係止嵌合部19には、シール側内係止部42の孔部44に圧入されるハウジング側内係止部16が立設されている。ハウジング側内係止部16は、フランジ部15から前方へ向かって略円柱状をなして突出する突起である。ハウジング側内係止部16は、孔部44の径寸法に合わせて、径寸法の大きい大径突部16Aと、径寸法の小さい小径突部16Bとを備えている。大径突部16Aは大径孔部44Aに圧入され、小径突部16Bは小径孔部44Bに圧入される。
また、装着部18には、シール側外係止部43が挿入されて係止するハウジング側外係止部17が貫通形成されている。ハウジング側外係止部17は、シール側外係止部43に対応する位置、計6か所に設けられている。ハウジング側外係止部17は、正面から見ると長方形状とされ、その挿入方向奥端の周囲に、爪部43Bが引っ掛かる被係止面21が形成されている(図11参照)。
また、ハウジング側外係止部17の挿入方向手前端の周囲には、シール側外係止部43を誘い込む誘導面22が形成されている(図11参照)。誘導面22は、ハウジング側外係止部17の開口幅が、シール側外係止部43の挿入方向前方に向かって少しずつ狭まるように傾斜する傾斜面である。
また、被係止面21の裏側には、誘導面22を残して肉抜き部23が形成されている(図3参照)。これにより、被係止面21にヒケ等の変形が生じることを防ぎ、係止力の低下を防ぐことができる。
シール部材40がコネクタハウジング10に装着された後に、コネクタハウジング10に組み付けられるシールドハウジング50は、導電性の金属製、具体的にはアルミダイキャスト製であり、フランジ部15の略全体を覆う第一被覆部51と、端子収容部11のうちフランジ部15よりも後側の部分を覆う第二被覆部52とを一体に備えている。
シールドハウジング50の第一被覆部51には、コネクタハウジング10のフランジ部15を収容可能なフランジ収容部53が凹み形成されている(図2参照)。フランジ収容部53は、フランジ部15の外形形状に沿う形状とされている。
また、シールドハウジング50には、シールドハウジング50をケースに固定するための図示しない金属製のボルトを挿通可能なボルト孔54が、4箇所に設けられている(図9参照)。各ボルト孔54にボルトを挿通させてケースのねじ孔に締め付けることで、シールドハウジング50はケースに導通可能に固定される。なお、ボルト孔54は、ケースのねじ孔と整合する位置(第一被覆部51の四隅)に形成されている。
第二被覆部52は、端子収容部11を一括して覆う筒状をなしている。第二被覆部52の外周には、防水コネクタCから後方に引き出された複数の電線Wを一括して覆う図示しない編組線の端末部分が被せられる。そして、編組線の外周には、かしめリング55がかしめて固着され、これにより、編組線とシールドハウジング50とが導通可能に接続される。
シールドハウジング50は、シール側外係止部43の逃がし部S側への弾性変形を制限する変形制限部56を備えている。変形制限部56は、シールドハウジング50がコネクタハウジング10に組み付けられると逃がし部Sに入り込む突起であり、図9に示すように、コネクタハウジング10のハウジング側外係止部17に対応する位置に計6つ設けられている。
変形制限部56のうち逃がし傾斜面47に対向する面は、逃がし傾斜面47に当接する当接面57とされている(図12および図13参照)。当接面57は、変形制限部56の先端角部に形成され、逃がし傾斜面47と同等の勾配を有して傾斜する傾斜面とされている。
次に、防水コネクタCの組み付け手順について説明する。
まず、コネクタハウジング10にシール部材40を装着する。
シール側内係止部42を係止嵌合部19に嵌合し、孔部44にハウジング側内係止部16を圧入する。このとき、大径孔部44Aと大径突部16A、小径孔部44Bと小径突部16Bとがそれぞれ嵌り合うようにすることで、シール部材40の表裏を誤って装着することを防ぐことができる(誤結防止)。
また、シール側外係止部43をハウジング側外係止部17に挿入して係止する。シール側外係止部43をハウジング側外係止部17に挿入しようとすると、爪部43Bの案内面46が、コネクタハウジング10の誘導面22に接触し、案内面46と誘導面22との傾斜によって、シール側外係止部43の爪部43Bがハウジング側外係止部17に導かれる。さらにシール側外係止部43を押し込むと、爪部43Bがハウジング側外係止部17に入り込み、図14に示すように、軸部43Aが背面側へ倒れた姿勢になってハウジング側外係止部17を前進する。これにより、シール側外係止部43をハウジング側外係止部17に挿入する際の挿入抵抗を低減することができる。そして、爪部43Bがハウジング側外係止部17を通り抜けると、軸部43Aが元の姿勢に弾性復帰して、爪部43Bの係止面45がハウジング側外係止部17の被係止面21に係止する(図12参照)。
次に、シール部材40が装着されたコネクタハウジング10に、シールドハウジング50を組み付ける。
コネクタハウジング10にシールドハウジング50を後方から被せて組み付けると、図13に示すように、変形制限部56が逃がし部Sに入り込み、当接面57の全体が逃がし傾斜面47に当接する。そして、変形制限部56は、シール側外係止部43を押し潰すことなくこのシール側外係止部43に当接し、シール側外係止部43の背後に形成された逃がし部Sを埋めた状態になる。これにより、シール側外係止部43の逃がし部S側への弾性変形、すなわち係止解除方向への弾性変形を制限することができ、コネクタハウジング10に対するシール部材40の保持力を十分に確保することができる。
こうして、防水コネクタCの組み付けが完了する。
次に、防水コネクタCをケースに固定する作業について説明する。
防水コネクタCの端子収容部11をケースの取付孔に挿入し、ケースのねじ孔に防水コネクタCのボルト孔54を整合させるべく、防水コネクタCを、ケースの外側面に沿って滑らすように移動させる。すると、シール部材40の本体部41がケースの外側面に接触して面方向の力(具体的には、防水コネクタCを上方に移動させたときには下向きの力、防水コネクタCを下方に移動させたときには上向きの力、防水コネクタCを左方に移動させたときには右向きの力、防水コネクタCを右方に移動させたときには左向きの力)を受ける。
そして、例えばシール部材40の本体部41に下向きの力が作用した場合には、上側の長辺部41Aおよび下側の長辺部41Aは、それぞれ下向きに引っ張られる。すると、上側の長辺部41Aにおいては、シール側外係止部43が下向きに引っ張られ、シール側内係止部42は圧縮された状態になり、下側の長辺部41Aにおいては、シール側内係止部42が下向きに引っ張られ、シール側外係止部43は圧縮された状態になる。そして、本体部41が下向きの力から解放されると、シール側内係止部42およびシール側外係止部43が弾性的に復帰して元の状態(シール部材40がコネクタハウジング10の装着部18に収まった状態)に戻る。
このように、上側の長辺部41Aは外側係止部62の係止により、また下側の長辺部41Aは内側係止部61の係止により、上縁側(上側の長辺部41Aにおいては外周側、下側の長辺部41Aにおいては内周側)からめくれることを防ぐことができる。
また、シール部材40の本体部41に上向きの力が作用した場合にも同様、上側の長辺部41Aは、内側係止部61の係止により下縁側からめくれることを防止でき、下側の長辺部41Aは、外側係止部62の係止により下縁側からめくれることを防止できる。
そして、長辺部41Aにおいては、一組の内側係止部61と外側係止部62とが二組設けられているから、例えば、一組の内側係止部と外側係止部のみを長辺部の中央に設ける場合に比して、強い力に抗することができる。
また、シール部材40の本体部41に右向き、もしくは左向きの力が作用した場合も同様に、内側係止部61および外側係止部62のいずれかの係止により、左右の短辺部41Bのめくれを防止することができる。
こうして、シール部材40の本体部41がケースとの接触により四方向に力を受けたとしても、内側係止部61または外側係止部62の係止により、そのめくれ上がりを防止することができる。したがって、シール部材40を、コネクタハウジング10に正規の装着状態に保持したまま、防水コネクタCをケースに対して正しい位置にセットすることができる。そして、シールドハウジング50のボルト孔54にボルトを通してケースのねじ孔にねじ込むことにより、シール部材40を弾縮させた状態でケースに取り付けると、防水コネクタCをケースに固定する作業が完了する。
上記のように構成された本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
本実施形態の防水コネクタCは、コネクタハウジング10と、このコネクタハウジング10に装着されるシール部材40とを備え、シール部材40は、環状をなす本体部41を有し、コネクタハウジング10とシール部材40とは、本体部41の軸方向に挿入することで係止し合う係止部60を有し、係止部60は、本体部41の内周側に位置して設けられる内側係止部61と、本体部41の外周側に位置して設けられる外側係止部62とを有し、内側係止部61と外側係止部62とは、本体部41を構成する四つの辺のそれぞれに対応して、少なくとも一ずつ設けられている。
これにより、本体部41を構成する4辺のそれぞれにおいて、本体部41に内向きの力が作用したときには外側係止部62の係止により、本体部41に外向きの力が作用したときには内側係止部61の係止により、本体部41のめくれを防止することができるから、シール部材40が、面方向の力を受けてコネクタハウジング10から外れる事態を防ぐことができる。
また、係止部60のうち内側係止部61は、圧入することで係止し合う圧入係止部であり、外側係止部62は、引っ掛けることで係止し合う引掛係止部である。ここで、引掛係止部(すなわち外側係止部62)を係止する作業は、圧入係止部(すなわち内側係止部61)を係止する作業に比して容易であるから、例えば、すべての係止部を圧入係止部とする場合に比べて、コネクタハウジング10にシール部材40を装着する作業を容易に行うことができる。
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、シール部材40の本体部41は横長の長方形状をなしているが、これに限らず、シール部材の本体部は環状であれば如何なる形状であってもよく、例えば、シール部材の本体部は、正方形状、楕円形状、または円形状等、任意の形状としてもよい。
(2)そして、例えば、シール部材の本体部を楕円形状や円形状等とした場合には、内側係止部と外側係止部とを、本体部を周方向に4等分してなる弧のそれぞれに対応して少なくとも一ずつ設ければよいから、例えば、本体部を周方向に5等分以上してなる弧のそれぞれに対応して、内側係止部と外側係止部とを一ずつ設けるものとしてもよい。
(3)上記実施形態では、一の内側係止部61と一の外側係止部62とが一組ずつ近傍に位置して設けられているが、これに限らず、内側係止部と外側係止部とを離れた位置にバランスをとって配しても良く、例えばシール部材の本体部を構成する辺のうち一の辺の長さ方向の真ん中に一の内側係止部を設け、この内側係止部とその一の辺の端部との間に外側係止部を一ずつ設ける等してもよい。
(4)上記実施形態では、シール部材40の本体部41の長辺部41Aに、内側係止部61および外側係止部62が二組ずつ設けられているが、これに限らず、例えば、一組のみ、または三組以上設けても良い。
(5)上記実施形態では、係止部60は、圧入することで係止し合う圧入係止部と、引っ掛けることで係止し合う引掛係止部とを有しているが、これに限らず、係止部は圧入係止部のみ、または引掛係止部のみとしてもよい。
(6)上記実施形態では、内側係止部61のすべてが圧入係止部、外側係止部62のすべてが引掛係止部とされているが、これに限らず、内側係止部のすべてを引掛係止部、外側係止部のすべてを圧入係止部としてもよく、また、内側係止部および外側係止部が、圧入係止部と引掛係止部とのいずれをも有するものとしてもよい。
10…コネクタハウジング
40…シール部材
41…本体部
60…係止部
61…内側係止部(圧入係止部)
62…外側係止部(引掛係止部)

Claims (4)

  1. コネクタハウジングと、このコネクタハウジングに装着されるシール部材とを備え、
    前記シール部材は、環状をなす本体部を有し、
    前記コネクタハウジングと前記シール部材とは、前記本体部の軸方向に挿入することで係止し合う係止部を有し、
    前記係止部は、前記本体部の内周側に位置して設けられる内側係止部と、前記本体部の外周側に位置して設けられる外側係止部とを有し、
    前記内側係止部と前記外側係止部とは、前記本体部が円形状である場合には、前記本体部を周方向に4等分してなる弧のそれぞれに対応して、また前記本体部が多角形状である場合には、前記本体部を構成する辺のそれぞれに対応して、少なくとも一ずつ設けられている防水コネクタ。
  2. 前記係止部は、圧入することで係止し合う圧入係止部と、引っ掛けることで係止し合う引掛係止部とを有している請求項1に記載の防水コネクタ。
  3. 一の前記内側係止部と一の前記外側係止部とが近傍に位置して一組ずつ設けられている請求項1または請求項2に記載の防水コネクタ。
  4. 前記本体部は長方形状であり、その長辺には、前記一組の内側係止部および外側係止部が、少なくとも二組設けられている請求項3に記載の防水コネクタ。
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