JP2015012273A - 圧粉磁心および電子部品 - Google Patents

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Abstract

【課題】低い圧縮成形圧力でも金属磁性粉の再配列による高充填化が可能となるバインダーを使用することで、高比透磁率、かつ高い耐食性(防錆性)をもつ圧粉磁心およびその圧粉磁心からなる高特性かつ高信頼性の電子部品を提供する。
【解決手段】圧粉磁心1は、金属磁性粉2とバインダー3からなり、そのバインダー3が少なくともエポキシ樹脂とイオン交換機能をもつ無機粒子4とを含む。また、この圧粉磁心1を使用して電子部品を構成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、金属磁性粉を圧縮成形した圧粉磁心に関するもので、耐食性(防錆性)に優れ、低い圧縮成形圧でも高い密度や良好な磁気特性を得ることが可能な圧粉磁心を提供するものである。また、この圧粉磁心を用いることで高信頼性のインダクター、リアクトル、トランス、非接触給電コイル、磁気シールドなどの電子部品を提供するものである。
近年、電気・電子機器の小型化が進み、小型で高性能の磁心が要求されてきている。また、スマートフォン・タブレットPCに代表されるように電気・電子機器の高機能化も進み、そのための大電流対応の磁心への要求も顕著である。一般にインダクター等の磁心としては、軟磁性フェライト粒子を焼結して作製される焼結(フェライト)磁心と、金属磁性粉を圧縮成形して作製される圧粉磁心がある。圧粉磁心は、焼結(フェライト)磁心と比較する場合、金属磁性粉が軟磁性フェライト粒子より著しく高い飽和磁束密度を有しているために小型化に有利である。また、その圧粉磁心はパワー系用途では大きな直流電流を重畳しても磁気飽和に達しづらいため、大電流化対応にも有利である。しかしながら、金属磁性粉は電気抵抗率が小さいため、渦電流による損失が大きくなり、圧粉磁心の発熱損失が膨大なものとなる。このことで、電子機器の高周波化が進むにつれ、エネルギー損失が大きくなり、電子機器の省エネルギー化の流れに逆行することになるので大きな問題となる。
渦電流による損失を減らすため、その金属磁性粉に有機あるいは無機の絶縁層を設けたものを、バインダーとよばれる絶縁性材料で被覆し、圧縮成形、接合した後、加熱等により固化させて圧粉磁心としている。ここでいうバインダーとは金属磁性粉同士を接着する物質であり、絶縁性の接着剤、固着材、結着剤、接合材を意味し、それらは単一の材料、あるいは樹脂材料、無機粒子、添加剤等の複数の材料から構成される。ここでバインダーとして使用される樹脂等の粉末は、該金属磁性粉と混合工程では固形粉末状で混合が容易であり、固化工程で加熱される時には溶融流動して金属磁性粉の間を十分に充填する必要がある。バインダーとして従来使用されてきた代表的なものとしては、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリシルセン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、水ガラス、低融点ガラス等がある。いずれのバインダーの検討でも圧粉磁心の高強度化、絶縁性の向上による渦電流の低減による低損失化の検討がさかんになされて来ている(特許文献1〜3)。現在では、高い接着力からの圧粉磁心の高強度性、優れた電気絶縁性、200℃以下の低温硬化が可能であること、寸法安定性に優れていること、耐溶剤性に優れていること等より、巻線(コイル)が圧粉磁心の中に備えられているモールド型インダクター等の電子部品ではエポキシ樹脂がもっとも一般的に用いられている。
こうした圧粉磁心では、圧縮成形圧力が高いほど金属磁性粉の充填率が高くなり、高比透磁率が得られやすくなる。しなしながら、高い圧縮成形圧力では金属磁性粉の圧縮歪みによる軟磁気特性の劣化の増大や圧粉磁心中の巻線(コイル)の損傷、生産性向上の困難性等の様々な技術的な問題が起こる。これにより、低い圧縮成形圧力でも高比透磁率の圧粉磁心が強く望まれている。
また、前述のようにエポキシ樹脂からなるバインダーにおいては、一般に工業化されているエポキシ樹脂は不可避不純物としてCl(塩素イオン)を含んでいる。このため、圧粉磁心に用いられる金属磁性粉の耐食性(防錆性)によっては、大きく圧粉磁心の耐食性(防錆性)が低下することになる。そして前述のように圧粉磁心からなるインダクター、リアクトル等の電子部品の信頼性への懸念もあり、一般に工業化されているエポキシ樹脂からなるバインダーの適用が制限されているのが実情である。そこで、耐食性(防錆性)に優れた圧粉磁心も強く望まれている。
特開2006-233295号公報 特開2002-280209号公報 特開2007-324210号公報 特開2011-171346号公報
しかしながら、成形密度を向上させて高比透磁率化を図る、すなわち、低い圧縮成形圧力で必要とされる比透磁率を確保することについては、特許文献1にあるように純鉄粉に代表される軟質磁性材料に高絶縁性を付与して、その純鉄粉の成形圧力による変形を利用し、それらの特性を向上させることが一般的になされてきている。この場合、硬質のアモルファス金属、Fe−Si系金属等の合金系磁性材料には適用が困難という本質的な課題がある。
また、絶縁材料であるバインダー樹脂に着目することで成形密度を向上させる取り組みがなされている(特許文献2〜4)。特許文献2〜4にあるようなバインダー樹脂として汎用のエポキシ樹脂やフェノール樹脂等を用いた圧粉磁心は、耐熱性、絶縁性や強度には優れている。しかしながら、圧縮成形前の金属磁性粉をバインダー樹脂で被覆した状態では、被覆しているそれらのバインダー樹脂が硬いので、高い圧縮成形圧力をかけてもバインダーの変形による金属磁性粉の再配列が起きない。したがって、金属磁性粉の充填率を上げることが十分にできず、透磁率や飽和磁束密度の向上が困難という課題があった。また、低い圧縮成形圧力では、金属磁性粉の変形がないので、金属磁性粉の粒子形状によっては圧粉磁心の強度の確保が困難という問題もあった。ここでいうバインダー樹脂が硬いとはその弾性率が高いことであり、金属磁性粉の再配列とは、圧縮加圧による金属磁性粉の変形ではなく、金属磁性粉の空間移動による圧粉磁心の高充填化のことである。低い圧縮成形圧力では、金属磁性粉の変形による高充填化はほとんど期待できないので、金属磁性粉を再配列させることは高充填化のため、極めて重要である。
また、金属磁性粉からなる圧粉磁心の耐食性(防食性)の向上に関しては、金属磁性粉を有機物質あるいは無機物でコーティングする手法や金属磁性粉の表面をリン酸やリン酸誘導体により化成処理する公知の手法がある。しかしながら、いずれも圧粉磁心の磁気特性である比透磁率の低下や機械的特性である材料強度の低下を引き起こすという本質的な課題がある。
そこで、本発明の目的は、低い圧縮成形圧力でも高比透磁率すなわち高特性、かつ高い耐食性(防錆性)すなわち高い信頼性をもつ圧粉磁心を提供することである。また、低い圧縮成形圧力のため、圧力磁心本体もしくは磁心中に内蔵されたコイル等の機能素子へのダメージも少なくなることで、圧粉磁心の信頼性を高くすることである。これにより、高特性かつ高信頼性のインダクター、リアクトル、トランス、非接触給電デバイス、磁気シールド部品等の電子部品を提供することが可能となる。
本発明者は、巻線(コイル)内蔵型インダクター等に最適な圧粉磁心の検討の中で、その圧粉磁心中のバインダーの組成や構造を種々詳細に検討した。そして、そのバインダー中にイオン交換機能を有する無機粒子を存在させた時に、その無機粒子が圧粉時の圧縮成形圧力で崩壊することによる固体潤滑剤的効果があること、並びに圧粉磁心においてもその無機粒子のイオン補足能による防錆効果があることを見出した。そこで、本発明者はこの効果に着目し、低い圧縮成形圧力でも高比透磁率が可能であり、かつ高い耐食性(防錆性)をもつ圧粉磁心である本発明を完成するに至った。
本発明の圧粉磁心は、金属磁性粉とバインダーからなり、バインダーが少なくともエポキシ樹脂とイオン交換機能をもつ無機粒子とを含むことを特徴とする。
これにより、低い圧縮成形圧力でも高比透磁率であり、かつ耐食性(防錆性)に優れた圧粉磁心を得ることができる。
さらに、本発明の圧粉磁心は、無機粒子は、1種もしくは2種以上の化合物を含むことが好ましい。
これにより、耐食性(防錆性)を保持しつつ、さらに、より一層、低い圧縮成形圧力で圧粉磁心の高成形密度化、高比透磁率化が可能である。
さらに、本発明の圧粉磁心は、無機粒子の含有量が、圧粉磁心を構成する金属磁性粉の質量に対して、0.05〜1wt%であることが好ましい。
これにより、低い成形圧力での圧粉磁心の高成形密度化、高比透磁率化を保持しつつ、より一層、耐食性(防錆性)を向上させることができる。
さらに、本発明の圧粉磁心は、400MPa以下の圧縮成形圧力で製造されることが好ましい。
これにより、圧粉磁心の高成形密度化、高比透磁率化を保持しつつ、圧粉磁心内に内蔵されるコイルへのダメージを大きく低減できる。
さらに、本発明の電子部品は、圧粉磁心を備える。そして、このような電子部品に対して、小型化を可能にし、かつそれらの部品の信頼性を大きく向上させることができる。
本発明によれば、低い圧縮成形圧力でも高比透磁率すなわち高特性かつ高い耐食性(防錆性)をもつ圧粉磁心を提供することができる。また、低い圧縮成形圧力のため、圧力磁心本体もしくは磁心中に内蔵されたコイル等の機能素子へのダメージも少なくなることで、圧粉磁心の信頼性を高くすることができる。さらに、その圧粉磁心を備える高特性かつ高信頼性のインダクター、リアクトル、トランス、非接触給電デバイス、磁気シールド部品等の電子部品を提供することができる。
図1は本発明の一実施形態を示す圧粉磁心の組織を模式的に表す図面である。 図2aは巻線(コイル)内蔵型インダクターの外観斜視図である。 図2bは内蔵される巻線(コイル)の斜視図である。
以下、本発明について実施形態を用い、詳細に説明する。ただし、本発明は、実施形態に限定されない。
本発明の一実施形態の圧粉磁心の組織を模式的に表す図を図1に示す。圧粉磁心1の組織は、金属磁性粉2とバインダー3からなり、バインダー3が少なくともエポキシ樹脂とイオン交換機能をもつ無機粒子4とを含む。金属磁性粉2が少なくともエポキシ樹脂を含むバインダー3で結着しており、絶縁材料であるバインダー樹脂の中にイオン交換機能をもつ無機粒子4が分散している構造である。イオン交換機能をもつ無機粒子4が存在しない状態においては、圧粉磁心1が高温高湿の環境下、もしくは水中への浸漬のような状態では、吸湿して膨潤したバインダー樹脂を通して、塩素イオン等の無機イオンが金属磁性粉2に到達し、それを腐食させ、錆を発生させる。これに対して、バインダー3にイオン交換機能をもつ無機粒子4が存在している構造では、その無機粒子4により、圧粉磁心1の表面および内部に侵入してきた塩素イオン等の無機イオンの全体量に対してかなりの部分をイオン交換反応により、失活させることで圧粉磁心1の腐食からの錆発生を軽減することができる。代表的な無機粒子4としてハイドロタルサイト化合物を例としてイオン交換反応を示す(式1)。なお、ここでいう無機粒子のイオン交換機能とは陽イオンおよび陰イオンの両方の交換能をいう。
Figure 2015012273
バインダー3には、バインダー樹脂を硬化させるための硬化剤を含んでもよい。その硬化剤は、フェノールノボラック樹脂、p−キシリレン型フェノール樹脂、ビフェニル型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、酸無水物、脂肪族アミン、芳香族アミン、ヒドラジド系化合物等の公知の硬化剤のいずれかを用いてもよい。また、これらの硬化剤は複数種を組み合わせて用いてもよい。
バインダー3には、バインダー樹脂の硬化を促進するための硬化促進剤を含んでもよい。その硬化促進剤は、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール系化合物、トリフェニルホスフィン等のリン系化合物、アミン系化合物等の公知の硬化促進剤のいずれかを用いてもよい。また、これらの硬化促進剤は複数種を組み合わせて用いてもよい。
また、イオン交換機能を持つ無機粒子4が圧粉磁心1のバインダー3に含まれることにより、圧粉磁心1の前駆体、すなわち、エポキシ樹脂を少なくとも含む有機物質と金属磁性粉2とを複合化した材料にもその無機粒子4が含まれることとなる。これにより、その前駆体は低い圧縮成形圧力でも、高い成形密度、高い比透磁率の圧粉磁心1を与えることとなる。これは、イオン交換機能をもつ無機粒子4が、イオンを取りこむ結晶構造を備えるため、圧縮成形のような加圧に対して、固体潤滑剤の働きをすることによる。この固体潤滑剤の働きに関してより具体的には、無機粒子4のイオンを取り込む結晶構造はイオンが取り込まれる空隙すなわち欠陥をもつため結晶構造が低強度である。このため、圧縮成形の加圧に対して、金属磁性粉2の粒子間に位置するイオン交換機能をもつ無機粒子4が軟らかく壊れてゆくので、金属磁性粉2の移動すなわち再配列が可能となり、圧粉磁心1の高い成形密度化が可能になると考えられる。
イオン交換機能をもつ無機粒子4としては、ハイドロタルサイト化合物を主成分とする無機粒子や、Zr系化合物からなる無機粒子、Sb系化合物からなる無機粒子、Bi系化合物からなる無機粒子等を用いる。さらにZr系化合物としては、リン酸ジルコニウムが、Bi系化合物としては、水酸化ビスマスが、Sb系化合物としてはアンチモン酸が好適に用いられる。以上の無機粒子4は、複数種を組み合わせて使用してもよい。
さらに、別の実施形態では、バインダー3に含まれるイオン交換機能をもつ無機粒子4を2種以上の化合物から構成される2元系以上の無機粒子とすることで、さらに低い圧縮成形圧力で、高い成形密度、高い比透磁率の圧粉磁心を得ることができる。これらは、2元系(以上)にすることで、各構成要素(化合物)間での部分的なもしくは全体的な層状構造が形成され、その構成要素間でのすべり効果によって無機粒子4の破壊が容易になるためである。この作用を圧粉磁心1の成形時における金属磁性粉2の粒子間の潤滑性を増大させることに用いたものである。ここでいう2種以上とは、2種類以上の化合物からその無機物質が構成されていることをいう。無機粒子4としては、Sb系化合物とBi系化合物の2元系からなる無機粒子、Mg系化合物とAl系化合物の2元系からなる無機粒子、Zr系化合物とBi系化合物の2元系からなる無機粒子等を用いられる。
さらに、別の実施形態では、圧粉磁心1のバインダー3に含まれるイオン交換機能をもつ無機粒子4の含有量は、圧粉磁心1を構成する金属磁性粉2の総質量に対して、0.05〜1wt%であることが好ましい。0.05wt%未満では、圧粉磁心1の耐食性(防錆性)が不十分となる。また、1wt%を超えるとバインダー樹脂中の無機粒子4の増大により、エポキシ樹脂の金属磁性粉2に対する接着力が低下し、圧粉磁心1の強度が大きく低下する。
さらに、別の実施形態では、バインダー3を構成するエポキシ樹脂を、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂とすることで、エポキシ樹脂自体の低吸湿性により、耐食性と防錆性をより向上させることができる。
さらには、別の実施形態では、バインダー3を構成するエポキシ樹脂を、ビフェニル型エポキシ樹脂とすることで、エポキシ樹脂自体が低い圧縮成形圧力で、容易に体積収縮をともなって変形することになり、圧粉磁心1の成形密度すなわち透磁率をより向上させることができる。
さらに、別の実施形態では、圧粉磁心1は、400MPa以下の圧縮成形圧力で製造されることが好ましい。400MPaを超えると圧粉成形時の応力により、内蔵されるコイルの位置ずれや変形が発生し、圧粉磁心とコイルからなる電子部品の特性が低下する。また、50MPa以下では十分な成形密度すなわち透磁率を確保することができない。
本発明の電子部品の一実施形態である巻線(コイル)内蔵型インダクターの外観斜視図を図2aに示す。また、内蔵される巻線(コイル)の斜視図を図2bに示す。巻線(コイル)内蔵型インダクター10は、圧粉磁心11の中に巻線(コイル)12が内蔵されている。本発明の電子部品の実施形態は、圧粉磁心11の中に巻線(コイル)12が位置する実施形態、圧粉磁心11の外に巻線(コイル)12が位置する実施形態のいずれでもよい。前述までに説明したように圧粉磁心11のバインダー3にイオン交換機能を持つ無機粒子4が含まれていることにより、高品質かつ高信頼性のインダクター、リアクトル、トランス、非接触給電デバイス、磁気シールド部品を提供することができる。ここでいう高品質とは、低い圧縮成形圧力のため圧粉磁心11の外部、内部の損傷が少ないこと、また、腐食が進行し難いので耐湿特性に優れることを意味する。したがって、本発明の実施形態の電子部品は、自動車や社会インフラ向け等の高い信頼性が必要とされる分野に好適に用いられる。
本発明の実施形態の圧粉磁心1において、バインダー3は、エポキシ樹脂から構成されることは必須であるが、それ以外の成分を構成要素として含んでもよい。それらの構成要素とは、SiO、Al、MgO、BN等の無機セラミックス成分、ガラス成分、シラン化合物等のカップリング剤、分散剤、着色剤、安定剤、沈降防止剤、可塑剤等である。
以下、本発明に係る実施例を示し、本発明について詳細に説明する。尚、以下の実施例および比較例において(部)とは(質量部)を意味する。また、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、本実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
バインダー樹脂としてo−クレソールノボラック型エポキシ樹脂(DIC製 N−695を100質量部、圧粉磁心の硬化剤はフェノール硬化剤としてフェノールノボラック樹脂(DIC製 TD−2131)50質量部、さらに硬化触媒として2−エチル−4−メチル−イミダゾール(四国化成工業製 2E4MZ)を1質量部を用い、これらをメチルエチルケトン溶媒に溶解させることで塗料を作製した。次に作製した塗料を金属磁性粉としてFe−Si系合金(不定形粒子、平均粒径 15μm、合金の元素組成:Fe/Si=95.5wt%/4.5wt%)と混合し、ニーダーを用いて混練することで、バインダー樹脂で被覆されたFe−Si系合金粉を作製した。被覆量については、Fe−Si系合金粉が100質量部に対してバインダー樹脂が3質量部になるよう調整した。さらに、その合金粉を目開き300μmでスクリーン粉砕し、その粉砕物中に無機粒子として金属磁性粉質量の0.05wt%のハイドロタルサイト化合物(協和化学工業製 DHT−4A)を添加しミキサーで粉体混合して前駆体を作製した。次に、この混合した前駆体を金型を用いて成形圧力400MPaで圧縮成形を行い、外形11mm、内径6.5mmのトロイダル状に成形し、最後に175℃にて1時間の条件で熱硬化を行い、圧粉磁心(トロイダルコア)を作製した。バインダー組成を表1に示す。
〔磁心特性の評価方法〕
成形密度について、その圧粉磁心の測長および測定を行うことで算出した。成形密度が5.3g/cm以上の場合、成形密度が高いと判断した。磁気特性については、そのトロイダルコアに巻線をし、閉磁路を形成し、100kHzにて50mVで励磁させることで比透磁率を算出した。比透磁率が27以上の場合、比透磁率が高いと判断した。耐食性(防錆性)については、硬化後のトロイダルコアを10% NaCl水溶液に浸漬し、点錆が発現する時間を得るという加速試験によって評価した。点錆が発生する時間が3時間以上の場合、耐食性(防錆性)が良好と判断した。強度については、JIS Z2507に基づいてトロイダルコアの圧環強度を算出することで評価した。圧環強度が70MPa以上であった場合、その圧粉磁心を電子部品に適用しても問題なしと判断した。低圧成形性の指標となる内蔵されるコイルのダメージの評価については、巻数7.5ターンの5mmφ×厚み1.5mmの空芯コイルが内蔵されるように、前駆体で8mm×8mm×厚み3mmに圧粉成形したところ、コイルのつぶれは観察されなかった。コイルのつぶれがあった場合はコイルへのダメージあり、コイルのつぶれがなかった場合は、コイルへのダメージなしと判断した。
実施例1の成形密度は5.41g/cm、比透磁率は27.5、耐食性(防錆性)は3.5時間、圧環強度は78MPa、コイルへのダメージはなしであった。その結果を表2に示す。
<実施例2>
バインダー樹脂中のエポキシ樹脂を、o−クレソールノボラック型エポキシ樹脂からジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(DIC製 HP−7200)に変更したことを除いて、実施例1と同様に実施した。バインダー組成を表1に、圧粉磁心の特性評価結果を表2に示す。成形密度は5.43g/cm、比透磁率は27.4、耐食性(防錆性)は5.3時間、圧環強度は83MPa、コイルへのダメージはなしであった。
<実施例3>
バインダー樹脂中のエポキシ樹脂を、o−クレソールノボラック型エポキシ樹脂からビフェニル型エポキシ樹脂(三菱化学製 YX−4000)に変更したことを除いて、実施例1と同様に実施した。バインダー組成を表1に、圧粉磁心の特性評価結果を表2に示す。成形密度は5.62g/cm、比透磁率は30.5、耐食性(防錆性)は3.7時間、圧環強度は77MPa、コイルへのダメージはなしであった。
<実施例4>
圧粉磁心の前駆体のイオン交換機能をもつ無機粒子をハイドロタルサイト化合物からZr系化合物(東亜合成製IXE−100)に変更したことを除いて、実施例1と同様に実施した。バインダー組成を表1に、圧粉磁心の特性評価結果を表2に示す。成形密度は5.44g/cm、比透磁率は27.8、耐食性(防錆性)は3.2時間、圧環強度は78MPa、コイルへのダメージはなしであった。
<実施例5>
圧粉磁心の前駆体のイオン交換機能をもつ無機粒子をハイドロタルサイト化合物からSb系化合物(東亜合成製IXE−300)に変更したことを除いて、実施例1と同様に実施した。バインダー組成を表1に、圧粉磁心の特性評価結果を表2に示す。成形密度は5.42g/cm、比透磁率は28.0、耐食性(防錆性)は3.1時間、圧環強度は83MPa、コイルへのダメージはなしであった。
<実施例6>
圧粉磁心の前駆体のイオン交換機能を持つ無機粒子をハイドロタルサイト化合物から、Bi系化合物(東亜合成製IXE−500)に変更し、その含有量が、金属磁性粉に対する質量比で0.03wt%と変更したことを除いて、実施例1と同様に実施した。バインダー組成を表1に、圧粉磁心の特性評価結果を表1に示す。成形密度は5.39g/cm、比透磁率は27.0、耐食性(防錆性)は3.0時間、圧環強度は81MPa、コイルへのダメージはなしであった。成形密度、比透磁率、耐食性(防錆性)は実施例1〜3と比較してやや低下した。
<実施例7>
圧粉磁心の前駆体のイオン交換機能を持つ無機粒子であるBi系化合物(東亜合成製IXE−500)の含有量が、金属磁性粉に対する質量比で0.05wt%であることを除いて、実施例4と同様に実施した。バインダー組成を表1に、圧粉磁心の特性評価結果を表2に示す。成形密度は5.45g/cm、比透磁率は28.3、圧環強度は79MPaであり、耐食性(防錆性)は6.5時間、コイルへのダメージはなしであった。実施例1〜3と比較して耐食性(防錆性)が顕著に向上した。圧環強度も比較例1〜2とほぼ同等であった。
<実施例8>
圧粉磁心の前駆体のイオン交換機能を持つ無機粒子であるBi系化合物(東亜合成製IXE−500)の含有量が、金属磁性粉に対する質量比で1wt%であることを除いて、実施例4と同様に実施した。バインダー組成を表1に、圧粉磁心の特性評価結果を表2に示す。成形密度は5.46g/cm、比透磁率は28.1、圧環強度は81MPaであり、耐食性(防錆性)は9.5時間、コイルへのダメージはなしであった。実施例1〜3と比較して耐食性(防錆性)が顕著に向上した。圧環強度も比較例1〜2とほぼ同等であった。
<実施例9>
圧粉磁心の前駆体のイオン交換機能を持つ無機粒子であるBi系化合物(東亜合成製IXE−500)の含有量が、金属磁性粉に対する質量比で1.3wt%であることを除いて、実施例4と同様に実施した。バインダー組成を表1に、圧粉磁心の特性評価結果を表2に示す。成形密度は5.39g/cm、比透磁率は27.0、圧環強度は70MPaであり、耐食性(防錆性)は8.5時間、コイルへのダメージはなしであった。実施例1〜3と比較して耐食性(防錆性)が顕著に向上した。圧環強度は比較例1〜2と比較して低下したが、この前駆体を使用した圧粉磁心を電子部品に適用しても問題ない数値であった。
<実施例10>
圧粉磁心の前駆体のイオン交換機能を持つ無機粒子をハイドロタルサイト化合物から、Sb系化合物とBi系化合物の2元系(東亜合成製IXE−600)に変更したことを除いて、実施例1と同様に実施した。バインダー組成を表1に、圧粉磁心の特性評価結果を表2に示す。成形密度は5.59g/cm、比透磁率は29.9、耐食性(防錆性)は7.2時間、圧環強度は78MPa、コイルへのダメージはなしであった。
<実施例11>
バインダー樹脂中のエポキシ樹脂を、o−クレソールノボラック型エポキシ樹脂からジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(DIC製 HP−7200)に変更したことを除いて、実施例10と同様に実施した。バインダー組成を表1に、圧粉磁心の特性評価結果を表2に示す。成形密度は5.61g/cm、比透磁率は30.4、耐食性(防錆性)は10.4時間、圧環強度は76MPa、コイルへのダメージはなしであった。
<実施例12>
バインダー樹脂中のエポキシ樹脂を、o−クレソールノボラック型エポキシ樹脂からビフェニル型エポキシ樹脂(三菱化学製 YX−4000)に変更したことを除いて、実施例10と同様に実施した。バインダー組成を表1に、圧粉磁心の特性評価結果を表2に示す。成形密度は5.76g/cm、比透磁率は31.8、耐食性(防錆性)は8.0時間、圧環強度は82MPa、コイルへのダメージはなしであった。
<実施例13>
圧粉磁心の前駆体のイオン交換機能を持つ無機粒子をハイドロタルサイト化合物から、Mg系化合物とAl系化合物の2元系(東亜合成製IXE−700F)に変更したことを除いて、実施例1と同様に実施した。バインダー組成を表1に、圧粉磁心の特性評価結果を表2に示す。成形密度は5.63g/cm、比透磁率は29.3、耐食性(防錆性)は7.8時間、圧環強度は83MPa、コイルへのダメージはなしであった。
<実施例14>
圧粉磁心の前駆体のイオン交換機能を持つ無機粒子をハイドロタルサイト化合物から、Zr系化合物とBi系化合物の2元系(東亜合成製IXE−6136)に変更したことを除いて、実施例1と同様に実施した。この2元系無機粒子の平均粒径は2.1μm(メジアン径)である。バインダー組成を表1に、圧粉磁心の特性評価結果を表2に示す。成形密度は5.66g/cm、比透磁率は30.0、耐食性(防錆性)は8.4時間、圧環強度は78MPa、コイルへのダメージはなしであった。
<実施例15>
圧粉磁心の前駆体のイオン交換機能を持つ無機粒子である、Zr系化合物とBi系化合物の2元系(東亜合成製IXEPLAS−B1)に変更したことを除いて、実施例14と同様に実施した。この2元系無機粒子の平均粒径は0.4μm(メジアン径)である。バインダー組成を表1に、圧粉磁心の特性評価結果を表2に示す。成形密度は5.78g/cm、比透磁率は29.8、耐食性(防錆性)は9.2時間、圧環強度は80MPa、コイルへのダメージはなしであった。実施例14との比較から明らかなように、イオン交換機能をもつ無機粒子の平均粒子径を0.4μm以下とすることで、同一成形圧力であれば、耐食性(防錆性)を保持しつつ、圧粉磁心の成形密度と比透磁率をさらに大きく向上させることができる。
<実施例16>
圧粉磁心の前駆体のイオン交換機能を持つ無機粒子をハイドロタルサイト化合物から、Zr系化合物とMg系化合物とAl化合物の3元系(東亜合成製IXEPLAS−A1)に変更したことを除いて、実施例1と同様に実施した。バインダー組成を表1に、圧粉磁心の特性評価結果を表2に示す。成形密度は5.77g/cm、比透磁率は30.4、耐食性(防錆性)は8.8時間、圧環強度は77MPa、コイルへのダメージはなしであった。
<実施例17>
圧縮成形圧力が300MPaであることを除いて、実施例1と同様に実施した。バインダー組成を表1に、圧粉磁心の特性評価結果を表2に示す。成形密度は5.37g/cm、比透磁率は27.7、圧環強度は77MPa、耐食性(防錆性)は4.1時間、コイルへのダメージはなしであった。
<実施例18>
圧縮成形圧力が200MPaであることを除いて、実施例1と同様に実施した。バインダー組成を表1に、圧粉磁心の特性評価結果を表2に示す。成形密度は5.31g/cm、比透磁率は27.2、圧環強度は80MPa、耐食性(防錆性)は3.8時間、コイルへのダメージはなしであった。
<実施例19>
バインダー樹脂中に硬化剤が含まれないことを除いて、実施例1と同様に実施した。バインダー組成を表1に、圧粉磁心の特性評価結果を表2に示す。成形密度は5.31g/cm、比透磁率は27.3、圧環強度は74MPa、耐食性(防錆性)は3.3時間、コイルへのダメージはなしであった。
<実施例20>
バインダー樹脂中に硬化促進剤が含まれないことを除いて、実施例1と同様に実施した。バインダー組成を表1に、圧粉磁心の特性評価結果を表2に示す。成形密度は5.33g/cm、比透磁率は27.0、圧環強度は75MPa、耐食性(防錆性)は3.6時間、コイルへのダメージはなしであった。
<実施例21>
圧粉磁心中に複数種のイオン交換機能をもつ無機粒子を含むことを除いて、実施例1と同様に実施した。バインダー組成を表1に、圧粉磁心の特性評価結果を表2に示す。成形密度は5.32g/cm、比透磁率は27.4、圧環強度は76MPa、耐食性(防錆性)は3.7時間、コイルへのダメージはなしであった。
<比較例1>
圧粉磁心の前駆体のイオン交換機能をもつ無機粒子がバインダーに存在しないことを除いて、実施例1と同様に実施した。バインダー組成を表1に、圧粉磁心の特性評価結果を表2に示す。成形密度は5.12g/cm、比透磁率は24.5、圧環強度は79MPa、防錆性は1.0時間、コイルへのダメージはなしであった。
<比較例2>
圧粉磁心の前駆体のイオン交換機能をもつ無機粒子がバインダーに存在しないことと圧縮成形圧力が600MPaであることを除いて、実施例1と同様に実施した。バインダー組成を表1に、圧粉磁心の特性評価結果を表2に示す。成形密度は5.34g/cm、比透磁率は27.4、圧環強度は85MPa、耐食性(防錆性)は1.0時間であり、コイルへのダメージも観察された。
<参考例1>
圧縮成形圧力が600MPaであることを除いて、実施例1と同様に実施した。バインダー組成を表1に、圧粉磁心の特性評価結果を表2に示す。成形密度は5.62g/cm、比透磁率は29.0、圧環強度は79MPa、耐食性(防錆性)は3.8時間、コイルへのダメージも観察された。
実施例1〜21、比較例1、2、参考例1のバインダー組成をまとめて表1に示す。また、圧粉磁心の作製条件(圧縮成形圧力)と得られた圧粉磁心の特性評価結果をまとめて、表2に示す。
Figure 2015012273
Figure 2015012273
〔エポキシ樹脂の検討〕
実施例1〜3、10〜12、比較例1、2、参考例1から明らかなように、イオン交換機能をもつ無機粒子を圧粉磁心のバインダー中に存在させることにより、エポキシ樹脂が異なっても同一圧縮成形圧力でも高い成形密度と高い比透磁率が確保できる圧粉磁心を提供する。すなわち、本発明の圧粉磁心では、従来より低い圧縮成形圧力でも、高い成形密度と高い比透磁率が確保できる。また、無機粒子により、耐食性(防錆性)が大きく向上する。さらに、バインダー樹脂のエポキシ樹脂を低吸湿のジシクロペンタジエン型とすることで、耐食性(防錆性)を大きく向上できる。さらには、バインダー樹脂のエポキシ樹脂を低い圧縮成形圧でも容易に変形をするビフェニル型とすることで、さらに高い成形密度と比透磁率が確保できる。
〔無機粒子の検討〕
実施例1、4、5、7、10、13〜16、比較例1、2から明らかなように、イオン交換機能をもつ無機粒子を圧粉磁心のバインダー中に存在させることにより、イオン交換機能をもつ無機粒子が異なっても、本発明の圧粉磁心では、従来より低い圧縮成形圧力でも、高い成形密度と高い比透磁率が確保できる。また、無機粒子により、耐食性(防錆性)が大きく向上する。
〔無機粒子添加量の検討〕
実施例6〜9、比較例1、2から明らかなように、イオン交換機能をもつ無機粒子を圧粉磁心のバインダー中に存在させることにより、イオン交換機能をもつ無機粒子が所定範囲の添加量であることによって、本発明の圧粉磁心では、従来より低い圧縮成形圧力でも、高い成形密度と高い比透磁率が確保できる。また、無機粒子により、耐食性(防錆性)が大きく向上する。
〔無機粒子の化合物組み合わせの検討〕
実施例1、3、4、7、10、13〜14から明らかなように、イオン交換機能をもつ無機粒子を2元系とすることで、同一成形圧力であれば、耐食性(防錆性)を保持しつつ、圧粉磁心の成形密度と比透磁率を大きく向上させることができる。さらに、実施例1〜3、10〜12から明らかなように、エポキシ樹脂が異なっても同一成形圧力であれば、耐食性(防錆性)を保持しつつ、圧粉磁心の成形密度と比透磁率を大きく向上させることができる。
〔圧縮成形圧力の検討〕
実施例1、17、18、比較例1、2、参考例1から明らかなように、イオン交換機能をもつ無機粒子を圧粉磁心のバインダー中に存在させることにより、400MPa以下の圧縮成形圧力でも高い成形密度と高い比透磁率が確保でき、かつコイルへのダメージの少ない高信頼性の圧粉磁心を提供できる。また、無機粒子により、耐食性(防錆性)が大きく向上する。
〔硬化剤・硬化促進剤の検討〕
実施例1、19、20から明らかなように、圧粉磁心のバインダー樹脂中に硬化剤あるいは硬化促進剤が含まれなくとも、イオン交換機能をもつ無機粒子を圧粉磁心のバインダー中に存在させることにより、400MPa以下の圧縮成形圧力でも高い成形密度と高い比透磁率が確保でき、かつコイルへのダメージの少ない高信頼性の圧粉磁心を提供できる。また、無機粒子により、耐食性(防錆性)が大きく向上する。
〔複数の無機粒子での検討〕
実施例1、実施例21から明らかなように、イオン交換機能をもつ複数の無機粒子を圧粉磁心のバインダー中に存在させた時でも、400MPa以下の圧縮成形圧力でも高い成形密度と高い比透磁率が確保でき、かつコイルへのダメージの少ない高信頼性の圧粉磁心を提供できる。また、無機粒子により、耐食性(防錆性)が大きく向上する。
以上から明らかなように、すくなくともエポキシ樹脂とイオン交換能をもつ無機粒子とからなるバインダー、並びに金属磁性粉から形成される圧粉磁心は、低い圧縮成形圧力でも高い成形密度と高い比透磁率が確保でき、かつ、高い耐食性(防錆性)をもつことで、高特性かつ高信頼性である。
本発明の圧粉磁心の前駆体(実施例1)を用いて、巻線(コイル)を圧粉磁心中に内蔵した電子部品(インダクター)を圧縮成形による圧粉で作製した(図2a及び図2b)。圧粉磁心の外形形状を、6.5mm × 6.5mm × 2.5mm厚とし、内蔵される巻線(コイル)を銅線巻数8ターンとした。同様に従来のエポキシ樹脂(比較例1)からなる絶縁材料(イオン交換機能をもつ無機粒子を含まないバインダー)でなる圧粉磁心のインダクターを作製した。従来の圧粉磁心のインダクタンスが3.3μHであったのに比較して、本発明はバインダー中にイオン交換機能をもつ無機粒子を含ませることで、同じ形状で3.6μHという高いインダクタンスの達成が可能であった。
本発明により、低い成形圧力で高い特性の圧粉磁心が生産でき、また、その圧粉磁心は高い耐食性(防錆性)を保有している。それにより圧粉磁心の信頼性を大きく向上させることができることによって、高い信頼性が不可欠な自動車や社会インフラ向け等の用途にも幅広く適用できる。
1 圧粉磁心
2 金属磁性粉
3 バインダー
4 イオン交換機能をもつ無機粒子
10 巻線(コイル)内蔵型インダクター
11 圧粉磁心
12 巻線(コイル)

Claims (5)

  1. 金属磁性粉とバインダーからなり、前記バインダーが少なくともエポキシ樹脂とイオン交換機能をもつ無機粒子とを含むことを特徴とする圧粉磁心。
  2. 前記無機粒子は、1種もしくは2種以上の化合物を含むことを特徴とする請求項1に記載の圧粉磁心。
  3. 前記無機粒子の含有量は、前記圧粉磁心を構成する前記金属磁性粉の質量に対して、0.05wt%〜1wt%であることを特徴とする請求項1または2に記載の圧粉磁心。
  4. 400MPa以下の圧縮成形圧で製造された請求項1〜3のいずれか1つに記載の圧粉磁心。
  5. 請求項1〜4のいずれか1つに記載の圧粉磁心を備える電子部品。
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