JP2015007422A - 建設機械の排気浄化制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】排気浄化制御装置1は、エンジン11と、エンジン11を駆動源とするアクチュエータ23と、アクチュエータ23又はエンジン11を操作者が操作するための操作部41と、操作部41の操作の有無を検出する操作検出部43と、エンジン11の排気中のススを捕捉する浄化装置31と、浄化装置31に捕捉されたススの堆積量を検出する堆積量検出部33と、再生動作(浄化装置31に捕捉されたススを燃やして浄化装置31を再生する動作)を行う再生部36と、再生動作の制御を行う制御部50と、を備える。制御部50は、堆積量検出部33に検出されるススの堆積量が多くなるに従って、操作部41による操作を優先させる制御から、再生動作を優先させる制御に段階的に切り換える。
【選択図】図1
Description
図1〜図11を参照して第1実施形態の排気浄化制御装置1(建設機械の排気浄化制御装置)について説明する。
[1]負荷Lc≦負荷Lbの場合、エンジン11には負荷Lbがかかる。
[2]負荷Lc>負荷Lbの場合、エンジン11にかかる負荷は、クレーン操作に必要な負荷Lc(アクチュエータ23を作動させるための負荷)のみであり、負荷Lbはエンジン11にかからない。よって、再生動作がクレーン操作に影響を与えない。さらに詳しくは、条件[2]においては、再生動作とクレーン操作とを同時に行う場合と、再生動作を行わずにクレーン操作を行う場合とで、エンジン11にかかる負荷は同じである。
よって、負荷掛けバルブ方式では、再生動作とクレーン操作とを同時に行える。また、再生動作を確実に完了させるために、再生動作中にクレーン操作を制限する(例えば禁止する)場合もある。また、後述する第2実施形態のように、所定条件(後述する「自動再生自動停止機能ON」)を満たす場合に限り、再生動作中にクレーン操作を優先させる場合もある。
制御部50(クレーン側制御部53)は、「堆積量レベル」に応じて、再生動作の開始及び停止の条件を切り換える。上記「堆積量レベル」は、ススの堆積量に応じて決定されるレベル(領域、段階、フェーズ)(すすレベル、すす堆積量レベル)である。堆積量レベルは、複数設定される。堆積量レベルは、次の[a]及び[b]のように決定される。[a]堆積量検出部33から、制御部50(エンジン側制御部51)に、堆積量の検出結果が出力される。[b]エンジン側制御部51は、入力された堆積量がどの堆積量レベルであるかを決定する。エンジン側制御部51には、入力された堆積量と堆積量レベルとの関係が予め設定されている。具体的には例えば、堆積量検出部33が検出したススの堆積量が、ある設定値を超えるたびに、堆積量レベルが増加していく。
堆積量レベルが「A未満」のときは、再生動作が行われない。堆積量レベルA未満では、エンジン側制御部51からクレーン側制御部53への再生動作の要求がない。
堆積量レベルA以上のときは、再生動作が行われる場合がある。堆積量レベルA以上のときの再生動作開始の条件には、操作部41の操作がないことが含まれる。これは、操作部41の操作中に再生動作が開始されることによる、アクチュエータ23の動作の急変、及び、エンジン11の回転数の急変を防ぐためである。上記急変を防ぐことで、この急変によって生じる吊荷の揺れ(荷振れ)等を防ぎ、操作者の疲労を軽減させることができる。上記急変は次のように起こる。排気ブレーキ39を作動させると、エンジン11の負荷が上がり、エンジン11の回転数が下がる。そのため、アクセル操作が一定でも、再生動作を開始すればエンジン11の回転数が変わってしまう。また、クレーン操作が一定でも、再生動作を開始すればエンジン11の回転数が変わる結果、ポンプ21の回転数が変わり、アクチュエータ23の動作が変わってしまう。
堆積量レベルA(自動再生領域)のときは、再生動作が自動的に開始される。堆積量レベルAのときは、再生動作よりも操作部41の操作を優先させる。具体的には、再生動作中にクレーン操作またはアクセル操作があると、再生動作が一時的に停止される。さらに詳しくは、堆積量レベルAのときは、制御部50は自動再生制御を行う。自動再生制御は、操作部41の操作がないことが操作検出部43に検出されているときに、再生部36に再生動作を行わせる制御である。また、自動再生制御は、操作部41の操作があることが操作検出部43に検出されているときに、再生部36の再生動作を停止させる制御である。
堆積量レベルB〜D(手動再生領域)のときは、手動再生ボタン45を「ON」にすることが、再生動作の開始の条件に含まれる。堆積量レベルB〜Dのときは、制御部50は手動再生制御を行う。
堆積量レベルB及びCのときは、再生動作(手動再生)の中断及び再開が可能である。再生動作の中断(一時的停止)とは、「再生動作の完了」前に再生動作を停止させることである。上記「再生動作の完了」とは、再生動作によりススの堆積量が「所定値」未満になることである。上記「所定値」は、制御部50(エンジン側制御部51)に予め設定される。さらに詳しくは、堆積量レベルB及びCのときは、制御部50は、手動再生中断制御と、手動再生再開制御と、手動再生手動停止制御と、を行う。
堆積量レベルCのときは、堆積量レベルBのときと異なり、再生動作中断中のアクセル操作が無効とされる。さらに、このときは、エンジン11の回転数が、予め設定された値(例えばLowアイドル回転数)に規制(制限)される。さらに詳しくは、堆積量レベルCのときは、制御部50は、アクセル無効制御を行う。
堆積量レベルDのときは、再生動作の中断が禁止される(操作部41の操作に対して、再生動作を優先させる)。さらに詳しくは、堆積量レベルDのときは、制御部50は、操作無効制御および手動再生切換無効制御を行う。
堆積量レベルE(強制再生領域)のときは、操作部41の操作がない場合、手動再生ボタン45が「OFF」であっても再生動作が開始される。さらに、このときは、再生動作の中断が禁止される。さらに詳しくは、堆積量レベルEのときは、制御部50は、強制再生制御を行う。
図2〜図9に示すフローチャートを参照して、排気浄化制御装置1の動作(ステップS201〜S931)をより詳しく説明する(以下、排気浄化制御装置1の各構成要素については図1を参照)。
ステップS201〜S206では、堆積量レベルが判定される。ススの堆積量が、堆積量レベルA未満の場合(S201でYES)はフローX(図3)に、堆積量レベルAの場合(S202でYES)はフローA(図4)に、堆積量レベルBの場合(S204でYES)はフローB(図5)に、堆積量レベルC(S205でYES)の場合はフローC(図7)に、堆積量レベルDの場合(S206でYES)はフローD(図8)に、堆積量レベルEの場合(S206でNO)はフローE(図9)に、それぞれ進む。ススの堆積量が堆積量レベルAを超える場合(S202でNO)、ステップS203(後述)で再生動作が禁止される。なお、再生動作が完了するまでは、堆積量が小さい側の堆積量レベルに下がることはないとする。例えば、堆積量レベルが「B」と判定された後、再生動作を行うことによりススが減り、堆積量レベルAに相当する堆積量になったとしても、堆積量レベルは「B」のままである。なお、再生動作が完了する前に、堆積量が小さい側の堆積量レベルに下がるようにしてもよい。
図3に示すフローXは、ススの堆積量が堆積量レベルA未満の場合のフローである。また、フローXは、堆積量レベルAで再生動作を行わない場合(図4に示すS415でYESの場合)のフローである。
ステップS301では、再生許可信号が「0」とされる。
ステップS302では、ポスト噴射が停止される。ポスト噴射が既に停止していた場合は、停止状態を継続させる(以下の、再生動作及びポスト噴射の停止・開始、再生動作の許可・禁止、排気ブレーキ39の作動・非作動、操作の有効・無効などについても同様)。
ステップS303では、排気ブレーキ39が非作動とされる。次に、F2aを介して図2に示すステップS201に進む。
図4に示すフローAは、ススの堆積量が堆積量レベルAの場合のフローである。フローAでは、自動再生制御(上述)が行われる。
ステップS401では、再生許可信号が「1」とされる。
ステップS415では、クレーン操作およびアクセル操作のうち少なくともいずれかの操作があるか否かが判定される。クレーン操作およびアクセル操作のうち少なくともいずれかがある場合(YESの場合)、フローX(図3)に進み、再生動作は行われない。これらの操作がいずれもない場合(NOの場合)、ステップS423に進み、再生動作が行われる場合がある。
ステップS423〜S429では再生動作一部停止制御が行われる。再生動作一部停止制御は、再生動作中に負荷検出部11bが検出した負荷が「負荷設定値」を超えるとき、再生動作の少なくとも一部を停止させる制御である。上記「負荷設定値」(規定値、上限値)は、制御部50に予め設定される。再生動作一部停止制御は、後述するフローB(図5参照)およびフローC(図7参照)でも行われる。
以下、再生動作一部停止制御を図4に示すフローチャートに基づいて説明する。
ステップS425では、負荷検出部11bで検出されたエンジン11の負荷が負荷設定値以下か否かが判定される。エンジン11の負荷が負荷設定値以下(YES)の場合、ステップS427に進み、排気ブレーキ39が作動する。同負荷が負荷設定値を超える場合(NOの場合)、ステップS429に進み、排気ブレーキ39が非作動とされる。ステップS427及びS429の次に、F2aを介して図2に示すステップS201に進む。
図5に示すフローBは、ススの堆積量が堆積量レベルBのときのフローである。フローBでは、上述した、手動再生制御、手動再生中断制御、手動再生再開制御、及び手動停止制御が行われる。
手動再生ボタン45が「ON」であり(S511又はS512でYES)、かつ、クレーン操作およびアクセル操作のいずれもない(S515でNO)場合、ステップS520に進み、再生動作が行われる。
手動再生ボタン45が「OFF」(S511又はS512でNO)の場合、F6aを介して、図6に示すステップS601に進み、再生動作を停止させる。また、クレーン操作およびアクセル操作少なくともいずれかがある場合(図5に示すS515でYESの場合)、F6aを介して、図6に示すステップS601に進み、再生動作を停止させる。
なお、再生動作中(図5に示すS501でYES)、かつ、手動再生ボタン45が「OFF」(S512でNO)の場合、再生許可信号が「0」とされる(S513)。
ステップS521では、エンジン11の回転数が制限される。エンジン11の回転数は、例えば870rpmに固定される。これにより、排気ガスの量を確保できるとともに、エンジン11の排気温度を上げやすい。よって、再生動作を確実に行える。
ステップS523では、ポスト噴射が行われる。
ステップS525では、ステップS425と同様、エンジン11にかかる負荷が負荷設定値以下か否かが判定される。同負荷が負荷設定値以下(YES)の場合、ステップS527に進み、排気ブレーキ39を作動させ(S527)、ステップS531に進む。同負荷が負荷設定値を超える(NO)の場合、F6aを介して図6に示すステップS601に進み、再生動作を停止させる。
図2に示すように、再生動作が完了した場合の動作は次の通りである。
ステップS551では、クレーン操作が有効とされる。
ステップS552では、エンジン11の回転数が所定値(例えばLowアイドル回転数)とされた後、アクセル操作が有効とされる。
ステップS553では、ポスト噴射が停止される。
ステップS554では、排気ブレーキ39が非作動とされる。
図6に示すように、再生動作を中断させるときの動作は次の通りである。
ステップS601では、アクセル操作が有効にされる。
ステップS602では、排気ブレーキ39が非作動とされる。
ステップS603では、ポスト噴射が停止される。次に、F2bを介して、図2に示すステップS204に進む。
図7に示すフローCは、ススの堆積量が堆積量レベルCのときのフローである。フローCでは、上述したアクセル無効制御が行われる。フローCのフローB(図5参照)との相違点は、フローCにはステップS716がある点である(図7の破線部分参照)。なお、フローB(図5参照)とフローCとで共通するステップは、フローBとフローCとで符号の下二桁を同一としている(フローCと図8に示すフローDとで共通するステップ、及び、フローDと図9に示すフローEとで共通するステップについても、符号の下二桁を同一としている。
ステップS716では、クレーン操作またはアクセル操作の少なくともいずれかがあるか否かが判定される。クレーン操作およびアクセル操作のいずれもない場合(NOの場合)、ステップS720に進み、再生動作が行われる(再生動作が継続される)。クレーン操作またはアクセル操作のいずれかがある場合(YESの場合)、F6bを介して図6に示すステップS751に進む。
ステップS752では、排気ブレーキ39が非作動とされる。
ステップS753では、ポスト噴射が停止される。次に、F2bを介して、図2に示すステップS204に進む。
図8に示すフローDは、ススの堆積量が堆積量レベルDのときのフローである。フローDでは、上述した手動再生切換無効制御が行われる。フローDのフローC(図7参照)との相違点は、図8の破線部である。相違点は、ステップS801でYESの場合(再生動作中)にステップS820に進む(図7に示すステップS712、S713、及びS716がない)点と、図8に示すステップS822がある点と、図7に示すステップS725がない点(あってもよい)と、である。
図9に示すフローEは、ススの堆積量が堆積量レベルEのときのフローである。フローEでは、上述した強制再生制御が行われる。フローEのフローD(図8参照)との相違点は、図9の破線部である。相違点は、図8のステップS801に代えて図9のステップS903がある点と、図8のステップS811がない点である。
次に、図1に示す排気浄化制御装置1による効果を説明する。排気浄化制御装置1は、エンジン11と、エンジン11を駆動源とするアクチュエータ23と、アクチュエータ23又はエンジン11を操作者が操作するための操作部41と、操作部41の操作の有無を検出する操作検出部43と、エンジン11の排気中のススを捕捉する浄化装置31と、浄化装置31に捕捉されたススの堆積量を検出する堆積量検出部33と、再生動作(浄化装置31に捕捉されたススを燃やして浄化装置31を再生する動作)を行う再生部36と、再生動作の制御を行う制御部50と、を備える。
[構成1]制御部50は、堆積量検出部33に検出されるススの堆積量が多くなるに従って、操作部41による操作を優先させる制御から、再生動作を優先させる制御に段階的に切り換える。
上記[構成1]では、ススの堆積量が多くなるに従って、再生動作の優先度に比べ、操作部41による操作の優先度が下がっていく。よって、再生動作するように操作者は促される。さらに詳しくは、操作者は、ススの堆積量が多くなっていることに気付きやすい。また、操作者は、ススの堆積量が少ない段階で(操作の優先度が高いうちに)再生動作を行おうと考えやすい。これらのように、再生動作するように操作者は促されるので、浄化装置31の再生の機会が確保されやすい。また、堆積量が少ない段階で操作者が再生動作を行う場合は、堆積量が多い段階で再生動作を行う場合に比べ、短い時間で再生動作が完了する。その結果、作業性をより確保できる。
制御部50が行う制御には、自動再生制御がある(図4参照)。自動再生制御は、以下の動作を行う制御である。
[構成2−1]操作部41の操作がないことが操作検出部43に検出されているときに(図4のS415でNO)、再生部36に再生動作を行わせる。
[構成2−2]操作部41の操作があることが操作検出部43に検出されているときに(図4のS415でYES)、再生部36の再生動作を停止させる(図3のフローX参照)。
上記[構成2−2]では、再生動作よりも操作部41の操作が優先される。よって、作業性を確実に確保できる。
排気浄化制御装置1は、再生動作をするかしないかを操作者が選択するための手動再生ボタン45(手動再生切換手段)を備える。制御部50が行う制御には、手動再生制御(図5等参照)がある。手動再生制御は、操作部41の操作がないことが操作検出部43に検出され(図5のS515でNO)、かつ、手動再生ボタン45により再生動作をすることが選択されているとき(図5のS511又はS512でYES)、再生部36に再生動作を行わせる制御である。
制御部50が行う制御には、手動再生中断制御がある。手動再生中断制御は、手動再生制御により再生動作を再生部36が行っているときに(図5のS501でYES)、操作部41の操作があることが操作検出部43に検出された場合(図5のS515でYES)、再生部36の再生動作を停止させる制御である。
操作部41は、エンジン11の回転数を操作者が操作するためのアクセル操作部41aを備える。制御部50が行う制御には、アクセル無効制御(図6のF6b等参照)がある。アクセル無効制御は、手動再生中断制御により再生部36の再生動作を停止させるとき(図7のS716でYES)、アクセル操作部41aによる操作を無効にするとともにエンジン11の回転数を規制する制御である(図6のS751)。
制御部50が行う制御には、手動再生再開制御(図5参照)がある。手動再生再開制御は、手動再生中断制御により再生動作が停止されているときに(このとき再生許可信号が「1」であり、図5のS501でYES)、操作部41の操作がないことが操作検出部43に検出された場合(図5のS515でNO)、かつ、手動再生ボタン45により再生動作をすることが選択されているとき(S512でYES)、再生部36に再生動作を再開させる制御である。
制御部50が行う制御には、手動再生手動停止制御(図5参照)がある。手動再生手動停止制御は、手動再生ボタン45により再生動作をしないこと(「OFF」)が選択されたとき(図5のS512でNO)、再生部36の再生動作を停止させる制御である(図5のS513等)。
制御部50が行う制御には、操作無効制御(図8参照)がある。操作無効制御は、手動再生制御により再生部36が再生動作を行うとき(図8のS820等参照)、操作部41による操作を無効にし(図8のS821及びS822)、操作部41による操作の有無にかかわらず再生部36に再生動作を行わせる制御である(フローDでは、図7のS716の判断がされない)。
制御部50が行う制御には、手動再生切換無効制御(図8参照)がある。手動再生切換無効制御は、手動再生制御により再生部36が再生動作を行うとき(図8のS801でYES)、手動再生ボタン45の選択の状態にかかわらず再生部36に再生動作を行わせる制御である(図8のフローDでは、図7のS712の判断がされない)。
排気浄化制御装置1は、再生動作をするかしないかを操作者が選択するための手動再生ボタン45を備える。制御部50が行う制御には、強制再生制御(図9参照)がある。強制再生制御は、操作検出部43の検出の状態にかかわらず、かつ、手動再生ボタン45の選択の状態にかかわらず、再生部36に再生動作を行わせる制御である(図9のフローEでは、図7のS711、S712、S715、S716の判断がされない)。
エンジン11は、エンジン11の負荷を検出する負荷検出部11bを備える。制御部50には、負荷設定値が設定される。制御部50が行う制御には、再生動作一部停止制御(図4等参照)がある。再生動作一部停止制御は、再生動作中に負荷検出部11bが検出した負荷が負荷設定値を超えるとき(図4のS425でNO)、再生部36の動作の少なくとも一部を停止させる(図4のS429)制御である。
図12〜図17を参照して、第2実施形態の排気浄化制御装置101について、第1実施形態との相違点を説明する。相違点は次の通りである。図12に示すように、排気浄化制御装置101は、第1実施形態の排気ブレーキ39(図1参照)に代えて、負荷掛け装置139を備える。排気浄化制御装置101は、第1実施形態にはない微速機能スイッチ147(自動再生自動停止選択スイッチ、吐出流量設定スイッチ)を備える。第2実施形態のクレーン側制御部153の動作は、第1実施形態のクレーン側制御部53(図1参照)の動作と異なる。以下、上記相違点をさらに説明する。なお、排気浄化制御装置101の構成要素やステップのうち、第1実施形態との共通点については、同一の符号を付し、説明を省略した。
制御部50(クレーン側制御部153)は、堆積量レベルやエンジン側制御部51からの要求に応じて、再生部36による再生動作の制御を切り換える。制御部50には、例えば、A未満、A、B、D、及びEの合計5の体積量レベルが設定される。表2に示すように、制御部50は、A未満、A、B、D、及びEの堆積量レベルに応じて、再生動作の開始及び停止の条件を変える。
第1実施形態では、堆積量レベルA以上のときの再生動作開始の条件には、「操作部41(図1参照)の操作がない」ことが含まれた。第2実施形態では、上記「操作部41の操作がない」には、「操作部41の操作が無効である」(後述)ことが含まれる。再生動作開始の条件に操作部41の操作がない(又は無効である)ことが含まれる理由は、操作部41の操作中に再生動作が開始されることによる、アクチュエータ23の動作の急変を防ぐためである。この急変は次のように起こる。負荷掛け装置139を作動させると、ポンプ21に負荷がかかる。そのため、エンジン11の回転数やクレーン操作が安定していても、ポンプ21の吐出流量が変化する。その結果、アクチュエータ23の動作の急変が発生する。
堆積量レベルA(自動再生領域)のときは、再生動作が自動的に開始される。堆積量レベルAのときは、再生動作よりも操作部41の操作を優先させる。第1実施形態では、堆積量レベルAのとき、再生動作中にクレーン操作またはアクセル操作があると、再生動作が一時的に停止された。一方、第2実施形態では、この制御(再生動作中にクレーン操作またはアクセル操作があると、再生動作が一時的に停止されるという制御)は行われない。第2実施形態では、「自動再生自動停止機能ON」(後述)のときにクレーン操作があると、再生動作が一時的に停止される。「自動再生自動停止機能OFF」のときはクレーン操作があっても、再生動作は一時停止されない。さらに詳しくは、堆積量レベルAのときは、制御部50は次の自動再生制御(第2実施形態の自動再生制御)を行う。
堆積量レベルB・D(手動再生領域)のときは、制御部50は、手動再生制御(第1実施形態と同様)と、手動再生時操作無効制御と、を行う。手動再生時操作無効制御は、手動再生領域のとき、かつ、再生動作が行われているとき、操作部41による操作を無効にする制御である。手動再生時操作無効制御では、制御部50(クレーン側制御部153)は、操作部41の指令を受け付けない(建設機械を操作できない状態とする)(操作部41を操作してもアクチュエータ23が作動しないようにする)(再生動作を優先させる)。一方、手動再生領域のとき、かつ、再生動作が行われていないとき、制御部50は、操作部41による操作を有効にする。
堆積量レベルBのときは、再生動作(手動再生)の中断及び再開が可能である。堆積量レベルBのときは、制御部50は、第1実施形態で行われた手動再生中断制御および手動再生再開制御を行わず、第1実施形態とほぼ同様の手動再生手動停止制御を行う。手動再生手動停止制御は、第1実施形態と同様に、手動再生ボタン45が「OFF」になると、再生動作を中断させる制御である。第2実施形態では、手動再生ボタン45が「OFF」になったとき、負荷掛け装置139の再生動作を停止させ、操作部41による操作を有効にする(アクチュエータ23の動作停止を解除する)。
堆積量レベルDのときは、再生動作の中断が禁止される。堆積量レベルDのときは、第1実施形態で行われた操作無効制御は行われず、手動再生手動停止無効制御(第1実施形態の手動再生切換無効制御とほぼ同様の制御)が行われる。手動再生手動停止無効制御は、手動再生ボタン45が一度「ON」となり手動再生制御が開始されたとき、上記の手動再生手動停止制御を無効とする制御である。具体的には、手動再生ボタン45が一度「ON」となり手動再生制御が開始されると、手動再生ボタン45を「OFF」にしても再生動作が中断しない(「OFF」を受け付けない)。
堆積量レベルE(強制再生領域)のときは、第1実施形態と同様に、操作部41の操作がない場合、手動再生ボタン45が「OFF」であっても自動で再生動作が開始される。さらに、このときは、再生動作の中断が禁止される。
図13〜図17に示すフローチャートを参照して、排気浄化制御装置101(図12参照)の動作(ステップS1301〜S1931)について、第1実施形態との相違点をより詳しく説明する(以下、排気浄化制御装置101の各構成要素については図12を参照)。
図13に示すように、第2実施形態のステップS1301〜S1306では、第1実施形態のステップS201〜S206(図2参照)とほぼ同様に、堆積量レベルが判定される。ススの体積量が体積量レベルA未満の場合(S1301でYES)、ステップS1301に戻る(第2実施形態では図3に示すフローXはない)。第2実施形態では堆積量レベルCが設定されないので、堆積量レベルCか否かの判定(図2のS205参照)は行われない。
図14に示すフローAでは、自動再生制御(上述)が行われる。
ステップS1401では、再生許可信号が「1」とされる。
ステップS1402では、ポスト噴射が開始される(上記のように、既にポスト噴射が開始されている場合、ポスト噴射を継続させる)。
ステップS1411では、微速機能がONか否か(自動再生自動停止機能がONか否か)が判定される。微速機能OFFの場合(NOの場合)、ステップS1421に進む。微速機能ONの場合(YES)の場合、ステップS1425に進む。
図13に示すように、再生動作が完了した場合の動作は次の通りである。
ステップS1451では、再生許可信号が「0」に設定される。
ステップS1452では、ポスト噴射が停止される。
ステップS1453では、ポンプ21の吐出流量が例えば最小に設定される。
ステップS1454では、負荷掛け装置139が「非作動」状態とされる。
ステップS1455では、エンジン11の回転数の制限(固定)が解除される。
ステップS1456では、クレーン操作の制限が解除される。
図15に示すフローBでは、上述した、手動再生制御、手動再生時操作無効制御、および手動再生手動停止制御が行われる。
ステップS1520では、再生許可信号が「1」に設定される。
ステップS1521では、ポスト噴射が開始される。
ステップS1522では、クレーン操作の制限が開始される(手動再生時操作無効制御)。
ステップS1523では、エンジン11の回転数が例えば1000rpmに固定される。
ステップS1524では、負荷掛け装置139が「作動」状態とされる。
ステップS1525では、ポンプ21の吐出流量が例えば最大に設定される。
ステップS1531では、ステップS1431(図14参照)と同様に、再生動作が完了したか否かが判定される。
図16に示すフローDでは、上記の手動再生手動停止無効制御が行われる。
ステップS1801では、ステップS1501(図15参照)と同様に、再生許可信号が「1」か否かが判定される。再生許可信号が「1」の場合(再生動作中、YESの場合)、ステップS1820に進み、再生動作が継続される。再生許可信号が「0」(再生動作停止中)の場合、ステップS1811に進む。
図17に示すフローEでは、上記の強制再生制御が行われる。
ステップS1901およびS1915の動作は次の通りである。再生許可信号が「0」(再生動作停止中、S1901でNO)かつ、クレーン操作がある場合(S1915でYESの場合)、再生動作が開始されず、ステップS1451(図13参照)に進む。再生許可信号が「0」(再生動作停止中、S1901でNO)かつ、クレーン操作がない場合(S1915でNOの場合)、ステップS1920に進み、再生動作が開始される。再生許可信号が「1」(再生動作中、S1901でYES)の場合、ステップS1920に進み、再生動作が継続される。
図12に示す第2実施形態の排気浄化制御装置101による効果を説明する。排気浄化制御装置101は、自動再生自動停止機能を用いるか否かが切り換わる自動再生自動停止選択スイッチ(微速機能スイッチ147)を備える。制御部50が行う制御には、自動再生制御がある(図14参照)。
[構成12−1]自動再生制御は、操作部41の操作がないことが操作検出部43に検出されているときに(図14のS1421でNOまたはS1425でNO)、再生部36に再生動作を行わせる制御である。
[構成12−2]自動再生制御は、操作部41の操作があることが操作検出部43に検出されているとき(図14のS1425でYES)、かつ、自動再生自動停止機能を用いること(自動再生自動停止機能ON(微速機能ON))が自動再生自動停止選択スイッチ(微速機能スイッチ147)により選択されているときに(図14のS1411でYES)、再生部36の再生動作を停止させる制御である(図14のS1426参照)。
上記[構成12−2]では、自動再生自動停止機能がONの場合、再生動作よりも操作部41の操作が優先される。よって、作業性を確実に確保できる。
排気浄化制御装置101は、エンジン11に駆動されるポンプ21と、吐出流量設定スイッチ(微速機能スイッチ147)と、を備える。
[構成13−1]吐出流量設定スイッチ(微速機能スイッチ147)は、ポンプ21の吐出流量に影響を及ぼす機能に関する選択をするためのスイッチである。
[構成13−2]再生部36は、ポンプ21に負荷を掛けることでエンジン11に負荷を掛けることにより再生動作を行う負荷掛け装置139を備える。
[構成13−3]吐出流量設定スイッチ(微速機能スイッチ147)は、自動再生自動停止選択スイッチ(上記[構成12−2]参照)である。
上記の第2実施形態では、微速機能スイッチ147が、自動再生自動停止選択スイッチかつ吐出流量設定スイッチであった。しかし、自動再生自動停止選択スイッチや吐出流量設定スイッチとして、微速機能スイッチ147に加えて(または代えて)、他のスイッチが設けられてもよい。「他のスイッチ」には、例えば、作業モード切替スイッチや、ドラムブレーキ切替スイッチなどが含まれてもよい。また、上記「他のスイッチ」には、例えば、過負荷防止装置解除スイッチ、および、過負荷防止装置冗長スイッチなどがある。例えば、過負荷防止装置解除スイッチにより、過負荷防止装置が解除された場合(過負荷防止装置解除機能ONの場合)、上記の自動再生自動停止機能がONとなる(自動再生領域のときに操作部41の操作があると再生動作が一時的に停止する)。過負荷防止装置解除機能OFFの場合、自動再生自動停止機能がOFFとなる。また例えば、過負荷防止装置冗長スイッチにより、過負荷防止装置冗長機能(後述)を用いることが選択された場合(過負荷防止装置冗長機能ONの場合)上記の自動再生自動停止機能がONとなる。過負荷防止装置冗長機能OFFの場合、上記の自動再生自動停止機能がOFFとなる。なお、過負荷防止装置冗長機能とは、過負荷防止装置が故障したときに、過負荷防止装置の最低限の機能のみを働かせることにより、建設機械の最低限の作業(クレーン作業など)を行えるようにする機能である。
11 エンジン
11b 負荷検出部
21 ポンプ
23 アクチュエータ
31 浄化装置
33 堆積量検出部
36 再生部
41 操作部
41a アクセル操作部
43 操作検出部
45 手動再生ボタン(手動再生切換部)
50 制御部
139 負荷掛け装置
147 微速機能スイッチ(自動再生自動停止選択スイッチ、吐出流量設定スイッチ)
Claims (13)
- エンジンと、
前記エンジンを駆動源とするアクチュエータと、
前記アクチュエータ又は前記エンジンを操作者が操作するための操作部と、
前記操作部の操作の有無を検出する操作検出部と、
前記エンジンの排気中のススを捕捉する浄化装置と、
前記浄化装置に捕捉されたススの堆積量を検出する堆積量検出部と、
前記浄化装置に捕捉されたススを燃やして前記浄化装置を再生する動作である再生動作を行う再生部と、
前記再生動作の制御を行う制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記堆積量検出部に検出されるススの堆積量が多くなるに従って、前記操作部による操作を優先させる制御から、前記再生動作を優先させる制御に段階的に切り換える、
建設機械の排気浄化制御装置。 - 前記制御部が行う制御には、自動再生制御があり、
前記自動再生制御は、前記操作部の操作がないことが前記操作検出部に検出されているときに前記再生部に前記再生動作を行わせるとともに、前記操作部の操作があることが前記操作検出部に検出されているときに前記再生部の前記再生動作を停止させる制御である、
請求項1に記載の建設機械の排気浄化制御装置。 - 自動再生自動停止機能を用いるか否かが切り換わる自動再生自動停止選択スイッチを備え、
前記制御部が行う制御には、自動再生制御があり、
前記自動再生制御は、前記操作部の操作がないことが前記操作検出部に検出されているときに前記再生部に前記再生動作を行わせる制御であり、
前記自動再生制御は、前記操作部の操作があることが前記操作検出部に検出されているとき、かつ、前記自動再生自動停止機能を用いることが前記自動再生自動停止選択スイッチにより選択されているときに、前記再生部の前記再生動作を停止させる制御である、
請求項1に記載の建設機械の排気浄化制御装置。 - 前記エンジンに駆動されるポンプと、
前記ポンプの吐出流量に影響を及ぼす機能に関する選択をするための吐出流量設定スイッチと、
を備え、
前記再生部は、前記ポンプに負荷を掛けることで前記エンジンに負荷を掛けることにより前記再生動作を行う負荷掛け装置を備え、
前記吐出流量設定スイッチは、前記自動再生自動停止選択スイッチである、
請求項3に記載の建設機械の排気浄化制御装置。 - 前記再生動作をするかしないかを操作者が選択するための手動再生切換部を備え、
前記制御部が行う制御には、手動再生制御があり、
前記手動再生制御は、前記操作部の操作がないことが前記操作検出部に検出され、かつ、前記手動再生切換部により前記再生動作をすることが選択されているとき、前記再生部に前記再生動作を行わせる制御である、
請求項1〜4のいずれかに記載の建設機械の排気浄化制御装置。 - 前記制御部が行う制御には、手動再生中断制御があり、
前記手動再生中断制御は、前記手動再生制御により前記再生動作を前記再生部が行っているときに前記操作部の操作があることが前記操作検出部に検出された場合、前記再生部の前記再生動作を停止させる制御である、
請求項5に記載の建設機械の排気浄化制御装置。 - 前記操作部は、前記エンジンの回転数を操作者が操作するためのアクセル操作部を備え、
前記制御部が行う制御には、アクセル無効制御があり、
前記アクセル無効制御は、前記手動再生中断制御により前記再生部の前記再生動作を停止させるとき、前記アクセル操作部による操作を無効にするとともに前記エンジンの回転数を規制する制御である、
請求項6に記載の建設機械の排気浄化制御装置。 - 前記制御部が行う制御には、手動再生再開制御があり、
前記手動再生再開制御は、前記手動再生中断制御により前記再生動作が停止されているときに前記操作部の操作がないことが前記操作検出部に検出された場合、かつ、前記手動再生切換部により前記再生動作をすることが選択されているとき、前記再生部に前記再生動作を再開させる制御である、
請求項6または7に記載の建設機械の排気浄化制御装置。 - 前記制御部が行う制御には、手動再生手動停止制御があり、
前記手動再生手動停止制御は、前記手動再生切換部により前記再生動作をしないことが選択されたとき、前記再生部の前記再生動作を停止させる制御である、
請求項5〜8のいずれかに記載の建設機械の排気浄化制御装置。 - 前記制御部が行う制御には、操作無効制御があり、
前記操作無効制御は、前記手動再生制御により前記再生部が前記再生動作を行うとき、前記操作部による操作を無効にし、前記操作部による操作の有無にかかわらず前記再生部に前記再生動作を行わせる制御である、
請求項5〜9のいずれかに記載の建設機械の排気浄化制御装置。 - 前記制御部が行う制御には、手動再生切換無効制御があり、
前記手動再生切換無効制御は、前記手動再生制御により前記再生部が前記再生動作を行うとき、前記手動再生切換部の選択の状態にかかわらず前記再生部に前記再生動作を行わせる制御である、
請求項5〜10のいずれかに記載の建設機械の排気浄化制御装置。 - 前記再生動作をするかしないかを操作者が選択するための手動再生切換部を備え、
前記制御部が行う制御には、強制再生制御があり、
前記強制再生制御は、前記操作検出部の検出の状態にかかわらず、かつ、前記手動再生切換部の選択の状態にかかわらず、前記再生部に前記再生動作を行わせる制御である、
請求項1〜11のいずれかに記載の建設機械の排気浄化装置。 - 前記エンジンは、前記エンジンの負荷を検出する負荷検出部を備え、
前記制御部には、負荷設定値が設定され、
前記制御部が行う制御には、再生動作一部停止制御があり、
前記再生動作一部停止制御は、前記再生動作中に前記負荷検出部が検出した負荷が前記負荷設定値を超えるとき、前記再生部の動作の少なくとも一部を停止させる制御である、
請求項1〜12のいずれかに記載の建設機械の排気浄化装置。
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