JP2015006968A - 光取り出し層形成用ガラス及びこれを用いた有機el素子用ガラス基板 - Google Patents

光取り出し層形成用ガラス及びこれを用いた有機el素子用ガラス基板 Download PDF

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宏明 原
Hiroaki Hara
宏明 原
寛典 高瀬
Hironori Takase
寛典 高瀬
大下 浩之
Hiroyuki Oshita
浩之 大下
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Abstract

【課題】光取り出し効率が高い光取り出し層を形成できる光取り出し層形成用ガラスと、これを用いた有機EL素子用ガラス基板を提供する。【解決手段】酸化物基準のモル%表示で、Bi2O310〜35%、B2O320〜35%、SiO2+Al2O35〜45%、Sb2O3を0.01%以上含有するガラスを用いて光取り出し層を形成する。【選択図】図1

Description

本発明は、有機EL素子の光取り出し層を形成可能なガラス及び光取り出し層が形成された有機EL素子用ガラス基板に関するものである。
近年、家電製品の普及、大型化・多機能化などの理由から、家庭などの生活空間で消費されるエネルギーが増えている。特に、照明用途におけるエネルギー消費が多いため、生活用の照明として普及している蛍光灯照明などに代わる高効率な代替照明が活発に検討されており、LED照明は白熱球の代替として採用され始めている。
照明用光源は、限られた範囲を照らす「指向性光源」と、広範囲に照らす「拡散光源」に分けられる。LED照明は、「指向性光源」に相当するため、「拡散光源」に該当する蛍光灯の代替光源が望まれており、このような代替光源として、有機EL(エレクトロルミネッセンス)照明が有力な候補と考えられている。
有機EL素子は、ガラス基板と、陽極である透明導電膜と、電流の注入によって発光するエレクトロルミネッセンスを呈する有機化合物からなる一層または複数層の発光層を含む有機EL層と、陰極とを備えた素子である。有機EL素子に用いられる有機EL層としては、低分子色素系材料や共役高分子系材料などが用いられており、発光層として形成する場合、ホール注入層、ホール輸送層、電子輸送層、電子注入層などとの積層構造が形成される。このような積層構造を有する有機EL層を、陽極と陰極の間に配置し、陽極と陰極に電界を印加することにより、陽極である透明電極から注入された正孔と、陰極から注入された電子とが、発光層内で再結合し、その再結合エネルギーによって発光中心が励起され、発光するという原理を有している。
有機EL素子は、薄型テレビとして普及している液晶やプラズマディスプレイと同等の発光効率を有しており、携帯電話やディスプレイ用途としての採用が進められている。しかしながら、照明用光源としては、輝度がまだ実用レベルには十分ではないといわれており、さらなる発光効率の改善が必要とされている。
輝度が低い原因の一つとして次の点が挙げられる。すなわち、有機EL層の屈折率ndは1.8〜1.9であり、透明導電膜の屈折率ndは1.9〜2.0である。これに対して、ガラス基板の屈折率ndは、通常、1.5程度である。このため、従来の有機ELデバイスは、透明導電膜とガラス基板の屈折率差が大きいことに起因して、有機EL層から放射された光が透明導電膜とガラス基板の界面で反射されてしまい、光を効率良く外部に取り出せないという問題があった。
そこで、照明用光源として用いる有機EL素子においては、有機EL層から発光する光を効率良く取り出すことのできる光取り出し層を、透明導電膜とガラス基板の間に介在させることが検討されている。
例えば特許文献1には、ガラス板の凹凸面上に高屈折率の低融点ガラスを塗布し焼成して光取り出し層を形成したガラス基板が開示されている。高屈折率のガラスで光取り出し層を形成することにより、有機EL層から出た光が透明導電膜から光取り出し層内に進行し易くなる。さらにガラス板表面の凹凸の存在により、光取り出し層からガラス板へ効率よく光を取り出すことができるというものである。
特開2010−198797号公報
ところで光取り出し効率の向上を図るためには、光取り出し層の透過率が高いこと、及びガラス板表面の凹凸形状を維持することが重要である。しかしながら特許文献1に記載された低融点ガラスは透過率が低いという不都合がある。また同文献のガラスは軟化点が低いことから、光取り出し層形成時の焼成によって、ガラス板表面の凹凸形状が低融点ガラスに浸食されて消失しやすいという問題がある。
本発明の目的は、光取り出し効率が高い光取り出し層を形成できる光取り出し層形成用ガラスと、これを用いた有機EL素子用ガラス基板を提供することにある。
本発明者等は、ガラス溶融時に、低融点ガラスに含まれるBi成分が他の成分と酸化還元反応を起こし、これによってガラスの透過率が低下すること、及びSbをガラス組成として添加すると、Bi成分と他の成分との酸化還元反応を抑制できることを見いだした。またBの含有量及びSiOとAlの合量を規制することによって軟化点の低下を抑制し、ガラス板表面の凹凸形状が低融点ガラスで浸食されないようにできることを見いだした。
即ち、本発明の光取り出し層形成用ガラスは、酸化物基準のモル%表示で、Bi 10〜35%、B 20〜35%、SiO+Al 5〜45%含有する光取り出し層形成用ガラスであって、Sbを0.01%以上含有することを特徴とする。ここで「SiO+Al」とは、SiOとAlの含有量の合量を意味する。
上記構成によれば、ガラスの透過率が低下し難いことから、光取り出し効率を向上させることが可能になる。また上記構成によれば、高価な成分を使用しなくとも屈折率に高いガラスを得ることができる。
本発明においては、酸化物基準のモル%で、さらにZnO 0〜10%、ZrO 0〜10%含有することが好ましい。
上記構成によれば、低温焼成可能で、且つ屈折率の高い光取り出し層形成ガラスを容易に得ることができる。
本発明においては、酸化物基準のモル%で、さらにMgO、CaO、SrO及びBaOを合量で0〜10%含有することが好ましい。
上記構成によれば、ガラスの軟化点や熱膨張係数の調整が容易になる。
本発明においては、ガラスの屈折率nが1.8〜2.2であることが好ましい。
上記構成によれば、透明導電膜の屈折率に近い光取り出し層を形成できることから、透明導電膜と光取り出し層の界面における光の反射を低減することができ、光取り出し効率を一層高めることができる。
本発明の光取り出し層形成用ガラス粉末は、上記ガラスからなることを特徴とする。
上記構成のガラス粉末を使用すれば、光取り出し効率の高い光取り出し層が形成できる。
本発明の光取り出し層形成用材料は、体積%で、上記ガラス粉末80〜100%と、セラミック粒子0〜20%を含むことを特徴とする。
上記構成の材料を使用すれば、光取り出し効率の高い光取り出し層が形成できる。またセラミック粉末を含む場合には、入射した光を内部で散乱させることができる光取り出し層を形成可能である。光取り出し層内で光を散乱させることができれば、光取り出し層からガラス板へ効率良く光を取り出すことができる。
本発明の光取り出し層形成用ガラスペーストは、上記形成用材料を含むことを特徴とする。
上記構成のペーストを使用すれば、ガラス板上に材料を均一に塗布することができることから、容易に光取り出し層を形成することが可能になる。
本発明の有機EL素子用ガラス基板は、ガラス板上に上記ガラスを含む光取り出し層が形成されてなることを特徴とする。
上記構成を採用すれば、光取り出し効率の高い有機EL素子を安価に作製することができる。
本発明においては、光取り出し層が、20体積%以下のセラミック粒子を含有することが好ましい。
上記構成を採用すれば、光取り出し層に入射した光をガラス板へ効率良く取り出すことが可能になる。
本発明においては、ガラス板の少なくとも一方の表面が凹凸面であり、該凹凸面上に光取り出し層が形成されていることが好ましい。
上記構成を採用すれば、光取り出し層に入射した光をガラス板へ効率良く取り出すことが可能になる。
本発明の有機EL素子は、上記ガラス基板を含むことを特徴とする。
上記構成を採用すれば、発光効率の高い有機ELデバイスを安価に作製することができる。
本発明においては、ガラス基板の光取り出し層上に透明導電膜が形成され、該透明導電膜上に有機EL層が形成されていることが好ましい。
上記構成を採用すれば、発光効率の高い有機ELデバイスを安価に作製することができる。
本発明においては、照明デバイス用途に使用されることが好ましい。
上記構成を採用すれば、輝度の高い照明デバイスが作製可能となる。
本発明の有機EL素子用ガラス基板の製造方法は、上記ガラスペーストをガラス板上に塗布し、焼成して光取り出し層を形成することを特徴とする。
上記構成を採用すれば、光取り出し層を備えたガラス基板を容易に作製することができる。
本発明においては、少なくとも一方の表面に凹凸面を有するガラス板上に、ガラスペーストを塗布することが好ましい。
上記構成を採用すれば、光取り出し効率の高いガラス基板を容易に作製することができる。
本発明に従う一実施形態の有機EL素子用ガラス基板を示す模式的断面図であり、(a)は凹凸面を有するガラス板を使用したガラス基板、(b)は凹凸のない平坦な表面のガラス板を使用したガラス基板の断面図をそれぞれ示している。 本発明に従う一実施形態の有機EL素子を示す模式的断面図である。
以下、本発明を詳述する。なお以下の説明において特に断りがない限り、「%」はモル%を意味する。
Biはガラスの軟化点を下げ、また屈折率を上げる成分である。その含有量は10〜35%であり、特に20〜33%、さらには22〜31%であることが好ましい。Biの含有量が少なくなり過ぎると、ガラスの軟化点が上昇して、600℃以下の温度で焼成し難くなる。一方、Biの含有量が多くなり過ぎると、材料コストの上昇を招く。
はガラスの骨格を形成すると共に、ガラス化範囲を広げる成分であり、その含有量は20〜35%であり、特に21〜34%、22〜33%、さらには23〜33%であることが好ましい。Bの含有量が少なくなり過ぎると、焼成する際にガラスが結晶化しやすくなり、平滑な焼成膜が得難くなる。一方、Bの含有量が多くなり過ぎると、ガラスの軟化点が上昇して、600℃以下の温度で焼成し難くなる。またガラスの耐候性が低下して、粉末作製の際に微粉化が難しくなる。
SiOとAlは、ガラスを安定化させる成分であるとともに、軟化点の極端な低下を防止する成分である。これらの成分の含有量の合量は5〜45%であり、特に10〜40%、さらには20〜40%であることが好ましい。SiOとAlの含有量の合量が少なくなり過ぎると、ガラスの軟化点が低くなりすぎ、ガラス板表面の凹凸形状を侵食して消失させてしまうおそれがある。また、ガラスの耐候性が低下して粉末を作製する際に微粉化が難しくなる。一方、SiOとAlの含有量の合量が多くなり過ぎると、ガラスの軟化点が高く成り過ぎて、光取り出し層の表面の平坦性を確保することができない。
なおSiOはガラスの骨格を形成すると共に、ガラスを安定化させて、焼成後に平滑な表面を得易くする成分である。またガラスの耐候性を高める効果がある。SiOの含有量は5超〜35%、特に15〜34%、20〜34%、25〜34%、26〜34%、さらには27〜34%であることが好ましい。SiOの含有量が少なくなり過ぎると、ガラスを低温化させることが出来るが、同時に結晶化しやすくなり好ましくない。またガラスの耐候性が低下して粉末を作製する際に微粉化が難しくなる。一方、SiOの含有量が多くなり過ぎると、ガラスの軟化点が上昇して、600℃以下の温度で焼成し難くなる。
またAlはガラスを安定化させることができる成分であり、その含有量は0〜10%、特に0〜9%、さらには0〜8%であることが好ましい。Alの含有量が多くなり過ぎると、ガラスの軟化点が上昇して、600℃以下の温度で焼成し難くなる。
Sbは、Biと他の成分の酸化還元反応を抑制し、ガラスの透過率低下を防止する成分である。Sbの含有量は0.01%以上であり、好ましくは0.01〜1%、より好ましくは0.01〜0.5%、さらに好ましくは0.01〜0.06%である。Sbの含有量が少なくなりすぎると、上記の効果を発揮しない。一方、Sbの含有量が多くなり過ぎると、当該Sbからなるブツが発生し易くなる。
また上記ビスマス系ガラスは、要求される特性を損なわない範囲で種々の成分を添加することができる。
例えばZnOはガラスの軟化点を下げる効果を有する成分であり、0〜10%、特に0〜9%、さらには0〜8%含有させることができる。ZnOの含有量が多くなり過ぎると、ガラスの安定性が低下し、場合によっては焼成後に結晶化を引き起こして、平滑な表面が得難くなる。
ZrOはガラスの屈折率を向上させる成分であるとともに、ガラスの耐薬品性を向上させる成分でもある。ZrOの含有量は0〜10%、特に0〜9%、さらには0.1〜8%であることが好ましい。ZrOの含有量が多くなり過ぎると、焼成する際にガラスが結晶化しやすくなって平滑なガラス表面が得難くなり、またガラスの軟化点が上昇して600℃以下の温度で焼成し難くなる。
アルカリ土類金属酸化物であるMgO、CaO、SrO及びBaOは、ガラスの軟化点を低下させると共に、熱膨張係数を調整する成分であり、合量で0〜10%、特に0〜 8%含有させることができる。これら成分の合量が多くなり過ぎると、熱膨張係数が大きくなりすぎて好ましくない。また、これらのアルカリ土類金属酸化物の各成分の含有量は、それぞれ0〜6%であることが望ましい。
さらに、ガラスの軟化点を低下させるために、LiO、NaO、KO、CsO、RbOのアルカリ金属酸化物を合量で5%まで、また、ガラスを安定化させたり、耐水性や耐酸性、耐アルカリ性を向上させたりするために、Y、La、Ta、SnO、TiO、Nb、P、CuO、CeO、V等を合量で15%まで添加することができる。
PbOは、ガラスの融点を低下させる成分であるが、環境負荷物質でもあるため、実質的な導入は避けるべきである。
以上の組成を有する本発明の光取り出し層形成用ガラスは、透明導電膜の屈折率nに近い1.8〜2.2の範囲の屈折率nとすることが容易である。ガラスの屈折率nが1.8未満であると、透明導電膜と光取り出し層の屈折率の差が大きくなり過ぎて両者の界面での光の反射の割合が大きくなり、光取り出し効率を高めることができなくなるおそれがある。また、ガラスの屈折率nが2.2を超えると、透明導電膜の屈折率より大きくなるおそれがあり、光取り出し層と透明導電膜の界面での光の反射が大きくなり、光取り出し効率を高めることができない場合がある。
また本発明の光取り出し層形成用ガラスは、着色が少ないという特徴がある。具体的には、厚み2mmのサンプルで、600nmの波長の光の透過率が50%以上であることが好ましい。
また本発明の光取り出し層形成用ガラスは、軟化点が低く、且つガラスが安定しており、600℃以下の温度で結晶化することなく平滑な焼成膜を得ることが可能である。なお軟化点の範囲は500℃以上、特に520〜590℃であることが好ましい。
さらに上記組成のガラスは、耐候性が高いことから、湿式粉砕等による微粉化が容易である。ガラス粉末の粒度を小さければ、粒度が大きい場合に比べて低い温度或いは短時間の熱処理でガラスが軟化流動する。よって光取り出し層形成のための焼成条件を低温、短時間に設定することができ、ガラス板表面に凹凸面がある場合でも、これを浸食、消失させることなく焼成できる。
本発明の光取り出し層形成用ガラス粉末は、上記組成のガラスとなるように原料を調合し、溶融、成形した後、粉砕、分級することによって作製することができる。ガラス粉末の粒度は、平均粒径D50が0.3〜2.0μm、最大粒径Dmaxが10μm以下のものを使用することが望ましい。平均粒径D50及び最大粒径Dmaxのいずれか一方がその上限を超えると、平滑な焼成膜を作製することが難しくなる。また平均粒径D50が0.3μmを下回ると、ペースト等への分散が困難になるため、好ましくない。
本発明の光取り出し層形成用材料は、上記ガラス粉末を含む。また散乱粒子としてセラミック粉末を含んでもよい。セラミック粉末を含む場合、その混合量はガラス粉末80〜100体積%(より好ましくは85〜99.5体積%)、セラミック粉末0〜20体積%(より好ましくは0.5〜15体積%)であることが好ましい。セラミック粉末としては、種々の材料が使用でき、例えば、アルミナ、ジルコン、ジルコニア、ムライト、シリカ、コーディエライト、チタニア、チサン酸化合物、酸化スズ、各種無機顔料等を1種又は2種以上組み合わせて使用することができる。
光取り出し層形成用材料がセラミック粉末を含有する場合、これを用いて作製された光取り出し層は、光が内部で散乱することから、ガラス板表面に凹凸が形成されていなくても、光取り出し層からガラス板へ効率よく光を取り出すことができる。よってセラミック粉末を添加すれば、ガラス板表面への凹凸形成を省略することも可能である。
本発明の光取り出し層形成用ペーストは、上記材料を含む。ペースト全体に占める上記材料の割合は、30〜90質量%程度が一般的である。またペーストには、上記材料に加えて、熱可塑性樹脂、可塑剤、溶剤等を含む。
熱可塑性樹脂は、乾燥後の膜強度を高め、また柔軟性を付与する成分である。ペースト全体に占める熱可塑性樹脂の割合は、0.1〜20質量%程度が一般的である。熱可塑性樹脂としてはポリブチルメタアクリレート、ポリビニルブチラール、ポリメチルメタアクリレート、ポリエチルメタアクリレート、エチルセルロース等が使用可能であり、これらを単独あるいは混合して使用する。
可塑剤は、乾燥速度をコントロールすると共に、乾燥膜に柔軟性を与える成分である。ペースト全体に占める可塑剤の割合は、0〜10質量%程度が一般的である。可塑剤としてはブチルベンジルフタレート、ジオクチルフタレート、ジイソオクチルフタレート、ジカプリルフタレート、ジブチルフタレート等が使用可能であり、これらを単独あるいは混合して使用する。
溶剤は材料をペースト化する成分である。ペースト全体に占める溶剤の含有量は10〜30質量%程度が一般的である。溶剤としては、例えばターピネオール、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタジオールモノイソブチレート等を単独または混合して使用することができる。
ペーストの作製は、上記した光取り出し層形成用材料、熱可塑性樹脂、可塑剤、溶剤等を所定の割合で混合し、均質に混練することにより行うことができる。
本発明の有機EL素子用ガラス基板は、図1に示すように、ガラス板1の透明導電膜が形成される側の表面上に、光取り出し層2が形成されている。光取り出し層2を構成するガラスは、透明導電膜の屈折率に近い1.8〜2.2の屈折率nを有していることから、透明導電膜と光取り出し層2の界面での反射を低減することができ、有機EL層から放射された光を効率良く光取り出し層2に取り込むことができる。また光取り出し層2には、散乱物質としてセラミック粉末を分散させておくことができる。なお光取り出し層2を構成するガラスやセラミック粉末については、既述の通りであり、ここでは説明を割愛する。
光取り出し層2の表面2aの表面粗さRaは、0.2μm以下であることが好ましく、好ましくは0.1μm以下、更に好ましくは0.05μm以下である。光取り出し層2の表面2aの表面粗さRaは、小さい方がその上に形成される透明導電膜4の膜形成が容易となる。表面粗さRaが大きくなりすぎると、透明導電膜の膜質が不均一となり、有機EL装置の発光に悪影響を与えるため好ましくない。
またガラス板1の光取り出し層2側の表面は、図1(a)に示すように、凹凸面1aとすることができる。ガラス板1の光取り出し層2側の表面を凹凸面1aとしておけば、光取り出し層2とガラス板1の界面での光の反射を低減でき、ガラス板1に光を取り込み易くなる。表面に凹凸面1aが形成されたガラス板1は、例えば、平坦な表面を有するガラス板に対して、サンドブラスト法、ゾルゲルスプレー法、エッチング法などの方法を施し、表面に凹凸形状を付与することができる。或いは表面に凹凸が形成された金型でプレス成形したり、表面に凹凸が形成されたロールでロール成板したりすることにより作製することもできる。なお凹凸面1aは、光取り出し層2側に加え、これと対向する表面に形成されていてもよい。また凹凸面1aは、必ずしもガラス板1の表面全体にわたって形成されていなくてもよく、例えばガラス板1表面の中央部分のみに形成されていてもよい。凹凸面1aの表面粗さRaは、必要とされる有機EL素子からの光の散乱の程度を考慮し設定することができる。例えば、表面粗さRaは、0.05〜2μmの範囲とすることが好ましく、さらに好ましくは、0.05〜1.5μmの範囲である。凹凸面1aの表面粗さRaが小さすぎると、十分な光取り出し効率が得られない場合がある。また、凹凸面1aの表面粗さRaが大きすぎると、十分な光取り出し効率が得られないとともに、凹凸面1aを埋めるためのガラスの量が多くなり、透過率が低下する場合がある。
また光取り出し層2からガラス板1への光の取り込み量が十分に確保できるのであれば、図1(b)に示すように、凹凸面のないガラス板1を使用してもよい。例えばセラミック粉末が光取り出し層中に分散されている場合には、ガラス板1に凹凸面が形成されていなくても、光取り出し層2から十分な量の光をガラス板へ取り込むことができる。
なお本発明の基板においては、セラミック粉末を分散させた光取り出し層と、凹凸面を有するガラス板の組み合わせを排除するものではない。
本発明の有機EL素子用ガラス基板3は、例えば次のようにして作製することができる。まず、ガラス板1上に、ペースト状に調製した光取り出し層形成用材料を、例えばスクリーン印刷法や一括コート法などの方法を用いて所定の膜厚となるよう塗布した後、乾燥させる。その後、500〜600℃の温度で5〜60分間保持し焼成することで、光取り出し層2がガラス板1上に形成されたガラス基板3を得ることができる。なお焼成温度が低すぎたり、保持時間が短くなり過ぎたりすると、焼結が不十分となり、緻密な光取り出し層を形成することが難しくなる。一方、焼成温度が高すぎたり、保持時間が長くなり過ぎたりすると、焼成の際に泡が発生して平滑な光取り出し層が得難くなり好ましくない。なお上記の説明においては、光取り出し層の形成方法として、ペーストを用いた方法を説明したが、これ以外にもグリーンシート法、静電塗装、電気泳動法といった方法を採用することができる。
凹凸面1aが形成されたガラス板1を使用する場合は、ガラス板1の凹凸面1a上に、光取り出し層形成用材料を塗布した後、焼成すればよい。なおこの場合には、光取り出し層1aの表面が平坦面となるように、焼成条件を調節することが重要である。
光取り出し層1aの形成に使用する材料やペーストについては既述の通りであり、ここでは説明を割愛する。
本発明の有機EL素子は、例えば図2に示すように、ガラス基板3の光取り出し層上に、透明導電膜4が形成されており、透明導電膜4の上には、有機EL層5が形成されており、有機EL層5の上には、陰極6が形成されている。有機EL層5は透明導電膜4と陰極6の間に形成されている。本実施形態では、透明導電膜4は陽極として機能する。また有機EL層5は、発光層(図示せず)を備えており、発光層と透明導電膜4の間には、必要に応じて、ホール注入層、ホール輸送層などが形成される。また、発光層と陰極6の間には、必要に応じて、電子輸送層、電子注入層などが形成される。有機EL層5の発光層で発光した光は、透明導電膜4及びガラス基板3を通り、外部に取り出される。
透明導電膜4は、有機EL素子において陽極として機能するものであれば、特に限定されるものではない。例えば、インジウム錫酸化物(ITO)、アルミニウム亜鉛酸化物(AZO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)などの導電性を有する複合酸化物薄膜を用いることができる。本発明においては、特に、インジウム錫酸化物が好ましく用いられる。なお透明導電膜4は、光取り出し層2の上に形成されていてもよいし、SiOやTaなどの保護膜を介して光取り出し層2上に形成されていてもよい。
さらに本発明の有機EL素子は、空気中の水分や酸素等を遮断するため、ガラスやエポキシ樹脂などを用いて気密に封止されていてもよい。
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明する。表1は、本発明の光取り出し層形成用材料の実施例(No.1〜5)及び比較例(No.6、7)を示している。
[ガラス粉末試料の評価]
各ガラス粉末試料は次のようにして調製した。
まずモル%で表1に示すガラス組成となるように、各原料を調合し、均一に混合した。次いで、混合した原料を白金ルツボに入れ、1300℃で2時間溶融した後、溶融ガラスを薄板状に成形した。次に、これらをボールミルにて粉砕して平均粒径D50が0.8〜2.0μm、最大粒径Dmaxが5μmのガラス粉末試料を得た。
得られたガラス試料について、熱膨張係数α、軟化点Ts、屈折率n、及び平均粒径D50について以下のようにして測定し、測定結果を表1に示した。
熱膨張係数は次の様にして測定した。まず各ガラス粉末試料をプレス成形し、得られた成形体を580℃で10分間焼成した後、直径4mm、長さ40mmの円柱状に研磨加工した。この試料を用いて、JIS(日本工業規格)R3102に準拠して、30〜300℃の温度範囲における熱膨張係数を求めた。
ガラスの軟化点は、マクロ型示差熱分析計を用いて測定し、第4の変曲点の値を軟化点とした。
屈折率は、ブロック状に成形した試料を切り出し、Vブロック法にて精密屈折率計により測定し、nの値を求めた。
透過率は、粉砕前の板状のガラスから30mm×30mm×2mmtの大きさの試料を切り出し、分光光度計により測定し、光の波長600nmにおける値を求めた。
粒度は、レーザー回折式粒度分布計を用いて測定し、D50の値を求めた。
表1に示すように、実施例である試料No.1〜5は、熱膨張係数が71.4〜83.4×10−7/℃、軟化点は528〜558℃、屈折率が1.83〜1.92、光の波長600nmにおける透過率が73%以上であった。これに対してSbを含まない試料No.6は透過率が2%であった。また試料No.7は軟化点が467℃と低かった。
[ガラス基板の評価]
次に各ガラス粉末試料を用いてガラス基板を作製した。
まず表1に示すように、ガラス試料粉末、或いはさらにセラミック粉末を混合した混合粉末試料を用意した。次いで、熱可塑性樹脂としてエチルセルロース(ダウケミカル社製、重量平均分子量(Mw)約18万)を用い、有機溶剤としてテルピネオールを用い、ガラス粉末:樹脂バインダー:有機溶剤の重量比が70:2:28となるように、これらを混合し、3本ロールミルにて混練を行い、ガラスペーストを作製した。
またガラス板としては、日本電気硝子株式会社社製、商品名「SS−1」(厚み1.1mm、熱膨張係数84.5×10−7/℃)を5cm角に分割し、さらにサンドブラスト法にてアルミナ粉末(#600)を用いて表面加工することで、一方の面に表面粗さRaが0.6ミクロンの凹凸面を形成した。
次にガラス板上に、上記のようにして作製したガラスペーストをアプリケータで塗布し、120℃にて10分間乾燥した後、表1に示す焼成温度及び焼成時間で焼成して光取り出し層が表面に形成されたガラス基板試料を得た。
得られた基板試料について、光取り出し層表面の表面粗さRa及び層表面の結晶化の有無を評価した。結果を表1に示す。
なお表面粗さRaは、東京精密社製サーフコムを用いて、JIS B0633(2001)に準拠して測定した。
試料No.1〜5のガラス試料を用いて作製したガラス基板は、光取り出し層の透過率が高いことから、比較例である試料No.6のガラス試料を用いて作製したガラス基板に比べ、光取り出し効率が高くなると推測できる。また試料No.7のガラス試料を用いて作製したものに比べて軟化点が高く、ガラス板表面の凹凸形状を消失し難いと考えられる。
1 ガラス板
1a 凹凸面
2 光取り出し層
2a 光取り出し層の表面
3 有機EL素子用ガラス基板
4 透明導電膜
5 有機EL層
6 陰極

Claims (15)

  1. 酸化物基準のモル%表示で、Bi 10〜35%、B 20〜35%、SiO+Al 5〜45%含有する光取り出し層形成用ガラスであって、Sbを0.01%以上含有することを特徴とする光取り出し層形成用ガラス。
  2. 酸化物基準のモル%で、さらにZnO 0〜10%、ZrO 0〜10%含有することを特徴とする請求項1に記載の光取り出し層形成用ガラス。
  3. 酸化物基準のモル%で、さらにMgO、CaO、SrO及びBaOを合量で0〜10%含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の光取り出し層形成用ガラス。
  4. 屈折率nが1.8〜2.2であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の有機EL素子の光取り出し層形成用ガラス。
  5. 請求項1〜4の何れかのガラスからなることを特徴とする、有機EL素子の光取り出し層形成用ガラス粉末。
  6. 体積%で、請求項5に記載のガラス粉末80〜100%と、セラミック粒子0〜20%を含むことを特徴とする、有機EL素子の光取り出し層形成用材料。
  7. 請求項6に記載の材料を含むことを特徴とする、有機EL素子の光取り出し層形成用ガラスペースト。
  8. ガラス板上に請求項1〜4の何れかに記載のガラスを含む光取り出し層が形成されてなることを特徴とする有機EL素子用ガラス基板。
  9. 光取り出し層が、20体積%以下のセラミック粒子を含有することを特徴とする請求項8に記載の有機EL素子用ガラス基板。
  10. ガラス板の少なくとも一方の表面が凹凸面であり、該凹凸面上に光取り出し層が形成されていることを特徴とする請求項8又は9に記載の有機EL素子用ガラス基板。
  11. 請求項8〜10の何れかに記載のガラス基板を含むことを特徴とする有機EL素子。
  12. ガラス基板の光取り出し層上に透明導電膜が形成され、該透明導電膜上に有機EL層が形成されていることを特徴とする請求項11に記載の有機EL素子。
  13. 照明デバイス用途に使用されることを特徴とする請求項11又は12に記載の有機EL素子。
  14. 請求項7のガラスペーストをガラス板上に塗布し、焼成して光取り出し層を形成することを特徴とする有機EL素子用ガラス基板の製造方法。
  15. 少なくとも一方の表面に凹凸面を有するガラス板上に、ガラスペーストを塗布することを特徴とする請求項14に記載の有機EL素子用ガラス基板の製造方法。
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