JP2015043276A - 有機el素子用ガラス基板 - Google Patents

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Abstract

【課題】母材ガラスの組成設計に制約を与えることなく、透明基板上に設けられた散乱層表面の散乱物質の突出を抑制し、不灯の問題が発生しない有機EL素子用ガラス基板を提供する。【解決手段】透明ガラス板11と、前記透明ガラス板11上に設けられた散乱層12とで構成される有機EL素子用ガラス基板1であって、前記散乱層12は、母材ガラス121中に、母材ガラス121との密度差が2.0g/cm3未満である散乱物質122を含むことを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、散乱層が形成された有機EL素子用ガラス基板に関するものである。
近年、家電製品の普及、大型化・多機能化などの理由から、家庭などの生活空間で消費されるエネルギーが増えている。特に、照明用途におけるエネルギー消費が多いため、生活用の照明として普及している蛍光灯照明などに代わる高効率な代替照明が活発に検討されており、LED照明は白熱球の代替として採用され始めている。
照明用光源は、限られた範囲を照らす「指向性光源」と、広範囲に照らす「拡散光源」に分けられる。LED照明は、「指向性光源」に相当するため、「拡散光源」に該当する蛍光灯の代替光源が望まれており、このような代替光源として、有機EL(エレクトロルミネッセンス)照明が有力な候補と考えられている。
有機EL素子は、ガラス基板と、陽極である透明導電膜と、電流の注入によって発光するエレクトロルミネッセンスを呈する有機化合物からなる一層または複数層の発光層を含む有機EL層と、陰極とを備えた素子である。有機EL素子に用いられる有機EL層としては、低分子色素系材料や共役高分子系材料などが用いられており、発光層として形成する場合、ホール注入層、ホール輸送層、電子輸送層、電子注入層などとの積層構造が形成される。このような積層構造を有する有機EL層を、陽極と陰極の間に配置し、陽極と陰極に電界を印加することにより、陽極である透明電極から注入された正孔と、陰極から注入された電子とが、発光層内で再結合し、その再結合エネルギーによって発光中心が励起され、発光するという原理を有している。
照明用光源として用いる有機EL素子においては、有機EL層から発光する光を効率良く取り出すことのできる手法の一つとして、散乱層を、透明導電膜とガラス基板の間に介在させることが検討されている。例えば、特許文献1では、屈折率ndが1.8以上のガラス中に、散乱物質を含有させた散乱層が提案されている。この構造により有機層内に閉じ込められる光を低減し、且つ、散乱物質にて光を散乱させることにより、ガラス基板内に閉じ込められる光を低減させることで、光取り出し効率の向上を図るものである。
WO2013/062020公報
散乱層を用いた有機EL素子用ガラスの基板の課題として、散乱物質を散乱層表面に突出させないことが挙げられる。散乱物質を含有させた散乱層上に発光機能を有する有機EL素子を形成させた時に、散乱物質が散乱層表面に突出する。突出した散乱物質が、電極間の短絡を招き、不灯の問題を発生させる。
特許文献1では、散乱層中のガラス組成を調整することにより、散乱層表面の散乱物質の突出を抑制することができると開示されている。
しかしながら、特許文献1の発明では、散乱層を構成する母材ガラスの組成設計に制約が生じる。
本発明の目的は、母材ガラスの組成設計に制約を与えることなく、透明基板上に設けられた散乱層表面の散乱物質の突出を抑制し、不灯の問題が発生しない有機EL素子用ガラス基板を提供することである。
本発明者等が鋭意検討した結果、散乱層中のガラスと散乱物質の密度差を考慮すれば、散乱層上に発光機能を有する有機EL素子を形成させた時に不灯の問題が発生しなくなることを見出し、本発明を思い至った。
即ち、本発明の有機EL素子用ガラス基板は、透明ガラス板と、前記透明ガラス板上に設けられた散乱層とで構成される有機EL素子用ガラス基板であって、前記散乱層は、母材ガラス中に、母材ガラスとの密度差が2.0g/cm未満である散乱物質を含むことを特徴とする。
上記構成によれば、透明基板上に設けられた散乱層表面への散乱物質の突出を抑制することが可能となることから、不灯の問題が発生しない有機EL素子用ガラス基板を提供することができる。
本発明においては、散乱物質の形状が球状でないことが好ましい。ここで、「球状」とは、長軸方向並びに短軸方向の長さの差が長軸方向の長さの30%以下である形状を意味する。そして「球状でない」とは、上記のように定義した「球状」を除く全ての形状を指す。
上記構成によれば、散乱層表面への突出を抑制し易くなる。
本発明においては、散乱物質が、チタニア、酸化亜鉛、ジルコニアから選ばれる1種類以上であることが好ましい。
上記構成によれば、母材にビスマス系ガラスを用いた場合に、母材ガラスとの密度差を2.0g/cm未満とすることが容易になる。
本発明においては、散乱層中に含まれる散乱物質の含有量が、体積%で、0.01〜10%であることが好ましい。
上記構成によれば、散乱層中に入射した光を効率良く取り出すことができる。
本発明においては、母材ガラスは、屈折率ndが1.8以上のガラスからなることが好ましい。
上記構成によれば、散乱層上の形成される透明導電膜から効率的に光を取り入れることができる。
本発明においては、母材ガラスは、ガラス組成として、酸化物基準のモル%表示で、Bi 10〜35%、B 20〜35%、SiO+Al 21〜45%、ZrO 0〜10%、ZnO 0〜10%含有することが好ましい。ここで「SiO+Al」とは、SiOとAlの含有量の合計を意味する。
上記構成によれば、屈折率の高い母材ガラスを容易に選択することができる。
有機EL素子用ガラス基板を示す模式的断面図である。 有機EL素子を示す模式的断面図である。
以下、本発明を具体的な実施形態により説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
図1を参照して、本発明の有機EL素子用ガラス基板1について説明する。有機EL素子用ガラス基板1は、透明ガラス板11と散乱層12とから構成される。
透明ガラス板11は、特に限定されるものではなく、例えばソーダ石灰ガラス、無アルカリガラス、高歪点ガラス等からなる。また透明ガラス板は、散乱層の形成される側の表面に凹凸が形成されていてもよい。
散乱層12は母材ガラス121中に散乱物質122が分散した構成となっている。
散乱物質122は、母材ガラス121との密度差が2.0g/cm未満である材料からなるものを使用する。散乱物質を構成する材料が、母材ガラス121の密度よりも2.0g/cm以上軽いと、散乱層の形成過程で散乱物質が浮上し、散乱層表面に突出するおそれがある。散乱物質が散乱層表面から突出した有機EL素子基板を使用して有機EL素子を作製すると、不灯の問題が発生するおそれがある。一方、散乱物質として、ガラスの密度よりも2.0g/cm以上重い材料を用いると、散乱層の形成過程で散乱物質が沈降してしまう結果、散乱層内で均一に光散乱を生じさせることができなくなり、所望の光取り出し効率を達成できなくなる。なお母材ガラスと散乱物質の密度差は1.9g/cm未満、好ましくは1.7g/cm未満、特に1.4g/cm未満であることが好ましい。
散乱物質122の形状は、球状でないことが好ましい。散乱物質の形状が球状であると、散乱層の最表面付近に存在する散乱物質が散乱層表面に突出する可能性が高くなり、散乱物質の突出を抑制することが難しくなる。
散乱層12に占める散乱物質122の含有量は、体積%で、0.01〜10%、0.01〜5%、特に0.5〜3%であることが好ましい。散乱物質の含有量が少なすぎると、散乱物質による光散乱効果が低くなり、所望の光取り出し効率を得ることが難しくなる。散乱物質の含有量が多すぎると、散乱物質の光の吸収により、所望の光取り出し効率を得ることが難しくなる。
散乱物質122としては、チタニア(TiO)、ジルコニア(ZrO)、酸化亜鉛(ZnO)等からからなる粒子であることが好ましい。なお、散乱層1の母材ガラスとして屈折率ndが1.8以上のガラスを採用する場合、屈折率の高いチタニアを選択することが好ましい。
散乱物質122の平均粒子径は、1μm以下、0.8μm以下、特に0.5μmであることが好ましい。散乱物質の平均粒子径が大きすぎると、散乱層表面に散乱物質が突出し易くなり、有機EL素子を形成した場合に不灯の問題が発生するおそれがある。
母材ガラスとしては特に制限はないが、屈折率ndが1.8以上のガラスからなることが好ましい。特に屈折率ndが1.85以上であるガラスからなることが望ましい。母材ガラスの屈折率ndが1.8未満であると、透明導電膜と散乱層の屈折率の差が大きくなり過ぎて両者の界面での光の反射の割合が大きくなり、光取り出し効率を高めることが難しくなる。
母材ガラス11は、ガラス組成として、モル%で、Bi 10〜35%、B 20〜35%、SiO+Al 21〜45%、ZrO 0.1〜10%、ZnO 0〜10%を含有するビスマス系ガラスからなるものを使用することが好ましい。ガラス組成をこのように限定した理由を以下に示す。なお以下の説明では、特に断りのない限り、「%」は「質量%」を意味する。
Biはガラスの軟化点を下げ、屈折率を上げる成分である。その含有量は10〜35%、20〜35%、特に21〜33%、さらには22〜31%であることが好ましい。Biの含有量が少なくなり過ぎると、ガラスの軟化点が上昇しすぎて、低い温度で焼成し難くなる。一方、Biの含有量が多くなり過ぎると、材料コストの上昇を招く。
はガラスの骨格を形成すると共に、ガラス化範囲を広げる成分であり、その含有量は20〜35%、特に21〜34%、22〜33%、さらには23〜33%であることが好ましい。Bの含有量が少なくなり過ぎると、焼成する際にガラスが結晶化しやすくなり、平滑な焼成膜が得難くなる。一方、Bの含有量が多くなり過ぎると、ガラスの軟化点が上昇しすぎて、低い温度で焼成し難くなる。またガラスの耐候性が低下して、粉末作製の際に微粉化が難しくなる。ガラス粉末を微粉化できない場合、平滑な散乱層を形成することが困難になる。
SiOとAlの含有量の合量は21〜45%であり、特に22〜40%、さらには25〜38%であることが好ましい。SiOとAlの含有量の合量が少なくなり過ぎると、ガラスの耐候性が低下して粉末を作製する際に微粉化が難しくなる。一方、SiOとAlの含有量の合量が多くなり過ぎると、ガラスの軟化点が高く成り過ぎて、低い温度で焼成し難くなる。
ZrOはガラスの屈折率を高める成分であるとともに、ガラスの耐酸性を向上する成分であり、その含有量は0.1〜10%、特に0.1〜9%、さらには1〜9%であることが好ましい。ZrOの含有量が少なくなり過ぎると、屈折率を向上させる効果が不十分になる。ZrOの含有量が多くなり過ぎると、ガラスの軟化点が上昇しすぎて、低い温度で焼成し難くなる。
ZnOはガラスの軟化点を下げる効果を有する成分であり、その含有量は0〜10%、特に0〜9%、さらには0〜8%であることが好ましい。ZnOの含有量が多くなり過ぎると、ガラスの安定性が低下し、場合によっては焼成後に結晶化を引き起こして、析出結晶の散乱並びに吸収により、所望の光取り出し効率を達成し難くなる。
また上記ビスマス系ガラスは、要求される特性を損なわない範囲で種々の成分を添加することができる。
例えばMgO、CaO、SrO及びBaOのアルカリ土類金属酸化物は、ガラスの軟化点を低下させると共に、熱膨張係数を調整する成分であり、合量で0〜20%、特に0〜15%、さらには0〜12%含有させることができる。これら成分の合量が多くなり過ぎると、熱膨張係数が大きくなりすぎて好ましくない。また、これらアルカリ土類金属酸化物の各成分の含有量は、それぞれ0〜6%であることが望ましい。
さらに、ガラスの軟化点を低下させるために、LiO、NaO、KO、CsO、RbOのアルカリ金属酸化物を合量で5%まで、また、ガラスを安定化させたり、耐水性や耐酸性、耐アルカリ性、透明性を向上させたりするために、Sb、Y、La、Ta、SnO、TiO、Nb、P、CuO、CeO、V等を合量で15%まで添加することができる。
PbOは、ガラスの融点を低下させる成分であるが、環境負荷物質でもあるため、実質的な導入は避けるべきである。
以上の組成を有するビスマス系ガラスは、透明導電膜に近い1.8〜2.2の屈折率ndを示す。またガラスが安定しており、例えば600℃以下の温度で結晶化することなく焼成膜を形成し得るものである。さらに上記組成のビスマス系ガラスは、耐候性が高いことから、湿式粉砕等による微粉化が容易である。ガラス粉末の粒度を小さければ、粒度が大きい場合に比べて低い温度或いは短時間の熱処理でガラスが軟化流動する。よって散乱層形成のための焼成条件を低温、短時間に設定することができる。
次に、本発明の有機EL素子用ガラス基板を作製する方法を説明する。
まず、透明ガラス板、ガラス粉末、及び散乱物質粉末を用意する。
透明ガラス板については既述の通りであり、ここでは説明を省略する。
ガラス粉末は、散乱層の母材ガラスとなるものである。ガラス粉末は、所望の組成となるように原料を調合し、溶融、成形した後、粉砕、分級することによって作製することができる。好適なガラス組成は、既述の通りであり、ここでは説明を省略する。ガラス粉末の粒度は、平均粒子径D50が0.3〜2.0μm、特に0.5〜1.6μm、最大粒子径Dmaxが10μm以下、特に5μm以下のものを使用することが望ましい。平均粒子径D50及び最大粒子径Dmaxのいずれか一方がその上限を超えると、平滑な焼成膜を作製することが難しくなる。また平均粒子径D50が小さすぎると、ペースト等への分散が困難になるため、好ましくない。
散乱物質粉末は、母材となるガラス粉末との密度差が2.0g/cm未満である材料からなるものを使用する。具体的な材料については既述の通りであり、ここでは説明を省略する。
次にガラス粉末と散乱物質粉末を複合化して散乱層形成材料とする。なお散乱層形成材料は、ペースト状にして使用することが好ましい。またペースト全体に占める上記粉末材料の割合は、30〜90質量%程度とすることが好ましい。ペースト状にする場合、上記粉末材料に加えて、熱可塑性樹脂、可塑剤、溶剤等を含む。
熱可塑性樹脂は、乾燥後の膜強度を高め、また柔軟性を付与する成分である。ペースト全体に占める熱可塑性樹脂の割合は、0.1〜20質量%程度が一般的である。熱可塑性樹脂としてはポリブチルメタアクリレート、ポリビニルブチラール、ポリメチルメタアクリレート、ポリエチルメタアクリレート、エチルセルロース等が使用可能であり、これらを単独あるいは混合して使用する。
可塑剤は、乾燥速度をコントロールすると共に、乾燥膜に柔軟性を与える成分である。ペースト全体に占める可塑剤の割合は、0〜10質量%程度が一般的である。可塑剤としてはブチルベンジルフタレート、ジオクチルフタレート、ジイソオクチルフタレート、ジカプリルフタレート、ジブチルフタレート等が使用可能であり、これらを単独あるいは混合して使用する。
溶剤は材料をペースト化する成分である。ペースト全体に占める溶剤の含有量は10〜30質量%程度が一般的である。溶剤としては、例えばターピネオール、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタジオールモノイソブチレート等を単独または混合して使用することができる。
ペーストの作製は、上記した散乱層形成用材料、熱可塑性樹脂、可塑剤、溶剤等を所定の割合で混合し、均質に混練することにより行うことができる。
続いて透明ガラス板上に、散乱層形成材料を塗布する。散乱層形成用材料をペースト状にして使用する場合、例えばスクリーン印刷法や一括コート法などの方法を用いて所定の膜厚となるよう塗布し、乾燥させる。またペースト状とする代わりに、グリーンシート法、静電塗装、電気泳動法といった方法を採用して、ガラス板上に散乱層形成用材料を塗布することもできる。
その後、散乱層形成材料が表面に塗布された透明ガラス板を、(ガラス粉末の軟化点+30℃)以下の温度、好ましくは(ガラス粉末の軟化点+10℃)以下の温度で焼成する。焼成時間としては、10〜60分間程度が好ましい。なお、焼成温度が低すぎたり、保持時間が短くなり過ぎたりすると、焼結が不十分となり、緻密な散乱層を形成することが難しくなる。一方、焼成温度が高すぎたり、保持時間が長くなり過ぎたりすると、散乱層中に存在する泡が表層まで浮上して、散乱層2表面に泡が突出したり、或いは泡の破裂痕による凹凸が発生するおそれがある。
このようにして本発明の有機EL素子用ガラス基板を得ることができる。
続いて本発明の有機EL素子を用いた有機EL素子について図2を参照して説明する。
例えば図2に示すような有機EL素子は、有機EL素子用ガラス基板1の散乱層(図示せず)上に透明導電膜2が形成されており、透明導電膜2の上には、有機EL層3が形成されており、有機EL層3の上には、陰極4が形成されている。本実施形態において、透明導電膜2は、陽極として機能し、有機EL層3は、陽極としての透明導電膜2と、陰極4の間に形成されている。有機EL層3は、発光層(図示せず)を備えており、発光層と透明導電膜2の間には、必要に応じて、ホール注入層、ホール輸送層などが形成される。また、発光層と陰極4の間には、必要に応じて、電子輸送層、電子注入層などが形成される。有機EL層3の発光層で発光した光は、透明導電膜2及び有機EL素子用ガラス基板1を通り、外部に取り出される。
なお透明導電膜2は、有機EL素子において陽極として機能するものであれば、特に限定されるものではない。例えば、インジウム錫酸化物(ITO)、アルミニウム亜鉛酸化物(AZO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)などの導電性を有する複合酸化物薄膜を用いることができる。本発明においては、特に、インジウム錫酸化物が好ましく用いられる。なお透明導電膜4は、散乱層2の上に形成されていてもよいし、SiOやTaなどの保護膜を介して散乱層2上に形成されていてもよい。
上記有機EL素子は、空気中の水分や酸素等を遮断するため、ガラスやエポキシ樹脂などを用いて気密に封止されていてもよい。
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明する。
表1は、本発明の有機EL素子用ガラス基板の実施例(No.1〜10)及び比較例(No.11〜12)を示している。
[ガラス粉末試料の調整]
ガラス粉末試料は次のようにして調製した。
まずモル%で、SiO 30.00%、B 27.99%、Al 6.49%、ZnO 5.00%、ZrO 5.99%、Bi 24.49%となるように、原料を調合し、均一に混合した。次いで、混合した原料を白金ルツボに入れ、1300℃で2時間溶融した後、溶融ガラスを薄板状に成形した。次に、これらをボールミルにて粉砕した。
[ガラス粉末試料の評価]
得られたガラス試料について、密度d、軟化点Ts、屈折率nd、及び平均粒子径D50について以下のようにして測定した。
ガラスの密度は、アルキメデス法により測定した。
ガラスの軟化点は、マクロ型示差熱分析計を用いて測定し、第4の変曲点の値を軟化点とした。
屈折率は、10μmφ程度の領域で、エリプソ測定し、プリズム法により評価した。
粒度は、レーザー回折式粒度分布計を用いて測定し、D50の値を求めた。
評価の結果、上記ガラス粉末試料は、密度dが5.27g/cm、軟化点Tsが558℃、屈折率ndが1.85、平均粒子径D50が1.0μmであった。
[有機EL素子用ガラス基板の作製]
次に、上記ガラス粉末試料を用いて有機EL素子用ガラス基板を作製した。
まず、ガラス試料粉末と表に示す散乱物質とを、表の割合となるように調製し、均一に混合して散乱層形成材料とした。次いで、熱可塑性樹脂としてエチルセルロース(ダウケミカル社製、重量平均分子量(Mw)約18万)を用い、有機溶剤としてテルピネオールを用い、散乱層形成材料:熱可塑性樹脂:有機溶剤の重量比が70:2:28となるようにこれらを混合し、3本ロールミルにて混練を行い、散乱層形成用ガラスペーストを作製した。
次に透明ガラス板(日本電気硝子株式会社製、商品名「SS−1」、大きさ100×50mm、厚み1.1mm)上に、上記のようにして作製したガラスペーストをアプリケータで塗布し、120℃にて10分間乾燥した後、580℃で20分焼成して散乱層が表面に形成された試料を得た。
[有機EL素子用ガラス基板の評価]
各試料の散乱層表面に散乱物質が突出しているかどうかを光学顕微鏡および電子顕微鏡で観察し、散乱物質の突出が認められたものを「×」、散乱層の突出が認められなかったものを「○」として表に示した。評価結果を表1、2に示す。
表1、2に示す結果から明らかなように、ガラスと散乱物質との密度差が2.0g/cm未満である散乱物質を用いた実施例の各試料は、散乱物質が散乱層表面に突出しておらず、不灯の問題が起こりにくいと推測できる。これに対して密度差が2.0g/cm以上である散乱物質を用いた比較例の試料は、散乱物質の突出が認められた。
本発明の有機EL素子用ガラス基板は、特に有機EL照明に使用される有機EL素子のガラス基板として好適である。
1 有機EL素子用ガラス基板
11 透明ガラス板
12 散乱層
121 母材ガラス
122 散乱物質
2 透明導電膜
3 有機EL層
4 陰極

Claims (6)

  1. 透明ガラス板と、前記透明ガラス板上に設けられた散乱層とで構成される有機EL素子用ガラス基板であって、前記散乱層は、母材ガラス中に、母材ガラスとの密度差が2.0g/cm未満である散乱物質を含むことを特徴とする有機EL素子用ガラス基板。
  2. 散乱物質の形状が球状でないことを特徴とする請求項1に記載の有機EL素子用ガラス基板。
  3. 散乱物質は、チタニア、酸化亜鉛、ジルコニアから選ばれる1種類以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の有機EL素子用ガラス基板。
  4. 散乱層中に含まれる散乱物質の含有量は、体積%で、0.01〜10%であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の有機EL素子用ガラス基板。
  5. 母材ガラスは、屈折率ndが1.8以上のガラスからなることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の有機EL素子用ガラス基板。
  6. 母材ガラスは、ガラス組成として、酸化物基準のモル%表示で、Bi 10〜35%、B 20〜35%、SiO+Al 21〜45%、ZrO 0〜10%、ZnO 0〜10%含有することを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の有機EL素子用ガラス基板。
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