JP2015071514A - 光取り出し層形成用ガラス、光取り出し層形成用材料、光取り出し層付きガラス基板及びこれらを用いた有機el素子 - Google Patents

光取り出し層形成用ガラス、光取り出し層形成用材料、光取り出し層付きガラス基板及びこれらを用いた有機el素子 Download PDF

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Abstract

【課題】高価な酸化物を多量に導入しなくても、表面平滑性、透過率が高い光取り出し層を形成可能な光取り出し層形成用ガラスを創案することにより、発光効率が高い有機EL照明等を提供する。【解決手段】本発明の光取り出し層形成用ガラスは、ガラス組成として、BaOを5モル%以上、CuOを0.005モル%以上含み、且つ屈折率ndが1.75〜2.20であることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、光取り出し層形成用ガラス、光取り出し層形成用材料、光取り出し層付きガラス基板及びこれらを用いた有機EL素子に関し、有機EL照明に好適な光取り出し層形成用ガラス、光取り出し層形成用材料、光取り出し層付きガラス基板及びこれらを用いた有機EL素子に関する。
近年、家電製品の普及、大型化、多機能化等の理由から、家庭等の生活空間で消費されるエネルギーが増えている。特に、照明機器のエネルギー消費が多くなっている。このため、高効率の照明が活発に検討されている。
照明用光源は、限られた範囲を照らす「指向性光源」と、広範囲を照らす「拡散光源」とに分けられる。LED照明は、「指向性光源」に相当し、白熱球の代替として採用されつつある。その一方で、「拡散光源」に相当する蛍光灯の代替光源が望まれており、その候補として、有機EL(エレクトロルミネッセンス)照明が有力である。
有機EL素子は、ガラス基板と、陽極である透明導電膜と、電流の注入によって発光するエレクトロルミネッセンスを呈する有機化合物からなる一層又は複数層の発光層を含む有機EL層と、陰極とを備えた素子である。有機EL素子に用いられる有機EL層として、低分子色素系材料、共役高分子系材料等が用いられており、発光層を形成する場合、ホール注入層、ホール輸送層、電子輸送層、電子注入層等との積層構造が形成される。このような積層構造を有する有機EL層を、陽極と陰極の間に配置し、陽極と陰極に電界を印加することにより、陽極である透明電極から注入された正孔と、陰極から注入された電子とが、発光層内で再結合し、その再結合エネルギーによって発光中心が励起されて、発光する。
有機EL素子は、携帯電話、ディスプレイ用途として検討が進められており、一部では既に実用化されている。また、有機EL素子は、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ等の薄型テレビと同等の発光効率を有している。
しかし、有機EL素子を照明用光源に適用するためには、輝度が未だ実用レベルに到達しておらず、更なる発光効率の改善が必要である。
輝度が低い原因の一つとして次の点が挙げられる。すなわち、有機EL層の屈折率nは1.8〜1.9であり、透明導電膜の屈折率nは1.9〜2.0である。これに対して、ガラス基板の屈折率nは、通常、1.5程度である。このように、従来の有機ELデバイスでは、透明導電膜とガラス基板の屈折率差が大きいことに起因して、有機EL層から放射された光が透明導電膜とガラス基板の界面で反射してしまい、光を外部に効率良く取り出せないという問題があった。
特開2010−198797号公報 特開2012−25634号公報
上記問題を解決するために、ガラス基板の表面に凹凸部を有し、且つ該凹凸部上に光取り出し層を形成することが検討されている。例えば、特許文献1には、ガラス基板の表面に形成された凹凸部上に高屈折率の低融点ガラスペーストを塗布、焼成することにより、光取り出し層付きガラス基板を作製することが開示されている。
また、透明導電膜等とガラス板の間に、光取り出し層を形成することも検討されている。例えば、特許文献2には、光取り出し効率を高めるために、窓板ガラス基板(ソーダライムガラス基板)の表面に、高屈折率のガラスフリットを焼結させた光取り出し層を形成することが記載されている。更に、特許文献2には、光取り出し層内に散乱物質を分散させることにより、光取り出し効率を更に高めることも記載されている。
ところで、光取り出し層上に透明導電膜を形成するためには、光取り出し層の表面平滑性が重要になる。しかし、特許文献1に記載の光取り出し層は、低融点ガラスを高温で軟化流動させない限り、表面平滑性を高めることができないという問題がある。一方、この低融点ガラスを高温で軟化流動させると、光取り出し層の表面平滑性が向上するものの、凹凸部が低融点ガラスに浸食されて消失し易くなる。また、特許文献2に記載のガラスフリットは、Nb等の酸化物を多量に含むため、高価である。
また、光取り出し層の透過率が高い(濁度が低い)と、光取り出し層の光取り出し効率を高めることができる。しかし、特許文献1、2に記載の光取り出し層は、透過率を十分に高めることが困難である。
本発明は、上記事情に鑑み成されたものであり、高価な酸化物を多量に導入しなくても、表面平滑性、透過率が高い光取り出し層を形成可能な光取り出し層形成用ガラスを創案することにより、発光効率が高い有機EL照明等を提供することである。
本発明者は、鋭意検討の結果、ガラス組成中にBaOとCuOを所定量導入することにより、上記技術的課題を解決し得ることを見出し、本発明として提案するものである。すなわち、本発明の光取り出し層形成用ガラスは、ガラス組成として、BaOを5モル%以上、CuOを0.005モル%以上含み、且つ屈折率nが1.75〜2.20であることを特徴とする。ここで、「屈折率n」は、溶融ガラスをブロック状に成形、加工したものを測定試料とし、Vブロック法により精密屈折率計(例えば、島津製作所製KPR−200)で測定した値を指す。
本発明の光取り出し層形成用ガラスは、ガラス組成中にBaOを5モル%以上含む。このようにすれば、光取り出し層の屈折率が向上すると共に、透過率も高めることができる。BaOを導入すると、光取り出し層の透過率が向上するメカニズムは、不明である。本発明者は、BaOを所定量導入すると、ガラスの構造がショートになるため、ガラス基板と光取り出し層の界面で発生する界面泡が低減されて、光取り出し層の透過率が向上するものと推測している。
また、本発明の光取り出し層形成用ガラスは、ガラス組成中にCuOを0.005モル%以上含む。このようにすれば、焼成時にCuOが酸化剤として作用して、有機物の分解を促進し、焼成泡、つまり光取り出し層のヘーズ(濁度)を低下させる微細泡を低減することができる。結果として、光取り出し層の透過率を高めることができる。なお、光取り出し層形成用材料を含むペーストをガラス基板上に塗布して、これを焼成すると、ガラス基板上に、高品位の光取り出し層を形成し得るが、焼成後に、光取り出し層内にペーストに含まれる樹脂バインダーの未分解物が残留すると、焼成泡の発生を助長してしまう。
更に、本発明の光取り出し層形成用ガラスは、屈折率nが1.75〜2.20である。このようにすれば、透明導電膜と光取り出し層の屈折率の差が小さくなるため、両者の界面での光反射の割合が小さくなり、光取り出し効率を高め易くなる。
第二に、本発明の光取り出し層形成用ガラスは、ガラス組成として、更にBiを1モル%以上含むことが好ましい。このようにすれば、軟化点が低下するため、低温で光取り出し層を形成し易くなり、結果として、光取り出し層の表面平滑性を高めることができる。
第三に、本発明の光取り出し層形成用ガラスは、ガラス組成として、モル%表示で、Bi 3〜20%、B 15〜38%、BaO 5〜25%、ZnO 10〜50%、SiO 0〜20%、Nb 0〜10%、La 0〜10%、CuO 0.005〜3%を含有することが好ましい。このようにすれば、耐候性の低下を抑制した上で、軟化点が低下するため、ガラス粉末の微粉化が容易になり、低温短時間の焼成であっても、光取り出し層の表面平滑性を高めることができる。結果として、ガラス基板の表面に凹凸部を有する場合でも、凹凸部の形状を維持した状態で、表面平滑性が良好な光取り出し層を形成することが可能になり、更に光取り出し層上に形成される透明導電膜の膜品位を高めることも可能になる。
第四に、本発明の光取り出し層形成用ガラスは、ガラス組成中に、実質的にPbOを含まないことが好ましい。このようにすれば、環境的負荷を軽減することができる。ここで、「実質的にPbOを含まない」とは、ガラス組成中のPbOの含有量が0.1モル%以下の場合を指す。
第五に、本発明の光取り出し層形成用材料は、上記の光取り出し層形成用ガラスからなるガラス粉末80〜100体積%と、セラミック粉末0〜20体積%とを含有することが好ましい。このようにすれば、光取り出し層の表面平滑性、透過率を高めることができる。なお、光取り出し層形成用材料中にセラミック粉末を導入すれば、光取り出し層内で光が散乱し易くなり、光取り出し層からガラス基板へ効率良く光を取り出すことができるが、その一方で、光取り出し層の透過率が低下し易くなる。
第六に、本発明の光取り出し層付きガラス基板は、ガラス基板上に光取り出し層が形成された光取り出し層付きガラス基板であって、光取り出し層が上記の光取り出し層形成用材料の焼結体であることが好ましい。
第七に、本発明の光取り出し層付きガラス基板は、ガラス基板の表面に凹凸部を有し、且つ該凹凸部上に光取り出し層が形成されていることが好ましい。このようにすれば、光取り出し層とガラス基板の界面での光反射の割合が低減されるため、光取り出し層に入射した光をガラス基板へ効率良く取り出すことが可能になる。
第八に、本発明の有機EL素子は、上記の光取り出し層付きガラス基板を備えることが好ましい。
第九に、本発明の有機EL素子は、光取り出し層上に透明導電膜が形成されており、更に該透明導電膜上に有機EL層が形成されていることが好ましい。
第十に、本発明の有機EL素子は、照明デバイスに用いることが好ましい。
本発明の光取り出し層付きガラス基板の一実施形態を示す模式的断面図であり、(a)は、ガラス基板の一方の表面に凹凸部を有する光取り出し層付きガラス基板を示す模式的断面図であり、(b)は、ガラス基板の表面に凹凸部を有しない光取り出し層付きガラス基板を示す模式的断面図である。 本発明の有機EL素子の一実施形態を示す模式的断面図である。
本発明の光取り出し層形成用ガラスは、ガラス組成中にBaOを5モル%以上含み、好ましくは5〜25モル%、7〜22モル%、9〜20モル%、特に11〜18モル%含む。BaOの含有量が少な過ぎると、光取り出し層の屈折率、透過率を高めることが困難になる。一方、BaOの含有量が多過ぎると、耐失透性が低下し易くなると共に、熱膨張係数が不当に高くなる虞がある。
本発明の光取り出し層形成用ガラスは、ガラス組成中にCuOを0.005モル%以上含み、好ましくは0.005〜3モル%、0.009〜0.9モル%、0.01〜0.3モル%、0.015〜0.1モル%、特に0.02〜0.05モル%含む。CuOの含有量が少な過ぎると、光取り出し層のヘーズを低下させる効果を享受し難くなる。一方、CuOの含有量が多過ぎると、耐失透性が低下し易くなると共に、熱膨張係数が不当に高くなる虞がある。更にガラスが着色して、光取り出し層の透過率が低下し、光取り出し効率が低下し易くなる。
本発明の光取り出し層形成用ガラスは、屈折率nが1.75〜2.20、好ましくは1.79〜2.10、より好ましくは1.82〜2.00である。屈折率nが上記範囲外になると、透明導電膜と光取り出し層の屈折率の差が大きくなるため、両者の界面での光反射の割合が大きくなり、光取り出し効率を高めることが困難になる。
本発明の光取り出し層形成用ガラスは、ガラス組成中にBiを1モル%以上、3〜20モル%、5〜18モル%、特に7〜16モル%含むことが好ましい。Biの含有量が少な過ぎると、屈折率が低下し易くなることに加えて、軟化点が不当に上昇して、600℃以下の温度で焼成し難くなる。一方、Biの含有量が多過ぎると、焼成時にガラスがガラス基板の表層を侵食し易くなるため、ガラス基板の表面に凹凸部を有し、その凹凸部上に光取り出し層を形成する場合に、凹凸部が消失し易くなる。また透明性が低下し易くなる。更に原料コストの高騰を招く。
本発明の光取り出し層形成用ガラスは、ガラス組成として、モル%表示で、Bi 3〜20%、B 15〜38%、BaO 5〜25%、 ZnO 10〜50%、SiO 0〜20%、Nb 0〜10%、La 0〜10%、CuO 0.005〜3%を含有することが好ましい。各成分の含有範囲を上記のように限定した理由を下記に示す。なお、各成分の含有範囲の説明において、%表示は、モル%を表している。
Biは、軟化点を低下させる成分であり、また屈折率を高める成分である。Biの含有量は、好ましくは3〜20%、5〜18%、特に7〜16%である。Biの含有量が少な過ぎると、屈折率が低下し易くなることに加えて、軟化点が不当に上昇して、600℃以下の温度で焼成し難くなる。一方、Biの含有量が多過ぎると、焼成時にガラスがガラス基板の表層を侵食し易くなるため、ガラス基板の表面に凹凸部を有し、その凹凸部上に光取り出し層を形成する場合に、凹凸部が消失し易くなる。また透明性が低下し易くなる。更に原料コストの高騰を招く。
は、ガラス骨格を形成し、ガラス化範囲を広げる成分である。Bの含有量は、好ましくは15〜38%、17〜35%、18〜32%、特に20〜30%である。Bの含有量が少な過ぎると、焼成時にガラスが失透し易くなり、光取り出し層の表面平滑性が低下し易くなる。一方、Bの含有量が多過ぎると、軟化点が不当に上昇して、600℃以下の温度で焼成し難くなる。更に耐候性が低下し易くなり、ガラス粉末の微粉化が困難になる。
BaOは、軟化点を低下させる成分であり、また屈折率を高める成分である。BaOの含有量は、好ましくは5〜25%、7〜22%、9〜20%、特に11〜18%である。BaOの含有量が少な過ぎると、光取り出し層の屈折率、透過率を高めることが困難になる。一方、BaOの含有量が多過ぎると、耐失透性が低下し易くなると共に、熱膨張係数が不当に高くなる虞がある。
ZnOは、軟化点を低下させる成分であり、また屈折率を高める成分である。ZnOの含有量は、好ましくは10〜50%、15〜48%、25〜47%、特に28〜46%である。ZnOの含有量が少な過ぎると、軟化点が不当に上昇して、600℃以下の温度で焼成し難くなる。一方、ZnOの含有量が多過ぎると、焼成時にガラスが失透し易くなり、光取り出し層の表面平滑性が低下し易くなる。
SiOは、ガラス骨格を形成し、ガラス化範囲を広げる成分である。また耐候性を高める成分である。SiOの含有量は、好ましくは0〜20%、5〜20%、6〜18%、特に7〜17%である。SiOの含有量が少な過ぎると、耐候性が低下し易くなり、ガラス粉末の微粉化が困難になる。一方、SiOの含有量が多過ぎると、軟化点が不当に上昇して、600℃以下の温度で焼成し難くなる。
Nbは、屈折率を高める成分であるが、その含有量が多過ぎると、原料コストが高騰する。Nbの含有量は、好ましくは0〜10%、0〜5%、0.1〜3%、特に0.1〜1%である。
Laは、屈折率を高める成分であるが、その含有量が多過ぎると、原料コストが高騰する。Laの含有量は、好ましくは0〜10%、0〜5%、0.1〜3%、特に0.1〜2%である。
CuOは、焼成時に酸化剤として作用して、有機物の分解を促進し、光取り出し層のヘーズを低下させる成分である。CuOの含有量は、好ましくは0.005〜3%、0.009〜0.9%、0.01〜0.3%、0.015〜0.1%、特に0.02〜0.05%である。CuOの含有量が少な過ぎると、光取り出し層のヘーズを低下させる効果を享受し難くなる。一方、CuOの含有量が多過ぎると、ガラスが着色して、光取り出し層の透過率が低下し、光取り出し効率が低下し易くなる。更に熱膨張係数が不当に高くなる虞がある。
上記成分以外にも、例えば、以下の成分を導入してもよい。
MgO、CaO、SrOは、軟化点を低下させる成分であり、また熱膨張係数を調整し得る成分である。これらの成分は、各々0〜10%、0〜8%、0〜5%、特に0〜3%が好ましい。これらの成分の含有量が多過ぎると、熱膨張係数が不当に上昇する虞がある。
ZrOは、屈折率を高める成分であるが、その含有量が多過ぎると、軟化点が不当に上昇して、600℃以下の温度で焼成し難くなる。ZrOの含有量は、好ましくは0〜10%、0〜5%、特に0.1〜3%である。
Gdは、屈折率を高める成分であるが、その含有量が多過ぎると、原料コストが高騰する。Gdの含有量は、好ましくは0〜10%、0〜5%、0〜3%、特に0〜1%である。
更に、軟化点を低下させるために、LiO、NaO、KO、CsO、RbOのアルカリ金属酸化物を合量で5%まで添加してもよく、また屈折率、耐水性、耐酸性、耐アルカリ性、耐失透性等を高めるために、Y、Ta、SnO、TiO、P、CeO、V等を合量で10%まで添加してもよい。
PbOは、軟化点を低下させる成分であるが、環境負荷を高める成分であるため、実質的な導入を回避することが好ましい。
本発明の光取り出し層形成用ガラスは、塗布作業性を高める観点から、粉末形状であることが好ましく、その場合、軟化点は、好ましくは500〜600℃、520〜600℃、特に540〜600℃である。軟化点が高過ぎると、低温で焼成が困難になり、光取り出し層の表面平滑性を高め難くなる。一方、軟化点が低過ぎると、焼成時にガラスがガラス基板の表層を侵食し易くなるため、ガラス基板の表面に凹凸部を有し、その凹凸部上に光取り出し層を形成する場合に、凹凸部が消失し易くなる。
本発明の光取り出し層形成用ガラスは、熱膨張係数が70〜90×10/℃であることが好ましい。このようにすれば、ガラス基板の熱膨張係数に整合し易くなり、光取り出し層やガラス基板に不当な応力が残留し難くなる。ここで、「熱膨張係数」は、JIS R3102に準拠して、30〜300℃の温度範囲における平均熱膨張係数を指す。
本発明の光取り出し層形成用材料は、上記の光取り出し層形成用ガラスからなるガラス粉末80〜100体積%と、セラミック粉末0〜20体積%とを含有することが好ましく、ガラス粉末95〜100体積%と、セラミック粉末0〜5体積%とを含有することが更に好ましい。このようにすれば、光取り出し層の表面平滑性、透過率を高めることができる。
ガラス粉末は、所望のガラス組成になるように原料を調合し、溶融、成形した後、粉砕、分級することで作製することができる。ガラス粉末の平均粒径D50は0.3〜2.5μmが好ましく、最大粒径Dmaxは10μm以下が好ましい。ガラス粉末の粒度が大き過ぎると、光取り出し層の表面平滑性が低下し易くなる。一方、平均粒径D50が小さ過ぎると、ペースト化の際に、ガラス粉末の分散性を高めることが困難になる。ここで、「平均粒径D50」とは、レーザー回折装置で測定した値を指し、レーザー回折法により測定した際の体積基準の累積粒度分布曲線において、その積算量が粒子の小さい方から累積して50%である粒子径を表す。「最大粒径Dmax」とは、レーザー回折装置で測定した値を指し、レーザー回折法により測定した際の体積基準の累積粒度分布曲線において、その積算量が粒子の小さい方から累積して99%である粒子径を表す。
本発明の光取り出し層形成用材料は、上記ガラス粉末のみで構成されていてもよいが、散乱性を高めるために、セラミック粉末を添加してもよい。セラミック粉末を添加する場合、その添加量は0.5体積%以上が好ましい。セラミック粉末として、種々の材料が使用可能であり、例えば、アルミナ、ジルコン、ジルコニア、ムライト、シリカ、コーディエライト、チタニア、チタン酸化合物、酸化スズが好適であり、これらを単独又は混合して使用することができる。なお、本発明の光取り出し層形成用材料には、ガラス粉末、セラミック粉末以外にも、金属粉末等を含んでいてもよい。
セラミック粉末を添加する場合は、光取り出し層内で、光が散乱するため、ガラス基板の表面に凹凸部を形成しなくても、光取り出し層からガラス基板へ効率良く光を取り出すことができる。よって、セラミック粉末を添加すれば、ガラス基板の表面に凹凸部を形成する工程を省略することができる。
光取り出し層形成用材料をビークルと混合、混練して、ペースト化すると取扱い易くなる。光取り出し層形成用材料とビークルの混合割合は、質量比で30〜90:10〜70が好ましい。なお、ビークルは、樹脂バインダーと有機溶剤を含み、必要に応じて、可塑剤等を含んでいる。
樹脂バインダーは、乾燥後の膜強度を高め、また柔軟性を付与する成分であり、熱可塑性樹脂であることが好ましい。ペースト全体に占める熱可塑性樹脂の割合は、0.1〜20質量%が好ましい。熱可塑性樹脂として、ポリブチルメタアクリレート、ポリビニルブチラール、ポリメチルメタアクリレート、ポリエチルメタアクリレート、エチルセルロース等が好適であり、これらを単独又は混合して使用することができる。
有機溶剤は、樹脂バインダーを溶解分散させて、ペースト化する成分である。ペースト全体に占める溶剤の割合は、10〜30質量%が好ましい。溶剤として、ターピネオール、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタジオールモノイソブチレート等が好適であり、これらを単独又は混合して使用することができる。
可塑剤は、乾燥速度をコントロールすると共に、乾燥膜に柔軟性を与える成分である。ペースト全体に占める可塑剤の割合は、0〜10質量%が好ましい。可塑剤として、ブチルベンジルフタレート、ジオクチルフタレート、ジイソオクチルフタレート、ジカプリルフタレート、ジブチルフタレート等が好適であり、これらを単独又は混合して使用することができる。
本発明の光取り出し層付きガラス基板は、ガラス基板上に光取り出し層が形成された光取り出し層付きガラス基板であって、光取り出し層が上記の光取り出し層形成用材料の焼結体であることが好ましい。本発明の光取り出し層付きガラス基板の技術的特徴は、本発明の光取り出し層形成用ガラス、光取り出し層形成用材料の技術的特徴と重複する。ここでは、その重複部分について、詳細な説明を省略する。
本発明の光取り出し層付きガラス基板において、光取り出し層の表面粗さRaは、好ましくは0.2μm以下、0.1μm以下、特に0.05μm以下である。光取り出し層の表面粗さRaが大き過ぎると、光取り出し層上に透明導電膜を形成する場合に、その膜品位が不均一になり、有機EL照明等の発光に悪影響を及ぼす虞がある。なお、「表面粗さRa」は、JIS B0601:2001に準拠した方法で測定した値を指す。
本発明の光取り出し層付きガラス基板は、ガラス基板の表面に凹凸部を有することが好ましく、ガラス基板の一方の表面に凹凸部を有することが好ましい。更に、この凹凸部上に光取り出し層が形成されていることが更に好ましい。このようにすれば、光取り出し層とガラス基板の界面での光反射の割合が低減されるため、光取り出し層に入射した光をガラス基板へ効率良く取り出すことが可能になる。なお、凹凸部は、ガラス基板の表面全体に形成されている場合に限られず、例えば、ガラス基板の中央領域のみに形成されていてもよい。
凹凸部の表面粗さRaは、好ましくは0.05〜2μm、0.05〜1.5μmである。凹凸部の表面粗さRaが小さ過ぎると、光取り出し効率を高め難くなる。一方、凹凸部の表面粗さRaが大き過ぎると、光取り出し層の表面平滑性を高め難くなる。
凹凸部の形成方法として、種々の方法を採択することができる。例えば、サンドブラスト法、ゾルゲルスプレー法、エッチング法等により、凹凸部を形成することができる。また、ガラス基板の成形時に、ガラス基板の表面に凹凸部を形成してもよい。例えば、表面に凹凸形状を有するローラーでロール成形したり、表面に凹凸形状を有する金型でプレス成形する方法を採択することができる。
図1(a)は、ガラス基板の一方の表面に凹凸部を有する光取り出し層付きガラス基板を示す模式的断面図である。図1(a)では、ガラス基板1の光取り出し層2側の表面に、凹凸部1aを有している。そして、凹凸部1a上には、光取り出し層2が形成されている。図1(b)は、ガラス基板の表面に凹凸部を有しない光取り出し層付きガラス基板を示す模式的断面図である。図1(b)では、ガラス基板1上に光取り出し層2が形成されており、光取り出し層2内は、セラミック粉末(図示せず)が分散された状態になっている。
本発明の光取り出し層付きガラス基板は、例えば、以下のようにして作製することができる。まずガラス基板の一方の表面上に光取り出し層形成用材料を含むペーストをスクリーン印刷法、一括コート法等で所定の厚みに塗布した後、塗布したペーストを乾燥させて、ペースト中の有機溶剤を揮発させる。なお、ガラス基板の表面に凹凸部を有する場合は、その凹凸部にペーストを塗布することが好ましい。次に、得られた乾燥膜を500〜600℃の温度で5〜60分間保持することで焼成し、ペースト中の樹脂バインダーを分解揮発させると共に、光取り出し層形成用材料を焼結させて、ガラス基板上に光取り出し層を形成する。なお、上記では、ペーストを塗布する方法を例示したが、この方法以外にもグリーンシート法、電気泳動法等を採択することもできる。
本発明の有機EL素子は、上記の光取り出し層付きガラス基板を備えることが好ましく、光取り出し層上に透明導電膜が形成されており、更に該透明導電膜上に有機EL層が形成されていることが更に好ましい。本発明の有機EL素子の技術的特徴は、本発明の光取り出し層形成用ガラス、光取り出し層形成用材料、光取り出し層付きガラス基板の技術的特徴と重複する。ここでは、その重複部分について、詳細な説明を省略する。
図2は、本発明の有機EL素子の一実施形態を示す模式的断面図である。図2では、ガラス基板3の光取り出し層2上に透明導電膜4が形成されており、透明導電膜4上に有機EL層5が形成されており、有機EL層5上に陰極6が形成されている。有機EL層5は透明導電膜4と陰極6の間に形成されている。本実施形態では、透明導電膜4は陽極として機能する。また有機EL層5は、発光層(図示せず)を備えており、発光層と透明導電膜4の間には、必要に応じて、ホール注入層、ホール輸送層等が形成される。また、発光層と陰極6の間には、必要に応じて、電子輸送層、電子注入層等が形成される。有機EL層5の発光層で発光した光は、透明導電膜4及びガラス基板3を通り、外部に取り出される。
以下、実施例に基づいて、本発明を詳細に説明する。なお、以下の実施例は単なる例示である。本発明は、以下の実施例に何ら限定されない。
表1は、本発明の実施例(No.1〜5)及び比較例(No.6)を示している。
次のようにして各試料を調製した。まず表中に示すガラス組成となるように、各原料を調合し、均一に混合した。次いで、混合した原料を白金ルツボに入れて、1100℃で2時間溶融した後、溶融ガラスを薄板状に成形した。続いて、得られたガラスフィルムをボールミルにて粉砕して、粉末状に加工した後、空気分級機を用いて、平均粒径D500.8〜2.5μm、最大粒径Dmax10μm以下に分級した。
各試料について、軟化点Ts、熱膨張係数α30〜300℃及び屈折率nを測定した。その結果を表1に示す。
軟化点Tsは、マクロ型示差熱分析計を用いて測定したときの第4の変曲点の値である。
屈折率nは、溶融ガラスをブロック状に成形、加工したものを測定試料とし、Vブロック法により島津製作所製精密屈折率計KPR−200で測定した値である。
以下のように、熱膨張係数α30〜300℃を測定した。まず各試料をプレス成型し、得られた成型体を600℃で10分間焼成した後、直径4mm、長さ40mmの円柱状に研磨加工した。次に、この加工試料を用いて、JIS R3102に準拠して、30〜300℃の温度範囲における平均熱膨張係数を求めた。
以下のようにして、光取り出し層付きガラス基板を作製した。まず上記ガラス粉末を光取り出し層形成用材料として使用した。次に、光取り出し層形成用材料:樹脂バインダー:有機溶剤の質量比が70:2:28となるように、混合した後、3本ロールミルにて混練し、ペーストを作製した。なお、樹脂バインダーとしてエチルセルロース(ダウケミカル社製:質量平均分子量Mw約18万)を用い、有機溶剤としてターピネオールを用いた。
続いて、市販の窓板ガラス基板の一方の表面に、得られたペーストをアプリケータで塗布し、120℃にて10分間乾燥した後、表1に示す軟化点より10℃高い温度で10分間焼成することにより、光取り出し層形成用材料を焼結させて、窓板ガラス基板上に光取り出し層を形成した。
得られた光取り出し層付きガラス基板について、D65光によりヘーズメーターでヘーズ値を測定し、ヘーズ値が40%未満のものを「○」、40%以上のものを「×」として、ヘーズを評価した。
表1から明らかなように、試料No.1〜5は、ガラス組成中にCuOを含むため、ヘーズの評価が良好であった。一方、試料No.6は、ガラス組成中にCuOを含まないため、ヘーズの評価が不良であった。
1 ガラス基板
1a 凹凸部
2 光取り出し層
3 光取り出し層付きガラス基板
4 透明導電膜
5 有機EL層
6 陰極

Claims (10)

  1. ガラス組成として、BaOを5モル%以上、CuOを0.005モル%以上含み、且つ屈折率nが1.75〜2.20であることを特徴とする光取り出し層形成用ガラス。
  2. ガラス組成として、更にBiを1モル%以上含むことを特徴とする請求項1に記載の光取り出し層形成用ガラス。
  3. ガラス組成として、モル%表示で、Bi 3〜20%、B 15〜38%、BaO 5〜25%、ZnO 10〜50%、SiO 0〜20%、Nb 0〜10%、La 0〜10%、CuO 0.005〜3%を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の光取り出し層形成用ガラス。
  4. ガラス組成中に、実質的にPbOを含まないことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の光取り出し層形成用ガラス。
  5. 請求項1〜4の何れかに記載の光取り出し層形成用ガラスからなるガラス粉末80〜100体積%と、セラミック粉末0〜20体積%とを含有することを特徴とする光取り出し層形成用材料。
  6. ガラス基板上に光取り出し層が形成された光取り出し層付きガラス基板であって、光取り出し層が請求項5に記載の光取り出し層形成用材料の焼結体であることを特徴とする光取り出し層付きガラス基板。
  7. ガラス基板の表面に凹凸部を有し、且つ該凹凸部上に光取り出し層が形成されていることを特徴とする請求項6に記載の光取り出し層付きガラス基板。
  8. 請求項6又は7に記載の光取り出し層付きガラス基板を備えることを特徴とする有機EL素子。
  9. 光取り出し層上に透明導電膜が形成されており、更に該透明導電膜上に有機EL層が形成されていることを特徴とする請求項8に記載の有機EL素子。
  10. 照明デバイスに用いることを特徴とする請求項8又は9に記載の有機EL素子。
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