JP2019182676A - 光拡散層形成用ガラス、光拡散層付きガラス基板及びそれを用いた有機el素子 - Google Patents
光拡散層形成用ガラス、光拡散層付きガラス基板及びそれを用いた有機el素子 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2019182676A JP2019182676A JP2018071320A JP2018071320A JP2019182676A JP 2019182676 A JP2019182676 A JP 2019182676A JP 2018071320 A JP2018071320 A JP 2018071320A JP 2018071320 A JP2018071320 A JP 2018071320A JP 2019182676 A JP2019182676 A JP 2019182676A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- glass
- diffusion layer
- light diffusion
- light
- organic
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Glass Compositions (AREA)
- Electroluminescent Light Sources (AREA)
- Surface Treatment Of Glass (AREA)
Abstract
【課題】耐候性の高い光拡散層形成用ガラスを創案することにより、光取り出し効率の高い有機EL素子等を提供する。【解決手段】ガラス組成として、質量%表示で、SiO220〜40%、Al2O37.1〜15%、B2O320〜40%、ZnO 5〜15%、Li2O 0〜5%、Na2O 0〜5%、K2O 10〜20%、ZrO20〜5%、Bi2O30〜10%を含有することを特徴とする光拡散層形成用ガラス。【選択図】図1
Description
本発明は、光拡散層形成用ガラス、光拡散層付きガラス基板及びそれを用いた有機EL素子に関するものである。
近年、家電製品の普及、大型化、多機能化等の理由から、家庭等の生活空間で消費されるエネルギーが増えている。特に、照明用途のエネルギー消費が多いことから、高効率の代替照明が検討されている。例えば、LED照明が白熱球の代替として採用されつつある。
照明用光源は、限られた範囲を照らす「指向性光源」と、広範囲を照らす「拡散光源」とに分けられ、LED照明は「指向性光源」に相当する。その一方で、「拡散光源」に相当する蛍光灯の代替光源が望まれており、例えば、有機EL(エレクトロルミネッセンス)照明が有力な候補として検討されている。
有機EL素子は、ガラス基板と、陽極である透明導電膜と、電圧の印加によって発光する有機化合物からなる一層又は複数層の発光層を含む有機EL層と、陰極とを備えた素子からなる。有機EL素子に用いられる有機EL層として、低分子色素系材料、共役高分子系材料等が用いられる。陽極と陰極の間に配置される有機EL層は、ホール注入層、ホール輸送層、電子輸送層、電子注入層等からなる積層構造を有している。陽極と陰極に電圧を印加することにより、陽極である透明導電膜から注入された正孔と、陰極から注入された電子とが、発光層内で再結合し、その再結合エネルギーによって発光中心が励起されるという原理により、有機EL素子は発光する。
有機EL素子は、携帯電話、ディスプレイ用途において検討が進められており、一部では実用化されている。しかし、照明用光源として有機EL素子を用いるには、さらなる発光効率の改善が必要とされている。そこで、有機EL素子から発光する光を拡散させ、光取り出し効率を高める検討がなされている。
例えば、特許文献1、2においては、透明導電膜が形成される表面に、凹凸面が形成されたガラス基板を用い、有機EL素子から発光する光を拡散させ、光取り出し効率を高める方法が提案されている。しかし、ガラス基板に切削研磨や熱変形の加工を要するため、生産工程は煩雑であり、量産には不適であった。
一方、特許文献3においては、ガラス基板上にガラスフリットを塗布して焼成し、フリット粒子の融合、配列により、基板表面上にガラスフリット焼成体からなる凹凸構造を有する光拡散層を形成し、有機EL素子から発光する光を拡散させ、光取り出し効率を高める方法が提案されている。しかし、ガラスフリットの耐候性が十分でないことから、通常環境下では、生産工程の中で凹凸構造が劣化してしまう。そのため、光拡散層における光拡散性が不十分となり、光取り出し効率が低下するという問題があった。
本発明は、上記事情に鑑み成されたものであり、耐候性の高い光拡散層形成用ガラスを創案することにより、光取り出し効率の高い有機EL素子等を提供することを目的とする。
本発明の光拡散層形成用ガラスは、ガラス組成として、質量%表示で、SiO2 20〜40%、Al2O3 7.1〜15%、B2O3 20〜40%、ZnO 5〜15%、Li2O 0〜5%、Na2O 0〜5%、K2O 10〜20%、ZrO2 0〜5%、Bi2O3 0〜10%を含有することを特徴とする。
上記ガラス組成からなる光拡散層形成用ガラスは、耐候性に優れるため、当該ガラスを用いて作製された光拡散層は、製造工程において凹凸構造が保持され、光拡散性が維持され易い。
本発明の光拡散層形成用ガラスは、ガラス組成として、SiO2+Al2O3+B2O3が65〜77.5%であることが好ましい。
本発明の光拡散層形成用ガラスは、ガラス組成として、質量比 B2O3/(SiO2+Al2O3+B2O3)が0.5以下であることが好ましい。
本発明の光拡散層形成用ガラスは、軟化点が650℃以下であることが好ましい。このようにすれば、汎用のソーダガラス基板の軟化点が概ね650℃であるため、光拡散層形成用ガラスの焼成時、ソーダガラス基板の熱変形を回避することができる。
本発明の光拡散層形成用ガラスは、ガラス組成中に、実質的にPbOを含まないことが好ましい。なお、「実質的にPbOを含まない」とは、意図的にPbOを含有させないことを意味し、不可避的不純物の混入を排除するものではない。客観的には、PbOの含有率が0.1%未満であることを意味する。
本発明の光拡散層形成用ガラスは、粉末状であることが好ましい。
本発明の光拡散層付きガラス基板は、ガラス基板の表面に上記の光拡散層形成用ガラスからなる光拡散層が形成されていることを特徴とする。
本発明の光拡散層付きガラス基板は、光拡散層が凹凸構造であることが好ましい。
本発明の有機EL素子は、上記の光拡散層付きガラス基板を備えることを特徴とする。
本発明の光拡散層形成用ガラスからなる光拡散層は、製造工程において凹凸構造が保持され、光拡散性が維持される。そのため、本発明の光拡散層形成用ガラスを用いてなる光拡散層付きガラス基板を有機EL素子用の部材として使用すれば、高い光取り出し効率を達成することができる。
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に何ら限定されるものではない。
図1は、本発明の光拡散層形成用ガラスからなる光拡散層が形成された光拡散層付きガラス基板を備えてなる有機EL素子10を示す模式的断面図である。図1では、ガラス基板1の表面に、光拡散層形成用ガラスからなる凹凸構造を有する光拡散層2が形成されている。また、光拡散層2の表面には、高屈折ガラスからなる平滑層3が形成されている。さらに、平滑層3の表面には、透明導電膜4が形成されている。そして、透明導電膜4の表面に、有機EL層5及び電極6が形成されている。
このような積層構造を有する有機EL素子10において、陽極である透明導電膜4と陰極である電極6に電圧を印加することにより、透明導電膜4から注入された正孔と、電極6から注入された電子とが、発光層内で再結合し、その再結合エネルギーによって発光中心が励起されて、有機EL層5が発光する。有機EL層5から生じた光が、平滑層3と光拡散層2との界面で散乱することにより、有機EL素子からの光取り出し効率を高めることができる。
上述した有機EL層5から生じた光を取り出す過程において、材料の界面における反射ロスを低減するため、高屈折材料からなる透明導電膜4と接する平滑層3は、高屈折材料を用いることが好ましい。一方、基板ガラス1と接する光拡散層2は、低屈折材料であることが好ましい。なお、高屈折材料からなる平滑層3と、低屈折材料からなる光拡散層2との界面については、屈折率の差は大きいものの、上述の通り、光拡散層2が凹凸構造を有することにより、反射ロスは小さくなる。
また、ガラス基板1上における光拡散層2は、ガラス基板1の表面全体に形成されていてもよいし、有機EL層5を形成する領域においてのみ形成されていてもよい。
有機EL素子10の形状は特に限定されないが、通常は平面視で矩形や円形の板状である。
以下、各構成要素について詳細に説明する。
光拡散層2を構成する本発明の光拡散層形成用ガラスは、ガラス組成として、質量%表示で、SiO2 20〜40%、Al2O3 7.1〜15%、B2O3 20〜40%、ZnO 5〜15%、Li2O 0〜5%、Na2O 0〜5%、K2O 10〜20%、ZrO2 0〜5%、Bi2O3 0〜10%を含有する。各成分の組成範囲を上記のように限定した理由を下記に示す。なお、以下の説明において、特に断りが無い限り、%表示は質量%を表している。
SiO2は、ガラス骨格を形成し、ガラス化範囲を広げる成分である。また耐候性を高める成分である。SiO2の含有量は20〜40%であり、25〜40%が好ましく、30〜40%がより好ましい。SiO2の含有量が少な過ぎると、耐候性が低下する。一方、SiO2の含有量が多過ぎると、軟化点が上昇して、650℃以下の温度で焼成し難くなる。
Al2O3は、ガラス骨格を形成し、ガラス化範囲を広げる成分である。また耐候性を高める成分である。Al2O3の含有量は7.1〜15%であり、7.1〜12%が好ましく、9〜12%がより好ましい。Al2O3の含有量が少な過ぎると、耐候性が低下する。一方、Al2O3の含有量が多過ぎると、軟化点が上昇して、650℃以下の温度で焼成し難くなる。さらに焼成時にガラスが失透し易くなる。
B2O3は、ガラス骨格を形成し、ガラス化範囲を広げる成分である。B2O3の含有量は20〜40%であり、20〜35%が好ましく、25〜35%がより好ましい。B2O3の含有量が少な過ぎると、軟化点が上昇し、650℃以下の温度で焼成し難くなる。また屈折率が高くなりすぎ、ガラス基板との界面での反射ロスが大きくなる。一方、B2O3の含有量が多過ぎると、大気中の水分との反応が進行しやすく、耐候性が著しく低下するため、保管工程で凹凸構造が維持できなくなる。
ZnOは、軟化点を低下させ、耐候性を高める成分である。ZnOの含有量は5〜15%であり、6〜13%が好ましい。ZnOの含有量が少な過ぎると、耐候性が低下する。また軟化点が上昇して、650℃以下の温度で焼成し難くなる。一方、ZnOの含有量が多過ぎると、屈折率が高くなりすぎ、光拡散層2とガラス基板1との界面における反射ロスが大きくなる。
Li2Oは軟化点を低下させる成分である。Li2Oの含有量は0〜5%であり、0〜3%が好ましい。Li2Oの含有量が多すぎると、分相してガラス化が不安定になる傾向があり、また、耐候性が低下する。
Na2Oは軟化点を低下させる成分である。Na2Oの含有量は0〜5%であり、0〜3%が好ましい。Na2Oの含有量が多すぎると、耐候性が低下する。
Li2O、Na2Oは平滑層3に拡散して、平滑層3の屈折率を低下させやすい。平滑層3の屈折率が低下すると、透明導電膜4との屈折率差が大きくなり、平滑層3と透明導電膜4との界面で反射ロスが大きくなる。そのような観点でも、Li2O、Na2Oの含有量はなるべく少ないほうが好ましい。
K2Oは軟化点を低下させる効果の大きい成分であり、必須である。また、K2OはLi2O、Na2Oが平滑層3に拡散するのを抑制する効果がある。K2Oの含有量は10〜20%であり、10〜17%が好ましく、12〜17%がより好ましい。K2Oの含有量が少な過ぎると、軟化点が上昇して、650℃以下の温度で焼成し難くなる。一方、K2Oの含有量が多過ぎると、耐候性が低下する。
ZrO2は少量の含有によって、著しく耐候性を高める成分である。ZrO2の含有量は0〜5%であり、0.5〜3%が好ましく、0.5〜2%がより好ましい。ZrO2の含有量が多過ぎると、軟化点が上昇し、650℃以下の温度で焼成し難くなる。
Bi2O3は、軟化点を低下させる成分である。Bi2O3の含有量は、0〜10%であり、0.1〜9%が好ましく、1〜8%がより好ましい。Bi2O3の含有量が多過ぎると、屈折率が上がるため、光拡散層2とガラス基板1との界面における反射ロスが大きくなる。
SiO2、Al2O3及びB2O3の含有量の合量SiO2+Al2O3+B2O3は、所望の屈折率を得るため、65%〜77.5%であることが好ましく、70%〜76%であることがより好ましく、70%〜75%であることが特に好ましい。SiO2+Al2O3+B2O3が少な過ぎると、耐候性が低下するとともに、屈折率が高くなり過ぎる。一方、SiO2+Al2O3+B2O3が多過ぎると、屈折率が小さくなり過ぎる。いずれの場合も、光拡散層2とガラス基板1との屈折率の差が大きくなることで、界面における反射ロスが大きくなる。
質量比 B2O3/(SiO2+Al2O3+B2O3)は、0.5以下であることが好ましく、0.48以下であることがより好ましく、0.45以下であることが特に好ましい。この質量比が大きすぎると、耐候性が著しく低下する。なお、B2O3/(SiO2+Al2O3+B2O3)は、B2O3の含有量をSiO2とAl2O3とB2O3の含有量の合量で除した値である。
本発明の光拡散層形成用ガラスは、実質的にPbOを含まないことが好ましい。PbOは軟化点を低下させる成分であるが、環境負荷を高める成分であるため、実質的な導入を回避することが望ましい。
また、上記の成分以外にも、本発明の効果を損なわない範囲で種々の成分を含有することができる。例えば、以下の成分を導入してもよい。
MgO、CaO、SrOは、軟化点を低下させる成分であり、また熱膨張係数を調整し得る成分である。これらの成分の含有量は各々において、0〜10%が好ましく、0〜8%がより好ましく、0〜5%がさらに好ましく、0〜3%が特に好ましい。これらの成分の含有量が多過ぎると、熱膨張係数が上昇する。
Gd2O3は、屈折率を高める成分であるが、その含有量が多過ぎると、原料コストが
高騰する。Gd2O3の含有量は、0〜10%が好ましく、0〜5%がより好ましく、0〜3%がさらに好ましく、0〜1%が特に好ましい。
高騰する。Gd2O3の含有量は、0〜10%が好ましく、0〜5%がより好ましく、0〜3%がさらに好ましく、0〜1%が特に好ましい。
さらに、軟化点を低下させるために、その他のアルカリ金属酸化物として、Cs2O、Rb2Oを合量で5%まで添加してもよく、また屈折率、耐候性、耐酸性、耐アルカリ性、耐失透性等を高めるために、Y2O3、Ta2O5、SnO2、TiO2、P2O5、CeO2、V2O5等を合量で10%まで添加してもよい。
本発明の光拡散層形成用ガラスにおいて、軟化点は650℃以下が好ましく、640℃以下がより好ましく、630℃以下が特に好ましい。軟化点が高すぎると、低温で焼成が困難になり、光拡散層形成用ガラスの焼成時に、汎用のソーダガラス基板が熱変形するおそれがある。
また、本発明の光拡散層形成用ガラスは、汎用のソーダガラス基板(屈折率1.50〜1.55、熱膨張係数70〜90×10/℃)に適合する屈折率、熱膨張を有する。
本発明の光拡散層形成用ガラスは、屈折率が1.4〜1.6であることが好ましく、1.5〜1.6であることがより好ましく、1.50〜1.55であることが特に好ましい。このようにガラス基板1と光拡散層2との屈折率差を小さくすれば、ガラス基板1と光拡散層2の界面における反射ロスを小さくすることができ、光取り出し効率を高めることができる。ここで、「屈折率nd」は、溶融ガラスをブロック状に成形、加工したものを測定試料とし、Vブロック法により島津製作所製精密屈折率計KPR−200で測定した値を指す。
本発明の光拡散層形成用ガラスは、熱膨張係数が70〜90×10/℃であることが好ましく、80〜90×10/℃であることがより好ましく、85〜90×10/℃であることが特に好ましい。このようにすれば、ガラス基板1の熱膨張係数に整合しやすくなり、光散乱層2やガラス基板1に不当な応力が残留しづらくなり、ガラス基板の反りや割れなどの不良が生じにくくなる。ここで、「熱膨張係数」は、JISR3102に準拠したものであり、30〜300℃の温度範囲における平均熱膨張係数を指す。
光拡散層2は、本発明の光拡散層形成用ガラスで構成されていることから、耐候性が良好であり、焼成後の通常大気下における保管工程でも凹凸構造が維持されるため、生産工程の中で光拡散性が低下しにくい。
光拡散層2は、たとえば、ガラス基板1の表面に、本発明の光拡散層形成用ガラスからなるガラス粉末を含むガラスペーストを塗布した後、塗布したガラスペーストをガラス粉末の軟化点付近の温度、もしくは、それより高い温度で焼成することにより形成される。焼成時間は、焼成温度等により適宜調節される。焼成により、ガラス粒子の融合、配列が生じるため、基板表面上に凹凸構造を有する光散乱層が形成される。
ガラスペーストには、光拡散層形成用ガラスの他に、樹脂バインダー、有機溶剤、可塑剤等が含まれる。
ガラス粉末は、所望のガラス組成になるように原料を調合し、溶融、成形した後、粉砕、分級することで作製することができる。ガラス粉末の平均粒径D50は0.3〜2.5μmが好ましく、最大粒径Dmaxは10μm以下が好ましい。ガラス粉末の粒度が大きすぎると、光拡散層2の凹凸構造を平滑層3により平滑化できず、所望の透明導電膜4を形成し難くなる。一方、平均粒径D50が小さすぎると、光拡散に十分な凹凸構造を得られなくなる。平均粒径D50とは、レーザー回折装置で測定した値を指し、レーザー回折法により測定した際の体積基準の累積粒度分布曲線において、その積算量が粒子の小さい方から累積して50%である粒子径を表す。「最大粒径Dmax」とは、レーザー回折装置で測定した値を指し、レーザー回折法により測定した際の体積基準の累積粒度分布曲線において、その積算量が粒子の小さい方から累積して99%である粒子径を表す。
樹脂バインダーは、乾燥後の膜強度を高め、また柔軟性を付与する成分であり、熱可塑性樹脂であることが好ましい。ペースト全体に占める熱可塑性樹脂の割合は、0.1〜20質量%であることが好ましい。熱可塑性樹脂として、ポリブチルメタクリレート、ポリビニルブチラール、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、エチルセルロース等が好適であり、これらを単独又は混合して使用することができる。
有機溶剤は、樹脂バインダーを溶解分散させて、ペースト化する成分である。ペースト全体に占める有機溶剤の割合は、10〜30質量%が好ましい。有機溶剤として、ターピネオール、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタジオールモノイソブチレート等が好適であり、これらを単独又は混合して使用することができる。
可塑剤は、ガラスペーストの乾燥速度をコントロールすると共に、乾燥膜に柔軟性を与える成分である。ペースト全体に占める可塑剤の割合は、0〜10質量%が好ましい。可塑剤として、ブチルベンジルフタレート、ジオクチルフタレート、ジイソオクチルフタレート、ジカプリルフタレート、ジブチルフタレート等が好適であり、これらを単独又は混合して使用することができる。
光拡散層2の表面粗さRaは、0.5〜2μmが好ましく、0.5〜1.5μmがより好ましく、0.5〜1.2μmが特に好ましい。表面粗さRaが大きすぎると、積層する平滑層3が不均一となり、所望の透明導電膜4が形成し難くなる。Raが小さすぎると、光拡散に必要な凹凸構造が形成されていないことを示し、十分な光拡散効果が得られず、所望の光取り出し効率が得られない。なお、「表面粗さRa」は、JIS B0601:2001に準拠した方法で測定した値を指す。
平滑層3は、光拡散層2の凹凸構造を平坦化することができるので、その表面に所望の透明導電膜4を形成することができる。平滑層3に使用する高屈折率ガラスは、透明導電膜4の屈折率に近いnd1.8〜2.0の高屈折率と、650℃以下で焼成できる低軟化性を兼ね備えた、Bi系ガラス、Pb系ガラス、La−Ti系ガラスから選択すればよい。
Bi系ガラスの組成としては、例えば、モル百分率で、Bi2O3 20〜40%、ZnO 0〜30%、B2O3 20〜50%、SiO2 1〜30%、CaO+BaO 0〜15%、Na2O+Li2O+K2O 0〜6%の組成範囲が挙げられる。なお、Na2O+Li2O+K2Oは、Na2OとLi2OとK2Oの含有量の合量を意味する。
Pb系ガラスの組成としては、例えば、モル百分率で、PbO 30〜50%、B2O3 25〜40%、SiO2 3〜25%、ZnO 0〜25%、Na2O+Li2O+K2O 0〜6%の組成範囲が挙げられる。なお、Na2O+Li2O+K2Oは、Na2OとLi2OとK2Oの含有量の合量を意味する。
La−Ti系ガラスの組成としては、例えば、モル百分率で、La2O3+Nb2O5 10〜25%、TiO2+ZrO2 17〜25%、Bi2O3 0〜6%、Na2O+Li2O+K2O 4〜14%、BaO 0〜10%、SiO2+B2O3 35〜50%の組成範囲が挙げられる。このガラス組成範囲において、B2O3/SiO2の比率は2〜5の範囲であることがさらに好ましい。なお、B2O3/SiO2は、B2O3をSiO2の含有量で除した値である。
平滑層3の表面粗さRaは、0.6μm以下であることが好ましく、さらに好ましくは、0.4μm以下である。平滑層3の表面粗さRaが小さいほど、その上に形成される透明導電膜4の膜形成が容易となる。また、表面粗さRaが大きくなりすぎると、透明導電膜4の膜質が不均一となり、有機EL装素子10の発光に悪影響を与えるため、好ましくない。
透明導電膜4は、上述のように、平滑層3の上に直接透明導電膜4を形成してもよいし、平滑層3の上に、SiO2やTa2O5などの保護膜(図示せず)を形成し、この保護膜の上に、透明導電膜4を形成してもよい。
有機EL層5及び電極6は、透明導電膜4の表面に形成される。有機EL層5及び電極6の厚みは適宜選択することができる。
電極6には所望の導電材料を利用することができ、例えば、Ag等が好適である。
以下、実施例に基づいて、本発明を詳細に説明する。なお、以下の実施例は単なる例示であり、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
表1、2は、本発明の実施例(No.1〜8)及び比較例(No.9〜11)を示している。
次のようにして各試料を調製した。まず表中に示すガラス組成となるように、各原料を調合し、均一に混合した。次いで、混合した原料を白金ルツボに入れて、1200℃で2時間溶融した後、溶融ガラスをフィルム状に成形した。続いて、得られたガラスフィルムをボールミルにて粉砕して、粉末状に加工した後、空気分級機を用いて、平均粒径D50が0.3〜2.5μm、最大粒径Dmaxが10μm以下に分級されたガラス粉末を得た。
各試料について、屈折率nd、熱膨張係数α、軟化点Tsを測定した。また、耐候性の指標として、ガラス粉末を高温水中に浸漬した際の質量減%を測定した。その結果を表1、2に示す。
屈折率ndは、溶融ガラスをブロック状に成形、加工したものを測定試料とし、Vブロック法により島津製作所製精密屈折率計KPR−200で測定した値である。
熱膨張係数αは以下のようにして測定した。まず各試料をプレス成型し、得られた成型体を650℃で10分間焼成した後、直径4mm、長さ40mmの円柱状に研磨加工した。次に、この加工試料を用いて、JISR 3102に準拠して、30〜300℃の温度範囲における平均熱膨張係数を求めた。
軟化点Tsは、マクロ型示差熱分析計を用いて測定したときの第4の変曲点の値である。
耐候性は、高温水中にガラス粉末を浸漬処理し、処理前後の質量変化により質量減%を求めた。浸漬条件は、ガラス粉末の比重相当グラム、水100cc中、95℃、1hr とした。
また、各試料を用いて、光拡散層付ガラス基板(図1のガラス基板1上に光拡散層2が形成されてなる構成物)を作製した後、ヘーズメーターにてヘーズ値を測定し、光拡散性を評価した。
光拡散層付きガラス基板は以下のように作製した。まず、各試料から作製したガラス粉末:樹脂バインダー:有機溶剤の質量比が70:3:27となるように混合した後、3本ロールミルにて混練し、ペーストを作製した。なお、樹脂バインダーとしてエチルセルロース(ダウケミカル社製:質量平均分子量Mw約18万)を用い、有機溶剤としてターピネオールを用いた。
続いて、市販のソーダガラス基板の一方の表面に、得られたペーストをアプリケータで塗布し、120℃にて10分間乾燥した後、表1又は表2に示す軟化点より10℃高い温度で10分間焼成することにより、該ガラス基板上に、凹凸構造を有する光拡散層を形成した。
得られた光拡散層付ガラス基板について、焼成直後の試料と、60℃、90%、24hrの高温高湿処理後の試料各々に対して、D65光によるヘーズメーターでヘーズ値を測定した。高温高湿処理後の光拡散性について、ヘーズ値が70%以上のものを「○」、70%に満たないものを「×」として評価した。
表1及び表2から明らかなように、試料No.1〜8は耐候性に優れ、高温高湿処理後の光拡散性が良好であった。一方、試料No.9及び試料No.10は耐候性が悪く、また、試料No.11は屈折率が高すぎることにより、それぞれ光拡散性が不良であった。
1 ガラス基板
2 光拡散層
3 平滑層
4 透明導電膜
5 有機EL層
6 電極
10 有機EL素子
2 光拡散層
3 平滑層
4 透明導電膜
5 有機EL層
6 電極
10 有機EL素子
Claims (9)
- ガラス組成として、質量%表示で、SiO2 20〜40%、Al2O3 7.1〜15%、B2O3 20〜40%、ZnO 5〜15%、Li2O 0〜5%、Na2O 0〜5%、K2O 10〜20%、ZrO2 0〜5%、Bi2O3 0〜10%を含有することを特徴とする光拡散層形成用ガラス。
- ガラス組成として、SiO2+Al2O3+B2O3が65〜77.5%であることを特徴とする請求項1に記載の光拡散層形成用ガラス。
- ガラス組成として、質量比 B2O3/(SiO2+Al2O3+B2O3)が0.5以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光拡散層形成用ガラス。
- 軟化点が650℃以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光拡散層形成用ガラス。
- ガラス組成中に、実質的にPbOを含まないことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光拡散層形成用ガラス。
- 粉末状であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光拡散層形成用ガラス。
- ガラス基板の表面に請求項1〜6のいずれかに記載の光拡散層形成用ガラスからなる光拡散層が形成されていることを特徴とする光拡散層付きガラス基板。
- 光拡散層が凹凸構造であることを特徴とする請求項7に記載の光拡散層付きガラス基板。
- 請求項7又は8に記載の光拡散層付きガラス基板を備えることを特徴とする有機EL素子。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018071320A JP2019182676A (ja) | 2018-04-03 | 2018-04-03 | 光拡散層形成用ガラス、光拡散層付きガラス基板及びそれを用いた有機el素子 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018071320A JP2019182676A (ja) | 2018-04-03 | 2018-04-03 | 光拡散層形成用ガラス、光拡散層付きガラス基板及びそれを用いた有機el素子 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2019182676A true JP2019182676A (ja) | 2019-10-24 |
Family
ID=68339428
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2018071320A Pending JP2019182676A (ja) | 2018-04-03 | 2018-04-03 | 光拡散層形成用ガラス、光拡散層付きガラス基板及びそれを用いた有機el素子 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2019182676A (ja) |
-
2018
- 2018-04-03 JP JP2018071320A patent/JP2019182676A/ja active Pending
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5239936B2 (ja) | 有機el素子用ガラス基板及びその製造方法 | |
JP6269933B2 (ja) | ガラス板 | |
TW201321329A (zh) | 有機led元件之散射層用玻璃、有機led元件用之積層基板及其製造方法、以及有機led元件及其製造方法 | |
WO2015186606A1 (ja) | 分相ガラス、分相性ガラス、有機elデバイス及び分相ガラスの製造方法 | |
JP6056765B2 (ja) | 有機led素子用の積層基板及び有機led素子 | |
TW201514122A (zh) | 玻璃、其製造方法、複合基板及有機電致發光裝置 | |
WO2015186584A1 (ja) | 分相ガラス及び分相ガラスの製造方法並びに分相ガラスを用いた複合基板 | |
JP2016098118A (ja) | 分相ガラス | |
WO2014010621A1 (ja) | 光取り出し層形成用ガラス、これを用いた、光取り出し層形成用ガラス粉末、光取り出し層の形成方法、光取り出し層形成用材料、光取り出し層形成用ガラスペースト、有機el素子用ガラス基板、有機el素子及び有機el素子用ガラス基板の製造方法 | |
JP6249218B2 (ja) | ガラスの製造方法及びガラス | |
WO2015034030A1 (ja) | ガラス及びその製造方法 | |
JP2019182676A (ja) | 光拡散層形成用ガラス、光拡散層付きガラス基板及びそれを用いた有機el素子 | |
JP2016064970A (ja) | 分相ガラス | |
JP6331077B2 (ja) | 分相ガラス及びこれを用いた複合基板 | |
JP6327579B2 (ja) | 有機el素子用ガラス基板の製造方法 | |
JP6406571B2 (ja) | ガラス | |
JP2014197530A (ja) | 有機el素子用ガラス基板及びその製造方法 | |
JP6331076B2 (ja) | ガラスフィルム及びこれを用いた複合基板 | |
JP6278230B2 (ja) | 有機el素子用ガラス基板 | |
JP6295625B2 (ja) | 有機el素子用ガラス基板及びその製造方法 | |
JP2015227272A (ja) | 分相ガラス及びこれを用いた複合基板 | |
WO2016117406A1 (ja) | 分相ガラス | |
JP2016011245A (ja) | 分相ガラス | |
JP2015120614A (ja) | ガラス | |
JP2015071514A (ja) | 光取り出し層形成用ガラス、光取り出し層形成用材料、光取り出し層付きガラス基板及びこれらを用いた有機el素子 |