以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して説明する。まず、図1から図35を参照し、第1実施形態として、本発明をパチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)10に適用した場合の一実施形態について説明する。図1は、第1実施形態におけるパチンコ機10の正面図であり、図2はパチンコ機10の遊技盤13の正面図であり、図3はパチンコ機10の背面図である。
図1に示すように、パチンコ機10は、略矩形状に組み合わせた木枠により外殻が形成される外枠11と、その外枠11と略同一の外形形状に形成され外枠11に対して開閉可能に支持された内枠12とを備えている。外枠11には、内枠12を支持するために正面視(図1参照)左側の上下2カ所に金属製のヒンジ18が取り付けられ、そのヒンジ18が設けられた側を開閉の軸として内枠12が正面手前側へ開閉可能に支持されている。
内枠12には、多数の釘や入賞口63,64等を有する遊技盤13(図2参照)が裏面側から着脱可能に装着される。この遊技盤13の前面を球(遊技球)が流下することにより弾球遊技が行われる。なお、内枠12には、球を遊技盤13の前面領域に発射する球発射ユニット112a(図4参照)やその球発射ユニット112aから発射された球を遊技盤13の前面領域まで誘導する発射レール(図示せず)等が取り付けられている。
内枠12の前面側には、その前面上側を覆う前面枠14と、その下側を覆う下皿ユニット15とが設けられている。前面枠14及び下皿ユニット15を支持するために正面視(図1参照)左側の上下2カ所に金属製のヒンジ19が取り付けられ、そのヒンジ19が設けられた側を開閉の軸として前面枠14及び下皿ユニット15が正面手前側へ開閉可能に支持されている。なお、内枠12の施錠と前面枠14の施錠とは、シリンダ錠20の鍵穴21に専用の鍵を差し込んで所定の操作を行うことでそれぞれ解除される。
前面枠14は、装飾用の樹脂部品や電気部品等を組み付けたものであり、その略中央部には略楕円形状に開口形成された窓部14cが設けられている。前面枠14の裏面側には2枚の板ガラスを有するガラスユニット16が配設され、そのガラスユニット16を介して遊技盤13の前面がパチンコ機10の正面側に視認可能となっている。
前面枠14には、球を貯留する上皿17が前方へ張り出して上面を開放した略箱状に形成されており、この上皿17に賞球や貸出球などが排出される。上皿17の底面は正面視(図1参照)右側に下降傾斜して形成され、その傾斜により上皿17に投入された球が球発射ユニット112a(図4参照)へと案内される。また、上皿17の上面には、枠ボタン22が設けられている。この枠ボタン22は、例えば、第3図柄表示装置81(図2参照)で表示される演出のステージを変更したり、スーパーリーチの演出内容を変更したりする場合などに、遊技者により操作される。
前面枠14には、その周囲(例えばコーナー部分)に各種ランプ等の発光手段が設けられている。これら発光手段は、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて、点灯又は点滅することにより発光態様が変更制御され、遊技中の演出効果を高める役割を果たす。窓部14cの周縁には、LED等の発光手段を内蔵した電飾部29〜33が設けられている。パチンコ機10においては、これら電飾部29〜33が大当たりランプ等の演出ランプとして機能し、大当たり時やリーチ演出時等には内蔵するLEDの点灯や点滅によって各電飾部29〜33が点灯または点滅して、大当たり中である旨、或いは大当たり一歩手前のリーチ中である旨が報知される。また、前面枠14の正面視(図1参照)左上部には、LED等の発光手段が内蔵され賞球の払い出し中とエラー発生時とを表示可能な表示ランプ34が設けられている。
また、右側の電飾部32下側には、前面枠14の裏面側を視認できるように裏面側より透明樹脂を取り付けて小窓35が形成され、遊技盤13前面の貼着スペースK1(図2参照)に貼付される証紙等がパチンコ機10の前面から視認可能とされている。また、パチンコ機10においては、より煌びやかさを醸し出すために、電飾部29〜33の周りの領域にクロムメッキを施したABS樹脂製のメッキ部材36が取り付けられている。
窓部14cの下方には、貸球操作部40が配設されている。貸球操作部40には、度数表示部41と、球貸しボタン42と、返却ボタン43とが設けられている。パチンコ機10の側方に配置されるカードユニット(球貸しユニット)(図示せず)に紙幣やカード等を投入した状態で貸球操作部40が操作されると、その操作に応じて球の貸出が行われる。具体的には、度数表示部41はカード等の残額情報が表示される領域であり、内蔵されたLEDが点灯して残額情報として残額が数字で表示される。球貸しボタン42は、カード等(記録媒体)に記録された情報に基づいて貸出球を得るために操作されるものであり、カード等に残額が存在する限りにおいて貸出球が上皿17に供給される。返却ボタン43は、カードユニットに挿入されたカード等の返却を求める際に操作される。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿17に球が直接貸し出されるパチンコ機、いわゆる現金機では貸球操作部40が不要となるが、この場合には、貸球操作部40の設置部分に飾りシール等を付加して部品構成は共通のものとしても良い。カードユニットを用いたパチンコ機と現金機との共通化を図ることができる。
上皿17の下側に位置する下皿ユニット15には、その中央部に上皿17に貯留しきれなかった球を貯留するための下皿50が上面を開放した略箱状に形成されている。下皿50の右側には、球を遊技盤13の前面へ打ち込むために遊技者によって操作される操作ハンドル51が配設される。
操作ハンドル51の内部には、球発射ユニット112aの駆動を許可するためのタッチセンサ51aと、押下操作している期間中には球の発射を停止する発射停止スイッチ51bと、操作ハンドル51の回動操作量(回動位置)を電気抵抗の変化により検出する可変抵抗器(図示せず)などが内蔵されている。操作ハンドル51が遊技者によって右回りに回動操作されると、タッチセンサ51aがオンされると共に可変抵抗器の抵抗値が回動操作量に対応して変化し、その可変抵抗器の抵抗値に対応した強さ(発射強度)で球が発射され、これにより遊技者の操作に対応した飛び量で遊技盤13の前面へ球が打ち込まれる。また、操作ハンドル51が遊技者により操作されていない状態においては、タッチセンサ51aおよび発射停止スイッチ51bがオフとなっている。
下皿50の正面下方部には、下皿50に貯留された球を下方へ排出する際に操作するための球抜きレバー52が設けられている。この球抜きレバー52は、常時、右方向に付勢されており、その付勢に抗して左方向へスライドさせることにより、下皿50の底面に形成された底面口が開口して、その底面口から球が自然落下して排出される。この球抜きレバー52の操作は、通常、下皿50の下方に下皿50から排出された球を受け取る箱(一般に「千両箱」と称される)を置いた状態で行われる。下皿50の右方には、上述したように操作ハンドル51が配設され、下皿50の左方には灰皿53が取り付けられている。
図2に示すように、遊技盤13は、正面視略正方形状に切削加工したベース板60に、球案内用の多数の釘(図示せず)や風車の他、レール61,62、一般入賞口63、第1入賞口64、第2入賞口640、第一可変入賞装置65、第2可変入賞装置650、スルーゲート67、可変表示装置ユニット80等を組み付けて構成され、その周縁部が内枠12(図1参照)の裏面側に取り付けられる。ベース板60は光透過性の樹脂材料からなり、その正面側からベース板60の背面側に配設された各種構造体を遊技者に視認させることが可能に形成される。一般入賞口63、第1入賞口64、第2入賞口640、第1可変入賞装置65、第2可変入賞装置650、可変表示装置ユニット80は、ルータ加工によってベース板60に形成された貫通穴に配設され、遊技盤13の前面側からタッピングネジ等により固定されている。
遊技盤13の前面中央部分は、前面枠14の窓部14c(図1参照)を通じて内枠12の前面側から視認することができる。以下に、主に図2を参照して、遊技盤13の構成について説明する。
遊技盤13の前面には、帯状の金属板を略円弧状に屈曲加工して形成した外レール62が植立され、その外レール62の内側位置には外レール62と同様に帯状の金属板で形成した円弧状の内レール61が植立される。この内レール61と外レール62とにより遊技盤13の前面外周が囲まれ、遊技盤13とガラスユニット16(図1参照)とにより前後が囲まれることにより、遊技盤13の前面には、球の挙動により遊技が行われる遊技領域が形成される。遊技領域は、遊技盤13の前面であって2本のレール61,62とレール間を繋ぐ樹脂製の外縁部材73とにより区画して形成される領域(入賞口等が配設され、発射された球が流下する領域)である。
2本のレール61,62は、球発射ユニット112a(図4参照)から発射された球を遊技盤13上部へ案内するために設けられたものである。内レール61の先端部分(図2の左上部)には戻り球防止部材68が取り付けられ、一旦、遊技盤13の上部へ案内された球が再度球案内通路内に戻ってしまうといった事態が防止される。外レール62の先端部(図2の右上部)には、球の最大飛翔部分に対応する位置に返しゴム69が取り付けられ、所定以上の勢いで発射された球は、返しゴム69に当たって、勢いが減衰されつつ中央部側へ跳ね返される。
遊技領域の正面視左側下部(図2の左側下部)には、発光手段である複数のLED及び7セグメント表示器を備える第1図柄表示装置37A,37Bが配設されている。第1図柄表示装置37A,37Bは、主制御装置110(図4参照)で行われる各制御に応じた表示がなされるものであり、主にパチンコ機10の遊技状態の表示が行われる。本実施形態では、第1図柄表示装置37A,37Bは、球が、第1入賞口64へ入賞したか、第2入賞口640へ入賞したかに応じて使い分けられるように構成されている。具体的には、球が、第1入賞口64へ入賞した場合には、第1図柄表示装置37Aが作動し、一方で、球が、第2入賞口640へ入賞した場合には、第1図柄表示装置37Bが作動するように構成されている。
また、第1図柄表示装置37A,37Bは、LEDにより、パチンコ機10が確変中か時短中か通常中であるかを点灯状態により示したり、変動中であるか否かを点灯状態により示したり、停止図柄が確変大当たりに対応した図柄か普通大当たりに対応した図柄か外れ図柄であるかを点灯状態により示したり、保留球数を点灯状態により示すと共に、7セグメント表示装置により、大当たり中のラウンド数やエラー表示を行う。なお、複数のLEDは、それぞれのLEDの発光色(例えば、赤、緑、青)が異なるよう構成され、その発光色の組み合わせにより、少ないLEDでパチンコ機10の各種遊技状態を示唆することができる。
尚、本パチンコ機10では、第1入賞口64及び第2入賞口640へ入賞があったことを契機として抽選が行われる。パチンコ機10は、その抽選において、大当たりか否かの当否判定(大当たり抽選)を行うと共に、大当たりと判定した場合はその大当たり種別の判定も行う。ここで判定される大当たり種別としては、15R確変大当たり、4R確変大当たり、15R通常大当たりが用意されている。第1図柄表示装置37A,37Bには、変動終了後の停止図柄として抽選の結果が大当たりであるか否かが示されるだけでなく、大当たりである場合はその大当たり種別に応じた図柄が示される。
ここで、「15R確変大当たり」とは、最大ラウンド数が15ラウンドの大当たりの後に高確率状態へ移行する確変大当たりのことであり、「4R確変大当たり」とは、最大ラウンド数が4ラウンドの大当たりの後に高確率状態へ移行する確変大当たりのことである。また、「15R通常大当たり」は、最大ラウンド数が15ラウンドの大当たりの後に、低確率状態へ移行すると共に、所定の変動回数の間(例えば、100変動回数)は時短状態となる大当たりのことである。
また、「高確率状態」とは、大当たり終了後に付加価値としてその後の大当たり確率がアップした状態、いわゆる確率変動中(確変中)の時をいい、換言すれば、特別遊技状態へ移行し易い遊技の状態のことである。本実施形態における高確率状態(確変中)は、後述する第2図柄の当たり確率がアップして第2入賞口640へ球が入賞し易い遊技の状態を含む。「低確率状態」とは、確変中でない時をいい、大当たり確率が通常の状態、即ち、確変の時より大当たり確率が低い状態をいう。また、「低確率状態」のうちの時短状態(時短中)とは、大当たり確率が通常の状態であると共に、大当たり確率がそのままで第2図柄の当たり確率のみがアップして第2入賞口640へ球が入賞し易い遊技の状態のことをいう。一方、パチンコ機10が通常中とは、確変中でも時短中でもない遊技の状態(大当たり確率も第2図柄の当たり確率もアップしていない状態)である。
確変中や時短中は、第2図柄の当たり確率がアップするだけではなく、第2入賞口640に付随する電動役物640aが開放される時間も変更され、通常中と比して長い時間が設定される。電動役物640aが開放された状態(開放状態)にある場合は、その電動役物640aが閉鎖された状態(閉鎖状態)にある場合と比して、第2入賞口640へ球が入賞しやすい状態となる。よって、確変中や時短中は、第2入賞口640へ球が入賞し易い状態となり、大当たり抽選が行われる回数を増やすことができる。
なお、確変中や時短中において、第2入賞口640に付随する電動役物640aの開放時間を変更するのではなく、または、その開放時間を変更することに加えて、1回の当たりで電動役物640aが開放する回数を通常中よりも増やす変更を行うものとしてもよい。また、確変中や時短中において、第2図柄の当たり確率は変更せず、第2入賞口640に付随する電動役物640aが開放される時間および1回の当たりで電動役物640aが開放する回数の少なくとも一方を変更するものとしてもよい。また、確変中や時短中において、第2入賞口640に付随する電動役物640aが開放される時間や、1回の当たりで電動役物640aを開放する回数はせず、第2図柄の当たり確率だけを、通常中と比してアップするよう変更するものであってもよい。
遊技領域には、球が入賞することにより5個から15個の球が賞球として払い出される複数の一般入賞口63が配設されている。また、遊技領域の中央部分には、可変表示装置ユニット80が配設されている。可変表示装置ユニット80には、第1入賞口64及び第2入賞口640への入賞(始動入賞)をトリガとして、第1図柄表示装置37A,37Bにおける変動表示と同期させながら、第3図柄の変動表示を行う液晶ディスプレイ(以下単に「表示装置」と略す)で構成された第3図柄表示装置81と、スルーゲート67の球の通過をトリガとして第2図柄を変動表示するLEDで構成される第2図柄表示装置(図示せず)とが設けられている。また、可変表示装置ユニット80には、第3図柄表示装置81の外周を囲むようにして、センターフレーム86が配設されている。
第3図柄表示装置81は9インチサイズの大型の液晶ディスプレイで構成されるものであり、表示制御装置114(図4参照)によって表示内容が制御されることにより、例えば上、中及び下の3つの図柄列が表示される。各図柄列は複数の図柄(第3図柄)によって構成され、これらの第3図柄が図柄列毎に横スクロールして第3図柄表示装置81の表示画面上にて第3図柄が可変表示されるようになっている。本実施形態の第3図柄表示装置81は、主制御装置110(図4参照)の制御に伴った遊技状態の表示が第1図柄表示装置37A,37Bで行われるのに対して、その第1図柄表示装置37A,37Bの表示に応じた装飾的な表示を行うものである。なお、表示装置に代えて、例えばリール等を用いて第3図柄表示装置81を構成するようにしても良い。
第2図柄表示装置は、球がスルーゲート67を通過する毎に表示図柄(第2図柄(図示せず))としての「○」の図柄と「×」の図柄とを所定時間交互に点灯させる変動表示を行うものである。パチンコ機10では、球がスルーゲート67を通過したことが検出されると、当たり抽選が行われる。その当たり抽選の結果、当たりであれば、第2図柄表示装置において、第2図柄の変動表示後に「○」の図柄が停止表示される。また、当たり抽選の結果、外れであれば、第2図柄表示装置において、第3図柄の変動表示後に「×」の図柄が停止表示される。
パチンコ機10は、第2図柄表示装置における変動表示が所定図柄(本実施形態においては「○」の図柄)で停止した場合に、第2入賞口640に付随された電動役物640aが所定時間だけ作動状態となる(開放される)よう構成されている。
第2図柄の変動表示にかかる時間は、遊技状態が通常中の場合よりも、確変中または時短中の方が短くなるように設定される。これにより、確変中および時短中は、第2図柄の変動表示が短い時間で行われるので、当たり抽選を通常中よりも多く行うことができる。よって、当たり抽選において当たりとなる機会が増えるので、第2入賞口640の電動役物640aが開放状態となる機会を遊技者に多く与えることができる。よって、確変中および時短中は、第2入賞口640へ球が入賞しやすい状態とすることができる。
なお、確変中または時短中において、当たり確率を高める、1回に当たりに対する電動役物640aの開放時間や開放回数を増やすなど、その他の方法によっても、確変中または時短中に第2入賞口640へ球が入賞しやすい状態としている場合は、第2図柄の変動表示にかかる時間を遊技状態にかかわらず一定としてもよい。一方、第2図柄の変動表示にかかる時間を、確変中または時短中において通常中よりも短く設定する場合は、当たり確率を遊技状態にかかわらず一定にしてもよいし、また、1回の当たりに対する電動役物640aの開放時間や開放回数を遊技状態にかかわらず一定にしてもよい。
スルーゲート67は、可変表示装置ユニット80の下側の領域における右方において遊技盤に組み付けられ、遊技盤に発射された球のうち、遊技盤の右方を流下する球の一部が通過可能に構成されている。スルーゲート67を球が通過すると、第2図柄の当たり抽選が行われる。当たり抽選の後、第2図柄表示装置にて変動表示を行い、当たり抽選の結果が当たりであれば、変動表示の停止図柄として「○」の図柄を表示し、当たり抽選の結果が外れであれば、変動表示の停止図柄として「×」の図柄を表示する。
球のスルーゲート67の通過回数は、合計で最大4回まで保留され、その保留球数が上述した第1図柄表示装置37A,37Bにより表示されると共に第2図柄保留ランプ(図示せず)においても点灯表示される。第2図柄保留ランプは、最大保留数分の4つ設けられ、第3図柄表示装置81の下方に左右対称に配設されている。
なお、第2図柄の変動表示は、本実施形態のように、第2図柄表示装置において複数のランプの点灯と非点灯を切り換えることにより行うものの他、第1図柄表示装置37A,37B及び第3図柄表示装置81の一部を使用して行うようにしても良い。同様に、第2図柄保留ランプの点灯を第3図柄表示装置81の一部で行うようにしても良い。また、スルーゲート67の球の通過に対する最大保留球数は4回に限定されるものでなく、3回以下、又は、5回以上の回数(例えば、8回)に設定しても良い。また、スルーゲート67の組み付け数は1つに限定されるものではなく、複数(例えば、2つ)であっても良い。また、スルーゲート67の組み付け位置は可変表示装置ユニット80の右方に限定されるものではなく、例えば、可変表示装置ユニット80の左方でも良い。また、第1図柄表示装置37A,37Bにより保留球数が示されるので、第2図柄保留ランプにより点灯表示を行わないものとしてもよい。
可変表示装置ユニット80の下方には、球が入賞し得る第1入賞口64が配設されている。この第1入賞口64へ球が入賞すると遊技盤13の裏面側に設けられる第1入賞口スイッチ(図示せず)がオンとなり、その第1入賞口スイッチのオンに起因して主制御装置110(図4参照)で大当たりの抽選がなされ、その抽選結果に応じた表示が第1図柄表示装置37Aで示される。
一方、第1入賞口64の正面視右方には、球が入賞し得る第2入賞口640が配設されている。この第2入賞口640へ球が入賞すると遊技盤13の裏面側に設けられる第2入賞口スイッチ(図示せず)がオンとなり、その第2入賞口スイッチのオンに起因して主制御装置110(図4参照)で大当たりの抽選がなされ、その抽選結果に応じた表示が第1図柄表示装置37Bで示される。
また、第1入賞口64および第2入賞口640は、それぞれ、球が入賞すると5個の球が賞球として払い出される入賞口の1つにもなっている。なお、本実施形態においては、第1入賞口64へ球が入賞した場合に払い出される賞球数と第2入賞口640へ球が入賞した場合に払い出される賞球数とを同じに構成したが、第1入賞口64へ球が入賞した場合に払い出される賞球数と第2入賞口640へ球が入賞した場合に払い出される賞球数とを異なる数、例えば、第1入賞口64へ球が入賞した場合に払い出される賞球数を3個とし、第2入賞口640へ球が入賞した場合に払い出される賞球数を5個として構成してもよい。
第2入賞口640には電動役物640aが付随されている。この電動役物640aは開閉可能に構成されており、通常は電動役物640aが閉鎖状態(縮小状態)となって、球が第2入賞口640へ入賞しにくい状態となっている。一方、スルーゲート67への球の通過を契機として行われる第2図柄の変動表示の結果、「○」の図柄が第2図柄表示装置に表示された場合、電動役物640aが開放状態(拡大状態)となり、球が第2入賞口640へ入賞しやすい状態となる。
上述した通り、確変中および時短中は、通常中と比して第2図柄の当たり確率が高く、また、第2図柄の変動表示にかかる時間も短いので、第2図柄の変動表示において「○」の図柄が表示され易くなって、電動役物640aが開放状態(拡大状態)となる回数が増える。更に、確変中および時短中は、電動役物640aが開放される時間も、通常中より長くなる。よって、確変中および時短中は、通常時と比して、第2入賞口640へ球が入賞しやすい状態を作ることができる。
ここで、第1入賞口64に球が入賞した場合と第2入賞口640へ球が入賞した場合とで、大当たりとなる確率は、低確率状態であっても高確率状態でも同一である。しかしながら、大当たりとなった場合に選定される大当たりの種別として15R確変大当たりとなる確率は、第2入賞口640へ球が入賞した場合のほうが第1入賞口64へ球が入賞した場合よりも高く設定されている。一方、第1入賞口64は、第2入賞口640にあるような電動役物は有しておらず、球が常時入賞可能な状態となっている。
よって、通常中においては、第2入賞口640に付随する電動役物が閉鎖状態にある場合が多く、第2入賞口640に入賞しづらいので、電動役物のない第1入賞口64へ向けて、可変表示装置ユニット80の左方を球が通過するように球を発射し(所謂「左打ち」)、第1入賞口64への入賞によって大当たり抽選の機会を多く得て、大当たりとなることを狙った方が、遊技者にとって有利となる。
一方、確変中や時短中は、スルーゲート67に球を通過させることで、第2入賞口640に付随する電動役物640aが開放状態となりやすく、第2入賞口640に入賞しやすい状態であるので、第2入賞口640へ向けて、可変表示装置80の右方を球が通過するように球を発射し(所謂「右打ち」)、スルーゲート67を通過させて電動役物を開放状態にすると共に、第2入賞口640への入賞によって15R確変大当たりとなることを狙った方が、遊技者にとって有利となる。
このように、本実施形態のパチンコ機10は、パチンコ機10の遊技状態(確変中であるか、時短中であるか、通常中であるか)に応じて、遊技者に対し、球の発射の仕方を「左打ち」と「右打ち」とに変えさせることができる。よって、遊技者に対して、球の打ち方に変化をもたらすことができるので、遊技を楽しませることができる。
第1入賞口64の下方右側には第1可変入賞装置65が配設されており、その略中央部分に横長矩形状の第1特定入賞口(大開放口)65aが設けられている。また、第1入賞口64の下方左側には第2可変入賞装置650が配設されており、その略中央部分に他の入賞口63,64,640と同程度の大きさの円形形状からなる第2特定入賞口650aが設けられている。パチンコ機10においては、第1入賞口64又は第2入賞口640への入賞に起因して行われた大当たり抽選が大当たりとなると、所定時間(変動時間)が経過した後に、大当たりの停止図柄となるよう第1図柄表示装置37A又は第1図柄表示装置37Bを点灯させると共に、その大当たりに対応した停止図柄を第3図柄表示装置81に表示させて、大当たりの発生が示される。その後、球が入賞し易い特別遊技状態(大当たり)に遊技状態が遷移する。この特別遊技状態として、通常時には閉鎖されている特定入賞口65a,650aが、所定時間(例えば、30秒経過するまで、或いは、球が10個入賞するまで)開放される。
この特定入賞口65a,650aは、所定時間が経過すると閉鎖され、その閉鎖後、再度、その特定入賞口65a,650aが所定時間開放される。この特定入賞口65a,650aの開閉動作は、最高で例えば15回(15ラウンド)繰り返し可能にされている。この開閉動作が行われている状態が、遊技者にとって有利な特別遊技状態の一形態であり、遊技者には、遊技上の価値(遊技価値)の付与として通常時より多量の賞球の払い出しが行われる。
第1可変入賞装置65は、具体的には、第1特定入賞口65aを覆う横長矩形状の開閉板と、その開閉板の下辺を軸として前方側に開閉駆動するための大開放口ソレノイド(図示せず)とを備えている。第1特定入賞口65aは、通常時は、球が入賞できないか又は入賞し難い閉状態になっている。大当たりの際には大開放口ソレノイドを駆動して開閉板を前面下側に傾倒し、球が第1特定入賞口65aに入賞しやすい開状態を一時的に形成し、その開状態と通常時の閉状態との状態を交互に繰り返すように作動する。
第2可変入賞装置650は、具体的には、第2特定入賞口650aへ球を案内する案内路と、その案内路の第2特定入賞口650a側とは反対側となる開口部である開口651と、その開口651の開放および閉鎖を行うための駆動役物650bと、その駆動役物650bを開口651の下辺を軸に左右方向に開閉駆動するための小開放口ソレノイド(図示せず)とを備えている。第2特定入賞口650aは、通常時は、球が入賞できないか又は入賞し難い閉状態になっている。大当たりの際には小開放口ソレノイドを駆動して駆動役物650bを右方に傾倒し、球が第2特定入賞口650aに入賞しやすい開状態を一時的に形成し、その開状態と通常時の閉状態との状態を交互に繰り返すように作動する。
なお、上記した形態に特別遊技状態は限定されるものではない。特定入賞口65a,650aとは別に開閉される大開放口を遊技領域に設け、第1図柄表示装置37A,37Bにおいて大当たりに対応したLEDが点灯した場合に、特定入賞口65a,650aが所定時間開放され、その特定入賞口65a,650aの開放中に、球が特定入賞口65a,650a内へ入賞することを契機として特定入賞口65a,650aとは別に設けられた大開放口が所定時間、所定回数開放される遊技状態を特別遊技状態として形成するようにしても良い。また、特定入賞口65a,650aは1つに限るものではなく、1つ若しくは2以上の複数(例えば3つ)を配置しても良く、また配置位置も第1入賞口64の下方右側や、第1入賞口64の下方左側に限らず、例えば、可変表示装置ユニット80の左方でも良い。
遊技盤13の下側における右隅部には、証紙や識別ラベル等を貼着するための貼着スペースK1が設けられ、貼着スペースK1に貼られた証紙等は、前面枠14の小窓35(図1参照)を通じて視認することができる。
遊技盤13には、第1アウト口71及び第2アウト口72が設けられている。遊技領域を流下する球であって、いずれの入賞口63,64,65a,640,650aにも入賞しなかった球は、第1アウト口71又は第2アウト口72を通って図示しない球排出路へと案内される。第1アウト口71は、第1入賞口64の下方に配設される一方、第2アウト口72は、第2特定入賞口650aの左側に配設される。即ち、第2アウト口72は、第2特定入賞口650aを挟んで第1アウト口71の反対側に配設される。
よって、遊技領域を流下する球であって、第2特定入賞口650aよりも正面視右側(図2右側)において遊技領域の下端(内レール61又は外縁部材73)に達した球は、内レール61又は外縁部材73の傾斜に沿って流下され、第1アウト口71を通って球排出路へ案内される一方、第2特定入賞口650aよりも正面視左側において遊技領域の下端(内レール61)に達した球は、内レール61の傾斜(湾曲)に沿って流下され、第2アウト口72を通って球排出路へ案内される。
遊技盤13には、球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘が植設されているとともに、風車等の各種部材(役物)とが配設されている。
図3に示すように、パチンコ機10の背面側には、制御基板ユニット90,91と、裏パックユニット94とが主に備えられている。制御基板ユニット90は、主基板(主制御装置110)と音声ランプ制御基板(音声ランプ制御装置113)と表示制御基板(表示制御装置114)とが搭載されてユニット化されている。制御基板ユニット91は、払出制御基板(払出制御装置111)と発射制御基板(発射制御装置112)と電源基板(電源装置115)とカードユニット接続基板116とが搭載されてユニット化されている。
裏パックユニット94は、保護カバー部を形成する裏パック92と払出ユニット93とがユニット化されている。また、各制御基板には、各制御を司る1チップマイコンとしてのMPU、各種機器との連絡をとるポート、各種抽選の際に用いられる乱数発生器、時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロックパルス発生回路等が、必要に応じて搭載されている。
なお、主制御装置110、音声ランプ制御装置113及び表示制御装置114、払出制御装置111及び発射制御装置112、電源装置115、カードユニット接続基板116は、それぞれ基板ボックス100〜104に収納されている。基板ボックス100〜104は、ボックスベースと該ボックスベースの開口部を覆うボックスカバーとを備えており、そのボックスベースとボックスカバーとが互いに連結されて、各制御装置や各基板が収納される。
また、基板ボックス100(主制御装置110)及び基板ボックス102(払出制御装置111及び発射制御装置112)は、ボックスベースとボックスカバーとを封印ユニット(図示せず)によって開封不能に連結(かしめ構造による連結)している。また、ボックスベースとボックスカバーとの連結部には、ボックスベースとボックスカバーとに亘って封印シール(図示せず)が貼着されている。この封印シールは、脆性な素材で構成されており、基板ボックス100,102を開封するために封印シールを剥がそうとしたり、基板ボックス100,102を無理に開封しようとすると、ボックスベース側とボックスカバー側とに切断される。よって、封印ユニット又は封印シールを確認することで、基板ボックス100,102が開封されたかどうかを知ることができる。
払出ユニット93は、裏パックユニット94の最上部に位置して上方に開口したタンク130と、タンク130の下方に連結され下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール131と、タンクレール131の下流側に縦向きに連結されるケースレール132と、ケースレール132の最下流部に設けられ、払出モータ216(図4参照)の所定の電気的構成により球の払出を行う払出装置133とを備えている。タンク130には、遊技ホールの島設備から供給される球が逐次補給され、払出装置133により必要個数の球の払い出しが適宜行われる。タンクレール131には、当該タンクレール131に振動を付加するためのバイブレータ134が取り付けられている。
また、払出制御装置111には状態復帰スイッチ120が設けられ、発射制御装置112には可変抵抗器の操作つまみ121が設けられ、電源装置115にはRAM消去スイッチ122が設けられている。状態復帰スイッチ120は、例えば、払出モータ216(図4参照)部の球詰まり等、払出エラーの発生時に球詰まりを解消(正常状態への復帰)するために操作される。操作つまみ121は、発射ソレノイドの発射力を調整するために操作される。RAM消去スイッチ122は、パチンコ機10を初期状態に戻したい場合に電源投入時に操作される。
次に、図4を参照して、本パチンコ機10の電気的構成について説明する。図4は、パチンコ機10の電気的構成を示すブロック図である。
主制御装置110には、演算装置である1チップマイコンとしてのMPU201が搭載されている。MPU201には、該MPU201により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM202と、そのROM202内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM203と、そのほか、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路が内蔵されている。主制御装置110では、MPU201によって、大当たり抽選や第1図柄表示装置37A,37B及び第3図柄表示装置81における表示の設定、第2図柄表示装置における表示結果の抽選といったパチンコ機10の主要な処理を実行する。
なお、払出制御装置111や音声ランプ制御装置113などのサブ制御装置に対して動作を指示するために、主制御装置110から該サブ制御装置へ各種のコマンドがデータ送受信回路によって送信されるが、かかるコマンドは、主制御装置110からサブ制御装置へ一方向にのみ送信される。
RAM203は、各種エリア、カウンタ、フラグのほか、MPU201の内部レジスタの内容やMPU201により実行される制御プログラムの戻り先番地などが記憶されるスタックエリアと、各種のフラグおよびカウンタ、I/O等の値が記憶される作業エリア(作業領域)とを有している。なお、RAM203は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置115からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM203に記憶されるデータは、すべてバックアップされる。
停電などの発生により電源が遮断されると、その電源遮断時(停電発生時を含む。以下同様)のスタックポインタや、各レジスタの値がRAM203に記憶される。一方、電源投入時(停電解消による電源投入を含む。以下同様)には、RAM203に記憶される情報に基づいて、パチンコ機10の状態が電源遮断前の状態に復帰される。RAM203への書き込みはメイン処理(図示せず)によって電源遮断時に実行され、RAM203に書き込まれた各値の復帰は電源投入時の立ち上げ処理(図示せず)において実行される。なお、MPU201のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源遮断時に、停電監視回路252からの停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU201へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理(図示せず)が即座に実行される。
主制御装置110のMPU201には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン204を介して入出力ポート205が接続されている。入出力ポート205には、払出制御装置111、音声ランプ制御装置113、第1図柄表示装置37A,37B、第2図柄表示装置、第2図柄保留ランプ、特定入賞口65aの開閉板の下辺を軸として前方側に開閉駆動するための大開放口ソレノイドや電動役物を駆動するためのソレノイドなどからなるソレノイド209が接続され、MPU201は、入出力ポート205を介してこれらに対し各種コマンドや制御信号を送信する。
また、入出力ポート205には、図示しないスイッチ群およびスライド位置検出センサSや回転位置検出センサRを含むセンサ群などからなる各種スイッチ208、電源装置115に設けられた後述のRAM消去スイッチ回路253が接続され、MPU201は各種スイッチ208から出力される信号や、RAM消去スイッチ回路253より出力されるRAM消去信号SG2に基づいて各種処理を実行する。
払出制御装置111は、払出モータ216を駆動させて賞球や貸出球の払出制御を行うものである。演算装置であるMPU211は、そのMPU211により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM212と、ワークメモリ等として使用されるRAM213とを有している。
払出制御装置111のRAM213は、主制御装置110のRAM203と同様に、MPU211の内部レジスタの内容やMPU211により実行される制御プログラムの戻り先番地などが記憶されるスタックエリアと、各種のフラグおよびカウンタ、I/O等の値が記憶される作業エリア(作業領域)とを有している。RAM213は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置115からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM213に記憶されるデータは、すべてバックアップされる。なお、主制御装置110のMPU201と同様、MPU211のNMI端子にも、停電等の発生による電源遮断時に停電監視回路252から停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU211へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理(図示せず)が即座に実行される。
払出制御装置111のMPU211には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン214を介して入出力ポート215が接続されている。入出力ポート215には、主制御装置110や払出モータ216、発射制御装置112などがそれぞれ接続されている。また、図示はしないが、払出制御装置111には、払い出された賞球を検出するための賞球検出スイッチが接続されている。なお、該賞球検出スイッチは、払出制御装置111に接続されるが、主制御装置110には接続されていない。
発射制御装置112は、主制御装置110により球の発射の指示がなされた場合に、操作ハンドル51の回動操作量に応じた球の打ち出し強さとなるよう球発射ユニット112aを制御するものである。球発射ユニット112aは、図示しない発射ソレノイドおよび電磁石を備えており、その発射ソレノイドおよび電磁石は、所定条件が整っている場合に駆動が許可される。具体的には、遊技者が操作ハンドル51に触れていることをタッチセンサ51aにより検出し、球の発射を停止させるための発射停止スイッチ51bがオフ(操作されていないこと)を条件に、操作ハンドル51の回動操作量(回動位置)に対応して発射ソレノイドが励磁され、操作ハンドル51の操作量に応じた強さで球が発射される。
音声ランプ制御装置113は、音声出力装置(図示しないスピーカなど)226における音声の出力、ランプ表示装置(電飾部29〜33、表示ランプ34など)227における点灯および消灯の出力、変動演出(変動表示)や予告演出といった表示制御装置114で行われる第3図柄表示装置81の表示態様の設定などを制御するものである。演算装置であるMPU221は、そのMPU221により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM222と、ワークメモリ等として使用されるRAM223とを有している。
音声ランプ制御装置113のMPU221には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン224を介して入出力ポート225が接続されている。入出力ポート225には、主制御装置110、表示制御装置114、音声出力装置226、ランプ表示装置227、その他装置228、枠ボタン22などがそれぞれ接続されている。その他装置228には、駆動モータ340,430,522,640,740,830が含まれる。
音声ランプ制御装置113は、主制御装置110から受信した各種のコマンド(変動パターンコマンド、停止種別コマンド等)に基づいて、第3図柄表示装置81の表示態様を決定し、決定した表示態様をコマンド(表示用変動パターンコマンド、表示用停止種別コマンド等)によって表示制御装置114へ通知する。また、音声ランプ制御装置113は、枠ボタン22からの入力を監視し、遊技者によって枠ボタン22が操作された場合は、第3図柄表示装置81で表示されるステージを変更したり、スーパーリーチ時の演出内容を変更したりするように、表示制御装置114へ指示する。ステージが変更される場合は、変更後のステージに応じた背面画像を第3図柄表示装置81に表示させるべく、変更後のステージに関する情報を含めた背面画像変更コマンドを表示制御装置114へ送信する。ここで、背面画像とは、第3図柄表示装置81に表示させる主要な画像である第3図柄の背面側に表示される画像のことである。表示制御装置114は、この音声ランプ制御装置113から送信されるコマンドに従って、第3図柄表示装置81に各種の画像を表示する。
また、音声ランプ制御装置113は、表示制御装置114から第3図柄表示装置81の表示内容を表すコマンド(表示コマンド)を受信する。音声ランプ制御装置113では、表示制御装置114から受信した表示コマンドに基づき、第3図柄表示装置81の表示内容に合わせて、その表示内容に対応する音声を音声出力装置226から出力し、また、その表示内容に対応させてランプ表示装置227の点灯および消灯を制御する。
表示制御装置114は、音声ランプ制御装置113及び第3図柄表示装置81が接続され、音声ランプ制御装置113より受信したコマンドに基づいて、第3図柄表示装置81における第3図柄の変動演出などの表示を制御するものである。また、表示制御装置114は、第3図柄表示装置81の表示内容を通知する表示コマンドを適宜音声ランプ制御装置113へ送信する。音声ランプ制御装置113は、この表示コマンドによって示される表示内容にあわせて音声出力装置226から音声を出力することで、第3図柄表示装置81の表示と音声出力装置226からの音声出力とをあわせることができる。
電源装置115は、パチンコ機10の各部に電源を供給するための電源部251と、停電等による電源遮断を監視する停電監視回路252と、RAM消去スイッチ122(図3参照)が設けられたRAM消去スイッチ回路253とを有している。電源部251は、図示しない電源経路を通じて、各制御装置110〜114等に対して各々に必要な動作電圧を供給する装置である。その概要としては、電源部251は、外部より供給される交流24ボルトの電圧を取り込み、各種スイッチ208などの各種スイッチや、ソレノイド209などのソレノイド、モータ等を駆動するための12ボルトの電圧、ロジック用の5ボルトの電圧、RAMバックアップ用のバックアップ電圧などを生成し、これら12ボルトの電圧、5ボルトの電圧及びバックアップ電圧を各制御装置110〜114等に対して必要な電圧を供給する。
停電監視回路252は、停電等の発生による電源遮断時に、主制御装置110のMPU201及び払出制御装置111のMPU211の各NMI端子へ停電信号SG1を出力するための回路である。停電監視回路252は、電源部251から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視し、この電圧が22ボルト未満になった場合に停電(電源断、電源遮断)の発生と判断して、停電信号SG1を主制御装置110及び払出制御装置111へ出力する。停電信号SG1の出力によって、主制御装置110及び払出制御装置111は、停電の発生を認識し、NMI割込処理を実行する。なお、電源部251は、直流安定24ボルトの電圧が22ボルト未満になった後においても、NMI割込処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの電圧の出力を正常値に維持するように構成されている。よって、主制御装置110及び払出制御装置111は、NMI割込処理(図示せず)を正常に実行し完了することができる。
RAM消去スイッチ回路253は、RAM消去スイッチ122(図3参照)が押下された場合に、主制御装置110へ、バックアップデータをクリアさせるためのRAM消去信号SG2を出力するための回路である。主制御装置110は、パチンコ機10の電源投入時に、RAM消去信号SG2を入力した場合に、バックアップデータをクリアすると共に、払出制御装置111においてバックアップデータをクリアさせるための払出初期化コマンドを払出制御装置111に対して送信する。
次いで、図5を参照して、遊技盤13における入賞口63,64,65a,640,650aやアウト口71,72などの各構成のレイアウト(配置)について説明する。図5は、遊技盤13の正面模式図である。なお、図5では、入賞口63,64,65a,640,650aなどの各構成が模式的に図示されると共に、遊技盤13の一部が部分的に拡大して図示される。
図5に示すように、内レール61は、遊技領域の正面視において、右下側に配置される部分(第1アウト口71よりも右側の部分)が、直線状に延設されると共に第1アウト口71から離間される方向へ向けて上昇傾斜して形成される。
内レール61の右下側の先端部と外レール62の右上側の先端部との間には、それら両レール61,62と共に遊技領域の外縁を画定する樹脂製の外縁部材73が配設される。外縁部材73は、外レール62を延長した円弧状の壁面を内面側に設けて形成される円弧壁部73aと、その円弧壁部73aの下方に連設され鉛直方向(図5上下方向)に沿って直線状に延設される壁面を内面側に設けて形成される垂直壁部73bと、その垂直壁部73bの下方に連設され内レール61へ向けて下降傾斜しつつ直線状に延設される壁面を内面側に設けて形成される傾斜壁部73cとからなる。
このように、内レール61、外レール62及び外縁部材73により画定される遊技領域は、略円形状の一部(図5下方右側部分)が、略矩形状に形成され外方へ拡大された形状とされる。詳細には、第1アウト口71よりも右側に配設される内レール61の直線状の部分と、外縁部材73の傾斜壁部73c及び垂直壁部73bとにより画定される領域が略矩形状に形成される。
これにより、遊技領域が内レール61及び外レール62を延長した略円形状に形成される場合と比較して、略矩形状の領域(図5下方右側部分)を備える分、遊技領域全体としての面積を拡大することができる。よって、その拡大した領域を、一般入賞口63、第1入賞口64、第2入賞口640、第1可変入賞装置65、第2可変入賞装置650、スルーゲート67などを配設するスペースとして、或いは、球を流下させる経路を形成するためのスペースとして活用して、各入賞口63,64,65a,640,650aや球の流下経路などの配置の自由度を高めることができる。その結果、第3図柄表示装置81の下縁の位置を下方(図5下側)へ下げることができるので、その分、第3図柄表示装置81の大型化を図ることができる。
即ち、従来のパチンコ機では、第3図柄表示装置81の下方において、第1入賞口64、第2入賞口640及び可変入賞装置65が上下方向(図5上下方向)に沿って直列に配置されていた。そのため、第3図柄表示装置81の下方に必要なスペースが上下方向に嵩み、かかる第3図柄表示装置81の大型化が阻害されていた。
これに対し、本実施形態の遊技盤13によれば、遊技領域の拡大された部分(略矩形状の領域、図5下方右側部分)を入賞口などの配設スペースあるいは球の流下経路の形成スペースとして利用することができる。具体的には、本実施形態では、第2入賞口640および第1可変入賞装置65が第1入賞口64の直下ではなく、上述した遊技領域の拡大された部分に配置される。よって、その分、第1入賞口64の位置を下方へ下げることができるので、第3図柄表示装置81の大型化を図ることができる。
また、本実施形態の遊技機13によれば、第2特定入賞口650aも、第1入賞口64の直下ではなく、第1入賞口64に対して遊技領域の幅方向一側(可変入賞装置65と反対側、図5左側)にオフセットされ、かつ、内レール61(遊技領域の下縁)に当接する位置(即ち、第2特定入賞口650aと内レール61との間を球が通過不能となる位置)に配置される。よって、その分、第1入賞口64の位置を下方へ下げることができるので、第3図柄表示装置81の大型化を図ることができる。
この場合、本実施形態の遊技盤13によれば、遊技領域から球排出路へ球を排出するための経路を2ヶ所(第1アウト口71及び第2アウト口72)に設けることで、第3図柄表示装置81の更なる大型化が可能とされている。
即ち、第3図柄表示装置81を大型化するためには、かかる第3図柄表示装置81の下縁の位置が下方に下がるため、その分、入賞口の位置も下方へ下げる必要がある。例えば、第1入賞口64の位置が下方へ下がると、案内板部材74(右打ち時の球(可変表示装置ユニット80の右方を通過した球)を第2特定入賞口650aへ案内する部材)の位置も、球を流下させるスペースを第1入賞口64との間に確保するべく、下方へ下げる必要が生じ、その結果、第2特定入賞口650aの位置も下方へ下げる必要が生じる。
しかしながら、第2特定入賞口650aの位置が下方へ下がり過ぎると、第2特定入賞口650aの下方(内レール61との間)に球を流下させるためのスペースを確保できなくなる。即ち、入賞口に入賞されずに流下した球を第1入賞口64の下方に配設されるアウト口から排出できなくなる。そのため、かかる第2特定入賞口650aの位置を下方へ下げるには限界があり、第3図柄表示装置81を十分に大型化することができない要因となる。
これに対し、本実施形態の遊技盤13によれば、上述したように、第1アウト口71に加え、第2アウト口72が、第2特定入賞口650aを挟んで、第1アウト口71の反対側に配設されている(即ち、第2特定入賞口650aの右側および左側に第1アウト口71及び第2アウト口72がそれぞれ配設されている)ので、遊技領域を流下する球であって、第2特定入賞口650aよりも正面視右側(図5右側)において遊技領域の下端(内レール61又は外縁部材73)に達した球は、内レール61又は外縁部材73の傾斜に沿って流下させ、第1アウト口71により球排出路へ排出できる一方、第2特定入賞口650aよりも正面視左側において遊技領域の下端(内レール61)に達した球は、内レール61の傾斜(湾曲)に沿って流下させ、第2アウト口72から球排出路へ排出できる。
このように、遊技領域から球排出路へ球を排出するための経路を2ヶ所(第1アウト口71及び第2アウト口72)に設けることで、第2特定入賞口650aの下方(内レール61との間)に、球を流下させるためのスペースを確保することを不要とできる。よって、第2特定入賞口650aの位置を更に下方に下げる(内レール61に近接させる又は連設させる)ことができるので、その分、案内板部材75の位置を下方へ下げることができ、ひいては、第1入賞口64の位置を下方へ下げることができるので、その分、第3図柄表示装置81の更なる大型化を図ることができる。
なお、本実施形態では、第2入賞口640および第1特定入賞口65aが盤面右側にオフセットされて配設されると共に、第2特定入賞口650aが盤面左側にオフセットされかつ内レール61に近接(又は当接)されて配設されることで、回転動作ユニット300による演出をより効果的に行うことができる。
即ち、遊技者が右打ちを行う場合には、球が流下する盤面右側のみが遊技者により注目され、特に、第2入賞口640への入賞がなされなかった球に対しては、それ以降の流下が遊技者に注目されることは少ない。この場合、本実施形態では、可変表示装置ユニット80の右方を通過した球のうち、第2入賞口640の上側を右から左へ通過した球は、案内板部材74の上側を通過し、第2特定入賞口650aへ向けて流下される。そのため、第2入賞口640への入賞がなされなかった場合でも、次いで、第2特定入賞口650aへの入賞の機会が発生し、その第2特定入賞口650aへの入賞の期待から、第2入賞口640の上側を右から左へ通過した球を遊技者に注目させる(視線を向けさせる)ことができる。これにより、遊技者の視線を、可変表示装置ユニット80下方における盤面中央にも向けさせることができる。後述するように、本実施形態では、第1入賞口64の背面側に回転動作ユニット300が配設され、その回転動作ユニット300が遊技盤13越しに(遊技盤13を透過して)視認可能とされるので、第2入賞口640への入賞がなされなかった球が、第2特定入賞口650aへ向けて流下する際に、回転動作ユニット300による演出も遊技者に視認させ、かかる回転動作ユニット300の演出効果を高めることができる。
上述したように、遊技盤13は、ベース板60が光透過性の樹脂材料から形成され、そのベース板60の背面側に配設される回転動作ユニット300を正面側から遊技者に視認させることが可能とされる。ここで、回転動作ユニット300は、第1入賞口64への入賞を契機として又は入賞による抽選の結果を契機として動作される装置であり、遊技盤13(ベース板60)の背面側において、第1入賞口64に対応する位置に配設される。
よって、第1入賞口64へ向けて流下する球を目で追う遊技者に対し、特に、第1入賞口64に球が入賞した場合には、その第1入賞口64の背後において、回転動作ユニット300による演出を視認させることができるので、第1入賞口64への球の入賞に伴う演出を効果的に行うことができる。なお、回転動作ユニット300の詳細構成については後述する。
この場合、第1入賞口64に対し、第2入賞口640及び第1可変入賞装置65が左右方向(遊技領域の幅方向、図5右方向)にオフセットされて配置されているので、その分、第1入賞口64及び回転動作ユニット300の位置を下方(図5下側)へ下げることができ、その結果、回転動作ユニット300を第1入賞口64に対応する位置であって遊技盤13(ベース板60)の背面側に配設する場合であっても、第3図柄表示装置81の大型化を図ることができる。
即ち、従来のパチンコ機のように、第1入賞口64、第2入賞口640及び第1可変入賞装置65が上下方向に直列に配置される場合には、第1入賞口64に対応する位置において遊技盤13(ベース板60)の背面側に回転動作ユニット300を配設することは、かかる回転動作ユニット300と第2入賞口640及び第1可変入賞装置65とが干渉するため、第1入賞口64、第2入賞口640及び第1可変入賞装置65の配設に必要なスペースが上下方向に嵩み、第3図柄表示装置81の大型化を阻害することになる。
これに対し、本実施形態の遊技盤13によれば、上述したように、第1入賞口64に対し、第2入賞口640、第1可変入賞装置65及び第2可変入賞装置650が左右方向(遊技領域の幅方向)にオフセットして配置されているので、これら第2入賞口640、第1可変入賞装置65及び第2可変入賞装置650と回転動作ユニット300との干渉を回避でき、その分、第1入賞口64の位置を下方へ下げることができ、第3図柄表示装置81の大型化を図ることができる。
特に、第1可変入賞装置65については、遊技領域の下方右側の略矩形状に拡大された領域を利用して右側にオフセットされることで、そのオフセット量を十分に確保できると共に、第2可変入賞装置650については、第1アウト口71に加えて第2アウト口72が設けられることで、球が流下するための下方のスペースの確保を考慮せずに、その位置を下方へ下げることができる。これにより、回転動作ユニット300を配設するためのスペースをより広く確保できるので、第3図柄表示装置81の大型化と回転動作ユニット300の大型化という背反する課題を解決することができる。その結果、第3図柄表示装置81による演出効果と回転動作ユニット300による演出効果との両者の演出効果を高めることができる。
ここで、回転動作ユニット300は、第1入賞口64を中心として回転可能な略円形状に形成される。これにより、第1入賞口64を取り囲む周囲全体を演出のための領域とすることができる。即ち、回転動作ユニット300による演出をその第1入賞口64の背面側において遊技者に視認させることできる。よって、第1入賞口64への入賞を契機として演出が開始される場合には、球が入球した第1入賞口64を中心とする領域で演出が行われることにより、第1入賞口64への入賞に伴う演出の演出効果を高めることができる。
また、回転動作ユニット300の状態(例えば、回転位置や点灯状態)が所定の状態となったことを契機として、第1入賞口64へ球を入賞させることを遊技者が開始する場合には、遊技者が視認している対象物(所定の状態となった回転動作ユニット300)の中心へ向けて遊技球を入球させることとでき、回転動作ユニット300による演出の演出効果を高めることができる。
更に、このように、回転動作ユニット300が略円形状に形成されることで、かかる回転動作ユニット300の周囲のスペースを有効に活用でき、他の入賞口などのための配設スペースを効率的に確保できる。特に、第2可変入賞装置650の配設スペースを効率的に確保できる。即ち、第1可変入賞装置65については、遊技領域の下方右側の略矩形状に拡大された領域を利用して第1入賞口64に対して右側にオフセットできるため、その右側へのオフセット量を比較的確保しやすい一方、第2可変入賞装置650については、内レール61が円弧状に湾曲されているが故に、第1入賞口64に対する左側へのオフセット量を十分に確保することが困難となる。この場合、回転動作ユニット300が略円形状とされていることで、かかる回転動作ユニット300の下方左側において、第2可変入賞装置650を配設するためのスペースを内レール61との間に効率的に確保できる。
また、回転動作ユニット300は、第1入賞口64を中心とする略円形状に形成されるので、かかる回転動作ユニット300を遊技領域の幅方向(図5左右方向)略中央に配置することができる。即ち、第3図柄表示装置81の下縁と内レール61との間の距離(図5上下方向の距離)が最大となる仮想線上に、回転動作ユニット300の中心を配置することができる。よって、第3図柄表示装置81の大型化を図りつつ、遊技領域の限られたスペースを有効に活用できるので、回転動作ユニット300を配設するためのスペースをより広く確保して、かかる回転動作ユニット300の大型化も効率的に行うことができる。
本実施形態では、上述したように、第2入賞口640が、第1入賞口64の直下ではなく、第1入賞口64に対して遊技領域の幅方向他側(第1可変入賞装置65側、図5右側)にオフセットされて配置される。この場合、第2入賞口640は、その開口641が遊技領域の幅方向他側(第1可変入賞装置65側、図5右側)を臨む姿勢で配設される。これにより、第2入賞口640への入賞のために球を流下させるスペースを、かかる第2入賞口640の上方に設けることを不要として、その分、第3図柄表示装置81の下縁の位置を下方に下げることができる。その結果、第3図柄表示装置81の大型化を図ることができる。
また、本実施形態では、上述したように、第2特定入賞口650aが、第1入賞口64の直下ではなく、第1入賞口64に対して遊技領域の幅方向一側(第1可変入賞装置65と反対側、図5左側)にオフセットされて配置される。この場合、第2特定入賞口650aは、その開口651が遊技領域の幅方向他側(第1可変入賞装置65側、図5右側)を臨む姿勢で配設される。これにより、第2特定入賞口650aへの入賞のために球を流下させるスペースを、かかる第2特定入賞口650aの上方に設けることを不要として、その分、第3図柄表示装置81の下縁の位置を下方に下げることができる。その結果、第3図柄表示装置81の大型化を図ることができる。
即ち、第2入賞口640の開口641及び第2特定入賞口650aの開口651が遊技領域の上方(図5上側)の臨む姿勢で配設される場合には、球を流下させるためのスペースを開口641,651の真上に確保する必要が生じ、その分、第3図柄表示装置81の下縁の位置を上方に上げる必要が生じ、第3図柄表示装置81の大型化が阻害される。これに対し、本実施形態のように、開口641,651が遊技領域の幅方向他側を臨む場合には、球を流下させるためのスペースを開口641,651の斜め上方(図5右上側)に確保すれば良く、その分、第3図柄表示装置81の下縁の位置を下方に下げることができる。その結果、第3図柄表示装置81の大型化を図ることができる。
このように、開口641,651が遊技領域の幅方向他側を臨む場合には、電動役物640a,650bを、第2入賞口640及び第2特定入賞口650aの真上ではなく、第2入賞口640及び第2特定入賞口650aの側方に配置することができる。即ち、電動役物640a,650bの配置スペースを第2入賞口640及び第2特定入賞口650aの真上に確保する必要がなく、その分、第3図柄表示装置81の下縁の位置を下方に下げることができる。その結果、第3図柄表示装置81の更なる大型化を図ることができる。
更に、開口641,651が遊技領域の幅方向他側を臨むことで、その開口641,651の開放および閉鎖を行うための電動役物640a,650bを一対設けることを不要として、片側のみとすることができる。これにより、電動役物640a,650bを駆動するための駆動手段(例えば、ソレノイド)に必要とされる容量を小型化して、部品コストの削減を図ることができる。同時に、消費エネルギーの抑制を図ることができる。
また、開口641が遊技領域の幅方向他側を臨むことで、第2入賞口640への入賞の難易度が過度に低下することを防ぐことができる。即ち、本実施形態では、第3図柄表示装置81の下縁の位置を下方に下げるので、入賞口等の配設スペースが限定され、第2入賞口640と、スルーゲート67との配置位置の間隔が狭くなる。そのため、第1入賞口64、第2入賞口640及び第1可変入賞装置65が上下方向に直列に配置される従来のパチンコ機に比較して、第2入賞口640へ入球させる難易度が低下し、遊技性を損なう恐れがある。そこで、開口641を遊技領域の幅方向他側を臨むように形成することで、第2入賞口640の真上から球が入賞することを防止すると共に、電動役物640aが開状態にある場合にのみ第2入賞口640に入賞可能とさせることができる。これにより、第2入賞口640へ入賞させる難易度が低下することを防ぎ、遊技性を向上させることができる。
また、開口651が遊技領域の幅方向他側を臨むことで、第2特定入賞口650aの開口651から、第2特定入賞口650aまでの距離(図5左右方向寸法)を長くしても、第3図柄表示装置81と第2特定入賞口650aとの間の距離に影響を与えない。よって、第3図柄表示装置81の大型化を図りつつ、第2特定入賞口650aへの球の入賞を検出するセンサ装置652を開口651と第2特定入賞口650aとの間に配設することができる。これにより、第2特定入賞口650aへ球が入賞したことの検出速度を速めることができるので、入賞に伴う遊技者の高揚感を高めることができる。
これに加えて、第2特定入賞口650aへのオーバー入賞を防止することができる。即ち、開放されている第2特定入賞口650aに所定個数(例えば10個)の球が入賞したことを契機として、第2特定入賞口650aが閉鎖されるように構成する場合、10個目の球が入賞すると即座に駆動役物650bが閉鎖されることが望ましい。しかし、センサ装置652がベース板60の後方に配設される場合、開口651からセンサ装置652までの距離が離れる。
そのため、10個目の球が開口651を通過してからセンサ装置652に到達するまでの期間、即ち駆動役物650bが開状態である期間が長くなり、11球目以降の球が開口651から第2特定入賞口650aに入賞可能な状態が長期間にわたって形成され、遊技の公平性を欠く恐れがある。
これに対し、本実施形態の遊技盤13によれば、上述したように、第2特定入賞口650aへの球の入賞を検出するセンサ装置652が開口651と第2特定入賞口650aとの間に配設されているので、開口651を通過した球がセンサ装置652に検出されるまでの期間を短くできる。これにより、11球目以降の球が開口651から入賞可能な状態を生じにくくし、オーバー入賞を防止することができる。
ここで、本実施形態の遊技盤13において、第1特定入賞口65aと、第2特定入賞口650aとは、それぞれ遊技盤13の左右(他側と一側)方向にオフセットして配置されていることで、遊技者に左右の打ち分けをさせ、遊技性の向上に寄与する。
即ち、本実施形態の遊技盤13においては、第1特定入賞口65aへは可変表示装置ユニット80の右方を通過する方が入賞しやすい一方で、第2特定入賞口650aへは可変表示装置ユニット80の左方を通過した方が入賞しやすい配置となっている。どちらの特定入賞口が開放するかは、その時の大当たりの停止図柄によって決定され、遊技者は、開放される側の特定入賞口を狙うために、左右に打ち分けることになる。
どちらの特定入賞口が開放されるかは、大当たりの停止図柄ごとの回数(ラウンド)単位で設定可能であるので、第1特定入賞口65aもしくは第2特定入賞口650aのみが毎回開放する場合がある一方で、第1特定入賞口65aと第2特定入賞口650aとが回数(ラウンド)ごとに交互に開放する場合もある。
そのため、遊技者はどちらの特定入賞口が開放するかを回数(ラウンド)単位で確認し、その開放される特定入賞口を狙うために左右に打ち分ける必要があるので、遊技者に遊技盤13の他側のみでなく、一側にも注目させる効果がある。即ち、遊技者が遊技盤13の一側もしくは他側のみに注目するという状況が生じることを防止し、第1入賞口64の後方に配置される回転動作ユニット300が視界に入る状況を作り出すことで、回転動作ユニット300に注目させることができると共に、その演出効果を向上させることができる。
また、左右の打ち分けをする判断を、大当たりの回数(ラウンド)ごとにさせることで、遊技者を退屈させることを防止できると共に、遊技者に左右の打ち分けを行わせることで、同じ姿勢で遊技することにより生じる疲労感を緩和することができる。
次いで、図6から図13を参照して、動作ユニット200について説明する。まず、図6から図9を参照して、背面ケース210への各ユニット300〜800の収容構造について説明する。
図6は、動作ユニット200の正面斜視図であり、図7から図9は、分解した動作ユニット200を正面視した動作ユニット200の分解正面斜視図である。なお、図8では、揺動動作ユニット800、円環動作ユニット700及び第1結合動作ユニット500が背面ケース210に装着された状態が図示され、図9では、図8に示す装着状態に加えて更に第2結合動作ユニット600及び複合動作ユニット400が背面ケース210に装着された状態が図示される。
図6から図9に示すように、動作ユニット200は、底壁部211と、その底壁部211の外縁から立設される外壁部212とから一面側(図7紙面手前側)が開放された箱状に形成される背面ケース210を備える。背面ケース210は、その底壁部211の中央に矩形状の開口211aが開口形成されることで、正面視矩形の枠状に形成される。開口211aは、第3図柄表示装置81(図2参照)の外形に対応した(即ち、第3図柄表示装置81を配設可能な)大きさに形成される。
動作ユニット200は、背面ケース210の内部空間に、回転動作ユニット300、複合動作ユニット400、第1結合動作ユニット500、第2結合動作ユニット600、円環動作ユニット700及び揺動動作ユニット800がそれぞれ収容され、これを1ユニットとして構成される。
具体的には、第1結合動作ユニット500は開口211aの上方となる位置において、円環動作ユニット700は開口211aの下方となる位置において、揺動動作ユニット800は開口211aの左右となる位置において、それぞれ背面ケース210の底壁部211に配設される(図8参照)。
この図8に示す状態に対し、第2結合動作ユニット600は円環動作ユニット700の前面側に、複合動作ユニット500は揺動動作ユニット800の前面側に、それぞれ重ね合わされた積層状態で配設され、背面ケース210に収容される(図9参照)。この図9に示す状態に対し、回転動作ユニット300が第2結合動作ユニット600の前面側に重ね合わされた積層状態で配設され、背面ケース210に収容される(図6参照)。
このように、本実施形態では、所定の動作ユニット(例えば、第2結合動作ユニット600)に対し、他の動作ユニット(例えば、回転動作ユニット300)が前面側に重ね合わされた積層状態で配設されるので、正面視において、所定の動作ユニットの少なくとも一部(例えば、第2結合動作ユニット600の表ケース体612、図42参照)を、他の動作ユニットによって遮蔽することができる。
言い換えれば、遊技盤13が光透過性材料から形成され、その遊技盤13の背面側に配設される動作ユニットを遊技者が視認可能とされる場合に、所定の動作ユニットの必要な部分のみを遊技者に視認させ、他の部分を他の動作ユニットにより遊技者から遮蔽することができる。これにより、他の動作ユニットによって遮蔽される所定の演出部材については、その全体が遊技者から視認されることを前提として設計する必要がないので、その設計の自由度の向上を図ることができる。
次いで、図10から図13を参照して、各ユニット300〜800の動作態様の概略について説明する。なお、図10から図13の説明においては、図6から図9を適宜参照する。
図10から図13は、動作ユニット200の正面図である。なお、図10では円環動作ユニット700の円環形成部材790が結合位置に配置された状態が、図11では揺動動作ユニット800のアーム部材820が張出位置に配置された状態が、図12では第1結合動作ユニット500の第1係合部材539及び第2結合動作ユニット600の第2結合部材630が結合位置に配置された状態が、図13では複合動作ユニット400の動作部材491,492が張出位置に配置された状態が、それぞれ図示される。
円環動作ユニット700は、一対の円環形成部材790を備え、これら一対の円環形成部材790を、図8に示す退避位置と図10に示す結合位置との間で動作(変位)させる。図8に示す退避位置では、一対の円環形成部材790は、左右に振り分けられつつ、回転動作ユニット300の背面側に退避され、遊技者から視認不能とされる(図6参照)。一方、図10に示す結合位置では、一対の円環形成部材790は、背面ケース210の開口211a中央(即ち、第3図柄表示装置81の正面)に配置されると共に、互いに結合される(一対の円環形成部材790により円環形状が形成される)。
揺動動作ユニット800は、揺動(回転)可能に形成される一対のアーム部材820を備え、これら一対のアーム部材820を、図8に示す退避位置と図11に示す張出位置との間で動作(変位)させる。図8に示す退避位置では、一対のアーム部材820は、複合動作ユニット400の背面側に退避され、遊技者から視認不能とされる(図6参照)。一方、図11に示す張出位置では、一対のアーム部材820は、背面ケース210の開口211a内(即ち、第3図柄表示装置81の正面)にその先端を張り出させる。
第1結合動作ユニット500及び第2結合動作ユニット600は、第1係合部材539及び一対の第2結合部材630をそれぞれ備え、これら第1係合部材539及び一対の第2結合部材630を図9に示す退避位置と図12に示す結合位置との間で動作(変位)させる。図9に示す退避位置では、第1係合部材539は複合動作ユニット400の背面側に退避されると共に、第2結合部材630は複合動作ユニット400の背面側に退避され、それぞれ遊技者から視認不能とされる(図6参照)。一方、図12に示す結合位置では、第1係合部材539及び一対の第2結合部材630が背面ケース210の開口211a中央(即ち、第3図柄表示装置81の正面)に配置されると共に、互いに結合される。
複合動作ユニット400は、揺動(回転)可能に形成される4本の部材(動作部材491,492)を備え、これら4本の部材(動作部材491,492)を、図9に示す退避位置と図13に示す張出位置との間で動作(変位)させる。図9に示す退避位置では、4本の部材(動作部材491,492)は、背面ケース210の開口211a(即ち、第3図柄表示装置81)の側方に退避され、2本一組がそれぞれ上下方向に沿って直線状に整列した姿勢に配置される。一方、図13に示す張出位置では、4本の部材(動作部材491,492)は、背面ケース210の開口211a内(即ち、第3図柄表示装置81の正面)にその先端を張り出させ、開口211aの中央からそれぞれ放射直線状に延びる姿勢に配置される。
回転動作ユニット300は、回転可能に形成される回転部材330を備え、その回転部材330を回転動作させる。なお、図10から図13に示すように、回転動作ユニット300の回転部材330は、定位置において回転動作され、また、複合動作ユニット400の動作部材491,492は、張出位置または退避位置のいずれの位置においても最前面に配置されるため、遊技盤13(図2参照)を介して、常に遊技者から視認可能とされる。
これら各動作ユニット300〜800は、それぞれ独立して動作可能に形成されると共に、上述したように、重ね合わされた(積層された)状態で配設されるので、各動作ユニット300〜800のうちの層を違えて配設されるものについては、同時に動作させることができる。即ち、図10から図13で例示したように、各動作ユニット300〜800をそれぞれ単体で動作させるだけでなく、これらの動作を組み合わせることができるので、その演出効果を高めることができる。
図14から図19を参照して、回転動作ユニット300について説明する。図14は、回転動作ユニット300の正面斜視図であり、図15は、回転動作ユニット300の背面図である。
回転動作ユニット300は、上述したように、遊技盤13(ベース板60)の背面側において、第1入賞口64(図2又は図5参照)に対応する位置(正面視において重なる位置)に配設される演出部材であり、正面中央に受入口361が開口され、第1入賞口64に入賞された球を、受入口361から受け入れ、案内通路380を介して、図示しない球排出路へ案内する。
回転動作ユニット300の正面側には、正面視円環状の回転部材330と、装飾用の樹脂製部材である装飾部材370とが配設され、回転部材330の略中心部分には、受入口361(固定部材360)が配置される。回転部材330は、光透過性の樹脂材料から回転可能に形成され、その背面側に配設されたLEDの点灯や点滅を前面側へ透過させると共に、自身が回転されることで、第1入賞口64(図2又は図5参照)の周囲において、所定の演出を行う。
図16及び図17は、分解した回転動作ユニット300を正面視した回転動作ユニット300の分解正面斜視図である。なお、図16では、回転部材330のみを分解した状態が図示される。また、図17では、装飾部材370の図示が省略されると共に、第1歯車351と第3歯車353との一部が部分的に断面視される。
図16及び図17に示すように、回転動作ユニット300は、その最背面側において骨格をなすケース体310と、そのケース体310に固着される電飾基部320と、その電飾基部320の正面側に配設される回転部材330と、その回転部材330に駆動モータ340の回転駆動力を伝達するための複数の歯車(第1歯車351、第2歯車352及び第3歯車353)と、それら複数の歯車のうちの第1歯車351をケース体310に固定するための固定部材360と、ケース体310の周囲に配設される装飾部材370と、を主に備えて構成される。
ケース体310は、電飾基部320に対応する正面視略円環状に形成される電飾基部取り付け部311と、その電飾基部取り付け部311よりも背面側に後退して形成される歯車取り付け部312と、それら電飾基部取り付け部311及びは歯車取り付け部312の外縁からそれぞれ外方へ延設される取り付け台座313とを主に備え、これらが樹脂材料から一体に形成される。
電飾基部取り付け部311には、正面側に電飾基部320が、外周側に装飾部材370が、それぞれ締結ねじにより締結固定される。歯車取り付け部312は、第1歯車351から第3歯車353の外形にそれぞれ対応して凹設される正面視略円形状の3つの凹部が互いに連なって形成され、これら各凹部に第1歯車351から第3歯車353がそれぞれ収納(配設)される。
電飾基部取り付け部311の内周側には、歯車取り付け部312のうちの第1歯車351が収納される部位の上方に、開口311aが開口形成される。ケース体310に開口311aが形成されることで、かかる開口311aを介して、ケース体310の背面側から締結ねじにより第1歯車351(締結座部351d)に回転部材330(被締結部333)を締結固定することができる。よって、回転部材330の正面側に締結ねじが露出することを回避して、その外観の向上を図ることができる。
歯車取り付け部312には、第1歯車351が収納される凹部に、通過口314と、被締結部315と、挿通部316と、ガイド凸部317とがそれぞれ形成される。通過口314は、固定部材360の受入口361に連通される通路であり、固定部材360の受入口361から流入した球を、ケース体310の背面側に形成される案内通路380へ案内する。
なお、案内通路380は、ケース体310の背面に断面コ字状の部材が装着されることで、その装着された部材とケース体310の背面との間に球が通過可能な通路として形成される(図15参照)。案内通路380は、ケース体310の背面において通過口314に連通されると共に、下方へ向けて延設される。
取り付け台座313には、挿通孔が穿設されており、その挿通孔に挿通された締結ねじを第2結合動作ユニット600の表ケース体612に締結することで、回転動作ユニット300が第2結合動作ユニット600を介して背面ケース210に締結固定される(図9及び図42参照)。
被締結部315は、固定部材360を歯車取り付け部312に締結固定するための締結ねじが締結される部位(内周にめねじが刻設された凹部)であり、通過口314を挟んで左右非対称となる位置に一対が形成される(図18参照)。挿通部315は、歯車取り付け部312(ケース体310)を背面側の第2結合動作ユニット600の表ケース体612(図9及び図42参照)に締結固定するための締結ねじを挿通させるための貫通孔であり、通過口314の上方に形成される。
ガイド凸部317は、第1歯車351の回転をガイド(案内)するためのレール状の部位であり、正面視円環状の凸部として歯車取り付け部312の正面から突設される。第1歯車351の背面には、ガイド部317に対応する正面視円環状のガイド凹部351eが凹設されており(図19参照)、そのガイド凹部351eにガイド突部317が嵌め入れられることで、歯車取り付け部312に対する第1歯車351の回転位置が規定される。
ここで、歯車取り付け部312は、ガイド凸部317に取り囲まれて形成される正面視円形状の領域において、通過口314が中心から下方にずれた位置(偏心した位置)に配設される一方、被締結部315が通過口314を挟んで左右に配設され、挿通部316が通過口314の上方に配設される。これにより、後述するように、限られたスペースにおいて締結固定のためのスペースを効率的に確保しつつ、ケース体310及び固定部材360の剛性を確保することができる。
歯車取り付け部312には、第2歯車352が収納される凹部に、軸部318が突設される。軸部318は、第2歯車352を軸支するための軸体であり、第2歯車352の中心に穿設された軸孔352aに挿通される。なお、本実施形態では、第2歯車352の軸孔352aに挿通された軸部318の先端に、第2歯車352の抜け止めを設けることを省略可能に形成される。詳細については後述する。
歯車取り付け部312の背面には、第3歯車353が収納される凹部に対応する位置に、駆動モータ340が配設される。駆動モータ340は、その駆動軸340aを歯車取り付け部312の正面(第3歯車353が収納される凹部内)に突出させた状態で配設され、その駆動軸340aに第3歯車353が固着される。
電飾基部320は、正面視円環状に形成されると共に正面側に複数のLED321aが実装される基板部321と、その基板部321の正面に配設されると共に基板部321の正面を複数の領域に区画する区画部322とを備えて構成される。
詳細には、区画部322は、基板部321の内縁および外縁に沿って延設される正面視環状の内縁リブ322a及び外縁リブ322bと、それら両リブ322a,322bの間に所定間隔を隔てつつ同心に形成される正面視環状の中間リブ322cと、これら各リブ322a〜322cの中心から径方向外方へ向けて放射直線状に延設される複数の放射リブ322dとが格子状に交差して配設される。なお、複数の放射リブ322dは、周方向等間隔(本実施形態では略30度間隔)に配設される。
よって、本実施形態では、電飾基部320には、内周側に12個および外周側に12個の合計24個の領域が区画部322により区画され、それら区画された各領域には、それぞれ1乃至2個のLED321aが配設される。これにより、各LED321aをそれぞれ個別に点灯や点滅させる際には、その点灯や点滅に関連する領域と関連しない領域との間で明暗の差を大きくすることができ、その結果、演出効果を高めることができる。
回転部材330は、中心に開口が形成される正面視円環状の回転本体331と、その回転本体331の外縁から軸方向に延設される円筒状の外壁部332とを備え、これらが光透過性の樹脂材料から一体に形成される。回転本体331の中心に形成される開口の内径は、固定部材360の外径に対応されており、組み立て状態では、回転本体331の開口内に固定部材360が収容される(図14参照)。
回転本体331の背面には、被締結部333が複数箇所(本実施形態では3箇所)に形成される。被締結部333は、回転本体331(回転部材330)を第1歯車351に締結固定するための締結ねじが締結される部位(内周にめねじが刻設された凹部)であり、回転本体331の中心からそれぞれ同距離となる位置であって、周方向に不等間隔となる位置に配設される。
回転本体331の正面には、正面視環状に形成されると共にそれぞれ同心に配置される複数の環状突部331a〜331eと、それら環状突部331a〜331eの中心から径方向外方へ向けて放射直線状に延設される複数の放射突部331fとが突設される。なお、複数の放射突部331fは、周方向等間隔(本実施形態では略30度間隔)に配設される。即ち、本実施形態では、放射突部331fの周方向間隔が、電飾基部320の放射リブ322dの周方向間隔に一致される。
回転本体331は、全体に均等の肉厚(厚み寸法)に形成されており、環状突部331a〜331e又は放射突部331fが突設される部分では、その突設される分だけ肉厚(厚み寸法)が厚く(大きく)される。よって、これら各突部331a〜331fが突設される部分において、光を透過しにくくすることができる。
この場合、回転動作ユニット300の組み立て状態では、径方向の最外方に位置する環状突部331eに対応する位置(正面視において重なる位置)に区画部材322の外縁リブ322bが、環状突部331dの次に径方向外方に位置する部位であって環状突部331d及び環状突部331cの間に対応する位置(正面視において重なる位置)に区画部材322の中間リブ322cが、それぞれ配置される。
このように、回転部材330には、電飾基部320の区画部材322により区画された各領域に対応する領域が、各突部331a〜331fにより区画されているので、電飾基部320の各LED321aをそれぞれ個別に点灯や点滅させる際には、その点灯や点滅に関連する領域と関連しない領域との間で明暗の差を大きくすることができ、その結果、演出効果を高めることができる。
かかる領域の区画は、回転部材330においては、上述したように、環状突部331a〜331e及び放射突部331fを正面から突設させ、厚み寸法を大きくすることにより達成する。これにより、例えば、回転部材330の正面に領域を区画するための印刷を施したりや別部材を配設する必要がなく、回転部材330全体を単一色により形成できるので、製品コストの削減を図ることができるだけでなく、その演出効果を高めることができる。
回転部材330は、外壁部332の内径寸法が、電飾基部320の区画部材322(外縁リブ322b)の外径寸法と略同一または若干大きな寸法に設定され、組み立て状態では、外壁部332の内周側に電飾基部320の区画部材322が内嵌される構造とされる。これにより、LED321aの光が区画部材322の外周側から漏れることを抑制し、正面側への光の照射を効率良く行わせることができる。また、第1歯車351に回転部材330を締結固定する際には、外壁部332に区画部材322が内嵌される構造とすることで、かかる内嵌状態とすることで、両者を芯合わせさせた状態で相対回転させることができる。即ち、両者を相対回転させるのみで、第1歯車351の各締結座部351d(挿通孔)に対して回転部材330の各被締結部333を位置合わせすることができ、径方向の位置を調整する必要がないので、その分、作業性の向上を図ることができる。
第1歯車351は、中心に開口を有しその開口内に固定部材360が挿通可能とされる正面視円環状の第1本体351aと、その第1本体351aの外周面に刻設される歯351bと、その歯351bよりも第1歯車351の正面側(回転部材330側)となる位置で第1本体351aの外周面からフランジ状に張り出す第1フランジ部351cと、その第3フランジ部351cよりも第1歯車351の正面側(回転部材330側)となる位置で第1本体351aの外周面から張り出す複数(本実施形態では3個)の締結座部351dと、第1本体351aの背面側に凹設され歯車取り付け部312のガイド凸部317が挿通されるガイド凹部351e(図19参照)と、を備え、固定部材360が歯車取り付け部312に締結固定されることで、その固定部材360と歯車取り付け部312との間で回転可能に保持される。
第1歯車351は、第1本体351aの外周面から第1フランジ部351cが張り出して形成されるので、かかる第1フランジ部351cにより第1歯車351の剛性を高めることができる。特に、本実施形態では、第1フランジ部351cが歯351bの軸方向端面に連設されるので、歯351bの剛性を高めることができる。その結果、第2歯車352との間の歯合状態を適正として、伝達効率の向上を図ることができると共に歯351b,352bの耐久性の向上を図ることができる。また、第1フランジ部351cは、後述するように、第2歯車352の抜け止めを兼用するので、その分、抜け止め用の部品を省略して、部品コストの削減が図ることができる。
締結座部351dは、回転本体331(回転部材330)の被締結部333に締結固定される部位であり、回転本体331の各被締結部333に対応する位置にそれぞれ配設される。即ち、各締結座部351dには、被締結部333に締結する締結ねじを挿通させるための挿通孔が穿設されており、その挿通孔は、第1歯車351の中心からそれぞれ同距離となる位置であって、周方向に不等間隔となる位置に配設される。よって、第1歯車351と回転部材330とは、1の位相位置のみで締結固定が可能となるので、第1歯車351に回転部材330を組み付ける際には、その周方向位置を作業者が間違えて組み付けることを回避できる。
第1歯車351と回転部材330とを1の位相位置のみで締結固定を可能とするためには、必ずしも第1歯車351の中心からそれぞれ同距離となる位置に各締結座部351の挿通孔が配設されている必要はない。各締結座部351の挿通孔は、周方向に等間隔となる位置であって、回転本体331の中心からの距離がそれぞれ異なる位置に配設されていても良い。
但し、本実施形態のように、第1歯車351の中心からそれぞれ同距離となる位置に各締結座部351の挿通孔を配設することが好ましい。即ち、各締結座部351dの長さ寸法(張り出し長さ)をそれぞれ同一とできるので、第1歯車351を樹脂材料から射出成形する場合には、その成形性の向上を図ることができるからである。
ここで、ケース体310の背面側から締結ねじを締結座部351dの挿通孔を介して回転部材330の被締結部333に締結固定するためには、ケース体310に開口311aを開口形成する必要がある。この場合、第1歯車351の中心からそれぞれ異なる距離に各締結部材351の挿通孔が配置される場合には、各挿通孔の移動軌跡が異なることとなり、その分、開口311aの開口幅を大きくする必要があるため、剛性の低下を招くところ、本実施形態によれば、各挿通孔の移動軌跡を同一とできるので、その分、開口311aの開口幅を最小に抑えることができる。
第2歯車352は、正面視円形状の第2本体352aと、その第2本体352aの外周面に刻設される歯352bと、第2本体352aの中心に穿設される軸孔352cとを供え、その軸孔352cに歯車取り付け部312の軸部318が挿通されることで、第1歯車351に歯合された状態で歯車取り付け部312に回転可能に保持される。
第3歯車353は、正面視円形状の第3本体353aと、その第3本体353aの外周面に刻設される歯353bと、その歯353bよりも第3歯車353の正面側(回転部材330側)となる位置で第3本体353aの外周面からフランジ状に張り出す第3フランジ部353cと、とを備え、第3本体353aに駆動モータ370の駆動軸340aが固着されることで、第2歯車352に歯合された状態で駆動モータ340の駆動軸340aに保持される。
よって、駆動モータ340が回転駆動され、第3歯車353が回転されると、その回転が第2歯車352に伝達され、第2歯車352が回転されると共に、その第2歯車352の回転が第1歯車351に伝達され、第1歯車351が回転される。その結果、第1歯車351に締結座部351d及び被締結部333を介して締結固定される回転部材330に駆動モータ340の駆動力が伝達され、かかる回転部材330が回転される。
なお、第1歯車351の場合と同様に、第3歯車353は、第3本体353aの外周面から第3フランジ部353cが張り出して形成されるので、かかる第3フランジ部353cにより第3歯車353の剛性を高めることができる。特に、本実施形態では、第3フランジ部353cが歯353bの軸方向端面に連設されるので、歯353bの剛性を高めることができる。その結果、第2歯車352との間の歯合状態を適正として、伝達効率の向上を図ることができると共に歯353b,352bの耐久性の向上を図ることができる。また、第3フランジ部353cは、後述するように、第2歯車352の抜け止めを兼用するので、その分、抜け止め用の部品を省略して、部品コストの削減が図ることができる。
固定部材360は、第1歯車351を歯車取り付け部312に固定するための円柱状の部材であり、受入口361と、挿通部362とを備える。受入口361は、遊技盤13への装着状態において、第1入賞口64に連通される通路であり、第1入賞口64から流入した球を、歯車取り付け部312の通過口314へ案内する。挿通部362は、固定部材360を歯車取り付け部312の被締結部315又は挿通部316に締結または挿通する締結ねじを挿通させるための貫通孔である。
図18(a)は、ケース体310の正面図であり、図18(b)は、固定部材360の正面図である。なお、図18(a)では、第1歯車351、第2歯車352及び第3歯車353がケース体310に配設された状態が図示されると共に、第1歯車351及び第3歯車353の一部が部分的に断面視される。
図18(a)及び図18(b)に示すように、ケース体310の歯車取り付け部312に形成される通過口314は、上述したように、第1歯車351の中心から下方(図18(a)下側)に位置ずれして(偏心して)配置される。そのため、歯車取り付け部312は、通過口314の周囲に形成される円環状の領域において、通過口314の上方の幅寸法(図18(a)上下方向寸法)が下方の幅寸法に比較して広くされる。
第1歯車351の内周側に挿通され、歯車取り付け部312に締結固定される固定部材360についても同様に、その固定部材360に形成される受入口361は、固定部材360の中心から下方(図18(b)下側)に位置ずれして(偏心して)配置される。そのため、固定部材360は、受入口361の周囲に形成される円環状の領域において、受入口361の上方の幅寸法(図18(b)上下方向寸法)が下方の幅寸法に比較して広くされる。
このように、本実施形態では、通過口314及び受入口361を位置ずれ(偏心)させ、その周囲(円環状の領域)の一部に広い(幅寸法が大きくされた)部分を形成すると共に、その広くされた部分に挿通部316,362をそれぞれ配置(穿設)するので、限られたスペースを有効に活用して、大径の孔を穿設できると共に、かかる場合でも、ケース体310及び固定部材360の剛性を確保することができる。
即ち、挿通部316,362は、回転動作ユニット300を第2結合動作ユニット600の表ケース体612(図9又は図42参照)に締結固定するための締結ねじが挿通可能な孔として形成される部位であり、支持する重量が嵩むことから大径の締結ねじが挿通されるため、比較的大径の孔として形成される必要があるところ、上述のように、一部に広い(幅寸法が大きくされた)部分を形成することで、かかる部分を利用して、大径の孔を穿設するスペースを効率的に確保できる。一方で、このような大径の孔を穿設する場合でも、部分的に広くされた領域に孔が穿設されるため、その剛性を確保できる。
図19は、第1歯車351、第2歯車352及び第3歯車353のケース体310による支持構造を模式的に図示する模式図であり、図18の矢印XIX方向視に対応する。なお、図19では、ケース体310が断面視されると共に、第1歯車351及び第2歯車352の一部が部分的に断面視される。
図19に示すように、第1歯車351は、背面側に凹設されたガイド凹部351eに歯車取り付け部312のガイド凸部317が嵌め入れられることで、歯車取り付け部312に回転可能に支持される。また、第1歯車351は、歯車取り付け部312に締結固定される固定部材360によって、歯車取り付け部312から軸方向(図19上側)へ脱落することが規制される。一方、第3歯車353は、駆動モータ340の駆動軸340aに固着される。なお、固着の方法としては、例えば、圧入によるものや接着剤によるものが例示される。
第2歯車352は、第2本体352aに穿設される軸孔352cに歯車取り付け部312の軸部318が挿通されることで、その歯352bが第1歯車351及び第3歯車353の歯351b,353bに歯合された状態で、歯車取り付け部312に回転可能に軸支される。
この場合、上述したように、第1歯車351及び第3歯車353には、それら第1本体351a及び第3本体353aの外周面から径方向外方へ張り出す第1フランジ部351c及び第3フランジ部353cがそれぞれ形成されており、これら第1フランジ部351c及び第3フランジ部353cは、第2歯車352の軸方向端面に重なる位置まで張り出されている。これにより、第2歯車352が、歯車取り付け部312の軸部318から軸方向(図19上側)へ抜け出ることを規制することができる。その結果、抜け止め用の部品を軸部318の先端に配設する必要がないので、その分、部品点数を削減して、部品コストを抑えることができる。また、組み立て時には、第2歯車352については、歯車取り付け部312の軸部318を軸孔352cに挿通させるだけで良く、抜け止めの部品を装着する工程を省略できるので、その分、製造コストを抑えることができる。
本実施形態では、第1歯車351の第1フランジ部351cと第3歯車353の第3フランジ部353cとが第2歯車352に対して異なる2箇所で当接するので、第2歯車352が軸方向へ抜け出ることを確実に規制できるだけでなく、かかる第2歯車352が軸部318に対して傾斜しながら回転することを抑制できる。その結果、第2歯車352の歯352bと第1歯車351及び第3歯車353の歯351b,353bとの歯合状態を適正として、伝達効率の向上と耐久性の向上とを図ることができる。特に、第2歯車352に当接する2箇所は位相を約180度異ならせる位置に設定されるので、上述した効果をより顕著に発揮できる。なお、2箇所の位相は、約160度から約180度の範囲内に設定されることが好ましい。
ここで、第1歯車351及び第3歯車353の第1フランジ部351c及び第3フランジ部353cは、歯351b及び歯353bの谷よりも山頂側に張り出されていれば足りる。歯351b及び歯353の谷よりも張り出されていれば、第2歯車352の歯352bの山頂側の端面に当接できるからである。また、第1フランジ部351c及び第3フランジ部353cの形成に要する材料を抑制して、軽量化および材料コストの削減を図ることができるからである。但し、第1フランジ部351c及び第3フランジ部353cは、歯351b及び歯353の山頂側よりも更に径方向外方へ張り出されていることが好ましい。第2歯車352の傾斜をより確実に抑制できるからである。
次いで、図20から図30を参照して、複合動作ユニット400について説明する。
なお、複合動作ユニット400は、上述したように4本の部材(動作部材491,492)を備え(図7及び図13参照)、それら各部材(動作部材491,492)を動作(変位)させるための4つのユニットからなる。即ち、複合動作ユニット400は、背面ケース210の正面視において、開口211aの左側に上下方向に沿って列設される2つのユニットと、開口211aの右側に上下方向に沿って列設される2つのユニットからなる。この場合、各部材(動作部材491,492)を動作(変位)させるための構造(技術思想)は4つのユニットにおいてそれぞれ同一であるので、以下においては、これら4つのユニットのうちの1のユニット(開口211aの右側上方に配設されるユニット、図7及び図13参照)を複合動作ユニット400と称して説明する。
図20は、複合動作ユニット400の正面斜視図である。図20に示すように、複合動作ユニット400は、取り付けベース410の前面側に動作部材491,492が配設され、この動作部材491,492に開閉動作および回転動作を複合的に行わせる(図27参照)。即ち、動作部材491,492は、互いの長手方向を平行とする姿勢で対向配置されており、その対向間隔を拡大縮小させる動作(開閉動作)と、取り付けベース410に配設される基部側を中心として回転する動作(回転動作)とが実行可能に形成される。なお、取り付けベース410の前面には、装飾体として形成される装飾部材411が配設される。
本実施形態では、動作部材491,492の2種類の動作態様(開閉動作および回転動作)を1の駆動モータ430により実行が可能となるように形成される。そのため、2種類の動作態様に対して駆動モータ430を個別に設ける必要がなく、その分、製品コストの削減を図ることができる。かかる構造の詳細構成について、図21から図23を参照して説明する。
図21は、分解した複合動作ユニット400を正面視した複合動作ユニット400の分解正面斜視図である。また、図22は、複合動作ユニット400の一部を分解した状態における複合動作ユニット400の分解斜視図であり、図22左側に図示される構成が正面視されると共に図22右側に図示される構成が背面視される。なお、図21及び図22では、装飾部材411の図示が省略されると共に、図22では、取り付けベース410の図示が省略される。
図21及び図22に示すように、複合動作ユニット400は、背面ケース210(図7参照)に配設される取り付けベース410と、その取り付けベース410に取り付けられる保持ケース420と、その保持ケース420に回転可能に軸支される複数の歯車と、それら複数の歯車を回転駆動力するための駆動力を発生する駆動モータ430と、保持ケース420に基端が回転可能に軸支される裏アーム体471及び表アーム体472と、それら裏アーム体471及び表アーム体472の対向面間に狭装されるスライドラック部材481、第1ピニオン脚部材482及び第2ピニオン脚部材483と、それら第1ピニオン脚部材482及び第2ピニオン脚部材483の先端に連結される動作部材491、492とを主に備える。
保持ケース420は、取り付けベース410に取り付けられる裏ケース体421と、その裏ケース体421の正面側に対向配置される表ケース体422とを備え、それら裏ケース体421と表ケース体422との対向間に形成される内部空間に複数の歯車が回転可能に軸支されつつ収容される。
保持ケース420には、裏ケース体421の背面側に駆動モータ430が配設されると共に、裏ケース体421及び表ケース体422の対向間には、3本の回転軸(減速軸425、第1軸426及び第2軸427)がそれぞれ駆動モータ430の駆動軸と平行となる姿勢で架設され、これら減速軸425から第2軸427に複数の歯車が回転可能に軸支される。なお、駆動モータ430の駆動軸には、ピニオンギヤ431が固着される。
複数の歯車は、減速軸425に軸支される減速歯車441と、第1軸426に軸支される開閉第1歯車451及び回転第1歯車461と、第2軸427に軸支される開閉第2歯車452及び回転第2歯車462とからなる(図24及び図25参照)。減速歯車441は、大径の歯車441aと、その大径の歯車441aに同軸に一体に形成される小径の歯車441bとを備え、ピニオンギヤ431の回転を減速させつつ開閉第1歯車451へ伝達する。ここで、図23を参照して、開閉第1歯車451、開閉第2歯車452、回転第1歯車461及び回転第2歯車462について説明する。
図23は、開閉第1歯車451、開閉第2歯車452、回転第1歯車461及び回転第2歯車462の正面斜視図である。開閉第1歯車451は、本体部451aと、その本体部451aに貫通形成され第1軸426が挿通される挿通孔451bと、その挿通孔451bを中心として本体部451aの外周に全周にわたって刻設される歯451cと、本体部451aの軸方向端面(正面)から突出され挿通孔451bを挟んで位置する一対の連結突部451dと、本体部451aに貫通形成され挿通孔451bの側方に位置する位置決め孔451eとを備える。
回転第1歯車461は、開閉第1歯車451の正面側に配設されその開閉第1歯車451と共に第1軸426(図21及び図22参照)に軸支される歯車であり、本体部461aと、その本体部461aに貫通形成され第1軸426が挿通される挿通孔461bと、その挿通孔461bを中心として本体部461aの外周の一部に刻設される歯461cと、本体部451aに貫通形成され挿通孔461bを挟んで位置する一対の連結孔461dと、本体部451aの外周から径方向外方へ張り出して形成され光センサにより検出される被検出部461eとを備える。
なお、回転第1歯車461の本体部461aは、歯461cの形成領域を除く(即ち、歯461cが非形成とされる)領域の外周面が挿通孔461bの軸を中心とする円筒面(以下「円筒面461a1」と称す)として形成される。円筒面461a1の外径(挿通孔461bの軸からの距離)は、歯461cの歯先円の外径よりも小さく、かつ、歯461cの歯底円の外径よりも大きくされる。これにより、後述するように、回転第1歯車461の本体部461aの剛性の向上と、回転第2歯車462の非形成面462a1形成部分の剛性の向上との両立を図ることができる。
また、回転第1歯車461の一対の連結孔461dには、開閉第1歯車451の一対の連結突部451dがそれぞれ内嵌可能に形成され、この内嵌により、開閉第1歯車451に対し回転第1歯車461の回転位置(位相)を位置決めすることができると共に両者を連結して同位相で一体的に回転させることができる。
開閉第2歯車452は、本体部452aと、その本体部452aに貫通形成され第2軸427が挿通される挿通孔452bと、その挿通孔452bを中心として本体部452aの外周の一部に刻設される歯452cと、本体部452aの軸方向端面(正面)から突出される連結突部452dと、本体部452aに貫通形成され位置決め孔452eとを備える。
なお、開閉第2歯車452は、裏ケース体421との間に裏アーム体471を挟み込んだ状態で(即ち、裏アーム体471の正面側に)配設され、その裏アーム体471の軸支孔471aに沿って立設される円筒状の部分に挿通孔452bが回転可能に軸支される(図21及び図22参照)。また、開閉第2歯車452の連結突部452dは、スライドラック部材481の連結溝481cに連結され、この連結を介して、開閉第2歯車452の回転がスライドラック部材481に伝達される(図26参照)。
回転第2歯車462は、本体部462aと、その本体部462aに貫通形成され第2軸427が挿通される挿通孔462bと、その挿通孔462bを中心として本体部462aの外周の一部に刻設される歯462cと、本体部462aの軸方向端面(正面)から突出されると共に内部に孔が貫通形成される一対の連結突部462dと、本体部452aに貫通形成される位置決め孔462eとを備える。
なお、回転第2歯車462の本体部462aは、歯462cの両側に連設されると共に歯が非形成とされる領域の外周面(以下「非形成面462a1」と称す)が挿通孔462b側へ向けて凹む(即ち、曲率中心を径方向外方側に有する)湾曲面として形成される。詳細には、非形成面462a1の曲率は、回転第1歯車461の円筒面461a1と同一の曲率または若干小さな曲率(即ち、若干大きな半径)に設定される。
また、回転第2歯車462は、開閉第2歯車452の正面側(軸方向に重ねた姿勢)に配設されるが、この開閉第2歯車452とは独立された状態(即ち、異なる位相で相対回転可能な状態)で第2軸427に軸支される。また、回転第2歯車462は、連結突部462dの孔に挿通された締結ねじを表アーム体472の連結突部472e(図22参照)に締結することで、互いの連結突部462d,472eどうしが連結される。よって、かかる連結を介して、回転第2歯車462と表アーム体472(及び裏アーム体471)とを同位相で一体的に回転させることができる。
このように、回転第2歯車462には、その連結突部462dに表アーム体472の連結突部472e(図22参照)が締結固定されるので、連結突部462d,472eを介して両者を複数箇所(本実施形態では2箇所)で連結して、回転第2歯車462及び表アーム体472を一体の構造体として形成できる。その結果、表アーム体472の剛性を利用して回転第2歯車462の剛性を高めることができる。
ここで、後述するように、回転第2歯車462は、その非形成面462a1を回転第1歯車461の円筒面461a1に当接させる際にその回転第1歯車461から反力を受けるため(図28から図30参照)、その反力に抗するための剛性を確保する必要がある。この場合、例えば、回転第2歯車462を厚肉化すれば重量が増加し、高剛性の素材を採用すれば材料コストが嵩む。
これに対し、本実施形態の回転第2歯車462によれば、表アーム体472の剛性を利用して(即ち、表アーム体472と一体となることで)、その剛性を高めることができるため、回転第2歯車462の厚肉化や高剛性素材を採用する必要がない。これにより、回転第2歯車462の軽量化および低コスト化を図りつつ、回転第2歯車462の耐久性の向上を図ることができる。
特に、回転第2歯車462は、その連結突部462dが非形成面462a1の背面側(即ち、組み立て状態において、非形成面462a1を挟んで回転第1歯車461の円筒面461a1と対向する位置、図28から図30参照)に配設されるので、後述するように、回転第2歯車462の非形成面462a1を回転第1歯車461の円筒面461a1に当接させる際にその回転第1歯車461の円筒面461a1から反力を受ける部分の剛性を表ケース体472等の剛性や金属製の締結ねじを利用して効果的に高めることができる。その結果、回転第2歯車462の軽量化および低コスト化とその耐久性の向上との両立をより一層図ることができる。
また、回転第1歯車461及び回転第2歯車462の歯車比(ギヤ比)は、開閉第1歯車451及び開閉第2歯車452の歯車比(ギヤ比)と同一とされる。よって、後述するように、回転第1歯車461が単位回転角度だけ回転される際に回転第2歯車462が回転される回転角度は、その単位回転角度と同じだけ、開閉第1歯車451が回転される際に回転第2歯車462が回転される回転角度と一致される。
図21及び図22に戻って説明する。組み立て状態では、駆動モータ430のピニオンギヤ431には、減速歯車441の大径の歯車441aが歯合され、減速歯車441の小径の歯車441bには、開閉第1歯車451が歯合されると共に、開閉第2歯車451には、開閉第2歯車452が歯合され、また、回転第1歯車461には、回転第2歯車462が歯合される(図24及び図25参照)。よって、駆動モータ430が回転駆動されると、その回転が、ピニオンギヤ431及び減速歯車441を介して、開閉第1歯車451に伝達され、かかる開閉第1歯車451が回転される。
この場合、上述したように、開閉第1歯車451と回転第1歯車461とは、連結突部451dの連結孔461dへの内嵌により連結されているので、同位相で一体的に回転可能とされる。即ち、開閉第1歯車451が回転されると、その回転により、回転第1歯車461も回転され、開閉第1歯車451の回転は開閉第2歯車452へ、回転第1歯車461の回転は回転第2歯車462へ、それぞれ伝達される。
なお、本実施形態では、開閉第2歯車452と回転第2歯車462とは、互いに独立されており、異なる位相で相対回転可能とされる(図28から図30参照)。そのため、駆動モータ430の回転駆動力により、開閉第1歯車451と回転第1歯車461とを一体的に回転させつつも、開閉第2歯車452へは回転駆動力が伝達され、かつ、回転第2歯車462へは回転駆動力が遮断された状態を形成できる。即ち、動作部材491,492の回転動作が停止され、かつ、開閉動作が実行される状態を形成できる。なお、かかる構造および動作の詳細については後述する。
裏ケース体421には、第1軸426及び第2軸427のそれぞれの側方に位置決め孔421a,421bが貫通形成される。また、これら位置決め孔421a,421bに対応して、取り付けベース410にも位置決め孔410a,410bが貫通形成される。即ち、取り付けベース410に裏ケース体421が締結固定されると、位置決め孔421aに対し位置決め孔410aが、位置決め孔421bに対し位置決め孔410bが、それぞれ連通する位置に配置される。
本実施形態では、これら位置決め孔421a,421bと各歯車451,452,462の位置決め孔451e,452e,462eとにそれぞれ円柱状の冶具を挿通させることで、裏ケース体421に対する各歯車451,452,461,462の取り付け位置(位相)、及び、回転第1歯車461及び開閉第1歯車451と回転第2歯車462及び開閉第2歯車452との間の位相(回転位置)を位置決めすることができる。かかる位置決めの方法については後述する。
裏アーム体471は、表アーム体472と共に回転第2歯車462の回転を動作部材491,492へ伝達して、かかる動作部材491,492を回転動作させるための部材であり(図26参照)、第2軸427が挿通される軸支孔471aと、締結ねじ(図示せず)が挿通される複数(本実施形態では4個)の挿通孔471bと、第1ピニオン脚部材482及び第2ピニオン脚部材483をそれぞれ回転可能に軸支する複数(本実施形態では4本)の軸部471cと、断面コ字状の凹溝として裏アーム体471の長手方向に沿って直線状に延設されるガイド凹溝471dと、軸支孔471aの側方に貫通形成される位置決め孔471eとを備える。
なお、軸支孔471aには、裏ケース体421に配設されるカラー427aが内挿され、これにより、裏アーム体471が裏ケース体421に対し第2軸427を中心として回転可能とされる。また、軸支孔471aを内周面により形成する円筒状の部分は、第2開閉歯車452の挿通孔452bに内挿され、かかる円筒状の部分の外周面により第2開閉歯車452が回転可能に軸支される。
位置決め孔471eは、回転第2歯車462の位置決め孔462及び開閉第2歯車452の位置決め孔452eにそれぞれ対応する位置に貫通形成される。即ち、後述するように、裏アーム体471に表アーム体472が結合(締結固定)されると共に、表アーム体472に回転第2歯車462が結合(締結固定)されると、裏アーム体471の位置決め孔471eと回転第2歯車462の位置決め孔462eとの位相(第2軸427を中心とする回転位置)が一致される。一方、開閉第2歯車452は、その挿通孔452bが裏アーム体471の円筒状の部分に回転可能に軸支されているところ、かかる軸支部分を中心として開閉第2歯車452が裏アーム体471に対して相対回転され、所定の回転位置に配置されると、その開閉第2歯車452の位置決め孔452eは、裏アーム体471の位置決め孔471e及び回転第2歯車462の位置決め孔462eに対し、その位相(第2軸427を中心とする回転位置)が一致される。
表アーム体472は、第2軸427が挿通される軸支孔472aと、裏アーム体471へ向けて突出されると共に裏アーム体471の挿通孔471bに挿通された締結ねじが先端に締結可能に形成される複数(本実施形態では4本)の嵩上げ締結部472bと、軸部471cの先端を受け入れ可能な凹部である複数(本実施形態では4個)の受入凹部472cと、断面コ字状の凹溝として表アーム体472の長手方向に沿って直線状に延設されるガイド凹溝472dと、軸支孔472aを挟んで配置され回転第2歯車462の連結突部462dに連結(締結固定)される連結突部472eと、を備える。
なお、軸支孔472aには、表ケース体422に配設されるカラー422aが内挿され、これにより、表アーム体472が表ケース体422に対し第2軸427を中心として回転可能とされる。即ち、表アーム体472は、連結突部462d,472eを介して、回転第2歯車462に連結されているため、回転第2歯車462が回転第1歯車461から回転駆動力を受けて第2軸427を中心として回転されると、その回転第2歯車462と共に表アーム体472(及びその表アーム体472に連結される裏アーム体471)も第2軸427を中心として回転される。
裏アーム体471及び表アーム体472は、裏アーム体471の挿通孔471bに挿通した締結ねじが表アーム体472の嵩上げ締結部472に締結されることで、裏アーム体471の正面と表アーム体472の背面とを互いに対向させた姿勢で結合される。この場合、両者の対向面(正面および背面)の間には、嵩上げ締結部472bの突出高さの分に対応する隙間(空間)が形成される。よって、この隙間を利用して、スライドラック部材481、第1ピニオン脚部材482及び第2ピニオン脚部材483を変位可能に配設することができる。
スライドラック部材481は、第1ピニオン脚部材482及び第2ピニオン脚部材483と共に開閉第2歯車452の回転を動作部材491,492へ伝達して、かかる動作部材491,492を開閉動作させるための部材であり(図26及び図27参照)、長尺状の本体部481aと、その本体部481aの左右両側にラックギヤとして形成されるラック部481bと、本体部481aの長手方向一端に形成される連結溝481cと、本体部481の正面および背面から断面略矩形に突設されると共に本体部481aの長手方向に沿って直線状に延設されるガイド凸部481dとを備える。
スライドラック部材481の連結溝481cは、上述したように、開閉第2ギヤ452の連結突部452dが挿通される溝であり、連結突部452dが摺動可能な溝幅を有すると共に本体部481の長手方向に直交する方向に沿って直線状に延設される。また、スライドラック部材481は、組み立て状態では、そのガイド凸部481dが、裏アーム体471及び表アーム体472のガイド凹溝471d,472dに内挿される。そのため、スライドラック部材481が裏アーム体471及び表アーム体472に対してスライド移動可能な方向は、ガイド凹溝471d,472dの延設方向(即ち、裏アーム体471及び表アーム体472の長手方向)に規制される(図26参照)。
第1ピニオン脚部材482及び第2ピニオン脚部材483は、本体部482a,483aと、その本体部482a,483aの長手方向一端に貫通形成される軸支孔482b,483bと、その軸支孔482b,483bを中心としてピニオンギヤとして形成されるギヤ部482c,483cと、本体部482a,483aの長手方向他端に貫通形成される連結孔482d,483dとを備えて形成され、それぞれ一対がスライドラック部材481の左右両側においてそのギヤ部482c,483cをスライドラック部材481のラック部481bに歯合させた状態で配設される。
軸支孔482b,483bは、組み立て状態において、裏アーム体471の軸部471cが挿通されて軸支される孔であり、これにより、第1ピニオン脚部材482及び第2ピニオン脚部材483は、軸支孔482b,483b(軸部471c)を中心として裏アーム体471及び表アーム体472に対して回転可能とされる。よって、スライドラック部材481を裏アーム体471及び表アーム体472に対してスライド移動させることで、ラック部481b及びギヤ部482c,483cの歯合を介して、第1ピニオン脚部材482及び第2ピニオン脚部材483を回転させることができる。
動作部材491,492は、その背面側から円柱状に突出され第1ピニオン脚部材482及び第2ピニオン脚部材483の連結孔482d,483dに挿通可能に形成される複数(本実施形態では4本)の嵩上げ締結部491a,492aを備える。嵩上げ締結部491a,492aの突出先端は、締結ねじを締結可能に形成される。よって、連結孔482d,483dに嵩上げ締結部491a,492aの突出先端が挿通されると共に、その挿通方向と反対側から突出先端に締結ねじを締結することで、第1ピニオン脚部材482及び第2ピニオン脚部材483に動作部材491,492が連結される。
なお、嵩上げ締結部491a,492aには、その突出先端を除く外周面に、リブ状の部位が張り出して形成されており、そのリブ状の部位の端面が第1ピニオン脚部材482及び第2ピニオン脚部材483の正面に当接される。これにより、嵩上げ締結部491a,492aの突出高さの分だけ、第1ピニオン脚部材482及び第2ピニオン脚部材483から嵩上げされた位置に動作部材491,492を配置できる。よって、スライドラック部材481、第1ピニオン脚部材482及び第2ピニオン脚部材483と動作部材491,492との間に表アーム体472が配設される構造においても、かかる表アーム体472と干渉することなく、動作部材491,492の開閉動作を行うことができる。
なお、一対の第1ピニオン脚部材482の間には、コイルスプリングからなる付勢ばね484が弾性的に引張変形された状態で配設され、かかる付勢ばね484の弾性回復力を、一対の第1ピニオン脚部材482が互いに近接する方向へ作用させるように構成される。これにより、動作部材491,492を開閉動作において閉じた状態とする際には、付勢ばね484の付勢力を利用して、動作部材491,492どうしを密着させ、隙間が形成されることを抑制できる。
次いで、図24及び図25を参照して、開閉第1歯車451、開閉第2歯車452、回転第1歯車461及び回転第2歯車462の位置決め方法について説明する。なお、かかる位置決め方法の説明においては、図21から図23を適宜参照する。
図24及び図25は、開閉第1歯車451及び開閉第2歯車452と回転第1歯車461及び回転第2歯車462とを第1軸426及び第2軸427に組み付ける工程を時系列で説明する複合動作ユニット400の部分拡大正面図である。なお、図24(a)では、減速ギヤ425に減速歯車441が組み付けられた状態が、図24(b)では、図24(a)に図示される状態に対して更に第1軸426に開閉第1歯車451が組み付けられた状態が、図25(a)では、図24(b)に図示される状態に対して更に第2軸427に開閉第2歯車452及び回転第2歯車462が組み付けられた状態が、図25(b)では、図25(a)に図示される状態に対して更に第1軸426に回転第1歯車461が組み付けられた状態が、それぞれ図示される。
ここで、複合動作ユニット400は、上述したように、駆動モータ430の回転駆動力を減速歯車441を介して開閉第1歯車451及び開閉第2歯車452へ順に伝達することで、その開閉第2歯車452の回転によりスライドラック部材481を変位させ、動作部材491,492の開閉動作を行うと共に、駆動モータ430の回転駆動力を減速歯車441を介して回転第1歯車461及び回転第2歯車462へ順に伝達することで、その回転第2歯車462の回転により裏アーム体471及び表アーム体472を回転させ、動作部材491,492の回転動作を行う。
そのため、動作部材491,492の開閉動作および回転動作を適正に行う(即ち、部材どうしの干渉や移動範囲のずれの発生を回避する)ためには、開閉第1歯車451に対する開閉第2歯車452の回転位置(位相、歯合位置)、及び、回転第1歯車461に対する回転第2歯車462の回転位置が、それぞれ所定の回転位置に位置決めされた上で、これら各歯車451〜462が保持ケース420にそれぞれ組み付けられている必要がある。
しかしながら、従来の遊技機では、このように、一方の歯車に対する他方の歯車の回転位置(位相、歯合位置)を位置決めした上で、これら両歯車を組み付けるには、作業者が両歯車の回転位置を目視により調整して組み付ける必要があったため、作業が煩雑であり、作業効率が悪いばかりか、組み付け不良の発生する恐れがあった。
これに対し、本実施形態では、開閉第1歯車451及び回転第1歯車461に対する開閉第2歯車452及び回転第2歯車462それぞれの相対的な回転位置(位相、歯合位置)と、これら各歯車451,452,461,462の裏ケース体421に対する取り付け位置(位相)を位置決めする位置決め構造を備え、この位置決め構造を利用することで、各歯車451〜462を保持ケース420に組み付ける際に、その作業性を向上させつつ、組み付け不良の発生を回避することが可能に構成される。
具体的には、まず、図24(a)に示すように、減速軸425に減速歯車441を組み付け、ピニオンギヤ431に歯合させる。上述したように、取り付けベース410の位置決め孔410a,410b(図21参照)には裏ケース体421の位置決め孔421a,421bがそれぞれ連通されているので、取り付けベース410の背面側から、位置決め孔410a,410bにそれぞれ冶具(図示せず)を挿通し、かかる冶具を位置決め孔421a,421bから裏ケース体421の正面側に突出させる。なお、冶具は、位置決め孔410a等の内径と同等または若干小さな外径を有する断面円形の円柱状体として形成される。
次いで、裏ケース体421の位置決め孔421aから突出される冶具を、開閉第1歯車451の位置決め孔451eに挿通させつつ、開閉第1歯車451を第1軸426に組み付ける(軸支させる)。これにより、図24(b)に示すように、開閉第1歯車451を減速歯車441に歯合させると共に、開閉第1歯車451の裏ケース体421に対する取り付け位置(位相)を位置決めすることができる。
この裏ケース体421に対して位置決めされた状態(開閉第1歯車451の位置決め孔451eに冶具が挿通された状態)を維持しつつ、次いで、開閉第2歯車452及び回転第2歯車462を第2軸427に組み付ける(軸支させる)。
なお、開閉第2歯車452及び回転第2歯車462は、裏アーム体471及び表アーム体472と一体化された状態で作業される。即ち、開閉第2歯車452は、その挿通孔452が裏アーム体471の円筒状の部分が軸支され、回転第2歯車462は、その連結突部462dが表アーム体472の連結突部472eに締結固定された状態で、開閉第2歯車452及び回転第2歯車462が裏アーム体471と表アーム体472との対向間に介設される。また、裏ケース421の位置決め孔421bに挿通される冶具は、回転第2歯車462の位置決め孔462eに挿通可能となる高さ位置まで裏ケース421の表面から突出される。
この場合、開閉第2歯車452及び回転第2歯車462の第2軸427への組み付けは、裏ケース体421の位置決め孔421bから突出される冶具を、裏アーム体471の位置決め孔471e、開閉第2歯車452の位置決め孔452e及び回転第2歯車462の位置決め孔462eに順に挿通させつつ、これら開閉第2歯車452及び回転第2歯車462を第2軸427に組み付ける(軸支させる)。これにより、図25(a)に示すように、開閉第2歯車452を開閉第1歯車451に歯合させ、開閉第1歯車451に対する開閉第2歯車452の回転位置(位相、歯合位置)を位置決めすることができると共に、開閉第2歯車452及び回転第2歯車462の裏ケース体421に対する取り付け位置(位相)を位置決めすることができる。
この裏ケース体421に対して位置決めされた状態(少なくとも裏アーム体471の位置決め孔471eに冶具が挿通された状態)を維持しつつ、最後に、第1軸426に軸支されている開閉第1歯車451の連結突部451dを、回転第1歯車461の連結孔461dに挿通させつつ、回転第1歯車461を第1軸426に組み付ける(軸支させる)。これにより、図25(b)に示すように、回転第1歯車461を回転第2歯車462に歯合させると共に、回転第2歯車462の裏ケース体421に対する取り付け位置(位相)を位置決めすることができる。
回転第1歯車461を第1軸426に取り付けた(軸支させた)後は、冶具を裏ケース体421の背面側から抜き取る。これにより、裏ケース体421(第1軸426及び第2軸427)への各歯車451〜462の組み付け(軸支)が完了される。
このように、本実施形態によれば、裏ケース体421の第1軸426及び第2軸427の側方に平行に冶具が立設され、この冶具を位置決め孔451e等に挿通させつつ各歯車451〜462を順に第1軸426及び第2軸427等に組み付ける(軸支させる)ことで、裏ケース体421を基準として、各歯車451〜462の回転位置(位相、歯合位置)を位置決めすることができる。即ち、第1軸426や第2軸427を各歯車451〜462へ挿通させるのと同時に冶具の挿通も行うことができるので、組み付け作業と位置決め作業とを同時に実行可能として、作業性の向上を図ることができる。
特に、開閉第2歯車452及び回転第2歯車462については、開閉第2歯車452の位置決め孔452eが貫通孔として形成されるので、これら開閉第2歯車452及び回転第2歯車462の第2軸427への組み付け(軸支)を同時に行うことができる。特に、本実施形態では、裏アーム体471の位置決め孔471eが貫通孔として形成されるので、開閉第2歯車452及び回転第2歯車462を裏アーム体471及び表アーム体472と一体化した状態で第2軸427へ組み付ける(軸支させる)ことができる。よって、各アーム体471,472と各歯車452,462をそれぞれ位置決めしつつ組み付ける必要がなく、一度の組み付け作業で位置決め作業も完了でき、その作業性の向上を図ることができる。
また、この場合には、開閉第2歯車452及び回転第2歯車462と裏アーム体471及び表アーム体472とに対し、それぞれに専用の冶具を準備する必要がなく、共通の冶具を使用することができるので、その分、製品コストの削減を図ることができる。更に、
開閉第2歯車452及び回転第2歯車462は互いに独立して相対回転可能である必要があるところ、冶具を裏ケース体421の背面側へ脱抜すれば開閉第2歯車452及び回転第2歯車462を独立して回転可能とすることができる。よって、開閉第2歯車452及び回転第2歯車462のそれぞれに個別に回転軸を設ける必要がなく、これら開閉第2歯車452及び回転第2歯車462を共通の回転軸(第2軸427)に軸支させることができるので、かかる点からも製品コストの削減を図ることができる。
一方で、開閉第1歯車451及び回転第1歯車461は、互いに連結され同位相で一体的に回転可能である必要がある。この場合、開閉第1歯車451及び回転第1歯車461は、開閉第1歯車451の一対の連結突部451dを、回転第1歯車461の一対の連結孔461dに挿通(内嵌)させることで、それら両歯車451,461どうしを連結して、その回転位置(位相)の位置決めと、同位相での一体的な回転とを同時に可能とする。即ち、両歯車451,461の回転位置(位相)の位置決めと、一体的な回転のための両歯車451,461どうしの連結とを連結突部451d及び連通孔461dに兼用させることができ、回転位置を位置決めする(即ち、冶具を挿通する)ための貫通孔と、一体的な回転のための連結構造とのそれぞれを個別に設ける必要がない。これにより、両歯車451,461の形状を簡素化して、製造上の歩留まりの向上を図ることができる。また、回転第1歯車461(本体部461a)に貫通して形成される貫通孔の形成数を抑制できるので、その分、剛性を確保して、耐久性の向上を図ることができる。
特に、回転第1歯車461には、一対の連通孔461dが貫通孔として形成されるが、これら一対の連通孔461dには、開閉第1歯車451の一対の連結突部451dが挿通(内嵌)されるので、その嵌め合い構造により、回転第1歯車461(本体部461a)の剛性の向上を図ることができる。
ここで、本実施形態の位置決め構造によれば、上述の通り、裏ケース体421の正面から冶具を突出させ、この冶具を利用して回転位置の位置決めを行いつつ、各歯車451〜462を順に第1軸426及び第2軸427等に組み付ける(軸支させる)ところ、全ての歯車451〜462の組み付けが完了した後に、裏ケース体421の背面から冶具を脱抜することができる。即ち、各歯車451〜462をそれぞれ組み付ける際には、各歯車451〜462のうちの既に組み付けられている歯車451〜462の位置決め孔451e〜462eに冶具が挿通された状態を維持しつつ、各歯車451〜462のうちの残りの歯車451〜461の組み付け作業を行うことができる。これにより、既に組み付けられている歯車451〜461を作業者が作業中に不用意に回転させてしまうことを回避できるので、作業性の向上を図ることができると共に、位置決めされた回転位置の信頼性の向上を図ることができる。
なお、本実施形態では、開閉第1歯車451と回転第1歯車461とが第1軸426に、開閉第2歯車452と回転第2歯車462とが第2軸427に、それぞれ同軸に配設されるので、開閉第1歯車451及び開閉第2歯車452との間におけるバックラッシュと、回転第1歯車461及び回転第2歯車462との間におけるバックラッシュとを同じ方向で発生させることができる。これにより、後述するように、動作部材491,492の開閉動作および回転動作を行う際には(図27から図30参照)、その演出タイミングにずれが生じることを抑制できる。
次いで、図26を参照して、動作部材491,492の開閉動作について説明する。図26(a)から図26(c)は、裏アーム体471に対する開閉第2歯車452及びスライドラック部材481の相対的な変位状態を説明するための複合動作ユニット400の分解正面図であり、動作部材491,492及び表アーム体472が取り外された状態が図示される。なお、図26(a)は、図26(b)に対して、開閉第2歯車452が反時計回り(左回り)に、図26(c)は、図26(b)に対して、開閉第2歯車452が時計回り(右回り)に、それぞれ回転された状態に対応する。
図26(a)から図26(c)に示すように、開閉第2歯車452の挿通孔452bには、裏ケース体271の円筒状の部位(図21及び図22参照)が挿通されており、これにより、開閉第2歯車452は、裏ケース271に対して第2軸427を中心として相対的に回転可能とされる。
一対の第1ピニオン脚部材482は、上述したように、互いの間に架設された付勢ばね484(図22参照)の付勢力により、互いが近接する方向へ付勢された状態で、裏アーム体471の軸部471cに軸支孔482bが回転可能に軸支される。即ち、付勢ばね484の付勢力を受けることで、一対の第1ピニオン脚部材482のうちの図26(b)右側に位置する第1ピニオン脚部材482は軸部471cを中心に反時計回り(左回り)に回転される一方、図26(b)左側に位置する第1ピニオン脚部材482は軸部471cを中心に時計回り(右回り)に回転される。よって、スライドラック部材481は、一対の第1ピニオン脚部材482の回転を介して作用する付勢ばね484の付勢力により、両アーム体471,472のガイド凹部471d,472d(図21及び図22参照)に沿って、下方(開閉第2歯車452から離間する方向、図26(b)下側)にスライド変位される。
よって、図26(b)に示すように、付勢ばね484の付勢力に抗して開閉第2歯車452が回転されていない状態では、開閉第2歯車452は、その連結突部452dがスライドラック部材481により下方(図26(b)下側)へ引き寄せられ、スライド変位の方向(図26(b)上下方向)における連結溝481c及び第2軸427の間の距離が距離L1とされる。また、一対の第1ピニオン脚部材482は、それらの連結孔482dの間の間隔が間隔W1とされる。
図26(b)に示す状態から、例えば、開閉第2歯車452が裏アーム体471に対して第2軸427を中心に反時計回り(左回り)に回転されると、連結突部452dがスライドラック部材481の連結溝481c内を摺動することで、かかる連結突部452dの移動がスライドラック部材481を付勢ばね484の付勢力に抗しつつ上方(図26(a)上側)へスライド変位させる。
即ち、図26(a)に示すように、開閉第2歯車452が所定の回転位置まで回転されると、スライド変位の方向(図26(a)上下方向)における連結溝481c及び第2軸427の間の距離が距離L2に短縮され(L2<L1)、その距離L1,L2の差の分だけ、スライドラック部材481が上方へスライド変位される。このスライドラック部材481の上方へのスライド変位に伴い、一対の第1ピニオン脚部材482は、互いが離間する方向へ回転され、それらの連結孔482dの間の間隔が拡大されて間隔W2とされる(W1<W2)。
なお、一対の第2ピニオン脚部材483についても、一対の第1ピニオン脚部材482と同様であり、図26(b)に示す状態では、互いに近接する姿勢(それらの連結孔483dの間の間隔が最小となる状態)に配置され、図26(a)に示す状態では、スライドラック部材481の上方へのスライド変位に伴い、互いに離間する姿勢(それらの連結孔483dの間の間隔が最大となる状態)に配置される。
図26(a)に示す状態から、開閉第2歯車452が裏アーム体471に対して第2軸427を中心に時計回り(右回り)に回転されると、図26(b)に示す状態に復帰される。この図26(b)に示す状態から、開閉第2歯車452が裏アーム体471に対して第2軸427を中心に時計回り(右回り)に更に回転されると、連結突部452dがスライドラック部材481の連結溝481c内を摺動することで、かかる連結突部452dの移動がスライドラック部材481を付勢ばね484の付勢力に抗しつつ上方(図26(c)上側)へスライド変位させる。 これにより、図26(a)に示す場合と同様に、開閉第2歯車452が所定の回転位置まで回転されると、図26(c)に示すように、スライド変位の方向(図26(c)上下方向)における連結溝481c及び第2軸427の間の距離が距離L2に短縮され(L2<L1)、その距離L1,L2の差の分だけ、スライドラック部材481が上方へスライド変位される。このスライドラック部材481の上方へのスライド変位に伴い、一対の第1ピニオン脚部材482(及び第2ピニオン脚部材483)は、互いが離間する方向へ回転され、それらの連結孔482dの間の間隔が拡大されて間隔W2とされる(W1<W2)。
次いで、図27から図30を参照して、複合動作ユニット400による動作部材491,492の回転動作および開閉動作について説明する。
図27(a)から図27(d)は、動作部材491,492の開閉動作および回転動作を時系列で図示した複合動作ユニット400の正面図である。なお、図27(a)では、動作部材491,492が上昇位置Uに配置され且つ開放された状態が、図27(b)では、動作部材491,492が上昇位置Uに配置され且つ閉鎖された状態が、図27(c)では、動作部材491,492が下降位置Dに配置され且つ閉鎖された状態が、図27(d)では、動作部材491,492が下降位置Dに配置され且つ開放された状態が、それぞれ図示される。
図28から図30は、開閉第1歯車451と開閉第2歯車452との歯合状態および回転第1歯車461と回転第2歯車462との歯合状態をそれぞれ模式的に図示する複合動作ユニット400の正面模式図である。なお、図28(a)は図27(a)の状態に、図28(b)及び図29(a)は図27(b)の状態に、図29(b)は図27(b)及び図27(c)の間の遷移状態に、図29(c)及び図30(a)は図27(c)の状態に、図30(b)は図27(d)の状態に、それぞれ対応する。また、図28(b)及び図29(a)と図29(c)及び図30(a)とには、それぞれ同一の状態が図示される。
ここで、図28から図30では、裏アーム体471及び表アーム体472が二点鎖線を用いて模式的に図示される。また、図28から図30では、開閉第1歯車451の一対の連結突部451dのうちの一方の連結突部451dと、回転第1歯車461の一対の連結孔461dのうちの一方の連結孔461dとにそれぞれハッチングを付して図示し、このハッチングを付した連結突部451d及び連結孔461dを後述する回転角度θ0〜θ4の基準として説明する。即ち、開閉第1歯車451及び回転第1歯車462は、ハッチングを付した連結突部451dがハッチングを付した連結孔461dに挿通(内嵌)され、これらが同じ回転位置に配置される。
また、図28から図30では、動作部材491,492が上昇位置Uに配置され且つ開放された状態(図27(a)に示す状態)における開閉第1歯車451及び回転第1歯車461の回転位置を回転角度θ0と、動作部材491,492が上昇位置Uに配置され且つ閉鎖された状態(図27(b)に示す状態)における開閉第1歯車451及び回転第1歯車461の回転位置を回転角度θ1と、動作部材491,492が上昇位置U及び下降位置Dの間に配置され且つ閉鎖された状態(図27(b)及び図27(c)の間の状態)における開閉第1歯車451及び回転第1歯車461の回転位置を回転角度θ2と、動作部材491,492が下降位置Dに配置され且つ閉鎖された状態(図27(c)に示す状態)における開閉第1歯車451及び回転第1歯車461の回転位置を回転角度θ3と、動作部材491,492が下降位置Dに配置され且つ開放された状態(図27(d)に示す状態)における開閉第1歯車451及び回転第1歯車461の回転位置を回転角度θ4と、それぞれ定義する。
図27(a)及び図28(a)に示すように、開閉第1歯車451及び回転第1歯車461の回転位置が回転角度θ0にある場合には、動作部材491,492が上昇位置Uに配置され且つ開放された状態とされる。即ち、開閉第2歯車452が裏アーム体471及び表アーム体472に対して第2軸427を中心に所定の回転位置まで時計回り(右回り)に回転され、連結溝481c及び第2軸427の間の距離が距離L2に短縮されることで、スライドラック部材481が上方(第2軸427に近接する方向)へスライド変位された状態(図26(c)に示す状態)とされる。
この場合、回転第1歯車461及び回転第2歯車462は、回転第1歯車461の本体部461aにおける円筒面461a1に、回転第2歯車462の本体部462aにおける非形成面462a1が当接される。上述したように、回転第1歯車461(本体部461a)の円筒面461a1は、第1軸426を中心とする円筒面として形成されると共に、回転第2歯車462(本体部462a)の非形成面462a1は、第2軸427挿通孔462b側へ向けて凹む(即ち、曲率中心を第1軸426側に有する)湾曲面であって回転第1歯車461の円筒面461a1と同一の曲率または若干小さな曲率(即ち、若干大きな半径)の湾曲面として形成される。
よって、これら円筒面461a1と非形成面462a1との当接により、回転第2歯車462(即ち、その回転第2歯車462に固定される裏アーム体471及び表アーム体472)の第2軸427を中心とする回転が不能とされる。即ち、円筒面461a1及び非形成面462a1を、第2軸427を中心として回転第2歯車462が回転されることを規制(即ち、動作部材491,492を上昇位置Uに保持)するストッパ手段として機能させることができる。
ここで、従来の遊技機において、回転可能に配設される動作部材と、その動作部材に回転駆動力を付与する駆動モータとを備え、駆動モータの回動駆動力により動作部材を所定の回転範囲で回転させるものがある。この場合、例えば、動作部材の回転範囲の終端が上昇位置とされ、その回転範囲の終端に配置された動作部材に重力が作用される場合には、動作部材が重力の作用により回転(下降)しないようにする必要がある。しかしながら、従来の遊技機では、駆動モータの駆動力を重力(動作部材の重量)に対抗させることで、動作部材の回転(下降)を規制する(即ち、動作部材を回転範囲の終端に保持する)構造であるため、動作部材の保持に必要な消費エネルギーが嵩んでいた。
これに対し、本実施形態によれば、動作部材491,492が回転範囲の終端(上昇位置U)に配置されると、回転第1歯車461(本体部461a)の円筒面461a1と回転第2歯車462(本体部462a)の非形成面462a1とが当接されることで、動作部材491,492の回転動作(回転第2歯車462の回転動)を規制できる。即ち、本実施形態では、上述の通り、動作部材491,492が回転範囲の終端(上昇位置U)に配置されると、動作部材491,492と駆動モータ430とが切り離されるため、駆動モータの回転駆動力を利用して動作部材491,492を上昇位置Uに保持不能となるところ、円筒面461a1及び非形成面462a1の当接を利用して、動作部材491,492を上昇位置Uに機械的に保持できる。その結果、動作部材491,492の保持に必要な消費エネルギーを抑制できる。
この場合、回転第1歯車461(本体部461a)の円筒面461a1と回転第2歯車462(本体部462a)の非形成面462a1とは、互いが当接された場合(即ち、動作部材491,492が上昇位置U(及び、後述する下降位置D)に配置された場合)に、回転第2歯車462の第2軸427を中心とする両方向(右回り及び左回り)への回転を規制可能な形状に形成されるので、回転第2歯車462の第2軸427を中心とする回転を一方向のみ(即ち、動作部材491,492が重力の作用により下降位置Dへ向けて下降される方向のみ)で規制可能な形状に形成される場合と比較して、移動範囲の終端(上昇位置U(及び、後述する下降位置D))に到達した際の動作部材491,492の振動を収束させ、移動範囲の終端に動作部材491,492を速やかに位置決めできる。更に、動作部材491,492をその移動範囲の終端に安定した状態で保持できるので、上昇位置U(及び、後述する下降位置D)において、停止状態にあるべき動作部材491,492が外力(例えば、遊技者が遊技機を叩く又は揺らすことで発生する外力)により振動や位置ずれすることを抑制できる。
特に、本実施形態では、回転第2歯車462(本体部462a)の非形成面462a1は、回転第1歯車461(本体部461a)の円筒面461a1に当接された場合(即ち、動作部材491,492が上昇位置U(及び、後述する下降位置D)に配置された場合)に、回転第1歯車461の回転軸(第1軸426)を中心として円弧状に湾曲する形状であって、回転第1歯車461の円筒面461a1と同径または若干大きな径の円弧状に湾曲して形成される。
これにより、回転第2歯車462の非形成面462a1を、回転第1歯車461の円筒面461a1に滑らかに当接させることができると共に、両者を面接触で当接させやすくできる。その結果、円筒面461a1及び非形成面462a1を滑らかに当接させ、動作部材491,492がその移動範囲の終端(上昇位置U(及び、後述する下降位置D))に到達して停止される際の衝撃を緩やかにできると共に、円筒面461a1及び非形成面462a1の接触圧力を小さくして、回転第1歯車461及び回転第2歯車462の耐久性の向上を図ることができる。
ここで、回転第2歯車462は、上述したように、表アーム体472の剛性を利用して(即ち、表アーム体472と一体となることで)、その剛性が高められている。よって、回転第2歯車462の厚肉化や高剛性素材を採用する必要がなく、これにより、回転第2歯車462の軽量化および低コスト化を図りつつ、回転第2歯車462の耐久性の向上が図られている。
特に、回転第2歯車462は、上述したように、その連結突部462dが非形成面462a1の背面側(即ち、非形成面462a1を挟んで回転第1歯車461の円筒面461a1と対向する位置)に配設されるので、上昇位置U(及び、後述する下降位置D)において、回転第2歯車462の非形成面462a1を回転第1歯車461の円筒面461a1に当接させる際にその回転第1歯車461の円筒面461a1から反力を受ける部分の剛性を効果的に高めることができる。その結果、回転第2歯車462の軽量化および低コスト化とその耐久性の向上との両立をより一層図ることができる。
更に、回転第2歯車462の連結突部462dは、その非形成面462a1を挟んで回転第1歯車461の回転軸(第1軸426)と対向する位置に配設される。即ち、連結突部462dと第1軸426とを結ぶ直線上に非形成面462a1が配設される。上昇位置U(及び、後述する下降位置D)において、回転第2歯車462の非形成面462a1を回転第1歯車461の円筒面461a1に当接させる際にその回転第1歯車461の円筒面461a1から受ける反力は、連結突部462dと第1軸426とを結ぶ直線に沿って作用されるため、回転第1歯車461の回転軸(第1軸426)と対向する位置に回転第2歯車462の連結突部462dが配設されることで、表アーム体472を利用して、回転第1歯車461(円筒面461a1)から反力を受ける部分の剛性を高める効果をより一層発揮できる。また、転結凸部462dには、金属製の締結ねじが挿通されるため、その点においても、剛性を高めることができる。
図27(a)及び図28(a)に示す状態から、開閉第1歯車451及び回転第1歯車461が同位相で一体的に回転角度θ0から回転角度θ1へ向けて回転されると、回転第1歯車461及び回転第2歯車462は、回転第1歯車461の円筒面461a1と回転第2歯車462の非形成面462a1との間で滑り(摺動)が発生するため、回転第1歯車461から回転第2歯車462へ回転駆動力が伝達されず、回転第2歯車462(及び裏アーム体471及び表アーム体472)は回転されない。これにより、動作部材491,492の回転動作を行わず(即ち、回転動作を停止させた状態として)、動作部材491,492を上昇位置Uに保持することができる。
このように、本実施形態では、回転第1歯車461に円筒面461a1を形成し、その円筒面461a1に回転第2歯車462の非形成面462a1を向かい合わせることで、上述した遮断状態(回転第1歯車461から回転第2歯車462へ回転駆動力が伝達されない状態)を形成する構造なので、回転第1歯車462の剛性の向上を図ることができる。
即ち、回転第1歯車461の全周(円筒面461a1に相当する領域)にわたって歯461cを形成する場合であっても、その歯461cの歯先面に回転第2歯車462の非形成面462a1を向かい合わせて滑らせる(摺動させる)ことで、上述した遮断状態を形成することができる。しかしながら、この場合には、歯461cが形成(凹設)される分、回転第1歯車461の本体部461aの剛性の低下を招く。これに対し、本実施形態では、回転第2歯車462の非形成面462a1に向かい合う領域に円筒面451a1を形成する(歯451cを形成しない)ので、その分、回転第1歯車461の本体部461aの剛性の向上を図ることができる。
また、回転第1歯車461の全周(円筒面461a1に相当する領域)にわたって歯461cを形成する場合には、回転第2歯車462の非形成面462a1は、回転第1歯車461の歯461cの歯先面よりも第2軸427側に後退されていることが必要となる。その結果、回転第2歯車462の非形成面462a1形成部分における後退量が大きくなるため、その分、その剛性の低下を招く。
これに対し、本実施形態によれば、回転第1歯車461には円筒面461a1が形成されると共に、その円筒面451a1は、上述したように、歯451cの歯先面と歯底面との間に位置されるため、回転第2歯車462の非形成面462a1の後退量を小さくできる。これにより、回転第2歯車462の非形成面462a1形成部分の突出量を確保して(後退量が大きくなることを抑制して)、回転第2歯車462において、非形成面462a1形成部分の剛性の向上を図ることができる。
特に、回転第2歯車462の非形成面462a1は、上述したように、第2軸427側へ向けて凹む(即ち、曲率中心を第1軸426側に有する)湾曲面として形成され、歯462cから周方向へ離間するに従って前方(回転第1歯車461側)へ向けて張り出す形状(即ち、第2軸427からの距離が大きくなる形状)とされるので、回転第1歯車461の円筒面461a1に対する摺動(遮断状態の形成)を可能としつつ、回転第2歯車462の非形成面462a1形成部分における突出量を大きくして、その剛性を更に高めることができる。
開閉第1歯車451及び開閉第2歯車452は、それら開閉第1歯車451及び開閉第2歯車452の歯451c,452cどうしが歯合されているので、開閉第1歯車451及び回転第1歯車461が同位相で一体的に回転角度θ0から回転角度θ1へ向けて回転されると、開閉第1歯車451の回転が開閉第2歯車452に伝達され、開閉第2歯車452が裏アーム体471及び表アーム体472に対して第2軸427を中心として相対的に反時計回り(左回り)に回転される。
その結果、連結溝481c及び第2軸427の間の距離が距離L1に拡大され、スライドラック部材481が下方(第2軸427から離間する方向)へスライド変位される(図26(b)参照)。これにより、図27(b)並びに図28(b)及び図29(a)に示すように、開放されていた動作部材491,492を閉鎖された状態とすることができる。即ち、動作部材491,492を上昇位置Uに保持しつつ、開閉動作を実行して、開放されている動作部材491,492を閉鎖させることができる。
図27(b)並びに図28(b)及び図29(a)に示すように、開閉第1歯車451及び回転第1歯車461が回転角度θ1まで回転され、動作部材491,492が上昇位置Uに配置され且つ閉鎖された状態では、回転第2歯車462の非形成面462a1が回転第1歯車461の円筒面461a1の終端に達し、回転第1歯車461及び回転第2歯車462の歯461c,462cどうしが歯合直前の状態とされる。
よって、図27(b)並びに図28(b)及び図29(a)に示す状態から、開閉第1歯車451及び回転第1歯車461が同位相で一体的に回転角度θ1から回転角度θ3へ向けて回転されると、回転第1歯車461及び回転第2歯車462は、それら回転第1歯車461及び回転第2歯車462の歯461c,462cどうしが歯合されることで、回転第1歯車461の回転が回転第2歯車462へ伝達され、回転第2歯車462が裏アーム体471及び表アーム体472と一体となって第2軸427を中心として時計回り(右回り)に回転される。これにより、図29(b)に示すように、動作部材491,492の上昇位置Uから下降位置Dへ向けての回転動作を行うことができる。
一方、上述したように、開閉第1歯車451及び開閉第2歯車452の歯車比(ギヤ比)は、回転第1歯車461及び回転第2歯車462の歯車比(ギヤ比)と同一とされるため、開閉第1歯車451及び回転第1歯車461が同位相で一体的に回転角度θ1から回転角度θ3へ向けて回転されると、開閉第2歯車452及び回転第2歯車462も同様に同位相で一体的に回転される。即ち、開閉第2歯車452は、裏アーム体471及び表アーム体472に対して相対的に回転されず、図29(b)に示すように、これら回転第2歯車462と裏アーム体471及び表アーム体472とが第2軸427を中心として同位相で一体的に回転される。即ち、動作部材491,492の開閉動作を停止する(動作部材491,492を閉鎖された状態に保持する)ことができる。
これにより、開閉第1歯車451及び回転第1歯車461が回転角度θ2から更に回転されると、動作部材491,492を閉鎖された状態に保持しつつ、回転動作を実行して、開閉第1歯車451及び回転第1歯車461が回転角度θ3に達することで、図27(c)並びに図29(c)に示すように、上昇位置Uに配置されていた動作部材491,492を下降位置Dに配置することができる。
図27(c)並びに図29(c)及び図30(a)に示すように、開閉第1歯車451及び回転第1歯車461が回転角度θ3まで回転された状態では、動作部材491,492が下降位置Dに配置され且つ閉鎖された状態とされる。この場合、回転第1歯車461及び回転第2歯車462は、互いの歯461c,462cどうしの歯合が解除され、回転第1歯車461の本体部461aにおける円筒面461a1に、回転第2歯車462の本体部462aにおける非形成面462a1が当接される。
即ち、回転第1歯車461及び回転第2歯車462の互いの歯461c,462cどうしの歯合が解除される(歯合不能とされる)ことで、回転第1歯車461から回転第2歯車462への回転駆動力の伝達を遮断して(遮断状態を形成して)、回転第2歯車462の回転(即ち、動作部材491,492の回転動作)を停止させることができる。
ここで、従来の遊技機では、動作部材の停止は、駆動モータの回転駆動力を動作部材に伝達する歯車の回転位置を検出するセンサ装置を設け、そのセンサ装置により歯車が所定の回転位置まで回転されたことが検出された場合に、或いは、駆動モータの駆動量(回転数やステップ数)を検出(計数)して、その駆動量が所定量に達した場合に、それぞれ動作部材が移動範囲の終端に到達したと判断して、駆動モータの駆動を停止していた。この場合、例えば、電気的ノイズの影響による回転位置や駆動量の検出不良などに起因して、動作部材が移動範囲の終端に達しているにも関わらず、駆動モータが停止されないことが発生し得る。そのため、従来の遊技機では、移動部材の移動範囲の終端にストッパを設け、駆動モータが適正に停止されない場合には、ストッパによって動作部材の移動を規制する構造であった。しかしながら、このように動作部材の移動をストッパにより規制する構造では、動作部材がストッパに衝突した際に、これら動作部材やストッパの破損を招く恐れがあるだけでなく、駆動モータに過大な負荷が作用して、駆動モータの破損も招く恐れもある。
これに対し、本実施形態によれば、上述の通り、動作部材491,492がその移動範囲の終端(下降位置D)に達すると、回転第1歯車461及び回転第2歯車462の歯合を解除して(歯合不能として)、駆動モータ430(図21及び図22参照)から動作部材491,492(回転第2歯車462)への回転駆動力の伝達を遮断することができる。これにより、駆動モータ430の回転駆動力が発生され続けている場合であっても、動作部材491,492を停止させることができる。
その結果、動作部材491,492と他の部材との衝突による破損を回避できる。また、仮に、動作部材491,492が他の部材へ衝突されたとしても、動作部材491,492は駆動モータ430から切り離されており(即ち、回転第1歯車461及び回転第2歯車462の歯合が解除されており)、駆動モータ430は空転している状態なので、かかる駆動モータ430に過大な負荷が作用することを回避できる。なお、後述するように、動作部材491,492が下降位置Dから上昇位置Uへ向けて回転動作され、上昇位置Uに達する場合においても同様である。
上述したように、円筒面461a1及び非形成面462a1は、互いに対応する形状の湾曲面として形成される。よって、これら円筒面461a1と非形成面462a1との当接により、回転第2歯車462(即ち、その回転第2歯車462に固定される裏アーム体471及び表アーム体472)の第2軸427を中心とする回転が不能とされる。即ち、円筒面461a1及び非形成面462a1を、第2軸427を中心とする回転第2歯車462の回転を規制可能(即ち、動作部材491,492を下降位置Dに保持可能)とするストッパ手段として機能させることができる。
図27(c)並びに図29(c)及び図30(a)に示す状態から、開閉第1歯車451及び回転第1歯車461が同位相で一体的に回転角度θ3から回転角度θ4へ向けて回転されると、回転第1歯車461及び回転第2歯車462は、回転第1歯車461の円筒面461a1と回転第2歯車462の非形成面462a1との間で滑り(摺動)が発生するため、回転第1歯車461から回転第2歯車462へ回転駆動力が伝達されず、回転第2歯車462(及び裏アーム体471及び表アーム体472)は回転されない。これにより、動作部材491,492の回転動作を行わず、その回転動作を停止する(即ち、動作部材491,492を下降位置Dに保持する)ことができる。
一方、開閉第1歯車451及び開閉第2歯車452は、それら開閉第1歯車451及び開閉第2歯車452の歯451c,452cどうしが歯合されているので、開閉第1歯車451及び回転第1歯車461が同位相で一体的に回転角度θ3から回転角度θ4へ向けて回転されると、開閉第1歯車451の回転が開閉第2歯車452に伝達され、開閉第2歯車452が裏アーム体471及び表アーム体472に対して第2軸427を中心として相対的に反時計回り(左回り)に回転される。
その結果、連結溝481c及び第2軸427の間の距離が距離L2に短縮され、スライドラック部材481が上方(第2軸427へ近接する方向)へスライド変位される(図26(c)参照)。これにより、図27(d)及び図30(b)に示すように、閉鎖されていた動作部材491,492を開放された状態とすることができる。即ち、動作部材491,492を下降位置Dに保持しつつ、開閉動作を実行して、閉鎖されている動作部材491,492を開放させることができる。
図27(d)及び図30(b)に示すように、動作部材491,492が下降位置Dに配置され且つ開放された状態となった後は、次いで、駆動モータ430(図21及び図22参照)を上述の場合と逆方向に回転駆動して、開閉第1歯車451及び回転第1歯車461を同位相で一体的に回転角度θ4から回転角度θ0へ向けて回転させることで、上述した動作(開閉動作および回転動作)を逆順で実行できる。
即ち、図27(d)及び図30(b)に示す回転角度θ4の状態から、開閉第1歯車451及び回転第1歯車461を同位相で一体的に回転角度θ3へ回転させる。これにより、図27(c)並びに図29(c)及び図30(a)に示すように、回転第1歯車461の円筒面461a1と回転第2歯車462の非形成面462a1との間の滑り(摺動)を利用して、動作部材491,492の回転動作を停止させつつ(即ち、動作部材491,492を下降位置Dに保持しつつ)、開閉第2歯車452の時計回り(右回り)への回転により、連結溝481c及び第2軸427の間の距離を距離L1に拡大して、開放されていた動作部材491,492を閉鎖された状態とすることができる。即ち、動作部材491,492を下降位置Dに保持しつつ、開閉動作を実行して、開放されている動作部材491,492を閉鎖させることができる。
次いで、図27(c)並びに図29(c)及び図30(a)に示す回転角度θ3の状態から、回転角度θ2を経て、開閉第1歯車451及び回転第1歯車461を同位相で一体的に回転角度θ1へ回転させる。これにより、図27(b)及び図29(a)に示すように、回転第2歯車462を裏アーム体471及び表アーム体472と一体に反時計回り(左回り)に回転させ、動作部材491,492を下降位置Dから上昇位置Uへ回転動作させると共に、開閉第2歯車452は、裏アーム体471及び表アーム体472に対して相対的に回転させず、これら回転第2歯車462と裏アーム体471及び表アーム体472とを第2軸427を中心として同位相で一体的に回転させることができる。即ち、動作部材491,492を閉鎖された状態に保持しつつ、回転動作を実行して、下降位置Dに配置されていた動作部材491,492を上昇位置Uに配置することができる。
このように、本実施形態では、動作部材491,492を下降位置Dから上昇位置Uへ向けて移動させる回転動作を開始する際には、先に、動作部材491,492の開閉動作のみを行った後に、動作部材491,492の回転動作を行う。即ち、駆動モータ430(図21及び図22参照)の回転駆動力が回転第2歯車462へ伝達されることを遮断する遮断状態を形成した後に、駆動モータ430の回転駆動力を回転第2歯車462へ伝達する伝達状態を形成するので、動作部材491,492の回転動作を開始するために駆動モータ430に必要とされる回転駆動力を抑制でき、その結果、駆動モータ430の小型化を図ることができる。
即ち、停止状態(即ち、上昇位置U又は下降位置D)にある動作部材491,492の回転動作を開始する際には、静止している物体を動かすことになるため、動作部材491,492に発生する慣性力を上回る力をかかる動作部材491,492に作用させる必要があり、駆動モータ430に必要とされる回転駆動力が大きくなる。特に、動作部材491,992の回転動作は、かかる動作部材491,492だけでなく、その動作部材491,492の開閉動作を行う機構部分(例えば、スライドラック部材481や各ピニオン脚部材482,483など)やその機構部分を保持する各アーム体471,472なども含めた全体を動かす必要があり、その回転動作を開始する際の慣性力が大きくなる。また、下降位置Dにある動作部材491,492を上昇位置Dへ向けて回転動作させる際には、慣性力に加え、動作部材491,492の重量(重力の作用)にも抗する必要がある。そのため、駆動モータ430の大型化を招く。
一方で、動作部材491,492の回転動作が開始された後は、その動作部材491,492の運動状態を維持しようとする慣性の働きが作用することから、駆動モータ430に必要とされる回転駆動力は、動作部材491,492の回転動作を開始する際に必要とされる回転駆動力と比較して、小さくなる。換言すれば、動作部材491,492の移動が開始された後は、最大出力が不必要に大きな駆動モータ430が使用されている状態にあるといえる。
これに対し、本実施形態によれば、まず、回転第1歯車461の円筒面461a1と回転第2歯車462の非形成面462a1との間の滑り(摺動)を利用して、回転駆動力が回転第2歯車462には伝達されない状態(遮断状態、図30(b)から図30(a)に遷移する間の状態)において駆動モータ430を回転駆動させることができ、かかる駆動モータ430の駆動状態に勢い(回転第1歯車461側に慣性力)を持たせることができる。その後、回転第1歯車461が回転第2歯車462に歯合される(即ち、伝達状態が形成される)ことで(図29(c)から図29(b)へ遷移する状態を参照)、駆動モータ430の回転駆動に勢いを持たせた状態で、動作部材491,492の回転動作を開始することができる。これにより、駆動モータ430を小型化しても、動作部材491,492の移動を開始することができる。換言すれば、動作部材491,492の回転動作が開始された後に、最大出力が不必要に大きな駆動モータ430が使用されるという状態の発生を抑制できる。
特に、この遮断状態においては、動作部材491,492の開閉動作が行われるが、開閉動作では、駆動モータ430の駆動力により動かす(移動または変位させる)物体は、動作部材491,492のみであり、回転動作の場合のように、動作部材491,492に加えて、その機構部分や各アーム体471,472なども含めた全体を動かす必要がない。そのため、駆動モータ430の負荷は小さく、その駆動状態に十分に勢い(回転第1歯車461側に慣性力)を持たせることができる。
なお、回転第1歯車461の円筒面461a1と回転第2歯車462の非形成面462a1とは、歯461c,462cを挟んで両側に形成され、上昇位置U及び下降位置Dの2位置において、円筒面461a1に非形成面462aが当接される状態(遮断状態)を形成することができる。よって、下降位置Dにある動作部材491,492の上昇位置Uへの移動が開始される際だけでなく、上昇位置Uにある動作部材491,492の下降位置Dへの移動が開始される際にも、駆動モータ430の駆動状態に勢い(慣性力)を持たせることができる。
図27(b)並びに図28(b)及び図29(a)に示す回転角度θ1の状態から、開閉第1歯車451及び回転第1歯車461を同位相で一体的に回転角度θ0へ回転させる。これにより、図27(a)及び図28(a)に示すように、回転第1歯車461の円筒面461a1と回転第2歯車462の非形成面462a1との間の滑り(摺動)を利用して、動作部材491,492の回転動作を停止させつつ(即ち、動作部材491,492を上昇位置Uに保持しつつ)、開閉第2歯車452の時計回り(右回り)への回転により、連結溝481c及び第2軸427の間の距離を距離L2に短縮して、閉鎖されていた動作部材491,492を開放された状態とすることができる。即ち、動作部材491,492を上昇位置Uに保持しつつ、開閉動作を実行して、閉鎖されている動作部材491,492を開放させることができる。
以上のように、本実施形態の複合動作ユニット400によれば、第2軸427を中心に回転(回転動作)される裏アーム体471及び表アーム体472(第1移動部材)と、それら裏アーム体471及び表アーム体472に配設され互いに近接離間する方向へ開閉(開閉動作)される動作部材491,492(第2移動部材)とを備え、動作部材491,492(第2移動部材)の開閉動作を行う間は裏アーム体471及び表アーム体472(第1移動部材)の回転動作を停止させる一方(図28及び図30参照)、動作部材491,492(第2移動部材)の開閉動作を停止させる間は裏アーム体471及び表アーム体472(第1移動部材)の回転動作を行う(図29参照)という複合動作を1の駆動モータ430により実行可能とされる。
ここで、従来の遊技機では、第1移動部材および第2移動部材の移動動作を1の駆動モータにより行う場合、駆動モータが駆動力を発生する状態と駆動力の発生を停止した状態との2つの駆動状態を形成することで、第1移動部材および第2移動部材の動作態様を切り替える構造であったため、第1移動部材および第2移動部材の両者が共に移動するか或いは両者が共に停止するという動作態様のみが形成可能とされ、第1移動部材または第2移動部材の一方を移動させつつ他方を停止させることはできなかった。そのため、第1移動部材または第2移動部材の一方を移動させつつ他方を停止させるためには、第1移動部材を移動させるための駆動モータと第2移動部材を移動させるための駆動モータとをそれぞれ個別に設ける、即ち、合計2個の駆動モータを設ける必要があった。
これに対し、本実施形態では、上述の通り、動作部材491,492(第2移動部材)又は裏アーム体471及び表アーム体472(第1移動部材)のうちの一方を動作させつつ他方を停止させる動作態様を1の駆動モータ430により達成できるので、動作部材491,492の移動および停止による演出効果を高めつつ、駆動モータ430の必要数を低減して、その分、製品コストの削減を図ることができる。
次いで、図31から図45を参照して、第1結合動作ユニット500及び第2結合動作ユニット600について説明する。
図31は、第1係合部材539及び一対の第2結合部材630が退避位置に配置された状態における第1結合動作ユニット500及び第2結合動作ユニット600の正面図であり、図32は、第1係合部材539及び一対の第2結合部材630が結合位置に配置された状態における第1結合動作ユニット500及び第2結合動作ユニット600の正面図である。なお、図31及び図32に図示される第1結合動作ユニット500及び第2結合動作ユニット600の配設位置(対向間隔)は、それら両ユニット500,600が背面ケース210に収容された状態における配設位置(対向間隔)に対応する。
図31及び図32に示すように、第1結合動作ユニット500は、スライド機構を介して上下に昇降可能に形成される第1係合部材539を備えると共に、第2結合動作ユニット600は、リンク機構を介して左右に揺動可能に形成される一対の第2結合部材630を備え、第1結合動作ユニット500の下方に第2結合動作ユニット600が所定間隔を隔てて配設される。これら第1結合動作ユニット500及び第2結合動作ユニット600の対向間に位置する空間の背面側(図31及び図32紙面奥側)には、第3図柄表示装置81(図2参照)が配設される。
第1結合動作ユニット500及び第2結合動作ユニット600は、第1係合部材539及び一対の第2結合部材630をそれぞれ昇降および揺動させることで、図31に示す退避位置または図32に示す結合位置に配置する。図31に示す退避位置では、第1係合部材539が上昇されると共に、一対の第2結合部材630がリンク機構の傾倒により左右に離間され、第3図柄表示装置81(図2参照)の前面側が開放された状態とされる(図6参照)。一方、図32に示す結合位置では、第1係合部材539が下降されると共に、一対の第2結合部材630がリンク機構の起立により互いに近接され、これら第1係合部材539及び一対の第2結合部材630が第3図柄表示装置81の前面側に配置されると共に互いに結合される(図12参照)。
この場合、第1結合動作ユニット500及び第2結合動作ユニット600によれば、左右に隣り合わせに配置された一対の第2結合部材630へ向けて、第1係合部材539が下降され、その第1係合部材539の下面539eが一対の第2結合部材630のそれぞれの上面630aに当接されることで、互いを近接させる方向への力が一対の第2結合部材630に作用される。これにより、第1係合部材539の下面539eと一対の第2結合部材630の上面630aとを密着させることができるだけでなく、左右に隣り合う一対の第2結合部材630の対向面どうしも密着させることができる。その結果、これら各結合部材539,630を、互いの間に隙間が形成されることを抑制しつつ、結合させることができる。よって、複数の部材を結合させることによる演出効果の向上を図ることができる。
まず、第1結合動作ユニット500について、図33から図41を参照して説明する。
図33(a)は、第1結合動作ユニット500の正面図であり、図33(b)は、図33(a)の矢印XXXb方向視における第1結合動作ユニット500の底面図である。また、図34は、第1結合動作ユニット500の分解正面斜視図であり、図35は、第1結合動作ユニット500の分解背面斜視図である。なお、図35では、嵩上げ部材550及び装飾部560の図示が省略される。
図33から図35に示すように、第1結合動作ユニット500は、基板部材510と、その基板部材510の正面側に配設されると共に駆動力を発生する駆動部520と、その駆動部520が発生する駆動力を受けて上下方向にスライド変位(昇降)されると共に基盤部材510の正面側に配設されるスライド機構部530と、そのスライド機構部530に駆動部520の駆動力を伝達する部材であって基板部材510の背面側に配設される第1リンク部材541と、その第1リンク部材541と対称となる姿勢で基板部材510の背面側に配設される第2リンク部材542と、基板部材510の前面側にスライド機構部530を挟んで左右に配設される一対の嵩上げ部材550と、それら一対の嵩上げ部材550の正面側に配設される装飾部560と、基板部材510の正面側に配設され第2リンク部材542に付勢力を付与する付勢ばね571と、を主に備える。
なお、嵩上げ部材550は、背面側が開放された箱状に形成され、基板部材510の正面側に配設される駆動部520を嵩上げ部材550の内部空間に収容可能とされる。これにより、後述するように、駆動部520を基板部材510の前面側に配設した場合でも、基板部材510の前面側であってスライド機構部530の側方に形成されるデッドスペースを有効に活用でき、第1結合動作ユニット500の特に前後方向(図33(b)上下方向)の小型化を図ることができる。
基板部材510は、正面視横長の矩形板状に形成される部材であり、一対の案内溝511と、それら一対の案内溝511のうちの一方の案内溝511に沿って並設されるラック部512と、一対の案内溝511を挟んで左右に形成される連結溝513,514と、連結溝513の側方に形成される軸支孔515と、基板部材510の正面側および背面側にそれぞれ突設される支持軸516と、を主に備える。
案内溝511は、スライド機構部530の挿通軸531cを基板部材510の正面側から背面側へ挿通させその挿通軸531cと各リンク部材541,542とを基板部材510の背面側において連結可能とするための溝状の開口であり、基板部材510の幅方向略中央において一対が互いに平行を保ちつつ上下方向に沿って直線状に延設される。案内溝511は、その溝幅がスライド機構部530の挿通軸531cの外径寸法よりも大きな寸法に設定され、挿通軸531cを案内溝511の延設方向に沿ってのみ移動可能とする。即ち、スライド機構部530は、その挿通軸531cが案内溝511に案内されることで、案内溝511の延設方向に沿って上下方向に移動(昇降)可能とされる。
ラック部512は、案内溝511の延設方向に沿う平面に複数の歯512aが刻設されたラックギヤとして形成される部位であり、基板部材510の正面側に固着される。基板部材510にスライド機構部520が組み付けられた状態では、そのスライド機構部530のピニオンギヤ537(図38参照)がラック部512の歯512aに歯合される。よって、スライド機構部530が案内溝511の延設方向に沿って移動(昇降)されると、そのスライド機構部530の移動に伴って、ピニオンギヤ537が回転駆動される。
連結溝513は、駆動部520の連結軸526を基板部材510の正面側から背面側へ挿通させその連結軸526と第1リンク部材541とを基板部材510の背面側において連結させるための溝状の開口であり、案内溝511へ向けて凸となる円弧状に湾曲して延設される。詳細には、連結溝513は、軸支孔515の軸心を中心とする円環形状の一部を切り取った形状に形成される。連結溝513は、その溝幅が駆動部520の連結軸526の外径寸法よりも若干大きな寸法に設定され、連結軸526を連結溝513の延設方向に沿ってのみ移動可能とする。
軸支孔515は、第1リンク部材541の基端側を軸支する支持軸527を挿通させるための開口であり、連結溝513を挟んで案内溝511の反対側に配設される。なお、支持軸527は、後述するように、駆動部520のケース体521に固着され、駆動部520が基板部材510の正面側に配設されることで、支持軸527の先端が軸支孔515を介して基板部材510の背面側に突出される。第1リンク部材541は、軸支孔515を介して突出された支持軸527に基端側が軸支され、かかる支持軸527を中心として回転される。
連結溝514は、第2リンク部材542の係止爪542bを基板部材510の背面側から正面側へ挿通させその係止爪542bに付勢ばね542の端部を基板部材510の正面側において形成させるための溝状の開口であり、案内溝511へ向けて凸となる円弧状に湾曲して延設される。即ち、連結溝514は、第2リンク部材542が支持軸516を中心として回転される際に係止爪542bの移動を許容する大きさの開口として形成される。
支持軸516は、第2リンク部材542及び付勢ばね571を軸支するための軸体であり、上述したように、基板部材510の正面側および背面側にそれぞれ突設される。なお、支持軸516は、一対の案内溝511の中間を通過する仮想直線を対称線として、軸支孔515と線対称となる位置に配設される。第2リンク部材542は、基板部材510の背面側に突設された支持軸516に基端側(軸支孔542a)が軸支され、かかる支持軸516を中心として回転される。また、付勢ばね571は、基板部材510の正面側に突設された支持軸516に保持される。
なお、付勢ばね571は、ねじりコイルばねとして形成され、そのコイル部が支持軸516に保持(ガイド)されると共に、一対の腕部のうちの一方の腕部が第2リンク部材542の係止爪542bに係止され、他方の腕部が基板部材510の係止爪517に係止される。付勢ばね571は、一対の腕部が互いに近接する方向へ弾性変形された状態で配設されており、その弾性回復力により第2リンク部材542の係止爪542bを上方へ押し上げる方向(図34及び図35の上側)へ向けて付勢する。即ち、付勢ばね571の付勢力は、第2リンク部材542を図35に示す姿勢(先端側を案内溝511の上端側に位置させる姿勢)に保持する方向へ作用される。
駆動部520は、スライド機構部530を上下方向にスライド変位(昇降)させるための駆動力を発生するためのユニットであり、基板部材510の正面側であって、スライド機構部530の側方に配設される。ここで、駆動部520について、図36を参照して説明する。
図36は、駆動部520の背面図である。なお、図36では、基板部材510に駆動部520を組み付けた状態における基板部材510の連結溝513及び軸支孔515の位置が二点鎖線を用いて模式的に図示される。
図36に示すように、駆動部520は、ケース体521と、そのケース体521の正面側に配設されると共に駆動軸をケース体521の背面側に突出させる駆動モータ522(図34及び図35参照)と、その駆動モータ522の駆動軸に固着されるピニオンギヤ523と、そのピニオンギヤ523に歯合されると共にケース体521の背面から突設される回転軸524aに回転可能に軸支されるクランク歯車524と、そのクランク歯車524に一端が回転軸525aを介して回転可能に軸支される連接棒525と、その連接棒525の他端から突設される連結軸526と、ケース体521の背面から突設される支持軸527と、を主に備える。なお、駆動モータ522の駆動軸、回転軸524a,525a、連結軸526及び支持軸527は、それぞれ平行に配設される。
連接棒525の一端をクランク歯車524に回転可能に軸支する回転軸525aは、クランク歯車524の回転軸524aに対して偏心する位置に配置され、連接棒525の他端から突設される連結軸526は、上述したように、基板部材510の連結溝513に挿通されその連結溝513の延設方向に沿ってのみ移動可能とされる。そのため、クランク歯車524、回転軸525a及び連接棒525は、クランク歯車524の回転運動を、連接棒525を介して、連結軸526の往復運動に変換するクランク機構を構成する。
即ち、駆動モータ522の回転駆動によりピニオンギヤ523が回転され、その回転によりクランク歯車524が一方向(例えば、矢印A1方向)に回転されると、連結軸526が連結溝513の延設方向に沿って一方向(矢印B1方向)へ変位される一方、駆動モータ522が逆方向に回転駆動され、クランク歯車524が他方向(矢印A2方向)に回転されると、連結軸526の移動方向が逆転され、かかる連結軸526が連結溝513の延設方向に沿って他方向(矢印B2方向)へ変位される。
なお、駆動部520(ケース体521)が基板部材510の正面側に組み付けられた状態では、上述したように、連結軸526及び支持軸527は基板部材510の連結溝513及び支持孔515にそれぞれ挿通され、それら連結軸526の先端および支持軸527の先端をそれぞれ基板部材510の背面側に突出させる(図34及び図35参照)。
この場合、連結軸526は第1リンク部材541の長手方向中間部(連結孔541b)に、支持軸527は第1リンク部材541の基端部(軸支孔541a)に、それぞれ回転可能に連結されるので(図35参照)、駆動モータ522の回転駆動により、連結軸526を連結溝513に沿って変位(矢印B1方向または矢印B2方向)させることで、第1リンク部材541を、支持軸527を中心として回転させることができる。
図33から図35に戻って説明する。第1リンク部材541は、駆動部520の連結軸526とスライド機構部530の挿通軸531cとを連結して、駆動モータ522の駆動力をスライド機構部530に伝達するための部材であり、長尺板状に形成される。第1リンク部材541には、基端部に軸支孔541aが、長手方向中間部に連結孔541bが、基端部の反対側となる先端部に摺動孔541cが、それぞれ形成される。
軸支孔541a及び連結孔541bは、正面視円形状の貫通孔として形成され、駆動部520の軸支軸527及び連結軸526がそれぞれ回転可能に挿通される。一方、摺動孔541cは、第1リンク部材541の長手方向に長径方向を沿わせた正面視長穴形状の貫通孔として形成され、その長穴形状(長径方向)に沿って摺動可能にスライド機構部530の挿通軸531cが挿通される。
よって、第1リンク部材541が支持孔541aを中心として摺動孔541cを上昇させる方向(矢印B1方向、図36参照)へ回転されると、スライド機構部530の挿通軸531cが基板部材510の案内溝511に沿って上方へ変位され、スライド機構部530が上昇される一方、第1リンク部材541が支持孔541aを中心として摺動孔541cを下降させる方向(矢印B2方向、図36参照)へ回転されると、スライド機構部530の挿通軸531cが基板部材510の案内溝511に沿って下方へ変位され、スライド機構部530が下降される(図40及び図41参照)。
ここで、本実施形態では、基板部材510の前面側に連接棒525が、基板部材510の背面側に第1リンク部材541が、それぞれ配設され、これら連接棒525及び第1リンク部材541が基板部材510の連結溝513を介して互いに連結(接続)されるので、これら連接棒525及び第1リンク部材541により形成される駆動力の伝達経路(即ち、クランク歯車524の回転軸524aと連結軸526とを連結する部分(連接棒525)、及び、連結軸526と挿通軸531cとを連結する部分(第1リンク部材541の連結孔541bから摺動孔541cまでの部分)の長さ寸法)が長くなる。そのため、駆動モータ522の駆動力を伝達する際に連接棒525及び第1リンク部材541が変形して、駆動力をスライド機構部530(挿通軸531c)へ安定して伝達できないおそれがある。
これに対し、本実施形態によれば、第1リンク部材541に基端側(軸支孔541a)が、基板部材510の背面において、支持軸527に回転可能に軸支されるので、その支持軸527が固着される駆動部520のケース体521及びそのケース体521が締結固定される基板部材510の剛性を利用して、連接棒525及び第1リンク部材541の全体としての剛性を高めることができる。その結果、駆動モータ522の駆動力を伝達する際に連接棒525及び第1リンク部材541が変形することを抑制して、かかる駆動力をスライド機構部530(挿通軸531c)へ安定して伝達することができる。
特に、本実施形態では、連接棒525及び第1リンク部材541のうちの第1リンク部材541(軸支孔541a)を基板部材510に回転可能に軸支するので、連接棒525を基板部材510に回転可能に軸支する場合と比較して、かかる基板部材510に軸支される箇所からスライド機構部530(挿通軸531c)までの駆動力の伝達経路を短くでき、その結果、駆動力のスライド機構部530(挿通軸531c)への伝達をより一層安定させることができる。
第2リンク部材542は、付勢ばね571とスライド機構部530の挿通軸531cとを連結して、付勢ばね571の付勢力をスライド機構部530に伝達するための部材であり、長尺板状に形成される。第2リンク部材542には、第1リンク部材541と同様に、基端部および先端部に軸支孔542a及び摺動孔542cが、それぞれ形成される。軸支孔542aには、基板部材510の支持軸516が回転可能に挿通され、摺動孔542cには、スライド機構部530の挿通軸531cが挿通される。また、第2リンク部材542の長手方向中間部には、係止爪542bが形成される。係止爪542bは、上述したように、連結溝514を介して、基板部材510の正面側に配置され、付勢ばね571の腕部を係止する。
よって、第2リンク部材542は、第1リンク部材541と共に、スライド機構部530を左右対称に保持するので、かかるスライド機構部530のスライド変位を安定して行わせることができる。また、スライド機構部530には、第2リンク部材542を介して、付勢ばね571の付勢力が上昇方向(第2リンク部材542の先端側(摺動孔542c)を上昇させる方向)に作用されるため、スライド機構部530を上昇させる際には、駆動部520の駆動力を補助することができる。これにより、駆動モータ522の大型化を抑制できる。
なお、第1リンク部材541及び第2リンク部材542の軸支孔541a,542aに挿通された支持軸527,516には、抜け止めとして、Eリングとして形成される止め輪Eが装着されると共に、第1リンク部材541及び第2リンク部材542の摺動孔541c,542cに挿通された挿通軸531cには、抜け止めとして、摺動孔541c,542cの溝幅よりも大径の座面(頭部またはワッシャ)を有する締結ねじが締結される(図35参照)。
ここで、第1リンク部材541については、第1リンク部材541の連結孔541bに挿通される連結軸526に対し、抜け止めとしての止め輪Eの装着または締結ねじの締結が省略される。即ち、3本の軸のうちの2本(支持軸527及び挿通軸531c)に抜け止めを施すことで、残りの1本(連結軸526)については、その抜け止めを省略でき、その分、抜け止めに要する部品点数を低減できる。特に、長尺となる第1リンク部材541の基端側および先端側の2本の軸に対して抜け止めを施し、それら基端側および先端側の中間となる位置の軸に対して抜け止めを省略する構造とすることで、抜け止めを省略した軸(連結軸526)が連結孔541bから抜けることを抑制しつつ、第1リンク部材451を安定して回転させることができる。
スライド機構部530は、上述したように、基板部材510の案内溝511に沿って上下方向にスライド変位(昇降)する機構部分であり、その第1係合部材539を、所定位置まで下降させることで、第2結合動作ユニット600の第2結合部材630に結合させる(図32参照)。ここで、図37から図39を参照して、スライド機構部530について説明する。
図37(a)は、スライド機構部530の正面斜視図であり、図37(b)は、スライド機構部530の背面斜視図である。また、図38は、分解したスライド機構部530を正面視したスライド機構部530の正面斜視図であり、図39は、分解したスライド機構部530を背面視したスライド機構部530の背面斜視図である。
図37から図39に示すように、スライド機構部530は、A層ベース板531と、B層ベース板532及びB層装飾体533と、C層ベース板534及びC層装飾体535と、第1ピニオンギヤ537と、第2ピニオンギヤ538と、第1結合部材539と、を備え、駆動部520から第1リンク部材541を介して伝達される駆動力により第1結合部材539を上下にスライド変位(昇降)させる。
なお、本実施形態のスライド機構部530によれば、A層ベース板531と第1結合部材539との間に2組のダブルラック・ピニオン構造が介在され、第1リンク部材541からA層ベース板531が受けた駆動力が、2組のダブルラック・ピニオン構造を介して、第1結合部材539へ伝達されることで、かかる第1結合部材539のスライド変位(昇降)を増速させることができるように構成される。
A層ベース板531は、正面視縦長の矩形板状に形成される本体部531aと、その本体部531aの長手方向に沿って直線状に延設される溝状の開口である案内溝531bと、本体部531aの背面から突設されると共に案内溝531bを挟んで左右に並設される複数本(本実施形態では合計6本)の挿通軸531cと、本体部531aの正面側へ突設され第1ピニオンギヤ537を回転可能に軸支する支持軸531dと、を備える。
A層ベース板531は、複数本の挿通軸531cを基板部材510の案内溝511にそれぞれ挿通させると共に、それら挿通された挿通軸531cの先端に案内溝511の溝幅よりも大径のカラーCを抜け止めとして締結固定することで、基板部材510にスライド変位(昇降)可能に保持される(図35参照)。この場合、支持軸531dに軸支された第1ピニオンギヤ537が、基板部材510のラック部512に歯合される。
なお、本実施形態では、複数本の挿通軸531cのうちの2本の挿通軸531cは、上述したように、第1リンク部材541及び第2リンク部材542の摺動孔541c,542cに挿通した上でその先端に締結ねじを抜け止めとして締結する。
また、本実施形態では、複数の挿通軸531cは、A層ベース板531の長手方向(図39上下方向)中央よりも上方側(図39上側)にそれぞれ位置する。よって、後述するように、スライド機構部530が自身の重量により基板部材510の正面側で前方へ向けて前傾姿勢となる場合に、その前傾姿勢をカラーCや第1リンク部材541及び第2リンク部材542によって効果的に規制することができ、その結果、スライド機構部530(A層ベース板531)を安定した状態でスライド変位(昇降)させることができる。
B層ベース板532は、正面視縦長の矩形板状に形成される本体部532aと、その本体部532aに貫通形成される複数の挿通孔532bと、本体部532aの背面から突設される複数の挿通軸532cと、本体部532aの側面にその本体部532aの長手方向に沿って複数の歯がラックギヤとして刻設されるラック部532dと、を備える。
B層ベース板532は、複数本の挿通軸532cをA層ベース板531の案内溝531bにそれぞれ挿通させると共に、それら挿通された挿通軸532cの先端に締結ねじを抜け止めとして締結することで、A層ベース板531にスライド変位(昇降)可能に保持される。
この場合、B層ベース板532(本体部532a)の側面に配設されたラック部532dが、A層ベース板531(支持軸531d)に軸支された第1ピニオンギヤ537に歯合される。即ち、第1ピニオンギヤ537は、基板部材510のラック部512及びB層ベース板532のラック部532dとの両者に歯合され、これにより、1組目のダブルラック・ピニオン構造が形成される。よって、基板部材510に対してA層ベース板531がスライド変位(昇降)されると、1組目のダブルラック・ピニオン構造を介して、B層ベース板532がA層ベース板531に対してスライド変位(昇降)される。即ち、B層ベース板532は、A層ベース板531よりも増速された状態で、基板部材510に対してスライド変位(昇降)される。
B層装飾体533は、正面側から遊技者に視認される装飾部を形成する部材であり、B層ベース板532に固着され、そのB層ベース板532と一体となってスライド変位(昇降)される。詳細には、B層装飾体533は、その背面から突設される複数の挿通軸533aを備え、その挿通軸533aに、B層ベース板532の挿通孔532bに挿通された締結ねじが締結されることで、B層ベース板532の前面側に固着される。
なお、B層装飾体533の複数の挿通軸533aは、第1結合部材539の案内溝539b及びC層ベース板534の案内溝534bに挿通された上で、B層ベース板532に固着される。この場合、B層装飾体533の複数の挿通軸532aのうちの1の挿通軸532aは、第2ピニオンギヤ538を回転可能に軸支する。よって、B層装飾体533及びB層ベース板532がA層ベース板531に対してスライド変位(昇降)される際には、第2ピニオンギヤ538もA層ベース板531に対してスライド変位(昇降)される。
C層ベース板534は、正面視縦長の矩形板状に形成される本体部534aと、その本体部534aの長手方向に沿って直線状に延設される溝状の開口である案内溝534bと、本体部534aに貫通形成される複数の挿通孔534cと、本体部532aの前面側において案内溝534bに沿って複数の歯がラックギヤとして刻設されるラック部534dと、を備える。
C層装飾体535は、正面側から遊技者に視認される装飾部を形成する部材であり、C層ベース板534に固着され、そのC層ベース板534と一体となってスライド変位(昇降)される。詳細には、C層装飾体535は、その背面から突設される複数の挿通軸535aを備え、その挿通軸535aに、C層ベース板534の挿通孔534cに挿通された締結ねじが締結されることで、C層ベース板534の前面側に固着される。
第1結合部材539は、正面側から遊技者に視認される装飾部を形成する共に、第2結合動作ユニット600の一対の第2結合部材630に当接して結合状態を形成するための部材であり(図32参照)、正面視縦長の矩形板状に形成される本体部539aと、その本体部539aの長手方向に沿って直線状に延設される溝状の開口である案内溝539bと、本体部534aの下方に連設される装飾部539cと、本体部532aの背面側において案内溝539bに沿って複数の歯がラックギヤとして刻設されるラック部539dと、を備える。
なお、第1結合部材539(装飾部539c)の下面539eは、中央へ向けて下降傾斜する2つの平坦面が組み合わされて形成される。即ち、第1結合部材539(装飾部539c)は、その正面視形状が、中央が下降方向(図38下方向)へ向けて突出する逆V字形状に形成される(図40及び図41参照)。この第1結合部材539(装飾部539c)の下面539eは、上述したように、結合位置において、第2結合部材630の上面630aに当接される(図32参照)。
また、第1結合部材539の下面539eには、その中央に正面視横長矩形状の凹部539e1が凹設される。この凹部539e1には、結合位置において、第2結合部材630の上面630aから突設される凸部630a1が収納(凹凸嵌合)される。この凹凸嵌合により、結合位置において、第1結合部材539に対する一対の第2結合部材630の相対変位(前後方向および左右方向)を規制できる。
C層ベース板534及び第1結合部材539は、それらC層ベース板534及び第1結合部材539の案内溝534b,539bに、B層装飾体533の複数の挿通軸533aがそれぞれ挿通されることで、B層装飾体533及びB層ベース板532の間でそれぞれスライド変位(昇降)可能に保持される。
この場合、B層装飾体533の挿通軸533aに軸支された第2ピニオンギヤ538が、C層ベース板534(本体部534a)の正面側に配設されたラック部534dと、第1結合部材539(本体部539a)の背面側に配設されたラック部539dとの両者に歯合され、これにより、2組目のダブルラック・ピニオン構造が形成される。よって、A層ベース板531に対してB層ベース板532(及びB層装飾体533)がスライド変位(昇降)されると、2組目のダブルラック・ピニオン機構を介して、第1結合部材539がB層ベース板532(及びB層装飾体533)に対してスライド移動される。即ち、第1結合部材539は、B層ベース板532よりも増速された状態で、基板部材510に対してスライド変位(昇降)される。
図33から図35に戻って説明する。上述したように、第1結合部材500は、基板部材510の正面側にスライド機構部530を配設し、そのスライド機構部530(A層ベース板531)の背面から突出される複数(本実施形態では6本)の挿通軸531cを、基板部材510の案内溝511にそれぞれ挿通させ、それら挿通された複数の挿通軸531cのうちの一部(4本)の挿通軸531cにはカラーCを抜け止めとして装着する一方、残り(2本)の挿通軸531cは第1リンク部材541及び第2リンク部材542に連結する(図35参照)。
ここで、従来の遊技機においても、移動部材(スライド機構部530に相当)に複数の挿通軸(挿通軸531cに相当)を設け、それら複数の挿通軸を、基板部材(基板部材510に相当)の案内溝(案内溝511に相当)に挿通させ、駆動手段(駆動部520に相当)の駆動力により、移動部材を案内溝に沿ってスライド変位させる構造のものが知られている。
この場合、移動部材のスライド変位を安定して行わせるためには、案内溝に挿通させる挿通軸の数を多くすることが好ましい。一方で、挿通軸の数を多くすると、その挿通軸を保持する(案内溝からの抜け止めを行う)ための部品(カラーCに相当)の数も増加し、コストが増加する。そのため、移動部材のスライド変位の安定化を可能としつつ、コストを削減する方法が要請されていた。
これに対し、本実施形態によれば、駆動モータ522の駆動力をスライド機構部530(A層ベース板531)に伝達する第1リンク部材541を、スライド機構部530が配設される正面側とは反対側となる基板部材510の背面側に配設し、かかる第1リンク部材541を、基板部材510の案内溝511から突出される複数の挿通軸531cのうちの1の挿通軸531cに連結するので、これら複数の挿通軸531cの案内溝511からの抜け止めを行うための複数のカラーCのうちの1のカラーCを、第1リンク部材541に兼用させることができる。その結果、挿通軸531cの数は確保して、スライド機構部530(A層ベース板531)のスライド変位の安定化を可能としつつ、挿通軸531cを保持するための部品(カラーC)の部品点数を低減して、コストの削減を図ることができる。
特に、本実施形態では、スライド機構部530が配設される正面側とは反対側となる基板部材510の背面側に、第2リンク部材542を第1リンク部材541に対して案内溝511を挟んで対称に配設すると共に、かかる第2リンク部材542を、基板部材510の案内溝511から突出される複数の挿通軸531cのうちの1の挿通軸531cに連結するので、第1リンク部材541及び第2リンク部材542からスライド機構部530が受ける支持反力を対称とすることによる効果(スライド機構部530のスライド変位の安定化)を図ることができるだけでなく、複数のカラーCのうちの1のカラーCを、第2リンク部材542によっても兼用させることができるので、挿通軸531cの数は確保して、スライド機構部530(A層ベース板531)のスライド変位の安定化を可能としつつ、挿通軸531cを保持するための部品(カラーC)の部品点数を低減して、コストの削減を図ることをより一層達成できる。
このように、本実施形態では、第1リンク部材541及び第2リンク部材542を基板部材510の背面側に配設することで、スライド変位の安定化とコストの削減とを図る。更に、本実施形態では、駆動部520にクランク機構(クランク歯車524、連接棒525及び連結軸526)を構成させると共に、基板部材510に連結溝513を開口形成するので、かかる連結溝513を介して、連結軸526を第1リンク部材541に連結させることで、駆動部520を基板部材510の正面側に配設することができる。これにより、基板部材510の正面側に第1結合動作ユニット500の構成要素を集中させることができるので、限られたスペースを有効に活用して、各構成要素の配置を効率的に行うことができ、その結果、第1結合動作ユニット500の小型化を図ることができる。
特に、第1結合動作ユニット500は、スライド機構部530の前面側に装飾部560が配設されるため、これらスライド機構部530と装飾部560とが前後方向(図33(b)上下方向)に重なり、その分、前後方向の寸法が嵩む。これに対し、本実施形態によれば、上述のように、駆動部520が基板部材510の前面側に配設可能となることで、かかる駆動部520を、基板部材510の前面側であってスライド機構部530の側方に形成されるデッドスペースに配設できる。即ち、スライド機構部530及び駆動部520の比較的寸法が嵩む2要素を左右方向に並設させることができる。これにより、限られたスペースのうちのデッドスペースを有効に活用して、第1結合動作ユニット500の特に前後方向(図33(b)上下方向)の小型化を図ることができる。
更に、この場合には、本実施形態によれば、第1リンク部材541が平板状に形成されると共に、かかる第1リンク部材541が、基板部材510の背面側において、支持軸527を中心として回転される構造であるので、その第1リンク部材541の移動のための空間を平面的とすることができる。即ち、第1リンク部材541の移動のための空間を基板部材510の背面側の平面的なスペースで確保することができ、前後方向(図33(b)上下方向)に大きな空間として確保する必要がない。よって、この点からも、第1結合動作ユニット500の特に前後方向の小型化を図ることができる。
なお、第2リンク部材542についても同様であり、連結溝514を利用することで、付勢ばね571を基板部材510の前面側に配設して、上述したデッドスペースを有効に活用すると共に、その第2リンク部材542の移動のための空間も平面的とすることができ、その結果、第1結合動作ユニット500の特に前後方向(図33(b)上下方向)の小型化を図ることができる。
次いで、図40及び図41を参照して、第1結合動作ユニット500の動作について説明する。なお、この説明においては、図34から図39を適宜参照する。
図40(a)は、第1結合部材539が退避位置に配置された状態における第1結合動作ユニット500の正面図であり、図40(b)は、第1結合部材539が退避位置に配置された状態における第1結合動作ユニット500の背面図である。図41(a)は、第1結合部材539が結合位置に配置された状態における第1結合動作ユニット500の正面図であり、図41(b)は、第1結合部材539が結合位置に配置された状態における第1結合動作ユニット500の背面図である。なお、図40及び図41では、図面を簡素化して、理解を容易とするために、嵩上げ部材550及び装飾部560の図示が省略される。
図40(a)及び図40(b)に示すように、第1結合部材539が退避位置にある状態では、駆動部520において、クランク歯車524の矢印A1方向への回転により連接棒525を介して連結軸526が矢印B1方向へ変位されており(図36参照)、第1リンク部材541及び第2リンク部材542は、軸支孔541a,542aを中心として摺動孔541c,542cを上昇させる方向(図40(b)上方)に回転された姿勢に配置される。よって、スライド機構部530のA層ベース板531(図38及び図39)が基板部材510の案内溝511の上端側(図40(b)上側)に配置され、第1結合部材539が上昇された(退避位置は配置された)状態が形成される。
なお、この場合、上述したように、第2リンク部材542には、付勢ばね571の付勢力が作用されている。かかる付勢ばね571の付勢力は、第2リンク部材542の姿勢を、図40(b)に示す姿勢(即ち、軸支孔542aを中心として摺動孔542cを上昇させる方向に回転された姿勢)に保持する方向に作用される。よって、第1結合部材539を図40(a)に示す退避位置に安定して保持させることができる。特に、退避位置において停止状態にあるべき第1結合部材539に外力(例えば、遊技者が遊技機を叩く又は揺らすことで発生する外力)が作用され、かかる第1結合部材539に上下方向への振動が発生される場合でも、付勢ばね571の付勢力を利用して、第1結合部材539の上下方向への振動を速やかに収束させることができる。
図40(a)及び図40(b)に示す状態から、駆動部520において、クランク歯車524の矢印A2方向への回転により連接棒525を介して連結軸526が矢印B2方向へ変位されると(図36参照)、第1リンク部材541及び第2リンク部材542は、軸支孔541a,542aを中心として摺動孔541c,542cを下降させる方向(図40(b)下方)へ回転される。これにより、スライド機構部530のA層ベース板531が基板部材510の案内溝511に沿って下降され、上述したように、2組のダブルラック・ピニオン機構が作用されることで(図38及び図39参照)、第1結合部材539が下降される。
図41(a)及び図41(b)に示すように、第1リンク部材541及び第2リンク部材542が、その軸支孔541a,542aを中心として摺動孔541c,542cを下降させる方向へ更に回転され、スライド機構部530のA層ベース板531(挿通軸531c)が基板部材510の案内溝511の下端側(図41(b)下側)に配置されることで、第1結合部材539が下降された(結合位置は配置された)状態が形成される。
なお、図41(a)及び図41(b)に示す状態から、駆動部520において、クランク歯車524の矢印A1方向への回転により連接棒525を介して連結軸526が矢印B1方向へ変位されることで(図36参照)、第1リンク部材541及び第2リンク部材542が、軸支孔541a,542aを中心として摺動孔541c,542cを上昇させる方向(図41(b)上方)へ回転される。これにより、スライド機構部530のA層ベース板531が基板部材510の案内溝511に沿って上昇され、上述したように、2組のダブルラック・ピニオン機構が作用されることで(図38及び図39参照)、第1結合部材539が上昇される。その結果、図40(a)及び図40(b)に示すように、第1結合部材539が退避位置に配置(復帰)される。
本実施形態によれば、スライド機構部530が2組のダブルラック・ピニオン機構を介して第1結合部材539を上下方向にスライド変位させる構造であるので、かかる第1結合部材539のスライド変位を高速化することができる。一方で、第1結合部材539を、図41(a)に示す結合位置から図40(a)の退避位置まで上昇させる際には、第1結合部材539のみでなく、スライド機構部530の他の構成部材のそれぞれも、重力の作用に逆らって上昇させる必要があるため、駆動モータ522(図34及び図35参照)の負荷が大きくなる。
これに対し、本実施形態では、上述したように、付勢ばね571の付勢力が、第2リンク部材542の姿勢を、図40(b)に示す姿勢(即ち、軸支孔542aを中心として摺動孔542cを上昇させる方向に回転された姿勢)に保持する方向に作用させる。よって、第1結合部材539を、重力の作用に逆らって、図41(a)に示す結合位置から図40(a)の退避位置まで上昇させる際には、付勢ばね571の付勢力を補助力として利用することができるので、その分、駆動部520の駆動モータ522に必要とされる駆動力を小さくして、その容量の小型化を図ることができる。
ここで、基板部材510は、その案内溝511の延設方向が鉛直方向(図40及び図41上下方向)に対して若干傾斜した姿勢で配設される。詳細には、案内溝511の下端側を基板部材510の正面側(前方側、図40(a)紙面手前側)へ張り出させた(案内溝511の上端側を基板部材510の背面側(後方側、図40(a)紙面奥側)へ後退させた)姿勢で配設される。これにより、基板部材510の正面側に配設されるスライド機構部530が自身の重量により前傾姿勢(基盤部材510の正面から離間する方向(前方側)へ倒れこむように傾斜される姿勢)となることを抑制できるので、その分、カラーCへの負荷を小さくして、その耐久性の向上を図ることができる。
しかしながら、スライド機構部530はその各要素(例えば、A層ベース板531、B層ベース板532、C層ベース板534など)が重ね合わされて構成されるため、基板部材510の上述した鉛直方向に対する傾斜を大きくし過ぎると、スライド機構部530の各要素どうしが密着されやすくなり、そのスライド変位の際の摺動抵抗が大きくなる。そのため、上述した傾斜を十分に大きくすることはできず、よって、カラーCには比較的大きな負荷が作用される。
この場合、本実施形態では、スライド機構部530とそのスライド機構部530の挿通軸531cに連結(接続)される第1リンク部材541及び第2リンク部材542との間に基板部材510が介在されるため、スライド機構部530の前傾姿勢を、カラーCだけではなく、第1リンク部材541及び第2リンク部材542によっても規制することができる。その結果、カラーCへの負荷を抑制して、その耐久性の向上を図ることができると共に、スライド機構部530を安定した状態でスライド変位(昇降)させることができる。
特に、複数の挿通軸531cは、上述したように、A層ベース板531の長手方向中央よりも上方側にそれぞれ位置する(図39参照)。よって、スライド機構部530が自身の重量により基板部材510の正面側で前方へ向けて前傾姿勢となる場合に、その前傾姿勢をカラーCや第1リンク部材541及び第2リンク部材542によって効果的に規制することができ、その結果、スライド機構部530(A層ベース板531)を安定した状態でスライド変位(昇降)させることができる。
次いで、第1結合動作ユニット500の下方に配設される第2結合動作ユニット600について(図31及び図32参照)、図42から図45を参照して説明する。
図42は、第2結合動作ユニット600の正面斜視図である。図43(a)は、第2結合動作ユニット600の正面図であり、図43(b)は、第2結合動作ユニット600の背面図である。なお、図43(a)では、表ケース体612の図示が省略される。また、図42及び図43では、一対の第2結合部材630が退避位置に退避された状態が図示される。
図42及び図43に示すように、第2結合動作ユニット600は、裏ケース体611及び表ケース体612と、それら裏ケース体611及び表ケース体612に基端側がそれぞれ回転可能に軸支されるリンク手段(内側リンク部材621及び外側リンク部材622)と、それら内側リンク部材621及び外側リンク部材622のそれぞれの先端側に回転可能に軸支される第2結合部材630と、内側リンク部材621及び外側リンク部材622を変位させるための駆動力を発生する駆動モータ640と、その駆動モータ640の駆動力を内側リンク部材621及び外側リンク部材622に伝達するための伝達手段(ピニオンギヤ651及び伝達歯車652)と、を主に備えて構成される。
なお、本実施形態では、リンク手段、第2結合部材630、駆動モータ640及び伝達手段からなる組が、裏ケース体611及び表ケース体612の左右にそれぞれ1組ずつ合計一対が配設される。この場合、裏ケース体611及び表ケース体612の左側に配設される組と右側に配設される組とは、裏ケース体611及び表ケース体612の幅方向(図43(a)左右方向)中央を通る仮想線に対して略対称に形成される点や装飾部分の形状が異なる点を除き、実質的に同一の構成であるので、同じ符号を付して説明する。
裏ケース体611及び表ケース体612は、それぞれ樹脂材料から板状に形成される部材であり、所定間隔を隔てつつ互いに向かい合わせに締結固定され、その対向面間(内部空間)にリンク手段(内側リンク部材621及び外側リンク部材622)と伝達手段(ピニオンギヤ651及び伝達歯車652)とを収容する。
裏ケース体611には、円弧状に湾曲して形成される一対の案内溝611aが開口形成される。案内溝611aは、後述する基端軸621aを中心とする円弧状に湾曲され(即ち、基端軸621aを中心とする円環形状の一部を切り取った形状に形成され)、内側リンク部材621の背面に回転可能に軸支されたカラー621dが内嵌される。案内溝611aの溝幅は、カラー621dの外径寸法よりも若干大きな寸法に形成される。よって、後述するように、内側リンク部材621が基端軸621aを中心として回転される際には、カラー621dが案内溝611aの延設方向に沿って案内されることで、内側リンク部材621(及び外側リンク部材622)の回転を安定させることができる。ひいては、結合位置における第2結合部材630の位置精度を高めることができる。
内側リンク部材621及び外側リンク部材622は、その基端側が基端軸621a及び622aを介して裏ケース体611及び表ケース体612に回転可能に軸支される一方、その先端側が先端軸621b,622bを介して第2結合部材630に回転可能に軸支される。
この場合、内側リンク部材621及び外側リンク部材622は、基端軸621a及び基端軸622aの間の距離と先端軸621b及び先端軸622bの間の距離とが等しくされ、かつ、基端軸621a及び先端軸621bの間の距離と基端軸622a及び先端軸622bの間の距離とが等しくされることで、平行リンク機構として形成される。よって、内側リンク部材621及び外側リンク部材622が基端軸621a,622aを中心に回転されると、第2結合部材630が回転中心を持たずに平行に(即ち、図43(a)に図示する姿勢を維持したまま)移動される。
第2結合部材630は、正面側から遊技者に視認される装飾部を形成すると共に結合位置において第1結合部材539に結合される部材であり(図32参照)、第1結合部材539の下面539eが当接される上面630aと、他方の第2結合部材630が隣り合う際に互いに当接される対向面630bとが形成される。
なお、上面630aは、図43に示す第2結合部材630の正面視において、対向面630b側へ向けて下降傾斜する平坦面として形成され、対向面630bは、鉛直方向に平行な平坦面として形成される。よって、一対の第2結合部材630は、結合位置において、互いの対向面630bどうしが当接されると、一対の第2結合部材630の上面630a側の正面視形状が、中央が凹むV字形状に形成される(図44(b)参照)。これら一対の第2結合部材630の上面630aのそれぞれには、上述したように、結合位置において、第1結合部材539(装飾部539c)の下面539eが当接される(図32参照)。
また、一対の第2結合部材630の上面630aには、対向面630b側にそれぞれ正面視横長矩形状の凸部630a1が突設される。この凸部630a1は、結合位置において、第1結合部材539の下面539eに凹設される凹部539e1に収納(凹凸嵌合)される。この凹凸嵌合により、上述したように、結合位置において、第1結合部材539に対する一対の第2結合部材630の相対変位(前後方向および左右方向)を規制できる。ここで、凸部630a1は、その厚み寸法が突設先端へ向かうほど小さくされる。そのため、第1結合部材539の下面539eに一対の第2結合部材630の上面630aが結合(当接)される際には、凹部539e1に凸部630a1を挿入(内嵌)させやすくすることができる。
内側リンク部材621の基端側には、歯車部621cが一体に形成される。歯車部621cは、基端軸621aを中心として径方向外方へ張り出す扇形状に形成される部位であり、その扇形状の外周面に複数の歯が刻設される。この歯車部621cには、後述する伝達歯車652が歯合される。
駆動モータ640は、裏ケース体611の背面側に配設され、裏ケース体611の正面側に突出された駆動モータ640の駆動軸には、ピニオンギヤ651が固着される。そのピニオンギヤ651には、伝達歯車652が歯合され、伝達歯車652には、上述したように、内側リンク部材621の歯車部621cが歯合される。
次いで、図44を参照して、第2結合動作ユニット600の動作について説明する。なお、この説明においては、図43(a)を適宜参照する。
図44(a)及び図44(b)は、第2結合動作ユニット600の正面図であり、表ケース体612の図示が省略される。なお、図44(a)では、一対の第2結合部材630が退避位置および結合位置の中間に配置された状態が、図44(b)では、一対の第2結合部材630が結合位置に配置された状態が、それぞれ図示される。
図43(a)に示す退避位置では、左右のリンク機構(内側リンク部材621及び外側リンク部材622)が互いに離間する方向へそれぞれ傾倒され、一対の第2結合部材630が左右に離間される。この図43(a)に示す状態(退避位置)から左右の駆動モータ640がそれぞれ回転駆動され、ピニオンギヤ651が回転されると、その回転が伝達歯車652を介して内側リンク部材621の歯車部621cに伝達され、歯車部621cが基端軸621aを中心に回転される。その結果、左右の内側リンク部材621が基端軸621aを中心にそれぞれ回転され、図44(a)に示すように、左右のリンク機構(内側リンク部材621及び外側リンク部材622)が互いに近接する方向へ起立される。
図44(a)に示す状態から左右の駆動モータ640が更に回転駆動されると、図44(b)に示すように、左右のリンク機構(内側リンク部材621及び外側リンク部材622)が互いに近接する方向へ更に起立され、一対の第2結合部材630が結合位置に配置される。即ち、一対の第2結合部材630が左右に隣り合い、互いの対向面630bどうしが当接される。一方、図44(b)に示す状態から、駆動モータ640が上述の場合とは逆方向に回転駆動されると、左右のリンク機構(内側リンク部材621及び外側リンク部材622)が互いに離間する方向へ傾倒され、図43(a)に示すように、一対の第2結合部材630が退避位置に退避される。
図31及び図32に戻って、第1結合動作ユニット500及び第2結合動作ユニット600の結合動作について説明する。なお、この説明においては、図45を適宜参照する。図45は、第1結合部材539及び一対の第2結合部材630が結合位置に配置された状態における第1結合動作ユニット500及び第2結合動作ユニット600を正面視したモデル図である。
上述したように、第1結合動作ユニット500の第1結合部材539及び第2結合動作ユニット600の第2結合部材630の結合は、図31に示す状態(退避位置)から、一対の第2結合部材630をリンク機構の起立により互いに近接させて左右に隣り合わせに配置すると共に、その左右に隣り合わせに配置された一対の第2結合部材630へ向けて、第1結合部材539を下降させ、図32に示すように、第1結合部材539の下面539eを一対の第2結合部材630のそれぞれの上面630aに当接させることで、行われる。
ここで、第1結合動作ユニット500及び第2結合動作ユニット600は、図45に示すように、第1結合部材539の下面539e及び第2結合部材630の上面630aの水平面に対する傾斜角度が角度θとされる。そのため、第1結合部材539が鉛直方向(図45上下方向)に沿って下降(スライド変位)された際に、かかる第1結合部材539の下面539eから第2結合部材630の上面630aに作用される鉛直方向の力Fは、下面539e及び上面630aに垂直な方向の力成分Fv(=F×cosθ)と、下面539e及び上面630aに平行な方向の力成分Fp(=F×sinθ)とに分解することができる。なお、ここでは、力Fを、第2結合部材630の上面630aにおける幅方向中央に作用する集中荷重として近似する。
この場合、本実施形態では、下面539e及び上面630aの水平面に対する角度θは、内側リンク部材621及び外側リンク部材622の鉛直方向に対する角度αよりも小さな角度に設定される。更に、本実施形態では、上面630aの幅方向中央を始点として力成分Fvの作用方向が延長されると、その延長線が、外側リンク部材622の基端軸622aよりも内側(内側リンク部材621の基端軸621a側)を通過するように形成される。
これにより、図45に示すように、結合位置において、一対の第2結合部材630が左右に隣り合わせに配置されると共に、それら一対の第2結合部材630の隣り合う方向と略直交する方向(鉛直方向、図45上下方向)から第1結合部材539が第2結合部材630へ向けて下降され、第1結合部材539の下面539eが一対の第2結合部材630の上面630aのそれぞれに当接されると、一対の第2結合部材630を隣り合う方向において互いに近接させる方向への力を形成することができる。その結果、第1結合部材539の下面539e及び第2結合部材630の上面630aを結合させるだけでなく、一対の第2結合部材630の対向面630bどうしを結合させることができ、複数の部材(第1結合部材539及び一対の第2結合部材630)を結合させることによる演出効果を確保することができる。
即ち、従来の遊技機においても、一対の部材を移動可能に設け、それら一対の部材をそれぞれ異なる退避位置に退避させると共に、その異なる退避位置からそれぞれ移動させて結合位置に配置させることで、一対の部材どうしを結合させるものがある(例えば、特開2012−115300号公報を参照)。この場合、結合位置において、一対の部材の間に隙間が形成されるなど、その結合が適切に行われない場合には、一対の部材どうしを結合させることによる演出効果が損なわれる。しかしながら、上述した従来の遊技機では、一対の部材が対称形状とされるので、かかる一対の部材どうしを向かい合わせで結合させることは比較的容易であるが、3以上の部材どうしを適正に(即ち、隙間の発生を抑制しつつ)結合させることが困難であった。
これに対し、本実施形態によれば、上述したように、結合位置において、第1結合部材539の下面539eが一対の第2結合部材630の上面630aのそれぞれに当接されると、一対の第2結合部材630を隣り合う方向において互いに近接させる方向への力を形成することができるので、第1結合部材539の下面539e及び第2結合部材630の上面630aとの間に隙間が発生することを抑制できるだけでなく、一対の第2結合部材630の対向面630bどうしの間に隙間が発生することを抑制しつつ、これら各部材どうしを互いに結合させることができる。即ち、3以上の部材どうしを適正に結合させることができ、その結合による演出効果を確保することができる。
この場合、本実施形態では、図32及び図45に示すように、一対の第2結合部材630は、その上面630a側(図32及び図45上側)における正面視形状(図32及び図45に図示する形状)が、中央が下方(図32及び図45下方)へ向けて凹む凹形状とされる一方、第1結合部材539は、下面539e側(図32及び図45下側)における正面視形状(図32及び図45に図示する形状)が、一対の第2結合部材630の形状に対応して、中央が下方(図32及び図45下方)へ向けて突出する突出形状とされる。
そのため、上述のように、基準位置において、第1結合部材539が一対の第2結合部材630へ向けて下降され、第1結合部材539の下面539eが一対の第2結合部材630の上面630aのそれぞれに当接されると、凹形状および突出形状に起因して、一対の第2結合部材630の間に第1結合部材539が入り込み、かかる第1結合部材539が一対の第2結合部材630を互いに離間する方向へ押し拡げる態様(即ち、互いの対向面630bの間に隙間が形成される態様)を遊技者に想起させる。
これに対し、本実施形態によれば、結合位置において、第1結合部材539の下面539eが一対の第2結合部材630の上面630aのそれぞれに当接されることで、一対の第2結合部材630を互いに近接させる方向への力を形成して、これら一対の第2結合部材630を、互いの対向面630bの間に隙間が発生することを抑制しつつ、結合させることができる。その結果、遊技者の予想と異なる態様で動作させることができ、その演出効果を高めることができる。
次いで、図46から図57を参照して、円環動作ユニット700について説明する。
図46は、円環形成部材790が退避位置に配置された状態における円環動作ユニット700の正面斜視図であり、図47は、円環形成部材790が結合位置に配置された状態における円環動作ユニット700の正面斜視図である。
図46及び図47に示すように、円環動作ユニット700は、リンク部材770を介して昇降および回転される一対の円環形成部材790を備え、上述したように、開口211a(第3図柄表示装置81(図2参照))の下方であって、回転動作ユニット300の背面側となる位置において、背面ケース210に配設される(図6から図9参照)。円環動作ユニット700は、一対の円環形成部材790を回転させつつ昇降させて、図46に示す退避位置または図47に示す結合位置に配置する。
図46に示す退避位置では、一対の円環形成部材790が左右に離間されつつ下方に下降され、第3図柄表示装置81(図2参照)の前面側が開放された状態とされる(図6参照)。一方、図47に示す結合位置では、一対の円環形成部材790が互いに近接する方向に回転されつつ上方に上昇され、かかる一対の円環形成部材790が結合されることで第3図柄表示装置81の前面側に円環形状を形成する(図10参照)。
この場合、円環動作ユニット700によれば、一対の円環形成部材790が上方に上昇され結合位置に配置されると、かかる円環形成部材790を結合位置(上昇された位置)に機械的に保持できるように形成され、その結果、一対の円環形成部材790を結合位置に保持するために必要な駆動モータ740の消費エネルギーを抑制できる。
図48は、分解した円環動作ユニット700を正面視した円環動作ユニット700の分解正面斜視図であり、図49は、分解した円環動作ユニット700を背面視した円環動作ユニット700の分解背面斜視図である。
図48及び図49に示すように、円環動作ユニット700は、中間ケース体710と、その中間ケース体710の背面側に配設される背面ケース体720と、その背面ケース720と反対側となる中間ケース体710の正面側に配設される正面ケース体730と、中間ケース710に配設されると共に回転駆動力を発生する駆動モータ740と、その駆動モータ740の回転駆動力を伝達するための歯車群(第1歯車751〜第6歯車756)と、その歯車群を介して伝達される回転運動を直線運動に変換するラック・ピニオン機構(ピニオンギヤ761及び一対のラック762)と、そのラック・ピニオン機構における一対のラック762に基端がそれぞれ回転可能に軸支される一対のリンク部材770と、それら一対のリンク部材770の先端が軸支される昇降ベース体780と、その昇降ベース体780に基端が回転可能に軸支される一対の円環形成部材790とを主に備えて形成される。
中間ケース体710は、背面側に配設される背面ケース体720との間で歯車群およびラック・ピニオン機構を回転可能およびスライド変位可能に保持すると共に、正面側に配設される正面ケース体730との間でリンク部材770の基端をスライド変位可能に保持する部材であり、正面視横長矩形の平板形状に形成される本体部711と、その本体部711の開口形成される挿通溝712と、本体部711の上縁から上方へ張り出す張出部713とを主に備える。
挿通溝712は、中間ケース体710(本体部711)の正面側に配設される一対のリンク部材770の挿通軸772をそれぞれ挿通させ、それら挿通させた一対のリンク部材770の挿通軸772を本体部711の背面側において一対のラック762の挿通孔762cにそれぞれ挿通させるための溝状の開口であり、本体部711の長手方向に沿って直線状に延設される。なお、挿通溝712は、その溝幅がリンク部材770の挿通軸772の外径寸法よりも若干大きな寸法に設定される。
張出部713は、リンク部材770の背面に当接してそのリンク部材770の前後方向(例えば、図56紙面垂直方向)への揺れを抑制するための部位であり、本体部711の長手方向中央において上方へ張り出され、張り出し先端から本体部711の上縁へ向けて末広がりとなる(幅が広くなる)正面視略三角形状に形成されると共に、その正面713aが本体部711の正面711aと面一(段差を有さず滑らかに連接され且つ互いに平行)となるように形成される。
よって、後述するように、リンク部材770が起立状態へ向けて回転(変位)される際には、張出部713の正面713aがリンク部材770の背面に当接することで(図47及び図56参照)、また、リンク部材770が起立状態とされた際には、張出部713の正面713aとケース体730の柱部732との間でリンク部材770を挟み込むことができる(図47参照)。これにより、リンク部材770の姿勢が特に不安定となりやすい起立状態およびその近傍において、リンク部材770に当接できるので、かかるリンク部材770の前後方向への揺れを効果的に抑制できる。
なお、張出部713の縁部は、正面視において円弧状に湾曲して形成される。よって、リンク部材770の起立されるに従って(即ち、その姿勢が不安定となりやすくなるに従って)、リンク部材770の背面に当接可能な張出部713の正面713aの面積を拡大することができ、リンク部材770の前後方向への揺れを効果的に抑制できる一方で、張出部713が正面から視認される面積をより小さくして、外観が損なわれることを抑制することができる。
また、張出部713は、その張り出し方向先端(図48及び図49上側)に形成される頭部713bが正面(前方)へ突出されており、この頭部713bが後述する正面ケース体730の柱部732の頂部に連結される。よって、後述するように、一対のリンク部材770が直立に起立されると、それら一対のリンク部材770の対向間に張出部713の頭部713bが介設される。
背面ケース体720は、中間ケース体710との間で歯車群およびラック・ピニオン機構を回転可能およびスライド可能に保持する部材であり、正面視横長矩形の平板形状に形成される本体部721と、その本体部721に開口形成される挿通溝722と、その挿通溝722に平行に並設される先端ガイド溝723及び後端ガイド溝724と、歯車群(第2歯車752〜第6歯車756)及びピニオンギヤ761をそれぞれ回転可能に軸支する複数の軸725とを主に備える。
挿通溝722は、ラック762の背面から突出されるリンク部材770の挿通軸772(即ち、中間ケース体710の挿通溝712を介してラック762の挿通孔762cに挿通された挿通軸772)をそれぞれ受け入れるための溝状の開口であり、本体部721の長手方向に沿って直線状に延設される。即ち、挿通溝722は、組み立て状態において、中間ケース体710の挿通溝712と正面視において重なる位置に形成される。なお、挿通溝722は、その溝幅がリンク部材770の挿通軸772の外径寸法よりも若干大きな寸法に設定される。
先端ガイド溝723及び後端ガイド溝724は、ラック762の先端ガイド片762a及び後端ガイド軸762bをそれぞれ挿通させ、その移動方向を規制するための溝状の開口であり、挿通溝722との間に所定間隔を隔てつつその挿通溝722と平行に並設される。なお、先端ガイド溝723は、その溝幅が後端ガイド溝724の溝幅よりも小さな寸法に設定され、かかる先端ガイド溝723にはラック762の後端ガイド軸762bが挿通不能に形成される。これにより、背面ケース体720へラック762を組み付ける際の組み付け不良を抑制でき、ひいては、組み付け作業の作業性の向上を図ることができる。
正面ケース体730は、中間ケース体710との間で一対のリンク部材770をスライド変位可能に保持する部材であり、正面視横長矩形の平板形状に形成される本体部731と、その本体部731の正面に配設されると共に鉛直方向に沿って延設される柱状の柱部732とを主に備える。
本体部731は、その背面731aが、中間ケース体710における本体部711の正面711a及び張出部713の正面713aと平行な平坦面として形成され、後述するように、リンク部材770が傾倒状態と起立状態との間で回転(変位)される際には、かかるリンク部材770の正面および背面に対し、本体部731の背面731aと本体部711の正面711a及び張出部713の正面713aとを当接させる。これにより、リンク部材770の前後方向(例えば、図54の紙面垂直方向)への揺れを効果的に抑制しつつ、かかるリンク部材770を傾倒状態および起立状態の間で回転(変位)させることができる。
柱部732は、案内棒733を内部に保持すると共に中間ケース体710の張出部713との間でリンク部材770を挟み込むための部位であり、正面(図48紙面左手前側)が開放された箱状に形成される。案内棒733は、昇降ベース体780の昇降を案内するための部材であり、金属材料から断面円形の棒状体として形成され、その軸心を鉛直方向に沿わせた姿勢で柱部732の内部に保持される。なお、このように、柱部732を正面が開放された箱状に形成し、その柱部732の内部に案内棒733を収納することで、デッドスペースを利用して案内棒733を配置することが可能となり、円環動作ユニット700全体としての小型化を図ることができる。
案内棒733は、後述するように、昇降ベース体780の被案内部784に挿通されることで、かかる被案内部784を介して、昇降ベース体780の移動方向を鉛直方向(案内棒733の軸心方向)に案内する。この場合、案内棒733は、ラック762の歯面よりも前方(正面側)であって、昇降ベース体780(本体部781)よりも後方(背面側)に配置されるため、後述するように、ラック762に対して昇降ベース体780を正面側にオフセット配置することによる効果の発揮と、昇降ベース体780のスムーズな昇降動作の確保との両立を図ることができる。
駆動モータ740は、中間ケース体710の正面側に配設され、その駆動軸を中間ケース体710(本体部711)の背面側に突出させる。この駆動モータ740の駆動軸には、第1歯車751が固着され、その第1歯車751には、背面ケース体720の複数の軸725にそれぞれ軸支された第2歯車752〜第6歯車756がそれぞれ順に歯合されると共に、第6歯車756には、背面ケース体720の軸725に軸支されたピニオンギヤ761が歯合される。
ラック・ピニオン機構は、上述したように、ピニオンギヤ761と、一対のラック762とからなり、ピニオンギヤ761が背面ケース体720の軸725に回転可能に軸支されると共に、そのピニオンギヤ761を挟んで一対のラック762が互いの歯面を向かい合わせた姿勢で対向配置される。
なお、ラック762には、その長手方向一端および他端に先端ガイド片762a及び後端ガイド軸762bがそれぞれ突設されると共に、後端ガイド軸762bの側方に挿通孔762cが貫通形成される。先端ガイド片762aは、直方体形状の突起として、後端ガイド軸762bは、断面円形の軸体として、それぞれ形成される。これら先端ガイド片762a及び後端ガイド軸762bが、上述したように、背面ケース体720の先端ガイド溝723及び後端ガイド溝724に挿通されることで、ラック762のスライド変位(直線運動)の方向が両ガイド溝723,724の延設方向に規制される。
一対のリンク部材770は、ラック・ピニオン機構を介して伝達される駆動モータ740の駆動力を昇降ベース体780及び円環形成部材790に伝達するリンク機構を構成するための部材であり、長手方向一側(基端)がラック762に連結されると共に長手方向他側(先端)が昇降ベース体780及び円環形成部材790に連結される。ここで、リンク部材770の詳細構成について、図50を参照して説明する。
図50(a)は、リンク部材770の正面斜視図であり、図50(b)は、リンク部材770の背面斜視図であり、図50(c)は、図50(a)の部分Lcにおけるリンク部材770の部分拡大正面斜視図であり、図50(d)は、図50(a)の矢印Ld方向視におけるリンク部材770の側面図である。
リンク部材770は、長尺板状の本体部771と、その本体部771の長手方向一側(基端)において本体部771の背面から突設される挿通軸772と、その挿通軸772とは反対側となる本体部771の長手方向他側(先端)において本体部771の正面から突設される突設壁部773と、その突設壁部773の突設先端に配設される歯車部774とを備える。
挿通軸772は、上述したように、中間ケース体710の挿通軸712を介して、ラック762の挿通孔762cに挿通される断面円形の軸体である。突設壁部773は、歯車部774の配設位置を本体部771の正面(前方)側へオフセットさせるための部位であり、本体部771の正面から突設高さhで突設される。歯車部774は、中央に貫通形成される軸支孔774aと、その軸支孔774を中心として外周に刻設される複数の歯774bとを備え、軸支孔774aに昇降ベース体780の軸782が挿通(軸支)されると共に、歯774bを介して、円環形成部材790の歯車部792(歯792b)に歯合される。
本実施形態では、歯車部774(歯774b)は、その歯すじの方向が軸方向に平行な平歯車として形成されると共に、歯車部774の歯774bが突設壁部774の壁面全体に延長して刻設される。よって、リンク部材770(本体部771)のたわみやねじれにより、その歯車部774が、歯合対象である円環形成部材790の歯車部792に対して相対変位された場合でも(図48及び図49参照)、突設壁部774の壁面に延長して刻設されている歯774bを、円環形成部材790の歯車部792(歯792b)に歯合させることができ、その分、これら歯車部774と歯車部792との歯合が外れることを抑制できる。また、上述したたわみやねじれによる相対変位が発生し、歯車部774,792が軸方向に相対変位される場合であっても、突設壁部774の壁面に延長して刻設されている歯774bの分、歯車部774(歯774b)と歯車部792(歯792b)との間の歯合面積を確保できるので、これら各歯774b,772bの偏磨耗を抑制して、その耐久性の向上を図ることができる。
ここで、例えば、歯車部774の外周面(径方向外方)に本体部771が連結される形状であれば、歯車部774の軸方向端面に座面の面積を確保しやすい。しかしながら、本実施形態では、歯車部774の背面(軸方向端面)に突設壁部773を連結する構造であるため、その突設壁部773の分、歯車部774の軸方向端面に確保可能な座面の面積が減少される。
この場合、突設壁部773は、歯車部774の歯774bが延長して刻設される壁面とは反対側の壁面(軸支孔774aの軸心側の壁面)が、軸支孔774の軸心を中心とする円弧状に湾曲した凹曲面として形成されるので、突設壁部773が歯車部774の背面(軸方向端面)に連結される場合であっても、歯車部774の軸方向端面に座面の面積を確保でき、その分、歯車部774の軸方向端面に配設されるカラーC(図49参照)を大径化することができる。更に、リンク部材770(本体部771、突設壁部773及び歯車部774)を樹脂材料から一体に成形する場合には、突設壁部773において、歯774bが形成される壁面と反対側の壁面を凹曲面として形成することで、突設壁部773だけでなく、本体部771及び歯車部774を含めた全体としての肉厚を均一化でき、その成形性の向上を図ることができる。
特に、本実施形態では、突設壁部773には、その全面(すなわち、本体部771の正面との連接部分まで)にわたって歯774bが刻設されるので、歯774bが形成される領域を十分に確保して、円環形成部材790の歯車部792(図48及び図49参照)との歯合が外れることをより確実に抑制できる。また、上述したように、リンク部材770(本体部771、突設壁部773及び歯車部774)を樹脂材料から一体に成形する場合には、突設壁部773の途中までしか歯774bが延長されない場合と被各して、突設壁部773における肉厚をその全体にわたって均一化して、その成形性の一層の向上を図ることができる。
なお、リンク部材770は、上述したように、本体部771の正面から突設壁部773が突設高さhで突設され、その突設壁部773の突設先端に歯車部774が配設されるので、その突設壁部773の突設高さhの分だけ、本体部771から歯車部774を離間させることができる。即ち、組み立て状態において、昇降ベース体780の配設位置を、突設壁部773の突設高さhの分だけ、ラック762から正面(前方)へ離間(オフセット)させることができる(図55及び図57参照)。かかるオフセットによる作用については後述する。
図48及び図49に戻って説明する。昇降ベース体780は、リンク部材770を介して伝達される駆動モータ740の駆動力により退避位置および結合位置の間を上下に昇降される部材であり、本体部780と、その本体部780の背面から突設されリンク部材770の歯車部774(軸支孔774a)を軸支する一対の軸782と、それら一対の軸782の下方に並設され円環形成部材790の歯車部792(軸支孔792a)を軸支する一対の軸783と、それら一対の軸783の下方において本体部781の背面に配設されると共に正面ケース体730の柱部732(案内棒733)によって鉛直方向に案内される被案内部784と、本体部781の背面に配設されるカバー体785とを主に備える。
被案内部784には、案内棒733が挿通可能な挿通孔が複数形成され、その挿通孔に案内棒733が挿通されることで、昇降ベース体780の移動方向が案内棒733の軸心方向に沿う方向のみに規制される。
カバー体785は、リンク部材770の歯車部774及び円環形成部材790の歯車部792の軸方向端面に対面して配設される部材であり(図51参照)、正面視略台形状の頭部785aと、その頭部の下縁から下方に帯状に延設されると共に頭部785aよりも細幅とされる延設部785bとを備え、これらが金属製の薄板から一体に形成される。後述するように、歯車部774,792に相対変位が発生する場合には、その歯車部774,792の軸方向端面にカバー体785(頭部785a及び延設部785b)が当接されることで、その相対変位を抑制して、歯車部774どうしの歯合状態および歯車774どうしの歯合状態を適正に保つことができる。
なお、リンク部材770の歯車部774及び円環形成部材790の歯車部792は、それら各歯車部774,792の軸支孔774a,792aに軸782,783をそれぞれ挿通させると共に、それら挿通された軸782,783の先端に軸支孔774a,792aよりも大径のカラーCを介設しつつ締結ねじを締結固定することで、軸782,783に回転可能に軸支された状態で保持される。
一対の円環形成部材790は、リンク部材770を介して伝達される駆動モータ740の駆動力により回転駆動されると共に結合位置において円環形状を形成するための部材であり、円環形状を略2分割した形状に形成される本体部791と、その本体部791の周方向一側(基端)に配設される歯車部792とを主に備える。歯車部792は、昇降ベース体780に軸支されると共にリンク部材770の歯車部774に歯合される部位であり、中央に貫通形成される軸支孔792aと、その軸支孔792aを中心として外周に刻設される複数の歯792bとを備える。
なお、歯車部792が配設される側とは反対側の本体部791の周方向他側(先端)には、磁石(図示せず)が埋設されており、結合位置において円環形状を形成する際には(図47参照)、円環形成部材790の先端どうしを磁石の磁力を利用して密着させることができる。その結果、一対の円環形成部材790による円環形状の形成を確実に行うことができる。
次いで、図51を参照して、リンク部材770と昇降ベース体780及び円環形成部材790との連結状態について説明する。図51は、円環動作ユニット700の部分拡大背面図である。なお、図51は、昇降ベース体780が退避位置および結合位置の間に配置された状態が図示され、後述する図54の状態に対応する。
図51に示すように、昇降ベース体780には、一対の軸782(図49参照)に一対のリンク部材770の先端(歯車部774)がそれぞれ軸支されると共に、一対の軸783(図49参照)に一対の円環形成部材790の基端(歯車部792)がそれぞれ軸支され、リンク部材770の歯車部774と円環形成部材790の歯車部792とが歯合される。
よって、後述するように、駆動モータ740の回転駆動力がラック・ピニオン機構を介して一対のリンク部材770に伝達され、かかる一対のリンク部材770が歯車部774(軸782、図49参照)を中心として昇降ベース体780に対して回転され、その回転が歯車部774,792どうしの歯合を介して円環形成部材790に伝達されることで、円環形成部材790が歯車部792(軸783、図49参照)を中心として歯車部昇降ベース体780に対して回転される。同時に、一対のリンク部材770が各ケース体710,720,730に対しては起立または傾倒されることで、昇降ベース体780が各ケース体710,720,730に対して昇降される(図52から図57参照)。
ここで、昇降ベース体780は、長尺板状に形成されるリンク部材770の先端に連結され、そのリンク部材770を介して各ケース体710,720,730に対する昇降が行われるため、昇降動作時には、リンク部材770(本体部771)のたわみやねじれによって、昇降ベース体780の前後方向(図51紙面垂直方向)への振動や揺れが発生しやすい。また、円環形成部材790についても、自身が長尺板状に形成されると共に、昇降ベース体780に連結される基端と反対側の先端が自由端とされるため、昇降動作時において、昇降ベース体780に対する振動や揺れを発生させやすい。特に、本実施形態では、円環形成部材790の先端に磁石が埋設されるため、その先端の重量が嵩み、その分、円環形成部材790が振動や揺れを更に発生させやすい。
このような昇降ベース体780の前後方向への振動や揺れは、リンク部材770と昇降ベース体780との間の相対変位を引き起こす。即ち、リンク部材770に一体に形成される歯車部774と円環形成部材790の歯車部792との間の相対変位を引き起こす。同様に、円環形成部材790の昇降ベース体780に対する振動や揺れは、その円環形成部材790に一体に形成される歯車部792とリンク部材770の歯車部774との間の相対変位を引き起こす。そのため、歯車部774,792の歯合状態が不安定となり、駆動力の伝達不良により円環形成部材790の回転動作および昇降ベース体780の昇降動作が適正に行われなくなるばかりか、歯車部774,792の磨耗が促進され、耐久性の低下を招く。
これに対し、本実施形態では、昇降ベース体780の背面にカバー体785を配設し、そのカバー体785をリンク部材770の歯車部774及び円環形成部材790の歯車部792の軸方向端面に対面させて配設する。これにより、リンク部材770(本体部771)のたわみやねじれにより昇降ベース体780や円環形成部材790に振動や揺れが発生し、歯車部774,790どうしの間に相対変位が発生しようとしても、それら歯車部774,790の軸方向端面にカバー体785(頭部785a及び延設部785b)を当接させることで、歯車部774,792の間の相対変位を抑制して、その歯合状態を適正に保つことができる。その結果、駆動力の伝達不良を抑制して、円環形成部材790の回転動作および昇降ベース体780の昇降動作を適正に行うことができると共に、歯車部774,792の磨耗を抑制して、耐久性の向上を図ることができる。
特に、本実施形態では、図51に示すように、カバー体785の頭部785aがリンク部材770の歯車部774の上方に配置されると共に、カバー体785の延設部785bがリンク部材770の歯車部774どうしの間、及び、円環形成部材790の歯車部792どうしの間に配置される。よって、歯車部774,792の軸方向端面のうちの、軸782及び軸783(図49参照)を挟んで、リンク部材770の本体部771及び円環形成部材790の本体部791と反対側となる軸方向端面に、カバー体785の頭部785a及び延設部785bを当接させ、それら歯車部774,792の相対変位を効果的に規制できる。
例えば、リンク部材770が起立状態にある或いは起立状態に近い状態(例えば、図51に示す状態)にある場合には、リンク部材770の本体部771に対して軸782(図49参照)を挟んで反対側には、カバー部材785の頭部785aが配置されるので、リンク部材770の本体部771のたわみやねじれに伴う歯車部774の変位を、カバー体785の頭部785aにより効果的に規制できる。同様に、例えば、リンク部材770が傾倒状態(例えば、図52に示す状態)にある或いは傾倒状態に近い状態にある場合には、リンク部材770の本体部771に対して軸782(図49参照)を挟んで反対側には、カバー部材785の延設部785bが配置されるので、リンク部材770の本体部771のたわみやねじれに伴う歯車部774の変位を、カバー体785の延設部785bにより効果的に規制できる。
一方、円環形成部材790については、その回転位置(即ち、リンク部材770が起立状態にあるか傾倒状態にあるか)に関わらず、その歯車部792の左右(図51左方および右方)に円環形成部材790の本体部791が配置されるので、かかる円環形成部材790の本体部792に対して軸783(図49参照)を挟んで反対側に、カバー部材785の延設部785bを配置して、円環形成部材790の本体部791のたわみやねじれに伴う歯車部792の変位を、カバー体785の延設部785bにより効果的に規制できる。
なお、本実施形態では、一対のリンク部材770の各歯車部774は、その下方に位置する円環形成部材790の歯車部792と歯合されるだけでなく、左右に隣接する歯車部774どうしも歯合される。同様に、一対の円環形成部材790の各歯車部792は、その上方に位置するリンク部材770の各歯車部774と歯合されるだけでなく、左右に隣接する歯車部792どうしも歯合される。
これにより、一対の円環形成部材790の回転動作の同期精度の向上を図ることができる。即ち、駆動モータ740の回転駆動力は、ラック・ピニオン機構を介して、一対のリンク部材770に伝達され、更に、これら一対のリンク部材770から一対の円環形成部材790に伝達される(図48及び図49参照)。この場合、ラック・ピニオン機構の一対のラック762はピニオンギヤ761に対して互いに独立している。よって、一対のラック部材770及び一対の円環形成部材790もそれぞれお互いに独立している場合には、ピニオンギヤ761に対するラック762の位相ずれ量(例えば、バックラッシ量や寸法公差)が一対のラック762で異なり、また、ラック762に対するリンク部材770の位相ずれ量(例えば、挿通孔762cに対する挿通軸772のがたつき量)が一対のリンク部材770で異なり、更に、リンク部材770に対する円環形成部材790の位相ずれ量(例えば、軸支孔774a,792aに対する軸782,783のがたつき量、或いは、歯774bに対する歯792bのがたつき量)が一対の円環形成部材790で異なり、これらの位相ずれが積み重なることで、一対の円環形成部材790の回転動作に位相ずれが発生し、同期精度が低下される。
これに対し、本実施形態では、一対のリンク部材770の歯車部774どうしを歯合せ、かつ、一対の円環形成部材790の歯車部792どうしを歯合させるので、上述した位相ずれが駆動力の伝達経路中で発生する場合であっても、かかる位相ずれを円環形成部材790の回転動作に現出させず(即ち、駆動力の伝達経路の最下流において位相ずれを吸収でき)、その結果、円環形成部材790の回転動作における同期精度の向上を図ることができる。
次いで、図52から図57を参照して、円環動作ユニット700の動作について説明する。なお、この説明においては、図46から図51を適宜参照する。
図52は、一対の円環形成部材790が退避位置に配置された円環動作ユニット700を模式的に図示する円環動作ユニット700の背面模式図であり、図53は、図52のLIII−LIII線における円環動作ユニット700の断面模式図である。図54は、一対の円環形成部材790が退避位置および結合位置の中間となる位置に配置された円環動作ユニット700を模式的に図示する円環動作ユニット700の背面模式図であり、図55は、図54のLV−LV線における円環動作ユニット700の断面模式図である。図56は、一対の円環形成部材790が結合位置に配置された円環動作ユニット700を模式的に図示する円環動作ユニット700の背面模式図であり、図57は、図56のLVII−LVII線における円環動作ユニット700の断面模式図である。
なお、図52から図57では、図面を簡素化して理解を容易とするために、中間ケース体510、背面ケース体520及び正面ケース体530からなる外殻構造、駆動モータ740及び歯車群(第1歯車751〜第6歯車756)からなる駆動構造、或いは、カバー体785などの図示が省略される。但し、図52、図54及び図56では、中間ケース体710の本体部711及び張出部713(正面711a,713a)における上縁の位置、及び、正面ケース体730の本体部731(背面731a)における上縁の位置を、それぞれ二点鎖線を用いて模式的に図示する。
図52及び図53に示すように、一対の円環形成部材790が退避位置に配置された状態では、一対のラック762が互いに離間する方向へ展開されており、その先端側(先端ガイド片762a側)の歯面がピニオンギヤ761に歯合される。よって、一対のラック762の後端側(挿通孔762c)に基端側(挿通軸772)が軸支される一対のリンク部材770は、傾倒された状態とされ、かかる一対のリンク部材770の先端側(歯車部774)が軸支される昇降ベース体780は最下方に配置される。また、一対の円環形成部材790は、互いに離間する方向へ展開され(左右に振り分けられ)ている。
この状態(一対の円環形成部材790が退避位置に配置された状態)から駆動モータ540が駆動され、その回転駆動力が歯車群を介してピニオンギヤ761に伝達されると(図48及び図49参照)、ピニオンギヤ761が図52右回り(時計回り)に回転され、そのピニオンギヤ761の回転に伴い、一対のラック762がその展開長さを短縮する方向(後端側の挿通孔762cを互いに近接させる方向)へ直線運動される。その結果、一対のリンク部材770は、その基端側(挿通軸772)が中央へ向けて(即ち、互いに近接する方向へ向けて)変位されることで、次第に起立される。
その結果、図54及び図55に示すように、昇降ベース体780に対する一対のリンク部材770の相対的な回転が形成され、その回転が歯車部774,792を介して、一対の円環形成部材790に伝達されることで、かかる一対の円環形成部材790が昇降ベース体780に対して相対的に回転され、その一対の円環部材790の先端どうしが近接される。同時に、一対のリンク部材770の起立動作により、ラック・ピニオン機構(ピニオンギヤ761及びラック762)に対する昇降ベース体790の相対的な変位が形成され、かかる昇降ベース790が上昇される。
このように、円環動作ユニット700では、ラック・ピニオン機構に基端を軸支させた一対のリンク部材770の先端に昇降ベース体780を軸支して、一対のリンク部材770の起立または傾倒により昇降ベース体780を昇降可能としつつ、更に、昇降ベース体780に基端が軸支された円環形成部材790の歯車部792を、リンク部材770の歯車部774に歯合させることで、昇降ベース体780に対するリンク部材770の相対的な回転により円環形成部材790を回転可能とする。
即ち、駆動モータ740の駆動力を昇降ベース体790へ伝達する手段(昇降させる手段)と、駆動モータ740の駆動力を円環形成部材790へ伝達する手段(回転させる手段)とを、それぞれ個別に設ける必要がなく、リンク部材770に兼用させることができるので、その分、部品点数を削減して、製品コストの低減を図ることができる。また、円環形成部材790の回転運動と上下方向への直線運動とを平行して行うことができ、即ち、円環が定位置で形成されるのではなく、上下方向に位置を変化させつつ円環が順に形成されるので、その演出効果を高めることができる。
一方で、本実施形態では、上述の通り、リンク部材770の歯車部774と円環形成部材790の歯車部792とを歯合させ、これら歯車774,792の歯合を介して、リンク部材770の回転を円環形成部材790に伝達するが、この場合、例えば、図54及び図55に示すように、一対のリンク部材770の起立が進行されると、重心位置が高くなることから、リンク部材770(本体部771)のたわみやねじれにより、昇降ベース体780(及び、一対の円環形成部材790)の前後方向(図54紙面垂直方向、図55左右方向)への振動や揺れが発生しやすくなる(前後方向への変位量が大きくなる)。
これらリンク部材770(本体部771)又は円環形成部材790(本体部791)のたわみやねじれ或いは前後方向への振動や揺れは、それらリンク部材770及び円環形成部材790に一体に形成された歯車部774,792に影響を与え、歯車部774,792を相対的に変位させることで、それら歯車部774792の歯合が外れるおそれがある。仮に、それら歯車部774,792の歯合が外れることを回避できたとしても、歯合状態(歯合面積)が不安定となり、歯面の一部に面圧が集中することで、歯774b,792bの偏磨耗を招き、耐久性が低下するおそれがあった。
これに対し、本実施形態では、リンク部材770には、本体部771と歯車部774とを連結する突設壁部773の壁面に歯774bが延長して刻設されているので(図50参照)、上述した歯車部774,792の相対変位が発生した場合でも、は774bの延長の分、歯車部774,792どうしの歯合を維持しやすくできる。その結果、歯合が外れることを抑制できるだけでなく、歯合状態を安定化させ、歯774b,792bの偏磨耗を抑制することができ、その耐久性の向上を図ることができる。
特に、本実施形態では、図54及び図55に示すように、一対の円環形成部材790が退避位置および結合位置の中間となる位置に配置され(具体的には、ピニオンギヤ761に対するラック762の相対可動範囲の中間位置にラックが配置され)、一対のリンク部材770の起立角度が所定の角度に達すると、歯車部774の歯774bであって、突設壁部773に刻設される歯774bに連なる歯774bが(図50参照)、円環形成部材790の歯車部792における歯792bとの歯合を開始する。
よって、図54及び図55に示す状態から後述する図56及び図57に示す状態までの範囲(即ち、リンク部材770の起立角度が大きくなるために、昇降ベース体790の前後方向への振動や揺れが発生しやすくなり、歯車774,792の歯合が最も外れやすくなる範囲)において、突設壁部773の壁面に延長して刻設した歯774bを有効に活用できる。その結果、歯車774,792の歯合が外れることの抑制あるいは歯774b,792bの耐久性の向上を効果的に達成できる。
図54及び図55に示す状態から、駆動モータ740の駆動により、ピニオンギヤ761が図52右回り(時計回り)に更に回転され、一対のラック762がその展開長さを更に短縮する方向(後端側の挿通孔762cを互いに近接させる方向)へ直線運動されると、一対のリンク部材770が略垂直に起立される。即ち、昇降ベース体780の軸782(図49参照)とリンク部材770の挿通軸782とを結ぶ方向が略垂直とされる。その結果、図56及び図57に示すように、一対の円環形成部材790が結合位置に配置され、それら一対の円環形成部材790の先端どうしが当接されることで、円環形状が形成される。
この場合、一対の円環形成部材790が結合位置に配置された状態(即ち、一対のリンク部材770が直立状態(鉛直方向に沿う姿勢)まで起立された場合)には、これら一対のリンク部材770の対向面間に、前面ケース体730の柱部732と中間ケース体710の張出部713の連結部分(本実施形態では、張出部713の頭部713b、図48及び図49参照)が介設され、その連結部分(張出部713の頭部713b)の左右の側面が一対のリンク部材770の対向面に当接されるので(図56参照)、円環形状を形成した一対の円環形成部材790及びその一対の円環形成部材790を支える昇降ベース体780の姿勢を結合位置において安定化することができる。
即ち、結合位置では、一対のリンク部材770が直立に起立された状態となり、重心が高くなることで、かかる一対のリンク部材770が挿通軸772を中心として左右(図56左右方向)に回転しやすくなると共に、その一対のリンク部材770の左右の回転を受けてラック762もその直線運動の方向(図56左右方向)へ移動されやすくなる。そのため、それらリンク部材770及びラック762の姿勢の維持が困難となり、その結果、リンク部材770の先端に配設される昇降ベース体780及び一対の円環形成部材790の姿勢も不安定となる。
これに対し、本実施形態によれば、一対のリンク部材770の対抗面の間に正面ケース体730(柱部732)と中間ケース体710(張出部713)との連結部分(張出部713の頭部713b)が介設されるので、かかる連結部分(頭部713b)によって、一対のリンク部材770の挿通軸772を中心とする左右方向への回転およびラック762の直線運動の方向への移動を規制することができる。これにより、一対のリンク部材770を起立状態に維持して、昇降ベース体780及び一対の円環形成部材790の姿勢を結合位置において安定化できる。
また、リンク部材770は、一対が左右(図52、図54及び図56の左右方向)に略対称に向かい合わせに配置されるので、比較的下方に傾倒された状態(例えば、図52から図55までの間)においては、一対のリンク部材770が挿通軸772を中心として左右(図52及び図54の左右方向)に回転しようとする動作を、向かい合わせに配設された一対のリンク部材770どうしで互いに打ち消し合うことができ、その姿勢の維持が可能となる。
一方で、リンク部材770は、平板形状に形成されることもあり、前後方向(例えば、図54の紙面垂直方向)の変位に対しては、その姿勢の維持が困難である。この場合、本実施形態では、リンク部材770の基端側(挿通軸772側)を、中間ケース体710及び正面ケース体730との対向面で挟み込む。即ち、リンク部材770が傾倒状態と起立状態との間で回転(変位)される際には、かかるリンク部材770の基端側における正面および背面に対し、正面ケース体730(本体部731)の背面731aと中間ケース体710(本体部711)の正面711aとを当接させることができる。これにより、リンク部材770の前後方向(図54の紙面垂直方向)への揺れを効果的に抑制しつつ、かかるリンク部材770を傾倒状態および起立状態の間で安定して回転(変位)させることができる。その結果、昇降ベース体780及び一対の円環形成部材790の姿勢を安定させつつ昇降させることができる。
特に、本実施形態では、中間ケース体710(本体部711)の幅方向中央部分には張出部713が上方へ向けて張り出し形成され(図48及び図49参照)、かかる張出部713は、図56に示すように、幅方向中央部分に近づくに従って(即ち、リンク部材770が起立されるに従って)、その正面713aの上縁の位置が高くされる(即ち、リンク部材770の背面に当接可能な面積が大きくされる)。
このように、中間ケース体710(本体部711)の正面711aの上縁の位置を全体に高くするのではなく、中央部分のみを部分的に高くすることで、上縁の位置が高くされた中間ケース体710の壁面により外観が損なわれる(或いは、第3図柄表示装置81の配設領域が縮小される)ことを抑制しつつ、リンク部材770が起立状態に近づくほど、張出部713の正面713aとリンク部材770の背面との間の当接可能な面積を広くして、リンク部材770の姿勢を維持する(前後方向への揺れを抑制する)効果を高めることができる。その結果、外観が損なわれることを抑制しつつ、リンク部材770を起立状態近傍において安定して回転(変位)させることができる。即ち、結合位置において昇降ベース体780及び一対の円環形成部材790の姿勢を停止状態に安定して保持できると共に、結合位置の近傍において、昇降ベース体780及び一対の円環形成部材790の姿勢を安定させつつ昇降させることができる。
なお、本実施形態では、図52に示すように、中間ケース体710の張出部713が、その正面713aを、退避位置に退避された(即ち、最下方まで傾倒された)一対のリンク部材770の背面に当接可能な形状に設定される(図46参照)。これにより、結合位置において昇降ベース体780及び一対の円環形成部材790の姿勢を停止状態に安定して保持することと、結合位置の近傍において、昇降ベース体780及び一対の円環形成部材790の姿勢を安定させつつ昇降させることとを目的として、その上縁の高さ位置を高くした部分(張出部713)を利用して、退避位置(最下方)に配置された昇降ベース780及び一対の円環形成部材790の姿勢を停止状態に安定して維持する効果も同時に得ることができる。
なお、図56及び図57に示す状態から、駆動モータ740が上述の場合とは逆方向に回転駆動されると、ピニオンギヤ761が図56左回り(反時計回り)に回転され、そのピニオンギヤ761の回転に伴い、一対のラック762が展開される(即ち、後端側の挿通孔762cを互いに離間させる方向へ直線運動される)。その結果、一対のリンク部材770が徐々に傾倒され、図52及び図53に示すように、一対の円環形成部材790が退避位置に退避される。
ここで、円環動作部材700では、ラック・ピニオン機構(ピニオンギヤ761及び一対のラック762)に、一対のリンク部材770を介して、昇降ベース体780及び一対の円環形成部材790の重量が作用される。即ち、昇降ベース体780及び一対の円環形成部材790の重量が、一対のリンク部材770を介して、一対のラック762を展開させる方向へ作用される。そのため、昇降ベース体780及び一対の円環形成部材790が結合位置から下降されるおそれがある。この場合、昇降ベース体780及び一対の円環形成部材790の重量に対し、駆動モータ740の駆動力を対抗させることで、昇降ベース体780の下降を規制する(即ち、昇降ベース体780を結合位置に保持する)構造では、駆動モータ740に必要とされる消費エネルギーが嵩んでしまう。
これに対し、本実施形態では、上述したように、リンク部材770の本体部771と歯車部774との間には突設壁部773が介設され、その突設壁部773の突設高さhの分だけ、本体部711から歯車部774が前方(正面)側へオフセットされている(図50(d)参照)。よって、例えば図55及び図57に示すように、昇降ベース体780は、ラック762の歯面に平行な方向であってラック762の移動方向に直交する方向(即ち、図54及び図56の紙面手前側、図55及び図57の左側)に、リンク部材770の厚み寸法(即ち、本体部771及び歯車部774の厚み寸法と突設壁部773の突設高さhとの合計寸法)の分だけ、ラック762からオフセット(離間)される。
これにより、ラック762には、リンク部材770を介して、昇降ベース体780及び一対の円環形成部材790の重量が、上述したオフセット方向へ向けても作用される。即ち、リンク部材770からラック762に作用される力成分として、昇降ベース体780がオフセットされる方向への力成分を発生させることができ、その分、ラック762をその移動方向へ移動させる力成分を小さくすることができる。その結果、駆動モータ740に必要とされる消費エネルギーを抑制できる。
特に、本実施形態では、図56に示すように、結合位置においては、リンク部材770が鉛直方向に沿う姿勢で起立され、昇降ベース体780の軸782(図49参照)とリンク部材770の挿通軸772とを結ぶ方向がラック762の歯面に略直交される。よって、昇降ベース体780及び一対の円環形成部材790の重量が、リンク部材770を介して、ラック762に作用される場合に、そのリンク部材770からラック762に作用する力成分として、ラック762を展開させる方向(即ち、起立状態にあるリンク部材770を傾倒させる方向)への力成分が発生することを抑制できる。これにより、駆動モータ740の駆動力を解除しても、昇降ベース体780及び一対の円環形成部材790を結合位置に保持することができ、その結果、駆動モータ740に必要とされる消費エネルギーを抑制できる。
なお、詳細には、本実施形態では、図56に示すように、昇降ベース体780の一対の軸782間の水平方向(図56左右方向)における距離T1が、一対のリンク部材770の挿通軸772間の水平方向における距離T2よりも小さくされる(T1<T2)。これにより、一対のリンク部材770がそれぞれ鉛直方向に対し若干傾斜した姿勢(即ち、一対のリンク部材770がハの字状となる姿勢)で起立される。このように、一対のリンク部材770をハの字状となる姿勢としておくことで、かかる図56に示す状態(結合位置)から退避位置への動作を開始するために、駆動モータ740を上述の場合とは逆方向に回転駆動する際には、その回転駆動による一対のラック762の展開(即ち、一対のリンク部材770の傾倒)を容易かつ確実に開始させることができる。
特に、本実施形態では、円環形成部材790の本体部791の先端には磁石が埋設され、本体部791の先端どうしが磁着されているため、駆動モータ740の駆動力を解除しても、昇降ベース体780及び一対の円環形成部材790を結合位置に保持しやすくできる。一方で、結合位置から退避位置への動作を開始する際には、その磁石の磁着力を解除させる必要がある。この場合、一対のリンク部材770をハの字状となる姿勢としておく(即ち、T1<T2を設定する)ことが、結合位置での結合状態の保持と、結合位置から退避位置への動作開始時の結合状態の解除との両者の確実化を両立するという点で特に有効となる。
ここで、円環形成部材790の本体部791の先端に埋設される磁石を省略しても良い。なお、この場合には、昇降ベース体780の一対の軸782間の水平方向(図56左右方向)における距離T1と、一対のリンク部材770の挿通軸772間の水平方向における距離T2とを略同一とするか(T1=T2)、或いは、前者を後者よりも大きくすることが好ましい(T2<T1)。これにより、駆動モータ740の駆動力を解除した場合であっても、昇降ベース体780及び一対の円環形成部材790を結合位置に保持しやすくできる。
なお、本実施形態では、案内棒733が、ラック762の歯面よりも正面側(図57左側)であって、昇降ベース体780(本体部781)よりも背面側(図57右側)に配置される。また、案内棒733が挿通される昇降ベース体780の被案内部784は、昇降ベース体780(本体部781)の最下方に配置される。即ち、ラック762に対する昇降ベース体780の前方へのオフセットの方向において、リンク部材770の挿通軸772がラック762の挿通孔762cに挿通される部分と、昇降ベース体780及び一対の円環形成部材790からなる構造体の重心位置との間となる位置に、案内棒733が配置され、この案内棒733及び被案内部784を介して、昇降ベース体780の昇降が案内される。かかる配置により、上述したラック762に対して昇降ベース体780を正面側にオフセット配置することによる効果の発揮と、昇降ベース体780のスムーズな昇降動作の確保との両立を図ることができる。
次いで、図58から図64を参照して、揺動動作ユニット800について説明する。
なお、揺動動作ユニット800は、上述したように2本のアーム部材820を備え(図7及び図11参照)、それら両アーム部材820を動作(変位)させるための2つのユニットからなる。即ち、揺動動作ユニット800は、背面ケース210の正面視において、背面ケース210内の上方であって、開口211aを挟んで左右に配設される2つのユニットからなる。この場合、アーム部材820を動作(変位)させるための構造(技術思想)は2つのユニットにおいてそれぞれ同一であるので、以下においては、これら2つのユニットのうちの1のユニット(開口211aの左側に配設されるユニット、図7及び図11参照)を揺動動作ユニット800と称して説明する。
図58は、アーム部材820が退避位置に退避された状態における揺動動作ユニット800の正面斜視図であり、図59は、アーム部材820が張出位置に張り出された状態における揺動動作ユニット800の正面斜視図である。
図58及び図59に示すように、揺動動作ユニット800は、基端が回転可能に軸支されるアーム部材820と、そのアーム部材820に回転駆動力を付与する駆動モータ830とを備え、図58に示す退避位置と、図59に示す張出位置との間でアーム部材820を揺動動作(回転)させる。退避位置では、アーム部材820は、垂直下方へ向けて垂下された姿勢となり、複合動作ユニット400の背面側に退避されることで、遊技者から視認不能とされる一方(図6参照)、張出位置では、アーム部材820は、その先端を上方へ持ち上げて斜め下方へ向けて傾斜する姿勢となり、その先端を第3図柄表示装置81(図5参照)の正面に張り出させる。
この場合、本実施形態では、図59に示す張出位置にアーム部材820が配置されると、後述するように、アーム部材820を機械的に張出位置に保持可能とされる。そのため、アーム部材820が重力の作用(自身の重さ)により退避位置へ向けて回転しないように、駆動モータ830の駆動力を対抗させる必要がなく、その分、アーム部材820を張出位置に保持するために必要とされる駆動モータ830の消費エネルギーを抑制することができる。この詳細構成について、図60から図64を参照して説明する。
図60は、分解された揺動動作ユニット800を正面視した揺動動作ユニット800の分解正面斜視図である。また、図61(a)は、アーム部材820が退避位置に配置された状態における揺動動作ユニット800の背面図であり、図61(b)は、図61(a)の部分LXIbにおける揺動動作ユニット800の部分拡大背面図である。なお、図61(a)及び図61(b)では、取り付けベース810が取り外された状態の揺動動作ユニット800が図示される。
図60及び図61に示すように、揺動動作ユニット800は、背面ケース210(図7参照)に配設される取り付けベース810と、その取り付けベース810に基端が回転可能に軸支されるアーム部材820と、そのアーム部材820を回転駆動するための駆動力を発生する駆動モータ830と、その駆動モータ830が配設されると共に取り付けベース810の正面に配設される表ケース体840と、を主に備えて構成される。
取り付けベース810は、表ケース体840との間にアーム部材820の基端および駆動モータ830を収容するための部材であり、正面視縦長の矩形状に形成される。取り付けベース810は、その正面から突設されると共にアーム部材820を回転可能に軸支するための軸811を備える。
アーム部材820は、長尺形状に形成される本体部821と、その本体部821の基端側に溝状の開口として形成される溝部822と、その溝部822とは反対側となる本体部821の先端側の正面に覆設されると共に装飾体として形成される装飾部823と、その装飾部823及び溝部821の間となる位置において本体部821に貫通形成される軸支孔824と、を主に備えて構成される。
溝部822は、直線状に延設される第1溝822aと、その第1溝822aの一端に連接され円弧状に湾曲して延設される第2溝822bとからなり、これら両溝822a,822bから正面視L字状の溝として形成される。言い換えると、溝部822は、第1溝822aの対向する内壁面のうちの一方の内壁面に凹設された凹部が第2溝822bとされる。
なお、第2溝822bの円弧形状は、突設ピン833が第1溝822aの終点(第1溝822aと第2溝822bとの接続位置)に配置された状態(図63(b)参照)において、駆動モータ830の駆動軸831を中心とする円弧形状に一致される。また、第1溝822a及び第2溝822bの溝幅は、互いに同一の寸法に設定される
アーム部材820は、その軸支孔824に取り付けベース810の軸811を挿通させることで、その基端が取り付けベース810に対して回転可能に軸支される。この場合、アーム部材820には、その本体部821の正面であって、軸支孔824の近傍となる領域に、表ケース体840の当接面部841が当接される(図61(b)参照)。これにより、アーム部材820は、その基端が取り付けベース810及び表ケース体840の対向間に回転可能な状態で保持される。
駆動モータ830は、その駆動軸831に基端が固着されると共に駆動軸831から径方向外方へ延設される板状の駆動アーム832と、その駆動アーム832の先端に突設される突設ピン833とを主に備え、その突設ピン833をアーム部材820の溝部822に挿通させた状態で、表ケース体840の背面に締結ねじにより締結固定される。
突設ピン833は、上述した通り、アーム部材820の溝部822に挿通される部位であり、アーム部材820の溝部822(第1溝822a及び第2溝822b)の溝幅と同等または若干小さな外径の円柱状体として形成される。よって、駆動モータ830の駆動軸831が回転駆動される際には、突設ピン833がアーム部材820の溝部822内をその溝部822の延設方向に沿って移動され、その結果、アーム部材820が軸811を中心として回転される。
次いで、図62から図64を参照して、揺動動作ユニット800の揺動動作について説明する。なお、この説明においては、図61を適宜参照する。
図62から図64は、揺動動作ユニット800のアーム部材820を退避位置から張出位置へ動作させる過程を時系列で説明する図であり、図62(a)、図63(a)及び図64(a)は、揺動動作ユニット800の背面図であり、図62(b)、図63(b)及び図64(b)は、それぞれ図62(a)の部分LXIIb、図63(a)の部分LXIIIb及び図64(a)の部分LXIVbにおける揺動動作ユニット800の部分拡大背面図である。
なお、図62は、駆動モータ830が回転駆動され、アーム部材820が退避位置から張出位置へ向けて所定量だけ揺動動作された状態が、図63は、アーム部材820が張出位置に到達した直後の状態が、図64は、アーム部材820が張出位置に到達し、かつ、駆動モータが更に回転駆動された状態が、それぞれ図示される。
図61(a)及び図61(b)に示すように、アーム部材820が退避位置に配置される状態では、アーム部材820は下方へ向けて垂下された姿勢とされ、突設ピン833は、溝部822の第1溝822aにおける始点(第2溝822bに接続される側と反対側の端部、図61(b)右側)に位置される。
なお、この退避位置では、アーム部材820の本体部821の側面から突設される突部821aの突設先端面が、取り付けベース810の側壁における規制面812に所定間隔を隔てて対面される。よって、外力(例えば、遊技者が遊技機を叩く又は揺らすことで発生する外力)を受けて、アーム部材820が軸811を中心として回転される場合には、突部821aを規制面812に当接させて、アーム部材820の回転を規制することができ、かかる回転を速やかに収束させることができる。
図61(a)及び図61(b)に示す状態(アーム部材820が退避位置に配置された状態)から駆動モータ830の駆動軸831が回転駆動され、駆動アーム832が図61(b)左回り(反時計回り)に回転されると、突設ピン833が溝部822の第1溝822aにおける終点(第2溝822bに接続される側、図61(b)左側)へ向けて移動される。
これにより、図62(a)及び図62(b)に示すように、アーム部材820が軸支孔824を中心として図61(b)右回り(時計回り)に回転される。駆動モータ830の駆動軸831が更に回転駆動され、駆動アーム832が図62(b)左回り(反時計回り)に更に回転された結果、突設ピン833が溝部822の第1溝822aにおける終点に達すると、図63(a)及び図63(b)に示すように、アーム部材820が張出位置に配置される。
ここで、従来の遊技機においても、第1軸(軸811に相当)と、その第1軸を中心に回転される移動部材(アーム部材820に相当)と、その移動部材に駆動力を付与する駆動モータ(駆動モータ830に相当)とを備え、駆動手段の駆動力により移動部材を、第1軸を回転中心として回転させるものがある(例えば、特開2011−120640号公報を参照)。この場合、移動部材が上昇位置(張出位置に相当)に配置される場合、その移動部材が重力の作用により移動(下降)しないようにする必要がある。この場合、上述した従来の遊技機では、駆動モータの駆動力を重力(移動部材の重量)に対抗させることで、移動部材の移動(下降)を規制する(即ち、移動部材を上昇位置に保持する)構造であるため、移動部材の保持に必要な消費エネルギーが嵩んでいた。
これに対し、本実施形態の揺動動作ユニット400によれば、アーム部材820を張出位置に機械的に保持することで、駆動モータ830の駆動力を解除可能として、アーム部材820を張出位置に保持するために要する消費エネルギーを抑制できる。
即ち、本実施形態よれば、図63(a)及び図63(b)に示す状態(突設ピン833が溝部822の第1溝822aにおける終点に達し、アーム部材820が張出位置に配置された直後の状態)において、駆動モータ830が更に回転駆動される。これにより、駆動アーム832が図62(b)左回り(反時計回り)に更に回転されることで、図64(a)及び図64(b)に示すように、突設ピン833が溝部822の第2溝822b内に移動された(受け入れられた)状態を形成する。
このように、本実施形態では、第1溝822aの終点に第2溝822bが連接されており(第1溝822aの互いに対向する内壁面のうちの一方の内壁面に凹部が凹設されており)、アーム部材820が張出位置に配置された状態では、突設ピン833が第2溝822b内に移動された(第1溝822aの互いに対向する内壁面のうちの一方の内壁面に凹設された凹部に突設ピン833が受け入れられた)状態が形成されるので、アーム部材820を張出位置に機械的に保持する(アーム部材820が軸支孔824(軸811)を中心に回転されることを規制する)ことができる。即ち、駆動モータ830の駆動力を解除されたとしても、アーム部材820を張出位置に機械的に保持でき、その分、アーム部材820を張出位置に保持するために要する駆動モータ830の消費エネルギーを抑制できる。
更に、本実施形態では、図64(a)及び図64(b)に示す状態において、駆動軸831と突設ピン833とを結ぶ方向に対し、突設ピン833と軸支孔824(軸811)とを結ぶ方向が略直交し、かつ、駆動軸831と突設ピン833とを結ぶ方向に対し、突設ピン833が位置する部分の第2溝822bの互いに対向する内壁面が略直交するように形成される。
よって、アーム部材820が軸支孔824(軸811)を中心として回転されると、第2溝822bの内壁面は、駆動軸831と突設ピン833とを結ぶ方向と一致する方向へ向けて、突設ピン833を押圧するため、アーム部材820が回転され、第2溝822bの内壁面によって突設ピン833が押圧されたとしても、駆動モータ830の駆動軸831を回転させることができない。即ち、アーム部材820を回転させることができない。
従って、駆動モータ830の駆動力が解除されている状態において、例えば、遊技者が遊技機を叩いたり揺らしたりすることで、アーム部材820が揺らされた場合でも、かかるアーム部材820が軸支孔824(軸811)を中心に回転されることを規制でき、その結果、張出位置に確実に保持しておくことができる。
この場合、上述したように、第2溝822bの円弧形状は、図63(b)に示すように、突設ピン833が第1溝822aの終点(第1溝822aと第2溝822bとの接続位置)に配置された状態において、駆動モータ830の駆動軸831を中心とする円弧形状に一致される。よって、第1溝822bの終点に配置された突設ピン833を第2溝822b内へ移動させる(受け入れさせる)際には(即ち、図63に示す状態から図64に示す状態に遷移する際には)、突設ピン833の移動軌跡と第2溝822bの内壁面の形状とが一致されているので、張出位置に配置されたアーム部材820の姿勢が変動することを回避することができる。
即ち、図63に示すように、アーム部材820が張出位置に配置された後には、かかるアーム部材820の張出位置における姿勢が変動することを抑制しつつ(停止状態に維持しつつ)、突設ピン833を第2溝822b内に移動させ(受け入れさせ)、アーム部材820を張出位置に機械的に保持することができる。
ここで、溝部822は、第1溝部822aの終点から第2溝822bが軸支孔824と反対側(軸支孔824から離間する側)へ向けて延設される形状(第1溝822aの互いに対向する内壁面のうちの軸支穴824と反対側の内壁面に凹部が凹設される形状)であっても、本実施形態の場合と同様に、アーム部材820の機械的な保持が可能である。しかしながら、この場合には、アーム部材820が張出位置に配置された後、突設ピン833を第2溝822b内へ移動させる(受け入れさせる)際に、駆動モータ830の回転方向を切り替える必要が生じ、制御が煩雑となると共に、動作の信頼性が低下する。
これに対し、本実施形態では、溝部822は、第1溝部822aの終点から第2溝822bが軸支孔824側(軸支孔824に近接する側)へ向けて延設される形状(第1溝822aの互いに対向する内壁面のうちの軸支穴824側の内壁面に凹部が凹設される形状)であるので、駆動モータ830の回転方向を切り替えることなく、アーム部材820を退避位置から張出位置へ配置し、かつ、凹設ピン833を第2溝822b内へ移動させて(受け入れさせて)、アーム部材820を張出位置において機械的に保持する動作を行うことができる。その結果、制御を簡素化できると共に、動作の信頼性を向上させることができる。
次いで、図65から図72を参照して、第2実施形態における円環動作ユニット2700について説明する。第1実施形態では、昇降ベース体780が昇降される際、その昇降ベース体780の正面側(前方)へのオフセット量が昇降位置によらず一定に維持される場合を説明したが、第2実施形態における昇降ベース体2780は、正面側(前方)へのオフセット量が昇降位置に応じて変化(増減)される。なお、上述した各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図65は、第2実施形態における中間ケース体2710、背面ケース体720及び正面ケース体2730の組み立て状態における上面図であり、図66は、図65のLXVI−LXVI線における中間ケース体2710、背面ケース体720及び正面ケース体2730の断面図である。なお、図65では、各ケース体2710,720,2730の長手方向(図65左右方向)長さが一部省略して図示される。また、図65及び図66では、図面を簡素化して、理解を容易とするために、各ケース体2710,720,2730の主要な部分のみが図示される。
図65に示すように、第2実施形態では、中間ケース体2710の正面2711aと正面ケース体2730の背面2731aとの間に形成される空間(リンク部材770をスライド変位可能に案内する通路P)の一部(長手方向(図65左右方向)の中央部分)が、両ケース体2710,2730の正面側(前方、図65上側)へ向けて張り出して形成される。
即ち、上述した第1実施形態では、該空間が両ケース体710,730の長手方向に沿って直線状に形成され、その直線状の空間に沿ってリンク部材770がスライド変位されるため、昇降ベース体780の正面側へのオフセット量が変化されず一定に維持される(図48及び図49参照)。
これに対し、第2実施形態では、空間Pが両ケース体2710,2730の長手方向に沿って非直線状に形成されるため、その非直線状の空間に沿ってリンク部材2770がスライド変位されることで、かかるリンク部材2770が正面側(図65上側)及び背面側(図65下側)へ向けても変位され(図67参照)、このリンク部材2770の変位に伴い、昇降ベース体2780も昇降の際に正面側(図65上側)及び背面側(図65下側)へ向けて変位される。即ち、昇降ベース体2780が、正面側(図65上側)へのオフセット量を変化させつつ昇降される(図70及び図72参照)。具体的構成について、以下に説明する。
図65及び図66に示すように、中間ケース体2710は、その長手方向(図65左右方向)中央部において、本体部2711の正面2711aが正面側(図65上側)へ向けて張り出す形状に形成され、その中間ケース体2710の正面2711aの形状に対応して、正面ケース体2730は、本体部2731の背面2731aが正面側(図65上側)へ向けて凹んだ形状に形成される。これにより、正面2711a及び背面2731aの間には、リンク部材770をスライド変位可能に案内する通路Pが形成される。
通路Pは、中間ケース体2710及び正面ケース体2730の長手方向両側に位置しラック762(図48及び図49参照)の移動方向に沿って直線状に延設される第1通路P1と、その第1通路P1と平行に直線状に延設され第1通路P1よりも正面側(前方、図65上側)へオフセットされると共に中間ケース体2710及び正面ケース体2730の長手方向中央に位置する第3通路P3と、それら第3通路P3及び第1通路P1の間を接続する第2通路P2とからなる。
各通路P1〜P3の対向間隔は、リンク部材2770(本体部771、図67(a)参照)の板厚寸法よりも若干大きな寸法に設定されると共に、各通路P1〜P3の接続部分が円弧形状により滑らかに形成される。よって、リンク部材2770が傾倒状態と起立状態との間でスライド変位される際には、かかるリンク部材2770(本体部771)の正面および背面に対し、各通路P1〜P3の内壁面(正面2711a及び背面2731a)を当接させ、リンク部材2770の前後方向(図65上下方向)への揺れを効果的に抑制しつつ、かかるリンク部材2770を傾倒状態および起立状態の間で円滑に変位させることができる。ここで、図67を参照して、リンク部材2770の詳細構成について説明する。
図67(a)は、リンク部材2770の側面図であり、図50(d)に対応する。また、図67(b)は、中間ケース体2710、背面ケース体720及び正面ケース体2730の組み立て状態における上面図であり、起立および倒伏されたリンク部材2770が通路Pに配置された状態が模式的に図示される。なお、図67(b)では、リンク部材2770の本体部771が通路Pの開口縁に沿って切断されて断面視された状態が図示される。
図67(a)に示すように、第2実施形態におけるリンク部材2770は、第1実施形態におけるリンク部材770と同様に、本体部771の長手方向一側(基端)における背面から挿通軸2772が突設されると共に、その挿通軸2772とは反対側となる本体部771の長手方向他側(先端)における正面から突設壁部2773が突設され、その突設壁部2773の突設先端に歯車部774が配設される。
なお、第2実施形態におけるリンク部材2770は、第1実施形態におけるリンク部材770に対し、挿通軸2772及び突設壁部2773の突設寸法が、第1実施形態における挿通軸772及び突設壁部773の突設寸法よりも大きな(長い)寸法に設定される点を除き、他の構成は同一である。
挿通軸2772は、上述したように、中間ケース体2710の挿通溝712を介して、ラック762の挿通孔762cに回転方向および軸方向へ摺動可能な状態で挿通されると共に、背面ケース体720の挿通溝722を介して、背面ケース体720の背面に軸方向先端面が配置され、その挿通軸2772の軸方向先端面には、カラーCが締結固定される(図48及び図49参照)。
図67(b)に示すように、挿通軸2772の本体部771からの突設寸法(図67(a)左右方向寸法)は、リンク部材2770が第1通路P1に案内(保持)される状態では、背面ケース体720の背面から挿通軸2772の先端が突出されると共に、リンク部材2770が第3通路P3に案内(保持)される状態では、挿通軸2772の軸方向の先端面が背面ケース体720の背面と略面一となる(背面ケース体720の背面にカラーCが当接または若干の隙間を有した状態に配置される)ように設定される。そのため、本実施形態によれば、リンク部材2770の挿通軸2772がラック762の挿通孔762c(図48及び図49参照)を軸方向(図67(b)上下方向)に摺動することで、リンク部材2772を第1通路P1、第2通路P2及び第3通路P3のそれぞれに沿ってスライド変位させることができる。
図65及び図66に戻って説明する。中間ケース体2710には、第1実施形態の場合と同様に、本体部2711の長手方向中央において張出部2713が上方へ張り出して形成され、張出部2713は、張り出し先端から本体部2711へ向けて末広がりとなる(幅が広くなる)正面視略三角形状に形成されると共に、その正面2713aが本体部2711の正面2711aと面一に形成される。
なお、本実施形態では、張出部2713の形成される範囲(張り出し基部が本体部2711に接続される範囲)が第3通路P3に対応する領域と略同一とされ、これにより、張出部2713の正面2713aが本体部2711の正面2711aと面一な平坦面として形成される。
よって、リンク部材2770が起立状態へ向けて回転(変位)される際の起立状態の近傍においては、張出部2713の正面2713aがリンク部材2770の背面に当接することで、また、リンク部材2770が起立状態とされた際には、張出部2713の正面2713aとケース体2730の柱部2732との間でリンク部材2770を挟み込むことで、リンク部材2770の姿勢が特に不安定となりやすい起立状態およびその近傍において、リンク部材2770の変位を規制して、かかるリンク部材2770の前後方向への揺れを効果的に抑制できる。
また、張出部2713の縁部は、正面視において円弧状に湾曲して形成される(図48参照)。よって、リンク部材2770が起立されるに従って(即ち、その姿勢が不安定となりやすくなるに従って)、リンク部材2770の背面に当接可能な張出部2713の正面2713aの面積を拡大することができ、リンク部材2770の前後方向への揺れを効果的に抑制できる一方で、張出部2713が正面から視認される面積をより小さくして、外観が損なわれることを抑制することができる。
中間ケース体2710における張出部2713の頭部2713bには、正面ケース体2730の柱部2732の頂部が連結される。この正面ケース体2730の柱部2732には、案内棒2733が収納される。案内棒2733は、昇降ベース体2780の昇降を案内するための部材であって、断面円形の棒状体として金属材料から形成される。
ここで、第2実施形態における案内棒2733は、軸心を鉛直方向に沿わせた姿勢で正面ケース体2730の柱部2732における底部側(図66下側)に配設される第1部分M1と、軸心を鉛直方向に沿わせた姿勢で正面ケース体2730の柱部2732における上部側(図66上側)に軸心を鉛直方向に沿わせた姿勢で配設されると共に第1部分M1よりも前方(正面側、図66左側)へオフセットして配設される第3部分M3と、それら第1部分M1及び第3部分M3を接続するために軸心を鉛直方向に対して傾斜した姿勢で配設される第2部分M2とから形成される。
案内棒2733の各部分M1〜M3は、リンク部材2770が第1通路P1に案内されている間は第1部分M1により、リンク部材2770が第2通路P2に案内されている間は第2部分M2により、リンク部材2770が第3通路P3に案内されている間は第3部分M3により、それぞれ昇降ベース体2780を案内(保持)可能な位置に形成される。ここで、図68を参照して、昇降ベース体2780について説明する。
図68は、昇降ベース体2780の背面斜視図である。図68に示すように、第2実施形態における昇降ベース体2780は、第1実施形態における昇降ベース体780と同様に、本体部781の背面に被案内部2784が配設される。なお、第2実施形態における昇降ベース体2780は、第1実施形態における昇降ベース体780に対し、被案内部2784の構造が異なる点を除き、他の構成は同一である。
被案内部2784は、環状案内部2784aと、その環状案内部2784aと所定間隔を隔てつつ環状案内部2784aの下方(図68下側)に配設される対向案内部2784bとから形成される。環状案内部2784aは、全周にわたって連続した内壁面を有して形成され、その内壁面により囲まれた空間が、案内棒2733を挿通するための挿通孔とされる。即ち、挿通孔が閉じた孔として形成される。一方、対向案内部2784bは、間隔を隔てて対向配置される一対の壁部から形成され、それら一対の壁部の対向面間が、案内棒2733を挿通するための挿通孔とされる。即ち、挿通孔が周方向の一部に開放部分を有し開放部分を介して内部と外部とを連通させる開いた孔として形成される。
このように、第1実施形態では4個の挿通孔が形成されたのに対し、第2実施形態では挿通孔の形成個数が2個とされる。よって、案内棒2733が屈曲する部分(第1部分M1と第2部分M2との接続部分および第2部分M2と第3部分M3との接続部分、図66参照)を有する形状に形成される場合でも、かかる案内棒2733の屈曲部分に挿通孔が係止されることを抑制でき、かかる案内棒2733に沿った昇降ベース体2780の昇降をスムーズに行わせることができる。
特に、本実施形態では、2個の挿通孔のうちの一方(対向案内部2784b)の挿通孔は、周方向の一部に開放部分を有する孔として形成されると共に、この開放部分が、正面ケース体2730に対面する側とされ、かつ、かかる挿通孔(対向案内部2784b)は、2個の挿通孔のうちの下方側に配置される。これより、案内棒2733が、その上端側(第3部分M3)を正面側(前方、図66左側)に張り出させる形状である場合に(図66参照)、案内棒2733に沿った昇降ベース体2780の昇降をスムーズに行わせることができる。
具体的には、結合位置(案内棒2733の第3部分M3に被案内部2784が案内される位置)にある昇降ベース体2780を下降させる際には、被案内部2784(環状案内部2784a及び対向案内部2784b)のうちの下方に位置する対向案内部2784bが、案内棒2733の第2部分M2に先に到達するところ、対向案内部2784bは正面ケース体2730側に開放部分を有して形成されるので、かかる開放部分を利用して、対向案内部2784bが案内棒2733の第2部分M2に係止されることを回避できる。その結果、昇降ベース体2780をスムーズに下降させることができる。
同様に、退避位置(案内棒2733の第1部分M1に被案内部2784が案内される位置)にある昇降ベース体2780を上昇させる際には、被案内部2784(環状案内部2784a及び対向案内部2784b)のうちの上方に位置する環状案内部2784aが、案内棒2733の第2部分M2に先に到達し、かかる環状案内部2784aが第2部分M2の傾斜方向に沿って案内されることで昇降ベース体2780が正面側(前方、図66左側)へ変位されるところ、対向案内部2784bがその正面ケース体2730側に開放部分を有して形成されるので、かかる開放部分を利用して、対向案内部2784bが案内棒2733の第1部分M1に係止されることを回避できる。その結果、昇降ベース体2780をスムーズに上昇させることができる。
なお、案内棒2733は、第1実施形態の場合と同様に、ラック762の歯面よりも前方(正面側、図66左側)であって、昇降ベース体2780(本体部781)よりも後方(背面側、図66右側)に配置されるため、後述するように、ラック762に対して昇降ベース体2780を正面側にオフセット配置することによる効果の発揮と、昇降ベース体2780のスムーズな昇降動作の確保との両立を図ることができる。
次いで、図69から図72を参照して、円環動作ユニット2700の動作について説明する。なお、この説明においては、図65から図68を適宜参照する。
図69は、一対の円環形成部材790が退避位置に配置された円環動作ユニット2700を模式的に図示する円環動作ユニット2700の背面模式図であり、図70は、図69のLXX−LXX線における円環動作ユニット2700の断面模式図である。図71は、一対の円環形成部材790が結合位置に配置された円環動作ユニット2700を模式的に図示する円環動作ユニット2700の背面模式図であり、図72は、図71のLXXI−LXXI線における円環動作ユニット2700の断面模式図である。
なお、図69から図72では、図面を簡素化して理解を容易とするために、中間ケース体2710、背面ケース体720及び正面ケース体2730からなる外殻構造、駆動モータ740及び歯車群(第1歯車751〜第6歯車756)からなる駆動構造、及び、カバー体785などの図示が省略される。但し、図69及び図71では、中間ケース体2710の本体部2711及び張出部2713(正面2711a,2713a)における上縁の位置、及び、正面ケース体2730の本体部2731(背面2731a)における上縁の位置を、それぞれ二点鎖線を用いて模式的に図示する。
図69及び図70に示すように、一対の円環形成部材790が退避位置に配置された状態では、一対のラック762が互いに離間する方向へ展開されており、その先端側(先端ガイド片762a側)の歯面がピニオンギヤ761に歯合される。よって、第1実施形態の場合と同様に、駆動モータ540の回転駆動力により歯車群を介してピニオンギヤ761が図69右回り(時計回り)に回転されることで、ラック762が直進運動され、一対のリンク部材2770が次第に起立されることに伴って、昇降ベース体2780が上昇される。
この場合、一対のリンク部材2770は、中間ケース体2710及び正面ケース体2730の間に形成される通路Pのうちの第1通路P1に案内されつつスライド変位されると共に(図65参照)、昇降ベース体2780(被案内部2784)は、案内棒2733の第1部分M1に沿って上昇される。
駆動モータ540の回転駆動力によりラック762が直進運動され、一対のリンク部材2770の起立および昇降ベース体2780の上昇が更に進行されると、一対のリンク部材2770が通路Pのうちの第2通路P2に(図65参照)、昇降ベース体2780の被案内部2784が案内棒2733の第2部分M2に、それぞれ到達され、これら第2通路P2及び第2部分M2に沿って案内されることで、一対のリンク部材2770及び昇降ベース体2780は、その前後方向位置(図70左右方向位置)を次第に正面側(前方、図70左側)へ変化させつつ(即ち、正面側へのオフセット量を次第に増加させつつ)、起立および上昇される。
一対のリンク部材2770が通路Pのうちの第3通路P3に(図65参照)、昇降ベース体2780の被案内部2784が案内棒2733の第3部分M3に、それぞれ到達されると、これらリンク部材2770及び昇降ベース体2780の前後方向位置(図70左右方向位置)が最も前方となる位置に設定される(即ち、正面側へのオフセット量が最大となる)。
その後、一対のリンク部材2770が通路Pのうちの第3通路P3に案内されつつ更に起立されると共に(図65参照)、昇降ベース体2780(被案内部2784)が案内棒2733の第3部分M3に沿って更に上昇されることで、図71及び図72に示すように、一対のリンク部材2770が略垂直に起立され、一対の円環形成部材790が結合位置に配置され、それら一対の円環形成部材790の先端どうしが当接されることで、円環形状が形成される。
以上のように、第2実施形態では、一対のリンク部材2770及び昇降ベース体2780の正面側(前方、図70及び図72左側)へのオフセット量が変化(増減)可能に構成され、かかる正面側へのオフセット量は、結合位置においてオフセット量が少なくとも退避位置におけるオフセット量よりも大きくされるので、昇降ベース体2780(円環形成部材790)を結合位置に保持するために必要な駆動モータ740の消費エネルギーの抑制と、昇降ベース体2780(円環形成部材790)を結合位置および退避位置の間で昇降させるために必要な駆動モータ740の消費エネルギーの抑制との両立を図ることができる。
即ち、昇降ベース体2780(円環形成部材790)が正面側(前方、図72左側)にオフセットされていれば、そのオフセット方向への力成分が発生する分、昇降ベース体2780(円環形成部材790)の重量がラック762をその移動方向へ移動させようとする力成分を小さくすることができる。よって、その分、昇降ベース体2780(円環形成部材790)を結合位置に保持するために必要な駆動モータ740の消費エネルギーを抑制できる。一方で、結合位置および退避位置の間で昇降ベース体2780(円環形成部材790)を昇降させる際には、上述のオフセット方向への力成分が反対に抵抗となり、その分、昇降ベース体2780(円環形成部材790)を昇降させるのに必要な駆動モータ740の消費エネルギーが増加する。
これに対し、第2実施形態によれば、通路Pの第3通路P3が第1通路P1よりも正面側に張り出した位置に配設されるので、昇降ベース体2780(円環形成部材790)の正面側へのオフセット量を、退避位置と結合位置との間の経路(第1通路P1及び第2通路P2に対応する領域)においては小さな量に抑制しつつ、結合位置(第3通路P3に対応する領域)に達すると大きな量に増加させることができる。そのため、結合位置においては、オフセット方向への力成分を確保して、ラック762が昇降ベース体2780(円環形成部材790)の重量によって移動されることを抑制できる。一方、退避位置と上昇位置との間で昇降ベース体2780(円環形成部材790)を昇降させる際には、オフセット方向への力成分を小さくして、抵抗を小さくできる。
その結果、昇降ベース体2780(円環形成部材790)を結合位置に保持するために必要な駆動モータ740の消費エネルギーの抑制と、昇降ベース体2780(円環形成部材790)を結合位置および退避位置の間で昇降させるために必要な駆動モータ740の消費エネルギーの抑制との両立を図ることができる。
次いで、図73及び図74を参照して、第3実施形態における円環動作ユニット3700について説明する。第1実施形態では、昇降ベース体780が昇降される際、その昇降ベース体780の正面側(前方)へのオフセット量が昇降位置によらず一定に維持される場合を説明したが、第3実施形態では、昇降ベース体2780の正面側(前方)へのオフセット量が第2実施形態の場合と同様に昇降位置に応じて変化(増減)されることに加え、更に、少なくとも結合位置においてリンク部材3770の本体部771が弾性変形される。なお、上述した各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
ここで、第3実施形態における円環動作ユニット3700は、第2実施形態における円環動作ユニット2700に対し、リンク部材3700の構成が、第2実施形態におけるリンク部材2700(図67参照)と異なる点を除き、他の構成は同一とされる。即ち、第3実施形態では、第2実施形態において説明した中間ケース体2710、背面ケース体720及び正面ケース体2730(いずれも図65及び図66参照)や昇降ベース体2780(図68参照)などが使用される。これら同一の構成についてはその説明を省略する。
図73(a)は、第3実施形態におけるリンク部材3770の側面図であり、図50(d)に対応する。また、図73(b)は、中間ケース体2710、背面ケース体720及び正面ケース体2730の組み立て状態における上面図であり、起立および倒伏されたリンク部材3770が通路Pに配置された状態が模式的に図示される。なお、図73(b)では、リンク部材3770の本体部771が通路Pの開口縁に沿って切断されて断面視された状態が図示される。
図73(a)に示すように、第3実施形態におけるリンク部材3770は、第1実施形態におけるリンク部材770と同様に、本体部771の長手方向一側(基端)における背面から挿通軸772が突設されると共に、その挿通軸772とは反対側となる本体部771の長手方向他側(先端)における正面から突設壁部2773が突設され、その突設壁部2773の突設先端に歯車部774が配設される。
なお、第3実施形態におけるリンク部材3770は、第1実施形態におけるリンク部材770に対し、突設壁部3773の突設寸法が、第1実施形態における突設壁部773の突設寸法よりも大きな(長い)寸法に設定される点を除き、他の構成は同一である。一方、第3実施形態におけるリンク部材3770は、第2実施形態におけるリンク部材2770に対し、挿通軸772の突設寸法が、第2実施形態における挿通軸2772の突設寸法よりも小さな(短い)寸法に設定される点を除き、他の構成は同一である。即ち、挿通軸772は、第1実施形態および第3実施形態において共通とされ、突設壁部3773は、第2実施形態および第3実施形態において共通とされる。
挿通軸772は、上述したように、中間ケース体2710の挿通溝712を介して、ラック762の挿通孔762cに回転方向な状態で挿通されると共に、背面ケース体720の挿通溝722を介して、背面ケース体720の背面に軸方向先端面が配置され、その挿通軸772の軸方向先端面には、カラーCが締結固定される(図48及び図49参照)。
この場合、第2実施形態では、ラック762の挿通孔762cに対して挿通軸2772が軸方向へ摺動可能とされたが(図67(b)参照)、第3実施形態では、第1実施形態の場合と同様に、カラーCが背面ケース520の背面に当接されることで、ラック762の挿通孔762cに対して挿通軸772が軸方向へ摺動することが規制(制限)される。
即ち、挿通軸772の本体部771からの突設寸法(図73(a)左右方向寸法)は、図73(b)に示すように、リンク部材3770が第1通路P1に案内(保持)される状態では、挿通軸772の軸方向の先端面が背面ケース体720の背面と略面一とされる(即ち、背面ケース体720の背面にカラーCが当接または若干の隙間を有した状態に配置される)ように設定される。
そのため、第2実施形態では、リンク部材2770の挿通軸2772がラック762の挿通孔762cを軸方向(図67(b)上下方向)に摺動することで、リンク部材2772が第1通路P1、第2通路P2及び第3通路P3のそれぞれに沿ってスライド変位可能とされたのに対し(図67(b)参照)、第3実施形態におけるリンク部材3770は、その挿通軸772がラック762の挿通孔762cに対して軸方向(図73(b)上下方向)に摺動せず、よって、第2通路P2及び第3通路P3ではリンク部材3770の本体部771が第2通路P2及び第3通路P3の内壁面(中間ケース体2710の正面2711a)に当接される。これにより、リンク部材3770は、その本体部771が第2及び第3通路P2,P3の内壁面によって押圧され前方(正面側(図73(b)上側)へ向けて弾性変形されつつ、第2通路P2及び第3通路P3をスライド変位される。
次いで、図74を参照して、円環動作ユニット3700の動作について説明する。なお、この説明においては、図69から図71を適宜参照する。
図74は、一対の円環形成部材790が結合位置に配置された円環動作ユニット3700を断面模式図であり、図72に対応する。なお、図74では、図面を簡素化して理解を容易とするために、中間ケース体2710、背面ケース体720及び正面ケース体2730からなる外殻構造、駆動モータ740及び歯車群(第1歯車751〜第6歯車756)からなる駆動構造、或いは、カバー体785などの図示が省略される。
上述したように、一対の円環形成部材790が退避位置に配置された状態では(図69及び図70参照)、一対のラック762が互いに離間する方向へ展開されており、駆動モータ540の回転駆動力によりラック762が直進運動されることで、一対のリンク部材3770が次第に起立されることに伴って、昇降ベース体2780が上昇される。
この場合、一対のリンク部材3770は、第2実施形態の場合と同様に、中間ケース体2710及び正面ケース体2730の間に形成される通路Pのうちの第1通路P1に案内されつつスライド変位されると共に、昇降ベース体2780(被案内部2784)は、案内棒2733の第1部分M1に沿って上昇される。
図74に示すように、一対のリンク部材3770の起立および昇降ベース体2780の上昇が更に進行され、一対のリンク部材3770が通路Pのうちの第2通路P2及び第3通路P3に沿って(図73(b)参照)、昇降ベース体2780の被案内部2784が案内棒2733の第2部分M2及び第3部分M3に、それぞれ案内されると、リンク部材3770が略垂直に起立されることで、一対の円環形成部材790が結合位置に配置され、円環形状が形成される。
この場合、リンク部材3770は、上述したように、その本体部771が、第2通路P2及び第3通路P3の内壁面(中間ケース体2710の正面2711a)に当接され、かかる当接により本体部771が正面ケース2730の正面側(背面面2731a側)へ向けて押圧されることで、リンク部材3770(本体部771)が弾性変形(たわみ変形)される。
以上のように、第3実施形態では、第2実施形態の場合と同様に、第1通路P1と第3通路P3との前後方向(図73(b)上下方向)位置を異ならせることで、結合位置におけるオフセット量を大きくして、昇降ベース体2780(円環形成部材790)を結合位置に保持するために必要な駆動モータ740の消費エネルギーを抑制すると共に、退避位置ではオフセット量を小さくして、昇降ベース体2780(円環形成部材790)を結合位置および退避位置の間で昇降させるために必要な駆動モータ740の消費エネルギーを抑制することができる。
特に、第3実施形態では、リンク部材3770(本体部771)の長手方向一側(基端)から突設される挿通軸772が、ラック762の挿通孔762cに対して軸方向に摺動することが規制(制限)される、即ち、リンク部材3770(本体部771)の長手方向一側(基端)がラック762に対してオフセット方向(前後方向、図73(b)上下方向)に変位不能な状態でラック762に接続されるので、リンク部材3770が起立された状態では、図74に示すように、第3通路P3の対向する内壁面のうちの一方(中間ケース体2710の正面2711a)に当接されたリンク部材3770の本体部771を弾性変形させ、かかる弾性変形されたリンク部材3770の本体部771を第3通路P3の対向する内壁面のうちの他方(正面ケース体2730の背面2731a)に押圧させた状態を形成することができる。
これにより、昇降ベース体2780が結合位置に配置された状態では、昇降ベース体2780がオフセットされることによるオフセット方向への力成分に加え、リンク部材3770(本体部771)を第3通路P3の対向する内壁面のうちの一方に押圧させることによる抵抗の増加により、ラック762が昇降ベース体2780や円環形成部材790などの重量によって水平方向へ移動されることを抑制できる。よって、昇降ベース体2780(円環形成部材790)を結合位置に保持するために必要な駆動モータ740の消費エネルギーを抑制できる。
一方で、通路Pのうちの第1通路P1では、かかる第1通路P1の対向する内壁面(中間ケース体2710の正面2711a及び正面ケース体2730の背面2731a)によってはリンク部材3770の本体部771の弾性変形が形成されず、かかるリンク部材3770の本体部771によって第1通路P1の対向する内壁面が押圧される状態が解除される。これにより、リンク部材3770(本体部771)と第1通路P1の内壁面との間の抵抗を抑制して、昇降ベース体2780(円環形成部材790)を結合位置および退避位置の間で昇降させるために必要な駆動モータ740の消費エネルギーを抑制することができる。
次いで、図75から図77を参照して、第4実施形態における第1結合動作ユニット4500について説明する。第1実施形態では、駆動モータ522の回転運動をスライド機構部530の直線運動に変換する機構として、クランク機構(クランク歯車524、回転軸525a及び連接棒525)及び第1リンク部材541(回転機構)を利用する場合を説明したが、第4実施形態では、駆動モータ522の回転運動をスライド機構部530の直線運動に変換する機構として、ラック・ピニオン機構(ピニオンギヤ4543及びラック4544)が利用される。なお、上述した各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図75は、第4実施形態における第1結合動作ユニット4500の分解背面斜視図である。なお、図75では、嵩上げ部材550及び装飾部560の図示が省略される。
図75に示すように、第4実施形態における第1結合動作ユニット4500は、基板部材4510の正面側に配設されると共に駆動力を発生する駆動部4520と、その駆動部4520の駆動力をスライド機構部530へ伝達すると共に基板部材4510の背面側に配設されるラック・ピニオン機構(ピニオンギヤ4543及びラック4544)とを備えて構成される。
ここで、第4実施形態における第1結合動作ユニット4500は、第1実施形態における第1結合動作ユニット500に対し、駆動部4520(駆動モータ522)の回転駆動力をスライド機構部530へ伝達する構成(即ち、第1実施形態では第1リンク部材541が採用されたのに対し、4実施形態ではラック・ピニオン機構が採用される)のみが異なり、その他の構成は同一である。よって、以下においては、駆動部4520(駆動モータ522)の回転駆動力をスライド機構部530へ伝達する構成についてのみ説明し、第1実施形態と同一の構成についての説明は省略する。
基板部材4510は、正面視横長の矩形板状に形成される部材であり、一対の案内溝511の側方(図75左側)に連結孔4513が穿設される。連結孔4513は、駆動部4520における連結軸4526を基板部材4510の正面側から背面側へ挿通させると共にその連結軸4526とラック・ピニオン機構におけるピニオンギヤ4543とを基板部材4510の背面側において連結させるための正面視円形の開口である。
駆動部4520は、駆動モータ522と、その駆動モータ522の駆動軸に固着されるピニオンギヤ523と、そのピニオンギヤ523に歯合されると共にケース体521に回転可能に軸支される第2歯車4524と、その第2歯車4524の端面から突設される連結軸4526とを備える。連結軸4526は、第2歯車4524に同軸に固着される。よって、駆動モータ522の回転駆動がピニオンギヤ523を介して第2歯車4524に伝達され、第2歯車4524が回転されると、その第2歯車4525に同期して連結軸4526が回転される。
ラック・ピニオン機構は、上述したように、駆動モータ522の駆動力をスライド機構部530に伝達するための部材であり、ピニオンギヤ4543と、そのピニオンギヤ4543が歯合されるラックギヤが側面に直線状に刻設されるラック4544とからなる。ラック4544は、スライド機構部530の挿通軸531cが締結固定されることで、スライド機構部530に連結され、この連結状態では、ラック4544は、そのラックギヤの延設方向を案内溝511の延設方向に沿わせた姿勢とされる。
駆動部4520(ケース体521)が基板部材4510の正面側に組み付けられた状態では、連結軸4526は基板部材4510の連結孔4513に挿通され、その連結軸4526の先端が基板部材4510の背面側に突出される。この連結軸4526の先端には、面取りにより平坦面が形成されており、その平坦面との係合により、ラック・ピニオン機構のピニオンギヤ4543が連結軸4526に相対回転不能に結合される。なお、ピニオンギヤ4543に挿通(結合)された連結軸4526の先端には、Eリングとして形成される止め輪Eが装着され、抜け止めとされる。
次いで、図76及び図77を参照して、第1結合動作ユニット4500の動作について説明する。
図76(a)は、第1結合部材539が退避位置に配置された状態における第1結合動作ユニット4500の正面図であり、図76(b)は、第1結合部材539が退避位置に配置された状態における第1結合動作ユニット4500の背面図である。図77(a)は、第1結合部材539が結合位置に配置された状態における第1結合動作ユニット4500の正面図であり、図77(b)は、第1結合部材539が結合位置に配置された状態における第1結合動作ユニット4500の背面図である。なお、図76及び図77では、図面を簡素化して、理解を容易とするために、嵩上げ部材550及び装飾部560の図示が省略される。
図76(a)及び図76(b)に示すように、第1結合部材539が退避位置にある状態では、ラック・ピニオン機構のラック4544は、基板部材4510の案内溝511の上端側(図76(b)上側)に配置される。よって、スライド機構部530のA層ベース板531(図38及び図39参照)が基板部材4510の案内溝511の上端側に配置され、第1結合部材539が上昇された(退避位置は配置された)状態が形成される。
なお、この場合、第1実施形態の場合と同様に、付勢ばね571の付勢力が、第2リンク部材542の姿勢を、図76(b)に示す姿勢(即ち、軸支孔542aを中心として摺動孔542cを上昇させる方向に回転された姿勢)に保持する方向に作用される。よって、第1結合部材539を図76(a)に示す退避位置に安定して保持させることができる。特に、退避位置において停止状態にあるべき第1結合部材539に外力(例えば、遊技者が遊技機を叩く又は揺らすことで発生する外力)が作用され、かかる第1結合部材539に上下方向への振動が発生される場合でも、付勢ばね571の付勢力を利用して、第1結合部材539の上下方向への振動を速やかに収束させることができる。
図76(a)及び図76(b)に示す状態から、駆動部4520において、駆動モータ522が第1の方向に回転駆動されることで、第2歯車4524及び連結軸4526を介して(図75参照)、ラック・ピニオン機構のピニオンギヤ4543が正方向(図76(b)時計回り)に回転されると、そのピニオンギヤ4543の回転により、ラック4544が下降される。これにより、スライド機構部530(A層ベース板531)が基板部材4510の案内溝511に沿って下降され、上述したように、2組のダブルラック・ピニオン機構が作用されることで(図38及び図39参照)、第1結合部材539が下降される。
図77(a)及び図77(b)に示すように、ラック・ピニオン機構のラック4544が下降され、スライド機構部530のA層ベース板531(挿通軸531c)が基板部材4510の案内溝511の下端側(図77(b)下側)に配置されることで、第1結合部材539が下降された(結合位置は配置された)状態が形成される。
一方、図77(a)及び図77(b)に示す状態から、駆動部4520において、駆動モータ522が第1の方向とは逆方向となる第2の回転方向に回転駆動されることで、第2歯車4524及び連結軸4526を介して(図75参照)、ラック・ピニオン機構のピニオンギヤ4543が逆方向(図77(b)反時計回り)に回転されると、そのピニオンギヤ4543の回転により、ラック4544が上昇される。これにより、スライド機構部530のA層ベース板531が基板部材4510の案内溝511に沿って上昇され、上述したように、2組のダブルラック・ピニオン機構が作用されることで(図38及び図39参照)、第1結合部材539が上昇される。その結果、図76(a)及び図76(b)に示すように、第1結合部材539が退避位置に配置(復帰)される。
このように、本実施形態では、駆動部4520(駆動モータ522)の駆動力をスライド機構部530へ伝達する駆動力伝達経路が、ピニオンギヤ4543及びラック4544からなるラック・ピニオン機構により構成され、駆動部4520(駆動モータ522)の回転駆動力(回転運動)を直線運動に変換した上でスライド機構部530へ伝達することができる。その結果、駆動モータ522の回転駆動力をスライド機構部530へ効率的に伝達することができると共に、スライド機構部530のスライド変位(昇降)の安定化を図ることができる。
更に、本実施形態では、スライド機構部530の複数本の挿通軸531cのうちの2本以上(本実施形態では3本)の挿通軸531cを1のラック4544に連結することができ、挿通軸531cを保持するために必要な部品(カラーC)をラック4544に兼用させることが可能な数をより多くすることができる。即ち、第1実施形態では、第1リンク部材541に兼用させることのできるカラーCの数が1個のみであり、よって、その他に2個のカラーCが必要とされるのに対し(図35参照)、第4実施形態では、かかる2個のカラーCを不要とできる(3個のカラーCをラック4544に兼用させることができる)。その結果、挿通軸531cの本数は確保して、スライド機構部530の安定したスライド移動(昇降)を可能としつつ、挿通軸531cを保持するための部品(カラーC)の部品点数を低減して、コストの削減を図ることができる。
なお、このように、スライド移動(昇降)するスライド機構部530の複数本の挿通軸531cのうちの2本以上の挿通軸531cを第1実施形態における第1リンク部材541(図35参照)に接続することは、揺動(回動)により駆動部520の駆動力をスライド機構部530に伝達する構成の第1リンク部材541では、挿通軸531cとの接続部分(摺動孔541c)の移動軌跡が円弧状となるため、不可能であり、本実施形態のように、駆動部4520の駆動力をスライド機構部530に伝達する機構としてラック・ピニオン機構を採用することで、初めて可能となったものであり(即ち、ラック4544の移動軌跡を直線としたことで、駆動力の入力方向をスライド機構部530のスライド変位(昇降)の方向に対応させることができる)、これにより、上述したように、挿通軸531cの本数を確保して、スライド機構部530の安定したスライド移動(昇降)を可能としつつ、挿通軸531cを保持するための部品(カラーC)の部品点数を低減して、コストの削減を図ることができる。
次いで、図78から図79を参照して、第5実施形態における第1結合動作ユニット5500について説明する。第4実施形態では、スライド機構部530(挿通軸531c)に対し、異なる機構の構造体(ラック・ピニオン機構およびリンク機構(第2リンク部材))がそれぞれ接続される場合を説明したが、第5実施形態におけるスライド機構部530(挿通軸531c)には、同じ機構の構造体(ラック・ピニオン機構)がそれぞれ接続される。なお、上述した各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図78は、第5実施形態における第1結合動作ユニット5500の分解背面斜視図である。なお、図78では、嵩上げ部材550及び装飾部560の図示が省略される。
ここで、第5実施形態における第1結合動作ユニット5500は、第4実施形態における第1結合動作ユニット4500に対し、付勢ばね571(図34参照)の付勢力をスライド機構部530へ伝達する構成(即ち、第4実施形態では、第2リンク部材542が採用されたのに対し、第5実施形態ではラック・ピニオン機構が採用される)のみが異なり、その他の構成は同一である。よって、以下においては、付勢ばね571の付勢力をスライド機構部530へ伝達する構成についてのみ説明し、第4実施形態と同一の構成についての説明は省略する。
また、以下の説明においては、説明の便宜上、一対のラック・ピニオン機構のうちの駆動部4520の駆動力をスライド機構部530へ伝達するもの(図78左側のもの)を「駆動側のラック・ピニオン機構」と、付勢ばね571の付勢力をスライド機構部530へ伝達するもの(図78右側のもの)を「付勢側のラック・ピニオン機構」と、それぞれ称す。
図78に示すように、基板部材5510は、正面視横長の矩形板状に形成される部材であり、一対の案内溝511を挟んで挿通孔4513と反対側となる位置に連結溝5514及び支持軸5516が配設される。連結溝5514は、ピニオンギヤ5543の正面側に突設される係止爪(図示せず)を、基板部材5510の背面側から正面側へ挿通させ、その挿通された係止爪に付勢ばね571(図34参照)の端部を係止させるための開口であり、支持軸5516を中心とする円弧状に湾曲して延設される。即ち、連結溝5514は、ピニオンギヤ5543が支持軸5516を中心として回転される際に係止爪の移動を許容する大きさの開口として形成される。
支持軸5516は、ピニオンギヤ5543及び付勢ばね571(図34参照)を軸支するための軸体であり、基板部材5510の正面側および背面側にそれぞれ突設される。即ち、基板部材5510の背面側に突設された支持軸5516にはピニオンギヤ5543が、基板部材5510の正面側に突設された支持軸(図示せず)には付勢ばね571が、それぞれ軸支される。なお、支持軸5516は、一対の案内溝511の中間を通過する仮想直線を対称線として、連通孔4513と線対称となる位置に配設される。
付勢側のラック・ピニオン機構は、上述したように、付勢ばね571(図34参照)の付勢力をスライド機構部530に伝達するための部材であり、ピニオンギヤ5543と、そのピニオンギヤ5543が歯合されるラックギヤが側面に直線状に刻設されるラック5544とからなる。これら付勢側のラック・ピニオン機構(ピニオンギヤ5543及びラック5544)は、駆動側のラック・ピニオン機構(ピニオンギヤ4543及びラック4544)と実質的に同一の構成とされる。
即ち、ピニオンギヤ5543は、正面側に係止爪(図示せず)が形成される点を除き、歯数やピッチ円などの歯車の特性を決定する他の構成についてはピニオンギヤ4543と同一とされる。同様に、ラック5544は、基板部材5510との干渉を避けるために上端側が凹凸形状とされる点を除き、歯数や歯形などのラックギヤの特性を決定する他の構成についてはラック4544と同一とされる。
よって、スライド機構部530が駆動側のラック・ピニオン機構と付勢側のラック・ピニオン機構とによって左右対称に保持される(即ち、支持反力が左右対称に作用され、スライド機構部530が左右に傾くことを抑制できる)ので、かかるスライド機構部530のスライド変位(昇降)を安定して行わせることができる。また、スライド機構部530を上昇させる際には、付勢ばね571(図34参照)の付勢力を利用して、駆動部4520の駆動力を補助することができるので、駆動モータ522の大型化を抑制できる。
なお、付勢ばね571は、上述したように、ねじりコイルばねとして形成されると共に、一対の腕部が互いに近接する方向へ弾性変形された状態で配設されており(図34参照)、その弾性回復力によりピニオンギヤ5543を介してラック5544を上方へ押し上げる方向(図78上側)へ向けて付勢する。即ち、付勢ばね571の付勢力は、付勢側のラック・ピニオン機構を図79に示す姿勢に保持する方向へ作用される。
次いで、図79及び図80を参照して、第1結合動作ユニット5500の動作について説明する。
図79(a)は、第1結合部材539が退避位置に配置された状態における第1結合動作ユニット5500の正面図であり、図79(b)は、第1結合部材539が退避位置に配置された状態における第1結合動作ユニット5500の背面図である。図80(a)は、第1結合部材539が結合位置に配置された状態における第1結合動作ユニット5500の正面図であり、図80(b)は、第1結合部材539が結合位置に配置された状態における第1結合動作ユニット5500の背面図である。なお、図79及び図80では、図面を簡素化して、理解を容易とするために、嵩上げ部材550及び装飾部560の図示が省略される。
図79(a)及び図79(b)に示すように、第1結合部材539が退避位置にある状態では、駆動側のラック・ピニオン機構および付勢側のラック・ピニオン機構の両者において、それらのラック4544,5544が基板部材5510の案内溝511の上端側(図79(b)上側)に配置される。
この場合、第1実施形態の場合と同様に、付勢ばね571の付勢力が、付勢側のラック・ピニオン機構におけるラック5544を、図79(b)に示す位置に保持する方向(即ち、ピニオンギヤ5543を図79(b)時計回りに回転させる方向)に作用される。よって、第1結合部材539を図79(a)に示す退避位置に安定して保持させることができる。特に、退避位置において停止状態にあるべき第1結合部材539に外力(例えば、遊技者が遊技機を叩く又は揺らすことで発生する外力)が作用され、かかる第1結合部材539に上下方向への振動が発生される場合でも、付勢ばね571の付勢力を利用して、第1結合部材539の上下方向への振動を速やかに収束させることができる。
図79(a)及び図79(b)に示す状態から、駆動部4520において、駆動モータ522が第1の方向に回転駆動されることで、第2歯車4524及び連結軸4526を介して(図78参照)、駆動側のラック・ピニオン機構におけるピニオンギヤ4543が正方向(図79(b)時計回り)に回転されると、そのピニオンギヤ4543の回転により、ラック4544が下降される。これにより、スライド機構部530(A層ベース板531)が基板部材5510の案内溝511に沿って下降される。
一方、図80(a)及び図80(b)に示す状態(第1結合部材539が下降された(結合位置は配置された)状態)から、駆動部4520において、駆動モータ522が第1の方向とは逆方向となる第2の回転方向に回転駆動されることで、第2歯車4524及び連結軸4526を介して(図78参照)、駆動側のラック・ピニオン機構におけるピニオンギヤ4543が逆方向(図80(b)反時計回り)に回転されると、そのピニオンギヤ4543の回転により、ラック4544が上昇される。これにより、スライド機構部530(A層ベース板531)が基板部材5510の案内溝511に沿って上昇される。
本実施形態によれば、スライド機構部530がスライド変位(上昇または下降)される際には、付勢側のラック・ピニオン機構におけるラック5544を、ピニオンギヤ55443を従動回転させつつ、下降させることができる。この場合、上述したように、連結軸4526及び支持軸5526は、一対の案内溝511の中間を通過する仮想直線を対称線として、線対称となる位置に配設され、かつ、付勢側のラック・ピニオン機構(ピニオンギヤ5543及びラック5544)と駆動側のラック・ピニオン機構(ピニオンギヤ4543及びラック5544)とが実質的に同一の構成とされる。
即ち、第4実施形態の場合のように、スライド機構部530が異なる機構の構造体(ラック・ピニオン機構およびリンク機構(第2リンク部材))によって支持される構成では、左右の支持反力が不均一となり、スライド機構部530のスライド変位が不安定となる。これに対し、本実施形態では、一対のラック4544,5544が各ピニオンギヤ4543,5543から受ける支持反力を左右対称として均一化することができ、その結果、スライド機構部530を左右対称に保持することができる。よって、スライド機構部530のスライド変位を安定して行わせることができる。
更に、本実施形態では、スライド機構部530の複数本の挿通軸531cのうちの全て(本実施形態では6本)の挿通軸531cをラック4544,5544に連結することができ、挿通軸531cを保持するために必要であった部品(カラーC)の全てをラック4544,5544に兼用させることができる。即ち、第5実施形態では、カラーCを不要とできる。その結果、挿通軸531cの本数は確保して、スライド機構部530の安定したスライド移動(昇降)を可能としつつ、挿通軸531cを保持するための部品(カラーC)を省略して、コストの削減を図ることができる。
なお、このように、スライド移動(昇降)するスライド機構部530の複数本の挿通軸531cを保持するための部品(カラーC)の全てを省略することは、上記各実施形態の場合のようにリンク機構(第1リンク部材541又は第2リンク部材542)を採用する構成では、不可能であり、本実施形態のように、駆動部4520の駆動力をスライド機構部530に伝達する駆動側および付勢ばね571の付勢力をスライド機構部530に伝達する付勢側の両者に対しラック・ピニオン機構を採用することで、初めて可能となったものであり、これにより、上述したように、挿通軸531cの本数を確保して、スライド機構部530の安定したスライド移動(昇降)を可能としつつ、挿通軸531cを保持するための部品(カラーC)を不要として、コストの削減を図ることができる。
次いで、図81から図83を参照して、第6実施形態における第1結合動作ユニット6500について説明する。第5実施形態では、駆動側のラック・ピニオン機構および付勢側のラック・ピニオン機構におけるラック4544,5544が別体に形成される場合を説明したが、第6実施形態におけるラック6544は、駆動側のラック・ピニオン機構におけるラックと付勢側のラック・ピニオン機構におけるラックとを兼用する。なお、上述した各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図81は、第6実施形態における第1結合動作ユニット6500の分解背面斜視図である。なお、図81では、嵩上げ部材550及び装飾部560の図示が省略される。
ここで、第6実施形態における第1結合動作ユニット6500は、第5実施形態における第1結合動作ユニット5500に対し、ラック6544の構成(即ち、第5実施形態では、ラック4544,5544の二部品が別体に形成されたのに対し、第6実施形態では、ラック6544が一体の一部品として形成される)のみが異なり、その他の構成は同一である。よって、以下においては、ラック6544の構成についてのみ説明し、第5実施形態と同一の構成についての説明は省略する。
図81に示すように、ラック6544は、第5実施形態における駆動側のラック・ピニオン機構におけるラック4544と付勢側のラック・ピニオン機構におけるラック5544との対向間を連結して一体化した一部品として形成される。即ち、ラック6544は、ピニオンギヤ4543が歯合されるラックギヤが一側の側面に、ピニオンギヤ5543が歯合されるラックギヤが他側の側面に、それぞれ直線状に刻設された平板状体として形成される。
次いで、図82及び図83を参照して、第1結合動作ユニット6500の動作について説明する。
図82(a)は、第1結合部材539が退避位置に配置された状態における第1結合動作ユニット6500の正面図であり、図82(b)は、第1結合部材539が退避位置に配置された状態における第1結合動作ユニット6500の背面図である。図83(a)は、第1結合部材539が結合位置に配置された状態における第1結合動作ユニット6500の正面図であり、図83(b)は、第1結合部材539が結合位置に配置された状態における第1結合動作ユニット6500の背面図である。なお、図82及び図83では、図面を簡素化して、理解を容易とするために、嵩上げ部材550及び装飾部560の図示が省略される。
図82及び図83に示すように、第1結合動作ユニット6500によれば、第5実施形態の場合と同様に、駆動部4520の駆動モータ522が第1の方向に回転駆動されることで、ピニオンギヤ4543が正方向(図82(b)時計回り)に回転され、ラック6544(スライド機構部530)が基板部材5510の案内溝511に沿って下降される一方、駆動部4520の駆動モータ522が第1の方向とは逆方向となる第2の回転方向に回転駆動されることで、ピニオンギヤ4543が逆方向(図83(b)反時計回り)に回転され、ラック5544(即ち、スライド機構部530)が基板部材5510の案内溝511に沿って上昇される。
本実施形態によれば、第5実施形態の場合と同様に、ラック6544が一対のピニオンギヤ4543,5543によって左右対称に保持されるので、かかるラック6544が一対のピニオンギヤ4543,5543から受ける支持反力を左右対称として均一化することができ、その結果、かかるスライド機構部530のスライド変位(昇降)を安定して行わせることができる。
ここで、第5実施形態の場合のように、一対のラック4544,5544が独立して形成され、一方のラック4544を一方のピニオンギヤ4543により駆動し、他方のラック5544の変位によって他方のピニオンギヤ5543を従動させる構成では、一対のラック4544,5544の間に相対変位を生じやすくなるため、一方のピニオンギヤ4543の回転と他方のピニオンギヤ5543の回転とにずれが生じ、スライド機構部530のスライド変位(昇降)が不安定となる。
これに対し、本実施形態では、ラック6544が一体の一部品として形成されるので、両側にそれぞれ形成されるラックギヤの相対位置に位置ずれを発生させず、よって、一方のピニオンギヤ4543の回転と他方のピニオンギヤ5543の回転とを同期させやすくできる。その結果、スライド機構部530のスライド変位(昇降)を安定して行わせることができる。
更に、本実施形態によれば、スライド機構部530の2列の挿通軸531cに対し、かかる2列の列間をラック6544により連結するので、スライド機構部530全体としての剛性を高めることができると共に、基板部材5510の案内溝511に対する2列の挿通軸531cの姿勢を安定化させることができる。その結果、スライド機構部530のスライド変位(昇降)を安定して行わせることができる。
次いで、図84を参照して、第7実施形態における複合動作ユニット7400について説明する。第1実施形態では、スライドラック部材481の連結溝481cが直線状に延設される場合を説明したが、第7実施形態におけるスライドラック7481の連結溝7481cは、円弧状に湾曲して形成される。なお、上述した各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図84(a)から図84(c)は、第7実施形態における複合動作ユニット7400の分解斜視図であり、裏アーム体471に対する開閉第2歯車452及びスライドラック部材7481の相対的な変位状態を説明するために、動作部材491,492及び表アーム体472が取り外された状態が図示される。なお、図84(a)は、図84(b)に対して開閉第2歯車452が反時計回り(左回り)に、図84(c)は、図84(b)に対して開閉第2歯車452が時計回り(右回り)に、それぞれ回転された状態に対応する。
図84に示すように、第7実施形態における複合動作ユニット7400では、開閉第2歯車7452が、第1実施形態における開閉第2歯車452に対し、連結突部452dの配設位置を異ならせて形成される。詳細には、本体部7452aは、連結突部452dが配設される部分が、第1実施形態における本体部452aの場合よりも、径方向外方(図84(b)下方)へ張り出して形成されており、これにより、開閉第2歯車7452の軸心から連結突部452dの軸心までの距離が、第1実施形態における開閉第2歯車7452の軸心から連結突部452dの軸心までの距離よりも大きな寸法に設定される。
スライドラック部材7481は、開閉第2歯車7452の連結突部452dが径方向外方へ位置されることに伴い、その分、連結溝7481cの形成位置がガイド突部481d側(図84(b)下側)へ近接される。また、連結溝7481cが、円弧状に湾曲して延設される。詳細には、連結溝7481cは、開閉第2ギヤ7452の軸心と反対側(図84(b)下側)であってガイド凸部481dの延長線上に軸心が位置する円環形状を、所定の中心角(本実施形態では、約45度)で分断した略C形状に形成される。なお、連結溝7481cの溝幅は、開閉第2ギヤ452の連結突部452dが摺動可能な溝幅とされる。
図84(b)に示すように、第7実施形態における複合動作ユニット7400によれば、付勢ばね484の付勢力に抗して開閉第2歯車452が回転されていない状態では、開閉第2歯車7452は、その連結突部7452dがスライドラック部材7481によって下方(図84(b)下側)へ引き寄せられ、スライド変位の方向(図84(b)上下方向)における連結溝7481c及び第2軸427の間の距離が距離L3とされる。また、一対の第1ピニオン脚部材482は、それらの連結孔482dの間の間隔が間隔W1とされる。なお、距離L3は、上述したように、連結突部452dが第1実施形態の場合よりも径方向外方に位置することに伴い、第1実施形態における距離L1(図26(b)参照)よりも大きくされる(L1<L3)。
図84(b)に示す状態から、例えば、開閉第2歯車7452が裏アーム体471に対して第2軸427を中心に反時計回り(左回り)に回転されると、連結突部7452dがスライドラック部材7481の連結溝7481c内を摺動することで、かかる連結突部7452dの移動がスライドラック部材7481を付勢ばね484の付勢力に抗しつつ上方(図84(a)上側)へスライド変位させる。
即ち、図84(a)に示すように、開閉第2歯車7452が所定の回転位置まで回転されると、スライド変位の方向(図84(a)上下方向)における連結溝7481c及び第2軸427の間の距離が距離L2に短縮され(L2<L3)、その距離L3,L2の差の分だけ、スライドラック部材7481が上方へスライド変位される。
この場合、距離L3,L2の差は、上述したように、距離L3が距離L1よりも大きくされることから、第1実施形態における距離L1,L2の差(図26(a)及び図26(b)参照)よりも大きくされる((L1−L2)<(L3−L2))。よって、スライドラック部材7481の上方へのスライド変位に伴い、一対の第1ピニオン脚部材482が、互いが離間する方向へ回転され、それらの連結孔482dの間の間隔が拡大されて形成される間隔W3を、第1実施形態における間隔W2よりも大きくすることができる(W2<W3)。なお、開閉第2歯車7452が逆方向(反時計回り(左回り))に回転される図84(c)の場合も同様なので、その説明は省略する。
このように、第7実施形態によれば、スライドラック部材7481の連結溝7481cを、開閉第2歯車7452と反対側に軸心を有する円弧状(即ち、開閉第2歯車7452へ向けて凸となる円弧状)に湾曲させる構成なので、複合動作ユニット7400の大型化を招くことなく、開閉第2歯車7452の回転に伴うスライドラック部材7481のスライド変位量(L3−L2)を大きくして、その分、第1ピニオン脚部材482(及び第2ピニオン脚部材483)の最大の移動量(即ち、連通孔482dの間の間隔、W3)を大きくすることができる。その結果、動作部材491,492の最大の開放量を大きくして(図27参照)、その演出効果を高めることができる。
次いで、図85を参照して、第8実施形態における複合動作ユニット8400について説明する。第1実施形態では、動作部材491,492を支持するための一対一組の部材が二組(一対の第1ピニオン脚部材482の組と一対の第2ピニオン脚部材483の組との二組)配設される場合を説明したが、第8実施形態の動作部材491,492を支持するための部材は、一対一組とされる。なお、上述した各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図85(a)から図85(c)は、第8実施形態における複合動作ユニット8400の分解斜視図であり、裏アーム体471に対する開閉第2歯車452及びスライドラック部材7481の相対的な変位状態を説明するために、動作部材491,492及び表アーム体472が取り外された状態が図示される。なお、図85(a)は、図85(b)に対して開閉第2歯車452が反時計回り(左回り)に、図85(c)は、図85(b)に対して開閉第2歯車452が時計回り(右回り)に、それぞれ回転された状態に対応する。
ここで、第8実施形態における複合動作ユニット8400は、第1実施形態における複合動作ユニット400に対し、第1ピニオン脚部材482が省略される点と、第2ピニオン脚部材8483の形状が変更される点とが異なる一方、他の構成は同一とされる。以下においては、これら異なる構成についてのみ説明し、同一の構成についての説明は省略する。
図85に示すように、第8実施形態における第2ピニオン脚部材8483は、第1実施形態における第2ピニオン脚部材8483の本体部483aに対し、本体部8483aが連結孔483dから軸支孔483bと反対側へ向けて延長され、その延長された部分の先端(軸支孔483bと反対側となる長手方向他端)に第2連結孔8483eが貫通形成される。これら連結孔483d及び第2連結孔8483dには、動作部材491,492の嵩上げ締結部491a,492aが回動可能に挿通され、締結ねじにより締結固定される(図21及び図22参照)。これにより、第2ピニオン脚部材8483に動作部材491,492が連結される。
なお、一対の第2ピニオン脚部材8483の間には、コイルスプリングからなる付勢ばね484(図22参照)が弾性的に引張変形された状態で配設され、かかる付勢ばね484の弾性回復力を、一対の第2ピニオン脚部材8483が互いに近接する方向へ作用させるように構成される。これにより、動作部材491,492を開閉動作において閉じた状態とする際には、付勢ばね484の付勢力を利用して、動作部材491,492どうしを密着させ、隙間が形成されることを抑制できる。
ここで、動作部材491,492を開閉動作させる際には(図27参照)、その動作時の姿勢を安定させるために、動作部材491,492のそれぞれが複数個所(2か所以上)で支持されていることが好ましい。この場合、第1実施形態の場合では、動作部材491,492のそれぞれに第1ピニオン脚部材482及び第2ピニオン脚部材483を接続することで、複数個所(2か所)での支持を可能とするが、かかる構成では、動作部材491,492を支持するための部材(第1ピニオン脚部材482及び第2ピニオン脚部材483)の部品点数が嵩む。
これに対し、第8実施形態では、第2ピニオン脚部材8483に連結孔483d及び第2連結孔8483eを設けるので、動作部材491,492のそれぞれを複数個所(2か所)で支持することができ、その結果、第1ピニオン脚部材8482(及びその第1ピニオン脚部材482の軸支孔482bを軸支するための裏アーム体471の軸部471c、図21及び図22参照))を省略することができる。
これにより、複合動作ユニット8400全体としての重量を軽量化できるので、駆動モータ530(図21参照)に必要とされる最大出力を小さくして、その分、駆動モータ530の小型化を図ることができる。
特に、第1ピニオン脚部材482(及びその第1ピニオン脚部材482の軸支孔482bを回転可能に軸支するための裏アーム体471の軸部471c)は、動作部材491,492が第2軸427を中心として回転動作される際に(図27参照)、それら動作部材491,492と共に第2軸427を中心として変位される部材である。よって、これら第1ピニオン脚部材482及び軸部471cの省略による軽量化は、停止状態にある動作部材491,492の回転動作を開始する際に、慣性力の影響を小さくして、駆動モータ530の小型化に特に寄与する。
次いで、図86を参照して、第9実施形態における複合動作ユニット9400について説明する。第1実施形態では、第1及び第2ピニオン脚部材482,483の回転運動を利用して動作部材491,492を開閉させる場合を説明したが、第9実施形態における動作部材491,492の開閉は、カム脚部材9483の直線運動が利用される。なお、上述した各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図86(a)から図86(c)は、第9実施形態における複合動作ユニット9400の分解斜視図であり、裏アーム体9471に対する開閉第2歯車452及びスライドカム部材9481の相対的な変位状態を説明するために、動作部材491,492及び表アーム体472が取り外された状態が図示される。なお、図86(a)は、図86(b)に対して、開閉第2歯車452が反時計回り(左回り)に、図86(c)は、図86(b)に対して、開閉第2歯車452が時計回り(右回り)に、それぞれ回転された状態に対応する。
図86に示すように、第9実施形態における複合動作ユニット7400は、裏アーム体9471及び表アーム体472(図示せず)の対向面(正面および背面)の間に、開閉第2歯車452により駆動(スライド変位)されるスライドカム部材9481と、そのスライドカム部材9481により駆動(スライド変位)されるカム脚部材9482とが配設される。
スライドカム部材9481及びカム脚部材9482は、これら両部材によりカム機構を構成し、開閉第2歯車452の回転運動を直線運動(一対のカム脚部材9482が互いに近接または離間する方向(図86(b)左右方向)へのスライド変位)に変換することで、動作部材941,942を開閉動作させる。
スライドカム部材9481は、本体部9481aと、その本体部9481aの左右両側へ張り出して形成されるカム部9481bと、本体部9481aの長手方向一端に形成され開閉第2ギヤ452の連結突部452dが挿通される連結溝481cと、本体部9481aの正面および背面から断面略矩形に突設されると共に本体部9481aの長手方向に沿って直線状に延設されるガイド凸部9481dとを備える。
なお、ガイド凸部9481dは、第1実施形態におけるガイド凸部481dの延設長さを短縮して形成され、裏アーム体9471及び表アーム体472のガイド凹溝471d,472dに摺動可能に内挿される。よって、スライドカム部材9481は、そのスライド変位の方向が、第1実施形態の場合と同様に、ガイド凹溝471d,472dの延設方向(即ち、裏アーム体9471及び表アーム体472の長手方向、図86(b)上下方向)に規制される。
カム部9481bは、開閉第2歯車452側に面する外側面にカム面CSが形成される。カム面CSは、カム脚部材9482の本体部9482aを外方(本体部481aから離間する方向)へ押し出すための摺動面であり、本体部9481aから離間するに従って開閉第2歯車452から離間する傾斜面として形成され、一対のカム脚部材9482(本体部9482a)の対向間に配置(介設)される。
カム脚部材9482は、本体部9482aと、その本体部9482aに貫通形成される軸支孔9482bと、本体部9482aの長手方向一端および他端に貫通形成される第1連結孔9482d1及び第2連通孔9482d2とを備え、スライドカム部材9481を挟んで左右両側に一対が向い合せの姿勢で配設される。なお、軸支孔9482bは、本体部9482aの長手方向に略直交する方向(図86(b)左右方向)に沿って延設される長円(長穴)形状の孔として形成される。
軸支孔9482bには、組み立て状態において、裏アーム体9471の軸部9471cが挿通される。ここで、裏アーム体9471の軸部9471cは、図86(b)に示すように、軸方向視長円(長穴)形状の軸体であり、その長径方向を裏アーム体9471の長手方向(即ち、スライドカム部材9481の変位方向)に直交する方向(図86(b)左右方向)に沿わせた姿勢で配設される。
裏アーム体9471の軸部9471cはその短径方向の寸法(図86(b)上下方向寸法)が軸支孔9482bにおける短径方向の寸法に対して略同等の寸法(または若干小さな寸法)に設定される一方、長径方向の寸法(図86(b)左右方向寸法)が軸支孔9482bにおける長径方向の寸法よりも十分に小さな寸法に設定される。これにより、カム脚部材9482は、その軸支孔9482bの内壁面が裏アーム体9471の軸部9471cに沿って案内されることで、スライドカム部材9481へ近接または離間する方向(図86(b)左右方向)へスライド変位可能とされる。
第1連通孔9483d1及び第2連結孔9483d2には、動作部材491,492の嵩上げ締結部491a,492aが回動可能に挿通され、締結ねじにより締結固定される(図21及び図22参照)。これにより、カム脚部材9483に動作部材491,492が連結される。
なお、一対のカム脚部材9482の間には、コイルスプリングからなる付勢ばね484(図22参照)が弾性的に引張変形された状態で配設され、かかる付勢ばね484の弾性回復力を、一対のカム脚部材9482が互いに近接する方向へ作用させるように構成される。これにより、動作部材491,492を開閉動作において閉じた状態とする際には、付勢ばね484の付勢力を利用して、動作部材491,492どうしを密着させ、隙間が形成されることを抑制できる。
図86(b)に示すように、第9実施形態における複合動作ユニット9400によれば、付勢ばね484の付勢力に抗して一対のカム脚部材9482がスライド変位されていない状態では、開閉第2歯車452は、その連結突部452dがスライドカム部材9481によって下方(図86(b)下側)へ引き寄せられ、スライド変位の方向(図86(b)上下方向)における連結溝481c及び第2軸427の間の距離が距離L1とされる。また、一対のカム脚部材9482は、それらの第1連結孔9482d1の間の間隔が間隔W1とされる。
図86(b)に示す状態から、例えば、開閉第2歯車452が裏アーム体9471に対して第2軸427を中心に反時計回り(左回り)に回転されると、連結突部452dがスライドカム部材9481の連結溝481c内を摺動することで、かかる連結突部452dの移動がスライドカム部材9481を付勢ばね484の付勢力に抗しつつ上方(図86(a)上側)へスライド変位させる。
即ち、図86(a)に示すように、開閉第2歯車452が所定の回転位置まで回転されると、スライド変位の方向(図86(a)上下方向)における連結溝481c及び第2軸427の間の距離が距離L2に短縮され(L2<L1)、その距離L1,L2の差の分だけ、スライドカム部材9481が上方へスライド変位される。
かかるスライドカム部材9481の上方へのスライド変位に伴い、そのスライドカム部材9481のカム部9481b(カム面CS)が、一対のカム脚部材9482(本体部9482a)の対向間隔を拡大方向へ押し拡げ、これら一対のカム脚部材9482をそれぞれ外方(スライドカム部材9481の本体部9481aから離間する方向)へ押し出す。即ち、一対のカム脚部材9882が、互いが離間する方向へスライド変位され、それらの第1連結孔9482d1の間の間隔が間隔W2に拡大される。なお、開閉第2歯車7452が逆方向(反時計回り(左回り))に回転される図86(c)の場合も同様なので、その説明は省略する。
以上のように、第9実施形態によれば、カム脚部材9482に第1連結孔9482d1及び第2連結孔9482d2を設けるので、1本の部材(カム脚部材9482)により動作部材491,492のそれぞれを複数個所(2か所)で支持することができ、例えば、第1実施形態の場合のように、2本の部材(第1ピニオン脚部482及び第2ピニオン脚部483、図26参照)を設ける必要がない。これにより、第8実施形態の場合と同様に、複合動作ユニット9400全体としての重量を軽量化できるので、駆動モータ530(図21参照)に必要とされる最大出力を小さくして、その分、駆動モータ530の小型化を図ることができる。
特に、第9実施形態によれば、停止状態にある動作部材491,492の回転動作を開始する際に、慣性力の影響を小さくして、第8実施形態の場合と比較して、駆動モータ530の更なる小型化を図ることができる。
即ち、上述したように、スライドカム部材9481及び一対のカム脚部材9482は、動作部材491,492が第2軸427を中心として回転動作される際に(図27参照)、それら動作部材491,492と共に第2軸427を中心として変位される部材であるところ、第9実施形態によれば、カム機構を採用することで、裏アーム体9471及び表アーム体472(図示せず)に対するスライドカム部材9481及び一対のカム脚部材9482の配設位置を、裏アーム体9471及び表アーム体472の長手方向(図86(b)上下方向)において、第2軸427側に偏らせる(近接させる)ことができる。
これにより、裏アーム体9471及び表アーム体472の長手方向(図86(b)上下方向)における先端側(第2軸427と反対側)を軽量化することができ、複合動作ユニット9400における重心の位置を、第2軸425側に近づけることができるので、その分、停止状態にある動作部材491,492の回転動作を開始する際に、慣性力の影響を小さくすることができる。その結果、駆動モータ530に必要とされる最大出力を小さくでき、その更なる小型化を図ることができる。
次いで、図87から図91を参照して、第10実施形態における第1結合動作ユニット500及び第2結合動作ユニット600について説明する。
第1実施形態では、第1結合部材539の下面539eが一対の第2結合部材630の上面630aのそれぞれに当接されることで、それら第1結合部材539及び一対の第2結合部材630が結合される場合を説明したが、第10実施形態における第1結合部材10539及び一対の第2結合部材10630の結合は、それら第1及び第2結合部材10539,10630の第1及び第2係合部10539f,10630fどうしが係合されることで行われる。なお、上述した各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
ここで、上述した第1実施形態では、上下面539e,630aの角度αを各リンク部材621,622の角度θとの関係で設定する必要があるところ、第10実施形態では、第1及び第2係合部材10539,10630に設けられた第1及び第2係合部10539f,10630fどうしの係合を利用して、第1及び第2係合部材10539,10630を結合させるので、上下面10539e,10630aの角度αを任意の角度に設定できる。即ち、第1結合部材10539の正面視形状(突出形状)及び一対の第2結合部材10630の正面視形状(凹形状)を任意に設定できるので、第1実施形態の場合と比較して、突出形状における突出高さ及び凹形状における凹設深さをより大きくすることができる。
これにより、第10実施形態によれば、第1及び第2結合部材10539,10630が結合される際には(図32参照)、一対の第2結合部材10630の間に第1結合部材10539が入り込み、かかる第1結合部材10539が一対の第2結合部材10630を互いに離間する方向へ押し拡げる態様(即ち、互いの対向面630bの間に隙間が形成される態様)を遊技者に想起させやすくすることができる。その結果、遊技者の予想と異なる態様で動作させ、演出効果を高めることができる。以下、これら第1及び第2結合部材10539,10630の詳細構成について説明する。
図87(a)は、第10実施形態における第1結合部材10539の正面図であり、図87(b)は、図87(a)の矢印LXXXVIIb方向視における第1結合部材10539の下面図である。また、図88(a)は、図87(a)におけるLXXXVIIIa−LXXXVIIIa線における第1結合部材10539の断面図であり、図88(b)は、図87(a)におけるLXXXVIIIb−LXXXVIIIb線における第1結合部材10539の断面図であり、図88(c)は、図88(a)のLXXXVIIIc−LXXXVIIIc線における第1結合部材10539の断面図である。
図87及び図88に示すように、第1結合部材10539は、正面側から遊技者に視認される装飾部を形成する共に、第2結合動作ユニット10600の一対の第2結合部材10630に当接して結合状態を形成するための部材であり(図32参照)、装飾部539cの下面10539e側における正面視形状(図87(a)参照)が、中央が第1結合部材10539の下降方向(図87(a)下方向)へ向けて突出する逆V字形状に形成される。
第1結合部材10539の下面10539eは、第1結合部材10539の背面側(図87(b)下側)に位置する背面側下面10539e1と、その背面側下面10539e1との間に段差を有して接続されると共にその段差を有する接続部分から第1結合部材10539の正面側(図87(b)上側)へ向けて下降傾斜される傾斜下面10539e2とから形成される。即ち、傾斜下面10539e2は、背面側下面10539e1から上方(図88(a)上側)へ後退した後、背面側下面10539e1から離間するに従って下方(図88(a)下側)へ下降傾斜される。また、背面側下面10539e1及び傾斜下面10539e2のそれぞれは、中央へ向けて下降傾斜する2つの平坦面が組み合わされて形成される。
この場合、傾斜下面10539e2は、その傾斜先端側(下端側、図87(a)紙面手前側)の縁部が、第1結合部材10539の横幅方向(図87(a)左右方向)全域において、背面側下面10539e1と同じ高さ位置または背面側下面10539e1よりも若干下方となる高さ位置(図87(a)下方)に配置される。これにより、第1結合部材10539の正面視において、背面側下面10539e1(後述する凹部10539fの開口)を遊技者から視認不能とすることができる。なお、傾斜下面10539e2には、結合位置において、第2結合部材10630の傾斜上面10630a2が当接され(図91(a)参照)、これにより、第1結合部材10539に対する第2結合部材10630の前方(正面側)への相対変位の規制(位置決め)が可能とされる。
背面側下面10539e1には、その横幅方向(図87(b)左右方向)中央に正面視横長矩形状の凹部10539fが凹設される。この凹部10539fは、結合位置において、第2結合部材10630の上面10630aから突設される凸部10630cが係合される部位であり、長手方向両側に位置する一対の左右内壁面10539f1と、背面側(図87(b)下側)に位置する背面側内壁面10539f2とを備える。
一対の左右内壁面10539f1は、第1結合部材10539の昇降方向における下方(下降側、図88(c)下側)へ向かうほど対向間隔が広くなるように傾斜する平坦面として形成される。即ち、一対の左右内壁面10539f1は、第1結合部材10539が結合位置へ向けて下降される際の進行方向側へ向けて末広がりとなる形状に形成される。なお、左右内壁面10539f1には、結合位置において、第2結合部材10630の凸部10630cにおける左右外壁面10630c1が当接され(図91(b)参照)、これにより、第1結合部材10539に対する第2結合部材10630の左右方向(横幅方向)への相対変位の規制が可能とされる。
また、背面側内壁面10539f2は、第1結合部材10539の昇降方向における下方(下降側、図88(a)下側)へ向かうほど背面側へ近接するように傾斜する平坦面として形成される。即ち、背面側内壁面10539f2は、傾斜下面10539e2と反対方向へ向けて傾斜され、背面側内壁面10539f2と傾斜下面10539e2との対向間隔は、第1結合部材10539が結合位置へ向けて下降される際の進行方向側(図88(a)下側)へ向かうに従って漸増するように形成される。なお、背面側内壁面10539f2には、結合位置において、第2結合部材10630の凸部10630cにおける背面側外壁面10630c2に当接され(図91(a)参照)、これにより、第1結合部材10539に対する第2結合部材10630の後方(背面側)への相対変位の規制(位置決め)が可能とされる。
図89(a)は、第2結合動作ユニット10600の部分拡大正面図であり、(b)は、図89(a)の矢印LXXXIXb方向視における第2結合部材10630の上面図である。また、図90(a)は、図89(b)のXCa−XCa線における第2結合部材10630の断面図であり、図90(b)は、図90(a)のXCb−XCb線における第2結合部材10630の断面図である。
図89及び図90に示すように、第2結合部材10630は、正面側から遊技者に視認される装飾部を形成すると共に結合位置において第1結合部材10539に結合される部材であり(図32参照)、その第2結合部材10630の上面10630a側における正面視形状(図89(a)参照)が、対向面630bへ向けて下降傾斜する形状に形成される。即ち、結合位置において一対の第2結合部材10630が結合されると、それら一対の第2結合部材10630の上面10630a側における正面視形状が、中央が凹むV字形状に形成される(図32参照)。
第2結合部材10630の上面10630aは、第2結合部材10630の背面側(図89(b)上側)に位置する背面側上面10630a1と、その背面側上面10630a1との間に段差を有して接続されると共にその段差を有する接続部分から第2結合部材10630の正面側(図89(b)下側)へ向けて下降傾斜される傾斜上面10630a2とから形成される。即ち、傾斜上面10630a2は、背面側上面10630a1から上方(図90(a)上側)へ立ち上がった後、背面側上面10630a1から離間するに従って下方(図90(a)下側)へ下降傾斜される。また、背面側上面10630a1及び傾斜上面10630a2のそれぞれは、対向面630bへ向けて下降傾斜する平坦面として形成される。
なお、傾斜上面10630a2には、結合位置において、第1結合部材10539の傾斜下面10539e2が当接され(図91(a)参照)、これにより、上述したように、第1結合部材10539に対する第2結合部材10630の前方(正面側)への相対変位の規制(位置決め)が可能とされる。
背面側上面10630a1には、対向面630b側に正面視横長矩形状の凸部10630cが突設される。この凸部10630cは、結合位置において、第1結合部材10539の下面10539eに凹設される凹部10539fに係合される部位であり、対向面630bと反対側となる長手方向一側に位置する左右外壁面10630c1と、背面側(図89(b)上側)に位置する背面側外壁面10630c2とを備える。
左右外壁面10630c1は、背面側上面10630a1から対向面630b側へ向かって傾斜する平坦面として形成される。即ち、一対の第2結合部材10630が対向面630bどうしを結合させた状態では(図91(b)参照)、一対の左右外壁面10630c1は、第1結合部材10539へ向けて先窄みとなる形状に形成される。なお、上述したように、左右外壁面10630c1には、結合位置において、左右内壁面10539f1の凹部10539fにおける左右内壁面10539f1が当接され(図91(b)参照)、これにより、第1結合部材10539に対する第2結合部材10630の左右方向(幅方向)への相対変位の規制が可能とされる。
また、背面側外壁面10630c2は、凸部10630aの頂部から第2結合部材10630の背面側へ向けて下降傾斜する平坦面として形成される。即ち、背面側外壁面10630c2は、傾斜上面10630a2と反対方向へ向けて傾斜され、背面側外壁面10630c2と傾斜上面10630a2との対向間隔が、第1結合部材10539側(図90(a)上側)へ向かうに従って漸減するように形成される。なお、背面側外壁面10630c2には、結合位置において、第1結合部材10630の凹部10539fにおける背面側内壁面10539f2に当接され(図91(a)参照)、これにより、第1結合部材10539に対する第2結合部材10630の後方(背面側)への相対変位の規制(位置決め)が可能とされる。
この場合、傾斜上面10630a2は、その傾斜基端側(上端側、図90(a)右側)の縁部が、第2結合部材10630の幅方向(図89(b)左右方向)全域において、凸部10630cの頂部よりも上方となる高さ位置(図90(a)上方)に配置される。これにより、第2結合部材10630の正面視において、凸部10630cを遊技者から視認不能とすることができる。
ここで、凸部10630cは、その前後方向における厚み寸法(図90(a)左右方向寸法)が突設先端へ向かうほど小さくされる。即ち、凸部10630cの正面側(背面側外壁面10630c2と反対側、図90(a)左側)の外壁面が傾斜上面10630a2と同じ方向へ傾斜して形成される。そのため、第1結合部材10539と第2結合部材10630とを結合させる際には、第1結合部材10539の凹部10539fに第2結合部材10630の凸部10630fを挿入させやすくすることができる。
次いで、図91を参照して、第1結合部材10539及び一対の第2結合部材10630の結合動作について説明する。
図91(a)及び図91(b)は、結合位置に配置された状態における第1結合部材10539及び第2結合部材10630の断面図である。なお、図91(a)は、図88(a)及び図90(a)に対応し、図91(b)は、図88(b)及び図90(b)に対応する。
第1結合部材10539及び一対の第2結合部材10630の結合は、上述したように、退避位置(図31参照)から、一対の第2結合部材10630をリンク機構の起立により互いに近接させて左右に隣り合わせに配置すると共に、それら左右に隣り合わせに配置された一対の第2結合部材10630へ向けて、第1結合部材10539を下降させることで、図91(a)及び図91(b)に示すように、第1結合部材10539及び一対の第2結合部材10630が結合される。
この場合、本実施形態では、上述したように、第1結合部材10539の凹部10539fが一対の左右内壁面10539f1を備えると共に、かかる凹部10539fの一対の左右内壁面10539f1に当接される左右外壁面10630c1を一対の第2結合部材10630の凸部10630cがそれぞれ備え、これら一対の左右内壁面10539f1及び一対の左右外壁面10630c1が、第1結合部材10539が結合位置へ向けて下降される際の進行方向(図91(b)下方)へ向けて末広がりとなる形状に傾斜して形成されるので、凹部10539fの左右内壁面10539f1が、凸部10630cの左右外壁面10630c1に左右方向(横幅方向、図91(b)左右方向)両側から当接されることで、一対の第2結合部材10630を互いに近接する方向(対向面630bどうしを当接させる方向)へ変位させることができる。即ち、一対の第2結合部材10630を、それらの対向間(対向面630a間)に隙間が形成されることを確実に抑制しつつ、結合させることができる。
第1結合部材10539の下面10539eには、上述したように、その第1結合部材10539の正面に連なる傾斜下面10539e2が形成されると共に、一対の第2結合部材10630の上面10630aには、その第2結合部材10630の正面に連なる傾斜上面10630a2が形成され、これら傾斜下面10539e2と傾斜上面10630a2とが互い同じ方向に傾斜(本実施形態では同じ傾斜角度で傾斜)されるので、結合位置に配置された状態では、図91(a)に示すように、傾斜下面10539e2と傾斜上面10630a2とを互いに当接させることができる。
仮に、寸法公差などに起因して、傾斜下面10539e2と傾斜上面10630a2とを完全に密着状態で当接させることができない場合であっても、傾斜面どうしが対向することで、第1結合部材10539及び第2結合部材10630の対向間に隙間が存在しないように遊技者にその正面視形状を認識させることができる。即ち、傾斜下面10539e2と傾斜上面10630a2との間に隙間があったとしても、その隙間を介して背景が視認されることがなく、遊技者には傾斜上面10630a2を視認させることができる。これにより、結合位置において第1結合部材10539及び一対の第2結合部材10630を結合させることによる演出効果の向上を図ることができる。
特に、本実施形態では、第1結合部材10539の凹部10539f及び第2結合部材10630の凸部10630cは、傾斜下面10539e2及び傾斜上面10630a2の背面側において、第1結合部材10539及び第2結合部材10630を遊技者が正面視する際に視認不能となるように配設される。よって、第1結合部材10539及び一対の第2結合部材10630が結合位置において結合される際に、一対の第2結合部材10630を互いに近接する方向(対向面630bどうしを当接させる方向)へ変位させる構造部分を遊技者に視認させないようにすることができる。
これにより、第1結合部材10539を一対の第2結合部材10630に結合させる際には、かかる結合動作を遊技者の予想と異なる態様(即ち、第1結合部材10539の下面10539e側の正面視形状を突出形状に形成すると共に、一対の第2結合部材10630の上面10630a側の正面視形状を凹形状に形成することで、一対の第2結合部材10630の間に第1結合部材10539が入り込み、かかる第1結合部材10539が一対の第2結合部材10630を互いに離間する方向へ押し拡げる態様(即ち、互いの対向面630bの間に隙間が形成される態様)を遊技者が想起するところ、一対の結合部材10630が隙間なく結合される態様)で行いやすくでき、演出効果を高めることができる。
なお、第1実施形態における第1結合部材539及び第2結合部材630のように、下面539e及び上面630aの全体が面一に形成される場合には、左右内壁面10539f1(凹部1039f)及び左右外壁面10630f1(凸部10630f)を正面視において遊技者から視認不能とすることは不可能であり、本実施形態のように、傾斜下面10539e2及び傾斜上面10630a2を下面10539e及び上面10630aの正面側(前方、図88(a)及び図90(a)の左側)に設けることで初めて可能となったものである(即ち、傾斜下面10539e2及び傾斜上面10630a2によって、左右内壁面10539f1(凹部1039f)及び左右外壁面10630f1(凸部10630f)を正面視において遊技者から視認不能とすることができる)。
第1結合部材10539の凹部10539fに背面側内壁面10539f2が形成されると共に、その背面側内壁面10539f2に結合位置(図91(a)参照)において当接される背面側外壁面10630c2が第2結合部材10630の凸部10630cに形成され、これら背面側内壁面10539f2及び背面側外壁面10630c2が、傾斜下面10539e2及び傾斜上面10630a2に対してそれぞれ異なる方向へ傾斜されるので、第1結合部材10539に対する第2結合部材10630の位置決めの方向(相対変位を規制する方向)を、背面側内壁面10539f2及び背面側外壁面10630c2の当接による方向と、背面側内壁面10539f2及び背面側外壁面10630c2の当接による方向とで逆方向とすることができる。
これにより、第1結合部材10539に対して第2結合部材10630を前後方向(正面および背面を結ぶ方向、図91(a)左右方向)に位置決めできるので、これら第1結合部材10539及び第2結合部材10630(傾斜下面10539e2及び傾斜上面10630a2)の結合部分を面一として前後方向に段差が生じることを抑制できるだけでなく、第1結合部材10539及び第2結合部材10630を前後方向の位置決め位置に保持することができるので、結合位置に配置された後に、相対的に位置ずれすることやがたつきが発生することを抑制できる。
以上、上記実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能であることは容易に推察できるものである。
上記各実施形態において、一の実施形態における構成の一部または全部を、他の実施形態における構成の一部または全部の構成と組み合わせて或いは置き換えて、別の実施形態としても良い。例えば、第2実施形態で説明したように、リンク部材2770の挿通軸2772がラック762の挿通孔762cに軸方向に変位可能に挿通される構成と、第3実施形態で説明したように、リンク部材3770が第3通路P3の内壁面(中間ケース体2710の正面2711a)に当接されてそのリンク部材3770の本体部771が弾性変形される構成と(即ち、第2実施形態と第3実施形態と)を組み合わせても良い。
遊技機8と遊技機9とを組み合わせても良い。
上記各実施形態では、複合動作ユニット400,7400〜9400において、開閉第1歯車451及び回転第2歯車462の位置決め孔451e,462eが貫通孔として本体部451a,462aに貫通形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、これら開閉第1歯車451及び回転第2歯車462の位置決め孔451e,462eを有底の凹部としても良い。有底の凹部とした場合でも、上記実施形態の場合と同様の方法により、その凹部に冶具を挿入することで、その取り付け位置などの位置決めすることができる一方、貫通孔として形成する場合と比較して、開閉第1歯車451及び回転第2歯車462の剛性を確保できるので、その耐久性の向上を図ることができる。
上記各実施形態では、連結突部452dが開閉第2歯車452,7452に配設されると共に、連結突部452dが挿通される連結溝481c,7481cがスライドラック部材481,7481又はスライドカム部材9481に配設される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、それらの配設位置を入れ替えても良い。即ち、連結突部452dをスライドラック部材481,7481又はスライドカム部材9481に配設すると共に、その連結突部452dが挿通される連結溝481c、7481cを開閉第2歯車452,7452に配設する構成としても良い。この場合には、開閉第2歯車452,7452に配設される連結溝481c,7481cを、連結突部452dが配設されるスライドラック部材481,7481又はスライドカム部材9481へ向けて凸となる円弧状に湾曲して形成することが好ましい。開閉第2歯車452,7452の回転に伴う連結突部452dの移動量を大きくして、その分、スライドラック部材481,7481又はスライドカム部材9481の最大の移動量を大きくできるからである。
上記第7実施形態では、連結溝7481cを一定の曲率で円弧状に湾曲させる場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、連結溝7481cの形状を、複数種類の曲率の円弧を組み合わせて形成しても良い。これにより、例えば、連結溝7481cのうちの第1の部分と第2の部分とでそれらの曲率を異ならせておくことで、開閉第2歯車452の単位角度の回転(回転速度)に対するスライドラック部材7481のスライド量(移動速度)を、連結突部452dが第1の部分を通過する際と第2の部分を通過する際とで異ならせることができる。その結果、開閉第2歯車452(駆動モータ430)を一定の回転速度で回転させつつ、動作部材491,492の開閉動作(開閉速度)に変化を与えることができる。なお、連結溝7481cは、円弧状に湾曲する曲線部分と直線状の直線部分とを組み合わせて形成されていても良い(連結溝7481cのうちの一部が直線状に延設される直線部分であっても良い)。
上記第1から第7実施形態および第10実施形態では、複合動作ユニット400,7400において、第1ピニオン脚部材482及び第2ピニオン脚部材483の長さを異ならせることで、動作部材491,492の開閉動作を非平行な開閉として、演出効果を高める場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、第1ピニオン脚部材482及び第2ピニオン脚部材483の長さを同一として、動作部材491,492の開閉動作を平行な開閉とすることは当然可能である。或いは、第1ピニオン脚部材482のギヤ部482cと第2ピニオン脚部材483のギヤ部483cとを異なるギヤ特性とする(即ち、スライドラック部材481のスライドに伴う回転角度が、第1ピニオン脚部材482よりも第2ピニオン脚部材483で大きくなるように設定する)ことで、動作部材491,492の開閉動作を平行な開閉としても良い。なお、この場合には、スライドラック部材481,7481のラック部481bにギヤ部482c,483cのそれぞれに対応する異なる2種類のギヤを設ける。
或いは、上記第1から第8実施形態では、複合動作ユニット400,7400,8400において、連結孔482d及び第2連結孔8483eが長穴状に形成される場合を説明したが、かかる長穴の長径方向の寸法を次のように設定して、動作部材491,492の開閉動作を平行な開閉としても良い。即ち、動作部材491に着目して説明すると、各ピニオン脚部材482,483,8483が回転される際、動作部材491の一対の連結嵩上げ部491aは、一方の連結嵩上げ部491aが連結孔493dに回転可能に軸支されると共に他方の連結嵩上げ部491aが連結孔482d及び第2連結孔8483eに回転可能かつ長径方向に摺動可能に軸支される。この場合、第2開閉歯車452が回転前の状態(例えば、図26(b)参照)において動作部材491の一対の連結嵩上げ部491aを結ぶ仮想線と、第2開閉歯車452が回転した後の状態(例えば、図26(a)及び図26(c)参照)において動作部材491の一対の連結嵩上げ部491aを結ぶ仮想線とが平行となるように、連結孔482d及び第2連結孔8483eの長径方向の寸法を設定する。
上記第1から第7実施形態および第10実施形態では、複合動作ユニット400,7400において、第1ピニオン脚部材482のギヤ部482c及びラック部481bの間のギヤ比と、第2ピニオン脚部材483のギヤ部483c及びラック部481bの間のギヤ比とが同一である場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、第1ピニオン脚部材482のギヤ部482c及びラック部481bの間のギヤ比と、第2ピニオン脚部材483のギヤ部483c及びラック部481bの間のギヤ比とを異なるギヤ比としても良い。これにより、動作部材491,492の開閉動作を非平行な開閉として、演出効果を高めることができる。
上記第1から第7実施形態および第10実施形態では、複合動作ユニット400,7400において、第1ピニオン脚部材482及び第2ピニオン脚部材483の両者がラック部481bと歯合される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、第1ピニオン脚部材482又は第2ピニオン脚部材483のいずれか一方のみをラック部481bと歯合させ、他方についてはラック部481bに歯合させず裏アーム体471及び表アーム体472に回転可能に軸支するのみとしても良い。これにより、動作部材491,492の開閉動作を非平行な開閉として、演出効果を高めることができる。
上記各実施形態では、複合動作ユニット400,7400〜9400において、動作部材491,492の開閉動作および回転動作として、回転第1歯車461及び開閉第1歯車451を回転角度θ0から回転角度θ4まで連続して回転させる動作を一単位として説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、回転角度θ0〜θ4の範囲内で動作の単位を区切ることは当然可能である。
上各記実施形態では、第1結合動作ユニット500,4500〜6500において、A層ベース板531の背面に挿通軸531cが3本を一列として二列並設される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、各列の挿通軸531cの本数は、2本以下であっても良く、或いは、4本以上であっても良い。
上記第1から第3実施形態および第7から第10実施形態では、第1結合動作ユニット500において、A層ベース板531の背面に上下に並ぶ3本の挿通軸531cのうちの中央の挿通軸531cに第1リンク部材541及び第2リンク部材542を連結する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、上下に並ぶ3本の挿通軸531cのうちの上側の挿通軸531c又は下側の挿通軸531cに第1リンク部材541及び第2リンク部材542を連結しても良い。第4実施形態においても同様であり、第2リンク部材542を、上下に並ぶ3本の挿通軸531cのうちの上側の挿通軸531c又は下側の挿通軸531cに連結しても良い。
上記第1から第3実施形態および第7から第10実施形態では、第1結合動作ユニット500において、第1リンク部材541の軸支孔541a及び摺動孔541cに挿通される支持軸527及び挿通軸531cに対しては抜け止めとして止め輪Eを装着または締結ねじを締結する一方、連結孔541bに挿通される連結軸526に対しは、抜け止めとしての止め輪Eの装着または締結ねじの締結が省略される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、これら3ヶ所のうちの少なくとも1ヶ所において抜け止めとしての止め輪Eの装着または締結ねじの締結が施されていれば良い。
上記第2及び第3実施形態では、通路Pが上面視(図65参照)において直線状の通路(第1通路P1、第2通路P2及び第3通路P3)を組み合わせて形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、リンク部材2770,3770が略垂直に起立され、円環形成部材790が結合位置に配置された状態における正面側(前方)へのオフセット量が、少なくとも円圏形成部材790が退避位置に配置された状態における正面側(前方)へのオフセット量よりも大きくされていれば良く、退避位置から結合位置までの通路Pの形状については任意に設定できる。例えば、上面視において第3通路P3のみを円弧状に湾曲する通路として形成しても良い。少なくとも結合位置における正面側へのオフセット量が退避位置における正面側へのオフセット量よりも大きくされていれば、昇降ベース体2780(円環形成部材790)を結合位置に保持するために必要な駆動モータ740の消費エネルギーの抑制と、昇降ベース体2780(円環形成部材790)を結合位置および退避位置の間で昇降させるために必要な駆動モータ740の消費エネルギーの抑制との両立を図ることができる。
上記第10実施形態では、結合位置において、一対の第2結合部材1630の凸部10630cどうしが隣接して配置され、それら隣接して配置された一対の凸部10630cを受け入れる凹部10539fが一体の凹部(1の凹部)として第1結合部材10539の背面側下面10539e1に凹設される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、結合位置において、一対の結合部材1630の凸部10630cどうしが離間して配置されると共に、それら一対の凸部10630cをそれぞれ受け入れ可能な別体の凹部(2の凹部)が第1結合部材10539の背面側下面10539e1に凹設されるものであっても良い。
上記第10実施形態では、第1結合部材10539の下面10539eにおいて、背面側下面10539e1と傾斜下面10539e2とを接続する面(以下「接続面」と称す)が鉛直方向(第1結合部材10539の昇降方向、図88(a)上下方向)に平行とされる場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。この場合、かかる第1結合部材10539の接続面は、傾斜下面10539e2と反対方向(即ち、背面側内壁面10539f2と同じ方向)に傾斜されていることが好ましい。第2結合部材10630に第1結合部材10539を結合させる際に、外乱による揺れなどの影響を受けて、第1結合部材10539が第2結合部材10630に対して相対的に正面側(前方、図91(a)左側)へ位置ずれしている場合に、第1結合部材10539の接続面を、第2結合部材10630の傾斜上面10630a2の上昇側終端(図91(a)右端)に当接させることができる。これにより、第2結合部材10630に対する第1結合部材10539の下降動作に伴い、傾斜上面10630a2の上昇側終端(角部)を傾斜面に沿って摺動させることができ、両結合部材10539,10630を正規の位置へ案内(前後方向に位置決め)させることができる。
上記第10実施形態では、第1結合部材10539の背面側下面10539e1が平坦面とされ上下方向(第1結合部材10539の昇降方向)における高さ位置が全体に同じ高さ位置に配置される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、背面側下面10539e1のうちの一部の高さ位置を他の部分の高さ位置よりも下方へ配置しても良い。具体的には、第1結合部材10539の背面側下面10539e1のうちの、第2結合部材10630の凸部10630cよりも正面側(前方側、図91(a)左側)に位置する部分のみを、凸部10630cよりも背面側(後方側、図91(a)右側)に位置する部分よりも、その高さ位置を下方(図91(a)下側)に配置する。これにより、第2結合部材10630に対して第1結合部材10539を下降させる際には、背面側下面10539e1のうちの高さ位置を下方に配置した部分(凸部10630cの正面側(図91(a)左側)に位置する部分)が凸部10630cの外壁面(背面側外壁面10630c2と反対側の外壁面、図91(a)左側)に当接するタイミングを、他の部分(凸部10630cの背面側(図91(a)右側)に位置する部分)が凸部10630cの外壁面(背面側外壁面10630c2)に当接するタイミングよりも先とでき、その結果、両結合部材10539,10630の確実な結合を達成できる。
本発明を上記各実施形態とは異なるタイプのパチンコ機等に実施してもよい。例えば、一度大当たりすると、それを含めて複数回(例えば2回、3回)大当たり状態が発生するまで、大当たり期待値が高められるようなパチンコ機(通称、2回権利物、3回権利物と称される)として実施してもよい。また、大当たり図柄が表示された後に、所定の領域に球を入賞させることを必要条件として遊技者に所定の遊技価値を付与する特別遊技を発生させるパチンコ機として実施してもよい。また、Vゾーン等の特別領域を有する入賞装置を有し、その特別領域に球を入賞させることを必要条件として特別遊技状態となるパチンコ機に実施してもよい。更に、パチンコ機以外にも、アレパチ、雀球、スロットマシン、いわゆるパチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機などの各種遊技機として実施するようにしても良い。
なお、スロットマシンは、例えばコインを投入して図柄有効ラインを決定させた状態で操作レバーを操作することにより図柄が変動され、ストップボタンを操作することにより図柄が停止されて確定される周知のものである。従って、スロットマシンの基本概念としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を変動表示した後に識別情報を確定表示する表示装置を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動表示が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の変動表示が停止して確定表示され、その停止時の識別情報の組合せが特定のものであることを必要条件として、遊技者に所定の遊技価値を付与する特別遊技を発生させるスロットマシン」となり、この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
また、パチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機の具体例としては、複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄を確定表示する表示装置を備えており、球打出用のハンドルを備えていないものが挙げられる。この場合、所定の操作(ボタン操作)に基づく所定量の球の投入の後、例えば操作レバーの操作に起因して図柄の変動が開始され、例えばストップボタンの操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、図柄の変動が停止され、その停止時の確定図柄がいわゆる大当たり図柄であることを必要条件として遊技者に所定の遊技価値を付与する特別遊技が発生させられ、遊技者には、下部の受皿に多量の球が払い出されるものである。かかる遊技機をスロットマシンに代えて使用すれば、遊技ホールでは球のみを遊技価値として取り扱うことができるため、パチンコ機とスロットマシンとが混在している現在の遊技ホールにおいてみられる、遊技価値たるメダルと球との別個の取扱による設備上の負担や遊技機設置個所の制約といった問題を解消し得る。
以下に、本発明の遊技機に加えて上述した実施形態に含まれる各種発明の概念を示す。
第1位置と第2位置との間で移動可能に形成される移動部材と、その移動部材を移動させるための駆動力を発生する駆動手段と、その駆動手段が発生する駆動力を前記移動部材へ伝達する伝達手段と、を備えた遊技機において、前記伝達手段は、前記駆動手段の駆動力を前記移動部材へ伝達する伝達状態と、前記駆動手段から前記移動部材への駆動力の伝達を遮断する遮断状態とを形成可能とされ、少なくとも前記第1位置にある前記移動部材の前記第2位置への移動が開始される際には、前記遮断状態が形成された後に前記伝達状態が形成されることを特徴とする遊技機A1。
遊技機A1によれば、第1位置にある移動部材の第2位置への移動が開始される際には、伝達手段により遮断状態が形成された後に伝達状態が形成されるので、移動部材の移動を開始するために駆動手段に必要とされる駆動力を抑制でき、その結果、駆動手段の小型化を図ることができる。
即ち、第1位置にある移動部材の第2位置への移動が開始される際には、静止している物体を動かすことになるため、移動開始時に移動部材に発生する慣性力を上回る力をかかる移動部材に作用させる必要があり、駆動手段に必要とされる駆動力が大きくなる。その結果、駆動手段の大型化を招いていた(例えば、特開2011−120640号公報を参照)。一方で、移動部材の移動が開始された後は、その移動部材の運動状態を維持しようとする慣性の働きが作用することから、駆動手段に必要とされる駆動力は、移動部材の移動を開始する際に必要とされる駆動力と比較して、小さくなる。換言すれば、移動部材の移動が開始された後は、最大出力が不必要に大きな駆動手段が使用されている状態にあるといえる。
これに対し、遊技機A1では、第1位置にある移動部材の第2位置への移動が開始される際には、伝達手段により遮断状態が形成された後に伝達状態が形成されるので、駆動手段が発生可能な駆動力が小さくても、移動部材の移動を開始させることができる。即ち、伝達手段により先に遮断状態が形成されることで、無負荷状態で駆動手段に駆動力を発生させることができ、その駆動手段の駆動状態に勢い(慣性力)を持たせることができる。その後、伝達手段により伝達状態が形成される(遮断状態から伝達状態に切り替えられる)ことで、駆動手段は、駆動状態に勢いがついた状態(慣性力が大きな状態)で、移動手段へ駆動力を伝達させることができる。これにより、駆動手段を小型化しても、移動部材の移動を開始させることができる。換言すれば、移動部材の移動が開始された後に、最大出力が不必要に大きな駆動手段が使用されている状態を抑制できる。
遊技機A1において、前記伝達手段は、前記駆動手段から駆動力が伝達される歯が少なくとも一部または全周に形成される駆動手段側部材と、その駆動手段側部材に歯合可能に形成され前記駆動手段側部材から伝達される駆動力を前記移動部材へ伝達する歯が少なくとも一部または全周に形成される移動部材側部材と、を備え、駆動手段側部材または移動部材側部材の少なくとも一方は、前記歯が非形成とされ前記駆動手段側部材または移動部材側部材の他方と歯合不能とされる非形成部を備えることを特徴とする遊技機A2。
遊技機A2によれば、伝達手段は、駆動手段側部材および移動部材側部材が歯合可能に形成されるので、駆動手段の駆動力により駆動手段側部材が回転されると、その駆動手段側部材に歯合される移動部材側部材が回転され、この移動部材側部材の回転を介して、移動部材へ駆動力が伝達される(伝達状態が形成される)。この場合、駆動手段側部材または移動部材側部材の一方には、歯が非形成とされる非形成部が形成されるので、駆動手段の駆動力により駆動手段側部材が回転され、駆動手段側部材および移動部材側部材の歯合位置に非形成部が配置されると、駆動手段側部材と移動部材側部材とが歯合不能とされ、駆動手段から移動部材への駆動力の伝達が遮断される(遮断状態が形成される)。
よって、第1位置にある移動部材の第2位置への移動が開始される際には、先に非形成部を利用して遮断状態を形成することで、駆動手段側部材を空転させることができるので、駆動手段を無負荷状態で駆動させることができ、駆動手段の駆動状態に勢い(駆動手段側部材に慣性力)を持たせることができる。その後、空転する駆動手段側部材を移動部材側部材に歯合させる(即ち、伝達状態を形成する)ことで、駆動手段は、駆動状態に勢いがついた状態で、移動手段の駆動を開始することができる。これにより、駆動手段を小型化しても、移動部材の移動を開始することができる。
このように、遊技機A2によれば、遊技機A1の奏する効果に加え、伝達手段は、駆動手段側部材および移動部材側部材からなり、それら駆動手段側部材または移動部材側部材の少なくとも一方に歯が非形成とされる非形成部を設ける構成なので、駆動手段側部材と移動部材側部材との間の相対的な回転位置(非形成部の回転位置)に応じて、遮断状態と伝達状態とを切り替えることができる。即ち、かかる状態の切り替えを達成するための構成に、アクチュエータ装置を必要とせず、歯車のみから構成できるため、構造を簡素化して、製品コストの削減を図ることができる。
ここで、駆動手段側部材および移動部材側部材に形成される歯は、相手の歯との歯合を介して、動力の伝達に用いられる機械要素である。この場合、歯の歯すじの形状には限定されない。例えば、次に例示される歯車の歯を、駆動手段側部材および移動部材側部材の歯に適用することができる。歯車としては、例えば、平歯車、はすば歯車、やまば歯車、かさ歯車、まがりばかさ歯車、ねじ歯車、冠歯車、マイタ歯車、内歯車、ハイポイドギヤ、ウォームギヤなどが例示される。以下に示す各種発明の概念においても同様である。
遊技機A2において、前記駆動手段側部材および移動部材側部材のそれぞれが前記非形成部を備え、それら駆動手段側部材の非形成部および移動部材側部材の非形成部が互いに向かい合うことで、前記遮断状態が形成されることを特徴とする遊技機A3。
遊技機A3によれば、遊技機A2の奏する効果に加え、駆動手段側部材および移動部材側部材のそれぞれが非形成部を備え、それら駆動手段側部材の非形成部および移動部材側部材の非形成部が互いに向かい合うことで、遮断状態が形成されるので、駆動手段側部材および移動部材側部材の非形成部における外径を確保して、それら駆動手段側部材および移動部材側部材の剛性の向上を図ることができる。
即ち、駆動手段側部材または移動部材側部材の一方のみが非形成部を備える(即ち、駆動手段側部材または移動部材側部材の他方には周方向の全周にわたって歯が形成される)場合には、非形成部は、駆動手段側部材または移動部材側部材の他方の歯との歯合を避けることができる位置まで後退されていることが必要となる。具体的には、非形成部は、駆動手段側部材または移動部材側部材の一方の歯における谷底よりも回転軸側へ後退されていることが必要となる。その結果、非形成部における後退量が大きくなるため、駆動手段側部材または移動部材側部材の一方の非形成部における外径が小さくなり、その分、駆動手段側部材または移動部材側部材の一方の剛性の低下を招く。
これに対し、遊技機A3によれば、駆動手段側部材および移動部材側部材のそれぞれが非形成部を備えるので、これら両非形成部は、向かい合う非形成部に対して干渉しない位置まで後退していれば足りる。具体的には、駆動手段側部材および移動部材側部材の歯における谷底と山頂との間に両非形成部を位置させることができ、谷底よりも回転軸側へ後退させる必要がない。その結果、非形成部における後退量を小さくできる分、駆動手段側部材および移動部材側部材のそれぞれの非形成部における外径を確保して、それら駆動手段側部材および移動部材側部材の剛性の向上を図ることができる。
遊技機A3において、前記駆動手段側部材または移動部材側部材の一方における非形成部は、前記駆動手段側部材または移動部材側部材の一方の回転軸を中心とする円弧状に湾曲して形成され、前記駆動手段側部材または移動部材側部材の他方における非形成部は、前記駆動手段側部材または移動部材側部材の他方の歯から周方向へ離間するに従って前記駆動手段側部材または移動部材側部材の一方における非形成部へ向けて張り出す形状とされることを特徴とする遊技機A4。
遊技機A4によれば、遊技機A3の奏する効果に加え、駆動手段側部材および移動部材側部材のそれぞれが備える非形成部は、駆動手段側部材または移動部材側部材の一方における非形成部が駆動手段側部材または移動部材側部材の一方の回転軸を中心とする円弧状に湾曲して形成され、駆動手段側部材または移動部材側部材の他方における非形成部は、駆動手段側部材または移動部材側部材の他方の歯から周方向へ離間するに従って駆動手段側部材または移動部材側部材の一方に形成される非形成部へ向けて張り出す形状(即ち、駆動手段側部材または移動部材側部材の他方の回転軸からの距離が大きくなる形状)とされるので、これら両非形成部どうしの干渉を回避して、遮断状態の形成を可能としつつ、駆動手段側部材または移動部材側部材の他方の非形成部における外径を大きくして、駆動手段側部材または移動部材側部材の他方の剛性を更に高めることができる。
遊技機A3又はA4において、前記駆動手段側部材および移動部材側部材は、第1の位相位置および前記第1の位相位置とは異なる位相位置である第2の位相位置のそれぞれにおいて、前記駆動手段側部材の非形成部および移動部材側部材の非形成部が互いに向かい合うことで、前記遮断状態が形成されることを特徴とする遊技機A5。
遊技機A5によれば、遊技機A3又はA4の奏する効果に加え、駆動手段側部材および移動部材側部材は、第1の位相位置および第2の位相位置の2ヶ所において、遮断状態を形成することができるので、第1の位相位置および第2の位相位置を移動部材の第1位置および第2位置に対応させることで、第1位置にある移動部材の第2位置への移動が開始される際だけでなく、第2位置にある移動部材の第1位置への移動が開始される際にも、遮断状態が形成された後に伝達状態が形成されることで、駆動手段の駆動状態に勢い(慣性力)を持たせることができる。即ち、駆動手段が発生可能な駆動力が小さくても、移動部材が第1位置にある場合および第2位置にある場合の双方において、移動部材の移動を開始させることができる。
移動可能に形成される移動部材と、その移動部材を移動させるための駆動力を発生する駆動手段と、その駆動手段が発生する駆動力を前記移動部材へ伝達する伝達手段と、を備えた遊技機において、前記移動部材は、第1移動部材と第2移動部材とを備え、前記伝達手段は、前記駆動手段の駆動力を前記第2移動部材へ伝達する伝達状態と、前記駆動手段から前記第1移動部材への駆動力の伝達を遮断する遮断状態とを同時に形成可能とされることを特徴とする遊技機B1。
遊技機B1によれば、駆動手段の駆動力が発生されると、その駆動力が伝達手段により第1移動部材および第2移動部材へ伝達され、これら第1移動部材および第2移動部材が移動される。この場合、伝達手段は、駆動手段の駆動力を第2移動部材へ伝達する伝達状態と、駆動手段から第1移動部材への駆動力の伝達を遮断する遮断状態とを同時に形成可能とされるので、第2移動部材を移動させつつ第1移動部材を停止させる動作態様を1の駆動手段により達成できる。
即ち、第1移動部材および第2移動部材の移動を1の駆動手段により行う場合、従来品では、駆動手段が駆動力を発生する状態と駆動力の発生を停止した状態との2つの駆動状態を形成することで、第1移動部材および第2移動部材の動作態様を切り替える構造であるため、第1移動部材および第2移動部材の両者が共に移動するか或いは両者が共に停止する動作態様のみが形成可能とされ、第2移動部材を移動させつつ第1移動部材を停止させることはできなかった。そのため、第2移動部材を移動させつつ第1移動部材を停止させるためには、第1移動部材を移動させるための駆動手段と第2移動部材を移動させるための駆動手段とをそれぞれ個別に設ける必要があった(例えば、特開2011−139766号公報を参照)。
これに対し、遊技機B1によれば、上述の通り、第2移動部材を移動させつつ第1移動部材を停止させる動作態様を1の駆動手段により達成できるので、第1移動部材および第2移動部材の移動および停止による演出効果を発揮可能としつつ、駆動手段の数を低減して、製品コストの削減を図ることができる。
遊技機B1において、前記伝達手段は、前記駆動手段が発生する駆動力を前記第1移動部材へ伝達する第1伝達部材と、前記駆動手段が発生する駆動力を前記第2移動部材へ伝達する第2伝達部材とを備え、前記第1伝達部材は、前記駆動手段から駆動力が伝達される歯が少なくとも一部または全周に形成される第1駆動手段側部材と、その第1駆動手段側部材に歯合可能に形成され前記第1駆動手段側部材から伝達される駆動力を前記第1移動部材へ伝達する歯が少なくとも一部または全周に形成される第1移動部材側部材と、を備え、第1駆動手段側部材または第1移動部材側部材の少なくとも一方は、前記歯が非形成とされ前記第1駆動手段側部材または第1移動部材側部材の他方と歯合不能とされる非形成部を備えることを特徴とする遊技機B2。
遊技機B2によれば、駆動手段の駆動力が発生されると、その駆動力が、第1伝達部材により第1移動部材へ伝達されると共に第2伝達部材により第2移動部材へ伝達され、第1移動部材および第2移動部材がそれぞれ移動される。
この場合、第1伝達部材は、第1駆動手段側部材および第1移動部材側部材が歯合可能に形成されるので、駆動手段の駆動力により第1駆動手段側部材が回転されると、その第1駆動手段側部材に歯合される第1移動部材側部材が回転され、この第1移動部材側部材の回転を介して、第1移動部材へ駆動力が伝達され、第1移動部材が移動される。また、第1駆動手段側部材または第1移動部材側部材の一方は、歯が非形成とされる非形成部を備えるので、駆動手段の駆動力により第1駆動手段側部材が回転され、第1駆動手段側部材および第1移動部材側部材の歯合位置に非形成部が配置されると、第1駆動手段側部材と第1移動部材側部材とが歯合不能とされ、駆動手段から第1移動部材への駆動力の伝達が遮断される(遮断状態が形成される)。即ち、この第1伝達部材による遮断状態の形成は、第2伝達部材による第2移動部材への駆動力の伝達とは独立して行うことができる。これにより、第2移動部材を移動させつつ第1移動部材を停止させる動作態様を1の駆動手段により達成できる。
このように、遊技機B2によれば、遊技機B1の奏する効果に加え、第1伝達部材は、第1駆動手段側部材および第1移動部材側部材からなり、それら第1駆動手段側部材または第1移動部材側部材の少なくとも一方に歯を非形成として非形成部を設ける構成なので、第1駆動手段側部材と第1移動部材側部材との間の相対的な回転位置(非形成部の回転位置)に応じて、遮断状態と伝達状態とを切り替えることができる。即ち、かかる状態の切り替えを達成するための構成に、アクチュエータ装置を必要とせず、歯車のみから構成できるため、構造を簡素化して、製品コストの削減を図ることができる。
遊技機B2において、前記第2伝達部材は、前記駆動手段の駆動力を前記第1移動部材へ伝達する伝達状態が前記第1伝達部材により形成されている際に、前記駆動手段から前記第2移動部材への駆動力の伝達を遮断する遮断状態を形成可能とされることを特徴とする遊技機B3。
遊技機B3によれば、第2伝達部材は、駆動手段の駆動力を第1移動部材へ伝達する伝達状態が前記第1伝達部材により形成されている際に、駆動手段から第2移動部材への駆動力の伝達を遮断する遮断状態を形成可能とされるので、第1移動部材を移動させつつ第2移動部材を停止させる動作態様を1の駆動手段により達成できる。即ち、遊技機B2の奏する効果(即ち、第2移動部材を移動させつつ第1移動部材を停止させる動作態様を1の駆動手段により達成できるという効果)に加え、第1移動部材を移動させつつ第2移動部材を停止させる動作態様を1の駆動手段により達成できる。これにより、駆動手段の数を低減して、製品コストの削減を図りつつ、第1移動部材および第2移動部材の移動および停止の動作態様のバリエーションを増加して、その演出効果を高めることができる。
遊技機B3において、前記第2伝達部材は、溝状の溝部およびその溝部に沿って移動可能に形成されるピン部を備えると共に、それら溝部およびピン部が前記駆動手段から前記第2移動部材までの駆動力の伝達経路中に配設され、前記ピン部が前記溝部に沿って移動されることで、前記駆動手段の駆動力を前記第2移動部材へ伝達する伝達状態を形成可能とされ、前記ピン部が前記溝部に対して停止されることで、前記駆動手段から前記第2移動部材への駆動力の伝達を遮断する遮断状態を形成可能とされることを特徴とする遊技機B4。
遊技機B4によれば、遊技機B3の奏する効果に加え、ピン部が溝部に沿って移動されることで、駆動手段の駆動力を第2移動部材へ伝達する伝達状態を形成可能とされる一方、ピン部が溝部に対して停止されることで、駆動手段から第2移動部材への駆動力の伝達を遮断する遮断状態を形成可能とされるので、駆動手段の駆動力を第1移動部材へ伝達する伝達状態が第1伝達部材により形成されている(即ち、第1移動部材が移動されている)際には、駆動手段から第2移動部材への駆動力の伝達を遮断して、第2移動部材を停止させる一方、駆動手段から第1移動部材への駆動力が第1伝達部材により遮断されている(即ち、第1移動部材が停止されている)際には、駆動手段の駆動力を第2移動部材へ伝達して、第2移動部材を移動させることができる。
遊技機B4において、前記第2伝達部材は、前記駆動手段から駆動力が伝達される歯が少なくとも一部または全周に形成される第2駆動手段側部材と、その第2駆動手段側部材に歯合可能に形成され前記第2駆動手段側部材から伝達される駆動力を前記第2移動部材へ伝達する歯が少なくとも一部または全周に形成されると共に前記ピン部が配設される第2移動部材側部材と、前記溝部が配設されると共に前記第2移動部材側部材の回転に伴って前記ピン部が前記溝部に沿って移動することで前記第2移動部材側部材へ近接または離間する方向へ移動され前記第2移動部材を移動させる溝部配設部材とを備え、前記溝部配設部材の溝部が前記第2移動部材側部材側へ向けて凸となる円弧状に湾曲されることを特徴とする遊技機B5。
遊技機B5によれば、駆動手段の駆動力により第2駆動手段側部材が回転され、その第2駆動手段側部材に歯合される第2移動部材側部材が回転されると、その第2移動部材側部材のピン部材が溝部配設部材の溝部に沿って移動される。これにより、溝部配設部材が第2移動部材側部材へ近接または離間する方向へ移動され、この溝部配設部材の移動に伴い、第2移動部材が移動される。この場合、溝部配設部材の溝部が第2移動部材側部材へ向けて凸となる円弧状に湾曲されているので、第2移動部材側部材の回転に伴う溝部配設部材の移動量を大きくして、その分、第2移動部材の最大の移動量を大きくすることができる。
遊技機B4において、前記第2伝達部材は、前記駆動手段から駆動力が伝達される歯が少なくとも一部または全周に形成される第2駆動手段側部材と、その第2駆動手段側部材に歯合可能に形成され前記第2駆動手段側部材から伝達される駆動力を前記第2移動部材へ伝達する歯が少なくとも一部または全周に形成されると共に前記溝部が配設される第2移動部材側部材と、前記ピン部が配設されると共に前記第2移動部材側部材の回転に伴って前記ピン部が前記溝部に沿って移動することで前記第2移動部材側部材へ近接または離間する方向へ移動され前記第2移動部材を移動させるピン部配設部材とを備え、前記第2移動部材側部材の溝部が前記ピン部配設部材へ向けて凸となる円弧状に湾曲されることを特徴とする遊技機B6。
遊技機B6によれば、駆動手段の駆動力により第2駆動手段側部材が回転され、その第2駆動手段側部材に歯合される第2移動部材側部材が回転されると、その第2移動部材側部材の溝部に沿ってピン部配設部材のピン部が移動される。これにより、ピン部配設部材が第2移動部材側部材へ近接または離間する方向へ移動され、このピン部配設部材の移動に伴い、第2移動部材が移動される。この場合、第2移動部材側部材の溝部がピン部配設部材へ向けて凸となる円弧状に湾曲されているので、第2移動部材側部材の回転に伴うピン部配設部材の移動量を大きくして、その分、第2移動部材の最大の移動量を大きくすることができる。
遊技機B4からB6のいずれかにおいて、前記第1移動部材に移動可能に支持されると共に、前記溝部配設部材またはピン部配設部材と前記第2移動部材との間に介設され、前記溝部配設部材またはピン部配設部材の移動を前記第2移動部材へ伝達して前記第2移動部材を移動させる第2伝達部材を備え、前記第2伝達部材の複数個所が前記第2移動部材に接続されることを特徴とする遊技機B7。
遊技機B7によれば、溝部配設部材またはピン部配設部材が第2移動部材側部材へ近接または離間する方向へ移動されると、溝部配設部材またはピン部配設部材の移動が第2伝達部材を介して第2移動部材へ伝達され、かかる第2移動部材が移動される。この場合、第2移動部材を安定した姿勢で移動可能とするためには、その第2移動部材の複数個所(例えば、2か所)に第2伝達部材が接続されていることが好ましい。しかし、第2移動部材への接続箇所のそれぞれに第2伝達部材を配設する構成では、第2伝達部材を第1移動部材に移動可能に支持させるための部材の個数が嵩む(上述の例では第2伝達部材を第1移動部材に支持させるための部材が2個必要となる)。
これに対し、遊技機B7によれば、第2伝達部材の複数個所が第2移動部材に接続されるので、接続箇所の数を確保しつつ、第2伝達部材の個数を低減することができ(例えば、2か所の接続箇所を確保する場合に、遊技機B7によれば、2個の第2伝達部材を必要とせず、第2伝達部材を1個に低減できる)、その分、第2伝達部材を第1移動部材に移動可能に支持させるための部材の個数を抑制できる。これにより、遊技機B4からB6のいずれかの奏する効果に加え、第1移動部材の全体としての重量を抑制し、軽量化できるので、その分、第1移動部材を移動させるために駆動手段に必要とされる最大出力を小さくでき、駆動手段の小型化を図ることができる。特に、移動部材の軽量化は、停止状態にある第1移動部材の移動を開始する際に、慣性力の影響を小さくして、駆動手段の小型化に寄与する。
遊技機B7において、前記第1移動部材は、前記第1移動部材側部材の回転軸を中心として回転移動されるものであり、その第1移動部材に対して前記第2伝達部材が移動可能に支持される位置が、前記第1移動部材の長手方向中央よりも前記第1移動部材側部材の回転軸側とされることを特徴とする遊技機B8。
遊技機B8によれば、第1移動部材に第2伝達部材が移動可能に支持され、かかる第2伝達部材を介して第1移動部材と第2移動部材と連結されるため、第1移動部材が移動される際には第1移動部材と共に第2移動部材も移動される。即ち、第1移動部材を移動させるために必要とされる駆動手段の負荷は、第1移動部材と第2移動部材との両者を合計した重量とされる。この場合、遊技機B8によれば、第1移動部材に対して第2伝達部材が移動可能に支持される位置が、第1移動部材の長手方向中央よりも第1移動部材側部材の回転軸側とされるので、第2移動部材を第1移動部材の回転軸側に近づけることができる。これにより、遊技機B7の奏する効果に加え、第1移動部材と第2移動部材との両者を一体とした構造物における重心の位置を第1移動部材の回転軸側に近づけることができるので、停止状態にある第1移動部材の移動を開始する際に、慣性力の影響を小さくすることができる。その結果、駆動手段に必要とされる最大出力を小さくでき、駆動手段の小型化を図ることができる。
遊技機B4からB6のいずれかにおいて、前記第2伝達部材は、前記駆動手段から駆動力が伝達される歯が少なくとも一部または全周に形成される第2駆動手段側部材と、その第2駆動手段側部材に歯合可能に形成され前記第2駆動手段側部材から伝達される駆動力を前記第2移動部材へ伝達する歯が少なくとも一部または全周に形成されると共に前記溝部またはピン部の一方が配設される第2移動部材側部材と、を備え、前記第2駆動手段側部材が前記第1伝達部材の第1駆動手段側部材と同軸に配設されると共に、前記第2移動部材側部材が前記第1伝達部材の第1移動部材側部材と同軸に配設されることを特徴とする遊技機B7。
遊技機B7によれば、遊技機B4からB6のいずれかの奏する効果に加え、第2伝達部材の第2駆動手段側部材および第2移動部材側部材が第1伝達部材の第1駆動手段側部材および第1移動部材側部材とそれぞれ同軸に配設されるので、第2伝達部材の第2駆動手段側部材および第2移動部材側部材の間におけるバックラッシュと、第1伝達部材の第1駆動手段側部材および第1移動部材側部材の間におけるバックラッシュとを同じ方向で発生させることができ、これにより、第1移動部材と第2移動部材との演出タイミングにずれが生じることを抑制できる。
なお、遊技機B6において、前記第1伝達部材の第1駆動手段側部材に前記第2伝達部材の第2駆動手段側部材が固着される構成としても良い。これによれば、第1伝達部材の第1駆動手段側部材に第2伝達部材の第2駆動手段側部材が固着されるので、第1駆動手段側部材および第2駆動手段側部材の両者へ駆動手段の駆動力をそれぞれ伝達するための部材を必要とせず、第1駆動手段側部材または第2駆動手段側部材のいずれか一方へ伝達する部材があれば足りる。よって、部品点数を削減して、或いは、部品を小型化して、製品コストの削減を図ることができる。
ここで、第1駆動手段側部材に第2駆動手段側部材に固着されるとは、これら第1駆動手段側部材および第2駆動手段側部材の回転が同期すれば足りる趣旨である。よって、第1駆動手段側部材および第2駆動手段側部材は、別体に形成され、それらが固着される構成でも良く、一体に形成されていても良い。別体に形成される場合、両者の固着方法としては、例えば、接着材による接着、超音波による溶着、ねじによる締結、一方に設けた突部を他方に設けた凹部や穴に内嵌させる方法、これらを組み合わせた方法などが例示される。
移動可能に形成される移動部材と、その移動部材を移動させるための駆動力を発生する駆動手段と、その駆動手段が発生する駆動力を前記移動部材へ伝達する伝達手段と、を備えた遊技機において、前記伝達手段は、前記駆動手段から駆動力が伝達される歯が少なくとも一部または全周に形成される駆動手段側部材と、その駆動手段側部材に歯合可能に形成され前記駆動手段側部材から伝達される駆動力を前記移動部材へ伝達する歯が少なくとも一部または全周に形成される移動部材側部材と、を備え、前記駆動手段側部材および移動部材側部材は、前記歯が非形成とされ互いに歯合不能とされる非形成部をそれぞれ備え、前記駆動手段側部材および移動部材側部材の歯合位置に互いの非形成部が配置されると、前記移動部材側部材の非形成部が前記駆動手段側部材の非形成部に当接可能に形成されることを特徴とする遊技機C1。
遊技機C1によれば、駆動手段の駆動力により駆動手段側部材が回転されると、その駆動手段側部材に歯合される移動部材側部材が回転され、この移動部材側部材の回転に伴い、移動部材が移動される。駆動手段の駆動力により駆動手段側部材が更に回転され、駆動手段側部材および移動部材側部材の歯合位置に互いの非形成部が配置されると、駆動手段側部材と移動部材側部材とが歯合不能とされる。これにより、駆動手段から移動部材への駆動力の伝達が遮断され(遮断状態が形成され)、移動部材が停止される。即ち、移動部材がその移動範囲の終端に配置される。この場合、移動部材側部材の非形成部が駆動手段側部材の非形成部に当接可能に形成されるので、かかる移動部材側部材の非形成部を駆動手段側部材の非形成部に当接させる方向への移動部材側部材の回転を規制できる。即ち、移動部材の移動を規制できる。
この場合、移動部材の停止は、従来、次のように行われていた。即ち、駆動手段側部材または移動部材側部材の回転位置を検出するセンサ装置を設け、そのセンサ装置により駆動手段側部材または移動部材側部材の所定の回転位置までの回転が検出された場合に、移動部材が移動範囲の終端に到達したと判断して、駆動手段の駆動を停止する。或いは、駆動手段の駆動量(例えば、駆動手段をステップモータで構成する場合のステップ数)を検出(計数)して、その駆動量が所定量に達した場合に、移動部材が移動範囲の終端に到達したと判断して、駆動手段の駆動を停止する(例えば、特開2011−120640号公報を参照)。この場合、例えば、電気的ノイズの影響による回転位置や駆動量の検出不良などに起因して、移動部材が移動範囲の終端に達しているにも関わらず、駆動手段が停止されないことが発生し得る。そのため、従来の遊技機では、移動部材の移動範囲の終端にストッパを設け、駆動手段が適正に停止されない場合には、ストッパによって移動部材の移動を規制する構造であった。しかしながら、このように移動部材の移動をストッパにより規制する構造では、移動部材がストッパに衝突した際に、これら移動部材やストッパの破損を招く恐れがあるだけでなく、駆動手段に過大な負荷が作用して、駆動手段の破損も招く恐れもある。
これに対し、遊技機C1によれば、上述の通り、移動部材がその移動範囲の終端に達すると、駆動手段側部材と移動部材側部材とが歯合不能とされることで、駆動手段から移動部材への駆動力の伝達が遮断されるので、駆動手段の駆動力が発生され続けている場合であっても、移動部材を停止させることができる。よって、移動部材と他の部材との衝突による破損を回避できる。また、仮に、移動部材が他の部材へ衝突されたとしても、移動部材は駆動手段から切り離されており、駆動手段は空転している状態なので、かかる駆動手段に過大な負荷が作用することを回避できる。
また、パチンコ機等の遊技機において、移動可能に形成される移動部材と、その移動部材に駆動力を付与する駆動手段とを備え、駆動手段の駆動力により移動部材を所定の移動範囲で移動させる遊技機がある(例えば、特開2011−120640号公報を参照)。
この場合、例えば、移動部材の移動範囲の終端が上昇位置とされ、その移動範囲の終端に配置された移動部材に重力が作用される場合には、移動部材が重力の作用により移動(下降)しないようにする必要がある。しかしながら、上述した従来の遊技機では、駆動手段の駆動力を重力(移動部材の重量)に対抗させることで、移動部材の移動(下降)を規制する(即ち、移動部材を移動範囲の終端に保持する)構造であるため、移動部材の保持に必要な消費エネルギーが嵩んでいた。
これに対し、遊技機C1によれば、上述の通り、移動部材が移動範囲の終端に配置されると、移動部材側部材の非形成部が駆動手段側部材の非形成部に当接されることで、移動部材側部材の回転(移動部材の移動)を規制できる。即ち、遊技機C1では、移動部材が移動範囲の終端に配置されると、移動部材と駆動手段とが切り離されるため、駆動手段の駆動力を利用して移動部材を終端に保持不能となるところ、非形成部の当接を利用して、移動部材を移動範囲の終端に機械的に保持できる。その結果、移動部材の保持に必要な消費エネルギーを抑制できる。
遊技機C1において、前記駆動手段側部材の非形成部および前記移動部材側部材の非形成部は、前記駆動手段側部材および移動部材側部材の歯合位置に配置され、互いが当接された場合に、前記移動部材側部材の両方向への回転を規制可能な形状に形成されることを特徴とする遊技機C2。
遊技機C2によれば、遊技機C1の奏する効果に加え、駆動手段側部材の非形成部および移動部材側部材の非形成部は、駆動手段側部材および移動部材側部材の歯合位置に配置され、互いが当接された場合(即ち、移動手段がその移動範囲の終端に配置された場合)に、移動部材側部材の両方向への回転を規制可能な形状に形成されるので、移動部材側部材の回転を一方向のみ(例えば、移動部材が重力の作用により移動される方向のみ)で規制可能な形状に形成される場合と比較して、移動範囲の終端に到達した際の移動部材の振動を収束させ、移動範囲の終端に移動部材を速やかに位置決めできると共に、移動部材をその移動範囲の終端に安定した状態で保持できるので、停止状態にあるべき移動部材が外力(例えば、遊技者が遊技盤を叩く又は揺らすことで発生する外力)により振動や位置ずれすることを抑制できる。
遊技機C2において、前記駆動手段側部材の非形成部は、その駆動手段側部材の回転軸を中心とする円弧状に湾曲して形成され、前記移動部材側部材の非形成部は、前記駆動手段側部材および移動部材側部材の歯合位置に配置された場合に、前記駆動手段側部材の回転軸を中心とする円弧状であって前記駆動手段側部材の非形成部の円弧と同径または若干大きな径の円弧状に湾曲して形成されることを特徴とする遊技機C3。
遊技機C3によれば、遊技機C2の奏する効果に加え、駆動手段側部材の非形成部は、その駆動手段側部材の回転軸を中心とする円弧状に湾曲して形成され、移動部材側部材の非形成部は、駆動手段側部材および移動部材側部材の歯合位置に配置された場合に、駆動手段側部材の回転軸を中心とする円弧状であって駆動手段側部材の非形成部の円弧と同径または若干大きな径の円弧状に湾曲して形成されるので、駆動手段側部材の非形成部に移動部材側部材の非形成部を滑らかに当接させることができると共に、両者を面接触で当接させやすくできる。これにより、非形成部どうしを滑らかに当接させ、移動部材がその移動範囲の終端に到達して停止される際の衝撃を緩やかにできると共に、非形成部どうしの接触圧力を小さくして、駆動手段側部材および移動部材側部材の耐久性の向上を図ることができる。
また、駆動手段側部材の非形成部と移動部材側部材の非形成部とが同心の円弧状に湾曲されるので、駆動手段側部材の回転位置(位相)によらず、移動部材側部材の非形成部を駆動手段側部材の非形成部に当接可能として、移動部材側部材の両方向への回転を規制可能とできる。即ち、移動部材がその移動範囲の終端に到達した後に駆動側歯車が更に回転されたとしても、移動部材側部材の回転を両方向において規制でき、その結果、移動部材をその移動範囲の終端に保持することができる。
遊技機C1からC3のいずれかにおいて、前記移動部材側部材は、複数の被締結部を備え、前記移動部材は、前記複数の被締結部を介して前記異動部材側歯車に締結固定されることを特徴とする遊技機C4。
遊技機C4によれば、移動部材が複数の被締結部を介して移動部材側部材に締結固定されるので、これら複数箇所で連結された移動部材側部材および移動部材により一の構造体を形成できる。即ち、移動部材の剛性を利用して移動部材側部材の剛性を高めることができる。即ち、移動部材側部材は、その非形成部を駆動手段側部材の非形成部に当接させる際に駆動手段側部材から反力を受けるため、その反力に抗するための剛性を確保する必要がある一方、例えば、厚肉化すれば重量が増加し、高剛性の素材を採用すれば材料コストが嵩むところ、遊技機C4によれば、移動部材の剛性を利用して(即ち、移動部材と一体となることで)、移動部材側部材の剛性を高めるため、移動部材側部材の厚肉化や高剛性素材の採用をする必要がない。これにより、移動部材側部材の軽量化および低コスト化を図りつつ、移動部材側部材の耐久性の向上を図ることができる。
遊技機C4において、前記移動部材側部材は、前記被締結部が前記移動部材側部材の非形成部を挟んで前記駆動手段側部材と対向する位置に配設されることを特徴とする遊技機C5。
遊技機C5によれば、遊技機C4において、移動部材側部材は、被締結部が、移動部材側部材の非形成部を挟んで駆動手段側部材と対向する位置に配設されるので、移動部材側部材の非形成部を駆動手段側部材の非形成部に当接させる際に駆動手段側部材から反力を受ける部分の剛性を効果的に高めることができる。その結果、移動部材側部材の軽量化および低コスト化と移動部材側部材の耐久性の向上との両立をより一層図ることができる。
なお、移動部材歯車の被締結部は、移動部材側部材の非形成部を挟んで駆動手段側部材の回転軸と対向する位置に配設されることがより好ましい。移動部材側部材の非形成部を駆動手段側部材の非形成部に当接させる際に移動部材側部材が受ける反力は、駆動手段側部材の回転軸と移動部材側部材の非形成部とを結ぶ線に沿って作用されるため、駆動手段側部材の回転軸と対向する位置に被締結部が配設されることで、駆動手段側部材から反力を受ける部分の剛性を高める効果をより一層発揮できるからである。
第1位置および第2位置の間で第1軸を中心に回転可能に形成される移動部材と、その移動部材を回転させるための駆動力を発生する駆動手段とを備えた遊技機において、前記駆動手段から伝達される駆動力により第2軸を中心に回転される回転部材と、その回転部材に配設されると共に前記第2軸に対して偏心して位置するピン部材とを備え、前記移動部材は、前記ピン部材を内壁面に沿って案内する溝状の案内溝部を備え、前記案内溝部は、その案内溝部の内壁面に凹設されると共に前記ピン部材を受入可能に形成される凹部を備え、少なくとも前記第1位置では、前記ピン部材が前記凹部に受け入れられることで、前記移動部材が前記第1位置に機械的に保持されることを特徴とする遊技機D1。
遊技機D1によれば、駆動手段の駆動力が発生されると、その駆動手段から伝達される駆動力により回転部材が第2軸を中心に回転され、その回転部材に配設されたピン部材が移動部材の案内溝部に沿って案内される。ピン部材は回転部材の第2軸から偏心して位置するので、ピン部材が案内溝部の内壁面に沿って案内されることに伴って、移動部材が第1位置と第2位置との間で第1軸を中心に回転される。
ここで、パチンコ機等の遊技機において、第1軸と、その第1軸を中心に回転される移動部材と、その移動部材に駆動力を付与する駆動手段とを備え、駆動手段の駆動力により移動部材を第1位置と第2位置との間で第1軸を回転中心として回転させる遊技機がある(例えば、特開2011−120640号公報を参照)。この場合、例えば、第1位置が上昇位置とされる場合、第1位置に配置された移動部材が重力の作用により移動(下降)しないようにする必要がある。しかしながら、上述した従来の遊技機では、駆動手段の駆動力を重力(移動部材の重量)に対抗させることで、移動部材の移動(下降)を規制する(即ち、移動部材を第1位置に保持する)構造であるため、移動部材の保持に必要な消費エネルギーが嵩んでいた。
これに対し、遊技機D1によれば、少なくとも第1位置では、案内溝部の内壁面に凹設された凹部にピン部材が受け入れられることで、移動部材が第1位置に機械的に保持される。即ち、駆動手段の駆動力を解除としても、移動部材を第1位置に機械的に保持できるので、その分、駆動手段の消費エネルギーを抑制できる。
更に、案内溝部の内壁面に凹設した凹部にピン部材を受け入れさせて、移動部材を第1位置に機械的に保持する構造なので、案内溝部の内壁面のみにより移動部材を第1位置に機械的に保持する構造と比較して、案内溝部および回転部材の配置の自由度を高めることができる。
なお、凹部は、有底である必要はなく、貫通していても良い。即ち、案内溝部に連通すると共に互いに対向する内壁面を有していれば足りる。以下に示す各種発明の概念においても同様である。
遊技機D1において、少なくとも前記第1位置では、前記凹部の内壁面が、前記第1軸とピン部材とを結ぶ方向に対して略平行となり、かつ、前記第2軸とピン部材とを結ぶ方向に対して略直交することを特徴とする遊技機D2。
遊技機D2によれば、遊技機D1の奏する効果に加え、少なくとも第1位置では、凹部の内壁面が、第1軸とピン部材とを結ぶ方向に対して略平行となる向きに配置され、かつ、第2軸とピン部材とを結ぶ方向に対して略直交する向きに配置されるので、駆動手段の駆動力を解除した状態であっても、移動部材の第1軸を中心とする回転は、第2軸とピン部材とを結ぶ方向と平行となる方向へピン部材を凹部の内壁面が押圧することとなるため、かかる移動部材の回転に伴うピン部材の押圧によっては、回転部材の第2軸を中心とする回転を形成することができない。これにより、移動部材の第1位置における保持をより強固に行うことができる。よって、例えば、遊技者が遊技機を叩いたり揺らしたりすることで、移動部材が揺らされた場合でも、移動部材を第1位置に確実に保持することができ、重力方向下方へ向けて移動(下降)してしまうことを抑制できる。
遊技機D1又はD2において、前記凹部の内壁面は、前記移動部材が第1位置に配置された状態において前記回転部材の第2軸を中心とする円弧状に湾曲して形成されることを特徴とする遊技機D3。
遊技機D3によれば、遊技機D1又はD2の奏する効果に加え、凹部の内壁面は、移動部材が第1位置に配置された状態において回転部材の第2軸を中心とする円弧状に湾曲して形成されるので、移動部材が第1位置に配置された後、かかる移動部材の姿勢が変動することを抑制しつつ、ピン部材を凹部に受け入れさせることができる。
遊技機D1からD3のいずれかにおいて、前記凹部は、前記案内溝部の対向する内壁面であって、前記移動部材が前記第2位置から第1位置へ移動される際に前記ピン部材が摺動する側の内壁面に凹設されることを特徴とする遊技機D4。
遊技機D4によれば、遊技機D1からD3のいずれかの奏する効果に加え、凹部は、案内溝部の対向する内壁面であって、移動部材が第2位置から第1位置へ移動される際にピン部材が摺動する側の内壁面に凹設されるので、駆動手段の駆動方向(回転部材の回転方向)を切り替えることなく、移動部材を第2位置から第1位置へ移動させ、かつ、凹部にピン部材を受け入れさせて、移動部材を第1位置に保持させることができる。
遊技機D1からD4のいずれかにおいて、前記凹部は、前記案内溝部の対向する内壁面であって、前記第1軸に近い側の内壁面に凹設されることを特徴とする遊技機D5。
遊技機D5によれば、遊技機D1からD4のいずれかの奏する効果に加え、凹部は、案内溝部の対向する内壁面であって、第1軸に近い側の内壁面に凹設されるので、案内溝部と第1軸との間のデッドスペースとなる領域に凹部を配設でき、その分、小型化を図ることができる。更に、このように凹部が第1軸側に配設されることで、移動部材が第1位置に配置された状態における第1軸とピン部材との間の距離をより短くできるので、移動部材の第1軸を中心とする回転に伴い凹部の内壁面がピン部材を押圧する力を小さくできる。これにより、移動部材の第1位置における保持をより強固に行うことができる。
スライド移動可能に形成される移動部材と、その移動部材をスライド移動させるための駆動力を発生する駆動手段と、その駆動手段が発生する駆動力を前記移動部材へ伝達する伝達手段と、を備えた遊技機において、前記移動部材のスライド移動の方向に沿って延設される開口として形成されるスライド孔を有するベース部材を備え、前記移動部材は、前記ベース部材のスライド孔に挿通される複数の突出部を備え、前記伝達手段は、前記移動部材が配設される前記ベース部材の一面側と反対側となる前記ベース部材の他面側に配設され前記駆動手段の駆動力を前記移動部材へ伝達する第1部材を備え、その第1部材が、前記ベース部材のスライド孔を介して前記ベース部材の他面側に突出される前記移動部材の複数の突出部のうちの少なくとも1の突出部に接続されることを特徴とする遊技機E1。
遊技機E1によれば、駆動手段の駆動力が発生されると、その駆動手段から伝達される駆動力により伝達手段の第1部材が変位され、その第1部材の変位が移動部材の突出部に伝達される。これにより、移動部材の突出部がスライド孔に沿って移動されることで、移動部材がスライド移動される。
ここで、パチンコ等の遊技機において、スライド移動可能に形成される移動部材と、その移動部材をスライド移動させるための駆動力を発生する駆動手段と、その駆動手段が発生する駆動力を前記移動部材へ伝達する伝達手段とを備え、その駆動手段の駆動力を伝達手段により移動部材に伝達して、移動部材をスライド移動させる遊技機がある(例えば、特開2004−229885号公報を参照)。この場合、移動部材のスライド移動を安定して行わせるためには、スライド孔に挿通させる突出部の数を多くすることが好ましい。一方で、突出部の数を多くすると、その突出部を保持する(スライド孔からの抜け止めを行う)ための部品の数も増加し、コストが増加する。そのため、移動部材のスライド移動を安定化させつつ、コストを削減する方法が要請されていた。
これに対し、遊技機E1によれば、伝達手段が、駆動手段の駆動力を移動部材へ伝達する第1部材を備え、その第1部材が、移動部材が配設されるベース部材の一面側と反対側となるベース部材の他面側に配設され、ベース部材のスライド孔を介してベース部材の他面側に突出される移動部材の複数の突出部のうちの少なくとも1の突出部に接続されるので、突出部を保持するための部品のうちの少なくとも1の部品を第1部材に兼用させることができる。その結果、突出部の数は確保して、移動部材の安定したスライド移動を可能としつつ、突出部を保持するための部品の部品点数を低減して、コストの削減を図ることができる。
遊技機E1において、前記伝達手段は、前記第1部材に接続され前記駆動手段から伝達される駆動力を前記第1部材に伝達する接続部材を備え、前記ベース部材は、開口として形成される接続孔を備え、前記駆動手段と前記伝達手段の接続部材とが前記ベース部材の一面側に配設されると共に前記ベース部材の接続孔を介して前記接続部材が前記第1部材に接続されることを特徴とする遊技機E2。
遊技機E2によれば、遊技機E1の奏する効果に加え、第1部材に接続され駆動手段から伝達される駆動力を第1部材に伝達する接続部材を伝達手段が備えると共に、開口として形成される接続孔をベース部材が備え、ベース部材の接続孔を介して接続部材が第1部材に接続されるので、駆動手段と伝達手段の接続部材とを移動部材と共にベース部材の一面側に配設することができる。これにより、ベース部材の一面側に構成部材を集中させる(即ち、ベース部材の他面側への構成部材の配設を抑制する)ことができ、その結果、スペースを効率的に使用して、全体としての小型化を図ることができる。
遊技機E2において、前記伝達手段の第1部材は、前記ベース部材の他面側において前記ベース部材に回転可能に軸支されることを特徴とする遊技機E3。
遊技機E3によれば、遊技機E2の奏する効果に加え、駆動手段の駆動力を移動部材へ安定して伝達することができる。即ち、伝達手段は、ベース部材の一面側に接続部材が、ベース部材の他面側に第1部材が、それぞれ配設され、これら接続部材および第1部材がベース部材の接続孔を介して接続されるので、これら接続部材および第1部材により形成される駆動力の伝達経路が長くなる。そのため、駆動手段の駆動力を伝達する際に接続部材および第1部材が変形して、移動部材へ安定して伝達できないおそれがある。これに対し、第1部材が、ベース部材の他面側においてそのベース部材に回転可能に軸支されるので、ベース部材の剛性を利用して、接続部材および第1部材の全体としての剛性を高めることができ、その結果、駆動手段の駆動力を接続部材および第1部材を介して移動部材へ安定して伝達することができる。
特に、遊技機E3では、接続部材および第1部材のうちの第1部材をベース部材に回転可能に軸支するので、接続部材をベース部材に回転可能に軸支する場合と比較して、かかるベース部材への軸支箇所から移動部材の突出部までの距離を短くでき、その結果、駆動手段の駆動力の移動部材への伝達の安定化をより少ない軸支箇所で達成することができる。
遊技機E1において、前記第1部材は、前記ベース部材のスライド孔を介して前記ベース部材の他面側に突出される前記移動部材の複数の突出部のうちの少なくとも1の突出部に接続されると共に一側に前記移動部材のスライド移動の方向に沿って歯が刻設されたラックとして形成されるラック部材と、そのラック部材に歯合されるピニオンとして形成され前記駆動手段から伝達される駆動力を前記ラック部材に伝達するピニオン部材とを備えることを特徴とする遊技機E4。
遊技機E4によれば、遊技機E1の奏する効果に加え、第1部材がラックアンドピニオン(ラック部材およびピニオン部材)として形成され、ラック部材の歯が移動部材のスライド移動の方向に沿って刻設されるので、駆動手段の駆動力を、第1部材を介すことで、直線方向への駆動力として、移動部材へ伝達することができ、その結果、移動部材のスライド移動の安定化を図ることができる。
遊技機E4において、前記ラック部材は、前記ベース部材のスライド孔を介して前記ベース部材の他面側に突出される前記移動部材の複数の突出部のうちの少なくとも2以上の突出部に接続されることを特徴とする遊技機E5。
遊技機E5によれば、遊技機E4の奏する効果に加え、ラック部材は、ベース部材のスライド孔を介して前記ベース部材の他面側に突出される前記移動部材の複数の突出部のうちの少なくとも2以上の突出部に接続されるので、突出部を保持するための部品のうちの少なくとも2以上の部品をラック部材に兼用させることができる。その結果、突出部の数は確保して、移動部材の安定したスライド移動を可能としつつ、突出部を保持するための部品の部品点数を低減して、コストの削減を図ることができる。
なお、このように、スライド移動する移動部材の複数の突出部のうちの2以上の突出部を第1部材に接続することは、揺動(回動)により駆動手段の駆動力を移動部材に伝達する構成の第1部材では、突出部との接続部分の移動軌跡が円弧状となるため、不可能であり、遊技機E7のように、第1部材をラックアンドピニオンとして形成することで、初めて可能となったものであり(ラック部材の移動軌跡を直線として、移動部材のスライド移動に対応させることができる)、これにより、突出部の数を確保して、移動部材の安定したスライド移動を可能としつつ、突出部を保持するための部品の部品点数を低減して、コストの削減を図ることができる。
遊技機E4又はE5において、前記ベース部材は、前記移動部材のスライド移動の方向に沿って延設されるスライド孔を複数列備え、前記第1部材のラック部材は、前記スライド孔の各列のそれぞれにおいて少なくとも1の突出部に接続されることを特徴とする遊技機E6。
遊技機E6によれば、遊技機E4又はE5の奏する効果に加え、ベース部材は、移動部材のスライド移動の方向に沿って延設されるスライド孔を複数列備えるので、これら複数列のスライド孔により移動部材の複数の突出部をそれぞれ案内することができ、その分、移動部材のスライド移動を安定して行わせることができる。この場合、第1部材のラック部材は、前記スライド孔の各列のそれぞれにおいて少なくとも1の突出部に接続されるので、移動部材がスライド移動する際に、かかる移動部材の姿勢が傾くことを抑制できる。また、突出部の数を確保して、移動部材の安定したスライド移動を可能としつつ、突出部を保持するための部品の部品点数を低減して、コストの削減を図ることができる。
遊技機E1からE6のいずれかにおいて、前記ベース部材は、板状に形成されると共に前記スライド孔の延設方向を垂直方向する姿勢に配置され、そのベース部材のスライド孔に沿って前記移動部材が垂直方向にスライド移動されることを特徴とする遊技機E7。
遊技機E7によれば、遊技機E1からE6のいずれかの奏する効果に加え、ベース部材が、板状に形成されると共にスライド孔の延設方向を垂直方向する姿勢に配置され、そのベース部材のスライド孔に沿って移動部材が垂直方向にスライド移動されるので、第1部材をベース部材の他面側に配設する構成を有効として、移動部材を安定してスライド移動させることができる。即ち、ベース部材がスライド孔の延設方向を垂直方向とする姿勢に配置される場合には、移動部材は重力の作用によりベース部材の一面側から離間する方向へ向けて前傾姿勢となるところ、移動部材に接続される第1部材と移動部材との間にはベース部材が介在されるため、移動部材の前傾姿勢を、突出部を保持するための部品だけでなく、第1部材によっても規制することができ、その結果、移動部材を安定した状態でスライド移動させることができる。
遊技機E7において、前記第1部材は、前記移動部材の少なくとも中央よりも上方側に位置する突出部に接続されることを特徴とする遊技機E8。
遊技機E8によれば、遊技機E7の奏する効果に加え、第1部材は、移動部材の少なくとも中央よりも上方側に位置する突出部に接続されるので、重力の作用によりベース部材の一面側から離間する方向へ向けて前傾姿勢となる移動部材に対し、移動部材の前傾姿勢を第1部材により効果的に規制することができ、その結果、移動部材を更に安定した状態でスライド移動させることができる。
移動可能に形成される移動部材と、その移動部材を移動させるための駆動力を発生する駆動手段と、その駆動手段が発生する駆動力を前記移動部材へ伝達する伝達手段と、を備えた遊技機において、前記伝達手段は、前記駆動手段から駆動力が伝達されるピニオンと、そのピニオンに歯合される歯面が水平面に略平行に配設され前記ピニオンの回転に伴い水平方向へ変位されるラックと、そのラックに一端が接続されると共に前記移動部材に他端が接続され前記ラックの水平方向への移動に伴い起立または傾倒されるリンク部材と、を備え、前記リンク部材の起立により前記移動部材が上昇位置に配置されると共に前記リンク部材の傾倒により前記移動部材が下降位置に配置され、前記移動部材の上昇位置では、前記リンク部材の一端および他端を結ぶ方向が前記ラックの歯面および前記ラックの移動方向のそれぞれに直交する平面に近接されることを特徴とする遊技機F1。
遊技機F1によれば、駆動手段の駆動力によりピニオンが回転され、そのピニオンの回転によりラックが水平方向一側へ変位されると、そのラックの水平方向一側への変位に伴いリンク部材が傾倒され、リンク部材が傾倒されるに従って移動部材が下方位置へ向けて下方へ移動(下降)される一方、ピニオンの回転によりラックが水平方向他側へ変位されると、そのラックの水平方向他側への変位に伴いリンク部材が起立され、リンク部材が起立されるに従って移動部材が上昇位置へ向けて上方へ移動(上昇)される。
ここで、パチンコ機等の遊技機において、移動可能に形成される移動部材と、その移動部材に付与する駆動力を発生する駆動手段と、その駆動手段の駆動力を移動部材へ伝達する伝達手段とを備え、伝達手段が駆動力の伝達経路の一部にラック・ピニオンを含んで形成される遊技機がある(例えば、特開2012−065923号公報を参照)。この場合、移動部材が上昇位置に配置された場合には、移動部材が重力の作用により移動(下降)しないようにする必要がある。しかしながら、上述した従来の遊技機では、駆動手段の駆動力を重力(移動部材の重量)に対抗させることで、移動部材の移動(下降)を規制する(即ち、移動部材を上昇位置に保持する)構造であるため、移動部材の保持に必要な消費エネルギーが嵩んでいた。
これに対し、遊技機F1によれば、移動部材の上昇位置では、リンク部材の一端および他端を結ぶ方向がラックの歯面およびラックの移動方向のそれぞれに直交する平面に近接されるので、リンク部材からラックに作用する力成分として、ラックを水平方向へ移動させる方向への力成分が発生することを抑制できる。これにより、駆動手段の駆動力を解除しても、移動部材を上昇位置に保持することができ、その結果、移動部材の保持に必要な消費エネルギーを抑制できる。
なお、ラックの歯面およびラックの移動方向のそれぞれに直交する平面(以下「基準平面」と称す)に近接されるとは、基準平面とリンク部材の一端および他端を結ぶ方向との間の角度が少なくとも30度以下(好ましくは15度以下)に設定されることを意味する。よって、リンク部材の一端および他端を結ぶ方向が基準平面内に位置する態様も遊技機F1の一例に含まれる。
遊技機F1において、前記伝達手段のピニオン及びラックがそれぞれ回転可能および移動可能に配設されるベース部材を備え、前記伝達手段は、少なくとも前記ラックおよびリンク部材をそれぞれ一対備えると共に前記リンク部材が前記ラックの移動方向に沿って向かい合わせに配設され、前記ベース部材は、前記移動部材が上昇位置に配置された場合に前記一対のリンク部材の対向面間に介設されると共に前記一対のリンク部材の対向面に当接可能に形成される介設部を備えることを特徴とする遊技機F2。
遊技機F2によれば、遊技機F1の奏する効果に加え、移動部材が上昇位置に配置された場合に、一対のリンク部材の対向面間に介設されると共に一対のリンク部材の対向面に当接可能に形成される介設部をベース部材が備えるので、移動部材の姿勢を上昇位置において安定化できる。即ち、上昇位置では、一対のリンク部材が起立されるためその姿勢の維持が困難となり、移動部材の姿勢が不安定となりやすいところ、一対のリンク部材の対抗面の間に介設部が介設されることで、かかる介設部によって、一対のリンク部材の対向方向(即ち、ラックの移動方向)への変位を規制することができる。これにより、一対のリンク部材を起立状態に維持して、移動部材の姿勢を上昇位置において安定化できる。
遊技機F1又はF2において、前記伝達手段のピニオン及びラックがそれぞれ回転可能および移動可能に配設されるベース部材を備え、前記伝達手段は、少なくとも前記ラックおよびリンク部材をそれぞれ一対備えると共に前記リンク部材が前記ラックの移動方向に沿って向かい合わせに配設され、前記ベース部材は、前記ラックの移動方向に沿って延設されると共に互いに所定間隔を隔てて対向配置される一対の対向壁部を備え、それら一対の対向壁部の対向面間に前記一対のリンク部材の一端側がそれぞれ介設されることを特徴とする遊技機F3。
遊技機F3によれば、遊技機F1又はF2の奏する効果に加え、ラックの移動方向に沿って延設されると共に互いに所定間隔を隔てて対向配置される一対の対向壁部をベース部材が備えるので、移動部材を安定した姿勢で移動させることができる。即ち、リンク部材の他端には移動部材が接続され、外乱の入力に伴う重心位置の変動が発生し易く、その姿勢の維持(安定した移動)が困難であるところ、リンク部材は、一対がラックの移動方向に沿って向かい合わせに配設されるので、ラックの移動方向に対しては向かい合わせに配設された一対のリンク部材どうしで互いの変位を打ち消し合うことができ、その姿勢の維持が可能である。一方で、一対のリンク部材は、それらの一端が一対の対向壁部の対向面間にそれぞれ介設されるので、一対の対向壁部によって、一対のリンク部材のラックの移動方向に直交する方向への変位を規制することができる。これにより、一対のリンク部材の姿勢を維持して、移動部材を安定した姿勢で移動させることができる。
遊技機F3において、前記ベース部材の一対の対向壁部の少なくとも一方は、前記移動部材が上昇位置へ近づくに従って、その立設高さが高くされることを特徴とする遊技機F4。
遊技機F4によれば、移動部材が上昇位置へ近づくに従って(即ち、リンク部材が起立されるに従って)、対向壁部の立設高さが高くされる(即ち、対向壁部に対しリンク部材の一端側に対面にする面積が大きくなる)ので、外観の向上を図りつつ、移動部材の移動の安定化を図ることができる。即ち、対向壁部の立設高さを全体にわたって高くするのではなく、部分的に高くすることで、対向壁部により外観が損なわれることを抑制でき、かつ、リンク部材が起立される(即ち、移動部材を安定した姿勢で移動させることが困難になる状態になる)ほど、対向壁部によってリンク部材の姿勢を維持する効果を高めることができる。その結果、外観が損なわれることを抑制しつつ、移動部材を安定した姿勢で移動させることができる。
なお、この場合、ベース部材の一対の対向壁部の少なくとも一方であって、前記立設高さが高くされた部分は、移動部材が下降位置に配置された状態(即ち、リンク部材が倒伏された状態)において、リンク部材の他端側(移動部材に接続される側)に対面可能な立設高さに設定されることが好ましい。この構成によれば、移動部材の移動中の姿勢を安定化するために立設高さを高くした部分を利用して、下降位置に配置された移動部材の姿勢を維持する効果も同時に得ることができる。
遊技機F1からF4のいずれかにおいて、前記ラックの歯面に直交する方向へ延設される延設部材を備えると共に、前記移動部材は、前記延設部材に摺動可能に連結され前記延設部材の延設方向に沿って案内される案内部を備え、前記移動部材が前記ラックの歯面に平行な方向であって前記ラックの移動方向に直交する方向へオフセットされ、前記延設部材は、前記移動部材がオフセットされる方向において前記リンク部材と移動部材との間に配設されることを特徴とする遊技機F5。
遊技機F5によれば、遊技機F1からF4のいずれかにおいて、ラックの歯面に直交する方向に延設されると共にその延設方向に沿って移動部材の案内部を案内する延設部材を備え、その延設部材は、移動部材がオフセットされる方向において、リンク部材と移動部材の重心位置との間に配設されるので、移動部材をオフセットさせる効果(即ち、移動部材の保持に必要な消費エネルギーの抑制)を発揮させつつ、移動部材のスムーズな移動を確保することができる。
なお、リンク部材を一対設けると共にそれら一対のリンク部材の対向間に介設部を設ける場合には、かかる介設部の内部に延設部材を配設することが好ましい。一対のリンク部材が向かい合う中央部分に延設部材が配置され、移動部材の移動の案内効果を高めつつ、デッドスペースとなる介設部の内部を有効活用して、全体としての小型化を図ることができるからである。
遊技機F1からF5のいずれかにおいて、前記移動部材は、前記ラックの歯面に平行な方向であって前記ラックの移動方向に直交する方向にオフセットされていることを特徴とする遊技機F6。
遊技機F6によれば、遊技機F1からF5のいずれかの奏する効果に加え、移動部材は、ラックの歯面に平行な方向であってラックの移動方向に直交する方向にオフセットされているので、移動部材が上昇位置に配置された場合、ラックには、リンク部材を介して、移動部材の重量がその移動部材のオフセット方向へ向けても作用される。即ち、リンク部材からラックに作用される力成分として、移動部材のオフセット方向への力成分を発生させることができる。よって、その分、移動部材の重量がラックを水平方向へ移動させる方向への力成分を小さくすることができるので、移動部材を上昇位置に保持するために必要な駆動手段の消費エネルギーを抑制できる。
なお、移動部材をラックの歯面に平行な方向であってラックの移動方向に直交する方向にオフセットさせる場合には、オフセットの分、外乱の入力に伴う重心位置の変動が発生し易くなるため、遊技機F3の構成が特に有効となる。
遊技機F6において、前記移動部材は、前記ラックの水平方向への移動に伴い前記オフセットの量が変化可能とされ、前記上昇位置における前記移動部材のオフセットの量が、少なくとも前記下降位置における前記移動部材のオフセットの量よりも大きくされることを特徴とする遊技機F7。
ここで、移動部材がラックの歯面に平行な方向であってラックの移動方向に直交する方向にオフセットされていると、移動部材が上昇位置に配置された状態では、オフセット方向への力成分を利用して、ラックが移動部材の重量によって水平方向へ移動されることを抑制できる。よって、その分、移動部材を上昇位置に保持するために必要な駆動手段の消費エネルギーを抑制できる。一方で、下降位置および上昇位置の間で移動部材を移動させる際には、オフセット方向への力成分が抵抗となり、その分、移動部材を移動させるのに必要な駆動手段の消費エネルギーが増加する。
これに対し、遊技機F7によれば、遊技機F6の奏する効果に加え、ラックの水平方向への移動に伴い移動部材のオフセットの量が変化可能され、上昇位置における移動部材のオフセットの量が、少なくとも下降位置における移動部材のオフセットの量よりも大きくされるので、上昇位置においては、オフセット方向への力成分を確保して、ラックが移動部材の重量によって水平方向へ移動されることを抑制できる。一方、下降位置および上昇位置の間で移動部材を移動させる際には、オフセット方向への力成分を小さくして、抵抗を小さくできる。以上より、移動部材を上昇位置に保持するために必要な駆動手段の消費エネルギーの抑制と、移動部材を上昇位置および下降位置の間で移動させるために必要な駆動手段の消費エネルギーの抑制との両立を図ることができる。
遊技機F7において、前記ラックの移動方向に沿って延設されると共に互いに所定間隔を隔てて対向配置される一対の対向壁部を備え、前記リンク部材の一端は、前記ラックに対し前記オフセット方向に沿って変位可能な状態で前記ラックに接続されると共に、前記一対の対向壁部の対向間に介設され、前記一対の対向壁部の対向間は、前記移動部材が上昇位置に配置された際に前記リンク部材の一端が介設される部分が、少なくとも前記移動部材が下降位置に配置された際に前記リンク部材の一端が介設される部分よりも前記ラックからの前記オフセット方向への離間量が大きくされることを特徴とする遊技機F8。
遊技機F8によれば、リンク部材の一端は、ラックに対しオフセット方向に沿って変位可能な状態でラックに接続されると共に、一対の対向壁部の対向面間に介設されるので、ラックが水平方向へ移動される際には、リンク部材の一端が一対の対向壁部の対向間に沿って案内されることで、かかるリンク部材を、オフセット方向に沿って移動させつつ、起立または傾倒させることができる。その結果、リンク部材の起立または傾倒に伴い、移動部材もオフセット方向に沿って移動させ、その移動部材のオフセットの量を変化させることができる。
この場合、一対の対向壁部の対向間は、移動部材が上昇位置に配置された際(リンク部材が起立された際)にリンク部材の一端が介設される部分が、少なくとも移動部材が下降位置に配置された際(リンク部材が傾倒された際)にリンク部材の一端が介設される部分よりもラックからのオフセット方向への離間量が大きくされるので、上昇位置における移動部材のオフセットの量を、少なくとも下降位置における移動部材のオフセットの量よりも大きくできる。これにより、上昇位置においては、オフセット方向への力成分を確保して、移動部材を上昇位置に保持するために必要な駆動手段の消費エネルギーを抑制できると共に、下降位置および上昇位置の間で移動部材を移動させる際には、オフセット方向への力成分(即ち、抵抗)を小さくして、移動部材を上昇位置および下降位置の間で移動させるために必要な駆動手段の消費エネルギーを抑制できる。
特に、遊技機F8では、リンク部材の一端がラックに対しオフセット方向に沿って変位可能な状態でラックに接続されるので、リンク部材の一端が一対の対向壁部の対向間に沿って案内される際には、リンク部材自身をオフセット方向に沿って移動させることができる。よって、一対の対向壁部の対向間に沿ってリンク部材が移動する際の抵抗の発生を抑制でき、その結果、リンク部材を上昇位置および下降位置の間で移動させるために必要な駆動手段の消費エネルギーを抑制できる。
遊技機F7において、前記ラックの移動方向に沿って延設されると共に互いに所定間隔を隔てて対向配置される一対の対向壁部を備え、前記リンク部材の一端は、前記ラックに対し前記オフセット方向に沿って変位が不能な状態で前記ラックに接続されると共に、前記ラックに接続される部分よりも他端側が前記一対の対向壁部の対向間に介設され、前記一対の対向壁部の対向間は、前記移動部材が上昇位置に配置された際に前記リンク部材の一端が介設される部分が、少なくとも前記移動部材が下降位置に配置された際に前記リンク部材の一端が介設される部分よりも前記ラックからの前記オフセット方向への離間量が大きくされることを特徴とする遊技機F9。
遊技機F9によれば、リンク部材の一端は、ラックに対しオフセット方向に沿って変位が不能な状態でラックに接続されると共に、ラックに接続される部分よりも他端側が一対の対向壁部の対向面間に介設されるので、ラックが水平方向へ移動される際には、リンク部材の一端が一対の対向壁部の対向間に沿って案内されることで、かかるリンク部材を、オフセット方向に沿って弾性変形させつつ、起立または傾倒させることができる。その結果、リンク部材の起立または傾倒に伴い、移動部材をオフセット方向に沿って移動させ、その移動部材のオフセットの量を変化させることができる。
この場合、一対の対向壁部の対向間は、移動部材が上昇位置に配置された際(リンク部材が起立された際)にリンク部材の一端が介設される部分が、少なくとも移動部材が下降位置に配置された際(リンク部材が傾倒された際)にリンク部材の一端が介設される部分よりもラックからのオフセット方向への離間量が大きくされるので、上昇位置における移動部材のオフセットの量を、少なくとも下降位置における移動部材のオフセットの量よりも大きくできる。これにより、上昇位置においては、オフセット方向への力成分を確保して、移動部材を上昇位置に保持するために必要な駆動手段の消費エネルギーを抑制できると共に、下降位置および上昇位置の間で移動部材を移動させる際には、オフセット方向への力成分(即ち、抵抗)を小さくして、移動部材を上昇位置および下降位置の間で移動させるために必要な駆動手段の消費エネルギーを抑制できる。
特に、遊技機F9では、リンク部材の一端がラックに対しオフセット方向に沿って変位が不能な状態でラックに接続されると共に、ラックに接続される部分よりも他端側が一対の対向壁部の対向間に介設されるので、リンク部材が起立される際(上昇位置に配置される際)には、弾性変形されたリンク部材を一対の対向壁部の一方に押圧させた状態を形成することができる。これにより、移動部材が上昇位置に配置された状態では、移動部材がオフセットされることによるオフセット方向への力成分に加え、リンク部材を対向壁部に押圧させることによる抵抗の増加により、ラックが移動部材の重量によって水平方向へ移動されることを抑制できる。よって、その分、移動部材を上昇位置に保持するために必要な駆動手段の消費エネルギーを抑制できる。
移動可能に形成される移動部材と、その移動部材を移動させるための駆動力を発生する駆動手段と、その駆動手段が発生する駆動力を前記移動部材へ伝達する伝達手段と、を備えた遊技機において、前記伝達部材は、少なくとも一部に歯を有すると共に前記移動部材が連結される第1伝達部材と、その第1伝達部材の歯に歯合可能な歯を少なくとも一部に有する第2伝達部材と、その第2伝達部材に連結され前記駆動手段の駆動力を前記第2伝達部材へ伝達する連結部材と、を備え、前記連結部材には、前記第2伝達部材の歯に連続する歯が形成されることを特徴とする遊技機G1。
遊技機G1によれば、駆動手段の駆動力が連結部材を介して第2伝達部材に伝達されると、第2伝達部材が回転され、その第2伝達部材の回転が互いの歯の歯合を介して第1伝達部材に伝達され、第1伝達部材が回転される。その結果、第1伝達部材に連結される移動部材が第1伝達部材の回転に伴って移動される。
ここで、パチンコ機等の遊技機において、移動可能に形成される移動部材と、その移動部材を移動させるための駆動力を発生する駆動手段と、その駆動手段が発生する駆動力を移動部材へ伝達する伝達手段とを備え、移動部材が連結された第1伝達部材と、その第1伝達部材に歯合されその歯合を介して駆動手段の駆動力を第1伝達部材へ伝達する第2伝達部材とにより駆動手段の一部が形成される遊技機がある(例えば、特開2011−110376号公報を参照)。この場合、駆動手段の駆動力により第2伝達部材が回転され、その第2伝達部材に歯合される第1伝達部材が回転されることで、その第1伝達部材に連結された移動部材が第1伝達部材の回転に伴い移動される。しかしながら、上述した従来の遊技機では、移動部材が第1伝達部材に連結されているため、駆動手段の駆動力により第1伝達部材および第2伝達部材を回転させて、移動部材を移動させている際に、移動部材に揺れが発生すると、その移動部材の揺れに伴い第1伝達部材が変位され、第2伝達部材との歯合が外れるおそれがあった。第1伝達部材および第2伝達部材の歯合が外れることを回避できたとしても、移動部材の揺れに伴い第1伝達部材が変位される分、第2伝達部材の歯との歯合面積が減少して、歯面の一部に面圧が集中することで、歯の偏磨耗を招き、耐久性が低下するおそれがあった。
これに対し、遊技機G1によれば、連結部材には、第2伝達部材の歯に連続する歯が形成されるので、移動部材の揺れに伴い第1伝達部材が変位された場合でも、その第1伝達部材の歯を、連結部材に形成される歯に歯合させることができる。これにより、第1伝達部材と第2伝達部材との歯合が外れることを抑制できる。また、移動部材の揺れに伴い第1伝達部材が変位される場合に、第1伝達部材の歯と第2伝達部材および連結部材の歯との歯合面積を確保できるので、これら各歯の偏磨耗を抑制して、耐久性の向上を図ることができる。
なお、第1伝達部材の歯および第2伝達部材の歯は、それぞれ全周にわたって形成されている必要はなく、周方向の一部に形成されていれば足りる。以下においても同様である。また、他の歯車においても同様である。
遊技機G1において、前記連結部材は、前記第2伝達部材の軸方向端面からその第2伝達部材の軸方向に沿って立設されると共に前記歯が形成される歯形成部と、その歯形成部の立設先端に接続される本体部とを備え、前記歯形成部は、前記歯が形成される側と反対側の面が前記第2伝達部材の軸を中心とする円弧状に湾曲した凹曲面として形成されることを特徴とする遊技機G2。
遊技機G2によれば、遊技機G1の奏する効果に加え、連結部材の歯形成部は、第2伝達部材の軸方向端面からその第2伝達部材の軸方向に沿って立設され、第2伝達部材の歯に連続する歯が形成される側と反対側の面が第2伝達部材の軸を中心とする円弧状に湾曲した凹曲面として形成されるので、かかる連結部材の歯形成部を第2伝達部材の軸方向端面に連結する場合であっても、第2伝達部材の軸方向端面の面積を確保でき、その分、第2伝達部材の軸方向端面に装着される固定部材を大径化できる。また、第2伝達部材および連結部材が樹脂材料から一体に成形される場合には、上述のように歯が形成される面と反対側の面を凹曲面として形成されることで、歯形成部における肉厚を均一化して、その成形性の向上を図ることができる。
遊技機G2において、前記連結部材の歯形成部には、前記第2伝達部材の軸方向端面から前記本体部までの範囲にわたって前記歯が形成されることを特徴とする遊技機G3。
遊技機G3によれば、遊技機G2の奏する効果に加え、連結部材の歯形成部には、第2伝達部材の軸方向端面から本体部までの範囲にわたって歯が形成されるので、歯が形成される領域を十分に確保して、第1伝達部材と第2伝達部材との歯合が外れることをより確実に抑制できる。また、第2伝達部材および連結部材が樹脂材料から一体に成形される場合には、上述のように歯形成部の全体にわたって歯が形成されることで、かかる歯形成部における肉厚をその全体にわたって均一化して、その成形性の向上を図ることができる。
遊技機G1からG3のいずれかにおいて、前記第1伝達部材および第2伝達部材が配設されると共に移動可能に形成される第2移動部材と、その第2移動部材を直線方向に案内する案内部材と、を備え、前記伝達手段は、前記駆動手段から駆動力が伝達されるピニオンと、そのピニオンに歯合され前記ピニオンの回転に伴い変位されるラックと、を備えると共に、前記連結部材は、前記ラックに一端が接続されると共に前記第2伝達部材に他端が接続されることを特徴とする遊技機G4。
遊技機G4によれば、遊技機G1からG3のいずれかの奏する効果に加え、第1伝達部材および第2伝達部材が配設される第2移動部材を備え、その第2移動部材が案内部材により直線方向に案内され、伝達手段が、駆動手段から駆動力が伝達されるピニオンと、そのピニオンに歯合されると共にピニオンの回転に伴い変位されるラックとを備え、連結部材は、ラックに一端が接続されると共に第2伝達部材に他端が接続されるので、駆動手段の駆動力によりラック・ピニオンを動作させることで、連結部材を変位させ、かかる連結部材の変位に伴い、第2伝達部材の回転と第2移動部材の直線移動とを同時に行うことができる。即ち、第2伝達部材に歯合される第1伝達部材には移動部材が連結されているので、移動部材を回転させつつ、その移動部材を第2移動部材と共に直線移動させることができ、その結果、演出効果を高めることができる。また、駆動手段の駆動力の移動部材への伝達と第2移動部材への伝達とを1の部材(連結部材)に兼用させることができるので、部品点数を低減して、製品コストの削減を図ることができる。
遊技機G4において、前記ラックは、前記ピニオンに歯合される歯面が水平面に略平行に配設され前記ピニオンの回転に伴い水平方向へ変位され、前記第2移動部材は、前記ラックの水平方向への変位に伴い上下方向に前記案内部材によって案内され、前記連結部材は、前記第2移動部材が上昇位置に配置された際に、前記歯形成部に形成される歯が前記第1伝達部材の歯に対応する位置に配設されることを特徴とする遊技機G5。
遊技機G5によれば、ラックは、ピニオンに歯合される歯面が水平面に略平行に配設されピニオンの回転に伴い水平方向へ変位され、第2移動部材は、ラックの水平方向への変位に伴い上下方向に案内部材によって案内されるので、駆動手段の駆動力によりピニオンが回転され、そのピニオンの回転によりラックが水平方向一側へ変位されると、そのラックの水平方向一側への変位に伴い連結部材が傾倒され、連結部材が傾倒されるに従って第2移動部材が下方位置へ向けて下方へ移動(下降)される一方、ピニオンの回転によりラックが水平方向他側へ変位されると、そのラックの水平方向他側への変位に伴い連結部材が起立され、連結部材が起立されるに従って第2移動部材が上昇位置へ向けて上方へ移動(上昇)される。
この場合、第2移動部材が上昇位置に配置された状態では、連結部材が起立されるためその姿勢の維持が困難となり、第2移動部材の姿勢が不安定となる。これに伴い、第2移動部材に配設される移動部材の姿勢が更に不安定となる。そのため、第2移動部材の揺れが移動部材の揺れを更に顕著とさせ、かかる移動部材の揺れに伴う第1伝達部材の変位が大きくなる。即ち、第2移動部材が上昇位置に配置された状態では、第1伝達部材と第2伝達部材との歯合が外れやすい。
これに対し、遊技機G5によれば、遊技機G4の奏する効果に加え、連結部材は、第2移動部材が上昇位置に配置された際に、歯形成部に形成される歯が第1伝達部材の歯に対応する位置に配設されるので、移動部材の揺れに伴う第1伝達部材の変位が大きくなり、第1伝達部材と第2伝達部材との歯合が最も外れやすくなる状態において、歯形成部に形成される歯を有効に活用できる。これにより、第1伝達部材と第2伝達部材との歯合が外れることを効果的に抑制できる。
なお、遊技機G4又はG5において、前記伝達手段が、前記ラック、そのラックに一端が接続される連結部材、その連結部材の他端が接続される第2伝達部材、その第2伝達部材に歯合される第1伝達部材、及び、その第1伝達部材に連結される移動部材からなる組を一対備えると共に、一方の組の第1伝達部材および第2伝達部材が他方の組の第1伝達部材および第2伝達部材にそれぞれ歯合された状態で、一方の組と他方の組とが前記ラックの移動方向に沿って向かい合わせに配設されるように構成しても良い。これによれば、一方の組における移動部材と他方の組における移動部材との同期精度の向上を図ることができる。また、第1伝達部材どうしのみ又は第2伝達部材どうしのみが歯合される形態であっても移動部材の同期精度の向上を図ることができるところ、第1伝達部材と第2伝達部材とがそれぞれ歯合されることで、歯合箇所(歯合面積)を多くして、その分、歯面の面圧を分散させることができるので、耐久性の向上を図ることができる。
移動可能に形成される複数の移動部材と、それら複数の移動部材をそれぞれ移動させるための駆動力を発生する駆動手段と、その駆動手段の駆動力を前記複数の移動部材へそれぞれ伝達する伝達手段と、を備え、前記複数の移動部材がそれぞれ異なる退避位置に退避されると共に、それぞれ異なる前記退避位置から移動されて基準位置に配置されることで前記複数の移動部材が結合される遊技機において、前記複数の移動部材は、互いに近接する方向へ移動され前記基準位置において隣り合わせに配置される第1移動部材および第2移動部材と、それら第1移動部材および第2移動部材の隣り合う方向と略直交する方向から前記第1移動部材および第2移動部材のそれぞれに当接される第3移動部材と、を備え、前記第3移動部材が前記基準位置において前記第1移動部材および第2移動部材のそれぞれに当接されることで、前記第1移動部材および第2移動部材を互いに近接させる方向への力が形成され、前記第1移動部材、第2移動部材および第3移動部材が結合されることを特徴とすることを特徴とする遊技機H1。
遊技機H1によれば、駆動手段の駆動力が伝達手段によって第1移動部材、第2移動部材および第3移動部材に伝達されることで、それら第1移動部材、第2移動部材および第3移動部材がそれぞれ異なる退避位置に退避されると共に、それぞれ異なる退避位置から移動されて基準位置に配置される。
ここで、パチンコ機等の遊技機において、移動可能に形成される複数の移動部材と、それら複数の移動部材をそれぞれ移動させるための駆動力を発生する駆動手段と、その駆動手段の駆動力を前記複数の移動部材へそれぞれ伝達する伝達手段とを備え、複数の移動部材がそれぞれ異なる退避位置に退避されると共に、それぞれ異なる退避位置から移動されて基準位置に配置されることで複数の移動部材が結合される遊技機がある(例えば、特開2012−115300号公報を参照)。この場合、基準位置における複数の移動部材の結合が適切に行われていないと、これら複数の移動部材を結合させることによる演出効果が損なわれる。しかしながら、上述した従来の遊技機のように、対称形状の一対の移動部材どうしを向かい合わせで結合させることは比較的容易であるが、3以上の移動部材を結合させることが困難であった。
これに対し、遊技機H1によれば、基準位置において、第1移動部材および第2移動部材が隣り合わせに配置されると共に、それら第1移動部材および第2移動部材の隣り合う方向と略直交する方向から第1移動部材および第2移動部材へ向けて移動された第3移動部材が第1移動部材および第2移動部材のそれぞれに当接されると、第1移動部材および第2移動部材を互いに近接させる方向への力が形成されるので、第1移動部材、第2移動部材および第3移動部材を適切に結合させることができる。その結果、複数の移動部材を結合させることによる演出効果を確保することができる。
遊技機H1において、前記第1移動部材および第2移動部材が第1当接部分および第2当接部分をそれぞれ備えると共に、それら第1当接部分および第2当接部分のそれぞれに当接される第3当接部分を前記第3移動部材が備え、前記第3移動部材の第3当接部分が前記第1移動部材および第2移動部材の第1当接部分および第2当接部分にそれぞれ当接されることで、前記第1移動部材および第2移動部材を互いに近接させる方向への力が形成され、前記第1移動部材および第2移動部材の正面視形状が、前記第1当接部分および第2当接部分により形成されると共に前記第1移動部材および第2移動部材どうしの当接面へ向けて凹む凹形状とされる一方、前記第3移動部材の正面視形状が、前記第3当接部分により形成されると共に前記第1移動部材および第2移動部材の凹形状に対応して中央が突出する突出形状とされることを特徴とする遊技機H2。
遊技機H2によれば、基準位置において第1移動部材および第2移動部材が隣り合わせに配置され、それら第1移動部材および第2移動部材の第1当接部分および第2当接部分に対して第3移動部材の第3当接部分が当接されると、第1移動部材および第2移動部材を互いに近接させる方向への力が形成され、これにより、第1移動部材、第2移動部材および第3移動部材が結合される。
この場合、第1移動部材および第2移動部材の正面視形状(第1当接部分および第2当接部分の組み合わせ)が、中央が凹む凹形状とされる一方、第3移動部材の正面視形状(第3当接部分)が、第1移動部材および第2移動部材の凹形状に対応して中央が突出される突出形状とされるので、これら第1移動部材、第2移動部材および第3移動部材を、退避位置から基準位置へ移動させ、基準位置において結合させることによる演出効果の向上を図ることができる。
即ち、第1移動部材および第2移動部材と第3移動部材との正面視形状が、上述のように、隣り合わせに配置される第1移動部材および第2移動部材が凹形状とされ、その凹形状へ向けて移動される第3移動部材が突出形状とされる形態では、退避位置から基準位置へ配置される際に、隣り合わせに配置される第1移動部材および第2移動部材の間へ第3移動部材が入り込み、第1移動部材および第2移動部材を互いに離間する方向へ押し拡げる態様を遊技者に想起させるところ、遊技機H2によれば、基準位置において第3移動部材(第3当接部分)が第1移動部材および第2移動部材(第1当接部分および第2当接部分)に当接されることで、第1移動部材および第2移動部材を互いに近接させる方向への力を形成して、これら第1移動部材、第2移動部材および第3移動部材を結合させることができる。これにより、遊技機H1の奏する効果に加え、遊技者の予想と異なる態様で動作させることができ、その演出効果を高めることができる。
なお、遊技機H2においては、第1移動部材および第2移動部材がベース部材に第1リンク機構および第2リンク機構によりそれぞれ支持されると共に、基準位置において第1移動部材および第2移動部材が隣り合わせに配置された状態では、第1リンク機構および第2リンク機構がベース部材側に対して第1移動部材および第2移動部材側の間隔が狭くされるハの字状に配置されることが好ましい。第1リンク機構と第2リンク機構とがなす角度に対し、第1当接部分および第2当接部分と第3当接部分とがなす角度を設定することで、基準位置において、第1移動部材および第2移動部材を互いに近接させる方向への力を形成できるからである。
遊技機H1において、前記第1移動部材および第2移動部材の正面視形状が、それら第1移動部材および第2移動部材どうしの当接面へ向けて凹む凹形状とされる一方、前記第3移動部材の正面視形状が、前記第1移動部材および第2移動部材の凹形状に対応して中央が突出する突出形状とされることを特徴とする遊技機H3。
遊技機H3によれば、遊技機H1の奏する効果に加え、第1移動部材および第2移動部材の正面視形状が、中央が凹む凹形状とされる一方、第3移動部材の正面視形状が、第1移動部材および第2移動部材の凹形状に対応して中央が突出される突出形状とされるので、これら第1移動部材、第2移動部材および第3移動部材を、退避位置から基準位置へ移動させ、基準位置において結合させることによる演出効果の向上を図ることができる。
即ち、第1移動部材および第2移動部材と第3移動部材との正面視形状が、上述のように、隣り合わせに配置される第1移動部材および第2移動部材が凹形状とされ、その凹形状へ向けて移動される第3移動部材が突出形状とされる形態では、退避位置から基準位置へ配置される際に、隣り合わせに配置される第1移動部材および第2移動部材の間へ第3移動部材が入り込み、第1移動部材および第2移動部材を互いに離間する方向へ押し拡げる態様を遊技者に想起させるところ、遊技機H3によれば、基準位置において第3移動部材が当接されることで、第1移動部材および第2移動部材を互いに近接させる方向への力を形成して、これら第1移動部材、第2移動部材および第3移動部材を結合させることができる。これにより、遊技者の予想と異なる態様で動作させることができ、その演出効果を高めることができる。
遊技機H3において、前記第1移動部材および第2移動部材が第1規制部および第2規制部を備えると共に、それら第1規制部および第2規制部のそれぞれに当接される第3規制部を前記第3移動部材が備え、前記第3規制部と前記第1規制部および第2規制部とのうちの少なくとも一方は、前記第3移動部材が前記基準位置へ向けて移動される際の進行方向側ほど末広がりとなる形状に傾斜して形成され、第3規制部が第1規制部および第2規制部の両側から当接されることで、前記第1移動部材および第2移動部材が互いに近接する方向へ変位されることを特徴とする遊技機H4。
遊技機H4によれば、遊技機H3の奏する効果に加え、第3規制部と第1規制部および第2規制部とのうちの少なくとも一方は、第3移動部材が基準位置へ向けて移動される際の進行方向側ほど末広がりとなる形状に傾斜して形成され、第3規制部が第1規制部および第2規制部の両側から当接されることで、第1移動部材および第2移動部材が互いに近接する方向へ変位されるので、かかる第1移動部材および第2移動部材の互いに近接する方向への変位を確実に行わせることができる。そのため、第1移動部材および第2移動部材を移動可能とする構造を簡素化できると共に、その構造の設計の自由度を高めることができる。
遊技機H4において、前記第1規制部および第2規制部は、前記第1移動部材および第2移動部材の正面視形状を形成する部分の背面側にそれぞれ配設されると共に、第3規制部は、前記第3移動部材の正面視形状を形成する部分の背面側に配設されることを特徴とする遊技機H5。
遊技機H5によれば、遊技機H4の奏する効果に加え、第1移動部材および第2移動部材の正面視形状を形成する部分の背面側に第1規制部および第2規制部がそれぞれ配設されると共に、第3移動部材の正面視形状を形成する部分の背面側に第3規制部が配設されるので、これら第1規制部、第2規制部および第3規制部が遊技者に視認されることを抑制できる。よって、第1移動部材および第2移動部材と第3移動部材とにおける外観形状として凹形状と突出形状とを設定することで、遊技者の予想と異なる態様で動作させる効果を高めることができる。
遊技機H4又はH5において、前記第1移動部材および第2移動部材は、それら第1移動部材および第2移動部材の正面側へ向けて下降傾斜または上昇傾斜されると共に前記第1移動部材および第2移動部材の正面に連なる第1傾斜面および第2傾斜面をそれぞれ備え、前記第3移動部材は、前記第1傾斜面および第2傾斜面と同じ方向に傾斜されると共に前記第3移動部材の正面に連なり前記基準位置において前記第1傾斜面および第2傾斜面のそれぞれに当接される第3傾斜面を備えることを特徴とする遊技機H6。
遊技機H6によれば、遊技機H4又はH5の奏する効果に加え、第1移動部材および第2移動部材が、それら第1移動部材および第2移動部材の正面に連なる第1傾斜面および第2傾斜面をそれぞれ備えると共に、第3移動部材が、第1傾斜面および第2傾斜面と同じ方向に傾斜され第3移動部材の正面に連なる第3傾斜面を備え、基準位置において、第1傾斜面および第2傾斜面と第3傾斜面とが当接されるので、かかる傾斜面どうしの当接により、第1移動部材および第2移動部材と第3移動部材との前後方向(正面および背面を結ぶ方向)における位置決めを行うことができる。さらに、傾斜面どうしの当接により、第1移動部材および第2移動部材と第3移動部材とが基準位置において結合される際には、第1移動部材および第2移動部材と第3移動部材との間に隙間が存在しないように遊技者にその正面視形状を認識させることができ、その結果、基準位置において結合させることによる演出効果の向上を図ることができる。
遊技機H6において、前記第1規制部および第2規制部は、前記第1傾斜面および第2傾斜面の背面側にそれぞれ配設されると共に、第3規制部は、前記第3傾斜面の背面側に配設されることを特徴とする遊技機H7。
遊技機H7によれば、遊技機H6の奏する効果に加え、第1傾斜面および第2傾斜面の背面側に第1規制部および第2規制部がそれぞれ配設されると共に、第3傾斜面の背面側に第3規制部が配設されるので、これら第1規制部、第2規制部および第3規制部が遊技者に視認されることを抑制できる。よって、第1移動部材および第2移動部材と第3移動部材とにおける正面視形状として凹形状と突出形状とを設定することで、遊技者の予想と異なる態様で動作させる効果を高めることができる。
ここで、第1規制部および第2規制部が正面視において視認不能とされる傾斜形状に第1傾斜面および第2傾斜面を形成すると共に、第3規制部が正面視において視認不能とされる傾斜形状に第3傾斜面を形成しても良い。なお、このように、各傾斜面により各規制部を正面視において視認不能とすることは、各規制部の前方(各移動部材の正面側)が水平面として形成される構造では、第1規制部および第2規制部と第3規制部とのうちの一方を水平面の背面側に視認不能に配置したとしても他方が露出されるため、不可能であり、遊技機H7のように、各規制部の前方(各移動部材の正面側)に傾斜面を形成することで初めて可能となったものであり(第1規制部および第2規制部と第3規制部との両方を露出させることなく、各傾斜面の背面側に正面視において視認不能とすることができる)、これにより、第1規制部、第2規制部および第3規制部が遊技者に視認されることを、退避位置と基準位置との間の移動中においても、確実に抑制できる。その結果、凹形状と突出形状とを結合させることで、遊技者の予想と異なる態様で動作させる効果を更に高めることができる。
遊技機H7において、前記第1移動部材および第2移動部材は、前記第1傾斜面および第2傾斜面と反対となる方向へ上昇傾斜または下降傾斜される第1位置決め面および第2位置決め面を備えると共に、第3移動部材は、前記第1位置決め面および第2位置決め面と同じ方向へ上昇傾斜または下降傾斜され前記基準位置において前記第1位置決め面および第2位置決め面にそれぞれ当接される第3位置決め面を備えることを特徴とする遊技機H8。
遊技機H8によれば、遊技機H7の奏する効果に加え、第1移動部材および第2移動部材が第1位置決め面および第2位置決め面をそれぞれ備えると共に、第3移動部材が第3位置決め面を備え、基準位置において、第1位置決め面および第2位置決め面と第3位置決め面とが当接されるので、かかる傾斜面どうしの当接により、第1移動部材および第2移動部材と第3移動部材との位置決めを行うことができる。特に、第1位置決め面および第2位置決め面が、第1傾斜面および第2傾斜面と反対となる方向へ上昇傾斜または下降傾斜されると共に、第3位置決め面が、第1位置決め面および第2位置決め面と同じ方向に傾斜されるので、これらの各位置決め面どうしの当接による位置決めの方向を、第1傾斜面および第2傾斜面と第3傾斜面との当接による位置決めの方向と反対方向とすることができる。その結果、第1移動部材および第2移動部材と第3移動部材とを、前後方向(正面および背面を結ぶ方向)に位置決めすることができるだけでなく、その前後方向での位置決め位置に保持することができ、その結果、基準位置で結合した後に第1移動部材および第2移動部材に対して第3移動部材が相対的に位置ずれすることやがたつきが発生することを抑制できる。
移動可能に形成される移動部材と、その移動部材を移動させるための駆動力を発生する駆動手段と、その駆動手段が発生する駆動力を前記移動部材へ伝達する伝達手段と、を備え、前記伝達手段が、第1伝達部材と、その第1伝達部材に対して所定の位相で歯合される第2伝達部材とを備えた遊技機において、前記第1伝達部材に対する前記第2伝達部材の歯合位置を前記所定の位相に位置決めする位置決め手段を備えることを特徴とする遊技機I1。
ここで、パチンコ機等の遊技機において、移動可能に形成される移動部材と、その移動部材を移動させるための駆動力を発生する駆動手段と、その駆動手段が発生する駆動力を移動部材へ伝達する伝達手段とを備え、伝達手段が、第1伝達部材と、その第1伝達部材に対して所定の位相で歯合される第2伝達部材とを備えた遊技機がある(例えば、特開2009−125092号公報を参照)。この遊技機によれば、駆動手段の駆動力により第1伝達部材または第2伝達部材の一方が回転されると、その一方の回転により第1伝達部材または第2伝達部材の他方が回転され、その他方の回転により移動部材が移動される。しかしながら、上述した従来の遊技機では、第1伝達部材に対して第2伝達部材が所定の位相で歯合されていない場合には、移動部材の移動範囲にずれが生じる。そのため、第1伝達部材および第2伝達部材を組み付ける(歯合させる)際には、第1伝達部材に対する第2伝達部材の歯合位置を所定の位相に位置決めした上で組み付ける必要があり、その位置決め作業が煩雑であった。
これに対し、遊技機I1によれば、第1伝達部材に対する第2伝達部材の歯合位置を所定の位相に位置決めする位置決め手段を備えるので、第1伝達部材および第2伝達部材を組み付ける(歯合させる)際には、かかる位置決め手段を利用して、第1伝達部材および第2伝達部材を組み付けることができる。即ち、第1伝達部材に対する第2伝達部材の歯合位置を所定の位相に位置決めする際に、その位置決め作業の作業性の向上を図ることができる。
なお、上述した通り、第1伝達部材の歯および第2伝達部材の歯は、それぞれ全周にわたって形成されている必要はなく、周方向の一部に形成されていれば足りる。
遊技機I1において、第1伝達部材および第2伝達部材が回転可能に軸支されるベース部材を備え、前記位置決め手段は、前記ベース部材に形成される第1ベース位置決め部および第2ベース位置決め部とそれら第1ベース位置決め部および第2ベース位置決め部に対応する位置において前記第1伝達部材および第2伝達部材にそれぞれ形成される第1伝達部材位置決め部および第2伝達部材位置決め部とにより構成されることを特徴とする遊技機I2。
遊技機I2によれば、遊技機I1の奏する効果に加え、ベース部材に第1ベース位置決め部および第2ベース位置決め部が形成されると共に、それら第1ベース位置決め部および第2ベース位置決め部に対応する位置において第1伝達部材および第2伝達部材に第1伝達部材位置決め部および第2伝達部材位置決め部がそれぞれ形成されるので、第1ベース位置決め部に第1伝達部材位置決め部を一致させると共に、第2ベース位置決め部に第2伝達部材位置決め部を一致させつつ、第1伝達部材および第2伝達部材をベース部材に組み付けることで、第1伝達部材に対して第2伝達部材を所定の位相に位置決めすることができる。その結果、位置決め作業の作業性の向上を図ることができる。
特に、第1ベース位置決め部または第1伝達部材位置決め部の少なくとも一方、及び、第2ベース位置決め部または第2伝達部材位置決め部の少なくとも一方が貫通孔として形成される場合には、かかる一方の貫通孔に冶具を挿通させると共にその挿通させた冶具の先端を他方に当接(又は挿通)させることで、第1伝達部材に対して第2伝達部材を所定の位相に位置決めする位置決め作業をより簡易に且つ正確に行うことができる。
遊技機I2において、前記ベース部材は、そのベース部材の正面へ向けて突設され前記第1伝達部材および第2伝達部材に挿通される第1軸および第2軸を備え、前記第1ベース位置決め部および第2ベース位置決め部が貫通孔として形成されることを特徴とする遊技機I3。
遊技機I3によれば、遊技機I2の奏する効果に加え、ベース部材の正面から突出され第1伝達部材および第2伝達部材に挿通される第1軸および第2軸をベース部材が備える場合に、第1ベース位置決め部および第2ベース位置決め部が貫通孔として形成されるので、第1伝達部材に対して第2伝達部材を所定の位相に位置決めしつつ、これら第1伝達部材および第2伝達部材をベース部材に組み付ける際に、それら位置決め作業と組み付け作業とを同時に行うことを可能として、その作業性の向上を図ることができる。
即ち、遊技機I3によれば、第1ベース位置決め部および第2ベース位置決め部が貫通孔として形成されるので、ベース部材の背面から第1ベース位置決め部および第2ベース位置決め部へ冶具を挿通させることで、かかる冶具を、第1軸および第2軸と共に、ベース部材の正面から突出させることができる。これにより、ベース部材の正面から第1伝達部材および第2伝達部材を第1軸および第2軸にそれぞれ組み付ける(挿通させる)作業と同時に、冶具の先端を第1伝達部材および第2伝達部材の第1伝達部材位置決め部および第2伝達部材位置決め部に当接(又は挿通)させる位置決め作業を行うことができる。その結果、位置決め作業と組み付け作業とを同時に行うことができ、その分、作業性の向上を図ることができる。
遊技機I2又はI3において、前記第1伝達部材は、軸方向に同軸に重なる一対の部材からなり、それら一対の部材の互いに対応する位置に前記第1伝達部材位置決め部が貫通孔としてそれぞれ形成されることを特徴とする遊技機I4。
遊技機I4によれば、遊技機I2又はI3の奏する効果に加え、第1伝達部材は、軸方向に同軸に重なる一対の部材からなり、それら一対の部材の互いに対応する位置に第1伝達部材位置決め部が貫通孔としてそれぞれ形成されるので、これら一対の歯車の位置決め作業を同時に行うことができ、その分、位置決め作業の作業性の向上を図ることができる。また、これら一対の歯車の位置決め作業を共通の冶具を用いて行うことができるので、その分、製品コストの削減を図ることができる。更に、一対の歯車どうしを結合する必要がないので、これら一対の歯車を相対回転可能に共通の軸に軸支させることができる。なお、第2伝達部材においても同様に構成しても良い。
遊技機I2からI4のいずれかにおいて、前記第2伝達部材は、軸方向に同軸に重なる一対の部材からなり、それら一対の部材は、一方の部材から突出される突出部と、その突出部を受け入れるために他方の部材に凹設される凹部とを備えると共に、それら一対の部材のうちの前記ベース部材側に配置される部材に前記第2伝達部材位置決め部が形成されることを特徴とする遊技機I5。
遊技機I5によれば、遊技機I2からI4のいずれかにおいて、第2伝達部材は、軸方向に同軸に重なる一対の部材からなり、それら一対の部材のうちのベース部材側に配置される部材に第2伝達部材位置決め部が形成されるので、かかる第2伝達部材位置決め部を利用することで、一対の部材のうちのベース部材側に配置される部材を所定の位相に位置決めすることができる。この場合、一対の部材どうしは、一方の部材の突出部を他方の部材の凹部に受け入れさせることにより、これら一対の部材を、所定の位相に位置決めできると共に、相対回転不能(即ち、同期して回転可能)に共通の軸に軸支させることができる。特に、一対の部材どうしは、突出部が凹部に受け入れられて嵌合されるので、その分、全体としての剛性を高めることができる。
なお、凹部は、有底である必要はなく、貫通孔として形成されていても良い。即ち、凹部は、一対の部材を同軸に重ねる際に、連結突部を受け入れて周方向(回転方向)の位置決めが可能に形成されていれば足りる。
液晶表示装置と、その液晶表示装置よりも下方に配設される複数の入賞口と、それら複数の入賞口に入賞されず流下した遊技球を遊技領域から排出するアウト口と、を備えた遊技機において、前記複数の入賞口のうちの第1の入賞口は、前記遊技領域の下縁との間に遊技球の通過を不能とする位置まで前記遊技領域の下縁に近接して又は前記遊技領域の下縁に当接して配設され、前記アウト口は、前記第1の入賞口に対し前記遊技領域の幅方向一側に配設される第1のアウト口と、前記第1の入賞口に対し前記遊技領域の幅方向他側に配設される第2のアウト口と、を備えることを特徴とする遊技機J1。
ここで、パチンコ機等の遊技機において、液晶表示装置と、その液晶表示装置よりも下方に配設される複数の入賞口と、それら複数の入賞口に入賞されず流下した遊技球を遊技領域から排出するアウト口とを備えた遊技機がある(例えば、特開2012−143268号公報を参照)。近年では、演出効果を高めるために、液晶表示装置の大型化が要請される。しかしながら、上述した従来の遊技機では、液晶表示装置を大型化するために、かかる液晶表示装置の下側縁部の位置を下方へ下げると、その分、入賞口の位置も下方へ下げる必要があるところ、入賞口の位置が下方へ下がり過ぎると、入賞口の下方(遊技領域の下縁、例えば、内レールとの間)に遊技球が流下するためのスペースを確保できなくなる。即ち、入賞口に入賞されずに流下した遊技球をアウト口から排出できなくなる。そのため、入賞口の位置を下方へ下げるには限界があり、その結果、液晶表示装置を十分に大型化することができなかった。
これに対し、遊技機J1によれば、アウト口は、複数の入賞口のうちの第1の入賞口に対し遊技領域の幅方向一側に配設される第1のアウト口と、第1の入賞口に対し遊技領域の幅方向他側に配設される第2のアウト口とを備えるので、第1の入賞口に入賞されずにその第1の入賞口よりも幅方向一側に流下した遊技球については第1のアウト口により遊技領域から排出できる一方、第1の入賞口に入賞されずにその第1の入賞口よりも幅方向他側に流下した遊技球については第2のアウト口により遊技領域から排出できる。これにより、第1の入賞口の下方(遊技領域の下縁、例えば、内レールとの間)に遊技球が流下するためのスペースを確保する必要がない。よって、かかる第1の入賞口の位置を、より下方へ(即ち、遊技領域の下縁との間に遊技球の通過を不能とする位置まで)下げることができるので、その分、液晶表示装置を大型化することができる。
遊技機J1において、前記複数の入賞口のうちの第2の入賞口への遊技球の入賞に伴う演出が行われる演出部材を備え、前面側に前記遊技領域が形成される遊技盤が光透過性材料からなり、前記演出部材が前記遊技盤の背面側において前記第2の入賞口に対応する位置に配設されると共に、前記第2の入賞口および演出部材が前記第1の入賞口に対し前記遊技領域の幅方向一側または幅方向他側に配設されることを特徴とする遊技機J2。
遊技機J2によれば、遊技機J1の奏する効果に加え、複数の入賞口のうちの第2の入賞口への遊技球の入賞に伴う演出が行われる演出部材を備え、その演出部材は、光透過性材料からなる遊技盤の背面側において第2の入賞口に対応する位置に配設されるので、第2の入賞口へ遊技球が入賞される場面を視認する遊技者に対しその場面の背後において演出部材による演出も同時に視認させることができ、第2の入賞口への遊技球の入賞に伴う演出を効果的に行うことができる。
この場合、第2の入賞口および演出部材は、第1の入賞口に対し遊技領域の幅方向一側または幅方向他側に配設されるので、かかる第2の入賞口および演出部材の位置を下方へ下げることができ、その分、液晶表示装置の下側縁部の位置を下方へ下げることができる。その結果、演出部材を配設した場合であっても、液晶表示装置を大型化することができる。
即ち、第2の入賞口に対応する位置において遊技盤の背面側に演出部材を配設することは、かかる演出部材が液晶表示装置と干渉するため、液晶表示装置の大型化を阻害することになる。これに対し、上述したように、第1の入賞口に対し遊技領域の幅方向一側および幅方向他側に第1のアウト口および第2のアウト口が配設されることで、かかる第1の入賞口の位置を下方へ下げることができるだけでなく、かかる第1の入賞口の遊技領域の幅方向一側または幅方他側における配設位置の自由度を確保できるので、その分、第2の入賞口および演出部材の配設スペースを確保できることとなり、その結果、遊技機J2によれば、第2の入賞口に対応する位置において遊技盤の背面側に演出部材を配設するレイアウトが可能となった。
遊技機J2において、前記第2の入賞口が前記遊技領域の幅方向略中央に配設されることを特徴とする遊技機J3。
遊技機J3によれば、遊技機J2の奏する効果に加え、第2の入賞口が遊技領域の幅方向略中央に配設されるので、液晶表示装置の大型化を図りつつ、遊技領域の限られたスペースを有効に活用して、演出部材を配設するためのスペースをより広く確保できる。即ち、かかるレイアウトにより、液晶表示装置および演出部材の双方の大型化を効率的に行うことができる。また、第2の入賞口が遊技領域の幅方向略中央に配設されることで、かかる第2の入賞口までの遊技球の流下経路を長くすることができる。これにより、第2の入賞口へ遊技球を入賞させるための遊技性を高めることができると共に、その第2の入賞口への入賞に伴う演出部材による演出への期待感を高めることができる。
遊技機J2又はJ3において、前記遊技盤の背面側に配設される第2の演出部材を備え、その第2の演出部材は、正面視において、少なくとも一部が前記演出部材に重なる位置に配設されることを特徴とする遊技機J4。
遊技機J4によれば、遊技機J2又はJ3の奏する効果に加え、遊技盤の背面側に配設される第2の演出部材を備え、その第2の演出部材は、正面視において、少なくとも一部が演出部材に重なる位置に配設されるので、遊技盤が光透過性材料から形成される場合に、第2の演出部材の必要な部分のみを遊技者に視認させ、他の部分を演出部材により遊技者から遮蔽することができる。これにより、第2の演出部材は、全体が遊技者から視認されることを前提として設計する必要がないので、その設計の自由度の向上を図ることができる。
遊技機J2からJ4のいずれかにおいて、前記演出部材は、前記第2の入賞口を中心として回転可能な円形に形成されることを特徴とする遊技機J5。
遊技機J5によれば、遊技機J2からJ4のいずれかの奏する効果に加え、演出部材は、第2の入賞口を中心として回転可能な円形に形成されるので、第2の入賞口を取り囲む領域の全体において演出を行うことができ、その第2の入賞口への入賞に伴う演出の演出効果を高めることができる。
この場合、第2の入賞口は、その上方および下方の双方に遊技球を流下させるためのスペースが確保できる位置に配設される必要があり、かつ、第2の入賞口に対し遊技領域の幅方向一側または幅方向他側であって遊技領域の下方となる位置に第1の入賞口が配設されるため、演出部材が第2の入賞口を中心とする円形に形成されることで、第2の入賞口の周囲に確保できるスペースを最大限有効に活用でき、その結果、演出部材の面積を大きくして、その演出効果を高めることができる。
遊技機A1からA5,B1からB6,C1からC5,D1からD5,E1からE7,F1からF9,G1からG5,H1からH8,I1からI5,J1からJ5のいずれかにおいて、前記遊技機はスロットマシンであることを特徴とする遊技機K1。中でも、スロットマシンの基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の動的表示が開始され、停止用操作手段(ストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えた遊技機」となる。この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
遊技機A1からA5,B1からB6,C1からC5,D1からD5,E1からE7,F1からF9,G1からG5,H1からH8,I1からI5,J1からJ5のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機であることを特徴とする遊技機K2。中でも、パチンコ遊技機の基本構成としては操作ハンドルを備え、その操作ハンドルの操作に応じて球を所定の遊技領域へ発射し、球が遊技領域内の所定の位置に配設された作動口に入賞(又は作動口を通過)することを必要条件として、表示手段において動的表示されている識別情報が所定時間後に確定停止されるものが挙げられる。また、特別遊技状態の発生時には、遊技領域内の所定の位置に配設された可変入賞装置(特定入賞口)が所定の態様で開放されて球を入賞可能とし、その入賞個数に応じた有価価値(景品球のみならず、磁気カードへ書き込まれるデータ等も含む)が付与されるものが挙げられる。
遊技機A1からA5,B1からB6,C1からC5,D1からD5,E1からE7,F1からF9,G1からG5,H1からH8,I1からI5,J1からJ5のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機とスロットマシンとを融合させたものであることを特徴とする遊技機K3。中でも、融合させた遊技機の基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備え、遊技媒体として球を使用すると共に、前記識別情報の動的表示の開始に際しては所定数の球を必要とし、特別遊技状態の発生に際しては多くの球が払い出されるように構成されている遊技機」となる。