JP2015005619A - 固体撮像装置、その製造方法、およびカメラ - Google Patents
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Abstract
【課題】撮像画素と焦点検出画素とを含む固体撮像装置の撮像性能を向上させつつ焦点検出精度を向上させるのに有利な技術を提供する。【解決手段】半導体基板に形成された光電変換部を含む撮像画素および前記半導体基板に形成された光電変換部を含む焦点検出画素がそれぞれ配列された画素アレイを有する固体撮像装置であって、前記撮像画素および前記焦点検出画素は、前記光電変換部の上に形成された絶縁層と遮光部とを含む絶縁部材と、当該構造の上に設けられたマイクロレンズとを含み、前記撮像画素および前記焦点検出画素の少なくとも一方の前記絶縁部材は、前記絶縁層と異なる屈折率を有する平板状の部材を有する。【選択図】図3
Description
本発明は、固体撮像装置、その製造方法、およびカメラに関する。
デジタルカメラ等の撮像システムには、当該撮像システムの小型化のため、撮像画素と焦点検出画素とが配列された画素アレイを備える固体撮像装置が用いられうる。焦点検出画素は、例えば、位相差検出法に基づく焦点検出を行うように、撮像レンズからの入射光束を部分的に読み出す構成を有する。
特許文献1には、撮像レンズからの入射光束の一部を遮光する遮光部を有する構成において、撮像画素のマイクロレンズの曲率(高さ)と、焦点検出画素のマイクロレンズの曲率とが異なる構造が開示されている。当該構造によると、各画素における集光位置が、撮像画素においては光電変換部の近傍になって撮像性能が向上し、焦点検出画素においては遮光部の位置になって焦点検出精度が向上する。
特許文献2には、2つの受光部を有する焦点検出画素にインナーレンズを設けパワーを高めた構成が開示されている。
特許文献1及び2の構造によると、焦点検出画素における瞳像の倍率が撮像画素の瞳像の倍率よりも小さくなりうる。これにより、焦点検出性能の低下や、撮像性能の低下を可能性がある。また、特許文献1の構造によると、曲率(高さ)が異なる複数のマイクロレンズをそれぞれ個別に形成する必要があり、製造が容易ではない。また、特許文献2の構造によると、製造ばらつきによる誤差(例えばアライメント誤差や形状誤差)による影響を受けやすく、焦点検出精度の低下をもたらしうる。
本発明の目的は、撮像画素と焦点検出画素とを含む固体撮像装置の撮像性能を向上させつつ焦点検出精度を向上させるのに有利な技術を提供することにある。
本発明の一つの側面は固体撮像装置にかかり、前記固体撮像装置は、半導体基板に形成された光電変換部を含む撮像画素および前記半導体基板に形成された光電変換部を含む焦点検出画素がそれぞれ配列された画素アレイを有する固体撮像装置であって、前記撮像画素および前記焦点検出画素は、前記光電変換部の上に形成された絶縁層と遮光部とを含む絶縁部材と、当該構造の上に設けられたマイクロレンズとを含み、前記撮像画素および前記焦点検出画素の少なくとも一方の前記絶縁部材は、前記絶縁層と異なる屈折率を有する平板状の部材を有することを特徴とする。
本発明によれば、撮像画素と焦点検出画素とを含む固体撮像装置の撮像性能を向上させつつ焦点検出精度を向上させるのに有利である。
(固体撮像装置の構成)
図1および図2を参照しながら、固体撮像装置Iの構成の例を述べる。固体撮像装置Iは、画素アレイ801、複数の列信号処理回路805乃至812、行選択制御回路819、水平走査回路820および821、並びに、タイミング制御回路818を備える。画素アレイ801は、同一基板上に配列された複数の画素P(撮像画素PIMおよび焦点検出画素PAF)を有する。図1では、説明の容易化のため、画素アレイ801を4行×4列で示している。撮像画素PIMは、例えばベイヤ配列にしたがって配置され、図1では、赤画素R、青画素B、緑画素G1またはG2を例示している。
図1および図2を参照しながら、固体撮像装置Iの構成の例を述べる。固体撮像装置Iは、画素アレイ801、複数の列信号処理回路805乃至812、行選択制御回路819、水平走査回路820および821、並びに、タイミング制御回路818を備える。画素アレイ801は、同一基板上に配列された複数の画素P(撮像画素PIMおよび焦点検出画素PAF)を有する。図1では、説明の容易化のため、画素アレイ801を4行×4列で示している。撮像画素PIMは、例えばベイヤ配列にしたがって配置され、図1では、赤画素R、青画素B、緑画素G1またはG2を例示している。
複数の列信号処理回路805乃至812は、画素アレイ801の各列に対応して配される。ここでは、列信号処理回路805乃至808は、画素アレイ801の各列における偶数行目の画素Pに対応するように配され、列信号処理回路809乃至812は、各列における奇数行目の画素Pに対応するように配されている。
タイミング制御回路818は、クロック信号CLKに応答して、制御信号を行選択制御回路819ないし水平走査回路820および821に出力する。行選択制御回路819は、タイミング制御回路818からの信号に基づいて画素アレイ801に制御信号を出力し、少なくとも1行単位で画素Pを駆動して、画素アレイ801から画素信号を読み出す。画素アレイ801からの画素信号のそれぞれは、各列信号処理回路805乃至812における所定の信号処理を経て、水平走査回路820または821からの信号に応答して、水平転送されて外部に出力される。
画素アレイ801からの画素信号のうち、撮像画素PIMの各々からの信号は、例えば外部の信号処理部によって信号処理が為され、画像データが得られる。また、画素アレイ801からの画素信号のうち、焦点検出画素PAFの各々からの信号は、位相差検出法に基づく焦点検出処理に用いられる。当該焦点検出処理によって得られたデフォーカス量に基づいて、例えば撮像レンズ用モータを駆動し、撮影レンズの位置が調整され、所望の被写体にピントを合わせることができる。
図2は、固体撮像装置Iの画素P(撮像画素PIMないし焦点検出画素PAF)の回路構成の例を示している。画素Pは、光電変換部901(例えば、フォトダイオード)、転送トランジスタ902、フローティングディフュージョン領域903、リセットトランジスタ904、ソースフォロワトランジスタ905、選択トランジスタ906を含む。光電変換部901においては、受光光量に応じた量の電荷(電子または正孔)が発生し蓄積される。蓄積された電荷は、転送トランジスタ902のゲート端子に与えられる制御信号が活性化されたことに応答して、転送トランジスタ902によってフローティングディフュージョン領域903に転送される。ソースフォロワトランジスタ905に流れる電流量は、フローティングディフュージョン領域903に転送された電荷量の変動に応じて変化する。選択トランジスタ906は、選択トランジスタ906のゲート端子に与えられる制御信号が活性化されたことに応答して、ソースフォロワトランジスタ905の電流量に応じた画素信号を列信号線908に出力する。画素信号は、前述の行選択回路819によって行ごとに選択的に読み出され、各列に対応して設けられた列信号処理回路805乃至812を経て、水平走査回路820又は821による水平転送によって、順に外部のユニット(例えば信号処理部)に出力される。なお、リセットトランジスタ904は、リセットトランジスタ904のゲート端子に与えられる制御信号が活性化されたことに応答して、フローティングディフュージョン領域903の電位をリセットする。
(第1実施形態)
図3(a1)は、撮像画素PIMの断面構造を模式的に示している。撮像画素PIMは、半導体基板10(以下、「基板10」)に設けられた光電変換部105IMと、基板10の上に設けられた構造STIMと、当該構造STIMの上に設けられたマイクロレンズ103IMとを含む。また、図3(b1)は、焦点検出画素PAFの断面構造を模式的に示している。焦点検出画素PAFは、基板10に設けられた光電変換部105AFと、基板10の上に設けられた構造STAFと、当該構造STAFの上に設けられたマイクロレンズ103AFとを含む。
図3(a1)は、撮像画素PIMの断面構造を模式的に示している。撮像画素PIMは、半導体基板10(以下、「基板10」)に設けられた光電変換部105IMと、基板10の上に設けられた構造STIMと、当該構造STIMの上に設けられたマイクロレンズ103IMとを含む。また、図3(b1)は、焦点検出画素PAFの断面構造を模式的に示している。焦点検出画素PAFは、基板10に設けられた光電変換部105AFと、基板10の上に設けられた構造STAFと、当該構造STAFの上に設けられたマイクロレンズ103AFとを含む。
構造ST(STIMおよびSTAF)は、絶縁部材20と、当該絶縁部材20の中に設けられた少なくとも1つの配線層Mxとを含む。例えば、構造STは、絶縁性の部材(酸化シリコン等)で各々が構成された複数の層間絶縁膜と、層間絶縁膜間に配され、金属(銅やアルミニウム等)で構成される少なくとも1以上の配線層と、を含む。例えば、絶縁部材20は、配線層Mxの下に形成された第1絶縁層と、配線層Mxの上に形成された第2絶縁層とを含む。
配線層Mxにおいて、撮像画素PIMにおける構造STIMは、例えば遮光部204を含み、焦点検出画素PAFにおける構造STAFは、例えば遮光部104を含む。遮光部104および遮光部204が配される配線層Mxは、基板10の側に最も近い第1配線層でもよいし、当該第1配線層よりも上に配される第2配線層でもよい。
また、撮像画素PIMのマイクロレンズ103IMと、焦点検出画素PAFのマイクロレンズ103AFとは、互いに等しいレンズパワーを有する。具体的には、例えば、各マイクロレンズ103(103IMおよび103AF)は、共に同一の部材で構成され、かつ、互いに等しい形状を有する。つまり、各マイクロレンズ103(103IMおよび103AF)は、形状及び屈折率が互いに等しくなるように形成される。
光束101は、例えば、被写体の像を画素アレイ801に形成する外部の撮影レンズの瞳を半分ずつに分割した領域のうちの一方(例えば左半分)からの光束を示している(以下、「左側光束101」)。同様に、光束102は、外部の撮影レンズの瞳を半分ずつに分割した領域のうちの他方(例えば右半分)からの光束を示している(以下、「右側光束102」)。なお、ここでは、左側光束101ないし右側光束102を示したが、上側光束ないし下側光束としても同様である。
ここで、焦点検出画素PAFでは、構造STAFおよびマイクロレンズ103AFは、外部の撮像レンズの瞳像の結像位置CAFが、配線層Mxまたはその近傍となるように設けられる。また、撮像画素PIMでは、構造STIMおよびマイクロレンズ103IMは、外部の撮像レンズの瞳像の結像位置CIMが、結像位置CAFよりも光電変換部105IMの側(基板10の側)になるように設けられる。本実施形態では、撮像画素PIMの構造STIMにおける絶縁部材20は、配線層Mxよりも上に平板状の部材を有する。ここで、平板状の部材として平行平板部材702を有するものとする。平行平板部材702は、その周囲の層間絶縁膜よりも屈折率が大きい部材(窒化シリコン等)で構成される。この構成により、各画素間での結像位置C(CIMおよびCAF)が所望の位置になるように調整される。
焦点検出画素PAFにおける結像位置CAFは、図3(b1)に例示されるように配線層Mx上に位置しており、左側光束101および右側光束102はマイクロレンズ103AFによって遮光部104(の近傍)に集光される。ここで、遮光部104は、焦点検出画素PAFの中心に対して一方(左側)に偏心した開口を有しており、左側光束101および右側光束102のうちの左側光束101が遮光部104で遮蔽され、右側光束102が光電変換部105AFに入射する。なお、他の焦点検出画素(例えば、焦点検出画素PAF2)においては、遮光部104は、当該焦点検出画素PAF2の中心に対して他方(右側)に偏心した開口を有しており、左側光束101が光電変換部105AFに入射する。このようにして、焦点検出画素PAFにより右側光束102から得られた信号と、焦点検出画素PAF2により左側光束101から得られた信号とを用いて、位相差検出法に基づく焦点検出が適切に為される。
一方、撮像画素PIMにおける結像位置CIMは、図3(a1)に例示されるように、基板10の表面に位置しており、左側光束101および右側光束102はマイクロレンズ103によって光電変換部105IM(の近傍)に集光される。これにより、固体撮像装置の撮像性能を向上させることができる。
ここで、参考例として、図4乃至6を参照しながら、撮像画素PIM’および焦点検出画素PAF’について述べる。図4(a1)は、撮像画素PIM’の断面構造を模式的に示している。また、図4(b1)は、焦点検出画素PAF’の断面構造を模式的に示している。本参考例では、撮像画素PIM’の構造STIM’には平行平板部材702を設けずに、焦点検出画素PAF’にマイクロレンズ103AF’を設けている。このマイクロレンズ103AF’は、マイクロレンズ103IMよりも曲率(高さ)が大きい。本参考例では、焦点検出画素PAF’に設けられたマイクロレンズ103AF’を用いて、結像位置CAFが所望の位置になるように調整している。
図4(a2)は、撮像画素PIM’の配線層Mx面における断面構造を模式的に示しており、遮光部204と、外部の撮像レンズの瞳により配線層Mx面に形成される瞳像(瞳の像)と、を模式的に示している。遮光部204は、例えば隣接画素間の混色を防ぎつつ撮像画素PIM’への入射光を光電変換部105IMに導くように、撮像画素PIM’における周辺領域ないし隣接画素との境界領域に配され、中央領域には開口を有する。図4(a2)では、説明の容易化のため、撮像画素PIM’の外縁に沿って一体に形成された遮光部204を図示したが、遮光部204は、撮像画素PIM’における周辺領域に配されればよく、その一部に配されてもよい。図4(b2)は、焦点検出画素PAF’の配線層Mx面における断面構造を模式的に示しており、遮光部104と、マイクロレンズ103によって配線層Mx面に形成される瞳像と、を模式的に示している。
撮像画素PIM’および焦点検出画素PAF’が配された参考例においては、撮像画素PIM’と焦点検出画素PAF’とで像の倍率が異なる。例えば、配線部204面上に形成された瞳像411と、遮光部104面上に形成された瞳像409とは、共に、例えばF値1.2相当の瞳像であり、互いに異なる倍率で形成された像を示している。また、配線部204面上に形成された瞳像412と、遮光部104面上に形成された瞳像410とは、共に、例えばF値5.6相当の瞳像であり、互いに異なる倍率で形成された像を示している。
図5(a1)〜(a3)は、遮光部104面上に形成される瞳像501乃至503(F値5.6相当)を模式的に示している。瞳像501(図5(a1))は、遮光部104によって遮光されず、遮光部104が有する開口内に、瞳像501の大部分が位置している。瞳像502(図5(a2))は、遮光部104と遮光部104が有する開口との間に、瞳像502の中心が位置しており、瞳像502は、位相差検出法による焦点検出を行うのに適した位置に形成されている。瞳像503(図5(a3))は、遮光部104上に形成されており、その全体が遮光されている。図5(b1)〜(b3)は、遮光部104面上に形成される瞳像504乃至506(F値1.2相当)を、図5(a1)〜(a3)と同様にして、模式的に示している。
瞳像が小さい場合は、図5(a1)〜(a3)に例示されるように、瞳像の位置がずれることによる焦点検出精度への影響が、瞳像が大きい場合に比べて大きい。特に、図5(a1)および(a3)に示されるような瞳像501および503では、焦点検出を行うことが困難である。一方、瞳像が大きい場合は、図5(b1)〜(b3)に例示されるように、瞳像の位置がずれることによる焦点検出精度への影響は、瞳像が小さい場合に比べて小さい。従って、焦点検出画素PAF’においては焦点検出精度が維持されるものの、撮像画素PIM’においては、図4(a2)に示される瞳像411のように、遮光部204によるケラレが生じ、撮像性能の低下をもたらしうる。
すなわち、撮像に適したマイクロレンズを選択した結果、焦点検出画素PAF’においては瞳像が必要以上に小さくなってしまい、焦点検出精度が低下してしまう。一方、焦点検出に適したマイクロレンズを選択した結果、撮像画素PIM’においては瞳像が必要以上に大きくなってしまい、ケラレが生じて撮影性能が低下してしまう。また、レンズ交換式カメラの場合にはレンズ交換によって瞳像の位置が変わるため、特に瞳像が小さい場合には、その影響が大きい。
上述の影響は、特に図6に例示されるように、各マイクロレンズ103が互いに等しい屈折率及び形状を有し、焦点検出画素PAFにインナーレンズ304が設けられる場合には、瞳像が小さくなるため、焦点検出精度が低下しやすくなる。また、焦点検出画素PAF’に撮像画素PIM’とは異なるマイクロレンズを設ける場合には、焦点検出画素PAF’のみ瞳像の大きさが異なってしまう。
一方、本実施形態では、レンズパワーの大きいマイクロレンズ103AF’を焦点検出画素PAF’のみに設ける方法や、マイクロレンズに加えてレンズパワーを有するインナーレンズ304を設ける方法ではなく、平行平板部材702を用いる。よって、撮像画素PIMと焦点検出画素PAFとの間で瞳像の倍率の差が生じにくい。
図3(a2)は、撮像画素PIMの配線層Mx面における断面構造を模式的に示しており、遮光部204と、外部の撮像レンズの瞳により配線層Mx面に形成される瞳像と、を模式的に示している。図3(b2)は、焦点検出画素PAFの配線層Mx面における断面構造を模式的に示しており、遮光部104と、マイクロレンズ103により配線層Mx面に形成される瞳像を模式的に示している。本実施形態では、平行平板部材702が用いられるため、撮像画素PIMと焦点検出画素PAFとの間で像の倍率が等しく、例えば、瞳像617と瞳像615と(共に、例えばF値1.2相当)は、互いに等しい倍率で形成された像になる。また、例えば、瞳像616と瞳像614と(共に、例えばF値5.6相当)は、互いに等しい倍率で形成された像になる。よって、本実施形態の構成によると、参考例で述べた撮像精度ないし焦点検出精度の低下が抑制され、撮像性能を維持しつつ焦点検出精度を向上させるのにも有利である。
前述のとおり、構造ST(STIMおよびSTAF)は、例えば、複数の層間絶縁膜(第1絶縁層および第2絶縁層を含む)と、層間絶縁膜間に配された少なくとも1以上の配線層と、を含む。平行平板部材702は、例えば、第1絶縁層および第2絶縁層のうち少なくとも第2絶縁層に形成される。
撮像画素PIMおよび焦点検出画素PAFを有する固体撮像装置Iは、公知の半導体製造プロセスを用いて製造される。例えば、まず、基板10の上に複数の光電変換部105を形成し、前述の構造STを当該基板10上に形成する(第1工程)。この工程では、瞳像の結像位置Cが所望の位置になるように、撮像画素PIMの構造STIMにおける絶縁部材20に、配線層Mxより上に平行平板部材を形成する。これは、例えば、前述の第2絶縁層(例えば、配線層Mxに対応する第1配線層の上の絶縁層)を堆積した後に、撮像画素PIMの領域についてエッチングを行って開口を設け、当該開口を高屈折部材で埋設すればよい。その後、平坦化処理等を行い、前述の平行平板部材702が設けられる。その後、第2配線層や第3絶縁層等を形成して構造STを完成させ、当該構造STの上に各光電変換部105に対応するようにマイクロレンズアレイを形成する(第2工程)。
平行平板部材702、すなわち平板状の部材は、瞳像の結像位置Cが所望の位置になるように調整できればよく、平行平板部材702が配される位置や厚さは本実施形態の構成に限定されない。また、層間絶縁膜と平行平板部材702との界面において生じる光の反射や干渉を抑制するように、当該界面に反射防止構造が設けられてもよい。
本実施形態では、平板状の部材として、その上面及び下面が半導体基板の表面に対して平行である平行平板部材を用いて説明した。しかし、平板状の部材は、基板10の表面に対して垂直な方向において、屈折率の変化を有すればよい。例えば、絶縁部材20において、絶縁層が酸化シリコンからなり、平板状の部材が窒化シリコンからなる場合において、絶縁層と平板状の部材との境界から、徐々に酸化シリコンから窒化シリコンへ組成が変化する構成であってもよい。また、絶縁層としても兼用が可能な、撮像画素の部分だけ開口を有する平板状の部材を用いてもよい。また、平板状の部材の上面及び下面が半導体基板の表面に平行でなくてもよく、平板状の部材の上面及び下面の少なくとも一方が、半導体基板の表面に対して傾きを有する構成であってもよい。
また、焦点検出画素PAFについては、瞳像の結像位置CAFが、配線層Mxまたはその近傍となるように調整され、撮像画素PIMにおいては、瞳像の結像位置CIMが、瞳像の結像位置CAFよりも光電変換部105IMの側になるように調整される。よって、絶縁部材20は、撮像画素PIMの絶縁部材20における屈折率の平均値が、焦点検出画素PAFの絶縁部材20における屈折率の平均値よりも大きくなるように設けられる。本実施形態では、配線層Mxより上の絶縁層の1つに平行平板部材702が設けられる構成を例示した。図7(a)は、当該構成において、基板10の表面に対して垂直な方向における絶縁部材20の屈折率の分布を示している。当該構成では、平行平板部材702を含む絶縁部材20の屈折率の分布は、深さ方向に向かって、平行平板部材702の境界において不連続に屈折率が増加し、平行平板部材702の境界において不連続に屈折率が減少する。しかし、本発明は、この構成に限られるものではない。例えば、平行平板部材702を含む絶縁部材20は、その屈折率の分布が、図7(b)に例示されるように、その絶縁部材20の屈折率の分布は、深さ方向に向かって、平行平板部材702の境界において連続的に屈折率が増加し、平行平板部材702の境界において連続的に屈折率が減少する。つまり、図7(a)乃至(d)に例示されるように、1以上の不連続な増加あるいは不連続な減少を含むこと及び1以上の連続的な増加あるいは連続的な減少を含むことの少なくとも1つを満たすように設けられてもよい。
以上、本実施形態によると、製造ばらつきによる誤差(例えばアライメント誤差や形状誤差)を低減することができ、製造面において有利である。また、マイクロレンズアレイを均一に形成することもでき、製造面においてさらに有利であるし、特性面においても有利である。さらに、本実施形態によると、撮像画素PIMと焦点検出画素PAFとで倍率が互いに等しくなるように構成されており、撮像性能を維持しつつ焦点検出精度を向上させるのにも有利である。
(第2実施形態)
前述の第1実施形態では、瞳像の結像位置C(CIMおよびCAF)が所望の位置になるように、高屈折率部材で構成された平行平板部材702を撮像画素PIMにおける構造STIMの絶縁部材20に設けた。本実施形態は、低屈折率部材で構成された平行平板部材1001を焦点検出画素PAFにおける構造STAFの絶縁部材20に設ける点で、第1実施形態と構成が異なる。図8(a)および(b)は、本実施形態にかかる撮像画素PIMの断面構造と焦点検出画素PAFの断面構造とをそれぞれ模式的に示している。
前述の第1実施形態では、瞳像の結像位置C(CIMおよびCAF)が所望の位置になるように、高屈折率部材で構成された平行平板部材702を撮像画素PIMにおける構造STIMの絶縁部材20に設けた。本実施形態は、低屈折率部材で構成された平行平板部材1001を焦点検出画素PAFにおける構造STAFの絶縁部材20に設ける点で、第1実施形態と構成が異なる。図8(a)および(b)は、本実施形態にかかる撮像画素PIMの断面構造と焦点検出画素PAFの断面構造とをそれぞれ模式的に示している。
本実施形態の平行平板部材1001は、その周囲の絶縁部材20よりも屈折率の低い部材(例えば、フッ素含有樹脂)で構成される。平行平板部材1001は、例えばポーラス構造を採ることによって実効的に屈折率が低くなるように形成されてもよい。この構成により、焦点検出画素PAFでは、瞳像の結像位置CAFが、配線層Mxまたはその近傍となるように設けられ、撮像画素PIMでは、瞳像の結像位置CIMが、瞳像の結像位置CAFよりも光電変換部105IMの側(基板10の側)になるように設けられる。
本実施形態によると、第1実施形態と同様の効果が得られる。また、第1実施形態の構成と比較して、マイクロレンズ103IMおよび103AFの曲率(高さ)を、第1実施形態の構成よりも小さくすることができる、製造面においてより有利である。
(第3実施形態)
前述の第1実施形態および第2実施形態では、撮像画素PIM又は焦点検出画素PAFの絶縁部材20において、平行平板部材702ないし1001が配線層Mxより上に設けられた構成を例示した。しかしながら、平行平板部材は、少なくとも配線層Mxより上に設けられていればよく、本実施形態に示すように、配線層Mxの下にも設けられてもよい。図9(a)および(b)は、本実施形態にかかる撮像画素PIMの断面構造と焦点検出画素PAFの断面構造とをそれぞれ模式的に示している。
前述の第1実施形態および第2実施形態では、撮像画素PIM又は焦点検出画素PAFの絶縁部材20において、平行平板部材702ないし1001が配線層Mxより上に設けられた構成を例示した。しかしながら、平行平板部材は、少なくとも配線層Mxより上に設けられていればよく、本実施形態に示すように、配線層Mxの下にも設けられてもよい。図9(a)および(b)は、本実施形態にかかる撮像画素PIMの断面構造と焦点検出画素PAFの断面構造とをそれぞれ模式的に示している。
本実施形態では、撮像画素PIMの構造SIMにおいて、高屈折部材で構成された平行平板部材1101が、基板10の上面から配線層Mxの上にわたって設けられている。平行平板部材1101は、その幅が、遮光部204により形成される開口よりも小さくなるように設けられる。ここで、平行平板部材1101は、光導波路の導光部としての機能をも有することができるため、マイクロレンズ103IMを通過した光束が平行平板部材1101に適切に入射しさえすればよい。
本実施形態によると、平行平板部材1101は導光部の機能も有しつつ、第1実施形態と同様の効果を得ることもできる。また、本実施形態によると、マイクロレンズ103IMを通過した光束が平行平板部材1101に適切に入射しさえすればよい。よって、マイクロレンズ103IMおよび103AFの設計値を、焦点検出画素PAFの仕様に合わせて決定することが可能になり、設計面においても有利である。
(第4実施形態)
前述の第1実施形態ないし第3実施形態では、位相差検出法に基づく焦点検出処理を行うように、焦点検出画素PAFにおいて、構造STAFの配線層Mxに、入射した光を制限する遮光部104を有する構成を例示した。しかしながら、撮像レンズの瞳の領域における複数の部分のそれぞれにそれぞれ対応するように、複数の光電変換部をそれぞれ設け、各光電変換部から得られた信号を用いて位相差検出法に基づく焦点検出を行う構成が採られてもよい。例えば、焦点検出画素PAFが2つの光電変換部を含み、当該2つの光電変換部から得られる信号のそれぞれを用いて焦点検出を行う構成が採られる。図10(a)および(b)は、本実施形態にかかる撮像画素PIMの断面構造と焦点検出画素PAFの断面構造とをそれぞれ模式的に示している。
前述の第1実施形態ないし第3実施形態では、位相差検出法に基づく焦点検出処理を行うように、焦点検出画素PAFにおいて、構造STAFの配線層Mxに、入射した光を制限する遮光部104を有する構成を例示した。しかしながら、撮像レンズの瞳の領域における複数の部分のそれぞれにそれぞれ対応するように、複数の光電変換部をそれぞれ設け、各光電変換部から得られた信号を用いて位相差検出法に基づく焦点検出を行う構成が採られてもよい。例えば、焦点検出画素PAFが2つの光電変換部を含み、当該2つの光電変換部から得られる信号のそれぞれを用いて焦点検出を行う構成が採られる。図10(a)および(b)は、本実施形態にかかる撮像画素PIMの断面構造と焦点検出画素PAFの断面構造とをそれぞれ模式的に示している。
本実施形態では、焦点検出画素PAFは、基板に形成された第1の光電変換部1301および第2の光電変換部1302を有する。一対の光電変換部1301および1302は、左側光速101および右側光束102の一方の光束が光電変換部1301および1302の一方に集光され、他方の光束が光電変換部1301および1302の他方に集光されるように、設けられる。図10(b)では、光電変換部1301で右側光束102を受光し、光電変換部1302で左側光束101を受光している。当該構成は、本実施形態に限られるものではなく、例えば、これら一対の光電変換部1301および1302は、同一の焦点検出画素PAFに設けられてもよいし、異なる2つの焦点検出画素PAFにそれぞれ設けられてもよい。また、例えば、3以上の光電変換部が同一の焦点検出画素PAFに設けられた構成が採られてもよい。
ここで、撮像画素PIMには、第1実施形態と同様にして平行平板部材1303が設けられている。各画素のマイクロレンズ103AFおよび103IMが均一に形成されている場合には、撮像画素PIMにおいては、左側光束101および右側光束102は、マイクロレンズ103IMを通過して光電変換部105IMの内部で集光される。この構成によると、撮像画素PIMにおける瞳像の結像位置CIMを調節して、例えばF値を変化させたときの感度変化を緩やかにするように設計変更することもできる。
以上、各実施形態において述べたように、撮像画素PIMおよび焦点検出画素PAFの少なくとも一方の絶縁部材20は、少なくとも配線層Mxより上に平行平板部材(702等)を有する。平行平板部材は、その周囲の絶縁部材とは屈折率が異なっており、撮像画素PIMおよび焦点検出画素PAFのそれぞれにおいて、瞳像の結像位置Cが所望の位置になるように設けられる。具体的には、焦点検出画素PAFにおいては、瞳像の結像位置CAFが配線層Mxまたはその近傍(第1位置)となるように調整され、撮像画素PIMにおいては、瞳像の結像位置CIMが瞳像の結像位置CAFよりも光電変換部105IMの側(第2位置)になるように調整される。
以上、本発明によると、撮像画素PIMと焦点検出画素PAFとで瞳像の倍率が互いに等しくなるように構成されており、撮像性能ないし焦点検出性能の低下が抑制され、画質を維持しつつ焦点検出精度を向上させるのに有利である。また、本発明によれば、例えば、1つの画素に複数のレンズ(マイクロレンズおよびインナーレンズ)を個別に形成する場合に比べて、製造ばらつきによる誤差(例えばアライメント誤差や形状誤差)を低減することができ、製造面において有利である。また、本発明によると、例えばマイクロレンズアレイを均一に形成することもでき、製造面においてさらに有利である。
なお、以上では4つの実施形態を述べたが、本発明はこれらに限られるものではなく、目的、状態、用途及び機能その他の仕様に応じて、適宜、変更が可能であり、他の実施形態によっても為される。
(撮像システム)
以上では、カメラ等に代表される撮像システムに含まれる固体撮像装置について述べた。撮像システムの概念には、撮影を主目的とする装置のみならず、撮影機能を補助的に備える装置(例えば、パーソナルコンピュータ、携帯端末)も含まれる。撮像システムは、上記の実施形態として例示された本発明に係る固体撮像装置と、この固体撮像装置から出力される信号を処理する処理部(信号処理部)とを含む。この処理部は、例えば、A/D変換器、および、このA/D変換器から出力されるデジタルデータを処理するプロセッサを含む。焦点検出処理はこの処理部によってなされてもよいし、焦点検出処理を実行する焦点検出処理部が個別に設けられていてもよく、適宜変更が可能である。
以上では、カメラ等に代表される撮像システムに含まれる固体撮像装置について述べた。撮像システムの概念には、撮影を主目的とする装置のみならず、撮影機能を補助的に備える装置(例えば、パーソナルコンピュータ、携帯端末)も含まれる。撮像システムは、上記の実施形態として例示された本発明に係る固体撮像装置と、この固体撮像装置から出力される信号を処理する処理部(信号処理部)とを含む。この処理部は、例えば、A/D変換器、および、このA/D変換器から出力されるデジタルデータを処理するプロセッサを含む。焦点検出処理はこの処理部によってなされてもよいし、焦点検出処理を実行する焦点検出処理部が個別に設けられていてもよく、適宜変更が可能である。
Claims (11)
- 半導体基板に形成された光電変換部を含む撮像画素および前記半導体基板に形成された光電変換部を含む焦点検出画素がそれぞれ配列された画素アレイを有する固体撮像装置であって、
前記撮像画素および前記焦点検出画素は、前記光電変換部の上に形成された絶縁層と遮光部とを含む絶縁部材と、当該構造の上に設けられたマイクロレンズとを含み、
前記撮像画素および前記焦点検出画素の少なくとも一方の前記絶縁部材は、前記絶縁層と異なる屈折率を有する平板状の部材を有する
ことを特徴とする固体撮像装置。 - 前記平板状の部材は、前記配線層より下の側から前記配線層より上の側にわたって前記配線層をまたぐように設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の固体撮像装置。 - 前記撮像画素の前記絶縁部材における屈折率の積分値は、前記焦点検出画素の前記絶縁部材における屈折率の積分値よりも大きいこと、及び
前記撮像画素の前記絶縁部材における光路長は、前記焦点検出画素の前記絶縁部材における光路長よりも大きいこと、の少なくとも1方を満たす
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の固体撮像装置。 - 前記絶縁部材は、前記平板状の部材において、前記基板の表面に対して垂直な方向の屈折率が変化する
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の固体撮像装置。 - 半導体基板に形成された光電変換部を含む撮像画素および前記半導体基板に形成された少なくとも2つの光電変換部を含む焦点検出画素がそれぞれ配列された画素アレイを有する固体撮像装置であって、
前記撮像画素および前記焦点検出画素は、前記光電変換部の上に形成された絶縁層を含む絶縁部材と、前記絶縁部材の上に設けられたマイクロレンズとを含み、
前記撮像画素および前記焦点検出画素の少なくとも一方の前記絶縁部材は、前記絶縁層と異なる屈折率を有する平板状の部材を有する
ことを特徴とする固体撮像装置。 - 前記撮像画素の前記マイクロレンズと前記焦点検出画素の前記マイクロレンズとは互いに等しい屈折率の材料からなり、等しい形状を有する、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の固体撮像装置。 - 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の固体撮像装置と、
前記固体撮像装置から出力される信号を処理する処理部と、
を備えることを特徴とするカメラ。 - 撮像画素および焦点検出画素を有する固体撮像装置の製造方法であって、
複数の光電変換部が設けられた半導体基板の上に、絶縁部材を形成する第1工程と、
前記第1工程の後に、前記複数の光電変換部に対応するように複数のマイクロレンズを設けて前記撮像画素および前記焦点検出画素を形成する第2工程と、を有し、
前記第1工程では、前記絶縁部材の形成において、前記撮像画素および前記焦点検出画素の少なくとも一方に平板状の部材を形成する工程を含む
ことを特徴とする固体撮像装置の製造方法。 - 前記第1工程は、前記焦点検出画素となる部分に、遮光部を形成する工程を含み、
前記遮光部は、前記焦点検出画素の光電変換部に瞳像の一部のみが入射するように位置する
ことを特徴とする請求項8に記載の固体撮像装置の製造方法。 - 前記撮像画素には、前記複数の光電変換部のうちの1つの光電変換部が配され、前記複数のマイクロレンズのうち1つのマイクロレンズが設けられ、
前記焦点検出画素には、前記複数の光電変換部のうちの2つの光電変換部が配され、前記複数のマイクロレンズのうち1つのマイクロレンズが設けられる
ことを特徴とする請求項8に記載の固体撮像装置の製造方法。 - 前記第1工程は、前記基板の上に第1絶縁層を形成する工程と、前記第1絶縁層の上に遮光部を形成する工程と、前記遮光部の上に第2絶縁層を形成する工程と、含み、
前記平板状の部材は、前記第1絶縁層および前記第2絶縁層のうち少なくとも前記第2絶縁層に形成される
ことを特徴とする請求項8乃至10のいずれか1項に記載の固体撮像装置の製造方法。
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