本発明の熱硬化性ポリウレタンウレア樹脂組成物は、イソシアネート成分、高分子量活性水素基含有成分、および、低分子量活性水素基含有成分からなる。
本発明において、イソシアネート成分は、必須成分として、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを含んでいる。
1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンには、シス−1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(以下、シス1,4体とする。)、および、トランス−1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(以下、トランス1,4体とする。)の立体異性体がある。
本発明では、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンのトランス体比率、すなわち、トランス1,4体の含有割合は、例えば、70モル%以上、好ましくは、75モル%以上、さらに好ましくは、80モル%以上、例えば、95モル%以下、好ましくは、93モル%以下である。
1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンは、例えば、特開平7−309827号公報に記載される冷熱2段法(直接法)や造塩法、あるいは、特開2004−244349号公報や特開2003−212835号公報などに記載されるホスゲンを使用しない方法、さらには、国際公開WO2009/051114号に記載の方法などにより、製造することができる。
また、上記1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンは、変性体として調製することもできる。
1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンの変性体としては、例えば、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンの多量体(ダイマー、トリマーなど)、ビウレット変性体(例えば、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンと水との反応により生成するビウレット変性体など)、アロファネート変性体(例えば、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンとモノオールまたは低分子量ポリオール(後述)との反応より生成するアロファネート変性体など)、ポリオール変性体(例えば、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンと低分子量ポリオール(後述)または高分子量ポリオール(後述)との反応より生成するポリオール変性体など)、オキサジアジントリオン変性体(例えば、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンと炭酸ガスとの反応により生成するオキサジアジントリオンなど)、カルボジイミド変性体(1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンの脱炭酸縮合反応により生成するカルボジイミド変性体など)、ウレトジオン変性体などが挙げられる。
また、イソシアネート成分として、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンとともに、例えば、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを除く脂環族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネートを併用することもできる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネートおよび2,6−トリレンジイソシアネート、ならびにこれらトリレンジイソシアネートの異性体混合物、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4´−ジフェニルメタンジイソシアネートおよび2,2´−ジフェニルメタンジイソシアネート、ならびにこれらジフェニルメタンジイソシアネートの任意の異性体混合物、トルイレンジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネートなどが挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、エチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、ノナメチレンジイソシアネート、2,2´−ジメチルペンタンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ブテンジイソシアネート、1,3−ブタジエン−1,4−ジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカメチレントリイソシアネート、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアナトメチルオクタン、2,5,7−トリメチル−1,8−ジイソシアネート−5−イソシアナトメチルオクタン、ビス(イソシアナトエチル)カーボネート、ビス(イソシアナトエチル)エーテル、1,4−ブチレングリコールジプロピルエーテル−ω,ω´−ジイソシアネート、リジンイソシアナトメチルエステル、リジントリイソシアネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアネートヘキサノエート、2−イソシアナトプロピル−2,6−ジイソシアネートヘキサノエート、ビス(4−イソシアネート−n−ブチリデン)ペンタエリスリトールなどが挙げられる。
脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、トランス、トランス−、トランス、シス−、およびシス、シス−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートおよびこれらの混合物、1,3−または1,4−シクロヘキサンジイソシアネートおよびこれらの混合物、1,3−または1,4−ビス(イソシアナトエチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、2,2´−ジメチルジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、2,5−ジイソシアナトメチルビシクロ〔2,2,1〕−ヘプタン、その異性体である2,6−ジイソシアナトメチルビシクロ〔2,2,1〕−ヘプタン、2−イソシアナトメチル2−(3−イソシアナトプロピル)−5−イソシアナトメチルビシクロ−〔2,2,1〕−ヘプタン、2−イソシアナトメチル−2−(3−イソシアナトプロピル)−6−イソシアナトメチルビシクロ−〔2,2,1〕−ヘプタン、2−イソシアナトメチル3−(3−イソシアナトプロピル)−5−(2−イソシアナトエチル)−ビシクロ−〔2,2,1〕−ヘプタン、2−イソシアナトメチル3−(3−イソシアナトプロピル)−6−(2−イソシアナトエチル)−ビシクロ−〔2,2,1〕−ヘプタン、2−イソシアナトメチル2−(3−イソシアナトプロピル)−5−(2−イソシアナトエチル)−ビシクロ−〔2,2,1〕−ヘプタン、2−イソシアナトメチル2−(3−イソシアナトプロピル)−6−(2−イソシアナトエチル)−ビシクロ−〔2,2,1〕−ヘプタンなどが挙げられる。
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3−または1,4−キシリレンジイソシアネートおよびこれらの混合物、1,3−または1,4−テトラメチルキシリレンジイソシアネートおよびそれらの混合物などが挙げられる。
また、ポリウレタンの熱成形性を損なわない範囲で、これらポリイソシアネートのイソシアヌレート、アロファネート、ビュレット、カルボジイミド、オキサジアジントリオンおよびウレトジオン変性体などのポリイソシアネート変性体を併用することもできる。
さらに、本発明の優れた効果を損なわない範囲で、モノイソシアネートを併用することもできる。モノイソシアネートとしては、例えば、メチルイソシアネート、エチルイソシアネート、n−ヘキシルイソシアネート,シクロヘキシルイソシアネート、2−エチルヘキシルイソシアネート、フェニルイソシアネート、ベンジルイソシアネートなどが挙げられる。
1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンと併用できるポリイソシアネートとして、好ましくは、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,3−または1,4−キシリレンジイソシアナート(XDI)およびこれらの混合物、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)およびこれらの混合物、トルイジンジイソシアネート(TODI)、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ペンタメチレンジイソシアネート(PDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2,5−ジイソシアナトメチルビシクロ〔2,2,1〕−ヘプタン、その異性体である2,6−ジイソシアナトメチルビシクロ〔2,2,1〕−ヘプタン(NBDI)、およびこれらのポリイソシアネートの変性体が挙げられる。
なお、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンには、シス−1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(以下、シス1,3体とする。)、および、トランス−1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(以下、トランス1,3体とする。)の立体異性体があり、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンと併用する場合には、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンは、トランス1,3体を、好ましくは、50モル%以上、さらに好ましくは、70モル%、とりわけ好ましくは、90モル%以上含有する。
イソシアネート成分が、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンと、その他のイソシアネート(例えば、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを除く脂環族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネートおよびこれらポリイソシアネートの変性体、モノイソシアネート)とを含有する場合には、イソシアネート成分におけるイソシアネート基の総モル数に対して、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンのイソシアネート基を、50モル%以上、好ましくは、70モル%以上、さらに好ましくは、80モル%以上、とりわけ好ましくは、90モル%以上の割合で含有している。最も好ましくは、100モル%含有させる。
高分子量活性水素基含有成分は、分子中に活性水素基(例えば、水酸基、アミノ基など)を含有する、数平均分子量350以上、好ましくは、450以上の化合物であって、例えば、高分子量ポリオール、高分子量ポリアミンなどが挙げられる。
高分子量ポリオールは、水酸基を2つ以上有する数平均分子量300以上、好ましくは、400以上の化合物であって、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリウレタンポリオール、エポキシポリオール、植物油ポリオール、ポリオレフィンポリオール、アクリルポリオール、および、ビニルモノマー変性ポリオールが挙げられる。
高分子量ポリオールとして、好ましくは、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオールが挙げられる。
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリオキシアルキレンポリオール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなどが挙げられる。
ポリオキシアルキレンポリオールは、例えば、低分子量ポリオールまたは低分子量ポリアミンを開始剤とする、アルキレンオキサイドの付加重合物である。
低分子量ポリオールは、水酸基を2つ以上有する数平均分子量300未満、好ましくは、400未満の化合物であって、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,2−トリメチルペンタンジオール、3,3−ジメチロールヘプタン、アルカン(C7〜20)ジオール、1,3−または1,4−シクロヘキサンジメタノールおよびそれらの混合物、1,3−または1,4−シクロヘキサンジオールおよびそれらの混合物、水素化ビスフェノールA、1,4−ジヒドロキシ−2−ブテン、2,6−ジメチル−1−オクテン−3,8−ジオール、ビスフェノールA、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどの2価アルコール、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリイソプロパノールアミンなどの3価アルコール、例えば、テトラメチロールメタン(ペンタエリスリトール)、ジグリセリンなどの4価アルコール、例えば、キシリトールなどの5価アルコール、例えば、ソルビトール、マンニトール、アリトール、イジトール、ダルシトール、アルトリトール、イノシトール、ジペンタエリスリトールなどの6価アルコール、例えば、ペルセイトールなどの7価アルコール、例えば、ショ糖などの8価アルコールなどが挙げられる。
低分子量ポリアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,3−または1,4−ブタンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミン(イソホロンジアミン)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、2,5(2,6)−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ヒドラジン、o、mまたはp−トリレンジアミン(TDA、OTD)などの低分子量ジアミン、例えば、ジエチレントリアミンなどの低分子量トリアミン、例えば、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミンなどのアミノ基を4個以上有する低分子量ポリアミンなどが挙げられる。
これら開始剤は、単独使用または2種類以上併用することができる。開始剤として、好ましくは、低分子量ポリオールが挙げられる。
アルキレンオキサイドとしては、例えば、プロピレンオキサイド、エチレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイドなどが挙げられる。また、これらアルキレンオキサイドは、単独使用または2種類以上併用することができる。また、これらのうち、好ましくは、プロピレンオキサイド、エチレンオキサイドが挙げられる。
このようなポリオキシアルキレンポリオールとして、具体的には、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレンポリプロピレングリコール(ランダムまたはブロック共重合体)などのポリアルキレンオキサイドなどが挙げられる。
また、ポリオキシアルキレンポリオールは、その分子末端の1級水酸基化率が、例えば、少なくとも50モル%であり、好ましくは、70モル%以上である。ポリオキシアルキレンポリオールの分子末端の1級水酸基化率が上記値であれば、ポリイソシアネートとの反応完結率を向上させることができる。
ポリオキシアルキレンポリオールを調製するための触媒としては、公知の金属水酸化物に加えて、例えば、特許第3905638号公報記載のホスファゼニウム化合物を触媒が挙げられる。このような触媒を用いてポリオキシアルキレンポリオールを調製すれば、モノオール副生量が少ないポリオキシアルキレンポリオールを得ることができる。
なお、ポリオキシアルキレンポリオールの数平均分子量は、好ましくは、200〜8000、さらに好ましくは、500〜5000である。
ポリテトラメチレンエーテルグリコールとしては、例えば、テトラヒドロフランのカチオン重合により得られる開環重合物や、テトラヒドロフランの重合単位に上記した2価アルコールを共重合した非晶性(常温液状)ポリテトラメチレンエーテルグリコールなどが挙げられる。
なお、ポリテトラメチレンエーテルグリコールの数平均分子量は、好ましくは、250〜8000、さらに好ましくは、250〜3000である。
ポリエステルポリオールとしては、例えば、上記した低分子量ポリオールと多塩基酸とを、公知の条件下、反応させて得られる重縮合物が挙げられる。
多塩基酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、メチルコハク酸、グルタール酸、アジピン酸、1,1−ジメチル−1,3−ジカルボキシプロパン、3−メチル−3−エチルグルタール酸、アゼライン酸、セバチン酸、その他の脂肪族ジカルボン酸(炭素数11〜13)、スベリン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、オクタデカン二酸、ノナデカン二酸、エイコサン二酸、メチルヘキサン二酸、シトラコン酸、水添ダイマー酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、オルソフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トルエンジカルボン酸、ダイマー酸、ヘット酸などのカルボン酸、および、それらカルボン酸から誘導される酸無水物、酸ハライド、リシノレイン酸、12−ヒドロキシステアリン酸などが挙げられる。
低分子量ポリオールと多塩基酸との重縮合物として、具体的には、ポリ(エチレンブチレンアジペート)ポリオール、ポリ(エチレンアジペート)ポリオール、ポリ(エチレンプロピレンアジペート)ポリオール、ポリ(プロピレンアジペート)ポリオール、ポリ(ブチレンヘキサンアジペート)ポリオール、ポリ(ブチレンアジペート)ポリオールなどが挙げられる。
また、ポリエステルポリオールとして、例えば、ひまし油ポリオール、あるいは、ひまし油ポリオールとポリプロピレングリコールとを反応させて得られるエステル結合を介した変性ひまし油ポリオールなどが挙げられる。
また、ポリエステルポリオールとして、例えば、上記した低分子量ポリオールを開始剤として、例えば、ε−カプロラクトン、γ−バレロラクトンなどのラクトン類を開環重合して得られる、ポリカプロラクトンポリオール、ポリバレロラクトンポリオール、さらには、それらに上記した2価アルコールを共重合したラクトン系ポリオールなどが挙げられる。また、例えば、アジピン酸にグリコールを共重合させたアジピン酸系ポリエステルポリオールが挙げられる。
なお、ポリエステルポリオールの数平均分子量は、好ましくは、500〜4000、さらに好ましくは、800〜3000である。
また、高分子量ポリオールがポリエステルポリオールである場合、カルボジイミド基を有するカルボジイミド基含有化合物を、ポリエステルポリオールに添加することもできる。
カルボジイミド基含有化合物としては、例えば、特開平9−208649号公報に記載のカルボジイミドが挙げられる。より具体的な市販品としては、例えば、カルボジライト(日清紡績株式会社製)、スタバクゾールI(ラインケミー社製)、スタビライザー7000(RASCHIG GmbH製)などが挙げられる。
また、カルボジイミド基含有化合物は、例えば、ポリエステルポリオール100質量部に対して、0.01〜2質量部添加することが好ましい。
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、上記した2価アルコールを開始剤とするエチレンカーボネートの開環重合物や、例えば、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオールや1,6−ヘキサンジオールなどの2価アルコールと、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートやジフェニルカーボネートなどの炭酸エステルとの縮合反応により得られるポリカーボネートジオールや非晶性(常温液状)ポリカーボネートポリオールなどが挙げられる。
なお、ポリカーボネートポリオールの数平均分子量は、好ましくは、500〜3000、さらに好ましくは、800〜2000である。
これら高分子量ポリオールは、単独使用または2種類以上併用することができる。また、これらのうち、好ましくは、グリコールを共重合したアジピン酸系ポリエステルポリオール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリカーボネートポリオール、さらには非晶性ポリテトラメチレンエーテルグリコール、非晶性ポリカーボネートポリオールが挙げられる。さらに好ましくは、上記したポリテトラメチレンエーテルグリコール、非晶性ポリテトラメチレンエーテルグリコールであり、これらの数平均分子量は、1000〜3000が好適である。
これら高分子量ポリオールは、単独使用または2種類以上併用することができる。
高分子量ポリアミンは、アミノ基を2つ以上有する数平均分子量350以上、好ましくは、450以上の化合物であって、例えば、ポリオキシアルキレンエーテルジアミンなどのポリエーテルポリアミンが挙げられる。ポリエーテルポリアミンは、市販品としても入手可能であり、より具体的には、例えば、日本油脂製のPEG#1000ジアミンや、ハンツマン社製のJEFFAMINEシリーズ、さらには、BASF社のBaxxodurシリーズなどが挙げられる。
これら高分子量ポリアミンは、単独使用または2種類以上併用することができる。
低分子量活性水素基含有成分は、分子中に活性水素基(例えば、水酸基、アミノ基など)を含有する、数平均分子量350未満、好ましくは、450未満の化合物であって、架橋剤として用いられる。このような低分子量活性水素基含有成分は、必須成分として、1級ポリアミン化合物および2級ポリアミン化合物を含有している。
1級ポリアミン化合物は、1級アミノ基を2つ以上有するアミノ基含有有機化合物であって、下記一般式(1)で示される。
R1−(NH2)n (1)
(式(1)中、R1は、2価以上の炭化水素基を示し、nは、2以上の整数を示す。)
上記式(1)中、R1は、2価以上の炭化水素基であって、具体的には、例えば、総炭素数1〜15の脂環不含脂肪族炭化水素基、総炭素数3〜15の脂環含有脂肪族炭化水素基、および、総炭素数6〜15の芳香環含有炭化水素基などが挙げられる。
なお、R1は、その炭化水素基中に、例えば、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合などの安定な結合を含んでいてもよく、また、安定な官能基(後述)で置換されていてもよい。
R1において、総炭素数1〜15の脂環不含脂肪族炭化水素基としては、例えば、1〜6価の、直鎖状または分岐状の総炭素数1〜15の脂環不含脂肪族炭化水素基などが挙げられる。
上記式(1)において、R1が総炭素数1〜15の脂環不含脂肪族炭化水素基である1級ポリアミン化合物としては、例えば、総炭素数1〜15の脂肪族1級ポリアミンなどが挙げられる。
そのような脂肪族1級ポリアミンとしては、例えば、1,2−ジアミノエタン(エチレンジアミン)、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン(1,4−テトラメチレンジアミン)、1,5−ジアミノペンタン(1,5−ペンタメチレンジアミン)、1,6−ジアミノヘキサン(1,6−ヘキサメチレンジアミン)、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,12−ジアミノドデカン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、テトラメチレンジアミンなどの脂肪族1級ジアミン、例えば、1,2,3−トリアミノプロパン、トリアミノヘキサン、トリアミノノナン、トリアミノドデカン、1,8−ジアミノ−4−アミノメチルオクタン、1,3,6−トリアミノヘキサン、1,6,11−トリアミノウンデカン、3−アミノメチル−1,6−ジアミノヘキサンなどの脂肪族1級トリアミンなどが挙げられる。
R1において、総炭素数3〜15の脂環含有脂肪族炭化水素基としては、例えば、1〜6価の、総炭素数3〜15の脂環含有脂肪族炭化水素基などが挙げられる。
なお、脂環含有脂肪族炭化水素基は、その炭化水素基中に1つ以上の脂環式炭化水素を含有していればよく、例えば、その脂環式炭化水素に、例えば、脂環不含脂肪族炭化水素基などが結合していてもよい。このような場合には、1級ポリアミン化合物におけるアミノ基は、脂環式炭化水素に直接結合していてもよく、脂環式炭化水素に結合される脂環不含脂肪族炭化水素基に結合していてもよく、その両方であってもよい。
上記式(1)において、R1が総炭素数3〜15の脂環含有脂肪族炭化水素基である1級ポリアミン化合物としては、例えば、総炭素数3〜15の脂環族1級ポリアミンなどが挙げられる。
そのような脂環族1級ポリアミンとしては、例えば、ジアミノシクロブタン、イソホロンジアミン(3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミン)、1,2−ジアミノシクロへキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロへキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、4,4’−メチレンビス(シクロへキシルアミン)、4,4’−メチレンビス(2−メチルシクロへキシルアミン)、2,5−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、2,6−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、水添2,4−トリレンジアミン、水添2,6−トリレンジアミンなどの脂環族1級ジアミン、例えば、トリアミノシクロヘキサンなどの脂環族1級トリアミンなどが挙げられる。
R1において、総炭素数6〜15の芳香環含有炭化水素基としては、例えば、1〜6価の、総炭素数6〜15の芳香環含有炭化水素基などが挙げられる。
なお、芳香環含有炭化水素基は、その炭化水素基中に1つ以上の芳香族炭化水素を含有していればよく、例えば、その芳香族炭化水素に、例えば、脂環不含脂肪族炭化水素基などが結合していてもよい。このような場合には、1級ポリアミン化合物におけるアミノ基は、芳香族炭化水素に直接結合していてもよく、芳香族炭化水素に結合される脂環不含脂肪族炭化水素基に結合していてもよく、その両方であってもよい。
上記式(1)において、R1が総炭素数6〜15の芳香環含有炭化水素基である1級ポリアミン化合物としては、例えば、総炭素数6〜15の芳香族1級ポリアミン、総炭素数6〜15の芳香脂肪族1級ポリアミンなどが挙げられる。
そのような芳香族1級ポリアミンとしては、例えば、2,4−トリレンジアミン(2,4−ジアミノトルエン)、2,6−トリレンジアミン(2,6−ジアミノトルエン)、4,4’−ジフェニルメタンジアミン、2,4’−ジフェニルメタンジアミン、2,2’−ジフェニルメタンジアミン、4,4’−ジフェニルエーテルジアミン、2−ニトロジフェニル−4,4’−ジアミン、2,2’−ジフェニルプロパン−4,4’−ジアミン、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジアミン、4,4’−ジフェニルプロパンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、ナフチレン−1,4−ジアミン、ナフチレン−1,5−ジアミン、3,3’−ジメトキシジフェニル−4,4’−ジアミンなどの芳香族1級ジアミンなどが挙げられる。
また、芳香脂肪族1級ポリアミンとしては、例えば、1,3−ビス(アミノメチル)ベンゼン、1,4−ビス(アミノメチル)ベンゼン、1,3−テトラメチルキシリレンジアミン(1,3−ジ(2−アミノ−2−メチルエチル)ベンゼン)、1,4−テトラメチルキシリレンジアミン(1,4−ビス(2−アミノ−2−メチルエチル)ベンゼン)などの芳香脂肪族1級ジアミンなどが挙げられる。
上記式(1)において、R1に置換していてもよい官能基としては、例えば、ニトロ基、水酸基、メルカプト基、オキソ基、チオキソ基、シアノ基、カルボキシ基、アルコキシ−カルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などの総炭素数2〜4のアルコキシカルボニル基)、スルホ基、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素など)、低級アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、iso−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基など)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基など)、ハロゲノフェノキシ基(例えば、o−、m−またはp−クロロフェノキシ基、o−、m−またはp−ブロモフェノキシ基など)、低級アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、iso−プロピルチオ基、n−ブチルチオ基、tert−ブチルチオ基など)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基など)、低級アルキルスルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基など)、低級アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基など)、アリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニルなど)、低級アシル基(例えば、ホルミル基、アセチル基など)、アリールカルボニル基(例えば、ベンゾイル基など)などが挙げられる。
これらの官能基は、上記式(1)において、R1に複数置換していてもよく、また、官能基がR1に複数置換する場合には、各官能基は、互いに同一であっても、それぞれ異なっていてもよい。
上記式(1)において、nは、2以上の整数を示し、具体的には、例えば、2〜6の整数を示し、好ましくは、2を示す。
これら1級ポリアミン化合物は、単独使用または2種類以上併用することができる。
1級ポリアミン化合物として、好ましくは、脂肪族1級ポリアミン、脂環族1級ポリアミンが挙げられ、より好ましくは、脂環族1級ポリアミンが挙げられ、さらに好ましくは、脂環族1級ジアミンが挙げられる。
2級ポリアミン化合物は、2級アミノ基を2つ以上有するアミノ基含有有機化合物であって、下記一般式(2)で示される。
R1−(NHR2)n (2)
(式(2)中、R1およびnは、一般式(1)のR1およびnと同意義を示し、R2は、1価の炭化水素基を示す。)
上記式(2)中、R2は、1価の炭化水素基を示し、具体的には、例えば、炭素数1〜8のアルキル基などが挙げられる。
炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基(1−メチルプロピル基)、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、ヘプチル基、イソヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、2−エチルヘキシル基、1,2,2-トリメチルプロピル基などが挙げられる。これら炭素数1〜8のアルキル基は、単独使用または2種類以上併用することができる。炭素数1〜8のアルキル基として、好ましくは、炭素数3〜5のアルキル基が挙げられ、具体的には、例えば、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基(1−メチルプロピル基)、tert−ブチル基が挙げられ、より好ましくは、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基(1−メチルプロピル基)、tert−ブチル基などの炭素数3〜5の分岐アルキル基が挙げられる。
また、上記式(2)においてR1は、上記式(1)におけるR1と同意義であり、2価以上の炭化水素基を示す。具体的には、総炭素数1〜15の脂環不含脂肪族炭化水素基、総炭素数3〜15の脂環含有脂肪族炭化水素基、および、総炭素数6〜15の芳香環含有炭化水素基などが挙げられる。
R1において、総炭素数1〜15の脂環不含脂肪族炭化水素基としては、例えば、1〜6価の、直鎖状または分岐状の総炭素数1〜15の脂環不含脂肪族炭化水素基などが挙げられる。上記式(2)において、R1が総炭素数1〜15の脂環不含脂肪族炭化水素基である2級ポリアミン化合物としては、例えば、総炭素数1〜15の脂肪族2級ポリアミンなどが挙げられる。
そのような脂肪族2級ポリアミンとしては、例えば、N,N’−ジアルキル−1,2−ジアミノエタン(N,N’−ジアルキル−エチレンジアミン)、N,N’−ジアルキル−1,3−ジアミノプロパン、N,N’−ジアルキル−1,4−ジアミノブタン(N,N’−ジアルキル−1,4−テトラメチレンジアミン)、N,N’−ジアルキル−1,5−ジアミノペンタン(N,N’−ジアルキル−1,5−ペンタメチレンジアミン)、N,N’−ジアルキル−1,6−ジアミノヘキサン(N,N’−ジアルキル−1,6−ヘキサメチレンジアミン)、N,N’−ジアルキル−1,7−ジアミノヘプタン、N,N’−ジアルキル−1,8−ジアミノオクタン、N,N’−ジアルキル−1,9−ジアミノノナン、N,N’−ジアルキル−1,10−ジアミノデカン、N,N’−ジアルキル−1,12−ジアミノドデカン、N,N’−ジアルキル−2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、N,N’−ジアルキル−2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、N,N’−ジアルキル−テトラメチレンジアミンなどの脂肪族2級ジアミン、例えば、N,N’,N’’−トリアルキル−1,2,3−トリアミノプロパン、N,N’,N’’−トリアルキル−トリアミノヘキサン、N,N’,N’’−トリアルキル−トリアミノノナン、N,N’,N’’−トリアルキル−トリアミノドデカン、N,N’,N’’−トリアルキル−1,8−ジアミノ−4−アミノメチルオクタン、N,N’,N’’−トリアルキル−1,3,6−トリアミノヘキサン、N,N’,N’’−トリアルキル−1,6,11−トリアミノウンデカン、N,N’,N’’−トリアルキル−3−アミノメチル−1,6−ジアミノヘキサンなどの脂肪族2級トリアミンなどが挙げられる。なお、これら例示化合物中、「アルキル」とは、例えば、上記R2で示したアルキル基が挙げられる。
R1において、総炭素数3〜15の脂環含有脂肪族炭化水素基としては、例えば、1〜6価の、総炭素数3〜15の脂環含有脂肪族炭化水素基などが挙げられる。
なお、脂環含有脂肪族炭化水素基は、その炭化水素基中に1つ以上の脂環式炭化水素を含有していればよく、例えば、その脂環式炭化水素に、例えば、脂環不含脂肪族炭化水素基などが結合していてもよい。このような場合には、2級ポリアミン化合物におけるアミノ基は、脂環式炭化水素に直接結合していてもよく、脂環式炭化水素に結合される脂環不含脂肪族炭化水素基に結合していてもよく、その両方であってもよい。
上記式(1)において、R1が総炭素数3〜15の脂環含有脂肪族炭化水素基である1級ポリアミン化合物としては、例えば、総炭素数3〜15の脂環族2級ポリアミンなどが挙げられる。
そのような脂環族2級ポリアミンとしては、例えば、N,N’−ジアルキル−ジアミノシクロブタン、N,N’−ジアルキル−イソホロンジアミン(N,N’−ジアルキル−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミン)、N,N’−ジアルキル−1,2−ジアミノシクロへキサン、N,N’−ジアルキル−1,3−ジアミノシクロヘキサン、N,N’−ジアルキル−1,4−ジアミノシクロヘキサン、N,N’−ジアルキル−1,3−ビス(アミノメチル)シクロへキサン、N,N’−ジアルキル−1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、N,N’−ジアルキル−4,4’−メチレンビス(シクロへキシルアミン)(別名4,4’−メチレンビス(N−アルキルシクロへキサンアミン))、N,N’−ジアルキル−4,4’−メチレンビス(2−メチルシクロへキシルアミン)(別名4,4’−メチレンビス(2−メチル−N−アルキルシクロへキサンアミン))、N,N’−ジアルキル−2,5−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、N,N’−ジアルキル−2,6−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、N,N’−ジアルキル−水添2,4−トリレンジアミン、N,N’−ジアルキル−水添2,6−トリレンジアミンなどの脂環族2級ジアミン、例えば、N,N’,N’’−トリアルキル−トリアミノシクロヘキサンなどの脂環族2級トリアミンなどが挙げられる。なお、これら例示化合物中、「アルキル」とは、例えば、上記R2で示したアルキル基が挙げられる。
R1において、総炭素数6〜15の芳香環含有炭化水素基としては、例えば、1〜6価の、総炭素数6〜15の芳香環含有炭化水素基などが挙げられる。
なお、芳香環含有炭化水素基は、その炭化水素基中に1つ以上の芳香族炭化水素を含有していればよく、例えば、その芳香族炭化水素に、例えば、脂環不含脂肪族炭化水素基などが結合していてもよい。このような場合には、2級ポリアミン化合物におけるアミノ基は、芳香族炭化水素に直接結合していてもよく、芳香族炭化水素に結合される脂環不含脂肪族炭化水素基に結合していてもよく、その両方であってもよい。
上記式(1)において、R1が総炭素数6〜15の芳香環含有炭化水素基である2級ポリアミン化合物としては、例えば、総炭素数6〜15の芳香族2級ポリアミン、総炭素数6〜15の芳香脂肪族2級ポリアミンなどが挙げられる。
そのような芳香族2級ポリアミンとしては、例えば、N,N’−ジアルキル−2,4−トリレンジアミン(N,N’−ジアルキル−2,4−ジアミノトルエン)、N,N’−ジアルキル−2,6−トリレンジアミン(N,N’−ジアルキル−2,6−ジアミノトルエン)、N,N’−ジアルキル−4,4’−ジフェニルメタンジアミン、N,N’−ジアルキル−2,4’−ジフェニルメタンジアミン、N,N’−ジアルキル−2,2’−ジフェニルメタンジアミン、N,N’−ジアルキル−4,4’−ジフェニルエーテルジアミン、N,N’−ジアルキル−2−ニトロジフェニル−4,4’−ジアミン、N,N’−ジアルキル−2,2’−ジフェニルプロパン−4,4’−ジアミン、N,N’−ジアルキル−3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジアミン、N,N’−ジアルキル−4,4’−ジフェニルプロパンジアミン、N,N’−ジアルキル−m−フェニレンジアミン、N,N’−ジアルキル−p−フェニレンジアミン、ナフチレン−1,4−ジアミン、N,N’−ジアルキル−ナフチレン−1,5−ジアミン、N,N’−ジアルキル−3,3’−ジメトキシジフェニル−4,4’−ジアミンなどの芳香族2級ジアミンなどが挙げられる。なお、これら例示化合物中、「アルキル」とは、例えば、上記R2で示したアルキル基が挙げられる。
また、芳香脂肪族2級ポリアミンとしては、例えば、N,N’−ジアルキル−1,3−ビス(アミノメチル)ベンゼン、N,N’−ジアルキル−1,4−ビス(アミノメチル)ベンゼン、N,N’−ジアルキル−1,3−テトラメチルキシリレンジアミン(N,N’−ジアルキル−1,3−ジ(2−アミノ−2−メチルエチル)ベンゼン)、N,N’−ジアルキル−1,4−テトラメチルキシリレンジアミン(N,N’−ジアルキル−1,4−ビス(2−アミノ−2−メチルエチル)ベンゼン)などの芳香脂肪族2級ジアミンなどが挙げられる。なお、これら例示化合物中、「アルキル」とは、例えば、上記R2で示したアルキル基が挙げられる。
これら2級ポリアミン化合物は、単独使用または2種類以上併用することができる。
2級ポリアミン化合物として、好ましくは、脂肪族2級ポリアミン、脂環族2級ポリアミンが挙げられ、より好ましくは、脂環族2級ポリアミンが挙げられ、さらに好ましくは、脂環族2級ジアミンが挙げられる。
なお、このような2級ポリアミン化合物は、例えば、市販品として入手することができ、また、例えば、上記式(1)で示される1級ポリアミン化合物と、R2OHで示されるアルコール(R2は、上記式(2)のR2と同義)との縮合反応などにより得ることもできる。
そして、本発明において、1級ポリアミン化合物および2級ポリアミン化合物は、上記一般式(1)におけるR1と、上記一般式(2)におけるR1とが、互いに同一である。
すなわち、上記一般式(1)におけるR1の部分と、上記一般式(2)におけるR1の部分とが、互いに同一となるように、1級ポリアミン化合物および2級ポリアミン化合物が、それぞれ選択して用いられる。
換言すれば、1級ポリアミン化合物において、複数の1級アミノ基が結合される部分の分子骨格と、2級ポリアミン化合物において、複数の2級アミノ基が結合される部分の分子骨格とが、互いに同一である。
上記一般式(1)におけるR1と、上記一般式(2)におけるR1とが、互いに同一であれば、優れた機械物性および耐光性を備える成形品を、生産性よく得ることができる。
また、これにより樹脂の硬度発現性が向上するため、成形品を金型から取出すまでに要する時間を短縮することができる。さらに、硬化物の軟化温度が高くなるため、養生時の加熱温度を高めることが可能となり、その結果、養生工程に必要な時間を短縮することができる。
1級ポリアミン化合物および2級ポリアミン化合物として、好ましくは、1級ポリアミン化合物が脂環族1級ポリアミンであり、かつ、2級ポリアミン化合物が脂環族2級ポリアミンであることが挙げられる。より好ましくは、1級ポリアミン化合物が脂環族1級ジアミンであり、かつ、2級ポリアミン化合物が脂環族2級ジアミンであることが挙げられる。さらに好ましくは、1級ポリアミン化合物がイソホロンジアミンであり、かつ、2級ポリアミン化合物がN,N’−ジアルキル−イソホロンジアミンであることが挙げられる。また、N,N’−ジアルキル−イソホロンジアミンとして、好ましくは、N,N’−ジイソプロピル−イソホロンジアミンが挙げられる。
1級ポリアミン化合物がイソホロンジアミンであり、かつ、2級ポリアミン化合物がN,N’−ジアルキル−イソホロンジアミンであれば、とりわけ優れた機械物性および耐光性を備える成形品を得ることができる。
低分子量活性水素基含有成分において、1級ポリアミン化合物の含有割合は、1級ポリアミン化合物および2級ポリアミン化合物の総量100質量部に対して、例えば、4質量部以上、好ましくは、7質量部以上、より好ましくは、9質量部以上であり、例えば、35質量部以下、好ましくは、30質量部以下、より好ましくは、20質量部以下である。また、2級ポリアミン化合物の含有割合は、1級ポリアミン化合物および2級ポリアミン化合物の総量100質量部に対して、例えば、65質量部以上、好ましくは、70質量部以上、より好ましくは、80質量部以上であり、例えば、96質量部以下、好ましくは、93質量部以下、より好ましくは、91質量部以下である。
1級ポリアミン化合物の含有割合が上記下限以上であれば、とりわけ優れた機械物性および耐光性を備える成形品を得ることができ、また、1級ポリアミン化合物の含有割合が上記上限以下であれば、成形品をより生産性よく得ることができる。
また、低分子量活性水素基含有成分は、本発明の優れた効果を阻害しない範囲で、上記した低分子量ポリオールを含むこともできる。
低分子量活性水素基含有成分が低分子量ポリオールを含む場合において、その含有割合は、低分子量活性水素基含有成分の総量100質量部に対して、低分子量ポリオールが、例えば、10質量部以下、好ましくは、5質量部以下である。
また、低分子量活性水素基含有成分(総量)の質量基準における配合割合は、高分子量活性水素基含有成分100質量部に対して、例えば、20質量部以上、好ましくは、25質量部以上であり、例えば、60質量部以下、好ましくは、55質量部以下である。
また、低分子量活性水素基含有成分(総量)のモル基準における配合割合は、高分子量活性水素基含有成分100モルに対して、例えば、70モル以上、好ましくは、90モル以上であり、例えば、280モル以下、好ましくは、250モル以下である。
また、熱硬化性ポリウレタンウレア樹脂組成物には、必要に応じて、他の公知の添加剤、例えば、耐熱安定剤、耐光安定剤(紫外線吸収剤)、可塑剤、ブロッキング防止剤、離型剤、さらには、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、染料、滑剤、フィラー、加水分解防止剤、防錆剤、充填剤などを添加することができる。これら添加剤は、上記各成分の合成時に添加してもよく、あるいは、各成分の混合時(後述)に添加してもよい。
耐熱安定剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系熱安定剤、ラクトン系熱安定剤、イオウ系熱安定剤などが挙げられる。これら耐熱安定剤の市販品としては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤として、例えば、IRGANOX1010、IRGANOX1035、IRGANOX1076、IRGANOX1098、IRGANOX1135、IRGANOX1222、IRGANOX1425WL、IRGANOX1520L、IRGANOX245、IRGANOX3790など(いずれも、BASF社製)、例えば、スミライザーGA−80(住友化学社製)などが挙げられる。また、リン系熱安定剤として、例えば、JP−302、JP−308、JP−308E、JP−310、JP−312L、JP−333E、JP−318O、JPS−312、JPP−13R、JP−318Eなど(いずれも城北化学工業社製)、IRGAFOS168、IRGAFOS126、IRGAFOSP−EPQ、IRGAFOS38など(いずれも、BASF社製)、アデカスタブPEP−4C、アデカスタブPEP−8、アデカスタブ1500、アデカスタブ3010など(いずれもADEKA社製)、スミライザーGP(住友化学社製)などが挙げられる。
耐光安定剤(紫外線吸収剤)としては、例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾエート系光安定剤、フォルムアミジン系化合物、ヒンダードアミン系光安定剤などが挙げられる。これら耐光安定剤の市販品としては、例えば、TINUVIN P、TINUVIN234、TINUVIN326、TINUVIN327、TINUVIN328、TINUVIN329、TINUVIN571、TINUVIN144、TINUVIN765、TINUVINB75など(いずれも、BASF社製)あるいは、アデカスタブLA−52、LA−62、LA−72(いずれも、ADEKA社製)あるいは、Zikasorb R、Zikasorb BS、ZIKA−FA02、ZIKA−FUA、ZIKA−FUV、ZIKA−UVS3、ZIKA−UVS4など(いずれも、ZIKO社製)が挙げられる。
これら耐熱安定剤および耐光安定剤は、熱硬化性ポリウレタンウレア樹脂組成物に対して、例えば、0.01〜1.2質量%、好ましくは、0.1〜1質量%となる割合で、それぞれ添加される。
なお、熱硬化性ポリウレタンウレア樹脂組成物において、イソシアネート成分、高分子量活性水素基含有成分および低分子量活性水素基含有成分(さらには、必要により添加剤)の含有割合は、詳しくは後述するが、各成分の反応方法および条件に応じて、適宜設定される。
このような熱硬化性ポリウレタンウレア樹脂組成物によれば、1級ポリアミン化合物および2級ポリアミン化合物が、低分子量活性水素基含有成分として用いられているため、優れた機械物性および耐光性を備える成形品を、生産性よく得ることができる。
より具体的には、上記熱硬化性ポリウレタンウレア樹脂組成物を、例えば、ワンショット法やプレポリマー法などの公知の方法により反応させるとともに、公知の方法で成形し、熱により硬化させることにより、熱硬化性ポリウレタンウレア樹脂(硬化物)からなる成形品を製造することができる。
ワンショット法では、イソシアネート成分と、高分子量活性水素基含有成分および低分子量活性水素基含有成分とを、高分子量活性水素基含有成分および低分子量活性水素基含有成分の活性水素基(水酸基およびアミノ基)に対する、イソシアネート成分のイソシアネート基の当量比(イソシアネート基/活性水素基)が、例えば、0.9〜1.2、好ましくは、0.95〜1.1、さらに好ましくは、0.98〜1.08となる割合で、同時に配合して撹拌混合する。
この撹拌混合は、例えば、不活性ガス(例えば、窒素)雰囲気下、反応温度15〜120℃、好ましくは、25〜80℃で、混合時間3秒〜15分程度実施する。
撹拌混合の方法としては、特に制限されないが、例えば、ディスパー、ディゾルバー、タービン翼のような混合装置、循環式の高圧衝突混合装置、高速撹拌ミキサー、スタティックミキサーなど、公知の混合装置を用いて撹拌混合する方法が挙げられる。好ましくは、事前に各原料から残存する空気を十分に取り除いた上で、高圧衝突混合装置やスタティックミキサーを使用して混合する方法が挙げられる。
また、撹拌混合時には、必要により、アミン類や金属系化合物などの触媒や、溶媒を添加することができる。
触媒としては、好ましくは、有機金属化合物が挙げられ、そのような有機金属化合物として、例えば、酢酸錫、オクチル酸錫、オレイン酸錫、ラウリル酸錫、ビスネオデカン酸錫、ジブチル錫ジアセテート、ジメチル錫ジラウレート、ジメチル錫ジネオデカノエート、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウリレート、ジオクチル錫ジアセテート、ジオクチル錫バーサテート、モノオクチル錫トリ(カルボキシレート)、ジブチル錫ジクロライドなどの錫系触媒、例えば、オクタン酸鉛、ナフテン酸鉛などの鉛系触媒、例えば、ナフテン酸ニッケルなどのニッケル系触媒、例えば、ナフテン酸コバルトなどのコバルト系触媒、例えば、オクテン酸銅などの銅系触媒、さらには、公知のビスマス系触媒などが挙げられる。
これら触媒は、単独使用または2種類以上併用することができる。
触媒の配合割合は、例えば、高分子量活性水素基含有成分100質量部に対して、例えば、0.001〜0.5質量部、好ましくは、0.01〜0.3質量部である。
そして、得られた混合物を金型内などにおいて加熱し、熱硬化させる。
加熱条件(硬化条件)は、加熱温度が、例えば、30℃以上、好ましくは、40℃以上であり、例えば、100℃以下、好ましくは、80℃以下であり、圧力条件が、例えば、0.1MPa以上、好ましくは、3MPa以上であり、例えば、50MPa以下、好ましくは、30MPa以下である。また、金型内で加熱する時間が、例えば、30秒以上、好ましくは、3分以上であり、例えば、30分以下、好ましくは、15分以下である。
さらに、金型から取り外した硬化物を養生加熱することもできる。そのような場合、養生加熱する条件は、加熱温度が、例えば25℃以上、好ましくは、40℃以上であり、例えば、80℃以下、好ましくは、60℃以下である。また、加熱時間は、例えば1時間以上、好ましくは、5時間以上であり、例えば、24時間以下、好ましくは、10時間以下である。
また、プレポリマー法では、まず、イソシアネート成分と、高分子量活性水素基含有成分とを反応させて、イソシアネート基末端プレポリマーを合成し、次いで、そのイソシアネート基末端プレポリマーと低分子量活性水素基含有成分とを反応させる。
イソシアネート基末端プレポリマーを合成するには、高分子量活性水素基含有成分の活性水素基(水酸基)に対する、イソシアネート成分のイソシアネート基の当量比(イソシアネート基/活性水素基)が、1.0を超過する割合、例えば、1.1〜20、好ましくは、1.3〜10、さらに好ましくは、1.3〜6となる割合で、同時に配合し、撹拌混合して反応させる。
この反応は、例えば、不活性ガス(例えば、窒素)雰囲気下、反応温度40〜150℃で、反応時間30秒〜8時間程度、ポリイソシアネート成分と、高分子量活性水素基含有成分とを攪拌混合する。また、反応には、必要により、上記した触媒や溶媒を添加することができる。
得られるイソシアネート基末端プレポリマーのイソシアネート基濃度は、例えば、3質量%以上、好ましくは、5質量%以上であり、例えば、30質量%以下、好ましくは、25質量%以下である。
また、得られるイソシアネート基末端プレポリマーの25℃における粘度(JIS K7117−2(1999)付属書Bの方法に準拠)は、例えば、500mPa・s以上、好ましくは、1500mPa・s以上であり、例えば、20000mPa・s以下、好ましくは、15000mPa・s以下である。
イソシアネート基末端プレポリマーの粘度が上記範囲であれば、生産性の向上を図ることができる。
次いで、イソシアネート基末端プレポリマーと低分子量活性水素基含有成分とを、イソシアネート基末端プレポリマーのイソシアネート基に対する低分子量活性水素基含有成分の活性水素基(アミノ基および水酸基)の当量比(活性水素基/イソシアネート基)が、例えば、0.9〜1.2、好ましくは、0.95〜1.1、さらに好ましくは、0.98〜1.08となる割合で配合し、撹拌混合する。
この撹拌混合は、例えば、反応温度15〜120℃、好ましくは、25〜90℃、さらに好ましくは、35〜70℃で、反応時間3秒〜10分程度実施する。また、攪拌混合時には、必要により、上記した触媒や溶媒を添加することができる。
なお、プレポリマー法における撹拌混合の方法としては、例えば、上記した撹拌混合の方法が挙げられる。
そして、得られた混合物を金型内などにおいて加熱し、熱硬化させる。
加熱条件(硬化条件)は、加熱温度が、例えば、30℃以上、好ましくは、40℃以上であり、例えば、100℃以下、好ましくは、80℃以下であり、圧力条件が、例えば、0.1MPa以上、好ましくは、3MPa以上であり、例えば、50MPa以下、好ましくは、30MPa以下である。また、加熱時間が、例えば、30秒以上、好ましくは、3分以上であり、例えば、30分以下、好ましくは、15分以下である。
さらに、金型から取り外した硬化物を養生加熱することもできる。そのような場合、養生加熱する条件は、加熱温度が、例えば25℃以上、好ましくは、40℃以上であり、例えば、80℃以下、好ましくは、60℃以下である。また、加熱時間は、例えば1時間以上、好ましくは、5時間以上であり、例えば、24時間以下、好ましくは、10時間以下である。
そして、このような反応により成形品を得るには、例えば、反応射出成形法、スプレー工法などが採用される。
反応射出成形法では、公知の反応射出成形装置を用いて、上記したように熱硬化性ポリウレタンウレア樹脂組成物を反応させる。
なお、公知の反応射出成形装置とは、例えば、第1成分を供給するための第1供給タンク(1)と、第2成分を供給するための第2供給タンク(2)と、第1成分および第2成分を混合し、その混合物を金型に射出するためのミキシングヘッド(3)と、金型(4)とを、少なくとも備えている装置である。
第1成分としては、ワンショット法が採用される場合には、例えば、イソシアネート成分が挙げられ、プレポリマー法が採用される場合には、例えば、イソシアネート基末端プレポリマーが挙げられる。
また、第2成分としては、上記第1成分と反応する成分であり、ワンショット法が採用される場合には、例えば、高分子量活性水素基含有成分および低分子量活性水素基含有成分の混合成分が挙げられ、また、プレポリマー法が採用される場合には、例えば、低分子量活性水素基含有成分(単独使用)や、高分子量活性水素基含有成分であるポリエーテルアミンと低分子量活性水素基含有成分との混合成分が挙げられる。
そして、反応射出成形法では、具体的には、まず、第1供給タンク(1)から第1成分を、第2供給タンク(2)から第2成分を、ミキシングヘッド(3)にそれぞれ供給する。このとき、第1成分および第2成分の温度を、例えば、5〜80℃に調整しておく。また、第1成分および第2成分に溶解している気体成分や巻き込まれている気泡を、例えば、減圧下での吸引や遠心分離、更にはこれらを組み合わせた方法で、予め取り除いておくことで、硬化物に発生する気泡の量を低減することができる。
また、混合時において、第2成分中の活性水素基に対する第1成分中のイソシアネート基のモル比を百分率で表わしたインデックス(INDEX)は、例えば、80〜120であり、好ましくは、95〜105に設定される。
次いで、ミキシングヘッド(3)で、第1成分および第2成分を攪拌混合し、金型(4)に、例えば、50〜2500g/secの射出速度で射出する。また、金型(4)は、予め、例えば、10〜30MPaで加圧し、例えば、60〜80℃に加熱しておく。さらに、必要により、成形品の脱型性を向上すべく、金型(4)の成形面に、例えば、水系ワックスエマルジョンなどの離型剤を塗布しておく。
そして、第1成分および第2成分を金型(4)に射出後、例えば、1〜3分間、金型(4)内で第1成分および第2成分を反応させ、上記硬化条件で熱硬化させる。その後、金型(4)を常温常圧になるまで冷却減圧し、金型(4)から反応射出成形品を脱型させて、反応射出成形品を得る。
このような反応射出成形法によれば、成形品を、より簡易に所望の形状に成形することができ、生産効率の向上を図ることができる。
また、スプレー工法では、上記した熱硬化性ポリウレタンウレア樹脂組成物をスプレー塗布して反応させ、塗膜として成形品を得る。
より具体的には、この方法では、例えば、ワンショット法が採用される場合には、まず、イソシアネート成分、高分子量活性水素基含有成分および低分子量活性水素基含有成分の混合液を調製する。また、プレポリマー法が採用される場合には、イソシアネート基末端プレポリマーおよび低分子量活性水素基含有成分の混合液を調製する。
次いで、得られた混合液を、公知のスプレー装置により液滴状にして金型にスプレー塗布し、その金型内において上記した硬化条件で熱硬化させる。
このような方法によれば、金型上に比較的薄い塗膜を均一に形成することができる。そのため、比較的肉厚が薄い成形品の製造において、好適に用いられる。
そして、本発明の熱硬化性ポリウレタンウレア樹脂組成物によれば、優れた機械物性および耐光性を備える成形品を、生産性よく得ることができる。
具体的には、上記した熱硬化性ポリウレタンウレア樹脂組成物は、流動性に優れており、25℃における粘度(JIS K7117−2(1999)付属書Bの方法に準拠)は、例えば、1000mPa・s以上、好ましくは、2000mPa・s以上であり、例えば、18000mPa・s以下、好ましくは、13500mPa・s以下である。
熱硬化性ポリウレタンウレア樹脂組成物の粘度が上記範囲であれば、混合装置などを閉塞させることなく、効率よく混合することができるため、生産性よく成形品を得ることができる。
また、上記の熱硬化性ポリウレタンウレア樹脂組成物は、硬化速度にも優れており、例えば、熱硬化性ポリウレタンウレア樹脂組成物を5cm×5cm×0.5cmの角型容器に注入し、60℃で5分間加熱した後、25Nの圧子を10秒間押し付けたのち、23℃50%RH環境下において1時間放置した後の圧痕の深さが、例えば、0.7mm以下、好ましくは、0.1mm以下、より好ましくは、0mmである。
熱硬化性ポリウレタンウレア樹脂組成物の硬化速度が速ければ、生産性よく成形品を得ることができる。
また、熱硬化性ポリウレタンウレア樹脂組成物の硬化により得られる成形品(熱硬化性ポリウレタンウレア樹脂)は、その低分子量活性水素基含有化合物とイソシアネートの反応によって得られるウレア基の濃度が、例えば、0.8mmol/g以上、好ましくは、1.0mmol/g以上であり、例えば、2.3mmol/g以下、好ましくは、2.0mmol/g以下である。
ウレア基濃度が上記範囲であれば、機械物性および耐光性に優れる成形品を得ることができる。
そして、このような熱硬化性ポリウレタンウレア樹脂組成物を用いて得られる成形品は、優れた機械物性および耐光性を備え、生産性にも優れる。
具体的には、成形品は、硬度に優れており、例えば、厚み2mmのシート状に成形した成形品を、5枚積み重ねて測定される硬度(ショアA硬度およびショアD硬度)は、例えば、70A以上、好ましくは、85A以上であり、例えば、65D以下、好ましくは、57D以下である。
また、成形品の、JIS K7312(1996)に準拠(JIS−3号ダンベル、標線間20mm、引張速度300mm/分)して測定される引張強度は、例えば、15MPa以上、好ましくは、25MPa以上であり、例えば、60MPa以下、好ましくは、55MPa以下であり、破断伸度は、例えば、200%以上、好ましくは、300%以上であり、例えば、700%以下、好ましくは、600%以下である。
また、成形品は、耐擦過傷性にも優れており、物理的衝撃により生じる傷の低減を図ることができる。
また、成形品の成形直後のイエローインデックス(YI)は、例えば、−80以上、好ましくは、−70以上であり、例えば、−45以下、好ましくは、−60以下である。
さらに、成形品は、耐光性にも優れており、例えば、89℃で500時間キセノン照射試験(照度100W/m2、波長300〜400nm(アウターフィルター#320タイプ)を実施する前後において、イエローインデックスの差ΔYIが、例えば、0.1以上、好ましくは、0.2以上であり、例えば、2.5以下、好ましくは、1.5以下である。
また、本発明の成形品は、樹脂成分として、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の樹脂成分や、例えば、酸化亜鉛、酸化チタン、青色顔料などの顔料成分、例えば、炭酸カルシウムや硫酸バリウムなどの比重調整剤、さらに、例えば、老化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、蛍光材料、蛍光増白剤などを含有することもできる。
そして、このような成形品は、例えば、カバー材として好適に用いられる。
カバー材は、例えば、上記の熱硬化性ポリウレタンウレア樹脂組成物を、例えば、特定の金型を用いた熱圧縮成形や、被カバー部材(ゴルフボールのコア層など)に直接射出成形すること、あるいは、スプレー工法により塗膜成形することにより、得ることができる。
また、カバー材の厚みは、例えば、1.0mm以下、好ましくは、0.9mm以下、より好ましくは、0.6mm以下、通常、0.3mm以上である。
カバー材の厚みが上記下限以下であれば、例えば、カバー材をゴルフボールのコアのカバー材として用いる場合に、コアの外径を大きくできるため、ゴルフボールの反発性能を向上させることができる。
このようにして得られるカバー材として、具体的には、例えば、ゴルフボールのコアのカバー、サッカー、野球、バスケットあるいはバレーボールのカバー材、車両のギアノブのカバー、ドアシールカバー、テールランプカバー、バネカバー、コンソールボックスカバー、電線、光ファイバーのケーブルカバー、キーボードカバー、オーディオカバー、テニスラケット等スポーツ用品のグリッブカバー、ドアミラーカバー、チューブ、ホースなどの各種カバーが挙げられる。好ましくは、成形品は、ゴルフボールのコア層のカバー材として用いられる。
本発明の成形品は、機械物性、耐光性および生産性に優れるため、ゴルフボールのコア層のカバーとして用いれば、黄変性が少なく、さらに、スピン性、コントロール性の他、耐擦過傷性や生産性に優れたゴルフボールを提供することができる。
また、本発明の成形品を、例えば、ギアノブカバー、ドアシールカバー、ケーブルカバー、キーボードカバー、オーディオカバー、グリップカバーなどとして用いれば、黄変性が少なく、耐擦過傷性や生産性に優れた各種カバーを提供することができる。
なお、本発明の成形品は、上記のカバー材に限定されず、例えば、車載用の照明パネル、ヘッドライトレンズ、ヘッドライトおよびテールライトのランプカバー、光学素子、光ディスク、有機ELやLEDなどの光学材料、看板などの電飾、光ファイバ、ガラス代替品、合わせガラスの中間膜、航空機等の風防、大型水槽壁、透明屋根材、グレージング材料、日用品の透明部材、透明レンズ、眼鏡レンズ、カメラレンズ、ピックアップレンズ、コンタクトレンズ、サングラスレンズ、偏光レンズなどとして使用される光学レンズなど、光学用部品や電子部品、自動車部品、機械・産業部品、電線・ケーブル、ロール、ホース・チューブ、ベルト、フィルム・シート、ラミネート品、弾性舗装材、土木建築材料、海洋物品への各種基材へのコーティング、接着剤、シール材、シーラント、ゴルフボールのコア材、バスケットボール、ソフトボール、テント、スキー靴などのスポーツ・レジャー用品、靴関連部品、雑貨、介護用品、住宅用品、医療、建材、土木関連、防水材・舗装材、発泡体、スラッシュパウダー、ロボット部材、弾性衣料、弾性繊維、不織布、さらには、製紙、鉄鋼、プリンター、コピー、液晶、PDP、有機ELなどの製造に関わるロール、化学あるいは物理発泡ウレタン製品、マイクロセルラー、光学用シート、フィルム、クリーニングブレード、スキージー、さらには、緩衝材、自己修復材料、トラック、床材、新幹線、船舶、リニアーモーターなどのパッキン、シール材、シューズのソール、インナー、アウター部材、ウレタンディスク、クッションボード、トルクリミッター、ピンチローラー、プレスロールなどの各種産業分野において、用いることができる。
次に、本発明を、実施例および比較例に基づいて説明するが、本発明は、下記の実施例によって限定されるものではない。また、以下の説明において、特に言及がない限り、「部」および「%」は質量基準である。なお、以下に示す実施例の数値は、実施形態において記載される対応する数値(すなわち、上限値または下限値)に代替することができる。
1.原料
(1)ポリイソシアネート
製造例1(ポリイソシアネートAの製造)
国際公開WO2009/051114号の製造例3に従って、ポリイソシアネートAとして1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを合成した。
すなわち、まず、13C−NMR測定によるトランス/シス比が93/7の1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(三菱瓦斯化学社製)を原料として、冷熱2段ホスゲン化法を加圧下で実施した。
電磁誘導撹拌機、自動圧力調整弁、温度計、窒素導入ライン、ホスゲン導入ライン、凝縮器および原料フィードポンプを備え付けたジャケット付き加圧反応器に、オルトジクロロベンゼン2500質量部を仕込んだ。次いで、ホスゲン1425質量部をホスゲン導入ラインより加え撹拌を開始した。反応器のジャケットには冷水を通し、内温を約10℃に保った。そこへ、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン400質量部をオルトジクロロベンゼン2500質量部に溶解した溶液を、フィードポンプにて60分かけてフィードし、30℃以下、常圧下で冷ホスゲン化を実施した。フィード終了後、フラスコ内は淡褐白色スラリー状液となった。
次いで、反応器内液を60分で140℃に昇温しながら0.25MPaに加圧し、さらに圧力0.25MPa、反応温度140℃で2時間熱ホスゲン化した。また、熱ホスゲン化の途中でホスゲンを480質量部追加した。熱ホスゲン化の過程でフラスコ内液は淡褐色澄明溶液となった。熱ホスゲン化終了後、100〜140℃で窒素ガスを100L/時で通気し、脱ガスした。
次いで、減圧下で溶媒のオルトジクロルベンゼンを留去した後、ガラス製フラスコに、充填物(住友重機械工業株式会社製、商品名:住友/スルザーラボパッキングEX型)を4エレメント充填した蒸留管、還流比調節タイマーを装着した蒸留塔(柴田科学株式会社製、商品名:蒸留頭K型)および冷却器を装備する精留装置を用いて、138〜143℃、0.7〜1KPaの条件下、さらに還流しながら精留し、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン1(以下、1,4−BIC1とする。)382質量部を得た。
得られた1,4−BIC1のガスクロマトグラフィー測定による純度は99.9%、13C−NMR測定によるトランス/シス比は93/7であった。加水分解性塩素(HC)は19ppmであった。
また、13C−NMR測定によるトランス/シス比が41/59の1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(東京化成工業社製)を原料として、1,4−BIC1と同様の方法にて388質量部の1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン2(以下、1,4−BIC2とする。)を得た。
得られた1,4−BIC2のガスクロマトグラフィー測定による純度は99.9%、13C−NMR測定によるトランス/シス比は41/59であった。HCは22ppmであった。
そして、攪拌機、温度計、還流管、および、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、1,4−BIC1を750質量部、1,4−BIC2を250質量部装入し、窒素雰囲気下、室温にて1時間撹拌した。これにより1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンの混合物として、ポリイソシアネートAを得た。
得られたポリイソシアネートAのガスクロマトグラフィー測定による純度は99.9%であり、13C−NMR測定によるトランス/シス比(1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンのトランス/シス比。以下同様。)はモル基準で80/20であった。
製造例2(ポリイソシアネートBの製造)
1,4−BIC1を865質量部、1,4−BIC2を135質量部配合した以外は、製造例1と同様にしてポリイソシアネートBを得た。
得られたポリイソシアネートBのガスクロマトグラフィー測定による純度は99.9%であり、13C−NMR測定によるトランス/シス比はモル基準で86/14であった。
製造例3(ポリイソシアネートCの製造)
1,4−BIC1を、そのままポリイソシアネートCとした。
すなわち、ポリイソシアネートCのガスクロマトグラフィー測定による純度は99.9%、13C−NMR測定によるトランス/シス比は93/7であった。加水分解性塩素(HC)は19ppmであった。
製造例4(ポリイソシアネートDの製造)
13C−NMR測定によるトランス/シス比が97/3の1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンを原料として用いた以外は、1,4−BIC1の製造と同様に冷熱2段ホスゲン化法を加圧下で実施し、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンを得た。この1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンをポリイソシアネートDとした。
得られたポリイソシアネートDのガスクロマトグラフィー測定による純度は99.9%であり、13C−NMR測定によるトランス/シス比はモル基準で97/3であった。
製造例5(ポリイソシアネートEの製造)
1,4−BIC1を557質量部、1,4−BIC2を443質量部配合した以外は、製造例1と同様にしてポリイソシアネートEを得た。
得られたポリイソシアネートEのガスクロマトグラフィー測定による純度は99.9%であり、13C−NMR測定によるトランス/シス比はモル基準で65/35であった。
製造例6(ポリイソシアネートFの製造)
1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(三井化学社製、商品名:タケネート600)を、ポリイソシアネートFとした。
ポリイソシアネートFのガスクロマトグラフィー測定による純度は99.9%であり、13C−NMR測定によるトランス/シス比は26/74であった。
製造例7(ポリイソシアネートGの製造)
国際公開WO2012/121291号の実施例1に従って得られた1,5−ペンタメチレンジイソシアネートを用いて、同公報の実施例7に従って、1,5−ペンタメチレンジイソシアネート変性体を合成した。
すなわち、電磁誘導撹拌機、自動圧力調整弁、温度計、窒素導入ライン、ホスゲン導入ライン、凝縮器、原料フィードポンプを備え付けたジャケット付き加圧反応器に、o−ジクロロベンゼン2000質量部を仕込んだ。次いで、ホスゲン2300質量部をホスゲン導入ラインから加え、撹拌を開始した。反応器のジャケットには冷水を通し、内温を約10℃に保った。そこへ、ペンタメチレンジアミン400質量部をo−ジクロロベンゼン2600質量部に溶解した溶液を、フィードポンプにて60分かけてフィードし、30℃以下、常圧下で冷ホスゲン化を開始した。フィード終了後、加圧反応器内は淡褐白色スラリー状液となった。
次いで、反応器の内液を徐々に160℃まで昇温しながら、0.25MPaに加圧し、さらに圧力0.25MPa、反応温度160℃で90分間熱ホスゲン化した。なお、熱ホスゲン化の途中で、ホスゲン1100質量部を、さらに添加した。熱ホスゲン化の過程で、加圧反応器内液は、淡褐色澄明溶液となった。熱ホスゲン化終了後、100〜140℃において、窒素ガスを100L/時で通気し、脱ガスした。
次いで、減圧下でo−ジクロルベンゼンを留去した後、同じく減圧下でペンタメチレンジイソシアネートを留去させ、純度98.7%のペンタメチレンジイソシアネート(a0)を558質量部を得た。
次いで、ペンタメチレンジイソシアネート(a0)558質量部、およびトリス(トリデシル)ホスファイト(城北化学製、商品名:JP−333E)をペンタメチレンジイソシアネート100質量部に対し0.02質量部を、攪拌機、温度計、還流管、および、窒素導入管を備えた4つ口フラスコに装入し、窒素を導入しながら、常圧下で、210℃、2時間加熱処理し、純度98.3%のペンタメチンジイソシアネート(a1)を553質量部を得た。熱処理におけるペンタメチレンジイソシアネートの収率は、99.6%であった。
次いで、加熱処理後のペンタメチレンジイソシアネートを、ガラス製フラスコに装入し、充填物(住友重機械工業社製、商品名:住友/スルザーラボパッキングEX型)を4エレメント充填した蒸留管、還流比調節タイマーを装着した蒸留塔(柴田科学社製、商品名:蒸留頭K型)、および、冷却器を装備する精留装置を用いて、127〜132℃、2.7KPaの条件下、さらに還流しながら精留し、純度99.9質量%のペンタメチレンジイソシアネート(a)を得た。
続いて、金属製容器にペンタメチレンジイソシアネート(a)を移し、2,6−ジ(tert−ブチル)−4−メチルフェノール(以後、BHTと略する場合がある)をペンタメチレンジイソシアネート100質量部に対し0.005質量部添加し、窒素パージ後、50℃のオーブン中に14日間静置した。
その後、攪拌機、温度計、還流管、および、窒素導入管を備えた4つ口フラスコにペンタメチレンジイソシアネート(a)を500質量部、イソブチルアルコールを1質量部、2,6−ジ(tert−ブチル)−4−メチルフェノールを0.3質量部、トリス(トリデシル)ホスファイトを0.3質量部装入し、80℃で2時間反応させた。
次いで、トリマー化触媒としてN−(2−ヒドロキシプロピル)−N,N,N−トリメチルアンモニウム−2−エチルヘキサノエートを0.05質量部添加した。屈折率とイソシアネートの純度を測定し、所定の反応率に至るまで反応を継続した。50分後に所定の反応率に達したため、o−トルエンスルホンアミドを0.12質量部添加した(イソシアネート基の転化率:10質量%)。得られた反応液を薄膜蒸留装置(真空度0.093KPa、温度150℃)に通液して未反応のペンタメチレンジイソシアネートを除去し、さらに、得られた組成物100質量部に対し、o−トルエンスルホンアミドを0.02質量部添加し、ポリイソシアネートGを得た。
このポリイソシアネートGのペンタメチレンジイソシアネート濃度は0.3質量%、イソシアネート3量体濃度は59質量%、イソシアネート基濃度1は24.5質量%、25℃における粘度1は1620mPa・sであった。
(2)高分子量ポリオール
(高分子量ポリオールA)
数平均分子量1000のポリテトラメチレンエーテルグリコール(商品名:PolyTHF1000S、BASFジャパン社製)を、高分子量ポリオールAとした。
(高分子量ポリオールB)
数平均分子量2000のポリテトラメチレンエーテルグリコール(商品名:PolyTHF2000S、BASFジャパン社製)を、高分子量ポリオールBとした。
(3)2級ポリアミン化合物
(2級ポリアミン化合物A)
N,N’−ジイソプロピル−イソホロンジアミン(商品名:JEFFLINK754、Huntsman社製)を、2級ポリアミン化合物Aとした。
(2級ポリアミン化合物B)
4,4’−メチレンビス[N−(1−メチルプロピル)シクロヘキサンアミン](商品名:CLEARLINK1000、Dorf Ketal Chemicals社製)を、2級ポリアミン化合物Bとした。
(2級ポリアミン化合物C)
N,N’−ビス(1,2,2−トリメチルプロピル)−1,6−ヘキサンジアミン(商品名:Ethacure90、Albemare社製)を、2級ポリアミン化合物Cとした。
(4)1級ポリアミン化合物
(1級ポリアミン化合物A)
イソホロンジアミン(商品名:VESTANAT IPD、エボニックデグサジャパン社製)を、1級ポリアミン化合物Aとした。
(1級ポリアミン化合物B)
4,4’−メチレンビス(シクロへキシルアミン)(商品名:ワンダミン HM、新日本理化社製)を、1級ポリアミン化合物Bとした。
(1級ポリアミン化合物C)
エチレンジアミン(和光純薬社製)を、1級ポリアミン化合物Cとした。
(5)添加剤
(安定剤A)
ヒンダードフェノール化合物(BASF社製、商品名:イルガノックス(IRGANOX)245)を、安定剤A(耐熱安定剤)とした。
(安定剤B)
有機リン化合物(城北化学工業社製、商品名:JP−308)を、安定剤B(耐熱安定剤)とした。
(安定剤C)
ヒンダードアミン系耐光安定剤(BASF社製、商品名:チヌビン(TINUVIN)765)を、安定剤Cとした。
2.実施例および比較例
(1)実施例1〜11および比較例1〜8
窒素導入管、温度計、バキュームラインおよび攪拌装置を備えた反応容器に、ポリイソシアネートA〜G、高分子量ポリオールA〜Bおよび安定剤A〜Cを、表1および2に示す配合処方に従って秤量し、よく攪拌しながら80〜85℃で約4時間反応させた。
次いで、イソシアネート基含量が7.3質量%(実施例11では7.2質量%)まで低下していることを確認した後、消泡剤(商品名:BYK088、ビックケミー・ジャパン株式会社製)を加え、10分間攪拌を継続した。この後、真空下で脱泡処理し、イソシアネート基末端プレポリマーを得た。
続いて、窒素導入管、温度計、バキュームラインおよび攪拌装置を備えた反応容器に、1級ポリアミン化合物A〜Cおよび2級ポリアミン化合物A〜Cを、表1および2に示す配合処方に従って秤量し、容器内の気層部分を窒素で十分に置換した後、20〜35℃で約15分間攪拌した。この後、真空下で脱泡処理し、低分子量活性水素基含有成分(アミン硬化剤)を得た。
なお、1級ポリアミン化合物Aにおいて、複数の1級アミノ基が結合される部分の分子骨格と、2級ポリアミン化合物Aにおいて、複数の2級アミノ基が結合される部分の分子骨格とが、互いに同一である。
また、1級ポリアミン化合物Bにおいて、複数の1級アミノ基が結合される部分の分子骨格と、2級ポリアミン化合物Bにおいて、複数の2級アミノ基が結合される部分の分子骨格とが、互いに同一である。
そして、60℃に加温したイソシアネート基末端プレポリマーと、室温の低分子量活性水素基含有成分(アミン硬化剤)を、2台の小型精密ギアポンプを使用して、各々個別に1本のスタティクミキサー(SM632型:エレメント数=32、内径=7mm、全長=241mm)に送り、これを通過させることで、全体が均質になるように混合した。
なお2液の流量は、表1および2に示す配合処方に従った。そして、スタティックミキサーの先端部より吐出された混合液を、事前に離型剤(商品名:ミラックスRS−102、ミヨシ油脂社製)を塗布し、60℃に加温した2mm厚みの鏡面平板形状の金型に流し込み、60℃にて5分間反応させた。その後、金型から硬化物を取り外し、引き続き60℃にて24時間反応させた後、23℃、50%相対湿度の恒温恒湿条件下にて7日間養生し、熱硬化性ポリウレタンウレア樹脂のシート(成形品)を得た。熱硬化性ポリウレタンウレア樹脂のウレア基濃度を、表1および2に示す。
また、得られた熱硬化性ポリウレタンウレア樹脂の成形品を下記の評価に使用した。
なお、比較例2では、スタティックミキサー内において樹脂が硬化したため、評価用のシートを成形できなかった。
3.評価方法
以下の方法により、熱硬化性ポリウレタンウレア樹脂組成物および成形品を評価した。その結果を、表1および表2に示す。
(1)原料混合液の流動性
次に述べる方法で、原料混合液の流動性を4段階で評価した。
最初に、約60℃に加温したイソシアネート基末端プレポリマーと、室温(約25℃)のアミン硬化剤とを、アミン硬化剤中の活性水素基に対するイソシアネート基末端プレポリマー中のイソシアネート基の当量比(NCO/活性水素基)が1.0となるように、スタティックミキサー(SM632型:エレメント数=32、内径=7mm、全長=241mm)に30秒間送液を試み、その間にミキサー流路が閉塞するか否かを調べた。
閉塞した場合は流動性が最も低く、「1点」とした。
また、閉塞しなかった場合は、ミキサーの先端から吐出される原料混合液を、事前に60℃に加温し、水平面に対して45度に傾けた平板に吐出し、その状態に応じて以下の基準に従って点数をつけた。すなわち、吐出された原料混合液が流下せず、液面も平滑化しない場合を「2点」、流下しないが平滑化した場合を「3点」、流下した場合を「4点」とした。
(2)硬化速度
アナログフォースゲージ(株式会社イマダ製、型式:PSM−100M)の先端に取り付けた、直径2mm・長さ7mmの円筒形状の圧子を、所定の荷重で硬化物の表面に押し当て、圧痕の深さから硬化状態を評価した。
具体的には、まずイソシアネート基末端プレポリマーとアミン硬化剤とのスタティックミキサーによる混合液を、5cm(縦)×5cm(横)×0.5cm(深さ)の大きさの、表面をテフロン(登録商標)でコートした、蓋のない角型容器に注入した。
注入後、直ちにスキージ用の平板で、液面部分を平らにならし、60℃の加熱炉に投入した。5分後、前述の圧子を25Nの荷重で硬化物の表面に10秒間押し当てた。なお、この操作は、硬化物が冷えないように60℃のオーブン内で実施した。
圧子を取り除いた後、硬化物を23℃50%RHの雰囲気下に1時間静置し、その時点における圧痕の深さを測定した。硬化物の厚みに相当する0.5cmを最大値として、硬化速度が遅いものほど圧痕が大きくなった。一方、硬化速度が速い樹脂は、圧痕の深さは小さくなった。
(3)硬度
2mm厚みのシートを、隙間が生じないように5枚積み重ね、硬度測定のための試料とし、JIS K−7312に準じてShoreA硬度を測定し、その結果を数値として示した。
(4)引張強さ(TS、単位:kPa)および破断伸び(EL、単位:%)
JIS K−7312に準じて引張試験を実施した。試験片をJIS−3号ダンベルで打ち抜き、引張試験機(エーアンドディ社製、商品名:テンシロン万能試験機、型式:RTG−1310)にて、標線間20mm、引張速度300mm/分の条件で測定した。
(5)硬化物の色相
2mm厚みのシートの、成形直後のイエローインデックス(YI)を、光色度計(日本電色社製、商品名:分光式色彩計、型式:SE−2000)で測定した。
(6)耐光性
2mm厚みのシートに、スーパーキセノンウェザーメーター(スガ試験機株式会社製、型式:SX75−AP)を使用して、ブラックパネル温度89℃の条件で、放射照度:100W/m2、照射波長300〜400nmのキセノン光を500時間照射した。なお、アウターフィルターは#320タイプ(320nm未満の光をカットする)を使用した。
キセノン照射試験前後の試験片のイエローインデックスの変化量(ΔYI)を、光色度計(日本電色社製、商品名:分光式色彩計、型式:SE−2000)で測定した。
(7)耐擦過傷性(グラベロ試験)
グラベロメーター(Qパネル社製、型式:Q−G−R)を用いて、水平方向に射出する砕石がシート面に対して45度の角度で衝突するようにシート面を固定後、射出圧力0.2MPaにて7号砕石50gを約5秒間、シート面に吹き付けた。吹き付け後、シート面の傷付面積、傷の深さや傷の数など目視にて評価した。評価基準を以下に示す。
(評価基準)
◎:傷付面積が非常に少なく、傷は小さく浅い。
○:傷付面積が少なく、傷が浅い。
△:傷付面積はやや多いが、傷が浅い。
×:傷付面積が多く、傷が深い。