JP2015003877A - ヒドロキシチロゾール又はその塩を含む組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
昨今、脂肪細胞の数や分化を抑制する植物機能成分に注目が集まっている。例えば、赤ぶどうのレスベラトロールやオリーブのヒドロキシチロゾール、お茶のエピガロカテキンガレートなどは脂肪細胞の分化や脂肪蓄積を抑制することが知られる(非特許文献5:Kim H et al., Cytotechnology 2010; 62:245-55、非特許文献6:Rayalam S et al., Phytother Res 2008;22:1367-71、非特許文献7:Drira R et al., Life Sci 2011,89:708-16)。
また、いわゆる地中海様ダイエット法(Mediterranean diet)による健康効果に関する研究が知られている。この健康効果は、主としてオリーブオイルに含まれる機能成分による。バージンオリーブオイルに含まれる主たる機能成分はオレイン酸であるが、ポリフェノール類などの希少成分もその機能性に深く関与する(非特許文献8:Perez-jimenez F et al., Mol Nutr Food Res.2007;51:1199-1208、非特許文献9:Covas MI, Pharmacol Res. 2007; 55:175-186、非特許文献10:Visioli F, J. Physiol. Pharmaco1. 2005; 56:37-49)。これは、ポリフェノール類がオレイン酸とは異なる生化学的な作用をもつか、あるいは、ポリフェノール類とオレイン酸とが相乗的に働くためと考えられている。中でも、ヒドロキシチロゾールはバージンオリーブオイルに含まれる主たるポリフェノールであり、オイルばかりでなく葉にも多く含まれる。多くの研究により、ヒドロキシチロゾールは、心臓血管系疾患の主因である肥満、高血圧、炎症および酸化ストレスなどに作用することが知られている(非特許文献7:Drira R et al., Life Sci 2011,89:708-16、非特許文献11:Dell'Agli M, Br J Nutr 99,945-951)。
バージンオリーブオイルには、ヒドロキシチロゾール以外のポリフェノール、例えばヒドロキシチロゾールアセテートも多く含まれる。オリーブ中に含まれるヒドロキシチロゾールとヒドロキシチロゾールアセテートとの割合はオリーブの品種毎に異なり、例えばアルベキーナ種では1:1であるが、ピクアル種では1:2、マンザニラ種やホジブランス種では1:3〜4と、ヒドロキシチロゾールアセテートの方が多い(非特許文献12:Brenes M et al., J Agric Food Chem.l999;47: 3535-3540)。
しかしながら、ヒドロキシチロゾールアセテートの機能については知られていない。
すなわち、本発明は以下の通りである。
(2)ヒドロキシチロゾールの塩がヒドロキシチロゾールアセテートである、上記(1)に記載の医薬組成物。
(3)肥満の改善又は予防のための上記(1)又は(2)に記載の医薬組成物。
(4)糖尿病の治療又は予防のための上記(1)又は(2)に記載の医薬組成物。
(5)ヒドロキシチロゾール又はその塩を含む、脂肪蓄積抑制剤。
(6)ヒドロキシチロゾール又はその塩を含む、脂質分解促進剤。
(7)ヒドロキシチロゾール又はその塩を含む、細胞の糖取込み促進剤。
(8)ヒドロキシチロゾール又はその塩を含む、食品用組成物。
(9)上記(8)に記載の組成物を含む、食品、飲料又は飼料。
本発明は、ヒドロキシチロゾール又はその塩、好ましくはヒドロキシチロゾールアセテートを含む組成物に関する。ヒドロキシチロゾールアセテート(Hd-Ac)は、ヒドロキシチロゾールと同等の濃度でオリーブの果実及びオイルに存在するポリフェノールである。
本発明者は、脂肪細胞においてヒドロキシチロゾールアセテートが脂質生成(adipogenesis)を刺激するかどうかを検討した。その結果、ヒドロキシチロゾールアセテートは、脂肪細胞の分化及び脂肪蓄積を用量依存的に阻害し、また、脂質生成に関与する遺伝子(PPARγ、C/EBPα、SREBP-1c、GLUT4、CD36及びFAS)の発現を抑制した。一方、同じ濃度範囲において細胞毒性は検出されなかった。すなわち、本発明者は、ヒドロキシチロゾール及びその塩であるヒドロキシチロゾールアセテートが、脂肪蓄積抑制効果及び脂肪細胞への分化抑制効果を有するとともに、当該効果を示す量において細胞毒性を示さない安全な物質であることを見出した。
また、本発明者は、脂肪細胞においてヒドロキシチロゾールアセテートが脂質分解を刺激するかどうかを検討した。その結果、ヒドロキシチロゾールアセテートは、十分に分化した脂肪細胞において、グリセロールの放出を用量依存的に活性化した。また、この分解は、脂質分解酵素(リパーゼ)の一種であるホルモン感受性リパーゼ(HSL)及びペリリピンのリン酸化を介して行われた。すなわち、本発明者は、ヒドロキシチロゾール及びその塩であるヒドロキシチロゾールアセテートが、脂肪細胞において脂質分解(例えば脂肪分解)を促進することを見出した。
さらに、本発明者は、脂肪細胞及び筋管において、ヒドロキシチロゾールアセテートが糖の取込みを刺激するかどうかを検討した。その結果、ヒドロキシチロゾールアセテートは、脂肪細胞及び筋管においてグルコース消費を増加させた。すなわち、本発明者は、ヒドロキシチロゾールアセテートが脂肪細胞及び筋肉細胞において糖の取込みを促進することを見出した。
本発明はこれらの知見に基づき完成された。
本発明において、ヒドロキシチロゾールは、オリーブの葉及びオイルで見出される抗酸化物質であり、下記式で示される化合物である。
本発明において、ヒドロキシチロゾールは塩や水和物を形成してもよい。塩は食品学的又は薬学的に許容されるものが好ましく、そのような塩としては、本発明の効果を有する限り特に限定されるものではなく、酸との塩を形成しても塩基との塩を形成してもよい。
酸との塩としては、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、燐酸塩等の無機酸との塩、蟻酸塩、酢酸塩(アセテート)、乳酸塩、コハク酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、安息香酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、トリフルオロ酢酸塩などの有機酸との塩などを挙げることができる。
塩基との塩としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、ジシクロヘキシルアミン、N,N'−ジベンジルエチレンジアミン等の有機塩基との塩(有機アミン塩)、あるいはアンモニウム塩などを挙げることができる。
本発明において、ヒドロキシチロゾールの塩としては、ヒドロキシチロゾールアセテートが好ましい。
ヒドロキシチロゾールアセテートは、下記式で表される。
本発明のヒドロキシチロゾール又はその塩は、メタボリック症候群、例えば、肥満(特に内臓脂肪型肥満)、高血糖、高血圧、高脂血症、高LDLコレステロール、低HDLコレステロールなどの状態、及びこれらに起因する疾患、例えば、肥満症、糖尿病、動脈硬化、心疾患、脳血管疾患、腎臓病、高血圧症、高尿酸血症、癌などの改善、治療又は予防に使用するための医薬組成物として用いることができる。特に、本発明の医薬組成物は、肥満又は糖尿病の改善、治療若しくは予防のために使用することが好ましい。
本発明において、「治療」とは、疾患の発症後に本発明の医薬組成物を被験者に投与することにより、投与しない場合に比べて、当該疾患の症状を軽減することを意味し、必ずしも疾患の症状を完全に抑制することを意味するものではない。疾患の発症とは、疾患の症状が身体に現れることを意味する。本発明においては、例えば、本発明の医薬組成物を投与することにより、投与しない場合に比べて、細胞の糖の取込みが促進されれば、当該医薬組成物を用いて糖尿病を治療できるといえる。
本発明において、「予防」とは、疾患の発症前に本発明の医薬組成物を被験者に投与することにより、投与しない場合に比べて、疾患の発症後の症状を軽減する(上記各状態の悪化を抑制する)ことを意味し、必ずしも発症を完全に抑制することを意味するものではない。
本発明は、脂肪蓄積抑制剤を提供する。
脂肪細胞の分化及び脂肪蓄積は、一般に以下のような機構によって生じる。
まず、前駆脂肪細胞から脂肪細胞への分化について説明する。
前駆脂肪細胞は、デキサメタゾン、3-イソ-ブチル-1-メチルキサンチン及びインスリンで刺激されると、分化の誘導が起こり、C/EBPβ及びC/EBPδ転写因子の発現が増加し、PPARγ及びC/EBPαが上方調節され、脂肪酸輸送体CD36及びグルコース輸送体GLUT4の発現が増加し、脂肪(トリグリセリド)の合成と蓄積が生じ、脂肪細胞に分化する。
次に、脂肪細胞において脂肪の蓄積が生じる機構について説明する。
脂肪は、食餌から直接摂取されるか、またはエネルギーを用いて体内で炭水化物から合成される。摂取又は合成された脂肪は、リポ蛋白リパーゼの働きにより遊離脂肪酸とグリセロールに分解される。遊離脂肪酸と糖(グルコース)は脂肪細胞に取り込まれ、トリグリセリドを合成し、脂肪滴として蓄積される。
本発明は、脂質分解促進剤を提供する。
脂質分解は、一般に以下の機構によって行われる。
まず、カテコールアミンが、脂肪細胞表面上の受容体に結合すると、その情報が細胞内に伝達され、cAMPが生じ、最終的にタンパク質リン酸化酵素(PKA)が活性化される。そして、PKAによって、脂肪加水分解酵素の一種であるホルモン感受性リパーゼ(Hormone sensitive lipase; HSL)及びペリリピンがリン酸化される。
ペリリピンがリン酸化されると、ペリリピンタンパク質の立体構造の変化が生じ、HSLがトリグリセリドに作用するようになり、最終的に脂肪(トリグリセリド)が脂肪酸とグリセロールに分解される。脂肪酸はミトコンドリアにおいて二酸化炭素と水にまで分解(酸化)され、エネルギーを放出する。
本発明は、細胞の糖取込み促進剤を提供する。
本発明において、「細胞」は、糖を取り込むことができる細胞であれば限定されるものではなく、例えば、脂肪細胞、筋肉細胞(筋芽細胞、筋管)、肝細胞、神経細胞、膵細胞などが挙げられる。
細胞による糖の取込みは、一般に以下の機構によって行われる。
インスリンが細胞(脂肪細胞、骨格筋細胞、心筋など)の膜表面にある受容体に作用するとインスリンシグナル経路が動員され、チロシンリン酸化酵素の活性化を介して、最終的にプロテインキナーゼB(protein kinase B, PKB)をリン酸化する。リン酸化によりPKBが活性化されると、細胞質内の小胞にプールされている糖輸送単体(Glucose transporter, GLUT)タンパク質がリン酸化され、細胞膜表面に移動(translocation)することにより活性化型となり、グルコースの取込みが開始する。
本発明のヒドロキシチロゾール又はその塩は、食品用組成物、好ましくは食品添加用組成物として使用することができる。
本発明の食品用組成物は、そのまま食するか腸溶カプセルに包含して食品として被験者に投与することができる。あるいは液体(例えば水)に適切な濃度になるように溶解し、混合、浸漬、塗布、噴霧等の方法で食品等に添加(食品添加用組成物として使用)することができる。
また、本発明の組成物には、例えば、炭水化物、脂質、ビタミン類、ミネラル類などの栄養素、あるいはこれらの栄養素を含む素材、甘味料、香料などの呈味付けのための食品材料を含むことができる。
本発明の食品等を介して摂取するヒドロキシチロゾール又はその塩の量は、限定されるものではないが、例えば、摂取者の体重1 kgあたり、例えば0.01mg〜10mg/日、好ましくは0.1mg〜5mg/日、より好ましくは0.2〜2mg/日である。
(1)材料
3T3-L1細胞はヒューマンサイエンス研究資源バンク(HSRRB、大阪)より得た。ヒドロキシチロゾールアセテートはEnzo Life Sciences (ミシガン州、USA)より得た。ダルベッコ改変イーグル培地(Dulbecco's modified Eagle's medium (DMEM high-glucose))、デキサメタゾン、3-イソブチル-1-メチルキサンチン、インスリン、及びイソプロテレノール塩酸塩はSigma Aldrich(ミズーリ州、USA)より得た。
C2C12筋芽細胞は、37℃、5% CO2において10%FBS含有DMEMで培養した。分化を誘導するため、C2C12筋芽細胞がコンフルエントになったときに、培地を2%ウマ血清含有DMEMに交換した。7日後、分化したC2C12筋管に対して実験を行った。
3T3-L1細胞は、37℃、5% CO2において10%FBS含有DMEMで培養した。細胞は、60mm培養皿において3×105の細胞密度、24ウェルプレートにおいて5×104の細胞密度となるように播種した。
脂肪細胞の分化は、10mg/Lインスリン、0.5mmol/Lイソブチルメチルキサンチン及び1μmol/Lデキサメタゾンを含有するDMEMを用いて、2日間培養することにより開始した。その後、培地を5mg/Lインスリン含有DMEMに交換し、2日間培養した。そして、2日ごとに新しい培地に交換した。
Oil Red O染色は、前駆脂肪細胞から脂肪細胞への分化を確認する方法の一つとして知られている。
8日間分化させた3T3-L1脂肪細胞をリン酸緩衝生理食塩水(PBS, pH7.4)で2回洗浄し、4%パラホルムアルデヒド(関東化学株式会社)を用いて4℃で1時間固定し、3g/LのOil red O(60%イソプロパノール中)を用いて室温にて10分間染色した。細胞は滅菌水で洗浄し、顕微鏡(BioZero BZ-8000、キーエンス)を用いて写真を撮影した。さらに、分化した脂肪細胞を3g/LのOil red Oで染色し、染料はイソプロパノールで抽出した。吸光度(OD.490 nm)はSpectra Max マイクロプレートリーダー(Spectra Max 190、Molecular Devices Corporation, CA, USA)を用いて測定した。
3T3-L1細胞を24ウェルプレートに播種した。コンフルエントに達した後、細胞をヒドロキシチロゾールアセテートの存在下、48時間インキュベートした。培地を除去し、滅菌濾過したMTT(Sigma-Aldrich)を含む新しい(fresh)培地500μLで交換した。3時間後、不溶性ホルマザン結晶を500μL/wellイソプロパノールに溶解した。吸光度は、対照波長630nmで570nmの吸光度を測定した。阻害率(%)は、対照に対する生存細胞の割合(%)で表した。
十分に分化した3T3-L1脂肪細胞を0-75μmol/Lのヒドロキシチロゾールアセテートで12時間及び24時間処理した。
培地に放出されたグリセロールを、グリセロールアッセイキット(Sigma-Aldrich (USA))を用いて熱量測定法により測定した。脂肪細胞を溶解し、測定結果をタンパク質量により標準化した。グリセロールの放出量は、タンパク質のミリグラム当たりのマイクロモルで表した。
10日間分化させた3T3-L1脂肪細胞又は8日間分化させたC2C12筋管を12時間、ヒドロキシチロゾールアセテートで処理した。細胞によって消費されたグルコースを定量し、結果はタンパク質量で標準化した。培地のグルコースレベルは、グルコースアッセイキット(Wako chemical company)を用いて熱量測定法により測定した。
3T3-L1脂肪細胞を、2%SDS、6%β-メルカプトエタノール、10%グリセロール、1 mmol/L PMSF及び2μg/mlロイペプチンを含む 50 mmol/L Tris-HCl[pH:6.8]に融解した。細胞溶解物をSDS-PAGEにより分離し、PVDF膜にブロットした。当該PVDF膜を、2%BSAでブロッキングした後、TBS-T緩衝液中の一次抗体とともに、4℃にて終夜インキュベートした。次に当該膜を室温にて1時間、二次抗体とともにインキュベートし、LuminoGLO試薬(Cell Signaling Technology、USA)で処理した。タンパク質のバンドは、化学発光イメージアナライザー(LAS1000、FUJI FILM)及びImage Gauge Software(FUJI FILM)を用いて分析した。
3T3-L1細胞から酸-GTC-フェノール法(acid-GTC-phenol method)(Chomczynski P et al., Anal Biochem. 1987; 162:156-9)により全RNAを抽出した。DNase I(タカラバイオ)処理及びRNA再精製の後、cDNAをM-MLV逆転写酵素(Takara)を用いて合成し、SYBR Premix Ex Taqを用いた定量RT-PCRに供した。各cDNAを増幅した(50℃で2分、95℃で10分、95℃で15秒、60℃で15秒を40サイクル)。各cDNAのPCR増幅は、同一サンプルにつき三回(triplicate)行った。cDNAの増幅に用いたプライマーを以下に示す(「Forward」はフォワードプライマーを表し、「Reverse」はリバースプライマーを表す)。
G3PDH-Forward: 5'-TGGTGAAGGTCGGTGTGAACGG(配列番号1)
G3PDH-Reverse: 5'-TGCCGTTGAATTTGCCGTGAGT(配列番号2)
PPARγ-Forward: 5'-AAACTCTGGGAGATTCTCCT(配列番号3)
PPARγ-Reverse: 5'-TGGCATCTCTGTGTCAAC(配列番号4)
C/EBPα-Forward: 5'-GCCAAACTGAGACTCTTC(配列番号5)
C/EBPα-Reverse: 5'-GGAAGCCTAAGTCTTAGC(配列番号6)
GLUT4-Forward: 5'-TGCTGGGCACAGCTACCC(配列番号7)
GLUT4-Reverse: 5'-CGGTCAGGCGCTTTAGAC(配列番号8)
CD36-Forward: 5'-AAACCCAGATGACGTGGC(配列番号9)
CD36-Reverse: 5'-AAGATGGCTCCATTGGGC(配列番号10)
SREBP-1c-Forward: 5'-GCTTAGCCTCTACACCAACTGGC(配列番号11)
SREBP-1c-Reverse: 5'-ACAGACTGGTACGGGCCACAAG(配列番号12)
FAS-Forward: 5'-TGGAGCCTGTGTAGCCTTCGAG(配列番号13)
FAS-Reverse: 5'-ACAGCCTGGGGTCATCTTTGCC(配列番号14)
結果は、平均±S.D.で示す。群間の比較は、student's t testにより解析した。差は、P値<0.05で有意差があるとした。図において、*: P<0.05、**: P<0.01。また、図において、「§§」は標準偏差の誤差範囲を表す。
(1)ヒドロキシチロゾールアセテートによる脂肪蓄積抑制効果の検討
3T3-L1の前駆脂肪細胞を、ヒドロキシチロゾールアセテートの存在下又は非存在下において8日間分化させた。ヒドロキシチロゾールアセテートの濃度を変化させ、その分化抑制効果及び脂肪蓄積抑制効果を、Oil Red O染色を用いて検討した。また、ヒドロキシチロゾールアセテートの細胞生存率に与える影響(細胞毒性)をMTTアッセイにより検討した。
その結果、ヒドロキシチロゾールアセテートにより、75μmol/Lでほとんどの脂肪細胞の分化が抑制された。また、Oil Red Oを定量した結果、ヒロドキシチロゾールアセテートにより、脂肪蓄積が用量依存的に抑制されたことが示された(図1a)。
また、3T3-L1前駆脂肪細胞に対するヒドロキシチロゾールアセテートの細胞毒性は150μmol/Lの濃度でも認められなかった(図1b)。
これらの結果より、ヒドロキシチロゾールアセテートは、脂肪細胞にダメージを与えることなく、脂肪細胞の分化と脂肪蓄積を効果的に抑制することが示された。
すなわち、ヒドロキシチロゾールアセテートを含む本発明は、脂肪蓄積抑制効果を有し、肥満の改善、治療及び予防に有効であることが示された。
ヒドロキシチロゾールアセテートが3T3-L1の分化の抑制を誘導した機構を理解するために、脂肪細胞の分化や脂肪合成/取込みに必要な遺伝子(PPARγ、C/EBPα、SREBP-1c、GLUT4、CD36及びFAS)の発現についてqRT-PCRによって試験した。これらの遺伝子のmRNA発現量は、G3PDHのmRNA発現量で標準化した。
その結果、ヒドロキシチロゾールアセテートは、これらの遺伝子の発現を用量依存的に減少させた(図2)。
このことは、ヒドロキシチロゾールアセテートがトリグリセリド合成を抑制することを示している。
この結果より、ヒドロキシチロゾールアセテートは脂肪細胞の分化と脂肪蓄積を効果的に抑制することが遺伝子レベルでも確認された。
分化した3T3-L1脂肪細胞を、ヒドロキシチロゾールアセテートで処理し、グリセロール放出量を定量することにより脂質分解量を検討した。
その結果、ヒドロキシチロゾールアセテートは用量依存的に、細胞から培地へのグリセロール放出を促進した。グリセロール放出量は、25μmol/L、50μmol/L及び75μmol/Lのヒドロキシチロゾールアセテートにおいて、それぞれ約2倍、3倍、及び4倍に増加した(図3a)。
この結果から、ヒドロキシチロゾールアセテートにより、脂肪細胞内の脂質が効果的に分解されたことが示された。
その結果、75μmol/Lのヒドロキシチロゾールアセテートにより、65kDAから67kDAへの明らかな電気泳動シフト、すなわち、ペリリピンのリン酸化が認められた。また、HSLのSer-563及びSer-660についても同様にリン酸化が認められた(図3b)。図3bにおいて、「Hd-ac」はヒドロキシチロゾールアセテートを表し、「ISO」は陽性対照であるイソプレテノールを表し、「Ct」は陰性対照を表す。また、結果は総β-アクチンに対する相対値として示した。
これらの結果から、ヒドロキシチロゾールアセテートにより、脂質分解に必要なタンパク質(HSL及びペリリピン)の活性化(リン酸化)が促進され、脂肪細胞に蓄積した脂質の分解(燃焼)が促進されたことが示された。
すなわち、ヒドロキシチロゾールアセテートを含む本発明は、分化した脂肪細胞において脂質分解(脂肪分解)促進効果を有し、肥満の改善、治療及び予防に有効であることが示された。
3T3-L1脂肪細胞及びC2C12筋管を、12時間及び24時間、ヒドロキシチロゾールアセテートで処理した。細胞によって消費されたグルコースの量は、グルコースオキシダーゼアッセイキットを用いて測定した。
その結果、ヒドロキシチロゾールアセテートは、脂肪細胞(図4a)及び筋管(図4b)において、用量依存的に、グルコース消費を促進する能力を有することが示された。
この結果から、ヒドロキシチロゾールアセテートを含む本発明は、細胞(脂肪細胞、筋肉細胞)への糖取込み促進効果を有し、糖尿病の治療に有用であることが示された。
Claims (9)
- ヒドロキシチロゾール又はその塩を含む、医薬組成物。
- ヒドロキシチロゾールの塩がヒドロキシチロゾールアセテートである、請求項1に記載の医薬組成物。
- 肥満の改善又は予防のための請求項1又は2に記載の医薬組成物。
- 糖尿病の治療又は予防のための請求項1又は2に記載の医薬組成物。
- ヒドロキシチロゾール又はその塩を含む、脂肪蓄積抑制剤。
- ヒドロキシチロゾール又はその塩を含む、脂質分解促進剤。
- ヒドロキシチロゾール又はその塩を含む、細胞の糖取込み促進剤。
- ヒドロキシチロゾール又はその塩を含む、食品用組成物。
- 請求項8に記載の組成物を含む、食品、飲料又は飼料。
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