JP2015003355A - レジノイド砥石の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】熟成の際に、未硬化成形物の外側側面を覆う金属製の円筒枠を使用する必要がなく、作業性に優れ、使用しないときに保管にスペースを要すること等が解消され、金属製円筒枠と砥石用未硬化成形物との隙間を埋めるアルミナ粉末が不要となり、アルミナ粉末が不均一に充填されていることによる得られる人工砥石の形状に歪みを解消する技術を提供する。【解決手段】 砥粒と熱硬化性樹脂を含む組成物からなる円柱状の未硬化成形物の側面に、耐熱性繊維からなる帯状布帛を巻き付け、この状態で150〜200℃の範囲の温度で該熱硬化性樹脂を反応させ該樹脂を硬化させた後、巻き付けた帯状布帛を取り除くことを特徴とするレジノイド砥石の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、熱硬化性樹脂を結合剤とするレジノイド砥石の製造方法、特に円柱状に成形した砥石用の未硬化成形物の構成熱硬化性樹脂を反応させて硬化させる際に円柱状の成形形状を保つための方法に関する。
従来から、石英、セラミックス、シリコンウエハー、ガラス製品、金属製品等を研磨、研削、切断するのに人工の砥石が用いられている。このような人工砥石は、アルミナや炭化ケイ素で代表されるセラミック質の硬質物質やダイヤモンドやCBN等の超硬質物質からなる砥粒と、砥粒を砥石の形状に留めておく、つまり結合させておく結合剤と、研磨中の目詰まりを防ぎ、研磨中の温度上昇を防ぐために必要により添加される気泡から主として構成されている。
特に上記結合剤として樹脂系のものが用いられた場合には、得られる人工砥石はレジノイド砥石と称せられ、今日、広く上記の研磨、研削、切断等の分野で用いられている。
このようなレジノイド砥石の分野において、結合剤として用いられている樹脂としては、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂等の熱硬化性樹脂を主体とするものが使用されている。なかでも、フェノール樹脂が、得られる人工砥石が研磨や研削の性能に優れていることから結合剤としてもっとも広く使用されている。
このようなレジノイド砥石の製造方法としては、砥粒と熱硬化性の結合剤をブレンドしたものに必要により気泡を加え、得られる砥石用組成物をプレス成形機に入れ、冷プレスあるいはセミホットプレス等により結合剤の殆どが未硬化の状態で円柱状に成形し、そして得られる未硬化成形物をプレス成形機から取り出し、そして加熱して結合剤を反応させて硬化させ、成形した形状で固める方法が用いられている(特許文献1)。このプレス成形機から取り出した後、加熱して結合剤を反応させて硬化させ、成形した形状で固める作業を熟成と称している。
そして、未硬化成形物を加熱して結合剤を硬化させる際、すなわち熟成の際に、従来から、未硬化の結合剤が加熱により流動して、円柱状の形状が崩れることを防止するために、円柱形状の未硬化成形物を金属製の円筒枠の中に挿入し、円柱形状の未硬化成形物の外側側面を金属製円筒枠で覆う方法が用いられている。
そして、未硬化成形物の外側側面を金属製円筒枠で覆う従来技術では、以下の理由1)〜3)により、金属製円筒枠として、その内径が円柱形状の未硬化成形物の外径よりかなり大きいものが用いられており、その結果、金属製円筒枠と未硬化成形物との間に隙間が生じることとなり、通常は、この隙間にアルミナ粉末を充填して熟成させる方法が用いられている。
1)未硬化成形物を金属製円筒枠内に挿入する際に、未硬化成形物の円柱形状の角部等が金属製円筒枠に接触して崩れるのを防止するとともに、挿入作業を速やかに行うため。
2)金属製円筒枠が未硬化成形物に密着している場合には、硬化したレジノイド砥石が金属製円筒枠に接着し、該円筒枠から硬化されたレジノイド砥石が取り出せなくなるため。
3)金属製の円筒枠は繰り返し使用されるが、繰り返し使用されるうちに円筒形状に歪が生じたり、あるいは外力等により円筒枠に曲がりや凹みを生じたりするので、このような円筒形状の歪みや曲がりや凹みがレジノイド砥石の形状に影響を与えないため。
そして、熱硬化(熟成)させた後に、金属製の円筒枠からレジノイド砥石を取り出すのであるが、その際に、隙間に充填したアルミナ粉末が散らばり、作業環境を悪化させたりあるいは硬化させた砥石の周りに付着したアルミナ粉末を取り除くための作業が必要となる。また、金属製円筒枠と未硬化成形物との隙間にアルミナ粉末を充填する際にも、均一に充填することが必要となり、均一に充填されていない場合には、人工砥石の形状が歪を有するものとなる。さらには、金属製の円筒枠は重たくて取り扱い性の点で劣り、かつ未使用時に円筒枠を保管するのに場所を取るという問題点も有している。
特開昭62−9876号公報(従来の技術および問題点の欄)
本発明は、レジノイド砥石を製造する際に、このような金属製円筒枠を用い、かつ未硬化成形物との隙間にアルミナ粉末を充填せざるを得ない従来方法の有する問題点を解消することを目的とするものであり、すなわち、金属製の円筒枠を使用することなく、かつ円筒枠と未硬化成形物外側側面との隙間にアルミナ粉末を充填する必要のない熟成方法を提供するものであり、これにより、レジノイド砥石を熟成する際の手間を省くとともに作業環境の悪化を防ぎ、さらに重い金属製円筒枠による取扱性の問題や保管スペースの問題点等をなくすものである。
すなわち、本発明は、砥粒と熱硬化性樹脂を含む組成物からなる円柱状の未硬化成形物の外側側面に、耐熱性繊維からなる帯状布帛を巻き付け、この状態で150〜200℃の範囲内の温度で該熱硬化性樹脂を反応させ該樹脂を硬化(すなわち熟成)させた後、巻き付けた帯状布帛を取り除くことからなるレジノイド砥石の製造方法である。
そして、好ましくは、本発明は、耐熱性繊維からなる帯状布帛が、溶融紡糸により製造された長繊維糸からなる帯状織物である上記の製造方法であり、また溶融紡糸により製造された長繊維糸が、溶融液晶性ポリエステルからなるマルチフィラメント繊維糸である上記の製造方法であり、また好ましくは、円柱状の未硬化成形物の側面に耐熱性繊維からなる帯状布帛を直接巻き付ける上記の製造方法である。
また、本発明は、好ましくは、耐熱性繊維からなる帯状布帛の表裏両面のそれぞれ適当な場所に面ファスナーが取り付けられており、帯状布帛を円柱状の未硬化成形物の外側側面に巻き付けて該面ファスナー同士を係合させ、そして、熟成中、係合させた状態を保つ上記の製造方法であり、さらに面ファスナーの係合素子を構成する繊維がポリフェニレンサルファイド繊維である上記の製造方法である。
本発明方法を用いると、従来方法のように、熟成の際に、未硬化成形物の外側側面を覆う金属製の円筒枠を使用する必要がなく、したがって、金属製円筒枠を使用することによる問題点、すなわち、金属製円筒枠が重たくて作業性に劣ることや使用しないときに保管にスペースを要すること等が解消され、さらに金属製円筒枠と砥石用未硬化成形物との隙間を埋めるアルミナ粉末が不要であることから、アルミナ粉末を充填したり取り除くための作業が不要となり、さらに作業現場が散らばったアルミナ粉末により汚れる、さらにアルミナ粉末が不均一に充填されていることによる得られる人工砥石の形状に歪みを生じる等の問題点が解消する。
本発明方法に従い、砥石用の未硬化成形物を加熱して結合剤を硬化させている(すなわち熟成させている)場合の一例の斜視図である。 図1に示す砥石用未硬化成形物を熟成させている場合の正面断面図である。 本発明方法に使用する耐熱性繊維からなる帯状布帛の一例の正面図である。 従来方法に従い、砥石用の未硬化成形物を熟成させている場合の斜視図である。 図4に示す砥石用未硬化成形物を熟成させている場合の正面断面図である。
以下、本発明の製造方法について、図面を参照しながら説明する。
図1は、砥石用の未硬化成形物を熟成させている場合の斜視図、すなわち砥粒と熱硬化性の結合剤をブレンドしたものに必要により気泡を加え、得られる人工砥石用組成物を冷プレスあるいはセミホットプレス等により結合剤が実質的に未硬化の状態で軟化して円柱状に成形し、得られる未硬化成形物を加熱して結合剤を硬化させている、すなわち熟成させている場合の斜視図である。そして図2が、図1に示す人工砥石用未硬化成形物を熟成させている場合の状態の正面断面図である。そして、図3が本発明方法に使用する耐熱性繊維からなる帯状布帛の一例の正面図である。
これら図中、1が熟成させると人工砥石となる未硬化成形物、2が未硬化成形物の外側側面に巻きつけた耐熱性繊維からなる帯状布帛、3、3.1および3.2が未硬化成形物に巻きつけた帯状布帛2の巻き付け状態を熟成中保つために帯状布帛2の表裏のそれぞれの適当な場所に取り付けた面ファスナー、4が未硬化成形物1を熟成させる際に使用する受け台、5が円柱形状に成形した未硬化成形物の円柱中央部を貫く円筒状空間部の形状を熟成中保つための芯部用円筒、6が芯部用円筒に砥石が接着しないように充填するアルミナ粉末層である。
また図4は、従来一般に用いられているレジノイド砥石の製造方法において、未硬化成形物を熟成させている状態の斜視図であり、そして図5は、図4の状態の正面断面図である。これら図において、砥石用未硬化成形物1の外側側面に大きめの金属製円筒枠7を被せ、その結果、砥石用未硬化成形体1と金属製円筒枠7との間に生じる隙間部にアルミナ粉末6が充填され、これにより、砥石用未硬化成形物を構成している熱硬化性樹脂が、熟成中に、未硬化状態で加熱されて流動して金属製円筒枠7と人工砥石が接着して両者が外れなくなることを防止している。
本発明において、未硬化成形物を構成する砥粒としては、従来のレジノイド砥石の原料として一般に用いられている砥粒と同様のものが用いることができ、具体的には、アルミナ、炭化ケイ素、酸化セリウム、酸化鉄、酸化クロム、ダイヤモンド、窒化ホウ素、炭化ホウ素、ガーネットといった硬質または超硬質な粒子、あるいはそれらの混合物が挙げられる。その平均粒径としては30μmより小さい粒径のものが好ましく、特に1〜20μmのものがより好ましい。粒度測定には、レーザの回析光、散乱光を使用する方法が用いられ、上記の粒度はこの方法で測定した値である。
また未硬化成形物を構成する結合剤(硬化性樹脂)としては、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂などが挙げられる。なかでも、フェノール樹脂は、得られる人工砥石が適度の強靭性と強固な構造組織を有するものとなることから特に好ましい。
フェノール樹脂としては、フェノール樹脂ノボラック粉末をベースとしたものが好適に用いられ、そして架橋剤としてはヘキサメチレンテトラミンが好適に用いられる。ヘキサメチレンテトラミンの添加量としては、フェノール樹脂ノボラック粉末に対して5〜25重量%が好ましく、架橋剤の添加量を増加させることにより硬化後の樹脂強度を高めることができる。フェノール樹脂ノボラック粉末は、フェノール1モルにホルムアルデヒド0.6〜1モルを加え、触媒として少量の塩酸を使用して加熱することにより得られ、フェノール−ホルムアルデヒド縮合物として知られている。そして、多くの変性種が知られており、例えば変性フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、フェノール−フルフラール樹脂などが知られている。
砥粒の配合量としては、結合剤100重量部に対して100〜500重量部が一般的である。
また、必要により、無機系または有機系の充填剤が添加されていてもよい。例えば、蛍石、炭酸カルシウム、硫化鉄、苦土、滑石等の無機系粉末、ポリ塩化ビニリデン粉末、ポリ塩化ビニル粉末等の不燃性の有機系粉末が上記充填剤として挙げられる。
次に、このような原料から未硬化成形物を製造する方法の一例を挙げて説明すると、まず、上記のような結合剤および砥粒に、必要により気孔形成剤や硬化触媒、充填剤等の配合物を加えて、乾式で攪拌混合し、篩を通過させて塊物を除去し、必要ならば更に水やその他の溶剤を配合して組成物を製造し、次いで型に充填して、低温プレス或いは140℃以下の温度でのセミホットプレス等により結合剤を軟化させ、円柱状に賦形する。成形の圧力としては、一般的に20〜1000kgf/cmが用いられ、成形時間としては0.2〜2時間が一般的である。そして、得られた賦形物をプレス機から脱型し、必要により乾燥する。
未硬化成形物の大きさとしては、直径20〜100cmで高さ5〜35cmの円柱状の形状が好ましい。そして円柱の中心部分には、得られる人工砥石を回転軸に嵌め込み、固定するための円柱状空洞部が設けられている。
このようにして得られた円柱形状の未硬化成形物を150〜200℃の範囲の温度条件で、好ましくは10〜80時間、より好ましくは160〜190℃の温度範囲で20〜60時間、熟成して該結合剤を硬化させて人工砥石とする。熟成は円柱形状の未硬化成形物を熟成炉に入れて行うのが好ましい。プレス機の成形金型内で熟成させることも可能であるが、高価な成形機を長時間独占することとなるため、生産性の点で好ましくない。
この熟成中に、フェノール樹脂が結合剤として用いられている場合には、フェノール樹脂ノボラック粉末は溶融されて均一な溶液となり、そしてヘキサメチレンテトラミンと反応して、硬化固化する。
塾成の間に加熱により溶け出した未硬化の結合剤が流れ出し、円柱形状が崩れることを防ぐために、従来は、図4に示すように、金属製の円筒枠7で未硬化成形物1の外側側面を覆っており、そして、この金属製の円筒枠7に結合剤が接着することを防ぐ等の目的で金属製円筒枠7と未硬化成形物1との隙間にアルミナ粉末6が充填されていたが、本発明では、これら金属製円筒枠7とアルミナ粉末6に代えて耐熱性繊維からなる帯状布帛2を用いるものである。
耐熱性繊維からなる帯状布帛2を用いると、該帯状布帛は結合剤と殆ど接着せず、擬似接着した場合であっても、簡単に剥がすことができる程度の軽い接着であることから、従来技術のように隙間にアルミナ粉末を存在させる必要がない。
本発明方法において、円柱状の未硬化成形物を熱硬化(すなわち熟成)させる際に、該未硬化成形物の外側側面に耐熱性繊維からなる帯状布帛を巻き付けるが、該未硬化成形物の外側側面に、耐熱性のフィルムや金属箔を巻き付け、さらにその周囲に該帯状布帛を巻き付けてもよいが、好ましくは、円柱状の未硬化成形物の外側側面に直接帯状布帛を巻き付ける方法であり、この方法を用いるのが、製造工程の簡略性の点で、さらに廃棄物を生じない点で好ましい。
本発明方法に使用する帯状布帛を構成する耐熱性繊維としては、融点が270℃以上或いは270℃で実質的に分解しない樹脂等からなる繊維が挙げられ、具体的には、全芳香族ポリアミド系繊維、溶融液晶性ポリエステル系繊維、ポリエーテルエーテルケトン系繊維、ポリフェニレンサルファイド系繊維、ポリベンズイミダゾール系繊維、ポリ−P−フェニレンベンズビスチアゾール系繊維等が挙げられる。そして、耐熱性を有するとともに、引張強度15cN/dtex以上の強度を有している繊維が、高温下で未硬化成形物の円柱形状を長時間保持でき、かつ帯状布帛を繰り返し使用できることから好ましい。
このような条件を満足する繊維の中で、特に溶融液晶性ポリエステル系繊維からなる糸は、溶融紡糸により製造されるマルチフィラメント繊維糸であることから、繊維表面がフラットで人工砥石を形成する結合剤と接着し難く、かつ強度および耐熱性の点でも著しく優れていることから、本発明方法にもっとも適した繊維と言える。
溶融液晶性ポリエステル系繊維としては、p−ヒドロキシ安息香酸を約70モル%と6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を約30モル%重縮合することにより得られる樹脂を溶融紡糸したのち、固相重合することにより得られる繊維が好適例として挙げられ、このような繊維は(株)クラレからベクトラン(登録商標)の商品名で販売されている。
耐熱性繊維からなる帯状布帛としては、耐熱性繊維を織物、編物、不織布等とし、更にそれを帯状としたものであればいずれであってもよいが、連続繊維が布帛中に直線状に挿入されており、引張に対して形態安定性に優れることから織物が好ましく、特に平織物がもっとも好ましい。織物を構成する耐熱性繊維糸の太さとしては、2.5〜10dtexのモノフィラメントが40〜500本収束している合計太さが220〜2500dtexのマルチフィラメント糸が好ましい。
そして、帯状布帛としては、このような高強力繊維からなるマルチフィラメント糸を経糸および緯糸に使用した平織からなる帯状体が好ましい。帯状布帛の目付としては、100〜1000g/mが強度の点で、さらに取扱性の点で好ましい。より好ましくは目付200〜800g/mの範囲である。なお、帯状布帛は、布帛2枚以上を重ね合わせて一枚としたものでもよく、上記目付は重ね合わせられている場合にはその合計目付を意味する。
特に、帯状布帛の表面では、構成糸が緻密でかつ平滑であることが好ましく、そのためには、布帛が織物の場合には織密度が高く織られているのが好ましく、具体的には、上記マルチフィラメント糸が、経糸密度10〜50本/インチ、緯糸密度10〜50本/インチ程度の密度で織られているのが好ましい。また、布帛の表面は、加熱プレスされて、撚数が150回/m以下の実質的に無燃のマルチフィラメント糸が扁平な糸形状とされており、糸と糸との間には空間が実質的に存在していないような緻密な織組織が好ましい。
帯状布帛の大きさとしては、幅が5〜50cmで長さ50〜300cmで、1回以上未硬化成形物の外側側面に巻き付けることができる長さ以上の長さが好ましく、より好ましくは幅が20〜35cmで長さ150〜250cmである。
そして、好ましくは、熟成中の熱によって、帯状体が伸長されることがほとんどなく、形態保持性に優れる点で、帯状布帛の長さ方向と経糸方向とが一致している場合である。もちろん、巻き付ける対象物である円柱形状の未硬化成形物の外側側面の全面を覆うに充分な幅と長さである必要がある。また、未硬化成形物の外側側面を2重以上に巻きつけることも可能である。
なお、熟成は、図1に示すように、未硬化成形物の円柱中央部を貫く円筒状空間部が熟成中に形状を保つために芯部用円筒5を円筒状空間部に挿入した状態で行われているが、この芯部用円筒5が熟成中に人工砥石と接着することを防ぐために、本発明方法においても芯部用円筒と砥石用未硬化成形物の円筒状空間部との隙間にアルミナ粉末6が充填されていてもよい。しかしながら、これに使用されるアルミナ粉末の量は、従来技術で用いられていた未硬化成形物外側側面と金属製円筒枠との隙間に充填されていたアルミナ粉末の量と比べるとわずかであり、従来技術のような大きな問題を生じない。
そして、円柱状未硬化成形物の外側側面に巻き付けた帯状布帛を巻き付けた状態を熟成期間中保ち続けるように、帯状布帛を未硬化成形物の外側側面に留める。留める手段としては、ボタンやスナップ等や金具により留める方法や紐により縛る方法などもあるが、好ましくは、面ファスナーを用いて留める方法であり、面ファスナーを用いると、未硬化成形物を長時間加熱処理する時の熱により帯状布帛が収縮あるいは伸長して、帯状布帛の長さが変化を受けて留める位置が若干変わることとなっても、係合できることから、帯状布帛を繰り返し使用できることとなり、さらに留める作業および外す作業が簡単であること等からもっとも優れている。
帯状布帛を面ファスナーで留めるようにするためには、帯状布帛の表面側と裏面側の適当な場所にそれぞれ面ファスナーを取り付け、表面側に取り付けた面ファスナーと裏面側に取り付けた面ファスナーとを係合させて、帯状布帛が円柱状未硬化成形物の外側側面に取り付けられるようにする。例えば、帯状布帛の一方の長さ方向端部の表面側に、図3に示すように、ループ面ファスナー3.1をループ状係合素子面を外側にして取り付け、もう一方の長さ方向端部の裏面側に、フック面ファスナー3.2を取り付ける。あるいは、そのフック面ファスナーとループ面ファスナーが上記の逆であってもよい。
また、面ファスナーは、フックやループからなる係合素子の根元を面ファスナーの固定する手段として、バインダー樹脂で固定するのではく、フック面ファスナーおよびループ面ファスナーの基布を構成している地経糸および地緯糸のいずれかが熱融着性繊維を含み、さらにフック状係合素子およびループ状係合素子が、基布を構成する該地糸により融着固定されている面ファスナーであることが、バインダー樹脂による柔軟性の低下や経時的な劣化による係合力の低下を防ぐ点で好ましく、地緯糸による固定が、収縮固定安定性に優れる点でより好ましい。
さらにはフック状係合素子とループ状係合素子が同一面に混在している面ファスナーを用いてもよい。このフック・ループ混在型の面ファスナーの場合には、表面側と裏面側に同一の面ファスナーを使用することができる。
なお、帯状布帛に面ファスナーを取り付ける方法としては、縫製により取り付ける方法が長時間の過酷な使用に耐えることから好ましく、中でも、溶融液晶性ポリエステル系のマルチフィラメント繊維糸を縫糸に用いて帯状布帛に縫い付けたものが好ましい。
なお、帯状布帛の長さを長くして、2回以上未硬化成形物の周りに巻き付ける方法を用いても好ましく、この場合には、一方の面ファスナーは最終巻き付けの最後の周の重なり合う部分に面ファスナーを取り付けるのが好ましい。
使用されるループ面ファスナー、フック面ファスナーおよびフック・ループ混在型面ファスナーとしては、基板がプラスチック板である成形面ファスナーであっても、また基板が織物である織面ファスナーのどちらであってもよいが、加熱された状態に長時間さらされても係合素子が潰れることが少ないことや面ファスナーが破損され難いことから織面ファスナーが好ましい。
特に、ループ面ファスナーのループ状係合素子およびフック面ファスナーのフック状係合素子を構成する樹脂として、ポリフェニレンサルファイドが用いられている織面ファスナーが高温かつ長時間にわたり未硬化成形物の形態を保持でき、係合能を保持できることから好ましい。
ポリフェニレンサルファイド樹脂からなるモノフィラメントがフック状係合素子として用いられているフック面ファスナーとしては、クラレファスニング(株)から販売されているニューエコマジック耐熱タイプA48600.71が挙げられ、またポリフェニレンサルファイド樹脂からなるマルチフィラメント糸がループ状係合素子として用いられているループ面ファスナーとしては、クラレファスニング(株)から販売されているニューエコマジック耐熱タイプB48000.00が挙げられ、これら面ファスナーは本発明方法において、未硬化成形物の外側側面に帯状布帛を巻き付け、巻き付けた状態を長時間保つことができ、さらに帯状布帛を繰り返し再使用しても高い係合能を保有していることから、もっとも適している。
以上詳述したように、本発明方法を用いると、得られる人工砥石と帯状布帛が強固に接着することなく、熟成期間中、未硬化成形物の円柱形状を保つことができ、さらに未使用時にはそのまま帯状の状態で、あるいは折りたたんで保管でき、スペースを必要としない。したがって、従来技術のように、金属製の円筒枠や同円筒枠と未硬化成形物との隙間に充填するアルミナ粉末が不要となり、金属製円筒枠が重たくて作業性に劣ることや使用しないときに保管にスペースを要すること、またアルミナ粉末を充填したり取り除くための作業が不要となり、さらに作業現場がアルミナ粉末により汚れ、さらにアルミナ粉末が不均一に充填されていることによる得られる人工砥石の形状に歪みを生じる等の諸問題点が解消する。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
実施例1
砥粒として、アルミナ粉末(粒子径12μm)を用い、結合剤として、ヘキサメチレンテトラミンを16重量%含むフェノール樹脂ノボラック粉末を用い、砥粒と結合剤の重量比が1:3となるように混合し、篩に通して均一に混合した。この混合物を直径51cmで高さ26cmの成形型(円柱形状の中央部には、成形物に底面から上面まで貫通する直径22cmの中空部が形成されるようになっている)に挿入し、未硬化成形物を製造した。
次に、得られた未硬化成形物を、図1に示すような芯部用円筒5を取り付けた受け台4に、その中空部が芯部用円筒に挿入されるように固定し、未硬化成形物と芯部用円筒との間で形成される隙間部にアルミナ粉末を挿入し、一方、未硬化成形物の外側側面には、次に記載の帯状布帛を巻きつけ、帯状布帛に取り付けられている面ファスナーにより巻きつけ状態を固定した。この状態で、熟成室に挿入し、180℃で48時間熟成させた。
熟成後、得られた人工砥石を熟成室から取り出し、その外側側面を覆っている帯状布帛を面ファスナーの係合を外して人工砥石表面から剥がした。帯状布帛は、容易に人工砥石の側面から剥がすことができた。
得られた人工砥石は外側側面がフラットであった。さらに帯状布帛は、熟成に繰り返し使用することができた。そして、使用しないときは、重ね合わせることにより保管スペースを有しないものであった。また、未硬化成形物の外側側面に帯状布帛をまき付ける作業は、何ら手間と熟練を要するものではなく、極めて生産性の高いものであった。
[帯状布帛]
溶融液晶性ポリエステル製の1670dtex/300フィラメントで燃数80回/mのマルチフィラメント繊維糸[(株)クラレ製ベクトランマルチフィラメント糸、引張強度:22.9cN/dtex]を経糸および緯糸として使用して平織物を作製した(経糸織密度:36本/インチ、緯糸織密度:36本/インチ、目付:511g/m 織物構成糸の間には殆ど隙間なし。また織物表面は熱ローラ間を通すことにより平滑化されている。)。そして、この平織物を経糸方向が長さ方向となるように、帯状に切断し、幅方向両端部をほつれないように同マルチフィラメント糸でまとわり縫いして、長さ173cmで幅27cmの帯状布帛を製造した。
そして得られた帯状布帛の表面側端部に、フック状係合素子がポリフェニレンサルファイドからなるモノフィラメントである織面ファスナー[クラレファスニング(株)製ニューエコマジック耐熱タイプA48600.71:巾5cm×長さ27cm、地緯糸に熱融着繊維が使用されており、バインダー樹脂を基布に塗布する方法を用いず係合素子を緯糸の収縮及び熱融着で固定]を上記溶融液晶製ポリエステル製マルチフィラメント繊維糸により縫いつけ、そして帯状布帛の裏面側の反対側端部に、ループ状係合素子がポリフェニレンサルファイドからなるマルチフィラメント糸である織面ファスナー[クラレファスニング(株)製ニューエコマジック耐熱タイプB48000.00:巾5cm×長さ27cm2枚、地緯糸に熱融着繊維が使用されており、バインダー樹脂を基布に塗布する方法を用いず係合素子を緯糸の収縮及び熱融着で固定]を上記溶融液晶製ポリエステル製マルチフィラメント繊維糸により縫いつけて取り付けた。
比較例1
上記実施例1において製造したのと同様に方法で製造した未硬化成形物を使用し、実施例1で使用した帯状布帛に変えて、図4に示すのと同様の鉄製の円筒枠(内径:53cm、高さ:30cm)を用い、この円筒枠に未硬化成形物を挿入し、そして、未硬化成形物と鉄製の円筒枠の隙間にアルミナ粉末を充填した。この状態で熟成室に入れ、実施例1と同様に熟成を行った。熟成後、得られた人工砥石を熟成室から取り出し、鉄製の円筒枠から人工砥石を外したところ、隙間に充填したアルミナ粉末がこぼれ落ち、その回収に余分な作業を要した。
また、得られた人工砥石の側面に付着する不要なアルミナ粉末を掻き落とすための作業が必要であった。さらに、鉄製の円筒枠に未硬化成形物を挿入する際に、成形物の形状が損なわれないように、慎重な作業が求められた。
1:未硬化成形物
2:耐熱性繊維からなる帯状布帛
3.1、 3.2:面ファスナー
4:受け台
5:芯部用円筒
6:アルミナ粉末
7:金属製円筒枠

Claims (6)

  1. 砥粒と熱硬化性樹脂を含む組成物からなる円柱状の未硬化成形物の側面に、耐熱性繊維からなる帯状布帛を巻き付け、この状態で150〜200℃の範囲の温度で該熱硬化性樹脂を反応させ該樹脂を硬化させた後、巻き付けた帯状布帛を取り除くことを特徴とするレジノイド砥石の製造方法。
  2. 帯状布帛が、溶融紡糸により製造された長繊維糸からなる帯状織物である請求項1に記載の製造方法。
  3. 溶融紡糸により製造された長繊維糸が、溶融液晶性ポリエステルからなるマルチフィラメント繊維糸である請求項2に記載の製造方法。
  4. 円柱状の未硬化成形物の側面に耐熱性繊維からなる帯状布帛を直接巻き付ける請求項1に記載の製造方法。
  5. 帯状布帛の表裏両面の適当な場所にそれぞれ面ファスナーが取り付けられており、帯状布帛を円柱状の未硬化成形物の外側側面に巻き付けて面ファスナー同士を係合させ、そして、硬化反応中、係合させた状態を保つ請求項1に記載の製造方法。
  6. 面ファスナーの係合素子を構成する繊維がポリフェニレンサルファイド繊維である請求項5に記載の製造方法。
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