JP2015002719A - 免疫不全ブタ - Google Patents

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Abstract

【課題】実験動物として有用な形質を有する免疫不全モデルブタを提供すること。
【解決手段】マウス等の他の動物においてノックアウトにより免疫不全症状を呈することが知られている様々な遺伝子のうち、RAG(Recombination Activating Gene)遺伝子に着目し、有色毛品種であるデュロック種ブタを用いてノックアウトブタを作出したところ、T細胞及びB細胞が欠如した重度の免疫不全状態を呈するのみならず、驚くべきことに、体毛が無色で毛量が少なく、毛質も柔軟であるという特徴的な表現型を有するブタを取得できることを見出した。
【選択図】図7

Description

本発明は免疫不全ブタに関する。
ブタは臓器サイズや生理学的・解剖学的特徴がヒトに類似していることから、ヒトのモデル動物としての活用が期待されており、近年ではヒト臓器をブタ体内で作製して移植用臓器として活用する技術の開発も進められている。
ブタにおいても体細胞クローンの作出方法が確立しており(特許文献1、2等)、所望の遺伝子をノックアウトさせた各種のKOブタが作出されている(特許文献3、4、非特許文献1等)。例えば特許文献3及び非特許文献1には、commonγ遺伝子をノックアウトさせることにより重度の複合免疫不全状態となった免疫不全ブタが記載されている。しかしながら、ヒトの臓器等の生産工場や実験動物としてブタを実用化するためには、さらなる有用な形質を持った免疫不全モデルブタを開発することが重要である。
特許第4036356号公報 特許第4036608号公報 特開2010-110254号公報 特開2011-229456号公報
Cell Stem Cell 10, p.753-758, June 14, 2012
従って、本発明の目的は、実験動物として有用な形質を有する免疫不全モデルブタを提供することにある。
本願発明者らは、マウス等の他の動物においてノックアウトにより免疫不全症状を呈することが知られている様々な遺伝子のうち、RAG(Recombination Activating Gene)遺伝子に着目し、有色毛品種であるデュロック種ブタを用いてノックアウトブタを作出したところ、T細胞及びB細胞が欠如した重度の免疫不全状態を呈するのみならず、驚くべきことに、体毛が無色で毛量が少なく、毛質も柔軟であるという特徴的な表現型を有するブタを取得できることを見出し、本願発明を完成した。
すなわち、本発明は、RAG-1遺伝子又はRAG-2遺伝子の発現が低下又は欠失し、かつ、無色化した体毛を有する、免疫不全ブタを提供する。また、本発明は、有色毛品種のブタにおいて、RAG-1遺伝子又はRAG-2遺伝子の発現を低下又は欠失させることを含む、無色化した体毛を有するブタの作出方法を提供する。さらに、本発明は、RAG-1遺伝子の少なくとも一方のアレルが破壊されている有色毛品種に由来するブタの後代から、無色化した体毛を有する個体を選抜することを含む、免疫不全ブタの生産方法を提供する。
本発明により、免疫不全症状を呈する新規なブタが提供される。本発明の免疫不全ブタは、CD3陽性T細胞およびIgM陽性B細胞が欠如した常染色体劣性遺伝型のT細胞陰性B細胞陰性重症複合免疫不全症を呈する。さらに、本発明の免疫不全ブタは、野生型のブタと比較して体毛が無色化し、毛量が少なく、毛質が柔軟化しているという外観上の顕著な特徴を有する。このような体毛の変化は、マウス等の他の動物におけるRAG遺伝子のノックアウトでは報告されておらず、ブタ特有の表現型である。体毛の無色化及び毛量の低下という特徴により、野生型のブタと比較して、同種および異種の移植試験や薬剤の塗布試験が容易になり、その後の皮膚・皮下組織および組織移植片等の評価もし易くなるという利点が得られる。従って、本発明によれば、実験動物として有利な特徴を有する免疫不全ブタを得ることができる。
実施例におけるブタRAG-1遺伝子ノックアウトの概略を示した図である。 実施例で作出したRAG-1ノックアウト細胞株について、ゲノムDNAを鋳型としたPCRによりヘテロノックアウト又はホモノックアウトが生じていることを確認した結果を示す図である。(a)はヘテロノックアウト細胞株、(b)はホモノックアウト細胞株。レーン1:プライマーP1及びP4(pRAG-KOnベクター内を増幅)、レーン2:プライマーP2及びP1(Neo耐性遺伝子が挿入されたノックアウトアレル1を検出)、レーン3:プライマーP3及びP4(pRAG-KObベクター内を増幅)、レーン4:プライマーP3及びP1(bsr耐性遺伝子が挿入されたノックアウトアレル2を検出)。プライマーP1〜P4の位置は図1に示した通りである。 実施例で作出したRAG-1遺伝子ヘテロノックアウトブタ胎仔のゲノムをPCRにより解析した結果を示す図である。レーン1:プライマーP2及びP4(pRAG-KOnベクター内を増幅)、レーン2:プライマーP2及びP1(Neo耐性遺伝子が挿入されたノックアウトアレル1を検出)、NC:ネガティブコントロール、PC:ポジティブコントロール。RAG-1ヘテロノックアウトブタ胎仔細胞株は胎仔1から樹立した。 実施例で作出したRAG-1ホモノックアウトブタ胎仔3体について、PCRによりゲノムを解析した結果を示す図である。レーン1:プライマーP2及びP4(pRAG-KOnベクター内を増幅)、レーン2:プライマーP2及びP1(Neo耐性遺伝子が挿入されたノックアウトアレル1を検出)、レーン3:プライマーP3及びP4(pRAG-KObベクター内を増幅)、レーン4:プライマーP3及びP1(bsr耐性遺伝子が挿入されたノックアウトアレル2を検出)。ホモノックアウト状態であることを確認できた胎仔1の細胞株を使用して体細胞クローンを作出した。 ホモノックアウトブタ胎仔線維芽細胞を用いて作出したRAG-1遺伝子ホモノックアウト新生仔ブタについて、PCRによりゲノムを解析した結果を示す図である。レーン1:プライマーP2及びP4(pRAG-KOnベクター内を増幅)、レーン2:プライマーP2及びP1(Neo耐性遺伝子が挿入されたノックアウトアレル1を検出)、レーン3:プライマーP3及びP4(pRAG-KObベクター内を増幅)、レーン4:プライマーP3及びP1(bsr耐性遺伝子が挿入されたノックアウトアレル2を検出)。作出した産仔2頭のRAG-1ホモノックアウトが確認された。 RAG-1遺伝子ホモノックアウト新生仔ブタのゲノムについて、さらに詳細にPCR解析を行なった結果を示す図である。 野生型仔ブタ及びRAG-1遺伝子ホモノックアウト新生仔ブタの末梢血中の免疫細胞をFACSにより解析した結果である。ホモノックアウト仔ブタにおいて成熟T細胞、B細胞受容体及び抗体産生可能なB細胞の欠損が確認された。
ブタのRAG-1遺伝子自体は公知であり、そのゲノム配列及びコードされるアミノ酸配列がNCBIのデータベースにAB091392のアクセッション番号で登録されている。この公知のRAG-1遺伝子のゲノム配列及びRAG-1タンパク質のアミノ酸配列を配列表の配列番号1及び2にそれぞれ示す。
ブタのRAG-2遺伝子も公知であり、そのゲノム配列及びコードされるアミノ酸配列はNCBIのデータベースにAB091391のアクセッション番号で登録されている。この公知のRAG-2遺伝子のゲノム配列及びRAG-2タンパク質のアミノ酸配列を配列表の配列番号15及び16にそれぞれ示す。
本発明の免疫不全ブタは、RAG-1遺伝子又はRAG-2遺伝子(以下、これらを総称してRAG遺伝子と呼ぶことがある)の発現が低下又は欠失していることを特徴とする。好ましくは、本発明の免疫不全ブタは、RAG-1遺伝子の発現が低下又は欠失しているブタである。「遺伝子の発現が低下又は欠失している」とは、RAG遺伝子に関して何らの遺伝子改変も加えられていない野生型のブタと比較して、当該遺伝子からの正常なmRNA若しくはタンパク質の産生が低下若しくは欠失し、又は該正常なmRNA若しくはタンパク質の蓄積が低下若しくは欠失していることをいう。特定の遺伝子の発現を低下又は欠失させるための遺伝子改変方法はこの分野で広く知られており、当業者であれば適宜選択して実行できる。具体例としては、アンチセンス法、RNAi、遺伝子破壊法等を挙げることができるが、これらに限定されない。本発明においては、遺伝子破壊によりRAG-1遺伝子の発現が欠失していることが特に好ましい。
RAG-1遺伝子又はRAG-2の発現が低下又は欠失しているブタは、成熟T細胞、B細胞受容体及び抗体産生可能なB細胞を実質的に欠損した免疫不全状態を呈する。ブタ体内で成熟T細胞が実質的に欠損しているかどうかは、成熟T細胞の表面抗原CD3に対する抗体を用いた末梢血単核球のFACS解析により調べることができる。また、ブタ体内でB細胞受容体及び抗体産生可能なB細胞が実質的に欠損しているかどうかは、未熟〜成熟B細胞で発現する抗原レセプターCD19やCD20、CD21、IgM等に対する抗体を用いた末梢血単核球のFACS解析により調べることができる。いずれも、末梢血単核球サンプルにおける検出細胞数が正常豚(野生型コントロール)と比較して90%以上低下していれば、成熟T細胞、B細胞受容体及び抗体産生可能なB細胞を実質的に欠損していると判断してよい。
下記実施例では、RAG-1遺伝子ホモノックアウトブタがT細胞陰性B細胞陰性重症複合免疫不全症(T-B-SCID)を呈することを確認している。これはRAG-1遺伝子ホモ欠失型マウスやヒトにおけるRAG-1遺伝子機能不全症と同様の症状である。また、マウスにおいて、RAG-2遺伝子ホモ欠失型はRAG-1遺伝子ホモ欠失型と同様の症状がみられることが知られており(Cell. 68:855-867. 1992, Cell. 68:869-877. 1992)、ヒトにおいてもRAG-2遺伝子機能不全によってT細胞陰性B細胞陰性重症複合免疫不全症(T-B-SCID)を呈することが知られている。このことから、RAG-2遺伝子の発現を低下又は欠失させたブタもまた、RAG-1遺伝子発現の低下又は欠失と同様に免疫不全状態を呈すると考えられる。
本発明の免疫不全ブタは、外観上の重要な特徴として、RAG遺伝子の発現が低下も欠失もしていない野生型のブタと比較して体毛が無色化しているという特徴を有する。毛量も野生型ブタより少なく、毛質も柔軟化している。このような体毛の変化は、マウス等の他の動物におけるRAG遺伝子のノックアウトでは報告されておらず、ブタ特有の表現型である。体毛の無色化及び毛量の低下という特徴により、野生型のブタと比較して、同種および異種の移植試験や薬剤の塗布試験が容易になり、その後の皮膚・皮下組織および組織移植片等の評価もし易くなるという利点が得られる。
本発明の免疫不全ブタは、好ましくは有色毛品種のブタに由来する。有色毛品種の具体例としては、デュロック種、バークシャー種、ハンプシャー種、ラージブラック種、タムワース種、シャトームルシアーノ種、ポーランドチャイナ種、メイシャン種、オッサバウ種、ポットベリー種、マンガリッツァ種等を挙げることができる。「有色毛品種に由来する」とは、本発明の免疫不全ブタを作出するためにRAG遺伝子の発現を低下又は欠失させる遺伝子改変を施したブタが有色毛品種であることを意味する。有色毛品種で本発明の免疫不全ブタを作出すれば、後述する通り、体毛の変化に基づいて簡便にRAG遺伝子ホモノックアウトブタを選抜することができる。本発明の免疫不全ブタは、デュロック種に由来するブタであることが特に好ましい。
以下、遺伝子破壊による免疫不全ブタの作出方法について説明する。RAG-1遺伝子を例に用いて説明するが、RAG-2遺伝子の破壊も同様に行なうことができる。
RAG-1遺伝子を破壊するとは、ブタゲノムの少なくとも一方のアレルにおいて、好ましくは両アレルにおいて、ブタゲノム上のRAG-1遺伝子のコード領域を欠失させること又は正常な遺伝子産物を産生できないように変異させることをいう。両アレルを破壊することで、ブタ体内のRAG-1遺伝子の発現を完全に欠失させることができる。コード領域の欠失は、コード領域全体を欠失させてもよく、また一部を欠失させてもよい。全体を欠失させる場合には、RAG-1遺伝子に隣接する領域もあわせて広く欠失させてもよい。一部を欠失させる場合には、コード領域の半分以上を欠失させることが好ましいが、ごく一部を欠失させることでフレームシフト等により正常なRAG-1遺伝子産物が生じないようにすることもできるので(この場合は、正常な遺伝子産物を産生できないように変異させることにも該当する)、欠失させる領域のサイズは特に限定されない。コード領域の変異によりRAG-1遺伝子を破壊する場合には、例えば、該コード領域のいずれかの部位にナンセンス変異又はフレームシフト変異を導入して、RAG-1としての正常な生理活性を発揮できない短縮型のタンパク質又は全く無関係なタンパク質の配列とすることができる。あるいは、RAG-1遺伝子のコード領域中に他の配列を挿入するか、又はコード領域の一部を他の配列に置き換えることにより、RAG-1遺伝子を破壊してもよい。上記の「他の配列」として、薬剤耐性や蛍光タンパク質等のマーカー遺伝子配列を利用することで、ゲノム中に遺伝子破壊用コンストラクトが導入された細胞をスクリーニングすることが容易になる。
哺乳動物細胞の遺伝子破壊方法は公知であり、例えば相同組換えを利用した手法が知られている(Nature, 336, p.348-352, 1988; Science, 244, p.1288-1292, 1989; Proc.Natl.Acad.Sci., 86, p.227-231, 1989; 日薬理誌、129、p.330-336、2007年;Nature, 405, p.1066-1069, 2000; Nat Biotechnol., 20, p.251-255, 2002; Science, 295, p.1089-1092, 2002; Transplantation, 76(6), p.900-902, 2003;Transplantation, 81(5), p.760-766, 2006など)。相同組換え法によりRAG-1遺伝子のコード領域の一部又は全部を欠失させたい場合には、欠失させたい領域の上流側及び下流側のゲノム配列をブタゲノムDNAからPCRにより増幅して上流側相同領域及び下流側相同領域を調製し、マーカー遺伝子を間に挟んで2つの相同領域を連結させて遺伝子破壊用DNAコンストラクトを調製し、このコンストラクトをエレクトロポレーション等の常法によりブタ体細胞(ブタ胎仔線維芽細胞など)に導入すればよい。このようなコンストラクトで遺伝子を破壊すると、RAG-1遺伝子の一部又は全部がマーカー遺伝子に置き換えられた変異アレルが生じる。コード領域に欠失が生じないように上流側相同領域及び下流側相同領域を調製してコンストラクトを構築すれば、完全なRAG-1遺伝子領域内の一部にマーカー遺伝子が挿入された変異アレルが生じる。なお、遺伝子破壊用コンストラクトは、通常、適当なプラスミドベクターに挿入された形態で調製され、ブタ細胞に導入する際は適当な部位(通常は上流側相同領域とプラスミドベクターとの間)で切断してリニア化して用いられる。
上流側相同領域及び下流側相同領域のサイズは相同組換えの効率に影響し、哺乳動物の遺伝子破壊においては一般に数kb程度のサイズの相同領域が用いられる。一方の相同領域を1〜3kb程度(短腕)、他方の相同領域を5kb程度以上(長腕)とするのが一般的であるが、両者を5kb程度のサイズとしてもよい。
配列番号1に示したRAG-1遺伝子のゲノム配列において、エクソン1は827位〜924位、エクソン2は5365位〜10109位、コード領域は5379位〜8510位である。下記実施例では、RAG-1のエクソン1全体及びエクソン2の上流側1.3kb程度の領域を含む約6.5kbのサイズの上流側相同領域(配列番号1における164位〜6613位)を長腕とし、これより下流側に位置するエクソン2の中央付近の約1.5kbの領域からなる下流側相同領域(配列番号1における6661位〜8175位)を短腕として用いて遺伝子破壊用コンストラクトを作製し、RAG-1遺伝子の破壊を行なっている。このようなコンストラクトによれば、RAG-1遺伝子コード領域の中央付近がマーカー遺伝子によって分断され(より具体的には、配列番号1における6614位〜6660位がマーカー遺伝子によって置換される)、RAG-1遺伝子が破壊される。このように、コード領域の中央付近においてRAG-1遺伝子を分断すれば、RAG-1遺伝子を破壊することができる。もっとも、RAG-1遺伝子の破壊方法はこれに限定されず、遺伝子破壊用コンストラクトはRAG-1遺伝子のゲノム配列に基づいて適宜設計することができる。なお、RAG-2遺伝子のエクソン1Aは796位〜929位、エクソン1Bは3546位〜3620位であり、エクソン2は5124位〜7420位であり、コード領域は5154位〜6737位である(いずれも配列番号15における位置で示す)。
哺乳動物細胞においては、相同組換えによる遺伝子破壊用コンストラクトのゲノムへの導入頻度は、相同組換えによらないランダムな導入の頻度に比べて非常に低い。そのため、RAG-1が破壊された細胞のスクリーニングには、薬剤耐性を与えるポジティブ選択マーカーと薬剤感受性を与えるネガティブ選択マーカーを併用することが好ましい。上記の遺伝子破壊用コンストラクトにおいて、2つの相同領域の間に連結するマーカー遺伝子をポジティブ選択マーカー遺伝子とし、下流側相同領域の3'側にネガティブ選択マーカー遺伝子を連結しておけばよい。該コンストラクトが相同組換えによりゲノムに導入されていれば、コンストラクトのうち下流側相同領域よりも3'側の領域はゲノムに導入されないので、ネガティブ選択マーカー遺伝子により薬剤感受性が付与されることはない。一方、該コンストラクトが相同組換えによらずにゲノムに導入された場合、ネガティブ選択マーカー遺伝子もゲノムに導入されるため、そのような形質転換細胞には薬剤感受性が付与されることになる。よって、遺伝子破壊用コンストラクトをブタ体細胞に導入後、ポジティブ選択マーカーとネガティブ選択マーカーによるスクリーニングを行えば、相同組換えにより適切な位置にコンストラクトが導入されRAG-1遺伝子が破壊された細胞を効率よく選抜することができる。
一般に使用されるマーカー遺伝子の具体例を挙げると、ポジティブ選択マーカーとしてはネオマイシン耐性遺伝子、ブラストサイジン耐性遺伝子、ピューロマイシン耐性遺伝子等が挙げられ、ネガティブ選択マーカーとしてはチミジンキナーゼ遺伝子、ジフテリア毒素Aフラグメント(DT-A)等が挙げられるが、これらに限定されない。それぞれ適当なプロモーターとの組み合わせで用いられるが、当業者であればマーカー遺伝子の種類に応じて適宜選択することができる。
マーカーによるスクリーニングの後、PCRやサザンブロッティングによる遺伝子破壊の確認を行ない、RAG-1遺伝子が破壊されたアレルを有する細胞を取得する。PCRに使用するプライマーやサザンブロッティングに使用するプローブは、当業者であれば、遺伝子破壊用DNAコンストラクトの構造に応じて適宜設計することができる。
次いで、RAG-1遺伝子の破壊が確認された細胞より、体細胞クローニング技術を用いて、RAG-1遺伝子が破壊されたアレルを有するブタ個体を作出する。ブタ等の大動物の体細胞クローニング技術もこの分野において確立した技術となっており(Nature, 385, p.810-813, 1997; Science, 282(5396), p.2095-2098, 1998; Science, 298, p.1188-1190, 2000; Nature, 407, p.86-90, 2000; Nat Biotechnol., 18, P.1055-1059, 2000等参照)、また、ブタ等の大動物においてこれらの技術を用いた遺伝子改変個体が作出されている(Nature, 405, p.1066-1069, 2000; Nat Biotechnol., 20, p.251-255, 2002; Science, 295, p.1089-1092, 2002; Transplantation, 76(6), p.900-902, 2003;Transplantation, 81(5), p.760-766, 2006等参照)。具体的には、ブタの体内成熟卵子又は体外成熟卵子を調製し、該卵子を除核する。除核卵子にRAG-1破壊細胞の核を移植し、電気刺激等により移植後の卵子を活性化後、一定期間培養して仮腹親の子宮に移植すればよい。体内成熟卵子の調製方法の具体例は下記実施例に記載される通りである。
上述した通り、哺乳動物細胞における相同組換えの頻度は非常に低いため、両アレルで同時に相同組換えが生じる可能性は極めて低く、上記した相同組換えによる遺伝子破壊法により得られるRAG-1破壊ブタは通常ヘテロノックアウト体である。従って、ホモノックアウト体を得るためには、ヘテロノックアウトブタの体細胞を用いて上記した遺伝子破壊法と体細胞クローニングを再度繰り返せばよい。ヘテロノックアウトブタの体細胞として胎児線維芽細胞を用いる場合には、ヘテロノックアウト細胞から体細胞クローニング技術によりブタ胎児を作出し、このブタ胎児から線維芽細胞を取得すればよい。ヘテロノックアウト細胞の調製に使用する遺伝子破壊用DNAコンストラクトと、ホモノックアウト細胞の調製に使用する遺伝子破壊用DNAコンストラクトとで、異なる薬剤耐性ポジティブ選択マーカーを用いれば、ホモノックアウト細胞を適切に選抜することができる。
あるいは、RAG-1遺伝子のヘテロノックアウトブタ同士を交配し、ホモでノックアウトされた後代を選抜してもよい。ホモノックアウトブタは、体毛が無色化するという、外観上の顕著な特徴を有する。そのため、有色毛のブタ品種で雌雄のRAG-1ヘテロノックアウトブタを作出しておけば、両者を交配して得られた後代の中から、RAG-1がホモで破壊された免疫不全ブタを外観に基づいて簡便に選抜することができる。RAG-1のヘテロノックアウトブタとホモノックアウトブタを交配させた場合も同様に選抜可能である。すなわち、本発明は、RAG-1遺伝子の少なくとも一方のアレルが破壊されている有色毛品種に由来するブタの後代から、無色化した体毛を有する個体を選抜することを含む、免疫不全ブタの生産方法も提供する。所望により、無色化した体毛を有する後代のブタの体細胞からゲノムDNAを抽出し、PCR又はサザンブロッティングによりRAG-1遺伝子の両アレルが破壊されていることを確認してよい。
以下、本発明を実施例に基づきより具体的に説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
[材料と方法]
1.ブタ胎仔線維芽細胞の採取
デュロック種を交配し、妊娠35日齢のデュロック種ブタ胎仔を回収した。採取した胎仔の頭部・内蔵部分を除去し、ハサミで細断後、300〜500μmメッシュ上で擦り潰して10%のウシ胎児血清(FCS)添加DMEM(ナカライテスク)又はMEMα(インビトロジェン)に懸濁した。ブタ胎仔細胞懸濁液を遠心処理(1000rpm、10分)し、上清を除去した後、再度10%FCS添加DMEMに適当量になるように懸濁して75cm2細胞培養用フラスコに播いた。細胞は37℃・5%CO2下で培養し増殖させ、コンフルエント後に継代して必要量まで増やし、その後凍結保存した。
2.ブタRAG-1遺伝子ノックアウト(KO)ベクター構築
ブタRAG-1遺伝子ノックアウト(KO)ベクターの構築は、NCBIデーターベースに公開されているブタRAG-1遺伝子のゲノム構造情報(Accession No. AB091392、配列番号1)をもとに実施した。RAG-1遺伝子KOベクター(pRAG-KOnおよびpRAG-KOb)を構築するため、RAG-1遺伝子の周辺ゲノム領域(1.5kbおよび6.5kb断片:図1)をPCRクローニング法によりクローニングした。
ベクターの短腕として使用する1.5kb断片(1.5kbS、配列番号3)のPCR増幅には、センスプライマーRAG-S0(T):GCGATGTGAAGTCAGTGTGC(配列番号4)およびアンチセンスプライマーRAG-S1(B):CCTCATATCTGTACTTGAACTTGG(配列番号5)を使用した。また、長腕として使用する6.5kb断片(6.5kbL、配列番号6)の増幅にはセンスプライマーRAG-L1.4(T):GCAGATGCAACTCCAATTCC(配列番号7)およびアンチセンスプライマーRAG-L2(B):CTCAGACGGTGTTTCTGAGC(配列番号8)を使用した。短腕、長腕いずれも、ブタの体細胞から抽出したゲノムDNAを鋳型としたPCRにより増幅して得た。
RAG-1 KOベクターは、RAG-1遺伝子のエクソン2領域を選択マーカーであるPGK-Neoユニット(PGKプロモータを持つネオマイシン耐性遺伝子)が分断するようにデザインし構築した。具体的には、プラスミドベクターpZErO-2(Invitrogen)のマルチクローニングサイト中、PGK-Neoユニットの5’側に長腕6.5kbL、そして3’側に短腕1.5kbSが位置するように構築した。ヘテロKO細胞株樹立に使用するpRAG-KOnベクターは、1.5kbSの3’側にネガティブ選択用遺伝子マーカーのMC1-TK(MC1プロモータを持つヘルペスチミジンキナーゼ遺伝子)が位置するように構築した(図1)。ホモKO細胞株樹立に使用するpRAG-KObベクターは、薬剤耐性遺伝子ユニットをPGK-NeoからCAG-bsr(CAGプロモータを持つブラストサイジン耐性遺伝子)に変更し構築した(図1)。これらのKOベクターを用いると、相同組換えの結果、エクソン2内の980位〜1026位(配列番号1においては6614位〜6660位)の47bpが欠失し、この部分に薬剤耐性遺伝子ユニットが挿入された変異型アレルが生じる(図1)。
3.ブタ胎子由来線維芽細胞へのKOベクターの導入および選別培養
ブタ胎子由来線維芽細胞(#T6-12株またはRAG-1ヘテロKO株)を150平方cm培養フラスコ(グライナー社製)中で10%FCS(牛胎児血清)を含むMEMα培地(インビトロジェン社製)中で培養し、コンフルエント状態になった細胞を使用した。
ベクター遺伝子の導入はエレクトロポレーション法により行った。手順は次のとおりである。コンフルエント状態の細胞を、リン酸緩衝塩溶液(PBS)で洗浄後、0.05%トリプシン-EDTA/PBS溶液(インビトロジェン社製)を使用し分散化し、1500回転/分の遠心操作により回収した。1x 107細胞/750 μl PBSに調整後、5 μgのpRAG-KOn(またはpRAG-KOb)ベクター(あらかじめ制限酵素XhoI(タカラバイオ社製)消化により直線化する)を添加し、氷中に10分間静置した。氷冷したエレクトロポレーション用キュベット(BIO-RAD社製)に細胞・pRAG-KOn(またはpRAG-KOb)ベクター混合液を入れ、ジーンパルサー遺伝子導入装置(BIO-RAD社製)で導入操作を実施した(220V, 950 μF)。荷電後、氷中に10分間静置した。続いて、24 mlの培養用培地(10% FCS添加MEM・培地)に細胞をケン濁し、6穴細胞培養プレート(グライナー社製)(1ml/穴)2枚に播種しインキュベーター(サンヨー社製)(37℃、5%, CO2/95%空気)内で培養した。
48時間培養後、細胞をリン酸緩衝塩溶液(PBS)で洗浄し、0.05%トリプシン−EDTA処理(5分)し培養プレートより細胞を剥がし、0.4 mg/ml(最終濃度) ネオマイシン(G418:商品名 Geneticin,インビトロジェン社製)+20 μMガンシクロビル(GCV)(ナカライテスク社)添加培地中にけん濁し、48穴細胞培養プレート(400 μl/穴)(グライナー社製)16枚に播き直し選別培養を行った。
pRAG-KObベクターを使用したホモKO細胞株樹立においては、10 μg/ml(最終濃度) ブラストサイジンS(BS)(InvivoGen社製)+0.4 mg/ml(最終濃度) G418+20 μM GCV添加培地を選別培養に使用した。
播き直し後、10日目前後になると増殖した薬剤耐性細胞コロニーが確認できた。顕微鏡下でコロニーの存在する穴(ウエル)を確認し、前述のトリプシン処理により細胞を剥がし48穴細胞培養プレートに二等分して培養を継続した。24〜48時間後、二等分した一方を使用しKO判定のためのPCR解析(後述)を実施した。PCR解析によりKOと判定された細胞株は、細胞増殖に従い、12穴細胞培養プレート(グライナー社製)、25 cm培養フラスコ(グライナー社製)、75 cm培養フラスコ(グライナー社製)へとスケールアップ継代し、最終的に細胞を回収し凍結保存した。
4.PCR解析によるRAG-1遺伝子KO細胞株の判定
KO判定に使用する48穴細胞培養プレートの各穴(ウエル)にDNA抽出バッファー(10 mM Tris-HCl(pH 8.5)、50 mM KCl、2 mM MgCl2、0.45% NP-40、0.45% Tween-20、100 μg/ml(最終濃度)Proteinase K(ナカライテクス社製))を50 μl添加し溶解し、0.2mlマイクロチューブに回収した。その後、55℃で60分間インキュベートし、さらに99℃で10分間インキュベートした。インキュベート終了後、DNAサンプルは4℃で保持し、PCR解析に使用した。
PCRは1サンプル当たり、テンプレート(DNA抽出サンプル)5 μl、anti-Taq high用10×PCR buffer(TOYOBO社製)2.5 μl、センスプライマー(10 pmoles/μl)0.25 μl、アンチセンスプライマー(10 pmoles/μl)0.25 μl、dNTP mixture (2 mM each) 2 μl、anti-Taq high(TOYOBO社製)+rTaq DNAポリメラーゼ(TOYOBO社製)混合液0.25 μl、滅菌蒸留水にて計25 μlになるように調整し実施した。
ヘテロKO判定に用いたプライマーの塩基配列は次の通りである。プライマー1(P1):TAGTACTTGGACTGCCTGGC(配列番号9)、プライマー2(P2):GGCATGCATCGATAGATCTCG(配列番号10)。ホモKO判定には、プライマー2の代わりにプライマー3(P3):GGTCCCTCGAAGAGGTTCACTAG(配列番号11)を使用した。また、KO細胞株の詳細なPCR解析には、プライマー4(P4):GGTGGAGAGGAGCTCAGC(配列番号12)を使用し実施した(図1)。PCRの反応条件は、95℃3分を1回、95℃1分-57℃1分-72℃2分を35回、72℃5分を1回とした。
5.採卵豚の発情同期化
体内成熟卵子の採取にはデュロック種(D)又は大ヨークシャー種(W)の雌ブタを用いた。体内成熟卵子を採取するため、150日〜195日齢の春期発動前の雌ブタでは、eCG(ピーメックス、エール薬品)を1500IU投与し、その72時間後にhCG(プペローゲン、日本全薬工業)を1000IU投与することによって発情の同期化を行ない、体内成熟卵子を採取した。春期発動後の雌ブタ(成長に伴い自然に春期発動した個体及び上記のホルモン処置により人為的に発情誘起した個体の両者を含む)については、人工流産・偽妊娠誘起・離乳の3通りの方法を用いて体内成熟卵子を採取した。人工流産法は、予め人工授精した雌ブタに人工授精後25〜60日にPGF2α類縁体クロプロステロール約0.2mg(レジプロンS、あすか製薬)を筋肉内投与した。その24時間後に、同様にPGF2α類縁体クロプロステロールを注射し、同時にeCGを1500IU筋肉内投与した。PGF2α類縁体とeCG投与後72時間にhCG 1000IUを投与した。偽妊娠誘起法は発情確認後9〜13日に1回偽妊娠誘起剤20mg(オバホルモンデポー筋注、あすか製薬)を投与し(Reprod Biol Endocrinol. 9:157. 2011)、偽妊娠剤投与後15〜40日後にPGF2α類縁体クロプロステロール約0.2mg(レジプロンS、あすか製薬)を筋肉内投与した。PGF2α類縁体クロプロステロール投与後の処置は上記の人工流産法と同様の方法で行った。離乳による発情の同期化は、授乳豚を離乳(子豚を引き離す)させると通常4〜7日後に発情が起こるので、その発情回帰を利用した方法である。妊娠した試験対象豚を分娩させ、一定期間(15〜35日程度)授乳させた後、子豚を引き離して離乳させた。この離乳時にeCG 1500IUを投与し、その72時間後にhCG 1000IUを投与した。いずれの雌ブタも、hCG投与44〜47時間後に全身麻酔下で子宮、卵巣、卵管を摘出した。
6.体内成熟卵子の回収
灌流液(0.1%ウシ血清アルブミン(Sigma)添加PBS(−)(TAKARA)+抗生物質)で卵管を灌流し、排卵された体内成熟卵子を採取した。得られた卵子は0.1%ヒアルロニダーゼ(Sigma)を含む灌流液で卵丘細胞を裸化し、その後ヒアルロニダーゼを含まない灌流液で2〜3回洗浄した。灌流液で洗浄後、除核操作に供試するまでPZM-3液(Biol Reprod. 66:112-119. 2002)を用いてインキュベーター(38.5℃、5%CO2、5%O2、90%N2)下で保存した。
7.除核操作
採卵した未受精卵子を5μg/ml濃度のサイトカラシンB(Sigma)を含むPZM-3液に移し、15分以上処理した後、同様のサイトカラシンB添加PZM-3液ドロップ内で除核操作を行った。ピエゾマイクロマニピュレーター(プライムテック株式会社製)に取り付けた除核用ピペット(外径25μm、先端45度、プライムテック株式会社製)により、第一極体ごと細胞質を1/4〜1/3量程吸引除去した。細胞質吸引後、除核卵子をサイトカラシンB不含のPZM-3液に移し、3回洗浄を行った。その後、ドナー核の注入操作までPZM-3液ドロップに移し、インキュベーター内で培養した。
8.ドナーRAG-1遺伝子KO体細胞の準備
前述のPCR解析によりRAG-1遺伝子がKOされていると判定された雄ブタ胎仔線維芽細胞コロニー(図2:#51-2、#95-2)を核移植のドナー細胞として用いた。培養液には10%FCSを添加したDMEM又はMEMα(インビトロジェン)を用い、継代回数は1〜4回の細胞を用いた。ドナー細胞は、コンフルエント状態から培地交換を行わず2〜8日間放置又は核移植日の2〜3日前に培養液を0.05%FCS添加DMEM又はMEMαに交換し、細胞周期をG1/G0期に同調した。ドナー細胞は培養液を除去した後にPBS(−)で洗浄し、0.05%トリプシン-EDTA/PBS溶液(インビトロジェン)を加えて細胞を剥離した。剥離した細胞に10%FCS添加DMEM又はMEMαを加えて懸濁し、その後遠心処理(1000rpm、5分)を行った。遠心処理後、上清を除去し、PZM-3液を適量加えて懸濁し、核移植に用いるまで室温で放置した。体細胞核注入操作時に適量の細胞数を注入操作用チャンバーのドロップに加えて使用した。
9.ドナー体細胞核の注入操作
ドナー体細胞核の注入操作は除核卵子を含む注入用チャンバーのドロップに適量のドナー細胞を添加して操作した。注入操作には体細胞核注入用ピペット(外径10〜12μm、鈍端、プライムテック株式会社)を用いた。体細胞核注入用ピペットをピエゾマイクロマニピュレーターに取り付ける前に、ピペット後端からフロリナートを充填して使用した。体細胞核注入用ピペットで体細胞を吸引し、数回ピペッティングして細胞膜を破壊後、ホールディングピペットで保定した除核済み卵子細胞質内へ注入した。体細胞核を注入した卵子は活性化処理時間までインキュベーター内で培養した。
10.ドナー体細胞核を注入した卵子の活性化処理と体外培養
体細胞核を注入した卵子の活性化には電気活性化装置(NEPAGENE社製)を用いて直流パルス刺激(1.5kV/cm 100μsec×1回)を与えた。チャンバーはステンレスワイヤー電極を用い、電気活性化処理用の溶液には0.05mM CaCl2、0.1mM MgSO4、0.02%BSAを含む0.28Mマンニトール溶液を用いた。
活性化処理後の卵子は5μg/mlサイトカラシンBを含むPZM-3液で2時間培養し、第2極体の放出抑制処理を行った。その後、PZM-3液2〜3回洗浄後、リプロプレート(機能性ペプチド研究所)に準備したPZM-3液ドロップで体外培養を行い、体外培養後1〜2日目の核移植胚を胚移植に用いた。
11.仮腹豚の発情同期化と胚移植
仮腹豚は5.の採卵豚と同様の方法(人工流産法又は偽妊娠法)を用いて発情の同期化を行った。また、仮腹の発情は採卵した雌ブタより1〜2日遅れるように発情同期化処置を行い、hCG投与後1日目に発情が確認された雌ブタのみを仮腹豚として胚移植に供試した。胚移植はイソフルラン(アボット)・ドルミカム(アステラス製薬)・ドミトール(日本全薬工業)麻酔下で外科的に胚移植を行った。胚移植はPPカテーテル(富士平工業)を卵管に挿入して行った。
12.RAG-1遺伝子KOクローン胎仔の採取とPCR解析
単一なRAG-1遺伝子ヘテロKO細胞を得るため、RAG-1遺伝子ヘテロKO細胞株(図2:#51-2、#95-2)を用いた体細胞核移植操作により妊娠した雌ブタから胎仔を回収した。回収した胎仔は、3.と同様の方法で胎仔線維芽細胞を採取し、ゲノムDNAのPCR解析で陽性であった胎仔細胞をRAG-1遺伝子ホモKO細胞の作出に使用した。同様に、単一なRAG-1遺伝子ホモKO細胞を得るために、RAG-1遺伝子ホモKO細胞株(図2:#1-11、#1-33、#1-66、#2-84、#3-5、#3-55)を用いた体細胞核移植操作により妊娠した雌ブタから胚移植後36日に同様の方法で胎仔を回収し、胎仔線維芽細胞の採取とゲノムDNAのPCR解析を行った。PCR解析で陽性であったRAG-1遺伝子ホモKO胎仔細胞を用いて核移植と胚移植を行い、RAG-1遺伝子ホモKOブタ産仔を作出した。
13.RAG-1遺伝子KO胎仔・新生仔ブタのPCR解析
体細胞核移植操作により作出したRAG-1遺伝子ヘテロKO胎仔およびホモKOブタ胎仔・新生仔ブタのゲノム解析は、各個体の組織片よりゲノムDNA抽出キット(キアゲン社製およびフジフィルム社製)を使用しゲノムDNAを調整し実施した。
RAG-1遺伝子ヘテロおよびホモKOブタ胎仔のPCR解析には4.と同様の方法を用いて行った。RAG-1ホモKO新生仔ブタの解析には4.の方法に加え、エクソン2の欠失領域を検出するPCR解析を利用した。用いたプライマーの塩基配列は次の通りである。エクソン2の47bp欠失領域に位置するプライマーc1(Pc1):TTCGCCGACAAAGAAGAAGG(配列番号13)、エクソン2領域に位置するプライマーc2(Pc2、RAG-S0(T)と同じ):GCGATGTGAAGTCAGTGTGC(配列番号4)、およびプライマーc3(Pc3):CTTGCAGCATAGTTCAGAGTTAGG(配列番号14)を使用し実施した(図3)。PCRの反応条件は、95 ℃3分を1回、95℃ -30秒-57 ℃30秒-72 ℃1分を35回、72 ℃5分を1回とした。
14.ブタ末梢血の解析
体細胞核移植操作により妊娠した雌ブタから分娩予定日の1日前に帝王切開によりクローン新生仔ブタを得た。血液を採取後、直ぐに抗凝固剤EDTA2NA加真空採血管(ベノジェクトII、テルモ)へ移し、血液が凝固しないように混合した。血液から末梢血単核球を分離するため、フィコール(免疫生物研究所)上に血液を重層し、遠心処理(1800rpm、20分)後、末梢血単核球が存在する中間層を採取した。必要に応じて塩化アンモニウム溶液による溶血処理を行い、PBS(−)で洗浄後、FACS解析のための抗体染色を行った。成熟T細胞の検出にはPEで標識したマウス抗ブタCD3ε抗体(BECKMAN COULTER)を用いて行った。B細胞受容体及び抗体産生可能なB細胞の検出にはFITCで標識したマウス抗ヒトCD19抗体(affymetrix)を用いて行った。抗体染色はマウス抗ブタCD3ε抗体及びマウス抗ヒトCD19抗体を末梢血単核球に加え、遮光で30分反応させた。その後、PBS(−)で洗浄し、FACS解析装置に流した。尚、比較対照として野生型デュロック種も同様の方法で新生仔ブタの摘出と末梢血の解析を行った。
[結果の説明]
1.ブタRAG-1遺伝子ゲノムのクローニングと遺伝子KOベクターの構築
RAG-1遺伝子は免疫系に関連する細胞(B細胞およびT細胞)の分化に必須の遺伝子であり、マウスにおいてKO個体は免疫不全になることが知られていることから(Cell. 68: 869-877. 1992)、実験用動物としての活用も期待されている。
RAG-1遺伝子は線維芽細胞では発現していないことから、KOベクターは、ポジティブ-ネガティブ選別タイプのものを構築した(図1)。構築にあたり、長腕部分はエクソン1、イントロン1、およびエクソン2の一部を含む6.5kbの領域をPCRクローニングして使用し、短腕部分はエクソン2中の1.5kbの領域をPCRクローニングして使用した(図1)。 ポジティブ選別用薬剤耐性遺伝子としてはPGK-Neo(PGKプロモータによりネオマイシン耐性遺伝子を発現)またはCAG-bsr(CAGプロモータによりブラストサイジン耐性遺伝子)を使用した。また、ネガティブ選別用薬剤耐性遺伝子としてはMC1-TK(MC1プロモータによりヘルペスチミジンキナーゼ遺伝子を発現)を使用した(図1)。
2.RAG-1遺伝子ヘテロKO細胞株樹立
構築したKOベクター(pRAG-KOn)を使用し、雄胎仔に由来する線維芽細胞(#T6-12株)を用いてKO操作を実施した。薬剤耐性株384クローン中、9クローンが、ヘテロKOと判定された(表1)。このヘテロKOと判定された9クローンのうち2クローンにおいては単一のコロニーに由来し、正しい位置で相同組換え反応が起きている細胞が増殖していることが、詳細なPCR解析により示唆された(#51-2および#95-2株)(図2(a))。
3.RAG-1遺伝子ヘテロKO細胞を用いた核移植由来胎仔のPCR解析
RAG-1遺伝子ヘテロKO細胞コロニー#95-2を用いた計1回の核移植・胚移植の結果、2匹のブタ胎仔を得た(表2)。PCRによる解析は、採取したブタ胎仔2頭からエクソン2に挿入したネオマイシン耐性遺伝子及び遺伝子組換えベクターを示す結果が得られた(図3)。この結果により、核移植後に発生したクローンブタ胎仔はRAG-1遺伝子ヘテロKOであることが示され、この胎仔から単一なRAG-1遺伝子ヘテロKOブタ胎仔細胞株を樹立した。
4.RAG-1遺伝子ホモKO細胞株樹立
RAG-1遺伝子ホモKO細胞株樹立のために薬剤耐性遺伝子を変更したKOベクター(pRAG-KOb)を構築し、#95-2株をドナー細胞としてクローン化して新たに樹立したヘテロKOブタ胎仔細胞株を用いてRAG-1遺伝子ホモKO細胞株の樹立を行った。薬剤耐性株288クローン中、12クローンが、ホモKOと判定された(表1)。このホモKOと判定された12クローンのうち6クローンにおいては単一のコロニーに由来し、正しい位置で相同組換え反応が起きている細胞が増殖していることが、詳細なPCR解析により示唆された(#1-11, #1-33, #1-66, #2-84, #3-5,および#3-55株)(図2(b))。
5.RAG-1遺伝子ホモKO細胞を用いた核移植由来胎仔のPCR解析
RAG-1遺伝子ホモKO細胞コロニー#3-55を用いた計1回の核移植・胚移植の結果、3匹のブタ胎仔を得た(表3)。PCR解析の結果、回収した胎仔の内1頭からエクソン2に挿入したネオマイシン耐性遺伝子及びブラストサイジン耐性遺伝子、遺伝子組換えベクターが検出された(図4)。この結果により、核移植後に発生したクローンブタ胎仔はRAG-1遺伝子ホモKOであることが示され、この胎仔から単一なRAG-1遺伝子ホモKOブタ胎仔細胞株を樹立した。
6.RAG-1遺伝子ホモKOブタ胎仔細胞の再核移植と胚移植
作出した細胞由来のクローンブタ胎仔がRAG-1遺伝子ホモKOブタであることがゲノムDNAのPCR解析によって確認できたため(図4)、そのブタ胎仔線維芽細胞を用いて計4回の核移植・胚移植を実施した(表4)。その結果、3頭の仮親が妊娠し、そのうち2頭の仮親から2頭のクローン新生仔ブタを得た。
7.RAG-1遺伝子ホモKO新生仔ブタのPCR解析
体細胞核移植操作により作出したRAG-1遺伝子ホモKO新生仔ブタより調製したゲノムDNAを使用し、RAG-1遺伝子KO状況を確認した(図5、図6)。前述の方法によりPCR解析をした結果、エクソン2に挿入したネオマイシン耐性遺伝子及びブラストサイジン耐性遺伝子、遺伝子組換えベクターが示された(図5)。さらに、RAG-1遺伝子エクソン2の47bp欠失領域に位置するプライマーを使用することにより、作出した新生仔ブタはRAG-1遺伝子が失活(KO)状態にあることが確認できた(図6:-/-)。この結果により、体細胞核移植操作後に摘出されたクローン新生仔ブタはRAG-1遺伝子ホモKO状態であることが示された。
8.RAG-1遺伝子ホモKO新生仔ブタの観察
得られたRAG-1遺伝子ホモKO新生仔ブタを観察したところ、RAG-1遺伝子ホモKO新生仔ブタは野生型新生仔ブタと比較すると毛色の変化及び毛量の減少がみられた。すなわち、野生型新生仔ブタは褐色の剛毛であるが、RAG-1遺伝子ホモKO新生仔ブタは毛色が無色で毛量が少なく、野生型よりも柔らかい毛質を有していた。これはRAG遺伝子欠損マウスではみられない症状であるため、RAG遺伝子欠損ブタ特有のものと考えられ、RAG遺伝子欠損ブタの判別に利用できる。さらに、RAG-1遺伝子ホモKOブタにおける毛色の欠色および毛量の低下は、通常のブタと比べて同種および異種の移植試験や薬剤の塗布試験が容易になるだけでなく、その後の皮膚・皮下組織および組織移植片等の評価をし易くする利点がある。
9.RAG-1遺伝子ホモKO新生仔ブタの末梢血単核球の解析
野生型新生仔ブタの末梢血単核球を成熟T細胞、B細胞受容体及び抗体産生可能なB細胞を検出するFACS解析によって検出したところ、末梢血単核球中に約45%のCD3陽性T細胞とIgM陽性(CD19陽性)B細胞が検出された(図7:Rag+/+)。一方、RAG-1遺伝子ホモKO新生仔ブタの末梢血単核球ではCD3陽性T細胞およびIgM陽性(CD19陽性)B細胞が0.1%以下となっており、RAG-1遺伝子ホモKO新生仔ブタではこれらのT細胞およびB細胞が欠損していることが確認された(図7:Rag-/-)。このことから、得られたRAG-1遺伝子ホモKOブタはCD3陽性T細胞およびIgM陽性B細胞が欠如した常染色体劣性遺伝型のT細胞陰性B細胞陰性重症複合免疫不全症(T−B−SCID)を呈することを示した。これはRAG-1遺伝子ホモ欠損型マウスやヒトにおけるRAG-1遺伝子機能不全症と同様の症状である。また、マウスにおいてRAG-2遺伝子ホモ欠損型はRAG-1遺伝子ホモ欠損型と同様の症状がみられることが知られており(Cell. 68:855-867. 1992, Cell. 68:869-877. 1992)、ヒトにおいてもRAG-2遺伝子機能不全によってT細胞陰性B細胞陰性重症複合免疫不全症(T−B−SCID)を呈することが知られているため、RAG-2遺伝子ホモKOブタもRAG-1遺伝子ホモKOと同様の症状を示すことが予想できる。

Claims (8)

  1. RAG-1遺伝子又はRAG-2遺伝子の発現が低下又は欠失し、かつ、無色化した体毛を有する、免疫不全ブタ。
  2. RAG-1遺伝子の発現が低下又は欠失している請求項1記載のブタ。
  3. RAG-1遺伝子が破壊され、RAG-1遺伝子の発現が欠失している請求項2記載のブタ。
  4. 有色毛品種のブタに由来する請求項1ないし3のいずれか1項に記載のブタ。
  5. デュロック種のブタに由来する請求項4記載のブタ。
  6. 有色毛品種のブタにおいて、RAG-1遺伝子又はRAG-2遺伝子の発現を低下又は欠失させることを含む、無色化した体毛を有するブタの作出方法。
  7. RAG-1遺伝子の発現を低下又は欠失させることを含む、請求項6記載の方法。
  8. RAG-1遺伝子の少なくとも一方のアレルが破壊されている有色毛品種に由来するブタの後代から、無色化した体毛を有する個体を選抜することを含む、免疫不全ブタの生産方法。
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