JP2015000897A - プラスチック材料のリサイクル方法およびリサイクル装置 - Google Patents

プラスチック材料のリサイクル方法およびリサイクル装置 Download PDF

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治男 西田
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敏弘 大山
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Abstract

【課題】より簡易で安全に、かつスケールアップも可能にプラスチック材料をリサイクルすることのできるリサイクル装置を提供する。【解決手段】リサイクル装置1は、プラスチック材料を収容する処理槽3と、常圧で400℃以下の過熱水蒸気を処理槽3に供給する過熱水蒸気生成部2と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、プラスチック材料のリサイクル方法およびリサイクル装置に関し、特に、繊維強化プラスチックのリサイクル方法およびリサイクル装置に関するものである。
ガラス繊維を補強材として利用した複合材として、プラスチックを母材とするガラス繊維強化プラスチック(GFRP:Glass Fiber Reinforced Plastics)や、ガラス繊維の代わりに炭素繊維を補強材として利用した炭素繊維強化プラスチック(CFRP:Carbon Fiber Reinforced Plastics)の用途が広がってきている。 GFRPは、金属材料やセラミック材料などと比較して軽量で高い機械特性を有する材料として、自動車、建材分野での需要の伸びが著しい。CFRPは、軽量であること、力学特性に優れていることなどから、自動車産業におけるボディー部材、航空/宇宙産業におけるボディーや翼部材、スポーツ/レジャー産業等におけるゴルフクラブやテニスラケット、つり竿等、その用途は多岐に亘っている。その一方で、使用済みのGFRPやCFRP部材の廃棄処理が大きな問題となっており、環境影響等の観点から材料リサイクルが盛んな昨今においては、単に焼却処分や埋め立て処分するのではなく、如何に再生利用するかが大きな課題となっている。
ここで、GFRP部材やCFRP部材の処理方法や再利用方法にかかる従来技術としては、炭素繊維と熱硬化性樹脂とからなるCFRPを熱処理して、熱硬化性樹脂を燃焼させて炭素繊維を取り出す技術が開示されている(特許文献1)。しかしながら、この技術では、プラスチック成分のリサイクルが不可能である。また、耐圧処理容器中でCFRPを超臨界液体又は亜臨界液体で処理して樹脂を取り除き炭素繊維を回収する方法が開示されている(特許文献2)。しかしこの方法は、超臨界水および亜臨界水の酸性度が高く、反応容器の耐圧性のみならず、耐酸化特性が要求される。また、繊維強化プラスチック廃棄物を、温水浸漬処理し、次いで、高温、高圧の水蒸気によって加温、加圧した後、圧力を瞬時に開放して水蒸気爆砕処理する方法も開示されている(特許文献3)。この方法では、超臨界水および亜臨界水処理と同様に高圧に耐える容器が不可欠であるため、スケールアップが難しいという問題がある。さらに、800℃以上の過熱水蒸気を用いてCFRPを処理し、プラスチック成分の68〜80質量%を分解除去して炭素繊維を回収する技術が開示されている(特許文献4)。しかしながら、この方法は800℃以上という極端に高温の過熱水蒸気を用いるため、処理温度の維持のために多大なエネルギーを必要とするだけでなく、処理容器のスケールアップが難しいという問題点がある。
特開2009−138143号公報 特開2003−190759号公報 特開2002−307046号公報 特開2011−122032号公報
本発明が解決しようとする課題は、より簡易で安全に、かつスケールアップも可能にプラスチック材料をリサイクルすることのできるリサイクル方法およびリサイクル装置を提供することである。
本発明に係るプラスチック材料のリサイクル方法は、上記課題を解決するためになされたものであり、常圧で400℃以下の過熱水蒸気を用いて前記プラスチック材料を加熱する工程を有することを特徴とする。
上記リサイクル方法では、常圧で400℃以下の過熱水蒸気を用いてプラスチック材料を加熱するので、プラスチック材料を収容する処理槽として、耐圧容器を使用する必要がなく、安全にプラスチック材料を加水分解処理することができる。また、過熱水蒸気の温度は400℃以下であるので、エネルギー消費を抑え、処理槽のスケールアップも容易となる。
また、上記リサイクル方法において、前記プラスチック材料は熱硬化性繊維強化プラスチック材料であり、前記過熱水蒸気の温度は200℃以上であることが好ましい。
これにより、繊維強化プラスチック材料を短時間に加水分解することができる。
また、上記リサイクル方法において、前記熱硬化性繊維強化プラスチック材料の強化材としては、ガラス繊維あるいは炭素繊維であってもよい。
また、上記リサイクル方法において、前記熱硬化性繊維強化プラスチック材料の母材としては、熱硬化性不飽和ポリエステルあるいは熱硬化性エポキシ樹脂であってもよい。
また、上記リサイクル方法は、加熱された前記プラスチック材料を粉砕する工程を有することが好ましい。
また、上記リサイクル方法は、加熱された前記プラスチック材料から溶剤を用いてプラスチック成分を溶出し、強化繊維を回収する工程を有することが好ましい。
これにより、熱硬化性繊維強化プラスチック材料から有機成分と繊維成分をともに回収することができる。
本発明に係るプラスチック材料のリサイクル装置は、上記課題を解決するためになされたものであり、プラスチック材料を収容する処理槽と、常圧で400℃以下の過熱水蒸気を前記処理槽に供給する過熱水蒸気生成手段と、を備えることを特徴とする。
上記リサイクル装置は、常圧の過熱水蒸気を使用するので、処理槽として、耐圧容器を使用する必要がなく、安全にプラスチック材料を加水分解処理することができる。また、過熱水蒸気の温度は400℃以下であるので、エネルギー消費を抑え、処理槽のスケールアップも容易となる。
また、上記リサイクル装置は、前記処理槽内の過熱水蒸気の温度を維持する温度維持手段を備えることが好ましい。
これにより、過熱水蒸気の温度低下を防ぐことができるので、過熱水蒸気温度を必要以上に上げる必要がなく、供給量も抑えることができる。
また、上記リサイクル装置は、前記過熱水蒸気生成手段から供給された過熱水蒸気を前記処理槽内に攪拌させるファンを備えることが好ましい。
また、上記リサイクル装置は、前記ファンが発生する風の流れを調整する風向調整手段を備えることが好ましい。
このような構成とすることにより、過熱水蒸気を処理槽内に均一に循環させることができるので、処理槽の容量を大きくしても、処理槽内の温度を均一に保つことができると同時に、過熱水蒸気の温度低下を防止することができる。よって、リサイクル装置のスケールアップが容易となり、通常は破砕が容易でない大型の繊維強化プラスチック材料などの加水分解処理も可能となる。
また、上記リサイクル装置において、前記温度維持手段およびファンは、同数ずつ複数設けられ、前記風向調整手段は、前記処理槽の側壁に沿って設けられ、該側壁との間に、前記温度維持手段およびファンが設けられている風向案内板と、前記複数の温度維持手段およびファンを、一組の前記温度維持手段およびファンごとに仕切る格子状の風向仕切壁と、を備え、前記風向案内板には、前記風向仕切壁の前記温度維持手段およびファンを仕切る方向の一方に伸びる部分に沿って、隙間が形成されていることが好ましい。
このような構成では、ファンによって攪拌された過熱水蒸気は、温度維持手段によって温度を維持しながら風向案内板および風向仕切壁によって、隙間から風向案内板の前記側壁との反対側に導かれる。
また、上記リサイクル装置は、前記処理槽内の温度、過熱水蒸気の温度、過熱水蒸気の供給量、前記ファンの回転数、前記ファンの回転方向、および、前記プラスチック材料の加熱時間の少なくともいずれかを制御する制御部を備えることが好ましい。
このような構成では、例えば、隣り合うファンの回転方向を互いに異ならせることにより、各ファンが発生する風の干渉を防ぎ、過熱水蒸気をより均一に処理槽内に循環させることができる。
また、上記リサイクル装置において、前記制御部は、前記風向案内板および風向仕切壁によって区分された複数の空間の温度を個別に制御可能であることが好ましい。
このような構成とすることにより、処理槽全体の温度及び過熱水蒸気分布を均一に保つことができる。
また、上記リサイクル装置において、前記プラスチック材料は熱硬化性繊維強化プラスチック材料であり、前記過熱水蒸気の温度は200℃以上であることが好ましい。
このような構成とすることにより、繊維強化プラスチック材料を短時間に加水分解することができる。
本発明によれば、より簡易で安全に、かつスケールアップも可能にプラスチック材料をリサイクルすることができる。
実施例1および2において用いたリサイクル装置の概略構成を示すブロック図である。 350℃の常圧過熱水蒸気による加水分解処理前後での炭素繊維強化エポキシ樹脂の応力―ひずみ曲線である。 (a)は、加水分解処理前の炭素繊維強化エポキシ樹脂の顕微鏡観察画像であり、(b)は、350℃の常圧過熱水蒸気による3時間の加水分解処理後の顕微鏡観察画像であり、(c)は、350℃の常圧過熱水蒸気による3時間の加水分解処理およびトルエンによるソックスレー抽出後の炭素繊維強化エポキシ樹脂の顕微鏡観察画像である。 (a)および(b)はそれぞれ、350℃の常圧過熱水蒸気による加水分解処理前後での炭素繊維強化ポリエステル樹脂の曲げ強度および弾性率の変化を示すグラフである。 (a)および(b)はそれぞれ、350℃の常圧過熱水蒸気による加水分解処理前後でのガラス繊維強化ポリエステル樹脂の曲げ強度および弾性率の変化を示すグラフである。 本発明の実施の形態例に係るリサイクル装置の概略構成を示すブロック図である。 過熱水蒸気生成部の詳細な構成を示すブロック図である。 処理槽を備える処理装置本体の構成を示す斜視図である。 風向案内板が省略された上記処理装置本体の構成を示す斜視図である。 処理槽の中心側から見た風向案内板の平面図である。 処理槽の複数箇所の温度の時間変化を示すグラフである。 処理槽の複数箇所の温度の時間変化を示すグラフである。 処理槽の複数箇所の温度の時間変化を示すグラフである。 290℃の常圧過熱水蒸気による加水分解処理前後でのゲルコート付ガラス繊維強化ポリエステル樹脂の厚みの変化を示すグラフである。 (a)および(b)はそれぞれ、290℃の常圧過熱水蒸気による加水分解処理前後でのゲルコート付ガラス繊維強化ポリエステル樹脂の曲げ強度および弾性率の変化を示すグラフである。
本発明の実施の形態(以下、本実施の形態例という。)について、図を参照して、以下に説明する。
〔本実施の形態例に係るリサイクル方法〕
本実施の形態例に係るリサイクル方法は、常圧で200〜400℃の過熱水蒸気を用いてプラスチック材料を加熱する工程を有する。その後、加熱された繊維強化プラスチック材料を粉砕する工程を行ってもよいし、加熱された繊維強化プラスチック材料から溶剤を用いてプラスチック成分を溶出し、強化繊維を回収する工程を行ってもよい。
本実施の形態例に係るリサイクル方法では、常圧で400℃以下の過熱水蒸気を用いてプラスチック材料を加熱するので、プラスチック材料を収容する処理槽として、耐圧容器を使用する必要がなく、安全にプラスチック材料を加水分解処理することができる。また、過熱水蒸気の温度は400℃以下であるので、エネルギー消費を抑え、処理槽のスケールアップも容易となる。また、酸やアルカリなどの化学反応物質が不要であるため、加水分解処理後の化学的後処理が不要となる。
(繊維強化プラスチックの材質)
本実施の形態例においてリサイクル対象となる繊維強化プラスチックは、弾性率の高い材料と熱硬化性プラスチックとの複合材料であり、軽量で強度の高い、つまり比強度の大きな材料として用いられる。強化材としては、ガラス繊維(GFRP)や炭素繊維 (CFRP)、ケブラー、ダイニーマなどの強度の高い樹脂繊維、ケナフ等のバイオマス繊維で強化する場合もある。これらの強化繊維の中で、その強化性能の点から、GFRPとCFRPが最も広く用いられており、本発明の実施の形態においても好適に実施される強化繊維である。繊維強化プラスチックのマトリックスとしては、一般に、エポキシ樹脂や不飽和ポリエステル等の熱硬化性樹脂を使用することが多い。その他、ビニールエステル樹脂やフェノール樹脂、シアネート樹脂、ポリイミド樹脂を使用する場合もある。
繊維強化プラスチックの製造方法には大きく分けて2種類ある。細かく切断した短繊維を硬化前のプラスチック原料中に均一に分散させる方法と、繊維に方向性を持たせたまま硬化前のプラスチック原料中に浸潤させる方法とがそれで、ガラス繊維強化プラスチック材料は前者、炭素繊維強化プラスチック材料は後者の方法が採られることが多い。ただし、繊維強化プラスチックは、繊維の方向の引張りには強いが、繊維と直角方向の引張りには弱いため、通常は板状の繊維の層を、繊維方向が異なるように複数枚重ねることが行なわれる。成型方法としては、型に繊維材料を敷き、硬化剤を混合した樹脂を脱泡しながら多重積層してゆくハンドレイアップ法やスプレーアップ法のほか、あらかじめ繊維材料と樹脂を混合したシート状のものを金型で圧縮成型するSMCプレス法、インジェクション成形の様に繊維を敷き詰めた合わせ型に樹脂を注入するRTM法、オートクレーブで熱硬化性樹脂を硬化させて成形する方法がある。
これらの繊維強化プラスチックは、安価・軽量で耐久性がよいことから、小型船舶の船体や、自動車・鉄道車両の内外装、ユニットバスや浄化槽などの住宅設備機器で大きな地位を占めている。
(過熱水蒸気)
本実施の形態例において用いられる過熱水蒸気は、定容積状態で加熱して得られる加圧飽和水蒸気と異なり、膨張できる状態で100℃の水蒸気をさらに加熱して得られる、標準気圧下(常圧下)で100℃以上の常圧過熱水蒸気である(以下、常圧過熱水蒸気を単に「過熱水蒸気」ということがある)。
200〜400℃の常圧過熱水蒸気を用いて繊維強化プラスチックを加水分解処理するメリットは、圧力が常圧であるため、(1)例えば反応容器を用いる場合、容器の耐圧が不要であり、(2)処理槽3のスケールアップが容易であるという点である。また、常圧過熱水蒸気によって分解除去される成分が、水蒸気流に乗って排出されるため、(3)例えば反応容器を用いる場合、反応容器内で酸性の分解気化物が液化滞留しない、というメリットもある。さらに、170℃以上の過熱水蒸気は、乾燥空気以上に処理物の乾燥速度が速くなるため、(4)加水分解処理後の生成物の乾燥工程が不要になる、というメリットもある。
過熱水蒸気生成を得る方法は、水蒸気を100℃以上の必要な温度まで加熱して常圧過熱水蒸気を生成する方法であれば、何ら制限なく適用することができる。具体的には、本形態例に用いられる加熱方式には、ヒーター加熱方式と電磁誘導加熱方式等がある。ヒーター加熱方式には、例えば処理庫全体を外部から加熱する方式と、シーズヒーター等を使って加熱した過熱水蒸気を処理庫内に導入する方式が好適に用いられる。特に、固定した処理庫を利用する場合、シーズヒーターを使用して加熱した常圧過熱水蒸気を処理庫内に吹き込む方式が最も効率的であり、好ましい。一方、コンベアー式の処理設備を利用する場合、より好ましい方法として、電磁誘導加熱方式を用いて、順次移動していく繊維強化プラスチックに対して常圧過熱水蒸気を吹き込む方法が効率的である。
(加熱処理)
本実施の形態例に係るリサイクル方法における加熱処理は、常圧反応容器内に繊維強化プラスチック成型体を配置し、常圧反応容器に常圧過熱水蒸気を導入して行うことができる。また、加熱処理は、連続コンベアー上に常圧過熱水蒸気を吹き付けて行う方式を採用してもよく、さらにまた、ロータリーキルン内で常圧過熱水蒸気を吹き付けて行う方式を採用してもよい。ロータリーキルンを用いる場合、成形容器包装と水蒸気との接触がより均一となり、さらに、成形容器包装の破砕および粉砕を装置内で同時に行うこともできるため、処理効率が高い。
また、加熱処理において繊維強化プラスチックの分解反応がより均一に進行するように、プラスチック材料が収容される処理槽内の過熱水蒸気の循環量をできる限り均一にすることが重要である。そのため、(1)攪拌用のファンや邪魔板を設けることが特に好適な態様である。これにより、プラスチック材料が収容される処理槽の容量が大きい場合であっても、過熱水蒸気を均一に循環させることができ、リサイクル装置のスケールアップが可能となる。また、過熱水蒸気の循環量を均一にする他の方法として、(2)過熱水蒸気の噴き出し速度を大きくする、(3)処理庫内に水蒸気の噴き出し口を複数設ける、(4)均一化促進のため過熱水蒸気と同一温度の熱風を同伴させて庫内循環させることも好適である。
(プラスチック成分の分解反応)
過熱水蒸気による繊維強化プラスチックの中のプラスチック成分の分解反応は、プラスチックの化学構造に依存している。ポリエステル樹脂はエステル構造を有するため、加水分解反応が進行する。エポキシ樹脂も硬化剤として酸無水物を使用するため、エステル構造を有している。その他、ポリイミド樹脂も加水分解可能なイミド結合を有している。ポリエステル類の場合、それらの分子末端に位置するカルボキシル基が加水分解反応に対して触媒として働く。加水分解反応が進行するとともに、カルボキシル基が増加し、その増加したカルボキシル基がさらに加水分解反応を促進する。したがって、ポリエステル類の水蒸気による加水分解反応は自己触媒的ランダム分解反応で加速度的に進行する。
ランダム加水分解反応が進行して分子量が低下すると、プラスチックの機械的強度が低下し、破砕されやすくなる。特に、結晶性プラスチックの場合、結晶相の加水分解は非晶相の加水分解に比べて遅いため、最初、均一ランダム分解で進行していた加水分解反応は、やがて、結晶相を避けるようにその周囲で進行する不均一ランダム分解へと移行する。これにより、結晶相周囲に機械的強度の低下した相が形成される。ここで外部応力が加わった場合、応力はこの機械的強度の低下した相を走るように伝播し、結果として、結晶相の崩落、すなわち崩壊現象が起こる。
過熱水蒸気処理後の繊維強化プラスチックは、容易に破砕、粉砕が可能である。具体的な破砕・粉砕装置としては、粗破砕、微粉砕または超微粉砕まで粉砕程度に応じて様々な装置がある。例えば、ハンマーミル、カッターミル、フレーククラッシャー、フェザーミル、ピン式粉砕機、衝撃式粉砕機、バルペライザー、ジェットミル粉砕機、ミクロンミル、ボールミル、遊星ミル、ハイドロミル、アクアライザーなど乾式および湿式粉砕装置が特に制限なく利用可能である。
過熱水蒸気処理後の繊維強化プラスチックは、溶剤を用いて、プラスチック成分を溶出することも容易である。好適に用いられる溶剤としては、トルエン、キシレンなどの芳香族溶剤;メタノール、エタノール、磯プロピルアルコールなどのアルコール系溶剤;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶剤;クロロホルムなどの塩素系溶剤;および熱水などがあげられる。これらの溶剤を用いるプラスチック成分の溶出は、炭素繊維やガラス繊維を破折することが少ないため、長繊維のままに回収することが可能である。
溶剤を用いてプラスチック成分を溶出する方法としては、特に限定されず公知の方法を用いることが可能である。バッチ式、半バッチ式、および連続式溶剤抽出方法などが、処理される繊維強化プラスチックの製品形態や化学構造などの処理条件に応じて適宜選択することができる。プラスチック成分を溶出した後の残分としての強化繊維は、その長さに応じて、適宜、さまざまな用途に再利用することが可能である。
(その他)
本実施の形態例における常圧過熱水蒸気の温度について、リサイクル対象物がバイオプラスチック等である場合は、常圧過熱水蒸気の温度は200℃未満であってもよい。しかし、リサイクル対象物が繊維強化プラスチック材料である場合、200℃未満の常圧過熱水蒸気を用いると、材料の破砕や粉砕に必要な分解度合に達するまでに長時間を要する。そのため、熱硬化性繊維強化プラスチック材料を加水分解処理する場合は、常圧過熱水蒸気の温度は200℃以上であることが好ましい。なお、常圧過熱水蒸気の温度が400℃を超える場合、繊維の品質が劣化する恐れがあり、劣化した繊維は再利用できない。
以下、本発明の実施例1、2について具体的に説明するが、これらの実施例は何ら本発明の範囲を制限するものではない。
実施例1では、図1に示すようなリサイクル装置1を用いた。リサイクル装置1は、過熱水蒸気生成部2と処理槽3とを備え、処理槽3内には、リサイクル対象物である繊維強化プラスチックが収容される。過熱水蒸気生成部2は、常圧で200〜400℃の過熱水蒸気を生成する装置である。また、処理槽3内には、過熱水蒸気の温度を維持するためのヒーター4が設けられている。
処理槽3に繊維強化プラスチックのサンプルを収容して、350℃の過熱水蒸気を過熱水蒸気生成部2から処理槽3に供給し、1時間または3時間、ヒーター4を稼動させた状態で加水分解処理を行った。繊維強化プラスチックとして、東レ株式会社製T300−3K炭素繊維強化エポキシ樹脂平織積層板を用いた。その結果、積層構造が剥離する状況が確認された。
処理前後のサンプルに対して、株式会社井元製作所製多目的試験機を用いて曲げ強度試験を行ったところ、図2の歪み−応力曲線に示したように、加水分解処理による極端な応力低下が確認された。この結果は、加水分解処理された炭素繊維強化エポキシ樹脂が容易に破砕可能になったことを示している。
さらに、過熱水蒸気による3時間の加水分解処理後のサンプル約200mgから、ソックスレー抽出器を用いて可溶成分の抽出を行った。抽出溶媒として、クロロホルム(bp=80℃)およびトルエン(bp=115℃)約30mLを用い、抽出時間8時間の条件で抽出を行った。その結果、抽出率はクロロホルムで8.5重量%、トルエンで10.4重量%であった。
加水分解処理前、過熱水蒸気による3時間の加水分解処理後、および過熱水蒸気によって3時間加水分解処理しトルエンでソックスレーを抽出した後のサンプルを顕微鏡で観察した。観察結果を図3に示す。図3(a)に示すように、未処理のサンプルは、2方向から繊維が織り込まれているクロス材構造が明確である。一方、図3(b)および(c)に示すように、水蒸気処理およびソックスレー抽出を経ることによって、繊維間を埋めて繊維同志を接着しているマトリックス樹脂が脱離し、炭素繊維が回収されていることが明らかである。
実施例1におけるものと同一の装置、同一の条件下で、繊維強化プラスチックのサンプルを加水分解処理した。繊維強化プラスチックとして、株式会社UCHIDA製炭素繊維強化不飽和ポリエステル樹脂およびガラス繊維強化不飽和ポリエステル樹脂を用いた。
その結果、外見上の変化は認められなかったが、処理前後のサンプルに対して、株式会社井元製作所製多目的試験機を用いて曲げ強度試験を行ったところ、極端な応力低下が確認された。強度試験の結果を図4および図5に示す。図4に示すように、炭素繊維強化ポリエステル樹脂の曲げ強度および弾性率は、加水分解処理によって大幅に低下した。さらに、図5に示すように、ガラス繊維強化ポリエステルの曲げ強度および弾性率は、加水分解処理によってほぼゼロに達した。これらの結果は、炭素繊維強化不飽和ポリエステル樹脂およびガラス繊維強化不飽和ポリエステル樹脂が容易に破砕可能になったことを示している。
〔本実施の形態例に係るリサイクル装置〕
続いて、上述のリサイクル方法を実施するためのリサイクル装置の具体的な形態例について説明する。図6は、本実施の形態例に係るリサイクル装置11の概略構成を示すブロック図である。リサイクル装置11は、過熱水蒸気生成部12と処理槽13とを備える。処理槽13内には、リサイクル対象物である繊維強化プラスチック材料が収容される。過熱水蒸気生成部12は、常圧で200〜400℃の過熱水蒸気を生成する装置であり、過熱水蒸気を処理槽13に供給する。また、処理槽13内には、過熱水蒸気の温度を維持するためのヒーター14と、過熱水蒸気を処理槽13内に攪拌させるファン15が設けられている。また、図6では省略されているが、処理槽13内には、ファン15が発生する風の流れを調整する風向調整手段(風向案内板および風向仕切壁)が設けられている。
(過熱水蒸気生成部の構成)
図7は、過熱水蒸気生成部12の詳細な構成を示すブロック図である。過熱水蒸気生成部12は、蒸気ボイラー21、飽和水蒸気元バルブ22、1次側圧力計23、セパレーター(気水分離器)24、スチームトラップ25、ストレーナ26、減圧弁27、2次側圧力計28、飽和水蒸気分岐管29、圧力スイッチ30、スチームトラップ31、蒸気電磁弁32およびスーパーヒーター(過熱器)33を備えている。
過熱水蒸気生成部12では、蒸気ボイラー21によって飽和水蒸気を生成し、セパレーター24に供給する。セパレーター24において、気水分離することにより飽和水蒸気の乾き度が増加する。その後、ストレーナ26によって飽和水蒸気からゴミを取り除き、減圧弁27において減圧することにより、飽和水蒸気の質がさらに高められる。その後、飽和水蒸気は、飽和水蒸気分岐管29および蒸気電磁弁32を経て、スーパーヒーター33に送られる。蒸気電磁弁32は、複数個設けられており、各蒸気電磁弁32の開閉を切り替えながら蒸気量を設定することができる。
スーパーヒーター33は、過熱水蒸気ヒーターパイプ331、過熱水蒸気ヒーター332および過熱水蒸気温度センサー333を備えている。過熱水蒸気ヒーターパイプ331は過熱水蒸気ヒーター332を覆うように設けられており、飽和水蒸気は過熱水蒸気ヒーターパイプ331の内部を通過することにより、過熱水蒸気となる。
上記のような構成により、過熱水蒸気生成部12は質の高い過熱水蒸気を生成することができる。なお、過熱水蒸気生成部12としては、図7に示すものに限らず、公知のあらゆる過熱水蒸気生成装置を用いることができる。
(処理槽の内部構造)
図8は、処理槽13を備える処理装置本体40の構成を示す斜視図である。処理装置本体40は、内部空間が処理槽13となっており、噴出口41、吸気口42、風向案内板43、扉44および配電盤45を備えている。なお、図6に示すヒーター14及びファン15は、風向案内板43の裏側に設けられているため、図8では省略されている。
風向案内板43は、処理槽13の側壁に沿って形成されており、処理槽13を、過熱水蒸気が供給されるスペースと、プラスチック材料が収容されるスペースとに分割している。また、風向案内板43には、噴出口41および吸気口42が設けられている。加水分解処理時には、噴出口41から過熱水蒸気が噴出されるとともに、処理槽13内の過熱水蒸気は、吸気口42に吸引される。これにより、過熱水蒸気が処理槽13内に均一に攪拌される。
また、加水分解処理後の冷却運転時に、吸気ダンパー46および排気ダンパー47を介して、処理槽13内と外部との吸気および排気が可能となっている。吸気としては、外部の空気をそのまま取り込んでも良いが、吸気経路に冷却装置を接続することにより、冷却効果を高めることができる。支障がなければ、処理槽13内の雰囲気をそのまま外部に排気してもよいが、異臭が発生する場合には、排気経路に脱臭装置を接続することが望ましい。
プラスチック材料を処理槽13に収容する場合、プラスチック材料をワーク載置台61に載置し、ワーク搬送台車62を用いて、ワーク載置台61ごと処理槽13に搬入する。ワーク搬送台車62を用いることにより、作業者はワーク載置台61に触れることなくワーク載置台61を着脱させることができるので、作業者のやけどを防止することができる。また、重量のあるものを一度に大量に処理する場合、作業者の肉体的負担を大幅に軽減できる。
図9は、風向案内板43が省略された処理装置本体40の構成を示す斜視図である。風向案内板43の裏側(すなわち、風向案内板43と処理槽13の側壁との間)には、ヒーター14、ファン15、温度センサー48および過熱水蒸気噴射ノズル49が設けられている。
また、図10は、処理槽13の中心側から見た風向案内板43の平面図である。図10では、ヒーター14、ファン15、温度センサー48および過熱水蒸気噴射ノズル49が破線で示されている。また、噴出口41を斜線で示している。
ファン15は、風向案内板43の裏面にマトリクス状に複数設置されている。ファン15の各々は、回転方向、回転数を個別に制御可能である。ファン15の個数は、特に限定されないが、処理槽13の容量が大きくなるにしたがって増加させることが、処理槽13内の温度均一化の観点から望ましい。
ヒーター14は、ファン15と同数設けられており、特許請求の範囲に記載の温度維持手段に相当する。ヒーター14は、ファン15を取り囲むようにファン15と同軸の渦巻き状に形成されている。ヒーター14の各々は、温度を独立してPID制御することができる。
温度センサー48は、各ヒーター14の近傍に設置されており、各々が独立して付近の過熱水蒸気温度および雰囲気温度を検知することができる。
過熱水蒸気噴射ノズル49は、図7に示す過熱水蒸気生成部12のスーパーヒーター33に接続されており、先端からファン15の中心部付近に向けて過熱水蒸気を噴射する。
また、ヒーター14およびファン15の各々は、風向仕切壁50・51によって区分されている。風向仕切壁50・51は、風向案内板43から処理槽13の側壁との間に格子状に組み合わされた仕切板である。風向仕切壁50・51によって形成された各格子内に、ヒーター14、ファン15、温度センサー48および過熱水蒸気噴射ノズル49が1つずつ設置される。すなわち、風向仕切壁50・51は、複数のヒーター14およびファン15を、一組のヒーター14およびファン15ごとに仕切っている。なお、風向仕切壁50は、格子状の風向仕切壁のうち、ヒーター14およびファン15を仕切る方向の一方、すなわちファン15の列方向(上下方向)に延びる部分であり、風向仕切壁51は、格子状の風向仕切壁のうち、ヒーター14およびファン15を仕切る方向の他方、すなわちファン15の行方向(左右方向)に延びる部分である。
風向案内板43と風向仕切壁50・51とで、特許請求の範囲に記載の風向調整手段が構成される。図10に示すように、風向案内板43は、処理槽13の側壁に沿って設置されている。風向案内板43と処理槽13の側壁との間に、ヒーター14およびファン15が設けられている。風向案内板43には、風向仕切壁50に沿って縦長の隙間が形成されており、この隙間が、噴出口41となっている。また、各風向案内板43は、風向仕切壁51によって縦方向に複数の領域に区分されており、各領域の中心位置に、吸気口42が形成されている。
過熱水蒸気噴射ノズル49から回転するファン15に向かって噴射された過熱水蒸気は、ヒーター14の熱を授受して温度を維持しながらファン15によってファン15の外周方向に攪拌され、風向案内板43および風向仕切壁50・51によって、噴出口41からプラスチック材料の収容スペースに導かれる。その後、プラスチック材料の収容スペース内の過熱水蒸気は、吸気口42からファン15に戻される。ファン15に戻された過熱水蒸気は、連続的に処理槽13内に新たに送り込まれる過熱水蒸気と混ざり合い、再びファン15に攪拌されて噴出口41から、風向案内板43の側壁との反対側、すなわち、プラスチック材料の収容スペースに噴出される。このように過熱水蒸気が処理槽13内を循環することで、プラスチック材料の加水分解処理が行われる。なお、余分な過熱水蒸気は、排気ダンパー47を適宜開放することにより排出される。
(加水分解処理の制御)
さらに、処理装置本体40には、プラスチック材料の加水分解処理をプログラム制御するための制御部が内蔵されている。具体的には、制御部は、処理槽13内の温度、過熱水蒸気の温度、過熱水蒸気の供給量、ファン15の回転数・回転方向、および、プラスチック材料の加水分解処理時間などを制御することができる。さらに制御部は、処理槽13内の複数の空間の温度を個別に制御することも可能である。
例えば、制御部は、各ファン15の回転方向を個別に制御することができ、図10に示すように、縦方向および横方向に隣り合うファン15の回転方向を互いに異ならせることも可能である。これにより、過熱水蒸気をより均一に処理槽13内に循環させることができる。さらに制御部は、ファン15の正転→停止→逆転の繰り返し制御や、インバータによる無段階の回転数制御も可能である。また、使用者は、加水分解処理の各工程(予熱工程、加熱工程、冷却工程)の時間、各工程における庫内温度、ファンの回転数、過熱水蒸気の温度と流量を、予め設定することができる。
(効果)
本実施の形態例に係るリサイクル装置11では、処理槽13内に温度維持手段としてヒーター14が設けられているので、処理槽13内に供給された過熱水蒸気の温度低下を防止することができる。よって、必要以上に処理槽13内の温度を上げることなく、適切な温度で加水分解処理を行うことができるため、プラスチック材料から繊維をそのまま回収・再利用ができる。
さらに処理槽13内には、過熱水蒸気を攪拌させるファン15と、ファン15が発生する風の流れを調整する風向調整手段としての風向案内板43・風向仕切壁50・51とが設けられている。すなわち、リサイクル装置11は、図1に示すリサイクル装置1と比較して、処理槽13内にファン15および風向調節手段が設けられている点で異なっている。これにより、過熱水蒸気が処理槽13内に均一に攪拌されるので、処理槽13の容量を大きくしても、過熱水蒸気の温度低下を防止することができる。よって、リサイクル装置11のスケールアップが容易となり、大型のプラスチック成形体の加水分解処理も可能となる。
また、前述のように、制御部によって、縦方向および横方向に隣り合うファン15の回転方向を互いに異ならせることができる。これにより、各ファン15が発生する風の干渉を防止して、過熱水蒸気をより均一に処理槽13内に循環させることができる。さらに、制御部は、温度センサー48が検知した温度に基づき、風向案内板43および風向仕切壁50・51によって区分された複数の空間の温度を個別に制御することができる。これにより、該複数の空間の各々から噴出する過熱水蒸気の温度を均一にすることができるので、処理槽13全体の温度を均一に保つことができる。
(他の変形例)
本実施の形態例に係るリサイクル装置11では、処理槽13内のファン15により発生する風の流れを調整する風向案内板43および風向仕切壁50・51が設けられているが、処理槽13内の温度の均一化が可能であれば、風向案内板43および風向仕切壁50・51を設けなくてもよい。さらに、処理槽13の容量が小さい場合は、ファン15も必須構成ではない。
なお、図6に示すヒーター14も必須構成ではないが、過熱水蒸気の比熱は小さいため、ヒーター4を設けない場合、処理槽13内に供給された過熱水蒸気の温度がすぐに低下する。そのため、プラスチック材料を充分に加水分解処理するためには、より高温で多量の過熱水蒸気を供給する必要がある。なお、ヒーター14は、処理槽13の外部に設置してもよい。
以下、本発明の実施例3、4について具体的に説明するが、これらの実施例は何ら本発明の範囲を制限するものではない。
本実施の形態例に係るリサイクル装置11において、ヒーター14およびファン15を用いることにより、処理槽13内(以下「庫内」という)の温度分布が均一になることを確認するための検証を行った。庫内の温度を200℃に設定して過熱水蒸気を供給し、庫内の18箇所に設置された温度センサー48によって処理槽内の温度分布を計測した。計測結果を図11〜図13に示す。
各グラフにおいて、横軸は過熱水蒸気供給開始からの経過時間、縦軸は温度を示している。また、(1)〜(18)の線は、以下に示す箇所の温度変化を示している。
(1)庫内上段−扉側のファン側
(2)庫内上段−扉側のファン反対側
(3)庫内上段−中央部のファン側
(4)庫内上段−中央部のファン反対側
(5)庫内上段−奥側のファン側
(6)庫内上段−奥側のファン反対側
(7)庫内中段−扉側のファン側
(8)庫内中段−扉側のファン反対側
(9)庫内中段−中央部のファン側
(10)庫内中段−中央部のファン反対側
(11)庫内中段−奥側のファン側
(12)庫内中段−奥側のファン反対側
(13)庫内下段−扉側のファン側
(14)庫内下段−扉側のファン反対側
(15)庫内下段−中央部のファン側
(16)庫内下段−中央部のファン反対側
(17)庫内下段−奥側のファン側
(18)庫内下段−奥側のファン反対側
図11〜図13の各グラフから、ヒーター14およびファン15を用いることにより、庫内の温度分布がほぼ均一になることが確認できた。
実施例4では、本実施の形態例に係るリサイクル装置11を用いて、繊維強化プラスチックの加水分解処理を行った。具体的には、処理槽13に繊維強化プラスチックのサンプルを収容して、過熱水蒸気生成部2から290℃の過熱水蒸気を処理槽3に供給し、処理槽13内の温度を250℃に設定して、1時間〜6時間、ヒーター14およびファン15を稼動させた状態で加水分解処理を行った。繊維強化プラスチックとして、船舶用ゲルコート処理ガラス繊維強化不飽和ポリエステル樹脂板を用いた。
その結果、図14に示すように、加水分解に伴いサンプルのシート厚みが時間経過とともに大きくなることが確認された。さらに、ライトブルーのゲルコート表面が褐変する状況も確認された。
また、処理前後のサンプルに対して、株式会社井元製作所製多目的試験機を用いて曲げ強度試験を行ったところ、図15(a)および(b)に示したように、加水分解処理による応力および弾性率の低下が確認された。これらの結果は、加水分解処理後のゲルコート処理ガラス繊維強化不飽和ポリエステル樹脂が容易に破砕可能になったことを示している。
〔付記事項〕
本発明は上記の実施の形態例に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、実施の形態例に開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
1 リサイクル装置
2 過熱水蒸気生成部(過熱水蒸気生成手段)
3 処理槽
4 ヒーター(温度維持手段)
11 リサイクル装置
12 過熱水蒸気生成部(過熱水蒸気生成手段)
13 処理槽
14 ヒーター(温度維持手段)
15 ファン
21 蒸気ボイラー
22 飽和水蒸気元バルブ
23 1次側圧力計
24 セパレーター
25 スチームトラップ
26 ストレーナ
27 減圧弁
28 2次側圧力計
29 飽和水蒸気分岐管
30 圧力スイッチ
31 スチームトラップ
32 蒸気電磁弁
33 スーパーヒーター
40 処理装置本体
41 過熱水蒸気・噴出口
42 過熱水蒸気・吸気口
43 風向案内板(風向調整手段)
44 扉
45 配電盤
46 吸気ダンパー
47 排気ダンパー
48 温度センサー
49 過熱水蒸気噴射ノズル
50 風向仕切壁(風向調整手段)
51 風向仕切壁(風向調整手段)
61 ワーク載置台
62 ワーク搬送台車
331 過熱水蒸気ヒーターパイプ
332 過熱水蒸気ヒーター
333 過熱水蒸気温度センサー

Claims (14)

  1. プラスチック材料のリサイクル方法であって、
    常圧で400℃以下の過熱水蒸気を用いて前記プラスチック材料を加熱する工程を有することを特徴とするリサイクル方法。
  2. 前記プラスチック材料は熱硬化性繊維強化プラスチック材料であり、
    前記過熱水蒸気の温度は200℃以上であることを特徴とする請求項1に記載のリサイクル方法。
  3. 前記熱硬化性繊維強化プラスチック材料は、ガラス繊維強化プラスチック材料あるいは炭素繊維強化プラスチック材料であることを特徴とする請求項2に記載のリサイクル方法。
  4. 前記熱硬化性繊維強化プラスチック材料は、熱硬化性不飽和ポリエステルあるいは熱硬化性エポキシ樹脂であることを特徴とする請求項2に記載のリサイクル方法。
  5. 加熱された前記プラスチック材料を粉砕する工程を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のリサイクル方法。
  6. 加熱された前記プラスチック材料から溶剤を用いてプラスチック成分を溶出し、強化繊維を回収する工程を有することを特徴とする請求項3に記載のリサイクル方法。
  7. プラスチック材料のリサイクル装置であって、
    前記プラスチック材料を収容する処理槽と、
    常圧で400℃以下の過熱水蒸気を前記処理槽に供給する過熱水蒸気生成手段と、
    を備えることを特徴とするリサイクル装置。
  8. 前記処理槽内の過熱水蒸気の温度を維持する温度維持手段を備えることを特徴とする請求項7に記載のリサイクル装置。
  9. 前記過熱水蒸気生成手段から供給された過熱水蒸気を前記処理槽内に攪拌させるファンを備えることを特徴とする請求項8に記載のリサイクル装置。
  10. 前記ファンが発生する風の流れを調整する風向調整手段を備えることを特徴とする請求項9に記載のリサイクル装置。
  11. 前記温度維持手段およびファンは、同数ずつ複数マトリクス状に設けられ、
    前記風向調整手段は、
    前記処理槽の側壁に沿って設けられ、該側壁との間に、前記温度維持手段およびファンが設けられている風向案内板と、
    前記複数の温度維持手段およびファンを、一組の前記温度維持手段およびファンごとに仕切る格子状の風向仕切壁と、
    を備え、
    前記風向案内板には、前記風向仕切壁の前記温度維持手段およびファンを仕切る方向の一方に伸びる部分に沿って、隙間が形成されていることを特徴とする請求項10に記載のリサイクル装置。
  12. 前記処理槽内の温度、過熱水蒸気の温度、過熱水蒸気の供給量、前記ファンの回転数、前記ファンの回転方向、および、前記プラスチック材料の加熱時間の少なくともいずれかを制御する制御部を備えることを特徴とする請求項11に記載のリサイクル装置。
  13. 前記制御部は、前記風向案内板および風向仕切壁によって区分された複数の空間の温度を個別に制御可能であることを特徴とする請求項12に記載のリサイクル装置。
  14. 前記プラスチック材料は熱硬化性繊維強化プラスチック材料であり、
    前記過熱水蒸気の温度は200℃以上であることを特徴とする請求項7〜13のいずれかに記載のリサイクル装置。
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