JP2015000086A - 送り装置及び内視鏡システム - Google Patents

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純一 城野
桂田 弘之
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Abstract

【課題】簡単な操作で内視鏡等の細長い機器の遠位端がチューブの折返し部から突き出ないようにする。
【解決手段】送り装置1は、外管12と、外管12に挿入され、外管12内を軸方向に沿って移動可能な内管17と、外管12の遠位端と内管17の遠位端との間に連結され、内管17の遠位端と外管12の遠位端との間において折り返された可撓性のチューブ30と、内管17の近位端側に設けられ、内管17に挿入された細長い器具90を保持し、内管17に対して相対的に軸方向に沿って移動可能なホルダー40と、軸方向に沿った内管17の直線運動をそれと同一の向きであって且つその変位よりも少ない変位のホルダー40の直線運動に変換する変換機構50と、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、送り装置及び内視鏡システムに関する。
膵胆管、血管、卵管その他の管腔に生じた閉塞部・狭窄部を治療するために、カテーテル(例えば、特許文献1、2参照)が使用されている。特許文献1,2の記載のカテーテルは、内管が外管内に挿入され、ゴム弾性のチューブが内管の遠位端(先端)と外管の遠位端との間に連結され、そのチューブが内管の遠位端と外管の遠位端との間において折り返されているものである。内視鏡等を内管に挿入した状態で内管を外管に対して相対的に遠位側へ移動させれば、チューブが外管の遠位端から押し出される。そのため、チューブのうち外側に折り返された部位が管腔の内壁に密着し、チューブの折返し部の折返し部が遠位側へ変位する。このようなカテーテルを用いれば、チューブが管腔に擦れないので、管腔を保護することができる。
内管を遠位側へ移動させる際には、内視鏡と内管の間の摩擦によって内視鏡が内管に追従し、内視鏡も遠位側へ移動される。内視鏡の変位と内管の変位はほぼ等しい。それに対して、チューブが折り返されているため、チューブの折返し部の変位は内管の変位よりも少なく、内管の変位の大凡2分の1である。そのため、内視鏡の遠位端がチューブの折返し部から突き出てしまい、内視鏡の遠位端によって管腔を損傷してしまう虞がある。
それを防止するべく、特許文献1に記載の技術では、内管の近位側の部位及び内視鏡の近位側の部位に複数のマークが等間隔で設けられている。内管を遠位側へ移動させる際に、マークを確認することによって内視鏡の遠位端及びチューブの折返し部の位置を把握することができる。また、特許文献2に記載の技術では、チューブが着色されており、内視鏡とチューブを内視鏡で識別出来るようになっている。
特許第2813463号公報 特許第4536054号公報
ところが、特許文献1,2に記載の技術では、操作者が内視鏡の撮影画像又はマークを確認しながら、内視鏡の遠位端がチューブの折返し部から突き出ないように内管及び内視鏡を操作する必要がある。そのため、操作が煩雑な上、内視鏡の遠位端を誤ってチューブの折返し部から突き出してしまう虞がある。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、簡単な操作で内視鏡等の細長い機器の遠位端がチューブの折返し部から突き出ないようにして、ヒューマンエラーの防止を図ることである。
以上の課題を解決するための請求項1に係る発明は、外管と、前記外管に挿入され、前記外管内を軸方向に沿って移動可能な内管と、前記外管の遠位端と前記内管の遠位端との間に連結され、前記内管の遠位端と前記外管の遠位端との間において折り返された可撓性のチューブと、前記内管の近位端側に設けられ、前記内管に挿入された細長い器具を保持し、前記内管に対して相対的に軸方向に沿って移動可能なホルダーと、軸方向に沿った前記内管の直線運動をそれと同一の向きの前記ホルダーの直線運動に変換する変換機構と、を備え、前記変換機構が、前記内管の直線運動をその変位よりも少ない変位の前記ホルダーの直線運動に変換する、
ことを特徴とする送り装置である。
請求項2に係る発明は、前記変換機構が、前記内管の直線運動をその変位の2分の1の変位の前記ホルダーの直線運動に変換することを特徴とする請求項1に記載の送り装置である。
請求項3に係る発明は、前記変換機構が、前記内管に取り付けられ、軸方向に沿って延在した第一ラックと、前記第一ラックに噛み合った第一平歯車と、前記ホルダーに取り付けられ、軸方向に沿って延在した第二ラックと、前記第一平歯車と同軸に設けられ、前記第二ラックに噛み合った第二歯車と、前記第一平歯車と前記第一ラックの噛み合い位置と前記第二平歯車と前記第二ラックの噛み合い位置は、前記第一平歯車及び前記第二平歯車の軸を中心とした周方向の位置が揃い、前記第二平歯車の直径が前記第一平歯車の直径よりも短いことを特徴とする請求項1に記載の送り装置である。
請求項4に係る発明は、前記第二平歯車の直径が前記第一平歯車の直径の2分の1であることを特徴とする請求項3に記載の送り装置である。
請求項5に係る発明は、前記外管に設けられ、前記外管内に流体を注入するための注入ポートと、前記内管の遠位端の外周面から内周面に貫通するように設けられた通孔と、を更に備えることを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の送り装置である。
請求項6に係る発明は、前記チューブが親水性コーティングされていることを特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載の送り装置である。
請求項7に係る発明は、外管と、前記外管に挿入され、前記外管内を軸方向に沿って移動可能な内管と、前記内管に挿入され、前記内管内を軸方向に沿って移動可能な内視鏡と、前記外管の遠位端と前記内管の遠位端との間に連結され、前記内管の遠位端と前記外管の遠位端との間において折り返された可撓性のチューブと、前記内管の近位端側に設けられ、前記内視鏡を保持し、前記内管に対して相対的に軸方向に沿って移動可能なホルダーと、軸方向に沿った前記内管の直線運動をそれと同一の向きの前記ホルダーの直線運動に変換する変換機構と、を備え、前記変換機構が、前記内管の直線運動をその変位よりも低い変位の前記ホルダーの直線運動に変換する、ことを特徴とする内視鏡システムである。
請求項8に係る発明は、前記内視鏡の遠位端が親水性コーティングされている、
ことを特徴とする請求項7に記載の内視鏡システムである。
本発明によれば、内管を軸方向に移動させると、それに伴って細長い機器又は内視鏡とホルダーが軸方向に移動され、ホルダーの変位が内管の変位よりも少ないので、細長い機器又は内視鏡の遠位端がチューブの折返し部から突き出ないようにすることができる。また、細長い機器又は内視鏡とホルダーの移動が内管の移動と連動するから、ヒューマンエラーを防止することができる。
本発明の実施形態に係る内視鏡システムの側面図である。 同実施形態に係る送り装置の側面図である。 同実施形態に係る送り装置の平面図である。 同実施形態に係る送り装置の遠位端の断面図である。 同実施形態に係る内視鏡の側面図である。 同実施形態に係る内視鏡の断面図である。 VII−VII断面図である。
以下に、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されている。そのため、本発明の技術的範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
図1は、内視鏡90とともに送り装置1を示した側面図である。図2は、送り装置1のケース20(図1参照)を取り外した状態の側面図である。図3は、ケース20を取り外した状態の平面図である。図2及び図3では、送り装置1の外管12及びチューブ30等を破断した状態で示す。
送り装置1と内視鏡90を組み合わせたものを内視鏡システムという。内視鏡90はファイバースコープ又はビデオスコープである。送り装置1はカテーテル装置ともいう。つまり、送り装置1は、二重管構造体10を管腔(例えば、膵胆管、血管、卵管)等の管路に挿入して、内視鏡90を管路中の目的の箇所に案内するために用いる。二重管構造体10の内管17の遠位端と外管12との間に設けられたチューブ30は、管路を広げて保持することによって、内視鏡90の遠位端が管路の内壁に接触することを抑えるものである。
送り装置1は、内視鏡90を軸方向に沿って送るものである。つまり、この送り装置1は、内管17が手動又は自動で外管12に対して相対的に軸方向に沿って移動されると、その内管17内の内視鏡90を内管17の変位(移動量)よりも少ない変位(送り量)だけ内管17と同じ向きへ送るものである。内視鏡90の変位が内管17の変位よりも少ないため、内管17が外管12に対して相対的に軸方向に沿って移動されると、内視鏡90が内管17に対して相対的に逆方向に移動される。そのため、内管17を遠位側へ移動させても、内視鏡90の遠位端がチューブ30の折返し部33から大きく突出することを防止することができる。図1では、内視鏡90の遠位端がチューブ30の折返し部33から遠位側へ突き出ているが、内視鏡90の遠位端がチューブ30の折返し部33に揃っているか、チューブ30内に引き込んでいてもよい。
ここで、遠位(distal)とは、軸方向に沿って送り装置1又は内視鏡90の基端から遠い方(送り装置1及び内視鏡90の先端に近い方)をいい、送り装置1や内視鏡90が管路に挿入される向きが遠位側となる。一方、近位(proximal)とは、軸方向に沿って送り装置1及び内視鏡90の基端に近い方(送り装置1及び内視鏡90の先端から遠い方)をいい、送り装置1や内視鏡90が管路から引き出される向きが近位側となる。
なお、この送り装置1によって送られるものは内視鏡90に限らず、内視鏡90のように細長い器具も送り装置1によって軸方向に沿って送ることができる。例えば、ライトガイド、光ファイバー、処置具(例えば、生検鉗子)その他の細長い器具を送り装置1によって送ることができる。
送り装置1の構成について詳細に説明する。
送り装置1は、外管12、内管17、ケース20、チューブ(バルーン)30、ホルダー40及び変換機構50等を備える。
外管12が中空を有し、その中空が外管12の近位端(基端)から遠位端(先端)まで貫通し、その中空が外管12の近位端及び遠位端において開口する。外管12は、可撓性及び柔軟性を有するか、又は非可撓性(剛性)及び非柔軟性(堅固性)を有する。外管12の素材として、比較的強度・弾性率の高い材料又は金属(例えば、ステンレス鋼、チタン)を用いれば、外管12の直径や肉厚が小さくても、外管12を非可撓性にすることができる。外管12の素材として、比較的弾性率が低くて軟らかい材料(例えば、ポリテトラフロオロエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリアミド、シリコーンゴム等)を用いれば、外管12を可撓性にすることができる。
外管12の近位端寄りの部位には、注入ポート13が設けられている。この注入ポート13が外管12の中空に通じており、注入ポート13を通じて液体又は気体を外管12の中空に注入することができる。
外管12の近位端の外周面にフランジ14が設けられ、そのフランジ14が外管12の外周面から径方向外方に延出する。外管12の近位端及びフランジ14に雌ネジが形成され、その雌ネジがフランジ14の外周面から外管12の内周面まで貫通し、固定用ネジ15がフランジ14の外周面からその雌ネジに締め付けられている。
外管12はケース20の外に取り付けられている。具体的には、フランジ14がケース20の遠位側の端面に固定され、外管12がその端面から遠位側へ延出する。外管12の近位端の開口がケース20内に通じている。なお、外管12の一部がケース20内に配置されていてもよい。
内管17が中空を有し、その中空が内管17の近位端から遠位端まで貫通し、その中空が内管17の近位端及び遠位端において開口する。内管17は、可撓性及び柔軟性を有するか、又は非可撓性(剛性)及び非柔軟性(堅固性)を有する。ここで、可撓性・非可撓性に関して外管12と内管17の組み合わせについて具体例を挙げると、(a)外管12と内管17の両方が可撓性を有するか、(b)外管12と内管17の両方が非可撓性を有するか、(c)外管12と内管17のどちらか一方が可撓性を有し、他方が非可撓性を有する。
内管17の外径が外管12の内径以下であり、内管17が外管12に挿入されている。内管17は外管12内を軸方向に沿って移動可能である。この内管17と外管12によって二重管構造体10が構成される。
内管17と外管12の固定は固定用ネジ15によってなされる。つまり、固定用ネジ15が締められると、固定用ネジ15の先端が内管17の外周面に押し付けられて、これにより内管17が外管12に固定される。一方、固定用ネジ15が緩められると、内管17が軸方向に沿って移動可能になる。
内管17の遠位端と外管12の遠位端との間にはチューブ30が連結されている。チューブ30は柔軟性及び可撓性を有し、折り曲げられても元の形状(管状)に復元し得る。また、チューブ30は、膨張・伸張しても元の形状に復元するよう、エラストマー性を有する。また、チューブ30の内周面若しくは外周面又はこれらの両方に親水性コーティング(例えば、塗布膜)が施されていることが好ましい。
チューブ30はその一端31と他端32の間の部位において外側に折り返されており、外側に折り返された部位の端部31が外管12の遠位端に接合され、内側に折り返された部位の端部32が内管17の遠位端に接合されている。具体的には、図4に示すように、チューブ30の一端31が外管12の遠位端面の外縁に接合され、チューブ30の他端32が内管17の遠位端面の内縁に接合されている。ここで、図4は、外管12及び内管17の遠位端を示した断面図である。チューブ30と外管12の接合は、接着、融着又は一体成型によるものであるか、又は、留め具を用いた機械的接合である。チューブ30と内管17の接合も同様である。
内管17の遠位端が外管12内に引き込んで、内管17の遠位端から外管12の遠位端までの距離がチューブ30の長さ以上であれば、チューブ30全体が外管12内に収納される。その場合、チューブ30が弾性的に伸張してもよい。
内管17の遠位端が外管12の遠位端から近位側へ一定距離(具体的には、チューブ30の長さに等しい距離)にある位置よりも遠位側にあれば、チューブ30が折り返された状態で外管12の遠位端から突出する(図2、図4参照)。チューブ30が折り返された状態において、内管17が外管12に対して相対的に軸方向に沿って移動されると、チューブ30の折返し部33の変位(移動量)は内管17の変位(移動量)の2分の1である。
図4に示すように、内管17の遠位端の側面に通孔18が形成され、その通孔18が内管17の外周面から内周面に貫通する。図4に示す例では、通孔18の数が複数であり、これら通孔18が周方向に沿って配列されている。なお、通孔18の数が1であってもよい。
内管17が外管12よりも長く、内管17の近位側の部位が外管12の近位端から突き出ている。内管17のうち外管12の近位端から突き出た部位がケース20内に収容されている。内管17のうち外管12の近位端から突き出た部位の外周面にブラケット19が設けられ、そのブラケット19が内管17の外周面から径方向外方に延出する。このブラケット19もケース20内に収容されており、ブラケット19の周面がケース20の内面に接触して、ブラケット19が軸方向に沿ってケース20に対してスライド可能である。
ケース20の側面にはガイド穴21が形成され、このガイド穴21がケース20の外面から内面に貫通する。このガイド穴21が軸方向に平行となるように延びている。ブラケット19には棒状の把手22が設けられており、この把手22がガイド穴21を貫通する。把手22がガイド穴21によって軸方向に沿って案内され、把手22を掴んで内管17を軸方向に沿って移動させることができる。把手22がガイド穴21の近位側端部に位置して、内管17が最も近位側に位置した状態では、チューブ30の全体が外管12内に引き込んでいることが好ましい。
内管17のうち外管12の近位端から突き出た部位にホルダー40が設けられ、そのホルダー40が内管17に対して相対的に軸方向に沿って移動可能である。
ホルダー40が筒状に設けられているとともに中空を有し、その中空がホルダー40の近位端から遠位端まで貫通し、その中空がホルダー40の近位端及び遠位端において開口する。ホルダー40が内管17に外装され、内管17のうち外管12の近位端から突き出た部位がホルダー40に挿入されている。内管17はホルダー40内を軸方向に沿ってスライド可能である。よって、内管17とホルダー40によって伸縮ロッドが構成される。なお、ホルダー40が内管17に挿入され、ホルダー40が内管17内を軸方向に沿ってスライド可能であってもよい。
ホルダー40の遠位側の部位がケース20内に収容され、ホルダー40の近位側の部位がケース20の近位端からケース20の外へ延出する。具体的には、ホルダー40が蓋部材24を前後に貫通するように蓋部材24に支持され、この蓋部材24がケース20の近位端の開口を閉塞するようにケース20の近位端に取り付けられ、ホルダー40が蓋部材24及びケース20に対して前後に移動可能に設けられている。
ホルダー40の近位端の外周面にフランジ41が設けられ、そのフランジ41がホルダー40の外周面から径方向外方に延出する。ホルダー40の近位端及びフランジ41に雌ネジが形成され、その雌ネジがフランジ41の外周面からホルダー40の内周面まで貫通し、固定用ネジ42がフランジ41の外周面からその雌ネジに締め付けられている。
このホルダー40には内視鏡90が挿入され、内視鏡90がホルダー40によって保持される。内視鏡90がホルダー40に対して着脱可能であり、内視鏡90とホルダー40の固定は固定用ネジ42によってなされる。つまり、固定用ネジ42が締められると、固定用ネジ42の先端が内視鏡90に押し付けられて、これにより内視鏡90が外管12に固定される。一方、固定用ネジ42が緩められると、内視鏡90が軸方向に沿って移動可能になって、内視鏡90をホルダー40から取り外すことができる。
内管17が軸方向に移動されると、その動力が変換機構50によってホルダー40に伝達され、ホルダー40が内管17の移動の向きと同じ向きへ変換機構50によって移動される。つまり、変換機構50は、内管17の直線運動をそれと同一向きのホルダー40の直線運動に変換するものである。より具体的には、変換機構50は、内管17の移動速度をそれよりも低いホルダー40の移動速度に変換する速度変換機構である。そのため、内管17の直線運動が変換機構50によってホルダー40の直線運動に変換されると、ホルダー40の変位が内管17の変位よりも少ない。
変換機構50の速度変換比は1未満であり、好ましくは1/2である。変換機構50の速度変換比とは、(ホルダー40の移動速度)/(内管17の移動速度)をいう。
続いて、変換機構50の一例について詳細に説明する。
変換機構50はケース20内に設けられている。この変換機構50は二組のピニオンラック機構を有する。一方のピニオンラック機構の平歯車51と他方のピニオンラック機構の平歯車53が同軸に設けられ、これら平歯車51,53が同一のシャフト55に取り付けられている。このシャフト55がケース20内に配置されており、シャフト55の両端部が回転可能となってケース20の左右両側面に取り付けられ、シャフト55のラジアル荷重及びアキシアル荷重がケース20に受けられている。
平歯車53の直径(ピッチ円直径)が平歯車51の直径(ピッチ円直径)よりも短い。好ましくは、平歯車53の直径が平歯車51の直径の2分の1である。
平歯車51,53のモジュールが互いに等しければ、平歯車53の歯数が平歯車51の歯数よりも少なく、好ましくは平歯車53の歯数が平歯車51の歯数の2分の1である。
平歯車51,53はケース20内に収容されている。上から見て、シャフト55がホルダー40の軸方向に対して直交し、平歯車51と平歯車53との間にホルダー40が配置されている。
一方のピニオンラック機構のラック52の歯列がホルダー40及び内管17の軸方向に沿って配列されており、他方のピニオンラック機構のラック54の歯列がホルダー40及び内管17の軸方向に沿って配列され、これらラック52,54が互いに平行に設けられている。
平歯車51とラック52が噛み合っており、平歯車53とラック54が噛み合っている。平歯車51とラック52の噛み合い位置と平歯車53とラック54の噛み合い位置は、シャフト55を中心とした周方向の位置が揃っている。
ラック52がブラケット19に取り付けられ、ラック52がブラケット19を介して内管17に固定されている。
ホルダー40の遠位端の外周面にブラケット56が設けられ、そのブラケット56がホルダー40の外周面から径方向外方に延出する。このブラケット56にラック54が取り付けられ、ラック54がブラケット56を介してホルダー40に固定されている。
ラック52,54が蓋部材24を前後に貫通するように蓋部材24に設けられ、これらラック52,54が蓋部材24に支持されている。ラック52,54が蓋部材24に対して前後に移動可能に設けられている。
続いて、図5〜図8を参照して、送り装置1によって送られる内視鏡90の一例の構成について詳細に説明する。
図5は内視鏡90の側面図であり、図6は内視鏡90の遠位側の部位の断面図であり、図7は図6に示すVII−VIIに沿った面を矢印方向に向かって見て示した断面図である。
図5に示すように、内視鏡90の近位端にコネクタ91が設けられ、内視鏡90の近位端と遠位端との間の中途部にストッパ93が設けられている。このストッパ93の径がホルダー40の近位端の開口の径よりも長い。内視鏡90をホルダー40に進入させると、ストッパ93がホルダー40の近位端に引っ掛かって、内視鏡90をそれ以上進入させることが出来ない。把手22がガイド穴21の近位側端部に位置して、内管17が最も近位側に位置した状態では、ストッパ93がホルダー40の近位端に引っ掛かると、内視鏡90の遠位端が外管12の遠位端に揃うことが好ましい。
図6及び図7に示す例では、内視鏡90がファイバースコープである。具体的には、対物レンズ(例えば、GRINレンズ)97が映像伝送用のファイバーバンドル94の遠位端に対向し、ファイバーバンドル94の遠位端及び対物レンズ97が筒状のレンズホルダー98に保持され、照明光ガイド用のファイバーバンドル95がファイバーバンドル94の周囲に設けられ、これらファイバーバンドル94,95、対物レンズ97及びレンズホルダー98が保護チューブ99に挿入されている。保護チューブ99の遠位端の外周面には親水性コーティングが施されていることが好ましい。
ファイバーバンドル94の材質は、透過性や色味の用途に合わせて、多成分ガラス、石英ガラス、プラスチック(ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、スチレンアクリロニトリル、ポリウレタン等)の何れかから選択される。ファイバーバンドル95の材質についても同様である。ファイバーバンドル94,95に使用する光ファイバーの直径、NA及び本数などは搭載できる範囲で選択して構わない。
コネクタ91が内視鏡プロセッサに接続され、内視鏡プロセッサに設けられた光源が発光すると、その照明光がファイバーバンドル95によって内視鏡90の遠位端までガイドされ、その照明光がファイバーバンドル95の遠位端面から出射する。それにより、内視鏡90の遠位端の周囲が照明される。一方、内視鏡90の遠位端の前の像が対物レンズ97によってファイバーバンドル94の遠位端面に結像され、その像がファイバーバンドル94によって内視鏡プロセッサまで伝送される。
なお、内視鏡90がビデオスコープである場合、ファイバーバンドル94の遠位端の位置に撮像素子が設けられ、ファイバーバンドル94の代わりに像伝送用配線が設けられ、その配線が撮像素子に接続される。また、内視鏡90がファイバースコープとビデオスコープの何れの場合でも、ファイバーバンドル95の遠位端の位置に発光素子が設けられ、ファイバーバンドル95の代わりに配線が設けられ、配線が発光素子に接続されてもよい。
続いて、送り装置1及び内視鏡90の使用方法について説明する。
まず、送り装置1が分解されていれば、送り装置1を組み立てる。
次に、固定用ネジ15を緩める。
次に、把手22を握って、把手22を近位側へ引いて、チューブ30のほぼ全体が外管12内に引き込むまで、内管17を近位側へ移動させる。
次に、固定用ネジ15を締め、固定用ネジ15によって内管17を外管12に固定する。
次に、固定用ネジ42を緩める。
次に、内視鏡90の遠位端を先にして、その遠位端をホルダー40の近位端の開口に差し込む。そして、ストッパ93がホルダー40の近位端に当たって接触するまで、内視鏡90をホルダー40に進入させる。これにより、内視鏡90をホルダー40、内管17、外管12及びチューブ30に挿入し、内視鏡90の遠位端を外管12に遠位端に揃える。なお、内視鏡90の遠位端が外管12内に僅かに引き込んでいてもよいし、外管12の遠位端から僅かに突き出ていてもよい。
固定用ネジ15によって内管17と外管12が固定されているため、内視鏡90をホルダー40及び内管17に挿入する際に内管17及びホルダー40が内視鏡90に追従せず、内管17やホルダー40が遠位側へスライドしない。
次に、固定用ネジ42を締め、固定用ネジ42によって内視鏡90をホルダー40に固定する。
次に、外管12の遠位端を先にして、その遠位端を管路(例えば、膵胆管、血管、卵管その他の管腔)に挿入する。
次に、注入装置によって流体(液体又は気体)を注入ポート13から外管12に注入して、流体を外管12と内管17との間の隙間に充填して、チューブ30に内圧を掛ける。チューブ30の内圧は、その内圧によってチューブ30が膨張し過ぎずに、そのチューブ30が張る程度である。また、流体が内管17の通孔18を通って内管17内に流れるので、流体が液体であれば、内視鏡90の遠位端が濡れる。内視鏡90の外周面と内管17の内周面との間にも液体が浸入し、内視鏡90の外周面と内管17の内周面との間に液層が形成される。
次に、固定用ネジ15を緩める。固定用ネジ15を緩めても、チューブ30の内圧が適度であるので、チューブ30の内圧によって内管17が遠位側へ移動することはない。
次に、把手22を握って、把手22を遠位側へ押して、内管17を遠位側へ移動させる。内管17の直線運動が変換機構50によって内管17の移動の向きと同じ向きのホルダー40の直線運動に変換され、ホルダー40及び内視鏡90も内管17の変位よりも少ない変位だけ遠位側へ移動される。平歯車53の直径が平歯車51の直径の2分の1であれば、ホルダー40及び内視鏡90の移動速度が内管17の移動速度の2分の1であり、ホルダー40及び内視鏡90の変位が内管17の変位の2分の1である。そのため、内視鏡90は内管17に対して摺動する。内視鏡90の外周面と内管17の内周面との間に液体が浸入していれば、その液体が潤滑剤となり、内管17をスムーズに遠位側へ移動させることができる。
チューブ30に内圧が作用しているので、内管17が遠位側へ移動されるのに伴ってチューブ30が外管12の遠位端から突き出ていく。これにより、チューブ30のうち外側に折り返された部位が管路の内壁に密着した状態で、チューブ30の折返し部33が遠位側へ変位する。そのため、チューブ30が管路の内壁に擦れず、管路を保護することができる。
また、チューブ30のうち外管12の遠位端から突き出た部位によって管路が少し拡張される。この際、チューブ30の内圧を高くし過ぎないように調整し、チューブ30の膨張によって管路が拡張し過ぎないようにする。つまり、チューブ30のうち外側に折り返した部位の直径は外管12の直径とさほど変わらない。
チューブ30の折返し部33の変位は内管17の変位の2分の1程度ある。ホルダー40及び内視鏡90の変位が内管17の変位よりも少ないので、内視鏡90の遠位端がチューブ30の折返し部33から突き出ない。よって、内視鏡90の遠位端が管路の内壁に接触することを防止することができる。
注入装置によって外管12内に送った流体が液体であれば、チューブ30のうち内側へ折り返された部位と内視鏡90との間には液層が形成される。特に、内視鏡90の遠位端の外周面が親水性であれば、その液層が形成されやすい。チューブ30の内圧によって内視鏡90が締め付けられていても、内視鏡90とチューブ30との間の液層が潤滑剤となり、内管17、内視鏡90及びホルダー40をスムーズに移動させることができる。
内管17を遠位側へ移動させることによって内視鏡90の遠位端を目的の位置まで送ったら、内管17の移動を停止する。そして、内視鏡90を用いて管路内を観察し、又は診察する。この際、固定用ネジ15を締め、内管17を外管12に固定してもよい。また、固定用ネジ42を緩めて、内視鏡90を僅かに進退させることによって内視鏡90の遠位端の位置を微調整してもよい。
観察又は診察が終了したら、固定用ネジ15を緩め、固定用ネジ42を締める。また、注入ポート13への液体の注入を停止し、チューブ30の内圧を除圧・減圧する。
次に、把手22によって内管17を近位側へ移動させる。ホルダー40及び内視鏡90も変換機構50によって内管17の変位よりも少ない変位だけ近位側へ移動される。チューブ30も外管12内に引き込まれる。内視鏡90によって観察をして、内視鏡90の遠位端の前方の安全を確認しながら、把手22を近位側へ引く。
チューブ30の全体が外管12内に引き込んだら、把手22及び内管17の移動を止める。そして、固定用ネジ15を締め、内管17を外管12に固定する。
次に、外管12を管路から引き抜く。
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1) チューブ30の折返し部33の変位がホルダー40及び内視鏡90の変位にほぼ等しいため、内視鏡90の遠位端がチューブ30から突き出ることを防止することができる。特に、把手22及び内管17の操作だけで、内視鏡90の遠位端がチューブ30から突き出ないようにすることができるから、ヒューマンエラーを防止することができる。
(2) 内管17及びチューブ30が内視鏡90に対して滑るものとしても、その摩擦が液体によって低減されるので、内管17及び内視鏡90をスムーズに移動させることができる。
(3) チューブ30に内圧を掛けたので、内管17を遠位側へ移動させる際にチューブ30が外管12の遠位端から確実に出てくる。
〔変形例〕
本発明の適用可能な実施形態は上述の実施形態に限るものではなく、上述の実施形態から変更してもよい。以下の変形例の組み合わせが可能であれば、それらを組み合わせて適用してもよい。
〔変形例1〕
変換機構50の構成を変更してもよい。
例えば、変換機構50がピニオンラック機構を用いたものであるが、例えばプーリー及びベルト等を用いた機構、ボールネジ等を用いた機構であってもよい。
また、把手22が回転可能に設けられ、把手22を回転させることによって把手22の回転運動を変換機構50によって内管17及びホルダー40の直線運動に変換してもよい。この場合でも、内管17の移動の向きとホルダー40の移動の向きが同じであり、ホルダー40の移動速度が内管17の移動速度よりも低い(好ましくは、ホルダー40の移動速度が内管17の移動速度の2分の1である)。
〔変形例2〕
内管17を手動で移動させるのではなく、モーター等の駆動装置によって移動させてもよい。例えば、図2又は図3に示す変換機構50であれば、シャフト55を駆動装置によって回転させれば、内管17を駆動装置によって移動させることができる。
〔変形例3〕
チューブ30の条件(例えば、内圧等)が変更されれば、チューブ30の折返し部33の変位が内管17の変位の2分の1にならないこともある。その場合、平歯車53と平歯車51の直径比を最適なものに変更し、ホルダー40及び内視鏡90の変位と内管17の変位との比が、チューブ30の折返し部33の変位と内管17の変位との比に等しくすることが好ましい。いずれにしても、変換機構50による内管17の移動の向きとホルダー40の移動の向きが同じであり、ホルダー40及び内視鏡90の変位が内管17の変位よりも少ない。
〔変形例4〕
また、上述の説明では管路が管腔であったが、管路が人体の器官でなくもよい。つまり、送り装置1及び内視鏡90の用途は医療用に限るものではない。
1 送り装置
12 外管
13 注入ポート
17 内管
30 チューブ
40 ホルダー
50 変換機構
51 平歯車(第一平歯車)
52 ラック(第一ラック)
53 平歯車(第二平歯車)
54 ラック(第二ラック)
55 シャフト
90 内視鏡

Claims (8)

  1. 外管と、
    前記外管に挿入され、前記外管内を軸方向に沿って移動可能な内管と、
    前記外管の遠位端と前記内管の遠位端との間に連結され、前記内管の遠位端と前記外管の遠位端との間において折り返された可撓性のチューブと、
    前記内管の近位端側に設けられ、前記内管に挿入された細長い器具を保持し、前記内管に対して相対的に軸方向に沿って移動可能なホルダーと、
    軸方向に沿った前記内管の直線運動をそれと同一の向きの前記ホルダーの直線運動に変換する変換機構と、を備え、
    前記変換機構が、前記内管の直線運動をその変位よりも少ない変位の前記ホルダーの直線運動に変換する、
    ことを特徴とする送り装置。
  2. 前記変換機構が、前記内管の直線運動をその変位の2分の1の変位の前記ホルダーの直線運動に変換する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の送り装置。
  3. 前記変換機構が、
    前記内管に取り付けられ、軸方向に沿って延在した第一ラックと、
    前記第一ラックに噛み合った第一平歯車と、
    前記ホルダーに取り付けられ、軸方向に沿って延在した第二ラックと、
    前記第一平歯車と同軸に設けられ、前記第二ラックに噛み合った第二歯車と、
    前記第一平歯車と前記第一ラックの噛み合い位置と前記第二平歯車と前記第二ラックの噛み合い位置は、前記第一平歯車及び前記第二平歯車の軸を中心とした周方向の位置が揃い、
    前記第二平歯車の直径が前記第一平歯車の直径よりも短い、
    ことを特徴とする請求項1に記載の送り装置。
  4. 前記第二平歯車の直径が前記第一平歯車の直径の2分の1である、
    ことを特徴とする請求項3に記載の送り装置。
  5. 前記外管に設けられ、前記外管内に流体を注入するための注入ポートと、
    前記内管の遠位端の外周面から内周面に貫通するように設けられた通孔と、
    を更に備える、
    ことを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の送り装置。
  6. 前記チューブが親水性コーティングされている、
    ことを特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載の送り装置。
  7. 外管と、
    前記外管に挿入され、前記外管内を軸方向に沿って移動可能な内管と、
    前記内管に挿入され、前記内管内を軸方向に沿って移動可能な内視鏡と、
    前記外管の遠位端と前記内管の遠位端との間に連結され、前記内管の遠位端と前記外管の遠位端との間において折り返された可撓性のチューブと、
    前記内管の近位端側に設けられ、前記内視鏡を保持し、前記内管に対して相対的に軸方向に沿って移動可能なホルダーと、
    軸方向に沿った前記内管の直線運動をそれと同一の向きの前記ホルダーの直線運動に変換する変換機構と、を備え、
    前記変換機構が、前記内管の直線運動をその変位よりも低い変位の前記ホルダーの直線運動に変換する、
    ことを特徴とする内視鏡システム。
  8. 前記内視鏡の遠位端が親水性コーティングされている、
    ことを特徴とする請求項7に記載の内視鏡システム。
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