JP2014531194A - 油含有量を増加させた修飾植物 - Google Patents

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Abstract

種々の様式で、植物の細胞中のアセチルCoAカルボキシラーゼ酵素の18:1−補酵素Aまたは18:1−アシルキャリアータンパク質によるフィードバック阻害を防止することにより、これらの植物、具体的には油性植物の油含有量を増加させる方法および手段を提供する。

Description

本発明は、米国エネルギー省(U.S.Department of Energy)から授与された契約番号DE−AC02−98CH10886に基づいて米国政府の支援を得てなされたものである。米国政府は、本発明において特定の権利を有する。
関連出願の相互参照および配列表の組み込み
本出願は、2011年6月28日に出願された米国仮特許出願61/502,163号の優先権の利益を主張するものであり、参照により、その全体が本明細書に組み込まれる。「58764000510PCT」と称される2012年6月15日に作製された276kb(MS−Windowsオペレーティングシステムにおいて測定)のファイルに含まれる配列表は、本明細書とともに出願され、参照により本明細書に組み込まれる。
本発明は、農学の分野に関する。より具体的には、本発明は、FATA遺伝子またはアセチルCoA結合タンパク質の過剰発現により、フィードバック非感受性またはより感受性の低いアセチルCoAカルボキシラーゼ酵素を提供することを含む種々の様式で、植物の細胞中のアセチルCoAカルボキシラーゼ酵素の18:1−補酵素Aまたは18:1−アシルキャリアータンパク質によるフィードバック阻害を防止することにより、これらの植物、具体的には油性植物の油含有量を増加させる方法および手段を提供する。
植物油は、ヒトおよび動物の食生活、ならびに多くの産業用途(バイオ燃料またはバイオディーゼルを生成するための再生可能な源として等)において広く使用されているため、経済的にますます重要になってきている。最も広く使用されている植物油は、ヤシ(2008年の世界消費量は4,131万トン)またはダイズ(4,128万トン)に由来し、ナタネ油(1,824)、ヒマワリ油(991)、ピーナッツ油(482)、綿実油(499)、パーム核油(485)、ヤシ油(348)、およびオリーブ油(284)がそれに続く。他の重要なトリグリセリド油は、トウモロコシ油、グレープシード油、ヘーゼルナッツ油、亜麻仁油、米糠油、ベニバナ油、およびゴマ油を含む。
植物当たりの油収量を増加させることは、これらの異なる目的に使用されるより多くの油を提供するための有望なアプローチであると考えられ、一方の食物および飼料として使用するための油と、他方の産業用途のための油との間の土地をめぐる競争を回避する。植物における油の合成は、脂肪酸の産生によって制限されると考えられ、脂肪酸生合成の最初の関与段階、すなわち、アセチルCoAカルボキシラーゼによるマロニルCoAを産生するためのアセチルCoAのカルボキシル化は、律速段階であることが示唆されている。
Roesler et al.1997(Plant Physiol.113,75−81)は、シロイヌナズナのホモマーアセチルCoAカルボキシラーゼの発現、およびタンパク質にナタネの色素体を標的とさせることにより、種子油に5%の増加をもたらしたことを記載した。
Madoka et al.2002(Plant Cell Physiol.43,1518−1525)は、色素体形質転換による色素体コードのアセチルCoAカルボキシラーゼ・カルボキシトランスフェラーゼβサブユニット(accD)の過剰発現が、タバコの葉の油含有量の5〜10%の増加を誘導したことを報告した。
米国特許第5,962,767号は、251kDの細胞質アセチルCoAカルボキシラーゼをコードするシロイヌナズナのアセチルCoAカルボキシラーゼ遺伝子の単離について記載している。
WO94/17188は、植物のアセチルCoAカルボキシラーゼに関するコードを含む別のDNA配列、ならびに前記DNA配列の対立遺伝子および誘導体について開示している。
WO95/13390は、植物チオエステラーゼ、特に、パルミトイル−ACP基質に対して実質的な活性を有する植物のアシル−ACPチオエステラーゼに関する。植物種子細胞における植物パルミトイル−ACPチオエステラーゼの発現に有用なDNA構築物について記載している。トランスジェニック植物においてそのような構築物が発現される場合、そのような構築物は、他の植物組織と比較して、種子組織中の植物パルミトイル−ACPチオエステラーゼの発現を優先的に誘導することができる調節エレメントの制御下で対象となる植物パルミトイル−ACPチオエステラーゼをコードするDNA配列を含有するであろう。この文献はまた、植物種子細胞において産生される遊離脂肪酸の割合を変更するために、植物パルミトイル−ACPチオエステラーゼをコードするDNA配列を使用する方法についても記載している。本明細書に例示される植物パルミトイル−ACPチオエステラーゼ配列は、クフェア、ニラ、マンゴー、およびニレを含む。これらのパルミトイル−ACPチオエステラーゼ配列の発現の結果として、これらの種子中のC16:0脂肪酸のレベルを増加させたトランスジェニック植物も提供される。
WO00/09721は、ダイズ種子に見られる総トリグリセリドの構成成分としてのステアリン酸を増加させるための方法に関する。該方法は、一般に、転写の5’から3’の方向にダイズ植物種子細胞において機能するプロモーター、C18:0アシル−ACP基質で実質的な活性を有するアシル−ACPチオエステラーゼタンパク質をコードするDNA配列、および植物細胞において機能する転写終結領域を含むDNA構築物をゲノム中に組み込んだダイズ植物を成長させることを含む。この文献はまた、種子トリグリセリドに見られる総脂肪酸の構成成分として、約33重量パーセント以上のステアリン酸を含むダイズ種子も提供する。
US2010/033329は、遺伝子操作した植物において低温耐性を向上させるためにアシル−CoA結合タンパク質を使用する方法について記載している。
US2009/0291479は、微生物宿主における脂質産生量を改変するためのアシル−CoA結合タンパク質の操作について記載している。
US7,880,053は、ファイトレメディエーションにおいて植物由来のアシル−補酵素A−結合タンパク質を発現する形質転換植物を使用する方法について記載している。
US2008/0229451は、改善された特性を有する植物を生成するための、植物における微生物タンパク質の発現について記載している。
生合成経路のフィードバック制御は、代謝産物の酵素に対する供給の要求を伝えることにより細胞の効率を最適化する。典型的には、フィードバックは、下流の代謝産物が堆積し、それを産生するための律速酵素の阻害を引き起こし、それによって、経路全体の流れが制限された場合に起こる。残念ながら、そのような機構は、未知であるかまたはほとんど解明されていない場合、良好な代謝工学の障壁として作用する可能性がある。植物の脂肪酸生合成は、フィードバック阻害を示す操作を標的とするそのような経路の1つである(Ramli et al.2002,Biochem J,364,385−391、Shintani and Ohlrogge 1995,Plant J,7,577−587、Terzaghi 1986 Plant Physiol,82,780−786.)。しかしながら、フィードバックの機構および標的(複数可)は、まだ特定されていない。この基本的なプロセスをより徹底的に理解することは、植物における脂肪酸の産生量を増加させる上で、将来の工学的な試みを設計および分析する上で役立つであろう。
動物、真菌、および細菌は、脂肪酸合成のフィードバック制御のための既知の機構を有する。これらの間に共通する特徴は、単独で脂肪酸合成のためのマロニルCoAを産生し、脂肪酸合成の律速段階であると見なされている酵素、アセチルCoAカルボキシラーゼ(ACCase、EC6.4.1.2)の阻害である(Cronan and Waldrop 2002 Prog Lipid Res,41,407−435、Ohlrogge and Jaworski 1997 Rev Plant Physiol Plant Mol Biol,48,109−136.、Wakil et al.1983 Annu Rev Biochem,52,537−579)。ラットおよび酵母において、脂肪酸合成の最終生成物であるパルミトイル−CoAがACCaseに結合してそれを阻害する(Ogiwara et al.1978 Eur J Biochem,89,33−41.)。さらに、酵母ACCaseおよび脂肪酸合成酵素(FAS)の遺伝子発現は、長鎖脂肪酸に一晩暴露することにより、アシル−CoA依存的に低下する(Feddersen et al.2007 Biochem J,407,219−230)。細菌も同様の応答を有する。大腸菌ACCaseおよびβ−ケトアシル−アシルキャリアータンパク質合成酵素(KAS)は、両方とも、脂肪酸合成の中間体である長鎖(C16−C18)アシル−アシルキャリアータンパク質(アシル−ACP)によって阻害される(Davis and Cronan 2001 J Bacteriol,183,1499−1503、Heath and Rock 1995 J Bioi Chem,270,15531−15538)。外因性脂肪酸の存在下における増殖も、長鎖アシル−ACPまたはアシル−CoAと転写因子との相互作用により細菌の脂肪酸生合成遺伝子(ACCaseを含む)の抑制をもたらす(Zhang and Rock 2009 J.Lipid Res,50 Suppl,S115−119)。これらの研究に基づいて、新規脂肪酸に対するより少ない要求は、アシル−ACPおよび/またはアシル−CoAの堆積によって通知されるという図が浮かび上がった。これらの代謝産物は、ACCaseをアロステリックに阻害し、したがって、脂肪酸合成に使用されるマロニルCoAの産生を急速に制限することができる。ACCaseの阻害後にアシル−ACPおよびアシル−CoAのレベルが低下しない条件では、全体的な脂肪酸生合成経路のための遺伝子の発現が抑制される。以上を総合すると、これらの応答は、細胞要求における急性および慢性の低減期間中に不必要な脂肪酸の産生を防止する。
植物における脂肪酸合成のフィードバック制御のための機構は、まだ特定されていない。Tween脂肪酸エステルは、脂肪酸を補給するのに効果的であり(Terzaghi 1986 Plant Physiol,82,771−779.)、タバコ(Shintani and Ohlrogge 1995,Plant J.7,577−587)およびダイズ(Terzaghi 1986 Plant Physiol,82,780−786)の細胞培養液ならびに油ヤシおよびオリーブのカルス(Ramli et al.2002 Biochem J,364,385−391)においてフィードバック阻害を引き起こすことが示されている。タバコにおけるアシル−ACPの合成速度およびACCaseタンパク質レベルに基づいて、ShintaniとOhlroggeは、フィードバックは、ACCase、および場合によってはFASの生化学的または転写後修飾によって起こるものであると仮説を立てた。精製したトウモロコシおよび珪藻ACCaseは、パルミトイル−CoAによって阻害されたが(Nikolau and Hawke 1984 Arch Biochem Biophys,228,86−96、Roessler 1990 Planta,198,517−525)、長鎖アシル−ACPは、トウゴマおよびエンドウマメ由来の部分的に精製されたACCaseを阻害することができなかった(Roesler et al.1996 Planta,198,517−525)。しかしながら、中鎖アシル−ACPは、キャノーラおよびホウレンソウの粗抽出物においてKAS活性を阻害した(Bruck et al.1996 Planta,198,271−278)。フィードバック中のアシル−CoAまたはアシル−ACPの定常状態プールにおける変化が測定されていないため、これらの結果のフィードバック阻害との関連性は不明である。色素体および細胞質中に、それぞれ脂肪酸の合成および伸長に関与する、構造的に異なるACCaseおよびFAS系が存在することから、植物における状況はさらに複雑である。細胞質の伸長経路がフィードバックに関与しているかどうかは未知である。以前の研究は、栄養組織または発芽した実生を使用して細胞培養を確立したため、油糧種子等の高い脂肪酸合成率が必要とされる組織においてフィードバックが起こるかどうかも分かっていない。
よって、従来技術には、アセチルCoAカルボキシラーゼのアイソフォームが植物においてフィードバック阻害に供されること、およびその分子がフィードバック阻害の原因であることに関する教示が不足している。本明細書において後述するように、この問題は解決され、異なる実施形態および特許請求の範囲から明白であるように、脂肪酸合成および油脂合成を増加させる目的で、植物細胞、植物部分、植物組織、種子、および植物におけるアセチルCoAカルボキシラーゼのフィードバック阻害を防止または回避することができる。
一実施形態において、本発明は、植物の細胞中の油含有量を増加させる方法であって、植物の細胞中の色素体アセチルCoAカルボキシラーゼ酵素の18:1−補酵素Aまたは18:1−アシルキャリアータンパク質によるフィードバック阻害を防止するステップを含む、方法に関する。このフィードバック阻害の防止は、植物細胞に、植物の野生型アセチルCoAカルボキシラーゼよりもフィードバック阻害に対する感受性の低いアセチルCoAカルボキシラーゼ変異体酵素またはそのサブユニットを提供すること(植物細胞の色素体に提供することを含む)により達成することができる。より感受性の低いアセチルCoAカルボキシラーゼ変異体酵素またはそのサブユニットは、植物細胞中の変異型対立遺伝子によってコードされ得るか、または植物細胞に導入された導入遺伝子によってコードされ得る。
本発明の別の実施形態において、植物の細胞中の油含有量を増加させる方法であって、植物の細胞中の色素体アセチルCoAカルボキシラーゼ酵素の18:1−補酵素Aまたは18:1−アシルキャリアータンパク質によるフィードバック阻害を防止するステップを含み、植物細胞に、スルフォロブス目、ケナルカエウム目、アーケオグロブス目、デスルフロコックス目、サーモプロテウス目、サーモコッカス目、またはハロバクテリウム目からなる群から選択される生物のアセチルCoAカルボキシラーゼまたはそのサブユニット等の、炭素固定のために3−ヒドロキシプロピオン酸サイクルを使用する生物由来のアセチルCoAカルボキシラーゼ酵素またはその1つ以上のサブユニットが提供される、方法が提供される。アセチルCoAカルボキシラーゼまたはそのサブユニットは、メタッロスパエラ・セドゥラ、アシディアヌス・ブリエレイ、スルホロブス・ソルファタリカス、スルホロブス・トコダイイ、スルホロブス・アシドカルダリウス、ケナルカエウム・シュンビオスム、アーケオグロブス・フルギダス、ハイパーサーマス・ブチリカス、スタフィロサーマス・マリナス、テルモフィルム・ペンデンス、イグニコックス・ホスピタリス、ピロバキュラム・アエロフィラム、ピロバキュラム・イスランディクム、ピロバキュラム・カリディフォンティス、ピロバキュラムフリオサス、ピロバキュラム・アビシ、ピロバキュラム・ホリコシイ、ハロアーキュラ・マリスモルツイ、ハロバクテリウム属種NRC−1、ハロクアドラトゥム・ワルスビイ、ハロラブラム・ラクスプロファンディ(Halorubrum lacusprofundi)、またはナトロノモナス・ファラオニスからなる群から選択される生物に由来し得る。また、植物細胞には、クロロフレクサス・オーランティアカス由来のアセチルCoAカルボキシラーゼ酵素またはそのサブユニットが提供されてもよい。
本発明のさらに別の実施形態において、植物細胞に、以下の操作可能に連結されたDNA断片を含むDNA分子を提供するステップを含む、植物の細胞中の油含有量を増加させるための方法が提供される:
a)植物発現可能プロモーター、
b)配列番号2、3、5、7、9、11、13、15、17、もしくは19のアミノ酸配列から選択されるアミノ酸配列を有する1つ以上のアセチルCoAカルボキシラーゼサブユニットをコードする1つ以上のコード領域、好ましくは異種コード領域;または、配列番号2、3、5、7、9、11、13、15、17、もしくは19のアミノ酸配列から選択されるアミノ酸配列と70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有し、アセチルCoAカルボキシラーゼの酵素活性を有するコード領域;ならびに任意選択的に、
c)植物細胞において機能する転写終結および/またはポリアデニル化領域。
DNA分子は、葉緑体標的ペプチドをコードするDNA領域をさらに含み得る。コード領域は、331位のヌクレオチド〜1860位のヌクレオチドの配列番号1、1860位のヌクレオチド〜2360位のヌクレオチドの配列番号1、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、もしくは配列番号18のヌクレオチド配列、またはそれと70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%のヌクレオチド配列同一性を有するコード領域から選択され得る。具体的な実施形態において、植物発現可能プロモーターは、色素体において発現されるプロモーターであり、終結および/またはポリアデニル化領域は、色素体において機能する転写終結領域である。DNA分子は、植物細胞の核ゲノムに組み込まれてもよいか、または代替として、DNA分子は、植物細胞の色素体のゲノムに組み込まれてもよい。植物細胞はまた、各々がアセチルCoAカルボキシラーゼ酵素の1つのサブユニットを発現する、1つより多くのDNA分子を含有し得る。
本発明はまた、ある方法を提供する:植物の細胞中の油含有量を増加させる方法であって、植物の細胞中の色素体アセチルCoAカルボキシラーゼ酵素の18:1−補酵素Aまたは18:1−アシルキャリアータンパク質によるフィードバック阻害を防止するステップを含み、ここでフィードバック阻害の防止は、植物細胞中の色素体中の18:1−補酵素Aまたは18:1−アシルキャリアータンパク質のレベルを低下させることにより達成される、方法が提供される。色素体中の18:1−補酵素Aまたは18:1−アシルキャリアータンパク質のレベルを低下させるための1つの代替実施形態は、細胞の色素体中のFATA酵素のレベルを増加させることによるものである。この目的を達成するために、配列番号21のアミノ酸配列、またはそれと70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列から選択されるアミノ酸配列を有するFATA酵素等のFATA酵素をコードするDNA領域と操作可能に連結された植物発現可能プロモーターと、任意選択的に、植物細胞において機能する転写終結および/またはポリアデニル化領域とを含むDNA分子が、植物細胞に導入されてもよい。ここでも同様に、DNA分子は、葉緑体標的ペプチドをコードするDNA領域をさらに含み得るか、または植物発現可能プロモーターは、色素体において発現されるプロモーターであり、終結および/またはポリアデニル化領域は、転写終結領域である。
本発明のさらに別の実施形態において、植物の細胞中の油含有量を増加させるための方法であって、植物の細胞中の色素体アセチルCoAカルボキシラーゼ酵素の18:1−補酵素Aまたは18:1−アシルキャリアータンパク質によるフィードバック阻害を防止するステップを含み、ここで色素体中の18:1−補酵素Aまたは18:1−アシルキャリアータンパク質のレベルの低下は、植物細胞中のアシル−CoA結合タンパク質のレベルを増加させることにより達成される、方法が提供される。この目的を達成するために、DNA分子が植物細胞に導入されてもよく、ここで該DNA分子は、アシル−CoA結合タンパク質をコードするDNA領域と操作可能に連結された植物発現可能プロモーターと;任意選択的に、植物細胞において機能する転写終結および/またはポリアデニル化領域とを含む。アシル−CoA結合タンパク質は、配列番号23もしくは配列番号25のうちのいずれかのアミノ酸配列、またはそれと70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列から選択されるアミノ酸配列を含み得る。
記載される方法のうちのいずれかの植物細胞は、植物に再生することができる。したがって、本発明はまた、植物細胞が植物中に存在し、植物の種子等の油貯蔵部における油含有量が増加する、本明細書において前述したような方法も提供する。
この方法は、いずれの植物にも適用され得るが、ブラッシカ・ナプス、ブラッシカ・カンペストリス(ラパ)、ブラッシカ・ユンケア、またはブラッシカ・カリナータを含むアブラナ属の油糧種子、ヒマワリ、ベニバナ、ダイズ、ヤシ、ヤトロファ、アマ、クランベ、カメリナ、トウモロコシ、ゴマ、トウゴマ等の含油植物に特に有用である。
本発明はさらに、炭素固定のために3−ヒドロキシプロピオン酸サイクルを使用する生物由来のCoAカルボキシラーゼ酵素またはそのサブユニット等の、植物の野生型アセチルCoAカルボキシラーゼよりも18:1−補酵素Aまたは18:1−アシルキャリアータンパク質によるフィードバック阻害に対する感受性の低い、1つ以上の色素体ACCase変異体酵素またはそのサブユニットを含む植物を提供し、具体的には、アセチルCoAカルボキシラーゼまたはそのサブユニットは、スルフォロブス目、ケナルカエウム目、アーケオグロブス目、デスルフロコックス目、サーモプロテウス目、サーモコッカス目、またはハロバクテリウム目、例えば、メタッロスパエラ・セドゥラ、アシディアヌス・ブリエレイ、スルホロブス・ソルファタリカス、スルホロブス・トコダイイ、スルホロブス・アシドカルダリウス、ケナルカエウム・シュンビオスム、アーケオグロブス・フルギダス、ハイパーサーマス・ブチリカス、スタフィロサーマス・マリナス、テルモフィルム・ペンデンス、イグニコックス・ホスピタリス、ピロバキュラム・アエロフィラム、ピロバキュラム・イスランディクム、ピロバキュラム・カリディフォンティス、ピロバキュラムフリオサス、ピロバキュラム・アビシ、ピロバキュラム・ホリコシイ、ハロアーキュラ・マリスモルツイ、ハロバクテリウム属種NRC−1、ハロクアドラトゥム・ワルスビイ、ハロラブラム・ラクスプロファンディ(Halorubrum lacusprofundi)、またはナトロノモナス・ファラオニスからなる群から選択される生物に由来する。アセチルCoAカルボキシラーゼ酵素またはそのサブユニットは、クロロフレクサス・オーランティアカスに由来してもよい。
さらに代替の実施形態において、本発明は、以下の操作可能に連結されたDNA断片を含むDNA分子を含む植物を提供する:
a.植物発現可能プロモーター、
b.配列番号2、3、5、7、9、11、13、15、17、もしくは19のアミノ酸配列から選択されるアミノ酸配列を有する1つ以上のアセチルCoAカルボキシラーゼサブユニットをコードする1つ以上のコード領域、好ましくは異種コード領域;または、配列番号2、3、5、7、9、11、13、15、17、もしくは19のアミノ酸配列から選択されるアミノ酸配列と70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有し、アセチルCoAカルボキシラーゼの酵素活性を有するコード領域、例えば、331位のヌクレオチド〜1860位のヌクレオチドの配列番号1、1860位のヌクレオチド〜2360位のヌクレオチドの配列番号1、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、もしくは配列番号18のヌクレオチド配列、またはそれと70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%のヌクレオチド配列同一性を有するコード領域;ならびに任意選択的に、
c.植物細胞において機能する転写終結および/またはポリアデニル化領域。
DNA分子は、葉緑体標的ペプチドをコードするDNA領域をさらに含み得るか、植物発現可能プロモーターは、色素体において発現されるプロモーターであり得、終結および/またはポリアデニル化領域は、色素体において機能する転写終結領域であり得る。植物細胞はまた、各々がアセチルCoAカルボキシラーゼ酵素の1つのサブユニットを発現する、1つより多くのDNA分子を含有し得る。
本発明はさらに、本明細書に記載されるような植物の細胞、組織、油貯蔵組織、または種子、およびそのような植物から生成される油を提供する。
以下の操作可能に連結されたDNA断片を含むキメラDNAを提供することが、本発明のさらに別の目的である:
a.植物発現可能プロモーター、
b.配列番号2、3、5、7、9、11、13、15、17、もしくは19のアミノ酸配列から選択されるアミノ酸配列を有する1つ以上のアセチルCoAカルボキシラーゼサブユニットをコードする1つ以上のコード領域、好ましくは異種コード領域;または、配列番号2、3、5、7、9、11、13、15、17、もしくは19のアミノ酸配列から選択されるアミノ酸配列と70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有し、アセチルCoAカルボキシラーゼの酵素活性を有するコード領域;ならびに任意選択的に、
c.植物細胞において機能する転写終結および/またはポリアデニル化領域。
よって、本発明は、植物の細胞中の油含有量を増加させるために、植物の細胞の色素体中の野生型アセチルCoAカルボキシラーゼよりも18:1−補酵素Aまたは18:1−アシルキャリアータンパク質によるフィードバック阻害に対する感受性の低いアセチルCoAカルボキシラーゼ変異体酵素またはそのサブユニットの使用に関する。
本発明のさらに別の実施形態において、植物の野生型アセチルCoAカルボキシラーゼよりも18:1−補酵素Aまたは18:1−アシルキャリアータンパク質によるフィードバック阻害に対する感受性の低い色素体アセチルCoAカルボキシラーゼ酵素の変異体またはそのサブユニットを単離する方法が提供され、該方法は、
a.好ましくは植物から、特に植物の色素体から、フィードバック阻害感受性CoAカルボキシラーゼに由来する多数の変異体アセチルCoAカルボキシラーゼ酵素またはそのサブユニットを作製するステップと、
b.18:1−補酵素Aまたは18:1−アシルキャリアータンパク質または18:1Tweenの存在下で、変異体アセチルCoAカルボキシラーゼ酵素またはそのサブユニットの各々の酵素活性を同定するステップと、
c.18:1−補酵素Aまたは18:1−アシルキャリアータンパク質または18:1Tweenの存在下でフィードバック阻害感受性CoAカルボキシラーゼの酵素活性よりも高い酵素活性を有するこれらの酵素変異体またはそのサブユニットを単離するステップと、を含む。
本発明はまた、植物の細胞中の油含有量を増加させる方法であって、植物の野生型アセチルCoAカルボキシラーゼよりも18:1−補酵素Aまたは18:1−アシルキャリアータンパク質によるフィードバック阻害に対する感受性の低いアセチルCoAカルボキシラーゼ酵素の変異体またはそのサブユニットを単離するステップと;好ましくは、アセチルCoAカルボキシラーゼまたはそのサブユニットをコードするDNA構築物からの転写により、アセチルCoAカルボキシラーゼ酵素の変異体またはそのサブユニットを植物の細胞に導入するステップとを含む、方法を提供する。
本発明のさらに別の目的は、アセチルCoAカルボキシラーゼ変異体酵素、例えば、植物の野生型アセチルCoAカルボキシラーゼよりも18:1−補酵素Aまたは18:1−アシルキャリアータンパク質によるフィードバック阻害に対する感受性の低い色素体アセチルCoAカルボキシラーゼ変異体酵素またはそのサブユニットをコードする変異型対立遺伝子を含む植物細胞または植物を単離する方法であって、
a.多数の変異体アセチルCoAカルボキシラーゼ酵素もしくはそのサブユニットを含む植物細胞または植物の集団を提供するステップと、
b.18:1−補酵素Aまたは18:1−アシルキャリアータンパク質または18:1Tweenの存在下で、変異体アセチルCoAカルボキシラーゼ酵素またはそのサブユニットの各々の酵素活性を同定するステップと、
c.18:1−補酵素Aまたは18:1−アシルキャリアータンパク質の存在下でフィードバック阻害感受性CoAカルボキシラーゼの酵素活性よりも高い酵素活性を有する酵素変異体またはそのサブユニットを含むこれらの植物細胞または植物を単離するステップとを含む、方法、およびこの方法によって得られた植物細胞または植物である。
本発明はさらに、本明細書に記載されるような植物を得るステップと、植物またはその部分から、食物、飼料、または産業製品を調製するステップとを含む、食物、飼料、または産業製品を生成する方法に関する。食物または飼料は、油、粗びき粉、穀物、デンプン、小麦粉、もしくはタンパク質であり得るか、または産業製品は、バイオ燃料、繊維、産業用化学物質、医薬品、もしくは栄養補助食品であり得る。
種々の濃度のTween−80で増殖させた細胞の(a)増殖、(b)タンパク質組成、および(c)脂質プロファイル。 種々の濃度のTween−80で増殖させた細胞の(a)増殖、(b)タンパク質組成、および(c)脂質プロファイル。 種々の濃度のTween−80を用いた増殖から8日後のB.ナプス細胞中の脂肪酸含有量。(a)極性脂質中の脂肪酸、(b)トリアシルグリセロール(TAG)中の脂肪酸、(c)総脂肪酸含有量。全てのデータは、平均値±SD(n=3)である。FWは新鮮重量を表す。 B.ナプス細胞による13C−オレオイル−Tweenからの脂肪酸摂取量の定量化。細胞に10mM 13C−オレオイル−Tweenを補給したときの、13C−脂肪酸の(a)極性脂質および(b)トリアシルグリセロール(TAG)への出現の経時変化。暗色領域は、非標識の内因性脂肪酸であり、明色領域は、Tweenからの13C−脂肪酸である。個々の脂肪酸種は、各グラフの左上角に列挙される。全てのデータは、平均値±SD(n=3)である。FWは新鮮重量を表す。 Tween−80の存在下における、14C−アセテートによる脂質標識のB.ナプス細胞による阻害。(a)10mM Tween−80の存在下における、総脂質への14C−アセテートの取り込みを示す経時変化。(b)種々の濃度のTween−80に対する暴露から3時間後の総脂質の14C−アセテートによる標識。(c)Tween−80を除去し、続いて10mM Tween−80に3時間暴露した後の、14C−アセテートによる総脂質の標識の経時変化。全てのデータは、平均値±SD(n=3)である。 Tween−80の存在下または非存在下における、(a)ステロールおよび(b)遊離脂肪酸への14C−アセテートの取り込み。 Tween−80を補給してから3時間後のB.ナプス細胞中の色素体ACCaseの特異的阻害。(a)10mM Tween−80を補給してから3時間後の、個々の脂肪酸への相対的な14C−アセテートの取り込み。(b)10mM Tween−80を補給してから3時間後の、種々の濃度のハロキシホップを補給した細胞による総脂質への14C−アセテートの取り込み。(c)10mM Tween−80を補給してから3時間後の、14C−マロネートおよび14C−アセテートから16および18炭素脂肪酸への標識の取り込み。全てのデータは、平均値±SD(n=3)である。 Tween−80を補給してから3時間後のB.ナプス細胞中の色素体ACCaseの特異的阻害。(a)10mM Tween−80を補給してから3時間後の、個々の脂肪酸への相対的な14C−アセテートの取り込み。(b)10mM Tween−80を補給してから3時間後の、種々の濃度のハロキシホップを補給した細胞による総脂質への14C−アセテートの取り込み。(c)10mM Tween−80を補給してから3時間後の、14C−マロネートおよび14C−アセテートから16および18炭素脂肪酸への標識の取り込み。全てのデータは、平均値±SD(n=3)である。 (a)ハロキシホップ、(b)ホスファターゼ処理および2−オキソグルタル酸、ならびに(c)Tween−80が、粗細胞抽出物のACCase酵素活性に及ぼす影響。 マロネートが、(a)極性脂質および(b)TAG中の脂肪酸含有量、および(c)脂質の14C−アセテートによる標識に及ぼす影響。 Tween−80を補給してから3時間後の、B.ナプス細胞中の脂質中間体の定量化。10mM Tween−80を補給してから3時間後の、細胞中の(a)遊離脂肪酸(FFA)、(b)アシル−ACP、および(c)アシル−CoAの含有量。存在する場合、数字は、10mM 13C−オレオイル−Tweenを補給してから3時間後に13Cによって標識された18:1のパーセントを表す。全てのデータは、平均値±SD(n=3)である。 脂質中間体が粗B.ナプス細胞抽出物のACCase活性に及ぼす影響。(a)10μΜ遊離脂肪酸が粗抽出物のACCase活性に及ぼす影響。(b)B.ナプス16:0−および18:1−ACPが粗抽出物のACCase活性に及ぼす影響。(c)種々の長鎖アシル−CoAが粗抽出物のACCase活性に及ぼす影響。全てのデータは、平均値±SD(n=3)である。 脂肪酸合成のフィードバック阻害として提案される機構のモデル。 色素体ACCaseは、18:1−ACPおよび18:1−CoAによって阻害される。これらの代謝産物は、色素体内の新規脂肪酸合成の産物であり、Tween−18:1によって提供される外因性脂肪酸から合成される。18:1−ACPまたは18:1−CoAを生成または消費することができ、したがってその制御に関与し得る反応が矢印で示される。 ACCaseサブユニットを含まない骨格T−DNAベクター(EVL:空ベクター系)で形質転換したアラビドプシス・サリアナ系統の種子油含有量と比較した、ケナルカエウム・シュンビオスムのACCaseサブユニット(ACCase系)を過剰発現するアラビドプシス・サリアナ系統の種子油含有量。系列当たり3つの種子サンプルの分析に基づいて、脂肪酸メチルエステル(FAME)濃度を決定した。分析した種子は、T2−種子であった。
本発明は、脂肪酸合成における初期段階のフィードバック阻害を生じさせる標的および分子の同定に基づいている。特に、実施例において後に実証されるように、本発明者は、植物において、フィードバック阻害に供されるのは、具体的には、色素体のアセチルCoAカルボキシラーゼのヘテロマー型であること、ならびに、エフェクター分子は、具体的には、オレオイル−ACPおよびオレオイル−CoAであることを同定した。
したがって、本発明は、植物の細胞中の油含有量を増加させるための方法であって、前記植物の前記細胞中の色素体アセチルCoAカルボキシラーゼ酵素の18:1−補酵素Aまたは18:1−アシルキャリアータンパク質によるフィードバック阻害を防止するステップを含む、方法を提供する。
本発明の第1の実施形態において、植物細胞、具体的には、植物細胞の色素体に、該植物の対応する野生型アセチルCoAカルボキシラーゼよりも前記フィードバック阻害に対する感受性の低いアセチルCoAカルボキシラーゼ変異体酵素またはそのサブユニットを提供することにより、フィードバック阻害が防止される。
本明細書において使用される場合、「アセチルCoAカルボキシラーゼ」(ACC)E.C.番号6.4.1.2は、脂肪酸生合成における第1の関与触媒段階、すなわち、アセチルCoAの不可逆的カルボキシル化を触媒して、その2つの触媒活性であるビオチンカルボキシラーゼ(BC)およびカルボキシルトランスフェラーゼ(CT)によりマロニルCoAを産生する、ビオチン依存性酵素である。初期の部分的反応は、ビオチンカルボキシラーゼによって触媒され、炭酸水素およびATPを使用して、リジン残基を介してビオチンカルボキシルキャリアータンパク質(BCCP)に結合するビオチン補欠分子族を、カルボキシホスフェート中間体を介してカルボキシル化する。
HCO +ATP+BCCP=>ADP+Pi+BCCP−COO
次いで、カルボキシル基がアクセプターであるアセチル補酵素Aに転移されてマロニル補酵素Aを生成する(カルボキシルトランスフェラーゼによって触媒される反応)。
BCCP−COO+アセチル−CoA=>マロニルCoA+BCCP
ACCは、古細菌、細菌、酵母、真菌、植物、動物、およびヒトを含むほとんどの生命体において発見されている。ほとんどの真核生物において、ACCは、BC、BCCP、およびCTの活性が大きなポリペプチド(>200kDa)に位置する、マルチドメイン酵素(ホモマー型)である。原核生物は、異なる遺伝子によってコードされるいくつかのポリペプチドからなるマルチサブユニットACCを有する。ビオチンカルボキシラーゼ(BC)の活性、ビオチンカルボキシルキャリアータンパク質(BCCP)は、それぞれ異なるサブユニットに含有され、コード遺伝子は、通常、それぞれaccCおよびaccBと称される。カルボキシルトランスフェラーゼ(CT)の活性は、2つのペプチドであるα−カルボキシルトランスフェラーゼ(accAによってコードされる)およびβ−カルボキシルトランスフェラーゼ(accDによってコードされる)に分割される。古細菌において、αおよびβサブユニットは1つの遺伝子によってコードされる。イネ科以外のほとんどの植物が、ヘテロマーの「原核生物」型およびホモマーの「真核生物」型を含有する。ヘテロマー型は、色素体に位置し、脂肪酸の新規合成のために使用される。コード遺伝子のうちの3つ(ビオチンカルボキシラーゼ、ビオチンカルボキシルキャリアータンパク質、およびα−カルボキシルトランスフェラーゼサブユニット)は、核にコードされた遺伝子である一方で、β−カルボキシルトランスフェラーゼをコードする遺伝子は、色素体ゲノムに位置する。ホモマー型は、色素体の外の細胞質に位置し、イネ科は、ACCの「原核生物」型は含有しないが、色素体および細胞質の両方にホモマー型を含有する。
ACCの活性を測定するためのアッセイは、当該技術分野において周知であり、例えば、Howard and Ridley,1990(FEBS Letters 261,2,261−264 February 1990)によって記載されるような、酵素活性を推定するためにリン酸塩の測定を用いるアッセイ、またはKroeger et al.,2011(Analytical BioChemistry 411,100−105)によって記載される分光光度アッセイを含む。
植物のACCマルチドメインタンパク質またはACCサブユニットをコードする多数の遺伝子が単離されており、ACCマルチドメインタンパク質またはACCサブユニットのタンパク質配列は、データベースに見出すことができる。アラビドプシス・サリアナのホモマーACCタンパク質のアミノ酸配列は、例えば、受入番号NP_174850(アセチルCoAカルボキシラーゼ2)またはNP_174849(アセチルCoAカルボキシラーゼ2)の下に見出すことができる。NP_197143(ACC1のビオチンカルボキシルキャリアータンパク質)、NP_001031968(ビオチンカルボキシラーゼ)NP_850291(カルボキシルトランスフェラーゼサブユニットα)、およびACCD_ARATH(カルボキシルトランスフェラーゼサブユニットβ)は、アラビドプシス・サリアナのヘテロマーACCの異なるサブユニットのアミノ酸配列を表す。
ブラッシカ・ナプス、ブラッシカ・オレラセア、ブラッシカ・ラパ、およびブラッシカ・ユンケアのヘテロマータンパク質に対するホモマーACCタンパク質または異なるサブユニットのアミノ酸配列の受入番号は、以下の表1〜5に見出すことができる。全てのアミノ酸配列は、参照により本明細書に組み込まれる。
表1:ブラッシカ種のホモマーアセチルCoAカルボキシラーゼ

表2:ブラッシカ種−ビオチンカルボキシラーゼサブユニットのヘテロマーアセチルCoAカルボキシラーゼ

表3:ブラッシカ種−ビオチンカルボキシラーゼキャリアータンパク質のヘテロマーアセチルCoAカルボキシラーゼ

表4:ブラッシカ種−カルボキシルトランスフェラーゼαサブユニットのヘテロマーアセチルCoAカルボキシラーゼ

表5:ブラッシカ種−カルボキシルトランスフェラーゼβサブユニットのヘテロマーアセチルCoAカルボキシラーゼ
18:1−ACPまたは18:1−CoAによるフィードバック阻害に対する感受性の低いアセチルcoAカルボキシラーゼ変異体酵素またはその変異体サブユニットを得るための1つの方法は、本明細書に記載されるまたは参照により本明細書に組み込まれるもの等の、植物由来のビオチンカルボキシラーゼ、ビオチンカルボキシラーゼキャリアータンパク質、および/またはカルボキシルトランスフェラーゼサブユニットをコードするアミノ酸配列、またはそれらをコードするヌクレオチド配列から出発して、そのような変異体を単離することである。
この目的を達成するために、タンパク質工学の技術において慣習的な方法を用いて、好ましくは植物から、フィードバック阻害感受性CoAカルボキシラーゼ酵素またはそのサブユニットに由来する多数の変異体アセチルCoAカルボキシラーゼ酵素またはそのサブユニットを作製することができる。例えば、ACCaseまたはそのサブユニットをコードするヌクレオチド配列は、その変異体を作製するために、エラープローン条件下でPCRに供されてもよい。次いで、これらの同様ではあるが同一ではないDNA配列を再構成およびシャッフルするために、PCRを用いて多様性をさらに高めることができる。変異体ACCaseまたはそれらのサブユニットは、大腸菌またはサッカロマイセス・セレビシエ、ピキア・パストリス、植物細胞等の宿主細胞において発現させることができる。次に、本明細書に記載されるように、18:1−補酵素Aまたは18:1−アシルキャリアータンパク質または18:1Tweenの非存在下および存在下で、これらの変異体アセチルCoAカルボキシラーゼ酵素またはそれらのサブユニットの酵素活性が同定され、18:1−補酵素Aまたは18:1−アシルキャリアータンパク質の存在下で前記フィードバック阻害感受性CoAカルボキシラーゼの酵素活性よりも高い酵素活性を有するこれらの酵素変異体(またはそれらのサブユニット)が単離され、任意選択的に、植物細胞の色素体に導入されるために使用される。
また、変異体色素体アセチルCoAカルボキシラーゼ酵素またはそのサブユニットは、変異型対立遺伝子によって植物細胞中で作製されてもよい。この目的を達成するために、多数の変異体アセチルCoAカルボキシラーゼ酵素もしくはサブユニットを含む植物細胞または植物の集団を、例えば、変異誘発を使用することにより、作製することができる。この場合も同様に、18:1−補酵素Aまたは18:1−アシルキャリアータンパク質または18:1Tweenの存在下における変異体アセチルCoAカルボキシラーゼ酵素またはそのサブユニットの各々の酵素活性が、本明細書に記載されるように決定され、18:1−補酵素Aまたは18:1−アシルキャリアータンパク質の存在下でフィードバック阻害感受性CoAカルボキシラーゼの酵素活性よりも高い酵素活性を有する酵素変異体を含むこれらの植物細胞または植物が同定される。植物細胞は、変異型対立遺伝子を含む植物を再生するために使用されてもよい。これらの植物は、最適な植物変種において必要な変異型対立遺伝子を組み合わせるために、さらなる交雑において使用されてもよい。
本明細書において使用される場合、「変異誘発」は、植物細胞(例えば、複数の植物の種子または花粉等の他の部分)が、化学物質(エチルメチルスルホン酸(EMS)、エチルニトロソ尿素(ENU)等)、もしくは電離放射線(中性子(高速中性子変異誘発等において)、α線、γ線(コバルト60源によって供給されるもの等)、X線、UV照射等)、またはこれらのうちの2つ以上の組み合わせ等の突然変異誘発物質との接触等の、細胞のDNAに突然変異を誘発する技術に供されるプロセスを指す。よって、対立遺伝子をコードする1つ以上のACCaseの所望の変異誘発は、1つ以上の植物組織と、エチルメチルスルホン酸(EMS)、エチルニトロソ尿素等との接触等の化学的手段の使用によって、X線等の物理的手段の使用によって、またはコバルト60源によって供給されるもの等のγ照射によって達成され得る。照射によって作製される突然変異は、転座もしくは複雑な転位等の大きな欠失または他の全体的な損傷であることが多いが、化学的突然変異原によって作製される突然変異は、点突然変異等のより別個な損傷である。例えば、EMSは、グアニン塩基をアルキル化し、塩基の誤対合をもたらす:アルキル化グアニンは、チミン塩基と対を形成し、主にG/CからA/Tへの転移をもたらす。突然変異誘発後、既知の技術を用いて処理細胞から植物を再生することができる。例えば、結果として得られた種子は、従来の生育手順に従って植えられてもよく、自家受粉後に該植物に種子が形成される。代替として、例えば、Coventry et al.(1988,Manual for Microspore Culture Technique for Brassica napus.Dep.Crop Sci.Techn.Bull.OAC Publication 0489.Univ.of Guelph,Guelph,Ontario,Canada)によって記載されるように、倍加半数体小植物を抽出して、迅速にホモ接合植物を形成することもできる。現世代または次の世代におけるそのような自家受粉の結果として形成されるさらなる種子を収集し、突然変異対立遺伝子の存在についてスクリーニングすることができる。特定の突然変異対立遺伝子についてスクリーニングするためのいくつかの技術が既知であり、Deleteagene(商標)(Delete−a−gene;Li et al.,2001,Plant J 27:235−242)は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)アッセイを用いて、高速中性子変異誘発によって作製された欠失変異をスクリーンし、TILLING(ゲノムにおける標的誘発による局所損傷;McCallum et al,2000,Nat Biotechnol 18:455−457)は、EMSによって誘発される点突然変異等を同定する。
18:1−ACPまたは18:1−CoAによるフィードバック阻害を低下させる別の方法は、炭素固定に関与するが、脂肪酸合成には関与しないマルチサブユニットACCaseを保持する他の生物、例えば、細菌または古細菌から単離されたフィードバック非感受性ACCaseまたはそのサブユニットを使用することである。炭素固定のためにいわゆる3−ヒドロキシプロピオン酸サイクルを使用する生物が含まれる(Hugler et al.2003,Eur.J.Biochem.270,736−734)。これらのACCaseのうちの1つの性質決定により、それが確かにアシル−CoAによって阻害されないことが示された(Chuakrut et al.2003,J.Bacteriol.185(3):938−947)。
よって、植物の細胞の色素体に、スルフォロブス目、ケナルカエウム目、アーケオグロブス目、デスルフロコックス目、サーモプロテウス目、サーモコッカス目、またはハロバクテリウム目、例えば、メタッロスパエラ・セドゥラ、アシディアヌス・ブリエレイ、スルホロブス・ソルファタリカス、スルホロブス・トコダイイ、スルホロブス・アシドカルダリウス、ケナルカエウム・シュンビオスム、アーケオグロブス・フルギダス、ハイパーサーマス・ブチリカス、スタフィロサーマス・マリナス、テルモフィルム・ペンデンス、イグニコックス・ホスピタリス、ピロバキュラム・アエロフィラム、ピロバキュラム・イスランディクム、ピロバキュラム・カリディフォンティス、ピロバキュラムフリオサス、ピロバキュラム・アビシ、ピロバキュラム・ホリコシイ、ハロアーキュラ・マリスモルツイ、ハロバクテリウム属種NRC−1、ハロクアドラトゥム・ワルスビイ、ハロラブラム・ラクスプロファンディ(Halorubrum lacusprofundi)、またはナトロノモナス・ファラオニスのアセチルCoAカルボキシラーゼまたはそのサブユニットを提供することにより、植物の細胞中の油含有量を増加させる方法が提供される。
好適なACCaseサブユニットは、331位のヌクレオチド〜1860位のヌクレオチドの配列番号1、1860位のヌクレオチド〜2360位のヌクレオチドの配列番号1、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10のヌクレオチド配列によってコードされ得る、配列番号2、3、5、7、9、または11の配列のアミノ酸配列を有するタンパク質を含む。
アセチルCoAカルボキシラーゼの他の好適なサブユニットは、クロロフレクサス・オーランティアカスのビオチンカルボキシラーゼ(accC)、クロロフレクサス・オーランティアカスのビオチンカルボキシラーゼキャリアータンパク質(accB)、クロロフレクサス・オーランティアカスのカルボキシトランスフェラーゼ−α(accA)、およびクロロフレクサス・オーランティアカスのカルボキシトランスフェラーゼ−β(accD)、例えば、配列番号12、14、16、および18のヌクレオチド配列によってコードされ得る配列番号13、15、17、および19のアミノ酸配列を有するタンパク質等である。
スルホロブス・メタリクス(配列番号46)、アシディアヌス・ブリエレイ(配列番号47)、スルホロブス・トコダイイ種7(配列番号48)、アシディアヌス・ホスピタリスW1(配列番号49)、メタッロスパエラ・セドゥラDSM5348(配列番号50)、メタッロスパエラ・クプリナAr−4(配列番号51)、スルホロブス・アシドカルダリウスDSM639(配列番号52)、スルホロブス・ソルファタリカスP2(配列番号53)、スルホロブス・ソルファタリカス98/2(配列番号54)、スルホロブス・アイランディカスL.S.2.15(配列番号55)、スルホロブス・アイランディカスM..14.25(配列番号56)、スルホロブス・アイランディカスY.N.15.51(配列番号57)、スルホロブス・アイランディカスREY15A(配列番号58)、アキドゥリプロフンドゥム・ボオネイT469(配列番号59)、クロロフレクサス・アグリガンスDSM9485(配列番号60)、オシロクロリス・トリコイデスDG6(配列番号61)、ロゼイフレクサス・キャステンホルツィDSM13941(配列番号62)、ロゼイフレクサス種RS−1(配列番号63)、ヘルペトシフォン・オーランティアカスATCC23779(配列番号64)、ニトロソアルカエウム・リムニアSFB1(配列番号65)、ニトロソプミルス・マリティムスSCM1(配列番号66)、グループIクレンアーキアHF4000APKG6D3(配列番号67)、グループIクレンアーキアHF4000ANIW97P9(配列番号68)、ヒッペア・マリティマDSM10411(配列番号69)、もしくはクロセイバクター・アトランチクスHTCC2559(配列番号70)由来のBCCP相同体をコードするヌクレオチド配列;アシディアヌス・ホスピタリスW1(配列番号71)、スルホロブス・トコダイイ種7(配列番号72)、アシディアヌス・ブリエレイ(配列番号73)、メタッロスパエラ・セドゥラDSM5348(配列番号74)、メタッロスパエラ・クプリナAr−4(配列番号75)、スルホロブス・アシドカルダリウスDSM639(配列番号76)、スルホロブス・アイランディカスM.16.4(配列番号77)、スルホロブス・アイランディカスY.G.57.14(配列番号78)、スルホロブス・ソルファタリカス98/2(配列番号79)、スルホロブス・アイランディカス.L.D.8.5(配列番号80)、スルホロブス・アイランディカスM.14.25(配列番号81)、スルホロブス・アイランディカスHVE10/4(配列番号82)、スルホロブス・アイランディカスY.N.15.51(配列番号83)、スルホロブス・ソルファタリカスP2(配列番号84)、スルホロブス・アイランディカス.L.S.2.15(配列番号85)、スルホロブス・アイランディカスREY15A(配列番号86)、クロロフレクサス・アグリガンスDSM9485(配列番号87)、オシロクロリス・トリコイデスDG6(配列番号88)、ロゼイフレクサス種RS−1(配列番号89)、ロゼイフレクサス・キャステンホルツィDSM13941(配列番号90)、ヘルペトシフォン・オーランティアカスATCC23779(配列番号91)、ニトロソプミルス・マリティムスSCM1(配列番号92)、ニトロソアルカエウム・リムニアSFB1(配列番号93)、グループIクレンアーキアHF4000APKG6D3(配列番号94)、もしくはグループIクレンアーキアHF4000ANIW97P9(配列番号95)由来のBC相同体をコードするヌクレオチド配列;アシディアヌス・ホスピタリスW1(配列番号96)、メタッロスパエラ・セドゥラDSM5348(配列番号97)、アシディアヌス・ブリエレイ(配列番号98)、メタッロスパエラ・クプリナAr−4(配列番号99)、スルホロブス・ソルファタリカス98/2(配列番号100)、スルホロブス・トコダイイ種7(配列番号101)、スルホロブス・アイランディカスM.14.25 (配列番号102)、スルホロブス・アイランディカス.LD.8.5(配列番号103)、スルホロブス・アイランディカスY.N.15.51(配列番号104)、スルホロブス・ソルファタリカスP2(配列番号105)、スルホロブス・アシドカルダリウスDSM639(配列番号106)、もしくはアキドゥリプロフンドゥム・ボオネイT469(配列番号107)由来のCT相同体をコードするヌクレオチド配列;クロロフレクサス・アグリガンスDSM9485(配列番号108)、オシロクロリス・トリコイデスDG6(配列番号109)、ロゼイフレクサス種RS−1(配列番号110)、ロゼイフレクサス・キャステンホルツィDSM13941(配列番号111)、アンモニフェツクス・デゲンシイKC4(配列番号112)、スファエロバクター・サーモフィルスDSM20475(配列番号113)、ロゼイフレクサス種RS−1(配列番号114)、ヘルペトシフォン・オーランティアカスATCC23779(配列番号115)、もしくはロゼイフレクサス・キャステンホルツィDSM13941(配列番号116)由来のCTα相同体をコードするヌクレオチド配列;クロロフレクサス・アグリガンスDSM9485(配列番号117)、オシロクロリス・トリコイデスDG6(配列番号118)、ロゼイフレクサス・キャステンホルツィDSM13941(配列番号119)、ロゼイフレクサス種RS−1(配列番号120)、ロゼイフレクサス種RS−1(配列番号121)、ロゼイフレクサス・キャステンホルツィDSM13941(配列番号122)、ヘルペトシフォン・オーランティアカスATCC23779(配列番号123)、もしくはスファエロバクター・サーモフィルスDSM20475(配列番号124)由来のCTβ相同体をコードするヌクレオチド配列、またはニトロソプミルス・マリティムスSCM1(配列番号125)、ニトロソアルカエウム・リムニアSFB1(配列番号126)、グループIクレンアーキアHF4000APKG6D3(配列番号127)、もしくはグループクレンアーキアHF4000ANIW97P9(配列番号128)由来のCT相同体をコードするヌクレオチド配列もまた、好適である。
また、本明細書に記載されるアセチルCoAカルボキシラーゼの変異体またはそのサブユニットも、本発明に好適である。
「変異体」という用語は、実質的に同様である配列を意味することが意図される。自然に生じる対立遺伝子変異体は、周知の分子生物学の技術を用いて、例えば、本明細書に概説されるようなポリメラーゼ連鎖反応(PCR)およびハイブリダイゼーション技術を用いて、同定することができる。変異体(ヌクレオチド)配列はまた、合成的に誘導される(ヌクレオチド)配列、例えば、部位特異的変異誘発を使用することによって作製される配列等も含む。一般に、本明細書に記載されるACCaseのアミノ酸配列変異体またはサブユニットは、本明細書に記載されるACCaseのアミノ酸配列またはサブユニットと、少なくとも40%、50%、60%〜70%、例えば、好ましくは71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%〜79%、一般に、少なくとも80%、例えば、81%〜84%、少なくとも85%、例えば、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%〜98%、および99%の配列同一性を有し、(単独で、または他のサブユニットと組み合わさって)アセチルCoAカルボキシラーゼ活性を保持する。一般に、ヌクレオチド配列変異体は、本明細書に記載されるACCaseまたはサブユニットをコードするヌクレオチド配列と、少なくとも40%、50%、60%〜70%、例えば、好ましくは71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%〜79%、一般に、少なくとも80%、例えば、81%〜84%、少なくとも85%、例えば、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%〜98%、および99%の配列同一性を有し、コードされた生成物は、(単独で、または他のサブユニットと組み合わさって)アセチルCoAカルボキシラーゼ活性を保持する。
変異体は、欠失、付加、置換、挿入を含むが、これらに限定されない。
本発明の目的のために、2つの関連するヌクレオチドまたはアミノ酸配列の「配列同一性」は、パーセントで表され、比較する位置の数で除した同一の残基(×100)を有する最適に整列させた2つの配列における位置の数を指す。ギャップ、すなわち、残基が一方の配列には存在するが、他方には存在しない場合のアラインメントにおける位置は、非同一残基を伴う位置であると見なされる。2つの配列の「最適なアラインメント」は、The European Molecular Biology Open Software Suite(EMBOSS,Rice et al.,2000,Trends in Genetics16(6):276-277、例えば、http://www.ebi.ac.uk/emboss/align/index.htmlを参照)において、デフォルト設定(ギャップ開始ペナルティ=10(ヌクレオチド)/10(タンパク質)およびギャップ伸長ペナルティ=0.5(ヌクレオチド)/0.5(タンパク質))を使用して、Needleman and Wunsch global alignment algorithm(Needleman and Wunsch,1970,J Mol Biol 48(3):443−53)に従って全長にわたって2つの配列を整列させることにより見出される。ヌクレオチドの場合、使用されるデフォルトのスコアリングマトリックスはEDNAFULLであり、タンパク質の場合、デフォルトのスコアリングマトリックスはEBLOSUM62である。
「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」は、所与のヌクレオチド配列と実質的に同一であるヌクレオチド配列を同定するために使用することができる。ストリンジェントな条件は、配列に依存し、異なる状況において異なる。一般に、ストリンジェントな条件は、既定のイオン強度およびpHでの特定の配列の熱融点(T)よりも約5℃低くなるように選択される。Tは、標的配列の50%が、完全にマッチするプローブとハイブリダイズする(規定されたイオン強度およびpH下の)温度である。典型的には、塩濃度がpH7で約0.02モルであり、温度が少なくとも60℃であるストリンジェントな条件が選択される。塩濃度を低下させ、かつ/または温度を上昇させることにより、ストリンジェンシーを高める。RNA−DNAハイブリダイゼーション(例えば、100ntのプローブを使用したノーザンブロット)のためのストリンジェントな条件は、例えば、63℃の0.2×SSC中、20分間に少なくとも1回の洗浄を含む条件、またはそれに相当する条件である。
「高ストリンジェンシーな条件」は、例えば、6×SSC(20×SSCは、3.0M NaCl、0.3M クエン酸Na、pH7.0を含有する)、5×デンハルト溶液(100×デンハルト溶液は2%Ficoll、2%ポリビニルピロリドン、2%ウシ血清アルブミンを含有する)、0.5%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、および非特異的競合者として20μg/ml変性キャリアDNA(平均長120〜3000ヌクレオチドの一本鎖魚精子DNA)を含有する水溶液中で、65℃でハイブリダイゼーションすることにより提供することができる。ハイブリダイゼーション後、いくつかのステップにおいて高ストリンジェンシーな洗浄が行われてもよく、0.2〜0.1×SSC、0.1%SDS中、ハイブリダイゼーション温度で最終洗浄(約30分)が行われる。
「中程度のストリンジェンシーな条件」は、上述の溶液中ではあるが、約60〜62℃でのハイブリダイゼーションに相当する条件を指す。中程度のストリンジェンシーな洗浄は、1×SSC、0.1%SDS中のハイブリダイゼーション温度で行われてもよい。
「低ストリンジェンシー」は、約50〜52℃での上述の溶液中のハイブリダイゼーションに相当する条件を指す。低ストリンジェンシーな洗浄は、2×SSC、0.1%SDS中のハイブリダイゼーション温度で行われてもよい。Sambrook et al.(1989)およびSambrook and Russell(2001)も参照されたい。
細胞の色素体に好適なACCaseまたはそのサブユニットを提供することは、植物発現可能プロモーター、ならびに任意選択的に、植物において機能する転写終結領域および/またはポリアデニル化領域と操作可能に連結されたACCaseのサブユニットをコードする1つ以上のDNA領域を発現する1つ以上のDNA分子を植物に提供することにより、都合よく達成され得る。1つ以上のDNA分子は、いずれの核に提供されてもよく、その場合、コード領域は、色素体標的シグナルと操作可能に連結されるべきである。代替として、1つ以上のDNA分子は、色素体のゲノムに組み込まれてもよく、植物発現可能プロモーターは、植物の色素体で発現可能なプロモーターであり、任意選択的な終結領域は、色素体の転写の終結領域である。色素体における発現のためのDNA分子は、1つ以上のコード領域を含んでもよく、後者はオペロンに配置される。
本発明の別の実施形態において、フィードバック阻害は、植物の色素体中の18:1−CoAおよび/または18:1−ACPのレベルを低下させることにより防止される。
色素体中の18:1−補酵素Aまたは18:1−アシルキャリアータンパク質のレベルの低下は、例えば、キメラDNA構築物からの過剰発現によって、前記細胞の色素体中のFATA酵素のレベルを増加させることにより達成され得る。
DNA領域をコードする好適なFAT Aの例は、配列番号20のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列、例えば、配列番号21のヌクレオチド配列、またはそれと70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%のヌクレオチド配列同一性を有するヌクレオチド配列である。
色素体中の18:1−補酵素Aまたは18:1−アシルキャリアータンパク質のレベルの低下は、例えば、キメラDNA構築物からの過剰発現によって、前記植物細胞中のアシル−CoA結合タンパク質のレベルを増加させることにより達成され得る。
好適なACBタンパク質の例は、配列番号23または配列番号25のアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列、例えば、ヌクレオチド103〜2109の配列番号22のヌクレオチド配列、またはヌクレオチド106〜384の配列番号24のヌクレオチド配列、またはそれと70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%のヌクレオチド配列同一性を有するヌクレオチド配列である。
本明細書において使用される場合、用語「植物発現可能プロモーター」は、植物細胞において転写を制御(開始)することができるDNA配列を意味する。これは、植物起源の任意のプロモーターだけでなく、植物細胞において転写を司ることが可能な非植物起源の任意のプロモーター、すなわち、CaMV35S(Harpster et al,1988 Mol.Gen.Genet.212,182−190)、サブタレニアンクローバーウイルスプロモーターNo4もしくはNo7(WO9606932)、もしくはT−DNA遺伝子プロモーター等のウイルスまたは細菌起源の特定のプロモーターも含むが、また、限定されないが、種子特異的プロモーター(例えば、WO89/03887)、器官原基特異的プロモーター(An et al.,1996,The Plant Cell 8,15−30)、茎特異的プロモーター(Keller et al.,1988,EMBO J.7,3625−3633)、葉特異的プロモーター(Hudspeth et al.,1989,Plant Mol Biol 12,579−589)、葉肉特異的プロモーター(光誘導性Rubiscoプロモーター等)、根特異的プロモーター(Keller et al.,1989,Genes Devel.3,1639−1646)、塊茎特異的プロモーター(Keil et al.,1989,EMBO J.8,1323−1330)、維管束組織特異的プロモーター(Peleman et al,1989、Gene 84,359−369)、雄しべ選択的プロモーター(WO89/10396、WO92/13956)、裂開部特異的プロモーター(WO97/13865)等を含む、組織特異的または器官特異的プロモーターも同様に含む。
DE10211617に記載されるヴィキア・ファバ由来のUSPプロモーター、WO2009/073738に記載されるプロモーター配列、WO2009/077478に記載されるような種子特異的遺伝子発現のためのブラッシカ・ナプス由来のプロモーター、US2007/0022502に記載される植物種子特異的プロモーター、WO03/014347に記載される植物種子特異的プロモーター、WO2009/125826に記載される種子特異的プロモーター、WO2006/005807に記載されるω3脂肪酸デサチュラーゼファミリーのプロモーター等を含む種子特異的プロモーターが、当該技術分野において周知である。
植物発現可能プロモーターは、好ましくは異種プロモーターであるべきであり、すなわち、本発明によるDNA分子において、プロモーターは、プロモーターと操作可能に連結されたコードDNA領域と、通常、自然の関係では会合していない。
シグナルペプチドは、タンパク質の輸送を司る短い(3〜60アミノ酸長)ペプチド鎖である。シグナルペプチドはまた、標的シグナル、シグナル配列、輸送ペプチド、または局在化シグナルとも称され得る。本システムにおいて使用される「輸送ペプチド」は、タンパク質を、他の小器官(ミトコンドリア、葉緑体、およびアポプラスト等)に向かわせるプレ配列の一部を指す。色素体輸送ペプチドは、タンパク質を色素体に向かわせる輸送ペプチドを指す。色素体輸送ペプチドは、当該技術分野において周知である(例えば、Patron and Wallerによる考察を参照:2007 Bioessays,29(10)1048−1058)。
好適な葉緑体標的ペプチドは、アラビドプシス・サリアナのatS1Aリブロース1,5二リン酸カルボキシラーゼ小サブユニット遺伝子の輸送ペプチド(De Almeida et al.(1989)Molecular and General Genetics 218:78−86、配列番号38〜39)、双子葉類のリブロース−1,5−二リン酸カルボキシラーゼ/オキシゲナーゼ小サブユニット葉緑体標的配列のコンセンサス配列に基づく合成葉緑体標的配列(Marillonnet et al.(2004)Proceedings National Academy Science 101:6852−6857、配列番号40〜41)、ブラッシカのコドン使用頻度に適合させたソラヌム・ツベロスムのリブロース−1,5−ビスリン酸カルボキシラーゼ/オキシゲナーゼ小サブユニット由来の輸送ペプチドのコード配列(Fritz et al.1993 Gene,137(2):271−4、配列番号42〜43)、ゼア・マイズ(トウモロコシ)およびヘリアンサス・アナス(ヒマワリ)のRuBisCO小サブユニット遺伝子の配列を含有する最適化された輸送ペプチドのコード配列(Lebrun et al.,1996 米国特許第5510471号、配列番号44〜45)、またはΔ9−18:0−ACPデサチュラーゼをコードするリシナス・コムニスのcDNA由来の輸送ペプチド(Shanklin et al.1991 Proc Natl Acad Sci USA.Mar 15;88(6):2510−4、配列番号36−37)を含む。
色素体形質転換の方法は、当該技術分野において既知である。Maliga,2004(Annu Rev Plant Biol.2004;55:289−313)は、そのような方法の考察を提供している。ブラッシカの色素体形質転換は、Nugentらによる米国特許第6,891,086号 2006(Plant Science 170(1)135−142)に、またはChengらによって2010(Plant Cell Rep.29(4)371−381に記載されている。ダイズ色素体形質転換の方法は、Dufourmantelらによって2004,Plant Mol.Biol 55(4)479−489に記載されている。
色素体発現可能プロモーターもまた、当該技術分野において周知であり、色素体リボソームRNAオペロンプロモーター(Suzuki et al.2003,Plant Cell,15,195−205)を含む。KungとLinは、より高等な植物から60個の葉緑体プロモーター配列を集めた(1985,Nucl.Acids Res.11:7543−7549)。
トランスジェニック植物を得るための方法は、本発明にとって重要であるとは見なされず、特定の植物種に好適な形質転換方法および再生を使用することができる。そのような方法は、当該技術分野において周知であり、アグロバクテリウム媒介形質転換、粒子銃による送達、マイクロインジェクション、インタクトな細胞の電気穿孔、ポリエチレングリコール媒介プロトプラスト形質転換、プロトプラストの電気穿孔、リポソーム媒介形質転換、シリコンウィスカー媒介形質転換等を含む。このような方法において得られた形質転換細胞は、次いで成熟な稔性植物に再生することができる。
得られた形質転換植物は、同じ特徴を有するより多くの形質転換植物を生成するため、あるいは、同じもしくは関連する植物種の他の品種またはハイブリッド植物に本発明によるキメラ遺伝子を導入するための従来の育種スキームにおいて使用することができる。形質転換植物から得られた種子は、安定したゲノムインサートとして本発明のキメラ遺伝子を含有し、また本発明に包含される。
本明細書に記載される方法および手段は、限定されないが、ワタ、ブラッシカ属の野菜、アブラナ、コムギ、トウモロコシまたはメイズ、オオムギ、ヒマワリ、コメ、カラスムギ、サトウキビ、ダイズ、野菜(チコリ、レタス、トマトを含む)、タバコ、イモ、サトウダイコン、パパイヤ、パイナップル、マンゴー、アラビドプシス・サリアナ、またそれだけではなく、園芸、花卉園芸、もしくは林業において使用される植物も含む、全ての植物細胞および植物、双子葉および単子葉の両方の細胞および植物に好適であると考えられる。特に適切なのは、ナタネ(ブラッシカ種)、アマ(リナム・ウシタティッシマム)、ベニバナ(カルタムス・ティンクトリウス)、ヒマワリ(ヘリアンサス・アナス)、メイズまたはトウモロコシ(ゼア・マイズ)、ダイズ(Glycine max)、カラシナ(ブラッシカ種およびシナピス・アルバ)、クランベ(クランベ・アビシニカ)、エルーカ(エルーカ・サティバ)、アブラヤシ(エラエイス・グイネンシス)、綿実(ゴシッピウム種)、落花生(アラキス・ヒポガエア)、ココナツ(ココス・ヌシフェラ)、トウゴマ(リシナス・コムニス)、コリアンダー(コリアンドラム・サティヴァム)、カボチャ(ククルビタ・マキシマ)、ブラジルナッツ(バーソレシア・エクセルサ)またはホホバ(シモンジア・チネンシス)、ナガミノアマナズナ(カメリナ・サティバ)、ナンヨウアブラギリ(ヤトロファ・クルカス)、シャゼンムラサキ種、カレンデュラ(カレンデュラ・オフィシナリス)、オリーブ(オレア・エウロパエア)、コムギ(トリチカム種)、カラスムギ(アベナ種)、ライムギ(セカレ・ケレアレ)、コメ(オリザ・サティバ)、レスケレーラ種、クフェア種、メドウフォーム(リムナンテス・アルバ)、アボカド(パーシー・アメリカーナ)、ヘーゼルナッツ(コリルス)、ゴマ(セサムム・インディクム)、ベニバナ(カルタムス・ティンクトリウス)、アブラギリ(アレウリテス・フォルジ)、ケシ(パパベル・ソムニフェルム)、タバコ(ニコチアナ種)等の油を産生する植物である。
本明細書に記載される方法および手段は、セネデスムス・ジモルファス、ユーグレナ・グラシリス、ファエオダクチルム・トリコルヌツム、プリュウロクリシスカルテレ、プリムネシウム・パルバム、テトラセルミス・チュイ、テトラセルミス・スエシカ、イソクリシス・ガルバナ、ナンノクロロプシス・サリーナ、ボツリオコッカス・ブラウニー、デュナリエラ・ターティオレクタ、ナノクロリス種、またはスピルリナ種等の藻類にも使用することができる。
本明細書において使用される場合、「ブラッシカ植物」は、ブラッシカ・ナプス、ブラッシカ・ラパ(もしくはカンペストリス)、またはブラッシカ・ユンケアといった種のうちの1つに属する植物である。代替として、該植物は、B.ナポカンペストリス等のこれらのブラッシカ種の交雑、またはこれらのブラッシカ種のうちの1つとアブラナ科の別の種との人工交雑に由来する種に属し得る。本明細書において使用される場合、「油糧種子植物」は、ブラッシカ・ナプス、ブラッシカ・ラパ(もしくはカンペストリス)、ブラッシカ・カリナータ、ブラッシカ・ニグラ、またはブラッシカ・ユンケアといった種のうちのいずれか1つを指す。
本明細書において使用される場合、「含む」は、記載される特徴、整数、ステップ、または構成成分の存在を言及されるように特定することとして解釈されるべきであるが、1つ以上の特徴、整数、ステップ、もしくは構成成分、またはその群の存在あるいは付加を除外しない。よって、例えば、ヌクレオチドもしくはアミノ酸の配列を含む核酸またはタンパク質は、実際に列挙されるよりも多くのヌクレオチドもしくはアミノ酸を含み得る、すなわち、より大きな核酸またはタンパク質に埋め込まれてもよい。機能的にまたは構造的に定義されたDNA領域を含むキメラ遺伝子は、さらなるDNA領域等を含み得る。
実施例において別途記載のない限り、全ての組換えDNA技術は、Sambrook et al.(1989)Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Second Edition,Cold Spring Harbor Laboratory Press,NY、ならびにAusubel et al.(1994)Current Protocols in Molecular Biology,Current Protocols,USAの1巻および2巻に記載されるような標準プロトコルに従って実行される。植物分子操作のための標準的な材料および方法は、R.D.D.CroyによるPlant Molecular Biology Labfax(1993)(BIOS Scientific Publications Ltd(UK)およびBlackwell Scientific Publications、UKから共同出版)に記載されている。標準的な分子生物学技術に関する他の参考文献は、Sambrook and Russell(2001)Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Third Edition,Cold Spring Harbor Laboratory Press,NY、Brown(1998)Molecular Biology LabFax,Second Editionの1巻および2巻,Academic Press(UK)を含む。ポリメラーゼ連鎖反応に関する標準的な材料および方法は、Dieffenbach and Dveksler(1995)PCR Primer:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press、およびMcPherson at al.(2000)PCR−Basics:From Background to Bench,First Edition,Springer Verlag,Germanyに見出すことができる。
本発明および実施例を通して、以下の配列に対して言及がなされる。
配列番号1:メタッロスパエラ・セドゥラのビオチンカルボキシラーゼ(accC)およびBCCP(accB)サブユニットのヌクレオチド配列
配列番号2:メタッロスパエラ・セドゥラのaccCサブユニットのアミノ酸配列
配列番号3:メタッロスパエラ・セドゥラのaccBサブユニットのアミノ酸配列
配列番号4:メタッロスパエラ・セドゥラのカルボキシルトランスフェラーゼ(pccB)のヌクレオチド配列
配列番号5:メタッロスパエラ・セドゥラのカルボキシルトランスフェラーゼ(pccB)のアミノ酸配列
配列番号6:ケナルカエウム・シュンビオスム由来のBCCPのヌクレオチド配列
配列番号7:ケナルカエウム・シュンビオスム由来のBCCPのアミノ酸配列
配列番号8:ケナルカエウム・シュンビオスム由来のビオチンカルボキシラーゼのヌクレオチド配列
配列番号9:ケナルカエウム・シュンビオスム由来のビオチンカルボキシラーゼのアミノ酸配列
配列番号10:ケナルカエウム・シュンビオスム由来のカルボキシトランスフェラーゼのヌクレオチド配列
配列番号11:ケナルカエウム・シュンビオスム由来のカルボキシトランスフェラーゼのアミノ酸配列
配列番号12:クロロフレクサス・オーランティアカス由来のビオチンカルボキシラーゼ(accC)のヌクレオチド配列
配列番号13:クロロフレクサス・オーランティアカス由来のビオチンカルボキシラーゼ(accC)のアミノ酸配列
配列番号14:クロロフレクサス・オーランティアカス由来のBCCP(accB)のヌクレオチド配列
配列番号15:クロロフレクサス・オーランティアカス由来のBCCP(accB)のアミノ酸配列
配列番号16:クロロフレクサス・オーランティアカス由来のカルボキシトランスフェラーゼ−α(accA)のヌクレオチド配列
配列番号17:クロロフレクサス・オーランティアカス由来のカルボキシトランスフェラーゼ−α(accA)のアミノ酸配列
配列番号18:クロロフレクサス・オーランティアカス由来のカルボキシトランスフェラーゼ−β(accD)のヌクレオチド配列
配列番号19:クロロフレクサス・オーランティアカス由来のカルボキシトランスフェラーゼ−β(accD)のアミノ酸配列
配列番号20:リシナス・コムニス由来のFATAをコードするヌクレオチド配列
配列番号21:リシナス・コムニス由来のFATAのアミノ酸配列
配列番号22:アセチルCoA結合タンパク質ACBP4のヌクレオチド配列
配列番号23:アセチルCoA結合タンパク質ACBP4のアミノ酸配列
配列番号24:アセチルCoA結合タンパク質ACBP6のヌクレオチド配列
配列番号25:アセチルCoA結合タンパク質ACBP6のアミノ酸配列
配列番号26:B.ナプスACPのクローニング用順方向プライマー
配列番号27:B.ナプスACPのクローニング用逆方向プライマー
配列番号28:B.ナプスBCのクローニング用順方向プライマー
配列番号29:B.ナプスBCのクローニング用逆方向プライマー
配列番号30:B.ナプスBCCPのクローニング用順方向プライマー
配列番号31:B.ナプスBCCPのクローニング用逆方向プライマー
配列番号32:B.ナプスCT−αのクローニング用順方向プライマー
配列番号33:B.ナプスCT−αのクローニング用逆方向プライマー
配列番号34:B.ナプスCT−βのクローニング用順方向プライマー
配列番号35:B.ナプスCT−βのクローニング用逆方向プライマー
配列番号36:Δ9−18:0−ACPデサチュラーゼをコードするリシナス・コムニスcDNA由来の輸送ペプチドのヌクレオチド配列
配列番号37:Δ9−l8:0−ACPデサチュラーゼをコードするリシナス・コムニスcDNA由来の輸送ペプチドのアミノ酸配列
配列番号38:アラビドプシス・サリアナのatS1Aリブロース1,5二リン酸カルボキシラーゼ小サブユニット由来の輸送ペプチドのヌクレオチド配列
配列番号39:アラビドプシス・サリアナのatS1Aリブロース1,5二リン酸カルボキシラーゼ小サブユニット由来の輸送ペプチドのアミノ酸配列
配列番号40:リブロース−1,5−二リン酸カルボキシラーゼに基づく合成葉緑体標的プレ配列のヌクレオチド配列
配列番号41:リブロース−1,5−二リン酸カルボキシラーゼに基づく合成葉緑体標的プレ配列のアミノ酸配列
配列番号42:ソラヌム・ツベロスムのリブロース−1,5−ビスリン酸カルボキシラーゼ/オキシゲナーゼ小サブユニット由来の輸送ペプチドのブラッシカのコドン使用頻度に適合させたコード配列のヌクレオチド配列
配列番号43:ソラヌム・ツベロスムリブロース−1,5−ビスリン酸カルボキシラーゼ/オキシゲナーゼ小サブユニット由来の輸送ペプチドのブラッシカのコドン使用頻度に適合させたコード配列のアミノ酸配列
配列番号44:ゼア・マイズ(トウモロコシ)およびヘリアンサス・アナス(ヒマワリ)のRuBisCO小サブユニット遺伝子の配列を含有する最適化輸送ペプチドのヌクレオチド配列
配列番号45:ゼア・マイズ(トウモロコシ)およびヘリアンサス・アナス(ヒマワリ)のRuBisCO小サブユニット遺伝子の配列を含有する最適化輸送ペプチドのアミノ酸配列
配列番号46:スルホロブス・メタリクス由来のBCCP相同体
配列番号47:アシディアヌス・ブリエレイ由来のBCCP相同体
配列番号48:スルホロブス・トコダイイ種7由来のBCCP相同体
配列番号49:アシディアヌス・ホスピタリスW1由来のBCCP相同体
配列番号50:メタッロスパエラ・セドゥラDSM5348由来のBCCP相同体
配列番号51:メタッロスパエラ・クプリナAr−4由来のBCCP相同体
配列番号52:スルホロブス・アシドカルダリウスDSM639由来のBCCP相同体
配列番号53:スルホロブス・ソルファタリカスP2由来のBCCP相同体
配列番号54:スルホロブス・ソルファタリカス98/2由来のBCCP相同体
配列番号55:スルホロブス・アイランディカスL.S.2.15由来のBCCP相同体
配列番号56:スルホロブス・アイランディカスM..14.25由来のBCCP相同体
配列番号57:スルホロブス・アイランディカスY.N.15.51由来のBCCP相同体
配列番号58:スルホロブス・アイランディカスREY15A由来のBCCP相同体
配列番号59:アキドゥリプロフンドゥム・ボオネイT469由来のBCCP相同体
配列番号60:クロロフレクサス・アグリガンスDSM9485由来のBCCP相同体
配列番号61:オシロクロリス・トリコイデスDG6由来のBCCP相同体
配列番号62:ロゼイフレクサス・キャステンホルツィDSM13941由来のBCCP相同体
配列番号63:ロゼイフレクサス種RS−1由来のBCCP相同体
配列番号64:ヘルペトシフォン・オーランティアカスATCC23779由来のBCCP相同体
配列番号65:ニトロソアルカエウム・リムニアSFB1由来のBCCP相同体
配列番号66:ニトロソプミルス・マリティムスSCM1由来のBCCP相同体
配列番号67:グループIクレンアーキアHF4000APKG6D3由来のBCCP相同体
配列番号68:グループIクレンアーキアHF4000ANIW97P9由来のBCCP相同体
配列番号69:ヒッペア・マリティマDSM10411由来のBCCP相同体
配列番号70:クロセイバクター・アトランチクスHTCC2559由来のBCCP相同体
配列番号71:アシディアヌス・ホスピタリスW1由来のBC相同体
配列番号72:スルホロブス・トコダイイ種7由来のBC相同体
配列番号73:アシディアヌス・ブリエレイ由来のBC相同体
配列番号74:メタッロスパエラ・セドゥラDSM5348由来のBC相同体
配列番号75:メタッロスパエラ・クプリナAr−4由来のBC相同体
配列番号76:スルホロブス・アシドカルダリウスDSM639由来のBC相同体
配列番号77:スルホロブス・アイランディカスM.16.4由来のBC相同体
配列番号78:スルホロブス・アイランディカスY.G.57.14由来のBC相同体
配列番号79:スルホロブス・ソルファタリカス98/2由来のBC相同体
配列番号80:スルホロブス・アイランディカス.L.D.8.5由来のBC相同体
配列番号81:スルホロブス・アイランディカスHVE10/4由来のBC相同体
配列番号82:スルホロブス・アイランディカスM.16.4由来のBC相同体
配列番号83:スルホロブス・アイランディカスY.N.15.51由来のBC相同体
配列番号84:スルホロブス・ソルファタリカスP2由来のBC相同体
配列番号85:スルホロブス・アイランディカス.L.S.2.15由来のBC相同体
配列番号86:スルホロブス・アイランディカスREY15A由来のBC相同体
配列番号87:クロロフレクサス・アグリガンスDSM9485由来のBC相同体
配列番号88:オシロクロリス・トリコイデスDG6由来のBC相同体
配列番号89:ロゼイフレクサス種RS−1由来のBC相同体
配列番号90:ロゼイフレクサス・キャステンホルツィDSM13941由来のBC相同体
配列番号91:ヘルペトシフォン・オーランティアカスATCC 23779由来のBC相同体
配列番号92:ニトロソプミルス・マリティムスSCM1由来のBC相同体
配列番号93:ニトロソアルカエウム・リムニアSFB1由来のBC相同体
配列番号94:グループIクレンアーキアHF4000APKG6D3由来のBC相同体
配列番号95:グループIクレンアーキアHF4000ANIW97P9由来のBC相同体
配列番号96:アシディアヌス・ホスピタリスW1由来のCT相同体
配列番号97:メタッロスパエラ・セドゥラDSM5348由来のCT相同体
配列番号98:アシディアヌス・ブリエレイ由来のCT相同体
配列番号99:メタッロスパエラ・クプリナAr−4由来のCT相同体
配列番号100:スルホロブス・ソルファタリカス98/2由来のCT相同体
配列番号101:スルホロブス・トコダイイ種7由来のCT相同体
配列番号102:スルホロブス・アイランディカスM.14.25由来のCT相同体
配列番号103:スルホロブス・アイランディカスL.D.8.5由来のCT相同体
配列番号104:スルホロブス・アイランディカスY.N.15.51由来のCT相同体
配列番号105:スルホロブス・ソルファタリカスP2由来のCT相同体
配列番号106:スルホロブス・アシドカルダリウスDSM639由来のCT相同体
配列番号107:アキドゥリプロフンドゥム・ボオネイT469由来のCT相同体
配列番号108:クロロフレクサス・アグリガンスDSM9485由来のCTα相同体
配列番号109:オシロクロリス・トリコイデスDG6由来のCTα相同体
配列番号110:ロゼイフレクサス種RS−1由来のCTα相同体
配列番号111:ロゼイフレクサス・キャステンホルツィDSM13941由来のCTα相同体
配列番号112:アンモニフェツクス・デゲンシイKC4由来のCTα相同体
配列番号113:スファエロバクター・サーモフィルスDSM20475由来のCTα相同体
配列番号114:ロゼイフレクサス種RS−1由来のCTα相同体
配列番号115:ヘルペトシフォン・オーランティアカスATCC23779由来のCTα相同体
配列番号116:ロゼイフレクサス・キャステンホルツィDSM13941由来のCTα相同体
配列番号117:クロロフレクサス・アグリガンスDSM9485由来のCTβ相同体
配列番号118:オシロクロリス・トリコイデスDG6由来のCTβ相同体
配列番号119:ロゼイフレクサス・キャステンホルツィDSM13941由来のCTβ相同体
配列番号120:ロゼイフレクサス種RS−1由来のCTβ相同体
配列番号121:ロゼイフレクサス種RS−1由来のCTβ相同体
配列番号122:ロゼイフレクサス・キャステンホルツィDSM13941由来のCTβ相同体
配列番号123:ヘルペトシフォン・オーランティアカスATCC23779由来のCTβ相同体
配列番号124:スファエロバクター・サーモフィルスDSM20475由来のCTβ相同体
配列番号125:ニトロソプミルス・マリティムスSCM1由来のCT相同体
配列番号126:ニトロソアルカエウム・リムニアSFB1由来のCT相同体
配列番号127:グループIクレンアーキアHF4000APKG6D3由来のCT相同体
配列番号128:グループIクレンアーキアHF4000ANIW97P9由来のCT相同体
配列番号129:リシナス・コムニスのステアロイル−ACPデサチュラーゼ由来のN末端結合葉緑体タンパク質を有するケナルカエウム・シュンビオスムのビオチンカルボキシルキャリアータンパク質のアミノ酸配列
配列番号130:リシナス・コムニスのステアロイル−ACPデサチュラーゼ由来のN末端結合葉緑体タンパク質を有するケナルカエウム・シュンビオスムのビオチンカルボキシルキャリアータンパク質のヌクレオチド配列(アラビドプシス・サリアナにおける発現のためにコドン最適化した)
配列番号131:リシナス・コムニスのステアロイル−ACPデサチュラーゼ由来のN末端結合葉緑体タンパク質を有するケナルカエウム・シュンビオスムのビオチンカルボキシラーゼのアミノ酸配列
配列番号132:リシナス・コムニスのステアロイル−ACPデサチュラーゼ由来のN末端結合葉緑体タンパク質を有するケナルカエウム・シュンビオスムのビオチンカルボキシラーゼのヌクレオチド配列(アラビドプシス・サリアナにおける発現のためにコドン最適化した)
配列番号133:リシナス・コムニスのステアロイル−ACPデサチュラーゼ由来のN末端結合葉緑体タンパク質を有するケナルカエウム・シュンビオスムのカルボキシルトランスフェラーゼのアミノ酸配列
配列番号134:リシナス・コムニスのステアロイル−ACPデサチュラーゼ由来のN末端結合葉緑体タンパク質を有するケナルカエウム・シュンビオスムのカルボキシルトランスフェラーゼのヌクレオチド配列(アラビドプシス・サリアナにおける発現のためにコドン最適化した)
実施例
実施例1:実験手順
細胞培養増殖および分析
ブラッシカ・ナプス栽培品種Jet Neufの細胞懸濁培養液を、改変した(Shi et al.2008,Plant Cell Tiss Org,92 131−139)NLN培地で増殖させた(Lichter 1982,Z.Pflanzenphysiol,105,427−434)。50μmol m−1−1の一定の蛍光下、50mLまたは100mLいずれかの体積(それぞれ、125mLまたは250mLフラスコ中)で、25℃、160rpmで振盪しながら細胞を増殖させた。2日以上続いた実験では、48時間ごとに培地を新しくした。TweenエステルはSigma(St.Louis,MO USA)から調達した。水50mLに9.8gを溶解することにより150mMの原液を作製し、培養液に加える前に濾過滅菌した。8日ごとに継代培養を行い、新しい培養液に約200mgの細胞を播種した。Buchner漏斗を用いて濾過することにより細胞を回収し、蒸留水で3回すすぎ、事前に重量を計測したアルミ箔の袋の中で、液体N2中で瞬間冷凍した。新鮮重量に対する乾燥重量の割合は、既知の新鮮重量の細胞を凍結乾燥することにより決定した。SDS−PAGEのために、3体積(w/v)の50mM Tris−Cl(pH7.5)、10mM KCl、5mM MgCl、1mM EDTA、1mM DTT、0.1% Triton X−100中でタンパク質を抽出し、ブラッドフォードアッセイにより定量化した。
脂肪の抽出および定量化
ガラスビーズを使用して、500μLのメタノール:クロロホルム:ギ酸(20:10:1v/v)中で2回ホモジナイズすることにより、新鮮重量100mgまでの冷凍細胞から脂質を抽出した。500μLの1M KCl、0.2M HPOを用いて合わせた有機溶媒で抽出し、有機相を回収し、N下で乾燥させ、ヘキサンに再懸濁した。天然脂質の場合、ヘキサン:ジエチルエーテル:酢酸(80:20:1、v/v)とともに、または極性脂質の場合、0.15M硫酸アンモニウムを含浸させたプレートを用いてアセトン:トルエン:水(91:30:7v/v)とともに、シリカゲルG TLC Uniplate(Analtech、Newark,DE,USA)を使用したTLCによって脂質クラスを分離した。負荷は、10または20mgの新鮮重量と均等であった。ヨウ素蒸気を用いて脂質を可視化した。
脂肪酸の定量化は、脂肪酸メチルエステル(FAME)の分析により行った。FAMEは、17:0内部標準と、TLCプレートから掻き出した脂質抽出物またはシリカ粉末とを、メタノール中1mLの12%(w/w)BClで1時間85℃でインキュベーションし、1mLの水および2mLのヘキサンでそれらを抽出し、次いでN下で乾燥させることにより調製した。ヘキサンに再懸濁したFAMEを、60m×250μmのSP−2340キャピラリーカラム(Supelco)に適合させたHP6890ガスクロマトグラフ−炎イオン化検出器(Agilent Technologies)またはHP5890ガスクロマトグラフ−質量分析計(Hewlett−Packard)を用いて分析した。ヘリウムの流速は1.1mL/分−1であり、オーブン温度は100℃から出発して15℃/分−1〜240℃まで上昇させ、その温度で5分間維持した。質量分析は、HP5973質量選択型分析器(Hewlett−Packard)を用いて行った。
1−13C−オレオイル−Tweenの合成
Cambridge Isotope Laboratories(Andover,MA,USA)から1−13C−オレイン酸を調達した。塩化アシルをTweenの骨格と反応させることにより、特別なTweenエステルを合成した。Tweenの骨格は、以前に記載されたように合成し(Terzaghi 1986,Plant Physiol,82,771−779)、精製した(Wisnieski et al.1973,Proc Natl.Acad Sci USA,70,3669−3673)。塩化アシルは、最初に350mgの1−13C−オレイン酸を10mLのCHClに懸濁することにより調製し、この溶液を氷上で冷却し、アルゴン下で乾燥させ、2.5モル当量の塩化オキサリルと反応させた。COおよびCOが溶液から泡立たなくなるまで、30分かけて滴下(5〜10滴)でDMFを加えた。過剰な塩化オキサリルを真空下で除去し、塩化アシルを8mLのCHClに懸濁した。約25mgの4−ジメチルアミノピリジンおよび750μLのN,N−ジイソプロピルエチルアミンを2mLのCHClに溶解し、8mLのCHClに溶解した1gのTween骨格に加えた。溶解したTween骨格に塩化アシルを加え、25℃で24時間反応物を撹拌した。Tweenエステルをクロマトグラフィーにより精製し、GC−MSおよびNMRにより検証した。1−13C−オレオイル−Tweenを水に懸濁し、濾過滅菌し、Tween−80とともに細胞培養液に加えた。上述のように脂肪抽出およびGC/MSを行った。13C−脂肪酸を検出して定量化し、以前に記載されたように、天然の同位体存在比に対して補正した(Schwender et al.2003,J Biol Chem,278,29442−29453)。
14Cによる標識
全ての放射性同位体は、American Radiolabeled Chemicals(St.Louis,MO USA)から調達した。16時間前に培地を新しくして、新鮮重量約20mg/mL−1の細胞密度で継代培養してから5日後に、細胞の標識を行った。標識のために、3つの1mLアリコートの細胞を各フラスコから慎重に除去し、0.2μCiの1,2−14C−アセテート(50〜60mCi mmol−1)または2−14C−マロネート(40〜60mCi mmol−1)のいずれかで、時々振盪しながら15分間25℃で標識した。ハロキシホップ(Sigma)をDMSOに溶解し、標識する30分前に加えた。脂質を抽出し、上述のようにTLCにより分離した。放射活性は、蛍光体を用いた画像化によって検出し、ImageQuantソフトウェア(GE Healthcare、Piscataway,NJ,USA)を使用した定量化した。個々の脂肪酸への標識の取り込みは、上述のようにFAMEを作製し、(Koo,Fulda,Browse and Ohlrogge 2005,Plant J,44,620−632)に記載されるようにTLCによりメチルエステルを分離し、蛍光体を用いた画像化によって放射活性を測定することにより判定した。
遊離脂肪酸、アシル−CoA、およびアシル−ACPの抽出
沸騰した2mLのイソプロパノール中で5分間、約300mgの冷凍細胞を反応停止することにより、組織から遊離脂肪酸を抽出した。冷却してから2mLの0.9%NaClを加え、4mLのヘキサンで2回脂質を抽出した。TLCにより中性脂質を分離し、遊離脂肪酸を掻き出してFAMEを作製し、上述のようにGC−FIDまたはGC−MSによって分析した。新鮮重量約15mgの細胞からアシル−CoAを抽出し、以前に記載されたように定量化した(Larson and Graham 2001,Plant J,25,115−125)。アシル−ACPを抽出し、以前に記載されたように定量化した(Kopka,Ohlrogge and−Jaworski 1995,Anal Biochem,224,51−60)が、次のように変更を加えた。1)使用した内部標準は11:0−CoA(Sigma)であり、以前に記載されたように、ホウレンソウACPから17:0−ACPを作製した(Broadwater and Fox 1999,Protein Expr Purif,15,314−326)。2)TCA沈殿タンパク質を完全に溶解させるには、1回ではなく3回、MOPSバッファを用いて抽出する必要があった。
酵素アッセイ
全ての化学物質はSigmaから、また放射性同位体はAmerican Radiolabeled Chemicalsから調達し、14C−NaHCOの酸生成物および安定生成物へのアセチルCoA依存性取り込みとしてACCaseの活性を測定した。3体積(w/v)の50mM Tris−Cl(pH7.5)、100mM KCl、5mM MgCl、1mM DTT、0.1% TritonX−100、10%グリセロール、および植物プロテアーゼ阻害剤カクテル(Sigma)中に新鮮細胞を粉砕することにより、粗細胞抽出物を調製した。氷上で破砕物を10分間穏やかに混合し、次いで、5分間3000gで遠心分離した。抽出物の脱塩は、PD−10カラム(GE Life Sciences)を用いて行った。アッセイ条件は、以前に記載される通りであった(Thelen and Ohlrogge 2002,Arch Biochem Biophys,400,245−257)。反応は、5μlLの細胞抽出物の添加により開始し、15μLの12N HCLの添加により停止した。内容物を55℃で完全に乾燥させ、30μLの水に固体を再懸濁し、液体シンチレーション分光法によりカウントした。アセチルCoAの陰性対照は常に含まれていた。代謝産物の影響を測定する場合(10分)を除いて、アッセイには30分かかった。不安定なチオエステル結合を保存するために、細胞抽出の直後に代謝産物を反応物に加えた。エタノール中でFFA原液を作製し、アシル−CoAを水に懸濁した。使用したアシル−ACPは、代わりにBnACP(GenBank:X13127.1)を使用したこと以外は、ホウレンソウACPについて記載されるように作製した(Broadwater and Fox 1999,Protein Expr Purif,15,314−326)。ACP cDNAは、以下のプライマーを使用して細胞培養液からクローニングした:F−GCGGCCAAACCAGAGACG(配列番号26)および6x his−タグを組み込んだR−TCAGTGGTGGTGGTGGTGGTGCTTCTTGGCTTGCACCAGCTCT(配列番号27)。アッセイバッファがACCaseアッセイのものと同じであったこと以外は、以前に記載されたように、粗細胞抽出物に対するアシル−ACPチオエステラーゼアッセイを行った(Eccleston and Ohlrogge 1998,Plant Cell,10,613−622)。
qPCR分析
培養した細胞からTrizol Reagent(Invitrogen、Carlsbad,CA,USA)を使用してRNAを単離し、DNaseで処理した。Bio−Rad(Hercules,CA,USA)iScript cDNA合成キットを使用して、1μgの総RNAからcDNAを合成した。1:50のcDNA生成物およびSSO Fast EvaGreen Supermix(Bio−Rad)を用いてqPCRを行った。参照遺伝子は、ACT7およびUBC21であり、以前に記載されたようにプライマーを使用した(Chen et al.2010 Anal Biochem,405,138−140)。実験用遺伝子のためのプライマーは次の通りであった:BC、ビオチンカルボキシラーゼ(CenBank:A Y034410.1)、F−TTGGTGAAGCTCCTAGCAACCAGT(配列番号28)およびR−TTCTTCATCGTCTCCCTGGCAGTT(配列番号29);BCCP、ビオチンカルボキシルキャリアータンパク質(GenBank:X90730.1)、F−AGTGACTAACGGTGGGTGCTTGAA(配列番号30)、R−TGATAAACTGGAGCTGGTGGTGGT(配列番号31);CT−α、カルボキシトランスフェラーゼ−α(GenBank GQ341624.1)、F−TACGTGACAGCTCGCCTCAAGAAA(配列番号32)、R−CAAACCAGTTTCAGCCGCCATCTT(配列番号33);CT−β、カルボキシトランスフェラーゼ−β(GenBank:Z50868.1)、F−GGAGCACGAATGCAAGAAGGAAGT(配列番号34)、R−ACATACCCAAACTTGCTGTCACCC(配列番号35)。RESTソフトウェア(Qiagen、Valencia,CA,USA)を使用して相対的な発現レベルを計算した。
実施例2:B.ナプス細胞懸濁液に対する脂肪酸補給条件の確立
脂肪酸合成のフィードバック制御について調べるために、最初に、あらゆる負の多面発現性効果を最小限に抑えながら脂肪酸を補給することができる条件を確立することが必要であった。主としてオレイン酸(18:1)を含有する市販のTween−80を10mMまでの濃度で加えたとき、増殖率には影響を及ぼさなかった(図1a)。発生中の胚の組成と非常によく似た細胞のタンパク質組成には、Tween−80を8日間補給した後も、影響は認められなかった(図1b)。細胞の水分含有量に対する影響もなかった:乾燥重量に対する新鮮重量の割合は、対照で16.2±0.4、10mM Tween:−80を補給した細胞で16.0±0.5であった。ダイズ細胞培養について報告されているように(Terzaghi 1986,Plant Physiol,82,771−779)、Tween−80によりB.ナプス細胞の脂肪酸組成を改変した。Tween−80を8日間補給した細胞の極性脂質およびTAGを定量化し、その結果を図2に示す。両方の脂質クラスにおいて、18:1が、Tween−80の濃度に依存するレベルまで堆積した。極性脂質(すなわち、膜脂質)の場合、市販のTween−80の微量成分であるパルミトレイン酸(16:1)以外の他の全ての脂肪酸の量を減少させることによりこれを達成した(図2a)。一方では、TAGにおいて全ての脂肪酸が一定であるかまたは増加した(図2b)。これらの変化にもかかわらず、総脂肪酸量は一定に保たれたが(図2c)、TAGは例外であり、極性および中性脂質特性には変化が見られなかった(図1c)。
Tween−80からの脂肪酸が脂肪酸組成の変化に及ぼす寄与を定量化するために、我々は1−13C−オレオイル−Tweenを合成し、13C同位体の存在によって外因性脂肪酸を識別することができる経時的実験を行った(図3)。10mM 13C−オレオイル−Tweenの存在下でわずか3時間後、13C−18:1は全18:1の約10%を構成し、迅速な摂取および取り込みが示唆された。時間が経過するにつれて、不飽和産物に標識が現れ(18:2および18:3)、48時間目までには、13C標識の割合が18炭素脂肪酸の約70%まで増加した。他のいずれの脂肪酸にも、標識(伸長産物を含む)は検出されなかった。TAGの場合、個々の脂肪酸量の増加は、主に13C−18:1の摂取および代謝によるものであった(図3b)。極性脂質の場合、13C−18:1は、18:1量の増加の原因にならないばかりか、実際には内因性脂肪酸に取って代わった。このことは、非標識脂肪酸が減少した一方で、13C標識が増加したという事実から明白である(図3a)。このような効果は、新規脂肪酸の代謝回転の増加または合成の低下のいずれかによるものであり得る。この効果は、非標識(すなわち、新規)脂肪酸に特異的であると考えられ、合成の低下を示唆する。
実施例3:色素体ACCaseはTween−80に応答して可逆的に阻害される
脂肪酸合成のフィードバック阻害を14C−アセテートトレーサーの添加により測定した。図4aは、実際に、10mM Tween−80を培地に加えてから3時間後直ちに、脂質への14C−アセテートの取り込みの速度が40%減少したことを示す。ステロール合成は、アセチル−CoAおよびATPに依存性であり、そのどちらも脂肪酸合成に必要である。したがって、基質の制限のために脂肪酸合成が阻害されると、ステロール合成も阻害されるはずである。ステロールへの14C−アセテートの取り込みはTween−80の補給による影響を受けなかったが、遊離脂肪酸への取り込みは総脂質の取り込みに酷似しており(図5)、この効果が脂肪酸合成に限定されていることが示された。我々は、フィードバック阻害の程度は、培地中のTween−80の濃度に依存性であり(図4b)、その除去後には完全に可逆性であること(図4c)を発見した。これらの結果は、フィードバック阻害の作用の生化学的様式と一致している。本試験の残りには3時間時点を用いて、最大フィードバック阻害の期間を、長期にわたるTween−80の補給によって引き起こされる全体的な脂肪酸組成の変化から生じる、あらゆる脂質の恒常性維持機構と区別した。
植物は、色素体ならびに細胞質のACCaseおよびFAS酵素系を含有し、そのどちらも脂肪酸に14C−アセテートを取り込むことができる。したがって、個々の脂肪酸種における標識の分布を比較することにより、これらの経路の相対分布に関する情報を提供することができる。Tween−80の補給は、脂肪酸への14C−アセテートの取り込みを40%低下させたが(図6a)、標識パターンには影響を及ぼさなかった(図6b)。これは、より高い割合の長鎖脂肪酸レベルをもたらしたであろう細胞質伸長の低下よりもむしろ、色素体内における新規脂肪酸合成の低下と一致している。14C−アセテートによる標識は、多機能(細胞質)ACCaseの特異的阻害剤であるハロキシホップの存在下でも行われた。ハロキシホップによって14C−アセテートの取り込みが阻害される程度は、細胞質の伸長活性に比例していたのに対し、ハロキシホップ抵抗性の取り込みは、色素体内の新規経路からであった。図6cは、阻害曲線が互いに平行であるという事実から明らかであるように、ハロキシホップが、Tween−80を含むまたは含まない培養液中で同じ量だけ14C−アセテートの取り込みを阻害したことを示す。しかしながら、ハロキシホップ抵抗性の取り込み(曲線下面積によって表される)は、10mM Tween−80を含む培養液中で約半分に減少し、Tween−80の補給が色素体における新規脂肪酸合成の阻害を特異的に引き起こすことを示した。
これらのデータは、色素体中のACCase、またはFASの何らかの下流構成成分が、Tween−80を添加した時に阻害されたことを示す。これらの可能性を区別するために、我々は、外因性マロネートがマロニルCoAに変換され得、FASによって使用され得るという事実を利用して、ACCaseの反応を回避した(Kannangara et al.1973,Plant Physiol,52,156−161)。ACCaseが唯一の阻害点である場合、14C−マロネートによる新規脂肪酸の標識の割合は、Tween−80を含むまたは含まない培養液において同じであるはずである。図6dは、14C−アセテートで標識した対照と比較して、16および18炭素脂肪酸への14C−マロネートの取り込みがTween−80によって阻害されなかったことを示す。したがって、FASではなく、ACCaseが、Tween−80の補給によって阻害される。以上を総合すると、図6のデータにより、Tween−80によって誘導されるフィードバック阻害の標的として色素体ACCaseが明白に特定される。
実施例4:ACCase活性およびメッセージはTween補給細胞において低下しない
Tween−80補給中のACCase活性の明らかな低下をよりよく理解するために、遺伝子発現分析および酵素アッセイを行った。定量的リアルタイムPCRを用いて、色素体ACCaseサブユニットをコードする遺伝子の発現を測定した。分析のために選択された特異的遺伝子は、元々、ブラッシカ・ナプス植物に発現された胚として同定された遺伝子であった(Elborough et al.1996,Biochemical Journal,315,103−112)。表1は、4つ全ての遺伝子の発現が、Tween−80を用いた3時間の処理による影響を受けないことを示している。さらに、同じ細胞の粗抽出物のACCase活性の測定から、最大ACCase活性には概ね影響が見られなかったことが明らかになった(表1)。脱塩した抽出物からも同じ結果が得られた。ハロキシホップを用いた処理は、約15%の活性低下をもたらし、これらのアッセイにおいて色素体ACCaseが優勢であることを示唆した(図7a)。脱リン酸化による不活性化(Savage and Ohlrogge 1999,Plant J,18,521−527)またはΡIIタンパク質との2−オキソグルタル酸依存性の相互作用による阻害(Feria Bourrellier et al.2010,Proc Natl Acad Sci USA,107,502−507)が、ACCase活性を制御する他の手段として提唱されている。脱リン酸化がフィードバックに関与している場合、ホスファターゼを用いた処理が、阻害された細胞のACCase活性を対照の活性よりも低い程度まで低下させることが予想される。ΡIIの相互作用が関与する場合、2−オキソグルタル酸の存在下におけるインキュベーションがTween補給抽出物からのACCaseを対照よりも多く阻害する可能性がある。粗抽出物のホスファターゼ処理後または5mM 2−オキソグルタル酸の存在下におけるACCaseアッセイからは、対照とTween−80補給培養液との間には違いが認められず(図7b)、このことは、これらの機構がTween−80によって誘導されるフィードバックとほとんどまたは全く関係がないことと一致している。総合すると、これらの結果は、色素体のACCase転写物またはタンパク質の量の減少、および既知の転写後機構が、Tween−80を補給したときに観察されたフィードバック阻害の原因ではないことを示唆している。

実施例5:ACCaseは18:1含有Tweenによって阻害される
市販のTween−80は、脂肪酸の混合物を含有する。個々の構成成分の影響を精査するために、様々なTween−エステルをそれらが脂肪酸合成に与える影響について検査した。個々のTweenの組成を、14C−アセテート標識実験の結果とともに表2に列挙する。飽和脂肪酸のみを含有するTween−40およびTween−60は、主として18:1を含有するTween−80または85と同程度にはアセテートによる脂質の標識を阻害しなかった。特別に合成したTween−18:1は、最大の阻害ももたらした。さらに、(おそらくは)マロニルCoAプールに補給することにより脂肪酸の産生を刺激するマロネートの補給は、14C−アセテートの取り込みの阻害を引き起こさないことから(図8)、ACCaseがin vivoでマロニルCoAによって阻害される可能性が低いことが示唆される。総合すると、これらの結果は、18:1または下流代謝産物をフィードバック阻害の原因として指摘している。

実施例6:Tween−80による阻害の機構
Tween脂肪酸エステルは、細胞に進入し、加水分解されて遊離脂肪酸を生じる(Terzaghi
1986 Plant Physiol,82,771−779)。遊離脂肪酸は、細胞脂質中に沈殿する前にCoAまたはACPに対してエステル化することにより活性化することができる。定常状態プールのアシル−ACPおよびアシル−CoA、ならびに遊離脂肪酸(FFA)を、Tween−80を補給した細胞において測定した。3時間の補給後、18:1FFAが出現した(未処理細胞ではまったく検出されなかった)(図9a)。同様に、18:1−ACPおよび18:1−CoAの両方の量を2倍にしてTween−80を補給したところ、他のほとんどの分子種が沈殿した(図9b、c)。Tweenからの脂肪酸の組み込みをフィードバック阻害の副次的影響と区別するように設計された別の実験において、13C−オレオイル−Tweenを補給した細胞でFFAおよびアシルACPを分析した。その結果は、3時間で、99.1±2.2%の18:1FFAおよび46.2±4.2%の18:1−ACPが、13C−オレイン酸を含有し(図9)、これらの代謝産物において観察された増加がTweenからの脂肪酸の直接的な取り込みの結果であることを意味していた。18:1FFA、18:1−ACP、および18:1−CoAを、それらがACCase酵素活性に与える影響について調べた。最初に、図9の値の範囲および細胞の水分含有量に基づいて、これらの中間体のin vivo濃度を計算した。18:1FFAの細胞内濃度は0〜100μΜであると推定された。18:1−ACPの推定濃度は0.6〜1.2μΜであった。しかしながら、アシル−ACPが色素体に限定されていることを考慮すると、そのうちの胚が発生する体積は細胞の10%であると判断され(Mansfield and Briarty 1992,Can J Bot,70,151−164)、推定値は5〜10μΜに増加した。細胞の18:1−CoAの合計は1〜3μΜであると推定された。これらの値から、検査する濃度範囲を確立した。粗細胞抽出物のアッセイに含まれたとき、10μΜまでのFFAは、ACCase活性に影響を及ぼさなかった(図10a)。アシル−ACPおよび−CoAの影響をテストするときに2つのことを考慮した。1つ目は、チオエステル結合は、ACCaseアッセイで使用される塩基条件において不安定であるため、粗抽出物中に存在するチオエステラーゼと組み合わせると、アシル−ACPおよび−CoAが迅速に分解し得るということである。ACCaseアッセイと同じ条件を用いてチオエステラーゼ活性を測定した。3μΜ(150pmolアッセイ−1)1−14C−オレオイル−ACPを基質として用いた場合、チオエステラーゼ活性は7.9±2.2pmol/分であることが分かり、20分までには全部のアシル−ACPが分解したことを意味していた。したがって、ACCaseアッセイの長さは30分から10分短縮され、チオエステル結合の切断を低減させるために、粗抽出した後直ちに代謝産物を加えた。2つ目に考慮したことは、大腸菌ACCaseが、その同族のアシル−ACPによってのみ阻害されたということであった(Davis and Cronan 2001,J Bacteriol,183,1499−1503)。したがって、種子において高度に発現されたACP(Safford et al.1988 Eur J.Biochem.,174,287−295)を細胞培養液からクローニングし、これらの実験に使用した。18:1−ACPが3μΜの濃度で含まれたときにACCaseの阻害が観察された(図10b)。18:1−CoAでも同様の効果が観察された(図10c)。どちらの場合も、阻害は部分的であった。18:1アシル部分に対する阻害の特異性は、最大フィードバックを引き起こした18:1含有Tweenと一致する(表2)。対照として、Tween−80自体をACCaseの阻害剤として検査したところ、酵素活性には影響しないことが分かり(図7c)、阻害はTweenエステルから生じるのではなく、むしろその下流代謝産物から生じることが示唆された。
植物における脂肪酸合成のフィードバック阻害に関する以前の研究により、野菜組織においてその存在が実証され、ACCaseまたはFASが阻害の部位として提唱された(Ramli et al.2002 Biochem J,364,393−401、Shintani and Ohlrogge 1995 Plant J,7,577−587、Terzaghi 1986a Plant Physiol,82,780−786)。特有の胚様細胞株を用いることにより、高い脂肪酸合成率が予想される組織においてフィードバック制御の存在が実証された。放射標識実験を用いて、色素体ACCaseを特異的な阻害の部位として関連付けた。遺伝子発現および酵素活性の分析により、ACCaseの転写および転写後調節は考慮に入れなかった。最後に、フィードバック阻害を、in vitroでACCase活性を阻害する18:1−ACPおよび18:1−CoAの量の増加と相関させた。これらの結果に基づいて、我々は、18:1−ACPおよび/または18:1−CoAの濃度が、色素体ACCaseの生化学的阻害を通して植物の脂肪酸合成のフィードバック制御を媒介する機構を提唱する(図11)。
ここで使用したB.ナプス細胞株は、Tweenから脂肪酸を迅速に輸送して取り込んだ。細胞は、約10倍高い濃度のTween−80に耐性を示すことができ、タバコおよびダイズの細胞培養について以前に報告されたもの(Shintani and Ohlrogge 1995(上記参照)、Terzaghi 1986b(上記参照))と同等のフィードバック阻害を達成するためには、より高いレベルを必要とした。TAGが我々のB.ナプス細胞における外因性脂肪酸の強力なシンクであるということは、それらの貯蔵油を合成する傾向を反映している。細胞の年齢または透過性等の物理学的説明とは対照的に、なぜ、フィードバックを誘導するためにより高い濃度のTween−80が必要なのかが、そのような代謝素因により説明され得る。タバコにおける以前の研究は、脂肪酸合成の中間体の産生率について報告しているが、それらの実際のプールサイズについては報告されていない(Shintani and Ohlrogge 1995(上記参照))。長鎖ACPの合成の低下は、それらがフィードバックに関与する可能性が低いという結論を導いた。実際に、我々のシステムにおいて、Tweenを補給した時にほとんどのアシル−ACPが減少した。しかしながら、18:1−ACPは、実際にはTweenからの脂肪酸の取り込みの結果として増加した。色素体局在性アシル−ACP合成酵素は、FFAをACPにエステル化することが可能であることが特定されている(Koo et al.2005,J Biol Chem,279,16101−16110)。アシル−ACPもまた、KASの副反応として(Alberts et al.1972,J Biol Chem,247,3190−3198)、またはホロ−ACP合成酵素によるアシル−CoAからapo−ACPへの脂肪酸−ホスホパンテテインアームの移動により(Lambalot and Walsh 1995,J Biol Chem,270,24658−24661)、アシル−CoAおよび遊離ACPから合成することができる。外因性脂肪酸がどのように色素体に進入するのかは分かっていない。この研究で報告されたアシル−ACPの量は、ホウレンソウの葉における量よりも約10倍多いが、個々の分子種の組成は類似している(Kopka et al.1995 Anal Biochem,224,51−60)。この量的な差は、使用した細胞の胚様同一性(および関連するより高い脂肪酸合成率)に起因する可能性がある。アシル−CoA含有量が、B.ナプスの葉よりもむしろ種子の含有量に近いという事実が、この見解を強固なものにしている(Larson and Graham 2001,Plant J,25,115−125)。
Tween補給中の脂肪酸合成率の低下は、外因性脂肪酸の代謝が遊離ACPおよびCoAの不足を引き起こしたことから生じた可能性がある。そうである場合、ACPまたはCoAのいずれかの不足は、14C−アセテートおよび14C−マロネートの両方の脂肪酸への取り込みの減少として現れる。しかしながら、14C−アセテートの取り込みのみが減少したことから、その効果はACCase活性に特異的であったことが示唆される。色素体ACCaseがフィードバック制御の標的であるということは、脂肪酸合成の律速段階としてのその役割と一致している(Ohlrogge and Jaworski 1997,Annu Rev Plant Physiol Plant Mol Biol,48,109−136)。FASの阻害は、予想通りにマロニルCoAの蓄積を導くであろう。FAS活性の非存在下では、マロニルCoAが色素体における終末産物となるため、ACCaseの阻害はFASの阻害よりも効率的である。細胞質において、マロニルCoAはフラボノイドの生合成に必要とされ、ACCase活性の損失は胚性致死をもたらす(Baud et al.2003,Plant J,33,75−86)。この細胞質ACCaseの副次的機能により、フィードバックの影響に対するその確かな免疫が説明され得る。色素体ACCaseは、様々な要素によりin vivoで調節されることが分かっている。他の状況では一見して明らかであるが、転写および翻訳後調節は、Tween−80によって誘導されたフィードバックの場合には検出されなかった。光は、光合成的に誘導される間質のpH、Mg2+濃度、および還元電位の変化を介して間接的にACCaseを調節する。この試験で使用した細胞は、従属栄養的に一定の光の中で増殖させたため、光合成が間質環境またはACCase活性に多くの影響を及ぼしたとは考えにくい。ATPは、ACCase反応に必要であり、色素体におけるその利用可能性も活性に影響を与え得る。長鎖アシル−CoAは、ATP輸送の阻害により単離色素体における脂肪酸合成を低下させることが示されている(Fox et al.2001,Plant Physiol,126,1259−1265,Johnson et al.2000,Biochem J,348,145−150)。しかしながら、これは全ての長鎖CoAの全体的な効果であり、長鎖アシル−CoAを合わせた量はTweenの補給による影響を受けなかったため、ATPの輸送が阻害された可能性は低い。さらに、ステロールの生合成および細胞増殖率は、どちらも限られたATP供給による悪影響を受けたが、この場合も同様にTweenの補給による影響は受けなかった。
18:1−ACPによるACCaseの阻害は、大腸菌のフィードバック機構(Davis and Cronan 2001 J Bacteriol,183,1499−1503)および原核生物の色素体ACCaseの進化的起源と一致している(Cronan and Waldrop 2002 Prog Lipid Res,41,407−435)。しかしながら、アシル−ACPは、以前に、植物のACCaseを阻害しないことが示された(Roesler et al.1996,Plant Physiol,113,75−81)。この矛盾は、いくつかの方法論の相違に起因する可能性が高い。1つには、大腸菌のACCaseは、ホウレンソウではなく大腸菌のアシル−ACPが使用された場合にのみ阻害された(Davis and Cronan 2001(上記参照))。最近の研究では、B.ナプスのACCaseを阻害するためにB.ナプスのアシル−ACPが使用された。一方、Roeslerらは、トウゴマおよびエンドウマメのACCaseを用いたアッセイにホウレンソウのアシル−ACPを使用した。したがって、ACCaseの阻害はACPの源に依存すると考えられる。
もう1つの相違は、Roeslerらが半精製ACCaseを使用したのに対し、本試験および大腸菌試験では、粗抽出物に対して酵素アッセイを行ったことである。精製中に酵素が(例えば、リン酸化またはタンパク質分解により)修飾され、アシル−ACPに対して非応答性になった可能性があるか、または、ACCaseの阻害を促進する何か他の要因が粗抽出物中に存在した可能性がある。アシル−CoAによるACCaseの阻害は、酵母および動物ACCaseについて(Ogiwara et al.1978,Eur J Biochem,89,33−41)、ならびに精製された植物酵素についても(Nikolau and Hawke 1984,Arch Biochem Biophys,228,86−96,Roessler 1990,Plant Physiol,113,75−81)報告されている。
Tween−80という形態での外因性脂肪酸の供給は、生化学的機構を解明するために使用された非生理学的処理であり、これらの結果が全植物に対して意味を有するのかどうかという問題を提起する。色素体脂肪酸合成は、16:0−または18:1−ACPの産生で終結する。これらの産物は、次いでチオエステラーゼにより切断され、遊離脂肪酸は、色素体から輸送されるとアシル−CoAに変換される。ACCase(Thelen and Ohlrogge 2002,Arch Biochem Biophys,400,245−257)、FAS(Roughan and Ohlrogge 1996,Plant Physiol,110,1239−1247)、チオエステラーゼ(Shine et at.1976,Arch Biochem Biophys,172,110−116)、およびアシル−CoAの合成(Andrews and Keegstra 1983,Plant Physiol,72,735−740)は、全て葉緑体膜と関連しており、脂肪酸合成の中間体をアセチル−CoAからアシル−CoAまで通す超複合体を形成することが提唱されている(Koo et at.2004,J Biol Chem,279,16101−16110,Thelen and Ohlrogge 2002,Arch Biochem Biophys,400,245−257)。この膜との関連性は、色素体における脂肪酸生産と、細胞質におけるそれらの需要との間の連絡を容易にすると仮説が立てられる。そのような複合体の中で、18:1−ACPおよび18:1−CoAの局所濃度は、1〜3μΜの推定範囲よりも高いレベルに到達し得る。ACCaseは、本明細書で使用した生理学的範囲の代謝産物濃度によって部分的に阻害されたに過ぎない。しかしながら、部分的阻害は、ここで見られたフィードバックの規模を説明するのに十分である。アシル−ACPは主として色素体に生じるため、18:1−ACPによるACCaseの阻害は実現可能である。しかしながら、18:1−CoAは、以前に単離葉緑体において検出不能であり(Post−Beittenmiller et al.1991,J Biol Chem,266,1858−1865)、アシル−CoAに関する我々の結果は、コンパートメント特異的な情報を提供しない。しかしながら、色素体には、18:1−CoAを基質として使用することができる酵素、例えば、G3P−アシルトランスフェラーゼ等が存在する(Frentzen et al.1983 Eur J Biochem,129,629−636)。さらに、単離葉緑体は、外因性18:1−CoAを脂質に取り込むことが可能であり、摂取能および取り込み能が示唆される(Kjellberg et al.2000,Biochim Biophys Acta,1485,100−110)。細胞質のアシルCoAの需要が低く、新規18:1−CoAの合成よりも低い速度でその拡散が引き起こされるため、色素体における堆積がもたらされるといった状況を想定することができる。KASがアシル−ACPで遊離CoAをトランス活性化する能力と合わせると(Alberts et al.1972)、18:1−CoAが色素体に堆積し、ACCaseを阻害し得ることは妥当であると考えられる。
本明細書で使用した全ての細胞株にフィードバックが存在するということは、フィードバックが種子様組織において、脂肪酸合成が主な代謝機能である場合に生じ得ることを実証しているため、興味深い。このことは、なぜACCaseの過剰発現によって種子中の脂肪酸の産生量がごくわずかに増加するのかを説明し得る(Roesler et al.1997,Plant Physiol,113,75−81)。これはまた、油糧種子が、フィードバック阻害を克服する手段を進化させたことを意味している。チオエステラーゼは、阻害性18:1−ACPのレベルを低下させるために使用することができ、実際に、B.ナプスチオエステラーゼは、基質として18:1−ACPを好み、胚発生の間に誘導される(Hellyer et al 1992,Plant Mol Biol,20,763−780,)。チオエステラーゼの過剰発現により大腸菌においてフィードバック阻害が緩和され(Jiang and Cronan 1994,J Bacterial,176,2814−2821)、B.ナプスにおいて、中鎖チオエステラーゼの過剰発現による18:1−ACPの間接的な低下が、より高い脂肪酸合成率をもたらした(Eccleston and Ohlrogge 1998,Plant Cell,10,613−622)という事実が、この見解を支持している。B.ナプスにおける合成とアセンブリとの間の油蓄積の共通制御も、フィードバック阻害によって説明され得る(Ramli et al.2002a,Biochem J,364,393−401)。細胞質においてアシル−CoAを消費するジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ(DGAT)は、油蓄積を制御し(Perry et al.1999 Phytochemistry,52,799−804,Weselake et al.2008 Prog Lipid Res,38,401−460)、シロイヌナズナにおけるこの酵素の過剰発現が油含有量の上昇をもたらすと示唆されている(Jako et al.2001,Plant Physiol,126,861−874)。脂肪酸合成の増加は、油含有量の上昇の論理的必要条件である。反対に、DGATを欠損するシロイヌナズナのasil(tag1)変異体は、野生型よりも少ない油を有し、14C−アセテートの脂質への取り込みが少ないことから、脂肪酸合成の低下が示唆される(Katavic et al.1995,Plant Physiol,108,399−409)。これらの結果および最近の研究を前提として、DGATは、細胞質中のアシル−CoAを消費することにより油蓄積に対する制御を発揮する可能性があり、よって、色素体からの新規脂肪酸のベクトル輸送を駆動し、フィードバック阻害を防止する。
脂肪酸生合成は、ATPおよび還元体の需要が高い、必要不可欠な生合成経路である。したがって、その制御が多くのレベルで起こることは理にかなっている。本研究は、生化学的フィードバックにおける初期事象を対象として設計された。しかしながら、フィードバックは、長期にわたるTween補給の間持続し(本試験、Shintani and Ohlrogge 1995)、他のシステムとの類推によって、脂肪酸の過剰供給に対する迅速な応答、そして次に持続性の応答が可能である、動的な一連の機構に関与する可能性がある。さらに、粗細胞抽出物をアッセイした場合にのみアシル−ACPによるACCaseの阻害が観察されたという事実は、何か他の要因が阻害に必要とされる可能性を残す。
実施例7:T−DNAベクターの構築、および代替のACCサブユニットを有するトランスジェニック植物の単離
標準的な組換えDNA技術を用いて、以下のDNA断片を操作可能に連結することにより、以下のキメラ遺伝子を作製した。
ベクターMS1
●二重強化CaMV35Sプロモーター領域
●葉緑体標的シグナルをコードするDNA領域(配列番号36〜37)
●メタッロスパエラ・セドゥラからのビオチンカルボキシラーゼをコードするヌクレオチド位331〜ヌクレオチド位1860の配列番号1のDNA領域
●3’ノパリン合成酵素遺伝子からの転写終結およびポリアデニル化シグナル
ベクターMS2
●二重強化CaMV35Sプロモーター領域
●葉緑体標的シグナルをコードするDNA領域(配列番号36〜37)
●メタッロスパエラ・セドゥラからのビオチンカルボキシラーゼキャリアータンパク質をコードするヌクレオチド位1860〜ヌクレオチド位2360の配列番号1のDNA領域
●3’ノパリン合成酵素遺伝子からの転写終結およびポリアデニル化シグナル
ベクターMS3
●二重強化CaMV35Sプロモーター領域
●葉緑体標的シグナルをコードするDNA領域
●メタッロスパエラ・セドゥラからのカルボキシトランスフェラーゼタンパク質をコードするヌクレオチド位659〜ヌクレオチド位2230の配列番号2のDNA領域
●3’ノパリン合成酵素遺伝子からの転写終結およびポリアデニル化シグナル
ベクターCS1
●二重強化CaMV35Sプロモーター領域
●葉緑体標的シグナルをコードするDNA領域(配列番号36〜37)
●ケナルカエウム・シュンビオスムからのビオチンカルボキシラーゼキャリアータンパク質をコードする配列番号6のDNA領域
●3’ノパリン合成酵素遺伝子からの転写終結およびポリアデニル化シグナル
ベクターCS2
●二重強化CaMV35Sプロモーター領域
●葉緑体標的シグナルをコードするDNA領域(配列番号36〜37)
●ケナルカエウム・シュンビオスムからのビオチンカルボキシラーゼをコードする配列番号8のDNA領域
●3’ノパリン合成酵素遺伝子からの転写終結およびポリアデニル化シグナル
ベクターCS3
●二重強化CaMV35Sプロモーター領域
●葉緑体標的シグナルをコードするDNA領域(配列番号36〜37)
●ケナルカエウム・シュンビオスムからのカルボキシトランスフェラーゼをコードする配列番号10のDNA領域
●3’ノパリン合成酵素遺伝子からの転写終結およびポリアデニル化シグナル
ベクターCA1
●二重強化CaMV35Sプロモーター領域
●葉緑体標的シグナルをコードするDNA領域(配列番号36〜37)
●クロロフレクサス・オーランティアカスからのビオチンカルボキシラーゼをコードする配列番号12のDNA領域
●3’ノパリン合成酵素遺伝子からの転写終結およびポリアデニル化シグナル
ベクターCA2
●二重強化CaMV35Sプロモーター領域
●葉緑体標的シグナルをコードするDNA領域(配列番号36〜37)
●クロロフレクサス・オーランティアカスからのビオチンカルボキシラーゼキャリアータンパク質をコードする配列番号14のDNA領域
●3’ノパリン合成酵素遺伝子からの転写終結およびポリアデニル化シグナル
ベクターCA3
●二重強化CaMV35Sプロモーター領域
●葉緑体標的シグナルをコードするDNA領域(配列番号36〜37)
●クロロフレクサス・オーランティアカスからのビオチンカルボキシトランスフェラーゼαをコードする配列番号16のDNA領域
●3’ノパリン合成酵素遺伝子からの転写終結およびポリアデニル化シグナル
ベクターCA4
●二重強化CaMV35Sプロモーター領域
●葉緑体標的シグナルをコードするDNA領域(配列番号36〜37)
●クロロフレクサス・オーランティアカスからのビオチンカルボキシトランスフェラーゼβをコードする配列番号18のDNA領域
●3’ノパリン合成酵素遺伝子からの転写終結およびポリアデニル化シグナル
ベクターMS1、MS2、およびMS3のキメラ遺伝子は、選択可能なマーカー遺伝子をさらに含む1つのT−DNAベクター中に組み合わされる。
同様に、ベクターCS1、CS2、およびCS3のキメラ遺伝子は、選択可能なマーカー遺伝子をさらに含む1つのT−DNAベクター中に組み合わされる。
また、ベクターCA1、CA2、CA3、およびCA4のキメラ遺伝子も、選択可能なマーカー遺伝子をさらに含む1つのT−DNAベクター中に組み合わされる。
従来の方法を用いて、ヘルパーTi−プラスミドを含むアグロバクテリウム株にT−DNAベクターを導入する。ブラッシカ・ナプスの胚軸外植片を入手し、培養し、本質的にDe Blockらの(1989),Plant Physiol.91:694)に記載されるように形質転換し、キメラ遺伝子をブラッシカ・ナプス植物に移植した。
トランスジェニックブラッシカ・ナプス植物を同定し、油含有量の増加について分析する。
実施例8:T−DNAベクターの構築、およびFATAタンパク質を過剰発現するトランスジェニック植物の単離
標準的な組換えDNA技術を用いて、以下のDNA断片を操作可能に連結することにより、以下のキメラ遺伝子を作製した。
ベクターRC1
●二重強化CaMV35Sプロモーター領域
●リシナス・コムニスのFATタンパク質をコードする配列番号20のDNA領域
●3’ノパリン合成酵素遺伝子からの転写終結およびポリアデニル化シグナル
選択可能なマーカー遺伝子とともに、キメラ遺伝子をT−DNAの左側および右側の境界に導入した。
従来の方法を用いて、ヘルパーTi−プラスミドを含むアグロバクテリウム株にT−DNAベクターを導入する。ブラッシカ・ナプスの胚軸外植片を入手し、培養し、本質的にDe Blockらの(1989),Plant Physiol.91:694)に記載されるように形質転換し、キメラ遺伝子をブラッシカ・ナプス植物に移植した。
トランスジェニックブラッシカ・ナプス植物を同定し、油含有量の増加について分析する。
実施例9:T−DNAベクターの構築、およびアシル−CoA結合タンパク質を過剰発現するトランスジェニック植物の単離
標準的な組換えDNA技術を用いて、以下のDNA断片を操作可能に連結することにより、以下のキメラ遺伝子を作製した。
ベクターACBP4
●二重強化CaMV35Sプロモーター領域
●アラビドプシス・サリアナのACBP4タンパク質をコードするヌクレオチド103〜ヌクレオチド2109の配列番号22のDNA領域
●3’ノパリン合成酵素遺伝子からの転写終結およびポリアデニル化シグナル
ベクターACBP6
●二重強化CaMV35Sプロモーター領域
●アラビドプシス・サリアナのACBP4タンパク質をコードするヌクレオチド106〜ヌクレオチド384の配列番号24のDNA領域
●3’ノパリン合成酵素遺伝子からの転写終結およびポリアデニル化シグナル
選択可能なマーカー遺伝子とともに、キメラ遺伝子をT−DNAの左側および右側の境界に(別個に)導入した。
従来の方法を用いて、ヘルパーTi−プラスミドを含むアグロバクテリウム株にT−DNAベクターを導入する。ブラッシカ・ナプスの胚軸外植片を入手し、培養し、本質的にDe Blockらの(1989),Plant Physiol.91:694)に記載されるように形質転換し、キメラ遺伝子をブラッシカ・ナプス植物に移植した。
トランスジェニックブラッシカ・ナプス植物を同定し、油含有量の増加について分析する。
実施例10:T−DNAベクターの構築およびアシル−CoA結合タンパク質を過剰発現するトランスジェニック植物の単離
各々がリシナス・コムニスのステアロイル−ACPデサチュラーゼからの葉緑体輸送ペプチドを持つCsACCase(ケナルカエウム・シュンビオスム由来のACCase)サブユニットを、Tzfira et al.,2005 Plant Mol.Biol.57,503−516に記載されるようにpSAT発現系にクローニングした。コドン最適化CsACCaseサブユニットの場合、EcoRIおよびBamHIでBCCP(配列番号129−130)をpSATl−mcsに、BglIIおよびXbaIでBC(配列番号131−132)をpSAT4−mcsに、そしてEcoRIおよびBamHIを用いてCT(配列番号133−134)をpSAT5−mcsにクローニングした。3つ全ての発現カセットは、35Sプロモーターを含有していた。
pSAT4−nptII(Genbank受入番号AY818371)およびpSAT6−DsRed2−C1(Genbank受入番号AY818375)の発現カセットを含有するpPZP−RCS2−nptII−dsRedを、CsACCase発現カセットをクローニングするために使用し、また空ベクター対照としても使用した。pPZP−RCS2は、複数の発現カセットをクローニングするために設計され(Goderis et al.,2002)、バイナリーベクターpPZP200に基づいている(Genbank受入番号U10460、Hajdukiewicz et al.,1994)。
最適化したCsACCase遺伝子を含有する発現カセットを、それぞれのpSATベクターから切り出し、pPZP−RCS2−nptII−dsRedに挿入した。nptIIは、pPZP−RCS2のpSAT4挿入部位に存在していたため、CsACCase遺伝子を含有する最終構築物はnptIIを含有しなかった。それはpSAT4−mcsにクローニングされたCsBC遺伝子と置き換えられたため、pPZP−RCS2のpSAT4挿入部位に挿入されなければならなかった。
最終構築物は、部位1にCsBCCP、部位4にCsBC、部位5にCsCT、そして部位6にDsRedを含むpPZP−RCS2骨格を有する。全てのカセットは、35Sプロモーターによって駆動される。
従来の方法を用いて、ヘルパーTi−プラスミドを含むアグロバクテリウム株にT−DNAベクター(CsACCaseサブユニットを有するまたは有しない)を導入し、アグロバクテリウム株を使用して、従来の様式でシロイヌナズナを形質転換した。
CsACCaseサブユニット(ACCase L1−13)または「空ベクター」(EVL1−9)のいずれかで形質転換したトランスジェニックシロイヌナズナ系統を得た。種子当たりの脂肪酸メチルエステル(FAME)の含有量(μgで表される)を測定することにより、T2種子をそれらの種子油含有量(系統当たり3つのサンプル)について分析した。
その結果を、表3にまとめ、かつ図12にグラフ表示する。これらの結果から推定され得るように、いくつかのAccase系統は、EVL対照系統のうちのいくつかよりも高い種子油含有量を有する。

Claims (51)

  1. 植物の細胞中の油含有量を増加させる方法であって、前記植物の前記細胞中の色素体アセチルCoAカルボキシラーゼ酵素の18:1−補酵素Aまたは18:1−アシルキャリアータンパク質によるフィードバック阻害を防止するステップを含む、方法。
  2. 前記フィードバック阻害の防止が、前記植物細胞、具体的には前記植物細胞の色素体に、前記植物の野生型アセチルCoAカルボキシラーゼよりも前記フィードバック阻害に対する感受性の低いアセチルCoAカルボキシラーゼ変異体酵素またはそのサブユニットを提供することにより達成される、請求項1に記載の方法。
  3. より感受性の低いアセチルCoAカルボキシラーゼ変異体またはそのサブユニットが、前記植物細胞中の変異型対立遺伝子によってコードされる、請求項2に記載の方法。
  4. より感受性の低いアセチルCoAカルボキシラーゼ変異体またはそのサブユニットが、前記植物細胞に導入された導入遺伝子によってコードされる、請求項2に記載の方法。
  5. 前記植物細胞に、炭素固定のために3−ヒドロキシプロピオン酸サイクルを使用する生物由来のアセチルCoAカルボキシラーゼ酵素またはそのサブユニットが提供される、請求項2に記載の方法。
  6. 前記アセチルCoAカルボキシラーゼまたはそのサブユニットが、スルフォロブス目、ケナルカエウム目、アーケオグロブス目、デスルフロコックス目、テルモプロテウス目、サーモコッカス目、またはハロバクテリウム目からなる群から選択される生物に由来する、請求項5に記載の方法。
  7. 前記アセチルCoAカルボキシラーゼまたはそのサブユニットが、メタッロスパエラ・セドゥラ、アシディアヌス・ブリエレイ、スルホロブス・ソルファタリカス、スルホロブス・トコダイイ、スルホロブス・アシドカルダリウス、ケナルカエウム・シュンビオスム、アーケオグロブス・フルギダス、ハイパーサーマス・ブチリカス、スタフィロサーマス・マリナス、テルモフィルム・ペンデンス、イグニコックス・ホスピタリス、ピロバキュラム・アエロフィラム、ピロバキュラム・イスランディクム、ピロバキュラム・カリディフォンティス、ピロバキュラムフリオサス、ピロバキュラム・アビシ、ピロバキュラム・ホリコシイ、ハロアーキュラ・マリスモルツイ、ハロバクテリウム属種NRC−1、ハロクアドラトゥム・ワルスビイ、ハロラブラム・ラクスプロファンディ(Halorubrum lacusprofundi)、またはナトロノモナス・ファラオニスからなる群から選択される生物に由来する、請求項5に記載の方法。
  8. 前記アセチルCoAカルボキシラーゼまたはそのサブユニットが、メタッロスパエラ・セドゥラ、アシディアヌス・ブリエレイ、またはケナルカエウム・シュンビオスムからなる群から選択される生物に由来する、請求項5に記載の方法。
  9. 前記植物細胞に、クロロフレクサス・オーランティアカス由来のアセチルCoAカルボキシラーゼ酵素またはそのサブユニットが提供される、請求項2に記載の方法。
  10. 前記植物細胞に、配列番号46〜128のいずれかのアセチルCoAカルボキシラーゼ酵素またはそのサブユニットが提供される、請求項2に記載の方法。
  11. 前記植物細胞に、操作可能に連結されたDNA断片:
    a)植物発現可能プロモーター、
    b)配列番号2、3、5、7、9、11、13、15、17、もしくは19のアミノ酸配列から選択されるアミノ酸配列を有する1つ以上のアセチルCoAカルボキシラーゼサブユニットをコードする1つ以上のコード領域、好ましくは異種コード領域、または、配列番号2、3、5、7、9、11、13、15、17、もしくは19のアミノ酸配列から選択されるアミノ酸配列と70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有し、アセチルCoAカルボキシラーゼの酵素活性を有するコード領域、ならびに任意選択的に、
    c)植物細胞において機能する転写終結および/またはポリアデニル化領域、を含むDNA分子が提供される、請求項6〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 前記DNA分子が、葉緑体標的ペプチドをコードするDNA領域をさらに含む、請求項11に記載の方法。
  13. 前記コード領域が、331位のヌクレオチド〜1860位のヌクレオチドの配列番号1、1860位のヌクレオチド〜2360位のヌクレオチドの配列番号1、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、もしくは配列番号18のヌクレオチド配列、またはそれと70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%のヌクレオチド配列同一性を有するコード領域を含む、請求項11、または請求項12に記載の方法。
  14. 前記植物発現可能プロモーターが、色素体において発現されるプロモーターであり、前記終結および/またはポリアデニル化領域が、色素体において機能する転写終結領域である、請求項11または13に記載の方法。
  15. 前記DNA分子が、前記植物細胞の核ゲノムに組み込まれる、請求項11〜13のいずれか1項に記載の方法。
  16. 前記DNA分子が、前記植物細胞の色素体のゲノムに組み込まれる、請求項11,13、または14に記載の方法。
  17. 前記フィードバック阻害の防止が、前記植物細胞の前記色素体中の18:1−補酵素Aまたは18:1−アシルキャリアータンパク質のレベルを低下させることにより達成される、請求項1に記載の方法。
  18. 前記色素体中の18:1−補酵素Aまたは18:1−アシルキャリアータンパク質のレベルの前記低下が、前記細胞の前記色素体中のFATA酵素のレベルを増加させることにより達成される、請求項17に記載の方法。
  19. 前記FATA酵素のレベルが、操作可能に連結されたDNA断片:
    a)植物発現可能プロモーター、
    b)FATA酵素をコードするDNA領域、および任意選択的に、
    c)植物細胞中で機能する転写終結および/またはポリアデニル化領域、を含むDNA分子を前記植物細胞に導入することにより増加される、請求項18に記載の方法。
  20. 前記FATA酵素は、配列番号21のアミノ酸配列、またはそれと70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項19に記載の方法。
  21. 前記FATA酵素をコードする前記DNA領域が、配列番号20のいずれかのヌクレオチド配列からのヌクレオチド配列、またはそれと70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む、請求項19に記載の方法。
  22. 前記DNA分子が、葉緑体標的ペプチドをコードするDNA領域をさらに含む、請求項20または21に記載の方法。
  23. 前記植物発現可能プロモーターが、色素体において発現されるプロモーターであり、前記終結および/またはポリアデニル化領域が、色素体において機能する転写終結領域である、請求項20または21に記載の方法。
  24. 前記色素体中の18:1−補酵素Aまたは18:1−アシルキャリアータンパク質のレベルの前記低下は、前記植物細胞中のアシル−CoA結合タンパク質のレベルを増加させることにより達成される、請求項17に記載の方法。
  25. 前記アシル−CoA結合タンパク質のレベルが、操作可能に連結されたDNA断片:
    a)植物発現可能プロモーター、
    b)アシル−CoA結合タンパク質をコードするDNA領域、および任意選択的に、
    c)植物細胞において機能する転写終結および/またはポリアデニル化領域、を含むDNA分子を前記植物細胞に導入することにより増加される、請求項24に記載の方法。
  26. 前記アシル−CoA結合タンパク質が、配列番号23もしくは配列番号25のうちのいずれかのアミノ酸配列、またはそれと70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項25に記載の方法。
  27. 前記植物細胞が、植物中に存在する、請求項1〜26のいずれか1項に記載の方法。
  28. 前記植物の油貯蔵部において前記油含有量が増加する、請求項1〜26のいずれか1項に記載の方法。
  29. 前記植物の種子において前記油含有量が増加する、請求項28に記載の方法。
  30. 前記植物が、アブラナ属の油糧種子、ヒマワリ、ベニバナ、ダイズ、ヤシ、ヤトロファ、アマ、クランベ、カメリナ、トウモロコシ、ゴマ、トウゴマから選択される含油植物である、請求項1〜29のいずれか1項に記載の方法。
  31. 前記植物が、ブラッシカ・ナプス、ブラッシカ・カンペストリス(ラパ)、ブラッシカ・ユンケア、ブラッシカ・カリナータである、請求項30に記載の方法。
  32. その色素体に、前記植物の野生型アセチルCoAカルボキシラーゼよりも18:1−補酵素Aまたは18:1−アシルキャリアータンパク質によるフィードバック阻害に対する感受性の低い1つ以上のACCase変異体酵素またはそのサブユニットを含む、植物。
  33. 前記アセチルCoAカルボキシラーゼ酵素またはそのサブユニットが、炭素固定のために3−ヒドロキシプロピオン酸サイクルを使用する生物に由来する、請求項32に記載の植物。
  34. 前記アセチルCoAカルボキシラーゼまたはそのサブユニットが、スルフォロブス目、ケナルカエウム目、アーケオグロブス目、デスルフロコックス目、サーモプロテウス目、サーモコッカス目、またはハロバクテリウム目からなる群から選択される生物に由来する、請求項33に記載の植物。
  35. 前記アセチルCoAカルボキシラーゼまたはそのサブユニットが、メタッロスパエラ・セドゥラ、アシディアヌス・ブリエレイ、スルホロブス・ソルファタリカス、スルホロブス・トコダイイ、スルホロブス・アシドカルダリウス、ケナルカエウム・シュンビオスム、アーケオグロブス・フルギダス、ハイパーサーマス・ブチリカス、スタフィロサーマス・マリナス、テルモフィルム・ペンデンス、イグニコックス・ホスピタリス、ピロバキュラム・アエロフィラム、ピロバキュラム・イスランディクム、ピロバキュラム・カリディフォンティス、ピロバキュラム・フリオサス、ピロバキュラム・アビシ、ピロバキュラム・ホリコシイ、ハロアーキュラ・マリスモルツイ、ハロバクテリウム属種NRC−1、ハロクアドラトゥム・ワルスビイ、ハロラブラム・ラクスプロファンディ(Halorubrum lacusprofundi)、またはナトロノモナス・ファラオニスからなる群から選択される生物に由来する、請求項34に記載の植物。
  36. 前記アセチルCoAカルボキシラーゼまたはそのサブユニットが、メタッロスパエラ・セドゥラ、アシディアヌス・ブリエレイ、またはケナルカエウム・シュンビオスムからなる群から選択される生物に由来する、請求項33に記載の植物。
  37. 前記アセチルCoAカルボキシラーゼ酵素またはそのサブユニットが、クロロフレクサス・オーランティアカスに由来する、請求項32に記載の植物。
  38. 操作可能に連結されたDNA断片:
    a)植物発現可能プロモーター、
    b)配列番号2、3、5、7、9、11、13、15、17、または19のアミノ酸配列から選択されるアミノ酸配列を有する1つ以上のアセチルCoAカルボキシラーゼサブユニットをコードする1つ以上のコード領域、好ましくは異種コード領域;あるいは、配列番号2、3、5、7、9、11、13、15、17、もしくは19、または配列番号46〜128のいずれかのアミノ酸配列から選択されるアミノ酸配列と70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有し、アセチルCoAカルボキシラーゼの酵素活性を有するコード領域、ならびに任意選択的に、
    c)植物細胞において機能する転写終結および/またはポリアデニル化領域、を含むDNA分子を含む、請求項32に記載の植物。
  39. 前記DNA分子が、葉緑体標的ペプチドをコードするDNA領域をさらに含む、請求項38に記載の植物。
  40. 前記コード領域が、331位のヌクレオチド〜1860位のヌクレオチドの配列番号1、1860位のヌクレオチド〜2360位のヌクレオチドの配列番号1、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、もしくは配列番号18のヌクレオチド配列、またはそれと70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%のヌクレオチド配列同一性を有するコード領域を含む、請求項38に記載の植物。
  41. 前記植物発現可能プロモーターが、色素体において発現されるプロモーターであり、前記終結および/またはポリアデニル化域が、色素体において機能する転写終結領域である、請求項38または40に記載の植物。
  42. 請求項32〜請求項41のいずれか1項に記載の植物の細胞、組織、油貯蔵組織、または種子。
  43. 請求項31〜請求項41のいずれか1項に記載の植物に由来する、油。
  44. 操作可能に連結されたDNA断片:
    a)植物発現可能プロモーター、
    b)配列番号2、3、5、7、9、11、13、15、17、または19のアミノ酸配列から選択されるアミノ酸配列を有する1つ以上のアセチルCoAカルボキシラーゼサブユニットをコードする1つ以上のコード領域、好ましくは異種コード領域;あるいは、配列番号2、3、5、7、9、11、13、15、17、もしくは19、または配列番号46〜128のいずれかのアミノ酸配列から選択されるアミノ酸配列と70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有し、アセチルCoAカルボキシラーゼの酵素活性を有するコード領域、ならびに任意選択的に、
    c)植物細胞において機能する転写終結および/またはポリアデニル化領域、を含む、キメラDNA。
  45. 植物の細胞中の油含有量を増加させるための、植物の野生型アセチルCoAカルボキシラーゼよりも18:1−補酵素Aまたは18:1−アシルキャリアータンパク質によるフィードバック阻害に対する感受性の低い、色素体アセチルCoAカルボキシラーゼ変異体酵素またはそのサブユニットの使用。
  46. 植物の野生型アセチルCoAカルボキシラーゼよりも18:1−補酵素Aまたは18:1−アシルキャリアータンパク質によるフィードバック阻害に対する感受性の低いアセチルCoAカルボキシラーゼ酵素の変異体またはそのサブユニットを単離する方法であって、
    a)好ましくは植物から、フィードバック阻害感受性CoAカルボキシラーゼに由来する多数の変異体アセチルCoAカルボキシラーゼ酵素を作製するステップと、
    b)18:1−補酵素Aまたは18:1−アシルキャリアータンパク質または18:1Tweenの存在下で、前記変異体アセチルCoAカルボキシラーゼ酵素の各々の酵素活性を同定するステップと、
    c)18:1−補酵素Aまたは18:1−アシルキャリアータンパク質の存在下で前記フィードバック阻害感受性CoAカルボキシラーゼの酵素活性よりも高い酵素活性を有するこれらの酵素変異体を単離するステップと、を含む、方法。
  47. 植物の細胞中の油含有量を増加させる方法であって、
    a)請求項45に記載の方法に従って、植物の野生型アセチルCoAカルボキシラーゼよりも18:1−補酵素Aまたは18:1−アシルキャリアータンパク質によるフィードバック阻害に対する感受性の低いアセチルCoAカルボキシラーゼ酵素の変異体またはそのサブユニットを単離するステップと、
    b)前記アセチルCoAカルボキシラーゼ酵素の変異体またはそのサブユニットを、好ましくは、前記アセチルCoAカルボキシラーゼをコードするDNA構築物からの転写により、植物に導入するステップと、を含む、方法。
  48. 植物の野生型アセチルCoAカルボキシラーゼよりも18:1−補酵素Aまたは18:1−アシルキャリアータンパク質によるフィードバック阻害に対する感受性の低い色素体アセチルCoAカルボキシラーゼ変異体酵素またはそのサブユニットをコードする変異型対立遺伝子を含む植物細胞または植物を単離する方法であって、
    a)各々が多数の変異体アセチルCoAカルボキシラーゼ酵素もしくはそのサブユニットを含む、植物細胞または植物の集団を提供するステップと、
    b)18:1−補酵素Aまたは18:1−アシルキャリアータンパク質または18:1Tweenの存在下で、前記変異体アセチルCoAカルボキシラーゼ酵素またはそのサブユニットの各々の酵素活性を同定するステップと、
    c)18:1−補酵素Aまたは18:1−アシルキャリアータンパク質の存在下で前記フィードバック阻害感受性CoAカルボキシラーゼの酵素活性よりも高い酵素活性を有する酵素変異体を含むこれらの植物細胞または植物を単離するステップと、を含む、方法。
  49. 請求項48に記載の方法によって得られる、植物細胞または植物。
  50. 食物、飼料、または産業製品を生成する方法であって、
    a)請求項32〜41、および49のいずれか1項に記載の植物またはその部分を得ることと、
    b)前記植物またはその部分から前記食物、飼料、または産業製品を調製することと、を含む、方法。
  51. a)前記食物または飼料が、油、粗びき粉、穀物、デンプン、小麦粉、もしくはタンパク質であるか、または
    b)前記産業製品が、バイオ燃料、繊維、産業用化学物質、医薬品、もしくは栄養補助食品である、請求項50に記載の方法。
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