JP2014528409A - 増殖性疾患(がん)の治療において使用するためのSMAC模倣体(ビリナパント(birinapant)) - Google Patents

増殖性疾患(がん)の治療において使用するためのSMAC模倣体(ビリナパント(birinapant)) Download PDF

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Abstract

Smac模倣体およびその医薬組成物を使用する方法を開示する。

Description

関連出願の相互参照
本出願は2011年9月30日出願の米国仮出願第61/541,531号; 2011年11月2日出願の米国仮出願第61/554,829号; 2011年11月12日出願の米国仮出願第61/559,058号および2012年6月6日出願の米国仮出願第61/656,026号の優先権を主張し、いずれもその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
発明の分野
本発明は、Smac模倣体および組成物、ならびにがんを含む増殖性障害を治療するためのその使用の分野にある。
発明の背景
アポトーシスタンパク質阻害因子(IAP)は、カスパーゼ依存性アポトーシスを抑制する天然の細胞内タンパク質である。DIABLOとしても知られるSmacは、IAPの活性に拮抗する、すなわちそれを阻害するように機能する別の細胞内タンパク質である。正常な健常細胞において、SmacおよびIAPは一緒になって健常細胞の生存度を維持するように機能する。しかし、ある種の疾患状態、例えばがんおよび他の増殖性障害において、IAPは適切に拮抗されず、したがってアポトーシスを阻止し、異常な増殖および生存を引き起こすかまたは増悪させる。
IAPアンタゴニストとしても知られるSmac模倣体は、Smacの4個のN末端アミノ酸の構造およびIAPアンタゴニスト活性を模倣する合成小分子である(Smac模倣体を時々IAPアンタゴニストと呼ぶ)。Smac模倣体は、増殖性障害に罹患した動物に投与されると、IAPに拮抗して、異常増殖細胞においてアポトーシスの増大を引き起こす。
Smacペプチド模倣体の例としては、米国特許第7,517,906号(特許文献1); 米国特許第7,419,975号(特許文献2); 米国特許第7,589,118号(特許文献3); 米国特許第7,932,382号(特許文献4); 米国特許第7,345,081号(特許文献5); 米国特許第7,244,851号(特許文献6); 米国特許第7,674,787号(特許文献7); 米国特許第7,772,177号(特許文献8); 米国特許第7,989,441号(特許文献9); 米国特許出願公開第20100324083号(特許文献10); 米国特許出願公開第20100056467号(特許文献11); 米国特許出願公開第20090069294号(特許文献12); 米国特許出願公開第20110065726号(特許文献13); 米国特許出願公開第20110206690号(特許文献14); 国際公開公報第2011098904号(特許文献15)に非限定的に開示されているものがある。
米国特許第7,517,906号 米国特許第7,419,975号 米国特許第7,589,118号 米国特許第7,932,382号 米国特許第7,345,081号 米国特許第7,244,851号 米国特許第7,674,787号 米国特許第7,772,177号 米国特許第7,989,441号 米国特許出願公開第20100324083号 米国特許出願公開第20100056467号 米国特許出願公開第20090069294号 米国特許出願公開第20110065726号 米国特許出願公開第20110206690号 国際公開公報第2011098904号
一局面では、本発明は、増殖性障害に罹患している患者を治療する方法であって、既に理解されている用量に対して高い用量を含む選択された用量のN-{1S-[2R-(6,6'-ジフルオロ-3'-{4S-ヒドロキシ-1-[2S-(2S-メチルアミノ-プロピオニルアミノ)-ブチリル]-ピロリジン-2R-イルメチル}-1H,1'H-[2,2']ビインドリル-3-イルメチル)-4S-ヒドロキシ-ピロリジン-1-カルボニル]-プロピル}-2S-メチルアミノ-プロピオンアミドおよび薬学的に許容されるその塩、ならびに以下にさらに記載される様々な形態のそのような化合物およびその塩を投与する段階を含む方法である。
この化合物は、その開示全体が完全に本明細書に記載されているかのように参照により本明細書に組み入れられる米国特許出願公開第20110003877号に開示されており、該化合物は以下の構造を有する:
Figure 2014528409
式中、R5は-CH2CH3であり、Meはメチルである。本明細書において、この化合物を化合物15とも呼ぶ。ビリナパント(birinapant)としても知られている。
関連する局面では、本発明は、そのような化合物を以下に記載の用量で含む静脈内注入用投与単位の医薬組成物、および、増殖性障害の治療を必要とするヒトまたは非ヒト哺乳動物対象において該治療を行う方法であって、本明細書において下記でより完全に規定される用量である有効量の該化合物または薬学的に許容されるその塩を該対象に体内投与する段階を含む方法を含む。
さらなる例示的態様では、本発明は、異常増殖性細胞のアポトーシスをヒトまたは非ヒト哺乳動物対象において増強する方法であって、本明細書において下記で規定される用量の化合物15を例えば静脈内注入によって体内投与する段階を含む方法を含む。
さらなる例示的態様では、本発明は、例えば放射線照射、化学療法、免疫療法、光線力学療法およびそれらの組み合わせなどの第2のがん関連治療を実施する段階をさらに含む上記方法のいずれか1つまたは複数を含む。
さらなる例示的態様では、本発明は、自己免疫疾患の治療を必要とする哺乳動物において該治療を行う方法であって、自己免疫疾患についての状態が、アポトーシスの異常制御により引き起こされているかまたは増悪されており、例えば、全身性エリテマトーデス、乾癬、および免疫性血小板減少性紫斑病を含み、前記方法が、本明細書において下記で規定される用量の化合物15または薬学的に許容されるその塩を前記動物に体内投与する段階を含む、方法を含む。
発明の詳細な説明
本発明に従って投与される化合物は、増殖性障害、例えば各種良性腫瘍もしくは悪性腫瘍(がん)、良性増殖性疾患(例えば乾癬、良性前立腺肥大症および再狭窄)、または自己免疫疾患(例えば自己免疫増殖性糸球体腎炎、リンパ球増殖性自己免疫応答)の治療において使用可能なSmac模倣体である。Smac模倣体(すなわちIAPアンタゴニスト)で潜在的に治療可能ながんとしては、以下のうち1つまたは複数が挙げられるがそれに限定されない: 肺腺がん、膵がん、結腸がん、卵巣がん、乳がん、中皮腫、末梢神経腫、膀胱がん、膠芽腫、黒色腫、副腎皮質がん、AIDS関連リンパ腫、肛門がん、膀胱がん、髄膜腫、神経膠腫、星状細胞腫、乳がん、子宮頸がん、慢性骨髄増殖性障害(例えば、真性一次性赤血球増加症、慢性骨髄性白血病)、慢性リンパ性白血病、結腸がん、内分泌がん、子宮内膜がん、上衣腫、食道がん、ユーイング肉腫、頭蓋外胚細胞腫瘍、性腺外胚細胞腫瘍、肝外胆管がん、胆嚢がん、胃がん、消化管カルチノイド腫瘍、妊娠性トロホブラスト腫瘍、ヘアリーセル白血病、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、下咽頭がん、眼球内黒色腫、島細胞がん、カポジ肉腫、喉頭がん、白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、口唇がん、口腔がん、肝がん、男性乳がん、悪性中皮腫、髄芽腫、黒色腫、メルケル細胞がん、転移性扁平上皮頸部がん、多発性骨髄腫および他の形質細胞腫瘍、菌状息肉症およびセザリー症候群、骨髄異形成症候群、上咽頭がん、神経芽腫、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、中咽頭がん、骨肉腫および骨悪性線維性組織球腫を含む骨がん、卵巣上皮がん、卵巣胚細胞腫瘍、卵巣低悪性度腫瘍、膵がん、副鼻腔がん、副甲状腺がん、陰茎がん、褐色細胞腫、下垂体腫瘍、前立腺がん、直腸がん、腎細胞がん、網膜芽腫、横紋筋肉腫、唾液腺がん、皮膚がん、小腸がん、軟部組織肉腫、テント上原始神経外胚葉性腫瘍、松果体芽腫、精巣がん、胸腺腫、胸腺がん、甲状腺がん、腎盂および尿管の移行細胞がん、尿道がん、子宮肉腫、膣がん、外陰がん、ならびにウィルムス腫瘍および他の小児腎腫瘍。
本発明のいくつかの態様は、細胞、特に病理学的に増殖性の細胞のアポトーシスを誘導することを含む。方法はインビトロまたはインビボで行うことができる。
本発明の方法は、化合物15の単独投与、複数のIAPアンタゴニストの組み合わせの投与、または1つもしくは複数のさらなるIAPアンタゴニストおよび1つもしくは複数のさらなる化学療法剤有りまたは無しでの化合物15の投与を含みうる。複数の薬剤の投与は同時でも逐次でもよい。有用な化学療法剤としてはアルキル化剤(例えばシクロホスファミド、メクロレタミン、クロラムブシル、メルファラン)、アントラサイクリン(例えばダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ミトキサントロン、バルルビシン)、細胞骨格破壊剤(例えばパクリタキセル、ドセタキセル)、エポチロン(例えばエポチロンA、エポチロンB、エポチロンD)、トポイソメラーゼIおよびII阻害剤(例えば、イリノテカン、トポテカン、エトポシド、テニポシド、タフルポシド(tafluposide))、ヌクレオチド類似体前駆体類似体(例えばアザシチジン、アザチオプリン、カペシタビン、シタラビン、ドキシフルリジン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、メルカプトプリン、メトトレキサート、チオグアニン)、ペプチド抗生物質(例えばブレオマイシン)、白金系薬剤(例えばカルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチン)、レチノイド(例えばオールトランスレチノイン酸)、ならびにビンカアルカロイドおよび誘導体(例えばビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン)が挙げられるがそれに限定されない。いくつかの態様では、化学療法剤としてフルダラビン、ドキソルビシン、パクリタキセル、ドセタキセル、カンプトテシン、エトポシド、トポテカン、イリノテカン、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、アムサクリン、ミトキサントロン、5-フルオロ-ウラシルまたはゲムシタビンが挙げられる。
本発明のいくつかの態様では、化合物15を単独または1つもしくは複数の他の薬学的有効成分との組み合わせで含む医薬組成物をヒト対象または獣医学的対象に投与する。医薬組成物は、少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤、例えば担体または希釈剤を典型的に含み、全身経路、局所経路または経口経路を含む経路により慣習的に投与することができる。投与は、通常はボーラスまたは注入のいずれかとしての静脈内注射によるが、例えば、皮下、筋肉内、腹腔内、胸腔内、くも膜下腔内、眼窩内または動脈内注射を含む他の投与経路が排除されるわけではない。静脈内製剤は、pH 5の滅菌0.05Mクエン酸緩衝食塩水中の例えば1mg/mLから5mg/mL以下の化合物15を含有しうる。静脈内注入では、0.05Mクエン酸緩衝食塩水中の例えば1mg/mLまたは5mg/mLの化合物15を、注入バッグ中の滅菌食塩水に、所望の用量を送達するように計算された量で加えることができる。
典型的には、化合物15は静脈内注入により投与され、該注入は例えば、約1〜約120分間、または1〜約60分間、例えば約30分間の注入時間にわたる注入を含む。
本発明の医薬組成物は、薬学的有効成分、すなわち化合物15が十分に純粋である組成物であり、該組成物はまた、ヒトまたは他の哺乳動物への体内投与に好適である。それは単位剤形、すなわち例えば注入による対象への単回投与に好適な形態で調製することができる。したがって、例えば静注用の単位剤形の医薬組成物は、バイアルもしくはプレフィルドシリンジ、または注入バッグもしくは注入装置を含みうるものであり、これらはそれぞれ、1つのバイアルもしくはシリンジ(または各バイアル中の用量の画分に応じた少数の複数のバイアル)の内容物が一度に投与されるように、以下に記載の所望の用量(またはそのような用量の好都合な画分)を供給するために十分な量の化合物15を含む。
累積有効量、例えば腫瘍の静止または退縮をもたらすのに有効な累積用量を実現するために、必要であればある期間にわたって1日当たり最大約4回投与を繰り返すことができる。投与レジメンは、治療が有効である限りの、例えば疾患が進行するかまたは薬物が耐容されなくなるまでの、3週間オンおよび1週間オフのサイクルでのまたは連続的な、例えば毎日、週2回もしくは週3回の静脈内注射、または例えば週1回の注射でありうる。各注射において投与される有効量は、有効でありかつ耐容される量である。
有効量は、例えば1週間以上、例えば3週間オン/1週間オフの複数の過程でありうる治療過程にわたって、増殖性障害の治療、すなわち疾患進行速度の低下、疾患進行の終止、または退縮もしくは寛解をもたらす用量である。
本発明の一局面として、化合物15が意外にも十分に耐容されることがわかった。したがって、本発明のいくつかの態様では、化合物15は通常、既に理解されているよりも高用量で投与することができる(例えば米国特許出願公開第20110003877号参照)。本発明のいくつかの態様では、化合物15は通常、Smacの4つのN-末端アミノ酸の構造およびIAPアンタゴニスト活性を模倣する他の合成小分子(すなわち他のSmac模倣体)よりも概ね高い用量で投与することができる。他のSmac模倣体は、最大耐容量(MTD)が比較的低く、そのようなMTD未満では有意な臨床的有効性を示さなかった。
本発明の実施において使用される用量は、増殖性障害または他の特定の障害、例えば特定の自己免疫障害に罹患した患者において異常増殖性細胞のアポトーシスを増強するのに有効でありうる。例えば化合物15は、各処置日につき、患者の体表面積(BSA)当たり1〜80mg/m2、例えば2〜80、2〜65、5〜65、10〜65、20〜65、30〜65、30以上〜80、30以上〜65、30以上〜60、30以上〜55、または30以上〜50mg/m2の用量で、例えば注入によって静脈内投与することができ、この用量は例えば約1〜約120分間、例えば約30分間にわたる注入によって投与される。ほとんどの場合、用量は5mg/m2より多い。例えば、用量は5以上〜80、5以上〜60mg/m2の範囲でありうる。現行の臨床試験では、約5mg/m2〜約50mg/m2、具体的には5.6〜47mg/m2が使用されている。毎週63mg/m2を3週間オン/1週間オフで受け取った2名の患者では、化合物15は十分に耐容されなかった。
BSAを計算するための異なる式が存在することが理解されよう。Mosteller式(Mosteller RD. "Simplified calculation of body-surface area". N Engl J Med 317:1098 (1987))およびDubois & Dubois式(Du Bois & Du Bois, Arch Intern Med 17:863 (1916))が最も一般的に使用されている。本明細書に列挙される用量は、任意のそのような受容された方法論に従って計算されるBSAに適合するように意図されているが、そのような異なる方法論は、例えば使用される小数位の数に応じてわずかに異なるBSA計算値を生じさせることがある。当然ありうる誤差を許容する小数第1位、例えば1.6m2(±0.1)または1.9m2(±0.1)にBSA計算値を四捨五入すれば一般的には十分である。本発明においては、BSAは例えば関連集団の平均値を使用して推定してもよい。
本明細書においてmg/m2 BSAとして列挙した用量は、勿論、mg/kg体重に変換することができる。したがって例えば、所与の患者がBSA 1.6m2および体重77kgを有すると仮定すると、用量40mg/m2は用量64mg、すなわち約0.8mg/kgに等しい。さらなる例では、平均成人BSA 1.7m2および平均成人体重70kgを使用すると、用量40mg/m2は用量68mg、すなわちやはり約0.8mg/kgに等しい。同様に、そのような平均BSAおよび体重の人物では、用量範囲30超〜60mg/m2は用量範囲0.7mg/kg超〜約1.5mg/kgに等しい。
また、化合物15が患者において長い半減期を有し、したがって1日当たり1回未満での投与が可能であることも発見された。概ね、化合物15は、1〜4週間(またはそれより長い期間)にわたって、週1回、週2回または週3回投与することができる。場合によっては、処置期間の後に休止期間が続くことがある。好適な休止期間としては1週間が挙げられるがそれに限定されない。化合物15が有効性を示しかつ耐容される限り、1週間、2週間、3週間または4週間「オン」および1週間「オフ」といったそのような治療サイクルを続けることができる。「オン」の週とは、連続する週、すなわち、服薬中の連続2週間、服薬中の連続3週間、および服薬中の連続4週間(またはそれより長い期間)のことであると理解すべきである。
化合物15の例示的な投与レジメンは、1〜4週間にわたって週1回、例えば連続2週間または3週間にわたる週1回約30分間の注入、および引き続く1週間オフである。特定の例示的な投与レジメンとしては、以下の治療サイクルのうちの1つに従った、週1回の薬物の例えば静脈内注入による投与が挙げられるがそれに限定されない:
1) 例えば化学療法との組み合わせでの2週間オン/1週間オフ;
2) 例えばAML患者における1週間オン/1週間オフ;
3) 例えばAML患者における2週間オン/1週間オフ;
4) 例えばAML患者における3週間オン/1週間オフ;
5) 連続的(すなわち休止期間なし)。
化合物15の例示的な投与レジメンは、2〜4週間にわたる週1回、例えば連続2または3週間にわたる週1回30分間の注入、および引き続く1週間オフである。化合物15が有効性を示しかつ耐容される限り、2、3または4週間オンおよび1週間オフといった治療サイクルを続けることができる。
代替的な投与レジメンでは、化合物15が有効性を示しかつ耐容される限り、化合物15を休止期間なしで、すなわち連続的に週1回、週2回または週3回投与する。
3もしくは4週間オンおよび1週間オフでまたは連続的に週1回約30分間の静脈内注入によって投与する際に、30mg/m2超、例えば30超〜65、30超〜60または30超〜50mg/m2という用量が耐容されかつ有効でありうることは、注目すべきことであり、演繹的に予測不可能である。
典型的には、化合物15を単独療法、すなわち単剤療法で使用する場合には、併用療法よりも高い用量が使用される。そのような単独療法の用量は、例えば3週間オン/1週間オフでまたは連続的に、毎週約40〜約55mg/m2または約45〜約50mg/m2でありうる。単剤療法での化合物15の例示的な投与レジメンは、3週間オン/1週間オフでまたは連続的に、毎週45〜50mg/m2、例えば47mg/m2である。
化合物15を併用療法で使用する場合、用量は、例えば3週間オン/1週間オフでまたは連続的に、毎週約5〜約50mg/m2または約5〜約40mg/m2でありうる。併用療法での化合物15の例示的な投与レジメンは、3週間オン/1週間オフでまたは連続的に、毎週約5〜約35mg/m2である。
化合物15への耐容性が低い患者では、より低い用量でより頻繁に投与することができる。例えばAML患者において、化合物15を単剤療法では3週間オン/1週間オフでまたは連続的に、約15〜約20mg/m2、例えば17mg/m2で週2回(例えば月曜日および木曜日、火曜日および金曜日など)、または17mg/m2で週3回(例えば月曜日、水曜日、金曜日)投与することができる。
「医薬組成物」という語句は、医療用途での投与、すなわち患者への体内投与に好適な組成物を意味する。本発明の方法に係る注入に好適な組成物は、レシピエントの血液と等張性であることが好ましい化合物15の滅菌水性製剤を含むのが好都合である。この水性製剤は、緩衝剤を含みうる好適な担体または希釈剤を使用する公知の方法に従って調剤することができる。したがって、例示的な一局面では、本発明は、がんまたは自己免疫障害の治療のための静脈内または皮下投与において使用するための、水性溶媒中に化合物15および1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤を含む医薬投与単位を含む。
以下でさらに詳細に説明する同席療法または併用療法を実施する場合、化合物15の投与は、化学療法剤または放射線が系を本発明の方法および組成物に対して感作させる限り、化学療法または放射線照射などの併用療法と同時か、その後かまたはその前に行うことができる。
本発明はまた、化学増強剤としての化合物15を他の治療アプローチと共に使用することに関する。「化学増強剤」という用語は、化学物質もしくは治療薬、すなわち「化学療法剤」もしくは「化学薬」、または放射線治療に対する生物、組織または細胞の感受性を増大させるように作用する薬剤を意味する。したがって、本発明の方法および組成物は、生物学的薬剤もしくは化学療法剤との組み合わせでそれらを投与すること、または放射線との組み合わせでそれらを使用することにより、インビボで腫瘍成長を阻害するために使用することができる。これらの用途において、治療部位の感作を引き起こすために、本発明に従って行う化合物15の投与を事前に十分な時間をかけて行うことができる。あるいは、化合物15を放射線および/または別の化学的抗がん薬(下記)と同時に使用することもできる。
生物学的薬剤および化学療法剤/抗腫瘍剤ならびに放射線は、外因性または内因性アポトーシス経路を活性化することでアポトーシスを誘導するものであり、本発明の方法および組成物がアポトーシスタンパク質のアンタゴニスト(IAP)を除去し、それによりアポトーシスの遮断を除去することから、化学療法剤/抗腫瘍剤および放射線と本発明の方法および組成物との組み合わせは、アポトーシスを促進するために相加的または相乗的に働くはずである。
本発明の化合物と、外因性または内因性経路を活性化する任意の種類の生物学的薬剤もしくは化学療法剤/抗腫瘍剤および/または放射線療法との組み合わせは、腫瘍細胞の破壊に対する最も有効なアプローチを提供することができる。本発明の化合物は、XIAP、cIAP-1、cIAP-2、ML-IAPなどのIAPと相互作用し、IAPが媒介するアポトーシスの遮断を除去する。大部分の化学療法剤/抗腫瘍剤および/または放射線療法は、内因性アポトーシス経路を活性化することで分裂が活発な細胞を死滅させて、アポトーシスおよび細胞死を導く。TRAIL (TNF関連アポトーシス誘導リガンド)などの生物学的抗腫瘍薬は外因性アポトーシス経路を活性化する。以下でさらに詳細に説明するように、本発明の態様は、望まれない細胞増殖に対する相乗作用を与える、本発明の化合物と生物学的薬剤もしくは化学療法剤/抗腫瘍剤および/または放射線との組み合わせを提供する。本発明の化合物と生物学的薬剤もしくは化学療法剤/抗腫瘍剤および/または放射線療法との間のこの相乗作用は、生物学的薬剤もしくは化学療法剤/抗腫瘍剤および/または放射線療法の効率を改善することができる。これは、現行の生物学的薬剤もしくは化学療法剤/抗腫瘍剤または放射線治療の有効性の増大を可能にすることで、治療に応答する腫瘍の割合の増加、腫瘍応答の改善、および潜在的には、腫瘍を治療するために必要な生物学的薬剤もしくは化学療法剤/抗腫瘍剤の用量の減少を可能にすることによって、より耐容可能な用量の生物学的薬剤もしくは化学療法剤/抗腫瘍剤および/または放射線の使用を許容する。
本発明の一態様では、膀胱がん、乳がん、前立腺がん、肺がん、膵がん、胃がん、結腸がん、卵巣がん、腎がん、肝細胞腫、黒色腫、リンパ腫、肉腫およびそれらの組み合わせなどであるがそれに限定されない腫瘍の新生物増殖性病態の治療のために、同時または先だって行われる放射線照射または化学療法に患者を供するときに、本発明の化合物または医薬組成物を投与することにより、該患者を治療する。
本発明の別の態様では、生物学的薬剤もしくは化学療法剤との組み合わせで、かつ/または放射線療法、免疫療法および/もしくは光線力学療法との組み合わせでの使用において、本発明の化合物または組成物を投与することで、アポトーシスを促進しかつ化学療法剤、放射線療法、免疫療法および/または光線力学療法の有効性を強化することができる。
上述のとおり、本発明の態様は、化合物15に加えて、がんに罹患した患者を生物学的薬剤または化学療法剤の同時または併用投与により治療する方法も含む。そのような生物学的薬剤または化学療法剤としては、その全体が参照により本明細書に組み入れられる"Modern Pharmacology with Clinical Applications", Sixth Edition, Craig & Stitzel, Chpt. 56, pg 639-656 (2004)に記載の化学療法剤が挙げられるがそれに限定されない。化学療法剤はアルキル化剤、代謝拮抗薬、抗腫瘍抗生物質、タキサンなどの植物由来生成物、酵素、ホルモン薬、シスプラチンなどの種々の薬剤、モノクローナル抗体、グルココルチコイド、有糸分裂阻害剤、トポイソメラーゼI阻害剤、トポイソメラーゼII阻害剤、インターフェロンなどの免疫調節薬、細胞成長因子、サイトカイン、ならびに非ステロイド性抗炎症化合物(NSAID)、細胞成長因子およびキナーゼ阻害剤でありうるがそれに限定されない。化学療法剤の他の好適な分類としては有糸分裂阻害剤および抗エストロゲン剤が挙げられる。
好適な生物学的薬剤および化学療法剤の具体例としてはカルボプラチン、シスプラチン、カルムスチン(BCNU)、ベンダムスチン、5-フルオロウラシル(5-FU)、シタラビン(Ara-C)、クロファラビン、デシタビン、5-アザシチジン、ゲムシタビン、メトトレキサート、ダウノルビシン、ドキソルビシン、デキサメタゾン、イリノテカン、トポテカン、エトポシド、パクリタキセル、ドセタキセル、ビンクリスチン、タモキシフェン、TNF-α、TRAILならびに分子のTNFスーパーファミリーの他のメンバー、すなわちTRAILおよびTNF-α以外のメンバー、インターフェロン(そのαおよびβ形態での)、GM-CSF、IL-2、サリドマイド、レナリドミドなどのサリドマイド誘導体、メルファラン、EGFR、Her-2、B-RAF、ALK、Metなどのキナーゼの阻害剤(低分子および抗体をいずれも含む)、ならびにPARP阻害剤が挙げられるがそれに限定されない。好適な化学療法剤の他の具体例としては、シクロホスファミドなどのナイトロジェンマスタード、アルキルスルホン酸塩、ニトロソウレア、エチレンイミン、トリアゼン、葉酸アンタゴニスト、プリン類似体、ピリミジン類似体、アントラサイクリン、ブレオマイシン、マイトマイシン、ダクチノマイシン、プリカマイシン、ビンカアルカロイド、エピポドフィロトキシン、タキサン、グルココルチコイド、L-アスパラギナーゼ、エストロゲン、アンドロゲン、プロゲスチン、黄体ホルモン、オクトレオチド酢酸塩、ヒドロキシウレア、プロカルバジン、ミトタン、ヘキサメチルメラミン、カルボプラチン、ミトキサントロン、モノクローナル抗体、レバミゾール、インターフェロン、インターロイキン、ならびに、エリスロポエチン、ロミプロスチム、エルトロンボパグ、フィルグラスチムおよびサルグラモスチムなどの支持療法剤が挙げられる。
本発明の別の態様は、本発明の化合物または組成物とそれらのアポトーシス誘導作用を増強するトポイソメラーゼ阻害剤との組み合わせの使用に関する。トポイソメラーゼ阻害剤は、DNAの複製および修復を阻害することによりアポトーシスを促進するものであり、化学療法剤として使用される。トポイソメラーゼ阻害剤は、DNA修復プロセスに必要な酵素を阻害することでDNA損傷を促進する。したがって、ミトコンドリアから細胞サイトゾル中へのSmacの搬出は、トポイソメラーゼ阻害剤が引き起こすDNA損傷により誘発される。I型クラス(カンプトテシン、トポテカン、SN-38(イリノテカン活性代謝物))およびII型クラス(エトポシド)の両方のトポイソメラーゼ阻害剤が、本発明の化合物との強力な相乗作用を示すと予想される。使用可能なトポイソメラーゼ阻害剤のさらなる例としてはイリノテカン、トポテカン、エトポシド、アムサクリン、エキサテカン(exatecan)、ギマテカン(gimatecan)などが挙げられるがそれに限定されない。他のトポイソメラーゼ阻害剤としては例えばアクラシノマイシンA、カンプトテシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エリプチシン、エピルビシンおよびミトキサントロンが挙げられる。
本発明の別の態様は、本発明の化合物または組成物と非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)との組み合わせの使用に関する。
本発明の別の態様では、本発明の方法および組成物との組み合わせで使用される化学療法剤/抗腫瘍剤は白金含有化合物でありうる。本発明の一態様では、白金含有化合物はシスプラチンである。シスプラチンは、本発明の化合物と相乗作用を示し、XIAP、cIAP-1、c-IAP-2、ML-IAPなどであるがそれに限定されないIAPの阻害を増強することができる。別の態様では、白金含有化合物はカルボプラチンである。カルボプラチンは、本発明の化合物と相乗作用を示し、XIAP、cIAP-1、c-IAP-2、ML-IAPなどを含むがそれに限定されないIAPの阻害を増強することができる。別の態様では、白金含有化合物はオキサリプラチンである。オキサリプラチンは、本発明の化合物と相乗作用を示し、XIAP、cIAP-1、c-IAP-2、ML-IAPなどを含むがそれに限定されないIAPの阻害を増強することができる。
白金化学療法薬はDNA修飾剤の一般的な群に属する。DNA修飾剤は、核酸およびタンパク質における各種求核性基と結合する任意の高度に反応性の化学物質でありうるものであり、変異原性作用、発がん性作用または細胞毒性作用を引き起こしうる。DNA修飾剤は、異なる機構、すなわちDNA機能の破壊および細胞死; DNA損傷/DNAにおける原子間の架橋または結合の形成; ならびに変異を導くヌクレオチドの誤対合の誘導によって働くことで、同一の最終結果を実現する。白金含有DNA修飾剤の3つの非限定的な例はシスプラチン、カルボプラチンおよびオキサリプラチンである。
本発明のさらに別の態様は、本発明の化合物または組成物と、TRAIL抗体もしくはTRAILアゴニスト抗体、またはTRAIL受容体に結合してそれを活性化する他の化学的もしくは生物学的薬剤との治療上の組み合わせまたは治療における組み合わせでの使用である。多くの種類のがん細胞がTRAIL誘導性アポトーシスに感受性がある一方で、大部分の正常細胞はTRAILのこの作用に抵抗性があるようである。TRAIL抵抗性細胞は、受容体の減少、デコイ受容体の存在、DISC形成中にチモーゲンカスパーゼ8結合について競合するcFLIPLの過剰発現、ならびにXIAPによる活性化カスパーゼ3および/またはカスパーゼ9の阻害を含む種々の異なる機構により生じうる。TRAIL抵抗性において、本発明の化合物または組成物は、TRAILに対する腫瘍細胞の感受性を増大させて細胞死の亢進を導くことができ、その臨床的相関は、TRAIL抵抗性腫瘍におけるアポトーシス活性の増大、臨床応答の改善、応答持続時間の増大、および最終的には患者生存率の向上であると予想される。
本発明の別の態様では、化合物15をサイトカイン(例えば、TNFα、IFN、IL-2またはGM-CSF)との組み合わせで投与する。
本発明の方法および組成物を使用して、放射線療法(radiation therapy)(または放射線療法(radiotherapy))、すなわち悪性細胞を制御するがん治療の一部としての電離放射線の医学的使用を強化することもできる。放射線療法は、根治療法の一部として使用されることが多いが、治癒が不可能であり症状の軽減を目的とする対症療法として使用されることもある。放射線療法は一般的に腫瘍の治療に使用される。それは一次療法として使用可能である。放射線療法と手術および/または化学療法とを組み合わせることも一般的である。放射線療法で治療される最も一般的な腫瘍は、乳がん、前立腺がん、直腸がん、頭頸部がん、婦人科腫瘍、膀胱がんおよびリンパ腫である。一般的に、放射線療法は、腫瘍に関与する局在的な区域にのみ適用される。多くの場合、放射線照射野は流入領域リンパ節も含む。身体全体または皮膚表面全体に放射線療法を施すことは可能だが一般的ではない。放射線療法は通常、毎日行い、最大35〜38画分まで行う(1日量は1画分とする)。これらの少なく高頻度の線量は、再び成長して放射線が与えた損傷を修復するための時間を健常細胞に与える。放射線療法の3つの主要区分は、外部ビーム放射線療法または遠隔療法、近接照射療法または密封線源放射線療法、および非密封線源放射線療法であり、これらはいずれも本発明における治療プロトコールの好適な例である。差異は放射線源の位置に関連しており、外部線源は身体の外側にあり、一方、密封および非密封線源放射線療法では放射性物質が体内送達される。近接照射療法の密封線源は通常、後で摘出され、一方、非密封線源は体内に注入される。
化合物15は、酸付加塩および/または塩基付加塩を含むがそれらに限定されない薬学的に許容される塩を形成可能である。そのような塩は本発明のすべての局面に含まれる。
本発明は、自然界に通常見られる原子質量または質量数とは異なる原子質量または質量数を有する原子で1個または複数の原子が代替されているという事実を除けば化合物15と同一である同位体濃縮化合物を用いて実施することもできる。本発明に含まれうる異性体の例としては、2H、3H、13C、14C、15N、16O、17O、31P、32P、35S、18Fおよび36Clなどの、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素および塩素の異性体が挙げられる。重水素、すなわち2Hなどのより重い同位体による置換も含まれる。一般に、同位体濃縮化合物は、容易に入手可能な異性体標識試薬で非異性体濃縮試薬を置換することにより調製することができる。例えば、水素化ホウ素ナトリウムをd4-水素化ホウ素ナトリウムで置換するかまたはヨードメタンをd3-ヨードメタンで代替することで、重水素の組み込みを達成することができる。具体的な重水素化類似体およびそれらの調製の代表例はUS20110003877に記載されている。
化合物15は非溶媒和形態、および水和形態を含む溶媒和形態で存在しうる。さらに、化合物15は、結晶形態、半結晶形態および非晶質(非結晶)形態を含む各種固体状態、ならびにクラスレート、プロドラッグ、多形、生物加水分解性エステル、ラセミ混合物、非ラセミ混合物の形態で、または光学的に純粋な鏡像異性体およびジアステレオマーを含むがそれらに限定されない精製された立体異性体として存在しうる。全体として、これらのおよび他のそのような形態はすべて、「化合物15」という用語の範囲内に包含されるように意図されている。
本明細書および特許請求の範囲における化合物15に対する言及は、式(I)の化合物だけでなく、化合物15の薬学的に許容される塩、ならびに該化合物またはその塩の各種形態、例えば上記のおよび下記の形態も含むように意図されている。
実施例1 - 化合物15の例示的合成
以下の調製例およびスキームは、TL32711およびビリナパントとしても知られる化合物15の合成を例示するものである。これらのスキーム全体を通じておよび本出願において全般的に使用する略語を表1において特定する。
Figure 2014528409
Figure 2014528409
実施例1 - 合成
Figure 2014528409
4-(tert-ブチル-ジメチル-シラニルオキシ)-ピロリジン-1,2-ジカルボン酸1-ベンジルエステル(2): Z-Hyp-OH (1、300g、1.13mol)、TEA (395mL、2.83mol)およびDBU (17.2g、1.13mol)のDMF (1.25L)溶液を冷水浴中で攪拌し、その間、TBS-Cl (188g、1.24mol)のDMF (270mL)懸濁液を21〜26℃でゆっくりと加えた[注: 中程度に発熱]。得られた希薄懸濁液を周囲温度で22時間攪拌した。反応混合物を2℃に冷却し、26℃以下の水(1.54L)で反応停止させた[注: 水層のpHは8.5〜9.0であった]。MTBE (3L)を加え、混合物を17〜19℃で濃HCl (168g)によってpH 3〜4に酸性化した。有機層を分離し、水(2x1.5L)で洗浄した。有機層を減圧濃縮し、さらなるMTBE蒸留により乾燥させた。トルエン(2x 500mL)を加え、蒸留して水分を除去することで、603gの2を明黄色油状物として得た[注: KF分析による含水量は508ppmであった]。2の小さい試料を固体に乾燥させることに基づいて、2の含有重量は412gであった(収率96%、純度について補正せず)。
Figure 2014528409
4-(tert-ブチル-ジメチル-シラニルオキシ)-2-(6-フルオロ-1H-インドール-3-カルボニル)-ピロリジン-1-カルボン酸ベンジルエステル(3): Z-Hyp(OTBS)-OH (2、55.5g、145mmol)をトルエン(265mL)に溶解させた。DMF (0.1mL)および塩化オキサリル(22.4g、174mmol)を周囲温度で加えた。2〜3時間後、バブリングを停止させた。4時間後、混合物を減圧濃縮(65℃浴、約30分)して明黄色溶液95gを得た。これは1H NMR分析により酸塩化物であると確認された。
6-フルオロインドール(39.2g、290mmol)を無水クロロベンゼン(300mL)およびトルエン(200mL)に溶解させ、氷/アセトン浴を用いて溶液を-4℃に冷却した。3M EtMgBrのジエチルエーテル(101g、294mmol)溶液を2.5℃以下で31分かけて加えて淡琥珀色溶液を得た。30分後、酸塩化物/トルエン溶液(上記参照)を2℃未満で45分かけて加えた。反応混合物を1時間冷温に維持した後、ゆっくりと昇温した。約4時間後(10.6℃)、反応混合物を氷HOAc (9.0g、発熱から17.5℃)、次に水(発熱)で反応停止させた。水(200mL)およびEtOAc (300mL)を加え、有機層を分離し、水で洗浄した(100mL、緩徐な分離)。有機層を減圧濃縮して227gの3を琥珀色油状物として得て、これをさらに精製せずに使用した。
Figure 2014528409
2-(6-フルオロ-1H-インドール-3-カルボニル)-4-ヒドロキシ-ピロリジン-1-カルボン酸ベンジルエステル(4): 3 (227g)をTHF (600mL)中に含む溶液にTHF (160mL)中1M TBAFを周囲温度で加えた。9時間後、1M TBAF/THF溶液をさらに20mL加えた。約48時間後、反応混合物を減圧濃縮した後、EtOAc (600mL)に再溶解させた。有機溶液を水(310mL)で洗浄し、生成物を析出させて濃厚懸濁液を形成し、これを濾過した(緩徐)。固体をEtOAc (165mLを数回に分けて)で洗浄し、乾燥させて43gの4を得た。一緒にした濾液を減圧濃縮して、乾燥後にさらに4.8gの4を析出させた。
Figure 2014528409
2-(6-フルオロ-1H-インドール-3-カルボニル)-4-(4-ニトロ-ベンゾイルオキシ)-ピロリジン-1-カルボン酸ベンジルエステル(5): 4 (51.1g、134mmol)、4-ニトロ安息香酸(27.9g、167mmol)およびトリフェニルホスフィン(48.9g、187mmol)を無水THF (700mL)およびDMF (175mL)中に含む溶液を2℃に冷却した。DIAD (37.4mL、194mmol)を2〜3℃で1時間かけて加えた。1時間後、溶液を周囲温度に昇温した。約16時間後、反応混合物を減圧濃縮し、MeOH (250mL)を加え、濃縮して濃厚懸濁液(322g)を形成した。さらなるMeOH (250mL)を加え、溶液を減圧濃縮して濃厚懸濁液(420g)を得て、これを氷浴中で冷却した。約1.5時間後、固体を真空フィルター上で回収し、冷MeOH (190mL)で洗浄した。生成物をフィルター上で風乾させて82.9g (100%超)の5を明黄色固体として得て、これを次の反応において直接使用した。
Figure 2014528409
2-(6-フルオロ-1H-インドール-3-カルボニル)-4-ヒドロキシ-ピロリジン-1-カルボン酸ベンジルエステル(6): 5 (82.9g)のTHF (600mL)、MeOH (200mL)および水(100mL)中懸濁液に50% NaOH水溶液(16.0 g, 200 mmol)を加えた[注: 発熱; 温度上昇: 23.7℃→25.9℃]。2時間後、氷HOAc (5.3g)を加えてpHを7〜8に調整し[注: 橙色溶液は淡黄色に変化した]、反応混合物を減圧濃縮した。水(500mL)を加え、濃縮懸濁液が形成されるまで溶媒を減圧除去した。固体を真空フィルター上で回収し、水(400mLを数回に分けて)で洗浄した。固体を真空オーブン中にて55℃で乾燥させて42.6g (83%、2工程)の6を帯黄白色固体として得た。
Figure 2014528409
2-(6-フルオロ-1H-インドール-3-イルメチル)-4-ヒドロキシ-ピロリジン-1-カルボン酸ベンジルエステル(7): 6 (10.1g、26mmol)の無水THF (200mL)懸濁液にTHF (26.2mL、52mmol)中2M LiBH4を約7分かけて加えた[注: 発熱; 温度上昇: 21.5℃→28.2℃]。2.5時間後、淡黄色溶液を約11℃に冷却し、メタンスルホン酸(4.66g、48mmol)を約4分かけて加えた[注: 発熱; 温度は14.2℃に上昇]。
16時間後、反応混合物を氷浴中で冷却し、水(50mL)で慎重に反応停止させた[注: 水の添加は発熱性であり、大量のガスを放出させた]。水の添加後、pHを濃HCl (1.9g)で1に調整した。反応混合物を濃縮してTHFを除去し、水溶液をEtOAc (110mL)で抽出した。有機層を分離し、水(2x50mL)で洗浄した[注: 最終pHは約5]。有機溶液を減圧濃縮し、無水EtOAcを使用して共沸乾燥させて10.2gの7を白色泡状物として得た[注: HPLC分析により87.7 A%]。
Figure 2014528409
4-アセトキシ-2-(6-フルオロ-1H-インドール-3-イルメチル)-ピロリジン-1-カルボン酸ベンジルエステル(8): 7 (4.7g、12.8mmol)およびDMAP (81mg、0.66mmol)をDCM (100mL)中に含む溶液に無水酢酸(2.6g、25.5mmol)を周囲温度で加えた。16時間後、反応混合物をMeOH (約3mL)で反応停止させ、10% Na2CO3水溶液(50mL)、希HCl (50mL)および10% Na2CO3水溶液(50mL)で連続洗浄した。有機溶液を減圧濃縮し、ショートシリカゲルカラム(約25g)を通じて濾過した[溶離液: DCM (200mL)→0.5%(v/v) MeOH/DCM (80mL)→2% MeOH/DCM (100mL)→5% MeOH/DCM (100mL)]。生成物含有画分を一緒にし、濃縮して3.28g (63%)の8を白色泡状物として得た[注: HPLC分析により94.3 A%]。
Figure 2014528409
4-アセトキシ-2-[3'-(4-アセトキシ-1-ベンジルオキシカルボニル-ピロリジン-2-イルメチル)-6,6'-ジフルオロ-1H,1'H-[2,2']ビインドリル-3-イルメチル]-ピロリジン-1-カルボン酸ベンジルエステル(9): 8 (2.9g、7.1mmol)をEtOAc(約5mL)中に含む溶液を氷浴中で冷却し、予め冷却したTFA (20.3mL)を一度に加えた。得られた黄色溶液を2〜4℃で攪拌した。4.75時間後、EtOAc (30mL)および25% K2CO3水溶液(80.7g)の予め冷却した混合物に、冷反応混合物を攪拌しながら移した(カニューレ経由で)。水層を分離し、EtOAc (3x30mL)で抽出し、一緒にした有機抽出物を10% Na2CO3水溶液(30g)で洗浄した。有機溶液を減圧濃縮し、無水EtOAcを使用して共沸乾燥させてインドリルインドリンジアステレオマー2.95gを黄色泡状物として得て、これを次の反応に直接使用した。質量スペクトル(ESI)、m/z 821.3 [(M)+; C46H46F2N4O8の計算値: 820.9]。
インドリルインドリンジアステレオマー(2.95g)をEtOAc (30mL)中に含む溶液にDDQ (885mg、3.9mmol)を一度に加えた[注: 発熱; 温度上昇: 26℃→31.6℃]。3時間後、暗橙褐色反応混合物をセライト(登録商標)を通じて濾過し、続いてセライトをEtOAc (50mL)ですすいだ[注: 0.5mmol規模で行う第2の反応を後処理用に組み合わせた]。濾液を10% Na2CO3水溶液で洗浄した(2回洗浄: 74g、次に58g)。有機層を減圧濃縮して2.14gの9を明褐色固体として得た。
セライト(登録商標)パッドをTHF (100mL)でさらにすすぎ、減圧濃縮してさらに1.12gの9をベージュ色固体として得た。一緒にした固体を酢酸イソプロピル(iPrAc、50mL)に溶解させた。iPrAc溶液を約20mLに減少させ、得られた懸濁液を還流まで昇温し、周囲温度に冷却した後、氷浴中に配置した。1時間後、固体を減圧濾取し、iPrAc (10mL)で洗浄し、真空オーブン中で乾燥させて2.13g (65%、2工程)の9をベージュ色固体として得た[注: HPLC分析により約100 A%]。
Figure 2014528409
酢酸5-[3'-(4-アセトキシ-ピロリジン-2-イルメチル)-6,6'-ジフルオロ-1H,1'H-[2,2']ビインドリル-3-イルメチル]-ピロリジン-3-イルエステル(10): 9 (35g、42.7mmol)を1:1 EtOAc/MeOH (400mL)中に含む懸濁液を2本の500mL Parrボトル(各約200mL)に分配し、10% パラジウム炭素(湿潤、各5000mg、Aldrich(登録商標))を装入した。反応混合物を50 PSI H2に加圧し、3時間振盪した。反応混合物をセライト(登録商標)のパッドを通じて濾過し、固体をEtOAcで洗浄した。浄化した濾液を減圧濃縮して24gの10を帯黄白色固体として得て、これを次の反応に直接使用した。
Figure 2014528409
酢酸5-{3'-[4-アセトキシ-1-(2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-ブチリル)-ピロリジン-2-イルメチル]-6,6'-ジフルオロ-1H,1'H-[2,2']ビインドリル-3-イルメチル}-1-(2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-ブチリル)-ピロリジン-3-イルエステル(11): Boc-Abu-OH (20.4g、100mmol)およびHATU (42.0g、110mmol)を無水NMP (150mL)中に含む溶液に0℃でNMM (16mL、150mmol)、続いて10 (24g、42mmol)のNMP (100mL)溶液を加えた。反応混合物をゆっくりと周囲温度に昇温した。16時間後、反応混合物をMTBE (1000mL)で希釈し、不均一混合物を水(500mL)で洗浄した。層を分離し、有機相は不均一懸濁液を形成した。MTBE (1000mL)およびEtOAc (500mL)を加え、現在不均一な溶液を1N HCl (2x100mL)、飽和NaHCO3水溶液(2x100mL)、ブラインで連続洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣を1:1 DCM/MeOH (600mL)に溶解させ、DCM (約200mL)を50℃で留去した[注: 少量の白色析出物が観察された]。MeOH (200mL)を加え、さらなる溶媒を50℃で除去した(約200mL)。不均一混合物を-5℃で冷却した。16時間後、固体を減圧濾取し、冷MeOHで洗浄した。固体を高真空乾燥させて32gの11を帯黄白色固体として得た。
Figure 2014528409
酢酸5-{3'-[4-アセトキシ-1-(2-アミノ-ブチリル)-ピロリジン-2-イルメチル]-6,6'-ジフルオロ-1H,1'H-[2,2']ビインドリル-3-イルメチル}-1-(2-アミノ-ブチリル)-ピロリジン-3-イルエステル(12): 11 (27.5g、30mmol)をDCM (200mL)中に含む溶液を0℃に冷却した。TFA (50mL)を加え、11から12への変換完了(約3時間)まで反応をLC/MS分析でモニタリングした。溶媒を減圧除去し、濃緑色残渣をEtOAc(約1L)に溶解させた。EtOAc溶液を飽和NaHCO3水溶液/氷/水混合物に慎重に注いで残留TFAを中和した。有機相を分離し、飽和NaHCO3水溶液で2回、次にブラインで1回洗浄した。一緒にした水性洗浄液をEtOAc (2x100mL)で逆抽出し、一緒にした有機抽出物を無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮して22gの粗生成物12を帯黄白色固体として得た。
Figure 2014528409
酢酸5-(3'-{4-アセトキシ-1-[2-(2-メチル-(tert-ブトキシカルボニル)-アミノ-プロピオニルアミノ)-ブチリル]-ピロリジン-2-イルメチル}-6,6'-ジフルオロ-1H,1'H-[2,2']ビインドリル-3-イルメチル)-1-[2-(2-メチル-(tert-ブトキシカルボニル)-アミノ-プロピオニルアミノ)-ブチリル]-ピロリジン-3-イルエステル(13): Boc-N(Me)Ala-OH (14.6g、72mmol)およびHATU (30.4g、80mmol)を無水NMP (150mL)中に含む溶液に0℃でNMM (12mL、105mmol)を加えた後、NMP (200mL)中12 (30mmol)を加えた。得られた混合物を周囲温度に昇温した。16時間後、反応混合物をジエチルエーテル(1L)で希釈し、水(1L)、1N HCl (2x100mL)、飽和NaHCO3水溶液(2x100mL)、ブラインで連続洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮して33.5gの粗生成物13を得た。
粗生成物13をEtOH (50mL)に溶解させた後、激しく攪拌しながら50℃で水(1000mL)にゆっくりと加えて、白色固体を析出させた。不均一混合物を-5℃に冷却した。16時間後、固体を減圧濾取し、水で洗浄した。湿潤固体を50℃で高真空乾燥させて29.9gの13を帯黄白色固体として得た。
Figure 2014528409
酢酸5-(3'-{4-アセトキシ-1-[2-(2-メチルアミノ-プロピオニルアミノ)-ブチリル]-ピロリジン-2-イルメチル}-6,6'-ジフルオロ-1H,1'H-[2,2']ビインドリル-3-イルメチル)-1-[2-(2-メチルアミノ-プロピオニルアミノ)-ブチリル]-ピロリジン-3-イルエステル(14): 13 (28.5g、26mmol)をDCM (150mL)中に含む溶液を0℃に冷却した。TFA (50mL)を加えた。30分後、反応混合物を周囲温度に昇温し、LC/MS分析が13から14への変換完了(約4時間)を明らかにするまでモニタリングした。溶媒を減圧除去し、濃緑色残渣をEtOAc(500mL)に溶解させ、NaHCO3水溶液/氷混合物上に慎重に注いだ。水相を分離し、EtOAc (2x250mL)で逆抽出した。一緒にした有機抽出物を飽和NaHCO3水溶液、次にブラインで数回洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮して24gの14を明黄色固体として得た。
Figure 2014528409
N-{1S-[2R-(6,6'-ジフルオロ-3'-{4S-ヒドロキシ-1-[2S-(2S-メチルアミノ-プロピオニルアミノ)-ブチリル]-ピロリジン-2R-イルメチル}-1H,1'H-[2,2']ビインドリル-3-イルメチル)-4S-ヒドロキシ-ピロリジン-1-カルボニル]-プロピル}-2S-メチルアミノ-プロピオンアミド(15): 14 (24g)をMeOH (200mL)中に含む溶液に1M NaOH (80mL)を0℃で加えた。反応混合物を脱気し、アルミ箔で包まれた窒素雰囲気下に維持した。氷浴を除去した。60分後、MeOHを減圧除去し、残渣を水(200mL)で希釈し、EtOAc (500mL)で抽出した。水相を分離し、EtOAc (2x150mL)で逆抽出した。一緒にした有機抽出物をブラインで洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮して22.5gの15を明黄褐色固体として得た。
粗生成物15 (22.5g)をMeOH (50mL)およびEtOAc (200mL)に溶解させた。ロータリーエバポレーターによる60℃での減圧蒸留で体積を減少させた(50%)。MTBE (300mL)を加え、混濁溶液を60℃に昇温した。30分後、溶液を周囲温度に冷却し、次に-5℃に維持した。
16時間後、固体を減圧濾取し、冷25% EtOAc/MTBEで洗浄し、周囲温度で高真空乾燥させて16.6gの15を帯黄白色固体として得た。溶媒除去および減圧乾燥を経由して濾液からさらに5.5gの15を回収した。
Figure 2014528409
化合物15(すなわち、ビリナパントとしても知られるTL32711)に関する各種実験からのデータを以下の実施例に示す。
実施例2 - 原発性黒色腫腫瘍異種移植モデルにおけるSMAC模倣体TL32711の投与スケジューリングおよび有効性分析
MDA-MB-231腫瘍を有するマウスにおけるTL32711の初期薬物動態モデリングは、潜在的な有効性の利点が週2回の投与スケジュールで可能でありうることを示した。本試験の目的は、1) 原発性ヒト黒色腫腫瘍異種移植モデルにおける単剤としてのTL32711の有効性を評価すること、2) カルボプラチンおよびパクリタキセルとの組み合わせでのTL32711の有効性および耐容性を評価すること、ならびに3) 週2回の投与スケジュールが週1回の投与よりも有効であるか否かを決定することであった。
単剤TL32711(30mg/kg腹腔内)での処置後に評価された原発性黒色腫腫瘍異種移植片6つのうち5つにおいて、腫瘍の有意な成長阻害が観察された。TL32711とカルボプラチンおよびパクリタキセルとを組み合わせることで、6つのモデルのうち4つにおいて、腫瘍退縮を伴う抗腫瘍有効性のさらなる向上が、耐容性の著しい変化なしに見出された(体重減少14%未満)。初期PKモデリングに基づいて追跡試験を行って、用量を分割した場合(30mg/kgを週1回に対して15mg/kgを週2回)の原発性黒色腫モデルにおけるTL32711の活性を評価した。驚くべきことに、週2回の投与スケジュールは、週1回の投与スケジュールに比べて抗腫瘍活性の向上をもたらさず、腫瘍中のcIAP1の抑制が同等であった。
15、30および60mg/kgでの腫瘍組織中のTL32711の薬物動態分析は、TL32711が、用量が4倍増大することにより曝露が14倍増大したという点で、用量比例を超えた関係性を示すことを明らかにした。この曝露の増大によって、おそらくより高い用量レベルでは流出輸送体が飽和したために、腫瘍でのTL32711の半減期が56時間から166時間に変化した。
総合すると、これらのデータは、TL32711が原発性ヒト黒色腫異種移植片において非常に活性が高いこと、ならびに、カルボプラチンおよびパクリタキセルとの併用療法によって耐容性が減少することなく有効性が向上しうることを示している。これらのデータはまた、週2回の投与が、腫瘍組織中でのTL32711の半減期および曝露の用量依存的変化が理由で、現行の週1回の臨床的投与レジメンに対する利点を与えないことも示している。
実施例3 - Smac模倣体TL32711のフェーズ1 PK/PD分析は、患者のPBMCおよび腫瘍生検組織において強力かつ持続的なcIAP1抑制を示す
TL32711の薬物動態(PK)および薬力学(PD)を、ヒト腫瘍異種移植片、患者の血漿/PBMCおよびフェーズ1腫瘍生検試料において試験した。MDA-MB-231異種移植片を有するマウスでは、TL32711は腫瘍に急速かつ広範に取り込まれ(腫瘍/血漿中AUC比22超)、半減期96時間(血漿中20時間)でゆっくりと排除される。腫瘍中TL32711濃度とcIAP1抑制との間の関係を特徴づけるためにPK/PDリンクモデルを使用した。cIAP1抑制は用量および時間に依存し、単回静脈内ボーラス投与(5mg/kg)後30分以内にcIAP1レベルが20%未満のベースラインまで減少し、70%超の阻害が処置後7〜14日間維持された。TL32711は腫瘍中cIAP1レベルに対する強力な効果を有しており(EC50 24ng/g)、3日に1回、用量2.5mg/kg以上で有意な腫瘍の成長阻害および退縮を引き起こした。また、最近、患者から得てヌードマウスに移植した原発性ヒト黒色腫腫瘍における有効性を評価した。原発性黒色腫腫瘍異種移植片6つのうち5つで有意な腫瘍の成長阻害が観察され、15、30および60mg/kgでの7日目の平均腫瘍中濃度はそれぞれ187、579および2658ng/gであった。また、単剤フェーズI試験の一部として、患者におけるTL32711のPK/PD(PBMCおよび腫瘍生検組織中での薬物濃度分析およびcIAP1分解)を調査した。週1回30分間の静脈内注入後、TL32711の血漿中PKは用量比例的かつ非蓄積的であった(0.18〜47mg/m2)。血漿中PKは三重指数関数的であり、終末t1/2が長かった(73〜79時間)。MDA-MB-231モデルに基づく治療活性に関する標的血漿中AUC(71時間・ng/mL)は、用量2.88mg/m2超で患者において実現された(平均AUC 86時間・ng/mL)。この曝露は、PBMCにおける著しい取り込みおよび保持(t1/2=29〜35時間)に関連しており、7日間にわたる長期のcIAP1抑制をもたらした。PBMC中PARP切断および血漿中カスパーゼ3活性の用量依存的な増強も観察され、アポトーシス経路の活性化が示された。また、処置から4時間後〜6日後(11.5〜17.2mg/m2)の患者に由来する腫瘍生検試料においてTL32711のPK/PDを評価した。TL32711は6日目に350ng/g超のレベルで腫瘍に広範に取り込まれ、これはcIAP1阻害のEC50を著しく超える。35〜47mg/m2での推定腫瘍曝露も、マウスにおける原発性ヒト腫瘍異種移植片モデル中にて15〜30mg/kgで観察された薬物レベル測定値を超えていた。総合すると、これらのPK/PDデータは、TL32711が耐容量レベルでの7日間にわたる強力かつ持続的なcIAP1抑制をもたらすことを、患者におけるアポトーシス経路の活性化および抗腫瘍活性の有望な初期徴候の証拠により示している。これらの試験の結果および結論を選択し、以下のリストに要約する。
1) これまでTL32711は患者において十分に耐容されており、単剤最大耐容量(MTD)を画定するためにフェーズ1の用量漸増を続ける。
2) TL32711は、急速に腫瘍組織に取り込まれ、終末半減期が長く、96時間(MDA-MB-231異種移植片)または52時間(ヒト腫瘍生検組織)である。
3) TL32711は、用量依存的にMDA-MB-231腫瘍組織中のcIAP1を急速(4時間以内)かつ強力に阻害する(IC50 24ng/g; IC75 135ng/g)。
4) マウスにおけるPK/PD分析は、腫瘍組織のcIAP1阻害に対する感受性が、他の正常組織に比べて約2倍〜100倍高いことを示した。
5) MDA-MB-231異種移植片を有するマウスでは、投与期間全体を通じて腫瘍中cIAP1レベルが75%超阻害された際に、有意な腫瘍の成長遅延および退縮が観察された。
6) フェーズ1の患者では、TL32711のPKは、用量範囲0.18〜47mg/m2にわたって用量比例的であった。
7) 患者の生検組織およびPBMCにおけるPK/PD応答は、MDA-MB-231異種移植片において観察された応答と非常に類似していた。
8) 患者におけるcIAP1応答のPK/PDモデリングは、現行の用量レベル47mg/m2によって、週1回の投与期間全体を通じて75%超のcIAP1阻害がもたらされることを示している。
9) 要約すると、TL32711は耐容量レベルでの7日間にわたる強力かつ持続的なcIAP1抑制、アポトーシス経路の活性化、および抗腫瘍活性の有望な初期徴候を、患者において引き起こす。
実施例4 - 安全性、薬物動態、薬力学および抗腫瘍活性を評価するための、進行した固形腫瘍およびリンパ腫を有する成人対象におけるSmac模倣体TL32711のフェーズ1試験
以下の第1の目的を有する臨床試験を行った: 難治性の固体腫瘍またはリンパ腫を有する患者において耐容されるように、連続3週間にわたる週1回の30分間の静脈内注入および引き続く1週間のオフ(4週間毎に繰り返されるサイクル)で投与される際のTL32711の最大耐容量を決定しかつ安全性および耐容性を特徴づけること。第2の目的は、TL32711の薬物動態、薬力学的効果および抗腫瘍活性を評価することであった。
臨床試験の設計に関する関連情報を表2〜表4に要約する。
Figure 2014528409
Figure 2014528409
Figure 2014528409
安全性および抗腫瘍活性の結果を表5〜表6に要約する。
Figure 2014528409
Figure 2014528409
この試験から以下の結論が導き出された。
1) TL32711は、固体腫瘍およびリンパ腫を有する患者において用量制限毒性なしで十分に耐容され、MTDには達しなかった。
2) TL32711は、用量比例的PK、CmaxおよびAUCにおける中程度〜低度の患者間変動、ならびに長い血漿中終末半減期(35時間)、ならびに腫瘍組織における高い取り込みおよび保持(49時間)を示す。
3) TL32711は、PBMCおよび腫瘍生検組織の両方において測定したように、cIAP1の急速(4時間以内)かつ持続的(7日間)な抑制を用量依存的に引き起こす。
4) TL32711は、用量依存的に活性化した血清中カスパーゼ3/7レベルおよび切断されたサイトケラチン18レベルを引き起こす。
5) 抗腫瘍活性の証拠が観察された。
実施例5 - 原発性膵臓腺がんモデルにおける抗腫瘍有効性
膵がんは化学療法薬および放射線に対する耐性が非常に高い。アポトーシス阻害因子(IAP)は膵がん細胞において過剰発現され、IAPの下方制御は細胞死受容体のシグナル伝達、細胞毒および放射線に対する感受性を誘導するとわかった。疾患の生物学的不均一性を反映する患者由来の原発性膵がん外植片モデルを使用してTL32711の有効性を調査する試験を行った。
方法。 Panc1においてTL32711単独の効果およびTRAILとの併用でのTL32711の効果を免疫ブロット法およびトリパンブルー染色により評価した。2つの原発性膵腫瘍について用量漸増試験を週2回、腹腔内30mg/kg、45mg/kgおよび60mg/kgで行い、腫瘍体積を28日間測定した。腫瘍保有マウスにおいてすべての用量レベルで有意な毒性は観察されなかった。さらなる6つの原発性膵腫瘍を60mg/kgで評価した。これらの腫瘍についてドナー患者のH&Eスライドを評価し、未処置腫瘍を遺伝子マイクロアレイで分析することで潜在的に有効なバイオマーカーを探索した。薬物動態分析用の用量漸増試験から腫瘍試料、血漿試料および肝臓試料を得た。
結果。 TL32711処置によって、Panc1においてcIAP1が急速に分解されてカスパーゼ3が活性化され、用量依存的なアポトーシス促進効果が得られ、この効果はインビトロ試験においてTRAILとのコインキュベーションによる相乗効果を示した。原発性腫瘍外植片試験では、60mg/kgで投与されたTL32711によって、6つの原発性腫瘍において有意な成長停止/阻害が得られ(T/C範囲-0.1〜0.2)、2つの原発性腫瘍において最適以下の成長阻害が得られた(T/C約0.4)。7名のドナー患者から切除した膵がん検体のH&Eスライドが評価に利用可能であり、組織学的所見(炎症性浸潤、間質、好中球/リンパ球比および壊死)とインビボでのTL32711有効性との間に関係性は存在しなかった。用量漸増試験によって、2つの原発性腫瘍においてTL32711の用量依存的な成長阻害効果が示された。30mg/kgによって、#17624においては有意な成長阻害が実現したが、#12872においては実現しなかった。両者において、45mg/kg以上では有意な成長阻害が実現した。薬物動態分析によって、TL32711の有効性が腫瘍の薬物曝露と相関していたこと、および有効量での腫瘍中濃度が、患者の腫瘍中にて耐容量で実現可能な範囲内であることが示された。
結論。 TL32711は膵がんにおいて単剤として有意な有効性を示し、当該有効性は、臨床試験において耐容量で腫瘍で実現可能な曝露レベルにある腫瘍の薬物曝露と相関していた。
本明細書中での作用機序の説明は、本発明の理解を促進するように意図されているが、拘束的または限定的であるようには意図されていない。本明細書に記載の例および態様が例示目的のみであること、ならびに、本明細書を踏まえた様々な修正または変更が当業者に示唆されるものであり、本出願の真意および範囲ならびに添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれるべきであることを理解すべきである。上記で引用されるすべての参考文献は、完全に記載されているかのように参照により本明細書に組み入れられる。
さらなる例示的態様では、本発明は、自己免疫疾患の治療を必要とする哺乳動物において該治療を行う方法であって、自己免疫疾患についての状態が、アポトーシスの異常制御により引き起こされているかまたは増悪されており、例えば、全身性エリテマトーデス、乾癬、および免疫性血小板減少性紫斑病を含み、前記方法が、本明細書において下記で規定される用量の化合物15または薬学的に許容されるその塩を前記動物に体内投与する段階を含む、方法を含む。
[本発明1001]
ヒト患者において増殖性障害を治療する方法であって、週1回または週2回のスケジュールで、該患者に化合物15を患者の体表面積(BSA)当たり1〜80mg/m 2 の量で1〜120分間にわたる静脈内注入によって体内投与する段階を含む、方法。
[本発明1002]
化合物15の1回当たりの投与量が2〜65mg/m 2 であり、かつ注入時間が1〜60分間である、本発明1001の方法。
[本発明1003]
化合物15の1回当たりの投与量が5〜65mg/m 2 であり、かつ注入時間が1〜60分間である、本発明1001の方法。
[本発明1004]
化合物15の1回当たりの投与量が30超〜65mg/m 2 であり、かつ注入時間が1〜60分間である、本発明1001の方法。
[本発明1005]
化合物15の1回当たりの投与量が45〜50mg/m 2 である、本発明1001の方法。
[本発明1006]
化合物15が、1週間、2週間、3週間または4週間オンおよび1週間オフの治療サイクルに従って、週1回、2回または3回投与される、本発明1001、1002、1003、1004または1005の方法。
[本発明1007]
化合物15が週1回投与される、本発明1006の方法。
[本発明1008]
化合物15が週2回投与される、本発明1006の方法。
[本発明1009]
化合物15が週1回、2回または3回連続的に投与される、本発明1001、1002、1003、1004または1005の方法。
[本発明1010]
化合物15が週1回投与される、本発明1009の方法。
[本発明1011]
化合物15が週2回投与される、本発明1009の方法。
[本発明1012]
化合物15の1回当たりの投与量が30mg/m 2 超であり、かつ該化合物が、3もしくは4週間オンおよび1週間オフでまたは連続的に、週1回、約30分間の静脈内注入によって投与される、本発明1001の方法。
[本発明1013]
化合物15の1回当たりの投与量が30超〜65mg/m 2 であり、該化合物が、3もしくは4週間オンおよび1週間オフでまたは連続的に、週1回、週2回または週3回の約30分間の静脈内注入によって投与される、本発明1001の方法。
[本発明1014]
増殖性障害が、肺腺がん、膵がん、結腸がん、卵巣がん、乳がん、中皮腫、末梢神経腫、膀胱がん、膠芽腫、黒色腫、副腎皮質がん、AIDS関連リンパ腫、肛門がん、膀胱がん、髄膜腫、神経膠腫、星状細胞腫、乳がん、子宮頸がん、慢性骨髄増殖性障害(例えば慢性骨髄性白血病)、慢性リンパ性白血病、結腸がん、内分泌がん、子宮内膜がん、上衣腫、食道がん、ユーイング肉腫、頭蓋外胚細胞腫瘍、性腺外胚細胞腫瘍、肝外胆管がん、胆嚢がん、胃がん、消化管カルチノイド腫瘍、妊娠性トロホブラスト腫瘍、ヘアリーセル白血病、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、下咽頭がん、眼球内黒色腫、島細胞がん、カポジ肉腫、喉頭がん、白血病、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、口唇がん、口腔がん、肝がん、男性乳がん、悪性中皮腫、髄芽腫、黒色腫、メルケル細胞がん、転移性扁平上皮頸部がん、多発性骨髄腫および他の形質細胞腫瘍、菌状息肉症およびセザリー症候群、骨髄異形成症候群、上咽頭がん、神経芽腫、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、中咽頭がん、骨肉腫および骨悪性線維性組織球腫を含む骨がん、卵巣上皮がん、卵巣胚細胞腫瘍、卵巣低悪性度腫瘍、膵がん、副鼻腔がん、副甲状腺がん、陰茎がん、褐色細胞腫、下垂体腫瘍、前立腺がん、直腸がん、腎細胞がん、網膜芽腫、横紋筋肉腫、唾液腺がん、皮膚がん、小腸がん、軟部組織肉腫、テント上原始神経外胚葉性腫瘍、松果体芽腫、精巣がん、胸腺腫、胸腺がん、甲状腺がん、腎盂および尿管の移行細胞がん、尿道がん、子宮肉腫、膣がん、外陰がん、ならびにウィルムス腫瘍および他の小児腎腫瘍からなる群より選択されるがんである、前記本発明のいずれかの方法。
[本発明1015]
増殖性障害が、肉腫、膀胱がん、卵巣がん、乳がん、脳がん、膵がん、結腸がん、血液がん、皮膚がん、肺がんおよび骨がんからなる群より選択されるがんである、本発明1014の方法。
[本発明1016]
がんが、結腸直腸がん、腎がん、膵がん、前立腺がん、黒色腫、膠芽腫、急性骨髄性白血病、小細胞肺細胞がん、非小細胞肺がん、横紋筋肉腫および基底細胞がんより選択される、本発明1014の方法。
[本発明1017]
がんが、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、ヘアリーセル白血病、白血病、急性リンパ芽球性白血病(ALL)および急性骨髄性白血病(AML)より選択される、本発明1014の方法。
[本発明1018]
増殖性障害がAMLであり、かつ化合物15が用量15〜20mg/m 2 で週2回投与される、本発明1017の方法。
[本発明1019]
化合物15を、放射線照射、化学療法、免疫療法、光線力学療法およびそれらの組み合わせより選択される第2のがん治療との組み合わせで投与する段階を含む、本発明1001〜1018のいずれかの方法。
[本発明1020]
患者の体表面積(BSA)当たり1〜80mg/m 2 の量の化合物15および薬学的に許容される担体または希釈剤を含む、1〜60分間の注入時間にわたる注入に好適な医薬投与単位。
[本発明1021]
がんまたは自己免疫障害の治療のための、水性溶媒中の化合物15および1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤を含む、約30分間の注入時間にわたる注入に好適な、本発明1020の医薬投与単位。
[本発明1022]
本発明1020または1021の医薬投与単位の製造において使用するための化合物15。
[本発明1023]
本発明1001〜1019のいずれかの方法において使用するための化合物15。

Claims (23)

  1. ヒト患者において増殖性障害を治療する方法であって、週1回または週2回のスケジュールで、該患者に化合物15を患者の体表面積(BSA)当たり1〜80mg/m2の量で1〜120分間にわたる静脈内注入によって体内投与する段階を含む、方法。
  2. 化合物15の1回当たりの投与量が2〜65mg/m2であり、かつ注入時間が1〜60分間である、請求項1記載の方法。
  3. 化合物15の1回当たりの投与量が5〜65mg/m2であり、かつ注入時間が1〜60分間である、請求項1記載の方法。
  4. 化合物15の1回当たりの投与量が30超〜65mg/m2であり、かつ注入時間が1〜60分間である、請求項1記載の方法。
  5. 化合物15の1回当たりの投与量が45〜50mg/m2である、請求項1記載の方法。
  6. 化合物15が、1週間、2週間、3週間または4週間オンおよび1週間オフの治療サイクルに従って、週1回、2回または3回投与される、請求項1、2、3、4または5記載の方法。
  7. 化合物15が週1回投与される、請求項6記載の方法。
  8. 化合物15が週2回投与される、請求項6記載の方法。
  9. 化合物15が週1回、2回または3回連続的に投与される、請求項1、2、3、4または5記載の方法。
  10. 化合物15が週1回投与される、請求項9記載の方法。
  11. 化合物15が週2回投与される、請求項9記載の方法。
  12. 化合物15の1回当たりの投与量が30mg/m2超であり、かつ該化合物が、3もしくは4週間オンおよび1週間オフでまたは連続的に、週1回、約30分間の静脈内注入によって投与される、請求項1記載の方法。
  13. 化合物15の1回当たりの投与量が30超〜65mg/m2であり、該化合物が、3もしくは4週間オンおよび1週間オフでまたは連続的に、週1回、週2回または週3回の約30分間の静脈内注入によって投与される、請求項1記載の方法。
  14. 増殖性障害が、肺腺がん、膵がん、結腸がん、卵巣がん、乳がん、中皮腫、末梢神経腫、膀胱がん、膠芽腫、黒色腫、副腎皮質がん、AIDS関連リンパ腫、肛門がん、膀胱がん、髄膜腫、神経膠腫、星状細胞腫、乳がん、子宮頸がん、慢性骨髄増殖性障害(例えば慢性骨髄性白血病)、慢性リンパ性白血病、結腸がん、内分泌がん、子宮内膜がん、上衣腫、食道がん、ユーイング肉腫、頭蓋外胚細胞腫瘍、性腺外胚細胞腫瘍、肝外胆管がん、胆嚢がん、胃がん、消化管カルチノイド腫瘍、妊娠性トロホブラスト腫瘍、ヘアリーセル白血病、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、下咽頭がん、眼球内黒色腫、島細胞がん、カポジ肉腫、喉頭がん、白血病、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、口唇がん、口腔がん、肝がん、男性乳がん、悪性中皮腫、髄芽腫、黒色腫、メルケル細胞がん、転移性扁平上皮頸部がん、多発性骨髄腫および他の形質細胞腫瘍、菌状息肉症およびセザリー症候群、骨髄異形成症候群、上咽頭がん、神経芽腫、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、中咽頭がん、骨肉腫および骨悪性線維性組織球腫を含む骨がん、卵巣上皮がん、卵巣胚細胞腫瘍、卵巣低悪性度腫瘍、膵がん、副鼻腔がん、副甲状腺がん、陰茎がん、褐色細胞腫、下垂体腫瘍、前立腺がん、直腸がん、腎細胞がん、網膜芽腫、横紋筋肉腫、唾液腺がん、皮膚がん、小腸がん、軟部組織肉腫、テント上原始神経外胚葉性腫瘍、松果体芽腫、精巣がん、胸腺腫、胸腺がん、甲状腺がん、腎盂および尿管の移行細胞がん、尿道がん、子宮肉腫、膣がん、外陰がん、ならびにウィルムス腫瘍および他の小児腎腫瘍からなる群より選択されるがんである、前記請求項のいずれか一項記載の方法。
  15. 増殖性障害が、肉腫、膀胱がん、卵巣がん、乳がん、脳がん、膵がん、結腸がん、血液がん、皮膚がん、肺がんおよび骨がんからなる群より選択されるがんである、請求項14記載の方法。
  16. がんが、結腸直腸がん、腎がん、膵がん、前立腺がん、黒色腫、膠芽腫、急性骨髄性白血病、小細胞肺細胞がん、非小細胞肺がん、横紋筋肉腫および基底細胞がんより選択される、請求項14記載の方法。
  17. がんが、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、ヘアリーセル白血病、白血病、急性リンパ芽球性白血病(ALL)および急性骨髄性白血病(AML)より選択される、請求項14記載の方法。
  18. 増殖性障害がAMLであり、かつ化合物15が用量15〜20mg/m2で週2回投与される、請求項17記載の方法。
  19. 化合物15を、放射線照射、化学療法、免疫療法、光線力学療法およびそれらの組み合わせより選択される第2のがん治療との組み合わせで投与する段階を含む、請求項1〜18のいずれか一項記載の方法。
  20. 患者の体表面積(BSA)当たり1〜80mg/m2の量の化合物15および薬学的に許容される担体または希釈剤を含む、1〜60分間の注入時間にわたる注入に好適な医薬投与単位。
  21. がんまたは自己免疫障害の治療のための、水性溶媒中の化合物15および1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤を含む、約30分間の注入時間にわたる注入に好適な、請求項20記載の医薬投与単位。
  22. 請求項20または21記載の医薬投与単位の製造において使用するための化合物15。
  23. 請求項1〜19のいずれか一項記載の方法において使用するための化合物15。
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