上部に直接発光層を備えた発光体を有する発光モジュールの問題点は、LED内部の背面反射体(back reflector)が制限された反射率を有するという事実(典型的には、バックミラーは、銀であり、90%の反射率のレベルを持つ。)のために、発光層からLEDに戻るように向けられる光がリサイクル効率の悪さに悩まされることである。実際には、発光体の材料、典型的には、GaN/InGaN又はAlInGaNが高い屈折率を有するので、現実的な反射率は更に低く、これは、光を発光体内部に閉じ込め、従って金属の反射率を更に制限する。(可視スペクトル領域にわたって平均され、垂直入射において測定される)典型的なLEDの反射係数は、70%に近い。これらの発光モジュールの他の問題点は、光の大部分がLEDの上部の領域に集中するホットスポットの形成であり、従って、モジュールの光出力が非常に不均一であって、光出力及び熱的分布の両方においてホットスポットを引き起こす。また、LEDダイの上部の蛍光層がかなり熱くなり、高い束密度で励起され、これは、非最適蛍光体変換効率につながり、それにより発光性能を制限する。
上記リモート発光層を有する発光モジュールは、一般に、空洞部内における光のより効率的なリサイクルのために、上部に直接発光層を備えた発光体を有する発光モジュールよりも効率的である。また、これらのモジュールの光出力は典型的にはより均一であり、ホットスポットを減少させる。しかしながら、リモート発光層を有する発光モジュールは、上部に直接発光層を備えた発光体を有する発光モジュールと比較してかなり大きいサイズを有している。かなりかさばるリモート発光層の解決策は、スポットランプの用途、例えば、ハロゲン代替ランプ及び放物面反射鏡ランプのようなサイズを制約される用途に用いられ得ない。
リモート発光層を有する発光モジュールの他の不都合は、発光層のかなり大きい面積がかなり高い材料費のレベルをもたらすことである。更に、蛍光層内の熱伝導が専ら発光体の側壁の方へ横方向に向けられ、これらのかさばる構造のために、リモート蛍光板から離れる方に熱を向ける能力が制限される。
本発明の目的は、相対的に効率的である発光モジュールを提供することにある。
本発明の第1の観点は、請求項1記載の発光モジュールを与える。本発明の第2の観点は、請求項24記載のランプを与える。本発明の第3の観点は、請求項25記載の照明器具を与える。本発明の第4の観点は、請求項26記載の表示装置を与える。
本発明の本発明の第1の観点による発光モジュールは、光出力窓を通って光を発する。この発光モジュールは、基体、少なくとも1つの固体発光体及び部分拡散反射層を有しており、上記部分拡散反射層は拡散反射特性を有する層であり、入射光の少なくとも一部がこの層を通って伝送される。上記基体は表面を有しており、この基体の表面の少なくとも一部は、基体の表面に衝突する光を反射する。光を反射する基体の表面の部分は、以下、基体の光反射面という名前が付けられる。光反射面は、基体の光反射面により反射される光の量と基体の光反射面に衝突する光の量との比により定義される基体反射係数を有している。上記少なくとも1つの固体発光体は、第1の色の範囲の光を発し、上面を有し、少なくとも1つの固体発光体により反射される光の量と少なくとも1つの固体発光体に衝突する光の量との比により定義される固体発光体反射係数を有している。上記少なくとも1つの固体発光体の上面の最大直線サイズは、直線に沿った少なくとも1つの固体発光体の上面の一点から少なくとも1つの固体発光体の上面の他の点までの最長距離として定義される。上記光出力窓は、部分拡散反射層の少なくとも一部を有している。固体発光体面積比は、上記少なくとも1つの固体発光体の上面の面積と基体の光反射面の面積との比として定義される。上記基体反射係数の値は、70%よりも大きく且つ上記固体発光体反射係数よりも大きい。上記少なくとも1つの固体発光体の上面と部分拡散反射層との間には、間隙(gap)が存在する。この間隙は、少なくとも1つの固体発光体の上面と部分拡散反射層との距離により規定される。この距離は、固体発光体面積比の相対的に小さい値に関して、すなわち、0.1よりも小さい固体発光体面積比に関して、上記上面の最大直線サイズの0.3倍以上の最小値及び上面の最大直線サイズの5倍以下の最大値を有する範囲にある。固体発光体面積比の中間の値に関して、すなわち、0.1以上の最小値及び0.25以下の最大値を有する範囲にある固体発光体面積比に関しては、上記距離は、上記上面の最大直線サイズの0.15倍以上の最小値及び上面の最大直線サイズの3倍以下の最大値を有する範囲にある。固体発光体面積比の相対的に大きい値に関して、すなわち、0.25よりも大きい固体発光体面積比に関して、上記距離は、上記上面の最大直線サイズの0.1倍以上の最小値及び上面の最大直線サイズの2倍以下の最大値を有する範囲にある。
固体発光体の上面と部分拡散反射層との距離は、固体発光体の上面と少なくとも1つの固体発光体と対向する部分拡散反射層の面との最短の直線経路の長さとして定義される。発光モジュールが1つよりも多い固体発光体を有する場合、固体発光体の上面と部分拡散反射層との距離は、固体発光体の上面のそれぞれと部分拡散反射層との距離の平均である。
上記固体発光体の上面の最大直線サイズは、直線に沿った少なくとも1つの固体発光体の上面の一点から少なくとも1つの固体発光体の上面の他の点までの最長距離として定義される。発光モジュールが1つよりも多い固体発光体を有する場合、上面の最大直線サイズの平均値が用いられる。上面は、任意の形状、例えば、正方形、長方形、円形又は楕円形を有し得る。円形の場合、最長直線サイズは、円の直径の長さである。
本願発明者等は、固体発光体と部分拡散反射層との距離が、それ以上であれば発光モジュールのかなり大きい光出力が得られ、固体発光体面積比に依存する最小値を有するべきであることを見出した。この最小値よりも小さいと、発光モジュールはより低い効率で動作し、過剰の光が部分拡散反射層により少なくとも1つの固体発光体へ反射され、後方散乱され及び/又は再度発せられる。更に、本願発明者等は、少なくとも1つの固体発光体と部分拡散反射層との距離が大きくなりすぎると、固体発光体面積比の値にも依存して光出力が減少し始め、従って有利ではないことを見出した。光が発光モジュールを通るより長い移動経路を有し、従って、より多くの吸収イベントを経験するので、上記減少はより多くの光の吸収の結果である。
上記基体反射係数の値は、少なくとも固体発光体反射係数よりも大きく、その結果、基体は固体発光体よりも少ない光を吸収する。より多くの光が基体により反射し、従って、発光モジュールの周囲においてより多くの光が光出力窓を通って発せられるので、これは有利である。これは、実際には、より多くの光が基体により反射され、その後、吸収されるのではなく再利用されることを意味する。本発明に係る発光モジュールにおける光損失が最小限に抑えられるので、発光モジュールの効率は、全体として高くなる。固体発光体の上部に直接発光層を備えた発光モジュールと比較して、固体発光体の光の吸収によってより少ない光しか失われない。部分拡散反射層としての役割を果たすリモート発光層を備えた発光モジュールと比較して、部分拡散反射層によりモジュールの内部へ反射され、後方散乱され及び/又は再度発せられる光は、光出力窓を出射する前にモジュール内部でより少ない相互作用(反射)しか有さないので、より効率的に再利用される。結果として、本発明に係る発光モジュールは、かなり効率的である。
本願発明者等は、既に指定された基準及び固体発光体の上面と発光層との距離が特定の範囲内にあるという基準による基体反射係数が固体発光体反射係数よりも高い特定の組み合わせが、相対的に高い光出力及び従って相対的に効率的なモジュールをもたらすことを実験から見出した。
上記間隙は、広く解釈されなければならない。これの意味は、部分拡散反射層は上面又は少なくとも1つの固体発光体の上面と直接接しておらず、少なくとも1つの固体発光体と部分拡散反射層との間に或る距離が存在することである。間隙は、空気で満たされてもよいが、実質的に透明な材料も間隙内に存在し得る。
部分拡散反射層が固体発光体の上面又は固体発光体と直接接していない場合、かなり大量の光が反射され、光反射面に向かって発せられる。本発明によれば、光反射面が少なくとも1つの固体発光体よりも高い反射率を有する場合、より多くの光が反射して部分拡散反射層に戻り、その結果、より高い光出力が得られる。
本願発明者等は、かなり高い反射率の光学的効果は、光出力を更に増加させることを実験から見出した。固体発光体と部分拡散反射層との間に間隙が存在する場合、少なくとも1つの固体発光体は、部分拡散反射層が固体発光体の上部又は非常に近くに位置する時と同じように温かくはならない。これは、少なくとも1つの固体発光体の効率を更に高め、固体発光体又は固体発光体のはんだ接合部において臨界温度が達せられる前により高い電流負荷を可能にする。従って、より高い絶対光出力が実現される。また、部分拡散反射層が少なくとも1つの固体発光体に直接熱的に結合されない場合、部分拡散反射層は少なくとも1つの固体発光体から熱を受け取らない。部分拡散反射層がどの程度よく冷却され得るかは、基体への熱的界面の質及びモジュールが接続される可能なヒートシンクに依存する。
従って、間隙の存在による基体反射係数が固体発光体反射係数よりも高い特定の組み合わせは、基体の光反射面によるより多くの反射の光学的効果のみに基づいて予想される光出力よりも高い光出力をもたらす。
一形態では、部分拡散反射層は、第1の色の範囲の光の少なくとも一部を第2の色の範囲の光に変換する発光材料を有している。第2の色の範囲の光は、発光材料により全方向に発せられ、この光の一部も、少なくとも1つの固体発光体に向かって又は基体の光反射面に向かって発せられる。
部分拡散反射層が発光層としての役割を果たす場合、第1のスペクトル範囲から第2のスペクトル範囲への光の変換は、光エネルギーを部分的に熱に変換し、これは典型的には「ストークスシフト損失」として表される。更に、実際には、発光材料の量子効率(QE)が、例えば0.9に制限され、以下、発光層と呼ばれる発光材料を有する部分拡散反射層の更なる加熱を引き起こす。発光材料の効率は、発光材料の温度が許容可能な範囲内に保たれる場合により高い。これは、例えば、固体発光体と発光層との特定の距離を与えることによって、発光材料に関して光束負荷、すなわち、フラックス密度の分布を制限することにより実現され、光が広がることを可能にし、それにより、発光層におけるフラックス密度を減少させる。しかしながら、より好ましくは、低い熱抵抗を達成することにより、発光層と基体との間及び発光層とヒートシンクとの間の熱抵抗が最適化される。これは、出力窓の周囲において発光層を熱伝導性の壁部に結合することによって、エミッタと基体との間の熱伝導性材料及び熱伝導性ガラス若しくはセラミックのような発光材料を与えることによって又は発光層上に熱伝導性を有する発光層が取り付けられるキャリア基板のような熱拡散層若しくは構造体を与えることによって等の種々の手段により達成され得る。従って、そのような手段を用いると、固体発光体と発光層との間隙は、より効率的な発光層の光熱効果をもたらす。
更に、少なくとも1つの固体発光体と部分拡散反射層との間隙は、部分拡散反射層の非常に特定の領域におけるかなり高い光束ではなく、部分拡散反射層を通る光束のより均一な分布をもたらす。また、部分拡散反射層が発光材料を有する場合、熱的ホットスポット及び温度勾配の減少はこのやり方で達成される。発光材料は光飽和に敏感な傾向があり、これは、或る光束を上回ると、発光材料がより低い効率で光を変換することを意味する。従って、固体発光体と発光材料を有する部分拡散反射層との間に間隙を有することにより、発光材料の光飽和が防止され、効率が高められる。
一形態では、上記少なくとも1つの固体発光体の上面は、光出力窓に面している。一形態では、上記少なくとも1つの固体発光体は、光出力窓の少なくとも一部の方に光を発する。
一形態では、上記発光モジュールは、複数の固体発光体を有している。固体発光体のそれぞれは、特定の色の範囲の光を発する。他の形態では、複数の固体発光体が、基体と光出力窓との間に存在する仮想面上に設けられている。更に他の形態では、複数の固体発光体の少なくとも1つは、光出力窓の少なくとも特定の部分に向けて光を発する。追加として又は代替として、複数の固体発光体の少なくとも1つは、光出力窓に面する上面を有している。固体発光体反射係数は、複数の固体発光体の反射係数の平均値として定義される。更に他の形態では、少なくとも1つの固体発光体の上面は、光出力窓に面しており、他の固体発光体の上面は、光出力窓に面していない。
特定の形態では、上記発光体は、複数の固体発光体と1つの面内で互いに非常に近くに位置するそれらの反射面との組み合わせである。非常に近いとは、個々の固体発光体間の距離がマイクロメートルの数十倍のオーダーであるが、せいぜい0.2mmであることを意味する。そのような近くに位置する固体発光体は、本発明に関しては、単一の発光体と見なされ、マルチダイLEDとも呼ばれる。上面は、非常に近くに位置する固体発光体の個々の固体発光体の上面の組み合わせである。非常に近い配置は、固体発光体のダイに関連し、固体発光体のパッケージの非常に近い配置には関連しないことに注意されたい。
上記発光モジュールは、1つよりも多い固体発光体が与えられると、より多くの光を発することができる。絶対値において見られるより多くの光が、発光モジュール内で反射され、その結果、固体発光体及び基部の光反射面に戻る方へ発せられる。従って、基部の光反射面が固体発光体よりも優れた反射率を有する場合、絶対値において見られるより多くの光が、部分拡散反射層への反射面による(及び光出力窓を通る)光の反射によって再利用される。更に、複数の固体発光体を有する発光モジュールは、単一の固体発光体を有する発光モジュールと同じ利点を有している。2つ以上の固体発光体の場合、固体発光体面積比の計算に固体発光体の上面の総合計面積が用いられる。
一形態では、上記基体反射係数の値は、1と固体発光体反射係数との差のファクタc倍を加えた固体発光体反射係数よりも大きい。ファクタcの値は、少なくとも1つの固体発光体の上面の面積と基体の光反射面の面積との比として定義される固体発光体面積比の値に依存する。固体発光体面積比が相対的に小さい場合、すなわち、0.1よりも小さい値である場合、ファクタcが0.2以上であれば、かなり効率的な発光モジュールが与えられる。固体発光体面積比が中間の範囲にある場合、すなわち、0.1以上の最小値及び0.25以下の最大値を有する範囲にある場合、ファクタcが0.3以上であれば、かなり効率的な発光モジュールが与えられる。固体発光体面積比が相対的に大きい、すなわち、0.25よりも大きい値を有する場合、ファクタcが0.4以上であれば、かなり効率的な発光モジュールが与えられる。反射係数の値は1より大きいことはないので、ファクタcは最大値1を有する。実際には、固体発光体面積比の値は、0から1の間である。
部分拡散反射層に衝突する上記第1の色の範囲の光は、散乱し、部分拡散反射層の表面による反射のため、内部反射のため及び部分拡散反射層における後方散乱のために一部分は少なくとも1つの固体発光体及び基体の方に反射し、一部分は部分拡散反射層を通って透過もする。
上記少なくとも1つの固体発光体は、その制約のために制限された固体発光体反射係数を有しており、これは、少なくとも1つの固体発光体に衝突する光の大部分が少なくとも1つの固体発光体に吸収されることを意味する。少なくとも1つの固体発光体の上面は、上面に衝突する光の比較的少ない部分を反射し、その光のかなり大きい部分は固体発光体のコアに送られる。固体発光体の裏面及び半導体領域は、光のかなりの部分を吸収し、その結果、固体発光体のコアに入る制限された量の光が固体発光体の周囲に再び発せられる。「ダイ」という語は、固体発光体のチップに用いられることが多く、両方の用語は、光が生成される半導体装置を指すものである。半導体装置は、実際には光を生成する半導体材料を含んでおり、電極、セグメンテーション、バイアス、バックサイドミラー及び例えば保護層も含んでいる。幾つかのアプリケーションでは、固体発光体は光透過性基板、例えば、サファイアの上に成長されることに注意されたい。製造後、基板は、固体発光体のダイ上に依然として存在してもよく、固体発光体において生成される光は、成長基板を通って発せられる。「上面」という用語は、成長基板の表面を指しているのではなく、光のほとんどを発する固体発光体のダイの表面を指している。幾つかの形態では、上面を通る光は、主に、光出力窓の方向に放出される。
上記基体反射係数が固体発光体反射係数よりも著しく大きいと、発光モジュールの効率は全体としてかなり向上することに注意されたい。更に、固体発光体面積比に依存する反射係数の或る差を上回ると著しい改善が認められた。従って、この形態によれば、基体反射係数は、1と固体発光体反射係数の値との差のファクタc倍を加えた固体発光体反射係数よりも少なくとも大きい。Rbaseは基体反射係数であり、R_SSLは固体発光体反射係数であるとすると、この基準は式、すなわち、Rbase>R_SSL+c×(1−R_SSL)によって表される。従って、固体発光体面積比が相対的に小さいと、すなわち、0.1よりも小さいと、これは、基体の反射面が固体発光体の上面の面積に対してかなり大きい面積を有することを意味し、c≧0.2であればかなり効率的な発光モジュールが得られる。一例として、R_SSL=0.7の場合、基体の反射面の反射係数は、かなり効率的な発光モジュールを達成するために、0.76以上であるべきである。固体発光体面積比が中間の範囲にあると、すなわち、0.1以上の最小値及び0.25以下の最大値を有する範囲にあると、これは、基体の反射面の面積が固体発光体の上面の面積に匹敵することを意味し、c≧0.3であればかなり効率的な発光モジュールが得られる。一例として、R_SSL=0.7の場合、基体の反射面の反射係数は、かなり効率的な発光モジュールを達成するために、0.79以上であるべきである。固体発光体面積比が相対的に大きいと、すなわち、0.25よりも大きいと、これは、基体の反射面が固体発光体の上面の面積に対してかなり小さい面積を有することを意味し、かなり効率的な発光モジュールを達成するために、ファクタcは0.4以上であるべきである。一例として、R_SSL=0.7の場合、基体の反射面の反射係数は、かなり効率的な発光モジュールを与えるために、0.82以上であるべきである。
上記反射係数は、関連する面全体にわたる平均の数であることに注意されたい。基体の光反射面は、例えば、基体上において種々の材料及び/又は種々の反射層の厚さを用いることにより他の領域よりも反射性の少ない領域を有している。更に、異なる波長の光の反射は異なるが、好ましくは、反射係数は、少なくとも第1の色の範囲の光を有するスペクトル範囲及び入射角度の分布にわたって重み付けされた平均である。
幾つかのケースでは、少なくとも1つの固体発光体は基板、例えば、セラミック基板に取り付けられており、基板と少なくとも1つの固体発光体との組み合わせが他のキャリア層に取り付けられている。このキャリア層は、例えば、絶縁金属基板(IMS)とも呼ばれるメタルコアプリント回路基板(MCPCB)若しくはFR4のような通常のPCB又はアルミナ若しくは窒化アルミニウムのような他のセラミックキャリアである。そのような状況では、発光モジュールの基体は、他のキャリア層と固体発光体が取り付けられる基板との組み合わせである。言い換えれば、基体は、固体発光体が与えられる材料及び/又は層の組み合わせである。その結果、この特定のケースでは、基体反射係数は、基板及びキャリア層の反射係数の重み付けされた平均である。誤解を避けるために、計算の際、基体の反射面の面積は少なくとも1つの固体発光体により覆われる面積を含まない。
固体発光体面積比が相対的に小さい、すなわち、0.1よりも小さい時には、0.4≦c≦1の場合により効率的な発光モジュールが得られる。0.6≦c≦1の場合は、より一層効率的な発光モジュールが得られる。固体発光体面積比が中間の範囲にある時、すなわち、0.1以上の最小値及び0.25以下の最大値を有する範囲にある時には、0.6≦c≦1の場合により効率的な発光モジュールが得られる。0.84≦c≦1の場合は、より一層効率的な発光モジュールが得られる。固体発光体面積比が相対的に大きい、すなわち、0.25よりも大きい時には、0.8≦c≦1の場合により効率的な発光モジュールが得られる。
一形態では、少なくとも1つの固体発光体は、基体の光反射面に設けられている。誤解を避けるために、計算の際、基体の反射面の面積は少なくとも1つの固体発光体により覆われる面積を含まない。しかしながら、他の実施形態では、少なくとも1つの固体発光体は、基体と光出力窓との間に与えられるワイヤのネットワーク上に位置する。そのような実施形態では、ワイヤは、固体発光体を支持し、固体発光体に電力を供給する。ワイヤは、メタルコア及び保護プラスチッククラッドを含んでおり、例えば、はんだ接合接続によりエミッタの基板又はキャリアの接触点にのみ電気的に取り付けられている。
一形態では、発光モジュールは、基体と光出力窓との間に挿入された壁部を有している。基体、壁部及び光出力窓は空洞部を囲んでいる。壁部は、空洞部に面する光反射性の壁部表面を有しており、この光反射性の壁部表面は、光反射性の壁部表面により反射される光の量と光反射性の壁部表面に衝突する光の量との比により定義される壁部反射係数を有している。この形態では、有効反射係数は、基体及び壁部の反射係数の重み付けされた平均として定義され、例えば、各表面積の大きさに対応して重み付けされる。この形態では、有効反射係数は、少なくとも70%よりも大きく且つ固体発光体反射係数よりも大きい。従って、組み合わせられた基体及び壁部が指定された有効反射係数を有する場合、上記発光モジュールはかなり効率的である。
更に他の形態では、上記有効反射係数は、1と固体発光体反射係数の値との差のファクタc倍を加えた固体発光体反射係数よりも少なくとも大きい。ファクタcについての基準は、壁部を伴わない形態の場合と同様であり、ここでは、合計の反射面が壁部の反射面と基体の反射面とを有することが唯一の相違点である。従って、固体発光体の被覆率は、ここでは、少なくとも1つの固体発光体の上面の面積と基体の反射面の面積及び反射性の壁部表面の面積の和との比として定義される。基体及び固体発光体の反射係数に従って、壁部反射係数は、光の所定のスペクトルの光の反射の重み付けされた平均であることに注意されたい。壁部は、この例では発光材料を有する部分拡散反射層から基体への熱の伝導のような更なる機能を有し得ることに注意されたい。基体はヒートシンクに結合されていることが多く、第1の色の範囲の光が第2の色の範囲の光に変換される場合の熱生成の結果として発光層はかなり熱くなる。壁部の反射面は、かなり効率的な発光モジュールの実現の役に立つ。
一形態では、上記壁部反射係数、すなわち、壁部の反射率は少なくとも95%よりも小さく、固体発光体面積比が相対的に小さい値の場合、すなわち、0.1よりも小さい場合、固体発光体の上面と部分拡散反射層との距離は、上面の最大直線サイズ(又は上面の最大直線サイズの平均値)の0.3倍の最小値及び上面の最大直線サイズ(又は上面の最大直線サイズの平均値)の0.75倍よりも小さい最大値を有する範囲にある。中間の値の固体発光体面積比である場合、すなわち、0.1以上の最小値及び0.25以下の最大値を有する範囲にある場合、このケースにおける上記距離は、上面の最大直線サイズ(又は上面の最大直線サイズの平均値)の0.15倍の最小値及び上面の最大直線サイズ(又は上面の最大直線サイズの平均値)の0.3倍よりも小さい最大値を有する範囲にある。固体発光体面積比が相対的に大きい値、すなわち、0.25よりも大きい場合、このケースにおける上記距離は、上面の最大直線サイズ(又は上面の最大直線サイズの平均値)の0.1倍の最小値及び上面の最大直線サイズ(又は上面の最大直線サイズの平均値)の0.2倍よりも小さい最大値を有する範囲にある。本願発明者等は、これらの基準に関してかなり効率的な発光モジュールが得られることを見出した。
一形態では、上記壁部反射係数は少なくとも95%以上であり、固体発光体面積比が相対的に小さい値の場合、すなわち、0.1よりも小さい場合、固体発光体の上面と部分拡散反射層との距離は、上面の最大直線サイズ(又は上面の最大直線サイズの平均値)の0.75倍の最小値及び上面の最大直線サイズ(又は上面の最大直線サイズの平均値)の2倍の最大値を有する範囲にあれば、かなり効率的な発光モジュールが得られる。中間の値の固体発光体面積比である場合、すなわち、0.1以上の最小値及び0.25以下の最大値を有する範囲にある場合、このケースにおける上記距離は、上面の最大直線サイズ(又は上面の最大直線サイズの平均値)の0.3倍の最小値及び上面の最大直線サイズ(又は上面の最大直線サイズの平均値)の0.7倍の最大値を有する範囲にある。固体発光体面積比が相対的に大きい値、すなわち、0.25よりも大きい場合、このケースにおける上記距離は、上面の最大直線サイズ(又は上面の最大直線サイズの平均値)の0.2倍の最小値及び上面の最大直線サイズ(又は上面の最大直線サイズの平均値)の0.5倍の最大値を有する範囲にある。
本発明の一形態では、上記反射性の基体表面の少なくとも一部は、固体発光体の上面よりも部分拡散反射層に近い。この形態では、固体発光体面積比が0.1よりも小さい場合には0.4×dSLLの最小値及び5×dSLL+Δh/2の最大値を有する範囲にあれば、固体発光体面積比0.1以上の最小値及び0.25以下の最大値を有する範囲にある場合には0.15×dSLL+Δh/2の最小値及び3×dSLL+Δh/2の最大値を有する範囲にあれば、固体発光体面積比が0.25よりも大きい場合には0.1×dSLL+Δh/2の最小値及び2×dSLL+Δh/2の最大値を有する範囲にあれば、かなり効率的な発光モジュールが得られる。パラメータdSLLは、少なくとも1つの固体発光体の上面の最大直線サイズであり、パラメータΔhは、少なくとも1つの固体発光体の上面と部分拡散反射層との距離と、反射性の基体表面と部分拡散反射層との距離又は平均距離との差の絶対値である。複数の固体発光体の場合、平均値が用いられる。この形態では、基体は、例えば、固体発光体が配される1つの以上の凹部を有している。
一形態では、上記壁部は、以下の材料、すなわち、アルミニウム、銅、アルミナのようなセラミック、ポリアミド又はスペクトラロンのような熱伝導性ポリマの少なくとも1つを有している。
一形態では、上記基体の光反射面及び/又は光反射性の壁部表面の少なくとも1つは、光反射性のコーティング、光反射性のモールディング、光反射性のセラミック又は光反射性のフォイルを有している。光反射性のコーティングは、各光反射面の反射率を高めるために用いられ、それにより、発光モジュールの効率を改善する。好ましい形態では、基体及び/又は壁部の光反射面は、白色コーティングにより得られる光を広く散乱させる。広く散乱させる面は、発光モジュールの光のリサイクル効率を更に改善する。他の形態では、基体及び/又は壁部の光反射面は共鳴反射させることができ、これは金属ミラー(保護銀又はアルミニウム)により得られる。更に他の形態では、基体及び/又は壁部の光反射面は、広く散乱させる材料と鏡面反射させる材料との組み合わせである。
更に他の形態では、上記光反射性の壁部表面は、光出力窓に向かう光の反射を増加させるように基体の法線軸に対して傾斜している。更に他の形態では、上記光反射性の壁部表面は、光出力窓に向かう光の反射を増加させるようにカーブしている。そのような傾斜した壁部表面又はカーブした壁部表面は、空洞部の内部から見て凸状の空洞部をもたらす。更に、傾斜又はカーブは、基体に接触する光反射性の壁部表面の縁部が、部分拡散反射層に接触する光反射性の壁部表面の縁部よりも互いに近くなるようにされている。そのような傾斜又はカーブした壁部表面を伴う凸状の空洞部は、光反射性の壁部表面に衝突する光を部分拡散反射層(及び従って光出力窓)の方へより良好に反射する。他の反射点において又は固体発光体によってより多くの吸収を引き起こす光反射性の壁部表面による空洞部の内部への光の反射が少なくとも部分的に妨げられる。その結果、発光モジュールの効率が高まる。これは、固体発光体面積比のかなり高い値において特に有利である。
一形態では、上記部分拡散反射層は光出力窓を形成している。部分拡散反射層は縁部を有しており、この部分拡散反射層の縁部は基体と接している。この形態に係る構成は、部分拡散反射層と基体との間の壁部の使用を妨げ、これは或る用途に有利である。この形態では、空洞部が光出力窓及び基体により形成される。更に、該空洞部はより広い角度の光出力の分布をもたらす。
他の形態では、上記発光モジュールは、1つ以上の固体発光体と発光層との間に配された実質的に透明な材料を有しており、この透明な材料は、上記1つ以上の固体発光体に光学的に結合される。上記実質的に透明な材料は、固体発光体からの光のアウトカップリング(出力)を助ける。固体発光体の材料は、一般に、かなり高い屈折率を有しており、従って、相当量の光が全内部反射(TIR)のために固体発光体内部に捕らえられる。上記実質的に透明な材料は、例えば空気の屈折率よりも固体発光体の屈折率に近い屈折率を有しており、結果として、より多くの光が透明材料内に、従って最終的には発光モジュールの外へ発せられる。透明材料は、固体発光体の屈折率に近い屈折率を有していてもよい。固体発光体がInGaN材料のタイプの場合、発光体の屈折率は2.4に近く、発光体表面に取り付けられる高屈折率ガラス又はセラミックは、チップから最も多くの光を取り出す。透明材料は、種々の層に又は混合物として適用される種々の材料を有している。例えば、高屈折率セラミック基板は、例えば、少なくとも1つの固体発光体上に配されたドーム状又は平坦な封止材料である。一形態では、透明材料の屈折率は1.4よりも高い。他の形態では、透明材料の屈折率は1.7よりも高い。
更に他の形態では、上記実質的に透明な材料は、更に、部分拡散反射層に光学的及び熱的に結合される。例えば、基体と部分拡散反射層との間の空間全体が透明材料で満たされており、従って、透明材料は部分拡散反射層にも光学的に結合され、これは、部分拡散反射層と空洞部との界面におけるより少ない反射をもたらす。その結果、より多くの光が発光モジュールの周囲に発せられる。更に、透明材料が部分拡散反射層と接している場合、透明材料は部分拡散反射層にも熱的に結合され、部分拡散反射層から例えば基体への熱伝導を助ける。これは、より暖かくない部分拡散反射層をもたらし、一般に、より効率的であり、より長い寿命を有する。例えば、部分拡散反射層が発光層である場合、透明材料は、空気の間隙と比較して発光材料と基体との間に高められた熱伝導を与える。空気は約0.025W/mKの熱伝導率を有しているので、約0.3の熱伝導率を有するシリコーン樹脂はより良好な熱的界面を与え、約1.0W/mKの熱伝導率のソーダ石灰ガラスのようなガラス基板は更に優れており、約1.3W/mKのホウケイ酸ガラス又は溶融石英ガラス、約30W/mKの半透明多結晶アルミナ基板、42W/mKのサファイア基板は非常に優れている。オプションで、実質的に透明な材料は、焼結された半透明多結晶アルミナであってもよく、粒径は、非常に優れた熱特性と組み合わされたかなり高い透過性を与えるために、好ましくは44μmよりも大きく、好ましくは1μmよりも小さい。
他の形態では、上記実質的に透明な材料は、透明樹脂、透明ゲル、透明液体、透明ガラス、透明ポリマ及び透明セラミックの少なくとも1つを有している。透明とは、第1及び第2の波長範囲のスペクトル領域において実質的に光の吸収がないことを指す。特に、この散乱が前方散乱のタイプである場合、散乱の幾つかの制限されたレベルが透明層において可能になる。従って、幾つかの散乱中心が、わずかにかすんだ材料の半透明層を用いることにより、発光材料と基体との間の実質的に透明な材料において可能になる。
更に他の形態では、上記発光材料は、無機蛍光体、セラミック蛍光体及び量子ドットの少なくとも1つ又はこれらの混合物を有している。発光層は、キャリア層、例えばガラス基板と、発光材料の層とを有していてもよいし、発光層はキャリア層にランダムに分布した発光材料の粒子を有する又はセラミック蛍光体の場合には、実質的には、発光層全体が発光材料であることに注意されたい。発光層は、積層された又は接近した間隔で配された種々の分離した発光層から成っていてもよいことにも注意されたい。種々の発光材料が種々の層において用いられ得る。しかしながら、発光材料は、同じ層において混合されていてもよい。無機発光材料の例は、CeがドープされたYAG(Y3Al5O12)又はLuAG(Lu3Al5O12)を含んでいるが、これらに限定されるものではない。CeドープYAGは黄色の光を発し、CeドープLuAGは黄色ないし緑色の光を発する。赤色の光を発する他の無機発光材料の例は、ECAS(Ca1−xAlSiN3:Euxであり、0≦x≦1;特にx≦0.2)及びBSSN(Ba2−x−zMxSi5−yAlyN8−yOy:Euz(M=Sr、Ca;0≦x≦1、特にx≦0.2;0≦y≦4、0.0005≦z≦0.05))を含んでいるが、これらに限定されるものではない。
一形態では、上記光出力窓は、更に、散乱光の放出を得るため、空間的に色及び角度に対する色の均一な光の放出を得るため並びに色が混合された光の放出のための拡散層を有している。光出力窓は、角度に対する色のばらつき又は色の均一性を補正するダイクロイック層も有していてもよい。発光層による光放出特性への影響に加えて、例えば、所望の光ビームの形状を与える光学素子のような光出力窓を通って発光モジュールの周囲に発せられる光の特徴に影響を及ぼす他の光学層も用いられ得る。
一形態では、散乱光の放出を得るため、空間的に色及び角度に対する色の均一な光の放出を得るため並びに色が混合された光の放出のための拡散層が、少なくとも1つの固体発光体から離れて対向する部分拡散反射層の側から或る距離に与えられる。
一形態では、少なくとも1つの発光素子から離れて面する、部分拡散反射層の側に偏光素子が位置している。
本発明の第2の観点によれば、本発明に係る発光モジュールを有するランプが与えられる。このランプは、複数の発光モジュールを有していてもよい。このランプは、レトロフィット電球、レトロフィットPAR(parabolic aluminized reflector)ランプ、スポットランプ、ダウンライトランプ、レトロフィットハロゲンランプ又はレトロフィットライトチューブを有している。
本発明の第3の観点によれば、本発明に係る発光モジュール又は本発明に係るランプを有する照明器具が与えられる。この照明器具は、複数の発光モジュールを有していてもよい。
本発明の第4の観点によれば、本発明に係る発光モジュールを有する表示装置が与えられる。使用中、発光モジュールは、LCD表示装置用のバックライティングユニットとしての役割を果たす。発光モジュールは、相対的に有効に(偏光された)光を生成し、表示装置のコストレベルを低減する。
本発明の第2、第3及び第4の観点それぞれによるランプ、照明器具及び表示装置は、本発明の第1の観点による発光モジュールと同じ利点を提供し、発光モジュールの対応する実施形態と同様の効果を有する。
これに関連して、或る色の範囲の光は、典型的には、所定のスペクトルを持つ光を有している。所定のスペクトルは、例えば、所定の波長の周りの特定の帯域幅を有する原色を有しているか、又は、例えば、複数の原色を有している。上記所定の波長は、放射パワースペクトル分布の平均の波長である。これに関連して、所定の色の光は、紫外光のような非可視光も含んでいる。原色の光は、例えば、赤色、緑色、青色、黄色及びアンバー光を含んでいる。所定の色の光は、青色及びアンバー又は青色、黄色及び赤色のような原色の混合物を有していてもよい。第1の色の範囲は、紫外光又は赤外光のような人間の目に見えない光も有し得ることに注意されたい。「紫色光」又は「紫色放出」という用語は、特に、約380ないし440nmの範囲内にある波長を有する光に関連している。「青色光」又は「青色放出」という用語は、特に、(幾らかの紫色及びシアンの色相を含む)約440ないし490nmの範囲内にある波長を有する光に関連している。「緑色光」又は「緑色放出」という用語は、特に、約490ないし560nmの範囲内にある波長を有する光に関連している。「黄色光」又は「黄色放出」という用語は、特に、約560ないし590nmの範囲内にある波長を有する光に関連している。「橙色光」又は「橙色放出」という用語は、特に、約590ないし620nmの範囲内にある波長を有する光に関連している。「赤色光」又は「赤色放出」という用語は、特に、約620ないし750nmの範囲内にある波長を有する光に関連している。「アンバー光」又は「アンバー放出」という用語は、特に、約575ないし605nmの範囲内にある波長を有する光に関連している。「可視」光又は「可視放出」という用語は、約380ないし750nmの範囲内にある波長を有する光のことを指す。
本発明のこれらの観点及びその他の観点は、以下に説明する実施形態から明らかであり、以下に説明する実施形態を参照して理解されるであろう。
本発明の上述した形態、実施及び/又は観点の2つ以上が有用であると考えられる任意のやり方で組み合わせられ得ることは、当業者により理解されるであろう。
更に、明細書及び特許請求の範囲における「第1」、「第2」、「第3」及びこれらに類する用語は、類似する要素を区別するために用いられており、必ずしも連続する順序又は発生順を説明するために用いられるものではない。そのように用いられている用語は適切な状況下において置き換え可能であり、本明細書で説明される本発明の実施形態は、本明細書中に説明されている又は示されている順序ではない他の順序で動作可能であることを理解されたい。
発光モジュールの説明される修正形態及び変形形態に対応する発光モジュール、ランプ、照明器具及び/又は表示装置の修正形態及び変形形態は、本明細書の説明に基づいて当業者により実行され得る。
第1の実施形態は、本発明の第1の観点による発光モジュール100の断面を示す図1aに示されている。発光モジュール100は、光出力窓104を備えている。この実施形態の光出力窓104は、発光材料を有する発光層102により形成されている。発光材料は、発光材料に衝突する第1の色の範囲の光114の少なくとも一部を第2の色の範囲の光116に変換する。発光モジュール100aの他の側には、光出力窓104と対向する光反射面112を有する基体110が設けられている。基体110上には、使用中、光出力窓104の一部に向かって第1の色の範囲の光114を発する固体発光体108が設けられている。上記基体は、典型的には、電力を与えるために固体発光体108のダイ又は複数のダイと接する電極構造体を備えている。電極構造体は、図には示されていない。固体発光体108により覆われている基体110の表面は、基体110の光反射面112に含まれない。
光反射面112は、光反射面112により反射される光の量と光反射面112に衝突する光の量との比により定義される基体反射係数Rbaseを有している。固体発光体108は、固体発光体108により反射される光の量と固体発光体108に衝突する光の量との比により定義される固体発光体反射係数R_SSLを有している。これらの反射係数ははともに、種々の波長の光に関する反射係数の平均、例えば、第1の色の範囲の光114及び第2の色の範囲の光116にわたる(重み付けされた)平均であることに注意されたい。
発光層102は、固体発光体108の上面106に直接配置されてはおらず、固体発光体108から距離hのところに配されている。固体発光体108が第1の色の範囲の光114を発する場合、第1の色の範囲の光114の少なくとも一部は、基体110及び固体発光体108の方へ発光層102により反射される。第1の色の範囲114の一部は、光が衝突する面において反射するために又は内部反射若しくは後方散乱のために発光層102により反射される。反射して戻る光は、一部分は固体発光体108に衝突し、一部分は基体110の光反射面112に衝突する。
第1の色の範囲の光114の他の部分は、発光層102を通って発光モジュール100の周囲に伝送される。第1の色の範囲の光114の更に他の部分は、発光材料により第2の色の範囲の光116に変換される。発光材料は、第2の色の範囲の光116を複数の方向に発し、その結果、第2の色の範囲の光116の一部は、発光モジュール100の周囲に発せられ、第2の色の範囲の光116の他の部分は、基体110及び固体発光体108の方へ発せられる。
固体発光体108の上面106に衝突する光は、一部分は反射し、一部分は固体発光体108の半導体材料に送られる。固体発光体108内において、光の一部は吸収され、光の幾らかの他の部分の、反射して上面106の方に戻り、光出力窓104の方へ再度発せられる。固体発光体反射係数R_SSLの値は、衝突する光の何分の一が反射して戻るかを規定し、値(1−R_SSL)は、衝突する光のどの程度が固体発光体108により吸収されるかを規定する。実際には、固体発光体108は、かなり低い値の、一般的には約0.7の固体発光体反射係数R_SSLを有する。
上記発光層により基体110の方へ反射され、散乱され、すなわち、拡散反射され又は発せられ、固体発光体108に衝突しない光は、基体110の光反射面112により大部分が反射される。しかしながら、少量の光は、上記面において又は下側の層に依然として吸収される。基体反射係数Rbaseは、衝突する光の何分の一が光反射面112により反射されて戻るかを規定し、値(1−Rbase)は、衝突する光のどの程度が光反射面112により吸収されるかを規定する。
基体反射係数Rbase及び固体発光体反射係数R_SSLの値は、常に、0から1の間の値である。固体発光体108により生成される光の量は固体発光体反射係数R_SSLを決定する際に考慮されないことに注意されたい。反射した光の一部は、固体発光体108に衝突する光の量の一部である。
本発明によれば、基体反射係数Rbaseの値は、少なくとも固体発光体反射係数R_SSLの値よりも大きい。好ましくは、基体反射係数Rbaseの値は、1と固体発光体反射係数R_SSLとの差のファクタc倍を加えた固体発光体反射係数R_SSLの値よりも大きい。従って、Rbase>R_SSL+c・(1−R_SSL)である。よって、光反射面112は、平均的には、少なくとも完全に反射する、すなわち、100%の反射率の固体発光体と用いられる固体発光体108の実際の反射率との差のc倍の値である値を持つ固体発光体108よりも多くの光を反射する。上記ファクタcは、以下において固体発光体面積比ρSSL:ρSSL=(A_SSL/Abase)と呼ばれる基体110の総反射面積に対する固体発光体108の総面積に依存する。上記A_SSLは固体発光体108の上面106の総面積を表し、Abaseは基体110の反射面112の総面積を表している。実際には、固体発光体面積比ρSSLは、1.0の最大値を有する。固体発光体面積比ρSSLが0.1よりも小さい場合、すなわち、ρSSL<0.1である場合、これは固体発光体108の上面106の面積に対して基体110の反射面積がかなり大きいことを示しており、ファクタcは、相対的に効率的な発光モジュールを有するためにc≧0.2の基準を満たすべきである。0.1≦ρSSL≦0.25である場合、これは基体110の反射面積が固体発光体108の上面106の面積に匹敵することを示しており、ファクタcは、相対的に効率的な発光モジュールを有するためにc≧0.3の基準を満たすべきである。ρSSL>0.25である場合、これは固体発光体108の上面106の面積に対して基体110の反射面積がかなり小さいことを示しており、ファクタcは、相対的に効率的な発光モジュールを有するためにc≧0.4の基準を満たすべきである。全ての場合においてファクタcの値は、実際には1.0よりも小さい。
かなりの量の光が発光層102により発光層102から離れて基体110に向かう方向に反射される、散乱される又は発せられるので、発光モジュール100の効率を向上させるために光出力窓104に再び光を反射させることによりこの光を再利用することは有利である。固体発光体反射係数R_SSLは、発光モジュール100に用いられなければならない特定の固体発光体108の決まった特徴であるために、選択され得ないことが多い。従って、発光モジュール100の効率を向上させるために、固体発光体108よりも衝突する光を多く反射する基体110の光反射面112を有することは有利である。また、Rbase>R_SSL+c・(1−R_SSL)である場合に大幅な効率の改善が得られることが分かった。
本願発明者等は、更に、0<ρSSL<0.1の場合にc≧0.4、0.1≦ρSSL≦0.25の場合にc≧0.6及びρSSL>0.25の場合にc≧0.8であれば、より一層効率的な発光モジュールが得られることを見出した。0<ρSSL<0.1の場合にc≧0.6及び0.1≦ρSSL≦0.25の場合にc≧0.84であれば、更に効率的な発光モジュールが達成される。
部分的拡散反射光の特性は、効率に従い及び従って本発明によって効率的な発光モジュールを達成するために重要であり、発光層は、入射光が一部分は拡散反射し、一部分は透過される部分的拡散反射特性を有する他の層によっても置き換えられ得る。
アプリケーションに依存して、発光モジュール及び固体発光体の発光領域のルーメン出力及び大きさに関して発光モジュールに対する種々の要求が存在する。光強度の或る角度分布が必要とされるアプリケーションの場合、通常、ビームを成形する光学素子が適用される。通常はランバート発光体プロファイルに近い固体発光体光ビームのビームプロファイルを平行ビームに変換するために、最初の発光サイズをかなり小さく保つことが必要である。この場合、ルーメン出力により決定され、固体発光体108の発光面の総面積に関連し、例えば、1つよりも多い固体発光体108を使用することによっても増大され得る発光モジュールの輝度は、かなり高いべきである。これらのアプリケーションに関しては、かなり高い固体発光体面積比ρSSLが必要とされる。一例は、レトロフィットハロゲンランプ用のモジュールである。
発光モジュールの輝度レベル、固体発光体108の特定のビーム成形又は総面積に厳しい要求がないアプリケーションでは、より効率的な光の再利用及びより高い効率を与えるために、固体発光体108の部分的吸収面106に対してかなり大きい反射性の基体112を有することが好ましい。これらのアプリケーションに関しては、かなり低い固体発光体面積比ρSSLが好ましい。一例は、発光モジュールの幾何学的形状にのみ限定された制約を課すレトロフィットバルブのアプリケーションにおいて実現される高ルーメンパッケージである。
上記反射係数は、それらが関連する全表面にわたる平均の数であることに注意されたい。基体光反射面は、例えば、他の領域よりも少なく反射する領域を有している。また、異なる波長の光の反射及び異なる入射角度における光の反射は、異なる。好ましくは、反射係数は、スペクトル領域にわたって及び入射角度の分布にわたって、例えば、昼光のスペクトル領域にわたって又は一定量の第1の色の範囲及び第2の色の範囲を有するスペクトル範囲にわたって平均化されたものである。反射係数の測定は、反射率が測定されなければならない物体にスペクトル領域の平行光ビームを向け、反射光の量を測定することにより行われることが多い。これは、典型的には、1つ以上の入射角度において行われ、反射係数は、異なる入射角度の場合に得られる反射係数の重み付けされた平均である。重み係数は、異なる入射角度において発光モジュール内の物体に衝突する光の量に依存する。
幾つかのケースでは、固体発光体は基板、例えば、セラミック又はシリコン基板に取り付けられており、基板と固体発光体との組み合わせが他のキャリア層に取り付けられている。このキャリア層は、例えば、絶縁金属基板(IMS)とも呼ばれるメタルコアプリント回路基板(MCPCB)若しくはFR4のような通常のPCB、アルミナ若しくは窒化アルミニウムのような他のセラミックキャリア又はシリコン基板である。そのような状況では、発光モジュールの基体は、他のキャリア層と固体発光体が取り付けられる基板との組み合わせである。言い換えれば、基体は、固体発光体が取り付けられる材料及び/又は層の組み合わせである。その結果、この特定のケースでは、基体反射係数は、基板及びキャリア層の反射係数の重み付けされた平均である。固体発光体が取り付けられる基板又はキャリア基板が完全に平坦である必要はない。典型的には、発光体に電力を供給する導電性の銅トラックのような物理的高さを有する金属電極が基板上に存在する。また、上記面に与えられる熱拡散層も存在し得る。キャリアの基板の一部は、例えば、モジュールを固定する若しくはモジュールにコリメータを取り付けるための追加の支持構造体を実現するため又は、例えば、電気的機能から光学的機能を分離する周縁部(rim)を規定するために局所的により厚くてもよい。基板又はキャリア上には、キャパシタ、NTCのような温度センサ、抵抗、ESD保護ダイオード、ツェナーダイオード、バリスタ、フォトダイオードのような光センサ又は集積回路(IC)等の他の電気部品が存在し得る。これらの構成要素は、光出力窓の周囲の外側に配される可能性が高いが、実際には、光出力窓の周囲の内側にも配され得る。後者の場合、上記構成要素は基体の平均反射率に寄与するであろう。これらの構成要素は、光損失を最小限にするために反射層により覆われている。
図1bは、本発明の第1の観点による発光モジュール150の他の実施形態を示している。発光モジュール150は、発光モジュール100とよく似た構造を有しているが、発光層102に向かって第1の色の範囲の光114を発する複数の固体発光体154、156が設けられている。発光モジュール150に関して、固体発光体反射係数R_SSLは、複数の固体発光体154、156の光反射係数の平均として定義される。
図1bにおいて分かるように、発光モジュール150の固体発光体面積比ρSSLは、発光モジュール100のそのような比よりも大きく、ρSSLの計算に関して、固体発光体の上面152、158の合計面積が、A_SSLに置き換えられるべきである。よって、発光モジュール150では、発光モジュール100よりも相対的に大量の光が固体発光体154、156に衝突し、従って、相対的に大量の光が固体発光体154、156によって吸収される。発光モジュール150は、かなり効率的な発光モジュールを有するために面積比ρSSLが0.25よりも大きく、ファクタcの値が0.4以上であるべきである発光モジュールの一例である。
他の実施形態では、異なる固体発光体154、156は異なる色の範囲を発することに注意されたい。更に、発光層102は、光出力窓104を通して伝達される光が第1の色の範囲114及び第2の色の範囲116のみよりも多くを有するように、それぞれが異なる変換特性を持つ異なる発光材料を有し得る。
図1a及び図1bでは、固体発光体108、154、156の個々が、光出力窓104及び発光層102と対向する上面106、152、158を有している。上面106、152、158は、第1の色の範囲の光114が発光層の方向に支配的に発せられる面である。固体発光体108、154、156の上面106、152、158とこれら上面106、152、158と対向する発光層102の面との距離は、固体発光体108、154、156の上面106、152、158とこれら上面106、152、158と対向する発光層102の面との最短の直線経路の長さとして定義される距離hである。
本願発明者等は、光反射面によるより多くの反射の光学的効果がより高い光出力に寄与する唯一の要因ではないことを実験により見出した。間隙及び固体発光体108、154、156と発光層102との距離hもまた、光モジュールの効率及び光出力に寄与する。上面106、152、158の個々は、上面106、152、158上のラインに沿った最大直線距離として定義される最大直線サイズdSSLを有している。上面が円形である場合、最大直線サイズdSSLは円の直径の長さである。上面が正方形又は長方形の形状を有している場合、最大直線サイズdSSLは正方形又は長方形の対角線の長さである。本願発明者等は、距離hが小さすぎると、過剰な光が固体発光体108、154、156により吸収されるほど過剰な光が固体発光体108、154、156に戻って衝突することを理解した。本願発明者等は、更に、距離hが一定の値よりも大きいと、光反射面に戻って発せられる光の量と比較した固体発光体108、154、156に戻って発せられる光の量が、距離hが更に大きくされるケースでは著しい効率の改善が得られないようになることを理解した。また、本願発明者等は、かなる効率的な発光モジュールをもたらす距離hの値の範囲が固体発光体面積比ρSSLに依存することを見出した。ρSSL<0.1である場合、上面106、152、158と発光層102との距離hは、好ましくは、上面106、152、158の最大直線サイズdSSLの0.3倍の最小値を有し、上面106、152、158の最大直線サイズdSSLの5倍の最大値を有する範囲にある。0.1≦ρSSL≦0.25である場合、上面106、152、158と発光層102との距離hは、好ましくは、上面106、152、158の最大直線サイズdSSLの0.15倍の最小値を有し、上面106、152、158の最大直線サイズdSSLの3倍の最大値を有する範囲にある。ρSSL>0.25の場合には、上面106、152、158と発光層102との距離hは、好ましくは、上面106、152、158の最大直線サイズdSSLの0.1倍の最小値を有し、上面106、152、158の最大直線サイズdSSLの2倍の最大値を有する範囲にある。
発光モジュール100及び150は、上記与えられた式及び基準でファクタcが上述した値よりも大きい場合により一層効率的である。上面に直接発光層を備えた固体発光体に対して約40%の効率の向上が得られる。
発光モジュール150では、複数の発光体154、156が与えられ、複数の発光体154、156のそれぞれが、発光層102まで異なる距離を有し得る。距離が異なる場合、距離の平均が上記定義された範囲の1つにあるべきである。固体発光体154、156のそれぞれが上面152、158の異なる形状及び/又はサイズを有する場合、最大直線サイズdSSLは、複数の固体発光体154、156の上面の最大直線サイズdSSLの平均として定義される。
間隙及び固体発光体108、154、156と発光層102との距離hが存在する場合、固体発光体108、154、156は、発光層102が固体発光体108、154、156の上部に又は非常に近くに配される場合と同じように暖かくはならない。この場合、発光層102は、固体発光体108、154、156に直接熱的に結合されず、固体発光体108、154、156の熱をより少ない程度で与える又は受け取る。発光材料の温度が受け入れ可能な制限内に保たれると、発光材料の効率がより高い。また、固体発光体108、154、156の温度が受け入れ可能な制限内に保たれると、固体発光体108、154、156の効率がより高い。従って、固体発光体108、154、156と発光層102との距離hは、より効率的な発光層102の光熱効果をもたらす。更に、固体発光体108、154、156と発光層102との距離hは、発光層102の非常に特定の領域におけるかなり高い光束ではなく発光層102を通るより均一な光束分布をもたらす。発光材料は光飽和に敏感である傾向があり、これは、或るフラックスの値を上回ると発光材料がより低い効率で光を変換することを意味する。幾つかの発光材料又は有機蛍光体若しくは有機バインダのようなこれらの材料のバインダもまた、光飽和に敏感である傾向があり、これは、或るフラックスの値を上回ると、発光材料又はバインダは劣化し始め、典型的には効率の低下を招くことを意味する。従って、固体発光体108、154、156と発光層102との間に距離hを作り出すことにより、発光材料の光飽和及び光分解が防止される。また、距離hは、出力窓におけるより均一な光出力の分布の達成にも役立ち、第1のスペクトル領域と第2のスペクトル領域との色の分布を混ぜ合わせるためにも役立つ。従って、空間的及び角度的の両方の色均一性が改善される。これは、固体発光体の上部又は光出力窓内の拡散器又はダイクロイック層により更に高められる。
固体発光体108、154、156は、発光ダイオード(LED)、有機発光ダイオード(OLED)又は、例えばレーザダイオード、例えば、垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)であり得る。
図2a及び図2bは、本発明の第1の観点による発光モジュール200、250の平面図を与えている。人が、光出力窓を介して固体発光体が設けられた発光モジュール200、250の基体の面と対向する場合に、与えられている平面図が見られる。発光層は図2a及び図2bには描かれていないことに注意されたい。
図2aには、基体の光反射面204及び固体発光体の上面206が描かれている。矢印202は、固体発光体の上面206の最大直線サイズdSSLを示している。固体発光体の上面206の面積は、LwLhである。基体の光反射面204の面積は、(BwBh−LwLh)であり、これは、基体の総面積から固体発光体により占められる基体の面積を差し引いたものである。従って、基体の光反射面204の面積は、固体発光体により覆われた基体の面積を含んでいない。
図2bは、光反射面254、第1の固体発光体の第1の上面256及び第2の固体発光体の第2の上面258を示している。長方形の第1の固体発光体の最大直線距離は矢印252により示されている。第1の固体発光体の第1の上面256の面積は、L1wL1hである。第2の固体発光体の第2の上面258の面積は、1/4π(L2d)2である。基体の光反射面254の面積は、このケースでは(BwBh−L1wL1h−1/4π(L2d)2)である。
図3aは、空洞部316を有する発光モジュール300の一実施形態を与えている。発光モジュール300は、空洞部316内に光反射面306を持つ基体309を有している。光反射面306には、光出力窓に向かって第1の色の範囲の光を発する固体発光体312が設けられている。光出力窓は、発光層308により形成されている。基体309と発光層308との間には、壁部314、このケースでは4つの壁314が設けられている。壁部314の内側面304は、光反射性であり、壁部反射係数Rwallを有している。この壁部反射係数は、壁部314の光反射面304により反射される光の量と壁部314の光反射面304で衝突する光の量との比である。固体発光体312は、固体発光体反射係数R_SSLを有している。基体309の光反射面306は、基体反射係数Rbaseを有している。基体及び固体発光体の反射係数の定義は、図1a及び図1bの説明において与えられている。
壁部314は、種々の材料より構成され得る。壁部の材料は、反射性アルミナ、ジルコニア若しくは他のセラミックスのような散乱セラミックス、散乱ガラス、白色ポリアミドのような散乱着色ポリマ、スペクトラロンのような散乱フルオロポリマ又は散乱シリコーン樹脂を用いる際のような高い反射率を与える。壁部314は、また、アルミニウム又は銀のような金属材料より成っていてもよい。上記金属は、アラノッド(Alanod)の商品名の高反射性の市販の金属ミラーのような金属フィルム又はフィルムであり得る。
上記壁部の材料は、低反射率のもので、反射層により覆われていてもよい。このケースでは、壁部は、カーボン充填プラスチック、例えば、ポリアミドのような熱伝導性ポリマ、銅、ニッケル、ステンレス鋼のような金属材料又は窒化アルミニウム(AlN)のようなセラミック材料等の他の材料を有し得る。これらの材料は、典型的には、有利である高い熱伝導率、例えば、銅=約400W/mK、AlN=約140W/mKを有している。上記反射層は、コーティング、フィルム又は薄い層である。反射層は、例えば、TiO2又はZrO2のような散乱粒子で着色された白色シリコーン又は白色ゾルゲル、例えば、アルキルシリケートをベースとする材料の鋳造、浸漬、分配(dispensed)又は溶射層である。そうでなければ、反射層は、例えば、壁部の材料に蒸着又はスパッタされ得る保護される銀又はアルミニウムのような薄い金属コーティングである。壁部314は、例えば、リングのような円形、円柱、正方形又は長方形等の種々の形状がある。壁部は、冷却を容易にするためにフィンのような表面構造体を含んでいる。
上記壁部の材料は、また、反射体のコーティング又はフィルムのみのような薄膜層より成っていてもよい。このケースでは、壁部の反射体は、ガラス又はセラミック基板の周縁部のような基体と発光材料との間に存在する固体材料の縁部を覆っている。
上記壁部は、拡散反射体又は鏡面反射体であり得る。幾つかの実施形態では、鏡面反射する壁部が拡散反射する壁部よりも良好な性能を示し、他の実施形態では、拡散反射する壁部が鏡面反射する壁部よりも良好な性能を示す。
更に、基体306及び壁部314は、熱伝導性材料を有している。発光層308は、好ましくは、発光層308の縁部において壁部314に熱的に接続されている。発光層308を壁部314に接続するために、例えば、熱伝導性ペースト又は熱伝導性接着剤が用いられ得る。基体306には、ヒートシンク(図示せず)への境界面が設けられている。基体306は、ヒートシンクの一部であってもよく、ヒートシンクの構成要素となっていてもよい。固体発光体312は、空洞部316内に設けられており、光反射性の基体306に付けられている。固体発光体312と光反射性の基体306との接触は、固体発光体312が基体306に熱的に結合するようにされている。固体発光体312は、熱伝導性の接着剤、例えば、金属粒子を充填した接着剤により光反射性の基体306にはんだ付け又は接着される。空洞部316の基体306及び/又は壁部314は、熱伝達を更に向上させるためにサーマルビアを含んでいてもよい。例えば、基体306は、銅で金属化されたスルーホールを含む酸化アルミニウムセラミックで作られている。銅は、アルミニウム酸化物(20ないし30W/mK)と比較してより高い熱伝導率を有している(約400W/mK)。固体発光体312は、空洞部316の基体306を通る電気的ビアによっても電源に接続され得る。上記電気的ビアは、熱も伝達する。
上記発光層は、第1の色の範囲の光を第2の色の範囲の光に変換する蛍光体を有している。第2の色の範囲は、好ましくは、第1の色の範囲と異なるが、これらの範囲は部分的に一致していてもよい。上記蛍光体は、組み合わせらた実質的に白色光の放出が得られるように固体発光体により生成される青色光を黄色光に部分的に変換するYAG:Ce、LuAG:Ce又はLuYAG:Ceのような黄色蛍光体であり得る。他の実施形態では、蛍光体は、青色光を琥珀色の光又は赤色光それぞれに完全に変換するBSSNE:Eu又はECAS:Euのような完全変換蛍光体(full conversion phosphor)である。発光層は、より暖かい白色光の放出を得るために、蛍光体の組み合わせ、例えば、YAG:Ce及びECAS:Euを有していてもよい。
第2の色の範囲の光への第1の色の範囲の光の変換は。高い効率を有するが、幾らかの光は、吸収され、熱に変換される。特に、高出力固体発光体の場合、吸収されるエネルギーの量はかなり高い。発光層308が熱くなりすぎる、例えば、200℃よりも熱くなると、発光層の効率は低下する。更に、発光層は、発光特性が同様に低下するような高温で低下する材料を有していてもよい。上記発光モジュールでは、生成される熱は壁部及び基体を介してヒートシンクに伝達される。よって、発光層は熱くなりすぎない。
上記発光層は、蛍光体の粉末粒子の焼結を介して又は反応性焼結プロセスにおいて蛍光体を形成する前駆体粉末から溶融した肉眼で見える物体へと製造されるセラミック蛍光体であり得る。そのようなセラミック蛍光体はプレートで作られ、これらのプレートは、光出力窓に合う適切なサイズを与えるために機械的にダイスカットされる。セラミック蛍光体のシートのような発光材料の単一のシートが複数の隣り合う空洞部を覆ってもよいことに注意されたい。
セラミック蛍光体は、かなり良好な熱伝導体である。熱伝導率は、セラミック蛍光体のタイプ及び残渣の多孔度(residual porosity)に依存する。一例として、CeがドープされたYAGセラミック蛍光体についての典型的な熱伝導率は、室温で9ないし13W/mKである。シリコーン又は有機ポリマのようなバインダ樹脂中の粉末蛍光体層の典型的な熱伝導率は、約0.15ないし0.3W/mKの熱伝導率を持つバインダにより支配される。セラミック蛍光体層は、約10ないし300ミクロン、典型的には約100ミクロンの厚さであり、従って、堅く、自己支持形であり、よって、発光層のために追加の支持基板は必要ない。
上記発光層は、蛍光体粒子を有する半透明樹脂の層が堆積されたガラスの基板であってもよい。例えば、蛍光体粒子を伴う粉末が、バインダ、典型的にはシリコーン樹脂内に分散している。しかしながら、好ましくは、バインダは、約1W/mKの典型的な熱伝導率を持つガラス又はゾル−ゲルから得られるシリケート又はアルキルシリケートのようなより良好な熱伝導性材料である。発光層は、また、2つの他の層の間に挟まれていてもよく、例えば、発光層がガラス層上に与えられ、発光層の上部にガラス層が与えられて、これは熱の拡散を改善する。他の層の組み合わせの例は、セラミック層−発光層−ガラス層及びセラミック層−発光層−セラミック層である。
一実施形態では、発光層の上部に、発光モジュール300が改善された角度及びの均一性を伴って複数の出力方向に光を発するように拡散器としての機能を果たす追加の層が配される。発光層は、法線に対して大きい角度で進む光よりも少ない発光層を通っておおよそ垂直に進む光を変換する。部分的に変換される発光層が用いられるケースでは、これは、大きい角度においてよりも法線角度近くで発せられる(典型的には青色の)より多くの光を引き起こす。これは、角度によって受け入れられない色のばらつきをもたらす。拡散器は、角度に対する色(color-over-angle)の均一性を改善するために、周囲に放出する前に光をかき混ぜる(scramble)。拡散器は、好ましくは、支配的に前方散乱させる。
代替として、発光層を通って発せられる光の角度に対する色の誤りを補正するために、発光層の上部にダイクロイック又は干渉層が存在し得る。このダイクロイック層は、光が干渉するより高い屈折率とより低い屈折率とを交互に有する多数の薄い層より成っている。ダイクロイック層の光学特性は、青色光が法線の近くでより多く反射され、徐々により大きい角度でより少なく反射される又は反射されないようになっている。蛍光体を通る法線の近くの過剰の青色固体発光体は、ダイクロイック層によるより高い後方反射によって補償される。後方反射した青色光は、蛍光体を部分的に励起させ、色変換され、空洞部内において部分的に再利用される。ダイクロイック層は、ガラスのようなキャリア基板上に薄膜として存在し、蛍光体に接続され得る。接続は、接着剤を用いてなされ得る。
代替として、上記蛍光体は、ダイクロイック層と同じ基板上の反対側にコーティング部として存在し得る。ダイクロイック層のキャリア基板は、セラミックのような熱伝導性の透明基板であり得る。
発光層により反射又は散乱され、発光層により発せられる光は、壁部314の方へも反射し、壁部314の光反射面304により反射される。よって、光出力窓を通って周囲に直接送られない光は、壁部314の光反射面304及び/又は基体309の光反射面306を介して反射される。従って、周囲に直接送られない光は、より効率的に再利用され、効率の良い発光モジュールに寄与する。このケースでは、有効反射係数Reffは基体及び壁部の重み付けされた平均として定義され、壁部反射係数又は言い換えると有効反射率は基体反射係数及び壁部反射係数の重み付けされた平均である。有効反射係数Reffは、
として定義され、ここで、基体反射係数Rbaseは基体309の光反射面306の反射係数であり、壁部反射係数Rwallは壁部314の光反射面304の反射係数である。基体は、基体309の光反射面306の総面積であり、壁部は壁部314の光反射面304の総面積である。
この実施形態では、有効反射係数Reffの値は、少なくとも固体発光体反射係数R_SSLの値よりも大きいべきである。好ましくは、有効反射係数Reffの値は、1と固体発光体反射係数R_SSLとの差のファクタc倍を加えた固体発光体反射係数R_SSLの値よりも少なくとも大きいべきである。従って、Reff>R_SSL+c(1−R_SSL)である。ファクタcは、図1a及び図1bにおいて説明された実施形態と同様であり、固体発光体面積比ρSSLに依存し、このケースでは、
として定義される。従って、図1a及び図1bの実施形態と比較すると、このケースでは、壁部314の光反射面304の面積も考慮されている。すなわち、総反射面積は、この場合、基体の反射面積と壁部の反射面積とを有している。ρSSL<0.1である場合、これは固体発光体312の上面の面積に対して基体309及び壁部314の反射面積がかなり大きいことを示しており、相対的に効率的な発光モジュールを有するために、ファクタcの値は0.2以上であるべきである。0.1≦ρSSL≦0.25である場合、これは基体309及び壁部314の反射面積が固体発光体312の上面の面積に匹敵することを示しており、かなり効率的な発光モジュールを有するために、ファクタcの値は0.3以上であるべきである。ρSSL>0.25である場合、これは固体発光体312の上面の面積に対して基体309及び壁部314の反射面積がかなり小さいことを示しており、かなり効率的な発光モジュールを有するために、ファクタcの値は0.4以上であるべきである。全ての場合においてファクタcの値は、実際には1.0よりも小さい。
図3bは、本発明の第1の観点による発光モジュール350の他の実施形態を示している。発光モジュール350は、図3aの発光モジュール300とよく似ている。しかしながら、幾つかの小さい相違点がある。発光モジュール350は、空洞部に面した光反射面354を持つ円形の基体358を有している。空洞部は基体358、円柱状の壁部362及び発光層352により囲まれている。空洞部に面している円柱状の壁部362の面は、光反射性の壁部の面356である。基体358の光反射面354には、空洞部の光出力窓に向かって第1の色の範囲の光を発する複数の固体発光体が設けられている。空洞部の光出力窓は、第1の色の範囲の光の一部を第2の色の範囲の光に変換する発光材料を有する発光層352により形成されている。
この実施形態の場合も、ρSSLは、固体発光体360の上面の合計面積と基体358の光反射面354の面積との比として定義される。図3aを参照して説明された基準及び範囲と同じ基準及び範囲が当てはまる。
図3aの発光モジュール300のA−A′線に沿った断面図が図4aに与えられている。光出力窓は402で示されている。発光層308の一部は或る厚さを持つ壁部404、314の上部に配されているので、光出力窓は402は発光層308の一部である。代替として、発光層308が発光層308の支持部として適合する壁部の縁部に凹部が存在してもよい。発光層308を壁部の上又は壁部の凹部内に取り付けるために、接着剤が用いられ得る。発光層308を取り付けるために凹部が用いられる場合、壁部への発光層308の側面の熱的接触の実現という追加の利点が存在する。
従って、有効反射係数Reffの値は、少なくとも固体発光反射係数体R_SSLの値よりも大きいべきである。好ましくは、有効反射係数Reffの値は、1と固体発光体反射係数R_SSLとの差のファクタc倍を加えた固体発光体反射係数R_SSLの値よりも少なくとも大きいべきである。ファクタcは、図1a及び図1bにおいて説明された実施形態と同様であり、この実施形態では壁部362の反射面356の面積も含む固体発光体面積比ρSSLに依存する。ρSSL<0.1である場合、これは固体発光体312の上面の面積に対して基体309及び壁部404、314の反射面積がかなり大きいことを示しており、相対的に効率的な発光モジュールを有するために、ファクタcの値は0.2以上であるべきである。0.1≦ρSSL≦0.25である場合、これは基体309及び壁部404、314の反射面積が固体発光体312の上面の面積に匹敵することを示しており、かなり効率的な発光モジュールを有するために、ファクタcの値は0.3以上であるべきである。ρSSL>0.25である場合、これは固体発光体312の上面の面積に対して基体309及び壁部404、314の反射面積がかなり小さいことを示しており、かなり効率的な発光モジュールを有するために、ファクタcの値は0.4以上であるべきである。全ての場合においてファクタcの値は、実際には1.0よりも小さい。
更に、本願発明者等は、0.1よりも小さい固体発光体面積比ρSSLの値の場合、固体発光体312の上面412と発光層308との距離hが、好ましくは、上面412の最大直線サイズdSSLの0.3倍の最小値及び上面308の最大直線サイズdSSLの5倍の最大値を有する範囲にあることを見出した。0.1≦ρSSL≦0.25である場合には、上面308と発光層102との距離hは、好ましくは、上面308の最大直線サイズdSSLの0.15倍の最小値を有し、上面308の最大直線サイズdSSLの3倍の最大値を有する範囲にある。ρSSL>0.25の場合には、上面308と発光層102との距離hは、好ましくは、上面308の最大直線サイズdSSLの0.1倍の最小値を有し、上面308の最大直線サイズdSSLの2倍の最大値を有する範囲にある。
固体発光体312が上記の基準を満たすと、発光モジュール300はかなり効率的な発光モジュールであることに注意されたい。固体発光体による吸収は、非効率の大きな原因となるが、他の距離、サイズ及び反射係数の全てが最大光出力のために最適化される。発光モジュール300は、上記与えられた式においてファクタcが上述した値よりも大きい場合により一層効率的である。固体発光体の上面に直接発光層を備えた固体発光体に対して約40%の効率の向上が得られる。
発光層308は、壁部404、314の上縁部に配されており、よって、発光層308は壁部404、314に熱的結合される。発光材料308は、発光材料によるエネルギーの吸収のために暖かくなる一方で、第1の色の範囲の光を第2の色の範囲の光に変換する。上記発光層308と壁部404、314との熱的結合は、壁部404、314がヒートシンクに基体309を結合する界面を有する基体309の方へ発光層の熱を伝達することを可能にする。このメカニズムは、発光モジュール300の有効な熱管理を与え、発光層308が暖かくなるすぎるのを防止し、発光材料の効率を高め、寿命を延ばす。更に、空洞部316は、ほぼ光学的に透明な材料で満たされている。空洞部全体が透明材料で満たされている場合、透明材料は発光層308にも熱的結合され、空隙が用いられる時よりも非常に効率的なやり方で発光層から離れて壁部404、314及び基体309の方へ熱を伝達する。図5aとの関連で説明されるように、透明材料は、固体発光体412からの光のアウトカップリングの増大のような更なる利点を有している。
上記実質的に透明な材料は、典型的には、0.2ないし0.3W/mKの熱伝導率を持つ固化又は硬化したシリコーン樹脂のような固体材料である。硬質シリコーン樹脂から軟質シリコーン樹脂、フレキシブル弾性シリコーン樹脂又はゲルタイプの樹脂までに及ぶ多くのタイプのそのような材料が存在する。他の材料はエポキシ樹脂、多くのタイプの当業者に知られている光学的に透明なポリマを含んでいる。他の実施形態では、約1.0W/mKの熱伝導率のソーダ石灰ガラス又は約1.3W/mKのホウケイ酸ガラス若しくは溶融石英ガラスのような広範囲のガラスタイプの材料が用いられ得る。また、熱伝導率が約30W/mKの半透明多結晶アルミナ基板、42W/mKのサファイア基板、9.5W/mKのAlON、15W/mKのスピネル又は7W/mKのYAGのようなセラミック材料も用いられ得る。そのような材料の組み合わせも用いられ得る。例えば、固体ガラス又はセラミック基板が、エミッタ及び/又は基体に結合される。また、焼結半透明多結晶アルミナが、実質的に透明な材料として用いられ、粒径は、かなり高い順方向の光の透過を得るために、好ましくは44μmよりも大きく、好ましくは1μmよりも小さい。1mmの厚さの材料で1μmよりも小さい粒径の場合、光の順方向の全透過率は84%よりも大きい。1mmの厚さの材料で44μmよりも大きい粒径の場合、光の順方向の全透過率は82%よりも大きい。多結晶アルミナは、例えば、Al2O3粉末が、例えば、粉末加工、鋳込成形(slip casting)、射出成形により形成され、予備焼結及び最終焼結(end-sintered)されるセラミック粉末加工技術を使用して作られる。かなり大きい、すなわち、44μmよりも大きい粒径は、かなり大きい粒径のアルミナ粉末を適用する、より長い焼結時間及び/又はより高い焼結温度を適用する、より少ない(<300ppm)粒成長抑制MgOドープ剤を用いる及び/又は粒成長刺激ドープ剤を適用することにより又は上記方法の1つ又はそれ以上の組み合わせにより実現される。好ましくは、粒径は、多結晶アルミナの微小亀裂を防止するために120μmよりも小さい。このやり方では、熱伝導率が約30W/mKであるので、この材料の極めて優れた熱特性がかなり高い透光性と組み合わされる。
オプションで、エミッタからより多くの光を取り出すようにエミッタ表面との光学的及び熱的接触が達成され、固体材料と基体との間には空隙が依存として存在する。これは、光の均一性を高めるために固体材料内に光を導くことによって光をより有効に広げることに役立つ。最適な熱的接触のために、固体基板もまた、例えば接着剤を用いて基体に取り付けられ得る。固体基板は、発光層にも結合されているケースでは、熱拡散層及び熱界面材料の機能を果たす。エミッタのダイが形成された成長基板であるサファイア又は炭化ケイ素SiCの一部分のような固体材料が、エミッタ上にも存在し得る。更に、例えばガラス材料のシリコーン樹脂から成る典型的には最大直線サイズよりも少なくとも2倍大きいサイズのドーム形状又はレンズ形状の光学体が、ダイの上に存在する。上記ドーム又はレンズ形状体は、他の透明材料で覆われている。
上記実質的に透明な材料は、好ましくは、エミッタのダイに光学的に接触する場合、かなり高い屈折率を有している。GaN、InGaN又はAlInGaNのような典型的な固体発光体は、約2.4の高い反射率を有するので、ダイへの高い反射率は、固体発光体のクリップにおける全内部反射を低減させることによりダイからより多くの光を取り出す。最も透明な材料は、1.4から1.6に及ぶ、典型的には1.5の屈折率を持っている。エミッタに取り付けるのに適した高屈折率材料の幾つかの例は、LaSFN9のような高屈折率ガラス又はサファイア(屈折率約1.77)、アルミナ(屈折率約1.77)、YAG(屈折率約1.86)、ジルコニア(屈折率約2.2)若しくは炭化ケイ素(SiC、屈折率約2.6)である。基板を取り付けるために、高屈折率ガラス又は高屈折率樹脂のような高屈折率の光学的ボンドが用いられ得る。高屈折率樹脂は、径が100nmよりも小さいナノTiO2粒子で満たされたシリコーン樹脂のような高屈折率ナノ粒子又はZrO2又はBaTiO3、SrTiO3のようなチタン酸塩等の他の高屈折率ナノ粒子で満たされた低屈折率バインダより成っていてもよい。幾つかのタイプのエミッタのダイでは、サファイア及び炭化ケイ素のような典型的な成長基板が、ダイの上に依然として存在する。好ましくは、これらのダイは、このケースでは上述したような高屈折率材料により覆われている。
代替として、シリコーンオイル(屈折率約1.4)、ミネラルオイル(屈折率約1.5)、脂肪族若しくは芳香族炭化水素のような幅広い種類の液体又は当業者に知られている高屈折率の液体等の液体材料も用いられ得る。液体が用いられる際には、発光モジュールからの漏れを防ぐために、出力窓の縁部の周りの密閉が好ましい。液体は、対流により及び/又は周囲に送り込まれることにより発光層を冷却する目的に適う。
図4bは、図3aの発光モジュールの他の実施形態の断面図を示している。発光モジュール450は、筐体455、空洞部460、発光層465、ヒートシンク480への界面470及び光出力窓472を有している。このケースにおける筐体455は、光反射性の基体表面462及び光反射性の壁部表面466、468を備えた基体及び壁部の両方を有している。2本のワイヤ492により電源に接続される特定のタイプの固体発光体482が示されている。LEDは、固体発光体482の上面483において固体発光体482に接続されるボンドワイヤ492を有していることが多い。上面483は、発光層465に最も近い固体発光体482の面であり、光が空洞部460に発せられる場所である。幾つかの実施形態では、上面483に2つの電線接触部が存在し、他の実施形態では、上面483に1つの電線接触部が存在し、固体発光体482の底面に基体との1つの電線接触部が存在する。
図4bにおいて分かるように、ヒートシンク480への界面470は、発光モジュール450の裏側に設けられている。上記裏側は発光層465が存在する側とほぼ反対であり、この裏側を形成する筐体の一部は空洞部460の底部も形成していることに注意されたい。図4bにおいて分かるように、固体発光体482は、空洞部460の光反射性の底面462に与えられる。固体発光体482と筐体455との接触は、固体発光体482と筐体455との間で及び従って固体発光体482とヒートシンク480との間で良好な熱的結合が得られるようにされている。
代替として、固体発光体482は、光が空洞部460内に発せられ、固体発光体482が筐体455と良好な熱的接触を有するように光反射性の基体のスルーホール内に取り付けられる。
ワイヤボンド上部接続部492は、LED482の上面483において電気的接触領域に電気的に接続され、通常金属化されているワイヤであり、このワイヤは、LED482に電気エネルギーを与える。LED482の上面483は、同様にLED482の発光面であることが多い。LED482の発光面は、LED482により生成される光が空洞部460内に発せられるLED482の非遮断放出面領域として定義される。この実施形態では、LED482の上面483は、発光層465に対向する面である。
セラミック蛍光体として実現される又はワイヤボンド上部接続部492を伴うLED482と組み合わせて例えばガラス基板上に堆積された蛍光体層として実現される発光層を用いることは、難しいことが判明した。ワイヤ492は、発光面の上にそのようなセラミック蛍光体層を直接提供することを妨げる。解決策は、かなり高価なプロセスであるセラミック蛍光体にワイヤが案内される精度の高いホールを穴あけすることである。しかしながら、ワイヤに沿う精度の高いホールを介する光の漏れを防ぐことは難しい。これは、色の制御の低下を引き起こす。特に、発光層465が第1の色の範囲の光の大部分を変換しなければならない時に、光の漏れは色の飽和の受け入れられないほど低減を引き起こす。更に、上記ホールは、典型的には、あけられた穴の付近で蛍光体にダメージを与える危険をともなうレーザアブレーションで穴をあけられ、アブレーションの副産物が光を吸収し、蛍光体の一部が不活性化される。
YAG:Ce及び琥珀色のバリウムストロンチウムシリコン窒化物(BSSNE:Eu)のような典型的なセラミック蛍光体は、約1.86及び2の屈折率をそれぞれ有している。従って、1.4よりも高い屈折率を有する透明樹脂が、これらの特定のLEDと上記論じられた特定のセラミック蛍光体との間にかなり良好な光結合を与える。散乱粒子のような余分な散乱中心が、好ましくは、順方向散乱特性と組み合わされる。
この実施形態は、1つ又はそれ以上のワイヤボンド上部接続部492を有するLED482の光を他の色に変換する有効かつ効率的な解決策を与える。空洞部460は、ワイヤ492に空間を与え、空洞部内の光の反射のためにワイヤ492の影が光出力窓472において見えない。この実施形態の空洞部460は、発光モジュール450のサイズに対してかなり大きく、従って、空洞部が相対的に小さい既知の発光モジュールと比較してより少ないワイヤの影が得られる。
LED482と発光層465との間に配される透明樹脂498とともにワイヤボンド上部接続部492を用いることは、有利である。透明樹脂498は、筐体455にLED482をアセンブルした後、空洞部460に注入され得る。注入中、透明樹脂498は、液体状態にあり、空洞部の各コーナーに向かって流れる。ワイヤ492は、注入される透明樹脂に対する障害ではなく、従って、透明樹脂498とLED482の上面483全体との間に良好な接触が作られる。よって、透明樹脂498は、LED482からの光のアウトカップリングを増大させる。更に、透明樹脂498が硬化される場合、ワイヤボンド上部接続部492は樹脂498により固定され、例えば、発光モジュール450が例えば自動車用途におけるように振動に曝される場合、ダメージに対して感受性が低い。
図5aは、本発明の第1の観点による発光モジュールの幾つかの代替の実施形態を与えている。図5a(i)に示されている発光モジュール500は、基体518、基板516に与えられた複数のLED514、壁部510、壁部の縁部に設けられ、光出力窓を形成する第1の発光層506及び第2の発光層504を有している。LED514は第1の色の範囲の光を発し、全てのLED514は、最大直線サイズdで同じサイズを有している。第1の発光層506は、第1の色の範囲の光を第2の色の範囲の光に変換する発光材料を有している。第2の発光層504は、第1の色の範囲の光を第3の色の範囲の光に変換する又は第2の色の範囲の光を第3の色の範囲の光に変換する他の発光材料を有している。壁部510、基体518及び第1の発光層506は、透明材料502で満たされた空洞部を取り囲んでいる。従って、透明材料は、LED514と第1の発光層506との間に介在している。透明材料は、LED514に光学的に結合され、第1の発光層506に光学的及び熱的に結合される。発光体と第1の発光層506との距離は、hで示されている。空洞部に面している壁部510の面は、光反射性のコーティング部508を備えている。LED514と光透過材料502との間の空間は、光反射性材料512により満たされており、それにより、基体518及び基板516を覆っている。光反射面は、LED514間に介在する光反射性材料512の面により形成されている。光反射性材料は、基体反射係数Rbaseを有している。LEDダイは、反射係数R_SSLを有している。光反射性のコーティング部508は、壁部反射係数Rwallを有している。発光モジュール500のパラメータは、図1a、図1b、図3a、図3b及び図4aを参照して前の実施形態において説明された基準と同じ基準に従って互いに関連しており、固体発光体の上面の面積A_SSLは、この実施形態では、複数のLED514の上面の合計総面積として計算される。
光反射性のコーティング部の代わりに、基体又は壁部に取り付け又は伝達され得る光反射性フォイル又はフィルムも用いられ得る。取り付けのために感圧接着剤のような接着剤が用いられ得る。光反射性のコーティング層は、典型的には金属キャリアから表面電極を絶縁するためにMCPCBキャリアに用いられる誘電層又は表面電極を仕切るためにMCPCB又はPCBキャリアに用いられるソルダマスク(solder mask)であり得る。基板516は、反射層により覆われ、従って光学的に仕切られているため、窒化アルミニウム(AlN)のような反射率の良くない材料より成っていてもよい。AlNは、約140W/mKの非常に高い熱伝導率を有するという利点を有している。従って、光学的機能は光反射性のコーティング部又はフォイルを用いることにより熱的機能から区切られ、これは、有利である光学的機能及び熱的機能の両方の機能の個々の最適化を可能にする。
上記光反射性のコーティング部又はフォイルは、散乱顔料で満たされたバインダ又は種々の散乱顔料より成る白色コーティング部のような散乱反射材料より成っていてもよい。好適なバインダは、シリコーン材料、ケイ酸塩材料、アルキルシリケート材料、エポキシ材料、ポリイミド材料、フルオロポリマ、ポリアミド、ポリウレタン又は他のポリマ材料である。コーティング部はまた、高反射硫酸バリウム(BaSO4)をベースとする材料であってもよい。散乱顔料の例は、TiO2顔料、ZrO2顔料、Al2O3顔料であるが、当業者に知られている多くの他の散乱顔料又は細孔(pore)がよく用いられる。光反射性のコーティング部又はフォイルはまた、アルミニウム又は銀のような金属層より成っていてもよい。金属は、高反射性の市販の金属ミラーのような金属フォイル又はフィルムであってもよい。この薄い金属層は、壁部の材料に蒸着又はスパッタされ得る。金属フォイルは、基体に取り付けられ/接着され/はんだ付けされた挿入物として用いられ得る。この金属層は、白色コーティング層、例えば、白色シリコーン又は着色メチルシリケートのような白色アルキルシリケート層により覆われている。セラミック反射体層、例えば、典型的には多孔質の散乱アルミニウム層又は他の反射性セラミック材料もまた、基体又は壁部に用いられ得る。
図5a(ii)に示されている発光モジュール520は、発光モジュール500と同様であるが、壁部522自体が光反射材料より成っており、従って、追加のコーティング部が壁部522に与えられていない。更に、1つの発光体層506のみが与えられている。LED514が設けられている基板524もまた光反射材料より成っており、従って、基板524間の空間のみが光反射性の粒子512で満たされている。
図5a(iii)に示されている発光モジュール530は、所謂ドーム型LED514が用いられた他の変形例である。LED514は基板上516に設けられおり、光透過材料のドーム502がLEDダイに光学的に結合される。更に、空洞部は、他の光透過材料532で満たされている。この他の光透過材料532は、光透過材料のドーム502に光学的に結合され、第1の発光層506に光学的に結合される。これは、発光層において生成される熱の基体及び基体が典型的には取り付けられるヒートシンクへの熱伝達を容易にする。
図5a(iv)に示されている発光モジュール540は、発光モジュール500と同様であるが、壁部542が基体518の垂直軸に対して傾斜している。壁部542は、傾斜した壁部542に衝突する光が基体518に向かう方向ではなく第1の発光層506の方へ反射するようなやり方で傾斜している。傾斜した壁部542は、発光層506の方へ壁部542に反射した光を向け、光線が壁部542と基体との間において何度も反射されることを防止し、これは、不要な光の吸収を防ぐ。すなわち、どの反射も完全ではなく、どの反射においても少量の光が吸収される。
図5a(v)に示されている発光モジュール550は、発光モジュール540の変形である。発光モジュール550の壁部552は、曲線状の壁部552に衝突するより多くの光が第1の発光層506の方へ及び従って光出力窓の方へ反射するようなやり方で曲がっている。更に、基板の表面516は被覆されておらず、基板間の空間512が反射性材料で覆われている。基板516は、散乱細孔及び/又はジルコニア粒子のような散乱粒子を含むアルミナ等の散乱セラミックのような反射性材料より成っていてもよい。
図5a(vi)に示されている発光モジュール560は、第2の発光層504を有していない他の変形例である。空洞部は、実質的に透明な材料562で満たされており、発光モジュールの光出力側に曲線状の面を有している。第1の発光層506は、透明材料562の上に設けられている。図示されているように、LED514と第1の発光層506との距離は異なっている。2つのLEDは第1の発光層506から距離h1に位置しており、2つのLEDは第1の発光層506から距離h2に位置している。この実施形態におけるLED514の上面の距離hは、平均距離、すなわち、h=(h1+h2)/2として計算されるべきである。このケースでは、3つ以上のLEDが発光モジュールに与えられ、上記平均距離の式は適宜に適合される。
図示されていない更に他の実施形態では、固体発光体ダイが、追加の中間基板を伴うことなくキャリアボードに直接結合されている。これは、上記ダイとボードとの及び上記ダイとボードが典型的には取り付けられるヒートシンクとの間の熱抵抗を更に低減する。LEDダイの上部と電気的に接触するために、ワイヤボンドが存在し得る。
図5bは、4つの代替の発光モジュール570、580、590、595を与えている。図5b(i)に示されている発光モジュール570は、発光モジュール520と同様であり、空洞部内に追加の発光層572を有している。従って、例えば、第1の発光層506において適用される発光材料とは異なる他のタイプの発光材料による層が、光反射性の壁部522及び基体518の光反射面に与えられ得る。この他の発光材料は、第1の色の範囲の光を第3の色の範囲の光に変換する。代替として、第1の発光層において用いられる発光材料と同じ発光材料が、光反射性の壁部522及び基体518の光反射面に適用され得る。追加の発光層527に衝突する全ての光が変換されるわけではなく、幾らかの光は光反射性の壁部522及び基体518の光反射面の方に発せられ、その後、空洞部の方へ及び従って光出力窓の方へ反射して戻る。例えば、これは、温白色発光を達成するために白色発光に追加の赤色光を加えるために用いられる。
図5b(ii)に示されている発光モジュール580は、発光モジュール500と同様である。1つめの違いは、単一の発光層506のみが光出力窓に与えられていることである。製造中、発光層506は、例えばガラス基板である透明基板582に塗布される。発光層506を伴う基板582は、例えば鋸で小片に切り分けられ又は穴を開けられ、発光層506を伴う基板582は、発光モジュール580の壁部510上に与えられている。
図5b(iii)に示されている発光モジュール590は、発光モジュール580と同様であるが、空洞部が実質的に透明な材料で満たされておらず、発光層506を伴う透明基板582の小片で満たされている。上記小片は、光反射性壁部の表面及び基体518の光反射面に例えば透明樹脂592により接着されている。透明基板582は、例えば、2mmの厚さであり、それ自体はLED514の上面と約2mmの発光層506との高さの差を与える。この装置の上には、(図示されていない)LED514(例えば、青色)により発せられる光の直接光の漏れを防ぐために白色シリコーンの周縁部が発光層506の周囲に与えられ得る。
図5b(iv)に示されている発光モジュール595は、発光モジュール520と同様である。しかしながら、他のタイプのLEDが用いられている。基体598はメタルコアPCB(MCPCB)である。相対的に大きい基板を伴わないLEDは、MCPCBに直接実装され得る。そのようなアプリケーションに適したLEDは、所謂CSP又はCOB技術を用いて製造されるLEDである。COBは、LEDチップがMCPCBに直接はんだ付けされるchip-on-boardのことを指す。CSPは、キャリアがLEDが製造されるウェハ上に与えられ、CSPLEDを得るためにウェハがダイに切り分けられるChip Scale Packageのことを指す。そのようなCSPLEDが発光モジュール595に存在している。CSPLEDでは、キャリア597は、LEDチップ596と同じサイズを有している。追加の(厚い)基体反射体層が必要とされないようにCSPの側面は反射性であり、PCBの表面は反射性であってもよい。
図6には、発光モジュール600、620、630、640、650、660の実施形態の他の模式的に描かされた横断図(cross-cut)が与えられている。発光モジュール600、620、630、640、650、660は、発光層604、622、632、642、652、662と基体との間に壁部を有しておらず、縁部が光反射面又は基体610、664に接触する発光層604、622、632、642、652、662を有している。発光層604、622、632、642、652、662は、全体として発光モジュール600、620、630、640、650、660の光出力窓全体を形成する。発光モジュール600、620、630、640、650、660は、基体610、664の法線軸とほぼ平行な方向に光を発するだけではなく、基体の法線軸に対して種々の光放出角度でも光を発する。発光モジュール620の模式的な断面図である図6(ii)には、発光層622の縁部624が示されている。図に見られるように、縁部624は基体610の光反射面と接しており、発光層622は基体のこの面に延在している。
図6(i)に示されている発光モジュール600は基体610を有しており、基体610の上には、LED606を備えた基板608が設けられている。基板608及びLED606は、光反射面を形成する光反射材料612により囲まれている。LED606の光を放出する上面は、発光層604とも接する透明材料602に光学的に結合される。発光モジュール620、630、640は、他の形状の発光層622、632、642を有しており、図6(ii)、図6(iii)及び図6(iv)にそれぞれ示されている。
図6(v)に示されている発光モジュール650は、シングルチップスケールパッケージLED656が設けられた基体610を有している。シングルチップスケールパッケージLED656については、省略形CPS−LEDが用いられることが多く、そのようなシングルチップスケールパッケージLED656は、前の実施形態に示されているような余分な基板を有していない。LED656の周りには、発光層652に面する光反射面を作り出す光反射材料612が与えられている。LED656及び光反射材料612の上には透明材料のドーム形状体654が配されており、このドーム形状体654の上には発光層652が配設されている。半径rは、LED656と発光層652との距離である。距離hの定義は、このケースでは半径rに置き換えられる。
図6(vi)に示されている発光モジュール660は、透明材料のドーム形状体を有しておらず、四角い透明材料663を有している。また、基体664は光反射材料より成っており、従って、発光層662と面する基体664の面には、光反射材料の追加の層が設けられていない。他の形状及び組み合わせも想定され得る。
模式的に示されている発光モジュール500、520、530、540、550、560、600、620、630、640、650、660は、図示されている断面の平面から(円形)対称であるが、非対称であってもよい。例えば、上記モジュールは、細長い、管、ロッド又は円筒のような形状を形成するために紙面に対して深さ方向に細長くてもよい。複数のエミッタは、深さ方向にエミッタアレイを形成する。そのような形は、例えば、LED街灯又はLEDレトロフィットTLランプにおいて用いられ得る。何千個ものLEDのLEDエミッタアレイが、原理的には用いられ得る。関連するアプリケーションにおいて必要な光出力に適合させるために、種々の量のエミッタが存在する。
図7aには、フレキシブル基体フォイル712上に製造された発光モジュール700が示されている。電極接続パッド(図示せず)を備えた小さい基板708上に設けられた固体発光体706が、フレキシブル基体フォイル712上に与えられており、基板708間の領域は光反射材料710で満たされている。発光体706は、フレキシブルな透明材料704の層に光学的に結合される。フレキシブルな光透過材料704の上には、少なくとも1つの発光材料を有する発光層702が設けられている。フレキシブルな光透過材料704の表面全体が発光層702に覆われている必要はなく、該表面の一部が、例えば、上部の反射体で遮断されていてもよい。図7aにおいて分かるように、発光モジュール700は複数の固体発光体706を有している。一実施形態では、かなり大きい光出力窓を得るために、固体エミッタのかなり大きい2次元のアレイが与えられる。前の実施形態に従って、固体発光体706と発光層702との距離は、固体発光体706の上面の最大直線サイズに依存する範囲内にあるべきであり、基板708と光反射材料710との組み合わせにより形成される基体712の光反射面の平均反射率は、固体発光体706の反射率よりもかなり大きいべきである。更に、固体発光体は、光反射材料710及び基板708により形成される光反射面のかなり小さい部分のみを覆うべきである。光反射面の反射係数Rbaseは、光反射面全体の平均反射率として定義されることに注意されたい。従って、反射係数Rbaseは、基板の反射係数と光反射材料の反射係数との重み付けされた平均であり、好ましくは、重みは、特定の材料により覆われる全領域の一部により形成される。
図7bには、フレキシブル発光モジュール750の他の実施形態が与えられている。発光モジュール750は、発光モジュール700と同様であるが、透明材料704の1つの側に与えられる光反射性のフォイル754の基体のみが存在する。光反射性のフォイル754が与えられている側と反対のフレキシブルな透明材料704の他の側には、発光層702が配されている。透明材料の内部に、固体発光体706が与えられる基板708を支持するワイヤ、棒又はロッド752が与えられている。ワイヤ、棒又はロッド752は、固体発光体706に電力を与える。固体発光体の上面から発光層702までの距離は、hで示されている。固体発光体面積比ρSSLが0.1よりも小さい場合、距離hは、好ましくは、固体発光体706の上面の最大直線サイズdSSLの0.3倍以上大きく、固体発光体706の上面の最大直線サイズdSSLの5倍よりも小さい又は5倍である。0.1以上である最小値かつ0.25以下である最大値を有する範囲内にある固体発光体面積比ρSSLの値の場合には、距離hは、好ましくは、固体発光体706の上面の最大直線サイズdSSLの0.15倍以上大きく、固体発光体706の上面の最大直線サイズdSSLの3倍よりも小さい又は3倍である。0.25よりも大きい固体発光体面積比ρSSLの値の場合には、距離hは、好ましくは、固体発光体706の上面の最大直線サイズdSSLの0.1倍以上大きく、固体発光体706の上面の最大直線サイズdSSLの2倍よりも小さい又は2倍である。この基準は発光モジュール700にも当てはまることに注意されたい。更に、前述した実施形態に従って、光反射フォイル754の基体反射係数Rbaseは固体発光体706の固体発光体反射係数R_SSLよりも大きく、好ましくは、光反射フォイル754の基体反射係数Rbaseは、Rbase>R_SSL+c(1−R_SSL)に従って固体発光体706の固体発光体反射係数R_SSLに関連し、このケースにおいても、このケースでは前の実施形態の幾つかにおいて説明されたような基体の反射領域のみを含むファクタcの値は固体発光体面積比ρSSLに依存する。
図8aないし図8cは、本発明に係る発光モジュールの実施形態の模式的な断面図を示している。図8aは、例えばアルミナ又は窒化アルミニウムを有する基板キャリア2020上にLEDダイ2030を有する発光モジュール2000の模式的な断面図を示している。基板キャリア2020は、電気的接触部2015、例えば、はんだ接触部を介してプリント回路基板2010のコンタクトパッドに電気的に接続されている。プリント回路基板2010は、誘電絶縁層(図示せず)により覆われたアルミニウムの基体を有するメタルコアプリント基板であり得る。誘電層の上には、導電性電極及びコンタクトパッドが設けられており、電極はソルダマスク保護層(図示せず)により保護されている。LEDダイ2030は、透明保護層2035、例えば、透明シリコーン層で覆われている。LEDダイ2030、基板キャリア2020及び透明保護層2035を有するLEDパッケージ又は装置の間には、反射層2040、例えば、白色TiO2で着色されたシリコーンが設けられている。プリント回路基板2010、壁部2050及び発光層2060により空洞部が規定されている。壁部2050は、例えば、シリコーンに施されたTiO2を有し、発光層2060は、例えば、蛍光体材料を有している。透明保護層2035及び反射層2040の上には、透明保護層2035と充填層2055との間に光学的接着を与える例えばシリコーンを有する光学的接着層2045が設けられており、充填層2055は、例えば、ガラスを有しており、光学的接着層2045、発光層2060及び壁部2050の間の空洞部を実質的に満たしている。
図8bは、例えばアルミナ又は窒化アルミニウムを有する基板キャリア2120上にLEDダイ2130を有する発光モジュール2100の模式的な断面図を示している。基板キャリア2120は、電気的接触部2115、例えば、はんだ接触部を介してプリント回路基板2110のコンタクトパッドに電気的に接続されている。プリント回路基板2110は、図8aに示されている発光モジュール2000に関連して説明されたようなメタルコアプリント基板であり得る。LEDダイ2130は、透明保護層2135、例えば、透明シリコーン層で覆われている。LEDダイ2130のそれぞれの透明保護層2135の上には、例えばシリコーンを有する光学的接着層2145が設けられている。LEDダイ2130、基板キャリア2120及び透明保護層2135を有し、光学的接着層2145を伴うLEDパッケージ又は装置の間には、反射層2140、例えば、白色TiO2で着色されたシリコーンが設けられている。プリント回路基板2110、壁部2150及び発光層2160により空洞部が規定されている。壁部2150は、例えば、シリコーンに施されたTiO2を有し、発光層2160は、例えば、蛍光体材料を有している。例えばガラスを有する充填層2155は、光学的接着層2145、反射層2140、発光層2160及び壁部2150の間の空洞部をほぼ満たしている。光学的接着層2145は、透明保護層2135と充填層2155との間に光学的接着を与える。反射層2140は、光学的接着層2145を介してLEDパッケージ又は装置を充填層2155に結合した後、例えば、アンダーフィリング又はオーバーモールディングを行うことによってLEDパッケージ又は装置の間に設けられたものである。
図8cは、例えばアルミナ又は窒化アルミニウムを有する基板キャリア2320上にLEDダイ2330を有する発光モジュール2300の模式的な断面図を示している。基板キャリア2320は、電気的接触部2315、例えば、はんだ接触部を介してプリント回路基板2310のコンタクトパッドに電気的に接続されている。プリント回路基板2310は、図8aに示されている発光モジュール2000に関連して説明されたようなメタルコアプリント基板であり得る。LEDダイ2330及び基板キャリア2320を有するLEDパッケージ又は装置の間には、反射層2340、例えば、白色TiO2で着色されたシリコーンが設けられている。プリント回路基板2310、壁部2350及び発光層2360により空洞部が規定されている。壁部2350は、例えば、シリコーンに施されたTiO2を有し、発光層2360は、例えば、蛍光体材料を有している。反射層2340及びLEDパッケージ又は装置の上には、LEDパッケージ又は装置と充填層2355との間に光学的接着を与える例えばシリコーンを有する光学的接着層2345が設けられており、充填層2355は、例えば、ガラスを有しており、光学的接着層2345、発光層2360及び壁部2350の間の空洞部を実質的に満たしている。この発光モジュール2300は、LEDダイ2330が透明保護層で覆われておらず、光学的接着層2345で覆われている点で、図8aに示されている発光モジュール2000と異なる。
幾つかの実施形態が、本発明に従って製造された。第1の実験では、1800ルーメンの光束のダイの上に直接蛍光体を備えた16個のLEDを有するフィリップス社のフォルティモ(Fortimo)SLM発光モジュールが基準として用いられた。本発明の一実施形態に係る発光モジュールは、LEDから2.1mmの距離にルミラミック(登録商標)蛍光体層を伴い、22mmの空洞部径を持つ高反射混合チャンバに16個の青色発光LEDを含んでいた。640mAにおいて、電力変換効率(Wall Plug Efficiency;WPE)が30%から50%までの範囲の係数で改善された。上記電力変換効率は、電力が光電力(optical power)(単位はワット)に変換されるエネルギー変換効率であり、入力電力に対する放射束(すなわち、放射力とも呼ばれる単位時間当たりの放射エネルギー)の比としても定義される。図9は、電流が増加すると、基準の発光モジュールに対する放射束の改善が大きくなることを示しており、これは、基準に対して蛍光体層の改善されたフォト−サーマル特性に起因する。
他の実験では、本発明の一実施形態に従って、それぞれが1mm2の上面面積を有する9個のLEDを有する発光モジュール及びそれぞれが2mm2の上面面積を有し、それぞれがLEDから2.1mmの距離にルミラミック(登録商標)蛍光体層を伴う4個のLEDを有する発光モジュールが組み立てられた。放射束の測定は、上部に直接蛍光体を備えた16個のLEDを有する基準の発光モジュールに対して20%から40%までの範囲の放射束の改善を示した。
図10aないし図10cは、他の比較実験の模式的な断面図を示している。図10aは、基部基板851の上部に直接配された発光層853を備えた(1つのLEDは図示されていない)4つのLED852を有する第1の基準の発光モジュール850の模式的な断面図を示している。各LEDは、ドーム形状の光学素子854で覆われている。図10bは、LEDの間の基部基板851上に与えられた反射層855のために第1の基準の発光モジュール850とは異なる第2の基準の発光モジュール860の模式的な断面図を示している。図10cは、反射層875で覆われた基部基板871上に(1つのLEDは図示されていない)4つのLED872を有する本発明に係る発光モジュール870の模式的な断面図を示している。LEDは、LED872の上面から2.1mmの距離の発光層873で覆われた空洞部874に配されている。放射束の測定は、(700mAにおいて測定された)約4%の第1の基準の発光モジュール850の放射束に対する第2の基準の発光モジュール860の放射束の改善を示しており、これは、主に、第2の基準の発光モジュール860の追加の反射層855によるものである。第1の基準の発光モジュール850の放射束に対する本発明に係る発光モジュール870の放射束の測定された改善は、(700mAにおいて測定された)約25%である。
図11、図12、図13及び図14は、本発明に係る発光モジュールのシミュレーションの結果のグラフを示している。光線を追跡するソフトウェアパッケージを用いて、本発明に係る発光モジュールの光学モデルが構築された。このモデルは、それぞれ1mm2の上面を持つダイを有する7つの青色発光LEDを有している。従って、これらのLEDの上面の最大直線サイズdSSLは、約1.4mmである。LEDダイは、典型的な表面が粗くされたGaNタイプのLEDダイに対応する約70%の第1及び第2のスペクトル範囲にわたって重み付けされた平均の拡散反射率を有している。空洞部は、変化する径を持つ円形形状を有している。LEDは、高反射基板に均一に分布されており、空洞部を形成する高反射性の壁部で囲まれている。空洞部の光出力窓は、セラミック蛍光体を有する発光層及びシリコン中に他の蛍光体の粒子を伴う追加の被覆層により覆われている。光出力窓を通って発光モジュールにより発せられる光は、暖かい白色点を有している。
上記光学シミュレーションは、拡散反射性、鏡面反射性又はそれらの組み合わせである壁部及び/又は基体が発光モジュールの性能に約数パーセントの小さい影響を及ぼすことを示している。この影響は、それ以外には、面積比及び空洞部の幾何学的形状に依存する。
図11は、固体エミッタ面積比の幾つかの値についての光学的効率に対するファクタcの影響を示している。図11では、縦方向のy軸は、混合空洞部に存在する白色放射のフラックスWwhite(単位:ワット)と第1のスペクトル範囲、一般的には青色スペクトル範囲において固体発光体により発せられる青色のフラックスの合計Wblue(単位:ワット)との比として表される光学的性能の効率の最適値を表している。上記光学的効率の最適値は、固体エミッタの上面と発光層との距離hを変化させることにより決定される。横方向のx軸は、式Reff>R_SSL+c×(1−R_SSL)からのファクタcを表している。曲線801は、このケースでは0.01と0.02との間で変化する固体発光体面積比ρSSLの相対的に低い値の範囲を表し、曲線802は、このケースでは0.19と0.28との間で変化する固体発光体面積比ρSSLの中間の値の範囲を表し、曲線803は、このケースでは0.39と0.68との間で変化する固体発光体面積比ρSSLの相対的に高い値の範囲を表している。LEDの上部に直接発光層を備えた基準の発光モジュールは、約0.5の光学的効率を示し、従って、基準の発光モジュールを超える効率の改善が、このケースでは、0.5よりも大きい光学的効率の値に関して達成される。図11は、固体発光体面積比ρSSLの相対的に低い値の範囲において0.5よりも大きい光学的効率を有するためにファクタcが約0.2よりも大きいべきであること、固体発光体面積比ρSSLの中間の値の範囲において0.5よりも大きい光学的効率を有するためにファクタcが約0.3よりも大きいべきであること、固体発光体面積比ρSSLの相対的に高い値の範囲において0.5よりも大きい光学的効率を有するためにファクタcが約0.4よりも大きいべきであることを示している。光学的効率の更によい値は、固体発光体面積比ρSSLの各範囲においてより大きいファクタcの値に関して達せられ得る。
図12は、空洞部の壁部の反射係数RwallについてのグラフにHoptとして示されている最適距離hの依存性を示している。最適距離Hoptは、発光モジュールの光学的効率が最適である、例えば、極大を有する固体発光体の上面と発光層との距離hである。図12では、縦方向のy軸は、最適距離Hopt及びLEDの最大直線サイズdSSLの商を表し、横方向のx軸は、空洞部の壁部の反射係数Rwallを%で表している。このケースでは、曲線811、812、813のそれぞれがLED上面と発光層との可変距離hを表しているので、基体及び壁部に対するLEDの面積比ρSSLは曲線のそれぞれに関して変化し、従って、壁部の変化する高さ及び従って壁部及び基体の反射面積の合計に対するLEDの面積比ρSSLは変化する。曲線811に関して、LEDの面積比ρSSLの合計は0.01と0.02との間で変化し、曲線812に関して、LEDの面積比ρSSLの合計は0.16と0.22との間で変化し、曲線813に関して、LEDの面積比ρSSLの合計は0.28と0.41との間で変化する。このケースにおける基体の反射係数Rbaseは、85%から95%までの範囲にある。発光層とLEDとの最適距離Hoptは、LED及び空洞部の壁部における光吸収損失のバランスにより決定される。LEDの上面と発光層との距離hの相対的に低い値において、LEDにより発せられる光は、LED、LED基板及びLEDの基部反射体の表面と主に相互作用する。LEDの上面と発光層との距離hの相対的に大きい値において、壁部の面積は優勢になり、吸収損失は壁部により支配される。発光層とLEDとの最適距離Hoptは、壁部の表面の反射係数Rwall及びLED面積比のパラメータρSSLに大部分は依存する。平均すると、相対的に低いLEDの面積比ρSSL及び壁部反射係数Rwallの典型的な値、例えば、80%ないし90%の範囲内に関して、最適距離Hoptは、LEDの最大直線サイズdSSLの約半分である。例えば約95%までの壁部反射係数Rwallの値の増加は、LEDと発光層との最適距離Hoptの増加をもたらす。LEDの面積比ρSSLの増加は、最適距離Hoptの減少をもたらす。Rwall<95%かつ0<ρSSL<0.1である場合に0.3×dSSL≦h≦0.75×dSSL、0.1≦ρSSL≦0.25である場合に0.15×dSSL≦h≦0.3×dSSL、ρSSL>0.25である場合に0.1×dSSL≦h≦0.2×dSSLであれば、かなり効率的な照明モジュールが与えられることが分かった。更に、Rwall≧95%であるケースでは、照明モジュールが以下の基準、すなわち、0<ρSSL<0.1である場合に0.75×dSSL≦h≦2×dSSL、0.1<ρSSL≦0.25である場合に0.3×dSSL≦h≦0.7×dSSL、ρSSL>0.25である場合に0.2×dSSL≦h≦0.5×dSSLを満たすと、かなり効率的な照明モジュールが与えられることが分かった。図12の結果は、基体に直交する壁部を有する空洞部及び均一なLEDの配置のみを考慮している。傾斜した壁部及び/又は不均一のLEDの配置の場合、LEDと発光層との最適距離は大きくなる。
図13は、基体及び壁部の反射係数の幾つかの組み合わせに関する光学的効率に対する総固体発光体面積比ρSSLの影響を示している。図13では、縦方向のy軸は、混合空洞部に存在する白色放射のフラックスWwhite(単位:ワット)と第1のスペクトル範囲、一般的には青色スペクトル範囲において固体発光体により発せられる青色のフラックスの合計Wblue(単位:ワット)との比として表される光学的性能の効率の最適値を表している。上記光学的効率の最適値は、固体発光体の上面と発光層との距離hを変化させることにより決定される。横方向のx軸は、基体及び壁部の面積に対する固体発光体面積比ρSSLを表している。基体反射係数Rbaseの2つの異なる値及び空洞部の壁部の反射係数Rwallの3つの異なる値に関して、合計で6本の曲線821、822、823、824、825、826が示されている。曲線821はRbase=80%及びRwall=90%を表し、曲線822はRbase=80%及びRwall=98%を表し、曲線823はRbase=90%及びRwall=90%を表し、曲線824はRbase=90%及びRwall=98%を表し、曲線825はRbase=98%及びRwall=90%を表し、曲線826はRbase=98%及びRwall=98%を表している。図13は、光を混合する空洞部の光学的効率の最適値と固体発光体面積比ρSSLとの間に逆関係が存在することを示している。図13は、更に、固体発光体面積比ρSSLの値の3つの範囲、すなわち、固体発光体面積比ρSSLの値の相対的に低い、中間の及び相対的に高い範囲が区別され得ることを示している。ρSSLの相対的に低い値、例えば、ρSSL<0.1では、光学的効率の値に対する壁部の反射係数Rwallの値の影響は、基体の反射係数Rbaseの値の影響と比較してほぼ無視できる。すなわち、この固体発光体面積比ρSSLの相対的に低い値の範囲では、基体反射係数Rbaseの値の変化は発光モジュールの光学的効率に影響を及ぼし、壁部反射係数Rwallの値の変化は無視できる形で光学的効率に影響を及ぼす。ρSSLの相対的に高い値、例えば、ρSSL>0.25である場合には、光学的効率の値に対する壁部の反射係数Rwallの値の影響は、基体の反射係数Rbaseの値の影響と同程度である。すなわち、この固体発光体面積比ρSSLの相対的に高い値の範囲では、基体反射係数Rbaseの値の変化は発光モジュールの光学的効率に壁部反射係数Rwallの値の変化と同程度の影響を及ぼす。ρSSLの中間の値、例えば、0.1≦ρSSL≦0.25では、光学的効率の値に対する基体の反射係数Rbaseの値の影響は、この範囲では無視できない壁部の反射係数Rwallの値の影響よりも大きい。すなわち、この固体発光体面積比ρSSLの中間の値の範囲では、基体反射係数Rbaseの値の変化は発光モジュールの光学的効率に影響を及ぼし、壁部反射係数Rwallの値の変化もまた上記光学的効率に影響を及ぼすが、より少ない程度に及ぼす。
図14は、光学的効率の増加が達成される最大可能固体発光体面積比ρSSLの依存性を本発明の一観点による基体及び壁部の有効反射係数Reffの関数として示している。図14の縦方向のy軸は、固体発光体の上部に直接配された発光層を備えた照明発光モジュールに対して改善された光学的効率が達成され、ρSSL、MAXとして示されている最大可能固体発光体面積比を表している。横方向のx軸は、空洞部の底部及び壁部表面の有効反射係数Reffを表している。データ点のセット831は、固体発光体の最大直線サイズdSSLの0.35倍の固体発光体の表面と発光層との距離hを示し、データ点のセット832は、固体発光体の最大直線サイズdSSLの1.04倍の距離hを示し、データ点のセット833は、固体発光体の最大直線サイズdSSLの1.73倍の距離hを示している。結果は、固体発光体の上に直接配された発光層を備えた同数の固体発光体と比較して相対的に大きい光リサイクル効率及び相対的に良好な性能を依然として可能にする或る距離hにおける最大可能固体発光体面積比ρSSL、MAXの予測を可能にする。図14から、有効反射係数Reffのより大きい値は(固体発光体の上面と発光層との距離hに依存する)固体発光体面積比ρSSL、MAXのより大きい値を可能にし、一方で、発光層が固体発光体の上に直接配される基準の状態に対して光学的効率の改善をさらに達成することが結論づけられる。固体発光体と発光層との距離hの増加は、発光層が固体発光体の上に直接配される基準の状態に対して光学的効率の改善をさらに与える同様の値の有効反射係数Reffにおける最大許容固体発光体面積比ρSSL、MAXを小さくする。
図15は、基体に直交する壁部及び傾斜した壁部を伴う空洞部との本発明に係る発光モジュールについての光学モデルの結果の比較を示している。それぞれが2mm2のダイ面積を有する4つのLEDの場合の光学シミュレーションモデルから結果が得られた。発光層の径は6.5mmであり、基体の面積のみに対するLEDの面積比ρSSLは、直交する壁部及び傾斜した壁部についてそれぞれ0.241及び0.298である。このケースにおいてもまた、基体及び壁部に対するLEDの面積比ρSSLは、LEDと発光層との距離hの関数として変化する。傾斜した壁部の反射面と基体の反射面との角度は、このケースでは5ないし33度の範囲にある。図15では、縦方向のy軸は、混合空洞部に存在する白色放射のフラックスWwhite(単位:ワット)と青色スペクトル範囲において固体発光体により発せられる青色のフラックスの合計Wblue(単位:ワット)との比として表される光学的性能の効率を表し、横方向のx軸は、LEDの上面と発光層との距離hをミリメータで表している。曲線841は直交する壁部の場合の発光モジュールを表し、曲線840は傾いた又は傾斜した壁部の場合の発光モジュールを表している。相対的に大きい光学的効率は、LED面積比ρSSLが中間の値の範囲にあるこの実施形態については、壁部の傾斜により達成されることが明らかである。このケースにおける光学的効率の最適値は、傾斜した壁部及び直交する壁部それぞれに関して約1.1mm及び0.75mmのLEDの上面と発光層との距離hにおいて達成され、この距離において、基体及び壁部に対するLED面積比ρSSLは、真っすぐな壁部の場合の発光モジュールについては0.18であり、傾いた又は傾斜した壁部の場合の発光モジュールについては0.21である。中間のLED面積比ρSSLを有する発光モジュールの場合、壁部から反射される光の相当量は、反射が少ないLED領域に衝突する。壁部の傾斜は、発光層を有する出力窓に向けてより効率的に光の方向を変更すること(re-direction)によって状況を改善し、かなり大きいWwhite/Wblueの値及び従って改善された光学的効率をもたらす。この効果は、LED面積比ρSSLのかなり大きい値に対してより顕著になる。LED面積比ρSSLがかなり大きい値である場合、壁部はLEDからより遠く、壁部の傾斜は光学的効率に対してかなり小さい影響を及ぼす。
製造の観点から、LEDダイは、白色の反射性材料でLEDパッケージ間の空間を満たすことなく高反射PCBボード上に位置し得る。このケースでは、基体の反射面は、LEDダイの表面よりも非常に低いレベルに位置し得る。発光層の最適な位置に対するLEDの上面と発光層との間の距離h及びh2として示されている反射性の基体の表面と発光層との間の距離の影響は、1つのLEDを有する本発明に係る発光モジュールの光線追跡モデルにより調べられた。図16aは、基体906、固体発光体908、例えばLED及びLED908の上面903よりも発光層902から更に離れた、すなわち、h2>hである反射性の基体表面901を有する第1の発光モジュール900の断面図を示している。図16bは第2の発光モジュール910、例えばLEDの断面図を示しており、この第2の発光モジュール910では、反射性の基体表面901がLEDの上面903よりも発光層902に近い。すなわち、h2<hである。後者のケースでは、例えば45度の角度で反射性基体の中心に円錐形の開口部又は凹部が存在する。
図16cはシミュレーションの結果を示しており、この図において、縦方向のy軸は、混合空洞部に存在する白色放射のフラックスWwhite(単位:ワット)と第1の青色スペクトル範囲において固体発光体908により発せられる青色のフラックスの合計Wblue(単位:ワット)との比として表される光学的性能の効率を表し、横方向のx軸は、発光層902と固体発光体908の上面903との間の距離hを表している。図16cは、それぞれが反射性基体の表面901と発光層902との間の距離h2と、LEDの上面903と発光層902との距離hとの差についての異なる値を表す7本の曲線951、952、953、954、955、956、957を示している。曲線951、952及び953は第1の発光モジュール900の変化を示しており、反射性の基体表面901はLEDの上面903よりも発光層902から更に離れており、すなわち、h2>hであり、曲線951はh2=h+1.5mmを表し、曲線952はh2=h+1.0mmを表し、曲線953はh2=h+0.5mmを表している。曲線954は、反射性の基体表面901と発光層902との距離h2がLEDの上面903と発光層902との距離hと等しい、すなわち、h2=hの状況を表している。曲線955、956及び957は第2の発光モジュール910の変化を示しており、反射性の基体表面901はLEDの上面903よりも発光層902に近く、すなわち、h2<hであり、光学的効率が最適条件、例えば極大を有する距離hの値であるLEDの上面903と発光層902との距離hの最適値は、反射性の基体表面901と発光層902との距離h2にほぼ依存する。従って、上記に定義されたような固体発光体の上面と発光層との距離hについての基準は、この第1の発光モジュール900にも適用され得る。反射性の基体表面901がLEDの上面903よりも発光層902に近いと、すなわち、h>h2であると、例えば、LEDが反射性基体の凹部に配されているケースでは、効率が最適条件を有する距離hは、反射性の基体表面901とLEDの表面903とが発光層902まで等しい距離を有する状況に対してより長い。反射性の基体表面901がLEDの上面903よりも発光層902に近い、すなわち、h2<hである第2の発光モジュール910に関しては、距離についての基準は、ρSSL<0.1の場合には0.4×d+Δh/2<h<5×d+Δh/2、0.1≦ρSSL≦0.25の場合には0.15×d+Δh/2<h<3×d+Δh/2及びρSSL>0.25の場合には0.1×d+Δh/2<h<2×d+Δh/2に変わる。上記Δhは、反射性基体の表面901とLEDの上面903との距離の絶対値、すなわち、Δh=|h2−h|である。
上記基体上における複数の固体発光体の相対的な位置決め又は配置は、他の設計パラメータである。空洞部における固体発光体の配置は、発光層を有する空洞部の出力窓における光束の分布及び均一性に影響を及ぼす。熱的ホットスポットを引き起こす光学的ホットスポットの発生を防ぐことが望ましい。これは、特に、発光層における熱負荷を、例えば、かなり長い距離のため及び/又は幾つかの実施形態における空洞部の壁部のかなり高い熱伝導率に対して空洞部を満たす光学材料のかなり低い熱伝導率のためにPCBボード及びヒートシンクに運ぶことがより難しい空洞部の中心にとって重要である。
効率に対する空洞部内における異なるLEDの分布の影響及びLEDと発光層との最適距離が、本発明に係る発光モジュールの光線追跡モデルにより調べられた。図17aは、壁部981及び基体982を有する発光モジュール980の模式的な平面図を示しており、この発光モジュールでは、1つのLED984が基体982の中心に配され、6つの他のLEDが中心から等距離であり、かつ互いに等距離である配置の半径rplを有する仮想円上に位置している。このケースにおける発光モジュール980は、それぞれが1×1mm2の面積を有する7つのLEDを有している。それぞれ7.46mm、3.05mm及び2.36mmの3つの異なる基体半径rbaseの値に関して計算が行われている。LEDの上面と発光層との距離は変化しており、これは、壁部の異なる高さの値及び従って壁部の異なる面積をもたらす。従って、基体及び壁部に対する固体発光体面積比ρSSLの値は、rbaseが7.46mmの場合、0.02から0.04の範囲にあり、rbaseが3.05mmの場合には0.09から0.22の範囲にあり、rbaseが2.36mmの場合には0.13から0.39の範囲にある。図17b、図17c及び図17dは光線追跡シミュレーションに結果を示しており、これらの図において、縦方向のy軸は、混合空洞部に存在する白色放射のフラックスWwhite(単位:ワット)と青色スペクトル範囲において固体発光体により発せられる青色のフラックスの合計Wblue(単位:ワット)との比として表される光学的性能の効率を表し、横方向のx軸は、発光層とLEDの上面との距離hをミリメートルの単位で表している。図17b、図17c及び図17dの種々の曲線は、配置半径rplの種々の値を表している。図17bは7.46mmの基体半径rbaseにおける結果を示しており、曲線1101はrpl=1.2mmを表し、曲線1102はrpl=1.5mmを表し、曲線1103はrpl=2.5mmを表し、曲線1104はrpl=3.5mmを表し、曲線1105はrpl=4.5mmを表し、曲線1106はrpl=5.5mmを表し、曲線1107はrpl=6.5mmを表している。図17cは3.05mmの基体半径rbaseにおける結果を示しており、曲線1111はrpl=1.2mmを表し、曲線1112はrpl=1.4mmを表し、曲線1113はrpl=1.8mmを表し、曲線1114はrpl=2.2mmを表している。図17dは2.36mmの基体半径rbaseにおける結果を示しており、曲線1121はrpl=1.2mmを表し、曲線1122はrpl=1.4mmを表し、曲線1123はrpl=1.6mmを表している。
図17bの曲線と図17c及び図17dの曲線との比較は、光学的効率及び効率が最適条件を有するLEDの上面から発光層までの最適な距離に対する異なるLEDの位置決めの影響は、LED面積比ρSSLのかなり大きい値に対してより顕著であることを示しており、その結果は図17bに示されている。図17bは、更に、LEDの配置の2つの追加のケースを示しており、外側のLEDは中心にかなり近づけて配され、配置の半径rplの最小値及び曲線1101に対応しているか、又は、壁部にかなり近づけて配され、配置の半径rplの最大値及び曲線1107に対応している。両方の追加のケースは、光学的効率のかなり低い値をもたらしている。
LED間のスペースがLEDのサイズと同程度であるようにLEDがかなり近づけて配されると、LEDのそれぞれの周りの基体表面の反射率が著しく減少し、状態は1つの大きいLEDダイ(マルチダイLED)のモデルを用いて見積もられる。このマルチダイLEDの状態では、LEDの上面と発光層との最適距離は、かなり低いLED面積比ρSSLの発光モジュールの場合にはっきり目に見える効率的な光のリサイクルを達成するために大きくされる(図17b参照)。この効果は、中間ないし高いLED面積比ρSSLの発光モジュールの場合にはあまり顕著ではない(図17c及び図17d)。これらの後者の発光モジュールの場合、光学的効率に対するLEDの配置の影響はより少ない。すなわち、中心により近い場所又は空洞部の壁部により近い場所にLEDを配することは、光学的効率に対してかなり低い値のLED面積比ρSSLを有する発光モジュールよりもより少ない影響しか及ぼさない。
光学的効率の理由のために、互いに等距離にかつ壁部から等距離に固体発光体を配することが好ましい。不均一な固体発光体の配置は、ホットスポットを引き起こし、また、固体発光体の光吸収損失を増加させる。このケースにおいてもLEDの場所を変化させる固体発光体上の物理的空間が少ないので、固体発光体面積比ρSSLのかなり高い値は、固体発光体の配置に関する光学的効率Wwhite/Wblueの感度を減少させる。最高の光学的効率をもたらす距離に対応する固体発光体の上部と発光層との最適距離の値は、一般に、固体発光体面積比ρSSLのかなり大きい値に対してより低い。
空洞部の高い効率の値を達成するために、空洞部内部の全表面が装置のスペクトル範囲全体にわたって高い反射性であることが好ましい。この目的のために、壁部の表面だけではなく、LEDパッケージとLED基板自体との間の空間もが、例えば、白色反射コーティング剤、例えば、TiO2が満たされたシリコーンによりコーティングされる。実際上の理由で、LEDパッケージに反射性コーティング剤を塗布するステップは難しい。従って、基体表面以外のLEDに隣接する表面の反射係数は、実際にはかなり低い。
図18は光線追跡シミュレーションの結果を示しており、この図において、縦方向のy軸は、混合空洞部に存在する白色放射のフラックスWwhite(単位:ワット)と第1の青色スペクトル範囲において固体発光体により発せられる青色のフラックスの合計Wblue(単位:ワット)との比として表される光学的性能の効率を表し、横方向のx軸は、発光層とLEDの上面との間の距離hをミリメートルの単位で表している。このシミュレーションは、それぞれが2mm2のダイ面積を有する4つのLEDを含んでおり、発光層の径は6.5mmである。曲線1152はコーティングされていないLEDパッケージを表し、曲線1151は反射層によりコーティングされたLEDパッケージを表している。図18は、反射コーティングされたLEDパッケージに対してコーティングされていないLEDパッケージが幾分低い光学的効率を有することを示しているが、最適なLED表面から発光層までの距離hの著しい変化は認められなかった。これらのシミュレーションの結果は、コーティングされていないLEDパッケージ及びコーティングされたLEDパッケージを用い、コーティングされていないLEDパッケージに対して反射性のコーティング部を伴うLEDパッケージの場合に約7%の光学的効率の増加を示した実験により実証された。
図19aは、本発明の第2の観点によるランプ1000の一実施形態を示している。ランプ1000は、ヒートシンク、動力伝導部(power driver)及び電気的接続部を含むランプベース1006に接続されたレトロフィット電球1002を有している。ランプベース1006の上には、本発明の第1の観点による発光モジュール1004が設けられている。このランプの実施形態は、通常の電球のサイズを有するランプに限定されないことに注意されたい。チューブのような他の形状も可能である。スポットランプ又はダウンライトのような代替のランプのタイプも用いられ得る。ランプは、複数の発光モジュールを有していてもよい。
図19bは、ランプ1020の他の実施形態を示している。ランプ1020は、発光モジュール1004により発せられる光を平行にする反射器1022を有するスポットランプである。発光モジュール1004は、発光モジュール1004から離れた方へ熱を伝え、ランプ1020の周囲に熱を与えるヒートシンク1024に熱的に結合される。ヒートシンク1024は、受動的又は能動的に冷却され得る。
図19cは、本発明の第3の観点による照明器具1050の一実施形態を示している。照明器具1050は、本発明の第1の観点による発光モジュール1052を有している。他の実施形態では、照明器具1050は、本発明の第2の観点によるランプを有している。
本発明の第2の観点によるランプ及び本発明の第3の観点による照明器具は、図1ないし図18を参照して説明されたような本発明の第1の観点の発光モジュールと同様の効果を持つ同様の実施形態を有している。
図20は、本発明に係る発光モジュールの他の実施形態を示している。発光モジュール1300は、発光モジュール520と同様に、基体518、基板524上に設けられた複数の発光ダイオオード514、発光層506、反射性の壁部522、透明材料502及び光反射性の粒子で満たされた層512を有している。しかしながら、空気の層1301及び偏光素子1302が、発光ダイオオード514から離れて対向する側において発光層506上に位置している。発光モジュール1300は、使用中、中でも街灯照明、オフィス照明及び小売照明用に用いられ得る偏光を生成し、これらの用途におけるグレアの量を低減する。代替として、発光モジュール1300は、液晶表示装置(LCD)のバックライティングの用途に用いられ、分離した偏光子がもはや必要ないのでコストレベルを低減する。発光層506に存在し、偏光素子1302に衝突する光は、偏光素子を通って伝送され、一方で、補正のない偏光は発光モジュール1300の発光層506及び空洞部に再び向けられる。この光は発光層506において散乱させることにより及び/又は偏光素子1302の方向に再度反射される反射性の壁部522及び/又は光反射性粒子が満たされた層512を介した空洞部内における拡散反射によりランダムに偏光又は脱偏光され、正しい偏光状態の光が偏光素子1302を透過する。非透過光は発光層506及び空洞部に再度反射し返され、このプロセスが繰り返される。かなり高い空洞部の光リサイクル効率のために、発光モジュール1300はかなり効率的な偏光ソースである。偏光素子1302は、発光層506において生成される熱による偏光素子1302の熱安定性を改善するために空気の層1301により発光層506から分離されている。代替の実施形態では、偏光素子1302が、例えば、発光材料を含むセラミック層上で発光層506と直接接している。偏光素子1302は、反射又は散乱偏光子であり得る。偏光素子1302は、反射性の偏光フォイル、例えば、3Mから市販されているビキュイティDBEFフォイルであってもよい。代替として、偏光素子1302は、例えば、モクステック(Moxtek)社から市販されている高反射率を有する細い金属ラインを有している。金属ラインの幅及び/又は金属ライン間のピッチを変化させることにより、偏光対光透過の量が最適化され得る。
図21は、本発明の第4の観点による表示装置1400の一実施形態を示している。この表示装置は、図1ないし図18及び図20を参照して説明されたような本発明に係る発光モジュールを有している。使用中、発光モジュールは、LCD表示装置用のバックライティングユニットとして又はバックライトシステムの光ガイド層において偏光を注入する光源ユニットとしての機能を果たす。発光モジュールはかなり効率的に(偏光を)生成するので、表示装置1400のコストレベルが低減される。
全ての適用可能な実施形態において、空洞部内には、少なくとも1つの横方向に光を発する固体発光体が設けられている。横方向の放射は、典型的には、汎用固体発光体の上に、透明材料の層及び光反射性材料の層である2つの追加の層を与えることにより得られる。固体発光体であるLEDは、透明サファイアの基板上に製造されることが多い。製造後、多くの場合、サファイアの層は除去される。しかしながら、サファイアが除去されない又は部分的にのみ除去される時に、LEDと実質的に対向するサファイア層の表面に光反射性のコーティングの追加することは、横方向放射固体発光体をもたらす。代替として、ガラス又はサファイアの小片がLEDに接着されてもよい。
他の実施形態では、1つ以上の追加の固体発光体が発光モジュールの壁部に与えられ得る。そのケースでは、壁部の表面の反射面積は、発光モジュールの壁部に与えられる固体発光体の面積により修正されるべきである。
一実施形態では、発光モジュールは、更に、ドーム形状又はレンズ形状の光学体が、光出力窓から離れて対向する部分的に拡散反射性の層の側に存在し得る。代替として又は追加として、拡散光の放出を得るため、空間的に色及び角度に対する色の均一な光の放出を得るため並びに色が混合された光の放出のための拡散層が、少なくとも1つの固体発光体から離れて対向する部分拡散反射層の側から或る距離で与えられる。
全ての適用可能なアプリケーションに対して、壁部及び基体が1つの同じ材料から製造され、一緒に接着され得る。他の実施形態では、壁部と基体とは異なる材料である。例えば、1つの基体が複数の隣り合う発光モジュールにより共有される際、例えば、基体がプリント回路基板であると、図面に描かれているような基体は壁部を越えて延在し得ることに注意されたい。
本発明は、典型的には、モジュールレベルで、例えば、少なくとも1つであるが、典型的には複数のLEDパッケージを有するPCBボードに対して適用される。しかしながら、本発明は、1つ以上のLEDダイ又はチップを有するLEDパッケージに対しても適用される。また、LEDダイ又はチップは、LEDダイが中間のLEDパッケージを伴うことなく(PCB)ボードに直接取り付けられる所謂チップオンボードのタイプを有していてもよい。更に、LEDダイからボードへのワイヤボンド接続が用いられ得る。
上述した実施形態は本発明を限定ではなく説明しており、当業者であれば、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく多くの代替の実施形態を作成することができることに注意されたい。
特許請求の範囲において、括弧内に付されたいかなる参照符号もが特許請求の範囲を限定するように解釈されるべきではない。動詞「有する(comprise)」及びその活用形の使用は、特許請求の範囲に述べられている構成要素又はステップ以外の構成要素又はステップの存在を排除するものではない。構成要素の前に付されている冠詞「a」又は「an」は、複数のそのような構成要素の存在を排除するものではない。本発明は、幾つかの個別の構成要素を有するハードウェアにより及び適切にプログラムされたコンピュータにより実現され得る。幾つかの手段を列挙している装置の請求項では、これらの手段の幾つかは、ハードウェアの1つの同じアイテムによって具現化され得る。或る方策が互いに異なる従属請求項に列挙されているという単なる事実は、これらの方策の組み合わせが有利に用いられないことを示してはいない。