JP2014528032A - 径方向に折畳および展開可能な繊維スリーブとその作製方法 - Google Patents

Abstract

細長部材を導くおよび保護するための繊維スリーブおよびその作製方法を提供する。スリーブは、織交ぜられたモノフィラメントおよび／またはマルチフィラメント糸からなる壁を有する。壁の対向縁部は、スリーブの中心軸に沿って延在する。第１使用構成において管状キャビティを形成するため、対向縁部は、自己包むかつ互いに重なるように付勢される。織交ぜられた糸により形成された複数の細長ヒンジは、中心軸に実質的に平行になるようにスリーブの長さに沿って延在するとともに、壁の比較的剛性の円弧状領域を互いに区切る。ヒンジは、円弧状領域を展開された管状の第１使用構成から互いに入れ子になる第２折畳構成に移すことを可能にし、よって数が大幅に増加したスリーブを大幅に減少した容積のスペースに出荷および収納することを可能にする。

Description

関連出願の相互参照
本願は、２０１１年８月２２日に出願された米国仮出願シリアル番号第６１／５２５，９６７号に基づく優先権の利益を主張し、その全体が引用によりこの明細書中に援用される。

発明の背景
１．技術分野
本発明は、一般に細長部材を保護するための繊維スリーブに関し、特に自己包み型の繊維スリーブに関する。

２．関連技術
たとえば、自動車、航空機および航空宇宙艇などにおいて、パイプ、ワイヤおよびワイヤハーネスのような細長部材を保護性の自己包み型の繊維スリーブに包むことにより、これらの細長部材に振動、摩耗、流体および熱影響からの保護を与えることが知られている。自己包み型スリーブは、スリーブの長さに沿って延在する対向縁部を有する。対向縁部は、一般的に互いに重なるように付勢され、保護される細長部材を受入れる内部保護キャビティを完全に囲む。少なくともいくつかの用途において、公知の繊維スリーブが所望の保護を与えることができるが、一般的に、これらの公知の繊維スリーブは、製造されたら比較的剛性の管状構成を有するため、出荷および貯蔵時に貴重な空きスペースを占有する。このように、スリーブを貯蔵するためにより多くの面積が必要とされ、出荷箱に収まることのできるスリーブの数が比較的に少なくなる。したがって、スリーブの内部管状キャビティが貴重なスペースを占めるため、出荷および在庫の費用が高くなる傾向がある。

発明の概要
本発明の一局面は、細長部材を導くかつ摩擦および汚染などの他の環境条件への暴露から保護するための繊維スリーブを提供する。スリーブは、第１使用構成において実質的に管状の構成を呈し、第２収納／出荷状態において径方向に折畳構成を呈するの壁を有する。したがって、貴重なスペースが解放され、第２構成において数が増加したスリーブを収納および出荷することが可能となる。壁に可撓性、耐摩耗性および自動巻き特性を与えるため、スリーブ壁は、織交ぜられたモノフィラメントおよび／またはマルチフィラメント糸を有する。壁は、スリーブの中心軸とほぼ平行に延在する対向縁部を有する。対向縁部は、自動巻きかつ互いに重なるように自動的に付勢され、よって使用構成において周方向に囲まれた管状キャビティを形成する。壁を径方向に折畳まれた第２構成に移すことを容易にするために、壁は、中心軸と実質的に平行にスリーブの長さに沿って延在する細長ヒンジとして形成された複数のより可撓性のある領域と、ヒンジの間に延在しかつヒンジとは異なり比較的剛性の円弧状領域とを有する。ヒンジは、二次材料が必要とされないように、織交ぜられた糸で壁内に一体的に形成される。

本発明の別の局面によれば、壁は、第２構成において一般に三日月状である。
本発明の別の局面によれば、ヒンジは、比較的剛性の円弧状領域に対してオーバセンタ可撓領域を形成することにより、比較的剛性の円弧状領域を管状の第１構成から折畳まれた第２構成に簡単に跳ね返ることを可能にする。

本発明の別の局面によれば、ヒンジは、領域が第２折畳構成において互いに入れ子になるように、壁の領域を互いに区切る。

本発明の別の局面によれば、ヒンジは、壁の織交ぜられた糸から形成される。
本発明の別の局面によれば、ヒンジは、第１織交パターンを有し、隣接する壁領域は、第２織交パターンを有する。第１織交パターンと第２織交パターンとは、互いに異なる。

本発明の別の局面によれば、壁は、ヒンジによって互いに区切られた少なくとも３つの領域を含む。

本発明の別の局面によれば、壁およびヒンジの織交ぜられた糸の少なくとも一部は、ヒートセットされ、対向縁部を互いに重なるように付勢する。

本発明の別の局面によれば、繊維スリーブを作製する方法が提供される。方法は、スリーブの中心軸とほぼ平行に延在する対向縁部を有するスリーブの壁を形成するように、複数の糸を互いに織交ぜるステップを含む。方法はさらに、第１使用構成において円周方向に囲まれた管状キャビティを形成するように、少なくとも一部の糸をヒートセットし、対向縁部を自動巻きかつ互いに重なる関係に自動的に付勢するステップを含む。方法はさらに、織交工程において糸から複数のより可撓性のある線をスリーブの長さに沿って中心軸と実質的に平行に延在する細長ヒンジとして形成し、ヒンジの間に延在しかつヒンジとは異なり比較的剛性の円弧状領域を形成するステップを含む。

本発明の別の局面によれば、方法はさらに、壁の糸を用いてヒンジを形成するステップを含む。

本発明の別の局面によれば、方法はさらに、ヒンジを用いて壁の円弧状領域を互いに区切り、第２構成において円弧状領域を互いに入れ子関係にするステップを含む。

本発明の別の局面によれば、方法はさらに、第１織交パターンを有するヒンジを形成するステップと、第１織交パターンと異なる第２織交パターンを有する円弧状領域を形成するステップとを含む。

本発明の別の局面によれば、方法はさらに、ヒンジによって互いに区切られた少なくとも３つの円弧状領域を有する壁を形成するステップを含む。

本発明の別の局面によれば、方法はさらに、直径方向に互いに対向するように離間している一対のヒンジを形成するステップを含む。

本発明の上記および他の局面、特徴および利点は、以下の現在好ましい実施形態および最良実施形態の詳細な説明、特許請求の範囲および添付図面を参照すれば、当業者にとって容易に分かるであろう。

細長部材を支持および保護する第１使用状態で示された、本発明の一局面に従って作製された自己包み型の繊維スリーブの概略斜視図である。 第２折畳状態で示された図１のスリーブの拡大部分概略斜視図である。

現在好ましい実施形態の詳細な説明
図面をより詳細に参照して、図１は、本発明の一局面に従って作製され、以下スリーブ１０と称される自己包み型の繊維スリーブの概略図である。スリーブ１０は、たとえばパイプ、ワイヤおよびワイヤハーネスなどのような細長部材１４を導くかつ摩擦への暴露および汚染物、破片などの侵入から保護するための自己包み型の細長壁１２を有する。細長壁１２は、壁１２の長さに沿って長手中心軸１８とほぼ平行に延在する対向縁部１６，１７を有する。好ましくは、縁部１６，１７は、「たばこ巻き」方式で互いに重なるように付勢され、図１に示される第１構成と称される管状の使用構成を維持することにより、細長部材１４をスリーブ１０の周方向に囲まれた中央キャビティ２０の中において完全に囲む。キャビティ２０は、長手中心軸１８の全長に沿って容易にアクセス可能であり、よって、細長部材１４を径方向に沿ってキャビティ２０内に容易に配置することができ、またその逆、たとえば使用時においてキャビティ２０から細長部材１４を取出すことができる。壁に可撓性、耐摩耗性および自動巻き特性を与えるため、スリーブ壁１２は、一般に２２で示される、織交ぜられたモノフィラメントおよび／またはマルチフィラメント糸を有する。図２に示された第２構成と称される、径方向に折畳まれた収納／出荷構成へ壁１２を移すことを容易にするために、壁１２は、スリーブ１０の全長に沿ってまたは実質的に沿って、中心軸１８と平行にまたは実質的に平行に延在する細長ヒンジ２４として形成された複数のより可撓性のある領域を有する。可撓性のあるヒンジ２４とは異なり、比較的剛性でヒートセットされた円弧状領域２６が、ヒンジ２４の間に延在している。ヒンジ２４は、壁１２を作製する間に壁１２の織交ぜられた糸２２のパターンを制御することにより、壁１２内に一体的に形成される。よって、スリーブ１０を作製するために二次材料またはヒンジ装置が必要としない。したがって、スリーブ１０を作製するために使用される製造プロセスは、合理化になり、効率的かつ経済的である。

壁１２は、たとえば（図１においてさまざまな作製形態で示される）製織、編成または編組プロセスなどのような、任意の所望の織交プロセスを用いて作製することができる。壁１２中のＰＥＴモノフィラメントのような少なくとも周方向に延在する糸２２の一部をヒートセットすることによって中心軸１８を中心とする巻き構成に形成し、壁１２に自己包みの付勢を付与する。好ましくは、ヒートセットは、円弧状領域２６内の糸の少なくとも一部に対して行われる。また、ヒートセットは、ヒンジの予期機能を実行する能力に影響を与えることなく、密度が低減されたヒンジ２４の糸の少なくとも一部に対して行うこともできる。壁１２は、セクション２６ａ，２６ｂ，２６ｃとも称される３つの不連続の円弧状領域を有するものとして示される。そのうち、離れているセクション２６ａ，２６ｃは、それぞれ縁部１６，１７から、縁部１６，１７から円周方向にそれぞれ離間しているヒンジ２４まで延在し、第３セクション２６ｂは、ヒンジ２４の間に延在する。したがって、壁１２は、介在するヒンジ２４により互いに区切られた少なくとも３つのセクション２６ａ，２６ｂ，２６ｃを有する。ヒンジ２４は、直径方向に互いに対向するように配置された一対のヒンジとして示されている。したがって、一例として、第３セクション２６ｂは、壁１２の周りに半円で約１８０°延在する。

円弧状領域２６は、ヒートセットされると、外力が適用されない場合、円弧状を保つ傾向がある。ヒンジ２４の間に延在しかつ円弧状に形成される中央領域２６ｂは、ヒンジ２４の間の直線コード２８よりも長い円弧長を有する。よって、中央領域２６ｂがコード２８の一方側または他方側にあるとき、コード２８の上方にある領域２６ｂを中心を越えて径方向内側に移させるために加えられた十分な外力により移されるまで、領域２６ｂは元の位置に留まろうとする。したがって、領域２６ｂは中心を越えて対向する位置に跳ね返る。このように、ヒンジ２４は、領域２６よりも可撓性があるため、中央部２６ｂを第１使用構成と収納／貯蔵用の第２折畳構成との間に跳ね返る方式で径方向に移すことを可能にする。もちろん、収納／貯蔵用の第２折畳構成に移されたとしても、所望に応じて、壁１２を第１使用構成に容易に移すことができる。

ヒンジ２４の可撓性は、ヒンジ２４の領域内に行われる織交パターンの種類をすぐ隣接する円弧状領域２６に行われる織交パターンの種類に対して変更することによって制御される。領域２６は、第１織交パターンを有するように形成され、ヒンジ２４は、第２織交パターンを有するように形成される。第２織交パターンは、第１織交パターンよりも可撓性が高い。ヒンジ２４に強化された可撓性および円弧状領域２６に比較的剛性を提供するパターンは、繊維分野の当業者によって理解されるであろう。したがって、製織、編成または編組されるにもかかわらず、ヒンジ２４内の糸２２は、円弧状領域２６の直ぐ隣接する部分とは異なる製織、編成または編組プロセスによって、互いに織交ぜられる。

用途の需要に応じて、壁１２は、長さと直径とを含む任意の適切なサイズを有するように作製されてもよい。縁部１６，１７は、好ましくは、キャビティ２０を完全に囲むように少なくともわずかに互いに重なり、よってキャビティ２０に収容されるワイヤ１４に強化された保護を与える。縁部１６，１７は、ヒートセット糸２４によって与えられた付勢を克服するために与えられた十分な外力を受けると、互いに離れるように容易に展開されることができ、少なくとも部分的に開けてキャビティ２０を露出させる。したがって、組立て時にキャビティ２０内にワイヤ１４を容易に配置することができ、または使用時にキャビティ２０からワイヤ１４を取出すことができる。与えられた外力を解除すると、縁部１６，１７がヒートセット糸２４によって付与された付勢により、元の重なっている自己包み位置に自動的に戻る。

図２に示すように、壁１２は、第２構成に折畳まれると、スリーブ１０の端部からスリーブ１０の長さに沿って見たときに、壁１２は、三日月形状と称されるトラフ形状を呈する。このように、第２折畳構成においてスリーブ１０が占有するスペースの容積は、折畳まれなかった第１構成より大幅に減少される。そのため、スリーブ１０が第１使用構成にあるときに比べて第２折畳構成にあるときに、より多くのスリーブ１０を一定容積のスペース内に収納することができる。スペースをさらに節約するために、スリーブ領域２６ａ，２６ｃの凹凸面を隣接するスリーブの合致する凹凸領域２６ｂと入れ子接触にすることによって、第２構成にある複数のスリーブ１０を互いに入れ子になるようにすることができる。認識すべきことは、壁１２が折畳まれる方法に応じて、スリーブ領域２６ａ，２６ｂ，２６ｃが、図２に示すように、凸状または凹状の形状のいずれかを取ることができるが、それにかかわらず、スリーブ領域２６ａ，２６ｂ，２６ｃが、折畳まれなかった第１構成にあるときに比べて、互いに入れ子になり、より少ない容積を占めるように形成されることである。したがって、所定のパッケージに収容され得るスリーブ１０の数は、飛躍的に増加され、よって所定のパッケージサイズで大幅に多くのスリーブ１０を出荷することを可能にする。

明白なことは、上記の教示に照らして本発明に対し多くの修正および変形が可能であることである。したがって、本発明を具体的に説明した方法と別の方法で実施することができることを理解すべきである。

Claims (16)

1. 繊維スリーブであって、
   織交ぜられた糸から構成される壁を含み、前記壁は、前記壁の長さに沿って中心軸と平行に延在する対向縁部を有し、前記対向縁部は、互いに重なるように付勢され、
   前記壁は、前記中心軸と実質的に平行に延在する複数のヒンジを有し、前記ヒンジは、前記壁の長さに沿って屈曲線を形成し、前記壁を管状の第１使用構成と三日月状の第２折畳構成との間で移すことを可能にする、繊維スリーブ。
2. 前記ヒンジは、前記壁の領域を互い区切り、前記領域は、前記第２構成において互いに入れ子になる、請求項１に記載の繊維スリーブ。
3. 前記ヒンジは、前記織交ぜられた糸から形成される、請求項２に記載の繊維スリーブ。
4. 前記ヒンジは、第１織交パターンを有し、前記領域は、第２織交パターンを有し、前記第１織交パターンと第２織交パターンとは、互いに異なる、請求項３に記載の繊維スリーブ。
5. 前記第２織交パターンは、前記第１織交パターンよりも可撓性である、請求項４に記載の繊維スリーブ。
6. 前記領域は、前記ヒンジによって互いに区切られた少なくとも３つの領域を含む、請求項２に記載の繊維スリーブ。
7. 前記壁は、一対の前記ヒンジを有する、請求項６に記載の繊維スリーブ。
8. 前記ヒンジは、直径方向に互いに対向するように離間している、請求項７に記載の繊維スリーブ。
9. 前記織交ぜられた糸は、ヒートセットされ、前記対向縁部を互いに重なるように付勢する、請求項２に記載の繊維スリーブ。
10. 一対の前記ヒンジは、直径方向に互いに対向するように離間している、請求項１に記載の繊維スリーブ。
11. 繊維壁を作製する方法であって、
    対向縁部を有する壁を形成するように、糸を織交ぜるステップと、
    前記対向縁部が付勢され互いに重なるように、前記壁を管状スリーブにヒートセットするステップと、
    前記糸を織交ぜるとともに、前記壁において複数のヒンジを形成するステップとを含み、前記ヒンジは、前記スリーブの長手中心軸と実質的に平行に延在しかつ屈曲線を形成することにより、前記壁を管状の第１使用構成と三日月状の第２折畳構成との間で移すことを可能にする、繊維壁を作製する方法。
12. 前記壁の前記糸を用いて前記ヒンジを形成するステップをさらに含む、請求項１１に記載の方法。
13. 前記ヒンジを用いて前記壁の円弧状領域を互いに区切り、第２構成において前記前記円弧状領域を互いに入れ子関係にするステップをさらに含む、請求項１２に記載の方法。
14. 第１織交パターンを有する前記ヒンジを形成するステップと、前記第１織交パターンと異なる第２織交パターンを有する前記円弧状領域を形成するステップとをさらに含む、請求項１３に記載の方法。
15. 前記ヒンジによって互いに区切られた少なくとも３つの前記円弧状領域を有する壁を形成するステップをさらに含む、請求項１３に記載の方法。
16. 直径方向に互いに対向するように離間している一対の前記ヒンジを形成するステップをさらに含む、請求項１５に記載の方法。

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