JP2014520182A - セルロースの触媒酸化方法、およびセルロース製品の製造方法 - Google Patents

セルロースの触媒酸化方法、およびセルロース製品の製造方法 Download PDF

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Abstract

セルロースの触媒酸化方法において、複素環ニトロキシルラジカルが、触媒として使用され、次亜塩素酸塩が、酸素源として作用する主酸化剤として使用され、第3級アミンまたは二酸化塩素が、前記複素環ニトロキシルラジカルの活性化剤として使用される。

Description

本発明は、複素環ニトロキシルラジカルを触媒として用いる、セルロースの触媒酸化方法に関する。
セルロースは、多くの化学誘導体に変換することができる再生可能な天然ポリマーである。誘導体化は、重合体のβ−D−グルコピラノース単位におけるヒドロキシル基の化学反応によって主に行われる。セルロースの特性は、化学的誘導体化によって、重合体構造を保持しながら本来の化学的形態に比べて改変することができる。所望の化学構造の誘導体を得ることができるためには、反応選択性が重要である。
複素環ニトロキシル化合物は、セルロース分子におけるC−6ヒドロキシル基の、アルデヒドおよびカルボン酸への選択的酸化に関与する触媒として知られており、対応するオキソアンモニウム塩は、反応系における活性な直接酸化剤として知られている。長い間知られているこれらの化学酸化触媒の1つは、「TEMPO」、すなわち2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−1−オキシフリーラジカルである。したがって、ニトロキシルラジカルの酸化型、N−オキソアンモニウムイオンは、標的セルロース分子の酸化において直接的な酸化剤として作用するが、一方、反応系に酸素をもたらし、ニトロキシル化合物を酸化型に変換するために、主酸化剤が使用される。
次亜塩素酸ナトリウムを主酸化剤として使用することによって、第1級アルコールを「TEMPO」を介してアルデヒドおよびカルボン酸に酸化することが知られている(たとえば、Anelli, P. L.; Biffi, C.; Montanari, F.; Quici, S.; J. Org. Chem. 1987, 52, 2559)。カルボン酸へのアルコールの酸化の収率を向上させるために、次亜塩素酸ナトリウムと塩素酸ナトリウムとの混合物も使用された(Zhao, M. M.; Li, J.; Mano, E.; Song, Z. J.; Tschaen, D. M.; Org. Synth. 2005, 81, 195)。
次亜塩素酸ナトリウムを主酸化剤(酸素源)として、臭化ナトリウムを活性化剤として使用することによって、天然セルロース繊維中のセルロースを「TEMPO」を介して触媒的に酸化する方法も知られている(Saito, T. et al.; Cellulose Nanofibers Prepared by TEMPO-Mediated Oxidation of Native Cellulose, Biomacromolecules 2007, 8, 2485-2491)。セルロースのβ−D−グルコピラノース単位の第1ヒドロキシル基(C6−ヒドロキシル基)は、カルボキシル基に選択的に酸化される。いくつかのアルデヒド基も、第1ヒドロキシル基から形成される。このようにして得られた酸化セルロースの繊維が水中で分解されるとき、それらは、幅が3〜5nmの個別化されたセルロース繊維、すなわちナノフィブリル化セルロース(NFC)または「ナノセルロース」の安定な透明分散液をもたらす。
活性化剤として臭化ナトリウムを使用することが好ましい。なぜなら、それは反応を促進するからである。たとえば、WO01/29309は、NaOClの4重量部に対してNaBrを3重量部使用することを推奨している。反応系において、臭化物イオンは、次亜臭素酸塩への酸化と臭化物への還元とによって、主酸化剤とニトロキシルラジカルとの間の酸素伝達物質として作用する。
酸化反応における臭素化合物の使用は、環境問題のために問題である。臭化ナトリウムは、通常、反応混合物中において比較的大量に使用され、最終セルロース製品から臭化残留物を除去することは困難である。また、臭素化合物は、処理水にも蓄積する。さらに、工業的規模での臭素の使用は望ましくない。大量の臭化ナトリウムの使用は、設備の腐食をもたらす。臭素化合物は、一般的に健康に対して有害であると認識されており、たとえば、副反応の結果として形成される臭素酸塩は、推定発癌物質である。
本発明の目的は、臭素化合物の使用を避けることによって、セルロースのC−6ヒドロキシル基を効率的かつ選択的に酸化するための方法を提供することである。
本発明の1つの目的は、化学物質の過剰使用を避け、セルロースの酸化のための経済的な方法を提供することである。
臭素化合物を使用することなくセルロース製品を製造するための方法を提供することがさらなる目的である。
セルロースの触媒酸化において、複素環ニトロキシルラジカルは、第3級アミンまたは二酸化塩素によって活性化される。
活性化剤の適切な選択によって、ニトロキシルラジカルは、臭化物を使用することなく酸化状態に活性化することができる。
臭素化合物、特に臭化ナトリウムまたは臭化カリウムは、助触媒として作用して複素環N−ニトロキシル化合物を活性化する第3級アミン化合物で置き換えることができる。この働きにおいて、一般式RR’R’’Nを有する第3級アミンは、酸化型、第4級アンモニウムカチオンRR’R’’Nと、還元型、第3級アミンRR’R’’Nとを交互にとる。好適な第3級アミンは、ヘキサメチレンテトラミン、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン(DABCO)、およびキヌクリジンなどの環状アミンである。次亜塩素酸は、主酸化剤として使用することができる。第3級アミンの消費量は、従来法における臭化物の消費量に比べて明らかに少ない。
他の実施形態によれば、二酸化塩素は、複素環N−ニトロキシル化合物の活性化剤として使用される。主酸化剤は、次亜塩素酸塩である。2工程法で酸化反応を行い、第1工程において、中性または塩基性pHで、二酸化塩素が活性化剤として使用され、次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)などの次亜塩素酸塩が主酸化剤として使用されることが好ましい。第2工程では、pHは酸性にされ、セルロースの残留アルデヒド基は、亜塩素酸ナトリウム(NaClO)などの亜塩素酸塩によってカルボキシル基に酸化される。ClO活性化における2工程法を使用することによって、選択性を向上させることができ、ヒドロキシル基からカルボン酸塩への総酸化時間を短くすることができる。また、酸化は、さらに制御され、セルロースの分解とDP値の低下と避ける。したがって、最終製品が繊維製品である場合、繊維長をより良好に保持することができる。セルロースは、上述の方法のいずれか1つで酸化された後、最終セルロース製品に加工することができる。出発物質が、植物、特に木材に由来するパルプであるとき、セルロースは、繊維の形態で存在する。酸化型セルロースが含まれている繊維は、小規模の断片、ナノフィブリルセルロース(NFC)に機械的方法によって容易に分解される。セルロース製品を形成するための方法は、繊維性出発物質の触媒酸化の第1工程と、酸化された出発物質をナノフィブリルセルロースに分解する第2工程とを含む。
以下において、本発明は、酸化実験の結果を示す添付図面を参照して説明される。
図1は、環状第3級アミンとNaBrとによる酸化の反応速度を示している。 図2は、NaClO用量の関数として反応速度を示している。 図3は、モデル化合物による酸化試験を示している。 図4は、カバノキパルプ試料の酸化速度を示している。 図5は、NaClO用量(mmol NaClO/g パルプ)の関数として、酸性相後のカルボン酸含有量(mmol COOH/mmol NaClO)を示している。 図6は、酸化相(補足資料中の酸化条件)間のカルボン酸含有量(mmol COOH/g パルプ)の相関を示している。 図7は、酸化相(補足資料中の酸化条件)の間のCED粘度含有量(ml/g)の相関を示している。 図8は、パイロット試験酸化のカルボン酸塩とアルデヒドとの含有量を示している。 図9は、パルプ濃度(%)の関数としてカルボン酸塩形成(mmol COOH/mmol NaClO)を示している。 図10は、パルプ試料1〜4のNaClO消費量を示している。 図11は、パルプ試料5〜8のNaClO消費量を示している。 図12は、パルプ試料9〜12のNaClO消費量を示している。 図13は、パルプ試料13〜16のNaClO消費量を示している。 図14は、酸性の第2工程の酸化における時間の関数として亜塩素酸塩の消費を示している。 図15は、工程1における、次亜塩素酸塩用量の関数として、二酸化塩素によって活性化されたTEMPOを使用して行われた酸化の酸含量を示している。 図16は、NaBrが、反応において分解され、依然として不明である臭素化合物が形成され、TEMPOを活性化するという事実によって、TEMPOの活性化のための臭化物の需要を示している。 図17は、1%(35、50℃)、および2%(25℃)の濃度における試験を示している。 図18は、濃度の関数としての酸化の選択性を示している。 図19は、TEMPO用量およびパルプ濃度(6〜10%)の関数としての、二酸化塩素によって活性化されるTEMPO酸化の選択性を示している。 図20は、pHを硫酸で値9まで低く調整した後の撹拌なしの、室温における次亜塩素酸の分解を示している。 図21は、二酸化塩素を使用して活性化されたTEMPO酸化の間に、活性塩素滴定によって測定された塩素系化学物質を示している。
以下の開示では、特に示されていない場合、すべてのパーセント値は、重量によるものである。さらに、特に示されていない場合、所与のすべての数値範囲は、範囲の上限および下限値を含む。
本発明において、セルロースの第1級ヒドロキシル基は、2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−1−オキシフリーラジカル、「TEMPO」などの複素環ニトロキシル化合物によって触媒的に酸化される。セルロースのグルコース単位のC−6炭素のヒドロキシル基の酸化に選択性を有することが知られている他の複素環ニトロキシル化合物も用いることができ、これらの化合物は、文献に広く引用されている。以下では、セルロースの酸化は、これらのヒドロキシル基がアルデヒドおよび/またはカルボキシル基に酸化することを意味する。ヒドロキシル基は、カルボキシル基に酸化されること、すなわち、酸化が完了することが好ましい。
触媒「TEMPO」が本明細書に記載されていれば、「TEMPO」が関与するすべての措置および動作は、TEMPOの任意の誘導体、またはセルロース中のC−6炭素のヒドロキシル基の酸化を選択的に触媒することができる任意の複素環ニトロキシルラジカルに、等しく同様に適用されることが明らかである。
以下の説明では、触媒酸化は、ヒドロキシル基のニトロキシル媒介性(たとえば、「TEMPO」媒介性)酸化を意味する。同様に、繊維または繊維状材料の触媒酸化は、セルロースのヒドロキシル基のニトロキシル媒介性(たとえば、「TEMPO」媒介性)酸化によって酸化されたセルロースを含む材料を意味する。
問題になっている本文の一節が他の解釈を示さない限り、工程と位相とが交換可能に本明細書において使用される。すなわち、第1工程および第2工程は、第1相および第2相にそれぞれ等しい。
第1実施形態によれば、セルロースは、主酸化剤として次亜塩素酸塩、助触媒として第3級アミンを使用することによって触媒的に酸化される。推定経路は、以下のスキーム1で示されている(複素環ニトロキシル触媒は、その還元型をR’NOHで、その酸化型をR’Oで示されている)。
スキーム1 助触媒としてアミンを使用する、アルコールのTEMPOによって触媒される漂白酸化
この方法は、1工程法であり、酸化を達成するためのすべての試薬が同一の反応媒体内にある。しかしながら、酸化の選択性は、主酸化剤、NaClOを分けて添加したときに高くなる。また、酸化反応の選択性を増加させるアミン助触媒も、反応時間の間に分けて添加することができる(COOH/g パルプのさらに多い量)。使用されるpHは、弱塩基性であり、8〜9.5、好ましくは8.5〜9.0である。これらのpH値では、酸化速度と、選択性との間の最良のバランスが得られた。これらの値が含まれる7〜10の間における任意のpH値も使用することができる。所望の範囲のpHを維持するために、好ましい緩衝液が反応媒体に使用されるか、または生成されたカルボキシル基に起因する酸性度を補うためにアルカリ剤の添加によってpHが調整される。
反応媒体の温度は、20〜50℃の間にすることができる。
好適な第3級アミンは、ヘキサメチレンテトラミン、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン(DABCO)、およびキヌクリジンである。しかしながら、本発明は、助触媒としてのこれらのアミン類の使用に限定されない。他の安定したアミン、特に安定な環状アミンを使用することができる。
第2実施形態によれば、二酸化塩素は、複素環N−ニトロキシル化合物の活性化剤として使用される。主な酸化剤は、次亜塩素酸塩である。酸化方法は、2工程法であり、第1工程においてニトロキシル触媒が二酸化塩素を用いて活性化され、次亜塩素酸塩が主酸化剤として使用される。反応は迅速に進行し、部分的にアルデヒド基を生成する。第1相のpHは、好ましくは7.5〜8.5の間であるが、これらの値が含まれる、より広い範囲6〜10も使用することができる。他の活性化法に比べて、ClOを用いる活性化は、飛躍的に酸化選択性を向上させる。
第1工程が所望の変換率に達するように進行したとき、第1工程は、停止される。部分的に酸化されたセルロースは、洗浄することができ、第2工程は、pHが明確に酸性側、約1.5〜4、好ましくは2〜3である反応媒体において行われる。好ましくは、第2工程は、pH3未満で行われる。第1工程の停止点は、主酸化剤の消費、または任意の他の方法に応じて選択することができる。また、第1工程の反応媒体のpHは、停止点における第2工程のpH範囲に直接低下させることができる。
pHが低下すると、亜塩素酸塩、たとえばNaClOが反応媒体に添加される。この第2工程において、残留アルデヒド基は、主酸化剤として亜塩素酸塩を用いてカルボキシル基に迅速に酸化される。ジメチルスルホキシド(DMSO)は、亜塩素酸塩からの次亜塩素酸塩の形成を排除するために第2工程において反応媒体中で使用することができる。
0.8〜1.0mmol/g パルプのカルボン酸塩含有量に達したとき、通常、第1工程は停止される。第2工程は、酸化を完了することによって、カルボン酸塩含有量を増加させる。
第1および第2工程の組み合わせによって、ヒドロキシル基からカルボキシル基までの全体の反応は、良好な選択性であり高速である。すべての利用可能なヒドロキシル基が酸化されていなければ、ClOによるニトロキシルラジカルの酸化型への活性化と、主酸化剤としての次亜塩素酸によるパルプのC6ヒドロキシル基のさらなる酸化とは、選択的であり、迅速な反応である。残留アルデヒドは、さらなる酸性相(第2工程)によってカルボン酸塩に変換することができる。最終的な酸性相は、酸化パルプが酸性条件で容易に洗浄されるという意味でも好ましい。
第1工程における温度は、20から50℃までの間であってもよく、第2工程において20から80℃まで、好ましくは40から80℃までの間であってもよい。第2工程の最適温度は、約50℃である。
第2実施形態の第1工程の反応スキームは、以下のスキーム2の通りである。二酸化塩素は、ラジカル形態から活性な酸化型への触媒の変換のために必要とされる。
また、第2実施形態において、上述の任意の第3級アミンが、第1工程においてClOの代わりに触媒の活性化剤として使用することができる。アルデヒド基からカルボキシル基への変換は高速であるが、選択性は、活性化剤としての二酸化塩素を用いる場合ほど高くない。二酸化塩素と次亜塩素酸塩とが第1工程において使用され、亜塩素酸塩が第2工程において使用される2相触媒酸化方法は、選択性および反応速度の両方に関して最善の選択肢であると考えられる。また、それは、試薬の消費を最も少なくする。
スキーム2 二酸化塩素を活性化剤として使用する、アルコールのTEMPO触媒漂白酸化
第2実施形態の第2工程における酸化によって、残留アルデヒドのカルボキシル基への変換は、酸化されたセルロースを安定化させる。反応スキームは、以下に示されている。
スキーム3。亜塩素酸塩による、カルボン酸へのアルデヒドの化学的酸化。亜塩素酸塩は、酸性条件下において亜塩素酸(HClO、pKa 1.96)の形態である。亜塩素酸は、セルロースのアルデヒド基をカルボン酸基に酸化する。この反応のための典型的なpH範囲は、2〜4である。
したがって、2工程酸化方法において、アルデヒドおよびカルボキシル基は、第1工程において触媒として複素環ニトロキシルラジカルを使用してセルロースのC6炭素において作製され、第2工程において、残留アルデヒドは、亜塩素酸塩によって化学的にカルボン酸に変換される。この2工程法の利点は、高い強度のセルロース製品である。なぜなら、β−脱離反応に起因するポリマー鎖の分解を大幅に避けることができるからである。特に酸化された繊維状材料の機械的分解によってナノフィブリル化セルロース(NFC)を製造する観点から、最終製品の品質が向上する。なぜなら、セルロースの分解が最小限に抑えられ、繊維化に寄与しない中性のアルデヒド基が実質的に存在しないからである。また、アルデヒド基に起因する最終製品の化学的不安定性は、同様の理由で改良される。
2工程酸化法の第2工程は選択的であるが、過剰量の反応物を消費し、有害な塩素および二酸化塩素ガスの形成をもたらす亜塩素酸塩の副反応から問題が生じる。副反応では、次亜塩素酸が、セルロースアルデヒド基と、亜塩素酸(上述のスキーム3)との間の反応、および亜塩素酸の望ましくない分解反応の結果として生成される。同様に、次亜塩素酸は、様々な反応を通して塩素および二酸化塩素の形成をもたらす。しかしながら、それに関連する副反応および問題は、保護物質の存在下で第2工程を行うことによって避けることができ、アルデヒドと亜塩素酸塩との間の反応は、副反応なしにほぼ化学量論比(1:1)で行うことができる。
第2工程の反応媒体中で使用される保護物質は、副反応を生じさせないように、形成された次亜塩素酸を不活性化することができる。ジメチルスルホキシド(DMSO)、およびジメチルスルフィド(DMS)は、効率的な次亜塩素酸捕捉剤であり、前者が好ましい。なぜなら、それは、無臭で揮発性が低いからである。DMSOおよびDMSは、以下の反応スキーム4に従って形成されるとすぐに次亜塩素酸を除去する。したがって、望ましくない副反応は、前記方法から次亜塩素酸を化学的に除去することによって防ぐことができる。
DMS+HOCl−>DMSO+HCl
DMS+HOCl−>DMSO+HCl
スキーム4。酸化法における、ジメチルスルフィドまたはジメチルスルホキシドによる次亜塩素酸の捕捉。
化学物質を回収するために、反応媒体は、セルロースの分離後、2工程法の各工程の後に少なくとも一部が好ましくは再利用される。構成される化学薬品は、必要に応じて追加される。
上述のすべての方法において反応媒体は、好ましくは、試薬および原料を溶解または分散することができる水である。
工業規模では、酸化反応は、バッチ式または連続式のいずれかで行うことができ、試薬の用量は、それに応じて適合させることができる。
本出願において、全ての示された結果、および行われた計算は、パルプの量に関係しているときは常に、乾燥パルプに基づいて行われる。さらに、全ての化学物質は、乾燥したパルプに添加された。なお、乾燥していないパルプ、すなわち、「湿潤」パルプが使用される場合には、反応はいくらか効率的であり、化学薬品の消費は、約5〜10%減少するであろうと考えられる。
セルロースは、完全は変換ではないが、材料の損失なしに、後に説明するように機械的に処理することが可能な所望の変換率に選択的に酸化することができる。方法(上述の1工程法、または2工程法)の最後に到達した変換は、少なくとも0.9mmol COOH/g パルプ、好ましくは0.9〜1.4mmol COOH/g パルプ、最も好ましくは1.0〜1.1mmol COOH/g パルプである。
上述の変換に達するために、セルロースへの次亜塩素酸塩の用量は、2.7〜3.5mmol/g パルプ、好ましくは1.0〜1.1mmol COOH/g パルプであってもよい。
酸化が行われる反応媒体中のパルプの濃度は、好ましくは3%以上である。
すべての上述の実施形態では、触媒酸化は、臭化物を使用することなく行うことができる。速い反応速度と高い酸化度とのために活性化剤および助触媒として使用される臭化ナトリウムは、一実施形態に係る触媒酸化方法において避けることができる。従来、臭化ナトリウムが使用される最適pHは、10である。しかしながら、副反応は、このpHで生じ、比較的速い反応速度でも避けることができない。NFCの、強度特性とゲル形成能とを低下させるDP値(重合度)とは、大幅に低下する。
したがって、一実施形態によれば、触媒としての複素環ニトロキシルラジカルを用いる非臭素触媒酸化は、pHおよび温度に関して慎重に定義された条件を用いて行うことができる。反応は、中性または弱アルカリ性のpH、7〜9の範囲で行われ、室温またはわずかに高められた温度、20〜50℃の範囲で、アルカリ金属ハロゲン化物の不在下で行われる。選択性(より少ないC2 ja C3反応)が向上し、臭素化合物は避けられる。低いpHに起因する遅い酸化反応速度は、高いpHほど副反応を増加させない温度によって補償される。塩素酸化物または他の任意の活性化剤は、上述のpHおよび温度条件を使用して、主酸化剤として次亜塩素酸塩を使用する触媒酸化の第1工程におけるアルカリ金属ハロゲン化物の代わりに使用することができる。酸化を完了させる第2工程は、必ずしも必要ではないが、残留アルデヒド基がカルボキシル基に酸化されるべき場合、好ましくは、酸化剤、および上述のように第2工程において望ましくない副反応を防止するための保護物質としての亜塩素酸塩を使用することによって行われる。
NFCを製造するために、0.5〜1.0mmol COOH/g パルプ、好ましくは0.6〜0.95、最も好ましくは0.7〜0.9の酸化レベル(変換度)が既に十分であり、セルロース繊維は、機械的エネルギーによって小繊維に容易に分解することができることが見出された。このレベルに達するために、前記第1工程酸化法(触媒酸化の第1工程のみ)は、通常十分である。しかしながら、COOH/g パルプとして示される上述の酸化レベルを有するセルロースを得るために、残留アルデヒドをカルボキシル基に酸化することによって第2工程において酸化を完了することも可能である。また、4%よりも高い、好ましくは5.5%よりも高い、酸化されるべきパルプの濃度において触媒酸化を行うことは有利である。8%よりも高い濃度であっても使用することができる。試験は、10%のパルプ濃度で行われた。高い濃度が使用されるとき、セルロース酸化の選択性をさらに向上させることができる。なぜなら、所望の反応が繊維中において起こるのに対して、望ましくない副反応は液相中で起こるからである。4%よりも高いこれらの原料パルプ濃度において、セルロースは、1工程酸化法、または酸化を完了させるために第2工程を用いて、0.5〜1.0mmol COOH/g パルプ、好ましくは0.6〜0.95、最も好ましくは0.7〜0.9の上述の酸化レベルに酸化することができる。さらに、本明細書において言及される他の酸化レベルは、1工程酸化法、または第1工程後の第2工程を使用して、4%を超えるこれらの高い出発パルプ濃度で得ることができる。
0.5〜1.0mmol COOH/g パルプ、好ましくは0.6〜0.95、最も好ましくは0.7〜0.9の比較的低い酸化レベルにおいて、繊維が小繊維に分解されるとき、強固なゲルを得ることができる。なぜなら、βエリミネーションが少ないからである。したがって、低い酸化度は、化学物質の費用を低減し、改良された強度の製品の作製に役立つ。
植物、特に木材(軟材または硬材パルプ、たとえば漂白されたカバノキパルプ)由来のパルプであってもよく、セルロース分子が上述の方法の1つで酸化される繊維状の出発材料は、ナノフィブリルサイズ、ナノフィブリルセルロースまたはNFCへの分解が容易である。
用語「ナノフィブリルセルロース」は、セルロース原料に由来する、単離されたセルロースミクロフィブリルまたはミクロフィブリル束の集合を意味する。ミクロフィブリルは、通常、高いアスペクト比を有する。長さは、1マイクロメートルを超えてもよいが、数平均直径は、通常200nm未満である。ミクロフィブリル束の直径も大きくなるが、一般的に1μm未満であってもよい。最小のミクロフィブリルは、通常、2〜12nmの直径のいわゆる基本繊維と同様である。小繊維または小繊維束の分解は、原料と分解方法とに依存する。また、ナノフィブリルセルロースは、いくつかのヘミセルロースを含有してもよく、その量は、植物源に依存する。酸化セルロース原料の機械的な分解は、リファイナー、粉砕機、ホモジナイザ、コロイダー、摩擦粉砕器、超音波処理器、マイクロフルイダイザ、マクロフルイダイザ、または流動化ホモジナイザなどのフルイダイザなどの好適な装置を用いて行われる。
上述の方法で酸化されたセルロース原料から作製されるNFCは、優れたゲル化能を有し、それは水性媒体中に低濃度でゲルを形成することを意味する。酸化パルプが水性媒体中で約1〜4%の濃度で粉砕されるとき、水中のミクロフィブリルからなる透明なゲル(NFCゲル)が得られる。
任意の先行する酸化法において、機械的分解の結果としてのゲル形成を容易にするように、0.9〜1.2mmol COOH/g 出発パルプ(または乾燥物)、好ましくは1.0〜1.1mmol COOH/g パルプのカルボン酸塩含有量が望ましい。
NFCを作製するために酸化パルプが分解される前に、溶媒のpHは、7〜10、好ましくは7〜9、最も好ましくは7〜8.5に調整され、必要なエネルギーを低下させる。
得られるNFCゲルは、せん断減粘性挙動により特徴付けられる。ミクロフィブリルの平均直径は、3〜15nm、または5〜15nmであり、平均長さは、0.5〜2μmの範囲である。濁度は、70未満、好ましくは20〜60NTUである(0.1%濃度、比濁測定)。水中において0.5%濃度で測定され、ゲルは、5000〜50000Pa・sのせん断粘度と、8〜40Pa、好ましくは10〜30Paの降伏応力とを有する。
セルロースが比較的高い酸化レベルに酸化されたNFCグレードのいくつかの特性値が以下の表に示されている。
以下に、限定するとみなされるべきではない、いくつかの実施例を記載する。
第1実施形態−第3級アミン活性化
結果
カバノキパルプは、酸化実験において使用された。反応速度は、活性塩素滴定によって求めることができ、すべてのNaClOが消費されたとき、酸化の準備ができていた。酸化の間に分けて加えられたNaOHによって、選択されたpHレベルは維持される。NaBrを使用するTEMPOの酸化(パルプ10)は、文献に広く報告されている従来の酸化を意味する。直鎖状第3級アミンである(N(CH)(パルプ5)を使用するTEMPO酸化は、遅く、非選択的である。このアミンは、おそらく容易に断片化する。環状第3級(キヌクリジン、ヘキサメチレンテトラミン、DABCO)によるTEMPO酸化は、より選択的であり、反応速度は、(N(CH)を使用するTEMPO酸化に比べて速い。環状第3級アミンは、より安定である。キヌクリジン(パルプ36)がTEMPOの活性化剤として使用されたとき、pH8.5が最適レベルであった。アミンによるTEMPO酸化に対する最適な温度は、これらの実験によると35〜50℃である。低いアミン用量/分けられた添加は、酸化の選択性を向上させる。また、アミンが分けて添加されたとき、反応速度は遅い。部分的なNaClOの添加は、一度のNaClOを添加に比べて選択性を増加させる。
表1。触媒としてのアミン活性化TEMPOによる選択酸化実験。化学的酸化なしのカバノキパルプは、基準パルプとして使用した(0.06mmol COOH/g パルプ)。すべての実験は、1%のパルプ濃度、0.8mMのTEMPO、1000ml容量で行われた。アミンは、パルプ26,31(1.1mM),パルプ36(0.55mM)を除いて0.8mM添加される。アミンは、酸化の間にポンプによってゆっくりと添加されたパルプ26,31,36を除いて、すべての実験における酸化の開始時に添加された。NaClO添加は、パルプ36を除いて、酸化の開始時における1画分に行われた(NaClOは、酸化の間に少しずつ添加された)。
高い反応温度が使用されれば、アミンによるTEMPO酸化の反応速度は、臭素によるTEMPO酸化に等しい。アミンによるTEMPO酸化の使用されるpH領域は、臭素によるTEMPO酸化に比べて常に低い。
図1は、環状第3級アミンとNaBrとによる酸化の反応速度を示している。反応パラメーターは、表1に示されている。パルプ36の第1滴定は、部分としてのNaClOの添加後に行われた。
図2は、NaClO用量の関数として反応速度を示している。NaClO添加が34%増加したとき、反応時間は50%増加した。
第2実施形態−二酸化塩素の活性化
材料:漂白されたカバノキパルプ、TEMPO(Aldrich社)、ClO水溶液(実験室で調製された)、3.5%NaClO溶液(VWR)、NaClO、1MのNaOH、1MのHCl、ビュッヒ反応容器(容量1.6dm)、Metrohm 718 Stat Titrino滴定装置(pH調整)、Metrohm 751 GPD Titrino滴定装置(電気伝導度滴定)、Tiamo1.2.1ソフトウェア(電気伝導度滴定)、島津2550紫外可視分光光度計およびUVProbe 2.32ソフトウェア。
漂白されたカバノキパルプの酸化:TEMPOは、密閉容器内においてClO水溶液に混合された。低い水溶性にもかかわらず、TEMPOは、溶液に溶解しながら(赤から黒に色が変化する)、ラジカルTEMPOは、酸化型に変換された。パルプは、水に混合され(パルプ濃度1〜4%)、ビュッヒ反応容器に移された(混合、温度25〜50℃、パルプ溶液の容量1〜1.2dm)。活性化TEMPO溶液と、NaClOとをビュッヒ反応容器に添加した。pHは、酸化の開始時において、迅速なpHの低下後、1MのNaOHと自動滴定装置とによって、pH8に調整された。すべてのHOClが消費されるまで活性塩素滴定によって酸化速度を調べた。パルプは、金網を通して洗浄された。カルボン酸塩含有率(電気伝導度滴定)と、CED粘度(SCAN−CM 15:99)は、洗浄されたパルプの試料から分析された。
酸性相によるカルボン酸塩の残留アルデヒドへの変換:洗浄または洗浄することなく、パルプ懸濁液(1〜4%のパルプ濃度)は、1MのHClによってpH2に調整された。1mMのNaClOは、溶液に添加され、変換は、ビュッヒ反応容器で行われた(2〜3時間、25〜50℃)。パルプの洗浄および分析は、上記と同じ方法(漂白パルプの酸化)で行った。
結果
TEMPOのラジカル形態は、室温で二酸化塩素に迅速に反応する。二酸化塩素溶液とTEMPO溶液とを混合したとき、二酸化塩素の黄色の色は、直ちに消える。
TEMPOラジカルは、第1級アルコールとHOClとの間の酸化反応前に酸化型に変換されなければならない。NaBrまたはClO2は、TEMPOの活性化剤として使用することができる。TEMPOの活性化は、モデル化合物試験(図3)によって調べた。酸化は、ClO添加後、直ちに開始する。
図3は、モデル化合物による酸化試験を示している。50mMのn−プロパノール(過剰量)、59mMのNaClO、1.3mMのClO(17分遅れ)、0.8mMのTEMPO、pH10、25℃。
TEMPO酸化の反応速度は、酸化中のパルプ溶液から迅速に分析することができる活性塩素滴定によって求めることができる。NaBrまたはClO(ラジカルTEMPOの活性化因子)が存在しない場合、HOCl消費速度は、非常に低い。すべてのHOClの消費後(活性塩素滴定によって検出される)、さらなる酸性相が直ちに行われる。ClO活性化TEMPOによってなされる酸化の最適pHは8である。反応速度は、pH9およびpH7における対応する酸化に比べて速い。
図4は、漂白カバノキパルプ試料の酸化速度を示している。30mMのNaClO、10g パルプ/dm、1.1mMのClO、0.8mMのTEMPO。
酸化の選択性は、測定されたCOOH mmol/消費されたNaClO mmolによって近似することができる。CED−粘度は、酸化後のパルプ品質のおおよその尺度である。NFCを補強添加剤として使用したとき、高粘度および高カルボン酸塩含有量は、多くの用途において望ましい組み合わせである。pH8で最高粘度および選択性に達した。酸化されたパルプは、合理的なエネルギー消費によって酸化手順後に透明な形態に分解することができる。
表2。pHの関数としての、酸化パルプ試料のカルボン酸塩含有量およびCED−粘度。残留アルデヒドは、ClO活性化TEMPOによる酸化後、カルボン酸に変換された。
反応容器への化学物質の添加後、反応速度は、高速である。HOCl濃度が減少し、立体的に最も利用可能なC6ヒドロキシル基の量が減少するとき、反応速度は、低下する。また、選択性は、NaClO用量の関数として低下する。高いカルボン酸含有量が望まれる場合、NaClO(測定されるCOOH mmol/消費されるNaClO mmol)の消費は、増加する。
図5は、NaClO用量(mmol NaClO/g パルプ)の関数として、酸性相後のカルボン酸塩含有量(mmol COOH/mmol NaClO)を示している。酸化条件は、補足資料に示されている。
ClO/TEMPO触媒酸化の選択性は、パルプ濃度の関数として増加する。酸化が高いパルプ濃度で行われる場合、化学濃度も高い。NaClO添加直後、アルデヒドおよびカルボン酸塩形成速度は速い。さらに、選択性は、酸化の開始時においても最も高い。NaClO/ClO活性化されるTEMPO酸化のカルボン酸塩含有量(1相)と、酸性相による残留アルデヒドのカルボン酸塩への変換(2相)との間には相関がある。残留アルデヒド含有量は、通常、0.1〜0.2mmol CHO/g パルプの間である。アルデヒドは、安定した速度でカルボン酸塩に変換される。
図6は、酸化相(補足資料中の酸化条件)間のカルボン酸含有量(mmol COOH/g パルプ)の相関を示している。
酸化相間のCED粘度の含有量のわずかな相関関係がある。残留アルデヒドは、アルカリ性のCED溶液(pH12)中のアルデヒド基による多糖鎖の剥離の影響に起因して、測定されたCED−粘度値を低下させる。カルボン酸塩含有量が1mmol COOH/g パルプの限界を超えない場合、400〜600(ml/g)のCED粘度値に達することができる。高品質のNFCを製造するとき、酸化の最適レベルは、必須の特性である。
図7は、酸化相(補足資料中の酸化条件)の間のCED粘度含有量(ml/g)の相関を示している。
パイロット規模の酸化におけるアルデヒド/カルボン酸塩の形成は、時間の関数として分析された。アルデヒドからのカルボン酸塩の形成は、アルデヒド形成後に迅速に行われる。カルボン酸塩とアルデヒド類との相違は、NaBr/TEMPO触媒酸化によってなされる酸化に比べて小さくなっている。しかしながら、その相違は、実験室酸化に比べて同じレベルである。
図8は、パイロット試験酸化のカルボン酸塩とアルデヒドとの含有量を示している。NaClO用量3.6mmolNaClO/g パルプ、pH8、温度35℃、2.5mMのTEMPO、3.8mMのClO、パルプ濃度4%。
表3。pH8における、ClO活性化TEMPOとNaClOとによる酸化条件。1相は、ClO活性化TEMPOと、NaClOとによるパルプの酸化を示している。2相は、NaClOによるカルボン酸塩への残留アルデヒドの変換を示している(酸性相)。
図9は、パルプ濃度(%)の関数としてカルボン酸塩形成(mmol COOH/mmol NaClO)を示している。酸化条件は、表3に示されている。試料のNaClO用量は、2.7〜3.2mmol NaClO/g パルプの間である。
図10は、パルプ試料1〜4のNaClO消費量を示しており(1相)、図11は、パルプ試料5〜8のNaClO消費量を示しており(1相)、図12は、パルプ試料9〜12のNaClO消費量を示しており(1相)、図13は、パルプ試料13〜16のNaClO消費量を示しており(1相)、NaClOは、試料パルプ16において2画分添加された。
第3実施形態−酸性相における保護
第2実施形態(ClOによる触媒の活性化、および主酸化剤としての次亜塩素酸塩による酸化)に従って行われる、第1工程における触媒酸化に続いて、第2工程における亜塩素酸塩による残留アルデヒドの酸化は、次亜塩素酸の形成を防ぐ保護物質を用いて行われる。
以下は、第3実施形態において使用することができる2工程法の一般的な説明である。
第1工程(アルカリ性):TEMPOは、二酸化塩素水溶液を添加された密閉容器に投入される。二酸化塩素は、TEMPOを酸化型に活性化する。このことは、視覚的に見ることができる。赤色のTEMPOは黒色になり、二酸化塩素水溶液中に溶解する。一般的なClO/TEMPOのモル比は1.2である。二酸化塩素およびNaClOの濃度は、酸化が行われる同日に滴定された。予熱された水、セルロース、および二酸化塩素/TEMPO溶液は、所望の温度(25〜50℃)に温度調節された反応容器内に導入される。酸化の間、パルプは常に混合される。パルプのpHは、水酸化ナトリウムを用いて6〜7のレベルに調整される。NaClOは、制御された方法でポンプによって投入される。pHは、NaClOを用いて7.8〜8の範囲に維持される。NaOHは、pH調節のための補助化学物質として、この工程において既に使用することができる。その目的は、総用量(NaClOの典型的な用量は、パルプ1gあたりNaClO2.3mmolである)に比べて、10%以下のレベルでNaClO含有量を酸化の間一定に維持することである。pHが急激に変化し、NaClO含有量が同時に高くなると、NaClOは、容易に分解される。すべてのNaClOがゆっくりと反応容器に導入された後、pH調節工程は、NaOHを使用して開始される。pHは、HOClが枯渇したことを活性塩素滴定によって検出することができるまで、7.8〜8の範囲に維持される。また、酸化は、色、またはCl排出によって求めることができる。パルプは、水で洗浄されるか、または代替的に、直後に工程2の酸化が開始される。
第2工程(酸):洗浄されたパルプ、またはパルプ懸濁液は、第1工程から直接に反応容器に導入される。その濃度は、予熱された水を使用して所望のレベルに調整される。典型的な反応容器の温度は、50℃である。NaClOおよびDMSOは、反応容器に投入される。NaClOの典型的な用量は、パルプ1gあたりNaClO0.2mmolである。典型的なDMSO/NaClOのモル比は、1〜3であり、pHは、硫酸を使用して3のレベルに調整される。パルプは、混合しながら15分〜2時間反応させられる。開始時に最速の反応が行われ、残りの時間は、ゆっくりと酸化されるアルデヒドの反応によって行われる。酸化後、パルプは洗浄され、必要に応じて、ろ液は再利用することができる。工業的方法においては、DMSOに対するNaClOの比率は、最小化され、1〜2.5であってもよい。
図14は、酸性の第2工程の酸化における時間の関数として亜塩素酸塩の消費を示している。基準酸化(Ref)において、保護化学物質は、使用されなかった。ギ酸塩緩衝液酸化において、ギ酸塩緩衝液は、次亜塩素酸からの化学的保護として使用された。DMSO試料中において、ジメチルスルホキシドは、次亜塩素酸からの化学的保護として使用された。すべての酸化において、条件は以下の通りである。pH3、50℃、濃度0.7%、カバノキパルプ、酸化時間3時間、容量1400ml、1gのパルプあたりNaClO0.5mmol、50mlの1.0Mギ酸塩緩衝液を試料に添加した。1gのパルプあたり2.1mmolのDMSOをDMSO試料に添加した。
以下の表は、第3実施形態に係る2工程酸化試験の結果を示している。また、このことは、TEMPOとは別の複素環ニトロキシルラジカルが、第1工程において触媒として使用することができる結果から分かる。TEMPO触媒に加えて、2つの誘導体(4−メトキシ−TEMPO、および4−アセトアミド−TEMPO)を試験において使用した。
表4。2工程酸化を表にまとめた。第1酸化工程は、pH8の条件において、二酸化塩素を用いて活性化された、TEMPOまたはTEMPO誘導体を使用して行われた。第2酸化工程は、保護物質としてDMSOを使用することによって、pH3、50℃の条件において亜塩素酸塩を使用して第1工程において酸化されたパルプについて行われた。DPの計算について、van Heiningenの式を使用した(da Silva Perez, D.; van Heiningen, A.R.P. Determination of cellulose degree of polymerization in chemical pulps by viscosimetry. In Proceedings of Seventh European Workshop on Lignocellulosics and Pulp, 2002; 393-396)。表の下部に示される温度は、第1酸化工程の開始温度である。
結果が示すように、第1酸化工程からのセルロースは、粘度測定(DPの測定)の間に分解するが、セルロースは、第2酸化工程によって明確に安定化される(高いDP)。また、2工程酸化は、保護物質(DMSOなど)の使用に関わりなく、同様に働くことが、結果から推定することができる。しかし、保護物質は、酸化剤の消費量を明らかに減少させる。
図15は、工程1における、次亜塩素酸塩用量の関数として、二酸化塩素によって活性化されたTEMPOを使用して行われた酸化の酸含量(パルプ1gあたりのCOOH mmol)を示している。この図は、1工程法は、0.9mmol/g パルプの酸化レベルまで、主酸化剤、次亜塩素酸塩の消費に関して効率的であることを示している。
次の表は、「Atrex」と称される、高周波数で反対方向からの衝撃にパルプをさらす装置を使用して得られた、異なる酸化度まで酸化されたパルプ試料をもたらすフィブリル化を示している。使用される装置は、モデルG30であり、装置の直径は、500mmであり、それは、離間衝撃羽根によって形成された流路を備える同心の円筒状の6つのロータからなる。隣接するロータは、1500rpmで反対方向に回転された。
表5。繊維パルプは、酸化され、様々なカルボン酸塩レベルにフィブリル化された。太字0.76の酸化レベルの試料は、試量0.63からさらに酸化された2工程試料であるが、他のものは、第1工程後に得られた。パルプ通過は、装置を通って同一の試料が通過する時間を示している。
表5の結果から、酸化は、大幅にフィブリル化を改善することが分かる(高いブルックフィールド粘度、および低い濁度NTU)。さらに、2工程で酸化された試料は、非分解繊維が強固になるという事実に起因する最も高い粘度値をもたらす。
第4実施形態−中性または弱アルカリ性のpHにおける、アルカリ金属ハロゲン化物の不在下での触媒酸化
触媒としての複素環ニトロキシルラジカル、および主酸化剤として次亜塩素酸塩を使用する触媒酸化の第1工程は、7〜9のpH範囲、20〜50℃の温度範囲、二酸化塩素などの別の活性化剤によって置換されるアルカリ金属ハロゲン化物の不在下で行われる。第2工程において、残留アルデヒド基は、第2実施形態における手順に従って、好ましくは第3実施形態に係る保護物質を使用して、亜塩素酸塩によって低いpHでカルボキシル基に酸化される。この第2工程は、省略することもでき、酸化が第2工程で完了した場合、酸化レベル(COOHへの変換度)は、他の方法で達成可能であるよりも低く保つことができる。
たとえば、1gのパルプあたり0.7〜0.9mmol COOHの酸化レベルが十分であり、一方、記載された方法によってミクロフィブリルセルロースを製造するために適している。また、複素環ニトロキシルラジカルを使用して行われた酸化は、高濃度において、また中程度の濃度においても効率的であり、反応濃度の増加は、正の効果を有することが見出された。また、化学物質を添加する有利な方法を以下に説明する。
通常示される反応条件に反して、セルロース酸化反応は、複素環ニトロキシルラジカル(たとえば、TEMPOまたはその誘導体)と、次亜塩素酸塩とのみを使用することによって、(緩衝液の有無にかかわらず)pH7〜9、好ましくはpH7.5〜8.5における弱アルカリ性条件で、補助NaBr触媒なしに行うことができることが見出された。この反応は少し遅いが、遅い反応は、温度を上昇させることによって補うことができる。温度の上昇は、副反応の数を増加するが、この場合には、この反応は、低いpHにおいて、臭化ナトリウムなしで制御された方法で行われ、利点が温度上昇の欠点を上回る。その結果、酸化後、DPは500未満であり、可能な第2工程後でさえ1000未満であり、標準的な反応に対して顕著に改善される。反応によって、非常に高い酸化レベルを得ることは困難であるが、同時に本発明者らは、パルプ1gあたり0.5〜1.0mmol COOH(有利には、パルプ1gあたり0.6〜0.95、最も有利には0.7〜0.9mmol COOH)の酸化レベルが既に十分な酸化レベルであり、酸化によって不安定化されたパルプを比較的容易にミクロフィブリルに分解することができることを見出した。以前は、高いpHレベルにおけるNaBr補助触媒(NaBr助触媒)を使用する酸化が、十分に高い酸化レベル、有利にはパルプ1gあたり1.5mmol COOHをもたらすために必要であると一般的に考えられていた。
最初に、手順は以下の通りである。パルプ中のC6炭素における第1級アルコールを触媒的に酸化することができる、市販のTEMPO触媒、または他の複素環ニトロキシルラジカル、たとえば、TEMPO誘導体は、そのラジカル形態で安定である。以下では、TEMPO触媒へのすべての言及は、上述の他の触媒にも適用される。ラジカル型の触媒は、触媒によるアルデヒドを介するカルボン酸への酸化前に酸化型に活性化されなければならない。上述のスキーム2は、TEMPOラジカルが、二酸化塩素によってどのように酸化型に活性化されるかを示している。この後、パルプ中の炭素C6の触媒酸化は、活性化TEMPOによって行われる。次亜塩素酸塩と平衡状態(pKa 7.53)にある次亜塩素酸(HOCl)は、TEMPO活性化剤として作用し、還元されたTEMPOを酸化型に戻す。NaClO化学物質は、反応において消費され、触媒が残る。この反応において、臭化物、またはヨウ化物などの他のアルカリ金属ハロゲン化物は、ラジカルTEMPOを活性化するために、または還元型から酸化型にTEMPOを戻すために必要ではない。二酸化塩素によって活性されるTEMPO酸化は、最適pH8で行われるが、NaBrによって活性化されるTEMPOによる酸化は、pH10で行われる。TEMPOは、二酸化塩素によって予め活性化され、NaBr/TEMPO酸化における臭化物よりも少ない量が必要とされ、反応容器に供給される臭化物は、処理の間にTEMPOを酸化する。
モデル物質で実施された試験では、NaBr/TEMPO酸化が使用されるとき、pH7〜8がpH10よりも第1級アルコールの酸化について顕著に選択的であることが見出された。表6は、モデル物質を使用した試験の結果を示している。第2級アルコールおよび第1級アルコールのHOCl消費速度は、反応の非選択的な特徴について正確に表し、その結果β脱離反応の確率を表す。速度が遅いほど、よく酸化される。表6は、pH10が、特に酸化反応の終了時に、非選択的であったことを示している。第2級ヒドロキシル基の形成は、β脱離反応をもたらし、それによってセルロース鎖の分解をもたらす。β脱離反応は、pHが増加するにつれて増強され、炭素C6のヒドロキシル基から形成されるアルデヒド基にも適用される。その結果、pH10と比較して少ないセルロース鎖の分解がpH8で行われ、このことは、第2級ヒドロキシル基の減少した形成と、酸化中の遅延したβ脱離反応とに起因する。
表6。モデル物質を用いるNaBr/TEMPO酸化の結果。NaBrを使用して活性化されたTEMPO酸化における次亜塩素酸塩の消費量を時間の関数として測定した。セルロースのヒドロキシル基のためのモデル物質として、n−プロパノールと、2−プロパノールとが使用された。最初の反応と、最後の反応とは、それぞれ、試験の開始時、および終了時における瞬間的な消費速度を表している。
上述のように、臭素化合物は、ヒトの健康に有害である。臭化ナトリウムが大量に使用される場合、最終製品の臭素化合物の残基と、洗浄水中におけるそれらの蓄積とは、防ぐことができない。典型的なNaBr/TEMPO酸化において、NaBrの量は、1gのパルプあたり12mmolであり、1トンのパルプあたり125kgのNaBrに相当する。図16は、NaBrが、反応において分解され、未知の臭素化合物が形成され、TEMPOを活性化するという事実によって、TEMPOの活性化のための臭化物の需要を示している。したがって、臭化物の一部が、TEMPOを最初に活性化するために必要であると考えられ、その部分は、回収することができない。
図16に見られるように、TEMPOの活性化のために必要な時間は、NaBrの用量に比例する。すべての酸化試験は、pH10、25℃で、n−および2−プロパノールをモデル物質として使用して行われた。時間の関数としてのHOCl含有量は、NaBr含有量が2mMから16mMまで増加するとき、全酸化時間は、約4分の1まで減少するとことを示している。グラフから、TEMPOは、少ないNaBr含有量において明確にゆっくりと活性化されるが、HOBrが活性化剤として機能する、実際のTEMPO酸化反応は、両方の場合において高速である。
方法の第4実施形態において、TEMPO、その誘導体、またはセルロースの炭素C−6における第1級アルコール基を触媒的に酸化する他の複素環ニトロキシルラジカルは、臭化ナトリウムでなく、反応を加速する二酸化塩素または塩素ガスを使用して活性化される。TEMPO活性化のために使用される二酸化塩素の典型的な用量は、1gのパルプあたり0.1mmol ClOよりも少ない。1gのパルプあたり0.03mmol ClOの用量(低いTEMPO用量の試験)でも、良好な結果の試験が行われた。二酸化塩素は、通常、触媒の完全な活性化を確実にするために(モル比で)TEMPOの1.1〜1.4倍の量で投入される。二酸化塩素による事前のTEMPO活性化は、活性化物質の消費を考慮に入れても酸化中におけるNaBrによるTEMPO活性化よりも顕著に効率的である(たとえば、最も低い用量でも、NaBrのモル量が、触媒の20倍である図16の試験)。
モデル物質を使用した試験において、NaClO、第1級アルコール、TEMPO、およびNaBrは、TEMPOの活性化前に、反応容器中に存在しなければならないことが見出された。二酸化塩素について、水性二酸化塩素およびTEMPOが混合されていることで十分である。その結果、TEMPO、TEMPOの任意の誘導体、または任意の複素環ニトロキシルラジカルは、酸化されるべきセルロースとは別に、実際の酸化前の副反応なしに少量の二酸化塩素を用いて効率的に活性化することができる。したがって、活性化されたTEMPOがセルロースに混合され、NaClOの添加が開始されると、直ちに酸化が開始する。NaBr/TEMPOの酸化について、9よりも高いpHレベルで作用するとき、還元されたTEMPOの活性化剤として使用される次亜臭素酸(HOBr)の分解反応も考慮するべきである。分解反応の結果として、不活性臭素(BrO )が形成され、TEMPO触媒が再利用される場合には混合物中に蓄積される。また、臭素酸塩への分解も、次亜臭素酸および次亜塩素酸(OCL)をとの反応において行われる。この臭素酸は、中間生成物(亜臭素酸、HBrO)を介して形成される。
TEMPO、TEMPO任意の誘導体、または複素環ニトロキシルラジカルは、二酸化塩素水溶液の液相中で活性化することができるが、より効率的な酸化は、気相でもたらされる。すなわち、固体触媒は、二酸化塩素ガスが導入された空気中にある。二酸化塩素ガスを使用する触媒の活性化は、活性化された触媒がパルプを含む実際の反応媒体に導入される前に別の操作として行われ、セルロースの触媒酸化は、主酸化剤(次亜塩素酸塩)を用いて触媒的に開始される。この別のガス相活性化は、すべての実施形態と、二酸化塩素がTEMPO、TEMPOの任意の誘導体、またはセルロースにおけるC−6のヒドロキシル基の酸化を選択的に触媒することができる任意の複素環ニトロキシルラジカルの活性化に使用されるこの開示の変形例とにおいて使用することができる。
二酸化塩素によって活性化されるTEMPO酸化は、室温または高温(25〜50℃)で実施することができる。温度が上昇すると、図17に示されるように、反応時間を短くすることができる。対応する方法において、反応の選択性は、温度の関数として減少する(NaClOの消費量が増加する)。なぜなら、次亜塩素酸は、温度が上昇すると、さらに分解されるからである。図17は、1%(35、50℃)、および2%(25℃)の濃度における試験を示している。TEMPO触媒の濃度は、2mM(25℃)、0.8mM(35℃)、および1.3mM(50℃)であった。すべての温度において、NaClOの用量は、1gのパルプあたり3mmolであり、工程2の後の達成された酸化数(パルプ1gあたりのCOOH mmol)は、1.07(25℃)、0.97(35℃)、0.92(50℃)であった。また、図17のデータは、表7に示されている(パルプ53、パルプ54、パルプ58)。表7において、結果は、TEMPO触媒が二酸化塩素で活性化され、パルプ濃度が0.8から4%まで変化する異なる酸化試験から集められる。
表は、第1酸化相(相1)と、それに続く第2酸化相(相2)との両者の後に測定された結果を示している。第2酸化相(2nd工程)の条件は、pH2、50℃、1mM NaClO、1〜4%パルプ濃度、2時間であった。
表7。様々な濃度、用量のTEMPO、ClO、およびNaClOにおける二酸化塩素を使用して活性化された酸化。DPは、500から1400(2nd酸化)までの間で変化する。
表7のDP値に対応する:(パルプ番号−相、DP):53−2 1542;54−2 1103;55−2 1052;56−1 734;56−2 1546;57−1 571;57−2 1134;58−1 703;58−2 1664;59−1 783;59−2 1420;60−1 703;60−2 1444;61−1 734;61−2 1758;62−1 724;62−2 1949;63−1 490;63−2 1376;64−1 475;64−2 1191;65−1 441;65−2 968;66−1 414;66−2 777;67−1 376;67−2 708;68−1 376;68−2 652
実験室での酸化反応の大部分は、4%の濃度で行われた。いくつかの酸化は、10%の濃度においてMCミキサを使用して、いくつかは11%までの濃度においてMCパルパーを使用して行った。理論的には、高濃度における酸化はより選択的である。なぜなら、所望の反応は、繊維中で行われ、望ましくない副反応は、溶液相において行われるからである。実際には、濃度を増加させることによって、添加された繊維量に関連して、TEMPO触媒と二酸化塩素との量を低減することができた。本発明者らの試験において、本発明者らは、中程度の濃度まで濃度を増加したTEMPOを使用する酸化の実施において問題を見出すことはなかった。従来技術でもたらされる典型的な反応は、1%、および4%以下の濃度で行われる。この第4実施形態の有利な変形例では、濃度は4%よりも高く、好ましくは5.5%よりも高く、さらには8%よりも高い。図18は、濃度の関数としての酸化の選択性を示している。この図は、表7に示される一連の酸化に基づいている。濃度が増加するとき、酸化の選択性(消費された次亜塩素酸塩あたり形成されたカルボン酸)が向上することが図18から分かる。
表8は、10%の濃度における酸化の結果を示している(MCミキサ)。酸化の間、MCミキサは、ビュッヒ反応容器を使用する混合に対応する混合をもたらしていない(1〜4%の濃度)。また、NaClOの用量と、pH制御とは、精度が低い。酸化は、10%の濃度でも良く、より正確な、化学物質用量およびpH制御の装置を使用することによってさらに良い結果を得ることができる。その結果、中程度の濃度での結果は、予備的であるが、有望である。表9は、4%の濃度でビュッヒ反応容器を使用して行われる酸化を示している。2つのTEMPO誘導体:4−メトキシ−TEMPOと、4−アセトアミド−TEMPOとが含まれる。試験に基づいて、二酸化塩素は、TEMPOだけではなく、TEMPO誘導体をも活性化するために使用することができるといえる。また、TEMPOの用量は、酸化の選択性が維持されるように低減することができる(パルプ149から150)。触媒の用量を低いレベルに最適化する上で不可欠なことは、酸化の間におけるNaClO/NaOHの同時供給を最適化することである。
表8 10%の濃度において、MCミキサを使用して二酸化塩素で活性化されたTEMPO酸化。
表9 4%の濃度において、ビュッヒ反応容器を使用して二酸化塩素で活性化されたTEMPO酸化。試験は、表4と同様である。
さらに、ある一連の試験では、二酸化塩素で活性化されたTEMPO酸化は、6〜11%のパルプ濃度においてMCパルパーで実行された。温度(25〜35℃)、pH(7〜8)、およびNaClOの添加は、酸化の間に手動で調整された。実験のほとんどは、2.3mmol NaClO/g パルプの添加によって行われた。結果は、以下の表10に示されている。
表10。高濃度におけるMCパルパー酸化。選択性は、モル比COOH/次亜塩素酸塩を意味している。次亜塩素酸塩の一部は、アルデヒドのOH基を酸化するが、比率COOH基/消費されるNaClOのみが示されている。
上述の実験の、TEMPO用量およびパルプ濃度(6〜10%)の関数としての、二酸化塩素によって活性化されるTEMPO酸化の選択性は、おおよその濃度値を使用して図19にも示されている。最大の選択値(COOH基の形成/添加されたNaClO)は、反応の化学量論によって0.5である。2molのNaClOは、1molのCOOHの形成に消費される。なぜなら、ヒドロキシル基からのCOOH基の形成は、アルデヒド中間体を介して進むからである。
これらの結果によれば、高いパルプ濃度が、二酸化塩素活性化TEMPO酸化の選択性を増加させることは明らかである。これらの実験の粗さ(手動でのpHおよび温度制御)は、その現象を妨げない。これらの結果に応じた、酸化の最適条件は、10〜11%のパルプ濃度、および0.03〜0.04mmolのTEMPO/g パルプである。
酸化の選択性は、NaClOを酸化の間に低速度で反応容器内に押し出すことによって改善することができる。この反応速度は、反応混合物中のHOClの濃度に依存しないが、次亜塩素酸塩の十分な量が反応中に存在するとき、一定であることが見出された。改善された選択の背後にある現象は、pHが低下したとき分解するNaClOの傾向である。酸化の間における溶液中のHOCl含有量が高い場合、NaClOの分解は強力である。標準的な反応において、すべての次亜塩素酸塩は、一度に添加される。HOClは、揮発性化合物である一酸化二塩素(ClO)に分解される。一酸化二塩素は、次亜塩素酸塩との反応において、さらに塩素酸塩(ClO)に分解される。図20は、pHを硫酸で値9まで低く調整した後の撹拌なしの、室温における次亜塩素酸の分解を示している。強力な次亜塩素酸は、pHが低下すると、数時間以内に一酸化二塩素(沸点2℃)に急速に分解され、その溶液は、反応終了時に気泡で満ちていた。図21は、二酸化塩素を使用して活性化されたTEMPO酸化の間に、活性塩素滴定によって測定された塩素系化学物質を示している。測定値は、表9における試験「パルプ149」において取得された。次亜塩素酸塩の供給は、全工程において遅く、NaOHは、製造されたカルボン酸を中和するために同時に混合された。NaClOの総用量は、酸化の間で92mmol/lであった。酸化の間に上から反応容器に塩基が供給される場合、NaOHを使用して、形成されたClOガスの一部を次亜塩素酸塩に戻すことも可能である(平衡 2HOCl(水溶液)⇔ClO(g)+HO(l))。次亜塩素酸は、アルカリ性条件下において迅速に次亜塩素酸塩に戻される。前記酸化において、高いカルボン酸含量は、低下した触媒含有量をもたらした(工程1の後、4−アセトアミドTEMPO 0.04mmol/g パルプ;0.78mmol COOH/g パルプ)。
全ての実施形態と、本明細書において二酸化塩素に言及された変形例とにおいて、二酸化塩素に換えて、塩素ガスは、第1酸化工程における複素環ニトロキシルラジカルの活性化のために使用することができる。塩素ガスの機能性は、以下のように実験室試験において確認された。容器に次亜塩素酸および硫酸を導入した。塩素ガスは、これらの非常に酸性の条件において形成された。塩素ガスは、TEMPO触媒の活性化のために使用され、主酸化剤として次亜塩素酸塩を使用するセルロースの酸化は、この塩素活性化触媒を使用して二酸化塩素活性化TEMPO触媒と同様の選択性で首尾よく行われた。
これまでに実施された試験によれば、酸化を実行する最も選択的な方法は、pH8の範囲に維持することができる反応容器の頂部から、NaOH化学物質の供給と共に次亜塩素酸塩をゆっくりと供給し、次亜塩素酸の分解による化学的損失を最小化することである。最初に多くの次亜塩素酸塩が、供給されなければならず、最後に少ない次亜塩素酸にならなければならない。なぜなら、この反応速度は、セルロースパルプにおける遊離のC6ヒドロキシル基の数が減少したとき、同時に変化するからである。工程におけるHOClの含有量がゼロに低下した場合、全反応が停止する。HOCl含有量のオンライン検出は、選択的酸化の実施を非常に容易にする。また、この操作モードは、次亜塩素酸塩が主酸化剤として使用され、pH範囲に関係なく、反応が行われる他の実施形態にも適用することができる。
選択性/効率は、式(CCHO+2CCOOH)/CNaClOで記載することができ、CCHO ja CCOOHは、アルデヒドおよびカルボン酸塩のモル含有量であり、CNaClOは、添加された次亜塩素酸塩のモル含有量である(1molのアルデヒドは、1molの次亜塩素酸塩と、その2molのカルボキシルを消費する)。このようにして算出すると、試験において記載された漂泊されたカバノキパルプの反応効率は、常に>50%(高い酸化度)、通常>70%、さらには>75〜80%であった。得られた結果は、臭化ナトリウムによって触媒される反応の結果(たとえば、Saito, T., Nishiyama, Y., Putaux, J.-L., Vignon, P., Isogai, A. Homogeneous suspensions of individualized microfibrils from TEMPO-catalyzed oxidation of native cellulose, Biomacromolecules, 7(2006), 1687-1691を参照)と同じレベルで得られ、低い反応速度と高い温度とが、他の操作条件をうまく制御できていれば、反応効率を損なわないことを示している。
セルロースのC6ヒドロキシル基の酸化は、多くの遊離反応基が残ったとき、工程の開始時に最も速い。反応性基の数が減少すると、遊離反応基(非晶質セルロースおよび結晶セルロースの一部)の数が非常に少なく、酸化が結晶セルロースに向けられているとき、酸化速度は低下し、顕著な変化が生じる。したがって、酸化は、主に結晶セルロースの分解を介して進む。上述の図15は、次亜塩素酸塩用量の関数として、二酸化塩素で活性化されたTEMPO酸化の酸価を示している。アモルファスC6OH基のうち、83〜98%は容易に接触される。対応図の結晶性範囲は、10〜15%である。図は、セルロースが、パルプ1gあたり0.8〜0.9mmol COOHの酸化範囲に容易に酸化されることを示している。その後、反応速度が低下すると、NaClOの消費が増大し、ポリマーの分解の結果として粘度が減少する。酸価の範囲0.8〜0.9は、選択的酸化のための最適な目標値として維持することができる。低い反応速度および高い温度が適用されるとき、工程1の後に生成物中に残存するアルデヒド類の含有量は、通常パルプ1gあたり<0.2mmolであり、そのレベルがパルプ1gあたり0.2〜0.35mmolの間である通常の反応よりも明らかに低い。このことは、おそらく低い反応速度に起因するものであり、アルデヒドのカルボン酸塩への酸化反応を行うために多くの時間もかかる。
上述の表7、8、9において、工程1および2の後の酸化反応が示されている。第4実施形態では、工程2は必要ではない。なぜなら、工程1は酸化のために十分であるからである。しかしながら、ほとんどの場合、工程2を、第4実施形態において使用することが推奨される。なぜなら、工程2においても、残留アルデヒドはカルボン酸塩に酸化され、生成物を安定化し、酸性基の数を増加させ、繊維化をより効率的にする。pH2〜4において酸化剤が亜塩素酸塩である工程2を実施するために、上述の第2実施形態に記載された方法、有利には保護物質が使用される第3実施形態に記載された方法を適用することができる。

Claims (30)

  1. 触媒としての複素環ニトロキシルラジカルと、酸素源として作用する主酸化剤と、前記複素環ニトロキシルラジカルの活性化剤とを使用するセルロースの触媒酸化方法であって、
    前記活性化剤は、第3級アミンおよび二酸化塩素から選択されることを特徴とする方法。
  2. 次亜塩素酸塩が、前記第3級アミンまたは二酸化塩素とともに、前記主酸化剤として使用されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記セルロースは、1つの工程において触媒的に酸化され、前記第3級アミンが前記活性化剤として使用されることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記第3級アミンは、環状第3級アミンであり、好ましくは、ヘキサメチレンテトラミン、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン(DABCO)、およびキヌクリジンから選択されることを特徴とする請求項3に記載の方法。
  5. 前記酸化の間、pHは、7〜10、好ましくは8〜9.5、最も好ましくは8.5〜9.0であることを特徴とする請求項3または4に記載の方法。
  6. 前記セルロースは、2つの工程において酸化され、前記二酸化塩素は、前記活性化剤として使用され、次亜塩素酸塩は、第1触媒工程において前記主酸化剤として使用され、亜塩素酸塩は、pHが前記第1工程に比べて低い第2工程において前記酸化を完了させる酸化剤として使用されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
  7. 前記第1工程の間、pHは、6〜10、好ましくは7.5〜8.5であり、前記第2工程の間、pHは、1.5〜4、好ましくは2〜3であることを特徴とする請求項6に記載の方法。
  8. 前記第1工程の間、所定の点に達するまで反応速度が観察され、その後、反応は、pHを第2工程のpHまで低下させることによって停止され、第2工程に進むか、または第2工程の前に、パルプを洗浄し、触媒を回収することを特徴とする請求項6または7に記載の方法。
  9. 形成された次亜塩素酸を不活性化することができる保護物質が、第2工程において使用されることを特徴とする請求項6、7、または8に記載の方法。
  10. 前記保護物質は、ジメチルスルホキシド(DMSO)、またはジメチルスルフィド(DMS)であることを特徴とする請求項6に記載の方法。
  11. 前記塩素酸化物が、前記活性化剤として使用され、前記触媒酸化は、pH7〜9、かつ20℃〜50℃の温度で行われることを特徴とする請求項2に記載の方法。
  12. 前記酸化は、0.5〜1.0mmol COOH/g パルプ、好ましくは0.6〜0.95、最も好ましくは0.7〜0.9のレベルまで、前記条件で行われることを特徴とする請求項11に記載の方法。
  13. パルプの濃度は、4%以上、より好ましくは6%以上、最も好ましくは8〜12%の範囲であることを特徴とする請求項11または12に記載の方法。
  14. 前記酸化処理は、それが前記条件で行われた後に停止され、酸化セルロースがさらに処理され、たとえば、酸化セルロースを含む繊維状原料が、ナノフィブリル化セルロースに分解されることを特徴とする請求項11〜13のいずれか1項に記載の方法。
  15. 前記酸化処理は、前記第1工程よりも低いpHにおいて、前記酸化を完了する酸化剤として亜塩素酸塩を使用する第2工程で続けられることを特徴とする請求項11〜13のいずれか1項に記載の方法。
  16. 前記第2工程は、請求項7〜10のいずれか1項に従って行われることを特徴とする請求項15に記載の方法。
  17. 触媒酸化を行われる前記セルロースは、繊維原料、特に植物材料から得られた繊維におけるセルロースであることを特徴とする請求項1〜16のいずれか1項に記載の方法。
  18. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法によって、繊維状出発材料、特に植物材料から得られた繊維を触媒酸化させ、酸化された繊維状材料を得ることと、
    前記酸化された繊維状原料を分解することとを含むことを特徴とするセルロース製品の製造方法。
  19. 前記酸化された繊維状原料は、ナノフィブリル化セルロース(NFC)に分解されることを特徴とする請求項18に記載の方法。
  20. 前記ナノフィブリル化セルロースの繊維は、5〜15nmの平均直径と、0.5〜2μmの平均長さとを有することを特徴とする請求項19に記載の方法。
  21. 前記ナノフィブリル化セルロースは、水における0.1%濃度で測定した場合に、70未満の濁度、好ましくは、20〜60NTU(比濁計濁度単位)を有することを特徴とする請求項19または20に記載の方法。
  22. ナノフィブリル化セルロースは、水において0.5%濃度で測定した場合に、5000〜500000Pa・sのせん断粘度と、8〜40Pa、好ましくは10〜30Paの降伏応力とを有することを特徴とする請求項18〜21のいずれか1項に記載の方法。
  23. 前記酸化されたセルロースのカルボン酸塩含有量は、少なくとも0.9mmol COOH/g パルプ、好ましくは、0.9〜1.4mmol COOH/g パルプ、最も好ましくは1.0〜1.1mmol COOH/g パルプであることを特徴とする請求項18〜22のいずれか1項に記載の方法。
  24. ミクロフィブリル化セルロース(NFC)であって、前記セルロースが、1〜8の方法のいずれかによる、セルロースの触媒酸化の結果として酸化型であることを特徴とするセルロース製品。
  25. ナノフィブリル化セルロースの小繊維は、5〜15nmの平均直径と、0.5〜2μmの平均長さとを有することを特徴とする請求項24に記載の方法。
  26. 前記ナノフィブリル化セルロースは、水における0.1%濃度で測定した場合に、70未満の濁度、好ましくは20〜60NTU(比濁計濁度単位)を有することを特徴とする請求項24または25に記載のセルロース製品。
  27. 前記ナノフィブリル化セルロースは、水における0.5%濃度において測定した場合に、5000〜50000Pa・sのせん断粘度と、8〜40Pa、好ましくは10〜30Paの降伏応力とを有することを特徴とする請求項24〜26のいずれか1項に記載のセルロース製品。
  28. 前記酸化されたセルロースのカルボン酸塩含有量は、少なくとも0.9mmol COOH/g パルプ、好ましくは0.9〜1.4mmol COOH/g パルプ、最も好ましくは1.0〜1.1mmol COOH/g パルプであることを特徴とする請求項24〜27のいずれか1項に記載のセルロース製品。
  29. 前記酸化されたセルロースのカルボン酸塩含有量は、0.7〜0.9mmol COOH/g パルプであることを特徴とする請求項24〜27のいずれか1項に記載のセルロース製品。
  30. 前記酸化されたセルロースの残留アルデヒド基は、前記酸化されたセルロースにおけるカルボキシレート基に酸化されることを特徴とする請求項28または29に記載のセルロース製品。
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