JP2014520128A - エポキシ化プロセスにおける触媒活性を保存する装置および方法 - Google Patents

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Abstract

多相系を形成し、処理する装置および方法を提供する。一実施形態において、本発明は、エポキシドを製造する方法であって、オレフィン系不飽和化合物を、酸化剤と、第1の多相系における第1のpHレベルを有する水相中にある緩衝成分および水溶性マンガン錯体の存在下で反応させ、水相のpHを第1のpHレベルより低い第2のpHレベルに調節し、水相の少なくとも一部を第1の多相系から分離し、前記水相の少なくとも一部のpHを第2のpHレベルより高い第3のpHレベルに調節し、前記水相の少なくとも一部を第2の多相系中に導入することを包含する、方法を提供する。

Description

本発明は、多相系における触媒の処理、および触媒の処理を行う装置に関する。
1,2−エポキシドの製造方法は、欧州特許出願公開第2149569号に記載されている。この公開公報は、酸化触媒として水溶性マンガン錯体を使用するオレフィン系不飽和化合物の接触酸化を記載している。記載されているプロセスは、多相系、例えば液体または気相でよい有機相および水相を有する二相系で行われる。実際の反応は、水相中で起こると考えられ、得られるエポキシド生成物が、有機相の低溶解度のために、または有機相による抽出またはストリッピングのために、水相から有機相中に分離する。この理由から、1,2−エポキシドに対する望ましい選択性で、望ましいターンオーバー数(TON)の1,2−エポキシドが生成され、生成された1,2−エポキシドの分離し易さが向上する。
エポキシド生成物は、相分離プロセスにより有機相中に回収され、マンガン錯体は、水相中に保持されることが観察された。残念ながら、水相が有機相と強く混合されない場合、マンガン錯体が相分離の際に失活することが観察されたので、マンガン錯体を回収および/またはリサイクルする試みは、十分な成果を上げていない。
したがって、マンガン錯体触媒系を回収またはリサイクルするプロセスおよび装置が必要とされている。
欧州特許出願公開第2149569号明細書
(発明の要旨)
したがって、本発明は、反応に触媒として使用されないときは、マンガン錯体含有相をマンガン錯体の失活を軽減するpHレベルに調節し、次いで、その後の時点で、pHを含む相のpHを触媒として使用するためのエポキシ化反応条件に調節することにより、触媒活性の損失なくまたは損失を最小に抑えて、複数のエポキシ化反応の間にマンガン錯体を処理することを提供する。
一実施形態において、本発明は、多相系を処理する方法であって、第1の多相系において、第1のpHレベルを有する水相中の緩衝成分および水溶性マンガン錯体の存在下で、オレフィン系不飽和化合物を酸化剤と反応させること、水相のpHを第1のpHレベルより低い第2のpHレベルに調節すること、水相の少なくとも一部を第1の多相系から分離すること、前記水相の少なくとも一部のpHを、第2のpHレベルより高い第3のpHレベルに調節すること、前記水相の少なくとも一部を第2の多相系中に導入することを含む、方法を提供する。
一実施形態において、本発明は、多相系を処理する方法のための装置であって、多相系を処理するようになされた、第1の出口ラインを有する第1の反応器と、多相系を処理するようになされた、第2の出口ラインを有する第2の反応器と、第1の反応器および第2の反応器のそれぞれに独立して流体連結された1個以上の成分タンクと、第1の反応器と第2の反応器の間に配置された第1の相セパレータ(相セパレータは、有機相出口ラインおよび水相出口ラインを含み、第1の相セパレータは、第1の出口ラインに流体連結され、第2の反応器に水相出口ラインにより流体連結されている。)と、第1の反応器と相セパレータの間の第1の出口ライン、相セパレータ、またはこれらの組合せに流体連結された酸含有ライン、および相セパレータと第2の反応器の間の相セパレータ出口ライン、第2の反応器、またはこれらの組合せに連結された塩基含有ラインを含む装置を提供する。
本装置は、多相系を処理するようになされた、第3の出口ラインを有する第3の反応器と、第3の反応器に独立して流体連結された1個以上の成分タンクと、第2の反応器と第3の反応器の間に配置された第2の相セパレータ(相セパレータは、第2の出口ラインと流体連結され、第2の相セパレータ水相出口ラインにより第3の反応器に流体連結されている。)と、第2の反応器と第2の相セパレータの間の第2の出口ライン、第2の相セパレータ、またはこれらの組合せに流体連結された第2の酸含有ライン、および第2の相セパレータと第3の反応器の間の第2の相セパレータ出口ライン、第3の反応器、またはこれらの組合せに連結された第2の塩基含有ラインをさらに含むことができる。
下記は、図面の簡単な説明であり、その際同様の番号は同様の部品を示す。
触媒を処理する装置の実施形態を図式的に示す図である。 本明細書に記載されたプロセスの一実施形態から得た一連のプロセス結果を示すグラフである。 本明細書に記載されたプロセスの別の実施形態から得た一連のプロセス結果を示すグラフである。
本明細書で使用される場合、「エポキシ化」および「酸化」の表現は、同一の反応、すなわちオレフィン系不飽和化合物の炭素−炭素二重結合のオキシラン環への転化を指す。本発明は、以下でより詳細に考察される。オキシラン環を有する化学化合物は、エポキシ化合物として本明細書に記載される。
以下の説明は、ターンオーバー数(TON)およびターンオーバー頻度を指す。本明細書に記載されたように、ターンオーバー数は、触媒1モルが失活する前に転化し得る基質のモル数を指す。特に、本明細書に記載されたプロセスでは、ターンオーバー数は、マンガン錯体1モルが、失活する前に、転化し得るオレフィン系不飽和化合物のモル数を指すことができる。
本明細書に記載されたように、ターンオーバー頻度は、ある時間内に触媒により転化(ターンオーバー)される基質のモル数である。ターンオーバー頻度が時間とともに変化する場合、ターンオーバー頻度は、単位時間あたりのターンオーバー数(TON)、dT/dtにより表される。特に、ターンオーバー数(TON)は、反応混合物と冷却媒体の温度差(dT)により、エポキシ化速度の尺度として、計算または測定され、dTON/dtに変換される。
本明細書で使用される場合、「失活」は、本明細書に記載された錯体が、低下した、または最小の錯体構造を有する個別の成分になり、触媒活性が無くなるまたは著しく低下するプロセスである。失活は、触媒活性が、ターンオーバー頻度(dTON/dt)により測定して、1000TON/時間(TON/hr)、例えば0TON/hrから500TON/hrである場合に観察される。UV−Visデータはまた、波長250から350nm(表7)の間で低下または最小吸収を示し、Mn3+(III)またはMn4+(IV)の酸化状態における配位マンガンの不在を示す。
本明細書で使用される場合、「不活性化」は、本明細書に記載された錯体が、水性媒体中で失活せずに、錯体として無傷のままであるプロセスである。触媒活性の不活性化は、ターンオーバー頻度により測定して、2000TON/hr未満、例えば100TON/hrから1000TON/hrである。UV−Visデータは、425nmにおける新規で、強くない可視吸収で、波長250から350nm(表7)の間における吸収を示す。この425nmにおける強くない吸収は、マンガンが3+酸化状態にあり、活性Mn3+−触媒から、エポキシ化プロセスにとって触媒的に不活性のマンガン錯体に変換されたことを示す。
本明細書で使用する場合、「再活性化」は、本明細書に記載された不活性錯体が、不活性化前の活性錯体と比較して、触媒活性を失わずに、または触媒活性が著しく低下せずに、化学的に活性化され、反応混合物中で触媒として作用するプロセスである。触媒活性の再活性化は、ターンオーバー頻度により測定して、2000TON/hrから20,000TON/hrである。UV−Visデータはまた、波長250から350nmの間における吸収および425nm(表7)における可視吸収の消失を示し、マンガンが3+酸化状態にあり、エポキシ化プロセスにとって触媒的に活性のマンガン錯体のままであることを示す。
350、400、および425におけるUV−Vis吸収の消失は、失活した触媒を特定する。活性および不活性触媒は、350、400、および425nmで良好な吸収を示し、Mn3+−化学種に帰せられる。不活性Mn3+−触媒化学種は、Mn3+−活性触媒(MnIII−活性触媒)とは、下記の表7に示すように425nmにおける吸収が増加していることから、異なっている。
一実施形態では、本発明は、エポキシ化反応においてマンガン錯体(触媒として)を使用し、組成物中のマンガン錯体を不活性化し、次いでマンガン錯体を再活性化して別のエポキシ化反応で使用する、マンガン錯体を有する組成物を処理することを提供する。
驚くべきことで、予期せぬことに、マンガン錯体を含有する反応混合物または水相のpHがpH2.5以下に下げられたとき、マンガン錯体のターンオーバー頻度は著しく低下し得ると同時に、マンガン錯体の失活が起きないまたは著しく低下することが分かった。この結果は、本明細書に記載された配位子が、配位子のCu2+錯体を除いて、関連する触媒濃度の範囲内で、4未満のpHレベルで熱力学的に不安定であるので、驚くべきことである。さらに、またこの結果は、低いpHレベルで、そのような配位子の錯体は、失活を加速した(脱錯体)ことが観察されたので、驚くべきことである。したがって、本明細書に記載されたプロセスは、マンガン錯体が、マンガン錯体構造を維持したまま、触媒的に不活性化され、次いで再活性化され、後の時点で触媒として使用することができるという観察に基づいている。
エポキシ化プロセスは、水相および少なくとも1つの有機相の多相系中で行われる。本明細書に記載されたエポキシ化プロセスは、触媒としてマンガン錯体の存在下で、場合による緩衝成分を含む、酸性条件における水性媒体中での、オレフィン系不飽和化合物と酸化剤の反応を包含する。オレフィン系不飽和化合物の酸化は、水相中で行われると考えられ、有機相は、生成された1,2−エポキシドを水相から抽出またはストリップすると考えられる。
エポキシ化反応のpHは、2.5を超え、6まで、例えば2.8から5.0、例えば3から3.6である。エポキシ化反応のマンガン錯体は、ターンオーバー頻度により測定され、2000TON/hrから20,000TON/hr、例えば2000TON/hrから10,000TON/hrの触媒活性を有することができる。
次いで、得られる系、または反応混合物は、反応混合物のそれぞれの相が、分離できる相、例えば別個の水相と少なくとも1つの別個の有機相に分けられるように処理することができる。例えば、生成物および未反応出発材料の両方を含む反応混合物を反応器からセパレータに排出し、本明細書に記載された錯体を含有する水相とここに記載せれたエポキシド生成物を含有する有機相に分けることができる。例えば、少なくとも1つの有機相は、2つの有機相、すなわちエポキシド生成物を含む1つの有機相および有機反応物を含む第2の有機相を含むことができる。有機相は、水溶性の副生成物および触媒をほとんど、または全く含有しないことが観察された。
分離された水相は、触媒的に活性化された状態のマンガン錯体を有することが観察された。分離された水相のpHは、2.5を超え、6まで、例えば2.8から5.0、例えば2.8から3.8である。
マンガン錯体は、分離された水相中に保持された時に、失活が加速されることがさらに観察された。
どの理論にも捕らわれたくはないが、オレフィン系不飽和化合物の存在が、失活を加速することなく、触媒を活性のままに維持すると考えられ、一方、オレフィン系不飽和化合物が存在しない場合、および/またはオレフィン系不飽和化合物が存在せずに、エポキシドおよび/または酸化剤が存在するために、活性触媒の活性が、促進された速度を低下させると考えられる。
驚くべきことで、予期せぬことに、本発明者らは、エポキシ化プロセスよりも酸性のpHを使用することにより、マンガン錯体が水相中に、マンガン錯体の構成成分への失活無しに、または低下した失活で、維持され得ることを発見した。この分野では、より低いpHレベルが失活(脱錯体)を加速することが知られているので、この結果は驚くべきことで、予期せぬことである。
マンガン錯体は、水相のpHを2.5以下に、例えば約1から約2に下げることにより、水相中に、失活せずに、または最小の失活で保持され得る。水相のpHは、第1のpH調節剤、例えば酸、例えば無機酸、有機酸、またはこれらの組合せ、を加えることにより、下げることができる。好適な有機酸は、例えばシュウ酸、酢酸、ギ酸、およびこれらの組合せを包含することができ、好適な無機酸は、塩酸(HCl)、硫酸(HSO)、硝酸、およびこれらの組合せを包含することができる。
不活性化されたマンガン錯体は、失活無しに、または最小の失活で、1分間から120分間、例えば5分間から60分間、例えば5分間から30分間の間、水相中に保持することができる。不活性化されたマンガン錯体は、ターンオーバー頻度により測定され、0TON/hrから2000TON/hr未満、例えば100TON/hrから1000TON/hrの触媒活性を有することができる。
次いで、水相中のマンガン錯体は、エポキシ化反応用の成分を含有する混合物中に導入するまたは混合物を形成することができ、水相は、pHを調節して、触媒的に活性な状態にあるマンガン錯体を有する。これは、水性媒体のpHを、2.5を超え、6まで、例えば2.8から3.8のpHに上昇させることにより、達成することができる。
pHは、第2のpH調節剤を加えることにより調節することができる。第2のpH調節剤は、無機塩基、有機塩基、またはこれらの組合せでよい。好適な塩基の例は、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)、水酸化カルシウム(Ca(OH))、水酸化アンモニウム(NHOH)、脂肪族アミン、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、シュウ酸カリウム、シュウ酸ナトリウム、およびこれらの組合せの群から選択される化合物を包含する。
再活性化されたマンガン錯体は、ターンオーバー頻度により測定され、2000TON/hから20,000TON/h、例えば2000TON/hから10,000TON/h、の触媒活性を有することができる。酸化触媒として使用できる水溶性マンガン錯体に関して、多くの好適な錯体が公知である。これに関して、本特許に記載されているものは、実際には触媒前駆物質であることに注意されたい。事実、全ての公開されたおよび特許文献において、典型的には、触媒前駆物質は、システム中で異なる可能性があり、事実、触媒作用する反応中に変化さえする活性化学種として定義されている。便宜上、および文献中でこれが一般的であるために、錯体を、その錯体が触媒であるかのように記載する。
本明細書に記載されたマンガン錯体(触媒)は、単核マンガン錯体、二核マンガン錯体、または多核錯体でよい。そのような錯体の例は、
一般式(I):
[LMnX]Y(I)
の単核化学種、一般式(II):
[LMn(μ−X)MnL]Y(II)
の二核化学種、または一般式(III):
[LMn(μ−X)]Y(III)
の多核化学種およびこれらの組合せであり、式中、Mnはマンガンであり、Lまたは各Lは、独立して、多座配位子である。各Xは、独立して、配位化学種であり、各μ−Xは、独立して、橋掛けしている配位化学種であり、RO、Cl、Br、I、F、NCS、N 、I 、NH、NR、RCOO、RSO 、RSO 、OH、O2−、O 2−、HOO、HO、SH、CN、OCN、C 2−、およびSO 、およびこれらの組合せであり、Rは、アルキル、シクロアルキル、アリール、ベンジルおよびこれらの組合せからなる群から選択されるC−C20基である。マンガン成分は、+2または+3または+4の酸化状態にあることができる。式中、mは1から3、例えば3でよく、nは0から3、例えば1または2でよい。
Yは、非配位対イオンである。非配位対イオンYは、錯体に電荷的中性を与え、nの値は、陽イオン性錯体および陰イオン性対イオンYの電荷によって異なる。対イオンYは、例えばRO、Cl、Br、I、F、SO 2−、RCOO、PF 、トシレート、トリフレート(CFSO )およびこれらの組合せからなる群から選択される陰イオンであってよく、Rは、再度、アルキル、シクロアルキル、アリール、ベンジルおよびこれらの組合せからなる群から選択されるC−C20基である。陰イオンの種類は、あまり厳密ではないが、ある種の陰イオンは、他よりも好ましい。一実施形態において、CHCOOまたはPF を非配位対イオンとして使用することができる。
多座配位子は、配位錯体または金属錯体を形成することができる多重結合配位子である。好適な多座配位子は、骨格中に少なくとも7個の原子を含有する非環式化合物または環中に少なくとも9個の原子を含有する環状化合物を包含し、それぞれ少なくとも2個の炭素原子により分離された窒素原子を有する。好適な区分の配位子は、1,4,7−トリアザシクロノナン(「Tacn」)およびこの置換された変形形態を包含する。置換された1,4,7−トリアザシクロノナン化合物は、アルキル、シクロアルキル、アリールおよびこれらの組合せからなる群から選択されるC−C20有機基を有する1個以上の有機基で置換されていてよい。例えば、1,4,7−トリアザシクロノナンは、1個以上のメチル基により置換され、N’,N”,N’”−トリメチル−1,4,7−トリアザシクロノナン(TmTacn)を形成することができる。好適な配位子の例は、N’,N”,N’”−トリメチル−1,4,7−トリアザシクロノナン、1,5,9−トリメチル−1,5,9−トリアザシクロドデカン、(1,5,9−MeTACD)、2−メチル−1,4,7−トリメチル−1,4,7−トリアザシクロノナン(2−Me,1,4,7−MeTACN)、2−メチル−1,4,7−トリアザシクロノナン、およびこれらの組合せの群から選択される化合物を包含する。
マンガン錯体の一実施形態において、マンガン錯体は、式[MnIV (μ−O)](Y)(式[LMn(μ−O)MnL](Y)と同一)、式中、nは2であり、LおよびYは、上記で特定された意味を有し、例えば配位子としてTmTacn、および対イオンとしてPF 、またはアセテート(CHCO 、以下、OAc)のマンガン錯体である。水溶性マンガン錯体を含む触媒系は、上記の通りである。本発明の一錯体は、配位子(複数可)として1,4,7−トリメチル−1,4,7−トリアザシクロノナン(「TmTacn」)を含む。この配位子は、アルドリッチ(Aldrich)から市販されている。
さらに、マンガン錯体は、遊離配位子とマンガン源の反応によりその場で形成され得る。遊離配位子は、本明細書に記載された配位子でよい。マンガン供給源は、Mn2+(II)の酸化状態にあるマンガンイオンを有する、全ての好適なマンガン塩を含むことができる。好適なマンガン塩は、有機酸、無機酸、またはこれらの組合せのマンガン塩を包含することができる。好適なマンガン塩の例は、硫酸マンガン、酢酸マンガン、硝酸マンガン、塩化マンガン、臭化マンガン、およびこれらの組合せからなる群から選択される塩を包含する。マンガン供給源は、固体または水性媒体中に溶解した形で供給され得る。
形成されるマンガン錯体の水溶性は、全ての上記成分の関数であり、マンガン錯体に関連する対イオン(陰イオン)によって異なる。マンガン錯体は、20℃で1g/L以上の水溶性、例えば20℃で1g/Lから2g/Lを有することができる。
マンガン錯体は、エポキシ化反応の成分と共に使用され、エポキシド生成物を生成することができる。エポキシ化プロセスは、オレフィン系不飽和化合物と酸化剤を、触媒としてマンガン錯体の存在下で、場合による緩衝剤成分と、水性媒体中、酸性条件で反応させることを包含する。反応物および反応の種類に応じて、エポキシ化プロセスは、−5℃から60℃、例えば4℃から40℃、例えば5℃から35℃の範囲の温度で行うことができる。その上、このプロセスは、減圧で、または圧力を増加して、例えば0.1バールから20バール、例えば0.9バールから9バールで行うことができる。例えば、プロピレンをエポキシ化する場合、より高い圧力を使用することができる。
エポキシ化反応は、有機相が水相中に分布した均質な二相系で行うことができる。有機相は、撹拌のようなプロセスにより、水相中に分布させることができる。二相の体積による相の比率は、有機相対水相の体積比5:1から1:10、例えば1:1から1:2でよい。
エポキシド生成物の転化比率の向上は、水に対する溶解度が限られたオレフィン系不飽和化合物、例えば塩化アリルおよび酢酸アリル、を従来使用されているアリルアルコールの代わりに使用することにより、達成可能なことが観察された。水相に対する溶解度が限られたオレフィン系不飽和化合物を、水相に溶解する量より大きな量で加えることにより、多相系を作ることができる。好適なオレフィン系不飽和化合物は、最大溶解度100g/L(20℃で)、例えば20℃で0.01g/Lから100g/Lを有することができる。
本発明によれば、使用するオレフィン系不飽和化合物は、官能化し得るエポキシ化できるオレフィンである。オレフィン系不飽和化合物は、プロセス条件下で液体、例えば塩化アリルまたは液化されたプロピレンであるが、ガス、例えば気体状プロピレンでもよい。
好適なオレフィン系不飽和化合物の例には、オレフィン系不飽和化合物が挙げられる。一実施形態において、オレフィン系不飽和化合物は、少なくとも一個の不飽和−C=C−結合、例えば、少なくとも一個の不飽和−C=CH基を有することができる。オレフィン系不飽和化合物は、1個以上の不飽和−C=C−結合を含むことができる。その上、不飽和−C=C−結合は、末端基でなくてもよい。末端オレフィン系不飽和化合物は、1個以上の末端−C=CH結合を有することができる。
したがって、オレフィン系不飽和化合物の好適な例には、下記の化合物が挙げられ、
R−CH=CH
R’−(CH=CH
X−CH=CH
Y−(CH=CH
式中、Rは、1個以上の炭素原子を有し、場合によって1個以上のヘテロ原子(例えば酸素、窒素またはケイ素)を含む基であり、R’は1個以上の炭素原子を有し、場合によって1個以上のヘテロ原子を含む多価基であり、nは多価基の原子価に対応し、Xはハロゲン原子であり、Yは酸素原子である。
特に重要なのは、化合物ハロゲン化ビニルまたはハロゲン化アリル、例えば塩化ビニルまたは塩化アリル、芳香族化合物を包含する、1−アルケン、例えばプロペン、シクロアルケン、モノ−、ジ−またはポリオールのモノ−、ジ−またはポリアリルエーテル、モノ−、ジ−またはポリオールのモノ−、ジ−またはポリビニルエーテル、モノ−、ジ−またはポリ酸のモノ−、ジ−またはポリアリルエステル、モノ−、ジ−またはポリ酸のモノ−、ジ−またはポリビニルエステル、ジビニルエーテルまたはジアリルエーテルおよびこれらの組合せから選択されるオレフィン系不飽和化合物である。
本発明の別の実施形態において、オレフィン系不飽和化合物は、アリルブロミド、アリルクロリドおよびアリルアセテートから選択される。本発明の別の実施形態において、アリルクロリドは、エピクロロヒドリンの製造に使用されるが、これは、製造されたエピクロロヒドリンの商業的重要性および分離し易さのためである。
本発明の別の実施形態によれば、オレフィン系不飽和化合物は、プロピレンオキシドを製造するためのプロピレンであり、その反応は、−5℃から40℃の範囲の温度で行われ得る。プロピレンは、酸化剤より過剰に使用される。
エポキシ化プロセスは、酸素含有ガス、無機過酸化物、有機過酸化物、過酸、過マンガン酸塩、過酸化水素前駆物質、およびこれらの組合せを包含する酸化剤を使用することができる。酸化剤は、組成物の0.05重量%から4重量%、例えば0.1重量%から3重量%、例えば0.3重量%から2重量%、の濃度で提供することができる。好適な酸素含有ガスは、酸素ガス(O)、空気、およびこれらの組合せを包含する。好適な無機過酸化物は、例えば過酸化水素、過酸化ナトリウム、尿素ヒドロペルオキシド、およびこれらの組合せを包含する。過酸化水素前駆物質は、水素ガスおよび酸素ガスから過酸化水素を形成するのに使用する金属を包含する。
例えば、過酸化水素は、酸化剤として使用することができる。過酸化水素は、15%から98%(推進薬グレード)で変化し得、例えば20から80%、例えば30%から70%で変化する工業グレードの濃度の水溶液で使用することができる。過酸化水素前駆物質は、水素ガスおよび酸素ガスから過酸化水素を形成するのに使用する金属を包含する。
エポキシ化プロセスは、実質的に100%水相である水性反応媒体(再び、全てのオレフィンおよび/またはこの中に溶解している対応する酸化物を除く。)中で行われる。
代替の実施形態において、エポキシ化プロセスは、水相中の有機溶剤で行うことができる。現在のエポキシ化プロセスは、10体積%以下の共溶剤を含む水性反応媒体中で行うことができる。有機共溶剤、例えば水溶性アルコールの使用は、オレフィン系不飽和化合物の溶解度を向上させると考えられる。好適な共溶剤には、例えばアセトン、メタノール、および他の水溶性アルコールが挙げられる。共溶剤の例には、例えばアセトン、アセトニトリル、メタノール、テトラヒドロフラン(THF)、およびこれらの組合せが挙げられる。有機共溶剤の量は、最少に低下し、反応は実質的に水からなる反応媒体中で行うことができる。したがって、反応物およびエポキシ化生成物の存在を除いて、水性反応媒体は、好適には、少なくとも90体積%の水(v%)、例えば少なくとも95v%、例えば少なくとも99v%、およびある実施形態において、少なくとも99.9v%の水を含む。水性反応媒体(再び、全てのオレフィンおよび/またはこの中に溶解している対応する酸化物を除く。)は、実質的に100%水相でよい。
マンガン錯体は、触媒として有効な量で使用される。典型的には、触媒は、触媒(Mn)対酸化剤のモル比が1:10から1:10,000,000、例えば1:100から1:1,000,000、例えば1:1000から1:100,000で使用される。便宜上、触媒の量は、水性媒体の体積を考慮した場合、その濃度に関して表すこともできる。例えば、マンガン錯体は、0.001から10mmol/L、例えば0.01から7mmol/L、例えば0.01から2mmol/Lのモル濃度(Mnに対して)で使用することができる。
本発明のプロセスに関するオレフィン系不飽和化合物のモル比は、オレフィン系不飽和化合物対酸化剤のモル比が1:2を超え得るものを包含する。この比は、1:1から12:1の範囲内でよい。例えば、モル比は、1:1、1.2:1、2:1、もしくは4:1、または2:1から12:1の範囲内でよい。使用する酸化剤が多すぎると、望ましくない副生成物を生成するため、1,2−エポキシドに向かう選択性が低下する。オレフィン系不飽和化合物に対する酸化剤の量が多すぎる場合のもう1つの結果は、急速な触媒の失活である。十分な酸化剤が使用されない場合、ターンオーバー数が最適にならない。したがって、このことは、過剰量の酸化剤、すなわち過酸化水素、が使用される、先行技術において記載された漂白条件とは著しく異なっている。最適な過酸化物効率を確保するために、酸化剤は、水相に、接触酸化の反応速度にほぼ等しい速度で加えることができる。
オレフィン系不飽和化合物の反応(接触酸化)は、水相中で生じる。水相は、pH1から8、例えば2から6、例えば3から5を有することができる。
水相は、pHを特定の範囲内に安定化させるために、緩衝系をさらに含むことができる。以下の成分は、緩衝成分と呼ばれるが、この成分は、それぞれの成分に対して本明細書に記載されたように、共触媒、橋掛けイオン、および/または共配位子としても機能する、または使用することができる。
pHは、エポキシ化反応用に、2.5を超え、7未満の酸性pH範囲内に、例えばpHレベル2.8と6の間の範囲内に安定化させることができる。したがって、このpHは、典型的にはよりアルカリ条件(例えばNaHCOで9.0に調節されるpH)で行われる、酸化剤として過酸化水素によるオレフィン類の漂白時に使用されるpHよりも、(はるかに)低い。
緩衝成分は、マンガン錯体(触媒)に対するモル比1:1から17,000:1、例えば1:10から1:1000の範囲で使用することができる。十分な緩衝成分を加え、第2のpHレベルを得ることができる。ある実施形態において、水相における緩衝成分の濃度は、0.05重量%から9重量%、例えば0.1重量%から1重量%の範囲内でよい。本発明のさらに別の実施形態によれば、緩衝剤、存在する場合、および酸化触媒は、予備混合した混合物として供給する。
緩衝成分は、酸または酸と対応する酸の塩、例えば有機酸の塩の組合せを含むことができる。好適な酸には、脂肪族または芳香族有機酸、例えばシュウ酸、酢酸、クエン酸および置換された安息香酸を基剤とする芳香族酸、およびこれらの組合せ、無機酸、例えば塩酸、リン酸、およびこれらの組合せ、およびこれらの組合せが挙げられる。好適な酸−塩の組合せは、シュウ酸−シュウ酸塩、塩酸−クエン酸ナトリウム、シュウ酸−シュウ酸塩、マロン酸−マロン酸塩、コハク酸−コハク酸塩、グルタル酸−グルタル酸塩、酢酸−酢酸塩、クエン酸−クエン酸塩、リン酸二ナトリウム−リン酸一ナトリウム、4−クロロブタン酸−4−クロロブタン酸塩、オルト−クロロ安息香酸−塩、パラ−クロロ安息香酸−塩、オルト−フルオロ安息香酸−塩、パラ−フルオロ安息香酸−塩、およびこれらの組合せの群から選択することができる。
水相は、相間移動剤および/または界面活性剤をさらに含むことができる。相間移動剤および/または界面活性剤は、オレフィン系不飽和化合物が低い溶解度(例えば、0.1g/L水未満)を有する場合に使用可能である。本発明のプロセスにおいて使用することができる相間移動剤には、第四級アルキルアンモニウム塩が挙げられる。本発明のプロセスにおいて使用することができる界面活性剤には、非イオン性界面活性剤、例えばユニオンカーバイドから市販のトリトンX100(商標)が挙げられる。
接触酸化用の反応条件は、当業者なら迅速に決定することができる。反応は発熱性であり、反応混合物の冷却が必要になる。反応は、物理的パラメーター、例えば使用するオレフィン系不飽和化合物の融点および沸点に応じて、−5℃から40℃の温度で行うことができる。
エポキシ化反応は、撹拌または混合条件下でさらに行われる。例えば、エポキシ化反応は、攪拌機を中に配置した反応器、またはループ反応器ラインの前および/または中に配置した混合部品を有するループ反応器中で行うことができる。撹拌の量は、エポキシ化プロセスによって異なり、本発明は、本明細書に記載されたプロセスを行い、本明細書に記載された結果を得るための十分な撹拌を行うことを意図している。
本発明の一実施形態によれば、エポキシ化反応は、入口および出口を有する反応器中で行われる。本明細書に記載された反応成分は1個以上の入口により反応器に供給され、得られた多相系、または反応混合物は、出口を通して排出される。処理装置は、反応器出口に接続した分離手段、例えばセパレータをさらに含み、前に説明したように、反応混合物を少なくとも1つの有機相および水相に分離する。この分離手段は、生成物が少なくとも1つの別個の有機相を形成し、有機相は、静置されると水相から分離するので、単純な液体−液体セパレータ、例えば沈殿タンクから構成され得る。他の装置、例えば液体サイクロンも、相の分離に使用することができる。
セパレータ中に導入する前に、またはセパレータ自体において、反応混合物の水相は、本明細書に記載されたように変性し、触媒系のマンガン錯体を不活性化することができる。
次いで、水相は、第2の反応器中に導入するまたは元の反応器にリサイクルさせることができる。反応器の内側で、または反応器中に導入する前に、反応混合物の水相を、本明細書に記載されたように変性し、触媒系のマンガン錯体を再活性化することができる。
本発明を、図1を使用してさらに説明するが、この図は、エポキシド生成物の製造およびマンガン錯体処理のための装置の一実施形態を図式的に示す。
本発明のプロセスを実行する装置を建造する当業者は、装置のプロセス技術的要素は全て、一般的なプロセス技術の知識を使用して建造され、操作されることが分かることがここで留意される。
この実施形態において、装置10は、1基以上の反応器を含む。反応器は、エポキシ化反応を行うようになされた様々な反応器、例えば本明細書に記載された多相ループ反応器でよい。幾つかの反応器設計が本発明のプロセスを実行するのに適している。反応器は、栓流反応器(PFR)でよい。分散に必要な高速度および長い滞留時間のため、本発明で使用するPFRは、非常に長いPFRである。反応器は、連続撹拌タンク反応器(CSTR)でもよい。CSTRを使用する場合、オレフィン系不飽和化合物を水相中に分散させるために特別な注意を払うべきである。反応器のタイプは、接触酸化プロセスの温度を制御するための冷却手段も包含する。
本発明の一実施形態によれば、接触酸化は、ループ反応器で行うこともできる。ループ反応器では、反応混合物が循環する。ループ反応器の循環時間が、水性成分およびオレフィン系不飽和化合物が供給される速度、例えば供給速度の約15倍である場合、ループ反応器は、高度のバックミキシングのために、CSTRとして記載することができる。本プロセスにループ反応器を使用する利点は、小型反応器設計において分散手段と組合せたポンプシステムの混合挙動をうまく規定し得ることである。
本発明の反応器は、有機オレフィン系不飽和化合物相を水相に分散させるための分散手段、および接触酸化の発熱による温度を制御するための冷却手段をさらに含む。
分散手段は、静止型ミキサーでよいが、これは、静止型ミキサーが、連続水相中で有機性滴を最大限に破壊すると考えられるためである。本発明の別の実施形態によれば、新しい酸化剤とオレフィンは、反応器ハウジング全体にわたって分布した多数の入口部分を通して反応器の小分割した水相部分に供給される。
例示目的として、装置10は、図1の反応器20、30、および40で表す3基の反応器で示される。各反応器は、一連の成分入口ラインを含み、例えば図1に示すように、反応器20の一連の成分入口ラインの列は、入口ライン21、22、23、および24ならびに出口ライン、例えば図1に示すような出口ライン25を包含する。それぞれの入口ラインは、それぞれの成分供給ライン、例えば供給ライン11、12、13、および14に連結している。図には示していないが、各成分供給ラインは、別個の供給タンクに連結され、成分をそれぞれの反応器中に供給する。例えば、供給ライン11、12、13、および14は、それぞれマンガン錯体供給ライン11、オレフィン系不飽和化合物(例えば塩化アリル)供給ライン12、酸化剤(例えば過酸化水素)供給ライン13、および緩衝成分供給ライン14でよい。成分は、供給タンクから、それぞれのラインを通して、供給ポンプの手段(やはり、図には示していない。)により、それぞれの反応器へ輸送される。
反応混合物は、反応器20から、反応器出口ライン25を経由して、分離手段50中に排出される。第1のpH調節ライン26は、それぞれの反応器とそれぞれの分離手段の間で、反応器出口ライン25に連結されていてよい。第1のpH調節ライン26は、酸または好適な酸/酸塩混合物の供給源ライン15に、もしくは緩衝成分供給ライン14(図には示していない。)に連結され、その供給源材料は、分離手段50に到達する前に、反応器出口ライン25を通って移動する流体のpHを下げるのに使用することができる。あるいは、第1のpH調節ライン26は、破線26aで示すように、分離手段50に直接連結される。
分離手段50、例えばセパレータにおいて、少なくとも1つの有機相および水相が異なった相を形成することができる。エポキシド生成物、例えばエピクロロヒドリン、を含む有機相は、分離され、次いで分離手段50から、生成物回収ライン56に連結した生成物出口52を経由して分離され得る。
分離手段50中の水相の少なくとも一部は再使用される。一例では、水相は、分離手段50と第2の反応器30を接続している導管54を経由して第2の反応器30に送られる。別の実施形態において、図には示していないが、セパレータからの水相が、反応器20にリサイクルして戻され得る。さらに、やはり図には示していないが、活性または不活性状態の、例えばライン21または別の反応器の水相からの、マンガン錯体を含有する追加の水相が、導管54中の材料と混合されてから、反応器30に加えられ得る。循環ポンプ(図には示していない)は、循環導管を通して水相を輸送する。
第2のpH調節ライン31は、それぞれのセパレータ手段と反応器の間で、導管54に連結される。あるいは、第2のpH調節ライン31は、第2の反応器に連結される。第2のpH調節ライン31は、本明細書に記載された塩基を含有し、その塩基は、反応器に加える前に水相のpHを上昇させるのに使用される。第2のpH調節ライン31は、図1に示すように、主要塩基供給ライン14からの分岐ラインでもよい。
本明細書に記載されたプロセスは、第2のセパレータ60および第3の反応器40を使用して続行され、別の反応プロセスを通して水相をリサイクルすることができる。第2のセパレータ60は、出口ライン35から供給され、pH調節ライン36は出口ライン35に、あるいはライン36aにより反応器40に連結される。エポキシド生成物は、生成物回収ライン56に連結した生成物出口62を通してセパレータから排出される。水相は、分離手段60と第3の反応器40を接続している導管64を経由して第3の反応器40に送られる。第3の反応器40は、生成物入口ライン42、43および44、ならびに出口ライン45を包含する。
さらに、場合によるマンガン錯体補給ライン70は、次の反応器、例えば、反応器30用のライン71および反応器40用のライン72を経由して連結することができる。補給ライン70は、マンガン錯体、および場合によって緩衝剤を反応器に供給し、反応器が、エポキシ化反応に触媒作用するのに十分な量のマンガン錯体を有するようにする。本明細書に記載されたプロセスが、マンガン錯体の保存または失活の低下をもたらす時、補給プロセスが、前の反応からすでに失活したマンガン錯体を置き換えるのに必要とされる。
全ての反応器に対する移動手段は、流体導管の使用により達成され得る。例えば、リサイクル用には、移動手段は、分離手段の水相出口とポンプを取り付けた反応器入口を接続するパイプでよく、水相を元の反応器中に輸送する。水相を第2の反応器に送るには、移動手段は、分離手段の水相出口とポンプを取り付けた第2の反応器の入口とを接続するパイプでよく、水相を第2の反応器に輸送する。当業者なら、本発明の反応器が、例えばポンプ、バルブおよび制御機構のような標準的プロセスの技術的要素を備えていることが分かることがここで留意される。
操作の際、本装置は、本明細書に記載されたプロセスによって次のように使用することができる。以下の説明では、塩化アリルのエポキシ化を例示するが、本発明は、本明細書に記載されたプロセスおよび成分の全てが、本明細書に記載された装置に使用できることを意図している。
最初に、オレフィン系不飽和化合物、例えば塩化アリル、酸化剤、例えば過酸化水素、および本明細書に記載されたマンガン錯体が、水と共に、反応器、例えば反応器20に装填される。緩衝成分、例えばシュウ酸/シュウ酸塩も反応器中に装填することができる。成分は、同時に、周期的にまたは連続的に反応器中に導入することができる。成分は、反応混合物中で反応し、本明細書に記載されたようなエポキシド成分、例えば塩化アリルからエピクロロヒドリンを製造することができる。反応混合物は、多相、例えば少なくとも1つの有機相および1つの水相でよい。エポキシド成分は、少なくとも1つの有機相中に分離する。幾つかの実施形態において、有機前駆物質材料、例えばエピクロロヒドリンが、エポキシド含有有機相から第2の、別個の有機相を形成し得ると考えられる。
どちらもそれぞれの反応器中にある有機相と水相の体積比、および相間の接触度は、触媒系の性能における重要なパラメーターである。有機相の量が高すぎる場合、水相は、最早連続相にはならない。この場合、成分の混合が不十分であることがある。これは、オレフィン系不飽和化合物の転化速度が著しく低下することを意味する。他方、反応器中の水相が有機相の量に対して高すぎる場合、水相中のオレフィン系不飽和化合物濃度は、酸化剤濃度に対して低すぎる。これは、好ましくない副生成物および触媒失活につながることがある。したがって、反応器中にある水相の有機相に対する体積比は、10:1から1:5の範囲内でよく、最大限としてエマルションが形成される。
上記の限度は、混合の程度によっても影響を受ける。実際には、これは、有機相が連続水相中、例えば、好ましくはできるだけ小さい、例えば3mm未満の滴の形態にある水相中に十分に分散する必要があることを意味する。有機相を水相中に分散させることにより、オレフィン系不飽和化合物および酸化剤の、触媒の存在下での反応(接触酸化)が起こり得る。
次いで、反応混合物は、反応器出口ライン25を経由して分離手段50に輸送される。第1のpH調節ライン26から第1のpH調節剤が、反応器出口ライン25または分離手段50中の反応混合物に加えられる。第1のpH調節剤は、酸、例えば本明細書に記載された緩衝剤化合物を形成するのに使用した酸でよい。十分な第1のpH調節剤を加え、pHを本明細書に記載されたような2.5未満のレベルに調節する。好適な有機酸は、シュウ酸、酢酸、およびこれらの組合せが挙げられ、好適な無機酸は、塩酸(HCl)、硫酸(HSO)、およびこれらの組合せが挙げられる。pHの調節は、マンガン錯体の失活が無いまたは最小の状態で、マンガン錯体を水相中に保持できると考えられる。
分離手段50では、エポキシド生成物、例えばエピクロロヒドリンを含む有機相を、生成物出口52を通して有機相を除去することにより、水相から分離することができる。
分離手段50中の残りの水相は、分離された水相の少なくとも一部(部分)を次の反応器に供給することにより、または分離された水相の少なくとも一部を先行する反応器にリサイクルすることにより、再使用することができる。前記水相の少なくとも一部は、反応混合物中に循環することができる。このように、循環された水相中に存在する触媒は、排出されず、再度効率的に使用される。
水相は、次の反応器、例えば反応器30に、分離手段50を次の反応器30に接続している循環導管54により、循環することができる。第2のpH調節剤用の第2のpH調節ライン36は、それぞれの分離手段と反応器との間にある循環導管54に連結される。あるいは、第2のpH調節ライン36は、それぞれの反応器に連結される。第2のpH調節剤は、ここに記載された塩基でよい。十分な第2のpH調節剤を加え、pHを2.5以上のレベルに調節することができる。好適な第2のpH調節剤には、例えば水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)、水酸化カルシウム(Ca(OH))、水酸化アンモニウム(NHOH)、およびこれらの組合せからなる群から選択される塩基が挙げられる。pHの調節は、マンガン錯体の失活が無いまたは最小にして、マンガン錯体を水相中に保持できると考えられる。
プロセスが稼働している時、単位時間あたり、一定体積の水性出発材料、例えば酸化剤、触媒および、必要であれば、緩衝剤が反応混合物に供給される。
これらの水性出発材料は、水性成分として示される。同時に、単位時間あたり、一定体積の分離された水相が反応混合物中に循環される。各瞬間に反応混合物に加えられる、水性成分の体積の、リサイクルされた水相の体積に対する質量比は、水リサイクル比として示される。触媒リサイクルの有利な効果を達成するためには、該水リサイクル比は、10:1から1:10、例えば2:1から1:5、例えば1:3.5の範囲内にある。また、乱流条件、例えば高速の水相は、該媒体中に分散した有機滴のアグロメレーションを阻止する。
下記の実験は、本明細書に記載されたマンガン錯体用のプロセスを例示する。
実験設定
実験は、200ml規模のジャケット付ガラスバッチ反応器にて行った。反応混合物は、オレフィン系不飽和化合物を含有する有機相およびマンガン錯体、緩衝成分、および酸化剤を含有する水相を包含し、その際、水相の中に酸化剤を連続的に供給した。有機混合物を撹拌することにより、有機相は水相中に細かく分散され、そこで過酸化水素と反応する。反応器には、温度制御装置およびpH制御装置が取り付けられている。
実験1
プロセスを上述のとおりに行った。まず、温度を5℃に維持し、pHを3.6に制御した対照実験を行った。水100mLに、シュウ酸二ナトリウム164mgおよび無水シュウ酸72mgを加えた。この緩衝剤溶液に、3.5重量%DragonA350(マンガン錯体)0.203mLを加え、10分間撹拌した。水相に、塩化アリル100mLを加えた。塩化アリルは、水相にさらに5分間かけて分散させた。次いで、t=0で、過酸化水素を、下記の表1に示す添加スケジュールにより、150分間かけて添加した。t=0からt=210で、5重量%のシュウ酸水溶液を流量6mL/hで添加した。pH制御には、0.5MのNaOHを使用した。
Figure 2014520128
上記の対照実験を3回繰り返し、その際、t=60で、2MのHCl溶液を望ましいpH値に達するまで添加して、pHを二次的な値、例えばそれぞれ1.5、2.5および3.6に変化させた。次いで、H添加および撹拌を1時間停止し、滞留時間1時間の沈降タンクの条件を模擬し、それによって水および有機相を沈降させた。
1時間後、撹拌を開始し、pH制御装置を使用してpHを3.6に戻し、上記の添加スケジュールに従ってH添加を再開した。pH3.6における、沈降無しの、対照反応としての同一実験の結果も得た。次いで、対照反応および沈降を行った3回の反応は、図2に示すように、ターンオーバー数(TON)対時間としてプロットした。
図2は、pH=3.6で沈降する反応が700TON/hrのTON速度を有し、pH3.6における沈降が、沈降後に続くエポキシ化反応における最小触媒活性を有する触媒の失活をもたらすことを例示する。pH1.5およびpH2.5の実験データは、そのようなpHレベルにおける沈降が、下記の表2に示すように、沈降無しの対照と比較して、触媒活性に対する影響が最小であることを示す。この表中の値は、t=60およびt=150の間の対照と比較した、t=210までの沈降後の平均TON/hrを示す。
Figure 2014520128
pH1.5および2.5のpH値における沈降に対する最終ターンオーバー数は、下記の表3に示すように、対照より僅かに低いだけである。
Figure 2014520128
したがって、図2および表2および表3に示すように、本明細書に記載されたプロセスは、マンガン錯体が、それぞれの触媒活性を実質的に維持し、マンガン触媒の失活が低下するまたは最小である。
実験2
上述のようにプロセスを行った。第1に、温度を15℃に維持し、pHを3.6に制御して、対照実験を行った。水100mLに、シュウ酸二ナトリウム164mgおよび無水シュウ酸72mgを加えた。この緩衝溶液に、3.5重量%[Mn(MeTACN)](OAc)(Dragon A350マンガン錯体)0.203mLを加え、10分間撹拌した。水相に、塩化アリル100mLを加えた。塩化アリルは、水相にさらに5分間かけて分散させた。次いで、t=0で、過酸化水素を、下記の表4に示す添加スケジュールにより、180分間かけて添加した。t=0からt=210で、5重量%のシュウ酸水溶液を流量10mL/hで添加した。pH制御には、0.5MのNaOHを使用した。
Figure 2014520128
上記の対照実験を2回繰り返し、2MのHCl溶液を望ましいpHに達するまで添加し、t=45でpHを二次的な値、例えば2.0および2.5にそれぞれ変化させた。次いで、H添加および撹拌を30分間停止し、滞留時間30分間の沈降タンクの条件を模擬した。
30分後、撹拌を開始し、pH制御装置を使用してpHを3.6に戻し、上記の添加スケジュールに従ってH添加を再開した。次いで、対照反応および沈降を伴う2回の反応は、図3に示すように、ターンオーバー数(TON)対時間としてプロットした。
図3は、pH=2.0における沈降が、TON/hrおよび最終TONに関してより優れた結果を与えることを例示し、pH2.5と比較して触媒失活が少ないことを示す。pH2.0およびpH2.5での沈降の実験データは、そのようなpHレベルにおける沈降が、下記の表5に示すように、沈降無しの対照と比較して、触媒活性に対する影響が低下するまたは最小であることを示す。この表中の値は、t=45およびt=180の間の対照と比較した、t=210までの沈降後の平均TON/hrを示す。
Figure 2014520128
最終ターンオーバー数は、下記の表6に示すように、対照より僅かに低いだけである。
Figure 2014520128
マンガン錯体形成プロセスの際に、様々なpHレベルにおけるマンガン錯体をUV−Visスペクトル分析にかけた。UV−Vis分析は、活性触媒調製のプロセスの際および各種pHレベルの使用により、混合物のイン−ラインスペクトル分析を包含する。UV−Vis分析は、アバンテスカンパニーB.V.から供給されたUV−Visスペクトロメーターにより行った。波長210から600nmの範囲のハロゲンランプを光源として使用する。水を内部標準として使用し、触媒調製の際の指定された時間間隔における混合物のUV−Visスペクトルを収集した。触媒調製の際のスペクトルを収集し、各種pHレベルにおける触媒の変化を見るために、イン−ラインプローブを反応器中に置いた。
UV−Visスペクトルを使用して、マンガン錯体の任意の単位における強度/吸収対波長の測定により、触媒化学種の種類、例えば触媒前駆物質、活性触媒、不活性触媒(低pHにおける)および失活触媒を決定した。マンガン錯体は、250nmから350nmの範囲内の波長を吸収し、吸収の程度は、マンガン錯体の量に対応する。Mn3+およびMn4+−TMTACN(MnIV−TMTACN)錯体のMn−TMTACN触媒は、250から350nm間の強い吸収および400から500nmの弱い吸収を伴うUV−Visスペクトルを示す。したがって、約350nmにおける強度/吸収は、マンガン錯体の量に対応する。
水溶液のUV−Visスペクトルデータは、例2および例3で説明したエポキシ化反応を模擬するために、pHの変化によるモデル実験で得た。触媒前駆物質[Mn](OAc)0.24mmol/L、シュウ酸塩緩衝剤48mmol/LおよびH11mmolを水中に含有する水溶液のUV−Visスペクトルを、5℃、200から600nmで測定した。
反応を段階(i)で、触媒前駆物質、シュウ酸塩および希釈Hの5℃における撹拌で開始し、この工程を1時間行った。第2の工程、段階(ii)で、反応混合物のpHを24に下げ、撹拌条件を1時間維持した。第3の工程、段階(iii)で、pHを再度3.8に上昇させ、反応を2時間続行した。これらの3つの異なった段階で測定を行い、異なった触媒化学種を見出した。これらは、実質的に段階(i)の開始におけるpH3.8の触媒前駆物質、段階(i)の0.5時間の時間における活性触媒、段階(ii)におけるpH2.4の不活性触媒化学種、および段階(iii)の最後におけるpH3.8の失活触媒である。下記の表7は、活性化された、失活された、および不活性化されたマンガン錯体に対するそれぞれのUV−Visデータを示す。
Figure 2014520128
段階(i)の開始時において、触媒前駆物質は、水溶液中でMn4+のマンガン錯体を有することが観察された。活性触媒化学種は、段階(i)で0.5時間で、pH3.8で形成され、Mn3+のマンガン錯体を有することが観察され、段階(ii)では、pH2.4で不活性触媒が形成され、酸化状態+3にあるマンガンを含有することも観察された。シュウ酸塩および希釈Hは、第1の工程で触媒前駆物質(Mn4+)を活性触媒(Mn3+)に還元するのに役立っていた。pHをpH2.4に調節したとき、より低いpHに保持する間、活性Mn3+−触媒が不活性触媒化学種に転化された。1時間後、pH2.4における不活性触媒化学種の組成物が、pH3.8に調節され、全ての不活性触媒がMn3+活性触媒に再び転化されたことが観察された。pH3.8でMn3+−活性触媒は、2時間の間にゆっくり失活触媒に転化された。
段階(i)、(ii)および(iii)における全ての触媒化学種は、波長350nmで約0.58強度(任意単位)のほぼ同一の吸収を有することが観察された。類似の吸収は、pH調節の際に失活が無い場合、マンガン錯体の量が維持され、最小に抑えられることを示す。さらに、段階(ii)における不活性触媒化学種は、最初のpH調節から、1時間のpH保持期間を通して、同一の吸収を維持することが観察された。そのようなことは、pH2.4に調節された組成物におけるマンガン錯体の量が、長期間にわたり安定しており、失活の兆候が最小である、または無いことに対応している。また、段階(iii)において、定量的な量の不活性触媒化学種が、活性触媒に転化したことが、pH調節から1時間のpH保持期間を通して、同一の吸収に基づき観察された。工程(iii)の最後に、触媒は、2時間の間に失活触媒に転化された。
触媒前駆物質(Mn+4)は、約400および500nmにおける2つの弱い可視吸収を、250−350nmにおける強い電荷移動帯(CT帯)と共に示している。段階(i)における触媒前駆物質の活性触媒(Mn3+)への転化は、2つの弱い可視吸収の強度の減少から明らかである。pHを2.4に下げた場合、活性触媒は、Mn3+−不活性触媒に転化された。350nmにおける吸収に基づいて同一の濃度を維持して、425nmにおける可視吸収が出現することから、不活性化学種の存在が明らかである。段階(ii)でpH2.4における一時的な不活性化学種は、pHを3.8より上に上昇させた時、活性触媒化学種に定量的に可逆的に戻る。
本発明を、特定の実施形態を参照しながら、説明し、例示したが、当業者には明らかなように、本発明は、ここに記載しなかった変形にも適応する。

Claims (17)

  1. 多相系を処理する方法であって、
    第1の多相系において、第1のpHレベルを有する水相中にある緩衝成分および水溶性マンガン錯体の存在下で、オレフィン系不飽和化合物を酸化剤と反応させること、
    水相のpHを、第1のpHレベルより低い第2のpHレベルに調節すること、
    水相の少なくとも一部を第1の多相系から分離すること、
    前記水相の少なくとも一部のpHを、第2のpHレベルより高い第3のpHレベルに調節すること、および
    前記水相の少なくとも一部を第2の多相系中に導入すること
    を含む方法。
  2. 第1の多相系においてオレフィン系不飽和化合物を酸化剤と反応させることが、
    水性成分として酸化剤および水溶性マンガン錯体を第1の多相系に加えること、
    および
    オレフィン系不飽和化合物を水相中に分散させることを含む、請求項1に記載の方法。
  3. 水相の少なくとも一部を分離することが、水相中に水溶性マンガン錯体を維持することを含む、請求項1に記載の方法。
  4. 第1のpHレベルが、2.5を超え、6までである、請求項1に記載の方法。
  5. 水相のpHを第2のpHレベルに調節することが、水溶性マンガン錯体を不活性化することを含む、請求項1に記載の方法。
  6. 第2のpHレベルが、2.5以下である、請求項1に記載の方法。
  7. 水相のpHを第2のpHレベルに調節することが、シュウ酸、酢酸、ギ酸、硝酸、塩酸、硫酸、およびこれらの組合せの群から選択される酸を加えることを含む、請求項1に記載の方法。
  8. 水相の少なくとも一部のpHを第3のpHレベルに調節することが、水溶性マンガン錯体を再活性化することを含む、請求項1に記載の方法。
  9. 第3のpHレベルが、2.5を超え、6までである、請求項1に記載の方法。
  10. 水相のpHを第3のpHレベルに調節することが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化アンモニウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、シュウ酸カリウム、シュウ酸ナトリウム、およびこれらの組合せからなる群から選択される塩基を加えることを含む、請求項1に記載の方法。
  11. 第1のpHレベルと第3のpHレベルが同一のpHレベルである、請求項1に記載の方法。
  12. 第2の多相系において、第3のpHレベルを有する水相中にある第2の緩衝剤成分および水溶性マンガン錯体の存在下で、第2のオレフィン系不飽和化合物を第2の酸化剤と反応させること
    をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  13. 水溶性マンガン錯体が、第1のpHレベルで2000TON/hrから約20,000TON/hrの第1のターンオーバー数率、第2のpHレベルで約0TON/hrから2000TON/hr未満の第2のターンオーバー数率、および第3のpHレベルで2000TON/hrからの第3のターンオーバー数率を有する、請求項1に記載の方法。
  14. 水相のpHを第2のpHレベルに調節することと、水相のpHを第3のpHレベルに調節することとの間の時間が約1分間から約120分間である、請求項1に記載の方法。
  15. マンガン錯体が、
    一般式(I):
    [LMnX]Y(I)
    の単核化学種、一般式(II):
    [LMn(μ−X)MnL]Y(II)
    の二核化学種、または一般式(III):
    [LMn(μ−X)]Y(III)
    の多核化学種を含み、
    式中のMnはマンガンであり、Lまたは各Lは、独立して、多座配位子であり、各Xは、独立して、配位化学種であり、ならびに各μ−Xは、独立して、橋掛けしている配位化学種であり、Yは、非配位対イオンであり、mは1から4であり、ならびにnは1から2である、請求項1に記載の方法。
  16. 各配位化学種および各橋掛けしている配位化学種が、RO、Cl、Br、I、F、NCS、N 、I 、NH、NR、RCOO、RSO 、RSO 、OH、O2−、O 2−、HOO、HO、SH、CN、OCN、C 2−、およびSO 、およびこれらの組合せから選択され、ここでRは、アルキル、シクロアルキル、アリール、ベンジルおよびこれらの組合せからなる群から選択されるC−C20基であり、ならびにYは非配位対イオンを含む、請求項15に記載の方法。
  17. 第2のマンガン錯体を第2の多相系に加えることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
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