JP2014518902A5 - - Google Patents

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防炎剤
本発明は無機防炎剤(IFA)の分野に関する。
防炎剤は、延焼を制限するか、遅らせるか又は防止するように意図される防火剤である。
潜在的な点火源がどこにあろうと、可燃性材料の使用が安全上のリスクを構成する場合も、防炎剤が使用される。
例えば、建設業、航空機及び自動車の製造、並びに内装取り付け設備における、安全に対する高まる要求並びに金属及び合金に代わるハイグレードプラスチックの増大する使用により、防炎剤の必要性が増大している。
防炎剤の作用様式は種々の効果に基づく:
材料の熱分解中に発生するガスのラジカル連鎖反応の中断;
酸素及び熱の出入を防止するために炭化材料の保護コーティングを形成すること(膨張);
結合水の吸熱分解又は気化の開始による燃焼過程の冷却;
不活性なガス状物質による可燃ガスの希釈;
液化、すなわち、発火帯域から流出すると同時に表面積を低減させる溶融物の形成。
ほとんどの防炎剤は上記の物理化学的効果の1つ又は複数を引き起こすものである。
したがって、次の4つのタイプの防炎剤に区別される:
添加防炎剤 これらは可燃性物質中に組み込まれる;
反応性防炎剤 プラスチックへの重合による材料の成分自体である物質;
固有防炎剤 材料それ自体が耐燃性である;
コーティング 可燃性物質上に防炎剤をコーティングとして外側から塗布する。
重要な反応性防炎剤及び固有防炎剤、また添加防炎剤も、毒物学的理由、すなわち分解過程中の有毒ガスの形成のために批判されており、今では、厳しいリスクアセスメントが課されているため、無機防炎剤の重要性が増している。
世界的な生産統計は、例えば、デンマーク環境保護庁によるレポート(“Brominated Flame Retardants. Substance Flow Analysis and Assessment of Alternatives”(1999))に見ることができる。それに基づき、防炎剤のグループは次のように分けられる:
50% 無機防炎剤(IFA)、例えばATH(Al(OH))及びMDH(Mg(OH))、
25% ハロゲン化防炎剤、
20% 有機リン化合物、
5% 窒素系防炎剤。
品質の観点から、水酸化アルミニウム(ATH)が最も重要な無機防炎剤として使用される。ATHはバイヤー法を用いてボーキサイトから得られる。これにより赤泥(RM)が廃棄物として生成される。したがって、以下の説明において、赤泥(RM)は、ボーキサイトからのATHの抽出において生成される、バイヤー法による残渣であると理解される。
或る意味ボーキサイト−ATHと表すこともできる赤泥(RM)は、例えば化学組成及び鉱物組成、吸熱性、pH値等に関して、極端に不均質な物質である(表1を参照)。不均質性の原因は時に、使用されるボーキサイトの異なる組成、とりわけバイヤー法がオートクレーブ消化(autoclave digestion)又はチューブ消化(tube digestion)のいずれによって行われるかという点にある。オートクレーブプロセスでは、30%〜35%の苛性ソーダ溶液により170℃〜180℃の温度で消化が行われる結果、6バール〜8バールの圧力が確立される。温度を270℃に上昇させることによって6時間〜8時間の反応時間を1時間未満に短縮させるためにチューブ消化プロセスは発展してきた。しかしながら、この温度では、リアクタの終わりに60バールの水蒸気圧が確立される。チューブ消化のより高い温度はまた赤泥の組成に影響を及ぼす。例えば、チューブ消化プロセスにおけるFe−O−HO系では、平衡がヘマタイトへとほぼ完全に移行する。
これまで、赤泥(RM)の不均質性のために、有効な経済的利用を見出すことができなかった。この点において、赤泥(RM)はゴミとして処分場にほとんど捨てられている。
したがって、本発明の根本をなす技術的目的は、新規で経済的に実現可能な無機防炎剤の提供による上述の不利点の防止である。
この目的は、添付の独立請求項に係る本発明によって実現される。本発明の有利な変更形態及び実施形態は従属項に規定する。
本発明は、10重量%〜50重量%の鉄化合物と、12重量%〜35重量%のアルミニウム化合物と、5重量%〜17重量%のSiOと、2重量%〜21重量%のTiOと、0.5重量%〜6重量%のCaOと、3重量%〜10重量%のNaOと、の鉱物組成物を有する無機ハロゲン無含有非毒性難燃材に関する。
この目的のために、本発明による無機防炎剤では、アルミニウムの水酸化物/オキシ水酸化物とアルミニウムの酸化物との比率が1より大きいか又はそれに等しく(すなわち、少なくとも50重量%、好ましくは80重量%の水和物/酸化物率)、鉄のオキシ水酸化物と鉄の酸化物との比率が1より大きいか又はそれに等しい(すなわち、少なくとも50重量%、好ましくは80重量%のオキシ水酸化物)。また、無機防炎剤が改質された再水和赤泥(MR2S)であることが規定される。
その上、改質された再水和赤泥(MR2S)において、溶解性NaOの割合が0.03重量%未満であるか又はそれに等しく、平均粒径(d50)が50μm未満であるか又はそれに等しく、好ましくは0.5μm〜10μmであり、残留水分が0.4重量%未満であるか又はそれに等しいことが有益と考えられる。結果として、とりわけ費用のかかる有害ゴミである赤泥(RM)の処分の問題を軽減させる、赤泥(RM)の経済的に実行可能な使用が発展してきた。
さらに、本発明は、可燃性材料を含む耐火材料系、本発明による難燃剤、及び、可燃性材料を準備する工程と、可燃性材料に本発明による難燃剤を配合又はコーティングする工程と、それにより、耐火材料系を得る工程とを含む耐火材料系の製造方法を開示している。
それ故、極めて優れた無機防炎剤であることが分かるいわゆる改質された再水和赤泥(MR2S)が提供される。その上驚くべきことに、このように提供される改質された再水和赤泥(MR2S)を無機防炎剤(IFA)として可燃性物質、例えばポリマーに組み込む場合、火が発生したときに灰のガラス化又は焼結が起こることが見出された。ガラス化又は焼結は、火が発生したときに、本発明によるIFAが組み込まれた可燃性物質が、流体にならず、またその後、飛散灰として存在することもないことを意味すると理解される。それどころか、或る特定の機械的特性、とりわけ特別な安定性を依然として有する灰の状態に至る。結果として、これは、例えば肺に吸い込まれるおそれのある飛散灰の形成が回避されるため特に有益である。さらに、これは、それにより同様に可燃系の液化が起こらない結果、火の広がりが緩和されるため特に有益である。さらに、それにより可燃系のコアにおける酸素の供給が低減される結果、更なる又は連続する燃焼が予防されることが特に有益である。灰のガラス化は、例えばケーブルの絶縁材に特に有益に作用し、結果として、火が発生したとしてもケーブルの機能性を維持する。
赤泥(RM)に改質を施せば、それは優れたハロゲン無含有無機防炎剤となることが分かる。改質は例えば次のように理解されるものとすることができる:
赤泥(RM)の供給、
供給された赤泥(RM)の構成成分の分析、
赤泥の再水和、
再水和された赤泥の物理加工。
更なる改質は例えば次のようなものとすることができる:
例えば水による供給された赤泥(RM)の洗浄、
例えば水による再水和された赤泥(RM)の洗浄、
再水和された赤泥の乾燥、
所望の粒度分布を有益に得るための、例えば粉砕及び篩分による、再水和された赤泥の物理加工、
例えば、乾燥して物理加工した再水和赤泥のプラスチックマトリックスとの化合、
熱的特性を最適化させ、任意に無機防炎剤(IFA)が反応する温度範囲を拡大させるための、ATH(ギブサイト、ベーマイト)、水酸化マグネシウム(MDH)又はゲータイト等の吸熱反応物質の混和。
再水和中、例えばAl又はFeの酸化物物質は水酸化物物質に変換され、ベーマイト(Alのオキシ水酸化物)はギブサイト(Al(OH))に変換され、Alはギブサイトに変換され、ヘマタイト(酸化鉄)はゲータイト(鉄のオキシ水酸化物)に変換される。それ故、可能な限り高い吸熱可能性を有する物質が、180℃〜350℃の所望の作用範囲において作用を全く示さないか又はほんの僅かしか示さない物質から生成される。赤泥(RM)の化学組成及び鉱物組成を変化させるこのプロセスに起因して、吸熱エンタルピー、それ故、難燃効果が増大する結果、RMがオートクレーブ消化又はチューブ消化のいずれに由来するかにかかわらず、明確に規定された作用を有する無機防炎剤(IFA)が生成される。
このようにして生成される改質された再水和赤泥(MR2S)は、それぞれの材料系における無機防炎剤(IFA)としての利用のための所定の特性を有して供給することができる。再水和後の吸熱エンタルピーが大きいほど、材料系における充填度は小さくなるはずである。
改質された再水和赤泥(MR2S)の吸熱反応はおよそ180℃〜350℃の温度範囲に及ぶため、ATH及び/又はMDHの使用は、改質された再水和赤泥(MR2S)、すなわち1つの単一物質に部分的又は完全に置き換えることができる。
改質された再水和赤泥(MR2S)は、とりわけ材料系への組込みを単純化するためにその表面積に関して改質することができる。
とりわけ、改質された再水和赤泥(MR2S)はナノクレイでコーティングすることができる。結果として、火が発生したときに灰の更に改善されたガラス化がもたらされる。改質された再水和赤泥(MR2S)に含まれるクレイ状化合物も、自ら灰のガラス化をもたらす。
とりわけ、微粉化した改質された再水和赤泥(MR2S)は、高温で焼結した結果、上記のガラス質の灰が生成される傾向にある。
要約すると、改質された再水和赤泥(MR2S)は、ATH及びMDHの応用分野を網羅するものであり、その難燃作用におけるこの範囲を超える。ナノクレイによるコーティングによって、灰の問題は改善されたガラス化により解決される。赤泥(RM)は、改質された再水和赤泥(MR2S)のための基本的な原材料として大量に入手可能であるため、とりわけ全ての大量生産物品に経済的価値として無機防炎剤(IFA)をもたらすことが可能である。
可燃性物質、例えばポリマーへの無機防炎剤(IFA)の組込みのために、ポリマーの耐水性を増大するように、水溶性ソーダの割合(NaOの重量%で表される)は可能な限り低減しなければならない。当然、これはとりわけケーブルの絶縁材に適用される。
難燃剤が、
10重量%〜50重量%の鉄化合物と、
12重量%〜35重量%のアルミニウム化合物と、
5重量%〜17重量%のSiOと、
2重量%〜10重量%のTiOと、
0.5重量%〜6重量%のCaOと、
3重量%〜10重量%のNaOと、
を含む鉱物組成物を含むことを特徴とする、可燃性材料と難燃剤(以下で防炎剤又は難燃材と称する)とを含む耐火材料系を開示する。
鉱物組成物はとりわけ改質された再水和赤泥(MR2S)であってもよい。鉄の化合物及びアルミニウムの化合物が主に水酸化物又はオキシ水酸化物として存在し、酸化物として存在しないことが重要である。アルミニウムの化合物及び鉄の化合物は全て、再水和プロセスによって主に水酸化物又はオキシ水酸化物に変換される。アルミニウムの場合、γAl及びベーマイトがギブサイトに変換され、鉄の場合には、ヘマタイトがゲータイトに変換される。このように、可能な限り高いステージの吸熱エンタルピーに達するため、火炎抑制が可能な限り高くなる。
材料系は、建築材料、プラスチック製品、ゴム製品、チップボード、又は1つ又は複数のポリマーから作られるケーブル絶縁材若しくはケーブルシースであってもよい。
材料系は、3重量%〜95重量%の割合で難燃材を含むことができる。
難燃剤は30重量%〜100重量%の割合の鉱物組成物(MR2S)を含むことができ、0重量%〜70重量%のそれぞれの残りの割合が更なる難燃組成物又は難燃添加剤によって形成されることができる。
更なる難燃組成物又は難燃添加剤は無機非毒性吸熱反応物質を含むことができる。
更なる難燃組成物又は難燃添加剤はとりわけ、塩水和物、水酸化物及び炭酸塩を含むことができる。
溶解性NaOの含有量は0.03重量%未満、又は0.003重量%、又は0.003重量%〜0.03重量%に調整される。
本発明はまた、可燃性材料系、可燃性建築材料、プラスチック、ゴム、チップボード材料又はケーブルシースのための難燃材としての上記の難燃材の使用を開示する。
さらに、本発明は、耐火材料系の製造方法であって、
a.可燃性材料を準備する工程と、
b.可燃性材料に、防炎剤を配合又はコーティングする工程と、それにより、
c.耐火材料系を得る工程と、
を含む、耐火材料系の製造方法を開示する。
工程bで言及される難燃剤中の鉱物組成物は、微粉砕されたものであってもよく、好ましくは0.5μm〜50μm、好ましくは0.5μm〜10μmの平均粒径(d50)を有していてもよい。
難燃剤は、工程bにおける配合又はコーティング前に、物理加工、とりわけ粉砕されていてもよい。
難燃剤に、表面処理、とりわけ、難燃剤とポリマーマトリックスとの相溶性を改善させるか、又は灰の改善されたガラス化をもたらす物質によるコーティングを施してもよい。このガラス化は、火が発生したときに火炎前面への酸化(熱分解)ガスの拡散を防止するか、又は表面を隔離し、かつケーブルシステムの場合、火災状態下で可能な限り長く機能性を保証するものである。
難燃剤の表面のコーティングのためには、とりわけ、シラン、脂肪酸及び軟化剤、並びに既知のプロセスが使用される。灰のガラス化の改善のためには、とりわけナノクレイ、ホウ酸及び金属誘導体、並びにスズ酸亜鉛及び/又はスズ酸水酸化亜鉛、並びに、上記の組成物の組合せが使用される。起こり得る無炎燃焼もこのようにして防止される。
[発明の詳細な説明]
定義
「耐火材料系」という表現は、可燃性材料が難燃剤と接触した結果、部材中に存在する可燃性材料の火又は熱による発火が防止されるか又は減速される部材を意味すると理解される。とりわけ、難燃剤は、例えば配合又はコーティングによって可燃性材料に永久に関連付けられるものである。
本発明の文脈の中で「難燃剤」は、防炎剤、とりわけ非毒性ハロゲン無含有無機防炎剤、とりわけ改質された再水和赤泥(MR2S)であると理解される。
可燃性材料又は引火性材料は、可燃性又は引火性である任意の材料、とりわけポリマー及び不揮発性炭化水素であると理解される。例は、アクリル系分散体、アクリル樹脂、エラストマー、エポキシ樹脂、ラテックス分散体、メラミン樹脂、ポリアミド(PA)、ポリエチレン(PE)、PEコポリマー、サーモプラスチックPEコポリマー、架橋PEコポリマー、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂(UP)、ポリウレタン、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、PVCプラスチゾル、ウレタンをベースとしたサーモプラスチックエラストマー(TPU)、ビニルエステル樹脂、ビチューメン等である。「可燃性」及び「引火性」は本明細書で同義語として理解されるものとする。
赤泥(RM)は、ボーキサイトからのATHの抽出において生成される、バイヤー法による残渣であると理解される。改質された再水和赤泥(MR2S)は、再水和、乾燥、粉砕、他の物質の混和、表面のコーティング等によって赤泥(RM)から生成される生成物であると理解される。改質された再水和赤泥(MR2S)は、多くとも0.4重量%の含水量、0.03重量%を超える溶解性NaOの含有量、及び0.5μm〜50μm、好ましくは0.5μm〜10μmの粒度(d50)を有する。
本発明の主題
本発明では、いわゆる改質された再水和赤泥(MR2S)を無機防炎剤(IFA)として使用する。
赤泥は、バイヤー法によるアルミナの生成によって生じる。バイヤー法において、好適なボーキサイトが、乾燥及び粉砕され、算出された比率で濃縮苛性ソーダ水溶液と混合されて、高温及び高圧でオートクレーブプロセス又はチューブ消化プロセスにおいて分解される。得られるアルミン酸Na溶液を分離する。希釈後、種結晶として新たな析出ATHと撹拌することによってATHが析出される。アルミナ(Al)は、水酸化アルミニウム(ATH)から生成され、アルミニウム金属がアルミナから生成される。
オートクレーブプロセス又はチューブ消化プロセスにおいて放出されない残渣は、分離され、洗浄され、濃縮され、処分場で「赤泥」として堆積される。「赤泥」という名称は、高い鉄含有量に起因するその赤色に由来するものである。
使用されるボーキサイトの品質に応じて、生成されるアルミニウム1トン毎に、不可避な副産物としておよそ50%の含水量を有する1トン〜2トンの赤泥が生成される。毎年何百万トンもの赤泥が生成されており、これは、処分場に既に捨てられている量とともに深刻な問題を構成している。経済的に実行可能な使用のための関連規模で赤泥を送ることが今まで不可能であったため、赤泥は依然としてゴミとみなされて、処分のために送られている。赤泥の処分は、主に封鎖された処分場における貯蔵によって行われる。大きい処分区域が必要とされるととともに赤泥の輸送のために多くの費用がかかるため、この貯蔵形態は費用がかかる上に複雑である。その上、とりわけ処分場の管理のための、処分場の使用により生じる長期コストが経済問題を構成する。したがって、赤泥に関する経済的に実行可能な使用の開発が至急必要とされる。
乾燥された赤泥の組成は、使用されるボーキサイトの組成によって実質的に求められる。オートクレーブ消化プロセス又はチューブ消化プロセスにおけるバイヤー法でのNaOHによる加圧浸出の実行も大きな影響を及ぼす。典型的な組成及び平均帯域幅が重量パーセンテージで表1に与えられる。以前は、あまり効果的にバイヤー法を行っていなかったため、この組成から逸脱する赤泥も処分場で見られていたと考えられる。
鉱物学的に、赤泥(RM)は、既に述べたように使用されるボーキサイトの組成及び浸出プロセスによって実質的に求められる、種々の鉱物と酸化物との混合物を形成する。RMは、例えば、ギブサイト、ベーマイト、γAl、ゲータイト、ヘマタイト、ルチル、アナターゼ、石英、カオリナイト、ヒドロキシソーダライト、方解石、及び他の物質を含有する。
粒度分布の測定は、RMが極めて細かい粉末として生じることを示す。
例えば示差熱分析(DTA)を活用する更なる調査から、赤泥(RM)が吸熱反応を有することが示される。この理由は、アルミニウム(ギブサイト及びベーマイト)及び鉄(ゲータイト)の水酸化物又はオキシ水酸化物の残渣が依然として赤泥(RM)中に含まれ、これらが吸熱反応を行って水を脱離させるからである。しかしながら、吸熱挙動は、極めて弱いものから明確に認識できるものまで変動する。この挙動は、新たに生成されたRM及び処分場に堆積されるRMの両方によって示される。広い解析調査からこの現象は説明される。つまり、RM中の水酸化物及びオキシ水酸化物の残渣、例えばギブサイト、ベーマイト又はゲータイトだけが、およそ180℃〜350℃の温度範囲における水の脱離を含む上記の吸熱挙動を示す。これらの残渣は重要なことに、使用されるボーキサイトに応じて決まるが、とりわけ消化プロセス、並びにそのために用いられる温度及び圧力に応じて決まる。消化中の温度が高いほど、Al及びFeの組成物の場合、水酸化物から、オキシ水酸化物を介して、180℃〜350℃の好ましい温度範囲で吸熱反応をもはや示さない純粋な酸化物へと平衡がより移行する。したがって、吸熱挙動及び必要とされる水の脱離はかなり大きく変動する。それ故、生成プロセス中に析出される赤泥(RM)を所定のIFAとして使用することはできない。
本発明によれば、その吸熱挙動及び水の脱離を著しく推進させるために、それ故、極めて有効で再現可能な、及び或る程度規格化された無機難燃材を生成する機会を広げるために、赤泥(RM)を改質、とりわけ再水和する。アルミニウムの場合、経路は酸化アルミニウム及びオキシ水酸化アルミニウムの変換を介して水酸化アルミニウムへと至る、すなわちγAlがATH(ギブサイト)となり、酸化アルミニウム(ベーマイト)がATH(ギブサイト)となる。鉄の場合、酸化鉄(ヘマタイト)がオキシ水酸化鉄(ゲータイト)に変換される。それ故、再水和後に、アルミニウム及び鉄の化合物が全て主に水酸化物/オキシ水酸化物として存在する結果、水酸化物及びオキシ水酸化物のみが吸熱反応及び水の脱離を示すことから、改質された再水和赤泥(MR2S)としてその後存在する生成物はIFAとしての最大限の可能性を完全に発揮することができる。
その化学組成及び鉱物組成に関して、廃棄物としてバイヤー法において生じる赤泥(RM)との比較によると、改質された再水和赤泥(MR2S)は、赤泥(RM)からの化学反応によって生成される全く異なる生成物である。改質された再水和赤泥(MR2S)は主に水酸化物及びオキシ水酸化物を含有する。改質により、記載のように、初めて非毒性ハロゲン無含有無機防炎材に関する商品を生産することができる。
MR2Sの生成
原則、無機鉱酸、とりわけ硫酸又は塩酸による赤泥(RM)の処理によって、改質された再水和赤泥(MR2S)の生成が行われる。
それ故、例えば、赤泥(RM)を濃硫酸(例えば96%又は70%)と組み合わせることができる。溶解挙動に関しては、水の添加によって、存在するそれぞれの赤泥についての最適な温度及び酸濃度を設定することができる。この場合、ギブサイト等の水酸化Al、ベーマイト及びγAl等のオキシ水酸化アルミニウム、またゲータイト等のオキシ水酸化鉄、並びにヘマタイト等の酸化鉄が、アルミニウム及び鉄の硫酸塩に大いに溶解される。
再水和によって、Al塩及びFe塩を水酸化物又はオキシ水酸化物として回収することができる。酸化物及びオキシ水酸化物の水酸化物への変換により、基本的な原材料として使用される赤泥(RM)の化学組成に関して吸熱エンタルピーは増大する。再水和後の水酸化物/オキシ水酸化物と酸化物との比率は水酸化物に大きく偏っている。
酸による赤泥(RM)の処理後、不溶性残渣の酸性濾液を分離することができ、水酸化物又はオキシ水酸化物の析出が不溶性フィルター残渣からの単離において起こる。
それ故、再水和は、通常アルカリ性の赤泥(RM)を酸性領域へと転換させることで起こり、酸化物及び水酸化物/オキシ水酸化物を溶解させた後に、再度アルカリ性にする。この場合、金属塩、とりわけ金属硫酸塩を、水酸化物又はオキシ水酸化物として析出させる。酸化物の含有量は、かなり低減するか、又は水酸化物/オキシ水酸化物に完全に転換される。
ATH等の通常の無機難燃材では、アルカリ性範囲でのみ生成が起こり、例えば、洗浄によって溶解性NaOの含有量及びpH値を最適化しなければならないのに対し、改質された再水和赤泥(MR2S)の生成は、媒体をアルカリ性から酸性に、その後、中性からアルカリ性に変えることによって、熱挙動に関して、また例えば溶解性NaOの含有量等の化学特性に関して特定の用途に最適化し、またこの用途に合うように調整し得る生成物を回収することができる。それ故、例えば酸性からアルカリ性への「滴定」によって、0.003重量%未満の溶解性NaOの含有量を設定することができる。
改質された再水和赤泥(MR2S)の製造法の概説から、赤泥(RM)の改質、とりわけ再水和により改質された再水和赤泥(MR2S)とともに、初期の赤泥と組成が異なりかつ化学組成及び鉱物組成、その熱挙動及びその物理挙動に関して新規である新たな物質を回収することができ、またその特定の用途及びそのために必要とされる性質のために、それは特異的かつ再現可能なように調節され得ることが示される。
赤泥(RM)では、アルミニウム(ギブサイト及びベーマイト)及び鉄(ゲータイト)の水酸化物/オキシ水酸化物が、とりわけ吸熱反応の原因である。図1は、ベーマイト(図1a)、ハイドラーギライト(ギブサイト)(図1b)及びゲータイト(図1c)の熱分析曲線(DTA)を示す(G. Liptay, Atlas of thermoanalytical Curves, Heyden & Son Ltd., London 1973より)。
バイヤー法において生成される赤泥(RM)中におけるアルミニウム及び鉄の水酸化物/オキシ水酸化物及び酸化物の残存含有量に応じて、再水和後にアルミニウム及び鉄の全ての塩を水酸化物/オキシ水酸化物としてほぼ完全に回収することができる。赤泥(RM)の化学分析は、再水和後に水酸化物/オキシ水酸化物の最大含有量がどれほど大きいかを特定するものである。それ故、吸熱効果も確定される。
RM中に存在する水酸化物/オキシ水酸化物及び酸化物の再水和の可能性を超えるより高い吸熱効果は、例えばアルミニウム、鉄又はマグネシウムの水酸化物/オキシ水酸化物の添加によって場合のみ生じ得る。
実施例1+実施例2
オートクレーブ消化プロセス及びチューブ消化プロセスからのおよそ50gの赤泥サンプルを、200mlの70%HSOで懸濁させた後、1時間撹拌する。溶解プロセスを促進させるために、600mlの蒸留水を2つの懸濁液の各々に添加する。この場合に起こる熱作用の次に、懸濁液を加熱板上でおよそ80℃〜90℃へと更に加熱する。溶解プロセスは懸濁液の赤色が見えなくなった後に終了し、溶解しなかった残渣は灰色を呈していた。真空濾過を用いた残渣の分離除去後、それを僅かな水で洗浄し、次に乾燥キャビネット内において105℃で乾燥させる。
オートクレーブ消化及びチューブ消化による赤泥(RM)からの2つの酸性濾液をNaOH溶液の慎重な添加によって中和する。その後、NaOHの更なる添加によって、アルカリ性範囲(pH値10〜11)で、鉄及びアルミニウムの溶解塩が水酸化物又はオキシ水酸化物として析出する。鉄の割合が高いために、堆積物は赤褐色となる。次に、懸濁液を濾過除去し、フィルター残渣から硫酸ナトリウム及び苛性ソーダ溶液を少なくとも部分的に洗い出すために、フィルター残渣を熱い蒸留水で洗浄する。その後、フィルター残渣をフィルターキャビネット内において105℃で乾燥させる。
その後、オートクレーブ消化プロセス及びチューブ消化プロセスから得られる2つのサンプルを放射線透過及び熱分析により試験する。
放射線透過試験結果
種結晶を添加することなく迅速に析出するために、水酸化物及びオキシ水酸化物が主に非晶質形態で得られる。鉱物組成について、鉄及びアルミニウムの組成物に関する以下の含有量を半定量的に求めることができた(表2参照)。
図2〜図8は、アルミニウムの場合の酸化物の水酸化物又はオキシ水酸化物への、又はオキシ水酸化物の水酸化物への変換を示す。これらの図から、DTA(示差熱分析)測定、TG(熱重量)測定及びDTG(示差熱重量)測定が示される。
ベーマイト(図1a)、ハイドラーギライト(ギブサイト)(図1b)及びゲータイト(図1c)の熱分析曲線(DTA)である。 オートクレーブ消化による洗浄した赤泥サンプルのDTA曲線及びTG曲線である。220℃と280℃との間で、ギブサイト及びベーマイトの残渣部分の吸熱反応を記録する。ゲータイトの反応は記録していない。 チューブ消化による洗浄した赤泥サンプルのDTA曲線及びTG曲線である。220℃と280℃との間で、ギブサイト及びベーマイトの残渣部分の吸熱反応を記録する。ゲータイトの反応は記録していない。 オートクレーブ消化による赤泥サンプルの酸性消化後のフィルター残渣(溶解しなかった部分)のDTA曲線及びTG曲線である。吸熱反応は確認することができない。それ故、酸性消化では、吸熱反応構成成分、同様に酸化物が全て溶出した(放射線透過分析を参照)。 チューブ消化による赤泥サンプルの酸性消化後のフィルター残渣(溶解しなかった部分)のDTA曲線及びTG曲線である。吸熱反応は確認することができない。それ故、酸性消化では、吸熱反応構成成分、同様に酸化物が全て溶出した(放射線透過分析を参照)。 オートクレーブ消化(pH10.9)による赤泥の濾液の析出のDTA曲線及びTG曲線である。顕著な吸熱反応は214℃〜およそ350℃で再度起こる。この理由は、再アルカリ化後に硫酸溶液の析出により生成される非晶質であるギブサイト、ベーマイト及びゲータイトの含有量のためである。 チューブ消化(pH11.1)による赤泥の濾液の析出のDTA曲線及びTG曲線である。顕著な吸熱反応は268℃〜およそ350℃で再度起こる。この原因は、アルミニウムが厳しい条件(270℃/60バール)に基づくチューブ消化において主に溶出されるため、とりわけゲータイトにある。これらの条件下で、ゲータイトはヘマタイトに転換される。再水和後、ヘマタイトは再度、吸熱反応を起こすゲータイトとして存在する。 ゲータイト参照例であるBayoxide E99 163のDTA曲線及びTG曲線である。吸熱反応は236℃〜およそ350℃で起こる。それらは、チューブ消化RMに由来するチューブ消化経路の濾液の析出による吸熱反応に匹敵するものである。
考察
消化プロセス、すなわちオートクレーブ消化又はチューブ消化に応じて、赤泥は依然としてAl化合物及びFe化合物の残渣を含有する。Al組成物は水酸化物(ギブサイト)、オキシ水酸化物(ベーマイト)又は酸化物(γAl)として存在していてもよい。オートクレーブ消化による赤泥の場合、Fe化合物が主にヘマタイトとして存在し、チューブ消化の場合には、それらがほぼ例外なくヘマタイトとして存在する。
上記のプロセスに従い、すなわち酸性消化後に、アルミニウムの水酸化物/オキシ水酸化物及び酸化物はほぼ全て鉄と同様に溶解する。例えばアルカリ性媒体中における更なる析出後、Al化合物及びFe化合物は水酸化物/オキシ水酸化物としてほぼ完全に析出される。酸化物の含有量はかなり低減されるか又はゼロになる。
それ故、再水和に起因して、酸化物が水酸化物/オキシ水酸化物へとまた変換されるか、又はオキシ水酸化物(Alの場合)が水酸化物へと変換されることが報告される。それ故、初期のRMに含まれるAl化合物及びFe化合物の含有量は吸熱反応物質へとほぼ完全に変換することができる。RMの起源にかかわらず、すなわち初期ボーキサイト及び選ばれる特定の消化プロセスにかかわらず、RMの吸熱反応は、初期の赤泥におけるAl化合物及びFe化合物の化学物質含有量に関して最大限に推進される。それ故、IFAとしての使用に著しく好適な新規な物質を生成することが可能である。さらに、上述の反応及びプロセスは全て、本発明によるMR2S物質とともに行うことができる。
実施形態
したがって、難燃剤が、
10重量%〜50重量%の鉄化合物と、
12重量%〜35重量%のアルミニウム化合物と、
5重量%〜17重量%のSiOと、
2重量%〜21重量%のTiOと、
0.5重量%〜6重量%のCaOと、
3重量%〜10重量%のNaOと、
を含む鉱物組成物を含むことを特徴とする、可燃性材料と難燃剤とを含む耐火材料系を開示する。
MR2Sでは、水酸化鉄(ゲータイト)と酸化鉄(ヘマタイト)との比率がほぼ例外なくゲータイトの方向に移行することが開示される。MR2Sでは、水酸化アルミニウム(ギブサイト)及びオキシ水酸化アルミニウム(ベーマイト)と、酸化アルミニウム(γAl)との比率が水酸化アルミニウム/オキシ水酸化アルミニウムの方向に大きく移行することが開示される。
この場合、鉱物組成物は、10重量%〜45重量%、30重量%〜50重量%又は40重量%のFeを含むことができる。
この場合、鉱物組成物は、12重量%〜30重量%、20重量%〜35重量%又は25重量%のAlを含むことができる。
この場合、鉱物組成物は、5重量%〜17重量%、10重量%〜17重量%又は15重量%のSiOを含むことができる。
この場合、鉱物組成物は、5重量%〜21%、2重量%〜15重量%又は7重量%のTiOを含むことができる。
この場合、鉱物組成物は、0.5重量%〜6重量%、0.5重量%〜2.5重量%、0.5重量%〜1.5重量%又は1重量%のCaOを含むことができる。
この場合、鉱物組成物は、5重量%〜10重量%、3重量%〜6重量%、8重量%〜10重量%又は0.02重量%のNaOを含むことができる。
この場合、上記に挙げられる範囲はそれぞれ組み合わされる。とりわけ、鉱物組成物は、
40重量%の鉄化合物と、
25重量%のアルミニウム化合物と、
15重量%のSiOと、
7重量%のTiOと、
1重量%のCaOと、
0.02重量%のNaOと
を含んでいてもよく、Fe及びAlの化合物中における水酸化物及びオキシ水酸化物と酸化物との比率は著しく水酸化物/オキシ水酸化物側に位置する。
鉱物組成物は輸入再水和赤泥(MR2S)であってもよい。MR2Sが生成される赤泥は、世界中のあらゆる地域の最重要産業国、とりわけ、ドイツ、オーストラリア、アイスランド、中国、インド、USA又はジャマイカにおける原材料としての国産ボーキサイト又は改質されたボーキサイトからのオートクレーブ消化プロセス又はチューブ消化プロセスにおけるバイヤー法によるアルミナ又はATHの生成に由来するものであってもよい。
材料系は、建築材料、プラスチック製品、ゴム製品、チップボード又はケーブルシースであってもよい。とりわけ、材料系は、ターポリン、カーペット裏地コーティング、床仕上げ材、ルーフィング膜、コンベヤベルト、ケーブル、異形押出材(profiled section)(窓、ドア用にプラスチックから作られる)、パイプ、シール、チップボード、射出成形品、ラミネート、回路基板、チューブ、注型用樹脂、発泡体等であってもよい。
材料系は、3重量%〜95重量%の割合で難燃材を含むことができる。
材料系における難燃材の割合は、使用される特定の可燃性材料又は材料系に応じて決めることができる。この場合、作業性、安定性及び可撓性に関する可燃性材料及び得られる材料系の物理技術特性の同時に起こる最適化とともに、可能な限り高い難燃効果を確実なものとする必要がある。高い吸熱エンタルピーを有するIFAの場合、充填度が低減される可能性があるため、とりわけ可燃系の物理的特性はあまり変化を受けない。
とりわけ、材料系は、3重量%〜90重量%、3重量%〜80重量%、3重量%〜70重量%、3重量%〜60重量%、3重量%〜50重量%、3重量%〜40重量%、3重量%〜30重量%、3重量%〜20重量%、3重量%〜15重量%、3重量%〜10重量%、3重量%〜4重量%の割合の難燃材を含有していてもよい。とりわけ、材料系は、10重量%〜90重量%、20重量%〜90重量%、30重量%〜90重量%、40重量%〜90重量%、50重量%〜90重量%、60重量%〜90重量%、70重量%〜90重量%、80重量%〜90重量%の割合の難燃材を含有していてもよい。さらに、これらの範囲境界を別の範囲境界と組み合わせてもよい。それ故、80重量%〜90重量%の範囲は、3重量%〜90重量%と3重量%〜80重量%との範囲から構成してもよく、70重量%〜90重量%の範囲は5重量%〜70重量%と30重量%〜90重量%との範囲から構成されてもよい。さらに、材料系は、3〜95の重量パーセンテージで難燃材を含むことができ、この範囲内の各値は開示されているとみなされる。
難燃剤は30重量%〜100重量%の割合の鉱物組成物(MR2S)を含むことができ、0重量%〜70重量%のそれぞれの残りの割合が更なる難燃組成物によって形成されることができる。
また、難燃剤は、40重量%〜100重量%、50重量%〜100重量%、60重量%〜100重量%、70重量%〜100重量%、80重量%〜100重量%、90重量%〜100重量%、30重量%〜90重量%、30重量%〜80重量%、30重量%〜70重量%、30重量%〜60重量%、30重量%〜50重量%、又は30重量%〜40重量%の割合の鉱物組成物を含んでいてもよく、0重量%〜70重量%のそれぞれの残りの割合は更なる難燃組成物から構成することができる。上記で既に説明したように、これらの範囲は組み合わせることができるため、例えば40重量%〜100重量%と30重量%〜70重量%との範囲を組み合わせて40重量%〜70重量%とすることができる。さらに、難燃材は、30〜100の重量パーセンテージで鉱物組成物を含むことができ、この範囲内の各値は開示されているとみなされる。
更なる難燃組成物は無機非毒性吸熱反応物質を含むことができる。
更なる難燃組成物はとりわけ、塩水和物、水酸化物及び炭酸塩を含むことができる。考え得る水酸化物は、例えば、三水酸化アルミニウム、ともに2m/g〜50m/gの(BET)比表面及び1μmよりかなり小さい平均粒子直径(d50)を有する合成MDH(いわゆるナノ水酸化マグネシウム)であるゲータイト又は二水酸化マグネシウム、並びにまた、比例するハイドロマグネサイト又はヒドロキシ炭酸マグネシウムを様々な量で含有するか又は含有していてもよい、最大50μm、好ましくは最大10μmの粒度(平均粒子直径)(d50)を有する天然の粉砕ブルーサイトである。考え得る塩水和物は、例えばケイ酸ナトリウム水和物又はケイ酸カルシウム水和物、硫酸アルミニウムカルシウム水和物等である。考えられ得る炭酸塩は、例えば炭酸カルシウム、二炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等である。
MR2Sは、0.03重量%、好ましくは0.003重量%〜0.03重量%という溶解性NaOの最大含有量を有する。
MR2Sは、0.5μm〜50μm、好ましくは0.5μm〜10μmの粒度を有する。
本発明はまた、可燃性材料系、可燃性建築材料、プラスチック、ゴム、チップボード材料又はケーブルシースのための難燃材としての上記の難燃材料の使用を開示する。
さらに、本発明は、耐火材料系の製造方法であって、
a.可燃性材料を準備する工程と、
b.可燃性材料に、難燃材料を配合又はコーティングする工程と、それにより、
c.耐火材料系を得る工程と、
を含む、耐火材料系の製造方法を開示する。
工程bで言及される難燃剤中の鉱物組成物は、微粉砕されたものであってもよく、好ましくは、0.5μm〜10μm、0.5μm〜9μm、0.5μm〜8μm、0.5μm〜7μm、0.5μm〜6μm、0.5μm〜5μm、0.5μm〜4μm、0.5μm〜3μm、0.5μm〜2μm、0.5μm〜1μm、1μm〜9μm、2μm〜9μm、3μm〜9μm、4μm〜9μm、5μm〜9μm、6μm〜9μm、7μm〜9μm、8μm〜9μmの平均粒径(d50)を有していてもよい。範囲境界の組合せによって構成され得るあらゆる範囲が開示されているとみなされる。
難燃剤は、工程bにおける配合又はコーティング前に、物理加工、とりわけ粉砕されていてもよい。粉砕は、難燃剤を任意の平均粒度に低減させるように作用することができる。達した粒度は0μm〜10μmのいずれの値を有していてもよい。MR2Sが10μmより大きい粒度で得られる場合、特別な用途については、10μmより大きい粒度を有するMR2Sを粉砕することなく使用することができる。
さらに、難燃剤は、難燃剤と、本明細書に開示される可燃剤の1つ、とりわけポリマー又はポリマーマトリックスとの相溶性を改善させるために、物質によるコーティング又は表面処理によって改質することができる。
難燃剤の表面のコーティングには、一般的な従来技術による従来のカップリング系、とりわけ、シラン、脂肪酸及び軟化剤が使用される。これは主に、とりわけ、弾性、熱硬化性又は熱可塑性であってもよいポリマーマトリックスにおける加工/組込みの単純化のために作用する。加えて、特に必要とされる特徴的なプロファイルの組合せに関して、本発明によるIFA系の特徴的なプロファイルが影響を受けることがある。単独又は組み合わせたMR2Sは、ナノクレイ、残燼抑制剤(ホウ酸亜鉛及びホウ酸誘導体、スズ酸亜鉛/スズ酸水酸化亜鉛)並びに他のハロゲン無含有IFA等の本発明による相乗剤と配合させることができ、その後、併せて表面改質することができる。代替的には、MR2Sと相乗剤との混合物をマスターバッチ形態で使用してもよい。
表面コーティング単独によって及び/又はとりわけナノクレイ(SCP(Gonzales, Texas, USA)製のCloisite)と組み合わせて、火が発生したときに生成される灰を、相当な残留弾性を伴い多形でガラス質の稠度で生成させることが可能である。
初期調査は、改質された再水和RMの効果を求めるために、種々のプラスチックの燃焼特性及び機械的性質に関して行った。実験のねらいは、通常使用されるATH及びMDHがMR2Sで部分的及び/又は完全に置き換えられるかどうかを確かめることであった。
実験は、それぞれ、純粋なATH又はMDHと比較することによって、2つの極性プラスチック(PVC及びエチレンビニルアセテート(EVA))並びに2つの非極性プラスチック(PE及びPP)について行った。
実施例は、手引き及び説明のためであって、限定のための役割を果たすものではないが、特許保護範囲は特許請求の範囲によって排他的に規定される。
実施例1 PVC
使用される基本的な原材料は、
窓用異形押出材のための標準的なPVC−U、
MR2S(ゼロサンプル)との比較のための参照物質としての、Martinal OL 104//LEO(Albemarle(Bergheim))ATH成分とした。
以下の組成を有する無機防炎剤(IFA)としてのMR2S:
Fe 33.12%(水酸化物/酸化物比 6.3:1)
Al 25.68%(水酸化物/酸化物比 4.2:0.9)
SiO 11.16%
TiO 7.55%
CaO 3.20%
NaO 0.03%
初めに、コンテナミキサ(CM 80(Mixaco))内でドライブレンドを生成した。Weber Maschinenfabrik 製のDS 7.22タイプの二重反転二軸スクリュー押出機を用いてドライブレンドから異形押出材を作製した。押出温度は180℃〜およそ190℃とした。
引張試験(DIN EN ISO 527、タイプ1B)及び燃焼試験(DIN 4102、プロセスB)のために、作製された異形押出材から試験対象物を機械加工によって取り出した。
以下の配合物を生成した:
4%の無機防炎剤を有する、窓用異形押出材のためのPVC−U配合物
無機防炎剤の組成:
100% ATH 0% IFA(ゼロサンプル)IFAがMR2Sに等しい
80% ATH 20% IFA(サンプル1)
50% ATH 50% IFA(サンプル2)
20% ATH 80% IFA(サンプル3)
0% ATH 100% IFA(サンプル4)
以下の試験を行った:
引張強度[MPa] DIN EN ISO 527
44.18±1.37 ゼロサンプル
46.67±0.28 サンプル1
45.67±0.28 サンプル2
45.40±0.32 サンプル3
48.51±3.16 サンプル4
引張弾性率(Eモジュラス)[MPa] DIN EN ISO 527
2923±226 ゼロサンプル
3068±164 サンプル1
2991±97 サンプル2
2983±36 サンプル3
2952±99 サンプル4
燃焼特性 DIN 4102、プロセスB
燃焼挙動を確認するために、試験対象物を燃焼試験(DIN 4102のプロセスBに従う)にかけた。試験では、試験対象物の端部における着火、燃焼速度、並びに建築材料の燃焼粒子及び燃焼液滴を評価した。
配合物を用いた燃焼試験において、燃焼試験片の火炎ピークが上方測定マークに達したものはない。燃焼試験片はその前に自然に消火される。それに基づき、サンプルは全て耐火クラスK1に属するものである。
DIN 4102 プロセスBに従う燃焼挙動は、ATHをIFAで部分的又は完全に置き換えても変わらないままである。
実施例2 EVA
EVA配合物の製造において、ZSE 27 Mxxを配合機として使用した。押出温度は145℃〜160℃とした。顆粒を生成するためには押出造粒機を使用した。配合中、IFAは、ATHよりも、組込み及び分散を大いに単純化するかなり良好な流動性を有することが確認された。衝撃引張強度試験(DIN EN ISO 8256)、引張試験(DIN ISO 527)及び酸素試験(LOI、DIN ISO 4589−2)のために試験対象物はEVA化合物から射出成形した。
出発材料
1.2%の接着促進剤と0.4%の安定化剤とを伴うEVA
Martinal OL 104/LEO(ATH成分)
無機防炎剤(IFA)としてのMR2S
配合物
60%の防炎剤を伴うEVA
防炎剤の組成:
100% ATH 0% IFA ゼロサンプル
66.7% ATH 33.3% IFA サンプル1
50% ATH 50% IFA サンプル2
33.3% ATH 66.7% IFA サンプル3
以下の試験を行った:
引張強度[MPa] DIN EN ISO 527
6.16±0.05 ゼロサンプル
6.17±0.05 サンプル1
6.29±0.05 サンプル2
6.42±0.05 サンプル3
引張弾性率[MPa] DIN EN ISO 527
93±2 ゼロサンプル
88±2 サンプル1
87±3 サンプル2
90±2 サンプル3
破断点伸び[%] DIN EN ISO 527
120.57±13.83 ゼロサンプル
96.30±6.01 サンプル1
108.27±8.69 サンプル2
117.51±4.92 サンプル3
衝撃強度[KJ/m] DIN EN ISO 8256
139.27±4.83 ゼロサンプル
139.78±4.18 サンプル1
138.27±5.66 サンプル2
149.00±8.33 サンプル3
燃焼特性
DIN EN ISO 4589−2に従う酸素指数[%]
36.3±0.10 ゼロサンプル
32.1±0.4 サンプル1
30.1±0.7 サンプル2
30.0±0.1 サンプル3
実施例3 PE
共回転二軸スクリュー混練機ZSE 18 HPE内でPE系配合物を可塑化及び均質化させた。配合機内の温度は190℃〜220℃とした。引張試験(DIN EN ISO 527、タイプ1B)、衝撃強度試験(DIN EN ISO 179)及び燃焼試験(UL 94)のために試験対象物はPE化合物から射出成形法によって生成した。
出発材料:
PE Magnesia 7287/Brenntag、化学的に純粋な水酸化マグネシウム(MDH、ゼロサンプル)
無機防炎剤(IFA)としてのMR2S
配合物
50%の防炎剤を伴うPE
防炎剤の組成:
100% MDH 0% AFM ゼロサンプル
70% MDH 30% AFM サンプル1
50% MDH 50% AFM サンプル2
30% MDH 70% AFM サンプル3
以下の試験を行った:
引張強度[MPa] DIN EN ISO 527
25.49±0.28 ゼロサンプル
25.41±0.20 サンプル1
25.51±0.13 サンプル2
25.81±0.14 サンプル3
引張弾性率[MPa] DIN EN ISO 527
2755±102 ゼロサンプル
2457±113 サンプル1
2521±60 サンプル2
2632±116 サンプル3
破断点伸び[%] DIN EN ISO 527
1.99±0.27 ゼロサンプル
1.82±0.16 サンプル1
1.87±0.18 サンプル2
3.09±0.30 サンプル3
シャルピー衝撃強度[KJ/m] DIN EN ISO 179
6.85±0.85 ゼロサンプル
6.28±0.54 サンプル1
5.94±0.33 サンプル2
7.53±0.34 サンプル3
引火特性[mm/分] UL 94 水平試験
13.8±0.25 ゼロサンプル
12.8±0.22 サンプル1
13.7±0.33 サンプル2
16.3±0.34 サンプル3
実施例4 PP
共回転二軸スクリュー混練機ZSE 18 HPE内でPP系配合物を可塑化及び均質化させた。配合機内の温度は190℃〜220℃とした。引張試験(DIN EN ISO 527、タイプ1B)、衝撃強度試験(DIN EN ISO 179)及び燃焼試験(UL 94)のために試験対象物はPE化合物から射出成形法によって生成した。
出発材料:
PP Magnesia 7287/Brenntag、化学的に純粋なマグネシウム(MDH成分、ゼロサンプル)
無機防炎剤(IFA)としてのMR2S
配合物
50%の防炎剤を伴うPP
防炎剤の組成:
100% MDH 0% AFM ゼロサンプル
70% MDH 30% AFM サンプル1
50% MDH 50% AFM サンプル2
30% MDH 70% AFM サンプル3
以下の試験を行った:
引張強度[MPa] DIN EN ISO 527
27.29±0.20 ゼロサンプル
28.17±0.10 サンプル1
28.43±0.10 サンプル2
29.38±0.83 サンプル3
引張弾性率[MPa] DIN EN ISO 527
3893±112 ゼロサンプル
3886±109 サンプル1
3606±100 サンプル2
3695±116 サンプル3
破断点伸び[%] DIN EN ISO 527
1.34±0.09 ゼロサンプル
1.35±0.09 サンプル1
1.47±0.12 サンプル2
1.43±0.11 サンプル3
シャルピー衝撃強度[KJ/m] DIN EN ISO 179
12.77±0.70 ゼロサンプル
11.18±0.60 サンプル1
11.01±0.84 サンプル2
10.92±0.99 サンプル3
引火特性[mm/分] UL 94 水平試験
11.5±0.32 ゼロサンプル
12.2±0.29 サンプル1
12.7±0.16 サンプル2
14.4±0.04 サンプル3
考察
全ての配合物はDIN 4102のプロセスB、又はUL 94(基準値:40mm/分未満の燃焼速度)に従う水平試験に準拠する。測定した燃焼速度は必要とされる値よりもかなり低かった。
それ故、PVC、EVA、PE及びPP化合物の初期試験によって、何ら更なる処理(例えばビニルシランによる表面コーティング)を伴うことなく試験で配合した改質された再水和RM(MR2S)が、その燃焼挙動に関してATH及びMDHと比較して、また実現される機械的特性に関してATH及びMDHと比較して、ともに同等の結果をもたらす、つまりMR2Sは首尾よく使用することができることが本発明により実証される。
MR2Sの難燃効果に関して、MR2Sの個々の吸熱反応構成成分、例えば、ゲータイト、ギブサイト、ベーマイト等のどのような寄与がどのような温度範囲でもたらされるか、また例えば相乗効果がお互いに起こるかどうかは重要ではない。MR2Sに含まれる全ての吸熱反応物質の火炎抑制についての寄与の合計がATH及びMDHの難燃効果に匹敵可能であるということが重要であるに過ぎない。
水の脱離及び水の気化によって生成される難燃性物質の吸熱効果は難燃効果に欠かせないものである。尺度はJ/g単位で測定される吸熱エンタルピーである。
吸熱エンタルピーは、熱重量測定(TG)、示差熱分析(DTA)及び動的示差走査熱量計測定(DSC)によって測定してもよい。
初期測定から、バイヤー法で生成されるようなRMは、極めて顕著なばらつきを伴うほんの小さい吸熱エンタルピーしか有しないことが確認される。他方、改質された再水和RM(MR2S)は、再水和によってFe及びAlの酸化物がまた吸熱反応しかしない水酸化物/オキシ水酸化物へと変換されるため、あまりばらつきのないかなり大きい吸熱エンタルピーを有する。それ故、特定の材料系に適応する均一なIFAをMR2Sから生成することができる。
IFAとしてのMR2Sを用いた初期試験では、材料系の防火挙動及び機械的特性が、IFAとしてのATH及びMDHのものと比較される。結果から、MR2Sが、ATH及びMDHに匹敵する結果をもたらすことが示される。MR2Sが、180℃〜350℃で吸熱エンタルピーを示すことから、MR2Sは、ATH及びMDHに部分的又は完全に取って代わることができる。改質、とりわけ再水和によりMR2Sが生成されるRMと比較することによって、MR2Sは化学的及び鉱物学的に、また吸熱挙動の点で全く異なる物質である。RMとは対照的に、MR2SはIFAとしてATH及びMDHに匹敵するものである。粉末X線回折計、DTA、TG及びDSCによる測定を用いて、改質、とりわけ再水和は、水酸化物/オキシ水酸化物と酸化物との比率を水酸化物/オキシ水酸化物の方へと移行し、このことはより高い吸熱エンタルピーと結び付けられると示され得る。それぞれの材料系におけるJ/g単位で測定される特異吸熱エンタルピーと充填度との関係はより重要である。ギブサイトの吸熱性はおよそ1000J/gであり、ベーマイトの吸熱性はおよそ500J/gであり、ゲータイトの吸熱性はおよそ260J/gである。しかしながら、ギブサイト(p=2.4g/cm)、ベーマイト(p=2.98g/cm)及びゲータイト(p=4.17g/cm)の密度を作用体積に関して考慮すると、MR2Sにおける3つの最も重要な吸熱反応構成成分の吸熱効果は同様の結論に落ち着く。この際、ゲータイトの寄与が大きくなる。
充填度×特異吸熱エンタルピーは、火炎抑制をもたらす「パッケージ」である。特異吸熱エンタルピーが高いほど、充填度は小さくなるはずであり、これは、経済的理由から、また材料系の機械的特性の理由からも重要である。充填度が小さくなるほど、材料系の機械的特性は小さくなるように変化する。
MR2Sの熱分解中には有毒ガスも腐食性ガスも生成されない。
MR2Sにより生成される化合物の機械的特性は、試験で測定され、ATH又はMDHにより生成される化合物と比較して類似の結果を示す。例えばシラン、脂肪酸又は軟化剤による難燃性物質の表面処理は、フィラーとポリマーマトリックスとの相溶性を補い、化合物の機械的特性を改善させる。ATH及びMDHにおいて使用される同様の表面処理を、MR2Sにおいても行って、特性を最適化することができる。
また、使用されるIFAの粒径及び粒度分布は、化合物の特性に関する重要な役割を果たす。これまでに市場にでているATH及びMDHをベースとした生成物を粒径及び粒度分布に関して特異的に調節することは従来技術の一環である。例えばATHは微粉化析出反応によって生成することができるが、MR2Sの場合には、その水不溶性のために、超微粉砕するのに粉砕プロセス及び篩分を行わなければならない。MR2Sと同様にRMも極めて微粉化した形態とすることが好ましい。
ATH製品の熱安定性は225℃にまで及び、MDHのものは340℃にまで及ぶ。この点において、実際のところ200℃未満の加工温度でATH製品を通常使用し、200℃を超える加工温度でMDH製品を通常使用する。本発明によれば、200℃未満及び200℃を超える加工温度でMR2Sを使用することができる。
ATH、MDH及び本発明によりMR2SをベースとするIFAは、とりわけポリマーにおいて使用されるが、他の可燃性材料系を使用してもよい。
ポリマーの例は、アクリル系分散体、アクリル樹脂、エラストマー、エポキシ樹脂、ラテックス分散体、メラミン樹脂、PA、PE、PEコポリマー、サーモプラスチックPEコポリマー、架橋PEコポリマー、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂(UP)、ポリウレタン、PP、PVC、PVCプラスチゾル、TPU、ビニルエステル樹脂等である。使用例は、ターポリン、カーペット裏地コーティング、床仕上げ材、ルーフィング膜、コンベヤベルト、ケーブル、異形押出材、パイプ、チップボード、射出成形品、ラミネート、回路基板、チューブ、注型用樹脂、発泡体、及びその他多くのものである。
それ故、本発明を用いて、ハロゲン無含有無機非毒性難燃材としてあらゆる種類の材料系に使用することができる、オートクレーブ消化プロセス又はチューブ消化プロセスによるバイヤー法において生成されるRMに由来する新規な物質、すなわちMR2Sを、化学反応によって、例えば再水和又は他の改質によって生成することが可能である。MR2Sが高温範囲で反応するために、MR2SはATH及び/又はMDHに部分的又は完全に取って代わることができる。

Claims (25)

  1. 赤泥(RM)を改質して成り、
    10重量%〜50重量%の鉄化合物と、
    12重量%〜35重量%のアルミニウム化合物と、
    5重量%〜17重量%のケイ素化合物と、
    2重量%〜21重量%のTiOと、
    0.5重量%〜6重量%のカルシウム化合物と、
    の鉱物組成物を有する改質された再水和赤泥(MR2S)を含むハロゲン無含有無機防炎剤であって、
    前記鉄の化合物が、該鉄化合物中の酸化物100重量部に対して、50重量部より大きい/に等しい水酸化物及びオキシ水酸化物を有し、かつ
    前記アルミニウムの化合物が、該アルミニウム化合物中の酸化物100重量部に対して、50重量部より大きい/に等しい水酸化物及びオキシ水酸化物を有する、改質された再水和赤泥(MR2S)を含むハロゲン無含有無機防炎剤。
  2. 前記鉄の化合物が、該鉄化合物中の酸化物100重量部に対して、80重量部より大きい/に等しい水酸化物及びオキシ水酸化物を有し、または
    前記アルミニウムの化合物が、該アルミニウム化合物中の酸化物100重量部に対して、80重量部より大きい/に等しい水酸化物及びオキシ水酸化物を有する、請求項1に記載の改質された再水和赤泥(MR2S)を含むハロゲン無含有無機防炎剤。
  3. 溶解性NaOの割合が0.03重量%に等しいか又はそれ未満であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の改質された再水和赤泥(MR2S)を含むハロゲン無含有無機防炎剤。
  4. 平均粒径(d50)が、50μm未満であるか又はそれに等しいことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の改質された再水和赤泥(MR2S)を含むハロゲン無含有無機防炎剤。
  5. 平均粒径(d50)が、0.5μm〜10μmであることを特徴とする、請求項4に記載の改質された再水和赤泥(MR2S)を含むハロゲン無含有無機防炎剤。
  6. 残留水分が0.4重量%未満であるか又はそれに等しいことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の改質された再水和赤泥(MR2S)を含むハロゲン無含有無機防炎剤。
  7. 前記改質された再水和赤泥(MR2S)の表面が、該改質された再水和赤泥(MR2S)とポリマーマトリックスとの相溶性を改善させる少なくとも1つの物質でコーティング又は表面改質処理される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の改質された再水和赤泥(MR2S)を含むハロゲン無含有無機防炎剤。
  8. 前記物質が、カップリング剤、ホウ酸及びその金属塩、スズ酸亜鉛、スズ酸水酸化亜鉛、又はそれらの組合せを含有する、請求項7に記載の改質された再水和赤泥(MR2S)を含むハロゲン無含有無機防炎剤。
  9. 前記無機防炎剤の表面が、前記MR2S中のクレイ状構成成分に起因して既に起こっている灰のガラス化を改善させるために、ナノクレイでコーティングされることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の改質された再水和赤泥(MR2S)を含むハロゲン無含有無機防炎剤。
  10. 更なる難燃添加剤が前記防炎剤と0重量%〜70重量%の割合で混和される、請求項1〜9のいずれか1項に記載の改質された再水和赤泥(MR2S)を含むハロゲン無含有無機防炎剤。
  11. 前記更なる難燃添加剤が吸熱反応物質である、請求項10に記載の改質された再水和赤泥(MR2S)を含むハロゲン無含有無機防炎剤。
  12. 前記吸熱反応物質が、水酸化アルミニウム、ギブサイト、ベーマイト、水酸化マグネシウム、ゲータイト、又はそれらの混合物である、請求項11に記載の改質された再水和赤泥(MR2S)を含むハロゲン無含有無機防炎剤。
  13. 可燃性材料と、請求項1〜12のいずれか1項に記載の防炎剤とを含む、耐火材料系。
  14. 建築材料、プラスチック製品、ゴム製品、チップボード又はケーブルシースであることを特徴とする、請求項13に記載の材料系。
  15. 3重量%〜95重量%の割合で前記防炎剤を含むことを特徴とする、請求項13又は14に記載の材料系。
  16. 前記防炎剤が30重量%〜100重量%の割合の鉱物組成物を含み、0重量%〜70重量%のそれぞれの残りの割合が更なる難燃組成物によって形成されることを特徴とする、請求項13〜15のいずれか1項に記載の材料系。
  17. 前記更なる難燃組成物が無機非毒性吸熱反応物質を含むことを特徴とする、請求項16に記載の材料系。
  18. 前記更なる難燃組成物が、塩水和物、水酸化物及び炭酸塩を含むことを特徴とする、請求項16又は17に記載の材料系。
  19. 可燃性材料系、可燃性建築材料、プラスチック、ゴム、チップボード材料又はケーブルシースのための難燃材としての請求項1〜12のいずれか1項に記載の防炎剤の使用。
  20. 耐火材料系の製造方法であって、
    a.可燃性材料を準備する工程と、
    b.前記可燃性材料に、請求項1〜12のいずれか1項に記載の防炎剤を配合又はコーティングする工程と、それにより、
    c.耐火材料系を得る工程と、
    を含む、耐火材料系の製造方法。
  21. 工程bの配合又はコーティング前に、前記防炎剤を粉砕することを特徴とする、請求項20に記載の方法。
  22. 工程bの配合又はコーティング前に、前記防炎剤を、ナノクレイ、ホウ酸誘導体、又はスズ酸亜鉛/スズ酸水酸化亜鉛と一緒に粉砕することを特徴とする、請求項21に記載の方法。
  23. 工程bで言及される防炎剤に残燼を防止する物質による表面コーティングを施すことを特徴とする、請求項20〜22のいずれか1項に記載の方法。
  24. カップリング剤、またナノクレイ、ホウ酸及びその金属塩、スズ酸亜鉛、スズ酸水酸化亜鉛、またはそれらの組合せにより前記防炎剤の表面をコーティングすることを特徴とする、請求項20〜23のいずれか1項に記載の方法。
  25. マスターバッチ(濃縮物)形態のエラストマー系及びサーモプラスチック系において前記防炎剤とともに使用する場合、ナノクレイ、ホウ酸亜鉛、ホウ酸誘導体又はスズ酸亜鉛/スズ酸水酸化亜鉛を顆粒形態で添加する、請求項20〜22のいずれか1項に記載の方法。
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