特に定義しない限り、本明細書で用いる技術的及び科学的用語は、当業者に一般的に理解されるものと同じ意味を有する。以下の略称及び/又は用語は、明確さのために定義される。
本明細書で使用される「生物界面活性剤」又は「生物学的に生産された界面活性剤」は、「発泡を起こす」物質に関連する。生物界面活性剤又は生物学的に生産された界面活性剤は、水と疎水性液体との間又は水と空気との間の界面張力などの表面張力を低下させることができ、生物システムから生成又は獲得することができる。生物界面活性剤又は生物学的に生産された界面活性剤は、タンパク質、糖脂質、リポペプチド、リポタンパク質、リン脂質、中性脂質又は脂肪酸であってもよい。生物界面活性剤は、ヒドロホビンを含む。生物界面活性剤は、サーファクチン、ペプチド−脂質、セラウェッチン、ビスコシン、サブチリシン、グラミシジン、ポリミキシンなどのリポペプチド及びリポタンパク質を含む。生物界面活性剤は、ラムノ脂質、ソホロ脂質、トレハロ脂質(trehalolipid)及びセロビオ脂質(cellobiolipid)などの糖脂質を含む。生物界面活性剤は、エマルサン(emulsan)、バイオディスパーサン(biodispersan)、マンナン−脂質−タンパク質、リポサン(liposan)、炭水化物−タンパク質−脂質、タンパク質PAなどのポリマーを含む。生物界面活性剤は、ベシクル、線毛、及び細胞全体などの微粒子を含む。生物界面活性剤は、サポニンなどの配糖体を含む。生物界面活性剤は、フィブロインなどの繊維性タンパク質を含む。生物界面活性剤は、天然に存在し、又は天然に見出されない変異誘発された若しくは遺伝子組み換えされた変異体であってもよい。この変異体には、生物界面活性剤の溶解度を低下させることにより発泡を抑制することを助ける、溶解度を低下させるように操作された、本発明による生物界面活性剤変異体が含まれる。生物界面活性剤には、本明細書に記載するような、関連する生物界面活性剤、誘導性生物界面活性剤、変異性生物界面活性剤及び相同性生物界面活性剤が含まれるが、これらに限定されない。
本明細書で使用される「生物システム」は、微生物、植物、真菌、昆虫、脊椎動物、又は合成生物学により創造された生命形態などの生物を含み、又は該生物に由来する。生物は、伝統的な繁殖、クローン選択、突然変異誘発、及び遺伝的多様性を形成する同様の方法により得られる、天然に見出されない変異体であってもよく、又は組み換えDNA技術により得られる、遺伝子組み換えされた生物であってもよい。生物は、その全体が使用されてもよく、又は器官培養物、植物栽培品種、懸濁細胞培養物、細胞培養物、接着細胞培養物、若しくは細胞フリー調製物などの、構成成分の供給源であってもよい。
生物システムは、生物界面活性剤を隔離する際、生細胞を含んでも又は含まなくてもよい。生物システムは、天然源から見出され若しくは収集されてもよく、又は飼育、栽培されてもよく、又は工業的条件下で増殖されてもよい。生物システムは、供給された前駆体若しくは栄養素から生物界面活性剤を合成してもよく、又はその環境から生物界面活性剤を富ませてもよい。
本明細書で使用される「生産」は、化学製品及び生物学的製品を生産するための製造方法に関し、回収、収集、圧縮、瀉血、解離、均質化、すり潰し、醸造、発酵、回収、固液分離、細胞分離、遠心分離、濾過(真空濾過など)、配合、保管又は輸送を含むが、これらに限定されない。
本明細書で使用される「プロセス条件」は、本発明の方法に関与する溶媒及び/又は物理的パラメータ(非制限的に温度、圧力、混合又はpHなど)の選択を指す。
本明細書で使用される「溶媒」又は「溶液」は、非限定的に身体部分、植物断片、生細胞又は死細胞などの、不溶性生物界面活性剤以外の浮遊粒子を含んでもよい液体に関する[欧州特許第1320595号、Yoneda et al.;Syldatk et al./1984;Desaiet al./1993により]。
本明細書で使用される「可溶性」は、溶媒又は溶液に溶解される物質に関する。
本明細書で使用される「泡」は、液体中、ゲル中又は半固体中に捕捉される気体泡により形成される物質に関する。
本明細書で使用される「オーバーラン」は、発泡した溶液の体積−開始体積を、開始体積で除算した計算値であり、割合又は百分率として報告される。ゼロのオーバーランは、溶液が泡を含まないことを意味する。ゼロに近い数は、溶液が非常に少ない泡を有することを意味する。初期サンプルが既に泡を含む場合、計算において初期体積を初期重量で置き換える。
本明細書で使用される「泡低下指数」、「泡抑制指数」、又は「泡排除(knockout)指数」は、泡を抑制する処理の有効性の評価基準である。これは、処理溶液に対する未処理溶液のオーバーランの比である。約1に等しい泡低下指数は、未処理及び処理生物界面活性剤溶液が同一のオーバーランを有すること、換言すれば、処理が改善を提供しないことを意味する。1を超える任意の数は、泡低下が存在すること、処理が改善を提供することを意味する。
本明細書で使用される「泡抑制」、「泡低下」又は「泡排除」は、泡を防止、阻止、粉砕、又は破壊することにより、溶液中の泡を低減する作用に関する。
本明細書で使用するとき、用語「ポリペプチド」及び「タンパク質」は、ペプチド結合により連結されたアミノ酸残基を含む任意の長さのポリマーを指すために互換的に使用される。アミノ酸残基について、本明細書では従来の1文字コード又は3文字コードが使用される。ポリマーは直鎖又は分枝鎖であってよく、修飾されたアミノ酸を含んでもよく、非アミノ酸によって中断され得る。この用語は、自然に又は介在によって、例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、又は任意の他の操作若しくは修飾、例えば、標識成分との共役によって修飾されたアミノ酸ポリマーも包含する。例えば、1つ以上のアミノ酸類似体(例えば、非天然アミノ酸、D−アミノ酸などを含む)を含むポリペプチド、及び当該技術分野で既知の他の変更もまた、この定義の中に含まれる。
本明細書で使用される「培養溶液」は、所望の生物界面活性剤、及び他の可溶性又は不溶性の構成成分を含む液体である。そのような構成成分には、他のタンパク質、例えば、細胞又は細胞残屑、核酸、多糖、脂質、消泡剤などの化学物質、凝集剤、塩、糖、ビタミン、増殖因子、沈殿剤などの非タンパク質性不純物が挙げられる。「培養溶液」は、「タンパク質溶液」、「液体培地」、「透析濾過(diafiltered)ブロス」、「透明化ブロス」、「濃縮物」、「調整培地」、「発酵ブロス」、「溶菌ブロス」、「溶菌液」、「細胞ブロス」、又は単に「ブロス」とも称され得る。存在する場合、細胞は、細菌性、真菌性、植物、動物、ヒト、昆虫、合成性などであってもよい。
本明細書で使用される用語「回収」は、生物界面活性剤と1種以上の不必要な構成成分とを含む液体培養物が、水、細胞及び細胞残屑、他のタンパク質、アミノ酸、多糖、糖、ポリオール、無機又は有機塩、酸及び塩基、並びに微粒子材料などの不必要な構成成分の少なくともいくつかから生物界面活性剤を分離するプロセスに供される、プロセスを指す。
本明細書で使用される「生物界面活性剤製品」は、消費者などのエンドユーザに提供するのに好適な生物界面活性調製物を指す。生物界面活性剤製品は、添加されて又は維持されて機能的保存期限を延長し、又は生物界面活性剤のエンドユーズ用途を容易にする、細胞、細胞残屑、培地構成成分、緩衝剤などの配合賦形剤、塩、防腐剤、還元剤、糖、ポリオール、界面活性剤などを含んでもよい。
本明細書で使用されるように、機能的に及び/又は構造的に類似する生物界面活性剤は、「関連する生物界面活性剤」であると見なされる。そのような生物界面活性剤は、異なる属及び/若しくは種の生物に由来してもよく、又は更には、異なる生物の綱(例えば、細菌及び真菌)に由来してもよい。関連生物界面活性剤は、一次配列分析によって決定されるか、三次構造分析によって決定されるか、又は免疫学的交差反応性によって決定される、相同体も包含する。
本明細書で使用するとき、用語「誘導性生物界面活性剤」は、N−末端及びC−末端のいずれか若しくは両方に1つ以上のアミノ酸を付加することにより、アミノ酸配列中の1つ若しくは多数の異なる部位で1つ以上のアミノ酸を置換することにより、及び/又はタンパク質のいずれか若しくは両方の末端で又はアミノ酸配列中の1つ以上の部位で1つ以上のアミノ酸を欠失させることにより、及び/又はアミノ酸配列中の1つ以上の部位で1つ以上のアミノ酸を挿入することにより、生物界面活性剤から誘導されるタンパク質ベースの生物界面活性剤を指す。生物界面活性剤誘導体の調製は、天然タンパク質をコードするDNA配列を改変し、このDNA配列により好適な宿主を形質転換させ、改変されたDNA配列を発現させてタンパク質誘導体を形成することにより、達成されてもよい。「誘導性生物界面活性剤」は、合成中又は合成後のいずれかに脂質又は炭水化物部分がタンパク質主鎖に結合された生物界面活性剤誘導体も包含することができる。
本明細書で使用される用語「誘導性生物界面活性剤」又は「変異性生物界面活性剤」は、1つ以上の脂質及び/若しくは糖を付加することにより、1つの若しくは多数の異なる部位を1つ以上の脂質及び/若しくは糖で置換することにより、及び/又は分子のいずれかの若しくは両方の末端で若しくは構造内の1つ以上の部位で、1つ以上の脂質及び/若しくは糖を欠失させることにより、並びに/又は構造内の1つ以上の部位に1つ以上の脂質及び/又は糖を挿入することにより、生物界面活性剤から誘導された脂質及び/又は糖ベースの生物界面活性剤を指してもよい。
関連(及び誘導性)生物界面活性剤には、「変異性生物界面活性剤」が含まれる。タンパク質ベースの変異性生物界面活性剤は、少数のアミノ酸残基の置換、欠失及び/又は挿入により、参照/親生物界面活性剤、例えば、野生型生物界面活性剤とは異なる。異なるアミノ酸残基の数は、1つ以上、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、30、40、50、又はそれ以上のアミノ酸残基であり得る。変異性生物界面活性剤は、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、又は更には、少なくとも約99%、又はそれ以上のアミノ酸配列同一性を野生形生物界面活性剤と共有する。変異性生物界面活性剤は、選択したモチーフ、ドメイン、エピトープ、保存領域などにおいても参照生物界面活性剤とは異なり得る。
本明細書で使用される用語「類似配列」は、生物界面活性剤と類似する機能、三次構造、及び/又は保存残基を提供する、タンパク質ベースの生物界面活性剤中の配列を指す。例えば、α−立体らせん又はβ−シート構造を含むエピトープ領域において、類似配列における置き換えアミノ酸は、好ましくは同一の特定構造を維持する。この用語は、ヌクレオチド配列、並びにアミノ酸配列も指す。いくつかの実施形態では、類似配列は、置き換えアミノ酸が、類似する機能又は改善された機能を示す変異酵素を生じるように開発される。いくつかの実施形態では、生物界面活性剤におけるアミノ酸の三次構造及び/又は保存残基は、所望のセグメント若しくは断片に位置するか、又はその付近に位置する。したがって、所望のセグメント又は断片が、α−立体らせん又はβ−シート構造を含む場合、置き換えアミノ酸は、好ましくはその特定の構造を維持する。
本明細書で使用される用語「相同性生物界面活性剤」は、参照生物界面活性剤に類似する活性及び/又は構造を有する生物界面活性剤を指す。相同体が必ず進化的に関連することは意図しない。それ故、この用語は、異なる生物から得られる同一の、類似する、又は対応する生物界面活性剤(即ち、構造及び機能の点で)を包含することが意図される。いくつかの実施形態では、参照生物界面活性剤に類似する四次、三次、及び/又は一次構造を有する相同体を同定することが望ましい。
配列間の相同性の程度は、当該技術分野にて既知の任意の好適な方法を用いて決定することができる(例えば、Smith and Waterman(1981)Adv.Appl.Math.2:482;Needleman and Wunsch(1970)J.Mol.Biol.,48:443;Pearson and Lipman(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:2444;Wisconsin Genetics Software PackageにおけるGAP、BESTFIT、FASTA、及びTFASTAなどのプログラム(Genetics Computer Group(Madison,WI));並びにDevereux et al.(1984)Nucleic Acids Res.12:387〜395参照)。
例えば、PILEUPは、配列相同性レベルを決定する有用なプログラムである。PILEUPは、ペアワイズアラインメントのプログレッシブ法を用いて、一群の関連する配列から複数の配列のアラインメントを行う。PILEUPは、アラインメントを行うのに使用されるクラスタリング関係を示す系統樹をプロットすることもできる。PILEUPは、Feng及びDoolittleの累進アライメント法を単純化したものを使用する(Feng and Doolittle(1987)J.Mol.Evol.35:351〜360)。この方法は、Higgins及びSharpにより記載されるものと類似している(Higgins and Sharp(1989)CABIOS 5:151〜153)。有用なPILEUPパラメータとしては、3.00のデフォルトギャップ重みづけ(default gap weight)、0.10のデフォルトギャップ伸長重みづけ(default gap length weight)、及び重みつき末端ギャップ(weighted end gaps)が挙げられる。有用なアルゴリズムの他の例は、Altschul et al.により記載されたBLASTアルゴリズムである(Altschul et al.(1990)J.Mol.Biol.215:403〜410;及びKarlin et al.(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:5873〜5787)。1つの特に有用なBLASTプログラムは、WU−BLAST−2プログラムである(Altschul et al.(1996)Meth.Enzymol.266:460〜480参照)。パラメータ「W」、「T」、及び「X」は、アライメントの感度及び速度を決定する。BLASTプログラムは、デフォルトとして11の単語長(W)、50のBLOSUM62スコア行列(Henikoff and Henikoff(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:10915参照)アラインメント(B)、10の期待値(E)、M’5、N’−4、及び両方の鎖の比較を使用する。
本明細書で使用するとき、少なくとも2つの核酸又はポリペプチドの文脈における語句「実質的に同様である」及び「実質的に同一である」は典型的には、ポリヌクレオチド又はポリペプチドが、参照(すなわち、野生型)配列と比較して、少なくとも約70%の同一性、少なくとも約75%の同一性、少なくとも80%の同一性、少なくとも約85%の同一性、少なくとも約90%の同一性、少なくとも約91%の同一性、少なくとも約92%の同一性、少なくとも約93%の同一性、少なくとも約94%の同一性、少なくとも約95%の同一性、少なくとも約96%の同一性、少なくとも約97%の同一性、少なくとも約98%の同一性、又は更には少なくとも約99%の同一性又はそれ以上の同一性を有する配列を含むことを意味する。配列同一性は、標準パラメータを用いた、BLAST、ALIGN、及びCLUSTALなどの既知のプログラムを使用して決定され得る(例えば、Altschul,et al.(1990)J.Mol.Biol.215:403〜410;Henikoff et al.(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:10915;Karin et al.(1993)Proc.Natl.Acad.Sci USA 90:5873;及びHiggins et al.(1988)Gene 73:237〜244を参照されたい)。BLAST解析を行うためのソフトウェアは、米国立生物工学情報センター(National Center for Biotechnology Information)より公的に入手可能である。FASTAを使用してデータベースを検索してもよい(Pearson et al.(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:2444〜2448)。2つのポリペプチドが実質的に同一である1つの印は、第一のポリペプチドが第二のポリペプチドと免疫学的に交差反応することである。典型的には、保存アミノ酸置換によって異なるポリペプチドは免疫学的に交差反応する。したがって、例えば、2つのポリペプチドが保存置換のみが異なるポリペプチドの場合は、実質的に第二ポリペプチドと同一である。2つの核酸配列が実質的に同一である他の印は、2つの分子がお互いに厳格な条件(例えば、中程度から高度に厳格な条件の範囲内)において、お互いにハイブリッドすることである。
本明細書で使用される「野生型」及び「天然」生物界面活性剤は、天然に見出されるものである。用語「野生型配列」及び「野生型遺伝子」は、本明細書で交換可能に使用されて、宿主細胞において天然又は自然発生する配列を指す。いくつかの実施形態では、野生型配列は、タンパク質設計計画の出発地点である所望の配列を指す。天然に存在するタンパク質をコードする遺伝子は、当業者に既知の一般的な方法に従って得ることができる。この方法は一般に、生物界面活性剤の領域をコードする推定配列を有する標識プローブを合成する工程と、タンパク質を発現する生物からゲノムライブラリーを調製する工程と、プローブに対するハイブリダイゼーションにより、所望の遺伝子に関してライブラリーをスクリーニングする工程と、を含む。次いで、ポジティブにハイブリダイズするクローンをマッピング及び配列する。
本明細書で使用される「不溶性」又は「不溶化」は、可溶性が乏しい又は非常に乏しい化合物に関連する。1mLのサンプルを14,000×gで10分間高速遠心分離することにより、化合物の不溶性部分を可溶性部分から分離することができる。別の方法としては、例えば、Millipore Durapore 1L瓶の頂部フィルターなどの0.45μm膜フィルターを通して濾過することにより、不溶性部分を可溶性部分から分離することができる。不溶性部分は遠心分離後にペレットとなり、又は濾過後にフィルター上に残留するであろう。別の方法としては、以前透明の溶液の不溶化は、濁り又は混濁の外観により認めることができる。別の方法としては、結晶又は沈殿物などの不溶性粒子は、光学顕微鏡検査により検知することができる。
本明細書で使用される「沈殿」は、化学反応による又は物理的条件の変化による、溶液からの化合物の不溶性形態の形成に関連する。本明細書で使用される「沈殿剤(precipitation agent)」又は「沈殿剤(precipitant)」は、沈殿を生じる薬剤に関連する。
本明細書で使用される「CMC」は、臨界ミセル濃度に関連し、濃度を超えるとミセルが形成し、系に添加される追加の界面活性剤のほとんど全部がミセルとなる、界面活性剤の濃度を指し得る。CMCは、界面活性剤の重要な特性である。CMCに到達する前、界面活性剤の濃度と共に表面張力が強く変化する。CMCに到達した後、表面張力は比較的一定に維持され、又はより小さい勾配にて変化する。所定の培地中の所定の分散剤に関するCMC値は、温度、圧力、並びに(時には強く)他の表面活性物質及び電解質の存在及び濃度に依存する。ミセルは、臨界ミセル温度を超える温度でのみ形成する。本明細書で使用されるように、CMCを低下させることは、溶液中の界面活性剤の濃度を低下させ、ひいては泡形成を低減する点で、生物界面活性剤の溶解度の低下と同一の効果を有する。
本明細書で使用される「宿主細胞」は、天然で又は組み換え方法によって、内部で生物界面活性剤が生産される任意の細胞であってもよい。宿主細胞には、アガリクス(Agaricus)属(例えば、アガリクスビスポラス(Agaricus bisporus))、アグロサイブ(Agrocybe)属(例えば、ポプラキノコ(Agrocybe aegerita))、アジェロミセス(Ajellomyces)属(例えば、アジェロミセスカプスラタス(Ajellomyces capsulatus)、アジェロミセスデルマティティディス(Ajellomyces dermatitidis))、アスペルギルス(Aspergillus)属(例えば、アスペルギルスアルビ(Aspergillus arvii)、アスペルギルスブレビプス(Aspergillus brevipes)、アスペルギルスクラバタス(Aspergillus clavatus)、アスペルギルスデリカウリス(Aspergillus duricaulis)、アスペルギルスエリプティカス(Aspergillus ellipticus)、アスペルギルスフラバス(Aspergillus flavus)、アスペルギルスフミガーツス(Aspergillus fumigatus)、アスペルギルスフミシネマタス(Aspergillus fumisynnematus)、アスペルギルスレンタス(Aspergillus lentulus)、アスペルギルスニゲル(Aspergillus niger)、ニホンコウジカビ(Aspergillus oryzae)、アスペルギルスユニラテラリス(Aspergillus unilateralis)、アスペルギルスビリジニュータンス(Aspergillus viridinutans))、バチルス(Bacillus)属(例えば、バチルスリケニフォルミス又はバチルスズブチルス(Bacillus subtilis))、ボーベリア(Beauveria)属(例えば、ボーベリアバッシアーナ(Beauveria bassiana))、カンジダ(Candida)属(例えば、カンジダボゴリエンシス(Candida bogoriensis)、カンジダボンビコラ(Candida bombicola))、クラビセプス(Claviceps)属(例えば、クラビセプスフシホルミス(Claviceps fusiformis))、コクシジオイド(Coccidioides)属(例えば、コクシジオイドポサダシ(Coccidioides posadasii))、コクリオボラス(Cochliobolus)属(例えば、コクリボルスヘテロストロフス(Cochliobolus heterostrophus))、クリニペリス(Crinipellis)属(例えば、クリニペリスペルニキオサ(Crinipellis perniciosa))、クリフォネクトリア(Cryphonectria)属(例えば、クロフォネクトリアパラシティカ(Cryphonectria parasitica))、ダビディエラ(Davidiella)属(例えば、ダビディエラタシアナ(Davidiella tassiana))、ディクチオネマ(Dictyonema)属(例えば、ディクチオネマグラブラタム(Dictyonema glabratum))、エメリセラ(Emericella)属(例えば、エメリセラニデュランス(Emericella nidulans))、エシェリキア(Escherichia)属(例えば、大腸菌(Escherichia coli))、フラムリナ(Flammulina)属(例えば、フランムリナベルティペス(Flammulina velutipes))、フサリウム(Fusarium)属(例えば、フサリウムクルモラム(Fusarium culmorum))、ギベレラ(Gibberella)属(例えば、ギベレラモニリホルミス(Gibberella moniliformis))、グロメレラ(Glomerella)属(例えば、グロメレラグラミニコラ(Glomerella graminicola))、グリフォラ(Grifola)属(例えば、グリフォラフロンドサ(Grifola frondosa))、ハンゼヌラ(Hansenula)属(例えば、ハンゼヌラポリモルファ(Hansenula polymorpha))、ヘテロバシジオン(Heterobasidion)属(例えば、ヘテロバシジオンアンノサム(Heterobasidion annosum))、ハイポクレア(Hypocrea)属(例えば、ハイポクレアジェコリナ(Hypocrea jecorina)、ハイポクレアリキシ(Hypocrea lixii)、ハイポクレアビレンス(Hypocrea virens)、クリヴェロミセス(Kluyveromyces)属(例えば、クリヴェロミセスラクチス(Kluyveromyces lactis))、ラッカリア(Laccaria)属(例えば、ラッカリアビカラ(Laccaria bicolor))、レンチヌラ属(Lentinula)(例えば、レンチヌラエドーデス(Lentinula edodes))、マグナポルテ(Magnaporthe)属(例えば、マグナポルテオリザエ(Magnaporthe oryzae))、マラスミウス(Marasmius)属(例えば、マラスミウスクラドフィラス(Marasmius cladophyllus))、モニリオフトラ(Moniliophthora)属(例えば、モニリオフトラペルニシオサ(Moniliophthora perniciosa))、ネオサルトリア(Neosartorya)属(例えば、ネオサルトリアアウレオラ(Neosartorya aureola)、ネオサルトリアフェンネリア(Neosartorya fennelliae)、ネオサルトリアフィッシェリ(Neosartorya fischeri)、ネオサルトリアグラブラ(Neosartorya glabra)、ネオサルトリアヒラツカ(Neosartorya hiratsukae)、ネオサルトリアニシムラ(Neosartorya nishimurae)、ネオサルトリアオータニ(Neosartorya otanii)、ネオサルトリアスードフィッシェリ(Neosartorya pseudofischeri)、ネオサルトリアクアドリシンクタ(Neosartorya quadricincta)、ネオサルトリアスパスラタ(Neosartorya spathulata)、ネオサルトリアスピノサ(Neosartorya spinosa)、ネオサルトリアストラメニア(Neosartorya stramenia)、ネオサルトリアウダガワ(Neosartorya udagawae))、ニューロスポラ(Neurospora)属(例えば、ニューロスポラクラッサ(Neurospora crassa)、ニューロスポラジスクレタ(Neurospora discreta)、ニューロスポラインターメディア(Neurospora intermedia)、ニューロスポラシトフィラ(Neurospora sitophila)、ニューロスポラテトラスペルマ(Neurospora tetrasperma))、ノムラエア(Nomuraea)属(例えば、ノムラエアリレイ(Nomuraea rileyi))、オフィオストマ(Ophiostoma)属(例えば、オフィオストマノボ−ウルミ(Ophiostoma novo-ulmi)、オフィオストマクエルカス(Ophiostoma quercus))、パラコクシジオイド(Paracoccidioides)属(例えば、パラコクシジオイドブラシリエンシス(Paracoccidioides brasiliensis))、パッサローラ(Passalora)属(例えば、パッサローラフルバ(Passalora fulva))、パキシルス(Paxillus)属(例えば、パキシルスフィラメントサス(Paxillus filamentosus)、パキシラスインボルタス(Paxillus involutus))、ペニシリウム(Penicillium)属(例えば、ペニシリウムカメンベルチ(Penicillium camemberti)、ペニシリウムクリソゲナム(Penicillium chrysogenum)、ペニシルムマルネッフェイ(Penicillium marneffei))、フレビオプシス(Phlebiopsis)属(例えば、フレビオプシスギガンテア(Phlebiopsis gigantea))、ピチア(Pichia)属(例えば、ピチアパストリス(Pichia pastoris))、ピソリタス(Pisolithus)(例えば、ピソリタスティンクトリウス(Pisolithus tinctorius))、プレウロタス(Pleurotus)属(例えば、プレウロタスオストレアタス(Pleurotus ostreatus))、ポドスポラ(Podospora)属(例えば、ポドスポラアンセリナ(Podospora anserina)))、ポスティア(Podospora)属(例えば、ポスティアプラセンタ(Postia placenta))、シュードモナス(Pseudomonas)属(例えば、シュードモナスアエルギノーザ(Pseudomonas aeruginosam)、シュードモナスフルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)、シュードモナスピオシアネア(Pseudomonas pyocyanea))、ピレノホラ(Pyrenophora)属(例えば、ピレノホラトリティキ−レペンティス(Pyrenophora tritici-repentis))、サッカロマイセス(Saccharomyces)属(例えば、サッカロマイセスセレヴィシエ(Saccharomyces cerevisiae))、シゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)属(例えば、シゾサッカロミセスポンベ(Schizosaccharomyces pombe))シゾフィリウム(Schizophyllum)属(例えば、シゾフィリウムコミューン(Schizophyllum commune))、ストレプトマイセス(Streptomyces)属(例えば、ストレプトマイセスリビダンス(Streptomyces lividans))、タラロマイセス(Talaromyces)属(例えば、タラロマイセスティピタトゥス(Talaromyces stipitatus))、トルロプシス(Torulopsis)属、トリコデルマ(Trichoderma)属(例えば、トリコデルマアスペレラム(Trichoderma asperellum)、トリコデルマアトロビリデ(Trichoderma atroviride)、トリコデルマビリデ(Trichoderma viride)、トリコデルマリーゼイ(Trichoderma reesii)[以前のハイポクレアジェコリナ(Hypocrea jecorina)])、トリコロマ(Tricholoma)属(例えば、トリコロマテレウム(Tricholoma terreum))、ウンキノカルプス(Uncinocarpus)属(例えば、ウンキノカルプスリーゼイ(Uncinocarpus reesii))、ベルティシリウム(Verticillium)属(例えば、ベルティシリウムダリア(Verticillium dahliae))、キサントダクチロン(Xanthodactylon)属(例えば、キサントダクチロンフランメウム(Xanthodactylon flammeum))、キサントリア(Xanthoria)属(例えば、キサントリアカルシコラ(Xanthoria calcicola)、キサントリアカペンシス(Xanthoria capensis)、キサントリアエクタネオイド(Xanthoria ectaneoides)、キサントリアフランメア(Xanthoria flammea)、キサントリアカロオエンシス(Xanthoria karrooensis)、キサントリアリグラタ(Xanthoria ligulata)、キサントリアパリエティナ(Xanthoria parietina)、キサントリアツルビナタ(Xanthoria turbinata))、又はヤロウィア(Yarrowia)属(例えば、ヤロウィアリポリティカ(Yarrowia lipolytica))が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明の方法は、培養溶液からの任意の生物界面活性剤の単離に適用することができる。有利には、生物界面活性剤は、微生物により分泌される可溶性細胞外生物界面活性剤である。例示的な生物界面活性剤の群は、糸状菌により発現され及び/又は糸状菌由来のシステイン−リッチポリぺプチドのクラスであるヒドロホビンである。ヒドロホビンは、細胞及び人工材料を含む物体の表面上に疎水性コーティングを形成する能力で既知の小(〜100アミノ酸)ポリぺプチドである。1991年にシゾフィリウムコミューン(Schizophyllum commune)において最初に発見されたヒドロホビンは、現在多数の糸状菌において認識されている。疎水性親水性指標(ハイドロパシー)及び他の生物物理学的特性における差異に基づいて、ヒドロホビンは、クラスI又はクラスIIとして分類される。ヒドロホビンは、保存システイン残基の独特の間隙と、疎水性パターンとに基づいて、2つの異なるクラス(I又はII)に分割される(Kershaw and Talbot 1998,Fungal Genet Biol 23:18〜23及びWosten 2001,Annu Rev Microbiol 55:625〜646)。クラスIIヒドロホビンの例に関しては、例えばLinder et al.(2005)FEMS Microbiology reviews,29:877〜96、及びKubicek et al.(2008)BMC Evolutionary Biology,8:4を参照されたい。
ヒドロホビンの発現は、従来、発酵中に大量の1種以上の抗発泡剤(即ち、消泡剤)の添加を必要とする。さもなくば、ヒドロホビンポリペプチドにより生成される泡は、ブリーザーフィルターを飽和させ、排気口を汚染し、圧力の蓄積を生じ、タンパク質の収量を低下させる。その結果、ヒドロホビンの粗濃縮物は、従来、特にヒドロホビンが食品添加剤として意図される場合、ヒドロホビン調製物中には望ましくない残留量の消泡剤、及び宿主細胞汚染物質を含む。
ヒドロホビンは、その実際の分子量を超える見かけ上の分子量を有する形態で可逆的に存在することができ、このことは、ヒドロホビンを本方法を用いた回収に非常に好適なものとする。ヒドロホビンを含む液体又は泡は、記載したように、タンパク質回収のために発酵槽から連続的に又は周期的に回収されてもよく、又は発酵操作の終わりに回分式に回収されてもよい。
ヒドロホビンは、当該技術分野にて既知の任意のクラスI又はクラスIIヒドロホビン、例えば、アガリクス属(例えば、アガリクスビスポラス)、アグロサイブ属(例えば、ポプラキノコ)、アジェロミセス属(例えば、アジェロミセスカプスラタス、アジェロミセスデルマティティディス)、アスペルギルス属(例えば、アスペルギルスアルビ、アスペルギルスブレビプス、アスペルギルスクラバタス、アスペルギルスデリカウリス、アスペルギルスエリプティカス、アスペルギルスフラバス、アスペルギルスフミガーツス、アスペルギルスフミシネマタス、アスペルギルスレンタス、アスペルギルスニゲル、アスペルギルスユニラテラリス、アスペルギルスビリジニュータンス)、ボーベリア属(例えば、ボーベリアバッシアーナ)、クラビセプス属(例えば、クラビセプスフシホルミス)、コクシジオイド属(例えば、コクシジオイドポサダシ)、コクリオボラス属(例えば、コクリボルスヘテロストロフス)、クリニペリス属(例えば、クリニペリスペルニキオサ)、クリフォネクトリア属(例えば、クロフォネクトリアパラシティカ)、ダビディエラ属(例えば、ダビディエラタシアナ)、ディクチオネマ属(例えば、ディクチオネマグラブラタム)、エメリセラ属(例えば、エメリセラニデュランス)、フランムリナ属(例えば、フランムリナベルティペス)、フサリウム属(例えば、フサリウムクルモラム)、ギベレラ属(例えば、ギベレラモニリホルミス)、グロメレラ属(例えば、グロメレラグラミニコラ)、グリフォラ属(例えば、グリフォラフロンドサ)、ヘテロバシジオン属(例えば、ヘテロバシイオンアンノサム)、ハイポクレア属(例えば、ハイポクレアジェコリナ、ハイポクレアリキシ、ハイポクレアビレンス)、ラッカリア属(例えば、ラッカリアビカラ)、レンチヌラ属(例えば、レンチヌラエドーデス)、マグナポルテ属(例えば、マグナポルテオリザエ)、マラスミウス属(例えば、マラスミウスクラドフィラス)、モニリオフトラ属(例えば、モニリオフトラペルニシオサ)、ネオサルトリア属(例えば、ネオサルトリアアウレオラ、ネオサルトリアフェンネリア、ネオサルトリアフィッシェリ、ネオサルトリアグラブラ、ネオサルトリアヒラツカ、ネオサルトリアニシムラ、ネオサルトリアオータニ、ネオサルトリアスードフィッシェリ、ネオサルトリアクアドリシンクタ、ネオサルトリアスパスラタ、ネオサルトリアスピノサ、ネオサルトリアストラメニア、ネオサルトリアウダガワ)、ニューロスポラ属(例えば、ニューロスポラクラッサ、ニューロスポラジスクレタ、ニューロスポラインターメディア、ニューロスポラシトフィラ、ニューロスポラテトラスペルマ)、ノムラエア属(例えば、ノムラエアリレイ)、オフィオストマ属(例えば、オフィオストマノボ−ウルミ、オフィオストマクエルカス)、パラコクシジオイド属(例えば、パラコクシジオイドブラシリエンシス)、パッサローラ属(例えば、パッサローラフルバ)、パキシルス属(例えば、パキシルスフィラメントサス、パキシラスインボルタス)、ペニシリウム属(例えば、ペニシリウムカメンベルチ、ペニシリウムクリソゲナム、ペニシルムマルネッフェイ)、フレビオプシス属(例えば、フレビオプシスギガンテア)、ピソリタス(例えば、ピソリサスティンクトリウス)、プレウロタス属(例えば、プレウロタスオストレアタス))、ポドスポラ属(例えば、ポドスポラアンセリナ))、ポスティア属(例えば、ポスティアプラセンタ)、ピレノホラ属(例えば、ピレノホラトリティキ−レペンティス)、シゾフィリウム属(例えば、シゾフィリウムコミューン))、タラロマイセス属(例えば、タラロマイセススティピタタス)、トリコデルマ属(例えば、トリコデルマアスペレラム、トリコデルマアトロビリデ、トリコデルマビリデ、トリコデルマリーゼイ(Trichoderma reesii)[以前のハイポクレアジェコリナ])、トリコロマ属(例えば、トリコロマテレウム)、ウンキノカルプス属(例えば、ウンキノカルプスリーゼイ)、ベルティシリウム属(例えば、ベルティシリウムダリア)、キサントダクチロン属(例えば、キサントダクチロンフランメウム)、キサントリア属(例えば、キサントリアカルシコラ、キサントリアカペンシス、キサントリアエクタネオイド、キサントリアフランメア、キサントリアカロオエンシス、キサントリアリグラタ、キサントリアパリエティナ、キサントリアツルビナタ)などからのヒドロホビンであってもよい。ヒドロホビンは、例えば、Sunde,M et al.(2008)Micron 39:773〜84;Linder,M.et al.(2005)FEMS Microbiol Rev.29:877〜96;及びWosten,H.et al.(2001)Ann.Rev.Microbiol.55:625〜46にて再検討される。
特に有利な実施形態では、ヒドロホビンは、トリコデルマ属(例えば、トリコデルマアスペレラム、トリコデルマアトロビリデ、トリコデルマビリデ、トリコデルマリーゼイ(Trichoderma reesii)[以前のハイポクレアジェコリナ])、有利にはトリコデルマリーゼイ(Trichoderma reseei)に由来する。
クラスI及びクラスIIヒドロホビンの両方は、疎水性界面において両親媒性フィルムに自己集合するタンパク質として、真菌中に確認されている。クラスIヒドロホビンの集団は、一般に、比較的不溶性であるが、クラスIIヒドロホビンの集団は、多様な溶媒中に容易に溶解する。有利には、ヒドロホビンは、水溶性であり、水溶性とは、ヒドロホビンが水中に少なくとも0.1%、好ましくは少なくとも0.5%、可溶性であることを意味する。少なくとも0.1%可溶性とは、99.9mLの水中の0.1gのヒドロホビンが、30,000gの遠心分離に20℃で30分間かけられた際、ヒドロホビン沈殿物が存在しないことを意味する。
本出願人らは、他の方法で生産されたヒドロホビンIIが、C末端にクリッピングされた(clipped)1つ以上のアミノ酸をもたらし得ることを観察した。本発明の方法により、特に、ヒドロホビンが沈殿された又は不溶性とされた場合、クリッピングは観察されない。
ヒドロホビン様タンパク質(例えば、「シャプリン(chaplin)」)も、放線菌(Actinomycete)及びストレプトマイセス(Streptomyces)属などの糸状菌中に確認されている(国際公開第01/74864;Talbot,2003,Curr.Biol,13:R696〜R698)。これらの細菌タンパク質は、ヒドロホビンに比べると、2つのみのシステイン残基を有し得るため、1つまでのみのジスルフィド架橋を形成し得る。そのようなタンパク質は、ヒドロホビン、及び本明細書の方法の生物界面活性剤の範囲内の他の種類の分子の機能的等価物の一例である。
ラムノ脂質は、シュードモナスアエルギノーザにより生産され及び/又はモナスアエルギノーザ由来の糖脂質の1クラスであり、細菌性界面活性剤を最もよく特徴付けるとして引用されることが多い。ラムノ脂質には、それぞれ1つ又は2つのラムノース基からなるモノラムノ脂質及びジラムノ脂質の2つの主なクラスが存在する。ラムノ脂質は、美容産業界にて保湿剤、練り歯磨き、コンドーム用潤滑剤及びシャンプーなどの製品用に広く使用されており、有機及び重金属汚染部位のバイオレメディエーションに有効である。ラムノ脂質はまた、シュードモナスアエルギノーザによる、原油及び野菜油などの廃棄炭水化物の分解を促進する。
ソホロ脂質は、カンジダ又は関連する酵母種により培養培地中で見出され及び該培地中に分泌され、界面活性剤として既知である。ヒドロキシ脂肪酸の性質は特徴的であり、ヒドロキシル基がn又はn−1炭素原子上に位置し、16、17又は18の炭素鎖長が、増殖培地の組成物による変更に供される。不飽和C18脂肪酸を有するソホロシド(Sophoroside)は、カンジダボゴリエンシス中に認められている。独特のソホロ脂質がトルロプシス属から単離され、このソホロ脂質は、ヒドロキシ脂肪酸のカルボキシ基がソホロースの末端グルコースの4’ヒドロキシル基でエステル化されている大環状ラクトンである点で、既に言及したものとは異なる。2つのアセテート基もその脂質内に存在する。ソホロ脂質は、その両親媒性の構造により、界面活性剤の活性を有する。ソホロ脂質生産物の中でも、カンジダボンビコラは、ソホロ脂質種を大量に生成するため、最も研究されている種である。ソホロ脂質は、硬質表面洗浄及び自動食器洗浄濯ぎ補助配合物に有用であることが示されている。
サーファクチンは、通常、抗生物質として使用される、非常に強力な界面活性剤である細菌性環状ポリペプチドである。サーファクチンは、グラム陽性内生胞子形成細菌バチルスズブチルスにより生成される24種類の抗生物質の1つである。サーファクチンの構造は、7つのアミノ酸(L−アスパラギン、L−ロイシン、グルタミン酸、L−ロイシン、L−バリン、及び2つのD−ロイシン)からなるペプチドループと、疎水性脂肪酸鎖とからなり、疎水性脂肪酸鎖に沿った13〜15個の炭素が、サーファクチンが細胞膜を貫通する能力を可能にしている。サーファクチンは、他の界面活性剤と同様、サーファクチンが溶解した液体の表面張力に影響を与える。サーファクチンは、20μMという低い濃度で、水の表面張力を72mN/mから27mN/mへ低下させることができる。
米国特許第7,906,315号、同第7,893,015号、同第7,887,906号、同第7,858,334号、同第7,749,203号、同第7,581,594号、同第7,556,654号、同第7,541,321号、同第7,540,926号、同第7,473,363号、同第7,413,643号、同第7,325,603号、同第7,226,897号、同第7,198,680号、同第6,956,122号、同第6,921,390号、同第6,727,223号、同第6,582,730号、同第6,475,968号、同第6,389,820号、同第6,369,014号、同第6,346,281号、同第6,319,898号、同第6,262,038号、同第6,063,602号、同第6,060,287号、同第6,051,552号、同第5,866,376号、同第5,767,090号、同第5,635,392号、同第5,551,987号、同第5,417,879号、同第5,128,262号、同第4,943,390号及び同第4,640,767号、並びに米国特許出願公開第20110065167号、同第20110027844号、20100323928号、同第20100168405号、同第20100144643号、同第20100143316号、同第20100004472号、同第20100000795号、同第20090288825号、同第20090269833号、同第20090203565号、同第20090170700号、同第20090148881号、同第20090098028号、同第20080296222号、同第20080293570号、同第20080193730号、同第20080085251号、同第20080023044号、同第20080023030号、同第20080020947号、同第20070249035号、同第20070249034号、同第20070215347号、同第20070134288号、同第20060106120号、同第20050271698号、同第20050266036号、同第20050227338号、同第20050176117号、同第20050106702号、同第20040251197号、同第20040244969号、同第20040231982号、同第20040156816号、同第20040152613号、同第20040022775号、同第20030096988号、同第20030018306号、同第20020176895号、同第20020123077号及び同第20020120101号に記載されているような生物界面活性剤も、本発明の方法により生産することができる。Surfactant Science Series Volume 48,BIOSURFACTANTS,Production Properties Applications,Naim Kosaric,editor,CRC Press 1993も参照されたい。
生物界面活性剤を生産させる発酵は、生物反応器又は発酵槽内の液体発酵培地中で宿主細胞又は微生物を培養することにより行われる。媒質の組成(例えば、栄養素、炭素源など)、温度及びpHは、培養物の増殖、及び/又は生物界面活性剤の生産に適切な条件を提供するように選択される。通常、空気又は酸素に富んだ空気が培地中に散布されて、培養物の呼吸のための酸素が提供される。
本発明は、生物界面活性剤を不溶性にする、培養溶液中で生物界面活性剤を沈殿させる任意の薬剤の添加又は処理に関する。詳細には、本発明の方法によって、生物界面活性剤を沈殿させる任意の薬剤又は処理が使用され得る。生物界面活性剤を沈殿させる薬剤には、塩、ポリマー、酸、溶媒又はアルコールが挙げられるが、これらに限定されない。生物界面活性剤を沈殿させる物理的条件には、熱における変化、又はpHにおける変化が挙げられるが、これらに限定されない。当業者は、生物界面活性剤を沈殿させる条件には、沈殿剤、物理的条件における変化、又はそれらの両方が挙げられることを理解するであろう。
詳細には、本発明はまた、本明細書に記載したプロセスにより生産され得る生物界面活性剤に関する。例えば、発酵が尚進行している間、発酵培地及び条件を変化させることにより従来の発酵技術を変更して、発現されたヒドロホビンをブロスに不溶性とすることにより、発酵中のフォームアウトが防止されたことを本明細書に提示する。変更された発酵を用いて生産されたヒドロホビンの組成物が図2に示され、質量7180のピークは、完全長ヒドロホビン分子に対応する。興味深いことに、本明細書に示した方法で生産されたヒドロホビンは、2つの変異体の混合物である天然に存在するヒドロホビンとは異なり、均質な製品をもたらす。したがって、本発明はまた、図2に示したスペクトルを有する任意のヒドロホビンを包含する。
有利には、沈殿剤は、塩であり又は塩を含み、塩は、陽イオン及び陰イオンを含む酸及び塩基の中和反応から生じ得るイオン性化合物、ハライド、例えばクロリド、フロリドブロミド、又はヨージドなど;シトレート;アセテート;ニトレート(又は硝酸塩)、亜硝酸塩、カーボネート;スルフェート;ホスフェート;スルファメート;ホスホネート;又はスルファメートなどの任意の好適な陰イオン;及び任意の好適な陽イオン、例えば、アンモニウム、カルシウム、アルミニウム、鉄、マグネシウム、リチウム、カリウム又はナトリウムなどの金属又は遷移金属を含むイオン性化合物である。塩は、有利には、多原子イオンを含み、より好ましくは硫酸塩を含む。塩は、硫酸アンモニウム、硫酸カルシウム、硫酸鉄、硫酸マグネシウム、硫酸カリウム若しくは硫酸ナトリウムであってもよく、又はこれらを含んでもよい。特に有利な実施形態では、塩は、硫酸ナトリウムであり、又は硫酸ナトリウムを含む。別の特定の有利な実施形態では、塩は、硫酸アンモニウムであり、又は硫酸アンモニウムを含む。別の実施形態では、塩は、酢酸塩、炭酸塩、塩化物塩、クエン酸塩、ギ酸塩、硝酸塩、又はリン酸塩であってもよい。
別の実施形態では、沈殿剤はアルコールである。アルコールは、メタノール、エタノール又はイソプロピルアルコールなどの一価又は多価C1〜C6アルコールなどの一価又は多価アルコールであってもよい。
別の実施形態では、沈殿剤は、水混和性有機溶媒である。溶媒は、アセトン又はケトンであってもよい。
別の実施形態では、沈殿剤は水溶性ポリマーである。ポリマーは、ポリエチレングリコール、又デキストランなどの多糖であってもよい。別の実施形態では、沈殿剤は、非限定的にC581(Cytec Industries(Woodland Park,NJ 07424))などの陽イオン性ポリマーである。
特に好ましい実施形態では、培養溶液のpHは、生物界面活性剤に応じて調整される。例えば、生物界面活性剤がヒドロホビンの場合、pHは、有利には約4.0±0.5である。pHは、約3.9±0.5〜約4.1±0.5、約3.8±0.5〜約4.2±0.5、約3.7±0.5〜約4.3±0.5、約3.6±0.5〜約4.4±0.5、約3.5±0.5〜約4.5±0.5、約3.4±0.5〜約4.6±0.5、約3.3±0.5〜約4.7±0.5、約3.2±0.5〜約4.8±0.5、約3.1±0.5〜約4.9±0.5、約3.0±0.5〜約5.0±0.5、約2.9±0.5〜約5.1±0.5、約2.8±0.5〜約5.2±0.5、約2.7±0.5〜約5.3±0.5、約2.6±0.5〜約5.4±0.5、約2.5±0.5〜約5.5±0.5、約2.4±0.5〜約5.6±0.5、約2.3±0.5〜約5.7±0.5、約2.2±0.5〜約5.8±0.5、約2.1±0.5〜約5.9±0.5又は約2.0±0.5〜約6.0±0.5の範囲であってもよい。
生物界面活性剤がラムノ脂質又はソホロ脂質の場合、pHは有利には約2.5±0.5である。pHは、約2.4±0.5〜約2.6±0.5、約2.3±0.5〜約2.7±0.5、約2.2±0.5〜約2.8±0.5、約2.1±0.5〜約2.9±0.5、約2.0±0.5〜約3.0±0.5、約1.9±0.5〜約3.1±0.5、約1.8±0.5〜約3.2±0.5、約1.7±0.5〜約3.3±0.5、約1.6±0.5〜約3.4±0.5、約1.5±0.5〜約3.5±0.5、約1.4±0.5〜約3.6±0.5、約1.3±0.5〜約3.7±0.5、約1.2±0.5〜約3.8±0.5、約1.1±0.5〜約3.9±0.5、約1.0±0.5〜約4.0±0.5、約0.9±0.5〜約4.1±0.5、約0.8±0.5〜約4.2±0.5、約0.7±0.5〜約4.3±0.5、約0.6±0.5〜約4.4±0.5又は約0.5±0.5〜約4.5±0.5の範囲であってもよい。
別の実施形態では、他の界面活性剤の有利なpHは、約pH 7.0±0.5、約pH 7.1±0.5、約pH 7.2±0.5、約pH 7.3±0.5、約pH 7.4±0.5、約pH 7.5±0.5、約pH 7.6±0.5、約pH 7.7±0.5、約pH 7.8±0.5、約pH 7.9±0.5、約pH 8.0±0.5、約pH 8.1±0.5、約pH 8.2±0.5、約pH 8.3±0.5、約pH 8.4±0.5、約pH 8.5±0.5、約pH 8.6±0.5、約pH 8.7±0.5、約pH 8.8±0.5、約pH 8.9±0.5、約pH 9.0±0.5、約pH 9.1±0.5、約pH 9.2±0.5、約pH 9.3±0.5、約pH 9.4±0.5、約pH 9.5±0.5、約pH 9.6±0.5、約pH 9.7±0.5、約pH 9.8±0.5、約pH 9.9±0.5、約pH 10.0±0.5、約pH 10.1±0.5、約pH 10.2±0.5、約pH 10.3±0.5、約pH 10.4±0.5、約pH 10.5±0.5、約pH 10.6±0.5、約pH 10.7±0.5、約pH 10.8±0.5、約pH 10.9±0.5、約pH 11.0±0.5、約pH 11.1±0.5、約pH 11.2±0.5、約pH 11.3±0.5、約pH 11.4±0.5、約pH 11.5±0.5、約pH 11.6±0.5、約pH 11.7±0.5、約pH 11.8±0.5、約pH 11.9±0.5、約pH 12.0±0.5、約pH 12.1±0.5、約pH 12.2±0.5、約pH 12.3±0.5、約pH 12.4±0.5、約pH 12.5±0.5、約pH 12.6±0.5、約pH 12.7±0.5、約pH 12.8±0.5、約pH 12.9±0.5、約pH 13.0±0.5、約pH 13.1±0.5、約pH 13.2±0.5、約pH 13.3±0.5、約pHv13.4±0.5、約pH 13.5±0.5、約pH 13.6±0.5、約pH 13.7±0.5、約pH 13.8±0.5、又は約pH 13.9±0.5であってもよい。
先に述べたように、pHの調整にカラギーナンを含む必要はなく、カラギーナンのいずれの使用も、特にpH 3.5又は3未満のpH調整を含む必要はない。また、0.5未満、又は0.4未満、又は0.3未満、又は0.2未満へのイオン強度のいずれの調整も、3.5若しくは3未満のpHの調整及び/又はカラギーナンの使用を含む必要はない。pHの低下をもたらすpH調整は、硫酸などの酸の添加により達成され得る。
有利には、生物界面活性剤、例えば、ヒドロホビンIIなどのヒドロホビンの十分な沈殿若しくは不溶化を達成する量で、沈殿剤、例えば、添加された塩、アルコール、水混和性有機溶媒、水溶性ポリマー若しくは陽イオン性ポリマー、並びに/又はpH調整、並びに/又は温度調整及び/若しくは温度上昇が加えられ、又はpH調整が行われて、消泡剤の使用を回避する。即ち、不溶化は、泡抑制に有利である。換言すれば、不溶化は泡抑制の手段として行われ、沈殿剤の量、又はpH調整若しくは温度調整の量は、不溶化の量により発泡が抑制されるような量である。また、沈殿剤の量又はpH調整若しくは温度調整の量が、細胞若しくは微生物の増殖、及び/又は生物界面活性剤の生産に悪影響を与えないことが有利である。
ヒドロホビンの低溶解度のための好ましいpH範囲は、約3.5〜4.5である。他の界面活性剤の場合、pH範囲は非常に異なる可能性があり、最適なpH範囲は当業者により決定することができる。
ヒドロホビンの場合、pHは3.5〜4.5の範囲であり、硫酸アンモニウム又は硫酸ナトリウムの必須濃度は、温度依存性である。約30℃〜約60℃では、好ましい濃度は約0.1%〜約5%である。約30℃以下では、硫酸ナトリウムの濃度は、有利には5%を超え、塩の飽和限界までであり、飽和限界は、温度に応じて、硫酸ナトリウムでは約15%、硫酸アンモニウムでは約30〜50%である。
再び、他の生物界面活性剤の場合には、温度とこれらの沈殿剤の濃度との両方が非常に異なる可能性があり、それぞれ実験により決定する必要があるであろう。
別の有利な実施形態では、生物界面活性剤は、ラムノ脂質、ソホロ脂質又はサーファクチンであってもよい。有利には、ラムノ脂質は、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、硫酸ナトリウム及び/又は陽イオン性ポリマー(非制限的にC581など)を用いて沈殿され得る。有利には、ソホロ脂質は、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、硫酸ナトリウム及び/又は陽イオン性ポリマー(非制限的になどC581)を用いて沈殿され得る。有利には、サーファクチンは、塩化ナトリウム、塩化カルシウム及び/又は硫酸ナトリウムを用いて沈殿され得る。別の有利な実施形態では、ラムノ脂質、ソホロ脂質及びサーファクチンは、バチルスリケニフォルミス、バチルスズブチルス及び/又はトリコデルマリーゼイ(Trichoderma reseei)中で増殖し得る。
80g/リットル以上の、ヒドロホビンの塩フリー濃縮溶液は、非常に高い温度のみで沈殿して発泡を抑制することができる。例えば、80℃の温度はその温度までの加熱中に形成された任意の泡を効果的に粉砕し、その温度でのpHは約6〜7であった。
ヒドロホビンは、室温でイソプロピルアルコールにより沈殿することができる。2〜3容積のイソプロパノールは、1容積のヒドロホビン水溶液に添加された際、ヒドロホビンを沈殿させるであろう。
別の実施形態では、物理的条件は温度である。
特に好ましい実施形態では、培養溶液の温度が調整される。温度は、本明細書では、生物界面活性剤及び濃度に応じて広い範囲にわたり得、約20℃〜約90℃の範囲にわたり得る。ヒドロホビンの場合、温度は30℃を超える。ラムノ脂質、ソホロ脂質又はサーファクチンの場合、温度は約20℃〜約30℃であってもよい。
泡抑制の効果を試験するいくつかの方法が存在する。全容積の有意な低下の証拠として、表面の泡を検査することが最も容易である。混入空気は、ある時間にわたり溶液(liquor)の密度の変化を記録することができる密度計を有する機器と同様の機器を使用して試験することができる。
有利な実施形態では、泡抑制の効果は、処理溶液のオーバーランにより測定することができ、このオーバーランは、発泡した溶液の体積−開始体積を開始体積で除算した計算値であり、割合又は百分率として報告される。ゼロのオーバーランは、溶液が泡を含まないことを意味する。
泡低下指数も、泡を抑制する処理の効果の評価基準として使用することができる。泡低下指数は、処理溶液に対する未処理溶液のオーバーランの比である。
別の実施形態では、泡低下の効果はまた、生物界面活性剤の絶対又は相対不溶性を測定してもよい。泡低下は、生物界面活性剤が少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%若しくは95%、又は不溶性の場合、有効であると決定されてもよい。
泡低下は、0.1g/kg、0.5g/kg、1g/kg、2g/kg、3g/kg、4g/kg、5g/kg、6g/kg、7g/kg、8g/kg、9g/kg又は10g/kg未満の生物界面活性剤(gで測定)が溶液(kgで測定)中に存在する場合、有効であると決定されてもよい。
有利な実施形態では、泡低下は、生物界面活性剤が少なくとも約25%不溶性であり、及び/又は1g/kg以下の生物界面活性剤が上清中に存在する場合、有効であると決定されてもよい。
有利な実施形態では、生物界面活性剤がタンパク質の場合、タンパク質の不溶性は、沈殿物(不溶性)及び上清(可溶性)中のタンパク質の量を測定することにより定量することができる。絶対及び相対不溶性は、沈殿物(不溶性)及び上清(可溶性)中のタンパク質を定量することにより決定することができる。タンパク質の定量方法は、当業者に既知である。
沈殿物中及び溶液中の非タンパク質生物界面活性剤の定量方法は、当業者に周知である。
垂直走査と結合した光多重散乱は、製品の分散状態を監視することにより不安定化現象を確認及び定量するのに最も広く使用されている技術である[Roland et al.International Journal of Pharmaceutics 263(2003)85〜94,Lemarchandet al.Pharmaceutical Research,20〜8(2003)1284〜1292,Mengual et al.Colloids and Surfaces A:Physicochemical and Engineering Aspects 152(1999)111〜123,Bru et al.Particle sizing and characterisation Ed T.Provder and J.Texter(2004))。これは、泡を含む任意の濃縮分散物に、希釈することなく機能する。光がサンプルを通して送られた際、光は気泡により後方散乱される。後方散乱強度は、分散相のサイズ及び体積分率と直接比例する。したがって、濃度の局所変化(排水、離漿)及びサイズの全体的な変化(熟成、合体)が検出及び監視される。伝導率を使用して、増殖培地中の成分の濃度、及び濁度を監視してもよい。
本発明による特定の利点は、生物界面活性剤を生産するためのプロセスが連続的であり得ることである。例えば、本発明の実施において、生物反応器又は発酵槽は、可溶化生物界面活性剤、例えば、ヒドロホビンを除去するための手段、例えば、弁制御流体管を有することができ、この流体管から可溶化生物界面活性剤が生物反応器又は発酵槽から除去されてもよい。弁は、弁の開放及び閉鎖に関してプロセッサ又はマイクロプロセッサと関連して作動することができる。プロセッサ又はマイクロプロセッサは、溶液中の生物界面活性剤の濃度若しくは濃度変化、又は溶液の濁度、又は泡の量などの他のパラメータを指示するセンサなどのセンサからの信号を受信し得、そのセンサ信号に基づいて弁を開放又は閉鎖して可溶化生物界面活性剤を除去するよう指示することができ、又はマイクロプロセッサ又はプロセッサは、長期間を含み、いつから沈殿剤及び/若しくは沈殿条件が添加され若しくは適用されたか、沈殿剤の濃度の達成、並びに/又は沈殿条件の達成などの他のパラメータに基づいて弁を開放若しくは閉鎖させることができる。生物反応器又は発酵槽はまた、沈殿剤、流体、又は沈殿条件を達成するための他の条件を加える手段、例えば、弁制御流体管を含むことができ、これにより、沈殿剤、例えば、塩、有利には溶液中の塩、アルコール、又は沈殿条件を達成するための流体、例えばpHを低下させる酸を添加すること、又はヒーターを含むことができる。弁又はヒーターは、プロセッサ又はマイクロプロセッサと関連して、弁を開放及び閉鎖し、又はヒーターをオンにすること又はオフにすることができる。プロセッサ若しくはマイクロプロセッサは、溶液中の生物界面活性剤の濃度、濃度変化、又は泡などの他のパラメータを指示するセンサなどのセンサからの信号を受信することができ、そのセンサ信号に基づいて弁の開放若しくは閉鎖、又はヒーターのオン若しくはオフを指示して、沈殿剤、流体、若しくは可溶化させる他の手段を添加することができ、又はマイクロプロセッサ若しくはプロセッサは、いつから可溶化生物界面活性剤が除去されたかなどの他のパラメータに基づいて弁を開放若しくは閉鎖させることができる。更に、生物反応器又は発酵槽は、培地、及び/又は細胞、微生物、若しくは生物界面活性剤を生産する培地の他の成分を添加するための手段を含んでもよい。必然的に、可溶化生物界面活性剤を除去する際、幾分かの培地、及び/又は細胞、微生物、若しくは生物界面活性剤を生産する培地の他の成分は、可溶化界面活性剤と共に損失され、生物反応器若しくは発酵槽は補充のための手段を含むであろう。この補充手段は、例えば、弁制御流体接続手段であってもよく、これから細胞、生物、培地、又は培地の他の成分が生物反応器又は発酵槽に供給される。弁は、弁の開放及び閉鎖に関してプロセッサ又はマイクロプロセッサと関連することができる。プロセッサ若しくはマイクロプロセッサは、細胞、微生物、若しくは培地の他の成分の濃度若しくは濃度変化、又は溶液の濁度、又は他のパラメータを指示するセンサなどのセンサからの信号を受信し得、センサ信号に基づいて補充のための弁の開放若しくは閉鎖を指示すること、又はマイクロプロセッサ若しくはプロセッサは、時間などの他のパラメータに基づいて弁を開放若しくは閉鎖させることができる。細胞、微生物、培地、又は培地の成分が可溶化界面活性剤と共に回収された際、それらの細胞、微生物、培地、又は培地の成分は、可溶化生物界面活性剤から分離され、例えば、補充手段を経由して、発酵槽又は生物反応器に戻って再利用されてもよい。前述のセンサは、生物反応器若しくは発酵槽内の、又は該生物反応器若しくは発酵槽と関連した1つ以上のセンサであってもよい。
このやり方で、生物界面活性剤、例えば、ヒドロホビンIIなどのヒドロホビン、ラムノ脂質、ソホロ脂質若しくはサーファクチンを生産するための及びこれらを生産する培地が、生物反応器若しくは発酵槽に供給され、泡が生じるとき、泡が生じているとき、又は泡が有意に生じる前に、又は培地が生物反応器若しくは発酵槽内にある時間の後、沈殿剤若しくは沈殿条件が添加され若しくは適用され、例えば、硫酸ナトリウムが添加され及び/又はアルコールが添加され及び/又は熱が適用され及び/又はpHが有利には下方に調整され、それにより泡が抑制され及び生物界面活性剤が沈殿し又は不溶化される。不溶化生物界面活性剤は、生物反応器又は発酵槽から除去される。そして、培地又はその成分、例えば、細胞又は微生物、栄養素、又は培地の他の成分は、生物反応器又は発酵槽内に供給され、即ち培地又はその成分、例えば細胞又は微生物、栄養素、又は培地の他の成分の補充が存在する。場合により、不溶化生物界面活性剤と共に出された培地又はその成分、例えば、細胞又は微生物、栄養素、又は培地の他の成分は、生物反応器又は発酵槽に戻って再利用される。したがって、生物界面活性剤の連続的生産が存在し得る。
本方法は、反応器、例えば、生物反応器内で行われてもよい。本明細書で使用される「生物反応器」は、生物学的に活性な環境を支持することが可能な、製造又は設計された任意の装置又はシステムを指す。例えば、生物反応器は、内部で1つ以上の化学的及び/又は生物学的プロセスが生じる容器を含んでもよい。いくつかの実施形態では、これらのプロセスは、生物、又はそのような生物を由来とする生物学的に活性な物質に関与する。いくつかの実施形態では、生物又は細胞は、生物反応器内で増殖されてもよい。いくつかの実施形態では、生物は、使用中、反応器内にて浮遊又は固定化されてもよい。
この方法に関連して使用される反応器には、回分式反応器、流加反応器、連続撹拌槽反応器などの連続反応器、移動培地、充填層、繊維層、膜反応器、又は当該技術分野にて既知の若しくは未だ発見されていない任意の他のシステムを挙げることができるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態では、連続反応器の使用により、反応器を通して材料を連続的に揚送することが可能となる。揚送される材料の流れは、混合を促進することができる。いくつかの実施形態では、反応器内でバッフルなどの静的ミキサー、及び/又は機械的撹拌を使用して、構成成分の混合を促進してもよい。
いくつかの実施形態では、本方法は、生物反応器を使用して行うことができる。細胞及び培地はインプットを経由して生物反応器に提供されてもよく、インプットには、孔、パイプ、チューブ、ホース、及び/又は当該技術分野にて既知の任意の他のインプット装置が挙げられるがこれらに限定されない。多数のインプットを使用して細胞、培地、及び/又は栄養素を反応器に提供してもよい。
1つ以上のセンサ、及び1つ以上のコントローラを含む制御システムを使用して、反応器内の条件を制御することができる。コントローラには、プロセッサ、マイクロプロセッサ、又は当該技術分野にて既知の他のコントローラが挙げられるが、これらに限定されない。反応器条件を制御するのに使用される情報は、1つ以上のセンサから、及び/又はユーザーからコントローラに提供されてもよい。
センサは、温度、pH、組成物、泡の存在、泡の量、圧力、沈殿物の存在、沈殿物の量、及び/又は当該技術分野にて既知の任意の他の関連する測定値を含むがこれらに限定されない、反応器内の条件を測定するのに使用することができる。多数のセンサが反応器の周りに配置されて、特定の位置における条件を測定してもよい。例えば、沈殿物の量又は存在を決定するセンサは、いくつかの実施形態では、反応器の底の付近に配置されてもよい。実施形態は、インプット開口部の付近、槽内の様々な位置、及び/又は所望の任意の位置の泡の存在を決定するセンサを含み得る。当該技術分野にて既知の任意のセンサを使用することができる。
いくつかの実施形態は、観察のための窓又は開口部を槽内に含んでもよい。いくつかの反応器は、反応器内の状態を観察するための、反応器内に配置された照明を含んでもよい。操作者は槽内の状態を観察し、1つ以上のコントローラに接続されたユーザーインターフェース内にデータをインプットして、槽内の条件を調整することができる。
例えば、センサ及び/又はユーザーインプットからのデータに基づいて、弁は反応器内の必要性に基づいて開放又は閉鎖されてもよい。いくつかの実施形態では、インプット上の弁は、栄養素、緩衝剤、培地、生物及び/又は他の構成成分の添加を制御してもよい。
いくつかの実施形態は、反応器の内側チャンバ内での細胞の増殖を可能にすることを含んでもよい。栄養素、培地及び細胞は、所望の生物の増殖を最適にするのに十分な比で、反応器に添加されてもよい。いくつかの実施形態では、添加される材料の組成は、所望の構成成分の生産を最適にするよう制御される。例えば、所望の構成成分は、タンパク質又は化合物であってもよい。
いくつかの実施形態では、所望の構成成分の濃度が増大するにつれて、発泡が起こり始める場合がある。窓及び/又はセンサを使用して、反応器内の発泡を検知してもよい。例えば、センサ又は窓を使用して、発泡が起こっているか否かを決定することができる。一旦発泡が検知されたら、コントローラは沈殿剤を反応器に添加するよう命令してもよい。いくつかの実施形態では、この沈殿剤により、所望の構成成分が溶液から沈殿することが可能となり得る。沈殿した構成成分は、反応器の底に蓄積し得る。
いくつかの実施形態は、反応器の底の付近に配置された1つ以上のセンサを含んで、沈殿物が存在するか否か、及び/又は存在する沈殿物の量を決定することができる。これらのセンサは、1つ以上のコントローラと通信し得る。コントローラはこの入力を使用して、沈殿物が反応器から退出するように、反応器の底の付近の弁を開放することを決定する。
いくつかの実施形態では、インプット及びアウトプットに沿ってポンプが使用されてインプット及びアウトプット内の材料の移動を容易にする。
図3に示すように、いくつかの実施形態は、反応器100を使用する方法を行うことを含んでもよい。細胞、培地、及び/又は栄養素は、インプット102を経由して反応器100に提供されてもよい。図3に示すように、インプット102は、容器への生物及び/又は培地の供給を制御するのに使用される弁104を含んでもよい。いくつかの実施形態では、多数のインプットを使用して、生物及び/又は培地を反応器の異なる位置に供給してもよい。いくつかの実施形態では、図3に示すように、細胞及び培地はインプット102を経由して提供される。多数のセンサ106が反応器100内の至る所に配置されてもよい。センサ106は、データをコントローラ108、110に提供する。コントローラ108、110は、細胞、培地、栄養素、沈殿剤及び/又は他の構成成分の量を制御することが可能である。いくつかの実施形態では、コントローラは、反応器、インプット、及び/又はアウトプットにおける条件を制御するよう調整を行ってもよい。
いくつかの実施形態は、反応器の内側チャンバ内での細胞の増殖を可能にすることを含んでもよい。所望の構成成分の濃度が増大するにつれて、発泡が起こり始める場合がある。いくつかの実施形態では、窓及び/又はセンサを使用して、反応器内の発泡を検知してもよい。一旦発泡が検知されたら、沈殿剤を反応器に添加してもよい。いくつかの実施形態では、この沈殿剤により、所望の構成成分が溶液から沈殿することが可能となり得る。沈殿した構成成分は、センサ106を使用して検知することできる。いくつかの実施形態では、反応器100内に窓116が存在して、ユーザーが反応器内の状態を観察することを可能にしてもよい。
コントローラ108は、アウトプット弁112に接続されている。コントローラ110は、弁112を開放して沈殿物がアウトプット114を経由して槽を離れるように弁112に命令することができる。いくつかの実施形態では、必要に応じてユーザーインプットが弁112に対する開放及び/又は閉鎖の命令を制御することが可能であってもよい。
図3に示すように、非限定的に空気、酸素又は当該技術分野にて既知の任意の他の栄養素を含む栄養素を、インプット118を使用して反応器に提供してもよい。インプット118は供給装置120に連結されて、反応器100に栄養素を提供してもよい。いくつかの実施形態では、供給装置は、反応器内の任意の位置に配置されてもよい。いくつかの実施形態は、ミキサー122を含んで、反応器内での構成成分の混合を促進する。
本発明及びその利点を詳細に記載してきたが、添付の特許請求の範囲に定義される本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な変更、置換及び修正を本発明に為し得ることを理解するべきである。
例示のみを目的とし、本発明を如何様にも限定することを意図しない以下の実施例にて本発明を更に説明する。
実施例1:透明化未精製ヒドロホビン溶液
硫酸ナトリウム及びpH調整を用いた、透明化ヒドロホビン溶液中の泡形成を低減する方法を、本実施例に示す。ヒドロホビン溶液は、従来の生産方法を用いて得られた。ヒドロホビン溶液の濃度は、33g/kgであった。硫酸ナトリウム処理は、無水硫酸ナトリウムを添加して、穏やかに混合し溶解させて最終濃度2.5% w/wに到達させることにより達成された。1%硫酸を使用してpHを4.0に調整した。溶液を10℃で16時間混合した。2×5mLのNa2SO4処理濃縮物を遠心分離して、液体部分を除去した。沈殿物のそれぞれを、水中で初期ヒドロホビン濃縮物と同一の容積に再懸濁した。スパチュラを使用して、沈殿物を解き再懸濁した。2×5mLの未処理ヒドロホビン濃縮物を調製した。この濃縮物の1つと、Na2SO4処理濃縮物の1つとを、振盪により混合した。
写真を撮り、各チューブの総容積を直ちに及び4時間後に記録した。結果を表1に示す。硫酸ナトリウム処理溶液は、1g/Lの可溶性ヒドロホビン濃度を有する。硫酸ナトリウムの添加後、97%のヒドロホビンが不溶性である。
実施例2:精製ヒドロホビン溶液
熱を使用した、ヒドロホビン溶液の泡形成を低減する方法を本実施例に示す。ヒドロホビン溶液は、130g/kgの濃度を有する。500mL Pyrex内の320gのヒドロホビン溶液を混合した際、瓶の上部空間に泡が満ちた(図1、左の写真)。同様に混合した他のヒドロホビン溶液を80℃に加熱した際、堆積物が形成し、泡が崩壊した(図1、右の写真)。結果を表2に示す。
実施例3:従来の技術を用いた発酵
表3は、組み換えセルラーゼ又は組み換えヒドロホビンのいずれかを発現するトリコデルマリーゼイを発酵させるための従来の手法を行った際のブロスの外観を記載する。発酵培地、条件、及び回収手順は同一であった。発酵の終わりに、発現されていた標的分子は、両方の場合において完全に可溶性であった。表3は、結果を示す。
実施例4:ヒドロホビン発酵ブロスの泡低下
図3及び4に示す従来の発酵及び回収技術を使用した、組み換えヒドロホビンを発現したトリコデルマリーゼイを培養することによって調製された発酵ブロス中の泡を低下させるための硫酸ナトリウムの使用を、本実施例に示す。
回収ブロスを2.5%硫酸ナトリウムで処理し、10%硫酸を用いて28℃で2時間、pHを3.9に調整し、10℃で保管した。処理ブロスは、0.2g/kgの可溶性ヒドロホビンを有する。
実施例5:ヒドロホビン発酵ブロスの泡低下
従来の発酵及び回収技術を使用した、組み換えヒドロホビンを発現したトリコデルマリーゼイを培養することによって調製された発酵ブロス中の泡を低下させるための硫酸ナトリウムの使用を、以下に記載する。
5%硫酸アンモニウムを用いて回収ブロスを22℃で処理した。得られたブロスは処理後、泡を全く含まなかった。このブロスは針形状のヒドロホビン結晶を含む。
実施例5:ヒドロホビン発酵物回収中の泡抑制
組み換えヒドロホビンを発現した、従来通り発酵させたトリコデルマリーゼイブロスの回収中の泡の抑制方法を、本実施例に示す。ヒドロホビンを発酵させる従来の方法によるフォームアウトの問題は、回収中に悪化する。回収中、加圧された発酵槽の内容物を周囲圧力に戻す必要があり、このことは溶解空気のガス放出をもたらす。驚くべきことに、この発泡の傾向は、発酵ブロスに沈殿剤、詳細には硫酸ナトリウムを添加することにより、効果的に抑制することができる。ブロス中でのヒドロホビンの沈殿により、減圧中でも、抑制可能な地点まで発泡が低減される。
発酵の終わりに(「発酵ブロスの終点」と称する)、発酵槽の作動パラメータが以下のように変更された。気流を底部フィードからスパージャーに向け直して、発酵槽の上部空間内に供給し、圧力を137.9kPa(20psig)、温度を28℃、振盪を160rpmのままとした。15% w/w Na2SO4及びpH 2.8の硫酸ナトリウム原液を、得られたブロスが2.5%のNa2SO4=濃度に到達するまで、6リットル/分の速度で発酵槽内に揚送した。得られたブロスは、pH 4を有した(「Na2SO4/pH 4減圧前ブロス」と称する)。次いで、気流を1600LPMから100LPMへ減少させ、また同時に圧力を137.9kPa(20psig)から0Pa(0psig)に低下させることにより(両方とも1時間かけて線形に)、発酵槽をゆっくりと減圧した。このブロスを「Na2SO4/pH 4減圧ブロス」と称する。減圧後、ブロスを混合した状態で28℃で発酵槽内に保つ一方、pHの変化が観察されなくなるまでpHを監視し、pHを4に調整した。このブロスを「Na2SO4/pH 4回収ブロス」と称する。
表4は、回収処理の様々な段階中に得られたブロスサンプルの物理的外観の結果を示す。この処理は、ブロスの密度を0.605g/mLから1.042g/mへ増大させた。開始重量を使用してオーバーランを計算する。処理ブロスの可溶性ヒドロホビン濃度は0.2g/kgであり、未処理ブロスの可溶性ヒドロホビン濃度と比較して約26倍低い。
実施例7:ヒドロホビン発酵中の泡抑制
発酵が尚進行している間、発酵培地及び条件を変化させることにより従来の発酵技術を変更して、発現されたヒドロホビンをブロスに不溶性とすることにより、発酵中のフォームアウトが防止されたことが、本実施例に示される。表5は、変更及び結果を示す。変更を有した全試験における回収ブロスの上清中のヒドロホビンの濃度は、0.5g/kg未満であった。
実施例8:ヒドロホビン発酵中の消泡剤使用の低減
発酵が尚進行している間、従来の発酵培地及び条件を変化させて、発現されたヒドロホビンをブロスに不溶性となるようにすることによる、従来の発酵技術の変更が、必要な消泡剤の量を低減してフォームアウトを防止したことを本実施例に示す。
従来の発酵試験にて33g/kgの消泡剤を測定し、これは「ヒドロホビン発酵中の泡抑制」にて上記に示した変更された発酵と比較して6.1〜7.5倍高い。
実施例9:ヒドロホビン組成物
変更された発酵により生産されたヒドロホビンの組成物を、図2に示す。質量7180のピークは、完全長ヒドロホビン分子に対応する。
実施例10:ラムノ脂質透明化溶液中の泡低下
透明化ラムノ脂質(製品JBR515 Lot # 110321、Jeneil Biosurfactant Co.,LLC(400 N.Dekora Woods Blvd,Saukville,WI 53080)から贈与)溶液中の泡形成の低減を、pH調整、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、硫酸ナトリウム及び陽イオン性ポリマーC581(Cytec Industries(Woodlnad Park,NJ 07424))処理後に測定した。0.21グラムのJBR515を93グラムの脱イオン水に加え、5分間穏やかに混合することによりラムノ脂質溶液を調製した。
泡形成の低減を試験するために、5グラムの調製溶液を15mLの透明コニカルチューブに移動し、処理化学物質を加え、化学物質が分散又は溶解するまで、反転により穏やかに混合した。処理溶液及び未処理溶液を20回振盪し、デジタルカメラを使用してサンプルの外観を直ちに捕らえた。サンプルの液体部分の外観を、未処理サンプルに対する目視検査により評価した。各振盪溶液によって占められる容積を記録し、オーバーラン及び泡低下指数を計算した。これらを表6に示す。HACH 2100AN Turbidimeter(Hach Company(Loveland,Colorado))を使用して濁度測定を行い、表6にNTU(Nephelometric Turbidity Units)値として報告する。
実施例11:ソホロ脂質透明化溶液中の泡低下
透明化ソホロ脂質(製品SO_SOPHS Lot# 10175A,SoliancE(Route de Bazancourt 51110 Pomacle,France))溶液中の泡形成の低減を、pH調整、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、硫酸ナトリウム及び陽イオン性ポリマーC581処理後に測定した。0.28グラムのSO_SOPHSを122グラムの脱イオン水に加え、1N NaOHを使用してpHを10.1に調整することによりソホロ脂質溶液を調製した。pH調整中、溶液を穏やかに混合した。泡形成の低減をラムノ脂質透明化溶液の節に記載したように測定した。各振盪溶液によって占められる容積を記録し、オーバーラン及び泡低下指数を計算した。これらを表7に示す。HACH 2100AN Turbidimeter(Hach Company,Loveland,Colorado)を使用して濁度測定を行い、表7にNTU(Nephelometric Turbidity Units)値として報告する。
実施例12:サーファクチン透明化溶液中の泡低下
透明化サーファクチン(Part # S3523−50MG,Sigma Alrich(P.O.Box 951524 Dallas,TX 75395−1524))溶液中の泡形成の低減を、pH調整、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、及び硫酸ナトリウム処理後に測定した。サーファクチンを収容しているバイアルに2.03グラムの脱イオン水を直接加え、1N NaOHを使用してpHを6〜7(pHストリップ紙で測定して)に調整することによりサーファクチン原液を調製した。8.9gの脱イオン水を0.79gの原液に加えることにより原液を更に希釈した。泡形成の低減をラムノ脂質透明化溶液の節に記載したように測定した。サンプルの液体部分の外観を、未処理サンプルに対する目視検査により評価した。表8は、実行した処理のそれぞれに関するオーバーラン、泡低下指数、及び液体部分の外観を示す。
表9は、室温で0.5時間保った処理及び未処理溶液に関するオーバーラン、泡低下指数及び液体部分の外観を示す。
実施例13:ラムノ脂質を含むバチルスリケニフォルミス発酵ブロス中の泡低下
ラムノ脂質(実施例10に記載した)を含むバチルスリケニフォルミス発酵ブロス中の泡形成の低減を、pH調整、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、硫酸ナトリウム及び陽イオン性ポリマーC581処理後に測定した。5.65グラムのJBR515を、当該技術分野にて既知の技術を用いて生成した100グラムのバチルスリケニフォルミス発酵ブロスに加え、溶液を5分間穏やかに混合した。得られたブロス溶液は、pH 6.52を有する。泡形成の低減をラムノ脂質透明化溶液の節に記載したように測定した。表10は、実行した処理のぞれぞれに関するオーバーラン及び泡低下指数を示す。
実施例14:ラムノ脂質を含むトリコデルマリーゼイ発酵ブロス中のラムノ脂質
ラムノ脂質(実施例10に記載した)を含むトリコデルマリーゼイ発酵ブロス中の泡形成の低減を、開始溶液からのpHの調製、並びに/又は塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム及び陽イオン性ポリマーC581処理後に測定した。6.53グラムのJBR515を、28グラムの脱イオン水、及び当該技術分野にて既知の技術を用いて生成した100グラムのトリコデルマリーゼイ発酵ブロスに加え、pHを6.15に調整し、5分間穏やかに混合した。泡形成の低減をラムノ脂質透明化溶液の節に記載したように測定した。泡形成の低減を直ちに及び30分にて測定し、したがって発泡低減の継続時間が存在する。表11は、実行した処理のそれぞれに関するオーバーラン及び泡低下指数を示す。
実施例15:ラムノ脂質を含むバチルスズブチルス発酵ブロス中の泡低下
ラムノ脂質(ラムノ脂質透明化溶液の節に記載した)を含むバチルスズブチルス発酵ブロス中の泡形成の低減を、pH調整、並びに/又は塩化ナトリウム、塩化カルシウム、硫酸ナトリウム及び陽イオン性ポリマーC581処理後に測定した。2.71グラムのJBR515を、当該技術分野にて既知の技術を用いて生成した40.1グラムのバチルスズブチルス発酵ブロスに加え、溶液を5分間穏やかに混合した。泡形成の低減をラムノ脂質透明化溶液の節に記載したように測定した。表12は、実行した処理のそれぞれに関するオーバーラン及び泡低下指数を示す。
実施例16:ソホロ脂質を含むバチルスリケニフォルミス発酵ブロス中の泡低下
ソホロ脂質(ソホロ脂質透明化溶液の節に記載した)を含むバチルスリケニフォルミス発酵ブロス溶液中の泡形成の低減を、pH調整、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、硫酸ナトリウム及び陽イオン性ポリマーC581処理を用いて測定した。7.63グラムのSO_SOPHSを、当該技術分野にて既知の技術を用いて生成した102.2グラムのバチルスリケニフォルミス発酵ブロスに加え、溶液を5分間穏やかに混合した。得られたブロスのpHを7.23に調整した。泡形成の低減をラムノ脂質透明化溶液の節に記載したように測定した。表13は、実行した処理のそれぞれに関するオーバーラン及び泡低下指数を示す。
実施例17:ソホロ脂質を含むトリコデルマリーゼイ発酵ブロス中の泡低下
ソホロ脂質(ソホロ脂質透明化溶液の節に記載した)を含むトリコデルマリーゼイ発酵ブロス溶液中の泡形成の低減を、pH調整、並びに/又は塩化ナトリウム、塩化カルシウム、硫酸ナトリウム及び陽イオン性ポリマーC581処理を用いて測定した。5.5グラムのSO_SOPHSを、28グラムの脱イオン水、及び当該技術分野にて既知の技術を用いて生成した100.2グラムのトリコデルマリーゼイ発酵ブロスに加え、溶液を5分間穏やかに混合した。泡形成の低減をラムノ脂質透明化溶液の節に記載したように測定した。表14は、実行した処理のそれぞれに関するオーバーラン及び泡低下指数を示す(ND−測定せず)。
実施例18:ソホロ脂質を含むバチルスズブチルス発酵ブロス中の泡低下
ソホロ脂質(ソホロ脂質透明化溶液の節に記載した)を含むバチルスズブチルス発酵ブロス溶液中の泡形成の低減を、pH調整、並びに/又は塩化ナトリウム、塩化カルシウム、硫酸ナトリウム及び陽イオン性ポリマーC581処理を用いて測定した。2.61グラムのSO_SOPHSを、当該技術分野にて既知の技術を用いて生成した40.6グラムのバチルスズブチルス発酵ブロスに加え、溶液を5分間穏やかに混合した。得られたブロスのpHは、7.27であった。泡形成の低減をラムノ脂質透明化溶液の節に記載したように測定した。表15は、実行した処理のそれぞれに関するオーバーラン及び泡低下指数を示す。
実施例19:サーファクチンを含むバチルスズブチルス発酵ブロス中の泡低下
サーファクチン(サーファクチン透明化溶液の節に記載した)を含むバチルスズブチルス発酵ブロス中の泡形成の低減を、塩化ナトリウム処理後に測定した。サーファクチンを収容しているバイアルに2.03グラムの脱イオン水を加え、1N NaOHを使用してpHを6〜7(pHストリップ紙で測定して)に調整することによりサーファクチン原液を調製した。0.71gの原液を、当該技術分野にて既知の技術を用いて調製した1.9gのバチルスズブチルス発酵ブロスに加えることにより、原液を更に希釈し、溶液を5分間穏やかに混合した。サーファクチン含有ブロスを20回振盪し、デジタルカメラを使用して振盪サンプルの外観を捕らえた。0.022gのNaClを同一のサーファクチン含有ブロスに加え、20回振盪し、写真に撮った。追加の0.046g及び0.032gのNaClを同一のブロスに連続して加え、ブロスを20回振盪し、写真に撮った。表16は、各処理後のブロス中の総NaCl濃度と、各処理後の対応するオーバーラン及び泡低下指数と、を示す。
実施例20:サーファクチンを含むバチルスリケニフォルミス発酵ブロス中の泡低下
サーファクチン(サーファクチン透明化溶液の節に記載した)を含むバチルスリケニフォルミス発酵ブロス中の泡形成の低減を、塩化カルシウム処理後に測定した。サーファクチンを収容しているバイアルに2.03グラムの脱イオン水を加え、1N NaOHを使用してpHを6〜7(pHストリップ紙で測定して)に調整することによりサーファクチン原液を調製した。0.71gの原液を、当該技術分野にて既知の技術を用いて調製した1.9gのバチルスリケニフォルミス発酵ブロスに加えることにより、原液を更に希釈し、溶液を5分間穏やかに混合した。サーファクチン含有ブロスを20回振盪し、デジタルカメラを使用して振盪サンプルの外観を捕らえた。0.025gのCaCl2を同一のサーファクチン含有ブロスに加え、20回振盪し、写真に撮った。追加の0.021g CaCl2を同一の含有ブロスに加え、20回振盪し、写真に撮った。表17は、各処理後のブロス中の総塩化カルシウム濃度と、各処理後の対応するオーバーラン及び泡低下指数と、を示す。
図4は、上述した各処理後のサンプルの外観を示す。
本発明は、番号付けされた以下のパラグラフにより更に記載される。
1.宿主細胞が生物界面活性剤を細胞外に分泌し、生物界面活性剤が発酵培地に可溶性である場合、発酵培地中での宿主細胞による生物界面活性剤の生産中に発泡する生物界面活性剤の発泡を抑制するための方法であって、宿主細胞による生物界面活性剤の生産と同時に、生物界面活性剤を不溶化する工程を含み、この工程によって、不溶化された生物界面活性剤が発泡しないため発泡が抑制される、方法。
2.生物界面活性剤が、ヒドロホビンII、ラムノ脂質、ソホロ脂質又はサーファクチンを含む、パラグラフ1の方法。
3.不溶化する工程が、発酵培地に沈殿剤を添加する工程、及び/又は発酵培地のpHを低下させる工程、及び/又は発酵培地の温度を上昇させる工程、を含む、パラグラフ2の方法。
4.不溶化する工程が、発酵培地に沈殿剤を添加する工程を含む、パラグラフ3の方法。
5.沈殿剤が、塩、アルコール、水混和性有機溶媒、水溶性ポリマー又は陽イオン性ポリマーである、パラグラフ4の方法。
6.沈殿剤が塩であり、塩が、その陰イオンとして、ハライド、シトレート、アセテート、ニトレート、カーボネート;スルフェート;ホスフェート;スルファメート;ホスホネート、スルファメートを含み、又は亜硝酸塩であり、その陽イオンとしてアンモニウム、カルシウム、鉄、マグネシウム、リチウム、カリウム又はナトリウムを含む、パラグラフ5の方法。
7.塩が、硫酸塩又は塩化物塩を含む、パラグラフ6の方法。
8.塩化物塩が、塩化カルシウム又は塩化ナトリウムであり、硫酸塩が、硫酸アンモニウム又は硫酸ナトリウムである、パラグラフ7の方法。
9.沈殿剤がアルコールであり、アルコールが、一価又は多価アルコールC1〜C6アルコールを含む、パラグラフ5の方法。
10.沈殿剤溶媒がケトンである、パラグラフ5の方法。
11.ケトンがアセトンである、パラグラフ10の方法。
12.沈殿剤がポリエチレングリコール(polythyene glycol)又は多糖である、パラグラフ5の方法。
13.多糖がデキストランである、パラグラフ12の方法。
14.沈殿剤が、メタノール、エタノール又はイソプロピルアルコールを含む、パラグラフ9の方法。
15.不溶化する工程が、発酵培地のpHを低下させる工程、及び/又は発酵培地の温度を上昇させる工程、を含む、パラグラフ3の方法。
16.泡低下指数が1を超え、及び/若しくは泡低下指数が2を超え、及び/若しくは泡低下指数が3を超え、並びに/又は発酵培地中の可溶性生物界面活性剤の濃度が、最大で約1g/kgであり、並びに/又は生産された生物界面活性剤の少なくとも25%が不溶化され、並びに/又は方法が、消泡剤を添加することなく行われ、並びに/又は方法が、不溶化なしで行われる方法と比較して低減された消泡剤の量を用いて行われ、並びに/又は方法が、pHを上昇させ若しくは低下させることにより行われ、並びに/又は方法が、温度を上昇させ若しくは低下させることにより行われる、パラグラフ1〜15のいずれか1つの方法。
17.方法が、発酵培地を生物反応器に供給する工程と、沈殿剤を添加し又は沈殿条件を適用する工程と、不溶化された生物界面活性剤を収集する工程と、発酵培地又は発酵培地の成分又は宿主細胞を補充する工程と、場合により、不溶化生物界面活性剤とともに収集された任意の発酵培地又は発酵培地の成分又は宿主細胞を再利用する工程と、を含む連続プロセスである、パラグラフ1〜15の方法。
18.方法が、発酵培地を生物反応器に供給する工程と、沈殿剤を添加し又は沈殿条件を適用する工程と、不溶化された生物界面活性剤を収集する工程と、発酵培地又は発酵培地の成分又は宿主細胞を補充する工程と、場合により、不溶化生物界面活性剤とともに収集された任意の発酵培地又は発酵培地の成分又は宿主細胞を再利用する工程と、を含む連続プロセスである、パラグラフ16の方法。
19.宿主細胞が生物界面活性剤を細胞外に分泌し、生物界面活性剤が発酵培地に可溶性である場合、発酵培地中での宿主細胞による生物界面活性剤の生産中に発泡する生物界面活性剤の発泡を抑制するための方法であって、宿主細胞による生物界面活性剤の生産と同時に、生物界面活性剤を不溶化する工程を含み、該工程によって、不溶化された生物界面活性剤が発泡しないため発泡が抑制され、泡低下指数が1を超え、及び/若しくは泡低下指数が2を超え、及び/若しくは泡低下指数が3を超え、並びに/又は発酵培地中の可溶性生物界面活性剤の濃度が、最大で約1g/kgであり、並びに/又は生産された生物界面活性剤の少なくとも25%が不溶化され、並びに/又は方法が、消泡剤を添加することなく行われ、並びに/又は方法が、生物界面活性剤の不溶化なしで行われる方法と比較して低減された消泡剤の量を用いて行われ、並びに/又は方法が、pHを上昇させ若しくは低下させることにより行われ、並びに/又は方法が、温度を上昇させ若しくは低下させることにより行われる、方法。
20.生物界面活性剤が、ヒドロホビンII、ラムノ脂質、ソホロ脂質又はサーファクチンを含む、パラグラフ19の方法。
21.不溶化する工程が、発酵培地に沈殿剤を添加することを含む、又は発酵培地に沈殿剤を添加することから本質的になる、パラグラフ19又は20の方法。
22.沈殿剤が塩を含み、又は塩から本質的になり、該塩が、その陰イオンとして、ハライド、シトレート、アセテート、ニトレート、カーボネート;スルフェート;ホスフェート;スルファメート;ホスホネート、スルファメートを含み、又は亜硝酸塩であり、その陽イオンとしてアンモニウム、カルシウム、鉄、マグネシウム、リチウム、カリウム又はナトリウムを含む、パラグラフ21の方法。
23.塩が、硫酸塩を含む、又は硫酸塩から本質的になる、パラグラフ22の方法。
24.沈殿剤が、アルコールを含む、又はアルコールから本質的になる、パラグラフ21の方法。
25.生産中に発泡する、溶液中の生物界面活性剤の発泡を抑制するための方法であって、
生物界面活性剤の生産中、条件が泡形成を生じ得る地点と同時に、生物界面活性剤を不溶化する工程を含み、該工程により、不溶化された生物界面活性剤が発泡しないため発泡が抑制される、方法。
26.溶液が発酵培地を含み、生産が、発酵培地中での宿主細胞による生物界面活性剤の発現を含み、宿主細胞が生物界面活性剤を細胞外に分泌し、生物界面活性剤が発酵培地に可溶性であり、それにより泡形成が生じ得る、パラグラフ25の方法。
27.生産が真空濾過を含み、真空濾過により泡形成が生じ得る、パラグラフ25の方法。
28.生産が回収を含み、回収により泡形成が生じ得る、パラグラフ25の方法。
29.生産が収集を含み、収集により泡形成が生じ得る、パラグラフ25の方法。
30.生産が圧縮を含み、圧縮により泡形成が生じ得る、パラグラフ25の方法。
31.生産が瀉血を含み、瀉血により泡形成が生じ得る、パラグラフ25の方法。
32.生産が解離を含み、解離により泡形成が生じ得る、パラグラフ25の方法。
33.生産が均質化を含み、均質化により泡形成が生じ得る、パラグラフ25の方法。
34.生産がすり潰しを含み、すり潰しにより泡形成が生じ得る、パラグラフ25の方法。
35.生産が醸造を含み、醸造により泡形成が生じ得る、パラグラフ25の方法。
36.生産が回収を含み、回収により泡形成が生じ得る、パラグラフ25の方法。
37.生産が固液分離を含み、固液分離により泡形成が生じ得る、パラグラフ25の方法。
38.生産が遠心分離を含み、遠心分離により泡形成が生じ得る、パラグラフ25の方法。
39.生産が細胞分離を含み、細胞分離により泡形成が生じ得る、パラグラフ25の方法。
40.生産が任意の通気プロセスを含み、プロセスにより泡形成が生じ得る、パラグラフ25の方法。
41.生産が、液体を揚送する工程、及び/又は機器を満たす工程、及び/又は機器を空にする工程、及び/又は機器を清掃する工程、及び/又は機器を濯ぐ工程、を含み、これらにより泡形成が生じ得る、パラグラフ25の方法。
42.生物界面活性剤が、ヒドロホビンII、ラムノ脂質、ソホロ脂質又はサーファクチンを含む、パラグラフ25の方法。
43.生物界面活性剤を不溶化する工程が、
沈殿剤を溶液に添加する工程、
溶液のpHを上昇又は低下させる工程、及び/又は
溶液の温度を上昇又は低下させる工程、を含む、パラグラフ25の方法。
44.生物界面活性剤を不溶化する工程が、
溶液に沈殿剤を添加する工程を含む、パラグラフ25の方法。
45.沈殿剤が、塩、アルコール、水混和性有機溶媒、又は水溶性ポリマー若しくは陽イオン性ポリマーである、パラグラフ43又は44の方法。
46.沈殿剤が塩であり、該塩が、その陰イオンとして、ハライド、シトレート、アセテート、ニトレート、カーボネート;スルフェート;ホスフェート;スルファメート;ホスホネート、スルファメートを含み、又は亜硝酸塩であり、その陽イオンとしてアンモニウム、カルシウム、鉄、マグネシウム、リチウム、カリウム又はナトリウムを含む、パラグラフ43又は44の方法。
47.塩が、塩化物塩又は硫酸塩を含む、パラグラフ42の方法。
48.ハロゲン化物塩が、塩化カルシウム又は塩化ナトリウムであり、硫酸塩が、硫酸アンモニウム又は硫酸ナトリウムである、パラグラフ43の方法。
49.沈殿剤がアルコールであり、アルコールが、一価又は多価アルコールC1〜C6アルコールを含む、パラグラフ42の方法。
50.沈殿剤が、メタノール、エタノール又はイソプロピルアルコールを含む、パラグラフ42の方法。
51.生物界面活性剤を不溶化する工程が、
酵培地のpHを低下させる工程、及び/又は
発酵培地の温度を上昇させる工程、を含む、パラグラフ25の方法。
52.泡低下指数が1を超え、及び/又は泡低下指数が2を超え、及び/又は泡低下指数が3を超え、
方法が、消泡剤を添加することなく行われ、
方法が、不溶化なしで行われる方法と比較して低減された消泡剤の量を用いて行われるように、発泡を抑制する工程を含む、パラグラフ25〜51のいずれか1つの方法。
53.方法が、
発酵培地を生物反応器に供給する工程と、
沈殿剤を添加し又は沈殿条件を適用する工程と、
不溶化生物界面活性剤を収集する工程と、
溶液又は溶液の成分又は宿主細胞を補充する工程と、場合により、不溶化生物界面活性剤とともに収集された任意の溶液又は溶液の成分又は宿主細胞を再利用する工程と、を含む連続プロセスである、パラグラフ25〜51のいずれか1つの方法。
54.溶液の可溶性生物界面活性剤の濃度が、約10g/kg未満である、パラグラフ25〜51のいずれか1つの方法。
55.溶液の可溶性生物界面活性剤の濃度が、約0.1g/kg〜約10g/kgの範囲内である、パラグラフ25〜51のいずれか1つの方法。
56.溶液の可溶性生物界面活性剤の濃度が、約0.1g/kg〜約5g/kgの範囲内である、パラグラフ25〜51のいずれか1つの方法。
57.溶液の可溶性生物界面活性剤の濃度が、約0.1g/kg〜約1.0g/kgの範囲内である、パラグラフ25〜51のいずれか1つの方法。
58.生産された生物界面活性剤の少なくとも50%が不溶化される、パラグラフ25〜51のいずれか1つの方法。
59.生産された生物界面活性剤の少なくとも75%が不溶化される、パラグラフ25〜51のいずれか1つの方法。
60.生産された生物界面活性剤の少なくとも90%が不溶化される、パラグラフ25〜51のいずれか1つの方法。
61.生産された生物界面活性剤の少なくとも95%が不溶化される、パラグラフ25〜51のいずれか1つの方法。
62.溶液中の可溶性生物界面活性剤の濃度が、約0.1g/kg〜約10g/kgの範囲内であり、生産された生物界面活性剤の少なくとも50%が不溶化される、パラグラフ25〜51のいずれか1つの方法。
63.溶液が発酵培地を含む、パラグラフ25〜51のいずれか1つの方法。
64.生産中に発泡する生物界面活性剤の発泡を抑制するための方法であって、
溶液中での宿主細胞による生産と同時に、生物界面活性剤を不溶化する工程と、
泡低下指数が1を超え、及び/若しくは泡低下指数が2を超え、及び/若しくは泡低下指数が3を超え、並びに/又は
溶液中の可溶性生物界面活性剤の濃度が、最大で約1g/kgであり、並びに/又は
生産された生物界面活性剤の少なくとも25%が不溶化され、並びに/又は
方法が、消泡剤を添加することなく行われ、並びに/又は
方法が、不溶化なしで行われる方法と比較して低減された消泡剤の量を用いて行われるように、発泡を抑制する工程と、を含む、方法。
65.溶液が発酵培地であり、
生産が、発酵培地中での宿主細胞による生物界面活性剤の発現を含み、
宿主細胞が生物界面活性剤を細胞外に分泌し、
生物界面活性剤が、発酵培地に可溶性であり、それにより泡形成が生じ得る、パラグラフ64の方法。
66.生産が真空濾過を含み、真空濾過により泡形成が生じ得る、パラグラフ64の方法。
67.生産が回収を含み、回収により泡形成が生じ得る、パラグラフ64の方法。
68.生産が収集を含み、収集により泡形成が生じ得る、パラグラフ64の方法。
69.生産が圧縮を含み、圧縮により泡形成が生じ得る、パラグラフ64の方法。
70.生産が瀉血を含み、瀉血により泡形成が生じ得る、パラグラフ64の方法。
71.生産が解離を含み、解離により泡形成が生じ得る、パラグラフ64の方法。
72.生産が均質化を含み、均質化により泡形成が生じ得る、パラグラフ64の方法。
73.生産がすり潰しを含み、すり潰しにより泡形成が生じ得る、パラグラフ64の方法。
74.生産が醸造を含み、醸造により泡形成が生じ得る、パラグラフ64の方法。
75.生産が回収を含み、回収により泡形成が生じ得る、パラグラフ64の方法。
76.生産が固液分離を含み、固液分離により泡形成が生じ得る、パラグラフ64の方法。
77.生産が遠心分離を含み、遠心分離により泡形成が生じ得る、パラグラフ64の方法。
78.生産が細胞分離を含み、細胞分離により泡形成が生じ得る、パラグラフ64の方法。
79.生産が任意の通気プロセスを含み、プロセスにより泡形成が生じ得る、パラグラフ64の方法。
80.生物界面活性剤が、ヒドロホビンII、ラムノ脂質、ソホロ脂質又はサーファクチンを含む、パラグラフ64又は65の方法。
81.生物界面活性剤を不溶化する工程が、溶液に沈殿剤を添加する工程を含む、又は溶液に沈殿剤を添加する工程から本質的になる、パラグラフ64、64、又は80の方法。
82.沈殿剤が塩を含み、又は塩から本質的になり、塩が、その陰イオンとして、ハライド、シトレート、アセテート、ニトレート、カーボネート;スルフェート;ホスフェート;スルファメート;ホスホネート、スルファメートを含み、又は亜硝酸塩であり、その陽イオンとしてアンモニウム、カルシウム、鉄、マグネシウム、リチウム、カリウム又はナトリウムを含む、パラグラフ81の方法。
83.塩が硫酸塩を含む、又は硫酸塩から本質的になる、パラグラフ82の方法。
84.沈殿剤が、アルコールを含む、又はアルコールから本質的になる、パラグラフ81の方法。
85.生産中に生物界面活性剤の発泡を抑制するための方法であって、
生物界面活性剤の生産中の組成物の条件を制御して、泡を低下させる工程であって、
組成物中の条件を調整して、
泡低下指数が1を超え、及び/若しくは泡低下指数が2を超え、及び/若しくは泡低下指数が3を超え、
発酵培地中の可溶性生物界面活性剤の濃度が、最大で約1g/kgであり、並びに/又は生産された生物界面活性剤の少なくとも25%が不溶化され、並びに/又は
方法が、消泡剤を添加することなく行われ、並びに/又は方法が、不溶化なしで行われる方法と比較して低減された消泡剤の量を用いて行われるように、発泡を低減する工程、を含む、方法。
86.組成物中の条件を調整する工程が、
組成物のpHを調整する工程、及び
組成物の温度を調整する工程、を含む、パラグラフ85の方法。
87.
生産中に組成物の物理的状態を監視して、発泡が生じたときを決定する工程と、
組成物に沈殿剤を提供して発泡を低減する工程と、を含む、パラグラフ85の方法。
88.沈殿剤が、塩、アルコール、水混和性有機溶媒、水溶性ポリマー又は陽イオン性ポリマーを含む、パラグラフ87の方法。
89.沈殿剤が、塩を含み、塩が、その陰イオンとして、ハライド、シトレート、アセテート、ニトレート、カーボネート;スルフェート;ホスフェート;スルファメート;ホスホネート、スルファメートを含み、又は亜硝酸塩であり、その陽イオンとしてアンモニウム、カルシウム、鉄、マグネシウム、リチウム、カリウム又はナトリウムを含む、パラグラフ87の方法。
90.塩が塩化物塩又は硫酸塩を含む、パラグラフ89の方法。
91.塩化物塩が塩化カルシウム又は塩化ナトリウムであり、硫酸塩が硫酸アンモニウム又は硫酸ナトリウムである、パラグラフ90の方法。
92.沈殿剤がアルコールを含む、パラグラフ88の方法。
93.宿主細胞がトリコデルマリーゼイ(Trichoderma reesei)である、パラグラフ1、2、17〜20、26、42、53、64、65又は80のいずれか1つの方法。
94.宿主細胞がバチルスズブチルスである、パラグラフ1、2、17〜20、26、42、53、64、65又は80のいずれか1つの方法。
95.宿主細胞がバチルスリケニフォルミスである、パラグラフ1、2、17〜20、26、42、53、64、65又は80のいずれか1つの方法。
96.宿主細胞がアスペルギルス種である、パラグラフ1、2、17〜20、26、42、53、64、65又は80のいずれか1つの方法。
本発明の好ましい実施形態を詳細に記載してきたが、上記のパラグラフに定義した本発明は、本発明の趣旨又は範囲から逸脱することなく多数の明らかな変形が可能であるため、上記に記載した特定の詳細に限定されない。