本出願は、あらゆる目的でその全体が参照によって本明細書に組み入れられる2011年1月26日に出願された米国仮特許出願番号61/397,729、2011年1月26日に出願された同61/436,399および2011年8月18日に出願された同61/525,008に対して優先権を主張する。
4.1.肺癌を検出すること
4.1.1.一般的な方法
ヒトの肺癌を検出する方法が提供される。一部の実施形態では、早期肺癌を検出する方法が提供される。一部の実施形態では、ステージIの肺癌を検出する方法が提供される。一部の実施形態では、進行すると思われる早期肺癌を検出する方法が提供される。
一部の実施形態では、肺癌を検出する方法は、小分子U2、miR−720、miR−451、13207および13750から選択される少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3または少なくとも4のRNAを検出することを含む。一部の実施形態では、肺癌を検出する方法は、小分子U2、miR−720、miR−451、および13750から選択される少なくとも1、少なくとも2、または少なくとも3のRNAを検出することを含む。一部の実施形態では、肺癌を検出する方法は、小分子U2を検出することを含む。一部の実施形態では、肺癌を検出する方法は、小分子U2と、miR−720、miR−451および13750から選択される少なくとも1つの追加のRNAとを検出することを含む。一部の実施形態では、肺癌を検出する方法は、小分子U2とmiR−451を検出することを含む。一部の実施形態では、肺癌を検出する方法は、小分子U2とmiR−720を検出することを含む。一部の実施形態では、肺癌を検出する方法は、小分子U2と13750を検出することを含む。一部の実施形態では、肺癌を検出する方法は、小分子U2と、miR−720、miR−451および13750から選択される少なくとも2つの追加のRNAとを検出することを含む。一部の実施形態では、肺癌を検出する方法は、13750を検出することを含む。一部の実施形態では、肺癌を検出する方法は、13750と、miR−720、miR−451および小分子U2から選択される少なくとも1つの追加のRNAを検出することを含む。一部の実施形態では、肺癌を検出する方法は、13750とmiR−451を検出することを含む。一部の実施形態では、肺癌を検出する方法は、13750とmiR−720を検出することを含む。一部の実施形態では、肺癌を検出する方法は、小分子13750と、miR−720、miR−451および小分子U2から選択される少なくとも2つの追加のRNAを検出することを含む。一部の実施形態では、肺癌を検出する方法は、小分子U2、miR−720、miR−451および13750を検出することを含む。
一部の実施形態では、方法は正常を上回るレベルの小分子U2を検出することを含む。一部の実施形態では、方法は、正常を上回るレベルの小分子U2と、正常を下回るレベルのmiR−720、miR−451、13207および13750から選択される少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3または少なくとも4のRNAを検出することを含む。一部の実施形態では、方法は、正常を上回るレベルの小分子U2と、正常を下回るレベルのmiR−720、miR−451および13750から選択される少なくとも1、少なくとも2、または少なくとも3のRNAを検出することを含む。一部の実施形態では、方法は、正常を上回るレベルの小分子U2と、正常を下回るレベルのmiR−720を検出することを含む。一部の実施形態では、方法は、正常を上回るレベルの小分子U2と、正常を下回るレベルのmiR−451を検出することを含む。一部の実施形態では、方法は、正常を上回るレベルの小分子U2と、正常を下回るレベルの13750を検出することを含む。一部の実施形態では、方法は、正常を上回るレベルの小分子U2と、正常を下回るレベルのmiR−720およびmiR−451を検出することを含む。一部の実施形態では、方法は、正常を上回るレベルの小分子U2と、正常を下回るレベルのmiR−720および13750を検出することを含む。一部の実施形態では、方法は、正常を下回るレベルの小分子U2分子と、正常を下回るレベルのmiR−451および13750を検出することを含む。一部の実施形態では、方法は、正常を上回るレベルの小分子U2と、正常を下回るレベルのmiR−720、miR−451および13750を検出することを含む。
一部の実施形態では、方法は、正常を下回るレベルの13750を検出することを含む。一部の実施形態では、方法は、正常を下回るレベルの13750と、正常を下回るレベルのmiR−720、miR−451および13207から選択される少なくとも1、少なくとも2、または少なくとも3のRNAを検出することを含む。一部の実施形態では、方法は、正常を下回るレベルの13750と、正常を下回るレベルのmiR−720およびmiR−451から選択される少なくとも1または少なくとも2のRNAを検出することを含む。一部の実施形態では、方法は、正常を下回るレベルの13750およびmiR−720を検出することを含む。一部の実施形態では、方法は、正常を下回るレベルの13750およびmiR−451を検出することを含む。一部の実施形態では、方法は、正常を下回るレベルの13750、miR−451およびmiR−720を検出することを含む。
一部の実施形態では、1以上のRNAのレベルは血清で測定される。一部の実施形態では、方法はさらに、正常を上回るレベルの少なくとも1つの追加の標的RNAを検出することを含む。一部の実施形態では、方法はさらに、正常を下回るレベルの少なくとも1つの追加の標的RNAを検出することを含む。一部の実施形態では、方法は成熟マイクロRNAおよびプレマイクロRNAを検出することを含む。一部の実施形態では、方法は成熟マイクロRNAを検出することを含む。
一部の実施形態では、本明細書で記載される方法のいずれかでは、miR−720は成熟miR−720である。一部の実施形態では、本明細書で記載される方法のいずれかでは、miR−451は成熟miR−451である。一部の実施形態では、本明細書で記載される方法のいずれかでは、13207は成熟13207である。一部の実施形態では、本明細書で記載される方法のいずれかでは、13750は成熟13750である。
本発明者らは当初、肺癌患者の血清に存在し、健常な人の血清に比べて高いまたは低いレベルであるマイクロRNAを特定しようと試みた。しかしながら、肺癌患者の血清からの小分子RNAの配列決定を行う際、より高いレベルで存在する小分子RNAの1つがU2snRNAで見られる配列に一致する配列を有し、マイクロRNA、miR−1290とヌクレオチド1つが異なることが分った。便宜上、これらの小分子U2 RNAは、2011年1月26日に出願された米国仮特許出願番号61/397,729における「miR−1290種」に含められた。これら小分子RNAの起源をさらに正確に特定するために、本出願にてそれらを「小分子U2 RNA」と改名した。小分子RNAを本明細書で改名したが、miR−1290とは異なるこれら特定のRNAが肺癌患者の血清にて高レベルで存在することがその出願時発明者らによって十分に理解されていたことは米国仮特許出願番号61/397,729から明らかである。さらに、miR−1290は、原発肺癌組織または肺癌患者の血清で上昇するとは思われない。従って、miR−1290は肺癌のマーカーであるとは思われない。
本明細書の配列では、「U」および「T」は双方の文字がその位置でウラシルまたはチミンを指すように相互交換可能に使用される。当業者は、ウラシルまたはチミンが配列のその位置で意図されるおよび/または使用されるべきであるかどうかを文脈および/または用途から理解するであろう。たとえば、当業者は天然のRNA分子が通常ウラシルを含む一方で天然のDNA分子は通常チミンを含むことを理解している。従って、マイクロRNAの配列が「T」を含む場合、当業者は天然のマイクロRNAにおけるその位置は多分ウラシルであることを理解する。
本明細書で使用されるとき、用語「小分子U2」および「小分子U2 RNA」は相互交換可能に使用され、完全長U2snRNA配列:
5’- AUCGCUUCUC GGCCUUUUGG CUAAGAUCAA GUGUAGUAUC UGUUCUUAUC AGUUUAAUAU CUGAUACGUC CUCUAUCCGA GGACAAUAUA UUAAAUGGAU UUUUGGAGCA GGGAGAUGGA AUAGGAGCUU GCUCCGUCCA CUCCACGCAU CGACCUGGUA UUGCAGUACC UCCAGGAACG GUGCACCC-3’ (配列番号1)
の12〜40の間の隣接ヌクレオチドを有するポリヌクレオチドを意味する。
一部の実施形態では、小分子U2は完全長U2snRNA配列の15〜35の間の隣接ヌクレオチドを有する。一部の実施形態では、小分子U2は完全長U2snRNA配列の18〜30の間の隣接ヌクレオチドを有する。一部の実施形態では、小分子U2RNAはU2snRNAポリヌクレオチドのプロセッシングを介して形成される。用語「小分子U2」には、結果として生じる転写後の修飾または編集の後のU2snRNAの任意の小分子U2産物も含まれる。
一部の実施形態では、小分子U2RNAは、コア配列:
5’−UGGAUUUUUGGAGCAGGG−3’(配列番号:2)を含み、5’末端にてU2snRNA配列由来の0〜3の追加の隣接ヌクレオチドを伴い、3’末端にてU2snRNA配列由来の0〜9の追加の隣接ヌクレオチドを伴う。
非限定の例となる小分子U2 RNAは、配列:
5’-AAAUGGAUUUUUGGAGCAGGGAGAUGGAAU-3’ (配列番号3)
5’-AAAUGGAUUUUUGGAGCAGGGAGAU-3’ (配列番号4)
5’-AAAUGGAUUUUUGGAGCAGGGAGA-3’ (配列番号5)
5’-AAAUGGAUUUUUGGAGCAGGGAG-3’ (配列番号6)
5’-AAAUGGAUUUUUGGAGCAGGGA-3’ (配列番号7)
5’-AAAUGGAUUUUUGGAGCAGGG-3’ (配列番号8)
5’-AAUGGAUUUUUGGAGCAGGGAGAU-3’ (配列番号9)
5’-AAUGGAUUUUUGGAGCAGGGAGA-3’ (配列番号10)
5’-AAUGGAUUUUUGGAGCAGGGAG-3’ (配列番号11)
5’-AAUGGAUUUUUGGAGCAGGGA-3’ (配列番号12)
5’-AUGGAUUUUUGGAGCAGGGAGAU-3’ (配列番号13)
5’-AUGGAUUUUUGGAGCAGGGAGA-3’ (配列番号14)
5’-AUGGAUUUUUGGAGCAGGGAG-3’ (配列番号15)
5’-AUGGAUUUUUGGAGCAGGGA-3’ (配列番号16)
5’-AUGGAUUUUUGGAGCAGGG-3’ (配列番号17)
5’-UGGAUUUUUGGAGCAGGGAGA-3’ (配列番号18)
5’-UGGAUUUUUGGAGCAGGGAG-3’ (配列番号19)
5’-UGGAUUUUUGGAGCAGGGA-3’ (配列番号20)
を有する。
実施例で明らかにするように、マイクロアレイおよび定量的RT−PCT双方を用いて小分子U2は特定の肺癌患者にて高いレベルで検出された。
本明細書で使用されるとき、用語「miR−720」には、プレ−miR−720、成熟miR−720、成熟miR−720isomir、miR−720*、およびプレ−miR−720のプロセッシングを介して形成される他のRNA,ならびに結果として生じる転写後の修飾または編集の後のプレ−miR−720の産物が含まれる。成熟miR−720は、配列:
5’−UCUCGCUGGGGCCUCCA−3’(配列番号:21)を有する。miR−720のプレ−マイクロRNA形態であるプレ−miR−720は配列:
5’−CCGGAUCUCA CACGGUGGUG UUAAUAUCUC GCUGGGGCCU CCAAAAUGUU GUGCCCAGGG GUGUUAGAGA AAACACCACA CUUUGAGAUG AAUUAAGAGU CCUUUAUUAG−3’(配列番号:22)を有する。
プレ−miR−720は以下の構造を有するが、その中で成熟miR−720配列を太字で示す。
miR−720*形態はプレ−miR−720における成熟miR−720に対向する鎖に由来する。別の例となるmiR−720は配列:
5’−AUCUCGCUGGGGCCUCCA−3’(配列番号:23)を有する。
実施例で明らかにするように、たとえば、定量的RT−PCTを用いて少なくとも成熟miR−720は肺癌患者の大きなコホートにて低いレベルで検出された。
本明細書で使用されるとき、用語「miR−451」には、プレ−miR−451、成熟miR−451、成熟miR−451isomir、miR−451*、およびプレ−miR−451のプロセッシングを介して形成される他のRNA,ならびに結果として生じる転写後の修飾または編集の後のプレ−miR−451の産物が含まれる。成熟miR−451は、配列:
5’−AAACCGUUACCAUUACUGAGUU−3’(配列番号:24)を有する。
miR−451のプレ−マイクロRNA形態であるプレ−miR−451は配列:
5’−CUUGGGAAUG GCAAGGAAAC CGUUACCAUU ACUGAGUUUA GUAAUGGUAA UGGUUCUCUU GCUAUACCCA GA−3’(配列番号:25)を有する。
プレ−miR−451は以下の構造を有するが、その中で成熟miR−451配列を太字で示す。
miR−451*形態は、たとえば、
5’-UAAUGGUAAUGGUUCUCUUG-3’ (配列番号26);および
5'-UUUAGUAAUGGUAAUGGUUCU-3’ (配列番号27)
のようなプレ−miR−451における成熟miR−451に対向する鎖に由来する。
別の例となるmiR−451 RNAは配列
5’-AAACCGUUACCAUUACUGAGUUU-3’ (配列番号28);
5’-AAACCGUUACCAUUACUGAGU-3’ (配列番号29); and
5’-AAACCGUUACCAUUACUGAG-3’ (配列番号30)
を有する。
実施例で明らかにするように、たとえば、定量的RT−PCRを用いて少なくとも成熟miR−451は、特定の肺癌患者の原発組織にて低いレベルで、および肺癌患者の大きなコホートにて低いレベルで検出された。
本明細書で使用されるとき、用語「13207」には、プレ−13207、成熟13207、成熟13207isomir、13207*、およびプレ−13207のプロセッシングを介して形成される他のRNA,ならびに結果として生じる転写後の修飾または編集の後のプレ−13207の産物が含まれる。成熟13207(「13207−R」とも呼ばれる)は、配列:
5’-UGUCUUUCCUUGUUGGAGCAGG-3’ (配列番号31)を有する。
13207のプレ−マイクロRNA形態であるプレ−13207は配列:
5’- GCCCCCCAAA AUGCUUCUGU ACCCCUGCCC CAACAAGGAA GGACAAGAGG UGUGAGCCAC ACACACGCCU GGCCUCCUGU CUUUCCUUGU UGGAGCAGGG AUGUAGAAGC ACUUGCCGCA G -3’ (配列番号32)を有する。
13207*形態は、たとえば、
5’-TGCCCCAACAAGGAAGGACAAG-3’ (配列番号33); および
5’-TGCCCCAACAAGGAAGGACAAGA-3’ (配列番号34)
のようなプレ−13207における成熟13207に対向する鎖に由来する。
別の例の13207は配列:
5’-UCCUGUCUUUCCUUGUUGGAGC-3’ (配列番号80)を有する。
配列番号80で表される13207はmiR−5699としてMirBaseに寄託されている。実施例で明らかにするように、たとえば、定量的RT−PCTを用いて少なくとも成熟13207は、特定の肺癌患者にて低いレベルで検出された。
本明細書で使用されるとき、用語「13750」には、プレ−13750、成熟13750、成熟13750isomir、13750*、およびプレ−13750のプロセッシングを介して形成される他のRNA,ならびに結果として生じる転写後の修飾または編集の後のプレ−13750の産物が含まれる。成熟13750(「13750−L」とも呼ばれる)は、配列:
5’-TGTAGAGCAGGGAGCAGGAAGCT-3’ (配列番号35)を有する。
13750のプレ−マイクロRNA形態であるプレ−13750は配列:
5’-GGCCTGCGAGGGAGCTGTAGAGCAGGGAGCAGGAAGCTGTGTGTGTCCAGCCC TGACCTGTCCTGTTCTGCCCCCAGCCCCTCACAGTGCT-3’ (配列番号36)を有する。
13750*形態(「13750−R」とも呼ばれる)は、たとえば、
5’-GCCCTGACCTGTCCTGTTCTG-3’ (配列番号37); and
5’-GCCCTGACCTGTCCTGTTCT-3’ (配列番号79)
のようなプレ−13750における成熟13750に対向する鎖に由来する。
別の例となる成熟13750RNAは配列:
5’-TGTAGAGCAGGGAGCAGGAAGC-3’ (配列番号38);
5’-TGTAGAGCAGGGAGCAGGAAG-3’ (配列番号39);
5’-TGTAGAGCAGGGAGCAGGAA-3’ (配列番号40); および
5’-TGTAGAGCAGGGAGCAGGA-3’ (配列番号41)を有する。
配列番号35で表される13750−LはmiR−4732−5pとしてMirBaseに寄託されており、配列番号37で表される13750−RはmiR−4732−3pとしてMirBaseに寄託されている。実施例で明らかにするように、たとえば、定量的RT−PCTを用いて少なくとも成熟13750は、特定の肺癌患者にて低いレベルで検出された。
本開示では、「から選択される配列」は、「から選択される配列1つ」および「から選択される1以上の配列」の双方を包含する。従って「から選択される配列」が使用される場合、列挙された配列の1つまたは1を超えるものが選択され得ると理解されるべきである。
本明細書で使用されるとき、たとえば、「小分子U2、miR−720、miR−451、13207および13750から選択される少なくとも1つのRNA」のようなリストは、「少なくとも1つの小分子U2、少なくとも1つのmiR−720、少なくとも1つのmiR−451、少なくとも1つの13207および少なくとも1つの13750から選択される少なくとも1つのRNA」を包含することが意図され、その際、小分子U2、miR−720、miR−451、13207および13750は上記のように定義される。従って、一部の実施形態では、小分子U2、miR−720、miR−451、13207および13750から選択される少なくとも1つのRNAは、たとえば、成熟miR−720およびプレ−miR−720の双方を含み得るし、またはたとえば、成熟miR−720、プレ−miR−720および成熟miR−451等を含み得る。
本開示では、用語「標的RNA」は便宜上小分子U2、miR−720、miR−451、13207および13750を、および他の標的RNAも指すのに使用される。従って、標的RNAという点で議論が提示される場合、その議論は、小分子U2、miR−720、miR−451、13207、13750および/または他の標的RNAを包含するように具体的に意図される。
一部の実施形態では、正常レベルの標的RNAよりも高いレベルの標的RNAの検出は試料における肺癌の存在を示す。一部の実施形態では、正常レベルの標的RNAよりも低いレベルの標的RNAの検出は試料における肺癌の存在を示す。一部の実施形態では、検出することは定量的に行われる。一部の実施形態では、検出することは定性的に行われる。一部の実施形態では、標的RNAを検出することは、ポリヌクレオチドと、標的RNA、標的RNAのDNAアンプリコン、および標的RNAの相補体から選択される核酸を含む複合体を形成することを含む。一部の実施形態では、次いで複合体のレベルを検出して同じ複合体の正常レベルと比較する。
「非小細胞癌」または「NSCLC」はヒトで見られる肺癌の2つの分類のうちの1つである。肺癌であると診断された患者の約80%が非小細胞癌を有する。NSCLCは、それが起源とする細胞によってさらに3つの亜分類:(i)肺胞を裏打ちする細胞を起源とし、粘液のような物質を作る肺腺癌、(ii)扁平上皮を起源とする扁平上皮癌または類表皮癌;および(iii)幾つかの異なる種類の大細胞を起源とする大細胞癌に分けられる。50%を超えるNSCLC患者は肺腺癌または扁平上皮癌のいずれかである。組織学上の非扁平上皮癌には肺腺癌および大細胞癌の双方が含まれる。
癌は臨床ステージと病理ステージに分けることができる。臨床ステージは、身体検査、放射線検査、内視鏡等を介して集められる情報のような腫瘍に関して利用可能な情報すべてに基づく。病理ステージは腫瘍の顕微鏡的な病理学に基づく。
TNM(腫瘍、節、転移)方式は、3つのパラメータ:腫瘍のサイズおよび近隣組織への侵襲があるかないかと、リンパ節の関与と、転移によって癌を分類する。T(腫瘍)は原発腫瘍のサイズおよび程度に従って1〜4の数に割り振られる。N(節)は0〜3の数に割り振られ、0はリンパ節への広がりがないことを意味し、1は最も近いリンパ節への広がりであり、3は最も遠い且つ最大数のリンパ節への広がりであり、2は1と3の中間である。M(転移)は遠位転移がない0または所属リンパ節を超えて遠位転移がある1に割り振られる。
肺癌については、総合段階分類法によってステージに従って癌を0、I、II、III、およびIVのローマ数字およびAまたはBの文字に割り振る。ステージ0は普通腫瘍を形成していないその場にとどまる癌腫である。ステージIA(T1N0M0)およびIB(T2N0M0)は身体の一部に局在する癌である。ステージIIA(T1N1M0)およびIIB(T2N1M0およびT3N0M0)は局在しているが、さらに進行している癌である。ステージIIIA(T1〜3N2M0またはT3N1M0)およびIIIB(任意のT4または任意のN3M0)の癌は局所的に進行している。ステージIV(任意のM1)は転移している癌である。本明細書で使用されるとき、用語「早期癌」はステージIAおよびIBならびにステージIIAおよびIIBの癌を指す。
成熟したヒトのマイクロRNAは通常、17〜27の隣接リボヌクレオチドで構成され、長さ21または22のヌクレオチドであることが多い。理論によって束縛されることを意図しないが、哺乳類のマイクロRNAは本明細書で記載されるように成熟する。マイクロRNAをコードする遺伝子が転写され、「プリ−マイクロRNA」または「プリ−miRNA」として知られるマイクロRNA前駆体の生成をもたらす。プリ−miRNAは、複数のプリ−miRNAを含むポリシストロン性RNAの一部であり得る。状況によっては、プリ−miRNAはステムとループを持つヘアピンを形成し、それはミスマッチの塩基を含み得る。プリ−miRNAのヘアピン構造は、RNA分解酵素IIIエンドヌクレアーゼであるDroshaによって認識される。Droshaはプリ−miRNAにおける末端ループを認識し、ほぼ2つの螺旋状旋回をステムに切断し、「プレ−マイクロRNA」または「プレ−miRNA」として知られる60〜70ヌクレオチドの前駆体を生じる。Droshaは、RNA分解酵素IIIエンドヌクレアーゼに特有である互い違いの切断によってプリ−miRNAを切断して5’リン酸とほぼ2ヌクレオチドの3’オーバーハングを伴ったプレ−miRNAステムループを生じる。Drosha切断部位を超えて伸びるステムのほぼ1回の螺旋状旋回(約10ヌクレオチド)が十分なプロセッシングに必須であり得る。プレ−miRNAはその後、Ran−GTPおよび輸出受容体Exportin−5によって核から細胞質へ能動的に輸送される。
プレ−miRNAは、別のRNA分解酵素IIIエンドヌクレアーゼであるDicerによって認識され得る。状況によっては、Dicerはプレ−miRNAの二本鎖のステムを認識する。Dicerはまたステムループの塩基にて5’リン酸と3’オーバーハングも認識し得る。Dicerはステムループの塩基から末端ループの2回の螺旋状旋回を切り離して追加の5’リン酸とほぼ2ヌクレオチドの3’オーバーハングを残し得る。ミスマッチを含み得る得られるsiRNA様の二本鎖は成熟マイクロRNAおよびマイクロRNA*として知られる類似のサイズの断片を含む。マイクロRNAおよびマイクロRNA*はプリ−miRNAおよびプレ−miRNAの対向する側に由来し得る。次いで成熟マイクロRNAはRNAが誘導するサイレンス化複合体(「RISC」)、リボヌクレオタンパク質複合体に負荷される。場合によっては、マイクロRNA*も遺伝子サイレンス化または他の活性を有する。
非限定の例となる小分子細胞性RNAには、マイクロRNAの他に、小分子核RNA、tRNA、リボソームRNA、snoRNA、piRNA、siRNA、およびそれらRNAのプロセッシングによって形成される小分子RNAが挙げられる。一部の実施形態では、標的RNAは小分子細胞性RNAである。
一部の実施形態では、小分子U2、miR−720、miR−451、13207および13750から選択される少なくとも1つのRNAのような標的RNAを患者から1以上の回数採取した試料中で測定して患者における肺癌の状態または進行をモニターすることができる。
一部の実施形態では、肺組織を採取するのに一般に使用される1以上の技法、たとえば、気管支鏡、気管支洗浄、気管支擦過ブラシ、または経気管支針吸引を用いて調べる試料を入手する。一部の実施形態では、気管支肺胞洗浄による病変なしで、すなわち、生理食塩水で気道を洗浄して細胞を入手することによって患者から試料を入手する。一部の実施形態では、たとえば、コンピュータ断層撮影(CT)補助の針生検のような生検によって試料を入手する。
一部の実施形態では、調べられる試料は、たとえば、血液、痰、粘液、唾液、尿、精液等の体液である。一部の実施形態では、調べられる試料は血液試料である。一部の実施形態では、血液試料は全血である。一部の実施形態では、血液試料は血液細胞の試料である。一部の実施形態では、血液試料は血漿である。一部の実施形態では、血液試料は血清である。
一部の実施形態では、調べられる試料は新鮮に得られる。一部の実施形態では、試料は新鮮な凍結検体である。一部の実施形態では、試料は、たとえば、ホルマリン固定し、パラフィン包埋した試料のような組織試料である。一部の実施形態では、試料は液体の細胞学試料である。
一部の実施形態では、本明細書で記載される方法は、日常の気管支鏡によって得られるもののような肺細胞の試料における肺癌の早期検出に使用される。一部の実施形態では、本明細書で記載される方法は、血液または血清の試料における肺癌の早期検出に使用される。
一部の実施形態では、調べられる臨床試料は、以下のリスク因子:喫煙歴、45歳を超える年齢、ラドンガスへの暴露、副流煙または職業的な発癌物質(たとえば、アスベスト、放射線、ヒ素、クロム、ニッケル、クロロメチルエーテル、マスタードガスまたはコークス炉排出物)または結核のような以前の疾患による瘢痕のある肺の1以上を有する人から得られる。一部の実施形態では、臨床試料は、たとえば、異常な胸部X線および/またはコンピュータ断層撮影(「CT」)走査、咳、局所的な胸痛、または嗄声のような、肺癌に関連し得る診断兆候または臨床症状を有する人から得られる。
従って、一部の実施形態では、本明細書で記載される方法は、リスク因子のない健常な人を日常的にスクリーニングするのにも使用することができる。一部の実施形態では、本明細書で記載される方法を用いて1以上の上述のリスク因子を有する無症状の人をスクリーニングする。
一部の実施形態では、本明細書で記載される方法は、早期肺癌を検出するのに使用することができる。一部の実施形態では、本明細書で記載される方法は、ステージIの肺癌を検出するのに使用することができる。一部の実施形態では、本明細書で記載される方法は、ステージIまたはステージIIの肺癌を検出するのに使用することができる。一部の実施形態では、早期肺癌を検出する方法は、小分子U2、miR−720、miR−451、13207および13750から選択される少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、または少なくとも4のRNAを検出することを含む。一部の実施形態では、早期肺癌を検出する方法は、小分子U2、miR−720、miR−451および13750から選択される少なくとも1、少なくとも2、または少なくとも3のRNAを検出することを含む。一部の実施形態では、早期肺癌を検出する方法は、小分子U2を検出することを含む。一部の実施形態では、早期肺癌を検出する方法は、小分子U2と、miR−720、miR−451および13750から選択される少なくとも1つの追加のRNAを検出することを含む。一部の実施形態では、早期肺癌を検出する方法は、小分子U2とmiR−451を検出することを含む。一部の実施形態では、早期肺癌を検出する方法は、小分子U2とmiR−720を検出することを含む。一部の実施形態では、早期肺癌を検出する方法は、小分子U2と13750を検出することを含む。一部の実施形態では、早期肺癌を検出する方法は、小分子U2と、miR−720、miR−451および13750から選択される少なくとも2つの追加のRNAを検出することを含む。一部の実施形態では、早期肺癌を検出する方法は、13750を検出することを含む。一部の実施形態では、早期肺癌を検出する方法は、13750と、miR−720、miR−451および小分子U2から選択される少なくとも1つの追加のRNAを検出することを含む。一部の実施形態では、早期肺癌を検出する方法は、13750とmiR−451を検出することを含む。一部の実施形態では、早期肺癌を検出する方法は、13750とmiR−720を検出することを含む。一部の実施形態では、早期肺癌を検出する方法は、13750と、miR−720、miR−451および小分子U2から選択される少なくとも2つの追加のRNAを検出することを含む。一部の実施形態では、早期肺癌を検出する方法は、小分子U2、miR−720、miR−451および13750を検出することを含む。
一部の実施形態では、ステージIの肺癌を検出する方法は、小分子U2、miR−720、miR−451、13207および13750から選択される少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、または少なくとも4のRNAを検出することを含む。一部の実施形態では、ステージIの肺癌を検出する方法は、小分子U2、miR−720、miR−451および13750から選択される少なくとも1、少なくとも2または少なくとも3のRNAを検出することを含む。一部の実施形態では、ステージIの肺癌を検出する方法は、小分子U2を検出することを含む。一部の実施形態では、ステージIの肺癌を検出する方法は、小分子U2と、miR−720、miR−451および13750から選択される少なくとも1つの追加のRNAを検出することを含む。一部の実施形態では、ステージIの肺癌を検出する方法は、小分子U2とmiR−451を検出することを含む。一部の実施形態では、ステージIの肺癌を検出する方法は、小分子U2とmiR−720を検出することを含む。一部の実施形態では、ステージIの肺癌を検出する方法は、小分子U2と13750を検出することを含む。一部の実施形態では、ステージIの肺癌を検出する方法は、小分子U2と、miR−720、miR−451および13750から選択される少なくとも2つの追加のRNAを検出することを含む。一部の実施形態では、ステージIの肺癌を検出する方法は、13750を検出することを含む。一部の実施形態では、ステージIの肺癌を検出する方法は、13750と、miR−720、miR−451および小分子U2から選択される少なくとも1つの追加のRNAを検出することを含む。一部の実施形態では、ステージIの肺癌を検出する方法は、13750とmiR−451を検出することを含む。一部の実施形態では、ステージIの肺癌を検出する方法は、13750とmiR−720を検出することを含む。一部の実施形態では、ステージIの肺癌を検出する方法は、13750と、miR−720、miR−451および小分子U2から選択される少なくとも2つの追加のRNAを検出することを含む。一部の実施形態では、ステージIの肺癌を検出する方法は、小分子U2、miR−720、miR−451および13750を検出することを含む。
一部の実施形態では、本明細書で記載される方法は、患者における肺癌の治療の有効性を評価するのに使用することができる。一部の実施形態では、たとえば、小分子U2、miR−720、miR−451、13207および13750から選択される少なくとも1つのRNAのような標的RNAのレベルは治療中種々の時間で測定され、肺癌の兆候の出現前または治療の開始前に患者から採取した保存試料の標的RNAのレベルと比較する。一部の実施形態では、標的RNAのレベルを、患者から採取した正常組織の保存試料または生検によって患者の肺の腫瘍ではない部分から採取した組織の試料における標的RNAのレベルと比較する。理想的には、正常試料の標的RNAのレベルは、標的RNAのレベルで異常な変化がないことを証拠付ける。従って、そのような実施形態では、肺癌である人の治療の進行は、その人が健康だったときまたは治療開始前の同一人の試料との比較、または同一人からの健常な肺細胞の試料との比較によって評価することができる。
一部の実施形態では、肺癌患者の治療に対する応答をモニターするために小分子U2、miR−720、miR−451、13207および13750から選択される少なくとも1つのRNAの使用が提供される。一部の実施形態では、肺癌患者の治療に対する応答をモニターするために小分子U2の使用が提供される。一部の実施形態では、肺癌患者の治療に対する応答をモニターするために13750の使用が提供される。一部の実施形態では、肺癌患者の治療に対する応答をモニターするために小分子U2と13750の使用が提供される。一部の実施形態では、肺癌患者の治療に対する応答をモニターするために小分子U2とmiR-720と13750の使用が提供される。一部の実施形態では、肺癌患者の治療に対する応答をモニターするために小分子U2とmiR−720とmiR−451と13750の使用が提供される。治療のモニタリングでは、好ましくは血清のような血液が使用される。治療のモニタリングでは、個々にまたはまとめて測定された小分子U2、miR−720、miR−451、13207および13750のレベルが治療の開始時に測定されたそれらのベースラインに対して評価される。一部の実施形態では、ベースラインからの変化が治療への応答を示し、その際、特定のRNAのレベルは同じままであり、または小分子U2についてのレベルは低下し、またはmiR−720、miR−451、13207若しくは13750についてのレベルは上昇する。一部の実施形態では、ベースラインからの変化が治療への応答を示し、その際、小分子U2についてのレベルは上昇し、またはmiR−720、miR−451、13207若しくは13750についてのレベルは低下する。
一部の実施形態では、方法は、小分子U2、miR−720、miR−451、13207および13750から選択される少なくとも1つのRNAを検出することを含む。一部の実施形態では、方法は小分子U2を検出することを含む。そのような一部の実施形態では、方法はさらに、miR−720、miR−451、13207および13750から選択される少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、または少なくとも4のRNAを検出することを含む。一部の実施形態では、小分子U2、miR−720、miR−451、13207および13750から選択される少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、または少なくとも4のRNAを検出することと組み合わせて、方法はさらに、少なくとも1つの追加の標的RNAを検出することを含む。そのような追加の標的RNAには、他のマイクロRNA、小分子細胞性RNAおよびmRNAが挙げられるが、これらに限定されない。
方法が、小分子U2、miR−720、miR−451、13207および13750から選択される少なくとも2つのRNAのような、少なくとも2つのRNAのレベルを検出することを含む実施形態では、複数のRNAのレベルは同一のアッセイ反応にて一斉にまたは同時に検出され得る。一部の実施形態では、RNAレベルは別々のアッセイ反応にて一斉にまたは同時に検出される。一部の実施形態では、RNAレベルは、たとえば、連続アッセイ反応にて様々な時間で検出される。
一部の実施形態では、方法は対象からの試料における小分子U2のレベルを検出することを含み、その際、RNAの正常レベルよりも高いレベルの小分子U2の検出は対象における肺癌の存在を示す。一部の実施形態では、方法は対象からの試料におけるmiR−720のレベルを検出することを含み、その際、RNAの正常レベルよりも低いレベルのmiR−720の検出は対象における肺癌の存在を示す。一部の実施形態では、方法は対象からの試料におけるmiR−451のレベルを検出することを含み、その際、RNAの正常レベルよりも低いレベルのmiR−451の検出は対象における肺癌の存在を示す。一部の実施形態では、方法は対象からの試料における13207のレベルを検出することを含み、その際、RNAの正常レベルよりも低いレベルの13207の検出は対象における肺癌の存在を示す。一部の実施形態では、方法は対象からの試料における13750のレベルを検出することを含み、その際、RNAの正常レベルよりも低いレベルの13750の検出は対象における肺癌の存在を示す。さらに、前述のRNAの1、2、3、4または5の組み合わせを検出することを含む、対象における肺癌を検出する方法も熟考される。
一部の実施形態では、対象における肺癌の診断を円滑にする方法が提供される。そのような方法は、対象からの試料における小分子U2、miR−720、miR−451、13207および13750から選択される少なくとも1つのRNAのレベルを検出することを含む。一部の実施形態では、対象からの試料における小分子U2、miR−720、miR−451、13207および13750から選択される少なくとも1つのRNAのレベルに関する情報は医療実行者に伝達される。「医療実行者」は本明細書で使用されるとき、患者を診断し、および/または治療する人または実体、たとえば、病院、診療所、医院の医師、看護師、または前述の実体および人のいずれかの職員を指す。一部の実施形態では、小分子U2、miR−720、miR−451、13207および13750から選択される少なくとも1つのRNAのレベルを検出することは、医療実行者または医療実行者の代理人から対象の試料を受け取っている研究室で実施される。研究室は、本明細書で記載されるものを含む方法によって検出を実施し、次いで結果を医療実行者に伝達する。何としてもそれが医療実行者に提供される場合、本明細書で使用されるとき、結果が「伝達される」。一部の実施形態では、そのような伝達は、口頭または書面であってもよく、本人が直接電話によって、電子メールによって、郵便物若しくは宅配便によってもよいし、または、たとえば、医療実行者によって制御されていないデータベースを含む、医療実行者がアクセス可能なデータベースに直接寄託することによって為されてもよい。一部の実施形態では、情報は電子形態で維持される。一部の実施形態では、情報は、たとえば、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリ、コンピュータチップ、デジタルビデオディスク(DVD)、コンパクトディスク(CD)、ハードディスク装置(HDD)、磁気テープ等のようなメモリまたは他のコンピュータが読み取り可能な媒体に保存することができる。
一部の実施形態では、肺癌の存在を検出する方法が提供される。一部の実施形態では、肺癌を診断する方法が提供される。一部の実施形態では、方法は、対象から試料を入手することと、試料にて小分子U2、miR−720、miR−451、13207および13750から選択される少なくとも1つのRNAのレベルを検出するために試料を研究室に提供することを含む。一部の実施形態では、方法はさらに、試料における小分子U2、miR−720、miR−451、13207および13750から選択される少なくとも1つのRNAのレベルを示す研究室からの伝達を受け取ることを含む。一部の実施形態では、肺癌は、試料における小分子U2のレベルが小分子U2の正常レベルより高ければ存在する。一部の実施形態では、試料におけるmiR−720、miR−451、13207および13750から選択される少なくとも1つのRNAのレベルが各RNAの正常レベルよりも低ければ、肺癌が存在する。「研究室」は本明細書で使用されるとき、本明細書で記載される方法を含む任意の方法によって試料における小分子U2、miR−720、miR−451、13207および13750から選択される少なくとも1つのRNAのレベルを検出し、そのレベルを医療実行者に伝達する任意の施設である。一部の実施形態では、研究室は医療実行者の制御下にある。一部の実施形態では、研究室は医療実行者の制御下にはない。
研究室が、小分子U2、miR−720、miR−451、13207および13750から選択される少なくとも1つのRNAのレベルを医療実行者に伝達する場合、一部の実施形態では、研究室は、正常レベルの数値を提供するとともに、またはそれを提供しないで試料における小分子U2、miR−720、miR−451、13207および13750から選択される少なくとも1つのRNAのレベルを表す数値を伝達する。一部の実施形態では、研究室は、たとえば、「高い」、「低い」、「上昇した」「低下した」等のような定量的な値を提供することによって小分子U2、miR−720、miR−451、13207および13750から選択される少なくとも1つのRNAのレベルを伝達する。
本明細書で使用されるとき、方法が、肺癌を検出すること、肺癌の存在を判定することおよび/または肺癌を診断することに関する場合、方法には、方法の工程を実施するが、結果は肺癌の存在について否定的である活動が含まれる。すなわち、肺癌を検出すること、判定することおよび診断することには、肯定的または否定的な結果を生じる(たとえば、小分子U2のレベルが正常若しくは正常より高いかどうか、またはmiR−720、miR−451、13207および13750のレベルが正常若しくは正常より低いかどうか、)方法を実施する例が含まれる。
本明細書で使用されるとき、用語「対象」はヒトを意味する。一部の実施形態では、本明細書で記載される方法は非ヒト動物に由来する試料で使用され得る。
ゲノムにて互いに物理的に近接した標的RNAの共通したまたは対等な発現は、本明細書の方法では、そのような染色体で近接した標的RNAの情報上有益な使用を可能にする。
小分子U2のコーディング配列は、17q21.31にて第17染色体上に位置し、複数コピーで存在すると思われる。miR−720のコーディング配列は第3染色体:164,059,029−164,059,238(Ensembl release65−2011年12月;染色体3q26.1)に位置する。miR−451のコーディング配列は第17染色体:27,188,387−27,188,458(Ensembl release65−2011年12月;染色体17q11.2)に位置する。13207のコーディング配列は第10染色体:687,614−687,734(Ensembl release65−2011年12月;染色体10p15.3)に位置する。13750のコーディング配列は第17染色体:27,188,673−27,188,748(Ensembl release65−2011年12月;染色体17q11.2)に位置する。一部の実施形態では、小分子U2、miR−720、miR−451または13207の染色体上の位置の約1キロベース(kb)以内、約2kb以内、約5kb以内、約10kb以内、約20kb以内、約30kb以内、約40kb以内、およびさらに約50kb以内に位置する1以上の標的RNAの発現のレベルが、本明細書で記載される方法にて各標的RNAの発現の代わりにまたはそれに加えて検出される。Baskerville,S.andBartel、D.P.(2005)RNA 11:241−247を参照のこと。
一部の実施形態では、方法はさらに、たとえば、癌に関連するゲノム領域、脆弱部位およびヒトパピローマウイルス統合部位のような染色体の特徴に非常に近接して位置する少なくとも1つの標的RNA遺伝子の発現を試料にて検出することを含む。
一部の実施形態では、1を超えるRNAが単一反応で同時に検出される。一部の実施形態では、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも5または少なくとも10のRNAが単一反応で同時に検出される。一部の実施形態では、RNAすべてが単一反応で同時に検出される。
4.1.2.例となる対照
一部の実施形態では、たとえば、小分子U2、miR−720、miR−451、13207および13750から選択されるRNAのような標的RNAの正常レベル(「対照」)は、正常の肺細胞、または試料において測定されるレベルを比較することができる他の参照物質の特徴である平均レベルまたは範囲として決定することができる。正常対象における標的RNAの決定された平均または範囲は、肺癌であることを示す標的RNAの正常を上回るレベルを検出するための基準として使用することができる。一部の実施形態では、たとえば、ステージI、IIまたはIIIAの非小細胞肺癌について外科的切除を受けている患者からの正常な肺組織からのような、1以上の人からの個々のまたはプールしたRNA含有試料を用いて標的RNAの正常レベルを決定することができる。
一部の実施形態では、たとえば、小分子U2、miR−720、miR−451、13207および13750から選択される少なくとも1つのRNAのような標的RNAの正常レベルを決定することは、標的RNA、標的RNAのDNAアンプリコンおよび標的RNAの相補体から選択される核酸とハイブリッド形成したものの検出のためのポリヌクレオチドを含む複合体を検出することを含む。すなわち、一部の実施形態では、標的RNA自体ではなく、標的RNAのDNAアンプリコンまたは標的RNAの相補体を検出することによって正常レベルを決定することができる。一部の実施形態では、そのような複合体の正常レベルを決定し、対照として使用する。一部の実施形態では、複合体の正常レベルは標的RNAの正常レベルと相関する。従って、標的の正常レベルが本明細書で議論される場合、そのレベルは、一部の実施形態では、そのような複合体を検出することによって決定することができる。
一部の実施形態では、対照は、1人の人の細胞からの、たとえば、ステージI、IIまたはIIIAの肺癌について外科的切除を受けている患者の正常組織からのRNAを含む。一部の実施形態では、対照は、1人の人の全血または血清のような血液からのRNAを含む。一部の実施形態では、対照は、複数の人からの細胞のプールに由来するRNAを含む。一部の実施形態では、対照は、複数の人からの全血または血清のような血液のプールに由来するRNAを含む。一部の実施形態では、対照は、たとえば、ヒト肺全RNA(Ambion;AM7968)のような市販のヒトRNAを含む。一部の実施形態では、正常レベルまたは正常範囲は、高いレベルについて試料を調べる前にすでに事前に決定されている。
一部の実施形態では、たとえば、小分子U2、miR−720、miR−451、13207および13750から選択される少なくとも1つのRNAのような標的RNAの正常レベルは、1以上の継続した細胞株、通常、正常な肺細胞におけるレベルに近似するRNAのレベルを有することが前に示された細胞株から決定することができる。
一部の実施形態では、方法は、小分子U2、miR−720、miR−451、13207および13750から選択される少なくとも1つのRNAのレベルを検出することを含む。一部の実施形態では、小分子U2、miR−720、miR−451、13207および13750から選択される少なくとも1つのRNAのレベルを検出することに加えて、方法は、少なくとも1つの追加の標的RNAのレベルを検出することを含む。一部の実施形態では、方法は小分子U2のレベルを検出することを含む。一部の実施形態では、方法はさらに、miR−720、miR−451、13207および13750から選択される少なくとも1つのRNAのレベルを検出することを含む。一部の実施形態では、方法は13750のレベルを検出することを含む。一部の実施形態では、方法はさらに、miR−720、miR−451、13207および小分子U2から選択される少なくとも1つのRNAのレベルを検出することを含む。一部の実施形態では、方法はさらに、少なくとも1つの追加の標的RNAのレベルを検出することを含む。一部の実施形態では、方法はさらに、少なくとも1つのRNAの正常レベルに小分子U2、miR−720、miR−451、13207および13750から選択される少なくとも1つのRNAのレベルを比較することを含む。一部の実施形態では、方法はさらに、少なくとも1つの標的RNAの対照レベルと少なくとも1つのRNAのレベルを比較することを含む。標的RNAの対照レベルは、一部の実施形態では、正常細胞における標的RNAのレベルである。標的RNAの対照レベルは、一部の実施形態では、健常人の血清における標的RNAのレベルである。一部の実施形態では、対照レベルは正常レベルとも呼ばれ得る。
一部の実施形態では、正常細胞または正常血清における小分子U2のレベルに比べて高いレベルの試料における小分子U2、および/または正常細胞または正常血清における各RNASのレベルに比べて低いレベルの、miR−720、miR−451、13207および13750から選択される少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、または少なくとも4つのRNAは肺癌を指し示す。一部の実施形態では、正常細胞または正常血清における小分子U2のレベルに比べて高いレベルの試料における小分子U2は肺癌を指し示す。一部の実施形態では、正常細胞または正常血清におけるmiR−720のレベルに比べて低いレベルの試料におけるmiR−720は肺癌を指し示す。一部の実施形態では、正常細胞または正常血清におけるmiR−451のレベルに比べて低いレベルの試料におけるmiR−451は肺癌を指し示す。一部の実施形態では、正常細胞または正常血清における13207のレベルに比べて低いレベルの試料における13207は肺癌を指し示す。一部の実施形態では、正常細胞または正常血清における13750のレベルに比べて低いレベルの試料における13750は肺癌を指し示す。
一部の実施形態では、正常細胞における少なくとも1つの追加の標的RNAのレベルに比べて高いレベルの少なくとも1つの追加の標的RNAは肺癌を指し示す。一部の実施形態では、正常細胞における少なくとも1つの追加の標的RNAのレベルに比べて低いレベルの少なくとも1つの追加の標的RNAは肺癌を指し示す。
一部の実施形態では、小分子U2、miR−720、miR−451、13207および13750から選択される少なくとも1つのRNAのような標的RNAのレベルが、たとえば、確認された肺癌に由来する参照レベルと比較される。そのような一部の実施形態では、参照試料と比べて類似のレベルの標的RNAが肺癌を指し示す。
一部の実施形態では、各標的RNAの正常レベルよりも少なくとも約2倍高いレベルのたとえば、小分子U2のような標的RNAが肺癌の存在を指し示す。一部の実施形態では、対照試料における各標的RNAのレベルよりも少なくとも約2倍高いレベルのたとえば、小分子U2のような標的RNAが肺癌の存在を指し示す。種々の実施形態では、対照試料における各標的RNAのレベルよりも少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、または少なくとも約10倍高いレベルのたとえば、小分子U2のような標的RNAが肺癌の存在を指し示す。種々の実施形態では、各標的RNAの正常レベルよりも少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、または少なくとも約10倍高いレベルのたとえば、小分子U2のような標的RNAが肺癌の存在を指し示す。
一部の実施形態では、各標的RNAの正常レベルよりも少なくとも約2倍低いレベルの、たとえば、miR−720、miR−451、13207および/または13750のような少なくとも1つの標的RNAが肺癌の存在を指し示す。一部の実施形態では、対照試料における各標的RNAのレベルよりも少なくとも約2倍低いレベルの、たとえば、miR−720、miR−451、13207および/または13750のような少なくとも1つの標的RNAが肺癌の存在を指し示す。種々の実施形態では、対照試料における各標的RNAのレベルよりも少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、または少なくとも約10倍低いレベルの、たとえば、miR−720、miR−451、13207および/または13750のような少なくとも1つの標的RNAが肺癌の存在を指し示す。種々の実施形態では、各標的RNAの正常レベルよりも少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、または少なくとも約10倍低いレベルの、たとえば、miR−720、miR−451、13207および/または13750のような少なくとも1つの標的RNAが肺癌の存在を指し示す。
一部の実施形態では、小分子U2、miR−720、miR−451、13207および13750から選択される少なくとも1つのRNAのような標的RNAの対照レベルは、たとえば、同一アッセイまたはアッセイのバッチにて試料中の標的RNAのレベルとして同時に測定される。一部の実施形態では、小分子U2、miR−720、miR−451、13207および13750から選択される少なくとも1つのRNAのような標的RNAの対照レベルは、試料中の標的RNAのレベルとしては測定されない。そのような一部の実施形態では、対照レベルは予め測定されている。
一部の実施形態では、標的RNAが正常細胞にて非常に低いレベルで存在するまたは全く存在しないことが分っている場合、標的RNAのレベルは対照レベルと比較されない。そのような実施形態では、試料における高レベルの標的RNAの検出が肺癌を示す。同様に、一部の実施形態では、正常細胞または正常血清に標的RNAが高いレベルで存在するのならば、試料における非常に低いレベルの検出は肺癌を示す。
4.1.3.RNAを調製する例となる方法
任意の適当な方法によって標的RNAを調製することができる。Wilkinson,M.(1988)、Nucl.Acids Res.16(22):10,933;およびWilkinson,M.(1988)、Nucl.Acids Res.16(22):10934で述べられたプロトコルを含むが、これらに限定されない方法によって、または、たとえば、TRIzol(登録商標)試薬(Invitrogen(商標))、全RNA抽出キット(iNtRON Biotechnology)、全RNA精製キット(Norgen Biotek Corp.)、RNAqueous(商標)(Ambion)、MagMAX(商標)(Ambion)、RecoverAll(商標)(Ambion)、RNeasy(Qiagen)等のような市販のキットまたは試薬を用いて、全RNAを単離することができる。
一部の実施形態では、小分子RNAが単離されるまたは濃縮される。一部の実施形態では、「小分子RNA」は、長さ約200ヌクレオチド(nt)よりも短いRNA分子を指す。一部の実施形態では、「小分子RNA」は、約100ntよりも短い、約90ntよりも短い、約80ntよりも短い、約70ntよりも短い、60ntよりも短い、約50ntよりも短い、または約40ntよりも短いRNA分子を指す。
方法によって小分子RNAの濃縮を達成することができる。そのような方法には、有機抽出が関与した後、特殊化した結合と洗浄溶液を用いたガラス繊維フィルター上に核酸分子を吸着させる方法、およびスピンカラム精製を用いた方法が挙げられるが、これらに限定されない。たとえば、mirVana(商標)単離キット(Ambion)、mirPremier(商標)マイクロRNA単離キット(Sigma−Aldrich)、PureLink(商標)miRNA 単離キット(Invitrogen)、miRCURY(商標)RNA単離キット(Exiqon)、マイクロRNA精製キット(Norgen Biotek Corp.)、miRNeasyキット(Qiagen)のような市販のキットを用いて小分子RNAの濃縮を達成することができる。一部の実施形態では、TRIzol(登録商標)(Invitrogen)によって精製を達成することができ、それは、クロロホルムが加えられるフェノール/イソチオシアネート溶液を用いてRNAを含有する水性相を分離する。その後、イソプロピルアルコールによる沈殿によって小分子RNAを水性相から回収する。一部の実施形態では、Applied Biosystemsから入手可能なflashPAGE(商標)分留装置を用いたゲル電気泳動法のようなクロマトグラフィ法を用いて小分子RNAを精製することができる。
一部の実施形態では、RNA分画(たとえば、長さ100ヌクレオチド未満、長さ50ヌクレオチド未満、長さ約10〜約40ヌクレオチドのような長さ200ヌクレオチド以下であるRNA分子を含有する)が、さらに長いRNA分子に対して少なくとも約80%、85%、90%、95%以上純粋であるが、100%未満純粋であることを意味する実質的に純粋であるように、他のRNA分子から小分子RNAを単離して標的RNAを濃縮する。或いは、小分子RNAの濃縮は倍濃縮という点で表すことができる。一部の実施形態では、試料におけるRNA単離物または全RNAの中でのさらに大きなRNAの濃度に関して、小分子RNAは、約、少なくとも約、または多くても約5×、10×、20×、30×、40×、50×、60×、70×、80×、90×、100×、110×、120×、130×、140×、150×、160×、170×、180×、190×、200×、210×、220×、230×、240×、250×、260×、270×、280×、290×、300×、310×、320×、330×、340×、350×、360×、370×、380×、390×、400×、410×、420×、430×、440×、450×、460×、470×、480×、490×、500×、600×、700×、800×、900×、1000×、1100×、1200×、1300×、1400×、1500×、1600×、1700×、1800×、1900×、2000×、3000×、4000×、5000×、6000×、7000×、8000×、9000×、10000×以上、またはその中で導出できる任意の範囲に濃縮される。
一部の実施形態では、RNAが最初に細胞から精製されていない試料でRNAのレベルを測定する。一部の実施形態では、RNAが単離されているが、小分子RNAが濃縮されていない試料にてRNAのレベルを測定する。
一部の実施形態では、小分子U2、miR−720、miR−451、13207および13750から選択される少なくとも1つのRNAのような標的RNAが検出される前にRNAが修飾される。一部の実施形態では、修飾されるRNAは全RNAである。他の実施形態では、修飾されるRNAは、たとえば、長さ100ヌクレオチド未満、長さ50ヌクレオチド未満、長さ約10〜約40ヌクレオチドのような長さ200ヌクレオチド未満のRNAのような、全RNAからまたは細胞溶解物から精製されている小分子RNAである。本明細書で記載される方法にて利用することができるRNAの修飾には、化学的にまたは酵素的に達成することができるポリdA尾部またはポリdT尾部の付加、および/またはビオチンのような小分子の付加が挙げられるが、これらに限定されない。
一部の実施形態では、小分子U2、miR−720、miR−451、13207および13750から選択される少なくとも1つのRNAのような標的RNAは逆転写される。一部の実施形態では、それが逆転写される場合、逆転写の間にポリdA尾部またはポリdT尾部を付加することによってcDNAが修飾される。一部の実施形態では、逆転写される前にRNAが修飾される。一部の実施形態では、全RNAが逆転写される。一部の実施形態では、RNAが逆転写される前に小分子RNAが単離され、濃縮される。
小分子U2、miR−720、miR−451、13207および13750から選択される少なくとも1つのRNAのような標的RNAが逆転写される場合、標的RNAの相補体が形成される。一部の実施形態では、標的RNA自体(またはそのDNAコピー)ではなく標的RNAの相補体が検出される。従って、本明細書で記載される方法によって標的RNAが検出されるまたは標的RNAのレベルが測定されることが示される場合、そのような検出または測定は、標的RNA自体の代わりにまたはそれに加えて標的RNAの相補体で実施され得る。一部の実施形態では、標的RNAではなく標的RNAの相補体が検出される場合、標的RNAの相補体に対して相補性である検出用のポリヌクレオチドが使用される。そのような実施形態では、検出用のポリヌクレオチドは、ウリジンの代わりにチミジンを含有し、および/または他の修飾されたヌクレオチドを含み得るが、標的RNAと配列が同一である少なくとも一部を含む。
一部の実施形態では、小分子U2、miR−720、miR−451、13207および13750から選択される少なくとも1つのRNAのような標的RNAを検出する方法は、標的RNAに対して相補性であるcDNAを増幅することを含む。そのような増幅は任意の方法によって達成される。例となる方法には、リアルタイムPCR、終点PCR、およびドイツ、Implenで入手可能なSenseAmp Plus(商標)Kitによって提供されるようなcDNAにアニーリングされるT7プロモータからのT7ポリメラーゼを用いた増幅が挙げられるが、これらに限定されない。
標的RNAまたは標的RNAに対して相補性のcDNAが増幅される場合、一部の実施形態では、標的RNAのDNAアンプリコンが形成される。DNAアンプリコンは一本鎖であっても二本鎖であってもよい。一部の実施形態では、DNAアンプリコンが一本鎖である場合、DNAアンプリコンの配列はセンス方向またはアンチセンス方向のいずれかで標的RNAに関連する。一部の実施形態では、標的RNA自体ではなく標的RNAのDNAアンプリコンが検出される。従って、本明細書で議論される方法によって標的RNAが検出されるまたは標的RNAのレベルが測定されることが示される場合、そのような検出または測定は、標的RNAの代わりにまたは標的RNAに加えて、標的RNAのDNAアンプリコンで実施され得る。一部の実施形態では、標的RNAではなく、標的RNAのDNAアンプリコンが検出される場合、標的RNAの相補体に対して相補性である検出用のポリヌクレオチドが使用される。一部の実施形態では、標的RNAではなく、標的RNAのDNAアンプリコンが検出される場合、標的RNAに対して相補性である検出用のポリヌクレオチドが使用される。さらに一部の実施形態では、複数のポリヌクレオチドが使用され、一部のポリヌクレオチドは標的RNAに対して相補性であってもよく、一部のポリヌクレオチドは標的RNAの相補体に対して相補性であってもよい。
一部の実施形態では、小分子U2、miR−720、miR−451、13207および/または13750を含む1以上の標的RNAを検出する方法は以下で記載するようなRT−PCRを含む。一部の実施形態では、1以上の標的RNAを検出することは、任意の方法で達成することができるRT-PCR反応のリアルタイムモニタリングを含む。そのような方法には、TaqMan(登録商標)、分子ビーコン、またはスコーピオンプローブ(すなわち、FRETプローブ)の使用およびSYBRグリーン、エバグリーン、チアゾールオレンジ、YO−PRO、TO−PRO等のような挿入色素の使用が挙げられるが、これらに限定されない。
4.1.4.例となる分析法
上述したように、肺癌を検出する方法が提示される。一部の実施形態では、方法は、小分子U2、miR−720、miR−451、13207および13750から選択される少なくとも1つのRNAのレベルを検出することを含む。一部の実施形態では、方法はさらに、少なくとも1つの追加の標的RNAのレベルを検出することを含む。
一部の実施形態では、方法は小分子U2のレベルを検出することを含む。一部の実施形態では、方法は13750のレベルを検出することを含む。一部の実施形態では、方法はmiR−720のレベルを検出することを含む。一部の実施形態では、方法はmiR−451のレベルを検出することを含む。一部の実施形態では、方法は小分子U2、miR−720、miR−451、13207および13750から選択される少なくとも2つのRNAのレベルを検出することを含む。一部の実施形態では、方法は小分子U2と13750のレベルを検出することを含む。一部の実施形態では、方法は小分子U2とmiR−451のレベルを検出することを含む。一部の実施形態では、方法は小分子U2とmiR−720のレベルを検出することを含む。一部の実施形態では、方法は13750とmiR−451のレベルを検出することを含む。一部の実施形態では、方法は13750とmiR−720のレベルを検出することを含む。一部の実施形態では、方法はmiR−451とmiR−720のレベルを検出することを含む。一部の実施形態では、方法は小分子U2、miR−720、miR−451、13207および13750から選択される少なくとも3つのRNAのレベルを検出することを含む。一部の実施形態では、方法は小分子U2とmiR−720と13750のレベルを検出することを含む。一部の実施形態では、方法は小分子U2とmiR−720とmiR−451のレベルを検出することを含む。一部の実施形態では、方法は小分子U2とmiR−451と13750のレベルを検出することを含む。方法はmiR−720とmiR−451と13750のレベルを検出することを含む。一部の実施形態では、方法は小分子U2、miR−720、miR−451、13207および13750から選択される少なくとも4つのRNAのレベルを検出することを含む。一部の実施形態では、方法は小分子U2、miR−720、miR−451および13750のレベルを検出することを含む。
一部の実施形態では、方法は、正常の肺細胞に由来する試料または正常血清の試料のような対照試料における標的RNAの正常レベルよりも高いレベルの、たとえば、小分子U2のような標的RNAを検出することを含む。一部の実施形態では、方法は、正常の肺細胞に由来する試料または正常血清の試料のような対照試料における標的RNAの正常レベルよりも低いレベルの、たとえば、miR−720、miR−451、13207および13750のような標的RNAを検出することを含む。
一部の実施形態では、miR−720は成熟miR−720である。一部の実施形態では、miR−451は成熟miR−451である。一部の実施形態では、13207は成熟13207である。一部の実施形態では、13750は成熟13750である。一部の実施形態では、標的RNAはその成熟形態で、30未満のヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、標的RNAはマイクロRNAである。一部の実施形態では、標的RNAは小分子の細胞性のRNAである。
一部の実施形態では、小分子U2、miR−720、miR−451、13207および13750から選択される少なくとも1つのRNAのレベルを検出することに加えて、方法はさらに、ヒトmiRNomeの少なくとも1つの標的RNAのレベルを検出することを含む。本明細書で使用されるとき、用語「ヒトmiRNome」は、ヒト細胞におけるマイクロRNA遺伝子すべておよびそれから作られる成熟マイクロRNAを指す。
たとえば、小分子U2、miR−720、miR−451、13207および13750から選択される少なくとも1つのRNAのような標的RNAの特異的な且つ定量可能な(または半定量可能な)検出を可能にすることができる分析手順が本明細書で提示される方法にて使用され得る。そのような分析手順には、実施例で言及されるマイクロアレイ法およびRT−PCR法、ならびに当業者に既知の方法が挙げられるが、これらに限定されない。
一部の実施形態では、小分子U2、miR−720、miR−451、13207および13750から選択される少なくとも1つのRNAのような標的RNAの検出は、標的RNAまたはその相補体に対して相補性であるポリヌクレオチドと標的RNA、標的RNAのDNAアンプリコンおよび標的RNAの相補体から選択される核酸を含む複合体を形成することを含む。従って、一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは標的RNAとの複合体を形成する。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、標的RNAから逆転写されているcDNAのような標的RNAの相補体との複合体を形成する。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは標的RNAのDNAアンプリコンとの複合体を形成する。二本鎖のDNAアンプリコンが複合体の一部である場合、本明細書で使用されるとき、複合体はDNAアンプリコンの一方または双方の鎖を含み得る。従って、一部の実施形態では、複合体はDNAアンプリコンの一方のみの鎖を含む。一部の実施形態では、複合体は三重鎖であり、ポリヌクレオチドとDNAアンプリコンの双方の鎖を含む。一部の実施形態では、複合体は、ポリヌクレオチドと、標的RNA、標的RNAの相補体または標的RNAのDNAアンプリコンとの間でのハイブリッド形成によって形成される。一部の実施形態ではポリヌクレオチドはプライマーまたはプローブである。
一部の実施形態では、方法は複合体を検出することを含む。一部の実施形態では、複合体は検出の時点で会合している必要はない。すなわち、一部の実施形態では、複合体が形成され、次いで何らかの方法で複合体が解離し、または破壊され、複合体に由来する成分が検出される。そのような方式の例はTaqMan(登録商標)アッセイである。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドがプライマーである場合、複合体の検出は、標的RNA、標的RNAの相補体または標的RNAのDNAアンプリコンの増幅を含み得る。
一部の実施形態では、本明細書で言及される方法にて小分子U2、miR−720、miR−451、13207および13750から選択される少なくとも1つのRNAを含む少なくとも1つの標的RNAを検出するのに使用される分析法には、リアルタイムRT−PCRが挙げられる。その全体が参照によって本明細書に組み入れられるChen,C.ら、(2005)、Nucl.Acids Res.33:e179およびPCT公開番号WO2007/117256を参照のこと。一部の実施形態では、少なくとも1つの標的RNAを検出するのに使用される分析法には、その全体が参照によって本明細書に組み入れられる米国特許公開番号US2009/0123912A1に記載された方法が挙げられる。その公開物に記載された例となる方法では、第1の部分が特定の小分子RNAの3’末端とハイブリッド形成し、第2の部分がユニバーサルプライマーの配列を含む、第1の部分と第2の部分を含む伸長プライマーを使用して小分子RNAを逆転写し、cDNAを作製する。次いで、小分子RNAの5’末端と選択的にハイブリッド形成する逆プライマーとユニバーサルプライマーを用いて定量的PCR反応にてcDNAを増幅する。
一部の実施形態では、小分子U2、miR−720、miR−451、13207および13750から選択される少なくとも1つのRNAを含む少なくとも1つの標的RNAを検出するのに使用される分析法には、TaqMan(登録商標)プローブの使用が挙げられる。一部の実施形態では、少なくとも1つの標的RNAを検出するのに使用される分析法には、Applied Biosystems社によって販売されているTaqMan(登録商標)マイクロRNAアッセイのようなTaqMan(登録商標)アッセイが挙げられる。例となるTaqMan(登録商標)アッセイでは、全RNAが試料から単離される。一部の実施形態では、そのアッセイを用いて、小分子RNAを含有する、たとえば、約9ngの入力試料、たとえば、約8ngの入力試料、たとえば、約7ngの入力試料、たとえば、約6ngの入力試料、たとえば、約5ngの入力試料、たとえば、約4ngの入力試料、たとえば、約3ngの入力試料、たとえば、約2ngの入力試料、および約1ngの入力試料ほど少ないような約10ngの全RNA入力試料を分析することができる。
TaqMan(登録商標)アッセイは、標的RNAの3’末端に対して特異的に相補性であるステム/ループプライマーを利用する。例となるTaqMan(登録商標)アッセイでは、ステム/ループプライマーの標的RNAとのハイブリッド形成に続いて標的RNA鋳型の逆転写を行い、その結果プライマーの3’末端の伸長を生じる。逆転写の結果は、アンプリコンの5’末端でのステム/ループプライマー配列と3’末端での標的RNAのcDNAを伴ったキメラ(DNA)アンプリコンである。ステム/ループ標的RNAプライマーすべての5’末端での配列に対して相補性である配列を有するユニバーサル逆行プライマーと、標的RNA特異的正行プライマーと標的RNA配列特異的なTaqMan(登録商標)プローブを用いたリアルタイムRT−PCRによって標的RNAの定量が達成される。
アッセイは、蛍光共鳴エネルギー移動(「FRET」)を用いて、合成されたPCR産物を検出し、定量する。通常、TaqMan(登録商標)は、色素と消光剤がごく近接してFRETを介して色素の蛍光シグナルを抑えることができるように、5’末端に結合させた蛍光色素分子および3’末端に結合させた消光剤分子を含む。TaqMan(登録商標)プローブが結合するキメラのアンプリコン鋳型をポリメラーゼが複製すると、ポリメラーゼの5’−ヌクレアーゼがプローブを切断し、色素と消光剤を分離するのでFRETが破壊され、蛍光シグナルが生成される。切断されるプローブの量に比例して蛍光は各RT−PCRのサイクルと共に上昇する。
RNAの検出および/または定量のための追加の例となる方法は、たとえば、米国特許公開番号米国特許2007/0077570(Laoら)、PCT公開番号WO2007/025281(Tanら)、米国特許公開番号2007/0054287(Bloch)、PCT公開番号WO2006/0130761(Bloch)、およびPCT公開番号WO2007/011903(Laoら)に記載されており、その全体が任意の目的で参照によって本明細書に組み入れられる。
一部の実施形態では、既知の濃度の核酸から検量線を作成し、次いで未知の濃度の標的RNAの定量情報を外挿することによってリアルタイムRT−PCRの結果の定量を行う。一部の実施形態では、検量線を生成するのに使用される核酸は既知の濃度のRNA(たとえば、マイクロRNAまたは他の小分子RNA)である。一部の実施形態では、検量線を生成するのに使用される核酸は、試験管内で生成される精製した二本鎖プラスミドDNAまたは一本鎖DNAである。
一部の実施形態では、標的核酸と内因性参照の増幅効率がほぼ等しい場合、定量は比較Ct(サイクル閾値、たとえば、バックグランドを上回って上昇する蛍光シグナルに必要とされるPCRサイクルの数)法によって達成される。Ct値は試料における核酸標的の量に反比例する。一部の実施形態では、小分子U2、miR−720、miR−451、13207および13750から選択される少なくとも1つのRNAのような標的RNAのCt値を正常組織に由来するRNA(たとえば、マイクロRNAまたは他の小分子RNA)のような対照または較正値と比較することができる。一部の実施形態では、適当な内因性のハウスキーピング遺伝子に対して較正値および標的RNAのCt値を標準化する。一部の実施形態では、それを下回れば肺癌が指示される、小分子U2、miR−720、miR−451、13207および13750から選択される少なくとも1つのRNAのような標的RNAの閾値Ct(または「カットオフCt」)が予め決定されている。一部の実施形態では、対照試料は試験試料と同時に評価されなくてもよい。
TaqMan(登録商標)アッセイに加えて、本明細書で提示される方法にてRT−PCR産物を検出し、定量するのに有用な他のリアルタイム化学反応には、以下で議論される、分子ビーコン、またはスコーピオンプローブおよびSYBRグリーン、エバグリーン、チアゾールオレンジ、YO−PRO、TO−PRO等のような挿入色素が挙げられるが、これらに限定されない。
一部の実施形態では、リアルタイムRT−PCR検出を特異的に行って単一の標的RNAのレベルを検出し、定量する。一部の実施形態では、標的RNAは、小分子U2、miR−720、miR−451、13207および13750から選択されるRNAである。
上述したように、一部の実施形態では、小分子U2、miR−720、miR−451、13207および13750から選択される少なくとも1つのRNAを検出することに加えて、少なくとも1つの追加の標的RNAのレベルが検出される。
種々の他の実施形態では、リアルタイムRT−PCR検出を利用して単一の多重反応にて小分子U2、miR−720、miR−451、13207および13750から選択される少なくとも1つのRNAを含む少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8の標的RNAを検出する。
一部の多重の実施形態では、それぞれ異なるRNA標的に特異的なTaqMan(登録商標)プローブのような複数のプローブが使用される。一部の実施形態では、各標的RNA特異的プローブは、同一の多重反応にて使用される他のプローブとはスペクトル上で区別可能である。
一部の実施形態では、リアルタイムRT−PCR産物の定量は、たとえば、SYBRグリーン、エバグリーン、チアゾールオレンジ、YO−PRO、TO−PRO等のような、二本鎖DNA産物に結合する色素を用いて達成される。一部の実施形態では、アッセイは、QiagenのQuantiTect SYBRグリーンPCRアッセイである。このアッセイでは、先ず全RNAが試料から単離される。その後、全RNAを3’末端にてポリアデニル化し、5’末端にポリdTを持つユニバーサルプライマーを用いて逆転写する。一部の実施形態では、複数の標的RNAをアッセイするのに1回の逆転写反応で十分である。次いで、標的RNA特異的なプライマーと、5’末端にポリdT配列を含むmiScriptユニバーサルプライマーを用いてリアルタイムRT−PCRを達成する。SYBRグリーン色素は二本鎖DNAに非特異的に結合し、励起の際、光を放射する。一部の実施形態では、PCR鋳型(たとえば、QiagenのQuantiTectSYBRグリーンPCRキットにて利用可能)へのプライマーの特異性が高いアニーリングを促進する緩衝液条件を用いて、非特異的なDNA二本鎖の形成および、SYBRグリーンに結合し、定量に否定的に影響するプライマーの二量体の形成を回避することができる。従って、PCR産物が蓄積するにつれてSYBRグリーンからのシグナルが増大し、特異的な産物の定量を可能にする。
当該技術で利用可能な任意のRT−PCR機器を用いてリアルタイムRT−PCRを行う。通常、リアルタイムRT−PCRのデータ収集および解析に使用される機器は、サーマルサイクラー、蛍光の励起および放射の収集のための光学機器、および任意でコンピュータおよびデータの取得と解析のソフトウエアを含む。
一部の実施形態では、本明細書で記載される方法で使用される分析法は、たとえば、llumina社から入手可能なマイクロRNA発現プロファイリングアッセイ(http://www.illumina.com/downloads/MicroRNAAssayWorkflow.pdfを参照)のようなDASL(登録商標)(cDNAが介在するアニーリング、選択、伸長および連結)アッセイである。一部の実施形態では、任意の方法によって分析される試料から全RNAが単離される。さらに、一部の実施形態では、任意の方法によって分析される試料から小分子RNAが単離される。次いで全RNAまたは単離された小分子RNAはポリアデニル化され得る(反応混合物にてRNAの3’末端に>18のA残基が付加される)。5’末端から3’末端に、PCRプライマー部位と試料RNAのポリdA尾部に結合するポリdT領域を含む配列を含むビオチン標識のDNAプライマーを用いてRNAを逆転写する。得られたビオチン標識したcDNA転写物を次いで、ビオチン/ストレプトアビジン相互作用を介して固相支持体とハイブリッド形成させ、1以上の標的RNA特異的なポリヌクレオチドと接触させる。標的RNA特異的なポリヌクレオチドは、5’末端から3’末端にPCRプライマーを含む領域、アドレス配列を含む領域および標的RNA特異的な配列を含む。
一部のDASL(登録商標)の実施形態では、標的RNA特異的な配列は、小分子U2、miR−720、miR−451、13207および13750から選択される少なくとも1つのRNAの少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19の隣接ヌクレオチドに対して相補性である配列を有する少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19の隣接ヌクレオチドを含む。一部のDASL(登録商標)の実施形態では、標的RNA特異的な配列は、別の標的RNAの少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、少なくとも24の隣接ヌクレオチドに対して相補性である配列を有する少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、少なくとも24の隣接ヌクレオチドを含む。
ハイブリッド形成の後、標的RNA特異的な配列は伸長され、伸長した産物は次いで、不動化cDNAアレイから溶出される。蛍光標識したユニバーサルプラーマーを用いた第2のPCR反応は、標的RNA特異的な配列を含む蛍光で標識されたDNAを生成する。次いで標識されたPCR産物を検出と定量のためにマイクロビーズアレイとハイブリッド形成させる。
一部の実施形態では、本明細書で記載される方法にて小分子U2、miR−720、miR−451、13207および13750から選択される少なくとも1つのRNAを含む少なくとも1つの標的RNAのレベルを検出し、定量するのに使用される分析法は、ビーズに基づくフローサイトメトリーアッセイである。その全体が参照によって本明細書に組み入れられるLuJ.ら、(2005)、Nature、435:834−838を参照のこと。ビーズに基づくフローサイトメトリーアッセイの例は、Luminex社のxMAP(登録商標)技術(http://www.luminexcorp.com/ technology/index.htmlを参照)である。一部の実施形態では、全RNAが試料から単離され、次いでビオチンで標識される。次いで、それぞれが異なる蛍光強度を有する2つの色素で標識されるマイクロビーズに共有結合される標的RNA特異的な捕捉プローブ(たとえば、http://www.luminexcorp.com/products/assays/index.htmlでのLuminex社によって販売されるFlexmiR(商標)製品)と、標識したRNAをハイブリッド形成させる。ストレプトアビジンを結合させたレポーター分子(たとえば、「SAPE」としても知られるストレプトアビジン/フィコエリスリン)を捕捉した標的RNAに連結し、フローサイトメトリーを用いて各ビーズの独特のシグナルを読み取る。一部の実施形態では、先ず、RNA試料(全RNAまたは濃縮した小分子RNA)をポリアデニル化し、その後、試料RNAのポリA尾部の3’末端およびビオチン化したデンドリマーに連結したポリヌクレオチドの5’末端に相補性である架橋ポリヌクレオチドを用いて、Vantage(商標)マイクロRNA標識キットとしてMarligen Biosciencesによって販売されているもののようなビオチン化3DNA(商標)デンドリマー(すなわち、多数のビオチン分子がそれに結合した複数アームのDNA)によって標識する。次いで、フローサイトメトリーによる解析の前に、ストレプトアビジンが結合したレポーター分子をビオチン化したデンドリマーに連結する。http://www.marligen.com/vantage−microrna−labeling−kit.htmlを参照のこと。一部の実施形態では、ビオチン標識したRNAを先ずSAPEに暴露し、その後、900もの多くのビオチン分子を結合することができるDNAデンドリマーに連結した抗フィコエリスリン抗体にRNA/SAPE複合体を暴露する。これによって複数のSAPE分子がビオチン/ストレプトアビジン相互作用を介してビオチン化デンドリマーに結合するのが可能になるので、アッセイからのシグナルを増大する。
一部の実施形態では、本明細書で記載される方法にて小分子U2、miR−720、miR−451、13207および13750から選択される少なくとも1つのRNAを含む少なくとも1つの標的RNAのレベルを検出し、定量するのに使用される分析法は、ゲル電気泳動およびノーザンブロットによるような標識プローブ(たとえば、放射活性標識または化学発光標識によって標識されるプローブ)による検出によるものである。一部の実施形態では、全RNAが試料から単離され、次いでSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動によってサイズで分離される。分離されたRNAは次いで膜上にブロットし、放射性標識した相補性プローブとハイブリッド形成させる。一部の実施形態では、例となるプローブは、デオキシリボースまたはリボース糖の代わりに二環式の糖部分を含有するロックした核酸(「LNA」)類似体のような、以下で議論するような1以上の親和性増強したヌクレオチド類似体を含有する。たとえば、その全体が参照によって本明細書に組み入れられるVarallyay,E.ら、(2008)、Nature Protocols、3(2):190−196を参照のこと。一部の実施形態では、全RNA試料をさらに精製して小分子RNAを濃縮することができる。一部の実施形態では、たとえば、標的RNAの両端に相補性の長いプローブ(「パドロックプローブ」)を用いたローリングサークル増幅、プローブを環化するための連結、その後のプライマーとしての環化したプローブとハイブリッド形成した標的RNAを用いたローリングサークル複製によって標的RNAを増幅することができる。たとえば、その全体が参照によって本明細書に組み入れられるJonstrup,S.P.ら、(2006)、RNA 12:1−6を参照のこと。次いで、増幅された産物は、たとえば、ゲル電気泳動およびノーザンブロットによって検出し、定量することができる。
代替の実施形態では、単離された全RNAと標識したプローブを溶液中でハイブリッド形成させ、その後、一本鎖RNA、たとえば、プローブのハイブリッド形成していない部分または標的RNAのハイブリッド形成していない部分の迅速リボヌクレアーゼ消化にRNAを供する。これらの実施形態では、リボヌクレアーゼ処理した試料をSDS/PAGEおよび、たとえば、ノーザンブロットによる放射性標識したプローブの検出によって解析する。たとえば、Applied Biosystems社によって販売されているmirVana(商標)miRNA検出キット、http://www.ambion.com/catalog/CatNum.php?1552における製品文献を参照のこと。
一部の実施形態では、本明細書で記載される方法にて小分子U2、miR−720、miR−451、13207および13750から選択される少なくとも1つのRNAを含む少なくとも1つの標的RNAを検出し、定量するのに使用される分析法は、マイクロアレイとのハイブリッド形成によるものである。たとえば、それぞれ、その全体が参照によって本明細書に組み入れられるLiu,C.G.ら、(2004)、Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA、101:9740−9744;Lim,L.P.ら、(2005)、Nature、433:769−773、および実施例1を参照のこと。
一部の実施形態では、マイクロアレイを用いた標的RNAの検出および定量は表面プラスモン共鳴によって達成される。たとえば、http://nano.cancer.gov/news_center/ nanotech_news_2006−10−30b.aspにて入手可能なNanotech News (2006)を参照のこと。これらの実施形態では、調べられる試料から全RNAが単離される。任意でRNA試料をさらに精製して小分子RNAの集団を濃縮する。精製後、マイクロアレイの規定した位置でプローブを含有するアドレス可能なマイクロアレイにRNA試料を結合させる。一部の実施形態では、RNAはcDNAに逆転写され、cDNAをアドレス可能なマイクロアレイ結合させる。そのような一部の実施形態では、マイクロアレイはcDNA配列に対して相補性である領域を有するプローブ(すなわち、プローブは検出されるRNAと同一の配列を有する領域を含む)を含む。非限定の例となる捕捉プローブは、
小分子U2、センスについての5’−CCCTGCTCCAAAAATCCA−3’(配列番号:42);
小分子U2、アンチセンスについての5’−TGGATTTTTGGAGCAGGG−3’(配列番号:43);
miR−720、センスについての5’−TGGAGGCCCCAGCGAGA−3’(配列番号:44);
miR−720、アンチセンスについての5’−TCTCGCTGGGGCCTCCA−3’(配列番号:45);
miR−451、センスについての5’−AACTCAGTAATGGTAACGGTTT−3’(配列番号:46);
miR−451、アンチセンスについての5’−AAACCGTTACCATTACTGAGTT−3’(配列番号:47);
13207、センスについての5’−CCTGCTCCAACAAGGAAAGACA−3’(配列番号:48);
13207、アンチセンスについての5’−TGTCTTTCCTTGTTGGAGCAGG−3’(配列番号:49);
13207、センスについての5’−GCTCCAACAAGGAAAGACAGGA−3’(配列番号:81);
13207、アンチセンスについての5’−TCCTGTCTTTCCTTGTTGGAGC−3’(配列番号:82);
13750、センスについての5’−AGCTTCCTGCTCCCTGCTCTACA−3’(配列番号:50);および13750、アンチセンスについての5’−TGTAGAGCAGGGAGCAGGAAGCT−3’(配列番号:51)から選択される配列を含む領域を含む(各プローブについては、プローブが「センス」成熟RNAまたは成熟RNAのアンチセンス(すなわち、RNAから逆転写したcDNAとハイブリッド形成する)のいずれとハイブリッド形成するかを示す)。
さらなる非限定の例となるプローブは、配列番号42〜51、81および82から選択される配列の少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18の隣接ヌクレオチドを有する領域を含む。プローブはさらに、配列番号42〜51、81および82から選択される配列の少なくとも8の隣接ヌクレオチドと同一である配列を含まない少なくとも第2の領域を含み得る。
非限定の例となるプローブは、
小分子U2、センスについての5’-GGGTGCACCG TTCCTGGAGG TACTGCAATA CCAGGTCGAT GCGTGGAGTG GACGGAGCAA GCTCCTATTC CATCTCCCTG CTCCAAAAAT CCATTTAATA TATTGTCCTC GGATAGAGGA CGTATCAGAT ATTAAACTGA TAAGAACAGA TACTACACTT GATCTTAGCC AAAAGGCCGA GAAGCGAT-3’ (配列番号52) ;
小分子U2、アンチセンスについての5’-ATCGCTTCTC GGCCTTTTGG CTAAGATCAA GTGTAGTATC TGTTCTTATC AGTTTAATAT CTGATACGTC CTCTATCCGA GGACAATATA TTAAATGGAT TTTTGGAGCA GGGAGATGGA ATAGGAGCTT GCTCCGTCCA CTCCACGCAT CGACCTGGTA TTGCAGTACC TCCAGGAACG GTGCACCC-3’(配列番号53) ;
miR−720、センスについての5’-CTAATAAAGG ACTCTTAATT CATCTCAAAG TGTGGTGTTT TCTCTAACAC CCCTGGGCAC AACATTTTGG AGGCCCCAGC GAGATATTAA CACCACCGTG TGAGATCCGG-3’(配列番号54);
miR−720、アンチセンスについての5’-CCGGATCTCA CACGGTGGTG TTAATATCTC GCTGGGGCCT CCAAAATGTT GTGCCCAGGG GTGTTAGAGA AAACACCACA CTTTGAGATG AATTAAGAGT CCTTTATTAG-3’ (配列番号55);
miR−451、センスについての5’-TCTGGGTATA GCAAGAGAAC CATTACCATT ACTAAACTCA GTAATGGTAA CGGTTTCCTT GCCATTCCCA AG-3’ (配列番号56);
miR−451、アンチセンスについての5’- CTTGGGAATG GCAAGGAAAC CGTTACCATT ACTGAGTTTA GTAATGGTAA TGGTTCTCTT GCTATACCCA GA -3’ (配列番号57);
13207、センスについての5’-CTGCGGCAAG TGCTTCTACA TCCCTGCTCC AACAAGGAAA GACAGGAGGC CAGGCGTGTG TGTGGCTCAC ACCTCTTGTC CTTCCTTGTT GGGGCAGGGG TACAGAAGCA TTTTGGGGGG C-3’ (配列番号58);
13207、アンチセンスについての5’- GCCCCCCAAA ATGCTTCTGT ACCCCTGCCC CAACAAGGAA GGACAAGAGG TGTGAGCCAC ACACACGCCT GGCCTCCTGT CTTTCCTTGT TGGAGCAGGG ATGTAGAAGC ACTTGCCGCA G-3’ (配列番号59);
13750、センスについての5’- AGCACTGTGA GGGGCTGGGG GCAGAACAGG ACAGGTCAGG GCTGGACACA CACAGC TTCC TGCTCCCTGC TCTACAGCTC CCTCGCAGGC C-3’ (配列番号60) for 13750,;および
13750、アンチセンスについての5’-GGCCTGCGAG GGAGCTGTAG AGCAGGGAGC AGGAAGCTGT GTGTGTCCAG CCCTGACCTG TCCTGTTCTG CCCCCAGCCC CTCACAGTGC T-3’ (配列番号61)から選択される配列の少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、または少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、または少なくとも70の隣接ヌクレオチドを有する領域を含む(各プローブについては、プローブが「センス」成熟RNAまたは成熟RNAのアンチセンス(すなわち、RNAから逆転写したcDNAとハイブリッド形成する)のいずれとハイブリッド形成するかを示す)。
一部の実施形態では、プローブは、たとえば、ロックした核酸(「LNA」)ヌクレオチド類似体のような、以下で議論する1以上の親和性を高めたヌクレオチド類似体を含有する。マイクロアレイとハイブリッド形成した後、アレイとハイブリッド形成するRNAは先ずポリアデニル化され、次いでアレイはそれに結合するポリdTを有する金粒子に暴露される。結合した標的RNAの量は表面プラスモン共鳴を用いて定量する。
一部の実施形態では、RNA感作したアレイ型のクレノウ酵素(「RAKE」)アッセイにてマイクロアレイが利用される。それぞれ、その全体が参照によって本明細書に組み入れられるNelson,P.T.ら、(2004)、Nature Methods、1(2):1−7;Nelson,P.T.ら、(2006)、RNA、12(2):1−5を参照のこと。一部の実施形態では、全RNAは試料から単離される。一部の実施形態では、小分子RNAは試料から単離される。次いでRNA試料は、アドレス可能なアレイ上で5’末端にて不動化されたDNAプローブとハイブリッド形成する。DNAプローブは、一部の実施形態では、5’末端から3’末端に、プローブすべてで同一である「スペーサー」配列を含む第1の領域と、3つのチミジンを含有するヌクレオチドを含む第2の領域と、小分子U2、miR−720、miR−451、13207および13750から選択される少なくとも1つのRNAのような当該標的RNAに対して相補性である配列を含む第3の領域を含む。
試料がアレイとハイブリッド形成した後、それをエンドヌクレアーゼIに暴露してハイブリッド形成していないプローブを消化する。次いで、ビオチン化dATPと共にDNAポリメラーゼIのクレノウ断片を適用して、ハイブリッド形成した標的RNAが鋳型としてのDNAプローブと共に酵素に対してプライマーとして作用するのを可能にする。次いでスライドを洗浄し、ストレプトアビジンを結合した蛍光色素分子を適用して、試料に由来するハイブリッド形成し、クレノウで伸長した標的RNAを含有するアレイにおけるスポットを検出し、定量する。
一部の実施形態では、RNA試料は逆転写される。一部の実施形態では、ビオチン/ポリdAランダム八量体プライマーを用いてRNA試料は逆転写される。プライマーが使用される場合、RNA鋳型が消化され、標的RNAの特異的な検出を可能にする結合したプローブと共に、ビオチンを含有するcDNAがアドレス可能なマイクロアレイとハイブリッド形成する。典型的な実施形態では、マイクロアレイは、小分子U2、miR−720、miR−451、13207および13750から選択される少なくとも1つのRNAのような標的RNAの領域に対して同一に存在するまたは相補性である少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、または少なくとも24の隣接ヌクレオチドを含む少なくとも1つのプローブを含む。cDNAのマイクロアレイとのハイブリッド形成の後、マイクロアレイを蛍光色素のようなストレプトアビジン結合の検出可能なマーカーに暴露し、結合したcDNAを検出する。その全体が参照によって本明細書に組み入れられるLiu、C.G.ら、(2008)、Methods、44:22−30を参照のこと。
一部の実施形態では、マイクロタイタープレートのウェルに結合したプローブを用いたELISA様のアッセイにて、小分子U2、miR−720、miR−451、13207および13750を含む標的RNAを検出し、定量する。それぞれ、その全体が参照によって本明細書に組み入れられるMora、J.R.およびGetts、R.C.(2006)、BioTechniques、41:420−424およびsupplementary material in BioTechniques、41(4):1−5;Gettsらへの米国特許公開番号2006/0094025を参照のこと。これらの実施形態では、小分子RNAが濃縮されるRNAの試料をポリアデニル化するか、または逆転写してcDNAをポリアデニル化する。マイクロタイタープレートのウェルに不動化したプローブとRNAまたはcDNAをハイブリッド形成させ、その際、プローブのそれぞれは、小分子U2、miR−720、miR−451、13207および13750から選択される少なくとも1つのRNAのような標的RNAの領域に対して同一に存在するまたは相補性である配列を含む。一部の実施形態では、複数のビオチン分子または複数の西洋ワサビペルオキシダーゼによって標識されるDNAデンドリマー(たとえば、Genisphere,社、http://www.genisphere.com/about_3dna.htmlから入手可能なもの)のような捕捉配列、および捕捉される核酸のポリdA尾部に結合する5’末端でのポリdT配列と捕捉配列の領域に対して相補性である3’末端での配列を含有する架橋ポリヌクレオチドを用いて、ハイブリッド形成したRNAを標識する。捕捉配列がビオチン化されるのであれば、そのときは、ストレプトアビジンを結合した西洋ワサビペルオキシダーゼにマイクロアレイを暴露する。テトラメチルベンジジン(TMB)のような西洋ワサビペルオキシダーゼの基質の添加、および450nMでの溶液の吸収の測定によって標的RNAのハイブリッド形成を検出する。
さらに他の実施形態では、量子ドットを用いて標的RNAを検出するのにアドレス可能なマイクロアレイが使用される。その全体が参照によって本明細書に組み入れられるhttp://www.pubmedcentral.nih.gov/articlerender.fcgi?artid= 548377にて利用可能なLiang,R.Q.ら、(2005)、Nucl.Acids Res.33(2):e17を参照のこと。一部の実施形態では、全RNAは試料から単離される。ビオチン−X−ヒドラジドを用いて標的RNAの3’末端をビオチン化する。小分子U2、miR−720、miR−451、13207および13750を含む標的RNAの領域に対して同一に存在するまたは相補性である配列を含む不動化されたプローブを含むマイクロアレイにビオチン化した標的RNAを捕捉する。次いで、ビオチン/ストレプトアビジンの結合を介して量子ドットによってハイブリッド形成した標的RNAを標識する。共焦点レーザーによって量子ドットが蛍光を発し、シグナルを定量することができる。代替の実施形態では、比色分析アッセイを用いて小分子RNAを検出することができる。これらの実施形態では、小分子RNAはストレプトアビジンを結合した金、その後の銀強化によって標識される。ハイブリッド形成した標的RNAに結合した金ナノ粒子は銀イオンの金属銀への還元を触媒し、それはその後、CCDカメラによって比色で検出することができる。
一部の実施形態では、1以上の標的RNAの検出および定量はマイクロ流体デバイスおよび単一分子検出を用いて達成される。一部の実施形態では、単離された全RNAの試料における標的RNAを2つのプローブとハイブリッド形成させるが、その一方は標的RNAの5’末端の核酸に対して相補性であり、第2のものは標的RNAの3’末端の核酸に対して相補性である。各プローブは、一部の実施形態では、たとえば、LNAヌクレオチド類似体のような1以上の親和性強化ヌクレオチド類似体を含み、それぞれが、異なる蛍光発光スペクトルを有する異なる蛍光色素で標識される。次いで光子の独特の同時爆発が特定の標的RNAを特定し、光子の特定の独特の同時爆発の数を数えて試料中の標的RNAの量を定量できるように複数のレーザーが蛍光プローブを励起するマイクロ流体キャピラリを介して試料を流す。その全体が参照によって本明細書に組み入れられるNeelyらへの米国特許出願番号2006/0292616を参照のこと。一部の代替の実施形態では、標的RNAに特異的なプローブは、たとえば、蛍光色素分子、電子スピン標識等から選択される3以上の異なる標識によって標識することができ、次いで、たとえば、全RNA、または小分子RNAが濃縮される試料のようなRNAとハイブリッド形成することができる。非限定の例となる標的RNAに特異的なプローブには、配列番号42〜61、81および82の配列から選択される配列:配列番号42〜51、81および82から選択される配列の少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、または少なくとも18の隣接ヌクレオチドを有する配列および配列番号52〜61から選択される配列の少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、または少なくとも70の隣接ヌクレオチドを有する配列を含むプローブが挙げられる。
任意で、ハイブリッド形成の前に試料のRNAを修飾する。次いで、水路を介してRNA/プローブの二本鎖をマイクロ流体デバイスに通し、それは3つの標識の独特のシグナルを記録する検出器を含む。こうして個々の分子を独特のシグナルによって検出し、計数する。それぞれ、その全体が参照によって本明細書に組み入れられる米国Genomics社のFuchsらへの米国特許第7,402,422号および同第7,351,538号を参照のこと。
一部の実施形態では、1以上の標的RNAの検出および定量は、たとえば、修飾インベーダアッセイのような溶液に基づいたアッセイによって達成される。その全体が参照によって本明細書に組み入れられるAllawi、H.T.ら、(2004)、RNA、10:1153−1161を参照のこと。一部の実施形態では、修飾インベーダアッセイは頸部細胞の未分画の界面活性剤溶解物にて実施することができる。他の実施形態では、修飾インベーダアッセイは、細胞から単離された全RNAまたは小分子RNAを濃縮した試料にて実施することができる。ヘアピン構造を形成する2つのプローブに試料中の標的RNAをアニーリングする。第1のプローブは5’末端におけるヘアピン構造および標的RNAの5’末端での領域の配列に対して相補性である配列を有する3’末端における領域を有する。第1のプローブの3’末端は「侵襲性ポリヌクレオチド」である。第2のプローブは、5’末端から3’末端にて、標的RNAに対して相補性ではない第1の「フラップ」領域と、標的RNAの3’末端に対して相補性である配列を有する第2の領域と、ヘアピン構造を形成する第3の領域を有する。2つのプローブが標的RNA鋳型に結合すると、それらは、標的RNA鋳型上でプローブの重複構造を創り、それはCleavase酵素によって認識され、第2のプローブのフラップを溶液中に放出する。フラップ領域は次いで、第2の反応鋳型(「SRT」)の3’末端での相補性領域に結合する。FRETポリヌクレオチド(5’末端に結合する蛍光色素および3’末端の近傍に結合する色素を消す消光剤を有する)は、SRTの5’末端で相補性の領域に結合し、その結果、フラップの3’末端とFRETポリヌクレオチドの5’末端の重複構造が創られる。Cleavaseは重複構造を認識し、FRETポリヌクレオチドの5’末端を切断し、色素が溶液に放出されると蛍光シグナルを生成する。
4.1.5.例となるポリヌクレオチド
一部の実施形態では、ポリヌクレオチドが提供される。一部の実施形態では、合成ポリヌクレオチドが提供される。合成ポリヌクレオチドは、本明細書で使用されるとき、化学的にまたは酵素的に試験管内で合成されているポリヌクレオチドを指す。ポリヌクレオチドの化学合成には、OligoPilot(GE Healthcare)、ABI 3900 DNA合成機(Applied Biosystems)等のようなポリヌクレオチド合成機を用いた合成が挙げられるが、これらに限定されない。酵素合成には、たとえば、PCRのような酵素増幅によるポリヌクレオチドの製造が挙げられるが、これらに限定されない。
一部の実施形態では、配列番号42〜51、81および82から選択される配列の少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、または少なくとも18の隣接ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドが提供される。一部の実施形態では、配列番号52〜61から選択される配列の少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、または少なくとも70の隣接ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドが提供される。
種々の実施形態では、ポリヌクレオチドは500未満の、300未満の、200未満の、150未満の、100未満の、75未満の、50未満の、40未満のまたは30未満のヌクレオチドを含む。種々の実施形態では、ポリヌクレオチドは8と200間、8と150間、8と100間、8と75間、8と50間、8と40間、または8と30間のヌクレオチドの長さである。
一部の実施形態では、ポリヌクレオチドはプライマーである。一部の実施形態では、プライマーは検出可能な部分で標識される。一部の実施形態では、プライマーは標識されない。プライマーは、本明細書で使用されるとき、標的RNA若しくは標的RNAから逆転写されたcDNAとハイブリッド形成することが可能である、または標的RNA若しくはcDNA(まとめて鋳型と呼ぶ)から増幅されており、鋳型、ポリメラーゼおよび好適な緩衝液と試薬の存在下で伸長されてプライマー伸長産物を形成することができるアンプリコンとハイブリッド形成することが可能であるポリヌクレオチドである。
一部の実施形態では、ポリヌクレオチドはプローブである。一部の実施形態では、プローブは検出可能な部分で標識される。検出可能な部分は、本明細書で使用されるとき、蛍光色素のような直接検出可能な部分および結合対のメンバーのような間接的に検出可能な部分の双方を含む。検出可能な部分が結合対のメンバーである場合、一部の実施形態では、結合対の第2のメンバーに結合した検出可能な標識と共にプローブをインキュベートすることによってプローブを検出することができる。一部の実施形態では、プローブがマイクロアレイまたはビーズ上で捕捉プローブである場合、プローブは標識されない。一部の実施形態では、プローブは、たとえば、ポリメラーゼによって伸長可能ではない。他の実施形態では、プローブは伸長可能である。
一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、一部の実施形態では、5’末端にて蛍光色素(供与体)によって標識され、3’末端にて基が非常に近接する(すなわち、同一プローブに結合する)と色素からの蛍光放射を吸収する(すなわち、抑制する)化学基である消光剤(受容体)によって標識されるFRETプローブである。他の実施形態では、供与体および受容体はFRETプローブの末端にはない。従って一部の実施形態では、供与体部分の放射スペクトルは受容体部分の吸収スペクトルとかなり重複すべきである。
4.1.5.1 例となるポリヌクレオチドの修飾
一部の実施形態では、本明細書で記載される少なくとも1つの標的RNAを検出する方法は、たとえば、1以上の親和性強化ヌクレオチド類似体を含むポリヌクレオチドのような修飾されている1以上のポリヌクレオチドを採用する。本明細書で記載される方法で有用な修飾されたポリヌクレオチドには、逆転写用プライマー、PCR増幅プライマーおよびプローブが挙げられる。一部の実施形態では、親和性強化ヌクレオチドの組み入れは、デオキシリボヌクレオチドのみを含有するポリヌクレオチドに比べて結合親和性および標的核酸に対するポリヌクレオチドの特異性を高め、ポリヌクレオチドと標的核酸の間での相補性のさらに短いポリヌクレオチドの使用またはさらに短い領域を可能にする。
一部の実施形態では、親和性強化ヌクレオチド類似体には、1以上の塩基修飾、糖修飾および/または主鎖修飾を含むヌクレオチドが含まれる。
一部の実施形態では、親和性強化ヌクレオチド類似体で使用するための修飾塩基には、5−メチルシトシン、イソシトシン、シュードジイソシトシン、5−ブロモウラシル、5−プロピニルウラシル、6−アミノプリン、2−アミノプリン、イノシン、ジアミノプリン、2−クロロ−6−アミノプリン、キサンチンおよびヒポキサンチンが挙げられる。
一部の実施形態では、親和性強化ヌクレオチド類似体には、2’−O−アルキル−リボース糖、2’−アミノ−デオキシリボース糖、2’−フルオロ−デオキシリボース糖、2’−フルオロ−アラビノース糖および2’−O−メトキシエチル−リボース(2’MOE)糖のような2’-置換した糖のような修飾された糖を有するヌクレオチドが挙げられる。一部の実施形態では、修飾された糖はアラビノース糖またはd−アラビノ−ヘキシトール糖である。
一部の実施形態では、親和性強化ヌクレオチド類似体には、ペプチド核酸(PNA、たとえば、アミノ酸主鎖によって一緒に連結されるヌクレオ塩基を含むオリゴマー)の使用のような主鎖の修飾が含まれる。他の主鎖の修飾には、ホスホロチオエート連結、ホスホジエステル修飾核酸、ホスホジエステルとホスホロチオエート核酸の組み合わせ、メチルホスホネート、アルキルホスホネート、リン酸エステル、アルキルホスホノチオエート、ホスホロアミデート、カルバメート、カルボネート、リン酸トリエステル、アセトアミデート、カルボキシメチルエステル、メチルホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、p−エトキシ、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、修飾された塩基を有する少なくとも1つの親和性強化ヌクレオチド類似体、修飾された糖を有する少なくとも1つのヌクレオチド(同一ヌクレオチドであってもよい)および/または非天然に生じる少なくとも1つのヌクレオチド間結合を含む。
一部の実施形態では、親和性強化ヌクレオチド類似体は、二環式の糖であるロックされた核酸(「LNA」)糖を含有する。一部の実施形態では、本明細書で記載される方法で使用するためのポリヌクレオチドはLNA糖を有する1以上のヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドはLNA糖を伴ったヌクレオチドから成る1以上の領域を含有する。他の実施形態では、ポリヌクレオチドはデオキシリボヌクレオチドがちりばめられているLNA糖を伴ったヌクレオチドを含有する。たとえば、Frieden,M.ら、(2008)、Curr.Pharm.Des.14(11):1138−1142を参照のこと。
4.1.5.2.例となるプライマー
一部の実施形態では、プライマーが提供される。一部の実施形態では、プライマーは、たとえば、小分子U2、miR−720、miR−451、13207または13750のような標的RNAの少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、または少なくとも24の隣接ヌクレオチドと同一であるまたはそれに対して相補性である。一部の実施形態では、プライマーは標的RNAと同一ではないまたはそれに対して相補性ではない部分または領域も含み得る。一部の実施形態では、標的RNAと同一であるまたはそれに対して相補性である任意の領域は、標的RNAと同一ではないまたはそれに対して相補性ではないプライマーの領域が同一または相補性の領域を中断しないように、隣接する。
一部の実施形態では、プライマーは、小分子U2、miR−720、miR−451、13207および13750から選択される少なくとも1つのRNAのような標的RNAにて同一に存在する部分を含む。一部の実施形態では、標的RNAにて同一に存在する領域を含むプライマーは、RNAから逆転写されているcDNAと、または標的RNA若しくはcDNAの増幅によって製造されているアンプリコンと選択的にハイブリッド形成することが可能である。一部の実施形態では、プライマーは、使用される特定のアッセイの条件下でそれがcDNAまたはアンプリコンと選択的にハイブリッド形成するように、cDNAまたはアンプリコンの十分な部分に対して相補性である。
本明細書で使用されるとき、「選択的にハイブリッド形成する」は、ハイブリッド形成する領域にて異なる配列を有する同一試料において存在する別の核酸とハイブリッド形成するよりも少なくとも5倍高い親和性で試料における特定の核酸とハイブリッド形成するプライマーまたはプローブのようなポリヌクレオチドを意味する。例となるハイブリッド形成条件は、たとえば、実施例1にて議論する。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドはハイブリッド形成する領域にて異なる配列を有する同一試料において存在する別の核酸とハイブリッド形成するよりも少なくとも10倍高い親和性で試料における特定の核酸とハイブリッド形成する。
非限定の例となるプライマーには、小分子U2、miR−720、miR−451、13207および13750から選択される少なくとも1つのRNA、または別のRNAの領域と同一に存在するまたはそれに対して相補性である配列を含むプライマーが挙げられる。非限定の例となるプライマーには、配列番号42〜61、81および82から選択される配列;配列番号42〜51、81および82から選択される配列の少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18の隣接ヌクレオチドを有する配列;および配列番号52〜61から選択される配列の少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、または少なくとも70の隣接配列を有する配列を含むポリヌクレオチドが挙げられる。
一部の実施形態では、プライマーを用いて、たとえば、本明細書で議論するように標的RNAを逆転写する。一部の実施形態では、プライマーを用いて標的RNAまたはそれから逆転写したcDNAを増幅する。そのような増幅は、一部の実施形態では、たとえば、本明細書で議論するように定量的PCRである。一部の実施形態では、プライマーは検出可能な部分を含む。
4.1.5.3.例となるプローブ
種々の実施形態では、肺癌を検出する方法は試料の核酸をプローブとハイブリッド形成させることを含む。一部の実施形態では、プローブは小分子U2、miR−720、miR−451、13207および13750のような標的RNAに対して相補性である部分を含む。一部の実施形態では、プローブは小分子U2、miR−720、miR−451、13207および13750のような標的RNAにて同一に存在する部分を含む。一部の実施形態では、標的RNAに対して相補性であるプローブは、使用される特定のアッセイの条件下でそれが標的RNAと選択的にハイブリッド形成するように、標的RNAの十分な部分に対して相補性である。一部の実施形態では、標的RNAに対して相補性であるプローブは、標的RNAの少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、または少なくとも24の隣接ヌクレオチドに対して相補性である。一部の実施形態では、標的RNAに対して相補性であるプローブは、標的RNAの少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、または少なくとも24の隣接ヌクレオチドに対して相補性である領域を含む。すなわち、標的RNAに対して相補性であるプローブは、標的RNAに対して相補性ではない部分または領域も含み得る。一部の実施形態では、標的RNAに対して相補性であるプローブの領域は、標的RNAに対して相補性ではないプローブの領域が相補性の領域を中断しないように、隣接する。
一部の実施形態では、プローブは、小分子U2、miR−720、miR−451、13207および13750のような標的RNAにて同一に存在する領域を含む。そのような一部の実施形態では、標的RNAにて同一に存在する領域を含むプローブは、RNAから逆転写されているcDNAと、または標的RNA若しくはcDNAの増幅によって製造されているアンプリコンと選択的にハイブリッド形成することが可能である。一部の実施形態では、プローブは、使用される特定のアッセイの条件下でそれがcDNAまたはアンプリコンと選択的にハイブリッド形成するように、cDNAまたはアンプリコンの十分な部分に対して相補性である。一部の実施形態では、cDNAまたはアンプリコンに対して相補性であるプローブは、cDNAまたはアンプリコンの少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、または少なくとも24の隣接ヌクレオチドに対して相補性である。一部の実施形態では、標的RNAに対して相補性であるプローブは、cDNAまたはアンプリコンの少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、または少なくとも24の隣接ヌクレオチドに対して相補性である領域を含む。すなわち、cDNAまたはアンプリコンに対して相補性であるプローブは、cDNAまたはアンプリコンに対して相補性ではない部分または領域も含み得る。一部の実施形態では、cDNAまたはアンプリコンに対して相補性であるプローブの領域は、cDNAまたはアンプリコンに対して相補性ではないプローブの領域が相補性の領域を中断しないように、隣接する。
非限定の例となるプローブには、配列番号42〜61にて言及される配列を含むプローブ、ならびに配列番号42〜51、81および82から選択される少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18の隣接ヌクレオチドを含むプローブが挙げられる。非限定の例となるプローブには、配列番号52〜61にて言及される配列を含むプローブ、ならびに配列番号52〜61から選択される配列の少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、または少なくとも70の隣接配列を含むプローブが挙げられる。
一部の実施形態では、1以上の標的RNAを検出可能に定量する方法は、(a)全RNAを単離することと、(b)標的RNAを逆転写して標的RNAに対して相補性であるcDNAを作製することと、(c)(b)に由来するcDNAを増幅することと、(d)リアルタイムRT−PCRおよび検出プローブを用いて標的RNAの量を検出することを含む。
上述のように、一部の実施形態では、FRETプローブを用いてリアルタイムRT−PCRを実施するが、それには、TaqMan(登録商標)プローブ、分子ビーコンプローブおよびスコーピオンプローブが挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、リアルタイムRT−PCRによる検出および定量は、TaqMan(登録商標)プローブ、すなわち、通常、DNAの一方の末端に共有結合した蛍光色素およびDNAの他方の末端に共有結合した消光剤分子を有する直鎖プローブによって実施される。FRETプローブは、cDNAのある領域に対して相補性である配列を含むので、FRETプローブがcDNAとハイブリッド形成すると、蛍光が消光され、cDNAの増幅の間にプローブが消化されると、プローブから色素が放出され、蛍光シグナルを生じる。一部の実施形態では、試料における標的RNAの量はcDNA増幅の間に測定される蛍光の量に比例する。
TaqMan(登録商標)プローブは通常、標的RNAのある領域または標的RNA鋳型から逆転写されたその相補性cDNAに対して相補性である配列を有する隣接ヌクレオチドの領域を含む(すなわち、プローブ領域の配列は検出される標的RNAに対して相補性であるまたはそれに同一に存在する)ので、プローブは得られるPCRアンプリコンと特異的にハイブリッド形成する。一部の実施形態では、プローブは、標的RNA鋳型から逆転写されているcDNAの領域に対して完全に相補性であるまたはそれに同一で存在する配列を有する少なくとも6つの隣接ヌクレオチドの領域を含む、たとえば、検出される標的RNAから逆転写されたcDNAの領域に対して相補性であるまたはそれに同一で存在する配列を有する少なくとも8つの隣接ヌクレオチド、少なくとも10の隣接ヌクレオチド、少なくとも12の隣接ヌクレオチド、少なくとも14の隣接ヌクレオチド、または少なくとも16の隣接ヌクレオチドの領域を含む。
一部の実施形態では、TaqMan(登録商標)プローブ配列に対して相補性である配列を有するcDNAの領域は、cDNA分子の中心または中心近傍にある。一部の実施形態では、相補性の領域の5’末端および3’末端にて少なくとも2ヌクレオチド、たとえば、少なくとも3ヌクレオチド、たとえば、少なくとも4ヌクレオチド、たとえば、少なくとも5ヌクレオチドが独立して存在する。
一部の実施形態では、分子ビーコンを用いてPCR産物を検出し、定量することができる。TaqMan(登録商標)プローブのように、分子ビーコンは、FRETを用いて、プローブの両端に結合した蛍光色素と消光剤を介してPCR産物を検出し、定量する。TaqMan(登録商標)プローブとは異なって、分子ビーコンはPCRサイクルの間、無傷のままである。分子ビーコンブロー部は、溶液にて遊離するとステム/ループ構造を形成し、それによって色素と消光剤が蛍光を消光するのに十分に近接させることが可能になる。分子ビーコンが標的とハイブリッド形成すると、色素と消光剤が空間的に離れ、色素が発光するようにステム/ループ構造が消滅する。分子ビーコンは、たとえば、Gene Link(商標)(http://www.genelink.com/newsite/products/mbintro.asp)から入手可能である。
一部の実施形態では、スコーピオンプローブは配列特異的なプライマーおよびPCR産物の検出と定量用の双方として使用することができる。分子ビーコンと同様にスコーピオンプローブは標的核酸とハイブリッド形成しない場合、ステム/ループ構造を形成する。しかしながら、分子ビーコンとは異なって、スコーピオンプローブは配列特異的なプライマー処理およびPCR産物の検出の双方を達成する。蛍光色素分子は、スコーピオンプローブの5’末端に連結され、消光剤は3’末端に連結される。プローブの3’部分はPCRプライマーの伸長産物に対して相補性であり、この相補性部分が非増幅可能部分によってプローブの5’末端に連結される。スコーピオンプライマーを伸長した後、プローブの標的特異的な配列は伸長したアンプリコンの中でその相補体に結合するので、ステム/ループ構造を開放し、5’末端の色素が発光し、シグナルを生成するのを可能にする。スコーピオンプローブは、たとえば、Premier Biosoft International(http://www.premierbiosoft.com/tech_notes/Scorpion.htmlを参照)から入手可能である。
一部の実施形態では、FRETプローブで使用することができる標識には、アレクサフルオル色素、BODIPY FLのようなBODIPY色素;カスケード青;カスケード黄;7−アミノ−4−メチルクマリン、アミノクマリンおよびヒドロキシクマリンのようなクマリンおよびその誘導体;Cy3およびCy5のようなシアニン色素;エオシンおよびエリスロシン;フルオレセインイソチオシアネートのようなフルオレセインおよびその誘導体;Quantum Dye(商標)のようなランタニドイオンの大環状キレート;マリナ青;オレゴン緑;ローダミン赤、テトラメチルローダミンおよびローダミン6Gのようなローダミン色素;テキサス赤;チアゾールオレンジ−エチジウムヘテロ二量体のような蛍光エネルギー移動色素;ならびにTOTABが挙げられる。
色素の具体例には、上記で特定されたものならびに以下:アレクサフルオル350、アレクサフルオル405、アレクサフルオル430、アレクサフルオル488、アレクサフルオル500、アレクサフルオル514、アレクサフルオル532、アレクサフルオル546、アレクサフルオル555、アレクサフルオル568、アレクサフルオル594、アレクサフルオル610、アレクサフルオル633、アレクサフルオル647、アレクサフルオル660、アレクサフルオル680、アレクサフルオル700、およびアレクサフルオル750;たとえば、BODIPY493/503、BODIPY530/550、BODIPY558/568、BODIPY564/570、BODIPY576/589、BODIPY581/591、BODIPY630/650、BODIPY650/655、BODIPY FL、BODIPY R6G、BODIPY TMR、およびBODIPY−TRのようなアミン反応性のBODIPY色素;Cy3、Cy5、6−FAM、フルオレセインイソチオシアネート、HEX、6−JOE、オレゴン緑488、オレゴン緑500、オレゴン緑514、パシフィック青、REG、ローダミン緑、ローダミン赤、レノグラフィン、ROX、SYPRO、TAMRA、2’,4’,5’,7’−テトラブロモスルホンフルオレセインおよびTETが挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書で記載される方法の一部の実施形態で使用するためのRT−PCRプローブの調製に有用な蛍光標識したリボヌクレオチドの具体例はMolecular Probes(Invitrogen)から入手可能であり、これらには、アレクサフルオル488−5−UTP、フルオレセイン−12−UTP、BODIPY FL−14−UTP、BODIPY TMR−14−UTP、テトラメチルローダミン−6−UTP、アレクサフルオル546−14−UTP、テキサス赤−5−UTP、およびBODIPY TR−14−UTPが挙げられる。他の蛍光リボヌクレオチドは、たとえば、Cy3−UTPおよびCy5−UTPとしてAmersham Biosciences(GE Healthcare)から入手可能である。
本明細書で記載される方法で使用するためのRT−PCRプローブの調製に有用な蛍光標識したデオキシリボヌクレオチドの具体例には、ジニトロフェニル(DNP)−1’−dUTP、カスケード青−7−dUTP、アレクサフルオル488−5−dUTP、フルオレセイン−12−dUTP、オレゴン緑488−5−dUTP、BODIPY FL−14−dUTP、ローダミン緑−5−dUTP、アレクサフルオル532−5−dUTP、BODIPY TMR−14−dUTP、テトラメチルローダミン−6−dUTP、アレクサフルオル546−14−dUTP、アレクサフルオル568−5−dUTP、テキサス赤−12−dUTP、テキサス赤−5−dUTP、BODIPY TR−14−dUTP、アレクサフルオル594−5−dUTP、BODIPY 630/650−14−dUTP、BODIPY 650/665−14−dUTP;アレクサフルオル488−7−OBEA−dCTP、アレクサフルオル546−16−OBEA−dCTP、アレクサフルオル594−7−OBEA−dCTP、アレクサフルオル 647−12−OBEA−dCTPが挙げられる。蛍光標識されたヌクレオチドは市販されており、たとえば、Invitrogenから購入することができる。
一部の実施形態では、色素および消光剤のような他の部分が、本明細書で記載される方法で使用されるポリヌクレオチド、たとえば、FRETプローブに修飾ヌクレオチドを介して導入される。「修飾ヌクレオチド」は、化学的に修飾されているが、依然としてヌクレオチドとして機能するヌクレオチドを指す。一部の実施形態では、修飾ヌクレオチドは、たとえば、共有結合した色素または消光剤のような化学的な部分を有し、たとえば、ポリヌクレオチドの固相合成を手段としてポリヌクレオチドに導入することができる。他の実施形態では、修飾ヌクレオチドは、修飾ヌクレオチドを核酸に組み入れる前、その間、またはその後、色素または消光剤と反応することができる1以上の反応基を含む。特定の実施形態では、修飾ヌクレオチドはアミン修飾されたヌクレオチド、すなわち、反応性アミン基を有するように修飾されているヌクレオチドである。一部の実施形態では、修飾ヌクレオチドは修飾された塩基部分、たとえば、ウリジン、アデノシン、グアノシンおよび/またはシトシンを含む。特定の実施形態では、アミン修飾されたヌクレオチドは、5−(3−アミノアリル)−UTP;8−[(4−アミノ)ブチル]−アミノ−ATPおよび8−[(6−アミノ)ブチル]−アミノ−ATP;N6−(4−アミノ)ブチル−ATP,N6−(6−アミノ)ブチル−ATP、N4−[2,2−オキシ−ビス−(エチルアミン)]−CTP;N6−(6−アミノ)ヘキシル−ATP;8−[(6−アミノ)ヘキシル]−アミノ−ATP;5−プロパルギルアミノ−CTP、5−プロパルギルアミノ−UTPから選択される。一部の実施形態では、たとえば、5−(3−アミノアリル)−UTPの代わりに5−(3−アミノアリル)−GTPのような異なるヌクレオ塩基部分を持つヌクレオチドは同様に修飾される。多数のアミン修飾ヌクレオチドが、たとえば、Applied Biosystems、Sigma、Jena BioscienceおよびTriLinkから入手可能である。
例となる検出可能な部分には結合対のメンバーも挙げられるが、これらに限定されない。そのような一部の実施形態では、結合対の第1のメンバーがポリヌクレオチドに連結される。結合対の第2のメンバーは、たとえば、蛍光標識のような検出可能な標識に連結される。結合対の第1のメンバーに連結されたポリヌクレオチドが検出可能な標識に連結された結合対の第2のメンバーと共にインキュベートされると、結合対の第1と第2のメンバーが会合し、ポリヌクレオチドを検出することができる。例となる結合対には、ビオチンとストレプトアビジン、抗体と抗原等が挙げられるが、これらに限定されない。
一部の実施形態では、単一の多重反応にて複数の標的RNAが検出される。そのような一部の実施形態では、独特のcDNAを標的とする各プローブは、プローブから放出されるとスペクトルで区別可能である。従って、各標的RNAは独特の蛍光シグナルによって検出される。
当業者は、選択したアッセイ、たとえば、リアルタイムRT−PCRアッセイについて好適な検出方法を選択することができる。選択された検出方法は上述した方法である必要はなく、任意の方法であってもよい。
4.2.例となる組成物およびキット
別の態様では、組成物が提供される。一部の実施形態では、組成物は、本明細書で記載される方法で使用するために提供される。
一部の実施形態では、組成物は少なくとも1つのポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、組成物は少なくとも1つのプライマーを含む。一部の実施形態では、組成物は少なくとも1つのプローブを含む。一部の実施形態では、組成物は少なくとも1つのプライマーおよび少なくとも1つのプローブを含む。
一部の実施形態では、少なくとも1つの標的RNA特異的なプライマーを含む組成物が提供される。用語「標的RNA特異的なプライマー」は、(i)小分子U2、miR−720、miR−451、13207若しくは13750のような標的RNAにて同一で存在する、または(ii)小分子U2、miR−720、miR−451、13207若しくは13750のような標的RNAに見られる隣接ヌクレオチドの領域の配列に対して相補性である配列を有する隣接ヌクレオチドの領域を有するプライマーを包含する。
一部の実施形態では、少なくとも1つの標的RNA特異的なプローブを含む組成物が提供される。用語「標的RNA特異的なプローブ」は、(i)小分子U2、miR−720、miR−451、13207若しくは13750のような標的RNAにて同一で存在する、または(ii)小分子U2、miR−720、miR−451、13207若しくは13750のような標的RNAに見られる隣接ヌクレオチドの領域の配列に対して相補性である配列を有する隣接ヌクレオチドの領域を有するプローブを包含する。
一部の実施形態では、標的RNA特異的なプライマーおよびプローブはデオキシリボヌクレオチドを含む。他の実施形態では、標的RNA特異的なプライマーおよびプローブは少なくとも1つのヌクレオチド類似体を含む。非限定の例となるヌクレオチド類似体には、LNA類似体およびペプチド核酸(PNA)類似体を含む本明細書で記載される類似体が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、標的RNA特異的なプライマーおよびプローブは、ハイブリッド形成の結合エネルギーを高める少なくとも1つのヌクレオチド類似体(たとえば、上記で議論した親和性強化ヌクレオチド類似体)を含む。一部の実施形態では、本明細書で記載される組成物における標的RNA特異的なプライマーおよびプローブは、試料中の標的RNAの1つに結合する。一部の実施形態では、単一のプライマーおよびプローブが、たとえば、複数のisomirのような複数の標的RNAに結合する。
一部の実施形態では、単一の標的RNAに特異的な1を超えるプライマーまたはプローブが組成物に存在し、プライマーまたはプローブは標的RNAの重複する領域または空間的に離れた領域に結合することが可能である。
以後明白に言及しなくても、本明細書で記載される組成物が標的RNAから逆転写されたcDNAとハイブリッド形成するように設計される一部の実施形態では、組成物は、標的RNA(またはその領域)にて同一で存在する配列を有する少なくとも1つの標的RNA特異的なプライマーまたはプローブ(またはその領域)を含むことが理解されるであろう。
一部の実施形態では、組成物は標的RNA特異的なプライマーを含む。一部の実施形態では、標的RNA特異的なプライマーは、小分子U2、miR−720、miR−451、13207または13750に特異的である。一部の実施形態では、組成物は、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8の標的RNAのそれぞれについて複数の標的RNA特異的なプライマーを含む。
一部の実施形態では、組成物は標的RNA特異的なプローブを含む。一部の実施形態では、標的RNA特異的なプローブは、小分子U2、miR−720、miR−451、13207または13750に特異的である。一部の実施形態では、組成物は、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8の標的RNAのそれぞれについて複数の標的RNA特異的なプローブを含む。
一部の実施形態では、組成物は水性組成物である。一部の実施形態では、水性組成物はたとえば、リン酸塩、トリス、HEPES等のような緩衝化成分、および/または以下で議論するような追加の成分を含む。一部の実施形態では、組成物は、乾燥していて、たとえば、凍結乾燥していて、流体の添加による再構成に好適である。乾燥組成物には緩衝化成分および/または追加の成分が含まれる。
一部の実施形態では、組成物は1以上の成分を含む。追加の成分には、NaCl、KClおよびMgCl2のような塩;熱安定性ポリメラーゼを含むポリメラーゼ;dNTP;RNA分解酵素阻害剤;ウシ血清アルブミン(BSA)等;β−メルカプトエタノールのような還元剤;EDTA等が挙げられるが、これらに限定されない。当業者は組成物の用途に応じて好適な組成物成分を選択することができる。
一部の実施形態では、基材に連結した標的RNA特異的なプローブを含むアドレス可能なマイクロアレイ成分が提供される。
本明細書で記載される方法で使用するためのマイクロアレイはその上にプローブが共有結合するまたは非共有結合する固形基材を含む。一部の実施形態では、1以上の標的RNAまたはcDNAとハイブリッド形成することが可能であるプローブが、定義された位置(「アドレス可能なアレイ」)にて基材に連結される。当業者が十分に理解しているように様々な方法でプローブを基材に連結することができる。一部の実施形態では、プローブを先ず合成し、その後基材に連結する。他の実施形態では、基材上でプローブを合成する。一部の実施形態では、たとえば、光重合および光リソグラフィのような技法を用いて基材表面上でプローブを合成する。
一部の実施形態では、固形基材は、プローブの連結または会合に適する別々の個々の部位を含有し、少なくとも1つの検出方法に適するように修飾される材料である。基材の代表例には、ガラスおよび修飾したまたは官能化したガラス、プラスチック(アクリル、ポリスチレンおよびスチレンと他の物質のコポリマー、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブチレン、ポリウレタン、テフロン等)、多糖類、ナイロンまたはニトロセルロース、樹脂、シリカまたは珪素および修飾珪素を含むシリカ系の物質、炭素、金属、無機ガラスおよびプラスチックが挙げられる。一部の実施形態では、基材は、感知できるほど蛍光を発することなく光学的な検出を可能にする。
一部の実施形態では、基材は平面である。他の実施形態では、流入試料分析のように管の内面上にプローブを置いて試料の容積をできるだけ少なくする。他の実施形態では、多穴プレートのウェルに試料を入れることができる。さらに他の実施形態では、試料をアドレス可能なマイクロビーズアレイに連結することができる。そのうえ他の実施形態では、特定のプラスチックで作った閉鎖気泡発泡体を含む柔軟な発泡体のような柔軟な基材にプローブを連結することができる。
2つのその後の連結のために基材およびプローブをそれぞれ官能基によって誘導体化することができる。たとえば、一部の実施形態では、アミノ基、カルボキシル基、オキソ基、およびチオール基を含むが、これらに限定されない1以上の化学官能基によって基材を誘導体化する。一部の実施形態では、1以上の官能基を介してプローブを基材に直接連結する。一部の実施形態では、リンカー(すなわち、ハイブリッド形成および検出に関与するプローブ領域を基材表面から間を空けて離す隣接ヌクレオチドの領域)を介してプローブを基材に間接的に連結する。一部の実施形態では、プローブは5’末端を介して固形支持体に連結される。他の実施形態では、プローブは3’末端を介して連結される。さらに他の実施形態では、プローブは内部ヌクレオチドを介して基材に連結される。一部の実施形態では、プローブは、非共有結合で、たとえば、ビオチン/ストレプトアビジン相互作用を介して固形支持体に連結され、その際、プローブがビオチン化され、基材の表面がストレプトアビジンによって共有結合で被覆される。
一部の実施形態では、組成物は基材に連結されるプローブを有するマイクロアレイを含み、その際、プローブ(またはその領域)の少なくとも1つは小分子U2、miR−720、miR−451、13207または13750の領域にて同一で存在するまたはそれに対して相補性である配列を含む。一部の実施形態では、それらRNAの少なくとも1つの領域にて同一で存在するまたはそれに対して相補性である配列を含むプローブに加えて、マイクロアレイはさらに、別の標的RNAの領域にて同一で存在するまたはそれに対して相補性である配列を含む少なくとも1つのプローブを含む。一部の実施形態では、それらRNAの少なくとも1つの領域にて同一で存在するまたはそれに対して相補性である配列を含むプローブに加えて、マイクロアレイはさらに、他の標的RNAの領域にて同一で存在するまたはそれに対して相補性である配列を含む少なくとも2、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも50、または少なくとも100のプローブを含む。一部の実施形態では、マイクロアレイは、マイクロアレイにおけるたった1つの位置で各標的RNA特異的なプローブを含む。一部の実施形態では、マイクロアレイは、マイクロアレイにおける複数の位置で少なくとも1つの標的RNA特異的なプローブを含む。
本明細書で使用されるとき、標的RNAに対して、用語「相補性」または「部分的に相補性」および標的RNA配列のそれに対するプローブ配列の比率は、標的RNAの配列の逆相補体に対する「同一性」比率である。本明細書で記載される組成物(またはその領域)で使用されるプローブと本明細書で開示されるもののような標的RNAとの間の「相補性」の程度を決定することにおいて、「相補性」の程度は、プローブ(またはその領域)の配列とそれによって最良に並ぶ標的RNAの配列の逆相補体との間の同一性比率として表される。2つの配列間で同一である並んだ塩基の数を数え、プローブにおける隣接ヌクレオチドの総数で割り、100を掛けることによって比率を算出する。
一部の実施形態では、マイクロアレイは標的RNAの標的領域に対して完全に相補性である配列を持つ領域を有する少なくとも1つのプローブを含む。他の実施形態では、マイクロアレイは、標的RNAの最良に並べた標的領域の配列と比べると1以上の塩基のミスマッチを含む配列を持つ領域を有する少なくとも1つのプローブを含む。
一部の実施形態では、マイクロアレイは、小分子U2、miR−720、miR−451、13207または13750において同一で存在するまたはそれに対して相補性である少なくとも10、少なくとも11、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18の隣接ヌクレオチドの領域を有する少なくとも1つのプローブを含む。一部の実施形態では、マイクロアレイは、別の標的RNAにおいて同一で存在するまたはそれに対して相補性である配列とともに 少なくとも10、少なくとも11、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、少なくとも24、または少なくとも25の領域を有する少なくとも1つのプローブを含む。
マイクロアレイは、ヒトmiRNome(すなわち、マイクロアレイが製造されている当時、他者によってmiRBase(http://microrna.sanger.ac.uk/)に入れられている公的に知られるマイクロRNA)の実質的な部分、たとえば、ヒトmiRNomeの少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、さらに少なくとも約95%を含む標的RNAに対して相補性である配列を持つ領域を有するプローブを含む。一部の実施形態では、マイクロアレイは、ヒトmiRNomeの実質的な部分、たとえば、ヒトmiRNomeの少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、さらに少なくとも約95%を含む標的RNAにて同一で存在する配列を持つ領域を有するプローブを含む。
一部の実施形態では、たとえば、Luminexによって販売されているもののようなマイクロビーズに連結されたプローブを含む成分が提供され、そのそれぞれは、赤色および赤外線の蛍光色素分子によって異なる強度で内部的に着色され、各ビーズについて独特のシグナルを創り出す。一部の実施形態では、本明細書で記載される方法を実施するのに有用な組成物は、独特のスペクトルの特徴をそれぞれ持つ複数のマイクロビーズを含む。ビーズにおける色素からの独特のスペクトルの特徴が特定のプローブの配列に関連付けられるように、それぞれ独特に標識されたマイクロビーズが独特の標的RNA特異的なプローブに連結される。非限定の例となるプローブ配列には、配列番号42〜61、81および82が挙げられる。非限定の例となるプローブ配列には、配列番号42〜51、81および82から選択される配列の少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18の隣接ヌクレオチドを有する配列が挙げられる。非限定の例となるプローブ配列には、配列番号52〜61から選択される配列の少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、または少なくとも70の隣接ヌクレオチドを有する配列が挙げられる。非限定の例となるプローブ配列にはまた、小分子U2、miR−720、miR−451、13207または13750において同一で存在するまたはそれに対して相補性である領域を含むプローブも挙げられる。非限定の例となるプローブ配列にはまた、他の標的RNAにおいて同一で存在するまたはそれに対して相補性である領域を含むプローブも挙げられる。
一部の実施形態では、独特に標識したマイクロビーズが、小分子U2、miR−720、miR−451、13207または13750の領域において同一で存在するまたはそれに対して相補性である配列を持つ領域を有するプローブをそれに連結している。一部の実施形態では、独特に標識したマイクロビーズが、配列番号42〜61、81および82から選択される配列を含むプローブをそれに連結している。一部の実施形態では、独特に標識したマイクロビーズが、配列番号42〜51、81および82から選択される配列の少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18の隣接ヌクレオチドを有する配列を持つ領域を有するプローブをそれに連結している。一部の実施形態では、独特に標識したマイクロビーズが、配列番号52〜61から選択される配列の少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、または少なくとも70の隣接ヌクレオチドを有する配列を持つ領域を有するプローブをそれに連結している。一部の実施形態では、独特に標識したマイクロビーズが、別の標的RNAの領域において同一で存在するまたはそれに対して相補性である配列を持つ領域を有するプローブをそれに連結している。
一部の実施形態では、複数の独特に標識したマイクロビーズを含む組成物が提供され、その際、少なくとも1つのマイクロビーズが、小分子U2、miR−720、miR−451、13207または13750の領域において同一で存在するまたはそれに対して相補性である配列を持つ領域を有するプローブをそれに連結している。一部の実施形態では、複数の独特に標識したマイクロビーズを含む組成物が提供され、その際、少なくとも1つのマイクロビーズが、配列番号42〜61、81および82から選択される配列を含むプローブをそれに連結している。一部の実施形態では、複数の独特に標識したマイクロビーズを含む組成物が提供され、その際、少なくとも1つのマイクロビーズが、配列番号42〜51、81および82から選択される配列の少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18の隣接ヌクレオチドを有する配列を持つ領域を有するプローブをそれに連結している。一部の実施形態では、複数の独特に標識したマイクロビーズを含む組成物が提供され、その際、少なくとも1つのマイクロビーズが、配列番号52〜61から選択される配列の少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、または少なくとも70の隣接ヌクレオチドを有する配列を持つ領域を有するプローブをそれに連結している。一部の実施形態では、複数の独特に標識したマイクロビーズを含む組成物が提供され、その際、少なくとも1つのマイクロビーズが、小分子U2、miR−720、miR−451、13207または13750の領域において同一で存在するまたはそれに対して相補性である配列を持つ領域を有するプローブをそれに連結し、且つ少なくとも1つのマイクロビーズが、別の標的RNAの領域において同一で存在するまたはそれに対して相補性である配列を持つ領域を有するプローブをそれに連結している。
一部の実施形態では、組成物は複数の独特に標識したマイクロビーズを含み、そのそれぞれが、ヒトmiRNomeの実質的な部分、たとえば、ヒトmiRNomeの少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%を含む標的RNAに対して相補性である領域を有する独特のプローブをそれに連結している。一部の実施形態では、組成物は、ヒトmiRNomeの実質的な部分、たとえば、ヒトmiRNomeの少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%を含む標的RNAにて同一で存在する配列を持つ領域を有する、それに連結された独特のプローブを有する複数の独特に標識したマイクロビーズを含む。
一部の実施形態では、少なくとも1つの標的RNAを検出するための少なくとも1つのポリヌクレオチドを含む組成物が提供される。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは逆転写反応のプライマーとして使用される。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは増幅用のプライマーとして使用される。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドはRT−PCR用のプライマーとして使用される。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは少なくとも1つの標的RNAを検出するためのプローブとして使用される。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは検出可能に標識される。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドはFRETプローブである。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、TaqMan(登録商標)、分子ビーコンまたはスコーピオンプローブである。
一部の実施形態では、組成物は、小分子U2、miR−720、miR−451、13207または13750の領域において同一で存在するまたはそれに対して相補性である配列を有する少なくとも1つのFRETプローブを含む。一部の実施形態では、組成物は、配列番号42〜61、81および82から選択される配列を有する少なくとも1つのFRETプローブを含む。一部の実施形態では、組成物は、配列番号42〜51、81および82から選択される配列の少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18の隣接ヌクレオチドを有する配列を持つ領域を有する少なくとも1つのFRETプローブを含む。一部の実施形態では、組成物は、配列番号52〜61から選択される配列の少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、または少なくとも70の隣接ヌクレオチドを有する配列を持つ領域を有する少なくとも1つのFRETプローブを含む。一部の実施形態では、組成物は、小分子U2、miR−720、miR−451、13207または13750の領域において同一で存在するまたはそれに対して相補性である配列を持つ領域を有する少なくとも1つのFRETプローブおよび別の標的RNAの領域において同一で存在するまたはそれに対して相補性である配列を持つ領域を有する少なくとも1つのFRETプローブを含む。
一部の実施形態では、FRETプローブは、PCRの間にプローブが消化される場合、それが特異的な標的RNAと関連付けられる独特の蛍光発光を生じるように供与体/受容体の対で標識される。一部の実施形態では、組成物が複数のFRETプローブを含む場合、各プローブは、PCRの間にプローブが消化される場合、各自が特異的なプローブ配列および/または標的RNAと関連付けられる独特の蛍光発光を生じるように異なる供与体/受容体の対で標識される。一部の実施形態では、FRETプローブの配列は標的RNAの標的領域に対して相補性である。他の実施形態では、FRETプローブは、標的RNAの最良に並んだ標的領域の配列と比べると1以上の塩基ミスマッチを含む配列を有する。
一部の実施形態では、組成物は、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、少なくとも24、または少なくとも25のヌクレオチドから成るFRETプローブを含み、その際、配列の少なくとも一部は小分子U2、miR−720、miR−451、13207または13750の領域において同一で存在するまたはそれに対して相補性である。一部の実施形態では、FRETプローブの少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、少なくとも24、または少なくとも25のヌクレオチドは、小分子U2、miR−720、miR−451、13207または13750の領域において同一で存在するまたはそれに対して相補性である。一部の実施形態では、FRETプローブは小分子U2、miR−720、miR−451、13207または13750の配列または相補体と比べると1、2または3の塩基ミスマッチを持つ配列を有する。
一部の実施形態では、組成物はさらに、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、少なくとも24、または少なくとも25の隣接ヌクレオチドから成るFRETプローブを含み、その際、FRETプローブは別の標的RNAの領域において同一で存在するまたはそれに対して相補性である配列を含む。一部の実施形態では、FRETプローブは、別の標的RNAの少なくとも10、少なくとも11、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、少なくとも24の隣接ヌクレオチドの領域において同一で存在するまたはそれに対して相補性である。
一部の実施形態では、キットは上記で議論したポリヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、キットは上記で議論した少なくとも1つのプライマーおよび/またはプローブを含む。一部の実施形態では、キットは、たとえば、熱安定性のポリメラーゼのような少なくとも1つのポリメラーゼを含む。一部の実施形態では、キットはdNTPを含む。一部の実施形態では、本明細書で記載されるリアルタイムRT−PCR法で使用するためのキットは、1以上の標的RNA特異的なFRETプローブおよび/または標的RNAの逆転写のための1以上のプライマーおよび/または標的RNAまたはそれから逆転写したcDNAの増幅のための1以上のプライマーを含む。
一部の実施形態では、プライマーおよび/またはプローブの1以上は「直鎖」である。「直鎖」プライマーは、プライマーが内部二本鎖を形成するように同一ポリヌクレオチド内の別の領域に対して相補性である、たとえば、少なくとも3、4または5の隣接ヌクレオチドの短い部分を通常含まない単一鎖の分子であるポリヌクレオチドを指す。一部の実施形態では、逆転写で使用するためのプライマーは、標的RNAの5’末端における少なくとも4、たとえば、少なくとも5、たとえば、少なくとも6、たとえば、少なくとも7以上の隣接ヌクレオチドに対して相補性である配列を有する少なくとも4、たとえば、少なくとも5、たとえば、少なくとも6、たとえば、少なくとも7以上の隣接ヌクレオチドの領域を3’末端にて含む。
一部の実施形態では、キットは、たとえば、小分子U2、miR−720、miR−451、13207または13750のような標的RNAから逆転写されたcDNAの増幅のための直鎖プライマーの1以上の対(「正行プライマー」および「逆行プライマー」)を含む。従って、一部の実施形態では、第1のプライマーは、標的RNAの5’末端における少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、または少なくとも10の隣接ヌクレオチドの領域の配列と同一である配列を有する少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、または少なくとも10の隣接ヌクレオチドの領域を含む。さらに、一部の実施形態では、第2のプライマーは、標的RNAの3’末端における少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、または少なくとも10の隣接ヌクレオチドの領域の配列に対して相補性である配列を有する少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、または少なくとも10の隣接ヌクレオチドの領域を含む。一部の実施形態では、キットは、小分子U2、miR−720、miR−451、13207または13750から逆転写されるcDNAの増幅のために少なくとも第1のセットのプライマーを含む。一部の実施形態では、キットはさらに、別の標的RNAから逆転写されるcDNAの増幅のために少なくとも第2のセットのプライマーを含む。
一部の実施形態では、キットは、少なくとも2、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも75、または少なくとも100セットのプライマーを含み、そのそれぞれは、小分子U2、miR−720、miR−451、13207または13750を含む異なる標的RNAから逆転写されるcDNAの増幅のためのものである。一部の実施形態では、キットは、試料中の標的RNAから逆転写される1を超えるcDNAを増幅することが可能である少なくとも1セットのプライマーを含む。
一部の実施形態では、本明細書で記載される組成物で使用するためのプローブおよび/またはプライマーはデオキシリボヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、本明細書で記載される組成物で使用するためのプローブおよび/またはプライマーは、デオキシリボヌクレオチドと、LNA類似体または上述の他の二本鎖安定化ヌクレオチド類似体のような1以上のヌクレオチド類似体を含む。一部の実施形態では、本明細書で記載される組成物で使用するためのプローブおよび/またはプライマーは、あらゆるヌクレオチド類似体を含む。一部の実施形態では、プローブおよび/またはプライマーは、相補性の領域にてLNA類似体のような1以上の二本鎖安定化ヌクレオチド類似体を含む。
一部の実施形態では、本明細書で記載される組成物はまた、プローブと、RT−PCRの場合、標的RNAの量を標準化するのに使用するための1以上のハウスキーピング遺伝子に特異的であるプライマーも含む。そのようなプローブ(およびプライマー)には、U6 snRNA、ACTB、B2M、GAPDH、GUSB、HPRT1、PPIA、RPLP、RRN18S、TBP、TUBB、UBC、YWHA(TATAA)、PGK1、およびRPL4から選択されるハウスキーピング遺伝子の1以上の産物に特異的であるものが挙げられる。
一部の実施形態では、本明細書で記載されるリアルタイムRT−PCR法で使用するためのキットはさらに、逆転写および増幅の反応に使用するための試薬を含む。一部の実施形態では、キットは逆転写酵素、およびTaqポリメラーゼのような熱安定性のポリメラーゼのような酵素を含む。一部の実施形態では、キットはさらに逆転写および増幅に使用するためのデオキシリボヌクレオチド三リン酸(dNTP)を含む。さらなる実施形態では、キットはプローブおよびプライマーの特異的なハイブリッド形成のために最適化される緩衝液を含む。
4.2.1.RNAレベルの例となる標準化
一部の実施形態では、標的RNAレベルの定量は、細胞当たりの全RNAの量および試料調製の間での試料の損失の程度について行われる仮定を必要とする。異なる試料間または異なる条件下で調製される試料間での差異を補正するために、一部の実施形態における標的RNAの量を少なくとも1つの内因性のハウスキーピング遺伝子のレベルに対して標準化する。
本明細書で記載される方法にて参照遺伝子として使用するのに適当な遺伝子には、正常肺細胞と癌性肺細胞の間、異なる細胞株間、または異なる増殖および細胞調製の条件下にて産物の量が変化しないものが挙げられる。一部の実施形態では、本明細書で記載される方法にて標準化対照として有用な内因性ハウスキーピング遺伝子には、U6 snRNA、RNU44、RNU 48およびU47が挙げられるが、これらに限定されない。典型的な実施形態では、RNAの測定された量を標準化するのに使用するための少なくとも1つの内因性ハウスキーピング遺伝子は、U6 snRNA、U6 snRNA、RNU44、RNU 48およびU47から選択される。一部の実施形態では、ハウスキーピング遺伝子の1つが標準化に使用される。一部の実施形態では、1以上のハウスキーピング遺伝子が標準化に使用される。
一部の実施形態では、スパイクイン対照ポリヌクレオチドを、たとえば、血清試料のような患者の試料に対照として加える。非限定の例となるスパイクイン対照はCelmiR−39である。一部の実施形態では、スパイクイン対照を用いて血清のような試料からのRNAの精製における変動を補正する。一部の実施形態では、標的RNAと同一のまたは類似のアッセイにてスパイクイン対照を検出する。当業者は適用に応じて好適なスパイクイン対照を選択することができる。
4.2.2.例となる定量方法
一部の実施形態では、方法は、正常な標的RNAのプロファイル(一部の例となる実施形態では、対照試料の標的RNAのプロファイル)と比べた臨床試料から生成される標的RNAのプロファイルにおける量的変化を検出することを含む。RNAのプロファイルにおける何らかの量的変化は臨床試料を採取した対象における肺癌の存在を示す。RNAのプロファイルにおける種々の量的変化は肺癌に進行する傾向を示す。用語「標的RNAのプロファイル」は、同一試料における複数の標的RNAの並行レベルに関する一連のデータを指す。
一部の実施形態では、複数の標的RNAの少なくとも1つの標的RNAは、小分子U2、miR−720、miR−451、13207または13750から選択される少なくとも1つのRNAである。一部の実施形態では、複数の標的RNAの少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4または少なくとも5の標的RNAは小分子U2、miR−720、miR−451、13207または13750から選択される。一部の実施形態では、複数の標的RNAは、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも75、または少なくとも100の追加の標的RNAを含む。一部の実施形態では、標的RNAは、その成熟形態で30未満のヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、標的RNAはマイクロRNAである。一部の実施形態では、標的RNAは小分子細胞性RNAである。
標的RNAのプロファイルを調製するのに使用するための定量的データは、本明細書で提示される分析法を含む好適な分析法を用いて得られる。
一部の実施形態では、たとえば、並行するRNAのプロファイルデータは、たとえば、上述のようなマイクロアレイを用いて得られる。従って、上述のような特定の標的RNAのレベルを定量的に決定するのに使用することに加えて、miRNomeの実質的な部分に対して相補性である配列を有するプローブを含むマイクロアレイを用いて標的RNAの発現パターンを分析するための標的RNAプロファイリングを行い得る。
RNAのプロファイリング法に従って、一部の実施形態では、肺癌であると疑われる対象の試料に由来する全RNAを定量的に逆転写して試料におけるRNAに対して相補性の一連の標識ポリヌクレオチドを提供する。次いで標的RNA特異的なプローブを含むマイクロアレイとポリヌクレオチドをハイブリッド形成させて試料についてのハイブリッド形成プロファイルを提供する。結果は、試料の標的RNAのプロファイルを表す試料についてのハイブリッド形成プロファイルである。ハイブリッド形成プロファイルは、試料から逆転写されたポリヌクレオチドのマイクロアレイにおける標的RNA特異的なプローブとの結合に由来するシグナルを含む。一部の実施形態では、プロファイルは結合の存在または非存在(シグナル対非シグナル)として記録される。一部の実施形態では、記録されたプロファイルには、各ハイブリッド形成に由来するシグナルの強度が含まれる。正常、すなわち、非癌性、または一部の実施形態では、対照試料から生成されるハイブリッド形成プロファイルとプロファイルを比較する。シグナルにおける変化は対象における肺癌の存在を示す。
4.3.例となる追加の標的RNA
一部の実施形態では、小分子U2、miR−720、miR−451、13207または13750から選択される少なくとも1つのRNAを検出することと組み合わせて、方法は1以上の追加の標的RNAを検出することを含む。追加の標的RNAには、マイクロRNA、他の小分子細胞性RNA、およびmRNAが挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、一般的な肺癌、または特定の型の肺癌または特定のステージの肺癌と相関することが示されている1以上の追加の標的RNAが選択される。
一部の実施形態では、本明細書で記載される方法はさらに、染色体共依存物、すなわち、一緒に調節される傾向にあるヒトゲノム中で互いに近くに密集している標的RNAを検出することを含む。従って、さらなる実施形態では、方法は、小分子U2、miR−720、miR−451、13207および13750から選択されるRNAの染色体上の位置から50,000bp以下の染色体の範囲内のそれぞれ位置する1以上の標的RNAの発現を検出することを含む。
4.4.医薬組成物および治療方法
一部の実施形態では、開示は、人の肺癌細胞において標的RNAの発現が調節解除される、たとえば、下方調節または上方調節される肺癌を治療する方法に関する。一部の実施形態では、開示は、標的RNAのレベルが正常な細胞または血清に比べて変化する、たとえば、人の肺癌細胞の方が低いまたは高い肺癌を治療する方法に関する。たとえば、小分子U2のような少なくとも1つの単離された標的RNAが癌細胞にて上方調節される場合、方法は、肺癌細胞の増殖を阻害するように、少なくとも1つの標的RNAの発現を阻害する有効量の少なくとも1つの化合物を人に投与することを含む。或いは、一部の実施形態では、少なくとも1つの標的RNAが癌細胞にて上方調節される場合、方法は、肺癌細胞の増殖を阻害するように、少なくとも1つの標的RNAの活性を阻害する有効量の少なくとも1つの化合物を人に投与することを含む。そのような化合物は、一部の実施形態では、修飾ヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを含むポリヌクレオチドであり得る。
たとえば、miR−720、miR−451、13207および/または13750のような少なくとも1つの標的RNAが肺癌細胞にて下方調節される場合、方法は、人における癌細胞の増殖を阻害するように、有効量の単離された標的RNA(すなわち、一部の実施形態では、化学的に合成される、組換えで発現されるまたは天然環境から精製される標的RNA)、または単離されたその変異体若しくは生物学的に活性のあるその断片を投与することを含む。
開示はさらに肺癌を治療するための医薬組成物を提供する。一部の実施形態では、医薬組成物は小分子U2の発現または活性を阻害する化合物を含む。一部の実施形態では、医薬組成物は、少なくとも1つの単離された標的RNA、または単離されたその変異体若しくは生物学的に活性のあるその断片、および薬学上許容可能なキャリアを含む。一部の実施形態では、少なくとも1つの単離された標的RNAは、正常レベルに比べて(例となる一部の実施形態では、対照試料における標的RNAのレベルに比べて)肺癌細胞にて低下したレベルで存在するmiR−720、miR−451、13207および/または13750のような標的RNAに相当する。
一部の実施形態では、単離された標的RNAは癌細胞にて下方調節される内因性の野生型標的RNA遺伝子産物と同一である。一部の実施形態では、単離された標的RNAは変異体標的RNAまたは生物学的に活性のあるその断片である。本明細書で使用されるとき、「変異体」は相当する野生型標的RNAに対して100%未満の配列同一性を有するが、野生型標的RNAの1以上の生物活性(たとえば、標的RNA分子の発現および肺癌に関連する細胞性過程を阻害する能力)を依然として持つ標的RNA遺伝子産物を指す。標的RNAの「生物学的に活性のある断片」は、野生型標的RNAの1以上の生物活性を持つ標的RNA遺伝子産物の断片である。一部の実施形態では、化学療法、放射線療法およびその併用を含むが、これらに限定されない1以上の追加の抗癌治療と共に単離された標的RNAを投与することができる。一部の実施形態では、単離された標的RNAは追加の抗癌治療と同時に投与される。一部の実施形態では、単離された標的RNAは追加の抗癌治療と順次投与される。
一部の実施形態では、医薬組成物は、標的RNAの発現または活性を阻害する少なくとも1つの化合物を含む。一部の実施形態では、化合物は1以上の標的RNAに特異的であり、そのレベルは正常レベルに比べて(例となる一部の実施形態では、対照試料における標的RNAのレベルに比べて)肺癌細胞にて上昇する。一部の実施形態では、標的RNA阻害剤は、小分子U2のような特定の標的RNAに特異的である。一部の実施形態では、標的RNA阻害剤は、小分子U2および/または他の標的RNAの少なくとも一部に対して相補性であるヌクレオチド配列を含む。
一部の実施形態では、標的RNA阻害剤は、二本鎖RNA、アンチセンス核酸および酵素RNA分子から選択される。一部の実施形態では、標的RNA阻害剤は小分子阻害剤である。一部の実施形態では、標的RNA阻害剤は、化学療法、放射線療法およびその併用を含むが、これらに限定されない他の抗癌治療と併用して投与することができる。一部の実施形態では、標的RNA阻害剤は、他の抗癌治療と同時に投与される。一部の実施形態では、標的RNA阻害剤は、他の抗癌治療と順次投与される。
一部の実施形態では、医薬組成物は、あらゆる目的でその全体が参照によって本明細書に組み入れられるSempleら、Nature Biotechnology advance online publication,17、January、2010(doi:10.1038/nbt.1602))に従って製剤化され、投与される。
用語「治療する」、「治療すること」および「治療」は本明細書で使用されるとき、肺癌の症状の発症を防ぐことまたは遅らせることおよび/または肺癌の症状の重症度または頻度を減らすことを含む肺癌に関連する症状を改善することを指す。
標的RNAまたは標的RNAの発現若しくは活性の阻害剤の用語「有効量」は、肺癌に罹っている人における癌細胞の増殖を阻害するのに十分な量である。本明細書で開示される医薬組成物で使用するための化合物の有効量は、たとえば、治療される人の大きさおよび体重、疾患のステージ、人の年齢、健康状態および性別、投与経路および投与が局所性か全身性かを考慮することにより、当業者によって容易に決定される。
単離された標的RNAまたは標的RNA阻害剤、または薬学上許容可能なその塩に加えて、本明細書で開示される医薬組成物はさらに、水、緩衝化水、普通の生理食塩水、0.4%生理食塩水、0.3%グリシンおよびヒアルロン酸を含むが、これらに限定されない薬学上許容可能なキャリアを含む。一部の実施形態では、医薬組成物は、たとえば、リポソームの中に被包される単離された標的RNAまたは標的RNA阻害剤を含む。一部の実施形態では、医薬組成物は、4.1.5の項で上述したような核酸主鎖の修飾によってヌクレアーゼに耐性である単離された標的RNAまたは標的RNA阻害剤を含む。一部の実施形態では、医薬組成物はさらに、たとえば、安定剤、抗酸化剤、浸透圧調整剤および緩衝液のような薬学上許容可能な賦形剤を含む。一部の実施形態では、医薬組成物はさらに、アルキル化剤、代謝拮抗剤、エピポドフィロトキシン、アントラサイクリン、ビンカアルカロイド、植物アルカロイド、およびテルペノイド、モノクローナル抗体、タキサン、トポイソメラーゼ阻害剤、白金化合物、タンパク質キナーゼ阻害剤およびアンチセンス核酸を含むが、これらに限定されない少なくとも1つの化学療法剤を含む。
医薬組成物は、溶液、懸濁液、エマルジョン、錠剤、丸薬、ペレット、液体を含有するカプセル、粉末、徐放製剤、座薬、エマルジョン、エアゾール、スプレー、懸濁液の形態、または使用に好適な任意の他の形態を取ることができる。投与方法には、経口投与、非経口投与、静脈内投与、経口投与および吸入による投与が挙げられるが、これらに限定されない。
以下の実施例は説明のみを目的とするものであって、決して限定を意味するものではない。
5.
5.1 実施例1:マイクロアレイにより測定された、肺原発腫瘍における小分子RNAレベル
選択されたコホート
肺癌と診断された13人の患者、9人の男性および4人の女性を、コホートに含めた。患者のうち7人は喫煙歴が無く、6人は重度の喫煙歴を有した。扁平上皮細胞肺癌および非扁平上皮細胞肺癌は、もっとも頻発する肺癌の種類のうちの2種であるため(すべての肺癌の70%超)、扁平上皮癌と診断された3人の患者(Epi−4、Kmalp−21、Kmalp−25)、非扁平上皮癌と診断された6人の患者(Adk−2、Adk−9、Adk−10、Adk−15、Adk−23およびAdk−29)が含まれた。さらに、カルチノイドと診断された1人の患者(Car−13)、肉腫様癌と診断された1人の患者(Ksarc−19)、小細胞肺癌と診断された1人の患者(Scc−27)、および大細胞神経内分泌癌と診断された1人の患者(Lcnec−31)もまた選ばれた。表1は、コホート中の患者および各患者の種々の臨床的特徴のリストを示す。
患者のうち4人:Ksarc−19(肉腫様癌)、Adk−10およおびAdk−29(ともに非扁平上皮癌)、およびLcnec−31が、非常に侵攻性の肺癌を有した。患者Ksarc−19は、手術後1か月で再発し、6か月後に死亡した。患者Car−13(カルチノイド)は、増殖遅延型の肺癌を有した。
患者のうちの4人から、原発腫瘍のみを採取し、残りの9人から、原発腫瘍および隣接する正常組織を採取した。原発腫瘍における、腫瘍細胞対正常細胞の相対量は、すべての患者において、90%〜100%の間であることが判明した。隣接する正常組織は、原発腫瘍から可能な限り遠い場所から採取し、検出可能な腫瘍細胞を含まなかった。
組織試料
肺原発腫瘍由来の、アーカイブされたかまたは急速冷凍された新鮮な検体を使用した。組織試料を、TRIzol(登録商標)試薬(インビトロジェン社(Invitrogen));カールスバッド、カリフォルニア州)中、乳鉢と乳棒により均質化し、製造者のプロトコルに従って、RNAを抽出した。RNA試料をリボヌクレアーゼ非含有水中で希釈し、−80℃(−112°F)で保管した。
小分子RNAの調製
Flash PAGE Fractionator(Ambion)を使用して、すべての試料の小分子RNA画分を濃縮した。簡単に説明すると、全RNA試料を、Flash PAGE Fractionatorを使用して、プレキャストゲル上に添加した。ゲル移動後に、40ntより小さい全RNA画分(「小分子RNA画分」)を収集し、ヌクレアーゼ非含有水中に再懸濁した。
マイクロアレイ解析
プローブの設計およびスポッティング
マイクロアレイの作製に使用したポリヌクレオチドプローブは、5’−NH2−(C)6−(スペーサー)−(オリゴマープローブ配列)−3’の構造を有した。5’−アミノ基が、アレイ支持体上への化学的結合を可能にした。ポリヌクレオチドプローブとアレイ支持体の非特異的相互作用を防ぐために、それぞれが、以下に示す、15ntの同一のスペーサー配列を含有した:
5’アミノC6−TTGTAATACGACTCA−オリゴプローブ配列。(配列番号62)
本明細書に記載されるプローブ配列は、リンカーを除外している。マイクロアレイが、本来マイクロRNAレベルを検出するために設計されたため、小分子U2RNAとハイブリダイズしたように見えるプローブは、以下の配列を有する、miR−1290に対するプローブであった:
5’−TCCCTGATCCAAAAATCCA−3’(配列番号63)
その配列は、小分子U2の配列の相補体と、太字で示す、ただ1つのヌクレオチドにより異なっている。
ユーロフィンMWGオペロン社(Eurofins MWG Operon)(エベルスブルグ、ドイツ)による標準的プロトコルに従って、プローブを合成した。Nexterion(ショット社(Schott))マイクロアレイガラススライドを、マイクロアレイの固体支持体として使用した。
スポッティングに使用したポリヌクレオチドプローブ濃度は、25μmolであった。より大きなスポットサイズ(例えば、SDSを含まない70〜100ミクロンと比較して、100〜150ミクロン)を可能にするために1%SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)が添加された、ショット社(Schott)製のアレイガラス支持体とともに提供される、Nexterionスポッティング緩衝剤を使用して、プローブを2つ一組でスポッティングした。使用したスポッティング装置は、Stealth SMP3ピン(テレケム社(Telechem))を備えたQArray mini(ジェネティクス社(Genetix))であった。一連のスポットの沈着後、スポッティング針を60mMのNaOHで5回洗浄し、その後、次の一連のプローブをスポッティングした。48ブロックのスポッティングされたプローブを有し、各ブロックが20×18平方のスポッティングされたプローブであるように、各スライドを設計された。各プローブを2つ一組でスポッティングした。スポッティングされたガラススライドは、使用するまで4℃で保管した。
小分子RNAの標識化
小分子RNA画分の標識化は、欧州分子生物学グループにより、EMBL(ハイデルベルグ、ドイツ)で開発された、公開プロトコル(Castoldiら、RNA 2006 May;12(5):913-20、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)から翻案した。簡単に説明すると、リボヌクレアーゼ非含有水、8%ポリエチレングリコール(PEG)、2mMアデノシン三リン酸(ATP)、およびT4 RNAリガーゼ(0.7U/μl)で1倍に希釈したAmbion緩衝剤中に、10μMの色素標識したテトラ−ヌクレオチド(5’−rUrUrUrU−Cy5−3’)(または代替として、5’−rUrUrUrU−Cy3−3’)(バイオスプリング社(Biospring)、ドイツ)を含む混合物とともに、小分子RNA画分を、4℃で6時間、インキュベートした。混合物を15分間65℃で加熱することにより、標識化反応を実施した。この手順により、ポリ−Uの色素標識テールが、すべての小分子RNAの3’末端に結合した。標識された試料を、ハイブリダイゼーションするまで4℃で保管した。
アレイハイブリダイゼーション
Discoveryハイブリダイゼーション・ステーション(ベンタナ社(Ventana)、ツーソン、アリゾナ州)を使用して、標識した小分子RNA画分を、スポッティングしたアレイにハイブリダイズさせた。簡単に説明すると、1%BSA、2X SSC、および0.2%SDSの混合物2mLを、チップとともに、42℃で30分間、インキュベートした。次いで、チップを、EZ Prep緩衝液(ベンタナ社)を使用して1回洗浄し、その後Ribowash(ベンタナ社)で、さらに3回洗浄した。次に、20μlの標識された小分子RNA混合物および180μlのChipHybe試薬(ベンタナ社)を、アレイに添加した。アレイを、37℃で6分間加熱し、次いで42℃で8時間インキュベートし、その後加熱を停止した。チップをRibowash(ベンタナ社)で1回洗浄し、次いで37℃で2分間加熱した。チップを、1滴のCheapClean(ベンタナ社)を添加したRibowash(ベンタナ社)で再度洗浄し、37℃で2分間インキュベートした。チップを、Ribowash(ベンタナ社)を使用して、さらに2回洗浄した。チップを一晩、乾燥状態で保管した。翌日、Discovery ハイブリダイゼーション・ステーションについてのベンタナ社の取扱説明書に従って、最後の洗浄を行った。スライドを、2X SSC+0.2X SDS緩衝液で2回洗浄し、その後0.1X SSCでさらに1回洗浄した。すべてのスライドを、アレイイット社(Arrayit)(テレケム・インターナショナル社(TeleChem International)、サニーヴェイル、カリフォルニア)製の高速遠心分離機を使用して、室温で乾燥させ、走査するまで暗所に保管した。
アレイ画像の獲得
Axon(商標)スキャナ(モレキュラーデバイス社(Molecular Devices)サニーヴェール、カリフォルニア州))および同社のGenepix(商標)ソフトウェアを使用して、アレイを走査した。画像を、16ビット/ピクセル(1600*1600)の画像色深度で規定される、tif形式でフォーマットした。このような設定において、ピクセルは、0〜65,535の範囲の強度値をとる。最大の強度値を示すピクセルは「飽和」しており、これには65,535の値が割り当てられた。アレイ走査の解像度は、10μm/ピクセルに設定された。異なる蛍光色素(例えば、Cy5およびCy3)を使用するハイブリダイゼーション実験においては、光電子増倍管(PMT)を、強度がより高いスポット(Cy3はCy5よりも低いPMT設定で走査される)に調節した。
アレイ画像解析
レーザースキャナーのPMTにより、スライドの各所与の「ポイント」に対する、補足された蛍光強度をデジタル化し、数値をそのポイントに対応するピクセルとして保存した。その後、そのようなピクセルにより構成される画像を解析した。画像解析の最初の課題は、セグメンテーションと呼ばれるプロセスを使用して、スポットの位置を検出することであった。スポットを、調整可能なまたは固定された半径の円によりセグメント化した。正確にセグメント化および定量化をするために、スポットの直径は、5〜6ピクセル超である必要があった。セグメンテーション前に、スポットのおおよその位置を示すインデックス・グリッドが提供された。セグメンテーション自体により、グリッド円付近のスポットの境界が検出された。簡単に説明すると、Genepixソフトウェアによって、アレイ上の各スポットに円が割り当てられる(セグメンテーション)。スポットが完全な長方形のグリッド上にあることはほとんどないため、スポッティングの不完全さおよび/または支持体の変型に因り、セグメンテーションは、いくぶん柔軟に行われなければならなかった。
ソフトウェアによるセグメンテーション後、アレイ上のすべてスポットが明確に特定されるまで、手作業で円を修正して、スポット上に調節した。この段階で、アレイが高いバックグラウンドノイズを呈し、実際のスポットがバックグラウンドから識別されるのを妨げている場合は、そのアレイのさらなる解析を却下した。
画像解析の第2の課題は、スポットを定量化し、データを結果ファイル中にエクスポートすることであった。ひとたびスポットを画像上に位置付ければ、これは比較的簡単かつ明確な課題であった。スポット強度を定量化するために最も頻繁に使用される統計的手法は、スポットに属するピクセルの中央値または平均値であった。中央値の手法は、外れ値のピクセルが存在する場合は、平均値よりもより堅固であった。しかしながら、実際には、平均値または中央値を使用して得られた結果に、ほとんど差異はなかった。
アレイデータ解析
全アレイのデータを、Rバイオコンダクターパッケージ(「バイオコンダクター:計算生物学およびバイオインフォマティクスのためのオープン・ソフトウェア開発(“Bioconductor: open software development for computational biology and bioinformatics,”) Genome Biol. 2004;5(10):R80. Epub 2004 Sep 15、その全体が参照により本明細書に組み込まれている)を使用して、解析した。
スポット強度を内部対照と比較することにより、アレイデータを、まず、品質について試験した。1つの内部対照(配列番号64;表2)を、標識化対照として使用し(この合成RNAを、標識化の前に、精製した小分子RNA画分に添加した)、6つの他の内部対照(配列番号65〜70;表2)を、データの標準化のために使用した(これらの合成RNA対照を、ハイブリダイゼーション前に、アレイ毎にそれぞれ520fmolで、全RNA画分に添加した)。合成RNAに結合するプローブ配列、および変異体プローブ配列もまた、表2(配列番号71〜78)に示す。
スポットの強度が、局所バックグラウンド強度平均値+その標準偏差の1.5倍よりも高いすべての配列を、発現した小分子RNAとして分類した。アレイの強度データが、さらなるなる解析のために妥当であるとみなすためには、以下の判定基準を満たすことが要求された:
1.ハイブリダイゼーション対照の特異性は、許容基準内(例えばCTL26対その対応する一塩基変異体、CTL26_MUT)でなければならなかった。
2.陽性対照の複製物のシグナル強度のおおよその同等性。
3.各ブロックの陽性対照に基づくブロックシグナル強度中央値間のおおよその同等性。
4.検出されたすべての配列に基づくアレイシグナル中央値間のおおよその同等性。
5.精製および標識化対照(CTL30)に対するシグナル強度。
Log2比が、2つ1組のスポットの平均強度シグナル/そのブロックの全陽性対照の強度中央値と等しい場合、Log2比を計算することにより、データの統計的標準化を行った。アレイの全ブロックの不均一な標識化を避けるために、ブロックごとに標準化を行った。このブロックごとの標準化は、全体的なスライドの標準化を使用するよりも効率的であることが示されている。得られた値はLog2値である。
各ポリヌクレオチドプローブに対するスポット強度を、肺癌原発腫瘍対正常な肺組織由来の試料において比較し、各小分子RNA、例えばマイクロRNAの相対レベルを評価した。
RNAレベルにおける倍率変化は、2(Log2比)に対応する。Log2比は、比較される2つの条件間の比率、すなわち(log2X原発性腫瘍−log2X正常)と同一である、log2(X原発性腫瘍/X正常)であり、ここでXは測定された強度値である。「正常」条件からのシグナルがない場合、その実験で測定された最も低い強度値をベースラインとして使用し、そのベースラインから倍率変化値を算出した。ゼロ未満の倍率変化値は、(1/倍率変化)倍の下方制御に相当する。
結果
小分子U2の増加したレベルは、解析された原発腫瘍のほとんどにおいて観察された。このRNAは、当初、配列中1つのヌクレオチドが異なる、miR−1290として特定されたが、以下で議論する血清試料の配列決定の際に、本アッセイおよび他のアッセイにおいて小分子U2が検出されていたこと、ならびに小分子U2は健常者由来の血清よりも肺癌患者由来の血清において、より高いレベルで存在することが明らかになった。
表3は、組織それぞれについての、小分子U2の標準化されたシグナル値を示す。表3はまた、2つの異なる方法によって算出された、小分子U2レベルにおける倍率変化をも示す。最初に、隣接する正常組織を採取した9人の患者について、同一の患者由来の隣接する正常組織中の小分子U2のレベルと比較した、原発腫瘍試料中の小分子U2のレベルを算出した(「倍率変化/同一個人)。その測定によれば、小分子U2のレベルは、9人の患者のうち7人において、有意により高かった。倍率変化は、3.11(Adk−15)〜33.74(Kmal−21)の範囲であった。患者Adk−29において、原発腫瘍試料および隣接する正常組織中の小分子U2のレベルは類似しているようであったが、非常に遅い増殖型の肺癌を有する患者Car−13の小分子U2のレベルは、隣接する正常組織と比較して、原発腫瘍試料においてより低かった。
2回目の倍率変化の算出では、各患者由来の原発腫瘍中のレベル、および9つの隣接する正常組織中の小分子U2レベルの平均(6.08)に基づいて、小分子U2レベルの倍率変化を算出した。
倍率変化を算出する両方法を使用して、小分子U2レベルが、ほとんどの原発腫瘍試料において増加していることが判明した。
この小コホートにおいて解析された原発腫瘍のほとんどにおいて、miR−720および13207の増加したレベル、ならびにmiR−451の減少したレベルもまた観察された。表4は、上述される通り、原発腫瘍中の各マイクロRNAのレベルと、正常組織試料中のマイクロRNAレベルの平均との比率を使用して算出した、miR−720、miR−451、および13207レベルにおける倍率変化を示す。患者ADK2に関しては、miR−720、miR−451、および13207のレベルは未検であった。
5.2 実施例2:qRT−PCRにより測定された肺原発腫瘍における小分子RNAレベル
TaqMan(登録商標)定量的RT−PCR(qRT−PCR;アプライドバイオシステムズ社(Applied Biosystems))アッセイを使用して、実施例1のマイクロアレイ実験で使用されたものと同一の小分子RNA試料中の、小分子U2を測定した。小分子RNA RNU44を、内因性対照(endogenous control)として使用した(Amaral FC et al. J Clin Endocrinol Metab 94: 320-323 (2009))。6人の患者(Adk−15、Adk−23、Kmalp−25、Adk−29、Scc−27およびLcnec−31)の原発腫瘍由来の小分子RNA、ならびにこれらの患者のうちの3人(Adk−15、Adk−23およびScc−27)の隣接する正常組織由来の小分子RNAを、解析において使用した。
原発腫瘍中の小分子U2レベルにおける倍率変化を、2
−ΔΔCt法(Livak and Schmittgen, Methods, 25: 402-408 (2001))を使用し、参照として、3つの隣接する正常組織中の小分子U2レベルの平均を使用して算出した。結果を表5に示す。
qRT−PCRのデータは、上述されるマイクロアレイ実験の結果と、良好に相関した。図1は、qRT−PCR実験においてアッセイされた6つの試料についての結果を示す。図1において、qRT−PCRとは、表5に示す2−ΔΔCtデータである。「マイクロアレイ−1−」は、原発腫瘍試料中の小分子U2のレべルを、同一の患者の隣接する正常組織中のレベルと比較することにより算出される、倍率変化である。「マイクロアレイ−比率−」は、原発腫瘍試料中の小分子U2のレベルと、すべての患者の隣接する正常組織の平均を比較することにより算出される、倍率変化である。全体として、qRT−PCRの結果は、小分子U2のマイクロアレイデータと一致する。
マイクロアレイおよびqRT−PCR実験の結果は、アッセイされた原発性肺腫瘍のほとんどにおいて小分子U2レベルはより高く(13のうち10)、小分子U2の増加したレベルは、肺腫瘍のサブタイプに特異的ではないことを示した。
同様のTaqMan(登録商標)定量的RT−PCR(qRT−PCR)アッセイを使用して、実施例1のマイクロアレイ実験で使用されたものと同じ小分子RNA試料中の、miR−720、miR−451、および13207のレベルを測定した。しかしながら、この場合は、内因性対照(endogenous control)として小分子RNA RNU48を使用した(Zhu et al. BMC Res. Notes 2:89 (2009); Collino et al. PLoS ONE 5:1 (2010); Chiyomaru et al. J. Canc. 102:883 (2010))。6人の患者(Adk−15、Adk−23、Kmalp−25、Adk−29、Scc−27およびLcnec−31)の原発腫瘍由来の小分子RNA、およびこれらの患者のうちの3人(Adk−15、Adk−23およびScc−27)の隣接する正常組織由来の小分子RNAを、解析において使用した。
原発腫瘍中のmiR−720、miR−451、および13207のレベルにおける倍率変化を、2
−ΔΔCt法(Livak and Schmittgen, Methods, 25: 402-408 (2001))を使用し、参照として、3つの隣接する正常組織中のマイクロRNAレベルの平均を使用して算出した。下方制御されたRNAに関しては、−1/2
−ΔΔCtとして、倍率変化を算出した。結果を表6に示す。
これらの結果は、miR−451および13207レベルは、正常組織よりも原発腫瘍組織において、一般的により低いことを示す。
5.3 実施例3:より大きなコホートにおける、qRT−PCRにより測定された小分子RNAレベル
選択されたコホート
36人の個人が選択され、そのうちの24人は肺癌と診断され、そのうちの12人が健康であった。この実験は、低侵襲のアッセイを使用して、小分子U2を肺癌の早期発見マーカーとして使用できることを実証する。
24人の肺癌患者は、早期肺癌を有した:6人がステージIA、14人がステージIB、および4人がステージIIBの肺癌と診断された。コホートには、16人の男性および8人の女性が含まれた。患者のうちの16人が喫煙者であり、1人は前喫煙者、および7人が喫煙歴無しであった。糖尿病、感染症、他の癌、肥満症、または心臓疾患と診断された患者はいなかった。組織を採取した時点で、薬を服用していた患者はいなかった。表7は、コホート中の肺癌を有する24人の患者および各患者の種々の臨床的特徴を示す。
コホート中の12人の健常者は、糖尿病、感染症、癌、肥満症、または心臓疾患のいずれをも有してはいなかった。組織を採取した時点で、薬を服用している健常者はいなかった。表8は、コホート中の12人の健常者および各個人の種々の臨床的特徴を示す。
コホート中の各個人について、1mlの血清を使用して、小分子U2レベルのための、TaqMan(登録商標)定量的RT−PCRアッセイで使用するためのRNAを抽出した。
血清試料からの全RNAの単離
3容量の(3ml)のTrizol LSを各血清試料に添加し、次いで試料を、室温で5分間インキュベートした。0.8mlのクロロホルム(0.75mlのTrizol LSあたり0.2mlのクロロホルム)を各試料に添加し、次いで試料を、15秒間激しくボルテックスした。試料を室温で3分間、インキュベートした。次いで試料を、4℃で15分間、12,000xg(9,600rpm)で遠心分離し、水相(4ml)を回収した。
1容量の酸性化フェノール/クロロホルム(1部のクロロホルムに対して5部のフェノール、pH4.5)を、水相に添加した。相は静かにボルテックスしており、それを室温で2〜3分間静置した。次いで試料を、4℃で10分間、12,000xg(9,600rpm)で遠心分離し、水相を回収した。その後、フェノール/クロロホルム抽出を繰り返した。
2度目のフェノール/クロロホルム抽出後、1.25容量の100%EtOHを各試料に添加し、試料をボルテックスした。700μlの各試料をmirVana(商標)miRNA単離カラム(Ambion)上に添加し、カラムを室温で15秒間、8,000xgで遠心分離した。濾液を廃棄し、別の700μlの試料をカラム上に添加し、遠心分離した。濾液を再度廃棄した。試料のすべてがmirVana(商標)カラムを通り抜けるまで、このプロセスを繰り返した。
次いで700μlのmiRNA洗浄溶液1を、mirVana(商標)カラム上に添加した。カラムを、室温で10秒間、8,000xgで遠心分離し、濾液を廃棄した。次いで500μlのmiRNA洗浄溶液2/3を、mirVana(商標)カラム上に添加した。カラムを、室温で10秒間、8,000xgで遠心分離し、濾液を廃棄した。500μlのmiRNA洗浄溶液2/3を、再度mirVana(商標)カラム上に添加した。カラムを、室温で10秒間、8,000xgで遠心分離し、濾液を廃棄した。
カラムを、室温で1分間、8,000xgで遠心分離して、残留洗浄緩衝剤を除去した。カラムを清潔な管に移し、100μlのリボヌクレアーゼ非含有水をカラムに添加し、それらを室温で20秒間、最大速度(12,000xg;9,600rpm)で遠心分離した。
qRT−PCRによる血清中の小分子U2の検出
TaqMan(登録商標)定量的RT−PCR(qRT−PCR;アプライドバイオシステムズ社(Applied Biosystems))アッセイを使用して、コホート中の個人の血清から単離した全RNA試料中の小分子U2レベルを測定した。コホート中の各個人についての、3つの反応から得た平均Ctを、表7および8からの特徴とともに、表9に示す。
図2は、表9に示すCt値のプロットを示す図である。図2中の、「CT比」と記載されたデータは、表9に示す平均Ctであり、これは3つの反応の平均である。コホートの肺癌および健常者群の間には、良好な分離があった。肺癌患者のうちの2人だけが、健常者よりも高いCt値を有した。この実験において、肺癌患者のうちの約90%が、健常者と比較して、高レベルの小分子U2を有した。Ctカットオフ値32.3において、感度は83.3%、および特異度は100%であった。
データの受信者動作特性(ROC)プロットを、図6に示す。ROCプロットは、肺癌患者および健常者間の良好な分離を示す。小分子U2の血清レベルの測定は、Ct≦32.28の判定基準を使用して、特異度100%において91.7%の感度で、肺癌を有する個人を特定することができる。
この実験において、血清中の小分子U2のレベルは肺癌の非常に良好なマーカーであり、さらに、小分子U2は、低侵襲のアッセイを使用した、早期肺癌の検出に好適である。
TaqMan(登録商標)定量的RT−PCR(qRT−PCR;アプライドバイオシステムズ社(Applied Biosystems))アッセイを使用して、表7および8に示すコホート中の個人の血清から単離した全RNA試料中の、miR−720、miR−451、および13207のレベルもまた、測定された。コホート中の各個人の、3つの反応から得た平均Ctを、各RNAについて、表7および8の特徴とともに表10に示す。
図3〜5はそれぞれ、表10のmiR−451、miR−720、および13207のCt値のプロットを示す。図3に示す通り、miR−451レベルに基づく、肺癌の存在に対する感度および特異度は、それぞれ、85%および75%であった。さらに、miR−451は、正常細胞と比較して、原発腫瘍細胞において、より低いレベルで存在するように思われたが、本実験の肺癌患者の小コホートから得た血清においては、増加したレベルで存在することが判明した。図4に示す通り、miR−720レベルに基づく、肺癌の存在に対する感度および特異度は、それぞれ、83.3%および100%であった。最後に、図5に示す通り、血清試料においてより低い、miR−13207レベルに基づく肺癌の存在に対する感度および特異度は、それぞれ、75%および91.7%であった。
5.4 実施例4:高い小分子U2レベルは、肺癌と関連している
選択されたコホート
成熟した小分子U2が、肺癌と特異的に関連しているかどうかを判定するために、非肺癌と診断された28人の患者が、このコホートに選択された。患者のうちの8人が結腸直腸癌、5人が膀胱癌、9人が乳癌、および6人が前立腺癌と診断された。早期から進行期までの様々な癌を有する患者が含まれた。全体で、ステージIの患者が4人、ステージIIの患者が14人、ステージIIIの患者が8人、ステージIVの患者が1人であった。糖尿病、感染症、他の癌、肥満症、または心臓疾患と診断された患者はいなかった。血清の採取時、薬を服用していた患者はいなかった。最後に、13人の患者が、喫煙歴を有した。表11は、コホート内のすべての患者および各患者の種々の臨床的特徴を記載する。表11はまた、以下に説明する、小分子U2のqRT−PCRアッセイから得たCt値をも示す。
qRT−PCRによる、非肺癌患者の血清中の小分子U2の検出
上の実施例3に記載される通りに、表11に記載される各患者由来の血清1mlから得た全RNAを単離した。
TaqMan(登録商標)定量的RT−PCR(qRT−PCR;アプライドバイオシステムズ社(Applied Biosystems))アッセイを使用して、コホート中の個人の血清から単離した全RNA試料中の小分子U2レベルを測定した。各個人についての、3つのアッセイから得た平均Ct値を、表11に示す。
図7は、表11に示すCt値のプロットを示す図である。各癌型を、図中の1つのカラムとしてプロットした。「CT比」と記載されたデータは、表11に示す3つの反応から得た平均Ctである。カラムは、左から右の順に、肺癌(実施例3からのデータ)、乳癌、膀胱癌、結腸直腸癌、および前立腺癌である。非肺癌患者のうちの6人のみが、実施例3で測定された、特異度100%の値(Ct=32.28)以下のCt値を有した。対照的に、非肺癌患者のうちの22人(79%)が、実施例3における健常者と類似した範囲のCt値を有した。このように、より高いレベルの小分子U2は、肺癌と特異的に関連している。
データのROCプロットを図8に示す。ROCプロットは、肺癌患者および非肺癌患者間の、良好な分離を示す。小分子U2の血清レベルの測定は、肺癌を有する個人対他の癌を有する個人を、Ct≦32.28の判定基準を使用して、78.6%の特異度において91.7%の感度で特定することが出来る。
閾値(32.28)以下のCt値を有した6人の患者のうち、3人が進行期癌を有した(患者43994、40017および49152)。もう2人の進行期癌患者は、閾値の直ぐ上のCt値を有した(48433および42979)。閾値よりも上である、残りの20人の患者のうち、3人だけがステージIIIであり、1人がステージIVであった。さらに、閾値Ct値に非常に近いかまたはそれ以下である、8人の非肺癌患者のうち、5人が乳癌患者であり、小分子U2が乳癌において、より高い頻度でより高レベルにあり得ることを示唆した。4人の他の乳癌患者は、正常な範囲で、より高いCt値を有した。全体として、これらの結果は、癌の進行期において、小分子U2レベルは、肺癌以外の癌においても、より高い可能性があることを示唆する。しかしながら、早期においては、小分子U2レベルは、肺癌のみにおいて、一貫して高い。
MiR−720は、小分子U2よりも、肺癌に対してより特異的ではないことが判明した。肺癌を有する患者および他の癌を有する患者におけるmiR−720のCt値のプロットは、Ctカットオフ値29.4で、感度83.3%および特異度64.3%を示した。(データ表示せず。)他の癌を個別に考慮すると、その実験において、miR−720は、肺癌を、膀胱癌および前立腺癌と識別したが、乳癌または結腸直腸癌とは識別しなかった。(データ表示せず。)13207は、その実験において、肺癌を他の癌と識別しなかった。(データ表示せず。)
5.5 実施例5:特定された小分子RNAは、喫煙状況または性別のマーカーではなかった
癌患者および健常者の両方を含むすべての患者における小分子U2レベルのCt値対喫煙歴のROCプロットを、図9に示す。該プロットは、小分子U2が、喫煙状況のマーカーではないことを示す。類似した結果が、miR−720、miR−451、および13207でも得られた。(データ表示せず。)
Ct値を個人の性別に応じてプロットすると、小分子U2、miR−720、miR−451、および13207はまた、性別のマーカーでもないことが判明した。(データ表示せず。)
最後に、小分子RNAの組み合わせ、例えば小分子U2およびmiR−720の組み合わせもまた、性別または喫煙状況のマーカーではないことが判明した。(データ表示せず。)
5.6 実施例6:小分子RNAの組み合わせは検出の感度および特異度を改善する
表9(小分子U2)および表10(miR−720、miR−451、および13207)に示すCtデータを、種々の方法で組み合わせて、アッセイの感度および/または特異度が改善されるかどうかを判定した。それぞれの組み合わせについて、Ct値を互いに加算するか(ともに上方制御された2つのRNAの場合)または互いから減算した(1つのRNAが上方制御され、1つのRNAが下方制御された場合)。
図10は、小分子U2およびmiR−451の組み合わせを示す。各患者について、小分子U2およびmiR−451のCt値を合算した。小分子U2およびmiR−451の組み合わせの感度および特異度は、それぞれ、85%および91.7%であった。
図11は、小分子U2およびmiR−720の組み合わせを示す。各患者について、小分子U2およびmiR−720のCt値を合算した。小分子U2およびmiR−720の組み合わせの感度および特異度は、それぞれ、87.5%および100%であった。
図12は、小分子U2、miR−720、および13207の組み合わせを示す。13207のCt値を、小分子U2およびmiR−720のCt値の合計から減算した。小分子U2、miR−720、および13207の組み合わせの感度および特異度は、それぞれ、90.5%および100%であった。
表12は、小分子U2、miR−720、および13207、およびそれらの組み合わせの感度および特異度のデータを要約する。
図13は、特異度を100%に設定した場合の、ある特定のRNAを検出することにより肺癌を検出するための感度のプロットを示す。特異度を100%に設定するために、健常者試料のすべてがCtカットオフラインより上(または下)にあるように、Ctカットオフ値を設定する。次いで、そのCtカットオフ値により感度を決定する。図13に示す通り、ある特定の小分子RNAの検出を組み合せた場合、感度は増加する。
肺癌患者対健常者における、ある特定のRNAの組み合わせのCt中央値間の分離を測定するために、小分子U2およびmiR−720の組み合わせのCt値ならびに小分子U2、miR−720、および13207の組み合わせのCt値を、以下の通り標準化した。まず、Ct値の合計を上述の通り決定した(すなわち、Ct(小分子U2)+Ct(miR−720);およびCt(小分子U2)+Ct(miR−720)−Ct(13207))。次いでCt値の合計を、100%特異度のカットオフに対して標準化した:(((合計Ct値)/(100%特異度での合計Ct値))−1)x100。結果として、カットオフCtは、両方の組み合わせにおいてゼロであった。図14に示す通り、ある特定のRNAの組み合わせは、感度を増加させることに加え、肺癌患者および健康な患者のCt中央値間の、より大きな分離をももたらす。小分子U2およびmiR−720(A)の組み合わせは、標準化されたデータに対して、85.7の特異度および約18の中央値の分離(上方および下方のライン間の距離により示される)を示し、一方小分子U2、miR−720、および13207(B)の組み合わせは、標準化されたデータに対して、90.5の特異度および約21の中央値の分離(上方および下方のライン間の距離により示される)を示す。
5.7 実施例7:別のコホートにおける、qRT−PCRにより測定された小分子RNAレベル
選択されたコホート
21人の個人が選択され、そのうち11人が肺癌と診断され、10人が健康であった。この実験は、小分子U2を、低侵襲のアッセイを使用して、肺癌の早期検出マーカーとして使用し得ることを実証する。
11人の肺癌患者が、早期肺癌を有した:5人がステージIA、4人がステージIB、および2人がステージIIBの肺癌を有すると診断された。コホートには、6人の男性および5人の女性が含まれた。患者のうちの4人は喫煙者であり、1人は前喫煙者であり、6人は喫煙歴がなかった。糖尿病、感染症、他の癌、肥満症、または心臓疾患と診断された患者はいなかった。組織を採取した時点で、薬を服用していた患者はいなかった。コホート中の10人の健常者は、糖尿病、感染症、癌、肥満症、または心臓疾患のいずれをも有してはいなかった。組織を採取した時点で、薬を服用している健常者はいなかった。表13は、コホート中の肺癌を有する11人の患者および各患者の種々の臨床的特徴、ならびにコホート中の10人の健常者を示す。
コホート中の各個人について、1mlの血清を使用して、TaqMan(登録商標)定量的RT−PCRアッセイ(qRT−PCR;アプライドバイオシステムズ社(Applied Biosystems))で使用するためのRNAを抽出した。実施例3に記載されるとおりに、RNAを単離した。
TaqMan(登録商標)定量的RT−PCRアッセイを使用して、コホート中の個人の血清から単離した全RNA試料中の小分子RNAレベルを測定した。検出された小分子RNAレベルは、小分子U2、およびmiR−720、およびCelmiR−39(線虫(C.elegans)miR−39)であった。CelmiR−39は、血清からのRNA精製における差異を修正するためのスパイクイン対照(spike-in control)として添加した。コホート中の各個人について、3つの反応から得た平均Ct値を、表13からのある特定の特徴とともに、表14に示す。
表15は、各RNAおよびRNAの組み合わせのCt値から、CelmiR−39のCt値を減算することにより、CelmiR−39のCt値と比較した、小分子U2およびmiR−720のΔCt値を示す。さらに、U2およびmiR−720の組み合わせのΔCt値をもまた、表15に示す。
図15は、CelmiR−39と比較した、小分子U2のΔCt値のプロットを示す。この実験において、小分子U2のΔCtは、肺癌の検出において、81.8%の感度および100%の特異度を示した。図16は、CelmiR−39と比較したmiR−720のΔCt値のプロットを示す。この実験において、miR−720のΔCtは、肺癌の検出にて、81.8%の感度および80%の特異度を示した。
図17は、それぞれCelmiR−39と比較した、小分子U2およびmiR−720のΔCt値の合計のプロットを示す。この実験において、ΔCt値の合計は、肺癌の検出において、72.7%の感度および100%の特異度を示した。
5.8 実施例8:血清由来の小分子RNAの予備配列決定
ステージIA、IIA、IB、およびIIB肺癌患者由来の血清の2つの異なるプールから、小分子RNAの配列を決定した:プールIは、15人の患者由来の血清を含み、プールIIは、3人の患者由来の血清を含んだ。3人の健常者由来の血清のプールからも、小分子RNAの配列を決定した。さらに、腺癌および扁平上皮癌の2つの原発性肺腫瘍試料から、小分子RNAの配列を決定した。プールIに関しては、小分子RNA(長さ<200ヌクレオチド)をmirVana(商標)miRNA単離キットを使用して精製し、ファステリス・エスエー(Fasteris SA)(スイス)により配列を決定した。原発腫瘍に関しては、RNAをサイズ分画し、ファステリス・エスエー(Fasteris SA)により配列を決定した。プールIIおよび健常者由来の血清に関しては、ノージェンバイオテック社(Norgen Biotek)(カナダ)により全RNAを抽出し、およびエルシーサイエンス社(LC Sciences)(ヒューストン、テキサス)において配列を決定した。
以下のリストは、肺癌患者由来の血清のプールのうちの少なくとも1つから、または原発性肺腫瘍試料のうちの少なくとも1つにおいて配列決定された、小分子RNA配列のうちのいくつかを示す:
5’−UGGAUUUUUGGAGCAGGG−3’(配列番号2;小分子U2)
5’−AAAUGGAUUUUUGGAGCAGGGAGAUGGAAU−3’(配列番号3;小分子U2)
5’−AAAUGGAUUUUUGGAGCAGGGAGAU−3’(配列番号4;小分子U2)
5’−AAAUGGAUUUUUGGAGCAGGGAGA−3’(配列番号5;小分子U2)
5’−AAAUGGAUUUUUGGAGCAGGGAG−3’(配列番号6;小分子U2)
5’−AAAUGGAUUUUUGGAGCAGGGA−3’(配列番号7;小分子U2)
5’−AAAUGGAUUUUUGGAGCAGGG−3’(配列番号8;小分子U2)
5’−AAUGGAUUUUUGGAGCAGGGAGAU−3’(配列番号9;小分子U2)
5’−AAUGGAUUUUUGGAGCAGGGAGA−3’(配列番号10;小分子U2)
5’−AAUGGAUUUUUGGAGCAGGGAG−3’(配列番号11;小分子U2)
5’−AAUGGAUUUUUGGAGCAGGGA−3’(配列番号12;小分子U2)
5’−AUGGAUUUUUGGAGCAGGGAGAU−3’(配列番号13;小分子U2)
5’−AUGGAUUUUUGGAGCAGGGAGA−3’(配列番号14;小分子U2)
5’−AUGGAUUUUUGGAGCAGGGAG−3’(配列番号15;小分子U2)
5’−AUGGAUUUUUGGAGCAGGGA−3’(配列番号16;小分子U2)
5’−AUGGAUUUUUGGAGCAGGG−3’(配列番号17;小分子U2)
5’−UGGAUUUUUGGAGCAGGGAGA−3’(配列番号18;小分子U2)
5’−UGGAUUUUUGGAGCAGGGAG−3’(配列番号19;小分子U2)
5’−UGGAUUUUUGGAGCAGGGA−3’(配列番号20;小分子U2)
5’−UCUCGCUGGGGCCUCCA−3’(配列番号21;miR−720);
5’−AUCUCGCUGGGGCCUCCA−3’(配列番号23;miR−720);
5’−AAACCGUUACCAUUACUGAGUU−3’(配列番号24;miR−451);
5’−AAACCGUUACCAUUACUGAGU−3’(配列番号29;miR−451);
5’−AAACCGUUACCAUUACUGAG−3’(配列番号30;miR−451);
5’−AAACCGUUACCAUUACUGAGUUU−3’(配列番号28;miR−451);
5’−UUUAGUAAUGGUAAUGGUUCU−3’(配列番号27;miR−451);
5’−UAAUGGUAAUGGUUCUCUUG−3’(配列番号26;miR−451);
5’−UGUCUUUCCUUGUUGGAGCAGG−3’(配列番号31;13207);
5’−TGTAGAGCAGGGAGCAGGAAGCT−3’(配列番号35;13750);
5’−TGTAGAGCAGGGAGCAGGAAGC−3’(配列番号38;13750);
5’−TGTAGAGCAGGGAGCAGGAAG−3’(配列番号39;13750);
5’−TGTAGAGCAGGGAGCAGGAA−3’(配列番号40;13750);および
5’−TGTAGAGCAGGGAGCAGGA−3’(配列番号41;13750)。
5.9 実施例9:より大きなコホート中の、qRT−PCRにより測定された小分子RNAレベル
選択されたコホート
174人の個人がこのコホートに選択された。1つの個人群は健康で、既知の癌または炎症性もしくは感染性疾患を有さず;1つの個人群は、他の癌、種々の炎症性疾患、例えば喘息、アレルギー、およびサルコイドーシス、ならびに/または種々の感染症と診断され(これらの個人を「MD」および「SI」群に分割した;「MD」は軽度の疾患を示し、「SI」は「重病」を示す);1つの個人群は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)および肺癌と診断され;1つの個人群は、COPDと診断されたが、肺癌ではなく;1つの個人群は肺癌と診断され;ならびに1つの個人群は肺繊維症と診断された。さらに、9人の個人は肺癌の疑いがあったが、試料採取の時点では、診断が確定していなかった。これらの個人は、以下に説明するとおり、マーカーの検証のために使用され、最初の解析のためには使用されなかった。表16は、コホート中の患者の臨床的特徴を示す。
表16:コホート中の患者の臨床的特徴
コホート中の各個人について、1mlの血清を使用して、TaqMan(登録商標)定量的RT−PCRアッセイ(qRT−PCR;アプライドバイオシステムズ社(Applied Biosystems));miR−720およびmiR−451に使用した)、またはExiqonカスタムLNAプライマーを使用するqRT−PCR(エキシコン社(Exiqon)、ヴェドベック、デンマーク;小分子U2および13750に使用した)で使用するためのRNAを抽出した。実施例3に記載されるとおりに、RNAを単離した。
TaqMan(登録商標)定量的RT−PCRアッセイまたはエキシコン社(Exiqon)社製のプライマーを使用するqRT−PCRを使用して、コホート中の個人の血清から単離した全RNA試料中の小分子RNAレベルを測定した。検出された小分子RNAレベルは、小分子U2、miR−720、miR−451、13750、およびCelmiR−39(線虫(C.elegans)miR−39)であった。CelmiR−39は、血清からのRNA精製における差異を修正するためのスパイクイン対照(spike-in control)として添加した。コホート中の各個人についての、3つの反応から得た平均Ctを表17に示す。
表17:小分子U2、miR−720、miR−451、13750、およびCelmiR−39スパイクイン対照(spike-in control)の平均Ct
この実験中、さらにより大きなコホートにおいて、小分子U2は、肺癌患者由来の血清中に高レベルで存在するが、miR−720、miR−451、および13750は、肺癌患者由来の血清中に減少したレベルで存在するということが、確認された。
図18は、13750のCt値のプロットを示す。この実験において、13750は、COPDを含め、肺癌と対照を、p値<0.001で識別した。
分散の解析(ANOVA)を表17で試験された4つのマーカー対して実施し、各マーカーの、肺癌と非肺癌を識別する能力を判定した。ANOVAの結果を表18に示す。
小分子U2、miR−720、および13750はそれぞれ、肺癌と非肺癌を、p値<0.001で識別することができる。MiR−451は、肺癌と非肺癌を、p値<0.05で識別することが出来る。
非肺癌からの肺癌の分離可能性を最大化するために、線形判別分析(LDA)手法を使用して、データにおける、クラス間分散のクラス内分散に対する比率を最大化した。例えば、Nikas et al. Cancer Inform. 11: 1-14 (2012); R Development Core Team (2011); R: A language and environment for statistical computing. R Foundation for Statistical Computing, Vienna, Austria. ISBN 3-900051-07-0を参照のこと。この手法を使用して、各RNAに対する線形判別の係数を決定した。それを表19に示す。
次いで、式:(小分子U2のCt×1.0712027)−(Ct13750×0.2694863)−(miR−720×0.4534064)−(miR−451×0.1715311)を使用して、各患者の、各マイクロRNAのCt値に、係数を適用した。この式は「Canon LDA−1」と呼ばれる。
次いで、4つのRNAの組み合わせを使用するCanonLDA−1の、肺癌と他の状態を識別する能力について試験した。繊維症試料は、この解析から除外された。結果を図19に示す。小分子U2、miR−720、miR−451、および13750の組み合わせは、肺癌を有する患者と、他の状態を有する患者を識別することが出来る。
多くの肺癌患者が、COPDをも患っているため、小分子U2、miR−451、miR−720、および13750それぞれの、癌を伴わないCOPDと癌を伴うCOPDを識別する能力を測定した。表20は、4つのRNAに対するANOVAの結果を示す。
小分子U2および13750は、肺癌を伴わないCOPDと肺癌を伴うCOPDを、p値<0.001で識別することが出来る。
癌を伴わないCOPDからの、癌を伴うCOPDの分離可能性を最大化するために、再度LDA手法を使用して、データにおける、クラス間分散のクラス内分散に対する比率を最大化した。この手法を使用して、小分子U2および13750に対する線形判別の係数を決定した。それらを表21に示す。
5.10 実施例10:Canon LDA−1の検証
表16に示す9人の「検証」患者由来の試料を、4つのRNAの組み合わせ(Canon LDA−1)を使用して試験し、他の方法による診断よりも前に、肺癌を早期において検出する、その組み合わせの能力を測定した。表22は、検証コホート中の9人の患者、および血清が採取された、診断前の月数を示す。最後の3人の患者においては、その組み合わせの不偏の予測値を測定するために、試料を診断前に解析した。
小分子U2、miR−720、miR−451、および13750の組み合わせを使用して、検証コホート中の患者それぞれの、肺癌の状態を予測した。図20に示す通り、検証コホート中の9人の患者のうち8人の肺癌の状態が、正確に予測された。唯一の不正確な結果は、患者S10−826−dに対して示され、この患者は最終的に肺癌と診断されたが、これはおそらくは既存の膀胱癌の転移によるものであった。さらに、臨床医により新生物の疑いを有すると特定された、患者S10−971は、アッセイにおいて、肺癌を有さないと判定された。この患者は、最終的に肺癌を有さないと診断された。
これらの結果は、Canon LDA−1(小分子U2、miR−720、miR−451、および13750)が、臨床医が現在使用可能な技術を用いて予測出来るよりも数か月前に、肺癌の存在(またはその不存在)を、予測することができたことを実証する。
5.11 実施例11:小分子U2は、早期肺癌において高発現している
表17に示す小分子U2に関するデータを、肺癌ステージに応じてプロットした。結果を図21に示す。小分子U2は、ステージI肺癌において高発現している。従って、少なくとも小分子U2は、早期肺癌を検出するための特に良好なマーカーであり得る。この結果は、実施例10で上述し、図20に示す検証結果と一致している。
本出願に引用される、全ての刊行物、特許、特許出願および他の文書は、個々の刊行物、特許、特許出願または他の文書が、あたかも、全ての目的のために参照により組み込まれると個別に示されているのと同程度に、参照によりその全体がすべての目的のために本明細書に組み込まれる。
種々の特定の実施形態が例示され、説明されているが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、変更が可能であることが理解されるであろう。