本明細書に開示された本発明は、一般に、タイヤ試験または車両試験に関する。より詳細には、本明細書に開示された本発明は、タイヤ車両システムまたはタイヤ車両システムの構成部品の性能効率を分析するための方法に関する。
タイヤ性能は重要な懸案事項である。実際に、製造業者およびタイヤ開発者、ならびに当業者は、(1)タイヤの特徴、(2)タイヤ車両システムの性能、および(3)タイヤ車両システムの構成部品の性能を試験するための方法は、非常に関心事であるとわかる。
車両がアンチロックブレーキングシステム(ABS)を備えることは現在非常に一般的である。これに必ずしも限定されないが、乾燥停止性能を含む向上した停止性能に対して、タイヤと車両との間の整合を潜在的に向上するために、異なるタイヤ特性(すなわち、異なるμスリップ曲線形状)に対してABS/車両システムの「効率」(以下に定義されるように)を決定することは興味深い。換言すれば、タイヤのμスリップ曲線形状が変わり得る場合は、あるとすればと、何の変化がタイヤ性能特徴を向上させることができるかを決定する上で興味深い。
μスリップ曲線およびμスリップ曲線の形を決定するそれらの特性を共慮する際に、曲線は、形状およびサイズの特徴を有するとみなされてもよい。当業者は、「形状」がピークでまたはピーク付近で効率的に作動するために、ABSの能力に影響を与え得る方法を評価することを望むことがある。「ピークμ」は、乾燥停止距離(DSD)および他の種類の停止距離に大きい影響を与え、ピークμが高いほど停止距離は良好であることが見出されることが多い。当業者は、以下に記載されるように、DSDおよび他のタイプの停止距離上の曲線形状の特徴の影響を評価してもよい。したがって、タイヤ車両システムの構成部品の性能を試験する方法を提供することが依然として望ましい。
ABS制御装置の効率を決定するための方法が提供される。方法は、第1のABS制御装置を第1のインフレ圧力で使用して、第1のタイヤ上で第1の試験を実行すること、第1のデータセットを収集すること、第1の関数を第1のデータセットから生成するためにデジタルコンピュータを使用すること、および第1の関数に基づいて第1の効率を計算するためにデジタルコンピュータを使用することを含む。第1のデータセットは第1の試験についてのデータを含んでもよい。第1の関数は、第1の時間周期の正規化されたμと時間との関係を説明してもよい。
ABS制御装置の効率を決定するための装置がさらに提供される。装置は、検知システムおよびデジタルコンピュータを備える。検知システムは、第1のABS制御装置を第1のインフレ圧力で使用して、第1のタイヤ上で第1の試験中に第1のデータセットを収集する。デジタルコンピュータは、第1の関数を第1のデータセットから生成し、第1の関数は第1の時間周期の正規化されたμと時間の関係を説明し、第1の関数に基づいて第1の効率を計算する。
ABS制御装置の効率を決定するための方法がさらに提供される。方法は、第1のABS制御装置を第1のインフレ圧力で使用して、第1のタイヤ上で第1の車両試験を実行すること、第1のデータセットを収集すること、第1の関数を第1のデータセットから生成するためにデジタルコンピュータを使用すること、および第1の関数に基づいて第1の効率を計算するためにデジタルコンピュータを使用することを含む。第1のデータセットは第1の試験についてのデータを含み、時間関数としてのμ、および時間関数としてのスリップ率を計算するために十分なデータを含む。第1の関数は、定常作動の第1の時間周期の正規化されたμと時間の関係を説明する。方法は、第1のABS制御装置を第2のインフレ圧力で使用して、第1のタイヤ上で第2の車両試験を実行すること、第2のデータセットを収集すること、第2の関数を第2のデータセットから生成するためにデジタルコンピュータを使用すること、および第2の関数に基づいて第2の効率を計算するためにデジタルコンピュータを使用することをさらに含んでもよい。次いで第2のデータセットは第2の試験についてのデータを含み、時間関数としてのμ、および時間関数としてのスリップ率を計算するために十分なデータを含む。次いで第2の関数は、定常作動の第2の時間周期の正規化されたμと時間の関係を説明する。また方法は、第1のインフレ圧力での第1の試験および第2のインフレ圧力での第2の試験のうちの1つが、より高い効率を生成したかどうか、またそうである場合は、どちらの試験がより高い効率を生成したかを判定するために、第1の効率と第2の効率を比較することをさらに含んでもよい。方法は、第2のABS制御装置を使用して試験を実行することをまたさらに含んでもよい。
μスリップ曲線を示す一般的グラフである。
正規化されたμスリップ曲線を示す一般的グラフである。
スリップ率と時間の関係を示す一般的グラフである。
スリップ率と時間の関係のグラフおよび正規化されたμと時間の関係のグラフの、グラフの一般的セットである。
正規化されたμと時間の関係の一般的グラフである。
正規化されたμと時間グラフの関係の部分の第1のセットのグラフ、および正規化されたμと時間グラフの関係の部分の第2のセットのグラフの、グラフの一般的セットである。
乾燥停止距離と効率の関係のグラフである。
次に図1〜7を参照する。表示は診断タイヤ試験方法のある特定の実施形態を示すために過ぎない。
タイヤはタイヤ特性を決定するために試験されてもよい。このような1つのタイヤ特性はμスリップ曲線の性質である。μスリップ曲線の一例が図1に示されている。μスリップ曲線の性質は、曲線のピークならびに曲線の形状によって画定される。μスリップ曲線のピーク、すなわち「ピークμ」は乾燥停止距離に重要な影響を与えることがある。μスリップ曲線の形状は、曲線の初期傾斜、ピークμでの、またはピークμ付近の曲率、およびピークμを過ぎたμにおける減少によって決定される。
方法は、異なるタイヤ特性に対するABSの効率を決定するために開発されてきた。異なるタイヤ特性に対するABSの効率の決定は、タイヤ特性を変化させるために有益な情報を提供することがある。タイヤ特性を変化させるために有益な一部の情報は、タイヤ特性の変化が、タイヤ車両システム性能にどのような影響を与えるかについて予測するための有益な情報を含んでもよい。無制限に、タイヤ車両システム性能は停止性能を含んでもよい。
特定のセットのタイヤと特定の車両の組合せがタイヤ車両システムである。本明細書に開示されたある特定の実施形態では、診断タイヤ試験方法は、第1のインフレ圧力に膨張された第1のタイヤまたはタイヤのセットと共に停止距離に対するタイヤ車両システムを試験すること、および第2のインフレ圧力に膨張された第1のタイヤまたはタイヤのセットと共に停止距離のためのタイヤ車両システムを試験することを含む。インフレ圧力は本明細書では「IP」と呼ばれることがある。他の実施形態では、これらの方法は、第1のタイヤ仕様のタイヤを第1のインフレ圧力もしくは第2のインフレ圧力、または両方で牽引試験することを含んでもよい。いかなる特定の理論にも拘束されることを望むものではないが、それにタイヤが試験中に膨張されるインフレ圧力における変化は、停止距離操作中にタイヤ車両システムの応答の仕方に影響を与えることがある。ある特定の実施形態では、試験はデータの一部として時間情報の収集を含んでもよい。
ある特定の実施形態では、インフレ圧力を変化させることによりタイヤμスリップ曲線を一時的に変え、複数の圧力のそれぞれでの作動の「効率」を測定するために、DSD試験などの停止距離試験を行うことが可能であり得る。ある特定の実施形態では、各インフレ圧力でのμスリップ曲線を特徴付けるために、「FlatTrac」または「Flat Track」としても公知である、平ベルトタイヤ試験機上でタイヤを個々に試験することが可能であり得る。得られるデータは、曲線形状の変化に起因する改善された性能に対する可能性を確立するために使用されてもよい。曲線形状の特徴は、初期傾斜、ピークμでのスリップ率、ピークμを過ぎたμにおける減少などを含んでもよいが、これに限定されない。ある特定の実施形態では、試験データは、DSD値などの停止距離値全体に影響を与え得るピークμ値とは無関係に、「μ形状」効果を評価するために分析されてもよい。IPを変化させることはμスリップ挙動を変える1つの方法である。複数のタイヤセットを試験することは、μスリップ挙動を変える別の方法である。ある特定の実施形態では、無制限に、IPを変化させることは、複数のタイヤセットを試験するより迅速により便利であり得る。
停止距離試験
一実施形態では、タイヤ車両システムの停止距離に関するデータは、タイヤ車両システムの試験中に収集される。タイヤ車両システムの停止距離試験は、システムの停止性能および/またはシステムの乾燥停止性能についてのデータを提供する。タイヤ車両システムの停止距離試験は、トラック、性能試験場、または他の車両試験面上で行われてもよい。タイヤ車両システムの停止距離試験は、ABSの性能についてのデータを提供するために、活性化されたABSで行われてもよい。
ある特定の実施形態では、試験車両は、タイヤ車両システムの挙動を停止操作中に捕捉するために、センサを備えられてもよい。通常の停止操作は、停止距離、ホイールの位置、スリップ率、長軸方向もしくは他の方向への制動力、長軸方向もしくは他の方向への移動、長軸方向もしくは他の方向への速度、長軸方向もしくは他の方向への加速、スリップ率に関する長軸方向もしくは他の方向への制動力、またはそれらの一部の組合せもしくはサブセットについて、またはそれらを計算するために十分なデータ収集と同時に起きる、または前の制動操作を含む。停止操作は制動操作を含み、操縦操作も含んでもよい。停止操作および関連したデータ収集は、停止距離試験と呼ばれる。停止距離試験は、車両を初期速度から最終速度に制動することを含み、最終速度は若干の非ゼロ速度またはゼロである。停止距離試験は、車両を曲線または直線経路に沿って操縦することを含んでもよい。また停止距離試験は、ABSの活性化を含んでもよい。
ある種のタイヤおよび車両システムでは、停止距離を含む停止距離試験の結果は、停止距離の利点を、より短い停止距離、より有効な停止作動、または別法などのインフレ圧力の1つで気付き得るように、インフレ圧力によって影響を与えられてもよい。
停止距離試験は試験面上で実行される。試験面は、トラック、車道または他の表面を含むことができ、試験面は乾燥した、湿った、雪で覆われた、氷で覆われた、またはそれらの混合であることが可能である。実際の試験面の土台は、コンクリート、アスファルト、レンガ、砂利、砂、泥、またはそれらの一部の組合せであることが可能である。
停止距離試験の第1のセットは、第1の車両および第1のタイヤを含む、第1のタイヤ車両システム上で実行される第1の停止距離試験、ならびに第1のタイヤ車両システム上で実行される第2の停止距離試験を含んでもよい。ある特定の実施形態では、停止距離試験の第1のセットは、第1の車両および第1のタイヤを含む、第1のタイヤ車両システム上で実行される第1の停止距離試験、ならびに第1の車両および第2のタイヤを含む、第2のタイヤ車両システム上で実行される第2の停止距離試験を含んでもよい。タイヤ車両システムは、複数のタイヤインフレ圧力で試験されてもよい。停止距離試験の第1のセットは、第2のタイヤを使用して、恣意的に1つまたは複数の後続のタイヤを使用して、第1の車両上で実行される追加の停止距離試験をさらに含んでもよい。
試験は、停止距離試験の第1のセットに類似した、停止距離試験の第2のセットを含んでもよい。停止距離試験の第2のセットは、第1のタイヤを使用して第2の車両上で、第2のタイヤを使用して第2の車両上で実行される試験、および恣意的に1つまたは複数の後続のタイヤを使用して、第2の車両上で実行される試験を含んでもよい。
試験は、停止距離試験の第1のセットまたは停止距離試験の別のセットに類似した、停止距離試験の1つまたは複数の追加のセットを含んでもよい。停止距離試験の追加のセットは、第1のタイヤを使用して1つまたは複数の追加の車両上で、第2のタイヤを使用して1つまたは複数の追加の車両上で実行される試験、および恣意的に1つまたは複数の後続のタイヤを使用して、1つまたは複数の追加の車両上で実行される試験を含んでもよい。
タイヤ車両システムの停止距離試験は、複数の車両で、それぞれが複数のタイヤを備え、複数のインフレ圧力で行われてもよい。
タイヤ車両システムの停止距離試験は、第1のインフレ圧力に膨張された第1のタイヤと係合された第1の車両上で、また第2のインフレ圧力に膨張された第1のタイヤと係合された第1の車両で行われてもよい。タイヤ車両システムの停止距離試験は、第1のインフレ圧力に膨張された第1のタイヤと係合された第1の車両上で、また第2のインフレ圧力に膨張された第1のタイヤと係合された第1の車両で行われてもよく、また恣意的に1つまたは複数の追加の停止距離は、第1のタイヤと係合された第1の車両で行われてもよく、各試験は別のインフレ圧力に膨張された第1のタイヤと共に行われる。タイヤ車両システムの停止距離試験は、322kph(200mph)未満の初期速度で行われてもよい。タイヤ車両システムの停止距離試験は、100kph(62mph)の初期速度で行われてもよい。ある特定の実施形態では、タイヤ車両システムの停止距離試験は、1kph(0.62mph)または0kph(0mph)の最終速度であってもよい。停止距離試験における「停止距離」は、初期速度から最終速度に減速する間に移動した距離である。上述のように、停止距離試験における「停止距離」は、最終速度が必ずしも0kph(0mph)ではないので、必ずしも初期速度から0kph(0mph)に減速する間に移動した距離ではない。タイヤ車両システムの停止距離試験は、複数の車両上で、複数のタイヤ上で、複数のインフレ圧力で、複数の初期速度で、かつ/または複数の最終速度で行われてもよい。
ある特定の実施形態では、試験車両、もしくは試験タイヤ、またはその上にタイヤが装着されるホイール、またはその上にタイヤが装着されるべきホイールは、1つまたは複数のセンサを備えられる。ある特定の実施形態では、試験トラックまたは試験車道またはそれらの1区画は、1つまたは複数のセンサを備えられる。センサは、タイヤもしくは車両またはタイヤ車両システムの挙動に関するデータを捕捉するように適合される。センサは、停止距離、ホイールの位置、スリップ率、長軸方向もしくは他の方向への制動力、長軸方向もしくは他の方向への移動、長軸方向もしくは他の方向への速度、長軸方向もしくは他の方向への加速、スリップ率に関する長軸方向への制動力、またはそれらの一部の組合せについてのデータ、またはそれらを計算するために十分なデータを収集することを可能にする検知システムの一部であってもよい。検知システムは、センサ、データ記憶デバイス、データ処理デバイス、デジタル・アナログ変換器、アナログ・デジタル変換器、通信デバイス、またはそれらの組合せを含んでもよい。
車両は、ホイールエンコーダ、および無制限に、乾燥停止距離、車両位置、車両速度、車両加速、ホイールの角度位置、ホイールの角度速度、ホイールの角度加速、もしくはそれらの組合せなどのデータを獲得するように、またはそれらの計算ができるために十分なデータを獲得するように適合された速度センサを搭載されてもよい。
1つまたは複数の停止操作は、それからまたはその間にデータが獲得される停止操作を行う前に、タイヤ車両システムでなされてもよい。ある特定の実施形態では、それからまたはその間にデータが獲得される停止操作を行う前に、タイヤ車両システムでなされる停止操作は調整操作であり、タイヤもしくはタイヤ車両システムにおける調整または制動に有益であり得る。
タイヤ牽引試験
無制限に、タイヤμスリップ曲線は、実験的試験を介して特徴付けられてもよい。実験的試験は、Frat Trackまたは同様の方法を使用して実行されてもよい。ある特定の実施形態では、試験は差異を画定するために複数の膨張で実行されてもよい。
多くの現代の車両はABS制御装置を備える。活性化される場合、ABS制御装置は停止距離性能試験においてタイヤμスリップ応答と相互作用する。
試験は、停止距離試験の代わりに、または追加して牽引試験を含んでもよい。試験は、同じまたは非常に類似した1つまたは複数のインフレ圧力で、停止距離試験において試験される、もしくは試験されるべきタイヤの牽引試験、または停止距離試験において試験される、もしくは試験されるべきタイヤと同じ仕様のタイヤを含んでもよい。ある特定の実施形態では、インフレ圧力は、厳密に約1ψ以内である。牽引試験はFx、μ、スリップ率、Fxスリップ、またはμスリップについてのデータを生成する。μは、μがFx/Fzであるように、長軸方向の力Fxを法線方向の力Fzで除する。スリップ率は、軸と路面との間の速度に比較したホイールの表面速度の差の百分率、すなわち、スリップ率=(ωr−v)/vである。式中、ωはホイールの回転速度であり、rはホイールの半径であり、vは車両速度である。μスリップデータはスリップ率に対するμであるか、またはμに対するスリップ率である。μスリップ曲線は、複数のμスリップデータ点のグラフである。μスリップデータを描く曲線、μスリップ曲線を示す非限定の一般的グラフが図1に示されている。タイヤ車両システムのμスリップ特徴の性質を理解することにより、制動性能に影響を与えるために、それに技術変更をなすことが可能になることがある。したがって、タイヤに対してμスリップデータを獲得することは興味深い。
μスリップデータは、室内または屋外のいずれかのタイヤ牽引試験で獲得され得る。
ある特定の実施形態では、タイヤ牽引試験は、タイヤを試験する牽引、および単一のインフレ圧力に対応して、それぞれがこうしたμスリップ曲線をもつ複数のインフレ圧力により、各タイヤに対する複数のμスリップ曲線を生成する。
無制限に、ある特定の実施形態では、室内のタイヤ牽引試験は、無制限に、MTS Flat−Trac(登録商標)タイヤ試験システムなどの平ベルト試験機(「Flat Track」)、Calspan TIRFでの平ベルトタイヤ試験機、または同様の機械で実行されてもよい。場合によっては、FlatTrac機は、明確に定義されたμスリップ曲線を提供するために適切に調整されなければならない。Flat Trackは、タイヤを実質的に平坦な車道のシミュレーション表面上で、機械の制限内の所望の車道速度、垂直抗力、制動荷重、スリップ角、スリップ率、インフレ圧力、およびキャンバ角で試験されてもよい。
データ処理
データは、上に開示された方法によるか、それともあらゆる他の手段によって得られ、本明細書に記載されたように処理されてよい。停止距離試験からのデータおよびμスリップデータは、タイヤ車両システムの「効率」についての分析を構築するために使用されてもよい。μスリップデータおよびμスリップグラフは、通常ピークまたは最大μを含む。本明細書で使用される場合、別段の記載がない限り、「効率」は、タイヤ車両システムが最大μで性能をどの程度維持するかの尺度である。効率は、制動操作をタイヤ車両システムのピーク容量で、またはピーク容量付近で維持するためのシステム能力の測定である。効率は必ずしも停止距離と関連しないことに留意されたい。ある特定の実施形態では、無制限に、異なる最大μをもつ異なるタイヤに対して、より高い効率はより長い停止距離を有することがある。
フィールドデータおよびタイヤμスリップ曲線を使用して、タイヤ特性の各セットに対して「効率」値を生成するために、以下に記載された分析を構築することが可能である。「総効率」1.0は、タイヤの最大電位(ピークμ)が完全に利用されることを示すことに留意されたい。「ピーク」の各側部にSRで費やす時間が大きいほど、すなわち、ピークμから離れるほど、効率は低くなる。効率値はDSD値に反映しない、すなわち、様々なμをもつ様々なタイヤに対して、より高い効率システムはより長いDSD(より低いピークμに起因する)を有することができることにも留意されたい。効率は、本明細書に使用される場合、タイヤのピーク容量付近の作動を維持するために、システムの能力を反映することを意図する。
図1〜6はABS効率の導出の実施形態を示す。すなわち、図は、それに効率の導出が基づく概念を示す。示されたように、所与のタイヤを備えるABS制御装置の効率は、ABS制御装置の定常作動期間の一部またはすべての間、そのタイヤの正規化されたμの平均値として定義されてもよい。他の実施形態では、所与のタイヤを備えるABS制御装置の効率は、ABS制御装置の別の作動期間、そのタイヤの正規化されたμの平均値として定義されてもよい。本明細書で使用される場合、ABS制御装置の定常作動期間は、ABS作動がスリップ率と時間の関係の平滑な実質的に反復可能な循環を生成する。定常作動期間は、開始時間t0および終了時間t1によって画定される。一部の実施形態では、開始時間t0は、ABS制御装置が活性化され、制動加圧を引き受けるときに同時に起こり、終了時間t1は、ABS制御装置がt0に続いて1つの全制動加圧/解除の循環を受けるとき以上である。一部の実施形態では、開始時間t0は、ABS制御装置が活性化され、制動加圧を引き受けるとき以後のあるときであり、終了時間t1は、ABS制御装置がt0に続いて1つの全制動加圧/解除の循環を受けるとき以上である。ある特定の実施形態では、t0は、ABS制御装置が活性化された時以後約0.5秒であり、t1はABS制御装置が活性化され時以後約2.0秒である。
正規化は、効率、DSD、または他の停止距離に影響を与えるピークμを正規化するので、様々なレベルのピークμをもつタイヤが関与するときに使用されてもよい。
μスリップデータは、μスリップグラフとして描かれてもよい。上述のように、図1はμスリップグラフの非限定的な例を示す。図1では、横軸110はスリップ率(「SR」)を表し、縦軸120はμを表し、曲線130はμスリップデータに適合するグラフであり、下部スリップ率範囲限界142および上部スリップ率範囲限界144によって境界されるスリップ率範囲140は定常作動領域である。点150、すなわちピーク点は特に興味深く、これはμが最大であり、座標(SRpeak,mumax)によって示され得る点である。図1に示されたように、mumaxは縦軸上の点160におけるμに対応する。図1に示されたように、SRpeakは横軸上の点170におけるスリップ率に対応する。すなわち、μスリップグラフのピーク、点SRpeak,mumax、150は、最大μ、mumaxであり、これはピークにおけるスリップ率SRpeakを画定する。上述のように、μは率Fx/Fzであり、mumaxは率Fxmax/Fzである。
図1に示されたように、μスリップ曲線130がピーク点150を含む実施形態では、μスリップ曲線はピーク点150のいずれかの側部に落ちる。スリップ率においてピーク点150のいずれかの側部に費やす時間が大きいほど、効率は低くなる。ある特定の実施形態では、制動システムは、μスリップ曲線130のピーク点150でかつ/またはピーク点150の近接で性能を探すために、制動変数を調節するように適合される。スリップ率がSRpeakより大きい領域は、本明細書ではオーバーシュート領域180と呼ばれる。スリップ率がSRpeakより小さい領域は、本明細書では減少領域190と呼ばれる。
図2に示されたように、無制限に、μスリップデータは正規化されたμスリップ曲線230として描かれてもよい。正規化されたμスリップ曲線230では、正規化されたμデータはスリップ率に対する描かれる。ある特定の実施形態では、正規化されたμデータは、μデータを一部の正規化因子で除することによって生成される。ある特定の実施形態では、図2に示されたように、正規化因子はmumaxであり、その結果、正規化されたμデータは、μデータをmumaxで除することによって生成される。正規化されたμデータが、μデータをmumaxで除することによって生成される正規化されたμスリップ曲線において、正規化されたμスリップ曲線のピークは点(SRpeak,1.0)に生じる。ある特定の実施形態では、異なるタイヤ特性に対するABS制御装置効率を比較するために、すべてのμスリップ曲線が最大値1.0に正規化されてもよい。μスリップ曲線を最大値1.0に正規化することは、ピーク値が異なる際にμスリップ曲線「形状」の差をより良好に識別する働きをすることがある。
図2では、横軸210はスリップ率を表し、縦軸220は正規化されたμを表し、曲線230は正規化されたμスリップデータに適合するグラフであり、下部スリップ率範囲限界242および上部スリップ率範囲限界244によって境界されるスリップ率範囲240は定常作動領域である。ピーク点250は、正規化されたμが最大であり、座標(SRpeak,1.0)によって示され得る点である。図2に示されたように、μを正規化したピークは、そこで正規化されたmuが縦軸上の点260において1.0である点に対応する。図2に示されたように、SRpeakは横軸上の点270におけるスリップ率に対応する。μスリップグラフのピーク、点SRpeak,1.0、250は、最大正規化されたμ、1.0であり、これはピークにおけるスリップ率SRpeakを画定する。上述のように、正規化されたμは率mu/mumaxである。スリップ率がSRpeakより大きい領域は、本明細書ではオーバーシュート領域280と呼ばれる。スリップ率がSRpeakより小さい領域は、本明細書では減少領域290と呼ばれる。
ある特定の実施形態では、試験により時間関数としてのスリップ率、もしくは時間関数としてのμデータ、または両方を収集または計算可能になる。ある特定の実施形態では、無制限に、SR(スリップ率)時間歴は、エンコーダまたは他の測定デバイスで異なるタイヤに対して、実際のABS停止距離試験中に車両ホイールから測定されてもよい。図3は時間関数としてのスリップ率のグラフを示す。
図3では、横軸310は時間を表し、縦軸320はスリップ率を表し、曲線330は時間関数としてのスリップ率のグラフである。図3に示されたように、時間関数としてのスリップ率のグラフは、その中で時間がたつにつれてスリップ率がピークスリップ率を中心に循環する循環パターンを示すことがある。すなわち、曲線330は、縦軸320をSRpeak350で交差する破線340によって示されたように、SRpeakに対応するスリップ率を中心に振動する。オーバーシュート領域360は、作動パストピーク、すなわちピークの上に対応するグラフ上の領域である。図3内に同定された3つのオーバーシュート領域360が存在する。減少領域370は、作動プレピーク、すなわちピーク前に対応するグラフ上の領域である。図3内に同定された2つの減少領域370が存在する。
図4は、2つのグラフ、上部グラフ402および下部グラフ404を示し、両方は同一時間軸410aおよび410bに対する描かれた変数を表す。すなわち、図4におけるグラフの両方は、グラフ402における時間軸410aおよび404における410bを示し、それぞれのグラフにおける時間軸は、他方のグラフにおける時間軸と同じであり、その結果、各グラフにおけるデータは、所与の時間における他方のグラフと容易に比較され得る。上部グラフ402は図3におけるグラフと同じデータを示す。グラフ402の縦軸422はスリップ率を表し、曲線432は時間関数としてのスリップ率のグラフである。曲線432は、縦軸422をSRpeak452で交差する破線442によって示されたように、SRpeakに対応するピークスリップ率を中心に振動する。オーバーシュート領域462は、作動パストピーク、すなわちピークの上に対応するグラフ上の領域である。図4のグラフ402内に同定された3つのオーバーシュート領域462が存在する。減少領域472は、作動プレピーク、すなわちピーク前に対応するグラフ上の領域である。図4のグラフ402内に同定された2つの減少領域472が存在する。
下部グラフ404は、正規化されたμ、μnのグラフであり、時間に対して描かれている。グラフ404における縦軸424は正規化されたμ、μnを表し、曲線434は時間関数として正規化されたμ、μnのグラフである。上述のように、グラフ404における横軸410bは時間を表す。曲線434は、破線444に対して繰り返し振動する複合波形によって画定される。破線444は、正規化されたμが1.0に等しい点454で縦軸424と交差する。オーバーシュート領域464は、作動パストピーク、すなわちピークの上に対応するグラフ上の領域である。図4のグラフ404内に同定された3つのオーバーシュート領域464が存在する。減少領域474は、作動プレピーク、すなわちピーク前に対応するグラフ上の領域である。図4のグラフ404内に同定された2つの減少領域474が存在する。
同様の時間軸に沿ったグラフ402およびグラフ404の位置合わせによって、時間を伴うそれぞれのデータを比較できる。グラフ402とグラフ404との間に延在する等側頭線によって示されたように、グラフ402内のスリップ率がSRpeakに等しい時間において、正規化されたμ、μnは1.0に等しい。正規化されたμ、μnは、スリップ率がSRpeakに等しくない時間に減少する。第1の時間、t1から第2の時間、t2までの効率は、方程式Aに示されたように計算できる。
方程式A
図5におけるグラフは、図4における下部グラフ404からのデータ曲線を示す。図5は、時間に対して描かれた、正規化されたμ、μnのグラフ500を示す。グラフ500における縦軸520は正規化されたμ、μnを表し、グラフ500における横軸510は時間を表し、曲線530は時間関数として正規化されたμ、μnのグラフである。曲線530は、第1の破線540に対して繰り返し振動する複合波形によって画定される。破線540は、正規化されたμが1.0に等しい点540で縦軸520と交差する。オーバーシュート領域560は、作動パストピーク、すなわちピークの上に対応するグラフ上の領域である。帯域564は、オーバーシュートに対応する時間間隔を示す。減少領域570は、作動プレピーク、すなわちピーク前に対応するグラフ上の領域である。帯域574は、減少に対応する時間間隔を示す。
図4と違い、図5は第2の破線580を含む。破線580は、方程式Aを使用して計算されるデータ曲線530に対する平均値590を示す。データ曲線530に対する平均値590は総効率である。
図5に示されたデータ曲線530は、一旦制動試験が始まると、システムはSRpeakにおける作動に迅速に移動した、または「増加」した、システムはSRpeakを通過しオーバーシュート564に入った、システムはそれがSRpeakに戻るまでスリップ率を低減した、システムはSRpeakを通過し減少領域574に入った、またシステムはオーバーシュート領域と減少領域との間の作動を繰り返すこの循環を続けたことを明らかにする。図5において得られるグラフは、オーバーシュート領域と減少領域との間の作動を繰り返す作動に対応する署名性能を示す。示された実施形態では、無制限に、あらゆるオーバーシュート領域における性能は、効率の中等度低減を示す一方で、あらゆる減少領域における性能は、効率のより大きい低減を示す。効率の低減におけるこの後者の差異は限定を意図するものではないが、むしろこの特定の実施形態に示された性能の周期的な性質の差異に働くことを意図する。したがって、図5は3つの領域を比較するように説明することができ、第1の領域は、制動システムがSRpeakにおける作動に迅速に移動した、または「増加」した領域であり、第2の領域は、オーバーシュート領域における作動に対応するすべての領域のセットであり、第3の領域は、減少領域における作動に対応するすべての領域のセットである。
図6は、2つのグラフ、上部グラフ602および下部グラフ604を示す。上部グラフ602は、オーバーシュート領域662における作動に対応するすべての領域のセットに対応する。下部グラフ604は、減少領域674における作動に対応するすべての領域のセットに対応する。グラフ602における縦軸622は正規化されたμ、μnを表し、グラフ602における横軸612は時間を表し、不連続の曲線632は、時間関数として正規化されたμ、μnのグラフのオーバーシュート領域のセットである。グラフ604における縦軸624は正規化されたμ、μnを表し、グラフ604における横軸614は時間を表し、不連続の曲線634は、時間関数として正規化されたμ、μnのグラフの減少領域のセットである。また効率は、作動パストピーク(オーバーシュートと示される)に対して、および作動プレピーク(減少と示される)に対して個別に計算されることが可能である。これは、制御装置の作動がタイヤセット間でどのように異なるか、またABS制御装置とμスリップ曲線との相互作用の何の要因が、失った性能を説明するかを具体的に画定する際に価値があることがある。第1の時間、t1から第2の時間、t2までの領域に対して上述された効率の計算と同様に、効率は第1の時間、t1から第2の時間、t2までの領域のサブセットに対して計算されることが可能である。
それに対して効率を計算できるサブセットは、オーバーシュート領域662における操作に対応するすべての領域のセットであり、破線682は不連続データセット632に対する平均値692を示す。不連続データセット632に対する平均値692はオーバーシュート効率であり、すなわち、グラフ602に示されたデータに対して計算される効率は、オーバーシュート効率と呼ばれてもよい。それに対して効率を計算できるサブセットは、減少領域674における操作に対応するすべての領域のセットであり、破線684は不連続データセット634に対する平均値694を示す。不連続データセット634に対する平均値694は減少効率であり、すなわち、グラフ604に示されたデータに対して計算される効率は、減少効率と呼ばれてもよい。
図4における等側頭線403を参照して、左から右に403a、403b、403c。403d、403e、および403f、ならびに図5および6における時間軸が図4における時間軸と同一であることを思い起こすと、オーバーシュート効率および減少効率は以下のように計算されてもよい。
さらに、これらの効率の計算は、各サブセットにおける任意の多数の不連続領域、a、b、などを以下の類似した方法を使用して容易に拡張されてもよい。但し、a0は領域aに対する開始時間であり、a1は領域aに対する終了時間であり、b0は領域bに対する開始時間であり、b1は領域bに対する終了時間などである。
図7は、3つのABS、A2、A3、およびA4を有する第1の試験車両、「車両A」のシミュレーションのCarSim乾燥停止距離計算を使用して計算された、乾燥停止距離と効率の関係のグラフである。グラフに示されたように、効率は乾燥停止距離の低減とよく相関する。図7の情報によれば、3つのABS、A2、A3、およびA4を階層構造に置くことが可能であり、A2、ABSは、シミュレーションされたABSシステムの最高効率および最短乾燥停止距離を有することを示す。この情報に基づいて、A2、ABSは、シミュレーションにおいて関心対象のタイヤ車両システム上で使用される際に、A3またはA4、ABSのどちらよりも短い乾燥停止距離を提供するはずであることが予測され得る。
本明細書に記載されたあらゆる計算は、デジタルコンピュータを使用して実行されてよい。
停止距離性能効率を分析する方法をある特定の実施形態に関連して上に記載したが、他の実施形態を使用してもよく、または、それから逸脱することなく停止距離性能効率を分析する方法の同じ機能を実行するために、修正および追加が記載された実施形態になされてもよいことを理解されたい。さらに、停止距離性能効率を分析する方法は、開示されたたが、詳細に記載されていない実施形態を含んでもよい。さらに、開示されたすべての実施形態は、様々な実施形態が所望の特徴を提供するために組み合わせられてもよいので、必ずしも代替形態ではない。変形形態が、停止距離性能効率を分析する方法の精神および範囲から逸脱することなく、当業者によって作成されることができる。したがって、停止距離性能効率を分析する方法は、いかなる単一の実施形態にも限定されるべきでなく、むしろ添付の特許請求の範囲の列挙による範囲において解釈されるべきである。
本明細書に開示された本発明は、一般に、タイヤ試験または車両試験に関する。より詳細には、本明細書に開示された本発明は、タイヤ車両システムまたはタイヤ車両システムの構成部品の性能効率を分析するための方法に関する。
タイヤ性能は重要な懸案事項である。実際に、製造業者およびタイヤ開発者、ならびに当業者は、(1)タイヤの特徴、(2)タイヤ車両システムの性能、および(3)タイヤ車両システムの構成部品の性能を試験するための方法は、非常に関心事であるとわかる。
車両がアンチロックブレーキングシステム(ABS)を備えることは現在非常に一般的である。これに必ずしも限定されないが、乾燥停止性能を含む向上した停止性能に対して、タイヤと車両との間の整合を潜在的に向上するために、異なるタイヤ特性(すなわち、異なるμスリップ曲線形状)に対してABS/車両システムの「効率」(以下に定義されるように)を決定することは興味深い。換言すれば、タイヤのμスリップ曲線形状が変わり得る場合は、あるとすればと、何の変化がタイヤ性能特徴を向上させることができるかを決定する上で興味深い。
μスリップ曲線およびμスリップ曲線の形を決定するそれらの特性を共慮する際に、曲線は、形状およびサイズの特徴を有するとみなされてもよい。当業者は、「形状」がピークでまたはピーク付近で効率的に作動するために、ABSの能力に影響を与え得る方法を評価することを望むことがある。「ピークμ」は、乾燥停止距離(DSD)および他の種類の停止距離に大きい影響を与え、ピークμが高いほど停止距離は良好であることが見出されることが多い。当業者は、以下に記載されるように、DSDおよび他のタイプの停止距離上の曲線形状の特徴の影響を評価してもよい。したがって、タイヤ車両システムの構成部品の性能を試験する方法を提供することが依然として望ましい。
ABS制御装置の効率を決定するための方法が提供される。方法は、第1のABS制御装置を第1のインフレ圧力で使用して、第1のタイヤ上で第1の試験を実行すること、第1のデータセットを収集すること、第1の関数を第1のデータセットから生成するためにデジタルコンピュータを使用すること、および第1の関数に基づいて第1の効率を計算するためにデジタルコンピュータを使用することを含む。第1のデータセットは第1の試験についてのデータを含んでもよい。第1の関数は、第1の時間周期の正規化されたμと時間との関係を説明してもよい。
ABS制御装置の効率を決定するための装置がさらに提供される。装置は、検知システムおよびデジタルコンピュータを備える。検知システムは、第1のABS制御装置を第1のインフレ圧力で使用して、第1のタイヤ上で第1の試験中に第1のデータセットを収集する。デジタルコンピュータは、第1の関数を第1のデータセットから生成し、第1の関数は第1の時間周期の正規化されたμと時間の関係を説明し、第1の関数に基づいて第1の効率を計算する。
ABS制御装置の効率を決定するための方法がさらに提供される。方法は、第1のABS制御装置を第1のインフレ圧力で使用して、第1のタイヤ上で第1の車両試験を実行すること、第1のデータセットを収集すること、第1の関数を第1のデータセットから生成するためにデジタルコンピュータを使用すること、および第1の関数に基づいて第1の効率を計算するためにデジタルコンピュータを使用することを含む。第1のデータセットは第1の試験についてのデータを含み、時間関数としてのμ、および時間関数としてのスリップ率を計算するために十分なデータを含む。第1の関数は、定常作動の第1の時間周期の正規化されたμと時間の関係を説明する。方法は、第1のABS制御装置を第2のインフレ圧力で使用して、第1のタイヤ上で第2の車両試験を実行すること、第2のデータセットを収集すること、第2の関数を第2のデータセットから生成するためにデジタルコンピュータを使用すること、および第2の関数に基づいて第2の効率を計算するためにデジタルコンピュータを使用することをさらに含んでもよい。次いで第2のデータセットは第2の試験についてのデータを含み、時間関数としてのμ、および時間関数としてのスリップ率を計算するために十分なデータを含む。次いで第2の関数は、定常作動の第2の時間周期の正規化されたμと時間の関係を説明する。また方法は、第1のインフレ圧力での第1の試験および第2のインフレ圧力での第2の試験のうちの1つが、より高い効率を生成したかどうか、またそうである場合は、どちらの試験がより高い効率を生成したかを判定するために、第1の効率と第2の効率を比較することをさらに含んでもよい。方法は、第2のABS制御装置を使用して試験を実行することをまたさらに含んでもよい。
μスリップ曲線を示す一般的グラフである。
正規化されたμスリップ曲線を示す一般的グラフである。
スリップ率と時間の関係を示す一般的グラフである。
スリップ率と時間の関係のグラフおよび正規化されたμと時間の関係のグラフの、グラフの一般的セットである。
正規化されたμと時間の関係の一般的グラフである。
正規化されたμと時間グラフの関係の部分の第1のセットのグラフ、および正規化されたμと時間グラフの関係の部分の第2のセットのグラフの、グラフの一般的セットである。
乾燥停止距離と効率の関係のグラフである。
次に図1〜7を参照する。表示は診断タイヤ試験方法のある特定の実施形態を示すために過ぎない。
タイヤはタイヤ特性を決定するために試験されてもよい。このような1つのタイヤ特性はμスリップ曲線の性質である。μスリップ曲線の一例が図1に示されている。μスリップ曲線の性質は、曲線のピークならびに曲線の形状によって画定される。μスリップ曲線のピーク、すなわち「ピークμ」は乾燥停止距離に重要な影響を与えることがある。μスリップ曲線の形状は、曲線の初期傾斜、ピークμでの、またはピークμ付近の曲率、およびピークμを過ぎたμにおける減少によって決定される。
方法は、異なるタイヤ特性に対するABSの効率を決定するために開発されてきた。異なるタイヤ特性に対するABSの効率の決定は、タイヤ特性を変化させるために有益な情報を提供することがある。タイヤ特性を変化させるために有益な一部の情報は、タイヤ特性の変化が、タイヤ車両システム性能にどのような影響を与えるかについて予測するための有益な情報を含んでもよい。無制限に、タイヤ車両システム性能は停止性能を含んでもよい。
特定のセットのタイヤと特定の車両の組合せがタイヤ車両システムである。本明細書に開示されたある特定の実施形態では、診断タイヤ試験方法は、第1のインフレ圧力に膨張された第1のタイヤまたはタイヤのセットと共に停止距離に対するタイヤ車両システムを試験すること、および第2のインフレ圧力に膨張された第1のタイヤまたはタイヤのセットと共に停止距離のためのタイヤ車両システムを試験することを含む。インフレ圧力は本明細書では「IP」と呼ばれることがある。他の実施形態では、これらの方法は、第1のタイヤ仕様のタイヤを第1のインフレ圧力もしくは第2のインフレ圧力、または両方で牽引試験することを含んでもよい。いかなる特定の理論にも拘束されることを望むものではないが、それにタイヤが試験中に膨張されるインフレ圧力における変化は、停止距離操作中にタイヤ車両システムの応答の仕方に影響を与えることがある。ある特定の実施形態では、試験はデータの一部として時間情報の収集を含んでもよい。
ある特定の実施形態では、インフレ圧力を変化させることによりタイヤμスリップ曲線を一時的に変え、複数の圧力のそれぞれでの作動の「効率」を測定するために、DSD試験などの停止距離試験を行うことが可能であり得る。ある特定の実施形態では、各インフレ圧力でのμスリップ曲線を特徴付けるために、「FlatTrac」または「Flat Track」としても公知である、平ベルトタイヤ試験機上でタイヤを個々に試験することが可能であり得る。得られるデータは、曲線形状の変化に起因する改善された性能に対する可能性を確立するために使用されてもよい。曲線形状の特徴は、初期傾斜、ピークμでのスリップ率、ピークμを過ぎたμにおける減少などを含んでもよいが、これに限定されない。ある特定の実施形態では、試験データは、DSD値などの停止距離値全体に影響を与え得るピークμ値とは無関係に、「μ形状」効果を評価するために分析されてもよい。IPを変化させることはμスリップ挙動を変える1つの方法である。複数のタイヤセットを試験することは、μスリップ挙動を変える別の方法である。ある特定の実施形態では、無制限に、IPを変化させることは、複数のタイヤセットを試験するより迅速により便利であり得る。
停止距離試験
一実施形態では、タイヤ車両システムの停止距離に関するデータは、タイヤ車両システムの試験中に収集される。タイヤ車両システムの停止距離試験は、システムの停止性能および/またはシステムの乾燥停止性能についてのデータを提供する。タイヤ車両システムの停止距離試験は、トラック、性能試験場、または他の車両試験面上で行われてもよい。タイヤ車両システムの停止距離試験は、ABSの性能についてのデータを提供するために、活性化されたABSで行われてもよい。
ある特定の実施形態では、試験車両は、タイヤ車両システムの挙動を停止操作中に捕捉するために、センサを備えられてもよい。通常の停止操作は、停止距離、ホイールの位置、スリップ率、長軸方向もしくは他の方向への制動力、長軸方向もしくは他の方向への移動、長軸方向もしくは他の方向への速度、長軸方向もしくは他の方向への加速、スリップ率に関する長軸方向もしくは他の方向への制動力、またはそれらの一部の組合せもしくはサブセットについて、またはそれらを計算するために十分なデータ収集と同時に起きる、または前の制動操作を含む。停止操作は制動操作を含み、操縦操作も含んでもよい。停止操作および関連したデータ収集は、停止距離試験と呼ばれる。停止距離試験は、車両を初期速度から最終速度に制動することを含み、最終速度は若干の非ゼロ速度またはゼロである。停止距離試験は、車両を曲線または直線経路に沿って操縦することを含んでもよい。また停止距離試験は、ABSの活性化を含んでもよい。
ある種のタイヤおよび車両システムでは、停止距離を含む停止距離試験の結果は、停止距離の利点を、より短い停止距離、より有効な停止作動、または別法などのインフレ圧力の1つで気付き得るように、インフレ圧力によって影響を与えられてもよい。
停止距離試験は試験面上で実行される。試験面は、トラック、車道または他の表面を含むことができ、試験面は乾燥した、湿った、雪で覆われた、氷で覆われた、またはそれらの混合であることが可能である。実際の試験面の土台は、コンクリート、アスファルト、レンガ、砂利、砂、泥、またはそれらの一部の組合せであることが可能である。
停止距離試験の第1のセットは、第1の車両および第1のタイヤを含む、第1のタイヤ車両システム上で実行される第1の停止距離試験、ならびに第1のタイヤ車両システム上で実行される第2の停止距離試験を含んでもよい。ある特定の実施形態では、停止距離試験の第1のセットは、第1の車両および第1のタイヤを含む、第1のタイヤ車両システム上で実行される第1の停止距離試験、ならびに第1の車両および第2のタイヤを含む、第2のタイヤ車両システム上で実行される第2の停止距離試験を含んでもよい。タイヤ車両システムは、複数のタイヤインフレ圧力で試験されてもよい。停止距離試験の第1のセットは、第2のタイヤを使用して、恣意的に1つまたは複数の後続のタイヤを使用して、第1の車両上で実行される追加の停止距離試験をさらに含んでもよい。
試験は、停止距離試験の第1のセットに類似した、停止距離試験の第2のセットを含んでもよい。停止距離試験の第2のセットは、第1のタイヤを使用して第2の車両上で、第2のタイヤを使用して第2の車両上で実行される試験、および恣意的に1つまたは複数の後続のタイヤを使用して、第2の車両上で実行される試験を含んでもよい。
試験は、停止距離試験の第1のセットまたは停止距離試験の別のセットに類似した、停止距離試験の1つまたは複数の追加のセットを含んでもよい。停止距離試験の追加のセットは、第1のタイヤを使用して1つまたは複数の追加の車両上で、第2のタイヤを使用して1つまたは複数の追加の車両上で実行される試験、および恣意的に1つまたは複数の後続のタイヤを使用して、1つまたは複数の追加の車両上で実行される試験を含んでもよい。
タイヤ車両システムの停止距離試験は、複数の車両で、それぞれが複数のタイヤを備え、複数のインフレ圧力で行われてもよい。
タイヤ車両システムの停止距離試験は、第1のインフレ圧力に膨張された第1のタイヤと係合された第1の車両上で、また第2のインフレ圧力に膨張された第1のタイヤと係合された第1の車両で行われてもよい。タイヤ車両システムの停止距離試験は、第1のインフレ圧力に膨張された第1のタイヤと係合された第1の車両上で、また第2のインフレ圧力に膨張された第1のタイヤと係合された第1の車両で行われてもよく、また恣意的に1つまたは複数の追加の停止距離は、第1のタイヤと係合された第1の車両で行われてもよく、各試験は別のインフレ圧力に膨張された第1のタイヤと共に行われる。タイヤ車両システムの停止距離試験は、322kph(200mph)未満の初期速度で行われてもよい。タイヤ車両システムの停止距離試験は、100kph(62mph)の初期速度で行われてもよい。ある特定の実施形態では、タイヤ車両システムの停止距離試験は、1kph(0.62mph)または0kph(0mph)の最終速度であってもよい。停止距離試験における「停止距離」は、初期速度から最終速度に減速する間に移動した距離である。上述のように、停止距離試験における「停止距離」は、最終速度が必ずしも0kph(0mph)ではないので、必ずしも初期速度から0kph(0mph)に減速する間に移動した距離ではない。タイヤ車両システムの停止距離試験は、複数の車両上で、複数のタイヤ上で、複数のインフレ圧力で、複数の初期速度で、かつ/または複数の最終速度で行われてもよい。
ある特定の実施形態では、試験車両、もしくは試験タイヤ、またはその上にタイヤが装着されるホイール、またはその上にタイヤが装着されるべきホイールは、1つまたは複数のセンサを備えられる。ある特定の実施形態では、試験トラックまたは試験車道またはそれらの1区画は、1つまたは複数のセンサを備えられる。センサは、タイヤもしくは車両またはタイヤ車両システムの挙動に関するデータを捕捉するように適合される。センサは、停止距離、ホイールの位置、スリップ率、長軸方向もしくは他の方向への制動力、長軸方向もしくは他の方向への移動、長軸方向もしくは他の方向への速度、長軸方向もしくは他の方向への加速、スリップ率に関する長軸方向への制動力、またはそれらの一部の組合せについてのデータ、またはそれらを計算するために十分なデータを収集することを可能にする検知システムの一部であってもよい。検知システムは、センサ、データ記憶デバイス、データ処理デバイス、デジタル・アナログ変換器、アナログ・デジタル変換器、通信デバイス、またはそれらの組合せを含んでもよい。
車両は、ホイールエンコーダ、および無制限に、乾燥停止距離、車両位置、車両速度、車両加速、ホイールの角度位置、ホイールの角度速度、ホイールの角度加速、もしくはそれらの組合せなどのデータを獲得するように、またはそれらの計算ができるために十分なデータを獲得するように適合された速度センサを搭載されてもよい。
1つまたは複数の停止操作は、それからまたはその間にデータが獲得される停止操作を行う前に、タイヤ車両システムでなされてもよい。ある特定の実施形態では、それからまたはその間にデータが獲得される停止操作を行う前に、タイヤ車両システムでなされる停止操作は調整操作であり、タイヤもしくはタイヤ車両システムにおける調整または制動に有益であり得る。
タイヤ牽引試験
無制限に、タイヤμスリップ曲線は、実験的試験を介して特徴付けられてもよい。実験的試験は、Frat Trackまたは同様の方法を使用して実行されてもよい。ある特定の実施形態では、試験は差異を画定するために複数の膨張で実行されてもよい。
多くの現代の車両はABS制御装置を備える。活性化される場合、ABS制御装置は停止距離性能試験においてタイヤμスリップ応答と相互作用する。
試験は、停止距離試験の代わりに、または追加して牽引試験を含んでもよい。試験は、同じまたは非常に類似した1つまたは複数のインフレ圧力で、停止距離試験において試験される、もしくは試験されるべきタイヤの牽引試験、または停止距離試験において試験される、もしくは試験されるべきタイヤと同じ仕様のタイヤを含んでもよい。ある特定の実施形態では、インフレ圧力は、厳密に約1ψ以内である。牽引試験はFx、μ、スリップ率、Fxスリップ、またはμスリップについてのデータを生成する。μは、μがFx/Fzであるように、長軸方向の力Fxを法線方向の力Fzで除する。スリップ率は、軸と路面との間の速度に比較したホイールの表面速度の差の百分率、すなわち、スリップ率=(ωr−v)/vである。式中、ωはホイールの回転速度であり、rはホイールの半径であり、vは車両速度である。μスリップデータはスリップ率に対するμであるか、またはμに対するスリップ率である。μスリップ曲線は、複数のμスリップデータ点のグラフである。μスリップデータを描く曲線、μスリップ曲線を示す非限定の一般的グラフが図1に示されている。タイヤ車両システムのμスリップ特徴の性質を理解することにより、制動性能に影響を与えるために、それに技術変更をなすことが可能になることがある。したがって、タイヤに対してμスリップデータを獲得することは興味深い。
μスリップデータは、室内または屋外のいずれかのタイヤ牽引試験で獲得され得る。
ある特定の実施形態では、タイヤ牽引試験は、タイヤを試験する牽引、および単一のインフレ圧力に対応して、それぞれがこうしたμスリップ曲線をもつ複数のインフレ圧力により、各タイヤに対する複数のμスリップ曲線を生成する。
無制限に、ある特定の実施形態では、室内のタイヤ牽引試験は、無制限に、MTS Flat−Trac(登録商標)タイヤ試験システムなどの平ベルト試験機(「Flat Track」)、Calspan TIRFでの平ベルトタイヤ試験機、または同様の機械で実行されてもよい。場合によっては、FlatTrac機は、明確に定義されたμスリップ曲線を提供するために適切に調整されなければならない。Flat Trackは、タイヤを実質的に平坦な車道のシミュレーション表面上で、機械の制限内の所望の車道速度、垂直抗力、制動荷重、スリップ角、スリップ率、インフレ圧力、およびキャンバ角で試験されてもよい。
データ処理
データは、上に開示された方法によるか、それともあらゆる他の手段によって得られ、本明細書に記載されたように処理されてよい。停止距離試験からのデータおよびμスリップデータは、タイヤ車両システムの「効率」についての分析を構築するために使用されてもよい。μスリップデータおよびμスリップグラフは、通常ピークまたは最大μを含む。本明細書で使用される場合、別段の記載がない限り、「効率」は、タイヤ車両システムが最大μで性能をどの程度維持するかの尺度である。効率は、制動操作をタイヤ車両システムのピーク容量で、またはピーク容量付近で維持するためのシステム能力の測定である。効率は必ずしも停止距離と関連しないことに留意されたい。ある特定の実施形態では、無制限に、異なる最大μをもつ異なるタイヤに対して、より高い効率はより長い停止距離を有することがある。
フィールドデータおよびタイヤμスリップ曲線を使用して、タイヤ特性の各セットに対して「効率」値を生成するために、以下に記載された分析を構築することが可能である。「総効率」1.0は、タイヤの最大電位(ピークμ)が完全に利用されることを示すことに留意されたい。「ピーク」の各側部にSRで費やす時間が大きいほど、すなわち、ピークμから離れるほど、効率は低くなる。効率値はDSD値に反映しない、すなわち、様々なμをもつ様々なタイヤに対して、より高い効率システムはより長いDSD(より低いピークμに起因する)を有することができることにも留意されたい。効率は、本明細書に使用される場合、タイヤのピーク容量付近の作動を維持するために、システムの能力を反映することを意図する。
図1〜6はABS効率の導出の実施形態を示す。すなわち、図は、それに効率の導出が基づく概念を示す。示されたように、所与のタイヤを備えるABS制御装置の効率は、ABS制御装置の定常作動期間の一部またはすべての間、そのタイヤの正規化されたμの平均値として定義されてもよい。他の実施形態では、所与のタイヤを備えるABS制御装置の効率は、ABS制御装置の別の作動期間、そのタイヤの正規化されたμの平均値として定義されてもよい。本明細書で使用される場合、ABS制御装置の定常作動期間は、ABS作動がスリップ率と時間の関係の平滑な実質的に反復可能な循環を生成する。定常作動期間は、開始時間t0および終了時間t1によって画定される。一部の実施形態では、開始時間t0は、ABS制御装置が活性化され、制動加圧を引き受けるときに同時に起こり、終了時間t1は、ABS制御装置がt0に続いて1つの全制動加圧/解除の循環を受けるとき以上である。一部の実施形態では、開始時間t0は、ABS制御装置が活性化され、制動加圧を引き受けるとき以後のあるときであり、終了時間t1は、ABS制御装置がt0に続いて1つの全制動加圧/解除の循環を受けるとき以上である。ある特定の実施形態では、t0は、ABS制御装置が活性化された時以後約0.5秒であり、t1はABS制御装置が活性化され時以後約2.0秒である。
正規化は、効率、DSD、または他の停止距離に影響を与えるピークμを正規化するので、様々なレベルのピークμをもつタイヤが関与するときに使用されてもよい。
μスリップデータは、μスリップグラフとして描かれてもよい。上述のように、図1はμスリップグラフの非限定的な例を示す。図1では、横軸110はスリップ率(「SR」)を表し、縦軸120はμを表し、曲線130はμスリップデータに適合するグラフであり、下部スリップ率範囲限界142および上部スリップ率範囲限界144によって境界されるスリップ率範囲140は定常作動領域である。点150、すなわちピーク点は特に興味深く、これはμが最大であり、座標(SRpeak,mumax)によって示され得る点である。図1に示されたように、mumaxは縦軸上の点160におけるμに対応する。図1に示されたように、SRpeakは横軸上の点170におけるスリップ率に対応する。すなわち、μスリップグラフのピーク、点SRpeak,mumax、150は、最大μ、mumaxであり、これはピークにおけるスリップ率SRpeakを画定する。上述のように、μは率Fx/Fzであり、mumaxは率Fxmax/Fzである。
図1に示されたように、μスリップ曲線130がピーク点150を含む実施形態では、μスリップ曲線はピーク点150のいずれかの側部に落ちる。スリップ率においてピーク点150のいずれかの側部に費やす時間が大きいほど、効率は低くなる。ある特定の実施形態では、制動システムは、μスリップ曲線130のピーク点150でかつ/またはピーク点150の近接で性能を探すために、制動変数を調節するように適合される。スリップ率がSRpeakより大きい領域は、本明細書ではオーバーシュート領域180と呼ばれる。スリップ率がSRpeakより小さい領域は、本明細書では減少領域190と呼ばれる。
図2に示されたように、無制限に、μスリップデータは正規化されたμスリップ曲線230として描かれてもよい。正規化されたμスリップ曲線230では、正規化されたμデータはスリップ率に対する描かれる。ある特定の実施形態では、正規化されたμデータは、μデータを一部の正規化因子で除することによって生成される。ある特定の実施形態では、図2に示されたように、正規化因子はmumaxであり、その結果、正規化されたμデータは、μデータをmumaxで除することによって生成される。正規化されたμデータが、μデータをmumaxで除することによって生成される正規化されたμスリップ曲線において、正規化されたμスリップ曲線のピークは点(SRpeak,1.0)に生じる。ある特定の実施形態では、異なるタイヤ特性に対するABS制御装置効率を比較するために、すべてのμスリップ曲線が最大値1.0に正規化されてもよい。μスリップ曲線を最大値1.0に正規化することは、ピーク値が異なる際にμスリップ曲線「形状」の差をより良好に識別する働きをすることがある。
図2では、横軸210はスリップ率を表し、縦軸220は正規化されたμを表し、曲線230は正規化されたμスリップデータに適合するグラフであり、下部スリップ率範囲限界242および上部スリップ率範囲限界244によって境界されるスリップ率範囲240は定常作動領域である。ピーク点250は、正規化されたμが最大であり、座標(SRpeak,1.0)によって示され得る点である。図2に示されたように、μを正規化したピークは、そこで正規化されたmuが縦軸上の点260において1.0である点に対応する。図2に示されたように、SRpeakは横軸上の点270におけるスリップ率に対応する。μスリップグラフのピーク、点SRpeak,1.0、250は、最大正規化されたμ、1.0であり、これはピークにおけるスリップ率SRpeakを画定する。上述のように、正規化されたμは率mu/mumaxである。スリップ率がSRpeakより大きい領域は、本明細書ではオーバーシュート領域280と呼ばれる。スリップ率がSRpeakより小さい領域は、本明細書では減少領域290と呼ばれる。
ある特定の実施形態では、試験により時間関数としてのスリップ率、もしくは時間関数としてのμデータ、または両方を収集または計算可能になる。ある特定の実施形態では、無制限に、SR(スリップ率)時間歴は、エンコーダまたは他の測定デバイスで異なるタイヤに対して、実際のABS停止距離試験中に車両ホイールから測定されてもよい。図3は時間関数としてのスリップ率のグラフを示す。
図3では、横軸310は時間を表し、縦軸320はスリップ率を表し、曲線330は時間関数としてのスリップ率のグラフである。図3に示されたように、時間関数としてのスリップ率のグラフは、その中で時間がたつにつれてスリップ率がピークスリップ率を中心に循環する循環パターンを示すことがある。すなわち、曲線330は、縦軸320をSRpeak350で交差する破線340によって示されたように、SRpeakに対応するスリップ率を中心に振動する。オーバーシュート領域360は、作動パストピーク、すなわちピークの上に対応するグラフ上の領域である。図3内に同定された3つのオーバーシュート領域360が存在する。減少領域370は、作動プレピーク、すなわちピーク前に対応するグラフ上の領域である。図3内に同定された2つの減少領域370が存在する。
図4は、2つのグラフ、上部グラフ402および下部グラフ404を示し、両方は同一時間軸410aおよび410bに対する描かれた変数を表す。すなわち、図4におけるグラフの両方は、グラフ402における時間軸410aおよび404における410bを示し、それぞれのグラフにおける時間軸は、他方のグラフにおける時間軸と同じであり、その結果、各グラフにおけるデータは、所与の時間における他方のグラフと容易に比較され得る。上部グラフ402は図3におけるグラフと同じデータを示す。グラフ402の縦軸422はスリップ率を表し、曲線432は時間関数としてのスリップ率のグラフである。曲線432は、縦軸422をSRpeak452で交差する破線442によって示されたように、SRpeakに対応するピークスリップ率を中心に振動する。オーバーシュート領域462は、作動パストピーク、すなわちピークの上に対応するグラフ上の領域である。図4のグラフ402内に同定された3つのオーバーシュート領域462が存在する。減少領域472は、作動プレピーク、すなわちピーク前に対応するグラフ上の領域である。図4のグラフ402内に同定された2つの減少領域472が存在する。
下部グラフ404は、正規化されたμ、μnのグラフであり、時間に対して描かれている。グラフ404における縦軸424は正規化されたμ、μnを表し、曲線434は時間関数として正規化されたμ、μnのグラフである。上述のように、グラフ404における横軸410bは時間を表す。曲線434は、破線444に対して繰り返し振動する複合波形によって画定される。破線444は、正規化されたμが1.0に等しい点454で縦軸424と交差する。オーバーシュート領域464は、作動パストピーク、すなわちピークの上に対応するグラフ上の領域である。図4のグラフ404内に同定された3つのオーバーシュート領域464が存在する。減少領域474は、作動プレピーク、すなわちピーク前に対応するグラフ上の領域である。図4のグラフ404内に同定された2つの減少領域474が存在する。
同様の時間軸に沿ったグラフ402およびグラフ404の位置合わせによって、時間を伴うそれぞれのデータを比較できる。グラフ402とグラフ404との間に延在する等側頭線によって示されたように、グラフ402内のスリップ率がSRpeakに等しい時間において、正規化されたμ、μnは1.0に等しい。正規化されたμ、μnは、スリップ率がSRpeakに等しくない時間に減少する。第1の時間、t1から第2の時間、t2までの効率は、方程式Aに示されたように計算できる。
方程式A
図5におけるグラフは、図4における下部グラフ404からのデータ曲線を示す。図5は、時間に対して描かれた、正規化されたμ、μnのグラフ500を示す。グラフ500における縦軸520は正規化されたμ、μnを表し、グラフ500における横軸510は時間を表し、曲線530は時間関数として正規化されたμ、μnのグラフである。曲線530は、第1の破線540に対して繰り返し振動する複合波形によって画定される。破線540は、正規化されたμが1.0に等しい点540で縦軸520と交差する。オーバーシュート領域560は、作動パストピーク、すなわちピークの上に対応するグラフ上の領域である。帯域564は、オーバーシュートに対応する時間間隔を示す。減少領域570は、作動プレピーク、すなわちピーク前に対応するグラフ上の領域である。帯域574は、減少に対応する時間間隔を示す。
図4と違い、図5は第2の破線580を含む。破線580は、方程式Aを使用して計算されるデータ曲線530に対する平均値590を示す。データ曲線530に対する平均値590は総効率である。
図5に示されたデータ曲線530は、一旦制動試験が始まると、システムはSRpeakにおける作動に迅速に移動した、または「増加」した、システムはSRpeakを通過しオーバーシュート564に入った、システムはそれがSRpeakに戻るまでスリップ率を低減した、システムはSRpeakを通過し減少領域574に入った、またシステムはオーバーシュート領域と減少領域との間の作動を繰り返すこの循環を続けたことを明らかにする。図5において得られるグラフは、オーバーシュート領域と減少領域との間の作動を繰り返す作動に対応する署名性能を示す。示された実施形態では、無制限に、あらゆるオーバーシュート領域における性能は、効率の中等度低減を示す一方で、あらゆる減少領域における性能は、効率のより大きい低減を示す。効率の低減におけるこの後者の差異は限定を意図するものではないが、むしろこの特定の実施形態に示された性能の周期的な性質の差異に働くことを意図する。したがって、図5は3つの領域を比較するように説明することができ、第1の領域は、制動システムがSRpeakにおける作動に迅速に移動した、または「増加」した領域であり、第2の領域は、オーバーシュート領域における作動に対応するすべての領域のセットであり、第3の領域は、減少領域における作動に対応するすべての領域のセットである。
図6は、2つのグラフ、上部グラフ602および下部グラフ604を示す。上部グラフ602は、オーバーシュート領域662における作動に対応するすべての領域のセットに対応する。下部グラフ604は、減少領域674における作動に対応するすべての領域のセットに対応する。グラフ602における縦軸622は正規化されたμ、μnを表し、グラフ602における横軸612は時間を表し、不連続の曲線632は、時間関数として正規化されたμ、μnのグラフのオーバーシュート領域のセットである。グラフ604における縦軸624は正規化されたμ、μnを表し、グラフ604における横軸614は時間を表し、不連続の曲線634は、時間関数として正規化されたμ、μnのグラフの減少領域のセットである。また効率は、作動パストピーク(オーバーシュートと示される)に対して、および作動プレピーク(減少と示される)に対して個別に計算されることが可能である。これは、制御装置の作動がタイヤセット間でどのように異なるか、またABS制御装置とμスリップ曲線との相互作用の何の要因が、失った性能を説明するかを具体的に画定する際に価値があることがある。第1の時間、t1から第2の時間、t2までの領域に対して上述された効率の計算と同様に、効率は第1の時間、t1から第2の時間、t2までの領域のサブセットに対して計算されることが可能である。
それに対して効率を計算できるサブセットは、オーバーシュート領域662における操作に対応するすべての領域のセットであり、破線682は不連続データセット632に対する平均値692を示す。不連続データセット632に対する平均値692はオーバーシュート効率であり、すなわち、グラフ602に示されたデータに対して計算される効率は、オーバーシュート効率と呼ばれてもよい。それに対して効率を計算できるサブセットは、減少領域674における操作に対応するすべての領域のセットであり、破線684は不連続データセット634に対する平均値694を示す。不連続データセット634に対する平均値694は減少効率であり、すなわち、グラフ604に示されたデータに対して計算される効率は、減少効率と呼ばれてもよい。
図4における等側頭線403を参照して、左から右に403a、403b、403c。403d、403e、および403f、ならびに図5および6における時間軸が図4における時間軸と同一であることを思い起こすと、オーバーシュート効率および減少効率は以下のように計算されてもよい。
さらに、これらの効率の計算は、各サブセットにおける任意の多数の不連続領域、a、b、などを以下の類似した方法を使用して容易に拡張されてもよい。但し、a0は領域aに対する開始時間であり、a1は領域aに対する終了時間であり、b0は領域bに対する開始時間であり、b1は領域bに対する終了時間などである。
図7は、3つのABS、A2、A3、およびA4を有する第1の試験車両、「車両A」のシミュレーションのCarSim乾燥停止距離計算を使用して計算された、乾燥停止距離と効率の関係のグラフである。グラフに示されたように、効率は乾燥停止距離の低減とよく相関する。図7の情報によれば、3つのABS、A2、A3、およびA4を階層構造に置くことが可能であり、A2、ABSは、シミュレーションされたABSシステムの最高効率および最短乾燥停止距離を有することを示す。この情報に基づいて、A2、ABSは、シミュレーションにおいて関心対象のタイヤ車両システム上で使用される際に、A3またはA4、ABSのどちらよりも短い乾燥停止距離を提供するはずであることが予測され得る。
本明細書に記載されたあらゆる計算は、デジタルコンピュータを使用して実行されてよい。
停止距離性能効率を分析する方法をある特定の実施形態に関連して上に記載したが、他の実施形態を使用してもよく、または、それから逸脱することなく停止距離性能効率を分析する方法の同じ機能を実行するために、修正および追加が記載された実施形態になされてもよいことを理解されたい。さらに、停止距離性能効率を分析する方法は、開示されたたが、詳細に記載されていない実施形態を含んでもよい。さらに、開示されたすべての実施形態は、様々な実施形態が所望の特徴を提供するために組み合わせられてもよいので、必ずしも代替形態ではない。変形形態が、停止距離性能効率を分析する方法の精神および範囲から逸脱することなく、当業者によって作成されることができる。したがって、停止距離性能効率を分析する方法は、いかなる単一の実施形態にも限定されるべきでなく、むしろ添付の特許請求の範囲の列挙による範囲において解釈されるべきである。