本発明は、建物外付け用窓シャッタユニットに関し、この窓シャッタユニットは、シャッタフレームのフレーム部材に取り付けられた複数の中空のスラットと、建物内の部屋に循環空気を供給するための空気排出口と、外気を取り込み、この空気を空気排出口へと運ぶ外気吸入(fresh air inlet)システムと、を含む。本発明はさらに、複数のこのような窓シャッタユニットが設けられた建物に関する。
窓シャッタは長年の間知られており、これらは日よけまたは目隠しのために使用されている。また、換気と暖房のための外部ユニットを使用することも、長年の間知られている。初期の例は米国特許第246,626号明細書に記されている。外壁に取り付けられる枠は一連の傾斜面を有し、これらの面の前にガラスが取り付けられている。部屋の内部からの空気は枠の下側部分へと入って循環し、枠内の太陽エネルギーによって加熱され、枠の上端から部屋の中に戻ることができる。新鮮な外気が必要であれば、枠の最下部の外気吸入口を開けることができる。米国特許第4,327,795号明細書では、同様の枠システムを窓シャッタと組み合わせて窓シャッタユニットとしており、これはシャッタ枠の2つの側方部材に取り付けられた複数の中空のスラットを含む。建物の部屋に循環空気を供給するための上側の空気排出口があり、枠の最下部には、外気を取り込み、この空気を、枠を通って空気排出口へと運ぶ外気入口がある。空気は枠内を流れる間に加熱される。中空のスラットは、中央管状区間と、両側に延びるフィンを有する。管状区間の片側は穿孔されている。冬は、枠とスラット周辺を流れる空気を暖める太陽によって暖房が行われ、夏は、枠が日よけとなり、それゆえ冷房効果を有する。積極的冷房は含まれない。
外窓の内側に取り付けられる窓シャッタはかなり数多く知られており、たとえば米国特許第4,301,787号明細書では、スラットがベネシャンルーバ(venetian louvre)システムの中に配置されて、室内の空気はシャッタ枠を通じて循環でき、米国特許第4,655,195号明細書では、スラットが垂直で、室内の空気はシャッタ枠を通じて循環できる。外窓の内側に取り付けられるそのほかの窓シャッタは、水を利用する閉回路加熱/冷却システムと一体化されることが知られており、たとえば米国特許第4,527,548号明細書では、室内のラジエータを使って空気が加熱され、米国特許第4,144,931号明細書では、スラットの管状区間の中を流れる水を使って空気が冷却または加熱され、独国特許出願公開第2624646A1号明細書では、スラットの管状区間の中を流れる水が加熱されて、暖房目的に使用される。
現代の建物は断熱性が高く、より古い建物より暖房の必要性が低いが、換気の改良が望まれている。
したがって、本発明によれば、冒頭に記した建物外付け用窓シャッタユニットは、外気吸入システムが、中空スラットの空気吸入口と、個々のスラットから、空気排出口へと至る共通流路(common flow passage)までの第一の空気流路と、を含むことを特徴とする。
建物の外から取り入れられた外気は、中空スラットの取入口からスラットの内部へと吸い込まれ、ここで、取り入れられた空気は個々のスラットの長さ方向に第一の空気流路へと流れ、それと同時に、取り入れられた空気は太陽エネルギーによって加熱される。スラット内では、外気がスラットの内面に近く、熱はそれゆえ、スラットの壁材から空気へと有効に伝達され、空気を加熱する。窓シャッタユニットの構成は、外気を暖めるための先行技術のシャッタユニットよりはるかに単純であるが、これは、スラットの前にガラス板を設けた枠が不要であるからである。本発明によれば、外気はスラットの内部を流れる際に加熱され、スラットはしたがって、外気に完全に晒されていてもよい。建築的な観点からはそれゆえ、窓シャッタユニットは、見ている人からはスラットとシャッタフレームが建物のファサードの外部に見える従来のシャッタと同じに見え得る。ガラスファサードが必要であれば、窓シャッタユニットに外側ガラス板を追加することが当然可能であるが、必ずしもユニットにその機能を持たせなくてもよい。
好ましい実施形態において、シャッタフレームのフレーム部材のうちの少なくとも第一の部材は中空で、内部が共通流路の一部を形成し、第一の空気流路が個々のスラットの端に位置付けられ、第一のフレーム部材の内部へと延びる。各スラットに、共通回収管としてスラットを横切るように走る管または管体に接続された出口を設けることもできるが、シャッタフレームのフレーム部材を、スラットから外気を受け取り、空気の流れを途中で空気排出口へと向ける共通回収手段として利用する方がはるかに単純である。
別の発展形態においてはまた、シャッタフレームのフレーム部材のうちの第二の部材も中空であり、第二の空気流路が個々のスラットの端に位置付けられ、第二のフレーム部材の内部へと延びる。第一のフレーム部材と第二のフレーム部材の両方が中空であり、個々のスラットの各端に空気流路がある場合、これらのフレーム部材は、シャッタフレームへの取付位置は鏡面対称の関係となるが、同じ設計とすることができ、スラットは、その端の形状を同様にし、2つの相対するフレーム部材に同様に取り付けることができる。代案として、スラットは、一方の端に第一の空気流路を有し、もう一方の端を完全に閉じてもよい。
現代の高断熱性の建物は非常に気密性が高く、空気の漏出がない。それゆえ、建物の部屋を換気して、部屋からCO2や臭気およびおそらくは熱を排除する必要がある。この目的では別の換気システムを適用してもよいが、これには換気用ダクトやその他の機器が必要となり、これらは通常、建物の階層間の仕切り(storey partition)の別の部分の中に設置される。たとえば通常の事務作業が行われる部屋では、必要な1時間当たりの換気容量は少なくともその部屋の容積に対応しなくてはならず、その他の種類の部屋にはより高い換気率が必要となる。換気を行うために、本発明による窓シャッタユニットは、建物の部屋の外に空気を換気させるための排気口と、排気口から外側排気部までの排気通路を含んでいてもよい。
ある状況、たとえば冬場は部屋を使用しないような場合では、室内の空気を加熱するために、窓シャッタユニットのスラットを介して室内の空気を再循環させることができれば有利となり得る。ある実施形態において、窓シャッタユニットは気流制御装置を含み、これは、排気口を通じて部屋の外に換気された空気を、空気排出部への排気通路か第二のフレーム部材の内部を含む再循環通路の何れかを通じて方向付ける。第二のフレーム部材から、再循環された空気が第二の空気流路を通ってスラットの中へと流れ、ここで太陽の熱が空気を加熱する。気流制御装置は、その部屋におけるその時点での空気の加熱または排出の必要性に応じて調整される。
排気通路を有する実施形態の別の発展形態において、熱交換装置が排気通路と共通流路の中に含められる。熱交換装置は、排気通路を介して部屋の外に換気された空気から熱を抽出し、共通流路の中で部屋に向かって流れる外気へと熱を供給する。熱交換装置は、復熱装置等の逆流型であってもよい。
ある実施形態において、窓シャッタユニットは、窓シャッタユニットの少なくとも1つの電気ファンモータを駆動するための電気エネルギーを生成する太陽電池装置を含む。太陽電池装置によって、電力供給の必要性が減少する。
ある実施形態において、窓シャッタユニットは、空気を冷却または加熱するための熱エネルギー装置を含み、この熱エネルギー装置は、空気排出口へと至る共通流路と流体接続される。熱エネルギー装置は、たとえばエネルギー貯蔵ユニットと接続されて、日中に太陽光から熱を抽出して、この熱を保存し、夜間は貯蔵された熱を使って室内に換気される空気を暖めるために使用されてもよい。あるいは、熱エネルギー装置は収着型であってもよく、これは太陽エネルギーからの余剰熱を利用して、外気を冷却してから室内へと換気させる。これによって、そうでなければ空気の冷却に使われる電気が節約される。
好ましくは、スラットのうちの少なくともいくつかを、フレーム部材に対して回転させ、それゆえ、太陽に関するその傾斜を調節することによって、スラットへの熱流入を最適化するか、またはその部屋の中の光量を高めるか、または発電量を増大させるか、またはこれらの効果を複合的に実現することができる。
任意選択で、スラットのうちの少なくともいくつかに透明材料の外側壁を設け、好ましくは、外気がスラット内の空気吸入口に到達するにはその透明材料の下とその全域にわたって流れざるを得ないようにすることにより、空気の加熱を増大させることが可能である。
より多くの電力が必要とされる場合は、スラットのうちの少なくともいくつかに、電気エネルギーを生成するためのソーラーフィルム装置を設けることができる。
ある実施形態において、窓シャッタユニットは建物に取り付けるための静止部品と、静止部品に対して窓の横の位置と窓の前の位置の間で移動可能な少なくとも1つのシャッタフレーム部品と、を含む。このようにして、シャッタフレーム部品は、窓からの視界に障害物のない状態にしたい時には窓の横に位置付けることができる。あるいは、シャッタフレーム部品を、ファサードの、窓の前または窓の横の何れかに動かないように取り付けることができる。
ある実施形態において、窓シャッタユニットのファンと制御モータに、完全に、窓シャッタユニットによって生成された電気エネルギーが供給される。窓シャッタユニットはそれゆえ、建物からの電力供給から独立する。
スラット内の空気吸入口は個々のスラットのどこにでも位置付けることができるが、他より確かに有利な位置がある。一般的なスラットの場合、個々のスラットの2つの面が上側縁辺領域と下側縁辺領域の間に延びる。製造の観点からは、これはスラット内の空気吸入口が縁辺領域の一方に位置付けられる場合に利点となる。スラットは一般に、薄い材料で製造され、平坦領域においてごく容易に変形しうる。縁辺領域は平坦領域より硬く、それゆえ、縁辺領域に空気吸入口を形成するほうが、吸入口の周辺領域の材料が変形する危険性が低い。空気吸入口をスラットの縁辺領域に位置付けることは、その吸入口からスラットの中に入った空気がスラットの平坦な面の領域全体にわたって流れざるを得ないという追加の利点を有する。空気吸入口はスラットの下側縁辺領域に位置付けられることが好ましい。下側縁辺領域では、一因として水は重力方向に下方へと流れる傾向があることから、空気と一緒に水を吸い込む危険性が非常に低く、それはひとつに、材料の縁辺または湾曲によって、特にスラットの下側縁辺領域の表面材料が疎水性であると、水が表面から排除されうるからである。個々のスラットには、1つの空気吸入口か、2つまたはそれ以上の空気吸入口を設けることができる。この少なくとも1つの空気吸入口は、たとえばスリット状の開口部のように長くすることができる。
本発明はまた、1つまたは複数のファサードに本発明による上記の種類の窓シャッタユニットが複数設けられた建物にも関し、中央制御ユニットが窓シャッタユニットを制御して、1つまたは複数の部屋の換気、温度、日光の量を調整する。シャッタユニットから換気できるようにすることにより、換気ダクトおよび別の換気ユニットを最小限にするか、不要とすることができるため、単純化される。
建物には好ましくは、窓シャッタユニット以外の作り付けの暖房および/または換気システムを持たない1つまたは複数の部屋がある。建物の階高は一般に、床から天井までの高さと階層間の仕切りの換気部分の高さと仕切りの高さからなる。換気部分の高さは約60cm、仕切りの高さは15cm、階高は310cmであってもよい。換気部分をなくすことにより、建物の高さの約20%の削減が可能となる。
以下に、ごく概略的な図面を参照しながら実施形態の例をより詳しく説明する。
図1は、本発明による窓シャッタユニットの斜視図を示す。
図2は、図1の窓シャッタユニットの第一のフレーム部材の中の空気流路の一実施形態である。
図3は、図1の窓シャッタユニットの第一のフレーム部材の中の空気流路の別の実施形態である。
図4aは、図1の窓シャッタユニットのスラットの一実施形態である。
図4bは、図1の窓シャッタユニットのスラットの別の実施形態である。
図4cは、図1の窓シャッタユニットのスラットの別の実施形態である。
図4dは、図1の窓シャッタユニットのスラットの別の実施形態である。
図5は、図1の窓シャッタユニットの断面図を示す。
図5aは、図1の窓シャッタユニットのスラットの別の実施形態の断面図である。
図5bは、図1の窓シャッタユニットのスラットの別の実施形態の断面図である。
図5cは、図1の窓シャッタユニットのスラットの別の実施形態の断面図である。
図6は、図1の窓シャッタユニットの筐体の内容の一実施形態である。
図7は、図1の窓シャッタユニットの筐体の内容の別の実施形態である。
図8aは、2つの異なる動作状態時に見た、図1の窓シャッタユニットの筐体の内容の第五の実施形態の図である。
図8bは、2つの異なる動作状態時に見た、図1の窓シャッタユニットの筐体の内容の第五の実施形態の別の図である。
図9は、図1の窓シャッタユニットの筐体の内容の別の実施形態である。
図10は、ファサードに取り付けられた本発明による窓シャッタユニットの前面図を示す。
図11は、複数の窓シャッタユニットを有するファサードの斜視図を示す。
図12は、窓の外に窓シャッタユニットを有する建物の部屋の縦断面を示す。
図13は、本発明による窓シャッタユニットのスラットの部分断面図である。
図14は、複数の窓シャッタユニットを有する建物のファサードを示す。
図15は、図1の窓シャッタユニットの筐体の内容の別の実施形態である。
窓シャッタユニットは、図1において全体として1で示され、静止部品とフレーム部品を有し、このフレーム部品は第一のフレーム部材3と第二のフレーム部材4を有し、これらは平行に保持されて、第三のフレーム部材5と第四のフレーム部材6により離間されている。建物のファサードに動かないように取り付けられることになる静止部品、すなわち筐体7は第三のフレーム部材5とは別の部材であってもよく、あるいは筐体と第三のフレーム部材は一体化させて1つの部材としてもよい(図6に示される)。長いスラット2が対向するフレーム部材の対の間に延びる。図1ではスラットが第一のフレーム部材と第二のフレーム部材の間に水平に延びているが、これらは同様に第三のフレーム部材と第四のフレーム部材の間に垂直に延びていても、またはたとえば第一のフレーム部材と第四のフレーム部材の間で斜めに延びていてもよい。
以下の異なる実施形態に関する説明の中では、わかりやすくするために、同じ種類の詳細部には同じ参照番号を使用し、すでに説明した実施形態との相違点だけを説明する。
スラットは複数の異なる方法でフレーム部材に取り付けることができる。図2に示される実施形態では、スラットは、たとえば溶接または糊付けまたは、固定具での取付によってフレーム部材に固定され、スラットの開放端が第一のフレーム部材3の側壁に形成された長い第一の空気流路8を取り囲み、これを覆うようになっている。図2はこの側壁の内側を示しており、スラットはそれゆえ、側壁の背後に隠れ、いわば紙(paper)の中へと延びている。中空スラットの内部からの空気は、矢印Aで示されるように、空気流路8を通って第一のフレーム部材の内部へと流れることができる。第一のフレーム部材の内部は、スラットからの個々の空気流をまとめて、その結果できた共通の空気流を矢印Bの方向に案内する共通流路9の一部である。第一のフレーム部材の上端で、共通流路は、たとえば図6に示されるように筐体7の中に画定されることにより、空気排出口20へと続く。
図3の実施形態では、スラットは、個々のスラットの相対する端におけるフレーム部材との取付手段間に延びる軸の周囲で、回転できるように取り付けられている。各スラットは両端にフレーム部材と接続される取付手段を有する。取付手段は、異なる形状を有することができ、たとえば、フレームの凹部に受けられるピン、側壁に対して回移転可能な、フレーム部材の側壁を通って延びる管体、またはフレーム部材の側壁に固定され、側壁を通って延びる別の管体の周囲にフィットするように配置された管体とすることができる。空気流路8は管の中央を通って延びる。これは図5にも示されており、その中で、空気流路8は第一のフレーム部材3の側壁を通る管体の中を通って延びている。この管体は、スラット2の端に固定され、フレーム部材の中にあり、フレーム部材にはスプロケット44が設けられ、これは歯の付いたバーまたはチェーン等の駆動手段45と係合して管体およびそれともにスラット2も併せて回転させて、スラットがフレーム部材に関する角度位置を変えられるようにすることができる。図13は、2つの異なる角度位置にあるスラットを示しており、上部ではスラットが回転されて、スラットがほとんど水平方向を向いている下部より上方を向いている。
スラットには、空気吸入口10が設けられる。個々のスラットは、スラットの2つの相対する端14の間に延びる2つの面11を有する。面11は離間され、スラット内に中空の自由空間ができる。面は、その長さ方向の縁辺に沿って上側縁辺領域12と下側縁辺領域13を介して接続され、スラット内の自由空間は好ましくは、2つの縁辺領域12、13の間に延びる。しかしながら、スラット内の空間は補強材または内壁を含んでいてもよい。図4a〜4dに示される面12は平坦であるが、これらは、図3に輪郭が示されるような形状のスラット2となるように、湾曲させることもできる。スラットは長い。図4aのスラットでは、空気吸入口10は下側縁辺領域13を通る長いスリットであり、このスリットは、第一の空気流路を有する端14からできるだけ離して位置付けられており、それによって空気はスラット内部の長い距離に沿って流れざるを得ず、それゆえ、日中、太陽により暖められる面の大きな面積にわたって流れる。スラット2は、2つのスリットまたは、1つのみのスリット、または図4aに示されるように4つ以上のスリットを有していてもよい。ある実施形態において、スラット2はスラットの長さにわたって均等に分散された2つまたは3つの長いスリットを有する。個々のスリットの幅は約2mmとすることができるが、好ましくは、虫がスリットから進入するのを防止するために、幅は約1.5mmまたはそれ以下である。図4bのスラットでは、空気吸入口10は、下側縁辺領域13の穴、たとえば穿孔であり、これらの穴は第一の空気流路を有する端14からできるだけ離して位置付けられる。図4cのスラットは、下側縁辺領域13に同様の穴を有するが、これらはスラットの長さに沿って均等に分散される。図4dの実施形態では、空気吸入口10はスラットの面11に位置付けられ、その長さに沿って分散された穴である。スラットは他の形状、たとえば丸い、または尖った下側縁辺領域を有していてもよい。また、第一の空気流路を有する端とは反対の端14に空気吸入口10を位置付けることも可能である。このような端14の吸入口は、スラットの他の空気吸入口に追加して設けることができ、またはスラット内で唯一の空気吸入口として設置することもできる。スラットに唯一の空気吸入口が設けられる実施形態では、この吸入口の大きさは通常、約1.6mmより大きく、たとえば数mmの大きさであり、虫の進入を防止するために、吸入口の上流にフィルタを設置してもよい。フィルタは複数のスラット、たとえばシャッタフレーム内のすべてのスラットに共通であってもよく、全体のための吸気口に配置することができ、外気が全体のための吸気口を通り、フィルタを介し、続いてスラット内の空気吸入口への分散経路に沿って流れるようにすることができる。たとえば、全体のための吸気口は、第四のフレーム部材6または第二のフレーム部材4に位置付けることができ、第二のフレーム部材4の内部を、フィルタにかけられた外気をスラットの空気吸入口へと分配するための分配経路として使用できる。
スラットの単純な実施形態が図5aに示されている。1列の空気吸入口10が、スラットの断面図の右側にある下側縁辺領域に設けられ、矢印は、周囲空気がこれらの吸入口からスラットの内部11へと吸い込まれることを示している。スラットの内部では、空気がスラットの長さ方向に、第一の空気流路を有する端に向かって流れる。スラットの上面に照射する日光が上面スラットの材料を加熱し、この熱が材料を通じて、空気が加熱される内部15に面する内面に伝達される。スラットの面には艶消しまたは暗色の表面コーティング、たとえばペンキを施して、太陽光からのエネルギーの吸収量を増大させることができる。
スラット材料は、アルミニウム、鉄、鋼鉄または銅等の金属で、スラットの内部に熱が伝達されるようにしてもよく、または少なくとも上方を向く面は、たとえば材料を通る光透過率が85%より高いポリスチレン等の硬質プラスチックやガラス等の透明材料であってもよい。空気は熱伝導率がかなり低く、したがって内部15を、高さより幅をはるかに大きくして、縁辺領域12、13間の内側の距離がたとえば面11間の内側の距離の少なくとも4倍大きく、たとえば5〜30の範囲、または6〜15の範囲となるように設計することが有利となり得る。
図5bの実施形態において、スラットにはスラットに取り付けられる外側壁16が設けられ、周囲空気(外気)は、空気吸入口10に至り、内部15の中に流れるためには、面11と外側壁16の間の通気間隙の中を流れざるを得ないようになっている。これによって、外気が加熱されている間に流れなければならない距離が長くなり、それゆえ、その結果としての、第一の空気流路8を通って流れる空気の温度はより高くなる。外側壁は金属またはその他の丈夫な材料とすることができるが、外側壁はあるいはガラスやポリスチレンまたはポリカーボネート等の透明材料とすることもできる。後者の場合、一方で透明性によって太陽光が面11を通過してこれを加熱でき、他方で面11から壁16に向かって伝えられた熱が壁16によって反射されて面11に戻る。それゆえ、外側壁16により、外気の移動距離が長くなるだけでなく、同じ強度の太陽光でも面11の温度より高くなり、これら両方の要素が内部15の中の空気の加熱をより促進する。
図5cの実施形態では、スラットには、面11上に、ソーラーフィルム装置17、たとえば基板上に堆積された光起電性材料からなる光電池等が設けられている。光起電性材料は、たとえばアモルファスシリコン、微結晶シリコン、ナノ結晶シリコン、または、テルル化カドミウム、有機太陽電池材料、色素増感太陽電池材料等の材料とすることができる。ソーラーフィルム装置17は、面11に接着可能で、柔軟であり、面11のどのような湾曲にも沿わせることができる。ソーラーフィルム装置17は、電力を消費し、または貯蔵する装置に電気的に接続される。スラットの面にソーラーフィルム装置を設ける1つの利点は面積の大きさであり、これは、面の面積が窓の面積より大きくなるからであり、他の利点は、スラットを回転させて、面11を入射する太陽光に向けることができる点である。ソーラーフィルム装置は部分的に透明であってもよく、その場合、外側壁16の外側に取り付けてもよい(図5bには示されていない)。
図5cにおいて、スラットの下面には反射面18が設けられている。スラットを覆うこのような反射面は、別の目的にも使用できる。外気の加熱が望ましくなく、窓シャッタユニットによって光が窓から入るのを遮断しようとする場合、スラットを回転させて、反射面18が太陽光に対して外側を向くようにしてもよく、すると太陽光は反射され、同時に、窓の背後の部屋にはわずかな自然光しか入らない。室内の自然光による光量を増やそうとする場合は、窓シャッタユニットのスラット、またはスラットのうちのいくつかを回転させて、入射する太陽光が窓の設けられた室内に反射されるような位置にしてもよい。これは、図13の上側部分に示されており、そこでは上側部分のスラットが、太陽光を部屋の天井と反射するように位置付けられ、下側部分のスラットは回転されて、太陽光からのエネルギー吸収が最大になるような位置にある。上側部分のスラットを使って部屋の天井に太陽光を反射させた場合の効果は図12にも示されている。スラットから反射された太陽光は、窓35を通過して天井へと向けられ、そこで下方に反射されて、部屋に非常に快適で柔らかい照明が提供されることがわかる。その結果、室内の光量が増し、人工照明の使用を低減させることが可能となりえ、その結果、部屋を照明するための電力の節約につながる。スラットが、反射面が外側を向くような位置にある時、太陽光のほとんどまたは全部が反射されれば、太陽光はスラット材料に重要なエネルギーをほとんど供給できない。スラットの反射面によって太陽光のエネルギーの一部をスラット材料の加熱に使用できている場合、当然、このエネルギーを利用してスラット内の空気を加熱することが可能である。すると、スラットは室内への入射光の最小化と太陽光による空気の加熱という二重の機能を有する。
窓シャッタユニット1は、さまざまな方法で構成できる。以下にいくつかの考えうる実施形態を、細部の概略図を用いて説明するが、他の構成も可能である。図6は、外気の供給が必要で、部屋からの空気の排出が必要で、排出された空気からの熱エネルギーの回収が不要またはほとんど不要である実施形態に関する。第一のフレーム部材3は筐体7と流体連通しており、第一のファン19が外気をスラットの内部15の中、続いて共通流路の中へと吸い込み、これは第一のフレーム部材から、矢印Bの方向に、第一のファン19を介し、続いて空気排出口20へと続き、そこから外気が室内へと換気される。筐体7の内壁によって、共通流路9からの排出経路22が分割される。室内に換気された外気により超過気圧が発生し、これが排気を、矢印Cに示されるように、排気口21を通って部屋から排気通路へと、続いて筐体7に設けられた外側排気部23から建物の外へと換気させる。
図7は、図6をさらに発展させたものを示しており、これは排出された空気から熱エネルギーを回収する必要がある場合である。外側排気部23を筐体7の右上角のままとするために、排気通路22が共通流路9の下に位置付けられており、その結果、空気排出口20は排気口21の上に位置付けられる。排出通路内の第二のファン24が部屋から空気を抽出し、排気を熱交換装置25へと向かわせ、これが熱を排気から抽出し、この熱を、共通流路9を流れる外気へと供給する。熱交換装置25は、逆流型のエネルギー回収熱交換器、たとえば復熱器とすることができる。
図8aと8bは、ある期間は余剰エネルギーがすぐに利用可能であるが、また別の期間はエネルギー使用の需要があるため、エネルギーの貯蔵を必要とする場合に使われるようになされた実施形態を示している。熱エネルギー装置28が、筐体7の中の、2つの空気排出口20のうちの上側の排出口へと至る流路の中に位置付けられている。
図8aに示される動作モードでは、外気が第一のファン19によって室内に供給され、このファンは第一の空気入口26から、2つの空気排出口20のうちの下側の排出口へと至る短い流路の中に外気を吸い込む。この動作モードでは、短い流路がその流路の両端で閉鎖される。この閉鎖は、たとえば固定された端壁のように永久的であっても、閉鎖位置か開放位置の何れかに制御可能なゲートまたはその他の動作可能な閉鎖手段を取り付けることによる一時的なものであってもよい。熱エネルギー装置28を有する上側流路には、制御可能なゲート30またはその他の動作可能な閉鎖手段があり、これは開放状態にあって、それによって熱エネルギー装置28の中を流れる空気が、ゲート30が開いている時には制御手段(図示せず)によって閉じられる上側の空気排出口20を通過して引き続き流れ、続いて第二のフレーム部材4の内部へと下方に流れることができ、前記内部は、ゲート30が開いている時の再循環経路の一部である。第二のフレーム部材4から、空気はスラットの、空気流路8を有する端とは反対の端の第二の空気流路43を通過する。個々のスラットの中ではそれゆえ、空気が矢印Dにより示されるように第二の空気流路43を通って内部15の中に入り、矢印A’により示されるように空気流路8を通じてスラットから出るように循環できる。この動作モードでは、第二の空気流路43が再循環経路としての役割を果たす。再循環空気は熱エネルギー装置28の中を通り、ここで、日中は熱を伝えることができ、夜間は熱を消費でき、建物内に位置付けられたエネルギー貯蔵ユニット29は、たとえば貯蔵ユニット29と装置28の間で熱を伝える流動体流動回路を介して、装置28と接続される。それゆえ、気温が低い夜間に貯蔵ユニット29を冷却することが可能であり、または気温が高い日中に貯蔵ユニット29を加熱することが可能である。この動作モードでは、第二のファン27は再循環ファンとして動作する。
図8bに示される動作モードでは、外気が第二のファン24によって室内に供給され、このファンは第二の空気取入口27から、2つの空気排出口20のうちの上側の排出口へと至る短い流路の中に外気を吸い込む。ゲート30は閉じており、空気排出口にある制御手段が、上側の空気排出口20を開放状態に設定している。第二の空気入口27からの空気は熱エネルギー装置28の中を流れ、ここで空気は、夜間に貯蔵ユニット29が冷却されていれば冷却され、日中に貯蔵ユニット29が加熱されていれば加熱される。
図9の実施形態は、周囲環境熱を使って周辺空気を冷却してから、この空気を室内に供給する状況に関する。スラット2の中に吸い込まれ、そこで加熱された空気は、矢印Aの方向に第一のフレーム部材3の中へと流れ、続いて共通の流れとして矢印B’の方向に筐体7の中へと上方に流れ、ここで空気は排気口を通じて矢印B’によって示されるように筐体7を出て回収管に入り、これは平行して動作する多数の窓シャッタユニットからの加熱済み空気を受け取り、加熱済み空気を、この実施形態では建物内の設備である熱エネルギー装置28の第一の部品28’’に供給する。窓シャッタユニットの数は、たとえば、第一の部品28’’を通じた加熱済み空気の流れが少なくとも2000m3/時、たとえば5000m3/時またはそれ以上となるように選択してもよい。熱エネルギー装置28の第二の部品28’は、設けられた数の窓シャッタユニットのために中央に設置されて、外気を冷却し、これが分配管を介して個々の窓シャッタユニットに分配される。分配管からの外気は第一の空気取入口26を通って換気され、第一のファン19を通り、続いて空気排出口20を通って室内へと流れる。熱エネルギー装置の第一の部分と第二の部分は収着型空気冷却システムの一部である。第一の部品28’’では収着剤が、加熱済み空気を使って、それが脱着によって再生し、導管31を介して第二の部品28’へと供給可能となるように調整される。第二の部品28’では収着剤は、第二の部品28’の中に流入する外気を収着により冷却するために利用される。熱エネルギー装置はまた、収着の一般的な代替方法である吸収型であってもよい。
窓シャッタユニットは建物のファサードに取り付けられ、筐体7は、ファサードの適当な場所、たとえば図10に示されるように、1つまたは複数の窓、またはドアの上方に固定できる。固定の筐体7は、この例では、その2つのフレーム部品がハウジングの上端に取り付けられ、その下端で固定具によって支持される。各フレーム部品は矢印Eの方向にスライドしてもよい。左側のフレーム部品は左に移動されており、それによって、ドアに障害物がなく、ドアを開くことができ、これに対して右側のフレーム部品は窓35の前方の位置にある。室内でより多くの光が必要である場合、右側のフレーム部品を右側の、窓に障害物がなくなる位置まで移動させることができる。電力を生成するために、太陽電池33が筐体に取り付けられる。
建物のファサードには多くの窓シャッタユニット1があってもよく、図11に示される例では、窓とドアに大きなガラス領域があるため、シャッタがファサードのかなりの部分を覆っており、あるいは図14に示される例では、シャッタユニットによりファサードのかなりの部分が覆われていることはない。シャッタユニットはそれゆえ、建物の建築的表現の意匠にも利用できる。それゆえ、必ずしもシャッタユニットの背後に窓がなくても、シャッタユニットをファサードの固定位置に取り付けることも可能である。
スラットがある位置に固定されるのではなく、異なる傾斜間で回転可能である場合、個々のフレーム部品に、太陽に関するスラットの傾斜を調節するためにスラットを回転させるのに使用される1つまたは2つのモータ37を設けてもよい。2つのモータを使用する場合、スラットを、主として光を室内に向ける上側の集合と、主としてスラットに引き込まれる空気を加熱するために使用される下側の集合に分けることが可能であり、図13を参照されたい。
図14の実施形態において、建物には、屋外温度を記録するセンサ38と、個々の部屋につき、温度センサ、光量センサ、CO2センサ、湿度センサのうちの1つまたは複数を含むセンサ群が設けられる。中央制御ユニット42がこれらのセンサからの信号を受信して、窓シャッタユニットの動作を調整する。いくつかの中央制御ユニットを1つの建物に設置して、窓シャッタユニットをいくつかの集合に分けて、個々の集合を特定の中央制御ユニットに関連付けることが可能である。建物の内側構造によって、ユニットをどのように分けるべきかが決まり、一例としては、個々の階にある全シャッタユニットが1つの集合にまとめられる。制御ユニットは、シャッタユニットのファンとモータ37を制御してもよい。窓シャッタユニットはまた、シャッタフレームを窓に対してスライドさせるための駆動装置を有していてもよく、その場合、中央制御ユニット42は、室内の換気と温度だけてなく、シャッタの遮蔽効果も制御できる。建物の制御は、中央制御ユニット内の所定の制御パターンとプログラムに従って行われる。
図15は、筐体内にバッテリ46を設けて、夜間も電源を有するようにするか、建物から供給される外部電力に追加される電源を有するようにした別の実施形態における筐体7を示している。窓シャッタユニット1は、上記の種類の1つまたは複数のセンサ48に接続された制御ユニット47を有していてもよい。局所制御ユニットは、シャッタユニットに、あるいは単一の部屋のためのいくつかのシャッタユニットに自動機能を提供し、したがって、この単一の部屋の換気、温度、光を制御できる。
建物において、いくつの窓シャッタユニットを共通温度制御および換気システムへとまとめてもよい。共通システムは、空気調節および/または窓シャッタユニットにより生成される熱利用のために1つまたは複数の中央ユニットを利用できる。共通システムはまた、たとえば空気の冷却等、個々の窓シャッタユニットの動作に関係する特定の機能を果たしてもよい。
窓シャッタユニットは、2つ以上の窓を覆う大きさであってもよく、これは、複数の窓を覆ってもよい。窓シャッタユニットはまた、窓ではなく、窓の横の壁部を覆うように設計されてもよい。
特許請求の範囲内で、上記の実施形態を組み合わせて別の実施形態とすることができ、特許請求の範囲内で、実施形態の詳細事項を組み合わせて別の実施形態とすることもできる。たとえば、第二のフレーム部材4の内部は、外気を取り入れる全体のための吸気口と流体接続させることができ、第二フレーム部材の内部は、外気を個々の中空スラット内の第二の空気流路43へと分配できる。その場合、第二の空気流路は中空スラットへの空気吸入口を含む。このような実施形態は虫のいる地域において有利となることがあり、それは、全体のための吸気口から取り込まれた外気が、その吸気口の中央フィルタを通過することによってフィルタにかけられてから、フレーム部材の内部を介してスラットに分配されるからである。