本出願は、2009年1月20日に出願された米国特許出願番号第12/356414号、発明の名称「Precast Wall Panels And Method Of Erecting A High-Rise Building Using The Panels」の一部継続出願であり、その優先権を主張し、この内容は、法の許す限りにおいて、引用により本願に援用される。
以下、添付の図面に示す本発明の方法、システム及び製品に基づく具体例について、詳細に説明する。
高い建造物又は高層建造物では、クリープ及び収縮の影響を無視できない場合がある。本発明に基づくプレキャスト壁システム(precast wall system)では、場所打ち工法で組み立てられた壁に比べて、これらの影響が低減される。以下に詳細に説明するように、本発明に基づくプレキャストパネルは、セメント状材料、例えば、コンクリート等を用いて予め形成され、コンクリートの収縮の大半は、硬化の初期段階の間に(すなわち、プレキャストパネルが建造物又は構造に配置又は設置される前に)生じる。この期間、ここに開示するプレキャストパネルは、エッジに加わる拘束力が殆どなく、したがって、相当する場所打ち壁に比べて、生じる収縮応力が小さい。収縮の大半は、建造物を建設するため、又は建造物に組み込むためにプレキャストパネルを組み立てる前に生じるので、特に心壁と側柱との間の差動運動による建造物の寸法変化が削減される。更に、プレキャストパネルは、場所打ち構造に比べて材齢(curing age)が経過した後に(例えば、建造物のための更なる階層構造に)に初期的にロードされるので、本発明に基づくプレキャストパネルによって、クリープ現象も低減される。以下の説明によって、本発明の他の利点が開示され、又は明らかとなる。
図1は、本発明に基づく例示的なプレキャスト壁パネルシステム100の斜視図である。プレキャスト壁システム100は、図2及び図3に示すように、場所打ち基礎50上に、又は図4に示すように、標準的な場所打ち壁システム60上に構築又は施工することができる。プレキャスト壁システム100は、複数のプレキャストパネル102、104、106、108、110を含み、これらは、水平及び垂直に相互接続して、高層建造物の複数の階層の複数の心壁コア又は周辺壁を構成することができる。具体的には、複数のプレキャストパネル102、104、106、108、110又はそのグループ(112a、112b及び112c)は、水平又は横方向に相互接続され、それぞれが建造物の1つ以上の階層又は建造物の心壁を画定する。プレキャストパネルの第1のグループ112aは、基礎50上又は下位の壁システム60上に構築され、プレキャストパネル102、104、106、108、110の更なるグループ112b、112cは、プレキャストパネル102、104、106、108、110の下位のグループ(例えば、図1の112a又は112c)の上に垂直に相互接続してもよい。
図1に示す具体例では、プレキャストパネルの各グループ112a、112b、112c内の各プレキャストパネル102、104、106、108、110は、建造物の2階に対応する長さを有し、これにより、プレキャスト壁システム100は、6階分のセクションを構成する。なお、各プレキャストパネルの長さは、グループ間で異なっていてもよく、例えば、パネルの第1のグループ112aは、1階以上に対応していてもよく、これに続く各グループ112b、112cは、建造物の同じ階数又は異なる階数に対応していてもよい。
なお、以下での説明を明瞭にするため、プレキャストパネル102、104、106、108、110の参照符号に付された「a」の文字は、各パネル102a、104a、106a、108a、110aが複数のプレキャストパネルの第1のグループ112aに含まれていることを示し、「b」の文字は、各パネル102b、104b、106b、108b、110bが複数のプレキャストパネルの第2のグループ112bに含まれていることを示し、「c」の文字は、各パネル102c、104c、106c、108c、110cが複数のプレキャストパネルの第3のグループ112cに含まれていることを示す。
プレキャストパネル102、104、106、108、110は、内側パネル102、コーナパネル104、オープニングパネル(opening panel)106、108、110といった3つのパネルタイプの1つに対応する。各内側パネル102は、2つの隣接するパネルの間に配置され、隣接するパネルは、他の2つの内側パネル102、2つのコーナパネル104、2つのオープニングパネル106、108、110、又はこれらの組合せであってもよい。各内側パネル102の水平方向の断面は、好ましくは、長方形である。なお、内側パネル102は、他の断面形状を有していてもよく、例えば、前側及び/又は裏側が弓状になっていてもよい。また、コーナパネル104は、2つの隣接するパネル(例えば、2つの内側パネル102又は2つのオープニングパネル106、108、110)の間に配置される。一具体例では、各コーナパネル104は、水平方向にL字状の断面を有し、プレキャスト壁システム100の壁を(例えば、図1に示す垂直壁のように)異なる向きで組み立てることを可能にする。なお、コーナパネル104は、内角を画定する側が非直角の形状を有していてもよく、この角度は、90°より大きくても小さくてもよく(直角より大きくても小さくてもよく)、長方形でない形状でプレキャスト壁システム100の非直角の心壁を相互接続するようにしてもよい。後に詳細に説明するように、オープニングパネル106、108、110は、1つ以上のリンク梁(又は梁セグメント)114、116を有し、これによって各オープニングパネルと隣接するオープニングパネルの間で開口又は間隙を画定し、この開口又は間隙は、人間が通れる十分な大きさ又は機械的システム、電気的システム又は配管システムを通過させる十分な大きさを有する。後に詳細に説明するように、互いに異なるプレキャストパネル102、104、106、108、110は、パネル間垂直接続、パネル間水平接続、及び/又はリンク梁接続の1つ以上によって相互接続することができる。
各プレキャストパネル102、104、106、108、110は、上端プレート(例えば、図7〜図10の702、図13A及び図13Bの1306、図14A〜図14Eの1406、図16A及び図16Bの702)と、下端プレート(例えば、図3Aの302、図3B及び図7〜図10の704、図13A及び図13Bの1308、図14A〜図14Eの1408、図16A及び図16Bの704)とを有し、2つの端部プレートは、各プレキャストパネルの上面710及び底面712を画定する。各プレキャストパネル102、104、106、108、110の端部プレートによって、各プレキャストパネルは、隣接するプレキャストパネルに垂直に相互接続することができる。例えば、図1に示す相互接続されたプレキャストパネル102、104、106、108、110の第1のグループ112aは、相互接続されたプレキャストパネル102、104、106、108、110の第2のグループ112bに対して垂直に配置され、これにより第1のグループ112aに対応する各パネル102a、104a、106a、108a、110aの上端プレート702、1306、1406は、第2のグループ112bに対応する各パネル102b、104b、106b、108b、110bの1つの下端プレート704、1308、1408に接続される。このような(垂直に隣接するプレキャストパネルの端部プレート間の)垂直パネル間接続の具体例については、後に詳細に説明する。プレキャストパネル102、104、106、108、110の各端部プレートは、好ましくは、許容可能な偏平公差又はミル加工された外表面を有し、これによって、垂直に隣接するプレキャストパネル102、104、106、108、110の端部プレート間での直接支承によって、大きい圧縮応力(2000psi〜6000psi)を伝達することができる。各プレキャストパネル700、102、104、106、108、110の端部プレートの垂直寸法は、伝達が必要な力に基づいて決定される。
各プレキャストパネル102、104、106、108、110は、更に、端部プレートの間に配置され、端部プレートに取り付けられている複数の垂直補強筋(例えば、図7の706)と、垂直筋706を収容し、各パネルの複数の側(例えば、図1及び図7の右側714、左側716、前側718及び後側720)を画定するセメント状材料(例えば、図7の708)とを含む。端部プレートは、鋼、他の高強度金属又は合金であってもよい。各垂直筋706は、セメント又はコンクリートを補強するために用いることができる補強筋、鋼ロッド、又は高強度材料から形成された他の種類の棒状部材であってもよい。
セメント状材料708は、標準の組成のセメント(ポートランドセメント等)、粗骨材を含まないエポキシ樹脂、コンクリート又はこれらの組合せであってもよい。セメント状材料708は、各端部プレート302、702、704、1306、1308、1406、1408の間の垂直筋706によって補強される。後述するように、プレキャストパネル102、104、106、108、110の1つ以上は、複数の水平筋又は横向きの継ぎ部材(transverse ties)(例えば、図7の709)を含むことができ、これらは、それぞれ各パネルの反対側に隣接して配置された少なくとも2つの垂直筋706に接続(又は巻回)され、パネルのセメント状材料708を更に補強する。
一具体例では、セメント状材料708は、ファイバ及び粒子によって補強された鉄筋コンクリートを含むことができる。ファイバは、各プレキャストパネル102、104、106、108、110内で(例えば、1インチより長い連続的ファイバでは)所定の向き又は(1インチ未満の小さなファイバでは)ランダムな向きに構成されたカーボンファイバ、金属ファイバ又は他のタイプのファイバであってもよい。
プレキャストパネル102、104、106、108、110を形成するために使用にされるセメント状材料708(例えば、コンクリート)の強度は、各パネルの必要な耐力(すなわち、建造物に加わる負荷の組合せから生じる力に対する抗力)に基づいて、及び実用性要件(例えば、ビル風の偏向及び加速を許容値に制限する要件)を満たすように決定してもよい。例えば、セメント状材料708は、約5000psiから約16000psiの範囲の圧縮強度を有するコンクリートから形成してもよい。なお、セメント状材料は、例えば、ポゾラン、骨材又はファイバの追加によってより高い強度を有するコンクリートから形成してもよい。
個々のプレキャストパネル102、104、106、108、110の寸法は、通常、リフティング及び運搬設備の容量に基づいて決定され、構造的なプレキャストパネル102、104、106、108、110は、通常、2階層分の高さ(例えば、約20〜30フィート)に形成することができる。なお、リフティング及び運搬設備の容量が大きければ、プレキャストパネル102、104、106 108、110を3階層分以上の高さに形成してもよい。一具体例では、内側プレキャストパネル102の幅は、約5〜10フィートの範囲内にある。コーナプレキャストパネル104は、各方向により小さい幅を有していてもよく、例えば、各方向に約4〜6フィートの外側寸法を有していてもよい。オープニングプレキャストパネル106、108、110は、リンク梁114、116の幅を収容するためのより大きい幅を有する。プレキャストパネル102、104、106、108、110の厚さは、建造物の建築の強度及び実用性要求に基づいて決定され、建造物の高さに亘って階層毎に(又は2階層又は複数階層毎に)異なっていてもよく、例えば、厚さ値を約1〜4フィートの範囲としてもよい。
後に詳細に説明するように、図1に示す一具体例においては、プレキャスト壁システム100は、補強システム118を含むことができ、補強システム(bracing system)118は、1つ以上のサポートフレーム120、122、124を有し、これらは、(例えば、プレキャストパネルのグループ112a、112b又はグループ112b、112cにおいて採用されている)垂直に相互接続されたプレキャストパネルの各第1の対と、第1の対の反対に配置された(例えば、同じくプレキャストパネルのグループ112a、112b又はグループ112b、112cにおいて採用されている)垂直に相互接続されたプレキャストパネル各第2の対との間に配置され、これらに取り付けられている。補強システム118は、プレキャストパネルの第1のグループ112aの前に又はこれと連携して取り付けてもよく、これによって、プレキャストパネルの後続するグループ112b、112cを組み立て、補強することができる。プレキャスト壁システム100のこの具体例では、補強システム118において採用されているサポートフレーム120、122、124は、後述するように、垂直に相互接続されたプレキャストパネルの対に接続されると、建造物の横力抵抗システムの不可欠な部分になる。
図3Aは、内側パネル102、コーナパネル104又はオープニングパネル106、108、110を基礎50又は場所打ち壁60に接続するための1つの具体例を代表する本発明に基づくプレキャストパネル200の包括的な断面図である。図3Aに示すように、(例えば、建造物の第1の2階層に対応する)パネルの第1のグループ112aに含まれている各プレキャストパネル102a、104a、106a、108a、110aの下端プレート(例えば、302)は、1つ以上のアンカボルト304を用いて、基礎50又は場所打ち壁60に据え付けることができ、アンカボルト304は、下端プレート302内の各開口306を貫通し、基礎又は場所打ち壁60に埋め込まれる。アンカボルト304の寸法は、通常、1インチ〜4インチの範囲にあり、プレキャストパネルについての降伏応力は、36ksi〜105ksiである。なお、より高い強度を達成するために、より大きい直径を有するアンカボルト304を使用してもよい。更に、アンカボルト304の寸法は、基礎に据え付けられるパネルの第1のグループ112a内のプレキャストパネル200、並びに第1のグループ112aの各パネル200に垂直に相互接続されるパネル102、104、106、108、110の高さ、重量又は他の寸法に基づいて変更してもよい。また、基礎又は場所打ち壁60に対してプレキャストパネル200を整列又は調整するために、シム308を使用してもよい。
図3Bは、本発明に基づく他の例示的なプレキャストパネル310の断面図であり、これは、基礎50又は場所打ち壁60に内側パネル102、コーナパネル104又はオープニングパネル106、108、110を接続する代替例を表している。プレキャストパネル310は、後述するように、プレキャストパネル700と同様に、予め成形される。詳しくは、図3Bに示す具体例では、プレキャストパネル310は、上端プレート702(図3Bには図示せず)と、下端プレート704と、端部プレート702、704の間に取り付けられた複数の垂直筋706と、垂直筋706を収容し、上端プレート702及び下端プレート704の間でパネル310の右側714、左側716及び、前側718及び後側720を画定するセメント状材料708とを有する。更に、プレキャストパネル310は、パネル310の上端プレート702からパネル312の下端プレート704に延びる1つ以上のダクト724を有する。プレキャストパネル310の上端プレート702及び下端プレート704は、それぞれ、各端部プレート702、704を貫通し、プレキャストパネル310の各ダクト724と軸が揃えられている、1つ以上の貫通孔726を有する。
図3Bに示す具体例では、プレキャストパネル310を場所打ち基礎50又は壁60に据え付けるために、基礎50又は壁60の上部312(これは、場所打ち基礎50又は壁60に流し込まれるコンクリートから最後に形成される部分である。)は、キャッププレート314を含み、キャッププレート314は、プレキャストパネル310を垂直に接続するためのベースとして機能する。上部312は、キャッププレート314の下の基礎50又は壁60の約10フィートに対応していてもよい。場所打ち基礎50又は壁60の最後又は上部312は、1つ以上の支柱316を含むように形成してもよく、この支柱316にキャッププレート314を配置した後、コンクリートを流し込んで支柱316を収容し、上部312を形成する。支柱316の頂部にジャッキボルト320を有するプレート318を配置してもよい。基礎50又は壁60の上部312のためのコンクリートを注入する前に、シム又はジャッキボルト320を使用して、(各支持プレート318を介して各ボルト320を個別に締めることによって)基礎50又は壁60のキャッププレート314のレベルを調整してもよい。キャッププレート314に対するプレキャストパネル310の下端プレート704のレベルを決めるために、シム(例えば、図3Aの308)を用いてもよい。
更にプレキャストパネル310は、図24を用いて後述するような組立補助プラットフォームを用いて、場所打ち基礎50又は壁60の上部312に揃えてもよい。
下端プレート704及びキャッププレート314は、図13A〜図13B及び図14A〜図14Eを用いて後述するように、垂直パネル間接続のための高力溶接又はボルトによって接続又は固定してもよい。
プレキャストパネル310の下端プレート704を基礎50又は壁60のキャッププレート314に溶接又はボルト付けすることに代えて、又はこれに加えて、1つ以上の垂直補強筋又は棒状セグメント728aを用いて、プレキャストパネル700について説明した垂直パネル間接続と同様の手法で、プレキャストパネル310をキャッププレート314に垂直に接続してもよい。この具体例では、第1の複数の補強筋セグメント728a、728bのそれぞれは、場所打ち基礎50又は壁60に据え付けられ又は埋め込まれている片端323と、各貫通孔324を貫通し、キャッププレート314に螺入する他端322とを有することができる。補強筋セグメント728aが、基礎50又は壁60からダクト724を介してプレキャストパネル310に至る十分な長さを有さない場合、補強筋間カプラ326(例えば、Dywidag Systems International社から市販されているDYWIDAG THREADBAR(商標)カプラ)を、キャッププレート314を介して延びる各補強筋セグメント728aの端部322に取り付け又は螺子付けし、その後に、プレキャストパネル310を、基礎50又は壁60のキャッププレート314上の位置に下ろしてもよい。キャッププレート314がプレキャストパネル310に揃えられると、第2の補強筋セグメント728bを、各開口726を介してプレキャストパネル310の上端プレート702に、及び開口726に整列された各ダクト724に通すことができ、これにより第2の補強筋セグメント728bを、対応するカプラ326に取り付け又は螺子付けし、2つの補強筋セグメント728a、728bを効果的に固定して、プレキャストパネル310を介して場所打ち基礎50又は壁60に据え付けられる1つの連続した垂直補強筋728を形成することができる。更なる垂直補強筋728を同様に用いて、場所打ち基礎50又は壁60にプレキャストパネル310を更に垂直に相互接続し、プレキャストパネル310に同様に接続された上位のプレキャストパネルからの力を基礎50又は壁60に伝達するようにしてもよい。後述するように、プレキャスト壁システム100内のプレキャストパネル又は第1のグループ112aに水平に相互接続されるプレキャストパネル310として、更なるプレキャストパネル102、104、106、108、110を場所打ち基礎50又は壁60に同様に据え付けることができる。
図3C及び図3Dは、本発明に基づく他の例示的なプレキャストパネル350を示しており、これは、内側パネル102、コーナパネル104又はオープニングパネル106、108、110を基礎50又は場所打ち壁60に接続する代替の具体例を表している。プレキャストパネル350は、後述するプレキャストパネル2300と同様に成形される。具体的には、図3C及び図3Dに示す具体例では、プレキャストパネル350は、形材(structural angles)2302a〜2302d(2302dは図示せず)、例えば、プレキャストパネル350のコーナエッジ2306a、2306b、2306c、2306d(図示せず)に沿って配置され、プレキャストパネル350の上部コーナから底部コーナに延びる山形鋼(steel angles)を有する。後述するように、形材2302a〜2302dを用いて、プレキャストパネル350と、コーナに沿って配置された同様の形材2302a〜2302dを有する他の水平及び/又は垂直に隣接するプレキャスト内側パネルとの間で水平パネル間接続及び垂直パネル間接続を実現することができる。
図3Dに示す具体例では、場所打ち基礎50又は壁60にプレキャストパネル310を据え付けるために、基礎50又は壁60の上部312(すなわち、場所打ち基礎50又は壁60に流し込まれるコンクリートから最後に形成される部分)は、(剪断スタッド(shear studs)を有する)形材352を含み、この形材352は、基礎50又は壁60の上部の近傍のそれぞれ離間した位置で基礎50又は壁60に垂直に収容され、これにより、プレキャストパネル350が基礎50又は壁60の上位に配置されると、各形材352の露出した表面は、プレキャストパネル350の形材2302a〜2302dの1つと垂直方向に揃う。この具体例では、各ラッププレート354は、基礎50又は壁60に収容された形材352と、プレキャストパネル350の形材2302a〜2302dの対応する1つとの両方の上に部分的に配置される。そして、各ラッププレート354は、各基礎又は側壁の形材352と、プレキャストパネル350の各形材2302との両方に溶接され、これによって、プレキャストパネル350は、基礎50又は壁60に固定される。
プレキャストパネル350を他の隣接するプレキャスト内側パネル350(例えば、水平パネル間接続を用いて後述する図23A〜図23Fに開示するようなコーナ形材2302a〜2302dを有するプレキャスト内側パネル)に水平に接続する場合、より広いラッププレート356を使用して、基礎50又は壁60に収容された対応する形材352を有する2つの隣接するプレキャストパネル350の2つの水平に隣接するコーナ形材(すなわち、図3Dの形材2302b、2302a)を部分的に覆い、接合(溶接)する。
また、プレキャストパネル350は、(後述する)水平サイドプレート2316を含むことができ、水平サイドプレート2316は、プレキャストパネル350の前側及び/又は後側に埋め込まれ、プレキャストパネル350の1つの形材(例えば、図3Dの2302a)の1つの脚部を他の形材(例えば、図3Dの2302b)の1つの脚部に接続する。この具体例では、水平プレート358は、基礎50又は壁60の前部に収容することができ、これにより、プレキャストパネル350に埋め込まれているラッププレート360は、水平サイドプレート2316を覆い、及び基礎50又は壁60に収容されている水平プレート358を覆うように延び、パネル350と基礎50又は壁60との間の垂直接続を補強する。更に接続を補強するために、サイドプレート2316及び水平プレート358は、剪断スタッドを有する。
図5は、プレキャスト壁システム100の例示的な階層又は階500の平面図であり、プレキャスト壁システム100は、プレキャスト壁システム100の少なくとも階層又は階500に対応するプレキャストパネル102、104、106、108、110に接続される周辺壁502、504、506、508を有する建造物の心壁の全て又は一部として採用されている。図5に示す具体例では、周辺壁502、504、506、508は、鋼フレーム510を用いて構成され、各周辺壁からプレキャストパネルに亘って架設された床スラブ又は床受け梁を介して、プレキャスト壁システム100の階層又は階500の心壁として使用されるプレキャストパネル102、104、106、108、110の後側720に相互接続することができる。床スラブ又は床受け梁は、後述するスラブ−パネル接続及び梁−パネル接続の1つを用いて各プレキャストパネルに相互接続される。鉄骨ブレースフレーム用いて、プレキャスト壁システム100の垂直に相互接続されたプレキャストパネルの対向する対を強化するためのサポートフレーム120、122又は124を形成してもよいが(プレキャスト壁システム100の他の内側桁腹壁520、522、524を形成してもよいが)、図5Aに示すように、(サポートフレーム120、122、124を形成するために用いられる鉄骨ブレースフレームに代えて又はこれと連携して)プレキャストパネル102、106、108、110を用いて、プレキャスト壁システム100の内側桁腹壁520、522、524を形成してもよい。図5Aに示す具体例で、は、T字状のプレキャストパネル111を用いて、又はプレキャスト壁システム100の外壁530内のプレキャストパネル(例えば、内側パネル102)をプレキャスト壁システム100の内側桁腹壁520、522、524内のプレキャストパネル(例えば、他の内側パネル102)に相互接続するために使用されるパネル間水平接続を用いて、内側桁腹壁520、522、524を形成できる。
また、図5Aに示すように、内側桁腹壁520、522、524は、パネル2900内に予め成形された開口2902を有するプレキャストパネル2900を備えていてもよく、これによって、配管工事パイプ、HVACダクト、ドア又は他の機械的通路若しくは人間の通路等を確保してもよい。開口2902は、円形であってもよく、矩形又は他の形状であってもよい。開口2902がコア内側桁腹壁の特定の位置の小さな開口又は穿孔である場合、開口2902を有するパネル2900は、開口を有する構造壁のための適用可能な建築基準要件に従って作成される。一般的には、開口2902によって損なわれる強度に等しい補強量が開口2902の側縁に追加され、これに加えて、開口2902の接線方向に構成された更なる補強筋によって、開口2902の周囲に、箱状に形成された補強筋を設ける。この補強筋は、開口2902の側方において、補強筋の引張応力を高めるために十分な長さで設ける必要がある。
図6は、プレキャスト壁システム100の内側(例えば、図5の側512)の例示的な図であり本発明に基づく内側プレキャストパネル102、コーナプレキャストパネル104、オープニングプレキャストパネル106、108、110、並びにこれらのパネル間の水平及び垂直パネル間接続602、604の例示的な実施形態を示している。また、図6に示すプレキャスト壁の内側512は、リンク梁接続606と、プレキャストパネル102、106、108、110の前側718に埋め込まれたプレート(図11の1102)とを示しており、これは、後述するように、(例えば、内側床スラブを支持するための)梁−パネル接続608を実現するために使用される。プレキャスト壁システム100の内側512は、更に、プレキャスト壁システム100の垂直に相互接続されたプレキャストパネルの対向する対を強化するためのサポートフレーム120、122、124に相互接続するために使用されるブレース−パネル接続(brace-to-panel connection)610を備える。内側プレキャストパネル102及びオープニングプレキャストパネル106、108、110の実施形態の内部構造については、後に他の図面を参照して詳細に説明する。特に指摘する場合を除き、コーナプレキャストパネル102の内部構造並びに水平及び垂直の相互接続は、内側プレキャストパネル102について説明する実施形態に対応する。
図7は、プレキャスト壁システム100を構成するために使用することができる内側プレキャストパネル102の1つの例示的な実施形態700の垂直断面図である。また、図7は、本発明に基づく内側プレキャストパネル102と、隣接するプレキャストパネル102、104、106、108との間の水平パネル間接続の具体例及び垂直パネル間接続の具体例を示している。図7に示すように、内側プレキャストパネル700は、上端プレート702と、下端プレート704と、端部プレート702、704の間に取り付けられた複数の垂直筋706と、垂直筋706を収容し、上端プレート702及び下端プレート704の間でパネル700の右側714、左側716及び、前側718及び後側720を画定するセメント状材料708とを有する。また、プレキャストパネル700は、複数の水平筋又は横向きの継ぎ部材(transverse ties)709を含むことができ、これらは、それぞれパネル700の対向する側714、716に隣接して配置された少なくとも2つの垂直筋706に接続される。
図7に示す具体例では、内側プレキャストパネル700は、1つ以上のサイドプレート720a〜720f(これらは、剪断、張力、モーメント、圧縮若しくは他の力又はこれらの組合せを伝達してもよい。)を有し、内側プレキャストパネル700の右側714及び/又は左側716に水平に隣接する1又は2つのプレキャストパネル750との水平パネル間接続を実現する。内側プレキャストパネル700に隣接し、これと水平パネル間接続される各プレキャストパネル750は、他の内側パネル102、コーナパネル104又はオープニングパネル106、108であってもよい。なお、後述するように、オープニングパネル110は、パネル110の両側にリンク梁114、116を有し、これらは、水平パネル間接続について説明するように、サイドプレート720に相互接続してもよいが、通常は接続されない。
各サイドプレート720a〜720fは、セメント状材料708に埋め込まれている1つ以上の剪断スタッド715を有していてもよく、これによって、サイドプレート(したがって、相互接続された各パネル700、750)は、一般的に高層建造物に加わる剪断力及び他の力に抵抗し、これを伝達することができる。各サイドプレート720a〜720fは、サイドプレート720a〜720fがパネル700、750の側面714、716と略々同一平面となるように各プレキャストパネル700、750のセメント状材料708に埋め込むことができ、これにより、2つの隣接するパネル700、750間の間隙をなくし又は最小にすることができる。プレキャストパネル間のあらゆる間隙又は接合部に耐火性シール材又はグラウトを適用してもよく、これによって、プレキャスト壁システム100の外側の火災時の煙がここに開示する相互接続されたプレキャストパネル間の間隔を通り抜けることがないようにしてもよい。したがって、プレキャスト壁システム100は、例えば、プレキャスト壁システム100の補強システム118(図1)に関連してプレキャスト壁システム100内に構築された非常階段のための更なる安全性及びセキュリティを提供できる。
図7に示すように、内側プレキャストパネル700は、プレキャストパネル700(例えば、第1のプレキャストパネル)の左側に取り付けられた1つ以上のサイドプレート720a〜720cを有することができ、内側プレキャストパネル700に隣接する他のプレキャストパネル750(例えば、第2のプレキャストパネル)は、他のプレキャストパネル750の右側714に取り付けられた1つ以上の対応するサイドプレート720e〜720fを有する。図7に示す水平パネル間接続の具体例では、内側プレキャストパネル700の左側716にある各サイドプレート720a〜720cは、60ksi〜110ksiの強度を有する高強度溶接等の各溶接722を介して、他方の隣接するプレキャストパネル750の右側714の対応するサイドプレート720d〜720fの1つに取り付けられる。
水平パネル間接続のための代替となる具体例では、2つの隣接するプレキャストパネル700、750(又は102、104、106、108)の各サイドプレート720a〜720fは、各パネル700、750の厚さより大きい(図7の紙面における)幅を有し、これにより、各サイドプレート720a〜720fは、図13A及び図13Bを用いて後述する端部プレート1306、1308と同様に、各パネルに対して、前側718及び後側720にリップを有する。この具体例では、第1のプレキャストパネル700(又は102、104、106、108)の第1の側(例えば、右側714又は左側716)の各サイドプレート720a〜720fのリップは、第2のプレキャストパネル750の隣接する第2の側(例えば、左側716又は右側714)のそれぞれの対応するサイドプレート720d〜720fのリップに互いにクランプ又はボルト付けされ、これにより、2つの隣接するプレキャストパネルのそれぞれのサイドプレートが互いに固定され、剪断、張力、モーメント、圧縮又は他の力(又はこれらの一部)が2つの隣接するパネル700、750の間で伝達される。例えば、中心に12インチの間隔で設けられた直径3/4インチのA325ボルトと、中心に4インチの間隔で設けられた直径1インチのA490ボルトとを用いて、2つの隣接するプレキャストパネルのそれぞれのサイドプレートを互いに固定してもよい。
内側プレキャストパネル700と、垂直に隣接するプレキャストパネル(例えば、他の内側プレキャストパネル102b、オープニングプレキャストパネル104b、又は一種のオープニングプレキャストパネル106b、108b、110b)との間の垂直パネル間接続の1つの具体例は、図13を用いて後に説明する。この具体例では、内側プレキャストパネル700の上端プレート702は、垂直に隣接するプレキャストパネル(図7には図示せず)の下端プレート704にクランプ又はボルト付けされる。
垂直に隣接するパネル102、104、106、108、110の上端プレート及び対応する下端プレートを用いてここに説明したように実現された垂直パネル間接続は、建造物の床レベルに位置してもよく、床レベル上(例えば、床レベルより約1〜4フィート上)に位置してもよい。
内側プレキャストパネル700と、垂直に隣接するプレキャストパネル(例えば、102b、104b、106b、108b、110b)との間の垂直パネル間接続の他の実施例では、内側プレキャストパネル700の上端プレート702が、垂直に隣接するプレキャストパネル(図7には図示せず)の下端プレート704に溶接される。
垂直パネル間接続の更に他の具体例では、プレキャストパネル700は、プレキャスト壁システム100内のプレキャストパネルの第1のグループ112aの第1の内側プレキャストパネル102aに対応する。この具体例では、プレキャストパネル700は、パネル700(例えば、第1のパネル102a)の上端プレート702から各パネル700の下端プレート704に向かって延びる1つ以上のダクト724を有する。プレキャストパネル700(例えば、102a)の上端プレート702は、上端プレート702を介して延び、プレキャストパネル700の各ダクト724と軸が揃えられている1つ以上の開口726を有する。また、図7のパネル700について示すように、プレキャストパネルの第2のグループ112bの第2のプレキャストパネル(例えば、図1又は図6における102b、104b、106b、108b、110b)は、第2のプレキャストパネルの上端プレート702から第2のパネル(例えば、102b、104b、106b、108b、110b)の下端プレート704に延びるダクト724を有する。第2のパネル(例えば、102b、104b、106b、108b、110b)の2つの端部プレート702、704は、それぞれ、各プレートを介して延び、第2のパネル(例えば、102b、104b、106b、108b、110b)の各ダクト724と軸が揃えられている1つ以上の開口726を有する。第2のパネル102b、104b、106b、108b、110bの2つの端部プレート702、704の各開口726は、第2のパネルが垂直に接続されるプレキャストパネル700(例えば、102a)の上端プレート702の開口726と同じサイズであってもよく、これより大きくてもよい。
また、垂直パネル間接続のこの具体例では、プレキャスト壁システムは、1つ以上の垂直補強筋728を有する。各補強筋728は、第2のパネル102b、104b、106b、108b、110bの各ダクト724、第2のパネル102b、104b、106b、108b、110bの下端プレート704の各開口726、第1のパネル700、102aの上端プレート702の各開口726及び第1のパネル700、102aの各ダクトの1つを通って延びている。後述するように、プレキャスト壁システム100の別々の階層112a、112b、112cにおいて採用されている複数の垂直に隣接するプレキャストパネル間の垂直パネル間接続を実現するために、各補強筋728は、単一の連続的垂直補強筋728を構成するように連結された垂直補強筋セグメント728a、728bから形成してもよい。
一具体例では、それぞれの第1のパネル700、102a及び第2のパネル102b、104b、106b、108b、110bの各ダクト724は、垂直補強筋728より径が大きい。この具体例では、第1のパネル700、102a及び第2のパネル102b、104b、106b、108b、110bの各ダクト724にグラウト又は他のセメント材料を注入し、各補強筋728を介して垂直に接続される第1及び第2のパネルに垂直補強筋728を取り付け又は固定してもよい。各垂直補強筋728の各端部は、各補強筋728を介して垂直に接続される第2の又は最後のプレキャストパネル(例えば、102b、102c)の上面710に据え付けてもよい。
更に、各補強筋728は、プレキャスト壁システム100の3個以上の隣接するプレキャストパネル(例えば、102a、102b、102c)に亘って延びるために十分な長さを有していてもよい。したがって、各プレキャストパネル102、104、106、108、110が建造物の2階層又は階に対応する高さを有する場合、各補強筋728は、図1に示すプレキャスト壁システム100の6階層分のセクション又はこれ以上に対応する長さを有することができる。補強筋728(連結された補強筋セグメント728a、728bから構成してもよい。)は、複数の垂直に並べられたプレキャストパネル(例えば、102a、102b、102c)を介して連続的に延びるので、プレキャストパネルを用いて形成される建造物に垂直的な連続性を提供する。補強筋728は、中強度又は高強度鋼(例えば、60ksi〜150ksiの強度を有する鋼)を含み又はこれらから全体的に形成してもよく、壁に加わる大きな張力に抵抗するために用いられる。補強筋728は、プレキャストパネルによって形成される壁において想定される力のレベルに応じて、ポストテンション型であってもよく、ポストテンション型でなくてもよい。各垂直パネル間補強筋728のサイズ又は直径は、1インチ〜2.5インチ径であってもよい。なお、各プレキャストパネルの垂直方向の強度要求(例えば、軸方向荷重)に応じて、直径がより大きい又は小さい垂直パネル間補強筋728を用いてもよい。プレキャストパネル102、104、106、108、110内の垂直パネル間補強筋728の数及び位置は、変更してもよい。なお、隣接するプレキャストパネルと垂直に相互接続される各プレキャストパネルは、(冗長性を提供するために)パネル毎に2つ以上の補強筋728を有することが好ましい。垂直パネル間補強筋728は、各パネル102、104、106、108、110の垂直中心線を中心に対称的に構成してもよい。図11に示す1つの具体例では、補強筋728は、好ましくは、各パネルの四方の外側部分に配置され、水平筋709が補強筋728に巻回されて補強筋728を水平方向に支持する。垂直補強筋又は補強筋セグメント728a又は728bのそれぞれは、ロッド又は他の補強部材であってもよい。具体的には、補強筋728に代えて、張力ケーブル(tensioning cables)を用いてもよい。張力ケーブルは、(例えば、図3Bを参照して)補強筋728について説明した具体例と同様に、基礎50又は壁60に据え付けることができる。また、張力ケーブルは、(例えば、図16Bを参照して)補強筋728について説明した具体例と同様に、プレキャストパネル内に又はプレキャストパネルに据え付けてもよい。更に、補強筋728についてここに説明したように、張力ケーブル又はケーブルセグメントをカプラを介して接合して、連続したパネル間の垂直補強部材を形成してもよい。
プレキャストパネル700(及びここに説明する他のプレキャストパネル102、104、106、108、110)は、型(図示せず)を用いて製造してもよく、この型は、セメント状材料708が型に注入され、安定又は硬化するまでの間、垂直筋706に対して端部プレート702、704を一時的に支持又は保持し、及び1つ以上のサイドプレート720a〜720fを支持又は保持する。一具体例では、セメント状材料708が安定又は硬化する前に、垂直補強筋728より大きな直径を有するチューブ又はパイプ、例えば、金属パイプ又はプラスチックパイプを端部プレート702、704の開口に挿入し、端部プレート702、704の間を貫通させ、プレキャストパネル700内に垂直ダクト724を形成して、プレキャストパネル700を形成してもよい。チューブ又は補強筋は、各プレキャストパネル700への力の伝達を補助するために、波状の形状を有することが好ましい。
図8は、プレキャスト壁システム100を構成するために使用できる(パネルの内部又は前部の側718から見て)「左」のオープニングプレキャストパネル106の例示的な実施形態800の垂直断面図である。特に指摘する場合を除き、オープニングプレキャストパネル800は、内側プレキャストパネル700に対応する内部構造を有することができる。具体的には、オープニングプレキャストパネルは、上端プレート702と、下端プレート704と、端部プレート702、704の間に取り付けられた複数の垂直筋706と、垂直筋706を収容し、上端プレート702及び下端プレート704の間でパネル800の右側714、左側716及び、前側718及び後側720を画定するセメント状材料708とを有する。また、プレキャストパネル800は、複数の水平筋又は横向きの継ぎ部材(transverse ties)709を含むことができる。また、プレキャストパネル800は、垂直に隣接するプレキャストパネル102、104、106、108、110との垂直パネル間接続のために垂直補強筋728を収容する垂直ダクト724を含むように形成してもよい。
図8に示す具体例では、オープニングプレキャストパネル800は、パネル106の右側714に取り付けられたサイドプレート720d〜720fを有し、これによって、パネル106は、内側プレキャストパネル700について説明したように、隣接するプレキャストパネル102、104、108との水平パネル間接続を実現することができる。また、オープニングプレキャストパネル106は、図8に示すように、パネル106の左側716に取り付けられた1つ以上のリンク梁114a、114bを備える。各リンク梁116a、116bは、リンク梁114a、114bが相互接続される隣接するプレキャストパネル108、110に対して、各リンク梁114a、114bの上方及び/又は下方に、各通路又は開口802a、802b、802cを画定する。各リンク梁114a、114bは、各パネル106によって形成される通路又は開口802a、802b、802cが人間、配管、ダクト又は壁を通過する必要がある他の機械システムを受け入れることができるように、パネル106の側716に沿って間隔を空けて設けてもよい。後に詳細に説明するように、各リンク梁114a、114bは、プレキャスト壁システム100を用いて建設される建造物の各階層又はレベルの床スラブを支持するために使用してもよい。
なお、図1及び図6に示す「右の」オープニングプレキャストパネル108は、各オープニングパネル108の左側716に取り付けられたパネル108がサイドプレート720a〜720cを有し、及びパネル108の右側714に取り付けられた1つ以上のリンク梁116a、116bを有し、各リンク梁116a、116bがリンク梁116a、116bに相互接続される隣接するプレキャストパネル106、110に対して、各リンク梁114a、114bの上方及び/又は下方に、各通路又は開口802a、802b、802cを画定する点を除いて、オープニングプレキャストパネル106と同様の構造を有する。同様に、図1及び図6に示すように、「左右の」オープニングプレキャストパネル110は、パネル110がパネル110の右側714に取り付けられた1つ以上のリンク梁116a、116bと、パネル110の左側716に取り付けられた1つ以上のリンク梁114a、114bとを有する点を除いて、オープニングプレキャストパネル108と同様の構造を有する。説明を明瞭及び簡潔にするために、左のオープニングプレキャストパネル106(パネル800に対応する)のリンク梁114a、114bについての説明は、右のオープニングプレキャストパネル108及び左右のオープニングプレキャストパネル110のリンク梁116a、116bにも適用することができる。
図8に示すように、各リンク梁114a、114bは、左のオープニングプレキャストパネル800、108のセメント状材料708に収容された第1の端部804a、804bと、オープニングプレキャストパネル800の左側716から延びる第2の端部806a、806bとを有する。同様に、右のオープニングプレキャストパネル108(又は図9に示す902)の各リンク梁116a、116bは、各パネル108、902のセメント状材料708に収容された第1の端部804a、804bと、オープニングプレキャストパネル106の右側716から延びる第2の端部806a、806bとを有する。右のオープニングプレキャストパネル108(又はオープニングパネル110の右側714)は、左のオープニングプレキャストパネル106(又はオープニングパネル110の左側716)に隣接して配置することができ、これにより、図1及び図7に示すように、右のオープニングプレキャストパネル108(又はオープニングパネル110の右側714)のリンク梁116a、116bの第2の端部806a、806b及び左のオープニングプレキャストパネル106、800(又はオープニングパネル110の左側716)のリンク梁114a、114bの第2の端部806a、806bは、互いに近接し、実質的に軸が揃えられる。左のオープニングプレキャストパネル106、110のリンク梁114a、114bの第2の端部806a、806bは、例えば、ボルト止め又は溶接されたそれぞれの剪断接続プレート808a、808bを介して、右のオープニングプレキャストパネル108、110のリンク梁116a、116bの第2の端部806a、806bに連結又は接続できる。この具体例では、左のオープニングプレキャストパネル106、110の第1のリンク梁114a及び/又は114bが右のオープニングプレキャストパネル108、110の第2のリンク梁116a及び/又は116bに近接して配置されると、2つのリンク梁114、116のそれぞれは、左の(又は第1の)オープニングプレキャストパネル106、110の左側714(又は第1の側)と、右の(又は第2の)のオープニングプレキャストパネル108、110の右側716(又は第2の側)との間に間隙又は開口802a、802b、802cを画定する。
一具体例では、リンク梁114、116は、鋼又は他の高強度金属若しくは高強度材料から形成又は構成してもよい。他の実施例では、リンク梁114、116は、プレキャストパネルと同じセメント状材料708から形成してもよく、プレキャストパネル700と同様の手法で、垂直筋706及び/又は水平筋709を用いて補強してもよい。リンク梁114、116は、リンク梁114、116からプレキャストパネル106、108、110に力を伝達する十分な長さで梁114、116の第1の端部804a、804bを各オープニングプレキャストパネル106、108、110に埋め込み及び/又は据え付ける標準的なI形梁形状又は他の形状を有していてもよい。また、各リンク梁114、116は、パネルに埋め込まれているリンク梁114、116の一部から延び、プレキャストパネル700へのリンク梁114、116接続を効果的に補強し、リンク梁114、116からプレキャストパネル700への力の伝達を補助する1つ以上の剪断スタッド715を有していてもよい。
図8に示すように、開口820a、820bは、プレキャストパネル800に形成されるリンク梁114a、114aの1つ以上の垂直の桁腹内に形成してもよく、配管又は機械的デバイスの通路として機能する。リンク梁114a、114bの弱化を限定的にするために、各開口820a、820bは、円形に構成することが好ましい。図8に示す具体例では、上位のリンク梁114bは、開口820bの上部のリンク梁114bの桁腹に直交する位置に(例えば、溶接によって)取り付けられた第1の鋼板822を有する。上位のリンク梁114bは、更に、開口820bの下部のリンク梁114bの桁腹に直交する位置に第1の鋼板822に平行に(例えば、溶接によって)取り付けられた第2の鋼板824を有する。2個の平行な鋼板822、824は、開口820bを更に補強する。下位のリンク梁114aの桁腹に開設された開口820aのための更なる補強は、開口820aの直径に実質的に等しい外径を有し、開口820aの両側で、リンク梁114aの桁腹から外に突出する円形の鋼管826を含む。
図9は、プレキャスト壁システム100を構成するために使用することができる2つ以上の例示的なプレキャストパネル900、902の垂直断面図である。プレキャストパネル900、902は、それぞれ、各パネル間水平補強筋906を受け入れるように適応化された1つ以上の水平ダクト904を有し、プレキャストパネル900、902を互いに水平接続して、本発明に基づく代替例となる他のパネル間水平接続を実現する。図9では、2つのプレキャストパネル900、902は、オープニングプレキャストパネル106、108であるが、このパネル間水平接続は、内部プレキャストパネル、コーナプレキャストパネル又はオープニングプレキャストパネル102、104、106、108、110の如何なる組合せを水平に相互接続するために使用してもよい。図9に示す具体例では、プレキャストパネルのグループの各プレキャストパネル900、902(例えば、グループ112a、112b、112c)は、各パネル900、902の左側714から右側716までの幅に亘って延び、水平に隣接するプレキャストパネル902、900のダクト904と軸が揃えられているダクト904を有する。水平補強筋906(ロッド又は他の補強部材であってもよい)は、水平に隣接するプレキャストパネル900、902の軸が揃えられた各ダクト904内を貫通する。補強筋906は、複数の水平に並べられたプレキャストパネル900、902を介して連続的に延びているので、プレキャストパネルを用いて形成される建造物に水平的な連続性を提供する。補強筋906は、中強度又は高強度鋼、例えば、60ksi〜150ksiの強度を有する鋼を含み又はこれらから全体的に形成してもよい。水平補強筋906は、各補強筋906が貫通するプレキャストパネル900、902のグループの各端部に据え付けられる。図9に示す具体例では、各水平補強筋906は、水平補強筋906の少なくとも1つの端部に取り付けられた補強筋アンカ910を有することができる。補強筋アンカ910は、各補強筋906が貫通するパネル900、902のダクト906内で、少なくとも1つの方向における水平補強筋906の移動を抑制するように適応化された形状を有する。一具体例では、補強筋アンカ910は、補強筋アンカ910が係合するように適応化されたプレキャストパネル900、902の側714、716を超えて補強筋906が移動してしまうことを防ぐために、水平補強筋906より大きな幅を有する。補強筋アンカ910は、例えば、各水平補強筋906の螺子が切られた端部908に固定される高強度ナットであってもよい。一具体例では、プレキャストパネル900、902の端部とナットとの間に座金として機能するプレートを挟み、各パネルの側714、716を超える水平補強筋906の移動を更に抑制するようにしてもよい。
各水平補強筋906が貫通するプレキャストパネル900、902のグループの各端部に水平筋906が据え付けられる場合、各補強筋906が貫通されるダクト904には、グラウトを注入する必要はない。水平に隣接するパネル900、902のグループを貫通する水平補強筋906の数(及びサイズ)及び水平筋906のポストテンショニングのレベルは、パネル900、902間の摩擦によって水平接続の平面における剪断力を伝達することができるパネル900、902に対する所定の水平圧縮(クランピング)応力に基づいて導出される。水平補強筋906は、それぞれ、ロッド又は他の補強部材であってもよい。具体的には、水平補強筋906に代えて、張力ケーブルを用いてもよい。張力ケーブルは、水平補強筋906について説明した具体例と同様に、プレキャストパネル900、902のグループの各端部に据え付けることができる。更に、補強筋728についてここに説明したように、張力ケーブル又は水平補強筋906をカプラを介して接合して、連続したパネル間の水平補強部材を形成してもよい。
図10は、プレキャスト壁システム100を構成するために使用することができる2つ以上の他の例示的な水平に隣接するプレキャストパネル1000、1002の垂直断面図である。プレキャストパネル1000、1002は、それぞれ、側714、716と、各パネルの側に配置又は形成され、水平に各パネル1000、1002を他のプレキャストパネル1002、1000に係合又は整列させるための1つ以上の継目歯形(shear keys)1004、1006を有する。図10に示す具体例では、第1のパネル1000(例えば、オープニングプレキャストパネル108)は、第1のパネル1000の右側又は第1の側714に取り付けられた第1の継目歯形(又は継目歯形の組)1004を有する。第2のパネル1002(例えば、内側プレキャストパネル102)は、第1のパネル1000の右側又は第1の側714に対向する第2のパネル1002の左側又は第2の側716に配置又は形成された第2の継目歯形(又は継目歯形の組)1006を有する。第2の継目歯形又は継目歯形の組1006は、第1の継目歯形又は継目歯形の組1004と相補的に係合するように形成され、第1の継目歯形又は継目歯形の組1004が第2の継目歯形又は継目歯形の組1006に係合すると、第1のパネル1000の1個以上の水平ダクト904は、第2のパネル1002の1個以上の対応する水平ダクト904に軸方向に揃えられる。図10に示すパネル間水平接続のこの具体例では、係合する継目歯形1004、1006を用いて(圧縮クランピング応力による)摩擦と継目歯形1004、1006の組合せによって、プレキャストパネル1000、1002の間で垂直剪断力を伝達することができる。上述したように継目歯形1004、1006の係合によって、係合する継目歯形1004、1006がなく、水平補強筋906を用いて隣接するパネル900、902を接続する具体例と比べて、要求される水平ポストテンショニングの量が軽減されるという更なる利点が提供される。
図10では、2つのプレキャストパネル1000、1002をそれぞれオープニングプレキャストパネル108及び内側プレキャストパネル102として示しているが、係合する継目歯形1004、1006は、内部プレキャストパネル、コーナプレキャストパネル又はオープニングプレキャストパネル102、104、106、108の如何なる組合せの当接する2つの側714、716においても採用することができる。
図11は、本発明に基づくプレキャスト壁システム100を構成するために使用できる例示的なプレキャストパネル1100の水平断面図である。プレキャストパネル1100は、オープニングプレキャストパネル108に対応し、パネル1100内に長さ(L)だけ埋め込まれたリンク梁116を有する。なお、オープニングプレキャストパネル及び内側プレキャストパネル102について後述するように、プレキャストパネル1100は、パネル1100の前側718に埋め込まれたプレート1102も有し、梁−パネル接続608又は図19Aの床スラブ−パネル接続1904を実現する。図11に示すように、各プレート1102は、プレキャストパネル1100のセメント状材料708に埋め込まれた剪断スタッド1104を有し、これによって、各プレートは、プレキャストパネル1100と、埋め込まれたプレート1102を介してプレキャストパネル1100に接続される梁又は床スラブとの間で力を伝達することができる。なお、ここでは、埋め込まれたプレート1102を剪断プレート1102とも呼んでいるが、プレート1102は、各プレキャストパネル1100、102、104、106、108、110と、埋め込まれたプレート1102を介してプレキャストパネルが接続される梁又は床スラブとの間で剪断力に加えて他の力(例えば、圧縮、モーメント又は張力)を伝達することもできることは、当業者にとって明らかである。
プレキャストパネル1100は、水平筋709と、パネル1100の2つの端部プレート702、704の間に接続された垂直筋706と、プレキャストパネル1100を延びる垂直パネル間補強筋728とからなる第1の構成を有している。この第1の構成では、各水平筋709は、少なくとも2つ、好ましくは4つの垂直筋706、又は2つ、好ましくは4つの垂直パネル間補強筋728の組を横切り又はこれらに巻回される。
水平筋709の数、垂直筋706の数及び垂直パネル間補強筋728の数は、各プレキャストパネル1100、102、104、106、108、110上で予測される力及びモーメントに抗い及びこれらを伝達するために必要な所定の強度に基づいて決定される。上述のように、プレキャスト壁システム100は、高層建造物を構築するために使用できるので、プレキャストパネル1100(及び他の実施の形態のプレキャストパネル102、104、106 108、110)は、重力負荷(構造的自重及び負担荷重)等の強い軸方向力及び横荷重(例えば、風)を受ける。この理由で及び高層建造物のために必要なパネルの容積のために、垂直に隣接するプレキャスト壁パネル102、104、106、108、110は、個々の柱とみなすことができる。したがって、垂直方向の補強量(すなわち、垂直筋706の数及び垂直パネル間補強筋728の数)は、課される力及びモーメントに抵抗し、これを伝達するために必要な所定の強度に基づいて決定される。予測される軸及びモーメント負荷力のレベルが比較的小さいプレキャストパネル102、104、106、108、110の場合、要求される補強は、最小量であり、垂直筋706の数及び垂直パネル間補強筋728の数は、鉄筋コンクリート壁又は基礎のための適用可能な建築基準に基づいて決定される。したがって、垂直方向の補強量(すなわち、垂直筋706及び垂直パネル間補強筋728の組合せ)は、図11に示すように、プレキャストパネルの水平断面の約0.12%から8%としてもよい。
水平筋709は、垂直筋706を包み込み、これを支持するように設けることができる。また、水平筋709は、水平剪断力及び捻りモーメント(各パネルの縦軸の向きに働くモーメント)に抵抗する更なる強度をプレキャストパネル1100、102、104、106、108、110に提供する。鋼リンク梁が埋め込まれたプレキャストパネル1100、106、108、110(すなわち、オープニングプレキャストパネル)では、水平筋709を通過させるために、梁桁腹1108を介して小さな開口1106が形成される。
上述したように、各プレキャストパネル102、104、106、108、110のダクト726内で補強筋728を固定するために、垂直パネル間補強筋728が貫通する垂直ダクト726にグラウト又は他のセメント材料を注入してもよい。
図12は、本発明に基づくプレキャスト壁システム100を構成するために使用できる他の例示的なプレキャストパネル1200(例えば、内側プレキャストパネル102)の水平断面図である。プレキャストパネル1200は、プレキャストパネル1200内に垂直に配置され、パネルの2つの端部プレート702、704(図11では図示せず)の間でセメント状材料708内に収容され、プレキャストパネル1200に更なる強度を提供する支持部材又は柱1202を有する。支持部材1202は、垂直筋706、728とは異なる非円形の形状を有していてもよく、パネル1200内で垂直に延びる。図12に示す具体例では、支持部材1202は、I形状を有し、支持部材1202のI形状部分から横に延びる頭付き剪断スタッド1204を備える。図12には示していないが、支持部材又は柱1202の各端部は、プレキャストパネル1200の上端プレート及び下端プレート702、704に溶接又はボルト止めしてもよい。パネル1200に更なる強度を提供するために、支持部材又は柱1202は、鋼又は(例えば、36ksi〜65ksiの降伏強度を有する)他の高強度材料から形成又は構成してもよい。支持部材又は柱1202の非円形形状は、プレキャストパネル1200に更なる強度を提供する。したがって、支持部材又は柱1202は、プレキャストパネル1100に要求される同じ所定の強度を満たすためにプレキャストパネル1200において必要な垂直筋706の量を低減できる。よって、プレキャストパネル1200において支持部材又は柱1202を使用することは、パネルにおいて予測される軸応力が重大(例えば、実働応力が最大で6,000psi)であり、必要な縦鉄筋の量がかなり多い場合に、特に有用である。
鋼部材が収容された場所打ちコンクリート柱(すなわち、合成柱)について、垂直及び水平補強筋による補強の位置及び最小量が建築基準で定められている場合がある。プレキャストパネル1200の垂直筋706及び垂直補強筋728の組合せは、パネル1200の水平断面積の少なくとも0.4%を占める。(採用されている場合)支持部材1202は、好ましくは、パネル1200の水平断面積の少なくとも1%を占める。図12に示す具体例では、垂直補強筋728は、パネル1200の各コーナに配置され、垂直筋706は、プレキャストパネル1200の厚さ(T)の半分を超えない間隔で配置される。この具体例では、プレキャストパネル1200における垂直補強(グラウトが注入された補強筋728及び垂直筋706)の総面積は、パネル1200の断面積の少なくとも0.4%である。垂直筋706及び垂直パネル間補強筋728を収容し、横方向に支持する水平筋709を設けてもよい。
図13A及び13Bは、プレキャスト壁システム100の2つの例示的なプレキャストパネル1302、1304の間の垂直パネル間接続604の1つの具体例を示している。2つのプレキャストパネル1302、1304は、垂直に隣接する内側パネル102、コーナパネル104及びオープニングパネル106、108、110のあらゆる組合せを代表している。下位のプレキャストパネル1302は、上端プレート1306を有し、上端プレート1306は、上位のプレキャストパネル1304の下端プレート1308に揃えられ、取り付けられている。この具体例では、上端プレート1306及び下端プレート1308は、それぞれ、各垂直に隣接する上位のパネル1304及び下位のパネル1302の厚さ(TU又はTL)より大きい幅(Wplate)を有し、したがって、各端部プレート1306、1308は、各パネル1306、1308対して前側718及び後側720にリップ1312、1314を有する。垂直パネル間接続604のこの具体例では、下端プレート1306のリップ1312及び上端プレート1308のリップ1314は、端部プレート1306、1308のリップ1312、1314内の挿入孔を介して挿入された高力ボルト1310を用いて互いに固定されている。各ボルト1310の端部を対応するナット(図示せず)で固定することによって、端部プレート1306、1308を互いに更に固定してもよい。
図14A及び図14Bは、図14C、図14D及び図14Eに示すパネル1402、1404を垂直に相互接続する垂直パネル間接続の1つを使用できるプレキャスト壁システム100の2つの例示的なプレキャストパネル1402、1404の垂直断面図である。2つのプレキャストパネル1402、1404は、垂直に隣接する内側パネル102、コーナパネル104及びオープニングパネル106、108、110のあらゆる組合せを代表している。下位のプレキャストパネル1402は、上端プレート1406を有し、上端プレート1406は、図14C、図14D、図14Eに示す具体例の1つに基づいて、上位のプレキャストパネル1404の下端プレート1408に取り付けることができる。図14Cに示す具体例では、下位のプレキャストパネル1402の上端プレート1406は、上位のプレキャストパネル1404の下端プレート1408より長く、2つの端部プレート1406、1408の間に、2つの端部プレート1406、1408を互いに固定する高強度溶接接合部1412を支持する間隙1410を画定する。
図14Dに示す具体例では、下端プレート1408及び上端プレート1406は、同じサイズである。この具体例では、下端プレート1406と上端プレート1408の両方の上に部分的にラッププレート1414が配置され、2つの端部プレート1406、1408の間の接合部1416を少なくとも覆う。そして、ラッププレート1414は、下端プレート1406及び上端プレート1408の両方に溶接され、2つの端部プレートを互いに固定する。
図14Eに示す具体例では、下端プレート1408及び上端プレート1406は、同じサイズである。この具体例では、端部プレートの1つ(例えば、上位のプレキャストパネル1404の下端プレート1408)の一端1420に斜角が設けられ、2つの端部プレート1406、1408の間で溶接接合部1422が浸透し、2つの端部プレートを固定できるようにしている。
図15Aは、本発明の一側面に基づき、例示的なプレキャストパネル1500内に収容され、上端又は下端プレート1502に接続される垂直筋706の拡大図である。プレキャストパネル1500は、ここに説明するように、端部プレート702、704の間に取り付けられる垂直筋706を採用する内側プレキャストパネル102、コーナプレキャストパネル104又はオープニングプレキャストパネル106、108、110の各実施形態を代表している。図15Aに示すように、垂直筋706は、各端部プレート1502に溶接されるカプラ1506を介して、プレキャストパネル1500の端部プレート1502の内面1504に取り付けられる。カプラ1506は、垂直筋706の端部を受容するように適応化された一方の端部1508と、(溶接接合部1512を介して)端部プレート1502に溶接される他方の端部1510とを有する。一具体例では、垂直筋706は、1つ以上のボルト又は螺子1514を用いて、カプラ1506内で保持され、ボルト又は螺子1514は、ボルト又は螺子が垂直筋706に螺合するまで、カプラ1506の側の開口を介して螺入される。他の実施例では、カプラ1506の一方の端部1508に螺子を切り、垂直筋706の端部を受容し、保持するようにしてもよい。補強筋を採用して垂直筋706を実現する場合、カプラ1506は、標準のタイプI又はタイプII補強筋カプラ、例えば、Dayton Superior社から市販されているモデルD−250 Bar Lock Structural Steel Connectorであってもよい。
図15Bは、本発明に基づく例示的なプレキャストパネル1550内に収容された垂直筋706を固定するための他のカプラ及び溶接構成の拡大図である。この構成では、端部プレート1502に溶接されるカプラ1556の端部1510は、内側に傾斜が設けられ、溶接接合部1512を完全に浸透させ、カプラ1556を端部プレート1502に固定するようにしている。
図16は、本発明に基づいて垂直に接続された2つの例示的なプレキャストパネル1602、1604の垂直断面図を示している。2つのプレキャストパネル1602、1604は、垂直に隣接する内側パネル102、コーナパネル104及びオープニングパネル106、108、110のあらゆる組合せを代表している。図16に示すように、2つのプレキャストパネルのうちの上位のプレキャストパネル1604は、下位のプレキャストパネル1602より薄く形成してもよい。この具体例では、上位のプレキャストパネル1604の下端プレート704は、下位のプレキャストパネル1602の上端プレート702より(厚さ方向、又は前側718から後側720までの長さが)短くてもよく、これによって、2つの端部プレート702、704は、ラップ溶接接合部1606及び/又は端部プレート702、704の両方に溶接されたラッププレートによって溶接することができる。代替となる具体例では、各端部プレート702、704は、それぞれ、2つのパネル1602、1604の厚さ方向に長く形成され、これにより、各端部プレート702、704は、それぞれのリップを有し、例えば、図13に関して説明したように、このリップを介して、高強度ボルトを用いて、端部プレート702、704をボルト止めすることができる。
図16Bは、垂直に接続される本発明に基づく他の2つのプレキャストパネル1650、1652の垂直断面図である。2つのプレキャストパネル1650、1652は、垂直に隣接する内側パネル102、コーナパネル104及びオープニングパネル106、108、110のあらゆる組合せを代表している。図16Aのプレキャストパネル1602、1604と同様に、上位又はトップの2つのプレキャストパネルは、下位又はボトムのプレキャストパネル1650より薄く形成されている。この具体例では、各パネル1650、1652は、各補強筋セグメント728a、728bを受容するように適応化された1つ以上の垂直ダクト724を有し、各補強筋セグメント728a、728bは、補強筋間カプラ326を介して接続され、単一の連続的垂直補強筋728を構成し、2つのパネルを互いに垂直に接続する。下位のプレキャストパネル1650は、上位のプレキャストパネル1652より厚いので、下位のプレキャストパネル1650は、上位のプレキャストパネル1652より多くのダクト724を含むことができ、又は上位のプレキャストパネル1652内の対応するダクトに揃っていない1つ以上のダクト(例えば、図16Bのダクト724x)を有することができる。この具体例では、下位のプレキャストパネル1650内の更なるダクト724xは、ダクト724xの一端に補強筋アンカ1654を有し、下位のプレキャストパネル1650から延びる垂直補強筋セグメント728bを、パネル1650の下の層(例えば、112a)において垂直に隣接するプレキャストパネル又は基礎壁(図16Bには図示せず)に据え付けることができる。同様に、パネル1650の下のパネル又は基礎壁に、上位のプレキャストパネル1652内のダクト724yに軸が揃うダクト724がない場合、下位のプレキャストパネル1650は、上位のプレキャストパネル1652のダクト724yに軸が揃えられ、パネル1650の下端プレート704を介して延びないダクト724zを有する。この具体例では、ダクト724zは、下位のプレキャストパネル1650の下端プレート704に近いダクト724zの片端において、補強筋アンカ1656を有することができる。
図16C〜図16Eは、本発明に基づいて垂直及び水平に接続される4個のプレキャスト内側パネル1660、1662、1664、1666を示している。4個のプレキャストパネルのうちの上位の2つのプレキャストパネル1660、1662は、下位の2つのプレキャストパネル1664、1666より薄い。この具体例では、各パネル1660、1662、1664、1666は、ここに説明するプレキャストパネル2300に対応する複数の形材(例えば、直角鋼)2302a〜2302dを有する。各形材2302a〜2302dは、プレキャストパネル1660、1662、1664、1666の頂部コーナと底部コーナとの間で、各プレキャストパネル1660、1662、1664、1666のコーナエッジに沿って延びるように配置され、これにより、各形材2302a〜2302dは、(例えば、高強度溶接によって)各プレキャストパネル(例えば、1660)を他の水平に隣接するプレキャストパネル(例えば、1662)及び/又は他の垂直に隣接するプレキャストパネル(例えば、1666)に接続するように構成されている。
下位のプレキャストパネル1664、1666は、上位のプレキャストパネル1660、1662より厚いので、上位のプレキャストパネル1660、1662の前側エッジにある形材2302a、2302bは、下位のプレキャストパネル1664、1666の前側エッジにある形材2302a、2302bと揃わない。この具体例では、垂直パネル間接続604を形成するために、パネルシステムは、下位及び上位のプレキャストパネルの厚さの差(Δt)(例えば、図16Cのパネル1662、1664の前側から後側の差分)に等しい幅を有する1つ以上の伝達部材(transfer members)1670を有する。各伝達部材1670は、中実の鋼棒であってもよく、中空の角形鋼管であってもよく、又は降伏強度が36ksi〜65ksiの他の伝達部材であってもよい。各伝達部材1670は、(例えば、溶接によって)上位のプレキャストパネル1660、1662の垂直な形材2302a、2302b及び上位のプレキャストパネル1660、1662から広がる下端プレート704の一部又はリップ1672に固定される。下端プレートのリップ1672は、下位及び上位のプレキャストパネル1660、1662、1664、1666の厚さの差(Δt)に対応する幅を有する。各伝達部材1670は、各上位プレキャストパネルの成形の製造工程の間に各上位プレキャストパネルに取り付けてもよい。この垂直パネル間接続604を実現するために、図16Cに示すように、接続プレート1772が(例えば、溶接によって)下位のプレキャストパネルのコーナエッジ形材2302a、2302bと、上位のプレキャストパネルの対応するコーナエッジの形材2302a、2302bに取り付けられた伝達部材1670とに亘って取り付けられる。各接続プレート1772は、鋼又は他の同等の高強度材料から形成してもよい。各上位のプレキャストパネル1660、1662と、各下位のプレキャストパネル1664、1666との間の垂直パネル間接続604を補強又は強化するために、各上位のプレキャストパネル1660、1662の下端プレート704は、垂直に隣接する下位のプレキャストパネル1666、1664の上端プレート702に部分溶込み溶接を用いて取り付けられる。伝達部材の位置において各上位のプレキャストパネルを更に補強するために、(剪断スタッドを有する)埋め込まれた水平プレート1774を上位のプレキャストパネル(例えば、図16Cのパネル1662)の側712、714に亘って埋め込み、垂直コーナ形材2302b、2302c(又は2302a、2302d)をパネルの反対側に接続する。
図17は、水平パネル間接続602に基づいて水平に接続された(図6に示すプレキャスト壁に示される)2つのプレキャストパネル106a、108aと、垂直パネル間接続604に基づいて垂直に接続された2つの他のプレキャストパネル106b、108bの分解図である。プレキャストパネルの少なくとも1つ(例えば、プレキャストパネル108a)の内面又は前側718は、パネル108aに直交して配置された梁に接続するための埋め込まれた梁セグメント1702と、特に図20及び図21を用いて後述するように、プレキャストパネル108aの内面718に対して斜めの角度で、(プレキャスト壁システム100のサポートフレーム120、122、124の)ブレース部材を接続するための埋め込まれたガセットプレート1704とを有する。また、各プレキャストパネル108a、106aは、例えば、各スラブ1706、1708を支持するための梁−パネル接続608を実現する1つ以上の埋め込まれたプレート1102を含む。
図17では、埋め込まれた梁セグメント1702及び埋め込まれたガセットプレート1704が左のオープニングプレキャストパネル108に含まれているように表現しているが、これらは、プレキャスト壁システム100のサポートフレーム120、122、124に相互接続するために、内側パネル102、コーナパネル104又は他のタイプのオープニングプレキャストパネル106、110においても同様に使用してもよい。更に、図17には、各埋め込まれたプレート1102がオープニングプレキャストパネル106、108に含まれているように示しているが、これらは、それぞれ、梁−パネル接続608を実現し、例えば、各スラブ1706、1708を支持するために、内側パネル102、コーナパネル104又は他のタイプのオープニングプレキャストパネル110においても同様に使用できる。
図18Aは、図17のプレキャストパネル(例えば、108a)の一部の垂直断面図であり、これを包括的にプレキャストパネル1800として符号を付している。図18Aは、本発明の一側面に基づく梁−パネル接続608の1つの具体例を示している。図18Aに示すように、プレキャストパネル1800は、(高強度溶接又は他の接合によって)プレキャストパネル1800の埋め込まれたプレート1102に取り付けられた剪断タブ1802を含み、剪断タブ1802は、プレキャストパネルの前側718に直交している。一具体例では、剪断タブ1802は、梁1804に固定又は溶接してもよい。他の具体例では、剪断タブ1802は、(高力ボルト1808によって)剪断タブ1802を梁1804の端部にボルト止めするための1つ以上のボルト孔1806を有することができる。
各パネル102、104、106、108、110の埋め込まれたプレート1102は、各プレキャストパネル102、104、106、108、110のセメント状材料708に埋め込まれている剪断プレート1102に取り付けられた剪断スタッド1104を有することができる。梁−パネル接続608の代替となる具体例では、プレキャストパネル1800の埋め込まれたプレート1102に梁1804を直接溶接してもよい。
一旦、梁−パネル接続608が形成されると、次に、梁1804及び水平に隣接する梁(図18Aには図示せず)に金属デッキ又は桁腹1810を配置することができる。そして、金属デッキ1810及び床受け梁1804上には、(例えば、コンクリート又は別のセメント状材料を用いて)床スラブ1812を形成してもよい。
プレキャストパネル1800に床スラブ1812を取り付けるために(すなわち、床スラブ−パネル接続の具体例を形成するために)、図18A及び図18Bに示すように、複数の水平筋1814を含むようにプレキャストパネル1800を予め成形してもよい。図18Bに示す具体例では、各水平筋1814は、各タイプI又はタイプIIカプラ1816の一端1818に取り付けられており、カプラ1816の他端1822には、ソケット1820が設けられている。図18Bに示すプレキャストパネル1800が予め成形又は形成される場合、カプラ1816は、所定の床スラブレベルに対して、パネル1800の横軸(側714から側716)に沿って配置され、プレキャストパネル1800のセメント状材料708内に収容される。プレキャストパネル1800が適所に設置されて建造物のプレキャスト壁システム100を形成する前又は後に、パネル1800の各カプラ1816のソケット1820に他の水平端部補強筋1824を挿入又は螺入してもよい。一旦、各水平筋1824が各カプラソケット1820に係合すると、金属デッキ又は桁腹1810及び水平筋1824上にコンクリート又は他のセメント状材料を注入し、床スラブ1812を形成し、床スラブ1812内に水平筋1824を収容し、床スラブ1812をパネル1800に接続してもよい。
図18Cに示す床スラブ−パネル接続の他の具体例では、プレキャストパネル1800の水平筋1814は、各カプラ1816に接続されない。これに代えて、各水平筋1814の一端1826は、プレキャストパネル1800のセメント状材料708内に収容され、他端1828は、パネル1800の横軸(例えば、側714から側716)に沿うトレンチ1830を介して延び、パネルの前側718から突出する。図18Cに示すように、トレンチ1830は、各水平筋1814の各端部1828がトレンチ1830内でパネル1800の右側714又は左側716に向かって曲がることができる十分な深さを有し、パネル1800の前側718から突出する各水平筋1814の曲がる前の部分は、トレンチ内に配置され又はパネルの右側又は左側714、716に延びる。プレキャストパネル1800が適所に設置され、建造物のプレキャスト壁システム100を構成した後は、各水平筋1814を曲げ戻し、又は真っ直ぐにして、形成される床スラブ1812の平面に対応する平面において、端部1828がパネル1800の前側718から突出するようにしてもよい。この具体例では、金属デッキ又は桁腹1810(又は床スラブの他の一時的又は恒久的な形式)及びトレンチ1830を超えて延びる水平筋1814の一部の上にコンクリート又は他のセメント状材料を注入し、床スラブ1812を形成し、トレンチ1830を超えて延びる水平筋1814の一部を床スラブ1812内に収容し、床スラブ1812をパネル1800に接続する。
図18Dは、床受け梁又は金属デッキ上に配置されない床スラブをプレキャストパネルに接続する他の具体例を示す本発明に基づくプレキャストパネル1800の他の実施形態の斜視図であり、図18Eは、その垂直断面図である。図18D及び図18Eに示す具体例では、パネル1800は、トレンチ1830の特徴を水平筋1814及びカプラ1816の特徴に組合せ、下位の床受け梁の支持なしで、床スラブ接続を形成する。この具体例では、パネル1800は、パネル1800に接続される各床スラブ1812のために、パネル1800の横軸(例えば、側714から側716)に延びるトレンチ1830a、1830bを有する。この具体例のプレキャストパネル1800は、各トレンチ1830a、1830bに沿って(図18D〜図18Eに示す2列で)パネル1800内に収容される複数の水平筋1814を含むように予め成形される。図18Eに示すように、各水平筋1814は、各タイプI又はタイプIIカプラ1816の一端1818に取り付けられており、カプラ1816の他端1822には、ソケット1820が設けられている。図18D及び図18Eに示すプレキャストパネル1800が予め成形又は形成される場合、カプラ1816は、各トレンチ1830a、1830bの底面と同一平面に配置される。プレキャストパネル1800が適所に設置されて建造物のプレキャスト壁システム100を形成する前又は後に、パネル1800の各カプラ1816のソケット1820に他の水平端部補強筋1824を挿入又は螺入してもよい。上述したように、一旦、各水平筋1824が各カプラソケット1820に係合すると、金属デッキ又は桁腹1810又は他の形式の支持部材上にコンクリート又は他のセメント状材料を注入し、各トレンチ1830a、1830b内に床スラブ1812を形成し、床スラブ1812をパネル1800に接続してもよい。各床スラブ1812は、補強筋又は他の補強用棒状部材1832によって形成してもよい。
図19Aは、床受け梁上に配置されないプレキャストパネル1900を床スラブ1902に接続する他の具体例を示す他の例示的なプレキャストパネル1900の一部の垂直断面図である。図19Bは、プレキャストパネル1900及び床スラブ1902とプレキャストパネル1900との間の床スラブ−パネル接続1904の斜視図である。プレキャストパネル1900は、内側パネル102、コーナパネル104及びオープニングパネル106、108、110を代表しており、床スラブを支持するために必要なものであってもよい。図19A及び図19Bに示すように、プレキャストパネル1900は、パネル1900の前側718に埋め込まれている1つ以上のプレート1102を有し、梁−パネル接続ではなく、各床スラブ−パネル接続を実現する。各埋め込まれたプレート1102は、プレキャストパネル1900内に延び、セメント状材料708に埋め込まれている1つ以上の剪断スタッド1104を有していてもよい。上述したように、プレキャストパネル1900(又は他のプレキャストパネル実施形態102、104、106、108、110)で使用されている各埋め込まれたプレート1102は、各パネルに加わる剪断力、並びに張力又は他の力を、埋め込まれたプレート1102を介して相互接続された他のプレキャストパネルに伝達するように適応化されている。
図19A及び図19Bに示す具体例では、各埋め込まれたプレート1102には、ブラケット又はL字状形材1906が取り付けられ、ブラケット又は形材1906によって画定される棚1907は、パネル1900の横軸(又は側714から側716)に平行に配置される。そして、金属デッキ又は桁腹1910は、パネル1900の棚1907と、プレキャストパネルの各グループ112a、112b、112cによって画定される建造物の階層のフロアを形成するために水平に相互接続されるプレキャストパネル102、104、106、108、110のグループ112a、112b、112cの他のパネル1900、1800に接続される棚1907又は梁1804との上に配置することができる。金属デッキ又は桁腹1910を介してブラケット又は形材1902に1つ以上の頭付き剪断スタッド1908を溶接又は他の手法で取り付け、各剪断スタッド1908がブラケット又は形材1906の棚1907から延び出るようにしてもよい。そして、金属デッキ1910及び金属デッキ1910を支持するブラケット又は形材1906の剪断スタッド1908上に(例えば、コンクリート又は別のセメント状材料を用いて)床スラブ1902を形成できる。
本発明に基づく他の実施形態においては、金属デッキ又は桁腹1910は、図19C及び図19Dに示すように、中実のコンクリート床スラブ1912に置き換えられる。この実施形態では、金属補強筋1914をプレキャストパネル1900に埋め込み、カプラ1918を介して中実のコンクリート床スラブ1912への埋め込まれた、螺子が切られた少なくとも1つの水平なタイバー1916に接続してもよい。
図20Aは、本発明に基づくプレキャスト壁システム100において、対向するプレキャストパネル102、104、106、108、110間でこれらを接続するために使用される例示的なサポートフレーム2000を示している。図20Bは、第1の層112aの第1のプレキャストパネルがプレキャスト壁システム100を構成するように組み立てられる前に、基礎50又は基礎壁60に取り付けられる際に、臨時ポスト2055a、2055bを使用して、サポートフレーム2000をサポートするサポートフレーム2000の一実施形態を示している。
図20A及び図20Bに示す具体例では、サポートフレーム2000は、プレキャスト壁システム100内で組み立てられる際、恒久的なコア床フレームとして用いられる。例示的なサポートフレーム2000は、対向するプレキャストパネル102、104、106、108、110を強化するために使用できるサポートフレーム112a、112b、112cの一実施形態を代表している。各サポートフレーム2000は、プレキャスト壁システム100内の垂直に相互接続されたプレキャストパネルの第1の対と、第1の対に対向して垂直に相互接続されたプレキャストパネルの第2の対との間に配置される。例えば、図6を参照して説明すると、プレキャスト壁システム100内で使用される垂直に相互接続されたプレキャストパネルの第1の対は、垂直に相互接続された内側パネル102a、102bの第1の対に対応でき、内側パネル102aは、水平に接続されたプレキャストパネル102、104、106、108、110の第1のグループ112aの1つであり、内側パネル102bは、水平に接続されたプレキャストパネル102、104、106、108、110の第2のグループ112bの1つである。この具体例では、垂直に相互接続されたプレキャストパネルの第2の対は、図1及び図6に示すように、プレキャスト壁システムの垂直に相互接続された内側パネル102a、102bの第1の対に対向して配置された垂直に相互接続されたオープニングパネル106a、106bの対であってもよい。なお、プレキャストパネル102a、102bの第1の対及びプレキャストパネル106a、106bの第2の対は、プレキャスト壁システム100のプレキャストパネル102、104、106、108、110の垂直な対の組合せ及び対向する垂直な対の組合せであってもよく、プレキャストパネルの垂直な対は、ここに説明するように、サポートフレーム2000への接続を有するように形成される。
図6、図17、図20A及び図20Bに示すように、各サポートフレーム2000は、1つ以上の横梁2002、2032、2034を含み、これらは組み立てられるプレキャストパネルの層の対向する壁に補強サポートを提供するとともに、プレキャスト壁システム100に導入されると、床フレームとして機能する。これらの図に示す具体例では、各プレキャスト壁パネル(例えば、パネル102b、106b)は、2つの横梁(例えば、2002、2034)に接続され、プレキャスト壁システム100及びこのプレキャスト壁システム100を用いて建設される建造物の2つの各レベル又はフロアの床フレームを実現する。なお、本発明の範囲から逸脱することなく、各プレキャスト壁パネル102b、106bは、1つの各横梁に接続されるように予め成形してもよい(例えば、単一階層のプレキャスト壁システム100及び建造物の1つのフロアに対応する床フレームを設けてもよい)。
図20A及び図20Bに示す具体例では、まず、横梁2032を架設又は導入し、これを対向する基礎壁60又はプレキャスト壁システム100の第1の層112aの先に組み立てられている対向するプレキャストパネル(例えば、図20A及び図20Bの下位のプレキャストパネル102a、106a)に接続してもよい。図20A及び図20Bでは、対向する下位のプレキャストパネル102a、106aへのサポートフレーム接続を示しているが、本発明に基づき、同じサポートフレーム接続を有する対向する基礎壁60を形成してもよい。このように、垂直に相互接続されたプレキャストパネル(例えば、102a及び102b、106a及び106b)の対向する対の対向する基礎壁60又はそれぞれの各下位の1つ(例えば、102a、106a)は、梁セグメント1702を有し、梁セグメント1702の第1の端部2018は、各パネル102b、106b(又は基礎壁60)のセメント状材料708に収容され、第2の端部2020は、各パネル102b、106b(又は基礎壁60)の内部又は前側718から延び出している。各対向する下位のプレキャストパネル102a、106a(又は対向する基礎壁60)の梁セグメント1702には、横梁2032が接続されている。図21に示すように、各プレキャストパネル102a、106bの端部セグメント1702は、桁腹添え継プレート(web splice plate)2022を介して横梁2032に取り付けてもよく、桁腹添え継プレート2022は、高強度溶接2024、高力ボルト2026、リベット、又は、これらの組合せによって、各端部セグメント1702及び横梁2032に固定してもよい。一具体例では、各端部セグメント1702の連結端部2020は、開口を画定する2つのフランジ2030a、2030bを有し、この開口を介して横梁2032の各端部を挿入できる。この具体例では、各フランジ2030a、2030bを横梁2032の各端部にボルト止め又は溶接し、梁セグメント1702と横梁2032との間の接続を更に補強してもよい。
更に、一具体例においては、図21に示すように、サポートフレーム2000に接続するための梁セグメント1702を有する各プレキャストパネル102a、102b、106a、106bは、各プレキャストパネルのセメント状材料708内の中心に垂直に収容された支持部材又は柱1202を更に有することができる。この具体例では、梁セグメント1702の埋め込まれた端部2018は、高強度溶接2028又はボルト(図21には図示せず)によって支持部材又は柱1202に取り付けてもよく、埋め込まれた梁セグメント1702を用いて形成される梁−パネル接続を更に強化してもよい。
図20Bに示すように、サポートフレーム2000は、1つ以上の横梁2002、2034の架設を支援するために使用される1つ以上の取り外し可能な臨時ポスト2055a、2055b又は仮工事を含むことができ、これは、各パネルを組み立てる際に、対向する上位のプレキャストパネル102b、106bの間に接続することができる。図20Cに示すように、各臨時ポスト2055a、2055bは、それぞれが頂部及び底部を有する2つの内側ポスト2056a、2056b、各内側ポスト2056a、2056bの頂部に取り外し可能に取り付けられた頂部クロス部材2057a、各内側ポスト2056a、2056bの底部に取り外し可能に取り付けられた底部クロス部材2057bを備えていてもよい。クロス部材2057a、2057bは、ボルト(図示せず)又は建設業界において標準的な他の取り外し可能なファスナによって、内側ポスト2056a、2056bに取り外し可能に取り付けることができる。一具体例では、内側ポスト2056a、2056b、頂部クロス部材2057a及び底部クロス部材2057bは、後述するように、各臨時ポスト2055a、2055bを介して、サポートフレーム2000のブレース部材2004、2012の通路のための空間2060aを画定する。また、各臨時ポスト2055a、2055bには、中間クロス部材2058aを取り外し可能に取り付けてもよく、中間クロス部材2058aは、梁2034の下の高度において、内側ポスト2056a、2056bの間又は(又は外側)に配置され、中間クロス部材2058は、梁2034(例えば、梁セグメント2034a)の一部を位置決めし、一時的にサポートするために援用することができる。内側ポスト2056a、2056b、頂部クロス部材2057a及び中間クロス部材2058は、梁2034の一部(例えば、梁セグメント2034a)が通過するための上側の空間2060bを画定する。図20Cに示すように、各臨時ポスト2055a、2055bが中間クロス部材2058を含むこの具体例では、内側ポスト2056a、2056b、底部クロス部材2057b及び中間クロス部材2058は、各臨時ポスト2055a、2055bを介するサポートフレーム2000のブレース部材2004、2012の通路のための下位の空間2060aを画定する。
図20B及び図20Cに示すように、臨時ポスト2055aの1つは、梁2032の一端に架設及び位置決めしてもよい。そして、他方の臨時ポスト2055bは、梁2032の他端に架設してもよい。各臨時ポスト2055a、2055bは、下位のプレキャストパネル102a、106aの間に相互接続された梁2032上で、各臨時ポスト2055a、2055bの内側ポスト2056a、2056bの間の開口又は空間2060a、2060bが、後述するように、上位のプレキャストパネル102b、106bの間に相互接続される梁2032及び梁2034に軸方向に整列されるように配向される。一旦、臨時ポスト2055a、2055bが梁2032上で配向されると、臨時ポスト2055a、2055b上で梁2002を架設及び支持できる。
サポートフレーム2000、特に、対向する上位のプレキャストパネル102b、106bの間に接続される横梁2002、2034に更なる支持及び強化を提供するために、サポートフレーム2000は、1つ以上の斜めブレース部材2004、2012を有していてもよい。この具体例では、各下位のプレキャストパネル102a、106a(又は対向する基礎壁60)は、各下位プレキャストパネル(又は基礎壁60)の内部又は前側718から延びるガセットプレート1704を有する。各ブレース部材2004、2012の下位の端部は、各臨時ポスト2055a、2055bの内側ポスト2056a、2056bの間の空間2060aに挿入され、更に、下位のプレキャストパネル102a、106a(又は対向する基礎壁60)の各1つのガセットプレート1704に接続される。各ブレース部材2004、2012の上端は、ガセットプレート2008に接続され、ガセットプレート2008は、図20A及び図20Bに示すように、横梁2002に取り付けられ、横梁2002から延び出している。各下位のプレキャストパネル102a、106aのガセットプレート1704は、各下位プレキャストパネル102a、106aの梁セグメント1702によって支持され、又はこの上に載置され(及び溶接され)、斜めブレース部材2004、2012に接続する。
図20A及び図20Bに示す具体例では、梁2034は、梁セクション2034a、2034b、2034cを含み、これらは、スプライシングプレート2038、2040を介して相互接続され、斜めブレース部材2004、2012は、梁2034を斜めに通過する。第1の梁セクション2034aは、臨時ポスト2055aの内側ポスト2056a、2056bの間の空間2060bに挿入でき、同じ臨時ポスト2055aの中間クロス部材2058上で支持される。同様に、第3の梁セクション2034cは、臨時ポスト2055bの内側ポスト2056a、2056bの間の空間2060bに挿入でき、同じ臨時ポスト2055bの中間クロス部材2058上で支持される。一具体例では、第2の梁セクション2034bを第1の梁セクション2034aに接続するために、第1の梁セクション2034aと第2の梁セクション2034bの対向する端部の間にスプライシングプレート2038を取り付け、ブレース部材2004が第1及び第2の梁セクション2034a、2034bの間を通過できるようにしてもよい。同様に、第2の梁セクション2034bを第3の梁セクション2034cに接続するために、第2の梁セクション2034bと第3の梁セクション2034cの対向する端部の間にスプライシングプレート2040を取り付け、ブレース部材2012が第2及び第3の梁セクション2034b、2034cの間を通過できるようにしてもよい。図20A及び図20Bに示す具体例では、各スプライシングプレート2038、2040は、梁セクション2034a、2034b、2034b、2034cの端部の桁腹部分に取り付けられ、ブレース部材2004、2012(少なくともブレース部材2004、2012が取り付けられるガセットプレート1704の幅だけ梁2034の中心又は桁軸からオフセットしている。)は、各スプライシングプレート2038、2040の側に沿って通過する。スプライシングプレート2038、2040は、中強度又は高強度のボルト及び/又は溶接(図20A、図20Bには図示せず)によって、各梁セクション2034a、2034b、2034cに取り付けてもよい。
横梁2034上で床スラブを支持し、横梁2034のスパンを効果的に削減するために、サポートフレーム2000は、図20Aに示すように、(例えば、溶接又はボルトによって)横梁2034と下位の横梁2032との間に接続される柱2036を備えていてもよい。また、梁セクション2034cの組立を補助するために、任意の柱2036を用いてもよい。
図20Dは、本発明に基づくプレキャスト壁システム100において、対向するプレキャストパネル(102a、102b、106a、106b)の間に配設され、これらを接続するために使用できる他の例示的なサポートフレーム2050を示している。後述するもの以外に、サポートフレーム2050は、サポートフレーム2000に関連して構築されるコンポーネントを有する(例えば、横梁2002、2032、2034及びブレース部材2004、2012)。なお、図20Dに示す具体例では、横梁2002、2032の間に延びる臨時ポスト2055に代えて、サポートフレーム2050は、対向する上位のプレキャストパネル102b、106bの間で接続される横梁2032と次に上位の横梁2034の間に取り付けられた1つ以上の取り外し可能な又は臨時ポスト2054a、2054bを有する。この具体例では、斜めブレース部材2004、2012は、それぞれ、ブレース部材セクション2004a、2004b、2012a、2012bを有する。各ブレース部材2004a、2012aの下位の端部は、下位のプレキャストパネル102a、106a(又は対向する基礎壁60)のそれぞれのガセットプレート1704に接続されている。各ブレース部材2004a、2012aの上端は、図20Dに示すように、横梁2034に取り付けられ、ここから延び出す他の各ガセット2005a、2005bに接続されている。
臨時ポスト2054a、2054b及び/又はブレース部材2004a、2012aを用いて横梁2034を下位の横梁2032で支えた後、図20Dに示すように、組み立てられる対向する上位のプレキャストパネル102b、106bの間で接続される横梁2034と次の上位の横梁2002との間に1つ以上の臨時ポスト2052a、2052bを取り付けてもよい。サポートフレーム2050(特に、対向する上位のプレキャストパネル102b、106bの間で接続される横梁2002)に更なる支持及び強化を提供するために、各ブレース部材2004b、2012bの下位の端部は、図20Dに示すように、横梁2034に取り付けられ、ここから延びる各ガセットプレート2005c、2005dに接続されている。各ブレース部材2004b、2012bの上端は、横梁2002取り付けられたガセットプレート2008を介して、その中心部分で横梁2002に接続される。
図1及び図5に示すように、プレキャスト壁システム100の第1の層又は現在の層の対向するプレキャストパネルの各対に亘って、並列的に(フレーム2000、2050に対応する)複数のサポートフレーム120、122、124を組立及び構成することができる。サポートフレーム120、122、124は、相互接続部材を有していてもよい(図1及び図5では、符号を付していない)。一旦、各サポートフレーム120、122、124の部材が組み立てられ、垂直に調整され、ボトル止めされると、次の層のプレキャストパネル102b、106bの対向する対を組み立てて、各サポートフレーム120、122、124に接続することができる。
図20A及び図20Dに示す具体例では、各サポートフレーム2000、2050の横梁2034は、プレキャストパネル102a、102bの第1の対の上位のパネル102bの内側又は前側718に埋め込まれている剪断プレート1102と、プレキャストパネル106a、106bの第2の対の上位のパネル106bの内側又は前側718に埋め込まれている剪断プレート1102とに接続される。横梁2034を各プレキャストパネル102b、106bに接続するために使用できる梁−パネル接続608は、図18Aを参照して説明した梁−パネル接続に対応できる。具体的には、図18Aに示すように、剪断タブ1802がプレキャストパネル102b、106bの前側718に直交するように、プレキャストパネル102b、106bの埋め込まれた剪断プレート1102に(高強度溶接又は他の接合によって)剪断タブ1802を取り付けることができる。剪断タブ1802は、梁2034に固定又は溶接してもよい。他の具体例では、剪断タブ1802は、1つ以上のボルト孔1806を有し、(高力ボルトによって)剪断タブ1802を横梁2034の端部にボルト止めしてもよい。
各サポートフレーム2000、2050の横梁2002は、(例えば、横梁2032について説明した具体例と同様の手法で)プレキャストパネル102a、102bの第1の対の上側102bに埋め込まれた梁セグメント1702と、プレキャストパネル106a、106bの第2の対の上側106bに埋め込まれた梁セグメント1702とに接続されている。
一旦、プレキャスト壁システム100の現在の層(例えば、グループ112b)のプレキャストパネル(例えば、図20B又は図20Dのパネル102b、106b)が各下位のパネル(例えば、グループ112aのパネル102a、106a)に垂直に接続され、同じ層(例えば、グループ112b)で各隣接するパネルに水平に接続されると、サポートフレーム2000の臨時ポスト2055a、2055b及びサポートフレーム2050の臨時ポスト2052a、2052b、2054a、2054bは、図20Aに示すように、取り除くことができ、サポートフレーム120、122、124の次の層の架設のために使用することができる。柱2036は、支持構造2000、2050及び補強システム118の一部として、床フレームのための梁2034のスパンを支持するために残してもよい。また、横梁2032、2034(サポートフレーム2000内のスプライシングプレート2038、2040を含む)及び横梁2002も、コアフロアデッキ及びコンクリートスラブを支える補強システム118のための恒久的な枠材として残してもよい。
ここに説明したサポートフレーム2000、2050は、対向する下位のプレキャストパネル102a、106aに水平に相互接続されたパネルの第1のグループ112aと、下位のプレキャストパネル102a、106aに垂直に相互接続される対向する上位のプレキャストパネル102b、106bに相互接続されるように適所に設置されたパネルの第2のグループ112bとに対する補強サポートを提供する。
図1に示すように、(サポートフレーム2000、2050に対応して組み立てられる)各サポートフレーム120、122、124は、他の同様に形成されたサポートフレーム2000、2050に拡張又は垂直に相互接続され、建造物のためのプレキャスト壁システム100の構成又は組立が継続される。次の又は他のサポートフレーム2000、2050は、対向する上位のプレキャストパネル102b、106bと、プレキャストパネル102、106bに垂直に接続される次の対向する上位のプレキャストパネル(例えば、102c、106c)とを含むプレキャストパネルの対向する対を同様に支持する。
図22Aは、本発明に基づくプレキャスト壁システム100を構成するために使用できる他の2つの例示的なプレキャストパネル2200、2202の水平断面図である。図10に示すプレキャストパネル1000、1002と同様に、プレキャストパネル2200、2202は、それぞれ、側714、716と、各パネル2200、2202を他のプレキャストパネル2202、2200に水平に係合又は整列させるために各パネルの側に配置又は形成された1つ以上の継目歯形1004、1006とを有する。第2の継目歯形又は継目歯形の組1006は、第1の継目歯形又は継目歯形の組1004と相補的に係合するように形成され、第1の継目歯形又は継目歯形の組1004が第2の継目歯形又は継目歯形の組1006に係合すると、第1のパネル2200の1個以上の水平ダクト904は、第2のパネル2002の1個以上の対応する水平ダクト904に軸方向に揃えられる。水平パネル間接続602のこの具体例では、プレキャスト壁システム100は、各ダクト904内に配置された1つ以上のポストテンション型の水平補強筋2204を含み、各水平補強筋2204の各端部には、補強筋アンカ910が取り付けられている。(ポストテンション型の水平補強筋2204の圧縮クランピング応力による)摩擦と継目歯形1004、1006との組合せによって、2つのプレキャストパネル2200、2202の間で水平剪断力を伝達することができ、パネルは、例えば、爆風荷重に起因する、プレキャストパネル2200、2202によって画定される壁の平面に垂直な大きな水平剪断力に抵抗できる。更に、ポストテンション型の水平補強筋2204と継目歯形1004、1006の組合せによって、プレキャストパネル2200、2202は、2つのパネル2200、2202の間の継目歯形接合部2206を介する炎又は熱気の通過を防ぐことができる。
図22Bは、本発明に基づくプレキャスト壁システム100を構成するために使用できる他の2つの例示的なプレキャストパネル2210、2212の水平断面図である。プレキャストパネル2210、2212(又はこれらのパネルから形成された壁)を耐火基準システムの一部として使用する場合、プレキャストパネル2210、2212の間の接合部(例えば、2214)は、耐火基準アセンブリ内又は耐火基準アセンブリ間に作成される耐炎性接合システム試験及び評価のためのASTM E1966規格に従って炎又は熱気の通過を防ぐ。図22Bに示すように、プレキャストパネル2210の1つは、隣接するパネル2212の側716に接続されるパネル2210の側714に、垂直に延びるポケット又は切込み2216を有する。隣接するパネル2212の側716は、平坦であってもよく、こちらにも垂直な切込み2216を設けてもよい。ここに説明する水平パネル間接続602に基づいて、2つのプレキャストパネルが側716と側714とで整列及び接続された後、切込み2216にグラウト2218を注入し、接合部2214の間に炎又は熱気が通過することを防ぐシールを作成する。他の実施例では、2つのプレキャストパネル2210、2212の間の接合部2214は、ASTM E1966等の適用可能な規格に基づいて耐炎性が試験及び評価された柔軟な不燃材、例えば、セラミックファイバブランケットを用いて、炎及び煙を密封する。
図23Aは、本発明に基づくプレキャスト壁システム100を構成するために使用できる他の例示的なプレキャストパネル2300の垂直断面の正面図である。図23Bは、プレキャストパネル2300の左側の側面図であり、図23Cは、同じプレキャストパネル2300の水平断面図である。図23A〜図23Cに示すように、プレキャストパネル2300は、中強度又は高強度金属(例えば、降伏強度が36ksi〜50ksiの鋼)を含み又は全体がこれらの材料から形成されている複数の形材2302a〜2302dを有する。図23A〜図23Cに示す具体例では、各形材2302a〜2302dは、プレキャストパネル2300のコーナエッジ2306a、2306b、2306c、2306dに沿って配置され、プレキャストパネル2300の頂部コーナ2308a、2308b、2308c、2308dと、底部コーナ2310a、2310b、2310c、2310dとの間に延び、各形材2302a〜2302dは、(例えば、高強度溶接によって)プレキャストパネル2300を、他の水平に隣接するプレキャストパネル2300及び/又は他の垂直に隣接するプレキャストパネル2300に接続するように適応化されている。代替となる具体例では、各形材2302a〜2302dは、パネル2300の各コーナエッジ2306a〜2306dに離間して設けられた2つ以上の形材セグメントを備えていてもよい。
図23Cに最もよく示されているように、各形材2302a〜2302dは、パネル2300の右側714又は左側716に沿って埋め込まれている第1の部分又は脚部2304aと、パネル2300の前側718又は後側720に沿って埋め込まれている第2の部分又は脚部2304bとを備える。各形材2302a〜2302dは、各形材の各脚部に取り付けられ(例えば、溶接され)、プレキャストパネル2300のセメント状材料708内に延びる1つ以上の剪断スタッド1104を有することができ、これによって、各形材によるプレキャストパネル2300間の力の伝達がより効果的になる。更に、鉛直力の伝達を更に補助するために、各形材2302a〜2302dの各端部(又は形材セグメントの片端)における脚部2304a、2304bを、(例えば、高強度溶接によって)パネル2300の端部プレート702、704に取り付けてもよい。この具体例では、各形材2302a〜2302dの各端部における各脚部2304a、2304bは、パネル2300において、各形材2302a〜2302dの脚部2304a、2304bと同じ側714、716、718、720に埋め込まれている強化プレート2312、2314を介して、各端部プレート702、704に接続してもよい。
また、プレキャストパネル2300は、1つ以上の水平サイドプレート2316を備えていてもよい。各水平サイドプレート2316は、プレキャストパネル2300の前側718又は後側720に埋め込まれており、1つの形材(例えば、2302a、2302d)の1つの脚部を他の形材(例えば、2302b、2302c)の1つの脚部に接続する。各水平サイドプレート2316は、プレキャストパネルのセメント状材料708に取り付けられ、この内部に延びる1つ以上の剪断スタッド1104を備えていてもよい。
図23では、プレキャストパネル2300をオープニングプレキャストパネル108として示しているが、形材2302a〜2302dは、ここに開示する内側パネル102、コーナパネル104及びオープニングパネル106、108、110の何れの実施形態において使用してもよい。更に、形材2302a〜2302dは、2つのプレキャストパネル2300、102、104、106、108、110の間で、水平パネル間接続602を実現するために、サイドプレート720a〜720fに代えて又はこれらに加えて使用してもよく、垂直パネル間接続604を実現するために、端部プレート702、704に代えて又はこれらに加えて使用してもよい。
例えば、図23に示すような第1のプレキャストパネル2300と、第1のプレキャストパネル2300と同様に形成され、形材2302a〜2302dを使用する第2のプレキャストパネル(例えば、図23には示されていない内側プレキャストパネル102)との間で水平パネル間接続602を実現するために、プレキャストパネル2300の右側714に埋め込まれている脚部を有する第1のプレキャストパネル2300の各形材(例えば、形材2302b、2302c)を、第2のプレキャストパネル102の左側716の対応する形材(例えば、形材2302a、2302d)に水平に揃えて取り付ける。2つのプレキャストパネルの水平に揃えられた形材の各対(例えば、第1のプレキャストパネル2300の形材2302bと第2の内部プレキャストパネル102の形材2302a)は、2つのパネルの前側718又は後側720に沿って垂直に延びる各接合部を画定し、これらを溶接して2つの形材を固定し、水平パネル間接続602を効果的に実現してもよい。
同様に、第1のプレキャストパネル2300と、第1のプレキャストパネル2300と同様に形成され、形材2302a〜2302dを使用する第2のプレキャストパネル(例えば、図23には図示されていない内側プレキャストパネル102)との間で垂直パネル間接続604を実現するために、第1のプレキャストパネル2300の各頂部コーナ2308a、2308b、2308c、2308dの近傍に配置された各形材2302a〜2302dは、第2のプレキャストパネル102の各底部コーナ2310a、2310b、2310c、2310dの近傍に配置された対応する形材2302a〜2302dに垂直に揃えられ、取り付けられる。この具体例では、端部プレート702、704なしで第1及び第2のパネルを形成してもよい。これに代えて、2つのプレキャストパネルの垂直に揃えられた形材の各対(例えば、第1のプレキャストパネル2300の形材2302aと第2の内部プレキャストパネル102の対応する形材2302a)が、2つのパネルの前側718又は後側720に沿って水平に延び、各パネルの各コーナで曲がって、2つのパネルについて右側714又は左側716に沿って続く各コーナ接合部を画定してもよい。このようなコーナ接合部のそれぞれを溶接し、垂直に揃えられた形材の各対を互いに固定して、垂直パネル間接続604を効果的に実現してもよい。
後に詳細に説明するように、プレキャストパネル2300の各形材2302a〜2302dを用いて、プレキャストパネル2300に一時的な吊り金具を取り付けてもよく、これによって、クレーン又は他の巻き上げリグによってプレキャストパネル2300を建造物内の位置に引き上げることができる。
図23A〜図23Cに示す具体例では、プレキャストパネル2300は、パネル2300の左側716にリンク梁114a、114bが取り付けられ、リンク梁114a、114bが相互接続される隣接するプレキャストパネルに対して、各リンク梁114a、114bの上及び/又は下に各通路又は開口を画定するオープニングプレキャストパネルとして示されている。この具体例に示すように、オープニングプレキャストパネル2300は、リンク梁114a、114bの上下のプレート2342a、2342bの間に垂直に配設され(溶接によって取り付けられた)支圧プレート(face bearing plate)2340を備えていてもよい。支圧プレート2340は、プレキャストパネル2300の側716と同一平面に配置され、リンク梁114a、114bを更にサポートし、リンク梁114a、114bから硬化したセメント状材料708(又はコンクリート)に伝えられる力に起因する硬化したセメント状材料708(又はコンクリート)のスポーリングを回避する。また、オープニングプレキャストパネル2300は、リンク梁114a、114bの各上位又は下位のプレート2342a、2342b上に配置され、これらに取り付けられた上位又は下位の水平形材又はプレート2344a、2344bを備えていてもよい。オープニングプレキャストパネル2300を形成する際、上位又は下位の水平形材又はプレート2344a、2344bは、水平形材又はプレート2344a、2344bが側716と平行にプレキャストパネル2300のセメント状材料708に埋め込まれるようにリンク梁114a、114bに対して配置され、これにより、パネル2300の長さに延びる構造的形材2302a、2302dを水平形材又はプレート2344a、2344bに取り付けることができる。プレキャストパネル2300の組立の間、水平形材又はプレート2344a、2344bを用いて、各リンク梁114a、114bをパネル2300の側に対して適所に固定することができる。プレキャストパネル2300の組立後、パネル2300で採用されている水平形材又はプレート2344a、2344bは、各リンク梁114a、114bの上下において、リンク梁114a、114bから硬化したセメント状材料708(又はコンクリート)に伝えられる力に起因する硬化したセメント状材料708(又はコンクリート)のスポーリングを回避することに役立つ。
図23D〜図23Fは、ラッププレート2350、2352、2354を用いて各パネルの隣接する金属形材2302を接続する水平及び垂直パネル間接続を介して他の隣接する内側プレキャストパネルに水平及び垂直に接続されるプレキャストパネル2300を示している。上述のように、2つの水平に隣接するプレキャストパネルの水平に揃えられた形材の各対(例えば、第1のプレキャストパネル2300の形材2302bと第2の内部プレキャストパネル102の形材2302a)は、2つのパネルの前側718又は後側720に沿って垂直に延びる各接合部を画定し、これらを溶接して2つの形材を固定し、水平パネル間接続602を効果的に実現してもよい。2のプレキャストパネル2300、102bの間のこの水平パネル間接続602を補強するために(又はパネル2300、102bの隣接する形材2302a、2302bの溶接に代わる手法として)、隣接する形材2302a、2302bに1つ以上のラッププレート2354を溶接して、パネル2300、102bを互いに水平に固定してもよい。
同様に、プレキャストパネル2300と、パネル2300に垂直に隣接する他のプレキャストパネル102aとの間の垂直パネル間接続604を補強するために、ラッププレート2350をパネル2300、102aの垂直に隣接する形材2302aに溶接してもよい。同様に、2つの垂直に隣接するパネル2300、102bの他の垂直に隣接する形材2302b、2302c、2302dのそれぞれにラッププレート2350を溶接して、2つのパネルの間の垂直パネル間接続604を形成又は補強してもよい。図23D〜図23Fに示す具体例では、ラッププレート2352を用いて、4つの隣接するプレキャストパネル(例えば、2300と、2300に垂直に上に揃えられる102aと、2300に垂直に上に斜めに隣接する102aと、2300に水平に隣接する102b)によって形成されるコーナに重ね、コーナを形成する4つのパネルのそれぞれの形材2302に(溶接によって)接続する。
図23Fに示すように、プレキャストパネル2300と、水平に隣接するプレキャスト内側パネル102bとの間の水平パネル間接続602は、水平に隣接するプレキャストパネル2300、102bの対向する側714、716に配置又は形成される垂直グラウト切込み2362、2364によって画定される垂直グラウト接合部2360によって補強できる。接合部2360がグラウトで満たされると、接合部2360は、パネル2300、102b間の水平パネル間接続602を補強し、接合部2360における炎又は熱気の通過が効果的に防止される。
図23G〜図23Iは、本発明に基づく垂直に接続される2つのプレキャスト内側パネル102a、102cを示している。この具体例は、2つのパネル102a、102bの間の垂直接続を除いて、図23D〜図23Fの具体例と同様である。
図23Gに示すように、前の実施形態の端部プレート702、704は、グラウト水平接合部2366に置き換えられている。グラウト水平接合部2366内のグラウト(又は他の高強度セメント材料)は、パネル102a、102cの間で、主に圧縮力を伝達する。(解析によって必要とされる)グラウト水平接合部2366のグラウト強度は、パネル102a、102cに使用されるコンクリート強度よりわずかに高い。パネルは、パネル102a上の垂直コーナ形材2303aと、パネル102c上の垂直コーナ形材2303bとを有する。形材2303a、2303bは、あらゆる垂直引張り力を伝達し、構造的完全性のための最小限の引張り強度要件を満たす。垂直形材2303a、2303bは、接続プレート2352及び垂直隅肉溶接を用いて接続されている。図23G〜図23Iに示すように、架設の間、プレキャストパネルのレベル合わせ及び位置決めのために、グラウト接合部内で鋼シム2367を使用することができる。
本発明に基づく一実施形態においては、パネル102a、102cは、図23G〜図23Iに示すように、水平コーナ形材2372a、2372bを含む。水平コーナ形材2372a、2372bは、水平隅肉溶接2370を用いてパネル102a、102cの水平コーナ形材2372a、2372bに溶接された接続プレート2368を用いて、パネル102a、102cの間で水平剪断力を伝達する。
本発明に基づく一実施形態においては、垂直補強筋706は、カプラ1506を介して水平コーナ形材2372に取り付けられる。カプラ1506は、以下に限定されるものではないが、補強筋構造用鋼コネクタ又は他のあらゆる適切な補強コネクタであってもよい。
図23J〜図23Lに示す他の実施形態では、形材2372a、2372bは、剪断スタッドを有する収容されたプレート2305a、2305bに置き換えられ、垂直補強筋706は、パネルの間に連続する補強筋なしで端部に留められる。この実施形態では、各パネルの引張り強度は、コーナ形材に割り当てられ、接続及び連続性の引張り強度は、垂直コーナ形材2302に溶接される接続プレート2352に割り当てられる。パネル102a、102cの間の水平剪断力の伝達は、水平隅肉溶接2370を用いてパネル102a、102cの水平収容プレート2305a、2305bに溶接された接続プレート2368によって達成される。
図24は、本発明に基づくプレキャスト壁システム100を組み立てるために使用できるプレキャストパネル組立補助プラットフォーム2400を示している。組立補助プラットフォーム2400は、梁部材2404a〜2404dの1つ以上の組2402a、2402b、2402cを含む。梁部材2404a〜2404dの各組2402a、2402b、2402cは、4つ以上の柱2406a〜2406dに接続され、各組2402a、2402b、2402cは、組立補助プラットフォーム2400の各フロアを画定する。柱2406a〜2606dは、基礎50、壁60又は水平に相互接続されたプレキャストパネル102、104、106、108、110下位の層(例えば、図1のグループ112a)の頂部コーナに対して組立補助プラットフォーム2400が配置されると、1つの壁2408a、2408bがコーナプレキャストパネル106を介して隣接する壁2408b、2408aに水平に接続される前に、各フロア又は組2402a、2402b、2402cの2つの梁部材(例えば、2404a、2404d)が、基礎50、壁60又はプレキャストパネルの下位の層(例えば、グループ112a)の上に組み立てられる次の層又はグループ(例えば、112a、112b、112c)の1つの壁2408a、2408bの各1つ以上のプレキャストパネル102、106、108、110を一時的に支えるようにそれぞれ配設されるように、十分な高さ(H)を有する。図24に示す具体例では、各柱2406a〜2406dは、組立補助プラットフォーム2400の各コーナに配置され、建造物のプレキャスト壁システム100を構成するために使用されるプレキャストパネルの下位の層又はグループ112a上に組み立てられる次の層又はグループ112bのプレキャストパネル102b1、102b2、102b3、102b4、102b5の高さと略々等しい高さを有する。この具体例では、各フロア又は組2402a、2402b、2402cの2つの梁部材2404a、2404dは、それぞれ、壁2408aを画定するプレキャストパネル102b1、102b2及び組み立てられる次の層又はプレキャストパネルのグループ112bの壁2408bを画定するプレキャストパネル102b3、102b4、102b5を支えるように配設され、これらのプレキャストパネル102b1、102b2、102b3、102b4、102b5は、壁2408a、2408bがコーナプレキャストパネル106bを介して水平に接続される前に、各隣接するプレキャストパネルに対して揃えられ、水平に相互接続される。このように、組立補助プラットフォーム2400によって、隣接する壁2408a、2408bを相互接続する前に、プレキャストパネルの1つの層の隣接する壁2408a、2408bを組み立てることができ、プレキャストパネルの2つの壁2408a、2408bを水平に相互接続するために用いられるプレキャストコーナパネル104の組立によって、2つの壁2408a、2408bの間のあらゆる整列誤差を制限又は修正することができる。
図24に示すように、1つ以上のプレキャストパネル102b1、102b2、102b3、102b4、102b5を支えるために配置される各梁部材2404a、2404dは、1つ以上の直角ブラケット2410a〜2410eを介して、強化プレキャストパネルに一時的に取り付けてもよい(なお、図24に示す組立補助プラットフォーム2400の他の特徴が不明瞭になることを回避するために、梁部材2404dに取り付けられる直角ブラケットは、図24には示していない)。直角ブラケット2410a〜2410eは、各梁部材2404a、2404d及び各プレキャストパネル102b1、102b2、102b3、102b4、102b5にボルト止めされた他のプレート2508に取り付けられた1つのプレート2506を有する後に更に説明する組立強化形材(erection stiffened angles)2504bであってもよい。
各柱2406a〜2406dの上側の端部2412は、組立補助プラットフォームを、基礎50、場所打ち壁60システム又は水平に相互接続されたプレキャストパネル102、104、106、108、110の下位の層(例えば、グループ112a、112b)の頂部コーナに対する位置に持ち上げるために、各柱2406a〜2406dにクレーン又は他の巻き上げリグを接続する取付点2414を含む。各柱2406a〜2406dの下位の端部2416は、各サポートブラケット2418a〜2418dに取り付けられている。組立補助プラットフォームを所定の位置に持ち上げる際、基礎50、場所打ち壁60又はプレキャストパネルの先に組み立てられた下位の層又はグループ(例えば、112a)の各プレキャストパネル(例えば、図24の102a3、102a5)の内面に、(例えば、図24には示していないボルト及びナットによって)2つのサポートブラケット2414c〜2414dが一時的に取り付けられる。更に、組立補助プラットフォームが所定の位置に持ち上げられる際、他の2つのサポートブラケット2414a〜2414bが基礎50、場所打ち壁60又はプレキャストパネル102、104、106、108、110の下位の層(例えば、112a、112b)の2つの対向する壁の間に接続される横梁2416に(例えば、図24に示していないボルトによって)一時的に取り付けられる。横梁2416は、ここに説明する補強システム118のサポートフレーム120、122、124、2000において採用される一次の横梁2032であってもよい。
梁部材2404a〜2404dの各組の上にプランク又はデッキ部材2420を配置して、建設中のプレキャスト壁システム100内で作業を行う建設作業員のための橋床を形成してもよい。建設作業員が行う組立補助プラットフォーム2400の橋床上の作業としては、以下に限定されるものではないが、(1)(例えば、垂直に隣接するプレキャストパネル102a1、102b2の端部プレート702、704の溶接又は端部プレート1306、1308のボルト止めによる)垂直パネル間接続604、(2)(例えば、水平に隣接するプレキャストパネル102a1、102b2のサイドプレート720又は形材2302の溶接による)水平パネル間接続602、(3)2つのオープニングパネル106、108、110の間のリンク梁接続606(4)(例えば、内側床スラブ1704、1706、1812を支持するための)梁−パネル接続608、(5)スラブ−パネル接続1904又は(6)プレキャスト壁システム100の内部の構造を構築するために必要な他の建設作業等がある。
また、図24に示すように、組立補助プラットフォーム2400は、プラットフォーム2400の一階を画定する梁部材の最も下位の組2402aの2つ以上の梁部材2404b、2404dによって支持されたモノレールシステム2422を備えていてもよい。モノレールシステム2422を用いて、基礎50、場所打ち壁60システム又は組立補助プラットフォーム2400の下のプレキャスト壁システム100の下位の層の1つ以上の床の金属デッキを支持するエレベータ分割梁(elevator divider beams)及び床受け梁を組み立てることができる。
組立補助プラットフォーム2400は、組み立てられるプレキャスト壁システム100の各コーナで使用してもよい。一旦、現在の又は最上層のプレキャスト壁システム100の各プレキャストパネルが組み立てられ、(例えば、上述した垂直パネル間接続604、水平パネル間接続602、リンク梁接続606によって)固定されると、巻き上げリグによって、各組立補助プラットフォーム2400を、各プラットフォーム2400がパネル102b1、102b2、102b3、102b4、102b5の一連の組立作業の間に支えたパネル102b1、102b2、102b3、102b4、102b5の頂部に持ち上げることができる。後に詳細に説明するように、組み立てるプレキャストパネルを支えるために各プラットフォーム2400を所定の位置に持ち上げ、プレキャストパネルを組み立て、強化プレキャストパネルのためのパネル間接続を実行し、強化プレキャストパネルに対して床受け梁及び床スラブ構造を形成するプロセスは、建造物を設計通りに建築するためにプレキャスト壁システム100の予定されている各層又はグループ112a、112b、112cが組み立てられるまで、何度も繰り返し行われる。プレキャスト壁システム100の組立が完了すると、組立補助プラットフォーム2400は、取り外され、道路に下ろされ、解体されて、現場から持ち去られる。
図25は、プレキャストパネル2502a、2502b(これらは、それぞれここに開示するプレキャストパネル102、104、106、108、110の全ての実施形態を代表している)の端部に一時的に取り付けることできる角ブラケット2500a〜2500dを示しており、角ブラケット2500a〜2500dは、プレキャスト壁システム100の施工過程において、上側のパネル2502b(例えば、プレキャストパネル112b、112cの上位の層又はグループを含む。)が下位のパネル2502a(例えば、プレキャストパネル112a、112bの下位の層又はグループを含む。)の上の位置に持ち上げられる際に、プレキャストパネル2502a、2502bを垂直に揃えるために役立つ。各角ブラケット2500a〜2500dは、第1のプレート2504と、第1のプレート2504に直角に取り付けられた(又は一体化された)第2のプレート2506とを含む。各角ブラケット2500a〜2500dは、各ブラケット2500a〜2500dの第1のプレート2504及び第2のプレート2506の両方に取り付けられ、ブラケットを更に強化する1つ以上の補強サイドプレート2508備えていてもよい。各角ブラケット2500a〜2500dの第2のプレート2506は、(例えば、ボルト2510を介して)各プレキャストパネル2502a、2502bの端部に取り付けられ、これにより、第1のプレート2504は、角ブラケット2500a、2500b、2500c、2506dの第2のプレート2506が取り付けられる各プレキャストパネル2502a、2502bの端部プレート702、704と同じ平面に揃えられる。上位のプレキャストパネル2502bの各角ブラケット2500a〜2500bの第1のプレート2504を、下位のプレキャストパネル2502aの対応する角ブラケット2500c〜2500dの第1のプレート2504に一時的に揃え、各第1のプレート内の穴2514を介して挿入され、各ナット(図25では図示せず)に螺入される各ボルト2512によって取り付けてもよい。プレキャストパネルの上端プレート702に揃えて取り付けられた各角ブラケット2500c、2500dの穴2514は、構築されるプレキャスト壁システム100内でプレキャストパネルを所定位置に持ち上げるための巻き上げリグの取付点として用いてもよい。
角ブラケット2500a〜2500dを使用することに代えて、図26A〜図26Dは、プレキャストパネル2602a、2602b、2602c(それぞれがここに説明するプレキャストパネル102、104、106、108、110のあらゆる実施形態を代表している。)に取り付けることができるリフティングラグ2600a〜2600dの一実施形態を示しており、これらは、プレキャストパネル(例えば、2602b)を持ち上げ、プレキャストパネル(例えば、2602b)を誘導して、プレキャスト壁システム100の施工過程において先に組み立てられている他の垂直に隣接するプレキャストパネル(例えば、2602a)と揃える際の補助となる。図26Dに最もよく示されているように、各リフティングラグ2600a〜2600dは、各プレキャストパネル2602a〜2602dの片端に取り外し可能に取り付けられるように構成された本体2604と、本体2604から(一体化されて)延び出している第1の端部2606と、各プレキャストパネルを持ち上げるための巻き上げリグ(例えば、クレーン)の取付点2608とを有する。また、各リフティングラグ2600a〜2600dは、第1の端部2606の反対方向に本体2604から(一体化されて)延び出す第2の端部2610を有し、第2の端部2610には、各プレキャストパネルを持ち上げるための巻き上げリグの他の取付点2612が設けられている。図26に示す具体例では、取付点2608、2612は、リフティングラグ2600a〜2600dの各端部2606、2610に開設された開口であり、巻き上げリグに接続するためのボルト又はケーブルを通すことができるように寸法決めされている。なお、例えば、リフティングラグ2600a〜2600dによってプレキャストパネル2602a、2602b、2602cを持ち上げるために巻き上げリグを接続できるリング又はクリップ等の他の取付点2608、2612を使用してもよい。
各リフティングラグ2600a〜2600dの第1の端部2606は、リフティングラグ2600a〜2600dの本体2604に対して屈曲又は湾曲していてもよく、これにより、リフティングラグ2600a〜2600dの本体2604がプレキャストパネル(例えば、2602b)に取り付けられる際、リフティングラグ2600a〜2600dの第1の端部2606は、垂直に隣接するプレキャストパネル(例えば、2602a、2602c)を効果的に捕捉し、及びリフティングラグ2600a〜2600dが取り付けられているパネル2602bに向かって誘導する。
一具体例では、リフティングラグ2600a〜2600dを各プレキャストパネル2602a、2602b、2602cに取り外し可能に取り付けるために、各リフティングラグ2600a〜2600dは、パネル2602a、2602b、2602cの片端710、712の近傍において、プレキャストパネルの前側718又は後側720に取り付けられ又は埋め込まれた各スタッド2616を受容する1つ以上の貫通孔2614を有する。各スタッド2616は、各リフティングラグ2600a〜2600dの本体2604の貫通孔2614から延び出すスタッド2616の端部に螺合又は取り付けられたナット又は他のタイプのアンカによって、各リフティングラグ2600a〜2600dに固定することができる。
各プレキャストパネル2602bは、上端710又は上端プレート704の近傍に離間して設けられた第1の複数のリフティングラグ2600a、2600b(「トップラグ2600a、2600b」)を有し、各リフティングラグ2600a、2600bの第1の端部2606は、上端710又は上端プレート702から離れるように湾曲している。図26A〜図26Dの具体例に示すように、2つのトップラグ2600a、2600bは、それぞれ、プレキャストパネル2602bの前側718の各形材2302a、2302bに取り付けられ、2つの更なるトップラグ2600a、2600b(図26A〜図26Dには示していない。)は、それぞれ、プレキャストパネル2602bの後側720の各形材2302c、2302d(図26A〜図26Dには示していない。)に取り付けられる。プレキャストパネル2602bの上端710又は上端プレート702に離間して設けられた4つのリフティングラグ2600a、2600bにより、4つのリフティングラグ2600a、2600bのそれぞれの第1の端部2606の取付点2608に接続した巻き上げリグを用いてプレキャストパネル2602bを実質的に傾けないで持ち上げることができ、これにより、プレキャストパネル2602bを、構築中のプレキャスト壁システム100のプレキャストパネルの下位の層(例えば、グループ112a)の1つとして先に組み立てられている下位のプレキャストパネル2602aの上に垂直に揃えて配設することができる。
また、各プレキャストパネル2602bは、下端712又は下端プレート704の近傍に離間して設けられた第2の複数のリフティングラグ2600c、2600d(「ボトムラグ2600c、2600d」)を有し、各リフティングラグ2600c、2600dの第1の端部2606は、下端712又は下端プレート704から離れるように湾曲して延びている。図26A〜26Dの具体例に示すように、2つのボトムラグ2600c、2600dは、それぞれ、プレキャストパネル2602bの前側718の各形材2302a、2302bに取り付けられ、2つの更なるボトムラグ2600c、2600d(図26A〜図26Dには示していない。)は、それぞれ、プレキャストパネル2602bの後側720の各形材2302c、2302d(図26A〜26Dには示していない。)に取り付けられる。上位のプレキャストパネル2602bを持ち上げ、下位のプレキャストパネル2602aに下ろす際、上位のプレキャストパネル2602bの下端712又は下端プレート704に離間して設けられた4つのボトムリフティングラグ2600c、2600dの第1の端部2608は、下位のプレキャストパネル2602aの上端710を効果的に捕捉し、上位のプレキャストパネル2602bを下位のプレキャストパネル2602aの上端710に誘導し、これにより、上位のプレキャストパネル2602bの下端712(又は下端プレート704)が、下位のプレキャストパネル2602aの上端710(又は上端プレート702)に実質的に揃えられる。
上述したように、下位のプレキャストパネル2602aは、下位のプレキャストパネル2602の上端710又は上端プレート704の近傍に離間して設けられた第1の複数のリフティングラグ2600a、2600bを有し、各リフティングラグ2600a、2606bの第1の端部2606は、下位のプレキャストパネル2602aの上端710又は上端プレート702から離れるように湾曲して延びている。この具体例では、上位のプレキャストパネル2602bを持ち上げ、下位のプレキャストパネル2602aに下ろす際、下位のプレキャストパネル2602aの上端710又は上端プレート702に離間して設けられた4つのトップリフティングラグ2600a、2600bの第1の端部2608は、上位のプレキャストパネル2602bの下端714を効果的に捕捉し、上位のプレキャストパネル2602bを下位のプレキャストパネル2602aの上端710に誘導し、これにより、上位のプレキャストパネル2602bの下端712(又は下端プレート704)が下位のプレキャストパネル2602aの上端710(又は上端プレート702)に実質的に揃えられる。
図26A及び図26Cに最もよく示されているように、上位のプレキャストパネル2602bの下端712が下位のプレキャストパネル2602aの上端710の上に実質的に揃えられて配設される際、下位のプレキャストパネル2602aの上端710又は上端プレート702の近傍に取り付けられた各トップラグ2600a、2600bは、上位のプレキャストパネル2602bの下端712又は下端プレート704の近傍に取り付けられた対応するボトムラグ2600c、2600dの1つに対して実質的に水平に揃えられて配置される。トップラグ2600a、2600bが対応するボトムラグ2600c、2600dと水平に揃えられると、下位のプレキャストパネル2602aに取り付けられているトップラグ2600aの第1の端部2606の貫通孔2614が上位のプレキャストパネル2602bに取り付けられているボトムラグ2600cの第2の端部2610の貫通孔2614と揃い、垂直に隣接するパネル2602a、2602bの2つの水平に揃えられたラグ2606、2610の揃えられた貫通孔2614を介して、ボルト2620又は他の取り外し可能ファスナを挿入でき、2つのパネルの間の整列を維持することができる。同様に、トップラグ2600a、2600bが対応するボトムラグ2600c、2600dに水平に揃えられると、上位のプレキャストパネル2602bに取り付けられているボトムラグ2600bの第1の端部2606の貫通孔2614がボトムプレキャストパネル2602aに取り付けられているトップラグ2600cの第2の端部2610の貫通孔2614と揃い、垂直に隣接するパネル2602a、2602bの2つの水平に揃えられたラグ2606、2610のこれらの揃えられた貫通孔2614に他のボルト2620又は他の取り外し可能ファスナを挿入して、2つのパネル2602a、2602bの間の整列を更に維持することができる。
一旦、上位のプレキャストパネル2602bが下位のプレキャストパネル2602a上に配設及び相互接続されると、上位のプレキャストパネル2602bの各トップラグ2600a、2600bの取付点2608から巻き上げリグを取り外し、プレキャスト壁システム100で次に配設されるプレキャストパネル2602cの各トップラグ2600a、2600bの取付点2608に接続することができる。
図27A〜図27Cは、本発明に基づくプレキャスト壁システム100を組み立てる例示的なプロセス2700を示すフローチャートである。以下のプロセス2700の説明を簡潔及び明瞭にするため、プロセス2700に基づくプレキャスト壁システム100の第1の層112aのプレキャストパネル102、104、106、108、110を組み立てる例示的なシーケンスを図28に示す。特に指定する場合を除き、プレキャスト壁システム構築又は組立プロセス2700は、建設作業員が1つ以上の巻き上げリグ(高層建造物構造に適するクレーン等)及び標準の建築工具(溶接器、手動又は伝導ソケットレンチ又は他の標準の工具等)を用いて実行できる。組み立てられるプレキャスト壁システム100において使用されるプレキャストパネル102、104、106、108、110は、ここに開示するプロセス2700の範囲から逸脱することなく、建造物の設計に応じて異なることができる。更に、プレキャスト壁システム100で使用されるプレキャストパネル102、104、106、108、110は、好ましくは、ここに詳細に開示する実施形態に基づいて、現場以外の場所で成形又は形成される。
まず、建設作業員は、標準の場所打ち技術を用いて、足場又は基礎50と、足場又は基礎50上に基礎壁60とを形成できる(図27Aのステップ2702)。代替となる具体例では、基礎壁60を省略し、ここに開示するように、足場又は基礎50の上に直接的にプレキャストパネル102、104、106、108、110の初期の層112aを構築してもよい。垂直補強筋728を用いてプレキャストパネルの第1の層112aの何れかを基礎50又は基礎壁60に垂直に接続する場合、基礎50又は壁60の上部(例えば、図3Bの312)(これは、場所打ち基礎50又は壁60に流し込まれるコンクリートから最後に形成される部分である。)は、キャッププレート314を含むように形成され、キャッププレート314は、プレキャストパネル102、104、106、108、110(図3Bのパネル310に基づいて予め成形される。)を垂直に接続するためのベースとして機能し、連続した補強筋728又は連結された補強筋セグメント728a、728bが挿入され、これを保持する垂直ダクト724を含む。場所打ち基礎50又は壁60の最後又は上部312は、1つ以上の支柱316を含むように形成してもよく、この支柱316にキャッププレート314を配置した後、コンクリートを流し込んで支柱316を収容し、上部312を形成する。支柱316の頂部にジャッキボルト320を有するプレート318を配置してもよい。基礎50又は壁60の上部312のためのコンクリートを注入する前に、シム又はジャッキボルト320を使用して、(各支持プレート318を介して各ボルト320を個別に締めることによって)基礎50又は壁60のキャッププレート314のレベルを調整してもよい。キャッププレート314に対するプレキャストパネル310の下端プレート704のレベルを決めるために、シム(例えば、図3Aの308)を用いてもよい。
次に、建設作業員は、巻き上げリグを用いてプレキャストパネルの第1の層112aのために(サポートフレーム2050に基づく)1つ以上のサポートフレーム120、122、124を導入する(ステップ2704)。(サポートフレーム2050に基づく)各サポートフレーム120、122、124は、例えば、図20A及び図20Bを用いて説明したように、プレキャストパネルの横梁を接続するための取り外し可能な又は臨時ポスト2052a、2052b、2054a、2054bを含むように予め構成してもよい。この具体例では、臨時ポスト2052a、2052b、2054a、2054bは、第1の層112aのプレキャストパネルが組み立てられてプレキャスト壁システム100を形成する前に、最初の横梁(すなわち、サポートフレーム2050の最も低い横梁)が基礎50又は壁60に取り付けられる際に、各サポートフレーム120、122、124を支持するために使用される。プロセス2700のこの段階では、図28に示すように、更なる梁2802a、2802bを導入し、サポートフレーム120、122、124の間に接続して、プレキャスト壁システム100の第1の層112aの構造的な枠組みを完成させてもよい。
次に、図24を参照して説明したように、巻き上げリグを用いて、基礎壁60の各頂部コーナに組立補助プラットフォーム2400を導入する(ステップ2706)。組み立てられるプレキャスト壁システム100の第1の層112aの他の側面を不明瞭にすることを回避するために、図28には示していないが、各組立補助プラットフォーム2400は、図24を参照して説明したように、2つの各壁を水平に接続するコーナプレキャストパネル104の導入の前に、2つの各壁(図28の2806及び2808、2808及び2810、2810及び2812、2812及び2806)上でプレキャストパネルを支えるように機能する。このように、組立補助プラットフォーム2400によって、プレキャストパネル102、104、106、108、110の現在の層112a、112b、112cの各壁2806、2808、2810、2812を、基礎50、壁60又はプレキャストパネルの下位の層(例えば、112a、112b)に対して組み立て、整列させ、垂直に調整した後に、プレキャストコーナパネル106を介して、現在の層112a、112b、112cのプレキャストパネル壁2806、2808、2810、2812を相互接続することができる。したがって、隣接するプレキャストパネル壁2806、2808、2810、2812の間の整列誤差は限定的となり、又は回避される。
図27Aに戻ると、次に、組み立てるプレキャストパネルが選択される(ステップ2708)。好適な選択シーケンスにおいては、組み立てのために選択される第1のプレキャストパネルは、先に組み立てられたサポートフレーム120、122、124に接続する必要があり、次に組み立てるプレキャストパネルは、第1のプレキャストパネルに対向して配置されるように設計され、各サポートフレーム120、122、124の他端に接続されるプレキャストパネルである。図28に示す具体例の組立順序では、プレキャストパネル1は、サポートフレーム120に接続する必要があるので、「1」の符号が付された内側プレキャストパネルが組み立てるべき第1のプレキャストパネルとして選択される。次に組み立てるために選択される次のプレキャストパネルは、図28において「2」の符号が付されたオープニングプレキャストパネルであり、これは、内側プレキャストパネル1に対向して配置され、同じサポートフレーム120に接続される。
次に、選択されたプレキャストパネルに巻き上げリグが接続される(ステップ2710)。一具体例では、プレキャスト壁システム100の各層112a、112b、112cにおいて組み立てられる各プレキャストパネル102、104、106、108、110は、(図25に示すような)プレキャストパネルの上端プレート702に揃えて取り付けられた角ブラケット2500c、2500dを有する。そして、各ブラケット2500c、2500dの貫通孔2514を巻き上げリグの取付点として用いて、プレキャスト壁システム100内の所定の位置に選択されたプレキャストパネルを持ち上げる。これに代えて、図26A〜図26Dに示すプレキャストパネル2602a、2602bに基づいて形成された各プレキャストパネルは、上端710又は上端プレート704の近傍に離間して設けられた第1の複数のリフティングラグ2600a、2600b(「トップラグ2600a、2600b」)を有していてもよく、各リフティングラグ2600a、2600bの第1の端部2606は、最上端710又は上端プレート702から離れるように湾曲して延びている。巻き上げリグは、トップラグ2600a、2600bの取付点2608に接続でき、選択されたパネルをプレキャスト壁システム100内の位置に持ち上げる。第2の複数のリフティングラグ2600c、2600d(「ボトムラグ2600c、2600d」)は、(図26Aのプレキャストパネル2602bに基づく)選択されたプレキャストパネルの下端712又は下端プレート704の近傍に離間して取り付けることができ、これにより、各ボトムリフティングラグ2600c、2600dの第1の端部2606は、基礎壁60(又は図26Aの2600a等の下位のプレキャストパネルの上端710)の外側のエッジを効果的に捕捉することができ、及び基礎壁60(又は下位のプレキャストパネル2602aの上端710)に向けて選択された(上位の)プレキャストパネルを誘導することができ、これにより、選択された又は上位のプレキャストパネル(図26Aの2600b)の下端712(又は下端プレート704)は、下位のプレキャストパネル(図26Aの2600a)の上端710(又は上端プレート702)と実質的に整列する。
ステップ2712において、プレキャストシステム100の設計が、選択されたプレキャストパネルの基礎50、壁60又は下位のプレキャストパネルへの垂直接続を完成するために垂直補強筋を必要としないと判定された場合、組立プロセスは、ステップ2726に進む。垂直補強筋が必要である場合、ステップ2714において、第1の垂直補強筋又はセグメント728aが基礎50又は基礎壁60又は下位のプレキャストパネルに存在していないかを判定し、基礎50、基礎壁60又は下位のパネルのダクトに第1の垂直補強筋セグメント728aを挿入する(ステップ2716)。そして、巻き上げリグによって、選択されたプレキャストパネルを基礎50又は基礎壁60(又は第1の層112aが組み立てられた後は、下位のプレキャストパネル)上の所定の距離以内(例えば、約18インチ)に下ろす(ステップ2718)。
垂直補強筋間カプラ326を使用して垂直補強筋セグメント728a、728bを接続して、連続した垂直補強筋728を形成し、第1の垂直補強筋セグメント728aが基礎又は下位のパネルに存在している場合、垂直補強筋間カプラ326が第1の垂直補強筋セグメント728aに取り付けられる(ステップ2720)。そして、第2の垂直補強筋セグメント728bが第1の垂直補強筋セグメント728aに揃えられた選択されたプレキャストパネルのダクト724に挿入される(ステップ2722)。ステップ2714において、パネルが巻き上げリグに接続され、所定の位置に下ろされる前に、選択されたプレキャストパネルのダクト724内に第2の垂直補強筋セグメント728bが先に導入されている場合は、ステップ2722を省略できる。そして、第2の垂直補強筋セグメント728bが垂直補強筋間カプラ326に取り付けられ(ステップ2724)、組み立てられるプレキャスト壁システム100の複数又は全ての層112a、112b、112cにおいて、垂直に隣接するプレキャストパネルのそれぞれを介して、連続した垂直補強筋728が順次的に形成される。選択されたプレキャストパネルが1つ以上のダクト724及び対応する垂直補強筋セグメント728bを有する場合、ステップ2720、2722、2724を繰り返し、選択されたプレキャストパネル内の各垂直筋セグメント728bを、基礎又は下位のパネルに存在する対応する垂直補強筋セグメント728aに揃えて接続する。
次に、選択されたプレキャストパネルを基礎50、壁60又は下位のプレキャストパネル上の最終位置に下ろす(ステップ2726)。ボトムラグ2600c、2600dが選択されたプレキャストパネルの下端712又は下端プレート704の近傍に離間して取り付けられる具体例では、各ボトムリフティングラグ2600c、2600dの第1の端部2606は、基礎壁60(又は図26Aの2600a等の下位のプレキャストパネルの上端710)の外側のエッジを効果的に捕捉することができ、及び基礎壁60(又は下位のプレキャストパネル2602aの上端710)に向けて選択された(上位の)プレキャストパネルを誘導することができ、これにより、選択された又は上位のプレキャストパネル(図26Aの2600b)の下端712(又は下端プレート704)は、下位のプレキャストパネル(図26Aの2600a)の上端710(又は上端プレート702)と実質的に整列する。なお、(必要に応じて)標準的な照準設備又は位置合わせツールを用いて、選択されたプレキャストパネルを基礎壁60又は下位のプレキャストパネルに対して更に整列、垂直調整及び水平調整してもよい(ステップ2728)。
次に、選択されたプレキャストパネルを組立補助プラットフォームの1つに接続する必要があるか否かを判定する(ステップ2728)。選択されたプレキャストパネルを組立補助プラットフォームに接続する必要がない場合、処理は、ステップ2732に進む。この他の場合、選択されたプレキャストパネルを組立補助プラットフォームの1つに一時的に取り付ける(ステップ2730)。上述したように、各組立補助プラットフォーム2400は、2つの各壁を水平に接続するコーナプレキャストパネル104の導入の前に、2つの各壁(図28の2806及び2808、2808及び2810、2810及び2812、2812及び2806)上でプレキャストパネルを支えるように機能する。例えば、コーナプレキャストパネル35が導入され、ここに開示した水平パネル間接続602の1つを用いて隣接するパネル6、33に水平に相互接続される前に、壁2810のプレキャストパネル4、6及び壁2808のプレキャストパネル31、33を1つの組立補助プラットフォーム2400によって支えてもよい。図24を参照して上述したように、選択されたプレキャストパネルは、1つ以上の直角ブラケット2410a〜2410eを介して、選択されたプレキャストパネルを支える組立補助プラットフォーム2400の梁部材2404a、2404dの1つに一時的に取り付けてもよい。直角ブラケット2410a〜2410eを締めすぎないことによって、ステップ2732において、基礎50、壁60又は下位のプレキャストパネルに対して選択されたプレキャストパネルを(必要に応じて)整列、垂直調整及び水平調整することができる。
選択されたプレキャストパネルが最終位置に下ろされ、必要に応じて整列、垂直調整及び水平調整されると、選択されたパネルと、基礎壁60又は下位のプレキャストパネルとの間の垂直パネル間接続604が完了する(ステップ2734)。例えば、選択されたプレキャストパネルがここに開示したプレキャストパネルに基づく端部プレートを有するように形成されている場合、選択されたプレキャストパネルの下端プレート302、704、1308、1408は、(例えば、溶接、ボルト止め又はクランピングによって)基礎壁60に埋め込まれているキャッププレート314又は先に組み立てられている下位のプレキャストパネルの上端プレート702、1306、1406に接続される。
垂直に隣接するプレキャストパネルの端部プレート間を接続することに代えて又はこれに加えて、プレキャストパネルが形材2302a〜2302dを含むように形成されている場合、上述したように、選択されたプレキャストパネルの形材2302a〜2302dを基礎50又は壁60のキャッププレート314又は下位のプレキャストパネルの対応する形材2302a〜2302dに溶接し又は取り付けてもよい。
更に、選択されたパネルの組立、垂直調整及び整列が完了すると、選択されたパネルのダクト724にグラウトを注入し、垂直補強筋セグメント728bを適所にロックする。これに代えて、現在の層の各プレキャストパネルのダクト724へのグラウトの注入は、ステップ2748の後に、現在の層の全てのプレキャストパネルの組立、垂直調整及び整列が完了した後に実行してもよい。グラウト注入は、パネルの2つの層が組み立てられた後にプレキャストパネルの最初の2つの層に関して実行してもよく、これによって、補強筋728aと補強筋728bとの間の整列が容易になる。
次に、選択されたプレキャストパネルをサポートフレームに接続する必要があるか否かを判定する(ステップ2736)。例えば、図28示す例示的な組立手順では、プレキャストパネル1、2は、サポートフレーム120に接続する必要があり、プレキャストパネル10、11は、サポートフレーム122に接続する必要があり、プレキャストパネル16、17は、サポートフレーム124に接続する必要がある。他のプレキャストパネル3、8、9、26、27は、プレキャスト壁システム100の補強システム118の一部として、構造的梁(例えば、床受け梁)をサポートフレーム120、122、128の1つに接続する間接的手法(例えば、梁−パネル接続)を必要とする。このようなプレキャストパネル3、8、9、26、27への接続は、ステップ2738において実行できる。
選択されたプレキャストパネルがサポートフレーム120、122、124への接続を必要としない場合、処理は、ステップ2740に進む。この他の場合、選択されたプレキャストパネルは、必要に応じて各サポートフレーム120、122、122に接続される(ステップ2738)。例えば、図20A〜図20Dに関して上述した、プレキャストパネル102bをサポートフレーム2000、2050に接続する手法に基づいて、各プレキャストパネル1、10、16を各サポートフレーム120、122、124の横梁2002、2034及びブレース部材2004に接続してもよい。同様に、各プレキャストパネル2、11、17は、上述したプレキャストパネル106bをサポートフレーム2000、2050に接続する手法に基づいて、各サポートフレーム120、122、124の横梁2002、2034及びブレース部材2004、2012に接続できる。プレキャストパネル3、8、9、26、27は、例えば、図18Aを参照して説明したような梁−パネル接続608の何れかを実現するように形成してもよい。
そして、選択されたプレキャストパネルが、選択されたプレキャストパネルに水平に隣接する先に組み立てられているプレキャストパネルとの間で水平パネル間接続を必要とするか否かを判定する(ステップ2740)。このような水平接続が不要な場合、処理は、ステップ2744に進む。この他の場合、選択されたパネルと、水平に隣接する各プレキャストパネルとの間の1つ以上の水平パネル間接続602が実行される(ステップ2742)。例えば、選択されたプレキャストパネル及び隣接するプレキャストパネルがパネル700、702に基づいて、埋め込まれたサイドプレート720を含むように形成されている場合、2つのプレキャストパネルの対応する揃えられたサイドプレートを溶接又はボルト止めすることによって水平パネル間接続608を実行できる。これに代えて又はこれに加えて、選択されたプレキャストパネル及び隣接するプレキャストパネルが、それぞれ図23及び図26に示すパネル2300、2602aに基づいて、パネルのエッジ2306a〜2306d上に埋め込まれた形材2302a〜2302dを含むように形成されている場合、選択されたプレキャストパネルと各隣接するプレキャストパネルの対応する整列された形材を溶接することによって水平パネル間接続608を実行できる。これに加えて又はこれに代えて、選択されたプレキャストパネル及び隣接するプレキャストパネルは、例えば、図9を参照して説明したように、水平補強筋906を収容する水平ダクト904を有するように形成してもよく、この場合、選択されたプレキャストパネル及び隣接するプレキャストパネルの軸方向に揃えられたダクト904内に水平補強筋906が挿入される。
一旦、選択されたプレキャストパネルが先に組み立てられている隣接するプレキャストパネルに水平に相互接続されると、ステップ2750において、プレキャスト壁システム100の現在の層112a、112b、112cの完成のために更なるプレキャストパネルが必要か否かが判定される(ステップ2744)。現在の層(例えば、図18の層112a)を完成するために、更なるプレキャストパネルが必要な場合、処理は、ステップ2708に進み、コーナプレキャストパネル104を含む各パネル(例えば、図28のパネル34、35、36、37)が水平に相互接続されて現在の層(例えば、112a)の組立が完了するまで処理が継続される。
現在の層の全てのプレキャストパネルが組み立てられ、水平に接続されると、サポートフレームにおいて使用されている各臨時ポスト2052a、2052b、2054a、2054bを取り外すことができる(ステップ2746)。一旦、各サポートフレーム120、122、124への接続を必要とするプレキャストパネルが本発明に基づく各サポートフレーム120、122、124に実際に接続されると、サポートフレーム120、122、124の一次の横梁2002、2032の1つに対して二次の横梁2034を安定させる臨時ポスト2052a、2052b、2054a、2054bは、不用になる。
同様に、一旦、現在の層の全てのプレキャストパネルが組み立てられ、水平に接続されると、直角ブラケット2410を介するパネルと組立補助プラットフォームとの間の接続を取り外すことができる(ステップ2748)。
ステップ2750において、プレキャスト壁システム100の構造を完成するために、プレキャストパネルの更なる層(例えば、112b、112c)を組み立てる必要があると判定された場合、プレキャストパネルの直前の層に対して、プレキャストパネルの次の層(例えば、112b、112c)のための各サポートフレーム120、122、124を導入する(ステップ2752)。例えば、図20Aに示すように、次の層112bのための支持部材2000のブレース部材2004、2012(又は支持部材2050のブレース部材2004a、2012a)が、下位のプレキャストパネルのガセットプレート1704(例えば、図20Aに示す下位のサポートフレーム2000又は図20Dの下位のサポートフレーム2050の横梁2002上に配置されるパネル102b、106bのガセットプレート)に接続された後、(例えば、パネル102b、106bに組み立てられる)次の層のプレキャストパネルが所定の位置に持ち上げられ、この次の層の支持部材2000、2050に接続される。
更に、プレキャストパネル壁の先に組み立てられた層の各頂部コーナに各組立補助プラットフォーム2400が持ち上げられ、(ステップ2754)、そして、処理は、ステップ2708に進む。図28に示す具体例では、各組立補助プラットフォーム2400は、図28のコーナプレキャストパネル34、35、36、37によって画定されるプレキャスト壁の層112aの各頂部コーナに持ち上げられる。図24を参照して説明したように、各組立補助プラットフォーム2400は、持ち上げられ、先に組み立てられている層112aの頂部コーナに支持される。
プレキャスト壁システム100の構造を完成するためにプレキャストパネルの更なる層(例えば、112b、112c)を組み立てる必要がない場合、プレキャスト壁システムから各組立補助プラットフォーム2400を取り外し、除去することができる(ステップ2756)。組立補助プラットフォーム2400は、分解され、保管され、又は他の現場に輸送されて、他の高層建造物のための他のプレキャスト壁システムにおいて使用される。
図29Aは、本発明に基づき、高層建造物のための心壁システム100を形成するために水平及び垂直に接続されるプレキャストパネル2900a〜h、2902a〜hの2つの層112b、112cを示している。図29Aに示す具体例では、最上層112cのプレキャストパネル2900a〜hは、プレキャストパネルの最上層112c上のフロアを担持するための軸力支持柱2910a、2910b、2910cを支持するように形成される。軸力支持柱2910a〜2910cを支持する個々のプレキャストパネル2900a、2900d、2900e、2900hには、軸力支持柱2910a〜2910cからの大きな力が直接的に伝えられるので、最上層112cにおける各パネルの間及び最上層112cのパネルと下位の層112bのパネルとの間では、より大きく堅牢なパネル間接続が採用されている。図29Aに示す具体例では、各連続した垂直ラッププレート2912を用いて、軸力支持柱2910bを支持する隣接するパネル2900d、2900e、並びに同じ層112c内の他の隣接するパネル(すなわち、隣接するパネル2900a及び2900b、2900b及び2900c、2900c及び2900d、2900e及び2900f、2900f及び2900g、2900g及び2900h)の間で、前側718に露出するコーナエッジ形材(例えば、形材2302a、2302b)を(それぞれ溶接によって)接続する。各連続した垂直ラッププレート2912は、好ましくは、軸力支持柱2910a〜2910cを支持するパネルの最上層112cにおいて隣接するパネルのコーナエッジ形材(例えば、形材2302a、2302b)の間に形成される接合部の長さを拡張する。一具体例では、各連続した垂直ラッププレート2912の下位の端部は、最上層112cにおける2つの各隣接するパネル(例えば、2900d、2900e)の間の接合部の長さを超えて延び、下位の層112bにおける2つの各隣接するパネル(例えば、2902d、2902e)のコーナエッジ形材(例えば、形材2302a、2302b)を部分的に覆い、(溶接によって)接続する。この具体例では、連続した垂直ラッププレート2912は、軸力支持柱2910a〜2910cを支持するように構成されたパネルの最上層112cにおいて水平に隣接するパネル間の水平パネル間接続602及び最上層112cのパネルと下位の層112bのパネルとの間の垂直パネル間接続604を更に補強する。
図29B〜図29Cは、最上層112cにおける例示的なコーナプレキャストパネル2900aを示しており、コーナプレキャストパネル2900aは、パネル2900a内に部分的に収容された柱部材2914と、パネルの頂部の上に延びて他の軸力支持柱2910aを支持する他方の端部とを備える。図29Bに示す具体例では、パネル2900aは、上端プレート702を有するように成形され、上端プレート702を介して柱部材2914が延び、ここに柱部材2914を溶接によって固定してもよい。プレキャストパネル2900aに収容される柱部材2914の一部は、柱部材2914の回りに取り付けられた剪断スタッド2916を有していてもよい。軸力支持柱2910aは、パネル2900aの頂部の上に延びる柱部材2914の片端に(溶接によって)取り付けてもよい。一具体例では、(鋼又は他の高強度材料から形成された)1つ以上の組立チャネル又はプレート2918を用いて、軸力支持柱2910aと柱部材2914との間を接続し、又はこの接続を補強して、力の伝達を可能にしてもよい。図29Bに示すように、各組立チャネル又はプレート2918は、軸力支持柱2910aと柱部材2914との間で形成される接合部に重なるように配置され、各柱2910a、2914に溶接又は他の手法で固定される。図29Cに示すように、柱部材2914は、I形梁であってもよい。なお、柱部材2914は、例えば、正方形又は長方形のポスト等他の形状を有していてもよい(但し、軸力支持柱2910a及び柱部材2914は、同様の形状を有することが好ましい)。
図29Dは、最上層112c内の2つのプレキャスト内側パネル2900d、2900eの1つの具体例の拡大正面図を2つの内側パネル2900d、2900eの隣り合う側面の断面図と共に示している。図29Eは、2つのプレキャスト内側パネル2900d、2900eの水平断面図である。各パネル2900d、2900eは、2つのパネル2900d、2900dの上及び間で軸力支持柱2910bを連携して支持する各パネルの側に埋め込まれている柱部材の対応する片半分2930a、2930bを有する。図29Eに示すように、各柱部材片半分2930a、2930bは、各柱部材片半分の桁腹(すなわち、2932a、2932b)がパネル2900d、2900eの前側に平行となるように配向されている。この具体例では、各柱部材片半分2930a、2930bは、柱部材片半分2930a、2930bの桁腹2932a、2932に取り付けられ、対応する柱部材片半分2930b、2930aを有する隣接するパネル2900e、2900dに対向するパネル2900d、2900eの一方の面を画定するプレート2934a、2934bを有するI形梁の半分に対応する。各柱部材片半分2930a、2930bは、各パネル2900d、2900eに収容され、柱部材片半分2930a、2930bの上端は、(図29Dに示すように)パネル2900d、2900eの上端プレート702に当接し、又はパネルの頂部の上に延び出している。そして、各柱部材片半分2930a、2930bの上端は、各パネル2900d、2900eの上端プレート702に固定又は溶接してもよい。そして、2つのパネル2900d、2900eが水平に、並列的に、隣接して配置されると、軸力支持柱2910bは、2つの柱部材片半分2930a、2930bによって画定される柱部材2930上の2つのパネル2900d、2900eの端部プレート702に直接支持され、ここに(溶接によって)取り付けてもよい。これに代えて、各柱部材片半分2930a、2930bを各パネル2900d、2900e内に収容し、柱部材片半分2930a、2930bの上端がパネルの頂部から上に延びるようにしてもよく、2つのパネル2900d、2900eが互いに、水平に、並列的に、隣接して配置されると、軸力支持柱2910bは、柱部材片半分2930a、2930bの上端に直接支持され、ここに(溶接によって)取り付けてもよい。上述したように、2つのプレキャストパネル2900d、2900eの間の水平接続を補強するために、垂直ラッププレート2912を用いて、隣接するパネル2900d、2900eの前側718に露出するコーナエッジ形材(例えば、形材2302a、2302b)を(各溶接によって)接続し、ラッププレート2912がパネル2900d、2900eの隣り合う側面の間に形成され、柱部材片半分2930a、2930bの対向するプレート2934a、2934bによって画定される接合部を実質的に覆うようにしてもよい。
図29Fに示す代替となる具体例では、軸力支持柱2910bは、軸力支持柱2910bの桁腹がパネル2900d、2900eの前側に垂直になるように配向され、各パネル2900d、2900eは、同様に配向され、連携して軸力支持柱2910bを支持する柱部材片半分2938a、2938bを有することができる。この具体例では、各柱部材片半分2938a、2938bは、I形梁の桁腹の水平に平行なプレートに垂直な(図29Fの柱部材片半分2938a、2938bが連携して構成する)I形梁の(図29Fの桁腹2940a、2940bによって画定される)桁腹2940の軸に沿ってI形梁を分割した半分に対応する実質的に「C」字形状を有する。本発明に基づく一実施形態においては、柱部材2938a、2938bは、チャネルセクションである。本発明に基づく他の実施形態においては、柱部材2938a、2938bは、3つのプレートを互いに溶接することによって形成される。図29Fに示すように、各柱部材片半分2938a、2938bは、各柱部材片半分の桁腹2940a、2940bがパネル2900d、2900eの前側に垂直となり、対応する柱部材片半分2938b、2938aを有する隣接するパネル2900e、2900dに対面するパネル2900d、2900eの一面を画定するように配向される。先の具体例と同様に、各柱部材片半分2940a、2940bは、各パネル2900d、2900e内に収容され、柱部材片半分2938a、2938bの上端は、パネル2900d、2900eの上端プレート702に当接し、又はパネルの頂部から上に延び出す。各柱部材片半分2938a、2938bの上端は、各パネル2900d、2900eの上端プレート702に固定又は溶接してもよい。そして、2つのパネル2900d、2900eが互いに、水平に、並列的に、隣接して配置されると、軸力支持柱2910bは、2つの柱部材片半分2938a、2938bによって画定される柱部材2938上の2つのパネル2900d、2900eの端部プレート702に直接支持され、ここに(溶接によって)取り付けてもよい。これに代えて、各柱部材片半分2938a、2938bを各パネル2900d、2900e内に収容し、柱部材片半分2938a、2938bの上端がパネルの頂部から上に延びるようにしてもよく、2つのパネル2900d、2900eが互いに、水平に、並列的に、隣接して配置されると、軸力支持柱2910bは、柱部材片半分2930a、2930bの上端に直接支持され、ここに(溶接によって)取り付けてもよい。垂直ラッププレート2912を用いて、隣接するパネル2900d、2900eの前側718に露出する柱部材片半分2938a、2938bを(各溶接によって)接続し、ラッププレート2912がパネル2900d、2900eの隣り合う側面の間に形成され、柱部材片半分2938a、2938bによって画定される接合部を実質的に覆うようにしてもよい。
ここに説明したように、プレキャスト壁システム100及びプレキャストパネル102、104、106、108、110は、現場打ちコンクリート心壁の利点を維持しながら、レイアウト、型枠、現場で導入される補強筋、埋め込みプレートの現場での位置決め及び配置、コンクリート注入、硬化、型枠除去又は機械化された形成システムの場合のジャッキによる持ち上げ等に関連する現場の作業の集中を緩和することができる。また、本発明に基づくプレキャスト壁システムは、重力負荷の支持又は高層建造物のために用いられる典型的なシステム(例えば、アウトリガーを有する周辺フレーム)と組み合わされた機能と共に、建造物の主な横方向補強システムとして機能できる。したがって、本発明に基づくプレキャスト心壁又は周辺壁システムは、場所打ち構造に対してより効率的で、費用効率に優れた、実行可能な代用物となる。
本発明の具体例の上述の説明は、例示及び記述の目的のために示したものである。これは、排他的なものではなく、ここに開示した形式に本発明を限定するものでもない。上述の開示から又は本発明の実施から変更及び変形を想到することができる。したがって、本発明の様々な実施形態を説明してきたが、本発明の範囲内で、より多くの実施形態及び具体例が可能であることは、当業者にとって明らかである。したがって、添付の特許請求の範囲及びその均等物以外で本発明が制限されることはない。