JP2014506718A - 質量分析の方法、装置、及びシステム - Google Patents

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Abstract

10から50AMUの質量範囲にわたる単位分解能が可能な小型低コスト質量分析計。この質量分析計は、同等の計器類を凌いて設計の性能を高めるいくつかの特徴を組み込んでいる。効率的なイオン源は、測定分解能を犠牲にすることなく比較的低い電力消費を可能にする。可変形状機械フィルタは、可変分解能を可能にする。搭載イオンポンプは、外部ポンプ排気源を不要にする。磁石及び磁気ヨークは、イオンポンプ及び磁気セクター質量分析器を稼動させるために異なる磁束密度の磁場領域を生成する。真空チャンバ内側の搭載デジタルコントローラ及び電力変換回路は、高電圧電気フィードスルーを不要にしながら質量分析計の作動にわたる多大な柔軟性を可能にする。小型質量分析計は、入口ガスの百分率の割合を感知してコンピュータに質量スペクトルデータを戻す。
【選択図】 図1A

Description

〔関連特許出願への相互参照〕
本出願は、2011年2月14日出願の「質量分析計」という名称の米国特許仮出願第61/442,385号の恩典を請求するものであり、この出願は、これにより引用によって本明細書に組み込まれる。
本出願はまた、2011年12月1日出願の「自己アラインメントイオン光学系を組み込む構造的堅牢小型質量分析計」という名称の米国特許仮出願第61/565,763号の恩典を請求するものであり、この出願は、これにより引用によって本明細書に組み込まれる。
質量分析は、主要な化学分析ツールの1つである。質量分析計は、別の計器(例えば、ガスクロマトグラフ)と共に検出器として使用されることが多く、原子質量により化学種を分離することによってガスサンプルに存在する化学種の相対存在量を判断することができる場合がある。
質量分析は、多くの学問領域にわたって広く使用される。質量分析計は、無人宇宙船に搭載されて送られており、バイキング着陸船の両方ともガスクロマトグラフ/質量分析計(GCMS)パッケージを運び、タイタンの大気に降下されたカッシーニ−ホイヘンス探査機も同じくGCMSを運んでいる。質量分析計は、生物科学に使用頻度が高く、それらは、蛋白質構造及び配列を判断する一般的に使用される方法の1つである。
薬物動態の医療分野では、質量分析は、人体を通る極めて少量の薬物を追跡するのに使用されている。
質量分析計は、化学的及び生物学的防御のために設計されており、ブロックII化学生物学的質量分析計(CBMS)は、現場における化学的及び生物学的脅威(例えば、神経物質、バクテリア)を検出することができる可搬型車両搭載計器であるように設計されている。ごく最近では、質量分析計は、2010年4月20日のメキシコ湾マコンド油田流出事故によって放出された炭化水素の追跡を補助するために無人潜水幾に搭載された。
多くの他の分野で同様に質量分析が使用されている。1976年という早い時期に、質量分析計は、潜在的に危険な合併症の集中治療において人工呼吸器での患者の呼吸気を連続的に分析するのに使用されている。
従来の質量分析計は極めて万能な計器であるが、本出願人は、一部の欠点があることを認識した。従来の質量分析計は、一般的に有意な量の電力を消費する場合がある大きく複雑かつ高価な計器である。
上記に鑑みて、本明細書に開示する本発明の実施形態は、一部は改良型質量分析計に関し、これは、様々な態様において、手持ち式であるほど十分に小さく、有用な長さの時間にわたって最小の電力で遠隔用途で稼動することができ、かつそれを幅広く配備することができるように建造して組み立てるのに十分に廉価とすることができる。例示的な計器は、空気又は水質モニタリングに向けて広範囲な区域をカバーするために多数を配備し、燃焼工程フィードバック制御に向けて産業排気煙突に設置し、又は病院の人工呼吸器に取り付けるか又は救急室において初期対応ツールとして使用することができる。
本発明の実施形態は、質量分析計と対応する質量分析の方法とを含む。一例示的質量分析計は、約10-5mmHg又はそれ未満の真空をサポートする真空空洞を形成する真空ハウジングを真空空洞内に配置された電極及び変換回路と共に含む。約36V又はそれ未満の誘電強度を有するフィードスルーは、変換回路と真空空洞の外側の電源との電気接続を提供する。一部の例では、フィードスルーは、真空空洞の内側と真空空洞の外側の唯一の電気接続を提供することができる。変換回路は、フィードスルーを通じて電源から入力電圧(例えば、約1Vから約36Vの第1の値の)を受電し、入力電圧を電極電位(例えば、約100Vから約5kVの第2の値の)に変換し、かつ電極電位まで電極を帯電する。電極電位まで帯電された状態で、電極は、真空空洞を通って伝播する荷電粒子の加速を制御する。
1つの例では、荷電粒子は、電子である。このような例では、質量分析計は、電子を供給するために真空空洞内に配置された電子源と、電子を反発するカソードと、分析される粒子に向けて電子を加速するために電子源の反対側の制御電極の側面上に配置されたアノードとを更に含むことができる。変換回路は、アノードのための約100Vから約5kVのアノード電位と、カソードのためのアノード電位よりも低い約70Vのカソード電位と、アノード電位よりも低い約0V及び約140Vの電極電位とを供給するように構成することができる。
このような質量分析計はまた、電極電位を制御するか又は変えるために(例えば、電子の加速を制御するために)真空空洞内に配置された電子機器(例えば、マイクロプロセッサ、アナログ/デジタル変換器、又はデジタル/アナログ変換器)を含むことができる。電子機器はまた、荷電粒子の加速に基づいて荷電粒子の質量を判断する検出器に結合することができる。
別の例示的質量分析計及び対応する質量分析の方法は、第1の領域で第1の強度(例えば、約0.1T)及び第2の領域で第2の強度(例えば、約0.7T)を有する磁場を発生する磁気ヨーク内の磁石を含む。それはまた、真空空洞を形成する真空ハウジングと、真空空洞の真空圧力を維持するために第1の領域に配置されたイオンポンプと、真空空洞を通って伝播する粒子の質量を判断するために第2の領域に配置された質量分析器(例えば、磁気セクター分析器)とを含む。真空空洞内に配置された制御電極は、粒子をイオン化する電子の加速を制御し、真空空洞内に配置された変換回路は、イオンポンプ、電極、及び/又は質量分析器に1つ又はそれよりも多くの電圧を供給する。
例示的質量分析計の更に別の例は、制御電極の電位を変えるために真空空洞内に配置され、かつ制御電極と電気通信する制御電子機器を含むことができる。それはまた、質量分析器によって供給される信号を処理するために真空空洞内に配置され、かつ変換回路により電源が供給される信号処理電子機器を含むことができる。
このような質量分析計はまた、電子を供給するために真空空洞内に配置された電子源と、真空空洞から電子源を遮蔽するカソードと、分析される粒子に向けて電子を加速するために電子源の反対側の制御電極の側面上に配置されたアノードとを含むことができる。変換回路は、アノードのための約100Vから約5kVのアノード電位と、カソードのためのアノード電位よりも低い約70Vのカソード電位と、アノード電位よりも低い約0V及び約140Vとすることができる電極電位とを供給するように構成することができる。更に、変換回路は、約1Vから約36Vの第1の値を有する入力電圧を約100Vから約5kVの第2の値の電極電位まで増大させるように構成することができる。
上述の概念及び以下でより詳細に説明する付加的な概念の全ての組合せは(このような概念が相互に矛盾しないことを条件として)、本明細書に開示する本発明の主題の一部であると考えられることを認めるべきである。特に、本発明の開示の終わりに現れる特許請求する主題の全ての組合せは、本明細書に開示する本発明の主題の一部であると考えられる。引用により組み込まれるいずれかの開示に現れる場合もある本明細書に明示的に使用される用語には、本明細書に開示する特定の概念と最も合致する意味を与えるべきであることも認めるべきである。
当業者は、図面が主として例示を目的とし、かつ本明細書に説明する本発明の主題の適用範囲を制限する意図はないことを理解するであろう。図面は、必ずしも原寸に比例しているというわけではなく、一部の事例では、本明細書に開示する本発明の主題の様々な態様は、異なる特徴の理解を容易にするために図面において誇張又は拡大されて示される場合がある。図面では、同様の参照文字は、一般的に同様の特徴(例えば、機能的に類似及び/又は構造的に類似の要素)を指す。
本発明の実施形態による例示的質量分析計のコンピュータ支援設計(CAD)モデルの図である。 本発明の実施形態による図1Aの質量分析計との使用に適切な誘電強度の低いフィードスルーの図である。 本発明の実施形態による図1Aの磁石ヨークのCADモデルの図である。 本発明の別の実施形態により1対の永久磁石と、イオンポンプと、質量分析器とに組み合わせた磁石ヨークのコンピュータ支援設計(CAD)モデルの図である。 本発明の実施形態による質量分析計のイオン源電位対イオン質量のプロットを示す図である。 本発明の実施形態によるイオン源における使用に適切な光学系の図である。 本発明の実施形態により個別ダイノード電子増倍器と電位計検出器とを有する質量分析計の概略図である。 本発明の実施形態による大気直結型膜入口の切り欠き図である。 本発明の実施形態によるイオン分析器のシミュレーションの図である。 本発明の実施形態により小型質量分析計を通過する二酸化炭素分子のSIMIONシミュレーションの図である。 本発明の実施形態によるイオン源及び第1イオンレンズの図である。 緑色位置エネルギ面の湾曲が静電レンズの効果を示し、垂直寸法が位置エネルギであり、一方、2つの水平寸法が質量分析計の平面形態である本発明の実施形態による質量分析計イオン源及び分析器内の位置エネルギ分布の等角投影図である。 電子が線でフィラメントの面から放出され、カソード電位電極がフィラメントを取り囲んでそれを真空チャンバから遮蔽し、グリッド及びアノード電極がシミュレーションの右縁部に示された本発明の実施形態による円筒形Pierceダイオードイオン源のSIMIONシミュレーションの側面切り欠き図である。 本発明の実施形態により制御電極が電子放出を抑制するようにバイアスされた図8の円筒形Pierceダイオードイオン源の側面切り欠き図である。 本発明の実施形態による質量分析計の下にあるプリント回路基板のCADレイアウトの図である。 本発明の実施形態による例示的質量分析計のCADレイアウトの図である。 本発明の実施形態によりスリットが屈曲部上に装着された例示的な質量分析器電極のCADモデルの図である。 本発明の実施形態による調節可能な屈曲部の概略図である。 本発明の実施形態によりワイヤEDMによってステンレス鋼板から切断された電極(左)及び酸化物層を除去するために硝酸中でエッチングされた電極(左)の写真である。 本発明の実施形態により小型イオンポンプのアノードのCADモデルの図である。 本発明の実施形態により上部カバー及び磁石ヨークが取り外された例示的質量分析計の写真である。 本発明の実施形態により図16の例示的な質量分析器に対する入射スリットの調節を示す写真である。 本発明の実施形態により試験に使用されるConFlatフランジに取り付けられた組み立てられた質量分析計の写真である。 イオンゲージが左にあり、ターボポンプが底部にある本発明の実施形態により質量分析計の開発に使用された真空チャンバの写真である。 本発明の実施形態による質量分析計のデジタルコントローラのブロック図である。 本発明の実施形態により脱ガス加熱器を有する基板の斜視図である。 本発明の実施形態による例示的質量分析計に対して加熱器移行が示された真空チャンバ圧力対時間のプロットを示す図である。 熱範囲が30℃(黒色)から60℃(白色)である本発明の実施形態により加熱器起動後0、10、20、60、300、及び600sで撮られた分析器基板の熱映像を示す図である。 本発明の実施形態による例示的質量分析計に対するマイクロプロセッサ指令電圧対各レンズドライバの実出力のプロットを示す図である。 本発明の実施形態による例示的質量分析計に対するシステム圧力、イオンポンプ電圧、及びイオンポンプ電流対時間のプロットを示す図である。 本発明の実施形態による例示的質量分析計に対する真空システムの分割後の分単位でのシステム圧力、イオンポンプ電圧、及びイオンポンプ電流のプロットを示す図である。 着色した堆積物がステンレス鋼アノードからのクロミウムである可能性が高い本発明の実施形態により分解されたイオンポンプの板の写真である。 本発明の実施形態による例示的質量分析計により記録された質量分析グラフを示す図である。 本発明の実施形態による別の例示的質量分析計により記録された空気の質量分析グラフを示す図である。 有効静電レンズ(上側曲線)及び無効静電レンズ(下側曲線)を有する電子ビームによって生成されたイオンのより大きい割合を記録及び使用する値を示す質量分析グラフを示す図である。 m/z27及び26のようなピークが広幅のスリット(下側曲線)では見えないが狭いスリット(上側曲線)では容易に見える本発明の実施形態によりイオンビームをフィルタリングするスリットの狭域化の効果を示す質量分析グラフを示す図である。 本発明の実施形態による例示的質量分析計を用いて新しい種、亜硝酸酸化物又はN2O、及びその断片的な成分NOの検出を示す質量分析グラフを示す図である。 電位計オフセット及びドリフトを除去するために信号から取り去ることができるトレースを生成するために質量分析計の電子源グリッド(制御電極)を使用して記録された質量スペクトルを示す図である。
以下に続くのは、質量分析のための本発明のシステム、方法、及び装置に関連する様々な概念、及びそれらの実施形態のより詳細説明である。開示する概念が実施の特定の方法に限定されないので、多くの方法のいずれかで先に紹介してより詳細に以下に説明する様々な概念を実施することができることを認めなければならない。特定の実施及び用途の例は、主として例示を目的として示すものである。
1.0 質量分析の概要
質量分析計の多くの異なる実施例が存在し、その構成は、意図する用途に依存することが多い。しかし、一般的に、それらは、同じ基本的な機能ブロック、すなわち、入口、イオン源、質量分析器、検出器、及び真空システムを含む。入口に入るサンプルは、通常は電子ビームでの衝撃によりイオン化され、次に、1つ又はそれよりも多くの電場及び/又は磁場を使用して質量別に分離され、次に、相対存在量が得られるように分析される。
最終的に、質量分析計の実施例の全てにおいて、イオン化されたサンプルの成分の原子質量対電荷(m/z)比を各成分の相対存在量に関連付けるグラフを生成する。例えば、大気のサンプルを測定する質量分析計は、計器の感度に基づいて質量28、32、40、及び44、及び一部の場合には他のもので成分を見つける。これらの質量は、窒素、酸素、アルゴン、及び二酸化炭素に対応する。質量分析計出力は、質量28、すなわち、大気ガスの70%を含む窒素に対して最高の信号強度、次に、32で酸素(大気の22%)に対して窒素ピークの信号強度の約1/3、更に、アルゴン及び二酸化炭素に対してより低い信号強度を示すことになる。
質量分析計は、用途により、特定の質量範囲及び分解能に向けて一般的に設計される。質量範囲は、環境ガスモニタリングに向けて設計される計器に対しては10から50AMU、又は蛋白質分析に使用される計器類に対しては数万AMUである可能性がある。質量分析計は、多くの場合に、電場又は磁場パラメータの1つを変えることによってこの質量範囲で走査し、質量対電荷(m/z)比及び望ましくはないが時間におけるスペクトルを生成する。走査により、質量が存在する信号強度のピークが生成されることになる。質量分析計の分解能は、これらのピークがどの程度狭いかにより決まり、一部の質量分析計は、単位質量を解像することができるにすぎず、一方、一部の質量分析計は、質量の極めて小さい割合を解像することができる(例えば、28.010での一酸化炭素及び28.0134での窒素のような同じ公称単位質量で現れる異なる化学種を区別するために)。ピークは、全幅半値(FWHM)測定により特徴付けられることが多く、振幅の半分でのピークの幅は、どの質量が可視であることになるかを判断する際に補助することができる。一般的に、狭いピークを生成する質量分析計は、広幅なピークを生成する質量分析計よりも良好な解像力を有する。
図1Aは、例示を目的として真空ハウジングなしに示された例示的質量分析計100のコンピュータ支援設計(CAD)モデルの等角投影図を示している。図1Aに示す構成要素は、特に断らない限り、真空ハウジング及び真空フランジ170により形成された真空空洞内にある。真空フランジの面に沿って延びる真空ハウジングシール172は、漏れを防止し、真空圧力は、1e−5トル又はそれ未満に到達することができる。真空フランジ170を通って延びる入口180は、分析に向けてサンプルの導入を可能にする。
質量分析計100は、磁気ヨーク114内に1つ又はそれよりも多くの磁石112で形成された共有磁気回路110を含む。ヨーク140は、磁石112からの磁束を2つ又はそれよりも多くの磁場領域111a及び111bに結合する。第1の領域111a内のイオンポンプ(一体型イオンポンプ電極120として図1Aに示す)は、真空空洞の内側に真空圧力を維持し、第2の領域111b内の磁気セクター質量分析器130は、当業技術で理解される質量に従ってイオン化サンプル粒子を分離する。イオン源104は、イオンを生成し、イオンは、電子源(図示せず)からの電子を用いて入口180を通って入った粒子をイオン化することによってイオン光学系300で平行化される。磁気質量分析器130の一端でのイオン検出器140は、検出器140により収集されたイオンの数と共に変化する電流を生成する。
質量分析器130及びイオン検出器140は、以下に説明するように変換回路(高電圧電源)150も支持するプリント回路基板(PCB)材料から製造することができる平面基板190上に装着される。基板190は、磁気ヨーク114を通じて真空フランジ170に装着される。当業者は、他の装着構成も同様に可能であることを容易に認めるであろう。
変換回路150は、外部の電源からの約1−36V(例えば、12V)の入力電圧を電子源、イオン源104、イオン光学系300、及びイオン検出器140内のあらゆる電極を含む真空空洞の内側の電極を帯電するのに十分に高い電圧(例えば、100Vから5kV)に変換又は増大させる。変換回路150は、比較的低い誘電強度(例えば、約36V又はそれ未満に等しいか又はそれ未満、約24Vに等しいか又はそれ未満、約12Vに等しいか又はそれ未満、又は約9Vに等しいか又はそれ未満の誘電強度)を有する単一のフィードスルー(図示せず)を通じて外部の電源に結合することができる。少なくとも1つの実施形態において、この誘電強度の低いフィードスルーは、真空フランジ170及び真空ハウジング(図示せず)により形成された真空空洞の内部と外部の唯一の電気接続である。
図1Bは、図1Aの変換回路150、真空ハウジング、及び真空フランジ170との使用に適切な誘電強度の低いフィードスルー174を示している。このような誘電強度の低いフィードスルー174は、エポキシで迅速かつ廉価に製造することができ、約36V又はそれ未満に等しいか又はそれ未満の誘電強度を有することができる。フィードスルー174を製造するために、小さい孔が、真空ハウジングに穿孔され(例えば、真空フランジ170を通過して)、フィードスルーワイヤ178を受け入れるのにちょうど十分に大きい直径に真空側の方向にテーパがつけられ、フィードスルーワイヤ178は、裸又は共形絶縁被覆(例えば、マグネットワイヤ)することができる。ワイヤ178が位置決めされ、孔は、エポキシシール又はプラグ176を形成するためにガス放出速度の遅いエポキシで埋め戻される。この構成では、エポキシプラグ176は、殆ど力を受けず、真空フランジ170又はハウジングは、孔が殆どワイヤ178により満たされてエポキシ176が所定の位置にワイヤ178を保持しているので、依然として負荷を担持する。裸又は共形被覆ワイヤを使用して、別々のジャケットで絶縁されたワイヤで起こり得るようなワイヤ178と絶縁層間の真空漏れの変化が低減される。
真空空洞の内側に変換回路150を設けることは、最も効率的な変換回路150でさえも熱の形態でエネルギを消散するので、直感に反するものである。この熱により、基板190を含む空洞内の他の構成要素の温度が上がる。他の構成要素が加熱される時に、吸収又は吸着されていたガスを放出する可能性があり、空洞の内側の圧力が上がり、イオンポンプ120に掛かる負荷が増大する。
しかし、変換回路150を真空空洞に設けると、典型的に高価かつ製造しにくい高電圧電気フィードスルーを排除することができる。誘電強度の低いフィードスルーと異なり、高電圧電気フィードスルーは、典型的には、真空ハウジングに関して数百又は数千ボルトにも耐えることができて摂氏数百度で焼成することができる真空気密電気接続を提供する必要がある。それらは、コバールから製造されてセラミック誘電体にろう付けされることが多く、セラミック誘電体は、次に、ステンレス鋼のハウジング又は取付具にろう付けされる。
2.0 質量分析計のタイプ
異なる質量を分離するのに使用される方法により一般的に分類される多くの異なるタイプの質量分析計が存在する。この節では、より簡単なタイプの質量分析計の一部を簡単にカバーし、どの箇所でも網羅的ではないが、廉価に製造される可能性を有するものに対して説明する。
2.1 質量分析器のタイプ
磁気セクター質量分析計(例えば、図1Aに示す質量分析器130)は、質量における空間分離を生成する。この設計では、イオン化サンプルは、電場において加速されて垂直な磁場を有する領域に注入される。磁場内のイオンの軌跡の曲率半径は、質量に比例し、電荷状態に逆相関する。電場を走査することにより、従って、イオンの運動エネルギを変えるか又は磁場を走査してイオンの軌跡を変えることにより、様々な質量を分離して独立して検出することができる。別々に又は組み合わされた電気セクター及び磁気セクターを有する一部を含むこの設計の多くの変形が存在し、改善した分解能をもたらしている。
飛行時間質量分析計は、質量における時間的分離を生成する別の設計である。イオンは、一定の電場によりドリフト領域に注入され、最終的なイオン速度の分離、従って、ドリフト領域の遠端での到着時間は、イオン質量に比例する。
四重極質量分析計は、イオン飛行経路に平行な2対の電極を使用し、1つの電極対を使用して可変周波数RF磁場及び別の電極対でDCバイアスを印加して特定の質量に対してRF磁場を調節することにより、あらゆる所定の時間に1つの質量のみが、磁場を通る安定した軌跡を有する。
同様のタイプの質量分析計、すなわち、イオン捕捉質量分析計は、四重極型質量分析計と類似の原理を使用し、容積におけるイオンのクラウドを捕捉して、選択的に特定の質量の軌道を不安定にする。不安定な質量が、次に、イオン容積から放出され、かつ測定される。
2.2 イオン源
質量分析器は、典型的には、適切に機能するために質量分析計に注入されたイオン化サンプルに依存する。サンプルがイオン化された状態で、イオン化サンプル分子(イオン)を操作して電磁場よって分離させることができる。
一般的なイオン源では、電子衝撃イオン化を使用する。このタイプのイオン源では、通常は熱電子的に生成された電子ビームが、ガス状サンプル内に向けられる。サンプル分子と相互作用する電子は、サンプルから電子を除去して正に帯電したサンプルイオンを生成するが、負イオン質量分析が、一部の電気陰性化学種には実用的である。
2.3 検出器
サンプルがイオン化されて得られるイオンが質量別に分離された状態で、イオンを検出器(例えば、図1Aの検出器140)で検出することができる。最も簡単な検出器は、ファラデーカップ、次に、高利得相互コンダクタンス増幅器がある。ファラデーカップに衝突するイオンは、次に、増幅及び記録される小さいが測定可能な電流を生成する。しかし、これらの検出器では固有の利得が得られないので、ノイズフロアは、増幅器のノイズフロアである。
3.0 質量分析計設計概要
本明細書に開示する小型質量分析計の例示的な実施形態は、複雑な又は大きな労働力を要する製造技術なしに製造することができる簡単かつ堅牢な設計を有することができる。各設計選択は、取りわけ、性能、サイズ、重み、電力消費量、複雑性、製造の容易さ、及び費用のような複数のファクタの間のトレードオフを伴う場合がある。このような設計は、自動工作機械を使用して製造可能にすることができる。製造は、2次元(2D)機械加工に依存する平面設計を作成することによって更に簡素化することができ、2D機械加工された構成要素の複数の層を積み重ねることによって3次元内のあらゆる特徴を構成するか又は近似することができる。2次的な機械加工作業を排除すると、余分の固定具の作成、時間、及び廃棄物を排除しやすくすることができる。従って、少なくとも1つの場合では、設計は、多くの同時製作された特徴を組み込んでいる。
1つの例では、本発明の質量分析計は、ガス入口のためのポートと、いくつかの低電圧ケーブルと、粗引きポンプのためのポートとを有する簡単な円筒形真空チャンバにおいて作動することができる単一ユニットを含む。これらのポートは、真空チャンバ壁を通じて給送されてエポキシに埋め込まれた薄いチューブ又はケーブルを用いて実施することができる。
いくつかの潜在的な用途を念頭に置いて、しかし、大体において一般的な性能要件を用いて例示的質量分析計を設計することができる。例えば、それは、1e−4Pa(1e−6トル)の作動圧力でサンプルガスの0.5%又はそれよりも多くから構成された化学種を検出するのに十分な感度で単位分解能が得られるように設計及び構成することができる(すなわち、それは、1つ又はそれよりも多くの整数質量単位で離れたイオン間を区別することができる)。それはまた、固有の高い真空ポンプを搭載して担持することができ、高真空ポンプも粗引きポンプも組み込む設計よりも万能性が僅かに劣るが、費用、重量、及び複雑性における大幅な節約は貴重であると考えられる。このような例示的質量分析計は、低電力消費並びに少ない保守で長期間にわたって自力で稼働することができると考えられる。
このレベルの性能が得られる計器は、製造費が既存の市販の計器に同等である場合に(例えば、何万ドル)有用性に限界がある。この質量分析計は、全く廉価とすることができ(例えば、1000ドル台)、新しい用途における大規模な配備に適切なものになる。質量分析計の費用に影響を与えるのは、製造の容易さ及び複雑性であり、製造技術がむずかしい又は熟練したものであり、及び/又は部品数が多い方が設計の製造費が高くなる可能性がある。
電力消費量を最小にすることも特定の用途には重要である。例えば、上述の仕様を満たす質量分析計は、様々な遠隔用途又は可搬用途に適切であり、これらの用途では、この質量分析計は、バッテリ、太陽熱発電、風力、又は別のエネルギ源から長い期間にわたって稼動することができる。
一実施形態において、小型質量分析計は、単一フォーカス180度磁気セクター質量分析計である。磁気セクター質量分析計は、平面構成要素の層を使用して構成することができ、殆どの簡単な製造技術が2次元であるので計器の費用が大幅に低減される。関わっている幾何学形状が簡単であり、それぞれ、四極子又は飛行時間質量分析計に当て嵌まる場合があるような高電力RF発振器も高速タイミング機能も不要である。イオン捕捉又はフーリエ変換タイプのような他の質量分析計タイプは、幾何学形状、電源、又は複雑性の観点から要求が厳しいものになる可能性がある。
1組の永久磁石及びヨークは、質量分析器の磁場を生成する。NdFeB磁石は容易に利用可能であるので、これは、明白な選択肢であり、電磁石は、小さい計器にとって必要とされる電力が多すぎる。更に、第2の利点は、永久磁石を用いて利用可能である。ヨークに対して極部分のサイズを入念に選択することにより、この設計は、分析器を入れる同じ磁気回路にイオンポンプを組み込むことができ、従って、複雑性、サイズ、及び部品数に関する低減が得られる。磁気セクター分析器の長さは、180度とすることができ、レイアウトが簡素化され、計器の同じ側にイオン源及び検出器を設けることによって設計のサイズが最小にされる。質量分析計の各サブシステムの設計を以下の節に詳述する。
別の実施形態において、上側及び下側質量分析器は、全体的な質量分析計トポロジーをNier−Johnson二重フォーカス質量分析計のものに変える電気セクターを含み、質量分解能の2倍よりも大きいものが可能である。
3.1 真空システム設計
作動中、イオン飛行経路の長さ全体は、高い真空、すなわち、1e−4Pa(1e−6トル)よりも低い圧力に保たれる。圧力が高くなると(真空が低くなると)、イオンの平均自由行程は、その十分な量が飛行経路の長さ全体を通過するには短すぎるものになる。この基準だけでは、漏れ速度を低減する非常に厳しい公差を有する真空システム、並びに高い真空を生成することができる真空ポンプの使用が必要である。
同時に、質量分析計の真空システムは、ガスの一定の流入に対処すべきである場合があり、真空チャンバ圧力が許容不能レベルに上がらないように、入口からシステムに入るガスを連続的に吐き出すか又は捕捉しなければならない。従って、真空システムは、入口漏れ速度よりも速くポンプ排気することができる1つ又はそれよりも多くの真空ポンプも組み込む場合がある。
殆どの質量分析計では、真空システムは、設計の非常に高価な部分である。一般的な計器の費用と比較すると、真空システムは、全費用の大きな割合を占めるものになる恐れはないが、小型の廉価な設計に対しては、真空構成要素だけで簡単に予算を占めてしまう場合がある。高真空構成要素は、標準的な取付具でさえも極めて高価である。殆ど全ての構成要素は、典型的には溶接結合を用いて機械加工又は形成されたステンレス鋼で構成される。質量分析計は、単に計器の幾何学形状のためだけにカスタム真空構成要素を使用することが多い。例えば、磁気セクター質量分析計は、質量分析器のための高真空フランジに溶接されたステンレス鋼管の形成された薄い溶接された部分を有することが多い。これは、典型的には、質量分析器の飛行経路が磁石の極間に適合しなければならず、かつ間隙はめったに標準的なサイズでないからである。
更に、電気信号は、システム内の電圧毎に1つのフィードスルーで一般的な質量分析計真空システムを出入りする。従来の質量分析計では、真空システム内の異なる点で5から10又はそれよりも多いいずれかの別々の電位がある場合がある。高い電圧のためのフィードスルーは、特に高価である可能性があり、その理由は、コバール導体にセラミック碍子及びステンレス鋼のフランジをろう付けすることによって製造されるからである。複数のフィードスルー(高電圧フィードスルーを含む)を使用する費用及び複雑性のために、例示的質量分析計は、真空チャンバを通過する少数の信号(例えば、1つ又は2つ)で作動するように設計及び建造される場合がある。
真空システム費用及び複雑性を低減する1つの方法は、関わっている構成要素の数を低減することである。例えば、100mmの直径及び150mmの長を有する真空チャンバ内にその全体(磁石、電源及びコントローラ、高真空ポンプ及びイオン光学系などを含む)が収まるように小型質量分析計を設計することができる。例示的質量分析計を電気信号の全て及び入口が通る単一の真空フランジ上に取り付けることができ、真空チャンバは、従って、簡素化に向けて100mmの直径円筒管を含むことができる。実際、小型化及び軽量化するために計器の輪郭に追随する簡単であるがより小さい真空チャンバを製造することができる。
電気フィードスルーを少数化するために、データは、デジタル処理することができ、制御信号は、搭載した制御システムによって真空ハウジングの内側で生成することができる。このようにして、システムは、真空チャンバ壁を通過する1、2、又は3つの低電圧電気信号(例えば、電力線及び1つ又は2つのデータ線)を使用する。これらの電気線は、高い絶縁機能は必要でないのでガス放出速度が遅いエポキシで簡単な長さの埋め込まれたケーブルとすることができる。接地基準は、真空チャンバ自体とすることができる。
代替的に又は追加的に、システムは、真空チャンバ壁を通じて無線で(例えば、赤外線又はRFチャンネルを通じて)データを伝達することができ、必要なのは、電源のための単一の電気フィードスルーだけで済む。更に、システムは、誘導式に(例えば、コイルループアンテナを通じて)電源を供給することができ、真空チャンバの内側及び外側を接続するフィードスルーが不要になる。
別の例では、小型質量分析計は、質量分析器が真空チャンバ内で高い真空を維持するのに使用するのと同じ永久磁石及びヨークアセンブリを使用するように設計された同時製作されたイオンポンプを組み込んでいる。イオンポンプだけでは、大気圧から質量分析計をポンプで排気するのに十分ではない場合があるので、イオンポンプが始動することができる点まで真空チャンバを粗引きするバルブ付きのポートを設けることができる。このポートは、電気フィードスルー及び入口と同じフランジ上に取り付けることができる。
3.2 質量分析器設計
質量分析計の分解能は、質量分析器の設計にかなり依存する場合がある。全体的に、磁場が強いほど、曲率半径は小さい。1つの例では、質量分析計内の質量分析器は、23mmのイオン飛行中心線半径を有する180°磁気セクターである。これは、一部では実際的な考慮事項であり、50mm×25mmNdFeB磁石は、カスタム製造を必要とすることなく利用可能であり、イオン飛行半径と磁石の縁部との間の何らかの間隙は、磁石の磁場の非線形性によるイオンの名目上円形の飛行の不完全さに対応する。
磁気セクター長を180°であるように選択すると、隣接した質量のイオンビームの間の空間分離を増大させることができ、その理由は、磁気セクター内の各イオンの飛行量が増加するからである。第2に、180°磁気セクターでは、イオン源も検出器も質量分析器の同じ側上に位置し、設計がコンパクト化され、磁石ヨークの位置特異な厄介な問題が少なくなる。計器が大型になっても、典型的にはこの利点はなく、その理由は、イオン源及び検出器の真空区画が別々であり、これらの計器の磁気セクター長が、典型的には磁石のサイズにより制限されるからである。
磁界の強さと重みと費用間にトレードオフがある。永久磁石を使用する最大の磁界の強さは、高級な(N52)ネオジム−鉄−ホウ素磁石を使用して0.5から1Tの範囲である。磁場が高くなるほど、必要とされる保磁力が多くなり、間隙と平行な方向の磁石厚みが増大し、磁石の磁束帰還路内の鉄が多くなる。それによって設計の重量化及び大型化になる可能性があるが、例えば、バナジウムパーメンダヨーク又はネオジム−鉄−ホウ素磁石のHallbach配列で生成された磁場の強化により、低い質量での分解能が増大し、一方、達成可能な高電圧化により、上側の軽い質量の分解能が維持される。
同様に、トレードオフが分解能と信号強度と費用間に存在する。フィルタスリットを狭くするとより高分解能になるが、飛行を完了するイオンが少なくなり、検出器利得及び感度がより重要になる。更に、スリットが狭くなる時にイオンビームの軸線とスリットのアラインメントが極めて重要になり、公差がより厳しくなり、費用増大になる。
一例示的設計では、分析器のシャーシと共にスリットを同時製作することにより、フィルタ固定具の生成及びアラインメントが不要になる。更に、スリット自体は、形状を組立時に変えることができるように分析器シャーシと一体化した屈曲部上に装着され、スリット幅を変更して信号/分解能曲線上での作動点を変えることができる。一部の場合には、主ネジ、ピエゾ、又は形状記憶合金構成要素のようなアクチュエータは、例えば、較正、作動、又は両方中にフィードバックに応答して能動的にスリット幅を変える。
図1Cは、図1Aの磁石ヨーク114のコンピュータ支援設計(CAD)モデルを示している。それは、1008軟鋼で製造することができ、かつ1対の50×50×10mmN52ネオジム−鉄−ホウ素磁石112を磁気セクター質量分析器130内に保持する。一実施形態において、ヨーク114は、各磁石112の前縁から各磁石112の後縁での25×50mmまで断面が増加する。ヨーク質量は、磁石112を含むほぼ1.4kgである。ヨーク114は、取付けのための特徴も組み込んでおり、磁束帰還路の1対の孔により、それ自体質量分析計の最も重い部分である磁石を真空フランジにボルト留めすることができる。
図1Cに示すように、ヨーク114の断面は、磁石を超えてほぼ一定とすることができる。10mmの間隙が、磁石112の短絡を回避するために磁石112の後面とヨーク114の間に存在する。磁極面間の間隙は、10mm、すなわち、磁石厚みと同じほぼ空隙である。この構成により、磁極面の縁部のほぼ0.6Tから中心部の約0.8Tまでにわたる磁場が生成される。この磁場の不均一性により、イオンビームの軌跡誤差及び分解能低下が発生する場合がある。
図1Dは、1つ又はそれよりも多くの磁石212を質量分析器130の周りで所定の位置に保持するのに適する代替ヨーク214を示している。ヨーク214は、磁石212によって生成された磁束を異なる磁界の強さの2つの磁場領域211a及び211bに誘導する。イオンポンプ120は、約0.1Tの強度を有することができる第1の磁場領域211a内に配置され、質量分析器130は、約0.7Tの強度を有することができる第2の磁場領域211b内にある。
磁界の強さ及びイオン飛行半径を考慮すると、イオンエネルギの範囲及び従って質量スペクトル掃引を稼動させるのに必要とされるイオン加速電位を計算することは簡単な問題である。第1は、力平衡であり、質量分析器では、イオンを円形軌跡上に保つのに必要とされる力は、イオンの質量x向心加速度に等しく、かつイオンの電荷及び印加された磁場のためにローレンツ力によって供給される。
ここで、Bは、Tesla単位の磁気磁界の強さであり、vは、m/s単位のイオン速度であり、θは、ラジアン単位のイオンビーム平面と磁場間の角度であり、mは、kg単位のイオン質量であり、qは、Cでの素電荷であり、rは、m単位のイオン曲率半径である。
速度は、イオンを加速するのに必要とされる電圧の範囲を与える。最終イオン速度、すなわち、イオン源を出て分析器に入るイオンの速度は、イオン源内の電極にわたる電圧Eに比例する。
これらの方程式を組み合わせて、イオンが検出器に到達するためにイオンを加速するのに必要とされるイオン質量と電位の関係を得ることができる。
従って、予想されるように、所要の電場とイオンの質量との間に逆相関の関係がある。一定の電荷を前提として、イオンが重いほど、適切な半径を有する分析器を横切るのに必要とされる運動エネルギが多くなる。各分子が単独にイオン化されるであると仮定して(すなわち、q=1.6e−19C)、意図する質量範囲10から44AMU(m=1.66e−26から8.3e−26kg)、23mm分析器半径r、及び垂直B磁場(θ=0)内で方程式を以下のように簡素化することができる。
B=0.6Tの作動点及び10から44AMUの質量範囲に対して、イオンを加速する電圧Eは、約208Vから915Vまで掃引されなければならない。高い真空の誘電強度を前提として、これらの電位は達成可能である。更に、効率的にこれらの電圧を発生させることができる多くの方法がある。電圧生成をこの後の節に説明する。
図2は、異なる磁気磁界の強さに対するイオン源電位対イオン質量のプロットである。尚、これは逆累乗関数であるので、分解能はイオン源電位が減少する時に減少することになり、その理由は、イオン源電位の同じ変化が、遥かに大きい質量範囲に及ぶことになるからである。これは、磁気セクター質量分析計固有の特徴であり、この設計は、少しも変わらない。この問題に対して以下でより詳細に説明する。
3.3 イオン源設計
イオン源は、質量分析計の効率にも性能にも影響を与える。イオンは、典型的には電子衝撃イオン化によって形成され、電子銃は、陽イオンを形成するためにサンプルガスと相互作用する電子ビームを生成する。このタイプのイオン源は、電子衝撃イオン化と従来から呼ぶが、電子の波状の性質のためにイオン化の正確な機構は、粒子衝撃には関係がない。
イオン源は、磁石からの縁磁場が電子の軌跡に影響を与えないように磁石ヨーク構造体から十分に離れる方向に位置することができる。一部の場合には、イオン源とヨークの間の距離は、ほぼ30mmである。更に、イオン源は、垂直に、本質的には、磁石の縁磁場と平行に向けられた電子ビームを用いて設計される。それによって電子ビームが漂遊磁場により進路から外れて送られる可能性が低減される。
3.4 電子源設計
電子ビームは、典型的には、バルク金属の仕事関数を克服して周囲の真空に漏出することができるように熱線内の電子の一部に十分な熱エネルギを追加するように熱線、通常はタングステン又は合金を白熱に加熱することによって熱電子的に生成される。漏出された電子は、静電場を使用して熱線を取り囲む区域から除去される。電子を生成するこの方法は、典型的に非効率的であり、更に、イオンの形成をもたらすビーム内の電子とサンプルガス内の分子間の相互作用確率も低く0.1%台である。
これらのイオンは、分析器を通るその後の飛行に向けて適切な形状の平行化されたビームでイオン源から現れるのが理想的である。しかし、実際には、イオン化分子は、イオン化領域ではランダム分布を有し、生成されたごく僅かなイオンのみが、分析されるように適切な方向にイオン化領域から現れる。
補償するために、多くの従来の質量分析計は、分析器の方向にイオンを掃引するためにイオン化領域で典型的に反射電極と呼ぶ電極によって生成された静電場を使用するが、この電極によって生成された磁場は、比較的低い。従って、熱電子の電子銃を使用する質量分析計のイオン収率は、極めて低い。従って、大電流電子ビームが、イオンの全生産量を増大させるのに望ましいが、これには、電力において多大な投資が必要であると考えられる。
イオン源の効率を改善することができる少なくとも3つの技術がある。所定のフィラメント電力の電子の収率は、改良型の電子放出物質を使用して増大させることができる。電子ビームの軌跡を変えることにより(例えば、直線的ではなく螺旋状の軌跡)、電子ビームとサンプルガス間の相互作用確率を増大させることによってイオンの収率を改善することができる。最後に、形成されるが、それ以外に分析器内に掃引されないイオンの多くを捕捉することができる場合がある。高効率電子放出物質もイオン収率を増大させる方法も試験されている。
本発明の質量分析計の1つ又はそれよりも多くの実施形態において、イオン源は、イオン収率を改善するように設計される。例示的なイオン源は、大径電子ビームを使用して大量のイオンをイオン化し、広分散でイオンビームを生成し、次に、一連の静電レンズを使用して、これらのイオンを集めて平行化し、均一なイオンビームにすることによって作動する。大きい円筒形電子ビームは、アノードにおいて簡単な低電力タングステンフィラメント及び円形開口によって生成される。この構造体は、Pierceダイオードと呼ばれ、かつ良く理解されている。それは、真空管の時代に広範囲に研究されたものであり、参考文献に説明されている。電子ビームの直径は、全く大きく3mmであり、大量のサンプルガスをイオン化するのに使用される。しかし、イオンを誘導して隣接した狭い機械フィルタを通過させるのではなく、全容積が収集されて静電レンズでフォーカスされる。
Pierceダイオードでは、アノード孔から放出される電流の電流密度は、以下の通りである。
ここで、Imaxは、A/m2単位の電流密度であり、Vは、ボルト単位のアノードとカソード間の電圧であり、rは、m単位のアノード孔の半径であり、dは、m単位のアノードとカソード間の距離である。フィラメントとイオン源の入口間のd=5mmの距離及びV=70Vの電位に対して、放出電流は、120μAである。Pierceダイオードの放出角度は、θ=r/3dであり、ここで、θは、度単位のビーム角度であり、rは、m単位のアノード孔の半径であり、dは、m単位のアノードとカソード間の距離である。1つの例では、Pierceダイオードは、0.1°のビーム角度を有することができる。電子を生成する電子放出物質は、アノードの孔の直径である3mmの直径円内で120μAの電子流を生成することができる。
温度の関数としての白熱タングステンフィラメントからの空間電荷に制限された放出は、以下の通りである。
ここで、imaxは、放出面のA/m2単位の放出電流密度であり、Tは、K単位の面温度である。2500Kでのタングステンエミッタから電流密度は、3170のA/m2である。1つの例では、イオン源は、120のμA電子流を生成することができる7.1e−6m2のアノード孔(窓)内に配置された4e−6m2の面積を有する放出面を含む。1つの場合では、放出面は、長さが3mm、直径が0.4mmのタングステンフィラメントで形成される。
代替的に、放出面区域は、より薄いコイル状タングステンワイヤで生成することができる。コイルフィラメントワイヤが薄いほど熱伝導率が下がり、システムの効率化になり、その理由は、フィラメント電力リードの熱の少量化が実行され、同じ電力に対して、より高い電圧及びより低い電流で入力を実行することができるからである。1mm巻回直径及び0.2mmピッチを有する15巻回の12μm直径タングステンワイヤは、4mm2の面積及び3mmの長さを有する。このようなコイルフィラメントは、ガラス又はセラミック碍子及び銅導体で製造された支持構造体によって支持することができる。
本質的にこの構成を有するフィラメントは、典型的にはPR−2と指定された閃光電球として量産される。PR−2は、2.4Vで0.5Aを引き出し、直径がほぼ1mm及び長さがほぼ3mmのコイルフィラメントを有する。1つの例では、質量分析計のイオン源は、ガラス電球が入念に取り外されたPR2閃光電球を含む。万力ジョーの適用により、中心部の精巧なフィラメント構造体を損傷することなく電球を砕くことができる。
Pierceダイオードにわたる電場は、70Vに設定することができる。その結果、Pierceダイオードアノード孔から放出された電子は、ほぼ70eVである。運動エネルギのこの値は、所定の電子流が得られるように電子衝撃イオン化によって生成されるイオンの数を最大にする一般的に受け入れられている値である。これは、70eVでの電子のドブロイ波長が14nmであるという事実によるものであり、14nmは、近似的に、多くの分子における原子間の結合の長さである。70eVで、電子のドブロイ波長は、λ=h/mvにより与えられ、ここで、λは、m単位のドブロイ波長であり、hは、プランク定数であり、mは、kg単位の粒子質量であり、vは、m/s単位の粒子速度である。
3.5 イオンレンズ
図3は、電子ビームによって生成されたイオンをフォーカスするイオン源レンズシステム300の図である。イオン源レンズシステム300は、イオン化領域308にイオンを入れる入口302を含む。極性がイオンの極性の反対である電位まで帯電された反射電極304は、イオンを跳ね返し、入口302の反対側にトラップ電極306がある等々である。反射電極の弱い静電場は、大きいスリット(フィルタ)312上でイオン流れをフォーカスするEinzelレンズとしても公知である3要素対称静電レンズ310の方へイオン化領域からイオンを掃引する。これらのイオンは、フィルタ330よりも大きいと再び分岐するが、第2の2要素レンズ320は、イオンビームを僅かデフォーカスさせ、焦点は、フィルタ312から無限に遠く離れる方向にある点に変化する。換言すると、第1のレンズ310及びフィルタ312は、空間的にイオンビームをフィルタリングし、第2のレンズ320は、イオンビームを分析に向けてより良好に適応させるためにイオンビームを平行化する。
3.6 グリッド
本発明のイオン源は、カソードからPierceダイオードのアノードを遮蔽する制御電極(グリッドとも呼ばれる)を含む。電位又はこの制御電極上の制御電位は、カソードからの電子の放出を強化するか、又は防止することができる。静電要素に印加された制御電位を真空チャンバの内側又は外側に配置された電子機器で迅速に調節することができ、真空管内の制御グリッドと殆ど同様に作動させることができる。熱イオンエミッタを調節するのに使用される信号は、質量分析計のSN比を改善するために同期検波又は確率的システム同定のような高度な信号処理技術と共に使用することができる。
3.7 サンプルジェット
未知数の1つは、電子ビームがいかに良好に流入サンプルガスと相互作用するかである。サンプルガスと電子ビーム間の相互作用を増大させるために、孔は、トラップ電極の中心に設けられる。サンプルは、次に、トラップを通じて下方に誘導され、一方、電子は、反対方向に放射される。
3.8 検出器設計
例示的質量分析計は、質量分析器内のイオンを感知する検出器を含む。検出器に到達するイオンビームは、何千ものフェムトアンペア(fA)台の電流と同等とすることができる。質量分析器の出口での検出器は、これらの分電流を検出することができ、固有のノイズフロアよりも大きい信号を生成することができる。
一実施形態において、検出器は、ファラデーカップと、それに続く50e9の利得を有する相互コンダクタンス増幅器とである。ファラデーカップは、入射イオンビームを捕捉し、並びに2次電子放出によって生成されたあらゆる電子を再捕捉する。入射イオンビームは、数百eV台の全く大きいエネルギを有する可能性があるので、2次電子放出が懸念事項である。ファラデーカップ電極形状は、あらゆる方向に放出されるが垂直にバックアウトする全ての電子を再捕捉する入射イオンビームが進行する深い空洞をもたらすことによって2次放出を捕捉するように設計される。しかし、ファラデーカップが永久磁石によって生成された縁磁場内にまだあるので、2次電子放出による電子をカップにより捕捉することができる。
相互コンダクタンス増幅器は、「ナショナル・セミコンダクタ LMP7721」低入力バイアス演算増幅器(opアンプ)又はあらゆる他の適切なopアンプの周りに構築することができる。±2.5Vの電力供給で作動するLMP7721の入力バイアス電流は、3fA台である。安定性のための5pF銀マイカコンデンサと並列の50のGΩ抵抗器は、増幅器のフィードバック経路を提供する。この相互コンダクタンス増幅器の出力は、アナログ/デジタル変換器(例えば、「テキサス・インストルメンツ ADS1278」24ビットアナログ/デジタル変換器)のフロントエンドを駆動する。これらの構成要素を極めて接近させて適切な遮蔽下に設けることにより、固有ノイズを低減することができる。
代替的に、質量分析計は、光電カソードなしで光電子増倍管と同様に作動する図4に示す電子増倍器タイプの検出器400を含むことができる。第1のダイノード402aに衝突するイオンは、電子を脱落させ、電子は、一連の電圧が次第に高くなるダイノード402bから402nから落ち、毎回の反復により、2倍又はそれよりも多くの数の電子が生成される。この電子雲は、次に、相互コンダクタンス増幅器404により捕捉及び測定されるが、信号は、有意に高いノイズフロアがなければ簡単なファラデーカップ検出器より遥かに大きい規模になることができ、従って、遥かに感応度が高い検出が可能である。例えば、4段又は5段の個別のダイノード電子増倍器により、適切に設けられると、まさに16−32にわたる大きいSN比を得ることができ、一方、低いダイノードカウントにより暗電流が低減される。
3.9 高真空ポンプ設計
小型質量分析計は、真空エンベロープの高い真空を維持するためにイオンポンプ又はターボ分子ポンプのようなポンプを使用する。イオンポンプは、静粛かつ清潔であり、可動品を使用していない。イオンポンプでは、2つのポンプ排気機構が、捕捉も収着も作動中である。ポンプ排気中、ガスは、円筒形アノードにおいて高磁場でのイオン化によりイオン化された状態で加速されてチタン又は時にはタンタルカソードに入る。衝撃を受けると、イオンは埋め込まれるか、又はイオンにより、チタンがアノードに跳ね戻される。チタンのこの絶えず更新される層は、化学反応しており、収着によりガスを捕捉する。
イオンポンプのための電極は、磁場内に位置し、これは、一般的に、システムに質量及び真空チャンバに複雑性を追加する。しかし、小型質量分析計は、真空チャンバに位置する磁気回路を用いて設計される。少なくとも1つの実施形態において、磁石の磁極面のサイズは、複雑性の大きな増加なしでポンプ排気機能を増強するために質量分析器及びイオンポンプの配置面積を包含するのに十分大きい。
1つの場合では、イオンポンプは、1対のチタンプレート間に吊されて各端部が開放している1組のステンレス鋼の中空円筒を含むダイオードポンプである。ポンプは、利用可能な区域において最大ポンプ排気速度を生成するように設計される。特定の形状及びトレードオフに対して以下に説明する。
イオンポンプは、システム圧力をイオンの平均自由行程が質量分析計の飛行長さ全体よりも大きいように十分に低く保つ。この小型質量分析計に対して、飛行経路の長さは、ほぼ200mmである。イオンの平均自由行程は、l=3.71e−7/pにより与えられ、ここで、lは、m単位の平均自由行程長であり、pは、Pa単位の圧力である。
一般的に、真空は、ほぼ質量分析計の飛行長さよりも大きい規模の各イオンの平均自由行程に保つために、十分に高いものであるべきである(すなわち、圧力は十分に低いものであるべきである)。2mの平均自由行程に対して、最小システム圧力は、3.3e−3Pa(2.48e−5トル)である。
3.10 入口
図1Aに示すように、質量分析計100は、分析されるサンプルを入れる入口180を含む。入口180は、あらゆる適切なタイプとすることができる。例えば、図5に示すように、穿孔ステンレス鋼板504によって支持された半透過性疎水性塑性膜502で形成された入口400を含むことができる。膜502は、水蒸気及び液体の流入を防止しながら、サンプル粒子Pが露出した面積に比例する速度で真空チャンバ(図示せず)に拡散することを可能にする。質量分析計のポンプ排気システムが適切な真空チャンバ圧力で入口ガス負荷を処理することができるように入口速度を選択することができる。
4.0 シミュレーション
例示的な小型質量分析計イオン光学系設計に対して、SIMION8.0(市販のイオン光学系モデル化ソフトウエアパッケージ)を使用して広範囲に模擬された。これらのシミュレーションを使用して、イオン飛行をモデル化し、かつ計器形状、磁石強度、イオン半径などを含むデバイスパラメータを作り又は変更することができる。
4.1 寸法決め
シミュレーションを使用して、設計選択肢を通じて反復することができる(例えば、適切にイオンビームをフォーカスするために電極電圧に影響を与える選択肢を模擬することにより)。シミュレーションの1つの例では、質量分析計の分析器の全高をまず設定した。垂直寸法は、多少任意である。使用された永久磁石は、共に高さが10mmであり、この図案に適合するように間隙を選択した。次に、質量分析器の上部カバー及び底部カバーの各々の厚みに約1.5mmを残して垂直寸法を7mmに設定した。
図6Aは、質量分析計のSIMIONシミュレーションから記録されたイオン源104(図1A)及びイオン源光学系300(図3)の図である。質量分析器の半径を23のmmに設定した(上述のように)。制御寸法としてこれを使用して、質量分析計イオン光学系300及び飛行経路の残りを長さが僅か50mmであるように設計した。電子ビームの作動に及ぼす漂遊磁界の影響を低減するために磁気セクター質量分析器130(図1A)からできるだけ遠くに電子ビームを設けた。
次の決定は、第1のレンズ310でサイズに関わるものであった。第1のレンズ310は、電子ビームにより生成されたイオンの容積を平行化して機械フィルタ上にフォーカスする。このレンズ310は、Einzelレンズとしても公知である3要素対称レンズであり、かつ第1及び第3のレンズ要素が同じ電位であるために対称と説明される。このタイプのレンズを選択したのは、反対側から現れるイオンのエネルギを変更しない可変フォーカスレンズであるからである。一般的に、静電レンズは、要素長とほぼ同じ幅及び長さの1/10に等しい要素間隔で製造される。このようなレンズは、典型的には、レンズの両側に等しい距離である焦点距離を有し、従って、第1のレンズ310後のフィルタ312は、レンズ310からの距離がイオン化領域と同じである。
ビームを僅かにデフォーカスする(例えば、無限大に焦点を置く)ために使用される第2のレンズ320は、第1の機械フィルタと第2の機械フィルタ間の領域をほぼ等しく再分割する2要素レンズである。長い方の電極面は、得られる磁場が僅かにより均一であり、電極の正確な配置は、僅かながら非常に重要というものではない。
第2のレンズ320後の第2の機械フィルタ322は、検出器に到達する漂遊イオンを低減するために更にビーム分散を制限する。このフィルタ322は、磁気セクター質量分析器130(図1A、図示せず)の公称入口から10mmに設けたが、その理由は、磁石からの縁磁場が全く強く、フィルタ322に到達する前にイオンビームを進路から外す可能性があるからである。
尚、電極の全ては、イオン飛行経路に沿った簡単な平坦な面であるのではなく、飛行経路から離れる方向に垂直に十分に延びる。平坦なプレートであればこのシミュレーションにおいて同一に挙動するであろうが、実際には、それは、製作するのがほぼ不可能であろう。電極の深さにより、電極を共通の平面に取り付けることができ、シミュレーションは、電極をどうにか取り付ける必要があることを想起させるものとしてこのように行われた。電極の裏側の形状は、極めて重要なことではない。
4.2 イオン飛行シミュレーション
質量分析計設計全体が模擬され、初期設計作業に適合することが見出された。質量10AMUから44AMUのイオンに対して模擬された。様々な電極の上で必要とされる電圧は、ほぼ予想通りであった。
図6Bは、イオン源光学系300と質量分析器130とを通るイオン源104からの二酸化炭素分子の飛行を示すシミュレーションである。SIMIONでは、空間電荷、イオン衝突、又は2次電子放出のシミュレーションを行わず、図示の幾何学形状の単一の隔離イオンに対してシミュレーションが行われた。縁部電場の効果が模擬された。
シミュレーションを理想的な条件下で行い、初期条件の不適切な選択で簡単に脱線してしまう可能性があることに注意することが重要である。例えば、イオンビームのど真ん中で始まる静止したイオンに行うシミュレーションは、意図する経路に垂直な初速度によるイオン化領域の縁部の近くのイオンよりも非常に有利に挙動する可能性がある。初期条件の不適切な選択により、現実に生成することができるものよりも遥かに高いイオン効率及び分解能で設計が機能すると思い込んでしまう可能性がある。従って、飛行経路内のイオンの初期条件は、入念に選択すべきである。
室温でガス分子の熱エネルギを中心としたガウス広がりを有するようにイオン初期エネルギを選択した。理想ガスのガス分子の平均平行移動エネルギは、E=3kt/2であり、ここで、Eは、J単位の運動エネルギであり、kは、ボルツマン定数(8.617e−5eV/K)であり、Tは、K単位の温度である。室温で、Eは、0.015eVにほぼ等しい。従って、0.015eVの平均値及び0.005eVの標準偏差で初期運動エネルギのガウス分布を使用してその後の軌跡が模擬された。
半径方向に360°にわたる一様分布を使用してイオン初期方向を設定した。電子ビームがイオン化領域に入る孔の投影よりも上方で円柱体にわたって一様分布を使用してイオン初期の位置が設定されている。
図6Cは、質量分析計100(図1A)のイオン源104及び第1のレンズ310の詳細図である。イオンは、ページを出て垂直に誘導された垂直の円筒形電子ビームによって生成されたイオン化領域308の中心において始まる。イオンの初期軌跡は、ランダムな方向及びランダムな運動エネルギで生成される。反射電極304は、第1のレンズ310の方向にイオンを誘導し、第1のレンズ310は、スリット312(図3、6A、及び6B、図示せず)上にイオンをフォーカスする。シミュレーション図の黒色のトレースは、現実的な1組の初期条件を前提としたイオンの計算された軌跡である。イオン電流の大きさが小さいために空間電荷を無視することが適切である。
図7は、物理的レイアウトが2つの寸法で表され、位置エネルギが第3の垂直寸法で表された質量分析計100の等角投影図である。位置エネルギは、イオン源104において最も高く、次に、第1のフィルタ312で減少し、再び、第2のレンズ320において増加した後で、質量分析器130において減少する。ここで、長い方かつ電圧が低い方の第2のレンズ320の利点がより明らかであり、電圧が高い方のレンズに僅かなミスアラインメントがあれば、ビームが登る位置エネルギ「障害」が遥かに急になるので、イオンビームの遥かに大きい軌跡の誤差が発生する可能性がある。
4.3 電子源シミュレーション
図8及び図9は、フィラメント又はあらゆる他の適切なタイプの電子源とすることができる電子源102を含む電子源アセンブリ800又はPierceダイオードのシミュレーションを示している。電子源102は、3つの側面でカソード810及び第4の側面のアノード830によって囲まれた領域と共に配置され、かつ直径が1mm、長さが3mmの円筒形電子源としてここで模擬される。制御電極820が、ソース104とアノード830の間に存在する。制御電極820及びアノード830内のスリット又は開口により、電子は、イオン源104(図1A、図3、及び図6A)内のイオン化領域に伝播することができる。
作動時には、カソード810は、約100Vから約5kVの電位とすることができるアノード830の電位よりも低い約70Vの電位に保持される。真空チャンバの内側に配置することができる制御電子機器(図示せず)は、アノード電位よりも低い約140Vからアノード電位よりも低い約0Vまで制御電極の電位を変える。制御電極がオフ(すなわち、アノード電位に等しい電位)である時に、カソード810及びアノード830は、図8に示すように、アセンブリから出るように電子を推進するように作用する。図8は、アノードのフォーカス効果を示し、放出された電子ビームは、狭いビーム角度で平行化される。電子ビームは、電子源電位が150から900Vに登る時に僅かに狭くなる。制御電極820に電圧を印加することにより、電子ビームの強度が低減する。例えば、図9に示すように、アノード電位よりも低い電位100Vで制御電極820を保持する。
5.0 構成
5.1 基板
質量分析計は、電気的に分離状態のままであると同時にアラインメント状態に保持されるいくつかの静電要素を使用する。部品点数を低減するために、電極の全てのアラインメント及び絶縁を維持するように単一の廉価な基板が選択された。
FR−4プリント回路基板材料を質量分析計を製造する基板に選択した。この選択の理由は、様々である。FR−4ファイバガラスプリント回路基板(PCB)は、カスタムメイド基板製造専用機器が多数あり、かつ関わっている工程が高度に自動化されているために多量の場合に廉価である。PCBは、非常に小さい特徴サイズで製造することができ、かつ精度が極めて高く、Sunstone(www.sunstone.com)のような一般的なPCB企業は、試作モデル数量で約0.15mmまでの特徴サイズを生成することができ、量産数量では、特徴は小型化し、位置決め精度は、その1/10である。電気構成要素のために名目上設計されるPCBは、1e7V/mから2e7V/m台の非常に高い誘電強度を有し、この高い誘電強度は、この質量分析計設計に関わっている電圧に十分である。最後に、PCBは、機械的に非常に丈夫であり、主として、ガラス繊維織物マット及びエポキシ樹脂の構成され、電極を分離させておくのに格好の選択肢である。
PCBは、電気回路の実施に向けて設計されるので、質量分析計の電極及びそれを駆動する回路を同じ基板上に組み込むことができる。基板にPCB材料を使用する更に別の利点は、セラミックプリント回路基板を含むプリント回路基板組成物の複数の変形が存在し、FR−4の潜在的な欠点で万一設計が適切に機能することが妨げられる場合は基本的な材料を比較的簡単に変えることができるという点である。
しかし、PCBには、たしかにいくつかの潜在的な欠点がある。FR−4プリント回路基板は、ガラス繊維強化エポキシ樹脂シート上に銅で製造される。従って、基板材料は、水及びガスを吸収及び吸着する可能性(それぞれ、バルク材料への拡散、及び面への付着)を有する。これらの吸収及び吸着された分子は、次に、質量分析計の真空システムにゆっくり放出される可能性があり、システム圧力が、ガスのこの背景濃度が入口ガススペクトル上で目視で見えるほど変わりがないように十分に低く低下することが妨げられる。これらの潜在的な問題は、解決法がないわけではない。これらの問題に対する2つの主な対策、すなわち、吸収及び吸着されたガスの材料の吐き出し、又はガス放出速度が遅い絶縁保護コーティングを有する材料の封入が存在する。
材料の昇温は、真空において吸収及び吸着されたガスの除去を補助する傾向があることが公知である。真空管を製造する時の標準的な手順は、真空管がまだ排気真空マニホルド上にある間に要素を加熱することによって管からガスを放出させることである。ガス放出は、通常は放熱により真空管の電極を加熱する管フィラメントを作動することにより、又は真空管アノード及び他の電子収集電極を加熱する電子流を引き出すことにより、又は真空管に衝撃を与えることによって行われる。この衝撃は、管エンベロープの外部に保持されたRfコイルにより電極内に誘導された渦電流を使用してジュール加熱により電極を加熱することを伴う。
ガス放出材料の封入には先例もある。材料のガス放出は、宇宙船、特に衛星上で問題であり、ガスが、1つの面によって放出されてセンサのような他の臨界面により再び吸着される場合がある。従って、絶縁保護コーティングは、ガス放出特性があるか否かを試験されることが多い。ガス放出特性を判断する標準的な試験方法が存在し、「ASTM E595−07」である。1つの公知のガス放出速度の遅い絶縁保護コーティングは、パリレンであり、パリレンコーティングは、多くのジョブショップによって提供されるサービスである。
本発明の質量分析計の実施形態は、PCB基板の底部に追加された抵抗加熱器の分散網を含むことができる。これらの加熱器により、熱を同時にPCBにわたる点で一斉に追加することができる。別の実施形態において、これらの抵抗加熱器は、殆どの自動車の後部窓上の抵抗アレイに似た簡単な薄いトレース網によって置換されるか又はそれによって補強される。
5.2 PCB設計及び構成
図10は、(費用を低減するために製造後に切り離される)その各部分の全てが連結されたプリント回路基板のCADレイアウトを示している。質量分析計の外形寸法を低減するために、PCBのいくつかの層を使用した。プリント回路基板の最下層は、次章で詳細に説明する電子回路パッケージを担持し、一方、2つの上側PCBは、質量分析器の底部及び上部カバーを形成する。
図11は、例示的な質量分析器アセンブリ1100のCADモデルを示している。基板190は、上部カバー1102と底部カバー1104間に挟持され、分析器電極1110がその間に存在する。基板190は、絶縁体(例えば、20mm長M3六角絶縁体)により、電子機器基板1120に接続される。ネジが、分析器リング、質量分析器下部PCB及び六角絶縁体の取付け孔を通過する。質量分析器の上側PCBの切り抜き部により、ネジ頭は、干渉なしで着座することができる。それによって取付けハードウエアの除去を必要とすることなく質量分析器の上部カバーを電極アラインメントに向けて取り外すことができる。
電気フィードスルーは、電子機器基板に質量分析器基板を接続する。低電圧デジタル及びアナログ電源ピンは、2列の20mm高の2.54mm間隔ピンヘッダ上に担持される。静電レンズに使用される高電圧品の方が困難であり、2kVに定格された電気メザニンコネクタは存在しない。代わりに、質量分析器基板及び電子機器基板の適切に離間した列の孔が、2枚の基板が互いに機械的に装着された後に25mmM2ハードウエアに装着される。各孔の周りの銅製リングは、電気接点として機能する。
5.3 電極
基板としてPCBを使用して、電極を製作してPCBに取り付けることができる。これらの電極の形状及び相対的な間隔は、上述のシミュレーションから直接に得ることができる。電極は、縦軸(イオン飛行経路の平面から出る軸線)を通じて左右対称形状を有する。簡単な製造技術の殆どは、2つの寸法で実施された時に大幅に簡素化され、2つよりも多い軸線で作動を実行するために構成要素を取り付けるのに必要とされる固定機械又は複雑な機械は、完成部品の費用を追加する。
電極は、タイプ303ステンレス鋼から切断される。このステンレス鋼は、複数の有用な特性を有する。バルク金属及びその表面酸化物は、導電性、不活性であり、ガス吸着に対する親和性が低い。それは、高真空作動に使用される一般的な材料であり、殆どの高真空構成要素は、303ステンレス鋼又は類似の材料で製造される。
タイプ303ステンレス鋼は、最も機械加工しやすいステンレス鋼のうちの1つである。しかし、これらの電極を生成するのに必要とされる特徴の一部は、全く小さい数百マイクロメートル台であり、これらの種類の特徴は、バイトによる製作に助けにならない。一般的に、バイトは、薄い壁に囲まれた特徴を製造するには大きすぎる力を与える。従って、質量分析計電極の製作に選択される製造技術は、ワイヤ放電加工(ワイヤEDM)である。代替的に、質量分析計の左右対称の構成要素を一部の場合に材料の変更で押出し品として製造することができる。次に、押出し品を単にセグメントに切ることができ、非常に経済的な製造方法を提供する。
電位が異なる電極は、別々の構成要素であるが、電位が同じ電極の全てを同じストックから単品として切断することを可能にすることによって質量分析計に向けて製造を簡素化する手法が行われている。更に、各電極を単一通過で切断することができるように構成要素を取り付けるのに必要な特徴の全てをツール経路内に設計した。
5.4 質量分析器
図12は、質量分析器電極のCADモデルである。質量分析器が接地電位であるので、その構造的ループにより、質量分析器自体及び質量分析計の両方の構造的剛性が得られるようにかつ電気遮蔽に向けて、システム内の他の面内電極の全てが取り囲まれる。質量分析器内の電極によって生成される磁場は、外側から遮蔽されなければならず、従って、理論的に、遮蔽されなければ電子機器と干渉する可能性がある一部の漂遊磁界が防止される。
質量分析器は、磁気セクターの入口及び出口で1対の精巧な特徴も有する。これらの特徴は、検出されたイオンビームの幅を制限する機械フィルタであり、検出されたイオンが意図する質量であるという可能性が最大にされる。フィルタは、数百μmもの幅であるスリットであり、シミュレーションから分るように、質量分析計の感度及び分解能と直接的な関係を有する。一般的に、スリットは、殆どの質量分析計では、別々に製造されて設置され、ここでは、質量分析器と共に同時製作され、イオン光学系で共線であることが保証されると共に、部品点数を最小にし、かつスリットアラインメントの必要性を排除することによって費用が最小にされる。
図13は、基板190(図1A)と同じ材料(例えば、PCB材料)の部分からワイヤEDMを使用して形成された薄い調節可能な屈曲部1300を示している。屈曲部1300は、ヒンジ式部分(ヒンジ)1302を通じて基板190に接続したL字形部材1304を含む。主ネジ1310のようなアクチュエータでL字形部材1304の直立部分を押すと、L字形部材1304は、ヒンジ1302の軸線に関して回転し、それによってイオン(又は電子)経路におけるスリット1308の幅が低減する。停止具1306は、L字形部材1304がスリット1308を閉じすぎるのを防止する。主ネジ1310のネジを緩めると、ヒンジ1302が弛緩位置に戻り、L字形部材1304は、もはやスリット1308を閉じない。この屈曲部は、計器の分解能及び感度に対する優れた制御が得られるように作動前又は作動中に位置決めすることができる。
別の実施形態において、屈曲部は、例えば、電動式の主ネジにより又はピエゾアクチュエータにより起動される。それによって質量分析計は、自動的に分解能に対するその感度を迅速に最適化し、弱い信号に向けてイオン電流を増大させるためにスリットを拡張し、隣接した質量のイオンを分析する時により良好な分解能が得られるようにスリットを狭くする。
5.6 静電レンズ電極
イオン源、質量分析器、及び検出器に使用される小型化した電極は、ワイヤEDMを使用して質量分析器と同じストックから切断することができる。活性面に加えて、質量分析器PCB内の特徴に対応する少なくとも2つの取付け特徴を各電極に切り込むことができ、従って、角度ミスアラインメントの可能性が最小にされる。
5.7 電子ビーム電極
質量分析計のイオン源内の電子ビームも、同様に適切な機能のための電極を必要とし、これらの電極は、イオン源電極の平面外にある。電子ビームが下から上にイオンビームと垂直に走るので、イオン源電極は、異なる製作技術を使用して製作される場合がある。例えば、電子ビーム電極、トラップ、及び電子フォーカスリングは、小さいPCB上に印刷してM2ハードウエアと共に主PCBに装着することができる。
電子フォーカスリングは、タングステンフィラメントになるPR2閃光電球の物理取付け部を兼ねており、電子フォーカスリングにより、フィラメント及び担体は、電球の取付けフランジの捕捉を保ちながら電子機器PCBを通過することができる。長さ25mmのM2ネジが、フォーカスリングPCBを通り、閃光電球ベースを過ぎて電子機器PCBを通る。M2ネジは、緊張下に保たれ、それによって閃光電球がアラインメントを可能にしながら所定の位置に固定され、取付けネジを締め付ける前に電球ベースを僅かに移動することができる。
トラップ電極は、M2座金により200um離れる方向に離間した上側質量分析器PCBの上方に装着され、質量分析器に貫通ボルト留めされる。長さ30mmのM2ネジ切り棒及びジャムナットで製造された長いM2ネジが、トラップ電位が生成される電子機器基板にトラップ電極を電気的に接続する。
5.8 電極仕上げ
小型質量分析計の電極は、標準的な電気構成要素のようにプリント回路基板に装着される。例えば、各電極においてノッチを切り込み、かつ水素炎トーチ及び銀鑞を使用して電極本体に小さいステンレス鋼のピンをろう付けすることによって取り付けることができる。この手法により、電極の上側より上に出る突出部なしで電極を取り付けることができ、従って、各電極の取付け特徴を質量分析器のPCB上部カバーと整合させるという問題がない。代替的に、PCB上部カバーは、取付けネジ頭の間隙が得られるように切り抜き部を含むことができる。質量分析計の完成版では、PCBに各電極を固定するためにM2及びM1.6ハードウエアの組合せを使用する。
図14は、質量分析計電極を組み込む工程の2つの段階を示している。ワイヤEDM(図14では左)が済むと、各電極の切削面は、肉厚酸化物層で覆われる。電極は、30%の硝酸溶液に30分間、次に、超音波洗浄槽(図14では右)内で30分間、摂氏50度で2回変えた無水エタノールに漬けられた。この手順により、酸化物層が除去されて、下に光沢金属が残る。
5.9 磁石
1つの例では、上述したように、質量分析器は、軟鉄ヨークによりアラインメント状態に保持された1対のNdFeB磁石を含む。取付け面が設けられ、孔が明けられて、M3ハードウエアに向けてネジ立てされる。この取付け面を電子機器PCBに取り付けることができる。
5.10 イオンポンプ
同時製作されたイオンポンプは、磁石面のちょうど未使用半分を包含するのに十分小さい容積で収まることができる。イオンポンプが高い電圧で作動するので、プリント回路基板は、磁石磁極面をイオンポンプ電極から絶縁するのに使用される。従って、イオンポンプ全体が、50×25×7mmの容積で収まることができる。
図15は、イオンポンプアノード120のCADモデルである。典型的には、イオンポンプは、アノードを形成するために互いに接合されるステンレス鋼管の束で設計される。このような加工は高価であって、大きな労働力を要するが、この質量分析計上の小型イオンポンプのアノードは、ワイヤEDMにより一回通過でステンレス鋼板から切断された一連のセルを含む。
ポンプ排気速度は、セルの直径及び数に比例しており、ある点までこれらの値を増大させると、イオンポンプの速度が改善する。狭い利用可能な空間、並びに標準よりも高いB磁界の強さを考慮して、セルの直径を増大させる代わりにより多くのセルを追加した。別の指針では、各セルの長さがセルの直径の1.5倍台の大きさにすべきとなっているが、3.5mmのプレートでは、これは、極端に小さいセルを設計しない限り行い難い。
イオンポンプのカソードは、厚み0.5mmの1対のチタンプレートカソードを含み、取付けタブは、アノードの4つの取付けタブと交互配置されるように位置する。イオンポンプ電極の取付け孔は、PCB基板の孔と接合する。
5.11 アセンブリ
図16は、上部カバー及び磁石ヨークが取り外された完全な質量分析計の写真である。設計通りに、質量分析計は、複雑なツール又は技術がなくても組み込むことができる。全ての取付けハードウエアを単一の1.5mmスロット付きのドライバ及び先端部が長いペンチで取り付けることができる。各電極の輪郭の形態であるプリント回路基板上のアラインメント特徴部で組み付けしやすくなり、ネジを完全に締め付ける前に電極を付勢することができる治具をイオン飛行経路に挿入することができ、電極面が確実に平行のままになる。隣接した特徴部の間に0.5mmの間隙を設けて全ての電極を設計したので、他の電極は、0.5mmのシムストックで離間させることができる。
図17は、閃光で側面から照らしたフィラメントの写真(左)及び質量分析器に至る入射スリットの写真(右)を示している。フィラメントアラインメントを光学的に行うことができ、明るい閃光を部分的に組み込まれた質量分析計の側面からフィラメントの方向に照射することができ、フィラメントの中心が上から明瞭に見えるまで、電子フォーカスリング電極を平面において移動することができる。容積が大きいイオン源及び直径が大きい電子ビームのために、これは、電子ビームを通じた視認性が良好なので比較的簡単な手順である。主ネジを締め付けるか又は緩めることによって機械フィルタを形成する屈曲部上のスリットを調節することができる。Mag−Lite閃光灯により上から照明された分析器入射スリットの拡大写真が図17の右の写真に示されている。
電極が組み立てられた状態で、単一のM2ネジで質量分析器の上部カバーを取り付けて通過ボルト留めすることができる。トラップ電極は、次に、分析器カバーの上方に装着されて、同様に通過ボルト留めされる。PCBアセンブリは、次に、磁石ヨークにボルト留めされ、磁石極の相対的な位置を示すアラインメント図が、分析器PCBアセンブリの外側の上でプリント回路基板銅層においてエッチングされる。僅かに大き過ぎる取付け孔により、外側に図に適合するように磁石を僅かに調節することができ、従って、この時点では覆われている質量分析器とのアラインメントが保証される。
図18Aは、6インチConFlatフランジに装着されて組み立てられた質量分析計の写真である。質量分析計の最終アセンブリは、鋼又はガラス円筒体と同じ程度簡単とすることができる真空チャンバを伴っている。質量分析計の磁石ヨークをConFlatフランジのネジ付孔に通過ボルト留めした。入口のための1つの1.29mm外径ステンレス鋼細長チューブ及びいくつかの低電圧ワイヤが、フランジの通過孔を通じて給送され、所定の位置にエポキシ樹脂で接着された。挿入写真は、質量分析計の反対側の真空フランジの側面であり、計器との電気及びガス接続部を示している。(粗引きポンプのためのポートをこのフランジ上で使用することができるが、この場合に、粗引きポートを真空チャンバの別の端部上に設けた。)
図18Bは、フランジ上に装着されかつ6インチConFlatティーの端部に挿入された質量分析計の写真である。ティーの遠い方の面には、イオンゲージコントローラ(Vvarian model 843、www.varianinc.com/vacuum)に接続したイオンゲージ(Duniway Sstockroom、www.duniway.com)を取り付けた。ティーの第3の面を粗引きシステムに使用した。
この質量分析計からの初期ガス負荷がかなり高いことが予想されたので、強力な粗引きシステムを使用した。0.2m3/sターボ分子ポンプ(Varian V−200)をConFlatティーに接続し、ターボポンプの排気管を機械の粗引きポンプ(Welch Vacuum1402)に接続し、作動流体として蒸留水で温度制御式リサーキュレータ(VWR Sscientific Pproducts)により冷却が行われた。
6.0 電子機器
小型質量分析計を制御する電子機器は、検出器を除いて、質量分析器基板の下のプリント回路基板上に位置する。質量分析器の場合と同様に、電子機器基板は、ガス放出を容易にするために半田マスクなしで製作される。物理的には、電子機器基板は、20mmM3絶縁体がそれを分析器基板の孔に嵌合させるために使用することができるように計画され、電気フィードスルーは、質量分析器基板上の静電要素及び検出器に電子機器基板を接続する。電子機器基板は、2つの主要な部分、すなわち、電源部(変換回路)及びデジタルコントローラを含む。複数の独立した絶縁した電源により、電子機器基板の小部分の全てが作動する。
6.1 電源(変換回路)
質量分析計は、1.1Aまで+12VDCの単一の入力電源で作動させることができるが、通常の状態下で作動中の一般的な供給電流は、0.5Aである。複数の異なる電源が、1つ又はそれよりも多くの直流/直流変換器(図1Aの変換回路150)を通じて内部的に生成される。+12V電源は、以下の節で詳述するように、レンズドライバの電源として機能する。この電源の接地は、システム接地として機能し、かつ真空エンベロープにも結合される。
1つの例では、変換回路は、マイクロプロセッサ、デジタル/アナログ変換器(DAC)、及び質量分析計を制御するのに用いられるアナログ/デジタル変換器(ADC)、検出器140(図1A)のアナログステージ、電子源及び電子源電極(例えば、図8及び図9のフィラメント102、カソード810、制御電極820、及びアノード830)、イオンポンプ120(図1A)、イオン光学系300(図3)、及び反射電極304(図3及び6A)のようなイオン源104電極を含むがこれらに限定されない様々な分析計電極及び構成要素に向けて電圧を生成する。適切な電圧には、デジタル論理回路電圧(例えば、+3.3V、+5V)及びイオンポンプ120、電子源、イオン光学系300、及びイオン源104のための約100Vから約5kVの電位がある。分析計はまた、外部電源からの入力電圧のリップルを補償又は補正するためにフィルタ及びレギュレータを含むことができる。
分析計は、各構成要素及び電極のための1つの変換回路150、又は構成要素及び電極の群のための電圧を生成する複数の変換回路150を含むことができる。例えば、それは、デジタル論理回路に電力を供給する隔離+3.3V/1W直流/直流変換器を含むことができる。デジタル論理回路は、DAC及び質量分析計を制御するのに使用されるADCのようなマイクロプロセッサ及びアナログ入出力(I/O)モジュールを含む。検出器のADCのデジタル側も、デジタル論理回路電源から作動する。論理回路供給分の接地側は、単一の点でシステム接地に結合される。
分析計は、隔離±5V/1W直流/直流変換器、次に、検出器のアナログステージに向けて±2.5VDC電源を供給する1対の線形レギュレータを含むことができる。この電源は、かなりフィルタリングされて軽負荷であり、1対のopアンプ及び検出器ADCのアナログの半分に向けて供給電流を供給する。この電源の接地は、ノイズを低減するために正に検出器電極でシステム接地に結合される。
分析計は、名目上2.4V/500mAを引き出すフィラメントに向けて供給電圧を供給する隔離+3.3VDC/3W直流/直流変換器を含むことができる。この電源の接地は、フィラメントバイアス電源に結合され、フィラメントバイアス電源は、イオン源電源を下回って70Vである。
分析計は、質量分析計のトラップ電流を測定するADCに向けて供給電圧を供給する接地がトラップ電位にバイアスされた隔離+3.3VDC電源を含むことができる。分析計は、反射電極304(図3)を駆動するopアンプの供給電圧を供給する接地がイオン源電位にバイアスされた隔離+5.0VDC電源を含むことができる。それはまた、搭載イオンポンプ120のアノード電圧を供給する絶縁3kV/3W直流/直流変換器を含むことができる。
6.2 イオン光学系ドライバ
5つの高電圧比例直流/直流変換器(変換回路)が、静電要素電位を供給する。比例直流/直流変換器は、変換器の入力電圧に正比例する出力電圧を生成し、かつ様々な出力電圧が望ましい時に有用である。これらの直流/直流変換器の入力電圧は、各直流/直流変換器の僅かな出力電圧が各opアンプに供給されて出力が安定するように構成された作動中の増幅器によって供給される。各opアンプのための基準は、一度較正することができて作動中不変のままとすることができる電位に向けて、デジタルコントローラから又はポテンショメータからDACによって供給される。
これらの直流/直流変換器(変換回路)は、イオン源、イオン源の静電レンズ、トラップ、及びフィラメントのバイアスに向けて電位を供給する。これらの変換器の出力の全ては、システム接地準拠である。適切に互いに出力を結びつけた(例えば、トラップ電源を接地ではなくイオン電源準拠とする)方が簡単であったであろうが、これらの直流/直流変換器の各々の出力絶縁定格は、そうするには十分ではなかった。
6.3 電位計
ファラデーカップ電極に接続した電位計は、アナログ/デジタル変換器に接続されて5e10の利得を有する相互コンダクタンス構成内の「ナショナル・セミコンダクタ LMP7721」演算増幅器のような敏感な相互コンダクタンス増幅器である。5pF銀マイカコンデンサが、フィードバック経路と並列であり、このコンデンサは、高周波数で増幅器の利得を低減し、従って、増幅器の出力時に存在する高周波ノイズが低減される。
電位計の高い利得のために、漏れ電流は、電位計出力のドリフトを引き起こす可能性がある。これを低減しやすくするために、保護リングが、電位計の入力ピン、帰還抵抗及びコンデンサの一端、及びファラデーカップ電極を接続する接合部を取り囲んでいる。この保護リングは、入力が電位計の非反転及び名目上接地された(かつバイアス電流のために僅かにずれた)入力から導出される単一利得電圧モードで「ナショナル・セミコンダクタ LMP7715」のような第2の演算増幅器により駆動される。相互コンダクタンス増幅器の出力は、ADC(例えば、「テキサス・インストルメンツ ADS1281」24−ビットADC)により直接にデジタル化される。
電位計回路全体は、質量分析器電極内に切断されたポケットの内側の分析器PCB上に装着される。電極は、2つのPCB上の銅と共にファラデー箱に電位計を入れる役目をする。ファラデーカップ検出器電極に電位計が極めて近くにあるために、ノイズが信号を破壊する可能性が少なくなる。
6.4 脱ガス加熱器
真空チャンバ内のプリント回路基板は、かなり大きいガス負荷を担持することが予想されている。従って、分散型抵抗器のネットワークをプリント回路基板に追加して、PCBにより吸収及び吸着されたガスを除去しやすくなるのに十分に基板温度を確実に上げることができるようにした。主な+12VDC電源によって作動する複数の1Wの抵抗器が戦略的な位置に設けられ、かつオン/オフ又はPWM加熱コントローラとしてPチャンネルFETによりゲート制御される。
6.5 デジタルコントローラ
図19は、プロセッサ1902(例えば、STMicroelectronicsにより製造される32ビット「ARM Cortex−M3」マイクロプロセッサ(STM32F103CBT6))周りに製造された質量分析計のデジタルコントローラ1900のブロック図である。プロセッサ1902は、電源(変換回路)150により電源が供給され、かつ真空チャンバの内側と外側の間でデータ及び命令を中継する無線通信インタフェースとして機能する高周波(RF)通信モジュール1920に結合される。コントローラ1900はまた、マイクロコントローラ1900上で共通のシリアルペリフェラルインタフェース(SPI)バス1910を通じてプロセッサ1902に結合されたDAC1904a−1904c(集合的に、DAC1904)、ADC1906a−1906c(集合的に、ADC1906)、及び電場効果トランジスタ(FET)1908a−1908c(集合的に、FET1908)を含む。質量分析計の真空空洞により形成された真空空洞内にコントローラ1900全体を閉じ込めることができる。例えば、図11に示す電子機器基板1120にコントローラ1900を装着又は結合することができる。
一例示的なコントローラ1900では、イオン源電源及び2つの静電レンズ上の電位を設定するのに使用される3つのDAC1904a−1904c(例えば、AD5662 DAC)が存在する。フィラメント駆動電流及びトラップ電流を測定するのに使用される2つのADC1906a及び1906b(例えば、AD7680 ADC)が存在する。2つのADC1906a及び1906bは、いずれも、高い電圧でバイアスされた電源で作動しており、これらのデバイスのSPIバスは、光遮断器(例えば、Avago Technologies ACSL−6410双方向性(3/1チャンネル)光遮断器)により論理回路レベルバスから隔離される。別のADC1906cが、電位計に結合される。
DAC1904及びADC1906が、マイクロプロセッサのSPIバス1910に接続される。各DAC1904及びADC1906は、アドレス指定のための固有の専用マイクロプロセッサGPIOピンを有する。更に、いくつかのGPIO線が、他の機能(例えば、データ待機、リセット)に向けて電位計ADCまで走っている。ポートエキスパンダ/LEDドライバ1912(例えば、Mamxim Integrated Products MAX6696ポートエキスパンダ/LEDドライバ)も、ユーザフィードバックに使用されるSPIバス1910及び3つのRGB LED1914に接続される。
マイクロプロセッサ1902上のハードウエアタイマに接続したピンは、フィラメントに接続したPチャンネルFET1908aのゲートドライブとして使用される。フィラメントは、最高効率が得られるようにパルス幅変調で駆動される。スイッチング周波数は100kHzであるが、干渉が検出された場合は作動中に変えることができる。
プロセッサ上の他のピンは、他の周辺機器を制御するのに使用される。フィラメント及び高電圧電源の殆ど及び脱ガス加熱器を含む電源の一部は、大型PチャンネルFET(例えば、FET1908b及び1908c)によりゲート制御される。FET1908は、質量分析計が使用されていない時に電力を節約するためにフィラメント及び高電圧電源をシャットダウンすることができるようにマイクロプロセッサピンにより駆動される。
1対のピンが、イオンポンプを制御及びモニタするのに使用される。一方のピンは、コントローラがイオンポンプアーク発生なしに大気圧で稼動させることができるようにイオンポンプを有効にする。他方のピンは、イオンポンプ供給分の端子電圧をモニタするためにマイクロプロセッサの搭載12ビットADCに接続されたアナログ入力として使用される。
マイクロプロセッサ内のハードウエアUSART送受信機に接続された2本のピンは、外界との質量分析計の通信ツールである。これらのピンは、真空チャンバの壁を通過する(しかし、真空ハウジングがガラスから作られる場合に、データを光学的に伝達することができる)。
この例では、真空チャンバを通気することを必要とすることなくマイクロプロセッサのコードを再設定することができるように、Cortex−M3特定の3本のシリアルワイヤプログラミング(SWP)ピンも真空ハウジングに通過させた。
6.6 制御ソフトウエア
1つの例では、質量分析計のための制御ソフトウエアは、コンピュータ言語Cで書き込まれ、かつ「IAR Systems Embedded Workbench IDE」及びコンパイラを使用してCortex−M3コアに向けてコンパイルされる。主実行ループは、質量範囲を生成するのに必要とされる基本的演算を制御する有限状態機械である。各ループサイクル中、質量分析計は、外部変数の状態を示す利用可能なデータの全てを読み取って、次に、計器の状態に依存するコードを実行する。LEDの1つは、機械の状態によって色を明滅するタスクが課せられる。明滅速度は、主要な実行ループによって制御され、コードがロックしなかったという視覚フィードバックが得られる。以下の節でより詳細にこれらの状態を説明する。
6.7 ブート
ブート時間に、質量分析計は、バスに装着された周辺機器の全ての状態を検査する。供給するデータを解釈することにより、周辺機器、ADC、及び様々な電源の殆どを検査することができる。自己検査のいずれかの不良により、質量分析計は、故障モードに入る。
6.8 待機
待機モードでは、マイクロプロセッサは、任意的に、イオンポンプ及び脱ガス加熱器を除いて周辺機器の全てをシャットダウンする。この最小電力消費モードでは、システムは、引き出す電力が1Wよりも小さい場合がある。
6.9 アイドル
アイドルモードでは、マイクロプロセッサは、高電圧電源及びフィラメント電源を準備する。フィラメントは、長寿命化するために低減された電圧で作動する。このモードでは、マイクロプロセッサは、高電圧電源が適切に機能中であり、かつフィラメントが焼き切れていないことに保証することができる。アイドルモードへの移行中に、フィラメントは、熱衝撃を低減するためゆっくり昇温される。フィラメント予熱時間は、約0.5sとすることができる。
6.10 掃引
掃引モードでは、マイクロプロセッサは、能動的に電極を駆動してイオン電流を測定する。イオン源電源は、ハードウエアによって達成可能な最小電圧、すなわち、ほぼ150Vにされ、約20V/sで約800Vまで掃引される。静電レンズ電圧も、各イオン源電位で適切にイオンビームをフォーカスするために絶えず変えられる。
電位計電流は、シリアルポートから質量分析計に接続したラップトップ又は他のコンピュータデバイスに送り出される。簡単な端末プログラムでデータは収集することができ、質量走査を実行した時に、データは、ラップトップ上で捕捉してデータ分析プログラム内のデータファイル(例えば、コンマ−セパレーテッド−バリアブル(.CSV)ファイル)として開くことができるテキストのコラムとして出力される。
質量分析計は、コンピュータを通じてアクセスされる直列伝送端末インタフェースによって制御される。質量分析計上の端末プログラムにより、指令は、殆どはデバッグを目的として、但し、機械の状態を制御することも目的として送ってかつ解釈することができる。新しい状態を指定する引数を有する指令「mode」により、先に詳細したように、ユーザは、作動モード間で切り換えることができる。浮動小数点数又はオン/オフのような引数(例えば、「filament off」又は「ionbox 500.0」)を有する指令「filament」、「repeller」、「ionbox」、「lens1」、及び「lens2」により、ユーザは、真空チャンバ内の様々な電極を直接に制御することができる。他の指令「degas」、「ionpump」により、ユーザは、マイクロプロセッサがこれらの特徴をいつ有効にすべきか分らないので、遠隔作動でこれらの周辺機器をオン及びオフにすることができる。
7.0 試験
質量分析計は、サブアセンブリ並びに完全なシステムの広範囲な試験を受けた。
7.1 電源及び制御システム
電源の全てに電源を投入して公称電圧が得られているか否か試験した。この電源の騒音指数は、電位計opアンプのCMRRにより直接に電位計ノイズフロアに影響を与えるので、±2.5Vアナログ電位計電源に特に注意を払った。
質量分析計がクラッシュなしで数日間にわたって全てのモードで稼動することができることを検証することにより、制御ソフトウエアを試験した。次に、様々な作動モードを電力消費量に対して調べた。表1(以下)は、12のVDCでの各作動モードの電力消費量を示している。作動の全てのモードにおいて、この質量分析計は、引き出す電力が他のいずれの既存の小型質量分析計よりも少ないことに注意されたい。イオンポンプは、3Wを引き出すが、この量の電力は、ポンプを持続するのに全く十分ではなかった。
(表1)
7.2 電子ビーム
電子ビームの作動は、質量分析計の第1の診断兆候である。作動は、一般的にトラップ電流により特徴付けられる。トラップ電流は、フィラメントから放出され、イオン化領域を完全に通過して、トラップ電極で集められる電子流の一部分である。トラップ電流は、フィラメント輝度に正比例しなければならず、フィラメント輝度自体は、フィラメント電力の非線形性の強い関数である。特定の出力レベルよりも大きいと、トラップ電流は、急速に上がり始め、一方、フィラメント寿命は減少する。
フィラメント電圧Vの関数としてフィラメント強度は、V^(3.4)に比例し、一方、フィラメント寿命は、V^−16に比例し、フィラメントを過剰駆動しない強い動機を与える。この質量分析計に使用されるフィラメントは、標準的なPR−2タングステン閃光電球のフィラメントである。このタイプの電球は、2.4V及び0.5Aでの15時間の寿命が得られるような定格を有する。低減された電圧で作動すると寿命が延びる。例えば、2.3Vでは、フィラメントは、30時間に寿命を倍増しながら輝度の86%を保持する。
トラップ電流を2つの異なるフィラメント電圧で測定し、これを表2に要約している。
(表2)
トラップ電流は、異なる実験中にはむしろ多少可変であり、2.4Vの作動電圧でさえ一部の試験中に25μAに下がったが、一部の場合には、質量分析計を分解及び再組み立てすることが多く、イオン化領域に対するフィラメントの正確な向きが変わったことによるものであった。
7.3 脱ガス加熱器
図20は、基板190(図1A)又は電子機器基板1120(図11)のような質量分析計基板2004に接続した抵抗加熱器2002のネットワークで形成された脱ガス加熱器2000の図である。加熱器2000を使用して、基板の温度を上げることにより、これらの基板上の吸収及び吸着されたガスの少なくとも一部を除去することができる。加熱器2000をオンにするために、抵抗加熱器2002を通る電流を流し、それによって抵抗加熱器2002及び基板2002が加熱される。基板2002が加熱する時に、吸収及び吸着されたガスを放出し、このガスは、イオンポンプ120(図1A)、真空チャンバに装着された別のターボポンプ、又はその両方により真空空洞から排気される。加熱器が適切に機能している時に、真空下で加熱器をオンにすると、ガスが排気される時にチャンバ圧力の増加が認められ、次に、加熱器が再びオフにされた時に、初期レベルよりも低いレベルへの圧力低下を認めることができるはずである。
図21は、脱ガス加熱器を試験するために実施された実験に関する圧力対時間のプロットである。質量分析計を真空ハウジング内に設けてポンプで排気した。チャンバ圧力が安定した時に、加熱器をオンにし、次に、ほぼ3時間後に再びオフにした。比較的遅い初期減少、次に、加熱器をオンにした時のチャンバ圧力のチャンバ圧力の増加に注意すべきである。ガスを排気すると、チャンバ圧力は、下がり始め、この時点で、次に加熱器をオフにする。この時点で、自ら熱を生成して電子機器基板からガスを排気する電源電子機器を起動させる。将来は、これらの2サイクルを同時に実行することができるが、現在は、それらは、損傷なしに同時に作動するには生成する熱が多すぎる。
図22は、加熱器をオンにした後の異なる期間の搭載された分析器の赤外線の画像を示している。質量分析器基板を熱探知カメラ(例えば、FLIRサーモビジョンA40カメラ)の下に設けて、熱の遷移挙動を10分(600s)にわたって観測した。温度上昇は、この一連のフレームにおいて絶対値では控え目であるが、この実験は空気中で実行されたものであった。真空状態では、面を冷却する対流がないので温度上昇はかなり速くなるはずであるが、熱は、ほぼここで観測されるパターンで流動することになる。
7.4 レンズ線形化
図23は、各レンズドライバの相対的な較正を示している。レンズドライバの各々に関わるフィードバック制御ループが正確であることを保証する試みにも関わらず、部分的に変動がレンズ指令とレンズ電圧の間にあった。従って、較正をイオン源電位及び2つの静電レンズに実行した。正しい電圧がレンズに出力されたことを検証するためにこの較正曲線を線形化し、質量分析計コントローラのコードにプログラムした。同一ハードウエアを使用して製造されることを前提としていたはずであるので、レンズドライバは類似のものであったが、2、3ボルトの変動があった。これはあまり重要ではないように思える場合があるが、上述の位置エネルギ面により、これらの電圧の一部をいかに入念に整合すべきであるかが見出され、誤って調節したレンズは、イオンビームを大きく制限又は阻止する可能性があり、信号が排除される。
7.5 イオンポンプ
システムを2.6e−6Pa[2.0e−8トル]にポンプ排気した後に、小型の同時製作されたイオンポンプを個別に試験した。イオンポンプを2.6e−4Pa[2.0e−6トル]で始動して、圧力を2.6e−6Paに到達するまで真空チャンバのターボポンプと共に作動させ、この時点で、ターボポンプとチャンバ間に挿入されていた弁を閉じた。
図24及び図25は、試運転工程中の真空チャンバ圧力、ポンプ電圧、及びイオン電流のプロットを示す図である。始めは、吸着されたガスを排気するために小型イオンポンプを加熱し、イオンポンプがガス負荷を担持する準備が完了するまで第2の高真空ポンプと共に稼動させる。この試運転工程は、質量分析計の搭載のための加熱器を使用することなくほぼ15時間掛かる。
図26は、試運転試験後に分解したイオンポンプの写真を含む。チタンカソードプレートを各ポンプセルの中心部に窪みに入れ込んで、アノードをスパッタ処理によりチタンメッキした。
7.6 質量スペクトル
本発明の質量分析計に対して、スペクトルは、イオン源電位の関数としてイオンビーム電流として現れる場合がある。マイクロプロセッサは、荷電比に即して質量に対してイオン電流を出力するようにプログラムすることができるが、この例に対して、イオン源電位とm/z間のマッピングは、データ後処理において行われる。代替的に、本発明の質量分析計は、高電圧バイアスパラメータ(例えば、フィラメント電流、トラップ電流)を測定することができる。
多くの質量掃引試験を小型質量分析計に実行し、得られるデータに基づいて多くの最適化を試験間に行った。最適化は、一般的に主ではなく、可変形状質量分析器スリット、電位計ハードウエア(例えば、帰還抵抗、コンデンサ)を調節し、かつフィラメント電力、静電レンズ電位、及びイオン源電圧掃引速度及び範囲を最適化するようにソフトウエアを変更した。
図27は、例示的な小型質量分析計から集められた質量スペクトルを示している。大きい中心のピークは、一部の場合に窒素であり、一方、グラフの右側のピークは、水である。酸素は、一部の場合には、窒素ピークの左肩部から突出するピークとして現れ、この例示的質量分析計は、4AMU隔てた質量を分離するには十分な分解能を有していなかった。このスペクトルにより、イオンビームが電極の1つを調節するためにデジタルコントローラを使用して切られたことを見ることができる。
図28は、顕著なピークが強調表示された質量分析計の別のバージョンにより捕捉された質量スペクトルである。このデータは、加速電位と質量/電荷比率の逆相関に関して補正したものである。29m/zでのピークに注意されたく、これは、一部の場合には、14N14Nに対して0.36%の存在量で空気に存在する窒素15N14Nの同位元素である。
観測された1つの興味深い特徴は、質量分析計は、たとえ静電レンズが無効にされたとしても(例えば、レンズがビームを変えないようにプログラムされた)、SN比の低下にも関わらず機能することである。この結果を使用して静電レンズの効果が特徴付けられた。
図29は、1つがレンズがオフで実行され、別のものがレンズがオンで実行された1対のスペクトルである。このレンズにより、ノイズフロアを増大させることなく、信号強度においてほぼ10倍の増加が得られる。これは、質量分析において極めて貴重であり、捕捉及び分析に対する注意の対象である生成されたイオン割合が大きいほどいかに強い信号を得ることができるかを示している。レンズを最初に手で調節し、既知のイオン化学種を用いてある電位にイオン源を設定し、次に、最大の信号が得られるようにレンズを調節した。いくつかのイオンを調節して、得られた曲線を線形補間を用いて適合させた。
図30は、可変形状スリットの効果を示す空気の質量スペクトルである。システムの全体的な利得を含むいくつかの他のファクタが変化したが、この比較の顕著な特徴が、ピークの基部で見出された。スリットが狭くなるとm/z27及び26のピークは、赤色の曲線で見出され、一方、スリットの幅が広くなると、青色の曲線で完全にわからなくなっている。
図31は、例示的質量分析計が入口に入った新しい化学種を検出することができることを示すプロットである。図31は、質量分析計の検出機能の試験である。亜酸化窒素(N2O)のサンプルを入口に注入して、質量スペクトル掃引を実行した。この制御実施により、青色で標準スペクトル、すなわち、水、窒素、酸素を見ることができる。亜酸化窒素を含む実施では、いくつかの新しいピークを見ることができる。N2Oが、m/z44で全く明瞭に現れ、別の化学種、すなわち、断片的イオンNOが、m/z30で酸素と窒素の間に現れている。
図32は、変調源としてグリッドを使用して生成した一連のスペクトルである。イオン源のグリッド(制御電極)を使用して、電位計の背景ドリフト又は1/fノイズを除去した。青色の曲線は、イオンビームが切断されるようにグリッドがバイアスされた時に生成された基線曲線である。赤色の曲線は、イオンビームが有効にされた状態で生成された信号曲線である。緑色の曲線は、2つの差し引いたもの、すなわち、基線オフセット及びドリフトが取り外された信号である。
これらのプロットは、本発明の質量分析計が、医療のためのツール、環境のためのツール、又は産業のためのツールを含むがこれらに限定されない多くのタスクに向けて十分である分解能で機能することを示している。少なくとも1つの場合では、実験結果により、この質量分析計が、入口サンプルガスの0.5%未満を含む化学種をしかも1AMUの質量分解能で検出するのに十分に感度が高いことを見ることができる。ノイズフロアは、図28のグラフ上に示すように、極めて低く、10fA未満である。適切な関数による逆重畳により、スペクトルの更なる狭化を得ることができる。
8.0 結論
様々な本発明の実施形態を本明細書に説明及び図示したが、当業者は、機能を実施し、及び/又は本明細書に説明する結果及び/又は長所の1つ又はそれよりも多くを取得する様々な他のツール及び/又は構造体を容易に想起するであろうし、このような変形及び/又は修正の各々は、本明細書に説明する本発明の実施形態の範囲であると見なされる。より一般的には、当業者は、本明細書に説明する全てのパラメータ、寸法、材料、及び構成が例示的であることを意味し、実際のパラメータ、寸法、材料、及び/又は構成が、本発明の教示が使用される1つ又は複数の特定の用途に依存することを容易に認めるであろう。当業者は、通常の実験のみを用いて本明細書に説明する特定の本発明の実施形態に対する多くの均等物を認めるか又は検証することができるであろう。従って、上述の実施形態は、単に一例として示しており、特許請求の範囲及びその均等物の範囲で本発明の実施形態を具体的に説明して特許請求する以外の方法で実施することができることを理解すべきである。本発明の開示の実施形態は、本明細書に説明する各個々の特徴、システム、物品、材料、キット、及び/又は方法に関するものである。更に、このような特徴、システム、物品、材料、キット、及び/又は方法が相互に一貫していないとしても、2つ又はそれよりも多くのこのような特徴、システム、物品、材料、キット、及び/又は方法のあらゆる組合せは、本発明の開示の範囲に含まれる。
上述の実施形態は、多くの方法のいずれかで実施することができる。例えば、ハードウエア、ソフトウエア、又はその組合せを使用して実施形態を実施することができる。ソフトウエアに実施された時に、単一のコンピュータ内に設けられたか又は複数のコンピュータ間に分散しているかに関わらず、ソフトウエアコードは、あらゆる適切なプロセッサ又はプロセッサの集合上で実行することができる。
更に、ラック装着式コンピュータ、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、又はタブレット型コンピュータのようなコンピュータをいくつかの形態のいずれかで実施することができることを認めるべきである。更に、携帯情報端末(PDA)、スマートフォン、又はあらゆる他の適切な可搬又は固定式の電子デバイスを含むコンピュータは、一般的にコンピュータと見なされていないが適切な処理機能を有するデバイス内に埋め込むことができる。
また、コンピュータは、1つ又はそれよりも多くの入力及び出力デバイスを有することができる。これらのデバイスは、取りわけ、ユーザインタフェースを提示するのに使用することができる。ユーザインタフェースをもたらすのに使用することができる出力デバイスの例には、プリンタ又は出力の視覚提示のための表示画面、及びスピーカ又は出力の聴覚提示のための他の音生成デバイスがある。ユーザインタフェースに使用することができる入力デバイスの例には、キーボード及びマウスのようなポインティングデバイス、タッチパッド及びデジタイザタブレットがある。別の例として、コンピュータは、音声認識を通じて又は他の可聴フォーマットで入力情報を受信することができる。
このようなコンピュータは、社内ネットワーク及びインテリジェントネットワーク(IN)又は「インターネット」のようなローカルエリアネットワーク又は広域ネットワークを含むあらゆる適切な形態の1つ又はそれよりも多くのネットワークにより相互接続することができる。このようなネットワークは、あらゆる適切な技術に基づくことができ、かつあらゆる適切なプロトコルに従って作動させることができ、このようなネットワークは、無線ネットワーク、有線ネットワーク、又は光ファイバネットワークを含むことができる。
本明細書で概説した様々な方法又は工程は、様々なオペレーティングシステム又はプラットホームのいずれか1つを使用する1つ又はそれよりも多くのプロセッサ上で実行可能であるソフトウエアとして符号化することができる。更に、いくつかの適切なプログラミング言語及び/又はプログラミング又はスクリプト生成ツールのいずれかを使用してこのようなソフトウエアを書き込むことができ、かつ同じくフレームワーク又は仮想マシン上で実行される実行可能なマシンコード又はロボットのための中間コードとしてコンパイルすることができる。
この点に対して、1つ又はそれよりも多くのコンピュータ又は他のプロセッサ上で実行された時に、上述の本発明の様々な実施形態を実施する方法を実行する1つ又はそれよりも多くのプログラムで符号化されたコンピュータ可読ストレージ媒体(又は複数のコンピュータ可読ストレージ媒体)(例えば、コンピュータメモリ、1つ又はそれよりも多くのフロッピー(登録商標)ディスク、コンパクトディスク、光ディスク、磁気テープ、フラッシュメモリ、フィールドプログラマブルゲートアレイ、又は他の半導体素子又は他の非一時的媒体又は有形コンピュータストレージ媒体内の回路構成)として様々な本発明の概念を実施することができる。1つ又は複数のコンピュータ可読媒体は、上述したように、本発明の様々な態様を実施するために媒体上に記憶された1つ又は複数のプログラムを1つ又はそれよりも多くの異なるコンピュータ又は他のプロセッサ上へ取り込むことができるように移動可能にすることができる。
用語「プログラム」又は「ソフトウエア」は、上述したように、コンピュータ又は他のプロセッサが実施形態の様々な態様を実施するようにそれをプログラムするために使用することができるあらゆるタイプのコンピュータコード又はいずれか1組のコンピュータ実行可能命令を指すために一般的な意味で本明細書に使用されている。更に、1つの態様によって実行された時に本発明の方法を実施する1つ又はそれよりも多くのコンピュータプログラムは、単一のコンピュータ又はプロセッサ上に常駐する必要がなく、本発明の様々な態様を実施するためにいくつかの異なるコンピュータ又はプロセッサの間でモジュール式に分散させることができることを認めるべきである。
コンピュータ実行可能命令は、プログラムモジュールのような多くの形態で1つ又はそれよりも多くのコンピュータ又は他のデバイスによって実行することができる。一般的に、プログラムモジュールには、特定のタスクを実行するか又は特定の抽象データタイプを実行するルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造などがある。典型的には、様々な実施形態において、必要に応じてプログラムモジュールの機能性を組み合わせるか又は分散させることができる。
また、データ構造は、あらゆる適切な形式でコンピュータ可読媒体に記憶することができる。図の簡潔さを期すために、データ構造は、データ構造内の位置を通じて関係があるフィールドを有するように示された場合がある。同様に、コンピュータ可読媒体においてフィールドの関係を伝える位置を有するフィールドのためのストレージを割り当てることによってこのような関係をもたらすことができる。しかし、あらゆる適切な機構を使用して、データ要素の関係を確立するポインタ、タグ、又は他の機構の使用を含むデータ構造のフィールドにおける情報の関係を確立することができる。
また、様々な本発明の概念は、実施例を提供した1つ又はそれよりも多くの方法として具現化することができる。方法の一部として実施される行為は、あらゆる適切な方法で順序付けることができる。従って、行為が例示と異なる順序で実行される実施形態を構成することができ、これは、たとえ例示的な実施形態で連続的な行為であるように示されていても、同時にいくつかの行為を実施することを含む場合がある。
本明細書で定義及び使用された時の全ての定義は、辞書定義、引用により組み込まれる文書内の定義、及び/又は定義された用語の普通の意味を超えて制御することを理解すべきである。
不定冠詞「a」及び「an」は、本明細書及び特許請求の範囲においてここで使用する時に、矛盾が明確に示されない限り、「少なくとも1つ」を意味することを理解すべきである。
語句「及び/又は」は、本明細書及び特許請求の範囲においてここで使用する時に、そのように結合された要素、すなわち、一部の場合は共同で存在し、他の場合は別々に存在する要素の「一方又は両方」を意味することを理解すべきである。「及び/又は」と共に説明された複数の要素も、同様に、すなわち、そのように結合された要素の「1つ又はそれよりも多く」と解釈されなければならない。具体的に識別された要素と関係があるなしに関わらず、特に「及び/又は」という句により識別された要素以外の他の要素は、任意的に存在することができる。従って、非限定的な例として、「A及び/又はB」への言及は、「含む」のような幅広い解釈ができる言語に関連して使用された時に、一実施形態において、Aのみ(任意的にB以外の要素を含む)、別の実施形態において、Bのみ(任意的にA以外の要素を含む)、更に別の実施形態において、AもBも(任意的に他の要素を含む)などを指すことができる。
本明細書及び特許請求の範囲においてここで使用する時の「又は」は、先に定義したような「及び/又は」と同じ意味を有するように理解されなければならない。例えば、リストにおいて品目を分離する時の「又は」又は「及び/又は」は、網羅的であり、すなわち、少なくとも1つの包含であるが、同じくいくつかの要素又は要素のリストの1つよりも多く及び任意的に更に別のリストに載ってない品目を含むと解釈されるものとする。「のうちの1つのみ」、「のうちの正確に1つ」、又は特許請求の範囲で使用する時の「から構成される」のようなその逆を明確に示す用語だけが、いくつかの要素又は要素のリストのまさに1つの要素の包含を示すこととする。一般的に、本明細書で使用する時の用語「又は」は、「いずれか」、「のうちの1つ」、「のうちの1つのみ」、「のうちの正確に1つ」のような排他的の用語に先行された時に排他的二者択一(すなわち、「一方又は他方であるが両方ではない」)を示すのみと解釈されるものとする。特許請求の範囲に使用する時の「から本質的に構成される」は、特許法の分野に使用される時の普通の意味を有するものとする。
本明細書及び特許請求の範囲においてここで使用する時に、1つ又はそれよりも多くの要素のリストに関連の語句「少なくとも1つ」は、要素のリスト内であるが必ずしも要素のリスト内に具体的に説明された各々かつ全ての要素の少なくとも1つを含み、かつ要素のリスト内の要素のあらゆる組合せを除外するわけではない要素のいずれか1つ又はそれよりも多くから選択された少なくとも1つの要素を意味することを理解すべきである。この定義は、具体的に識別されたそれらの要素関係があるなしに関わらず、語句「少なくとも1つ」が指す要素のリスト内で具体的に識別された要素以外に要素が任意的に存在することができることも可能にする。従って、非限定的な例として、「A及びBのうちの少なくとも一方」(代替的に、同等に「A又はBのうちの少なくとも一方」、又は同等に「A及び/又はBのうちの少なくとも一方」)は、一実施形態において、任意的に1つよりも多くを含み、Bは存在せずに(かつ任意的にB以外の要素を含んで)少なくとも一方、すなわち、Aを指し、別の実施形態において、少なくとも1つ、任意的に1つよりも多くを含み、Aは存在せずに(かつ任意的にA以外の要素を含んで)少なくとも一方、すなわち、Bを指し、更に別の実施形態において、少なくとも1つ、任意的に1つよりも多く、すなわち、Aを含み、かつ少なくとも1つ、任意的に1つよりも多く、すなわち、Bを含む(かつ任意的に他の要素を含む)などを指すことができる。
特許請求の範囲並びに以上の本明細書では、「備える」、「含む」、「担持する」、「有する」、「含有する」、「伴う」、「保持する」、及び「で構成される」などのような全ての移行句は、制限がない、すなわち、含むがそれに限定されない意味であることは理解されるものとする。移行句「で構成される」及び「で本質的に構成される」のみが、それぞれ、米国特許庁特許調査手順マニュアル節2111.03に定められているように、限定又は半限定移行句であるものとする。
100 質量分析計
114 磁気ヨーク
170 真空フランジ
172 真空ハウジングシール
180 入口

Claims (20)

  1. (A)約10-5mmHg又はそれ未満の真空をサポートする真空空洞を形成する真空ハウジングと、
    (B)前記真空空洞内に配置され、かつ該真空空洞を通って伝播する荷電粒子の加速を制御するために電極電位まで帯電するように構成された電極と、
    (C)前記電極のための前記電極電位を供給するために前記真空空洞の外側の電源からの入力電圧を変換するように該真空空洞内に配置された変換回路と、
    (D)約36V未満又はそれに等しい誘電強度を有し、前記変換回路と前記電源の間の電気接続を提供するフィードスルーと、
    を含むことを特徴とする質量分析計。
  2. 前記荷電粒子は、電子であることを特徴とする請求項1に記載の質量分析計。
  3. (E)前記電子を供給するために前記真空空洞内に配置された電子源と、
    (F)前記電子を反発するカソードと、
    (G)分析される検体粒子に向けて前記電子を加速するために前記電子源から前記電極の反対側に配置されたアノードと、
    を更に含むことを特徴とする請求項2に記載の質量分析計。
  4. 前記変換回路は、
    (i)前記アノードのための約100Vから約5kVのアノード電位と、
    (ii)前記カソードのための前記アノード電位よりも低いカソード電位約70Vと、
    を供給するように更に構成され、
    前記電極電位は、前記アノード電位よりも低い約0Vと約140Vの間である、
    ことを特徴とする請求項3に記載の質量分析計。
  5. (H)前記真空空洞内に配置され、かつ前記電極電位を変えるために前記変換回路と作動可能に結合された制御電子機器、
    を更に含むことを特徴とする請求項2に記載の質量分析計。
  6. 前記変換回路は、約1Vから約36Vの第1の値を有する前記入力電圧を約100Vから約5kVの第2の値を有する前記電極電位に変換するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の質量分析計。
  7. 前記フィードスルーは、前記真空空洞の内側と外側間の唯一の電気接続であることを特徴とする請求項1に記載の質量分析計。
  8. (A)約10-5mmHg又はそれ未満の圧力まで排気された真空空洞を与える段階と、
    (B)前記真空空洞の外側の電源から入力電圧を受電する段階と、
    (C)前記真空空洞内に配置された変換回路を用いて前記入力電圧を電極電位に変換する段階と、
    (D)前記真空空洞内の電極を前記電極電位まで帯電する段階と、
    (E)(D)で帯電された前記電極を用いて前記真空空洞内の荷電粒子を加速する段階と、
    を含むことを特徴とする質量分析方法。
  9. 前記入力電圧は、約3Vから約36Vであり、前記電極電位は、約100Vから約5kVであることを特徴とする請求項8に記載の方法。
  10. 前記荷電粒子は、電子であり、
    (E)は、
    (E1)前記電子の加速を制御するために前記電極電位を変える段階、
    を更に含む、
    ことを特徴とする請求項8に記載の方法。
  11. (E1)は、
    前記真空空洞内に配置された電子構成要素を用いて前記電極電位を制御する段階、
    を含む、
    ことを特徴とする請求項9に記載の方法。
  12. 前記荷電粒子は、イオン化検体粒子であり、
    (F)前記荷電粒子の加速に基づいて前記イオン化検体粒子の質量を判断する段階、
    を更に含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
  13. (A)真空空洞を形成する真空ハウジングと、
    (B)第1の領域で第1の強度及び第2の領域で第2の強度を有する磁場を発生させる磁気ヨーク内の磁石と、
    (C)前記真空空洞の真空圧力を維持するために前記第1の領域にあるように位置決めされたイオンポンプと、
    (D)前記真空空洞を通って伝播するイオン化検体粒子の質量を判断するために前記第2の領域にあるように位置決めされた質量分析器と、
    (E)前記検体粒子をイオン化する電子の加速を制御するために前記真空空洞内に配置された制御電極と、
    (F)変換された電圧を前記イオンポンプ、前記制御電極、及び/又は前記質量分析器に供給するために前記真空空洞内に配置された変換回路と、
    を含むことを特徴とする質量分析計。
  14. 前記磁気ヨーク内の前記磁石は、前記磁場が発生した時に前記第1の強度が約0.1テスラであり、かつ前記第2の強度が約0.7テスラであるように構成されることを特徴とする請求項13に記載の質量分析計。
  15. 前記質量分析器は、磁気セクター分析器であることを特徴とする請求項13に記載の質量分析計。
  16. (G)前記真空空洞内に配置され、かつ前記制御電極の電位を変えるために前記変換回路と作動可能に結合された制御電子機器、
    を更に含むことを特徴とする請求項13に記載の質量分析計。
  17. (H)前記真空空洞内に配置され、かつ前記質量分析器によって供給された信号を処理するために前記変換回路によって電力供給されるように構成された信号処理電子機器、
    を更に含むことを特徴とする請求項13に記載の質量分析計。
  18. (I)前記電子を供給するために前記真空空洞内に配置された電子源と、
    (J)前記電子を反発するカソードと、
    (K)前記検体粒子に向けて前記電子を加速するために前記電子源から前記制御電極の反対側に配置されたアノードと、
    を更に含むことを特徴とする請求項13に記載の質量分析計。
  19. 前記変換回路は、
    (i)前記アノードのための約100Vから約5kVのアノード電位と
    (ii)前記カソードのための前記アノード電位よりも低いカソード電位約70Vと、
    (iii)前記制御電極のための前記アノード電位よりも低い制御電位約0V及び約140Vと、
    を供給するように更に構成される、
    ことを特徴とする請求項18に記載の質量分析計。
  20. 前記変換回路は、約1Vから約36Vの第2の値を有する入力電圧から約100Vから約5kVの第1の値を有する前記変換電圧を供給するように構成されることを特徴とする請求項18に記載の質量分析計。
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