本発明の根本的なこれらのおよびその他の課題は、添付の個々の請求項の対象事項により解決される。好ましい実施形態は、従属請求項から採用され得る。
さらに具体的には、本発明の根本的な課題は、標的分子と結合し得る核酸分子の生成方法であって、以下の:
a)参照核酸分子を提供するステップ(ここで、前記参照核酸分子は前記標的分子と結合し得るし、前記参照核酸分子は、一ヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列はn個のヌクレオチドを含む);
b)前記参照核酸分子の第一次レベル誘導体を調製するステップ(ここで、前記参照核酸分子の前記第一次レベル誘導体は1つのヌクレオチド位置で前記参照核酸分子と異なり、前記第一次レベル誘導体は、前記参照核酸分子があるヌクレオチド位置にリボヌクレオチドを有する場合、そのヌクレオチド位置のリボヌクレオチドを2’−デオキシリボヌクレオチドに取り替えることにより調製され、そして前記第一次レベル誘導体は、前記参照核酸があるヌクレオチド位置に2’−デオキシリボヌクレオチドを有する場合、そのヌクレオチド位置の2’−デオキシリボヌクレオチドをリボヌクレオチドに取り替えることにより調製され、そして取替えがなされるヌクレオチド位置は修飾化ヌクレオチド位置である);ならびに
c)前記参照核酸分子の各ヌクレオチド位置に関してステップb)を反復し、したがって、前記参照核酸分子の第一次レベル誘導体の一群を調製するステップ(ここで、前記参照核酸分子の第一次レベル誘導体の前記群はn個の第一次レベル誘導体からなり、前記参照核酸分子の前記第一次レベル誘導体の各々は単一ヌクレオチド置換により前記参照核酸分子と異なっており、そして前記参照核酸分子の第一次レベル誘導体の各々は、前記参照核酸分子の第一次レベル誘導体の前記群の他の第一次レベル誘導体の単一修飾化ヌクレオチド位置のすべての単一修飾化ヌクレオチドと異なる単一修飾化ヌクレオチド位置を有する)
を包含する方法により、第一の態様の第一の実施形態でもある第一の態様において解決される。
第一の態様の第一の実施形態のうちの一実施形態でもある第一の態様の第二の実施形態では、当該方法は、以下のステップd)および任意にステップe)を包含する:
d)前記参照核酸のn個の第一次レベル誘導体の各々に関して前記標的分子との結合特質を確定するステップ;ならびに任意に
e)その結合特質が予定閾値を上回る前記参照核酸分子のその/それらの第一次レベル誘導体(単数または複数)を同定するステップ。
第一の態様の第二の実施形態のうちの一実施形態でもある第一の態様の第三の実施形態では、結合特質は、前記参照核酸分子の前記第一次レベル誘導体(単数または複数)と前記標的分子との結合親和性である。
第一の態様の第二および第三の実施形態のうちの一実施形態でもある第一の態様の第四の実施形態では、結合親和性はKD値として表される。
第一の態様の第二、第三および第四の実施形態のうちの一実施形態でもある第一の態様の第五の実施形態では、前記予定閾値はYであって、Yは(前記参照核酸分子の結合親和性)/(前記第一次レベル誘導体の結合親和性)の商であり、そしてY>1、さらに好ましくはY≧2、最も好ましくはY≧5またはY≧10である。
第一の態様の第二、第三、第四および第五の実施形態のうちの一実施形態でもある第一の態様の第六の実施形態では、前記予定閾値はXであって、Xは(前記参照核酸分子のKD値)/(前記第一次レベル誘導体のKD値)の商であり、そしてX>1、さらに好ましくはX≧2、最も好ましくはX≧5またはX≧10である。
第一の態様の第一、第二、第三、第四、第五および第六の実施形態のうちの一実施形態でもある第一の態様の第七の実施形態では、
ステップb)において、あるヌクレオチド位置のリボヌクレオチドを2’−デオキシリボヌクレオチドに取り替えることにより前記第一次レベル誘導体が調製される場合、
(a)前記ヌクレオチドがアデノシン−5’−ホスフェートであるならば、2’−デオキシリボヌクレオチドは2’−デオキシアデノシン−5−ホスフェートであり;
(b)前記ヌクレオチドがグアノシン−5’−ホスフェートであるならば、2’−デオキシリボヌクレオチドは2’−デオキシグアノシン−5’−ホスフェートであり;
(c)前記ヌクレオチドがシチジン−5’−ホスフェートであるならば、2’−デオキシリボヌクレオチドは2’−デオキシシチジン−5’−ホスフェートであり;ならびに
(d)前記ヌクレオチドがウリジン−5’−ホスフェートであるならば、2’−デオキシリボヌクレオチドは2’−デオキシウリジン−5−ホスフェートまたはチミジン−5−ホスフェートであり;そして
ステップb)において、あるヌクレオチド位置の2’−デオキシリボヌクレオチドをリボヌクレオチドに取り替えることにより前記第一次レベル誘導体が調製される場合、
(a)前記2’−デオキシリボヌクレオチドが2’−デオキシアデノシン−5’−ホスフェートであるならば、前記リボヌクレオチドはアデノシン−5’−ホスフェートであり;
(b)前記2’−デオキシリボヌクレオチドが2’−デオキシグアノシン−5’−ホスフェートであるならば、前記リボヌクレオチドはグアノシン−5’−ホスフェートであり;
(c)前記2’−デオキシリボヌクレオチドが2’−デオキシシチジン−5’−ホスフェートであるならば、前記リボヌクレオチドはシチジン−5’−ホスフェートであり;ならびに
(d)前記2’−デオキシリボヌクレオチドがチミジン−5’−ホスフェートであるならば、前記リボヌクレオチドはウリジン−5’−ホスフェートまたは5−メチル−ウリジン−5’−ホスフェートである。
第一の態様の第一、第二、第三、第四、第五、第六および第七の実施形態のうちの一実施形態でもある第一の態様の第八の実施形態では、
ステップb)において、あるヌクレオチド位置のリボヌクレオチドを2’−デオキシリボヌクレオチドに取り替えることにより前記第一次レベル誘導体が調製される場合、
(a)前記ヌクレオチドがアデノシン−5’−ホスフェートであるならば、2’−デオキシリボヌクレオチドは2’−デオキシアデノシン−5’−ホスフェートであり;
(b)前記ヌクレオチドがグアノシン−5’−ホスフェートであるならば、2’−デオキシリボヌクレオチドは2’−デオキシグアノシン−5’−ホスフェートであり;
(c)前記ヌクレオチドがシチジン−5’−ホスフェートであるならば、2’−デオキシリボヌクレオチドは2’−デオキシシチジン−5’−ホスフェートであり;ならびに
(d)前記ヌクレオチドがウリジン−5’−ホスフェートであるならば、2’−デオキシリボヌクレオチドは2’−デオキシウリジン−5’−ホスフェートであり;そして
ステップb)において、あるヌクレオチド位置の2’−デオキシリボヌクレオチドをリボヌクレオチドに取り替えることにより前記第一次レベル誘導体が調製される場合、
(a)前記2’−デオキシリボヌクレオチドが2’−デオキシアデノシン−5’−ホスフェートであるならば、前記リボヌクレオチドはアデノシン−5’−ホスフェートであり;
(b)前記2’−デオキシリボヌクレオチドが2’−デオキシグアノシン−5’−ホスフェートであるならば、前記リボヌクレオチドはグアノシン−5’−ホスフェートであり;
(c)前記2’−デオキシリボヌクレオチドが2’−デオキシシチジン−5’−ホスフェートであるならば、前記リボヌクレオチドはシチジン−5’−ホスフェートであり;ならびに
(d)前記2’−デオキシリボヌクレオチドがチミジン−5’−ホスフェートであるならば、前記リボヌクレオチドは5−メチル−ウリジン−5’−ホスフェートである。
第一の態様の第一、第二、第三、第四、第五および第六の実施形態のうちの一実施形態でもある第一の態様の第九の実施形態では、前記参照核酸はリボ核酸分子であり、そしてステップb)において、あるヌクレオチド位置のリボヌクレオチドを2’−デオキシリボヌクレオチドに取り替えることにより前記第一次レベル誘導体が調製される場合、
(a)前記ヌクレオチドがアデノシン−5’−ホスフェートであるならば、2’−デオキシリボヌクレオチドは2’−デオキシアデノシン−5−ホスフェートであり;
(b)前記ヌクレオチドがグアノシン−5’−ホスフェートであるならば、2’−デオキシリボヌクレオチドは2’−デオキシグアノシン−5’−ホスフェートであり;
(c)前記ヌクレオチドがシチジン−5’−ホスフェートであるならば、2’−デオキシリボヌクレオチドは2’−デオキシシチジン−5’−ホスフェートであり;ならびに
(d)前記ヌクレオチドがウリジン−5’−ホスフェートであるならば、2’−デオキシリボヌクレオチドは2’−デオキシウリジン−5’−ホスフェートまたはチミジン−5’−ホスフェートである。
第一の態様の第一、第二、第三、第四、第五、第六、第七、第八および第九の実施形態のうちの一実施形態でもある第一の態様の第十の実施形態では、前記参照核酸は2’−デオキシリボ核酸分子であり、そしてステップb)において、あるヌクレオチド位置の2’−デオキシリボヌクレオチドをリボヌクレオチドに取り替えることにより前記第一次レベル誘導体が調製される場合、
(a)前記2’−デオキシリボヌクレオチドが2’−デオキシアデノシン−5’−ホスフェートであるならば、前記リボヌクレオチドはアデノシン−5’−ホスフェートであり;
(b)前記2’−デオキシリボヌクレオチドが2’−デオキシグアノシン−5’−ホスフェートであるならば、前記リボヌクレオチドはグアノシン−5’−ホスフェートであり;
(c)前記2’−デオキシリボヌクレオチドが2’−デオキシシチジン−5’−ホスフェートであるならば、前記リボヌクレオチドはシチジン−5’−ホスフェートであり;ならびに
(d)前記2’−デオキシリボヌクレオチドがチミジン−5’−ホスフェートであるならば、前記リボヌクレオチドはウリジン−5’−ホスフェートまたは5−メチル−ウリジン−5’−ホスフェートである。
第一の態様の第十の実施形態のうちの一実施形態でもある第一の態様の第十一の実施形態では、前記2’−デオキシリボヌクレオチドがチミジン−5’−ホスフェートであるならば、前記リボヌクレオチドは5−メチル−ウリジン−5’−ホスフェートである。
第一の態様の第一、第二、第三、第四、第五、第六、第七、第八、第九、第十および第十一の実施形態のうちの一実施形態でもある第一の態様の第十二の実施形態では、当該方法は、前記標的分子と結合し得る核酸分子の生成方法であって、この場合、前記核酸分子の結合親和性は、増大されるか、または前記参照核酸分子と前記標的分子との結合親和性と同じである。
第一の態様の第二、第三、第四、第五、第六、第七、第八、第九、第十、第十一および第十二の実施形態のうちの一実施形態でもある第一の態様の第十三の実施形態では、その結合特質が予定閾値を上回る第一次レベル誘導体は、一または前記標的分子と結合し得る一または前記核酸分子である。
第一の態様の第二、第三、第四、第五、第六、第七、第八、第九、第十、第十一、第十二および第十三の実施形態のうちの一実施形態でもある第一の態様の第十四の実施形態では、前記参照核酸分子の第二次レベル誘導体が調製され、この場合、前記第二次レベル誘導体は、少なくとも第一ヌクレオチド位置および第二ヌクレオチド位置で前記参照核酸分子と異なっており、
前記第一ヌクレオチド位置は、n個の誘導体からなる前記参照核酸分子の誘導体の群からの前記参照核酸分子の第一の第一次レベル誘導体の修飾化ヌクレオチド位置であり、そして前記第一次レベル誘導体は、その結合特質が予定閾値を上回るものであり、前記第一ヌクレオチド位置のヌクレオチドは前記参照核酸分子の第一の第一次レベル誘導体の修飾化位置のヌクレオチドと同一であり、ならびに
前記第二ヌクレオチド位置は、n個の誘導体からなる前記参照核酸分子の誘導体の群からの前記参照核酸分子の第二の第一次レベル誘導体の修飾化ヌクレオチド位置であり、そして前記第二の第一次レベル誘導体は、その結合特質が予定閾値を上回るものであり、前記第二ヌクレオチド位置のヌクレオチドは前記参照核酸分子の第二の第一次レベル誘導体の修飾化位置のヌクレオチドと同一である。
第一の態様の第十四の実施形態のうちの一実施形態でもある第一の態様の第十五の実施形態では、前記第一の第一次レベル誘導体および前記第二の第一次レベル誘導体は2つの第一次レベル誘導体の任意の組合せであって、この場合、前記2つの第一次レベル誘導体の各々の前記結合特質は予定閾値を上回る。
第一の態様の第十四および第十五の実施形態のうちの一実施形態でもある第一の態様の第十六の実施形態では、第一の第一次レベル誘導体および第二次レベル誘導体は、n個のヌクレオチドからなる前記参照核酸分子の第一次レベル誘導体の群の第一次レベル誘導体の残りのものより優れた結合特質を有する2つの第一次レベル誘導体である。
第一の態様の第十四、第十五および第十六の実施形態のうちの一実施形態でもある第一の態様の第十七の実施形態では、前記参照核酸分子の前記第二次レベル誘導体は前記標的分子と結合し得る。
第一の態様の第十五、第十六および第十七の実施形態のうちの一実施形態でもある第一の態様の第十ハチの実施形態では、当該方法は、以下の:
− 前記参照核酸分子の前記第二次レベル誘導体と前記標的分子との結合特質を確定すること;そして任意に、
− その結合特質が予定閾値を上回る前記参照核酸分子のその/それらの第二次レベル誘導体(単数または複数)を同定すること
を包含する。
第一の態様の第十八の実施形態のうちの一実施形態でもある第一の態様の第十九の実施形態では、前記結合特質は、前記参照核酸分子の前記第二次レベル誘導体(単数または複数)と前記標的分子との結合親和性である。
第一の態様の第十八および第十九の実施形態のうちの一実施形態でもある第一の態様の第二十の実施形態では、前記結合親和性はKD値として表される。
第一の態様の第十八、第十九および第二十の実施形態のうちの一実施形態でもある第一の態様の第二十一の実施形態では、前記予定閾値はYであって、Yは(前記参照核酸分子の結合親和性)/(前記第二次レベル誘導体の結合親和性)の商であり、そしてY>1、さらに好ましくはY≧2、最も好ましくはY≧5またはY≧10またはY≧20である。
第一の態様の第十八、第十九、第二十および第二十一の実施形態のうちの一実施形態でもある第一の態様の第二十二の実施形態では、前記予定閾値はXであって、Xは(前記参照核酸分子のKD値)/(前記第二次レベル誘導体のKD値)の商であり、そしてX>1、さらに好ましくはX≧2、最も好ましくはX≧5またはX≧10またはX≧20である。
第一の態様の第十四、第十五、第十六、第十七、第十八、第十九、第二十、第二十一および第二十二の実施形態のうちの一実施形態でもある第一の態様の第二十三の実施形態では、その結合特質が予定閾値を上回る前記第二次レベル誘導体は、一または前記標的分子と結合し得る一または前記核酸分子である。
第一の態様の第二、第三、第四、第五、第六、第七、第八、第九、第十、第十一、第十二、第十三、第十四、第十五、第十六、第十七、第十八、第十九、第二十、第二十一、第二十二および第二十三の実施形態のうちの一実施形態でもある第一の態様の第二十四の実施形態では、前記参照核酸分子の第三次レベル誘導体が調製され、この場合、前記第三次レベル誘導体は、少なくとも第一ヌクレオチド位置、第二ヌクレオチド位置および第三ヌクレオチド位置で前記参照核酸分子と異なっており、
前記第一ヌクレオチド位置は、n個の誘導体からなる前記参照核酸分子の誘導体の群からの前記参照核酸分子の第一の第一次レベル誘導体の修飾化ヌクレオチド位置であり、そして前記第一次レベル誘導体は、その結合特質が予定閾値を上回るものであり、前記第一ヌクレオチド位置のヌクレオチドは前記参照核酸分子の第一の第一次レベル誘導体の修飾化位置のヌクレオチドと同一であり、ならびに
前記第二ヌクレオチド位置は、n個の誘導体からなる前記参照核酸分子の誘導体の群からの前記参照核酸分子の第二の第一次レベル誘導体の修飾化ヌクレオチド位置であり、そして前記第二の第一次レベル誘導体は、その結合特質が予定閾値を上回るものであり、前記第二ヌクレオチド位置のヌクレオチドは前記参照核酸分子の第二の第一次レベル誘導体の修飾化位置のヌクレオチドと同一であり、ならびに
前記第三ヌクレオチド位置は、n個の誘導体からなる前記参照核酸分子の誘導体の群からの前記参照核酸分子の第三の第一次レベル誘導体の修飾化ヌクレオチド位置であり、そして前記第三の第一次レベル誘導体は、その結合特質が予定閾値を上回るものであり、前記第三ヌクレオチド位置のヌクレオチドは前記参照核酸分子の第三の第一次レベル誘導体の修飾化位置のヌクレオチドと同一である。
第一の態様の第二十四の実施形態のうちの一実施形態でもある第一の態様の第二十五の実施形態では、前記第一の第一次レベル誘導体、第二の第一次レベル誘導体および第三の第一次レベル誘導体は3つの第一次レベル誘導体の任意の組合せであり、前記3つの第一次レベル誘導体の各々の結合特質は予定閾値を上回る。
第一の態様の第二十四および第二十五の実施形態のうちの一実施形態でもある第一の態様の第二十六の実施形態では、前記第一の第一次レベル誘導体、第二の第一次レベル誘導体および第三の第一次レベル誘導体は、n個のヌクレオチドからなる前記参照核酸分子の第一次レベル誘導体の群の第一次レベル誘導体の残りのものより優れた結合特質を有する3つの第一次レベル誘導体である。
第一の態様の第二十四、第二十五および第二十六の実施形態のうちの一実施形態でもある第一の態様の第二十七の実施形態では、前記参照核酸分子の前記第三次レベル誘導体は前記標的分子と結合し得る。
第一の態様の第二十五、第二十六および第二十七の実施形態のうちの一実施形態でもある第一の態様の第二十八の実施形態では、当該方法は、以下の:
− 前記参照核酸分子の前記第三次レベル誘導体と前記標的分子との結合特質を確定すること;そして任意に、
− その結合特質が予定閾値を上回る前記参照核酸分子のその/それらの第三次レベル誘導体(単数または複数)を同定すること
を包含する。
第一の態様の第二十八の実施形態のうちの一実施形態でもある第一の態様の第二十九の実施形態では、前記結合特質は、前記参照核酸分子の前記第三次レベル誘導体(単数または複数)と前記標的分子との結合親和性である。
第一の態様の第二十八および第二十九の実施形態のうちの一実施形態でもある第一の態様の第三十の実施形態では、前記結合親和性はKD値として表される。
第一の態様の第二十八、第二十九および第三十の実施形態のうちの一実施形態でもある第一の態様の第三十一の実施形態では、前記予定閾値はYであって、Yは(前記参照核酸分子の結合親和性)/(前記第三次レベル誘導体の結合親和性)の商であり、そしてY>1、さらに好ましくはY≧2、最も好ましくはY≧5またはY≧10またはY≧20である。
第一の態様の第二十八、第二十九、第三十および第三十一の実施形態のうちの一実施形態でもある第一の態様の第三十二の実施形態では、前記予定閾値はXであって、Xは(前記参照核酸分子のKD値)/(前記第三次レベル誘導体のKD値)の商であり、そしてX>1、さらに好ましくはX≧2、最も好ましくはX≧5またはX≧10またはX≧20である。
第一の態様の第二十四、第二十五、第二十六、第二十七、第二十八、第二十九、第三十、第三十一および第三十二の実施形態のうちの一実施形態でもある第一の態様の第三十三の実施形態では、その結合特質が予定閾値を上回る前記第三次レベル誘導体は、一または前記標的分子と結合し得る一または前記核酸分子である。
第一の態様の第二、第三、第四、第五、第六、第七、第八、第九、第十、第十一、第十二、第十三、第十四、第十五、第十六、第十七、第十八、第十九、第二十、第二十一、第二十二、第二十三、第二十四、第二十五、第二十六、第二十七、第二十八、第二十九、第三十、第三十一、第三十二および第三十三の実施形態のうちの一実施形態でもある第一の態様の第三十四の実施形態では、前記参照核酸分子の第四次レベル誘導体が調製され、この場合、前記第四次レベル誘導体は、少なくとも第一ヌクレオチド位置、第二ヌクレオチド位置、第三ヌクレオチド位置および第四ヌクレオチド位置で前記参照核酸分子と異なっており、
前記第一ヌクレオチド位置は、n個の誘導体からなる前記参照核酸分子の誘導体の群からの前記参照核酸分子の第一の第一次レベル誘導体の修飾化ヌクレオチド位置であり、そして前記第一次レベル誘導体は、その結合特質が予定閾値を上回るものであり、前記第一ヌクレオチド位置のヌクレオチドは前記参照核酸分子の第一の第一次レベル誘導体の修飾化位置のヌクレオチドと同一であり、
前記第二ヌクレオチド位置は、n個の誘導体からなる前記参照核酸分子の誘導体の群からの前記参照核酸分子の第二の第一次レベル誘導体の修飾化ヌクレオチド位置であり、そして前記第二の第一次レベル誘導体は、その結合特質が予定閾値を上回るものであり、前記第二ヌクレオチド位置のヌクレオチドは前記参照核酸分子の第二の第一次レベル誘導体の修飾化位置のヌクレオチドと同一であり、
前記第三ヌクレオチド位置は、n個の誘導体からなる前記参照核酸分子の誘導体の群からの前記参照核酸分子の第三の第一次レベル誘導体の修飾化ヌクレオチド位置であり、そして前記第三の第一次レベル誘導体は、その結合特質が予定閾値を上回るものであり、前記第三ヌクレオチド位置のヌクレオチドは前記参照核酸分子の第三の第一次レベル誘導体の修飾化位置のヌクレオチドと同一であり、ならびに
前記第四ヌクレオチド位置は、n個の誘導体からなる前記参照核酸分子の誘導体の群からの前記参照核酸分子の第四の第一次レベル誘導体の修飾化ヌクレオチド位置であり、そして前記第四の第一次レベル誘導体は、その結合特質が予定閾値を上回るものであり、前記第四ヌクレオチド位置のヌクレオチドは前記参照核酸分子の第四の第一次レベル誘導体の修飾化位置のヌクレオチドと同一である。
第一の態様の第三十四の実施形態のうちの一実施形態でもある第一の態様の第三十五の実施形態では、前記第一の第一次レベル誘導体、第二の第一次レベル誘導体、第三の第一次レベル誘導体および第四の第一次レベル誘導体は4つの第一次レベル誘導体の任意の組合せであり、前記4つの第一次レベル誘導体の各々の結合特質は予定閾値を上回る。
第一の態様の第三十四および第三十五の実施形態のうちの一実施形態でもある第一の態様の第三十六の実施形態では、前記第一の第一次レベル誘導体、第二の第一次レベル誘導体、第三の第一次レベル誘導体および第四の第一次レベル誘導体は、n個のヌクレオチドからなる前記参照核酸分子の第一次レベル誘導体の群の第一次レベル誘導体の残りのものより優れた結合特質を有する4つの第一次レベル誘導体である。
第一の態様の第三十四、第三十五および第三十六の実施形態のうちの一実施形態でもある第一の態様の第三十七の実施形態では、前記参照核酸分子の前記第四次レベル誘導体は前記標的分子と結合し得る。
第一の態様の第三十五、第三十六および第三十七の実施形態のうちの一実施形態でもある第一の態様の第三十八の実施形態では、当該方法は、以下の:
− 前記参照核酸分子の前記第四次レベル誘導体と前記標的分子との結合特質を確定すること;そして任意に、
− その結合特質が予定閾値を上回る前記参照核酸分子のその/それらの第四次レベル誘導体(単数または複数)を同定すること
を包含する。
第一の態様の第三十八の実施形態のうちの一実施形態でもある第一の態様の第三十九の実施形態では、前記結合特質は、前記参照核酸分子の前記第四次レベル誘導体(単数または複数)と前記標的分子との結合親和性である。
第一の態様の第三十八および第三十九の実施形態のうちの一実施形態でもある第一の態様の第四十の実施形態では、前記結合親和性はKD値として表される。
第一の態様の第三十八、第三十九および第四十の実施形態のうちの一実施形態でもある第一の態様の第四十一の実施形態では、前記予定閾値はYであって、Yは(前記参照核酸分子の結合親和性)/(前記第四次レベル誘導体の結合親和性)の商であり、そしてY>1、さらに好ましくはY≧2、最も好ましくはY≧5またはY≧10またはY≧20である。
第一の態様の第三十八、第三十九、第四十および第四十一の実施形態のうちの一実施形態でもある第一の態様の第四十二の実施形態では、前記予定閾値はXであって、Xは(前記参照核酸分子のKD値)/(前記第一次レベル誘導体のKD値)の商であり、そしてX>1、さらに好ましくはX≧2、最も好ましくはX≧5またはX≧10またはX≧20である。
第一の態様の第三十四、第三十五、第三十六、第三十七、第三十八、第三十九、第四十、第四十一および第四十二の実施形態のうちの一実施形態でもある第一の態様の第四十三の実施形態では、その結合特質が予定閾値を上回る前記第四次レベル誘導体は、一または前記標的分子と結合し得る一または前記核酸分子である。
第一の態様の第二、第三、第四、第五、第六、第七、第八、第九、第十、第十一、第十二、第十三、第十四、第十五、第十六、第十七、第十八、第十九、第二十、第二十一、第二十二、第二十三、第二十四、第二十五、第二十六、第二十七、第二十八、第二十九、第三十、第三十一、第三十二、第三十三、第三十四、第三十五、第三十六、第三十七、第三十八、第三十九、第四十、第四十一、第四十二および第四十三の実施形態のうちの一実施形態でもある第一の態様の第四十四の実施形態では、前記参照核酸分子の第五次レベル誘導体が調製され、この場合、前記第五次レベル誘導体は、少なくとも第一ヌクレオチド位置、第二ヌクレオチド位置、第三ヌクレオチド位置、第四ヌクレオチド位置および第五ヌクレオチド位置で前記参照核酸分子と異なっており、
前記第一ヌクレオチド位置は、n個の誘導体からなる前記参照核酸分子の誘導体の群からの前記参照核酸分子の第一の第一次レベル誘導体の修飾化ヌクレオチド位置であり、そして前記第一次レベル誘導体は、その結合特質が予定閾値を上回るものであり、前記第一ヌクレオチド位置のヌクレオチドは前記参照核酸分子の第一の第一次レベル誘導体の修飾化位置のヌクレオチドと同一であり、
前記第二ヌクレオチド位置は、n個の誘導体からなる前記参照核酸分子の誘導体の群からの前記参照核酸分子の第二の第一次レベル誘導体の修飾化ヌクレオチド位置であり、そして前記第二の第一次レベル誘導体は、その結合特質が予定閾値を上回るものであり、前記第二ヌクレオチド位置のヌクレオチドが前記参照核酸分子の第二の第一次レベル誘導体の修飾化位置のヌクレオチドと同一であり、
前記第三ヌクレオチド位置は、n個の誘導体からなる前記参照核酸分子の誘導体の群からの前記参照核酸分子の第三の第一次レベル誘導体の修飾化ヌクレオチド位置であり、そして前記第三の第一次レベル誘導体は、その結合特質が予定閾値を上回るものであり、前記第三ヌクレオチド位置のヌクレオチドは前記参照核酸分子の第三の第一次レベル誘導体の修飾化位置のヌクレオチドと同一であり、ならびに
前記第四ヌクレオチド位置は、n個の誘導体からなる前記参照核酸分子の誘導体の群からの前記参照核酸分子の第四の第一次レベル誘導体の修飾化ヌクレオチド位置であり、そして前記第四の第一次レベル誘導体は、その結合特質が予定閾値を上回るものであり、前記第四ヌクレオチド位置のヌクレオチドは前記参照核酸分子の第四の第一次レベル誘導体の修飾化位置のヌクレオチドと同一であり、ならびに
前記第五ヌクレオチド位置は、n個の誘導体からなる前記参照核酸分子の誘導体の群からの前記参照核酸分子の第五の第一次レベル誘導体の修飾化ヌクレオチド位置であり、そして前記第五の第一次レベル誘導体は、その結合特質が予定閾値を上回るものであり、前記第五ヌクレオチド位置のヌクレオチドは前記参照核酸分子の第五の第一次レベル誘導体の修飾化位置のヌクレオチドと同一である。
第一の態様の第四十四の実施形態のうちの一実施形態でもある第一の態様の第四十五の実施形態では、前記第一の第一次レベル誘導体、第二の第一次レベル誘導体、第三の第一次レベル誘導体、第四の第一次レベル誘導体、第五の第一次レベル誘導体は5つの第一次レベル誘導体の任意の組合せであり、前記5つの第一次レベル誘導体の各々の結合特質は予定閾値を上回る。
第一の態様の第四十四および第四十五の実施形態のうちの一実施形態でもある第一の態様の第四十六の実施形態では、前記第一の第一次レベル誘導体、第二の第一次レベル誘導体、第三の第一次レベル誘導体、第四の第一次レベル誘導体および第五の第一次レベル誘導体は、n個のヌクレオチドからなる前記参照核酸分子の第一次レベル誘導体の群の第一次レベル誘導体の残りのものより優れた結合特質を有する5つの第一次レベル誘導体である。
第一の態様の第四十四、第四十五および第四十六の実施形態のうちの一実施形態でもある第一の態様の第四十七の実施形態では、前記参照核酸分子の前記第五次レベル誘導体は前記標的分子と結合し得る。
第一の態様の第四十語、第四十六および第四十七の実施形態のうちの一実施形態でもある第一の態様の第四十八の実施形態では、当該方法は、以下の:
− 前記参照核酸分子の前記第五次レベル誘導体と前記標的分子との結合特質を確定すること;そして任意に、
− その結合特質が予定閾値を上回る前記参照核酸分子のその/それらの第五次レベル誘導体(単数または複数)を同定すること
を包含する。
第一の態様の第四十八の実施形態のうちの一実施形態でもある第一の態様の第四十九の実施形態では、前記結合特質は、前記参照核酸分子の前記第五次レベル誘導体(単数または複数)と前記標的分子との結合親和性である。
第一の態様の第四十八および第四十九の実施形態のうちの一実施形態でもある第一の態様の第五十の実施形態では、前記結合親和性はKD値として表される。
第一の態様の第四十八、第四十九および第五十の実施形態のうちの一実施形態でもある第一の態様の第五十一の実施形態では、前記予定閾値はYであって、Yは(前記参照核酸分子の結合親和性)/(前記第五次レベル誘導体の結合親和性)の商であり、そしてY>1、さらに好ましくはY≧2、最も好ましくはY≧5またはY≧10またはY≧20である。
第一の態様の第四十八、第四十九、第五十および第五十一の実施形態のうちの一実施形態でもある第一の態様の第五十二の実施形態では、前記予定閾値はXであって、Xは(前記参照核酸分子のKD値)/(前記第五次レベル誘導体のKD値)の商であり、そしてX>1、さらに好ましくはX≧2、最も好ましくはX≧5またはX≧10またはX≧20である。
第一の態様の第四十四、第四十五、第四十六、第四十七、第四十八、第四十九、第五十、第五十一および第五十二の実施形態のうちの一実施形態でもある第一の態様の第五十三の実施形態では、その結合特質が予定閾値を上回る前記第五次レベル誘導体は、一または前記標的分子と結合し得る一または前記核酸分子である。
第一の態様の第二、第三、第四、第五、第六、第七、第八、第九、第十、第十一、第十二、第十三、第十四、第十五、第十六、第十七、第十八、第十九、第二十、第二十一、第二十二、第二十三、第二十四、第二十五、第二十六、第二十七、第二十八、第二十九、第三十、第三十一、第三十二、第三十三、第三十四、第三十五、第三十六、第三十七、第三十八、第三十九、第四十、第四十一、第四十二、第四十三、第四十四、第四十五、第四十六、第四十七、第四十八、第四十九、第五十、第五十一、第五十二および第五十三の実施形態のうちの一実施形態でもある第一の態様の第五十四の実施形態では、前記参照核酸分子の第六次レベル誘導体が調製され、前記第六次レベル誘導体は、少なくとも第一ヌクレオチド位置、第二ヌクレオチド位置、第三ヌクレオチド位置、第四ヌクレオチド位置、第五ヌクレオチド位置および第六ヌクレオチド位置で前記参照核酸分子と異なっており、
前記第一ヌクレオチド位置は、n個の誘導体からなる前記参照核酸分子の誘導体の群からの前記参照核酸分子の第一の第一次レベル誘導体の修飾化ヌクレオチド位置であり、そして前記第一次レベル誘導体は、その結合特質が予定閾値を上回るものであり、前記第一ヌクレオチド位置のヌクレオチドは前記参照核酸分子の第一の第一次レベル誘導体の修飾化位置のヌクレオチドと同一であり、
前記第二ヌクレオチド位置は、n個の誘導体からなる前記参照核酸分子の誘導体の群からの前記参照核酸分子の第二の第一次レベル誘導体の修飾化ヌクレオチド位置であり、そして前記第二の第一次レベル誘導体は、その結合特質が予定閾値を上回るものであり、前記第二ヌクレオチド位置のヌクレオチドは前記参照核酸分子の第二の第一次レベル誘導体の修飾化位置のヌクレオチドと同一であり、
前記第三ヌクレオチド位置は、n個の誘導体からなる前記参照核酸分子の誘導体の群からの前記参照核酸分子の第三の第一次レベル誘導体の修飾化ヌクレオチド位置であり、そして前記第三の第一次レベル誘導体は、その結合特質が予定閾値を上回るものであり、前記第三ヌクレオチド位置のヌクレオチドは前記参照核酸分子の第三の第一次レベル誘導体の修飾化位置のヌクレオチドと同一であり、
前記第四ヌクレオチド位置は、n個の誘導体からなる前記参照核酸分子の誘導体の群からの前記参照核酸分子の第四の第一次レベル誘導体の修飾化ヌクレオチド位置であり、そして前記第四の第一次レベル誘導体は、その結合特質が予定閾値を上回るものであり、前記第四ヌクレオチド位置のヌクレオチドは前記参照核酸分子の第四の第一次レベル誘導体の修飾化位置のヌクレオチドと同一であり、
前記第五ヌクレオチド位置は、n個の誘導体からなる前記参照核酸分子の誘導体の群からの前記参照核酸分子の第五の第一次レベル誘導体の修飾化ヌクレオチド位置であり、そして前記第五の第一次レベル誘導体は、その結合特質が予定閾値を上回るものであり、前記第五ヌクレオチド位置のヌクレオチドは前記参照核酸分子の第五の第一次レベル誘導体の修飾化位置のヌクレオチドと同一であり、ならびに
前記第六ヌクレオチド位置は、n個の誘導体からなる前記参照核酸分子の誘導体の群からの前記参照核酸分子の第六の第一次レベル誘導体の修飾化ヌクレオチド位置であり、そして前記第六の第一次レベル誘導体は、その結合特質が予定閾値を上回るものであり、前記第六ヌクレオチド位置のヌクレオチドは前記参照核酸分子の第六の第一次レベル誘導体の修飾化位置のヌクレオチドと同一である。
第一の態様の第五十四の実施形態のうちの一実施形態でもある第一の態様の第五十五の実施形態では、前記第一の第一次レベル誘導体、第二の第一次レベル誘導体、第三の第一次レベル誘導体、第四の第一次レベル誘導体、第五の第一次レベル誘導体および第六の第一次レベル誘導体は6つの第一次レベル誘導体の任意の組合せであり、前記6つの第一次レベル誘導体の各々の結合特質は予定閾値を上回る。
第一の態様の第五十四および第五十五の実施形態のうちの一実施形態でもある第一の態様の第五十六の実施形態では、前記第一の第一次レベル誘導体、第二の第一次レベル誘導体、第三の第一次レベル誘導体、第四の第一次レベル誘導体、第五の第一次レベル誘導体および第六の第一次レベル誘導体は、n個のヌクレオチドからなる前記参照核酸分子の第一次レベル誘導体の群の第一次レベル誘導体の残りのものより優れた結合特質を有する6つの第一次レベル誘導体である。
第一の態様の第五十四、第五十五および第五十六の実施形態のうちの一実施形態でもある第一の態様の第五十七の実施形態では、前記参照核酸分子の前記第六次レベル誘導体は前記標的分子と結合し得る。
第一の態様の第五十五、第五十六および第五十七の実施形態のうちの一実施形態でもある第一の態様の第五十八の実施形態では、当該方法は、以下の:
− 前記参照核酸分子の前記第六次レベル誘導体と前記標的分子との結合特質を確定すること;そして任意に、
− その結合特質が予定閾値を上回る前記参照核酸分子のその/それらの第六次レベル誘導体(単数または複数)を同定すること
を包含する。
第一の態様の第五十八の実施形態のうちの一実施形態でもある第一の態様の第五十九の実施形態では、前記結合特質は、前記参照核酸分子の前記第六次レベル誘導体(単数または複数)と前記標的分子との結合親和性である。
第一の態様の第五十八および第五十九の実施形態のうちの一実施形態でもある第一の態様の第六十の実施形態では、前記結合親和性はKD値として表される。
第一の態様の第五十八、第五十九および第六十の実施形態のうちの一実施形態でもある第一の態様の第六十一の実施形態では、前記予定閾値はYであって、Yは(前記参照核酸分子の結合親和性)/(前記第六次レベル誘導体の結合親和性)の商であり、そしてY>1、さらに好ましくはY≧2、最も好ましくはY≧5またはY≧10またはY≧20である。
第一の態様の第五十八、第五十九、第六十および第六十一の実施形態のうちの一実施形態でもある第一の態様の第六十二の実施形態では、前記予定閾値はXであって、Xは(前記参照核酸分子のKD値)/(前記第六次レベル誘導体のKD値)の商であり、そしてX>1、さらに好ましくはX≧2、最も好ましくはX≧5またはX≧10またはX≧20である。
第一の態様の第五十四、第五十五、第五十六、第五十七、第五十八、第五十九、第六十、第六十一および第六十二の実施形態のうちの一実施形態でもある第一の態様の第六十三の実施形態では、その結合特質が予定閾値を上回る前記第六次レベル誘導体は、一または前記標的分子と結合し得る一または前記核酸分子である。
第一の態様の第二、第三、第四、第五、第六、第七、第八、第九、第十、第十一、第十二、第十三、第十四、第十五、第十六、第十七、第十八、第十九、第二十、第二十一、第二十二、第二十三、第二十四、第二十五、第二十六、第二十七、第二十八、第二十九、第三十、第三十一、第三十二、第三十三、第三十四、第三十五、第三十六、第三十七、第三十八、第三十九、第四十、第四十一、第四十二、第四十三、第四十四、第四十五、第四十六、第四十七、第四十八、第四十九、第五十、第五十一、第五十二、第五十三、第五十四、第五十五、第五十六、第五十七、第五十八、第五十九、第六十、第六十一、第六十二および第六十三の実施形態のうちの一実施形態でもある第一の態様の第六十四の実施形態では、前記参照核酸分子の第七次レベル誘導体が調製され、この場合、前記第七次レベル誘導体は、少なくとも第一ヌクレオチド位置、第二ヌクレオチド位置、第三ヌクレオチド位置、第四ヌクレオチド位置、第五ヌクレオチド位置、第六ヌクレオチド位置および第七ヌクレオチド位置で前記参照核酸分子と異なっており、
前記第一ヌクレオチド位置は、n個の誘導体からなる前記参照核酸分子の誘導体の群からの前記参照核酸分子の第一の第一次レベル誘導体の修飾化ヌクレオチド位置であり、そして前記第一次レベル誘導体は、その結合特質が予定閾値を上回るものであり、前記第一ヌクレオチド位置のヌクレオチドは前記参照核酸分子の第一の第一次レベル誘導体の修飾化位置のヌクレオチドと同一であり、
前記第二ヌクレオチド位置は、n個の誘導体からなる前記参照核酸分子の誘導体の群からの前記参照核酸分子の第二の第一次レベル誘導体の修飾化ヌクレオチド位置であり、そして前記第二の第一次レベル誘導体は、その結合特質が予定閾値を上回るものであり、前記第二ヌクレオチド位置のヌクレオチドは前記参照核酸分子の第二の第一次レベル誘導体の修飾化位置のヌクレオチドと同一であり、
前記第三ヌクレオチド位置は、n個の誘導体からなる前記参照核酸分子の誘導体の群からの前記参照核酸分子の第三の第一次レベル誘導体の修飾化ヌクレオチド位置であり、そして前記第三の第一次レベル誘導体は、その結合特質が予定閾値を上回るものであり、前記第三ヌクレオチド位置のヌクレオチドは前記参照核酸分子の第三の第一次レベル誘導体の修飾化位置のヌクレオチドと同一であり、
前記第四ヌクレオチド位置は、n個の誘導体からなる前記参照核酸分子の誘導体の群からの前記参照核酸分子の第四の第一次レベル誘導体の修飾化ヌクレオチド位置であり、そして前記第四の第一次レベル誘導体は、その結合特質が予定閾値を上回るものであり、前記第四ヌクレオチド位置のヌクレオチドは前記参照核酸分子の第四の第一次レベル誘導体の修飾化位置のヌクレオチドと同一であり、
前記第五ヌクレオチド位置は、n個の誘導体からなる前記参照核酸分子の誘導体の群からの前記参照核酸分子の第五の第一次レベル誘導体の修飾化ヌクレオチド位置であり、そして前記第五の第一次レベル誘導体は、その結合特質が予定閾値を上回るものであり、前記第五ヌクレオチド位置のヌクレオチドは前記参照核酸分子の第五の第一次レベル誘導体の修飾化位置のヌクレオチドと同一であり、
前記第六ヌクレオチド位置は、n個の誘導体からなる前記参照核酸分子の誘導体の群からの前記参照核酸分子の第六の第一次レベル誘導体の修飾化ヌクレオチド位置であり、そして前記第六の第一次レベル誘導体は、その結合特質が予定閾値を上回るものであり、前記第六ヌクレオチド位置のヌクレオチドは前記参照核酸分子の第六の第一次レベル誘導体の修飾化位置のヌクレオチドと同一であり、ならびに
前記第七ヌクレオチド位置は、n個の誘導体からなる前記参照核酸分子の誘導体の群からの前記参照核酸分子の第七の第一次レベル誘導体の修飾化ヌクレオチド位置であり、そして前記第七の第一次レベル誘導体は、その結合特質が予定閾値を上回るものであり、前記第七ヌクレオチド位置のヌクレオチドは前記参照核酸分子の第七の第一次レベル誘導体の修飾化位置のヌクレオチドと同一である。
第一の態様の第六十四の実施形態のうちの一実施形態でもある第一の態様の第六十五の実施形態では、前記第一の第一次レベル誘導体、第二の第一次レベル誘導体、第三の第一次レベル誘導体、第四の第一次レベル誘導体、第五の第一次レベル誘導体、第六の第一次レベル誘導体および第七の第一次レベル誘導体は7つの第一次レベル誘導体の任意の組合せであり、前記7つの第一次レベル誘導体の各々の結合特質は予定閾値を上回る。
第一の態様の第六十四および第六十五の実施形態のうちの一実施形態でもある第一の態様の第六十六の実施形態では、前記第一の第一次レベル誘導体、第二の第一次レベル誘導体、第三の第一次レベル誘導体、第四の第一次レベル誘導体、第五の第一次レベル誘導体、第六の第一次レベル誘導体および第七の第一次レベル誘導体は、n個のヌクレオチドからなる前記参照核酸分子の第一次レベル誘導体の群の第一次レベル誘導体の残りのものより優れた結合特質を有する7つの第一次レベル誘導体である。
第一の態様の第六十四、第六十五および第六十六の実施形態のうちの一実施形態でもある第一の態様の第六十七の実施形態では、前記参照核酸分子の前記第七次レベル誘導体は前記標的分子と結合し得る。
第一の態様の第六十五、第六十六および第六十七の実施形態のうちの一実施形態でもある第一の態様の第六十八の実施形態では、当該方法は、以下の:
− 前記参照核酸分子の前記第七次レベル誘導体と前記標的分子との結合特質を確定すること;そして任意に、
− その結合特質が予定閾値を上回る前記参照核酸分子のその/それらの第七次レベル誘導体(単数または複数)を同定すること
を包含する。
第一の態様の第六十八の実施形態のうちの一実施形態でもある第一の態様の第六十九の実施形態では、前記結合特質は、前記参照核酸分子の前記第七次レベル誘導体(単数または複数)と前記標的分子との結合親和性である。
第一の態様の第六十八および第六十九の実施形態のうちの一実施形態でもある第一の態様の第七十の実施形態では、前記結合親和性はKD値として表される。
第一の態様の第六十八、第六十九および第七十の実施形態のうちの一実施形態でもある第一の態様の第七十一の実施形態では、前記予定閾値はYであって、Yは(前記参照核酸分子の結合親和性)/(前記第七次レベル誘導体の結合親和性)の商であり、そしてY>1、さらに好ましくはY≧2、最も好ましくはY≧5またはY≧10またはY≧20である。
第一の態様の第六十八、第六十九、第七十および第七十一の実施形態のうちの一実施形態でもある第一の態様の第七十二の実施形態では、前記予定閾値はXであって、Xは(前記参照核酸分子のKD値)/(前記第七次レベル誘導体のKD値)の商であり、そしてX>1、さらに好ましくはX≧2、最も好ましくはX≧5またはX≧10またはX≧20である。
第一の態様の第六十四、第六十五、第六十六、第六十七、第六十八、第六十九、第七十、第七十一および第七十二の実施形態のうちの一実施形態でもある第一の態様の第七十三の実施形態では、その結合特質が予定閾値を上回る前記第七次レベル誘導体は、一または前記標的分子と結合し得る一または前記核酸分子である。
第一の態様の第一、第二、第三、第四、第五、第六、第七、第八、第九、第十、第十一、第十二、第十三、第十四、第十五、第十六、第十七、第十八、第十九、第二十、第二十一、第二十二、第二十三、第二十四、第二十五、第二十六、第二十七、第二十八、第二十九、第三十、第三十一、第三十二、第三十三、第三十四、第三十五、第三十六、第三十七、第三十八、第三十九、第四十、第四十一、第四十二、第四十三、第四十四、第四十五、第四十六、第四十七、第四十八、第四十九、第五十、第五十一、第五十二、第五十三、第五十四、第五十五、第五十六、第五十七、第五十八、第五十九、第六十、第六十一、第六十二、第六十三、第六十四、第六十五、第六十六、第六十七、第六十八、第六十九、第七十、第七十一、第七十二および第七十三の実施形態のうちの一実施形態でもある第一の態様の第七十四の実施形態では、一標的分子と結合し得る前記核酸はL−核酸であり、前記参照核酸分子はL−核酸であり、そして前記参照核酸分子の前記誘導体の各々およびいずれかはL−核酸である。
本発明の根本的な問題は、第一の態様の第一、第二、第三、第四、第五、第六、第七、第八、第九、第十、第十一、第十二、第十三、第十四、第十五、第十六、第十七、第十八、第十九、第二十、第二十一、第二十二、第二十三、第二十四、第二十五、第二十六、第二十七、第二十八、第二十九、第三十、第三十一、第三十二、第三十三、第三十四、第三十五、第三十六、第三十七、第三十八、第三十九、第四十、第四十一、第四十二、第四十三、第四十四、第四十五、第四十六、第四十七、第四十八、第四十九、第五十、第五十一、第五十二、第五十三、第五十四、第五十五、第五十六、第五十七、第五十八、第五十九、第六十、第六十一、第六十二、第六十三、第六十四、第六十五、第六十六、第六十七、第六十八、第六十九、第七十、第七十一、第七十二、第七十三および第七十四の実施形態のうちのいずれか1つによる方法によって得られる標的分子と結合し得る核酸分子により、第二の態様の第一の実施形態でもある第二の態様において解決される。
第二の態様の第一の実施形態の一実施形態でもある第二の態様の第二の実施形態では、前記核酸分子は少なくとも1つの修飾を含む。
第二の態様の第一および第二の実施形態のうちの一実施形態でもある第二の態様の第三の実施形態では、前記核酸分子は、疾患の処置および/または防止のための方法に用いるためである。
第二の態様の第一および第二の実施形態のうちの一実施形態でもある第二の態様の第四の実施形態では、前記核酸分子は疾患の診断のための方法に用いるためである。
第二の態様の第三および第四の実施形態のうちの一実施形態でもある第二の態様の第五の実施形態では、前記疾患は前記標的分子を伴う疾患である。
本発明の根本的な課題は、疾患の前記処置のための医薬品の製造のためである第二の態様の第一および第二の実施形態のいずれか1つに従って核酸を用いることにより、第三の態様の第一の実施形態でもある第三の態様において解決される。
本発明の根本的な課題は、疾患の処置のための診断薬の製造のための第二の態様の第一および第二の実施形態のいずれか1つに従って核酸分子を用いることにより、第四の態様の第一の実施形態でもある第四の態様において解決される。
第四の態様の第二の実施形態、ならびに第三の態様の第一の実施形態の一実施形態および第四の態様の第一の実施形態の一実施形態でもある第三の態様の第二の実施形態では、前記疾患は前記標的分子を伴う疾患である。
本発明の根本的な課題は、第二の態様の第一および第二の実施形態のいずれか1つによる核酸分子ならびに製薬上許容可能な担体を含む薬学的組成物により、第五の態様の第一の実施形態でもある第五の態様において解決される。
本発明の根本的な課題は、標的分子と結合し得る核酸分子であって、
前記核酸分子が前記標的分子との結合親和性を有し、
前記核酸分子と前記標的分子との結合親和性が、参照核酸分子と前記標的分子との結合親和性と比較して、増大されるかまたは同一であって、
この場合、
a)前記核酸分子が一ヌクレオチド配列を含み、そして前記参照核酸分子が一ヌクレオチド配列を有するか、あるいは
b)前記核酸分子が一ヌクレオチド配列および少なくとも1つの修飾基を含み、そして前記参照核酸分子が一ヌクレオチド配列および少なくとも1つの修飾基をふくみ、
前記核酸分子の前記ヌクレオチド配列および前記参照核酸分子の前記ヌクレオチド配列が、前記ヌクレオチドの核酸塩基部分に関して少なくとも部分的に同一であるが、しかし前記ヌクレオチドの糖部分に関して異なり、
前記核酸分子の前記ヌクレオチド配列が、リボヌクレオチドおよび2’−デオキシリボヌクレオチドの両方からなり、そして前記参照核酸分子の前記ヌクレオチド配列がリボヌクレオチドまたは2’−デオキシリボヌクレオチドのいずれかからなる
核酸分子により、第六の態様の第一の実施形態でもある第六の態様において解決される。
第六の態様の第一の実施形態の一実施形態でもある第六の態様の第二の実施形態では、
a)前記核酸分子が一ヌクレオチド配列からなり、そして前記参照核酸分子が一ヌクレオチド配列からなるか、あるいは
b)前記核酸分子が一ヌクレオチド配列および少なくとも1つの修飾基からなり、そして前記参照核酸分子が一ヌクレオチド配列および少なくとも1つの修飾基からなるが、
この場合、前記核酸分子の前記ヌクレオチド配列および前記参照核酸分子の前記ヌクレオチド配列は、ヌクレオチドの核酸塩基部分に関して同一であるが、しかしヌクレオチドの糖部分に関して異なっている。
第六の態様の第二の実施形態のうちの一実施形態でもある第六の態様の第三の実施形態では、前記核酸分子と前記標的分子との結合親和性は、参照核酸分子と前記標的分子との結合親和性と比較して増大される。
第二の態様の第六の実施形態、ならびに第二の態様の第一、第二、第三、第四および第五の実施形態のうちの一実施形態、ならびに第六の態様の第一、第二および第三の実施形態のうちの一実施形態でもある第六の態様の第四の実施形態では、前記リボヌクレオチドはL−リボヌクレオチドであり、そして前記2’−デオキシリボヌクレオチドはL−2’−デオキシリボヌクレオチドである。
第二の態様の第七の実施形態、ならびに第二の態様の第一、第二、第三、第四、第五および第六の実施形態のうちの一実施形態、ならびに第六の態様の第一、第二、第三および第四の実施形態のうちの一実施形態でもある第六の態様の第五の実施形態では、前記核酸分子はL−核酸分子であり、前記L−核酸分子はL−ヌクレオチドからなり、ならびに前記参照核酸分子はL−参照核酸分子であり、前記L−参照核酸分子はL−ヌクレオチドからなる。
第二の態様の第八の実施形態、ならびに第二の態様の第一、第二、第三、第四、第五、第六および第七の実施形態のうちの一実施形態、ならびに第六の態様の第一、第二、第三、第四および第五の実施形態のうちの一実施形態でもある第六の態様の第六の実施形態では、前記核酸分子および/または前記参照核酸分子は前記標的分子により媒介される活性のアンタゴニストである。
第二の態様の第九の実施形態、ならびに第二の態様の第一、第二、第三、第四、第五、第六、第七および第八の実施形態のうちの一実施形態、ならびに第六の態様の第一、第二、第三、第四、第五および第六の実施形態のうちの一実施形態でもある第六の態様の第七の実施形態では、一ヌクレオチド配列および少なくとも1つの修飾基を含む前記核酸分子の生物体からの排泄率は、前記ヌクレオチド配列からなる核酸分子と比較して低減される。
第二の態様の第十の実施形態、ならびに第二の態様の第一、第二、第三、第四、第五、第六、第七および第八の実施形態のうちの一実施形態、ならびに第六の態様の第一、第二、第三、第四、第五および第六の実施形態のうちの一実施形態でもある第六の態様の第八の実施形態では、一ヌクレオチド配列および少なくとも1つの修飾を含む前記核酸分子は、前記ヌクレオチド配列からなる核酸分子と比較して、生物体における保持時間増大を示す。
第二の態様の第十一の実施形態、ならびに第二の態様の第九および第十の実施形態のうちの一実施形態、ならびに第六の態様の第七および第八の実施形態のうちの一実施形態でもある第六の態様の第九の実施形態では、前記修飾基は、生分解性および非生分解性修飾からなる群から選択され、好ましくは前記修飾基はポリエチレングリコール、線状ポリエチレングリコール、分枝鎖ポリエチレングリコール、ヒドロキシエチルデンプン、ペプチド、タンパク質、多糖、ステロール、ポリオキシプロピレン、ポリオキシアミデートおよびポリ(2−ヒドロキシエチル)−L−グルタミンからなる群から選択される。
第二の態様の第十二の実施形態、ならびに第二の態様の第十一の実施形態のうちの一実施形態、ならびに第六の態様の第九の実施形態のうちの一実施形態でもある第六の態様の第十の実施形態では、前記修飾基は、好ましくは線状ポリエチレングリコールまたは分枝鎖ポリエチレングリコールからなるポリエチレングリコールであって、前記ポリエチレングリコールの分子量は、好ましくは約20,000〜約120,000Da、さらに好ましくは約30,000〜約80,000Da、最も好ましくは約40,000Daである。
第二の態様の第十三の実施形態、ならびに第二の態様の第十一の実施形態のうちの一実施形態、ならびに第六の態様の第九の実施形態のうちの一実施形態でもある第六の態様の第十一の実施形態では、前記修飾基はヒドロキシエチルデンプンであって、好ましくは前記ヒドロキシエチルデンプンの分子量は約50〜約1000kDa、さらに好ましくは約100〜約700kDa、最も好ましくは200〜500kDaである。
第二の態様の第十四の実施形態、ならびに第二の態様の第九、第十、第十一、第十二および第十三の実施形態のうちの一実施形態、ならびに第六の態様の第七、第八、第九、第十、第十一および第十二の実施形態のうちの一実施形態でもある第六の態様の第十二の実施形態では、前記生物体は動物またはヒト身体、好ましくはヒト身体である。
第二の態様の第十五の実施形態、ならびに第六の態様の第一、第二、第三、第四、第五、第六、第七、第八、第九、第十、第十一および第十二の実施形態のうちの一実施形態、ならびに第六の態様の第六、第七、第八、第九、第十、第十一、第十二、第十三および第十四の実施形態のうちの一実施形態でもある第六の態様の第十三の実施形態では、前記核酸分子は、疾患の処置および/または防止のための方法における使用のためである。
第二の態様の第十六の実施形態、ならびに第二の態様の第一、第二、第三、第四、第五、第六、第七、第八、第九、第十、第十一、第十二、第十三、第十四および第十五の実施形態のうちの一実施形態、ならびに第六の態様の第一、第二、第三、第四、第五、第六、第七、第八、第九、第十、第十一、第十二および第十三の実施形態のうちの一実施形態でもある第六の態様の第十四の実施形態では、前記核酸分子および前記参照核酸分子はヌクレアーゼ活性に耐性である。
以下の実施例および特徴はさらにまた、本明細書中に記載される特徴および実施形態に関連して、特にここに添付される特許請求の範囲に従属するような態様および実施形態と関連して具体化され得る、と当業者は理解するであろう。
標的分子と結合し得る参照核酸分子から出発する以下の合理的アプローチにより、標的分子と結合するさらなる一核酸分子が生成され得るし、それにより、標的分子と結合し得る前記核酸分子が前記参照核酸分子の前記標的分子と結合する、ということも発明は見出した。このような合理的アプローチは、以下のステップを包含する方法を含む:
a)参照核酸分子を提供するステップ(ここで、前記参照核酸分子は前記標的分子と結合し得るし、前記参照核酸分子は、一ヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列はn個のヌクレオチドを含む);
b)前記参照核酸分子の第一次レベル誘導体を調製するステップ(ここで、前記参照核酸分子の前記第一次レベル誘導体は1つのヌクレオチド位置で前記参照核酸分子と異なり、前記第一次レベル誘導体は、前記参照核酸分子があるヌクレオチド位置にリボヌクレオチドを有する場合、そのヌクレオチド位置のリボヌクレオチドをデオキシリボヌクレオチドに取り替えることにより調製され、そして前記第一次レベル誘導体は、前記参照核酸があるヌクレオチド位置にデオキシリボヌクレオチドを有する場合、そのヌクレオチド位置のデオキシリボヌクレオチドをリボヌクレオチドに取り替えることにより調製され、そして取替えがなされるヌクレオチド位置は修飾化ヌクレオチド位置である);ならびに
c)前記参照核酸分子の各ヌクレオチド位置に関してステップb)を反復し、したがって、前記参照核酸分子の第一次レベル誘導体の一群を調製するステップ(ここで、前記参照核酸分子の第一次レベル誘導体の前記群はn個の第一次レベル誘導体からなり、前記参照核酸分子の前記第一次レベル誘導体の各々は単一ヌクレオチド置換により前記参照核酸分子と異なっており、そして前記参照核酸分子の第一次レベル誘導体の各々は、前記参照核酸分子の第一次レベル誘導体の前記群の他の第一次レベル誘導体の単一修飾化ヌクレオチド位置のすべての単一修飾化ヌクレオチドと異なる単一修飾化ヌクレオチド位置を有する)。
一実施形態では、前記第一次レベル誘導体は一ヌクレオチド列を含み、この場合、前記ヌクレオチド配列はn個のヌクレオチドを含む。
第一次レベル誘導体および参照核酸分子の第一次レベル誘導体という用語は、別記しない限り、同義的に用いられる。
第一次レベル誘導体の群および参照核酸分子の第一次レベル誘導体の群という用語は、別記しない限り、同義的に用いられる、ということも本発明の範囲内である。
各第一次レベル誘導体は、参照核酸分子に比して、ヌクレオチド交換を1つのみ有する、ということは当業者に理解されるであろう。一実施形態では、ステップb)は(n−1)回反復され、その結果、参照核酸分子のn個のヌクレオチド位置の各々およびいずれかがヌクレオチド置換を受ける、ということも理解されるであろう。参照核酸分子の第一次レベル誘導体のこのような群において、第一次レベル誘導体の群は、全体として、参照核酸分子から出発して調製され得るすべての誘導体を表し、この場合、誘導体の各々は、単一ヌクレオチド位置で参照核酸分子と異なる。
しかしながら、ステップb)が(n−1)回未満反復される、ということも本発明の範囲内である。ステップb)が全く反復されず、その結果、1つのヌクレオチド位置でのみ、ヌクレオチドがデオキシヌクレオチドにより置き換えられ、そして、それぞれ、デオキシリボヌクレオチドはリボヌクレオチドにより置き換えられる。この後者実施形態は、好ましくは、単一ヌクレオチド置換が誘導体(これは、参照核酸分子と比較して、本明細書中に記載されるような改良された結合特質を当該誘導体が有する場合、第一次レベル誘導体である)を生じる場合には実施される。
本発明の方法の実施形態は、ステップb)の反復時に1、2、3・・・、しかし(n−1)個未満の第一次レベル誘導体が得られ、これが参照核酸分子と比較して本明細書中に記載されるような改良された結合特質を有する場合、ステップb)の(n−1)回未満の反復、好ましくは1回以上の反復を包含する。
本発明の方法のさらなる一実施形態では、当該方法は、参照核酸のn個の第一次レベル誘導体の各々に関して結合特質を確定するステップを包含する。好ましくは、第一次レベル誘導体と標的分子との結合に関する結合特質が確定される。本発明の方法のさらなる一実施形態では、結合特質は、n個未満の第一次レベル誘導体に関して確定され、好ましくは結合特質は、n個の第一次レベル誘導体の少なくとも1つに関して確定されるが、しかしn個の第一次レベル誘導体のすべてに関して確定されるわけではない。さらにまたこれらの実施形態では、第一次レベル誘導体と標的分子との結合に関する結合特質が確定される。
本発明の方法のさらなる一実施形態では、当該方法は、その結合特質が予定閾値を上回るかまたはそれに達する参照核酸分子のその/それらの第一次レベル誘導体(単数または複数)を同定するステップを包含する。その一実施形態では、予定閾値を上回るかまたはそれに達する第一次レベル誘導体のすべてが同定されるか、または予定閾値を上回るかまたはそれに達する第一次レベル誘導体のうちのいくつかだけが同定される。
閾値は参照核酸分子の結合親和性である、ということも本発明の範囲内である。この実施形態では、任意のレベルの参照核酸の誘導体は、参照核酸分子と同一のまたは類似の、標的分子との結合親和性を有する。この実施形態は、本明細書中に開示されるような任意のレベルの誘導体の一実施形態である。
本発明の方法に従って、生成されるべき核酸は、参照核酸分子の第一次レベル誘導体、あるいは参照核酸分子が結合し得る、そして閾値に達する標的分子と結合し得る参照核酸分子の任意レベルの誘導体である。
参照核酸分子がRNA分子であることは、本発明の範囲内である。この実施形態では、参照核酸分子はリボヌクレオチドからなる。
参照核酸分子がDNA分子であることは、本発明の範囲内である。この実施形態では、参照核酸分子はデオキシリボヌクレオチドからなる。
参照核酸分子がリボヌクレオチドおよびデオキシリボヌクレオチドの両方からなり、それにより、参照核酸分子を形成するヌクレオチドの配列の各位置では、ヌクレオチドはデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドである。
本発明のさらなる一態様は、参照核酸分子の第二次レベル誘導体である。参照核酸分子のこのような第二次レベル誘導体は、本明細書中に開示されるような本発明の方法により生成され得るし、または生成可能であり、そして、本発明の方法に関連して本明細書中に記載される。さらに具体的には、第二次レベル誘導体は、少なくとも第一ヌクレオチド位置および第二ヌクレオチド位置で参照核酸分子と異なっており、
前記第一ヌクレオチド位置は、n個の誘導体からなる前記参照核酸分子の誘導体の群からの前記参照核酸分子の第一の第一次レベル誘導体の修飾化ヌクレオチド位置であり、そして前記第一次レベル誘導体は、その結合特質が予定閾値を上回るものであり、前記第一ヌクレオチド位置のヌクレオチドは前記参照核酸分子の第一の第一次レベル誘導体の修飾化位置のヌクレオチドと同一であり、ならびに
前記第二ヌクレオチド位置は、n個の誘導体からなる前記参照核酸分子の誘導体の群からの前記参照核酸分子の第二の第一次レベル誘導体の修飾化ヌクレオチド位置であり、そして前記第二の第一次レベル誘導体は、その結合特質が予定閾値を上回るものであり、前記第二ヌクレオチド位置のヌクレオチドは前記参照核酸分子の第二の第一次レベル誘導体の修飾化位置のヌクレオチドと同一である。
本発明のさらなる態様は、参照核酸分子の第三次レベル誘導体、参照核酸分子の第四次レベル誘導体、参照核酸分子の第五次レベル誘導体、参照核酸分子の第六次レベル誘導体および参照核酸分子の第七次レベル誘導体に関する。参照核酸分子のこのような第三次、第四次、第五次、第六次および第七次レベル誘導体は、本明細書中に開示されるような本発明の方法により生成され得るし、または生成可能であり、そして本発明の方法に関連して本明細書中に記載される。
参照核酸分子の第二次、第三次、第四次、第五次、第六次および第七次レベル誘導体に関連して、そのすべてが本発明による核酸分子であり、置換の数は、参照核酸分子の第二次レベル誘導体に関連して2つのヌクレオチドに限定されないし、参照核酸分子の第三次レベル誘導体に関連して3つのヌクレオチドに限定されないし、参照核酸分子の第四次レベル誘導体に関連して4つのヌクレオチドに限定されないし、参照核酸分子の第五次レベル誘導体に関連して5つのヌクレオチドに限定されないし、参照核酸分子の第六次レベル誘導体に関連して6つのヌクレオチドに限定されないし、参照核酸分子の第七次レベル誘導体に関連して7つのヌクレオチドに限定されず、むしろこのような誘導体は他の位置にさらなる置換を含み得る、ということは承知されるべきことである。
最後に、参照核酸分子の高次レベル誘導体が包含され、開示され、したがって本発明に包含され、したがって、本発明による核酸分子である。このような高次レベル誘導体は、例えば、第八次レベル誘導体、第九次レベル誘導体等である。参照核酸分子はn個のヌクレオチドを含む、という事実にかんがみて、最大次数レベル誘導体は参照核酸分子のn次レベル誘導体である。参照核酸分子はn個のヌクレオチドを含むので、参照核酸分子の最大n個のヌクレオチドが、本明細書中で提供される規則および指針に従って取り替えられる。参照核酸分子のこのような第n次レベル誘導体においては、したがって各々のおよび任意のヌクレオチドが本発明に従って取り替えられる。しかしながら、高次レベル誘導体は第(n−x)次レベル誘導体である(ここで、xは1からn+2までの任意の整数である)、ということも本発明の範囲内である。xが1からn+2までの任意の整数であるこのような第(n−x)次レベル誘導体では、本明細書中で提供される技術的教示に従って、参照核酸分子に比して、このような誘導体の(n−x)個のヌクレオチドが取り替えられる(ここで、xは1からn+2までの任意の整数である)。
参照核酸分子の種々の第一次レベル誘導体のヌクレオチド置換を高次レベル誘導体と結びつけると、種々の個々の第一次レベル誘導体が予定閾値に達するかまたはそれを上回る、ということも、本発明の方法の一実施形態である。しかしながら、参照核酸分子の種々の第一次レベル誘導体のヌクレオチド置換を高次レベル誘導体と結びつけると、参照核酸分子の種々の第一次レベル誘導体はどれも予定閾値に達しないし、またはそれを上回らない、ということも本発明の方法の一実施形態である。最後に、参照核酸分子の種々の第一次レベル誘導体のヌクレオチド置換を高次レベル誘導体と結びつけると、参照核酸分子の第一次レベル誘導体のいくつかは予定閾値に達するかまたはそれを上回るが、一方、参照核酸分子の第一次レベル誘導体の他のものは予定閾値に達しないかまたはそれを上回らない、ということは、本発明の方法の一実施形態である。
本発明は、参照核酸分子の結合親和性と比較して、標的との一核酸分子の結合親和性を増大することが可能である、という意外な知見にも基づいており、この場合、前記核酸分子は一ヌクレオチド配列を含み、参照核酸分子は一ヌクレオチド配列を含み、前記核酸分子の前記ヌクレオチド配列および前記参照核酸分子の前記ヌクレオチド配列は、ヌクレオチドの核酸塩基部分に関して少なくとも部分的に同一であるが、しかしヌクレオチドの糖部分に関しては異なり、前記核酸分子の前記ヌクレオチド列はリボヌクレオチドおよびデオキシリボヌクレオチドの両方からなり、そして前記参照核酸分子の前記ヌクレオチド配列はリボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチドのいずれかで構成される。
本明細書中で好ましくは用いられる場合、参照核酸分子は、一核酸分子および特に一方では本発明の核酸分子の両方に関して、そして他方で、(当該)参照核酸分子として作用するかまたは用いられている核酸分子に関して、査定されるかまたは確定されるべきものであるある特質に関する参照または水準点として用いられる核酸分子である。一実施形態では、前記特質は、本発明の核酸分子の標的分子に関する、そして参照核酸分子の標的分子に関する、核酸分子の、特に本発明の核酸分子の結合親和性、ならびに参照核酸分子の結合親和性である。好ましい一実施形態では、本発明の核酸分子の標的分子は、参照核酸分子の標的分子であり、さらに好ましくは本発明の核酸分子の標的分子は、参照核酸分子と同一の標的分子である。
本明細書中で好ましくは用いられる場合、本発明の参照核酸分子の一ヌクレオチド配列中に含有されるヌクレオチドの少なくとも1つの核酸塩基が参照核酸分子のヌクレオチド配列中に含有されるヌクレオチドの少なくとも1つの核酸塩基と同一であるならば、本発明の核酸分子の一ヌクレオチド配列は、参照核酸分子の一ヌクレオチド配列と部分的に同一である。一実施形態では、本発明の核酸分子のヌクレオチドの核酸塩基の少なくとも75%、好ましくは85%、さらに好ましくは90%、最も好ましくは95%より多く、96%、97%、98%、99%または100%が、参照核酸分子のヌクレオチドの核酸塩基と同一である。代替的一実施形態では、本発明の参照核酸分子のヌクレオチドの核酸塩基の少なくとも75%、好ましくは85%、さらに好ましくは90%、最も好ましくは95%より多く、96%、97%、98%、99%または100%が、本発明の核酸分子のヌクレオチドの核酸塩基と同一である。本発明の核酸分子のさらなる一実施形態では、2’−デオキシリボヌクレオチドがリボヌクレオチドにより取り替えられ、そしてデオキシリボヌクレオチドが2’−デオキシアデノシン−5−ホスフェート;2’−デオキシグアノシン−5’−ホスフェート;2’−デオキシシチジン−5’−ホスフェート;チミジン−5’−ホスフェートである場合、リボヌクレオチドはアデノシン−5’−ホスフェート、グアノシン−5’−ホスフェート、シチジン−5’−5−メチル−ウリジン−5’−ホスフェートまたはウリジンウリジン−5’−ホスフェートであり、ならびにリボヌクレオチドがデオキシリボヌクレオチドにより取り替えられ、そしてリボヌクレオチドがアデノシン−5’−ホスフェート、グアノシン−5’−ホスフェート、シチジン−5’−ホスフェート、ウリジン−5’−ホスフェートである場合、デオキシリボヌクレオチドは2’−デオキシアデノシン−5−ホスフェート;2’−デオキシグアノシン−5’−ホスフェート;2’−デオキシシチジン−5’−ホスフェート;2’−デオキシウリジン−5’−ホスフェートまたはチミジン−5−ホスフェートである場合を除いて、核酸塩基のすべてが参照核酸分子の核酸塩基と同一である。
本発明に従って、本発明の核酸分子のヌクレオチド配列と、参照核酸分子のヌクレオチド配列との同一性または部分的同一性が、ヌクレオチドの核酸塩基部分に基づいて、またはヌクレオチドの核酸塩基部分に関して、決定される。それと関連して、そして本明細書中で好ましくは用いられる場合、核酸塩基または核酸塩基部分は、それぞれヌクレオシドおよびヌクレオチドの窒素塩基である。さらに好ましくは、核酸塩基は、アデノシン、グアニン、チミン、シトシンおよびウラシルからなる群から選択される。したがって、本発明の核酸分子のヌクレオチド配列と参照核酸分子のヌクレオチド配列の同一性または部分的同一性は、ヌクレオチドの核酸塩基の化学的性質により決定される。したがって、本発明と関連して、2’−デオキシアデノシン−5’−(トリ)ホスフェートはアデノシン−5’−(トリ)ホスフェートと同一であるとみなされ、2’−デオキシグアノシン−5’−(トリ)ホスフェートはグアノシン−5’−(トリ)ホスフェートと同一であるとみなされ、チミジン−5’−(トリ)ホスフェートは5−メチルウリジン 5’−(トリ)ホスフェートと同一であるとみなされ、2’−デオキシシチジン 5’−(トリ)ホスフェートはシチジン 5’−(トリ)ホスフェートと同一であるとみなされ、そしてデオキシウリジン 5’−(トリ)ホスフェートはウリジン 5’−(トリ)ホスフェートと同一であるとみなされる。
本特許出願全体を通して、核酸の組成を記載するために一般に既知の頭字語が用いられ、それにより、文字A、G、C、UおよびTは、それぞれ核酸塩基アデニン、グアニン、シトシン、ウラシルまたはチミジンを含有するリボヌクレオチドまたは2’−デオキシリボヌクレオチドを意味する。合成オリゴヌクレオチドの5’−末端に配置される場合、ヌクレオチドはヌクレオシドであり、すなわち、それは5’−ホスフェート基を保有しない。示された配列が主にリボヌクレオチド配列(RNA)であっても、2’−デオキシリボヌクレオチド配列(デオキシリボヌクレオチド配列またはDNAとも呼ばれる)であっても、それは、図、図の凡例または所定の実施例の本文から読者により決定されるべきものである。一般的に、その場合、リボヌクレオチドから2’−デオキシリボヌクレオチドに、またはその逆に交換される1個または数個の位置が存在する。主にリボヌクレオチド配列への1個または数個の2’デオキシリボヌクレオチドの組入れは、核酸塩基の同一性を示す大文字の前の小文字「d」により示される(上記参照)。逆に、ヌクレオチド配列中への1個または数個の2’デオキシリボヌクレオチド組入れは、核酸塩基の同一性を示す大文字の前の小文字「d」により示される。ヌクレオチドは、1’−位置に結合される核酸塩基を有するリボース−5’−ホスフェートまたは2’−デオキシリボース−5’−ホスフェートであるとして当業者に既知である。核酸塩基との連結は、9位置のプリン核酸塩基(A、G)で、ならびに1位置のピリミジン核酸塩基(C、T、U)で起こる。
本発明による核酸は核酸分子である、ということは本発明の範囲内である。その限りにおいて、核酸および核酸分子という用語は本明細書中で、同義的(正反対を示さないとまではいかない)に用いられる。さらに、このような核酸は、好ましくは、本発明による核酸分子、本発明による核酸、当該発明の核酸または当該発明の核酸分子としても、本明細書中で言及される。
本明細書中に記載されるような本発明による核酸の特徴は、本発明の任意の態様において具体化され得るが、この場合、核酸は、単独でまたは任意の組合せで用いられる。
本明細書中で好ましくは用いられる場合、グルカゴンという用語は、任意のグルカゴン、例えば哺乳類グルカゴン(これに限定されない)を指す。好ましくは、哺乳類グルカゴンは、ヒト、ラット、マウス、サル、ブタ、ウサギ、ハムスター、イヌ、ヒツジ、ニワトリおよびウシのグルカゴンからなる群から選択される。
本明細書中で好ましくは用いられる場合、S1Pという用語は、任意のS1P、例えば哺乳類S1P(これに限定されない)を指す。好ましくは、哺乳類S1Pは、ヒト、ラット、マウス、サル、ブタ、ウサギ、ハムスター、イヌ、ヒツジ、ニワトリおよびウシのS1Pからなる群から選択される。
本明細書中で好ましくは用いられる場合、CGRPという用語は、任意のCGRP、例えば哺乳類CGRP(これに限定されない)を指す。好ましくは、哺乳類CGRPは、ヒト、ラット、マウス、サル、ブタ、ウサギ、ハムスター、イヌ、ヒツジ、ニワトリおよびウシのCGRPからなる群から選択される。
本明細書中で好ましくは用いられる場合、C5aという用語は、任意のC5a、例えば哺乳類C5a(これに限定されない)を指す。好ましくは、哺乳類C5aは、ヒト、ラット、マウス、サル、ブタ、ウサギ、ハムスター、イヌ、ヒツジ、ニワトリおよびウシのC5aからなる群から選択される。
グルカゴンに対するアンタゴニストは、本明細書中で好ましくは用いられる場合、グルカゴンと結合する分子、例えば本明細書中に開示される核酸分子であり、好ましくは、例えば実施例に記載されるように、in vitro検定において、またはin vivoモデルにおいて、グルカゴンの機能を抑制する。
S1Pに対するアンタゴニストは、本明細書中で好ましくは用いられる場合、S1Pと結合する分子、例えば本明細書中に開示される核酸分子であり、好ましくは、例えば実施例に記載されるように、in vitro検定において、またはin vivoモデルにおいて、S1Pの機能を抑制する。
C5aに対するアンタゴニストは、本明細書中で好ましくは用いられる場合、C5aと結合する分子、例えば本明細書中に開示される核酸分子であり、好ましくは、例えば実施例に記載されるように、in vitro検定において、またはin vivoモデルにおいて、C5aの機能を抑制する。
CGRPに対するアンタゴニストは、本明細書中で好ましくは用いられる場合、CGRPと結合する分子、例えば本明細書中に開示される核酸分子であり、好ましくは、例えば実施例に記載されるように、in vitro検定において、またはin vivoモデルにおいて、CGRPの機能を抑制する。
本発明による核酸分子、ならびに参照核酸は、好ましくは、ヌクレオチドの以下の3つの異なるストレッチを含む:ヌクレオチドの第一末端ストレッチ、ヌクレオチドの中央ストレッチおよびヌクレオチドの第二末端ストレッチ。核酸分子の分野においては、ヌクレオチドの任意の配列は5’→3’方向で示されるので、ヌクレオチドの第一末端ストレッチは中央ストレッチの5’末端に整列され、ヌクレオチドの第二末端ストレッチはヌクレオチドの中央ストレッチの3’末端に整列される。このために、ヌクレオチドの第一末端ストレッチはヌクレオチドの5’−末端ストレッチとしても本明細書中で言及されるし、ヌクレオチドの第二末端ストレッチはヌクレオチドの3’−末端ストレッチとしても本明細書中で言及される(その逆でも言及される)。しかしながら、ヌクレオチドの第一末端ストレッチがヌクレオチドの3’−末端ストレッチと本明細書中で言及され、そしてヌクレオチドの第二末端ストレッチがヌクレオチドの5’−末端ストレッチと本明細書中で言及される(その逆もあり)、ということも本発明の範囲内である。これは、特に、ヌクレオチドの第一ストレッチおよびヌクレオチドの第二ストレッチが互いに相補的な塩基である実施形態において当てはまる。
本発明の核酸分子の一実施形態では、ヌクレオチドの第一ストレッチおよびヌクレオチドの第二ストレッチは、互いに相補的な塩基である。本明細書中で好ましくは用いられる場合、ヌクレオチドの2つのストレッチは、前記2つのストレッチが、少なくとも文書でまたはコンピューターで、互いとハイブリダイズし、それによりハイブリダイゼーション時に、二本鎖構造が形成される場合、互いに相補的な塩基である。ハイブリダイゼーションは、好ましくはワトソン・クリック型塩基対合規則のような塩基対合に関する既知の規則に従って起こるかまたはなされる。しかしながら、そして当業者が認めるように、他の塩基対合規則、例えばフーグステン型塩基対合が起こり得るし、または適用され得る。さらにまた本発明の核酸分子と関連して、このようなハイブリダイゼーションは二本鎖構造を生じる、ということも当業者は認めるであろう。このような二本鎖構造は、単一核酸分子の一部であって、この場合、核酸分子の一本鎖の2つの空間的に分離されたストレッチがハイブリダイズされる。代替的には、このような二本鎖構造は、2つ以上の別個の核酸分子の2つ以上の別個の鎖により形成され得る。任意のハイブリダイゼーションは必ずしも2つのストレッチの全長に亘って起こっているかまたはなされるわけではない、ということも当業者は認めるであろう。
さらなる一実施形態では、ヌクレオチドの2つのストレッチは、前記2つのストレッチが、原則として、in vitroおよび/またはin vivo条件下でハイブリダイズし得るならば、互いに相補的な塩基である。互いに相補的な塩基であるヌクレオチドの第一ストレッチおよびヌクレオチドの第二ストレッチに関して、ならびに文書でまたはコンピューターでのヌクレオチドの第一ストレッチおよびヌクレオチドの第二ストレッチのハイブリダイゼーションに関して、本明細書中に開示される同一の考えは、この実施形態にも等しく当てはまる。しかしながら、このようなin vitroおよび/またはin vivo条件下で、ハイブリダイゼーションは起こり得るし、起こらないこともある、ということは認められなければならない。
本発明に関連して、2つのストレッチが互いとハイブリダイズするという特徴は、このようなハイブリダイゼーションが2つのストレッチの塩基相補性のために起こると推定されるが、しかし必ずしも任意のin vitroおよび/またはin vivo条件下で起こる必要はない、ということも認められるべきである。
核酸分子のヌクレオチドの3つのストレッチ −すなわち、ヌクレオチドの第一末端ストレッチ、ヌクレオチドの中央ストレッチおよびヌクレオチドの第二末端ストレッチ− は、5’→3’方向:ヌクレオチドの第一末端ストレッチ−ヌクレオチドの中央ストレッチ−ヌクレオチドの第二末端ストレッチで互いに整列される。しかしながら、代替的には、ヌクレオチドの第二末端ストレッチ、ヌクレオチドの中央ストレッチおよびヌクレオチドの第一末端ストレッチが、5’→3’方向で互いに整列される。
一方では本発明の核酸分子および他方では参照核酸分子といったような異なる核酸分子間の限定ストレッチの配列における差は、本発明の核酸分子が結合し得る標的分子との結合親和性に影響を及ぼす。好ましい一実施形態では、本発明の核酸分子の結合分析に基づいて、本発明による核酸のヌクレオチドの中央ストレッチおよびそれを形成するヌクレオチドは、個々に、そしてさらに好ましくはそれらの全体として、本発明の核酸分子と標的分子との結合に不可欠である。
「ストレッチ」および「ヌクレオチドのストレッチ」という用語は、別記しない限り、本明細書中で同義的に用いられる。
好ましい一実施形態では、本発明による核酸は、単一核酸分子である。さらなる一実施形態では、単一核酸分子は、多数の単一核酸分子として、または多数の単一核酸分子種として存在する。
本発明の核酸分子は、好ましくは、ホスホジエステル結合または連結を介して互いに共有結合されるヌクレオチドからなる、と当業者は認めるであろう。
好ましい一実施形態では、整列という用語は、本明細書中で用いる場合、本明細書中に開示される核酸に関連して本明細書中に記載される構造的または機能的特徴または要素の順序または配列を意味する。
本発明の核酸分子は、本発明の核酸分子と、特に本明細書中に開示される特定の配列(単数または複数)と本質的に相同である核酸分子も含む。実質的に相同のという用語は、例えば、相同性が少なくとも75%、好ましくは85%、さらに好ましくは90%、最も好ましくは95%より多く、96%、97%、98%または99%である、と理解される。
本発明の核酸分子中に存在する相同ヌクレオチドの実際のパーセンテージは、核酸分子中に存在するヌクレオチドの総数によって決まる。修飾パーセントは、核酸分子中に存在するヌクレオチドの総数を基礎にされ得る。
2つの核酸分子の間の相同性は、当業者に既知であるように確定され得る。さらに具体的には、指示されたプログラムパラメーターに基づいて、参照配列に比して試験配列(単数または複数)に関する配列相同性パーセントを算定するために、配列比較アルゴリズムが用いられ得る。試験配列は、好ましくは、異なる核酸分子と、相同であると言われるか、またはそれが相同であるか否か、そうであるならば、どの程度に相同であるかを試験されるべきものである配列または核酸分子であり、それにより、このような異なる核酸分子は相同参照配列とも呼ばれる。比較のための配列の最適アラインメントは、例えばSmith & Waterman (Smith & Waterman, 1981)の局所的相同性アルゴリズムにより、Needleman & Wunsch (Needleman & Wunsch, 1970)の相同性アラインメントアルゴリズムにより、Pearson & Lipman (Pearson & Lipman, 1988)の類似性検索法により、これらのアルゴリズムのコンピューター実装により(GAP, BESTFIT, FASTA, and TFASTA in the Wisconsin Genetics Software Package, Genetics Computer Group, 575 Science Dr., Madison, Wis.)、または外観検査により、実行され得る。
配列同一性パーセントを確定するために適しているアルゴリズムの一例は、基本的局所アラインメント検索ツール(以後、「BLAST」)で用いられるアルゴリズムである(例えばAltschul等(Altschul et al. 1990 and Altschul et al, 1997)参照)。BLAST解析を実施するためのソフトウェアは、米国立バイオテクノロジー情報センター(以後、「NCBI」)を介して公的に利用可能である。NCBIから入手可能なソフトウェア、例えばBLASTN(ヌクレオチド配列用)およびBLASTP(アミノ酸配列用)を用いて配列同一性を決定するのに用いられるデフォルトパラメーターは、McGinnis等(McGinnis et al , 2004)に記載されている。
本発明の核酸分子は、本発明の核酸分子に関して、特に本明細書中に開示され、それらのヌクレオチド配列により限定される本発明の特定の核酸分子に関して、ある程度の同一性を有する核酸分子も含む。さらに好ましくは、本発明は、本発明の核酸分子に関して、特に本明細書中に開示され、それらのヌクレオチド配列またはその一部分により限定される本発明の特定の核酸分子に関して、少なくとも75%、好ましくは85%、さらに好ましくは90%、最も好ましくは95%より多く、96%、97%、98%または99%の同一性を有する核酸分子も含む。
発明の核酸または本発明による核酸という用語は、好ましくは核酸または上記一部がグルカゴンに包含されるかまたはグルカゴンと結合し得る程度に、本明細書中に開示される核酸配列またはその一部を含む核酸分子、例えば本発明による核酸の代謝産物または誘導体を含む。このような核酸は、例えば切頭化により、本明細書中に開示されるものから得られる。さらにまた、切頭化はヌクレオチドの内部配列と関連し、すなわちそれは、それぞれ5’および3’末端ヌクレオチド間のヌクレオチド(単数または複数)と関連し得る。さらに、切頭化は、本明細書中に開示される核酸の配列からの単一ヌクレオチドと同じくらい小さい欠失を含む。切頭化は、本発明の核酸(単数または複数)の1つより多いストレッチにも関連し、それによりストレッチは一ヌクレオチド長と同じくらい小さい。本発明による核酸の結合は、慣例の実験を用いて、あるいは本明細書中に記載されるような、好ましくは実施例の部分で本明細書中に記載されるような方法を用いるかまたは採用することにより、確定され得る。
本発明の核酸分子はより長い核酸分子の一部であり、それによりこの長い核酸分子は数個の部分を含み、それにより少なくとも1つのこのような部分は本発明の核酸分子またはその一部である、ということも本発明の範囲内である。このような長い核酸分子の他の部分(単数または複数)は、1または数個のD−核酸(単数または複数)またはL−核酸(単数または複数)であり得る。本発明と関連して、任意の組合せが用いられ得る。長い核酸の他の部分(単数または複数)は、結合とは異なる機能を示し得る。考え得る一機能は、他の分子との相互作用を可能にすることであって、例えば固定化、架橋、検出または増幅のための他の分子である。本発明のさらなる一実施形態では、本発明による核酸は、個々の部分または組合せ部分として、本発明の核酸のうちのいくつかを含む。本発明の核酸のうちのいくつかを含むこのような核酸も、長い核酸という用語に包含される。
L−核酸分子は、本明細書中で用いる場合、L−ヌクレオチドからなる、好ましくは完全にL−ヌクレオチドからなる核酸分子であり、さらに好ましくはL−ヌクレオチドはL−リボヌクレオチドまたはL−2’−デオキシリボヌクレオチドである。好ましい一実施形態では、L−核酸分子は、完全にL−リボヌクレオチドまたはL−2’−デオキシリボヌクレオチドからなる。別の好ましい実施形態では、L−核酸分子は、L−リボヌクレオチドおよびL−2’−デオキシリボヌクレオチドからなる。
D−核酸分子は、本明細書中で用いる場合、D−ヌクレオチドからなる、好ましくは完全にD−ヌクレオチドからなる核酸分子であり、さらに好ましくはD−ヌクレオチドはD−リボヌクレオチドまたはD−2’−デオキシリボヌクレオチドである。好ましい一実施形態では、D−核酸分子は、完全にD−リボヌクレオチドまたはD−2’−デオキシリボヌクレオチドからなる。別の好ましい実施形態では、D−核酸分子は、D−リボヌクレオチドおよびD−2’−デオキシリボヌクレオチドからなる。
核酸および核酸分子という用語は、明白にそうでないと示されない限り、互換的に本明細書中で用いられる。
さらにまた、別記されない場合、任意のヌクレオチド配列が5’→3’方向で本明細書中に記述される。
本明細書中で好ましくは用いられる場合、配列、ストレッチまたはサブストレッチの5’末端に関して、ヌクレオチドの任意の位置が決定されるかまたは言及される。したがって、第二ヌクレオチドは、それぞれ配列、ストレッチおよびサブストレッチの5’末端から数えて2番目のヌクレオチドである。さらにまた、それに従って、最後から2番目のヌクレオチドは、それぞれ配列、ストレッチおよびサブストレッチの3’末端から数えて2番目のヌクレオチドである。
本発明の核酸分子をL−核酸分子として意図することは、いくつかの理由のために有益である。L−核酸は、天然D−核酸のエナンチオマーである。しかしながら、ヌクレアーゼの広範囲に及ぶ存在のために、D−核酸は、水溶液中で、特に生物学的系または生物試料中で非常に安定であるというわけではない。天然ヌクレアーゼ、特に動物細胞からのヌクレアーゼは、L−核酸を分解できない。このため、L−核酸の生物学的寿命は、動物およびヒト身体を含めて、このような系において有意に増大される。L−核酸の分解性を欠くため、ヌクレアーゼ分解産物は生成されず、したがって、それに起因する副作用は観察されない。この態様は、標的分子の存在を伴う疾患および/または障害の治療に用いられる事実上すべての他の化合物とL−核酸との間に境界を画する。ワトソン・クリック型塩基対合とは異なる機序により標的分子と特異的に結合するL−核酸、または部分的にまたは完全にL−ヌクレオチドからなるアプタマー(特に、アプタマーのその部分は標的分子とアプタマーの結合に関与する)は、スピーゲルマーとも呼ばれる。アプタマーおよびスピーゲルマーは、そのようなものとして、当業者に既知であり、特に‘The Aptamer Handbook’ (eds. Klussmann, 2006)に記載されている。
本発明の核酸分子は、それがD−核酸分子として存在するか、L−核酸分子かまたはD,L−核酸分子かにかかわらず、一本鎖または二本鎖核酸分子として存在し得る、ということも本発明の範囲内である。好ましくは、本発明の核酸分子は、一次配列のために限定に次構造を示し、したがって三次構造も形成し得る一本鎖核酸分子である。しかしながら本発明の核酸分子は、互いに相補的または部分的に相補的である2つの鎖が互いとハイブリダイズされるという意味で二本鎖化もされ得る。
本発明の核酸分子は、修飾され得るし、または少なくとも1つの修飾基を含み得る。このような修飾は、核酸の単一ヌクレオチドに関連し得るし、当該技術分野で周知である。このような修飾の例は、特にVenkatesan等(Venkatesan, Kim et al. 2003)およびKusser (Kusser 2000)により記載されている。このような修飾は、核酸が構成される個々のヌクレオチドの2’位置でのH原子、F原子、あるいはO−CH3基またはNH2−基であり得る。さらにまた、本発明の核酸は、少なくとも1つのLNAヌクレオチドを含み得る。一実施形態では、本発明による核酸は、LNAヌクレオチドからなる。
一実施形態では、本発明の核酸分子は多くの部分に分かれた核酸であり得る。多くの部分に分かれた核酸は、本明細書中で用いる場合、少なくとも2つの別個の核酸鎖からなる核酸である。これらの少なくとも2つの核酸鎖は機能的単位を形成し、それにより機能的単位は一標的分子、好ましくは当該標的分子に対するリガンドであるか、または一標的分子、好ましくは当該標的分子と結合し得る。少なくとも2つの核酸鎖は、当該核酸分子を切断して2つの鎖を生成することにより、または本発明の、すなわち全体的核酸の第一部分に対応する一核酸ならびに全体的核酸の第二部分に対応する別の核酸を合成することにより、本発明の任意の核酸分子から得られる。切断および合成はともに、多くの部分に分かれた核酸を生成するために適用され得るが、この場合、上記で例示されるような2つより多くの鎖が存在する、ということが認められるべきである。言い換えれば、少なくとも2つの別個の核酸鎖は、典型的には、相補性であり、互いとハイブリダイズする2つの鎖と異なるが、しかし上記の少なくとも2つの別個の核酸鎖間にはある程度の相補性が存在し、それによりこのような相補性が上記の別個の鎖のハイブリダイゼーションを生じ得る。
最後に、本発明の核酸に関する完全に閉じられた、すなわち環状の構造が具体化される、すなわち、本発明による核酸分子は、好ましくは共有結合により、一実施形態では閉じられており、それにより、さらに好ましくはこのような共有結合は、本発明の核酸分子の核酸配列(単数または複数)の5’末端および3’末端間に作られる、ということも本発明の範囲内である。
本発明の核酸分子の結合定数を決定するための実行可能な手段は、本発明の核酸分子が好都合なKD値範囲を示すという上記知見を確証する実施例に記載されるような方法の使用である。個々の核酸分子と標的分子との間の結合の強度を表すための適切な測定値がいわゆるKD値であって、そのようなものとして同様に、その決定方法は当業者に既知である。
好ましくは、本発明の核酸分子により示されるKD値は、1μMより低い。約1μMというKD値は、標的分子への核酸分子の非特異的結合に特徴的であるといわれている。当業者が認めるように、化合物の一群、例えば本発明の核酸分子のKD値は、一定範囲内である。約1μMという上記KDは、KD値に関する好ましい上限である。標的結合核酸分子のKDに関する下限は、約10ピコモルと同じくらい小さい値であり得るし、またはより高い値であり得る。標的分子に結合している個々の核酸分子のKD値は好ましくはこの範囲内である、ということは本発明の範囲内である。好ましい範囲は、この範囲内の任意の第一の数およびこの範囲内の任意の第二の数を選択することにより限定され得る。好ましい上のKD値は250nMおよび100nMであり、好ましい下のKD値は50nM、10nM、1nM、100pMおよび10pMである。より好ましい上のKD値は10nMであり、さらに好ましい低KD値は100pMである。
本発明の核酸分子の結合特性のほかに、本発明の核酸分子は、それぞれの標的分子の機能を抑制する。標的分子の機能の抑制−例えば前記のような標的分子のそれぞれの受容体の刺激−は、本発明の核酸分子が標的分子と結合し、本発明の核酸分子と標的分子の複合体を形成することにより達成される。核酸分子と標的分子のこのような複合体は、普通は標的分子により刺激される受容体(単数または複数)を刺激することができない。したがって、本発明の核酸分子による受容体機能の抑制は、標的分子により刺激され得ないそれぞれの受容体とは無関係であるが、しかし本発明による核酸分子により標的分子による受容体の刺激を防止することに起因する。
本発明の核酸分子の阻害定数を決定する実行可能な手段は、本発明の核酸分子が好都合な阻害定数を示すという上記知見を確証する実施例に記載されるような方法の使用であって、これが治療的処置スキームにおけるこのような核酸分子の使用を可能にする。標的分子、標的分子とそれぞれの受容体との相互作用に及ぼす個々の核酸分子の阻害作用の強度を表すための適切な測定値がいわゆる半最大阻害濃度(IC50)であって、そのようなものとして同様に、その決定方法は当業者に既知である。
好ましくは、本発明の核酸分子により示されるIC50値は1μMより低い。約1μMというIC50値は、核酸分子による標的機能の非特異的阻害に特徴的であるといわれている。当業者が認めるように、化合物の一群、例えば本発明の核酸分子のIC50値は、一定範囲内である。約1μMという上記IC50は、IC50値に関する好ましい上限である。標的結合核酸分子、例えば本発明の核酸分子のIC50に関する下限は、約10ピコモルと同じくらい小さい値であり得るし、またはより高い値であり得る。本発明の核酸分子のIC50値は好ましくはこの範囲内である、ということは本発明の範囲内である。好ましい範囲は、この範囲内の任意の第一の数およびこの範囲内の任意の第二の数を選択することにより限定され得る。好ましい上のIC50値は250nMおよび100nMであり、好ましい下のIC50値は50nM、10nM、1nM、100pMおよび10pMである。より好ましい上のIC50値は5nMであり、さらに好ましい低IC50値は1nMである。
本発明の核酸分子は任意の長さを有し得るが、但し、それらは依然として標的分子と結合し得るし、または標的分子の機能を阻害し得る。本発明の核酸分子の好ましい長さが存在する、ということは当該技術分野で認められている。典型的には、その長さは15〜120ヌクレオチドである。15と120との間の任意の整数が、本発明の核酸分子の考え得る長さである、ということを当業者は認めるであろう。本発明による核酸の長さに関するさらに好ましい範囲は、約20〜100ヌクレオチド、約20〜80ヌクレオチド、約20〜60ヌクレオチド、約20〜54ヌクレオチドおよび約39〜44ヌクレオチドの長さである。
本明細書中に開示される核酸が、好ましくは高分子量部分である、および/または好ましくは特に動物身体、好ましくはヒト身体における滞留時間に関して核酸の特質を修飾させる修飾基を含む、ということは本発明の範囲内である。このような修飾の特に好ましい実施形態は、ペギル化(PEGylation)およびヘシル化(HESylation)である。本明細書中で用いる場合、PEGはポリ(エチレングリコール)を意味し、HESはヒドロキシエチルデンプンを意味する。ペギル化は、本明細書中で好ましくは用いる場合、本発明による核酸の修飾であって、それによりこのような修飾は、本発明による核酸と結合されるPEG部分からなる。ヘシル化は、本明細書中で好ましくは用いる場合、本発明による核酸の修飾であって、それによりこのような修飾は、本発明による核酸と結合されるHES部分からなる。これらの修飾は、このような修飾を用いて核酸を修飾する方法と同様に、欧州特許出願EP 1 306 382(この記載内容は参照により本明細書中で援用される)に記載されている。
このような高分子量部分であるPEGの場合、分子量は、好ましくは約20,000〜約120,000Da、さらに好ましくは約30,000〜約80,000Da、最も好ましくは約40,000Daである。このような高分子量部分であるHESの場合、分子量は、好ましくは約50〜約1000kDa、さらに好ましくは約100〜約700kDa、最も好ましくは約200〜500kDaである。HESは、0.1〜1.5、さらに好ましくは1〜1.5のモル置換を示し、そして約0.1〜15、好ましくは約3〜10のC2/C6比として表される置換試料を示す。HES修飾の方法は、例えば独国特許出願DE 1 2004 006 249.8(この記載内容は参照により本明細書中で援用される)に記載されている。
修飾は、原則として、その任意の位置で本発明の核酸分子になされ得る。好ましくは、このような修飾は、核酸分子の5’末端ヌクレオチド、3’末端ヌクレオチドおよび/または5’ヌクレオチドと3’ヌクレオチドの間の任意のヌクレオチドに対してなされ得る。
修飾、好ましくはPEGおよび/またはHES部分は、直接的にまたは間接的に、好ましくはリンカーを介して、本発明の核酸分子に結合され得る。本発明による核酸分子が、1つ以上の修飾、好ましくは1つ以上のPEGおよび/またはHES部分を含む、ということも本発明の範囲内である。一実施形態では、個々のリンカー分子は、1つより多いPEG部分またはHES部分を本発明による核酸分子と結びつける。本発明に関連して用いられるリンカーは、それ自体、線状または分枝鎖であり得る。この種のリンカーは当業者に既知であり、さらに、特許出願WO2005/074993およびWO2003/035665に記載されている。
好ましい一実施形態では、リンカーは生分解性リンカーである。生分解性リンカーは、本発明による核酸からの修飾の解除のために、特に動物身体、好ましくはヒト身体における滞留時間に関して、本発明による核酸の特質を修飾させる。生分解性リンカーの使用は、本発明による核酸の滞留時間のより良好な制御を可能にし得る。このような生分解性リンカーの好ましい一実施形態は、国際特許出願WO2006/052790、WO2008/034122、WO2004/092191およびWO2005/099768(これらに限定されない)に記載されているような生分解性リンカーである。
修飾または修飾基は生分解性修飾であり、それにより生分解性修飾が、直接的にまたは間接的に、好ましくはリンカーを介して、本発明の核酸分子に結合され得る、ということは本発明の範囲内である。生分解性修飾は、本発明による核酸からの修飾の解除または分解のために、特に動物身体、好ましくはヒト身体における滞留時間に関して、本発明による核酸の特質を修飾させる。生分解性修飾の使用は、本発明による核酸の滞留時間のより良好な制御を可能にし得る。このような生分解性修飾の好ましい一実施形態は、国際特許出願WO2002/065963、WO2003/070823、WO2004/113394およびWO2000/41647(これらに限定されない)に、好ましくはWO2000/41647のページ18の4〜24行目に記載されているような生分解性修飾である。
上記のような修飾と並んで、本発明による核酸の特質を修飾するために他の修飾が用いられ、それにより、このような他の修飾は、タンパク質、脂質、例えばコレステロール、および糖鎖、例えばアミラーゼ、デキストラン等の群から選択され得る。
如何なる理論にも縛られること無く考えると、好ましくは生理学的に許容可能である高分子量部分、例えばポリマー、さらに特定的には本明細書中に開示されるポリマーのうちの1または数個のポリマーを有する本発明による核酸を修飾することにより、排泄動力学が変更されると思われる。さらに特定的には、このような修飾された本発明の核酸の分子量増大のため、そして代謝の影響を受けていない本発明の核酸のため、特にL型における場合、動物身体からの、好ましくは哺乳動物身体からの、さらに好ましくはヒト身体からの排泄が低減される、と思われる。排泄は、典型的には腎臓を介して起こるので、このような修飾化核酸の糸球体濾過速度が、この種の高分子量修飾を有さない核酸と比較して、有意に低減され、これが動物身体における滞留時間の増大を生じる、と本発明人等は推測する。それに関連して、このような高分子量修飾にもかかわらず、本発明による核酸の特異性は有害な意味で影響を及ぼさない、ということは特に注目に値する。その限り2置いて、本発明による核酸は、特に、普通は薬学的に活性な化合物から予期され得ない意外な特質を有し、したがって持続性放出を提供する薬学的処方物は、本発明による核酸の持続性放出を必ずしも提供する必要はない。むしろ高分子量部分を含むその修飾化形態の本発明による核酸はそのようなものとして、その修飾のため、それらがあたかも持続性放出処方物から放出されたかのようにそれらが作用する場合に、持続性放出処方物として既に用いられ得ている。その限りにおいて、本明細書中に開示されるような本発明による核酸分子および本発明に夜このような修飾化核酸分子ならびにそれを含む任意の組成物の修飾(単数または複数)は、別個の、好ましくはその制御化薬物動態および生体内分布を提供し得る。これは、循環における滞留時間および組織への分布も包含する。このような修飾はさらに、特許出願WO2003/035665に記載されている。
しかしながら、本発明による核酸は、如何なる修飾も含まないし、特に、高分子量修飾、例えばペギル化またはヘシル化を含まない、ということも本発明の範囲内である。このような実施形態は、本発明による核酸が、身体中の任意の標的器官または組織への選択的分布を示す場合、あるいは投与後の身体からの本発明による核酸の迅速なクリアランスが所望される場合には、特に好ましい。身体中の任意の標的器官または組織に対する選択的分布プロフィールを有する本明細書中に開示されるような本発明による核酸は、核酸の全身濃度を低く保持しながら、標的組織における有効な局所濃度の確立を可能にする。これは、経済的見地から有益であるだけで無く、核酸作用物質への他の組織の不必要な曝露を低減する低用量の使用を可能にし、したがって副作用の潜在的危険を低減する。投与後の身体からの本発明による核酸の迅速なクリアランスは、特に本発明による核酸またはそれを含む医薬品を用いるin vivo画像処理または特定の治療的用量投与要件の場合に所望され得る。
本発明のさらなる態様は、医薬品または診断薬の製造のための本発明の核酸分子および/または本発明のアンタゴニストの使用に関する。本発明のさらなる態様は、疾患の処置または防止の方法における本発明の核酸分子および/または本発明のアンタゴニストの使用に関する。
本発明のさらなる態様は、少なくとも本発明の核酸分子を、任意にさらに薬学的に活性な薬学的化合物問い一緒に含有し、それにより本発明の核酸物質が好ましくは薬学的に活性名化合物それ自体として作用する薬学的組成物に関する。このような薬学的組成物は、好ましい一実施形態では、少なくとも製薬上許容可能な担体を含む。このような担体は、例えば水、緩衝液、PBS、グルコース溶液、好ましくは5%グルコース、塩平衡溶液、クエン酸塩、デンプン、糖、ゼラチンまたは任意の他の許容可能な担体物質であり得る。このような担体は、一般的に当業者に既知である。本発明の薬学的組成物の、またはそれに関連した、任意の実施形態、使用および態様も、本発明の医薬品に適用可能であるし、その逆もある、ということを当業者は認識するであろう。
本発明の核酸分子、それを含有する医薬品および/または薬学的組成物は、特に任意の疾患の処置および/または防止および/または診断に用いられ得る、ということを当業者は認識するであろうが、この場合、本発明の核酸分子が結合し得る標的分子が関与する。さらに具体的には、このような疾患は、本発明の核酸分子と標的分子との結合が、あるいは好ましくは本発明の核酸分子により標的分子の作用を相殺することが、原則的に、疾患を処置するのに、疾患を防止するのに、または疾患の症候を軽減するのに適している任意の疾患である。
本発明の医薬品の一実施形態では、このような医薬品は、本明細書中に開示される疾患のいずれか、特に本発明の医薬品が用いられるべきである疾患のための他の処置と組合せて用いるためである。
本発明の薬学的組成物の一実施形態では、このような薬学的組成物は、本明細書中に開示される疾患のいずれか、特に本発明の医薬品が用いられるべき疾患のための他の処置と組合せて用いるためである。
「併用療法」(または「同時療法」)は、本発明の医薬品と少なくとも第二のまたはさらなる作用物質を投与して、これらの治療薬、すなわち本発明の医薬品と前記の第二のまたはさらなる作用物質の同時作用から有益な作用を提供するよう意図することを包含する。組合せの有益な作用としては、治療薬に起因する薬物動態的または薬力学的同時作用が挙げられるが、これに限定されない。組合せにおけるこれらの治療薬の投与は、典型的には、限定時間(通常は、選択される組合せによって、数分、数時間、数日または数週間)に亘って実行される。
「併用療法」は、別個の単一療法レジメンの一部としてこれらの治療薬のうちの2つ以上の投与を包含するよう意図され得るが、しかし一般的には包含しない。「併用療法」は、逐次的なこれらの治療薬の投与(すなわち、この場合、各治療薬は異なる時点で投与される)、ならびに実質的に同時の、これらの治療薬または治療薬のうちの少なくとも2つの投与を含むよう意図される。実質的に同時の投与は、例えば、一定比率の各治療薬を有する単一カプセルを、または治療薬の各々に関する単一カプセルを複数で、被験体に投与することにより成し遂げられ得る。
各治療薬の逐次的投与または実質的同時投与は、任意の適切な経路により、例えば局所経路、経口経路、静脈内経路、筋肉内経路、ならびに粘膜組織を介した直接吸収(これらに限定されない)により実行され得る。治療薬は、同一経路により、または異なる経路により投与され得る。例えば、選択される組合せの第一治療薬は注射により投与され、一方、組合せの他の治療薬は局所的に投与され得る。
代替的には、例えばすべての治療薬は局所的に投与され得るし、または注射により投与され得る。治療薬が投与される順序は、別記されない限り、偏狭なまでに重要であるというわけではない。「併用療法」は、さらに他の生物学的に活性な成分と組合せた上記のような治療薬の投与も包含する。併用療法がさらに非薬剤処置を含む場合、治療薬および非薬剤処置の組合せの同時作用から有益な効果が達成される限り、非薬剤処置は任意の適切な時点で実行され得る。例えば、適切な場合には、非薬剤処置が治療薬の投与から一時的に、おそらくは数日(または数週間であることも)、取り除かれる場合、有益な効果は依然として達成される。
上記の一般的言い方で要約されるように、本発明による医薬品は、原則として、当業者に既知の任意の形態で投与され得る。好ましい投与経路は、全身投与、さらに好ましくは非経口投与による全身投与、好ましくは注射による全身投与である。代替的には、医薬品は局在的に投与され得る。他の投与経路は、筋肉内、腹腔内および皮下、per orum、鼻内、気管内または肺経路を含み、効率を保証しながら、最小侵襲性である投与経路が選択される。
非経口投与は、一般的に、皮下、筋肉内または静脈内注射および注入のために用いられる。さらに、非経口投与のための一アプローチは、当業者に周知である緩徐放出または持続性放出系の埋込み(これは、一定レベルの投与量が保持される、ということを保証する)を用いる。
さらに、本発明の好ましい医薬品は、適切な鼻内ビヒクル、吸入剤の局所的使用により鼻内形態で、または経皮経路により、当業者に周知の経皮皮膚パッチの形態のものを用いて、投与され得る。経皮送達系の形態で投与されるために、投薬量投与は、もちろん、投薬レジメン全体を通して、間欠的というよりむしろ連続的である。他の好ましい局所製剤としては、クリーム、軟膏、ローション、エアロゾルスプレーおよびゲルが挙げられる。
本発明の方法に好ましくは応答する被験体としては、一般的に医学的および獣医学的被験体、例えばヒトおよびヒト患者が挙げられる。特に、本発明の方法および手段が有用である被験体は、ネコ、イヌ、大型動物、鳥類、例えばニワトリ等である。
本発明の医薬品は、一般的に、治療の有効量の活性構成成分(単数または複数)、例えば製薬上許容可能な媒質中に溶解されるかまたは分散される本発明の核酸分子(これに限定されない)を含む。製薬上許容可能な媒質または担体としては、任意のおよびすべての溶媒、分散媒質、コーティング、抗細菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤等が挙げられる。薬学的に活性な物質のためのこのような媒質および作用物質の使用は、当該技術分野で周知である。補助的活性成分も、本発明の医薬品中に組み入れられ得る。
さらなる一態様では、本発明は、薬学的組成物に関する。このような薬学的組成物は、本発明による核酸のうちの少なくとも1つ、および好ましくは製薬上許容可能な結合剤を含む。このような結合剤は、当該技術分野で用いられ、および/または既知である任意の結合剤であり得る。さらに特定的には、このような結合剤は、本明細書中に開示される医薬品の製造に関連して考察されるような任意の結合剤である。さらなる一実施形態では、薬学的組成物は、さらなる薬学的活性作用物質を含む。
医薬品および薬学的組成物の調製は、本発明の開示にかんがみて、当業者に既知である。典型的には、このような組成物は、液体溶液または懸濁液としての注射液;注射前の液体中の溶液または懸濁液中に使用するのに適した固体形態;経口投与のための錠剤または多の固形物として;長時間放出性カプセル;あるいは広く用いられる任意の他の形態で、例えば点眼薬、クリーム、ローション、膏薬、吸入剤等の形態で調製され得る。手術領域における特定区域を処置するための外科医、医者またはヘルスケア従業者による滅菌処方物、例えば生理食塩水ベースの洗浄剤の使用も、特に有用であり得る。組成物はさらにまた、微小装置、微小粒子またはスポンジを介して送達され得る。
処方に際して、医薬品は、投薬処方物と適合する方法で、そして薬理学的に有効な量で、投与される。処方物は、種々の剤形で、例えば上記の注射用溶液の型で容易に投与されるが、しかし薬剤放出カプセル等も用いられ得る。
本発明の医薬品は、時限放出および持続性放出錠剤またはカプセル、ピル、粉末、顆粒、エリキシル、チンキ剤、懸濁剤、シロップおよび乳濁液のような経口剤形でも投与され得る。坐薬は、脂肪性乳濁液または懸濁液から有益に調製される。
薬学的組成物または医薬品は、滅菌され得るし、および/またはアジュバント、例えば防腐剤、安定化剤、湿潤剤または乳化剤、溶解促進剤、浸透圧を調節するための塩、および/または緩衝剤を含有し得る。組成物は、慣用的な混合、造粒またはコーティング方法に従って調製され、そして典型的には、約0.1%〜75%、好ましくは約1%〜50%の活性成分を含有する。
液体、特に注射用組成物は、例えば、溶解、分散により調製され得る。活性化合物は、薬学的に純粋な溶媒、例えば水、生理食塩水、水性デキストロース、グリセロール、エタノール等に溶解されるかまたはそれらと混合されて、それにより注射用溶液または懸濁液を生成する。さらに、注射前に液体中に溶解するために適した固体形態が処方され得る。
本発明の医薬品および核酸分子はそれぞれ、例えば小型単一ラメラ小胞、大型単一ラメラ小胞および多重ラメラ小胞のようなリポソーム送達系の形態でも投与され得る。リポソームは、コレステロール、ステアリルアミンまたはホスファチジルコリンを含有する種々のリン脂質から形成され得る。いくつかの実施形態では、脂質構成成分の皮膜は、薬剤の水溶液で水和されて、薬剤を封入する脂質層を形成するが、これは当業者によく知られている。例えば、本明細書中に記載される核酸分子は、当該技術分野で既知の方法を用いて構築される親油性化合物または非免疫原性の高分子量化合物との複合体として提供され得る。さらに、リポソームは、標的化し、そして細胞殺害を媒介するために内部に細胞傷害剤を保有するためにその表面にこのような核酸分子を保有し得る。核酸会合複合体の一例は、米国特許第6,011,020号に提供されている。
本発明の医薬品および核酸分子はそれぞれ、さらにまた、標的可能薬剤担体として可溶性ポリマーと結合され得る。このようなポリマーとしては、ポリビニルピロリドン、ピランコポリマー、ポリヒドロキシプロピル−メタクリルアミド−フェノール、ポリヒドロキシエチルアスパンアミドフェノールまたはポリエチレンオキシデポリリシン(パルミトイル残基で置換される)が挙げられ得る。さらに、本発明の医薬品および核酸分子はそれぞれ、薬剤の制御放出を達成するのに有用な生分解性ポリマーの一クラス、例えばポリ乳酸、ポリエプシロンカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタル、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリレートおよびヒドロゲルの架橋化または両親媒性ブロックコポリマーと結合され得る。
所望により、投与されるべき薬学的組成物および医薬品はそれぞれ、少量の非毒性補助物質、例えば湿潤剤または乳化剤、pH緩衝剤、ならびにその他の物質、例えば酢酸ナトリウムおよびオレイン酸トリエタノールアミンも含有し得る。
本発明の核酸分子および医薬品をそれぞれ利用する投薬レジメンは、種々の因子、例えば患者の型、種、年齢、体重、性別および医学的症状;処置されるべき症状の重症度;投与経路;患者の腎臓および肝臓機能;ならびに用いられる特定のアプタマーまたはその塩に従って選択される。通常の熟練医師または獣医師は、症状の進行を防止し、無効にし、または引き止めるために必要とされる薬剤の有効量を容易に決定し、処方し得る。
本発明による核酸の有効血漿レベルは、本明細書中に開示される疾患のいずれかの処置において、好ましくは500fM〜200μM、好ましくは1nM〜20μM、さらに好ましくは5nM〜20μM、最も好ましくは50nM〜20μMの範囲である。
本発明の核酸分子および医薬品はそれぞれ、好ましくは、1回1日用量で、2日目または3日目毎に、毎週、2週目毎に、1回毎月用量または3ヶ月目毎に投与され得る。
本明細書中に記載されるような医薬品が本明細書中に開示される薬学的組成物を構成する、ということは本発明の範囲内である。
さらなる一態様では、本発明は、このような処置を必要としている被験体の処置のための方法であって、本発明による核酸のうちの少なくとも1つを薬学的活性量で投与することを包含する方法に関する。一実施形態では、被験体は、疾患に罹患しているか、またはこのような疾患を発症する危険があり、当該疾患は、本明細書中に開示されるもののうちのいずれか、特に、医薬品の製造のための本発明による核酸のいずれかの使用に関連して開示される疾患のいずれかである。
本発明による核酸ならびにアンタゴニストは、医薬品としてまたは医薬品の製造のためだけでなく、美容目的のためにも用いられ得る、と理解されるべきである。
本明細書中で好ましくは用いられる場合、診断用薬または診断剤または診断手段は、直接的または間接的に標的(この場合、グルカゴンまたはS1P)を検出するのに適している。診断用薬は、標的(この場合、本明細書中に記載されるそれぞれグルカゴンまたはS1P)に関連した障害及び疾患のいずれかの検出および/または追跡調査に適している。このような検出は、本発明による核酸と標的との結合により可能である。このような結合は、直接的にまたは間接的に検出され得る。それぞれの方法および手段は、当業者に既知である。特に、本発明による核酸は、本発明による核酸、好ましくは標的と結合される核酸の検出を可能にする標識を含み得る。このような標識は、好ましくは、放射性、酵素および蛍光標識からなる群から選択される。原則として、抗体に関して開発された全ての既知の検定は、本発明による核酸に採用され得るが、一方、標的結合抗体は標的結合核酸に置換される。非標識化標的結合抗体を用いる抗体検定において、検出は、好ましくは、放射性、酵素および蛍光標識で修飾され、そのFc断片で標的結合抗体と結合する二次抗体により実行される。核酸、好ましくは本発明による核酸の場合、核酸はこのような標識で修飾され、その場合、好ましくはこのような標識はビオチン、Cy−3およびCy−5からなる群から選択され、そしてこのような標識は、このような標識に対して向けられる抗体、例えば抗ビオチン抗体、抗Cy3抗体または抗Cy5抗体により検出され、あるいは標識がビオチンである場合、標識は自然にビオチンと結合するストレプトアビジンまたはアビジンにより検出される。このような抗体、ストレプトアビジンまたはアビジンは、順次、好ましくはそれぞれの標識、例えば放射性、酵素または蛍光標識で(二次抗体のように)修飾される。
さらなる一実施形態では、本発明による核酸分子は、第二検出手段により検出されるかまたは分析され、この場合、上記検出手段は分子標識である。分子標識の方法は当業者に既知であり、Mairal等(Mairal et al., 2008)により再検討されている。
標的の検出に関連して、好ましい方法は、以下のステップを包含する:
(a)標的の存在に関して試験されるべきものである試料を提供するステップ、
(b)本発明による核酸を提供するステップ、
(c)好ましくは反応容器中で、上記試料を核酸と反応させるステップ
この場合、ステップ(a)はステップ(b)の前に実施され得るし、またはステップ(b)はステップ(a)の前に実施され得る。
好ましい一実施形態では、さらなるステップ(d)が提供されるが、これは、試料と核酸との反応の検出にある。好ましくは、ステップ(b)の核酸は表面に固定される。表面は、反応容器、例えば反応試験管、プレートのウェルの表面、またはこのような反応容器中に含有される用具、例えばビーズの表面であり得る。当該表面への核酸の固定化は、当業者に既知の任意の手段、例えば非共有または共有結合(これらに限定されない)によりなされ得る。好ましくは結合は、表面と核酸との間の共有化学結合を介して確立される。しかしながら、核酸は間接的に表面に固定され、それによるこのような間接的固定化は、さらなる構成成分または一対の相互作用相手の使用を伴う、ということも本発明の範囲内である。このようなさらなる構成成分は、好ましくは、固定されるべき核酸と特異的に相互作用する化合物であり、これは相互作用相手としても言及され、したがって表面への核酸の付着を媒介する。相互作用相手は、好ましくは核酸、ポリペプチド、タンパク質および抗体からなる群から選択される。好ましくは、相互作用相手は抗体であり、さらに好ましくはモノクローナル抗体である。代替的には、相互作用相手は、核酸、好ましくは機能性核酸である。さらに好ましくは、このような機能性核酸は、アプタマー、スピーゲルマー、および当該核酸と少なくとも部分的に相補的である核酸からなる群から選択される。さらなる代替的一実施形態では、核酸と表面との結合は、多くの部分に分かれた相互作用相手により媒介される。このような多くの部分に分かれた相互作用相手は、好ましくは、一対の相互作用相手、または第一成員および第二成員からなる相互作用相手であり、この場合、第一成員は核酸により構成されるかまたは核酸に結合され、そして第二成員は表面に結合されるかまたは表面により構成される。多くの部分に分かれた相互作用相手は、好ましくは、ビオチンとアビジン、ビオチンとストレプトアビジン、およびビオチンとニュートラアビジンからなる相互作用相手の対の群から選択される。好ましくは、相互作用相手の対の第一成員はビオチンである。
このような方法の好ましい結果は、標的と核酸の固定化複合体の形成であり、さらに好ましくは、上記複合体が検出される。複合体から、標的が検出されるということは、一実施形態の範囲内である。
この要件に従っているそれぞれの検出手段は、例えば、標的のその/それらの部分(単数または複数)に特異的である任意の検出手段である。特に好ましい検出手段は、核酸、ポリペプチド、タンパク質および抗体(この生成は、当業者に既知である)からなる群から選択される検出手段である。
標的の検出方法は、ステップc)を実施するために用いられた反応容器から試料が取り出される、ということも包含する。
当該方法は、さらなる一実施形態では、表面、好ましくは上記の表面に標的の相互作用相手を固定するステップも包含し(この場合、相互作用相手は、それぞれの方法に関連して、本明細書におけるように、好ましくは上記のように限定される)、さらに好ましくは、それらの種々の実施形態において、核酸、ポリペプチド、タンパク質および抗体を包含する。この実施形態では、特に好ましい検出手段は本発明による核酸であって、この場合、このような核酸は、好ましくは標識され得るし、または非標識され得る。このような核酸が標識される場合、それは直接的または間接的に検出され得る。このような検出は、第二検出手段の使用も伴い、それらは、好ましくは核酸、ポリペプチド、タンパク質、ならびに本明細書中に記載される種々の実施形態における実施形態からなる群からも選択される。このような検出手段は、好ましくは、本発明による核酸に特異的である。さらなる好ましい一実施形態では、第二検出手段は分子標識である。核酸または第二検出手段またはその両方は、好ましい一実施形態では、検出標識を含み得る。検出標識は、好ましくは、ビオチン、ブロモ−デソキシウリジン標識、ジゴキシゲニン標識、蛍光標識、UV標識、放射性標識およびキレート剤分子からなる群から選択される。代替的には、第二検出手段は、好ましくは核酸に含有され、含まれ、または結合される検出標識と相互作用する。特に好ましい組合せを以下に示す:
検出標識がビオチンであり、第二検出手段がビオチンに向けられる抗体であるか、または
検出標識がビオチンであり、第二検出手段がアビジンまたはアビジン保有分子であるか、または
検出標識がビオチンであり、第二検出手段がストレプトアビジンまたはストレプトアビジン保有分子であるか、または
検出標識がビオチンであり、第二検出手段がニュートラアビジンまたはニュートラアビジン保有分子であるか、または
検出標識がブロモ−デソキシウリジンであり、第二検出手段がブロモ−デソキシウリジンに向けられる抗体であるか、または
検出標識がジゴキシゲニンであり、第二検出手段がジゴキシゲニンに向けられる抗体であるか、または
検出標識がキレート剤であり、第二検出手段が放射性核種であって、
この場合、上記検出標識が核酸に結合される、というのが好ましい。この種の組合せは、核酸が表面に結合される実施形態にも適用可能である、ということは認知されるべきことである。このような実施形態では、検出標識は相互作用相手に結合される、というのが好ましい。
最後に、第二検出手段が第三検出手段を用いて検出される、ということも本発明の範囲内であって、好ましくは第三検出手段は酵素であり、さらに好ましくは、第二検出手段の検出時に酵素反応を示し、あるいは第三検出手段は、放射線、さらに好ましくは放射性核種により放出される放射線を検出するための手段である。好ましくは、第三検出手段は、第二検出手段を特異的に検出するかおよび/またはそれと相互作用する。
さらにまた表面に固定されている標的の相互作用相手を有し、本発明による核酸が好ましくは相互作用相手と標的との間に形成される複合体に付加される実施形態では、試料は、反応から、さらに好ましくはステップc)および/またはd)が実施される反応容器から取り出され得る。
一実施形態では、本発明による核酸は蛍光部分を含み、蛍光部分の蛍光は核酸と標的および遊離標的との間の複合体形成に際して異なる。
さらなる一実施形態では、核酸は本発明による核酸の誘導体であって、核酸の誘導体は、アデノシンに取って代わるアデノシンの少なくとも1つの蛍光誘導体を含む。好ましい一実施形態では、アデノシンの蛍光誘導体はエテノアデノシンである。
さらなる一実施形態では、本発明による核酸の誘導体および標的からなる複合体は、蛍光を用いて検出される。
当該方法の一実施形態では、シグナルはステップ(c)またはステップ(d)で作り出されて、好ましくはシグナルは試料中の標的の濃度と相関する。
好ましい一態様では、検定は96ウェルプレートで実施され、この場合、構成成分は上記のような反応容器中に固定され、ウェルは反応容器として働く。
本明細書中に、さらに具体的には実施例部分に記載されるようなグルカゴンと結合し得る核酸分子は、本発明の核酸分子の一実施形態である、ということは認められなければならない。
本明細書中に、さらに具体的には実施例部分に記載されるようなS1Pと結合し得る核酸分子は、本発明の核酸分子の一実施形態である、ということは認められなければならない。
本明細書中に、さらに具体的には実施例部分に記載されるようなCGRPと結合し得る核酸分子は、本発明の核酸分子の一実施形態である、ということは認められなければならない。
本明細書中に、さらに具体的には実施例部分に記載されるようなC5aと結合し得る核酸分子は、本発明の核酸分子の一実施形態である、ということは認められなければならない。
本発明による核酸分子および本明細書中で用いられるような標的分子の種々の配列番号、化学的性質、その実際の配列ならびに内部参照番号を、以下の表に要約する。
さらなる特徴、実施形態および利点が得られ得る図、実施例および配列表により、本発明をさらに例証する。
実施例1:標的分子S1Pに対する増大された結合親和性を有する核酸分子
出発点としてSELEX法の直接スクリーニング生成物を伴う開発過程の結果であるS1Pと結合する核酸分子から出発して、その標的に対する核酸分子の結合親和性を改良するために、本発明の方法を用いた。この場合、S1Pと結合する核酸分子は、核酸分子L−S1P−215−F9−002であった。
核酸分子L−S1P−215−F9−002はスピーゲルマー、すなわちL−核酸分子であって、これはS1Pと結合し得るし、配列番号5によるヌクレオチド配列を有し、44個のリボヌクレオチドからなる。
競合的スピーゲルマー・プルダウン検定(実施例9に記載)により、核酸分子L−S1P−215−F9−002の結合特質を確定した。核酸分子L−S1P−215−F9−002は、31.5nMの親和性でS1Pを結合する(図1および図3B)。
核酸分子L−S1P−215−F9−002の結合特質を改良するために、核酸分子L−S1P−215−F9−002の誘導体を合成した。前記誘導体は、核酸塩基 −グアニン、シトシン、アデニンおよびウラシルまたはチミン(2’デオキシリボヌクレオチドの場合)− の、核酸分子L−S1P−215−F9−002と同一の、配列を有するL−核酸分子であったが、しかしながら、リボヌクレオチドよりはむしろ2’−デオキシリボヌクレオチドであるヌクレオチドの糖部分に関して単一位置で異なった。それに従って、誘導体1は、配列番号6によるヌクレオチド配列の位置1に2’−デオキシリボヌクレオチドを有し、誘導体2は、配列番号7によるヌクレオチド配列の位置2に2’−デオキシリボヌクレオチドを有した。核酸分子L−S1P−215−F9−002は44個のヌクレオチドからなるため、単一リボヌクレオチド→2’−デオキシリボヌクレオチド置換を保有する核酸分子L−S1P−215−F9−002のすべての考え得る誘導体の完全な一組を提供するために、合計44個の誘導体を合成した。上記の完全組の誘導体を図1A〜Cに示す。分子L−S1P−215−F9−002の配列中のウラシルの場合、ウリジン−5’−ホスフェートをチミジン−5’−ホスフェートに取り替えた。
核酸分子L−S1P−215−F9−002の誘導体の上記の完全組の各誘導体のS1Pに対する結合親和性を、実施例9に記載される競合的プルダウン検定を用いて確定し、核酸分子L−S1P−215−F9−002の結合親和性と比較した(図1A〜C)。
図1A〜Cから分かるように、スピーゲルマー内の位置によって、L−S1P−215−F9−002リボヌクレオチド→2’デオキシリボヌクレオチド置換は標的に関する結合親和性に異なる影響を及ぼし得る。意外にも、核酸分子L−S1P−215−F9−002内のいくつかの位置での2’デオキシリボヌクレオチドによるリボヌクレオチドの単一置換はS1Pに対する結合親和性改良を生じたが、一方、他の位置での置換は、S1Pに対する結合親和性の有意の変化を生じなかったか、またはS1Pに対する結合親和性を低減することさえあった。S1Pに対する核酸分子215−F9−002の結合親和性と比較した場合の個々の誘導体の結合親和性および相対的変化を、図1A〜Cに示す。
上記の図からわかるように、誘導体L−S1P−215−F9−002−D01、L−S1P−215−F9−002−D11、L−S1P−215−F9−002−D19、L−S1P−215−F9−002−D21、L−S1P−215−F9−002−D22、L−S1P−215−F9−002−D32(これらはそれぞれ位置1、11、19、21、22および32に2’−デオキシリボヌクレオチドを有する)は、第一群の誘導体、すなわち、2’−デオキシリボヌクレオチドによるリボヌクレオチドの置換がS1Pに関する結合親和性改良を生じる核酸分子L−S1P−215−F9−002の誘導体に属する(図1A〜Cおよび図2)。上記誘導体の最良の結合親和性を、L−S1P−215−F9−002−D19およびL−S1P−215−F9−002−D21に関して示した(図1A〜Cおよび図2)。したがって、位置1、11、19、21、22および32、好ましくは19および21は、L−S1P−215−F9−002にS1Pに関する改良された結合親和性を付与するのに適している。位置19でのアデノシン−5’−ホスフェート→2’−デオキシアデノシン−5’−ホスフェート置換、および位置21でのグアノシン−5’−ホスフェート→2’−デオキシグアノシン−5’−ホスフェート置換は、L−S1P−215−F9−002(KD:31.5nM)と比較して、それぞれ16nMおよび11.3nMの改良された結合親和性を生じた(図1A〜C)。
誘導体L−S1P−215−F9−002−D05、L−S1P−215−F9−002−D12、L−S1P−215−F9−002−D13、L−S1P−215−F9−002−D14、L−S1P−215−F9−002−D15、L−S1P−215−F9−002−D16、L−S1P−215−F9−002−D39、L−S1P−215−F9−002−D40、L−S1P−215−F9−002−D41、L−S1P−215−F9−002−D42およびL−S1P−215−F9−002−D43(これらは、それぞれ位置5、12、13、14、15、16、39、40、41、42および43に2’−デオキシリボヌクレオチドを有する)は、第二群の誘導体、すなわち、2’−デオキシリボヌクレオチドによるリボヌクレオチドの置換がS1Pに関する結合親和性に影響を及ぼさない誘導体に属する。したがって、位置5、12、13、14、15、16、39、40、41、42および43は、核酸分子L−S1P−215−F9−002と比較して、S1Pに対する結合親和性改良を付与するのに適していないか、またはその結合親和性に負の影響を及ぼす(図1A〜C)。
最後に、結合親和性低減または結合親和性の顕著な損失を生じる誘導体を得た。これらの誘導体、すなわち、L−S1P−215−F9−002−D02、L−S1P−215−F9−002−D03、L−S1P−215−F9−002−D04、L−S1P−215−F9−002−D06、L−S1P−215−F9−002−D07、L−S1P−215−F9−002−D08、L−S1P−215−F9−002−D09、L−S1P−215−F9−002−D10、L−S1P−215−F9−002−D17、L−S1P−215−F9−002−D18、L−S1P−215−F9−002−D20、L−S1P−215−F9−002−D23、L−S1P−215−F9−002−D24、L−S1P−215−F9−002−D25、L−S1P−215−F9−002−D26、L−S1P−215−F9−002−D27、L−S1P−215−F9−002−D28、L−S1P−215−F9−002−D29、L−S1P−215−F9−002−D30、L−S1P−215−F9−002−D31、L−S1P−215−F9−002−D33、L−S1P−215−F9−002−D34、L−S1P−215−F9−002−D35、L−S1P−215−F9−002−D36、L−S1P−215−F9−002−D37、L−S1P−215−F9−002−D38およびL−S1P−215−F9−002−D44(これらは、それぞれ位置2、3、4、6、7、8、9、10、17、18、20、23、24、25、26、27、28、29、30、31、33、34、35、36、37、38および44に2’−デオキシリボヌクレオチドを有する)は、第三群の誘導体、すなわち2’−デオキシリボヌクレオチドによるリボヌクレオチドの置換がS1Pに対する結合親和性に負の作用を及ぼす核酸分子L−S1P−215−F9−002の誘導体に属する(図1A〜C)。
核酸分子L−S1P−215−F9−002の誘導体の結合親和性が1つより多い置換を導入することによりさらに増大され得るか否かを査定するために、さらなる誘導体の群を生成した(図1C)。さらなる誘導体の前記群は、2’−デオキシリボヌクレオチドによるリボヌクレオチドの置換がS1Pに関する結合親和性改良を生じた第一群の誘導体から出発した。核酸分子L−S1P−215−F9−002から出発して、誘導体は、位置19、21および/または22での2’−デオキシリボヌクレオチドによるリボヌクレオチドの少なくとも2つの置換を有した。位置19および21でのリボヌクレオチド→2’−デオキシリボヌクレオチド置換は、S1Pに関する結合親和性における最強の改良を核酸L−S1P−215−F9−002に付与したが、一方、位置22での置換は弱い作用を有したに過ぎない(図2)。
これらの誘導体の競合的スピーゲルマー・プルダウン検定は、L−S1P−215−F9−002スピーゲルマーの多重位置でのリボヌクレオチド→2’−デオキシリボヌクレオチド置換を組み合わせると、S1Pに関する結合親和性のさらなる改良を生じる、ということを示した。
2つの置換、すなわち位置19でのアデノシン−5‘−ホスフェート→2’−デオキシアデノシン−5‘−ホスフェートおよび位置21でのグアノシン−5’−ホスフェート→2‘−デオキシグアノシン−5’−ホスフェートを含有するスピーゲルマー(L−S1P−215−F9−002−D21−19と呼ばれる)は、L−S1P−215−F9−002と、ならびに単一置換を含有するL−S1P−215−F9−002−D21、すなわち、位置21でのグアノシン−5‘−ホスフェート→2’−デオキシグアノシン−5‘−ホスフェートと比較して、結合親和性改良を示した(図3A)。位置22でのシチジン−5’−ホスフェート→2‘−デオキシシチジン−5’−ホスフェートの付加的置換は、L−S1P−215−F9−002−D21およびL−S1P−215−F9−002−D21−22のようなさらなる改良を生じなかったし、ならびにL−S1P−215−F9−002−D21−19およびL−S1P−215−F9−002−D21−19−22は、それぞれS1Pに関する同様の結合親和性を示した(図1Cおよび図3A)。これに対比して、4つの置換を含有するスピーゲルマー、すなわち、位置01でのグアノシン→2‘−デオキシグアノシン、位置21でのグアノシン−5’−ホスフェート→2‘−デオキシグアノシン−5’−ホスフェート、および位置19および32でのアデノシン−5‘−ホスフェート→2’−デオキシアデノシン−5‘−ホスフェート(L−S1P−215−F9−002−D01−19−21−32とも呼ばれる)は、スピーゲルマーL−S1P−215−F9−002−D21−19(2つの置換のみを含有する)と比較して、結合親和性の有意の改良を示した(図1Cおよび図3A)。親分子L−S1P−215−F9−002(KD:31.5nM)置換との比較において、L−S1P−215−F9−002−D01−19−21−32における、4つの位置でのリボヌクレオチド→2’−デオキシリボヌクレオチド(KD:5nM)は、S1Pに関する結合親和性の6.3倍の改良を生じた(図3B)。L−S1P−215−F9−002−D01−19−21−32の位置11でのシチジン−5’−ホスフェート→2’−デオキシシチジン−5’−ホスフェートという付加的置換は、S1Pに関する結合親和性に及ぼすさらなる正の作用を有した(図1Cおよび図3A)。
スピーゲルマーL−S1P−215−F9−002およびL−S1P−215−F9−002−D01−19−21−32の機能性を立証し、比較するために、それらの5’末端にアミノ基を含む両核酸分子を合成した。アミノ修飾化スピーゲルマーに、40kDaのPEG−部分をカップリングして、スピーゲルマー5‘−40kDa−PEG−L−S1P−215−F9−002および5’−40kDa−PEG−L−S1P−215−F9−002−D01−19−21−32(NOX−S93としても言及される)をもたらした。スピーゲルマーの合成およびペギル化は、実施例7に記載される。
in vitro細胞培養検定(プロトコール:実施例11参照)は、S1Pに対する親和性改良がS1P機能の抑制増強になる、ということを確証した。5‘−40kDa−PEG−L−S1P−215−F9−002および5’−40kDa−PEG−L−S1P−215−F9−002−D01−19−21−32(NOX−S93としても言及される)は、それぞれ22.5nMおよび10.3nMのIC50値で、ヒトS1P−受容体EDG1を発現するレポーター細胞株におけるS1P誘導性アレスチン動員を抑制した(図4A、4B)。したがって、競合的スピーゲルマー・プルダウン検定(実施例9、図3B)およびin vitro細胞培養実験(実施例11、図4)は、同じく、リボヌクレオチド→2’−デオキシリボヌクレオチドの置換が、S1P−結合スピーゲルマー226−F2−001の結合親和性および抑制活性を有意に改良する、ということを示した。
実施例2:標的分子ヒトCGRPに対する増大された結合親和性を有する核酸分子
出発点としてSELEX法の直接スクリーニング生成物を伴う開発過程の結果であるCGRPと結合する核酸分子から出発して、その標的に対する核酸分子の結合親和性を改良するために、本発明の方法を用いた。この場合、ヒトCGRPと結合する核酸分子は、核酸分子226−F2−001であった。
核酸分子226−F2−001はスピーゲルマー、すなわちL−核酸分子であって、これはヒトCGRPと結合し得るし、配列番号55によるヌクレオチド配列を有し、50個のリボヌクレオチドからなる。
表面プラズモン共鳴測定(実施例8に記載)により、核酸分子226−F2−001の結合特質を確定した。核酸分子226−F2−001は、2.6nMの親和性でヒトCGRPを結合する(図7、図8および8B)。
核酸分子226−F2−001の結合特質を改良するために、核酸分子226−F2−001の誘導体を合成した。前記誘導体は、核酸塩基 −グアニン、シトシン、アデニンおよびウラシルまたはチミン(2’デオキシリボヌクレオチドの場合)− の、核酸分子226−F2−001と同一の、配列を有するL−核酸分子であったが、しかしながら、リボヌクレオチドよりはむしろ2’−デオキシリボヌクレオチドであるヌクレオチドの糖部分に関して単一位置で異なった。それに従って、誘導体1(226−F2−001−D01とも呼ばれる)は、配列番号56によるヌクレオチド配列の位置1に2’−デオキシリボヌクレオチドを有し、誘導体2(226−F2−001−D02とも呼ばれる)は、配列番号57によるヌクレオチド配列の位置2に2’−デオキシリボヌクレオチドを有した。核酸分子226−F2−001は50個のヌクレオチドからなるため、単一リボヌクレオチド→2’−デオキシリボヌクレオチド置換を保有する核酸分子226−F2−001のすべての考え得る誘導体の完全な一組を提供するために、合計50個の誘導体を合成した。上記の完全組の誘導体を図5A〜Eに示す。分子226−F2−001の配列中のウラシルの場合、ウリジン−5’−ホスフェートをチミジン−5’−ホスフェートに取り替えた。
核酸分子226−F2−001の誘導体の上記の完全組の各誘導体のヒトCGRPに対する結合親和性を、実施例8に記載される表面プラズモン共鳴測定を用いて確定し、核酸分子226−F2−001の結合親和性と比較した。226−F2−001の少なくとも5つの個々に確定されたKD値の一組から、平均値(平均+/−標準誤差)を算定した。個々の誘導体のKD値を確定し、親和性における変化を226−F2−001の平均KDと比較してx倍の改良として示すが、この場合、x倍改良の値は226−F2−001および226−F2−001の誘導体のKDの商である。確定された標準誤差は、陽性ヒットに関する切断点を示す。x倍改良親和性のデータを、図5A〜Eに示し、図6にプロットする。
図5A〜Eから分かるように、スピーゲルマー内の位置によって、スピーゲルマーリボヌクレオチド→2’デオキシリボヌクレオチド置換は標的に関する結合親和性に異なる影響を及ぼし得る。意外にも、核酸分子226−F2−001内のいくつかの位置で、単一リボヌクレオチド→2’デオキシリボヌクレオチド置換はヒトCGRPに対する結合親和性改良を生じたが、一方、他の位置での置換は、ヒトCGRPに対する結合親和性の有意の変化を生じなかったか、またはヒトCGRPに対する結合親和性を低減することさえあった。ヒトCGRPに対する核酸分子226−F2−001の結合親和性と比較した場合の個々の誘導体の結合親和性および相対的変化を、図5A〜Eおよび図6に示す。
上記の図からわかるように、誘導体226−F2−001−D03、226−F2−001−D05、226−F2−001−D08、226−F2−001−D09、226−F2−001−D14、226−F2−001−D16、226−F2−001−D19、226−F2−001−D22、226−F2−001−D23、226−F2−001−D24、226−F2−001−D25、226−F2−001−D26、226−F2−001−D28、226−F2−001−D30、226−F2−001−D33、226−F2−001−D34、226−F2−001−D37、226−F2−001−D39、226−F2−001−D41、226−F2−001−D42、226−F2−001−D44、226−F2−001−D45、226−F2−001−D46、226−F2−001−D47、226−F2−001−D48、226−F2−001−D49、226−F2−001−D50(これらはそれぞれ位置03、05、08、09、14、16、19、22、23、24、25、26、28、30、33、34、37、39、41、42、44、45、46、47、48、49、50に2’−デオキシリボヌクレオチドを有する)は、第一群の誘導体、すなわち、2’−デオキシリボヌクレオチドによるリボヌクレオチドの置換がヒトCGRPに関する結合親和性改良を生じる核酸分子226−F2−001の誘導体に属する(図5A〜Eおよび図6)。上記誘導体の最良の結合親和性を、226−F2−001−D19、226−F2−001−D41および226−F2−001−D44に関して示した(図5A〜Eおよび図6)。したがって、位置19、41および44は、226−F2−001にヒトCGRPに対する改良された結合親和性を付与するのに適している。核酸分子226−F2−001−D41および226−F2−001−D44のみを、表面プラズモン共鳴測定によりさらに特性化した。位置41および44での単一シチジン−5’−ホスフェート→2’−デオキシシチジン−5’−ホスフェート置換は、226−F2−001に関する2.6nMというKDと比較して、それぞれ0.55nMおよび0.52nMの改良された結合親和性を生じた(図7および図8A、B)。
誘導体226−F2−001−D04および226−F2−001−D27(これらは、それぞれ位置4および27に2’−デオキシリボヌクレオチドを有する)は、第二群の誘導体、すなわち、2’−デオキシリボヌクレオチドによるリボヌクレオチドの置換がヒトCGRPに関する結合親和性に影響を及ぼさない誘導体に属する。したがって、位置4および27は、核酸分子226−F2−001と比較して、ヒトCGRPに対する結合親和性改良を付与するのに適していないか、またはその結合親和性に負の影響を及ぼす(図5A〜Eおよび図6)。
最後に、結合親和性低減または結合親和性の顕著な損失を生じる誘導体を得た。これらの誘導体、すなわち、226−F2−001−D01、226−F2−001−D02、226−F2−001−D06、226−F2−001−D07、226−F2−001−D10、226−F2−001−D11、226−F2−001−D12、226−F2−001−D13、226−F2−001−D15、226−F2−001−D17、226−F2−001−D18、226−F2−001−D20、226−F2−001−D21、226−F2−001−D29、226−F2−001−D31、226−F2−001−D32、226−F2−001−D35、226−F2−001−D36、226−F2−001−D38、226−F2−001−D40および226−F2−001−D43(これらは、それぞれ位置1、2、6、7、10、11、12、13、15、17、18、20、21、29、31、32、35、36、38、40および43に2’−デオキシリボヌクレオチドを有する)は、第三群の誘導体、すなわち2’−デオキシリボヌクレオチドによるリボヌクレオチドの置換がヒトCGRPに対する結合親和性に負の作用を及ぼす核酸分子226−F6−001の誘導体に属する(図5A〜Eおよび図6)。
核酸分子226−F6−001の誘導体の結合親和性が1つより多い置換を導入することによりさらに増大され得るか否かを査定するために、別の誘導体を生成した。上記誘導体は、2’−デオキシリボヌクレオチドによるリボヌクレオチドの置換がヒトCGRPに関する結合親和性改良を生じた第一群の誘導体から出発した。核酸分子226−F6−001から出発して、誘導体は、2つの位置41および44での2’−デオキシリボヌクレオチドによるリボヌクレオチドの置換を有した(226−F2−001−D41/D44として言及される)。すなわちそれらの位置は、位置19に加えて、結合親和性における最強の改良を核酸226−F2−001に付与した。
226−F2−001−D41/D44の表面プラズモン共鳴測定は、226−F2−0011つより多い位置でのリボヌクレオチド→2’−デオキシリボヌクレオチド置換、すなわち、位置41および44でのシチジン−5’−ホスフェート→2’−デオキシシチジン−5’−ホスフェートを組み合わせると、単一置換を含有する誘導体、すなわち226−F2−001−D41または226−F2−001−D44と比較して、ヒトCGRPに対する結合親和性のさらなる改良を生じる、ということを示した(図7、図8A、Bおよび図9)。親核酸分子226−F2−001(KD=2.6nM)と比較して、226−F2−001−D41/D44(KD=0.2nM)における2’−デオキシリボヌクレオチドによる2つのリボヌクレオチドの置換は、表面プラズモン共鳴により測定した場合、ヒトCGRPに対する結合親和性の13倍の改良を生じた(図7および図9)。
スピーゲルマー226−F2−001および226−F2−001−D41の機能性を立証し、比較するために、それらの5’末端にアミノ基を含む両核酸分子を合成した。アミノ修飾化スピーゲルマーに、40kDaのPEG−部分をカップリングして、スピーゲルマー226−F2−001−5‘−40kDa−PEGおよび226−F2−001−D41−5’−40kDa−PEG(NOX−L41としても言及される)をもたらした。スピーゲルマーの合成およびペギル化は、実施例7に記載される。
in vitro細胞培養検定(プロトコール:実施例12参照)は、ヒトCGRP受容体を発現するレポーター細胞株におけるヒトCGRP誘導性cAMP産生を有効に抑制したということを示すことにより、両スピーゲルマーに関する機能性を確証した(図10)。226−F2−001−5‘−40kDa−PEGおよび226−F2−001−D41−5’−40kDa−PEG(NOX−L41)は、それぞれ3.8nMおよび0.39nMのIC50値で、ヒトCGRP誘導性の機能を抑制した。したがって、表面プラズモン共鳴測定(実施例8、図8A)およびin vitro細胞培養実験(実施例12、図10)は、同じく、2’−デオキシリボヌクレオチドによる単一リボヌクレオチドの置換が、CGRP結合スピーゲルマー226−F2−001の結合親和性および抑制活性を有意に改良するのに十分である、ということを示した。親和性は、226−F2−001−D41/44に関して示されたような1つより多い位置でのリボヌクレオチド→2’−デオキシリボヌクレオチド置換によりさらに改良され得る(図7および図9)。
実施例3:標的分子ヒトC5aに対する増大された結合親和性を有する核酸分子
出発点としてSELEX法の直接スクリーニング生成物を伴う開発過程の結果であるC5aと結合する核酸分子から出発して、その標的に対する核酸分子の結合親和性を改良するために、本発明の方法を用いた。この場合、ヒトC5aと結合する核酸分子は、核酸分子NOX−D19001であった。
核酸分子NOX−D19001はスピーゲルマー、すなわちL−核酸分子であって、これはヒトC5aと結合し得るし、配列番号107によるヌクレオチド配列を有し、44個のリボヌクレオチドからなる。
表面プラズモン共鳴測定(実施例8に記載)により、核酸分子NOX−D19001の結合特質を確定した。核酸分子NOX−D19001は、図13にも示されているように、1.4nMの親和性でヒトC5aを結合する。
核酸分子NOX−D19001の結合特質を改良するために、核酸分子NOX−D19001の誘導体を合成した。前記誘導体は、核酸塩基 −グアニン、シトシン、アデニンおよびウラシル− (核酸分子NOX−D19001の場合)の、核酸分子NOX−D19001と同一の、配列を有するL−核酸分子であったが、しかしながら、リボヌクレオチドよりはむしろ2’−デオキシリボヌクレオチドであるヌクレオチドの糖部分に関して単一位置で異なった。それに従って、誘導体1(NOX−D19001−D01とも呼ばれる)は、配列番号108によるヌクレオチド配列の位置1に2’−デオキシリボヌクレオチドを有し、誘導体2(NOX−D19001−D02とも呼ばれる)は、配列番号109によるヌクレオチド配列の位置2に2’−デオキシリボヌクレオチドを有した。核酸分子NOX−D19001は44個のヌクレオチドからなるため、2’−デオキシリボヌクレオチドによるリボヌクレオチドの単一置換の上記要件を満たしている核酸分子のすべての考え得る誘導体の完全な一組を提供するために、合計44個の誘導体を合成した。上記の完全組の誘導体を図11A〜Eに示す。分子NOX−D19001の配列中のウラシルの場合、ウリジン−5’−ホスフェートを2’−デオキシウリジン−5’−ホスフェートに取り替えた。
核酸分子NOX−D19001の誘導体の上記の完全組の各誘導体のヒトC5aに対する結合親和性を、実施例8に記載される表面プラズモン共鳴測定を用いて確定し、核酸分子NOX−D19001の結合親和性と比較した。NOX−D19001の少なくとも5つの個々に確定されたKD値の一組から、平均値を算定した(平均+/−標準誤差)。個々の誘導体のKD値を確定し、親和性における変化を平均NOX−D19001と比較してx倍の改良として示すが、この場合、x倍改良の値はNOX−D19001およびNOX−D19001の誘導体のKDの商である。確定された標準誤差は、陽性ヒットに関する切断点を示す。x倍改良親和性のデータを、図11A〜Eに示し、図12にプロットする。
図11A〜Eから分かるように、スピーゲルマー内の位置によって、x倍改良親和性リボヌクレオチド→2’デオキシリボヌクレオチド置換は標的に関する結合親和性に異なる影響を及ぼし得る。意外にも、核酸分子NOX−D19001内のいくつかの位置で、2’デオキシリボヌクレオチドによるリボヌクレオチドの単一置換は改良され、すなわちヒトグルカゴンに対する結合親和性を下げるが、一方、核酸分子NOX−D19001内のいくつかの点での2’−デオキシリボヌクレオチドによるリボヌクレオチドの他の位置での置換は、ヒトC5aに対する結合親和性の有意の変化を生じなかったか、またはヒトC5aに対する結合親和性を低減することさえあった。ヒトC5aに対する核酸分子NOX−D19001の結合親和性と比較した場合の個々の誘導体、ヒトC5aに対するそれらの結合親和性および相対的変化を、図11A〜Eに示す。
上記の図からわかるように、誘導体NOX−D19001−D01、NOX−D19001−D02、NOX−D19001−D09、NOX−D19001−D16、NOX−D19001−D17、NOX−D19001−D22、NOX−D19001−D25、NOX−D19001−D29、NOX−D19001−D30、NOX−D19001−D32、NOX−D19001−D40、NOX−D19001−D42およびNOX−D19001−D43(これらはそれぞれ位置1、2、9、16、17、22、25、29、30、32、40、42および43に2’−デオキシリボヌクレオチドを有する)は、第一群の誘導体、すなわち、2’−デオキシリボヌクレオチドによるリボヌクレオチドの置換がヒトC5aに関する結合親和性改良を生じる誘導体に属する(図11A〜Eおよび図12)。上記誘導体の最良の結合親和性を、誘導体NOX−D19001−D09、NOX−D19001−D16、NOX−D19001−D17、NOX−D19001−D30、NOX−D19001−D32およびNOX−D19001−D40に関して示した(図11A〜Eおよび図12)。したがって、位置9、16,17、30、32および40は、核酸分子NOX−D19001にヒトC5aに対する改良された結合親和性を付与するのに適している。核酸分子NOX−D19001−D09、NOX−D19001−D16、NOX−D19001−D17、NOX−D19001−D30、NOX−D19001−D32およびNOX−D19001−D40を、表面プラズモン共鳴測定によりさらに特性化し、それにより結合親和性を確定した(図13)。位置09でのウリジン−5’−ホスフェート→2’−デオキシウリジン−5’−ホスフェート置換は、2つのうちの一因子による結合親和性改良を生じた(図13)。
誘導体NOX−D19001−D03、NOX−D19001−D23、NOX−D19001−D26、NOX−D19001−D35、NOX−D19001−D38、NOX−D19001−D39およびNOX−D19001−D44(これらは、それぞれ位置3、23、26、35、38、39および44に2’−デオキシリボヌクレオチドを有する)は、第二群の誘導体、すなわち、2’−デオキシリボヌクレオチドによるリボヌクレオチドの置換がヒトC5aに関する結合親和性を変えないかまたは影響を及ぼさない誘導体に属する。したがって、位置3、23、38および39は、ヒトC5aに対する結合親和性改良を核酸分子NOX−D19001に付与するのに適していないが、しかしながら、ヒトC5aに対する核酸分子NOX−D19001の結合親和性に負の影響を及ぼさない。
最後に、結合親和性低減または結合親和性の顕著な損失を生じる誘導体を得た。これらの誘導体、すなわち、NOX−D19001−D04、NOX−D19001−D05、NOX−D19001−D06、NOX−D19001−D07、NOX−D19001−D08、NOX−D19001−D10、NOX−D19001−D11、NOX−D19001−D12、NOX−D19001−D13、NOX−D19001−D14、NOX−D19001−D15、NOX−D19001−D18、NOX−D19001−D19、NOX−D19001−D20、NOX−D19001−D21、NOX−D19001−D24、NOX−D19001−D27、NOX−D19001−D28、NOX−D19001−D31、NOX−D19001−D33、NOX−D19001−D34、NOX−D19001−D36、NOX−D19001−D38およびNOX−D19001−D41は、したがって、第三群の誘導体、すなわち2’−デオキシリボヌクレオチドによるリボヌクレオチドの置換がヒトC5aに関する結合親和性に(負の)作用を及ぼす核酸分子NOX−D19001の誘導体に属する。したがって、位置4、5、6、7、8、10、11、12、13、14、15、18、19、20、21、24、27、28、31、33、34、36および41は、ヒトC5aに対する核酸分子NOX−D19001の結合親和性に負の影響を及ぼす。
核酸分子L−NOX−D19001の誘導体の結合親和性が1つより多い置換を導入することによりさらに増大され得るか否かを査定するために、さらなる誘導体の一群を生成した。さらなる誘導体のこのような群は、2’−デオキシリボヌクレオチドによるリボヌクレオチドの置換がヒトC5aに関する結合親和性改良を生じた誘導体を含む上記第一群の誘導体から出発した。核酸分子NOX−D19001から出発して、誘導体のさらなる群の誘導体は、位置9、30、32および40のうちの少なくとも2つの位置に、すなわち、ヒトC5aに対する改良された結合親和性を核酸分子NOX−D19001に付与するのに適していることが立証された位置に、2’−デオキシリボヌクレオチドによるリボヌクレオチドの置換を有した。
これらの代表例の表面プラズモン共鳴測定は、図8および9に示されるように、スピーゲルマーNOX−D19001の多重位置でのリボヌクレオチド→2’−デオキシリボヌクレオチド置換の組合せが、結合親和性の改良を生じる、ということを示した。
2つの置換、すなわち位置9/30、9/32、9/40、30/32、30/40および32/40でのウリジン−5‘−ホスフェート→2’−デオキシウリジン−5‘−ホスフェートをすべて含有するスピーゲルマーNOX−D19001−D09−30、NOX−D19001−D09−32、NOX−D19001−D09−40、NOX−D19001−D30−32、NOX−D19001−D30−40およびNOX−D19001−D32−40は、1つの置換、すなわち位置9、30、32または40でのウリジン−5‘−ホスフェート→2’−デオキシウリジン−5‘−ホスフェートを含有する分子と同様に良好な結合親和性を示した(図14)。
スピーゲルマーNOX−D19001−D09−30−32、NOX−D19001−D09−30−40、NOX−D19001−D09−32−40およびNOX−D19001−D30−32−40を合成して、核酸分子NOX−D19001における3つの置換、すなわち位置9/30/32、9/30/40、9/32/40および30/32/40でのウリジン−5‘−ホスフェート→2’−デオキシウリジン−5‘−ホスフェートが、NOX−D19001−D09−30、NOX−D19001−D09−32、NOX−D19001−D09−40、NOX−D19001−D30−32、NOX−D19001−D30−40およびNOX−D19001−D32−40(すべて、2つの置換を含有する)と比較して、結合親和性のさらなる改良をもたらすか否かを試験した。3つの置換、すなわち、スピーゲルマーNOX−D19001−D09−30−40およびNOX−D19001−D09−32−40(すべて、位置9/30/40および9/32/40でのウリジン−5’−ホスフェート→2’−デオキシ−ウリジン−5’−ホスフェートを含有する)は、2つの置換、すなわち、位置9、30、32または40でのウリジン−5‘−ホスフェート→2’−デオキシウリジン−5‘−ホスフェートを含有する分子と同様に良好な結合親和性を示した(図14)。
置換のための位置9、30、32または40(核酸分子NOX−D19001)を組合せると、すなわち位置9/30/32/40でのウリジン−5’−ホスフェート→2’−デオキシ−ウリジン−5’−ホスフェートは、スピーゲルマーNOX−D19001−D09−30−40およびNOX−D19001−D09−32−40(すべて3つの置換を含有)と比較して、さらなる改良をもたらした(図14)。
NOX−D19001−D09−30−32−40の位置16または17での2’−デオキシリボヌクレオチドによる付加的リボヌクレオチドの置換は、ヒトC5aに対する結合親和性に及ぼすさらなる陽性作用を示した(NOX−D19001−D09−16−30−32−40参照、およびNOX−D19001−D09−17−30−32−40参照、図14)。NOX−D19001−D09−30−32−40の位置16または17での2’−デオキシリボヌクレオチドによる2つの付加的リボヌクレオチドの置換は、ヒトC5aに対する結合親和性に及ぼすさらなる陽性作用を示さなかった(NOX−D19001−D09−16−17−30−32−40参照、NOX−D19001−6×DNAとしても言及される。図14および15)。核酸分子NOX−D19001と比較して、核酸分子NOX−D19001−6×DNAは、因数4.2でのヒトC5aに対する結合の改良を示した(図15)。
スピーゲルマーNOX−D19001およびNOX−D19001−6×DNAの機能性を立証し、比較するために、両核酸分子をin vitro細胞培養検定に付した(プロトコール:実施例14参照)。図16に示したように、in vitro細胞培養検定は、ヒトC5aに対する親和性改良がC5a機能の抑制増強に平行移動する、ということを確証した。ペギル化スピーゲルマーNOX−D19およびNOX−D19−6×DNAは、それぞれ2.39nMおよび0.27nMのIC50値で、C5a誘導性走化性を抑制した。
前に示したように、核酸分子NOX−D19−001における2’−デオキシリボヌクレオチドによる多重リボヌクレオチドの置換は、ヒトC5aに対する親和性改良をもたらした。しかしながら、このような改良は、多重置換が、ヒトC5aとの結合における改良を既にもたらしている単一置換の結果である場合に、到達され得るに過ぎない。2’−デオキシリボヌクレオチドによる位置7でのリボヌクレオチドの置換は、親和性低減をもたらした(図17参照)。この親和性低減は、他の位置、例えば16、17、30、32および40での付加的置換により、わずかに「治され」得る(NOX−D19001−D07−30と比較した場合のNOX−D19001−D07−16−17−30−32−40参照、図17)。
実施例4:標的分子グルカゴンに対する増大された結合親和性を有する核酸分子NOX−G11stabi2の誘導体
出発点としてSELEX法の直接スクリーニング生成物を伴う開発過程の結果であるグルカゴンと結合する核酸分子から出発して、その標的に対する核酸分子の結合親和性を改良するために、本発明の方法を用いた。この場合、ヒトグルカゴンと結合する核酸分子は、核酸分子NOX−G11stabi2であった。
核酸分子NOX−G11stabi2はスピーゲルマー、すなわちL−核酸分子であって、これはヒトグルカゴンと結合し得るし、配列番号172によるヌクレオチド配列を有し、54個のリボヌクレオチドからなる。
表面プラズモン共鳴測定(実施例8に記載)により、核酸分子NOX−G11stabi2の結合特質を確定した。核酸分子NOX−G11stabi2は、図20にも示されているように、67.1nMの親和性でヒトグルカゴンを結合する。
核酸分子NOX−G11stabi2の結合特質を改良するために、核酸分子NOX−G11stabi2の誘導体を合成した。前記誘導体は、核酸塩基 −グアニン、シトシン、アデニンおよびウラシルまたは代替的にはチミン(2’−デオキシリボヌクレオチドの場合)− の、核酸分子NOX−G11stabi2と同一の、配列を有するL−核酸分子であったが、しかしながら、リボヌクレオチドよりはむしろ2’−デオキシリボヌクレオチドであるヌクレオチドの糖部分に関して単一位置で異なった。それに従って、誘導体1(NOX−G11−D01と呼ばれる)は、配列番号172によるヌクレオチド配列の位置1に2’−デオキシリボヌクレオチドを有し、誘導体2(NOX−G11−D02と呼ばれる)は、配列番号173によるヌクレオチド配列の位置2に2’−デオキシリボヌクレオチドを有した。核酸分子NOX−G11stabi2は54個のヌクレオチドからなるため、2’−デオキシリボヌクレオチドによる2’−リボヌクレオチドの単一置換の上記要件を満たしている核酸分子のすべての考え得る誘導体の完全な一組を提供するために、合計54個の誘導体を合成した。上記の完全組の誘導体を図18A〜Eに示す。分子NOX−G11stabi2の配列中のウラシルの場合、ウリジン−5’−ホスフェートをチミジン−5’−ホスフェートに取り替えた。
核酸分子NOX−G11stabi2の誘導体の上記の完全組の各誘導体のヒトグルカゴンに対する結合親和性を、実施例8に記載される表面プラズモン共鳴測定により確定し、核酸分子NOX−G11stabi2の結合親和性と比較した。NOX−G11stabi2の少なくとも5つの個々に確定されたKD値の一組から、平均値を算定した(平均+/−標準誤差)。個々の誘導体のKD値を確定し、親和性における変化を平均NOX−G11stabi2と比較してx倍の改良として示すが、この場合、x倍改良の値はNOX−G11stabi2およびNOX−G11stabi2の誘導体のKDの商である。確定された標準誤差は、陽性ヒットに関する切断点を示す。x倍改良親和性のデータを、図18A〜Eに示す。
図18A〜Eから分かるように、スピーゲルマー内の位置によって、x倍改良親和性リボヌクレオチド→2’デオキシリボヌクレオチド置換は標的に関する結合親和性に異なる影響を及ぼし得る。意外にも、核酸分子NOX−G11stabi2内のいくつかの位置で、2’デオキシリボヌクレオチドによる2‘リボヌクレオチドの単一置換は改良され、すなわちヒトグルカゴンに対する結合親和性を下げるが、一方、核酸分子NOX−G11stabi2内のいくつかの点での2’−デオキシリボヌクレオチドによる2‘リボヌクレオチドの他の位置での置換は、ヒトグルカゴンに対する結合親和性の有意の変化を生じなかったか、またはヒトグルカゴンに対する結合親和性を低減することさえあった。ヒトグルカゴンに対するNOX−G11stabi2の結合親和性と比較した場合の個々の誘導体、ヒトグルカゴンに対するそれらの結合親和性および相対的変化を、図18A〜Eに示す。
上記の図からわかるように、誘導体NOX−G11−D01、NOX−G11−D02、NOX−G11−D03、NOX−G11−D04、NOX−G11−D05、NOX−G11−D06、NOX−G11−D07、NOX−G11−D08、NOX−G11−D09、NOX−G11−D10、NOX−G11−D12、NOX−G11−D13、NOX−G11−D14、NOX−G11−D15、NOX−G11−D16、NOX−G11−D18、NOX−G11−D19、NOX−G11−D20、NOX−G11−D21、NOX−G11−D22、NOX−G11−D23、NOX−G11−D24、NOX−G11−D25、NOX−G11−D26、NOX−G11−D27、NOX−G11−D28、NOX−G11−D29、NOX−G11−D30、NOX−G11−D32、NOX−G11−D36、NOX−G11−D38、NOX−G11−D44、NOX−G11−D46、NOX−G11−D48およびNOX−G11−D53(これらはそれぞれ位置1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、13、14、15、16、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、32、36、38、44、46、48および53に2’−デオキシリボヌクレオチドを有する)は、第一群の誘導体、すなわち、2’−デオキシリボヌクレオチドによるリボヌクレオチドの置換がヒトグルカゴンに関する結合親和性改良を生じる誘導体に属する(図11A〜Eおよび図19)。上記誘導体の最良の結合親和性を、誘導体NOX−G11−D07、NOX−G11−D16、NOX−G11−D19、NOX−G11−D19、NOX−G11−D21およびNOX−G11−D22に関して示した(図11A〜E、図20)。したがって、位置7、16,19、21および22は、核酸分子NOX−G11stabi2にヒトグルカゴンに対する改良された結合親和性を付与するのに適している。核酸分子NOX−G11−D07、NOX−G11−D16、NOX−G11−D19、NOX−G11−D19、NOX−G11−D21およびNOX−G11−D22を、表面プラズモン共鳴測定によりさらに特性化し、それにより結合親和性を確定した(図20)。
誘導体NOX−G11−D11、NOX−G11−D17、NOX−G11−D31、NOX−G11−D33、NOX−G11−D34、NOX−G11−D35、NOX−G11−D39、NOX−G11−D40、NOX−G11−D43、NOX−G11−D45、NOX−G11−D50およびNOX−G11−D52(これらは、それぞれ位置11、17、31、33、34、35、39、40、43、45、50および52に2’−デオキシリボヌクレオチドを有する)は、第二群の誘導体、すなわち、2’−デオキシリボヌクレオチドによるリボヌクレオチドの置換がヒトグルカゴンに関する結合親和性を変えないかまたは影響を及ぼさない誘導体に属する。したがって、位置11、17、31、33、34、35、39、40、43、45、50および52は、ヒトグルカゴンに対する結合親和性改良を核酸分子NOX−G11stabi2に付与するのに適していないが、しかしながら、ヒトグルカゴンに対する核酸分子NOX−G11stabi2の結合親和性に負の影響を及ぼさない。
最後に、結合親和性低減または結合親和性の顕著な損失を生じる誘導体を得た。これらの誘導体、すなわち、NOX−G11−D37、NOX−G11−D41、NOX−G11−D42、NOX−G11−D47、NOX−G11−D49、NOX−G11−D51およびNOX−G11−D54は、したがって、第三群の誘導体、すなわち2’−デオキシリボヌクレオチドによるリボヌクレオチドの置換がヒトグルカゴンに関する結合親和性に(負の)作用を及ぼす核酸分子NOX−G11stabi2の誘導体に属する。したがって、位置37、41、42、47、49、51および54は、ヒトグルカゴンに対する核酸分子NOX−G11stabi2の結合親和性に負の影響を及ぼす。
実施例5:標的分子グルカゴンに対する増大された結合親和性を有する核酸分子259−H6−002の誘導体
出発点としてSELEX法の直接スクリーニング生成物を伴う開発過程の結果であるグルカゴンと結合する核酸分子から出発して、その標的に対する核酸分子の結合親和性を改良するために、本発明の方法を用いた。この場合、ヒトグルカゴンと結合する核酸分子は、核酸分子259−H6−002であった。
核酸分子259−H6−002はスピーゲルマー、すなわちL−核酸分子であって、これはヒトグルカゴンと結合し得るし、配列番号287によるヌクレオチド配列を有し、46個の2’−デオキシリボヌクレオチドからなる。
表面プラズモン共鳴測定(実施例Xに記載)により、核酸分子259−H6−002の結合特質を確定した。核酸分子259−H6−002は、図23にも示されているように、10.9nMの親和性でヒトグルカゴンを結合する。
核酸分子259−H6−002の結合特質を改良するために、核酸分子259−H6−002の誘導体を合成した。前記誘導体は、核酸塩基 −グアニン、シトシン、アデニンおよびウラシル− の、核酸分子259−H6−002と同一の、配列を有するL−核酸分子であったが、しかしながら、デオキシリボヌクレオチドよりはむしろ2’−リボヌクレオチドであるヌクレオチドの糖部分に関して単一位置で異なった。それに従って、誘導体1(259−H6−002−R01と呼ばれる)は、配列番号288によるヌクレオチド配列の位置1にリボヌクレオチドを有し、誘導体2(259−H6−002−R02と呼ばれる)は、配列番号289によるヌクレオチド配列の位置2に2’−リボヌクレオチドを有した。核酸分子259−H6−002は46個のヌクレオチドからなるため、リボヌクレオチドによる2’−デオキシリボヌクレオチドの単一置換の上記要件を満たしている核酸分子のすべての考え得る誘導体の完全な一組を提供するために、合計46個の誘導体を合成した。上記の完全組の誘導体を図21A〜Eに示す。分子259−H6−002の配列中のチミジンの場合、チミジン−5’−ホスフェートをウリジン−5’−ホスフェートに取り替えた。
核酸分子259−H6−002の誘導体の上記の完全組の各誘導体のヒトグルカゴンに対する結合親和性を、実施例8に記載される表面プラズモン共鳴測定により確定し、核酸分子259−H6−002の結合親和性と比較し、それにより、核酸分子259−H6−002の誘導体の上記完全組の各誘導体のヒトグルカゴンに対する結合親和性を、実施例8に記載される表面プラズモン共鳴測定により確定し、核酸分子259−H6−002の結合親和性と比較した。259−H6−002の少なくとも5つの個々に確定されたKD値の一組から、平均値を算定した(平均+/−標準誤差)。個々の誘導体のKD値を確定し、親和性における変化を平均259−H6−002と比較してx倍の改良として示すが、この場合、x倍改良の値は259−H6−002および259−H6−002の誘導体のKDの商である。確定された標準誤差は、陽性ヒットに関する切断点を示す。x倍改良親和性のデータを、図21A〜Dに示し、図22にプロットする。
図21A〜Dから分かるように、スピーゲルマー内の位置によって、2’デオキシリボヌクレオチド→リボヌクレオチド置換は標的に関する結合親和性に異なる影響を及ぼし得る。意外にも、核酸分子259−H6−002内のいくつかの位置で、リボヌクレオチドによる2’デオキシリボヌクレオチドの単一置換は改良され、すなわちヒトグルカゴンに対する結合親和性を高めるが、一方、核酸分子259−H6−002内のリボヌクレオチドによる2’−デオキシリボヌクレオチドの他の位置での置換は、ヒトグルカゴンに対する結合親和性の有意の変化を生じなかったか、またはヒトグルカゴンに対する結合親和性を低減することさえあった。グルカゴンに対する核酸分子259−H6−002の結合親和性と比較した場合の個々の誘導体およびそれらの結合親和性の相対的変化を、図21A〜Dに示す。
上記の図からわかるように、誘導体259−H6−002−R8、259−H6−002−R13、259−H6−002−R22、259−H6−002−R24、259−H6−002−R30、259−H6−002−R31、259−H6−002−R36、259−H6−002−R38、259−H6−002−R39および259−H6−002−R44(これらはそれぞれ位置8、13、22、24、30、31、36、38、39および44にリボヌクレオチドを有する)は、第一群の誘導体、すなわち、リボヌクレオチドによる2’−デオキシリボヌクレオチドの置換がヒトグルカゴンに関する結合親和性改良を生じる誘導体に属する(図21A〜D、図22)。上記誘導体の最良の結合親和性を、2.1〜5.8の改良因数を有する誘導体259−H6−002−R13、259−H6−002−R24、259−H6−002−R30および259−H6−002−R36に関して示した(図21A〜D、図22)。したがって、位置13、24、30および36は、核酸分子259−H6−002にヒトグルカゴンに対する改良された結合親和性を付与するのに適している。核酸分子259−H6−002−R13、259−H6−002−R24および259−H6−002−R36を、表面プラズモン共鳴測定によりさらに特性化し、それにより結合親和性を確定した(図23)。
誘導体259−H6−002−R04、259−H6−R06および259−H6−R46(これらは、それぞれ位置4、6および46に2’−リボヌクレオチドを有する)は、第二群の誘導体、すなわち、2’−リボヌクレオチドによる2’−デオキシリボヌクレオチドの置換がヒトグルカゴンに関する結合親和性を有意に変えないかまたは影響を及ぼさない誘導体に属する。したがって、位置4、6および46は、ヒトグルカゴンに対する結合親和性改良を核酸分子259−H6−002に付与するのに適していないが、しかしながら、ヒトグルカゴンに対する核酸分子259−H6−002の結合親和性に負の影響を及ぼさない。
誘導体259−H6−R09および259−H6−R45は、Biacoreで二相性結合行動を示す。したがって、改良因子は人工的であると判断され、位置9および45は結合親和性の改良のためにさらに考察されなかった。
最後に、結合親和性低減または結合親和性の顕著な損失を生じる誘導体を得た。これらの誘導体、すなわち、259−H6−002−R01、259−H6−002−R02、259−H6−002−R03、259−H6−002−R05、259−H6−002−R07、259−H6−002−R10、259−H6−002−R11、259−H6−002−R12、259−H6−002−R14、259−H6−002−R15、259−H6−002−R16、259−H6−002−R17、259−H6−002−R18、259−H6−002−R19、259−H6−002−R20、259−H6−002−R21、259−H6−002−R23、259−H6−002−R25、259−H6−002−R26、259−H6−002−R27、259−H6−002−R28、259−H6−002−R29、259−H6−002−R32、259−H6−002−R33、259−H6−002−R34、259−H6−002−R35、259−H6−002−R37、259−H6−002−R40、259−H6−002−R41、259−H6−002−R42、259−H6−002−R43は、したがって、第三群の誘導体、すなわちリボヌクレオチドによる2’−デオキシリボヌクレオチドの置換がヒトグルカゴンに関する結合親和性に(負の)作用を及ぼす核酸分子259−H6−002の誘導体に属する。したがって、位置1、2、3、5、7、10、11、12、14、15、16、17、18、19、20、21、23、25、26、27、28、29、32、33、34、35、37、40、41、42および43は、ヒトグルカゴンに対する核酸分子259−H6−002の結合親和性に負の影響を及ぼす。
核酸分子259−H6−002の誘導体の結合親和性が1つより多い置換を導入することによりさらに増大され得るか否かを査定するために、さらなる誘導体の一群を生成した。さらなる誘導体のこのような群は、リボヌクレオチドによる2’−デオキシリボヌクレオチドの置換がヒトグルカゴンに関する結合親和性改良を生じた誘導体を含む上記第一群の誘導体から出発した。核酸分子259−H6−002から出発して、誘導体のさらなる群の誘導体は、位置13、24、30および36のうちの少なくとも2つの位置に、すなわち、ヒトグルカゴンに対する改良された結合親和性を核酸分子259−H6−002に付与するのに適していることが立証された位置に、リボヌクレオチドによる2’−デオキシリボヌクレオチドの置換を有した。
これらの代表例の表面プラズモン共鳴測定は、図24に示されるように、スピーゲルマー259−H6−002の多重位置でのリボヌクレオチドによる2’−デオキシリボヌクレオチド置換の組合せが結合親和性の改良を生じる、ということを示した。
2つの置換、すなわち位置13でのデオキシアデノシン−5‘−ホスフェート→アデノシン−5‘−ホスフェート、位置24でのデオキシグアノシン→グアノシン5’−ホスフェート、および/または位置36でのチミジン−5’−ホスフェート→ウリジン−5’−ホスフェートをすべて含有するスピーゲルマー259−H6−002−R13_R24および259−H6−002−R13_R36は、1つの置換を含有する分子と同様に良好な結合親和性を示した(図24)。
スピーゲルマー259−H6−002−R13_R24_R36を合成して、核酸分子259−H6−002における3つの置換、すなわち位置13でのデオキシアデノシン−5‘−ホスフェート→アデノシン−5‘−ホスフェート、位置24でのデオキシグアノシン−5’−ホスフェート→グアノシン−5’−ホスフェート、および位置36でのチミジン−5’−ホスフェート→ウリジン−5’−ホスフェートが、スピーゲルマー259−H6−002−R13_R24および259−H6−002−R13_R36(すべて、2つの置換を含有する)と比較して、結合親和性のさらなる改良をもたらすか否かを試験した(図24)。
置換のための位置13、24、30および36(核酸分子259−H6−002−R13_R24_R30_R36)を組合せると、すなわち位置13でのデオキシアデノシン−5‘−ホスフェート→アデノシン5‘−ホスフェート、位置24および30でのデオキシグアノシン−5’−ホスフェート→グアノシン−5’−ホスフェート、および位置36でのチミジン−5’−ホスフェート→ウリジン−5’−ホスフェートが、スピーゲルマー259−H6−002−R13_R24_R36(すべて3つの置換を含有)と比較して、わずかな改良をもたらした(図26)。
スピーゲルマー259−H6−002、259−H6−002−R13および259−H6−002−R13_R24_R36の機能性を立証し、比較するために、すべての核酸分子をin vitro細胞培養検定で試験した(プロトコール:実施例14参照)。図25に示したように、in vitro細胞培養検定は、ヒトグルカゴンに対する親和性改良がヒトグルカゴン機能の抑制増強に平行移動する、ということを確証した。スピーゲルマー259−H6−002、259−H6−002−R13および259−H6−002−R13_R24_R36は、それぞれ176nM、12.5nMおよび6.2nMのIC50値で、細胞内cAMPのグルカゴン誘導性形成を抑制した(図25)。
実施例6:標的分子グルカゴンに対する増大された結合親和性を有する核酸分子257−E1−001の誘導体
出発点としてSELEX法の直接スクリーニング生成物を伴う開発過程の結果であるグルカゴンと結合する核酸分子から出発して、その標的に対する核酸分子の結合親和性を改良するために、本発明の方法を用いた。この場合、ヒトグルカゴンと結合する核酸分子は、核酸分子257−E1−001であった。
核酸分子257−E1−001はスピーゲルマー、すなわちL−核酸分子であって、これはヒトグルカゴンと結合し得るし、配列番号27によるヌクレオチド配列を有し、47個の2’−デオキシリボヌクレオチドからなる。
競合的プルダウン検定フォーマット(実施例10に記載)で、核酸分子257−E1−001の結合特質を確定した。核酸分子257−E1−001は、186nMの親和性でヒトグルカゴンを結合する(図28も参照)。
核酸分子257−E1−001の結合特質を改良するために、核酸分子257−E1−001の誘導体を合成した(実施例7に記載)。前記誘導体は、核酸塩基 −グアニン、シトシン、アデニンおよびウラシルまたは代替的にはチミン(2’デオキシリボヌクレオチドの場合)− の、核酸分子257−E1−001と同一の、配列を有するL−核酸分子であったが、しかしながら、2’−デオキシリボヌクレオチドよりはむしろリボヌクレオチドであるヌクレオチドの糖部分に関して単一位置で異なった。それに従って、誘導体1(257−E1−R1−001と呼ばれる)は、配列番号228によるヌクレオチド配列の位置1にリボヌクレオチドを有し、誘導体2(257−E1−R2−001)は、配列番号229によるヌクレオチド配列の位置2にリボヌクレオチドを有した。核酸分子257−E1−001は47個のヌクレオチドからなるため、リボヌクレオチドによる2’−デオキシリボヌクレオチドの単一置換の上記要件を満たしている核酸分子すべての考え得る誘導体の完全な一組を提供するために、合計47個の誘導体を合成した。上記の完全組の誘導体を図27A〜Dに示す。分子257−E1−001の配列中のチミジン−5’−ホスフェートの場合、チミジン−5’−ホスフェートをウリジン−5’−ホスフェートに取り替えた。
核酸分子257−E1−001の誘導体の上記の完全組の各誘導体のヒトグルカゴンに対する結合親和性を、実施例10に記載される競合的プルダウン検定を用いて確定し、核酸分子257−E1−001の結合親和性と比較した。図27A〜Dから分かるように、スピーゲルマー内の位置によって、2’デオキシリボヌクレオチド→リボヌクレオチド置換は標的に関する結合親和性に異なる影響を及ぼし得る。意外にも、核酸分子257−E1−001内のいくつかの位置でのリボヌクレオチドによる2’−デオキシリボヌクレオチドの単一置換はヒトグルカゴンに対する改良された、すなわちより高い結合親和性を生じたが、一方、他の位置でのリボヌクレオチドによる2’−デオキシリボヌクレオチドの置換は、ヒトグルカゴンに対する結合親和性の有意の変化を生じなかったか、またはヒトグルカゴンに対する結合親和性を低減することさえあった。グルカゴンに対する核酸分子257−E1−001の結合親和性と比較した場合の個々の誘導体およびそれらの結合親和性の相対的変化を、図27A〜Dに示す。
上記の図からわかるように、誘導体257−E1−R9−001、257−E1−R15−001、257−E1−R18−001、257−E1−R19−001、257−E1−R29001および257−E1−R30−001(これらはそれぞれ位置9、15、18、19、29または30にリボヌクレオチドを有する)は、第一群の誘導体、すなわち、リボヌクレオチドによる2’−デオキシリボヌクレオチドの置換がヒトグルカゴンに関する結合親和性改良を生じる誘導体に属する(図27A〜C、28)。上記誘導体の最良の結合親和性を、誘導体257−E1−R15−001、257−E1−R29−001および257−E1−R30−001に関して示した(図27B〜C、28)。したがって、位置15、29および30は、核酸分子257−E1−001にヒトグルカゴンに対する改良された結合親和性を付与するのに適している。核酸分子257−E1−R15−001および257−E1−R29−001を競合的プルダウン検定でさらに特性化し、それにより結合親和性を確定した(図28)。
誘導体257−E1−R26−001および257−E1−R46−001(これらは、それぞれ位置26および46にリボヌクレオチドを有する)は、第二群の誘導体、すなわち、リボヌクレオチドによる2’−デオキシリボヌクレオチドの置換がヒトグルカゴンに関する結合親和性を変えないかまたは影響を及ぼさない誘導体に属する。したがって、位置26および46は、核酸分子257−E1−001にヒトグルカゴンに対する改良された結合親和性を付与するのに適していないが、しかしながら、ヒトグルカゴンに対する核酸分子257−E1−001の結合親和性に負の影響を及ぼさない。
最後に、結合親和性低減または結合親和性の顕著な損失を生じる誘導体を得た。これらの誘導体、すなわち、257−E1−R1−001、257−E1−R2−001、257−E1−R3−001、 257−E4−R1−001、257−E5−R1−001、257−E1−R6−001、257−E1−R7−001、257−E1−R8−001、257−E1−R10−001、257−E1−R11−001、257−E1−R12−001、257−E1−R13−001、257−E1−R14−001、257−E1−R16−001、257−E1−R17−001、257−E1−R20−001、257−E1−R21−001、257−E1−R22−001、257−E1−R23−001、257−E1−R24−001、257−E1−R25−001、257−E1−R27−001、257−E1−R28−001、257−E1−R31−001、257−E1−R32−001、257−E1−R33−001、257−E1−R34−001、257−E1−R35−001、257−E1−R36−001、257−E1−R37−001、257−E1−R38−001、257−E1−R39−001、257−E1−R40−001、257−E1−R41−001、257−E1−R42−001、257−E1−R43−001、257−E1−R44−001、257−E1−R45−001、257−E1−R47−001は、したがって、第三群の誘導体、すなわちリボヌクレオチドによる2’−デオキシリボヌクレオチドの置換がヒトグルカゴンに関する結合親和性に(負の)作用を及ぼす核酸分子257−E1−001の誘導体に属する。したがって、位置1、2、3、4、5、6、7、8、10、11、12、13、14、16、17、20、21、22、23、24、25、27、28、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、47は、ヒトグルカゴンに対する核酸分子257−E1−001の結合親和性に負の影響を及ぼす。
核酸分子257−E1−001の誘導体の結合親和性が1つより多い置換を導入することによりさらに増大され得るか否かを査定するために、さらなる誘導体の群を生成した。さらなる誘導体のこのような群は、リボヌクレオチドによる2’−デオキシリボヌクレオチドの置換がヒトグルカゴンに関する結合親和性改良を生じた誘導体を含む第一群の誘導体から出発した。核酸分子257−E1−001から出発して、誘導体のさらなる群の誘導体は、位置9、15、18、19、29および30(すなわち、ヒトグルカゴンに対する改良された結合親和性を核酸分子257−E1−001に付与するのに適していることが立証された位置)のうちの少なくとも2つで、リボヌクレオチドによる2’−デオキシリボヌクレオチドの置換を有した。
競合的プルダウン検定において、代表例は、図27E、Fおよび28に示されているように、スピーゲルマー257−E1−001の多重位置でのリボヌクレオチドによる2’−デオキシリボヌクレオチド置換を組み合わせると、結合親和性の改良を生じる、ということを示した。少なくとも2つの2’−デオキシリボヌクレオチド→リボヌクレオチド置換の組合せを含有する誘導体のヒトグルカゴンに対する結合親和性を、実施例10に記載される競合的プルダウン検定で確定し、それぞれ核酸分子257−E1−001または257−E1−6×R−001の結合親和性と比較した。それぞれ257−E1−001または257−E1−6×R−001の2または10の個々の確定されたKD値の一組から、平均値を算定した(平均+/−標準誤差)。組合せ置換を有するスピーゲルマーのKD値を確定し、親和性における変化をそれぞれ257−E1−001または257−E1−6×R−001の平均と比較して親和性の改良因数として示すが、この場合、x倍改良の値は257−E1−001と257−E1−001の誘導体のKDの商である。確定された標準誤差は、改良または減少に関する切断点を示す。親和性の改良因数を、図27EおよびFに示す。
ともに2つの置換、すなわち位置15での2’−デオキシグアノシン−5’−ホスフェート→グアノシン−5’−ホスフェート、位置29での2’−デオキシアデノシン−5’−ホスフェート→アデノシン−5’−ホスフェートおよび位置30での2’−デオキシアデノシン−5’−ホスフェート→アデノシン−5’−ホスフェートを含有するスピーゲルマー257−E1−R15/29−001および257−E1−R29/30−001は、1つの置換を含有する分子と同様に良好な結合親和性を示した(図27E)。
スピーゲルマー257−E1−R15/29/30−001および257−E1−R18/29/30−001を合成して、核酸分子257−E1−001おける3つの置換が、スピーゲルマー257−E1−R15/29−001および257−E1−R20/30−001(すべて、2つの置換を含有する)と比較して、結合親和性のさらなる改良をもたらすか否かを試験した。すなわち、位置15での2’−デオキシグアノシン−5’−ホスフェート→グアノシン−5’−ホスフェート、位置29での2’−デオキシアデノシン−5’−ホスフェート→アデノシン−5’−ホスフェートおよび位置30での2’−デオキシアデノシン−5’−ホスフェート→アデノシン−5’−ホスフェートは、スピーゲルマー257−E1−R29/30−001と比較して、結合親和性のさらなる改良をもたらした。しかしながら、グルカゴンに対する3倍置換化スピーゲルマー257−E1−R15/29/30−001の結合親和性は、2つの置換を含有するスピーゲルマー257−E1−R15/29−001の結合親和性に匹敵する。スピーゲルマー257−E1−R18/29/30−001における位置15での2’−デオキシグアノシン−5’−ホスフェート→グアノシン−5’−ホスフェート置換の代わりの位置18での2’−デオキシグアノシン−5’−ホスフェート→グアノシン−5’−ホスフェートの置換は、257−E1−R29/30−001と比較して結合親和性増大をもたらしたが、しかし257−E1−R15/29/30−001と比較して親和性低減をもたらした(図27E)。
置換のための位置15、18、29および30(核酸分子257−E1−R15/18/29/30−001)を組合せると、すなわち位置15での2’−デオキシグアノシン−5’−ホスフェート→グアノシン−5’−ホスフェート、位置18での2’−デオキシグアノシン−5’−ホスフェート→グアノシン−5’−ホスフェート、位置29での2’−デオキシアデノシン−5’−ホスフェート→アデノシン−5’−ホスフェートおよび位置30での2’−デオキシアデノシン−5’−ホスフェート→アデノシン−5’−ホスフェートは、は、3つの置換を含有するスピーゲルマー257−E1−R15/29/30−001と比較して、さらなる改良をもたらさなかった(図27E)。
意外にも、位置9、15、18、19、29、30での6つの2’デオキシリボヌクレオチド→リボヌクレオチド置換の組合せ(スピーゲルマー257−E1−R9/15/18/19/29/30−001=257−E1−6×R−001)、すなわち、位置9での2’−デオキシグアノシン−5’−ホスフェート→グアノシン−5’−ホスフェート、位置15での2’−デオキシグアノシン−5’−ホスフェート→グアノシン−5’−ホスフェート、位置18での2’−デオキシグアノシン−5’−ホスフェート→グアノシン−5’−ホスフェート、位置19での2’−デオキシグアノシン−5’−ホスフェート→グアノシン−5’−ホスフェート、位置29での2’−デオキシアデノシン−5’−ホスフェート→アデノシン−5’−ホスフェートおよび位置30での2’−デオキシアデノシン−5’−ホスフェート→アデノシン−5’−ホスフェートは、それぞれ2および4つの置換を含有するスピーゲルマー257−E1−R15/29−001および257−E1−R15/18/29/30−001と比較して、グルカゴンに対する結合親和性のさらなる改良をもたらした(図27Eおよび28)。
6つの2’−デオキシリボヌクレオチド→リボヌクレオチド置換を含有するスピーゲルマー257−E1−6×R−001のグルカゴンに対する結合親和性が、ウリジン−5’−ホスフェートの代わりに5−メチル−ウリジン−5’−ホスフェートを用いてチミジン−5’−ホスフェートを交換することによりさらに増大され得るか否かを査定するために、核酸分子257−E1−6×R−001の誘導体を合成した。前記誘導体は、チミジン−5’−ホスフェート→5−メチル−ウリジン−5’−ホスフェートの付加的な第七の置換を含有する。これを図27Fに示す。実際、7つの置換(核酸分子257−E1−7×R−023)、すなわち位置9、15、18および19での4つの2’−デオキシグアノシン−5’−ホスフェート→グアノシン−5’−ホスフェート置換、位置29および30での1つのチミジン−5’−ホスフェート→5−メチル−ウリジン−5’−ホスフェート置換および2つの2’−デオキシアデノシン−5’−ホスフェート→アデノシン−5’−ホスフェート置換を含有する単一誘導体核酸分子は、スピーゲルマー257−E1−6×R−001と比較して、わずかに改良された結合親和性を生じた(図27Fおよび28)。
最後に、グルカゴンに対するスピーゲルマー257−E1−7×R−023の結合親和性は、SELEX誘導体化非修飾スピーゲルマー257−E1−001と比較して、43という因数だけ改良された。
実施例7:スピーゲルマーの合成および誘導体化
小規模合成
標準環外アミン保護基とともに2’TBDMS RNAおよびDNAホスホルアミダイト化学(Damha and Ogilvie, 1993)を用いて、ABI 394合成機(Applied Biosystems, Foster City, CA)での固相合成により、スピーゲルマー(L−RNA核酸またはL−DNA修飾L−RNA核酸)を産生した。オリゴヌクレオチドのRNA部分に関しては、D−(必要な場合。実施例9/10参照)およびL−立体配置でのrA(N−Bz)−、rC(N−Ac)−、rG(N−ibu)−、およびrU−ホスホルアミダイトを用いたが、一方、DNA部分に関しては、D−およびL−立体配置でのdA(N−Bz)−、dC(N−Ac)−、dG(N−ibu)−、およびdTを適用した。ホスホルアミダイトはすべて、ChemGenes, Wilmington, MAから購入した。合成および脱保護化後、アプタマーおよびスピーゲルマーをゲル電気泳動により精製した。
大規模合成+修飾
標準環外アミン保護基とともに2’TBDMS RNAおよびDNAホスホルアミダイト化学(Damha and Ogilvie, 1993)を用いて、AktaPilot100合成機(GE Healthcare, Freiburg)での固相合成により、スピーゲルマーを産生した。L−rA(N−Bz)−、L−rC(N−Ac)−、L−rG(N−ibu)−、L−rU−、L−dA(N−Bz)−、L−dC(N−Ac)−、L−dG(N−ibu)−、およびL−dT−ホスホルアミダイトは、ChemGenes, Wilmington, MAから購入した。5’−アミノ−修飾因子は、American International Chemicals Inc.(F, MA, USA)から購入した。 非修飾化または5’−アミノ修飾化スピーゲルマーを、リボA、L−リボC、L−リボG、L−リボU、L−2’デオキシA、L−2’デオキシC、L−2’デオキシGまたはL−2’デオキシT修飾化CPG孔サイズ1000Å(Link Technology, Glasgow, UK)で出発した。RNAおよびDNAホスホルアミダイトのカップリング(15分/周期)に関しては、アセトニトリル中の0.3Mベンジルチオテトラゾール(CMS−Chemicals, Abingdon, UK)、ならびに2当量のアセトニトリル中のそれぞれ0.2Mのホスホルアミダイト溶液を用いた。酸化−キャッピング周期を用いた。オリゴヌクレオチド合成のためのさらなる溶媒および試薬は、Biosolve(Valkenswaard, NL)から購入した。スピーゲルマーを合成した DMT−ON;脱保護化後、それを、Sourcel15RPC培地(Amersham)を用いて、分取RP−HPLC(Wincott et al., 1995)により精製した。5’DMT基を、80%酢酸で除去した(RTで30分)。5’アミノ修飾化スピーゲルマーの場合、5’MMT基を80%酢酸で除去した(RTで90分)。その後、水性2M NaOAc溶液を付加して、5K再生セルロース膜(Millipore, Bedford, MA)を用いて、接線流濾過によりスピーゲルマーを脱塩した。
スピーゲルマーのペギル化
in vivoでのスピーゲルマーの血漿滞在時間を延長するために、40kDaポリエチレングリコール(PEG)部分をスピーゲルマーの5’末端で共有結合した。
ペギル化(ペギル化のための方法の技術的詳細に関しては、欧州特許出願EP 1 306 382参照)のために、精製5’−アミノ修飾化スピーゲルマーを、H2O(2.5ml)、DMF(5ml)および緩衝液A(5ml;クエン酸・H2O[7g]、ホウ酸[3.54g]、リン酸[2.26ml]および1M NaOH[343ml]を混合し、水を付加して最終容積を1リットルとすることにより調製;pH=8.4を、1M HClで調整した)中に溶解した。
スピーゲルマー溶液のpHを、1M NaOHで8.4にした。次いで、最大収率が75〜85%に達するまで、0.25当量で6回に分けて30分毎に、37℃で、40kDa PEG−NHSエステル(Jenkem Technology, Allen, TX, USA)を付加した。PEG−NHSエステルの付加中は、1M NaOHで反応混合物のpHを8〜8.5に保持した。
反応混合物を4mlの尿素溶液(8M)および4mlの緩衝液B(H2O中0.1M酢酸トリエチルアンモニウム)と配合して、95℃に15分間加熱した。次に、アセトニトリル勾配(緩衝液B;緩衝液C;アセトニトリル中0.1M酢酸トリエチルアンモニウム)を用いて、Source 15RPC培地(Amersham)でRP−HPLCにより、ペギル化スピーゲルマーを精製した。過剰量のPEGを、5%緩衝液Cで溶離し、10〜15%緩衝液Cでペギル化スピーゲルマーを溶離した。>95%の純度(HPLCにより査定)を有する生成物分画を併合し、40mlの3M NaOAcと混合した。接線流濾過(5K再生セルロース膜;Millipore, Bedford, MA)によりスピーゲルマーを脱塩した。
実施例8:Biacore測定
Biacore検定設定
Biacore 2000機器(Biacore AB, Sweden)を、37℃の一定温度に設定した。その機器をDESORB法を用いて清浄にした後、新規チップの各実験/固定化を開始した。メインテナンスチップをドッキング後、脱着溶液1(0.5%ドデシル硫酸ナトリウム、SDS)、脱着溶液2(50mMグリシン、pH9.5)およびHBS−EP pH7.4緩衝液を機器に連続して詰め込んだ。最後に、そのシステムにHBS−EP、pH7.4緩衝液を詰めた。試薬はすべて、別記しない限り、GE Healthcareから購入した。
標的固定化
各標的に関して個々に、標的固定化手法を確立した。本明細書中に記載される標的に関する例を、以下に列挙する:
ビオチニル化ヒトL−グルカゴンの固定化
固定化緩衝液は、HBS−EP、pH7.4緩衝液であった。合成ビオチニル化ヒトL−グルカゴン(グルカゴン−29−AEEAc−ビオチン、BACHEM, Switzerlandによる受託合成)を、カルボキシメチル化デキストラン被覆センサーチップ(CM5、GE Healthcare)上に固定したが、このチップは、0.4M EDC(H2O中の1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド)と0.1M NHS(H2O中N−ヒドロキシスクシンイミド)の1:1混合物を用いて、可溶性ニュートラアビジン(Sigma Aldrich, Germany)の共有結合的固定化により調製されたものであった。同一センサーチップ上の参照フローセルを、ビオチンで遮断した。
ヒトL−C5aの固定化
固定化緩衝液は、HBS−EP、pH7.4緩衝液であった。10mM NaOAc、pH5.5中の組換えヒトL−C5a(Sigma Aldrich)を、カルボキシメチル化デキストラン被覆センサーチップ(CM5、GE Healthcare)上にアミンカップリングにより固定したが、このチップは、0.4M EDC(H2O中の1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド)と0.1M NHS(H2O中N−ヒドロキシスクシンイミド)の1:1混合物を用いて活性化されたものであった。
ヒトL−アルファ−CGRPの固定化
固定化緩衝液は、HBS−EP、pH7.4緩衝液であった。10mM NaOAc、pH5.5中の合成ヒトL−αCGRP(Bachem)を、カルボキシメチル化デキストラン被覆センサーチップ(CM5、GE Healthcare)上にアミンカップリングにより固定したが、このチップは、0.4M EDC(H2O中の1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド)と0.1M NHS(H2O中N−ヒドロキシスクシンイミド)の1:1混合物を用いて活性化されたものであった。
改良された結合親和性を有するスピーゲルマー誘導体の同定
個々の単一位置修飾化スピーゲルマー誘導体の結合分析および動的パラメーター査定を、37℃の装置温度で1μMの濃度でスピーゲルマーを注入することにより実施した。センサーチップ表面の再生手法および/または限定ペプチド安定性のために、全体的注入シリーズの前後に、ならびに10回注入毎に、ブランク実行緩衝液の、ならびにスピーゲルマー参照の注入を施して、センサーチップ劣化を監視した。
親(全DNAまたは全RNA)スピーゲルマーの少なくとも5つの個々に確定されたKD値から、平均値を算定した(平均±標準誤差)。個々の誘導体のKD値を確定し、親和性の変化を、親分子の平均と比較した場合のx倍改良として示すが、この場合、x倍改良の値は、親分子および親分子の誘導体のKDの商である。確定標準誤差は、陽性ヒットに関する切断点を示す。
データ分析および解離定数(Kd)の算定を、平均値および標準誤差の算定のためのBIAevaluation3.1.1ソフトウェア(BIACORE AB, Uppsala, Sweden)およびPrism5.0(GraphPad)ソフトウェアで実行した。
標的認識(解離定数ka)または/およびスピーゲルマー標的複合体安定性(解離定数kd)に関して改良された結合特性を示して、全体的に改良された親和性(解離定数Kd)を生じた親分子の誘導体を、詳細結合動力学を測定(それぞれのスピーゲルマーの濃度シリーズの注入)することにより特性化した。
親分子の選定誘導体の詳細動力学評価
最低濃度で出発して、実行緩衝液中に希釈した2,000−1,000−500−200−125−62.5−31.3−15.6(2x)−7.8−3.9−1.95−0.98−0.48−0.24−0.12−0nMの濃度での一連のスピーゲルマー注入により、動力学的パラメーターおよび解離定数を評価した。全実験において、30μl/分の流量で、240〜360秒の会合時間および240〜360秒の解離時間を限定するKinjectコマンドを用いて、37℃で分析を実施した。検定を二重基準し、一方、フローセル(FCl)は(遮断)表面対照として役立てて(各スピーゲルマー濃度が大きく関与)、分析物を含有しない一連の緩衝液注入は、緩衝液それ自体の多大な関与を確定した。少なくとも1つのスピーゲルマー濃度を2回注入して、実験中の再生効率およびチップ完全性をモニタリングした。データ解析および解離定数(Kd)の算定を、BIAevaluation3.1.1ソフトウェア(BIACORE AB)で実行した。
結合改良をもたらす同定された交換位置の組合せ
最後に、置換のための陽性単一位置のうちの2つ以上を組合せて、その結果生じる配列を再び詳細結合動力学で試験した。
Biacore測定の結果は、実施例2〜5に記載されている。
実施例9:S1Pスピーゲルマーの競合的スピーゲルマープルダウン検定
S1Pスピーゲルマーの親和定数を、競合的プルダウン検定により決定した。T4ポリヌクレオチドキナーゼによるスピーゲルマーの放射能標識を可能にするために、D型の2つのグアノシン残基をL−S1P−215−F9−002スピーゲルマーの5’末端に付加した。次に、非標識化スピーゲルマーを、一定量のビオチニル化D−e−S1Pとの結合に関して300〜600pM放射能標識化スピーゲルマーL−S1P−215−F9−002−5’diD−Gと競合するそれらの能力、すなわち、D−e−S1Pに対する非標識化スピーゲルマーの結合親和性による結合シグナルの低減に関して試験した。D−e−S1Pを8nMの濃度で用いて、競合体スピーゲルマーの非存在下で、放射能標識化スピーゲルマーL−S1P−215−F9−002−5’diD−Gの約10%の最終結合を生じた。250μlの選定緩衝液(20mM トリス−HCl、pH7.4;150mM NaCl;5mM KCl;1mM MgCl2;1mM CaCl2;0.1%[w/vol]トゥイーン20;4mg/mlウシ血清アルブミン;10μg/ml 酵母RNA)中で、37℃で3〜4時間、検定を実施した。ビオチニル化D−e−S1Pおよびスピーゲルマーとビオチニル化S1Pの複合体を、5μlのニュートラアビジン・ウルトラリンク・プラスビーズ(Pierce Biotechnology, Rockford, USA)(結合反応液の付加前に、選定緩衝液で予備平衡させておいた)上に固定した。サーモミキサー中で37℃で30分間、ビーズを懸濁液中に保持した。上清を取り出し、適切に洗浄した後、固定化放射能をシンチレーション計数器で定量した。結合放射能標識化スピーゲルマーL−S1P−215−F9−002−5’diD−Gの結合パーセンテージまたは正規化パーセンテージを、競合体スピーゲルマーの対応する濃度に対してプロットした。GraphPad Prismソフトウェアを用いて、解離定数を得た。同一検定を、一組の異なるスピーゲルマーの比較等級付けのために用いた。この場合、指示されたような単一濃度で、競合体スピーゲルマーを用いた。
実施例10:グルカゴンに対する結合親和性の確定(プルダウン検定)
グルカゴンに対する結合分析のために、グルカゴン結合核酸分子を、L−ヌクレオチドからなるスピーゲルマーとして合成した。スピーゲルマーの結合分析を、L−アミノ酸からなるビオチニル化ヒトL−グルカゴンで実行した。
直接プルダウン検定
スピーゲルマーの5’末端でのD型の2つの付加的アデノシン残基は、[γ−32P]−標識化ATP(Hartmann Analytic, Braunschweig, Germany)を用いたT4ポリヌクレオチドキナーゼ(Invitrogen, Karlsruhe, Germany)による5’−ホスフェート標識を可能にした。標識化核酸の具体的放射能は、200,000〜800,000cpm/pmolであった。変性および復元(1’ 94°C、氷/H2O)後、標識化核酸を、選定緩衝液(20mM トリス−HCl、pH7.4;137mM NaCl;5mM KCl;1mM MgCl2;1mM CaCl2;0.1%[w/vol]トゥイーン20;0.1%[w/vol]CHAPS)中で、37℃で、100〜700pMの濃度で、それぞれ種々の量のビオチニル化ヒトD−またはL−グルカゴンと一緒に2〜6時間インキュベートして、低濃度で平衡に到達させた。選定緩衝液に、100μg/mlヒト血清アルブミン(Sigma−Aldrich, Steinheim, Germany)および10μg/ml酵母RNA(Ambion, Austin, USA)を補足して、用いられるプラスチック容器の表面への、または固定化マトリックスへの結合相手の非特異的吸着を防止した。スピーゲルマー結合に関するビオチニル化L−グルカゴンの濃度範囲を、0.32nM〜5μMに設定した;総反応容積は50μlであった。ビオチニル化グルカゴン、および核酸とビオチニル化グルカゴンの複合体を、4μlの高容量ニュートラアビジンアガロース粒子(Thermo Scientific, Rockford, USA)(選定緩衝液で予備平衡させておいた)上に固定した。サーモミキサー中でそれぞれの温度で20分間、粒子を懸濁液中に保持した。上清を取り出し、適切に洗浄した後、シンチレーション計数器で固定化放射能を定量した。結合パーセンテージをビオチニル化グルカゴンの濃度に対してプロットし、解離定数を、ソフトウェアアルゴリズム(GRAFIT;Erithacus Software; Surrey U.K.)を用いることにより得て、1:1化学量論を推定した。
グルカゴン結合核酸の等級付けのための競合的プルダウン検定
グルカゴンとの異なるスピーゲルマーの結合を比較するために、競合的等級付け検定を実施した。この目的のために、利用可能な大半の擬似スピーゲルマーを放射能標識し(上記参照)、それぞれグルカゴン結合スピーゲルマーに関する参照として役立てた。変性および復元後、1.5μlの高容量ニュートラアビジンアガロース粒子(Thermo Scientific, Rockford, USA)上での固定化、および競合を伴わない洗浄後に、ビオチニル化グルカゴンとの約5〜10%結合を生じるという条件で、標識化核酸を、50または100μlの選定緩衝液中で、ビオチニル化グルカゴンとともに、37℃で、インキュベートした。過剰量の変性および復元化非標識化スピーゲルマー変異体を異なる濃度で、標識化参照スピーゲルマーと一緒に、結合反応と平行して、付加した。変性および復元化スピーゲルマー誘導体を、1、10および100nMの濃度で、参照スピーゲルマーと一緒に、平行結合反応において適用した。試験されるべき核酸は、標的結合に関して参照核酸と競合し、したがって、それらの結合特質の依存関係における結合シグナルを低減した。この検定において最も活性であることが判明したアプタマーまたはスピーゲルマーは、それぞれ、次に、他のグルカゴン結合核酸分子の比較分析のための新規の参照として役立ち得た。
親和性の確定のための競合的プルダウン検定
比較等級付け実験のほかに、競合的プルダウン検定も実施して、グルカゴン結合核酸の親和定数を決定した。この目的のために、どれかのL−グルカゴン結合スピーゲルマーを放射能標識して、上記のように参照として役立てた。変性および復元後、標識化参照核酸、ならびに5倍希釈、例えば0.128〜2000nMの範囲の競合体分子の一組を、0.1または0.2mlの選定緩衝液中の一定量のビオチニル化グルカゴンとともに、37℃で2〜4時間、インキュベートした。選択タンパク質濃度は、最低競合体濃度で約5〜10%の放射能標識化参照分子の最終結合を引き起こすはずである。誘導体核酸配列の結合定数を測定するために、過剰量の適切な変性および復元化非標識化スピーゲルマー変異体を競合体として役立てたが、一方、スピーゲルマーに関しては、非修飾化ならびにペギル化形態を試験した。別の検定アプローチでは、異なる濃度での非ビオチニル化グルカゴンは、スピーゲルマー結合に関してビオチニル化グルカゴンに対して競合した。ビオチニル化グルカゴンおよび結合核酸を1.5μlの高容量ニュートラアビジンアガロースマトリックス上で固定し、洗浄およびシンチレーション計数後に(上記参照)、結合放射能標識化スピーゲルマーの正規化パーセンテージを、競合体分子の対応する濃度に対してプロットした。その結果生じた解離定数を、GraFitソフトウェアを用いて算定した。
実施例11:S1P結合スピーゲルマーによりEDG1受容体を介してS1Pにより誘導されるβ−アレスチン動員の抑制
PathHunter(商標)eXpress EDG−1 CHO−K1 β−アレスチンGPCR細胞(DiscoverX)を、1×104細胞/ウェルで透明底を有する白色96ウェルプレート(Greiner)中に植えつけて、37℃、5%CO2で48時間、100μlの培養培地(DiscoverX)中で培養した。刺激溶液(D−e−S1P+種々の濃度のスピーゲルマー)を、1mg/ml BSAおよび20mM HEPESを補足したHBSS(Gibco)中の11倍濃縮溶液として作製し、十分に混合して、37℃で30分間インキュベートした。10μl刺激溶液をウェル当たりで付加し(三重反復試験)、細胞を37℃で5%CO2で90分間、インキュベートした。
D−e−S1Pによる受容体活性化時に、活性化EDG1とβ−アレスチンとの相互作用は、β−ガラクトシダーゼ酵素断片相補性をもたらした。
β−ガラクトシダーゼ活性の定量のために、55μlの作業用検出試薬溶液(DiscoverX)を付加し、室温で90分間インキュベートした。その後、Fluostar Optima多重検出プレート読取機(BMG)で冷光を測定した。
抗S1Pスピーゲルマーの効力を示すために、10nMのD−e−S1P、または種々の量のスピーゲルマーで予備インキュベートされたD−e−S1Pで細胞を刺激した。結果は、スピーゲルマーの付加なしで得られたシグナルに対して正規化された冷光シグナルのパーセンテージを示す。三重反復試験培養からの平均値±SDを示す。
実施例12:ヒト神経芽細胞腫細胞におけるアルファCGRP誘導性cAMP産生の抑制
CGRP結合スピーゲルマーの生物学的効力を、以下のように分析した:
SK−N−MCヒト神経芽細胞腫細胞(DSMZ, Braunschweig)を、5×10e4細胞/ウェルで平底96ウェルプレート(Greiner)中に植えつけて、37℃、5%CO2で48時間、10%熱不活性化ウシ胎仔血清(FCS)、4mM L−アラニル−L−グルタミン(GLUTAMAX)、50単位/mlペニシリンおよび50ミクロンg/mlストレプトマイシンを補足したDMEM(1000mg/L グルコース、Invitrogen)100μl中で培養した。
刺激溶液(1nMヒトまたはラットL−アルファCGRP(Bachem)+漸増濃度のスピーゲルマー)を、v底0.2ml低プロフィール96ウェルプレートを用いて、1mg/ml BSAおよび20mM HEPESを補足したHBSS(Gibco)中で三重反復試験として調製し、37℃で全体で60分間インキュベートした。ブランク値(無L−アルファCGRP、無スピーゲルマー)および対照値(1nM L−アルファCGRP、無スピーゲルマー)を、三重反復試験として含めた。刺激の20分前に、1mMホスホジエステラーゼ阻害薬3−イソブチル−1−メチルキサンチン(IBMX、Sigma;HBSS/BSA/HEPES中に希釈されたDMSO中50mMストック)を細胞および刺激溶液に付加した。刺激のために、細胞培地を細胞から除去し、100μlの予備インキュベート化刺激溶液に取り替えた。細胞を、37℃、5%CO2で30分間刺激した。刺激溶液の除去後、50μl/ウェルの検定/溶解緩衝液(Applied Biosystems、Tropix cAMT−ScreenTM Systemキット)を37℃で30分間付加することにより、細胞を溶解した。
その後、ウェル当たりのcAMP産生量を、メーカーの使用説明書に従って、Tropix cAMT−Screen(商標)ELISA Systemキット(Applied Biosystems)を用いて測定した。要するに、6nmol〜0.6pmol cAMP/ウェルの範囲の検定/溶解緩衝液で、標準曲線を作成する。検定/溶解緩衝液中に希釈した細胞溶解物、および標準曲線を、ヤギ抗ウサギIgGで予備被覆したマイクロプレートに付加する。cAMPアルカリ性ホスファターゼ共役体および抗cAMP抗体を試料に付加し、室温で60分間インキュベートする。その後、プレートを洗浄し、化学発光基質を付加する。30分後、FLUOstar OPTIMAプレート読取機ユニット(BMG Labtech)で化学発光を測定する。cAMT−Screen(商標)ELISA Systemは、競合的イムノアッセイフォーマットである。したがって、光信号強度は、試料または標準調製物におけるcAMPと反比例する。この検定を用いて、本明細書中に記載される実施例1および7の範囲内のスピーゲルマーを試験した。結果を、図7および8に示す。産生されたcAMPの量を、対照のパーセンテージとして示す。対照に比してcAMP産生の50%抑制のために必要とされるスピーゲルマーの濃度は、阻害定数IC50を限定する。
実施例13:走化性検定における阻害濃度の決定
C5aに関するヒト受容体を発現する細胞株の生成
ヒトC5a受容体をコードするプラスミド(NCBI寄託番号NM_001736;pcDNA3.1+))でBA/F3マウスプロB細胞をトランスフェクトすることにより、C5aに関するヒト受容体を発現する安定的トランスフェクト化細胞株を生成した。C5aを発現する細胞をゲネチシンでの処置により選択し、RT−PCRで発現に関して、そして走化性検定で機能性に関して試験した。
走化性検定
実験前日、細胞を0.3×106/mlで新しいフラスコ中に植えつける。実験のために、細胞を遠心分離し、HBH(HBSS、1mg/mlウシ血清アルブミンおよび20mM HEPESを含有)で1回洗浄し、1.33×106細胞/mlで再懸濁した。この懸濁液75μlを、5μm孔を有する96ウェルCorning Transwellプレート(Costar Corning、#3388;NY, USA)の上部区画に付加した。下部区画では、組換えヒトC5a(配列番号50)またはマウスC5a(配列番号54)を、細胞の付加前に、37℃で20〜30分間、235μlのHBH中に種々の濃度でスピーゲルマーと一緒に予備インキュベートした。細胞を、37℃で3時間、移動させた。その後、挿入プレート(上部区画)を取り出し、リン酸塩緩衝生理食塩水中の440μM レサズリン(Sigma, Deisenhofen, Germany)30μlを下部区画に付加した。37℃で2.5時間インキュベーション後、励起波長 544nmおよび発光波長 590nmで蛍光を測定した。
蛍光値をバックグラウンド蛍光(ウェル中にC5aなし)に関して補正し、スピーゲルマー濃度に対してプロットした。GraphPad Prismを用いて非線形回帰(4パラメーター・フィット)で、IC50値を決定した。代替的には、スピーゲルマーを有さない試料(C5aのみ)に関する値を100%に設定し、スピーゲルマーを有する試料に関する値をこのパーセントとして算定する。パーセント値をスピーゲルマー濃度に対してプロットして、IC50値を上記のように決定する。
ヒトおよびマウスC5aに関する半数効果濃度(EC50)の決定
種々のヒトC5aまたはマウスC5a濃度の方向へのBA/F3/huC5aR細胞の3時間移動後、ヒトおよびマウスC5aに関する用量応答曲線を得たが、これは、huC5aに関しては0.1nMおよびmC5aに関しては0.3nMという半数効果濃度(EC50)を示した。スピーゲルマーによる走化性の抑制に関する実験のために、0.1nMヒトC5aおよび0.3nMマウスC5aを用いた。
実施例14:グルカゴン結合スピーゲルマーによるグルカゴン誘導性cAMP産生の阻害
pCR3.1ベクター(Invitrogen)中でヒトグルカゴン受容体をコードする配列(NCBI寄託番号NM_000160)をクローニングすることにより、グルカゴンに関するヒト受容体を発現する安定的トランスフェクト化細胞株を生成した。無血清培地(UltraCHO、Lonza)中で増殖させるために適合されたCHO細胞を、グルカゴン受容体プラスミドでトランスフェクトして、安定的トランスフェクト化細胞を、ゲネチシンでの処置により選択した。
阻害実験のために、グルカゴン受容体を発現するCHO細胞を、4〜6かける104/ウェルの密度で96ウェルプレート(処置済細胞培養、平底)上にプレート化して、100単位/mlペニシリン、100μg/mlストレプトマイシンおよび0.5mg/mlゲンタマイシンを含有するUltraCHO培地中で、37℃、5%CO2で一晩培養した後、3−イソブチル−1−メチルキサンチン(IBMX)の刺激溶液を付加して、最終濃度を1mMとした。
ハンクス平衡塩溶液(HBSS)+1mg/ml BSA中で刺激溶液(グルカゴン+種々の濃度のスピーゲルマー)を作成し、37℃で30分間インキュベートした。細胞への付加の直前に、IBMXを付加して、最終濃度を1mMとした。刺激のために、培地を細胞から除去して、刺激溶液(グルカゴン+スピーゲルマー)を付加した。37℃で30分間のインキュベーション後、溶液を除去し、cAMP−Screen(商標)Systemキット(Applied Biosystems)の一構成成分である溶解緩衝液中に溶解した。このキットを、供給元の使用説明書に従って、cAMP含量の決定のために用いた。
参考文献
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本明細書、特許請求の範囲および/または図面中に開示される本発明の特徴は、別々に、ならびにその任意の組合せで、その種々の形態で本発明を具体化するための構成要素であり得る。