JP2014503712A - コポリマー繊維およびコポリマー繊維を製造するための方法 - Google Patents

コポリマー繊維およびコポリマー繊維を製造するための方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、パラ−フェニレンジアミン、5(6)−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾイミダゾール、およびテレフタロイルジクロリドの共重合から得られるコポリマーを含んでなる糸条に関し、5(6)−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾイミダゾールのモル数とパラ−フェニレンジアミンのモル数との比は、30/70〜85/15である。糸条は、硫黄含量0.1%超を有し、少なくとも0.3の、有効なポリマーカチオン/硫黄含量のモル比を有する。本発明のさらなる態様は、このような糸条を生成する方法に関する。

Description

本特許出願は、長期の加水分解安定性を有するイミダゾール官能基を有するモノマーを有意量含有するコポリマーからなる繊維および糸条と、このような繊維および糸条を生成する方法とに関する。
ここ数十年にわたる高分子化学および技術の躍進は、高性能の高分子繊維の開発を可能としてきた。例えば、剛直棒状および半剛直棒状ポリマーの液晶ポリマー溶液は、液晶ポリマー溶液をドープフィラメントに紡糸して、ドープフィラメントから溶媒を除去し、繊維を洗浄して乾燥し、必要に応じて、乾燥繊維をさらに加熱処理することにより、高強度繊維に形成されることが可能である。高性能の高分子繊維の一例は、パラアラミド繊維、例えば、ポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)(「PPD−T」または「PPTA」)である。
繊維強度は、典型的には、1つもしくは複数のポリマーのパラメーター(組成、分子量、分子間相互作用、骨格、残留溶媒または残留水、高分子配向、およびプロセス履歴を含む)に相関する。例えば、繊維強度は、典型的には、ポリマーの長さ(つまり、分子量)、ポリマー配向、および強い求引性の分子間相互作用の存在と共に増大する。高分子量の剛直棒状ポリマーは、繊維に紡糸できるポリマー溶液(「ドープ」)を形成するのに有用であるので、分子量を増大することは、典型的に、結果として繊維強度を増大する。
5(6)−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾイミダゾール、パラ−フェニレンジアミンおよびテレフタロイルジクロリドから得られる繊維は、当技術分野で公知である。塩酸が、重合反応の副産物として生成される。このようなコポリマーから作製される繊維の大部分は、一般的に、さらなる処理をすることなく、重合溶液から直接紡糸されてきた。このようなコポリマーは、例えば商標名Armos(登録商標)およびRusar(登録商標)の下でロシアで製造される高強度繊維の基盤である。ロシア特許出願第2,045,586号明細書を参照のこと。しかしながら、コポリマーは、重合溶媒から単離された後、別の溶媒(典型的には、硫酸)に再び溶解されて、繊維に紡糸されることが可能である。
これまでは、5(6)−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾイミダゾール、パラ−フェニレンジアミンおよびテレフタロイルジクロリドのコポリマーから得られる繊維は、硫酸溶液から紡糸される場合、効果的な中和が非常に難しく、これらの繊維が他のアラミドホモポリマーよりもかなり高い濃度までその硫酸を保持することは、十分理解されていなかった。アラミドホモポリマーのポリ(パラフェニレンテレフタルアミド)の硫酸溶液から製造される繊維は、ホモポリマーが硫酸と結合すると判断できる部位を持たないので、素早くそして容易に中和/洗浄されることが可能であるとする貴重な技術教示が存在する。5(6)−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾイミダゾール、パラ−フェニレンジアミンおよびテレフタロイルジクロリドのコポリマーは、イミダゾール官能基のため、硫酸をポリマー鎖に実質的に結合させると考えられる複数の部位を有する。従って、典型的なホモポリマー繊維の処理に使用される中和/洗浄の先行技術は、これらのコポリマー繊維には適切ではない。
これらのコポリマー繊維は、長期の加水分解安定性を有する繊維および/または糸条を提供するために、ほぼ全ての硫酸を除去するように、十分な洗浄および中和がされなければならないとさらに考えられている。従って、これらのコポリマー繊維を洗浄および中和する新規の方法が、必要とされる。
重合溶液から直接コポリマー繊維を作製し、弾道および他のアラミド最終用途に使用される良好な製品を生産する公知の方法は、非常に乏しい投資財力ではかなり高価なものである。従って、当技術分野で公知の方法と比べて経済性が改善されてかつ長期に渡って優れた物理的特性を有するコポリマー繊維を提供する、一般的な溶媒(例、硫酸)にコポリマーを溶解する製造方法に対する必要性が当技術分野に存在する。
いくつかの実施形態において、本発明は、パラ−フェニレンジアミン、5(6)−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾイミダゾール、およびテレフタロイルジクロリドの共重合から得られるコポリマーを含んでなる糸条に関し、5(6)−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾイミダゾールのモル数とパラ−フェニレンジアミンのモル数との比は、30/70〜85/15であり、糸条は、0.1%超の硫黄含量を有し、糸条は、少なくとも0.3の、有効なポリマーカチオン/硫黄含量のモル比を有する。有効なポリマーカチオン/硫黄含量のモル比は、ナトリウム(Na)含量+2×カルシウム(Ca)含量+カリウム(K)含量−塩素(Cl)含量の合計、その合計を糸条中の硫黄(S)含量で除する値として定義される。つまり
Figure 2014503712
式中、記号[Na]、[Ca]、[K]、[Cl]、および[S]は、ポリマー中のこれらのイオンの濃度(モル/キログラム)である。いくつかの実施形態において、5(6)−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾイミダゾールのモル数とパラ−フェニレンジアミンのモル数との比は、45/55〜85/15である。
特定の実施形態において、(a)パラ−フェニレンジアミンおよび5(6)−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾイミダゾールと(b)テレフタロイルジクロリドとのモル比は、0.9〜1.1である。
本発明のいくつかの態様は、パラ−フェニレンジアミン、5(6)−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾイミダゾール、およびテレフタロイルジクロリドの共重合から得られるコポリマーを含んでなる糸条に関し、5(6)−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾイミダゾールのモル数とパラ−フェニレンジアミンのモル数との比は、30/70〜85/15であり、糸条は、硫黄含量0.1%超を有し、イミダゾール環の少なくとも20%が、遊離塩基の状態である。いくつかの実施形態において、イミダゾール環の少なくとも50%が、遊離塩基の状態である。いくつかの他の実施形態において、イミダゾール環の少なくとも75%が、遊離塩基の状態である。いくつかの実施形態において、5(6)−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾイミダゾールのモル数とパラ−フェニレンジアミンのモル数との比は、45/55〜85/15である。
「遊離塩基」とは、イミダゾール環上の窒素が完全にプロトン化していない、つまり、イミダゾール環が、塩形態で存在しないことを意味する。
糸条は、少なくとも1.0の、有効なポリマー作用/硫黄含量のモル比、もしくは少なくとも1.5の、有効なポリマー作用/硫黄含量のモル比を有してもよい。
本発明の他の態様は、パラ−フェニレンジアミン、5(6)−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾイミダゾール、およびテレフタロイルジクロリドの共重合から得られるフィラメントまたは糸条を処理するための方法に関し、5(6)−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾイミダゾールのモル数とパラ−フェニレンジアミンのモル数との比は、30/70〜85/15であり、フィラメントは、硫黄含量0.1%超を有し、その方法は、少なくとも0.3の、有効なポリマーカチオン/硫黄含量のモル比を有するフィラメントを提供するのに十分な時間、塩基性水溶液でフィラメントを洗浄することを備える。いくつかの実施形態において、5(6)−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾイミダゾールのモル数とパラ−フェニレンジアミンのモル数との比は、45/55〜85/15である。
いくつかの実施形態において、糸条は、60秒を超える期間、塩基性水溶液で洗浄される。特定の実施形態において、糸条を塩基性水溶液に接触させる前および後に、糸条は、水でさらに洗浄される。いくつかの好適な塩基性水溶液は、水酸化ナトリウムを含んでなる。いくつかの例において、中和溶液は、1リットル当たり0.01〜1.25モルの塩基、好ましくは1リットル当たり0.01〜0.5モルの塩基を含有する水溶液である。
本発明は、糸条の引張強さ25gpd以上を有する糸条にも関する。
本発明は、また、パラ−フェニレンジアミン、5(6)−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾイミダゾール、およびテレフタロイルジクロリドの共重合から得られるコポリマーを含んでなるフィラメントから、硫黄含量0.1%超を有する糸条を製造するための方法に関し、その方法は、
a)酸負荷の(acid−laden)糸条を紡糸し、収集する工程と、
b)別個の工程において、酸負荷の糸条を最初に洗浄して中和された糸条を形成し、その後その糸条を熱処理する工程とを備え、
中和工程は、有効なポリマーカチオン/硫黄含量のモル比が約0.3以上である糸条を提供する。
前述の概要と同様に以下の詳細の説明は、添付の図面と共に読む際にさらに理解される。本発明を例証する目的のために、本発明の典型的な実施形態が図面に示される。しかしながら、本発明は、開示された特定の方法、組成、および装置に限定されない。
繊維の生成方法の概略図である。 有効なカチオン/硫黄含量のモル比([Na]+2[Ca]+[K]−[Cl])/[S]に対しての繊維の加水分解条件のもとでの強度残率%のプロットを表す。
本発明は、本開示の一部を形成する以下の詳細な説明を、添付の図面および実施例と関連して参照することにより、さらに容易に理解されるであろう。本発明は、本明細書に記載されるおよび/または示される具体的な装置、方法、条件もしくはパラメーターに限定されず、本明細書に用いられる専門用語は一例としてのみ特定の実施形態を記載する目的のためのものであり、そして特許請求される本発明を限定することを意図されないことを理解するべきである。
添付の請求項を含む本明細書で使用される単数形「a」、「an」および「the」には、複数形が含まれ、ある特定の数値についての言及は、文脈が特に明らかに指示しない限り、少なくともその特定の値を含む。値の範囲が表される場合、別の実施形態は、1つの特定の値からおよび/または他の特定の値までを含む。同様に、値が先行する「約」を用いて近似値として表される場合、特定の値は、別の実施形態を形成すると理解されるであろう。全て範囲は、包括的であり、そして組み合わせ可能である。任意の変数が、任意の構成要素においてまたは任意の式において、2回以上出現する場合、各々の出現におけるその定義は、全ての他の出現におけるその定義から独立している。置換基および/または変数の組み合わせは、このような組み合わせが結果として安定した化合物となる場合に限り、許容される。
本発明は、5(6)−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾイミダゾール、パラ−フェニレンジアミンおよびテレフタロイルジクロリドの重合を、NMP/CaClまたはDMAC/CaCl中で高い固形分濃度(7パーセント以上)で実施し、コポリマーのクラムを単離し、単離したコポリマーのクラムを濃硫酸に溶かし、液晶溶液を生成し、溶液を繊維に紡糸する方法に関する。「固形分濃度」とは、溶液の総質量(つまり、コポリマー+溶媒の質量)に対するコポリマーの質量の比を意味する。
5(6)−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾイミダゾール、パラ−フェニレンジアミンおよびテレフタロイルジクロリドの共重合反応は、当技術分野で公知の手段によって、達成されることができる。例えば、PCT特許出願第2005/054337号パンフレットおよび米国特許出願公開第2010/0029159号明細書を参照のこと。典型的には、酸塩化物と芳香族ジアミンが、アミド極性溶媒(例、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルイミダゾリジノン等)中で反応する。いくつかの実施形態において、N−メチル−2−ピロリドンが、好適である。
いくつかの実施形態において、重合前もしくは重合中に、無機塩の溶解剤(例、塩化リチウムまたは塩化カルシウム等)を適切な量で添加して、アミド極性溶媒中の生成した共重合ポリアミドの溶解度を高める。典型的には、アミド極性溶媒に対して3〜10重量%を加える。所望の重合度が達成された後、コポリマーは、未中和のクラムの形態で存在する。「クラム」とは、コポリマーが、剪断された際に特定可能な別個の塊に容易く分離する脆性物質かゲルの形態であることを意味する。未中和のクラムには、コポリマー、重合溶媒、溶解剤および縮合反応の副産物の水と酸(典型的には塩酸(HCl))が含まれる。
重合反応を完了した後、未中和のクラムは、塩基性無機化合物でありうる塩基(例、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、水酸化アンモニウム等)と接触され、通常は水溶液の形態で、添加され、HCl副産物の中和反応を実施する。必要に応じて、塩基性化合物が、有機塩基(例、ジエチルアミンまたはトリブチルアミンまたは他のアミン)であってもよい。通常は、未中和のコポリマーのクラムは、洗浄により水性塩基と接触し、酸性副産物を塩(一般的に、水酸化ナトリウムが塩基、HClが酸性副産物であるならば、塩化ナトリウム塩)に変え、また、重合溶媒の一部が除去される。必要に応じて、塩基性無機化合物と接触させる前に、未中和のコポリマーのクラムを1回もしくはそれ以上水で最初に洗浄して過剰の重合溶媒を除去してもよい。コポリマーのクラム中の酸性副産物が一旦中和されると、必要ならば、追加の水洗浄を用いて、塩および重合溶媒を除去して、クラムのpHを下げることができる。
本発明は、また、パラ−フェニレンジアミン、5(6)−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾイミダゾール、およびテレフタロイルジクロリドの共重合から得られるコポリマーのクラムを硫酸に溶かし紡糸溶液を形成することを備えるアラミド糸条を形成するための方法にも関し、前記紡糸溶液を形成する前に、コポリマーのクラムが中和される。前記コポリマーは、少なくとも3dl/gの固有粘度を有し、0.4モル/Kg未満の滴定酸度を有する。好適な一実施形態において、コポリマーのクラムは、水性塩基で洗浄されることにより、中和される。テレフタロイルジクロリドは、テレフタロイルクロリドとしても知られている。
コポリマーは、溶液紡糸を用いて繊維に紡糸されるのが好ましい。一般的に、これは、中和されたコポリマーのクラムを適切な溶媒に溶解して紡糸液(紡糸ドープとしても知られている)を形成することを伴い、好適な溶媒は硫酸である。発明者らは、本明細書に記載される中和されたコポリマーのクラムを使用すると、このような中和されたクラムが溶解プロセスにおいて硫酸と化合される場合に、紡糸ドープの気泡の形成が劇的に低減されることを見出した。コポリマーのクラムが中和されないならば、コポリマー中の塩酸副産物は、硫酸と接触される際に蒸発して、紡糸ドープ中に気泡を形成するだろう。紡糸ドープの溶液粘度は、比較的高いので、溶解する間に形成されるこのような全ての気泡は、紡糸ドープ中に留まりやすく、そしてフィラメントに紡糸される。中和されたコポリマーのクラムは、硫酸に溶解される際に本質的に気泡を提供しないので、均一性にさらに優れたコポリマーのフィラメントおよび繊維を提供すると考えられる、より均一な紡糸溶液を提供する。
本明細書に記載のコポリマーを含有する紡糸ドープは、任意の数のプロセスを用いて、ドープフィラメントに紡糸されることができる。しかしながら、湿式紡糸および「エアギャップ」紡糸が最もよく知られている。これらの紡糸プロセスのための紡糸口金および浴の一般的な配置は、当技術分野でよく知られており、米国特許第3,227,793号明細書、米国特許第3,414,645号明細書、米国特許第3,767,756号明細書、および米国特許第5,667,743号明細書における図面で、高強度ポリマーのためのこのような紡糸プロセスを例証できる。「エアギャップ」紡糸において、紡糸口金は、典型的には繊維を最初にガス(例、空気)中に押出す、そしてフィラメントを形成するのに好適な方法である。
中和されたコポリマーのクラムを有する紡糸ドープを生成するのに加えて、最も良好な繊維特性のために、酸性溶媒から繊維を紡糸する製造プロセスは、ドープフィラメントから酸性溶媒を抽出するだけでなく、繊維中のコポリマーと会合または結合するいかなる残留酸をもさらに除去および/または中和する工程を追加的に含むのが望ましいと考えられている。さもないと、繊維中のコポリマーのさらなる潜在的劣化を招き、続いて時間が経つと繊維の機械的特性を低下させる結果となると考えられている。
コポリマーの糸条を作製する一つのプロセスを図1に示す。ドープ溶液2は、コポリマーと硫酸とを含んでなり、典型的には、押出しおよび凝固の後に許容できるフィラメント6を形成するポリマーにとって十分に高い濃度のポリマーを含有する。ポリマーがリオトロピック液晶である場合、ドープ2中のポリマーの濃度は、液晶ドープを提供するのに十分に高いのが好ましい。ポリマーの濃度は、好ましくは少なくとも約7重量パーセント、さらに好ましくは少なくとも約10重量パーセント、最も好ましくは少なくとも約14重量パーセントである。
ポリマードープ溶液2は、通例組み込まれる添加剤(例、酸化防止剤、潤滑剤、紫外線遮蔽剤、着色剤等)を含有してもよい。
ポリマードープ溶液2は、典型的には、押出ダイまたは紡糸口金4を介して押出または紡糸されて、ドープフィラメント6を調製または形成する。紡糸口金4は、複数の孔を含むのが好ましい。紡糸口金の孔の数およびそれらの配置は、重要ではないが、経済的な理由により、孔の数を最大とするのが望ましい。紡糸口金4は、100または1000、またはそれより多く含むことが可能であり、それらは、円、格子、もしくはその他の所望の配置に配置されてもよい。紡糸口金4は、ドープ溶液2によって著しく劣化されないだろう任意の材料から構成されてもよい。
図1の紡糸プロセスは、「エアギャップ」紡糸(「乾式ジェット」湿式紡糸として公知のこともある)を採用する。ドープ溶液2は、紡糸口金4を出て、非常に短い期間、紡糸口金4と凝固浴10の間のギャップ8(空気を含有する必要はないが、典型的に「エアギャップ」と呼ばれる)に入る。ギャップ8は、ドープと凝固も逆反応も誘発しない任意の流体(例、空気、窒素、アルゴン、ヘリウム、または二酸化炭素)を含有してもよい。ドープフィラメント6は、エアギャップ8を横切って進み、直ぐに液体凝固浴に導入される。別の方法として、繊維は、「湿式紡糸」(示されていない)であってよい。湿式紡糸において、紡糸口金は、典型的には繊維を直接凝固浴の液体に押出し、標準的に紡糸口金は、凝固浴の表面の真下に浸されるまたは位置される。本発明の方法で使用される繊維を提供するのに、どちらかの紡糸プロセスを用いてもよい。本発明のいくつかの実施形態において、エアギャップ紡糸が、好適である。
フィラメント6は、水または水と硫酸の混合液を含有する凝固浴10において、「凝固される」。複数のフィラメントが同時に押出されるならば、凝固工程の前、凝固工程中、もしくは凝固工程後に、複数のフィラメントを連合してマルチフィラメント糸条としてもよい。本明細書で使用される用語「凝固」は、ドープフィラメント6が流動液体であることおよび固相に変わることを必ずしも意味しない。ドープフィラメント6は、十分に低い温度でありうるので、凝固浴10に入る前、本質的に非流動である。しかしながら、凝固浴10は、フィラメントの凝固(つまり、ドープ溶液2からほぼ固体のポリマーフィラメント12へのポリマーの転化)を確実にするもしくは完了する。凝固工程中に除去される溶媒(つまり、硫酸)の量は、フィラメント6の凝固浴における滞留時間、浴10の温度、およびそこでの溶媒の濃度に応じて変わりうる。例えば、約23℃の温度、約1秒の滞留時間で、18重量パーセントのコポリマー/硫酸溶液を用いると、フィラメント6に存在する溶媒の約30パーセントが除去されるだろう。
凝固浴の後、繊維は、1つもしくは複数の洗浄浴またはキャビネット14と接触してもよい。洗浄は、繊維を浴中に浸すことによりもしくは繊維に水溶液を噴霧することにより、達成されてもよい。洗浄キャビネットは、典型的には、キャビネットを出る前に糸条が何回も周りを動き横切る1つもしくは複数のロールを含む密閉キャビネットを含んでなる。糸条12は、ロールの周りを動く際に、洗浄流体を噴霧される。洗浄流体は、キャビネットの底に連続的に収集されて、排出される。
洗浄流体の温度は、好ましくは30℃超である。洗浄流体は、蒸気の形態(スチーム)で適用されてもよいが、液体の形態で使用されるのがさらに便利である。多数の洗浄浴またはキャビネットが用いられるのが好ましい。任意の1つの洗浄浴またはキャビネット14での糸条12の滞留時間は、糸条12中の残留硫黄の所望の濃度に応じて変わるだろう。連続プロセスにおいて、好適な複数の洗浄浴および/またはキャビネットにおける全洗浄プロセスの所要時間は、好ましくは約10分以内、さらに好ましくは約5秒超である。いくつかの実施形態において、全洗浄プロセスの所要時間は、20秒以上である。いくつかの実施形態において、全洗浄は、400秒以内で達成される。バッチ法において、全洗浄プロセスの所要時間は、時間の幅で、12時間〜24時間程度、またはそれ以上である。
糸条中の硫酸の中和は、浴またはキャビネット16中で生じうる。いくつかの実施形態において、中和浴またはキャビネットは、1つもしくは複数の洗浄浴またはキャビネットの後に続いてよい。繊維を浴内に浸すことによりもしくは繊維に水溶液を噴霧することにより、洗浄が、達成されてもよい。中和は、1つの浴またはキャビネットで生じても、複数の浴またはキャビネットで生じてもよい。いくつかの実施形態において、硫酸不純物の中和に好適な塩基として、NaOH、KOH、NaCO、NaHCO、NHOH、Ca(OH)、KCO、KHCO、もしくはトリアルキルアミン(好ましくはトリブチルアミン)、他のアミン、もしくはそれらの混合物が挙げられる。一実施形態において、塩基は、水溶性である。いくつかの好適な例において、中和溶液は、1リットル当り0.01〜1.25モルの塩基、好ましくは1リットル当り0.01〜0.5モルの塩基を含有する水溶液である。カチオンの量も、塩基にさらされる時間および温度、そして洗浄方法に応じて変わる。いくつかの好適な実施形態において、塩基は、NaOHまたはCa(OH)である。
繊維を塩基で処理した後、プロセスは、水または酸を含有する洗浄溶液に糸条を接触させて全てもしくはほぼ全ての過剰の塩基を除去する工程を含んでもよい。この洗浄溶液は、1つもしくは複数の洗浄浴またはキャビネット18において適用されることができる。
洗浄および中和後、繊維もしくは糸条12を乾燥機20で乾燥させて、水および他の液体を除去してもよい。1台もしくは複数の乾燥機を使用してもよい。特定の実施形態において、乾燥機は、熱風を用いて繊維を乾燥させる炉であってよい。他の実施形態において、加熱ロールを用いて繊維を加熱してもよい。繊維は、少なくとも約20℃の温度(しかし約100℃未満)で、繊維の含水量が、繊維の20重量パーセント以下になるまで、乾燥機内で加熱される。いくつかの実施形態において、繊維は、85℃以下まで加熱される。いくつかの実施形態において、繊維は、これらの条件下で、繊維の含水量が繊維の14重量パーセント以下まで、加熱される。発明者らは、低温乾燥は繊維強度を改善するのに好適な手段であることを発見した。具体的には、発明者らは、未乾燥糸条が体験した最初の乾燥工程(つまり、加熱ロール、炉内におけるような加熱雰囲気等)は、工業規模で高強度繊維を乾燥させるのに使用される連続プロセスにおいて通常使用されない適度の温度で実施される場合に、最も良好な繊維強度の特性が達成されることを見出した。コポリマー繊維は、水に対してPPD−Tホモポリマーよりも大きい親和力を有すると考えられ、この親和力は、乾燥中のポリマーからの拡散速度を示し、従って、未乾燥糸条が典型的な高い乾燥温度に直接さらされるならば、一般的に大きな熱駆動力を作りだし、乾燥時間を低減し、繊維に修復できないほどの損傷が生じ、結果として劣等な繊維強度となる。いくつかの実施形態において、繊維は、少なくとも約30℃まで加熱される。いくつかの実施形態において、少なくとも約40℃まで加熱される。
乾燥機の滞留時間は、10分未満、好ましくは180秒未満である。乾燥機は、窒素もしくは他の非反応性雰囲気を提供されうる。乾燥工程は、典型的には大気圧で実施される。しかしながら、必要に応じてその工程を減圧下で実施してもよい。一実施形態において、糸条は、少なくとも0.1gpdの張力下で、好ましくは2gpd以上の張力下で乾燥される。
乾燥工程の後、繊維は、例えば熱硬化装置22内で少なくとも350℃の温度まで加熱されるのが好ましい。1台もしくは複数の装置を利用してもよい。例えば、このような処理は、引張強さを増大させるおよび/またはフィラメント中の分子の機械的歪みを緩和するために、窒素パージした管状炉22において、実施されてもよい。いくつかの実施形態において、繊維または糸条は、少なくとも400℃の温度まで加熱される。一実施形態において、糸条は、加熱装置を通って糸条を前進させるのに十分なだけの張力を用いて、さらに1gpd以下の張力下に加熱される。
いくつかの実施形態において、加熱は、複数工程のプロセスである。例えば、第一工程において、繊維もしくは糸条は、200〜360℃の温度で、少なくとも0.2cN/dtexの張力で加熱され、次に繊維もしくは糸条が、370〜500℃の温度、1cN/dtex未満の張力で加熱される第二加熱工程が続く。
最終的に、糸条12は、巻き上げ装置24のパッケージに巻き上げられる。ロール、ピン、ガイドおよび/または電動装置26は、プロセスを通して糸条を運ぶのに適切に位置付される。このような装置は、当技術分野でよく知られており、任意の適切な装置を利用してよい。
ポリマーの分子量は、典型的には、1種もしくは複数種の希薄溶液の粘度測定によってモニターされ、そしてそれに相関される。従って、相対粘度(「Vrel」または「ηrel」もしくは「nrel」)および固有粘度(「Vinh」または「ηinh」もしくは「ninh」)の希薄溶液測定は、典型的に、ポリマー分子量をモニターするために使用される。希薄ポリマー溶液の相対粘度および固有粘度は、以下の式で関連づけられ、
inh=ln(Vrel)/C
式中、lnは、自然対数関数であり、Cは、ポリマー溶液の濃度である。Vrelは、無単位の比率であり、このようにVinhは、濃度の逆数を単位として、典型的にはデシリットル/グラム(「dl/g」)として表される。
本発明は、さらに、一部分、本発明のフィラメントまたは糸条を含む布帛と、本発明の布帛を含む物品とに関する。本明細書において目的のために、「布帛」は、任意の製織、製編、または不織構造を意味する。「製織」とは、任意の織布(例、平織、千鳥綾織、斜子織、朱子織、綾織等)を意味する。「製編」とは、1本もしくは複数のエンド、繊維またはマルチフィラメント糸条を交互にループするもしくは交互に編むことにより生成される構造を意味する。「不織」とは、一方向繊維(母材樹脂に含まれるならば)、フェルト等を含む繊維網を意味する。
「繊維」は、その長さに垂直なその横断面を横切る幅に対する長さの高い比を有する、相対的に柔軟性の、物質の構成単位を意味する。本明細書において、用語「繊維」は、用語「フィラメント」と相互に交換して使用される。本明細書に記載されるフィラメントの断面は、任意の形状であることが可能であるが、典型的に円形または豆形である。パッケージ内のボビンに紡糸された繊維は、連続繊維と呼ばれる。繊維は、ステープル繊維と呼ばれる短い長さに切断されることができる。繊維は、フロックと呼ばれるさらに短い長さにさえ切断されることができる。本明細書で使用される用語「糸条」は、フィラメントの束(マルチフィラメント糸条としても知られている)、または複数の繊維を含んでなるトウ、もしくはスパンステープル糸を含む。糸条は、縒り合わせられるおよび/または撚られることが可能である。
試験方法
強度残率による尺度として、加水分解安定性加速試験(Accelerated Hydrolytic Stability)は、以下の方法論を用いて、実施されることができる。評価される試料の2つの25メートルのかせを調製した。一方のかせをオートクレーブ内に吊るし、150℃で24時間、飽和蒸気で処理する。次に、両方のかせを75゜F(23.0℃)、55%の相対湿度で最小24時間コンディショニングする。撚り係数33.7(撚り係数=回/メートル×平方根(デシテックス)/100)まで、各かせからの試験片にハンド撚糸機上で撚りを掛け、ASTM D885に記載される方法に従って、破断強さを測定する。蒸気処理した糸条の強度を未処理の糸条の強度で除して、100を乗じて、強度残率(百分率)を見積もる。
糸条の引張強さは、ASTM D885に従って測定され、力/単位断面積(ギガパスカル(GPa)として)、または力/単位質量/長さ(グラム/デニールまたはグラム/dtex)のどちらかで表される、繊維の最大応力または破壊応力である。
固有粘度は、96wt%の濃度を有する濃硫酸に、ポリマー濃度(C)0.5g/dl、温度25℃で、ポリマーを溶かした溶液を用いて測定される。固有粘度は、ln(tpoly/tsolv)/Cとして算出され、式中、tpolyは、ポリマー溶液の滴下時間であり、tsolvは、純溶媒の滴下時間である。
繊維の含水量は、最初に繊維試料を秤量し、300℃で20分間、試料を炉に入れた後、直ちに試料を再び秤量することにより、得られた。次に、含水量は、初期の試料重量から乾燥試料の重量を減じて、乾燥試料の重量で割って100を掛けて、算出される。
硫黄、カルシウム、ナトリウム、カリウムおよびクロリドのXRF分析は、以下の通り測定する。
試料調製−アラミド材料をSPEX X−Pressにより、10Tの圧力で1分間プレスして、直径13mmのタブレットにした。
XRF測定−パナリティカル・アクシオス(Panalytical Axios)の高精度(Advanced)蛍光X線分析装置および13mmタブレット用のステンレス鋼の試料ホルダーを用いて、この測定を実施した。
以下の機器設定を適用した。
X線管: ロジウム
検出器: Ca、K、Cl、Na、S用フローカウンター
フィルター: なし
コリメーターマスク: 10mm
媒体: 真空
機器設定は、以下の通りであった。
Figure 2014503712
量子化の原理により、Na−、S−、Cl−、K−およびCa−Kα蛍光強度と公知の濃度の直線関係に基づき検量線が付与され、検量線は、未知の濃度を決定するのに使用される。糸条中の酸濃度は、滴定により、以下の通り決定される。糸条の試料を約10グラム量る。蒸留水250mlと糸条をステンレス鋼のビーカーに加える。1規定のNaOH溶液150mlをビーカーに加える(添加されたNaOH溶液(ml)≡A)(NaOH溶液の規定度≡B)。ビーカーを覆い、フードの内部のホットプレートの上に置き、15分間煮沸させる。次に、その液体と糸条を室温まで冷却させる。液体から糸条を取り出し、空重量測定したアルミニウム皿に入れ、直ちに糸条試料とアルミニウム皿を一緒に秤量する。(湿潤糸条+皿の重量(g)≡C)(皿の重量(g)≡D)次に、ビーカー内に残った液体の重量を秤量する。(液体の重量≡E)次に、湿潤糸条試料を真空炉内で一晩中乾燥させた後、乾燥糸条を皿と共に秤量する。(乾燥糸条+皿の重量≡F)
次に、ビーカーに残った液体10グラムをフラスコの中に撹拌棒と共に入れて、撹拌する。次に、3滴のブロモチモールブルー(Bromthymol Blue)指示薬をフラスコに添加する。その次に、0.05規定のHClで試料を滴定する。指示薬の色が青から緑/黄色に変化するまで、HClをゆっくりと試料に加える。(0.05NのHClの滴定量≡G)(HCl溶液の規定度≡H)以下の式から、糸条中の酸の百分率を算出する。
Figure 2014503712
多くの以下の実施例は、本発明の様々な実施形態を例示するために提供され、決して限定するものと理解されるべきではない。特に明記しない限り、全ての部および百分率は重量によるものである。
全般
モノマーの、パラ−フェニレンジアミン(PPD)、5(6)−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾイミダゾール(DAPBI)およびテレフタロイルジクロリド(TCL)を共重合して、コポリマーを製造する。DAPBI/PPD/TLCコポリマーは、70/30のDAPBI/PPDモル比を有し、20%の固形分濃度で硫酸中に溶かされており、パラ−アラミドホモポリマーに使用されるプロセスと同様なドライジェット湿式紡糸プロセスを用いて、紡糸される。米国特許第3,767,756号明細書を参照のこと。糸条は、9本のフィラメントからなり、各フィラメントは、約3デニールの公称線密度を有し、フィラメントコポリマーの固有粘度は、約4.25dl/gである。未洗浄の糸条の硫酸含量は、滴定により測定すると、約50%である。次に、さらなる試験をするために、多くの50メートル試料を個別の管に巻き付ける。
実施例1
管上の未洗浄の糸条試験片1つを連続補充される溢れる脱イオン水の浴に、約20℃で12時間入れる。次に、管上の糸条試験片を2.0wt%の水酸化ナトリウム水溶液1リットル(0.5モルNaOH/リットル)と接触させて1時間置く。次に、糸条試験片を連続補充される溢れる脱イオン水の浴に、約20℃で1時間入れる。その次に、過剰の液体を糸条から除去し、それを管状炉内において160℃で乾燥させる。そして、糸条を、第一炉において300℃、4.5cN/dtexで、その後第二炉において450℃、0.15cN/dtexで、窒素下で熱処理する。カチオンの近似量およびそれらの算出濃度に関するデータを表1に示す。有効なポリマーカチオン/硫黄含量のモル比は、約1であり、予想される加水分解での強度残率は、約70%である。表において、重量パーセント、百万分率(ppm)、およびモル/kgは、糸条中の元素に関してである。
比較例AおよびB
比較例Aに関して、管上の別の未洗浄の糸条試験片で実施例1を繰り返す。しかしながら、2.0wt%の水酸化ナトリウム水溶液を0.8wt%の水酸化ナトリウム水溶液(0.2モルNaOH/リットル)と取り替える。この塩基濃度の減少は、糸条に中和力の低下をもたらす。カチオンの近似量およびそれらの算出濃度に関するデータを表1に示す。有効なポリマーカチオン/硫黄含量のモル比は、約0.1であり、予想される加水分解での強度残率は、僅か約40%である。
比較例Bに関して、実施例Aを繰り返すが、しかしながら、0.8wt%の水酸化ナトリウム水溶液で洗浄後、2回目の水洗浄は、1時間の洗浄から8時間の洗浄に増大する。カチオンの近似量およびそれらの算出濃度に関するデータを表1に示す。有効なポリマーカチオン/硫黄含量のモル比は、比較例Aよりも小さく(約0.1未満)、予想される加水分解での強度残率は、僅か約30%である。0.8wt%の水酸化ナトリウム溶液は、十分な中和力を提供せず、処理後の追加の洗浄は、単に水酸化ナトリウムを除去し、コポリマーの遅い中和反応速度を示唆すると考えられる。
Figure 2014503712
実施例2
実施例1を繰り返すが、しかしながら、最初の水洗浄は、12時間から8時間に低減する。有効なポリマーカチオン/硫黄含量のモル比は、約0.5であり、予想される加水分解での強度残率は、1回目の水洗浄の影響を反映して、実施例1よりも小さく約55%である。
実施例3
実施例1を繰り返すが、しかしながら、最初の水洗浄は、12時間から16時間に増大する。有効なポリマーカチオン/硫黄含量のモル比は、約2であり、予想される加水分解での強度残率は、1回目の水洗浄の影響を反映して、実施例1よりも大きく、約80%である。
実施例4
実施例1を繰り返すが、しかしながら、最初の水洗浄は、12時間から48時間に増大し、実施例1において糸条を2.0wt%の水酸化ナトリウム水溶液に1時間接触させたのに対して、糸条を1.0wt%の水酸化ナトリウム水溶液に2時間接触させる。有効なポリマーカチオン/硫黄含量のモル比は、約2であり、予想される加水分解での強度残率は、最終結果に時間および濃度の効果を反映して、実施例1よりも大きく、約80%である。表1および2からの結果を図2において、グラフで示す。
Figure 2014503712
実施例5
連続プロセスにおいて、上記の通り糸条を製造するが、しかしながら、各糸条は、270本のフィラメントを有し、各フィラメントは、3デニールの線密度を有する。10台の逐次洗浄モジュールにおいて、凝固した糸条を連続的に洗浄し、各々は、20巻き/モジュールで螺旋状に前進するラップを有する2つのロールのセットを有する。モジュール8を除いて全てのモジュールは、約60℃での水で糸条を洗浄する。モジュール8は、2.0重量パーセントのNaOH水溶液で糸条を洗浄する。各洗浄モジュールにおける滞留時間は、約35秒であり、総洗浄時間は、約350秒である。次に、過剰の液体をピン脱水機(pin dewaterer)を用いて糸条から除去し、炉内の乾燥ロールにおいて160℃で、糸条を乾燥させる。次に、第一炉において300℃、4.5cN/dtex、その後第二炉において450℃、0.15cN/dtexで、窒素下で糸条を熱処理する。有効なポリマーカチオン/硫黄含量のモル比は、約1であり、予想される加水分解での強度残率は、約70%である。

Claims (23)

  1. パラ−フェニレンジアミン、5(6)−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾイミダゾールおよびテレフタロイルジクロリドの共重合から得られるコポリマーを含んでなる糸条であって、5(6)−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾイミダゾールのモル数とパラ−フェニレンジアミンのモル数との比が、30/70〜85/15であり、
    前記糸条が、0.1%超の硫黄含量を有し、および
    前記糸条が、少なくとも0.3の、有効なポリマーカチオン/硫黄含量のモル比を有し、
    Figure 2014503712
    [式中、記号[Na]、[Ca]、[K]、[Cl]、および[S]は、ポリマー中の、モル/キログラム単位の、これらのイオンの濃度である]である糸条。
  2. 5(6)−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾイミダゾールのモル数とパラ−フェニレンジアミンのモル数との前記比が、45/55〜85/15である請求項1に記載の糸条。
  3. (a)パラ−フェニレンジアミンおよび5(6)−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾイミダゾールと(b)テレフタロイルジクロリドとのモル比が、0.9〜1.1である請求項1または2に記載の糸条。
  4. 前記有効なポリマーカチオン/硫黄含量のモル比が、少なくとも1.0である請求項1〜3のいずれか一項に記載の糸条。
  5. 前記有効なポリマーカチオン/硫黄含量のモル比が、少なくとも1.5である請求項1〜4のいずれか一項に記載の糸条。
  6. パラ−フェニレンジアミン、5(6)−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾイミダゾール、およびテレフタロイルジクロリドの共重合から得られるコポリマーを含んでなる糸条であって、5(6)−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾイミダゾールのモル数とパラ−フェニレンジアミンのモル数との比が、30/70〜85/15であり、
    前記糸条が、0.1%超の硫黄含量を有し、
    前記イミダゾール環の少なくとも20%が、遊離塩基の状態である糸条。
  7. 5(6)−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾイミダゾールのモル数とパラ−フェニレンジアミンのモル数との前記比が、45/55〜85/15である請求項6に記載の糸条。
  8. 前記イミダゾール環の少なくとも50%が、遊離塩基の状態である請求項6または7に記載の糸条。
  9. 前記イミダゾール環の少なくとも75%が、遊離塩基の状態である請求項8に記載の糸条。
  10. 前記糸条の引張強さが、25gpd以上である請求項1〜9のいずれか一項に記載の糸条。
  11. パラ−フェニレンジアミン、5(6)−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾイミダゾール、およびテレフタロイルジクロリドの共重合から得られる糸条を処理するための方法であって、5(6)−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾイミダゾールのモル数とパラ−フェニレンジアミンのモル数との比が、30/70〜85/15であり、前記糸条が、0.1%超の硫黄含量を有し、前記方法が、
    少なくとも0.3の、有効なポリマーカチオン/硫黄含量のモル比を有する糸条を提供するのに十分な時間、塩基性水溶液で前記糸条を洗浄する工程を含み、
    Figure 2014503712
    [式中、記号[Na]、[Ca]、[K]、[Cl]、および[S]は、ポリマー中の、モル/キログラム単位での、これらのイオンの濃度である]である方法。
  12. 5(6)−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾイミダゾールのモル数とパラ−フェニレンジアミンのモル数との前記比が、45/55〜85/15である請求項11に記載の方法。
  13. 前記有効なポリマーカチオン/硫黄含量のモル比が、少なくとも1.0である請求項11または12に記載の方法。
  14. 前記有効なポリマーカチオン/硫黄含量のモル比が、少なくとも1.5である請求項13に記載の方法。
  15. 前記糸条を前記塩基性水溶液に接触させる前および後に、前記糸条を水で洗浄することをさらに備える請求項11〜14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 前記塩基性水溶液が、水酸化ナトリウムを含んでなる請求項11〜15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 前記塩基性水溶液が、水1リットル当り0.01〜1.25モルの塩基の濃度を有する請求項11〜16のいずれか一項に記載の方法。
  18. パラ−フェニレンジアミン、5(6)−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾイミダゾール、およびテレフタロイルジクロリドの共重合から得られるコポリマーを含んでなるフィラメントから、硫黄含量0.1%超を有する糸条を製造する方法であって、
    a)酸負荷の糸条を紡糸し、収集する工程と、
    b)別個の工程において、前記酸負荷の糸条の1回目の洗浄を行い中和された糸条を形成し、その後前記糸条を熱処理する工程とを含み、
    前記中和工程は、有効なポリマーカチオン/硫黄含量のモル比が約0.3以上を有する糸条を提供し、
    Figure 2014503712
    [式中、記号[Na]、[Ca]、[K]、[Cl]、および[S]は、ポリマー中の、モル/キログラム単位での、これらのイオンの濃度である]である方法。
  19. 前記有効なポリマーカチオン/硫黄含量のモル比が、少なくとも1.0である請求項18に記載の方法。
  20. 前記有効なポリマーカチオン/硫黄含量のモル比が、少なくとも1.5である請求項19に記載の方法。
  21. 前記酸負荷の糸条を、前記糸条を前記塩基性水溶液に接触させる前および後に、水で洗浄することをさらに備える請求項18〜20のいずれか一項に記載の方法。
  22. 前記塩基性水溶液が、水酸化ナトリウムを含んでなる請求項21に記載の方法。
  23. 前記塩基性水溶液が、1リットル当り0.01〜1.25モルの塩基の濃度を有する請求項21または22に記載の方法。
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