JP2014503483A - ビアセチル含有量が低減されたメチルメタクリレートを製造する方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、低いレベルの弱酸を含むα,β−不飽和カルボン酸エステル、特にアクリルまたはメタクリル(以降「(メタ)アクリル」)エステル中のビアセチルを低減するための方法を提供する。
【選択図】なし

Description

関連出願への相互参照
本出願は、その全ての内容について参照により本明細書に組み込まれる2010年11月4日出願の特許仮出願番号第61/456,308号の優先権を主張するものである。
本発明は、α,β−不飽和カルボン酸エステル、特にアクリルまたはメタクリル(以降「(メタ)アクリル」)エステル中のカルボニル含有不純物を低減する方法に関する。
α,β−不飽和カルボン酸エステルを生成するための様々なプロセスが公知である。そのようなプロセスのいくつかには、プロピレン、イソブチレン、三級ブタノール、メタクロレイン、アクロレイン、またはイソブチルアルデヒドの気相酸化などによってアクリルまたはメタクリル酸を得る酸化工程が組み込まれ、これに続いて、その対応する(メタ)アクリルエステルへとエステル化される。その他のプロセスでは、アセトンシアノヒドリンの硫酸との反応によるメタクリルアミドの形成が関与し、次にこれがメタノールでエステル化されて、メチルメタクリレートが生成される。すべてではないにしても、そのようなプロセスの多くは、限定されないが、ベンズアルデヒド、ビアセチル、フルフラール、プロトアネモニン、メタクロレイン、およびアクロレインを例とするアルデヒドおよびケトンなどのカルボニル含有不純物を大量に含有する生成物混合物が得られる結果となることが知られている。このような不純物は、続いての反応においてα,β−不飽和エステルと反応する可能性があること、続いての反応においてエステルと反応することを意図するその他の反応体と相互作用を起こす可能性があること、反応を起こして着色不純物を形成する可能性があること、または続いての反応を直接阻害する可能性があることを理由として、望ましいものではない。
特に、メチルメタクリレート(MMA)の特定のエンドユーザーは、ポリ(メチルメタクリレート)シートの黄変を避けるために、3.0質量ppm(wppm)未満のビアセチル(2,3−ブタンジオン)レベルを必要とする。さらに、MMAのいくつかの用途では、検出限界未満のビアセチルレベルが必要とされる。従って、メチルメタクリレート生成の間にビアセチルレベルを低減する方法が開発されてきた。これを行うための好ましい方法は、ビアセチルと複合体化させて、MMAよりも沸点がかなり高い重成分を形成するために、オルト−フェニレンジアミン(oPD)を添加剤として用いている。先行技術(米国特許第4,668,818号明細書および欧州特許第0206230号明細書)には、ビアセチルに対して少なくとも20倍以上過剰のモル濃度にてoPDを添加することが好ましいことが記載されている。この先行技術では、oPDは、硫酸などの強酸の存在下にて、MMAエステル化反応器へ添加される。
アルデヒドおよびケトンなどのカルボニル不純物を、(メタ)アクリル酸などのα,β−不飽和酸から除去するためのアミンの使用は公知である。残念なことに、α,β−不飽和酸からの不純物の低減に効果的なアミンは、必ずしもα,β−不飽和エステルからの不純物の低減または除去に効果的ではない。たとえば、アニリンは、アクリル酸からのカルボニル不純物の低減に非常に効果的であるが、ブチルアクリレート中の不純物の低減には相当に非効果的であることが見出されている。1つの参考文献、特開昭52−23017号公報(「JK017」)は、R1−NH−R−NH−R2のタイプのポリアミンの存在下にて蒸留することによって、(メタ)アクリル酸およびエステルを精製するための方法を開示している。この方法では、中性条件の使用が必要とされ、および、「R」がフェニレン基である場合、この方法は、アミノ基が互いに直接隣接する(すなわち、1,2位、または、オルト位にある)場合にのみ効果的である。JK017の開示においてオルト位で隣接することが必要であるのは、教示されるように、ジアミンとカルボニル不純物との間で形成される環状化合物が、1,2位の関係を有するもの以外のジアミノフェニレンからは得ることができないからである。従って、たとえばレクタ−(recta-)およびパラ−フェニレンジアミンは、このようなジアミンを使用することができればその低コストおよび入手し易さから有利であろうが、それらは特に除外される。
米国特許第3,124,609号明細書は、MMAエステル化反応器ミックス(すなわち、粗MMA生成物)からのビアセチル除去のために、ヒドロキシルアミンおよびオルト−フェニレンジアミンなどのアミンを用いることを開示している。米国特許第3,124,609号明細書記載の方法で用いられるoPD:ビアセチルのモル比は、16:1であり、続いて、少なくとも30分間の保持時間、および酸の中和が行われるものであった。
米国特許第5,468,899号明細書は、MMAからカルボニル不純物を除去するために、フェニレンジアミンを含むがオルト−フェニレンジアミンは含まないアミンを用いることを記載している。米国特許第5,468,899号明細書には、ビアセチルの除去が特に扱われているわけではないが、この方法は、中和工程が必要であり、およびこの方法は、さらなる蒸留の前に、数時間の接触時間による保持工程が必要である。
米国特許第5,585,514号明細書には、別の方法が開示されており、ここでは、粗MMAの精製の過程にて、非芳香族ジアミンが、1〜2%のメタクリル酸の存在下、好ましいジアミン:ビアセチルのモル比として少なくとも10:1にて、生成物カラム(product column)にて添加される。この方法は、少なくとも10分間の保持時間が必要である。2009年8月のより最新の刊行物では、ビアセチル含有量に基づいて最大10倍過剰量のオルト−フェニレンジアミンが、メチルメタクリレート生成物精製のための最初の分離の前に粗メチルメタクリレートへ添加される方法が開示されている。リサーチ・ディスクロージャー・データベースNo.544006,リサーチ・ディスクロージャー・ジャーナル,2009年8月(Research Disclosure Database Number 544006, Research Disclosure Journal, August 2009)を参照されたい。
米国特許第4668818号明細書 欧州特許第0206230号明細書 特開昭52−23017号公報 米国特許第3124609号明細書 米国特許第5468899号明細書 米国特許第5585514号明細書
リサーチ・ディスクロージャー・データベースNo.544006,リサーチ・ディスクロージャー・ジャーナル,2009年8月(Research Disclosure Database Number 544006, Research Disclosure Journal, August 2009)
本発明によって扱われる問題は、α,β−不飽和エステル、特に(メタ)アクリルエステルからビアセチルを低減して、高純度のα,β−不飽和エステルを効率的で低コストの方法によって提供することである。
本発明は、α,β−不飽和カルボン酸エステルからビアセチルを除去するための方法を提供する。より詳細には、本発明の方法は、a)粗α,β−不飽和カルボン酸エステルを処理して、ビアセチルを含み、かつα,β−不飽和カルボン酸エステルの総質量に対して0.001質量%〜5.0質量%の弱酸含有量を有するα,β−不飽和カルボン酸エステルを生成する工程、およびb)α,β−不飽和カルボン酸エステルに、ビアセチルのモル数に対して1〜10モル比の芳香族オルト−ジアミンを添加して、アミン処理エステル混合物を生成する工程を含む。芳香族オルト−ジアミンは、以下の式を有する。
Figure 2014503483
式中、Xは、NR34であり、そしてR1、R2、R3、R3、およびYは、独立して、水素、アルキル、フェニル、およびナフチルから選択される。たとえば、芳香族オルト−ジアミンは、オルト−フェニレンジアミンであってもよい。
粗α,β−不飽和カルボン酸エステルは、C3−C10α,β−不飽和カルボン酸とC1−C10アルコールとの生成物、またはC1−C10アルコールでエステル化されるメタクリルアミドの生成物であってもよい。
処理工程a)は、1つ以上の分離工程を実施することによって達成してもよい。加えて、処理工程a)は、独立して、または1つ以上の分離工程と共に、メタクリル酸含有量を0.001質量%〜5.0質量%とするのに十分な量の弱酸をα,β−不飽和カルボン酸エステルへ添加することを含む。
α,β−不飽和カルボン酸エステルの弱酸含有量は、α,β−不飽和カルボン酸エステルの総質量に対して0.005質量%〜1質量%であってもよく、たとえば、限定されないが、α,β−不飽和カルボン酸エステルの総質量に対して0.3質量%〜0.5質量%などである。
1つの実施形態では、弱酸は、アクリル酸およびメタクリル酸からなる群より選択される。
本発明の方法は、さらに、アミン処理エステル混合物から、ジアミン−ビアセチル付加体および過剰のoPDを分離して、精製されたα,β−不飽和カルボン酸エステルを生成する工程を含んでもよい。
本発明を用いて精製することができるα,β−不飽和カルボン酸エステル(以下「エステル」)は、C3−C10α,β−不飽和カルボン酸(たとえば、アクリル酸、メタクリル酸、2−ブテン酸、シクロヘキセン酸、マレイン酸、またはイタコン酸)またはC3−C10アミド(たとえば、アクリルアミドまたはメタクリルアミド)、およびC1−C10アルコール(たとえば、メタノール、エタノール、ノルマルおよびイソプロパノール、ブチルアルコール、たとえばノルマル、iso−、sec−、およびtert−ブタノール;シクロヘキサノール、オクタノール、エチルヘキサノール、グリコール、ならびにデカノール)から生成されるものを含む。本発明は、限定するものではないが、たとえば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、およびブチルメタクリレートなどのエステルの精製に特に有用である。以下の本発明の詳細な記述は、メチルメタクリレートからのビアセチルの除去に焦点を当てているが、当業者にとって、本発明の方法が上述のカテゴリーのα,β−不飽和カルボン酸エステルからのビアセチルおよびその他のカルボニル含有不純物の除去に適用可能であることは、容易に明らかであろう。
ビアセチルなどのカルボニル含有不純物は、有機または無機であってもよい弱酸の存在下にてオルト−フェニレンジアミンなどの1種以上の芳香族ジアミンでエステルを処理することにより、(メタ)アクリルエステルなどのα,β−不飽和カルボン酸エステルからの実質的な低減、または完全な除去が可能であることが見出された。処理されたエステル混合物には、所望により、水性塩基による酸中和工程、水洗、および蒸留が施されてもよい。従って、本発明は、α,β−不飽和エステルを精製するための、新規な低コストで簡便かつ効果的な方法を提供する。より詳細には、本発明は、α,β−不飽和カルボン酸エステルからビアセチルを除去するための方法を提供する。まず、C3−C10α,β−不飽和カルボン酸とC1−C10アルコールとの生成物、またはC1−C10アルコールでエステル化されるメタクリルアミドの生成物である粗α,β−不飽和カルボン酸エステルが処理されて、ビアセチルを含み、かつα,β−不飽和カルボン酸エステルの総質量に対して0.001質量%〜5.0質量%の弱酸含有量を有するα,β−不飽和カルボン酸エステルが生成される。このエステルに、ビアセチルのモル数に対して1〜10モル比の芳香族オルト−ジアミンが添加される。エステルに添加される芳香族オルト−ジアミンのビアセチルのモル数に対するモル比は、10000の大きさであってもよいが、10を超えるモル比は、非効率的で不経済である可能性が高い。たとえば、限定されないが、ビアセチルに対する芳香族オルト−ジアミンの適切で効率的なモル比は、約1.9:1から3:1であろう。
本発明の方法での使用に適する芳香族オルト−ジアミンは、以下の式を有する。
Figure 2014503483
式中、Xは、NR34であり、R1、R2、R3、R4、およびYは、独立して、水素、アルキル、フェニル、およびナフチルから選択され、アミン処理エステル混合物を生成する。たとえば、芳香族オルト−ジアミンの置換された位置には、有利には、たとえばメチル、エチル、n−およびiso−プロピル、ならびにn−、sec−、およびiso−ブチル基などのC1−C4アルキル基が用いられてもよい。芳香族オルト−ジアミンは、たとえば、オルト−フェニレンジアミン(oPD)であってもよい。
ビアセチルと芳香族オルト−ジアミンとの反応を完了するのに要する時間は、通常、約10分以下であり、たとえば、1分未満〜60分、またはより具体的には、0.1〜5分間である。
本明細書で用いられる場合、弱酸とは、水中に溶解された場合に完全にイオン化はせず、水溶液中20℃での酸解離定数(対数目盛で)pKaが−2〜12である酸を意味する。たとえば、メタクリル酸は、弱有機酸であり、水中20℃でのpKaは4.66である。酢酸は、類似の強度を有し、pKaは4.756である。比較として、フェノールは、pKaが10であり、メタクリル酸または酢酸と比べて非常に弱い酸である。
弱酸は有機酸であってもよいし無機酸であってもよい。本発明の方法での使用に適する無機酸としては、限定されないが、硫化水素、硝酸、およびフッ化水素酸が挙げられる。本発明の方法での使用に適する有機酸としては、カルボン酸、シュウ酸、メタン酸、および安息香酸が挙げられる。限定するものではないが、アクリル酸、メタクリル酸、ギ酸、および酢酸などのカルボン酸が、本発明において好都合に用いることができる。
処理工程は、粗α,β−不飽和カルボン酸エステルに蒸留、ストリッピング、精留などによる分離を施すなど、当業者に公知であり、日常的に実践されている1つ以上の精製工程を実施することで達成してもよい。いくつかの場合では、得られたα,β−不飽和カルボン酸エステル生成物は、すでに少量の弱酸を含有している。たとえば、メタクリル酸がメタノールでエステル化され、粗メチルメタクリレート生成物に、続いて蒸留またはその他の通常用いられる精製工程が施される場合、得られたメチルメタクリレート生成物は、通常、メチルメタクリレート生成物の総質量に対して0.001質量%〜5.0質量%のメタクリル酸など、少量のメタクリル酸を含んでいる。得られたメチルメタクリレート生成物(またはその他のα,β−不飽和カルボン酸エステル)に含まれる弱酸が、約0.001質量%未満である場合、エステル生成物の弱酸含有量を、エステルの総質量に対して、0.001質量%〜5.0質量%、たとえば0.25質量%〜1質量%、またはさらには0.3質量%〜0.5質量%とするのに十分な量にて、弱酸をエステル生成物に添加してもよい。
エステルの処理は、そのまま行ってもよく、または溶液として、すなわち、限定するものではないが、たとえば、ベンゼン、トルエン、キシレン、またはエチルベンゼンなどの芳香族溶媒、ならびにn−ヘキサン、n−ヘプタン、またはシクロヘキサンなどの炭化水素溶媒のような水不溶性有機溶媒中に溶解して行ってもよい。エステルをそのまま処理し、溶媒を避けることは有益であるが、溶媒が用いられる場合は、好ましい溶媒として、ベンゼン、トルエン、およびキシレンが挙げられる。
ヒドロキノン(HQ)、HQのモノメチルエーテル、メチレンブルー、フェノチアジン、サリチル酸銅、またはジアルキルジチオカルバミン酸銅などの1種以上の重合防止剤の存在は、本方法に悪影響を及ぼさない。
本発明の方法は、適切には、約20℃以上エステルの標準沸点以下の範囲の温度で実施してもよく、いかなる場合であっても、150℃未満とするべきである。たとえば、限定されないが、適切な操作温度は、エステルに応じて、40℃〜120℃であり、その標準沸点を超えない。より具体的には、操作温度は、60℃〜90℃の範囲内に維持してもよく、この場合、芳香族オルト−ジアミンのビアセチルなどのカルボニル化合物との反応率は効率的であり、エステルの分解率および副生物の形成率は高くない。
本発明の方法では、弱酸の存在下にて、芳香族オルト−ジアミンは、エステル中のビアセチルと複合体化し、縮合生成物を形成すると考えられる。縮合生成物は、溶液から析出され得るものであり、それによって、エステルからの物理的な分離が容易となる。また、処理されたエステルを蒸留して、ジアミン−ビセチル複合体および過剰の弱酸を除去し、それによって、実質的にビアセチル不純物を含有しない高度に精製されたα,β−不飽和カルボン酸エステルを生成してもよい。
カルボニル含有不純物を除去するために、より強い酸が用いられてきた公知の方法とは対照的に、塩基(たとえば、炭酸ナトリウム、炭酸マグネシウム、水酸化ナトリウムなど)の水溶液で過剰の弱酸を中和する必要はなく、それによって得られる有益性はほとんどない。さらに、芳香族オルト−ジアミンが弱酸の存在下にて添加され、ビアセチルとのその反応が比較すると非常に迅速であることから、処理されたエステルを、ある一定時間、通常は10分間超、高温にて「保持」する必要性も、本発明の方法によって解消される。従って、ビアセチルおよびその他のカルボニル含有不純物を除去するためのこれまでの既存の方法と比較して、少なくとも2つの処理工程が削除され、それによって、本発明の方法は、単純化されており、より低コストである。
以下の実施例は、本発明の方法を説明するものである。
化学薬品 − 以下の化学薬品を用いて以下の実施例を行った。
オルト−フェニレンジアミン(oPD)、ビアセチル、およびメタクリル酸(MAA)は、アルドリッチケミカル社(Aldrich Chemical Company)から入手し、受取った状態のまま使用した。ストリッピングされた粗MMA(SCMMA)は、出願人の米国テキサス州ディアパーク(Deer Park)の工場の保存タンクから、2009年3月6日に入手した。安定剤なしの(uninhibited)蒸留メチルメタクリレート(DMMA)は、同じ工場のタンクから、2009年4月6日に入手し、使用まで冷蔵保存した。
分析方法
GCサンプルは、DB−1カラム(60m×0.250mm×0.50um)を有するAgilent 7890A上にて流し、インジェクター温度は200℃、および検出器温度は250℃とした。キャリブレーションは、外標準によって行った。オーブン温度プロフィールの詳細は以下の通りである:
開始時:40℃
プログラム:70℃まで10℃/分
70℃にて1分間保持
プログラム:275℃まで50℃/分
275℃にて19分間保持
比較例1
メタクリル酸を含有しないDMMAからのビアセチル除去
安定剤なしのMMAを含有しないDMMA中の100wppmのビアセチルからなるストック溶液Aを調製し、上述の機器および方法を用いてGCにより濃度を確認した。安定剤なしのMMAを含有しないDMMA中の1480wppmのoPDからなるストック溶液Bも調製した。oPDの濃度が254wppm、ビアセチルの濃度が82.8wppmとなり、oPD:ビアセチルのモル比が2.44となるように、ストック溶液Bをストック溶液Aへ添加した。密閉系中、周囲温度にて5分間の攪拌後、ビアセチルの濃度は、GCにより65wppmと測定された。密閉系中、周囲温度にてさらに60分間の攪拌後、ビアセチルの濃度は、35wppmと測定された。この溶液を、密閉系中、周囲温度にて一晩攪拌すると、ビアセチルの濃度は、GCの検出限界未満であることが見出された。すべてのデータを以下の表1に示す。
Figure 2014503483
実施例1
3299wppmのメタクリル酸を含有するDMMAからのビアセチル除去
安定剤なしのMMAを含有しないDMMA中の100wppmのビアセチルからなるストック溶液Cを調製し、上述の機器および方法を用いてGCにより濃度を確認した。安定剤なしのMMAを含有しないDMMA中の1210wppmのoPDからなるストック溶液Dも調製した。oPDの濃度が264wppm、ビアセチルの濃度が78.2wppm、メタクリル酸の濃度が3300wppmとなり、oPD:ビアセチルのモル比が2.46となるように、ストック溶液Dとメタクリル酸を、ストック溶液Cへ同時に添加した。密閉系中、周囲温度にて5分間の攪拌後、ビアセチルの濃度は、GCの検出限界未満であった。このビアセチルの濃度は、一晩攪拌後も、大きく変化することはなかった。すべてのデータを以下の表2に示す。
Figure 2014503483
実施例2
5000wppmのメタクリル酸を含有するストリッピングされた粗MMA(SCMMA)からのビアセチル除去
典型的には5000wppmのMAAを含有するストリッピングされた粗MMA(SCMMA、ACH系プロセスから誘導)に、ビアセチルをスパイクして85wppmとし、GCにより濃度を確認した。この溶液に、oPDの濃度が203wppmとなり、oPD:ビアセチル比が1.9となるように、固体oPDを添加した。密閉系中、周囲温度にて5分間の攪拌後、ビアセチルの濃度は、GCにより1.3wppmと測定された。このビアセチルの濃度は、一晩攪拌後も、大きく変化することはなかった。データを表3に示す。
Figure 2014503483

Claims (10)

  1. α,β−不飽和カルボン酸エステルからビアセチルを除去する方法であって、該方法は、
    a)粗α,β−不飽和カルボン酸エステルを処理して、ビアセチルを含み、かつα,β−不飽和カルボン酸エステルの総質量に対して0.001質量%〜5.0質量%の弱酸含有量を有するα,β−不飽和カルボン酸エステルを生成する工程、および
    b)α,β−不飽和カルボン酸エステルに、ビアセチルのモル数に対して1〜10モル比の芳香族オルト−ジアミンを添加して、アミン処理エステル混合物を生成する工程、
    を含み、芳香族オルト−ジアミンが、式
    Figure 2014503483
    (式中、Xは、NR34であり、そして
    1、R2、R3、R3、およびYは、独立して、水素、アルキル、フェニル、およびナフチルから選択される。)
    を有する、方法。
  2. 弱酸が、鉱酸およびカルボン酸からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
  3. 弱酸が、アクリル酸およびメタクリル酸からなる群より選択されるカルボン酸を含む有機酸である、請求項2に記載の方法。
  4. 処理工程a)が、1つ以上の分離工程を実施することによって達成される、請求項1に記載の方法。
  5. 処理工程a)が、さらに、メタクリル酸含有量を0.001質量%〜5.0質量%とするのに十分な量の弱酸を、α,β−不飽和カルボン酸エステルへ添加することによって達成される、請求項4に記載の方法。
  6. α,β−不飽和カルボン酸エステルの弱酸含有量が、α,β−不飽和カルボン酸エステルの総質量に対して0.005質量%〜1質量%である、請求項5に記載の方法。
  7. α,β−不飽和カルボン酸エステルの弱酸含有量が、α,β−不飽和カルボン酸エステルの総質量に対して0.3質量%〜0.5質量%である、請求項6に記載の方法。
  8. 芳香族オルト−ジアミンが、オルト−フェニレンジアミンである、請求項1に記載の方法。
  9. アミン処理エステル混合物から、ジアミン−ビアセチル付加体および過剰のoPDを分離して、精製されたα,β−不飽和カルボン酸エステルを生成する工程をさらに含む請求項1に記載の方法。
  10. 粗α,β−不飽和カルボン酸エステルが、C1−C10アルコールと反応したC3−C10α,β−不飽和カルボン酸、またはC1−C10アルコールでエステル化されたメタクリルアミドの生成物である、請求項1に記載の方法。
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