JP2014503002A - 肺炎連鎖球菌(Streptococcuspneumoniae)に対するワクチン及び組成物 - Google Patents

肺炎連鎖球菌(Streptococcuspneumoniae)に対するワクチン及び組成物 Download PDF

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Abstract

肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)は、特に幼児、高齢、又は免疫無防備の患者において、重大な健康問題である。本開示は、特に、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)における特定の高度に有効なワクチン及び医薬組成物を提供する。抗原は治療的又は予防的に用いられ得る。

Description

関連出願の相互参照
本願は、2011年1月20日に出願された米国仮特許出願第61/434,818号明細書の出願日の利益を主張する。この参照される出願の教示全体が、参照により本明細書に明示的に援用される。
政府支援
本研究は、国立衛生研究所(National Institutes of Health)により付与された補助金交付番号第AI066013号に基づく政府の支援を受けて行われた。従って、米国政府は本発明に一定の権利を有する。
肺炎球菌性疾患は、米国及び全世界における病気及び死亡の主要な原因であり続けている。毎年、何百万例もの肺炎、髄膜炎、菌血症、及び中耳炎症例が、病原体の肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)による感染に起因すると考えられている。肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)は、莢膜をもつグラム陽性球菌であり、約5〜10%の健康成人及び20〜40%の健康小児の鼻咽頭に定着している。肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)がエウスタキオ管、鼻洞、肺、血流、髄膜、関節腔、骨及び腹膜腔に運び込まれると、正常な定着が感染性となる。肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)は、この生物が免疫系を回避することを可能にするいくつかのビルレンス因子を有する。例として、宿主免疫細胞による食作用を妨げる多糖莢膜、補体の媒介によるオプソニン化を阻害するプロテアーゼ、及び宿主細胞の溶解を引き起こすタンパク質が挙げられる。多糖莢膜では、複合多糖類の存在が、肺炎球菌を異なる血清型に分ける基礎をなしている。現在までに93種の血清型の肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)が同定されている。
肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)感染に対する免疫応答を利用する様々な医薬組成物が用いられている。成人及び高齢集団における肺炎及び肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)に起因する他の侵襲性疾患の予防に、多価肺炎球菌ワクチンPPV−23が開発された。このワクチンは、23種の血清型の肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)に由来する莢膜多糖類(CP)を含む。これらのCPはT細胞非依存性抗原であるため、短命な抗体反応しか誘発せず、反復投与が必要となり、それにより免疫寛容リスクが高まる。抗莢膜抗体と呼ばれる、肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)に対して産生される抗体は、成人及び免疫能が正常な人では防御性があると認められている。しかしながら、2歳未満の小児及び高齢者を含む免疫無防備の者は、T細胞非依存性抗原に十分に応答せず、従って、PPV−23による最適な防御を受けることができない。別の肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)ワクチン、Prevnarは、ジフテリアトキソイドタンパク質とコンジュゲートされた7種の肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)株に由来する細菌性多糖類を含む。このワクチンはB細胞応答及びT細胞応答の双方を誘発する。しかしながら、7種の肺炎球菌血清型しか防御しないため、血清型の交替によってPrevnarは無効となり得る。血清型の交替は、既にいくつかの臨床試験及び疫学研究で実証されており、異なる配合のこうしたワクチンの開発が必要となっている。一例が、最近上市されたPrevnar 13であり、13種の肺炎球菌血清型を対象としている。さらに、これら2つのPrevnar製剤は製造費用が高く、発展途上国世界での利用は著しく制限される。PPV−23は、23種の精製された、しかし非コンジュゲート型である多糖類からなるもので、その有効範囲はより広いが、肺炎球菌性疾患のリスクが最も高い集団である2歳未満の小児に対しては防御をもたらさない。
従って、現行の戦略によって提供されるより有効性が高い医薬組成物を設計することが、依然として必要とされている。特に、かかる組成物は、肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)に対する免疫応答を誘発する新規の又は特異的な抗原を組み込む必要がある。
肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)は、特に幼児、高齢、又は免疫無防備の患者において、重大な健康問題である。肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)のDNA及びタンパク質配列情報は当面は分かっており、研究者は長い間肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)に対するワクチンの作製を試みてきたが、大きな課題は、肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)ゲノムにおける約2100個の遺伝子からいかに防御性ポリペプチドを同定するかであった。本願は、肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)ゲノムにおいて最も免疫原性が高いタンパク質を同定するように設計された全ゲノムスクリーンの結果を提供する。このスクリーンからのヒットのいくつかは、マウスモデルにおいて肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)の定着に対する防御、及びある場合には定着及び肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)誘導性敗血症の双方に対する防御を示している。従って本開示は、特に、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)に対する特定の高度に有効なワクチンを提供する。このワクチンは治療的又は予防的に用いられ得る。本開示はまた、特異的抗原及び肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)に対する免疫応答を誘発するための抗原の使用方法も提供する。
特定の態様において、本開示は、薬学的に許容可能な担体と、配列番号265若しくは268を含む(又はそれからなる)アミノ酸配列又はその免疫原性断片を有するポリペプチドとを含むワクチン製剤を提供する。
一部の実施形態では、ポリペプチドは外因性シグナル配列を含む。例えば、ポリペプチドは、配列番号266を含むアミノ酸配列又はその免疫原性断片を有し得る。ポリペプチドは、配列番号265、266、又は268からなるアミノ酸配列を有し得る。
一部の実施形態では、ワクチン製剤は、配列番号1〜23、267、及び269〜270の一つを含む(又はそれからなる)アミノ酸配列又はその免疫原性断片を有する第1のポリペプチドをさらに含む。特定の実施形態では、ワクチン製剤は、配列番号1〜23、267、及び269〜270のいずれかを含むアミノ酸配列又はその免疫原性断片を有する第2のポリペプチドをさらに含む。
特定の実施形態では、第1及び第2のポリペプチドは、(i)〜(vi)の異なる群に属する:(i)配列番号1又はその免疫原性断片、(ii)配列番号2〜5及び14〜17の一つ又はその免疫原性断片、(iii)配列番号6〜7及び18〜19の一つ又はその免疫原性断片、(iv)配列番号8又はその免疫原性断片、(v)配列番号9〜10及び20〜21の一つ又はその免疫原性断片、及び(vi)配列番号11〜13、267、及び269〜270の一つ又はその免疫原性断片。
一部のかかる実施形態において、ワクチン製剤は、配列番号6、配列番号7、配列番号9、又は配列番号10を含むアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。一部の実施形態では、ワクチン製剤は、配列番号6又は7からなるポリペプチドと、配列番号9又は10からなるポリペプチドとを含む。
本明細書における態様又は実施形態のいずれかにおいて、ワクチン製剤は、N末端、C末端、又はその両方から1〜20個のアミノ酸残基が取り除かれたトランケート断片である配列番号265、266、又は268のポリペプチドを含み得る。一部の実施形態では、ワクチン製剤は、配列番号1〜21及び265〜270のいずれかを含むアミノ酸配列を有するポリペプチド以外には実質的に他の肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)ポリペプチドを含まない。
特定の実施形態では、ワクチン製剤は、配列番号22若しくは23を含むアミノ酸配列又はその免疫原性断片を有する1つ以上のポリペプチドを含む。
別の態様において、本発明は、既知の肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)抗原、例えば、ニューモリソイド(pneumolysoid)、コリン結合タンパク質A(CbpA)、又は肺炎球菌表面タンパク質A(PspA)、又はそれらの誘導体と、表1又は表2からの1つ、2つ、又は3つのポリペプチドとを含むワクチン製剤を提供する。例示的なワクチン製剤は、(i)配列番号1〜23及び265〜270の1つ以上を含む(又はそれからなる)アミノ酸配列又はその免疫原性断片を有するポリペプチド、(ii)ニューモリソイド、及び(iii)薬学的に許容可能な担体を含む。さらなる例示的なワクチン製剤は、(i)配列番号1〜23及び265〜270の1つ以上を含む(又はそれからなる)アミノ酸配列又はその免疫原性断片を有するポリペプチド、(ii)CbpA又はその誘導体、及び(iii)薬学的に許容可能な担体を含む。さらなる例示的なワクチン製剤は、(i)配列番号1〜23及び265〜270の1つ以上を含む(又はそれからなる)アミノ酸配列又はその免疫原性断片を有するポリペプチド、(ii)PspA又はその誘導体、及び(iii)薬学的に許容可能な担体を含む。一部のかかる実施形態において、(i)のポリペプチドは、配列番号2〜5、6、7、9〜13、及び265〜267のいずれか一つを含む。一部の実施形態では、ワクチン製剤は、配列番号1〜23及び265〜270の一つを含むアミノ酸配列を有する第2のポリペプチドをさらに含む。一部の実施形態では、ニューモリソイドは、PdT、Pd−A、Pd−B、rPd2、rPd3、Ply8、Δ6PLY、L460D(例えば、米国特許出願公開第2009/0285846号明細書及びL.Mitchell,Protective Immune Responses to Streptococcus pneumoniae Pneumolysoids(肺炎連鎖球菌ニューモリソイドに対する防御免疫応答),ASM2011会議抄録,2011を参照)、又はその変異体である。一部の実施形態では、PspAの誘導体は、PspAのプロリンリッチ領域の全て又は断片を含む。
特定の実施形態では、ポリペプチドは免疫原性担体とコンジュゲートされる。一部の実施形態では、ワクチン製剤は、少なくとも1つの脂質化ポリペプチドを含む。
一部の実施形態では、ワクチン製剤は、コンジュゲート型肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)多糖類をさらに含む。コンジュゲート型多糖類は、例えば、米国特許第5,623,057号明細書、米国特許第5,371,197号明細書、又はPCT/US2011/023526号明細書に記載されるとおりであってよい。
一部の実施形態では、ワクチン製剤はアジュバントをさらに含む。アジュバントは、例えばToll様受容体(TLR)のアゴニストであってもよい。アジュバントは、例えばミョウバンであってもよい。一部の実施形態では、ワクチン製剤は、1〜1000μgの各ポリペプチドと、1〜250μgのアジュバントとを含む。
特定の実施形態では、ワクチン製剤は、T17細胞との接触後に無関係の対照抗原によって誘発される応答と比べて少なくとも1.5倍高いT17細胞応答を誘導する。一部の実施形態では、ワクチン製剤は、非感染対象における肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)の感染を阻害する。特定の実施形態では、ワクチン製剤は、個体における肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)の定着を阻害する。一部の実施形態では、ワクチン製剤は、肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)の症状又は続発症を阻害する。例えば、ワクチン製剤は、肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)誘導性敗血症を阻害する。
特定の態様において、本開示は、肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)感染症に罹患している又は罹患し易い対象を治療する方法を提供し、これは、本明細書に記載されるワクチン製剤のいずれかの有効量を投与するステップを含む。
一部の実施形態では、この方法は、非感染対象における肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)の感染を阻害する。一部の実施形態では、この方法は、対象における肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)の定着を阻害する。一部の実施形態では、この方法は、肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)の症状又は続発症を阻害する。例示的続発症は敗血症である。
特定の実施形態では、この方法は対象を1用量で治療する。他の実施形態では、この方法は対象を2用量又は3用量で治療する。一部の実施形態では、この方法は対象を3用量以内で治療する。
特定の実施形態では、対象はヒトである。
本開示は、例えば、薬学的に許容可能な担体と、配列番号1〜13、265、266及び267のいずれかを含むアミノ酸配列、又はその免疫原性断片を有する1つ以上のポリペプチドとを含むワクチン製剤を提供する。
本開示はまた、薬学的に許容可能な担体と、配列番号6、配列番号10若しくは配列番号265を含むアミノ酸配列、又はその免疫原性断片を有する少なくとも1つのポリペプチドとを含むワクチン製剤も提供する。本開示は、薬学的に許容可能な担体と、配列番号7、配列番号9若しくは配列番号265からなるアミノ酸配列、又はその免疫原性断片を有する少なくとも1つのポリペプチドとを含むワクチン製剤をさらに提供する。
さらに、本願は、薬学的に許容可能な担体と、配列番号14〜23、268、269及び270のいずれかを含むアミノ酸配列、又はその免疫原性断片を有する1つ以上のポリペプチドとを含むワクチン製剤を提供する。
本開示は、薬学的に許容可能な担体と、配列番号1〜13、265、266及び267のいずれかを含むアミノ酸配列、又はその免疫原性断片を有する2つ以上のポリペプチドとを含む免疫原性組成物をさらに提供する。
本開示はまた、薬学的に許容可能な担体と、配列番号6、配列番号10若しくは配列番号265を含むアミノ酸配列、又はその免疫原性断片を有する2つ以上のポリペプチドとを含むワクチン製剤も提供する。本開示は、薬学的に許容可能な担体と、配列番号7、配列番号9若しくは配列番号265からなるアミノ酸配列、又はその免疫原性断片を有する2つ以上のポリペプチドとを含むワクチン製剤をさらに提供する。この開示はまた、薬学的に許容可能な担体と、配列番号6、配列番号9、及び配列番号265を含むアミノ酸配列、又はその免疫原性断片を有する2つ以上のポリペプチドとを含むワクチン製剤も提供する。加えて、この開示は、薬学的に許容可能な担体と、配列番号7、配列番号10、及び配列番号265を含むアミノ酸配列、又はその免疫原性断片を有する2つ以上のポリペプチドとを含むワクチン製剤を提供する。一部の実施形態では、配列番号265を含むアミノ酸配列は外因性シグナル配列を含む。
本開示はまた、薬学的に許容可能な担体と、それぞれ配列番号6、配列番号10及び配列番号265を含むアミノ酸配列、又はその免疫原性断片を有する3個以上のポリペプチドとを含むワクチン製剤も提供する。本開示は、薬学的に許容可能な担体と、それぞれ配列番号7、配列番号9及び配列番号265からなるアミノ酸配列、又はその免疫原性断片を有する3個以上のポリペプチドとを含むワクチン製剤をさらに提供する。
実施例5に記載されるとおり、指示される1つ又は複数のタンパク質及びコレラ毒素アジュバントで免疫し、次に死菌の無莢膜全細胞肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)で刺激したマウスからの血液試料によって生成されたIL−17の濃度を示す。左側のパネルは散布図形式でデータを示し、右側のパネルは各試料の平均及び標準偏差を示す。免疫群「3つ全て」は、SP2108、SP0148、及びSP1634の組み合わせで免疫した動物を表す。 実施例5に記載されるとおり、指示される1つ又は複数のタンパク質及びコレラ毒素アジュバントで免疫し、次に3つのタンパク質(SP2108、SP0148、及びSP1634)の組み合わせで刺激したマウスからの血液試料によって生成されたIL−17の濃度を示す。 実施例5に記載されるとおり、指示される1つ又は複数のタンパク質及びコレラ毒素アジュバントで免疫し、次に肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)の鼻腔内投与により攻撃したマウスにおける鼻洗浄から得られた肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)コロニーの数を示す。003は無関係の対照抗原を表す。 実施例6に記載されるとおり、指示される1つ又は複数のタンパク質及びコレラ毒素アジュバントで免疫し、次に死菌の無莢膜全細胞肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)で刺激したマウスからの血液試料によって生成されたIL−17の濃度を示す。 実施例6に記載されるとおり、指示される1つ又は複数のタンパク質及びコレラ毒素アジュバントで免疫し、次に指示される1つ又は複数のタンパク質により刺激したマウスからの血液試料によって生成されたIL−17の濃度を示す。 実施例6に記載されるとおり、指示される1つ又は複数のタンパク質及びコレラ毒素アジュバントで免疫し、次に肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)の鼻腔内投与により攻撃したマウスにおける鼻洗浄から得られた肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)コロニーの数を示す。遺伝子名US12のHSV−2タンパク質ICP47(NP_044543.1、NC_001798.1;図中では003として示される)及びオボアルブミン(OVA)は対照抗原を表す。 実施例7に記載されるとおり、指示される1つ又は複数のタンパク質及びコレラ毒素アジュバントで免疫し、次に肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)の鼻腔内投与により攻撃したマウスにおける鼻洗浄から得られた肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)コロニーの数を示す。 実施例8に記載されるとおり、指示される1つ又は複数のタンパク質及びコレラ毒素アジュバントで免疫し、次に肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)の鼻腔内投与により攻撃したBALB/cマウスにおける鼻洗浄から得られた肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)コロニーの数を示す。 実施例9に記載されるとおり、指示されるタンパク質及びコレラ毒素アジュバントで免疫し、次に免疫付与タンパク質(左側のパネル)又は死菌の無莢膜全細胞肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)(右側のパネル)で刺激したマウスからの血液試料によって生成されたIL−17Aの濃度を示す。 実施例10に記載されるとおり、指示されるタンパク質及びコレラ毒素アジュバントで免疫し、次に肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)の鼻腔内投与により攻撃したマウスにおける鼻洗浄から得られた肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)コロニーの数を示す。 実施例11に記載されるとおり、指示されるタンパク質及びアジュバントミョウバンで免疫し、次に肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)による吸入攻撃を行ったマウスの生存を示す。 実施例12に記載されるとおり、指示されるタンパク質及びアジュバントミョウバンで免疫し、次に肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)による吸入攻撃を行ったマウスの生存を示す。 実施例13に記載されるとおり、指示されるタンパク質及びコレラ毒素アジュバントで免疫し、次に肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)の鼻腔内投与により攻撃したマウスにおける鼻洗浄から得られた肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)コロニーの数を示す。 実施例14に記載されるとおり、指示されるタンパク質及びミョウバンで免疫し、次に左上に指示されるタンパク質で刺激したマウスからの血液試料によって生成されたIL−17Aの濃度。 実施例15に記載されるとおり、指示されるタンパク質及びミョウバンで、又は死菌の無莢膜全細胞肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)+ミョウバン(WCV)で免疫し、次に肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)の鼻腔内投与により攻撃したマウスにおける鼻洗浄から得られた肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)コロニーの数を示す。 実施例16に記載されるとおりの2つの統合試験において、指示されるタンパク質及びミョウバンで、又は死菌の無莢膜全細胞肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)+ミョウバン(WCV)で免疫し、次に肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)の鼻腔内投与により攻撃したマウスにおける鼻洗浄から得られた肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)コロニーの数を示す。 実施例17に記載されるとおり、指示されるタンパク質及びミョウバンで、又は死菌の無莢膜全細胞肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)+ミョウバン(WCB)で免疫し、次に肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)の鼻腔内投与により攻撃したマウスにおける鼻洗浄から得られた肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)コロニーの数を示す。 実施例18に記載されるとおり、指示されるタンパク質に特異的な抗体又は血清を注入し、次に肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)による吸入攻撃を行ったマウスの生存を示す。 6件の別個の吸入攻撃試験で敗血症から保護された動物の割合を示す。試験のうち2件については、実施例12及び18にさらに詳細に記載する。
A.肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)ワクチン及び免疫原性組成物に用いられる特異的ポリペプチド及び核酸
本願は、以下に記載するとおりの表1に掲載されるポリペプチド又は遺伝子の1つ以上、又はその変異体若しくは断片を含む肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)ワクチンについて記載する。このワクチンは、表1の配列を含むポリペプチド又はその変異体若しくは免疫原性断片、又は表1の配列からなるポリペプチド又はその変異体若しくは免疫原性断片を含み得る。各遺伝子及びポリペプチドのDNA及びタンパク質配列は、公的に利用可能なデータベースであるアントレジーン(Entrez Gene)(ワールドワイドウェブ上のNCBI NIHウェブサイト、www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez?db=geneにある)のローカスタグ(Locus Tag)を、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)TIGR4ゲノムで検索して求めることができ、それらの指示される配列もまた、本願に包含される。
Figure 2014503002
表1の特定のポリペプチド、及びその変異体について以下にさらに詳細に記載する。
1.SP1912(配列番号265)及びその変異体
SP1912は、99アミノ酸の仮定タンパク質である。このタンパク質の機能は確定的には分かっていないが、配列分析から、それが推定上のチオレドキシンであることが示唆される。
一部の実施形態では、肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)ポリペプチドを含むワクチン又は医薬組成物には、SP1912から選択される少なくとも20個の連続するアミノ酸残基を含むポリペプチドが含まれる。ポリペプチドはまた、この少なくとも20残基の断片の変異体であってもよい。特定の実施形態では、ポリペプチドは、SP1912からの90、75、60、45又は30個以下の連続するアミノ酸を含む。
一部の実施形態では、本明細書の組成物及び方法は、外因性の脂質化配列を含むSP1912変異体の使用を必要とする。一部の実施形態では、シグナル配列が脂質化を誘導する。従って、脂質化シグナルは、例えば、SP2108のシグナル配列(配列番号275)若しくはSP0148のシグナル配列、又は大腸菌(E.coli)シグナル配列であってもよい。大腸菌(E.coli)遺伝子RlpBのシグナル配列(配列番号276)を含む例示的な変異体SP1912Lは、配列番号266のポリペプチド配列によって表される。SP1912(配列番号265)及びSP1912L(配列番号266)は、それぞれ配列番号271及び272による核酸によってコードされてもよく、しかしながら遺伝子コードには縮重があるため、他のDNA配列(コドン最適化配列を含む)が用いられてもよい。
異なる血清型由来のSP1912配列の組み合わせを示すコンセンサス配列が、配列番号268として提供される。従って特定の実施形態では、ワクチン製剤は、配列番号268を含む、又はそれからなるアミノ酸配列、又はその免疫原性断片を有するポリペプチドを(例えば、配列番号265を含むアミノ酸配列を有するポリペプチドの代わりに)含む。
2.SP0024(配列番号1)及びその変異体
SP0024は、165アミノ酸の仮定タンパク質を表し、アミノ酸27〜アミノ酸163に延在する保存された炭酸脱水酵素ドメインを含む。このコンセンサスモチーフに基づけば、SP0024は亜鉛結合タンパク質であってよい。
一部の実施形態では、肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)ポリペプチドを含むワクチン又は医薬組成物には、SP0024から選択される少なくとも20個の連続するアミノ酸残基を含むポリペプチドが含まれる。ポリペプチドはまた、この少なくとも20残基の断片の変異体であってもよい。特定の実施形態では、ポリペプチドは、SP0024からの150、125、又は100個以下の連続するアミノ酸を含む。
3.SP0882(配列番号2)及びその変異体
SP0882は、274アミノ酸の保存された仮定タンパク質である。このタンパク質のほとんど(アミノ酸2〜270)が、エステラーゼ又はリパーゼ様領域を形成する。
一部の実施形態では、肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)ポリペプチドを含むワクチン又は医薬組成物には、SP0882から選択される少なくとも20個の連続するアミノ酸残基を含むポリペプチドが含まれる。ポリペプチドはまた、この少なくとも20残基の断片の変異体であってもよい。特定の実施形態では、ポリペプチドは、SP0882からの250、275、200、175、150、125、又は100個以下の連続するアミノ酸を含む。
SP0882Nと命名される一つの特定のトランケーション変異体は、SP0882のN末端130アミノ酸からなり、配列番号3として示される。SP0882Nは、異なる血清型間で特に良く保存されている領域を含む。特定の実施形態では、SP0882又はSP0882N、又はいずれかの免疫原性断片を含むポリペプチドはまた、外因性シグナル配列も含む。一部の実施形態では、シグナル配列は大腸菌(E.coli)又は肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)シグナル配列である。シグナル配列は、例えば、SP2108のシグナル配列であってもよい。2つの例示的なかかるポリペプチドが、配列番号4及び5である。
SP0882のDNA及びタンパク質配列の変異体については、特に、米国特許出願公開第2009/0215149号明細書及び国際公開第2002/077021号パンフレット、国際公開第98/18931号パンフレット、及び国際公開第2007/106407号パンフレットに記載されている。SP0882Nの変異体は、国際公開第2008/146164号パンフレットに開示されている。
配列変異は、異なる肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)血清型間においてタンパク質レベルで起こり、異なる肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)血清型由来のSP0882配列の組み合わせを示すコンセンサス配列が、配列番号14〜17として提供される。従って特定の実施形態では、ワクチン製剤は、配列番号14〜17のいずれかを含む、又はそれからなるアミノ酸配列、又はその免疫原性断片を有するポリペプチドを(例えば、配列番号2〜5のうちの一つを含むアミノ酸配列を有するポリペプチドの代わりに)含む。
SP0882の異なる変異体(配列番号2〜5)をコードする核酸配列が配列番号24〜26として提供され、しかしながら遺伝子コードには縮重があるため、他のDNA配列(コドン最適化配列を含む)がこれらのポリペプチドをコードし得る。
4.SP0148(配列番号7)及びその変異体
タンパク質SP0148は、「ABCトランスポーター、基質結合タンパク質」と命名される。このクラスのタンパク質は、典型的には、膜貫通タンパク質複合体と一過性に相互作用する細胞外タンパク質である。かかる複合体は、ATP加水分解によって生成されたエネルギーを使用して、特定の物質を細胞膜を越えて移動させる。SP0148は276又は277アミノ酸(分離株に依存する)のタンパク質であり、アミノ酸40〜246にわたり、膜結合型輸送複合体に典型的な保存されたPBPb(ペリプラズム結合タンパク質)ドメインを含む。加えて、SP0148は細菌性細胞外溶質結合タンパク質ファミリー3ドメインを有し、これは大部分がPBPbドメインと同一の広がりをもち、アミノ酸40〜244に延在する。一部の実施形態では、ワクチン又は他の組成物は、前記ドメイン及びモチーフの1つ以上を含むか、又はそれを欠いているSP0148のトランケーション突然変異体を含む。
一部の実施形態では、肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)ポリペプチドを含むワクチン又は医薬組成物には、SP0148から選択される少なくとも20個の連続するアミノ酸残基を含むポリペプチドが含まれる。ポリペプチドはまた、この少なくとも20残基の断片の変異体であってもよい。特定の実施形態では、ポリペプチドは、SP0148からの250、275、200、175、150、125、又は100個以下の連続するアミノ酸を含む。
内因性SP0148は、その分泌及び潜在的な脂質化を誘導するシグナル配列を含む。一部の実施形態では、配列番号7のポリペプチドのシグナル配列は、発現宿主、例えば大腸菌(E.coli)によって部分的又は完全にプロセシングされる。一部の実施形態では、シグナル配列を欠くSP0148の変異体(配列番号6)が用いられる。配列番号6のポリペプチドは配列番号27の核酸によりコードされ、しかしながら他の核酸配列(コドン最適化配列を含む)が用いられてもよい。配列番号28は、本明細書のスクリーンに用いられるSP0148の完全長配列をコードする。
SP0148のアミノ酸配列及びヌクレオチド配列の変異体は、米国特許出願公開第2005/0020813号明細書、米国特許第7,378,514号明細書及び同第7,504,110号明細書、及び欧州特許出願第EP1572868号明細書及び同第EP1855717号明細書に見出すことができる。
異なる肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)血清型由来のSP0148配列の組み合わせを示すコンセンサス配列が、配列番号18及び19として提供される。従って特定の実施形態では、ワクチン製剤は、配列番号18〜19のいずれかを含む、又はそれからなるアミノ酸配列、又はその免疫原性断片を有するポリペプチドを(例えば、配列番号6又は7の一方を含むアミノ酸配列を有するポリペプチドの代わりに)含む。
5.SP1072(配列番号8)及びその変異体
SP1072は、dnaGとしても知られ、DNAポリメラーゼによるDNA複製の開始を可能にするRNAプライマーの形成を触媒するDNAプライマーゼ酵素である。586アミノ酸のタンパク質であるSP1072は、いくつかの保存モチーフを含む。N末端を始点としてアミノ酸2〜96がジンクフィンガードメインを形成し、DNAプライマーゼ触媒コアがアミノ酸122〜250にわたり、及び高度に保存されたトポイソメラーゼ−プライマーゼ(TORPIM)ヌクレオチジルトランスフェラーゼ/ヒドロラーゼドメイン領域がアミノ酸258〜330に延在する。一部の実施形態では、ワクチン又は他の組成物は、前記ドメイン及びモチーフの1つ以上を含むか、又はそれを欠いているSP1072のトランケーション突然変異体を含む。
一部の実施形態では、肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)ポリペプチドを含むワクチン又は医薬組成物には、SP1072から選択される少なくとも20個の連続するアミノ酸残基を含むポリペプチドが含まれる。ポリペプチドはまた、この少なくとも20残基の断片の変異体であってもよい。特定の実施形態では、ポリペプチドは、SP1072からの550、500、450、400、350、300、250、200、150、又は100個以下の連続するアミノ酸を含む。
6.SP2108(配列番号9)及びその変異体
ポリペプチドSP2108は、423アミノ酸長であり、或いはMalX、マルトース/マルトデキストリンABCトランスポーター、又はマルトース/マルトデキストリン結合タンパク質としても知られる。このタンパク質のほとんど(アミノ酸3〜423)はMalE(マルトース結合ペリプラズム)ドメインに分類される。加えて、SP2108は、その分泌及び潜在的な脂質化を誘導するシグナル配列を含む。一部の実施形態では、配列番号9のポリペプチドのシグナル配列は、発現宿主、例えば大腸菌(E.coli)によって部分的又は完全にプロセシングされる。一部の実施形態では、ワクチン又は他の組成物は、前記ドメイン及びモチーフの1つ以上を含むSP2108のトランケーション突然変異体を含む。
一部の実施形態では、本明細書における組成物及び方法は、シグナル配列を欠くSP2108変異体の使用を必要とする。この変異体は配列番号10のポリペプチド配列によって表され、例えば配列番号29による核酸によってコードされてもよく、しかしながら遺伝子コードには縮重があるため、他のDNA配列(コドン最適化配列を含む)が用いられてもよい。
一部の実施形態では、肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)ポリペプチドを含むワクチン又は医薬組成物には、SP2108から選択される少なくとも20個の連続するアミノ酸残基を含むポリペプチドが含まれる。ポリペプチドはまた、この少なくとも20残基の断片の変異体であってもよい。特定の実施形態では、ポリペプチドは、SP2108からの400、350、300、250、200、150、又は100個以下の連続するアミノ酸を含む。
異なる血清型由来のSP2108配列の組み合わせを示すコンセンサス配列が、配列番号20及び21として提供される。従って特定の実施形態では、ワクチン製剤は、配列番号20〜21のいずれかを含む、又はそれからなるアミノ酸配列、又はその免疫原性断片を有するポリペプチドを(例えば、配列番号9又は10の一方を含むアミノ酸配列を有するポリペプチドの代わりに)含む。
7.SP0641(配列番号12)及びその変異体
2144アミノ酸長で、SP0641は、PrtA、細胞壁関連セリンプロテアーゼとしても知られる。完全長SP0641はいくつかの保存モチーフを含む:アミノ酸485〜597に延在するPA_2モチーフ、これはタンパク質結合表面を形成し得る;Fn3様ドメイン(アミノ酸800〜939);及びアミノ酸226〜449及び639〜777に位置するS8 C5a型の2つの予測触媒ドメイン。一部の実施形態では、ワクチン又は他の組成物は、前記ドメイン及びモチーフの1つ以上を含むか、又はそれを欠いているSP0641のトランケーション突然変異体を含む。
一部の実施形態では、肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)ポリペプチドを含むワクチン又は医薬組成物には、SP0641から選択される少なくとも20個の連続するアミノ酸残基を含むポリペプチドが含まれる。ポリペプチドはまた、この少なくとも20残基の断片の変異体であってもよい。特定の実施形態では、ポリペプチドは、SP0641からの1000、900、800、700、600、500、400、300、200、又は100個以下の連続するアミノ酸を含む。
SP0641の特定の他のトランケーション突然変異体もまた用いられ得る。例えば、SP0641Nと命名されるポリペプチド(配列番号13)は、SP0641のN末端に近いアミノ酸24〜684に対応する661アミノ酸からなる。概してSP0641Nに隣接して(及びSP0641のアミノ酸686〜1333に対応して)、トランケーション変異体SP0641M(配列番号11)が占める648残基の領域がある。SP0641.1と命名されるポリペプチド(配列番号267)は、SP0641のアミノ酸28〜1006に対応する978アミノ酸からなる。
SP0641の変異体は、例えば、米国特許第7,338,786号明細書、同第6,573,082号明細書、及び同第7,132,107号明細書、並びに国際公開第00/06738号パンフレットに開示されている。
配列番号30、31及び273は、それぞれSP0641M(配列番号11)、SP0641N(配列番号13)及びSP641.1(配列番号267)のDNA配列を示し、しかしながら遺伝子コードには縮重があるため、他のDNA配列(コドン最適化配列を含む)がこれらのSP0641変異体をコードし得る。
異なる肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)血清型由来のSP0641N配列及びSP0641M配列の組み合わせを示すコンセンサス配列が、配列番号269及び270として提供される。従って特定の実施形態では、ワクチン製剤は、配列番号269又は270のいずれかを含む、又はそれからなるアミノ酸配列、又はその免疫原性断片を有するポリペプチドを(例えば、配列番号11又は13の一方を含むアミノ酸配列を有するポリペプチドの代わりに)含む。
表1及び表2のポリペプチド(例えば、SP1912、SP1912L、SP0024、SP0882、SP0882N、シグナル配列を有する又は有しないSP0148、SP1072、シグナル配列を有する又は有しないSP2108、SP0641、SP0641M、SP0641N、又はSP0641.1)と相同なポリペプチドもまた、本明細書に開示される組成物及び方法に用いられ得る。肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)の個々の株が、互いに対して数多くの突然変異を含み、その一部が異なる株間に異なるタンパク質配列をもたらす。当業者は、アミノ酸配列、又はその一部分を、異なる肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)株の相同なアミノ酸配列に容易に置換し得る。特定の態様において、本願は、表1及び表2のポリペプチド又はその免疫原性断片と少なくとも90%、95%、97%、98%、99%、又は99.5%の同一性を有する免疫原性ポリペプチドを提供する。血清型変異を使用して、表1及び表2のポリペプチドのかかる変異体を設計してもよい。
一部の実施形態では、本明細書におけるワクチン組成物は、表1又は表2のタンパク質の断片(例えば、SP1912、SP1912L、SP0024、SP0882、SP0882N、シグナル配列を有する又は有しない0SP148、SP1072、シグナル配列を有する又は有しないSP2108、SP0641、SP0641M、SP0641N、又はSP0641.1の断片)を含む。一部の実施形態では、本願は、サイズが表1又は表2のポリペプチド(例えば、配列番号1〜13、265、266又は267のうちの一つ)に近いトランケーション突然変異体を提供する。例えばそれらは、一方又は両方の末端から多くても1、2、3、4、5、10、又は20個のアミノ酸が欠けていてよい。例えば1〜10、11〜20、21〜30、又は31〜40個のアミノ酸の内部欠失もまた企図される。
特定の実施形態では、ワクチン製剤は、配列番号14〜21、268、269及び270のいずれかを含む、又はそれからなるアミノ酸配列を有する1つ以上のポリペプチドを含む。特定の実施形態では、この断片は、配列番号14〜21、268、269及び270のいずれかのトランケート断片であり、ここでは1〜5、1〜10、又は1〜20個のアミノ酸残基が、N末端、C末端、又はその両方から取り除かれている。特定の実施形態では、この断片は、配列番号14〜21、268、269及び270のいずれかのトランケート断片であり、ここでは1〜10個のアミノ酸残基が、N末端、C末端、又はその両方から取り除かれている。例えば、10個のアミノ酸残基がN末端及びC末端の各々から取り除かれて、その結果20個のアミノ酸残基が取り除かれたタンパク質となり得る。
特定の実施形態では、本明細書に提供されるワクチン製剤は、1つ以上、又は2つ以上の既知の肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)抗原を含むか、又はさらに含む。ある場合には、既知の肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)抗原は、主に抗体標的である。ある場合には、既知の肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)抗原は、肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)の定着、又は肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)誘導性敗血症を防御する。当該技術分野で認知されている一つの適切な肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)抗原クラスは、ニューモリソイドである。ニューモリソイドは、肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)タンパク質ニューモリシン(PLY)と相同性を有するが、ニューモリシンと比べて毒性が低い。ニューモリソイドは、天然に存在するものも、又はニューモリシンの操作された誘導体もあり得る。一部の実施形態では、ニューモリソイドは、ニューモリシンと少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、又は99%の同一性を有する。一部の実施形態では、ニューモリソイドは、赤血球に対する溶血活性及び多形核白血球の阻害の一方又は双方についてのアッセイでニューモリシンの1/2、1/5、1/10、1/20、1/50、1/100、1/200、1/500、又は1/1000未満の毒性を示す。双方のアッセイとも、Saunders F.K.et al.(“Pneumolysin,the thiol−activated toxin of Streptococcus pneumoniae,does not require a thiol group for in vitro activity(肺炎連鎖球菌のチオール活性化毒素ニューモリシンは、インビトロ活性にチオール基を必要としない)”Infect Immun.1989 Aug;57(8):2547−52)に記載されている。例示的なニューモリソイドとしては、PdT(Berry,A.M.et al.(1995)Infection and Immunity 63:1969−74にさらに記載される三重突然変異体);Pd−A及びPd−B(Paton J.C.et al.“Purification and immunogenicity of genetically obtained pneumolysin toxoids and their conjugation to Streptococcus pneumoniae type 19F polysaccharide(遺伝学的に得られたニューモリシントキソイドの精製及び免疫原性並びに肺炎連鎖球菌19F型多糖とのそのコンジュゲーション)”Infect Immun.1991 Jul;59(7):2297−304);rPd2及びrPd3(Ferreira et al.“DNA vaccines based on genetically detoxified derivatives of pneumolysin fail to protect mice against challenge with Streptococcus pneumoniae(ニューモリシンの遺伝学的に解毒された誘導体をベースとするDNAワクチンは、肺炎連鎖球菌による攻撃に対してマウスを防御できない)”FEMS Immunol Med Microbiol(2006)46:291−297);Ply8、Δ6PLY、L460D、又はその変異体が挙げられる。一部の実施形態では、ニューモリシンは、触媒中心、例えばアミノ酸428若しくは433又はその近傍に突然変異を有する。
混合ワクチンに適切な他の肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)抗原としては、肺炎球菌表面タンパク質A(PspA);PspAの誘導体、コリン結合タンパク質A(CbpA)及びその誘導体(AD Ogunniyi et al.,“Protection against Streptococcus pneumoniae elicited by immunization with pneumolysin and CbpA(ニューモリシン及びCbpAでの免疫化により誘発される肺炎連鎖球菌に対する防御)”Infect Immun.2001 Oct;69(10):5997−6003);肺炎球菌表面付着因子A(PsaA);カゼイン分解プロテアーゼ;ソルターゼA(SrtA);線毛1 RrgA付着因子;PpmA;PrtA;PavA;LytA;Stk−PR;PcsB;RrgB及びその誘導体が挙げられる。
PspAの誘導体には、非プロリンブロックを有するプロリンリッチのセグメント(PR+NPB、以下並びにDaniels,C.C.et al.(2010)Infection and Immunity 78:2163−72にさらに記載される)及びPspAのプロリンリッチ領域(例えば、配列PAPAP、PKP、PKEPEQ及びPEKPの1つ以上を含み、及び場合により非プロリンブロックを含む領域)の全て又は断片を含む関連するコンストラクトが含まれる。非プロリンブロックの一例は例示的配列EKSADQQAEEDYARRSEEEYNRLTQQQ(配列番号306)を有し、これは概して、PspAの非コイル領域の本来はプロリンリッチである範囲にプロリン残基を有しない。非プロリンブロック(NPB)配列の他の実施形態には、配列番号307及び308が含まれる。PspA及びその誘導体は、NPBを有する又は有しない、同様のプロリンリッチ構造(すなわちPKP、PKEPEQ及びPEKP)を発現する遺伝子を含み得る。NPBの両端のアミノ酸がプロリンリッチ領域の境界の印となる。一例において、PR領域に対するアミノ末端側の境界はDLKKAVNE(配列番号309)であり、及びカルボキシ末端側の境界は(K/G)TGW(K/G)QENGMW(配列番号310)である。NPBを含むペプチドは特に免疫原性があり、NPBが重要なエピトープであり得ることが示唆される。コイルドコイル構造を含む例示的な免疫原性PspAポリペプチド誘導体としては、配列番号301及び302が挙げられる。コイルドコイル構造を欠く免疫原性PspAポリペプチド誘導体の詳細な実施形態は、配列番号303〜305として示されるアミノ酸配列を有する。免疫原性PspAポリペプチド配列番号301、303及び305は、PR及びNPBの双方の配列を含む(PR+NPB)。配列番号302及び304の免疫原性PspAポリペプチドはPR配列のみを含み(PRのみ)、NPBを欠いている。
ある場合には、他の適切な肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)抗原は、対応する野生型肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)タンパク質と少なくとも70%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、又は99%の同一性である。上述のポリペプチド、及びそれらをコードする核酸の配列は分かっている;例えば、GenBank受託番号FM211187.1に基づく肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)ATCC 700669完全ゲノム配列及びその関連ポリペプチド配列を参照のこと。
混合ワクチン用のさらなる肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)抗原としては、コンジュゲート型肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)多糖類が挙げられる。コンジュゲート型多糖類については、例えば、米国特許第5,623,057号明細書、米国特許第5,371,197号明細書、又はPCT/US2011/023526号明細書に記載されるとおりであってよい。
上記の表1に記載される核酸及びポリペプチドに加え、本願はまた、表2に掲載されるポリペプチド又は遺伝子の1つ以上、又は本明細書に記載されるとおりのその変異体若しくは断片を含む免疫原性組成物も提供する。各遺伝子及びタンパク質のDNA及びタンパク質配列は、上記に記載したとおり、公的に利用可能なデータベースであるアントレジーン(Entrez Gene)のローカスタグ(Locus Tag)を検索して求めることができる。
Figure 2014503002
Figure 2014503002
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典型的には、本発明の化合物に存在するポリペプチドは、単独で、或いは別のポリペプチドに融合した、又はアジュバントと混合若しくは複合体化したポリペプチドを含めた変異体として、免疫原性である。変異体はまた、本明細書に記載されるとおりの、100%未満の配列同一性の配列も含む。特定の実施形態では、表1又は表2の抗原は、完全長ポリペプチドとして提供される。加えて、適切な免疫原性を有する断片、前駆体及び類似体を使用してもよい。
これらのポリペプチドは、哺乳動物、例えばマウス、モルモット、又はヒトにおいて免疫原性であってもよい。免疫原性ポリペプチドは、典型的には、アッセイにおいて、又は対象において有意な免疫応答を生じることが可能なものである。免疫応答は、先天性、体液性、細胞媒介性、又は粘膜性(先天性、体液性及び細胞媒介性免疫の要素の混合)であってよい。例えば、免疫原性ポリペプチドは、T細胞によって産生されるIL−17の量を増加させ得る。実施例1〜4に記載するIL−17アッセイは、免疫原性ポリペプチドの同定に用い得るアッセイの一例である。それに代えて又は加えて、免疫原性ポリペプチドは、(i)ポリペプチド及び/又は全細菌に結合する抗体、例えば中和抗体の産生を誘導し、(ii)T17免疫を誘導し、(iii)CD4 T細胞応答を、例えばCD4 T細胞の増加及び/又は感染若しくは再感染部位におけるCD4 T細胞の局在化の増加によって活性化し、(iv)CD8 CTL応答を、例えばCD8 T細胞の増加及び/又は感染若しくは再感染部位におけるCD8 T細胞の局在化の増加によって活性化し、(v)T1免疫を誘導し、及び/又は(vi)自然免疫を活性化し得る。一部の実施形態では、免疫原性ポリペプチドは、当該の抗原に特異的な抗体の検出可能な量の産生を生じさせる。
特定の実施形態では、ポリペプチドは、ヒト自己抗原及び/又は腸内共生細菌(例えば、特定のバクテロイデス属(Bacteroides)、クロストリジウム属(Clostridium)、フゾバクテリウム属(Fusobacterium)、ユーバクテリウム属(Eubacterium)、ルミノコッカス属(Ruminococcus)、ペプトコッカス属(Peptococcus)、ペプトストレプトコッカス属(Peptostreptococcus)、ビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)、大腸菌属(Escherichia)及びラクトバチルス属(Lactobacillus)の種)との同一性が20%、30%、40%、50%、60%又は70%未満である。ヒト自己抗原の例としては、インスリン、増殖細胞核抗原、シトクロムP450、及びミエリン塩基性タンパク質が挙げられる。
本発明はまた、薬学的に許容可能な担体と、配列番号265、266、若しくは268を含むアミノ酸配列又はその免疫原性断片を有するポリペプチドと、及び配列番号1〜23及びSP1574、SP1655、SP2106、SP1473、SP0605、SP1177、SP0335、SP0906、SP1828、SP2157、SP1229、SP1128、SP1836、SP1865、SP0904、SP0765、SP1634、SP0418、SP1923、SP1313、SP0775、SP0314、SP0912、SP0159、SP0910、SP2148、SP1412、SP0372、SP1304、SP2002、SP0612、SP1988、SP0484、SP0847、SP1527、SP0542、SP0441、SP0350、SP0014、SP1965、SP0117、SP0981、SP2229、SP2136、SP1179、SP1174、SP2216、SP1393、SP0641.1、SP1384、及びSP2032のいずれかを含むアミノ酸配列、又はその免疫原性断片を有する1つ以上のポリペプチドとを含む免疫原性組成物も提供する。
一部の実施形態では、ワクチン製剤は少なくとも2つのポリペプチドを含み、各ポリペプチドが(i)〜(vii)の異なる群に属する:(i)配列番号1又はその免疫原性断片、(ii)配列番号2〜5及び14〜17の一つ又はその免疫原性断片、(iii)配列番号6〜7及び18〜19の一つ又はその免疫原性断片、(iv)配列番号8又はその免疫原性断片、(v)配列番号9〜10及び20〜21の一つ又はその免疫原性断片、(vi)配列番号11〜13、267、及び269〜270の一つ又はその免疫原性断片、及び(vii)配列番号265〜266及び268の一つ又はその免疫原性断片。以下に、かかる組み合わせの例を挙げる。以下の配列の一つを対応するコンセンサス配列、例えば配列番号14〜21又は268〜270の一つと置き換えることにより、別の組み合わせが作られてもよい。一部の実施形態では、ポリペプチドの一つは、配列番号265〜266及び268の一つ又はその免疫原性断片である。一部の実施形態では、ワクチン製剤はニューモリソイドをさらに含む。一部の実施形態では、ワクチン製剤はCbpA又はその誘導体をさらに含む。一部の実施形態では、ワクチン製剤は、PspA又はPspAのプロリンリッチ領域の全て若しくは断片を含むその誘導体をさらに含む。
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特定の実施形態では、ワクチン製剤は、配列番号1〜13、265、266、及び267のいずれかを含むアミノ酸配列、又はその免疫原性断片を有する少なくとも3つの異なるポリペプチドを含み、各ポリペプチドが(i)〜(vii)の異なる群に属する:(i)配列番号1又はその免疫原性断片、(ii)配列番号2〜5の一つ又はその免疫原性断片、(iii)配列番号6〜7の一つ又はその免疫原性断片、(iv)配列番号8又はその免疫原性断片、(v)配列番号9〜10の一つ又はその免疫原性断片、(vi)配列番号11〜13及び267の一つ、又はその免疫原性断片、及び(vii)配列番号265〜266の一つ又はその免疫原性断片。以下に、かかる組み合わせの例を挙げる。以下の配列の一つを対応するコンセンサス配列、例えば配列番号14〜21又は268〜270の一つと置き換えることにより、別の組み合わせが作られてもよい。一部の実施形態では、ポリペプチドの一つは、配列番号265〜266及び268の一つ又はその免疫原性断片である。一部の実施形態では、ワクチン製剤はニューモリソイドをさらに含む。一部の実施形態では、ワクチン製剤はCbpA又はその誘導体をさらに含む。一部の実施形態では、ワクチン製剤は、PspA又はPspAのプロリンリッチ領域の全て若しくは断片を含むその誘導体をさらに含む。
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配列番号10、配列番号12、及び配列番号265
配列番号10、配列番号12、及び配列番号266

配列番号10、配列番号13、及び配列番号265
配列番号10、配列番号13、及び配列番号266

配列番号10、配列番号267、及び配列番号265
配列番号10、配列番号267、及び配列番号266
一部の実施形態では、ワクチン製剤は、配列番号14〜21、268、269及び270のいずれかを含むアミノ酸配列、又はその免疫原性断片を有する少なくとも2つの異なるポリペプチドを含む。特定のかかる実施形態において、ワクチン製剤は少なくとも2つのポリペプチドを含み、各ポリペプチドが(i)〜(v)の異なる群に属する:(i)配列番号14〜17の一つ又はその免疫原性断片、(ii)配列番号18〜19の一つ又はその免疫原性断片;(iii)配列番号20〜21の一つ又はその免疫原性断片、(iv)配列番号268の一つ又はその免疫原性断片、及び(v)配列番号269〜279の一つ又はその免疫原性断片。以下に、かかる組み合わせの例を挙げる。以下の組み合わせはコンセンサス配列を特定する。しかしながら、コンセンサス配列の一つを対応する非コンセンサス配列、例えば配列番号1〜13又は266〜267の一つと置き換えることにより、別の組み合わせが作られてもよい。一部の実施形態では、ポリペプチドの一つは、配列番号268又はその免疫原性断片である。一部の実施形態では、ワクチン製剤はニューモリソイドをさらに含む。一部の実施形態では、ワクチン製剤はCbpA又はその誘導体をさらに含む。一部の実施形態では、ワクチン製剤は、PspA又はPspAのプロリンリッチ領域の全て若しくは断片を含むその誘導体をさらに含む。
配列番号14及び配列番号18
配列番号14及び配列番号19
配列番号14及び配列番号20
配列番号14及び配列番号21
配列番号14及び配列番号268
配列番号14及び配列番号269
配列番号14及び配列番号270


配列番号15及び配列番号18
配列番号15及び配列番号19
配列番号15及び配列番号20
配列番号15及び配列番号21
配列番号15及び配列番号268
配列番号15及び配列番号269
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配列番号16及び配列番号18
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配列番号16及び配列番号20
配列番号16及び配列番号21
配列番号16及び配列番号268
配列番号16及び配列番号269
配列番号16及び配列番号270


配列番号17及び配列番号18
配列番号17及び配列番号19
配列番号17及び配列番号20
配列番号17及び配列番号21
配列番号17及び配列番号268
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配列番号17及び配列番号270


配列番号18及び配列番号20
配列番号18及び配列番号21
配列番号18及び配列番号268
配列番号18及び配列番号269
配列番号18及び配列番号270


配列番号19及び配列番号20
配列番号19及び配列番号21
配列番号19及び配列番号268
配列番号19及び配列番号269
配列番号19及び配列番号270


配列番号20及び配列番号268
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配列番号20及び配列番号270

配列番号21及び配列番号268
配列番号21及び配列番号269
配列番号21及び配列番号270

配列番号268及び配列番号269
配列番号268及び配列番号270
一部の実施形態では、断片は配列番号14〜21及び268〜270のいずれかのトランケート断片であり、ここでは1〜20個のアミノ酸残基が、N末端、C末端、又はその両方から取り除かれている。
一部の実施形態では、ワクチン製剤は、配列番号14〜17のいずれかを含むアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。一部の実施形態では、ワクチン製剤は、配列番号18〜19のいずれかを含むアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。一部の実施形態では、ワクチン製剤は、配列番号20〜21のいずれかを含むアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。一部の実施形態では、ワクチン製剤は、配列番号268〜270のいずれかを含むアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む。
一部の態様において、配列番号14〜21、268、269及び270の1つ以上を含むワクチン製剤は、配列番号1〜13、265、266及び267のいずれかを含むアミノ酸配列を有するポリペプチドをさらに含む。
特定の実施形態では、ワクチン製剤は、配列番号14〜21、268、269及び270のいずれかを含むアミノ酸配列、又はその免疫原性断片を有する少なくとも3つの異なるポリペプチドを含む。特定のかかる実施形態において、ワクチン製剤は、(i)〜(v)のうちの3つを含む:(i)配列番号14〜17の一つ又はその免疫原性断片、(ii)配列番号18〜19の一つ又はその免疫原性断片;及び(iii)配列番号20〜21の一つ又はその免疫原性断片、(iv)配列番号268の一つ又はその免疫原性断片、及び(v)配列番号269〜270の一つ又はその免疫原性断片。以下に、かかる組み合わせの例を挙げる。以下の組み合わせはコンセンサス配列を特定する。しかしながら、コンセンサス配列の一つを対応する非コンセンサス配列、例えば配列番号1〜13又は266〜267の一つと置き換えることにより、別の組み合わせが作られてもよい。一部の実施形態では、ポリペプチドの一つは、配列番号268又はその免疫原性断片である。一部の実施形態では、ワクチン製剤はニューモリソイドをさらに含む。一部の実施形態では、ワクチン製剤はCbpA又はその誘導体をさらに含む。一部の実施形態では、ワクチン製剤は、PspA又はPspAのプロリンリッチ領域の全て若しくは断片を含むその誘導体をさらに含む。
配列番号14、配列番号18、及び配列番号20
配列番号14、配列番号18、及び配列番号21
配列番号14、配列番号18、及び配列番号268
配列番号14、配列番号18、及び配列番号269
配列番号14、配列番号18、及び配列番号270

配列番号14、配列番号19、及び配列番号20
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配列番号14、配列番号19、及び配列番号268
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配列番号14、配列番号268、及び配列番号269
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配列番号19、配列番号20、及び配列番号268
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配列番号19、配列番号21、及び配列番号268
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配列番号19、配列番号21、及び配列番号270

配列番号20、配列番号268、及び配列番号269
配列番号20、配列番号268、及び配列番号270

配列番号21、配列番号268、及び配列番号269
配列番号21、配列番号268、及び配列番号270
ポリペプチドは、1つ以上の免疫原性部分と1つ以上の非免疫原性部分とを含み得る。免疫原性部分は、タンパク質マイクロアレイ、ELISPOT/ELISA法、及び/又は当該のポリペプチドの異なる欠失突然変異体(例えば断片)に対する特異的アッセイを含む様々な方法によって同定され得る。免疫原性部分はまた、コンピュータアルゴリズムによって同定されてもよい。EpiMatrix(製造元EpiVax)などの一部のかかるアルゴリズムは、計算論的行列手法を用いる。抗原エピトープを同定するための他の計算ツールには、PEPVAC(広宿主域エピトープベースワクチン(Promiscuous EPitope−based VACcine)、ワールドワイドウェブ上のimmunax.dfci.harvard.edu/PEPVACにおいてデーナ・ファーバー癌研究所(Dana Farber Cancer Institute)によりホストされる)、MHCPred(部分最小二乗法を用いるもので、ワールドワイドウェブ上のwww.jenner.ac.uk/MHCPredにおいてジェンナー研究所(Jenner Institute)によりホストされる)、及びワールドワイドウェブ上のtools.immuneepitope.orgにおける免疫エピトープデータベースアルゴリズムが含まれる。本明細書に記載されるポリペプチドの免疫原性断片は、実験的に計測するか、又はアルゴリズムにより同定するとき、少なくとも1つの免疫原性部分を含む。上記に記載されるツールによって同定されるペプチドには、以下が含まれる:
Figure 2014503002
Figure 2014503002
従って、一部の態様において、本願は、本明細書に記載される抗原の免疫原性断片を提供する。このような断片は、ある場合には、サイズが完全長ポリペプチド又は表1若しくは表2のポリペプチドに近い。例えば、断片は、一方又は双方の末端から多くても1、2、3、4、5、10、20、又は30個のアミノ酸が欠けていてよい。特定の実施形態では、ポリペプチドは、100〜500アミノ酸長、又は150〜450、又は200〜400、又は250〜250アミノ酸長である。一部の実施形態では、ポリペプチドは、100〜200、150〜250、200〜300、250〜350、300〜400、350〜450、又は400〜500アミノ酸長である。特定の実施形態では、断片は、発現宿主、例えば大腸菌(E.coli)、昆虫細胞系(例えばバキュロウイルス発現系)、又は哺乳動物(例えばヒト又はチャイニーズハムスター卵巣)細胞株によるシグナル配列のプロセシング、又は部分的プロセシングから生じる。上記に記載される断片又はその部分断片(例えば、8〜50、8〜30、又は8〜20アミノ酸残基の断片)は、好ましくは以下に記載される生物活性の一つを有し、例えばIL−17放出量を(例えば、絶対計測値として、或いは免疫学的に不活性なタンパク質と比べて)少なくとも1.5倍又は2倍又はそれ以上増加させる。断片は、本明細書に記載されるワクチン中のポリペプチドとして用いられてもよく、又は別のタンパク質、タンパク質断片若しくはポリペプチドと融合してもよい。
一部の実施形態では、断片は、1〜5、1〜10、又は1〜20アミノ酸残基がN末端、C末端、又はその両方から取り除かれた、配列番号1〜21又は265〜270のいずれかのトランケート断片である。一部のかかる実施形態では、N末端及びC末端から同じ数の残基が取り除かれるが、他の実施形態ではN末端からC末端とは異なる数の残基が取り除かれる。
特定の態様において、本願は、表1又は表2のポリペプチドと少なくとも90%、95%、97%、98%、99%、又は99.5%の同一性を有する免疫原性ポリペプチドを提供する。特定の実施形態では、ワクチン製剤は、配列番号1〜21又は265〜270のいずれかと少なくとも90%、95%、98%、又は99%同一の配列を含むアミノ酸配列、又はその免疫原性断片を有する少なくとも2つの異なるポリペプチドを含む。
一部の実施形態では、表1又は表2からの1つ以上、例えば、2つ、3つ、4つ、若しくはそれ以上のポリペプチド又はその免疫原性断片若しくは変異体が、混合物に提供される。一部の実施形態では、この混合物は、発現宿主、例えば大腸菌(E.coli)、昆虫細胞系(例えばバキュロウイルス発現系)、又は哺乳動物(例えばヒト又はチャイニーズハムスター卵巣)細胞株によるシグナル配列のプロセシング、又は部分的プロセシングから生じる完全長ポリペプチド及び断片の両方を含む。
一部の実施形態では、表1又は表2からの2つ、3つ、4つ、若しくはそれ以上のポリペプチド又はその免疫原性断片若しくは変異体は、単純な物理的混合物中にあるというより、例えば融合タンパク質として、互いに共有結合している。一部の実施形態では、ワクチン製剤は、配列番号1〜23又は265〜270のいずれかを含むアミノ酸配列を有するポリペプチドの他には、実質的に他の肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)ポリペプチドを含まない。一部の実施形態では、ワクチン製剤は、表1のポリペプチドの他には、実質的に他の肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)ポリペプチドを含まない。一部の実施形態では、ワクチン製剤は、表1及び/又は表2のポリペプチドの他には、実質的に他の肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)ポリペプチドを含まない。
特定の実施形態では、ワクチン製剤又は免疫原性組成物は、配列番号1〜23又は265〜270のいずれかを含むアミノ酸配列を有するポリペプチドの他には、実質的に他の肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)ポリペプチドを含まない。特定のかかる実施形態において、ワクチン製剤又は免疫原性組成物は、配列番号1〜23又は265〜270のいずれかからなるアミノ酸配列を有するポリペプチドの他には、実質的に他の肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)ポリペプチドを含まない。一部の実施形態では、ワクチン製剤又は免疫原性組成物は、表1及び/又は表2のポリペプチドのアミノ酸配列のいずれかを含む(又はそれからなる)アミノ酸配列を有するポリペプチドの他には、実質的に他の肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)ポリペプチドを含まない。実質的とは、この文脈上、他の肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)ポリペプチドが50%未満、40%未満、30%未満、20%未満、10%未満、5%未満、3%未満、2未満、又はさらには1%未満であることを指す。
特定の実施形態では、ワクチン組成物は、T17細胞との接触後に無関係の対照抗原(遺伝子名US12のHSV−2タンパク質ICP47など)によって誘発される応答と比べて少なくとも1.5倍高いT17細胞応答を含む。一部の実施形態では、ワクチン製剤は、非感染対象における肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)の感染を阻害する。特定の実施形態では、ワクチン製剤は、肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)に感染した個体における肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)の鼻咽頭定着の発生頻度又は期間を低減する。一部の実施形態では、ワクチン製剤は、肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)に感染した個体における敗血症の発生を阻害する。一部の実施形態では、ワクチン製剤は、肺炎、髄膜炎、中耳炎、副鼻腔炎又は他の部位若しくは器官の肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)感染の発生を阻害する。
特定の実施形態では、本願は、DNA、RNA、又はその類似体などの、上記に記載されるポリペプチドの1つ以上をコードする核酸を提供する。上記に記載されるポリペプチドの基礎をなすDNA配列は、タンパク質産物の配列に影響を及ぼさない形で修飾されてもよく、及びかかる配列は本発明に包含される。例えば、DNA配列のコドンを最適化して、大腸菌(E.coli)、昆虫細胞系(例えばバキュロウイルス発現系を使用するもの)、又は哺乳動物(例えばヒト又はチャイニーズハムスター卵巣)細胞株などの宿主における発現を向上させてもよい。
特定の実施形態では、本願は、表1又は表2の遺伝子、又は前記遺伝子の変異体若しくは一部分と少なくとも70%、80%、90%、95%、97%、98%、99%、又は100%同一の核酸(DNA、RNA、又はその類似体など)を提供する。特定の実施形態では、核酸は、600〜2000、800〜1800、1000〜1600、1200〜1400ヌクレオチド長である。一部の実施形態では、核酸は、600〜1600、800〜1800、又は1000〜2000ヌクレオチド長である。核酸は、例えば、表1及び表2のポリペプチド、又はその免疫原性断片の組換え産生に用いられ得る。
一部の実施形態では、ワクチン又は免疫原性組成物は、融合タンパク質及び/又は融合DNAコンストラクトを含み得る。本明細書に記載されるポリペプチドは修飾なしに用いられてもよい。特定の実施形態では、断片などの、より小さい関連ポリペプチドが用いられ、且つその分子量が約5000ダルトン未満、例えば1500〜5000ダルトンである場合、所望の免疫応答の誘発に修飾が有用となり得る。例えば、より小さいポリペプチドは、破傷風トキソイド、ニューモリシン、キーホールリンペットヘモシアニンなどの適切な免疫原性担体とコンジュゲートすることができる。
特定の実施形態では、ワクチン製剤は少なくとも1つの脂質化ポリペプチドを含む。脂質部分とのコンジュゲーションは、直接的であっても、又は間接的(例えばリンカーを介して)であってもよい。脂質部分は合成であっても、又は自然に生成されたものであってもよい。特定の実施形態では、表1又は表2からのポリペプチドが脂質部分と化学的にコンジュゲートされ得る。特定の実施形態では、コンストラクトは、表1又は表2からの遺伝子若しくはポリペプチド、又はその免疫原性断片若しくは変異体と、リポボックスモチーフを含む脂質化配列とを含み得る。カノニカルなリポボックスモチーフを配列番号274として示す。脂質化配列はタンパク質のN末端側であっても、又はC末端側であってもよく、シグナル配列若しくは他の配列、又は融合タンパク質に埋め込まれてもよい。例示的な脂質化配列には、SP2108のシグナル配列(配列番号275)及び大腸菌(E.coli)遺伝子RlpBのシグナル配列(配列番号276)が含まれる。シグナル配列は、例えば、大腸菌(E.coli)又は肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)シグナル配列であってもよい。例示的な大腸菌(E.coli)シグナル配列としては、mlpAシグナル配列(Lin,J.J.et al.,“An Escherichia coli mutant with an amino acid alteration within the signal sequence of outer membrane prolipoprotein(外膜プロリポタンパク質のシグナル配列内にアミノ酸改変を有する大腸菌突然変異体)”Proc Natl Acad Sci U S A.1978 Oct;75(10):4891−5)、lamBシグナル配列(Emr,S.D.et al.“Mutations altering the cellular localization of the phage lambda receptor,an Escherichia coli outer membrane protein(λファージ受容体の細胞局在を改変する突然変異、大腸菌外膜タンパク質)”,Proc Natl Acad Sci U S A.1978 Dec;75(12):5802−6)、MBPシグナル配列(Bassford,P.J.,“Use of gene fusion to study secretion of maltose−binding protein into Escherichia coli periplasm(遺伝子融合を用いた大腸菌ペリプラズムへのマルトース結合タンパク質の分泌研究)”J Bacteriol.1979 Jul;139(1):19−31)が挙げられる。Lppは、脂質化を誘導する例示的な大腸菌(E.coli)シグナル配列である(Cullen,P.A.et al.“Construction and evaluation of a plasmid vector for the expression of recombinant lipoproteins in Escherichia coli(大腸菌における組換えリポタンパク質の発現用プラスミドベクターの構築及び評価)”Plasmid.2003 Jan;49(1):18−29)。脂質化を誘導する大腸菌(E.coli)シグナル配列についてはまた、Legrain,M.et al.(“Production of lipidated meningococcal transferrin binding protein 2 in Escherichia coli(大腸菌における脂質化された髄膜炎菌性トランスフェリン結合タンパク質2の産生)”Protein Expr Purif.1995 Oct;6(5):570−8)にも記載されており、例えば遺伝子RlpBのシグナル配列(配列番号276)である。数多くの肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)シグナル配列が当該技術分野において公知である。一つのかかるシグナル配列は、配列番号275である。
他の実施形態では、コンストラクトは、表1又は表2からの遺伝子若しくはタンパク質、又はその免疫原性断片若しくは変異体と、タグとを含み得る。タグはN末端側又はC末端側であってよい。例えば、タグを核酸又はポリペプチドに付加することにより、精製、検出、溶解性が促進され、又は他の望ましい特性がタンパク質若しくは核酸に付与され得る。例えば、精製タグは、アフィニティー精製に用いられ得るペプチド、オリゴペプチド、又はポリペプチドであってもよい。例としては、His、GST、TAP、FLAG、myc、HA、MBP、VSV−G、チオレドキシン、V5、アビジン、ストレプトアビジン、BCCP、カルモジュリン、Nus、Sタグ、リポタンパク質D、及びβガラクトシダーゼが挙げられる。詳細な例示的Hisタグとしては、HHHHHH(配列番号32)及びMSYYHHHHHH(配列番号33)が挙げられる。他の実施形態では、ポリペプチドはタンパク質精製タグなどのタグを含まず、精製タグに対する親和性に頼らない方法によって精製される。一部の実施形態では、融合部分は短い。これは、ある場合には、融合タンパク質は、表1又は表2のポリペプチドの一方又は双方の末端に1、2、3、4、5、10、又は20個以下のさらなるアミノ酸を含む。
B.免疫原性組成物
本開示はまた、免疫原性ポリペプチド又はそれらの免疫原性ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを医薬担体と共に含む医薬組成物も提供する。肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)に感染したマウス由来、又は健康ヒトドナー由来の免疫細胞をスクリーニングすることにより、肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)由来の抗原を同定した。肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)は極めて一般的な疾患及び定着病原体であるため、ヒトドナーはその人生のなかのある時点で肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)に曝露されたことがあったものと推定された。簡潔に言えば、肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)抗原のライブラリを細菌で発現させて抗原提示細胞(APC)と混合した。次にはAPCが肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)由来のポリペプチドを、マウス又はヒトドナーから単離されたリンパ球に提示した。リンパ球応答を、肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)に対する反応性についてアッセイした。ヒトドナー、並びにマウスを肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)で免疫し、肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)抗原に特異的なリンパ球を産生させた。このように、本開示は、肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)による感染に対抗するための、免疫された又は感染したマウス又はヒトにおいて強力な免疫応答を誘発する肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)抗原の組成物を企図する。
表1及び表2は、本明細書に記載されるスクリーニング方法により同定された肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)抗原のタンパク質配列及び対応するヌクレオチド配列を掲載する。マウス及びヒトT細胞のスクリーンで抗原を同定した。マウスT細胞のスクリーンでは、同定された抗原を少なくとも2ラウンドのスクリーニングに供した:ゲノムワイドのラウンドに供することにより、免疫応答を誘発した4つの抗原のプールを同定し、続いてデコンボリューションラウンドに供することにより、ゲノムワイドのラウンドで同定したプールから、免疫応答を誘発した単一の抗原を個々に試験及び同定した。対照的に、ヒトT細胞のスクリーンでは、2つの異なる抗原プールセットを作成し、それによりポリペプチドを第1及び第2のプール間で異なるポリペプチドと組み合わせた。結果的に、どのポリペプチドが第1及び第2のいずれのセットにおいても陽性のプールにあるかを同定することにより、どのポリペプチドが抗原であるかを決定することが可能である。表1に、上記のスクリーニング方法の一方によって同定し、続いて実施例5〜12に記載されるマウスモデルでのさらなる試験に供した抗原(及びその変異体)を掲載する。このように、この開示に係る組成物は、表1又は表2に掲載される遺伝子の1つ又は2つ以上、又は対応する遺伝子産物を含み得る。
免疫原性組成物はまた、前記ストレプトコッカス属(Streptococcus)ポリペプチドの一部分、例えば、欠失突然変異体、トランケーション突然変異体、オリゴヌクレオチド、及びペプチド断片も含み得る。一部の実施形態では、前記ポリペプチドの一部分は免疫原性である。タンパク質の一部分の免疫原性は、完全長タンパク質の免疫原性の決定に用いられるのと同じアッセイを用いて容易に決定される。一部の実施形態では、ポリペプチドの一部分は、完全長タンパク質と実質的に同じ免疫原性を有する。一部の実施形態では、免疫原性は、完全長タンパク質(例えば、表1及び表2のポリペプチド)の免疫原性を10%、20%、30%、40%、又は50%より大きく下回ることはない。ペプチド断片は、例えば、線状、環状、又は分枝状であってよい。
本明細書に記載されるワクチン製剤及び免疫原性組成物の一部の実施形態は、膜輸送配列(MTS)を含む免疫原性ポリペプチド(例えば、表1又は表2のポリペプチド)を含み、それにより哺乳動物細胞へのポリペプチドの導入及び続く細胞媒介性免疫応答の刺激を促進する。例示的な膜輸送配列には、カポジ線維芽細胞成長因子のシグナル配列における疎水性領域、α−シヌクレイン、β−シヌクレイン、又はγ−シヌクレインのMTS、アンテナペディアホメオドメインの3番目のヘリックス、SN50、インテグリンβ3 h領域、HIV Tat、pAntp、PR−39、アバエシン、アピダエシン、Bac5、Bac7、P.ベルゲイ(P.berghei)CSタンパク質、並びに米国特許第6,248,558号明細書、同第6,432,680号明細書及び同第6,248,558号明細書に記載されるMTSが含まれる。
特定の実施形態では、抗原(例えば、表1又は表2のポリペプチド)は別の分子と共有結合する。これにより、例えば、抗原の半減期、溶解度、バイオアベイラビリティ(bioabailability)、又は免疫原性が増加し得る。抗原に共有結合し得る分子としては、炭水化物、ビオチン、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、ポリシアル酸、N−プロピオニル化ポリシアル酸、核酸、多糖類、及びPLGAが挙げられる。分子量が300g/mol未満から10,000,000g/mol超に至る範囲の多くの異なる種類のPEGがある。PEG鎖は線状、分枝状、又は櫛形状若しくは星形状であってよい。一部の実施形態では、自然に産生された形態のタンパク質が、免疫系を刺激する部分と共有結合される。かかる部分の例は、脂質部分である。ある場合には、脂質部分は、TLR−2又はTLR−4などのToll様受容体(TLR)により認識され、自然免疫系を活性化する。
C.表1及び表2のタンパク質に特異的な抗体
本明細書に開示される別の態様は、抗原性組成物(例えば、表1又は表2に掲載されるタンパク質のうちの一つ又はその免疫原性断片)に対して生成された抗体製剤である。例えば、本開示は、各々が表1又は表2の異なるタンパク質を認識する2つ、3つ、4つ、又は5つの抗体の組み合わせを提供する。様々な抗体のいずれもが包含される。かかる抗体には、例えば、ポリクローナル、モノクローナル、組換え、ヒト化又は部分的ヒト化、単鎖、Fab、及びそれらの断片等が含まれる。抗体は、任意のアイソタイプ、例えば、IgG、様々なIgGアイソタイプ、例えばIgG1、IgG2、IgG2a、IgG2b、IgG3、IgG4等であってよく;及び抗体は、ヤギ、ウサギ、マウス、ニワトリなどを含め、抗体を産生する任意の動物種由来であってよい。一部の実施形態では、Fab分子は、大腸菌(E.coli)などの遺伝的に形質転換された宿主で発現及び構築される。このように潜在的に多様性が前身の抗体を生成する対象と同等か又はそれ以上であるFab’集団を発現させるために、λベクター系が利用可能である。Huse et al.(1989),Science 246,1275−81を参照のこと。
D.肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)抗原又はそれを認識する抗体を含むワクチン又は免疫原性組成物の成分
特定の実施形態では、ワクチン又は免疫原性組成物は、抗原と、以下のうちの1つ以上とを含む:アジュバント、安定剤、緩衝剤、界面活性剤、徐放成分、塩、防腐剤、及び/又は前記抗原に特異的な抗体。
1.アジュバント
本明細書に記載されるワクチン製剤及び免疫原性組成物はアジュバントを含んでもよい。アジュバントは、その主要な作用機序に基づき、概して2つのクラス、すなわちワクチン送達系アジュバント及び免疫賦活アジュバントに分けることができる(例えば、Singh et al.,Curr.HIV Res.1:309−20,2003を参照のこと)。多くのワクチン製剤において、アジュバントが免疫系にシグナルを提供することで、免疫系が抗原に対する応答を生じ、及び病原体に対する応答の特異性を駆動するために、抗原が必要である。ワクチン送達系は、多くの場合に粒子状製剤、例えば、エマルション、マイクロパーティクル、免疫刺激複合体(ISCOM)、ナノ粒子(これらは例えば粒子及び/又はマトリックスであってよい)、及びリポソームである。対照的に、免疫賦活アジュバントはときに病原体に由来し、病原体関連分子パターン(PAMP)、例えばリポ多糖類(LPS)、モノホスホリルリピド(MPL)、又はCpG含有DNAに相当してもよく、これらは自然免疫系の細胞を活性化する。
或いは、アジュバントは有機及び無機に分類され得る。無機アジュバントには、リン酸アルミニウム、非晶質アルミニウムヒドロキシホスフェートスルフェート、及び水酸化アルミニウムなどのミョウバン塩が含まれ、これらはヒトワクチンで一般的に使用される。有機アジュバントは、巨大分子を含む有機分子を含む。有機アジュバントの例はコレラ毒素である。
アジュバントはまた、それが誘導する応答によっても分類され得る。一部の実施形態では、アジュバントはT1細胞又はT2細胞の活性化を誘導する。他の実施形態では、アジュバントはB細胞の活性化を誘導する。さらに他の実施形態では、アジュバントは抗原提示細胞の活性化を誘導する。これらの分類は相互排他的ではない;ある場合には、アジュバントは2種以上の細胞を活性化する。
特定の実施形態では、アジュバントはT17細胞の活性化を誘導する。それにより、CD4又はCD8 T細胞によるIL−17の分泌が促進され得る。一部の実施形態では、T17細胞の活性化を誘導するアジュバントは、以下のアッセイにおいて少なくとも2倍、及びある場合には10倍の実験試料対対照比を生じるものである。このアッセイでは、実験者は、2つの細胞集団によって分泌されるIL−17レベルを比較する:(1)アジュバント及びT17活性化を誘導することが分かっているポリペプチドで免疫した動物由来の細胞、及び(2)アジュバント及び無関係な(対照の)ポリペプチドで処置した動物由来の細胞。T17細胞の活性化を誘導するアジュバントにより、集団(1)の細胞は集団(2)の細胞と比べて2倍超、又は10倍超多いIL−17を産生し得る。IL−17は、例えばELISA又はELISPOTにより計測されてもよい。コレラ毒素及び不安定毒素(腸管毒素原性大腸菌(E.coli)、すなわちETECにより産生される)などの特定の毒素は、T17応答を活性化する。従って、一部の実施形態では、アジュバントは毒素である。コレラ毒素は、表1の特定のポリペプチドとの組み合わせで、マウスモデルにおける防御免疫の誘導に対する使用が奏功した(実施例5〜8を参照)。不安定毒素の一形態が、Intercellによって作製されている。アジュバントとしての活性を有するが、毒性が極めて低い、不安定毒素の変異誘導体も、同様に用いることができる。不安定毒素の例示的な解毒型変異誘導体には、ADP−リボシルトランスフェラーゼ活性を欠く突然変異体が含まれる。不安定毒素の詳細な解毒型変異誘導体には、LTK7(Douce et al.,“Mutants of Escherichia coli heat−labile toxin lacking ADP−ribosyltransferase activity act as nontoxic,mucosal adjuvants(ADP−リボシルトランスフェラーゼ活性を欠く大腸菌易熱性毒素の突然変異体は非毒性粘膜アジュバントとして作用する)”PNAS Vol.92,pp.1644−1648,1995年2月)及びLTK63(Williams et al.,“Innate Imprinting by the Modified Heat−Labile Toxin of Escherichia coli (LTK63) Provides Generic Protection against Lung Infectious Disease(大腸菌の修飾型易熱性毒素(LTK63)による先天的インプリンティングは肺感染症に対する包括的防御を提供する)”The Journal of Immunology,2004,173:7435−7443)、LT−G192(Douce et al.“Genetically detoxified mutants of heat−labile toxin from Escherichia coli are able to act as oral adjuvants(大腸菌由来の易熱性毒素の遺伝学的に解毒された突然変異体は経口アジュバントとして作用することができる)”Infect Immun.1999 Sep;67(9):4400−6)、及びLTR72(“Mucosal adjuvanticity and immunogenicity of LTR72,a novel mutant of Escherichia coli heat−labile enterotoxin with partial knockout of ADP−ribosyltransferase activity(ADP−リボシルトランスフェラーゼ活性の部分的ノックアウトを有する大腸菌易熱性エンテロトキシンの新規突然変異体LTR72の粘膜アジュバント活性及び免疫原性)”J Exp Med.1998 Apr 6;187(7):1123−32)が含まれる。
一部の実施形態では、アジュバントはVLP(ウイルス様粒子)を含む。一つのかかるアジュバントプラットフォームであるアルファウイルスレプリコンは、アルファウイルスを用いてT17細胞の活性化を誘導し、Alphavaxによって作製されている。アルファウイルスレプリコン系の特定の実施形態では、アルファウイルスは、目的の抗原、目的のサイトカイン(例えば、IL−17又はIL−17産生を刺激するサイトカイン)、又はその双方を発現するよう操作されてもよく、ヘルパー細胞系で産生され得る。さらに詳細な情報は、米国特許第5,643,576号明細書及び同第6,783,939号明細書に見出すことができる。一部の実施形態では、ワクチン製剤は、サイトカインをコードする核酸と組み合わせて患者に投与される。
特定のアジュバントクラスは、T17応答を活性化するためにToll様受容体(TLR)を活性化する。TLRは白血球膜に見られる周知のタンパク質であり、外来抗原(微生物抗原を含む)を認識し得る。公知のTLRリガンドを目的の抗原と共に(例えば融合タンパク質として)投与すると、目的の抗原に特異的な免疫応答の発生を促進することができる。TLRを活性化する一つの例示的なアジュバントには、モノホスホリルリピドA(MPL)が含まれる。従来、MPLは、S.ミネソタ(S.minnesota)などのグラム陰性細菌から得られる解毒型リポ多糖(LPS)内毒素として産生されてきた。特に、LPSの逐次的な酸及び塩基加水分解により免疫活性リピドA画分が産生され(これがMPLである)、サッカライド基及びLPSに存在するリン酸塩の一つを除く全てが欠ける。多数の合成TLRアゴニスト(特に、TLR−4アゴニスト)が、Evans JT et al.“Enhancement of antigen−specific immunity via the TLR−4 ligands MPL adjuvant and Ribi.529(TLR−4リガンドMPLアジュバント及びRibi.529を介した抗原特異的免疫の亢進)”Expert Rev Vaccines 2003 Apr;2(2):219−29に開示されている。MPLアジュバントと同様に、これらの合成化合物はTLRを介して自然免疫系を活性化する。別の種類のTLRアゴニストは、合成リン脂質二量体、例えばE6020である(Ishizaka ST et al.“E6020:a synthetic Toll−like receptor 4 agonist as a vaccine adjuvant(E6020:ワクチンアジュバントとしての合成Toll様受容体4アゴニスト)”Expert Rev.Vaccines.2007 Oct;6(5):773−84)。様々なTLRアゴニスト(TLR−4アゴニストを含む)が、例えば、伝染病研究所(Infectious Disease Research Institute:IRDI)、Corixa、Esai、Avanti Polar Lipids,Inc.、及びSigma Aldrichにより作製及び/又は販売されている。TLRを活性化する別の例示的なアジュバントには、MPLの混合物、トレハロースジコリノミコレート(Trehalose Dicoynomycolate)(TDM)、及び臭化ジオクタデシルジメチルアンモニウム(DDA)が含まれる。別のTLR活性化アジュバントはR848(レシキモド)である。
一部の実施形態では、アジュバントはサポニンであるか、又はそれを含む。典型的には、サポニンは、キラヤ・サポナリア(Quillaja saponaria)の木の樹皮から分離されるものなどの、トリテルペン配糖体である。生物学的供給源からのサポニン抽出物を(例えばクロマトグラフィーにより)さらに分画して、最良のアジュバント活性及び許容可能な毒性を有する抽出物部分に分離することができる。アジュバントとして用いられるキラヤ・サポナリア(Quillaja saponaria)の木由来の典型的な抽出物画分は、画分A及びCとして知られる。
本明細書に記載されるワクチン製剤に用いられ得る特定の形態のサポニンは、免疫刺激複合体(ISCOM)である。ISCOMは、概してキラヤ属(Quillaja)のサポニン画分と脂質(例えば、コレステロール及びホスファチジルコリンなどのリン脂質)とを含む、当該技術分野で認知されているアジュバントクラスである。特定の実施形態では、ISCOMは目的のポリペプチド又は核酸と共に構築される。しかしながら、異なるサポニン画分を異なる比で使用してもよい。加えて、異なるサポニン画分は同じ粒子に共に存在しても、又は粒子1つにつき実質的に一つの画分のみを有してもよい(異なる画分を有する粒子を合わせて混合することにより、画分AとCとの指定される比を生じさせる)。これに関連して、「実質的に」は、20%、15%、10%、5%、4%、3%、2%又はさらには1%未満を指す。かかるアジュバントは、70〜95A:30〜5C、例えば70A:30C〜75A:5C、75A:5C〜80A:20C、80A:20C〜85A:15C、85A:15C〜90A:10C、90A:10C〜95A:5C、又は95A:5C〜99A:1Cの比で混合された画分Aと画分Cとを含み得る。
特定の実施形態では、アジュバントの組み合わせが用いられる。アジュバントの3つの例示的な組み合わせは、MPL及びミョウバン、E6020及びミョウバン、並びにMPL及びISCOMである。
アジュバントは抗原に共有結合し得る。一部の実施形態では、アジュバントは、抗原提示細胞(APC)の活性化を介して炎症反応を誘導するタンパク質を含み得る。一部の実施形態では、これらのタンパク質の1つ以上を選択された抗原と組換えで融合することができ、それにより得られる融合分子が樹状細胞の成熟を促進し、樹状細胞を活性化してサイトカイン及びケモカインを産生し、最終的にはT細胞に対する抗原の提示及びT細胞応答の惹起を増進する(Wu et al.,Cancer Res 2005;65(11),pp 4947−4954を参照)。特定の実施形態では、本明細書に記載されるポリペプチドは、Lu et al.(“Protection against Pneumococcal colonization and fatal pneumonia by a trivalent conjugate of a fusion protein with the cell wall polysaccharide(細胞壁多糖との融合タンパク質の三価コンジュゲートによる肺炎球菌定着及び致死的肺炎の防御)”Infect Immun.2009 May;77(5):2076−83)に記載される肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)の肺炎球菌表面付着因子A(PsaA)とニューモリソイドPdT及び細胞壁多糖(PsaA:PdT−CP)との融合タンパク質を含む三価コンジュゲート系のコンテクストで提示される。PdTは3つのアミノ酸置換(W433F、D385N、及びC428G)を有し、これらは分子を非毒性にするが、そのTLR−4媒介性の炎症特性は妨げない。ポリペプチドとTLR−4−アゴニストPdTとの融合物に多糖をコンジュゲートすると、ポリペプチドに対する免疫応答が大幅に増進される。一部の実施形態では、本明細書に記載される1つ以上のポリペプチドが、三価コンジュゲートにおいてPsaAの代わりに使用される。三価コンジュゲート系は、典型的にはミョウバンを含み、通常非経口的に投与される。抗原と共有結合し得る他の例示的アジュバントには、多糖類、ニューモリシン、合成ペプチド、リポペプチド、及び核酸が含まれる。
典型的には、ワクチンの各用量に同じアジュバント又はアジュバント混合物が存在する。しかしながら、場合によりアジュバントは、第1のワクチン用量と共に投与され、後続の用量(すなわちブースターショット)では投与されなくてもよい。或いは、強力なアジュバントが第1のワクチン用量と共に投与され、より弱いアジュバント又はより低用量の強力なアジュバントが後続の用量と共に投与されてもよい。アジュバントは、対象への抗原の投与前、抗原の投与と同時又は抗原の投与後(ときに1、2、6、又は12時間以内、ときに1、2、又は5日以内)に投与することができる。特定のアジュバントは、ヒト患者、非ヒト動物、又はその双方に適切である。
2.ワクチン又は免疫原性組成物のさらなる成分
上記に記載される抗原及びアジュバントに加え、ワクチン製剤又は免疫原性組成物は1つ以上のさらなる成分を含み得る。
特定の実施形態では、ワクチン製剤又は免疫原性組成物は、1つ以上の安定剤、例えば、糖類(スクロース、グルコース、又はフルクトースなど)、リン酸塩(二塩基性リン酸ナトリウム、一塩基性リン酸カリウム、リン酸二カリウム、又はリン酸一ナトリウムなど)、グルタミン酸塩(L−グルタミン酸一ナトリウムなど)、ゼラチン(加工ゼラチン、加水分解ゼラチン、又はブタゼラチンなど)、アミノ酸(アルギニン、アスパラギン、ヒスチジン、L−ヒスチジン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、スレオニン、リジン、フェニルアラニン、チロシン、及びこれらのアルキルエステルなど)、イノシン、又はホウ酸ナトリウムを含み得る。
特定の実施形態では、ワクチン製剤又は免疫原性組成物は、重炭酸ナトリウム及びアスコルビン酸の混合物などの1つ以上の緩衝剤を含む。一部の実施形態では、ワクチン製剤は、生理食塩水、例えばリン酸緩衝生理食塩水(PBS)、又は蒸留水中にあって投与され得る。
特定の実施形態では、ワクチン製剤又は免疫原性組成物は、1つ以上の界面活性剤、例えばポリソルベート80(Tween 80)、Triton X−100、ポリエチレングリコールtert−オクチルフェニルエーテル t−オクチルフェノキシポリエトキシエタノール 4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル−ポリエチレングリコール(TRITON X−100);ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート ポリエチレングリコールソルビタンモノラウレート(Tween 20);及びホルムアルデヒド及びオキシランとの4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール重合体(TYLOXAPOL)を含み得る。界面活性剤はイオン性又は非イオン性であってよい。
特定の実施形態では、ワクチン製剤又は免疫原性組成物は、1つ以上の塩、例えば、塩化ナトリウム、塩化アンモニウム、塩化カルシウム、又は塩化カリウムを含む。
特定の実施形態では、ワクチン又は免疫原性組成物に防腐剤が含まれる。他の実施形態では、防腐剤は用いられない。防腐剤は、複数回用量のワクチンバイアルに最も多く用いられ、単回用量のワクチンバイアルで必要とされることは少ない。特定の実施形態では、防腐剤は、2−フェノキシエタノール、メチル及びプロピルパラベン、ベンジルアルコール、及び/又はソルビン酸である。
特定の実施形態では、ワクチン製剤又は免疫原性組成物は徐放製剤である。
E.DNAワクチン
特定の態様において、ワクチンは、本明細書に開示される核酸又は本明細書に記載されるポリペプチドに対応する核酸の1つ以上を含む。核酸ワクチンが患者に投与されると、患者の体内で対応する遺伝子産物(所望の抗原など)が産生される。一部の実施形態では、最適化された組換えポリヌクレオチドを含む核酸ワクチンベクターを哺乳動物(ヒトを含む)に送達することにより、治療的又は予防的免疫応答を生じさせることができる。核酸は、例えば、DNA、RNA、又は合成核酸であってよい。核酸は一本鎖又は二本鎖であってよい。
核酸ワクチンベクター(例えば、アデノウイルス、リポソーム、パピローマウイルス、レトロウイルス等)は、インビボで細胞に形質導入するため哺乳動物に直接投与することができる。核酸ワクチンは、非経口投与を含む任意の好適な方法で投与するための医薬組成物として製剤化することができる。プラスミドベクターは、典型的には筋組織に遺伝子導入するのにより効率的である。経口投与によってDNAベクターを粘膜表面に送達できる可能性が報告されており(PLGAカプセル化ロタウイルス及びB型肝炎)、遺伝子を他の組織に直接導入するためにDNAプラスミドが利用されている。DNAワクチンは、主として筋肉内注射によるか、遺伝子銃送達によるか、又は電気穿孔によって動物に導入されている。導入後、プラスミドは概して複製することなくエピソームに保持される。コードされたタンパク質の発現は長時間持続してB細胞及びT細胞の刺激を提供することが示されている。
感染又は他の病態の治療又は予防で投与すべきベクターの有効量を決定するにおいては、医師は、ベクターの毒性、疾患の進行、及び抗ベクター抗体がある場合にはその産生を評価する。多くの場合に、ベクターからのネイキッド核酸の用量当量は、典型的な70キログラムの患者に対して約1μg〜1mgであり、及び核酸の送達に用いられるベクターの用量は、当量の治療用核酸を生じるように計算される。投与は、単回用量又は分割用量によって達成することができる。核酸ワクチンベクターの毒性及び治療効果は、細胞培養物又は実験動物で標準的な薬学的手順を用いて決定することができる。
核酸ワクチンは、DNA、RNA、修飾核酸、又はそれらの組み合わせを含むことができる。一部の実施形態では、ワクチンは1つ以上のクローニングベクター又は発現ベクターを含み;例えば、ワクチンは複数の発現ベクターを含んでもよく、その各々が、哺乳動物細胞におけるヌクレオチドコード領域の自律的な発現により少なくとも1つの免疫原性ポリペプチドを産生する能力を有する。発現ベクターは、多くの場合に、1つ以上のコード領域に作動可能に連結された真核生物プロモーター配列、例えば強力な真核生物プロモーターのヌクレオチド配列を含む。本明細書における組成物及び方法は任意の特定の真核生物プロモーターの使用を含んでもよく、及び幅広い種類が知られている;例えばCMV又はRSVプロモーター。プロモーターは、宿主細胞にとって異種であってよい。用いられるプロモーターは構成的プロモーターであってもよい。
本組成物及び方法において有用なベクターは環状又は線状、一本鎖又は二本鎖であってよく、及びプラスミド、コスミド、又はエピソームであってよい。好適な実施形態において、各ヌクレオチドコード領域は別個のベクターにある;しかしながら、1つ以上のコード領域が単一のベクターに存在してもよく、及びそれらのコード領域が単一又は複数のプロモーターの制御下にあり得ることが理解されるべきである。
数多くのプラスミドが核酸ワクチンの作製に用いられ得る。核酸ワクチンの好適な実施形態は、ベクターとしてプラスミドVR1012(Vical Inc.,San Diego Calif.)、pCMVI.UBF3/2(S.Johnston,テキサス大学(University of Texas))又はpcDNA3.1(InVitrogen Corporation,Carlsbad,Calif.)を使用するコンストラクトを用いる。加えて、ベクターコンストラクトは、動物の免疫系を刺激する免疫刺激配列(ISS)、例えば非メチル化dCpGモチーフを含むことができる。核酸ワクチンはまた、免疫原性ポリペプチドを含む融合産物もコードすることができる。プラスミドDNAはまた、弱毒細菌を送達系として用いて送達することもでき、これは経口投与されるDNAワクチンに好適な方法である。細菌が独立に複製するプラスミドで形質転換され、宿主細胞において弱毒細菌が死亡した後、プラスミドが宿主細胞質に放出されるようになる。
DNAワクチンは、所望の抗原をコードするDNAを含め、断片単独、線状化プラスミド、環状プラスミド、複製能を有するプラスミド、エピソーム、RNA等を含む任意の好適な形態で宿主細胞に導入することができる。好ましくは、遺伝子はプラスミドに含められる。特定の実施形態では、プラスミドは発現ベクターである。遺伝物質の発現能を有する個々の発現ベクターは、標準的な組換え技術を用いて作製することができる。一般的なクローニング方法については、例えば、Maniatis et al.,1985 Molecular Cloning:A Laboratory Manual又はDNA Cloning,Vol.I and II(D.N.Glover,ed.,1985)を参照のこと。
投与経路としては、限定はされないが、筋肉内、鼻腔内、腹腔内、皮内、皮下、静脈内、動脈内、眼内及び経口並びに局所、経皮、吸入又は坐薬によるか、又は粘膜組織、例えば洗浄液による腟、直腸、尿道、頬側及び舌下組織に対するものが挙げられる。典型的な投与経路としては、筋肉内、腹腔内、皮内及び皮下注射が挙げられる。遺伝子コンストラクトは、限定はされないが、従来のシリンジ、無針注射器、「マイクロプロジェクタイルボンバードメント遺伝子銃」、又は他の物理的方法、例えば電気穿孔(「EP」)、「流体力学的方法」、又は超音波を含む手段によって投与され得る。DNAワクチンは、その細胞でDNAが発現し、且つ所望の抗原が作られるならば、DNAの送達に用いることのできる任意の方法によって送達することができる。
一部の実施形態では、DNAワクチンは、カチオン性リポソーム、フッ化炭素エマルション、コクリエート(cochleate)、細管、金粒子、生分解性マイクロスフェア、又はカチオン性ポリマーなどの公知のトランスフェクション試薬によって送達される。コクリエート送達媒体は、ホスファチジルセリン、コレステロール、及びカルシウムからなる安定なリン脂質カルシウム沈殿剤である;この非毒性且つ非炎症性のトランスフェクション試薬は、消化器系に存在することができる。生分解性マイクロスフェアは、ポリマー、例えば、トランスフェクション用DNAのマイクロカプセルの作製に用いることができるポリエステルであるポリ(ラクチド−co−グリコリド)を含む。脂質ベースのマイクロチューブは、多くの場合に、縁部を互いにつなぎ合わせてらせん状に巻いた2つの脂質層が充填されているものからなる。細管が用いられる場合、核酸は、動物の体内に送達及び制御放出されるようにその中心の中空部分に配置され得る。
一部の実施形態では、DNAワクチンは、マイクロスフェアによって粘膜表面に送達される。種々の技法を用いて生体接着性マイクロスフェアを調製することができ、眼、鼻腔、尿路、結腸及び胃腸管に見られるものを含めた任意の粘膜組織に接着するよう適合させることができるため、局所的にも、並びに全身的にもワクチンを制御放出する可能性がもたらされる。また、生体接着性マイクロスフェアの特定の粘膜組織への適用を用いてワクチンの作用を限局化することもできる。一部の実施形態では、代替的な粘膜ワクチン送達手法は、特異的タンパク質抗原の遺伝子をコードするプラスミドDNA発現ベクターを粘膜表面に直接投与することである。
本発明に係るDNAプラスミドワクチンは、用いられる投与方式に応じて製剤化される。一部の実施形態では、DNAプラスミドワクチンが注射用組成物である場合、それは無菌、及び/又はパイロジェンフリー及び/又は無粒子である。一部の実施形態では、等張性製剤が好ましくは用いられる。概して、等張にするための添加剤としては、塩化ナトリウム、デキストロース、マンニトール、ソルビトール及びラクトースを挙げることができる。一部の実施形態では、リン酸緩衝生理食塩水などの等張液が好ましい。一部の実施形態では、安定剤にゼラチン及びアルブミンが含まれる。一部の実施形態では、血管収縮剤が製剤に加えられる。一部の実施形態では、製剤を室温又は周囲温度で長時間安定させる安定化剤、例えばLGS又は他のポリカチオン若しくはポリアニオンが、製剤に加えられる。
一部の実施形態では、DNAワクチンは、薬理学的に許容可能な担体又は希釈剤をさらに含み得る。ワクチン用の好適な担体は当業者に周知されており、限定はされないが、タンパク質、糖類等が挙げられる。かかる担体は、水溶液又は非水溶液、懸濁液、及びエマルションであってもよい。非水溶性担体の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油などの植物油、及びオレイン酸エチルなどの注射用有機エステルである。水溶性担体としては、水、アルコール溶液/水溶液、エマルション又は懸濁液、例えば生理食塩水及び緩衝媒体が挙げられる。非経口ビヒクルとしては、塩化ナトリウム溶液、リンガーデキストロース及び塩化ナトリウム、乳酸加リンガー油又は固定油が挙げられる。静注用ビヒクルとしては、体液及び栄養補液、電解質補液、例えばリンガーデキストロースベースのものなどが挙げられる。防腐剤及び抗菌薬としては、抗酸化剤、キレート剤、不活性ガスなどが挙げられる。好ましい防腐剤としては、ホルマリン、チメロサール、ネオマイシン、ポリミキシンB及びアムホテリシンBが挙げられる。
動物に核酸を送達する代替的な手法は、ウイルスベクター又は細菌ベクターの使用を伴う。好適なウイルスベクターの例としては、アデノウイルス、ポリオウイルス、ポックスウイルス、例えばワクチニア、カナリア痘、及び鶏痘など、ナマズヘルペスウイルスを含むヘルペスウイルス、アデノウイルス関連ベクター、及びレトロウイルスが挙げられる。例示的な細菌ベクターとしては、弱毒化形態のサルモネラ属(Salmonella)、赤痢菌属(Shigella)、エドワージエラ・イクタルリ(Edwardsiella ictaluri)、エルシニア・ルッケリイ(Yersinia ruckerii)、及びリステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)が挙げられる。一部の実施形態では、核酸は、免疫原性ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の自己発現能を有するベクター、例えばプラスミドである。
F.ワクチンの使用
本明細書に記載される肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)ワクチンは、肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)の予防的及び/又は治療的処置に用いられ得る。従って、本願は、肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)感染症に罹患している又は罹患し易い対象を治療する方法を提供し、これは、本明細書に記載されるワクチン製剤のいずれかの有効量を投与するステップを含む。一部の態様において、本方法は、個体における肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)の定着を阻害する。一部の態様において、本方法は、肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)の症状又は敗血症などの続発症を阻害する。ワクチン接種を受ける対象は男性又は女性であってよく、及び小児又は成人であってよい。一部の実施形態では、治療される対象はヒトである。他の実施形態では、対象は非ヒト動物である。
1.予防的使用
予防的な実施形態では、ワクチンを対象に投与して、例えば、疾患における最初の且つ必須の段階である定着を防御することにより、肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)の確立の防御に役立ち得る免疫応答が誘導される。従って、一部の態様において、本方法は、非定着対象又は非感染対象における肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)の感染を阻害する。別の態様では、本方法は、既に定着している個体において定着持続期間を低減し得る。
一部の実施形態では、本発明のワクチン組成物は防御免疫を付与し、それによりワクチン接種を受けた個体が、ワクチンに曝露された結果として症状若しくは続発症の発症遅延、又は症状若しくは続発症の重症度の低下を呈することが可能となる。特定の実施形態では、症状又は続発症の重症度の低下は、少なくとも25%、40%、50%、60%、70%、80%又はさらには90%である。詳細な実施形態において、ワクチン接種を受けた個体は、肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)との接触時に症状又は続発症を示さず、肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)の定着に至らず、又はその両方であってもよい。防御免疫は、典型的には以下の機序の1つ以上によって達成される:粘膜免疫、体液性免疫、又は細胞性免疫。粘膜免疫は、主として気道、消化管、及び尿生殖路の粘膜表面上の分泌型IgA(sIGA)抗体の結果である。sIGA抗体は、抗原プロセシング細胞のB及びTリンパ球により媒介される一連のイベント後に生成され、その結果、粘膜が覆う生体組織上のBリンパ球によるsIGA産生が生じる。体液性免疫は、典型的には血清中のIgG抗体及びIgM抗体の結果である。細胞性免疫は、細胞傷害性Tリンパ球を介して、又はマクロファージ及びTリンパ球が関与する遅延型過敏症、並びに抗体の必要なしにT細胞が関与する他の機序を介して達成され得る。特に、細胞性免疫は、T1細胞又はT17細胞により媒介され得る。
本質的には、どの個体も肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)に感染するリスクをある程度有する。しかしながら、ある一部の集団では感染リスクが増加する。一部の実施形態では、本明細書に記載されるとおりのワクチン製剤(例えば、表1又は表2からの1つ以上のポリペプチド、又はそのようなポリペプチドをコードする核酸、又はそのようなポリペプチドとの反応性を有する抗体を含む組成物)が、免疫無防備の患者に投与される。
医学的処置によって生じる免疫を損なう条件により、当該の個体がさらされる肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)感染リスクは高まる可能性がある。免疫機能を損なうことが知られる処置の前又はその最中に、免疫が無防備となる個体において感染を予防的に処置することが可能である。免疫機能を損なうことが知られる処置の前又はその最中に、抗原性組成物(例えば、表1若しくは表2からの2つ以上の抗原、又はそれらの抗原をコードする核酸)で、又は表1若しくは表2からの2つ以上の抗原に対して反応性を有する抗体で予防的に処置することにより、後の肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)感染の予防、又は免疫無防備状態に起因して感染症に罹る個体のリスクの低減が可能である。個体が、例えば免疫無防備状態をもたらす処置後に肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)感染症に罹った場合、その個体に抗原組成物を投与することにより感染症を治療することもまた可能である。
以下の集団は、肺炎球菌性疾患又はその合併症のリスクがより高く、従ってこれらの集団の1つ以上に該当する対象は、本明細書に記載されるワクチン製剤の投与を受けることが有利である:小児、特に月齢1ヶ月〜5歳又は月齢2ヶ月〜2歳の小児;無脾症、脾機能不全又は鎌状赤血球症の少なくとも2歳の小児;ネフローゼ症候群、慢性脳脊髄液漏出、HIV感染又は免疫抑制に関連する他の病態を有する少なくとも2歳の小児。
別の実施形態において、肺炎球菌抗原組成物の少なくとも1つの用量が、肺炎球菌性疾患又はその合併症のリスクが高い以下の集団の成人に投与される:65歳の人全て;無脾症、脾機能不全又は鎌状赤血球症の成人;以下の病態を有する成人:慢性心肺疾患、硬変、アルコール中毒、慢性腎疾患、ネフローゼ症候群、真性糖尿病、慢性脳脊髄液漏出、HIV感染、AIDS及び免疫抑制に関連する他の病態(ホジキン病、リンパ腫、多発性骨髄腫、臓器移植のための免疫抑制)、人工内耳を有する人;長期にわたり心疾患及び肺疾患などの健康障害を有する人、並びに長期ステロイド薬、特定の抗癌剤、放射線療法など、体の感染抵抗性を低下させる任意の薬物又は治療を受けている人;アラスカ先住民及び特定のネイティブアメリカン集団。
2.治療的使用
治療適用では、ワクチンは、肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)感染症に罹患している患者に対し、その患者の治療に十分な量で投与され得る。患者を治療するとは、この場合、感染者における肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)の症状及び/又は細菌負荷及び/又は続発症を低減することを指す。一部の実施形態では、患者を治療するとは、症状又は続発症の持続期間を低減すること、又は症状又は続発症の強度を低減することを指す。一部の実施形態では、ワクチンは、ワクチン接種を受けた患者からの肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)の感染性を低減する。特定の実施形態では、上記に記載される低減は、少なくとも25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%又はさらには90%である。
治療的な実施形態では、ワクチンは個体に対して感染後に投与される。ワクチンは、感染直後、例えば症状又は続発症が現れる前に投与されてもよく、又は症状又は続発症が現れている最中又は現れた後に投与されてもよい。
治療用肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)ワクチンは、肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)感染の様々な症状又は続発症の強度及び/又は持続期間を低減することができる。肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)感染の症状又は続発症は多くの形態をとり得る。ある場合には、感染患者は、肺炎、急性副鼻腔炎、中耳炎(耳感染症)、髄膜炎、菌血症、敗血症、骨髄炎、敗血症性関節炎、心内膜炎、腹膜炎、心膜炎、蜂巣炎、又は脳膿瘍を発症する。
敗血症は、珍しいながらも致死的な肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)感染合併症であり、細菌が血流に侵入して全身性炎症が起こる。典型的には、発熱が認められ、白血球数が増加する。敗血症のさらなる記載は、Goldstein,B.et al.“International pediatric sepsis consensus conference:definitions for sepsis and organ dysfunction in pediatrics(国際小児敗血症コンセンサス会議:小児における敗血症及び臓器機能不全の定義)”Pediatr Crit Care Med.Jan 2005;6(1):2−8に見られる。
3.ワクチン接種の効力アッセイ
本明細書に開示されるワクチンによるワクチン接種効力は、上記に記載される臨床転帰に加え、数多くの方法で決定され得る。第一に、ワクチン接種後の対象に由来するT細胞を刺激することにより、IL−17レベル(特にIL−17A)をアッセイし得る。このIL−17レベルを、同じ対象におけるワクチン接種前のIL−17レベルと比較してもよい。IL−17(例えば、IL−17A)レベルの増加、例えば1.5倍、2倍、5倍、10倍、20倍、50倍又は100倍又はそれ以上の増加が、ワクチンに対する応答の増加を示し得る。或いは(又は併せて)、肺炎球菌を死滅させる患者由来のT細胞又は抗体の存在下における好中球をアッセイし得る。肺炎球菌の死滅の増加、例えば1.5倍、2倍、5倍、10倍、20倍、50倍又は100倍又はそれ以上の増加が、ワクチンに対する応答の増加を示し得る。加えて、T17細胞活性化を計測してもよく、T17細胞活性化の増加、例えば1.5倍、2倍、5倍、10倍、20倍、50倍又は100倍又はそれ以上の増加が、ワクチンに対する応答の増加と相関する。また、ワクチンに特異的な抗体のレベルの増加を計測してもよく、特異抗体のレベルの増加、例えば1.5倍、2倍、5倍、10倍、20倍、50倍又は100倍又はそれ以上の増加が、ワクチン効力の増加と相関する。特定の実施形態では、これらのアッセイの2つ以上が用いられる。例えば、IL−17レベルとワクチン特異的抗体のレベルとを計測してもよい。或いは、ワクチン未接種の個体と比較した、ワクチン接種を受けた個体における肺炎球菌感染症の発生率、重症度、又は持続期間などの疫学的マーカーを追跡してもよい。
ワクチン効力はまた、マウスモデルなどの様々なモデル系でアッセイしてもよい。例えば、BALB/c又はC57BL/6系統のマウスが用いられ得る。実験者は、試験ワクチンを対象に(単回用量又は複数回用量として)投与した後、攻撃用量の肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)を投与する。ある場合には、鼻腔内投与される攻撃用量は、ワクチン未接種の動物において肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)の定着(特に鼻腔内定着)を生じさせるのに十分であり、ある場合には、吸入によって投与される攻撃用量は、ワクチン未接種の動物において敗血症及び高い致死率を生じさせるのに十分である。次に、ワクチン接種を受けた動物における定着の減少又は致死率の低下を計測することができる。実施例5〜8及び10は、マウスモデルでの鼻腔内攻撃後の肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)鼻腔内定着の阻害における表1のポリペプチドの効力を示す。実施例11及び12は、マウスモデルでの吸入による肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)感染後の敗血症及び死亡の防御における表1のポリペプチドの効力を示す。
G.免疫原性組成物の使用
1.肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)感染に対する防御
本開示の免疫原性組成物は、肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)に対する免疫応答を誘発するように設計される。本明細書に記載される組成物(例えば、表1又は表2の1つ以上のポリペプチド、又はそのようなポリペプチドをコードする核酸を含む組成物)は、それが投与される哺乳動物における抗体反応又は細胞媒介性免疫応答、又はその両方を刺激し得る。一部の実施形態では、本組成物は、T1に偏ったCD4 T細胞応答、T17に偏ったCD4 T細胞応答及び/又はCD8 T細胞応答を刺激する。一部の実施形態では、本組成物は抗体反応を刺激する。一部の実施形態では、本組成物は、T1に偏ったCD4 T細胞応答、T17に偏ったCD4 T細胞応答及び/又はCD8 T細胞応答、及び抗体反応を刺激する。
特定の実施形態では、本組成物(例えば、表1又は表2の1つ以上のポリペプチド、又はそのようなポリペプチドをコードする核酸、又はそのようなペプチドと反応性を有する抗体を含む組成物)は、IL−17などのサイトカイン又はサイトカインをコードするヌクレオチドコード領域を含み、哺乳動物の免疫系にさらなる刺激を提供する。特定の実施形態では、本組成物はIL−17などのサイトカインを含む。
理論による拘束を望むものではないが、一部の実施形態では、T17細胞応答が、本明細書に開示される組成物、例えば、表1又は表2の1つ以上のポリペプチドを含む組成物に対する免疫応答を開始させるにおいて望ましい。特定の実施形態では、能動的なT17応答が肺炎球菌感染の排除において有益である。例えば、IL−17A受容体が欠損したマウスは、肺炎球菌攻撃からの全細胞ワクチンベースの防御の低下を示す(Lu et al.,“Interleukin−17A mediates acquired immunity to pneumococcal colonization(インターロイキン17Aが肺炎球菌定着に対する獲得免疫を媒介する)”PLoS Pathog.2008 Sep 19;4(9))。
従って、本明細書には、本明細書に記載される組成物(例えば、表1又は表2の1つ以上のポリペプチドを含む組成物)を対象に投与することによるIL−17産生を増加させる方法が提供される。さらに、本願は、前記組成物を対象に投与することによるT17細胞の活性化方法を提供する。特定の実施形態では、IL−17Aレベルが増加することで、例えば好中球様細胞の好中球の動員及び活性化の誘導により、好中球又は好中球様細胞による肺炎球菌の死滅が増加する。特定の実施形態では、この肺炎球菌の死滅は抗体及び補体とは無関係である。しかしながら、特異的な抗体産生及び補体活性化は、肺炎球菌感染の排除に寄与する有用な追加的機序であり得る。
免疫原性ポリペプチド又は免疫原性ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを医薬担体と共に含む免疫原性組成物もまた提供される。
ある場合には、免疫原性組成物は、配列番号24〜31、271、272及び273から選択される1つ以上の核酸など、配列番号1〜13、265、266及び267の1つ以上のポリペプチドをコードする1つ以上の核酸を含む。一部の実施形態では、これらの核酸が免疫化された個体で発現してコードされた肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)抗原が産生され、及びそうして産生された肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)抗原が、免疫化された個体において免疫賦活効果を生じることができる。
かかる核酸含有免疫賦活組成物は、例えば、複製起点、及び配列番号1〜13、265、266及び267の1つ以上のポリペプチドをコードする1つ以上の核酸の発現を駆動するプロモーターを含み得る。かかる組成物はまた、細菌プラスミドベクターを含んでもよく、そこに、プロモーター(ときに強力なウイルスプロモーター)、配列番号1〜13、265、266及び267の1つ以上のポリペプチドをコードする1つ以上の核酸、及びポリアデニル化/転写終結配列が挿入される。ある場合には、核酸はDNAである。
H.診断的使用
本願は、特に、患者における肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)の検出用の高速、安価、高感度且つ特異的な方法を提供する。この点で、この方法は、肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)感染を有する患者又はそのリスクがある患者を検査及び治療するあらゆる病院及び医師にとって有用でなければならない。検出キットは、いかなる地域の病院検査室でセットアップするにも十分に簡易なものであってよく、且つ抗体及びその抗原結合部分が、肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)感染を有する患者又はそのリスクがある患者を治療するあらゆる病院に容易に利用可能であり得る。本明細書で使用されるとき、「患者」は、肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)に感染しているか、或いは肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)感染症に罹る可能性がある個体(ヒトなど)を指す。患者は、肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)に感染している個体、肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)感染症に罹る可能性がある個体、肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)感染症から回復した個体、及び/又は感染状態が不明の個体(ヒトなど)であってもよい。
一部の実施形態では、2つ以上の抗体を使用する診断アッセイを実施してもよく、抗体の各々が表1又は表2の抗原の一つと結合することにより、個体において肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)を検出する。一部の実施形態では、抗原の一つは配列番号265、266、又は268である。本開示はまた、肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)に感染していることが疑われる患者の生体試料の表現型決定方法も提供し:(a)患者から生体試料を得るステップ;(b)2つ以上の肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)特異的抗体又はその抗原結合部分が肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)のエピトープと結合することを可能にする条件下で、試料を抗体又は抗原結合部分に接触させるステップ;結合することが、試料における肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)の存在を示す。一部の実施形態では、生体試料との結合が、同じ抗体の陰性対照組織に対する結合と比較され、ここで陰性対照組織と比較して生体試料が肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)の存在を示す場合、患者は、肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)に感染している可能性があると同定される。ある場合には、一つの抗体を結合することが、肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)の存在を示す;他の場合には、2つ以上の抗体を結合することが、肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)の存在を示す。前述の試験は、例えば、表1に記載されるタンパク質の一つの相同体(別の細菌種由来)と免疫反応性を有する抗体を使用することにより、他の細菌感染を検出するように適切に調整されてもよい。一部の実施形態では、表1又は表2の肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)タンパク質に対して産生される抗体は、別のストレプトコッカス属(Streptococcus)種の相同体とも、特にそうした相同体が高率の配列同一性を有する場合、結合し得る。
或いは、表1又は表2の抗原(配列番号265、266、又は268など)を使用して、個体における抗肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)抗体を検出してもよい。本開示はまた、肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)に感染していることが疑われる患者の生体試料の表現型決定方法も提供し:(a)患者から生体試料を得るステップ;(b)抗原(又はその一部分)が試料中に存在する任意の宿主抗体と結合することを可能にする条件下で、試料を表1又は表2から選択される2つ以上の肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)特異的抗原又はその一部分に接触させるステップ;結合することが、試料における抗肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)抗体の存在を示す。一部の実施形態では、生体試料との結合が、同じ抗原の陰性対照組織に対する結合と比較され、ここで生体試料が陰性対照組織と比較して抗肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)抗体の存在を示す場合、患者は、(1)肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)に感染しているか、或いは(2)過去に肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)に感染したことがあるかのいずれかの可能性があると同定される。ある場合には、一つの抗体を検出することが、現在又は過去の肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)感染を示す;他の場合には、2つ以上の抗体を検出することが、現在又は過去の肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)感染を示す。前述の試験は、例えば、表1に記載されるタンパク質の相同体(別の細菌種(例えば連鎖球菌種)由来のものを使用することにより、他の細菌感染を検出するように適切に調整されてもよい。
一部の実施形態では、哺乳動物細胞の免疫細胞応答をエキソビボで定量化し得る。かかる定量化方法は、本明細書に開示される組成物をエキソビボで哺乳動物T細胞に投与するステップと、組成物に応答した哺乳動物T細胞のサイトカイン産生の変化を定量化するステップとを含む。このような方法では、サイトカインは、例えばIL−17であってもよい。
抗原(例えば、配列番号265、266、又は268などの表1又は表2のポリペプチドなど)に対する肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)抗体の結合は、任意の適切な方法を用いて計測され得る。かかる方法としては、ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)、ウエスタンブロッティング、競合アッセイ、及びスポットブロットが挙げられる。検出ステップは、例えば、化学発光的、蛍光的、又は比色的であってよい。抗体−タンパク質結合を計測する一つの好適な方法は、Luminex xMAPシステムであり、ここではペプチドを色素を含有するマイクロスフェアに結合させる。特定のシステムは、xMAPシステムを含めて、いくつかの異なるマーカーの多重計測に適しており、抗体レベルを一度に計測するために用いることができる。一部の実施形態では、他のシステムを用いて複数のマーカーが多重化してアッセイされる。例えば、以下のシステムのいずれかを用いてプロファイル決定が行われ得る:抗原マイクロアレイ、ビーズマイクロアレイ、ナノバーコード粒子技術、cDNA発現ライブラリからのアレイ化タンパク質、タンパク質インサイチュアレイ、生形質転換体のタンパク質アレイ、汎用タンパク質アレイ、ラボ−オン−ア−チップマイクロフルイディクス、及びピン上のペプチド。別の種類の臨床アッセイは、抗体結合を検出する化学発光アッセイである。一部のかかるアッセイでは、VITROS Eci抗HCVアッセイを含め、抗体が液体懸濁物中のマイクロパーティクルで構成される固相支持体に結合され、表面蛍光光度計を用いて蛍光生成物の酵素的生成が定量化される。
一部の実施形態では、生体試料が肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)の存在を(例えば、配列番号265、266、又は268などの表1又は表2の1つ以上のポリペプチド、又は前記ポリペプチドの一つに結合する抗体を検出することにより)示す場合、本明細書に記載される組成物及び治療薬の治療有効量を患者に投与してもよい。生体試料は、例えば、血液、精液、尿、膣液、粘液、唾液、糞便、尿、脳脊髄液、又は組織試料を含み得る。一部の実施形態では、生体試料は、移植が意図される臓器である。特定の実施形態では、生体試料は検出ステップの前に、肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)の成長を促進する培養条件に供される。
本明細書における診断検査(例えば、配列番号265、266、又は268などの表1又は表2のポリペプチド、又は前記ポリペプチドの一つに結合する抗体を検出するもの)を用いて、患者から採取される試料及び他の供給源から得られる試料を含む様々な試料中の肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)を検出してもよい。例えば、診断検査を用いることにより、食品、飲料、又は飲食物用の成分中;医療用具、人工内耳及びペースメーカーなどの医療機器、靴、衣服、院内家具を含む家具、及び院内カーテンを含むカーテンなどの物体上;又は植物試料などの環境から採取される試料中の肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)が検出され得る。一部の実施形態では、本明細書における試験は、農業動物(雌ウシ、ブタ、ニワトリ、ヤギ、ウマなど)、伴侶動物(イヌ、ネコ、鳥類など)、又は野生動物などの動物から採取される試料に対して実施されてもよい。特定の実施形態では、本明細書における試験は、治療用タンパク質を産生するヒト細胞の培養物、有用な生体分子の生成が意図される細菌の培養物、又は研究目的で成長させた細胞の培養物などの細胞培養物から採取される試料に対して実施されてもよい。
本開示はまた、患者における肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)感染位置を決定する方法も提供し、これは、(a)標識された肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)抗体又はその抗原結合部分を含む医薬組成物を患者に投与するステップと、(b)標識を検出するステップとを含み、ここで結合することが、患者における特定の位置での肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)感染を示す。かかる診断はまた、患者における結合レベルを対照と比較するステップも含み得る。特定の実施形態では、この方法は、患者が肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)に感染している場合、治療有効量の肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)結合抗体又はその抗原結合部分を患者に投与することにより感染を治療するステップをさらに含む。特定の実施形態では、この方法は、患者が肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)に感染している場合に、表1又は表2の肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)タンパク質、又はその免疫原性部分の治療有効量を患者に投与することにより感染を治療するステップをさらに含む。この方法は、患者における肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)の位置及び/又は量を決定するステップをさらに含み得る。この方法を用いて患者における肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)の伝播を評価し、局所的な治療法が適切かどうかを決定してもよい。
一部の実施形態では、本明細書に記載される抗肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)抗体又はT細胞を用いて感染経過の予後判定を行ってもよい。一部の実施形態では、本明細書における抗肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)抗体又はT細胞が、患者から採取された試料で検出され得る。抗体又はT細胞が正常レベルで存在する場合、それは、患者が抗肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)に対して免疫応答を生じたことを示すものであり得る。抗体又はT細胞が存在しない、又は低いレベルで存在する場合、それは、患者が抗肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)に対して十分な応答を生じることができず、さらに積極的な治療が推奨され得ることを示すものであり得る。一部の実施形態では、低いレベルで存在する抗体又はT細胞とは、免疫系が正常な患者において典型的な抗体又はT細胞レベルの50%、20%、10%、5%、2%、又は1%未満で存在する抗体を指す。抗体は、本明細書に記載される抗原(例えば、表1及び/又は表2にあるもの)のいずれかに対する親和性によって、例えばELISAを用いて検出されてもよい。T細胞は、本明細書に記載される抗原(例えば、表1及び/又は表2にあるもの)のいずれかに対するエキソビボ応答によって、例えばELISA又はELISPOTアッセイを用いて検出されてもよい。
一部の実施形態では、特定の肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)抗原(例えば、配列番号265、266、又は268などの表1及び/又は表2にあるもの)の検出を用いて、患者における肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)感染の進行及び症状を予測してもよい。当業者は、本明細書の方法が肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)の検出に限られないことを理解するであろう。他の実施形態としては、表1又は表2に記載されるタンパク質と相同なタンパク質を有する細菌を含む関連細菌の検出が挙げられる。かかる関連細菌としては、例えばストレプトコッカス属(Streptococcus)の他の株が挙げられる。
I.用量及び投与経路
1.剤形、量、及びタイミング
各ワクチン又は免疫原性組成物用量中の抗原の量は、単回用量で、或いは複数回用量にわたり、上記に記載したとおりの予防的又は治療的応答を誘導する有効量として選択される。好ましくは、用量は典型的なワクチン被接種者に著しい有害な副作用がないものである。かかる量は、どの特異抗原を用いるかに応じて異なり得る。概して、用量はには各タンパク質が1〜1000μg、ある場合には2〜100μg、例えば4〜40μg含まれると予想される。一部の態様において、ワクチン製剤は、1〜1000μgのポリペプチドと1〜250μgのアジュバントとを含む。一部の実施形態では、送達される抗原の適切な量は、対象の年齢、体重、及び健康状態(例えば免疫無防備状態)に依存し得る。存在する場合、典型的にはアジュバントは、用量あたり1μg〜250μg、例えば50〜150μg、75〜125μg又は100μgの量で存在し得る。
一部の実施形態では、1用量のワクチンを投与するだけで、上記に記載される結果が達成される。他の実施形態では、初回のワクチン接種後、対象は1回以上のブーストワクチン接種を受け、合計2回、3回、4回又は5回のワクチン接種を受ける。有利には、回数は3回以下である。ブーストワクチン接種は、例えば、初回ワクチン接種の約1ヶ月後、2ヶ月後、4ヶ月後、6ヶ月後、又は12ヶ月後に投与されてもよく、従って1つのワクチン接種レジメンには0ヶ月目、0.5〜2ヶ月目及び4〜8ヶ月目での投与が含まれる。分割用量のワクチンの投与が有利となることもあり、分割用量は同じ又は異なる経路によって投与されてもよい。
本明細書に記載されるワクチン及び免疫原性組成物は様々な剤形をとり得る。特定の実施形態では、この組成物は、固形又は粉末状の(例えば、凍結乾燥した)形態で提供される;組成物はまた、溶液形態で提供されてもよい。特定の実施形態では、剤形は、ある用量の凍結乾燥組成物及び少なくとも1つの別個の希釈剤滅菌容器として提供される。
一部の実施形態では、本組成物は用量漸増式に投与され、従って次に続く組成物の投与が前の投与より高い濃度の組成物を含む。一部の実施形態では、組成物は、次に続く組成物の投与が前の投与より低い濃度の組成物を含むような方法で投与され得る。
治療適用では、組成物は、疾患に罹患している患者に対し、その患者を治療するのに十分な量で投与される。本明細書に記載される組成物の治療適用は、例えば、その組成物で治療されていない個体において起こり得るレベルの90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%又は10%などの感染力の低減、疾患進行の遅延、細菌の生存能又は複製の低減、又は毒性に必須のタンパク質の発現の阻害を含む。
予防的な実施形態では、組成物がヒト又は他の哺乳動物に投与され、感染症又は他の病態の確立を阻害することのできる免疫応答が誘導される。一部の実施形態では、組成物は細菌による感染の確立を部分的に阻止する。
一部の実施形態では、本組成物は抗生物質と併用して投与される。この同時投与は、肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)に最近曝露された(又は最近曝露されたことが疑われる)患者に本医薬組成物が投与される場合に特に適切である。ペニシリン、アモキシシリン、アモキシシリン/クラブラン酸塩、セフロキシム、セフォタキシム、セフトリアキソン、及びバンコマイシンを含め、多くの抗生物質が肺炎球菌感染症の治療に用いられる。適切な抗生物質は、感染の種類及び重症度、並びに感染の任意の既知の抗生物質耐性に基づき選択され得る(Jacobs MR“Drug−resistant Streptococcus pneumoniae:rational antibiotic choices(薬剤耐性肺炎連鎖球菌:合理的抗生物質選択)”Am J Med.1999 May 3;106(5A):19S−25S)。
2.投与経路
本明細書のワクチン製剤及び医薬組成物は、個体への投与により、典型的には全身投与によって送達することができ(例えば、静脈内、腹腔内、筋肉内、皮内、皮下、真皮下、経皮、頭蓋内、鼻腔内、粘膜、肛門内、腟内、経口、頬側経路、又はそれらは吸入されてもよい)、又はそれらは局所適用によって投与することができる。一部の実施形態では、投与経路は筋肉内である。他の実施形態では、投与経路は皮下である。さらに他の実施形態では、投与経路は粘膜である。特定の実施形態では、投与経路は経皮又は皮内である。
特定のアジュバントを含むワクチン製剤及び免疫原性組成物には、ある種の投与経路が特に適切である。特に、経皮投与は、毒素(例えばコレラ毒素又は不安定毒素)を含む肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)ワクチンに好適な投与経路の一つである;他の実施形態では、投与は鼻腔内である。アルファウイルスレプリコンと共に製剤化されるワクチンは、例えば筋肉内又は皮下経路によって投与されてもよい。モノホスホリルリピドA(Monophosphory Lipid A)(MPL)、トレハロースジコリノミコレート(Trehalose Dicoynomycolate)(TDM)、及び臭化ジオクタデシルジメチルアンモニウム(DDA)を含むワクチンは、(特に)筋肉内及び皮下投与に好適である。レシキモドを含むワクチンは、例えば、局所投与又は皮下投与されてもよい。
3.製剤
ワクチン製剤又は免疫原性組成物はヒト患者への投与に好適であってよく、及びワクチン又は免疫原性組成物製剤はUSFDA指針に準拠し得る。一部の実施形態では、ワクチン製剤又は免疫原性組成物は非ヒト動物への投与に好適である。一部の実施形態では、ワクチン又は免疫原性組成物は内毒素或いは外毒素を実質的に含まない。内毒素はリポ多糖(LPS)分子などのパイロジェンを含み得る。ワクチン又は免疫原性組成物はまた、発熱又は他の副作用を引き起こし得る不活性タンパク質断片を実質的に含まないものであってよい。一部の実施形態では、組成物が含有する内毒素、外毒素、及び/又は不活性タンパク質断片は、1%未満、0.1%未満、0.01%未満、0.001%未満、又は0.0001%未満である。一部の実施形態では、ワクチン又は免疫原性組成物は、パイロジェンのレベルが工業用水、水道水、又は蒸留水より低い。他のワクチン又は免疫原性組成物成分は、イオン交換クロマトグラフィー、限外ろ過、又は蒸留などの当該技術分野において公知の方法を用いて精製されてもよい。他の実施形態では、パイロジェンは、患者への投与前に不活性化又は破壊されてもよい。ワクチンの原材料、例えば水、緩衝剤、塩及び他の化学物質もまた、スクリーニングして脱パイロジェン化されてもよい。ワクチン中のあらゆる材料が無菌であってよく、及びワクチンの各ロットが無菌性について試験され得る。従って、特定の実施形態ではワクチンの内毒素レベルはUSFDAにより定められるレベル、例えば髄腔内注射用組成物についての0.2エンドトキシン(EU)/kg生成物;非髄腔内注射用組成物についての5EU/kg生成物、及び滅菌水についての0.25〜0.5EU/mLを下回る。
特定の実施形態では、製剤が含む夾雑タンパク質は、50%、20%、10%、又は5%未満(乾燥重量基準)である。特定の実施形態では、他の生物学的巨大分子、例えば他のタンパク質(特に、精製製剤としての、或いは対象の再構成混合物中のそれらの機能における成分タンパク質の特性を実質的に遮蔽し、弱め、混乱させ又は改変し得る他のタンパク質)が実質的に存在しない状態で所望の分子が存在する。特定の実施形態では、少なくとも80%、90%、95%、99%、又は99.8%(乾燥重量基準)の同じ種類の生物学的巨大分子が存在する(しかしながら水、緩衝剤、及び他の小分子、特に分子量5000未満の分子は存在し得る)。一部の実施形態では、精製サブユニットタンパク質を含むワクチン又は免疫原性組成物は、サブユニットタンパク質を発現した宿主細胞由来のタンパク質を、精製サブユニットの量に対して5%、2%、1%、0.5%、0.2%、0.1%未満含有する。一部の実施形態では、所望のポリペプチドは、核酸及び/又は炭水化物を実質的に含まない。例えば、一部の実施形態では、ワクチン又は免疫原性組成物が含有する宿主細胞DNA及び/又はRNAは、5%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、0.2%未満、又は0.1%未満である。特定の実施形態では、製剤中に少なくとも80%、90%、95%、99%、又は99.8%(乾燥重量基準)の同じ種類の生物学的巨大分子が存在する(しかしながら水、緩衝剤、及び他の小分子、特に分子量5000未満の分子は存在し得る)。
ワクチン又は免疫原性組成物は、妥当なリスク便益比の範囲内で毒性が低いか、又は毒性を有しないことが好ましい。特定の実施形態では、ワクチン又は免疫原性組成物は、ワクチン接種を受ける動物についてのLD50計測値未満の濃度で成分を含む。LD50計測値は、マウス又は他の実験モデル系で得て、ヒト及び他の動物に当てはめてもよい。ヒト及び他の動物における化合物のLD50を推定する方法は、当該技術分野で周知されている。ワクチン製剤又は免疫原性組成物、及びその中の任意の成分は、ラットにおいて100g/kg超、50g/kg超、20g/kg超、10g/kg超、5g/kg超、2g/kg超、1g/kg超、500mg/kg超、200mg/kg超、100mg/kg超、50mg/kg超、20mg/kg超、又は10mg/kg超のLD50値を有し得る。ボツリヌス毒素などの毒素(アジュバントとして用いられ得る)を含むワクチン製剤又は免疫原性組成物が含有するLD50は、ボツリヌス毒素と比べて大幅に低くなければならない。
ワクチン製剤又は医薬組成物を組み込むのに好適な製剤は、投与経路によって異なる。例えば、関節内(関節におけるもの)、静脈内、筋肉内、皮内、腹腔内、鼻腔内、及び皮下経路によるなどの、非経口投与に好適な製剤としては、水溶性及び非水溶性の等張性滅菌注射液が挙げられ、これは、製剤を対象となる被投与者の血液と等張にする抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、及び溶質と、懸濁剤、可溶化剤、増粘剤、安定剤、及び防腐剤を含み得る水溶性及び非水溶性滅菌懸濁液とを含有し得る。製剤は単位用量又は複数回用量の密封容器、例えばアンプル及びバイアルに提供され得る。
注射液及び懸濁液は、先述した種類の滅菌粉末、顆粒、及び錠剤から調製することができる。治療用T細胞の養子移入の場合、細胞は静脈内投与又は非経口投与することができる。
経口投与に好適な製剤は、(a)希釈剤、例えば水、生理食塩水又はPEG 400に懸濁された有効量のポリペプチド又はパッケージ核酸などの液状溶体;(b)各々が所定量の活性成分を液体、固体、顆粒又はゼラチンとして含むカプセル、サッシェ又は錠剤;(c)適切な液体中の懸濁剤;及び(d)好適なエマルションからなり得る。錠剤型は、ラクトース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、リン酸カルシウム、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、トラガカント、微結晶性セルロース、アカシア、ゼラチン、コロイド状二酸化ケイ素、クロスカルメロースナトリウム、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、及び他の賦形剤、着色剤、充填剤、結合剤、希釈剤、緩衝剤、湿潤剤、防腐剤、香味剤、色素、崩壊剤、及び薬剤適合性を有する担体の1つ以上を含有し得る。ロゼンジ型は、香料、通常はスクロース及びアカシア又はトラガカント中に活性成分を含み得るとともに、トローチは、不活性基剤、例えばゼラチン及びグリセリン又はスクロース及びアカシアエマルション、ゲルなどの中に活性成分を含み、活性成分に加えて、当該技術分野において公知の担体を含有し得る。医薬組成物は、例えばリポソームに、又は活性成分の徐放を提供する製剤に封入することができる。
抗原は、単独で、又は他の好適な成分と組み合わせて、吸入によって投与されるエアロゾル製剤(例えばこれは「噴霧」することができる)の中に作製することができる。エアロゾル製剤は、ジクロロジフルオロメタン、プロパン、窒素などの、許容可能な加圧噴射剤中に入れることができる。エアロゾル製剤は経口送達又は経鼻送達することができる。
腟内投与又は直腸投与に好適な製剤として例えば坐薬が挙げられ、これは坐剤基剤を伴うポリペプチド又はパッケージ核酸からなる。好適な坐剤基剤としては、天然又は合成トリグリセリド又はパラフィン炭化水素が挙げられる。加えて、ゼラチン直腸カプセルを使用することもまた可能であり、これは、ポリペプチド又はパッケージ核酸と、例えば液体トリグリセリド、ポリエチレングリコール、及びパラフィン炭化水素を含めた基剤との組み合わせからなる。
J.ワクチン製剤及び免疫原性組成物の調製及び保存
本明細書に記載される肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)ワクチン及び免疫原性組成物は、様々な技法を用いて作製され得る。例えば、ポリペプチドは、好適な宿主細胞において組換えDNA技術を用いて産生されてもよい。好適な宿主細胞は、細菌細胞、酵母細胞、哺乳動物細胞、又は他の種類の細胞であってよい。宿主細胞は、関連するポリペプチド遺伝子の一つの外因性コピーを発現するように修飾されてもよい。典型的には、遺伝子は、強力なプロモーター及びポリアデニル化配列などの適切な調節配列に作動可能に連結されている。一部の実施形態では、プロモーターは誘導性又は抑制性である。他の調節配列は、ポリペプチドのどの程度精製を求めるかに応じて、目的のポリペプチドの分泌若しくは排出又は細胞質若しくは膜における目的のポリペプチドの保持を提供し得る。遺伝子は染色体外プラスミドに存在してもよく、又は宿主ゲノムに組み込まれてもよい。当業者は、天然に存在する配列と100%同一の核酸を使用する必要はないことを認識するであろう。むしろ、これらの配列に対する何らかの改変が許容され、及び望ましいこともある。例えば、核酸は、コードされるポリペプチドが同じままであるよう遺伝子コードの縮重を利用するように改変されてもよい。一部の実施形態では、遺伝子はコドンが最適化され、特定の宿主における発現が改善される。核酸は、例えばPCRによるか、又は化学合成によって産生されてもよい。
組換え細胞株が作製された後、それからポリペプチドを単離してもよい。単離は、例えばアフィニティー精製技術によるか、又は物理的分離技術(例えばサイズカラム)によって達成され得る。
本開示のさらなる態様では、製造方法が提供され、これは、1つ以上のポリペプチド又はその免疫原性断片若しくは変異体を担体及び/又はアジュバントと混合するステップを含む。
一部の実施形態では、ワクチン製剤及び免疫原性組成物に含めるための抗原は、細胞培養で産生されてもよい。一つの方法は、1つ以上の発現ベクターと、配列番号265、266、又は268などの表1又は表2のアミノ酸配列を有するポリペプチドから選択される1つ以上のポリペプチドをコードするクローニングヌクレオチドとを提供するステップと、次にそれらのポリペプチドを発現及び単離するステップとを含む。
本明細書に記載される免疫原性ポリペプチド、及びそれらのポリペプチドを発現する核酸組成物は、哺乳動物に核酸組成物を投与するためのパック、ディスペンサー装置、及びキットにパッケージすることができる。例えば、1つ以上の単位剤形を含むパック又はディスペンサー装置が提供される。典型的には、化合物の投与についての説明書が、本明細書に開示されるものなどの、指示される病態の治療にその化合物が好適であるというラベル上の好適な指示と共に、パッケージに提供され得る。
実施例1.抗原の同定及びプールされたマウススクリーン
肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)TIGR4ゲノムで予測された各オープンリーディングフレームを、主要組織適合性複合体(MHC)による提示が可能なタグを含む発現ベクターにクローニングした。次に各コンストラクトを大腸菌(E.coli)で発現し、MHCのコンテクストでタグを同定する代理アッセイによって完全長の発現を検証した。スクリーンについては、国際公開第2010/002993号パンフレットにさらに詳細に記載されている。大型ライブラリのスクリーニングを促進するため、各ウェルにつき4つの誘導されたライブラリクローンが存在するようにライブラリをプールした。肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)に対して免疫したマウス由来のT細胞をスクリーニングするため、プールされたライブラリのアリコートを腹膜由来のマクロファージに添加した。マクロファージを、MHCを介してタグ付き肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)抗原に結合させた。37℃で2時間後、マクロファージをPBSで洗浄した。次にマクロファージを1%パラホルムアルデヒドで15分間固定し、PBSで十分に洗浄した。10個のT細胞を各ウェルの200μLのRP−10培地に添加した。T細胞は、コレラ毒素アジュバントと共に死菌の肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)細菌で2回免疫したマウスから予め単離してあった。アッセイプレートを37℃で72時間インキュベートした。IL−17 ELISAアッセイを用いて各ウェルの上清中のIL−17の量を決定した。陽性結果の閾値は、全試料の平均より2標準偏差上に設定した。
実施例2.陽性マウスプールのデコンボリューション
二次スクリーンを用いて、各ウェルの4つのクローンのうち、どの1つ又は複数の抗原が、実施例1に記載されるプールスクリーンで観察される陽性応答を誘導したかを決定した。各陽性プールの全てのクローンを、デュプリケートウェルで腹膜マクロファージ上に個別にパルス処理した。最初のスクリーンと同じ遺伝的背景の免疫化マウスから単離されたT細胞を使用して、パルス処理したマクロファージを実施例1に記載されるIL−17アッセイを用いてスクリーニングした。陰性対照試料の平均を2標準偏差より大きく上回るデュプリケートウェルにおける平均応答を誘導した個々の抗原を、陽性応答と見なした。これらの陽性クローンに存在するライブラリプラスミドを配列決定して、抗原の同一性を確認した。抗原SP1574、SP1655、SP2106、SP0148、SP1473、SP0605、SP1177、SP0335、SP0906、SP1828、SP2157、SP1229、SP1128、SP1836、SP1865、SP0904、SP0882、SP0765、SP1634、SP0418、SP1923、SP1313、SP0775、SP0314、SP0912、SP0159、SP0910、SP2148、SP1412、SP0372、SP1304、SP2002、SP0612、SP1988、SP0484、SP0847、SP1527、SP0542、SP0441、SP0350、SP0014、SP1965、SP0117、及びSP2108が、この方法を用いて確認された。
実施例3.抗原の同定及びプールされたヒトスクリーン
ヒトドナーから得た末梢血からCD4+ T細胞及びCD14 単球を単離した。単球を、基本的にTedder TF and Jansen PJ(1997“Isolation and generation of human dendritic cells(ヒト樹状細胞の単離及び生成)”Current Protocols in Immunology Supp 23:7.32.1−7.32.16)に記載されるとおり、GM−CSF及びIL−4含有培地で培養することによって樹状細胞に分化させた。培養5日後、樹状細胞を384ウェルプレートに播種した。CD4 T細胞を培養で非特異的に拡大し、十分な分量を確保した。
肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)TIGR4ゲノムで予測された各オープンリーディングフレームを、主要組織適合性複合体(MHC)による提示が可能なタグを含む発現ベクターにクローニングした。次に各コンストラクトを大腸菌(E.coli)で発現し、MHCのコンテクストにおいてタグを同定する代理アッセイによって完全長の発現を検証した。大型ライブラリのスクリーニングを促進するため、各ウェルにつき4つの誘導されたライブラリクローンが存在するようにライブラリをプールした。ヒトT細胞をスクリーニングするため、プールされたライブラリのアリコートを384ウェルプレートに播種した樹状細胞に添加した。37℃で2時間後、樹状細胞を1%パラホルムアルデヒドで15分間固定し、リン酸緩衝液及びリジン緩衝液で洗浄した。70μLのRP−10培地中の40,000個のCD4 T細胞を、384ウェルプレートの各ウェルに添加した。アッセイプレートを37℃で3日間インキュベートした。IL−17 ELISAアッセイを用いて各ウェルの上清中のIL−17の量を決定した。スクリーンのそれぞれの反復において、陽性応答の閾値は、全試料の平均より2標準偏差上、陰性対照の平均より2標準偏差上、又はデータセットの絶対偏差中央値の1.78倍に設定した。次に陽性プールを実施例4に記載されるとおりデコンボリューションした。
実施例4.陽性ヒトプールのデコンボリューション
全ての抗原について、2つのプールスクリーンの結果を比較することによりデコンボリューションを実施した。この方法では、2つの異なるプールセットを調製し、あるポリペプチドが第1のプールと第2のプールとの間で異なる3つのポリペプチドと共にあるようにした。結果的に、どのポリペプチドが第1及び第2のいずれのセットにおいても陽性プールにあるかを同定することにより、どのポリペプチドが抗原であるかを決定することが可能となる。このデコンボリューション方法では、プールがデータセットの絶対偏差中央値の少なくとも1.78倍であった場合に、そのプールを陽性と同定した。
少なくとも2回繰り返される二次スクリーンにおいて抗原が陽性であった場合に、その抗原を陽性ヒットと同定した。抗原SP2108、SP0641、SP1393、SP0024、SP0641.1、SP1072、SP1384及びSP2032が上記の手法を用いて同定された。
実施例5
SP2108、SP0148及びSP1634ポリペプチド
4μgのポリペプチドを1μgのコレラ毒素アジュバント(CT)と組み合わせて使用して、SP2108ポリペプチド(配列番号9)、SP0148ポリペプチド(配列番号7)及びSP1634ポリペプチド(表2を参照のこと)をワクチン組成物として製剤化した。組み合わせには、4μgの各ポリペプチドを使用した。組成物をC57BL/6マウスに3回、1週間おきに鼻腔内投与した。次に対象を3週間安静にさせた後、その時点で免疫原性用に出血させた。このアッセイについて、ヘパリン添加全血を後眼窩洞から採取した。全てのPBMCを、死菌の無莢膜全細胞肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)(WCC)又は3つのポリペプチドの組み合わせのいずれかにより、丸底試験管で3日間刺激した。次に上清を回収し、IL−17レベルについてELISAにより評価した。コレラ毒素単独(CT)又はHSVからの無関係の抗原(003)を陰性対照として使用した。IL−17免疫原性アッセイの結果を図1及び図2に示し、ここで左側のパネルは散布図形式のデータを示し、及び右側のパネルはデータを平均値として標準偏差と共に示す。対象をさらに2週間安静にさせた後、その時点で対象を莢膜を有する生菌の肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)の鼻腔内投与によって攻撃した。1週間後に対象を犠牲にし、鼻洗浄液からコロニー形成単位(CFU)の数をカウントした。コロニー形成アッセイの結果を図3に示す。
実施例6
SP0882及びSP0314ポリペプチド
この例では実施例5と同じプロトコルを使用し、但しワクチン組成物は2用量のみを投与した。これらの実験では、SP0882ポリペプチド(配列番号2)及びSP0314ポリペプチド(表2を参照)を、実施例5で試験した3つのポリペプチドのうちの2つと並行して試験した。IL−17免疫原性アッセイの結果を図4及び図5に示す。コロニー形成アッセイの結果を図6に示す。
実施例7
SP1072、SP0641N、及びSP0024ポリペプチド
この例では実施例5と同様のプロトコルを使用し、但しワクチン組成物は2用量を1週間おきに投与した。ワクチン組成物は、ポリペプチドSP1072(配列番号8)、SP0641N(配列番号13)又はSP0024(配列番号1)と、コレラ毒素アジュバント(CT)とを含んだ。最終回の免疫の4週間後に、マウスを生菌6B型肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)で鼻腔内攻撃した。1週間後、選択培地に鼻洗浄液を播き、得られたCFUをカウントすることにより、各マウスにおける細菌負荷を評価した。各マウスから単離されたCFUの数を、免疫コホート毎にプロットする。このコロニー形成アッセイの結果は図7に示す。この図では統計的に有意な結果を指示する(=p値<0.05)。
実施例8
BALB/cマウスにおいて試験したSP0148、SP0314、SP0882、及びSP2108ポリペプチド
異なるマウス遺伝子型間で同様の免疫応答が認められるかどうかを決定するため、ワクチン組成物をBALB/cマウスに投与した。ワクチン組成物は、ポリペプチドSP0148(配列番号2)、SP0314(表2を参照のこと)、SP0882(配列番号2)又はSP2108(配列番号9)と、コレラ毒素アジュバント(CT)とを含んだ。実施例5と同様のプロトコルを使用してマウスを免疫し、肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)で鼻腔内攻撃し、及びCFUの数を記録した。このコロニー形成実験の結果は図8に示す。
実施例9
SP1912、SP2108及びSP0148ポリペプチド:IL−17A免疫原性アッセイ
ポリペプチドSP1912(配列番号265)、SP2108(配列番号9)又はSP0148(配列番号7)をワクチン組成物としてコレラ毒素アジュバント(CT)と共に製剤化した。ワクチン組成物をマウスに2回、1週間おきに投与した。陽性対照は死菌の無莢膜全細胞肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)+CT(WCB)であり、及び陰性対照はCT単独又はCTを含まない組換えタンパク質(SP1912を除く)であった。最終回の免疫の3週間後、後眼窩洞から末梢血を採取し、全血アッセイで評価した。簡潔に言えば、ヘパリン添加全血(heparizined whole blood)を培地に希釈し、次にデュプリケートでA)免疫付与タンパク質、又はB)全細胞ワクチンと共に6日間培養した。上清を回収し、IL−17AレベルをELISAにより計測した。IL−17A免疫原性アッセイの結果を図9に示す。グラフ中の各記号は個々のマウスからの応答を表し、線は群の応答中央値を示す。
実施例10
SP1912、SP2108及びSP0148ポリペプチド:コロニー形成アッセイ
ポリペプチドSP1912(配列番号265)、SP2108(配列番号9)又はSP0148(配列番号7)とコレラ毒素アジュバント(CT)とを含むワクチン製剤により、実施例9に記載されるとおり動物を免疫し、次に10個の生菌6B型肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)によって最終回の免疫の4週間後(及び後眼窩採血の1週間後)に鼻腔内攻撃した。攻撃の7日後、動物を安楽死させ、鼻咽頭腔を洗浄して許容培地で培養し、肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)の力価を評価した。結果を、洗浄毎の細菌のコロニー形成単位(CFU)として図10に示す。各記号は個々のマウス応答からの力価を表し、横線は群の中央値を表す。(***=p値<0.05)。
実施例11
SP1912ポリペプチド:吸入攻撃(敗血症アッセイ)
ポリペプチドSP1912を、マウスを敗血症から保護するその能力について評価した。10匹のマウスの群を、ミョウバンに吸着したSP1912ポリペプチド(配列番号265)又はニューモリソイド(PdT)のいずれかを含むワクチン組成物で3回、2週間おきに皮下免疫した。陽性対照は死菌の無莢膜全細胞肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)+ミョウバン(WCB)であり、陰性対照はミョウバン単独であった。最終回の免疫の3週間後、血液を採取してIL−17A応答及び抗体レベルを評価し、次に1週間後、マウスを10個の生菌0603株(6B型)肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)による吸入攻撃にかけた。動物の生存を8日間モニタした。吸入攻撃の結果は、免疫群毎の生存曲線として図11に示す。
実施例12
ニューモリソイドPdT、SP0148及びSP0641Nポリペプチド:吸入攻撃(敗血症アッセイ)
ポリペプチドSP0148を、単独で、又はSP0641N及び/又はニューモリソイド(PdT)との組み合わせで免疫した場合のマウスを敗血症から保護するその能力について評価した。10匹のマウスの群を、ポリペプチドSP0148(配列番号7)を含むワクチン組成物により、単独で、又はミョウバンに吸着したポリペプチドSP0641N(配列番号13)及び/又はPdTとの組み合わせで、3回、2週間おきに皮下免疫した。陽性対照は死菌の無莢膜全細胞肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)+ミョウバン(WCB)であり、陰性対照はミョウバン単独であった。最終回の免疫の3週間後、血液を採取してIL−17及び抗体を評価し、次に1週間後、マウスを10個の生菌0603株(6B型)肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)による吸入攻撃にかけた。動物の生存を8日間モニタした。データは免疫群毎の生存曲線として図12に示す。
実施例13
SP1912、SP2108及びSP0148ポリペプチド:コロニー形成アッセイ
さらなる試験を、基本的に実施例10に記載されるとおり、合計4つの別個の試験として実施した。簡潔に言えば、ポリペプチドSP1912(配列番号265)、SP2108(配列番号9)、SP0148(配列番号7)、又はさらにSP2108+SP0148と、コレラ毒素アジュバント(CT)とを含むワクチン製剤によって実施例9に記載されるとおり動物を免疫した。対照動物は死菌の無莢膜全細胞肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)+CT(WCB)、又はCT単独で免疫した。免疫動物を最終回の免疫の4週間後に10個の生菌6B型肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)で鼻腔内攻撃した。攻撃の7日後、動物を安楽死させ、鼻咽頭腔を洗浄して許容培地で培養し、肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)の力価を評価した。4試験の統合結果を、洗浄毎の細菌のコロニー形成単位(CFU)として図13に示す。各記号は個々のマウス応答からの力価を表し、横線は群の中央値を表す(***=p値<0.05)。Nは評価した動物の総数を示す。パーセンテージは、コロニー形成から保護された動物の数を指す。
実施例14
SP1912及びSP0148ポリペプチド:IL−17免疫原性アッセイ
10匹のマウスの群を、ミョウバンに吸着したSP1912ポリペプチド(配列番号265)、SP0148ポリペプチド(配列番号7)、又はその双方のいずれかを含むワクチン組成物によって2回、2週間おきに皮下免疫した。対照動物はミョウバン単独で免疫した。最終回の免疫の3週間後、ヘパリン添加血液を心穿刺により採取し、全血アッセイでIL−17Aレベルを評価した。簡潔に言えば、ヘパリン添加全血を培地に希釈し、次に1つ又は複数の免疫付与タンパク質と共に6日間培養した。上清を回収し、IL−17AレベルをELISAにより計測した。IL−17A免疫原性アッセイの結果を図14に示す。グラフ中の各記号は個々のマウスからの応答を表し、線は群の応答中央値を示す。
実施例15
SP1912及びSP0148ポリペプチド:コロニー形成アッセイ
動物を、ミョウバンに吸着した種々の用量のポリペプチドSP0148(配列番号7)±SP1912(配列番号265)を含むワクチン製剤によって、3回、2週間おきに皮下免疫した。対照動物は死菌の無莢膜全細胞肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)+ミョウバン(WCV)、又はミョウバン単独で免疫した。免疫動物を最終回の免疫の4週間後に10個の生菌6B型肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)で鼻腔内攻撃した。攻撃の7日後、動物を安楽死させ、鼻咽頭腔を洗浄して許容培地で培養し、肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)の力価を評価した。結果は、洗浄毎の細菌のコロニー形成単位(CFU)として図15に示す。各記号は個々のマウス応答からの力価を表し、横線は群の中央値を表す。群の動物数のうちコロニー形成から保護された動物の数を図の上部に示す。
実施例16
SP1912、SP0148、及びSP2108ポリペプチド:コロニー形成アッセイ
2つの別個の試験において、動物を、ミョウバンに吸着したポリペプチドSP0148(配列番号7)及びSP0148+SP1912(配列番号265)を含むワクチン製剤によって、又はさらにSP2108(配列番号9)、SP2108+SP0148、及びSP2108+SP1912によって、3回、2週間おきに皮下免疫した。対照動物は死菌の無莢膜全細胞肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)+ミョウバン(WCV)、又はミョウバン単独で免疫した。免疫動物を最終回の免疫の4週間後に10個の生菌6B型肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)で鼻腔内攻撃した。攻撃の7日後、動物を安楽死させ、鼻咽頭腔を洗浄して許容培地で培養し、肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)の力価を評価した。2つの試験の統合結果を、洗浄毎の細菌のコロニー形成単位(CFU)として図16に示す。各記号は個々のマウス応答からの力価を表し、横線は群の中央値を表す。群の動物数のうちコロニー形成から保護された動物の数及び対応する、コロニー形成から保護された動物の割合を図の上部に示す。(p<0.05、**p<0.01、***p<0.001 ミョウバン対照と比較したダネットの多重比較検定)
実施例17
ニューモリソイドL460D、PspA誘導体PR+NPB、SP1912、SP0148、及びSP2108ポリペプチド:コロニー形成アッセイ
動物を、ミョウバンに吸着したポリペプチドSP0148(配列番号7)、SP2108(配列番号9)、SP0148+SP2108、及びSP1912(配列番号265)又は既知の肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)抗原L460DプラスPR+NPDと組み合わせたSP0148+SP2108を含むワクチン製剤によって、3回、2週間おきに皮下免疫した。2つの別個の試験を行った。対照動物はミョウバン単独で免疫した。免疫動物を最終回の免疫の4週間後に10個の生菌6B型肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)で鼻腔内攻撃した。攻撃の7日後、動物を安楽死させ、鼻咽頭腔を洗浄して許容培地で培養し、肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)の力価を評価した。2回目の試験の結果を、洗浄毎の細菌のコロニー形成単位(CFU)として図17に示す。各記号は個々のマウス応答からの力価を表し、横線は群の中央値を表す。群の動物数のうちコロニー形成から保護された動物の数を図の上部に示す。
以下の図表は、実施例16及び17に記載される4つの試験においてコロニー形成から保護された動物の絶対数及び対応する割合を示す。
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実施例18
PspA、SP0148及びSP2108受身抗体移入及び吸入攻撃(敗血症アッセイ)
10匹のマウスの群に、PspAに特異的なモノクローナル抗体、SP0148、SP2108、又はそれらの組み合わせに特異的な熱失活ウサギ血清を注入した。抗体濃度及び抗血清濃度並びに総注入量は、正常ウサギ血清(NRS)及びPBSで調整した。対照動物にはNRS、又は死菌の無莢膜全細胞肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)に対する血清(WCB)を注入した。注入の1日後、マウスを10個の生菌肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)WU−2型(血清型3)による吸入攻撃にかけた。動物の生存を8日間モニタした。データは、免疫群毎の生存曲線として図18に示す。
図19は、実施例12及び18に記載される試験、並びに2つのさらなる試験において敗血症から保護された動物の割合を示す。
配列表
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Claims (35)

  1. 薬学的に許容可能な担体と、配列番号265若しくは268を含むアミノ酸配列又はその免疫原性断片を有するポリペプチドとを含むワクチン製剤。
  2. 前記ポリペプチドが外因性シグナル配列を含む、請求項1に記載のワクチン製剤。
  3. 前記ポリペプチドが、配列番号266を含むアミノ酸配列又はその免疫原性断片を有する、請求項2に記載のワクチン製剤。
  4. 前記ポリペプチドが、配列番号265又は268からなるアミノ酸配列を有する、請求項1に記載のワクチン製剤。
  5. 前記ポリペプチドが、配列番号266からなるアミノ酸配列を有する、請求項1に記載のワクチン製剤。
  6. 配列番号1〜23、267、及び269〜270の一つを含むアミノ酸配列又はその免疫原性断片を有する第1のポリペプチドをさらに含む、請求項1に記載のワクチン製剤。
  7. 配列番号1〜23、267、及び269〜270のいずれかを含むアミノ酸配列又はその免疫原性断片を有する第2のポリペプチドをさらに含む、請求項6に記載のワクチン製剤。
  8. 前記第1のポリペプチド及び前記第2のポリペプチドが、(i)〜(viii):
    (i)配列番号1又はその免疫原性断片、
    (ii)配列番号2〜5及び14〜17の一つ又はその免疫原性断片、
    (iii)配列番号6〜7及び18〜19の一つ又はその免疫原性断片、
    (iv)配列番号8又はその免疫原性断片、
    (v)配列番号9〜10及び20〜21の一つ又はその免疫原性断片、
    (vi)配列番号11〜13、267、及び269〜270の一つ又はその免疫原性断片、
    (vii)配列番号22又はその免疫原性断片、及び
    (viii)配列番号23又はその免疫原性断片
    の異なる群に属する、請求項7に記載のワクチン製剤。
  9. 配列番号6を含むアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む、請求項6に記載のワクチン製剤。
  10. 配列番号7を含むアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む、請求項6に記載のワクチン製剤。
  11. 配列番号9を含むアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む、請求項6に記載のワクチン製剤。
  12. 配列番号10を含むアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む、請求項6に記載のワクチン製剤。
  13. 配列番号6又は7からなるポリペプチドと、配列番号9又は10からなるポリペプチドとを含む、請求項7に記載のワクチン製剤。
  14. 前記配列番号265、266、又は268のポリペプチドが、N末端、C末端、又はその両方から1〜20個のアミノ酸残基が取り除かれたトランケート断片である、請求項1〜13のいずれか一項に記載のワクチン製剤。
  15. 配列番号1〜23及び265〜270のいずれかを含むアミノ酸配列を有するポリペプチド以外には実質的に他の肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)ポリペプチドを含まない、請求項1〜14のいずれか一項に記載のワクチン製剤。
  16. 配列番号22若しくは23を含むアミノ酸配列又はその免疫原性断片を有する1つ以上のポリペプチドをさらに含む、請求項1に記載のワクチン製剤。
  17. 1つ以上のポリペプチドが免疫原性担体とコンジュゲートされる、請求項1〜16のいずれか一項に記載のワクチン製剤。
  18. 少なくとも1つの脂質化ポリペプチドを含む、請求項1〜17のいずれか一項に記載のワクチン製剤。
  19. アジュバントをさらに含む、請求項1〜18のいずれか一項に記載のワクチン製剤。
  20. 前記アジュバントがToll様受容体(TLR)のアゴニストである、請求項19に記載のワクチン製剤。
  21. 前記アジュバントがミョウバンである、請求項19に記載のワクチン製剤。
  22. 1〜1000μgの各ポリペプチドと、1〜250μgの前記アジュバントとを含む、請求項19に記載のワクチン製剤。
  23. 17細胞との接触後に無関係の対照抗原によって誘発される応答と比べて少なくとも1.5倍高いT17細胞応答を含む、請求項1〜22のいずれか一項に記載のワクチン製剤。
  24. 非感染対象における肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)の感染を阻害する、請求項1〜23のいずれか一項に記載のワクチン製剤。
  25. 個体における肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)の定着を阻害する、請求項1〜24のいずれか一項に記載のワクチン製剤。
  26. 肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)の症状を阻害する、請求項1〜25のいずれか一項に記載のワクチン製剤。
  27. 肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)誘導性敗血症を阻害する、請求項26に記載のワクチン製剤。
  28. 肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)感染症に罹患している又は罹患し易い対象を治療する方法であって、請求項1〜27のいずれか一項に記載のワクチン製剤の有効量を投与するステップを含む方法。
  29. 非感染対象における肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)の感染を阻害する、請求項28に記載の方法。
  30. 対象における肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)の定着を阻害する、請求項28に記載の方法。
  31. 肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)の症状を阻害する、請求項28に記載の方法。
  32. 肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)誘導性敗血症を阻害する、請求項28に記載の方法。
  33. 対象を1用量で治療する、請求項28に記載の方法。
  34. 対象を3用量以内で治療する、請求項28に記載の方法。
  35. 前記対象がヒトである、請求項28に記載の方法。
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