JP2014239679A - 細胞のエピジェネティックな情報を得る方法、細胞の特性を判定する方法、薬剤感受性を判断するまたは薬剤若しくは免疫療法剤の種類を選択する方法、疾患の診断方法、並びに自己複製ベクター、アッセイキットおよび分析装置 - Google Patents

細胞のエピジェネティックな情報を得る方法、細胞の特性を判定する方法、薬剤感受性を判断するまたは薬剤若しくは免疫療法剤の種類を選択する方法、疾患の診断方法、並びに自己複製ベクター、アッセイキットおよび分析装置 Download PDF

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Abstract

【課題】実施形態は、細胞のエピジェネティックな情報を簡便に得られる方法を提供することを目的とする。【解決手段】実施形態によれば、細胞のエピジェネティックな情報を得る方法が提供される。この方法は、レポーター核酸構築物を被検細胞の核内に導入すること、レポーター核酸構築物を自己複製させること、被検細胞において生じた信号の有無および/または大きさを検出すること、得られた結果に基づいて、被検細胞のエピジェネティックな情報を得ることを含む。レポーター核酸構築物は、被検細胞のゲノム上の特定の配列における修飾の状態を、被検細胞の核内での自己複製中に官能基の置換によって対応するその配列上に写し取り、写し取られた官能基の存在状況に依存して検出可能な信号を生ずることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明の実施形態は、細胞のエピジェネティックな情報を得る方法、細胞の特性を判定する方法、薬剤感受性を判断するまたは薬剤若しくは免疫療法剤の種類を選択する方法、疾患の診断方法、並びに自己複製ベクター、アッセイキットおよび分析装置に関する。
遺伝子の発現には多くの因子が関与している。そのような因子の存在若しくは不在、または存在の量の変化によって対象における健康状態が左右される。また、そのような因子の状態を観察すれば、対象における健康状態を判定することが可能になる。
遺伝子の発現に関わる因子には、ゲノムを構成するDNAの塩基配列の変化を伴うものと、DNA塩基配列の変化を伴わないものとがある。DNAの塩基配列の変化を伴うものには、多型または変異が含まれる。一方、DNA塩基配列の変化を伴わないものは、エピジェネティック制御に関わる変化がある。このような多型および変異、並びにエピジェネティック制御に関する情報(即ち、エピジェネティックな情報)は、医療、農業、漁業などの様々な分野において有用である。エピジェネティックな情報には、DNAの修飾、ヒストンの化学修飾、非翻訳性RNAによる制御などがある。
例えば、現在、特定の塩基配列に対するメチル化などの修飾の有無や修飾量の変化などのエピジェネティックな情報を得ることが医学的に有用であることが報告されている。
DNAのメチル化に関する情報は、有用なエピジェネティックな情報の1例である。DNAメチル化異常は、多段階の発癌過程において早期から確認されている。また、初期肝癌において標的遺伝子クラスターにおけるメチル化も確認されている。
ゲノムDNAのメチル化反応とは、細胞内でDNAメチルトランスフェラーゼによりゲノム上のシトシンに、メチル基が付加されることである。細胞分裂時にゲノムが複製されると、複製されたゲノムは複製前のゲノムと同位置のシトシンにメチル基の付加が起こる。
現在、DNAのメチル化を検出する手段には、例えば、バイサルフェイト処理PCR法、シークエンス法、レポーターベクターを利用する方法がある。例えば、レポーターベクターを利用する方法として、時計遺伝子のDNAメチル化による概日リズム制御機構をアッセイし、概日リズム障害改善剤をスクリーニングする方法が報告されている。当該スクリーニング法では、細胞内でメチル化される既知の標的核酸配列を染色体上に組み込んだ安定発現細胞株を作製し、細胞分裂時のゲノム複製と同時に行われるメチル化反応を利用して、概日リズム障害改善剤をスクリーニングする方法である。
特開2009−232761号公報 特開2012−60894号公報
Yoshiura K et al., Proc Natl Acad Sci U S A. 1995, 92, 7416−7419. Chen YL et al., Biochem Biophys Res Commun. 2012,425(2), 290−296 Hayatsu H et al., Biochemistry. 1970, 9, 2858−2865. Gonzalgo ML et al., Nucleic Acids Res. 1997, 25, 2529−2531. Herman JG et al., Proc Natl Acad Sci U S A. 1996, 93, 9821−9826. Clark SJ et al., Nucleic Acids Res. 1994, 22, 2990−2997. Frommer M et al., Proc Natl Acad Sci U S A. 1992, 89, 1827−1831. Warnecke PM et al., Methods. 2002, 27, 101−107.
実施形態は、細胞のエピジェネティックな情報を簡便に得られる方法を提供することを目的とする。
実施形態によれば、細胞のエピジェネティックな情報を得る方法が提供される。この方法は、レポーター核酸構築物を被検細胞の核内に導入すること、レポーター核酸構築物を自己複製させること、被検細胞において生じた信号の有無および/または大きさを検出すること、得られた結果に基づいて、被検細胞のエピジェネティックな情報を得ることを含む。レポーター核酸構築物は、被検細胞のゲノム上の特定の配列における修飾の状態を、被検細胞の核内での自己複製中に官能基の置換によって対応するその配列上に写し取り、写し取られた官能基の存在状況に依存して検出可能な信号を生ずることを特徴とする。
図1は、自己複製ベクターの1例を示す図である。 図2は、自己複製ベクターの1例を示す図である。 図3は、自己複製ベクターの1例を示す図である。 図4は、自己複製ベクターの例を示す図である。 図5は、自己複製ベクターの例を示す図である。 図6は、自己複製ベクターの1例を示す図である。 図7は、自己複製ベクターの1例を示す図である。 図8は、細胞のエピジェネティックな情報を得る方法の1例を示すスキームである。 図9は、細胞のエピジェネティックな情報を得る方法の1例を示すスキームである。 図10は、細胞のエピジェネティックな情報を得る方法の1例を示すスキームである。 図11は、細胞のエピジェネティックな情報を得る方法の1例を示すスキームである。 図12は、被検細胞の特性を判定する方法の1例を示す図である。 図13は、細胞のエピジェネティックな情報を得る方法を行うための分析装置を示すブロック図である。 図14は、メチル化標的配列を含む自己複製ベクターの作製工程の1例を示す図である。 図15は、実験結果を示すグラフである。 図16は、CK19プロモーター領域と複製開始配列を含む自己複製ベクターとを示す図である。 図17は、複製開始蛋白質遺伝子発現ベクターを示す図である。 図18は、CK19プロモーター領域のCCGG配列の位置を示す図である。 図19は、実験結果を示す図である。 図20は、実験結果を示す図である。 図21は、実験結果を示す図である。 図22は、実験結果を示す図である。 図23は、COX2プロモーター領域と複製開始配列を含む自己複製ベクターの図である。 図24は、COX2プロモーター領域のCCGG配列の位置を示す図である。 図25は、実験結果を示す図である。 図26は、実験結果を示す図である。 図27は、実験結果を示す図である。 図28は、実験結果を示す図である。 図29は、実験結果を示す図である。 図30は、実験結果を示す図である。 図31は、実験結果を示す図である。 図32は、ルシフェラーゼアッセイの結果を示す図である。 図33は、メチル化標的配列を含む自己複製ベクターの作製方法の1例を示す図である。 図34は、細胞への2種類のベクターの共トランスフェクションを示す模式図である。 図35は、自己複製ベクターの1例を示す図である。 図36は、実験結果を示す図である。
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。
実施形態に従う細胞のエピジェネティックな情報を得る方法は、自己複製可能なレポーター核酸構築物を用いる。このレポーター核酸構築物は、被検細胞の核内で自己複製する際に、被検細胞のゲノムにおける特定の配列上の修飾の状態を自身の配列に写し取る。即ち、レポーター核酸構築物は、観察されるべき特定の配列と相同な配列を含んでいる。さらに自己複製によって、ゲノムの特定の配列上の修飾状態がレポーター核酸構築物中のそれと相同な配列に写し取られる(コピーされる)。レポーター核酸構築物は、当該レポーター核酸構築物に写し取られた官能基の存在状況に依存して、検出可能な信号を生じる。この時、官能基の存在状況により信号の有無もしくは大きさまたは量は異なる。これにより、レポーター核酸構築物は、ゲノムの特定の配列上の修飾状態をレポートする。
レポーター核酸構築物のレポート機能は、レポーター核酸構築物が自己複製することにより初めて得られる。従って、レポーター核酸構築物は、レポーター核酸構築物の自己複製が開始される条件に置かれる被検細胞の核内に導入される。そして、被検細胞の核内に導入されたレポーター核酸構築物が自己複製するために必要な時間が経過した後に、被検細胞内でレポーター核酸構築物が生じた信号を検出する。信号の検出は、信号の有無について行われてもよく、信号の大きさまたは量について行われてもよい。検出によって得られた結果が、被検細胞のエピジェネティックな情報である。ここで、「細胞のエピジェネティックな情報」とは、被検細胞のゲノム上の特定の配列を構成する塩基に対して官能基が結合しているか、否か、置換があったのか、否かなどについての情報であってよい。ここで「検出可能な信号」とは、蛍光、発光および呈色などであってもよく、或いは蛋白質などの物質の呈示であってもよい。或いはそれは、例えば、それ自身公知の方法により検出することが可能な信号であればよい。また、当該信号は、レポーター核酸構築物に写し取られた官能基の存在状況に依存して、その提示の有無または大きさが変わる。
「レポーター核酸構築物」とは、試験されるべき細胞のエピジェネティックな情報をレポートするための核酸構築物である。レポーター核酸構築物とゲノムの特定配列における修飾との相関の例について以下に述べる。以下の例は、エピジェネティックな情報が、ゲノムの特定の配列におけるメチル化に関する情報である場合の1例である。表1に、レポーター核酸構築物のレポーター活性とメチル化との相関について示す。
Figure 2014239679
表1に示した相関は、レポーター核酸構築物の信号が、レポーター核酸構築物の対応する配列の脱メチル化により大きくなり、メチル化により小さくなる1例である。
このレポーター核酸構築物は、例えば、癌の検出に使用することが可能である。癌細胞の場合、ゲノム上の特定の配列において脱メチル化が生じる。
このような細胞におけるエピジェネティックな情報は、その自己複製時に、レポーター核酸構築物に含まれる対応する配列に写し取られる。例えば、レポーター核酸構築物の対応する配列を予めメチル化しておけば、自己複製時に脱メチル化が生じる。この時、レポーター核酸構築物からの検出可能な信号が大きくなる。例えば、このような大きな信号の検出を指標にして、癌を検出することが可能になる。ここで「対応する配列」とはゲノム上の特定の配列、即ち、検出されるべき修飾が位置する配列に相同な配列である。
例えば、多くのメチル基を含むレポーター核酸構築物を用意する(A−1)。ゲノム上の特定の配列がメチル基を多く含むとする(A−2−1)。この場合、自己複製した時に、当該構築物における官能基の置換はない、または少ない(A−3−1)。この場合、検出信号は小さい(A−4−1)。相対的にレポーター活性は低い(A−5−1)。一方、ゲノム上の特定の配列がメチル基を多く含まないとする(A−2−2)。この場合、自己複製した時に、当該構築物においては官能基が置換され、脱メチル化が起きる(A−3−2)。この場合、検出信号は大きい(A−4−2)。相対的にレポーター活性は高い(A−5−2)。
或いは、例えば、少ないメチル基を含むレポーター核酸構築物を用意する(B−1)。ゲノム上の特定の配列がメチル基を多く含むとする(B−2−1)。この場合、自己複製した時に、当該構築物における官能基は置換され、メチル化が生じる(B−3−2)。この場合、検出信号は小さい(B−4−2)。なお且つ、この場合においては、時間の経過と共に信号は小さくなる。相対的にレポーター活性は低い(B−5−2)。一方、ゲノム上の特定の配列がメチル基を多く含まないとする(B−2−2)。この場合、自己複製した時に、当該構築物においては官能基の置換はない、または少ない(B−3−2)。この場合、検出信号は大きい(B−4−2)。相対的にレポーター活性は高い(B−5−2)。
以上、レポーター核酸構築物のレポーター活性とメチル化との相関について示したが、この相関は例示のために示したものであり、これに限定するものではない。
1.レポーター核酸構築物
レポーター核酸構築物は、例えば、自己複製ベクターであってよい。レポーター核酸構築物としての自己複製ベクターについて、以下に図面を用いて説明する。なお、同じ構成については同じ符号を付し、説明については省略する。また、各実施形態の構成が組み合わされて1つの実施形態において利用されてもよく、また複数の実施形態が1つの分析において同時に使用されてもよい。
第1の実施形態
細胞のエピジェネティックな情報を得る方法では、細胞内で複製開始蛋白質が発現する条件下で、自己複製ベクターが使用される。自己複製ベクターは「レポーターベクター」とも称される。
図1を用いて自己複製ベクターの1例について説明する。自己複製ベクター1は、レポーター遺伝子発現ユニット2と、複製開始配列3とを含む。複製開始配列3は、レポーター遺伝子発現ユニット2と同一の核酸上に存在している。
レポーター遺伝子発現ユニット2は、標的核酸配列4と、レポーター蛋白質をコードするレポーター遺伝子5と、転写終結シグナル配列6とを含む。
標的核酸配列4は、エピジェネティックな情報が得られるべき核酸配列である。標的核酸配列4は、被検細胞が有する特定の核酸配列と、その配列について相同性をもつ。更に、標的核酸配列4は、被修飾塩基を有する。そして、自己複製ベクター1(例えば標的核酸配列4)は、この被修飾塩基における修飾の程度に依存するプロモーター活性を有する。自己複製ベクター1(例えば標的核酸配列4)のプロモーター活性の活性化は、標的核酸配列4上の被修飾塩基の修飾により制御される。このような被修飾塩基は、修飾のための標的となる。標的核酸配列4は、所望に応じて予め選択されればよい。標的核酸配列4に関して得られたエピジェネティックな情報から、被検細胞における特定の核酸配列のエピジェネティックな情報が得られる。
標的核酸配列4に関して「相同性をもつ配列」とは、ゲノム上の特定の配列と同一な配列であるか、またはゲノム上の特定の配列と実質的に同一な配列であればよい。ゲノム上の特定の配列と実質的に同一な配列とは、例えば、当該特定の配列において、1若しくは数個の塩基が置換、欠失または付与された配列をいう。また、「特定の配列」とは、エピジェネティックな情報が得られるべき配列であればよい。例えば、「相同性をもつ」、「相同な」および「相同の」とは、ゲノム配列に対して90%以上または95%以上で同一である配列であればよい。「ゲノム上の配列と同一な配列」とは、ゲノム上で連続する特定の配列に同一な配列であっても、ゲノム上で連続しない2つ以上の特定の配列にそれぞれ同一な配列が一体化してなる配列であってもよい。
例えば、標的核酸配列4は、ゲノム上の複数の位置に存在する2つ以上の配列にそれぞれ相同な配列を一体化してなる配列であってもよく、そのような一体化してなる配列を含んでもよい。言い換えれば、ゲノム上の複数の位置に存在する2以上の配列のそれぞれを1ユニットとすると、標的核酸配列4は、これらの複数のユニットのそれぞれに対して、それぞれ相同な配列を一体化した配列からなっても、そのような一体化した配列を含んでもよい。更に言い換えれば、標的核酸配列4は、ゲノム上でそれぞれ相同な配列であるユニットに対応して、2つ以上のユニットから構成されてもよい。標的核酸配列4において、例えば、1つのユニットは、ゲノム上の特定のプロモーター配列の部分に相同であり、もう1つのユニットが、当該プロモーター配列の活性化を制御することが可能な被修飾塩基を含む配列に相同であってもよい。
例えば、ゲノム上の特定のプロモーター配列の部分と、このプロモーター配列の活性化を制御することが可能な被修飾塩基を含む配列は、ゲノム上において必ずしも連続して存在するものではない。即ち、それらの間に、更なる配列が含まれることもある。このような更なる配列が、プロモーター配列およびその活性には影響を与えない配列であれば、そのような更なる配列を標的核酸配列4に含ませる必要は必ずしもない。また、標的核酸配列4上の被修飾塩基と、被修飾塩基における修飾の程度に依存するプロモーター活性を有する限り、標的核酸配列4は、被検細胞のゲノム上の配列に相同性を有する配列に加えて、任意の更なる配列を含んでもよい。任意の更なる配列は、標的核酸配列4上の被修飾塩基と、被修飾塩基における修飾の程度に依存するプロモーター活性を有することを妨げない。例えば、任意の更なる配列は、被検細胞のゲノム上の配列に相同性を有する配列を構成する何れかの塩基の間に含まれてもよく、被検細胞のゲノム上の配列に相同性を有する配列に隣接して含まれてもよい。
上記においては、標的核酸配列4に関して、ゲノム上の配列に対して「相同性をもつ配列」について記載したが、被検細胞に関して、標的核酸配列4に対して「相同性をもつ配列」についても同様に理解されればよい。
自己複製ベクター1は、被検細胞に導入された後に自らを複製するベクターである。標的核酸配列4は、被検細胞のゲノムに含まれる特定の核酸配列と相同性をもつ配列である。このような構成により、自己複製ベクター1の自己複製能を利用して、被検細胞のゲノム上の相同の配列の修飾状態を、自己複製ベクター1中の標的核酸配列4に写し取ることが可能となる。
標的核酸配列4の例は、例えば、SOX2遺伝子プロモーター配列、GFAP遺伝子プロモーター配列、CK19遺伝子プロモーター配列およびCOX2遺伝子プロモーター配列などが挙げられるがこれに限定されるものではない。
標的核酸配列4の修飾とは、例えば、メチル化、アルキル化である。この場合、標的核酸配列4の修飾の状態とは、標的核酸配列4を構成する塩基に対して官能基であるメチル基および/またはアルキル基が結合しているか、或いは結合していないかということである。被検細胞の「エピジェネティックな情報」とは、そのような官能基が存在するか、否かであってもよい。或いはそれは、どの程度の量の官能基が存在しているかという情報であってもよい。或いはそれは、そのような修飾の状態の変化、即ち、官能基の置換の有無または程度などの情報であってもよい。また、それらのうちの何れかの組み合わせであってもよい。標的核酸配列4の修飾は、例えば、標的核酸配列4の主鎖中のシトシンおよび/またはグアニンに対する修飾であってもよい。標的核酸配列4中に複数個のシトシンおよび/またはグアニンが存在する場合には、それらのうちの1つまたは1つ以上に関する修飾であってもよい。例えば、標的核酸配列4の修飾は、標的核酸配列4中のシトシンおよび/またはグアニンに対するメチル化であってよい。
プロモーター活性とは、プロモーター配列の下流に機能的に連結された遺伝子の転写を誘導することを意味する。標的核酸配列4がプロモーター活性を有する場合、そのプロモーター活性は、標的核酸配列4の配列全体により由来するものであっても、標的核酸配列4の一部分の配列に由来するものであってもよい。また例えば、標的核酸配列4が最小プロモーターを含んでもよい。また、標的核酸配列4のプロモーター活性を示し得る配列の全体に亘り被修飾塩基が連続または断続的に存在してもよく、プロモーター活性を示し得る配列以外の標的核酸配列4の配列に被修飾塩基が存在していてもよく、その組み合わせであってもよい。標的核酸配列4のプロモーター活性化は、標的核酸配列4上の被修飾塩基の修飾の状態によって制御される。言い換えれば、標的核酸配列4のプロモーター活性は、標的核酸配列4の配列内の塩基の修飾の程度に依存して活性化される。
標的核酸配列4のプロモーター活性は、例えば、標的核酸配列4の被修飾塩基における修飾の程度が低いときに活性化される、または修飾が存在するときに活性化される、または修飾が存在しないときに活性化されるなど、これらの何れであってもよい。このようなプロモーター活性についての標的核酸配列4の性質が、「標的核酸配列4の配列内の塩基の修飾の程度に依存して活性化される」或いは「塩基における官能基の置換の程度に依存して活性化される」という性質の例である。
標的核酸配列4の配列内の被修飾塩基における修飾の程度に依存するプロモーター活性を有する配列の例は、例えば、被験細胞由来の配列であればよく、人工的に合成した配列であってもよい。たとえば、そのような配列の例は、グリア細胞線維性酸蛋白質(GFAP; Glial fibrillary acidic protein)遺伝子の5’上流領域(−1651〜+32bp)(配列番号1)などであってもよい。GFAP遺伝子の5’上流領域配列は、標的核酸配列のメチル化が存在しない場合に活性化される。その配列を表2に示す。或いは、サイトケラチン19(CK19)遺伝子の5’上流領域(−617〜+61bp)(配列番号2)や、シクロオキシゲナーゼ2(COX2)遺伝子の5’上流領域(−540〜+115bp)(配列番号3)などであってもよい。これらの配列を表2、表3および表4に示す。
Figure 2014239679
Figure 2014239679
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標的核酸配列4の下流には、レポーター遺伝子5が機能的に連結されている。即ち、レポーター遺伝子5の上流には標的核酸配列4が機能的に連結されている。レポーター遺伝子5は、標的核酸配列4が活性化されることにより転写される。この転写により、レポーター蛋白質が発現される。レポーター蛋白質の検出は、蛍光、発光および呈色などの検出により行われてもよく、或いはそれ自体公知の蛋白質の検出手段により検出されてもよい。
レポーター蛋白質は、例えば、ルシフェラーゼ、β−ガラクトシダーゼ、一酸化窒素合成酵素、キサンチンオキシダーゼ、青色蛍光蛋白質、緑色蛍光蛋白質、赤色蛍光蛋白質および重金属結合蛋白質であってよい。このような場合、レポーター遺伝子5は、それらの蛋白質をコードする遺伝子であってよい。レポーター遺伝子5の例は、ルシフェラーゼ遺伝子、β−ガラクトシダーゼ遺伝子、一酸化窒素合成酵素遺伝子、キサンチンオキシダーゼ遺伝子、青色蛍光蛋白質遺伝子、緑色蛍光蛋白質遺伝子、赤色蛍光蛋白質遺伝子および重金属結合蛋白質遺伝子などである。
転写終結シグナル配列6は、その上流の遺伝子の転写を終結する配列であればよく、例えば、ポリ(A)付加シグナルであってよい。
ポリ(A)付加シグナルは、哺乳動物の遺伝子の転写終結に機能するものであればよい。例としては、SV40ウイルスの後期ポリ(A)付加シグナル(配列番号4)や、牛成長ホルモン遺伝子のポリ(A)付加シグナル(配列番号5)などが挙げられる。ただし、本態様の実施において使用可能なポリ(A)付加シグナルは、これに限定されるものではなく、ポリ(A)付加シグナルとしての機能を損なわない限りにおいては、遺伝子配列を改変したものを用いてもよい。これらのポリ(A)付加シグナルの例について、その配列を表5に示す。
Figure 2014239679
複数の配列の連結に関して「機能的」とは、各遺伝子が目的とする機能を発揮することが可能な状態で連結している状態をいう。例えば、蛋白質をコードする配列の場合、それぞれの塩基配列がコードするアミノ酸配列が正しく連結されていることをいう。言い換えれば、それは、アミノ酸コドンのフレームにずれがなく、当該塩基配列が導入された細胞において、目的とする活性が機能するペプチドが合成されることをいう。またここで、「機能的に連結」の語は、「作動可能に連結」の語と交換可能に使用されてもよい。
転写終結シグナル配列6は、レポーター遺伝子5の下流に機能的に連結されている。
自己複製ベクター1は、被検細胞で複製開始蛋白質が発現している条件下で、被検細胞内で自己複製を行うことが可能である。複製開始配列3は、複製開始蛋白質の結合によって自己複製を開始する配列である。
複製開始配列3は、例えば、哺乳類細胞で、複製開始蛋白質の結合によって活性化されて自己複製を開始する配列であればよく、それ自身公知の複製開始配列であればよい。複製開始配列3は、例えば、シミアンウイルス40(配列番号6)、エプスタインバーウイルスまたはマウスポリオーマウイルスに由来する複製開始配列であってもよいがこれらに限定されるものではない。複製開始配列の例の配列を表6に示す。
Figure 2014239679
自己複製ベクター1は、自己複製が可能なベクターであればよく、例えば、プラスミドベクターであってもよい。例えば、それ自身公知のプラスミドベクターを利用してもよい。例えば、この自己複製ベクターのプラスミドベクターの例は、特開2013−42721に開示されている。
自己複製ベクター1の自己複製は、複製開始配列3に対して複製開始蛋白質が結合することにより開始される。
図2に自己複製ベクター1の複製開始配列3に対して、複製開始蛋白質7が結合する状態を模式的に示した。複製開始蛋白質7は、複製開始配列3に結合し、さらにDNA複製に係る複数の蛋白質が結合する。結合した複数の蛋白質により、被検細胞内において自己複製ベクター1の複製が行われる。
複製開始蛋白質7は、「細胞内で複製開始蛋白質が発現する条件」の下で発現される。「細胞内で複製開始蛋白質が発現する条件」とは、自己複製ベクター1の自己複製を開始させる複製開始蛋白質が、当該ベクターが導入された細胞内において発現する条件であればよい。即ち、自己複製ベクター1の導入されるべき被検細胞内に複製開始蛋白質ユニットが存在していればよい。「複製開始蛋白質ユニット」とは、複製開始蛋白質を発現するためのユニットであり、「複製開始蛋白質発現ユニット」とも称してもよい。
複製開始蛋白質ユニットは、自己複製ベクター1に自己複製を開始させる複製開始蛋白質を発現させることができる配列を含めばよい。または複製開始蛋白質ユニットは、自己複製ベクター1に自己複製を開始させる複製開始蛋白質を発現させることができる配列からなってもよい。例えば、複製開始蛋白質ユニットは、複製開始蛋白質をコードする配列の発現を制御するプロモーターと、その下流に機能的に連結された複製開始蛋白質をコードする配列と、その下流に機能的に連結された転写終結シグナル配列とを含む。または例えば、複製開始蛋白質ユニットは、複製開始蛋白質をコードする配列の発現を制御するプロモーターと、その下流に機能的に連結された複製開始蛋白質をコードする配列と、その下流に機能的に連結された転写終結シグナル配列とからなってもよい。
複製開始配列3に結合し、自己複製ベクター1に自己複製を開始させる複製開始蛋白質をコードする配列の例は次の通りである。即ちそれは、例えば、シミアンウイルス40のラージT抗原遺伝子、エプスタインバーウイルスのEBNA−1遺伝子、マウスポリオーマウイルスのラージT抗原遺伝子などであってもよい。
好ましいラージT抗原遺伝子の例は、表7、表8および表9にそれぞれ示される。即ち、それは、配列番号7、配列番号8若しくは配列番号9でそれぞれに示される核酸であってよい。或いは、配列番号7、配列番号8若しくは配列番号9の配列中の1若しくは数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された配列により示され、且つDNA複製開始機能を有する核酸であってよい。ここで、DNA複製開始機能とは、複製を開始できる蛋白質をコードしていることをいう。
Figure 2014239679
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複製開始蛋白質ユニットは、自己複製ベクター1の核酸上に存在してもよく、自己複製ベクター1の核酸とは異なる核酸上に存在してもよい。自己複製ベクター1とは異なる核酸上に複製開始蛋白質ユニットが存在する場合、複製開始蛋白質ユニットは、被検細胞の染色体上に存在してもよく、被検細胞に含まれる他の核酸上に存在してもよい。
複製開始蛋白質ユニットが自己複製ベクター1と異なる核酸上にある場合においても、複製開始蛋白質ユニットは次のような構成を有する。即ち、それは、構成的に発現するプロモーターと、その下流に機能的に連結された複製開始蛋白質をコードする配列と、その下流に機能的に連結された転写終結シグナル配列とを含むか、またはそれらの配列からなる。このような構成により、複製開始蛋白質をコードする配列が転写、翻訳されて複製開始蛋白質が産生されればよい。
複製開始蛋白質ユニットが自己複製ベクター1に含まれる場合、複製開始配列3が自己複製ベクター1に含まれてもよい。自己複製ベクター1におけるレポーター遺伝子発現ユニット2と、複製開始蛋白質ユニットは、1つのプロモーターにより発現が制御されていてもよく、独立した2つの同じまたは互いに異なるプロモーターにより発現が制御されていてもよい。
互いに異なるプロモーターにより発現が制御される場合、例えば、複製開始蛋白質ユニットは、自己複製ベクター1の核酸上に、レポーター遺伝子発現ユニット2とは独立して存在する。そして複製開始蛋白質ユニットは、構成的に発現するプロモーターと、その下流に機能的に連結されている複製開始蛋白質をコードする配列とを備えればよい。また更に、複製開始蛋白質をコードする配列の下流に転写終結シグナル配列が機能的に連結されていてもよい。
自己複製ベクター1において、レポーター遺伝子発現ユニット2と、複製開始蛋白質ユニットが、1つのプロモーターによって制御されて発現する場合、例えば、次の様な構成であってよい。そのような自己複製ベクター1の例は、例えば、レポーター遺伝子発現ユニットの下流に機能的に連結されたIRES(internal ribosomal entry site)配列(配列番号10)と、IRES配列の下流に機能的に連結された複製開始蛋白質をコードする配列と、その下流に機能的に連結された転写終結シグナル配列とからなってよい。IRES配列の配列を表10に示す。
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このような複製開始蛋白質ユニットは、複製開始蛋白質をコードする配列と、その上流に機能的に連結された構成的に発現するプロモーターと、その下流に機能的に連結された複製開始蛋白質をコードする配列と、その下流に機能的に連結された転写終結シグナル配列とを含む、またはそれらの配列から構成される。複製開始蛋白質をコードする配列が転写、翻訳されて複製開始蛋白質が産生される。ところで、自己複製ベクター1は、同一のベクター内に複製開始配列を含んでいる。産生された複製開始タンパク質は、ベクター内の複製開始配列に結合する。このような自己複製ベクターについては、プラスミドベクターの1例として、第2の実施形態において説明する。
複製開始蛋白質ユニットが、被検細胞のゲノム上に存在する場合、たとえば次のように複製開始蛋白質が生成される。複製開始蛋白質遺伝子発現ベクターをトランスフェクション法や、あるいはウイルスベクターを用いて被検細胞に導入し、培養することで複製開始蛋白質遺伝子発現ベクターが細胞の染色体に組み込まれる。トランスフェクション法は、生化学的方法や物理化学的方法により行えばよい。生化学的方法としては、カチオン脂質を用いるリポフェクション法や、磁性粒子を用いるマグネトフェクション法、塩化カルシウムを用いる方法などが挙げられる。物理化学的方法としては、例えば、電気穿孔法などが挙げられる。上述の生化学的方法や物理化学的方法を単独で用いるだけでなく、互いに組み合わせてもよい。例えば、生化学的な方法であるリポフェクション法とマグネトフェクション法とを組み合わせて用いてもよいし、生化学的な方法であるリポフェクション法と物理化学的な方法である電気穿孔法とを組み合わせて用いてもよい。
複製開始蛋白質遺伝子発現ベクターが染色体に安定的に組み込まれることにより、被検細胞内では安定的に複製開始蛋白質遺伝子が、転写、翻訳されることで複製開始蛋白質が生成される。複製開始蛋白質を安定的に発現する細胞株は、たとえば、HEK293T細胞やCOS細胞などがある。
複製開始蛋白質ユニットが、自己複製ベクター1の核酸とも被検細胞の染色体とも異なる核酸鎖上に存在する場合には、複製開始蛋白質ユニットは、自己複製ベクター1以外の第2のベクター中に含まれて存在してもよい。例えば、そのような第2のベクターは、被検細胞内で複製開始蛋白質を発現するベクターであればよく、それ自身公知の何れのベクターが利用されてもよい。このような第2のベクターを「複製開始蛋白質遺伝子発現ベクター」とも称する。
このように、例えば、複製開始蛋白質ユニットは、自己複製ベクターに含まれてもよい。また例えば、被検細胞が、自己複製ベクターおよび被検細胞のゲノムとは異なる更なる配列を含み、そのような更なる配列に複製開始蛋白質ユニットが含まれてもよい。そのような更なる配列は、被検細胞の染色体に含まれてもよく、第2のベクターなどの更なる核酸鎖に含まれてもよい。
複製開始蛋白質をコードする遺伝子と、複製開始配列との組み合わせは、複製を開始することが可能な組み合わせであればよい。そのような組み合わせの例は次の通りである:
複製開始蛋白質をコードする遺伝子が、シミアンウイルス40のラージT抗原遺伝子であり、前記複製開始配列が、シミアンウイルス40からの複製開始配列である組み合わせ;
複製開始蛋白質をコードする遺伝子が、エプスタインバーウイルスのEBNA−1遺伝子であり、複製開始配列が、エプスタインバーウイルスからの複製開始配列である組み合わせ;
複製開始蛋白質をコードする遺伝子が、マウスポリオーマウイルスのラージT抗原遺伝子であり、複製開始配列が、マウスポリオーマウイルスからの複製開始配列である組み合わせ。これらのような組み合わせは好ましいが、これらに限定するものではない。
被検細胞は、例えば、細胞群および/または単一細胞であってよい。被検細胞は、血液、尿、便、精液、唾液、バイオプシーで得られた組織、口腔内粘膜、体腔液および喀痰等に含まれる細胞であってもよく、或いは培養細胞などであってもよい。
被検細胞への自己複製ベクター1の導入は、インビトロにおいて行われてもよく、インビボにおいて行われてもよい。
第2の実施形態
次に、図3を参照しながらプラスミドベクターの1例について説明する。
プラスミドベクターである自己複製ベクター31は、図3に示すように標的核酸配列4と、その下流に機能的に連結されたレポーター遺伝子5と、その下流に機能的に連結されたIRES32と、その下流に機能的に連結された複製開始蛋白質をコードする配列33と、その下流に機能的に連結された転写終結シグナル配列34と、その下流に機能的に連結された複製開始配列3とを備える。この例において、レポーター遺伝子発現ユニット2の構成要素は、標的核酸配列4と、レポーター遺伝子5と、転写終結シグナル配列34とである。また、複製開始蛋白質ユニットの構成要素は、標的核酸配列4と、IRES32と、複製開始蛋白質をコードする配列33と、転写終結シグナル配列34とである。
「IRES」とは「内部リボゾーム進入配列」(internal ribosomal entry site)」の略であり、「内部リボゾーム結合配列」と称される。IRESは、例えば脳心筋炎ウイルス由来の配列であってもよい。IRES32の存在により、標的核酸配列4の配列内の塩基の修飾の程度に依存して活性化された標的核酸配列4により、レポーター遺伝子5の配列が転写され、それに続いて複製開始蛋白質をコードする配列33が転写される。複製開始蛋白質をコードする配列33の配列が読まれた後、転写終結シグナル配列34の存在により、転写は停止する。複製開始蛋白質をコードする配列33から転写、翻訳されて産生する複製開始蛋白質は、複製開始配列3に結合し、自己複製ベクター31の複製が開始される。
被検細胞に導入された標的核酸配列4を含む自己複製ベクター31において、標的核酸配列4の被修飾塩基は、ベクターの導入時には修飾がなされていても、なされていなくてもよい。
このような自己複製ベクター31に含まれる標的核酸配列4の被修飾塩基が、例えば修飾されていない場合、被検細胞に導入された後に次のように振る舞う。まず、被検細胞中に存在する目的とする核酸の修飾状態が高い場合には、標的核酸配列4の被修飾塩基が高度に修飾されるため、標的核酸配列4は活性化されず、レポーター遺伝子と複製開始蛋白質遺伝子は発現しない。従って、自己複製ベクター31の自己複製は停止する。これに対して、被検細胞中に存在する目的とする核酸の修飾状態が低い、もしくは修飾がない場合には、標的核酸配列4の被修飾塩基の修飾状態が低く維持されるため、標的核酸配列4が活性化される。標的核酸配列4が活性化状態にある場合、IRES32で連結されたレポーター遺伝子5と複製開始蛋白質をコードする配列33とは、バイシストロニックなmRNAに転写され、翻訳される。IRES32が2つの遺伝子の間に組み込まれることで、この2つの遺伝子は単一バイシストロン性mRNAとして転写される。リボソームはバイシストロン性mRNAからレポーター遺伝子5を翻訳するだけでなく、IRESの位置にも結合し、複製開始蛋白質をコードする配列も翻訳する。転写終結シグナル配列34はレポーター遺伝子5と複製開始蛋白質をコードする配列33との転写を終結するためのシグナルをコードする塩基配列である。複製開始蛋白質をコードする配列33から転写され、被検細胞の成分により翻訳された複製開始蛋白質は、複製開始配列3を認識し、それに対して結合する。更に被検細胞に含まれるDNA複製に係る複数の蛋白質が結合する。結合した複数の蛋白質により、被検細胞において自己複製ベクター31の自己複製が行われる。
標的核酸配列4の被修飾塩基が修飾されている場合、被検細胞に導入された後に次のように振舞う。まず、被検細胞中に存在する目的とする核酸の修飾状態が高い場合には、標的核酸配列4の被修飾塩基において、当初の修飾の程度が維持されるため標的核酸配列4は活性化されない。そのため、レポーター遺伝子と複製開始蛋白質遺伝子は発現しない。従って、自己複製ベクター31の自己複製は停止する。それに対して、被検細胞中に存在する目的とする核酸の修飾状態が低い、もしくは修飾がない場合には、標的核酸配列4の被修飾塩基における修飾状態が低下、もしくはなくなるため標的核酸配列4が活性化される。標的核酸配列4が活性化状態にある場合、IRES32で連結されたレポーター遺伝子5と複製開始蛋白質をコードする配列33とは、バイシストロニックなmRNAに転写され、翻訳される。IRES32が2つの遺伝子の間に組み込まれることで、この2つの遺伝子は単一バイシストロン性mRNAとして転写される。リボソームはバイシストロン性mRNAからレポーター遺伝子5を翻訳するだけでなく、IRESの位置にも結合し、複製開始蛋白質をコードする配列についても翻訳する。転写終結シグナル配列34はレポーター遺伝子5と複製開始蛋白質をコードする配列33との転写を終結するためのシグナルをコードする塩基配列である。複製開始蛋白質をコードする配列33から転写され、被検細胞の成分により翻訳された複製開始蛋白質は、複製開始配列3を認識し、それに対して結合する。更に被検細胞に含まれるDNA複製に係る複数の蛋白質が結合する。結合した複数の蛋白質により、被検細胞において自己複製ベクター31の自己複製が行われる。
標的核酸配列4の被修飾塩基における修飾の程度が低いとき、レポーター遺伝子5が発現する。更に、それよりも下流に存在する配列が読まれることで、自己複製ベクター31の自己複製が開始する。自己複製ベクター31の自己複製によって生じた複製生成物は、配列に関しては自己複製ベクター31と同じ配列を有する。しかしながら被検細胞中に存在する目的とする核酸の修飾状態は、標的核酸配列4の被修飾塩基における修飾状態に反映される。その結果、標的核酸配列4の被修飾塩基における修飾の程度が高くなると、標的核酸配列4は活性化されない。そのために、レポーター遺伝子5は発現せず、更に、それよりも下流に存在する配列は読まれない。従って、自己複製ベクター31の自己複製は停止する。
第3の実施形態
更なるプラスミドベクターの1例について図4(a)、(b)および(c)を参照しながら説明する。
まず、図4(a)を用いて基本的な構成について説明する。プラスミドベクターである自己複製ベクター41は、レポーター遺伝子発現ユニット2と、これに連結された複製開始蛋白質ユニット42と、これに連結された複製開始配列3とを含む。レポーター遺伝子発現ユニット2は、標的核酸配列4と、その下流に機能的に連結されたレポーター遺伝子5と、その下流に機能的に連結された転写終結シグナル配列6とを含む。複製開始蛋白質ユニット42は、レポーター遺伝子発現ユニット2と同じ核酸上に存在し、構成的に発現するプロモーター44と、その下流に機能的に連結された複製開始蛋白質をコードする配列45と、その下流に機能的に連結された転写終結シグナル配列46とを含む。複製開始配列3は、複製開始蛋白質ユニット42の転写終結シグナル配列46の下流に連結されている。
被検細胞に導入された自己複製ベクター41の標的核酸配列4の被修飾塩基は、当該ベクター41の導入時には修飾がなされていても、なされていなくてもよい。標的核酸配列4の被修飾塩基の修飾の程度に依存するプロモーター活性を有する配列の例は、上述した通りである。
このような自己複製ベクター41は、被検細胞に導入された後に次のように振る舞う。自己複製ベクター41の自己複製によって生じた複製生成物は、配列に関しては自己複製ベクター41と同じ配列を有する。しかしながら自己複製ベクターの標的核酸配列4の被修飾塩基における修飾状態は、被検細胞中に存在する目的とする核酸の修飾状態が反映される。
例えば、標的核酸配列4の被修飾塩基が修飾されており、かつ、被検細胞中に存在する目的とする核酸の修飾状態が高い場合には、標的核酸配列4は活性化されない。そのために、レポーター遺伝子5は発現しない。それに対して、当初の標的核酸配列4の被修飾塩基が修飾されており、被検細胞中に存在する目的とする核酸の修飾状態が低い、もしくは修飾がない場合には次の通りである。自己複製ベクター41の標的核酸配列4の被修飾塩基の修飾状態は、被検細胞中に存在する目的とする核酸の修飾状態が反映される。その結果、標的核酸配列4の被修飾塩基における修飾の程度が低くなり、標的核酸配列4が活性化される。それによりレポーター遺伝子5が発現する。
標的核酸配列4の被修飾塩基が修飾されていない場合において、被検細胞中に存在する目的とする核酸の修飾状態が高い場合、標的核酸配列4の被修飾塩基が修飾される。そのため、標的核酸配列4が活性化されない。従って、レポーター遺伝子が発現しない。それに対して、被検細胞中に存在する目的とする核酸の修飾状態が低い、または修飾がない場合には、当初の修飾の程度が維持されるため標的核酸配列4が活性化される。それによりレポーター遺伝子5が発現する。
複製開始蛋白質をコードする配列45は、構成的に発現するプロモーター44によって転写が制御されている。構成的に発現するプロモーター44は、常に活性化された状態にあるために、繰り返し活性化される。複製開始蛋白質をコードする配列45の転写は、転写終結シグナル配列46により転写が停止する。複製開始蛋白質は、構成的に発現するプロモーター44の活性により、標的核酸配列4の配列内の塩基の修飾の程度に依存するプロモーター活性を有する配列の修飾の状態にかかわらず、繰り返し生成される。
構成的に発現するプロモーター44の例は、サイトメガロウイルスプロモーター、ラウス肉腫ウイルスプロモーター、シミアンウイルス初期プロモーターおよびシミアンウイルス後期プロモーターなどであってよい。
図4(a)に示す自己複製ベクター41は、レポーター遺伝子発現ユニット2の下流に、複製開始蛋白質ユニット42が連結されている。そして、その下流に複製開始配列3が連結されている。しかしながら、自己複製ベクター41の構成は、図4に示す実施形態に限定されるものではない。例えば、レポーター遺伝子発現ユニット2の下流に、複製開始配列3が連結され、更に、その下流に複製開始蛋白質ユニット42が連結されていてもよい。或いは、複製開始蛋白質ユニット42の下流にレポーター遺伝子発現ユニット2が連結され、更に、その下流に複製開始配列3が連結されてもよい。或いは、複製開始蛋白質ユニット42の下流に複製開始配列3が連結され、更に、その下流にレポーター遺伝子発現ユニット2が連結されていてもよい。
また、レポーター遺伝子発現ユニット2および複製開始蛋白質ユニット42のそれぞれの向きも図4(a)に示す実施形態に限定されるものではない。図4(a)に示す自己複製ベクター41において、配列が読まれる向きを矢印によって示した(図4(b))。この場合、レポーター遺伝子発現ユニット2は、向かって左側から右側に向けて読まれる。同様に、複製開始蛋白質発現ユニット42も、向かって左側から右側に向けて読まれる。更に、例えば、レポーター遺伝子発現ユニット2と複製開始蛋白質ユニット42が互いに逆の向きになるように設計され構成された1例を図4(c)に示す。図4(c)の例の場合、レポーター遺伝子発現ユニット2は、向かって左側から右側に向けて読まれる。それに対して、複製開始蛋白質発現ユニット42は、向かって右側から左側に向けて読まれる。しかしながら、レポーター遺伝子発現ユニット2および複製開始蛋白質ユニット42のそれぞれの向きは、これらに限定されるものではない。複製開始蛋白質ユニット42は、例えば、レポーター遺伝子発現ユニット2の上流もしくは下流に配置されてもよい。そして、その何れの場合であっても、レポーター遺伝子が転写される方向とは逆向きに、複製蛋白質遺伝子が転写されるように、複製開始蛋白質ユニット42が連結されてもよい。或いは、その何れの場合であっても、レポーター遺伝子が転写される方向と同じ向きに、複製蛋白質遺伝子が転写されるように、複製開始蛋白質ユニット42が連結されてもよい。
第4の実施形態
更なるプラスミドベクターの例について図5を用いて説明する。図5(a)は、被検細胞50に導入された自己複製ベクター51を示す。自己複製ベクター51は、レポーター遺伝子発現ユニット2と、複製開始配列3とを備える。レポーター遺伝子発現ユニット2は、標的核酸配列4と、その下流に機能的に連結されたレポーター遺伝子5と、その下流に機能的に連結された転写終結シグナル配列6とを備える。被検細胞50中には、自己複製ベクター51とは独立して、複製開始蛋白質ユニット52が存在している。複製開始蛋白質ユニット52は、構成的に発現するプロモーター53と、その下流に機能的に連結された複製開始蛋白質をコードする配列54と、その下流に機能的に連結された転写終結シグナル配列55とを備える。
図5(b)は、複製開始蛋白質ユニット52が、更なるベクター上に存在する例を示す。このような場合、自己複製ベクター51と、複製開始蛋白質ユニット52を含むベクター56は、それぞれ第1のベクター51と第2のベクター56として、共に1つの被検細胞50に導入される。これらの導入方法は、上述したような生化学的方法および物理化学的方法であってよい。被検細胞に第2のベクター56が導入されると、複製開始蛋白質をコードする配列54が発現し、転写、翻訳されて複製開始蛋白質が生成される。複製開始蛋白質は複製開始配列3を認識し、それに対して結合する。更に被検細胞に含まれるDNA複製に係る複数の蛋白質が結合する。結合した複数の蛋白質により、被検細胞内において自己複製ベクター51の複製が行われる。
ここにおける第2のベクター56は、複製開始蛋白質遺伝子発現ベクターと称されてもよい。このベクターは、複製開始蛋白質を発現させるための複製開始蛋白質ユニットを含めばよい。また複製開始蛋白質遺伝子発現ベクターは、自己複製ベクターが導入されるべき細胞において、複製開始蛋白質を発現できるベクターであればよい。そのようなベクターは、例えば、プラスミドベクターまたはウイルスベクターなどのそれ自身公知のベクターであってもよく、或いはそれ自身自己複製する機能を有するベクターであってもよい。
自己複製ベクターと複製開始蛋白質遺伝子発現ベクターの被検細胞への導入は、同時であってもよい。或いは、自己複製ベクターの導入に先駆けて、複製開始蛋白質遺伝子発現ベクターの被検細胞に導入されてもよい。或いは複製開始蛋白質遺伝子発現ベクターの導入に先駆けて、自己複製ベクターが被検細胞に導入されてもよい。
このように自己複製ベクターと複製開始蛋白質遺伝子発現ベクターとを併用することによって、例えば、プロモーター活性が低い場合や、被検細胞が増殖性の低い細胞である場合でも、レポーター蛋白質の効果的な発現や自己複製ベクターの効果的な自己複製を可能にする。
第5の実施形態
上述した第1の実施形態〜第4の実施形態においては、1つの自己複製ベクターにレポーター遺伝子発現ユニットが含まれている。しかしながら、1つの自己複製ベクターに含まれるレポーター遺伝子発現ユニットの数は、1つに限定されるものではない。言い換えれば、自己複製ベクターは、少なくとも1つのレポーター遺伝子発現ユニットと複製開始配列とを含んでよい。ここでは、更なる実施形態として複数のレポーター遺伝子発現ユニットを含む1つの例として、2つのレポーター遺伝子発現ユニットを含む例を示す。
図6を用いて自己複製ベクターの更なる1例について説明する。自己複製ベクター61は、第1のレポーター遺伝子発現ユニットであるレポーター遺伝子発現ユニット2と、第2のレポーター遺伝子発現ユニットであるレポーター遺伝子発現ユニット62と、複製開始配列3とを含む。複製開始配列3は、レポーター遺伝子発現ユニット2および62と同一の核酸上に存在している。
レポーター遺伝子発現ユニット62は、標的核酸配列64と、レポーター蛋白質をコードするレポーター遺伝子65と、転写終結シグナル配列66とを含む。
標的核酸配列4と64は同じ核酸配列であってもよく、互いに異なる配列を有してもよい。レポーター遺伝子発現ユニットに含まれるレポーター遺伝子5と65は、同じレポーター遺伝子であってもよく、互いに異なるレポーター遺伝子であってもよい。
転写終結シグナル配列6と66は、同じ配列であってもよく、互いに異なる配列であってもよい。
図6に示す自己複製ベクター61は、レポーター遺伝子発現ユニット2の下流に、レポーター遺伝子発現ユニット62が連結されている。そして、その下流に複製開始配列3が連結されている。しかしながら、自己複製ベクター61の構成は、図6に示す実施形態に限定されるものではない。例えば、レポーター遺伝子発現ユニット2の下流に、複製開始配列3が連結され、更に、その下流にレポーター遺伝子発現ユニット62が連結されていてもよい。或いは、レポーター遺伝子発現ユニット62の下流にレポーター遺伝子発現ユニット2が連結され、更に、その下流に複製開始配列3が連結されてもよい。或いは、レポーター遺伝子発現ユニット62の下流に複製開始配列3が連結され、更に、その下流にレポーター遺伝子発現ユニット2が連結されていてもよい。また、レポーター遺伝子発現ユニットと複製開始配列の向きも図6に示す実施形態に限定されるものではない。例えば、レポーター遺伝子発現ユニット2とレポーター遺伝子発現ユニット62が互いに逆の向きに、すなわちレポーター遺伝子発現ユニット2においてレポーター遺伝子が転写される方向とは逆向きに、レポーター遺伝子発現ユニット62のレポーター遺伝子が転写されるように連結されてもよい。或いは、レポーター遺伝子発現ユニット2においてレポーター遺伝子が転写される方向と同じ向きに、レポーター遺伝子発現ユニット62のレポーター遺伝子が転写されるように連結されてもよい。更に複製開始配列3の転写される向きは、レポーター遺伝子発現ユニット2および/またはレポーター遺伝子発現ユニット62と同じ方向であっても、逆向きの方法であってもよい。
図6におけるレポーター遺伝子発現ユニット2、レポーター遺伝子発現ユニット62、および同時に使用される複製開始蛋白質ユニット52は、全てが1つのプロモーターによって発現が制御されていてもよい。或いは、それらは、独立した3つのプロモーターにより発現が制御されていてもよい。または、これらの3つの構成のうち2つが1つのプロモーターにより制御され、残りの1つが独立した更なるプロモーターによって制御されてもよい。
好ましい1例は次の通りである。標的核酸配列4と64とが同じ配列を含むように自己複製ベクター61を設計する。このとき、標的核酸配列4と64とにおける官能基の状態は互いに相違させる。例えば、レポーター遺伝子発現ユニット2においては、核酸の官能基が置換されていない標的核酸配列4を配置し、レポーター遺伝子発現ユニット62においては、核酸の官能基が置換された標的核酸配列64を配置する。更にこのとき、互いに異なるレポーター蛋白質をそれぞれコードするレポーター遺伝子を、レポーター遺伝子発現ユニット2と62がそれぞれ有するように設計する。
このような1例において、レポーター遺伝子発現ユニット2と62の違いは、標的核酸配列4に含まれる核酸の官能基による置換の有無または程度と、レポーター遺伝子の種類である。即ち、自己複製ベクター61において、標的核酸配列4に含まれる核酸はその官能基が置換されていないが、標的核酸配列64に含まれる核酸の官能基は予め置換されている。このような自己複製ベクターを用いて、レポーター遺伝子発現ユニット2と62とから、それぞれ異なる2種類の検出信号を得ることが可能である。このような構成によって、偽陽性および偽陰性の信号を識別することが可能である。それにより、より高精度でアッセイを行うことが可能である。
レポーター遺伝子発現ユニット62に含まれる各要素についての詳細は、上述したレポーター遺伝子発現ユニット2に含まれる各要素についての説明が転用されればよい。
また、このような第2のレポーター遺伝子発現ユニットが第1の実施形態〜第4の実施形態において含まれてもよい。
第6の実施形態
更なるプラスミドベクターの例について図7を用いて説明する。図7は、第4の実施形態に記載した複製開始蛋白質遺伝子発現ベクターと第5の実施形態とを一緒に用いる例を示す。これらの詳細は第4の実施形態および第5の実施形態において説明した通りである。
2.被検細胞のエピジェネティックな遺伝情報を得る方法
更なる実施形態として細胞のエピジェネティックな遺伝情報を得る方法が提供される。被検細胞のエピジェネティックな遺伝情報を得る方法について図8を用いて説明する。
図8の方法は、自己複製が可能なレポーター核酸構築物を使用する。上述したように、このレポーター核酸構築物は、被検細胞の核内での自己複製中にその細胞のゲノム上の特定の配列における修飾の状態を、官能基の置換によって、それ自身の配列に写し取る。そして、レポーター核酸構築物に写し取られた官能基の存在状況に依存して検出可能な信号を生ずる。当該方法は、まず、このようなレポーター核酸構築物を被検細胞に導入する(S81)。次にレポーター核酸構築物を自己複製させる(S82)。被検細胞において生じた信号の有無および/または大きさを検出する(S83)。得られた結果に基づいて、被検細胞のエピジェネティックな情報を得る(S84)。これにより細胞のエピジェネティックな情報が簡便に得られる。
更なる実施形態について図9を用いて説明する。図9は、レポーター核酸構築物として自己複製ベクターを用いる例を示した。まず、被検細胞内、例えば、核内に自己複製ベクターを導入する(S91)。次に複製開始蛋白質が発現している条件下で被検細胞を培養することにより自己複製ベクターを自己複製させる(S92)。所定の時間が経過した後にレポーター遺伝子から発現されたレポーター蛋白質を検出する(S93)。この検出は、レポーター蛋白質の有無および/または発現量であってよい。また、「所定の時間」とは、例えば、被検細胞が分裂するために必要な時間であってよい。自己複製ベクターの自己複製は、被検細胞が分裂する際に生じる。従って、所定の時間中に被検細胞が少なくとも1回分裂すればよい。この検出結果から被検細胞のエピジェネティックな情報を得る(S94)。この方法は、また更に予め対応付けたテーブルと照合することにより、被検細胞がどのような状態にあるのかを判断してもよい。そのようなテーブルは、例えば、細胞の状態または病態と、レポーター蛋白質の有無および/または発現量とを対応付したテーブルであってよい。或いは、得られた検出結果から被検細胞のエピジェネティックな情報が具体的にどのようなエピジェネティックな情報であるのかを判断してもよい。このような方法は、インビトロまたはインビボの何れにおいて行われてもよい。
更なる例について図10を用いて説明する。この方法においては、まず、複製開始蛋白質遺伝子発現ベクターを被検細胞の核内に導入する(S101)。次に、この被検細胞の核内に自己複製ベクターを導入する(S102)。この被検細胞をインキュベートする。これにより自己複製ベクターを自己複製させる(S103)。所定の時間が経過した後にレポーター遺伝子から発現されたレポーター蛋白質を検出する(S104)。この検出結果から被検細胞のエピジェネティックな情報を得る(S105)。
更なる例について図11を用いて説明する。この方法においては、その細胞の核内に自己複製ベクターが導入された対象において、複製開始蛋白質を発現させる条件下に維持することにより、導入された前記自己複製ベクターを自己複製させる(S111)。次に、対象について、自己複製ベクターから生じたレポーター蛋白質を検出および/またはその発現量を測定する(S112)。その結果に基づいて、当該対象に含まれる細胞中のゲノム上にある特定の配列における修飾についての情報を得る(S113)。
レポーター蛋白質は、例えば、ルシフェラーゼ、β−ガラクトシダーゼ、一酸化窒素合成酵素、キサンチンオキシダーゼ、青色蛍光蛋白質、緑色蛍光蛋白質、赤色蛍光蛋白質および重金属結合蛋白質であってよい。選択されたレポーター蛋白質の種類に応じて、適切な検出および/または測定方法を選択することが可能である。
以下に、レポーター蛋白質の検出について詳細に説明する。上述のようにレポーター遺伝子として発光蛋白質遺伝子や、蛍光蛋白質遺伝子、発色蛋白質遺伝子、活性酸素生成酵素遺伝子、重金属結合蛋白質遺伝子等が選択可能である。
発光蛋白質遺伝子は、発光反応を触媒する酵素蛋白質をコードする遺伝子である。発光蛋白質遺伝子としては、例えば、ルシフェラーゼ遺伝子が挙げられる。ルシフェラーゼ遺伝子の翻訳産物であるルシフェラーゼは、基質の一種であるルシフェリンを用いて発光反応を行う。
蛍光蛋白質遺伝子は、蛍光蛋白質をコードする遺伝子である。蛍光蛋白質遺伝子としては、例えば、青色蛍光蛋白質遺伝子、緑色蛍光蛋白質遺伝子、赤色蛍光蛋白質遺伝子が挙げられる。
発色蛋白質遺伝子は、発色反応を触媒する酵素蛋白質をコードする遺伝子である。発色蛋白質遺伝子としては、例えば、β―ガラクトシダーゼ遺伝子が挙げられる。β−ガラクトシダーゼ遺伝子の翻訳産物であるβ−ガラクトシダーゼは、5−ブルモー4−クロロー3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシド(X−Gal)やo−ニトロフェニル−β−D−ガラクトピラノシド(ONPG)などの基質を用いて発色反応を行う。
発光蛋白質遺伝子や、蛍光蛋白質遺伝子、発色蛋白質遺伝子の翻訳産物は、光学検出装置により検出可能である。具体的には、レポーター遺伝子がルシフェラーゼ遺伝子の場合、被検細胞からルシフェラーゼ蛋白質を抽出して基質を加えた後に、ルミノメーターを用いて溶液の発光強度を測定すればよい。レポーター遺伝子が蛍光蛋白質遺伝子の場合、例えば、被検細胞に特定波長の光を照射し、被検細胞内において蛍光蛋白質から発生される蛍光の強度を蛍光測定装置により測定してもよい。あるいは、レポーター遺伝子が蛍光蛋白質遺伝子の場合、被検細胞から抽出した蛍光蛋白質を含む抽出液に特定波長の光を照射し、抽出液中の蛍光蛋白質から発生される蛍光の強度を蛍光測定装置により測定してもよい。レポーター遺伝子がβ−ガラクトシダーゼ遺伝子の場合、β−ガラクトシダーゼ蛋白質を抽出して基質を加えた後に、吸光度測定装置を用いて溶液の吸光度を測定すればよい。
活性酸素生成酵素遺伝子は、活性酸素を生成する酵素をコードする遺伝子である。活性酸素生成酵素遺伝子としては、例えば、一酸化窒素合成酵素遺伝子やキサンチンオキシダーゼ遺伝子などが挙げられる。一酸化窒素合成酵素遺伝子の翻訳産物である一酸化窒素合成酵素とキサンチンオキシダーゼ遺伝子の翻訳産物であるキサンチンオキシダーゼとは、活性酸素を生成する。
活性酸素は、電子スピン共鳴装置(ESR装置)などで検出することができる。ESR装置による方法では、活性酸素の発生量を直接的に測定しても良いし、特異的なスピントラップ剤を利用して測定しても良い。スピントラップ剤を利用する場合、まず、活性酸素生成酵素をスピントラップ剤でトラップしてから、トラップされた活性酸素生成酵素から発生される活性酸素の発生量を測定する。
重金属結合蛋白質遺伝子は、重金属に特異的に結合する蛋白質をコードする遺伝子である。重金属に結合された蛋白質の生成量は、磁気共鳴イメージング装置、核医学診断装置またはX線コンピュータ断層撮影装置により行われればよい。重金属結合蛋白質の発生量は、例えば、以下のように行われる。まず、測定可能な重金属を予め被検細胞の培養液に加える。次に、必要に応じて被検細胞を洗浄した後に、被検細胞から重金属結合蛋白質を抽出する。次に、抽出された重金属結合蛋白質を、培養液に加えた重金属に対応した画像診断装置で撮像し、重金属結合蛋白質の量を測定する。なお、重金属結合蛋白質は、被検細胞の内部で発現させてもよいし、被検細胞の外表面で発現させてもよい。
重金属結合蛋白質遺伝子の例は、金属化合物結合ペプチドをコードする塩基配列であればよい。例えば、金属化合物結合蛋白質は、特定の金属化合物に対して特異的に結合するペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチドおよび/または蛋白質であればよい。
例えば、金属化合物を結合するペプチドをコードする配列は、所望の金属化合物と結合することが知られる抗体遺伝子や一本鎖抗体遺伝子の塩基配列を利用してもよく、そのような塩基配列に基づいてデザインすればよい。そのような塩基配列について、例えば、金属化合物との結合を維持する範囲での1つまたは幾つかの塩基の置換、欠失および付加などの修飾および/または改変、適用する対象に応じた修飾および/または改変することによりデザインしてもよい。
一本鎖抗体ペプチドをコードする遺伝子は、金属化合物を結合する抗体のアミノ酸配列からデザインすることができる。
例えば、MRI撮像では、造影効果が高いためにガドリニウム化合物が好ましく使用される。ガドリニウム化合物は、例えば、ガドリニウム、ガドリニウムイオン、ガドリニウム錯体、それらの塩およびそれらの誘導体、これらの何れかを含む誘導体、またはガドリニウム化合物の類似物などからなる金属化合物であればよい。
また、細胞外に金属化合物結合能を提示するレポーター遺伝子であってもよい。そのようなレポーター遺伝子は、細胞外に提示される金属化合物結合ペプチドをコードする塩基配列であってよい。そのような塩基配列は、例えば、細胞において転写され、翻訳され、金属化合物結合ペプチドを産生し、産生された金属化合物結合ペプチドは、細胞膜に移動して、細胞外に金属化合物結合能を提示するように構成されていればよい。このようなレポーター遺伝子の例は、例えば、特開2012−200245に開示されている。そこにおいて開示されているように、そのようなレポーター遺伝子は、金属化合物結合ペプチドをコードする塩基配列と、前記金属化合物結合ペプチドを細胞膜に輸送するシグナルペプチドをコードする塩基配列と、前記シグナルペプチドによって前記細胞膜に輸送された前記金属化合物結合ペプチドを前記細胞膜に固定化するアンカーペプチドをコードする塩基配列とを含めばよい。
3.被検細胞の特性を判定する方法
被検細胞のエピジェネティックな遺伝情報を得る方法を利用して被検細胞の特性を判定することも可能である。被検細胞の特性を判定する方法は、被検細胞のエピジェネティックな遺伝情報に基づいて、被検細胞の特性を決定することを含む。
被検細胞の特性とは、例えば、薬剤感受性、薬剤適応性などであってよい。
また、被検細胞の特性を決定することが、被検細胞が特定の状況にあるのか否かを決定することであってもよい。被検細胞が特定の状況にあるのか否かを決定することは、インビトロまたはインビボにおいて行われてもよい。
例えば、細胞の特性を判定する方法は、当該被検細胞の由来する対象について、薬剤感受性を判断するための方法、または当該被検細胞の由来する対象について、外科的手術後に使用されるべき薬剤若しくは免疫療法剤の種類を選択するための方法、または患者の予後が良好か否かを判断するための方法であってもよい。また例えば、細胞の特性を判定する方法は、これらの判断を行うための情報を得る方法であってもよい。
またここで「特定の状況」とは、特定の健康状態、例えば、特定の疾患に罹患した状態などであってよい。特定の疾患は、例えば、癌、精神疾患、生活習慣病、神経疾患、自己免疫疾患、および循環器疾患などであってよい。再生医療において幹細胞から分化誘導した臓器のメチル化状態が正常であるかどうかを確認するための方法であってもよい。
第2の実施形態を用いてエピゲノミックな遺伝情報に基づく細胞の特性を判定する方法の1例について図12を用いて説明する。まず、所望の標的核酸配列4を備える自己複製ベクター31を用意する(a)。次に、自己複製ベクター31を、核71を有する生きた被検細胞50に導入する(b)。その後、被検細胞50中で自己複製ベクター31が条件に応じて自己複製可能な状態に維持する(b)。例えば、複製開始蛋白質が存在する状態で被検細胞が分裂して増殖し得る培養条件下において、被検細胞を任意の期間に亘り培養する。
核71の自己複製ベクター31において、被検細胞50の核71における目的とする核酸配列の修飾状態が、標的核酸配列4の被修飾塩基の修飾の状態に反映される。その結果、例えば、目的とする核酸配列のメチル化の程度が高い場合、自己複製ベクター31は自己複製の程度が低くなる(c)。一方、例えば、目的とする核酸配列のメチル化の程度が低い場合、自己複製ベクター31は自己複製の程度が高くなる(d)。
次に、レポーター蛋白質の量を測定する(e)。その結果、レポーター蛋白質量が高い場合、被検細胞50は、標的核酸配列4の相同な配列における被修飾塩基がメチル化されていない、もしくは修飾がないため、メチル化強度が低い細胞であると判定される(f)。或いは、その結果、レポーター蛋白質量が低い場合、被検細胞50は、標的核酸配列4の相同な配列における被修飾塩基がメチル化されている細胞であると判定される(f)。
実施形態の自己複製ベクターは、自己複製の間に、被検細胞に存在する目的とする核酸配列の修飾状態に応じて、その修飾状態が標的核酸配列4の被修飾塩基の修飾状態に反映される。標的核酸配列4の修飾状態の判定は、レポーター蛋白質を検出または定量することにより可能である。
エピゲノミックな遺伝情報に基づく細胞の特性を判定する方法の更なる1例として、図6の自己複製ベクター61を用いた方法を説明する。まず、所望の標的核酸配列4および64を備える自己複製ベクター61を用意する。次に、自己複製ベクター61を、被検細胞50に導入する。その後、被検細胞50中で自己複製ベクター61が条件に応じて自己複製可能な状態に維持する。例えば、複製開始蛋白質が存在する状態で被検細胞が分裂して増殖し得る培養条件下において、被検細胞を任意の期間に亘り培養する。
自己複製ベクター61が被検細胞内で複製する際に、被検細胞50のゲノム上の核酸配列の置換状態が、標的核酸配列4および64の被修飾塩基の修飾の状態に反映される。その結果、例えば、目的とする核酸配列のメチル化の程度が高い場合、メチル化されていない標的核酸配列4を含むレポーター遺伝子発現ユニット2からのレポーター蛋白質(レポーター遺伝子5)の発現量は徐々に低下する。これに対して、メチル化された標的核酸配列64を含むレポーター遺伝子発現ユニット62からのレポーター蛋白質(レポーター遺伝子65)の発現量は変化しない。
次に、レポーター蛋白質の量を測定して、レポーター遺伝子5および65からのレポーター蛋白質量の比を取る。この比が小さい場合、被検細胞50は、標的核酸配列4または64と相同な配列における被修飾塩基がメチル化されている、または修飾されていると判定される。そのため、更に、メチル化強度が高い細胞であると判定される。
実施形態の自己複製ベクター61は、自己複製の間に、被検細胞に存在する目的とする核酸配列の修飾状態に応じて、その修飾状態が標的核酸配列4および64の被修飾塩基の修飾状態に反映される。標的核酸配列の修飾状態の判定は、レポーター遺伝子5からのレポーター蛋白質と、レポーター遺伝子65からのレポーター蛋白質を検出または定量した後、両者の比をとることにより可能である。
また、上記のようにして得られた細胞のエピジェネティックな遺伝情報を更に利用することによって、細胞の由来する対象が、特定の疾患に罹患する可能性が高いか、または低いかを判断する方法が提供されてもよい。また、上記のようにして得られた細胞のエピジェネティックな遺伝情報に基づいて、最終的な診断を行うための情報が収集されてもよい。
4.診断方法
上記のようにして得られた細胞のエピジェネティックな遺伝情報に基づいて、対象における特定の疾患が診断されてもよい。一般的に、そのような診断は、医師または獣医師などの専門家による判断が最終的に含まれるであろう。
ここで「対象」は、主にヒトを含む哺乳類、家畜、愛玩動物および産業用動物などの個体であってもよく、対象から得た器官、臓器、組織、細胞群および/または単一細胞であってもよい。
診断方法は、検出対象である個体、器官、臓器、組織、細胞群および/または単一細胞などに対して自己複製ベクターを導入する。次にレポーター蛋白質を検出または定量すればよい。
診断方法において、発光蛋白質遺伝子をレポーター遺伝子として含む自己複製ベクターの場合は、例えば、次のように判定する方法を行ってもよい。検出対象である個体、器官、臓器、組織、細胞群または単一細胞などに対して生化学的方法や物理化学的方法により自己複製ベクターを導入する。当該導入と同時または当該導入の前後において、当該被修飾塩基の修飾の状態に依存してルシフェラーゼ遺伝子の翻訳産物であるルシフェラーゼを検出する。検出対象からルシフェラーゼ蛋白質を抽出して基質の一種であるルシフェリンを加えた後、ルミノメーターを用いて溶液の発光強度を測定すればよい。即ち、この検出方法によれば、ルシフェラーゼの翻訳量を指標として特定の状況にある細胞を特異的に検出することが可能である。このような診断方法は、侵襲性の低い方法である。
ここで、ルシフェラーゼの検出は、単一時点、複数時点または継続して行ってもよく、または経時的に行ってもよい。また、診断方法は、ルシフェラーゼの検出を利用することに限定されるものではなく、他の検出可能な信号を生じるレポーター核酸構築物を使用して行ってもよい。
更なる実施形態に従うと、個体から採取された器官、臓器、組織、細胞群または単一細胞を用いて検出対象が特定の疾患に罹患しているか否かを判定する方法を以下に記す。
このような方法は、例えば、
(1)複製開始蛋白質を発現する条件下で細胞を含む検出対象に対して、検出可能な信号を生ずる遺伝子をレポーター遺伝子として含む自己複製ベクターを取り込ませることと、
(2)検出対象としての細胞または検出対象に含まれる細胞が分裂して増殖しうる培養条件下において、検出対象を任意の期間に亘り培養することと、
(3)前記検出対象から生じる当該信号を検出することと、
(4)前記検出された信号に基づいて、検出対象が特定の疾患に罹患しているか否かを判定することと、
を含んでもよい。
また、このような方法は、例えば、
(1)複製開始蛋白質を発現する条件下で細胞を含む検出対象に対して、ルシフェラーゼ遺伝子をレポーター遺伝子として含む自己複製ベクターを取り込ませることと、
(2)検出対象としての細胞または検出対象に含まれる細胞が分裂して増殖しうる培養条件下において、検出対象を任意の期間に亘り培養することと、
(3)前記検出対象からルシフェラーゼ蛋白質を抽出することと、
(4)前記ルシフェラーゼ蛋白質の基質であるルシフェリンと接触させ、ルミノメーターで発光を検出することと、
(5)検出された発光に関する情報に基づいて、検出対象が特定の疾患に罹患しているか否かを判定することと、
を含んでもよい。
前記(3)のルシフェラーゼ蛋白質の抽出前に細胞の洗浄などが行われてもよい。このような実施形態により、細胞の状況に応じて翻訳されるルシフェラーゼ蛋白質を検出することが可能となる。
ルシフェラーゼの検出に基づく対象に関する判定は、ルシフェラーゼの検出の有無、ルシフェラーゼの検出値が予め設定された閾値よりも大きいか小さいか、検出値の増減などの情報に基づいて行ってよい。そのような情報に基づいて、例えば、検出対象が特定の条件を指標とする疾患に罹患しているか否か、疾患の重症度がどのくらいか、などが判定されればよい。
診断方法において、細胞外に金属化合物結合能を提示するレポーター遺伝子をレポーター遺伝子として含む自己複製ベクターの場合は、例えば、次のように判定する方法を行ってよい。検出対象である個体、器官、臓器、組織、細胞群および/または単一細胞などに対して生化学的方法や物理化学的方法により自己複製ベクターを導入する。当該導入と同時および/または当該導入の前後において、当該標的核酸配列の修飾の状態に依存して細胞外に提示されたレポーター蛋白質と結合対を形成する金属化合物と接触させる。金属化合物の接触前後および/または接触と同時に、レポーター蛋白質と特異的に結合した金属化合物を検出する。即ち、この検出方法によれば、金属化合物の存在を指標として特定の状況にある細胞を特異的に検出することが可能である。
金属化合物の検出は、単一時点、複数時点および/または継続して行ってもよく、および/または経時的に行ってもよい。
また、金属化合物の検出方法は、金属化合物に含まれる金属原子の種類に応じてそれ自身公知の何れかの方法を使用して行ってよい。例えば、金属原子の化学的特性および/または物理的特性を利用するそれ自身公知の化学的、物理学的、物理化学的および/または生化学的に金属原子の検出のための何れかの方法を利用してよい。
更に、例えば、レポーター蛋白質と特異的に結合対を形成させるための金属化合物を、例えば、MRI、PET、SPECT、CTなどの画像診断装置で測定可能な種類から選択してもよい。それにより、前記の画像診断装置と組み合わせて、当該自己複製ベクターを使用できる。この場合、より高感度かつより特異的に細胞を検出することが可能となる。
更なる実施形態に従うと、検出対象が特定の疾患に罹患しているか否かを判定する方法は、
(1)検出対象としての細胞または細胞を含む検出対象に対して、細胞外に金属化合物結合能を提示するレポーター遺伝子をレポーター遺伝子として含む自己複製ベクターを取り込ませることと、
(2)前記細胞外に金属化合物結合ペプチドを提示させることと、
(3)前記金属化合物結合ペプチドに対して、前記金属化合物結合ペプチドと結合対を形成可能な金属を接触させることと、
(4)前記金属化合物結合ペプチドに結合した金属を検出することと、
(5)当該検出の結果に基づいて、検出対象が特定の疾患に罹患しているか否かを判定することと、
を含む。
前記(3)の金属との接触後および/または接触と同時に、結合されなかった余剰の金属を除去するための操作、例えば、洗浄、濯ぎ、希釈および/または環流除去などが行われてもよい。
また、このような実施形態により、細胞の状況に応じて、細胞外に提示された金属化合物結合能によって細胞表面で所望の金属を結合することが可能となる。細胞外に提示された金属化合物結合能を利用し、そこに対して金属化合物を結合および/または集積することにより、特定の条件にある細胞を検出することが可能である。
金属の検出結果に基づいて、検出対象が特定の疾患に罹患しているか否かを判定する方法は、例えば次の通りである。即ち、それは、金属の検出の有無、金属の検出値が予め設定された閾値よりも大きいか小さいか、検出値の増減などの情報に基づいて行えばよい。それらの情報に基づいて、更に、検出対象が特定の条件を指標とする疾患に罹患しているか否か、疾患の重症度がどのくらいか、などを判定すればよい。
5.アッセイキット
更なる実施形態として、アッセイキットが提供される。アッセイキットは、少なくとも1種類のレポーター核酸構築物、例えば、実施形態に従う少なくとも1種類の自己複製ベクターを含む。アッセイキットは、1種類の自己複製ベクターを含んでもよく、2種類以上の自己複製ベクターを組合せて含んでもよい。またアッセイキットは、更に、自己複製ベクターを担持するそれ自身公知のキャリアおよび/または自己ベクター複製ベクターを収容する容器、複製開始蛋白質遺伝子発現ベクターを含んでもよい。更に、アッセイキットは、細胞のエピジェネティックな情報を得る方法または細胞特性の判定方法を行うために必要な何れかの試薬を含んでもよい。
6.組成物
また、レポーター核酸構築物は、組成物として提供されてもよい。そのような組成物は、例えば、実施形態に従う少なくとも1種類の自己複製ベクターを含む。組成物の1例は、1種類の自己複製ベクターを含んでもよく、2種類以上の自己複製ベクターを組合せて含んでもよい。また組成物は、例えば、自己複製ベクターを担持するそれ自身公知のキャリア、複製開始蛋白質遺伝子発現ベクター、賦形剤、安定剤および/または他の所望の効果を有する成分などを含んでもよい。当該組成物は、容器に含まれて提供されてもよい。
7.装置
更なる実施形態として、上述のような方法、例えば、エピジェネティックな情報を得る方法、並びにそれを用いる細胞特性の判定方法などを行うための分析装置が提供される。
分析装置の1例について図13を用いて説明する。分析装置は、遺伝子導入部と、これに隣接する恒温部と、これに隣接する検出部と、これらに対して電気的に接続された分析部とを含む。遺伝子導入部において、被検細胞の核内への自己複製ベクターの導入を行う。恒温部では、被検細胞の核内での自己複製ベクターの自己複製を行う。検出部では、細胞内で生じたレポーター蛋白質の検出を行う。検出部で得られた情報は、分析部に送られる。分析部は、プロセッサ、表示部および入力部を備える。分析部では、プロセッサによって検出部で得られた情報がデータ処理され、必要に応じて表示部に表示される。即ち、検出部で得られた結果は、分析部のプロセッサに送られて、予め決められた手順に従って分析、計算および加工されて、表示部に示される。
遺伝子導入部、恒温部および検出部の内部は、連続して処理を行うことが可能であるように連絡窓でその内部が通じている。1つの部から次の部に被検細胞が渡された後には、遮蔽板によって連絡窓が閉じられる。
分析装置によってエピジェネティックな情報を得る方法を行う手順は次の通りである。試験者が、被検細胞と自己複製ベクターとを入れた容器を遺伝子導入部に入れる。その後分析を開始するための指示を入力部から入力する。入力部からの指示はプロセッサに送られて、プロセッサの指示により、遺伝子導入部では、自己複製ベクターの被検細胞への導入を可能にするための処理が行われる。所定の時間が経過した後、導入処理を終了し、容器に収容された被検細胞を恒温部へと送る。恒温部では所定の時間に亘り所定の条件下で被検細胞を維持する。これにより、自己複製ベクターの自己複製が行われる。所定の時間が経過した後、容器に収容された被検細胞は、恒温部から検出部に送られる。検出部では、被検細胞内で発現されたレポーター蛋白質の検出を行う。検出された情報は、分析部に送られ、プロセッサによりデータ処理される。それにより得られた情報は表示部に示される。遺伝子導入部、恒温部および検出部への容器の動きは、ベルトコンベア、可動式アームおよび/または可動式トレイなどの移動手段によって行われる。これらの全ての動きは、全てプロセッサの制御の下で、予め設定されたプログラムに従うプロセッサの指示に応じて行われる。遺伝子導入部は、選択された手法による遺伝子導入のために必要な構成を備える。恒温部は、自己複製ベクターの自己複製のために必要な条件を満たすために必要な構成を備える。検出部は、検出される信号に応じて、レポーター蛋白質の検出のために必要な構成を備える。
このような分析装置は、簡便に細胞のエピジェネティックな情報を得るのに有用である。
[例]
例1
プラスミド型自己複製ベクターの作製
図14に概要を示すようにメチル化された標的核酸配列を含むプラスミド型自己複製ベクターを作製した。標的核酸配列として、GFAP遺伝子プロモーター配列を選択した。鋳型核酸の増幅と制限酵素による切断を行うことによって、標的核酸配列としてGFAP遺伝子プロモーター配列を調製した。得られたGFAP遺伝子プロモーター配列は、被修飾塩基を含み、且つプロモーター活性を有する核酸配列である。制限酵素による切断を行い、次にこの標的核酸配列を、メチル化酵素SssIによりメチル化した。得られたメチル化標的核酸配列をリガーゼによる連結を行うことによって、pM53−R550Kベクターに組み込んだ。pM53−R550Kベクターは、レポーター遺伝子とIRESと複製開始蛋白質をコードする配列と転写終結シグナル配列と複製開始配列とを上流から下流に向けてこの順番で備えるベクターである。得られたベクターをメチル化された標的核酸配列を含むプラスミド型自己複製ベクターとした。各工程の詳細を以下に記す。
(1)標的核酸配列であるGFAP遺伝子プロモーター配列の作製
マウスゲノムDNAを鋳型として用いてPCRを行った。マウスゲノムDNAにおいて増幅された配列は表2に示す配列番号1である。
また、PCRに使用したプライマーの塩基配列は次のような配列番号11と12である;
フォワードプライマー:
5’−CGACGCGTGTCTGTAAGCTGAAGACCTGGC−3’(配列番号11)
リバースプライマー:
5'−AAAAGTACTCCTGCCCTGCCTCTGCTGGCTC−3’(配列番号12)。
これらのフォワードプライマーとリバースプライマーとを使用してマウスゲノムDNAを鋳型としてPCRを行い、配列番号1に示されるGFAP遺伝子プロモーター配列が得られた。得られたGFAP遺伝子プロモーター配列は、標的核酸配列は被修飾塩基を含み、その修飾の程度に依存するプロモーター活性を有する。このGFAP遺伝子プロモーター配列はマウスのGFAP遺伝子の5’上流領域(−1651bp〜+32bp)である。次に、GFAP遺伝子プロモーター配列のPGV−B2(TOYO B−Net)ベクターへのクローニングを行った。
PGV−B2(TOYO B−Net)ベクターを制限酵素Sma Iで切断した。これを脱リン酸化した。このベクターに対して、リン酸化された配列番号1で示されるポリヌクレオチドをT4リガーゼで連結した。これにより、PGV−B2−GFAPpベクターを作製した。
得られたPGV−B2−GFAPpベクターは、以下に続く工程においてGFAP遺伝子プロモーター配列を得るための材料として使用されると同時に、PGV−B2−GFAPpベクターとして、比較のために後述する検出試験においても使用される。また、後述する工程によりPGV−B2−GFAPpベクターに含まれるGFAP遺伝子プロモーター配列をメチル化することにより、メチル化PGV−B2−GFAPpベクターも作製される。これも比較のために後述の検出試験において使用する。メチル化または非メチル化のPGV−B2−GFAPpベクターは、何れも自己複製しないベクターである。
GFAP遺伝子プロモーター配列を得るために、PGV−B2−GFAPpベクターを制限酵素Mlu Iと制限酵素Xho Iで切断した。それにより、制限酵素Mlu Iと制限酵素Xho I認識配列が付加されたGFAP遺伝子プロモーター配列を作製した。この配列を、標的核酸配列として続く工程において用いた。
(2)被修飾塩基のメチル化
GFAP遺伝子プロモーター配列をメチル化し、そこに含まれる被修飾塩基をメチル化した。
上記(1)で作製したGFAP遺伝子プロモーター配列核酸の溶液40μLに対して、10xNE Buffer2を16μL、メチル化酵素SssI(ニュー・イングランド・バイオラボ・ジャパン株式会社)を8μL、S−adenosylmethionine(SAM)( ニュー・イングランド・バイオラボ・ジャパン株式会社)を8μL、およびddHOを88μL添加した。これにより反応液を作製した。これを37℃で6時間酵素反応を行った。メチル化反応後、ヒートブロックを用いて65℃、20分間インキュベートした。それによりSss Iを失活させた。更に、これをQIA quick PCR purification kit(株式会社キアゲン)を用いて精製した。これにより、精製されたGFAP遺伝子プロモーター配列を得た。得られた配列中の被メチル化塩基はメチル化されている。
他方、上記反応液について、Sss Iを添加しないこと以外は上記と同様の方法により、被メチル化塩基がメチル化されていない精製されたGFAP遺伝子プロモーター配列を、非メチル化のコントロール配列として作製した。
また、上記(1)で得られたPGV−B2−GFAPpベクターに含まれるGFAP遺伝子プロモーター配列のメチル化についても上記と同様に行った。それによりメチル化PGV−B2−GFAPpベクターを得た。
(3)プラスミド型自己複製ベクターpM53−R550Kと、精製された標的核酸配列であるGFAP遺伝子プロモーター配列との機能的連結
自己複製型ベクターpM53−R550Kベクターを制限酵素Mlu Iと制限酵素Xho Iで切断した。これに対して、上記(2)で得られた精製されたGFAP遺伝子プロモーター配列をT4リガーゼにより連結した。これにより、pM53−R550K−GFAPpベクターを得た。このpM53−R550K−GFAPpベクターは、標的核酸配列を含む。ここにおいて、標的核酸配列はメチル化されている。
同様の方法により、上記(2)で得られた非メチル化のコントロール配列についても当該ベクターに組み込んだ。これにより非メチル化のpM53−R550K−GFAPpベクターをコントロールベクターとして得た。
例2
標的核酸配列のメチル化および脱メチル化の検出
pM53−R550K−GFAPpベクターに含まれる標的核酸配列の塩基の修飾の状態に依存して、プロモーター活性化の程度が、変化することを確認するための試験を行った。
(1)試験に用いられたベクター
実施例として、上記の方法により得られたメチル化されたプラスミド型自己複製ベクターpM53−R550K−GFAPpベクターと、非メチル化のプラスミド型自己複製ベクターpM53−R550K−GFAPpベクターを用いた。これらは自己複製可能なプラスミドベクターである。
比較例として、上述の方法により得られたメチル化されたPGV−B2−GFAPpベクターと、非メチル化のPGV−B2−GFAPpベクターとを用いた。これらは自己複製ができないプラスミドベクターである。
内部標準用のベクターとして、β−ガラクトシダーゼ発現ベクターpcDNA4/V5−His/lacZベクター(Life Technologies社)を使用した。
(2)ベクターのグリオーマC6細胞への導入
(a)細胞へのベクターの導入
pcDNA4/V5−His/lacZベクター、メチル化または非メチル化のPGV−B2−GFAPpベクターおよびメチル化または非メチル化のpM53−R550K−GFAPpベクターをそれぞれグリオーマC6細胞に導入した。この導入は、リポフェクション法で行った。これらのベクターの各導入には、導入試薬としてリポフェクタミン2000(Life Technologies社)を使用した。リポフェクションの操作は、試薬の製造元によるマニュアルに従った。その概略は次の通りである。マイクロチューブ中で、25μLのOpti−MEMに懸濁した0.45μLのカチオン脂質(リポフェクタミン2000)と、何れかのベクターを含む25μLのOpti−MEMとを混合した。これによりリポフェクタミン/ベクターの複合体を形成した。ここで、25μLのOpti−MEMに含まれる各ベクターの量は次の通りである。pM53−R550K−GFAPpまたはPGV−B2−GFAPpについては、25μLのOpti−MEMにDNAとして0.066μgが含まれた。pcDNA4/V5−His/lacZについては、25μLのOpti−MEMにDNAとして0.033μgが含まれた。
(b)播種
各ベクターについてリポフェクタミン/ベクター複合体を形成した後に、それぞれの複合体を培養プレート(96ウェルプレート)に対して1ウェル当たり50μLずつ添加した。そこに対して更に、RPMI1640培地(10%非動化FCS含有)に懸濁したグリオーマC6細胞溶液(5x10cell/mL)を1ウェルあたり100μLずつ播種した。
(c)培養
その後、1分間穏やかにプレートを攪拌して、反応液と細胞溶液を混ぜ合わせた。その後、37℃、5%CO雰囲気下で24時間、37℃、5%CO雰囲気下で付着培養を行った。
(2)5−aza−2−deoxycytidineによる被修飾塩基の脱メチル化
グリオーマC6細胞に各ベクターをそれぞれ導入した後で、それぞれのベクターに含まれる標的核酸配列について脱メチル化反応を行った。脱メチル化反応は、メチル基転移酵素の阻害剤である5−aza−2−deoxycytidine(5−aza−dC)(フナコシ株式会社)を用いて行った。
5−aza−dC試薬を次のように調製した。500μMの濃度になるようにPBS中に5−aza−dCを添加して5−aza−dC希釈液を作製した。この5−aza−dC希釈液を、新鮮なRPMI1640培地に添加して5μMの5−aza−dCを含む溶液を作製した。得られた溶液を5−aza−dC試薬として使用した。
脱メチル化を次の様に行った。まず、(c)の培養後、各ウェルの培地を取り除いた。その後、5−aza−dC試薬を200μLずつ添加した。脱メチル化反応を行わないコントロールとして、5−aza−dC試薬の代わりにPBSを添加したRPMI1640培地200μLを添加した。これを、さらに、48時間、37℃、5%CO雰囲気下で付着培養を行った。
(3)レポータージーンアッセイ(ルシフェラーゼアッセイ)
5−aza−dCの添加から48時間後に培養プレートから培地を取り除いた。各細胞をPBSで2回洗浄してから、それらの細胞からルシフェラーゼ(レポーター蛋白質)をそれぞれ抽出した。具体的には、次の通りに抽出を行った。抽出試薬である細胞溶解液(PicaGene Cell lysis buffer LCβ, TOYO B−Net社)を添加し、室温で15分間に亘って細胞と細胞溶解液との懸濁液をインキュベートした。その後、この懸濁液を、15,000rpmで5分間、遠心分離機器で遠心分離した。それにより、懸濁液から細胞残渣を取り除いた。それにより上清を得た。この上清にルシフェラーゼ基質溶液(PicaGene LT2.0, TOYO B−Net社)を加えた。次に、検出試薬であるルシフェラーゼ基質溶液(ルシフェリン溶液)を添加した。生じた発光強度をルミノメーター(Mithras LB940, Berthold社)で測定した。
(4)結果
結果を図15(a)および(b)に示す。これらのグラフは、ベクター導入細胞からのレポーター蛋白質シグナル強度の脱メチル化反応による変化を表す。
図15(a)は、PGV−B2−GFAPpベクターを導入された細胞について測定されたデータを示す。図15(a)の左端に、非メチル化標的核酸配列を含むPGV−B2−GFAPpベクターを導入され、脱メチル化処理を受けていない細胞から得られたシグナル強度を100%として記載した。中央には、メチル化標的核酸配列を含むPGV−B2−GFAPpベクターを導入され、脱メチル化処理を受けていない細胞から得られた相対シグナル強度を示す。この相対シグナル強度は、3.4%であった。右端には、メチル化された被修飾塩基を含むPGV−B2−GFAPpベクターを導入され、脱メチル化処理を受けた細胞から得られた相対シグナル強度を示す。この相対シグナル強度は、2.4%であった。
図15(b)は、pM53−R550K−GFAPpベクターを導入された細胞について測定されたデータを示す。図15(b)の左端に、非メチル化の被修飾塩基を含むpM53−R550K−GFAPpベクターを導入され、脱メチル化処理を受けていない細胞から得られたシグナル強度を100%として記載した。中央には、メチル化された被修飾塩基を含むpM53−R550K−GFAPpベクターを導入され、脱メチル化処理を受けていない細胞から得られた相対シグナル強度を示す。この相対シグナル強度は、34.1%であった。右端には、メチル化された被修飾塩基を含むpM53−R550K−GFAPpベクターを導入され、脱メチル化処理を受けた細胞から得られた相対シグナル強度を示す。この相対シグナル強度は、74.6%であった。
このように、非複製型のプラスミドベクターであるPGV−B2−GFAPpベクターでは、標的核酸配列について細胞内で生じた脱メチル化反応を検出することはできなかった。一方、自己複製型のプラスミドベクターであるpM53−R550K−GFAPpベクターを用いることにより、標的核酸配列について細胞内で生じた脱メチル化反応を検出することができた。なお、標的核酸配列であるGFAP遺伝子プロモーター配列と、被検細胞であるグリオーマC6細胞における対応する配列との相同性は、90.26%であった。
これらの結果から、実施形態の1例であるプラスミド型の自己複製ベクターであるpM53−R550K−GFAPpベクターを使用することにより、次のことを可能にしたことが明らかとなった。即ち、その使用により、レポーター蛋白質のシグナル強度を指標として被修飾塩基における脱メチル化を検出することが可能になることが明らかになった。即ち、これらの結果により、pM53−R550K−GFAPpベクターに含まれる被修飾塩基の修飾の状態に依存して、プロモーター活性化の程度に違いが生じることが示された。この活性化の程度の違いは、レポーター蛋白質のシグナル強度を指標にして検出することができた。このように実施形態によれば、細胞が有する特定の配列に相同な標的核酸配列を有する自己複製ベクターを利用して、当該特定の配列についてのエピジェネティックな情報を得ることが可能である。また、被検細胞の特定の配列に相同な配列を含み、且つプラスミド型の自己複製ベクターであるpM53−R550K−GFAPpベクターが、被検細胞において自己複製した場合には次のことが生じる。即ち、被検細胞の特定の配列内の被修飾塩基における修飾の状態が、pM53−R550K−GFAPpベクター上の標的核酸配列中の被修飾塩基における修飾の状態に反映される。
これらの結果から、自己複製ベクターを使用することによって、レポーター蛋白質のシグナル強度を指標として、被検細胞の特定の配列におけるエピジェネティックな情報を得ることが可能であることが明らかになった。
従来では、ゲノム上のエピジェネティックな情報を、外来核酸によって得るためには、外来核酸がゲノムの複製と同時に複製され、エピジェネティックな修飾反応を受けることが必須である。そのため、ゲノムに組み込まれていないレポーターベクターを利用して細胞の特性を判定することは困難である。しかしながら、実施形態によれば、ゲノム上に外来核酸を組み込まずに、目的とする核酸の修飾の状態などのエピジェネティックな情報を得ることが可能である。
例3
ゲノムDNAとレポーターベクターにおけるCK19遺伝子プロモーター領域(標的核酸配列)のメチル化率の比較
実施形態の一例である、図5に示すレポーターベクター(自己複製ベクター51)と複製開始蛋白質遺伝子発現ベクター(複製開始蛋白質ユニット52を有するベクター)を構築した。レポーターベクターに標的核酸配列としてCK19遺伝子のプロモーター領域(−617〜+61 bp、配列番号2)を組み込み、当該ベクターを導入した被検細胞のゲノムDNAとレポーターベクターの標的核酸配列のメチル化率を比較した。
(1) レポーターベクターの構築
標的核酸配列であるCK19遺伝子のプロモーター領域(−617〜+61、配列番号2)を、ヒトのゲノムDNAを鋳型としてPCRで増幅した。PCRには、PrimeSTAR GLX DNA polymerase (TaKaRa BIO)を用いておこなった。PCRに用いたプライマーの塩基配列を以下に示す。
Forward primer, 5’-GCCTGGTCAACATGGTGAAAC-3’(配列番号13)
Reverse primer, 5’-TGGGCTAGCCCAAGAAGCTGGTTCTGAGAGG-3’(配列番号14)。
PCRで得た標的核酸配列を、シミアンウイルス40の複製開始配列を有するレポーターベクターのルシフェラーゼ遺伝子の上流に組み込み、図16に示すレポーターベクターp19sLoを作製した。
(2) 複製開始蛋白質遺伝子発現ベクターの構築
複製開始蛋白質遺伝子は、シミアンウイルス40のラージT抗原遺伝子(SV40LT)とした。同遺伝子をPrimeSTAR GLX DNA polymerase(TaKaRa BIO)を用いたPCRで増幅した後、遺伝子発現ベクターのサイトメガロウイルス初期プロモーターの下流に組み込んだ。これにより図17に示す複製開始蛋白質(SV40LT)遺伝子発現用ベクターpCMV−LTを作製した。以下に、PCRに用いたプライマーの塩基配列を示す。
Forward primer, 5’-GGGGTACCAGATGGATAAAGTTTTAAACAGAGAGGAA-3’(配列番号15)
Reverse primer, 5’-GGGAATTCTTATGTTTCAGGTTCAGGTTCAGGGGGAG-3’(配列番号16)。
(3)トランスフェクション
100μLのOpti−MEM(Life Technologies)に0.5μgのレポーターベクターを単独で、或いは0.4μgのレポーターベクターと0.1μgの複製開始蛋白質発現ベクターpCMV−LTを共に加えた。その後、0.5μLのエンハンサー試薬(Plus reagent,Life Technologies)を加えた。これを室温に5分間インキュベートした。この溶液に、1.25μLのLipofectamine LTXを加えてよく縣濁した。その後、室温に25分間インキュベートした。溶液を24ウェルプレートに移し、Huh−7細胞の縣濁液200μLを加えて穏やかに混合した。その後、37℃、5%CO雰囲気のインキュベータ内で細胞を培養した。
(4)細胞からのゲノムDNAおよびレポーターベクターの調整
トランスフェクションから96時間後、24ウェルプレートから培養液を取り除き、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で細胞を洗浄した。その後、200μLのTrypsin−EDTAを加えて室温に5分間静置した。300μLのPBSを加え、細胞を1.5mlチューブに回収した。その後、遠心により細胞を沈殿させた。細胞を200μLのPBSに懸濁し、DNeasy Blood & Tissue Kit(Qiagen)を用いて、ゲノムDNAとレポーターベクターを含む溶液を得た。
(5)ゲノムDNAのメチル化率の検出
ゲノムDNAのCK19遺伝子のプロモーター領域(−617〜+61bp、配列番号2)に含まれるCCGG配列メチル化率(2番目のシトシンの5−メチル化の有無)を次の様に調べた。即ち、それについて、メチル化感受性制限酵素HpaIIとメチル化非感受性制限酵素MspIによるメチル化検出法で調べた。HpaIIとMspIは共通のCCGG配列を認識する制限酵素である。HpaIIは、メチル化シトシンを含むCCGG配列(CCGG)を切断できず、MspIはメチル化シトシンに係らずCCGG配列を切断する。上記(4)で調整したゲノムDNAとレポーターベクターを含む溶液を、制限酵素HpaII、或いはMspIで切断した。その後、QIAquick PCR purification kit(Qiagen)で精製した。これを制限酵素処理DNAとした。このDNAと制限酵素未処理DNAを鋳型として、下記プライマーを用いてPCRを行った。それにより、ゲノムDNAのCOX2遺伝子プロモーター領域のCCGG配列を含む領域を増幅した(図18)。
Forward primer 1‘ (G1), 5’-TCAGAGGGGACAAAAGGGGAGTTGG-3’(配列番号17)
Reverse Primer 1 (C1), 5’-AGAGGCCCCTGCCCTCCAGAGGT-3’(配列番号18)
Forward Primer 2 (C2), 5’-GCAAATTCCTCAGGGCTCAGATA-3’(配列番号19)
Reverse Primer 2‘ (G2), 5’-CCAGGCCTCCGAAGGACGACGTGGC-3’(配列番号20)
PCR反応液をアガロースゲル(含エチジウムプロマイド)で電気泳動した。その後、UV照射によりゲル中のPCR増幅産物を可視化して写真を撮影した。そして、得られた写真におけるそれぞれのバンド強度を画像解析ソフトウェアImage Jで数値化した。更に、得られた数値と以下の式から、AおよびBの全DNAに対するCCGG配列メチル化の割合を算出した。
Figure 2014239679
これらの結果を図19aおよび図19(b)に示す。ここで、上記撮影により得られた写真は、何れもバックが黒であり、バンドが白く抜けたものである。この写真をそのまま画像解析ソフトウェアによってバンド強度を数値化した。しかしながら、その画像をそのまま図面に示すとバンドが見えにくい。従って、バンドをより見やすくするために、図19(a)には、上記撮影により得られた写真をコンピュータに取り込み、画像加工ソフトを用いて、バンド強度および他のデータとの相対性を損なわないように白黒色を反転したイメージを示した。以下、同様に撮影された写真は、何れも同様に白黒色を反転した。
図19aにおいて、レーンNは、制限酵素未処理DNAのPCR増幅産物のバンドであり、PCRに供した全DNA量を表す。レーンHはHpaII処理DNAのPCR増幅産物のバンドである。これはPCRに供したDNAのうち、CCGGの2番目のシトシンがメチル化されたDNA量を表す。レーンMはMspI処理DNAのPCR増幅産物であり、検出バックグラウンドを表す。図19aの結果から、CCGG配列AおよびBのレーンHでPCR増幅産物のバンドが検出され、そのバンド強度はAよりもBの方が高かった。
上述の計算により得られたCCGG配列メチル化の割合に関する結果を図19bに示す。図19bの結果から、AとBのCCGG配列メチル化の割合は、それぞれ、Aが2%であり、Bが87%であった。
ここで、上記式においては、PCR増幅産物のバンドについてのシグナル強度からメチル化率を算出しているが、他の増幅方法により得られた増幅産物についても同様にシグナル強度からメチル化率が算出されてもよい。また、メチル化率の算出方法は、上記式のみによって得ることに限定されるものではない。
(6)非複製レポーターベクターのメチル化率の検出
非複製レポーターベクターのメチル化率は、上記(3)に示す方法で行った。レポーターベクターpC2sLoと共に、或いはp19sLo単独でヒト肝がん細胞株Huh−7にトランスフェクションした。96時間後に抽出したDNA溶液を用いて、メチル化率を検出した。レポーターベクターの複製には、複製開始配列と複製開始蛋白質とが同一細胞内に共存する必要がある。従って、p19sLoを単独で細胞に導入した場合、p19sLoは細胞内で複製しない。上記(5)と同様の方法で、レポーターベクターp19sLoのCK19遺伝子のプロモーター領域(−617〜+61bp、配列番号2)に含まれるCCGG配列メチル化率(2番目のシトシンの5−メチル化の有無)を調べた。上記(4)で調整したDNAを、制限酵素HpaII、或いはMspIで切断した。その後、QIAquick PCR purification kit(Qiagen)で精製した。これを制限酵素処理DNAとした。これらのDNAと制限酵素未処理のDNAを鋳型として、下記プライマーを用いたPCRをおこなった。それによりp19sLoのCK19遺伝子プロモーター領域のCCGG配列を含む領域を増幅した(図18)。
Forward Primer 1‘ (P1), 5’-TAGGCTGTCCCCAGTGCAAGT-3’(配列番号21)
Reverse Primer 1(C1), 5’-AGAGGCCCCTGCCCTCCAGAGGT-3’(配列番号18)
Forward Primer 2 (C2), 5’-GCAAATTCCTCAGGGCTCAGATA-3’(配列番号19)
Reverse Primer 2‘ (P2), 5’-AATGCCAAGCTTACTTAGATCG-3’(配列番号22)。
PCR反応液のアガロースゲル(含エチジウムプロマイド)電気泳動の結果を図20aに示す。図20aの結果から、AとBのレーンHではPCR増幅産物が検出されなかった。従って、CCGG配列のメチル化の割合は、AおよびBともに0%であった(図20b)。また、非複製レポーターベクターではAとBのメチル化は起こっていなかった。
(7)複製レポーターベクターのメチル化率の検出
複製レポーターベクターのメチル化率は、レポーターベクターp19sLoとpCMV−LTをHuh−7に共導入し、96時間後に抽出したDNAを用いて検出した。P19sLoとpCMV−LTを細胞に共導入すると、複製開始配列と複製開始蛋白質が細胞内に共存するため、p19sLoが細胞内で複製する。DNAをHpaII、或いはMspIで処理した制限酵素処理DNAと制限酵素未処理DNAを鋳型として、上記(6)と同じプライマーでPCRをおこなった。それによりp19sLoのCK19遺伝子プロモーター領域のCCGG配列を含む領域を増幅した。PCR反応液のアガロースゲル(含エチジウムプロマイド)電気泳動の結果を図21aに示す。その結果、AとBのレーンHではPCR増幅産物が検出された。CCGG配列のメチル化の割合は、Aが0%であり、Bが16%であった(図21b)。さらに、DpnI法(細胞内で複製したベクターの検出法)と、HpaIIとMspIによるメチル化検出法を組み合わせて、細胞内で複製したレポーターベクターのみのCK19遺伝子プロモーター領域CCGG配列のメチル化率を調べた(図22a)。その結果、AとBのレーンHにおいてPCR増幅産物が検出された。各CCGG配列のメチル化の割合は、Aが0%、Bが24%であった(図22b)。レポーターベクターのCK19遺伝子プロモーター領域は、ゲノムDNAのCK19遺伝子プロモーター領域(標的核酸配列)とほぼ同じ比率でメチル化された。
例4
ゲノムDNAとレポーターベクターにおけるCOX2遺伝子プロモーター領域(標的核酸配列)のメチル化率の比較
実施形態の一例である、図5に示すレポーターベクター(自己複製ベクター51)と複製開始蛋白質遺伝子発現ベクター(複製開始蛋白質ユニット52を有するベクター)とを構築した。レポーターベクターに標的核酸配列としてCOX2遺伝子のプロモーター領域(−540〜+115bp、配列番号3)を組み込んだ。このベクターを導入した被検細胞のゲノムDNAとレポーターベクターの標的核酸配列のメチル化率を比較した。
(1)レポーターベクターの構築
標的核酸配列であるCOX2遺伝子のプロモーター領域(−540〜+115bp、配列番号3)を、ヒトのゲノムDNAを鋳型としてPCRで増幅した。PCRには、PrimeSTAR GLX DNA polymerase(TaKaRa BIO)を用いておこなった。PCRに用いたプライマーの塩基配列を以下に示す。
Forward primer, 5’-CTTAACCTTACTCGCCCCAGTCT-3’(配列番号23)
Reverse primer, 5’-AGGCTCGAGCGCGGGGGTAGGCTTTGCTGTCTGAG-3’(配列番号24)。
PCRで得た標的核酸配列を、シミアンウイルス40の複製開始配列を有するレポーターベクターのルシフェラーゼ遺伝子の上流に組み込んだ。それにより図23に示すレポーターベクター pC2sLoを作製した。
(2)複製開始蛋白質遺伝子発現ベクター
上記の例3の(2)と同じ複製開始蛋白質(SV40LT)遺伝子発現用ベクターpCMV−LTを用いた。
(3)レポーターベクターのメチル化
レポーターベクターと反応バッファーからなる反応溶液(50mM NaCl、10mM Tris−HCl,10mM MgCl,1mM DTT,160μM S−アデノシルメチオニン)を調整した。これに対して、DNAメチル化酵素:SssI CpG Methyltransferase(New England Biolabs)を加えて37℃で一晩反応させ、レポーターベクターのCG配列のシトシンをメチル化した。
(4) トランスフェクション
例3の(3)と同様の方法でトランスフェクションを行った。
(5)細胞からのゲノムDNAおよびレポーターベクターの調整
細胞からのゲノムDNAおよびレポーターベクターの調整は、上記例3の(4)と同様の方法でおこなった。
(6)ゲノムDNAのメチル化率の検出
ゲノムDNAのCOX2遺伝子プロモーター(−540〜+115bp、配列番号3)に含まれるCCGG配列メチル化率(2番目のシトシンの5−メチル化の有無)を次のように調べた。即ち、それについて、メチル化感受性制限酵素HpaIIとメチル化非感受性制限酵素MspIによるメチル化検出法で調べた。(5)で調整したゲノムDNAとレポーターベクターを含む溶液を、制限酵素HpaII、或いはMspIで切断した後、QIAquick PCR purification kit(Qiagen)で精製し、これを制限酵素処理DNAとした。このDNAと制限酵素未処理DNAとを鋳型として使用し、更に下記プライマーを用いたPCRを行った。それによりゲノムDNAのCOX2遺伝子プロモーター領域のCCGG配列を含む領域を増幅した(図24)。
Forward Primer 1 (C1), 5’-GGAAGCCAAGTGTCCTTCTGC-3’(配列番号25)
Reverse Primer 1(C2), 5’-GGGCAGGGTTTTTTACCCAC-3’(配列番号26)
Forward Primer 2 (C3), 5’-AGCTTCCTGGGTTTCCGATTT-3’(配列番号27)
Reverse Primer 2’(G2),5’-GCCAGGTACTCACCTGTATGGCTG-3’(配列番号28)。
PCR反応液をアガロースゲル(含エチジウムプロマイド)で電気泳動した。その後、UV照射によりゲル中のPCR増幅産物を可視化して写真を撮影した。結果を図25aに示す。図25aの結果から、CCGG配列AとBのレーンHにおいてPCR増幅産物のバンドが検出された。そのバンド強度はBよりもAが高かった。例3の(5)と同様の方法で算出したAとBのCCGG配列メチル化の割合は、それぞれ29%と7%であった(図25b)。
(7)非複製非メチル化レポーターベクターのメチル化率の検出
非複製レポーターベクターのメチル化率は、上記(3)に示す方法で、レポーターベクターpC2sLoと共に、または単独で、ヒト肝がん細胞株Huh−7にトランスフェクションした。その96時間後に抽出したDNA溶液を用いて検出した。上記(5)と同様の方法で、レポーターベクターpC2sLoのCOX2遺伝子のプロモーター領域(−540〜+115bp、配列番号3)に含まれるCCGG配列メチル化率を調べた。上記(5)で調整したDNAを、制限酵素HpaII、或いはMspIで切断した。その後、QIAquick PCR purification kit(Qiagen)で精製した。これを制限酵素処理DNAとした。これらのDNAと制限酵素未処理のDNAを鋳型として、下記プライマーを用いたPCRを行った。pC2sLoのCOX2遺伝子プロモーター領域のCCGG配列を含む領域を増幅した(図24)。
Forward Primer 1 (C1), 5’-GGAAGCCAAGTGTCCTTCTGC-3’(配列番号25)
Reverse Primer 1 (C2), 5’-GGGCAGGGTTTTTTACCCAC-3’(配列番号26)
Forward Primer 2 (C3), 5’-AGCTTCCTGGGTTTCCGATTT-3’(配列番号27)
Reverse Primer 2’(P2), 5’-AATGCCAAGCTTACTTAGATCG-3’(配列番号29)。
PCR反応液のアガロースゲル(含エチジウムプロマイド)電気泳動の結果を図26aに示す。図26aの結果から、AおよびBのレーンHにおいてはPCR増幅産物が検出されなかった。CCGG配列のメチル化の割合は、AおよびBともに0%であり、非複製レポーターベクターではAおよびBのメチル化は起こっていなかった(図26b)。
(8)複製非メチル化レポーターベクターのメチル化率の検出
複製レポーターベクターのメチル化率は、レポーターベクターpC2sLoと複製開始蛋白質遺伝子発現ベクターpCMV−LTをHuh−7に共導入した。その96時間後に抽出したDNA溶液を用いて検出した。DNAをHpaII、或いはMspIで処理した制限酵素処理DNAと制限酵素未処理DNAを鋳型として、上記(7)と同じプライマーでPCRを行った。それによりpC2sLoのCOX2遺伝子プロモーター領域のCCGG配列を含む領域を増幅した。PCR反応液のアガロースゲル(含エチジウムプロマイド)電気泳動の結果を図27aに示す。その結果、AおよびBのレーンHにおいてPCR増幅産物が検出された。CCGG配列メチル化の割合は、Aが14%であり、Bが24%であった(図27b)。さらに、DpnI法(細胞内で複製したベクターの検出法)と、HpaIIとMspIによるメチル化検出法を組み合わせることにより、細胞内で複製したレポーターベクターのみのCOX2遺伝子プロモーター領域CCGG配列のメチル化率を調べた(図28a)。その結果、AおよびBのレーンHにおいてPCR増幅産物が検出された。各CCGG配列のメチル化の割合は、Aが57%であり、Bが23%であった(図28b)。複製したレポーターベクターのCOX2遺伝子プロモーター領域は、ゲノムDNAのCOX2遺伝子プロモーター領域(標的核酸配列)とほぼ同じ比率でメチル化された。
(9)非複製メチル化レポーターベクターのメチル化率の検出
非複製メチル化レポーターベクターのメチル化率の検出には、メチル化レポーターベクターpC2sLoを単独でヒト肝がん細胞株Huh−7にトランスフェクションした。その96時間後に上記(5)の方法で抽出したDNA溶液を用いた。DNAを制限酵素HpaII、或いはMspIで切断した。その後、それをQIAquick PCR purification kit(Qiagen)で精製し、制限酵素処理DNAとした。これらのDNAと制限酵素未処理のDNAを鋳型として、下記プライマーを用いたPCRを行った。それによりpC2sLoのCOX2遺伝子プロモーター領域のCCGG配列を含む領域を増幅した。PCR反応液のアガロースゲル(含エチジウムプロマイド)電気泳動の結果を図29aに示す。図29aの結果から、AおよびBのレーンHにおいてPCR増幅産物が検出された。CCGG配列のメチル化の割合は、Aが100%であり、Bが86%であった(図29b)。非複製メチル化レポーターベクターのメチル化率は、宿主細胞のゲノムDNAのメチル化率と一致しなかった。
(10)複製メチル化レポーターベクターのメチル化率の検出
複製メチル化レポーターベクターのメチル化率の検出には、レポーターベクターpC2sLoと複製開始蛋白質遺伝子発現ベクターpCMV−LTとをHuh−7に共導入し、96時間後に抽出したDNA溶液を用いた。HpaII、或いはMspIで処理した制限酵素処理DNAと制限酵素未処理DNAとを鋳型として用いた。上記(6)と同じプライマーでPCRを行った。それによりpC2sLoのCOX2遺伝子プロモーター領域のCCGG配列を含む領域を増幅した。PCR反応液のアガロースゲル(含エチジウムプロマイド)電気泳動の結果を図30aに示す。その結果、AおよびBのレーンHにおいてPCR増幅産物が検出された。CCGG配列メチル化の割合は、Aが45%であり、Bが79%であった(図31b)。さらに、DpnI法(細胞内で複製したベクターの検出法)と、HpaIIとMspIによるメチル化検出法とを組み合わせて、細胞内で複製したレポーターベクターのみのCOX2遺伝子プロモーター領域CCGG配列のメチル化率を調べた(図31a)。その結果、AおよびBのレーンHにおいてPCR増幅産物が検出された。各CCGG配列のメチル化の割合は、Aが95%であり、Bが35%であった(図31b)。細胞内で複製したレポーターベクターと、ゲノムDNAのCOX2遺伝子プロモーター領域内CCGG配列のメチル化率とを比較すると、Bが強く脱メチル化されており、メチル化の割合はAが高かった。
例5
ルシフェラーゼアッセイによる標的核酸配列(COX2遺伝子プロモーター領域)の脱メチル化の検出
上記例4と同様の方法で、メチル化/非メチル化レポーターベクターpC2sLoを単独、或いは複製開始蛋白質発現ベクターpCMV−LTと共にヒト肝がん細胞株Huh−7にトランスフェクションした。その72時間培養後、pC2sLoに由来するレポーター活性を測定した。24ウェルプレートから培養液を取り除き、PBSで洗浄した。その後、150μLの細胞溶解液(Promega)を加えて−80℃に30分以上静置して凍結した。細胞溶解液を室温で解凍した後、溶解液を遠心チューブに回収した。この遠心により細胞残渣を沈殿させた。上清10μLを96ウェルプレート(Nunc)に分注した。これに50μLのLuciferase基質溶液(One-Glo Luciferase Assay System, Promega)を加えて細胞溶解液の発光強度を測定した。結果を図32に示す。図32のグラフの縦軸は、発光強度の回復率を示した。この発光強度の回復率は、脱メチル化の指標である。発光強度の回復率は、非メチル化レポーターベクターを導入した細胞から得られた発光強度を100%とした時のメチル化レポーターDNAを導入した細胞から得られた発光強度の割合である。グラフの左端には、非複製レポーターベクターの発光強度の回復率を、右端には、複製レポーターベクターの回復率を示した。このグラフから、発光強度の回復率は、非複製レポーターベクターよりも複製レポーターベクターの方が高いことが分かった。それにより、複製レポーターベクターにおいて、標的核酸配列に生じた脱メチル化を高感度に検出することが可能になった。この結果から、細胞内で複製するレポーターベクターを使用することによって、レポーター活性を指標として、被検細胞の特定の配列におけるエピジェネティックな情報を得ることが可能であることが明らかになった。
例6
2種類のレポーター遺伝子発現ユニット(官能基が置換された標的核酸配列を含むユニットと、官能基が置換されていない標的核酸配列を含むユニット)、及び複製開始配列を有する自己複製ベクター
(1)ベクターの作製
実施形態の一例である図6に示すレポーターベクター(自己複製ベクター61)を構築した。エビ由来のルシフェラーゼが組込まれたレポーターベクターpNL1.1(プロメガ社)を制限酵素KpnIとBamHIで切断した。そのDNA末端をT4 DNAポリメラーゼで平滑化した。その後、エビルシフェラーゼとSV40転写終結配列からなるDNA断片を精製した。この断片を制限酵素SspIで切断したp19sLoと、T4 DNAリガーゼにより連結して自己複製ベクターp19sLo−NLを構築した。このp19sLo−NLに、CpGのシトシンをメチル化したCOX2遺伝子プロモーター(配列番号3)を組み込んだ。ヒトのゲノムを鋳型に、PCRによってCOX2遺伝子プロモーターを増幅した。PCRに用いたプライマー配列を以下に示した。
Forward primer, 5’-GGGGCTAGCCTTAACCTTACTCGCCCCAGTCT-3’(配列番号30)
Reverse primer, 5’-AGGCTCGAGCGCGGGGGTAGGCTTTGCTGTCTGAG-3’(配列番号24)。
PCR増幅産物(COX2遺伝子プロモーター)を精製した。その後、増幅産物と反応バッファーからなる反応溶液(50mM NaCl,10mM Tris−HCl,10mM MgCl,1mM DTT,160μM S−アデノシルメチオニン)を調整した。そこに、DNAメチル化酵素:SssI CpG Methyltransferase(New England Biolabs)を加えて37℃で一晩反応させた。それによりCOX2遺伝子プロモーターのCG配列のシトシンをメチル化した。このメチル化したDNA断片(メチル化COX2遺伝子プロモーター)を、制限酵素KpnIとXhoIで処理した自己複製レポーターベクターp19sLo−NLにT4 DNAリガーゼによって連結した。これによって、2種類のレポーター遺伝子発現ユニット(メチル化COX2遺伝子プロモーターを含むレポーター遺伝子発現ユニットと、非メチル化CK19遺伝子プロモーターを含むレポーター遺伝子発現ユニットとを含む)と、複製開始配列とを含む自己複製レポーターベクターp19sLo−mC2sNLを構築した(図33)。
(2)トランスフェクション
100μLのOpti−MEM(Life Technologies)に0.5μgのレポーターベクターを単独、或いは0.4μgのp19sLo−mC2sNLと0.1μgの複製開始蛋白質発現ベクターpCMV−LTとを共に加えた。その後、0.5μLのエンハンサー試薬(Plus reagent, Life Technologies)を加えて室温で5分間インキュベートした。この溶液に、1.25μLのLipofectamine LTXを加えてよく縣濁した。その後、室温で25分間インキュベートした。溶液を24ウェルプレートに移した。そこにHuh−7細胞の縣濁液200μLを加えて穏やかに混合した。これによりベクターを細胞に導入した(図34)。
例7
レポーター遺伝子発現ユニット、及び複製開始遺伝子発現ユニット、及び複製開始配列を有する自己複製ベクター
(1)ベクターの作製
実施形態の1例である図4に示すレポーターベクター(自己複製ベクター41)を構築した。pCMV−LT(実施例3(2))から複製開始蛋白質遺伝子発現ユニットを制限酵素BglIとBamHIとで切断した。そのDNA末端をT4 DNAポリメラーゼで平滑化した。その後、複製開始蛋白質遺伝子発現ユニットのDNA断片を精製した。このDNA断片を、制限酵素SspIで切断したpC2sLo(実施例4(1))に連結して自己複製ベクターpC2sLo−CMVLTを構築した(図35)。
(2)トランスフェクション
100μLのOpti−MEM(Life Technologies)に0.5μgのpC2sLo−CMVLTを加えた。その後、0.5μLのエンハンサー試薬(Plus reagent, Life Technologies)を加えて、室温で5分間インキュベートした。この溶液に、1.25μLのLipofectamine LTXを加えてよく縣濁した。その後、室温で25分間インキュベートした。溶液を24ウェルプレートに移した。そこにHuh−7細胞の縣濁液200μLを加えて穏やかに混合した。その後、37℃、5%CO雰囲気のインキュベータ内で細胞を培養した。
(3)細胞からのゲノムDNAおよびレポーターベクターの調整
ゲノムDNAおよびレポーターベクターの調整は、上記例3の(4)と同様の方法でおこなった。
(4)レポーターベクターのメチル化率の検出
レポーターベクターのメチル化率は、自己複製レポーターベクターpC2sLo−CMVLTをHuh−7に導入し、その72時間後に抽出したDNA溶液を用いて、上記例4(7)と同様の方法で調べた。上記(3)で調整した溶液を、制限酵素HpaII、或いはMspIで切断した。その後、それをQIAquick PCR purification kit (Qiagen)で精製した。これらのDNAと制限酵素未処理DNAを鋳型として、上記例4(7)と同じプライマーでPCRを行った。pC2sL−CMVLTのCOX2遺伝子プロモーター領域(−540〜+115 bp、配列番号3)のCCGG配列を含む領域を増幅した(図24)。PCR反応液のアガロースゲル(含エチジウムプロマイド)電気泳動の結果を図36aに示す。図36aの結果から、AおよびBのレーンHにおいてPCR増幅産物が検出された。CCGG配列のメチル化の割合は、Aが9%であり、Bが0.5%であった。自己複製レポーターベクターpC2sLo−CMVLTのCOX2遺伝子プロモーター領域では、ゲノムDNAのCOX2遺伝子プロモーター領域(例4(6)、図25)と同様に、Aのメチル化率が高かった。
1,31,41,51,61 自己複製ベクター 2,62 レポーター遺伝子発現ユニット 3 複製開始配列 4,64 標的核酸配列 5,65 レポーター遺伝子 6,34,46,55,66 転写終結シグナル配列 7 複製開始蛋白質 32 IRES 33,45,54 複製開始蛋白質をコードする配列 42,複製開始蛋白質発現ユニット 44,53 構成的に発現するプロモーター 45,50 被検細胞 51 第1のベクター 56 第2のベクター

Claims (29)

  1. 被検細胞のゲノム上の特定の配列における修飾の状態を、前記被検細胞の核内での自己複製中に官能基の置換によって対応するその配列上に写し取り、当該写し取られた官能基の存在状況に依存して検出可能な信号を生ずるレポーター核酸構築物を、当該被検細胞の核内に導入することと、前記レポーター核酸構築物を自己複製させることと、前記被検細胞において生じた当該信号の有無および/または大きさを検出することと、前記検出により得られた結果に基づいて、前記被検細胞のエピジェネティックな情報を得ることとを含む細胞のエピジェネティックな情報を得る方法。
  2. 前記レポーター核酸構築物が、
    (a)官能基が置換され得る塩基を含み、前記塩基における当該官能基の置換の程度に依存するプロモーター活性を有し、且つ被検細胞のゲノム上の特定の配列に対して相同性を有する標的核酸配列と、
    前記標的核酸配列の下流に機能的に連結され前記標的核酸配列の活性化により発現するレポーター蛋白質をコードするレポーター遺伝子と、
    前記レポーター遺伝子の下流に機能的に連結された転写終結シグナル配列と
    を含むレポーター遺伝子発現ユニット、および
    (b)前記レポーター遺伝子発現ユニットと同一核酸上に存在する複製開始配列
    を含む自己複製ベクターであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記自己複製ベクターの自己複製を開始するために、前記被検細胞の核内において、当該複製開始配列を活性化する複製開始蛋白質が発現されていることを特徴とする請求項2に記載の方法。
  4. 前記自己複製ベクターの自己複製を開始するために、前記被検細胞の核内に、当該複製開始蛋白質を発現する複製開始蛋白質ユニットを含む複製開始蛋白質遺伝子発現ベクターを導入すること特徴とする請求項3に記載の方法。
  5. 前記自己複製ベクターが、更に当該複製開始蛋白質を発現する複製開始蛋白質ユニットを含むことを特徴とする請求項3に記載の方法。
  6. 前記自己複製ベクターが、更に前記レポーター遺伝子発現ユニットの下流に機能的に連結されたIRES配列と、前記IRES配列の下流に機能的に連結された前記複製開始蛋白質をコードする配列と、複製開始配列とを更に含み、前記転写終結シグナル配列は、前記複製開始蛋白質をコードする配列の下流に機能的に連結されており、前記複製開始配列は、前記転写終結シグナル配列の下流に機能的に連結されていることを特徴とする請求項3に記載の方法。
  7. (1)当該被検細胞に対して、前記自己複製ベクターを導入することと、
    (2)複製開始蛋白質が発現する条件下で前記被検細胞を培養することにより、前記自己複製ベクターを複製させることと、
    (3)当該レポーター蛋白質を検出および/またはその発現量を測定することと、
    (4)前記(3)の結果に基づいて、当該被検細胞のゲノム上にある特定の配列における修飾についての情報を得ることと、
    を含むことを特徴とする請求項2〜6の何れか1項に記載の細胞のエピジェネティックな情報を得る方法。
  8. 前記自己複製ベクターに含まれる前記レポーター遺伝子発現ユニットを第1のレポーター遺伝子発現ユニットとし、前記自己複製ベクターが、前記第1のレポーター遺伝子発現ユニットの下流で、且つ前記複製開始配列の上流に、第2のレポーター遺伝子発現ユニットを更に含むことを特徴とする請求項2〜5の何れか1項に記載の方法。
  9. (1)被検細胞に対して、前記自己複製ベクターを導入することと、
    (2)複製開始蛋白質が発現する条件下で前記被検細胞を培養することにより、前記自己複製ベクターを複製させることと、
    (3)第1のレポーター遺伝子発現ユニットおよび第2のレポーター遺伝子発現ユニットにそれぞれ由来する第1のレポーター蛋白質および第2のレポーター蛋白質を検出および/またはその発現量を測定することと、
    (4)前記(3)で得られた前記第1のレポーター蛋白質と前記第2のレポーター蛋白質の発現量を比較して、当該被検細胞のゲノム上にある特定の配列に含まれる核酸の官能基の置換についての情報を得ることと、
    を含む、請求項8に記載の方法。
  10. 前記複製開始蛋白質ユニットが、当該複製開始蛋白質をコードする配列と、その上流に機能的に連結された構成的に発現するプロモーターとを含む請求項4または5に記載の方法。
  11. 前記標的核酸配列における官能基が置換され得る当該塩基が、少なくとも1つのシトシンおよび/またはグアニンであることを特徴とする請求項2〜10の何れか1項に記載の方法。
  12. 前記官能基がメチル基である請求項1〜11の何れか1項に記載の方法。
  13. 前記レポーター遺伝子が、ルシフェラーゼ遺伝子、β−ガラクトシダーゼ遺伝子、一酸化窒素合成酵素遺伝子、キサンチンオキシダーゼ遺伝子、青色蛍光蛋白質遺伝子、緑色蛍光蛋白質遺伝子、赤色蛍光蛋白質遺伝子および重金属結合蛋白質遺伝子からなる群より選択される請求項8〜12の何れか1項に記載の方法。
  14. 前記複製開始蛋白質をコードする遺伝子と前記複製開始配列との組み合わせが、次の組み合わせから選択されることを特徴とする請求項10〜13の何れか1項に記載の方法;
    (1)前記複製開始蛋白質をコードする遺伝子がシミアンウイルス40のラージT抗原遺伝子であり、複製開始配列が、シミアンウイルス40からの複製開始配列である;
    (2)前記複製開始蛋白質をコードする遺伝子が、エプスタインバーウイルスのEBNA−1遺伝子であり、複製開始配列が、エプスタインバーウイルスからの複製開始配列である;および
    (3)前記複製開始蛋白質をコードする遺伝子が、マウスポリオーマウイルスのラージT抗原遺伝子であり、複製開始配列が、マウスポリオーマウイルスからの複製開始配列である。
  15. 前記ラージT抗原遺伝子が、配列番号5、配列番号6若しくは配列番号7で示される核酸、または配列番号5、配列番号6若しくは配列番号7の配列中の1若しくは数個の塩基が欠失、置換若しくは付加された配列により示され、DNA複製開始機能を有する核酸である請求項14に記載の方法。
  16. 請求項1〜15の何れか1項に記載の方法であって、前記被検細胞が、対象から採取された血液に含まれる細胞である方法。
  17. 請求項1〜16の何れか1項に記載の方法により得られた被検細胞のエピジェネティックな情報に基づいて、被検細胞の特性を決定すること含む、細胞の特性を判定する方法。
  18. 請求項17に記載の方法であって、前記特性が、薬剤感受性である方法。
  19. 請求項1〜16の何れか1項に記載の方法により得られた被検細胞のエピジェネティックな情報に基づいて、被検細胞の特性を決定するが、当該被検細胞が癌化した細胞であるのか否かを決定すること含む、細胞の特性を判定する方法。
  20. 請求項16〜19の何れか1項に記載の方法により得られた結果に基づいて、当該被検細胞が採取された対象について、薬剤感受性を判断する、または外科的手術後に使用されるべき薬剤若しくは免疫療法剤の種類を選択する方法。
  21. 請求項1〜16の何れか1項に記載の方法により得られた被検細胞のエピジェネティックな遺伝情報に基づいて、対象から採取された被検細胞の特性を決定し、特定の疾患に罹患しているか否かを決定することを含む、対象における疾患の診断方法。
  22. 対象に含まれる細胞のエピジェネティックな情報を得る方法であって、当該方法は、
    (1)細胞の核内に自己複製ベクターが導入された対象において、複製開始蛋白質を発現させる条件下に維持することにより、導入された前記自己複製ベクターを自己複製させることと、
    (2)前記対象について、前記自己複製ベクターから生じたレポーター蛋白質を検出および/またはその発現量を測定することと、
    (3)前記(2)の結果に基づいて、当該対象に含まれる細胞中のゲノム上にある特定の配列における修飾についての情報を得ることと、
    を含み、且つ
    前記自己複製ベクターは、
    (a)官能基が置換され得る塩基を含み、前記塩基における当該官能基の置換の程度に依存するプロモーター活性を有し、且つ被検細胞のゲノム上の特定の配列に対して相同性を有する標的核酸配列と、
    前記標的核酸配列の下流に機能的に連結され前記標的核酸配列の活性化により発現するレポーター蛋白質をコードするレポーター遺伝子と、
    前記レポーター遺伝子の下流に機能的に連結された転写終結シグナル配列と
    を含むレポーター遺伝子発現ユニット、および
    (b)前記レポーター遺伝子発現ユニットと同一核酸上に存在する複製開始配列
    を含むことを特徴とする方法。
  23. 細胞のエピジェネティックな情報を得るための自己複製ベクターであって、
    (a)官能基が置換され得る塩基を含み、前記塩基における当該官能基の置換の程度に依存するプロモーター活性を有し、且つ被検細胞のゲノム上の特定の配列に対して相同性を有する標的核酸配列と、
    前記標的核酸配列の下流に機能的に連結され前記標的核酸配列の活性化により発現するレポーター蛋白質をコードするレポーター遺伝子と、
    前記レポーター遺伝子の下流に機能的に連結された転写終結シグナル配列と
    を含むレポーター遺伝子発現ユニット、および
    (b)前記レポーター遺伝子発現ユニットと同一核酸上に存在する複製開始配列
    を含むベクター。
  24. 細胞のエピジェネティックな情報を得るための自己複製ベクターであって、
    (a)官能基が置換され得る塩基を含み、前記塩基における当該官能基の置換の程度に依存するプロモーター活性を有し、且つ被検細胞のゲノム上の特定の配列に対して相同性を有する標的核酸配列と、
    前記標的核酸配列の下流に機能的に連結され前記標的核酸配列の活性化により発現するレポーター蛋白質をコードするレポーター遺伝子と、
    前記レポーター遺伝子の下流に機能的に連結された転写終結シグナル配列と
    を含む第1のレポーター遺伝子発現ユニット、
    (b)官能基が置換され得る塩基を含み、前記塩基における当該官能基の置換の程度に依存するプロモーター活性を有し、且つ被検細胞のゲノム上の特定の配列に対して相同性を有する標的核酸配列と、
    前記標的核酸配列の下流に機能的に連結され前記標的核酸配列の活性化により発現するレポーター蛋白質をコードするレポーター遺伝子と、
    前記レポーター遺伝子の下流に機能的に連結された転写終結シグナル配列と
    を含む、前記第1のレポーター遺伝子発現ユニットの下流に連結された第2のレポーター遺伝子発現ユニット、および
    (c)前記第1および前記第2のレポーター遺伝子発現ユニットと同一核酸上に存在する複製開始配列
    を含むベクター。
  25. 前記第1のレポーター遺伝子発現ユニットに含まれる官能基が置換され得る前記塩基が、特定の官能基を有しておらず、前記第2のレポーター遺伝子発現ユニットに含まれる官能基が置換され得る前記塩基が、前記特定の官能基を有していることを特徴とする請求項24に記載のベクター。
  26. 前記第1のレポーター遺伝子発現ユニットと、前記第2のレポーター遺伝子発現ユニットとにそれぞれ含まれる前記レポーター遺伝子が互いに異なる種類の遺伝子であることを特徴とする請求項24または25に記載のベクター。
  27. 前記レポーター遺伝子が、ルシフェラーゼ遺伝子、β−ガラクトシダーゼ遺伝子、一酸化窒素合成酵素遺伝子、キサンチンオキシダーゼ遺伝子、青色蛍光蛋白質遺伝子、緑色蛍光蛋白質遺伝子、赤色蛍光蛋白質遺伝子および重金属結合蛋白質遺伝子からなる群より選択されることを特徴とする請求項23〜26の何れか1項に記載に記載のベクター。
  28. 請求項23〜26の何れか1項に記載の自己複製ベクターと、前記自己複製ベクターを収容する容器とを具備するアッセイキット。
  29. 被検細胞を含む試料に対して請求項23〜26の何れか1項に記載の前記自己複製ベクターを導入する遺伝子導入部と、複製開始蛋白質を発現させることによって、前記遺伝子導入部からの当該試料に含まれる当該自己複製ベクターを自己複製させる恒温部と、前記恒温部からの当該試料において、当該レポーター遺伝子の発現に由来して生じた信号を検出する検出部と、当該検出された信号に基づいて当該被検細胞のエピジェネティックな情報について分析する分析部とを具備する分析装置。
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