JP2014237843A - フィルム状接着剤およびこれを用いた半導体装置の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】フリップチップ接続方式への対応が可能となるフィルム状接着剤およびそれを用いた半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】(a)重量平均分子量10000以下で常温において固形である樹脂と、(b)絶縁性球状無機フィラーと、(c)エポキシ樹脂と、(d)硬化剤を含有し、50〜250℃のいずれの温度においても最低溶融粘度が200Pa・sより高く、50〜150℃のいずれかの温度において加熱・加圧した場合の平行板間にはさんだフィルム状接着剤の初期面積と加熱・加圧後の面積との比である流れ量が1.5以上であり、かつ、硬化物の25〜260℃における平均線膨張係数が200×10−6/℃以下であり、(d)硬化剤は、150℃以上の融点または分解点を有するイミダゾール類と、マイクロカプセル化された硬化剤とを含有することを特徴とするフィルム状接着剤。
【選択図】図3
【解決手段】(a)重量平均分子量10000以下で常温において固形である樹脂と、(b)絶縁性球状無機フィラーと、(c)エポキシ樹脂と、(d)硬化剤を含有し、50〜250℃のいずれの温度においても最低溶融粘度が200Pa・sより高く、50〜150℃のいずれかの温度において加熱・加圧した場合の平行板間にはさんだフィルム状接着剤の初期面積と加熱・加圧後の面積との比である流れ量が1.5以上であり、かつ、硬化物の25〜260℃における平均線膨張係数が200×10−6/℃以下であり、(d)硬化剤は、150℃以上の融点または分解点を有するイミダゾール類と、マイクロカプセル化された硬化剤とを含有することを特徴とするフィルム状接着剤。
【選択図】図3
Description
本発明は、フィルム状接着剤およびこれを用いた半導体装置の製造方法に関する。
近年の電子機器の小型化および機能複合化の進展に伴って、1つの半導体パッケージ内に複数の半導体チップを搭載した形態が広く用いられるようになってきている。搭載する形態としては、基板上に2次元的に複数のチップを配置する方法よりも、チップを3次元的に積層してワイヤボンディングで電気的に接続することによって半導体パッケージの小型化が可能となるいわゆるチップスタック技術が広く適用されている。このチップスタックでは上側のチップと下側のチップを接着剤によって接着しており、ペースト状またはフィルム状の接着剤が使用されている。しかし、ペースト状の接着剤は高流動性であるために、接着時にはみ出した接着剤によってチップ電極が汚染される可能性があることから、フィルム状の接着剤を使用するほうが一般的である。
一方、更なる小型化、薄型化および高速伝送に対応した半導体チップ接続技術として、突出した接続端子(バンプ)を有する半導体チップと基板電極とを直接電気的に接続するフリップチップ接続技術が注目されている。フリップチップ接続技術を用いると、1)ワイヤボンディングのようにワイヤのループ高さを考慮する必要がなくなること、2)基板電極をチップ搭載領域にも配置できること、といった特徴から半導体パッケージの小型化、薄型化が可能になり、先に述べたチップスタック技術への適用が検討されている。フリップチップ接続技術としては、半導体チップに形成されたはんだバンプと基板側の配線パターンを電気的に接続するC4方式(例えば非特許文献1参照)、異方導電性接着樹脂を用いて、半導体チップに形成されたバンプと基板側の配線パターンを導電粒子を介して電気的に接続する方法(例えば非特許文献2参照)、半導体チップに形成されたバンプと基板側の配線パターンを接触させた状態で熱硬化性接着樹脂を硬化させ、その収縮力によって接触状態を保つ方法(例えば非特許文献3参照)、半導体チップに形成されたバンプと基板側の配線パターンを位置合わせした後、半導体チップ側から超音波振動を印加して金属接合させる方法(例えば非特許文献4参照)などが知られている。これらの中で、超音波振動を利用した金属接合によるフリップチップ接続方式は、1)低温(常温〜200℃)でバンプと配線パターンを金属接合させることが可能であること、2)接続に要する時間が1秒以下であること、といった特徴を有しており、接続温度の低温化による熱応力の低減、金属接合部の形成による高接続信頼性および短時間接続による高生産性を実現する方式として注目されている。これまでにSAW(SurfaceAcousticWave)フィルタなどの小チップをセラミック基板にフリップチップ接続する際に適用された例はあるが(例えば特許文献1参照)、半導体チップと基板の間を樹脂で充填するアンダーフィルが不要な場合に限られていた。一方、上記の利点を活かして、より大型のチップと樹脂基板の接続への適用も検討されているが、接続信頼性確保のためにはアンダーフィルが必須である。しかし、チップと基板を接続した後に、液状樹脂を充填する方式では長時間を要することから、生産性の低下につながるおそれがあった。
HideoAoki、外4名、「EutecticSolder Flip Chip Technology−Bumping and Assembly Process Developmentfor CSP/BGA」、47thElectronic Component and Technology Conference、アメリカ、Instituteof Electrical and ElectronicsEngineers、1997年5月、p.325−330
藤原伸一、外4名、「異方導電性フィルムを用いたフリップチップ接続の劣化機構と接続信頼性設計技術」、7thSymposiumon Microjoining and Assembly Technology in Electronics、社団法人溶接学会 マイクロ接合研究委員会、2001年2月、p.179−184
西川英信、外4名、「樹脂封止シートによるフリップチップ接合技術」、6thSymposiumon Microjoining and Assembly Technology in Electronics、社団法人溶接学会 マイクロ接合研究委員会、2000年2月、p.107−110
梶原良一、外5名、「多ピンLSIチップ対応の超音波フリップチップ接合技術」、7thSymposiumon Microjoining and Assembly Technology in Electronics、社団法人溶接学会 マイクロ接合研究委員会、2001年2月、p.161−166
薄型パッケージ内に複数のチップを積層するために、チップの厚みが薄くなっており、100μm以下のチップを用いる必要が出てきている。しかし、熱硬化性接着剤を用いて樹脂基板上に加熱・加圧してチップを搭載するために、常温に戻した時にチップの反りが発生し、チップをさらに積層できなくなるという課題があった。この課題を解決するためにチップ搭載温度の低温化が要求されている。しかし、一般にフィルム状接着剤では加熱時の溶融粘度がペーストまたは液状の接着剤よりも高くなるために、低温ではチップ表面に樹脂が充分なじまず(濡れ性が低く)、接着力が低下するという課題があった。また、フリップチップ接続方式にフィルム状接着剤を用いることによって、チップと基板を接続する工程において、アンダーフィルも形成できることから工程の簡略化が可能であるが、超音波振動を利用したフリップチップ接続方式における低温・短時間接続条件では、バンプと基板電極間からの樹脂排除が不充分となって、接続できない場合があった。
これらの課題を解決するためにはフィルム状接着剤の溶融粘度を低減することが有効である。しかし、半導体用接着剤として広く用いられているエポキシ樹脂などの熱硬化性接着剤の溶融粘度をずり粘弾性によって測定する場合、測定時の昇温過程において硬化反応が開始してしまい、設定温度での溶融粘度を正確に測定することが困難であった。また、超音波振動を使用したフリップチップ接続方式などでは接続時間が1s以下と短いために、測定に数分を要するずり粘弾性測定では、実際のチップ接続時の樹脂粘度挙動を正確に把握することが困難であった。
そこで、本発明では粘度評価基準として、平行板間にはさんだフィルム状接着剤の初期面積と加熱・加圧後の面積の比を流れ量として定義し、この流れ量を増大させることによって、チップ搭載温度の低温化への対応および超音波振動を利用したフリップチップ接続方式への対応が可能となるフィルム状接着剤およびそれを用いた半導体装置の製造方法を提供することを目的としている。
請求項1に記載の本発明は、(a)重量平均分子量10000以下で常温(25℃)において固形である樹脂と、(b)絶縁性球状無機フィラーと、(c)エポキシ樹脂(但し、(a)成分がエポキシ樹脂の場合、(c)成分は(a)成分とは異なるエポキシ樹脂である)と、(d)硬化剤とを含有し、50〜250℃のいずれの温度においても最低溶融粘度が200Pa・sより高く、50〜150℃のいずれかの温度において加熱・加圧した場合の平行板間にはさんだフィルム状接着剤の初期面積と加熱・加圧後の面積との比である流れ量が1.5以上であり、かつ、硬化物の25〜260℃における平均線膨張係数が200×10−6/℃以下であり、(d)硬化剤は、150℃以上の融点または分解点を有するイミダゾール類と、マイクロカプセル化された硬化剤とを含有することを特徴とするフィルム状接着剤である。
請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載のフィルム状接着剤であって、(b)絶縁性球状無機フィラーの充填量が25〜80重量%であることを特徴とするフィルム状接着剤である。
請求項3に記載の本発明は、請求項1または2に記載のフィルム状接着剤を配線パターンの形成された基板に貼り付ける工程、突出した接続端子を有する半導体チップの接続端子と基板の配線パターンとを位置合わせする工程、加熱・加圧した状態で超音波振動を印加することによって半導体チップの突出した接続端子と基板の配線パターンを金属接合によって電気的に接続する工程、フィルム状接着剤の硬化反応率を80%以上にするために加熱処理を行なう工程を備えることを特徴とする半導体装置の製造方法である。
請求項4に記載の本発明は、請求項1または2に記載のフィルム状接着剤を突出した接続端子を有する半導体チップの接続端子が形成された面に貼り付ける工程、半導体チップの接続端子と基板の配線パターンとを位置合わせする工程、加熱・加圧した状態で超音波振動を印加することによって半導体チップの突出した接続端子と基板の配線パターンを金属接合によって電気的に接続する工程、フィルム状接着剤の硬化反応率を80%以上にするために加熱処理を行なう工程を備えることを特徴とする半導体装置の製造方法である。 請求項5に記載の本発明は、請求項1または2に記載のフィルム状接着剤を突出した接続端子を有する半導体ウエハに貼り付ける工程、ダイシングによって個片の半導体チップに分割する工程、半導体チップの接続端子と基板の配線パターンとを位置合わせする工程、加熱・加圧した状態で超音波振動を印加することによって半導体チップの突出した接続端子と基板の配線パターンを金属接合によって電気的に接続する工程、フィルム状接着剤の硬化反応率を80%以上にするために加熱処理を行なう工程を備えることを特徴とする半導体装置の製造方法である。
請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載のフィルム状接着剤であって、(b)絶縁性球状無機フィラーの充填量が25〜80重量%であることを特徴とするフィルム状接着剤である。
請求項3に記載の本発明は、請求項1または2に記載のフィルム状接着剤を配線パターンの形成された基板に貼り付ける工程、突出した接続端子を有する半導体チップの接続端子と基板の配線パターンとを位置合わせする工程、加熱・加圧した状態で超音波振動を印加することによって半導体チップの突出した接続端子と基板の配線パターンを金属接合によって電気的に接続する工程、フィルム状接着剤の硬化反応率を80%以上にするために加熱処理を行なう工程を備えることを特徴とする半導体装置の製造方法である。
請求項4に記載の本発明は、請求項1または2に記載のフィルム状接着剤を突出した接続端子を有する半導体チップの接続端子が形成された面に貼り付ける工程、半導体チップの接続端子と基板の配線パターンとを位置合わせする工程、加熱・加圧した状態で超音波振動を印加することによって半導体チップの突出した接続端子と基板の配線パターンを金属接合によって電気的に接続する工程、フィルム状接着剤の硬化反応率を80%以上にするために加熱処理を行なう工程を備えることを特徴とする半導体装置の製造方法である。 請求項5に記載の本発明は、請求項1または2に記載のフィルム状接着剤を突出した接続端子を有する半導体ウエハに貼り付ける工程、ダイシングによって個片の半導体チップに分割する工程、半導体チップの接続端子と基板の配線パターンとを位置合わせする工程、加熱・加圧した状態で超音波振動を印加することによって半導体チップの突出した接続端子と基板の配線パターンを金属接合によって電気的に接続する工程、フィルム状接着剤の硬化反応率を80%以上にするために加熱処理を行なう工程を備えることを特徴とする半導体装置の製造方法である。
本発明のフィルム状接着剤を用いることによって、超音波振動を利用したフリップチップ接続方式のような低温・短時間接続条件においても、良好な金属接合部の形成が可能であり、良好な接続信頼性を実現できる。
本発明のフィルム状接着剤は、(a)重量平均分子量が10000以下で常温(25℃)において固形である樹脂、(b)絶縁性球状無機フィラー、(c)エポキシ樹脂、(d)硬化剤を必須成分として含有することが好ましい。
フィルム状接着剤の最低溶融粘度を示す温度は50〜250℃の範囲内であることが望ましく、半導体チップへの熱履歴を低減するために、50〜200℃の範囲内であることがより望ましく、50〜160℃の範囲内であることが特に好ましい。最低溶融粘度が200Pa・s未満の場合、半導体チップを接続した後、硬化反応率を80%以上にするためのアフターキュア処理工程において、接着剤が液状化していまい、チップと基板の間隙から流れ出してしまう恐れがある。このため、最低溶融粘度は200Pa・sより高いことが必要で、500Pa・sより高いことが望ましい。フィルム状接着剤の最低溶融粘度は市販の動的粘弾性測定装置を用いて測定することが可能であり、測定は全自動で行なわれる。所定の温度に加熱した恒温槽内で、試料を2枚の平行プレートにはさみ、片方のプレートに微小な正弦波状のひねり歪みを付加した時、他方のプレートに発生する応力と歪から弾性率および粘度を算出する。一般に測定周波数は0.5〜10Hzであり、高分子材料は粘弾性体として挙動するため、弾性成分に由来する貯蔵弾性率G’と粘性成分に由来する損失弾性率G”が得られる。この二つの値から複素弾性率G*が(数1)で与えられる。さらに粘度をη(Pa・s)、測定周波数をf(Hz)、複素弾性率G*(Pa)とすると、粘度は(数2)で与えられる。
本発明において、粘度の評価基準として流れ量を設定する。流れ量Aは初期フィルム面積Bに対して所定の圧力、温度で加熱・加圧した後のフィルム面積Cの比であり、(数3)で計算される。
図1に示したように流れ量の測定は以下の手順に従って行なう。15mm×15mmの大きさに切り出した厚さ700μmのガラスチップ(#1737ガラス)の表面に、5mm×5mmに切り出した厚さ50μmのフィルム状接着剤を貼り付け、さらに表面に窒化ケイ素膜が形成された厚さ550μm、大きさ12mm×12mmのSiチップの窒化ケイ素膜がフィルム状接着剤に接するように重ね、加熱・加圧装置に配置する。加熱・加圧装置のステージ温度を50℃に、ツール温度を所定の温度に設定し、5mm×5mmのフィルムに対して圧力1.0MPaとなる荷重(25N)および加圧時間1.0sに設定して加熱・加圧する。ガラスチップを透過して観察できる加熱・加圧前のフィルム面積と加熱・加圧後のフィルム面積を画像処理によってそれぞれ測定し、流れ量を(数3)に従って算出する。ここで、例えば100℃での流れ量という場合、ツール温度を100℃に設定して測定したことを示す。加熱・加圧装置としては株式会社アルテクス製超音波フリップチップボンダーSH−50MPを用いて、加熱・加圧時に超音波振動を印加しないで加熱・加圧を行なった。加熱・加圧時の加熱プロファイルおよび加圧プロファイルを図2に示した。加熱プロファイルは流れ量評価サンプルのガラスチップとSiチップの間に熱伝対を挿入して、ツール100℃、ステージ50℃に設定し、荷重25N、加圧時間1.0sに設定して測定した。また、加圧プロファイルは株式会社昭和測器製ロードセルMRD−1kN(製品名)をステージ上に固定し荷重25N、加圧時間1.0sに設定して測定した。
流れ量が50〜125℃のいずれかの温度で1.5以上であることが必要であり、1.7以上であることがより好ましく、1.8以上であることが特に望ましい。流れ量が1.5未満の場合には、超音波振動を利用したフリップチップ接続方式における低温・短時間接続条件において、バンプと基板電極間からの樹脂排除が不充分となって、接続できなくなる恐れがある。また、3.0以上になると流れすぎてしまいボイドが生じるおそれがあるので3.0以下とすることが好ましい。
フィルム状接着剤の硬化物の25〜260℃における平均線膨張係数は200×10−6/℃以下であることが必要で、150×10−6/℃以下であることが望ましく、100×10−6/℃以下であることがより望ましい。200×10−6/℃を超えて大きいと接続信頼性が低下する恐れがある。
本発明において使用する(a)重量平均分子量が10000以下で常温(25℃)において固形である樹脂としては、例えばエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカルボジイミド樹脂、フェノール樹脂、シアネートエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ウレタン樹脂、アクリルゴム等が挙げられ、その中でも耐熱性およびフィルム形成性に優れるエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、シアネートエステル樹脂、ポリカルボジイミド樹脂等が望ましく、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂がより好ましい。これらは単独または2種以上の混合体や共重合体として使用することもできる。
本発明において使用する(b)絶縁性球状無機フィラーとしては、例えば、ガラス、シリカ、アルミナ、酸化チタン、カーボンブラック、マイカ等が挙げられ、その中でも、ガラス、シリカ、アルミナ、酸化チタン等が好ましく、ガラス、シリカ、アルミナがより好ましい。これらは単独または2種以上の混合体として使用することもできる。同種の絶縁性球状無機フィラーを同重量部配合した場合、粒径の大きいものほど溶融粘度が低くなるが、本発明のフィルム状接着剤をフリップチップ接続方式に適用する場合、絶縁性球状無機フィラーが電極間に捕捉されて電気的な接続を阻害することを防止するため、粒径は10μm以下であることが望ましい。
本発明において使用する(c)エポキシ樹脂としては、2官能以上のビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、各種多官能エポキシ樹脂などを用いることができる。これらは単独または2種以上を混合して使用することができる。また、エポキシ樹脂は25℃において液状、固形のいずれでも使用することができる。
本発明において使用する(d)硬化剤としては、イミダゾール類、多価フェノール類、酸無水物類、アミン類、ヒドラジド類、ポリメルカプタン、ルイス酸-アミン錯体などを用いることができる。その中でも、保存安定性と硬化物の耐熱性に優れるイミダゾール類、多価フェノール類、酸無水物等が望ましく、イミダゾール類、多価フェノール類がより望ましい。これらは単独または2種以上の混合体として使用することもできる。また、これら硬化剤をポリウレタン系、ポリエステル系の高分子物質等で被覆してマイクロカプセル化したものは、高い反応性を有する硬化剤を用いても保存安定性に優れていることから好ましい。本発明では、少なくとも2種類の硬化剤を含んでいると好ましい。高い反応性の硬化剤をマイクロカプセル化したものを用いることによって、超音波振動を利用したフリップチップ接続方式などのような低温かつ短時間接続条件においても硬化反応を完全ではないが開始させることができ、接続部の補強によって、チップ接続後の取扱い性が向上したり、樹脂の粘度上昇によってアフターキュア時のボイドの発生を抑制できることから好ましい。しかし、接続信頼性を確保するためには樹脂を充分硬化させる必要があるが、低温かつ短時間接続条件ではカプセルの除去が不充分で硬化剤が充分に反応できず、アフターキュア処理を行なった場合でも硬化が不充分になる恐れがある。そこで、アフターキュア処理によって硬化が充分に進行するように150℃以上の融点または分解点を有するカプセル化されていないイミダゾール類とマイクロカプセル化された硬化剤を併用することがより好ましい。150℃以上の融点または分解点を有するイミダゾール類としては、例えば2P4MHZ、2PHZ、2MA−OK(四国化成工業株式会社製商品名)などが挙げられる。
本発明における(a)重量平均分子量が10000以下で常温(25℃)において固形である樹脂の配合量は、(a)重量平均分子量が10000以下で常温(25℃)において固形である樹脂、(b)絶縁性球状無機フィラー、(c)エポキシ樹脂の総量100重量部に対して、5〜50重量部とすることが望ましく、5〜35重量部とすることがより好ましく、5〜20重量部とすることが特に好ましい。この配合量が5重量部未満ではフィルム形成が困難となる傾向があり、50重量部を超えると流れ量が低下し接続が困難になる恐れがある。
本発明における(b)絶縁性球状無機フィラーの配合量は、(a)重量平均分子量が10000以下で常温(25℃)において固形である樹脂、(b)絶縁性球状無機フィラー、(c)エポキシ樹脂の総量100重量部に対して、25〜80重量部とすることが望ましく、40〜65重量部とすることがより望ましい。この配合量が25重量部未満では硬化後の熱膨張係数が大きくなる傾向があり、80重量部を超えると流れ量が低下して接続が困難になったり、またフィルムの可とう性が低下して脆くなる傾向がある。
本発明における(c)エポキシ樹脂の配合量は、(a)重量平均分子量が10000以下で常温(25℃)において固形である樹脂、(b)絶縁性球状無機フィラー、(c)エポキシ樹脂の総量100重量部に対して、10〜70重量部とすることが望ましく、20〜50重量部とすることがより望ましい。この配合量が10重量部未満では硬化物の耐熱性が低下する傾向があり、70重量部を超えると硬化物の熱膨張係数が大きくなる傾向がある。なお、(a)重量平均分子量が10000以下であって常温(25℃)において固形である樹脂がエポキシ樹脂の場合、その配合量は(c)エポキシ樹脂として計算する。
本発明における(d)硬化剤の配合量は、硬化剤の種類によって異なるが、硬化剤がイミダゾール類の場合には、(c)エポキシ樹脂100重量部に対して0.1〜40重量部とすることが望ましく、1〜30重量部とすることがより望ましい。この配合量が0.1重量部未満では、硬化が不充分となる。また40重量部を超えて多いと硬化物物性が低下する場合がある。2種以上の硬化剤を用いた場合には、それぞれの配合量が上記範囲内であることが望ましい。
本発明のフィルム状接着剤には上記必須成分以外に、シラン系またはチタン系のカップリング剤を使用することができる。この使用量としては、(b)絶縁性球状無機フィラー100重量部に対して、0.1〜10重量部であることが好ましい。
半導体チップと電気的に接続される基板は、通常の回路基板でもよく、また半導体チップでもよい。回路基板の場合、配線パターンは、ガラスエポキシ、ポリイミド、ポリエステル、セラミックなどの絶縁基板表面に形成された銅などの金属層の不要な個所をエッチング除去して形成したもの、絶縁基板表面にめっきによって形成したもの、絶縁基板表面に導電性物質を印刷して形成したものを用いることができる。また、配線パターンは単一の金属で構成されている必要はなく、金、銀、銅、ニッケル、インジウム、パラジウム、スズ、鉛、ビスマスなど複数の金属成分を含んでいてもよいし、これらの金属層が積層された構造をしていてもよい。
また、基板が、半導体チップの場合、配線パターンは通常アルミニウムで構成されるが、その表面に、金、銀、銅、ニッケル、インジウム、パラジウム、スズ、鉛、ビスマスなどの金属層をめっきによって形成してもよい。
また、基板が、半導体チップの場合、配線パターンは通常アルミニウムで構成されるが、その表面に、金、銀、銅、ニッケル、インジウム、パラジウム、スズ、鉛、ビスマスなどの金属層をめっきによって形成してもよい。
半導体チップの突出した接続端子は、金属ワイヤを用いて形成されるスタッドバンプや金属ボールを半導体チップの電極に熱加熱・加圧や超音波併用熱加熱・加圧によって固定したものやめっき、蒸着によって形成されたものでもよい。突出した接続端子は金、銀、銅、ニッケル、インジウム、パラジウム、スズ、鉛、ビスマスなどの単一の金属で構成されてもよいし、複数の金属成分を含んでいてもよいし、これらの金属層が積層された構造をしていても良い。また、突出した接続端子は導電性ペーストを印刷することによって形成したものでもよい。
フィルム状接着剤を基板表面の半導体チップが搭載される領域に貼り付けるには、個片に切り出した接着フィルムを貼り付け領域に配置し、加熱・加圧によって貼り付けてもよい。
フィルム状接着剤を貼り付ける位置や面積は半導体チップが搭載される領域内では任意であるが、半導体チップの突出した接続端子と電気的に接続される配線パターンの少なくとも一部を覆うように貼り付けることが好ましい。
フィルム状接着剤を貼り付ける位置や面積は半導体チップが搭載される領域内では任意であるが、半導体チップの突出した接続端子と電気的に接続される配線パターンの少なくとも一部を覆うように貼り付けることが好ましい。
突出した接続端子を有する半導体チップにフィルム状接着剤を貼り付けるには、個片に切り出した接着フィルムを加熱・加圧によって貼り付けても良い。また、半導体ウエハの状態でフィルム状接着剤をロールラミネータなどで貼り付けた後、ダイシングすることによってフィルム状接着剤が貼り付けられた半導体チップとして個片に切り出しても良い。
フィルム状接着剤を基板表面の半導体チップが搭載される領域あるいは半導体チップの突出した接続端子が形成された面に貼り付けた後、そのまま半導体チップと基板を接続してもよいが、フィルム状接着剤および回路基板中の揮発成分を減少させて、半導体チップと基板の間にボイドと呼ばれる気泡が発生するのを抑制するために、フィルム状接着剤を貼り付けた状態で加熱処理することが好ましい。また、加熱処理することによってフィルム状接着剤の粘度が低下するために配線パターンへの埋め込み性が改善され、気泡巻き込みによるボイド発生を低減することができる。
加熱処理を行なう際には、使用するフィルム状接着剤の硬化反応開始温度より低い温度あるいは反応開始時間よりも短い時間で処理することが望ましい。
硬化反応開始温度は、DSC(Differential ScanningCalorimeter、示差走査熱分析)で得られるチャートにおいて、発熱ピークに到達する前の発熱曲線の接線とベースラインの交点から求めてもよいし、粘度と加熱温度の関係をプロットして粘度が上昇し始める温度を求めてもよい。
硬化反応開始時間は、所定の温度で加熱処理した試料の処理時間とDSCで得られる発熱量の関係をプロットして、発熱量が減少し始めるまでの時間を求めてもよいし、粘度と処理時間の関係をプロットして、粘度が上昇し始めるまでの時間を求めてもよい。
加熱処理を行なう際には、使用するフィルム状接着剤の硬化反応開始温度より低い温度あるいは反応開始時間よりも短い時間で処理することが望ましい。
硬化反応開始温度は、DSC(Differential ScanningCalorimeter、示差走査熱分析)で得られるチャートにおいて、発熱ピークに到達する前の発熱曲線の接線とベースラインの交点から求めてもよいし、粘度と加熱温度の関係をプロットして粘度が上昇し始める温度を求めてもよい。
硬化反応開始時間は、所定の温度で加熱処理した試料の処理時間とDSCで得られる発熱量の関係をプロットして、発熱量が減少し始めるまでの時間を求めてもよいし、粘度と処理時間の関係をプロットして、粘度が上昇し始めるまでの時間を求めてもよい。
半導体チップと基板を電気的に接続するには、基板をステージに固定し、半導体チップを超音波振動方向に平行に取り付ける接合ヘッドに固定し、その接合ヘッドを上から押し付ける機構を有する装置を用いる。このような装置は市販されており、例えば株式会社アルテクス製超音波フリップチップボンダーSH−50MP(製品名)を用いることができる。
半導体チップと基板を接続する際の条件は、接続温度:50〜250℃、圧力:0.1〜10MPa、超音波の周波数:20〜200kHz、振動の振幅:0.01μm以上、加圧時間:0.1秒以上、超音波の印加時間:0.05秒以上の範囲内であり、加圧と超音波印加のタイミングは加圧時間内に超音波印加を開始し、加圧時間内に超音波印加を終了することを満たしていれば、任意のタイミングで印加すればよい。
接続温度が50℃未満であると、バンプと配線パターンの間に接着樹脂が残存し、未接続となったり、接続抵抗が高くなるおそれがある。接続温度が250℃を超えると、半導体チップと基板との熱膨張係数差に由来する熱応力が増大し、接続部にダメージが発生するおそれがある。また樹脂基板の場合、基板が軟化して、超音波振動が吸収されてしまい金属接合できなくなるおそれがある。より好ましくは50〜200℃の範囲である。
圧力が0.1MPa未満であると、対向する接続端子間に樹脂が残存し、未接続となったり、あるいは接続抵抗が高くなるおそれがあり、圧力が10MPaを超えると、接続端子や配線が破壊されるおそれがある。より好ましくは、0.3〜4.0MPaの範囲である。
超音波の周波数が20kHz未満であると、接続端子や配線が破壊されるおそれがあり、周波数が200kHzを超えると、接続部に超音波振動が伝達されず、対向する接続端子間に樹脂が残存し、未接続となったり、あるいは金属接合が不充分なために接続抵抗が高くなるおそれがある。より好ましくは、40〜100kHzの範囲である。
超音波振動の振幅が0.01μm未満であると、対向する接続端子間に樹脂が残存し、未接続となったり、あるいは金属の拡散が不充分なために接続抵抗が高くなったり、接続信頼性が低下するおそれがある。より好ましくは、0.1〜10μmの範囲である。
加圧時間が0.1秒未満であると、対向する接続端子間に樹脂が残存し、未接続となったり、あるいは接続抵抗が高くなったり、接続信頼性が低下するおそれがあり、加圧時間が長くなると生産性が低下することから、加圧時間の短縮が必要である。好ましくは10秒以内がよい。
超音波の印加時間が0.05秒未満であると、金属表面の有機物や酸化物の除去が不充分のため、金属接合が不充分であり、接続抵抗が高くなったり、接続信頼性が低下する場合がある。また、振幅を大きくした場合や周波数を低くした場合、印加時間を長くすると、接続端子や配線が破壊されるおそれがある。より好ましくは5秒以内であり、さらに5秒を超えると生産性が低下するおそれもある。
半導体チップと基板を接続する際の条件は、接続温度:50〜250℃、圧力:0.1〜10MPa、超音波の周波数:20〜200kHz、振動の振幅:0.01μm以上、加圧時間:0.1秒以上、超音波の印加時間:0.05秒以上の範囲内であり、加圧と超音波印加のタイミングは加圧時間内に超音波印加を開始し、加圧時間内に超音波印加を終了することを満たしていれば、任意のタイミングで印加すればよい。
接続温度が50℃未満であると、バンプと配線パターンの間に接着樹脂が残存し、未接続となったり、接続抵抗が高くなるおそれがある。接続温度が250℃を超えると、半導体チップと基板との熱膨張係数差に由来する熱応力が増大し、接続部にダメージが発生するおそれがある。また樹脂基板の場合、基板が軟化して、超音波振動が吸収されてしまい金属接合できなくなるおそれがある。より好ましくは50〜200℃の範囲である。
圧力が0.1MPa未満であると、対向する接続端子間に樹脂が残存し、未接続となったり、あるいは接続抵抗が高くなるおそれがあり、圧力が10MPaを超えると、接続端子や配線が破壊されるおそれがある。より好ましくは、0.3〜4.0MPaの範囲である。
超音波の周波数が20kHz未満であると、接続端子や配線が破壊されるおそれがあり、周波数が200kHzを超えると、接続部に超音波振動が伝達されず、対向する接続端子間に樹脂が残存し、未接続となったり、あるいは金属接合が不充分なために接続抵抗が高くなるおそれがある。より好ましくは、40〜100kHzの範囲である。
超音波振動の振幅が0.01μm未満であると、対向する接続端子間に樹脂が残存し、未接続となったり、あるいは金属の拡散が不充分なために接続抵抗が高くなったり、接続信頼性が低下するおそれがある。より好ましくは、0.1〜10μmの範囲である。
加圧時間が0.1秒未満であると、対向する接続端子間に樹脂が残存し、未接続となったり、あるいは接続抵抗が高くなったり、接続信頼性が低下するおそれがあり、加圧時間が長くなると生産性が低下することから、加圧時間の短縮が必要である。好ましくは10秒以内がよい。
超音波の印加時間が0.05秒未満であると、金属表面の有機物や酸化物の除去が不充分のため、金属接合が不充分であり、接続抵抗が高くなったり、接続信頼性が低下する場合がある。また、振幅を大きくした場合や周波数を低くした場合、印加時間を長くすると、接続端子や配線が破壊されるおそれがある。より好ましくは5秒以内であり、さらに5秒を超えると生産性が低下するおそれもある。
半導体チップの突出した接続端子と基板表面の配線パターンを電気的に接続した後、フィルム状接着剤の硬化反応率が80%以上になるように加熱処理することによって、高い接続信頼性を確保することができる。硬化反応率が90%以上になるように加熱処理することがより好ましい。
硬化反応率が80%以上になるように加熱処理するには、ヒートステージ上に放置してもよいし、加熱オーブン中に放置してもよい。この加熱処理工程は複数の半導体装置について一括で行なうことが可能である。
加熱処理は硬化開始温度よりも高い温度で行なうことが好ましいが、半導体チップと基板を接続した直後ではフィルム状接着剤の硬化反応率が80%以下であるために、高温雰囲気下に急激に放置すると、半導体チップと基板との熱膨張係数差に由来する熱応力が接続部に集中して接続部にダメージが発生する恐れがある。硬化開始温度よりも低い温度から加熱を開始して、少なくとも2段階以上の加熱温度で処理することがより好ましい。
熱硬化性樹脂の硬化反応率は、DSC(示差走査熱分析)による測定方法を用いることができる。DSCは測定温度範囲内で、発熱、吸熱のない標準試料との温度差を打ち消すように熱量を供給または除去するゼロ位法を測定原理とするものであり、測定装置が市販されており、全自動で測定を行なうことができる。エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂の硬化反応は発熱反応であり、一定の昇温速度で試料を加熱していくと、試料が反応し反応熱が発生する。その発熱量をチャートに出力し、ベースラインを基準として発熱曲線とベースラインで囲まれた領域の面積を発熱量とする。測定は室温から硬化反応が完了する温度を充分カバーする範囲で行なう。例えば、エポキシ樹脂の場合、室温から250℃まで5〜20℃/分の昇温速度で測定し、上記した発熱量を求める。熱硬化性樹脂の硬化反応率は次のようにして求める。まず、未硬化試料の全発熱量を測定し、これをA(J/g)とする。次に、測定試料の発熱量を測定し、これをBとする。測定試料の硬化度C(%)は次の(数3)で与えられる。
硬化反応率が80%以上になるように加熱処理するには、ヒートステージ上に放置してもよいし、加熱オーブン中に放置してもよい。この加熱処理工程は複数の半導体装置について一括で行なうことが可能である。
加熱処理は硬化開始温度よりも高い温度で行なうことが好ましいが、半導体チップと基板を接続した直後ではフィルム状接着剤の硬化反応率が80%以下であるために、高温雰囲気下に急激に放置すると、半導体チップと基板との熱膨張係数差に由来する熱応力が接続部に集中して接続部にダメージが発生する恐れがある。硬化開始温度よりも低い温度から加熱を開始して、少なくとも2段階以上の加熱温度で処理することがより好ましい。
熱硬化性樹脂の硬化反応率は、DSC(示差走査熱分析)による測定方法を用いることができる。DSCは測定温度範囲内で、発熱、吸熱のない標準試料との温度差を打ち消すように熱量を供給または除去するゼロ位法を測定原理とするものであり、測定装置が市販されており、全自動で測定を行なうことができる。エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂の硬化反応は発熱反応であり、一定の昇温速度で試料を加熱していくと、試料が反応し反応熱が発生する。その発熱量をチャートに出力し、ベースラインを基準として発熱曲線とベースラインで囲まれた領域の面積を発熱量とする。測定は室温から硬化反応が完了する温度を充分カバーする範囲で行なう。例えば、エポキシ樹脂の場合、室温から250℃まで5〜20℃/分の昇温速度で測定し、上記した発熱量を求める。熱硬化性樹脂の硬化反応率は次のようにして求める。まず、未硬化試料の全発熱量を測定し、これをA(J/g)とする。次に、測定試料の発熱量を測定し、これをBとする。測定試料の硬化度C(%)は次の(数3)で与えられる。
また、熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を用いた場合には、可視レーザ励起のラマン分光計や近赤外レーザ励起のラマン分光計等で測定したエポキシ基のラマンスペクトルのピーク強度や面積強度を用いて反応硬化率を評価することもできる(例えば、特開2000−178522公報参照)。
(実施例)
重量平均分子量が10000以下であり常温(25℃)で固形である樹脂としてビスフェノールA型固形樹脂EP1010(重量平均分子量5500)、EP1009(重量平均分子量3700)、EP1007(重量平均分子量2900)(いずれもジャパンエポキシレジン株式会社製製品名)、エポキシ樹脂として多官能エポキシ樹脂EP1032H60(ジャパンエポキシレジン株式会社製製品名)、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂EP828(ジャパンエポキシレジン株式会社製製品名)、固形イミダゾールとして2PHZ(四国化成工業株式会社製 製品名)、マイクロカプセル型硬化剤としてHX−3941HP(旭化成株式会社製製品名)、絶縁性球状無機フィラーとしてシリカフィラーSE2050(株式会社アドマテックス製製品名 平均粒径0.4〜0.6μm)を用いて、表1に示す組成でトルエン−酢酸エチル混合溶媒中に溶解ないし分散してワニスを作製し、このワニスをセパレータフィルム(PETフィルム)上にロールコータを用いて塗布した後、70℃のオーブンで10分間乾燥させることによって、フィルム状接着剤を作製した。
重量平均分子量が10000以下であり常温(25℃)で固形である樹脂としてビスフェノールA型固形樹脂EP1010(重量平均分子量5500)、EP1009(重量平均分子量3700)、EP1007(重量平均分子量2900)(いずれもジャパンエポキシレジン株式会社製製品名)、エポキシ樹脂として多官能エポキシ樹脂EP1032H60(ジャパンエポキシレジン株式会社製製品名)、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂EP828(ジャパンエポキシレジン株式会社製製品名)、固形イミダゾールとして2PHZ(四国化成工業株式会社製 製品名)、マイクロカプセル型硬化剤としてHX−3941HP(旭化成株式会社製製品名)、絶縁性球状無機フィラーとしてシリカフィラーSE2050(株式会社アドマテックス製製品名 平均粒径0.4〜0.6μm)を用いて、表1に示す組成でトルエン−酢酸エチル混合溶媒中に溶解ないし分散してワニスを作製し、このワニスをセパレータフィルム(PETフィルム)上にロールコータを用いて塗布した後、70℃のオーブンで10分間乾燥させることによって、フィルム状接着剤を作製した。
(比較例)
重量平均分子量が10000より大きく常温(25℃)で固形である樹脂として、フェノキシ樹脂FX293S(東都化成工業株式会社製製品名)、ビスフェノールA型固形樹脂EP1010(重量平均分子量5500ジャパンエポキシレジン株式会社製 製品名)、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂EP828(ジャパンエポキシレジン株式会社製製品名)、固形イミダゾールとして2PHZ(四国化成工業株式会社製製品名)、マイクロカプセル型硬化剤としてHX−3941HP(旭化成株式会社製 製品名)、絶縁性球状無機フィラーとしてシリカフィラーSE2050(株式会社アドマテックス社製製品名平均粒径0.4〜0.6μm)を用いて、表1に示す組成でトルエン−酢酸エチル混合溶媒中に溶解ないし分散してワニスを作製し、このワニスをセパレータフィルム(PETフィルム)上にロールコータを用いて塗布した後、70℃のオーブンで10分間乾燥させることによって、フィルム状接着剤を作製した。
重量平均分子量が10000より大きく常温(25℃)で固形である樹脂として、フェノキシ樹脂FX293S(東都化成工業株式会社製製品名)、ビスフェノールA型固形樹脂EP1010(重量平均分子量5500ジャパンエポキシレジン株式会社製 製品名)、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂EP828(ジャパンエポキシレジン株式会社製製品名)、固形イミダゾールとして2PHZ(四国化成工業株式会社製製品名)、マイクロカプセル型硬化剤としてHX−3941HP(旭化成株式会社製 製品名)、絶縁性球状無機フィラーとしてシリカフィラーSE2050(株式会社アドマテックス社製製品名平均粒径0.4〜0.6μm)を用いて、表1に示す組成でトルエン−酢酸エチル混合溶媒中に溶解ないし分散してワニスを作製し、このワニスをセパレータフィルム(PETフィルム)上にロールコータを用いて塗布した後、70℃のオーブンで10分間乾燥させることによって、フィルム状接着剤を作製した。
溶融粘度測定はレオメトリックス・サイエンティフィック・エフ・イー株式会社製粘弾性測定装置ARESを用いて測定した。測定プレートは直径8mmの平行プレート、フィルム状接着剤はラミネートして厚み500〜600μmものを9mm×9mmの大きさに切り出して用いた。測定条件は温度150℃、周波数10Hzに設定した。
フィルム状接着剤の硬化サンプルとして、200℃−1hの加熱条件で処理したものを準備した(厚み50μm)。平均線膨張係数の測定は、セイコーインスツルメント社製TMA/SS6000(製品名)を用いて、硬化物サンプルを2mm×25mmの大きさに切り出し、チャック間距離15mm、測定温度範囲20〜300℃、昇温速度5℃/min、フィルム断面積に対して0.5MPaとなる引っ張り荷重の条件で行なった。Tg(tanδピーク)の測定は、セイコーインスツルメント社製DMS6100(製品名)を用いて、硬化物サンプルを0.5mm×45mmの大きさに切り出し、チャック間距離20mm、周波数1Hz、測定温度範囲20〜300℃、昇温速度5.0℃/minの条件で行なった。
図3に示したように接合性を評価するために以下の評価を行なった。Ni/Auめっき処理された配線パターンを有するガラスエポキシ基板に上記フィルム状接着剤を貼り付けてセパレータフィルムを剥離した後、金スタッドバンプが形成された半導体チップを超音波振動を利用したフリップチップ接続方式によって基板に接続した。半導体チップとしては10.2mm×10.2mmの大きさで184個の金スタッドバンプがペリフェラル配置で形成されているものを用いて、ヘッド温度100℃、ステージ温度50℃、振幅2.0μm、周波数50kHz、印加時間0.5s、荷重1.0N/バンプ(半導体チップに対して1.77MPaの圧力)の接続条件に設定し、株式会社アルテクス製超音波フリップチップボンダーSH−50MP(製品名)を用いて接続を行なった。接続サンプルについて、初期接続抵抗を測定した後、2−ブタノン中に浸漬してフィルム状接着樹脂を溶解し、再度接続抵抗を測定した。さらに、塩酸または水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬して半導体チップのアルミ電極を溶解して半導体チップを除去した後、配線パターン上に残った金バンプの数を計測し、接合率を算出した。(接合率=配線パターン上に残った金バンプの数/全バンプ数184)。次いで、シェアツールを用いて配線パターン上に残った金バンプのシェア試験を行なった。シェア試験はデイジ社製デイジ2400を用いて行い、常温(25℃)、シェア速度200μm/sの条件で行なった。
接続信頼性の評価は以下の手順で行なった。上記フィルム状接着剤を用いて、Ni/Auめっき処理された配線パターンを有するガラスエポキシ基板に貼り付けた後、金スタッドバンプが形成された半導体チップを超音波振動を利用したフリップチップ接続方式によって基板に接続した。半導体チップとしては10.2mm×10.2mmの大きさで184個の金スタッドバンプがペリフェラル配置で形成されているものを用いて、ヘッド温度100℃、ステージ温度50℃、振幅2.0μm、周波数50kHz、印加時間0.5s、荷重1.0N/バンプ(半導体チップに対して1.77MPaの圧力)の接続条件に設定し、株式会社アルテクス製超音波フリップチップボンダーSH−50MP(製品名)を用いて接続を行なった。さらに、接続サンプルを150℃に加熱したオーブン中に2時間放置することによってアフターキュア処理を行なった後、接続抵抗を測定した。この時、フィルム状接着剤の硬化反応率は全て90%以上であった。次に、接続サンプルを125℃に加熱したオーブン中に24時間放置し、引き続き30℃、相対湿度60%に調整した恒温恒湿槽に192時間放置した後、IRリフロ処理(265℃max)を3回行なった。リフロ処理後の接続サンプルの接続抵抗を測定し、抵抗上昇が初期抵抗の10%以下であるものを合格とした。
最低溶融粘度測定結果、流れ量測定結果、硬化物の熱膨張係数測定結果、超音波方式によるチップ接続試験の結果を纏めて表2に示した。
100℃での流れ量が1.5以上である実施例1〜4のフィルム状接着剤では、1)チップ接続後の初期抵抗が2mΩ/バンプ以下となっていること、2)接着剤溶解後にオープン不良は発生していないこと、3)バンプのシェア強度が高いこと、4)吸湿リフロ処理によって不良が発生していないといった結果から、超音波振動を利用したフリップチップ接続方式において、良好な金属接合部が形成されており、良好な接続信頼性を示すことが分かる。一方、最低溶融粘度が200Pa・s未満で、流れ量が1.5未満である比較例1は、チップ接続後の初期抵抗がやや高く、接着剤溶解後にオープン不良が発生し、接合率80%と悪く、また、シェア強度が低い。また、最低溶融粘度が200Pa・s未満で、流れ量が1.5以上である比較例2は、比較例1の特性が改善されるものの接続信頼性に劣る。最低溶融粘度が200Pa・s以上で、流れ量が1.5未満である比較例3は、比較例1と同様、チップ接続後の初期抵抗がやや高く、接着剤溶解後にオープン不良が発生し、接合率80%と悪く、また、シェア強度が低い。
本発明におけるフィルム状接着剤は半導体チップの突出した接続端子と基板の配線パターンを直接電気的に接続するフリップチップ接続方式におけるアンダーフィル材として使用できるだけでなく、半導体チップの回路形成面を上に向けて基板表面に接着固定し、金ワイヤーなどで半導体チップの電極と基板の配線パターンを電気的に接続するワイヤーボンディング方式において、チップと基板を接着するための接着剤としても用いることができる。また、半導体チップを多段に積層するスタックドパッケージにおいて、半導体チップと半導体チップを接着固定するための接着剤としても用いることができる。
1.ガラスチップ
2.フィルム状接着剤
3.Siチップ
4.窒化ケイ素膜
5.ステージ
6.接合ヘッド
7.加熱・加圧後のフィルム状接着剤
8.ガラスエポキシ基板
9.配線パターン
10.フィルム状接着剤
11.接合ヘッド
12.ステージ
13.半導体チップ
14.アルミ電極
15.金スタッドバンプ
16.シェアツール
2.フィルム状接着剤
3.Siチップ
4.窒化ケイ素膜
5.ステージ
6.接合ヘッド
7.加熱・加圧後のフィルム状接着剤
8.ガラスエポキシ基板
9.配線パターン
10.フィルム状接着剤
11.接合ヘッド
12.ステージ
13.半導体チップ
14.アルミ電極
15.金スタッドバンプ
16.シェアツール
Claims (5)
- (a)重量平均分子量10000以下で常温(25℃)において固形である樹脂と、(b)絶縁性球状無機フィラーと、(c)エポキシ樹脂(但し、(a)成分がエポキシ樹脂の場合、(c)成分は(a)成分とは異なるエポキシ樹脂である)と、(d)硬化剤とを含有し、
50〜250℃のいずれの温度においても最低溶融粘度が200Pa・sより高く、50〜150℃のいずれかの温度において加熱・加圧した場合の平行板間にはさんだフィルム状接着剤の初期面積と加熱・加圧後の面積との比である流れ量が1.5以上であり、かつ、硬化物の25〜260℃における平均線膨張係数が200×10−6/℃以下であり、
前記(d)硬化剤は、150℃以上の融点または分解点を有するイミダゾール類と、マイクロカプセル化された硬化剤とを含有することを特徴とするフィルム状接着剤。 - 請求項1に記載のフィルム状接着剤であって、前記(b)絶縁性球状無機フィラーの充填量が25〜80重量%であることを特徴とするフィルム状接着剤。
- 請求項1または2に記載のフィルム状接着剤を配線パターンの形成された基板に貼り付ける工程、突出した接続端子を有する半導体チップの接続端子と基板の配線パターンとを位置合わせする工程、加熱・加圧した状態で超音波振動を印加することによって半導体チップの突出した接続端子と基板の配線パターンを金属接合によって電気的に接続する工程、フィルム状接着剤の硬化反応率を80%以上にするために加熱処理を行なう工程を備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。
- 請求項1または2に記載のフィルム状接着剤を突出した接続端子を有する半導体チップの接続端子が形成された面に貼り付ける工程、半導体チップの接続端子と基板の配線パターンとを位置合わせする工程、加熱・加圧した状態で超音波振動を印加することによって半導体チップの突出した接続端子と基板の配線パターンを金属接合によって電気的に接続する工程、フィルム状接着剤の硬化反応率を80%以上にするために加熱処理を行なう工程を備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。
- 請求項1または2に記載のフィルム状接着剤を突出した接続端子を有する半導体ウエハに貼り付ける工程、ダイシングによって個片の半導体チップに分割する工程、半導体チップの接続端子と基板の配線パターンとを位置合わせする工程、加熱・加圧した状態で超音波振動を印加することによって半導体チップの突出した接続端子と基板の配線パターンを金属接合によって電気的に接続する工程、フィルム状接着剤の硬化反応率を80%以上にするために加熱処理を行なう工程を備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。
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