JP2014237555A - フッ素含有結晶性アルミノシリケートの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【解決手段】結晶性アルミノシリケートにフッ素化合物ガスおよびフッ素ガスから選ばれる少なくとも1種ならびに不活性ガスを含む混合ガスを気相流通下で接触させて、−10〜230℃の反応温度の範囲内で反応を行うことを特徴とするフッ素含有結晶性アルミノシリケートの製造方法。【効果】本発明によれば、結晶性アルミノシリケートを簡便な方法で効率よくフッ素化して、比表面積や細孔径(分布)を一定の割合で維持するフッ素含有結晶性アルミノシリケートを安価に製造することができる。得られたフッ素含有結晶性アルミノシリケートは特殊な吸着剤や触媒等として使用することができる。【選択図】なし

Description

本発明は、フッ素含有結晶性アルミノシリケートの製造方法に関する。特に、結晶性アルミノシリケートを原料として、結晶性アルミノシリケートを気相でフッ素系ガスと接触させることにより得られるフッ素含有結晶性アルミノシリケートの製造方法に関する。
フッ素含有アルミノシリケートは、特殊な吸着剤や触媒として重要である。従来、種々のフッ素含有アルミノシリケートの製造方法や用途が知られている。
たとえば、ゼオライトを酸素含有ガス中でか焼し、フッ化アンモニウム水溶液に浸漬させ、酸フッ化物処理したゼオライトをか焼するフッ化アンモニウムによるゼオライト類の変性(特公平1−48206号公報)、か焼したゼオライトをフッ化アルミニウムと接触させ、この接触させたゼオライトをプロトン化した型に変換するゼオライトの処理方法(特開昭60−42221号公報)、フッ素化処理を施した結晶性アルミノシリケートに一酸化炭素還元能を有する金属または金属化合物を組み合わせた触媒と合成ガスとを接触させて炭化水素を製造する方法(特開昭60−155139号公報)、結晶性アルミノシリケートをフッ素含有化合物と接触処理し、酸素含有ガス気流中で300〜800℃にて焼成する方法(特開昭61−281014号公報)、Y型ゼオライトを脱アルミニウム処理し、さらにその表面をフッ素処理することにより、SiO2/Al23(モル比)が5.5〜20、フッ素含有率が0.1〜30重量%であるフッ素処理脱アルミニウムY型ゼオライトを得る方法(特開平1−257122号公報)、フッ素含有モルデナイトが約10:1から50:1の範囲のシリカとアルミナのモル比を有し、該モルデナイトがモルデナイトをフッ化水素水溶液に接触させたものをモノアルキル化ベンゼンの製造に使用する方法(特表2000−504691号公報)等が知られている。
特公平1−48206号公報 特開昭60−42221号公報 特開昭60−155139号公報 特開昭61−281014号公報 特開平1−257122号公報 特表2000−504691号公報
上記のとおり、従来、フッ素含有アルミノシリケートの製造方法としては、フッ素源としてフッ化アンモニウム水溶液、フッ化水素水溶液やフッ化アルミニウム水溶液等を用いる液相法、およびフッ素源としてトリフロオロエタノ−ルやクロロトリフルオロメタン等を気相で接触させる気相法が知られている。特許文献1、特許文献3および特許文献5には、アルミノシリケートにフッ化アンモニウム水溶液を接触させる液相法が記載されている。特許文献2には、アルミノシリケートにフッ化アルミニウム水溶液を接触させる液相フッ素化法が記載されている。特許文献6には、モルデナイトにフッ化水素水溶液を接触させる方法が記載されている。液相法はフッ素源としてフッ素化合物の水溶液を使用するため、細孔の閉塞や比表面積の低下等、さらに再洗浄や再乾燥を必要とするなどの課題を有している。
特許文献4には、ペンタフルオロベンゾニトリル、トリフルオロエタノ−ルなどの有機フッ素化合物と気相で接触させる気相法が記載されている。気相法は、通常、非常に大きな発熱を伴い、結果として表面破壊による比表面積の低下、細孔閉塞等が生じる等の課題を有している。
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題、課題を解決しようとするものであって、結晶性アルミノシリケートを原料として、結晶性アルミノシリケートにフッ素化合物を気相状態下で接触させて、比表面積や細孔径(分布)を一定の割合で維持するフッ素含有結晶性アルミノシリケートを効率よく簡便に、かつ安価に製造することを課題としている。
結晶性アルミノシリケートをフッ素化合物と気相流通下で接触させてフッ素含有結晶性アルミノシリケートを製造する際、反応に伴う発熱や副生成物の一つであるフッ化水素等による結晶構造の破壊、閉塞等の課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、フッ素化合物ガス等を不活性ガスで希釈して使用し、また反応温度をより低くすることにより発熱を制御し、発熱を抑え、その結果、比表面積や細孔径(分布)を著しく低下させることなくフッ素含有結晶性アルミノシリケートを得ることができ、さらに空間速度(SV)を大きくする等により、より好適にフッ素含有結晶性アルミノシリケートを得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
具体的には、本発明は以下の[1]〜[12]に関する。
[1]結晶性アルミノシリケートに、フッ素化合物ガスおよびフッ素ガスから選ばれる少なくとも1種ならびに不活性ガスを含む混合ガスを気相流通下で接触させて、−10〜230℃の反応温度の範囲内で反応を行うことを特徴とするフッ素含有結晶性アルミノシリケートの製造方法。
[2]前記の反応を0.01〜2MPaの圧力範囲内で行うことを特徴とする前記[1]に記載のフッ素含有結晶性アルミノシリケートの製造方法。
[3]不活性ガスが、窒素、ヘリウム、アルゴンおよびネオンから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする前記[1]または[2]に記載のフッ素含有結晶性アルミノシリケートの製造方法。
[4]フッ素化合物が二フッ化カルボニルであることを特徴とする前記[1]〜[3]のいずれかに記載のフッ素含有結晶性アルミノシリケートの製造方法。
[5]混合ガスにおけるフッ素化合物ガスおよびフッ素ガスから選ばれる少なくとも1種の濃度が0.09〜15vol%の範囲内であることを特徴とする前記[1]〜[4]のいずれかに記載のフッ素含有結晶性アルミノシリケートの製造方法。
[6]混合ガスを結晶性アルミノシリケートに接触させる空間速度(SV)が20〜5000Hr-1の範囲内であることを特徴とする前記[1]〜[5]のいずれかに記載のフッ素含有結晶性アルミノシリケートの製造方法。
[7]結晶性アルミノシリケートに混合ガスを接触させる前に、結晶性アルミノシリケートを不活性ガス流通下で、100〜550℃の温度範囲内で処理することを特徴とする前記[1]〜[6]のいずれかに記載のフッ素含有結晶性アルミノシリケートの製造方法。
[8]結晶性アルミノシリケートのシリカ/アルミナ比がモル比で2以上であることを特徴とする前記[1]〜[7]のいずれかに記載のフッ素含有結晶性アルミノシリケートの製造方法。
[9]結晶性アルミノシリケートのシリカ/アルミナ比がモル比で5以上であることを特徴とする前記[1]〜[7]のいずれかに記載のフッ素含有結晶性アルミノシリケートの製造方法。
[10]用いた結晶性アルミノシリケートの比表面積に対する得られたフッ素含有結晶性アルミノシリケートの比表面積の比率が30〜110%の範囲内であることを特徴とする前記[1]〜[9]のいずれかに記載のフッ素含有結晶性アルミノシリケートの製造方法。
[11]得られたフッ素含有結晶性アルミノシリケートの細孔分布をN2、用いた結晶性アルミノシリケートの細孔分布をN1としたとき、下記で定義される細孔分布変化率RNが±30%の範囲内であることを特徴とする前記[1]〜[10]のいずれかに記載のフッ素含有結晶性アルミノシリケートの製造方法。
Figure 2014237555
[12]得られたフッ素含有結晶性アルミノシリケートの重量をW2、用いた結晶性アルミノシリケートの重量をW1としたとき、下式で定義される重量変化率RWが±13%の範囲内であることを特徴とする前記[1]〜[11]のいずれかに記載のフッ素含有結晶性アルミノシリケートの製造方法。
Figure 2014237555
本発明によれば、結晶性アルミノシリケートを簡便な方法で効率よくフッ素化して、比表面積や細孔径(分布)を一定の割合で維持するフッ素含有結晶性アルミノシリケートを安価に製造することができる。得られたフッ素含有結晶性アルミノシリケートは特殊な吸着剤や触媒等として使用することができる。
以下、本発明の好ましい態様について詳しく説明する。
本発明は、結晶性アルミノシリケートに、フッ素化合物ガスおよびフッ素ガスから選ばれる少なくとも1種ならびに不活性ガスを含む混合ガスを気相流通下で接触させて、−10〜230℃の反応温度の範囲内で反応を行うことを特徴とするフッ素含有結晶性アルミノシリケートの製造方法である。
本発明で原料として用いられる結晶性アルミノシリケートは、天然系および合成系のゼオライトであって、一般にはモレキュラーシーブとして知られ、陽イオンを含有する多種多様な結晶性アルミノシリケートが含まれる。結晶性アルミノシリケートとしては、シリカ/アルミナ比が2以上5未満と比較的小さい、例えばモレキュラーシーブ4A(ユニオン昭和株式会社製、シリカ/アルミナ比:2.0)、5A(ユニオン昭和株式会社製、シリカ/アルミナ比:2.0)、XH−7S(ユニオン昭和株式会社製、シリカ/アルミナ比:2.0)、S−8P(ユニオン昭和株式会社製、シリカ/アルミナ比:2.5)や13X(ユニオン昭和株式会社製、シリカ/アルミナ比:2.5)等を例示することができる。一方、ゼオライト中のシリカ/アルミナ比は可変的であり、例えば、シリカ/アルミナ比の大きいゼオライトであるゼオライトZSM−5はそのシリカ/アルミナ比は最少で5であるが、合成時に添加されるアルミニウムやナトリウム成分量を変化させることによりシリカ/アルミナ比が500以上である結晶性アルミノシリケートを合成することも可能である。このようなシリカ/アルミナ比が5以上である結晶性アルミノシリケートとしては、例えば、ZSM−5(シリカ/アルミナ比:5〜500)、Hisiv−1000(UOP社製、シリカ/アルミナ比:約6)、Hisiv−3000(UOP社製、シリカ/アルミナ比:約480)等を例示することができる。なお、上記シリカ/アルミナ比はモル比である。シリカ/アルミナ比が2以上5未満では、水分や有機物を吸着するために好ましく用いられる。また、シリカ/アルミナ比が5以上では疎水性となる傾向があり、水分の吸着量が減って有機物を吸着し易くなる。
これらの結晶性アルミノシリケートにフッ素化合物ガスおよびフッ素ガスから選ばれる少なくとも1種(以下、基質ともいう)ならびに不活性ガスを含む混合ガスを接触させるが、これらの結晶性アルミノシリケートは通常水分を含有するため、反応(接触)前に、その水分を除去する前処理を行うことが好ましい。例えば基質が二フッ化カルボニル(COF2)ガスの場合、二フッ化カルボニルは水と反応してフッ化水素(HF)を生成し、細孔の閉塞、破壊に伴う細孔径減少や比表面積の著しい低下をもたらすので、結晶性アルミノシリケートに含まれる水分は、極力、反応(接触)前に除去する必要がある。水分を除去する方法としては、例えば、結晶性アルミノシリケートを不活性ガスのみの流通下で処理温度100〜550℃の範囲内で加熱処理する方法が挙げられる。処理温度は、より好ましくは、200〜500℃の範囲がよい。100℃より低い温度では、水分除去に時間を要し、550℃より高い温度では、細孔破壊が起こり好ましくない。不活性ガスとしては、安価な窒素が好ましく、ヘリウム、ネオンやアルゴンでもよい。処理時間は、ガス量や温度によって適宣、選択できるが、好ましくは1〜5時間がよい。
このようにして適宜脱水分処理された結晶性アルミノシリケートに前記基質および不活性ガスを含む混合ガスを接触させる。接触させる方法には特に制限はないが、以下のような方法が挙げられる。
結晶性アルミノシリケートは、例えば、反応器に充填される。反応器は固定床が好ましく、ガス流はダウンフロー、アップフローのどちらも選択できるが、好ましくはダウンフローである。反応器内部を所定温度に調整するため、例えば反応器を恒温槽に入れる。反応器は例えば2つの入口を備えている。まず反応器入口の一方より不活性ガスが反応器内に導入され、不活性ガス流通下で反応器に充填された結晶性アルミノシリケートは反応保持温度(t)に到達する。
不活性ガスとしては、窒素、ヘリウム、アルゴンおよびネオンから選ばれる少なくとも1種が好ましい。
反応器内の結晶性アルミノシリケートが不活性ガス流通下で反応温度に到達した後、反応器入口のもう一方より基質が導入され、反応器入口部で不活性ガスと混合されて混合ガスが生成する。すなわち、混合ガスは、フッ素化合物ガスおよびフッ素ガスから選ばれる少なくとも1種が不活性ガスで希釈されて生成されるガスである。この混合ガスが反応器内を流通して、反応器に充填された結晶性アルミノシリケートと接触して、フッ素化反応が行われる。
この反応により発熱が生じ、その発熱に基づく温度上昇の分だけ反応器内の温度が反応保持温度(t)より高くなることがある。本発明において、反応温度とは「反応保持温度(t)+最高発熱温度(Δt)」を意味する。
反応温度は−10〜230℃が好ましい。−10℃より低い温度では、反応器を冷却するための設備費が大きくなり、コスト高になるので好ましくない。230℃より高い温度では部分的にフッ素化が進行し、細孔閉塞、比表面積が著しく低下する等の理由により好ましくない。より好ましくは、−10〜180℃である。
混合ガスに含まれる基質はフッ素化合物ガスおよびフッ素ガスから選ばれる少なくとも1種である。フッ素化合物としては、−20℃でガス状のフッ素化合物が好ましく、例えば二フッ化カルボニルおよび三フッ化窒素を挙げることができる。フッ素化合物ガスとして2種類以上を併用することもできる。前記基質としては、特に二フッ化カルボニルガスおよびフッ素ガスから選ばれる少なくとも1種が好ましい。二フッ化カルボニルは反応性に優れており、低温領域でも反応が進むために反応を制御し易く好ましい。
混合ガスにおける基質の濃度は0.09〜15vol%の範囲内が好ましく、より好ましくは0.15〜13vol%の範囲内である。0.09vol%より低いと、発熱を抑えるためにはよいが、一方でフッ素化の進行が遅い。15vol%より高いと、急激な発熱に伴う結晶性アルミノシリケートの細孔閉塞、破壊や比表面積の低下を招くことがある。
混合ガスを結晶性アルミノシリケートに接触させる空間速度(SV)は20〜5000Hr-1の範囲内が好ましい。より好ましくは、100〜3000Hr-1の範囲内である。20Hr-1より小さいと、フッ素化に時間を要し、発熱制御が困難になることがある。5000Hr-1より大きいと、発熱制御はしやすいが、圧力が上昇する等の問題が生ずることがある。
反応器中の結晶性アルミノシリケートと混合ガスとを接触させ、反応を行うときの圧力は、0.01〜2MPaの範囲内であることが好ましい。より好ましくは、0.01〜1MPaの範囲内である。2MPaより高い圧力では、発熱制御が困難となり、また装置耐圧等の問題があり、経済的でない場合がある。0.01MPaより低い圧力では、フッ素化反応が進行しにくいことがある。
このような条件下で目的物であるフッ素含有結晶性アルミノシリケートが得られる。得られたフッ素含有結晶性アルミノシリケートは以下のような物性を有することが好ましい。本発明のフッ素含有結晶性アルミノシリケートの製造方法によれば、以下の物性を有するフッ素含有結晶性アルミノシリケートを効率よく簡便に、安価に製造することができる。
用いる結晶性アルミノシリケートの比表面積に対する得られたフッ素含有結晶性アルミノシリケートの比表面積の比率、すなわち結晶性アルミノシリケートの比表面積をS1(m2/g)、フッ素含有結晶性アルミノシリケートの比表面積をS2(m2/g)としたとき、下記式で定義される比表面積率RSが30〜110%の範囲内であることが好ましい。より好ましくは、60〜105%である。
Figure 2014237555
比表面積の低下は前述の如き、急激な発熱に伴う細孔閉塞、細孔破壊等が原因であり、比表面積が低下して、前記比率(S2/S1)が30%未満になると本来の目的である吸着性能が失われる場合がある。一方、前記比率(S2/S1)が110%より高くなると、本来の目的である吸着性能が失われることがある。
もう一つの重要な物性として、細孔分布がある。得られたフッ素含有結晶性アルミノシリケートの細孔分布をN2(nm)、用いる結晶性アルミノシリケートの細孔分布をN1(nm)としたとき、下記式で定義される細孔分布変化率RNが±30%の範囲内の細孔分布を有することが好ましい。より好ましくは、±20%である。
Figure 2014237555
細孔分布の低下も前述の如き、急激な発熱に伴う細孔閉塞、細孔破壊等が原因であり、細孔分布が低下して、細孔分布変化率RNが−30%より低くなると本来の目的である吸着性能が失われてしまう場合がある。一方、細孔分布変化率RNが30%より高くなると、本来の目的である吸着性能が失われることがある。
得られたフッ素含有結晶性アルミノシリケートの重量、重量変化率も重要である。
得られたフッ素含有結晶性アルミノシリケートの重量をW2、用いた結晶性アルミノシリケートの重量をW1としたとき、下記式で定義される重量変化率RWが±13%の範囲内であることが好ましい。より好ましくは、±10%である。
Figure 2014237555
重量、重量変化率は前記の比表面積や細孔分布に関連があり、重量変化率がプラスに大きい場合は、フッ素化が過剰に進行し比表面積の低下や細孔閉塞、破壊が進んで、上記のように本来の目的である吸着性能が失われることがある。重量変化率がマイナスに大きい場合は、例えば結晶中のシリカがSiF4等として飛散しているなどが考えられる。
このようにして得られたフッ素含有結晶性アルミノシリケートは、特殊な吸着剤として、また、異性化反応等の触媒として重要である。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
[実施例1]
(前処理工程)
内部に温度測定用の熱電対管および熱電対を備え、反応器入口を2つ有する外径25.4mmφ(内径22.1mm)、長さ150mmのSUS製反応器に、モレキュラーシーブ5A(ユニオン昭和(株)製、シリカ/アルミナ比:2.0(モル比)、比表面積:844.8m2/g、細孔分布:0.56nm)を20ml(14.6g)充填して、窒素ガス流通下で、温度400℃で3時間保持した。その後、窒素流通下で室温まで冷却した。
(フッ素化工程)
反応器内の温度を均一に保つため反応器を恒温槽に入れた。反応器入口の一方より窒素ガスを409.2ml/minの流速で流しながら反応器内の温度を30℃に保持した(反応保持温度(t):30℃)。その後、反応器入口のもう一方より二フッ化カルボニルガスを3.3ml/minの流速で供給した。反応器入口部で窒素ガスと二フッ化カルボニルガスとが混合して、混合ガス(二フッ化カルボニルガス濃度:0.8vol%)が生成された。この混合ガスが反応器内を流通し、反応器内に充填されたモレキュラーシーブ5Aと接触した。混合ガスを結晶性アルミノシリケートに接触させる空間速度(SV)は1238Hr-1であった。反応器内の圧力は0.13MPaであった。二フッ化カルボニルガスの導入直後より反応に伴う発熱が熱電対により観測された。最高発熱温度Δtは約45℃であり、Δtに達した後発熱は終息方向に向かった。反応開始2時間後に二フッ化カルボニルガスの供給を停止し、窒素ガスのみの供給を1時間継続した後、ガスの供給を停止した。反応器内に充填されたモレキュラーシーブ5Aがフッ素化されて生成されたフッ素含有モレキュラーシーブ5Aを反応器から取り出した。以下の物性、重量変化を測定した。結果を表1に示す。
(物性値)
比表面積(m2/g)及び細孔分布(nm)は、日本ベル(株)製、BELSORP−maxにて測定を実施した。
結晶性アルミノシリケートの比表面積をS1、フッ素含有結晶性アルミノシリケートの比表面積をS2とし、下記式で定義される比表面積率RSを算出した。
Figure 2014237555
結晶性アルミノシリケートの細孔分布をN1、フッ素含有結晶性アルミノシリケートの細孔分布をN2とし、下記式で定義される細孔分布変化率RNを算出した。
Figure 2014237555
結晶性アルミノシリケートの重量W1およびフッ素含有結晶性アルミノシリケートの重量W2を測定し、下記式で定義される重量変化率RWを算出した。
Figure 2014237555
[実施例2]
モレキュラーシーブ5Aの替わりにモレキュラーシーブ13X(ユニオン昭和(株)製、シリカ/アルミナ比:2.5(モル比)、比表面積:957.2m2/g、細孔分布:0.64nm)を使用した以外、実施例1に記載の(前処理工程)、(フッ素化工程)を同様な操作、条件にて実施し、フッ素含有モレキュラーシーブ13Xを得た。実施例1と同様に物性、重量変化を測定した。結果を表1に示す。
[実施例3]
モレキュラーシーブ5Aの替わりにモレキュラーシーブAW−500(ユニオン昭和(株)製、シリカ/アルミナ比:4.0(モル比)、比表面積:577.83m2/g、細孔分布:0.54nm)を使用した以外、実施例1に記載の(前処理工程)、(フッ素化工程)を同様な操作、条件にて実施し、フッ素含有モレキュラーシーブAW−500を得た。実施例1と同様に物性、重量変化を測定した。結果を表1に示す。
[実施例4]
モレキュラーシーブ5Aの替わりにモレキュラーシーブXH−7S(ユニオン昭和(株)製、シリカ/アルミナ比:2.0(モル比)、比表面積:24.34m2/g、細孔分布:0.81nm)を使用した以外、実施例1に記載の(前処理工程)、(フッ素化工程)を同様な操作、条件にて実施し、フッ素含有モレキュラーシーブXH−7Sを得た。実施例1と同様に物性、重量変化を測定した。結果を表1に示す。
[実施例5]
モレキュラーシーブ5Aの替わりにモレキュラーシーブS−8P(ユニオン昭和(株)製、シリカ/アルミナ比:2.5(モル比)、比表面積:1080.1m2/g、細孔分布:0.69nm)を使用した以外、実施例1に記載の(前処理工程)、(フッ素化工程)を同様な操作、条件にて実施し、フッ素含有モレキュラーシーブS−8Pを得た。実施例1と同様に物性、重量変化を測定した。結果を表1に示す。
[実施例6]
モレキュラーシーブ5Aの替わりにモレキュラーシーブHisiv−1000(UOP(株)製、シリカ/アルミナ比:約6(モル比)、比表面積:637.5m2/g、細孔分布:0.74nm)を使用した以外、実施例1に記載の(前処理工程)、(フッ素化工程)を同様な操作、条件にて実施し、フッ素含有モレキュラーシーブHisiv−1000を得た。実施例1と同様に物性、重量変化を測定した。結果を表1に示す。
[実施例7]
モレキュラーシーブ5Aの替わりにモレキュラーシーブHisiv−3000(UOP(株)製、シリカ/アルミナ比:約480(モル比)、比表面積:520.5m2/g、細孔分布:0.51nm)を使用した以外、実施例1に記載の(前処理工程)、(フッ素化工程)を同様な操作、条件にて実施し、フッ素含有モレキュラーシーブHisiv−3000を得た。実施例1と同様に物性、重量変化を測定した。結果を表1に示す。
[比較例1]
(前処理工程)
内部に温度測定用の熱電対管および熱電対を備え、反応器入口を2つ有する外径25.4mmφ(内径22.1mm)、長さ150mmのSUS製反応器に、モレキュラーシーブ5A(ユニオン昭和(株)製、シリカ/アルミナ比:2.0(モル比)、比表面積:844.8m2/g、細孔分布:0.56nm)を20ml(14.6g)充填して、窒素ガス流通下で、温度400℃で3時間保持した。その後、窒素流通下で室温まで冷却した。
(フッ素化工程)
反応器内の温度を均一に保つため反応器を恒温槽に入れた。反応器入口の一方より窒素ガスを300ml/minの流速で流しながら反応器内の温度を170℃に保持した(反応保持温度(t):170℃)。その後、反応器入口のもう一方より二フッ化カルボニルガスを20.8ml/minの流速で供給した。反応器入口部で窒素ガスと二フッ化カルボニルガスとが混合して、混合ガス(二フッ化カルボニルガス濃度:6.48vol%)が生成された。この混合ガスが反応器内を流通し、反応器内に充填されたモレキュラーシーブ5Aと接触した。混合ガスを結晶性アルミノシリケートに接触させる空間速度(SV)はSV=962Hr-1であった。反応器内の圧力は0.10MPaであった。二フッ化カルボニルガスの導入直後より反応に伴う発熱が熱電対により観測された。最高発熱温度Δtは69.2℃であり、Δtに達した後発熱は終息方向に向かった。反応開始2時間後に二フッ化カルボニルガスの供給を停止し、窒素ガスのみの供給を1時間継続した後、室温まで冷却した。反応器内に充填されたモレキュラーシーブ5Aがフッ素化されて生成されたフッ素含有モレキュラーシーブ5Aを反応器から取り出した。実施例1と同様に物性、重量変化を測定した。結果を表1に示す。
[比較例2]
(前処理工程)
内部に温度測定用の熱電対管および熱電対を備え、反応器入口を2つ有する外径25.4mmφ(内径22.1mm)、長さ150mmのSUS製反応器に、モレキュラーシーブ13X(ユニオン昭和(株)製、シリカ/アルミナ比:2.5(モル比)、比表面積:957.2m2/g、細孔分布:0.64nm)を20ml充填して、窒素ガス流通下で、温度300℃で3時間保持した。その後、窒素流通下で室温まで冷却した。
(フッ素化工程)
反応器内の温度を均一に保つため反応器を恒温槽に入れた。反応器入口の一方より窒素ガスを409.2ml/minの流速で流しながら反応器内の温度を160℃に保持した(反応保持温度(t):160℃)。その後、反応器入口のもう一方より二フッ化カルボニルガスを1.7ml/minの流速で供給した。反応器入口部で窒素ガスと二フッ化カルボニルガスとが混合して、混合ガス(二フッ化カルボニルガス濃度:0.41vol%)が生成された。この混合ガスが反応器内を流通し、反応器内に充填されたモレキュラーシーブ13Xと接触した。混合ガスを結晶性アルミノシリケートに接触させる空間速度(SV)はSV=1233Hr-1であった。反応器内の圧力は0.13MPaであった。二フッ化カルボニルガスの導入直後より反応に伴う発熱が熱電対により観測された。最高発熱温度Δtは81.0℃であり、Δtに達した後発熱は終息方向に向かった。反応開始4時間後に二フッ化カルボニルガスの供給を停止し、窒素ガスのみの供給を2時間継続した後、室温まで冷却した。反応器内に充填されたモレキュラーシーブ13Xがフッ素化されて生成されたフッ素含有モレキュラーシーブ13Xを反応器から取り出した。実施例1と同様に物性、重量変化を測定した。結果を表1に示す。
[実施例8]
(前処理工程)
内部に温度測定用の熱電対管および熱電対を備え、反応器入口を2つ有する外径25.4mmφ(内径22.1mm)、長さ150mmのSUS製反応器に、モレキュラーシーブHisiv−3000(UOP(株)製、シリカ/アルミナ比:約480(モル比)、比表面積:520.5m2/g、細孔分布:0.51nm)を20ml充填して、窒素ガス流通下で、温度350℃で3時間保持した。その後、窒素流通下で室温まで冷却した。
(フッ素化工程)
反応器内の温度を均一に保つため反応器を恒温槽に入れた。反応器入口の一方より窒素ガスを409.2ml/minの流速で流しながら反応器内の温度を80℃に保持した(反応保持温度(t):80℃)。その後、反応器入口のもう一方よりフッ素ガスを1.13ml/minの流速で供給した。反応器入口部で窒素ガスとフッ素ガスとが混合して、混合ガス(フッ素ガス濃度:0.275vol%)が生成された。この混合ガスが反応器内を流通し、反応器内に充填されたモレキュラーシーブHisiv−3000と接触した。混合ガスを結晶性アルミノシリケートに接触させる空間速度(SV)は1231Hr-1であった。反応器内の圧力は0.13MPaであった。フッ素ガスの導入直後より反応に伴う発熱が熱電対により観測された。最高発熱温度Δtは8.6℃であり、Δtに達した後発熱は終息方向に向かった。反応開始3時間後にフッ素ガスの供給を停止し、窒素ガスのみの供給を2時間継続した後、室温まで冷却した。反応器内に充填されたモレキュラーシーブHisiv−3000がフッ素化されて生成されたフッ素含有モレキュラーシーブHisiv−3000を反応器から取り出した。実施例1と同様に物性、重量変化を測定した。結果を表1に示す。
Figure 2014237555

Claims (12)

  1. 結晶性アルミノシリケートに、フッ素化合物ガスおよびフッ素ガスから選ばれる少なくとも1種ならびに不活性ガスを含む混合ガスを気相流通下で接触させて、−10〜230℃の反応温度の範囲内で反応を行うことを特徴とするフッ素含有結晶性アルミノシリケートの製造方法。
  2. 前記の反応を0.01〜2MPaの圧力範囲内で行うことを特徴とする請求項1に記載のフッ素含有結晶性アルミノシリケートの製造方法。
  3. 不活性ガスが、窒素、ヘリウム、アルゴンおよびネオンから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または2に記載のフッ素含有結晶性アルミノシリケートの製造方法。
  4. フッ素化合物が二フッ化カルボニルであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のフッ素含有結晶性アルミノシリケートの製造方法。
  5. 混合ガスにおけるフッ素化合物ガスおよびフッ素ガスから選ばれる少なくとも1種の濃度が0.09〜15vol%の範囲内であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のフッ素含有結晶性アルミノシリケートの製造方法。
  6. 混合ガスを結晶性アルミノシリケートに接触させる空間速度(SV)が20〜5000Hr-1の範囲内であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のフッ素含有結晶性アルミノシリケートの製造方法。
  7. 結晶性アルミノシリケートに混合ガスを接触させる前に、結晶性アルミノシリケートを不活性ガス流通下で、100〜550℃の温度範囲内で処理することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のフッ素含有結晶性アルミノシリケートの製造方法。
  8. 結晶性アルミノシリケートのシリカ/アルミナ比がモル比で2以上であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のフッ素含有結晶性アルミノシリケートの製造方法。
  9. 結晶性アルミノシリケートのシリカ/アルミナ比がモル比で5以上であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のフッ素含有結晶性アルミノシリケートの製造方法。
  10. 用いた結晶性アルミノシリケートの比表面積に対する得られたフッ素含有結晶性アルミノシリケートの比表面積の比率が30〜110%の範囲内であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のフッ素含有結晶性アルミノシリケートの製造方法。
  11. 得られたフッ素含有結晶性アルミノシリケートの細孔分布をN2、用いた結晶性アルミノシリケートの細孔分布をN1としたとき、下記で定義される細孔分布変化率RNが±30%の範囲内であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載のフッ素含有結晶性アルミノシリケートの製造方法。
    Figure 2014237555
  12. 得られたフッ素含有結晶性アルミノシリケートの重量をW2、用いた結晶性アルミノシリケートの重量をW1としたとき、下式で定義される重量変化率RWが±13%の範囲内であることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載のフッ素含有結晶性アルミノシリケートの製造方法。
    Figure 2014237555
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2021015129A1 (ja) * 2019-07-25 2021-01-28 東ソー株式会社 疎水性ゼオライト、その製造方法、及びその用途

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