JP2005336164A - 1,1−ジクロロエタンの精製方法およびその方法を用いる1,1−ジフルオロエタンの製造方法 - Google Patents

1,1−ジクロロエタンの精製方法およびその方法を用いる1,1−ジフルオロエタンの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 1,1−ジクロロエタン中に含まれる安定剤を除去することができ、操作が容易で工業的に実施可能な1,1−ジクロロエタンの精製方法およびこれを用いる1,1−ジフルオロエタンの製造方法を提供する。
【解決手段】 安定剤としてニトロ基および/または水酸基を有する化合物を含む1,1−ジクロロエタンを、平均細孔径が3.4〜11Åの範囲であるゼオライトおよび/または平均細孔径が3.4〜11Åの範囲である炭素質吸着剤と液相で接触させる。
【選択図】 なし

Description

本発明は1,1−ジクロロエタンの精製方法およびその方法を用いる1,1−ジフルオロエタンの製造方法に関する。
1,1−ジクロロエタン(CH3 CHCl2 )の製造方法としては、例えば、
(1)アセチレンと塩化水素との反応により塩化ビニル(CH2 =CHCl)を合成し、さらに塩化水素を付加する方法、
(2)アセトアルデヒドに五塩化リンを作用させる方法
等が知られている。これらの方法では、その製造工程や製品の安定性を確保するため、安定剤が、一般には数百〜数千質量ppmの量で、添加される。
一方、例えば、1,1−ジクロロエタンを原料として用いて製造される1,1−ジフルオロエタン(CH3 CHF2 )は、例えば、低温用冷媒やエッチングガスとして注目されている。
1,1−ジフルオロエタンの製造方法や精製方法としては、従来より、次のような方法が知られている。例えば、
(3)塩素化フッ素化炭化水素を、触媒の存在下に、水素で還元して製造する方法(特開平7−126197号)、
(4)1,1−ジクロロエタンとフッ化水素とを触媒の存在下に反応させて製造する方法(特開平6−228021号)
等である。
例えば、上記(3)、(4)の方法を用いて製造された1,1−ジフルオロエタンには、製造の間に発生するハイドロカーボン(HC)類、ハイドロクロロカーボン(HCC)類、クロロフルオロカーボン(CFC)類、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)類、ハイドロフルオロカーボン(HFC)類の飽和化合物や不飽和化合物等を含む様々な不純物が含まれる。
特に、1,1−ジクロロエタンとフッ化水素をフッ素化触媒の存在下で反応させる方法においては、反応原料の1つである1,1−ジクロロエタン中には、分解による酸分発生等を抑えるために添加された数百〜数千質量ppm程度の量の安定剤が含まれている。例えば、安定剤としては、ニトロ基および/または水酸基を有する化合物としてニトロメタン、ニトロエタン、ニトロクレゾール、ニトロトルエン、ニトロフェノール、フェノール、クレゾール、2,6−ジ−ブチル−p−クレゾール、アミノメチルフェノール等が挙げられ、これらの安定剤が含まれない場合には、1,1−ジクロロエタンは安定性に欠け、分解による酸分の発生等の副反応が進行する。
しかしながら、1,1−ジクロロエタン中に含まれる安定剤は、例えば、1,1−ジフルオロエタンを製造する際に用いられる触媒の活性劣化の原因となり、触媒寿命が短くなる等の問題が生じるので、かかる安定剤を含まないことが望ましい。
そこで、例えば、反応前に安定剤を除去すればよいのであるが、従来の分別蒸留等による除去方法は、操作が煩雑であり、多額の費用を要するという問題がある。
特開平7−126197号公報 特開平6−228021号公報
本発明は、このような背景の下になされたものであって、1,1−ジクロロエタン中に含まれる安定剤を除去することができ、操作が容易で工業的に実施可能な1,1−ジクロロエタンの精製方法と、この精製方法を用いる1,1−ジフルオロエタンの製造方法を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、安定剤を含む1,1−ジクロロエタンを、平均細孔径が3.4〜11Åの範囲であるゼオライトおよび/または平均細孔径が3.4〜11Åの範囲である炭素質吸着剤と液相で接触させることにより、含まれる安定剤を低減することができることを見出した。さらに、安定剤が低減された1,1−ジクロロエタンを原料として用いることにより、触媒寿命を長くする等の利点が得られ、また効率的かつ経済的に1,1−ジフルオロエタンを製造することができることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
したがって、本発明は、例えば、以下の〔1〕〜〔13〕に示される1,1−ジクロロエタンの精製方法および該精製方法を用いる1,1−ジフルオロエタンの製造方法を提供する。
〔1〕安定剤としてニトロ基および/または水酸基を有する化合物を含む1,1−ジクロロエタンを、平均細孔径が3.4〜11Åの範囲であるゼオライトおよび/または平均細孔径が3.4〜11Åの範囲である炭素質吸着剤と液相で接触させ、前記安定剤を低減させることを特徴とする1,1−ジクロロエタンの精製方法。
〔2〕前記ゼオライトのSi/Al比が2以下である上記〔1〕に記載の1,1−ジクロロエタンの精製方法。
〔3〕前記ゼオライトが、モレキュラーシーブ4A、モレキュラーシーブ5A、モレキュラーシーブ10Xおよびモレキュラーシーブ13Xからなる群より選ばれる少なくとも1種のゼオライトである上記〔1〕または〔2〕に記載の1,1−ジクロロエタンの精製方法。
〔4〕前記炭素質吸着剤が、モレキュラーシービングカーボン4Aおよび/またはモレキュラーシービングカーボン5Aである上記〔1〕に記載の1,1−ジクロロエタンの精製方法。
〔5〕安定剤としてニトロ基および/または水酸基を有する化合物を含む1,1−ジクロロエタンを、前記ゼオライトおよび/または前記炭素質吸着剤と接触させる温度が−20〜+60℃の範囲である上記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の1,1−ジクロロエタンの精製方法。
〔6〕安定剤としてニトロ基および/または水酸基を有する化合物を含む1,1−ジクロロエタンを、前記ゼオライトおよび/または炭素質吸着剤と接触させる圧力が0〜1MPaの範囲である上記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の1,1−ジクロロエタンの精製方法。
〔7〕上記〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の精製方法を用いて得られる、安定剤として含まれるニトロ基および/または水酸基を有する化合物が低減された1,1−ジクロロエタンを反応原料として用いる1,1−ジフルオロエタンの製造方法。
〔8〕次の3つの工程を含むことを特徴とする1,1−ジフルオロエタンの製造方法。
(1)上記〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の精製方法を用いて1,1−ジクロロエタン中に安定剤として含まれるニトロ基および/または水酸基を有する化合物を低減する工程、
(2)(1)の工程を経て前記ニトロ基および/または水酸基を有する化合物が低減された1,1−ジクロロエタンを、フッ素化触媒の存在下に、フッ化水素と気相で反応させて主として1,1−ジフルオロエタンを含む混合ガスを得る工程、および
(3)(2)の工程で得られた主として1,1−ジフルオロエタンを含む混合ガスを分離し、未反応物の少なくとも一部を工程(2)に循環する工程。
〔9〕前記(1)の工程を経た、前記ニトロ基および/または水酸基を有する化合物の総量が30質量ppm以下に低減された1,1−ジクロロエタンを用いて工程(2)を行なう上記〔8〕に記載の1,1−ジフルオロエタンの製造方法。
〔10〕前記(1)の工程を経た、前記ニトロ基および/または水酸基を有する化合物の総量が10質量ppm以下に低減された1,1−ジクロロエタンを用いて工程(2)を行なう上記〔8〕に記載の1,1−ジフルオロエタンの製造方法。
〔11〕ニトロ基および/または水酸基を有する化合物が、ニトロメタン、ニトロエタン、ニトロクレゾール、ニトロトルエン、ニトロフェノール、フェノール、クレゾール、2,6−ジ−ブチル−p−クレゾールおよびアミノメチルフェノールからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である上記〔7〕〜〔10〕のいずれかに記載の1,1−ジフルオロエタンの製造方法。
〔12〕前記(2)の工程で用いるフッ素化触媒が、Cu、Mg、Zn、Pb、Cr、Al、In、Bi、CoおよびNiからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を含み、接触温度が100〜350℃である上記〔8〕に記載の1,1−ジフルオロエタンの製造方法。
〔13〕前記(3)の工程で工程(2)に循環される未反応物が、1−クロロ−1−フルオロエタン、1,1−ジクロロエタンおよびフッ化水素からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である上記〔8〕に記載の1,1−ジフルオロエタンの製造方法。
本発明によれば、安定剤を含む1,1−ジクロロエタンから簡便な方法で効率よく安定剤を除去し、触媒の劣化等を防止することができ、経済的に1,1−ジフルオロエタンを製造することができ、得られた1,1−ジフルオロエタンは低温用冷媒やエッチングガスとして使用することができる。
以下、本発明の好ましい態様について詳しく説明する。
前述したように、1,1−ジクロロエタンの製造方法としては、例えば、(1)アセチレンと塩化水素との反応で塩化ビニルを合成し、さらに塩化水素を付加する方法、(2)アセトアルデヒドに五塩化リンを作用させる方法等が知られているが、前述の理由等により数百〜数千質量ppm程度の安定剤が含まれており、安定剤は微量であっても触媒活性劣化原因となるため、反応を行なう前にできる限り低減することが望ましい。
本発明者は、操作が容易で経済的で工業的に実用可能である、1,1−ジクロロエタン中に含まれる安定剤を低減する方法を開発すべく鋭意検討した結果、安定剤を含む1,1−ジクロロエタンを平均細孔径が3.4〜11Åであるゼオライトおよび/または平均細孔径が3.4〜11Åである炭素質吸着剤と液相で接触させることにより、安定剤を低減することができることを見出した。
本発明の1,1−ジクロロエタンの精製方法に用いられるゼオライトは、3.4〜11Å、好ましくは3.4〜10Åの平均細孔径を有するものであるのがよい。平均細孔径が11Åより大きいゼオライトでは、1,1−ジクロロエタンの吸着量が多くなり、平均細孔径が3.4Åより小さいゼオライトでは安定剤を吸着する能力が小さくなる。
また、ゼオライトのSi(シリカ)/Al(アルミニウム)比は2以下であることが好ましく、Si/Al比が2より大きい場合には、安定剤が選択的に吸着されないことがある。ゼオライトとしては、モレキュラーシーブ4A(MS−4A)、モレキュラーシーブ5A(MS−5A)、モレキュラーシーブ10X(MS−10X)およびモレキュラーシーブ13X(MS−13X)からなる群より選ばれる少なくとも1種のゼオライトが好ましい。これらのゼオライトを用いることにより、1,1−ジクロロエタン中の水分も同時に低減することができる。水分を含有するまま加熱するとアセトアルデヒドを生じるため、好ましくない。
炭素質吸着剤は3.4〜11Åの平均細孔径を有するものであるのがよく、平均細孔径が11Åより大きい炭素質吸着剤では1,1−ジクロロエタンの吸着量が多くなり、平均細孔径が3.4Åより小さい炭素質吸着剤では安定剤を吸着する能力が小さくなる。炭素質吸着剤としては、モレキュラーシービングカーボン4Aおよび/またはモレキュラーシービングカーボン5Aが好ましい。
ゼオライトと炭素質吸着剤は、吸着剤の再生を考慮すればそれぞれ単独で使用することが好ましいが、混合して使用することもできる。ゼオライトと炭素質吸着剤を混合する割合は特に制限はないが、1,1−ジクロロエタン中の水分を低減することも考慮すると、混合比はゼオライトに富む比率が好ましい。
安定剤を含む1,1−ジクロロエタンを、ゼオライトおよび/または炭素質吸着剤と液相で接触させる方法としては、回分式、連続式等の公知の方法を用いることができる。工業的には吸着剤を固定床にて連続的に流通させる方法が好ましく、液体基準の空間速度(LHSV)は安定剤の濃度および1,1−ジクロロエタンの処理量により適宣選択できるが、通常は1〜80Hr-1の範囲が好ましい。また、1,1−ジクロロエタン中の安定剤を低減する方法を工業的に実施するためには、吸着塔を2塔設け、それらを交互に切り替えて連続的に精製を行う方法を用いてもよい。
1,1−ジクロロエタンを液相で精製する際の処理温度としては、−20〜+60℃の範囲が好ましく、0〜50℃の範囲がより好ましい。処理温度が60℃より高いと装置の加熱や耐圧等の点で設備費が増大することになり、−20℃より低い温度では冷却設備等が必要となる等の問題がある。また、圧力は0〜1MPaの範囲が好ましく、0〜0.6MPaの範囲がより好ましい。圧力が1MPaより大きい場合には、設備の耐圧等の点で経済的に不利となる。
以上に説明したように、本発明の精製方法を用いることにより、1,1−ジクロロエタン中に含まれる安定剤を低減することができる。本発明の精製方法は、特に、ニトロ基および/または水酸基を有する化合物からなる安定剤に対して好ましく用いられ、安定剤としては、ニトロメタン、ニトロエタン、ニトロクレゾール、ニトロトルエン、ニトロフェノール、フェノール、クレゾール、2,6−ジーブチルーp−クレゾール、アミノメチルフェノール等の化合物が挙げられる。
本発明の方法に従い、安定剤を含む1,1−ジクロロエタンと前記のゼオライトおよび/または炭素質吸着剤とを、液相で、前記の条件下で接触させることにより、例えば、安定剤の総量が30質量ppm以下に低減された1,1−ジクロロエタンを得ることができる。また、好ましくは安定剤の総量が10質量ppm以下に低減された1,1−ジクロロエタン、さらに好ましくは安定剤の総量が5質量ppm以下に低減された1,1−ジクロロエタンを得ることも可能である。
次に、本発明の1,1−ジフルオロエタンの製造方法について説明する。
本発明の1,1−ジフルオロエタンの製造方法は、次の3つの工程を含むことを特徴とする。すなわち、
(1)前記の精製方法を用いて1,1−ジクロロエタン中に安定剤として含まれるニトロ基および/または水酸基を有する化合物を低減する工程、
(2)(1)の工程を経て前記ニトロ基および/または水酸基を有する化合物が低減された1,1−ジクロロエタンを、フッ素化触媒の存在下に、フッ化水素と気相で反応させて主として1,1−ジフルオロエタンを含む混合ガスを得る工程、および
(3)(2)の工程で得られた主として1,1−ジフルオロエタンを含む混合ガスを分離し、未反応物の少なくとも一部を工程(2)に循環する工程
である。
(1)の工程を経て得られた1,1−ジクロロエタンは、前記ニトロ基および/または水酸基を有する化合物の総量が30質量ppm以下に低減された1,1−ジクロロエタンであることが好ましく、さらに好ましくは前記ニトロ基および/または水酸基を有する化合物の総量が10質量ppm以下に低減されているのがよく、特に好ましくは前記ニトロ基および/または水酸基を有する化合物の総量が5質量ppm以下に低減されているのがよい。ニトロ基および/または水酸基を有する化合物の総量が30質量ppm以下に低減された1,1−ジクロロエタンを原料として1,1−ジフルオロエタンを製造すると、製造工程で使用する触媒の長寿命化が図れ、効率的かつ経済的に主として1,1−ジフルオロエタンを含む混合物を製造することができる。
製造工程で使用するフッ素化触媒としては、Cu、Mg、Zn、Pb、Cr、Al、In、Bi、CoおよびNiからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を含む担持型触媒または塊状型触媒が好ましい。より好ましくは、三価の酸化クロムを主成分とする担持型触媒または塊状型触媒である。反応温度は100〜350℃が好ましく、より好ましくは150〜300℃である。反応圧力は0〜1MPaが好ましく、フッ化水素と1,1−ジクロロエタンのモル比(HF/CH3 CHCl2 )は3〜20が好ましい。
前記の反応工程で得られた主として1,1−ジフルオロエタンを含む混合物は蒸留精製工程に導かれ、蒸留精製工程では主として塩化水素と1,1−ジフルオロエタンの低沸留分と主として未反応物や中間体であるフッ化水素、1,1−ジクロロエタン、1−クロロ−1−フルオロエタンの高沸留分に分離される。そして、低沸留分は塩化水素と目的物である1,1−ジフルオロエタンに分離される。一方、高沸留分である主としてフッ化水素、1,1−ジクロロエタンおよび1−クロロ−1−フルオロエタンの少なくとも一部は反応工程に循環して再利用される。
以下、実施例および比較例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
原料例1
市販の1,1−ジクロロエタンをガスクロマトグラフ(カラム:キャピラリー式/FID)で分析したところ、安定剤としてニトロメタン(CH3 NO2 )が1091質量ppm含まれ、また水分計(カールフィシャー型)にて水分を分析したところ46質量ppm含まれており、1,1−ジクロロエタンの純度は99.76質量%であった。
原料例2
市販の1,1−ジクロロエタンを原料例1と同様にして分析したところ、安定剤としてフェノールが含まれ、その含有量は542質量ppmであり、また水分が56質量ppm含まれており、1,1−ジクロロエタンの純度は99.84質量%であった。
実施例1
内容積200mlのステンレス製シリンダーに、ゼオライト〔モレキュラーシーブ5A(ユニオン昭和株式会社製:平均細孔径4.2Å、Si/Al比=1)〕を30g充填した。ゼオライトを真空乾燥後、シリンダーを冷却しながら、原料例1に示した1,1−ジクロロエタンを100g充填し、温度を18℃(室温)に保ちながら時々撹拌し、約6時間後に液相部の一部を採取し、前記のガスクロマトグラフおよび水分計にて分析した。
その結果、1,1−ジクロロエタン中の安定剤であるニトロメタンは3質量ppmに低減されており、また含まれる水分は2質量ppm以下であった。
実施例2
吸着剤としてゼオライト[モレキュラーシーブ13X(ユニオン昭和株式会社製:平均細孔径10Å、Si/Al比=0.81)]を20g充填した以外は実施例1と同様な操作および条件で処理し、分析を行った。その結果、1,1−ジクロロエタン中に含まれる安定剤のニトロメタンは1質量ppm以下であった。
実施例3
内容積200mlのステンレス製シリンダーに、炭素質吸着剤〔モレキュラーシービングカーボン5A(武田薬品工業株式会社製:平均細孔径5Å)〕を20g充填し、真空乾燥後、シリンダーを冷却しながら、原料例1に示した1,1−ジクロロエタンを90g充填した。温度を20℃(室温)に保ちながら時々撹拌し、約4時間後に液相部の一部を採取して前記のガスクロマトグラフ条件下で分析した。その結果、1,1−ジクロロエタン中の安定剤であるニトロメタンは13質量ppmに低減されていた。
比較例1
吸着剤としてゼオライト〔モレキュラーシーブXH−9(ユニオン昭和株式会社製:平均細孔径3.2Å、Si/Al比=1)〕を30g充填した以外は実施例1と同様な操作および条件で処理し、分析を行った。その結果、1,1−ジクロロエタン中に含まれる安定剤のニトロメタンは1068質量ppmであり、低減効果はほとんど認められなかった。
比較例2
吸着剤として炭素質吸着剤〔活性炭:粒状白さぎKL(武田薬品工業株式会社製:平均細孔径35Å)〕を20g充填した以外は実施例3と同様な操作および条件で処理し、分析を行った。その結果、1,1−ジクロロエタン中の安定剤であるニトロメタンは殆ど吸着されておらず、吸着熱での副反応によるアセトアルデヒド等の新たな分解生成物が検出された。
実施例4
内容積200mlのステンレス製シリンダーに吸着剤として実施例2に記載したモレキュラーシーブ13Xを15gと、実施例3に記載したモレキュラーシービングカーボン5Aを10g混合して充填した。シリンダー中の吸着剤を真空乾燥後、シリンダーを冷却しながら、原料例1に示した1,1−ジクロロエタンを100g充填し、温度を20℃に保ちながら時々撹拌し、約6時間後に液相の一部を採取して前記のガスクロマトグラフ条件下で分析を行った。その結果、1,1−ジクロロエタン中の安定剤であるニトロメタンは1質量ppm以下であった。
実施例5
原料例2に示した安定剤としてフェノールを含有する1,1−ジクロロエタンを用いた以外は実施例1に示した吸着剤を用い、実施例1と同様な操作および条件で処理し、分析を行った。その結果、1,1−ジクロロエタン中に含まれる安定剤であるフェノールは1質量ppm以下に低減され、また水分も3ppm以下であった。
実施例6
内容積2Lのステンレス製シリンダーにモレキュラーシーブ13X(MS−13X)を1.90L充填し、原料例1に示した1,1−ジクロロエタンを20℃、圧力0.2MPaの条件下で液相で3L/hrの線速で連続供給した。供給開始後、約3時間後の出口液中の分析を行った。1,1−ジクロロエタン中の安定剤であるニトロメタンは2質量ppm以下であり、この出口液を別容器に捕集した。
次に、三価の酸化クロムを主成分とする触媒80mlが充填されている内径1インチ、長さ1mのインコネル600型反応器を用い、窒素ガスを流しながら、反応器温度を200℃とし、次にフッ化水素を導入しながら触媒の活性化処理を行い、圧力0.2MPaの条件下に、フッ化水素を60NL/hrで供給後、窒素の供給を停止した。その後、前記のMS−13X処理後の出口液を8NL/hrで供給し、反応を開始した。反応開始から10時間後、出口ガス中の酸分をアルカリ水溶液で洗浄し、ガスクロマトグラフにて分析したところ、1,1−ジクロロエタンの転化率は99%であり、1,1−ジフルオロエタンの収率は96.3%であった。その後、反応を継続し、約100時間後および200時間後に前記と同様に分析したところ、1,1−ジクロロエタンの転化率は約99%であり、1,1−ジフルオロエタンの収率は約96.2%であった。これらの結果から明かなように、触媒の劣化は殆ど認められなかった。
比較例3
三価の酸化クロムを主成分とする触媒80mlが充填されている内径1インチ、長さ1mのインコネル600型反応器を用い、窒素ガスを流しながら、反応器温度を200℃とし、次にフッ化水素を導入しながら触媒の活性化処理を行ない、圧力0.2MPaの条件下に、フッ化水素を60NL/hrで供給後、窒素の供給を停止した。その後、原料例1に示した1,1−ジクロロエタン(安定剤:ニトロメタン1091質量ppm含有)を8NL/hrで供給し、反応を開始した。反応開始から3時間後、出口ガス中の酸分をアルカリ水溶液で洗浄し、ガスクロマトグラフにて分析したところ、1,1−ジクロロエタンの転化率は98%であり、1,1−ジフルオロエタンの収率は95%であった。その後、反応を継続し、約100時間後に前記と同様に分析したところ、1,1−ジクロロエタンの転化率は65%であり、1,1−ジフルオロエタンの収率は62%であった。これらの結果から明かなように、1,1−ジクロロエタン中の安定剤により触媒の劣化が著しく進行する。
本発明によれば、低温用冷媒やエッチングガスとして使用することができる、1,1−ジフルオロエタンを工業的に有利に製造することができる。

Claims (13)

  1. 安定剤としてニトロ基および/または水酸基を有する化合物を含む1,1−ジクロロエタンを、平均細孔径が3.4〜11Åの範囲であるゼオライトおよび/または平均細孔径が3.4〜11Åの範囲である炭素質吸着剤と液相で接触させ、前記安定剤を低減させることを特徴とする1,1−ジクロロエタンの精製方法。
  2. 前記ゼオライトのSi/Al比が2以下である請求項1に記載の1,1−ジクロロエタンの精製方法。
  3. 前記ゼオライトが、モレキュラーシーブ4A、モレキュラーシーブ5A、モレキュラーシーブ10Xおよびモレキュラーシーブ13Xからなる群より選ばれる少なくとも1種のゼオライトである請求項1または2に記載の1,1−ジクロロエタンの精製方法。
  4. 前記炭素質吸着剤が、モレキュラーシービングカーボン4Aおよび/またはモレキュラーシービングカーボン5Aである請求項1に記載の1,1−ジクロロエタンの精製方法。
  5. 安定剤としてニトロ基および/または水酸基を有する化合物を含む1,1−ジクロロエタンを、前記ゼオライトおよび/または前記炭素質吸着剤と接触させる温度が−20〜+60℃の範囲である請求項1〜4のいずれかに記載の1,1−ジクロロエタンの精製方法。
  6. 安定剤としてニトロ基および/または水酸基を有する化合物を含む1,1−ジクロロエタンを、前記ゼオライトおよび/または炭素質吸着剤と接触させる圧力が0〜1MPaの範囲である請求項1〜5のいずれかに記載の1,1−ジクロロエタンの精製方法。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の精製方法を用いて得られる、安定剤として含まれるニトロ基および/または水酸基を有する化合物が低減された1,1−ジクロロエタンを反応原料として用いる1,1−ジフルオロエタンの製造方法。
  8. 次の3つの工程を含むことを特徴とする1,1−ジフルオロエタンの製造方法。
    (1)請求項1〜6のいずれかに記載の精製方法を用いて1,1−ジクロロエタン中に安定剤として含まれるニトロ基および/または水酸基を有する化合物を低減する工程、
    (2)(1)の工程を経て前記ニトロ基および/または水酸基を有する化合物が低減された1,1−ジクロロエタンを、フッ素化触媒の存在下に、フッ化水素と気相で反応させて主として1,1−ジフルオロエタンを含む混合ガスを得る工程、および
    (3)(2)の工程で得られた主として1,1−ジフルオロエタンを含む混合ガスを分離し、未反応物の少なくとも一部を工程(2)に循環する工程。
  9. 前記(1)の工程を経た、前記ニトロ基および/または水酸基を有する化合物の総量が30質量ppm以下に低減された1,1−ジクロロエタンを用いて工程(2)を行なう請求項8に記載の1,1−ジフルオロエタンの製造方法。
  10. 前記(1)の工程を経た、前記ニトロ基および/または水酸基を有する化合物の総量が10質量ppm以下に低減された1,1−ジクロロエタンを用いて工程(2)を行なう請求項8に記載の1,1−ジフルオロエタンの製造方法。
  11. ニトロ基および/または水酸基を有する化合物が、ニトロメタン、ニトロエタン、ニトロクレゾール、ニトロトルエン、ニトロフェノール、フェノール、クレゾール、2,6−ジ−ブチル−p−クレゾールおよびアミノメチルフェノールからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である請求項7〜10のいずれかに記載の1,1−ジフルオロエタンの製造方法。
  12. 前記(2)の工程で用いるフッ素化触媒が、Cu、Mg、Zn、Pb、Cr、Al、In、Bi、CoおよびNiからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を含み、接触温度が100〜350℃である請求項8に記載の1,1−ジフルオロエタンの製造方法。
  13. 前記(3)の工程で工程(2)に循環される未反応物が、1−クロロ−1−フルオロエタン、1,1−ジクロロエタンおよびフッ化水素からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である請求項8に記載の1,1−ジフルオロエタンの製造方法。
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