JP2014236726A - 胃がんの再発を予測する方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡便かつ精度良く胃がんの再発を予測できる実用的な方法を提供する。
【解決手段】本発明は、陰性コントロールプローブが固定された位置で測定された標識断片の測定量を基準として、CEA、TFF1、FABP1、CK20、及びMUC2からなる5種のマーカー遺伝子検出用プローブが固定された位置におけるマーカー遺伝子の標識断片の量に関する測定量の結果が、第一の閾値を超えたとき、胃がん試料が陽性であると判定するステップを含む。
【選択図】図1

Description

本発明は、胃がんの再発を予測する方法、及び、これに用いる胃がん再発予測用キットに関する。
近年、DNAチップ技術を用いた、細胞診に換わる再発予測法が開発されている。
特許文献1には、TFF1、TFF2、FABP1、CK20、MUC2、CEA、TACSTD1、MASPIN、PRSS4、GW112並びにACTBの合計11種類の遺伝子の発現レベルの測定に基づき、胃がんの再発予測を行うことが記載されている。特許文献1の技術によれば、対象のがん患者から採取した試料を利用して対象の遺伝子の一部の領域をPCRにより増幅し、得られたPCR増幅物と、合計11種類のプローブが固相上に配置されているアレイとをハイブリダイゼーションさせて、得られる結果から、均一で正確な胃がんの再発予測のためのデータ取得が可能になるとされている。
また、非特許文献1には、CK20、FABP1、TFF1及びMASPINについてのマイクロアレイアッセイと免疫細胞化学的な結果が非常に一致していたことが記載されている。
特開2006−223303号公報
Annals of Surgical Oncology,14,1694−1702,2007
しかしながら、上記文献の技術では、カットオフ値を定めるため、検査対象検体と同時に早期胃がん検体を用いた測定を行う必要があった。
例えば、特許文献1の技術では、早期胃がん症例39例の最大輝度値を判定値としてこの判定値を上回る輝度値が得られた遺伝子について、「有意な発現があった」と判断している。
また、非特許文献1の技術では、早期胃がんサンプル39例のMAX SD(maximum value plus standard deviation)またはAVG 2SD(average value plus twice or more positive markers)をカットオフ値として設定し、結果として後者が有効であることを示している。
したがって、上記文献の技術では、40例近くの早期胃がんの症例を検査ごとに使用しなければ的確な胃がんの再発予測を行うことが困難であり、実用的な方法ではでないということがあった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、検査対象検体と同時に早期胃がん検体を用いた測定を行わなくても、正確に胃がんの再発を予測できる、簡便かつ実用的な方法を提供する。
本発明によれば、胃がん試料(腹腔内洗浄液)中に含まれる胃がん細胞に特異的なマーカー遺伝子の少なくとも一部の領域をポリメラーゼ連鎖反応(Polymerase Chain Reaction、PCR)により増幅するとともに標識して前記マーカー遺伝子の標識断片を取得するステップと、
前記マーカー遺伝子を検出する少なくとも一つのマーカー遺伝子検出用プローブと、植物由来の陰性コントロールプローブとが所定の位置にそれぞれ固定された担体に、前記マーカー遺伝子の前記標識断片を接触させて、前記マーカー遺伝子検出用プローブと前記マーカー遺伝子の前記標識断片とをハイブリダイズさせるステップと、
ハイブリダイズさせる前記ステップの後に、前記マーカー遺伝子検出用プローブが固定された位置、及び、前記陰性コントロールプローブが固定された位置における前記マーカー遺伝子の前記標識断片の量に関する測定量を取得するステップと、
前記陰性コントロールプローブが固定された位置における前記標識断片の量に関する測定量を基準として、前記マーカー遺伝子検出用プローブが固定された位置における前記標識断片の量に関する測定量が第一の閾値を超えたとき、前記胃がん試料が陽性であると判定するステップと、
を含み、
前記胃がん試料が陽性であると判定する前記ステップにおいて、CEA、TFF1、FABP1、CK20、及びMUC2からなる5種の前記マーカー遺伝子を用いて、前記胃がん試料の陽性を判定することを特徴とする胃がんの再発を予測する方法が提供される。
また、本発明によれば、胃がん細胞に特異的なマーカー遺伝子を検出する少なくとも一つのマーカー遺伝子検出用プローブと、陰性コントロールプローブとが所定の位置にそれぞれ固定された担体を備え、
前記マーカー遺伝子は、CEA、TFF1、FABP1、CK20、及びMUC2からなる5種であり、
胃がん試料中に含まれる前記マーカー遺伝子の少なくとも一部の領域をポリメラーゼ連鎖反応(Polymerase Chain Reaction, PCR)により増幅するとともに標識して、取得された前記マーカー遺伝子の標識断片を前記マーカー遺伝子検出用プローブとハイブリダイズさせ、ハイブリダイズ後に、前記マーカー遺伝子検出用プローブが固定された位置、及び、前記陰性コントロールプローブが固定された位置における前記マーカー遺伝子の前記標識断片の量に関する測定量を取得し、前記陰性コントロールプローブが固定された位置における前記マーカー遺伝子の前記標識断片の量に関する測定量を基準として、前記マーカー遺伝子検出用プローブが固定された位置における前記マーカー遺伝子の前記標識断片の量に関する測定量が第一の閾値を超えたとき、前記胃がん試料が陽性であると判定することで胃がんの再発を予測するための胃がん再発予測用キットが提供される。
この発明によれば、植物由来の陰性コントロールプローブを担体に固定し、マーカー遺伝子検出用プローブと胃がん試料のPCR産物とをハイブリダイゼーションさせて、マーカー遺伝子検出用プローブが固定された位置で測定された標識断片の量と、陰性コントロールプローブの位置で測定された標識断片の量との対比の結果を用いて胃がんの再発を予測する。これにより、植物由来の核酸鎖が陰性コントロールとなり、バックグラウンド値を決定できるため、検査対象検体とバックグラウンド値を決定するための早期胃がん検体とを同時に測定することなく、あらかじめ定めた閾値に基づき、胃がんの再発予測を正確に行うことができる。したがって、簡便かつ実用的な胃がん再発予測が実現可能になる。
本発明によれば、検査対象検体と同時に早期胃がん検体を用いた測定を行わなくても、正確に胃がんの再発を予測できる、簡便かつ実用的な方法を提供することができる。
実施の形態に係る胃がんの再発を予測する方法を説明するフローチャートである。 実施の形態に係る胃がんの再発を予測する方法を説明するフローチャートである。 実施の形態で用いるDNAマイクロアレイのレイアウトの一例を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本実施形態の胃がんの再発を予測する方法を説明するフローチャートである。
図1に示すように、本実施形態に係る胃がんの再発を予測する方法は、胃がん試料(腹腔内洗浄液)中に含まれる胃がん細胞に特異的なマーカー遺伝子の少なくとも一部の領域をポリメラーゼ連鎖反応(Polymerase Chain Reaction、PCR)により増幅するとともに標識してマーカー遺伝子の標識断片を取得するステップと、マーカー遺伝子を検出する少なくとも一つのマーカー遺伝子検出用プローブと、植物由来の陰性コントロールプローブとが所定の位置にそれぞれ固定された担体に、マーカー遺伝子の標識断片を接触させて、マーカー遺伝子検出用プローブとマーカー遺伝子の標識断片とをハイブリダイズさせるステップと、ハイブリダイズさせるステップの後に、マーカー遺伝子検出用プローブが固定された位置、及び、陰性コントロールプローブが固定された位置におけるマーカー遺伝子の標識断片の量に関する測定量を取得するステップと、陰性コントロールプローブが固定された位置における標識断片の量に関する測定量を基準として、マーカー遺伝子検出用プローブが固定された位置における標識断片の量に関する測定量が第一の閾値を超えたとき、胃がん試料が陽性であると判定するステップ(図中、「術後再発の判定」)と、を含んでいる。この方法によれば、胃がん試料が陽性であると判定するステップにおいて、CEA、TFF1、FABP1、CK20、及びMUC2からなる5種のマーカー遺伝子を用いて、胃がん試料が陽性であるか否かを判定している。こうすることで、上記背景技術の項にて前述した技術のように検査対象検体と同時に早期胃がん検体を用いた測定を行わなくても、高い確度で胃がんの再発を予測できる、簡便かつ実用的な方法を実現することができる。
以下、胃がんの再発を予測するために本実施形態に係る方法を用いることが好ましい理由を説明する。
まず、胃がんとは、胃の粘膜にできた悪性腫瘍のことを指す。そして、胃がんは、進行状態の違いにより、「早期胃がん」と「進行胃がん」の2種類に分類することができる。一般的に、「早期胃がん」とは、がん細胞が、粘膜層、または粘膜下層に存在しているものを指す。この「早期胃がん」は、侵襲性の小さい外科的切除や内視鏡的切除により、その90%以上を根治することができる。一方、「進行胃がん」とは、がん細胞が、固有筋層や、固有筋層より深い漿膜下組織、漿膜に存在しているものを指す。この進行胃がんは、最終的には胃以外のリンパ節、腹膜および肝臓などの遠隔部位に転移する。
ここで、胃がんの転移において最も頻度が高く発生するのは腹膜転移である。そして、腹膜転移は、胃がんの転移症例全体の60%程度を占める。そのため、開腹時にまたは治療前に行われる審査腹腔鏡時に、患者の腹腔内を洗浄して得られた腹腔洗浄液を採取し、顕微鏡を用いて腹腔内に散らばったがん細胞の有無を調べる検査が、日常診断として行われている(細胞診)。実際、細胞診で陽性と判定される症例の多くは、肉眼的に、またはCT検査で腹膜に転移している症例ではなく、漿膜また漿膜下に留まっているものの、一部のがん細胞が浸潤し、漿膜を破って腹腔内に微量に存在している症例である。このため、現在、細胞診は、術後のCT検査や血中腫瘍マーカーの経過観察等と同様に、胃がんの再発予知診断の1つとして重要な役割を担っている。
また、細胞診で陽性と判定された症例の内、術後の腹膜転移率は、約80%と高く、5年生存率は、20%以下で予後不良である。しかしながら、細胞診で陰性と判定された症例である場合においても、術後に転移する症例が多くあり、こうした症例を、上述した細胞診にて転移を予知できる割合は、30%程度とされている。このため、細胞診よりも感度良く腹腔内洗浄液中にがん細胞が存在しているか否かを正確に見極める技術が要求されている。
本実施形態に係る胃がんの再発を予測する方法は、上述したように、腹腔内洗浄液を試料として用いるとともに、特定の5種のマーカー遺伝子を用いて当該試料中に胃がん細胞の遺伝子産物mRNAが含まれているか否かを判定するものである。このように本実施形態に係る方法は、遺伝子レベルでの解析を可能とするものであるが故、腹腔内に微量のがん細胞が存在している場合であったとしても、その存在を検出することができるものである。
また、本実施形態に係る方法は、腹腔内洗浄液に含まれる細胞から抽出したRNAを鋳型とし、PCRを行って得られた蛍光標識された遺伝子試料の蛍光を測定をすることにより、胃がんの再発を予測するものである。すなわち、本実施形態に係る方法では、顕微鏡下の細胞形態観察、目視による評価ではなく、測定した数値により胃がんの再発を予測しているといえる。このため、本実施形態に係る方法によれば、簡便かつ実用的な方法で、客観的に胃がんの再発を予測することができる。
次に、図2を用いて、本実施形態に係る胃がんの再発を予測する詳細な方法について詳説する。
図2は、本実施形態の胃がんの再発を予測する方法を説明するフローチャートである。本実施形態は、胃がん試料中に含まれる胃がん細胞に特異的なマーカー遺伝子の少なくとも一部の領域をPCRにより増幅するとともに標識するステップ(S104)と、マーカー遺伝子の標識断片を取得するステップ(S105)と、マーカー遺伝子を検出する少なくとも一つのマーカー遺伝子検出用プローブと、陰性コントロールプローブとが所定の位置にそれぞれ固定された担体に、マーカー遺伝子の標識断片の混合物を接触させるステップ(S107)と、マーカー遺伝子検出用プローブとマーカー遺伝子の標識断片とをハイブリダイズさせるステップ(S108)と、S108の後に、マーカー遺伝子検出用プローブが固定された位置、及び、陰性コントロールプローブが固定された位置における標識断片の量をそれぞれ測定するステップ(S109)と、マーカー遺伝子検出用プローブが固定された位置で測定された標識断片の量と陰性コントロールプローブが固定された位置で測定された標識断片の量とを対比し、対比の結果が第一の閾値を超えたとき、胃がん試料が陽性であると判定するステップ(S110:(図中、「術後再発の判定」))と、を含む。
本実施形態において、植物由来の陰性コントロールプローブとしては、例えば、シロイヌナズナ、イネ、コムギ、ミヤコグサ、タバコなどの高等植物由来の核酸鎖を用いることができるが、中でもシロイヌナズナ由来の核酸鎖が好ましい。なお、このプローブは、あらゆるヒト由来核酸鎖と相補性を持たない、または極めて低いものである。
以下、陰性コントロールプローブとして、シロイヌナズナ由来のDNA鎖(以下、「シロイヌナズナDNA鎖」ともいう。)を用いる例を挙げて各ステップについて具体的に説明する。
まず、本実施形態の方法を実行するための胃がん再発予測用キットを用意する。このキットは、少なくとも一つのマーカー遺伝子検出用プローブと、配列番号1で表される塩基配列からなるシロイヌナズナ遺伝子検出用プローブ(以下、「シロイヌナズナプローブ」ともいう。)とが所定の位置にそれぞれ固定された担体を備えている。
マーカー遺伝子検出用プローブは、好ましくは、5種の腫瘍マーカー遺伝子に対し、それぞれ特異的な配列を有するものである。5種の腫瘍マーカー遺伝子は、具体的には、CEA(がん胎児性抗原)、TFF1(trefoil factor family 1)、FABP1(Fatty acid binding protein 1)、CK20(Cytokeratin. 20)、及びMUC2(腸型ムチン)である。これら5種の腫瘍マーカー遺伝子は、いずれも、腹腔内洗浄液中の胃がん細胞の検出に有用であり、活性化中皮を区別できるものである。また、マーカー遺伝子を検出するためのプローブとしては、表1に示すものが例示できる。具体的には、配列番号2で表される塩基配列からなるCEA検出用プローブと、配列番号3で表される塩基配列からなるTFF1検出用プローブと、配列番号4で表される塩基配列からなるFABP1検出用プローブと、配列番号5で表される塩基配列からなるCK20検出用プローブと、配列番号6で表される塩基配列からなるMUC2検出用プローブである。本実施形態に係るこれら5種のマーカー遺伝子は、従来使用されているマーカー遺伝子と比較して、感度(真陽性率)が高い。
たとえば、従来使用されているマーカー遺伝子として、TACSTD1がある。この遺伝子を検出するためのプローブとしては、配列番号7で表される塩基配列からなるTACSTD1検出用プローブがある。このTACSTD1は、本実施形態に係る5種のマーカー遺伝子よりも感度(真陽性率)に劣っている。すなわち、マーカー遺伝子として、TACSTD1を用いた場合、再発予測の精度が低下する。
このため、たとえ、TACSTD1の発現量が高かったとしても、本実施形態に係る上記5種のマーカー遺伝子の発現量が高いときに陽性と判断する方が、予測精度という観点において優れた再発予測を行うことができる。
Figure 2014236726
担体としては基板、ビーズ、繊維など様々な担体を用いることができる。基板の形状は板状には限られず、たとえばフィルム状やシート状であってもよい。また、基板は、一つの部材から構成されていてもよいし、複数の部材から構成されていてもよい。担体の材質としては、金属、ガラス、プラスチック、ポリマー、繊維等、を用いることができる。高感度で、かつ、同時に多項目の遺伝子を検出する方法としては、基板に検出用プローブを固定化したDNAマイクロアレイが挙げられる。このDNAマイクロアレイには、基板上の一定の区画内に複数のスポットを設けておき、各スポットにプローブをそれぞれ固定化しておき、マイクロアレイを形成しておくことが好ましい。
また、担体としては、高分子物質からなるコーティング層を表面に含む基板を用いてもよい。高分子物質からなるコーティング層を表面に含む基板は、所定の形状に加工された基板の表面に高分子物質を含む液体を塗布し、乾燥することにより得ることができる。また、高分子物質を含む液体中に基板を浸漬し、乾燥してもよい。
担体として「高分子物質からなるコーティング層を表面に含む基板」を用いる場合、高分子物質としては、例えば、「リン脂質の親水部を構成するリン酸エステルより誘導される基を有する第一単位とカルボン酸誘導基を有する第二単位とを含む高分子物質」を用いることができる。「リン脂質の親水部を構成するリン酸エステルより誘導される基を有する第一単位とカルボン酸誘導基を有する第二単位とを含む高分子物質」は、例えば、特開2006−187270号公報の段落0033〜0066に記載のものを用いることができるが、中でも、下記一般式(1)で表される、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)基を有する第一単量体と、p−ニトロフェニルオキシカルボニルポリエチレングリコールメタクリレート(NPMA)基を有する第二単量体と、n−ブチルメタリレート(BMA)基を有する第三単量体との共重合体であるpoly(MPC−co−BMA−co−NPMA)(PMBN)が特に好ましい。
Figure 2014236726
ただし、上記一般式(1)において、a、b、およびcは、それぞれ独立して、正の整数であり、aが5〜200、bが10〜500、cが1〜100であることが好ましい。また、上記一般式(1)において、第一〜第三単量体がブロック共重合していてもよいし、これらの単量体がランダムに共重合していてもよい。
また、「高分子物質からなるコーティング層を表面に含む基板」を用いる場合、高分子物質からなるコーティング層を形成させる基板としては、プラスチック基板が、形状やサイズの変更に対する柔軟性が確保される上に、ガラス基板のものに比べて安価で提供することができるという観点から好ましい。このようなプラスチック材料としては、表面処理の容易性および量産性の観点から、熱可塑性樹脂を用いることができる。
熱可塑性樹脂としては、蛍光発生量の少ないものを用いることができる。蛍光発生量の少ない樹脂を用いることにより、DNA鎖の検出反応におけるバックグラウンドを低下させることができるため、検出感度をさらに向上させることができる。蛍光発生量の少ない熱可塑性樹脂としては、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン等の直鎖状ポリオレフィン;環状ポリオレフィン;含フッ素樹脂;等を用いることができる。上記樹脂の中でも、飽和環状ポリオレフィンは、耐熱性、耐薬品性、低蛍光性、透明性および成形性に特に優れるため、光学的な分析に好適であり、基板の材料として好ましく用いられる。
ここで、飽和環状ポリオレフィンとは、環状オレフィン構造を有する重合体単独または環状オレフィンとα−オレフィンとの共重合体を水素添加した飽和重合体を指す。前者の例としては、たとえばノルボルネン、ジシクロペンタジエン、テトラシクロドデセンに代表されるノルボルネン系モノマー、及び、これらのアルキル置換体を開環重合して得られる重合体を水素添加して製造される飽和重合体である。後者の共重合体はエチレンやプロピレン、イソプロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等のα−オレフィンと環状オレフィン系モノマーのランダム共重合体を水素添加することにより製造される飽和重合体である。共重合体では、エチレンとの共重合体が最も好ましい。これらの樹脂は単独で用いてもよく、2種類またはそれ以上の共重合体あるいは混合物であってもよい。また、環状オレフィン構造を有する単量体が開環重合して得られる飽和環状ポリオレフィンだけでなく、環状オレフィン構造を有する単量体の付加重合により得られる飽和環状ポリオレフィンを用いることもできる。
担体へのシロイヌナズナプローブ、λDNAプローブ及びマーカー遺伝子検出用プローブ(以下、単に「プローブDNA」ともいう。)の固定化方法は、特に限定されないが、担体として、PMBNのコーティング層を表面に含む基板を用いる場合、例えば、PMBNに含まれるp−ニトロフェニルオキシカルボニル基とプローブDNAとを反応させて共有結合を形成させることにより、基板表面でプローブDNAを固定化することができる。
プローブDNAを基板上に固定化する際には、プローブDNAを溶解または分散した液体を点着する方法が好ましい。このプローブDNAを溶解または分散した液体は、例えば中性からアルカリ性、例えばpHが7.6以上とすることができる。
また、点着後、基板表面に固定化されなかったプローブDNAを除去するため、純水や緩衝液で洗浄してもよい。洗浄後はプローブDNAを固定化した以外の基板表面のp−ニトロフェニルオキシカルボニル基の不活性化処理をアルカリ化合物、あるいは一級アミノ基を有する化合物で行ってもよい。
また、基板に固定化するプローブDNAには、p−ニトロフェニルオキシカルボニル基との反応性を高めるため、アミノ基を導入しておくことが好ましい。アミノ基はp−ニトロフェニルオキシカルボニル基との反応性に優れるため、アミノ基が導入されたプローブDNAを用いることにより、効率よくかつ強固に基板の表面上にプローブDNAを固定化することができる。アミノ基の導入位置はプローブDNAの分子鎖末端あるいは側鎖であってもよいが、分子鎖末端に導入されていることが、相補的な鋳型DNA断片とのアニーリングをより一層効率よく行うことができるという観点からは、好ましい。
以上により、基板の表面上に表1に示すプローブが固定化されたDNAマイクロアレイを得ることができる。
DNAマイクロアレイによる発現解析を行う場合には、より確度の高い判定を行うため、内部コントロールや外部コントロールを用いることが好ましい。本実施形態では、内部コントロールとして、ACTB(ベータアクチン)を用いることができる。また、外部コントロールとしては、陰性コントロールや陽性コントロールを用いることができ、上述のとおり本実施形態では、陰性コントロールとしてシロイヌナズナDNA鎖を用いることができ、陽性コントロールとしてλDNA鎖を用いることができる。ACTBを内部コントロールとして用いる場合は、配列番号8で表される塩基配列からなるACTB検出用プローブを内部コントロールプローブとして担体に固定させることができる。ACTB検出用プローブの固定化もシロイヌナズナプローブやマーカー遺伝子検出用プローブの固定化と同様に行うことができる。
胃がん再発予測用キットには、マーカー遺伝子の一部の領域を増幅するためのプライマーセットを備えることが好ましい。こうすることで、審査腹腔鏡時の洗浄液もしくは開腹時腹腔内洗浄液から抽出したtotalRNAが少ない場合であっても、増幅させて有効な判定が可能になる。表1で示すプローブによって検出される各マーカー遺伝子のプライマー塩基配列を表2に示す。具体的には、配列番号10、11で表される塩基配列からなるCEA増幅用プライマーセット、配列番号12、13で表される塩基配列からなるTFF1増幅用プライマーセット、配列番号14、15で表される塩基配列からなるFABP1増幅用プライマーセット、配列番号16、17で表される塩基配列からなるCK20プライマーセット、及び配列番号18、19で表される塩基配列からなるMUC2プライマーセットが挙げられる。本実施形態では、これらのプライマーセットを用いて胃がん試料中に含まれるマーカー遺伝子の少なくとも一部の領域をPCRにより増幅することが好ましい。また、内部コントロールとしてACTBを用いる場合は、配列番号22、23で表される塩基配列からなるプライマーセットにより、ACTBの一部の領域を増幅させてもよい。なお、表2には、表1に示すプライマーにより増幅されるPCR産物の塩基長も併せて示す。
また、表2には上記において従来使用されているマーカー遺伝子として例示したTACSTD1の一部の領域を増幅するための、配列番号20、21で表される塩基配列からなるTACSTD1プライマーセットについても併せて示す。
Figure 2014236726
このようにして得られる胃がん再発予測用キットを用意した後、図2に示すように、研究使用目的に対するインフォームド・コンセントが得られた胃がん患者から腹腔内洗浄液を回収し(S101)、これを遠心して浮遊成分である遊離細胞をペレット状に沈殿させた後、そのペレットからtotalRNAを抽出する(S102)。totalRNAの抽出方法は各種の方法が考案され、多くのメーカーによりキット化されており、本実施形態においてはいずれのキットも使用可能である。
ついで、胃がん試料中に含まれるtotalRNAを増幅させるため、RT−PCRを行う。具体的には、まず、逆転写酵素を用いた逆転写反応(Reverse Transcription、RT)により、抽出したtotalRNAを鋳型として、例えば、ランダムヘキサマーやオリゴdTプライマー等のプライマーの存在下でデオキシヌクレオチド三リン酸(dNTP)を基質とし、抽出したtotalRNAに相補的なcDNAを5'→3'方向に合成する(S103)。
その後、得られたcDNAを用いてPCR増幅反応を行う(S104)。具体的には、合成したcDNA、配列番号10〜25で表される塩基配列からなるプライマー、DNAポリメラーゼ及びdNTPと、DNAポリメラーゼが働く至適塩濃度環境を作るためのバッファー溶液とを混合し、市販のPCR装置にセットする。使用するDNAポリメラーゼは、耐熱性を有するものであればよい。
その後、(1)cDNAの熱変性(94〜96℃)、(2)配列番号10〜25で表される塩基配列からなるプライマーのアニーリング(55〜60℃)、(3)DNAポリメラーゼによる相補鎖の合成(72〜74℃)の3段階の温度変化を、例えば、20〜30サイクル繰り返し、cDNAを増幅する。
ここで、PCR増幅反応は、dNTPとともに、ラベル化したヌクレオチドモノマーを用いて実行する。こうすることで、蛍光標識されたマーカー遺伝子の標識断片を取得することができる。ラベル方法は、蛍光体、光吸収体、放射性核種(P32)、酵素標識などの方法が挙げられる。
例えば、蛍光ラベル化ヌクレオチドモノマーとしては、dTTPの塩基の3位を蛍光ラベルしたCy3−dUTPが挙げられる。Cy3−dUTPを用いた場合、鋳型DNA断片のアデニン(A)に対応する伸長(プライマー)側の位置にCy3−dUTPが挿入されたPCR産物を得ることができる。
また、放射性核種によるラベル化ヌクレオチドモノマーとしては、P32−ATP、P32−dATPが挙げられる。
また、アミノアリルdUTPを用いてPCR増幅反応をし、反応後に、アミノアリルdUTPを含むPCR産物に対して、Cy3蛍光色素やアミノ基染色試薬(NHS−試薬)を用いて発色させてもよい。
酵素標識の方法においては、ビオチン(biotin)化またはジゴキシゲニン(DIG:ステロイド系天然物)を結合した核酸(例えば、biotin−dUTP、DIG−dUTP)を使用して増幅した後、得られるPCR産物にアルカリフォスファターゼまたはアルカリフォスファターゼ処理しニトロブルーテトラゾリウム(NBT)と5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルリン酸(BCIP)液中で数時間反応させて発色させることもできる。
なお、S104では、逆転写反応で得られたcDNAとともに、陽性コントロール核酸鎖をバッファー溶液に混合して、増幅反応を行ってもよい。陽性コントロール核酸鎖としては、微生物由来の核酸鎖を用いることができ、具体的にはバクテリオファージ等のウイルス由来のものが挙げられる。陽性コントロール核酸鎖としてλDNA鎖を用いる場合、陽性コントロール核酸鎖増幅用プライマーセットとして、表2で示す配列番号24及び25で表される塩基配列からなるプライマーを用いてλDNA鎖の少なくとも一部の領域を増幅させることができる。こうすることで、陽性コントロール核酸鎖の標識断片を取得することができる。この場合、λDNA鎖を検出するため、陽性コントロールプローブとして、表1で示す配列番号9で表される塩基配列からなるλDNA検出用プローブをあらかじめ担体に固定しておく。このλDNA検出用プローブは、配列番号24及び25で表される塩基配列からなるプライマーにより増幅されるλDNA鎖の断片と相補的に結合できるように設計されている。
このようにして、標識したPCR産物(標識DNA断片)を取得した後(S105)、得られた標識DNA断片とDNAプローブを接触させ ハイブリダイゼーションを行う。ハイブリダイゼーションバッファーは、公知のものを用いることができるが、例えば、SSC又はSSPEと、SDSと、ホルムアミドとの混合液を用いることができる。
ついで、混合した標識DNA断片及びシロイヌナズナDNA鎖を、ハイブリダイゼーションバッファー、及び、プローブDNAが固定化されたDNAマイクロアレイとともにハイブリダイゼーション装置にセットし(S107)、例えば、45℃〜60℃で3〜24時間、好ましくは3〜5時間、ハイブリダイゼーションする(S108)。
その後、マイクロアレイの洗浄後に、市販のマイクロアレイスキャナーを用いて標識断片の量を測定する(S109)。S104において、微生物由来のDNA鎖、特に、λDNAを用いてマーカー遺伝子とともにPCR増幅させた場合は、S109においてλDNA鎖の標識断片の測定量を基準として各マーカー遺伝子の標識断片の量を測定してもよい。具体的には、λDNA検出用プローブが固定された位置における標識断片の測定量が所定の範囲になるように検出感度を制御する。こうすることで、アッセイ間のバラツキを補正することができる。また、蛍光標識されたマーカー遺伝子の標識断片については、マーカー遺伝子検出用プローブが固定された位置、及び、陰性コントロールプローブが固定された位置の蛍光強度をそれぞれ測定することが好ましい。
また、得られた標識断片の量の実測値に種々の補正をかけ、補正された実測値を真の測定値としてもよい。例えば、プローブDNAが固定化されていない担体表面の標識断片の測定量をバックグラウンドとして測定結果から差し引いて、測定値としてもよい。
その後、得られた測定値に基づき胃がん試料の術後胃がん再発の予測を行う(S110)。DNAマイクロアレイによる発現解析を行う場合には、各プローブ、判定対象となるtotalRNAごとにしかるべき規格化を行い、各サンプル間で比較可能となる調整を行うことで、より確度の高い判定を行うことが出来る。
具体的には、各遺伝子の発現量(発現レベル)のカットオフ値を設定し、カットオフ値を上回った遺伝子数をカウントし、定めた数を上回るか下回るかにより判定を行う方法が有効である。そこで、本実施形態では、シロイヌナズナDNA鎖を陰性コントロールとし、これを基準として、カットオフ値(閾値)を導き出す。
閾値を導き出す方法は、医療機関において実際の検体を用いた解析により、経験的に、マーカー遺伝子ごとに、所定の閾値(第一の閾値)を定める。具体的には、臨床の所見やその他の測定値を合わせて第一の閾値が定められる。そして、シロイヌナズナ検出用プローブが固定された基板の位置における標識断片の測定量を基準として、各マーカー遺伝子の標識断片の量の相対値を算出する。各マーカー遺伝子の標識断片の量の相対値の算出法としては、シロイヌナズナ検出用プローブが固定された基板の位置における標識断片の測定量を1として、各マーカー遺伝子の標識断片の量の相対値を算出する方法や、シロイヌナズナ検出用プローブが固定された基板の位置における標識断片の量を0として、各マーカー遺伝子の標識断片の量の相対値を算出する方法が挙げられる。また、相対値として、自然対数を用いることもできる。そして、1以上のマーカー遺伝子の標識断片の量の相対値が第一の閾値を超えた場合に、結果を陽性、すなわち、予後不良(再発する、又は、再発の可能性が大きい)と予測する。一方、すべてのマーカー遺伝子の標識断片の量の相対値が閾値以下である場合は、結果を陰性、すなわち、予後良好(再発しない、又は、再発の可能性が小さい)と判定することができる。なお、本実施形態に係る判定手段としては、これに限定されず、設定された閾値を超えたマーカー遺伝子が2以上の所定数あった場合に陽性と判定し、設定された閾値を超えたマーカー遺伝子がこの所定数に満たない場合を陰性と判定してもよいし、ある特定のマーカー遺伝子の標識断片の量の相対値が第一の閾値を超えた場合に陽性と判定し、この特定のマーカー遺伝子の標識断片の量の相対値が閾値以下であった場合に陰性と判定してもよい。
具体的に再発の予測方法として、たとえば、以下の(i)、(ii)あるいは(iii)の方法を用いることができる。
(i)の方法は、胃がんの再発予測を、陽性および陰性の2段階で判定するものである。具体的には、(i)の方法は、シロイヌナズナDNAの発現量を示す標識断片の測定量を基準として算出された、CEA、TFF1、FABP1、CK20、及び、MUC2のいずれか1以上のマーカー遺伝子の発現量を示す標識断片の量の相対値が第一の閾値を超えたとき、陽性と判断する方法である。CEA、TFF1、FABP1、CK20、及び、MUC2は、TACSTD1と比較して感度(真陽性率)が高い。したがって、こうすることで、より正確な胃がんの再発の予測が可能になる。一方、TACSTD1は、CEA、TFF1、FABP1、CK20、及び、MUC2のマーカー遺伝子に比べて感度(真陽性率)に劣る。したがって、TACSTD1の発現量が高い場合であっても、1以上の他のマーカー遺伝子の発現量が高いときに陽性と判断するのが、予測精度の観点から好ましい。
(ii)の方法は、胃がんの再発予測を、陽性、準陽性および陰性の3段階で判定するものである。具体的には、(ii)の方法は、シロイヌナズナDNAの発現量を示す標識断片の測定量を基準として算出された、CEA、TFF1、FABP1、CK20、及び、MUC2のいずれか1以上のマーカー遺伝子の発現量を示す標識断片の量の相対値が第一の閾値を超えたとき、胃がん試料が陽性であると判定し、第一の閾値よりも低い第二の閾値を超えており、かつ第一の閾値より低い値であるとき、胃がん試料が準陽性であると判定する方法である。かかる(ii)の方法は、上記(i)の2段階評価方法と、陰性、準陽性および陽性の3段階評価を採用しているという点で異なっている。このように3段階判定法を採用しているため、より一層判定精度を向上させるとともに、正確な予後再発の判定が可能になる。また、(ii)の方法によれば、準陽性という評価基準を設定したことで、測定機器や測定条件等の判定条件の違いにより、判定結果が変動していた閾値程度の値を示す患者に対して、適切な治療を施すことが可能となる。
(iii)の方法は、上記(ii)の方法と同様に3段階で判定するものであるが、陽性、準陽性および陰性の判定基準が上記(ii)の方法とは異なるものである。それ故、後述では、上記(ii)の方法による判定結果と区別するため、以下に説明する(iii)の方法による判定結果を、陽性、弱陽性および陰性の3段階で表すことにする。
具体的には、(iii)の方法は、シロイヌナズナDNAの発現量を示す標識断片の測定量を基準として算出された、CEA、TFF1、FABP1、CK20、及び、MUC2のいずれか1以上のマーカー遺伝子の発現量を示す標識断片の量の相対値が第一の閾値を超えた場合、または、CEA、TFF1、FABP1、CK20、及び、MUC2のいずれか2以上のマーカー遺伝子の発現量を示す標識断片の量の相対値が第一の閾値よりも低い第二の閾値を超えており、かつ第一の閾値より低い値である場合、胃がん試料が陽性であると判定し、CEA、TFF1、FABP1、CK20、及び、MUC2のいずれか1のマーカー遺伝子の発現量を示す標識断片の量の相対値が第一の閾値よりも低い第二の閾値を超えており、かつ第一の閾値より低い値であり、その他のマーカー遺伝子の発現量を示す標識断片の量の相対値が第二の閾値よりも低い値である場合、胃がん試料が弱陽性であると判定する方法である。かかる(iii)の方法は、上記(ii)の方法と比べて、3段階評価を採用しているという点では共通しているものの、より正確に胃がんの再発予測を行うという観点から、その判定基準が異なっている。このように、(iii)の方法では、(ii)の方法と比べて詳細に設定したものであるため、測定機器や測定条件等の判定条件の違いにより、判定結果が変動していた閾値程度の値を示す患者について、より正確に再発の可能性を判別することができるようになる。
また、S104において、内部コントロール(ACTB)や陽性コントロール(λDNA)を用いてPCR増幅を実行した場合は、ACTBやλDNAの測定結果も併せて考察することで、S102の抽出、又は、S108のハイブリダイゼーションがそれぞれ良好に進行したかどうかを判別することができる。具体的には、ACTBの結果が陰性であり、かつ、λDNAの結果が陰性である場合は、S102の抽出、及び、S108のハイブリダイゼーションのいずれもが不良であったことがわかる。また、ACTBの結果が陽性である一方、λDNAの結果が陰性であった場合は、S102の抽出は良好に進行したが、S108のハイブリダイゼーションの進行が不良であったことがわかる。ACTBの結果が陰性であり、かつ、λDNAの結果が陽性である場合は、S104のPCRは良好に進行したが、S102の抽出の進行が不良であったことが分かる。
なお、本実施形態の判定方法とともに、通常、外科的切除治療症例、審査腹腔鏡症例において必須となっている細胞診の結果に加えて、リンパ節転移の有無、各種のがんマーカーなどの数値を参照し、状況によっては判定方法を使い分けるなど、総合的に胃がん細胞の有無を判断するとより効果的な予測が可能である。
また、本実施形態の判定方法により陽性と判定された場合、対応する胃がん患者に対し、放射線治療、化学療法、又はこれらを組み合わせた更なる治療を加えてもよい。本実施形態の判定方法では、精度良く胃がんの予後再発を予測できるため、再発のおそれのある患者にのみ再発を防ぐ為の効果的な治療を加えることができ、かつ、再発のおそれの少ない患者に対しては、過剰な治療を加えることを防ぐことができる。
つづいて、本実施形態の作用効果について説明する。本実施形態によれば、植物由来の陰性コントロール核酸鎖の少なくとも一部の領域に相補的に結合する陰性コントロールプローブを担体に固定し、マーカー遺伝子検出用プローブと胃がん試料のPCR産物とをハイブリダイゼーションさせるとともに、陰性コントロールプローブと陰性コントロール核酸鎖とをハイブリダイゼーションさせて、マーカー遺伝子検出用プローブが固定された位置で測定された標識断片の量と陰性コントロールプローブの位置で測定された標識断片の量との対比の結果を用いて胃がんの再発を予測する。これにより、植物由来の核酸鎖が陰性コントロールとなるため、検査対象検体と早期胃がん検体とを同時に測定することなく、あらかじめ定めた閾値に基づき、胃がんの再発の予測を正確に行うことができる。したがって、簡便かつ実用的な胃がんの予後予測が実現可能になる。
従来、胃がんの再発の予測においては、対象検体と同時に、陰性コントロールとして腹腔内にがん細胞が存在しないものと考えられるIa期の早期がん検体を用いた測定を行い、早期がん検体の結果からカットオフ値を導き出す方法がとられていた。しかしながら、検査ごとに早期がん検体を複数、たとえば非特許文献1では40例近く、用意しなければならず、実用性や倫理面で問題があった。
一方、本実施形態では、植物由来のDNA鎖を陰性コントロールとして用いて、精度よく胃がんの再発を予測できる。したがって、検査ごとに早期がん検体を用意する必要がなくなり、実用的である。特にシロイヌナズナDNA鎖を陰性コントロールとして用いることで、マーカー遺伝子との反応を無視できるレベルにすることができ、より精度よく胃がんの再発を予測することができる。なお、シロイヌナズナ遺伝子は、交差反応性が低いことが確認されている。また、シロイヌナズナDNA鎖は、入手が容易な点でもメリットがある。
以下、具体的な実施例を示し、本発明をさらに詳細に説明する。
<実施例1>
(1)プラスチック基板の製造
飽和環状ポリオレフィン樹脂(5−メチル−2−ノルボルネンの開環重合体の水素添加物(MFR(Melt flow rate):21g/10分、水素添加率:実質的に100%、熱変形温度123℃))を用い、射出成形によりスライドガラス形状の基板を得た。得られた基板を上記式(1)で表されるPMBNポリマー(MPC基:BMA基:NPMA基=23:74:3(モル比))の0.3重量%エタノール溶液に浸漬することにより、基板表面にホスホリルコリン基と活性エステル基とを有する高分子物質を導入して、プラスチック基板を得た。なお、MFRは、JIS K 7210:1999法記載の条件に準じて測定したものである。
(2)プローブDNA
5'末端がアミノ基で修飾された、胃がん再発に関するマーカー遺伝子6種類の特異配列を有するオリゴDNA鎖、およびコントロール遺伝子3種類を用意した。用意したプローブは表1に記載した9種類の遺伝子に対応したプローブである。各遺伝子に対応したプローブの配列番号は、CEA検出用として配列番号2、TFF1検出用として配列番号3、FABP1検出用として配列番号4、CK20検出用として配列番号5、MUC2検出用として配列番号6である。また、内部コントロールとして配列番号8(ACTB鎖検出用)、陰性コントロールとして配列番号1(シロイヌナズナDNA鎖検出用)、陽性コントロールとして配列番号9(λDNA鎖検出用)である。
(3)基板へのプローブDNA固定
スポッティングバッファー(製品名:×2スポッティング液、住友ベークライト社製)を用いて、本実施例の(2)で用意したプローブDNAを溶解し、10μMのプローブDNA溶液を調製した。この溶液をスポッター(日立ソフトウェアエンジニアリング社製MARKS−I)を用い、300μm径スポットピンで、本実施例の(1)で作製したプラスチック基板(縦75mm×横25mm)の表面上にスポットした。スポットは、各プローブについて、N=5でスポットした。プローブDNAをスポットした基板を、80℃で1時間加熱して、プローブDNAを固定化させた。これによりプラスチック基板のポリマー表面に一本鎖DNAが固定したDNAマイクロアレイを得た。スポットのレイアウトを図3に示す。
(4)totalRNAの回収
研究使用目的に対するインフォームド・コンセントが得られた胃がん術中患者に対し、通常行われる術式に従って50〜100mLの生理食塩水を用いて腹腔内洗浄を行い、洗浄液を回収した。回収された腹腔内洗浄液のうち病理部に検査検体20〜60mLとして提出するのに必要な分量を抜き取った余剰検体を検査対象検体とし、1500rpmで10分間遠心し、上清を除去することによりペレット状になった沈殿成分を腹腔内浮遊細胞として回収した。回収した細胞を培養し、得られた細胞をニッポンジーン社製試薬Isogenに加えてホモジナイズし、少量のクロロホルムを入れ、12k×gで15分間遠心分離させ、上清を採取した。さらに採取量と等量のイソプロパノールを加え、10分以上インキュベートした後、12k×gで10分間遠心して、ペレットを回収し、エタノール沈殿(70%)によりtotalRNAを得た。このtotalRNAを189症例分用意し、進行がんサンプルとした。
(5)逆転写反応
逆転写反応を行うことにより上記抽出したtotalRNAからcDNAを作製した。
上記抽出したtotalRNAを0.1または1μg/μLに濃度調製し、調製したtotalRNA1または10μLと、20μMのランダムヘキサマー(製品名:Random primer、タカラバイオ社製)1μLと、10mMのdNTP(GEヘルスケア社製)1μLと、精製水9μL、逆転写酵素(Invitrogen社製、SuperScriptII)1μL、及び、RNase Inhibitor(Roche社製)1μLを加え、42℃で50分加熱保持さらに72℃で15分加熱保持させ、一本鎖cDNAを得た。
(6)マルチプレックスPCR反応
腹腔内洗浄液から得た一本鎖cDNAを鋳型に検査対象となるマーカー遺伝子のcDNAを増幅するためのPCRを行った。同一反応中に複数のプライマーを用いるマルチプレックスPCR法によりcDNAの増幅を行った。同一のcDNAに対し、プライマーとして表2に示す配列番号10〜25の塩基配列からなるプライマーセットを用いた。
cDNA溶液1μL、表2に示す配列番号10〜25の塩基配列からなるプライマーをDEPC−Treated Water中に各々濃度10μMで含むプライマー溶液を0.5μL、DNAポリメラーゼ(Invitrogen社製AcuuPrime)0.5μL、ならびにλDNA鎖(タカラバイオ社製)をPCRバッファー(Invitrogen社製AcuuPrimeのキット内に含まれる)中に溶解させ20μLの反応液を調製した。また、PCR産物の標識のために、アミノアリルdUTP(Ambion社製)0.1μLを基質として、PCRの反応溶液に加えた。
調製された反応液について、市販のサーマルサイクラー(製品名:GeneAmp(登録商標)PCRSystem 9700、Applied biosystem社製)を用いて、(i)熱変性95℃15秒、(ii)アニーリング60℃45秒、(iii)DNA鎖の伸長反応72℃3分のヒートサイクルで、25サイクル行い、アミノアリル標識PCR産物を得た。
精製は、チップごとにDNA精製キット(キアゲン社製QIA quick)を使用して上記PCR産物の精製を行った。
(7)Cy3標識
得られたアミノアリル標識PCR産物に対して、Cy3標識を行った。具体的には、本実施例の(6)で得られた調製ずみのアミノアリル標識PCR産物を蛍光ラベル化試薬(GEヘルスケア社製Cy3 Mono−reactive Dye Pack)を使用してCy3蛍光ラベル化し、さらにDNA精製キット(キアゲン社製QIA quick)を使用して精製を行い、Cy3蛍光ラベル化PCR産物を得た。
(8)ハイブリダイゼーション
Cy3蛍光ラベル化PCR産物45μLに対し、バッファー85μLを加え、ハイブリダイゼーション溶液を得た。得られたハイブリダイゼーション溶液の組成は、以下のとおりである。
[ハイブリダイゼーション溶液]
・3×SSPE
・10%ホルムアミド
・0.05%SDS
(3)で作製したDNAマイクロアレイをハイブリダイゼーション装置(Genomic Solutions社製Hyb4)にセットし、上記組成のハイブリダイゼーション溶液を用いてハイブリダイゼーションを行った。具体的には、95℃で5分熱変性させたハイブリダイゼーション溶液を実施例1で作製したDNAマイクロアレイ上に分注し、55℃で4時間反応を行った。ハイブリダイゼーション反応終了後、0.1%SDSを含んだ2×SSC溶液、2×SSC、0.1×SSCの順でマイクロアレイの表面を洗浄して、ハイブリダイゼーション反応を終了した。
(9)測定
本実施例(8)で行ったハイブリダイゼーション反応終了後、スピンドライしたDNAマイクロアレイについて、DNAマイクロアレイ用スキャナー(Axon社製GenePix4000B)を用いて、プローブがスポットされた位置ごとに蛍光強度を測定した。測定する際の受光感度(PMT)は、λDNAが固定されたスポットにおける蛍光強度が900から1100となるように調整した。蛍光強度の算出にあたっては、プローブごとに5個の測定値が得られるが、最高値及び最低値を除く中間の3個の測定値を平均化して、プローブごとに平均値を算出し、これを蛍光強度とした。進行がんサンプル全189症例について蛍光強度を測定した。
(10)相対値を用いた再発予測胃がんの再発予測
得られた189症例の蛍光強度について、シロイヌナズナDNA鎖検出用プローブがスポットされた位置の蛍光強度をバックグラウンド値として、各プローブが固定された位置における蛍光強度からシロイヌナズナDNA鎖検出用プローブがスポットされた位置の蛍光強度を差し引いて、これを自然対数で表した結果を表3〜6に示す。また、各マーカー遺伝子の蛍光強度の相対値(自然対数)にそれぞれ閾値を設定し、その閾値を越えた場合には、陽性とし、下回る場合は、陰性とした。この閾値は、実施例1で説明したように、一般的なDNAマイクロアレイのカットオフ値の設定が通常バックグランドの3倍であることに基づきCEAの閾値を設定し、TFF1、FABP1、CK20、及び、MUC2については、CEAの閾値の約半分に設定した。そして、閾値を越えた場合には、陽性とし、下回る場合は、陰性とした。具体的には、進行がんサンプルのマーカー遺伝子の閾値は、下記のとおり設定した。
CEA: 2.11
TFF1: 1.85
FABP1: 1.85
CK20: 1.85
MUC2: 1.85
進行がんサンプル全189症例について陽性と判断されたマーカー遺伝子の数を表3〜6に併せて示す。また、表3〜6には、以下に説明する方法で得られた細胞診の結果、リンパ節転移の結果、及び、術後経過についても併せて示す。
<細胞診>
胃がんの術中腹腔内洗浄細胞診ガイドライン(日臨細胞誌44(1);93−97.2001)に基づいて、進行がんサンプル189症例について、細胞診により判定を行った。各症例について回収した腹腔内浮遊細胞をスライドガラス上に載せ、引きガラスを用いて塗抹標本を作製した。速やかに塗抹標本を風乾燥させ、その後、メタノールによって3分間固定させた。ギムザ液と純水を1:2の割合で混合させ、混合液を用いて標本の染色を行った。30分間染色させた後、純水で洗浄し、乾燥させて封じ、標本を完成させた。光学顕微鏡による標本観察で染色されたがん細胞を探すことで、細胞診の判定を行った。細胞診では、クラス分類を行い、「1」は、陽性(再発する)とし、「0」は、陰性(再発しない)とした。結果を表3〜6に示す。
<リンパ節転移>
進行がんサンプル全189症例について、胃がん部とともに外科的に切除した周辺リンパ節の病理診断により、リンパ節転移の有無の診断を行った。結果を表3〜6に示す。なお、表3および以降の表中、リンパ節転移の有無の診断において、「0」は、周辺リンパ節にリンパ節転移が認められないものである。「1」は、周辺リンパ節に1個以上2個以下のリンパ節転移が認められたもの、「2」は、周辺リンパ節に3個以上6個以下のリンパ節転移が認められたもの、「3」は、周辺リンパ節に7個以上のリンパ節転移が認められたもの、「LN+」は、転移数は不明であるものの、周辺リンパ節にリンパ節転移が認められたものである。表3および以降の表中、「0」は、陰性(−、再発しない)、「1」、「2」、「3」および「LN+」は、陽性(+、再発する)である。
また、進行がんサンプル全189症例の胃がん患者の術後経過については3年以上、平均4.5年にわたって追跡調査され、再発、及び死亡の有無の情報を得た。表3〜6では、生死の結果も併せて示す。「alive」は再発することなく生存、「alive but recurrent」は再発するが生存、「death」は、再発による死亡を示す。
Figure 2014236726
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実施例1の189症例について、後述する判定により陽性又は陰性を判定した結果を表7に示す。表7では、再発した症例と死亡した症例数と、陽性あるいは陰性と判定された進行がんサンプル中の再発及び死亡症例数の割合(百分率)とを対応づけて示す。
表7の実施例の欄には、実施例1の189症例中、陽性マーカー遺伝子が1以上検出されたものを陽性(+)として判定し、陽性マーカー遺伝子が全く検出されなかったものを陰性(−)として判定した結果を示す。
Figure 2014236726
表7では、進行がんサンプル189症例中、リンパ節転移が陽性の132症例において、細胞診により検出できなかった98症例中、陽性と判断された20症例の再発率は90.0%、死亡率は80.0%であり、陰性だった78症例と比較して、ともに高く予後が悪かった。これは後述する比較例1のデータと比較して、再発率が23.3ポイント、死亡率が25.5ポイント高かった。したがって、CEA、TFF1、FABP1、CK20及びMUC2のいずれか1以上のマーカー遺伝子が陽性であるか否かを判定することで、より精度の高い予後判定が可能になることが明らかとなった。
<実施例2>
実施例1の(1)〜(8)の操作を行った。
(8)のハイブリダイゼーション反応終了後、実施例1の(9)で示すように、プローブがスポットされた位置ごとに蛍光強度を測定した。得られた189症例の蛍光強度について、シロイヌナズナDNA鎖検出用プローブがスポットされた位置の蛍光強度をバックグラウンド値として、各プローブが固定された位置における蛍光強度からシロイヌナズナDNA鎖検出用プローブがスポットされた位置の蛍光強度を差し引いて、これを自然対数で表した結果を表8〜11に示す。また、各マーカー遺伝子の蛍光強度の相対値(自然対数)にそれぞれ2つの閾値(第一の閾値と第二の閾値)を設定し、高い方の閾値(第一の閾値)を越えた場合には、陽性とし、2つの閾値の間の値を示す場合は、準陽性とした。この閾値は、カットオフ値付近に値を持つサンプルの測定誤差があることに基づき、カットオフ値の前後15%の範囲を中とし、それ以上であると高に設定するものである。また、この閾値は、実施例1で説明したように、一般的なDNAマイクロアレイのカットオフ値の設定が通常バックグランドの3倍であることに基づきCEAの閾値を設定し、TFF1、FABP1、CK20、及び、MUC2については、CEAの閾値の約半分に設定した。具体的には、進行がんサンプルのマーカー遺伝子の閾値は、下記のとおり設定した。
(第二の閾値;準陽性)
CEA: 1.79
TFF1: 1.57
FABP1: 1.57
CK20: 1.57
MUC2: 1.57
(第一の閾値;陽性)
CEA: 2.43
TFF1: 2.13
FABP1: 2.13
CK20: 2.13
MUC2: 2.13
進行がんサンプル全189症例について準陽性または陽性と判断されたマーカー遺伝子の数を表8〜11に併せて示す。また、表8〜11には、上記で説明した方法で得られた細胞診の結果、リンパ節転移の結果、及び、術後経過についても併せて示した。
Figure 2014236726
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Figure 2014236726
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実施例2の189症例中、上記判定により陰性、準陽性または陽性を判定した結果を表12に示す。表12では、再発した症例と死亡した症例数と、陰性、準陽性または陽性と判定された進行がんサンプル中の再発及び死亡症例数の割合(百分率)とを対応づけて示す。
Figure 2014236726
表12では、進行がんサンプル189症例中、リンパ節転移および細胞診が共に陰性の57症例において、陽性と判断された3症例の再発率は66.7%、死亡率は33.3%であり、後述する比較例1のリンパ節転移および細胞診が共に陰性の57症例において、陽性を示したデータと比較して、再発率が16.7ポイント、死亡率が8.3ポイント高かった。したがって、従来の方法で再発の可能性が低いと判定されていたものの再発してしまった症例に対して、3段階評価を行うことで、より一層精度の高い予後判定が可能になることが明らかとなった。
また、表12では、リンパ節転移が陽性の132症例において、細胞診により検出できなかった98症例中、準陽性と判定された13症例の再発率は61.5%、死亡率は53.8%であり、陽性と判定された13症例の再発率は84.6%、死亡率は76.9%であった。これは、後述する比較例1において98症例中、陽性と判定された33症例の再発率、死亡率と比較して、ポイントがそれぞれ向上している。したがって、実施例2の方法によれば、より一層精度の高い予後判定が可能になることが明らかとなった。
<実施例3>
実施例1の(1)〜(8)の操作を行った。
(8)のハイブリダイゼーション反応終了後、実施例1の(9)で示すように、プローブがスポットされた位置ごとに蛍光強度を測定した。得られた189症例の蛍光強度について、シロイヌナズナDNA鎖検出用プローブがスポットされた位置の蛍光強度をバックグラウンド値として、各プローブが固定された位置における蛍光強度からシロイヌナズナDNA鎖検出用プローブがスポットされた位置の蛍光強度を差し引いて、これを自然対数で表した結果を表13〜16に示す。また、各マーカー遺伝子の蛍光強度の相対値(自然対数)にそれぞれ2つの閾値(第一の閾値と第二の閾値)を設定し、少なくとも1つ測定結果の値が高い方の閾値(第一の閾値)を越えた場合、または高い方の閾値(第一の閾値)を越えたものはないが、少なくとも2つ以上の測定結果の値が2つの閾値の間の値を示す場合は、陽性とした。また、測定結果の値が高い方の閾値(第一の閾値)を越えるものはなく、5つのマーカーの内、1つのマーカーについて測定して得られた測定結果の値が2つの閾値の間の値を示すとともに、その他のマーカーについて測定して得られた測定結果の値は低い方の閾値を下回っている場合、弱陽性とした。この閾値は、カットオフ値付近に値を持つサンプルの測定誤差があることに基づき、カットオフ値の前後15%の範囲を中とし、それ以上であると高に設定するものである。また、この閾値は、実施例1で説明したように、一般的なDNAマイクロアレイのカットオフ値の設定が通常バックグランドの3倍であることに基づきCEAの閾値を設定し、TFF1、FABP1、CK20、及び、MUC2については、CEAの閾値の約半分に設定した。具体的には、進行がんサンプルのマーカー遺伝子の閾値は、下記のとおり設定した。
(第二の閾値)
CEA: 1.79
TFF1: 1.57
FABP1: 1.57
CK20: 1.57
MUC2: 1.57
(第一の閾値)
CEA: 2.43
TFF1: 2.13
FABP1: 2.13
CK20: 2.13
MUC2: 2.13
進行がんサンプル全189症例について弱陽性または陽性と判断されたマーカー遺伝子の数を表13〜16に併せて示す。また、表13〜16には、上記で説明した方法で得られた細胞診の結果、リンパ節転移の結果、及び、術後経過についても併せて示した。
Figure 2014236726
Figure 2014236726
Figure 2014236726
Figure 2014236726
実施例3の189症例中、上記判定により陰性、弱陽性または陽性を判定した結果を表17に示す。表17では、再発した症例と死亡した症例数と、陰性、弱陽性または陽性と判定された進行がんサンプル中の再発及び死亡症例数の割合(百分率)とを対応づけて示す。
Figure 2014236726
表17では、進行がんサンプル189症例中、リンパ節転移および細胞診が共に陰性の57症例において、陽性と判断された5症例の再発率は60.0%、死亡率は40.0%であり、後述する比較例1のリンパ節転移および細胞診が共に陰性の57症例において、陽性を示したデータと比較して、再発率が10.0ポイント、死亡率が15.0ポイント高かった。したがって、従来の方法で再発の可能性が低いと判定されていたものの再発してしまった症例に対して、実施例2の方法から判定基準を変更した3段階評価を行うことで、さらに精度の高い予後判定が可能になることが明らかとなった。
また、表17では、リンパ節転移が陽性の132症例において、細胞診により検出できなかった98症例中、弱陽性と判定された11症例の再発率は54.5%、死亡率は45.5%であり、陽性と判定された15症例の再発率は86.7%、死亡率は80.0%であった。これは、比較例1において98症例中、陽性と判定された33症例の再発率、死亡率と比較して、ポイントがそれぞれ向上している。したがって、実施例3の方法によれば、極めて精度の高い予後判定が可能になることが明らかとなった。
<比較例1>
(1)DNAマイクロアレイの作製
実施例1の(1)〜(3)の操作にしたがって、DNAマイクロアレイを作製した。ただし、配列番号1で表される塩基配列からなるシロイヌナズナDNA鎖検出用プローブはDNAマイクロアレイに固定しなかった。
(2)進行がんサンプルとDNAマイクロアレイとのハイブリダイゼーション
実施例1の(4)〜(7)の操作を行い、得られた進行がんサンプル189症例のCy3蛍光ラベル化PCR産物を本比較例1の(1)で作製したDNAマイクロアレイにそれぞれハイブリダイズした。ハイブリダイゼーションの条件及び操作は、実施例1の(8)に従った。ただし、Cy3蛍光ラベル化PCR産物にシロイヌナズナDNA鎖は加えなかった。
(3)早期がんサンプルとDNAマイクロアレイとのハイブリダイゼーション
細胞診により早期がんと判定された早期がん細胞25症例について、実施例1の(4)〜(7)で示す方法と同様な操作を行ってCy3蛍光ラベル化PCR産物を用意し、比較例1の(1)で作製したDNAマイクロアレイにハイブリダイズした。この場合も、ハイブリダイゼーションの条件及び操作は、実施例1の(8)に従い、Cy3蛍光ラベル化PCR産物にシロイヌナズナDNA鎖は加えなかった。
(4)測定
ハイブリダイゼーション反応終了後、スピンドライしたDNAマイクロアレイについて、DNAマイクロアレイ用スキャナー(Axon社製GenePix4000B)を用いて、プローブがスポットされた位置ごとに蛍光強度を測定した。測定する際の受光感度(PMT)は、λDNAが固定されたスポットにおける蛍光強度が100から600となるように調整した。蛍光強度の算出にあたっては、プローブごとに5個の測定値が得られるが、最高値及び最低値を除く中間の3個の測定値を平均化して、プローブごとに平均値を算出し、これを蛍光強度とした。全189症例、及び、早期がんサンプル25症例について蛍光強度をそれぞれ測定した。
(5)再発胃がんの再発予測
早期がんサンプルをハイブリダイズしたDNAマイクロアレイの測定結果25症例を用い、各マーカーについて、平均値+その標準偏差×2をカットオフ値とした。具体的なカットオフ値を以下に示す。
CEA: 56.9
TFF1: 54.0
FABP1: 55.3
CK20: 53.1
MUC2: 49.8
TACSTD1: 85.1
進行がんサンプル189症例について、カットオフ値を超えたマーカー遺伝子を陽性と判断し、カットオフ値以下のマーカー遺伝子は、陰性とした。蛍光強度の結果を表18〜21に示す。また、表18〜21には、上記で説明した方法で得られた細胞診の結果、リンパ節転移の結果、及び、術後経過についても併せて示した。
Figure 2014236726
Figure 2014236726
Figure 2014236726
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表22は比較例1の結果である。表22では再発した症例と死亡した症例数、及び、陽性あるいは陰性と判定された進行がんサンプル中の再発及び死亡症例数の割合(百分率)を各比較例の結果と対応づけて示す。表22では、各比較例で陽性マーカー遺伝子が1以上検出されたものを+で示し、全く検出されなかったものを−で示す。
Figure 2014236726
表22で示すように、進行がんサンプル189症例中、リンパ節転移が陽性の132症例において、細胞診により検出できなかった98症例中、比較例1において陽性と判断された33症例の再発率、死亡率は、陰性だった65症例と比較して、ともに高く予後が悪かった。
以上より、実施例1〜3に記載の方法を用いることにより、早期がん患者の症例を同時に用いた従来の検査法(比較例1)よりも、いっそう精度よく胃がんの再発予測が行えることが明らかとなった。リンパ節転移陰性の57症例についても、症例数は少ないもののマイクロアレイで陽性と判別された症例の再発率、死亡率は、陰性と判別された症例に比べて高かった。

Claims (13)

  1. 胃がん試料中に含まれる胃がん細胞に特異的なマーカー遺伝子の少なくとも一部の領域をポリメラーゼ連鎖反応(Polymerase Chain Reaction、PCR)により増幅するとともに標識して前記マーカー遺伝子の標識断片を取得するステップと、
    前記マーカー遺伝子を検出する少なくとも一つのマーカー遺伝子検出用プローブと、植物由来の陰性コントロールプローブとが所定の位置にそれぞれ固定された担体に、前記マーカー遺伝子の前記標識断片を接触させて、前記マーカー遺伝子検出用プローブと前記マーカー遺伝子の前記標識断片とをハイブリダイズさせるステップと、
    ハイブリダイズさせる前記ステップの後に、前記マーカー遺伝子検出用プローブが固定された位置、及び、前記陰性コントロールプローブが固定された位置における前記マーカー遺伝子の前記標識断片の量に関する測定量を取得するステップと、
    前記陰性コントロールプローブが固定された位置における前記標識断片の量に関する測定量を基準として、前記マーカー遺伝子検出用プローブが固定された位置における前記標識断片の量に関する測定量が第一の閾値を超えたとき、前記胃がん試料が陽性であると判定するステップと、
    を含み、
    前記胃がん試料が陽性であると判定する前記ステップにおいて、CEA、TFF1、FABP1、CK20、及びMUC2からなる5種の前記マーカー遺伝子を用いて、前記胃がん試料の陽性を判定することを特徴とする胃がんの再発を予測する方法。
  2. 前記陰性コントロールプローブがシロイヌナズナ由来のDNA鎖であり、
    前記陰性コントロールプローブが、配列番号1で表される塩基配列からなるシロイヌナズナ遺伝子検出用プローブである、請求項1に記載の胃がんの再発を予測する方法。
  3. 前記担体には、
    配列番号2で表される塩基配列からなるCEA検出用プローブと、
    配列番号3で表される塩基配列からなるTFF1検出用プローブと、
    配列番号4で表される塩基配列からなるFABP1検出用プローブと、
    配列番号5で表される塩基配列からなるCK20検出用プローブと、
    配列番号6で表される塩基配列からなるMUC2検出用プローブと、
    が前記マーカー遺伝子検出用プローブとしてそれぞれ所定の位置に固定されており、
    前記マーカー遺伝子の前記標識断片を取得する前記ステップにおいて、
    配列番号10及び11で表される塩基配列からなるCEA増幅用プライマーと、
    配列番号12及び13で表される塩基配列からなるTFF1増幅用プライマーと、
    配列番号14及び15で表される塩基配列からなるFABP1増幅用プライマーと、
    配列番号16及び17で表される塩基配列からなるCK20増幅用プライマーと、
    配列番号18及び19で表される塩基配列からなるMUC2増幅用プライマーと、
    を用いて前記胃がん試料中に含まれる前記マーカー遺伝子の少なくとも一部の領域を前記ポリメラーゼ連鎖反応により増幅する、請求項1又は2に記載の胃がんの再発を予測する方法。
  4. 前記胃がん試料が陽性であると判定する前記ステップにおいて、前記CEA検出用プローブ、前記TFF1検出用プローブ、前記FABP1検出用プローブ、前記CK20検出用プローブ、及び、前記MUC2検出用プローブがそれぞれ固定化された位置で測定された、それぞれの前記標識断片の測定量の結果のうち、少なくとも1つの位置における前記標識断片の測定量が、前記陰性コントロールプローブが固定された位置における前記標識断片の測定量を基準として、前記第一の閾値を超えているとき、前記胃がん試料が陽性であると判定することを含み、
    前記少なくとも1つの位置における前記標識断片の測定量が、前記陰性コントロールプローブが固定された位置における前記標識断片の測定量を基準として、前記第一の閾値を超えているとき、前記胃がん試料は陽性であると判定し、かつ前記第一の閾値よりも低い第二の閾値を超えており、かつ前記第一の閾値より低いとき、前記胃がん試料は準陽性であると判定する請求項3に記載の胃がんの再発を予測する方法。
  5. 前記胃がん試料が陽性であると判定する前記ステップにおいて、前記CEA検出用プローブ、前記TFF1検出用プローブ、前記FABP1検出用プローブ、前記CK20検出用プローブ、及び、前記MUC2検出用プローブがそれぞれ固定化された位置で測定された、それぞれの前記標識断片の測定量の結果のうち、少なくとも1つの位置における前記標識断片の測定量が、前記陰性コントロールプローブが固定された位置における前記標識断片の測定量を基準として、前記第一の閾値を超えているとき、前記胃がん試料が陽性であると判定することを含み、
    前記少なくとも1つの位置における前記標識断片の測定量が、前記陰性コントロールプローブが固定された位置における前記標識断片の測定量を基準として、前記第一の閾値を超えている場合、または少なくとも2つの位置における前記標識断片の測定量が、前記陰性コントロールプローブが固定された位置における前記標識断片の測定量を基準として、前記第一の閾値よりも低い第二の閾値を超えており、かつ前記第一の閾値より低い場合、前記胃がん試料は陽性であると判定し、
    1つの位置における前記標識断片の測定量が、前記陰性コントロールプローブが固定された位置における前記標識断片の測定量を基準として、前記第二の閾値を超えており、かつその他の位置における前記標識断片の測定量が、前記第二の閾値より低い場合、前記胃がん試料は弱陽性であると判定する請求項3または4に記載の胃がんの再発を予測する方法。
  6. 前記マーカー遺伝子の前記標識断片を取得する前記ステップにおいて、前記マーカー遺伝子の少なくとも一部の領域を増幅しながら、微生物由来の陽性コントロール核酸鎖の少なくとも一部の領域を前記ポリメラーゼ連鎖反応により増幅して、前記マーカー遺伝子の標識断片とともに前記陽性コントロール核酸鎖の標識断片を取得し、
    ハイブリダイズさせる前記ステップにおいて、前記陽性コントロコール核酸鎖の前記標識断片と相補的に結合する陽性コントロールプローブがさらに固定された前記担体に、前記陽性コントロール核酸鎖の前記標識断片をさらに含む前記混合物を接触させて、前記陽性コントロールプローブと前記陽性コントロール核酸鎖の前記標識断片とをハイブリダイズし、
    前記標識断片の量を測定する前記ステップは、前記陽性コントロールプローブが固定された位置における標識断片の測定量を基準として、前記マーカー遺伝子検出用プローブが固定された位置、及び、前記陰性コントロールプローブが固定された位置の前記標識断片の量をそれぞれ測定する、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の胃がんの再発を予測する方法。
  7. 前記陽性コントロール核酸鎖がλDNA鎖であり、
    前記陽性コントロールプローブが、配列番号9で表される塩基配列からなるλDNA鎖検出用プローブであり、
    前記マーカー遺伝子の前記標識断片を取得する前記ステップにおいて、前記マーカー遺伝子の少なくとも一部の領域とともに、配列番号24及び25で表される塩基配列からなるλDNA増幅用プライマーを用いて前記陽性コントロール核酸鎖の少なくとも一部の領域を前記ポリメラーゼ連鎖反応により増幅する、請求項6に記載の胃がんの再発を予測する方法。
  8. 前記マーカー遺伝子の前記標識断片を取得する前記ステップにおいて、蛍光標識された前記マーカー遺伝子の前記標識断片を取得し、
    前記標識断片の量を測定するステップにおいて、前記マーカー遺伝子検出用プローブが固定された位置、及び、前記陰性コントロールプローブが固定された位置の蛍光強度をそれぞれ測定する、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の胃がんの再発を予測する方法。
  9. 胃がん細胞に特異的なマーカー遺伝子を検出する少なくとも一つのマーカー遺伝子検出用プローブと、陰性コントロールプローブとが所定の位置にそれぞれ固定された担体を備え、
    前記マーカー遺伝子は、CEA、TFF1、FABP1、CK20、及びMUC2からなる5種であり、
    胃がん試料中に含まれる前記マーカー遺伝子の少なくとも一部の領域をポリメラーゼ連鎖反応(Polymerase Chain Reaction, PCR)により増幅するとともに標識して、取得された前記マーカー遺伝子の標識断片を前記マーカー遺伝子検出用プローブとハイブリダイズさせ、ハイブリダイズ後に、前記マーカー遺伝子検出用プローブが固定された位置、及び、前記陰性コントロールプローブが固定された位置における前記マーカー遺伝子の前記標識断片の量に関する測定量を取得し、前記陰性コントロールプローブが固定された位置における前記マーカー遺伝子の前記標識断片の量に関する測定量を基準として、前記マーカー遺伝子検出用プローブが固定された位置における前記マーカー遺伝子の前記標識断片の量に関する測定量が第一の閾値を超えたとき、前記胃がん試料が陽性であると判定することで胃がんの再発を予測するための胃がん再発予測用キット。
  10. 前記陰性コントロールプローブがシロイヌナズナ由来のDNA鎖であり、
    前記陰性コントロールプローブが、配列番号1で表される塩基配列からなるシロイヌナズナ遺伝子検出用プローブである、請求項9に記載の胃がん再発予測用キット。
  11. 前記担体には、
    配列番号2で表される塩基配列からなるCEA検出用プローブと、
    配列番号3で表される塩基配列からなるTFF1検出用プローブと、
    配列番号4で表される塩基配列からなるFABP1検出用プローブと、
    配列番号5で表される塩基配列からなるCK20検出用プローブと、
    配列番号6で表される塩基配列からなるMUC2検出用プローブと、
    が前記マーカー遺伝子検出用プローブとしてそれぞれ所定の位置に固定されており、
    前記マーカー遺伝子の一部の領域を増幅するためのプライマーセットとして、
    配列番号10及び11で表される塩基配列からなるCEA増幅用プライマーセットと、
    配列番号12及び13で表される塩基配列からなるTFF1増幅用プライマーセットと、
    配列番号14及び15で表される塩基配列からなるFABP1増幅用プライマーセットと、
    配列番号16及び17で表される塩基配列からなるCK20増幅用プライマーセットと、
    配列番号18及び19で表される塩基配列からなるMUC2増幅用プライマーセットと、
    を備える、請求項9又は10に記載の胃がん再発予測用キット。
  12. 微生物由来の遺伝子配列からなる陽性コントロール核酸鎖と、
    前記陽性コントロール核酸鎖の少なくとも一部の領域を増幅させる陽性コントロール核酸鎖増幅用プライマーセットと、
    をさらに備え、
    前記担体には、陽性コントロールプローブが所定の位置に固定されており、
    前記陽性コントロールプローブは、前記陽性コントロール核酸鎖増幅用プライマーセットにより増幅される前記陽性コントロール核酸鎖の少なくとも一部の領域に相補的に結合する、請求項11に記載の胃がん再発予測用キット。
  13. 前記陽性コントロール核酸鎖がλDNA鎖であり、
    前記陽性コントロールプローブが配列番号9で表される塩基配列からなるλDNA鎖検出用プローブであり、
    前記陽性コントロール核酸鎖増幅用プライマーセットが、配列番号24及び25で表される塩基配列からなるλDNA鎖増幅用プライマーである、請求項12に記載の胃がん再発予測用キット。
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