JP2014236066A - 太陽電池及び太陽電池の製造方法 - Google Patents

太陽電池及び太陽電池の製造方法 Download PDF

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秀昭 松山
悟 澤柳
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Abstract

【課題】変換効率の高い太陽電池及びその製造方法を提供する。
【解決手段】この太陽電池10は、基板11上に、第1電極層12と、シリコン系光電変換層13と、第2電極層14とが順次積層され、第1電極層12及び第2電極層14のうち、少なくとも光入射側に配置される電極層が、シリコン系光電変換層13に近接した部分の酸素含有量が、離れた部分よりも多い透明導電性酸化物膜で構成されている。この太陽電池10は、透明導電性酸化物膜14を、シリコン系光電変換層13に近接した部分の方が、離れた部分の方よりも酸素添加量が少ない条件で、スパッタ法により成膜することで製造できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、シリコン系光電変換層を備えた太陽電池及びその製造方法に関する。
太陽電池の基本構造は、基板上に、第1電極層と、光電変換層と、第2電極層とが順次積層され、第1電極層及び第2電極層のうち、少なくとも光入射側に配置される電極層(以下、透明電極ともいう)が透明導電性酸化物膜で構成された構造をなしている。
太陽電池の一つに、アモルファスシリコンや微結晶シリコン等のシリコン系半導体で形成されたシリコン系光電変換層を用いた薄膜シリコン太陽電池がある。シリコン系光電変換層は、比較的低温で大面積の成膜が可能であることから、太陽電池の低コスト化が期待できる。
太陽電池の変換効率を向上させるには、光電変換層に入射される光の利用効率を高める必要がある。このため、光入射側とは反対側に配置される電極層(以下、裏面電極ともいう)の光電変換層側の面に凹凸形状のテクスチャーを形成し、光電変換層で吸収されなかった光を乱反射させて太陽電池内部に光を閉じ込め、光の利用効率を高める試みがなされている。
また、太陽電池の変換効率を高めるにあたって、透明電極は、抵抗率が小さく、透明度が高いことが要求されており、このような特性を備えた透明導電性酸化物膜の形成方法が種々検討されている。例えば、特許文献1には、半導体上に、第1の透明導電性酸化物膜を真空蒸着法で形成し、第1の透明導電性酸化物膜上に第2の透明導電性酸化物膜をプラズマ状態を経て形成して、光透過率が良く、抵抗の小さい透明電極を形成することが開示されている。
特開昭58−27376号公報
しかしながら、透明電極の抵抗率を小さくすると、リーク電流が大きくなって、太陽電池の変換効率が低下する傾向があった。
また、光の利用効率を高めるために、裏面電極に凹凸形状のテクスチャーを形成した場合には、その凹凸が光入射側の電極層と光電変換層との界面にも影響して、リーク電流が大きくなって、太陽電池の変換効率が低下する傾向があった。
よって、本発明の目的は、リーク電流を減少させて、変換効率の高い太陽電池及びその製造方法を提供することにある。
透明導電性酸化物膜をスパッタ法で成膜する場合、酸素添加量を高めて成膜すると、透明度が向上するものの、抵抗率が増加するので、従来は、透明導電性酸化物膜の抵抗率ができるだけ低くなるように酸素添加量を低くした条件で成膜していた。
本発明者らは種々検討した結果、透明導電性酸化物膜のシリコン系光電変換層に近接した部分の酸素含有量を、離れた部分よりも多くすることで、シャント抵抗が向上して透明導電性酸化物膜とシリコン系光電変換層の界面で適度な絶縁性が得られ、リーク電流の発生を抑制して、太陽電池の発電効率が向上することを見出し、本発明を達成するに至った。
すなわち、本発明の太陽電池は、基板上に、第1電極層と、シリコン系光電変換層と、第2電極層とが順次積層され、前記第1電極層及び前記第2電極層のうち、少なくとも光入射側に配置される電極層が透明導電性酸化物膜で構成された太陽電池において、前記透明導電性酸化物膜は、前記シリコン系光電変換層に近接した部分の酸素含有量が、離れた部分よりも多いことを特徴とする。
本発明の太陽電池の前記透明導電性酸化物膜は、酸素含有量の多い高抵抗層と、前記高抵抗層よりも酸素含有量の少ない低抵抗層とで構成され、前記高抵抗層が、前記シリコン系光電変換層側に配置されていることが好ましい。そして、高抵抗層は、膜厚が2〜12nmで、抵抗率が15〜150mΩcmであることが好ましい。
本発明の太陽電池の製造方法は、基板上に、第1電極層と、シリコン系光電変換層と、第2電極層とが順次積層され、前記第1電極層及び前記第2電極層のうち、少なくとも光入射側に配置される電極層が透明導電性酸化物膜で構成された太陽電池の製造方法であって、透明導電性酸化物膜を、前記シリコン系光電変換層に近接した部分の方が、離れた部分の方よりも酸素添加量の多い条件で、スパッタ法により成膜することを特徴とする。
本発明の太陽電池によれば、透明導電性酸化物膜のシリコン系光電変換層に近接した部分の酸素含有量を、離れた部分よりも多くしたことにより、透明導電性酸化物膜とシリコン系光電変換層の界面で適度な絶縁性が得られる。このため、リーク電流を効果的に減少でき、変換効率を向上させることができる。
また、本発明の太陽電池の製造方法によれば、透明導電性酸化物膜を、シリコン系光電変換層に近接した部分の方が、離れた部分の方よりも酸素添加量の多い条件で、スパッタ法により成膜することにより、シリコン系光電変換層に近接した部分の酸素含有量が、離れた部分よりも多い透明導電性酸化物膜を形成できる。このため、リーク電流を減少させて、変換効率の高い太陽電池を製造できる。
本発明の太陽電池の一実施形態を示す概略図である。
本発明の太陽電池は、基板上に、第1電極層、シリコン系光電変換層、第2電極層が順次積層している。そして、第1電極層及び第2電極層のうち、少なくとも光入射側に配置される電極層が透明導電性酸化物膜で構成されている。
基板としては、特に限定されないが、ポリイミドフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、アクリルフィルム、アラミドフィルム等の絶縁性プラスチックフィルム基板、ガラス基板、ステンレス基板等を好ましく用いることができる。なお、基板が光入射側に配される場合は、基板を光透過性の材料で構成すべきことはいうまでもない。
第1電極層、第2電極層のうち、光入射側に配置される電極層は、透明導電性酸化物膜で構成されている。そして、本発明では、透明導電性酸化物膜は、シリコン系光電変換層に近接した部分の酸素含有量が、離れた部分よりも多いことを特徴としている。透明導電性酸化物膜は、酸素含有量を高めるに伴い抵抗率が上昇するため、透明導電性酸化物膜のシリコン系光電変換層に近接した部分の酸素含有量を、離れた部分よりも多くすることで、シャント抵抗が向上して透明導電性酸化物膜とシリコン系光電変換層の界面で適度な絶縁性が得られる。このため、リーク電流の発生を抑制して太陽電池の発電効率を向上できる。
なお、上記とは逆に、透明導電性酸化物膜のシリコン系光電変換層に離れた部分の酸素含有量を、近接した部分よりも多くしても、後述する実施例に示されるように、発電効率を向上することはできなかった。
この透明導電性酸化物膜は、シリコン系光電変換層に近接した部分の方が、離れた部分の方よりも酸素添加量の多い条件で、スパッタ法により成膜することで形成できる。
透明導電性酸化物膜としては、ITO膜、ZnO膜、TiO膜、SnO膜、IZO膜等が挙げられる。なかでも、水分に対する信頼性という理由から、ITO膜、SnO膜が好ましい。
第1電極層、第2電極層のうち、非受光面側に配置される電極層(以下、裏面電極という)は、導電性に優れた導体材料で構成されていればよく、透明性は特に要求されない。例えば、Ag、Al、Cu及びこれらの合金等で形成された金属層等を好ましく用いることができる。
本発明においては、光の利用効率を高めるために、裏面電極のシリコン系光電変換層側の面に、凹凸形状のテクスチャーが形成されていることが好ましい。この場合、裏面電極のシリコン系光電変換層側の面の算術平均粗さRaは、10nm以上が好ましい。算術平均粗さRaが10nm未満であると、光の閉じ込め効果が十分でないことがある。
裏面電極の形成方法は、特に限定は無い。蒸着法、スパッタ法など従来公知の方法を用いて形成できる。
裏面電極の表面に凹凸形状のテクスチャーを形成する方法としては、例えば、以下の(1)、(2)に示す方法等が挙げられる。
(1)基板表面に微小凹凸を形成し、該基板の微小凹凸が形成された表面に、スパッタ法等により裏面電極を形成する。
(2)裏面電極をスパッタ法により形成する際に、基板温度、スパッタリングガスの圧力等のスパッタリング条件を調整して電極自体が凹凸となる条件で成膜する。
上記(1)において、基板表面に凹凸を形成するには、化学的エッチングなど、従来公知の方法で形成できる。また、基板材料として可撓性フィルム基板を用いた場合には、基板に球状シリカ等のフィラーを添加して凹凸を形成することもできる。
上記(2)において、スパッタリング条件の一例として、Agをターゲットとして用い、基板温度200〜400℃、Arガス雰囲気中にて、スパッタ法により成膜することが挙げられる。このような条件で成膜することで、微小凹凸が表面に形成された裏面電極を形成することができる。
スパッタリング条件を調整して微小凹凸を形成する場合、雰囲気ガス中の圧力を高くすることで、凹凸形状が急峻になり、圧力を低くすることで凹凸形状を緩やかにできる。また、基板温度を高くすることで、凹凸形状が急峻になり、基板温度を低くすることで凹凸形状を緩やかにできる。また、ターゲット中の添加元素を増やすことで凹凸形状が急峻になり、減らすことで凹凸形状を緩やかにできる。
シリコン系光電変換層は、n層、i層及びp層が、アモルファスシリコン、微結晶シリコン等のシリコン系半導体で形成された、nip接合構造又はpin接合構造のシリコン系半導体層で構成されている。
シリコン系光電変換層は、スパッタ法、蒸着法、プラズマCVD法など従来公知の方法で形成できる。
以下、本発明の太陽電池の一実施形態について、図1を用いて説明する。この太陽電池10は、基板11上に、第1電極層12、シリコン系光電変換層13、第2電極層14が順次積層している。この太陽電池10は、第2電極層14側から光が入射されるサブストレート構造の太陽電池であって、第1電極層12が裏面電極であり、第2電極層14が透明導電性酸化物膜で構成されている。以下、第2電極層14を透明導電性酸化物膜14とも記載する。
上述したように、本発明では、透明導電性酸化物膜14は、シリコン系光電変換層13に近接した部分の酸素含有量が、離れた部分よりも多いことを特徴としている。
この実施形態では、透明導電性酸化物膜14は、酸素含有量の多い高抵抗層14aと、高抵抗層14aよりも酸素含有量の少ない又は酸素を含有しない低抵抗層14bとで構成されている。そして、高抵抗層14aがシリコン系光電変換層13側に配置されている。
高抵抗層14aの酸素含有量は、材質により異なるが、高抵抗層14aの酸素含有量が少ないとリーク電流の発生を十分に抑制できないことがある。高抵抗層14aの酸素含有量が多すぎると電極自体の電気抵抗が大きくなり、太陽電池の変換効率が低下する傾向にある。
高抵抗層14aは、膜厚が2〜12nmで、抵抗率が15〜150mΩcmであることが好ましい。また、膜厚は2〜6nmであることがより好ましい。高抵抗層14aの膜厚が2nm未満であったり、抵抗率が15mΩcm未満であると、リーク電流の発生を十分に抑制できないことがある。高抵抗層14aの膜厚が12nmを超えたり、抵抗率が150mΩcmを超えると、電極自体の電気抵抗が大きくなり、太陽電池の変換効率が低下する傾向にある。高抵抗層14aの膜厚及び抵抗率が上記範囲であれば、変換効率の高い太陽電池が得られる。
高抵抗層14aの酸素含有量は、材質により異なるが、低抵抗層14bの酸素含有量が多すぎると、電極自体の電気抵抗が大きくなり、太陽電池の変換効率が低下する傾向にある。逆に酸素含有量が少なすぎると、透明性が低下して、光の透過効率が低下する傾向にある。
第2電極層14全体のシート抵抗は、200Ω/□以下が好ましく、80Ω/□以下がより好ましい。
なお、本発明において、シート抵抗は、膜面内のシートを四端子法で測定して求めた。また、抵抗率は、前記方法で求めたシート抵抗の値に膜厚を乗じて求めた。
透明導電性酸化物膜の抵抗率は、透明導電性酸化物膜をスパッタ法で成膜する際における、酸素添加量を変化させることで調整できる。すなわち、抵抗率を高くしたい場合は、スパッタリングガスの酸素濃度を高めて成膜すればよい。また、抵抗率を低くしたい場合は、スパッタリングガスの酸素濃度を低くして成膜すればよい。
以上、サブストレート構造の太陽電池を例に挙げて説明したが、スーパーストレート構造の太陽電池にも適用できる。また、第1電極層12及び第2電極層14の両面から光が入射されるタイプの太陽電池にも適用できる。
次に、図1に示すサブストレート型の太陽電池の製造方法を例に挙げて、本発明の太陽電池の製造方法について説明する。
まず、基板11上に、Ag、Al、Si,Cu,Ti及びこれらの合金等の導電性に優れた導体材料を、スパッタリング法、真空蒸着法、スプレー製膜法、スクリーン印刷法、インクジェット印刷法、めっき法など従来公知の方法により成膜して第1電極層(裏面電極)12を形成する。
次に、このようにして第1電極層12を形成した基板を、プラズマCVD装置に導入し、装置内にシラン含有ガスと水素ガスとを含む原料ガスを導入して、プラズマCVD法により、n層、i層、p層を成膜してシリコン系光電変換層13を形成する。シラン含有ガスとしては、シラン原子を含む化合物のガスであればよい。シラン原子を含む化合物としては、モノシラン(SiH)、ジシラン(Si)、四フッ化シリコン(SiF)、四塩化シリコン(SiCl)、ジクロロシラン(SiHCl)などが一例として挙げられる。
次に、シリコン系光電変換層13上に透明導電性酸化物膜14を形成するが、本発明では、シリコン系光電変換層13に近接した部分の方が、離れた部分の方よりも酸素添加量の多い条件で、スパッタ法により成膜して形成する。
この実施形態では、シリコン系光電変換層13上に、スパッタ法により成膜して高抵抗層14aを形成した後、高抵抗層14a上に、高抵抗層14aよりも酸素添加量の少ない条件でスパッタ法により成膜して低抵抗層14bを形成し、透明導電性酸化物膜14を形成する。成膜時における酸素添加量は、Arガス等を主体とするスパッタリングガスの酸素濃度を変えることで容易に調整できる。このため、一つの成膜室で、高抵抗層14aと低抵抗層14bとを成膜でき、製造装置の部品点数や小型化が可能である。
透明導電性酸化物膜14がITO膜である場合を例に挙げて、高抵抗層14aと低抵抗層14bの成膜条件の一例について説明すると、高抵抗層14aを、Ar−Oの混合ガス(酸素濃度2〜6vol%)を用いて成膜し、低抵抗層14bを、Ar−O混合ガス(酸素濃度1.2vol%)を用い、圧力、パワー、基板温度等の酸素添加量以外の条件は、高抵抗層14aと同じ条件で成膜することが挙げられる。なお、圧力、パワー、基板温度等の酸素添加量以外の条件は、高抵抗層14aと低抵抗層14bとで変えてもよい。
なお、この実施形態では、透明導電性酸化物膜14は高抵抗層14aと低抵抗層14bとで構成されているが、シリコン系光電変換層13から遠ざかるに伴い酸素含有量が少なくなっている1層の連続した膜で構成されていても良い。このような透明導電性酸化物膜は、シリコン系光電変換層13から遠ざかるに伴い、酸素添加量を段階的又は連続的に減少させて、スパッタ法により成膜することで形成できる。
以下、実施例及び比較例を用いて本発明の効果について説明する。
(例1)
フィルム基板上に、Ag薄膜を直流スパッタ法で300nm形成し、第1電極層を形成した。第1電極層の算術平均粗さRaを、接触式段差測定装置によるJIS B 0601の粗さ測定法に準ずる方法で測定したところ、Raは15nmであった。
次に、第1電極層上に、プラズマCVD法にて、微結晶シリコン薄膜(以下、「μc−Si薄膜」という)のn層を30nm、μc−Si薄膜のi層を2500nm、μc−Si薄膜のp層を30nm成膜し、シリコン系光電変換層を形成した。
次に、シリコン系光電変換層上に、Ar−Oの混合ガス(酸素濃度2vol%)の流量10sccm、圧力3mtorr、パワー35W、基板温度200℃の条件で、直流スパッタ法により、高抵抗層となるITO膜を6nm成膜した。高抵抗層の抵抗率は、同条件で70nm積層したITO膜のシート抵抗を四端子法で測定し、該シート抵抗の値に高抵抗層の膜厚(6nm)を乗じて求めた。高抵抗層の抵抗率は2mΩcmであった。
次に、高抵抗層上に、Ar−O混合ガス(酸素濃度1.2vol%)の流量10sccm、圧力3mtorr、パワー35W、基板温度200℃の条件で、直流スパッタ法により、低抵抗層となるITO膜を64nm成膜して第2電極層を形成し、太陽電池を製造した。低抵抗層の抵抗率は、同条件で70nm積層したITO膜のシート抵抗を四端子法で測定し、該シート抵抗の値に低抵抗層の膜厚(64nm)を乗じて求めた。低抵抗層の抵抗率は0.5mΩcmであった。
(例2)
Ar−Oの混合ガスの酸素濃度を4vol%に変更した以外は、例1と同様の条件で高抵抗層となるITO膜を6nm成膜した。高抵抗層の抵抗率は15mΩcmであった。そして、例1と同様の条件で高抵抗層上に低抵抗層となるITO膜を64nm成膜して第2電極層を形成し、太陽電池を製造した。
(例3)
Ar−Oの混合ガスの酸素濃度を6vol%に変更した以外は、例1と同様の条件で高抵抗層となるITO膜を6nm成膜した。高抵抗層の抵抗率は150mΩcmであった。そして、例1と同様の条件で高抵抗層上に低抵抗層となるITO膜を64nm成膜して第2電極層を形成し、太陽電池を製造した。
(例4)
Ar−Oの混合ガスの酸素濃度を4vol%に変更した以外は、例1と同様の条件で高抵抗層となるITO膜を2nm成膜した。そして、例1と同様の条件で高抵抗層上に低抵抗層となるITO膜を68nm成膜して第2電極層を形成し、太陽電池を製造した。
(例5)
Ar−Oの混合ガスの酸素濃度を4vol%に変更した以外は、例1と同様の条件で高抵抗層となるITO膜を12nm成膜した。そして、例1と同様の条件で高抵抗層上に低抵抗層となるITO膜を58nm成膜して第2電極層を形成し、太陽電池を製造した。
(例6)
Ar−Oの混合ガスの酸素濃度を4vol%に変更した以外は、例1と同様の条件で高抵抗層となるITO膜を24nm成膜した。そして、例1と同様の条件で高抵抗層上に低抵抗層となるITO膜を46nm成膜して第2電極層を形成し、太陽電池を製造した。
(例7)
フィルム基板上に、例1と同様の条件で第1電極層及びシリコン系光電変換層を形成した。次に、シリコン系光電変換層上に、Ar-O混合ガス(酸素濃度1.2vol%)の流量10sccm、圧力3mtorr、パワー35W、基板温度200℃の条件で、直流スパッタ法により、ITO膜を70nm形成して第2電極層を形成し、太陽電池を製造した。第2電極層全体のシート抵抗は70Ω/□、抵抗率は0.5mΩcmであった。
(例8)
フィルム基板上に、例1と同様の条件で第1電極層及びシリコン系光電変換層を形成した。次に、シリコン系光電変換層上に、Ar−O混合ガス(酸素濃度1.2vol%)の流量10sccm、圧力3mtorr、パワー35W、基板温度200℃の条件で、直流スパッタ法により、低抵抗層となるITO膜を64nm成膜した。次に、低抵抗層上に、Ar−Oの混合ガス(酸素濃度4vol%)の流量10sccm、圧力3mtorr、パワー35W、基板温度200℃の条件で、直流スパッタ法により、高抵抗層となるITO膜を6nm成膜して第2電極層を形成し、太陽電池を製造した。
例1〜8の太陽電池にソーラーシミュレータで100mW/cmの光を照射して、変換効率及びI−V特性を求めた。また、I−V特性の結果より逆方向電圧領域での電流電圧の傾きより、シャント抵抗を求めた。結果を表1にまとめて記す。
例1〜3に示すように、高抵抗層(ITO膜)の成膜時における酸素添加量を増加することで、シャント抵抗が増加し、第2電極層が低抵抗層のみで構成された例7及び、シリコン系光電変換層上に、低抵抗層、高抵抗層の順に積層して第2電極層を形成した例8よりも高い変換効率が得られた。
また、例4〜6に示すように、高抵抗層(ITO膜)の厚さを厚くすることで、シャント抵抗が増加し、高い変換効率が得られた。ただし、高抵抗層の厚さが厚過ぎると、シャント抵抗が増加し過ぎて変換効率は低下する傾向にあった。
そして、例2と例8との比較より、高い変換効率を得るためには、光電変換層側に高抵抗層が配置されるように、高抵抗層と低抵抗層とで構成される第2電極層を形成することが必要であった。
10:太陽電池
11:基板
12:第1電極層
13:シリコン系光電変換層
14:第2電極層(透明導電性酸化物膜)
14a:高抵抗層
14b:低抵抗層

Claims (4)

  1. 基板上に、第1電極層と、シリコン系光電変換層と、第2電極層とが順次積層され、前記第1電極層及び前記第2電極層のうち、少なくとも光入射側に配置される電極層が透明導電性酸化物膜で構成された太陽電池において、
    前記透明導電性酸化物膜は、前記シリコン系光電変換層に近接した部分の酸素含有量が、離れた部分よりも多いことを特徴とする太陽電池。
  2. 前記透明導電性酸化物膜は、酸素含有量の多い高抵抗層と、前記高抵抗層よりも酸素含有量の少ない低抵抗層とで構成され、前記高抵抗層が、前記シリコン系光電変換層側に配置されている請求項1に記載の太陽電池。
  3. 前記高抵抗層は、膜厚が2〜12nmで、抵抗率が15〜150mΩcmである請求項2に記載の太陽電池。
  4. 基板上に、第1電極層と、シリコン系光電変換層と、第2電極層とが順次積層され、前記第1電極層及び前記第2電極層のうち、少なくとも光入射側に配置される電極層が透明導電性酸化物膜で構成された太陽電池の製造方法であって、
    透明導電性酸化物膜を、前記シリコン系光電変換層に近接した部分の方が、離れた部分の方よりも酸素添加量の多い条件で、スパッタ法により成膜することを特徴とする太陽電池の製造方法。
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