JP2014235760A - 磁気ディスク用ガラス基板の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】研磨処理におけるガラス基板の取代量を低減でき、ガラス基板の端部形状のバラつきを低減することができる磁気ディスク用ガラス基板の製造方法を提供する。
【解決手段】磁気ディスク用ガラス基板を製造するとき、非晶質のガラス基板の主表面と研削砥粒とを接触させることにより、前記ガラス基板の主表面を研削し、研削された前記ガラス基板を熱処理することにより、前記ガラス基板を結晶化する。この後、結晶化された前記ガラス基板の主表面と研磨パッドとの間に研磨液を供給し、前記ガラス基板と前記研磨パッドとを相対的に移動させることにより、前記ガラス基板を研磨する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、結晶化処理を含む磁気ディスク用ガラス基板の製造方法に関する。
情報記録媒体の1つとして用いられる磁気ディスクには、従来より、ガラス基板が好適に用いられている。今日、ハードディスクドライブ装置における記憶容量の増大の要請を受けて、磁気記録の高密度化が図られている。これに伴って、磁気ヘッドの磁気記録面からの浮上距離を極めて短くして磁気記録情報エリアを微細化することが行われている。このような磁気ディスクに用いるガラス基板の寸法及び形状は目標通り精度高く作製されていることが好ましい。
磁気ディスク用ガラス基板として、非晶質のガラスを用いたガラス基板が用いられている。これに対して、耐衝撃性に強く、機械的強度の高い結晶化ガラスを、磁気ディスク用ガラス基板として用いることも提案されている。
例えば、少なくともSiO2成分を含む結晶化ガラスからなる板状の無機材料を、研磨液及び研磨パッドを用いて研磨する研磨処理を含む情報記録媒体用基板の製造方法が知られている(特許文献1)。当該製造方法は以下の内容を特徴とする。すなわち、研磨液は、Zr及びSiを含む化合物からなる砥粒を少なくとも含有し、研磨液中の砥粒濃度が2wt%〜40wt%の範囲であり、研磨液中の砥粒の全重量に対する、Zr及びSiを含む化合物からなる砥粒の含有量が70wt%以上であり、研磨処理における加工圧力が120g/cm〜160g/cmである。
当該製造方法では、具体的に、ガラス原料を溶融して溶融ガラスとし、この溶融ガラスを板状に成形する。この後、板状ガラスを熱処理することにより内部に結晶を析出させる。次に、結晶の析出した板状のガラス板を、中心に円孔を有するディスク状に前加工し、板厚や平坦度を最終形状に近づける為の研削処理、平滑な表面性状を得る為の研磨処理を施した後、サブストレートと呼ばれるハードディスク用基板となる。
特開2013−20693号公報
一般に結晶化ガラスのガラス基板は、非晶質のガラス基板に比べて機械的強度が高く、硬くなるので、研削処理及び研磨処理に要する時間は、非晶質のガラス基板の場合に比べて長くなる。なお、研削処理は、研磨処理の加工効率及び平坦度に対する形状制御性の高さから、研磨処理の前に行われるのが一般的である。研磨処理は、この研削処理により発生するガラス基板の表面ダメージを除去することを目的の1つとする。しかし、研磨処理の前処理である研削処理は、ガラスにクラックを伸展させて加工を進める脆性破壊モードの加工形態であるため、研削処理後の表面には微小なクラックが潜在的に存在する、すなわち、潜在クラックが存在する。このような潜在クラックは、ガラス基板の強度を低下させる原因となる。このため、研磨処理では、潜在クラックが完全に除去できる程度に研磨しなければならない。この研磨の取代量の大小はガラス基板の品質に影響を与える。例えば、研磨における取代量が多くなると、ガラス基板の端面に設けられた面取り面とガラス基板の主表面との接続部分において、主表面の端部が主表面の内側部分の面に対して落ち込んだり、あるいは突出形状となるなど、端部形状のバラつきが大きくなることがわかった。このようなバラつきは、磁気ヘッドを磁気記録面から浮上させて微細化された磁気記録情報エリアから情報を読み取るハードディスクドライブ装置にとって好ましくない。
そこで、本発明は、研磨処理におけるガラス基板の取代量を低減でき、ガラス基板の端部形状のバラつきを低減することができる、磁気ディスク用ガラス基板の製造方法を提供することを目的とする。
本願発明者は、上述した従来の問題を解決するために、鋭意検討したところ、結晶化処理を研削処理後に行うことにより、研削処理によって生じる潜在クラックが結晶化処理による結晶粒の成長と体積収縮の効果で小さくなることを知見した。この知見から、研磨処理における取代量を、研削処理後に結晶化処理を行わない場合に比べて小さくすることができることを見出した。さらに、研磨処理における取代量を低減できるため、ガラス基板間の端部形状のばらつきを低減させることができることも見出した。
すなわち、本発明の一態様は、磁気ディスク用ガラス基板の製造方法である。当該方法は、
非晶質のガラス基板の主表面と研削砥粒とを接触させることにより、前記ガラス基板の主表面を研削する研削処理と、
研削された前記ガラス基板を熱処理することにより、前記ガラス基板を結晶化する結晶化処理と、
結晶化された前記ガラス基板の主表面と研磨パッドとの間に研磨液を供給し、前記ガラス基板と前記研磨パッドとを相対的に移動させることにより、前記ガラス基板を研磨する研磨処理と、を含む。
このとき、前記結晶化処理前の前記ガラス基板の表面粗さの最大谷深さRvは、0.7μm以下である、ことが好ましい。
前記結晶化処理では、前記ガラス基板に、平均結晶粒径が10nm以下の結晶を析出させる、ことが好ましい。
また、前記研削処理では、固定砥粒を含んだ研削面と前記ガラス基板の主表面とを接触させて前記ガラス基板の主表面を研削する固定砥粒研削が行われる、ことが好ましい。
また、前記研磨処理により、前記ガラス基板の表面粗さの算術平均粗さRaが0.15nm以下となるように研磨される、ことが好ましい。
上述の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法では、研磨処理におけるガラス基板の取代量を低減でき、これにより研磨時間が短くなり、ガラス基板の端部形状のバラつきを低減することができる。
本実施形態の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法のフローの一例を示す図である。 (a)及び(b)は、ガラス基板の端部形状を説明する図である。
以下、本発明の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法について詳細に説明する。
本実施形態の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法では、非晶質のガラス基板の主表面を研削した後、研削されたガラス基板を熱処理することにより、ガラス基板を結晶化する。この結晶化されたガラス基板の主表面を研磨する。このように、処理の順番を定めることにより、以下の効果を発揮する。すなわち、結晶化処理は、研削処理後研磨処理前に行われることにより、研削処理によって生じた潜在クラックが、結晶化処理による結晶粒の成長と体積収縮の効果により小さくなると考えられる。これにより、研磨処理におけるガラス基板の取代量を、研削処理後に結晶化処理を行わない場合に比べて、小さくすることができる。さらに、研磨処理における取代量を低減できるため、ガラス基板間の端部形状のばらつきを低減させることができる。
(磁気ディスク用ガラス基板の製造方法の説明)
図1は、本実施形態の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法のフローの一例を示す図である。
先ず、一対の主表面を有する板状の磁気ディスク用ガラス基板の素材となるガラスブランクの成形処理が行われる(ステップS10)。次に、このガラスブランクの粗研削処理を行う(ステップS12)。この後、ガラスブランクに形状加工処理及び端面研磨処理が施される(ステップS14)。この後、ガラスブランクから得られたガラス基板に固定砥粒を用いた精研削処理が行われる(ステップS16)。次に、研削されたガラス基板に結晶化処理が施される(ステップS18)。この後、第1研磨処理(ステップS20)、化学強化処理(ステップS22)、及び、第2研磨処理(ステップS24)がガラス基板に施される。
以下、各処理について、説明する。
(a)ガラスブランクの成形処理
ガラスブランクの成形では、例えばプレス成形法を用いることができる。プレス成形法により、円形状のガラスブランクを得ることができる。さらに、ダウンドロー法、リドロー法、フュージョン法などの公知の製造方法を用いて製造することができる。これらの公知の製造方法で作られた板状ガラスブランクに対し、適宜形状加工を行うことによって磁気ディスク用ガラス基板の元となる円板状のガラス基板が得られる。
本実施形態におけるガラス基板を構成するガラス(の硝種)は、SiO2を主成分とし、さらにアルミナを含むアルミノシリケートガラスであって、後述する結晶化処理が可能なものを用いることが好ましい。このようなガラスを用いたガラス基板は、表面を鏡面研磨することにより平滑な鏡面に仕上げることができ、また結晶化処理によって強度を飛躍的に高めることができる。化学強化によってさらに強度を上げることもできる。
本実施形態で用いられるガラスの組成は、例えば、
SiO2:35〜65モル%、
Al23:5〜25モル%、
MgO:10〜40モル%、
TiO2:5〜15モル%、である。
このとき、上記組成の合計が少なくとも92モル%以上であるガラス組成(第1のガラス組成)が好ましい。このようなガラスに結晶化処理を施すことによって、主結晶がエンスタタイト及び/又はその固溶体となる結晶化ガラスとすることができる。
また、他のガラス組成の一例は、酸化物基準の質量%で、
SiO2:45.60〜60%、
Al23:7〜20%、
23:1.00以上8%未満、
25:0.50〜7%、
TiO2:1〜15%、
ROの合計量:5〜35%(ただしRはZn及びMg)、である。この場合、CaOの含有量が3.00%以下、BaOの含有量が4%以下であり、PbO、As23およびSb23およびCl−、NO−、SO3−、F−成分を含有しないガラス組成(第2のガラス組成)を用いることも好ましい。
このようなガラスに結晶化処理を施すことによって、主結晶相としてRAl24、R2TiO4、(ただしRはZn、Mgから選択される1種類以上)から選ばれる一種以上を含有し、主結晶相の結晶粒径が0.5nm〜20nmの範囲であり、結晶化度が15%以下であり、比重が2.95以下である結晶化ガラスとすることができる。
(b)粗研削処理
粗研削処理では、具体的には、ガラスブランクを、周知の両面研削装置に装着される保持部材(キャリア)に設けられた保持孔内に保持しながらガラスブランクの両側の主表面の研削が行われる。この時、研磨材として、例えばアルミナ砥粒が用いられる。粗研削処理では、ガラスブランクが目標とする板厚寸法及び主表面の平坦度に略近づくように研削される。なお、粗研削処理は、成形されたガラスブランクの寸法精度あるいは表面粗さに応じて行われるものであり、場合によっては行われなくてもよい。
(c)形状加工処理
次に、形状加工処理が行われる。形状加工処理では、ガラスブランクの成形処理後、公知の加工方法を用いて円孔を形成することにより、円孔があいた円盤形状のガラス基板を得る。その後、ガラス基板の端面の面取りを実施する。これにより、ガラス基板の端面には、主表面と直交している側壁面と、側壁面と主表面を繋ぐ面取り面(介在面)が形成される。
(d)端面研磨処理
次にガラス基板の端面研磨処理が行われる。端面研磨処理は、研磨ブラシとガラス基板の端面との間に遊離砥粒を含む研磨液を供給して研磨ブラシとガラス基板とを相対的に移動させることにより研磨を行う処理である。端面研磨では、ガラス基板の内周側端面及び外周側端面を研磨対象とし、内周側端面及び外周側端面を鏡面状態にする。
(e)精研削処理
次に、ガラス基板の主表面に精研削処理が施される。具体的には、固定砥粒を用い、遊星歯車機構を備えた両面研削装置を用いて、ガラス基板の主表面に対して研削を行う。具体的には、上下の定盤の間にガラス基板を保持して、研削液を定盤とガラス基板との間に供給して研削を行う。または、上下の定盤に固定砥粒を貼り付け、当該上下の定盤の間にガラス基板を保持して、クーラントを供給して研削を行う。定盤に研磨パッドは貼り付けられていない。より具体的には、ガラス基板を、両面研削装置の保持部材に設けられた保持孔内に保持しながらガラス基板の両側の主表面の研削を行う。研削による取代量は、例えば数μm〜100μm程度である。両面研削装置は、上下一対の定盤(上定盤および下定盤)を有しており、上定盤及び下定盤の表面に例えばダイヤモンドの砥粒を含む固定砥粒が貼り付けられている。砥粒として例えば平均粒径が5μm〜50μmの砥粒が用いられる。なお、砥粒としては、ダイヤモンド等の粒子や、複数の粒子をガラス、セラミック、金属、または樹脂などのバインダーで固めた凝集体を用いることができる。そして、例えば、それらの砥粒を樹脂などの支持材を用いて固定したペレットをシートに貼り付けたものを固定砥粒とすることができる。このような上定盤及び下定盤の間にガラス基板が狭持される。そして、上定盤または下定盤のいずれか一方、または、双方を移動操作させることで、ガラス基板と各定盤とを相対的に移動させることにより、このガラス基板の両主表面を研削することができる。
固定砥粒を用いた研削処理後で、結晶化処理前のガラス基板の表面粗さの最大谷深さRv(JIS B 0601:2001)は、0.7μm以下であることが、後述する研磨(第1研磨、第2研磨)を効率よく行って表面粗さが極めて小さい磁気ディスク用ガラス基板とする点で、好ましい。
本実施形態の研削処理では、固定砥粒を含んだ研削面とガラス基板の主表面とを接触させてガラス基板の主表面を研削するが、遊離砥粒を用いた研削を行ってもよい。なお、固定砥粒を用いた研削は、遊離砥粒による研削と比べて、凹んだ部分から延びる潜在クラックの深さが深くなりにくい。後述する結晶化処理は、凹んだ部分から延びる潜在クラックを小さく、浅くさせる。このため、遊離砥粒による研削で深く進展した潜在クラックは、結晶化処理により十分に小さくなり難い。この点から、固定砥粒を用いた研削を行うことが好ましい。
(f)結晶化処理
次に、研削されたガラス基板に結晶化処理が施される。具体的には、例えば、複数のガラス基板のそれぞれのガラス基板間にディスク状のセッターと呼ばれる板を挟んで、加熱炉に入れて熱処理を行う。セッターはセラミックス製とすることができる。熱処理では、例えば核形成温度で所定時間保持し、その後結晶成長温度で所定時間保持することによりガラス基板を結晶化させる。核形成および結晶成長の温度や時間は、ガラス基板のガラス組成によって適宜設定すればよい。加熱後の冷却では、ガラス基板に歪みや撓みが発生しないように、徐冷速度を調整することが好ましい。
結晶化したガラス基板は、例えば、粉末X線回折法で得られた回折強度分布を用いて結晶化の有無を判定することができる。なお、結晶相の平均結晶粒径は10nm以下の結晶を析出させることが、ガラス基板の主表面の表面粗さを小さくして主表面を鏡面化させる点で好ましい。結晶相は硬いため、研磨では加工し難い。平均結晶粒径が10nmを超えると、ガラス基板の主表面の研磨による加工時間が長くなる。
結晶化されたガラス(以降、結晶化ガラスという)は、非晶質のガラスを加熱することでガラス内部に結晶を析出させた構成の材料であり、非晶質のガラスとは区別され得る。
本実施形態においては、前記結晶化処理後のガラス基板のヤング率としては、100GPa以上、より好ましくは120GPa以上であることが好ましい。こうすることで、抗折強度や耐衝撃性が高いガラス基板とすることができる。前記結晶化処理後のガラス基板の抗折強度は、耐衝撃性を向上させる観点から7kgf以上であることが好ましく、特に8kgf以上であることが好ましい。こうすることで、10000rpm以上の高速回転のHDD(ハードディスクドライブ装置)向けとして好適な磁気ディスク用ガラス基板とすることができる。
(g)第1研磨処理
次に、結晶化処理の施されたガラス基板の主表面に第1研磨処理が施される。具体的には、ガラス基板の外周側端面を、上述した両面研削装置と同様の構成の両面研磨装置の保持部材に設けられた保持孔内に保持しながらガラス基板の両側の主表面の研磨が行われる。第1研磨処理は、遊離砥粒を用いて、定盤に貼り付けられた研磨パッドを用いる。第1研磨による取代量は、5μm〜50μmであることが好ましい。第1研磨は、例えば固定砥粒による研削を行った場合に主表面に残留したクラックや歪みの除去、あるいは、結晶化処理により主表面に生じた微小な表面凹凸の除去をする。取代量を上記範囲内とすることで、主表面端部の形状が過度に落ち込んだり突出したりすることを防止しつつ、主表面の表面粗さ、例えば算術平均粗さRaを低減することができる。第1研磨処理後の算術平均粗さRaは1nm以下とすると後続の第2研磨処理における取代量を減らすことができるので好ましく、0.5nm以下とするとより好ましい。
第1研磨に用いる遊離砥粒は特に制限されないが、例えば、酸化セリウム砥粒、あるいはジルコニア砥粒などが用いられる。遊離砥粒の平均粒径は0.2〜2.0μmとすることが好ましい。なお、本明細書において、平均粒径とは、光散乱法により測定された粒度分布における粉体の集団の全体積を100%として累積カーブを求めたとき、その累積カーブが50%となる点の粒径を言い、例えば、粒子径・粒度分布測定装置で測定して得られる値である。
研磨パッドの種類は特に制限されないが、例えば、硬質発泡ウレタン樹脂ポリッシャが用いられる。樹脂ポリシャの硬度は、アスカーC硬度で75〜90であることが好ましい。こうすることで、結晶化処理後であって表面に結晶相が存在していても後述する表面粗さの算術平均粗さRaを0.5nm以下にすることができる。アスカーC硬度が75より小さいと、結晶相を十分に研磨することができず、研磨前と比べて粗さが上昇してしまう場合がある。一方、アスカーC硬度が90より大きいと、表面にスクラッチが生じる場合がある。また、樹脂ポリシャは、スウェード樹脂ポリシャとすることで、スクラッチをさらに低減することが可能となるので好ましい。そしてさらに、表面に溝形状を有するスウェード樹脂ポリシャを使用すると、結晶化されて硬度を増したガラス基板の研磨においても研磨レートを向上させることが可能となるのでより好ましい。溝形状は、例えば、格子型や放射型とすることができる。
すなわち、第1研磨処理では、結晶化されたガラス基板の主表面と研磨パッドとの間に研磨液を供給し、ガラス基板と研磨パッドとを相対的に移動させることにより、ガラス基板を研磨する。
(h)化学強化処理
ガラス基板は適宜化学強化することができる。化学強化液として、例えば硝酸カリウム,硝酸ナトリウム、またはそれらの混合物を加熱して得られる溶融液を用いることができる。そして、ガラス基板を化学強化液に浸漬することによって、ガラス基板の表層にあるガラス組成中のリチウムイオンやナトリウムイオンが、それぞれ化学強化液中のイオン半径が相対的に大きいナトリウムイオンやカリウムイオンにそれぞれ置換されることで表層部分に圧縮応力層が形成され、ガラス基板が強化される。
化学強化処理を行うタイミングは、適宜決定することができるが、化学強化処理の後に研磨処理を行うようにすると、表面の平滑化とともに化学強化処理によってガラス基板の表面に固着した異物を取り除くことができるので特に好ましい。また、化学強化処理は、必要に応じて行われればよく、行われなくてもよい。
(i)第2研磨(鏡面研磨)処理
次に、化学強化処理後のガラス基板に第2研磨が施される。第2研磨は、主表面の鏡面研磨を目的とする。第2研磨においても、第1研磨に用いる両面研磨装置と同様の構成を有する両面研磨装置が用いられる。第2研磨による取代量は、1〜10μmであることが好ましい。こうすることで主表面の端部の形状が過度に落ち込んだり突出したりすることを防止しつつ、主表面の粗さを低減することができる。第2研磨処理が第1研磨処理と異なる点は、遊離砥粒の種類が異なり及び粒子サイズが小さくなることと、研磨パッドの樹脂ポリッシャの硬度が軟らかくなることである。樹脂ポリシャの硬度は、アスカーC硬度で70〜85であることが好ましい。こうすることで、表面に結晶相が存在していても実用的な研磨速度を維持しつつ表面粗さの算術平均粗さRaを低減することができる。硬度が70より小さいと、結晶相を十分に研磨することができず、研磨前と比べて粗さが上昇してしまう場合がある。一方、アスカーC硬度が85より大きいと、表面にスクラッチが生じる場合がある。
第2研磨処理に用いる遊離砥粒として、例えばコロイダルシリカ等の微粒子が用いられる。研磨されたガラス基板を洗浄することで、磁気ディスク用ガラス基板が得られる。
第2研磨処理は、必ずしも必須な処理ではないが、ガラス基板の主表面の表面凹凸のレベルをさらに良好なものとすることができる点で実施することが好ましい。このようにして、第2研磨の施されたガラス基板は磁気ディスク用ガラス基板となる。
なお、第2研磨処理後の結晶化されたガラス基板の表面粗さの算術平均粗さRaが0.15nm以下となるようにガラス基板が研磨されることが、表面粗さの小さい磁気ディスク用ガラス基板を作製する点で好ましい。この算術平均粗さRaは、一辺が1μm×1μmの矩形領域について256点×256点の分解能として原子間力顕微鏡により計測することにより得られる。
以上のように本実施形態では、結晶化処理を、固定砥粒を用いた研削処理後、第1研磨処理前に行う。この理由について、以下説明する。
ガラス基板は、結晶化ガラスになることにより、ビッカース硬度が高くなり、硬いガラス基板となる。本実施形態では、このため、取代量の多い研削では多量の時間がかからないように、非晶質のガラスの状態でガラス基板を研削する。このとき、固定砥粒を用いた研削は、ガラスにクラックを伸展させて加工を進める脆性破壊モードの加工形態であるため、研削終了後に表面には微小なクラックが潜在的に存在する。このため、研削により作られる潜在クラックは除去されなければならない。第1研磨処理がこの潜在クラックを除去する。本実施形態は、この潜在クラックを、第1研磨処理前に小さくするために、結晶化処理が行われる。この潜在クラックは、ガラス基板の結晶化により深さが浅くなる。すなわち、潜在クラックは結晶化処理による結晶粒の成長と体積収縮の効果で小さくなる。したがって、本実施形態では、第1研磨処理前に行う結晶化処理により、ガラス基板は硬くなるものの、潜在クラックは小さくなり、第1研磨の取代量を少なくすることができる。したがって、第1研磨に要する時間を短縮させることができる。しかも、第1研磨における取代量を少なくできるので、ガラス基板の端面に設けられた面取り面とガラス基板の主表面との接続部分の、ハードディスクドライブ装置にとって好ましくない端部形状のバラつきが抑制される。
図2(a)及び(b)は、ガラス基板の端部形状を説明する図である。図2(a)は、図1に示す製造方法により得られたガラス基板10の端部形状を示す図であり、図2(b)は、第1研磨における取代量が多いときのガラス基板12の端部形状を示す図である。図2(b)に示すように、取代量が多い場合、研磨パッドがガラス基板12を押し当てて多量に研磨するので、ガラス基板12の主表面と面取り面との接続部分Bの形状は、なだらかな曲線形状となる。このため、主表面上の外周端部の形状は曲線形状となり、複数のガラス基板間においてバラつき易い。これに対して、取代量が少ない場合、研磨パッドがガラス基板10を押し当てても取代量が少ないので、図2(a)に示すようにガラス基板10の主表面と面取り面との接続部分Aの形状は直線的に屈曲する形状を保持する。このため、主表面上の外周端部の形状の複数のガラス基板間におけるバラつきは小さい。
このようなバラつきは、磁気ヘッドを磁気記録面から浮上させて微細化された磁気記録情報エリアから情報を読み取るハードディスクドライブ装置にとって、外周側端面に近い接続部分まで安定して読むことを難しくする。この点で、主表面上の外周端部に形状のばらつきが生じ易い図2(b)に示すような端部形状は好ましくない。
このように結晶化ガラスを用いたガラス基板は、非晶質のガラスを用いた従来のガラス基板に比べて線膨張係数が小さく、熱処理を加えても歪みや撓みを発生し難い。したがって、本実施形態のガラス基板は、磁性層を形成するときに例えば700〜800℃に加熱して磁性層の成分をアニールするような場合があっても、熱による撓みが発生し難いことから、エネルギーアシスト磁気記録方式の磁気ディスク用ガラス基板として好適に用いることができる。
[実施例、比較例]
本実施形態の効果を確認するために、2種類のガラス基板の製造方法(実施例及び比較例)でアルミノシリケートガラスからなる2.5インチサイズの磁気ディスク用ガラス基板を作製した。なお、ガラス基板に用いたガラスの組成は、上述した第2のガラス組成を用いた。
実施例では、図1に示すフローに沿ってガラス基板に処理を施した。
一方、比較例では、図1に示す固定砥粒を用いた精研削処理と結晶化処理の順番を逆にして、結晶化処理後、固定砥粒を用いた精研削処理を行った。この後、第1研磨処理を行った。
これ以外は、図1に示す処理の順番でガラス基板を作製した。
結晶化処理では、結晶相の平均結晶粒径が10nm以下となるように熱処理条件を設定した。
固定砥粒を用いた研削処理では、ダイヤモンド砥粒を含む固定砥粒を用いて、実施例及び比較例ともに取代量が100μmとなるように研削を行った。
第1研磨処理及び第2研磨処理は、研磨後にガラス基板のクラックが完全に除去され、主表面の算術平均粗さRaが0.15nmとなるような取代量を予め調べて研磨を行った。第1研磨処理及び第2研磨処理合計の取代量は、比較例を1とすると、実施例では0.6であった。
さらに、第2研磨処理後のガラス基板の端部形状のバラつきを調べるために、実施例及び比較例それぞれ100枚における端部の形状を、ガラス基板毎に主表面上の外周端部に置いて90度ずつ表裏面に付いて合計8箇所の位置で測定した。形状測定は、光学式の表面形状測定機を用いて行った。ガラス基板の端部形状のバラつきの良否については、円盤形状のガラス基板それぞれの中心位置から、30.10〜31.75mmにおける主表面上の輪郭形状の、30.10mmと31.75mmの主表面上の2点を結ぶ仮想直線からの距離の最大値が許容範囲内にあるか否かにより、判断した。そして、100枚のガラス基板のうち位置ずれの最大値が許容範囲内(±5nmの範囲内)にあるガラス基板の枚数を数え、その比率を求めた。実施例では、上記比率は100%であったが、比較例では、上記比率は75%であった。比較例では、実施例と比べて長時間研磨しなければならないので、主表面上端部の形状がばらついたと考えられる。
これより、本実施形態の製造方法では、研磨処理におけるガラス基板の取代量を低減でき、これにより研磨時間が短くなり、ガラス基板の端部形状のバラつきを低減することができる。
以上、本発明の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態及び実施例に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
10,12 ガラス基板

Claims (5)

  1. 非晶質のガラス基板の主表面と研削砥粒とを接触させることにより、前記ガラス基板の主表面を研削する研削処理と、
    研削された前記ガラス基板を熱処理することにより、前記ガラス基板を結晶化する結晶化処理と、
    結晶化された前記ガラス基板の主表面と研磨パッドとの間に研磨液を供給し、前記ガラス基板と前記研磨パッドとを相対的に移動させることにより、前記ガラス基板を研磨する研磨処理と、を含むことを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  2. 前記結晶化処理前の前記ガラス基板の表面粗さの最大谷深さRvは、0.7μm以下である、請求項1に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  3. 前記結晶化処理では、前記ガラス基板に、平均結晶粒径が10nm以下の結晶を析出させる、請求項1または2に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  4. 前記研削処理では、固定砥粒を含んだ研削面と前記ガラス基板の主表面とを接触させて前記ガラス基板の主表面を研削する固定砥粒研削が行われる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  5. 前記研磨処理により、前記ガラス基板の表面粗さの算術平均粗さRaが0.15nm以下となるように研磨される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。

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