JP2013209262A - 磁気ディスク用ガラスブランクの製造方法および磁気ディスク用ガラス基板の製造方法 - Google Patents

磁気ディスク用ガラスブランクの製造方法および磁気ディスク用ガラス基板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】シアマーク発生位置の個体間のばらつきを抑制し、加工工程でシアマークの除去を効率よく行うことができる磁気ディスク用ガラスブランク及び磁気ディスク用ガラス基板の製造方法を提供する。
【解決手段】一対の主表面を有する磁気ディスク用ガラスブランクの製造方法であって、溶融ガラスの供給部から供給される溶融ガラスを切断し、その切断してなる溶融ガラスの塊を落下させる切断工程と、前記切断工程の後に、前記溶融ガラスの塊を所定のプレス位置で一対の型のプレス面によってプレス成形することにより、ガラスブランクを成形するプレス工程と、を含み、前記切断工程では、水平面に対する斜め方向で互いにずらして配置されかつその斜め方向で互いに対向配置され、斜め下方へ駆動される上側切断刃と斜め上方へ駆動される下側切断刃との協働により前記溶融ガラスを切断する。
【選択図】図6

Description

本発明は、磁気ディスク用ガラスブランクの製造方法および磁気ディスク用ガラス基板の製造方法に関する。
今日、パーソナルコンピュータ、ノート型パーソナルコンピュータ、あるいはDVD(Digital Versatile Disc)記録装置等には、データ記録のためにハードディスク装置が内蔵されている。特に、ノート型パーソナルコンピュータ等の可搬性を前提とした機器に用いられるハードディスク装置では、ガラス基板に磁性層が設けられた磁気ディスクが用いられ、磁気ディスクの面上を僅かに浮上させた磁気ヘッド(DFH(Dynamic Flying Height)ヘッド)で磁性層に磁気記録情報が記録され、あるいは読み取られる。この磁気ディスクの基板には、金属基板等に比べて塑性変形をしにくい性質を持つことから、ガラス基板が好適に用いられている。
また、ハードディスク装置における記憶容量の増大の要請を受けて、磁気記録の高密度化が図られている。例えば、磁性層における磁化方向を基板の面に対して垂直方向にする垂直磁気記録方式を用いて、磁気記録情報エリアの微細化が行われている。これにより、1枚のディスク基板における記憶容量を増大させることができる。しかも、記憶容量の一層の増大化のために、磁気ヘッドの磁気記録面からの浮上距離を極めて短くして磁気記録情報エリアを微細化することも行われている。このような磁気ディスクの基板においては、磁性層の磁化方向が基板面に対して略垂直方向に向くように、磁性層が平らに形成される。このために、ガラス基板の表面凹凸は可能な限り小さく作製されている。
また、磁気ヘッドの浮上距離が短いことによりヘッドクラッシュ障害やサーマルアスペリティ障害を引き起こし易い。これらの障害は磁気ディスク面上の微小な凹凸あるいはパーティクルによって発生するため、ガラス基板の主表面の他にガラス基板の端面の表面凹凸も可能な限り小さく作製されている。
ところで、磁気ディスクに用いるガラス基板は、例えば、以下の方法で製造される。具体的には、当該方法では、受けゴブ形成型である下型上に、溶融ガラスの塊(以下、ゴブという。)が供給され、下型と対向ゴブ形成型である上型を使用してゴブがプレス成形されて板状の磁気ディスク用ガラスブランク(以下、ガラスブランクという。)を作製した後、情報記録媒体用ガラス基板に加工される(特許文献1)。
この方法では、下型上にゴブを供給した後に上型用胴型の下面と下型用胴型の上面を当接させ、上型と上型用胴型との摺動面および下型と下型用胴型との摺動面を超えて外側に肉薄板状ガラス成形空間を形成し、さらに上型を下降してプレス成形を行い、プレス成形直後に上型を上昇する。これにより、磁気ディスク用ガラス基板の元となる板状のガラスブランクが成形される。この後、研削工程及び研磨工程を経て磁気ディスク用ガラス基板が得られる。
研削工程では、例えば、アルミナ系遊離砥粒を用いた研削が行われる。この工程では、粒子サイズが異なる遊離砥粒を用いて第1研削工程と第2研削工程が行われる。第2研削工程で用いる遊離砥粒の粒子サイズは第1研削工程で用いる遊離砥粒の粒子サイズに比べて小さく設定される。これにより、粗い研削と細かい研削をこの順番で行う。
研磨工程は、例えば、酸化セリウム等の遊離砥粒および硬質樹脂材ポリッシャ等を用いた第1研磨工程と、例えばコロイダルシリカおよび軟質樹脂材ポリッシャ等を用いた第2研磨工程とを含む。第1研磨工程で用いる砥粒の粒子サイズは、研削工程中の第2研削工程で用いる砥粒の粒子サイズに比べて小さい。さらに、第2研磨工程で用いる砥粒の粒子サイズは、第1研磨工程で用いる砥粒の粒子サイズに比べて小さい。
以上のように、ガラス基板における表面加工では、第1研削工程、第2研削工程、第1研磨工程、第2研磨工程が、この順番に行われ、ガラス基板の表面粗さ等の表面品質が徐々によくなるように加工する。
特許第3709033号公報
ゴブを落下させてプレスする方法では、図8に示すように、一対の切断刃による切断に伴ってゴブが押圧力Fで水平方向に押圧されることにより、ゴブには回転モーメントが生じるため、ゴブは、落下中に回転する。また、切断してからプレスするまでの間の距離が比較的長いため、ゴブの落下姿勢が不安定化しやすくなる。このようにゴブの落下姿勢が不安定化することによって、プレス毎にプレス位置でのゴブの切断部位の位置ずれが生じ、ガラスブランクのシアマークの位置及び深さに個体間ばらつきが生じ、加工工程でのシアマークの除去が煩雑であった。
ここで、ゴブが非球状の場合、そのゴブが落下中に回転していると、型のプレス面内におけるゴブと最初に接触する部位がプレスの度にばらつくこととなる。プレス時の型のプレス面内においてゴブと最初に接触する部位がゴブからの伝熱の起点となるため、型のプレス面内におけるゴブと最初に接触する部位がプレスの度に異なる場合には、型の面内の温度分布がプレスの度にばらつきが生じる。
このように、型の面内の温度分布がプレスの度にばらつく場合には、ガラスブランクの個体の面内の平面度のばらつきが生じる。これに加えて、同じ型を用いて連続してプレス成型する際に、プレス前の時点の温度分布がガラスブランクの平面度に影響するため、成型されたガラスブランクの平面度に個体差が生じる。
このようなメカニズムによって、ガラスブランクの個体の面内の平面度のばらつきと、個体間の平面度のばらつきとが生じる。このような個体面内及び個体間の平面度のばらつきは、後加工(研削,研磨等)における加工量(取りしろ)の設定に影響する。
また、型のプレス面内におけるゴブと最初に接触する部位がプレスの度に異なる場合には、ガラスブランクにおけるシアマーク(切断痕)の位置及び深さにも個体間でばらつきが生じるという問題もある。
ゴブの表面における切断部は、切断刃との接触した際の熱伝導によって部分的に放熱されているため、ゴブの表面における他の部分よりも温度が低い状態である。このため、プレスの際に、ゴブの表面における切断部が型のプレス面と接触すると、ゴブの表面における切断部周辺は、他の部分に比べて早く冷え固まるため、ガラスブランクの比較的深い場所(例えば20〜50μm)にシアマークが生じることとなる。
このように、ガラスブランクの比較的深い場所にシアマークが生じる場合にも、後加工(研削,研磨等)における加工量(取りしろ)の設定に影響する。
また、ガラスブランクの平面度は、研削(第1研削工程)により向上させることができる。例えば、平面度の向上のために研削工程における取り代(削り量)を大きくする。しかし、研削工程における取り代を大きくすると、ガラスブランクの表面に深いクラックが入るため、深いクラックが残留しないように、後工程である研磨工程においても取り代(研磨量)は必然的に大きくなる。しかし、遊離砥粒および樹脂ポリッシャを用いる研磨工程において取り代を大きくすると、ガラスブランクの主表面の外周エッジ部近傍が丸く削られて、エッジ部の「だれの問題」が発生する。すなわち、ガラスブランクの外周エッジ部近傍が丸く削られるため、このガラスブランクをガラス基板として用いて磁気ディスクを作製したとき、外周エッジ部近傍の磁性層と磁気ヘッドとの間の距離が、ガラス基板の別の部分における磁気ヘッドの浮上距離より大きくなる。また、外周エッジ部近傍が丸みを持った形状となるため、表面凹凸が発生する。この結果、外周エッジ部近傍の磁性層において磁気ヘッドの記録及び読み出しの動作が正確でない。これが「だれの問題」である。
また、研磨工程における取り代が大きくなるため、研磨工程は長時間を要する等により実用上好ましくない。
そこで、本発明は、シアマーク発生位置の個体間のばらつきを抑制し、加工工程でシアマークの除去を効率よく行うことができる磁気ディスク用ガラスブランク及び磁気ディスク用ガラス基板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の第1の態様は、一対の主表面を有する磁気ディスク用ガラスブランクの製造方法である。
前記磁気ディスク用ガラスブランクの製造方法は、
溶融ガラスの供給部から供給される溶融ガラスを切断し、その切断してなる溶融ガラスの塊を落下させる切断工程と、
前記切断工程の後に、前記溶融ガラスの塊を所定のプレス位置で一対の型のプレス面によってプレス成形することにより、ガラスブランクを成形するプレス工程と、
を含み、
前記切断工程では、水平面に対する斜め方向で互いにずらして配置されかつその斜め方向で互いに対向配置され、斜め下方へ駆動される上側切断刃と斜め上方へ駆動される下側切断刃との協働により前記溶融ガラスを切断する。
本発明の第2の態様は、一対の主表面を有する磁気ディスク用ガラスブランクの製造方法である。
前記磁気ディスク用ガラスブランクの製造方法は、
溶融ガラスの供給部から供給される溶融ガラスを切断し、その切断してなる溶融ガラスの塊を落下させる切断工程と、
前記切断工程の後に、前記溶融ガラスの塊を所定のプレス位置で一対の型のプレス面によってプレス成形することにより、ガラスブランクを成形するプレス工程と、
前記ガラスブランクを加工して磁気ディスク用ガラスブランクとする加工工程と、
を含み、
前記切断工程では、互いに対向配置された上側切断刃と下側切断刃との協働により前記溶融ガラスを切断し、
前記下側切断刃は、前記上側切断刃よりも先に前記溶融ガラスと接するように駆動され、
前記上側切断刃の駆動速度は、前記下側切断刃の駆動速度よりも速い。
上記磁気ディスク用ガラスブランクの製造方法において、前記プレス工程では、前記塊の全表面のうち切断部位を除く部分と前記一対の型のプレス面が最初に接触するように、前記溶融ガラスの塊をプレス成形する、ことが好ましい。
上記磁気ディスク用ガラスブランクの製造方法において、前記ガラスは、酸化物基準に換算した際に、モル%表示で、SiOを50〜75%、Alを1〜15%、LiO、NaO及びKOから選択される少なくとも1種の成分を合計で12〜35%、MgO、CaO、SrO、BaO及びZnOから選択される少なくとも1種の成分を合計で0〜20%、及び、ZrO、TiO、La、Y、Ta、Nb及びHfOから選択される少なくとも1種の成分を合計で0〜10%、有する組成からなる、ことが好ましい。
上記磁気ディスク用ガラスブランクの製造方法において、前記溶融ガラスの粘度が、500dPa・s〜1050dPa・sの範囲内である、ことが好ましい。
本発明の第3の態様は、磁気ディスク用ガラス基板の製造方法である。
前記磁気ディスク用ガラス基板の製造方法は、
上記磁気ディスク用ガラスブランクの製造方法によって得られた磁気ディスク用ガラスブランクを用いて、磁気ディスク用ガラス基板を製造する。
上記磁気ディスク用ガラス基板の製造方法において、前記磁気ディスク用ガラスブランクを加工する加工工程を有し、前記加工工程は、固定砥粒を用いて前記磁気ディスク用ガラスブランクの主表面を研削する研削工程と、前記研削工程の後に、遊離砥粒を用いて前記主表面を研磨する研磨工程と、を有する、ことが好ましい。
本発明によれば、シアマーク発生位置の個体間のばらつきを抑制し、加工工程でシアマークの除去を効率よく行うことができる。
(a)は、磁気ディスク用ガラス基板を用いて作製される磁気ディスクの一例を示す概略構成図、(b)は、磁気ディスクの断面図、(c)は、磁気ヘッドが磁気ディスクの表面を浮上する状態を示す図。 (a)〜(d)は、磁気ディスク用ガラスブランクあるいはガラス基板における表面凹凸を説明する図。 磁気ディスク用ガラス基板の製造方法の一実施形態のフローを示す図。 プレス成形において用いられる装置の平面図。 第1実施形態における切断ユニットの側面図。 第1実施形態におけるプレス成形工程を示す図。 第2実施形態における切断工程を示す図。 切断工程において、溶融ガラスの塊(ゴブ)が鉛直方向に回転しながら落下する場合について説明する図。
(1)第1実施形態
以下、本発明の磁気ディスク用ガラスブランクの製造方法および磁気ディスク用ガラス基板の製造方法の第1実施形態について詳細に説明する。
(1−1)磁気ディスクおよび磁気ディスク用ガラス基板
まず、図1を参照して、磁気ディスク用ガラス基板を用いて作製される磁気ディスクについて説明する。図1(a)は、磁気ディスク用ガラス基板を用いて作製される磁気ディスクの一例を示す概略構成図である。図1(b)は、磁気ディスクの概略断面図である。図1(c)は、磁気ヘッドが磁気ディスクの表面を浮上する状態を示す図である。
図1(a)に示されるように、磁気ディスク1はリング状であり、回転軸を中心として回転する。図1(b)に示されるように、磁気ディスク1は、ガラス基板2と、少なくとも磁性層3A,3Bと、を備える。
なお、磁性層3A,3B以外には、例えば、図示されない付着層、軟磁性層、非磁性下地層、垂直磁気記録層、保護層および潤滑層等が成膜される。付着層には、例えばCr合金等が用いられる。付着層は、ガラス基板2との接着層として機能する。軟磁性層には、例えばCoTaZr合金等が用いられる。非磁性下地層には、例えばグラニュラー非磁性層等が用いられる。垂直磁気記録層には、例えばグラニュラー磁性層等が用いられる。保護層には、水素カーボンからなる材料が用いられる。潤滑層には、例えばフッ素系樹脂等が用いられる。
磁気ディスク1について、より具体的な例を用いて説明する。本実施形態では、インライン型スパッタリング装置を用いて、ガラス基板2の両主表面に、CrTiの付着層、CoTaZr/Ru/CoTaZrの軟磁性層、CoCrSiOの非磁性グラニュラー下地層、CoCrPt−SiO・TiOのグラニュラー磁性層、水素化カーボン保護膜を順次成膜される。さらに、成膜された最上層にディップ法によりパーフルオロポリエーテル潤滑層が成膜される。
磁気ディスク1は、例えば7200rpmの回転速度で回転軸を中心として回転する。図1(c)に示されるように、ハードディスク装置の磁気ヘッド4A,4Bのそれぞれは、磁気ディスク1の高速回転に伴って、磁気ディスク1の表面から距離Hだけ浮上する。磁気ヘッド4A,4Bが浮上する距離Hは、例えば、5nmである。この状態で、磁気ヘッド4A,4Bは、磁性層に情報を記録し、あるいは読み出しを行う。この磁気ヘッド4A,4Bの浮上によって、磁気ディスク1に対して摺動することなく、しかも近距離で磁性層に対して記録あるいは読み出しを行うことにより、磁気記録情報エリアの微細化と磁気記録の高密度化を実現する。
このとき、磁気ディスク1のガラス基板2の中央部から外周エッジ部5まで、目標とする表面精度で正確に加工され、距離H=5nmを保った状態で磁気ヘッド4A,4Bを正確に動作させることができる。
このようなガラス基板2の表面凹凸の加工は、後述するように、取り代の小さい固定砥粒を用いた研削と、その結果、取り代を小さくすることができる第1研磨および第2研磨を経て作製される。したがって、従来の「だれの問題」が解消される。
このような磁気ディスク1に用いられるガラス基板2の主表面の表面凹凸は、平面度が例えば4μm以下であり、表面の粗さが例えば0.2nm以下である。平面度が4μm以下は、最終製品としての磁気ディスク用基板に求められる目標平面度である。
平面度は、例えば、Nidek社製フラットネステスターFT−900を用いて測定することができる。
主表面の粗さ(Ra)は、例えば、エスアイアイナノテクノロジーズ社製走査型プローブ顕微鏡(原子間力顕微鏡)で計測し、JIS R1683:2007で規定される方法で算出できる。
ここで、図2を参照して、板状ガラスブランク(ガラス素材)やガラス基板における表面凹凸について説明する。図2(a)〜(d)は、表面凹凸を説明する図である。表面凹凸は、凹凸の波長に応じて概略4つの凹凸によって定めることができる。
具体的には、表面凹凸は、最も波長が大きなうねり(波長0.6μm〜130mm程度)、ウェービネス(波長0.2μm〜2mm程度)、マイクロウェービネス(波長0.1μm〜1mm)、粗さ(波長10nm以下)に分けられる。
この中で、うねりは上記平面度を指標として表すことができ、粗さは上記算術平均粗さRaを指標として表すことができる。
本実施形態における磁気ディスク用ガラス基板の材料として、アルミノシリケートガラス、ソーダライムガラス、ボロシリケートガラスなどを用いることができる。特に、化学強化を施すことができ、また主表面の平面度及び基板の強度において優れた磁気ディスク用ガラス基板を作製することができるという点で、アルミノシリケートガラスを好適に用いることができる。
本実施形態の磁気ディスク用ガラス基板の組成を限定するものではないが、アルミノシリケートガラスとして、酸化物基準に換算した際に、モル%表示で、SiOを50〜75%、Alを1〜15%、LiO、NaO及びKOから選択される少なくとも1種の成分を合計で12〜35%、MgO、CaO、SrO、BaO及びZnOから選択される少なくとも1種の成分を合計で0〜20%、及び、ZrO、TiO、La、Y、Ta、Nb及びHfOから選択される少なくとも1種の成分を合計で0〜10%、有する組成からなるアルミノシリケートガラスを用いることが好ましい。
(1−2)磁気ディスク用ガラス基板の製造方法
次に、図3を参照して、磁気ディスク用ガラス基板の製造方法のフローを説明する。図3は、磁気ディスク用ガラス基板の製造方法の一実施形態のフローを示す図である。
図3に示すように、先ず、一対の主表面を有する板状のガラスブランクをプレス成形により作製する(ステップS10)。次に、成形されたガラスブランクをスクライブして、円環状のガラス基板を作製する(ステップS20)。次に、スクライブされたガラス基板に対して形状加工(チャンファリング加工)を行う(ステップS30)。次に、ガラス基板に対して固定砥粒による研削を施す(ステップS40)。次に、ガラス基板の端面研磨を行う(ステップS50)。次に、ガラス基板の主表面に第1研磨を施す(ステップS60)。次に、第1研磨後のガラス基板に対して化学強化を施す(ステップS70)。次に、化学強化されたガラス基板に対して第2研磨を施す(ステップS80)。以上の工程を経て、磁気ディスク用ガラス基板が得られる。
以下、各工程について、詳細に説明する。
(a)プレス成形工程(ステップS10)
先ず、図4を参照して、プレス成形工程について説明する。プレス成形工程は、切断工程とプレス工程とを含む。図4は、プレス成形工程において用いられる装置の平面図である。図4に示されるように、装置101は、4組のプレスユニット120,130,140,150と、切断ユニット160とを備える。切断ユニット160は、溶融ガラス流出口(供給部)111から流出する(供給される)溶融ガラスの経路上に設けられる。切断工程では、切断ユニット160によって溶融ガラスが切断されることにより、溶融ガラスの塊 (以降、ゴブともいう)が鉛直方向下向きに落下する。プレス工程では、プレスユニット120,130,140,150は、塊の落下経路の両側から、互いに対向する一対の型のプレス面でゴブを空中の所定のプレス位置で挟み込みプレス成形することにより、ガラスブランクを成形する。
図4に示される例では、4組のプレスユニット120,130,140,150は、溶融ガラス流出口111を中心として90度おきに設けられている。
ここで、溶融ガラスの粘度は、500dPa・s〜1050dPa・sの範囲内であることが好ましい。
プレスユニット120,130,140及び150の各々は、図示しない移動機構によって駆動されて、溶融ガラス流出口111に対して進退可能となっている。すなわち、溶融ガラス流出口111の真下に位置するキャッチ位置(図4においてプレスユニット140が実線で描画されている位置)と、溶融ガラス流出口111から離れた退避位置(図4において、プレスユニット120,130及び150が実線で描画されている位置、及びプレスユニット140が破線で描画されている位置)との間で移動可能となっている。
切断ユニット160は、キャッチ位置(プレスユニットによるゴブの捕獲位置)と溶融ガラス流出口111との間の溶融ガラスの経路上に設けられる。切断ユニット160は、溶融ガラス流出口111から流出される溶融ガラスを適量に切り出してゴブを形成する。切断ユニット160は、図5に示すように、水平面に対する斜め方向で互いにずらして配置され、且つ、当該斜め方向で互いに対向配置された一対の切断刃(上側切断刃161及び下側切断刃162)を有する。上側切断刃161は、水平面に対する斜め下方へ駆動される。また、下側切断刃162は、水平面に対する斜め上方へ駆動される。ここで、水平面に対する傾斜角度は、例えば20〜60°である。各切断刃161,162は、協働して溶融ガラスLを切断する。具体的には、各切断刃161,162は、一定のタイミングで溶融ガラスLの経路上で交差するよう駆動され、各切断刃161,162が交差したとき、溶融ガラスLが切り出されてゴブGが得られる。
なお、図10を参照して説明したように、溶融ガラスが一対の切断刃によって水平方向に切断されることに伴って、ゴブGに回転モーメントが生じるため、ゴブGは落下中に回転する。このため、プレス毎にプレス位置でのゴブGの切断部の位置のばらつきが生じ、ガラスブランクGのシアマーク(切断痕)の位置及び深さの個体間のばらつきが生じ、後の加工工程(研削工程,研磨工程等)でのシアマークの除去が煩雑であった。
本実施形態では、図5に示すように、斜め方向で互いに対向配置された一対の切断刃161,162を用いて溶融ガラスLを切断している。つまり、上側切断刃161が斜め下方へ駆動され、下側切断刃162が斜め上方へ駆動されることから、ゴブGが下側切断刃162から受ける斜め方向の押圧力Fは、水平方向及び鉛直方向に分解される。この場合、ゴブGが受ける水平方向の押圧力F1は、押圧力Fよりも小さくなる。このため、ゴブGに発生する回転モーメントを低減することができ、ゴブGの落下安定性が向上する。また、ゴブGの落下安定性が向上するため、型のプレス面内におけるゴブGとの最初の接触位置の精度を向上させることができる。このため、型のプレス面内の温度分布のプレス毎のばらつきが小さくなり、ガラスブランクの個体間の平面度のばらつきを軽減できる。この結果、加工工程における加工量設定を容易にすることができ、磁気ディスクの製造効率を向上させることができる。
また、ガラスブランクのシアマークの位置の個体間ばらつきが低減し、加工工程でのシアマークの除去が容易になる。
図4に戻り、プレスユニット120について説明する。プレスユニット120は、第1の型121と、第2の型122と、第1駆動部123と、第2駆動部124と、を有する。
第1の型121と第2の型122の各々は、ゴブGをプレス成形するための面を有するプレート状の部材である。この2つの面の法線方向が略水平方向となり、この2つの面が互いに平行に対向するよう配置されている。
第1駆動部123は、第1の型121を第2の型122に対して進退させる。一方、第2駆動部124は、第2の型122を第1の型121に対して進退させる。第1駆動部123及び第2駆動部124は、第1の型121の面と第2の型122の面とを急速に近接させる機構を有する。第1駆動部123及び第2駆動部124は、例えば、エアシリンダやソレノイドとコイルばねを組み合わせた機構である。
なお、プレスユニット130,140及び150の構造は、プレスユニット120と同様であるため、説明は省略する。
プレスユニットの各々は、キャッチ位置に移動した後、第1駆動部と第2駆動部の駆動により、落下するゴブGを第1の型と第2の型の問で挟み込んで所定の厚さに成形すると共に冷却し、円形状のガラスブランクGを作製する。
ここで、ゴブGの切断部G1は、一対の切断刃161,162と接触した際の熱伝導によって部分的に放熱されているため、ゴブGの表面における他の部分よりも温度が低い状態である。このため、プレスの際に、切断部G1が型のプレス面と接触すると、切断部G1周辺は、他の部分に比べて早く冷え固まるため、ガラスブランクの比較的深い場所(例えば50μm)にシアマークが生じることとなる。
そこで、プレスユニットの各々は、ゴブGの全表面のうち切断部G1を除く部分と一対の型のプレス面が最初に接触するように、ゴブGをプレス成形することが好ましい。具体的には、ゴブGの切断部G1が鉛直方向真上又は真下となるような位置でプレスするように、一対の型のプレス位置が調節されていればよい。この場合、プレスの際のゴブGの延伸の態様として、ゴブG内部の比較的高温の溶融ガラスが、ゴブGの切断部G1を再加熱して外側へ飛び出す。溶融ガラスの延伸の際に溶融ガラスの切断部とその他の部分との温度差が小さい状態で冷え固まっていくため、ガラスブランク中のシアマークの深さが浅くなる(薄くなる)。このため、研削工程や研磨工程等の加工工程でのシアマークの除去が容易になる。
つぎに、プレスユニットは退避位置に移動した後、第1の型と第2の型を引き離し、成形されたガラスブランクGを落下させる。
プレスユニット120,130,140,150の退避位置の下には、それぞれ、第1コンベア171、第2コンベア172、第3コンベア173、第4コンベア174が設けられている。第1〜第4コンベア171〜174の各々は、対応する各プレスユニットから落下するガラスブランクGを受け止めて図示しない次工程の装置にガラスブランクGを搬送する。
本実施形態では、プレスユニット120,130,140及び150が、順番にキャッチ位置に移動して、ゴブを挟み込んで退避位置に移動するよう構成されている。このため、各プレスユニットでのガラスブランクGの冷却を待たずに、連続的にガラスブランクGの成形を行うことができる。
なお、1つのプレスユニット120のみを用いて、連続的にゴブGを挟み込んでガラスブランクGの成形を行うこともできる。この場合、第1の型121と第2の型122は、ゴブGをプレス成形した直後に開放され、次に落下する溶融ガラスの塊をプレス成形する。
ここで、図6に示される側面図を参照して、本実施形態のプレス成形工程について説明する。図6(a)は、溶融ガラスLと切断ユニット160の各切断刃161,162が接触する前の側面図である。図6(b)は、切断ユニット160の各切断刃161,162が溶融ガラスLを切り出したときの側面図である。図6(c)は、ゴブGが落下する状態を示す側面図である。図6(d)は、プレスユニット120がゴブGをプレス成形している状態の側面図である。
図6(a)に示されるように、溶融ガラスLは、溶融ガラス流出口111から連続的に流出される。このとき、図6(b)に示されるように、所定のタイミングで上側切断刃161と下側切断刃162を駆動し、溶融ガラスLを切断する。これにより、切断された溶融ガラスがゴブGとなる。図6(b)に示される例では、切断ユニット160を駆動する度に、例えば、半径10mm程度のゴブGが形成されるように、溶融ガラスLの時間当たりの流出量や切断ユニット160の駆動間隔が調整される。
ここで、切断された時点のゴブGの形状は、そのゴブGの中心を通る水平面に対して上下非対称な形状である。なお、切断された時点のゴブGの鉛直投影面における鉛直方向の最長寸法と、その鉛直投影面における水平方向の最長寸法の比は、例えば1:1〜3である。
作られたゴブGは、図6(c)に示されるように、プレスユニット120の第1の型121と第2の型122の隙間に向かって落下する。そして、ゴブGが第1の型121と第2の型122の隙間に入るタイミングで、第1の型121と第2の型122が互いに近づくように、第1駆動部125及び第2駆動部126が駆動される。これにより、図6(d)に示されるように、第1の型121と第2の型122の間にゴブGが捕獲(キャッチ)される。さらに、第1の型121のプレス面121aと第2の型122のプレス面122aとが、所定の間隔にて近接した状態になり、第1の型121のプレス面121aと第2の型122のプレス面122aの間に挟み込まれたゴブGが、薄板状に成形される。
なお、第1の型121のプレス面121aと第2の型122のプレス面122aの間隔を一定に維持するために、第1の型121のプレス面121a及び第2の型122のプレス面122aの各々には、突起状のスペーサ121b,122bが設けられる。各スペーサ121b,122bが互いに当接することによって、第1の型121のプレス面121aと第2の型122のプレス面122aの間隔は一定に維持されて、板状の空間が作られる。
第1の型121及び第2の型122には、図示しない温度調節機構が設けられている。第1の型121及び第2の型122の温度は、温度調節機構により、溶融ガラスLの歪点以下の温度に調整されていることが好ましい。
ゴブGが第1の型121のプレス面121a又は第2の型122のプレス面122aに接触してから、第1の型121と第2の型122とがゴブGを完全に閉じ込める状態になるまでの時間は約0.06秒と極めて短い。このため、ゴブGは極めて短時間の内に第1の型121のプレス面121a及び第2の型122のプレス面122aに沿って広がって略円形状に成形され、さらに、冷却されて非晶質のガラスとして固化する。これによって、ガラスブランクGが作製される。
なお、本実施形態において成形されるガラスブランクGは、目的とする磁気ディスク用ガラス基板の大きさにもよるが、例えば、直径75〜80mm、厚さ約1mmの円形状の板である。
第1の型121と第2の型122が閉じられた後、プレスユニット120は速やかに退避位置に移動する。続いて、他のプレスユニット130がキャッチ位置に移動し、このプレスユニット130によって、ゴブGのプレスが行われる。
プレスユニット120が退避位置に移動した後、ガラスブランクGが十分に冷却されるまで(例えば、屈服点よりも低い温度となるまで)、第1の型121と第2の型122は閉じた状態を維特する。この後、第1駆動部123及び第2駆動部124が駆動されて第1の型121と第2の型122が離間し、ガラスブランクGは、プレスユニット120を離れて落下し、下部にあるコンベア171に受け止められる(図4参照)。
本実施形態では、0.1秒以内(約0.06秒)という極めて短時間の間に第1の型121と第2の型122が閉じられ、第1の型121のプレス面121aと第2の型122のプレス面122aの全体に、略同時に溶融ガラスが接触することになる。このため、第1の型121のプレス面121aと第2の型122のプレス面122aが局所的に加熱されることが抑制され、プレス面121aとプレス面122aに歪みは殆ど生じない。
また、ゴブGから第1の型121及び第2の型122に熱が移動する前に、ゴブGが円形状に成形されるため、成形されるガラスブランクGの温度分布は略一様となる。このため、溶融ガラスの冷却時、ガラス材料の収縮量の分布は小さく、ガラスブランクGの歪みが発生しにくい。したがって、作製されたガラスブランク材Gの主表面の平面度は、従来のプレス成形により作製されるガラスブランクに比べて向上し、磁気ディスク用ガラス基板として必要な主表面の目標平面度にすることができる。
また、プレス面121a及びプレス面122aの表面の粗さは、ガラスブランクGの算術平均粗さRaが0.01μm〜10μmとなるように、好ましくは、0.01μm〜1μmとなるように、調整することができる。
(b)スクライブ工程(ステップS20)
次に、スクライブ工程について説明する。プレス成形工程の後、スクライブ工程では、成形されたガラスブランクGに対してスクライブが行われる。
ここでスクライブとは、成形されたガラスブランクGを所定のサイズのリング形状とするために、ガラスブランクGの表面に超鋼合金製あるいはダイヤモンド粒子からなるスクライバにより2つの同心円(内側同心円および外側同心円)状の切断線(線状のキズ)を設けることをいう。2つの同心円の形状にスクライブされたガラスブランクGは、部分的に加熱され、ガラスブランクGの熱膨張の差異により、外側同心円の外側部分および内側同心円の内側部分が除去される。これにより、円環状のガラス基板が得られる。
なお、ガラスブランクGに対してコアドリル等を用いて円孔を形成することにより円環状のガラス基板を得ることもできる。
(c)形状加工工程(ステップS30)
次に、形状加工工程について説明する。形状加工工程では、スクライブ工程後のガラス基板の端部に対するチャンファリング加工(外周端部および内周端部の面取り加工)を含む。チャンファリング加工は、スクライブ工程後のガラス基板の外周端部および内周端部において、ダイヤモンド砥石により面取りを施す形状加工である。面取り角度は、主表面に対して例えば40〜50度である。
(d)固定砥粒による研削工程(ステップS40)
固定砥粒による研削工程では、遊星歯車機構を備えた両面研削装置を用いて、形状加工工程後のガラス基板の主表面に対して研削加工(機械加工)を行う。研削による取り代は、例えば数μm〜100μm程度である。固定砥粒の粒子サイズは、例えば10μm程度である。両面研削装置は、上下一対の定盤(上定盤および下定盤)を有しており、上定盤および下定盤の間にガラス基板が狭持される。そして、上定盤または下定盤のいずれか一方、または、双方を移動操作させることで、ガラス基板と各定盤とを相対的に移動させることにより、このガラス基板の両主表面を研削することができる。
(e)端面研磨工程(ステップS50)
次に、端面研磨工程について説明する。固定砥粒による研削工程後、端面研磨工程では、ガラス基板の端面研磨が行われる。
端面研磨では、ガラス基板の内周端面及び外周端面に対して、ブラシ研磨により鏡面仕上げを行う。このとき、酸化セリウム等の微粒子を遊離砥粒として含むスラリーが用いられる。端面研磨を行うことにより、ガラス基板の端面での塵等が付着した汚染、ダメージあるいはキズ等の損傷の除去を行うことにより、サーマルアスペリティの発生の防止や、ナトリウムやカリウム等のコロージョンの原因となるイオン析出の発生を防止することができる。
(f)第1研磨(主表面研磨)工程(ステップS60)
次に、端面研磨工程後のガラス基板の主表面に第1研磨が施される。第1研磨による取り代は、例えば数μm〜50μm程度である。第1研磨は、例えば固定砥粒による研削を行った場合に主表面に残留したキズや歪みの除去、あるいは微小な表面凹凸(マイクロウェービネス、粗さ)の調整を目的とする。第1研磨による取り代は、例えば数μm〜50μm程度である。
第1研磨工程では、例えば、遊星歯車機構を備えた両面研磨装置を用いて、研磨液を与えながら研磨する。第1研磨工程では、固定砥粒による研削と異なり、固定砥粒の代わりにスラリーに混濁した遊離砥粒を用いる。第1研磨に用いる遊離砥粒として、例えば、スラリーに混濁させた酸化セリウム砥粒、あるいはジルコニア砥粒など(粒子サイズ:直径1〜2μm程度)が用いられる。両面研磨装置は、上下一対の定盤(上定盤および下定盤)を有しており、上定盤および下定盤の間にガラス基板が狭持される。なお、下定盤の上面及び上定盤の底面には、全体として円環形状の平板の研磨パッド(例えば、樹脂ポリッシャ)が取り付けられている。そして、上定盤または下定盤のいずれか一方、または、双方を移動操作させることで、ガラス基板と各定盤とを相対的に移動させることにより、このガラス基板の両主表面を研磨することができる。
(g)化学強化工程(ステップS70)
次に、第1研磨工程後のガラス基板は化学強化される。
化学強化液として、例えば硝酸カリウム(60重量%)と硫酸ナトリウム(40重量%)の混合液等を用いることができる。化学強化工程では、化学強化液を例えば300℃〜400℃に加熱し、洗浄したガラス基板を例えば200℃〜300℃に予熱した後、ガラス基板を化学強化液中に、例えば3時間〜4時間浸漬する。この浸漬の際には、ガラス基板の両主表面全体が化学強化されるように、複数のガラス基板が端面で保持されるように、ホルダに収納した状態で行うことが好ましい。
ガラス基板を化学強化液に浸漬することによって、ガラス基板の表層のリチウムイオン及びナトリウムイオンが、化学強化液中のイオン半径が相対的に大きいナトリウムイオン及びカリウムイオンにそれぞれ置換されることで表層部分に圧縮応力層が形成され、ガラス基板が強化される。
なお、化学強化処理されたガラス基板は洗浄される。例えば、硫酸で洗浄された後に、純水等で洗浄される。
(h)第2研磨(最終研磨)工程(ステップS80)
次に、化学強化工程後のガラス基板に第2研磨が施される。第2研磨工程は、主表面の鏡面研磨を目的とする。第2研磨による取り代は、例えば1μm程度である。第2研磨工程では、例えば、第1研磨工程で用いた両面研磨装置を用いる。このとき、第1研磨工程と異なる点は、遊離砥粒の種類及び粒子サイズが異なることと、樹脂ポリッシャの硬度が異なることである。
第2研磨工程に用いる遊離砥粒として、例えば、スラリーに混濁させたコロイダルシリカ等の微粒子(粒子サイズ:直径10〜50nm程度)が用いられる。
研磨されたガラス基板を中性洗剤、純水、IPA等を用いて洗浄することで、磁気ディスク用ガラス基板が得られる。
第2研磨工程を実施することは必ずしも必須ではないが、ガラス基板の主表面の表面凹凸のレベルをさらに良好なものとすることができる点で実施することが好ましい。第2研磨工程を実施することで、主表面の粗さ(Ra)を0.1nm以下かつ上記主表面のマイクロウェービネス(MW−Rq)を0.1nm以下とすることができる。
以上説明したように、本実施形態の磁気ディスク用ガラスブランク及び磁気ディスク用ガラス基板の製造方法によれば、切断工程において、水平面に対する斜め方向で互いにずらして配置されかつその斜め方向で互いに対向配置された上側切断刃161と下側切断刃162との協働により溶融ガラスLを切断している。
これにより、ゴブGに発生する回転モーメントを低減することができ、ゴブGの落下安定性が向上する。また、ゴブGの落下安定性が向上するため、各型121,122のプレス面121a,122a内におけるゴブGとの最初の接触位置の精度を向上させることができる。このため、各型121,122のプレス面121a,122a内の温度分布のプレス毎のばらつきが小さくなり、ガラスブランクGの個体間の平面度のばらつきを軽減できる。この結果、加工工程における加工量設定を容易にすることができ、磁気ディスクの製造効率を向上させることができる。
また、ガラスブランクGのシアマークの位置の個体間ばらつきが低減し、加工工程でのシアマークの除去が容易になる。
さらにまた、切断された時点のゴブGの形状は、そのゴブGの中心を通る水平面に対して上下非対称な形状であるため、ゴブGが落下中に回転する場合には、各金型121,122のプレス面121a,122a内におけるゴブGとの最初の接触位置がプレスの度にばらつきが生じてしまう。これに対して、本実施形態では、ゴブGの回転が抑えられるため、各金型121,122のプレス面121a,122a内におけるゴブGとの最初の接触位置の精度をより向上させることができ、型のプレス面内の温度分布のプレス毎のばらつきがより小さくなり、ガラスブランクの固体面内の平面度と個体間の平面度とのばらつきをより軽減できる。
次に、本実施形態について、効果を確認するために、次の実験を行った。
ゴブの直径を20mm、ゴブの重量を10gとし、一対の切断刃の水平面に対する傾斜角度を変化させて溶融ガラスを切断した場合について、プレス時における金型のプレス面の中心位置からのゴブの落下位置のずれを測定した。また、成形されたガラスブランクの平面度を、Nidek社製フラットネステスターFT−900を用いて測定した。この結果を表1に例1〜6として示す。なお、一対の切断刃の傾斜角度を70°に設定した場合には、溶融ガラスが切断できなかった(例5)。
Figure 2013209262
表1によれば、一対の切断刃の駆動方向を水平面に対して傾斜させることによって、ガラスブランクの平面度の向上が確認された。また、傾斜角度20°〜60°の範囲が平面度の向上に好適である点が確認された。
(2)第2実施形態
以下、本発明の磁気ディスク用ガラスブランクの製造方法および磁気ディスク用ガラス基板の製造方法の第2実施形態について説明する。
第2実施形態の磁気ディスク用ガラスブランクの製造方法および磁気ディスク用ガラス基板の製造方法が第1実施形態と異なる点は、切断工程において、互いに対向配置された上側切断刃161と下側切断刃162との協働により溶融ガラスLを切断し、下側切断刃162は、上側切断刃161よりも先に溶融ガラスLと接するように駆動され、上側切断刃161の駆動速度は、下側切断刃162の駆動速度よりも速い点にある。
以下、第1実施形態と異なる構成について図7(a)〜(c)を参照して説明する。図7(a)は、下側切断刃161が上側切断刃161よりも先に溶融ガラスLに接触したときの切断ユニット160の側面図である。図7(b)は、上側切断刃161が溶融ガラスLに接触したときの切断ユニット160の側面図である。図7(c)は、ゴブGが得られたときの切断ユニット160の側面図である。
本実施形態の一対の切断刃161,162は、例えば、図7(a)に示すように、鉛直方向で互いにずらして配置されかつ水平方向で互いに対向配置されている。各切断刃161,162は、協働して溶融ガラスLを切断する。具体的には、各切断刃161,162は、一定のタイミングで溶融ガラスLの経路上で交差するよう駆動され、各切断刃161,162が交差したとき、溶融ガラスLが切り出されてゴブGが得られる。なお、前述したように、本実施形態では、上側切断刃161の駆動速度(水平方向の移動速度)は、下側切断刃162の駆動速度よりも速く構成されている。したがって、各切断刃161,162が溶融ガラスLの経路上で交差するために、下側切断刃161は、上側切断刃161より前のタイミングで駆動が開始され、図7(a)に示すように、上側切断刃161よりも先に溶融ガラスLと接するようになっている。
なお、上側切断刃161及び下側切断刃162のそれぞれの駆動速度は、切断工程の初期状態における上側切断刃161及び下側切断刃162の各々の溶融ガラスLに対する水平方向の距離などに応じて適宜設定してよい。
次に、図7(b)に示すように、例えば、下側切断刃162が溶融ガラスLと接触するタイミングで上側切断刃161が駆動を開始し、上側切断刃161が溶融ガラスLに接触する。そして、図7(c)に示すように、各切断刃161,162が溶融ガラスLの経路上で交差することにより溶融ガラスLが切断され、ゴブGが得られる。この場合、下側切断刃162の駆動速度は上側切断刃161の駆動速度よりも遅いため、下側切断刃162からゴブGに与えられる水平方向の押圧力は、各切断刃161,162の駆動速度が同じ場合と比較して小さい。このため、ゴブGに発生する回転モーメントを低減することができ、ゴブGの落下安定性が向上する。
本実施形態では、第1実施形態と同様に、ゴブGの落下安定性が向上するため、各型121,122のプレス面121a,122a内におけるゴブGとの最初の接触位置の精度を向上させることができる。このため、各型121,122のプレス面121a,122a内の温度分布のプレス毎のばらつきが小さくなり、ガラスブランクGの個体間の平面度のばらつきを軽減できる。この結果、加工工程における加工量設定を容易にすることができ、磁気ディスクの製造効率を向上させることができる。
また、ガラスブランクGのシアマークの位置の個体間ばらつきが低減し、加工工程でのシアマークの除去が容易になる。
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の磁気ディスク用ガラスブランクの製造方法および磁気ディスク用ガラス基板の製造方法は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのは勿論である。
なお、上記実施形態では、空中の所定のプレス位置でゴブをプレスする構成について説明したが、本発明はこの例に限定されるものではなく、ゴブを落下させてプレスする構成であれば、本発明を適用することができる。例えば、一方の金型でゴブを受けて、その後プレスするような構成であっても、本発明を適用することができる。
1…磁気ディスク
2…ガラス基板
111…溶融ガラス流出口
120、130、140,150…プレスユニット
121…第1の型
121a…プレス面
122…第2の型
122a…プレス面
160…切断ユニット
161…上側切断刃
162…下側切断刃

Claims (7)

  1. 一対の主表面を有する磁気ディスク用ガラスブランクの製造方法であって、
    溶融ガラスの供給部から供給される溶融ガラスを切断し、その切断してなる溶融ガラスの塊を落下させる切断工程と、
    前記切断工程の後に、前記溶融ガラスの塊を所定のプレス位置で一対の型のプレス面によってプレス成形することにより、ガラスブランクを成形するプレス工程と、
    を含み、
    前記切断工程では、水平面に対する斜め方向で互いにずらして配置されかつその斜め方向で互いに対向配置され、斜め下方へ駆動される上側切断刃と斜め上方へ駆動される下側切断刃との協働により前記溶融ガラスを切断する
    ことを特徴とする磁気ディスク用ガラスブランクの製造方法。
  2. 一対の主表面を有する磁気ディスク用ガラスブランクの製造方法であって、
    溶融ガラスの供給部から供給される溶融ガラスを切断し、その切断してなる溶融ガラスの塊を落下させる切断工程と、
    前記切断工程の後に、前記溶融ガラスの塊を所定のプレス位置で一対の型のプレス面によってプレス成形することにより、ガラスブランクを成形するプレス工程と、
    前記ガラスブランクを加工して磁気ディスク用ガラスブランクとする加工工程と、
    を含み、
    前記切断工程では、互いに対向配置された上側切断刃と下側切断刃との協働により前記溶融ガラスを切断し、
    前記下側切断刃は、前記上側切断刃よりも先に前記溶融ガラスと接するように駆動され、
    前記上側切断刃の駆動速度は、前記下側切断刃の駆動速度よりも速い
    ことを特徴とする磁気ディスク用ガラスブランクの製造方法。
  3. 前記プレス工程では、前記塊の全表面のうち切断部位を除く部分と前記一対の型のプレス面が最初に接触するように、前記溶融ガラスの塊をプレス成形する
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の磁気ディスク用ガラスブランクの製造方法。
  4. 前記ガラスは、酸化物基準に換算した際に、モル%表示で、
    SiOを50〜75%、
    Alを1〜15%、
    LiO、NaO及びKOから選択される少なくとも1種の成分を合計で12〜35%、
    MgO、CaO、SrO、BaO及びZnOから選択される少なくとも1種の成分を合計で0〜20%、及び、
    ZrO、TiO、La、Y、Ta、Nb及びHfOから選択される少なくとも1種の成分を合計で0〜10%、
    有する組成からなる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の磁気ディスク用ガラスブランクの製造方法。
  5. 前記溶融ガラスの粘度が、500dPa・s〜1050dPa・sの範囲内である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の磁気ディスク用ガラスブランクの製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の磁気ディスク用ガラスブランクの製造方法により製造された磁気ディスク用ガラスブランクを用いて、磁気ディスク用ガラス基板を製造することを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  7. 前記磁気ディスク用ガラスブランクを加工する加工工程を有し、
    前記加工工程は、
    固定砥粒を用いて前記磁気ディスク用ガラスブランクの主表面を研削する研削工程と、
    前記研削工程の後に、遊離砥粒を用いて前記主表面を研磨する研磨工程と、
    を有する
    ことを特徴とする、請求項6に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
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