JP2014235761A - 磁気ディスク用ガラス基板の製造方法 - Google Patents

磁気ディスク用ガラス基板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】酸化セリウム及びジルコニアの少なくとも一方を研磨砥粒として含む研磨液を供給してガラス基板の主表面を研磨する研磨処理を含む、結晶化した磁気ディスク用ガラス基板の製造法において、最終研磨におけるガラス基板の取代量を低減でき、ガラス基板の端部形状のバラつきを低減する。【解決手段】非晶質のガラス基板の主表面と研磨パッドとの間に、酸化セリウム及びジルコニアの少なくとも一方を研磨砥粒として含む研磨液を供給して、前記ガラス基板の主表面を研磨する。第1研磨処理後、前記ガラス基板に対して、前記第1研磨処理で用いられる研磨砥粒を除去する洗浄液を用いて前記ガラス基板の主表面を洗浄する。この後、前記ガラス基板を熱処理することにより、前記ガラス基板を結晶化させる。結晶化後、前記ガラス基板の主表面と研磨パッドとの間にシリカを研磨砥粒として含む研磨液を供給し前記ガラス基板を研磨する。【選択図】 図1

Description

本発明は、結晶化処理を含む磁気ディスク用ガラス基板の製造方法に関する。
情報記録媒体の1つとして用いられる磁気ディスクには、従来より、ガラス基板が好適に用いられている。今日、ハードディスクドライブ装置における記憶容量の増大の要請を受けて、磁気記録の高密度化が図られている。これに伴って、磁気ヘッドの磁気記録面からの浮上距離を極めて短くして磁気記録情報エリアを微細化することが行われている。このような磁気ディスクに用いるガラス基板の寸法及び形状は目標通り精度高く作製されていることが好ましい。
磁気ディスク用ガラス基板として、非晶質のガラスを用いたガラス基板が用いられている。これに対して、耐衝撃性に強く、機械的強度の高い結晶化ガラスを、磁気ディスク用ガラス基板として用いることも提案されている。
例えば、少なくともSiO成分を含む結晶化ガラスからなる板状の無機材料を、研磨液及び研磨パッドを用いて研磨する研磨処理を含む情報記録媒体用基板の製造方法が知られている(特許文献1)。当該製造方法は、以下の内容を特徴とする。すなわち、研磨液は、Zr及びSiを含む化合物からなる砥粒を少なくとも含有し、研磨液中の砥粒濃度が2wt%〜40wt%の範囲であり、研磨液中の砥粒の全重量に対する、Zr及びSiを含む化合物からなる砥粒の含有量が70wt%以上であり、研磨処理における加工圧力が120g/cm〜160g/cmである。
当該製造方法では、具体的に、ガラス原料を溶融して溶融ガラスとし、この溶融ガラスを板状に成形する。この後、板状ガラスを熱処理することにより内部に結晶を析出させて結晶化したガラスブランクを得る。次に、板状のガラスブランクを、中心に円孔を有するディスク状に前加工し、板厚や平坦度を最終形状に近づける為の研削処理、平滑な表面性状を得る為の研磨処理を施した後、サブストレートと呼ばれるハードディスク用基板となる。
特開2013−20693号公報
一般に、研削後のガラス基板の主表面は、酸化セリウムあるいはジルコニアを研磨砥粒として含む研磨液を供給することにより研磨される。しかし、これらの研磨砥粒はガラスとの親和性が高く、ガラス基板の表面(主表面及び端面)に研磨砥粒が強力に付着し易く、付着した研磨砥粒は、純水等の洗浄液では除去することは難しい。このため、ガラス基板の洗浄を行うとき、ガラス基板をエッチングすることができる洗浄液を用いてガラス基板を洗浄することにより、付着した研磨砥粒が除去される。しかし、エッチング可能な洗浄液は、研磨砥粒のみならずガラス板の主表面もエッチングする。この一連の研磨及び洗浄を、上述した結晶化させたガラス基板に適用して、上述の研磨及び洗浄を行うと、ガラス基板の表面粗さが目標表面粗さになるように研磨したにもかかわらず、主表面のエッチングにより表面粗さが大きくなる。これは、ガラス基板の結晶化により形成される結晶相である結晶粒の耐エッチング性が高く、この結晶粒が非晶質の領域に点々と形成される構成となることに拠る。このため、上記研磨後に鏡面仕上げのために行う最終研磨(鏡面研磨)における研磨の取代量は多くなる。
この最終研磨の取代量が多くなると、ガラス基板の端面に設けられた面取り面とガラス基板の主表面との接続部分の面が丸まり、あるいは突出形状になり、この結果、端部形状のバラつきが大きくなることがわかった。このようなバラつきは、磁気ヘッドを磁気記録面から浮上させて微細化された磁気記録情報エリアから情報を読み取るハードディスクドライブ装置にとって好ましくない。
そこで、本発明は、酸化セリウム及びジルコニアの少なくとも一方を研磨砥粒として含む研磨液を研磨するガラス基板に供給することにより、ガラス基板の主表面を研磨する研磨処理を含む、結晶化した磁気ディスク用ガラス基板の製造法において、最終研磨におけるガラス基板の取代量を低減でき、ガラス基板の端部形状のバラつきを低減することができる、磁気ディスク用ガラス基板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、磁気ディスク用ガラス基板の製造方法である。当該製造方法は、
非晶質のガラス基板の主表面と研磨パッドとの間に、酸化セリウム及びジルコニアの少なくとも一方を研磨砥粒として含む研磨液を供給することにより、前記ガラス基板の主表面を研磨する第1研磨処理と、
前記第1研磨処理後の前記ガラス基板に対して、前記第1研磨処理で用いられる研磨砥粒を除去する洗浄液を用いて前記ガラス基板の主表面を洗浄する洗浄処理と、
前記洗浄処理後の前記ガラス基板を熱処理することにより、前記ガラス基板を結晶化する結晶化処理と、
前記結晶化処理後の前記ガラス基板の主表面と研磨パッドとの間にシリカを研磨砥粒として含む研磨液を供給し、前記ガラス基板の主表面と前記研磨パッドとを相対的に移動させることにより、前記ガラス基板を研磨する第2研磨処理と、を含むことを特徴とする。
このとき、前記第2研磨処理により、前記ガラス基板の表面粗さの算術平均粗さRaが0.15nm以下となるように研磨される、ことが好ましい。
また、前記結晶化処理後で、前記第2研磨処理前の前記ガラス基板の表面粗さの算術平均粗さRaは1nm以下である、ことが好ましい。
さらに、前記洗浄処理後、前記結晶化処理前の前記ガラス基板の表面粗さの算術平均粗さRaは1nm以下である、ことが好ましい。
上述の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法では、研磨処理におけるガラス基板の取代量を低減でき、これにより研磨時間が短くなり、ガラス基板の端部形状のバラつきを低減することができる。
本実施形態の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法のフローの一例を示す図である。 (a)及び(b)は、ガラス基板の端部形状を説明する図である。
以下、本発明の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法について説明する。
本実施形態の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法では、非晶質のガラス基板の主表面と研磨パッドとの間に、酸化セリウム及びジルコニアの少なくとも一方を研磨砥粒として含む研磨液を供給することにより、ガラス基板の主表面が研磨される(第1研磨処理)。この第1研磨処理後のガラス基板に対して、第1研磨処理に用いられる研磨砥粒を除去する洗浄液を用いてガラス基板の主表面が洗浄される(洗浄処理)。この洗浄処理後のガラス基板は熱処理されることにより、ガラス基板は結晶化される(結晶化処理)。この結晶化処理後のガラス基板の主表面と研磨パッドとの間にシリカを研磨砥粒として含む研磨液を供給し、ガラス基板の主表面と研磨パッドとを相対的に移動させることにより、ガラス基板が鏡面研磨される(第2研磨処理)。
本実施形態では、酸化セリウム及びジルコニアの少なくとも一方を研磨砥粒として含む研磨液を用いて第1研磨処理を行うので、第1研磨処理後のガラス基板の主表面には、酸化セリウムあるいはジルコニアの研磨砥粒が強固に付着する。このため、第1研磨処理に用いられる研磨砥粒を除去することができる洗浄液を用いてガラス基板の洗浄が行われる。しかし、この時洗浄液は、ガラス基板の主表面もエッチングする。しかし、ガラス基板は非晶質のガラスの状態であるので、エッチングされ難い結晶粒は存在しない。このため、洗浄処理によりガラス基板の主表面は、結晶化ガラスの場合に比べて均一にエッチングされる。この洗浄処理後、結晶化処理が行われる。結晶化処理後のガラス基板は、結晶化により、ガラス基板の主表面に結晶粒が形成されて表面粗さが荒れるとしてもその表面粗さの荒れる程度は小さく、結晶化ガラスのガラス基板をエッチングする場合に比べて、均一な主表面を有する。このため、第2研磨処理におけるガラス基板の取代量は、結晶化したガラス基板をエッチングする場合のガラス基板の取代量に比べて少なくなる。さらに、第2研磨処理における取代量を少なくできるので、複数のガラス基板間の端部形状のばらつきを低減させることができる。
このように、第1研磨処理、洗浄処理、結晶化処理、及び第2研磨処理の順番にガラス基板を処理することにより、上述した効果を奏する。以下、本実施形態の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法をより具体的に説明する。
(磁気ディスク用ガラス基板の製造方法の説明)
図1は、本実施形態の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法のフローの一例を示す図である。
先ず、一対の主表面を有する板状の磁気ディスク用ガラス基板の素材となるガラスブランクの成形処理が行われる(ステップS10)。次に、このガラスブランクの粗研削処理を行う(ステップS12)。この後、ガラスブランクに形状加工処理及び端面研磨処理が施される(ステップS14)。この後、ガラスブランクから得られたガラス基板に固定砥粒を用いた精研削処理が行われる(ステップS16)。次に、研削されたガラス基板に第1研磨処理(ステップS18)が施される。この後、洗浄処理(ステップS20)、結晶化処理(ステップS22)、化学強化処理(ステップS24)、及び、第2研磨処理(ステップS26)がガラス基板に施される。
以下、各処理について、説明する。
(a)ガラスブランクの成形処理
ガラスブランクの成形(ステップS10)では、例えばプレス成形法を用いることができる。プレス成形法により、円形状のガラスブランクを得ることができる。さらに、ダウンドロー法、リドロー法、フュージョン法などの公知の製造方法を用いて製造することができる。これらの公知の製造方法で作られた板状ガラスに対し、適宜形状加工を行うことによって磁気ディスク用ガラス基板が得られる。
本実施形態においてガラス基板を構成するガラス(の硝種)は、SiO2を主成分とし、さらにアルミナを含むアルミノシリケートガラスであって、後述する結晶化処理が可能なものを用いることが好ましい。このようなガラスを用いたガラス基板は、表面を鏡面研磨することにより平滑な鏡面に仕上げることができ、また結晶化処理によって強度を飛躍的に高めることができる。化学強化によってさらに強度を上げることもできる。
本実施形態で用いるガラス基板のガラス組成は、例えば、
SiO2:35〜65モル%、
Al23:5〜25モル%、
MgO:10〜40モル%、
TiO2:5〜15モル%、である。
このとき、上記組成の合計が少なくとも92モル%以上であるガラス組成(第1のガラス組成)が好ましい。このようなガラスに結晶化処理を施すことによって、主結晶がエンスタタイト及び/又はその固溶体となる結晶化ガラスとすることができる。
また、以下のガラス組成も例示される。ガラスは、酸化物基準の質量%で、
SiO2:45.60〜60%、
Al23:7〜20%、
23:1.00以上8%未満、
25:0.50〜7%、
TiO2:1〜15%、
ROの合計量:5〜35%(ただしRはZn及びMg)、
の各成分を含有し、CaOの含有量が3.00%以下、BaOの含有量が4%以下であり、PbO、As23およびSb23およびCl−、NO−、SO3−、F−成分を含有しないガラス組成(第2のガラス組成)を用いることも好ましい。
このようなガラスに結晶化処理を施すことによって、主結晶相としてRAl24、R2TiO4、(ただしRはZn、Mgから選択される1種類以上)から選ばれる一種以上を含有し、主結晶相の結晶粒径が0.5nm〜20nmの範囲であり、結晶化度が15%以下であり、比重が2.95以下である結晶化ガラスとすることができる。
(b)粗研削処理
成形されたガラスブランクを、具体的には、周知の両面研削装置に装着される保持部材(キャリア)に設けられた保持孔内に保持しながらガラス基板の両側の主表面の研削が行われる(ステップS12)。粗研削処理では、ガラスブランクが目標とする板厚寸法及び主表面の平坦度に略近づくように研削される。なお、粗研削処理は、成形されたガラスブランクの寸法精度あるいは表面粗さに応じて行われるものであり、場合によっては行われなくてもよい。
(c)形状加工処理
次に、形状加工処理が行われる(ステップS14)。形状加工処理では、公知の加工方法を用いて円孔を形成することにより、円孔があいた円盤形状のガラス基板を得る。その後、ガラス基板の端面の面取りを実施する。これにより、ガラス基板の端面には、主表面と直交している側壁面と、側壁面と主表面を繋ぐ面取り面(介在面)が形成される。
(d)端面研磨処理
次にガラス基板の端面研磨処理が行われる(ステップS14)。端面研磨処理は、研磨ブラシとガラス基板の端面との間に遊離砥粒を含む研磨液を供給して研磨ブラシとガラス基板とを相対的に移動させることにより研磨を行う処理である。端面研磨では、ガラス基板の内周側端面及び外周側端面を研磨対象とし、内周側端面及び外周側端面を鏡面状態にする。このとき、例えば酸化セリウム等の微粒子を遊離砥粒として含むスラリーが用いられる。端面研磨を行うことにより、ガラス基板の端面での塵等の異物粒子が付着した汚染、ダメージあるいはキズ等の損傷の除去を行うことができる。これにより、このガラス基板を用いて磁気ディスクを製造した場合であっても、サーマルアスペリティの発生を防止することができる。
(e)精研削処理
次に、ガラス基板の主表面に精研削処理が施される(ステップS16)。具体的には、固定砥粒を用い、遊星歯車機構を備えた両面研削装置を用いて、ガラス基板の主表面に対して研削を行う。より具体的には、ガラス基板を、両面研削装置の保持部材に設けられた保持孔内に保持しながらガラス基板の両側の主表面の研削を行う。両面研削装置は、上下一対の定盤(上定盤および下定盤)を有しており、上定盤及び下定盤の表面に例えばダイヤモンド砥粒を含む固定砥粒が貼り付けられている。このような上定盤及び下定盤の間にガラス基板が狭持される。そして、上定盤または下定盤のいずれか一方、または、双方を移動操作させることで、ガラス基板と各定盤とを相対的に移動させることにより、このガラス基板の両主表面を研削することができる。
(f)第1研磨処理
次に、研削されたガラス基板の主表面に第1研磨処理が施される(ステップS18)。具体的には、ガラス基板の外周側端面を、上述した両面研削装置と同様の構成の両面研磨装置の保持部材に設けられた保持孔内に保持しながらガラス基板の両側の主表面の研磨が行われる。第1研磨処理は、遊離砥粒を用いて、定盤に貼り付けられた研磨パッドを用いる。第1研磨による取代量は、5μm〜50μmの範囲内とすることが好ましい。第1研磨は、例えば固定砥粒による研削を行った場合に主表面に残留したクラックや歪みの除去、あるいは、結晶化処理により主表面に生じた微小な表面凹凸の除去をする。取代量を上記範囲内とすることで、主表面端部の形状が過度に落ち込んだり突出したりすることを防止しつつ、主表面の表面粗さの算術平均粗さRaを低減することができる。第1研磨処理後の表面粗さの算術平均粗さRaは1nm以下とすると後続の第2研磨処理における取代を減らすことができるので好ましく、0.5nm以下とするとより好ましい。
第1研磨に用いる遊離砥粒は、ガラスに対して研磨能力の高い酸化セリウム、あるいはジルコニア、あるいは酸化セリウム及びジルコニアが用いられる。遊離砥粒の平均粒径は0.2〜2.0μmとすることが好ましい。なお、本明細書において、平均粒径とは、光散乱法により測定された粒度分布における粉体の集団の全体積を100%として累積カーブを求めたとき、その累積カーブが50%となる点の粒径を言い、例えば、粒子径・粒度分布測定装置で測定して得られる値である。
研磨パッドの種類は特に制限されないが、例えば、硬質発泡ウレタン樹脂ポリッシャが用いられる。樹脂ポリシャの硬度は、アスカーC硬度で75〜90であることが好ましい。こうすることで、第1研磨処理後の表面粗さを表す算術平均粗さRaを効率よく1.0nm以下にすることができる。アスカーC硬度が75より小さいと、研磨速度が低下して生産性が悪化する場合がある。他方、アスカーC硬度が90より大きいと、基板表面にスクラッチが発生する場合がある。
すなわち、第1研磨処理では、結晶化されたガラス基板の主表面と研磨パッドとの間に研磨液を供給し、ガラス基板と研磨パッドとを相対的に移動させることにより、ガラス基板を研磨する。
なお、遊離砥粒として用いる酸化セリウム砥粒、ジルコニア砥粒はいずれもガラスとの親和性が高く、ガラス基板の表面(主表面及び端面)に研磨砥粒が付着し易く、付着した研磨砥粒は水等の洗浄液では除去することは難しい。このため、後述するようにガラス基板に対してエッチング性を有する洗浄液を用いてガラス基板の洗浄が行われる。
(g)洗浄処理
第1研磨されたガラス基板は、洗浄処理される(ステップS20)。洗浄液には、前記第1研磨処理で用いられる研磨砥粒を除去可能な洗浄液が用いられてガラス基板の洗浄が行われる。前記洗浄液は、ガラス基板をエッチング可能な洗浄液とすることが好ましい。これにより、ガラス基板の主表面に強力に付着した研磨砥粒があったとしても、ガラス基板の表面がエッチングされるときに同時に除去される。洗浄液としては、特に制限されないが、フッ酸、ケイフッ酸、硝フッ酸が例示される。また、硫酸と過酸化水素水とを混合して加熱した洗浄液も好ましく用いることができる。
硫酸と過酸化水素水とを混合させた洗浄液を用いる場合、硫酸濃度は20質量%以上80質量%以下、過酸化水素濃度は1質量%以上10質量%以下であり、好ましくは硫酸濃度は50質量%以上80質量%以下、過酸化水素濃度は3質量%以上10質量%以下である。硫酸および過酸化水素の濃度がこれより低い場合には、酸化セリウム砥粒が除去しきれずに残留する。硫酸および過酸化水素の濃度がこれより高い場合は、ガラス基板表面の面荒れが顕著になり、結晶化処理後、後述する第2研磨を行っても目的とする表面粗さが得られにくくなるため好ましくない。また、同様な理由から、洗浄液の液温は好ましくは50℃以上100℃以下とすることが好ましい。
ガラス基板の洗浄は、ガラス基板を例えば洗浄液中に所定時間浸すことにより行われる。この後、エッチングされたガラス基板は、純水等で洗浄される。ガラス基板の主表面の表面粗さを大きく荒らさないように、ガラス基板の表面粗さの算術平均粗さRaは1nm以下となるように、洗浄処理されることが好ましく、0.5nm以下となるように洗浄処理するとより好ましい。このように算術平均粗さRaを所定以下とすることで、この後、結晶化処理をした場合に表面粗さが大幅に増加してしまうことを防止し、第2研磨処理により目標の表面粗さを達成することが可能となる。洗浄処理後のガラス基板の表面粗さの算術平均粗さRaが上記範囲より大きい場合、結晶化処理により生じる結晶粒によって表面粗さが大幅に増大し、第2研磨処理における取代量が増大してしまう場合がある。このような洗浄処理の調整は、洗浄液の濃度や温度や洗浄時間を調整することにより行われる。
(h)結晶化処理
次に、洗浄されたガラス基板に結晶化処理が施される(ステップS22)。具体的には、例えば、複数のガラス基板のそれぞれのガラス基板間にディスク状のセッターと呼ばれる板を挟んで、加熱炉に入れて熱処理を行う。セッターはセラミックス製とすることができる。熱処理では、例えば核形成温度で所定時間保持し、その後結晶成長温度で所定時間保持することによりガラス基板を結晶化させる。核形成温度および結晶成長温度やその温度の保持時間は、ガラス基板のガラス組成によって適宜設定すればよい。加熱後の冷却では、ガラス基板に歪みや撓みが発生しないように、徐冷速度を調整することが好ましい。
結晶化したガラス基板は、例えば、粉末X線回折法で得られた回折強度分布を用いて結晶化の有無を判定することができる。なお、結晶相の平均結晶粒径は10nm以下の結晶を析出させることが、ガラス基板の主表面の表面粗さを小さくして主表面を鏡面化させる点で好ましい。
結晶相は硬いため、研磨では加工し難い。平均結晶粒径が10nmを超えると、ガラス基板の主表面の研磨による加工時間が長くなり、また、研磨で取りきれない結晶相により表面粗さは無視できない大きさになる。また、結晶化処理後で、第2研磨処理前のガラス基板の表面粗さの算術平均粗さRaは1nm以下であることが、第2研磨処理で取代量を小さくすることができる点で好ましい。
結晶化されたガラス(以降、結晶化ガラスという)は、非晶質のガラスを加熱することでガラス内部に結晶を析出させた構成の材料であり、非晶質のガラスとは区別され得る。
結晶化ガラスは、内部に分散する結晶により、非晶質のガラスでは得られない特性を発揮する。例えば、ビッカース硬度、ヤング率、破壊靱性等の機械的強度、耐エッチング特性、熱膨張係数等の熱的特性について、結晶化ガラスは、非晶質ガラスでは実現しえない特性を発揮する。勿論、結晶化ガラスは紛体を焼結した構成のセラミックスとは異なる特性を発揮する。結晶化ガラスは、セラミックスと比較して、空孔が極めて少なく、緻密な構成を有する。
本実施形態においては、前記結晶化処理後のガラス基板のヤング率としては、100GPa以上、より好ましくは120GPa以上であることが好ましい。こうすることで、抗折強度や耐衝撃性が高いガラス基板とすることができる。前記結晶化処理後のガラス基板の抗折強度は、耐衝撃性を向上させる観点から7kgf以上であることが好ましく、特に8kgf以上であることが好ましい。こうすることで、10000rpm以上の高速回転のHDD向けとして好適な磁気ディスク用ガラス基板とすることができる。
(i)化学強化処理
ガラス基板は適宜化学強化(ステップS24)することができる。化学強化液として、例えば硝酸カリウム,硝酸ナトリウム、またはそれらの混合物を加熱して得られる溶融液を用いることができる。そして、ガラス基板を化学強化液に浸漬することによって、ガラス基板の表層にあるガラス組成中のリチウムイオンやナトリウムイオンが、それぞれ化学強化液中のイオン半径が相対的に大きいナトリウムイオンやカリウムイオンにそれぞれ置換されることで表層部分に圧縮応力層が形成され、ガラス基板が強化される。
化学強化処理は、必須の処理ではない。また、化学強化処理を行うタイミングは、適宜決定することができるが、化学強化処理の後に第2研磨処理を行うようにすると、表面の平滑化とともに化学強化処理によってガラス基板の表面に固着した異物を取り除くことができるので特に好ましい。
(j)第2研磨(鏡面研磨)処理
次に、化学強化処理後のガラス基板に第2研磨が施される。第2研磨は、主表面の鏡面研磨を目的とする。第2研磨においても、第1研磨に用いる両面研磨装置と同様の構成を有する両面研磨装置が用いられる。第2研磨による取代量は、例えば1〜10μm程度である。第2研磨処理が第1研磨処理と異なる点は、遊離砥粒の種類が異なり及び粒子サイズが小さくなることと、研磨パッドの樹脂ポリッシャの硬度が軟らかくなることである。
第2研磨処理に用いる遊離砥粒として、例えば、スラリーに混濁させたコロイダルシリカ等の微粒子が用いられる。コロイダルシリカ研磨砥粒の粒径は、表面粗さのいっそうの低減を図る観点から、平均粒径で10nm〜50nmとすることが好ましい。この範囲内とすることで、研磨後の基板表面粗さの算術平均粗さRaを0.15nm以下とすることができる。そして、研磨されたガラス基板を洗浄することで、磁気ディスク用ガラス基板が得られる。
このようにして、第2研磨の施されたガラス基板は磁気ディスク用ガラス基板となる。なお、第2研磨処理後の結晶化されたガラス基板の表面粗さの算術平均粗さRaが0.15nm以下となるようにガラス基板が研磨されることが、表面粗さの小さい磁気ディスク用ガラス基板を作製する点で好ましい。この算術平均粗さRaは、一辺が1μm×1μmの矩形領域について256点×256点の分解能として原子間力顕微鏡により計測することにより得られる。
また、第2研磨処理では、端部形状について、後述の測定方法に基づく位置ずれの最大値が±5nmの範囲内となるように研磨することが好ましい。
以上のように本実施形態では、第1研磨処理で研磨能力の高い酸化セリウム砥粒及びジルコニア砥粒の少なくとも一方が用いられる。しかし、酸化セリウム砥粒及びジルコニア砥粒はガラスとの親和性が高く、ガラス基板の表面(主表面及び端面)に研磨砥粒が付着し易く、付着した研磨砥粒は、水等の洗浄液では除去することは難しい。このため、洗浄処理(ステップS20)においてエッチング可能な洗浄液を用いてガラス基板の洗浄が行われる。この洗浄は、ガラス基板が結晶化される前の非晶質ガラスのガラス基板に対して行われる。非晶質ガラスのガラス基板は、結晶化ガラスのガラス基板に対して、耐エッチング性の高い結晶粒を持たないので、ガラス基板の主表面は均一にエッチングされ易い。これに対して、結晶化ガラスのガラス基板では、耐エッチング性の高い結晶粒が形成される場所が点在し、結晶粒のない場所と結晶粒のある場所では、ガラス主表面のエッチング速度が異なるため、エッチング後のガラス基板の主表面は、非晶質ガラスのガラス基板に比べて表面凹凸は大きくなる。この点で、エッチング可能な洗浄液を用いた洗浄処理を行った後に結晶化処理を行うことが、第2研磨処理による取代量を小さくする点で適している。したがって、第2研磨に要する時間を短縮させることができる。しかも、第2研磨における取代量を少なくできるので、ガラス基板の端面に設けられた面取り面とガラス基板の主表面との接続部分の、ハードディスクドライブ装置にとって好ましくない端部形状のバラつきが抑制される。
図2(a)及び(b)は、ガラス基板の端部形状を説明する図である。図2(a)は、図1に示す製造方法により得られたガラス基板10の端部形状を示す図であり、図2(b)は、第1研磨における取代量が多いときのガラス基板12の端部形状を示す図である。図2(b)に示すように、第2研磨における取代量が多い場合、研磨パッドがガラス基板12を押し当てて多量に研磨するので、ガラス基板12の主表面と面取り面との接続部分Bの形状は、なだらかな曲線形状となる。このため、主表面上の外周端部の形状は曲線形状となりガラス基板毎にバラつき易い。これに対して、取代量が少ない場合、研磨パッドがガラス基板10を押し当てても取代量が少ないので、図2(a)に示すようにガラス基板10の主表面と面取り面との接続部分Aの形状は直線的に屈曲する形状を保持する。このため、主表面上の外周端部の形状のバラつきは小さい。
このような結晶化ガラスを用いたガラス基板は、非晶質ガラスを用いた従来のガラス基板に比べて線膨張係数が小さく、熱処理を加えても歪みや撓みを発生し難い。したがって、本実施形態のガラス基板は、磁性層を形成するときに例えば700〜800℃に加熱して磁性層の成分をアニールするような場合があっても、熱による撓みが発生し難いことから、エネルギーアシスト磁気記録方式の磁気ディスク用ガラス基板として好適に用いることができる。この点で、結晶化ガラスのガラス基板を磁気ディスク用ガラス基板として用いることは好ましい。
[実施例、比較例]
本実施形態の効果を確認するために、2つのフロー(実施例及び比較例)でアルミノシリケートガラスからなる2.5インチサイズの磁気ディスク用ガラス基板を作製した。
実施例では、図1に示すフローに沿ってガラス基板に処理を施した。
一方、比較例では、図1に示す結晶化処理を、第1研磨処理の前に行った後、第1研磨処理、洗浄処理、化学強化処理、第2研磨処理を順番に行った。これ以外は、図1に示す処理の順番でガラス基板を作製した。なお、ガラス基板に用いたガラスの組成は、上述した第2のガラス組成を用いた。
結晶化処理では、結晶相の平均結晶粒径が10nm以下となるように熱処理条件を設定した。洗浄処理では、フッ酸を含む洗浄液に10分浸して洗浄を行った。
第2研磨処理では、研磨後のガラス基板の主表面の算術平均粗さRaが0.15nmとなるような取代量を予め調べて研磨を行った。第2研磨処理合計の設定された取代量は、比較例を1とすると、実施例では0.7であった。
さらに、第2研磨処理後のガラス基板の端部形状のバラつきを調べるために、実施例及び比較例それぞれ100枚における端部の形状を、ガラス基板毎に主表面上の外周端部において90度ずつ表裏面について合計8箇所の位置で測定した。形状測定は、光学式の表面形状測定機を用いて行った。ガラス基板の端部形状のバラつきの良否については、円盤形状のガラス基板それぞれの中心位置から、31.10〜32.10mmにおける主表面上の輪郭形状の、30.10mmと32.10mmの主表面上の2点を結ぶ仮想直線からの距離の最大値が許容範囲内(±5nmの範囲内)にあるか否かにより、判断した。そして、100枚のガラス基板のうち位置ずれの最大値が許容範囲内(±5nmの範囲内)にあるガラス基板の枚数を数え、その比率を求めた。実施例では、上記比率は100%であったが、比較例では、上記比率は60%であった。比較例では、実施例と比べて長時間研磨しなければならないので、主表面上端部の形状がばらついたと考えられる。
これより、本実施形態の製造方法では、第2研磨処理におけるガラス基板の取代量を低減でき、これにより第2研磨処理の研磨時間が短くなり、かつガラス基板の端部形状のバラつきを低減することができる。
以上、本発明の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態及び実施例に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
10,12 ガラス基板

Claims (4)

  1. 非晶質のガラス基板の主表面と研磨パッドとの間に、酸化セリウム及びジルコニアの少なくとも一方を研磨砥粒として含む研磨液を供給することにより、前記ガラス基板の主表面を研磨する第1研磨処理と、
    前記第1研磨処理後の前記ガラス基板に対して、前記第1研磨処理で用いられる研磨砥粒を除去する洗浄液を用いて前記ガラス基板の主表面を洗浄する洗浄処理と、
    前記洗浄処理後の前記ガラス基板を熱処理することにより、前記ガラス基板を結晶化する結晶化処理と、
    前記結晶化処理後の前記ガラス基板の主表面と研磨パッドとの間にシリカを研磨砥粒として含む研磨液を供給し、前記ガラス基板の主表面と前記研磨パッドとを相対的に移動させることにより、前記ガラス基板を研磨する第2研磨処理と、を含むことを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  2. 前記第2研磨処理により、前記ガラス基板の表面粗さの算術平均粗さRaが0.15nm以下となるように研磨される、請求項1に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  3. 前記結晶化処理後で、前記第2研磨処理前の前記ガラス基板の表面粗さの算術平均粗さRaは1nm以下である、請求項1または2に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
  4. 前記洗浄処理後、前記結晶化処理前の前記ガラス基板の表面粗さの算術平均粗さRaは1nm以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。



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