JP2014234716A - 内燃機関のバルブタイミング制御装置 - Google Patents

内燃機関のバルブタイミング制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】ルブタイミング変更機構に於けるロック機構のロックピンの解除を如何なる場合にも確実に行い得る内燃機関のバルブタイミング制御装置を提供する。
【解決手段】ロック機構によるロックの解除時に、内燃機関の出力軸の回転に基づき供給される作動油により第2の回転体に相対的に回動させる付勢力を与えながら、ロックピンとロック穴との係合を解くようにロック穴に係合しているロックピンに作動油による付勢力を与えてロックを解除するようにした内燃機関のバルブタイミング制御装置であって、ロック機構によるロックを検出したときに、内燃機関の出力を低下させて作動油の油圧を減少させた状態でロックの解除を行うようにした。
【選択図】図4

Description

この発明は、内燃機関の吸気バルブと排気バルブのうちの少なくとも一方のバルブの開閉タイミングを制御するバルブタイミング制御装置に関するものである。
車両に搭載される内燃機関にあっては、燃費や出力、排気性状の向上を図るために、内燃機関の吸気孔に設けられた吸気バルブと排気孔に設けられた排気バルブのうちの少なくとも一方のバルブの開閉時期、いわゆるバルブタイミング、を内燃機関の運転状態に応じて制御するバルブタイミング制御装置が設けられている。そして、このバルブタイミング制御装置は、内燃機関の出力軸に対するカムシャフトの相対回転位相を変更することが可能な回転位相変更機構部と前述の相対回転位相を所定の位相に保持するロック機構とを有するバルブタイミング変更機構と、このバルブタイミング変更機構を駆動する作動油を制御するオイルコントロールバルブ(以下、OCVと称する)とを備えている。
バルブタイミング変更機構に於ける回転位相変更機構部は、進角用油圧室と遅角用油圧室とを備え、内燃機関の回転により発生する油圧を有する作動油をOCVから進角用油圧室又は遅角用油圧室に供給することにより、内燃機関の出力軸に対するカムシャフトの相対回転位相を変更することが可能な構成となっている。又、バルブタイミング変更機構に於けるロック機構は、内燃機関の始動時には作動油の油圧が不足して回転位相変更機構部のベーンロータを所定の位置に保持することが困難になるため、内燃機関の始動時にロータの位置を所定の位置、例えばロータを最進角位置、にロックするためのものである。
前述のロック機構は、回転位相変更機構部に於けるベーンの一部分に設けられたロックピンと、ベーンロータを収容する収容室に設けられたロック穴とからなり、ロックピンがスプリングの付勢力によりベーンから突出してロック穴に係合することにより、ベーンロータを所定の位置にロックするように構成されている。一方、内燃機関の運転が開始され、作動油の油圧が所定の圧力以上になると、その油圧によってロックピンがスプリングの付勢力に抗してベーン内に押し戻され、ロックピンとロック穴との係合が解除される。
このようなロック機構を有するバルブタイミング変更機構によれば、内燃機関の始動時のように作動油の油圧を十分に確保できないときであってもベーンロータの回動を規制することができ、バルブタイミング制御装置の動作が不安定になることを回避することができる。しかしながら、何らかの要因によりロックが解除される前にベーンを遅角側に可動させる力が働くと、ロックピンとロック穴との接触部位における接触圧力が増大し、それによってロックピンがロック穴に固着された状態となって、ロック解除動作時に於けるベーンへのロックピンの収容動作が阻害される恐れがある。
このようにロック機構のロックピンがロック穴に固着し、ロック解除動作が阻害されると、速やかに位相変更制御を開始してバルブタイミングを変更することができなくなり、又、そればかりか、ロック機構によるロック状態が完全に解除されていない状態のまま位相変更制御が開始され、作動油の油圧が増大されると、ロックピンの破損や変形等をまねく恐れもある。
そこで従来、ロック機構に対し、OCVによる回転位相変更機構部の駆動デューティを周期的に変化させることで、ロック穴とロックピンの相対位置を変化させ、ロックピンとロック穴の固着状態を解いてロック機構のロックを解除するようにした内燃機関のバルブタイミング制御装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。又、従来、ロック解除動作の制御開始タイミングを調整し、ロック穴とロックピンとが接合状態でないタイミングでロック解除動作を行なうように、OCVによる駆動デューティを制御するようにした内燃機関のバルブタイミング制御装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2009−133263号公報 特許第4883244号公報
前述の特許文献1に記載された従来の内燃機関のバルブタイミング制御装置の場合、カム回転方向に対し発生する回転慣性による逆トルクは、ベーンの遅角側に相当する回転方向と同一となる。従って、回転位相変更機構部の駆動デューティが0[%]であっても、進角用油圧室に供給される進角油圧力に対し、回転慣性による逆トルクが大きい場合、ロックピンはロック穴に対して遅角側で接触を起こす状態が発生する。そのため、駆動デューティ100[%]のときにベーンが遅角側に動作する場合は、ロック穴に対し、遅角側への接触がさらに増大することとなり、ロック解除を実施することができないという課題があった。
又、特許文献2に記載された従来の内燃機関のバルブタイミング制御装置の場合、クランク角が所定の角度であるときにロックピンの解除を開始するものであり、所定のクランク角に合わせるに当たり、クランク角センサの精度のばらつき、及びOCVに駆動デューティが印加されてから油圧が供給されるまでのアクチュエータのばらつきや、更には作動油通路自体の流通抵抗ばらつきが影響して、所定のクランク角に合わせることが困難であるという課題があった。
この発明は、従来の内燃機関のバルブタイミング制御装置に於ける前述のような課題を解決するためになされたものであり、バルブタイミング変更機構に於けるロック機構のロックピンの解除を如何なる場合にも確実に行い得る内燃機関のバルブタイミング制御装置を提供することを目的とする。
この発明によるバルブタイミング制御装置は、
内燃機関の出力軸に連結された第1の回転体と、
前記内燃機関の吸気弁若しくは排気弁を開閉させるカム軸に連結され、前記第1の回転体と軸心を共有すると共に前記第1の回転体の内部に収納され、前記第1の回転体に対して前記軸心の周りに相対的に回動可能に構成された第2の回転体と、
前記第1の回転体と前記第2の回転体とのうちの一方に形成されたロック穴と、前記第1の回転体と前記第2の回転体のうちの他方に設けられ前記軸心の伸びる方向と同一方向に移動可能に形成されたロックピンとを有し、前記ロックピンが前記ロック穴側に移動して前記ロック穴に係合することにより、前記第1の回転体に対する前記第2の回転体の回動をロックし得るロック機構と、
を備え、
前記ロック機構による前記ロックの解除時に、前記内燃機関の出力軸の回転に基づき供給される作動油により前記第2の回転体に前記相対的に回動させる付勢力を与えながら、前記ロックピンと前記ロック穴との係合を解くように前記ロック穴に係合している前記ロックピンに前記作動油による付勢力を与えて前記ロックを解除するようにした内燃機関のバルブタイミング制御装置であって、
前記ロック機構による前記ロックを検出したときに、前記内燃機関の出力を低下させて前記作動油の油圧を減少させた状態で、前記ロックの解除を行う、
ことを特徴とするものである。
この発明による内燃機関のバルブタイミング制御装置によれば、ロック機構によるロックを検出したときに、内燃機関の出力を低下させて作動油の油圧を減少させた状態でロックの解除を行うようにしたので、第2の回転体の回転慣性による逆トルクが小さくなり、ロック穴とロックピンで発生する接触圧力を低下させることが可能となるため、ロック機構のロックピンの解除を如何なる場合にも確実に行うことが可能となる。
この発明の実施の形態1による内燃機関のバルブタイミング制御装置を用いた、内燃機関の制御システムの全体構成を示す概略図である。 内燃機関のバルブタイミング制御装置に於ける、バルブタイミング変更機構の内部構造を示す断面図である。 内燃機関のバルブタイミング制御装置に於ける、バルブタイミング変更機構のロック機構の内部構造を示す側断面図である。 この発明の実施の形態1による内燃機関のバルブタイミング制御装置に於ける、電子制御装置の構成図である。 この発明の実施の形態1による内燃機関のバルブタイミング制御装置に於ける、OCV駆動判定手段の制御動作示すフローチャートである。 この発明の実施の形態1による内燃機関のバルブタイミング制御装置に於ける、ロック解除不良判定手段の制御動作示すフローチャートである。 この発明の実施の形態1による内燃機関のバルブタイミング制御装置に於ける、OCV駆動制御手段の制御動作示すフローチャートである。 この発明の実施の形態1による内燃機関のバルブタイミング制御装置に於ける、リトライ制御の制御動作を示すフローチャートである。 この発明の実施の形態1による内燃機関のバルブタイミング制御装置に於ける、制御フローに基づく動作を示すタイミングチャートである。
以下、この発明の実施の形態1による内燃機関のバルブタイミング制御装置について、図に基づいて詳細に説明する。図1は、この発明の実施の形態1による内燃機関のバルブタイミング制御装置を用いた、内燃機関の制御システムの全体構成を示す概略図である。図1に於いて、内燃機関101の出力軸120には、吸気バルブ131、排気バルブ132を開閉する吸気側及び排気側のカムシャフト121が図示していないタイミングチェーンを介して連結されている。
各カムシャフト121、122の先端にはバルブタイミング変更機構110が夫々設けられており、タイミングチェーンはこのバルブタイミング変更機構110の後述するスプロケット21に巻き掛けられている。これにより、内燃機関101の運転に伴い出力軸120が回転するとその駆動力がタイミングチェーンを介してバルブタイミング変更機構110に伝達され、バルブタイミング変更機構110と共にカムシャフト121が回転する。バルブタイミング変更機構110の構成については後述する。
燃料噴射装置109は、内燃機関101の吸気路に設けられており、所定のタイミングで燃料を吸気路内に噴射する。吸気路内に噴射された燃料は、空気と混合されて混合気となり、吸気バルブ131が開弁することにより内燃機関101のシリンダ内に吸入される。内燃機関101のシリンダヘッドに固定された点火プラグ108は、点火装置107から供給される点火エネルギーにより所定のタイミングで火花放電を発生し、シリンダ内の混合気に点火する。シリンダ内で点火されて燃焼した混合気の排気ガスは、排気バルブ132の開弁と共にシリンダ内から排気通路へ排出される。
油圧供給源114は、作動油を貯留するオイルパン115と、オイルポンプ116とにより構成されている。オイルポンプ116は、内燃機関101の出力軸120により駆動されて回転し、オイルパン115に貯留された作動油を吸入して所定の油圧の作動油として吐出する。
OCV111は、オイルポンプ116から吐出された所定の油圧の作動油が供給油路119を介して供給され、この供給された作動油を、進角油路112を介して前述のバルブタイミング変更機構122の進角室に供給し、若しくは遅角油路113を介して遅角室に供給するように、作動油のバルブタイミング変更機構への供給を制御する。又、OCV111は、バルブタイミング変更機構122の進角室若しくは遅角室の作動油を、還流油路118を介してオイルパン115へ還流させるように制御する。これ等の動作については、更に後述する。
燃料噴射装置109は、電子制御装置117からの制御信号に基づいて所定のタイミングで燃料を噴射する。点火装置107は、電子制御装置117からの制御信号に基づいて所定のタイミングで点火プラグ108から点火火花を発生させるように動作する。OCV111は、電子制御装置117からの制御信号に基づいてOCV111を構成するソレノイドバルブが制御され、後述するようにバルブタイミング変更機構110に対する作動油の供給及び排出を制御する。
次に、バルブタイミング変更機構110の構成及び動作について詳細に説明する。図2は、内燃機関のバルブタイミング制御装置に於ける、バルブタイミング変更機構の内部構造を示す断面図であって、(a)はベーンロータが回動可能状態(ピンロック解除状態)を示し、(b)はベーンロータのロック状態(ピンロック状態)を示している。図2の(a)、(b)に示すように、カムスプロケット201と一体に形成されたバルブタイミング変更機構110の第1の回転体としてのカムハウジング202の中には、カムシャフト121と連結された第2の回転体としてのベーンロータ203が回動可能に収容されている。カムハウジング202とベーンロータ203は、同一の軸心上で相対的に回転可能に設けられている。
ベーンロータ203には、その中心から径方向に突出する3つのベーン204が設けられていると共に、カムハウジング202にはこれらベーン204をそれぞれ収容する3つの収容室205が設けられている。これにより、カムハウジング202内にベーンロータ203が収容された状態に於いて、収容室205はベーン204によって進角用油圧室206と遅角用油圧室207とに区画されている。このようにベーン204を挟むように配設された進角用油圧室206及び遅角用油圧室207内の油圧を調整することにより、ベーン204が収容室205内で移動し、ベーンロータ203がハウジング202内で回動するように構成されている。
進角用油圧室206及び遅角用油圧室207への作動油の供給は、図1に示すように内燃機関101の出力軸120に連結された機械式のオイルポンプ116によってOCV111を介して行われる。前述したようにバルブタイミング変更機構110の進角用油圧室206には進角用油路112が、又、遅角用油圧室27には遅角用油路113が夫々接続されている。進角用油路112及び遅角用油路113は、OCV111を介してオイルポンプ116に接続されている。
オイルポンプ116によってオイルパン115からくみ上げられた作動油は、OCV111を通じて各油圧室206、207に選択的に供給される。又、ロータ203の回動に伴い各油圧室206、207から排出される作動油は、オイルパン115に戻される。尚、オイルポンプ116から吐出される作動油の一部は、図示していない潤滑油通路を通じて内燃機関各部に潤滑油として供給され、内燃機関各部の潤滑に供された後、オイルパン115へと戻される。
OCV111は、電気的な駆動信号に基づいて駆動されるソレノイドバルブからなり、吸気側及び排気側の各バルブタイミング変更機構110について各別に設けられている。OCV111は、駆動信号のデューティの大小に応じて前述の各油路112、113の接続態様を切り替える。具体的には駆動信号のデューティに応じて、進角油路113、遅角油路112への経路を切り替える構成となり、50[%]を境にその切り替えが実施される。
即ち、駆動信号のデューティが50[%]よりも小さいときには、オイルポンプ116によってくみ上げられた作動油が供給油路119及び進角用油路112を通じて進角用油圧室206へと供給されると共に、遅角用油圧室207内の作動油が遅角用油路113及び還流油路118を通じてオイルパン115へと戻されるようになる。こうして進角用油圧室206内の油圧が増大すると、ロータ203がハウジング202内で図2に於ける右回り、即ち破線矢印Cに対して逆方向である進角側に回動する。これに伴いカムシャフト121が進角側に回動し、出力軸120に対するカムシャフト121の相対回転位相がバルブタイミングを進角させる方向に変位する。
一方、駆動信号のデューティが50[%]よりも大きいときには、オイルポンプ116によってくみ上げられた作動油が供給油路119及び遅角用油路113を通じて遅角用油圧室27へと供給されるとともに、進角用油圧室26内の作動油が進角用油路112及び還流油路118を通じてオイルパン115へと戻されるようになる。こうして遅角用油圧室207内の油圧が増大すると、ロータ203がハウジング202内で図2に於ける左回り、即ち破線矢印Cで示される遅角側に回動する。これに伴いカムシャフト121が遅角側に回動し、出力軸120に対するカムシャフト121の相対回転位相がバルブタイミングを遅角させる方向に変位する。
又、駆動信号のデューティが50[%]に設定されたときには、各油圧室206、207内の作動油の給排が停止されるため、各油圧室206、207内の油圧によってハウジング202内でのロータ203の回動が規制され、バルブタイミングがそのタイミングに保持される。
前述のバルブタイミング変更機構110によるバルブタイミングの変更は、内燃機関101を統括的に制御する電子制御装置117によって行われる。電子制御装置117には、内燃機関101の出力軸120の回転角CA、及び出力軸120の回転数である内燃機関回転数NEを検出するクランク角センサ102、カムシャフト121の回転角CAMAを検出するカムポジションセンサ103、内燃機関冷却水温THWを検出する水温センサ104、運転者によるアクセル操作量APSを検出するアクセルポジションセンサ106等の各種センサが接続されている。電子制御装置117は、これら各種センサから出力される信号を取り込み、各種演算処理を実行してその結果に基づいて内燃機関に備えられた点火装置107、燃料噴射装置109、その他、内燃機関各部を制御する。
具体的には、出力軸120の回転角CAと、カムシャフト121の回転角CAMAとに基づいてバルブタイミング変更機構110に於ける現在の相対回転位相を算出する。そして、内燃機関回転数NEに基づいて最適なバルブタイミングとなるように目標位相を算出し、実際の相対回転位相がこの目標位相に一致するようにOCV111に出力する駆動信号のデューティを設定する。このようにデューティを設定してOCV111を制御することによって、進角用油圧室206及び遅角用油圧室207に供給する作動油の量を調整し、出力軸120とカムシャフト121の相対回転位相を変更する位相変更制御を実行することにより、バルブタイミングを機関運転状態に応じた適切なタイミングに変更する。
ところで、前述のような油圧駆動式のバルブタイミング変更機構110にあっては、オイルポンプ116から各油圧室206、207に供給される油圧が小さい機関始動時には、各油圧室206、207内の油圧が不足してロータ203を所定の位相に保持することが難しく、バルブタイミングが不安定になってしまう。そこで、この実施の形態1によるバルブタイミング変更機構110にあっては、機械的な係合によりロータ203を所定の位相に保持するロック機構300を設け、内燃機関始動時のように各油圧室206、207内の油圧が小さいときには、このロック機構300によってロータ203を所定の位相に保持するようにしている。尚、この実施の形態1によるバルブタイミング変更機構110にあっては、ロック機構300によってバルブタイミングが最も進角側になる最進角位相にロータ203を保持するようにしている。
図3は、内燃機関のバルブタイミング制御装置に於ける、バルブタイミング変更機構のロック機構の内部構造を示す側断面図であって、(a)は、ピンロックの状態、(b)は、ピンロック解除の状態、(c)は、OCV駆動デューティ0[%](進角室に作動油供給)であって[進角油圧>慣性逆トルク]のときの状態、(d)は、OCV駆動デューティ0[%](進角室に作動油供給)であって[進角油圧<慣性逆トルク]のときの状態、(e)は、OCV駆動デューティが0から100[%]に変化(遅角室に作動油供給)したときの状態、を夫々示している。
ロック機構300は、図2及び図3に示されるように、3つの収容室205のうちの1つに形成されたロック穴303と、ベーン204から出没するように往復動可能に設けられてこのロック穴303に挿入され得るロックピン301とを含んで構成されている。
ロックピン301は、スプリング302によって常にベーン24から突出する方向に付勢されている。ロック穴303の底部には遅角用油圧室207から連通してロックピン301の先端部に遅角用油圧室207内の作動油の油圧を作用させるロック解除用油路304が形成されている。これにより、オイルポンプ116が駆動されず、遅角用油圧室207内の油圧が低下する内燃機関停止時にはスプリング302による付勢力の作用によってロックピン301がベーン204から突出してロック穴303に係合し、ロータ203の移動を規制する(図3の(a))。
一方、内燃機関の運転が開始され、遅角用油圧室207内の油圧が所定の圧力以上になるとその油圧によってロックピン31がスプリング302の付勢力に抗して押し戻されるようになり、ロックピン301とロック穴303との係合が解除される(図3の(b))。
このように構成されたロック機構300を有するバルブタイミング変更機構110によれば、内燃機関の始動時のように各油圧室206、207内の油圧を十分に確保できないときであってもロックピン301の機械的な係合によりロータ203の回動を規制することができ、バルブタイミングが不安定になることを回避することができるようになる。
ところで、バルブタイミング変更機構110が動作を開始するにあたっては、ロック状態を解除してから、制御が開始される必要がある。そしてロック状態を解除するには前述のように、ロック解除用油路304に油圧が供給され、ロックピン301がスプリング302の付勢力に抗して押し戻される必要がある。
ここで、なんらかの要因によりロックが解除される前にベーン204を遅角側に可動させる力が働くと、ロック機構300の係合部位、即ちロックピン301とロック穴303との接触部位における接触圧力が増大し、それによってロックピン301が固着状態となってベーン204へのロックピン301の収容動作が阻害される虞がある。
このようにロック機構300が固着し、ロック状態の解除動作が阻害されると、速やかに位相変更制御を開始してバルブタイミングを変更することができなくなってしまう。そればかりか、ロック機構300によるロック状態が完全に解除されていない状態のまま位相変更制御が開始され、遅角用油圧室207内の油圧が増大されると、ロックピン301の破損や変形等をまねく虞もある。
そこで、前述の特許文献1に記載された従来の技術のように、ロック機構300に対し、OCV駆動デューティを周期的に変化させることで、ロック穴303とロックピン301の相対位置を変化させ、その結果、接合状態が解除されることを期待しロックを解除する機構や、特許文献2に記載された従来の技術のように、制御開始タイミングを調整し、ロック穴303とロックピン301とが接合状態でないタイミングにてOCV駆動デューティを制御して、ロック解除を開始するようにした技術が提案されている。
しかしながら、特許文献1に記載された従来の内燃機関のバルブタイミング制御装置の場合、カム回転方向に対し発生する回転慣性による逆トルクは、ベーンの遅角側に相当する回転方向と同一となる。従って、OCV111の駆動デューティが0[%]であっても、進角用油圧室に供給される進角油圧力に対し、回転慣性による逆トルクが小さい場合、ロックピン301はロック穴303に対して遅角側で接触を起こす状態が発生する(図3の(c))。そのため、駆動デューティ100[%]のときにベーンが遅角側に動作する場合は、ロック穴に対し、遅角側への接触がさらに増大することとなり、ロック解除を実施することができないという課題があった。又、OCV11の駆動デューティ0[%]であって進角用油圧室に供給される進角油圧力に対し、回転慣性による逆トルクが大きい場合は、ロックピン301はロック穴303に対して進角側で接触を起こす状態が発生する(図3の(d))。
一方、前述したように、特許文献2に記載された従来の内燃機関のバルブタイミング制御装置の場合、クランク角が所定の角度であるときにロックピンの解除を開始するものであり、所定のクランク角に合わせるに当たり、クランク角センサの精度のばらつき、及びOCVに駆動デューティが印加されてから油圧が供給されるまでのアクチュエータのばらつきや、更には作動油通路自体の流通抵抗ばらつきが影響して、所定のクランク角に合わせることが困難であるという課題があった。
この発明の実施の形態1による内燃機関のバルブタイミング制御装置は、従来の前述のような課題を解消するためになされたものである。以下、この発明の実施の形態1による内燃機関のバルブタイミング制御装置について詳細に説明する。この実施の形態1による内燃機関のバルブタイミング制御装置にあっては、ロックピン301が固着状態にあるときに、ロータ23の回動方向に作動油の油圧を制御するに先立って、内燃機関101の点火装置107を停止させ失火を発生させることにより、内燃機関101の出力トルクを一旦低下させることで、ロックピン301とロック穴303の内壁との接触圧力を減少させ、ロック解除を実行するものである。
図4は、この発明の実施の形態1による内燃機関のバルブタイミング制御装置に於ける、電子制御装置の構成図である。図4に於いて、電子制御装置117は、回転数計測手段501と、実進角量計測手段502と、OCV駆動判定手段503と、ロック解除不良判定手段504と、OCV駆動制御手段505と、点火制御手段506とを備える。尚、前述したように、電子制御装117には、内燃機関101の出力軸120の回転角CA、クランク角センサ102、カムポジションセンサ103、水温センサ104、アクセルポジションセンサ106等の各種センサが接続され、これら各種センサから出力される信号を取り込み、各種演算処理を実行してその結果に基づいて内燃機関101に備えられた点火装置107、OCV111,燃料噴射装置109、その他、内燃機関各部を制御する。
回転数計数手段501は、クランク角センサ102からの出力信号に基づき基準となるクランク角を検出すと共に、クランク角センサの出力信号の間隔(周期)を計測し、周期の逆数から内燃機関101の回転数を計数する。実進角量計測手段502は、クランク角センサ102の出力信号の入力タイミングを基準としてカム角センサ103の出力の入カタイミングから現在の実位相角を計測し、予め設定されたバルブタイミング変更機構110の非動作時の位相角度と実位相角との偏差により、現在の実進角量を算出する。
OCV駆動判定手段503は、バルブタイミング制御を実施するための状態にあるか否かを判定する。図5は、この発明の実施の形態1による内燃機関のバルブタイミング制御装置に於ける、OCV駆動判定手段の制御動作示すフローチャートである。図5に於いて、ステップS501では、回転数計測手段501からのエンジン回転数と、水温センサ104からの水温と、アクセルポジションセンサ106からのアクセルポジションを読み込む。ステップS502では、OCV111の駆動条件が成立しているか否かを判定する。
OCV111の駆動条件は、下記の全てを満足することである。
・内燃機関101の回転数>所定の回転数ThNE
・内燃機関の水温>所定の水温ThTHW
・アクセル開度>所定のアクセル開度ThAPS
である。
ステップS502での判定の結果、前述のOCV111の駆動条件が成立と判定すれば(Y)、OCV111を駆動するための十分な環境が整っていると判断し、ステップS503にてOCV駆動判定フラグをセットし、処理を終了する。尚、前述のOCV111の駆動条件の各判定値は、バルブタイミング機構を動作させるために予め設定された値であり、試験的に適合されるものであるが、内燃機関101の暖機状態からの走行を想定した条件を設定されることが通常であり、例えば、所定の回転数ThNE=1000[rpm]、所定の水温ThTHW=40[deg.CA]、所定のアクセル開度ThAPS=0[%]である。
一方、ステップS502での判定の結果、OCV111の駆動条件が不成立(N)であれば、ステップS504にてOCV駆動判定フラグをリセットする。
次にロック解除不良判定手段504によるロック解除不良判定が実施される。図6は、この発明の実施の形態1による内燃機関のバルブタイミング制御装置に於ける、ロック解除不良判定手段の制御動作示すフローチャートである。図6に於いて、ステップS601では、実進角量計測手段502からの実進角量を読み込む。次に、ステップS602に進みバルブタイミング変更機構110に於けるロック解除が実施されていない状態か否かを識別する。即ち、OCV駆動判定フラグがセットされ、且つロックの解除不良条件が成立しているか否かを判定する。
ロックの解除不良条件は、下記の通りである。
・|目標進角量−実進角量|>α 且つ、目標進角量>β
の状態が所定の時間以上継続していること
ここで、具体的には、α=5[deg.CA]、β=10[deg.CA]とする。
又、目標進角量は、予め設定される値であり、回転数のテーブルとして定義される。
ステップS602での判定の結果、OCV駆動判定フラグがセットされ、且つロックの解除不良条件が成立していると判定されれば(Y)、ステップS603に進んで解除不良フラグをセットし、処理を終了する。一方、ステップS602での判定の結果が否(N)であれば、ステップS604に於いて解除不良フラグをリセットし、処理を終了する。
次に、OCV駆動制御手段505では、ロック解除不良判定手段504で判定した前述のロック解除の状態により、OCV111の駆動方法を変更する。図7は、この発明の実施の形態1による内燃機関のバルブタイミング制御装置に於ける、OCV駆動制御手段の制御動作示すフローチャートである。図7に於いて、ステップS701では、OCV駆動判定フラグがセットされているか否かを判定し、セットされていれば(Y)、ステップS702に進んで、解除不良フラグがセットされているか否かを判定する。その判定の結果、解除不良フラグがセットされていれば(Y)、ステップS70Sにてリトライ制御を行なう。ステップS703でのリトライ制御の詳細については後述する。
前述のステップS701での判定の結果、OCV駆動判定フラグがセットされていなければ(N)、ステップS704に進んでOCV駆動デューティを0[%]にセットし、ステップS705に進んで駆動デューティ0[%]のOCV駆動信号をOCV111に出力し、処理を終了する。
一方、ステップS702での判定の結果、解除不良フラグがセットされていなければ(N)、つまり、OCV駆動判定フラグが成立しており、ロック状態でない場合は通常制御として、ステップS706へ進んでリトライ中フラグをリセットし、次にステップS707にて失火指示フラグをリセットする。尚、失火指示フラグについては後述する。次にステップS708に進んで、実進角を目標進角に追従するように目標進角量と実進角量との偏差を入力としたPID制御を用いてOCV駆動デューティを演算し、ステップS705に進んでその演算した駆動デューティのOCV駆動信号をOCV111に出力し、処理を終了する。
次に、ステップS702での判定の結果、解除不良フラグがセットされていると判定され(Y)、つまり、ロック状態であると判定されてステップS703に進んでリトライ制御の実行に遷移する場合について説明する。図8は、この発明の実施の形態1による内燃機関のバルブタイミング制御装置に於ける、リトライ制御の制御動作を示すフローチャートである。
図8に於いて、ステップS801ではリトライ中フラグがリセットされているか否かを判定し、リトライ中フラグがリセットされていればリトライ制御条件が成立しているとして(Y)、ステップS802に進みOCV駆動デューティを一旦0[%]に設定する。次にステップS803に於いて内燃機関101のトルクをダウンさせるために失火指示フラグをセットすると共に点火カットの実施を行い、ステップS804に進んでリトライ中フラグをセットし、処理を終了する。
一方、ステップS801での判定の結果、リトライ中フラグがリセットされていなければ(N)、ステップS805に進んで、リトライ制御でのOCV駆動デューティ0[%]の継続を判定する。即ち、ステップS805では、OCV駆動デューティが0[%]の状態が所定時間以上継続しているか否かを判定し、継続していれば(Y)、ステップS806に進んでOCV駆動デューティを通常制御の状態である100[%]にセットすると共に、失火状態を解除して処理を終了する。
ここで、ステップS805での判定に使用される所定時間は、OCV駆動デューティ0[%]の状態が継続して作動油の油圧が十分低下すると共に、内燃機関101の失火によるトルク低下によりアクチュエータにかかるトルクが低下した状態に該当する時間であって、予め設定される値である。
図8に示すリトライ制御の実施時間は、内燃機関101を失火させることによるトルク低下が反映される時間とし、例えば内燃機関101の2回転分と定義される。
以上述べたバルブタイミング変更機構110のロック解除のリトライ制御にかかる一連の処理は、内燃機関101の運転中に電子制御装置117により繰り返し実行される。
次に、この発明の実施の形態1による内燃機関のバルブタイミング制御装置の動作を、タイミングチャートに従って説明する。図9は、この発明の実施の形態1による内燃機関のバルブタイミング制御装置に於ける、制御フローに基づく動作を示すタイミングチャートであって、(a)は解除不良フラグ、(b)はリトライ中フラグ、(c)は失火指示フラグ、(d)はカムトルク、(e)はOCV駆動デューティ、(f)は遅角油圧、(g)はロックピンのロック状態、(h)は実進角量、を夫々示している。
図9に於いて、(a)の解除不良フラグは、ロック解除不良判定手段504により算出される電子制御装置117内の変数であり、セット状態でロック解除不良が判定されていることを示す。(b)のリトライ中フラグは、OCV駆動制御手段503で算出される電子制御装置117内の変数であり、セット状態でリトライ制御中であることを示す。(c)の失火指示フラグは、OCV駆動制御手段505で算出される電子制御装置117内の変数であり、セット状態で点火制御手段506へ失火指示し、失火を発生させていることを示す。(d)のカムトルクは、ベーンロータ203に実際に作用している力を示す。(e)のOCV駆動DUTYは、OCV駆動制御手段505により算出され、電子制御装置117からOCV111に出力されるPWM信号のDUTY値を示す。(f)の遅角油圧は、OCV111から遅角油室への油の供給により生じる圧力を示す。(g)のロック状態は、バルブタイミング変更機構110に於けるロック機構の状態を示す。(h)の実進角量は、実進角量計測手段502により算出される電子制御装置117内の変数である。
図9に於いて、初めに、時刻t1のタイミングにて、ロック解除不良判定手段504により実進角量と目標進角量の偏差に基づいて解除不良であることが判定され、解除不良フラグがセットされる(1)。これに伴い、OCV駆動制御手段503にてリトライ中フラグがセットされる(2)。併せて、このリトライ中フラグのセット(2)に伴い、失火指示フラグがセットされ(3)、失火を指示する。そしてOCV駆動デューティを0[%]に設定する(4)。
その後、時刻t2のタイミングにて、OCV駆動制御手段505により予め設定された、進角油圧が0になることを想定した時間を経過後(時刻t1から時刻t2までの時間)に、OCV駆動デューティを100[%]に設定する。その後、時刻t3のタイミングにて、遅角油圧の上昇に伴いロック状態が解除される(6)と、実進角量が上昇し、時刻t4のタイミングにてロック解除不良判定手段504により解除不良フラグがリセットされ(7)、併せて、OCV駆動制御手段505にてリトライ中フラグがリセットされ(8)、失火指示フラグがリセットされ(9)、点火が開始される。又、OCV駆動Dutyの通常制御に復帰する(10)。
以上述べたように、ロックピン301がロック穴303に接合した状態での駆動が回避されることにより、ロックピン301の解除不良の状態を回避することが可能となる。
尚、内燃機関101のトルクを低下させる手段は、前述の点火カットの他に、燃料カットにより行ってもよい。又、内燃機関101の出力トルクを低下させる手段として、気筒の間欠カットを用いてもよい。
尚、この発明は、その発明の範囲内に於いて、実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。
101 内燃機関、102 クランク角センサ、103 カム角センサ、
104 水温センサ、105 アクセルペダル、106 アクセルポジションセンサ、
107 点火装置、108 点火プラグ、109 燃料噴射装置、
110 バルブタイミング変更機構、111 オイルコントロールバルブ、112 進角油路、113 遅角油路、114 油圧供給減、115 オイルパン、
116 オイルポンプ、117 電子制御装置、118 還流油路、
119 供給油路、120 出力軸、121 カムシャフト、
201 カムスプロケット、202 カムハウジング、203 ベーンロータ、205 収容室、206 進角用油圧室、207遅角用油路、300 ロック機構、
301 ロックピン、302 スプリング、 303 ロック穴、
304 ロック解除用油路、501 回転数計測装置、502 実進角量計測装置、
503 OCV駆動判定手段、504 ロック解除不良判定手段、505 OCV駆動制御手段、506 点火制御手段
この発明によるバルブタイミング制御装置は、
内燃機関の出力軸に連結された第1の回転体と、
前記内燃機関の吸気弁若しくは排気弁を開閉させるカム軸に連結され、前記第1の回転体と軸心を共有すると共に前記第1の回転体の内部に収納され、前記第1の回転体に対して前記軸心の周りに相対的に回動可能に構成された第2の回転体と、
前記第1の回転体と前記第2の回転体とのうちの一方に形成されたロック穴と、前記第1の回転体と前記第2の回転体のうちの他方に設けられ前記軸心の伸びる方向と同一方向に移動可能に形成されたロックピンとを有し、前記ロックピンが前記ロック穴側に移動して前記ロック穴に係合することにより、前記第1の回転体に対する前記第2の回転体の回動をロックし得るロック機構とを備え、
前記ロック機構による前記ロックの解除時に、前記内燃機関の出力軸の回転に基づきオイルコントロールバルブから供給される作動油により前記第2の回転体に前記相対的に回動させる付勢力を与えながら、前記ロックピンと前記ロック穴との係合を解くように前記ロック穴に係合している前記ロックピンに前記作動油による付勢力を与えて前記ロックを解除し、前記第2の回転体を前記第1の回転体に対して相対的に回動させて前記吸気弁若しくは排気弁を開閉するバルブタイミングの制御を行うようにした内燃機関のバルブタイミング制御装置であって、
前記内燃機関の運転状態が、前記オイルコントロールバルブを制御して前記バルブタイミングの制御を行う状態にあるか否かを判定するオイルコントロールバルブ駆動判定手段と、
前記吸気弁若しくは排気弁の実進角量と目標進角量とに基づいて、前記ロックの解除が行われているか否かを判定するロック解除判定手段と、
を備え、
前記オイルコントロールバルブ駆動判定手段が前記バルブタイミングの制御を行う状態にあると判定し、且つ前記ロック解除判定手段が前記ロックの解除が行われていないと判定したとき、前記内燃機関の出力を低下させて前記作動油の油圧を減少させた状態で、前記ロックの解除を行う、
ことを特徴とするものである。
図4は、この発明の実施の形態1による内燃機関のバルブタイミング制御装置に於ける、電子制御装置の構成図である。図4に於いて、電子制御装置117は、回転数計測手段501と、実進角量計測手段502と、OCV駆動判定手段503と、ロック解除判定手段としてのロック解除不良判定手段504と、OCV駆動制御手段505と、点火制御手段506とを備える。尚、前述したように、電子制御装117には、内燃機関101の出力軸120の回転角CAを検出するクランク角センサ102、カムポジションを検出するカムポジションセンサ103、水温センサ104、アクセルポジションセンサ106等の各種センサが接続され、これら各種センサから出力される信号を取り込み、各種演算処理を実行してその結果に基づいて内燃機関101に備えられた点火装置107、OCV111,燃料噴射装置109、その他、内燃機関各部を制御する。

Claims (3)

  1. 内燃機関の出力軸に連結された第1の回転体と、
    前記内燃機関の吸気弁若しくは排気弁を開閉させるカム軸に連結され、前記第1の回転体と軸心を共有すると共に前記第1の回転体の内部に収納され、前記第1の回転体に対して前記軸心の周りに相対的に回動可能に構成された第2の回転体と、
    前記第1の回転体と前記第2の回転体とのうちの一方に形成されたロック穴と、前記第1の回転体と前記第2の回転体のうちの他方に設けられ前記軸心の伸びる方向と同一方向に移動可能に形成されたロックピンとを有し、前記ロックピンが前記ロック穴側に移動して前記ロック穴に係合することにより、前記第1の回転体に対する前記第2の回転体の回動をロックし得るロック機構と、
    を備え、
    前記ロック機構による前記ロックの解除時に、前記内燃機関の出力軸の回転に基づき供給される作動油により前記第2の回転体に前記相対的に回動させる付勢力を与えながら、前記ロックピンと前記ロック穴との係合を解くように前記ロック穴に係合している前記ロックピンに前記作動油による付勢力を与えて前記ロックを解除するようにした内燃機関のバルブタイミング制御装置であって、
    前記ロック機構による前記ロックを検出したときに、前記内燃機関の出力を低下させて前記作動油の油圧を減少させた状態で、前記ロックの解除を行う、
    ことを特徴とした内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  2. 前記内燃機関の出力の低下は、前記内燃機関を失火状態にすることにより実施される、
    ことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  3. 前記内燃機関の出力の低下は、前記内燃機関への燃料の供給を停止することにより実施される、
    ことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。

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