JP2014231663A - ストレッチ仮撚スラブ複合糸、該複合糸を用いた織物及び該複合糸の製造方法 - Google Patents

ストレッチ仮撚スラブ複合糸、該複合糸を用いた織物及び該複合糸の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】適度なストレッチ性と意匠性外観を有し、ソフトな肌触り感を併せ持つストレッチ性意匠織物を提供するとともに、該織物を製織するために用いるストレッチ仮撚スラブ複合糸及び該複合糸の製造方法を提供する。【解決手段】本願発明は、ストレッチ性を有する第1の芯糸に単繊維繊度が0.5〜2dtex、フィラメント数が30〜200のセルロース系フィラメントである第2の芯糸が巻きついた芯糸に対し、総繊度が25〜65dtex、単繊維繊度が3〜6dtexである浮き糸が三重に巻き付いたスラブ部分と一重に巻き付いた非スラブ部分とから構成されるストレッチ仮撚スラブ複合糸、該複合糸を経糸及び緯糸の少なくとも一方に含む織物、及び該複合糸の製造方法に関するものであって、特に、該複合糸が第1の芯糸に対して、第2の芯糸をオーバーフィード(OF)率10〜35%で供給し、さらに浮き糸をOF率50〜120%で供給することにより製造されることを特徴とするものである。【選択図】図1

Description

本発明は、経方向及び緯方向に適度なストレッチ性と自然なスラブ斑感の意匠効果に加えソフトな肌触り感を併せ持つストレッチ意匠織物及びその製造方法に関する。
従来より、経方向及び緯方向に適度なストレッチ性と自然なスラブ斑感の意匠効果を併せ持つ複合加工糸条として、芯糸にストレッチ性を有する糸を用い仮撚加工にて芯糸と鞘糸のフィード差により得られる、芯糸に鞘糸が3重に捲回したスラブ部と芯糸に鞘部が1重に捲回した道中部とが交互に形成されたものがよく知られており、特許文献1には、芯糸Aに熱収縮性の異なる2種のポリエステル成分からなるポリエステル複合フィラメント糸、芯糸Bとしてセルローストリアセテートフィラメント糸(60dtex/15f)とセルロースジアセテートフィラメント糸(30dtex/7f)のエアー混繊糸(糸繊度90dtex)を用い、鞘糸としてセルローストリアセテートフィラメント糸(60dtex/15f)とセルロースジアセテートフィラメント糸(30dtex/7f)のエアー交絡糸(糸繊度90dtex)を用いたストレッチ性を有する織物に意匠性を付与した織物が示されている。
しかしながら、このストレッチ性を有する意匠性織物は、ストレッチ性と意匠性は十分であるものの、肌触り感が満足できるものではなかった。
特開2008−303510号公報
本発明の目的は、このような従来技術における問題点を解決するものであり、適度なストレッチ性と意匠性外観を有し、ソフトな肌触り感を併せ持つストレッチ性意匠織物を提供すること、並びに、該織物を製織するために用いるストレッチ仮撚スラブ複合糸及び該複合糸の製造方法を提供することにある。
本発明の第1の要旨は、ストレッチ性を有する第1の芯糸に単繊維繊度が0.5〜2dtex、フィラメント数が30〜200のセルロース系フィラメントである第2の芯糸が巻きついた芯糸に対し、総繊度が25〜65dtex、単繊維繊度が3〜6dtexである浮き糸が三重に巻き付いたスラブ部分と一重に巻き付いた非スラブ部分とから構成されたストレッチ仮撚スラブ複合糸にある。
第2の要旨は、経糸または緯糸に上述のストレッチ仮撚スラブ複合糸を含む織物にある。
第3の要旨は、ストレッチ性を有する第1の芯糸に単繊維繊度が0.5〜2dtex、フィラメント数が30〜200のセルロース系フィラメントである第2の芯糸が巻きついた芯糸に対し、総繊度が25〜65dtex、単繊維繊度が3〜6dtexである浮き糸が三重に巻き付いたスラブ部分と一重に巻き付いた非スラブ部分とから構成されるストレッチ仮撚りスラブ複合糸の製造方法であって、第1の芯糸に対して、第2の芯糸をオーバ
ーフィード(OF)率10〜35%で供給し、さらに浮き糸をOF率50〜120%で供給し、仮撚り加工を行う上述のストレッチ仮撚スラブ複合糸の製造方法にある。
本発明によれば、特定のストレッチ仮撚スラブ複合糸を用いて織物を製織することにより、従来のストレッチ性を有する意匠織物とは異なり、ソフトな肌触り感を有するストレッチ性意匠織物を得ることができる。
本発明の複合糸の製造装置の一例を示す模式図である。
本発明の複合糸の製造方法の概要について図1を用いて説明する。図1は、本発明の複合糸の製造に使用する製造装置の一例を示す模式図である。
第1の芯糸1は、マグネットテンサー3により一定張力で第1の芯糸用ガイド4を経て製造装置に供給される。この第1の芯糸1対して、第2の芯糸11が 第2の芯糸用フィードローラー12及び第2の芯糸用ガイド13を経て、オーバーフィード状態で供給される。この第1の芯糸1及び第2の芯糸11からなる芯糸に対して、浮き糸2が浮き糸用フィードローラー6より浮き糸用ガイド5を経て、オーバーフィード状態で供給される。
この第1の芯糸1、第2の芯糸11及び浮き糸2からなる複合糸は、走行中に第1ヒーター7により加熱固定され、仮撚ユニット8で仮撚された後、デリベリーローラー9を経て、第2ヒーター14により熱セットされ、巻き取り機10で巻き取られる。
本発明のストレッチ性を有する意匠織物において、織物を構成する複合糸としては、ストレッチ性を有する第1の芯糸1を用いることが必要である。ストレッチ性を有する芯糸とは、熱収縮性の異なる2成分のポリエステル系重合体を複合紡糸したもので加熱させるとコイル状になるいわゆる潜在捲縮糸や、パーンやチーズ等から解除したらコイル状になるいわゆる顕在捲縮糸等や、少なくとも一方にポリトリメチレンテレフタレート系繊維又はポリブチレンテレフタレート系繊維を用いた複合紡糸潜在捲縮糸やその仮撚加工糸、ポリウレタン系やポリオレフィン系弾性繊維等が掲げられるが、それらを特に限定するものではなく、目的とする織編物の性能や風合い、意匠性等を考慮して適宜選定すればよい。
第1の芯糸1の総繊度としては、30〜90dtexの範囲が好ましい。30dtex以上であれば、織物にした場合のストレッチ性が十分に得られ、90dtex以下であれば複合糸にした場合の総繊度を細くすることが可能となり繊細な表情感を有する複合糸が得られる。
複合糸における第2の芯糸11としては、単繊維繊度が0.5〜2dtex、フィラメント数が30〜200のセルロース系フィラメントを用いることが必要である。単繊維繊度が0.5dtex以上であれば、毛羽や糸切れも少なく安定的に糸加工が出来るとともに、適度な反発感が得られる。2dtex以下であれば、肌触りのよいやわらかな風合いが得られる。
単繊維繊度は、0.8〜1.8dtexがより好ましい。
また、フィラメント数が30以上であれば、複合糸内部で空隙が大きくなり、膨らみ感が得られる。200以下であれば、毛羽や糸切れも少なく安定に糸加工ができる。
フィラメント数は、50〜150がより好ましい。
本発明のセルロース系フィラメント糸とは、セルロース原料を出発点として再生或いは
半合成された繊維であればその製法や種類、断面形状、表面形状、艶等は特に限定するものではない。
本発明のセルロース系フィラメント糸としては、例えば、レーヨン、キュプラ、ジアセテート、トリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなどが挙げられる。
複合糸の芯糸は、第1の芯糸1に第2の芯糸11を巻きつけたものである。この巻きつけは、第1の芯糸1に対し第2の芯糸11をオーバーフィードした後、仮撚加撚領域に供給することで形成されるが、三重巻きつき構造とならないようにオーバーフィード量が調整される。
複合糸の浮き糸2の総繊度は、25〜65dtexの範囲が必要である。総繊度が25dtex以上であれば、意匠性外観が発現され、65dtex以下であれば、繊細な意匠性外観の表現が可能となる。浮き糸の総繊度は、35〜55dtexがより好ましい。単繊維繊度は3〜6dtexである必要があり、3dtex以上であれば、複合糸にネップやコボレといった欠点が入り難くなり、6dtex以下であれば、意匠織物風の柔らかい風合いを保つことができる。
素材としては、特に限定されないが、セルロース系フィラメント糸であるレーヨン、キュプラ、ジアセテート、トリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートが、肌触りの観点から好ましい。
複合糸は、3糸条以上のフィード差供給複合仮撚加工により製造ができる。当該加工プロセスの概念図を図1に示す。第1の芯糸1に対し、第2の芯糸11をオーバーフィード率10%以上35%以下の範囲にすることが好ましい。より好ましくは15%以上30%以下である。この場合のオーバーフィード率とは第1の芯糸1に対する第2の芯糸11の供給量であり、10%であれば芯糸供給量の1.10倍、35%であれば芯糸供給量の1.35倍を意味する。オーバーフィード率が10%以上であれば、膨らみ感のある複合糸が得られ、35%以下であれば、ループやネップといった欠点の少ない複合糸が得られる。浮き糸2のオーバーフィード率を、第1の芯糸1に対し、50%以上120%以下で仮撚加撚領域に供給することで、浮き糸2が三重に巻きついたスラブ部分と一重に巻きついた非スラブ部分とが交互に形成され、目的の複合糸が形成される。
浮き糸2のオーバーフィード率は、80〜100%がより好ましい。
複合糸は130℃以上200℃以下の範囲で熱セットすることが必要である。熱セット温度が130℃以上であれば、糸のトルクが減少し、後の製織製編工程での通過性が向上する。200℃以下であれば第1の芯糸1のストレッチ性を低下させずセットすることができる。
セット温度は、140℃以上190℃以下がより好ましい。
仮撚数(t/m)は、25000/(dtex)1/2〜50000/(dtex)1/2、にて複合仮撚加工を行う。仮撚数が25000/(dtex)1/2以上であれば、集束性が増し浮き糸のズッコケ等が軽減される。50000/(dtex)1/2以下であれば、糸切れが発生し難く糸加工安定性が向上する。
仮撚数は、28000/(dtex)1/2〜47000/(dtex)1/2がより好ましい。
本発明のストレッチ性意匠織物は、本発明の複合糸を混繊した糸を、経糸及び緯糸の少なくとも一方に用いて製織して得られる織物、または、本発明の複合糸のみからなる糸を、経糸及び緯糸の少なくとも一方に用いて製織して得られる織物である。織物の組織、製
織手段等については特に制限はない。
ストレッチ性の効果を高めるためには、経糸及び緯糸の両方に本発明の複合糸を含有する糸を用いることが好ましく、経糸及び緯糸の両方に本発明の複合糸のみからなる糸を用いることがさらに好ましい。
ストレッチ仮撚スラブ複合糸を含む経糸の経方向及びストレッチ仮撚スラブ複合糸を含む緯糸の緯方向のストレッチ性は、15%〜35%であることが必要である。ストレッチ性が15%以上であれば、着用時の着心地もよく、また長時間着用にも疲れを感じにくい。35%以下であれば着用時のひざ抜け等が出難い復元率が得られる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。また、織物のストレッチ性(伸び率)はJIS L 1096 B法(定荷重法、荷重14.7N 標線間距離200mm)に従って測定した。
(実施例1)
第1の芯糸1としてポリトリメチレンテレフタレートフィラメント糸(東レデュポン社製 56dtex/24フィラメント(f))を、第2の芯糸11としてセルローストリアセテートフィラメント糸(三菱レイヨン社製 110dtex/64f)を用い、浮き糸2としてセルローストリアセテートフィラメント糸(三菱レイヨン社製 40dtex/9f)を用いて、図1に示す装置にて下記の条件で複合仮撚加工を行った。
仮撚数(T/m):2200
仮撚方向:Z方向
第1ヒーター温度:160℃
第2ヒーター温度:170℃
芯糸の仮撚加撚領域との供給ガイド距離:300mm
第1の芯糸の仮撚加撚領域への第2の芯糸のオーバーフィード(OF)率:20%
芯糸の仮撚加撚領域への鞘糸のOF率:100%
得られた複合糸は、第1の芯糸1に第2の芯糸11が巻きついた芯糸に対し、浮き糸2が三重に巻き付いたスラブ部分と一重に巻き付いた非スラブ部分が糸の長手方向に交互に構成されていた。
この複合糸を経糸及び緯糸に用い、経糸規格51本/インチ、緯糸規格45本/インチの平織物を製織し、織物を、精練後、分散染料を用いて染色し、経糸規格72本/インチ、緯糸規格64本/インチの平織物を得た。得られた織物は、経方向に16.5%緯方向に29.3%のストレッチ性と、第2の芯糸11のセルロース系エステルのハイマルチヤーンを使用したことにより、従来の第2の芯糸11に通常のフィラメントカウント糸に比較し柔らかい手触り感を有しており、特に婦人向けボトム用途向けとして好適な生地であった。
(比較例1)
第2の芯糸11としてセルローストリアセテートフィラメント糸(110dtex/26f)を使用した以外は、実施例1と同様にして織物を得た。
比較例1の織物は、実施例1の織物に比較して手触り感は硬いものであった。
(実施例2)
第1の芯糸1としてポリトリメチレンテレフタレートフィラメント糸(東レデュポン社製 44dtex/24f)を、第2の芯糸11としてセルローストリアセテートフィラメント糸(三菱レイヨン社製 50dtex/34f)を用い、浮き糸2としてセルローストリアセテートフィラメント糸(三菱レイヨン社製 40dtex/9f)を用いて、図1に示す装置にて下記の条件で複合仮撚加工を行った。
仮撚数(T/m):2600
仮撚方向:Z方向
第1ヒーター温度:160℃
第2ヒーター温度:170℃
芯糸の仮撚加撚領域との供給ガイド距離:250mm
第1の芯糸の仮撚加撚領域への第2の芯糸のオーバーフィード(OF)率:25%
芯糸の仮撚加撚領域への鞘糸のOF率:90%
得られた複合糸は、第1の芯糸1に第2の芯糸11が巻きついた芯糸に対し、浮き糸2が三重に巻き付いたスラブ部分と一重に巻き付いた非スラブ部分が糸の長手方向に交互に構成されていた。
この複合糸を経糸及び緯糸に用い、経糸規格56本/インチ、緯糸規格52本/インチの平織物を製織し、織物を、精練後、分散染料を用いて染色し、経糸規格84本/インチ、緯糸規格70本/インチの平織物を得た。得られた織物は、経方向に23.3%緯方向に31.5%のストレッチ性と、第2の芯糸11のセルロース系エステルのハイマルチヤーンを使用したことにより、従来の第2の芯糸11に通常のフィラメントカウント糸に比較し柔らかい手触り感を有しており、特に婦人向けボトム用途向けとして好適な生地であった。
1 第1の芯糸
2 浮き糸
3 マグネットテンサー
4 第1の芯糸用ガイド
5 浮き糸用ガイド
6 浮き糸用フィードローラー
7 第1ヒーター
8 仮撚ユニット
9 デリベリーローラー
10 巻き取り機
11 第2の芯糸
12 第2の芯糸用フィードローラー
13 第2の芯糸用ガイド
14 第2ヒーター

Claims (5)

  1. ストレッチ性を有する第1の芯糸に単繊維繊度が0.5〜2dtex、フィラメント数が30〜200のセルロース系フィラメントである第2の芯糸が巻きついた芯糸に対し、総繊度が25〜65dtex、単繊維繊度が3〜6dtexである浮き糸が三重に巻き付いたスラブ部分と一重に巻き付いた非スラブ部分とから構成されるストレッチ仮撚スラブ複合糸。
  2. 請求項1に記載のストレッチ仮撚スラブ複合糸を混繊した糸を、経糸及び緯糸の少なくとも一方に用いて製織して得られる織物。
  3. 請求項1に記載のストレッチ仮撚スラブ複合糸のみからなる糸を、経糸及び緯糸の少なくとも一方に用いて製織して得られる織物。
  4. ストレッチ仮撚スラブ複合糸を含む経糸の経方向及びストレッチ仮撚スラブ複合糸を含む緯糸の緯方向のストレッチ性が15%〜35%である、ストレッチ意匠性を有する請求項2又は3に記載の織物。
  5. 請求項1に記載のストレッチ仮撚スラブ複合糸の製造方法であって、第1の芯糸に対して、第2の芯糸をオーバーフィード(OF)率10〜35%で供給し、さらに浮き糸をOF率50〜120%で供給し、仮撚加工を行うことを特徴とする製造方法。
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