JP2014229204A - 非接触ic媒体用アンテナシートと非接触ic媒体、非接触ic媒体の周波数調整方法 - Google Patents
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Abstract
Description
コンデンサ容量の調整により、非接触IC媒体の適正な共振周波数を得ることを目的とする。
非接触IC媒体は、受信した電磁波に整流平滑や安定化などの処理を施し、電磁波から直流電流を生成すると共に、リーダライタからのデータを受信する。
非接触IC媒体は電池を内蔵せず、受信した電磁波から必要な電力を取得してデータの送受信を行う。IC媒体は、十分な電力および安定した通信状態を得るために、電波をできる限り効率良く受信する必要がある。そのためには、非接触IC媒体側の共振周波数とリーダライタ側の周波数のマッチングが重要になる。
そこで、本発明は、近接して捲き回された銅線の巻線間にも静電容量が生じることに着目し、通常のアンテナコイルに延長して容量成分配線部を設けることで、本問題の解決を図ったものである。
絶縁性基材の表裏にパターンを設け、同調用コンデンサとし、これを微調整できるようにするものとして引用文献2等がある。しかし、これらのものも巻線コイルを使用するものではない。
なお、以降は非接触IC媒体の中でも非接触ICカードに本発明を適用する場合の説明を記述するが、本発明の適用可能形状はカード形状に限定されるものではない。
容量部を過剰に生成しておき、工程内で不要部分を除去して周波数を調整する方法は、配線間の隙間が狭くなるほど、切断する配線に隣接する必要な配線を誤って切断し易くなるという問題がある。
そこで、本発明は、コンデンサの機能を有する容量成分配線部を被覆銅線等の巻線で形成する場合に、巻線の一部分が線路から屈曲して突起する部分を設け、当該突起部において巻線の切断を行い、隣接する必要な配線を誤って切断しないようにしたものである。
過剰容量部の切断は、ICカード化前の工程で行うのが前提であるが、必要によりICカード化後においても切断可能とする。
本発明の要旨の第4は、請求項2または請求項3記載の非接触IC媒体用アンテナシートを両面の絶縁性基材間に挟んで圧接密着し、厚み0.76±0.08mmの札入れサイズカードとしたことを特徴とする非接触IC媒体、にある。
本発明の要旨の第6は、請求項5記載の非接触IC媒体の第2面または側縁面から前記突起部を切断することを特徴とする非接触IC媒体の周波数調整方法、にある。
アンテナシート製造後の工程で任意の周波数のアンテナに変更できることから、複数の仕様のICカードの部材を共通化することができ、まとめ買いによって材料単価を抑えることができる。
本発明の非接触IC媒体の周波数調整方法によれば、非接触IC媒体化後にも周波数の調整をすることができ、不良品発生の危険を少なくできる。
非接触ICカードは、アンテナシートを中心層とし、その両面に保護シートを積層した構成からなっている。接触用端子基板を持たない非接触ICカードにおいては、カード内におけるICチップの位置規制は特にないが、通常は、リーダライタ(R/W)装置から送出される電磁波を極力遮らないようにすることと応力変形を受け難くすることを考慮して、中心位置を避けて装着されている。
アンテナシート20は、シート状の絶縁性基材1にアンテナコイル21を形成し、非接触ICチップ2を装着したものである。本発明のアンテナシート20は巻線によるアンテナコイルであるため、裏面配線や同調用裏面コンデンサパターンを通常は形成しない。
図6では、アンテナコイル21は、2ターンのみ図示しているが、通常はカードの周縁に沿って1〜20ターンするように形成される。
巻線コイルの場合は、まずICチップ2を絶縁性基材1に接着剤等により固定し、一の端子(t1またはt2)に巻線を固定してからループコイルを形成し、最後にコイルの他端を他方の端子に固定するようにしても良い。
アンテナシート20が直角な角部を有するのは、個々のICカードにする前の多面付け状態のシートを意味するからであり、個々のICカードにする際は、4隅は角丸に仕上げ断裁される。以下に説明する図1〜図4の場合も同様である。
図7に示すように、非接触ICカード10は、送受信アンテナ部11、変復調部12、CPU13、メモリ14、および電源生成部15などの機能により構成されている。例えば、これらの機能を実現する各部は、上記送受信アンテナ部11を除いて、1つのICチップ内に格納され、非接触ICカード10内に埋め込まれる。
電源生成部15は、当該非接触ICカードの動作用の電源電圧を生成するものである。例えば、電源生成部15は、送受信アンテナ部11により受信した電波を整流回路にて整流および平滑することにより安定化した直流電圧を生成し、その直流電圧を所定の一定な動作電圧として非接触ICカード10内の各部に供給する。
図1は、非接触ICカード用アンテナシートの第1実施形態を示す図である。シート状の絶縁性基材1には、巻線によるループ状アンテナコイル21が形成されている。
図1は、模式的な図であり、アンテナコイル21は2ターンのみ図示しているが、実際にはカード周縁を1〜20ターンするように形成される。アンテナコイル21の両端は端子t1、t2に導かれ、当該両端子t1、t2に非接触ICチップ2が装着されている。
非接触ICチップ2の一方側端子t1から、延長してアンテナコイル21と同質の巻線によりアンテナコイル21の内側に並行して容量成分配線部22が形成されている。配線間の電位差を大きくする目的から、図1のように外側の配線を内側に這わせることが好ましい。
本発明では、この容量成分配線部22が同調用コンデンサの機能を行う特徴がある。
容量成分配線部22は、アンテナコイル21に近接して、1ターン程度形成するのが好ましい。近接することにより静電容量を大きくできるからである。ただし、巻線の直径が100μm程度のものを使用する場合、巻線中心間距離を、200μm以下にするのは、実際上、困難である。
図1の場合、突起部p1,p2,・・は、直角に屈曲した「Π」字形状にされているが、媒体(カード)の内側に向かって凸状になる形状であれば良く、「V」字形状や「U」字形状であっても構わない。要するに切断が容易にできる形状であれば良いことになる。
シート状の絶縁性基材1に巻線によるループ状アンテナコイル21が形成され、アンテナコイル21の両端は端子t1、t2に導かれ、当該両端子t1、t2に非接触ICチップ2が装着されている。この形態は、第1実施形態と同様である。
第2実施形態では、非接触ICチップ2の一方側端子t2から、延長してアンテナコイルと同質の巻線によりアンテナコイル21の外側に並行して容量成分配線部22が形成されている。容量成分配線部22は、アンテナコイル22に近接して形成されるのも同様である。配線間の電位差を大きくする目的から、図2のように内側の配線を外側に這わせることが好ましい。
第2実施形態の場合、ICカード化した場合に、突起部p1,p2,・・先端部のカード周縁からの距離L(図2参照)が、3.0mm未満の範囲に位置させることに注意する。カード化後に側縁からエンドミル刃等の切削により、突起部pを切断可能にするためである。ただし、Lが、カード周縁から0.2mm未満では、断裁(個々のカードに仕上げ断ちする際の)時に、誤って切断し易くなる問題がある。
図4は、第2実施形態の場合の周波数調整方法を示す図である。アンテナシート20において、突起部p8の先端が切断されている。この場合、p8から先の容量成分配線部22は、コンデンサとして機能しないことになる。切断箇所は、切断前の周波数特性とICカードの使用状態を勘案して決定することになる。
例えば、ICカードの左側短辺の下辺位置を原点とした場合に、p1(x1、y1),p2(x2,y2),・・,pn(xn,yn)のように座標位置を規定することである。
このようにすることにより、カード化した後においても、カードに多少の痕跡が残るものの、カードの裏面または側縁から、数値制御された微小径の切削具を用いて突起部を切断することができ、それにより容量成分を調整できるからである。
図5(A)は、容量成分配線部がない従来方式の場合であって、LSIである非接触ICチップ2に対して、アンテナコイル21によるインダクタンスL、回路全体の抵抗R、主としてICチップに基づく容量や回路に生じる浮遊容量等の回路全体の静電容量C0と、により並列共振回路を形成している。
LSIである非接触ICチップ2に対して、アンテナコイル21によるインダクタンスL、回路全体の抵抗R、主としてICチップに基づく容量や回路に生じる浮遊容量等の回路全体の静電容量C0と、同調用コンデンサC1,C2,・・Cnにより並列共振回路を形成している。
Z=1/〔1/R+i(ωC−(1/ωL))〕 (式1)
ωC−(1/ωL)=0 (式2)
ω=2πf=1/(2π(LC)1/2) (式3)
この時のCが共振時の回路全体の静電容量であり、これを導けば、
C=1/((2πf)2L) (式4)
となる。例えば、共振周波数が、13.56MHz、コイルが5.2μHの場合の数値を代入すると、C=26.0pFが必要となる。従って、LSIのC成分が、20pFである場合には、増加分としては、6.0pFが必要となる。
C=ES・E0×(φ・L×(1/d)) (式5)
なお、ESは、誘電体材料で決まる比誘電率、E0は、真空の誘電率である。
ただし、巻線の場合、導線と導線の間が、若干の容量成分を持つなど、計算値は実測値に一致しがたい。
式3より、Lは一定値なので、C成分が増加すれば、共振周波数は小さくなるが、共振周波数が、最大の追加静電容量で目的の共振周波数より高くなり、追加静電容量なしで目的の共振周波数より低くなるよう調整するのが好ましい。
アンテナシート20が完成した後であってICカード化前に、目的の所定共振周波数が得られるように、突起部pを切断する。
カード表面に絵柄を設ける場合は、絵柄転写用の転写箔と共に、一体に仮積みしてから熱プレスを行う。絵柄転写は、別工程で行っても良い。
ここまでの工程は、通常多面付けの状態で行うので、熱プレス後に、個々のカードに断裁するための打ち抜きを行う。この際、第2実施形態では、突起部pを切断しないようにその位置に注意する必要がある。
非接触ICカードは、JISX6301で規定するID−1型(札入れサイズ)のものであり、通常、幅85.6mm、高さ54.0mm、厚み0.76±0.08mmの寸法にされる。
ICカードは、発行企業名や用途を示し、通常は装飾が施されている表面(第1面)と、それに平行な裏面(第2面)を有し、第1面には、装飾的図案等が施されることが多く、利用者名や有効期限等のエンボスがされる。第1面に、ホログラム箔の転写や利用者名等のエンボスを行い、ICカードのエンコード(発行)処理を行い実用に供される。
すなわち、前記のように、複数の突起部p1,p2,・・の頂点位置または切断予定位置が、予め規定されたICカード上の座標位置にされているので、当該位置が視覚的に視認できなくても、カードの裏面(第2面)から、直径0.1〜0.2mm程度の小径のエンドミル刃により切削して突起部を切断することができる。
特に、第2実施形態では、突起部の先端が、ICカードの周縁に接近して形成されているので、厚み0.76±0.08mmである側縁面から切断できる利点がある。
アンテナシートの絶縁性基材には、ポリエチレンテレフタレート(PET)シートや硬質の塩化ビニルシート、あるいはポリイミドやガラスエポキシ樹脂シート等が使用される。アンテナシートの厚みは100〜350μm程度であり、好ましくは150〜300μm程度となる。
アンテナシートの両面に積層する基材にも同様の材料を使用できるが、ポリカーボネートやPET−Gシートが使用される場合もある。
直径110μmの銅線に厚み3μmのウレタン樹脂被覆がされた銅巻線を用い、絶縁性基材1である厚み150μmのPETシートに対して、図1に示すようなアンテナシート20を形成した。
ただし、アンテナコイル21は、カード周縁を4ターンするようにし、隣接する銅巻線の中心間距離が、200μmになるように近接して捲き回しした。
まず、チップの浮遊容量20pFの非接触ICチップ2を絶縁性基材1に接着剤等により固定した後、1の端子t2に巻線を固定してからループアンテナ21を形成し、最後にコイルの他方の端子t1に固定した。
端子t1からそのまま同じ銅巻線を延長して、容量成分配線部22を形成した。容量成分配線部22は、アンテナコイル21の内側を、1ターン弱コイル21に並行するように形成した。容量成分配線部22の銅巻線とアンテナコイル21の銅巻線との中心間距離は同じく200μmになるようにした。銅巻線の交差する部分は裏面側を通してもよいが、表面で交差しても被覆されているので短絡することはない。
図1では、容量成分配線部22には、「Π」字状の突起部pが10箇所形成されているが、実施例1では、p3,p6,p8の箇所の3箇所のみとした。突起部pの突起高さは2mmとした。
この際のアンテナコイル21の大きさは、図1において、p3~p6間の距離(突起pの先端間の距離)が60mm、p6〜p8間の距離(突起pの先端間の距離)が40mmとなった。
容量成分配線部21を無切断の場合は、12.1MHzの共振周波数であり、p8で切断した場合は、12.6MHz、p6で切断した場合は、13.1MHz、p3で切断した場合は、14.2MHzであった。
式4による計算で、L=5.2μHとした場合、無切断時は33.3pF、p8で切断時は30.7pF、p6で切断時は28.4pF、p3で切断時は24.2pFとなる。
図1の突起で換算すると、おおよそ1突起ごとに0.17〜0.4MHzの範囲で周波数が変化していることになる。この程度の間隔でも調整可能であるが、より突起pの間隔を狭くすれば0.1MHz単位での調整も可能である。
直径110μmの銅線に厚み3μmのウレタン樹脂被覆がされた銅巻線を用い、絶縁性基材1である厚み150μmのPETシートに対して、図2に示すようなアンテナシート20を形成した。
ただし、アンテナコイル21は、カード周縁を7ターンするようにし、隣接する銅巻線の中心間距離が、800μmになるように近接して捲き回しした。
まず、チップの浮遊容量20pFの非接触ICチップ2を絶縁性基材1に接着剤等により固定した後、1の端子t1に巻線を固定してからループアンテナ21を形成し、最後にコイルを他方の端子t2に固定した。
端子t2からそのまま同じ銅巻線を延長して、容量成分配線部22を形成した。容量成分配線部22は、アンテナコイル21の外側を、1ターン弱コイル22に平行するように形成した。容量成分配線部22の銅巻線とアンテナコイル21の銅巻線との中心間距離は、200μmになるようにした。銅巻線の交差する部分は裏面側を通してもよいが、表面で交差しても被覆されているので短絡することはない。
図2では、容量成分配線部22には、「V」字状の突起部pが10箇所形成されているが、実施例2では、p4,p6,p9の箇所の3箇所のみとした。突起部pの突起高さは2mmとした。
この際のアンテナコイル21の大きさは、図2において、p6〜p9間の距離(突起pの先端間の距離)が80mm、p4〜p6間の距離(突起pの先端間の距離)が50mmとなった。突起pの先端位置は、カード化した場合のカード縁辺から2〜2.8mmの位置となった。
容量成分配線部21を無切断の場合は、15.4MHzの共振周波数であり、p9で切断した場合は、16.2MHz、p6で切断した場合は、16.7MHz、p4で切断した場合は、17.2MHzであった。
式3による計算で、L=4.0μHとした場合、無切断時は26.7pF、p9で切断時は24.2pF、p6で切断時は22.7pF、p4で切断時は21.4pFとなる。
図2の突起で換算すると、おおよそ1突起ごとに0.17〜0.4MHzの範囲で周波数が変化していることになる。この程度の間隔でも調整可能であるが、より突起pの間隔を狭くすれば0.1MHz単位での調整も可能である。
本発明は、上記実施例に限られずに実施できるものであり、本発明範囲が実施例1および実施例2に限定されるものではない。
2 非接触ICチップ
10 非接触ICカード
11 送受信アンテナ部
12 変復調部
13 CPU
14 メモリ
15 電源生成部
20 ICカード用アンテナシート
21 アンテナコイル
22 容量成分配線部(同調用コンデンサ)
p(p1,p2,p3,・・,pn) 突起部
30 リーダライタ(R/W)装置
Claims (7)
- 非接触IC媒体用アンテナシートの絶縁性基材に形成された巻線アンテナコイルと、該アンテナコイルの両端部に装着された非接触ICチップと、該ICチップの1の端子から延長して、アンテナコイルと同質の巻線によりアンテナコイルの内側に並行して形成された容量成分配線部を有するアンテナシートにおいて、前記容量成分配線部に、間隔を置いて、IC媒体の内側に向かって、凸状に屈曲する突起部を複数箇所形成したことを特徴とする非接触IC媒体用アンテナシート。
- 非接触IC媒体用アンテナシートの絶縁性基材の周縁部を周回するように形成された巻線アンテナコイルと、該アンテナコイルの両端部に装着された非接触ICチップと、該ICチップの1の端子から延長して、アンテナコイルと同質の巻線によりアンテナコイルの外側に並行して形成された容量成分配線部を有するアンテナシートにおいて、前記容量成分配線部に、間隔を置いて、非接触IC媒体の外側に向かって、凸状に屈曲する突起部を複数箇所形成したことを特徴とする非接触IC媒体用アンテナシート。
- 前記突起部を前記容量成分配線部の端部側から、1の突起部を切断する毎に、共振周波数が、0.1MHzから0.3MHzの範囲で変動するようにしたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の非接触IC媒体用アンテナシート。
- 請求項1または請求項3記載の非接触IC媒体用アンテナシートを両面の絶縁性基材間に挟んで圧接密着し、厚み0.76±0.08mmの札入れサイズカードとしたことを特徴とする非接触IC媒体。
- 請求項2または請求項3記載の非接触IC媒体用アンテナシートを両面の絶縁性基材間に挟んで圧接密着し、厚み0.76±0.08mmの札入れサイズカードとしたことを特徴とする非接触IC媒体。
- 請求項4記載の非接触IC媒体の第2面から前記突起部を切断することを特徴とする非接触IC媒体の周波数調整方法。
- 請求項5記載の非接触IC媒体の第2面または側縁面から前記突起部を切断することを特徴とする非接触IC媒体の周波数調整方法。
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