JP5400945B1 - アンテナの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】近傍に導体が存在する状態でも高い放射強度を有するアンテナの製造を可能ならしめることにある。
【解決手段】試験用アンテナが備える短縮コンデンサのキャパシタンスを算出する算出工程S1と、近傍に導体が存在していない状態及び存在している状態における試験用アンテナの共振周波数を測定する測定工程S2と、測定した共振周波数の差に基づいて製造対象アンテナが備える短縮コンデンサのキャパシタンスを設定する設定工程S3とを含む。
【選択図】図1
【解決手段】試験用アンテナが備える短縮コンデンサのキャパシタンスを算出する算出工程S1と、近傍に導体が存在していない状態及び存在している状態における試験用アンテナの共振周波数を測定する測定工程S2と、測定した共振周波数の差に基づいて製造対象アンテナが備える短縮コンデンサのキャパシタンスを設定する設定工程S3とを含む。
【選択図】図1
Description
本発明は、アンテナの製造方法に関する。特に、放射素子と地板との間に介在する短縮コンデンサを備えたアンテナの製造方法に関する。
近年、RFID(Radio Frequency Identification)システムが種々の目的で広く用いられている。RFIDシステムは、無線タグとリーダとを含み、これらの間の無線通信によって種々の機能を実現する。
RFIDシステムに利用される無線タグには、電池が内蔵されていないパッシブタグと、電池が内蔵されたアクティブタグとがある。パッシブタグは、プリペイドカードなど、近接したリーダとの間で無線通信を行うための無線タグとして利用される。一方、アクティブタグは、在室管理システムにおいて利用者が携帯するタグや在庫管理システムにおいて商品に貼付するタグなど、近接していないリーダとの間で無線通信を行うための無線タグとして利用される。在室管理システムを開示した文献としては、例えば、特許文献1が挙げられる。
無線タグには、リーダと無線通信を行うためのアンテナを搭載する必要がある。無線タグに搭載するアンテナとしては、アクティブタグであるかパッシブタグであるかを問わず、小形ループアンテナがしばしば使われる。しかしながら、小形ループアンテナを搭載したアクティブタグにおいては、放射パワーの小ささ故、近接していないリーダとの間の無線通信に支障をきたすことがあった。
このような問題を解決するためには、小形ループアンテナの代わりに、小形ダイポールアンテナ又は小形モノポールアンテナを利用することが考えられる。ここで、小形ダイポールアンテナ及び小形モノポールアンテナとは、それぞれ、放射素子の全長ρが共振波長(共振周波数における波長)λに比べて十分に小さい(ρ≪λ)ダイポールアンテナ及びモノポールアンテナのことを指す。小形ループアンテナの放射パワーが(ρ/λ)4に比例するのに対して、小形ダイポールアンテナ及び小形モノポールアンテナの放射パワーは(ρ/λ)2に比例する。すなわち、小形ダイポールアンテナ及び小形モノポールアンテナの放射パワーは、小形ループアンテナの放射パワーよりも大きくなる。ただし、条件ρ≪λを満たすこれらの小形アンテナは、何れも、得られる放射パワーの大きさに限界がある。
一方、ρ=λ/2とした半波長ダイポールアンテナ、及び、ρ=λ/4とした1/4波長モノポールアンテナは、上述した小形アンテナと比べて放射効率が良いことで知られている。半波長ダイポールアンテナを備えたアクティブタグとしては、特許文献2に記載のものなどがある。特許文献2に記載のアクティブタグは、平面的な半波長ダイポールアンテナを備えることにより、十分な放射パワーを得ると共に、その厚みを抑えている。
無線タグを電波法等の法令に適合させるために、搭載するアンテナの共振周波数を低周波化する必要がしばしば生じる。しかしながら、平面的な半波長ダイポールアンテナ又は1/4波長モノポールアンテナを備えたカード型の無線タグにおいては、アンテナの共振周波数を低周波化すると、そのアンテナのサイズが大型化してしまう。そのため、平面的な半波長ダイポールアンテナ又は1/4波長モノポールアンテナを備えたカード型の無線タグには、無線タグのサイズを小型化するという要求に応えられないという問題がある。
例えば、日本国においては、無線タグなどの微弱無線局に許容される最大電界強度が図23に示すように定められている(電波法第4条及び電波法施行規則第6条参照)。すなわち、322MHz以下の帯域では、電界強度(正確には微弱無線局から3m離れた地点における電界強度)が500μV/m以下であれば、この微弱無線局の無免許使用が許されるのに対し、322MHz以上10GHz以下の帯域では、電界強度が35μV/mより大きいと、この微弱無線局の無免許使用が許されない。電界強度を35μV/m以下にすると、最悪の場合、微弱無線局から1m離れた地点にすら十分な強度の電磁波が到達しないことがあり実用的ではない。また、10GHzを越えた帯域では、許容される電界強度が35μV/mよりも大きくなる。しかしながら、周波数が高くなれば高くなるほど、微弱無線局を構成する部品の製造が困難になる。特に、60GHz以上の帯域で動作する微弱無線局を構成する部品は現時点で実用化されていない。したがって、誰もが手軽に利用できる無線タグを実現するためには、搭載するアンテナの共振周波数を322MHz以下にすることが好ましい。
ところが、半波長ダイポールアンテナの共振周波数を322MHz以下にするためには、その放射素子の全長をλ/2≒46.6cm以上にする必要がある。このため、平面的な半波長ダイポールアンテナを用いる限り、例えば、無線タグのサイズを85.6mm×54.0mmに縮小するという要求に応えることは困難である。また、1/4波長モノポールアンテナの共振周波数を322MHz以下にするためには、その放射素子の全長をλ/4≒23.3cm以上にする必要がある。したがって、平面的な1/4波長モノポールアンテナを用いたとしても、上記のような要求に応えることは困難である。このような問題は、放射素子と地板とが同一の平面内に配置されているか否かに拠らず生じる問題である。
なお、上述した85.6mm×54.0mm(より厳密には、85.60mm×53.98mm)というサイズは、ISO/IEC7810においてID−1として定められたカードサイズであり、電子マネーカードなどのパッシブタグにおいてしばしば採用されるサイズである。このID−1カードサイズは、縦横比が黄金比になっており、見た目の美しさもさることながら、人間が取り扱いやすいカードサイズとして国際的に認知されたものである。ID−1カードサイズのアクティブタグが実現できれば理想的であるが、上述したように、既存の半波長ダイポールアンテナ又は1/4波長モノポールアンテナを用いてID−1カードサイズのアクティブタグを実現することは困難である。
このような問題を解決するために、本願発明者は、地板と、放射素子と、これらの間に介在するコンデンサとを備えたアンテナの開発を行った。そして、国際出願PCT/JP2012/068504の明細書に記載したように、放射素子と地板との間に下記キャパシタンスC[F]を有するコンデンサを介在させることによって、共振周波数がf[Hz]、共振波長がλ=c/f[m](cは光速)であるアンテナにおいて、放射素子の全長を、h[m]<4/λに短縮することが可能であることを明らかにした。
ただし、コンデンサのキャパシタンスCと放射素子の全長hとの関係を規定する(A1)式は、当該アンテナが自由空間にて使用されることを前提としたものである。すなわち、当該アンテナの近傍に導体が存在する場合、その導体の影響によって共振周波数及び入力インピーダンスがシフトし、搬送波周波数において所望の放射強度が得られなくなるという問題が生じ得る。以下、この問題について、もう少し詳しく説明する。
アンテナは、通常、RLC直列共振回路に等価であり、その共振周波数fは、(A2)式により与えられ、その入力インピーダンスZは、(A3)式により与えられる。ここで、Rは、アンテナの抵抗成分(放射抵抗と損失抵抗との和)、Leは、アンテナの実効インダクタンス、Ceは、アンテナの実行キャパシタンスである。
アンテナの設計は、共振周波数fが搬送波周波数fcに一致するように実効インダクタンスLe及び実効キャパシタンスCeを調整することによって行われる。この際、搬送波周波数fcにおけるアンテナの入力インピーダンスZ(fc)を、同周波数fcにおける給電線(同軸ケーブルなど)の特性インピーダンスZ0(fc)と整合させることによって、利得の高いアンテナが得られる。
このようなアンテナの近傍に導体が存在すると、放射素子と導体との間に浮遊容量Cmが発生する。その結果、(A4)式に示すように共振周波数fがシフトしたり、(A5)式に示すように入力インピーダンスZがシフトしたりする。このようなシフトが生じるのは、放射素子と導体との間に生じる浮遊容量が、等価回路(RLC直列回路)に実効キャパシタンスCeと直列に挿入されるコンデンサに相当するためである。
共振周波数fのシフトは、搬送波周波数fcにおけるQ値Q(fc)の低下を招来し、入力インピーダンスZのシフトは、搬送周波数fcにおけるインピーダンス不整合を招来する。その結果として、搬送周波数fcにおける放射強度の低下が生じる。無線タグは、商品(金属部品を含み得る)に貼り付けられた状態、あるいは、利用者(人も導体である)に携帯された状態での利用が想定されるので、無線タグに搭載されるアンテナにおいては、このような放射強度の低下を回避することが望まれる。
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、地板と放射素子との間にコンデンサを介在させたアンテナであって、近傍に導体が存在する状態でも高い放射強度を有するアンテナの製造を可能ならしめることにある。
上記課題を解決するために、本発明に係る製造方法は、第1の平面内に配置された地板と、上記第1の平面及び上記第1の平面に平行な第2の平面の何れか一方又は両方に配置された放射素子と、上記放射素子の給電側と反対側の端部と上記地板との間に介在する短縮コンデンサとを備えたアンテナの製造方法であって、搬送波周波数をfc[Hz]、搬送波波長をλc=c/fc[m](cは光速)、上記放射素子の全長をh[m]、上記放射素子の幅の平均値をW[m]として、下記(B1)式にd=Wを代入することによって値Cを算出する算出工程と、上記アンテナと同様の構成を有する試験用アンテナであって、キャパシタンスが上記算出工程にて算出された値C'に設定された短縮コンデンサを備えた試験用アンテナを作製すると共に、近傍に導体が存在していない状態における該試験用アンテナの共振周波数fと、近傍に導体が存在している状態における該試験用アンテナの共振周波数f'とを測定する測定工程と、上記測定工程にて測定された共振周波数の差をΔf=f−f'、下記(B2)式にd=Wを代入して得られる値CをCo[F]とし、上記アンテナが備える短縮コンデンサのキャパシタンスを、0.5×Co以上1.5×Co以下に設定する設定工程と、を含んでいる、ことを特徴とする。
上記構成によれば、上記製造方法により製造されるアンテナは、近傍に導体が存在している状態において、共振周波数が搬送波周波数に概ね一致したアンテナ、つまり、共振周波数が搬送波周波数に一致しないことに伴う放射強度の低下が抑制されたアンテナとなる。すなわち、上記の構成によれば、近傍に導体が存在する状態でも高い放射強度を有するアンテナを製造することが可能になる。
上記課題を解決するために、本発明に係る製造方法は、第1の平面内に配置された地板と、上記第1の平面に平行な第2の平面に上記地板と重なるように配置された放射素子と、上記放射素子の給電側と反対側の端部と上記地板との間に介在する短縮コンデンサとを備えたアンテナの製造方法であって、搬送波周波数をfc[Hz]、搬送波波長をλc=c/fc[m](cは光速)、上記放射素子の全長をh[m]、上記放射素子の幅の平均値をW[m]として、上記(B1)式にd=Wを代入することによって値C'を算出する算出工程と、上記地板において上記放射素子と重なる部分が取り去れている点を除き、上記アンテナと同様の構成を有する試験用アンテナであって、キャパシタンスが上記算出工程にて算出された値C'に設定された短縮コンデンサを備えた試験用アンテナを作製すると共に、近傍に導体が存在していない状態における該試験用アンテナの共振周波数fと、近傍に導体が存在している状態における該試験用アンテナの共振周波数f'とを測定する測定工程と、上記測定工程にて測定された共振周波数の差をΔf=f−f'、上記(B2)式にd=Wを代入して得られる値CをCo[F]とし、上記アンテナが備える短縮コンデンサのキャパシタンスを、0.5×Co以上1.5×Co以下に設定する設定工程と、を含んでいる、ことを特徴とする。
上記構成によれば、上記製造方法により製造されるアンテナは、共振周波数が搬送波周波数に概ね一致したアンテナ、つまり、共振周波数が搬送波周波数に一致しないことに伴う放射強度の低下が抑制されたアンテナとなる。すなわち、上記の構成によれば、高い放射強度を有するアンテナを製造することが可能になる。
上記課題を解決するために、本発明に係る製造方法は、第1の平面内に配置された地板と、上記第1の平面に平行な第2の平面に上記地板と重なるように配置された放射素子と、上記放射素子の給電側と反対側の端部と上記地板との間に介在する短縮コンデンサとを備えたアンテナの製造方法であって、搬送波周波数をfc[Hz]、搬送波波長をλc=c/fc[m](cは光速)、上記放射素子の全長をh[m]、上記放射素子の幅の平均値をW[m]として、下記(B3)式にd=Wを代入することによって値C'を算出する算出工程と、上記地板において上記放射素子と重なる部分が取り去れている点を除き、上記アンテナと同様の構成を有する第1の試験用アンテナであって、キャパシタンスが上記算出工程にて算出された値C'に設定された短縮コンデンサを備えた第1の試験用アンテナと、上記アンテナと同様の構成を有する第2の試験用アンテナであって、キャパシタンスが上記算出工程にて算出されたC'に設定された短縮コンデンサを備えた第2の試験用アンテナとを作製すると共に、当該第1の試験用アンテナの共振周波数fと、当該第2の試験用アンテナの共振周波数f'とを測定する測定工程と、上記測定工程にて測定された共振周波数の差をΔf=f−f'、下記(B4)式にd=Wを代入して得られる値CをCo[F]とし、上記アンテナが備える短縮コンデンサのキャパシタンスを、0.5×Co以上1.5×Co以下に設定する設定工程と、を含んでいる、ことを特徴とする。
上記構成によれば、上記製造方法により製造されるアンテナは、共振周波数が搬送波周波数に概ね一致したアンテナ、つまり、共振周波数が搬送波周波数に一致しないことに伴う放射強度の低下が抑制されたアンテナとなる。すなわち、上記の構成によれば、高い放射強度を有するアンテナを製造することが可能になる。
本発明に係るアンテナにおいては、上記地板と上記放射素子とが85.6mm×54.0mm以下の矩形領域内に形成され、かつ、上記アンテナが322MHz以下の周波数で共振する、ことが好ましい。
上記の構成によれば、ISO/IEC7810により規定されたID−1カードサイズの無線タグなど、携帯性に優れ、かつ、他のICカードとの共存が容易な無線タグへの搭載に適したアンテナを製造することが可能になる。しかも、322MHz以下の周波数で共振するので、十分な電界強度を有し、かつ、誰もが手軽に利用できる無線タグへの搭載に適したアンテナを製造することが可能になる。
本発明に係るアンテナにおいては、上記放射素子の全長がc/8(fc−Δf)以下である、ことが好ましい。
上記の構成によれば、上記短縮コンデンサがない場合にλc/4になる放射素子の全長を、共振周波数を変更することなくc/8(fc−Δf)以下に短縮することができる。
以上のように、本発明に係る製造方法によれば、近傍に導体が存在する状態でも高い放射強度を有するアンテナを製造することができる。
〔製造対象アンテナ1〕
本発明に係る製造方法により製造されるアンテナの第1の態様(以下、「本態様」と記載)について、図面に基づいて説明すれば以下のとおりである。
本発明に係る製造方法により製造されるアンテナの第1の態様(以下、「本態様」と記載)について、図面に基づいて説明すれば以下のとおりである。
(アンテナの構成)
本態様に係るアンテナ1の構成について、図1を参照して説明する。図1は、本態様に係るアンテナ1の構成を示す上面図である。
本態様に係るアンテナ1の構成について、図1を参照して説明する。図1は、本態様に係るアンテナ1の構成を示す上面図である。
アンテナ1は、図1に示すように、地板11、放射素子12、及び短絡部13とを備えた逆F型アンテナである。地板11、放射素子12、及び短絡部13は、互いに重なり合うことなく同一面(以下「アンテナ形成面」とも記載)内に配置されており、無線タグ2(図1においてその外縁を点線で示す)への搭載に適した薄型の平面アンテナを構成している。
地板11は、アンテナ形成面内に配置された面状(板状)の導体であり、「平面グランド」と呼称されることもある。アンテナ1において、地板11は、放射素子12から放射される電磁波をミラー効果により強めるという機能を担う。本態様においては、地板11として、矩形状の導体箔を用いている。地板11の外縁には、凹部11a及び凸部11bが設けられている。より具体的に言うと、凹部11aは、短辺11Aの端(図1において右端)から中央に寄った位置に形成され、後述する放射素子12の端部12Aがこの凹部11aに入り込む。一方、凸部11bは、短辺11Aの端(図1において左端)に形成され、後述する放射素子12の端部12Bがこの凸部11bに対向する。
放射素子12は、アンテナ形成面内に配置された線状(ワイヤ状)又は帯状(リボン状)の導体であり、「アンテナエレメント」と呼称されることもある。本態様においては、放射素子12として、折れ曲がった帯状の導体箔を用いている。より具体的に言うと、(1)端部12Aからy軸正方向に伸びる第1の直線部12aと、(2)直線部12aの端部12Aと反対側の端部からx軸正方向に伸びる第2の直線部12bと、(3)第2の直線部12bの第1の直線部12a側と反対側の端部からy軸正方向に伸びる第3の直線部12cと、(4)第3の直線部12cの第2の直線部12b側と反対側の端部からx軸負方向に伸びる第4の直線部12dと、(5)第4の直線部12dの第3の直線部12c側と反対側の端部からy軸負方向に伸びる第5の直線部12eとからなる帯状の導体箔を用いている。ここで、x軸及びy軸は、それぞれ、地板11の短辺11A及び長辺11Bに平行な軸である。
放射素子12の端部12A(本態様においては、第1の直線部12aの第2の直線部12b側と反対側の端部に一致)は、上述したように、地板11の凹部11aに入り込んでおり、地板11の凹部11aと共に給電部を構成している。図1においては、放射素子12及び地板11に設けられる給電点を、それぞれ、P及びQで示している。放射素子12の端部12Aのことを、以下、「給電側の端部」とも呼称する。
放射素子12の端部12B(本態様においては、第5の直線部12eの第4の直線部12d側と反対側の端部に一致)は、上述したように、地板11の凸部11bと対向しており、コンデンサ14を介して地板11の凸部11bに接続されている。このコンデンサ14は、後述するように、放射素子12の長さを保ったままアンテナ1の共振周波数を低周波化(共振波長を長波長化)するという機能、換言すれば、アンテナ1の共振周波数(共振波長)を保ったまま放射素子12の長さを短縮するという機能を担っている。より具体的に言うと、アンテナ1の共振波長をλに保ったまま、放射素子12の全長ρをλ/4からλ/8以下に短縮する機能を担っている。このコンデンサ14のことを、以下、「短縮コンデンサ」とも呼称する。
短絡部13は、放射素子12の中間部12Cと地板11の外縁とを短絡する、アンテナ形成面内に配置された線状又は帯状の導体であり、アンテナ1の入力インピーダンスをICチップ21(後述)の出力インピーダンスに整合させるという機能を担う。本態様においては、第2の直線部12bと第3の直線部12cとの間を中間部12Cとし、この中間部12Cから地板11の短辺11Aに下ろした垂線に沿って配置された帯状の導体箔を短絡部13として用いている。これにより、放射素子12の給電線部(端部12Aから中間部12Cまでの部分)が、地板11と短絡部13と放射素子12の主要部(中間部12Cから端部12Bまでの部分)とによって取り囲まれた領域に配置されることになる。なお、中間部12Cにおける「中間」とは、端部12Aと端部12Bとの間にあることを意味し、端部12Aと端部12Bとの中点であることを要さない。
なお、地板11、放射素子12、及び短絡部13は、例えば、導電性銀ペーストを用いた印刷によって平板状基板であるPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム上に一体形成することができる。このような構成を採用することによって、無線タグ2への搭載に適した極めて薄型のアンテナ1を実現することができることは明らかであろう。平板状基板の材料としては、PETの他に、ガラスエポキシ、ポリイミドなど、各種の誘電体を使用することができる。
アンテナ1を無線タグ2に搭載する場合、図1に示すように、地板11の長辺11Bを無線タグ2の長辺2B(例えば、85.6mm)と平行に配置すると共に、地板11の短辺11Aと無線タグ2の短辺2A(例えば、54.0mm)との間のスペースに放射素子12及び短絡部13を配置することができる。このような配置が許容される理由は、短縮コンデンサ14の作用によって放射素子12の全長ρがλ/8以下に短縮されているからに他ならない。
実際、アンテナ1を315MHzで動作させる場合、短縮コンデンサ14を設けないと、放射素子12の全長ρは約25cm(λ/4に相当)になる。したがって、どのように放射素子12を折り曲げても、放射素子12を上記のスペースに配置することは困難である。一方、短縮コンデンサ14を設けると、放射素子12の全長ρは約10cm(λ/10に相当)になる。したがって、上記のように放射素子12を折り曲げれば、放射素子12を上記のスペースに容易に配置し得る。
また、アンテナ1を無線タグ2に搭載する場合、図1に示すように、アンテナ1と共に無線タグ2に搭載するICチップ21及びペーパー電池22を、それぞれ、給電点P,Q及び地板11に重ねて配置するとよい。ICチップ21を給電点P,Qに重ねて配置することによって、同軸ケーブル等を介さずにICチップ21を給電点P,Qに直結することができる。したがって、アンテナ−ICチップ間における高周波信号の伝送をより効率的に行うことができる。また、ペーパー電池22を地板11に重ねて配置することによって、ペーパー電池22が上記のスペースに配置された放射素子12と重なり合うことを回避することができる。したがって、ペーパー電池22内に生じる誘導電流によって放射素子12周辺に形成される電界が打ち消されて放射強度が低下したり、ペーパー電池22によって放射素子12周辺に形成される電磁界が歪められて放射方向に偏りが生じたりすることを防止することができる。なお、無線タグ2に搭載する電池は、ペーパー電池22に限定されず、ボタン電池など他の電池であってもよい。この場合にも、その電池に地板11を重ねて配置すればよい。
なお、本態様に係るアンテナ1は、地板11と放射素子12とに加えて短絡部13を備えた逆F型アンテナであるが、これに限定されるものではない。すなわち、本態様に係るアンテナ1は、短絡部13を省くことによって、地板11と放射素子12とを備えた逆L型アンテナに変形することができる。この場合であっても、短縮コンデンサ14の作用によって放射素子12の全長ρを短縮することができる点に変わりはない。
(短縮コンデンサ)
本態様に係るアンテナ1の最大の特徴は、放射素子12の給電側と反対側の端部12Bと地板11との間に介在する短縮コンデンサ14を備えている点である。これにより、アンテナ1の共振周波数を保ったまま、放射素子12の全長ρを短縮することができる。換言すれば、放射素子12の全長ρを保ったまま、アンテナ1の共振周波数を低周波側にシフトさせることができる。ここで、図1に示す放射素子12においては、上述した5つの直線部12a〜12eの長さの総和が放射素子12の全長ρに該当する。
本態様に係るアンテナ1の最大の特徴は、放射素子12の給電側と反対側の端部12Bと地板11との間に介在する短縮コンデンサ14を備えている点である。これにより、アンテナ1の共振周波数を保ったまま、放射素子12の全長ρを短縮することができる。換言すれば、放射素子12の全長ρを保ったまま、アンテナ1の共振周波数を低周波側にシフトさせることができる。ここで、図1に示す放射素子12においては、上述した5つの直線部12a〜12eの長さの総和が放射素子12の全長ρに該当する。
短縮コンデンサ14の効果について、図2を参照してもう少し詳しく説明する。以下、簡単のためにモノポールアンテナを例にとって説明するが、逆F型アンテナや逆L型アンテナなどのモノポール型アンテナ(地板と放射素子とを備えたアンテナであって、モノポールアンテナと同様の動作原理で動作するアンテナ)一般について同様のことが言える。
良く知られているように、モノポールアンテナは、図2の(a)に示すRLC直列共振回路に等価である。ここで、Rは、抵抗成分(放射抵抗と損失抵抗との和)、Leは、実効インダクタンス、Ceは、実効キャパシタンスである。実効インダクタンスLe及び実効キャパシタンスCeは、放射素子の材質や形状などに応じて決まる。インピーダンスZは、(C1)式によって与えられ、共振周波数foは、(C2)式によって与えられる。
短縮コンデンサ14の効果を説明するために、図2の(b)に示す3つのアンテナA1〜A3を考える。
アンテナA1は、実効インダクタンスL1及び実効キャパシタンスC1を有するモノポールアンテナであり、その共振周波数f1は、(C3)式により与えられる。アンテナA1の放射素子の全長ρ1は、λ1=c/f1(cは光速)として、ρ1=λ1/4である。
アンテナA2は、アンテナA1において、放射素子の給電側と反対側の端部と地板との間にキャパシタンスCを有する短縮コンデンサを装荷することによって得られたものである。短縮コンデンサの装荷は、放射素子の給電側と反対側の端部に設けた円盤と地板との間に浮遊容量Cを持たせることによって実現される。アンテナA2の実効インダクタンスL2はL2=L1となり、アンテナA2の実効キャパシタンスC2はC2=C1+Cとなるので、その共振周波数f2は、(C4)式により与えられる。アンテナA2の放射素子の全長ρ2は、アンテナA1と同様、ρ2=λ1/4である。
アンテナA3は、アンテナA2と同一の共振周波数f2を有するモノポールアンテナである。アンテナA3の放射素子の全長ρ3は、λ2=c/f2として、ρ3=λ2/4になる。(C4)式に示すようにf2<f1なので、アンテナA3の放射素子の全長ρ3=c/(4f2)は、アンテナA1の放射素子の全長ρ1=c/(4f1)よりも長くなる。
アンテナA2とアンテナA3との比較から、短縮コンデンサを装荷することによって、共振周波数を保ったまま放射素子の全長を短縮できることが分かる。また、アンテナA2とアンテナA1との比較から、短縮コンデンサを装荷することによって、放射素子の全長を保ったまま共振周波数を低周波側にシフトできることが分かる。
次に、短縮コンデンサ14のキャパシタンスの見積もりについて、図3を参照して説明する。
図3に示すように、自由空間における共振波長がλであるモノポールアンテナの放射素子の全長をλ/4[m]からh[m]に短縮することを考える。図3において、アンテナB1は、全長λ/4の放射素子を有する短縮前のモノポールアンテナであり、アンテナB2は、全長hの放射素子を有する短縮後のモノポールアンテナである。放射素子がグランド面(無限大の地板)に直交するストレートワイヤであって、直径d[m]の円形断面を有するストレートワイヤであるとすると、このとき装荷すべき短縮コンデンサのキャパシタンスC[F]は、(C5)式により与えられる。
ここで、λ[m]は自由空間における共振波長であり、f[Hz]は自由空間における共振周波数である。波長λと周波数fとの間にはc[m/秒]を光速としてf=c/λの関係がある。(C5)式は以下のように導出される。
アンテナは、上述したように図2の(a)に示すRLC直列共振回路に等価である。アンテナの先端から距離ρ=λ/4−hの位置にある点をAとすると、点Aから先端を見たときの入力インピーダンスZ[Ω]は、先端を開放した高周波伝送路の理論式に従って、(C6)式により与えられる。
ここで、Z0は伝送線路の特性インピーダンス[Ω]であり、βは波数2π/λ[1/m]である。グランド面に直交するストレートワイヤであって、直径d[m]の円形断面を有するストレートワイヤの特性インピーダンスZ0は、(C7)式により近似できることが知られている。
一方、キャパシタンスC[F]のコンデンサのインピーダンスZ[Ω]は、良く知られているように、角周波数ω[rad/秒]を用いて(C8)式により与えられる。
放射素子の全長をλ/4からhに短縮するためには、装荷する短縮コンデンサのインピーダンスZを、(C6)式に示す入力インピーダンスZに一致させればよい。すなわち、装荷すべき短縮コンデンサのキャパシタンスCは、(C8)式の右辺と、(C6)式の右辺に(C7)式を代入したものとが等しいものとおいて、以下のように求められる。
なお、(C5)式は、放射素子がグランド面に直交するストレートワイヤであって、直径d[m]の円形断面を有するストレートワイヤである場合に、装荷すべき短縮コンデンサのキャパシタンスCを与えるものである。しかしながら、本態様に係るアンテナ1のように、折れ曲がった放射素子12が地板11と同一面内に配置される場合であっても、装荷すべき短縮コンデンサ14のキャパシタンスの目安を与えるのに十分なものである。
例えば、放射素子12の幅の平均値がW[m]であるときに、d=Wを(C5)式に代入して得られるキャパシタンスCをCo[F]として、短縮コンデンサ14のキャパシタンスをCo±50%(0.5×Co以上1.5×Co以下)に設定することが考えられる。短縮コンデンサ14のキャパシタンスがこの範囲内にあれば、概ね、放射素子12の全長をλ/4[m]からh[m]に短縮することができる。なお、C0に±50%の幅を持たせているのは、放射素子12の材質、形状(折り曲げの有無、折り曲げ方など)、及び厚みにより、アンテナ1の実効キャパシタンスが理論計算モデルから変化することを考慮してのことである。
もちろん、実装する放射素子12の特性インピーダンスZ0の近似式を実験により求めて(C7)式の代わりに用いれば、装荷すべき短縮コンデンサ14のキャパシタンスをより正確に決定することができる。
なお、本態様においては、特定のキャパシタンスを有する単一のコンデンサを装荷し、このコンデンサを地板11と放射素子12との間に介在させる短縮コンデンサ14とする構成について説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、相異なるキャパシタンスを有する複数のコンデンサを装荷し、これら複数のコンデンサの中から選択されたものを地板11と放射素子12との間に介在させる短縮コンデンサ14とする構成を採用してもよい。このような構成を採用することによって、使用者がアンテナ1の共振周波数を切り替えることが可能になる。
(その他の特徴)
次に、本態様に係るアンテナ1のその他の特徴について、図4及び図5を参照して説明する。
次に、本態様に係るアンテナ1のその他の特徴について、図4及び図5を参照して説明する。
上述したように、本態様に係るアンテナ1においては、図4の(a)(及び図1)に示すように、地板11の短辺11Aに凹部11aを設け、この凹部11aに放射素子12の端部12Aを入り込ませる構成(以下「構成A」と記載)が採用されている。このため、図4の(b)に示すように、放射素子12の端部12Aを単に地板11の短辺11Aに対向させる構成(以下「構成B」と記載)と比べて、給電点P,Qを放射素子12の主要部(端部12Aから中間部12Cまでの部分)から遠ざけることができる。
このことは、ICチップ21を給電点P,Qに直結する場合に、ICチップ21を放射素子12の主要部から遠ざけ得ることを意味する。すなわち、図4の(a)に示す構成Aを採用することによって、放射素子12の主要部の周囲に形成される電磁界の中にICチップ21が配置されることにより生じ得るアンテナ特性の劣化を回避することができる。ただし、ICチップ21がアンテナ特性に与える影響を考慮する必要がない場合には、地板11の加工が容易な図4の(b)に示す構成Bを採用しても構わない。
また、上述したように、本態様に係るアンテナ1においては、図5の(a)(及び図1)に示すように、放射素子12の給電線部(端部12Aから中間部12Cまでの部分)を、地板11、短絡部13、及び放射素子12の主要部(中間部12Cから端部12Bまでの部分)によって取り囲まれた領域R内に配置する構成が採用されている。このため、無線タグ2がユーザの手に握られた場合など、無線タグ2の外縁に沿って外部導体が配置された場合であっても、外部導体が放射素子12の給電線部に与える影響を小さくすることができる。
更に、本態様に係るアンテナ1においては、図5の(a)(及び図1)に示すように、短絡部13を地板11の短辺11Aの端(右端)から中央に寄った位置に接続する構成が採用されている。このため、短絡部13を地板11の短辺11Aの端に接続する構成と比べて、矢印Aで示すように放射素子12の第3の直線部12cを無線タグ2の外縁(特に長辺2B’)から遠ざけることができる。したがって、無線タグ2がユーザの手に握られた場合など、無線タグ2の外縁(特に長辺2B’)に沿って外部導体が配置された場合であっても、この外部導体がアンテナ特性に与える影響を小さくすることができる。
なお、本態様に係るアンテナ1の一変形例として、図5の(b)に示すように、凸部11bを地板11の短辺11Aの端(左端)から中央に寄った位置に設ける構成を採用してもよい。この場合、矢印Bで示すように放射素子12の第5の直線部12eを無線タグ2の外縁(特に長辺2B)から遠ざけることができるので、やはり、外部導体がアンテナ特性に与える影響を小さくすることができる。
また、本態様に係るアンテナ1の他の変形例として、図5の(c)に示すように、短絡部13を地板11の短辺11Aの端(右端)から中央に寄った位置に接続すると共に、凸部11bを地板11の短辺11Aの端(左端)から中央に寄った位置に設ける構成を採用してもよい。この場合、矢印Aで示すように放射素子12の第3の直線部12cを無線タグ2の外縁(特に長辺2B’)から遠ざけると共に、矢印Bで示すように放射素子12の第5の直線部12eを無線タグ2の外縁(特に長辺2B)から遠ざけることができるので、やはり、外部導体がアンテナ特性に与える影響を小さくすることができる。
なお、本態様に係るアンテナ1においては、放射素子12の形状として、上述したように5つの直線部12a〜12eからなるものを採用しているが、これに限定されるものではない。すなわち、例えば、放射素子12の少なくとも一部をメアンダ化してもよい。放射素子12をメアンダ化した場合、放射素子12を配置するためのスペースを拡大することなく、放射素子12の全長ρを長くすることができる。逆に言うと、放射素子12の全長ρを短くすることなく、アンテナ1のサイズを縮小することができる。すなわち、アンテナ1の共振波長を短くする(共振周波数を上げる)ことなく、アンテナ1のサイズを縮小することができる。ただし、放射素子12をメアンダ化した場合、放射素子12の互いに近接する部分の周囲に形成される電磁界が互いに弱めあうように干渉し、利得低下が生じる可能性がある。放射素子12の形状として、上述したように5つの直線部12a〜12eからなるものを採用することによって、このような利得低下を回避することができる。
(具体例)
最後に、適当なキャパシタンスをもつ短縮コンデンサ14を装荷することによって、ID−1カードサイズ(85.6mm×54.0mm)の無線タグ2に搭載可能なアンテナ1を315MHz帯で共振させ得ることを、図6〜図7を参照して説明する。
最後に、適当なキャパシタンスをもつ短縮コンデンサ14を装荷することによって、ID−1カードサイズ(85.6mm×54.0mm)の無線タグ2に搭載可能なアンテナ1を315MHz帯で共振させ得ることを、図6〜図7を参照して説明する。
図6は、本具体例に係るアンテナ1の具体的な形状を示す上面図である。地板11、放射素子12、及び短絡部13における各部の寸法は、図6に示したとおりである。アンテナ1は、図6に示したとおり、地板11及び放射素子12が85.6mm×54.0mの矩形領域内、より具体的には、84.0mm×52.0mmの矩形領域内に形成されており、ID−1カードサイズの無線タグ2に搭載可能となっている。
アンテナ1を無線タグ2に搭載する場合、その断面は、パッケージ(裏)、ペーパー電池22、アンテナ1を含むメンブレン基板、及びパッケージ(表)を順に積層した構造をもつ。パッケージの厚みは0.1mm、ペーパー電池22の厚みは0.5mm、メンブレン基板の厚みは0.1mmなので、無線タグ2全体の厚みは、最小で0.8mmになる。すなわち、電子マネーカードなどのパッシブタグ(通常、厚さ1mm程度)と同程度の厚みをもつカード型のアクティブタグを実現することができる。
図6に示す形状を有するアンテナ1を315MHzで共振させるための短縮コンデンサ14のキャパシタンスCは、上述した(C5)式に従って算出することができる。具体的には、f=315MHz、波長λ=0.952m、h=0.098m、d=0.003mを(C5)式に代入すると、Co=2.87pFが得られる。したがって、短縮コンデンサ14のキャパシタンスCを2.87pF程度(±50%)に設定すれば良いことが分かる。
このことを実証する実測結果を図7に示す。図7は、本具体例に係るアンテナ1について、250MHz〜500MHzにおけるSパラメータ(S11)の実測結果を示したスミスチャートである。(a)は、短縮コンデンサ14を設けなかった場合、(b)は短縮コンデンサ14のキャパシタンスCを2pFとした場合、(c)は短縮コンデンサ14のキャパシタンスCを3pFとした場合、(d)は短縮コンデンサ14のキャパシタンスCを4pFとした場合のスミスチャートである。これらのスミスチャートにおいては、Sパラメータが実軸と交差する点が共振周波数を表す。実軸上の目盛り「0」、「50」、「∞」は、それぞれ、「0Ω」、「50Ω」、「∞Ω」を表す。
短縮コンデンサ14を設けなかった場合には、図7の(a)に示すように、アンテナ1は250MHz〜500MHzにおいて共振周波数をもたない。一方、短縮コンデンサ14のキャパシタンスを2pFとした場合には、図7の(b)に示すように、アンテナ1は315MHzよりも高い周波数(367.5MHz)において共振する。また、短縮コンデンサ14のキャパシタンスを3pFとした場合には、図7の(c)に示すように、アンテナ1は315MHzにおいて共振する。また、短縮コンデンサ14のキャパシタンスを4pFとした場合には、図7の(d)に示すように、アンテナ1は315MHzよりも更に高い周波数(450MHz以上)において共振する。すなわち、装荷する短縮コンデンサ14のキャパシタンスを3pFとすれば、本具体例に係るアンテナ1を315MHzで共振させ得ることがわかる。
共振周波数fが315MHzである場合、対応する波長λ=c/f(cは光速)は95.2cmとなる。したがって、短縮コンデンサ14を装荷しない場合、放射素子12の全長ρはλ/4=23.8cmになる。これに対して、3pFの短縮コンデンサ14を装荷した場合、図6に示すように放射素子12の全長ρは10.8cmに短縮される。このように、3pFのキャパシタンスをもつ短縮コンデンサ14を装荷することによって、ID−1カードサイズの無線タグ2に搭載可能なアンテナ1でありながら、315MHzを動作帯域に含む(315MHzを共振周波数とする)アンテナ1を実現することができる。
なお、本具体例においては、地板11として52mm×54mmの長方形状の導体板を用いているが、これに限定されるものではない。すなわち、地板11は、グランド面(無限大の地板)として機能するものであればよく、この機能を損なわない範囲でそのサイズ及び形状を適宜変更してもよい。
また、本具体例においては、ペーパー電池22を地板11と重ねて配置することを想定しているが、ペーパー電池22内に生じる誘導電流の影響が小さく無視できる場合には、必ずしも地板11とペーパー電池22とを重ねる必要はない。例えば、地板11が52mm×12mmの長方形であり、ペーパー電池22が48mm×38mmの長方形である場合、これらを互いに重ね合わせることなく、並べて配置する構成を採用してもよい。この場合、図6に示した構成と比べて地板11の面積が小さくなるので、アンテナ1の材料コスト(アンテナ1の主材料である導体箔のコスト)を大幅に低下させることができる。加えて、図6に示した構成を採用した場合のように地板11をペーパー電池22と重ねる必要がないため、無線タグ2の厚みをISO/IEC7810における規定値である0.76mm以下に抑えることができる。実際、パッケージの厚みを0.1mm、ペーパー電池22の厚みを0.5mm、メンブレン基板の厚みを0.1mmとした場合、無線タグ2全体の厚みは最小で0.7mmとなる。
〔製造対象アンテナ2〕
本発明に係る製造方法により製造されるアンテナの第2の態様(以下、「本態様」と記載)について、図面に基づいて説明すれば以下のとおりである。
本発明に係る製造方法により製造されるアンテナの第2の態様(以下、「本態様」と記載)について、図面に基づいて説明すれば以下のとおりである。
本態様に係るアンテナ1の構成について、図8を参照して説明する。図8は、本態様に係るアンテナ1の構成を示す上面図である。
アンテナ1は、地板11、放射素子12、及び短絡部13とを備えた逆F型アンテナである。地板11、放射素子12、及び短絡部13は、互いに重なり合うことなく同一面内に配置されており、第1の態様と同様、無線タグへの搭載に適した薄型の平面アンテナを構成している。
地板11は、第1の態様と同様、アンテナ形成面内に配置された面状の導体である。本態様においては、地板11として、一角(図8において右上の角)に矩形状の切り欠き11Cが形成された矩形状の導体箔を用いている。階段上の外縁を構成する辺11A、辺11C1(切り欠き11Cとの境界を構成する2辺のうち辺11Aに平行な方)、辺11C2(切り欠き11Cとの境界を構成する2辺のうち辺11Aに垂直な方)のうち、辺11Aの端(図8において左端)に凸部11bが形成されている点は、第1の態様と同様である。
放射素子12は、第1の態様と同様、アンテナ形成面内に配置された帯状の導体である。本態様においては、放射素子12として、(1)端部12Aからy軸正方向に伸びる第1の直線部12aと、(2)直線部12aの端部12Aと反対側の端部からx軸負方向に伸びる第2の直線部12bと、(3)第2の直線部12bの第1の直線部12a側と反対側の端部からy軸負方向に伸びる第3の直線部12cとからなる帯状の導体箔を用いている。
放射素子12の端部12B(本態様においては、第3の直線部12cの第2の直線部12b側と反対側の端部に一致)は、地板11の凸部11bと対向しており、短縮コンデンサ14を介して地板11の凸部11bに接続されている。この短縮コンデンサ14は、本態様においても、アンテナ1の共振周波数を高周波側にシフトさせることなく、放射素子12の全長ρを短縮するという機能を担っている。
短絡部13は、第1の態様と同様、放射素子12の給電側の端部12Aと地板11の外縁とを短絡する、アンテナ形成面内に配置された帯状の導体である。本態様においては、放射素子12の給電側の端部12Aから地板11の辺11C1に下ろした垂線に沿って配置された帯状の導体箔を短絡部13として用いている。
本態様に係るアンテナ1においては、地板11の外縁、放射素子12、及び短絡部13によって取り囲まれる領域が、給電点同士を結ぶ直線により2つの領域R1,R2に分割される。第1の領域R1は、地板11の外縁(特に辺11A)、放射素子12、及び、給電点同士を結ぶ直線に取り囲まれた領域であり、第2の領域R2は、地板11の外縁(特に辺11C1及び辺11C2)、短絡部13、及び、給電点同士を結ぶ直線に取り囲まれた領域である。
このため、本態様に係るアンテナ1は、放射素子12の全長ρ及び短縮コンデンサ14のキャパシタンスCに応じて決まる共振周波数f0の他に、これら2つの領域R1,R2の形状に応じて決まる2つの共振周波数f1,f2を有する。このことを、補対の原理に基づいて、図9を参照して説明する。
補対の原理によると、上述した2つの領域R1,R2は、図9の(a)に示すように、これらの2つの領域R1,R2と合同な2つの放射素子R1’,R2’を備えたダイポールアンテナと同等のアンテナとして機能する。すなわち、アンテナ1は、放射素子R1’,R2’を備えたダイポールアンテナの共振周波数に相当する共振周波数f1を有する。
また、補対の原理によると、上述した2つの領域R1,R2は、図9の(b)に示すように、これらの2つの領域R1,R2の合併R1∪R2と合同な1つの放射素子R’を備えたモノポールアンテナと同等のアンテナとしても機能する。すなわち、アンテナ1は、放射素子R’を備えたモノポールアンテナの共振周波数に相当する共振周波数f2を有する。
以上のように、本態様に係るアンテナ1は、3つの共振周波数を有する多共振アンテナ(多周波アンテナ)として機能する。したがって、例えば、要求される共振周波数が異なる各国において使用することができるといったメリットがある。
〔製造対象アンテナ3〕
上述した各態様においては、地板11と放射素子12とを同一平面内に配置する構成を採用したが、本発明に係る製造方法の適用対象は、これに限定されるものではない。すなわち、放射素子12の一部又は全部が地板11が配置された平面と異なる平面内に配置されたアンテナ1に対しても、本発明に係る製造方法を適用することができる。以下、本発明に係る製造方法により製造されるアンテナの第3の態様(以下、「本態様」と記載)として、このようなアンテナ1について説明する。
上述した各態様においては、地板11と放射素子12とを同一平面内に配置する構成を採用したが、本発明に係る製造方法の適用対象は、これに限定されるものではない。すなわち、放射素子12の一部又は全部が地板11が配置された平面と異なる平面内に配置されたアンテナ1に対しても、本発明に係る製造方法を適用することができる。以下、本発明に係る製造方法により製造されるアンテナの第3の態様(以下、「本態様」と記載)として、このようなアンテナ1について説明する。
(アンテナの構成)
図10は、本態様に係るアンテナ1の構成を示す斜視図である。本態様に係るアンテナ1は、地板11、放射素子12、及び短絡部13とを備えた逆F型アンテナであり、平板状の基板3に実装されている。基板3の材質としては、PETの他に、ガラスエポキシ、ポリイミドなど、各種の誘電体を使用することができる。なお、ID−1カードサイズ(85.6mm×54.0mm)の無線タグ2への搭載を考慮すると、基板3の表面及び裏面のサイズは、85.6mm×54.0mm以下であることが好ましく、基板3の厚みは、5.0mm以下であることが好ましい。
図10は、本態様に係るアンテナ1の構成を示す斜視図である。本態様に係るアンテナ1は、地板11、放射素子12、及び短絡部13とを備えた逆F型アンテナであり、平板状の基板3に実装されている。基板3の材質としては、PETの他に、ガラスエポキシ、ポリイミドなど、各種の誘電体を使用することができる。なお、ID−1カードサイズ(85.6mm×54.0mm)の無線タグ2への搭載を考慮すると、基板3の表面及び裏面のサイズは、85.6mm×54.0mm以下であることが好ましく、基板3の厚みは、5.0mm以下であることが好ましい。
本態様に係るアンテナ1が第1の態様に係るアンテナ1と相違する点は、地板11と放射素子12とが異なる平面内に配置されている点である。より具体的に言うと、地板11が基板3の裏面上に形成され、放射素子12が基板3の表面上に形成されている点である。なお、短絡部13は、放射素子12と共に基板3の表面上に形成される。また、基板3の表面上には、地板11と導通したランド15が形成され、短縮コンデンサ14は、ランド15と放射素子12の先端との間に介在するように基板3の表面上に実装される。
地板11は、例えば、銀粒子の含有率の低い導電性銀ペーストを用いた印刷によって基板3の裏面上に形成される。一方、放射素子12は、例えば、銀粒子の含有率の高い導電性銀ペーストを用いた印刷によって基板3の表面上に形成される。このように、地板11を形成する面と放射素子12を形成する面とを異ならせることによって、地板11と放射素子12とを異なる材料を用いて印刷することが可能になる。
なお、基板3の短絡部13の先端と重なる位置には、基板3の表面から裏面に到る貫通孔31が形成されており、この貫通孔31を満たす導電性材料によって短絡部13と地板11との間の導通が図られる。また、基板3のランド15と重なる位置にも、基板3の表面から裏面に到る貫通孔32が形成されており、この貫通孔32を満たす導電性材料によってランド15と地板11との間の導通が図られる。
以上のように、本態様に係るアンテナ1においては、第1の平面(基板3の裏面)内に地板11が形成され、第1の面と平行な第2の平面(基板3の表面)内に放射素子12が形成される。このため、第1の平面(基板3の裏面)と第2の平面(基板3の表面)との間隔(基板3の厚み)を無線タグ2の厚みよりも薄くすれば、第1の態様に係るアンテナ1と同様、無線タグ2への搭載に好適な薄型アンテナを実現することができる。
なお、図10に示すアンテナ1においては、放射素子12の全体を基板3の表面に形成する構成が採用されているが、本態様はこれに限定されない。すなわち、放射素子12の一部分を基板3の表面に形成すると共に、放射素子12の残りの部分を基板3の裏面に形成する構成も、本態様の範疇に含まれる。このような変形例については、図11を参照して後述する。
また、図10に示すアンテナ1においては、放射素子12の一部分(給電点P側の先端部分)のみを地板11と対向させる構成が採用されているが、本態様はこれに限定されない。すなわち、放射素子12の全体を地板11と対向させる構成も、本態様の範疇に含まれる。このような変形例については、図12を参照して後述する。
また、基板3が多層基板である場合、地板11及び放射素子12の両方を基板3の外層(表面又は裏面)に配置する構成に代えて、地板11及び放射素子12の少なくとも何れか一方を基板3の内層に配置する構成を採用してもよい。すなわち、基板3の外層又は内層である第1の層に地板11を配置すると共に、第1の層とは異なる基板3の外層又は内層である第2の層に放射素子12の全部又は一部を配置する構成を採用してもよい。
これらの構成の何れを採用する場合であっても、地板11が配置される第1の平面と放射素子12が配置される第2の平面との間隔が十分に小さければ、第1の態様に係るアンテナ1と同様のアンテナ特性が得られる。例えば、地板11が配置される第1の平面と放射素子12が配置される第2の平面との間隔が放射素子12の全長ρの5%以下であれば、地板11と放射素子12とが異なる平面内に形成されたことによるアンテナ特性への影響を無視することができ、第1の態様に係るアンテナ1と同様のアンテナ特性が得られる。
(変形例1)
図11は、本態様に係るアンテナ1の第1の変形例を示す斜視図である。図11に示すアンテナ1においては、2つの直線部12a〜12bから構成される放射素子12の給電線部を基板3の表面上に形成すると共に、3つの直線部12c〜12eから構成される放射素子12の主要部を基板3の裏面上に形成する構成が採用されている。
図11は、本態様に係るアンテナ1の第1の変形例を示す斜視図である。図11に示すアンテナ1においては、2つの直線部12a〜12bから構成される放射素子12の給電線部を基板3の表面上に形成すると共に、3つの直線部12c〜12eから構成される放射素子12の主要部を基板3の裏面上に形成する構成が採用されている。
基板3の裏面上には、地板11と放射素子12の主要部とに加えて、短絡部13が形成されている。また、基板3の表面上には、放射素子12の給電線部に加えて、2つのランド15〜16が形成されている。ランド15は、貫通孔32を満たす導電性材料によって地板11と導通しており、ランド16は、貫通孔33を満たす導電性材料によって放射素子12の先端部と導通している。短縮コンデンサ14は、ランド15とランド16との間に介在するように基板3の表面上に実装される。
(変形例2)
図10及び図11に示す構成においては、放射素子12において地板11と対向する部分が給電点P側の先端部分に限られている。このように、放射素子12において地板11と対向する部分の面積が十分に小さい場合、すなわち、放射素子12と地板11との間に生じる浮遊容量Csを無視できる場合、放射素子12の全長をλ/4からhに短縮するために装荷すべき短縮コンデンサ14のキャパシタンスCは、第1の態様と同様、(C5)式より与えられる。
図10及び図11に示す構成においては、放射素子12において地板11と対向する部分が給電点P側の先端部分に限られている。このように、放射素子12において地板11と対向する部分の面積が十分に小さい場合、すなわち、放射素子12と地板11との間に生じる浮遊容量Csを無視できる場合、放射素子12の全長をλ/4からhに短縮するために装荷すべき短縮コンデンサ14のキャパシタンスCは、第1の態様と同様、(C5)式より与えられる。
ただし、地板11と放射素子12との間に無視できない浮遊容量Csを生じる構成も、本態様の範疇から排除されるべきものではない。例えば、図12に示すように、地板11が基板3の裏面(の略全体)を覆う構成も、本態様の範疇に含まれる。
図12に示すように、放射素子12の全体が地板11と対向する場合、地板11と放射素子12との間に無視できない浮遊容量Csが生じる。この浮遊容量Csは、実効キャパシタンスCeと直列の関係になることから、この浮遊容量Csを考慮に入れた実効キャパシタンスCe’は、Ce’=(Ce×Cs)/(Ce+Cs)<Ceとなる。この場合、(C5)式により示されるよりも大きなキャパシタンスを有するコンデンサを短縮コンデンサ14として装荷することになる。
この点について、もう少し詳しく説明すれば、以下のとおりである。すなわち、放射素子12の先端に静電容量Clの短縮コンデンサ14を搭載したとき、アンテナ1の共振周波数は次式で表される。
地板11の面積を拡張し放射素子12全体と対向させたことにより、その間に無視できない浮遊容量Csが新たに生じた場合、アンテナ1の共振周波数は次式のようになる。これは浮遊容量Csは実効キャパシタンスCeと直列の関係になるためである。
ここで、f0’=f0”とするために必要な短縮コンデンサ14の静電容量C’lは、下記のように与えられる。
よって、C’l>Clとなる。したがって、地板11の面積を拡張し放射素子12全体と対向させた場合は、(C5)式で求まる値よりも大きな容量の短縮コンデンサ14を装荷する必要がある。
なお、図12に示すように、地板11が基板3の裏面を覆う構成を採用した場合、基板3の裏面側からの導体(人体や金属体など)が接近した場合に生じ得るアンテナ特性の変動(放射強度の低下や放射分布の変形など)を抑え込むことができる。
(地板と放射素子とを基板の表裏に形成することの効果)
アンテナの放射効率ηは、一般に以下の(C13)式により与えられる。ここで、Rradは、アンテナの放射抵抗であり、Rlossは、アンテナを構成する導体の損失抵抗である。
アンテナの放射効率ηは、一般に以下の(C13)式により与えられる。ここで、Rradは、アンテナの放射抵抗であり、Rlossは、アンテナを構成する導体の損失抵抗である。
また、アンテナを構成する導体に関して、抵抗損失Rlossと導電率σとの間の関係は、一般に以下の(C14)式により与えられる。ここで、Lは、アンテナを構成する導体の長さであり、Sは、アンテナを構成する導体の断面積である。
(C13)式から分かるように、アンテナの放射効率ηを上げるためには、そのアンテナを構成する導体の損失抵抗Rlossを小さくすればよい。また、(C14)式から分かるように、導体の抵抗損失Rlossを小さくするためには、その導体の導電率σを大きくすればよい。したがって、アンテナの放射効率ηを上げるためには、そのアンテナを構成する導体の導電率σを大きくすればよい。
しかしながら、導電率の高い材料ほどコストが高いという傾向がある。特に、印刷回路形成用の銀ペーストは、導電率が銀粒子の含有量に応じて決まるので、導電率がコストに直結する。したがって、放射効率を上げるためにアンテナ全体を高い伝導率を有する材料により構成すると、製造コストが高騰するという問題が生じる。
ところで、地板11と放射素子12とを備えたアンテナ1において、放射効率の向上に主に寄与するのは、地板11の導電率ではなく、放射素子12の導電率である。したがって、導電率に劣るが安価な材料(例えば、銀粒子の含有率の低い銀ペースト)により地板11を構成すると共に、高価であるが導電率に勝る材料(例えば、銀粒子の含有率の高い銀ペースト)により放射素子12を形成すれば、高い放射効率と低い製造コストとを両立することができる。通常、面状の導体である地板11は、線状又は帯状の導体である放射素子12と比べて面積が広いので、このような工夫により削減されるコストは無視し得るものではない。
本態様に係るアンテナ1においては、上述したように、地板11を基板の裏面上に形成し、放射素子12を基板12の表面上に形成する構成を採用している。したがって、導電率に劣るが安価な材料を用いて地板11を形成(例えば、印刷)し、高価であるが導電率に勝る材料により放射素子12を形成(例えば、印刷)することが可能である。すなわち、高い放射効率と低い製造コストとを両立することが可能である。
特に、図10〜図12に示した構成においては、地板11を基板3の裏面に形成したことによって、各種回路(例えば発振回路や検波回路など)の実装に利用可能なスペースが基板3の表面に生まれる。このため、各種回路を含むアンテナ基板の製造に際して、片面実装(各種回路を短縮コンデンサ14と共に基板3の表面に実装すること)を採用することが可能である。片面実装を採用することによって、両面実装を採用した場合と比べて、アンテナ基板を薄型化すること、及び、アンテナ基板の製造コストを低下させることが可能になる。
〔アンテナ1の製造方法〕
放射素子12の近傍に導体が存在していない状態においてアンテナ1を使用する場合、上述したように、アンテナ1に装荷する短縮コンデンサ14のキャパシタンスCは、d=W(Wは、放射素子12の幅の平均値)を(C5)式に代入して得られるキャパシタンスCをCoとして、C=Co±50%(0.5×Co以上1.5×Co以下)に設定することが好ましい。しかしながら、このように短縮コンデンサ14のキャパシタンスCを設定すると、放射素子12の近傍に導体が存在している状態において使用されるアンテナ1については、共振周波数fのシフトが生じて所期の性能が得られないことがある。そこで、以下、放射素子12の近傍に導体が存在している状態において、所期の性能を得ることができるアンテナ1の製造方法について説明する。
放射素子12の近傍に導体が存在していない状態においてアンテナ1を使用する場合、上述したように、アンテナ1に装荷する短縮コンデンサ14のキャパシタンスCは、d=W(Wは、放射素子12の幅の平均値)を(C5)式に代入して得られるキャパシタンスCをCoとして、C=Co±50%(0.5×Co以上1.5×Co以下)に設定することが好ましい。しかしながら、このように短縮コンデンサ14のキャパシタンスCを設定すると、放射素子12の近傍に導体が存在している状態において使用されるアンテナ1については、共振周波数fのシフトが生じて所期の性能が得られないことがある。そこで、以下、放射素子12の近傍に導体が存在している状態において、所期の性能を得ることができるアンテナ1の製造方法について説明する。
なお、以下に説明する各実施形態のうち、第1の実施形態は、放射素子12が地板11に覆われていないアンテナ1、すなわち、アンテナ1の構成要素ではない外部導体が使用時に放射素子12の近傍に存在するアンテナ1の製造に好適なものである。一方、第2の実施形態及び第3の実施形態は、放射素子12が地板11に覆われているアンテナ1、すなわち、アンテナ1の構成要素である地板11が常に放射素子12の近傍に存在するアンテナ1の製造に好適なものである。
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態(以下、「本実施形態」とも記載)係るアンテナ1の製造方法について、図13を参照して説明する。本実施形態に係る製造方法に適したアンテナ1の態様は、上述した各態様のうち放射素子12が地板11に覆われていない態様、すなわち、第1の態様(図1、図6)、第2の態様(図8)、第3の態様(図10)、及び、第3の態様に係る第1の変形例(図11)である。
本発明の第1の実施形態(以下、「本実施形態」とも記載)係るアンテナ1の製造方法について、図13を参照して説明する。本実施形態に係る製造方法に適したアンテナ1の態様は、上述した各態様のうち放射素子12が地板11に覆われていない態様、すなわち、第1の態様(図1、図6)、第2の態様(図8)、第3の態様(図10)、及び、第3の態様に係る第1の変形例(図11)である。
なお、本実施形態においては、搬送波周波数がfc(Hz)、搬送波波長λc=c/fc[m](cは光速)である電磁波を送信及び/又は受信するアンテナ1であって、放射素子12の長さがh[m]に短縮されたアンテナ1を製造対象アンテナとする。放射素子12の幅の平均値は、W[m]であるものとする。
また、実施形態においては、製造対象アンテナの他に、試験用アンテナを利用する。試験用アンテナは、製造対象アンテナと同一の構成を有するアンテナである。ただし、試験用アンテナに装荷する短縮コンデンサのキャパシタンスは、自由空間において搬送波周波数fcで共振するように設定される。
以下の説明において、製造対象アンテナには、符号1を付し、製造対称アンテナ1が備える地板、放射素子、短絡部、及び短縮コンデンサには、それぞれ、符号11、12、13、及び14を付す。また、試験用アンテナには、符号1’を付し、試験用アンテナ1’が備える地板、放射素子、短絡部、及び短縮コンデンサには、それぞれ、符号11’、12’、13’、及び14’を付す。
本実施形態に係る製造方法は、短縮コンデンサ14のキャパシタンスCの設定方法に特徴がある。図13は、本実施形態に係る製造方法に含まれる、短縮コンデンサ14のキャパシタンスCの設定方法(以下、「本設定方法」とも記載)を示すフローチャートである。本設定方法は、図13に示すように、算出工程S1と、測定工程S2と、設定工程S3とを含んでいる。
算出工程S1においては、試験用アンテナ1’に装荷する短縮コンデンサ14’のキャパシタンスC’を算出する。具体的には、(C15)式にd=Wを代入することによって、キャパシタンスC’を算出する。
測定工程S2においては、キャパシタンスC’が算出工程S1にて算出された値に設定された短縮コンデンサ14’が装荷された試験用アンテナ1’を作製する。そして、放射素子12’の近傍に導体が存在していない状態における試験用アンテナ1’の共振周波数f’と、放射素子12’の近傍に導体が存在している状態における試験用アンテナ1’の共振周波数f”とを測定する。共振周波数f’及び共振周波数f”の測定には、例えば、ネットワークアナライザを用いればよい。
放射素子12’の近傍に導体が存在している状態における試験用アンテナ1’の共振周波数f”は、例えば、以下のように測定すればよい。すなわち、放射素子12’を覆い隠すことが可能な導体板を、放射素子12’と平行になるように、かつ、放射素子12’から所定の距離に配置した状態で、ネットワークアナライザを用いて試験用アンテナ1’の共振周波数f”を測定すればよい。なお、後述する実施例においては、当該所定の距離を1.085mmとするが、この値は一例であり、製造対象アンテナ1の使用形態(特に、放射素子12と外部導体との距離)に応じて適宜決定すればよい。
設定工程S3においては、製造対象アンテナ1に装荷する短縮コンデンサ14のキャパシタンスCを算出する。具体的には、測定工程S2にて測定された共振周波数の差をΔf=f”−f’として、(C16)式にd=Wを代入することによって、キャパシタンスCを算出する。そして、算出された値をCoとして、製造対象アンテナ1に装荷する短縮コンデンサ14のキャパシタンスCを、C=Co±50%(0.5×Co以上1.5×Co以下)に設定する。
このように短縮コンデンサ14のキャパシタンスCが設定されたアンテナ1の共振周波数fは、近傍に導体が存在する状態において概ね搬送波周波数fcに一致する。したがって、本実施形態に係る製造方法によれば、近傍に導体が存在する状態において所期の性能を発揮するアンテナ1を製造することができる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態(以下、「本実施形態」とも記載)係るアンテナ1の製造方法について、図14を参照して説明する。本実施形態に係る製造方法に適したアンテナ1の態様は、上述した各態様のうち放射素子12が地板11に覆われている態様、すなわち、第3の態様に係る第2の変形例(図12)である。
次に、本発明の第2の実施形態(以下、「本実施形態」とも記載)係るアンテナ1の製造方法について、図14を参照して説明する。本実施形態に係る製造方法に適したアンテナ1の態様は、上述した各態様のうち放射素子12が地板11に覆われている態様、すなわち、第3の態様に係る第2の変形例(図12)である。
なお、本実施形態においても、搬送波周波数がfc(Hz)、搬送波波長λc=c/fc[m](cは光速)である電磁波を送信及び/又は受信するアンテナ1であって、放射素子12の長さがh[m]に短縮されたアンテナ1を製造対象アンテナとする。放射素子12の幅の平均値は、W[m]であるものとする。
また、実施形態においても、製造対象アンテナの他に、試験用アンテナを用いる。試験用アンテナは、地板において放射素子と重なる部分が取り去られている点を除き、製造対象アンテナと同一の構成を有する。例えば、図12に示すアンテナ1を製造対象アンテナとする場合、図10に示すアンテナ1が試験用アンテナとなる。試験用アンテナに装荷する短縮コンデンサのキャパシタンスは、自由空間において搬送波周波数fcで共振するように設定される。
以下の説明においても、製造対象アンテナには、符号1を付し、製造対称アンテナ1が備える地板、放射素子、短絡部、及び短縮コンデンサには、それぞれ、符号11、12、13、及び14を付す。また、試験用アンテナには、符号1’を付し、試験用アンテナ1’が備える地板、放射素子、短絡部、及び短縮コンデンサには、それぞれ、符号11’、12’、13’、及び14’を付す。
本実施形態に係る製造方法も、短縮コンデンサ14のキャパシタンスCの設定方法に特徴がある。図14は、本実施形態に係る製造方法に含まれる、短縮コンデンサ14のキャパシタンスCの設定方法(以下、「本設定方法」とも記載)を示すフローチャートである。本設定方法は、図14に示すように、算出工程T1と、測定工程T2と、設定工程T3とを含んでいる。
算出工程T1においては、試験用アンテナ1’に装荷する短縮コンデンサ14’のキャパシタンスC’を算出する。具体的には、上述した(C15)式にd=Wを代入することによって、キャパシタンスC’を算出する。
測定工程T2においては、キャパシタンスC’が算出工程T1にて算出された値に設定された短縮コンデンサ14’が装荷された試験用アンテナ1’を作製する。そして、放射素子12’の近傍に導体が存在していない状態における第1の試験用アンテナ1’の共振周波数f’と、放射素子12’のごく近傍に導体が存在している状態における試験用アンテナ1’の共振周波数f”とを測定する(放射素子12’のごく近傍に導体を配置することは、放射素子12’を覆うように地板11’を拡張することと概ね等価である)。共振周波数f’及び共振周波数f”の測定には、例えば、ネットワークアナライザを用いればよい。
放射素子12’のごく近傍に導体が存在している状態における試験用アンテナ1’の共振周波数f”は、例えば、以下のように測定すればよい。すなわち、放射素子12’を覆い隠すことが可能な導体板を、放射素子12’と平行になるように、かつ、放射素子12’から所定の距離に配置した状態で、ネットワークアナライザを用いて試験用アンテナ1’の共振周波数f”を測定すればよい。なお、後述する実施例においては、当該所定の距離を0.085mmとするが、この値は一例であり、製造対象アンテナ1の形態(特に、放射素子12と地板11と距離)に応じて適宜決定すればよい。
設定工程T3においては、製造対象アンテナ1に装荷する短縮コンデンサ14のキャパシタンスCを算出する。具体的には、測定工程T2にて測定された共振周波数の差をΔf=f”−f’として、上述した(C16)式にd=Wを代入することによって、キャパシタンスCを算出する。そして、算出された値をCoとして、製造対象アンテナ1に装荷する短縮コンデンサ14のキャパシタンスCを、C=Co±50%(0.5×Co以上1.5×Co以下)に設定する。
このように短縮コンデンサ14のキャパシタンスCが設定されたアンテナ1の共振周波数fは、アンテナ1の近傍に導体が存在する状態においても、存在しない状態においても、概ね搬送波周波数fcに一致する。したがって、本実施形態に係る製造方法によれば、近傍に導体が存在する状態においても、存在しない状態においても所期の性能を発揮するアンテナ1を製造することができる。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態(以下、「本実施形態」とも記載)係るアンテナ1の製造方法について、図15を参照して説明する。本実施形態に係る製造方法に適したアンテナ1の態様は、第2の実施形態に係る製造方法に適したアンテナ1の態様と同様、放射素子12が地板11に覆われている態様、すなわち、第3の態様に係る第2の変形例(図12)である。
次に、本発明の第3の実施形態(以下、「本実施形態」とも記載)係るアンテナ1の製造方法について、図15を参照して説明する。本実施形態に係る製造方法に適したアンテナ1の態様は、第2の実施形態に係る製造方法に適したアンテナ1の態様と同様、放射素子12が地板11に覆われている態様、すなわち、第3の態様に係る第2の変形例(図12)である。
なお、本実施形態においても、搬送波周波数がfc(Hz)、搬送波波長λc=c/fc[m](cは光速)である電磁波を送信及び/又は受信するアンテナ1であって、放射素子12の長さがh[m]に短縮されたアンテナ1を製造対象アンテナとする。放射素子12の幅の平均値は、W[m]であるものとする。
また、実施形態においても、製造対象アンテナの他に、2つの試験用アンテナを用いる。第1の試験用アンテナは、地板において放射素子と重なる部分が取り去られている点を除き、製造対象アンテナと同一の構成を有する。例えば、図12に示すアンテナ1を製造対象アンテナとする場合、図10に示すアンテナ1が試験用アンテナとなる。第1の試験用アンテナに装荷する短縮コンデンサのキャパシタンスは、自由空間において搬送波周波数fcで共振するように設定される。一方、第2の試験用アンテナは、製造対象アンテナと同一の構成を有する。第2の試験用アンテナに装荷する短縮コンデンサのキャパシタンスは、第1の試験用アンテナに装荷する短縮コンデンサのキャパシタンスと同一の値に設定される。
以下の説明においても、製造対象アンテナには、符号1を付し、製造対称アンテナ1が備える地板、放射素子、短絡部、及び短縮コンデンサには、それぞれ、符号11、12、13、及び14を付す。また、第1の試験用アンテナには、符号1’を付し、第1の試験用アンテナ1’が備える地板、放射素子、短絡部、及び短縮コンデンサには、それぞれ、符号11’、12’、13’、及び14’を付す。また、第2の試験用アンテナに符号1”を付し、第2の試験用アンテナが備える地板、放射素子、短絡部、及び短縮コンデンサには、それぞれ、符号11”、12”、13”、及び14”を付す。
本実施形態に係る製造方法も、短縮コンデンサ14のキャパシタンスCの設定方法に特徴がある。図15は、本実施形態に係る製造方法に含まれる、短縮コンデンサ14のキャパシタンスCの設定方法(以下、「本設定方法」とも記載)を示すフローチャートである。本設定方法は、図15に示すように、算出工程V1と、測定工程V2と、設定工程V3とを含んでいる。
算出工程V1においては、2つの試験用アンテナ1’,1”に装荷する短縮コンデンサ14’,14”のキャパシタンスC’を算出する。具体的には、(C17)式にd=Wを代入することによって、キャパシタンスC’を算出する。
測定工程V2においては、キャパシタンスC’が算出工程V1にて算出された値に設定された短縮コンデンサ14’が装荷された第1の試験用アンテナ1’と、キャパシタンスC’が算出工程V1にて算出された値に設定された短縮コンデンサ14”が装荷された第2の試験用アンテナ1”とを作製する。そして、近傍に導体が存在していない状態における第1の試験用アンテナ1’の共振周波数f’と、同状態における第2の試験用アンテナ1”の共振周波数f”とを測定する。共振周波数f’及び共振周波数f”の測定には、例えば、ネットワークアナライザを用いればよい。
設定工程V3においては、製造対象アンテナ1に装荷する短縮コンデンサ14のキャパシタンスCを算出する。具体的には、測定工程V2にて測定された共振周波数の差をΔf=f”−f’として、(C18)式にd=Wを代入することによって、キャパシタンスCを算出する。そして、算出された値をCoとして、製造対象アンテナ1に装荷する短縮コンデンサ14のキャパシタンスCを、C=Co±50%(0.5×Co以上1.5×Co以下)に設定する。
このように短縮コンデンサ14のキャパシタンスCが設定されたアンテナ1の共振周波数fは、近傍に導体が存在する状態において概ね搬送波周波数fcに一致する。したがって、本実施形態に係る製造方法によれば、近傍に導体が存在する状態においても、存在しない状態においても、所期の性能を発揮するアンテナ1を製造することができる。
〔付記事項〕
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明の一実施例について、図16〜図21に基づいて説明すれば以下のとおりである。なお、本実施例は、放射素子12が地板11に覆われていないアンテナ1(図16)と、放射素子12”が地板11”に覆われているアンテナ1”(図17)との双方を製造対象とするものである。すなわち、本実施例は、第1の実施形態に係る製造方法の実施例であると同時に、第2の実施形態に係る製造方法の実施例でもある。
図16は、第1の製造対象アンテナ1の構成を示す上面図及び側面図である。第1の製造対象アンテナ1は、厚さ0.075mmのPET基板20(上面図において省略)と、PET基板20の表面に銀ペーストにより印刷された放射素子12と、PET基板20の裏面に銀ペーストにより印刷された地板11とにより構成されたものである。製造対象アンテナ1の各部の寸法については、図16を参照されたい。
図17は、第2の製造対象アンテナ1”の構成を示す上面図及び側面図である。第2の製造対象アンテナ1”は、厚さ0.3mmのガラスエポキシ基板20”(上面図において省略)と、ガラスエポキシ基板20”の表面に銀箔により作製された放射素子12”と、ガラスエポキシ基板20”の裏面に銀箔により印刷された地板11”とにより構成されたものである。アンテナ1”の各部の寸法については、図17を参照されたい。
上述したとおり、第1の実施形態及び第2の実施形態に係る製造方法は、算出工程、測定工程、及び設定工程により構成される(図13及び図14参照)。本実施例においては、これらの工程を以下のように実施した。
算出工程においては、試験用アンテナ1’に装荷する短縮コンデンサ14’のキャパシタンスC’を上述した(C15)式に従って算出した。具体的には、fc=315MHz、λc=0.952m、h=0.096m、d=0.003mを上述した(C15)式に代入することによって、C’=3.0pFを算出した。よって、実際のC’の範囲は1.5<C’<4.5pFと推定された。実際に試験アンテナ1を作製すると、C’=4.0pFとした場合に315MHzで共振が得られた。なお、h=0.096mは、図16において点線で示す折れ線に沿って測った放射素子12の長さである。
測定工程においては、キャパシタンスC’が算出工程にて算出された値C’=4.0pFに設定された短縮コンデンサ14’が装荷された試験用アンテナ1’を作製すると共に、放射素子12’の近傍に導体が存在していない状態における試験用アンテナ1’の共振周波数f’と、放射素子12’の近傍に導体が存在している状態における試験用アンテナ1’の共振周波数f”とを測定した。
本測定工程において作製した試験用アンテナ1’は、キャパシタンスC’が算出工程にて算出された値C’=4.0pFに設定された短縮コンデンサ14’を、図16に示す第1の製造対象アンテナ1に装荷したものである。
また、本測定工程における共振周波数f’,f”の測定は、以下のように行った。すなわち、図18に示すように、厚さ2mm、直径200mmの円盤状の金属板30を用意し、この金属板30を、試験用アンテナ1’の裏面側に、試験用アンテナ1’と平行に配置した。そして、金属板30と放射素子12’との距離dを変えながら、ネットワークアナライザを用いて試験用アンテナ1’の共振周波数fを測定した。具体的には、d=5.085mm、4.085mm、3.085mm、2.085mm、1.085mm、0.085mmにおける共振周波数fを測定した。次に、これらの測定結果から、距離dの関数としての共振周波数f(d)を近似する近似曲線を求めた。そして、d→∞の極限でf(d)→315MHzとなることを確認したうえで、放射素子12’の近傍に導体が存在していない状態における試験用アンテナ1’の共振周波数f’を、f’=315MHzとした。また、第1の製造対象アンテナ1の製造に際して参照する共振周波数f”、すなわち、放射素子12’の近傍に導体が存在している状態における試験用アンテナ1’の共振周波数f”を、d=1.085における共振周波数f(d)=388MHzとした。また、第2の製造対象アンテナ1”の製造に際して参照する共振周波数f”、すなわち、放射素子12’のごく近傍に導体が存在している状態における試験用アンテナ1’の共振周波数f”を、d=0.3における共振周波数f(d)=450MHzとした。なお、上記測定の測定結果と上記近似曲線のグラフは、図19に示したとおりである。図19においては、縦軸を周波数シフト量Δf=f”−f’としている。
なお、第1の製造対象アンテナ1は、その裏面から1.0mm離れたところ、すなわち、放射素子12から1.085mm離れたところに導体が存在している状態での使用が想定される。本実施例において、d=1.085mmにおける共振周波数f(d)を、放射素子12’の近傍に導体が存在している状態における共振周波数f”としているのは、このためである。また、第2の製造対象アンテナ1”は、放射素子12から0.3mm離れたところに地板11が存在している。本実施例において、d=0.3mmにおける共振周波数f(d)を、放射素子12’のごく近傍に導体が存在している状態における共振周波数f”としているのは、このためである。
設定工程においては、第1の製造対象アンテナ1に装荷する短縮コンデンサ14のキャパシタンスCoを上述した(C16)式に従って算出した。具体的には、fc=315MHz、Δf=73MHz、c=3.0×108m/s(光速)、h=0.096m、d=0.003mを上述した(C16)式に代入することによって、Co=5.42pFを得た。ここで、h=0.096mは、図16において点線で示す折れ線に沿って測った放射素子12の長さである。このことから、製造対象アンテナ1に装荷する短縮コンデンサ14のキャパシタンスCは、0.5×Co=2.71pF以上1.5×Co=8.13pF以下に設定すれば良いことが分かった。そこで、本実施例においては、C=7.0pFに設定した。
また、設定工程においては、第2の製造対象アンテナ1”に装荷する短縮コンデンサ14”のキャパシタンスCoを上述した(C16)式に従って算出した。具体的には、fc=315MHz、Δf=135MHz、c=3.0×108m/s(光速)、h=0.099m、d=0.003mを上述した(C16)式に代入することによって、Co=9.69pFを得た。ここで、h=0.099mは、図17において点線で示す折れ線に沿って測った放射素子12”の長さである。このことから、製造対象アンテナ1に装荷する短縮コンデンサ14のキャパシタンスCは、0.5×Co=4.85pF以上1.5×Co=14.5pF以下に設定すれば良いことが分かった。そこで、本実施例においては、C=12.0pFに設定した。
なお、図16に示す第1の製造対象アンテナ1と図17に示す第2の製造対象アンテナ1”とでは、給電点の位置及び放射素子の先端形状が互いに異なっている。給電点の位置が異なっているのは、それぞれの製造対象アンテナにおいて個別にインピーダンス整合を図ったからであり、放射素子の先端形状が異なっているのは、それぞれの製造対象アンテアにおいて個別にアンテナ長の微調整(デバッグ時の銀ペースト切除)を行ったからである。ただし、給電点の位置及び放射素子の先端形状のこのような相違により、共振周波数の特性が大きく変わることはない。また、電磁波が放射される空間の殆どが空気であるため、誘電体厚の違いも共振周波数の特性に大きな影響を与えることはない。第2の製造対象アンテナ1”に装荷する短縮コンデンサ14”のキャパシタンスを設定するために、第1の製造対象アンテナ1と同一形状の試験用アンテナ1’を利用することができるのは、このためである。
本実施例において製造された第1の製造対象アンテナ1のリターンロスを図20に示す。図20(a)は、放射素子12の近傍に導体が存在しないときに得られたリターンロスの周波数依存性を示すグラフであり、図20(b)は、放射素子12の近傍に導体が存在しているときに得られたリターンロスの周波数依存性を示すグラフである。
放射素子12の近傍に導体が存在していないとき、リターンロスのピーク(共振周波数)が250MHz付近にあり、搬送波周波数fcと一致しないことが、図20(a)から見て取れる。一方、放射素子12の近傍に導体が存在しているとき、リターンロスのピーク(共振周波数)が315MHz付近にあり、搬送波周波数fcと良く一致することが、図20(b)から見て取れる。すなわち、本実施例において製造された第1の製造対象アンテナ1は、放射素子12の近傍に導体が存在するとき、共振周波数fが搬送波周波数fcと良く一致するアンテナであることが分かる。
また、本実施例において製造された第2の製造対象アンテナ1”のリターンロスを図21に示す。図21は、リターンロスの周波数依存性を示すグラフである。図21に示すグラフにおいては、リターンロスのピーク(共振周波数)が315MHz付近にあり、搬送波周波数fcと良く一致することが、図21から見て取れる。すなわち、本実施例において製造された第2の製造対象アンテナ1”は、共振周波数fが搬送波周波数fcと良く一致するアンテナであることが分かる。地板11”側から外部導体を近付けても、この結果に大きな違いはみられない。
最後に、本実施例において製造された第1の製造対象アンテナ1及び第2の製造対象アンテナ1”に金属板(直径200mm、厚さ2mmの鉄板)を近づけたときに生じる出力低下について、図22を参照して説明する。図22(a)は、製造対象アンテナ1,1”における出力低下量(自由空間における出力を0dBとする)が、製造対象アンテナ1,1”と金属板との距離に応じてどのように変化するかを示すグラフであり、図22(b)は、その拡大図である。なお、図22においては、試験用アンテナ1’における出力低下量を比較例として示している。
図22から以下のことが見て取れる。すなわち、試験用アンテナ1に金属板を近づけた場合には、急激な出力量の低下が生じるのに対して、製造対象アンテナ1,1”に金属板を近づけた場合には、このような出力量の低下は生じない。すなわち、本実施例において製造された第1の製造対象アンテナ1及び第2の製造対象アンテナ1”は、近傍に金属が存在している状態でも十分に実用に耐えるアンテナであるといえる。
本発明に係るアンテナは、無線タグに搭載されるアンテナの製造方法として好適に利用することができる。また、IEEE802.15.4に準拠したZigbee(登録商標)モジュールに搭載するアンテナの製造方法としても好適に利用することができる。
1 アンテナ
11 地板
11A 短辺(地板の外縁を構成する辺)
11B 長辺
11a 凹部
11b 凸部
12 放射素子
12A 給電側の端部
12B 給電側と反対側の端部
12C 中間部(中間点)
12a 第1の直線部(給電線部)
12b 第2の直線部(給電線部)
12c 第3の直線部(主要部)
12d 第4の直線部(主要部)
12e 第5の直線部(主要部)
13 短絡部
14 短縮コンデンサ(コンデンサ)
2 無線タグ
2A 短辺
2B 長辺
11 地板
11A 短辺(地板の外縁を構成する辺)
11B 長辺
11a 凹部
11b 凸部
12 放射素子
12A 給電側の端部
12B 給電側と反対側の端部
12C 中間部(中間点)
12a 第1の直線部(給電線部)
12b 第2の直線部(給電線部)
12c 第3の直線部(主要部)
12d 第4の直線部(主要部)
12e 第5の直線部(主要部)
13 短絡部
14 短縮コンデンサ(コンデンサ)
2 無線タグ
2A 短辺
2B 長辺
Claims (5)
- 第1の平面内に配置された地板と、上記第1の平面及び上記第1の平面に平行な第2の平面の何れか一方又は両方に配置された放射素子と、上記放射素子の給電側と反対側の端部と上記地板との間に介在する短縮コンデンサとを備えたアンテナの製造方法であって、
搬送波周波数をfc[Hz]、搬送波波長をλc=c/fc[m](cは光速)、上記放射素子の全長をh[m]、上記放射素子の幅の平均値をW[m]として、下記(1)式にd=Wを代入することによって値C'を算出する算出工程と、
上記アンテナと同様の構成を有する試験用アンテナであって、キャパシタンスが上記算出工程にて算出された値C'に設定された短縮コンデンサを備えた試験用アンテナを作製すると共に、近傍に導体が存在していない状態における該試験用アンテナの共振周波数fと、近傍に導体が存在している状態における該試験用アンテナの共振周波数f'とを測定する測定工程と、
上記測定工程にて測定された共振周波数の差をΔf=f−f'、下記(2)式にd=Wを代入して得られる値CをCo[F]とし、上記アンテナが備える短縮コンデンサのキャパシタンスを、0.5×Co以上1.5×Co以下に設定する設定工程と、を含んでいる、ことを特徴とする製造方法。
- 第1の平面内に配置された地板と、上記第1の平面に平行な第2の平面に上記地板と重なるように配置された放射素子と、上記放射素子の給電側と反対側の端部と上記地板との間に介在する短縮コンデンサとを備えたアンテナの製造方法であって、
搬送波周波数をfc[Hz]、搬送波波長をλc=c/fc[m](cは光速)、上記放射素子の全長をh[m]、上記放射素子の幅の平均値をW[m]として、下記(3)式にd=Wを代入することによって値C'を算出する算出工程と、
上記地板において上記放射素子と重なる部分が取り去れている点を除き、上記アンテナと同様の構成を有する試験用アンテナであって、キャパシタンスが上記算出工程にて算出された値C'に設定された短縮コンデンサを備えた試験用アンテナを作製すると共に、近傍に導体が存在していない状態における該試験用アンテナの共振周波数fと、近傍に導体が存在している状態における該試験用アンテナの共振周波数f'とを測定する測定工程と、
上記測定工程にて測定された共振周波数の差をΔf=f−f'、下記(4)式にd=Wを代入して得られる値CをCo[F]とし、上記アンテナが備える短縮コンデンサのキャパシタンスを、0.5×Co以上1.5×Co以下に設定する設定工程と、を含んでいる、ことを特徴とする製造方法。
- 第1の平面内に配置された地板と、上記第1の平面に平行な第2の平面に上記地板と重なるように配置された放射素子と、上記放射素子の給電側と反対側の端部と上記地板との間に介在する短縮コンデンサとを備えたアンテナの製造方法であって、
搬送波周波数をfc[Hz]、搬送波波長をλc=c/fc[m](cは光速)、上記放射素子の全長をh[m]、上記放射素子の幅の平均値をW[m]として、下記(5)式にd=Wを代入することによって値C'を算出する算出工程と、
上記地板において上記放射素子と重なる部分が取り去れている点を除き、上記アンテナと同様の構成を有する第1の試験用アンテナであって、キャパシタンスが上記算出工程にて算出された値C'に設定された短縮コンデンサを備えた第1の試験用アンテナと、上記アンテナと同様の構成を有する第2の試験用アンテナであって、キャパシタンスが上記算出工程にて算出されたC'に設定された短縮コンデンサを備えた第2の試験用アンテナとを作製すると共に、当該第1の試験用アンテナの共振周波数fと、当該第2の試験用アンテナの共振周波数f'とを測定する測定工程と、
上記測定工程にて測定された共振周波数の差をΔf=f−f'、下記(6)式にd=Wを代入して得られる値CをCo[F]とし、上記アンテナが備える短縮コンデンサのキャパシタンスを、0.5×Co以上1.5×Co以下に設定する設定工程と、を含んでいる、ことを特徴とする製造方法。
- 上記地板と上記放射素子とが85.6mm×54.0mm以下の矩形領域内に形成され、かつ、上記アンテナが322MHz以下の周波数で共振する、
ことを特徴とする請求項1から3までの何れか1項に記載の製造方法。 - 上記放射素子の全長がc/8(fc−Δf)以下である、
ことを特徴とする請求項1から4までの何れか1項に記載の製造方法。
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