以下、一実施形態を図1〜図11(B)に基づいて説明する。図1には、画像形成装置の一例としてのカラープリンタが概略的に示されている。なお、本発明の画像形成装置は、プリンタに限らず、複写機やファクシミリ装置あるいは印刷機さらにはこれら各機能を複合させた装置であっても良い。
図1において、画像形成装置100は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色に色分解された色にそれぞれ対応する像としての画像を形成可能な像担持体としての感光体ドラム20Y、20C、20M、20BKを並設したタンデム構造が採用されている。以下では、感光体ドラムの長手方向をX軸方向、鉛直方向をZ軸方向、X軸方向及びZ軸方向のいずれにも直交する方向をY軸方向とするXYZ3次元直交座標系を適宜用いて説明する。
画像形成装置100では、各感光体ドラム20Y、20C、20M、20BKに形成された可視像が、各感光体ドラム20Y、20C、20M、20BKに対峙しながら矢印A1方向に移動可能な無端のベルトが用いられる中間転写体(以下、転写ベルトという)11に対して1次転写行程を実行してそれぞれの画像が重畳転写され、その後、記録紙S(シート状の記録媒体)に対して2次転写行程を実行することで一括転写されるようになっている。
各感光体ドラムの周囲には、該感光体ドラムの回転に従い画像形成処理するための装置が配置されており、一例として、ブラック画像形成を行う感光体ドラム20BKを対象として説明すると、感光体ドラム20BKの回転方向に沿って画像形成処理を行う帯電装置30BK、現像装置40BK、1次転写ローラ12BKおよびクリーニング装置50BKが配置されている。帯電後に行われる書き込みには、後述する光走査装置8が用いられる。
転写ベルト11に対する重畳転写は、転写ベルト11がA1方向に移動する過程において、各感光体ドラム20Y、20C、20M、20BKに形成された可視像が、転写ベルト11の同じ位置に重ねて転写されるよう、転写ベルト11を挟んで各感光体ドラム20Y、20C、20M、20BKに対向して配設された1次転写ローラ12Y、12C、12M、12BKによる電圧印加によって、A1方向上流側から下流側に向けてタイミングをずらして行われる。
各感光体ドラム20Y、20C、20M、20BKは、A1方向の上流側からこの順で並んでいる。各感光体ドラム20Y、20C、20M、20BKは、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの画像をそれぞれ形成するための画像ステーションに設けられている。
画像形成装置100は、各色毎の画像形成処理を行う4つの画像ステーションと、各感光体ドラム20Y、20C、20M、20BKの上方に対向して配設され、転写ベルト11及び1次転写ローラ12Y、12C、12M、12BKを備えた転写ベルトユニット10と、転写ベルト11に対向して配設され転写ベルト11に従動し、連れ回りする転写部材としての転写ローラである2次転写ローラ5と、転写ベルト11に対向して配設され転写ベルト11上をクリーニングするクリーニング装置13と、これら4つの画像ステーションの下方に対向して配設された光書き込み装置(露光装置)としての光走査装置8と、装置全体を統括的に制御するCPUを含む制御装置(不図示)と、を備えている。
転写ベルトユニット10は、転写ベルト11、1次転写ローラ12Y、12C、12M、12BKの他に、転写ベルト11が巻き掛けられている駆動ローラ72及び従動ローラ73を有している。
従動ローラ73は、転写ベルト11に対する張力付与手段としての機能も備えており、このため、従動ローラ73には、バネなどを用いた付勢手段が設けられている。このような転写ベルトユニット10と、1次転写ローラ12Y、12C、12M、12BKと、2次転写ローラ5と、クリーニング装置13とで転写装置71が構成されている。
クリーニング装置13は、詳細な図示を省略するが、転写ベルト11に対向、当接するように配設されたクリーニングブラシとクリーニングブレードとを有しており、転写ベルト11上の残留トナー等の異物をクリーニングブラシとクリーニングブレードとにより掻き取り、除去して、転写ベルト11をクリーニングするようになっている。クリーニング装置13はまた転写ベルト11から除去した残留トナーを搬出し廃棄するための図示しない排出手段を有している。なお、画像形成装置100では、転写ベルト11に対して各感光体ドラムで形成された画像を順次転写することで色画像が重畳されたものを2次転写ローラ5により記録紙Sに一括転写する方式であるが、これに代えて、転写ベルト11に記録紙Sを担持し、この記録紙Sを各感光体ドラムに対峙させて各色の画像を直接記録紙S上で重畳する方式とすることも可能である。
光走査装置8は、図示は省略されているが、光源としての半導体レーザ、カップリングレンズ、fθレンズ、トロイダルレンズ、ミラーおよび偏向器としての回転多面鏡(ポリゴンミラー)などを装備しており、各感光体ドラム20Y,20C,20M,20BKに対して色毎に対応した書き込み光LBK(図1では、便宜上、ブラック画像の画像ステーションのみを対象として符号が付けてあるが、その他の画像ステーションも同様である)を出射して感光体ドラム20Y,20C,20M,20BKに静電潜像を形成する構成とされている。すなわち、光走査装置8は、半導体レーザからの光により各感光体ドラムの表面を該感光体ドラムの長手方向に走査する。この場合、光走査装置8における主走査方向は、各感光体ドラムの長手方向であり、副走査方向は、各感光体ドラムの回転方向である。以下では、主走査方向に対応する方向を主走査対応方向と称し、副走査方向に対応する方向を副走査対応方向と称する。
さらに、画像形成装置100は、転写ベルト11と2次転写ローラ5との間に向けて搬送される記録紙Sを積載した給紙カセットとしてのシート給送装置80と、シート給送装置80から搬送されてきた記録紙Sを、画像ステーションによるトナー像の形成タイミングに合わせた所定のタイミングで、転写ベルト11と2次転写ローラ5との間に向けて繰り出すレジストローラ対4と、記録紙Sの先端がレジストローラ対4に到達したことを検知する図示しないセンサと、を備えている。
シート給送装置80は、画像形成装置100の本体下部に配設されており、最上位の記録紙Sの上面に当接する給紙ローラとしての給送ローラ3を有しており、給送ローラ3が反時計回り方向に回転駆動されることにより、最上位の記録紙Sをレジストローラ対4に向けて給送するようになっている。
さらに、画像形成装置100は、トナー像が転写された記録紙Sにトナー像を定着させるための定着ユニットとしての定着装置6と、定着済みの記録紙Sを画像形成装置100の本体外部に排出する排紙ローラ7と、画像形成装置100の本体上部に配設され排紙ローラ7により画像形成装置100の本体外部に排出された記録紙Sを積載する排紙トレイ17と、排紙トレイ17の下側に位置し、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色のトナーを充填されたトナーボトル9Y、9C、9M、9BKと、光学センサ200(図2(A)参照)と、ベルト表面状態検査装置300(図2(A)参照)と、を備えている。
図2(A)及び図2(B)には、それぞれ定着装置6の断面図(その1及びその2)が示されている。定着装置6は、図2(A)及び図2(B)に示されるように、定着ローラ64と、加熱ローラ62と、定着ローラ64と加熱ローラ62とに巻き掛けられている定着ベルト61と、加圧ローラ63と、定着ベルト61に所定の張力を付与するためのテンションローラ65と、分離爪66と、加熱ローラ62上の定着ベルト61の温度を検出する温度センサ(不図示)と、を有している。すなわち、定着装置6では、ベルト定着方式が採用されている。
定着ローラ64は、一例として、金属又は合金からなるX軸方向に延びる円柱状の芯金と、該芯金上(芯金の周囲)に設けられた例えばシリコンゴム等の弾性層とを含む。定着ローラ64は、上記制御装置により不図示の駆動装置を介してX軸周りに回転駆動される。
加熱ローラ62は、一例として、例えばアルミニウム、鉄等の金属又は合金からなるX軸方向に延びる中空円柱状のローラ部と、該ローラ部の内部空間に配置された例えばハロゲンヒータ等の熱源Hとを含む。加熱ローラ62は、定着ローラ64の−Y側に配置されている。すなわち、定着ローラ64と加熱ローラ62は、互いに対向している。
なお、加熱ローラ62の表面に、例えばフッ素コート等のコーティング、塗装、メッキ処理などが施されても良い。
定着ベルト61は、無端ベルトであり、例えばニッケル、ポリイミドなどの基材と、該基材上に設けられた例えばPFA、PTFE等の離型層とを含む。なお、基材と離型層との間に例えばシリコンゴム等からなる弾性層が設けられても良い。
定着ベルト61は、定着ローラ64と加熱ローラ62とに巻き掛けられている。この場合、定着ベルト61の幅方向は、X軸方向である。定着ベルト61には、加熱ローラ62から熱が伝達される。
そこで、定着ローラ64がX軸周りに回転駆動されると、加熱ローラ62が定着ベルト61との間の摩擦力でX軸周りに回転(従動)するとともに、定着ベルト61が周回する。
加圧ローラ63は、例えばアルミニウム、鉄等の金属又は合金からなるX軸方向に延びる円柱状の芯金と、該芯金上に設けられた例えばシリコンゴム等からなる弾性層と、該弾性層上に設けられた例えばPFA、PTFE等からなる離型層とを含む。
加圧ローラ63は、一例として、定着ベルト61の+Y側に配置されており、定着ベルト61における定着ローラ64に巻き掛けられている部位の表面に当接(圧接)する加圧位置(図2(B)参照)と、該加圧位置から退避する退避位置(図2(A)参照)との間で不図示のアクチュエータによって移動可能となっている。すなわち、加圧ローラ63は、加圧位置にて定着ベルト61を定着ローラ64に押し付ける。上記アクチュエータとしては、例えばソレノイドが用いられる。上記アクチュエータは、上記制御装置によって制御される。
そこで、定着ローラ64をX軸周りに回転駆動するとともに加圧ローラ63を加圧位置に位置させると、加圧ローラ63が定着ベルト61との間の摩擦力でX軸周りに回転する。
なお、定着ベルト61によるトナー像の定着ムラを防止するために、定着ベルト61の周方向の温度を均一にする必要がある。そこで、上記制御装置は、加圧ローラ63を加圧位置に位置させているときのみならず、退避位置に位置させているときにも、定着ベルト61を回転させる。
テンションローラ65は、一例として、金属又は合金からなるX軸方向に延びる円柱状の芯金と、該芯金上に設けられた例えばシリコンゴム等の弾性層とを含む。テンションローラ65は、定着ベルト61における定着ローラ64及び加熱ローラ62のいずれも巻き掛けられていない部位の表面に外周面が当接(圧接)しており、定着ベルト61に所定の張力(テンション)を付与している。
以上のように構成される定着装置6では、トナー像が転写された記録紙Sが、定着ベルト61の、定着ローラ64に巻き掛けられている部位と加圧位置に位置された加圧ローラ63との間隙に下方(−Z方向)から進入すると、定着ベルト61と加圧ローラ63とで挟持されつつ+Z方向に搬送される。このとき、記録紙Sには上記間隙で所定の圧力と熱が付与され、記録紙S上のトナー像が定着される。
なお、加圧ローラ63は、記録紙Sの通紙時に、加圧位置に位置され、記録紙Sの通紙時以外の休止時には、退避位置に位置される。これは、加圧ローラ63による加圧力がかなり強いので、特に定着ベルト61、更には定着ローラ64や加圧ローラ63へのダメージを軽減させ、耐久性を向上させるためである。
分離爪66は、定着ベルト61における定着ローラ64に巻き掛けられている部位と加圧位置に位置する加圧ローラ63との間隙の記録紙Sの搬送方向(通紙方向)下流側に配置され、該間隙を通る記録紙Sを排紙ローラ7に向けて案内する。
温度センサとしては、一例として、定着ベルト61とは当接しない、非接触型温度センサ(サーモパイル)が用いられている。なお、定着ベルト61と当接する接触型温度センサ(サーミスタ)を用いることも可能である。
光学センサ200は、定着ベルト61における加熱ローラ62に巻き掛けられている部位の表面に対向して配置(ここでは、定着ベルト61の−Y側に所定距離隔てて配置)され、該表面に光を照射し、その反射光を受光する。光学センサ200は、いわゆる反射型光学センサである。
ここで、例えば、A4サイズ用紙とA3サイズ用紙を使用可能な画像形成装置において、A4サイズ用紙を縦通紙の状態(図3(B)参照)で定着を繰り返すと、定着ベルトにおけるA4縦通紙の用紙の幅方向端部に対応する位置に縦筋状の傷が発生する(図3(C)参照)。この縦筋状の傷は、用紙の幅方向端面の紙粉により定着ベルトの表面が荒らされることによって生じる。この縦筋状の傷が発生した状態で、例えばA4横通紙又はA3縦通紙の状態で定着が行われると、縦筋状の傷に対応して画像表面に光沢スジ(定着ムラ)が現れ(図3(A))、画像品質が劣化する。なお、一般に、複数の用紙(記録紙)が時系列で搬送されるとき、用紙間で主走査対応方向の位置が若干ずれるため、縦筋状の傷には、定着ベルトの幅方向の幅がある。すなわち、用紙搬送時に用紙の幅方向の端部が自然にずれることで、定着ベルトの傷が深くなることが抑制される。そこで、定着ベルトの傷の深さを更に低減させるために、用紙毎に主走査対応方向の位置を積極的にずらしつつ搬送する制御を行っても良い。
光学センサ200は、定着ベルト61表面上の主走査対応方向においてA4縦通紙の幅方向一端部(−X側の端部)に対応する位置に配置されている(図3(A)〜図3(C)参照)。光学センサ200では、定着ベルト61における加熱ローラ62が巻き掛けられている部位の表面の、主走査対応方向に離間する複数位置に複数の光を個別に照射することにより、該表面における用紙の幅方向一端部に対応する位置に発生する傷の幅よりも長い検出領域Aでの表面状態を検出することができる。ここでは、検出領域Aの主走査対応方向の長さは、概ね5mm〜15mm程度である。なお、傷の幅は数100μm〜数mm程度、傷の位置の変動範囲は数mm程度であることから、検出領域Aの主走査対応方向の長さは、5mm〜15mm程度が好適である。
ベルト表面状態検査装置300は、画像形成装置100本体に内蔵され、光学センサ200からの検出信号に基づいて、定着ベルト61の表面状態を検査する。
ところで、定着ベルト表面の主走査対応方向全幅に亘る検出領域を有する全幅ラインセンサは非常に高価であり、定着ベルト表面における用紙の幅方向一端部に対応する位置に発生する傷を検知する目的に対しては、検出領域が長過ぎる。一方、通常のフォトセンサは1つの光を照射するポイント型センサであり、検出領域は狭い。このため、検出すべき対象物(ここでは、用紙の幅方向一端部の位置に発生する傷)とフォトセンサとの位置合わせが必要であり、検出すべき対象物の位置変動が起きると検出できないおそれがある。
これに対し、本実施形態では、検出領域とコストの観点から、定着ベルト61表面における用紙の幅方向一端部に対応する位置に発生する傷を検出するに適した(必要十分な)検出領域Aを形成する光学センサ200を用いている。
この場合、光学センサ200は比較的長い検出領域Aを形成できるため、光学センサ200と用紙の幅方向一端部との主走査対応方向の位置決めは比較的ラフで良い。
ベルト表面状態検査装置300は、光学センサ200からの検出信号を受信して、主走査対応方向に長い検出領域Aの表面状態を検査する。そして、定着ベルト61における用紙の幅方向一端部に対応する位置が検出領域Aに含まれるとき、用紙端面により形成される縦筋状の傷レベルを定着ベルト61の表面状態として定量化する。この定量化については、後に詳細に説明する。なお、「傷レベル」とは、例えば傷の深さ、傷の幅等の傷の程度(状態)を意味する。
この縦筋状の傷によって、上述したように、記録紙S上においてトナー像の定着ムラが発生し、定着後の画像の品質が低下してしまう。
そこで、画像形成装置100では、画像品質の向上を図るために、ベルト表面状態検査装置300での検査結果に基づいて、後に詳述するように例えば露光装置としての光走査装置8を制御する。
以下に、光学センサ200について詳細に説明する。図4(A)及び図4(B)には、それぞれ光学センサ200のYZ断面図及びXY断面図(その1)が示されている。光学センサ200は、図4(A)及び図4(B)に示されるように、基板210、ケース240、複数のLED(発光ダイオード)211、レンズアレイ220、受光用レンズ222、複数のPD(フォトダイオード)212、複数の遮光壁230などを含む。
基板210は、XZ平面に平行に配置されている。ケース240は、一例として、Y軸方向に延びる樹脂製の筒状部材から成り、−Y側の端が基板210に接合されている。
複数のLED211は、基板210上に主走査対応方向(X軸方向)に所定ピッチPで並べて実装されている(図4(B)参照)。ここでは、各LED211は、近赤外光を+Y側(定着ベルト61側)に放射(射出)する。
レンズアレイ220は、複数のLED211からの複数の光の光路上に個別に配置された複数の照射用レンズを含み、該複数の光を定着ベルト61おける加熱ローラ62に巻き掛けられている部位の表面に結像させる。すなわち、複数の照射用レンズは、主走査対応方向に所定ピッチPで配列されている。レンズアレイ220は、ケース240の+Y側の端の−Z側部分に固定されている。
受光用レンズ222は、定着ベルト61からの反射光の光路上に配置され、該反射光を集光する。受光用レンズ222は、ケース240の+Y側の端の+Z側部分(レンズアレイ220の+Z側)に固定されている。
各PD212は、受光用レンズ222を介した反射光の光路上に配置され、該反射光を受光する。PD212は、基板210上における複数のLED211の+Z側に実装されている。PD212は、副走査対応方向(Z軸方向)を長手方向とする形状を有している。
複数の遮光壁230は、隣り合う2つのLED211からの2つの光の光路間に配置され、フレア光を遮断する。
なお、各遮光壁230とケース240は、樹脂成形により一体化することができる。また、レンズアレイ220と遮光壁230も樹脂成形により一体化することができる。さらに、レンズアレイ220と遮光壁230とケース240も樹脂成形により一体化することができる。
各LED211から放射された光は、対応する照射用レンズを介して定着ベルト61の表面に照射される。すなわち、光学センサ200は、定着ベルト61の表面の検出領域Aに主走査対応方向に所定ピッチPで光スポットを形成する。
図5(A)には、光学センサ200のXY断面図(その2)が示されている。図5(B)には、光学センサ200のXZ断面図が示されている。
複数のPD212は、図5(A)及び図5(B)に示されるように、複数のLED211に対応して主走査対応方向に並べて配置されている。すなわち、複数のPD212は、主走査対応方向に所定ピッチPで配列されている。受光用レンズ222は、副走査対応方向(Z軸方向)にパワーを有し、主走査対応方向(X軸方向)にはパワーを有していない。
光学センサ200の各LED211からの光が定着ベルト61の表面に対して照射されると、照射された光は、定着ベルト61の表面で反射される。定着ベルト61の表面は光学的な鏡面ではないため、正反射成分に加え、拡散反射成分を含む反射光が生じ、反射光の一部は受光用レンズ222で副走査対応方向にのみ集光され、PD212で受光される。このようにして、定着ベルト61の表面状態を検出領域Aの全域に亘って検出することができる。
上述したように、複数のLED211と複数のPD212は、それぞれ主走査対応方向(X軸方向)に所定ピッチPで配列されている。そこで、以下では、複数のLED211を、−X側から順にLED(1)、LED(2)、・・・、LED(N)と称し、複数のPD212を、−X側から順にPD(1)、PD(2)、・・・、PD(N)と称する。
次に、光学センサ200の動作の一例について、図6を参照して説明する。図6のフローチャートは、上記制御装置のCPUの処理アルゴリズムに基づいている。
最初のステップS1では、nに1がセットされる。
次のステップS3では、LED(n)が点灯される。LED(n)からの光は、レンズアレイ220で集光され、定着ベルト61の表面に照射される。定着ベルト61の表面からの反射光の一部は、受光用レンズ222で集光され、PD(n−m)〜PD(n+m)で受光される。
詳述すると、最も−X側のLED211から数えてn番目のLED211であるLED(n)の点灯に伴い、定着ベルト61からの反射光が、LED(n)に対応するPD(n)を含む複数のPD212で受光される。ここでは簡単のため、PD(n)を含む複数のPD212の数を奇数、すなわち(2m+1)個とする(mは整数)。すなわち、LED(n)からの光は、PD(n−m)〜PD(n+m)で同時に受光される。(2m+1)個のPD212で受光された(2m+1)個の光は、それぞれ、光電変換され、増幅され、受光信号(検出信号)として、随時、ベルト表面状態検査装置300に送られる。
次のステップS5では、LED(n)を消灯する。
次のステップS7では、n<Nであるか否かが判断される。ここでの判断が肯定されると、ステップS9に移行する。一方、ステップS7での判断が否定されると、ステップS11に移行する。
ステップS9では、nがインクリメントされる。ステップS9が実行されると、フローは、ステップS3に戻る。
すなわち、光学センサ200では、複数のLED211が−X側から順に1個ずつ点灯/消灯を繰り返す、いわゆる順次点灯が行われることで、定着ベルト61の表面状態の検出が−X側から順次(時系列で)行われる。この順次点灯は、+X側端のLED(N)の点灯/消灯が行われた時点で終了する。このようにして、−X側端のLED(1)から始まり、+X側端のLED(N)で終わる1周期分の検出が行われる。
ステップS11では、更に1周期分の検出を行うか否かが判断される。ここでの判断が肯定されると、フローは、ステップS1に戻る。このように、複数周期に亘って順次点灯を行うことで、例えば定着ベルト61の検出領域Aの主走査対応方向(X軸方向)の各位置における副走査対応方向(Z軸方向)の異なる複数位置での複数の検出値を得ることができる。そして、これら複数の検出値の平均値を検出結果として採用することで、検出精度を上げることができる。一方、ステップS11での判断が否定されると、フローは終了する。
なお、必ずしもN個全てのLED211を点灯/消灯させる必要はなく、任意のN´(<N)個のLED211を点灯/消灯させても良い。例えば、K個(K≧1)置きに点灯/消灯させるようにしても良い。
次に、ベルト表面状態検査装置300の動作について、図7を参照して説明する。図7のフローチャートは、上記制御装置のCPUの処理アルゴリズムに基づいている。
最初のステップS21では、(2m+1)個のPD212、すなわちPD(n−m)〜PD(n+m)からの検出信号に基づいて、LED(n)に対応する検出結果R(n)を算出する。
具体的には、PD(n−m)〜PD(n+m)の検出信号の和が求められ、求められた和がLED(n)に対応する検出結果R(n)となる。この結果、定着ベルト61表面の検出領域Aにおける主走査対応方向の異なる位置に順次形成される複数の光スポットの反射光強度、すなわち定着ベルト61の表面の検出領域Aにおける主走査対応方向の各位置における反射光強度を得ることができる。
次のステップS23では、R(n)をX(主走査対応方向位置)について微分する。この結果、反射光強度のXに対する変化率であるR(n)の微分値を得ることができる。図8(A)及び図8(B)には、それぞれ光学センサ200で検出される反射光強度及びその微分値のXに対する変化が模式的に示されている。
次のステップS25では、定着ベルト61の表面に傷があるか否かが判断される。ここでの判断が肯定されると、ステップS27に移行する。一方、ステップS25での判断が否定されると、フローは終了する。
ここで、定着ベルト61に傷がある場合、傷がある位置は、傷がない位置に比べて、表面反射光は正反射成分が減少し、拡散反射成分が増加する。光学センサ200では、正反射成分が減少することにより、各PD212で受光される光量はその分減少し、拡散反射成分が増加することにより、PD212で受光される光量はその分増加する。この結果、傷がある位置は、傷がない位置に比べて、PD212で受光される光量(反射光強度)は減少する。
そこで、定着ベルト61表面の主走査対応方向の各位置での反射光強度の微分値(反射光強度のXに対する変化率)の絶対値が予め設定された所定の閾値以上の場合には、反射光強度の変化が大きく、該位置には、傷があると判定される。すなわち、ステップS25での判断が肯定される。一方、反射光強度の微分値の絶対値が上記閾値未満の場合には、反射光強度の変化が小さく、傷はないと判定される。すなわち、ステップS25での判断が否定される。
ステップS27では、定着ベルト61における傷の位置が特定される。具体的には、微分値が負から正に大きく変化するゼロクロス位置(図8(B)参照)を求めることで、傷の位置を特定することができる。
図9(A)には、一例として、400,000枚通紙した後の定着ベルト61に対して、N=24、n=3〜22、m=2、ピッチP=1mmの光学センサ200を用いて得られた検出結果R(n)、すなわち反射光強度が示されている。この光学センサ200では、定着ベルト61表面に1mmピッチで光スポットが照射されるため、図9(A)の横軸は光スポットの照射位置[mm]に相当する。
また、図9(B)には、主走査対応方向位置(X)に対して微分、具体的には、R(n)、R(n+1)の2点での傾きを算出した結果が示されている。勿論、平滑化を目的として、R(n−1)、R(n)、R(n+1)の3点での傾きを算出しても良い。
そこで、図9(B)から上述したゼロクロス位置を求めるとn=12.5となり、LED(12)とLED(13)に対応する光スポット照射位置の中間、すなわち12.5mmの位置に傷があると判定できる(図10(A)参照)。
次のステップS29では、定着ベルト61における傷の深さを推定するか否かが判断される。ここで、画像形成装置100の操作パネルを介して傷深さ推定モードをマニュアルでON/OFF(選択)できるようになっている。傷深さ推定モードがオンになっている場合に、ここでの判断が肯定され、ステップS31に移行する。一方、傷深さ推定モードがオフになっている場合に、ここでの判断が否定され、ステップS35に移行する。
傷の深さ(粗さ)が深い(粗い)ほど、反射光強度の変化が大きいと定性的に考えられるため、反射光強度の変化量を求めて、求められた変化量を傷の深さとすれば良い(図8(C)参照)。この場合、単純に検出結果R(n)の最小値を求め、該最小値を傷の深さとしても良いが、光学センサ200の取り付け状態、定着ベルト61の傾き等の要因により、検出結果R(n)に傾き成分が重畳されることもあるため、反射光強度の変化量を傷の深さとすることが好ましい。
ステップS31では、定着ベルト61における傷のない位置が特定される。傷のない位置は、検出結果R(n)の変動が小さい位置、すなわち微分値が0付近に集まる位置であるため、この位置を傷のない位置として特定する。すなわち、検出結果R(n)のXについての微分値から、傷のない位置を求めることができる(図10(A)参照)。
次のステップS33では、定着ベルト61の傷の深さを推定する。具体的には、傷のある位置での検出結果と、複数の傷のない位置での検出結果に基づいて、傷の深さを推定する。推定された傷の深さは、上記制御装置に送られる。
以下に、一例として、傷のある位置n0での検出結果R(n0)と、傷のない2つの位置n1、n2での検出結果R(n1)、R(n2)とに基づいて、反射光強度の変化量、すなわち傷の深さを求める方法を説明する。
先ず、検出結果R(n)に重畳される傾き成分を差し引くために、複数の傷のない位置での検出結果を結んだ近似直線上における傷のある位置での値(反射光強度)と、傷のある位置での検出結果との差を求める(図10(B)参照)。この差が傷の深さに相当する。
実際に、図9(A)及び図9(B)にそれぞれ示される検出結果及びその微分値に基づいて、反射光強度の変化量を求めてみる。
図10(A)には、図9(A)に示される検出結果から、傷の位置に対して微分値が小さい±20の範囲で複数点集まっている位置を求めた結果が示されている。図10(A)から、傷のない位置としてn=6、15を特定することができる。
そこで、傷のある位置n0=12.5と、傷のない位置n1=6、n2=15を抽出し、それぞれの検出結果R(n)を用いて、傷の深さ(粗さ)を算出することができる。図10(B)には、R(n1)とR(n2)とを結んだ直線が破線で示されており、傷の深さが破線矢印で示されている。ここでは、傷の深さは63.1である。反射光強度の変化の比率は、0.16(16%)である。この場合、定着ムラの発生を抑制するために、反射光強度の変化を相殺するように、例えば各感光体ドラムでのトナー付着量が調整されることが好ましい。
図10(B)から、破線で示される傾き成分に、傷の深さが重畳(関与)している様子が見て取れる。すなわち、傷の深さが大きくなるにつれ、反射光強度の変化が増加していく。
次のステップS35では、傷の幅を推定するか否かが判断される。ここで、画像形成装置100の操作パネル(不図示)を介して傷幅推定モードをマニュアルでON/OFF(選択)できるようになっている。傷幅推定モードがオンになっている場合に、ここでの判断が肯定され、ステップS37に移行する。一方、傷深さ推定モードがオフになっている場合に、ここでの判断が否定され、フローは終了する。
ステップS37では、傷の幅(X軸方向の幅)が推定される。具体的には、図10(B)において、n=12〜13でR(n)が一定であるため、傷の幅は、LED(12)とLED(13)の距離に等しいと推定できる。ステップS37が実行されると、フローは終了する。
なお、上記ステップS25での判断が否定された場合、光走査装置8は、通常どおり制御される。
また、上記ステップS29での判断が否定され、かつ上記ステップS35での判断が否定された場合、光走査装置8は、傷の位置に基づいて制御される。すなわち、上記制御装置がベルト表面状態検査装置300での検査結果に基づいて、露光装置としての光走査装置8を制御する。具体的には、光走査装置8の光源である半導体レーザの発光光量を、各感光体ドラム上での主走査方向の走査タイミング、すなわち主走査方向の位置に応じて調整する。
詳述すると、例えば、半導体レーザの発光光量を、定着ベルト61の傷がない位置に対応する走査タイミングでは通常の大きさとし、定着ベルト61の傷がある位置に対応する走査タイミングでは、通常よりも大きくする。この結果、各感光体ドラム上における定着ベルト61の傷がある位置に対応する位置での露光量(トナー付着量)が他の位置での露光量(トナー付着量)よりも大きくなり、結果として、定着装置6を介した記録紙Sには、トナー画像がムラなく定着される。すなわち、画像品質が向上される。
また、上記ステップS29での判断が肯定され、上記ステップS35での判断が否定された場合、光走査装置8は、傷の位置及び深さに基づいて制御される。具体的には、傷の深さが深いほど、半導体レーザの発光光量が大きくされる(トナー付着量が大きくされる)。すなわち、上述した傷深さ推定モードを選択していれば、傷の位置のみに基づいて光走査装置8が制御される場合に比べて、画像品質の更なる向上を図ることができる。
また、上記ステップS29での判断が肯定され、かつ上記ステップS35での判断が肯定された場合、傷の位置、深さ及び幅に基づいて光走査装置8が制御される。具体的には、傷の幅が大きいほど、半導体レーザの発光光量が大きくされる(トナー付着量が大きくされる)時間が長くされる。すなわち、上述した傷深さ推定モード及び傷幅推定モードを選択していれば、傷の位置及び深さにのみ基づいて光走査装置8が制御される場合に比べて、画像品質の更なる向上を図ることができる。
なお、上述した傷深さ推定モード及び傷幅推定モードは、例えば、要求される画像品質の水準、画像形成装置100の総印刷枚数等の使用状況、CPUの処理能力などに応じて、適宜選択されれば良い。
また、上述の如く、本実施形態では、定着ベルト61の、記録紙Sの幅方向一端部に対応する部位の表面での反射光強度を光学センサ200で検出し、その検出結果に基づいて光走査装置8を制御している。
ここで、記録紙Sの幅方向端面から発生する紙粉に起因する縦筋状の傷は、定着ベルト61における記録紙Sの幅方向両端に対応する部位に発生する。そこで、本実施形態では、定着ベルト61における記録紙Sの幅方向他端部に対応する部位の表面に関しても、その傷レベルが定着ベルト61における記録紙Sの幅方向一端部に対応する部位と同等であると見做して、光学センサ200での検出結果に基づいて光走査装置8を制御することとしている。
以上説明した本実施形態の画像形成装置100は、定着ローラ64を含む2つのローラと、該2つのローラに巻き掛けられている定着ベルト61と、該定着ベルト61における定着ローラ64に巻き掛けられている部位の表面に当接する加圧位置(当接位置)と該加圧位置から退避する退避位置との間で移動可能な加圧ローラ63とを含み、前記部位と加圧位置に位置する加圧ローラ63とで、トナー画像が転写(形成)された記録紙Sを狭持しつつ搬送して前記トナー画像を記録紙Sに定着させる定着装置6と、定着ベルト61における、前記2つのローラのうち定着ローラ64以外の他のローラ(加熱ローラ62)に巻き掛けられている部位の表面に光を照射し、その反射光を受光する光学センサ200と、を備えている。
この場合、加圧ローラ63を加圧位置と退避位置との間で移動させても、移動の前後で加熱ローラ62はほとんど変位しない。
この結果、光学センサ200と、定着ベルト61の加熱ローラ62に掛けられている部位(定着ベルト61の被検出部位、すなわち光学センサ200に対向する部位)との距離の変動が抑制され、精度の良い安定した検出結果を得ることができる。
結果として、画像形成装置100では、定着ベルト61の表面状態を安定して精度良く検出することができる。そして、得られた検出結果に基づいて、例えば光走査装置8を制御して、画像品質を安定して向上させることができる。
図11(A)及び図11(B)には、それぞれ加圧ローラ63が加圧位置及び退避位置に位置するときの、定着ベルト61の被検出部位と光学センサ200との距離の測定結果が示されている。
図11(A)及び図11(B)から分かるように、加圧ローラ63が加圧位置と退避位置との間で移動したときの、定着ベルト61の被検出部位と光学センサ200との距離の変動量は、0.06mmであり、光学センサ200による定着ベルト61の表面状態の検出精度に及ぼす影響は非常に小さかった。
図12(A)及び図12(B)には、それぞれ比較例の定着装置において、加圧ローラが退避位置及び当接位置に位置する状態が示されている。
この比較例は、光学センサの配置が本実施形態と異なる。すなわち、比較例の光学センサは、定着ベルトの、定着ローラに巻き掛けられている部位(被検出部位)に対向して配置され、該部位に光を照射し、その反射光を受光する。
この場合、加圧ローラを、定着ローラに当接する加圧位置と定着ローラから退避する退避位置との間で移動させると、移動の前後で定着ローラが大きく変位するため、定着ベルトの被検出部位と光学センサとの距離が大きく変動し、定着ベルトの表面状態を安定して精度良く検出することができない。
図13(A)及び図13(B)には、それぞれ比較例における加圧ローラが加圧位置及び退避位置に位置するときの、定着ベルトの被検出部位と光学センサとの距離の測定結果が示されている。
図13(A)及び図13(B)から分かるように、比較例において、加圧ローラが加圧位置と退避位置との間で移動したときの、定着ベルトの被検出部位と光学センサとの距離の変動量は、0.36mmであり、光学センサによる定着ベルトの表面状態の検出精度に及ぼす影響は大きかった。
なお、仮に定着ベルトの、定着ローラ及び加熱ローラのいずれにも巻き掛けられていない部位の表面状態を光学センサで検出すると、定着ベルトのばたつきの影響で検出結果(センサ出力)が大きく変動し、検出精度が大きく低下してしまう。
また、定着ベルト61の被検出部位に当接している加熱ローラ62は、金属製又は合金製であり、例えばシリコンゴムなどの弾性体に比べて熱膨張率が小さいため、温度が変化しても定着ベルト61の被検出部位と光学センサ200との距離はほとんど変動せず、光学センサ200による検出結果に及ぼす影響は小さい。この結果、定着ベルト61の加熱状態(温度)によらず、定着ベルト61の表面状態を安定して精度良く検出できる。
また、加熱ローラ62は、中空構造を有しているため、軽量化でき、かつ熱源Hを内蔵できる。
なお、例えばアルミニウムの線膨張係数は23×10−6/℃程度であるのに対し、シリコンゴムの線膨張係数は300×10−6/℃程度であり、アルミニウムの線膨張係数よりも10倍以上大きい。例えば、定着ローラの芯金が厚さ15mmのシリコンゴムなどの弾性体で覆われている場合、温度が100℃変わると0.45mm程度膨張し、その影響で定着ベルトの、定着ローラが巻きかけられた部位(被検出部位)での検出精度が低下してしまう。
なお、定着ベルトにもシリコンゴムが含まれている場合が多いが、定着ベルトの厚さは通常1mm以下であるため、定着ローラの芯金を覆うシリコンゴムの厚さである数mm〜数十mmに比べて格段に薄い。このため、温度変化に起因する定着ベルト61の変形量は極めて小さく、定着ベルト61の被検出位置と光学センサ200との距離の変動は極めて小さい。
さらに、定着ベルト61の被検出部位の裏面に当接している金属製又は合金製の加熱ローラ62が加熱されるため、定着ベルト61を確実に加熱することができる。
また、光学センサ200は、定着ベルト61の幅方向(主走査対応方向)の異なる位置に複数の光を照射し、それぞれの反射光を受光する。
この場合、定着ベルト61の主走査対応方向の複数位置での反射光強度を得ることができ、検出領域を広くすることができる。これに対し、通常のフォトセンサは1つの光を照射するポイント型センサであり、検出領域は狭く、定着ベルト61の傷を検出できないおそれがある。
さらに、光学センサ200は、小サイズ用紙である、例えばA4版サイズの記録紙S(縦通紙)の幅方向の端部近傍に対向しているため、その端部を含む検出領域を小さくできる。この結果、光学センサ200の小型化が可能となる。
すなわち、光学センサ200を定着ベルト61における例えばA4縦通紙の記録紙S(小サイズ用紙)の幅方向の端部近傍に対応する位置に対向させることにより、検出領域Aの主走査対応方向の長さを短くしても、該端部を検出領域Aに含ませることができる。この場合、検出領域Aを短くできるため、光学センサ200を特に主走査対応方向(X軸方向)に小型化することが可能となる。
なお、画像形成装置100では例えばA3サイズ、A4サイズ、A5サイズなど、複数サイズの用紙を使用することができる。一般には最大通紙できる用紙はA3縦通紙が多いため、ここでいう、小サイズ用紙としては、A3サイズを除くサイズの用紙が対象となる。なお、仮にA2縦通紙が可能な画像形成装置である場合には、A2サイズを除くサイズの用紙が対象となる。
また、画像形成装置100は、4つの感光体ドラムと、該4つの感光体ドラムに画像情報に応じて変調された光を照射して静電潜像を形成する光走査装置8(露光装置)と、前記静電潜像にトナーを付着させトナー画像を生成する現像装置と、前記トナー画像を記録紙Sに転写する転写装置71と、を更に備えている。
この場合、定着ベルト61に発生した傷に関する情報(例えば傷の位置、深さ及び幅)を考慮して各感光体ドラムに静電潜像を形成できるため、定着ベルト61の表面状態に関わらず、画像品質を安定して向上させることができる。
ところで、反射型光学センサの温度が上昇するとセンサの発光量が低下し、センサのSN比が低下して検出精度が低下する。通常、反射型光学センサの光源であるLEDの発光強度の温度係数は−0.7%/℃程度であるため、40℃の温度変化で発光強度が28%程度低下してしまう。
そこで、図14〜15(B)に示されるように、光学センサ200と定着ベルト61との間に熱遮蔽体400を配置しても良い。
熱遮蔽体400は、一例として、16(A)に示されるように、高耐熱性を有するエンジニアリングプラスチックからなる不透明な平板部材401と、該平板部材401における光学センサ200及び検出領域Aに対応する位置に形成された開口を塞ぐ透明なガラス板402とを含む。
平板部材401は、定着ベルト61からの熱が光学センサ200に直接伝わらないように遮蔽し、その伝熱を抑制する機能を有している。平板部材401は、一例として、光学センサ200と定着ベルト61との間にXZ平面に平行に配置されている。平板部材401のX軸方向の長さは、定着ベルト61の幅(主走査対応方向の幅)とほぼ同じか、若干長く設定されている。この結果、定着ベルト61全体からの光学センサ200への伝熱が抑制される。
なお、エンジニアリングプラスチックは通称エンプラと呼ばれ、特に耐熱性の高いスーパーエンプラを用いても良い。また、エンジニアリングプラスチックの代わりに例えば金属板を用いてもよい。
ガラス板402は、光学センサ200からの照射光、及び定着ベルト61からの反射光を通過させる通過部としての機能を有している。なお、ガラス板402の代わりに、透明な前述のエンプラを用いてもよい。
なお、図16(B)に示されるように、熱遮蔽体は、ガラス板402を有していなくても良い。すなわち、平板部材401の開口を塞がなくても良い(開放しても良い)。この場合、ガラス板やエンプラを用いる場合に比べて、伝熱を抑制する機能は若干低下する一方で、光を通過させる機能は若干増加する。
結果として、熱遮蔽体によって、光学センサ200の各LEDの温度上昇が抑えられ、該LEDの発光強度の低下が抑制され、ひいては検出精度の低下を防止できる。
また、熱遮蔽体は、ガラス板402の代わりに、平板部材401の開口を自動的に開閉するシャッタを有していても良い。具体的には、光学センサ200による検出を行うとき、シャッタを開口から外れた位置に位置させて開口を開放し、光学センサ200による検出を行わないとき、シャッタを開口を覆う位置に位置させて開口を閉塞させる。この結果、光学センサ200の温度上昇が抑制され、検出精度の低下が防止される。
また、図17(A)及び図17(B)に示されるように、定着ローラ64と加熱ローラ62とをZ軸方向に離間させて配置しても良い。このように、定着装置では、例えば設置箇所、設置スペース等に応じて、適宜、部材の配置を変更可能である。
また、図18(A)及び図18(B)に示されるように、定着ベルト61におけるテンションローラ65が掛けられている部位の表面での反射光強度を光学センサ200で検出しても良い。この場合、加圧ローラ63が加圧位置と退避位置との間で移動しても、定着ベルト61におけるテンションローラ65が掛けられている部位は、ほとんど変位しないため、検出精度の低下を防止できる。なお、ここでは、テンションローラ65は、定着ベルト61における定着ローラ64及び加熱ローラ62のいずれも巻き掛けられていない部位の裏面に外周面が当接(圧接)しており、定着ベルト61に所定の張力(テンション)を付与している。すなわち、定着ベルト61は、テンションローラ65に掛けられている。
また、図19(A)及び図19(B)に示されるように、一例として、加熱ローラ62を金属製又は合金製のローラとし、該ローラを、熱源としてのIHコイル68で加熱するようにしても良い。具体的には、IHコイル68に高周波電流を流し、ローラに渦電流を発生させることで、ジュール熱によりローラを加熱する。
また、光学センサの構成は、上記実施形態で説明した光学センサ200に限定されるものではない。定着ベルトの表面に少なくとも1つの光を照射でき、その反射光を受光できれば良い。
また、上記実施形態の光学センサは、複数のLEDと複数のPDが1対1に対応するアレイタイプであるが、これに限られない。例えば、レーザ光を偏向器で偏向し、定着ベルトの表面からの反射光を少なくとも1つのPDで受光する光偏向タイプであっても良いし、1つのLEDと1つのPDを含む光学センサを駆動手段により主走査対応方向に移動させるセンサ駆動タイプであっても良い。また、1つのLEDと1つのPDを含む光学センサを少なくともX軸方向(主走査対応方向)の位置が異なるように複数設けても良い。
また、上記実施形態の光学センサは、複数のLEDに対応する複数のPDを有しているが、複数のLEDに対応する複数の受光領域を含む1つのPDを有していても良い。
また、上記実施形態では、光学センサ200は定着ベルト61における記録紙Sの幅方向の一端部(−X側の端部)に対応する位置に対向する位置に1つ配置されているが、これに限られない。例えば2つの光学センサ200を定着ベルト61における記録紙Sの幅方向の一端部(−X側の端部)及び他端部(+X側の端部)に対応する位置に対向する位置に個別に配置しても良い。この場合、定着ベルト61のおける記録紙Sの幅方向の一端部及び他端部に対応する部位の表面での反射光強度を個別に検出でき、それぞれに対して精度が良い検出結果を得ることができ、画像品質の更なる向上を図ることができる。また、少なくとも1つの光学センサを記録紙Sの幅方向中間部に対応する位置に配置しても良い。
また、上記実施形態では、複数のLED211は、主走査対応方向(X軸方向)に配列されているが、これに限らず、要は、少なくとも主走査対応方向に離間して配置されていれば良い。すなわち、複数のLEDは、副走査対応方向(Z軸方向)の位置が互いにずれていても良い(例えば千鳥状の配列)。この場合も、複数のPDの配置を複数のLEDの配置に対応させることが好ましい。
また、上記実施形態では、露光装置として、光走査装置8を採用しているが、これに代えて、例えば、少なくともX軸方向(定着ベルトの幅方向)の位置が互いに異なるように配列された複数の発光部(例えばLED)を含む光プリントヘッドを採用しても良い。この場合、光学センサ200での検出結果に基づいて、定着ベルトにおける傷のある位置でのトナー付着力が傷のない位置でのトナー付着量よりも大きくなるように少なくとも1つの発光部の発光光量を調整しても良い。
また、上記実施形態では、定着ベルト61が、ハロゲンヒータを内蔵する加熱ローラ62によって加熱されているが、これに代えて又は加えて、加圧ローラを例えばIHコイル等の熱源で加熱しても良い。この場合、IHコイル等の熱源は、加圧ローラを介して定着ベルト61を加熱する。この場合、加圧ローラは、金属製又は合金製のローラであることが好ましい。また、加圧ローラを中空構造とし、内部空間に例えばハロゲンヒータ等を配置しても良い。
また、上記実施形態では、定着ベルト61が、ハロゲンヒータを内蔵する加熱ローラ62によって加熱されているが、これに代えて又は加えて、テンションローラを例えばIHコイル等の熱源で加熱しても良い。この場合、IHコイル等の熱源は、テンションローラを介して定着ベルト61を加熱する。なお、テンションローラは、金属製又は合金製のローラであることが好ましい。また、テンションローラを中空構造とし、内部空間に例えばハロゲンヒータ等を配置しても良い。
また、各ローラのローラ部(芯金の周囲に設けられた部分)の材質は、上記実施形態で説明したものに限定されない。例えば、定着ローラのローラ部は、金属又は合金であっても良い。この場合、定着ローラを加熱しても良い。また、加圧ローラのローラ部は、金属又は合金であっても良い。この場合、加圧ローラを加熱しても良い。なお、定着ローラ及び加圧ローラの少なくとも一方を加熱する場合、加熱ローラに代えて、加熱されないローラを用いても良い。また、定着ローラ及び加圧ローラの一方のローラ部は、弾性体からなることが好ましい。
また、例えば、テンションローラを例えばハロゲンヒータ、IHコイル等の熱源で加熱しても良い。この場合、テンションローラは、金属製又は合金製のローラであることが好ましい。
また、上記実施形態では、定着ベルトは、3つのローラ(定着ローラ、加圧ローラ及びテンションローラ)に掛けられているが、これに限らず、例えば2つのローラ、又は4つ以上のローラに掛けられていても良い。そして、いずれの場合でも、少なくとも1つのローラを金属製又は合金製として、加熱することが好ましい。
また、上記実施形態では、定着ローラ64が回転駆動されているが、これに限らず、例えば加熱ローラが回転駆動されても良い。
また、上記実施形態では、図7のフローチャートにおいて、ステップS29での判断が否定された場合に、フローを終了させても良い。
また、上記実施形態では、図7のフローチャートにおけるステップS35、ステップS37を行わなくても良い。
また、上記実施形態では、図7のフローチャートにおけるステップS29〜ステップS33を行わなくても良い。
また、上記実施形態では、画像形成装置に定着ベルトの表面を研磨する研磨装置を設けても良い。この場合、研磨装置で定着ベルトの表面をフラットに研磨することで、定着ベルトの表面に発生した傷の影響を低減することができる。そこで、光学センサ200での検出結果に基づいて、研磨装置による研磨位置、研磨時間、研磨力の調整を行うことで、定着ベルトの表面をよりフラットに研磨することができ、定着ムラの発生を抑制でき、ひいては画像品質の向上を図ることができる。
また、上記実施形態では、光学センサ200の検出結果に基づいて、露光装置としての光走査装置8を制御しているが、これに限らず、定着ベルト61における傷のある位置でのトナー付着量が傷のない位置でのトナー付着量よりも大きくなるように、例えば現像装置による現像バイアス、転写装置71による転写電位、帯電装置による帯電電位等を制御しても良い。
また、上記実施形態では、各感光体ドラムに形成された潜像を、転写ベルト11を介して記録紙Sに転写することとしているが、記録紙Sに直接転写することとしても良い。
また、上記実施形態では、光走査装置8は、光源として半導体レーザを有しているが、例えば面発光レーザ等の他のレーザを有していても良い。
また、上記実施形態では、画像形成装置が4つの感光体ドラムを有する場合について説明したが、これに限定されるものではない。具体的には、画像形成装置は、例えば5つ以上の感光体ドラムを有するカラープリンタであっても良いし、例えば1つの感光体ドラムを有するモノクロプリンタであっても良い。
また、上記実施形態では、画像形成装置としてカラープリンタの場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、光プロッタやデジタル複写装置であっても良い。