JP2014226811A - インクジェット記録装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】記録ヘッドの温度をより適正な温度に維持するとともに、インクの吐出を良好に行う。
【解決手段】複数のノズルNを有する記録ヘッド241と、インクを貯留する貯留部(第1貯留部242、第2貯留部243)と、第1貯留部242からのインクが流れる第1供給路3011と、第1供給路3011のインクを記録ヘッド241に導く第2供給路3012と、これらの各々の温度を変化させる複数の加熱部401〜405と、当該各々の温度を検知する検知部411〜415と、加熱部401〜405の各々の動作を制御する制御部40と、を備え、貯留部の設定温度は、記録ヘッド241の設定温度よりも高く、第1供給路3011の設定温度及び第2供給路3012の設定温度は、記録ヘッド241の設定温度よりも低く、かつ、第2供給路3012の設定温度は、第1供給路3011の設定温度よりも高い。
【選択図】図8

Description

本発明は、インクジェット記録装置に関する。
従来、温度により粘度が変化するインクを用いるインクジェット記録装置が知られている(例えば、特許文献1)。係るインクは、インクジェット記録装置のノズルからの吐出時には相対的に高温に加熱されることで低粘度の液状となって吐出される。また、ノズルから吐出されたインクの液滴は、記録媒体に付着後速やかに冷却されることで高粘度化する。これにより、吐出時に求められるインクの流動性と、記録媒体への付着後に要求されるインクの高粘度とが両立されている。
特開平2−265756号公報
近年、画像形成の高速化や画像の高精細化等、インクジェット記録装置の性能に係るさらなる要求に応じるため、ノズルからインクを吐出する記録ヘッドの駆動速度のさらなる高速化が求められている。
しかしながら、記録ヘッドは、駆動に伴い発熱する。このため、流動性の確保のために加熱されたインクが供給された状態で記録ヘッドが駆動すると、図20に示すように、記録ヘッドが過熱状態になる問題点があった。記録ヘッドが過熱状態になると、記録ヘッドに設けられた回路等に異常が生じて記録ヘッドの動作が停止することがある等の問題が生じることから、従来のインクジェット記録装置を高速駆動することは困難であった。
仮に、記録ヘッドを冷却するための冷却部を設けたならば、記録ヘッドの過熱を防ぐことは可能である。しかしながら、単に冷却部を設けて記録ヘッドを冷却すると、図21に示すように、記録ヘッドの温度が下がりすぎてしまう。インクの温度が下がりすぎると、インクは高粘度となって流動性が低下することから、記録ヘッド内に存するインクが吐出に適さない状態となり、記録ヘッドからのインクの吐出が妨げられることとなる。よって、冷却部を設ける場合、インクの吐出に適した温度の維持と、記録ヘッドを過熱状態としないための温度の維持との両立を図るため、極めて厳密な冷却力の調整が必要となる。しかしながら、そのような冷却力の調整は困難であった。
本発明は、記録ヘッドの温度をより適正な温度に維持するとともに、インクの吐出を良好に行うことができるインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、温度によってゲル状又は固体状と液状とに相変化するインクを用いるインクジェット記録装置であって、前記液状となった前記インクを吐出する複数のノズルを有する記録ヘッドと、前記インクを貯留する貯留部と、前記貯留部に接続されて前記貯留部から前記記録ヘッドに供給されるインクが流れる第1供給路と、前記第1供給路と前記記録ヘッドとを接続するよう設けられて前記第1供給路のインクを前記記録ヘッドに導く第2供給路と、前記記録ヘッド、前記貯留部、前記第1供給路及び前記第2供給路の各々に個別に設けられて、前記記録ヘッド、前記貯留部、前記第1供給路及び前記第2供給路の温度を変化させる複数の温度変化部と、前記記録ヘッド、前記貯留部、前記第1供給路及び前記第2供給路の各々の温度を検知する検知部と、前記検知部による検知結果に基づいて、前記記録ヘッド、前記貯留部、前記第1供給路及び前記第2供給路の各々の温度を、前記インクが液状となる温度であって、かつ、各々に設定された設定温度とするように、前記複数の温度変化部の各々の動作を制御する制御部と、を備え、前記貯留部の設定温度は、前記記録ヘッドの設定温度よりも高く、前記第1供給路の設定温度及び前記第2供給路の設定温度は、前記記録ヘッドの設定温度よりも低く、かつ、前記第2供給路の設定温度は、前記第1供給路の設定温度よりも高いことを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のインクジェット記録装置であって、前記記録ヘッドの前記複数のノズルから吐出されたインクの量を計測する計測部を備え、前記制御部は、所定の単位時間内で前記計測部により計測されたインクの量が所定量より多い場合、前記第2供給路の設定温度を下げるよう制御することを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のインクジェット記録装置であって、前記記録ヘッドの前記複数のノズルから吐出されたインクの量を計測する計測部を備え、前記制御部は、所定の単位時間内で前記計測部により計測されたインクの量が所定量より多い場合、前記貯留部の設定温度を上げるよう制御することを特徴とする。
本発明によれば、記録ヘッドの温度をより適正な温度に維持するとともに、インクの吐出を良好に行うことができる。
本発明の一実施形態であるインクジェット記録装置の主要構成を示す図である。 画像形成ドラムの斜視図である。 ヘッドユニットの構成の一例を示す図である。図3(a)は、ヘッドユニットを側方から見た場合のヘッドユニットの内部構成の概略断面図である。図3(b)は、ヘッドユニットを上方から見た場合のヘッドユニットの内部構成の概略図である。 画像形成ドラムとクリーニング部との位置関係及びヘッドユニットの移動前後の位置を示す斜視図である。 インクの温度上昇及び下降に伴うインクの粘度の変化ならびに第1温度及び第2温度の例を示すグラフである。 記録ヘッドの側面図である。 X方向に直交する平面に沿った下部流路部の断面図である。 インク吐出機構の主要構成及びインク吐出機構の各部間の接続を示す概要図である。 第1供給路、第2供給路等の構造の一例を示す図である。 インクジェット記録装置のブロック図である。 実施例における記録ヘッド内のインクの温度の測定結果の一例を示すグラフである。 加熱部の動作制御の流れの一例を示すフローチャートである。 加熱部の動作制御の流れの一例を示すフローチャートである。 吐出メンテナンス時の各部の開閉及びインクの流れを示す図である。 還流メンテナンス時の各部の開閉及びインクの流れを示す図である。 メンテナンスに係る動作制御の流れの一例を示すフローチャートである。 計測部をさらに備えたインクジェット記録装置のブロック図である。 回収路が単一の経路である例を示す図である。 一つの第1貯留部に複数の記録ヘッドが接続される場合の第1供給路、第2供給路の構造の一例を示す図である。 記録ヘッドが過熱状態となる場合の温度変化の一例を示すグラフである。 記録ヘッドの温度が下がりすぎる場合の温度変化の一例を示すグラフである。
以下に、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
図1は、本発明の一実施形態であるインクジェット記録装置1の主要構成を示す図である。
インクジェット記録装置1は、給紙部10、画像形成部20、排紙部30及び制御部40(図10参照)を備える。インクジェット記録装置1は、制御部40の制御下で、給紙部10に格納された記録媒体Pを画像形成部20に搬送し、画像形成部20で記録媒体Pに画像を形成し、画像が形成された記録媒体を排紙部30に排紙する。
給紙部10は、記録媒体Pを格納する給紙トレー11と、給紙トレー11から画像形成部20へ記録媒体Pを搬送する搬送部12とを有する。
給紙トレー11は、一又は複数の記録媒体Pを載置可能に設けられた板状の部材である。給紙トレー11は、給紙トレー11に載置された記録媒体Pの量に応じて上下動するよう設けられており、当該上下動方向について、最上の記録媒体Pが搬送部12により搬送される位置で保持される。
搬送部12は、内側が複数(例えば、2本)のローラー121、122により担持された輪状のベルト123を駆動してベルト123上の記録媒体Pを搬送する搬送機構や、給紙トレー11上に載置された最上の記録媒体Pをベルト123上に受け渡す供給部を有する。搬送部12は、供給部によりベルト123上に受け渡された記録媒体Pをベルト123に沿わせるように搬送する。
画像形成部20は、円筒状の外周面に沿って記録媒体Pを担持する画像形成ドラム21、給紙部10の搬送部12により搬送された記録媒体を画像形成ドラム21に受け渡す受け渡しユニット22、画像形成ドラム21に担持された記録媒体Pを加熱する用紙加熱部23、画像形成ドラム21に担持された記録媒体Pにインクを吐出して画像を形成するヘッドユニット24、記録媒体P上に吐出されたインクを硬化させるためのエネルギー線を照射する照射部25、照射部25の照射を受けた記録媒体Pを画像形成ドラム21から排紙部30に搬送するデリバリー部26、ヘッドユニット24のメンテナンス時にヘッドユニット24から吐出されるインクを受けるクリーニング部27(図4参照)等を有する。
図2は、画像形成ドラム21の斜視図である。
画像形成ドラム21は、その外周面上で記録媒体Pを担持するための爪部211及び吸気部212を備える。
爪部211は、図2に示すように、画像形成ドラム21の外周面上の所定位置において円筒状の画像形成ドラム21の回転軸方向(X方向)に沿って設けられた複数の爪を有する。爪部211は、画像形成ドラム21の外周面と協働して記録媒体Pの一辺の近傍を挟み込んで担持する。
吸気部212は、図2に示すように、爪部211によって一辺の近傍が担持された記録媒体Pが沿う画像形成ドラム21の外周面上に設けられた複数の吸気孔と、当該吸気孔を介して画像形成ドラム21内に気体を吸引するように吸引力を生じさせる図示しない吸引力発生部(例えば、空気ポンプやファン等)を有する。即ち、吸気部212は、吸気孔からの吸気により生じる吸引力により、記録媒体Pを画像形成ドラム21の外周面に沿わせるように吸い寄せる。
なお、図2及び後述する図4では、記録媒体Pの一部が画像形成ドラム21の外周面からめくり上がっているが、これは吸気孔を図示することを目的としたものであり、画像形成部20による画像形成時には記録媒体Pの全体が画像形成ドラム21の外周面上に沿うよう担持される。
受け渡しユニット22は、給紙部10の搬送部12と画像形成ドラム21との間に介在する位置に設けられる。受け渡しユニット22は、搬送部12により搬送された記録媒体Pの一端を担持するスイングアーム部221や、スイングアーム部221に担持された記録媒体Pを画像形成ドラム21に受け渡す円筒状の受け渡しドラム222等を有し、搬送部12上の記録媒体Pをスイングアーム部221により取り上げて受け渡しドラム222に受け渡すことで記録媒体Pを画像形成ドラム21の外周面に沿う向きに誘導して画像形成ドラム21に受け渡す。
用紙加熱部23は、例えば、赤外線ヒータ等を有し、通電に応じて発熱する。用紙加熱部23は、画像形成ドラム21の外周面の近傍であって、画像形成ドラム21の回転による記録媒体Pの搬送方向Yについてヘッドユニット24の上流側に位置するよう設けられる。用紙加熱部23は、画像形成ドラム21に担持されて用紙加熱部23の近傍を通過する記録媒体Pが所定の温度となるようにその発熱を制御部40により制御される。
また、用紙加熱部23の近傍には図示しない温度センサーが設けられている。制御部40は、温度センサーにより検知された用紙加熱部23付近の温度に基づいて、画像形成ドラム21に担持されて用紙加熱部23の近傍を通過する記録媒体Pが所定の温度となるよう用紙加熱部23の動作を制御する。
図3は、ヘッドユニット24の内部構成を示す図である。図3(a)は、ヘッドユニット24を側方から見た場合の内部構成の概略断面図である。図3(b)は、ヘッドユニット24を上方から見た場合の内部構成の概略図である。なお、ここでいう上方とは、画像形成ドラム21の外周面と対向するヘッドユニット24の一面(下面)側をヘッドユニット24の下方とした場合の上方である。また、側方から見た場合とは、記録媒体Pの搬送方向側から見た一側面を正面としてヘッドユニット24を見た場合をさす。
ヘッドユニット24は、画像形成ドラム21に対して所定の距離を置いて画像形成ドラム21の外周面に沿うよう配置される。
また、図3(a)、図3(b)に示すように、ヘッドユニット24は、複数の記録ヘッド241を有する。複数の記録ヘッド241は、ヘッドユニット24の基部246に取り付けられている。
記録ヘッド241は、それぞれが複数のノズルN(図7参照)を有する。記録ヘッド241は、複数のノズルNからインクを吐出し、画像形成ドラム21に担持された記録媒体Pに画像を形成する。即ち、記録ヘッド241は、複数のノズルNがヘッドユニットの下面側に露出するよう設けられる。記録ヘッド241は、例えば、X方向に沿うノズルNの列が二列設けられた配置の複数のノズルNを有する。
複数の記録ヘッド241は、例えば、図3(b)に示すように、二つの記録ヘッド241を一組とし、記録ヘッド241の各組がX方向に沿って複数設けられた記録ヘッド241の列をなすよう配置されている。さらに、記録ヘッド241の列は複数設けられ、隣接する列の記録ヘッド241の組どうしの位置関係がX方向に直交する方向について千鳥状となるように配置されている。
図4は、画像形成ドラム21とクリーニング部27との位置関係及びヘッドユニット24の移動前後の位置を示す斜視図である。
ヘッドユニット24は、それぞれがX方向に沿って個別に移動可能に設けられている。具体的には、ヘッドユニット24は、図4に示すように、X方向に沿って並ぶように設けられた画像形成ドラム21とクリーニング部27の間の位置を移動可能に設けられている。ヘッドユニット24は、制御部40の制御下で、画像形成の際に、下面が画像形成ドラム21と対向する位置に移動し、後述する各種のメンテナンスの際に、下面がクリーニング部27と対向する位置に移動する。ヘッドユニット24の移動は、後述するキャリッジ制御部245による。
また、ヘッドユニット24は、画像形成に用いられる各色(CMYK)について個別に設けられる。図1、図4に示すインクジェット記録装置1には、画像形成ドラム21の回転に伴い搬送される記録媒体Pの搬送方向に沿って、上流から、Y、M、C、Kの色の順に、各色に対応したヘッドユニット24が設けられている。
また、図4に示すように、ヘッドユニット24のX方向の幅は、画像形成ドラム21により担持、搬送される記録媒体PのX方向の幅を十分カバーできるように設けられており、画像形成に際してヘッドユニット24は画像形成ドラム21に対して位置が固定される。即ち、インクジェット記録装置1は、ワンパス方式のインクジェット記録装置であり、ヘッドユニット24は、X方向に沿って並んで配置された複数の記録ヘッド241による複数のノズルNが、画像形成の際に記録ヘッド241と記録媒体Pとが相対的に移動する方向に直交する方向(X方向)について、記録媒体Pの最大幅に応じた数となるよう設けられる。
また、記録ヘッド241は、加熱部401を備える。
加熱部401は、例えば、マニホールド504の側面に設けられ、制御部40の制御下で動作する。
ここで、インクについて説明する。
インクジェット記録装置1による画像形成に用いられるインクは、温度によってゲル状又は固体状と液状とに相変化する性質を有する。
具体的には、インクは、温度によって固体状(ゲル状)又は液状となるように相変化する。このようなインクの組成として、例えば、重合性化合物と光重合開始剤を主とした組成物に数%のゲル化剤を添加したものが挙げられる。
ここで、インクの製法例を開示する。
まず、ソルスパーズ32000(ルーブリゾール社製)5部と、HD−N(1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、新中村化学社製)80部との2種の化合物をステンレスビーカーに入れて加熱撹拌しながら溶解させる。その後、室温まで冷却した後これにカーボンブラック(#56、三菱化学社製)15部を加え、0.5mmのジルコニアビーズと共にガラス瓶に入れ密栓し、ペイントシェーカーにて10時間分散処理した後、ジルコニアビーズを除去したものを顔料分散体として得る。
以上のようにして得られた顔料分散体を含めて、表1から表6に示す例のように組成物を調整する。
Figure 2014226811
Figure 2014226811
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Figure 2014226811
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Figure 2014226811
そして、表1から表6に示す組成物に対してADVATEC社製テフロン(登録商標)3[μm]メンブランフィルタで濾過を行った濾過後の組成物をインクとして得る。
図5に、インクの温度上昇及び下降に伴うインクの粘度の変化ならびに第1温度及び第2温度の例を示す。図5に示す線L1は温度上昇時におけるインクの粘度の変化例を示し、線L2は温度下降時におけるインクの粘度の変化例を示す。
図5に示すグラフは、例えば、温度変化に伴うインクの動的粘弾性の変化をレオメーターにより測定することで求められる。具体的には、インクを所定のせん断速度(例えば、11.7[1/秒])及び所定の温度変化の度合い(例えば、0.1[℃/秒])の条件下で10℃から90℃まで上昇させ、その後、10℃まで下降させた場合におけるインクの動的粘弾性の変化曲線を得ることで、図5に示すようなグラフが得られる。
図5に示すように、線L1により示される温度上昇時のインクの粘度の変化曲線と、線L2により示される温度下降時のインクの粘度の変化曲線は異なる。具体的には、図5に示すグラフにおけるインクの場合、温度上昇時において、インクの温度が60[℃]以上であれば、インクの粘度は、100[mPa秒]を下回る。一方、温度下降時にインクの粘度が100[mPa秒]を上回るのは、45[℃]未満まで温度が低下した場合である。ここで、60[℃]を第1温度(図5に示すT1)とし、45[℃]を第2温度(図5に示すT2)とした場合、インクは、温度上昇時に、第1温度以上で粘度が100[mPa秒]を下回って液状となる。また、インクは、温度下降時に、第2温度未満で粘度が100[mPa秒]を上回ってゲル状となり、さらに温度が下降することで固体状となる。言い換えれば、温度下降時に、第2温度以上であれば、インクは、ゲル化せず、温度上昇時に液化した状態のままである。
このように、本発明に係るインクは、第1温度以上になることで液状となり、液状となった後に第1温度より低い第2温度未満になることでゲル状又は固体状となるインクである。なお、図5に示すグラフのようなインクの粘度の変化例や、温度と粘度変化の対応関係についてはあくまで一例であるが、本発明にて用いられるインクは、それぞれ第1温度及び第2温度に対応する温度の差こそあれど、第1温度以上になることで液状となり、液状となった後に第1温度より低い第2温度未満になることでゲル状又は固体状となるインクである。
また、液状、ゲル状又は固体状の相変化が起きる温度付近の温度変化であるか否かに関わり無く、インクは、基本的に、温度が高いほど粘性が低下する性質を有する。このことから、加熱されて液状となったインクが液状で維持される温度以上(第2温度以上)という最低限の要件に囚われず、記録ヘッド241内のインクの温度を、より高い温度(第1温度以上)で維持することで、記録ヘッド241は、より良好にインクを吐出することができることとなる。
しかしながら、記録ヘッド241の温度が上がりすぎて過熱状態になると、記録ヘッド241の動作に係る問題が生じる。また、上記の表1〜表6により例示されているような組成のインクは、温度が高すぎると、熱重合等の化学変化を生じ、想定されたインクの性能を発揮することが困難となる。この観点から、本実施形態における記録ヘッド241及びインクの温度は、100[℃]以下の温度で管理されることが望ましい。言い換えれば、第1温度には、その上限となる温度(上限温度)がある。上限温度は、記録ヘッド241からのインクの吐出における記録ヘッド241の機械的な動作及びインクの特性について、過熱による問題が生じない範囲内の最高温度(例えば、100[℃])である。
なお、後述する貯留部、供給路301、回収路302についても同様に上限温度は、貯留部、供給路301、回収路302の機能やインクの特性について、過熱による問題が生じない範囲内の最高温度(例えば、100[℃])に管理されることが望ましい。
インクは、ヘッドユニット24内の第1貯留部242、第2貯留部243等に貯留される。第1貯留部242、第2貯留部243から記録ヘッド241にインクを供給する仕組みについては後述する。以下、単に「貯留部」と記載した場合、特筆しない限り、第1貯留部242及び第2貯留部243の両方をさす。
照射部25は、例えば、低圧水銀ランプ等の蛍光管を有し、当該蛍光管の発光により紫外線等のエネルギー線を照射する。照射部25は、画像形成ドラム21の外周面の近傍であって、画像形成ドラム21の回転による記録媒体Pの搬送方向についてヘッドユニット24の下流側に位置するよう設けられる。照射部25は、画像形成ドラム21に担持されてインクが吐出された記録媒体Pに対してエネルギー線を照射して当該エネルギー線の作用により記録媒体P上のインクを硬化させる。
なお、紫外線を発する蛍光管は低圧水銀ランプに限らず、数百[Pa]〜1メガ[Pa]程度の動作圧力を有する水銀ランプ、殺菌灯として利用可能な光源、冷陰極管、紫外線レーザー光源、メタルハライドランプ、発光ダイオード等が挙げられるが、紫外線をより高照度で照射可能であって省電力な光源(例えば、発光ダイオード等)であることが望ましい。また、エネルギー線は紫外線に限らず、インクの性質に応じてインクを硬化させる性質を有するエネルギー線であればよく、光源もエネルギー線に応じて置換される。
デリバリー部26は、内側が複数(例えば、2本)のローラー261、262により担持された輪状のベルト263を駆動してベルト263上の記録媒体Pを搬送する搬送機構や、記録媒体Pを画像形成ドラム21から当該搬送機構に受け渡す円筒状の受け渡しドラム264等を有する。デリバリー部26は、受け渡しドラム264によりベルト263上に受け渡された記録媒体Pをベルト263に沿わせるように搬送して排紙部30に送り出す。
クリーニング部27は、メンテナンスの際にヘッドユニット24から吐出されたインクを受け止めて貯留する図示しない廃インク部等を有し、メンテナンスの際にヘッドユニット24から吐出されたインクにより画像形成部20内が汚損されることを防止する。
排紙部30は、デリバリー部26により画像形成部20から送り出された記録媒体Pが載置される板状の排紙トレー31等を有し、画像形成後の記録媒体Pがユーザーにより取り出されるまで格納する。
次に、インク吐出機構300及びインク吐出機構に係る各構成について説明する。ここで、インク吐出機構300とは、記録ヘッド241の複数のノズルNからインクを吐出させる動作に係る機構をさし、記録ヘッド241にインクを供給する仕組みを含む。
図6は、記録ヘッド241の側面図である。ここでいう側面とは、上記のヘッドユニット24の一側面に沿う面である。
記録ヘッド241は、図6に示すように、記録ヘッド241から吐出されるインクが流れる上部流路部2412及び下部流路部2413、上部流路部2412及び下部流路部2413に供給されるインクが流れ込む供給口2414、上部流路部2412から第2貯留部243に還流されるインクが流れる排出口2415、下部流路部2413から第2貯留部243に還流されるインクが流れるバイパス部2416等を有する。
上部流路部2412は、供給口2414を介して流れ込むインクをフィルターを介して下部流路部2413に案内する。供給口2414から供給されたインクは、上部流路部2412、下部流路部2413内の流路を流れて複数のノズルNに達する。
供給口2414と排出口2415は連続したインクの流路となっている。即ち、上部流路部2412に流れるインクは、複数のノズルNに限らず、排出口2415側に流れ出ることもできる。また、下部流路部2413は、その内側に設けられた共通流路(後述)が、バイパス部2416に接続されている。即ち、下部流路部2413に流れるインクは、複数のノズルNに限らず、バイパス部2416側に流れ出ることもできる。
また、記録ヘッド241は、記録ヘッド制御部2419(図10参照)を有する。記録ヘッド制御部2419は、例えば、上部流路部2412の上方に位置する筐体B内に設けられ、制御部40の制御下で各チャネルC(図7参照)の動作を制御する。
図7は、X方向に直交する平面に沿った下部流路部2413の断面図である。
記録ヘッド241の下部流路部2413は、アルミニウム等の金属を素材とするホルダー502の内部に、インクを吐出するためのアクチュエーターであるインクジェットヘッドチップ501を有する。ホルダー502は、例えば、図7に示すように、インクジェットヘッドチップ501の側面に設けられたカバー基板503等と当接してインクジェットヘッドチップ501を支持している。
カバー基板503には、各チャネルCと連通する開口503aが設けられている。当該開口503aは、カバー基板503が設けられた側面の外側かつホルダー502の内側において、マニホールド504に被われている。マニホールド504は、X方向に沿って設けられた複数の開口503aを接続するように連続するインクの共通流路を形成している。また、図示しないが、マニホールド504は、上部流路部2412まで延設されており、上部流路部2412と共通流路との間でフィルターにより仕切られている。即ち、共通流路は、フィルター及び上部流路部2412を介して供給口2414及び排出口2415と連通している。一方、バイパス部2416は、フィルター及び上部流路部2412を介さずに共通流路に接続されている。即ち、バイパス部2416にインクが流れる場合、供給口2414から供給されたインクは、上部流路部2412、フィルター、共通流路を流れてバイパス部2416に至る。
インクジェットヘッドチップ501は、その下面に取り付けられたノズルプレート505に設けられた複数のノズルNに連通するチャネルCと、チャネルCに対して圧力を加えるよう動作する図示しない隔壁とがX方向に沿って交互に設けられたチャネル列を複数有している。
ホルダー502の上方には、合成樹脂を素材とする筐体Bが接続されている。筐体Bは、記録ヘッド制御部2419を構成する回路等が配置された駆動基板が設けられている。当該駆動基板とインクジェットヘッドチップ501は、フレキシブルプリント基板(Flexible printed circuits:FPC)506を介して電気的に接続されている。
隔壁は、分極処理された圧電素子によって形成されている。隔壁は、その両面に形成された電極に対してFPC506を介して記録ヘッド制御部2419から出力された駆動波形が印加されると、当該駆動波形に応じてチャネルCを膨張または収縮させるように変形する。これにより、チャネルC内のインクに対して吐出のための圧力が加えられ、ノズルNからインクが吐出される。
駆動波形の印加に応じ、隔壁を含み、チャネルCを構成する各部材が発熱する。また、筐体B内に設けられた駆動基板上の回路等も発熱する。これらの部材を含み、記録ヘッド241で生じた熱は、ホルダー502を介して基部246に伝達される。図7に示すように、記録ヘッド241は、ホルダー502が基部246にはめ込まれるように保持されることで、基部246に取り付けられている。ここで、ホルダー502と基部246とは当接していることから、ホルダー502に伝達された記録ヘッド241の各部の熱は、基部246に伝達されることとなる。
図8は、インク吐出機構300の主要構成及びインク吐出機構300の各部間の接続を示す概要図である。なお、図8等において、インクの通路となる各経路を破線等により示しているが、これらの記載による各経路の具体的な構成はインク又は空気を導通する経路である。
図8に示すように、第1貯留部242と記録ヘッド241の供給口2414は、供給路301を介して接続されている。
供給路301は、第1供給路3011及び第2供給路3012からなる。なお、図8等では、第1供給路3011を実線で示し、第2供給路3012を一点破線で示している。
図9は、第1供給路3011、第2供給路3012等の構造の一例を示す図である。
第1供給路3011は、一方が貯留部(第1貯留部242)に接続される。また、第1供給路3011は、他方が第2供給路3012に接続される。即ち、第1供給路3011には、貯留部(第1貯留部242)から記録ヘッド241に供給されるインクが流れる。
第2供給路3012は、第1供給路3011と記録ヘッド241とを接続するよう設けられる。具体的には、第2供給路3012は、一方が第1供給路3011に接続される。また、第2供給路3012は、他方が記録ヘッド241の供給口2414に接続される。
第1貯留部242から記録ヘッドに供給されるインクは、第1供給路3011を流れて、第2供給路3012により記録ヘッド241に導かれる。
第1供給路3011と第2供給路3012は、貯留部(第1貯留部242)と記録ヘッド241との間の所定位置で接続される。当該所定位置は、例えば、供給路301におけるインクの経路の曲がり角となる屈曲部である。
また、第2貯留部243と記録ヘッド241は、回収路302を介して接続されている。
具体的には、回収路302は、例えば、記録ヘッド241の排出口2415に接続された第1回収路3021と、記録ヘッド241のバイパス部2416に接続された第2回収路3022と、第1回収路3021と第2回収路3022の2本の回収路が合流するように形成されて第2貯留部243に接続された共通回収路3023と、を有する。
第1貯留部242と第2貯留部243は、ポンプP1が設けられた経路303を介して接続されている。ポンプP1は、第2貯留部243に貯留されたインクを第1貯留部242に供給する。ポンプP1は、例えば、ダイヤフラムポンプなどの容積型のポンプやチューブポンプ等を用いることができる。ポンプP1は、制御部40の制御下で動作する。
また、第2貯留部243には、インクタンク244が接続されている。インクタンク244は、第2貯留部243に供給されるインクを貯留する。第2貯留部243とインクタンク244は、図示しないポンプと接続された経路304を介して接続されており、制御部40の制御下で、ポンプの動作に応じてインクタンク244から第2貯留部243にインクが供給される。
また、第1貯留部242は、加熱部402を備える。また、第2貯留部243は、加熱部403を備える。図8では図示を省略しているが、加熱部402や、加熱部403は、例えば、容器の外周面に当接するよう設けられている。
また、経路304の一部は、基部246に設けられている。
具体的には、基部246は、例えば、記録ヘッド241が取り付けられる平面部から上方に突出するよう設けられた突出部2461を有する。突出部2461は、例えば、平面部上で一組の記録ヘッド241が形成する列に沿って設けられる。また、突出部2461は、二組の記録ヘッド241が形成する二列の中間に位置する。
ここで、突出部2461は、図3(a)や図9に示すように、その内側にインクの流路として機能する流路Hが形成されている。流路Hは、インクタンク及び第2貯留部243と連通する空洞状の流路であり、経路304の一部として機能する。
本実施形態では、流路Hとインクタンク244及び流路Hと第2貯留部243は、別途設けられたチューブ状の部材を介して連通されるが、一例であってこれに限られるものでない。
供給路301、回収路302、経路303はそれぞれ、内部をインクが通過するチューブ状の部材である。供給路301、回収路302、経路303は、例えば、樹脂等を素材とするが、一例であってこれに限られるものでない。供給路301、回収路302、経路303は、熱伝導性のよい部材で構成されることが望ましい。また、本実施形態にて流路Hとインクタンク244及び流路Hと第2貯留部243を連通させている部材についても同様である。
また、第1貯留部242には、漏出防止部305が接続されている。漏出防止部305は、例えば、第1貯留部242内の空気を吸引するよう設けられたポンプである。漏出防止部305は、動作により、第1貯留部242に接続されて第1貯留部242及び供給路301を介して記録ヘッド241のチャネルC内の圧力を負圧状態とする。これにより、画像形成や各種のメンテナンスを行わない際にノズルNからインクが漏れ出すことを防止する。
第1貯留部242と漏出防止部305は、通気路306を介して接続されている。通気路306は、内部を空気が通過するチューブ状の部材であり、例えば、樹脂等を素材とする。即ち、漏出防止部305は、制御部40の制御下で、第1貯留部242内の気圧を変更する。
ここで、通気路306は、例えば、図8に示すように、漏出防止部305に接続された1本の共通通気路3061から複数の第1貯留部242の各々に接続される複数の分岐通気路3062に分岐する構造となっているが、一例であってこれに限られるものでなく、適宜変更可能である。
また、第2貯留部243には、圧力制御部311が接続されている。
圧力制御部311は、例えば、第2貯留部243内の空気を吸引するよう設けられたポンプである。圧力制御部311は、動作により、第2貯留部243内の気体を排出することで第2貯留部243内を負圧状態にする。
また、第2貯留部243から圧力制御部311を経て第2貯留部243外の空間に接続される気体の流路には、電磁弁312が設けられている。
具体的には、電磁弁312は、例えば、圧力制御部311と外気が存する空間とを接続する経路上に設けられる。電磁弁312は、圧力制御部311と外気が存する空間とを接続する経路を開閉することで、圧力制御部311を介した第2貯留部243内に対する気体の出入りの開放又は遮断を切り替える。
本実施形態の電磁弁312の配置は一例であって、これに限られるものでない。例えば、電磁弁312は、第2貯留部243と圧力制御部311との間の気体の流路に設けられていてもよい。
また、第1回収路3021、第2回収路3022、経路303、分岐通気路3062にはそれぞれ電磁弁307、308、309、310が設けられている。電磁弁307、308、309、310は、制御部40の制御下で、それぞれが設けられたインクの流路や通気路を開閉する。
なお、ポンプP1が設けられた経路303の電磁弁309は、例えば、第2貯留部243とポンプP1との間に介在するよう設けられているが、一例であってこれに限られるものでなく、適宜変更可能である。
また、第1貯留部242は、上記の各種の接続箇所を除いて密閉されている。具体的には、第1貯留部242は、例えば、外気に対する密閉性を有するよう設けられた容器である。即ち、電磁弁310は、第1貯留部242内に対する気体の出入りの開放又は遮断を切り替える構成(第1切替部)として機能する。
第1貯留部242内の圧力は、漏出防止部305により加えられる負圧の度合いや、第2貯留部243からのインクの供給量等により変化する。例えば、電磁弁310が閉じた状態となり漏出防止部305により加えられる負圧が失われた状態で、第2貯留部243からのインクの供給を受けると、第1貯留部242内のインクの量の増加に伴い、第1貯留部242内の圧力は増加する。
また、第2貯留部243は、上記の各種の接続箇所を除いて密閉されている。具体的には、第2貯留部243は、例えば、外気に対する密閉性を有するよう設けられた容器である。即ち、電磁弁312は、第2貯留部243内に対する気体の出入りの開放又は遮断を切り替える構成(第2切替部)として機能する。
第2貯留部243内の圧力は、圧力制御部311により加えられる負圧の度合いや、第1貯留部242へのインクの供給量等により変化する。例えば、電磁弁307、308、312が閉じた状態で、第2貯留部243から第1貯留部242へのインクの供給が行われると、第2貯留部243内のインクの量の減少に伴い、第2貯留部243内の圧力は減少する。
また、第2貯留部243には、第2貯留部内の圧力を検知する圧力検知部313が設けられている。
圧力検知部313は、例えば、第2貯留部243内の空間のうちインクが存しない空間の気圧を計測可能に設けられた気圧計等を有し、当該気圧の計測結果により第2貯留部243内の圧力を検知する。
また、インク吐出機構300は、記録ヘッド241の加熱部401や、第1貯留部242の加熱部402、第2貯留部243の加熱部403の他に、第1供給路3011、第2供給路3012、回収路及び基部246の各々に個別に設けられた加熱部404、405、406、407を備える。
具体的には、加熱部404、405は、例えば、それぞれ第1供給路3011、第2供給路3012の外周に当接するように設けられている。また、加熱部406は、例えば、回収路302の外周に当接するように設けられている。また、加熱部407は、例えば、突出部2461の上面に当接するよう設けられている。
加熱部401〜407は、例えば、電熱線等を有し、通電に応じて発熱するが、一例であってこれに限られるものでない。
また、インク吐出機構300は、記録ヘッド241、貯留部、第1供給路3011、第2供給路3012の各々の温度を検知する検知部を備える。
具体的には、記録ヘッド241は、例えば、カバー基板503に当接するよう設けられた検知部411を備える。
また、第1貯留部242は、検知部412を備える。また、第2貯留部243は、検知部413を備える。図8等では図示を省略しているが、検知部412や、検知部413は、例えば、容器内に貯留されたインクに当接する所定位置に設けられている。
また、第1供給路3011は、検知部414を備える。また、第2供給路3012は、検知部415を備える。また、回収路302は、検知部416を備える。図8等では図示を省略しているが、検知部414、415、416は、例えば、その外周に当接する位置であって、加熱部404、405、406に直接加熱されない位置に設けられている。
また、基部246は、例えば、図3(b)に示すように、平面部のうち、記録ヘッド241が取り付けられない位置に設けられた検知部417を備える。
検知部411〜417は、例えば、サーミスターであるが、一例であってこれに限られるものでなく、温度の検知に用いることができる他の構成も採用されうる。
図10は、インクジェット記録装置1のブロック図である。
制御部40は、CPU41、RAM42、ROM43等を有する。
CPU41は、ROM43等の記憶装置から処理内容に応じた各種のプログラムやデータ等を読み出して実行し、実行された処理内容に応じてインクジェット記録装置1の各部の動作を制御する。RAM42は、CPU41により処理される各種のプログラムやデータ等を一時的に記憶する。ROM43は、CPU41等により読み出される各種のプログラムやデータ等を記憶する。
また、図10に示すように、制御部40はインクジェット記録装置1の各部と接続されており、接続された各部の動作を制御すると共に、各部からのデータの入出力に応じてインクジェット記録装置1の動作を制御する。
例えば、制御部40は、タッチパネル等を有する操作表示部80を介してユーザーにより行われる入力に応じた処理を行う。また、制御部40は、インクジェット記録装置1の動作に係る各種の表示を操作表示部80に行わせる。
また、制御部40は、インクジェット記録装置1と外部の機器とを通信可能に接続して外部の機器から送信される印刷ジョブ等のデータを受信する通信部50を介して、印刷ジョブに含まれる画像データを取得する。
また、制御部40は、通信部50を介して取得された画像データに対して、画像処理部60により各種の画像処理を行なう。画像処理部60による画像処理には、例えば、解析処理やラスタライズ処理等が挙げられるが、一例であってこれに限られるものではない。
また、制御部40は、印刷ジョブの送信により行われる外部の機器からの画像形成指示
に応じて、搬送制御部70を介して給紙部10や画像形成部20の記録媒体Pの搬送に係る各部の動作制御を行う。図示しないが、搬送制御部70は、搬送部12や画像形成ドラム21、受け渡しユニット22、デリバリー部26等、記録媒体Pの搬送及び担持に係る各部と接続され、各部の動作を制御する。
また、制御部40は、キャリッジ制御部245を制御してヘッドユニット24の位置を制御し、画像形成に際してヘッドユニット24の位置を画像形成ドラム21側の位置とする。キャリッジ制御部245は、ヘッドユニット24をX方向に動作させるための図示しない駆動部等と接続されており、当該駆動部等の動作を制御することによりヘッドユニット24の位置を変更、保持する。
また、制御部40は、記録ヘッド制御部2419の動作を統括制御することにより、記録ヘッド241のノズルNからのインクの吐出を制御する。即ち、制御部40は、画像データに基づいて記録媒体Pに形成される画像に応じて各記録ヘッド241の動作を制御する。
また、制御部40は、画像形成に際して、用紙加熱部23や照射部25を動作させる。
なお、画像形成の際や待機時、制御部40は、漏出防止部305を動作させると共に電磁弁310により通気路306を開いた状態としている。また、画像形成の際、制御部40は、電磁弁307、308により回収路302を閉じた状態としている。
また、制御部40は、画像形成や記録ヘッド241のメンテナンスにより記録ヘッド241の複数のノズルNからインクが吐出されることにより第1貯留部242や第2貯留部243に貯留されているインクの量が減少した場合、メンテナンス終了後に第1貯留部242や第2貯留部243にインクを供給することにより第1貯留部242や第2貯留部243に貯留されるインクの量を保つための動作制御を行う。
具体的には、制御部40は、第1貯留部242、第2貯留部243に設けられた液面センサー2421、2431により検知される第1貯留部242、第2貯留部243のインクの残量を取得し、インクの残量が各々の貯留部に設定された所定の残量を下回った場合、インクタンク244と第2貯留部243との間に設けられたポンプや、第2貯留部243と第1貯留部242との間に設けられたポンプP1を動作させ、第1貯留部242や第2貯留部243にインクを供給する。
制御部40は、ポンプP1の非動作時には電磁弁309により経路303を閉じた状態とし、ポンプP1の動作開始前に経路303を開き、ポンプP1の動作終了後に経路303を再び閉じる制御を行う。
また、制御部40は、記録ヘッド241、貯留部、第1供給路3011、第2供給路3012等の温度を、インクが液状となる温度とするように、加熱部401〜407の各々の動作を制御する。
なお、「インクが液状となる温度」とは、例えば、上記の第1温度のように、加熱されることでゲル状又は固体状から液状に相転移する温度以上の温度をさす。特に、加熱前のゲル状のインクが供給される第2貯留部243における「インクが液状となる温度」は、本実施形態の場合、第1温度以上の温度であって、かつ、上限温度以下の温度である。
また、本実施形態における第1温度と第2温度の関係のように、インクの温度の上昇時と下降時とで相転移が生じる温度が異なるインクの場合、第2貯留部243で一度液状になるまで加熱されたインクが供給される部分は、その内部でインクを液状で維持するために、必ずしも常に第1温度以上で維持されている必要はなく、インクを第2温度以上で維持することができる温度であればよいこととなる。よって、記録ヘッド241、第1貯留部242、第1供給路3011、第2供給路3012、回収路302における「インクが液状となる温度」は、本実施形態の場合、「一度液状になるまで加熱されたインクを液状で維持することができる温度」であり、例えば、「第2温度以上の温度」であって、かつ、上限温度以下の温度となる。ただし、ここで述べた温度の例はあくまで「インクが液状となる温度」の最低要件である。実際には、上記のように、より良好なインクの吐出を考慮し、記録ヘッド241は、第1温度以上の温度であって、かつ、上限温度以下の温度で維持される。また、第2貯留部243に供給されるインクが既に第1温度以上の温度まで加熱されている場合、第2貯留部243における「インクが液状となる温度」は、「第2温度以上の温度」であって、かつ、上限温度以下の温度となる。
また、「インクが液状となる温度」は、インクの特性に応じて適宜設定される。例えば、インクの温度の上昇、下降に関わらず、相転移が生じる温度が一意の温度に定まるインクの場合、「インクが液状となる温度」は、当該一意の温度以上の温度であって、上限温度以下の温度となる。
記録ヘッド241、貯留部、第1供給路3011、第2供給路3012等の温度の制御に係り、制御部40は、記録ヘッド241、貯留部、第1供給路3011、第2供給路3012等の各部の温度を、各々に設けられた検知部により検知する。制御部40は、検知部による検知結果に基づいて、各部に設けられた加熱部の動作を制御する。
具体的には、制御部40は、例えば、以下の表7における実施例(1)〜(3)に示すように、インクの液化温度(例えば、第1温度)に応じて、記録ヘッド241、貯留部、第1供給路3011、第2供給路3012等の各々に設定された設定温度とするように、各部に設けられた加熱部の動作を制御する。ここで、各々に設定された設定温度は、インクが液状となる温度である。また、貯留部の設定温度は、記録ヘッド241の設定温度よりも高く、第1供給路3011の設定温度及び第2供給路3012の設定温度は、記録ヘッドの設定温度よりも低く、かつ、第2供給路3012の設定温度は、第1供給路3011の設定温度よりも高い。
Figure 2014226811
本実施形態のインクジェット記録装置1によれば、記録ヘッド241、貯留部、第1供給路3011、第2供給路3012等の温度を、インクが液状となる温度とするようにしていることから、記録ヘッド241から液状のインクを良好に吐出することができる。また、記録ヘッド241の温度に対して、貯留部の温度を高くすることで、インクをより確実に液状にすることができる。また、記録ヘッド241の設定温度に対して、第1供給路3011及び第2供給路3012の設定温度を低くすることで、貯留部にてより高温に加熱されたインクがそのまま記録ヘッド241に流れ込むことによって記録ヘッド241の温度が上がりすぎることを防止することができることから、記録ヘッド241の過熱を防止することができる。また、第2供給路3012の設定温度を第1供給路3011の設定温度よりも高くすることで、第1供給路3011にて一旦温度が下がるように仕向けられたインクの温度を、第2供給路3012にて、記録ヘッド241における最適な温度により近づけることができることから、記録ヘッド241の温度を所望の温度で維持することがより容易となる。よって、記録ヘッド241の温度をより適正な温度に維持するとともに、インクの吐出を良好に行うことができる。
次に、実施例における記録ヘッド241内のインクの温度の測定結果の一例を図11に示す。
上記の実施例(1)〜(3)のように、記録ヘッド241、貯留部、第1供給路3011、第2供給路3012の設定温度を、インクが液状となる温度とするとともに、記録ヘッド241の設定温度に対して、貯留部の設定温度を高く、第1供給路3011及び第2供給路3012の設定温度を低くし、かつ、第2供給路3012の設定温度を第1供給路3011の設定温度よりも高くすることで、記録ヘッド241内のインクの温度をほぼ一定に保つことができる。例えば、実施例(2)の場合、図11における印字率30(%)、60(%)の場合に示すように、記録ヘッド241内のインクの温度を80[℃]前後でほぼ一定に保つことができる。
一方、例えば、比較例(4)、(5)のように、記録ヘッド241、貯留部、第1供給路3011、第2供給路3012の設定温度が均一であると、記録ヘッド241が動作に伴い熱を生じた場合に、記録ヘッド241の温度を一定に保つことができなくなることから、安定した吐出を行うことができなくなる。
また、比較例(6)、(7)のように、第1供給路3011や第2供給路3012の設定温度が記録ヘッド241の設定温度に対して高いと、インクの供給により記録ヘッド241が加熱されることとなる。ここに、記録ヘッド241が動作することで生じた熱が加わると、やはり、記録ヘッド241の温度を一定に保つことができなくなることから、安定した吐出を行うことができなくなる。
また、比較例(8)のように、貯留部の設定温度が記録ヘッド241の設定温度より高いものの、貯留部と第1供給路3011が同じ設定温度であり、記録ヘッド241と第2供給路3012が同じ設定温度であるような場合には、貯留部で液化するように加熱されたインクの温度を記録ヘッド241にインクが供給されるまでに十分に下げることができないことから、温度が高いままのインクの供給により記録ヘッド241が加熱されることとなり、記録ヘッド241の温度を一定に保つことができなくなることから、安定した吐出を行うことができなくなる。
さらに、制御部40は、基部246や回収路302に対して設定された設定温度となるように、これらの各部に設けられた温度変化部(例えば、加熱部)の動作を制御するようにしてもよい。
例えば、回収路302の設定温度を第2供給路3012と同様又は第2供給路3012の設定温度よりも高い所定温度(例えば、第2供給路3012の温度+5[℃])としてもよい。回収路302の設定温度を第2供給路3012の設定温度よりも高くすることで、回収路302におけるインクの粘度を供給路301よりも下げることができることから、後述する還流メンテナンスにおいて、記録ヘッド241内のインクをより良好に第2貯留部243に還流させることができる。なお、所定温度は、上限温度以下の温度である。
また、基部246の設定温度を、記録ヘッド241の設定温度以下の温度であって、かつ、記録ヘッド241内のインクを液状に保つことができる温度(例えば、第2温度以上の温度)としてもよい。これにより、記録ヘッド241が動作により生じる熱を基部246に逃がすことができる。また、基部246を記録ヘッド241内のインクを液状に保つことができる温度としていることから、基部246に記録ヘッド241の熱が奪われすぎて記録ヘッド241内のインクの流動性が失われるようなことはない。
なお、第2貯留部243よりもインクタンク244側では、インクは第1温度まで加熱される工程を経ていないことから、ゲル状の状態でインクタンク244から送り出されることとなる。具体的には、経路304内のインクは、ゲル状であるが、経路304に接続されたポンプによる圧力で第2貯留部243に送り出される。
加熱前のインクを基部246内を通すことによって、記録ヘッド241からの熱の伝達により基部246が余剰加熱した場合、基部246の冷却を促進できると共に、第2貯留部243以降のインクの経路で加熱されるインクを、前もって少しでも温めておくことができる。
次に、加熱部401〜407の動作制御について、図12、図13のフローチャートを参照して説明する。
フローチャートを参照した説明においては、便宜上、予め設定された記録ヘッド241の想定温度を「第1設定温度」と記載する。第1設定温度は、例えば、第1温度以上の温度であって、かつ、上限温度以下の温度である。
また、予め定められた貯留部、第1供給路3011、第2供給路3012の想定温度をそれぞれ「第2設定温度」、「第3設定温度」、「第4設定温度」と記載する。ここで、第1〜第4設定温度の関係は、第2設定温度>第1設定温度>第4設定温度>第3設定温度である。また、第1〜第4設定温度は、全て、「インクが液状となる温度」である。
制御部40は、インクジェット記録装置1の電源がONとなると、加熱部401〜407の各々を動作させて、記録ヘッド241、第1貯留部242、第2貯留部243、供給路301、回収路302及び基部246の各々が加熱部により加熱される状態とする(ステップS1)。また、制御部40は、検知部411〜417により検知された温度を示す情報を取得することで、記録ヘッド241、第1貯留部242、第2貯留部243、第1供給路3011、第2供給路3012、回収路302及び基部246の各々の温度を取得する(ステップS2)。
制御部40は、ステップS2にて取得された記録ヘッド241の温度が第1設定温度以上である場合(ステップS3:YES)、加熱部401による記録ヘッド241のさらなる加熱を停止させる(ステップS4)。具体的には、制御部40は、加熱部401に対する通電を停止させる。加熱部401からの加熱がなくなることで、記録ヘッド241は外気により冷却されることや、基部246に熱が伝達されることにより、温度の低下を示す。なお、加熱される他の構成についても、加熱が停止された場合には少なくとも外気により冷却されること等により、温度の低下を示す。
一方、記録ヘッド241の温度が第1設定温度以上でない場合(ステップS3:NO)、制御部40は、加熱部401に記録ヘッド241を加熱させる(ステップS5)。ここで、制御部40は、加熱部が既に動作している場合には動作を継続させ、加熱部の動作が停止している場合には加熱部を動作させる。
また、制御部40は、ステップS2にて取得された第1貯留部242の温度が第2設定温度以上である場合(ステップS6:YES)、加熱部402による第1貯留部242のさらなる加熱を停止させる(ステップS7)。一方、第1貯留部242の温度が第2設定温度以上でない場合(ステップS6:NO)、制御部40は、加熱部402に第1貯留部242を加熱させる(ステップS8)。
また、制御部40は、ステップS2にて取得された第2貯留部243の温度が第2設定温度以上である場合(ステップS9:YES)、加熱部403による第2貯留部243のさらなる加熱を停止させる(ステップS10)。一方、第2貯留部243の温度が第2設定温度以上でない場合(ステップS9:NO)、制御部40は、加熱部403に第2貯留部243を加熱させる(ステップS11)。
また、制御部40は、ステップS2にて取得された第1供給路3011の温度が第3設定温度以上である場合(ステップS12:YES)、加熱部404による第1供給路3011のさらなる加熱を停止させる(ステップS13)。一方、第1供給路3011の温度が第3設定温度以上でない場合(ステップS12:NO)、制御部40は、加熱部404に第1供給路3011を加熱させる(ステップS14)。
また、制御部40は、ステップS2にて取得された第2供給路3012の温度が第4設定温度以上である場合(ステップS15:YES)、加熱部405による第2供給路3012のさらなる加熱を停止させる(ステップS16)。一方、第2供給路3012の温度が第4設定温度以上でない場合(ステップS15:NO)、制御部40は、加熱部405に第2供給路3012を加熱させる(ステップS17)。
また、制御部40は、ステップS2にて取得された回収路302の温度が所定温度以上である場合(ステップS18:YES)、加熱部406による回収路302のさらなる加熱を停止させる(ステップS19)。一方、回収路302の温度が所定温度以上でない場合(ステップS18:NO)、制御部40は、加熱部406に回収路302を加熱させる(ステップS20)。
また、制御部40は、ステップS2にて取得された基部246の温度が第1設定温度以上である場合(ステップS21:YES)、加熱部407による基部246のさらなる加熱を停止させる(ステップS22)。また、基部246の温度が第2温度未満である場合(ステップS23:YES)、制御部40は、加熱部407に基部246を加熱させる(ステップS24)。また、基部246の温度が第2温度以上であって、かつ、第1設定温度未満である場合(ステップS21、S23:NO)、制御部40は、その時の加熱部407の動作状態を維持する。
制御部40は、インクジェット記録装置1の電源がOFFとなるまで(ステップS25:NO)、ステップS2〜ステップS24の処理を繰り返す状態を維持する。インクジェット記録装置1の電源がOFFとなることで(ステップS25:YES)、処理が終了する。なお、ステップS3〜S24に係る温度制御において、温度制御の対象となる構成の移行の順序は、あくまでフローチャートによる説明のための便宜的なものであって、図12、図13の記載順に限定されるものでなく、任意に変更可能であるし、また、一部又は全部の構成について同時に判定及び加熱部の動作制御を行うようにしてもよい。
なお、上記のフローを参照した説明では省略されているが、インクジェット記録装置1の電源がONにされた後、制御部40は、貯留部、記録ヘッド241、第1供給路3011及び第2供給路3012等、インクの吐出に係る各部の温度がインクの吐出に適した温度になるまで印刷ジョブに応じた画像形成を行わないよう各部の動作を制御してもよい。
次に、記録ヘッド241のメンテナンスに際して行われるインクジェット記録装置1の動作について説明する。
インクジェット記録装置1の記録ヘッド241のメンテナンスには、吐出メンテナンスと還流メンテナンスがある。
吐出メンテナンスは、記録ヘッド241の複数のノズルNからインクを吐出させることによりノズルNの詰まりを解消することを目的とする。
還流メンテナンスは、記録ヘッド241内のインクを第2貯留部243に還流させることにより記録ヘッド241内のインクに含まれる気泡を押し流して記録ヘッド241内から除去することを目的とする。記録ヘッド241内から除去されたインクの気泡に含まれる気体は、第2貯留部243に押し流されることにより第2貯留部243内の空間に開放される。これにより、インクの気泡が消滅する。
本実施形態では、吐出メンテナンス、還流メンテナンスの順に記録ヘッド241のメンテナンスが行われる。
まず、吐出メンテナンスに際して行われるインクジェット記録装置1の動作について、図14を参照して説明する。
制御部40は、電磁弁310により第1貯留部242と漏出防止部305との間の接続を閉じ、かつ、電磁弁307、308により回収路302を閉じた状態で、第2貯留部243に貯留されたインクを第1貯留部242に供給するようポンプP1を動作させる動作制御を行う。当該動作制御により、第2貯留部243に貯留されたインクが第1貯留部242に供給されることで、第1貯留部242内の圧力が上昇する。このとき、電磁弁310により第1貯留部242と漏出防止部305との間の接続が閉じているので、第1貯留部242内に対する気体の出入りが遮断され、第1貯留部242内で上昇した圧力は記録ヘッド241側に第1貯留部242内のインクを押し出す方向に働く。このとき、電磁弁307、308により回収路302が閉じられているので、記録ヘッド241側に押し出されたインクは複数のノズルNから吐出されることとなる。インクが複数のノズルNから吐出されることにより、ノズルNの詰まりが生じていた場合であっても当該詰まりを解消することができ、当該詰まりによる画像形成不良を防止して画質を向上させることができる。
なお、吐出メンテナンスにおける各電磁弁やポンプ等の動作は、吐出メンテナンスの対象となる記録ヘッド241が接続された第1貯留部242に対応する各電磁弁やポンプ等についてのみ行われる。
また、制御部40は、吐出メンテナンスの開始前に、電磁弁312により第2貯留部243への気体の流入を遮断する。
具体的には、制御部40は、電磁弁312により圧力制御部311と外気が存する空間とを接続する経路を閉じることで、第2貯留部243内に対する気体の出入りを遮断する。
ここで、吐出メンテナンスにおいて第2貯留部243に貯留されたインクが第1貯留部242に供給される際に、電磁弁307、308、312が閉じた状態であると、第2貯留部243内のインクの量の減少に伴い、第2貯留部243内の圧力は減少する。なお、第2貯留部243と第1貯留部242との間に設けられたポンプP1は、第2貯留部243内のインクの量の減少に伴う第2貯留部243内の圧力の減少に関わらず、インクを第2貯留部243から第1貯留部242に十分に供給することができる程度の出力を有する。
吐出メンテナンスに伴い圧力が減少した第2貯留部243内の圧力は圧力検知部313により検知される。
次に、還流メンテナンスに際して行われるインクジェット記録装置1の動作について、図15を参照して説明する。
まず、制御部40は、第2貯留部243内の圧力が所定の圧力以下であることが圧力検知部313により検知されたか否か判定する。ここで、所定の圧力は、例えば、−5kPa〜−30kPaの範囲内で設定された一意の圧力値(所定の圧力値)により表される圧力である。
具体的には、制御部40は、圧力検知部313により検知された第2貯留部243内の圧力値を取得する。そして、制御部40は、取得された圧力値が、所定の圧力値以下であるか否か判定する。
第2貯留部243内の圧力が所定の圧力以下でない場合、制御部40は、圧力制御部311を動作させて第2貯留部243内の圧力を所定の圧力以下にする。
具体的には、制御部40は、圧力制御部311の動作のために電磁弁312を開き、圧力制御部311を動作させて第2貯留部243内の圧力を下げるとともに、圧力検知部313から第2貯留部243内の圧力値の取得を継続する。ここで、制御部40は、圧力検知部313から取得された圧力値が、所定の圧力値以下となるまで、圧力制御部311の動作を継続させる。所定の圧力値以下となったことが圧力検知部313により検知された場合、制御部40は、圧力制御部311の動作のために開かれていた電磁弁312を閉じるとともに圧力制御部311をの動作を停止させて、回収路の開放まで、所定の圧力値以下となった第2貯留部243内の圧力を維持するよう制御する。即ち、制御部40は、圧力制御部311及び電磁弁312の動作の制御により、第2貯留部243内への気体の流入による第2貯留部243内の圧力の上昇(例えば、所定の圧力値以下である圧力から大気圧への上昇等)を防止する。
第2貯留部243内の圧力が所定の圧力以下である場合、制御部40は、回収路を開く。
具体的には、制御部40は、例えば、電磁弁308により還流メンテナンスの対象となる記録ヘッド241の第2回収路3022を開く。ここで、第2貯留部243内の圧力は、所定の圧力以下の負圧である。このため、第2回収路3022が開くことで、第2貯留部243内の負圧がバイパス部2416を介して記録ヘッド241の下部流路部2413内のインクに働く。即ち、下部流路部2413内のインクは、第2貯留部243内に吸い上げられることとなる。これにより、下部流路部2413内のインクは、第2貯留部243内に還流する。
ただし、第2貯留部243の負圧が大きすぎると、ノズルNから空気を吸い込む場合がある(メニスカスブレークと呼ぶ)。ノズルNから空気を吸い込むか否かは、回収路302の流路抵抗に依存するが、還流メンテナンスにあっては、メニスカスブレークを起こさない負圧にしておく必要がある。例えば、上記のように、還流メンテナンスを行う前に、あらかじめ吐出メンテナンスを行うと、ノズルNを加圧状態にしておくとメニスカスブレークが生じにくくなるというメリットもある。
このように、制御部40は、第2切替部(電磁弁312)により第2貯留部243内に対する気体の出入りを遮断し、第1切替部(電磁弁310)により第1貯留部242内に対する気体の出入りを遮断し、かつ、第3切替部(電磁弁307、308)により回収路(例えば、第2回収路3022)を開いた状態で、供給部(ポンプP1)により第2貯留部243に貯留されたインクを第1貯留部242に供給して、記録ヘッド241内(例えば、下部流路部2413内)のインクを第2貯留部243に還流させる第1制御(還流メンテナンス)を行う。また、本実施形態において、制御部40は、第2切替部(電磁弁312)により第2貯留部243内に対する気体の出入りを遮断し、第1切替部(電磁弁310)により第1貯留部242内に対する気体の出入りを遮断し、かつ、第3切替部(電磁弁307、308)により回収路302を閉じた状態で、供給部(ポンプP1)により第2貯留部243に貯留されたインクを第1貯留部242に供給して、記録ヘッド241の複数のノズルNからインクを吐出させる第2制御(吐出メンテナンス)を行った後、第3切替部により回収路(例えば、第2回収路3022)を開くことで第1制御を行う。
なお、還流メンテナンスにおける各電磁弁やポンプ等の動作は、還流メンテナンスの対象となる記録ヘッド241に対応する各電磁弁やポンプ等についてのみ行われる。
還流メンテナンスにより下部流路部2413内のインクを第2貯留部243に還流させることができるので、下部流路部2413内のインクに気泡が含まれた場合であっても、インクを還流させることにより当該気泡を除去することができ、画像形成不良を防止して画質を向上させることができる。
また、吐出メンテナンス後に還流メンテナンスを行うことにより、第1貯留部242から記録ヘッド241に伝達されたインクへの圧力の一部を第2貯留部243側に逃がすことができることから、第1貯留部242及び記録ヘッド241内で上昇したインクに対する圧力をより速やかに低下させることができる。例えば、吐出メンテナンスに際して複数のノズルNの詰まりを解消させるために複数のノズルNからインクを吐出させる時間(例えば、1〜3[秒]程度)の経過後に還流メンテナンスを行うことにより、複数のノズルNからのインクの吐出を速やかに終了させることができることから、無駄なインクの吐出を防止することができる。
また、インクジェット記録装置1は、還流メンテナンスにおける記録ヘッド241へのインクの供給において、ポンプP1により第1貯留部242に供給されたインクが第1貯留部242内にいったん貯留されるので、ポンプP1の動作によりインクに直接加えられる圧力が第1貯留部242に貯留された時点で拡散し、大幅に緩和されることとなる。即ち、第1貯留部242を介して記録ヘッド241にインクを送り出すことにより、ポンプP1によりインクに加えられる圧力を間接的なものとすることができ、記録ヘッド241に対して一定でムラのないスムースなインクの供給を行うことができる。
なお、還流メンテナンスの実施時間については、任意に設定することができる。
例えば、記録ヘッド241内のインクの気泡を十分に取り除くことができる還流メンテナンスの実施時間を実験等により導き出して、導き出された時間を還流メンテナンスの実施時間として設定してもよい。また、例えば、第2貯留部243内の圧力が外気の圧力と略同一となるまで、還流メンテナンスを継続するようにしてもよい。この場合、第2貯留部243内の圧力が外気の圧力と略同一となるまでの時間は、記録ヘッド241内のインクの気泡を十分に取り除くことができる還流メンテナンスの実施時間以上の時間である。なお、第2貯留部243内の圧力が外気の圧力と略同一となるまでの時間が、記録ヘッド241内のインクの気泡を十分に取り除くことができる還流メンテナンスの実施時間以上の時間未満である場合、還流メンテナンスを複数回実施することで、記録ヘッド241内のインクの気泡を十分に取り除くことができる。還流メンテナンスを複数回実施する場合、2回目以降の還流メンテナンスに際しては、吐出メンテナンスを省略し、圧力制御部311による第2貯留部243内の圧力の低減によって還流メンテナンスを実施するようにしてもよい。また、ノズルNの詰まりがない等、吐出メンテナンスを実施する必要がない場合についても、吐出メンテナンスを省略し、圧力制御部311による第2貯留部243内の圧力の低減によって還流メンテナンスを実施するようにしてもよい。
また、メンテナンスの開始条件は、任意に設定することができる。開始条件は、例えば、操作表示部80を介してユーザーからメンテナンス開始の指示が行われることであってもよいし、その他、インクジェット記録装置1において所定の条件が満たされることであってもよい。所定の条件が満たされる場合として、例えば、所定量以上の記録媒体Pに対する画像形成が行われた場合や、最後の画像形成時から所定の経過時間が経過した場合等が挙げられる。
制御部40は、メンテナンスの実施に際し、キャリッジ制御部245を介してヘッドユニット24をクリーニング部27側の位置へと移動させたうえでメンテナンスを行う。
次に、メンテナンスに係る動作制御について、図16のフローチャートを参照して説明する。
まず、制御部40は、貯留部内のインクの量の確保に係る処理を行う(ステップS41)。具体的には、制御部40は、液面センサー2421、2431により第1貯留部242、第2貯留部243のインクの残量を検知し、検知されたインクの残量が不足している場合、インクの残量が不足している貯留部にインクを供給する。
次に、制御部40は、貯留部内のインクの量の監視を停止する(ステップS42)。具体的には、制御部40は、液面センサー2421、2431により検知される第1貯留部242、第2貯留部243のインクの量に応じた第1貯留部242、第2貯留部243のインクの量に係る制御を停止する。
次に、制御部40は、電磁弁312により第2貯留部243への気体の流入を遮断する(ステップS43)。具体的には、制御部40は、電磁弁312により圧力制御部311と外気が存する空間とを接続する経路を閉じることで、圧力制御部311を介して第2貯留部243と外気が存する空間とが接続される経路を閉じる。
また、制御部40は、電磁弁307、308により回収路302を閉じる(ステップS44)。
また、制御部40は、電磁弁310により記録ヘッド241と漏出防止部305との間の接続を閉じる(ステップS45)。ステップS43〜S45の処理は、順不動である。
次に、制御部40は、電磁弁309により第2貯留部243と第1貯留部242との間の経路303を開き(ステップS46)、ポンプP1を動作させて第2貯留部243に貯留されたインクを第1貯留部242に供給し(ステップS47)、吐出メンテナンスを実施する。
ステップS47の処理後、制御部40は、第2貯留部243内の圧力が所定の圧力以下であることが圧力検知部313により検知されたか否か判定する(ステップS48)。ここで、第2貯留部243内の圧力が所定の圧力以下でないと判定された場合(ステップS48:NO)、制御部40は、圧力制御部311の動作のために電磁弁312を開き、圧力制御部311を動作させて(ステップS49)、第2貯留部243内の圧力を下げる。その後、再びステップS48の処理に移行する。制御部40は、ステップS48にて、第2貯留部243内の圧力が所定の圧力以下であると判定されるまで、圧力制御部311の動作を継続させる。
第2貯留部243内の圧力が所定の圧力以下であると判定された場合(ステップS48:YES)、制御部40は、圧力制御部311の動作のために開かれていた電磁弁312を閉じるとともに圧力制御部311をの動作を停止させる(ステップS50)その後、制御部40は、回収路302を開くことで(ステップS51)、還流メンテナンスを実施する。具体的には、制御部40は、例えば、電磁弁308により第2回収路3022を開く。
ステップS51の処理後、還流メンテナンスの実施時間が経過したと判定された場合(ステップS52:YES)、制御部40は、ポンプP1の動作を停止させて第2貯留部243から第1貯留部242へのインクの供給を停止させる(ステップS53)。また、制御部40は、電磁弁309により第2貯留部243と第1貯留部242との間の経路303を閉じ(ステップS54)、回収路302を閉じて(ステップS55)、メンテナンスを終了する。また、制御部40は、電磁弁310により記録ヘッド241と漏出防止部305との間の接続を開く(ステップS56)。
その後、制御部40は、貯留部内のインクの量の監視を再開し(ステップS57)、処理を終了する。
以上、本実施形態のインクジェット記録装置1によれば、記録ヘッド241の設定温度に対して、第1供給路3011及び第2供給路3012の設定温度が低いので、貯留部にてより高温に加熱されたインクがそのまま記録ヘッド241に流れ込むことによって記録ヘッド241の温度が上がりすぎることを防止することができ、記録ヘッド241の過熱を防止することができる。また、第2供給路3012の設定温度が第1供給路3011の設定温度よりも高いので、第1供給路3011にて一旦温度が下がるように仕向けられたインクの温度を、第2供給路3012にて、記録ヘッド241における最適な温度により近づけることができることから、記録ヘッド241の温度を所望の温度で維持することがより容易となる。よって、記録ヘッド241の温度をより適正な温度に維持するとともに、インクの吐出を良好に行うことができる。
さらに、制御部40が、電磁弁312により第2貯留部243内に対する気体の出入りを遮断し、電磁弁310により第1貯留部242内に対する気体の出入りを遮断し、かつ、電磁弁307、308により回収路302(例えば、第2回収路3022)を開いて、ポンプP1により第2貯留部243に貯留されたインクを第1貯留部242に供給して、記録ヘッド241内のインクを第2貯留部243に還流させる第1制御(還流メンテナンス)を行うので、第2貯留部243に貯留されたインクを第1貯留部242に供給することによる第2貯留部243内の圧力の低下によって第2貯留部243内に向かう方向の吸引力を生じさせることができる。当該吸引力は、開かれた回収路302を介して、記録ヘッド241内のインクを第2貯留部243に導く力として働くことから、記録ヘッド241内のインクに対する押圧力で記録ヘッド241内のインクを回収路302に向かわせる従来の場合に比して、より効率的に還流メンテナンスを行うことができる。また、当該吸引力は、当該押圧力と異なり、記録ヘッド241のノズルNからインクを吐出させる力として働くことがないので、当該押圧力により従来生じていた、還流メンテナンス中にノズルNからインクが吐出されることによるインクの無駄を低減することができ、より効率的に還流メンテナンスを行うことができる。
さらに、電磁弁307、308により回収路302を閉じた状態で、ポンプP1により第2貯留部243に貯留されたインクを第1貯留部242に供給して、記録ヘッド241の複数のノズルNからインクを吐出させる第2制御(吐出メンテナンス)を行った後、電磁弁308により第2回収路3022を開くことで第1制御を行うので、第2制御によりノズルNの詰まりを解消するためのインクの消費に伴う第2貯留部243のインクの減少を第2貯留部内の圧力の低下に利用することができることから、より強い吸引力で還流メンテナンスを行うことができることとなり、より効率的に還流メンテナンスを行うことができる。
さらに、インクジェット記録装置1は、第2貯留部243内の気体を排出することで第2貯留部243内を負圧状態にする圧力制御部311を備え、制御部40が、第1制御(還流メンテナンス)を行う前に、圧力制御部311により第2貯留部243内を負圧状態にするので、より確実に第2貯留部243に吸引力を生じさせることができることから、より効率的に還流メンテナンスを行うことができる。
また、圧力制御部311の動作に伴い、電磁弁312により第2貯留部243内に対する気体の出入りが開放されるが、圧力制御部311の動作の停止とともに遮断されるので、第2貯留部243内の圧力が負圧状態で保たれた条件下で還流メンテナンスを行うことができる。
さらに、インクジェット記録装置1は、第2貯留部243内の圧力を検知する圧力検知部313を備え、制御部40が、第2貯留部243内の圧力が所定の圧力以下であることが圧力検知部313により検知された場合に、第1制御(還流メンテナンス)を行うので、所定の圧力以下である第2貯留部243内の負圧によって、還流メンテナンスの実施に十分な吸引力をより確実に生じさせることができることから、より効率的に還流メンテナンスを行うことができる。
さらに、所定の圧力は、−5kPa〜−30kPaの範囲内で設定されるので、還流メンテナンスの実施に十分な吸引力をより確実に生じさせることができることから、より効率的に還流メンテナンスを行うことができる。
さらに、温度により相変化するインクを用いるインクジェット記録装置1で上記のように記録ヘッド241、貯留部、第1供給路3011、第2供給路3012等の温度を制御するので、記録ヘッド241内のインクを吐出に最適な液状とすることができる。
さらに、複数のノズルNは、画像形成の際に記録ヘッド241と記録媒体Pとが相対的に移動する方向に直交する方向について、記録媒体Pの最大幅に応じた数設けられるので、画像形成の際に画像形成ドラム21と記録ヘッド241とを当該幅方向について相対的に移動させることなく画像を形成することができるワンパス方式を採用することができることから、より高速に画像を形成することができ、より生産性の高いインクジェット記録装置1を提供することができる。
なお、本発明の実施の形態は、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
例えば、インクジェット記録装置1は、さらに、記録ヘッド241の複数のノズルNから吐出されたインクの量を計測する計測部を備え、制御部40は、所定の単位時間内で計測部により計測されたインクの量が所定量より多い場合、第2供給路3012の設定温度を下げるようにしてもよい。
また、インクジェット記録装置1は、さらに、記録ヘッド241の複数のノズルNから吐出されたインクの量を計測する計測部を備え、制御部40は、所定の単位時間内で計測部により計測されたインクの量が所定量より多い場合、貯留部の設定温度を上げるようにしてもよい。
また、所定の単位時間内で計測部により計測されたインクの量が所定量より多い場合、第2供給路3012の設定温度を下げるとともに、貯留部の設定温度を上げるようにしてもよい。
具体的には、例えば、印字率が所定の値(例えば、60%)を超える場合に、所定の単位時間内で吐出されたインクの量が所定量より多いことが計測された場合とし、この場合に、所定の単位時間内で吐出されたインクの量が所定量以下である場合に比して、第2供給路3012の設定温度を低くしたり、貯留部の設定温度を高くしたりする。
なお、印字率の計測は、記録ヘッド241の複数のノズルNのうち、印刷ジョブに応じて所定の単位時間内で駆動されるノズルNの数の割合や、駆動されるノズルから吐出されるインクの量の割合を計測することで行われる。具体的には、例えば、図17に示すように、印刷ジョブに応じて各記録ヘッド241に対して送信されるノズルNの駆動信号や当該駆動信号により指示されるインクの吐出量を計測して印字率を算出する計測部321を設け、計測部321により算出された印字率に応じて、制御部40が第2供給路3012や貯留部の設定温度を制御する。
表8に、印字率が所定の値(例えば、60%)を超える場合の温度制御の具体例を示す。なお、表7は、印字率が所定の値(例えば、60%)以下である場合の温度制御の具体例である。
例えば、表8の実施例(11)〜(13)のように、上記の表7の実施例(1)〜(3)に比して、第2供給路3012の設定温度を下げ、当該設定温度となるように温度変化部(例えば、加熱部405)の動作を制御することで、図11における印字率90(%)の場合に示すように、記録ヘッド241内のインクの温度をほぼ一定に保つことができる。
また、表8の実施例(11)、(12)のように、上記の表7の実施例(1)、(2)に比して、貯留部の温度を上げ、当該設定温度となるように温度変化部(例えば、加熱部402、403)の動作を制御することで、記録ヘッド241からのインクの吐出量がより多いことに伴い記録ヘッド241に対してインクが供給される頻度が増加することにより第2貯留部243に対して加熱前のインクが供給される頻度が増加した場合であっても、貯留部で十分にインクを液化させることができる。なお、実施例(13)と実施例(3)は、貯留部の温度については同一であるが、これは、印字率によらず、インクの第1温度(50(℃))に対して貯留部の温度(75(℃))が十分に高いことから、貯留部から第1供給路3011にインクが供給されるまでにインクの液化が十分に間に合うことによる。
Figure 2014226811
所定の単位時間内で吐出されたインクの量が所定量より多いことが計測部321により計測された場合に、第2供給路3012の設定温度を下げることで、貯留部から記録ヘッド241に対するインクの供給頻度が高くなることにより貯留部から送り出されたインクが第1供給路3011に存する時間がより短くなり、第1供給路3011においてインクの温度が低下する時間が短くなった場合にも、第2供給路3012の温度がより低いことで、インクの温度を下げることができることから、所定の単位時間内で吐出されたインクの量が所定量より多い場合であっても、第1供給路3011、第2供給路3012を経て記録ヘッド241に供給されるインクの温度をより確実に適正な温度にすることができる。
また、所定の単位時間内で吐出されたインクの量が所定量より多いことが計測部321により計測された場合に、貯留部の設定温度を上げることで、インクの消費量がより多いことにより加熱前のインクが貯留部に供給される頻度がより高まる状況であっても、より確実にインクを液化させることができる。
なお、所定の単位時間は、任意の時間とすることができるが、記録ヘッド241からのインクの吐出量が多いことにより生じる記録ヘッド241へのインクの供給頻度の増加に対応可能な単位時間とすることで、インクの吐出量の計測結果に応じた適正な温度制御を行うことができる。
この他、第2貯留部243内を負圧にする方法は、適宜変更可能である。
例えば、吐出メンテナンスと還流メンテナンスが常に組で行われ、吐出メンテナンスの実施により還流メンテナンスの実施に十分な負圧を第2貯留部内に生じさせることができることが確認されている場合、圧力制御部311は設けられていなくてもよい。この場合、圧力検知部313による第2貯留部243内の圧力の検知、検知された第2貯留部243内の圧力と所定の圧力との比較、検知及び第2貯留部243内の圧力を所定の圧力以下とする処理は省略される。
また、上記の実施形態では、インクの温度により相転移するインクが用いられているが、一例であってこれに限られるものでなく、適宜変更可能である。インクは、上限温度以下の温度で吐出に適した液状となるものであれば、本発明によるインクジェット記録装置にて採用されうる。
また、上記の実施形態では、還流メンテナンスにおいて、第2回収路3022のみ開くようにしているが、一例であってこれに限られるものでなく、第1回収路3021を開くようにしてもよいし、第1回収路3021及び第2回収路3022の両方を開くようにしてもよい。
また、上記の実施形態では、加熱部401〜407が温度変化部として機能しているが、一例であってこれに限られるものでない。例えば、温度変化部として、加熱部401〜407に加えて、記録ヘッド241、貯留部、供給路301、回収路302、基部246の各々に個別に設けられて、冷却により各々の温度を変化させる複数の冷却部を備えていてもよい。冷却部として、例えば、風冷のためのファンやヒートシンクの他、水冷のための各種の構成等が挙げられる。
また、温度変化部は、加熱と冷却の両方を行うことが可能に設けられていてもよい。係る温度変化部は、例えば、ペルチェ素子と、ペルチェ素子に流される電流の極性を切り替えるための構成を備えることで実現される。
また、回収路302は分岐、合流していなくともよい。
図18は、回収路302が単一の経路である例を示す図である。
図18に示す例では、バイパス部2416と第2貯留部243との接続が省略され、排出口2415と第2貯留部243とが単一の経路である回収路302により接続されている。この場合、上記の実施形態にてバイパス部2416が設けられている箇所は閉塞され、インクが外部に漏れ出さないようにされる。なお、図18では、バイパス部2416と第2貯留部243との接続が省略され、排出口2415と第2貯留部243とが単一の経路である回収路302により接続されているが、逆でもよい。即ち、排出口2415と第2貯留部243との接続が省略され、バイパス部2416と第2貯留部243とが単一の経路である回収路302により接続されていてもよい。
なお、図18では、温度変化部(加熱部404、405、406)の図示を省略しているが、上記の実施形態と同様に、温度変化部が設けられる。
また、上記の実施形態では、一つの第1貯留部242に一つの記録ヘッド241が接続されているが、一例であってこれに限られるものでない。一つの第1貯留部242に複数の記録ヘッド241が接続されていてもよい。
具体的には、例えば、図19に示すように、供給路301のうち、第1貯留部242に接続されて複数の記録ヘッド241で共有される供給路を第1供給路3011とし、第1供給路から複数の記録ヘッド241の各々に分岐するよう設けられた供給路を第2供給路3012とするようにしてもよい。この場合、第1供給路3011を共有する記録ヘッド241の数に応じた分だけ第1供給路3011の温度制御に係る構成を共通化することができる。なお、一つの第1貯留部242に複数の記録ヘッド241が接続されている場合、吐出メンテナンスは、当該複数の記録ヘッド241に対して一括で行われることとなる。
また、上記の図17に示す構成では、計測部321が独立して設けられているが、一例であってこれに限られるものでない。例えば、制御部40が計測部321の機能を兼ねてもよい。
同様に、ブロック図にて図示した各種の制御部は、それぞれ、独立したハードウェアであってもよいし、ソフトウェア処理により各種の制御部の一部又は全部として機能するよう設けられた情報処理装置であってもよい。
また、上記の実施形態におけるヘッドユニット24に設けられた複数の記録ヘッド241が備える複数のノズルNの数と記録媒体Pの幅の関係は一例であって、適宜変更可能である。上記のインクジェット記録装置1は、ヘッドユニット24に複数の記録ヘッド241が設けられているが、例えば、単一の記録ヘッド241によってもよい。また、ワンパス方式のインクジェット記録装置とするに際し、単一の記録ヘッド241が、画像形成の際に記録ヘッド241と記録媒体Pとが相対的に移動する方向に直交する方向について、記録媒体Pの最大幅に応じた数の複数のノズルNを有するようにしてもよい。
また、温度変化部や検出部は、各部に複数設けられてもよい。例えば、第1供給路3011や第2供給路3012の延設方向に沿って複数の区画に区分された複数の加熱部の各々の動作を個別に制御可能にしてもよい。この場合、各区分に対応する位置に個別に検知部が設けられ、各検知部により検知された温度と加熱部の動作とが対応することとなる。温度変化部や検知部が設けられる他の構成についても、同様である。
また、上記の実施形態では、第2貯留部243から圧力制御部311を経て第2貯留部243外の空間に接続される気体の流路に設けられた電磁弁312が、第2貯留部内243に対する気体の出入りの開放又は遮断を切り替えているが、一例であってこれに限られるものでない。
例えば、第2貯留部243において、第2貯留部243と圧力制御部311との接続に係る気体の経路と別個に設けられた第2貯留部243内外の空間を接続する気体の流路に、第2貯留部内243に対する気体の出入りの開放又は遮断を切り替える構成(例えば、電磁弁等)が設けられてもよい。
また、インク吐出機構300において、液化したインクに溶存した気体を除去するための脱気装置を設けるようにしてもよい。
1 インクジェット記録装置
20 画像形成部
40 制御部
241 記録ヘッド
242 第1貯留部(貯留部)
243 第2貯留部(貯留部)
244 インクタンク
246 基部
301 供給路
3011 第1供給路
3012 第2供給路
302 回収路
305 漏出防止部
307,308,309,310,312 電磁弁
311 圧力制御部
313 圧力検知部321 計測部
401,402,403,404,405,406,407 加熱部(温度変化部)
411,412,413,414,415,416,417 検知部
N ノズル
P1 ポンプ

Claims (3)

  1. 温度によってゲル状又は固体状と液状とに相変化するインクを用いるインクジェット記録装置であって、
    前記液状となった前記インクを吐出する複数のノズルを有する記録ヘッドと、
    前記インクを貯留する貯留部と、
    前記貯留部に接続されて前記貯留部から前記記録ヘッドに供給されるインクが流れる第1供給路と、
    前記第1供給路と前記記録ヘッドとを接続するよう設けられて前記第1供給路のインクを前記記録ヘッドに導く第2供給路と、
    前記記録ヘッド、前記貯留部、前記第1供給路及び前記第2供給路の各々に個別に設けられて、前記記録ヘッド、前記貯留部、前記第1供給路及び前記第2供給路の温度を変化させる複数の温度変化部と、
    前記記録ヘッド、前記貯留部、前記第1供給路及び前記第2供給路の各々の温度を検知する検知部と、
    前記検知部による検知結果に基づいて、前記記録ヘッド、前記貯留部、前記第1供給路及び前記第2供給路の各々の温度を、前記インクが液状となる温度であって、かつ、各々に設定された設定温度とするように、前記複数の温度変化部の各々の動作を制御する制御部と、
    を備え、
    前記貯留部の設定温度は、前記記録ヘッドの設定温度よりも高く、前記第1供給路の設定温度及び前記第2供給路の設定温度は、前記記録ヘッドの設定温度よりも低く、かつ、前記第2供給路の設定温度は、前記第1供給路の設定温度よりも高いことを特徴とするインクジェット記録装置。
  2. 前記記録ヘッドの前記複数のノズルから吐出されたインクの量を計測する計測部を備え、
    前記制御部は、所定の単位時間内で前記計測部により計測されたインクの量が所定量より多い場合、前記第2供給路の設定温度を下げるよう制御することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
  3. 前記記録ヘッドの前記複数のノズルから吐出されたインクの量を計測する計測部を備え、
    前記制御部は、所定の単位時間内で前記計測部により計測されたインクの量が所定量より多い場合、前記貯留部の設定温度を上げるよう制御することを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット記録装置。
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