JP2014223932A - 貯液タンクへの燃料補給方法及び燃料補給装置 - Google Patents

貯液タンクへの燃料補給方法及び燃料補給装置 Download PDF

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Abstract

【課題】貯液タンクへの燃料の荷卸し補給作業における安全性の向上と、環境・経済面での更なる改善とをはかる。
【解決手段】分離した燃料蒸気成分は貯液タンク20内に戻して回収するベーパ回収装置80を用い、貯液タンク20に連通する注液管54の注液口53に荷卸しホース61を接続するため当該注液口53を開放する前に、荷卸し作業者によって予め行われる荷卸し補給作業における特定個別作業の実施を検出し、この検出を受け、貯液タンク20から放出される燃料蒸気を含んだ気体から燃料蒸気成分を分離して除去する処理をベーパ回収装置80に開始させることにより、貯液タンク20内を注液口の開放に備えて貯液タンク内の気相部分の雰囲気を減圧する。
【選択図】図1

Description

本発明は、揮発性液体からなる燃料を貯液タンク内に補給するための貯液タンクへの燃料補給方法及び燃料補給装置に係り、燃料補給作業の実施に伴って貯液タンクの注液口から燃料蒸気(ベーパー)を含んだ気体を外部に放出させないようにした燃料補給方法及び燃料補給装置に関する。
例えば、ガソリン等を車輌等に供給する給油所のような、揮発性液体からなる燃料を供給対象に供給する燃料供給施設では、燃料は施設地下に設置された貯液タンクに貯留されている。貯液タンク内の燃料液量は、燃料供給機によって供給対象に対する燃料供給作業が行われる都度、減少する。そのため、燃料供給施設では、貯液タンク内の燃料液量が減少すると、適宜、出荷所からタンクローリ車による燃料配送を受け、タンクローリ車から貯液タンクへ燃料の荷卸し補給を受けるようになっている。燃料の荷卸し補給は、通常、タンクローリ車の荷卸し口と貯液タンクに連通して設けられた注液管の注液口との間を荷卸しホースを介して連通接続して行われる。
貯液タンクは、燃料の補給を受ける状態では、タンク内上部の空間部分の、燃料蒸気を含んだ雰囲気からなる気相部分の容積が、貯留されている燃料液量の減少による貯液タンク内の液面高さ位置の低下によって、拡大された状態になっている。このような気相部分の容積が拡大しているタンク状態で、タンクローリ車から燃料の荷卸し補給が行われると、貯液タンク内の燃料液量の増加による液面高さ位置の上昇に伴い、気相部分はその容積が縮小され、貯液タンクの内圧が上昇することになる。
そこで、貯液タンクには、タンクローリ車からの燃料の荷卸し補給によってタンク内が異常な高圧にならないようにするため、高圧になった気相部分の雰囲気の一部を外部に開放して逃がす通気管が設けられている。通常、通気管は、一側が貯液タンク内の気相部分に連通・開口する一方、他側が大気弁(安全弁)を介して敷地高所(例えば、地上4メートル)に延び、通気孔として外部に開口・開放された構造になっている。大気弁は、通気管の内圧、すなわち通気管の一側が連通する貯液タンク内の気相部分の雰囲気の圧力と、外部の大気圧との圧力差(差圧の大きさ)に応じて開弁/閉弁し、気相部分の給気/排気を行う。
これにより、タンクローリ車からの燃料の荷卸し補給に伴い、貯液タンク内の気相部分の雰囲気の圧力が上昇しても、予め設定された開弁設定値(大気圧+設定された差圧値)に達すると大気弁が差圧で開弁することによって、気相部分の高圧になった雰囲気の一部を通気管の通気孔から外部に開放して逃がして減圧し、タンク内の異常な圧力上昇を抑制できるようになっている。
その一方で、タンクローリ車からの燃料の荷卸し補給時に、通気管の大気弁が貯液タンク内の圧力上昇を抑制するために開弁してしまうと、気相部分の高圧になっている燃料蒸気を含んだ気体が通気管の通気孔から大気中にそのまま放出されてしまうことになる。この通気管の通気孔からの燃料蒸気を含んだ気体の放出は、環境汚染の原因になるばかりか、荷卸し補給を受ける燃料総量が多い燃料供給施設にとっては、この放出されてしまった気体に含まれる燃料蒸気の総量も無視できない液量となり、荷卸し補給を受けた燃料の無用な損失に繋がってしまう。
そこで、燃料供給施設では、ベーパ回収装置を設け、従来、タンクローリ車からの燃料の荷卸し補給時に通気管からそのまま放出していた燃料蒸気を含んだ気体から燃料蒸気成分を分離して、燃料蒸気成分が除去された気体にして放出するとともに、分離した燃料蒸気成分は貯液タンク内に戻して回収するようにしている。この種のベーパ回収装置として、例えば、特許文献1に記載されているような吸着剤を利用するもの、特許文献2に記載されているようなガス分離膜を利用するもの、等が知られている。
特許文献1に記載されたベーパ回収装置の場合、タンクローリ車からの燃料の荷卸し補給時、貯液タンクから放出される燃料蒸気を含んだ気体をシリカゲル等の吸着剤が充填されている吸着槽に導入し、燃料蒸気成分を吸着剤に吸着させて分離する吸着処理を行い、燃料蒸気成分が除去された気体にしてから放出することによって、燃料蒸気を含んだ気体がそのまま大気中に放出されることを防止する構成になっている。また、燃料蒸気成分を吸着した吸着槽の吸着剤に対しては、吸着処理が行われていないときに、吸着剤から燃料蒸気成分を脱着する脱着処理を行い、この脱着した燃料蒸気成分を貯液タンク内に戻して回収することによって、燃料の無用な損失を抑制する構成になっている。
そして、この種のベーパ回収装置では、タンクローリ車から貯液タンクへの実際の燃料流入に基づいて荷卸し補給開始を判定して、貯液タンクから放出される燃料蒸気を含んだ気体から燃料蒸気成分を分離して除去する処理を開始する構成になっている。
特許文献1では、貯液タンクへの実際の燃料流入に基づいて荷卸し補給開始或いは荷卸し補給中であることを判定する構成として、貯液タンク内の気相部分の圧力を検知し、その検知した圧力値が貯液タンク内の燃料液量の増加によって予め設定された判定圧力値以上になったことを判定する構成や、貯液タンク内に貯留されている燃料の液面高さ位置或いは液量を測定し、その測定した液面高さ位置或いは液量の増加変化が予め設定された判定変化値以上になったことを判定する構成や、荷卸しホースが貯液タンクに連通している注液管の注液口に接続されたことを検出するセンサ又はスイッチの検出信号の入力を判定する構成が示されている。
特開2011−194310号公報 特開平9−324183号公報
ところで、燃料供給施設で貯液タンク内の気相部分の雰囲気が圧力上昇する原因としては、タンクローリ車からの燃料の荷卸し補給による貯液タンク内の液量増加に基づいて気相部分の容積が縮小する場合ほど圧力変化は顕著でないにしても、これ以外にも、様々な原因がある。
例えば、貯液タンク内の燃料の温度上昇によっても、燃料の飽和蒸気圧が上昇し、貯液タンク内の気相部分の雰囲気の圧力は上昇する。
また、貯液タンク内の燃料を車輌等の供給対象に供給する給油機等の燃料供給機が、ベーパ回収機構を備えた燃料供給機である場合は、貯液タンク内の気相部分の雰囲気の圧力は、供給対象に対する燃料供給作業が行われる都度、僅かずつではあるが上昇する。これは、ベーパ回収機構を備えた燃料供給機が、供給対象の燃料供給口から燃料供給時に排出される燃料蒸気を含んだ気体を吸引ポンプを利用する等して吸引し、貯液タンク内の気相部分に回収する構成になっており、その際、燃料供給口の周囲近傍の外部雰囲気も一緒に吸引してしまうことで、燃料供給作業で回収される燃料蒸気を含んだ気体の体積は供給対象に供給した燃料の体積よりも大きくなる傾向があるためである。
これにより、タンクローリ車からの燃料の荷卸し補給作業においては、貯液タンク内に貯留されている燃料の温度上昇や、ベーパ回収機構を備えた燃料供給機による燃料供給作業の繰り返しによって、貯液タンク内の気相部分の圧力が大気圧よりも上昇している場合は、荷卸しホースを貯液タンクに連通する注液管の注液口に接続するため、注液口に設けられている蓋部を開放した瞬間に、貯液タンク内の気相部分の雰囲気の圧力を大気圧に対して均衡させるように、開放した注液口から燃料蒸気を含んだ気体が噴出する、という問題点があった。
この注液口を開放した際の燃料蒸気を含んだ気体の噴出は、燃料の荷卸し補給作業における作業安全性の観点からも好ましくなく、貯液タンク内に貯留されている燃料の無用な損失にも関係する。
しかしながら、特許文献1に記載されているベーパ回収装置をはじめとする従来のベーパ回収装置は、いずれも貯液タンクへの実際の燃料流入に基づいた荷卸し補給開始或いは荷卸し補給中であることを判定して、貯液タンクから放出される燃料蒸気を含んだ気体から燃料蒸気成分を分離して除去する処理を開始する構成であるため、貯液タンク内へ燃料が実際に流入する前の、荷卸しホースを接続するために開放した注液口からの燃料蒸気を含んだ気体の噴出を防止することはできなかった。
具体的には、特許文献1に記載されているベーパ回収装置の、貯液タンク内の気相部分の圧力を検知してその圧力値が予め設定された判定圧力値以上になったことを判定する構成にしても、その判定圧力値は、通気管の大気弁の開弁設定値(大気圧+設定された差圧値)よりは値が小さいものの、貯液タンク内に貯留されている燃料の温度上昇や、ベーパ回収機構を備えた燃料供給機による燃料供給作業の繰り返しによって上昇する貯液タンク内の気相部分の圧力値よりも大きな値であった。それでなければ、ベーパ回収装置は、燃料の温度上昇や燃料供給作業の繰り返しにより貯液タンク内の気相部分に僅かな圧力上昇が起きる度に、吸着処理を繰り返すことになってしまう。この結果、貯液タンク内の顕著な圧力上昇が起きるタンクローリ車からの燃料の荷卸し補給時に、脱着処理が行われていたり、荷卸し補給途中で吸着処理から脱着処理に切り換わってしまうことが起こり得、燃料の荷卸し補給に伴う液量増加によって圧力上昇する貯液タンク内の気相部分の雰囲気を、燃料蒸気成分が除去された気体にしてから放出することができなくなってしまう。
本発明は、上述した問題点に鑑み、貯液タンクへの燃料の荷卸し補給作業における安全性の向上と、環境・経済面での更なる改善とをはかった貯液タンクへの燃料補給方法及び燃料補給装置を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を達成するために、タンクローリ車に積載された揮発性液体からなる燃料を燃料供給施設の貯液タンクに荷卸し補給する際に、タンクローリ車の荷卸し口と貯液タンクの注液口との間を荷卸しホースを介して連通接続するため、注液口に設けられた蓋部が荷卸し作業者により開放される前に、荷卸し作業者によって当該荷卸し補給作業のために予め行われる特定の個別作業の実施を検出し、その際、貯液タンク内の気相部分の雰囲気の圧力が貯液タンク外部の大気の雰囲気の圧力よりも高くなっている場合には、貯液タンク内の気相部分、及び貯液タンク内の気相部分に連通して設けられた通気管内を、注液口の蓋部が開放されても注液口から燃料蒸気を含んだ気体を噴出させないように減圧しておくことを特徴とする。
より具体的には、本発明は、揮発性液体からなる燃料を貯液タンクに補給するための貯液タンクへの燃料補給方法及び燃料補給装置に係り、燃料蒸気を含んだ気体から燃料蒸気成分を分離し、燃料蒸気成分が除去された気体にしてから放出するとともに、この分離した燃料蒸気成分は貯液タンク内に戻して回収するベーパ回収装置を用い、貯液タンクに連通する注液管の注液口に荷卸しホースを接続するため当該注液口を開放する前に、荷卸し作業者によって予め行われる荷卸し補給作業における特定の準備作業の実施を検出し、この検出を受け、貯液タンクから放出される燃料蒸気を含んだ気体から燃料蒸気成分を分離して除去する処理をベーパ回収装置に開始させることにより、貯液タンク内を注液口の開放に備えて貯液タンク内の気相部分の雰囲気を減圧することを特徴とする。
本発明によれば、荷卸し作業者が荷卸しホースを接続するために貯液タンクに連通する注液管の注液口を開放するときには、貯液タンクから放出される燃料蒸気を含んだ気体から燃料蒸気成分を分離して除去する処理が既にベーパ回収装置により開始されていて、貯液タンク内の気相部分の雰囲気の圧力が減圧されて外部の大気圧若しくはその近傍状態になっているため、開放した注液口からベーパが噴出するのを防止できる。この結果、貯液タンクへの燃料の荷卸し補給作業における安全性の向上、及び環境・経済面での更なる改善をはかることができる。
また、本発明によれば、貯液タンクへの燃料の燃料補給時において、ベーパ回収装置に故障が生じている場合は、貯液タンクへの実際の燃料流入が開始される前に、荷卸し作業者に故障の発生を感得させることも可能になり、安全性がより一層向上する。
また、本発明の上記した以外の、課題、構成及び効果については、以下の実施の形態の説明により明らかにされる。
本発明の一実施の形態に係る燃料補給装置のシステム構成、及び本実施の形態に係る燃料補給装置が適用された給油所の一実施例についての説明図である。 本実施の形態に係る燃料補給装置において、荷卸し補給管理装置によって実行される注液口開放準備処理のフローチャートである。 本発明の実施の形態に係る燃料補給装置の基本構成図である。
まず、本発明の実施の形態に係る燃料補給装置の構成を説明するに当たって、本発明に係る燃料補給装置について、図3により説明しておく。
図3は、本発明の実施の形態に係る燃料補給装置の基本構成図である。
図3において、燃料補給装置は、減圧装置としてのベーパ回収装置180を含む構成になっている。ベーパ回収装置180には、貯液タンク20内の上部空間部分の燃料蒸気を含んだ雰囲気からなる気相部分Gに連通するベーパ回収管181aが接続されているとともに、給排気のための外部の大気雰囲気に対して開放開口された給排気口を有する給排気管183aが接続されている。
ベーパ回収装置180は、貯液タンク20の気相部Gの、燃料蒸気を含んだ雰囲気がベーパ回収管181aを介して導入され、吸着剤が内部に充填されている回収槽182aと、この貯液タンク20の気相部分Gからの燃料蒸気を含んだ雰囲気の、回収槽182aへの導入・導入停止を行う導入バルブ181cと、回収槽182a内の雰囲気を給排気管183aを介して外の大気雰囲気に対して開放・閉塞する給排バルブ183bとを有する。
そして、図示のようなベーパ回収装置180を含む燃料補給装置にあっては、ベーパ回収装置180の回収槽182aの槽内は、荷卸し補給作業が行われていない時は、導入バルブ181c及び給排バルブ183bが閉弁した閉塞状態になっている。
その上で、タンクローリ車60から揮発性液体からなる燃料を貯液タンク20に荷卸し補給する際は、荷卸しホース61を貯液タンク20に連通する注液管54の注液口53に接続するため、注液口53に設けられている蓋体55を開放する前に、荷卸し作業者によって当該荷卸し補給作業のために予め行われる特定の個別作業(特定の準備作業)が実施されると、その実施信号又は検出信号を受けて、ベーパ回収装置180は、導入バルブ181c及び給排バルブ183bを開弁して、回収槽182aを、ベーパ回収管181aを介して貯液タンク20の気相部分Gに連通する。その際に、貯液タンク20の気相部分Gの圧力が外部の大気圧よりも高くなっていれば、その差圧に基づいて、貯液タンク20の気相部分Gの燃料蒸気を含んだ雰囲気はベーパ回収装置180の回収槽182aに導入されることになり、貯液タンク20の気相部分Gの燃料蒸気を含んだ雰囲気は減圧される。この結果、燃料補給装置では、荷卸しホース61を注液口53に接続するため注液口53の蓋体55が開放されても、注液口53から燃料蒸気を含んだ気体を噴出させないように減圧しておくことができる。
図示のベーパ回収装置180では、特定の個別作業の実施を受けて、導入バルブ181c及び給排バルブ183bを開弁し、貯液タンク20の気相部分Gからその減圧のために導入された燃料蒸気を含んだ雰囲気中より燃料蒸気成分(ベーパー成分)を吸着し、ベーパーが取り除かれた雰囲気を吸排気管183aを介して外部に排出するようにしている。
また、図示のベーパ回収装置180では、より好ましい実施の形態として、回収槽182aや給排バルブ183bを備えることによって、回収槽182aに貯まった燃料蒸気を含んだ気体は、貯液タンク20の燃料が減少して気相部分Gが減圧状態になった時に導入バルブ181cを開弁して貯液タンク20の気相部分Gに戻したり、給排バルブ183bを開弁して給排気管183a側から回収槽182a内の雰囲気を吸引して強制的に貯液タンク20に戻したり、回収槽182aを交換したり等することが可能になっている。
また、貯液タンク20の気相部分Gの燃料蒸気を含んだ雰囲気を導入開始するタイミングを規定する、荷卸し作業者によって当該荷卸し補給作業のために予め行われる特定の個別作業の実施信号又は検出信号としては、注液口53の蓋体55の開放前に荷卸し作業者によって行われる種々の個別作業(特定の準備作業)の実施又はその検出信号が利用可能である。例えば、タンクローリ車60から貯液タンク20への荷卸し量や荷卸し液種の設定入力操作、タンクローリ車60のアース線の接続操作、等の種々の個別作業の実施又はその検出信号が利用可能である。
そこで、本発明の上記実施の形態に係る燃料補給装置のベーパ回収装置180に係る回収槽182a等を有する構成に着目した本発明のより具体的な実施の形態について、以下に説明する。
本実施の形態に係る貯液タンクへの燃料補給方法及び燃料補給装置について、車輌等にガソリン等の燃料を供給する給油所(ガソリンスタンド)に適用した場合を例に、図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る燃料補給装置のシステム構成、及び本実施の形態に係る燃料補給装置が適用された給油所の一実施例についての説明図である。
まず、本実施の形態に係る燃料補給装置が適用された給油所10の構成について、図1を基に、説明しておく。
給油所10は、敷地面地下に、供給液種(例えば、ハイオクガソリン,レギュラーガソリン,軽油等といった油種)に対応した貯油タンク(貯液タンク)20が一乃至複数埋設された構成になっている。また、給油所10は、供給対象の車輌が停車する敷地面上の給油エリアに対応させて、燃料を供給対象に給液するための給油機(燃料供給機)30が設置された構成になっている。
なお、図示の実施例では、説明簡便のため、貯油タンク20は1基のみ図示してある。また、図示の実施例では、1つの貯油タンク20に対して1つの給油機30を設置してあるが、1つの貯油タンク20に対して複数の給油機30を設置し、1つの貯油タンク20を複数の給油機30で共用することも可能である。このように、給油所10の構成自体は、図示の構成に限定されない。
その上で、貯油タンク20と給油機30とは、敷地面地下に延設された給液管51を介して連通接続され、貯油タンク20に貯留されている燃料を給油機30へ供給可能になっている。給液管51のタンク側は、貯油タンク20内の下部空間部分に到り、貯留されている燃料液量が少量である場合でも、タンク内において燃料油液が占める部分である液相部分Lに連通開口するようになっている。また、給液管51の給油機側は、給油機本体内に設けられたポンプ31の吸い込み側に連通されている。
給油作業者(燃料供給作業者)は、給油機本体から延びる給油ホース33先端の給油ノズル34を操作して、車輌等の供給対象に燃料を供給する。その際、給油機30は、給油作業者による給油ノズル34の所定操作に応じて、貯油タンク20内の燃料をポンプ31によって給液管51を介して汲み上げ、給油機本体内に設けられた流量計32を介して、給油ホース33先端の給油ノズル34に送液する。この給油作業(燃料供給作業)で、給油ノズル34から供給対象に供給された燃料液量は流量計32により計測され、制御部(給油機制御部)38によりこの計測出力に基づいて給油量(燃料供給量)が演算され、表示器35に表示される。これにより、貯油タンク20内に貯留されている燃料液量は、給油作業が実施される都度、給油量分だけ減少することになる。
加えて、図示の例では、給油機30は、更にベーパ回収機構36が設けられた構成になっている。そのため、給油ノズル34には、ベーパ吸引口(図示省略)が設けられている。ベーパ吸引口は、車輌等の給油口(燃料供給口)に給油ノズル34を装着した状態で、給油口から排出される燃料蒸気を含んだ気体を取り込めるように開口している。給油ホース33には、ベーパ吸引口から取り込んだ気体を移送するためのベーパ吸引チューブ(図1中、破線で示す)36aが沿設されている。給油機本体内には、吸い込み側をベーパ吸引チューブ36aに連通させ、給油ノズル34のベーパ吸引口からその近傍の外部雰囲気を吸引するためのベーパ吸引ポンプ36bが設けられている。ベーパ吸引ポンプ36bの吐出側は、ベーパ戻し管52を介して、貯油タンク20内の上部空間部分の、燃料蒸気を含んだ雰囲気からなる気相部分Gに連通されている。
ベーパ回収機構36は、上述した給油量の演算を行うとともに給油機各部を制御する制御部38によって、ベーパ吸引ポンプ36bが給油作業者による給油ノズル34の所定操作(例えば、給油機本体のノズル収納部から取り出し)に応動し、ベーパ吸引口近傍の周囲雰囲気の吸引を行う。これにより、給油作業の際、給油口に給油ノズル34が装着された状態で、給油口から排出される燃料蒸気を含んだ気体を取り込んで、貯油タンク20内の気相部分Gに移送して回収できるようになっている。
なお、図示の給油所10では、給油機30はベーパ回収機構36が設置された構成として説明したが、給油所10は、ベーパ回収機構36が設けられていない給油機30が設置されている給油所10であっても差し支えない。したがって、ベーパ回収機構36の構成も、上述した構成に限らず、給油作業の際に給油口から排出される燃料蒸気を含んだ気体を回収できるものであるならば、従来から知られている種々の構成が適用可能である。
一方、給油所10で給油エリアでの給油作業の邪魔にならないの適所には、貯油タンク20に燃料を補給するための注油口(注液口)53が配置されている。注油口53は、敷地面地下に延設された注油管(注液管)54を介して、貯油タンク20内に連通している。
注油口53は、油槽所(出荷所)からハッチ(区画室)に燃料を積載して移送してきたタンクローリ車60から燃料の荷卸し補給を受けるため、荷卸しホース61の注油口側接続端が着脱自在な構成になっている。荷卸しホース61は、タンクローリ車60の荷卸し口62と注油口53との間を接続し、タンクローリ車60の荷卸しハッチと燃料の荷卸し補給を受ける貯油タンク20との間の荷卸し流路を形成する。荷卸しホース61は、タンクローリ車60からの燃料の荷卸し補給作業において、ハッチ底面の液排出口に備えられたハッチ底弁(図示省略)や荷卸し口62に備えられた荷卸し弁(図示省略)を開弁して、荷卸し口62から燃料を実際に流出させる前に、荷卸し作業者によって、タンクローリ車60の荷卸し口62及び注油管54の注油口53に対し、それぞれ接続作業が行われる。
通常、注油口53は、貯油タンク20への燃料の荷卸し補給作業が行われるとき以外は、例えば着脱若しくは開閉自在な蓋体55によって閉塞され、注油管54内、及びこの注油管54が連通する貯油タンク20の気相部分Gの燃料蒸気を含んだ雰囲気を注油口53から外部に放出させないようになっている。
加えて、図示の例では、注油口53は、敷地面に固設された注油口収容ボックス57に収容された構成になっている。注油口収容ボックス57は、貯油タンク20への燃料荷卸し補給作業が行われているとき以外の通常時には、その開閉扉58を閉じておくことによって、注油口53自体を外部から隠蔽し保護できるようになっている。
したがって、タンクローリ車60から貯油タンク20への燃料の荷卸し補給作業で、荷卸し作業者は、注油口53に荷卸しホース61を接続するために、図示の例では、注油口収容ボックス57の開閉扉58を開けて注油口53を露出させ、注油口53の蓋体55を開けて開放し、注油口53を荷卸しホース61が接続可能な状態にする。なお、注油口収容ボックス57については、その設置を省略することもできる。
このようにして、燃料の荷卸し補給を受ける貯油タンク20の注油口53に荷卸しホース61を接続して、タンクローリ車60からの実際の燃料流入に基づく荷卸し補給が開始されると、貯油タンク20内の燃料液量は、その荷卸しが行われた液量分(補給された液量分)だけ増加することになる。そのため、貯油タンク20内の燃料液量は、燃料の荷卸し補給作業や供給対象への給油作業の実施によって増減し、液相部分Lと気相部分Gとの境界の液面高さ位置も、貯油タンク20内に貯留されている燃料液量に応じて変位する。
そこで、貯油タンク20には、タンク内に貯留されている燃料の液面若しくは液量を計測するため、液面センサ(液量センサ)71が設けられている。液面センサ71の計測出力は、給油所事務所等に配置された液量管理装置72に送信され、液量管理装置72によって貯油タンク20内の刻々の液量状態等が記録及び表示され、貯油タンク20に係る情報として管理されている。
加えて、貯油タンク20には、タンク内の温度変化や燃料の供給・荷卸し補給等によって、タンク内における気相部分Gの雰囲気の圧力が異常な高圧や低圧にならないようにするため、通気管75が設けられている。通気管75は、一側がタンク内の気相部分Gに連通する一方、他側が敷地高所(例えば、地上4メートル)に延び、大気弁76を介して、大気雰囲気中に通気孔として開放開口されている。大気弁76は、ブリーザーバルブとして、各通気管75の内圧、すなわち貯油タンク20内における気相部分Gの雰囲気の圧力が大気圧に対して所定値以上の差圧を生じると開弁し、貯油タンク20内の圧力を調整する。具体的に、タンクローリ車60からの燃料の荷卸し補給、タンク内の温度上昇に伴う飽和蒸気圧の上昇に基づくタンク内の燃料の気化、ベーパ回収機構36が設けられている給油機30による給油作業の繰り返し等によって、貯油タンク20のタンク内における気相部分Gの雰囲気の圧力が大気圧に対して所定値以上高くなると、大気弁76が差圧によって開弁し、タンク内の気相部分Gの雰囲気が異常に高圧にならないようにその一部を外部に放出するようになっている。また、タンク内の温度低下やベーパ回収機構36が設けられていない給油機30による給油作業の繰り返し等によってタンク内における気相部分Gの雰囲気の圧力が大気圧に対して所定値以上低くなったときにも、大気弁76は差圧によって開弁し、タンク内の気相部分Gの雰囲気の圧力が異常に低圧にならないように外部の大気を給気する。なお、この大気弁76の開弁による気相部分Gの排気及び給気に係り、大気弁76が開弁する際の差圧の所定値の大きさは、排気の場合と給気の場合とで異なる値であってよい。
その上で、図示の給油所10では、燃料の荷卸し補給時の貯油タンク20への実際の燃料流入によって、圧力上昇した気相部分Gの燃料蒸気を含む雰囲気が通気管75の大気弁を開弁して、燃料蒸気を含む気体が外部に放出されてしまうのを防ぐため、給油所10には、ベーパ回収機80が設けられた構成になっている。ベーパ回収機80は、吸着剤を利用するもの、ガス分離膜を利用するもの等、燃料蒸気を含む気体から燃料蒸気成分を分離して除去できるものであれば、適用可能である。図1では、このようなベーパ回収機80の一実施例として、吸着剤を利用するベーパ回収機80の構成が図示されている。
そのため、図1では、ベーパ回収機80は、ベーパ回収部81と、吸着部82と、気体給排部83と、脱着還流部84と、吸着・脱着制御部85とを有する。ベーパ回収機80は、液量管理装置72並びに後述する荷卸し補給管理装置90との間で、制御信号やデータ情報の送受信を行えるようになっている。
ベーパ回収部81は、貯油タンク20内の気相部分Gの雰囲気を、ベーパ回収管81aを介して、吸着部82に導入する。ベーパ回収管81aは、一側が貯油タンク20の通気管75に連通され、他側が、吸着部82における吸着塔82aの導入・還流口82cに連通された構成になっている。また、ベーパ回収管81aには、圧力センサ81bと吸着塔導入バルブ81cとが配設されている。
圧力センサ81bは、吸着塔導入バルブ81cよりも貯油タンク20側に配置され、例えば差圧伝送器(差圧式圧力計)によって構成されている。圧力センサ81bは、通気管75の内圧、すなわち貯油タンク20内の気相部分Gの雰囲気の圧力(圧力変化)を、大気圧との差圧で計測する。圧力センサ81bの計測出力は、貯油タンク20内の気相部分Gの雰囲気の圧力状況に応じて変化し、吸着・脱着制御部85に供給されている。
吸着塔導入バルブ81cは、圧力センサ81bと吸着部82との間で、その開閉に応じてベーパ回収管81aを連通/遮断する。吸着塔導入バルブ81cは、例えば電磁作動式若しくは空気圧作動式の開閉弁によって構成され、吸着・脱着制御部85からの作動制御信号に応じて開閉する。吸着塔導入バルブ81cは、吸着部82に対して、貯油タンク20内の燃料蒸気を含む気相部分Gの雰囲気の導入/導入停止をその開閉に応じて行う。
吸着部82は、槽内に吸着剤82bが充填された吸着塔82aを有する。吸着部82は、槽内に導入された燃料蒸気を含んだ気体の燃料蒸気成分を吸着剤82bに吸着させ、燃料蒸気成分を分離して除去する。吸着剤には、例えば、シリカゲル,ゼオライト,吸着ガスの脱着が可能な活性炭(例えば、メソフェーズ活性炭)等のような、燃料蒸気成分を分離可能な物質が用いられている。
吸着塔82aには、ベーパ回収部81のベーパ回収管81a及び脱着還流部84の燃料蒸気還流管84aが連通する導入・還流口82cと、気体給排部83の給排気管83aが連通する排気・給気口82dとが形成されている。貯油タンク20内の燃料蒸気を含んだ気相部分Gの雰囲気は、ベーパ回収部81によって導入・還流口82cを介して槽内に導入され、燃料蒸気成分は吸着剤82bに吸着されて分離される。燃料蒸気成分が分離され、除去された気体は、排気・給気口82dを介して気体給排部83に排出され、気体給排部83によって外部の大気中に放出される。その一方、吸着剤82bに吸着された燃料蒸気成分は、導入・還流口82cを介して脱着還流部84によって脱着される。燃料蒸気成分の脱着後、負圧状態になっている吸着塔82aの槽内には、気体給排部83から排気・給気口82dを介して脱圧気体が導入される。
また、吸着塔82aには、吸着剤82bによる燃料蒸気成分の吸着状況を監視する吸着状況検知センサ82eと、吸着塔82aの槽内雰囲気の圧力を計測する圧力センサ82fとが設けられている。
吸着状況検知センサ82eは、例えば、槽内下方の導入・還流口82c側から槽内上方の排気・給気口82d側にかけて槽内を分割して形成した領域毎に設けられた複数の温度センサによって構成されている。温度センサには、例えば、熱電対、測温抵抗体、或いはサーミスタ等が利用される。各温度センサの検出出力は、槽内の対応領域における吸着剤82bの燃料蒸気成分の吸着状況に応じて変化する。一方、圧力センサ82fは、例えば、導入・還流口82c又はその近傍に設けられた圧力伝送器(絶対圧圧力計)によって構成されている。吸着状況検知センサ82eの各温度センサの検出出力、及び圧力センサ82fの計測出力は、吸着・脱着制御部85に供給されている。
気体給排部83は、吸着部82の槽内で燃料蒸気成分が吸着剤82bによって吸着され、燃料蒸気成分が分離されて除去された気体を、給排気管83aを介して外部の大気中に放出する。また、気体給排部83は、吸着塔82aの槽内の吸着剤82bから燃料蒸気成分の脱着を行って負圧状態になっている吸着塔82aの槽内に、脱圧用気体を給排気管83aを介して導入して、大気圧状態若しくはその近傍状態からなる基準状態に脱圧する。
給排気管83aは、一側が吸着部82の吸着塔82aに形成された排気・給気口82dに連通され、他側が敷地高所(例えば、地上4メートル)に延び、大気弁83cを介して給排気口として外部の大気雰囲気に対して開放開口された構成になっている。この場合、大気弁83cの開弁設定値(大気圧+設定された差圧値)の大きさは、通気管75に設けられている大気弁76が開弁するときの開弁設定値(大気圧+設定された差圧値)Pmの大きさよりも、小さく設定されている。
そして、給排気管83aには、給排バルブ83bが配設されている。給排バルブ83bは、例えば電磁作動式、空気圧作動式、或いはモーター駆動等による流量調整機能を備えた開閉弁によって構成され、吸着・脱着制御部85からの作動制御信号に応じて開閉する。給排バルブ83bは、その開閉によって給排気管83aを連通/遮断するとともに、開弁量に対応して単位時間当たりの気体の通過流量を調整できるようにもなっている。
なお、図示の例では、気体給排部83は、吸着部82からの燃料蒸気成分が除去された気体の大気中への放出、及び吸着部82への外部大気の導入を、一の開閉弁からなる給排バルブ83bで行う構成としたが、給排気管83aの管途中にバイパス管路部を設け、それぞれ別々の専用開閉弁からなる排気バルブ,給気バルブを備えて行う構成としてもよい。また、大気弁83cについては、外部より給排気管83a内に雨や埃が入ることを防止するためのものであり、給排気口に雨や埃が入ることを防止するカバーを大気弁83cに代えて設けることで、省略可能である。
脱着還流部84は、吸着塔82aの槽内の吸着剤82bに吸着された燃料蒸気成分を脱着し、燃料蒸気還流管84aを介して貯油タンク20に還流させる。燃料蒸気還流管84aは、一側が吸着部82における吸着塔82aの導入・還流口82cに連通し、他側が貯油タンク20内の気相部分G又は液相部分Lに連通した構成になっている。図示の例では、燃料蒸気還流管84aは、他側を貯油タンク20に直接連通させたが、貯油タンク20と弁等を介さずに常時連通している箇所であれば、例えば通気管75の途中でも構わない。
脱着還流部84は、図示の例では、燃料蒸気還流管84aに、その一側から他側に向けて順番に、還流バルブ84b、真空ポンプ(吸引ポンプ)84c、冷却ユニット84dを配置した構成になっている。
還流バルブ84bは、吸着部82における吸着塔82aの導入・還流口82cと後段の真空ポンプ84c及び冷却ユニット84dとの間で、その開閉に応じて燃料蒸気還流管84aを連通/遮断する。還流バルブ84bは、例えば電磁作動式若しくは空気圧作動式の開閉弁によって構成され、吸着・脱着制御部85からの作動制御信号に応じて開閉する。還流バルブ84bは、その開閉に応じて、吸着部82における吸着塔82aの導入・還流口82cが真空ポンプ84cに対して連通/遮断され、吸着塔82aの槽内の雰囲気の吸引/吸引停止が行われる。
なお、図示の例では、還流バルブ84bは、ベーパ回収部81の吸着塔導入バルブ81cとは別体構成としたが、ベーパ回収部81の吸着塔導入バルブ81cと一体構成にして、吸着/脱着切換バルブとすることも可能である。この場合、吸着/脱着切換バルブは、例えば電磁作動式若しくは空気圧作動式の三方弁によって構成され、吸着・脱着制御部85からの作動信号に応じて、吸着部82における吸着塔82aの導入・還流口82cを、ベーパ回収部81におけるベーパ回収管81a、又は還流部84の燃料蒸気還流管84aに対して、選択的に連通切り換えできるようになっている。
真空ポンプ84cは、還流バルブ84bが開弁されて真空ポンプ84cの吸引側が吸着塔82aの導入・還流口82cと連通されている状態で、吸着・脱着制御部85によって作動されることにより、吸引ポンプとして、吸着塔82aの吸着剤82bが充填された槽内の雰囲気を吸引する。
冷却ユニット84dは、真空ポンプ84cが吸引した、吸着剤82bから脱着させられた脱着燃料蒸気成分を含んだ雰囲気を、冷却して液化する。冷却ユニット84dには、例えば、冷媒をコンプレッサにより圧縮して冷却するもの、冷却水による冷却を用いたもの等の冷却構成を利用することができる。冷却ユニット84dによって液化された脱着燃料蒸気成分、及び液化しきれなかった脱着燃料蒸気成分を含む雰囲気は、燃料蒸気還流管84aの他側から貯油タンク20に戻される。
吸着・脱着制御部85は、上述した圧力センサ81b,82f、吸着状況検知センサ82eといった各種センサの検出出力や、液量管理装置72のデータ情報出力を基にして、吸着塔導入バルブ81c,給排バルブ83b,還流バルブ84b,真空ポンプ84c,冷却ユニット84d等といった各部を作動制御して、ベーパ回収機80の吸着処理、脱着処理、及び脱圧処理の実行制御を行う。さらに、図示の例では、吸着・脱着制御部85は、後述する荷卸し補給管理装置90からの制御信号の入力により、注液口開放準備のための吸着処理の実行制御を行うようにもなっている。吸着・脱着制御部85は、例えば、CPU,メモリ等の記憶部、インタフェースを含むマイクロコンピュータによって構成されている。
吸着・脱着制御部85は、タンクローリ車60から貯油タンク20への実際の燃料流入を判定すると、吸着処理を開始する。吸着・脱着制御部85は、この判定を、例えば、圧力センサ81bの計測出力に基づいて貯油タンク20内の気相部分Gの圧力値が予め設定された圧力判定値Pf以上になったこと、液量管理装置72の計測出力に基づいて貯油タンク20内に貯留されている燃料に液量変化や液面高さの変位が生じたこと、等により行う。
吸着処理は、例えば、前回の脱圧処理或いは吸着処理の終了によって、吸着塔導入バルブ81c、給排バルブ83b、還流バルブ84bが閉弁状態になっている下で、ベーパ回収部81の吸着塔導入バルブ81c、及び気体給排部83の給排バルブ83bを開弁して、ベーパ回収管81a、及び給排気管83aを連通状態にすることによって行われる。
また、吸着・脱着制御部85は、吸着処理の終了判定時には、次回の吸着処理の実行等に備えて、吸着処理で開弁した吸着塔導入バルブ81c及び給排バルブ83bを閉弁するようになっている。吸着・脱着制御部85は、この判定を、例えば、圧力センサ81bの計測出力に基づいて貯油タンク20内の気相部分Gの圧力値が大気圧若しくはその近傍の基準状態まで低下したこと、液量管理装置72の計測出力に基づいて貯油タンク20内に貯留されている燃料に液量変化や液面高さの変位が生じていないこと、等により行う。
吸着処理が実施されると、通気管75の一側が連通する貯油タンク20内の気相部分Gの燃料蒸気を含む雰囲気が圧力上昇している場合は、その圧力上昇した気相部分Gの燃料蒸気を含む雰囲気が、自圧によって、ベーパ回収部81のベーパ回収管81aを介して、吸着部82の吸着塔82aの槽内に導入される。吸着部82では、貯油タンク20内の気相部分Gから導入された燃料蒸気を含んだ気体が、その燃料蒸気成分を吸着塔82aの槽内の吸着剤82bに吸着分離されて、燃料蒸気成分が除去された気体にされる。この燃料蒸気成分が除去された気体は、気体給排部83の給排気管83aを介して、給排気口から大気中に放出される。
したがって、貯油タンク20への実際の燃料流入に基づいた液量変化や液面高さの変位により貯油タンク20内の気相部分Gの燃料蒸気を含む雰囲気が圧力上昇した場合は、大気弁76が開弁するのに先んじてベーパ回収機80が吸着処理を行うことによって、貯油タンク20内の気相部分Gから放出される燃料蒸気を含む気体は、通常時は、通気管75によってではなく、ベーパ回収機80により燃料蒸気成分が除去された気体にしてから大気中に放出される。これにより、貯油タンク20内の気相部分Gの雰囲気は、脱圧されてその圧力上昇が抑制される。
吸着・脱着制御部85は、吸着処理が行われていない時に、吸着部82に吸着されている燃料蒸気成分の貯油タンク20内への回収が必要と判定すると、脱着処理を開始する。吸着・脱着制御部85は、この判定を、例えば、吸着状況検知センサ82eの検出出力に基づいて、吸着塔82aの槽内に充填されている吸着剤82bの燃料蒸気成分の吸着状態が、予め設定されている脱着を行う所定の吸着状態になっていること、等より行う。
脱着処理は、例えば、前回の吸着処理の終了等によって、吸着塔導入バルブ81c、給排バルブ83b、還流バルブ84bが閉弁状態になっている下で、脱着還流部84の還流バルブ84bを開弁して燃料蒸気還流管84aを連通状態にし、真空ポンプ84c及び冷却ユニット84dを作動することによって行われる。
また、吸着・脱着制御部85は、脱着処理の終了判定時には、脱着処理の後に引き続き行う脱圧処理に備えて、脱着処理で作動させた真空ポンプ84c及び冷却ユニット84dを作動停止させ、開弁した還流バルブ84bを閉弁するようになっている。吸着・脱着制御部85は、この判定を、例えば、吸着状況検知センサ82eの計測出力に基づいて吸着剤82bの燃料蒸気成分の吸着状態が予め設定された終了判定状態に低下していること、圧力センサ82fの計測出力に基づいて吸着塔82aの槽内の圧力が予め設定された終了判定状態に減圧されていること、予め設定された所定の脱着時間が経過したこと、等により行う。
脱着処理が実施されると、吸着塔82aの槽内の吸着剤82bに吸着されている燃料蒸気成分が、吸着剤82bから脱着分離されて、吸着塔82aの槽内の雰囲気とともに、脱着還流部84の真空ポンプ84cによって吸引されて排出される。脱着還流部84では、吸着塔82aの槽内から吸引し、吸着剤82bから脱着分離した燃料蒸気成分を含む雰囲気は、冷却ユニット84dによってその燃料蒸気成分が液化される。そして、冷却ユニット84dで液化された脱着燃料蒸気成分、及び冷却ユニット84dで液化しきれなかった脱着燃料蒸気成分を含む雰囲気は、燃料蒸気還流管84aの他側から貯油タンク20内に戻される。
加えて、吸着・脱着制御部85は、脱着処理の終了に引き続き、脱圧処理を、吸着塔導入バルブ81c、給排バルブ83b、還流バルブ84bが閉弁状態になっている下で、気体給排部83の給排バルブ83bを開弁することによって行う。
また、吸着・脱着制御部85は、脱圧処理の終了判定時には、次回の吸着処理の実行等に備えて、脱圧処理で開弁した給排バルブ83bを閉弁するようになっている。吸着・脱着制御部85は、この判定を、例えば、圧力センサ82fの計測出力に基づいて、吸着塔82aの槽内の圧力が予め設定された基準圧状態(例えば、大気圧状態)に回復していること、予め設定された所定の脱圧時間が経過したこと、等により行う。
脱圧処理が実施されると、脱着処理で負圧状態になっている吸着塔82aの槽内には、給排気管83aを介して、給排気口から脱圧用気体としての外部大気が導入され、吸着塔82aの槽内は、脱着処理の実施による負圧状態が解消される。
したがって、吸着部82に吸着されている燃料蒸気成分の回収が必要な場合は、脱着処理を行うことによって、貯油タンク20内の気相部分Gの圧力上昇によって貯油タンク20内から放出される燃料蒸気を含む気体の燃料蒸気成分を、貯油タンク20内に回収することができる。さらに、脱着処理の終了に引き続き、脱圧処理を行うことによって、脱着処理後に最初に吸着処理を行う際、燃料蒸気を含む気体が貯油タンク20内の気相部分Gから必要以上に導入されるのを防ぐことができる。
このように、図示した給油所10においては、ベーパ回収機80が備えられているので、貯液タンク内に貯留されている燃料の温度上昇やベーパ回収機構を備えた給油機30による給油作業の繰り返しよりも貯油タンク20内の気相部分Gの圧力の顕著な増圧変化が起こる、タンクローリ車60から貯油タンク20への実際の燃料流入による貯油タンク20内の液量増加時にあっても、その際、貯油タンク20内からスポット的に多量放出される燃料蒸気を含む気体から、燃料蒸気成分を分離回収して、燃料蒸気成分が除去された気体にしてから外部に放出することができ、環境汚染や荷卸し補給を受けた燃料の無用な損失を防ぐことができるようになっている。なお、このベーパ回収機80は、供給液種が互いに異なる貯油タンク20が設置されている給油所では、回収時のコンタミネーションを防ぐため、互いに供給液種が違う貯油タンク20毎に複数備えられる。
さらに、給油所10においては、タンクローリ車60からの荷卸し作業者による適切かつ安全な燃料の荷卸し補給作業を管理するための荷卸し補給管理装置90が設けられている。なお、本実施の形態においては、本発明の説明の便宜のため荷卸し補給管理装置90はベーパ回収機80又は車載コンピュータ63とは別体に設けられた形で以下において説明しているが、当然ながら荷卸し補給管理装置90の機能はベーパ回収機80又は車載コンピュータ63に一体に設けてもよい。
荷卸し補給管理装置90は、図示の例では、給油所10に設けられた液量管理装置72及びベーパ回収機80の吸着・脱着制御部85とも接続され、液量管理装置72並びにベーパ回収機80との間で、制御信号やデータ情報の送受信を行えるようになっている。また、荷卸し補給管理装置90には、アース線コネクタ96に設けられた接続検知器96aが信号接続されている。
アース線コネクタ96は、図示省略したアース装置に接続されて設けられ、タンクローリー車60に備えられたローリー車アース線64が着脱自在になっている。アース線コネクタ96には、タンクローリー車60の車体の静電気を除去するため、ローリー車アース線64が接続される。接続検知器96aは、アース線コネクタ96にローリー車アース線64が接続され、タンクローリー車60がアースされていることを検知する。
荷卸し補給管理装置90は、図示の例では、操作盤91、車載コンピュータ通信部92、荷卸し補給制御部93を有する構成になっている。
操作盤91には、荷卸し補給作業の際に、荷卸し作業者が、荷卸し補給作業がこれから行われることを荷卸し補給制御部93に対して指示するともに、これから行われる荷卸し補給作業の作業情報等を設定入力するための入力部91aが設けられている。また、操作盤91には、この入力部91aによる設定内容も含めて、荷卸し補給作業で必要な各種情報を荷卸し作業者が確認するための報知部91bが設けられている。
入力部91aは、荷卸し補給する貯油タンク20の注油口53に荷卸しホース61を接続してタンクローリ車60から貯油タンク20への実際の燃料の流出・流入に基づいた荷卸し補給が開始される前に、その荷卸し補給が適正か否か、すなわち荷卸し補給の可否について荷卸し補給制御部93に判定させるため、荷卸し作業者がこれから行う荷卸し補給作業の作業情報(判断情報)を設定入力できるようになっている。そのため、入力部91aには、例えば、車番カードリーダ、作業開始スイッチ、タンク指定キー、ハッチ選択キーといった作業情報入力部が含まれている。
例えば、車番カードリーダは、タンクローリー車60が燃料配送の際に携行する車番カードの記憶情報を読み取る。車番カードには、例えば、油槽所の出荷管理装置によって、油槽所の出荷装置を用いてハッチ毎に積載する燃料の液種や液量といった積み込み情報や、出荷装置を用いてハッチ毎に積み込まれた燃料に関する配送先名(給油所名、タンク識別番号)及び荷卸しする燃料の液種や液量といった荷卸し配送情報が、配送の都度、ハッチ毎に対応させて記憶されている。
作業開始スイッチは、荷卸し作業者が配送先の給油所10でこれから荷卸し補給作業を開始するにあたって操作する。なお、作業開始スイッチは、車番カードリーダや、車載コンピュータ通信部92で兼ねることも可能である。
タンク指定キーは、図示の例では図示省略したが、配送先の給油所10が複数の貯油タンク20を備えた給油所である場合に、これら複数の貯油タンク20の中からこれから燃料の荷卸し補給を行う荷卸し補給先の貯油タンク20を選択指定する。すなわち、タンク指定キーの操作によって、タンクローリー車60のハッチからの実際の燃料流出に基づく荷卸しが開始される前に、燃料の荷卸し補給を受ける対象タンク情報が特定される。
ハッチ選択キーは、タンクローリー車60のそれぞれ燃料が積み込まれた複数のハッチの中から、これから燃料の荷卸しを行うハッチを選択指定する。すなわち、ハッチ選択キーの操作によって、タンクローリー車60のハッチからの実際の燃料流出に基づく荷卸しが開始される前に、これから燃料の荷卸しを行う対象ハッチ情報が特定される。
なお、荷卸し補給管理装置90は、入力部91aの車番カードリーダに加えて、或いはこの車番カードリーダに代えて、車載コンピュータ通信部92を有する構成であってもよい。この場合、車載コンピュータ通信部92は、タンクローリー車60が車載コンピュータ63を搭載したタンクローリー車60である場合に、タンクローリー車60の車載コンピュータ63との間で制御信号やデータ情報を交信するための通信インタフェースである。
車載コンピュータ通信部92は、例えば、車載コンピュータ63との間を通信ケーブルで接続するための通信ケーブルコネクタ、又は車載コンピュータ63との間で近距離無線通信を行うための無線LANインタフェースを有する。車載コンピュータ63の記憶部には、配送の都度、油槽所の出荷管理装置との通信によって直接的に、又は装着された車番カードの読み取りによって間接的に、積み込み情報や荷卸し配送情報が記憶されている。車載コンピュータ63は、この記憶された積み込み情報や荷卸し配送情報に基づいて、例えば、油槽所で、油槽所の出荷装置と協働してタンクローリー車60の各ハッチに対する配送燃料の積み込みを管理したり、又は、配送先の給油所10で、タンクローリー車60に備えられているハッチ底弁、荷卸し弁といった荷卸し各部を作動制御して各ハッチに積載されている燃料の荷卸しを管理したりする。
そのため、タンクローリー車60が車載コンピュータ63を搭載したタンクローリー車60である場合は、荷卸し補給制御部93は、入力部91aの車番カードリーダを用いた車番カードの読み取りによらずとも、車載コンピュータ通信部92を介して、タンクローリー車60の積み込み情報や当該給油所10に係る荷卸し配送情報を、タンクローリー車60の車載コンピュータ63から取得することが可能になる。これにより、荷卸し補給制御部93は、タンクローリー車60が車載コンピュータ63を搭載している場合は、車載コンピュータ通信部92を介してタンクローリー車60の車載コンピュータ63との間で近距離無線通信が確立されるようになったことに基づき、タンクローリー車60の積み込み情報や当該給油所10に係る荷卸し配送情報を取得することができる。
一方、報知部91bは、例えば表示器や、ブザー等の警報器を備えている。報知部91bは、液量管理装置72によって管理されている各貯油タンク20の貯留燃料の液種や液量等のタンク情報、入力部91aから設定入力された荷卸し補給作業の作業情報、荷卸し補給制御部93がこれから行う所定の貯油タンク20に対する燃料の荷卸し補給が適正か否かを判定した荷卸し補給可否判定結果、等を、荷卸し作業者による荷卸し補給作業の進行に合わせて報知する。
荷卸し補給制御部93は、タンクローリ車60から貯油タンク20への荷卸し作業者による適切かつ安全な燃料の荷卸し補給作業を管理するため、操作盤91を始めとする荷卸し補給管理装置90の他部、並びに荷卸し補給管理装置90と接続されているベーパ回収機80を始めとする他の装置や機器を制御する。荷卸し補給制御部93は、CPU、RAM,ROM等よりなるメモリ、インタフェースを含むマイクロコンピュータによって構成され、例えば、次に述べるようにして制御する。
荷卸し補給制御部93は、タンクローリ車60が給油所10に入車し、敷地内の注油口53近辺の荷卸し補給作業位置に停車し、これからタンクローリ車60から貯油タンク20への荷卸し補給作業を行われることを、例えば、荷卸し作業者による操作盤91に設けられた入力部91aの荷卸し補給作業開始スイッチの操作、車番カードリーダを用いた車番カードの読み取り、又は車載コンピュータ通信部92を介したタンクローリ車60に搭載されている車載コンピュータ63との間での通信接続の確立によって検出する。
そして、荷卸し補給制御部93は、このようにして貯油タンク20への燃料荷卸し補給作業の開始を検出すると、報知部91bに、アース装置へのタンクローリー車60の接続や、入力部91aの作業情報入力部(車番カードリーダ、作業開始スイッチ、タンク指定キー、ハッチ選択キー)を用いた、荷卸し作業者がこれから行う荷卸し補給作業の作業情報(判断情報)の設定入力を案内する。なお、その際、荷卸し補給制御部93は、貯油タンク20への燃料荷卸し補給作業の開始を、車番カードリーダを用いた車番カードの読み取り、又はタンクローリ車60に搭載されている車載コンピュータ63との間での通信接続の確立によって検出した場合は、入力部91aの車番カードリーダを用いた車番カードリーダの読み取り操作については、その案内を省略して次の案内に移行できる。
また、荷卸し補給制御部93は、報知部91bを用いたこれら案内の実施とともに、液量管理装置72によって管理されている貯油タンク20の貯留燃料の液種や液量等のタンク情報を荷卸し補給可否判定に用いるため取得して、荷卸し作業者が確認できるように報知部91bに表示する。
そして、荷卸し補給制御部93は、上述したアース装置へのタンクローリー車60の接続や、入力部91aの作業情報入力部(車番カードリーダ、作業開始スイッチ、タンク指定キー、ハッチ選択キー)を用いた作業情報(判断情報)の設定入力に基づいて、荷卸し補給可否判定処理を行う。
荷卸し補給制御部93は、アース装置へのタンクローリー車60の接続を、ローリー車アース線64がアース線コネクタ96に装着されているのを検知する接続検知器96aからの接続検知信号の入力に基づき確認する。車番カードの車番カードリーダによる読み取りは、車番カードリーダからの、タンクローリー車60の積み込み情報や当該給油所10に係る荷卸し配送情報の読み取り入力に基づき確認する。作業開始スイッチ、タンク指定キー、ハッチ選択キーのそれぞれ操作は、それぞれの入力に基づき確認する。特に、荷卸し作業者により貯油タンク20への燃料荷卸し補給作業が開始されたことは、作業開始スイッチの操作入力、車番カードリーダからのタンクローリー車60の積み込み情報や当該給油所10に係る荷卸し配送情報の読み取り入力、又は車載コンピュータ通信部92を介したタンクローリ車60に搭載されている車載コンピュータ63との間での通信接続の確立によって、荷卸し補給制御部93は確認することができる。
そして、荷卸し補給制御部93は、アース線コネクタ96の接続検知器96aの検知出力や、入力部91aから設定入力されたタンクローリー車60の積み込み情報,当該給油所10に係る荷卸し配送情報,対象タンク情報,対象ハッチ情報といったこれから行う荷卸し補給作業の作業情報(判断情報)や、液量管理装置72によって管理されている給油所10の貯油タンク20に係るタンク情報を基にして、例えば、
a) ローリー車アース線64がアース線コネクタ96に接続されて、タンクローリー車60がアース装置に接続されているか否か、
b) タンク指定キーの操作により選択指定された貯油タンク20が、ハッチ選択キーの操作に選択指定されたハッチの燃料の配送先名(給油所名、タンク識別番号)に誤りがないか否か、
c) 選択指定されたハッチに積載されている燃料液種が、選択指定された貯油タンク20の貯留されている燃料液種に一致し、貯油タンク20内でコンタミネーションを生じさせないか否か、
d) 選択指定されたハッチから荷卸しされる燃料液量が、貯油タンク20の補給限度(例えば、補給限度=タンク容量−貯油タンク20の補給直前の燃料残量)を超えてしまうオーバーフローを生じさせないか否か、
といった、予め定められている補給可否判断条件に照らし合わせ、貯油タンク20への荷卸し補給の可否を判定する。
そして、荷卸し補給制御部93は、荷卸し許可条件が全て満たされているならば、荷卸し補給が適正(補給許可)と判定する一方、荷卸し許可条件が全て満たされていなければ、不適正(補給中止)と判定する。
そして、荷卸し補給制御部93は、荷卸し可否判定結果が適正(補給許可)である場合は、報知部91bに、その旨と、荷卸しホース61の接続案内を報知させる。これに対して、荷卸し可否判定結果が不適正(補給禁止)である場合は、その旨の警報を報知部91bに発生させる。
これにより、荷卸し作業者は、荷卸し補給制御部93による荷卸し可否判定結果が適正(補給許可)であることを報知部91bにより確認した場合は、タンク指定された貯油タンク20の注油口53に荷卸しホース61を接続して、ハッチ選択されたタンクローリ車60のハッチからタンク指定された貯油タンク20への実際の燃料流入を基づく荷卸し補給作業を進めることができる。
これ対し、荷卸し作業者は、荷卸し補給制御部93による荷卸し可否判定結果が不適正(補給禁止)であることを報知部91bにより確認した場合は、ハッチ選択されたタンクローリ車60のハッチからタンク指定された貯油タンク20への実際の燃料流入を基づく荷卸し補給作業を、タンクローリ車60のハッチから燃料流出、及びタンク指定された貯油タンク20への実際の燃料流入が起きる前に、途中で中止することができる。
このように、荷卸し補給管理装置90では、荷卸し作業者が“タンクローリ車60の荷卸し口62と燃料の荷卸し補給を行う貯油タンク20の注油口53との間を荷卸しホース61を介して接続し、タンクローリ車60の荷卸し補給用の燃料が積み込まれているハッチ底面の液排出口に備えられたハッチ底弁(図示省略)や荷卸し口62に備えられた荷卸し弁(図示省略)を開弁する”という、タンクローリ車60から貯油タンク20への実際の燃料流入を行うための各個別作業を行う前に荷卸し可否判定処理を行えるようにするため、アース装置へのタンクローリー車60の接続や、入力部91aの作業情報入力部(車番カードリーダ、作業開始スイッチ、タンク指定キー、ハッチ選択キー)を用いた作業情報(判断情報)の設定入力といった個別準備作業を、荷卸し作業者に行わせるようになっている。
そこで、荷卸し補給管理装置90では、荷卸し作業者が荷卸しホース61を接続するために貯油タンク20に連通する注油管54の注油口53を開放したときに、貯油タンク20内の気相部分Gの雰囲気である燃料蒸気を含んだ気体が注油口53から噴出しないように、これら個別準備作業の中の予め定められた所定の個別準備作業又は所定の個別準備作業の組み合わせからなる特定の準備作業の実施を荷卸し補給制御部93が確認した場合には、荷卸し補給制御部93は、ベーパ回収機80を用いて、注油口53を開放したときに燃料蒸気を含んだ気体が注油口53から噴出しないように貯油タンク20内の気相部分Gの雰囲気を大気圧状態若しくはその近傍状態からなる基準状態にする注液口開放準備処理を、荷卸し可否判定処理を含む上述した荷卸し補給作業管理処理と並行して行うようになっている。次に、この荷卸し補給管理装置90によって実行される注液口開放準備処理について、図2に基づいて説明する。
図2は、本実施の形態に係る燃料補給装置において、荷卸し補給管理装置によって実行される注液口開放準備処理のフローチャートである。
図2に示すように、ステップS10では、荷卸し補給管理装置90の荷卸し補給制御部93は、貯油タンク20に連通する注油管54の注油口53に荷卸しホース61を接続するため当該注液口53を開放する前に荷卸し作業者によって予め行われる、荷卸し補給作業における特定の準備作業が実施されたか否か、について確認する。
ここで、特定の準備作業とは、アース装置へのタンクローリー車60の接続や、入力部91aの作業情報入力部(車番カードリーダ、作業開始スイッチ、タンク指定キー、ハッチ選択キー)を用いた作業情報(判断情報)の設定入力といった個別準備作業の中の、予め定められた所定の個別準備作業又は所定の個別準備作業の組み合わせを指す。個別準備作業としては、例えば、アース装置へのタンクローリー車60の接続、車番カードの車番カードリーダによる読み取り、作業開始スイッチ,タンク指定キー,ハッチ選択キーのそれぞれ操作、車載コンピュータ通信部92を介したタンクローリ車60に搭載されている車載コンピュータ63との間での通信接続の確立(敷地内の荷卸し補給作業位置へのタンクローリー車60の停車検知、若しくは車番カードの読み取りにも相当)、等が該当する。なお、これら以外にも、例えば、図1に例示した給油所10には備えられていないが、敷地内の荷卸し補給作業位置にタンクローリ車60の停車検知センサが設けられている給油所では、この停車検知センサの検知出力も、個別準備作業の検知出力として取り扱い可能である。
ステップS20では、S10で特定の準備作業の実施が確認された場合は、荷卸し補給制御部93は、給油所10における燃料補給作業を行う貯油タンク20内の気相部Gの雰囲気の圧力が予め設定されている所定圧力Psを超えているか否か、を確認する。なお、この場合、貯油タンク20内の気相部Gの雰囲気の圧力計測は、注液口開放準備処理専用の圧力センサ(図1では、図示省略)を貯油タンク20内の気相部G又は通気管75に設けてもよく、或いは貯油タンク20に対応したベーパ回収機80の圧力センサ82fを共用することでも、ベーパ回収機80が圧力センサ82fを用いて計測した圧力値をベーパ回収機80からデータ取得することでもよい。
荷卸し補給制御部93は、貯油タンク20内の気相部Gの雰囲気の圧力が所定圧力Psを超えている場合は、後述のステップS30〜S70で示す注液口開放準備のための貯油タンク20内の気相部Gの減圧処理を行う。また、荷卸し補給制御部93は、貯油タンク20内の気相部Gの雰囲気の圧力が所定圧力Psを超えていない場合は、後述のステップS30〜S70で示す注液口開放準備のための貯油タンク20内の気相部Gの減圧処理を省略する。
ここで、所定圧力Psは、大気圧状態若しくはその近傍状態からなる基準状態の圧力P0よりも大きく、通気管75の大気弁76が開弁するときの開弁設定値(異常圧解放値)Peや、ベーパ回収機80の吸着・脱着制御部85がタンクローリ車60から貯油タンク20への実際の燃料流入を判定するための圧力判定値Pfよりも低い圧力値になっている。これにより、貯油タンク20内の気相部分Gの雰囲気が圧力上昇する原因としては、タンクローリ車60からの燃料の荷卸し補給に伴う貯油タンク20内の液量増加に基づく気相部分Gの容積縮小ほど圧力変化は顕著でない、貯油タンク20内に貯留されている燃料の温度上昇やベーパ回収機構36を備えた給油機30による燃料供給作業の繰り返し等による貯油タンク20内の気相部分Gの雰囲気の圧力上昇に対しても、貯油タンク20に連通する注油管54の注油口53を開放したときに、貯油タンク20内の気相部分Gの雰囲気である燃料蒸気を含んだ気体が注油口53から噴出しないように対応できるようになっている。反面、ベーパ回収機80においては、タンクローリ車60から貯油タンク20への実際の燃料流入を貯油タンク20内の気相部分Gの雰囲気の圧力に基づいて検出する場合は、その圧力判定値Pfを、貯油タンク20内に貯留されている燃料の温度上昇やベーパ回収機構36を備えた給油機30による燃料供給作業の繰り返し等による貯油タンク20内の気相部分Gの雰囲気の圧力上昇による場合よりも高く設定しておく(ただし、Pf<Pe)ことができるので、タンクローリ車60からの燃料の荷卸し補給時に、脱着処理が行われていたり、荷卸し補給途中で吸着処理から脱着処理に切り換わってしまうことを減少できる。
また、前記ステップS10で、特定の準備作業として、例えば、アース装置へのタンクローリー車60の接続やタンクローリ車60の停車検知センサの検知出力が単独で設定され、かつ給油所10に複数の貯油タンク20が設置されている場合、又は同一の給油所10において燃料の荷卸補給する貯油タンク20が荷卸し配送情報において複数ある場合は、これから燃料の荷卸補給する一の対象タンクが特定の準備作業の実施を確認した時点では、未だ特定されないこともある。
このような場合は、前記ステップS20の処理は省略することができる。また、これから述べるステップS30以下の処理については、給油所10の該当する複数の貯油タンク20全てについて、荷卸し補給制御部93は、タンク指定キーの操作によって燃料の荷卸し補給を受ける対象タンク情報が特定されるまで、又はタンク指定キーの操作による対象タンク情報の特定に関係なく、該当する複数の貯油タンク20それぞれについて並行して実行することができる。
なお、ステップS30〜70に示す、注液口開放準備のための貯油タンク20内の気相部Gの減圧処理についての以下の説明では、理解容易のため、対象タンク情報の特定が特定されているものとして説明する。
ステップS30では、荷卸し補給制御部93は、荷卸し作業者が燃料の荷卸し補給を受ける貯油タンク20の注油口53に設けられている蓋部を開けて注油口53を開放してしまうのを防ぐため、図示の例では、燃料の荷卸し補給を受ける貯油タンク20に係る減圧中信号を、操作盤91の報知部91bに出力する。これにより、操作盤91の報知部91bでは、荷卸し補給制御部93から減圧中信号が出力されている間は、燃料の荷卸し補給を受ける貯油タンク20が注液口開放準備中であることが報知される。なお、図示の給油所10とは異なり、注油口53の蓋部及び/又は注油口収容ボックス57の開閉扉58が信号制御による閉状態ロック機構が備えられているものにあっては、燃料の荷卸し補給を受ける貯油タンク20に係る注油口53の蓋部及び/又は注油口収容ボックス57の開閉扉58の閉状態ロック機構にロック信号として減圧中信号を出力して、減圧中信号の出力中は、荷卸し作業者が蓋部及び/又は開閉扉58を開放できないようにロックする構成を採用することも可能である。
ステップS40では、荷卸し補給制御部93は、ベーパ回収機80の吸着・脱着制御部85に対して、注液口開放準備のための吸着処理の実行開始指令を出力して、ベーパ回収機80に注液口開放準備のための吸着処理を開始させる。ベーパ回収機80は、荷卸し補給管理装置90から実行開始指令の受信により、吸着塔導入バルブ81c、給排バルブ83b、還流バルブ84bが閉弁状態になっている下で、ベーパ回収部81の吸着塔導入バルブ81c、及び気体給排部83の給排バルブ83bを開弁して、ベーパ回収管81a、及び給排気管83aを連通状態にして、吸着処理を開始する。
ステップS50では、荷卸し補給制御部93は、気相部Gの雰囲気の圧力が予め設定されている所定圧力Psを超えている、給油所10の燃料補給作業を行う貯油タンク20について、ベーパ回収機80を利用して、気相部Gの雰囲気の圧力が大気圧若しくはその近傍まで低下したか否かを確認する。その確認に当たって、荷卸し補給制御部93は、例えば、ベーパ回収機80による吸着処理の実行時間が予め設定された所定の減圧時間を経過したか否か、気相部Gの雰囲気の圧力計測値が予め設定されている大気圧若しくはその近傍の基準値まで低下したか否か等に基づいて、注液口開放準備のための貯油タンク20内の気相部Gの減圧処理を終了させるか否かを判定する。
ステップS60では、前記ステップS50で、給油所10の燃料補給作業を行う貯油タンク20に係り、注液口開放準備のための貯油タンク20内の気相部Gの減圧処理の終了が判定された場合は、荷卸し補給制御部93は、前記ステップS30で出力した減圧中信号を出力停止する。これにより、前記ステップS30で減圧中信号を操作盤91の報知部91bに出力していた図示の例では、操作盤91の報知部91bによる、注液口開放準備中であることの報知が終了する。この結果、荷卸し作業者は、前述した、荷卸し補給制御部93による荷卸し可否判定結果が適正(補給許可)であるとの判定結果とを合わせて、タンク指定された貯油タンク20の注油口53に荷卸しホース61を接続して、ハッチ選択されたタンクローリ車60のハッチからタンク指定された貯油タンク20への実際の燃料流入を基づく荷卸し補給作業を進めることができる。また、図示の給油所10とは異なり、注油口53の蓋部及び/又は注油口収容ボックス57の開閉扉58が信号制御による閉状態ロック機構が備えられている場合にあっては、燃料の荷卸し補給を受ける貯油タンク20に係る注油口53の蓋部及び/又は注油口収容ボックス57の開閉扉58の閉状態ロック機構に出力されていた減圧中信号が出力停止されるので、燃料の荷卸し補給を受ける貯油タンク20に係る注油口53の蓋部及び/又は注油口収容ボックス57の開閉扉58が開閉可能になる。
ステップS70では、荷卸し補給制御部93は、ベーパ回収機80の吸着・脱着制御部85に対して、注液口開放準備のための吸着処理の実行終了指令を出力して、ベーパ回収機80に注液口開放準備のための吸着処理を終了させる。
これにより、仮に、前述した、荷卸し補給制御部93による荷卸し可否判定結果が不適正(補給禁止)となった場合でも、注液口開放準備のための吸着処理は終了することになる。また、仮に、注液口開放準備のための吸着処理の実行終了指令の受信前に、ベーパ回収機80の吸着・脱着制御部85が、タンクローリ車60から貯油タンク20への実際の燃料流入を判定して既に吸着処理を開始している場合は、ベーパ回収機80による吸着処理は、注液口開放準備のための吸着処理の実行終了指令の受信にかかわらず、ベーパ回収機80の吸着・脱着制御部85による、タンクローリ車60から貯油タンク20への実際の燃料流入の判定によっても行われることになり、実質的に継続される。
なお、図示の例では、荷卸し可否判定は、給油所10に設けられた荷卸し補給管理装置90が行う構成として説明したが、荷卸し補給管理装置90は、ベーパ回収機80又はタンクローリ車60の車載コンピュータ63のいずれかと一体構成であっても構わない。
その具体例として、本願出願人が先に特願2012−267104として出願した明細書及び図面に記載されているような車載コンピュータを搭載したタンクローリ車にあっては、給油所10での荷卸し可否判定は車載コンピュータ側で行うので、図1に示した荷卸し補給管理装置90の処理は、タンクローリ車60の車載コンピュータが実施することになる。
この場合は、車載コンピュータ63からなる荷卸し補給管理装置は、アース装置へタンクローリー車60のローリー車アース線64が接続されたこと、液量管理装置72等の給油所側機器との間で通信ケーブルの接続や無線LANネットワークが確立されたこと等を認識することにより、これからタンクローリ車60による貯油タンク20への荷卸し補給作業を行われることを感得することができる。そして、車載コンピュータ63からなる荷卸し補給管理装置は、車載コンピュータに備えられた報知部に注液口開放準備中であることを報知し、前述した通信ケーブルや無線LANネットワークを介して注液口開放準備のための吸着処理の実行指令を出力して、ベーパ回収機80に注液口開放準備のための吸着処理に実行させることができる。
以上述べたような荷卸し補給管理装置90を含む本実施の形態に係る燃料補給装置によれば、荷卸し作業者が荷卸しホース61を接続するために貯液タンク20に連通する注液管54の注液口53を開放するときには、貯液タンク20内の気相部分Gの雰囲気の圧力が減圧されて外部の大気圧若しくはその近傍状態になっているため、開放した注液口53からベーパが噴出するのを防止できる。この結果、貯液タンク20への燃料の荷卸し補給作業における安全性の向上、及び環境・経済面での更なる改善をはかることができる。
また、注液口開放準備のための吸着処理が行われた後、荷卸し作業者が荷卸しホース60を接続するために貯液タンク20に連通する注液管54の注液口53を開放したときに、注液口53から勢いを有して有して放出された場合は、貯油タンク20への実際の燃料流入を基づく荷卸し補給作業の実施前に、ベーパ回収機80の故障等を、荷卸し作業者は感得することができ、安全性がより一層向上する。
本実施の形態に係る燃料補給装置は、以上のとおりであるが、種々の変形例が可能である。例えば、図2に示した注液口開放準備処理のフローチャートにおいて、ステップS20で示した圧力確認は省略し、ステップS20で示した減圧中信号の出力処理を進めることができる。また、荷卸し補給管理装置90が行う、図2に示した注液口開放準備処理も、ベーパ回収機80の吸着・脱着制御部85が特定の準備作業が実施されたことの確認信号の受信を受けて、ベーパ回収機80側で行わせるようにしてもよい。
10 給油所、 20 貯油タンク(貯液タンク)、 30 給油機(燃料供給機)、
31 ポンプ、 32 流量計、 33 給油ホース、 34 給油ノズル、
35 表示器、 36 ベーパ回収機構、 36a ベーパ吸引チューブ、
36b ベーパ吸引ポンプ、 38 給油機制御部、 51 給液管、
52 ベーパ戻し管、 53 注油口(注液口)、 54 注油管(注液管)、
55 蓋体、 56 開閉弁、 57 注油口収容ボックス、 58 開閉扉、
60 タンクローリ車、 61 荷卸しホース、 62 荷卸し口、
63 車載コンピュータ、 64 ローリー車アース線、
71 液面センサ(液量センサ)、 72 液量管理装置、 75 通気管、
76 大気弁、 80 ベーパ回収機(ベーパ回収装置)、
81 ベーパ回収部、 81a ベーパ回収管、 81b 圧力センサ、
81c 吸着塔導入バルブ、 82 吸着部、 82a 吸着塔、
82b 吸着剤、 82c 導入・還流口、 82d 排気・給気口、
82e 吸着状況検知センサ、 82f 圧力センサ、 83 気体給排部、
83a 給排気管、 83b 給排バルブ、 83c 大気弁、
84 脱着還流部、 84a 燃料蒸気還流管、 84b 還流バルブ、
84c 真空ポンプ、 84d 冷却ユニット、 85 吸着・脱着制御部、
90 荷卸し補給管理装置、 91 操作盤、 91a 入力部、
91b 報知部、 92 車載コンピュータ通信部、 93 荷卸し補給制御部、
96 アース線コネクタ、 96a 接続検知器、
180 ベーパ回収装置、 181a ベーパ回収管、
181c 導入バルブ181c、 182a 回収槽、 183a 給排気管、
183b 給排バルブ

Claims (9)

  1. 揮発性液体からなる燃料をタンクローリ車から貯液タンクへ荷卸し補給するに当たって、荷卸し作業者によって実施された準備作業の情報に基づいて荷卸し補給の可否を判定する荷卸し可否判定工程、
    常時は閉蓋状態の開閉自在の蓋部が備えられた前記貯液タンクの注液口に、前記荷卸し可否判定工程の荷卸し補給可の判定結果を受けた荷卸し作業者により前記蓋部を開蓋状態にして接続された荷卸しホースを介して、前記タンクローリ車から前記貯液タンクへの実際の燃料の流出・流入に基づいた燃料の荷卸し補給を行う荷卸し補給工程、
    前記荷卸し補給工程の実行に伴う前記貯液タンク内に貯留されている燃料の液量増加に基づいて、前記貯液タンク内の燃料蒸気を含む雰囲気からなる気相部分の圧力が所定値を超えて上昇したときには、当該気相部分の燃料蒸気を含む雰囲気をベーパ回収装置に導入し、前記ベーパ回収装置によって当該導入された気相部分の燃料蒸気を含む雰囲気から燃料蒸気成分を分離して回収し、燃料蒸気成分が除去された気体にして外部に放出するベーパ回収工程、
    を有し、
    前記荷卸し可否判定工程で荷卸し補給の可否の判定のための情報として用いられる準備作業の中から、予め定められている特定の準備作業が荷卸し作業者によって実施されたことを検出して、前記荷卸し補給工程を実行する前に、前記貯液タンク内の気相部分の燃料蒸気を含む雰囲気を前記ベーパ回収装置に導入し、前記ベーパ回収装置によって当該導入された気相部分の燃料蒸気を含む雰囲気から燃料蒸気成分を分離して回収し、燃料蒸気成分が除去された気体にして外部に放出する貯液タンク減圧工程
    をさらに有することを特徴とする貯液タンクへの燃料補給方法。
  2. 前記特定の準備作業は、アース装置のアース線コネクタへのローリー車アース線の接続作業、タンクローリー車が燃料配送の際に携行する車番カードの車番カードリーダによる読み取り、作業開始スイッチ,タンク指定キー,ハッチ選択キーのそれぞれ操作、又はタンクローリ車に搭載されている車載コンピュータとの間での通信接続の確立の中のいずれか一つ又は複数の組み合わせである
    ことを特徴とする請求項1に記載の貯液タンクへの燃料補給方法。
  3. 揮発性液体からなる燃料をタンクローリ車から貯液タンクへ荷卸し補給するに当たって、荷卸し作業者によって実施された準備作業の情報を取得する入力部と、
    燃料をタンクローリ車から貯液タンクへ荷卸し補給するに当たって、荷卸し作業者によって実施された準備作業の情報に基づいて荷卸し補給の可否を判定する荷卸し可否判定部と、
    常時は閉蓋状態の開閉自在の蓋部が備えられた前記貯液タンクの注液口を開蓋状態にして、前記タンクローリ車から前記貯液タンクへの燃料の荷卸し補給を行うための荷卸しホースを当該開蓋状態の注液口に接続させるために、荷卸し作業者に前記荷卸し可否判定部による判定結果を報知する報知部と、
    前記荷卸し可否判定部で荷卸し補給の可否の判定のための情報として用いられる準備作業の中から、予め定められている特定の準備作業が荷卸し作業者によって実施されたことを検出し、前記貯液タンク内の燃料蒸気を含む雰囲気からなる気相部分の雰囲気を導入して燃料蒸気成分を分離して回収し、燃料蒸気成分が除去された気体にして外部に放出するベーパ回収装置と
    を備えた貯液タンクへの燃料補給装置。
  4. 前記特定の準備作業は、アース装置のアース線コネクタへのローリー車アース線の接続作業、タンクローリー車が燃料配送の際に携行する車番カードの車番カードリーダによる読み取り、作業開始スイッチ,タンク指定キー,ハッチ選択キーのそれぞれ操作、又はタンクローリ車に搭載されている車載コンピュータとの間での通信接続の確立の中のいずれか一つ又は複数の組み合わせである
    ことを特徴とする請求項3に記載の貯液タンクへの燃料補給装置。
  5. 前記ベーパ回収装置は、特定の準備作業が荷卸し作業者によって実施されたことを検出してから、予め定められている所定時間の経過後又は前記貯液タンク内の気相部分の雰囲気の圧力が大気圧状態若しくはその近傍状態からなる基準状態になると停止する、
    ことを特徴とする請求項3又は4に記載の貯液タンクへの燃料補給装置。
  6. 前記注液口には、
    前記ベーパ回収装置が、前記貯液タンク内の燃料蒸気を含む雰囲気からなる気相部分の雰囲気を導入して燃料蒸気成分を分離して回収し、燃料蒸気成分が除去された気体にして外部に放出している間は、前記蓋部が開蓋状態になるのを阻止するロック機構が備えられている
    ことを特徴とする請求項3又は4に記載の貯液タンクへの燃料補給装置。
  7. 前記ベーパ回収装置は、
    前記タンクローリ車から前記貯液タンクへの前記荷卸しホースを介した実際の燃料の流出・流入による前記貯液タンク内に貯留されている燃料液量の増加に基づいて、前記貯液タンク内上部の燃料蒸気を含む雰囲気からなる気相部分の圧力が所定値を超えて上昇したのを検出して、当該気相部分の燃料蒸気を含む雰囲気を導入して燃料蒸気成分を分離して回収し、燃料蒸気成分が除去された気体にして外部に放出するベーパ回収装置も兼ねる
    ことを特徴とする請求項3又は4に記載の貯液タンクへの燃料補給装置。
  8. タンクローリ車に積載された揮発性液体からなる燃料を燃料供給施設の貯液タンクに荷卸し補給する際に用いられる貯液タンクへの燃料補給装置であって、
    前記貯液タンク内上部の燃料蒸気を含む雰囲気からなる気相部分に連通させて設けられ、前記貯液タンクの注液口の蓋部が開放される前に荷卸し作業者によって当該荷卸し補給作業のために予め行われる特定の個別作業の実施タイミングで、前記貯液タンク内上部の気相部分の燃料蒸気を含む雰囲気の導入を開始して、前記注液口の蓋部が開放されても前記注液口から燃料蒸気を含んだ気体を噴出させないように前記貯液タンクの気相部分を減圧しておくベーパ回収装置
    を備えていることを特徴とする貯液タンクへの燃料補給装置。
  9. 前記ベーパ回収装置は、
    前記貯液タンク内の気相部分の雰囲気の圧力を検出する圧力検出部を有し、該圧力検出部よって検出された前記貯液タンク内上部の気相部分の燃料蒸気を含む雰囲気の圧力が予め設定された所定値を超えている場合に、前記特定の個別作業の実施タイミングで、前記貯液タンク内上部の気相部分の燃料蒸気を含む雰囲気の導入を開始し、
    前記所定値は、前記貯液タンク外部の大気の雰囲気の圧力よりも高く、かつ、前記貯液タンク内上部の燃料蒸気を含む雰囲気からなる気相部分の異常な圧力上昇を防ぐために前記貯液タンクに設けられている大気弁の開弁圧よりも低い
    ことを特徴とする請求項8に記載の貯液タンクへの燃料補給装置。
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