JP2014222601A - 非水二次電池負極用バインダー樹脂、非水二次電池負極用スラリー組成物、非水二次電池用負極、および非水二次電池 - Google Patents

非水二次電池負極用バインダー樹脂、非水二次電池負極用スラリー組成物、非水二次電池用負極、および非水二次電池 Download PDF

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史子 藤江
光史 野殿
Mitsufumi Nodono
光史 野殿
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Fumino Momose
扶実乃 百瀬
春樹 岡田
Haruki Okada
春樹 岡田
陽 百瀬
Hikaru Momose
陽 百瀬
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Akikazu Matsumoto
晃和 松本
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Abstract

【課題】負極用スラリー組成物の分散安定性、負極電極の可とう性、及び負極合剤層と集電体との密着性が向上しうる非水二次電池負極用バインダー樹脂、該バインダー樹脂を備えた非水二次電池用負極、及び該非水二次電子用負極を備えた非水二次電池を提供する。【解決手段】下記一般式(1)で表される単量体単位を含み、質量平均分子量が100万〜5000万である(共)重合体(I)をバインダー樹脂中の40〜100質量含有する非水二次電池負極用バインダー樹脂。[化1](式(1)中、R1およびR2は、R1およびR2の一方が水素原子または炭素数1〜12の直鎖又は分岐のアルキル基であり、他方が炭素数1〜12の直鎖又は分岐のアルキル基である。nは1〜500000の整数である。)【選択図】なし

Description

本発明は、非水二次電池負極用バインダー樹脂、非水二次電池負極用スラリー組成物、非水二次電池用負極、および非水二次電池に関する。
二次電池は、ノート型パソコンや携帯電話等の弱電の民生機器用途、ハイブリッド車や電気自動車等の蓄電池として使用されている。二次電池の中では、リチウムイオン二次電池(以下、単に「電池」ということがある。)が多用されている。一般に、リチウムイオン二次電池用電極としては、電極活物質がバインダー樹脂によって集電体に保持されたものが用いられている。
従来、電池電極用のバインダー樹脂には、例えばポリフッ化ビニリデン(PVDF)等のフッ素系樹脂が用いられている。
電極を作製するに際しては、電極活物質やバインダー樹脂等の混合物を電極スラリー組成物とするための溶剤として、N―メチル−2−ピロリドン(NMP)等の有機溶剤が用いられている。
しかし、NMP等の有機溶剤は、乾燥時の溶剤回収コスト、環境に対して負荷が高いなどの問題があった。
そのため、最近では、有機溶剤を水へ置き換える試みがなされており、例えば負極用のバインダー樹脂としてスチレン−ブタジエンゴム(SBR)ラテックス等の水分散系バインダー樹脂や、増粘剤であるカルボキシメチルセルロース(CMC)が用いられている。
ところで、水分散系バインダー樹脂は、水を含む状態で流通されるため、輸送費が増大するという問題がある。さらに、水分散系バインダー樹脂には、通常、カビ発生抑制を目的として防カビ剤が添加されるため、電池性能が低下するといった問題も懸念されている。
そこで、水分散系バインダー樹脂を粉末状で提供することが望まれているが、ラテックス系の樹脂は低ガラス転移温度の組成であることが多く、一旦粉末化すると高分子鎖が絡み、再度水に分散しにくくなるという問題があった。
そのため、PVDF粉をNMPに溶解して使用できるように、電極作製時に水に溶解または分散して使用することができる粉末状のバインダー樹脂が求められている。
一方、CMCは水溶性の高分子であるため、電極作製時には水に溶解させて用いることができる。しかし、CMCは天然物由来であるため、供給ロット毎の品質が安定しにくく、その結果、得られる電極の品質も安定しにくい等の問題がある。
そのため、安定品質で供給可能な非天然物である水溶性のバインダー樹脂が望まれている。
加えて、バインダー樹脂を含む電池には、高い電池性能を発揮することも要求されている。
こうした問題に対して、水溶性バインダー樹脂として様々な重合体が提案されている。
例えば、特許文献1では、CMCと水分散性(ラテックス)バインダー樹脂との水分散体が用いられている。しかし、負極合剤層と集電体との密着性が十分であるとは言えない。
また、特許文献1で用いられている増粘剤と水分散性バインダー樹脂とを含む水分散体は、粘性を付与する成分と、結着性を付与する成分とを別々に組み合わせて用いる必要があるため、バインダー樹脂を粉末状にして簡便に用いることができないという問題があった。
また、特許文献2においては、CMC、SBR、アクリルアミド系水溶性高分子を混合した負極バインダー樹脂を用いている。アクリルアミド系水溶性高分子を必須成分とすることで、CMC、SBRとの親和性がよく、また、結着性が改善されるとしている。しかし、アクリルアミド系高分子は増粘剤として補助的に使用されており、必須成分であるCMCやSBRの上記問題点に関しては解決できていなかった。さらに、単独で使用しても、安定的な負極用スラリー組成物を作製することができなかった。
また、特許文献3においては、増粘剤として水溶性ポリマーが開示されているが、ラテックスバインダーが必須成分であり、これらも上記の問題に関しては解決していなかった。さらに、ラテックスバインダー中の乳化剤が原因で電極の電気抵抗が悪化する等の劣化が生じる懸念があった。
特許文献4においては、CMC、SBRを用いない水系バインダーとして、カルボキシル基を有するアニオン性単量体とN−アルキルあるいはN,N−ジアルキルアクリルアミドの共重合体が提案されている。しかしながら、この共重合体に加え、酸化剤を添加しなければ充分な結着性を付与することができないことが開示されている。酸化剤を加えると、スラリー組成物の物性や貯蔵安定性が悪化することが懸念される。さらに、開示されている共重合体は、分子量が小さいため、単独の使用では十分な負極用スラリー組成物の安定性、塗工性を発現できなかった。単独で用いた場合に充分な負極用スラリー組成物の安定性や塗工性を出すためには、多量の添加が必要であると考えられる。バインダーを多量に添加すると、活物質の量を減らさなければならなくなり、電池の容量低下につながる。また、電極中のポリマーが増えるため、電気抵抗が上がるという問題も発生する。さらに、バインダーにかかるコストも増大するという問題があった。
特開平11−67213号公報 特開2005−203370号公報 特開2002−256129号公報 特開2010−182548号公報
このように、特許文献1〜4に開示のバインダー樹脂では、バインダー樹脂の取り扱いやすさ、得られる負極用スラリー組成物の分散安定性及び負極合剤層と集電体との密着性が十分であるとは言えない。また、リチウムイオン二次電池には電極の可とう性も求められる。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、電池性能の向上を図ることができる非水二次電池負極用バインダー樹脂、特に、CMC、ラテックス系バインダー樹脂、添加剤等を用いずとも、負極用スラリー組成物の分散安定性、負極の可とう性、及び負極合剤層と集電体との密着性の向上を図ることができ、かつ、粉末状にして簡便に用いることができる非水二次電池負極用バインダー樹脂、該バインダー樹脂を含む非水二次電池負極用スラリー組成物、該バインダー樹脂を備えた非水二次電池用負極、及び該非水二次電池用負極を備えた非水二次電池を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、CMC、ラテックス系バインダー樹脂、添加剤等を用いなくても、非水二次電池負極用バインダー樹脂(以下、単に「バインダー樹脂」ということがある)として下記一般式(1)で表される単量体単位を有する(共)重合体を含有することで、負極用スラリー組成物の分散安定性、負極の可とう性、及び負極合剤層と集電体との密着性が向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
Figure 2014222601
(式(1)中、RおよびRは、RおよびRの一方が水素原子または炭素数1〜12の直鎖又は分岐のアルキル基であり、他方が炭素数1〜12の直鎖又は分岐のアルキル基である。nは1〜500000の整数である。)
すなわち、本発明は以下の様態を有する。
〔1〕下記一般式(1)で表される単量体単位(a)を含み、質量平均分子量が100万〜5000万である(共)重合体(I)を含有する非水二次電池負極用バインダー樹脂。
Figure 2014222601
(式(1)中、RおよびRは、RおよびRの一方が水素原子または炭素数1〜12の直鎖又は分岐のアルキル基であり、他方が炭素数1〜12の直鎖又は分岐のアルキル基である。nは1〜500000の整数である。)
〔2〕活物質、溶剤及び〔1〕に記載のバインダー樹脂を含み、前記(共)重合体(I)の割合がバインダー樹脂中の40〜100質量%である非水二次電池負極用スラリー組成物。
〔3〕活物質及び〔1〕に記載のバインダー樹脂を含有する負極合剤層ならびに集電体を有する非水二次電池用負極。
〔4〕〔3〕に記載の非水二次電池用負極を備える、非水二次電池。
本発明のバインダー樹脂によれば、負極用スラリー組成物の分散安定性の向上を図ることができる。さらには、負極電極の可とう性の向上、及び負極合剤層と集電体との密着性を向上することができる。その結果、これらを備えた非水二次電池、特にリチウムイオン二次電池は、高い電池性能を発揮することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
[二次電池負極用バインダー樹脂]
本発明に係る非水二次電池負極用バインダー樹脂について説明する。
本発明の非水二次電池負極用バインダー樹脂は、下記一般式(1)で表される単量体単位(a)を含む(共)重合体を含有することを特徴とする。
Figure 2014222601
(式(1)中、RおよびRは、RおよびRの一方が水素原子または炭素数1〜12の直鎖又は分岐のアルキル基であり、他方が炭素数1〜12の直鎖又は分岐のアルキル基である。nは1〜500000の整数である。)
式(1)中、RおよびRは、RおよびRの一方が水素原子または炭素数1〜12の直鎖又は分岐のアルキル基であり、他方が炭素数1〜12の直鎖又は分岐のアルキル基である。RおよびRの少なくともいずれかが炭素数1〜12の直鎖又は分岐のアルキル基であることで、最終的に得られる電極の可とう性が向上する。
炭素数1〜12の直鎖又は分岐のアルキル基としては例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等が挙げられ、炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基が好ましい。このような構造を有する単量体単位(a)を与える単量体としては、N−メチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド等が挙げられる。なお、これらは単独で用いても、2種類以上の複数を組み合わせて用いてもよい。この中でも、水への溶解性がよく、負極電極の可とう性改善、及び負極合剤層と集電体との密着性向上効果がよい点で、N,N−ジメチルアクリルアミドを含むことが好ましい。
式(1)中、nは1〜500000の整数であり、2以上が好ましく、10以上がさらに好ましい。nが大きくなることで、一般式(1)で表される単量体単位(a)由来の好ましい特性が発現しやすくなる。また、nは1万〜50万が好ましく、1.2万〜30万がより好ましく、1.5〜20万がさらに好ましく、1.8万〜10万がさらに好ましく、2.5万〜8万がさらに好ましく、4万〜8万が特に好ましい。
本発明の非水二次電池負極用バインダー樹脂は、一般式(1)で表される単量体単位(a)を必須成分とし、単独重合体が非水電解液に不溶である単量体単位(b)を含む(共)重合体(I)を含んでいても良い。その他の単量体単位(b)を与える単量体としては、公知の水溶性単量体が挙げられ、例えば、ビニルアルコール、ビニルピロリドン、N−ビニルアセトアミド(NVA)、N−ビニルホルムアミド(NVF)、アクリルアミド、アクリル酸、アクリル酸エステル類、またはそれらの変性物等が挙げられる。これらは、単独で用いても、複数を組み合わせて用いてもよい。
前記公知の水溶性単量体の中でも、単独重合体が非水電解液に不溶であるものが好ましい。すなわち、その構造単位となる単量体を重合して単独重合体としたときに、その重合体が非水電解液に不溶であるものが好ましい。このような条件を満たすその他の単量体単位(b)を与える単量体としては、例えば、N−ビニルアセトアミド(NVA)、N−ビニルホルムアミド(NVF)、アクリルアミド、アクリル酸、アクリル酸エステル類、またはそれらの変性物等が挙げられ、特にNVF、アクリル酸、アクリルアミドが電気化学特性に優れるため好ましい。これらは、単独で用いても、複数を組み合わせて用いてもよい。
一般式(1)で表される単量体単位(a)の量としては、(共)重合体(I)中の5〜100質量%が好ましく、10〜100質量%がより好ましく、25〜100質量%がさらに好ましく、50〜100質量%が最も好ましい。5質量%以上含めば、負極合剤層と集電体との密着性、負極電極の可とう性が改善する。
また、非水電解液に不溶である単量体単位(b)の量としては、(共)重合体(I)中の0〜50質量%が好ましく、0〜25質量%がより好ましく、0〜10質量%がさらに好ましい。この単量体単位(b)の量が50質量%以下であれば、単量体単位(a)由来の性能を発揮しやすい。
(共)重合体(I)は、必須成分である一般式(1)で表される単量体単位(a)を与える単量体を重合させることにより、あるいは、単量体単位(a)を与える単量体と、その他の単量体単位(b)を与える単量体を共重合することにより得られる。重合方法としては、特に限定されず、一般的なラジカル重合、制御ラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合が挙げられる。この中でも、ラジカル重合が最も簡便に利用でき、塊状重合、溶液重合、乳化重合、懸濁重合で任意の単独重合体が得られる。中でも、特に、塊状重合、溶液重合は、乳化剤等を使用せず純度の高い重合体を得やすいため好ましい。また、断熱重合、熱重合、光重合等の方法を用いることができる。
重合に用いる開始剤は、特に限定されず、水に溶解できればよいが、例えば、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジハイドロクトライド、2,2’−アゾビス〔N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン〕ハイドレート、2,2’−アゾビス{2−〔1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル〕プロパン}ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス〔2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン〕、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−〔1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル〕プロピオンアミド}等の一般的な水溶性アゾ化合物、t−ブチルハイドロパーオキサイド等の水溶性有機過酸化物、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の水溶性無機過酸化物等が挙げられる。なお、過硫酸塩等の酸化剤は、亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ハイドロサルファイト等の還元剤、硫酸鉄等の重合促進剤と組み合わせて、レドックス系開始剤として用いることもできる。
また、たとえば、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等の一般的な光重合開始剤等のラジカル重合開始剤も好ましく用いられる。
また、重合には、分子量調整等の目的でメルカプタン化合物、チオグリコール、四塩化炭素、α−メチルスチレンダイマー等の連鎖移動剤、分散剤等を用いてもよい。
一般式(1)で表される単量体単位(a)を必須成分とした(共)重合体(I)の質量平均分子量は、100万〜5000万であり、120万〜3000万であることが好ましく、150万〜2000万であることがより好ましく、180万〜1000万であることがさらに好ましく、250万〜800万であることがさらに好ましく、400万〜800万が最も好ましい。質量平均分子量が100万以上であれば、スラリー組成物の増粘効果が高く、分散安定性が向上する上、電極密着性などの特徴を発揮しやすくなる。また、質量平均分子量が上記範囲内であれば、バインダー樹脂の粘度が適当で、負極用スラリー組成物の分散性も安定的となる。質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC、GPC−MALS)を用いて、測定することができる。
本発明のバインダー樹脂は、(共)重合体(I)のみからなるものでもよいが、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、(共)重合体(I)以外のその他の水溶性(共)重合体(II)を含んでいてもよい。
その他の水溶性(共)重合体(II)とは、前記単量体単位(b)として列挙したものの少なくとも1つ以上を(共)重合したものである。
上述の通り、本発明の非水二次電池負極用バインダー樹脂には、(共)重合体(I)のみを含む場合と、(共)重合体(I)とその他の水溶性(共)重合体(II)とをブレンドしたものを含む場合とがある。
本発明の非水二次電池負極用バインダー樹脂は、一般式(1)で表される単量体単位(a)を必須成分として含有する(共)重合体(I)を必須成分として含有し、例えば、リチウムイオン二次電池の負極に好適に用いることができる。
[非水二次電池負極用スラリー組成物]
本発明の非水二次電池負極用スラリー組成物は、活物質、溶剤及びバインダー樹脂を含み、一般式(1)で表される単量体単位(a)を必須成分とした(共)重合体(I)の割合がバインダー樹脂中の40〜100質量%である。前記(共)重合体(I)の割合は、50〜100質量%がより好ましく、60〜100質量%がさらに好ましく、70〜100質量%が最も好ましい。一般式(1)で表される単量体単位(a)を必須成分とした(共)重合体(I)がバインダー樹脂中の40質量%以上含まれれば、負極用スラリー組成物の分散性がよくなり、電極の可とう性改善効果と、負極合剤層と集電体との密着性改善効果が得られる。重合体(I)が100質量%でもよい効果が得られるが、負極用スラリー組成物安定性の改善、耐酸化性向上のためにその他の水溶性(共)重合体(II)をバインダー樹脂中の60質量%を上限として、加えても良い。
負極活物質としては、リチウムイオンを可逆的に脱挿入できればよく、例えば、黒鉛、非晶質炭素、炭素繊維、コークス、活性炭等の炭素材料、シリコン、すず、銀等の金属またはこれらの酸化物が好ましく用いられる。これらは、一種類を単独で用いても、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
負極活物質は導電助剤と組み合わせて用いることもできる。導電助剤は、電気を通しやすいものがよく、例えば、黒鉛、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、アセチレンブラック、フラーレン、導電性高分子等が挙げられる。これらは、一種類を単独で用いても、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
導電助剤を添加する場合の添加量は、負極活物質100質量部に対して0.1〜20質量部が好ましく、1〜10質量部がより好ましい。導電助剤の含有量が0.1質量部より少ない場合、電極抵抗の低減効果が充分に得られない恐れがある。また、20質量部を超えると、負極活物質の量が少なくなるため容量を確保しにくくなる。
溶剤は、人体や環境に無害であり、回収設備の省略や乾燥エネルギーの軽減による低コスト化が可能であるため、水が好ましい。また、影響のない範囲で水に対して少量の有機溶剤を含んでいてもよい。
バインダー樹脂の添加量は、負極活物質100質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましく、0.3〜5質量部がより好ましく、0.5〜3質量部が最も好ましい。バインダー樹脂の含有量が0.1質量部より少ない場合、負極用スラリー組成物が安定しないことや、電極合剤層と集電体との密着性が充分に得られないことが懸念される。また、10質量部を超えると、負極活物質の量が少なくなるため容量を確保しにくくなる。
バインダー樹脂は、乾燥後の粉体や顆粒を用いてもよく、あらかじめ任意の濃度の水溶液として溶解させてから用いてもよい。複数を混合する場合は、順次加えても、あらかじめ混ぜ合わせておいてもよい。
上記の非水二次電池負極用スラリー組成物は、例えば、以下の非水二次電池負極用スラリー組成物調製工程を用いて製造することができる。
非水二次電池負極用スラリー組成物は、少なくとも本発明の非水二次電池負極用スラリー組成物を構成する活物質、溶剤及びバインダー樹脂の存在下で混練することで得られる。混練方法としては、活物質及びバインダー樹脂とを溶剤の存在下で十分に混練できる方法であれば特に限定されないが、例えば自公転攪拌機、プラネタリーミキサー、ホモジナイザー、ボールミル、サンドミル、ロールミル等の各種分散機で混練する方法が挙げられる。具体的には、以下の調製工程を用いて、本発明の非水二次電池負極用スラリー組成物を製造することができる。
非水二次電池負極用スラリー組成物調製工程は、本発明の非水二次電池負極用スラリー組成物を構成する活物質、溶剤及びバインダー樹脂に、必要に応じて粘度調整剤、導電助剤等の添加剤を加えて分散させ、非水二次電池負極用スラリー組成物を得る工程である。このとき、上述したバインダー樹脂は予め粉体状で混合して溶剤に分散させてもよいし、バインダー樹脂を溶剤に溶解または分散させた後に負極活物質などを溶剤に分散してもよい。バインダー樹脂、負極活物質等の溶剤への分散のタイミングは特に限定されない。
非水二次電池用負極用スラリー組成物は、溶剤中、負極活物質と、必要に応じて導電助剤と、負極用バインダー樹脂を混練、分散させて得られる。負極用スラリー組成物調製工程は、均一に分散可能な方法であれば特に限定しないが、例えば、スターラー、自公転攪拌機、ミキサー、プラネタリーミキサー、ホモジナイザー、ボールミル、サンドミル、ロールミル等の各種分散機で混練する方法、またその組み合わせが挙げられる。
非水二次電池用負極用スラリー組成物の固形分は、良好に分散していれば特に限定しないが、負極活物質の種類、導電助剤の量、負極用バインダー樹脂の種類、量毎の粘度に応じて、45〜70質量%程度で調製することが好ましい。
[非水二次電池用負極]
本発明の非水二次電池用負極は、非水二次電池負極用バインダー樹脂と、負極活物質と、必要に応じて導電助剤とを含有する負極合剤層、および集電体とを備えるものである。
集電体としては、アルミニウム箔、ニッケル箔、金箔、銀箔、チタン箔等が挙げられるが、価格と安定性の観点から、銅箔が好ましい。
非水二次電池用負極は、非水二次電池用負極用スラリー組成物を集電体に塗工、乾燥して得られる。塗工方法は特に限定されず、例えばバーコート法、ドクターブレード法、ナイフ法、ディップ法、転写法、リバースロール法、ダイレクトロール法、グラビア法、エクストルージョン法、カーテン法、はけ塗り法等によって非水二次電池用負極層の厚みが0.1〜500μmとなるように塗工する。
乾燥は、集電体に塗工した非水二次電池用負極用スラリー組成物中の溶剤を除去することができればよく、自然乾燥、低温風乾燥、加熱乾燥、熱風乾燥、真空乾燥、赤外線乾燥、遠赤外線乾燥、電子線乾燥等が単独、もしくは複数を組み合わせて用いられる。
塗工直後の乾燥温度は、非水二次電池用負極用スラリー組成物中の含有物が流動しにくい温度であることが好ましく、20〜80℃が好ましく、30〜60℃がより好ましい。20℃以上であれば、乾燥時間が短くなり、80℃以下であれば、バインダー樹脂が偏在化による負極合剤層と集電体との密着性低下を抑制できる。
一度乾燥した後の乾燥温度は、非水二次電池用負極用スラリー組成物中の含有物が変質しない温度であればよく、40〜120℃が好ましく、60〜100℃がより好ましい。40℃以上であれば乾燥時間を短縮でき、120℃以下であれば、非水二次電池用負極用スラリー組成物中の含有物が分解、変質するのを抑制できる。
乾燥後、必要に応じて非水二次電池用負極をプレスしてもよい。プレスにより、電極層の面積を広げ、かつ任意の厚みに調整可能である。また、電極表面の平滑性や電極密度を高めることが可能である。プレス方法としては、金型プレス、ロールプレス等が挙げられる。なお、プレスは常温で行っても、加熱して行ってもよく、乾燥と同時に行ってもよい。
また、非水二次電池用負極は必要に応じて任意の寸法に切断してもよい。切断方法としては、スリット加工、打ち抜き、押し切り等の方法が挙げられる。
最終的な非水二次電池用負極の水分量は、2000ppm以下が好ましく、1000ppm以下がより好ましい。2000ppm以下であれば、電池にした際に水分が原因となる劣化を抑制できる。
[非水二次電池]
本発明の非水二次電池は、本発明の非水二次電池用負極を備える。
以上のようにして作製された負極と、正極を、透液性のセパレータ(例えば、ポリエチレンあるいはポリプロピレン製の多孔性フィルム)を間に介して、配置し、これに非水系の電解液を含浸させることにより非水二次電池(積層型、ラミネート型)が形成される。また、両面に活性層が形成された負極/セパレータ/両面に活性層が形成された正極/セパレータからなる積層体をロール状(渦巻状)に巻回して得られる構造体を有底の金属ケーシングに収容し、負極を負極端子に、正極を正極端子に接続し、電解液を含浸させた後、ケーシングを封止することにより筒状の非水二次電池が得られる。
本発明の非水二次電池としては、例えば、リチウムイオン二次電池が好ましい。
本発明の非水二次電池に用いられる正極は、一般的に用いられる正極を好適に用いることができる。正極は、正極活物質と、必要に応じて導電助剤と、正極用バインダー樹脂とを含有する正極合剤層、および正極集電体とを備える。正極集電体としては、アルミニウム箔、ニッケル箔、金箔、銀箔、銅箔、チタン箔等が挙げられるが、価格と安定性の観点から、アルミニウム箔が好ましい。
正極活物質としては、リチウムイオンを可逆的に脱挿入できるものであればよく、例えば、鉄、コバルト、ニッケル、マンガンから選ばれる少なくとも一種類以上の金属と、リチウムを含有する金属複合酸化物が挙げられ、代表的なものに、LiCoO、LiMnが挙げられる。また、リン酸鉄リチウムやリン酸マンガンリチウム等のオリビン構造を有する化合物を用いてもよい。これらは、一種類を単独で用いても、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
正極活物質は導電助剤と組み合わせて用いる。導電助剤は、電気を通しやすいものがよく、例えば、黒鉛、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、アセチレンブラック、フラーレン、導電性高分子等が挙げられる。これらは、一種類を単独で用いても、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
導電助剤の添加量は、正極活物質100質量部に対して1〜20質量部が好ましく、3〜10質量部がより好ましい。導電助剤の含有量が1質量部より少ない場合、電極抵抗が充分に低減できない恐れがある。また、20質量部を超えると、正極活物質の量が少なくなるため容量を確保しにくくなる。
正極用バインダー樹脂は、例えば、PVDF等の一般的なものや、その他の水溶性バインダーを用いることができる。これらは、単独で、もしくは複数を組み合わせて用いることができる。
正極用バインダー樹脂の添加量は、正極活物質100質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましく、0.3〜5質量部がより好ましく、0.5〜3質量部が最も好ましい。正極用バインダー樹脂の含有量が0.1質量部より少ない場合、正極用スラリー組成物が安定しないことや、電極合剤層と集電体との密着性が充分に得られないことが懸念される。また、10質量部を超えると、正極活物質の量が少なくなるため容量を確保しにくくなる。
バインダー樹脂は、乾燥後の粉体や顆粒を用いてもよく、あらかじめ任意の濃度の水溶液として溶解させてから用いてもよい。複数を混合する場合は、順次加えても、あらかじめ混ぜ合わせておいてもよい。
正極用スラリー組成物調製工程に用いる溶剤としては、人体や環境に無害であり、回収設備の省略や乾燥エネルギーの軽減による低コスト化が可能であるため、水が好ましい。また、影響のない範囲で水に対して少量の有機溶剤を含んでいてもよい。
正極用スラリー組成物調製工程に用いる溶剤としては、例えば、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルスルホルアミド、テトラメチル尿素、アセトン、メチルエチルケトン、N−メチルピロリドンとエステル系溶剤(酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ブチルセルソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテート等)の混合溶剤、n−メチルピロリドンとグライム系溶剤(ジグライム、トリグライム、テトラグライム等)の混合溶剤、水が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。また、必要に応じて公知の分散剤、粘度調整剤を添加してもよい。
正極用スラリー組成物は、溶剤中、正極活物質と、導電助剤と、本発明のバインダー樹脂を混練、分散させて得られる。正極用電極スラリー調製工程は、均一に分散可能な方法であれば特に限定しないが、例えば、スターラー、自公転攪拌機、ミキサー、プラネタリーミキサー、ホモジナイザー、ボールミル、サンドミル、ロールミル等の各種分散機で混練する方法、またその組み合わせが挙げられる。
正極用スラリー組成物の固形分は、良好に分散していれば特に限定しないが、正極活物質の種類、導電助剤の量、バインダー樹脂の種類、量毎の粘度に応じて、50〜70質量%程度で調整することが好ましい。
前記電解液としては、例えば、リチウムイオン二次電池の場合、電解質としてのリチウム塩を1M程度の濃度で非水系有機溶剤に溶解したものが用いられる。
前記リチウム塩としては、例えば、LiClO、LiBF、LiI、LiPF、LiCFSO、LiCFCO、LiAsF、LiSbF、LiAlCl、LiCl、LiBr、LiB(C、LiCHSO、LiCSO、Li(CFSON、Li〔(COBが挙げられる。
前記、非水系有機溶剤としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート等のカーボネート類;γ−ブチロラクトン等のラクトン類;トリメトキシメタン、1,2−ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、2−エトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン等のエーテル類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン等のオキソラン類;アセトニトリル、ニトロメタン、NMP等の含窒素類;ギ酸メチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、リン酸トリエステル等のエステル類;ジグライム、トリグライム、テトラグライム等のグライム類;アセトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;スルホラン等のスルホン類;3−メチル−2−オキサゾリジノン等のオキサゾリジノン類;1,3−プロパンスルトン、4−ブタンスルトン、ナフタスルトン等のスルトン類が挙げられる。前記電解液は、1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
以下、実施例を挙げて、本発明を更に詳細に説明するが、以下の実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
[バインダー樹脂の製造]
<製造例1:N,N’−ジメチルアクリルアミド(DMA)重合体(I−1)>
脱イオン水40質量部に対し、単量体単位(a)を与える単量体として、N,N’−ジメチルアクリルアミド(興人株式会社製、以下同様)60質量部を混合した単量体水溶液を作製した。これに、0.018質量部の開始剤(ダロキュア4265、チバ・ジャパン株式会社製)を溶解し、30分窒素バブリングした。これを、ペットフィルムにシリコンゴムで作製した1mm厚さのセルに流しいれ、1mW/cmのケミカルランプで1時間重合した。得られた重合体の周囲を切り除き、細かく裁断して室温で乾燥後、40℃真空乾燥機で一晩乾燥させてN,N’−ジメチルアクリルアミド重合体(I−1)を得た。
<製造例2:N,N−ジメチルアクリルアミド重合体(I−2)>
重合時間を30分間とした以外は製造例1と同様にしてN,N−ジメチルアクリルアミド重合体(I−2)(PDMA)を得た。
<製造例3:N−ビニルホルムアミド(DMF)重合体(II−1)>
脱イオン水70質量部に対し、N−ビニルホルムアミド30質量部を混合した単量体水溶液を、リン酸によりpH=6.3となるよう調節し、単量体調節液を得た。この単量体調節液を5℃まで冷却した後、温度計を取り付けた断熱反応容器に入れ、15分間窒素曝気を行った。その後、4、4’−アゾビス(4−シアノバレリックアシッド)(和光純薬工業株式会社製、「V−501」)12質量%水溶液を0.4質量部添加し、次いで、t−ブチルハイドロパーオキサイド10質量%水溶液および亜硫酸水素ナトリウム10質量%水溶液をそれぞれ0.1質量部添加して重合を行った。内温がピークを超えた後さらに1時間熟成し、ゲルを取り出しミートチョッパーで粉砕した後、60℃で10時間乾燥し、得られた固体を粉砕し、N−ビニルホルムアミド重合体(II−1)を得た。
<製造例4:DMA−NVF共重合体(I−3)>
N,N−ジメチルアクリルアミド70質量%、N−ビニルホルムアミド30質量%を合わせて60質量部とし、脱イオン水40質量部に混合した単量体水溶液を作製した。これに、0.018質量部の開始剤(ダロキュア4265、チバ・ジャパン株式会社製)を溶解し、30分窒素バブリングした。これを、ペットフィルムにシリコンゴムで作製した1mm厚さのセルに流しいれ、1mW/cmのケミカルランプで1時間重合した。これを、周囲を切り除き、細かく裁断して室温で乾燥後、40℃真空乾燥機で一晩乾燥させてDMA−NVF重合体(I−3)を得た。
<製造例5:DMA−NVF共重合体(I−4)>
N,N−ジメチルアクリルアミド50質量%、N−ビニルホルムアミド50質量%を合わせて60質量部とし、脱イオン水40質量部に混合した単量体水溶液を作製した。これに、0.018質量部の開始剤(ダロキュア4265、チバ・ジャパン株式会社製)を溶解し、30分窒素バブリングした。これを、ペットフィルムにシリコンゴムで作製した1mm厚さのセルに流しいれ、1mW/cmのケミカルランプで1時間重合した。これを、周囲を切り除き、細かく裁断して室温で乾燥後、40℃真空乾燥機で一晩乾燥させてDMA−NVF重合体(I−4)を得た。
<製造例6:DMA−NVF共重合体(I−5)>
N,N−ジメチルアクリルアミド30質量%、N−ビニルホルムアミド70質量%を合わせて60質量部とし、脱イオン水40質量部に混合した単量体水溶液を作製した。これに、0.018質量部の開始剤(ダロキュア4265、チバ・ジャパン株式会社製)を溶解し、30分窒素バブリングした。これを、ペットフィルムにシリコンゴムで作製した1mm厚さのセルに流しいれ、1mW/cmのケミカルランプで1時間重合した。これを、周囲を切り除き、細かく裁断して室温で乾燥後、40℃真空乾燥機で一晩乾燥させてDMA−NVF重合体(I−5)を得た。
<製造例7:DMA−NVF共重合体(I−6)>
N,N−ジメチルアクリルアミド10質量%、N−ビニルホルムアミド90質量%を合わせて60質量部とし、脱イオン水40質量部に混合した単量体水溶液を作製した。これに、0.018質量部の開始剤(ダロキュア4265、チバ・ジャパン株式会社製)を溶解し、30分窒素バブリングした。これを、ペットフィルムにシリコンゴムで作製した1mm厚さのセルに流しいれ、1mW/cmのケミカルランプで1時間重合した。これを、周囲を切り除き、細かく裁断して室温で乾燥後、40℃真空乾燥機で一晩乾燥させてDMA−NVF重合体(I−6)を得た。
<製造例8:DMA−AAm共重合体(I−7)>
N,N−ジメチルアクリルアミド70質量%、アクリルアミド30質量%を合わせて60質量部とし、脱イオン水40質量部に混合した単量体水溶液を作製した。これに、0.018質量部の開始剤(ダロキュア4265、チバ・ジャパン株式会社製)を溶解し、30分窒素バブリングした。これを、ペットフィルムにシリコンゴムで作製した1mm厚さのセルに流しいれ、1mW/cmのケミカルランプで1時間重合した。これを、周囲を切り除き、細かく裁断して室温で乾燥後、40℃真空乾燥機で一晩乾燥させてDMA−AAm重合体(I−7)を得た。
<製造例9:DMA−AA共重合体(I−8)>
四つ口丸底フラスコに、N,N−ジメチルアクリルアミド58質量%、アクリル酸42質量%を合わせて10質量部とし、脱イオン水90質量部に混合した単量体水溶液を作製し、攪拌翼、冷却管を接続した。これに、0.4質量部のギ酸ナトリウムを溶解し、攪拌しながら30分窒素バブリングした。50℃に昇温し、0.8質量部の10%開始剤(V−50、和光製薬株式会社製)水溶液を添加して3時間重合し、再度、0.8質量部の10%開始剤(V−50)水溶液を添加して3時間重合した。得られた重合溶液は冷却し、大量のメチルエチルケトンに沈殿させた。これを、40℃真空乾燥機で一晩乾燥させてDMA−AAm重合体(I−8)を得た。
<製造例10:DMA−AA共重合体(I−9)>
四つ口丸底フラスコに、N,N−ジメチルアクリルアミド26質量%、アクリル酸74質量%を合わせて10質量部とし、脱イオン水90質量部に混合した単量体水溶液を作製し、攪拌翼、冷却管を接続した。これに、0.4質量部のギ酸ナトリウムを溶解し、攪拌しながら30分窒素バブリングした。50℃に昇温し、0.8質量部の10%開始剤(V−50、和光製薬株式会社製)水溶液を添加して3時間重合し、再度、0.8質量部の10%開始剤(V−50)水溶液を添加して3時間重合した。得られた重合溶液は冷却し、大量のメチルエチルケトンに沈殿させた。これを、40℃真空乾燥機で一晩乾燥させてDMA−AAm重合体(I−10)を得た。
(重合体の分子量測定)
作製した(共)重合体の分子量は、以下の方法で測定した。
<重合体(I−1)、(I〜2)、(II−1)、共重合体(I−3)〜(I−7)>
Waters社製GPC、カラムに昭和電工社製Shodex OHpac SB−807HQを使用し、溶剤としてアセトニトリル/水=10/90(0.1N硝酸ナトリウム含有)、流速0.5ml/分、40℃で測定。IR検出器にて検出し、粘度換算分子量で基準化したポリN−ビニルホルムアミド換算の分子量を算出した。
<共重合体(I−8)、(I−9)>
Wyatt Technology社製GPC−MALS、分離カラムに昭和電工社製Shodex 807HQ(商品名)(内径8.0mm×長さ30cm)を使用し、溶剤としてアセトニトリル/水=10/90(0.1N硝酸ナトリウム含有)、流速1ml/分、40℃で測定した。島津製作所社製 NexeraHPLC検出器にて検出し、粘度換算分子量で基準化したポリN−ビニルホルムアミド換算の分子量を算出した。
[実施例1]
<非水二次電池負極用スラリー組成物の調製>
バインダー樹脂として、N,N’−ジメチルアクリルアミド重合体(I−1)を3質量%水溶液とした。カーボン(三菱化学株式会社製「MPGC−16」)10gと、バインダー水溶液3gとを計量し、スパチュラを用いて攪拌し全体を馴染ませた。これを、自公転ミキサー(Thinky社製、「泡とり練太郎」、以下同様)を用い、自転1000rpm、公転2000rpmの条件(以下同様)にて60秒混練した。これを、再度スパチュラを用いて攪拌し、自公転ミキサーで60秒混練した。バインダー水溶液3.67gをさらに加え混練した後、塗工に適した粘度まで水を加えて混練することにより、非水二次電池負極用スラリー組成物を得た。
<二次電池負極の作製>
得られた負極用スラリー組成物を集電体(銅箔、厚さ18μm)にドクターブレード法によって均一に塗布し、室温で2時間乾燥した。さらに真空乾燥機にて0.6kPa、60℃で12時間減圧乾燥して、膜厚約80μmの合剤層が集電体上に形成された二次電池負極を得た。
得られた二次電池負極は以下の方法により負極合剤層と集電体との密着性、二次電池負極の可とう性の評価を行った。結果を表1に示した。
(電極密着性評価)
負極合剤層と集電体との密着性(電極密着性)は、以下の条件にて行う剥離試験により測定される剥離強度により評価した。
電極を20mm幅の試験片にし、ニップロールを通して粘着剤付きポリカーボネート板と貼り合せた。テンシロン引張強度試験にて、10Nロードセルを用い、引張速度1cm/分で180℃剥離試験を行った。
電極と集電体の剥離強度を5つの試験片で測定し、剥離し始める部分を除いた後半の剥離強度の平均を求め、これより180℃剥離強度(N/cm)を算出した。
(二次電池負極の可とう性評価)
二次電池負極の可とう性は、JIS K−5600−5−1(塗料一般試験方法耐屈曲性(円筒形マンドレル法))を参考にして、以下の条件にて行う耐屈曲性(プレス後の可とう性)により評価した。
二次電池負極を3cm×5cmに切り出し、プレスロールでプレスして電極密度を1.6g/cmに合わせて試験片とした。試験片の銅箔面をマンドレル側になるように設置し、試験片の片側をテープで固定して折り曲げ、塗膜の状態を目視で観察した。マンドレルの直径を以下の通り小さくしながら評価した。
マンドレルの直径:32mm、25mm、16mm、10mm、8mm、6mm、5mm、3mm、2mm
○:折り曲げ面にて、二次電池負極の変化が見られない
△:折り曲げ面にて、二次電池負極に横筋がみられた
×:折り曲げ面にて、二次電池負極のワレ、欠け等が見られた
試験片3つについて試験し、○を2、△を1、×を0として、結果の合計値が4以上となるマンドレルの最小径を可とう性(mm)とした。
[実施例2]
添加するバインダー水溶液の総量を5gとし、二度目のバインダー水溶液の添加量を2gとした以外は実施例1と同様にして、二次電池負極を得た。
得られた二次電池負極は実施例1と同様の方法により負極合剤層と集電体との密着性、二次電池負極の可とう性の評価を行った。結果を表1に示した。
[実施例3]
添加するバインダー水溶液の総量を3.33gとし、二度目のバインダー水溶液の添加量を0.33gとした以外は実施例1と同様にして、二次電池負極を得た。
得られた電極は実施例1と同様の方法により負極合剤層と集電体との密着性、二次電池負極の可とう性の評価を行った。結果を表1に示した。
[実施例4]
バインダー樹脂として、N,N’−ジメチルアクリルアミド重合体(I−1)、N−ビニルホルムアミド重合体(II−1)をそれぞれ2質量%水溶液とした。カーボン10gと、バインダー(II−1)水溶液1gとバインダー(I−1)水溶液5gとを計量し、スパチュラを用いて攪拌し全体を馴染ませた。これを、自公転ミキサーにて60秒で2回混練した。これに、バインダー(I−1)水溶液4gを追加し、再度スパチュラを用いて攪拌し、自公転ミキサーにて60秒で2回混練し、負極用スラリー組成物を得た。これを、実施例1と同様にして二次電池負極を得た。
得られた二次電池負極は実施例1と同様の方法により負極合剤層と集電体との密着性、二次電池負極の可とう性の評価を行った。結果を表1に示した。これを、実施例1と同様にして二次電池負極を得た。
得られた二次電池負極は実施例1と同様の方法により負極合剤層と集電体との密着性、二次電池負極の可とう性の評価を行った。結果を表1に示した。
[実施例5]
最初の工程として、カーボン10gと、バインダー(II−1)水溶液2.5gとバインダー(I−1)水溶液3.5gとを計量し、スパチュラを用いて攪拌し全体を馴染ませたこと以外は、実施例4と同様にして二次電池負極を得た。
得られた二次電池負極は実施例1と同様の方法により負極合剤層と集電体との密着性、二次電池負極の可とう性の評価を行った。結果を表1に示した。
[実施例6]
最初の工程として、カーボン10gと、バインダー(II−1)水溶液5gとバインダー(I−1)水溶液1gとを計量し、スパチュラを用いて攪拌し全体を馴染ませたこと意外は、実施例4と同様にして二次電池負極を得た。
得られた二次電池負極は実施例1と同様の方法により負極合剤層と集電体との密着性、二次電池負極の可とう性の評価を行った。結果を表1に示した。
[実施例7]
バインダー樹脂として、N,N−ジメチルアクリルアミド重合体(I−2)を2質量%水溶液とした。カーボン10gと、バインダー水溶液6gとを計量し、スパチュラを用いて攪拌し全体を馴染ませた。これを、自公転ミキサーにて60秒で2回混練した。これに、バインダー水溶液4gを追加し、再度スパチュラを用いて攪拌し、自公転ミキサーにて60秒で2回混練し、二次電池負極用スラリー組成物を得た。
これを、乾燥条件を塗布後40℃で30分、真空乾燥機にて0.6kPa、60℃で12時間減圧乾燥した以外は実施例1と同様にして二次電池負極を得た。
得られた電極は実施例1と同様の方法により負極合剤層と集電体との密着性、二次電池負極の可とう性の評価を行った。結果を表1に示した。
[実施例8]
バインダー樹脂として、DMA−NVF共重合体(I−3)を用いた以外は実施例7と同様にして、二次電池負極を得た。
得られた二次電池負極は実施例1と同様の方法により負極合剤層と集電体との密着性、二次電池負極の可とう性の評価を行った。結果を表1に示した。
[実施例9]
バインダー樹脂として、DMA−NVF共重合体(I−4)を用いた以外は実施例7と同様にして、二次電池負極を得た。
得られた二次電池負極は実施例1と同様の方法により負極合剤層と集電体との密着性、二次電池負極の可とう性の評価を行った。結果を表1に示した。
[実施例10]
バインダー樹脂として、DMA−NVF共重合体(I−5)を用いた以外は実施例7と同様にして、二次電池負極を得た。
得られた二次電池負極は実施例1と同様の方法により負極合剤層と集電体との密着性、二次電池負極の可とう性の評価を行った。結果を表1に示した。
[実施例11]
バインダー樹脂として、DMA−NVF共重合体(I−6)を用いた以外は実施例7と同様にして、二次電池負極を得た。
得られた電極は実施例1と同様の方法により負極合剤層と集電体との密着性、二次電池負極の可とう性の評価を行った。結果を表1に示した。
[実施例12]
バインダー樹脂として、DMA−NVF共重合体(I−7)を用いた以外は実施例7と同様にして、二次電池負極を得た。
得られた二次電池負極は実施例1と同様の方法により負極合剤層と集電体との密着性、二次電池負極の可とう性の評価を行った。結果を表1に示した。
[比較例1]
バインダー樹脂として、DMA−AA共重合体(I−8)を用いた以外は実施例7と同様にして、二次電池負極を得た。
得られた二次電池負極は実施例1と同様の方法により負極合剤層と集電体との密着性、二次電池負極の可とう性の評価を行った。結果を表1に示した。
[比較例2]
バインダー樹脂として、DMA−AA共重合体(I−9)を用いた以外は実施例7と同様にして、二次電池負極を得た。
得られた二次電池負極は実施例1と同様の方法により負極合剤層と集電体との密着性、二次電池負極の可とう性の評価を行った。結果を表1に示した。
Figure 2014222601
表1中の略号は、以下を意味する。
C:カーボン
BP:バインダー樹脂
表1から明らかなように、上記一般式(1)で表される単量体単位(a)を含む(共)重合体(I)を含有するバインダー樹脂(I−1〜7)をバインダー樹脂中の40質量%以上の割合で用いると、負極合剤層と集電体との密着性、可とう性に優れた二次電池負極が得られた(実施例1〜12)。
中でも、上記一般式(1)で表される単量体単位(a)100%からなる(共)重合体(I)からなり、重量平均分子量が100万以上であるバインダー樹脂(I−1)を、バインダー樹脂中の40質量%以上の割合で用いると、負極合剤層と集電体との密着性、特に可とう性に優れた二次電池負極が得られた(実施例1〜6)。
また、上記一般式(1)で表される単量体単位(a)を有する(共)重合体(I)を含有するバインダー樹脂(I−2〜7)を用いると、負極合剤層と集電体との密着性に優れ、可とう性に優れた二次電池負極が得られた(実施例7〜12)。中でも、上記一般式(1)で表される単量体単位(a)を50%以上有する重合体であるバインダー樹脂(I−3、4)を用いると、負極合剤層と集電体との密着性に特に優れ、可とう性にも優れた二次電池負極が得られた(実施例8,9)。
しかし、上記一般式(1)で表される単量体単位(a)を有する(共)重合体を含有するバインダー樹脂(I)をバインダー樹脂中の100質量%を用いた場合でも、バインダー樹脂の分子量が充分に大きくない場合(I−8、9)、負極用スラリー組成物作製後の分散安定性が悪く、塗工・乾燥後の負極合剤層と集電体との密着性は充分に得られなかった。実施例と同等のバインダー添加量であっても電極は剥がれやすく、粉落ちがあり取扱い性が悪く負極合剤層と集電体との密着性に劣っていた(比較例1、2)。また、可とう性も劣る場合があることが示された(比較例1、2)。
また、本発明のバインダー樹脂を使用することで、品質安定性に不安のあるCMCや、保存・運搬に不利で耐酸化性が低いラテックス系バインダー樹脂を使用することなく、密着性・可とう性に優れる二次電池負極を作製することができた。
本発明は、環境、人体に無害である水のみを用いて、負極合剤層と集電体との密着性、可とう性共に優れた二次電池負極を作製することのできるバインダー樹脂であって、少量の利用で負極合剤層と集電体との密着性を発現でき、さらに二次電池負極の可とう性にも優れているため、高容量の二次電池負極を作製する際にも非常に有用である。また、作製された二次電池負極は、非水二次電池、特に、リチウムイオン二次電池に好適に用いることができ、工業的に極めて有用である。

Claims (4)

  1. 下記一般式(1)で表される単量体単位(a)を含み、質量平均分子量が100万〜5000万である(共)重合体(I)を含有する非水二次電池負極用バインダー樹脂。
    Figure 2014222601
    (式(1)中、RおよびRは、RおよびRの一方が水素原子または炭素数1〜12の直鎖又は分岐のアルキル基であり、他方が炭素数1〜12の直鎖又は分岐のアルキル基である。nは1〜500000の整数である。)
  2. 活物質、溶剤及び請求項1に記載のバインダー樹脂を含み、
    前記(共)重合体(I)の割合がバインダー樹脂中の40〜100質量%である非水二次電池負極用スラリー組成物。
  3. 活物質及び請求項1に記載のバインダー樹脂を含有する負極合剤層ならびに集電体を有する非水二次電池用負極。
  4. 請求項3に記載の非水二次電池用負極を備える、非水二次電池。
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